(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-512698(P2021-512698A)
(43)【公表日】2021年5月20日
(54)【発明の名称】脳神経外科手術システムおよび関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 90/14 20160101AFI20210423BHJP
【FI】
A61B90/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2020-542374(P2020-542374)
(86)(22)【出願日】2019年2月6日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月2日
(86)【国際出願番号】US2019016873
(87)【国際公開番号】WO2019157070
(87)【国際公開日】20190815
(31)【優先権主張番号】62/627,520
(32)【優先日】2018年2月7日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】501083115
【氏名又は名称】メイヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・エデュケーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー,ケンドール エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ゴールス,ステファン ジェイ.
(57)【要約】
外科手術システムは、患者の頭蓋骨に対して着座するように構成された支持台と、支持台の底面から延び、頭皮を貫通させて頭蓋骨取付装置を頭蓋骨に対して着座させるように構成された1つ以上のピンとを含む頭蓋骨取付装置を含む。外科手術システムは、支持台の上面に沿って配置され、それが嵌合機構と嵌合している間、支持台に対して定位装置の位置および配向を画定するために定位装置の嵌合機構のプロファイルを補完する形状を有するインターフェースも含む。
【選択図】
図50
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭蓋骨取付装置を備え、
前記頭蓋骨取付装置は、
患者の頭蓋骨に対して着座するように構成されている支持台と、
前記支持台の底面から延び、前記頭蓋骨取付装置を前記頭蓋骨に対して着座させるために頭皮を貫通させるように構成されている1つ以上のピンと、
前記支持台の上面に沿って配置され、それが嵌合機構と嵌合している間において前記支持台に対して定位装置の位置および配向を画定するために前記定位装置の前記嵌合機構のプロファイルを補完する形状を有するインターフェースと、
を備える、外科手術システム。
【請求項2】
前記支持台の前記上面および底面は、約0度〜約40度の範囲の角度を共に画定する、請求項1に記載の外科手術システム。
【請求項3】
頭蓋骨取付装置は、前記支持台から延び、前記頭蓋骨取付装置を前記頭蓋骨に取り付けるためにアンカーねじが通過可能な穴をそれぞれ画定する横方向突出部をさらに備える、請求項1または2に記載の外科手術システム。
【請求項4】
前記支持台は、前記支持台を前記定位装置に取り付け可能な1つ以上の機構を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の外科手術システム。
【請求項5】
前記インターフェースは、前記支持台の前記上面から突出する、請求項1から4のいずれか一項に記載の外科手術システム。
【請求項6】
前記インターフェースは、径方向に非対称である、請求項1から5のいずれか一項に記載の外科手術システム。
【請求項7】
前記支持台の前記上面は、頭蓋骨取付装置が頭蓋骨に対して着座している間において定位座標系の原点を備える平面を画定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の外科手術システム。
【請求項8】
前記定位装置をさらに備える、請求項7に記載の外科手術システム。
【請求項9】
前記定位装置は画像ローカライザを備える、請求項7または8に記載の外科手術システム。
【請求項10】
前記定位装置は器具ガイドを備える、請求項7または8に記載の外科手術システム。
【請求項11】
前記定位装置は、器具を患者の脳の中に位置づけられた標的点に案内するために3つの線形自由度で調整可能であり、2つ以上の回転自由度で調整可能である、請求項10に記載の外科手術システム。
【請求項12】
前記定位装置は、X軸レールに沿って移動可能なX軸キャリアと、Y軸レールに沿って移動可能なY軸キャリアと、Z軸レールに沿って移動可能なZ軸キャリアと、カラー角度レールに沿って移動可能なカラー角度キャリアと、円弧角度レールに沿って移動可能な円弧角度キャリアとを備える、請求項10または11に記載の外科手術システム。
【請求項13】
前記X軸レールは、前記カラー角度キャリアに取り付けられ、前記円弧角度レールはX軸キャリアに取り付けられている、請求項10から12のいずれか一項に記載の外科手術システム。
【請求項14】
前記カラー角度キャリアおよび前記円弧角度キャリアは、前記患者の脳の中の前記標的点と一致する中心点を有する球を共に画定する、請求項10から12のいずれか一項に記載の外科手術システム。
【請求項15】
前記カラー角度キャリアおよび前記円弧角度キャリアは、互いに直交している、請求項10から12のいずれか一項に記載の外科手術システム。
【請求項16】
前記カラー角度レールは曲率半径が約160mm〜約190mmで、円弧角度レールは曲率半径が約160mm〜約190mmである、請求項10から12のいずれか一項に記載の外科手術システム。
【請求項17】
前記Z軸レールは自身の軸を中心に回転可能である、請求項10から12のいずれか一項に記載の外科手術システム。
【請求項18】
前記標的点での前記器具の正確な配置を確認するために、前記定位装置に取り付けるように構成された画像基準ツールをさらに備える、請求項10から17のいずれか一項に記載の外科手術システム。
【請求項19】
前記画像基準ツールは、前記画像基準ツールの両側に配置された十字のレクチルと円とを備える、請求項18に記載の外科手術システム。
【請求項20】
前記定位装置は、第1の定位装置であり、前記嵌合機構は第1の嵌合機構であり、前記外科手術システムは、前記第1の嵌合機構のプロファイルを有する第2の嵌合機構を有する第2の定位装置をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の外科手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年2月7日付出願の米国仮特許出願第62/627,520号の優先権を主張し、その全体の内容が参照により本明細書中に組み込まれている。
【0002】
本開示は、脳神経外科手術システム、より具体的には、定位装置構成要素および関連する外科手術手順に関係する。
【背景技術】
【0003】
脳深部刺激(DBS)手術は、定位装置を用いて行うことができ、通常、時間、設備、および人的資源に重い負担がかかる2つの段階を含む。第1の段階は、画像取得および手術計画を含む。第1の段階中、患者の頭部は定位ヘッドフレームに固定され、磁気共鳴(MR)検査および/またはコンピュータ断層撮影(CT)検査の計画が行われ、コンピュータプログラム等の手術計画ツールを用いて脳内部の1つ以上の標的にアクセスするために手術計画が作成される。患者は、第1の段階中、通常は目が覚めており、ヘッドフレームから不快感を経験する。外科手術の第2の段階中、手術計画を用いて定位手順を患者に行うことができるように、患者は手術室(OR)に搬送される。手順を実行するために、定位装置がヘッドフレームに取り付けられ、手術計画によって判定された値が定位装置に適用される。その値には、デカルト座標(例えば、X、Y、Z)および角度が含まれる。電極が定位装置の調整可能な構成要素に取り付けられ、手術計画の値に従って標的に送達される。そのプロセスの長さと複雑さが、患者、並びに手術者およびOR要員の両方に重い負担をかける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、脳神経外科手術手順の撮像および計画段階を脳神経外科手術手順の計画実行段階から切り離し、それにより手術室(OR)において必要な時間および手順を実行するために必要な関連設備および人的資源を低減することが可能な外科手術システムに関係する。そのような外科手術手順の例には、脳深部刺激、電気生理学、脳室ドレーン、およびその他の技法が挙げられる。
