(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-512262(P2021-512262A)
(43)【公表日】2021年5月13日
(54)【発明の名称】ブレーキパッドリテンションプレートを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
F16D 65/092 20060101AFI20210416BHJP
B21J 5/08 20060101ALI20210416BHJP
B21K 7/14 20060101ALI20210416BHJP
【FI】
F16D65/092 D
B21J5/08 Z
B21K7/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-562648(P2020-562648)
(86)(22)【出願日】2019年3月22日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月30日
(86)【国際出願番号】US2019023577
(87)【国際公開番号】WO2019183473
(87)【国際公開日】20190926
(31)【優先権主張番号】62/647,243
(32)【優先日】2018年3月23日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520363605
【氏名又は名称】コマーシャル ビークル コンポーネンツ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,グイプ
(72)【発明者】
【氏名】マオ,エボ
(72)【発明者】
【氏名】ジャネシュ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ガイスト,ジェフリー
【テーマコード(参考)】
3J058
4E087
【Fターム(参考)】
3J058AA62
3J058BA61
3J058CA47
3J058EA03
3J058EA13
3J058FA01
4E087CA33
4E087EA15
4E087HA82
(57)【要約】
ブレーキパッドリテンションプレートの製造方法およびブレーキパッドリテンションプレートが提供される。この方法は、リテンションプレートに、ブレーキパッドのほうを向いた表面をアプセット鍛造して、リテンションプレートの表面に、溝すなわち一次面のくぼみなどのへこんだ特徴を有する第1の組の列と、溝の第1の側における歯部と、を形成することを含む。リテンションプレートの表面がアプセット鍛造され、溝を有する第2の組の列と、溝の第2の側における歯部とが形成される。第2の組の列は、1本の列である。第2の組の列は、第1の組の列に隣接して設けられるか、第1の組の列の間に設けられる。機械的なプレスを用いて、歯を変形させ、基部と、溝の一部にかぶさってのびる出っ張り部とを形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキパッドのほうを向いた表面を含むブランクプレートを準備する工程と、
前記ブレーキパッドのほうを向いた表面に、各々が複数の歯部を有する複数の列と、各々が第1の側と第2の側を含む対応する複数の溝と、を形成する工程であって、
前記対応する複数の溝の前記第1の側に前記複数の歯部の各々を形成することによって、第1の組の前記複数の列をアプセット鍛造し、
前記対応する複数の溝の前記第2の側に前記複数の歯部の各々を形成することによって、第2の組の前記複数の列をアプセット鍛造することを含む、前記形成する工程と、
前記複数の歯部の各々にプレスで圧をかける工程と、を含み、前記圧をかける工程では、前記歯部が各々屈曲点で屈曲して、前記溝から垂直方向にのびる基部と前記溝の上に水平方向にのびる出っ張り部とを、前記出っ張り部と前記溝との間に捕捉空間ができるように形成し、前記捕捉空間は、物質が前記捕捉空間に入ることができるように構成された開口を有し、
前記第1の組の前記複数の列は、少なくとも2本の連続した列を含み、前記第2の組の前記複数の列は、前記第1の組と連続した1本の列を含む、ブレーキパッドリテンションプレートにおける保持部の作製方法。
【請求項2】
