(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-512869(P2021-512869A)
(43)【公表日】2021年5月20日
(54)【発明の名称】経口製剤及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/496 20060101AFI20210423BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20210423BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20210423BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20210423BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20210423BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20210423BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20210423BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20210423BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20210423BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20210423BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20210423BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20210423BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20210423BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20210423BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20210423BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20210423BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20210423BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20210423BHJP
【FI】
A61K31/496
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/12
A61K47/06
A61K47/20
A61K47/44
A61K47/14
A61K47/10
A61K47/36
A61K47/42
A61K47/04
A61K9/20
A61K47/22
A61P25/28
A61P3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2020-541731(P2020-541731)
(86)(22)【出願日】2019年2月1日
(85)【翻訳文提出日】2020年8月19日
(86)【国際出願番号】AU2019050076
(87)【国際公開番号】WO2019148247
(87)【国際公開日】20190808
(31)【優先権主張番号】2018900324
(32)【優先日】2018年2月2日
(33)【優先権主張国】AU
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】515340682
【氏名又は名称】ユーストラリス ファーマシューティカルズ リミテッド (トレーディング アズ プレススラ ニューロ)
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンカン,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ササーマン,アンドレーア
(72)【発明者】
【氏名】ウィルムブリンク,グラシエラ ブールスシャイト
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
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4C076DD24
4C076DD25
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4C076DD28
4C076DD29
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4C086MA03
4C086MA05
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4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA15
4C086ZC21
(57)【要約】
限定されないが、脳震盪、脳震盪後(post−concussive)(又は脳震盪後(post−concussion))症候群(PCS)、慢性外傷性脳症(CTE)、外傷性脳損傷(TBI)及び脳卒中などの兆候のための特定の置換ピリジン系化合物を含む治療用経口製剤、それらの製造、並びに頭蓋内圧の上昇又は脳内の(高)リン酸化タウタンパク質(τ)の発現の変更などの脳内の物質P介在経路を治療する際の前記製剤の方法及び使用が開示されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)式(I)
【化1】
(式中、R
1はH又はC
1〜4アルキルである)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグであって、前記組成物において約60μm未満のD(0.5)粒度分布を有する式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグ;
(ii)ラクトース、ソルビトール、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム二水和物、炭酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム二水和物、クロスポビドン、酸化第二鉄、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、スクロース、又は塩化ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の希釈剤であって、前記組成物の全重量に基づいて約35%〜約70%wt/wtの量で前記組成物中に存在する少なくとも1種の希釈剤;
(iii)ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、パラフィン、ラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、水素化ヒマシ油、グリセリルモノステアレート、グリセリルベヘネート、ナトリウムステアリルフマレート、鉱油、ポロキサマー、PEG400、PEG600、又はPEG8000からなる群から選択される少なくとも1種の滑剤であって、前記組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約2%wt/wtの量で前記組成物中に存在する少なくとも1種の滑剤;
