(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-512749(P2021-512749A)
(43)【公表日】2021年5月20日
(54)【発明の名称】WCフラップ要素のための固定配置
(51)【国際特許分類】
A47K 13/26 20060101AFI20210423BHJP
A47K 13/28 20060101ALI20210423BHJP
【FI】
A47K13/26
A47K13/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-562848(P2020-562848)
(86)(22)【出願日】2019年1月29日
(85)【翻訳文提出日】2020年9月25日
(86)【国際出願番号】EP2019052128
(87)【国際公開番号】WO2019145566
(87)【国際公開日】20190801
(31)【優先権主張番号】18153797.8
(32)【優先日】2018年1月29日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】18153795.2
(32)【優先日】2018年1月29日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】18153793.7
(32)【優先日】2018年1月29日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】18153796.0
(32)【優先日】2018年1月29日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520280656
【氏名又は名称】ゲベリット インターナショナル アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ニーダーベルガー
【テーマコード(参考)】
2D037
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AA14
2D037AA15
2D037AB11
(57)【要約】
本発明はWCフラップ要素(2)のための固定システム(1)に関し、このWCフラップ要素は便器(4)の水平面(H)内にある支持面(3)から折り畳むことができ、この固定システム(1)は、中心軸(M)に沿って延在し、受入部(6)、便器(4)の支持面(3)上の直接又は間接的な支持のための停止部(7)及びねじ部(8)を有する少なくとも1つ、特に2つの支圧ボルト(5)と、その中に支圧ボルト(6)の受入部(6)が突出する、少なくとも1つの支承口(10)を有する、WCフラップ要素を支えるためのヒンジ支持具(9)と、支圧ボルト(5)のねじ部(8)に嵌合する、回転するように固定された相手ねじ(11)とを含み、ここで、支圧ボルト(5)の中心軸(M)は、設置状態にある場合に水平面(H)に対してほぼ直角に延在する。本発明によれば、受入部(6)は駆動構造(12)を含み、支承口(10)は上部に開いているため、駆動構造(12)は上部からアクセス可能及び操作可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器(4)の、水平面(H)にある支持面(3)からヒンジ開閉することができるWCフラップ要素(2)のための固定システム(1)であって、
受入部(6)、前記便器(4)の前記支持面(3)上での直接又は間接的支持のための停止部(7)及びねじ部(8)を備えた、中心軸(M)に沿って延在する、少なくとも1つ、特に2つの取付ボルト(5)と、
前記取付ボルト(5)の前記受入部(6)がその中に突出する、少なくとも1つの取付口(10)を備えた、前記WCフラップ要素を取り付けるためのヒンジ支持具(9)と、
前記取付ボルト(5)の前記ねじ部(8)がその中に係合する、回転不能に取り付けられた嵌合ねじ(11)と
を含み、
設置状態において、前記取付ボルト(5)の前記中心軸(M)は水平面(H)に対して実質的に直角に延在し、
前記駆動構造(12)が上部からアクセス可能及び作動可能であるように、前記受入部(6)は駆動構造(12)を含み、前記取付口(10)は上部に向かって開口していることを特徴とする、固定システム(1)。
【請求項2】
前記駆動構造(12)が、前記受入部(6)の自由端(13)の端面に配置されている、請求項1に記載の固定システム(1)。
【請求項3】