前記対応する溝の前記第1の側に前記複数の歯部の各々を形成することによって、第3の組の前記複数の列をアプセット鍛造する工程をさらに含み、前記第3の組の前記複数の列は、少なくとも2本の連続した列を含み、前記第2の組の前記複数の列は、前記第1の組の前記複数の列と前記第3の組の前記複数の列との間に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記出っ張り部は、前記溝の長手方向の中心線の近くに形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記対応する複数の溝は各々、長さ7.5mm以下に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記出っ張り部は、長さが約3mm以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記出っ張り部は、長さが前記溝の長さの約1/3である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記出っ張り部は、長さが前記溝の長さの約1/4である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の歯部は各々、前記対応する複数の溝の各々の底との間で角度をなす、ほぼまっすぐな溝のほうを向いた表面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記角度は、45〜90度である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記出っ張り部は、長さが1.5〜2.5mmである、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
ブレーキパッドのほうを向いた表面と、
少なくとも、複数の保持部の第1の組の列であって、前記第1の組の列が少なくとも2本の連続した列を含み、前記保持部が各々、第1の側および第2の側を有する溝と、前記溝の前記第1の側に形成された保持突起とを含み、前記保持突起が基部と出っ張り部とを含む、前記第1の組の列と、
少なくとも、複数の保持部の前記第1の組の列と連続した複数の保持部の少なくとも1本の列であって、前記保持部が各々、第1の側および第2の側を有する溝と、前記溝の前記第2の側に形成された保持突起とを含み、前記保持突起が基部と出っ張り部とを含む、前記第2の組の列と、を備える、ブレーキパッドリテンションプレート。
【請求項12】
各々の溝の長さが7.5mm以下である、請求項11に記載のブレーキパッドリテンションプレート。
【請求項13】
各々の出っ張り部が3mmである、請求項12に記載のブレーキパッドリテンションプレート。
【請求項14】
前記出っ張り部は、1.0mm〜2.5mmである、請求項12に記載のブレーキパッドリテンションプレート。
【請求項15】
前記出っ張り部は、前記溝の長さの約1/4〜1/3である、請求項11に記載のブレーキパッドリテンションプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する特許出願へのクロスリファレンス
本出願は、2018年3月23日に出願された米国特許仮出願第62/647,243号の優先権の利益を主張するものであり、その開示内容を、全文を記載するかのごとく本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
ディスクブレーキアセンブリには、様々な要素の中でも特に、車輪に結合された回転ディスクの両側に配置される形で一対のブレーキパッドが含まれる。ブレーキパッドは、回転ディスクの両側にこれらのパッドを押し付けるピストンに結合されている。それが車輪にブレーキをかける機能を果たし、それは一般に自動車などに取り付けられている。
【0003】
ピストンとブレーキパッドとの接続部分には、制動時に剪断力がかかる。この剪断力がゆえ、ブレーキパッドがバックプレートから剥がれたり、削ぎ取られたりすることが多い。バックプレートは、ブレーキディスク/ローターと接触したときに一定のパッド圧をかけるためのブレーキパッドを支えている。バックプレートがないと、摩擦によって、均等に分散されているわけではない荷重が原因で亀裂が生じるであろう。このブレーキパッドにかかる剪断力に抵抗して運転を容易にする特徴を持ち得るのが、リテンションプレートである。
【0004】
リテンションプレートは、様々な形態をとり得る。ある従来のリテンションプレートは、鋼などのほぼ金属製のプレートを含み、その金属プレートの表面に、金属製の棘が形成されている。金属製の棘は通常、工具を使用して金属板の表面をえぐることによって形成される。金属製の棘は一般に、まっすぐであっても湾曲していてもよい。しかしながら、金属製の棘は一般に、一方向に形成されるか、せいぜい方向が異なる数列で形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのリテンションプレートは、機能しているとはいえ、依然として需要が多く残っている。したがって、この背景に対して、ブレーキパッドリテンションプレートを作製する改良された方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このサマリーは、以下の詳細な説明でさらに説明する簡略化された形式での概念の選択肢を紹介するために提供される。このサマリーおよび前述の背景は、特許請求の範囲に記載の主題の重要な態様または本質的な態様を特定することを意図したものではない。さらに、このサマリーは、特許請求の範囲に記載の主題の範囲を決定する一助として用いることを意図したものではない。