【0005】
一態様において、外科手術システムは、骨構造に取り付けられるように構成されたアンカーねじ、前記アンカーねじを互いに対して固定した位置に設置する配置を画定するテンプレート、および接続点がアンカーねじと同じ場所に配置できるように前記配置において画定された接続点を含む手術用フレームを含む。前記手術用フレームは、アンカーねじに可逆的に接続可能である。
【0006】
実施形態は、以下の特徴を含んでもよい。
【0007】
実施形態によっては、前記外科手術システムはアンカーねじに可逆的に取り付けられるスタンドオフをさらに含む。
【0008】
特定の実施形態では、前記スタンドオフは、ボール構造を含む。
【0009】
実施形態によっては、前記スタンドオフは、筒状構造を含む。
【0010】
特定の実施形態では、前記スタンドオフは、V字状の端部を含む。
【0011】
実施形態によっては、前記外科手術システムは、前記スタンドオフを前記手術用フレームに接続するよう構成されたアームをさらに含む。
【0012】
特定の実施形態では、前記外科手術システムは、前記アンカーねじを前記手術用フレームに接続するよう構成されたアームをさらに含む。
【0013】
実施形態によっては、前記アンカーねじは、皮下に配置されるように構成されたセルフタッピングねじ先端部を含む。
【0014】
特定の実施形態では、前記アンカーねじは、前記骨構造に固定されるように構成されたアンカー本体を含む。
【0015】
実施形態によっては、前記アンカーねじは、2つのアンカーねじを含む。
【0016】
実施形態によっては、前記アンカーねじは、3つのアンカーねじを含む。
【0017】
特定の実施形態では、前記アンカーねじは、4つのアンカーねじを含む。
【0018】
実施形態によっては、前記アンカーねじは、4つを超えるアンカーねじを含む。
【0019】
特定の実施形態では、前記アンカーねじは、頭蓋骨に取り付けるように構成されている。
【0020】
実施形態によっては、前記手術用フレームは、撮像フレームを含む。
【0021】
特定の実施形態では、前記外科手術システムは、前記手術用フレームを含む定位装置をさらに含む。
【0022】
実施形態によっては、前記定位装置は、器具ガイドを含む。
【0023】
特定の実施形態では、前記定位装置は、前記器具ガイドを調整することができる5つの自由度を提供する。
【0024】
実施形態によっては、前記自由度は、線形自由度および角度自由度を含む。
【0025】
特定の実施形態では、前記定位装置は、手動で調整するように構成されている。
【0026】
実施形態によっては、前記定位装置は、自動的に調整するように構成されている。
【0027】
特定の実施形態では、前記定位装置は、筒状の作業範囲を画定する。
【0028】
実施形態によっては、前記定位装置は、7.0T MRIにより動作するように構成されている。
【0029】
特定の実施形態では、前記手術用フレームは、第1の手術用フレームで、前記接続点は第1の接続点であり、前記外科手術システムは、第2の接続点が前記アンカーねじと同じ場所に配置できるように前記配列において画定された第2の接続点を含む第2の手術用フレームをさらに含み、前記第2の手術用フレームは前記アンカーねじに可逆的に取り付け可能である。
【0030】
実施形態によっては、画像誘導フレームベース定位システムは、頭蓋骨固定構成要素、三次元(3D)位置決め装置、画像ローカライゼーション構成要素、および手術計画ソフトウェアを含んでもよい。
【0031】
特定の実施形態では、前記頭蓋骨固定構成要素は、患者または大きな実験動物の頭蓋骨に定位装置を固定するための頭蓋骨アンカーねじおよびアンカーねじを埋め込むためのその他の器具および装置を含む。ねじ設置テンプレートは、頭蓋骨上の精密パターンで頭蓋骨アンカーねじ(例えば、4つの頭蓋骨アンカーねじ)を埋め込むために使用することができる。実施形態によっては、テンプレートと共に使用される器具は、ねじの埋め込み時テンプレートを安定化させるために4つの尖ったロッドを含む。各尖ったロッドは、アンカーねじのために頭蓋骨に精密な穴のパターンを生成するために使用されるドリルガイドに順次置き換えられる。頭蓋骨アンカーねじのねじ山に適合するタップがテンプレートによって指向され、穴にねじ山が生成される。頭蓋骨アンカーねじを保持するドライバーがテンプレートに挿入されてねじ穴の中に前進する。テンプレートはドライバーにロックされ、テンプレートが所定の位置に固定される。
【0032】
特定の実施形態では、頭蓋骨アンカーねじは、チタニウム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、サファイア、溶融石英、またはステンレス鋼で作られる。実施形態によっては、PEEKは磁気共鳴撮像(MRI)適合性に対して最適である。各頭蓋骨アンカーねじの本体は、頭蓋骨のねじ穴に適合するねじ山を有する。頭蓋骨アンカーねじの上部は六角フランジを有する。各頭蓋骨アンカーねじは、フランジが頭蓋骨に当接するまでねじ穴の中を前進する。六角の上部は、頭蓋骨アンカーねじを所定の位置にねじ込むために用いられる。頭蓋骨アンカーねじの上部のねじ穴は、定位システムの様々な装置を頭蓋骨に取り付けるために用いられる。
【0033】
実施形態によっては、定位位置決め装置は、定位位置決め装置の中心部に向けて延びている複数の(例えば、4つの)支持体を有する長方形のベースを有する。支持体は、頭蓋骨の中に埋め込まれる頭蓋骨アンカーねじに対する接続部位である。特定の実施形態では、Y軸レールがベースに組み込まれる。3DスライドがY軸レールに取り付けられる。3Dスライドにより、位置決め装置を頭蓋骨の近くで平行移動させて、手術標的の位置に調整することが可能になる。平行移動により四分円形アーチが移動し、これによって、手術用器具および電極を標的に移動させる。四分円形アーチは、2つの自由度を有し、その標的に対する器具の投射角度を変更する。
【0034】
特定の実施形態では、画像ローカライザが頭蓋骨アンカーねじに取り付けられる。画像ローカライザは、定位位置決め装置に対して既知の物理的位置において画像に基準マークを生成する機能を有し、画像空間を物理空間に変換することを可能にする。
【0035】
他の態様において、外科手術システムは、頭蓋骨取付装置を備え、前記頭蓋骨取付装置は、患者の頭蓋骨に対して着座するように構成されている支持台と、前記支持台の底面から延び、前記頭蓋骨取付装置を前記頭蓋骨に対して着座させるために頭皮を貫通させるように構成されている1つ以上のピンとを備える。前記外科手術システムは、前記支持台の上面に沿って配置され、それが嵌合機構と嵌合している間において前記支持台に対して定位装置の位置および配向を画定するために前記定位装置の前記嵌合機構のプロファイルを補完する形状を有するインターフェースをも備える。
【0036】
実施形態は、以下の特徴の1つ以上を含む場合がある。
【0037】
いくつかの実施形態では、前記支持台の前記上面および底面は、約0度〜約40度の範囲の角度を共に画定する。
【0038】
特定の実施態様では、頭蓋骨取付装置は、前記支持台から延び、前記頭蓋骨取付装置を前記頭蓋骨に取り付けるためにアンカーねじが通過可能な穴をそれぞれ画定する横方向突出部をさらに備える。