前記駆動構造(12)が、前記受入部(6)の前記端面(30)から前記受入部(6)中へ延在することを特徴とする、請求項1又は2に記載の固定システム(1)。
【請求項4】
前記受入部(6)が一定の外径(D6)を有し、
前記外径(D6)が前記駆動構造(12)の領域で拡大せず、及び/又は前記取付口(10)の直径(D10)が前記受入部(6)の前記外径(D6)と実質的に同一であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固定システム(1)。
【請求項5】
設置状態において、前記駆動構造(12)が、前記取付口(10)の完全に内側にあることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の固定システム(1)。
【請求項6】
前記停止部(7)が前記支持面(3)に向かって環状面(14)を有し、
前記環状面(14)と前記支持面(3)の間に弾性ディスク要素(15)があり、前記ディスク要素は、上側(16)と底側(17)とを有し、前記上側は、前記環状面(14)に対して相補的形状を有するとともに前記環状面(14)に接しており、前記底側は前記支持面(3)上に置かれていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の固定システム(1)。
【請求項7】
前記環状面(14)が凹状に丸みを帯び、前記上側(16)が凸状に丸みを帯びている、又は、前記環状面(14)が凸状に丸みを帯び、前記上側(16)が凹状に丸みを帯びている、及び/又は、前記底側(17)が実質的に平面に広がることを特徴とする、請求項7に記載の固定システム(1)。
【請求項8】
前記停止部(7)が、前記ヒンジ支持具(9)に向かって、前記ヒンジ支持具(9)がその上に立設する環状面(18)を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の固定システム(1)。
【請求項9】
前記嵌合ねじ(11)がスライディングブロック(19)の一部であり、前記スライディングブロックが少なくとも一方向(R1、R2)に遊びをもってガイド溝(20)に取り付けられることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の固定システム(1)。
【請求項10】
前記ガイド溝(20)がフレーム要素(21)の一部であり、前記フレーム要素が前記便器(4)の後方受入スペース(22)に取り付けられていることを特徴とする、請求項9に記載の固定システム(1)。
【請求項11】
前記ヒンジ支持具(9)を固定するために、前記受入部(6)が少なくとも1つのばねリング(23)を有し、前記少なくとも1つのばねリング(23)が、好ましくは唯一の固定要素であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の固定システム(1)。
【請求項12】
前記ヒンジ支持具(9)がヒンジ軸(S)に沿って延在し、前記ヒンジ軸(S)に対して横方向に見て、断面の外側形状が全長にわたって実質的に一定であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の固定システム(1)。
【請求項13】
前記取付口(10)が、前記ヒンジ軸(S)に対して直角にあり、断面で見て、前記ヒンジ支持具(9)に対して実質的に中心にあることを特徴とする、請求項12に記載の固定システム(1)。
【請求項14】
各端面において、前記ヒンジ支持具(9)が、ヒンジ要素(25)が取り付けられる受入口(24)を有し、
前記取付口(10)が、好ましくは前記受入口(24)を貫通し、前記ヒンジ要素(25)が前記取付口(10)の前記断面の周囲に延在している、又は、ヒンジ部が、前記端面で前記ヒンジ支持具(9)から前記ヒンジ軸(S)の方向に突出していることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の固定システム(1)。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の固定システム(1)と、前記ヒンジ支持具(9)に旋回可能に取り付けられ、特に便座及び/又は便ふたとして設計された、WCフラップ要素(2)と、便器(4)とを含み、前記便器上に前記固定システム(1)が前記少なくとも1つの取付ボルト(5)によって取り付けられた、装置。
【請求項16】