【0007】
この技術のいくつかの態様では、ブレーキパッドリテンションプレートの製造方法が提供される。この方法は、金属板の表面に、溝すなわち、一次面のくぼみなどのへこんだ特徴を形成することを含む。溝から押し出された金属は、溝の周りに立ち上がるほぼ垂直な歯を形成する。歯は通常、この歯が溝にかぶさるように、溝の底または基部との間で鋭角をなす。機械的なプレスを用いて歯を変形させ、溝の一部にかぶさる出っ張りを形成する。溝には幅と長さがある。出っ張りは、溝をほぼ2等分する中心軸またはその近くで溝にかぶさる。実施形態によっては、金属板には複数の列に配置された複数の溝が形成され、各々の溝に第1の側と第2の側がある。複数の列を、1本または複数本の溝の列の群としてグループ化することができ、各群における列には、同じ側に歯が形成される。溝は、歯が第1の側に形成された列の群と、歯が第2の側に形成された少なくとも1本の列の群とで交互に形成される。
【0008】
本明細書の詳細な説明および図面を検討した後に、本システムおよび方法のこれらの態様および他の態様が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
好ましい実施形態を含む、本発明の非限定的かつ非網羅的な実施形態を、以下の図面を参照して説明する。ここで、別途明記しない限り、異なる複数の図を通して、同様の参照符号は同様の部分を示す。
【
図1】
図1は、本出願の技術と一致するリテンションプレートの図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すリテンションプレートの一部の詳細である。
【
図3】
図3は、
図1に示すリテンションプレートの詳細の概略断面図である。
【
図4】
図4は、表面をアプセット鍛造した後でプレスする前の、
図1に示すリテンションプレートの詳細の概略断面図である。
【
図5】
図5は、プレス前の
図1のリテンションプレートの等角斜視図である。
【
図6】
図6は、プレス前の
図1のリテンションプレートの等角上面図である。
【
図7】
図7は、プレス前の
図1のリテンションプレートの等角側面図である。
【
図8】
図8は、プレス後の
図5のリテンションプレートの等角斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8のリテンションプレートの等角正面図である。
【
図12】
図12は、本出願の技術と一致するリテンションプレートの等角斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、例示として具体的かつ例示的な実施形態を示すとともに本明細書の一部をなす添付の図面を参照して、本出願の技術を一層完全に説明する。これらの実施形態は、当業者が本出願の技術を実施できるだけの十分な詳細さで開示されている。しかしながら、多くの異なる形態で実施形態を実施することができ、これらが本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるものではない。
【0011】
本出願の技術は、ディスクブレーキおよびディスクブレーキに付随するリテンションプレートを特に参照して説明される。しかしながら、本明細書に記載の技術は、金属板などに複合材料が結合した他のプレートにも使用できるものである。さらに、本出願の技術について、例示的な実施形態に関連して説明する。「例示的」という語は、本明細書では、「例、実例または例示として役立つ」ことを意味するのに用いられる。本明細書で「例示的」とする実施形態はいずれも、必ずしも他の実施形態より好ましい、あるいは有利であると解釈されるべきものではない。さらに、他に具体的に特定されない限り、本明細書に記載の実施形態はすべて例示的であると見なされるべきである。
【0012】
ここで
図1および
図2を参照すると、本出願の技術と一致するブレーキパッドリテンションプレート(ときには単にリテンションプレート)用のリテンションプレート100が示されている。リテンションプレート100は、鋼または鉄などの金属で形成されている。ここでは金属で説明するが、リテンションプレート100は、例えばフェノール樹脂などの他の材料で形成されてもよい。リテンションプレート100は、本明細書に記載の方法によって形成されたものである。リテンションプレート100は、複数の保持部101を有する列102を複数備える。保持部101は各々、保持突起103と溝104とを有する。溝104は、第1の側106および第2の側108を有する。通常、2本、3本、4本または5本の列102aが形成され、それぞれ第1の側106に複数の保持突起103が形成されている。これらの列を第1の組の列とみなすことができ、続いて、第2の側108に複数の保持突起102が形成された1本の列102bが続く。この列を、第2の組の列とみなすことができる。1本の列102bの次は、第1の側106に複数の保持突起103が形成された別の組の列102aが続き、これらの列を第3の列の組または2番目の第1の列の組とみなすことができるといった具合である。