(iv)微結晶セルロース、アルギン酸、クエン酸、クロスカメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、システインHCl、メチルセルロース、ポリオキシステアリン酸、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の崩壊剤であって、前記組成物の全重量に基づいて約20%〜約30%wt/wtの量で前記組成物中に存在する少なくとも1種の崩壊剤;
(v)デンプン、ゼラチン、グルコース、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、キャンデリラワックス、カルナバワックス、コーンスターチ、グリセリルベヘン酸塩、ヒプロメロース、又はポリエチレンオキシドからなる群から選択される少なくとも1種の結合剤であって、前記組成物の全重量に基づいて約5%〜約15%wt/wtの量で前記組成物中に存在する少なくとも1種の結合剤;
(vi)ヒュームドシリカ、二酸化ケイ素、又はタルクからなる群から選択される少なくとも1種の固化防止剤であって、前記組成物の全重量に基づいて約0.2%〜約2%wt/wtの量で前記組成物中に存在する少なくとも1種の固化防止剤、
を含む、錠剤形態の医薬組成物。
【請求項2】
R1が、H、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピルから選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の希釈剤が、ラクトース、ソルビトール、又はスクロースからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
少なくとも1種の滑剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、PEG400、PEG600、又はPEG8000からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
少なくとも1種の崩壊剤が、微結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項6】
少なくとも1種の結合剤が、デンプン、ゼラチン、グルコース、アラビアゴム、キャンデリラワックス、カルナバワックス、又はコーンスターチからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記固化防止剤がヒュームドシリカである、請求項1〜6のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記希釈剤がラクトースである、請求項1〜7のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記滑剤がステアリン酸マグネシウムである、請求項1〜8のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記崩壊剤が微結晶セルロースである、請求項1〜9のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記結合剤がデンプンである、請求項1〜10のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項12】
式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグが、前記組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約50%wt/wtの量で前記組成物中に存在する、請求項1〜11のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項13】
ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、エリスロシンナトリウム、又はプロピオン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種のコーティング剤をさらに含む、請求項1〜12のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項14】
(i)式(I)
【化2】
(式中、R
1はH又はC
1〜4アルキルである)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグであって、前記組成物において約60μm未満のD(0.5)粒度分布を有する式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグ;
(ii)前記組成物の全重量に基づいて約35%〜約70%wt/wtの量で前記組成物中に存在するラクトース;
(iii)前記組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約2%wt/wtの量で前記組成物中に存在するステアリン酸マグネシウム;
(iv)前記組成物の全重量に基づいて約20%〜約30%wt/wtの量で前記組成物中に存在する微結晶セルロース;
(v)前記組成物の全重量に基づいて約5%〜約15%wt/wtの量で前記組成物中に存在するデンプン;
(vi)前記組成物の全重量に基づいて約0.2%〜約2%wt/wtの量で前記組成物中に存在するヒュームドシリカ、
を含む、錠剤形態の医薬組成物。
【請求項15】
式(I)の化合物が、
【化3】
である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
それを必要とする対象において脳内の高リン酸化タウタンパク質(τ)の過剰発現、脳震盪後症候群(PCS)、慢性外傷性脳症(CTE)又は頭蓋内圧の上昇を治療する方法であって、
(i)式(I)
【化4】
(式中、R
1はH又はC
1〜4アルキルである)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグであって、前記組成物において約60μm未満のD(0.5)粒度分布を有する式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグ;
(ii)ラクトース、ソルビトール、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム二水和物、炭酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム二水和物、クロスポビドン、酸化第二鉄、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、スクロース、又は塩化ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の希釈剤であって、前記組成物の全重量に基づいて約35%〜約70%wt/wtの量で前記組成物中に存在する少なくとも1種の希釈剤;
(iii)ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、パラフィン、ラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、水素化ヒマシ油、グリセリルモノステアレート、グリセリルベヘネート、ナトリウムステアリルフマレート、鉱油、ポロキサマー、PEG400、PEG600、又はPEG8000からなる群から選択される少なくとも1種の滑剤であって、前記組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約2%wt/wtの量で前記組成物中に存在する少なくとも1種の滑剤;