【0039】
特定の実施態様では、前記支持台は、前記支持台を前記定位装置に取り付け可能な1つ以上の機構を備える。
【0040】
いくつかの実施形態では、前記インターフェースは、前記支持台の前記上面から突出する。
【0041】
特定の実施態様では、前記インターフェースは、径方向に非対称である。
【0042】
いくつかの実施形態では、前記支持台の前記上面は、頭蓋骨取付装置が頭蓋骨に対して着座している間において定位座標系の原点を備える平面を画定する。
【0043】
特定の実施態様では、前記定位装置をさらに備える。
【0044】
いくつかの実施形態では、前記定位装置は画像ローカライザを備える。
【0045】
特定の実施態様では、前記定位装置は器具ガイドを備える。
【0046】
いくつかの実施形態では、前記定位装置は、器具を患者の脳の中に位置づけられた標的点に案内するために3つの線形自由度で調整可能であり、2つ以上の回転自由度で調整可能である。
【0047】
特定の実施態様では、前記定位装置は、X軸レールに沿って移動可能なX軸キャリアと、Y軸レールに沿って移動可能なY軸キャリアと、Z軸レールに沿って移動可能なZ軸キャリアと、カラー角度レールに沿って移動可能なカラー角度キャリアと、円弧角度レールに沿って移動可能な円弧角度キャリアとを備える。
【0048】
いくつかの実施形態では、前記X軸レールは、前記カラー角度キャリアに取り付けられ、前記円弧角度レールはX軸キャリアに取り付けられている。
【0049】
特定の実施態様では、前記カラー角度キャリアおよび前記円弧角度キャリアは、前記患者の脳の中の前記標的点と一致する中心点を有する球を共に画定する。
【0050】
いくつかの実施形態では、前記カラー角度キャリアおよび前記円弧角度キャリアは、互いに直交している。
【0051】
特定の実施態様では、前記カラー角度レールは曲率半径が約160mm〜約190mmで、円弧角度レールは曲率半径が約160mm〜約190mmである。
【0052】
いくつかの実施形態では、前記Z軸レールは自身の軸を中心に回転可能である。
【0053】
特定の実施態様では、前記標的点での前記器具の正確な配置を確認するために、前記定位装置に取り付けるように構成された画像基準ツールをさらに備える。
【0054】
いくつかの実施形態では、前記画像基準ツールは、前記画像基準ツールの両側に配置された十字のレクチルと円とを備える。
【0055】
特定の実施態様では、前記定位装置は、第1の定位装置であり、前記嵌合機構は第1の嵌合機構であり、前記外科手術システムは、前記第1の嵌合機構のプロファイルを有する第2の嵌合機構を有する第2の定位装置をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】アンカーねじを位置決めするためのテンプレートの様々な図を示す。
【
図2】アンカーねじを位置決めするためのテンプレートの様々な図を示す。
【
図3】アンカーねじを位置決めするためのテンプレートの様々な図を示す。
【
図4】アンカーねじを位置決めするためのテンプレートの様々な図を示す。
【
図5】アンカーねじを位置決めするためのテンプレートの様々な図を示す。
【
図6】
図1〜
図5のテンプレートのプラットフォームの様々な図を示す。
【
図7】
図1〜
図5のテンプレートの止めねじの様々な図を示す。
【
図9】
図1〜
図5のアンカーねじのアンカー本体の様々な図を示す。
【
図12】
図11のドライバーアッセンブリの保持ロッドの様々な図を示す。
【
図13】
図11のドライバーアッセンブリのねじ回しの様々な図を示す。
【
図17】スタンドオフが付いたアンカーねじを示す。
【
図18】皮下ねじ先端部の様々な実施形態の複数の図を示す。
【
図20】頭蓋骨に取り付けられた様々なアンカーねじを示す。
【
図21】
図17のアンカーねじと係合する撮像フレームの様々な図を示す。
【
図22】
図17のアンカーねじと係合する撮像フレームの様々な図を示す。
【
図23】アンカーねじに取り付けられたスタンドオフと係合する撮像フレームを示す。
【
図24】
図17のアンカーねじと係合する定位装置のプラットフォームを示す。
【
図30】患者の頭蓋骨に固定されているアンカーねじと係合する定位装置を示す。
【
図32】
図30の定位装置により提供される様々な自由度を示す。
【
図33】
図30の定位装置により提供される様々な自由度を示す。
【
図39】患者の頭蓋骨に取り付けられた頭蓋骨取付装置を示す。
【
図41】
図34〜
図38の頭蓋骨取付装置と嵌合するように設計されている様々な定位装置を示す。
【
図42】
図34の頭蓋骨取付装置と嵌合するように設計されている定位位置決め装置の部分の様々な図を示す。
【
図43】
図34の頭蓋骨取付装置と嵌合するように設計されている定位位置決め装置の部分の様々な図を示す。
【
図52】撮像基準ツールのレクチルおよび対応する円の側方X線像を示す。
【
図53】頭蓋骨に対する頭蓋骨取付装置のピニオン装着部を示す。
【
図54】頭蓋骨に対する頭蓋骨取付装置の代替取り付け部の様々な実施形態を示す。
【
図55】頭蓋骨に対する頭蓋骨取付装置の代替取り付け部の様々な実施形態を示す。
【
図56】頭蓋骨に対する頭蓋骨取付装置の代替取り付け部の様々な実施形態を示す。
【
図57】頭蓋骨に対する頭蓋骨取付装置の代替取り付け部の様々な実施形態を示す。
【
図58】頭蓋骨に対する頭蓋骨取付装置の代替取り付け部の様々な実施形態を示す。
【
図59】頭蓋骨に対する頭蓋骨取付装置の代替取り付け部の様々な実施形態を示す。
【
図61A】
図42〜
図47の定位位置決め装置を用いて実現される左右両側の標的精度を実証するCT画像を示す。
【
図61B】
図42〜
図47の定位位置決め装置を用いて実現される左右両側の標的精度を実証するCT画像を示す。
【
図61C】
図42〜
図47の定位位置決め装置を用いて実現される左右両側の標的精度を実証するCT画像を示す。
【
図61D】
図42〜
図47の定位位置決め装置を用いて実現される左右両側の標的精度を実証するCT画像を示す。
【
図61E】
図42〜
図47の定位位置決め装置を用いて実現される左右両側の標的精度を実証するCT画像を示す。
【
図61F】
図42〜
図47の定位位置決め装置を用いて実現される左右両側の標的精度を実証するCT画像を示す。
【0057】
様々な図面の同じ参照符号は同じ構成要素を示す。例によっては、図面に示すイラストは一定の縮尺比で描かれていない場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1〜
図7は、1つ以上のアンカーねじ4を哺乳類の頭蓋骨に固定するために使用することができるねじ用テンプレート2およびその部分を示す。様々な外科手術用装置(例えば、MRI、CT、PET、およびDSA等の、医用撮像モード用の画像ローカライザフレーム、外科手術用プラットフォーム、ドリルガイドおよび遠隔測定装置)は、アンカーねじ4に可逆的に取り付け可能で、脳神経外科手術手順を実行することができる。脳神経外科手術手順の例としては、脳深部刺激(DBS)、立体脳波検査(SEEG)、光ファイバーアブレーション、頭蓋内生検、脳室内シャント、脳室ドレーン(EVD)、第3脳室フィステル形成、および腫瘍アクセス(例えば、生検/切除のため)が挙げられる。
【0059】
テンプレート2は、プラットフォーム6と、アンカーねじ4を容易にかつ迅速に設置する4つのチャネル8と、アンカーねじ4を頭蓋骨の中に前進可能なドライバーアッセンブリ10とを含む。チャネル8は、アンカーねじ4の位置を互いに確定する規定された配置(例えば、精密な幾何学的パターン)にアンカーねじ4を設置する。配置は、脳神経外科手術手順を実行するために用いられる外科手術用装置上の取り付け場所に対応する。例えば、外科手術用装置とアンカーねじ4との間のインターフェースは、3つ以上のアンカーねじ4によって画定される平面としてまたは広い範囲の標的を可能にする円弧として設けることができる。配置により、取り付けられた定位装置を90度刻みで回転することも可能になるので、別の方法では頭蓋骨固定機構との機械的干渉により発生する可能性があるデッドゾーンを低減することが可能になる。従って、配置により、手術計画において左右両側および後方の軌道が可能になる。ねじ用テンプレート2は、ドライバーアッセンブリ10をチャネル8内にそれぞれ固定する4つの止めねじ12も含む。