【0013】
保持部101の描写を、
図3に示す。保持部は、保持突起103と溝104とを含む。保持突起103は、図示のように第1の側106と第2の側108のどちらに形成されるかを問わず、通常、垂直方向の基部110と水平方向の出っ張り部112とを含む。これは、以下にさらに説明するように形成される歯をプレスすることによって形成される。水平方向の出っ張り部112を、きのこの傘と呼ぶこともできる。
【0014】
図3の断面図に、保持突起103が示されている。保持突起103は、リテンションプレート100のブレーキパッドのほうを向いた表面116の上にほぼ垂直にのびる、垂直方向の基部110のある状態で形成されている。基部110は、溝のほうを向いた表面118を有し、この表面は、溝104の底122と溝のほうを向いた表面118との間に通常は鋭角の角度aができるように、溝104に対して傾いている。角度aは通常、45度より大きく90度未満であるが、実施形態によっては、(45<a<90)のいずれかと等しい場合がある。さらに、保持突起103は、溝104の上にほぼ水平にのびる出っ張り部112も含む。出っ張り部112は、溝104の上に、ほぼ平らで溝のほうを向いた表面124を有する。実施形態によっては、出っ張り部112は、開口126と捕捉空間125を形成する溝120の約4分の1から3分の1まで張り出してもよい。言葉をかえると、出っ張り部112の長さを、最大で溝の長さの25%または33%にすることができる。通常、出っ張りの長さは約1.0mm〜3.0mmであるが、平均的な長さは一般に約1.5mm〜2.5mmである。開口126は、リテンションプレート100の上の領域128に、捕捉空間125との間で流体が行き来できるようにする。
図3に流動性の要素として描写されるブレーキパッド130は、捕捉空間124内にある部分132(捕捉されたブレーキパッド132と呼ぶこともできる)と、出っ張り部112の外側かつ上方にある残りの部分134(ブレーキパッド134の大部分と呼ぶことができる)とを有する。
【0015】
上述したように、第1の側106に複数の保持突起103が形成された状態で、2本、3本、4本または5本の連続する列102aが形成され、続いて、第2の側108に形成された複数の保持突起103を有する1本の列102bが形成されている。複数の列102aの連続した第3、第4または第5の列ごとに列102bを1本設けると、リテンションプレートに連結後、摩擦材料のXYZ方向の剪断抵抗が大きくなることが見出された。
【0016】
各々の保持部100を作製するプロセスは、リテンションプレート100に、ほぼ平らで傷のない、ブレーキパッドのほうを向いた表面116を設けることから開始される。切り込み工程などのプロセスで、リテンションプレート100のブレーキパッドのほうを向いた表面116をアプセット鍛造し、
図4に示すような歯部140を形成する。通常、溝104は、長さが最大で約7〜7.5mmである。溝104の長さは通常、ある列に望まれる保持部の数とリテンションプレートの全長に依存する。溝104は、切り込み工程によって形成された歯部140のそばにあり、幅1.5〜2.3mmであるが、この幅は、場合によっては0.5〜2.5または3.0mmの範囲であってもよい。溝104の幅は、表面をアプセット鍛造するかミシン目を入れるのに使用される工具に、ある程度は依存する。歯部140は、溝104を形成するためにリテンションプレートからえぐられた材料が集まったものである。溝のほうを向いた表面142と、溝のほうを向いた表面142に対向する溝のほうを向いていない表面144での作業工程がゆえ、歯部140は、おおよそ三角形である。溝のほうを向いた表面142と、溝のほうを向いていない表面144は、頂部146で収束する。頂部146は、図には点として示されているが、通常は丸みを帯びている。溝のほうを向いた表面142は、溝104の底122との間で角度aをなす。実施形態によっては、材料の蓄積は、頂部146が溝104をほぼ2等分する中心軸またはその近くにくるように制御される。
【0017】
複数の歯部140を複数の溝104の近くに設ける形で複数の溝104を形成した後、リテンションプレート100上で、プレス(図示せず)を下降させる。プレスの表面が歯部140の頂部146に接触し、下向きに力を加える(この場合、下向きとは、歯部を圧縮する力を意味する)。歯部140全体が傾斜し、溝のほうを向いた表面142も傾斜しているため、プレスによって加わる力によって歯部が表面144に沿って変曲点148で屈曲する。歯140は通常、中心軸またはその近くで、溝104にかぶさるように曲がる。これによって、捕捉空間124が作られはじめる。