前記ヒンジ支持具(9)がカバー要素(26)によって覆われることを特徴とする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の固定システムを組み立てるための方法であって、
第1工程で、前記取付ボルト(5)が前記便器(4)に対してその位置を変位させることができるように、前記取付ボルト(5)をそのねじ部(8)によって前記嵌合ねじ(11)と係合させ、
第2工程で、前記ヒンジ支持具(9)を前記取付ボルト(5)と接続させ、そして
第3工程で、前記WCフラップ要素(2)を前記便器(4)に対して位置合わせし、そして
第4工程で、位置合わせが行われた後に、前記駆動構造(12)によって前記取付ボルト(5)を締め付け、
ここで、任意の工程である第5工程において、前記ヒンジ支持具(9)を覆うカバー要素(26)を組み立てることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の便座又は便ふたなどのWCフラップ要素のための固定配置に関する。
【背景技術】
【0002】
フラップ要素のための多様な固定配置が先行技術に開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、便座を固定する可能な方法を示し、そこでは便座を接続することができる取付ボルトが使用されている。取付ボルトは、位置決め補助具で位置合わせでき、位置合わせが行われた後、取付ボルトとWCのセラミックとの間の環状のスペースは填隙剤によって充填され、取付ボルトはナットによって機械的に固定される。特許文献1による固定の解決策は不利益をもたらす。その理由は便器と便座の位置合わせに別個の位置決め補助具を使用しなければならず、また取付ボルトの締付手段にアクセスし難いためである。
【0004】
その他の解決策は螺合接続を使用している。この場合、位置合わせは一般に非常に面倒であり、例えば全面的なクリーニング作業中の便座の取り外しが非常に複雑であり、便座を再び位置合わせしなければならないという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2016/001318号
【発明の概要】
【0006】
先行技術から進んで、本発明の目的は、先行技術の欠点を克服する、便座及び/又は便ふたなどのWCフラップ要素のための固定システムを明示することである。特に、それを用いることによりWCフラップ要素をより簡単に位置合わせすることができる、WCフラップ要素のための固定システムを明示することを目的とする。さらに、特に好ましい目的は、クリーニング作業が簡単であるという条件で、それを用いることによりWCフラップ要素をより簡単に位置合わせすることができる、WCフラップ要素のための固定システムを明示することである。
【0007】
述べた目的の少なくとも1つは、請求項1に記載の固定システムによって達成される。便器の水平面にある支持面からヒンジ開閉することができるWCフラップ要素のための固定システムは、受入部、便器の支持面上での直接又は間接的な支持のための停止部及びねじ部を備えた、中心軸(M)に沿って延在する、少なくとも1つ、特に2つ又は少なくとも2つの、取付ボルトと、取付ボルトの受入部がその中に突出する少なくとも1つの取付口を備えた、WCフラップ要素を取り付けるためのヒンジ支持具と、取付ボルトのねじ部がその中に係合する回転不能に取り付けられた嵌合ねじとを含む。設置状態において、取付ボルトの中心軸は水平面に対して実質的に直角に延在する。前記駆動構造(12)が上部からアクセス可能及び作動可能であるように、受入部は駆動構造を含み、取付口は上部に向かって開口している。
【0008】
したがって、組み立て中に位置合わせを行うことが可能であり、次に、位置合わせが行われた後に、上部からアクセス可能な駆動構造によってヒンジ支持具を特にWCフラップ要素としっかりと螺合することが可能である。その結果、テンプレートとの位置合わせ、又は位置合わせの繰り返しが不要になる。さらに、取付ボルトによってヒンジ支持具に接続されているために分離の容易な接続が提供されるので、ヒンジ支持具とWCフラップ要素は、クリーニングのために便器から容易に分離することができる。
【0009】
本文脈において、「上部から」という表現は、設置状態において駆動部分が支持面の上方からアクセス可能であると理解されるべきである。すなわち、例えば、工具を駆動構造へと、垂直方向に、上部から支持面の方向に移動させることができる。