【0060】
図8〜
図10を参照すると、各アンカーねじ4は、頭蓋骨との係合を維持するアンカー本体14と、頭蓋骨の中のアンカー本体14用の通路を生成するねじ先端部16とを含む。ねじ先端部16はセルフタッピングねじ山30を有する。ねじ山30は、1インチ当たり12〜20の範囲のねじ山を有し、遠位端で細かいピッチを有してアンカーねじ4のねじ込みを容易にする。ねじ先端部16は、アンカー本体14に溶接されている。アンカー本体14は、ドライバーアッセンブリ10と噛み合う雌ねじ18を含む。
【0061】
図11〜
図13を参照すると、各ドライバーアッセンブリ10は、ねじ回し20と保持ロッド22とを含む。ねじ回し20は、アンカー本体14と接続するために形成されたポケット24を含む。保持ロッド22は、ねじ回し20を通過する大きさで作られ、アンカー本体14の雌ねじ18にねじ込まれてねじ回し20をアンカーねじ4に固定するねじ付き端部26を含む。保持ロッド22は、ねじ回し20に当接する止め部27を含み、アンカーねじ4とのねじ係合により、アンカーねじ4を頭蓋骨の中に穿通させるために使用することができる。
【0062】
アンカーねじ4は、典型的には、1.5T、3.0T、および7.0TのMRI適合性があるチタニウム、セラミックス、合成サファイア、ポリオキシメチレン(POM)、PEEK、およびその他のポリマー等の1つ以上の材料で作られている。アンカーねじ4の材料配合および構造に従い、アンカーねじ4は、脳神経外科手術手順中、アンカーねじに取り付けられる様々な外科手術用装置を支持するうえで十分な強度を有する。アンカーねじ4は、3D印刷、射出成型、および、コンピュータ数値制御(CNC)圧延機および旋盤を用いた製造等の機械加工を含む1つ以上のプロセスによって製造してもよい。テンプレート2は、通常、アルミニウム、チタニウム、およびステンレス鋼を含む1つ以上の材料で作られ、通常、CNC圧延機および旋盤を含む1つ以上のプロセスによって製造される。
【0063】
ねじ用テンプレート2およびアンカーねじ4の例の寸法は、
図6、
図7、
図9、
図10、および
図12に示されているが、当業者は、別な方法で構造および機能の点でねじ用テンプレート2およびアンカーねじ4に実質的に類似しているねじ用テンプレートおよびアンカーねじが、図で示されている寸法とは異なる1つ以上の寸法を有している場合があることを理解するであろう。実施形態によっては、そのような寸法は、アンカーねじ4が取り付けられる哺乳類の種類によって変えてもよい。
【0064】
脳神経外科手術手順の初期の段階には、局所麻酔の適用後、チャネル8に固定された4つのアンカーねじ4を用いて、頭蓋骨の上の所定の位置(例えば、頭蓋骨の外板および板間層)にテンプレート2を位置決めすることが含まれる。各アンカーねじ4は、頭蓋骨に穴を開け、穴にねじを切り、そしてアンカーねじ4を穴にねじ締めするプロセスを通して、アンカーねじ4のアンカー本体14の止め部28が頭蓋骨の外表面に接触するまで、順次、頭蓋骨に埋め込まれ、固定される。止めねじ12は、その後、チャネル8から取り去られ(例えば、ねじを緩められる)、保持ロッド22がアンカーねじ4から取り去られる(例えば、ねじを緩められる)。アンカーねじ4の上に置かれているねじ回し20は、アンカーねじ4のアンカー本体14から取り去られる(上方に引っ張られる)が、ねじ先端部16は頭蓋骨内の皮下位置に留まる。実装例によっては、アンカーねじ4は下穴と共に用いることができる。一旦、アンカーねじ4が頭蓋骨に固定されると、複数の装置をアンカーねじ4に取り付けて様々な外科手術手順を実行することができる。
【0065】
実施形態によっては、外科手術装置を頭蓋骨から所望の間隔で配置するために、テンプレート2を取り去った後でスタンドオフをアンカーねじ4に固定してもよい。例えば、
図14は、アンカーねじ4の雌ねじ18内にねじ込まれるねじ込み式ねじ継手32を示し、
図15は、スタンドオフ34をねじ込み式ねじ継手32に固定する雌ねじを含むスタンドオフ34を示す。
【0066】
図16は、テンプレート2と共に使用して、脳神経外科手術手順を実行することができるアンカーねじ36を示す。アンカーねじ36は、セルフタッピングねじ山40を有するねじ先端部38と、雌ねじ44を含むアンカー本体42と、アンカー本体42の雌ねじ44にねじ込むことができるスタンドオフ46とを含む。アンカー本体42は、外科手術中頭蓋骨から突出する。スタンドオフ46は、外科手術用装置の(例えば、取り付け部位を提供する)適切な受け入れ構成要素と接続しアンカーねじ36に取り付けることができる分離可能なボール構造である。
【0067】
実施形態によっては、アンカー本体42は、高さが約0.5cm〜約0.8cm(例えば、約0.7cm)であり、スタンドオフ46は、直径(例えば、幅)が約0.5cm〜約0.7cm(例えば、約0.6cm)である。アンカー本体42およびねじ先端部38は、アンカーねじ4に関して前述した材料と同じ1つ以上の材料で作られる。スタンドオフ46は、通常、セラミックス(例えば、撮像中に使用するために)またはステンレス鋼(例えば、脳神経外科手術手順中に使用するために)で作られる。スタンドオフ46は、ボールトップデザインとして示されているが、実施形態によっては、その他の点で、構造および機能がアンカーねじ36と実質的に同様であるアンカーねじは、筒状の形状を有する分離可能なスタンドオフを含む。そのようなスタンドオフは、外科手術用装置の(例えば、取り付け部位を提供する)適切な受け入れ構成要素と接続してアンカーねじに取り付けることができる。
【0068】
図17は、アンカーねじ41に設置することができるボール型スタンドオフ3の別の実施形態を示す。
【0069】
本明細書中で説明したアンカーねじは、様々なデザインのねじ先端部を含むことができる。例えば、
図18および
図19は、様々な種類のセルフタッピングねじ山60、62、64を有する様々なねじ先端部54、56、58を有するアンカーねじ48、50、52の側面図および斜視図を示す。アンカーねじ48の付加的な図も示す。アンカーねじ48、50、52のアンカー本体67、69、71は、スタンドオフに接続するための雌ねじを含む。
【0070】
図20は、アンカーねじ4、アンカーねじ36(スタンドオフ46は省略されている)、および頭蓋骨内のアンカーねじ52の埋め込み例を示す。アンカー本体は、頭皮(赤色の層)66から突出し、ねじ先端部は、頭蓋骨の外板68(青色の層)および板間層70(緑色の層)の内部に延びているが、頭蓋骨の内板72(ピンク色の層)には到達していない。
【0071】
アンカーねじ4、36、48、50、および52は、MRIが行われる脳神経外科手術の初期段階時、基準マークを提供することができる。例えば、アンカーねじ4、36、48、50、および52は、画像空間および定位空間の位置合わせを可能にすることができる。従って、アンカーねじ4、36、48、50、および52の任意の部分(例えば、ねじ先端部、アンカー本体、またはスタンドオフ)は、トラッキングのための見通し線アプローチまたは非見通し線アプローチを含むことができる。実施形態によっては、アンカーねじ4、36、48、50、および52は、無線周波数(RF)エミッタ、赤外線LED、反射赤外線球体を有する能動素子、あるいはMRIで目に見える水性または非水性金属または非金属化学物質の1つ以上を含む。例えば、スタンドオフは、定位空間の既知の場所に画像基準マークを与える物質(例えば、CuSO
4水溶液、ビタミンE油、鉱油、ワセリン等)で満たされた空洞を含んでもよい。基準マークのプロファイルは、脳神経外科手術手順中、様々な外科手術用装置に対する面合わせのためにスキャンして使用することができる。実施形態によっては、3Dスキャンカメラを使用して患者およびスタンドオフの物理的プロファイルを生成することができる。