(iv)微結晶セルロース、アルギン酸、クエン酸、クロスカメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、システインHCl、メチルセルロース、ポリオキシステアリン酸、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の崩壊剤であって、前記組成物の全重量に基づいて約20%〜約30%wt/wtの量で前記組成物中に存在する少なくとも1種の崩壊剤;
(v)デンプン、ゼラチン、グルコース、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、キャンデリラワックス、カルナバワックス、コーンスターチ、グリセリルベヘン酸塩、ヒプロメロース、又はポリエチレンオキシドからなる群から選択される少なくとも1種の結合剤であって、前記組成物の全重量に基づいて約5%〜約15%wt/wtの量で前記組成物中に存在する少なくとも1種の結合剤;
(vi)ヒュームドシリカ、二酸化ケイ素、又はタルクからなる群から選択される少なくとも1種の固化防止剤であって、前記組成物の全重量に基づいて約0.2%〜約2%wt/wtの量で前記組成物中に存在する少なくとも1種の固化防止剤、
を含む錠剤形態の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項17】
それを必要とする対象における脳内の高リン酸化タウタンパク質(τ)の過剰発現、脳震盪後症候群(PCS)、慢性外傷性脳症(CTE)又は頭蓋内圧の上昇を治療する際に使用するための錠剤形態の医薬組成物であって、
(i)式(I)
【化5】
(式中、R
1はH又はC
1〜4アルキルである)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグであって、前記組成物において約60μm未満のD(0.5)粒度分布を有する式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグ;
(ii)ラクトース、ソルビトール、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム二水和物、炭酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム二水和物、クロスポビドン、酸化第二鉄、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、スクロース、又は塩化ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の希釈剤であって、前記組成物の全重量に基づいて約35%〜約70%wt/wtの量で前記組成物中に存在する少なくとも1種の希釈剤;
(iii)ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、パラフィン、ラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、水素化ヒマシ油、グリセリルモノステアレート、グリセリルベヘネート、ナトリウムステアリルフマレート、鉱油、ポロキサマー、PEG400、PEG600、又はPEG8000からなる群から選択される少なくとも1種の滑剤であって、前記組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約2%wt/wtの量で前記組成物中に存在する少なくとも1種の滑剤;
(iv)微結晶セルロース、アルギン酸、クエン酸、クロスカメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、システインHCl、メチルセルロース、ポリオキシステアリン酸、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の崩壊剤であって、前記組成物の全重量に基づいて約20%〜約30%wt/wtの量で前記組成物中に存在する少なくとも1種の崩壊剤;
(v)デンプン、ゼラチン、グルコース、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、キャンデリラワックス、カルナバワックス、コーンスターチ、グリセリルベヘン酸塩、ヒプロメロース、又はポリエチレンオキシドからなる群から選択される少なくとも1種の結合剤であって、前記組成物の全重量に基づいて約5%〜約15%wt/wtの量で前記組成物中に存在する少なくとも1種の結合剤;
(vi)ヒュームドシリカ、二酸化ケイ素、又はタルクからなる群から選択される少なくとも1種の固化防止剤であって、前記組成物の全重量に基づいて約0.2%〜約2%wt/wtの量で前記組成物中に存在する少なくとも1種の固化防止剤、
を含む、医薬組成物。
【請求項18】
頭蓋内圧の上昇を治療する方法が、外傷性脳損傷を治療する方法である、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
頭蓋内圧の上昇を治療する方法が、脳卒中を治療する方法である、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項20】
頭蓋内圧の上昇を治療する方法が、PCSを治療する方法である、請求項16又は17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、限定されないが、脳震盪、脳震盪後(post−concussive)(又は脳震盪後(post−concussion))症候群(PCS)、慢性外傷性脳症(CTE)、外傷性脳損傷(TBI)及び脳卒中などの兆候のための特定の置換ピリジン系化合物を含む治療用経口製剤、それらの製造、並びに頭蓋内圧の上昇又は脳内の(高)リン酸化タウタンパク質(τ)の発現の変更などの脳内の物質P介在経路を治療する際の前記製剤の方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
頭蓋内損傷としても知られる外傷性脳損傷(TBI)は、外部力が脳を損傷するときに発生する。TBIは、重篤度、機構(閉じた又は浸透した頭部損傷)、又は他の特徴(例えば、特定の位置又は広範囲にわたって生じている)に基づいて分類することができる。TBIは、物理的、認知的、社会的、感情的、及び行動的症状をもたらす可能性があり、結果は、完全な回復から永久的な障害又は死に至る可能性がある。
【0003】
脳の外傷は、頭蓋内の急な加速又は減速の結果として、又は動きと突然の衝突の両方の複雑な組み合わせによって生じる。損傷の瞬間に引き起こされる被害に加えて、損傷後の数分から数日の間に様々な事象が二次的損傷をもたらし得る。これらのプロセスは、脳血流及び頭蓋内の圧力の変化並びに脳内の(高)リン酸化タウタンパク質(τ)の発現を含む。
【0004】
TBIの最も一般的な原因には、暴力、輸送事故、建設、及びスポーツが含まれる。発展途上国で重要性が増しているバイクは、他の原因が減少するので、主要原因となっている。米国では毎年160万〜380万の外傷性脳損傷が、スポーツ及びレクリエーション活動の結果であると推定されている。2〜4歳の子供では、落下がTBIの最も一般的な原因であるが、より年齢の高い子供では、この位置で交通事故が落下と競合する。TBIは、児童虐待に起因する第3の最も一般的な損傷である。虐待は、小児科の脳外傷の症例の19%を引き起こし、これらの症例の中では死亡率がより高い。
【0005】
TBI又は脳卒中で上昇した頭蓋内圧(ICP)を低下させることができる効果的な薬剤が欠如しており、TBIだけでなくアルツハイマー病などの兆候の臨床転帰不良に関連している高リン酸化タウタンパク質の過剰発現を防止することができる薬剤も存在しない。したがって、TBI又は脳卒中で上昇したICPを治癒若しくは改善するか、又は高リン酸化タウタンパク質の過剰発現を防止することができる薬物が必要とされている。
【0006】