【0010】
「水平」という表現は、設置状態において1つの水平面内にある支持面として理解されるべきであり、その平面は垂直線方向に対して直角である。
【0011】
受入部の断面及び取付口の断面は、好ましくは取付ボルトが取付口に対して回転できるように選択される。受入部及び取付口は、好ましくは一定の直径で円筒状に形成される。代替として、受入部及び取付口は、円錐状に形成される。
【0012】
好ましくは、停止部とねじ部との間に移行部があり、これは設置状態において、便器の固定口に延在する。
【0013】
固定口の数、取付ボルトの数及び取付口の数は、互いに調整され、互いに一致する。
【0014】
駆動構造は、好ましくは受入部の自由端の端面に配置される。このようにして、上部からの良好なアクセスを提供することができる。さらに、駆動構造は上部から見たときに目視可能であり、ユーザーがはっきりと確かめることができる。
【0015】
駆動構造は、好ましくは受入部の端面から受入部に延在する。このようにして、シンプルな構造を提供することができる。
【0016】
駆動構造は多様な形状をとってよく、その形状は、工具が取付ボルトに回転を伝達できるように選択される。駆動構造は、好ましくは、四角穴又は六角穴又はすりわり(マイナス穴)又は十字穴又はトルクス穴である。
【0017】
受入部は、好ましくは一定の外径を有し、その外径は駆動構造の領域内では拡大しない。すなわち、駆動構造は非常にコンパクトな形状であることができる。また、取付口の直径は受入部の外径と実質的に同一である。このようにして、良好な取付を実現することができる。
【0018】
設置状態で見て、駆動構造は、特に好ましくは取付口の完全に内側にある。駆動構造は、特に上部から取付口を通してアクセス可能である。すなわち、工具を取付口を通って駆動構造に導くことができる。取付口の内側の位置にあることにより、駆動構造が外部の影響から保護されるという利点がある。
【0019】
言い換えると、受入部の自由端は取付口の内側にあり、取付口から突出しない。その結果、取付口の深さは、受入部の長さよりも大きい。
【0020】
また、駆動構造を備える自由端が取付口から突出することも考えられる。
【0021】
停止部は、好ましくは便器の支持面に向かって環状面を有し、環状面と支持面の間には弾性ディスク要素がある。ディスク要素には上側があり、上側は環状面に対して相補的又は整合する形状であり、環状面に接している。ディスク要素には底側もあり、底側は支持面上に置かれている。ディスク要素は、好ましくは弾性であるように設計される。
【0022】
好ましくは、前記環状面は凹状に丸みを帯び、上側は凸状に丸みを帯びている。これには、取付ボルトの位置をさらにわずかに変えられるという利点があり、これは特にセラミック便器の分野で有利である。これにより、便器の製造誤差を容易に相殺することができる。あるいは、環状面が凸状に丸みを帯び、上側が凹状に丸みを帯びている。どちらの変形形態でも、底側は実質的に平面内にある。
【0023】
しかし、環状面及び上側は、平面の形状であってもよい。
【0024】
好ましくは、停止部は、ヒンジ支持具に向かって、ヒンジ支持具がその上に立設する環状面を有する。あるいは、ヒンジ支持具が支持面の上に立設する。
【0025】
好ましくは、嵌合ねじはスライディングブロックの一部であり、このスライディングブロックは少なくとも一方向に遊びをもってガイド溝に取り付けられている。スライディングブロックは、好ましくは複数の方向に遊びをもって取り付けられ、好ましくは、スライディングブロックが支持面と平行に動くことができるように取り付けられる。
【0026】
ガイド溝におけるスライディングブロックの遊びは、便器の固定口の取付ボルトの遊びに実質的に対応している。固定口の取付ボルトの遊びは、固定口の直径と、固定口を通って突出する取付ボルトの部分の直径との間の直径の差によってもたらされる。
【0027】
ガイド溝は、好ましくはフレーム要素の一部であり、このフレーム要素は便器の後方受入スペースに取り付けられる。フレーム要素は、例えば、それを用いて便器を壁に固定できる取り付け構造の一部であってもよい。しかし、フレーム要素は他の方法で使用されても、又は、具体的には溝付き要素を受け入れるための前記後方受入スペースに取り付けられてもよい。
【0028】