【0072】
脳神経外科手術手順の第1段階は、撮像および計画の立案が含まれる。
図21および
図22は、アンカーねじ36(頭蓋骨80に固定されている)と撮像フレーム74(例えば、画像ローカライザ)との間の接続部を示す。撮像フレーム74は、スタンドオフ46に係合する円形ポケット78を有する4つのアーム76を示す。他の実施形態において、
図23は、アンカーねじ82(頭蓋骨92に固定されている)と撮像フレーム88(例えば、画像ローカライザ)との間の接続部を示す。アンカーねじ82は、支柱式スタンドオフ86を含む。撮像フレーム88は、対応するキャップ90によってスタンドオフ86に固定されている。一旦、撮像および計画の立案が完了すると、撮像フレームはスタンドオフから取り去られ、スタンドオフはアンカーねじから取り去られ、アンカーねじは(例えば、スタンドオフを除いて)頭蓋骨92に固定されたままとなるので、定位装置は、脳神経外科手術手順の第2の段階でアンカーねじに固定することが可能となる。このようにして、アンカーねじを頭蓋骨に固定することで、脳神経外科手術手順の第1段階を第2段階から切り離し、患者は、第1段階の終了後に医療施設から去り、脳神経外科手術手順の第2段階の開始のために医療施設に戻ることを可能にする。
【0073】
脳神経外科手術手順の第2段階では、脳神経外科手術手順の第1段階時に作成された手術計画の実行が含まれる。
図24は、アンカーねじ36(頭蓋骨84に固定されている)と定位装置100との間の接続部を示す。(場合によっては、定位装置100は、定位固定装置と呼んでもよい。)4つのアーム94は、定位装置100のプラットフォーム96に取り付けられている。アーム94は、スタンドオフ46に係合する下側の円形ポケットを画定しており、これによって、定位装置100は、
図24の頭蓋骨84または
図23の頭蓋骨92(箱として概略的に示されている)に取り付けられている。別の実施形態において、
図25は、アンカーねじ4(頭蓋骨98に固定されている)と定位装置100との間の直接的インターフェース/接続部を示す。4つのアーム102は、定位装置100のプラットフォーム96に取り付けられており、また、アーム102は、アンカーねじ4のアンカー本体42に取り付けられていることにより、定位装置100は頭蓋骨98に取り付けられている。
【0074】
図25〜
図29を参照すると、定位装置100は、手術計画に従って脳の中に電極リードを挿入するために、定位装置100のガイド104(例えば、器具キャリア)を手動で位置決めすることができる複数の自由度を提供している。ガイド104は、円弧108(例えば、罫線付きの円弧)に接続され、そして円弧108に沿って第1の自由度(例えば、円弧角度)で移動可能である。円弧108は、上部の水平方向レール110に接続され、そして上部の水平方向レール110に沿って第2の自由度(例えば、直線平行移動)で移動可能である。上部の水平方向レール110は、2つの対向するピボット継手112に接続され、2つの対向するピボット継手112の周りで第3の自由度(例えば、カラー角度)で移動可能である。ピボット継手112は、垂直方向のサイドレール114に接続され、垂直方向のサイドレール114に沿って第4の自由度(例えば、直線平行移動)で移動可能である。垂直方向のサイドレール114は、それぞれ対向する水平方向の端部レール116に接続され、水平方向の端部レール116に沿って第5の自由度(例えば、直線平行移動)で移動可能である。水平方向の端部レール116は、プラットフォーム96の対向する側に取り付けられている(例えば、頭蓋骨98に固定されている)ので、最終的にガイド104は、電極の適切な挿入のために頭蓋骨98に対して位置決めされる。定位装置100は、複数の止めねじ、クランプ、および可動構成要素を所望の位置に固定する固定機構をさらに含む。
【0075】
定位装置100に接続するために頭蓋骨に取り付けられているアンカーねじの構造(例えば、および場合によっては、取り付けられたスタンドオフ)に応じて、様々なアーム構造(例えば、アーム94、102、またはその他のアーム構造)をプラットフォーム96に取り付けることができる。定位装置100は、十分小さく1.5T、3.0T.および7.0T MRI装置、およびコンピュータ断層撮影(CT)装置の内部に適合する。実施形態によっては、定位装置100は、全体の長さ約20cm〜約22cm、全体の幅が約30cm〜約32cm、全体の高さが約23cm〜約25cmである。定位システム100の様々な構成要素は、通常、アルミニウム、セラミックス、チタニウム、ステンレス鋼、ポリオキシメチレン(POM)、およびPEEKを含む1つ以上の材料で作られる。様々な構成要素は、CNC圧延機または旋盤、射出成型、および3D印刷を含む1つ以上のプロセスによって製造されてもよい。
【0076】
実装例によっては、および、脳神経外科手術手順の第1の段階時、手術計画ソフトウェアシステムは、自動定位装置を用いて利用することができる手術計画を生成する。
図30〜
図33を参照すると、定位装置200は、定位装置200のガイド202(例えば、器具キャリア)が、手術計画に従って脳に電極リードを挿入するために筒状の作業範囲214(
図31参照)に沿って、画像誘導ロボットにより自動的に位置決めすることができる複数の自由度を提供する。ガイド202は、レール204に接続され、レール204に沿って第1の自由度Z(例えば、直線平行移動)で移動可能である。レール204は、下部の円弧構造208に接続され、下部の円弧構造208に沿って第2の自由度θ(例えば、角運動)で移動可能な上部の円弧構造206に接続されている。円弧構造206、208の半径R(例えば、および、従って、
図31に示す筒状の作業範囲の半径)は、定位装置200の構造によって決まっており、ガイド202の第3の位置座標を画定する。第1および第2の自由度並びに第3の位置座標は、手術計画によって規定されているように、共に侵入点を特定する。
【0077】
ガイド202は、電極リードを外科手術軌道に設定するさらに3つの自由度有するため、定位装置200は5つの自由度を有する。これらの自由度には、
図33に示すように、ロール、ピッチ、および深さが含まれる。ピッチとロールの組み合わせにより、ガイド202の傾斜が調整され、手術計画ソフトウェアシステムによって決定される。下部の円弧構造208は、プラットフォーム210(例えば、アンカーねじ204で頭蓋骨212に固定される)の反対側に取り付けられるため、最終的に、ガイド202は、電極リードの適切な挿入のために頭蓋骨212に対して位置決めされる。電極リードが送達される軌道はジンバルの角度に依存する。動作制御は、互いに垂直に搭載されている圧電リニヤモータを用いて行われる。この設計は、モータの直線運動を二重ジンバル装置のピッチおよびロール回転に変換する独特の設計である。
【0078】
定位装置100、200のガイド102、202は、リード送達カニューレの取り外しに際してバリ穴内部での低背固定および深度電極リードの自動保持を可能にする。これに加えて、ガイド102、202は、パルス発生器またはその他の装置への接続に先立ち電極リードを収容しかつ保護するように設計されている。
【0079】
図34〜
図40は、様々な定位外科手術用装置を頭蓋骨に固定して脳神経外科手術手順を実行するために使用することができる頭蓋骨取付装置300を示す。頭蓋骨取付装置300は、7.0T MRIに適合性があり、協働する定位システムの全ての構成要素を患者の頭蓋骨に固定することができる。例えば、定位システムは、定位位置決め装置、CT画像ローカライザ、MRIローカライザ、およびその他の定位装置を含んでもよい。頭蓋骨取付装置300は、定位プロセスの持続期間の間頭蓋骨に取り付けられたままであるため、頭蓋骨取付装置300の位置が変更されないままである限り画像空間および定位空間の空間配向は整合している。この能力により、MRI検査の計画および手術計画の取得を1日で行う一方、外科手術を後日(例えば、翌日)に行うことが可能になる。好都合なことに、これにより、MRI検査の計画および手術計画をORの外で行うことが可能になるため、ORは外科手術手順で使用する必要があるのみである。この手法により、ORの時間の効率が大幅に改善され、定位手順を実行することに伴う諸経費が大幅に低減される。実装例によっては、外科医は、必要であれば、一連の外科手術を1日で行うことができる。