【0018】
プレスは、基部114とともに出っ張り部112が形成されるまで、圧力を加え続けて歯部140を屈曲させる。出っ張り部112が平らになり、溝120にかぶさっているのがわかるであろう。上述したように、出っ張り部112は通常、溝104の相当な長さにかぶさり、捕捉空間124を形成する。
【0019】
出っ張り部112の作製後、プレートの保持側に、ホットプレスによって粉末摩擦材料が提供される。この粉末の一部が、開口126を通って捕捉空間125に流れ込む。十分な時間(温度および圧力で)、ホットプレスが行われる。保持部の周りの摩擦材料を、ある程度、固化させることで、流動性の粉末がリテンションプレートと摩擦材料とを連結する固体片になる。固体材料にするには、硬化オーブンを使用しなければならない場合もある。
【0020】
図5、
図6および
図7は、リテンションプレートをえぐって溝104および歯部140を形成した後であるが、なおかつプレス前である、リテンションプレート100の図を示す。
図5は、溝104および歯部140を有する列102aおよび102bを示すリテンションプレート100の斜視図である。列102aにある溝104は、列102bの溝104の反対側に形成された歯部140を有する。
図6は、リテンションプレート100の上面図を示す。
図6から明らかなように、溝104は、長さLおよび幅Wであるのが最適であるが、製造工程がゆえに長さLと幅Wは厳密ではない。歯140の頂部146は、上記にて示したように溝104の幅に沿ったW/2の点またはその近くにある。
図7は、リテンションプレート100の側面図である。
【0021】
図8、
図9、
図10および
図11は、歯部140をプレスし、基部110と出っ張り112とを形成した後のリテンションプレート100の図を示す。
図8は、複数の保持部101を有する複数の列102があるリテンションプレート100の斜視図である。保持部101は各々、保持突起103および溝104を含む。
図9および
図10はそれぞれ、保持突起103を示す、リテンションプレート100の正面図および側面図である。
図11は、複数の列102を有するリテンションプレート100の上面図を提供する。
図11に最もよく示されるように、溝104には通常、中心軸または長手方向の軸Aがある。設計時、保持突起103には各々、中心軸Aまたはその近くで溝104の上にのびる出っ張り112がある。もちろん、製造上の許容誤差がゆえ、出っ張り112は厳密に中心軸Aにくるとはかぎらない。
【0022】
図12、
図13および
図14は、溝104に沿って保持突起103を形成した後の別のリテンションプレート100の図を示す。
図14を参照して、複数の列が縦方向に設けられたリテンションプレート100の立面図が示されている。図から明らかなように、列102aの第1の組1400では、保持突起103が溝の第1の側に形成されている。列102bが1本である第2の組1402では、保持突起103が溝の第2の側に形成されている。
【0023】
以上、ある構造および材料に固有の言い回しで、この技術を説明してきたが、添付の特許請求の範囲で定義された発明は、必ずしも説明された具体的な構造および材料に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、特許請求の範囲に記載の発明を実施する形態として具体的な態様が説明されている。本発明の多くの実施形態は、本発明の意図および範囲から逸脱することなく実施できるため、本発明は、以下に添付される特許請求の範囲に存在する。特に明記しない限り、本明細書(特許請求の範囲を除く)で使用する寸法、物理的特性などを表すあらゆる数字または表現は、すべての場合において、「約」という用語によって修飾されると理解される。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、「約」という用語によって修飾される、明細書または請求項に記載の数値パラメータは各々、少なくとも、表記の有効桁数に照らし、通常の丸めの手法を適用して解釈されるべきである。さらに、本明細書に開示されるすべての範囲は、そこに含まれるありとあらゆるそれより小さな範囲またはあらゆる個々の値を列挙した請求項を包含し、それに対するサポートを提供すると理解されるべきである。たとえば、1〜10の表記の範囲は、最小値1と最大値10の間および/またはそれらを含むすべてのそれより小さな範囲または個々の値すなわち、最小値が1以上で最大値が10以下の範囲(たとえば、5.5〜10、2.34〜3.56など)または1から10の間の任意の値(たとえば、3、5.8、9.9994など)を列挙した請求項を含み、それに対するサポートを提供するとみなす必要がある。
【国際調査報告】