受入部は、好ましくはヒンジ支持具を固定するための少なくとも1つのばねリングを有し、少なくとも1つのばねリングは、好ましくはヒンジ支持具と取付ボルトとの間の唯一の固定要素である。これによりヒンジ支持具の組み立てと分解が非常に簡単であるという利点がある。特に、取付ボルトに対してヒンジ支持具を固定するために、さらなる固定手段、例えばねじ、コッターピンなどは必要ない。
【0029】
ヒンジ支持具は、好ましくはヒンジ軸に沿って延在し、ヒンジ軸に対して横方向に見て、断面においての外側形状は、全長にわたって実質的に一定である。したがって、これは梁状構造であり、コンパクトな断面で形成することができる。ヒンジ支持具は、切り込み及び補強リブを有することができる。
【0030】
取付口は、好ましくはヒンジ軸に対して直角にあり、断面で見て、ヒンジ支持具に対して実質的に中心にある。
【0031】
各端面において、好ましくは、ヒンジ支持具はヒンジ要素が取り付けられる受入口を有する。WCフラップ要素は、ヒンジ要素に取り付けられる。取付口は、好ましくは受入口を貫通し、ヒンジ要素は取付口の断面の周囲に延在する。すなわち、ヒンジ要素と取付ボルトの間にぶつかりがなく、この取り付けボルトは取付口に突出する。あるいは、ヒンジ部分は端面でヒンジ支持具からヒンジ軸の方向に突出する。
【0032】
配置は、上記の固定システムと、ヒンジ支持具に旋回可能に取り付けられ、特に便座及び/又は便ふたとして設計されるWCフラップ要素と、便器とを含み、この便器の上に固定システムが取付ボルトによって取り付けられる。
【0033】
便器は、好ましくは互いに間隔をあけた2つの導出口を含み、この導出口を通して取付ボルトが導かれる。すなわち、好ましくは、互いに間隔をあけた2つの取付ボルトが存在する。
【0034】
ヒンジ支持具は、好ましくはカバー要素によって覆われる。カバー要素は、好ましくはヒンジ支持具全体にわたって延在する。
【0035】
上記の説明による固定システムを組み立てるための方法は、
第1工程で、取付ボルトが便器に対してその位置を変位させることができるように、取付ボルトをそのねじ部によって嵌合ねじと係合させ、
第2工程で、ヒンジ支持具を取付ボルトと接続させ、そして
第3工程で、WCフラップ要素を便器に対して位置合わせし、そして
第4工程で、位置合わせが行われた後に、駆動構造によって取付ボルトを締め付け、
ここで、任意の工程である第5工程において、ヒンジ支持具を覆うカバー要素を組み立てることを特徴とする。
【0036】
さらなる実施形態は、従属請求項に明記されている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明の好ましい実施形態は、図面を参照して以下に説明されるが、この図面は単に説明のためのものであり、限定として解釈されるべきではない。
【0038】
【
図1】一つの好ましい実施形態による便器を備えた本発明による固定システムの概略分解図を示す。
【
図2】
図1による固定システムの取付ボルトの中心軸を通る断面図を示す。
【
図3】
図1及び3による固定システムの取付ボルトの中心軸を通る別の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図は、便器4上でのWCフラップ要素2のための固定システム1を示す。WCフラップ要素2は、水平面Hにあるとともに便器4の一部である支持面3から離れてヒンジ開閉することができる。WCフラップ要素2は、一般に、便ふた及び/又は便座リングである。
【0040】
図1は分解図を示し、WCフラップ要素2が支持面3から間隔をあけて示されている。
【0041】
固定システム1は、中心軸Mに沿って延在する少なくとも1つの取付ボルト5を含む。ここでは2つの取付ボルト5が配置される。
図1は、2つの取付ボルト5の基本的な配置を示す。2つの取付ボルト5は、互いに間隔をあけている。取付ボルト5の一部は、便器4の支持面3から中心軸Mに沿って上方に延在する。この場合、中心軸Mは、水平面Hに対して実質的に直角に向けられている。取付ボルトの他の部分は、便器4の固定口28を通って便器4内に延在している。
【0042】
固定システム1はまた、WCフラップ要素2を便器4の上に旋回可能に取り付けるためのヒンジ支持具9を含む。ヒンジ支持具9は、少なくとも1つの取付ボルト5と接続することができ、この少なくとも1つの取付ボルト5によって便器4に取り付けられる。
【0043】
図に示すように、取付ボルト5は、受入部6と、隣接する停止部7と、ねじ部8とを含む。示された実施形態では、ねじ部8は、ブリッジ部27を介して停止部7に形成される。受入部6は、ヒンジ支持具9の取り付けのために働く。停止部7は、便器4の支持面3に直接又は間接的に接続することができる。