【0080】
頭蓋骨取付装置300は、ベース302と、前方突出部304と、2つの対向する横方向突出部306と、3つの鋭利なチタニウムピン308と、ベース302の上面312から上方に延びているインターフェース310とを含む。ベース302は、協働する定位装置をねじ、ピン等を介して頭蓋骨取付装置300に取り付け可能な4つの穴314を画定している。ピン308は、前方突出部304およびベース302の後方部分から下方に延びている。ピン308は、患者の頭皮を貫通して頭蓋骨301の外板の中に着座するように設計されている。各横方向突出部306は、
図39に示すように、チタニウムの頭蓋骨アンカーねじ318が通過して頭蓋骨取付装置300を頭蓋骨301にしっかりと取り付ける穴316を画定している。ねじ318およびピン308により印加される反力により、頭蓋骨取付装置300は頭蓋骨301に固定される。
【0081】
頭蓋骨取付装置300では、ベース302の上面312と下面320との間の角度αが画定されている。頭蓋骨取付装置300は、角度αをヒトの頭蓋骨の様々なトポグラフィに対応する値の範囲から選択して定位装置の配向が人体の長軸に対して確実に直交するように設計することができる。例えば、上面312が水平に配向されるのに対して、下面320は角度配向を変えることができる。実施形態によっては、角度αは、約0度(
図34〜
図48に示すように)〜約40度(
図39に示すように)の範囲にある。実施形態によっては、角度αは、範囲から10度刻み(例えば、約0度、約10度、約20度、約30度、または約40度)で選択可能にしてもよい。
【0082】
インターフェース310は、定位装置が穴314を介して取り付けられる頭蓋骨取付装置300に対する協働する定位装置の配向および位置を決定し維持するインデックス作成プロファイル(例えば、キー付き表面)として機能する。つまり、頭蓋骨取付装置300は、定位装置と患者の頭蓋骨301との間の一定の空間的関係を維持する。従って、インターフェース310は左右対称である一方、インターフェース310は径方向に非対称である。特に
図40を参照すると、頭蓋骨取付装置300の上面312は、作業範囲322が位置づけられるXYZ定位座標系の空間的配向を確立する基準面を画定する。例えば、基準面(例えば、上面312)は、Z=0の垂直位置に位置し、基準面の中心点は、X=100でY=45の水平位置にある。
【0083】
実施形態によっては、頭蓋骨取付装置300は、3D印刷により製造され、POM等の熱可塑性材料でつくられ、頭蓋骨取付装置300がMRIシステムに適合性を有するようにしてもよい。他の実施形態において、頭蓋骨取付装置300は、アルミニウムまたはチタニウムで作られてもよい。頭蓋骨取付装置300のベース302は、通常、長さ約45mm〜約48mm、幅約45mm〜約48mm、最小厚さ約12mm〜約45mmである。頭蓋骨取付装置300は、通常、重量が約13g〜約70gである。
【0084】
頭蓋骨301に頭蓋骨取付装置300を取り付けると、ピン308およびねじ318の各部位の頭皮で麻酔が開始される。2つの後方のピン308が最初に頭蓋骨301に着座され、次いで前方のピン308が着座される。ねじ318が穴316を通して挿入され頭蓋骨301にねじ込まれる。均等なトルクが各ねじ318に加えられる。患者の頭蓋骨301に頭蓋骨取付装置300を装着する手順は、手術室(OR)の外で実行する上で十分簡易かつ安全である。例えば、検査室または病室は、当該手順を実行するのに十分であるため、OR時間は、当該手順を実行する上で必要ではない。
【0085】
図41を参照すると、複数の協働定位装置を頭蓋骨取付装置300に同一の方法で取り付けることができる。装置の例として、インターフェース310に対して補完的に形成された嵌合機構(例えば、レセプタクル)430、450、460をそれぞれ有する定位位置決め装置400、CT画像ローカライザ401、およびMRIローカライザ402が挙げられる(場合によっては、定位位置決め装置400は、定位固定位置決め装置と呼ばれることがある)。この互換性により、頭蓋骨取付装置300が頭蓋骨301に固定されたままである限り、協働定位装置を頭蓋骨301に沿った元の位置から取り外し、その後同じまたは異なる協働定位装置を所望の時に元の位置に再配置することが可能になる。従って、定位外科手術およびCTスキャンまたはMRIスキャンの取得は別の日に実行することができる。装置400、401、402のそれぞれは、同一の寸法の嵌合機構(例えば、リセプタクル、ポケット、または凹型プロファイル)を含むため、装置400、401、402のそれぞれは、同一の方法で、かつ頭蓋骨取付装置300により画定される定位座標系の同じ位置に頭蓋骨取付装置300のインターフェース310に整列する。
【0086】
上述したように、定位脳深部刺激(DBS)手術は、患者にとってつらい経験を伴う。DBSシステムの埋め込みは、2つの分離された手順に分けられる。第1の段階中、DBSリードを最適に配置するためには、患者からのフィードバックが不可欠であるために、目を覚ましている患者に対して1つ以上のDBSリードの埋め込みが2時間〜3時間にわたって実行される。第2の段階は、通常、2日目に行われ、DBS刺激装置の埋め込みとDBSリードのDBS刺激装置への接続を含む。第2の段階は、1時間〜2時間かかり、一般的な麻酔状態にある患者に実行される。
【0087】
テンプレート2に関して上述したように、実装例によっては、DBSリードを埋め込む作業の流れは、手術室(OR)で開始され、4つの鋭利に尖ったねじを用いて適所に固定されるヘッドフレームにより定位装置が患者の頭蓋骨に取り付けられる。外科医はねじを締め付けて、先端部を頭蓋骨の外板の中に前進させる。ヘッドフレームが手順の最後で取り去られるまで尖ったねじからの圧力が持続する痛みを引き起こすので、患者は、多くの場合、これが手順のうちの最悪の部分であるとみなしている。
【0088】
図42〜
図48を参照すると、定位位置決め装置400は、ヘッドフレームが引き起こす不快感、従来の定位装置の重量、およびDBS手術の長さを含め、その他の定位DBS手順のいくつかの欠点に対処するように設計されている。定位位置決め装置400は、従来のヘッドフレームにかわって、定位位置決め装置400が患者の頭部を固定化するために頭蓋骨取付装置300に取り付けられるように設計されているという点で、他の定位装置とは大幅に異なる。定位位置決め装置400は、頭蓋内標的に様々な器具を送達して、DBS、定位生検、定位脳室内シャント配置、および特別な心室ドレイン(EVD)の配置等の手順を実行することができる、軽量で、再配置可能な器具のガイドである。実施形態によっては、頭蓋骨取付装置300および定位位置決め装置400を用いてDBS手順を実行する場合、従来の定位装置を用いて実行するとき2人の人員と約4時間〜5時間の時間を必要とするのに比較して、1人の人員と約1時間〜2時間の時間のみを必要とするだけであろう。
【0089】
図49を参照すると、定位位置決め装置400は、円弧を中心とする定位装置である。すなわち、定位位置決め装置400は、3つの線形自由度(例えば、X、Y、およびZ)とカラー角度βおよび円弧角度γを含む2つの回転自由度とを有する。回転自由度は、互いに90度に配向している(例えば、回転自由度は互いに直交している)。円弧角度γおよびカラー角度βは、病巣403と呼ばれる単一の点を中心として回転する。組み合わせた回転は、病巣403を中心とする、空間の球で画定される。生検器具、DBSリード、シャント、およびEVDドレーンは、この球の法線ベクトルに沿って保持され、これらの構成部品を病巣403に向ける。脳内の手術標的は、病巣403に位置決めされ、定位位置決め装置400を用いて、約0.5mmの公差以内で器具を正確かつ機械的に病巣403に配置することができる。これに加えて、システムの誤差は、撮像の限度により引き起こされる誤差を含み、約1.8mmである。
【0090】
定位位置決め装置400の機能は、病巣403(例えば、脳内の手術標的に対応する)を左/右(X)、前方/後方(Y)および下/上(Z)の方向に移動させることである。各軸に沿った位置は、手術標的に対してX、Y、およびZ座標を出力する定位手術計画ソフトウェアから導かれる。従って、また
図42および
図43を特に参照すると、定位位置決め装置400は、Y軸レール404と、Y軸レール404に沿って直線状に移動可能なY軸キャリア406と、Y軸キャリア406から延びているZ軸レール408と、Z軸レール408に沿って直線状に移動可能なZ軸キャリア410と、X軸レール412と、X軸レール412に沿って直線状に移動可能なX軸キャリア414とを含む。
【0091】
定位位置決め装置400は、Y軸レール404に沿ってY軸キャリア406の位置をロックするY軸ブレーキ416と、Z軸レール408に沿ってZ軸キャリア410の位置をロックするZ軸ブレーキ418と、X軸レール412に沿ってX軸キャリア414の位置をロックするX軸ブレーキ420とも含む。Y軸キャリア406は、通常、Y軸レール404に沿って最大約70mmの距離を移動可能である。X軸キャリア414は、通常、X軸レール412に沿って最大約70mmの距離を移動可能である。Z軸キャリア410は、通常、Z軸レール408に沿って最大約80mmの距離を移動可能である。X軸レール412、Y軸レール404、およびZ軸レール408のそれぞれは、メートル法(例えば、ミリメートル)の対応する目盛りを有するそれぞれの定規432、434、436をも有する。キャリア406、410、414の位置は、手術標的の出力座標に一致するように調整され、病巣403を手術標的に配置する。
【0092】
特に
図44〜
図49を参照すると、定位位置決め装置400は、Z軸キャリア410によって画定される2つの対向する湾曲したカラーレール422と、カラーレール422に沿って角度的に移動可能でカラー角度βを変える(例えば、X軸キャリア414の前方/後方傾斜角度を変える)2つの対向したカラーキャリア424とを、さらに含む。X軸レール412は、カラーキャリア424の端部に取り付けられている。定位位置決め装置400は、X軸キャリア414によって保持されている湾曲した円弧レール426と、円弧レール426に沿って角度的に移動可能で、円弧各角度γを変える(例えば、円弧キャリア428の左/右傾斜角度を変える)円弧キャリア428とを、さらに含む。カラーおよび円弧キャリアは、それぞれ、メートル法(例えば、ミリメートル)の対応する目盛りを有する湾曲した定規438、440を有する。
【0093】
従って、カラー角度βは、病巣403を通過するX軸を中心とする回転を与え、円弧角度γは、病巣403を通過するY軸を中心とする回転を与える。カラーレール422は、曲率半径が、通常、約170mm〜約180mm(例えば、約172.7mm)であり、当該技術分野における半径が約50mmである従来の機械的なピボットリングよりずっと大きい。カラーレール422は、通常、約30度〜約80度の角度βを超えて延び、円弧長が、通常、約190mm〜約200mm(例えば、約194mm)である。円弧レール426は、曲率半径が、通常、約160mm〜約170mm(例えば、約165mm)であり、円弧長が、通常、約280mm〜約290mm(例えば、約284.9mm)であり、また、通常、X軸キャリア414の中心に対して約+/−50度の角度γを超えて延びている。カラーキャリア424は患者の頭部の上方に位置しているので、この設計によって、より小型の装置が可能になる。円弧レール426および円弧キャリア428がX軸キャリア414に直接取り付けられることも小型化設計に寄与する。
【0094】
実施形態によっては、定位位置決め装置400は、Z軸周りの回転(矢印442参照)も提供する。例えば、Z軸レール408は、その軸線444の周りにかつZ軸レール408が延びているY軸キャリア406に対して回転可能にすることができる。この連結を追加することにより、標的への軌道の柔軟性が拡張され、これにより、標的への安全な軌道が最適化される。
【0095】
実施形態によっては、定位位置決め装置400は、POM、アルミニウム、およびポリカーボネイトを含む1つ以上の材料で作られてもよい。定位位置決め装置400は、通常、長さが約125mm〜約165mm(例えば、約140mm)、幅が約110mm〜約120mm(例えば、約114.3mm)、そして高さが約135mm〜約150mm(例えば、約142.6mm)の小型の実装面積(例えば、カラーキャリア424および円弧レール426除いて)を有する。定位位置決め装置400は、通常、全重量が約1100g〜約2000gである。
【0096】
様々なマイクロドライブ装置および送達システムを円弧キャリア428に固定して、患者の頭部内の四分円形アーチ(例えば、カラーレール422、円弧レール426、および円弧キャリア428によって画定される)の病巣403で外科手術手順を実行してもよい。
図40に関して上述したように、定位座標系の原点は、頭蓋骨取付装置300の右、後方、上部の角に位置しているため、作業範囲322の中心は患者の頭部の中心(X=100、Y=100、Z=100)に画定される。これに対して、従来の円弧中心の定位装置の原点は、作業範囲の中心である。実施形態によっては、定位位置決め装置400は、X、Y、およびZのスケールを工夫してスケールの中心に原点(0、0、0)を配置することによってこれらのシステムをエミュレートすることができる。スケールを他の市販のシステムに適合するように変更することができるため、対応する手術計画ソフトウェアを使用して手術標的を計画することが可能になる。作業範囲322は、通常、長さが(例えば、X軸に沿って)約75mm〜約95mm(例えば、約80mm)、幅が(例えば、Y軸に沿って)約55mm〜約90mm(例えば、約60mm)、および高さが(例えば、Z軸に沿って)約50mm〜約90mm(例えば、約70mm)である。
【0097】
図48を参照すると、Y軸レール404は、頭蓋骨取付装置300のインターフェース310と嵌合し、定位位置決め装置400を頭蓋骨301に対して正確に位置決めするように設計されているレセプタクル430を画定する。従って、レセプタクル430は、インターフェース310の形状と補完的な形状を有する。
【0098】
画像ローカライゼーションおよび手術計画に関して、そして上述したように、CT画像ローカライザ401およびMRIローカライザ402は、頭蓋骨取付装置300に取り付けられるように設計されており、頭蓋骨取付装置300は、ローカライザ401、402を定位座標系に対して特定の位置および配向に維持している。ローカライザ401、402によって生成された画像は、通常、定位空間における画像の位置を定量化するために使用される9〜12の基準マーク(例えば、フィデューシャル)を有する。これらの画像は、全ての画像上の各フィデューシャルの位置を特定する手術計画コンピュータに入力される。ソフトウェアは、フィデューシャルを用いて画像空間から定位空間への変換を可能にする変換マトリクスを生成する。
【0099】
ローカライザ401、402および定位位置決め装置400を含む定位システムは、従来の定位計画ソフトウェアパッケージにより機能するように設計されている。これは、様々な画像ローカライザの物理的寸法をエミュレートし、上述の定位座標系のXYZ数値を様々な画像ローカライザのXYZのスケールのXYZ数値と照合することによって可能である。これにより、外科医が定位システムと共に自身の好適な定位計画ソフトウェアを継続して使用することが可能になる。
【0100】