【0044】
図2は、取付ボルト5の中心軸Mを通る断面図を示す。ここで、固定システム1が、取付ボルト5に対して回転不能に取り付けられた嵌合ねじ11をさらに有し、その嵌合ねじの中へ取付ボルト5が係合していることがはっきりとわかる。ねじ部8は、停止部7の下に中心軸の方向に延在し、嵌合ねじ11と係合させることができる。示された実施形態では、ねじ部8は雄ねじであり、嵌合ねじ11は雌ねじである。
【0045】
示された実施形態では、受入部6及び停止部7は、支持面3から離れて上方に延在しているが、ここで示されたねじ部8又はブリッジ部27は、便器4の固定口28を通り嵌合ねじ11に向かって下方向に延在する。ブリッジ部27は、少なくとも、固定口28の深さよりわずかに大きい長さを有し、ここでさらに、ブリッジ部27の直径は、好ましくはねじ部8の外径よりも小さい。ブリッジ部27の外径は固定口28の直径よりも小さく、その結果、取付ボルト5と固定口28との間に遊びができる。ねじ部8が停止部7に直接隣接する場合、すなわちブリッジ部27が存在しない場合、ねじ部8の外径は固定口28の直径よりも小さい。このようにして、同様に遊びがもたらされる。
【0046】
示された実施形態では、受入部6は、ヒンジ支持具9の取付口10の中に延在する。このようにして、ヒンジ支持具9は取付ボルト5に取り付けられる。ヒンジ支持具9は、互いに間隔をあけて配置された2つの取付口10を含む。2つの取付口10は、2つの取付ボルト5と同じ距離で互いに間隔をあける。示された実施形態では、停止部7は、ヒンジ支持具9に向かって、ヒンジ支持具9がその上に立設する環状面18を有する。
【0047】
受入部6は、駆動構造12をさらに含み、この駆動構造により、取付ボルト5をその中心軸Mを中心に回転させることができる。設置者は、工具を使用して駆動構造12に係合し、その結果、取付ボルト5を回転させることができる。このようにして、取付ボルト5のねじ部8は、嵌合ねじ11中へ螺合する。図に示されるように、取付口10は上部に向かって開口しているので、駆動構造12は上部からアクセス可能及び作動可能である。上部からのアクセシビリティは、
図2及び
図3において特によくわかる。
【0048】
組み立ての際、取付ボルト5をねじ部8によって嵌合ねじ11に係合させ、緩やかに締め付けることができ、その結果、嵌合ねじ11及び取付ボルト5は、遊びの範囲内で支持面3に対して移動することができる。この場合、移動は特に、固定口28に対して横方向であり、固定口28は、取付ボルト5の最大直径よりも大きい直径を有するので、これに対応する遊びを提供することができる。取付ボルト5を緩やかに締め付けた後、設置者は、ヒンジ支持具9を受入部6に配置した後、WCフラップ要素2全体を便器4に対して位置合わせすることができる。位置合わせが行われた後に、設置者は、駆動構造12によって嵌合ねじ11に対して取付ボルト5を締め付けることができ、それ以上の変位が起きないようにすることができる。締め付けの際には、停止部7は支持面3に対して引き寄せられる。駆動構造12を作動させるために、適した工具を取付口10に挿入することができ、そして前記工具が駆動構造12に係合し、取付ボルト5は、固定された嵌合ねじに対して回転させられる。
【0049】
駆動構造12は、受入部6の端面30から受入部6中へ延在する。駆動構造12は、受入部6の自由端13上の端面に配置される。駆動構造12は、取付ボルト5上に一体的に形成され、この場合、その端面から受入部6中へ延在する。駆動構造12の領域で取付ボルト5の直径を変える必要はない。
【0050】
受入部6は一定の外径D6を有し、上述のように、外径D6は、駆動構造の領域で拡大しない。受入部6の外径D6は、取付口10の直径D10と実質的に同一である。示された実施形態では、駆動構造12は六角穴として設計される。しかし、駆動構造は、異なる形状、例えばトルクス穴などであってもよい。
【0051】
設置状態において、駆動構造12は、取付口10の完全に内側にある。すなわち、端面30も、取付口10の完全に内側にある。このようにして、受入部6の端部が取付口10の内側にあり、取付口10から上方に突出するであろう突出部分が存在しないという利点が得られる。
【0052】