手術計画プログラムにより、外科医が、MRIまたはCTの画像ボリュームを用いて定位装置をシミュレートすることが可能になる。外科医は、画像ボリューム中の所望の標的の位置を特定してそのピクセルを標的点として選択する。ソフトウェアにより、その点に対するXYZ座標(X
T、Y
T、Z
T)が出力される。これに加えて、ソフトウェアにより、外科医が、脳の表面から標的までの軌道をシミュレートすることが可能になる。外科医は、安全な経路がプロットされるまで軌道を検討し変更する。当該軌道に関するソフトウェアの出力により、円弧(A)角度およびカラー(C)角度に対する値が得られる。完了した手術計画には、値X
T、Y
T、Z
T、A、およびCが含まれる。
【0101】
定位計画の完了後はいつでも(例えば、同じ日または後日)、患者は、頭蓋骨取付装置300がその元の位置で頭蓋骨301に引き続き固定された状態で、ORに連れていかれる。患者は、ORのテーブルに置かれ、外科手術野が外科手術のために準備される。
図50を参照すると、滅菌した定位位置決め装置400が頭蓋骨取付装置300に取り付けられている。X、Y、Z軸キャリア414、406、410は手術標的の座標(X
T、Y
T、Z
T)に設定される。各キャリア414、406、410は、キャリア414、406、410が位置づけられる定規432、434、436の数値が外科手術ソフトウェア出力の数値と一致するまで平行移動する。上述したように、カラー角度βおよび円弧角度γは、外科手術の軌道を画定する。カラー定規438および円弧定規440は、1度刻みで目盛りが刻印されている。カラーキャリア424および円弧キャリア428は、定位計画ソフトウェアの出力に一致するよう調整されている。
【0102】
図51および
図52を参照すると、送達システムが円弧キャリア428に固定され、DBSリードを患者の脳の適所に配置するために用いられた後、リードが実際に四分円形アーチの病巣403にあることを確認するために側方X線像601が得られる。撮像基準ツール600はZ軸キャリア410に取り付けられている。撮像基準ツール600は、定位位置決め装置400の一方の側に(例えば、患者の頭部の一方の側に)十字レチクル602を含み、また、他方の側に対応する円形レチクル604を含む。十字レチクル602と円レチクル604とが重ね合わされて、X線装置によりレチクル602、604の適正な整列が示される。一旦、整列すると、
図52に示すように、十字レチクル602の中心は、四分円形アーチの病巣403の位置を示す。四分円形アーチにより指向されるDBSリード(例えば、または任意の器具)は、病巣403までの経路を投影する。側方X線像601は、四分円形アーチにおいて適正な位置決めが実現されていることを実証する。
【0103】
複数の実施形態を説明した。しかしながら、本開示の主旨と範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができることが理解されるであろう。例えば、本明細書において説明した様々な定位構成要素は、特定の寸法、動作パラメータ、材料構成、および形状に対して説明したが、実施形態によっては、構造および機能において、上述のそれらに全般的に類似する定位構成要素は、異なる寸法、動作パラメータ、材料構成、および形状を含んでもよい。
【0104】
別の例において、頭蓋骨取付装置300に類似する頭蓋骨取付装置は、定位装置200と共に使用するために適合させてもよい。例えば、ロボット装置を固定するためのねじを使用する代わりに、ロボット装置のベースプラットフォームは、頭蓋骨取付装置300に接続するために適合させてもよい。
【0105】
実施形態によっては、その他の点では構造および機能が頭蓋骨取付装置300に類似する頭蓋骨取付装置は、
図53に示すように、代わりに、頭蓋骨の中に埋め込まれる鋭利なピンを有する2つのアームによって頭蓋骨に固定されてもよい。
【0106】
図54は、構造および機能が頭蓋骨取付装置300に類似する頭蓋骨取付装置を、代替方法として患者の頭蓋骨に固定することができるいくつかの構成要素を示す。
図54において、アーム700は、患者の頭部の両側に延び、鋭利に尖ったねじが頭蓋骨にねじ込まれて頭蓋骨取付装置701が固定される。
図55において、頭蓋骨取付装置703のアーム702は、ヒンジ704に取り付けられる。ねじ705を調整することで、アーム702は中心に向かって前進し、鋭利なピン706が頭蓋骨の中に前進する。
図56の頭蓋骨取付装置707は、頭蓋骨取付装置701に設計が類似しており、頭部の後方側にクロスブレース708が付加されている。
図57および
図58は、アンカーねじ711の数を1つに減らして装着しやすくしたことを除いて頭蓋骨取付装置707に類似する頭蓋骨取付装置709を示す。
図59は、ユーザが鋭利なピンを頭蓋骨の中に前進させて蓋骨への取付け装置を固定することを可能にするラチェット710を示す。
【0107】
図60を参照すると、定位システム400は、座標が既知の35個の潜在的な標的を有するカスタムのMRI/CT適合ファントムに取り付けられた(A)。定位フレームシステムを調整して9個のファントムポイントを標的にすることによって、機械的精度が評価された。再現性を実証するために、3人の独立したユーザが3回の別個の試行にわたってフレームターゲティングを繰り返した。グラウンドトゥルース画像位置と、9個のポイントに対して計算されたフレームターゲット座標との間の二乗平均平方根誤差(RMSE)は、1.59mm(n=4人)であった。定位手術計画ソフトウェアを用いて画像空間の各ファントムポイントを標的にして定位座標を得た。フレームターゲット座標とCTおよびMRIターゲット座標との間のRMSEは、それぞれ、1.72mmおよび1.79mmであった。可視化目的のために、9個のファントムポイントのグラウンドトゥルース位置が、平均フレームターゲット座標、CTターゲット座標、およびMRIターゲット座標を用いて、3D定位空間にプロットされている(C)。様々なカラー角度および円弧角度で正確性を維持するシステムの能力を調べるために、付加的な実験が行われ、円弧角度およびカラー角度が10度刻みで増加したときシステムが8つのファントムポイントのうちの1つに当たる能力が評価された。様々な円弧角度およびカラー角度に対する平均ユークリッド距離は、それぞれ、0.82mmおよび0.67mmであることがわかった(N=3人、
図54参照)。
【0108】
図61は、術後CTに重ね合わされた外科手術前計画を示し、計画された標的(Target)に対するDBS電極の正確な配置を示している。異なるサイズの頭部に固定する能力および定位位置決め装置400を用いて異なる標本にわたる配置の再現性を調べるために、8つのDBSの埋め込み(Implant)が3つの死体標本に対して行われた。平均TLEは、1.9mm±0.4mmであった(n=7つの埋め込み、3つの死体、±SD)。フレーム001は実験1および2に対して使用され、フレーム002は実験3〜8に対して使用された。フレーム001に対する平均標的ローカライゼーション誤差は、1.95mm(1.82mm〜2.07mm)で、フレーム002に対しては1.90mm±0.48mm(1.13mm〜2.53mm)であった。8つの埋め込みのうちの1つは、当該電極は正確な軌道をたどったが、一般的な臨床的出来事であるが、アンカーの不具合に起因して5mm過度に深く挿入されたため、計算から除外された。標的への第2の電極接触の3Dユークリッド距離は、0.58mmであることがわかったが、第1の電極接触の先端部分から5.2mmであった。
【0109】
さらに、テンプレート2、様々なアンカーねじおよびスタンドオフ、並びに定位装置100、200を、特定の寸法、動作パラメータ、材料構成、および形状を有するとして例示し、説明したが、実施形態によっては、構造および機能が上述のそれらに全般的に類似するテンプレート、ねじ、およびスタンドオフは、異なる寸法、動作パラメータ、材料構成、および形状を含んでもよい。他の実施形態は以下の特許請求の範囲内にある。
【国際調査報告】