図2から、停止部7は、支持面3に向かって、環状面14を有することが明確にわかる。弾性ディスク要素15は、環状面14と支持面3の間に配置される。弾性ディスク要素15は上側16を有し、その上側は環状面14に対して相補的な形状である。ディスク要素15は、好ましくはプラスチックで構成される。
【0053】
示された実施形態では、停止部7の環状面14は、凹状曲面の形状であるのに対し、ディスク要素15の上側16は、凸状面の形状である。このようにして、支持面3の形成に起因し得る角度誤差を相殺することができる。
【0054】
ディスク要素15の底側17は、支持面3上に置かれる。この場合、ディスク要素15は好ましくは、停止部7が支持面3に直接置かれないように寸法を決められる。これは、停止部7と支持面3との間の間接的な支持である。直接的な支持も考えられ、その時はディスク要素15を省略することが可能である。
【0055】
停止部7は、ヒンジ支持具9に向かって、ヒンジ支持具9がその上に立設するさらなる環状面を有する。ここで、ヒンジ支持具9は、取付口10の辺縁領域によって環状面14の上に立設する。
【0056】
図3に示されるように、嵌合ねじ11は、スライディングブロック19の構成部分である。スライディングブロック19は、少なくとも一方向R1、R2に遊びをもってガイド溝20に取り付けられる。示された実施形態では、スライディングブロック19は2つの異なる方向R1、R2に自由に移動することができ、これらの方向は互いに直角である。便器4の固定口28の下の嵌合ねじ11が固定口28内の任意の位置をとることができるような可動性が好ましい。
【0057】
ここで、ガイド溝20は、フレーム要素21の一部であり、このフレーム要素は便器の後方受入スペース22に取り付けられている。フレーム要素21は、例えば、便器4を壁に固定するために働いてもよい。フレーム要素21は、前記受入スペース2に固定して取り付けられる。
【0058】
ヒンジ支持具9を固定するために、受入部6は少なくとも1つのばねリング23を有する。ここで、ばねリング23は、ばねリング溝29に取り付けられている。ばねリング23は、特に好ましくは、受入部6とヒンジ支持具9との間の唯一の固定要素であり、そのためヒンジ支持具9は、例えばクリーニング作業のために、受入部6から簡単に分離することができる。
【0059】
図1及び
図3から、ヒンジ支持具9がヒンジ軸Sに沿って梁状に延在することがはっきりとわかる。ヒンジ軸Sに対して横方向に見ると、断面は、ヒンジ支持具9の全長にわたってその外側形状が実質的に一定である。取付口10は、ヒンジ軸Sに対して直角にあり、ヒンジ支持具の断面に見られるように、ヒンジ支持具9に対して実質的に中心に配置される。
【0060】
各端面で、ヒンジ支持具9は、ヒンジ要素25が取り付けられる受入口24を有する。ここで、ヒンジ要素25は、WCフラップ要素2とヒンジ支持具9を接続する。取付口10は受入口24を貫通し、ヒンジ要素25は、取付口10の断面の周囲に延在する。
【0061】
もう一つの実施形態では、端面で、ヒンジ部はヒンジ支持具9からヒンジ軸Sの方向に突出することができる。この場合、ヒンジ部はヒンジ支持具9上に固定して形成される。
【0062】
図には、ヒンジ支持具9がカバー要素26によって覆われることも示されている。
【0063】
上記の説明による固定システムを組み立てるための方法は、以下の工程を特徴とする:
第1工程で、取付ボルト5を、取付ボルト5が便器4に対してその位置を変位させることができるように、ねじ部8によって嵌合ねじ11と係合させ、
第2工程で、ヒンジ支持具9を取付ボルト5と接続させ、そして
第3工程で、WCフラップ要素2を便器4に対して位置合わせし、そして
第4工程で、位置合わせが行われた後に、駆動構造12によって取付ボルト5を締め付ける。
【0064】
任意の工程である第5工程において、ヒンジ支持具9を覆うカバー要素26を組み立てる。
【符号の説明】
【0065】
1 固定システム
2 WCフラップ要素
3 支持面
4 便器
5 取付ボルト
6 受入部
7 停止部
8 ねじ部
9 ヒンジ支持具
10 取付口
11 嵌合ねじ
12 駆動構造
13 自由端
14 環状面
15 ディスク要素
16 上側
17 底側
18 環状面
19 スライディングブロック
20 ガイド溝
21 フレーム要素
22 受入スペース
23 ばねリング
24 受入口
25 ヒンジ要素
26 カバー要素
27 ブリッジ部
28 固定口
29 ばねリング溝
30 端面
H 水平面
M 中心軸
D6 受入部の直径
D10 取付口の直径
R1、R2 方向
S ヒンジ軸
【国際調査報告】