活性医薬成分(API)が特定されても、薬物の製剤化で克服すべき多くの障害が依然として存在する。ヒト投与に適する薬物を製剤化する際に、当業者は、製剤技術が予測可能でないことを知っている。様々な要因を注意深く調査し、APIの薬物動態学的特性を少なくとも維持し(増強しないならば)、かつ/又は許容可能な貯蔵寿命を有することができるように薬物に安定性を付与するように調整する必要がある。この意味において、APIの物理的特性、送達の様式、組成物の流動性、賦形剤の適合性、生成の均一性、及び放出プロファイルが注意深く研究され、調査される必要がある。
【0007】
適切に製剤化されていない場合には、APIは、患者に生物学的利用能を効率的に提供しない可能性がある。例えば、カルシウム塩を充填剤として利用することができるが、胃腸管からのテトラサイクリン(APIの例)の吸収にも干渉することが判明した。理解されるように、製剤に添加される成分は必ずしも不活性でなくてもよく、APIと相互作用することができることをこの一例は強調している。
【0008】
さらに、製剤への希釈剤の添加は、製剤の物理化学的特性を変える可能性があり、生成物を不安定にさせ、製造中に問題を引き起こす可能性がある。これは、薬物として使用するための医薬製剤において、既存の基準及び規制との各成分の特定のコンプライアンスが満たされなければならないことから、適正製造基準(GMP)の基準の必要性によってさらに折り合いがつけられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、特定の化合物の製剤化に関して、当技術分野の欠点の少なくとも1つを克服又は改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、有効量の特定の置換ピリジン系化合物及び他の賦形剤、並びに任意選択でコーティング剤を含む治療用経口製剤を提供する。特に、該製剤は、錠剤の形態で提供される。錠剤は、一貫した重量及び含有量の均一性、良好な溶解プロファイル及び許容可能な硬さを特徴とする。したがって、錠剤は、即時放出溶解プロファイルを達成することができる。これに関連して、該製剤は、高リン酸化タウタンパク質の過剰発現などの物質P媒介プロセス又は頭蓋内圧(ICP)の上昇の即時軽減を提供し、それに応じて、限定されないが、PCS、CTE、TBI及び脳卒中などの病態及び/又は兆候の症状を直ちに軽減することにより、それを必要とする対象に利益を与えることができる。
【発明の効果】
【0011】
第1の態様において、本発明は、
(i)式(I)
【化1】
(式中、R
1はH又はC
1〜4アルキルである)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグであって、
組成物において約60μm未満のD(0.5)粒度分布を有する式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグ;
(ii)ラクトース、ソルビトール、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム二水和物、炭酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム二水和物、クロスポビドン、酸化第二鉄、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、スクロース、又は塩化ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の希釈剤であって、組成物の全重量に基づいて約35%〜約70%wt/wtの量で組成物中に存在する少なくとも1種の希釈剤;
(iii)ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、パラフィン、ラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、水素化ヒマシ油、グリセリルモノステアレート、グリセリルベヘネート、ナトリウムステアリルフマレート、鉱油、ポロキサマー(polaxamer)、PEG400、PEG600、又はPEG8000からなる群から選択される少なくとも1種の滑剤であって、組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在する少なくとも1種の滑剤;
(iv)微結晶セルロース、アルギン酸、クエン酸、クロスカメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、システインHCl、メチルセルロース、ポリオキシステアリン酸、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の崩壊剤であって、組成物の全重量に基づいて約20%〜約30%wt/wtの量で組成物中に存在する少なくとも1種の崩壊剤;
(v)デンプン、ゼラチン、グルコース、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、キャンデリラワックス、カルナバワックス(carnuba wax)、コーンスターチ、グリセリルベヘン酸塩、ヒプロメロース、又はポリエチレンオキシドからなる群から選択される少なくとも1種の結合剤であって、組成物の全重量に基づいて約5%〜約15%wt/wtの量で組成物中に存在する少なくとも1種の結合剤;
(vi)ヒュームドシリカ、二酸化ケイ素、又はタルクからなる群から選択される少なくとも1種の固化防止剤であって、組成物の全重量に基づいて約0.2%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在する少なくとも1種の固化防止剤、
を含む錠剤形態の医薬組成物を提供する。
【0012】
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグが組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約50%wt/wtの量で組成物中に存在する、本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
【0013】
第2の態様では、本発明は、それを必要とする対象において、脳振盪後の高リン酸化タウタンパク質の過剰発現を防止する方法であって、本明細書に記載の錠剤の形態で医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0014】
第3の態様では、本発明は、それを必要とする対象において、脳振盪後の高リン酸化タウタンパク質の過剰発現を防止するのに使用するための錠剤形態の医薬組成物を提供し、該医薬組成物は本明細書に記載されるとおりである。
【0015】
第4の態様において、本発明は、それを必要とする対象において上昇した頭蓋内圧を治療する方法であって、本明細書に記載の錠剤の形態で医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0016】
第5の態様において、本発明は、それを必要とする対象において上昇した頭蓋内圧の治療に使用するための錠剤形態の医薬組成物を提供し、該医薬組成物は、本明細書に記載されるとおりである。
【0017】
一実施形態では、高リン酸化タウタンパク質の過剰発現を防止する方法は、脳震盪又は脳震盪後症候群(PCS)を治療する方法である。
【0018】
一実施形態では、上昇した頭蓋内圧を治療する方法は、外傷性脳損傷を治療する方法である。
【0019】
別の実施形態では、上昇した頭蓋内圧を治療する方法は、脳卒中を治療する方法である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書及び以下の特許請求の範囲の全体を通して、文脈が特に必要でない限り、用語「含む(comprise)」、及び「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などの変形は、規定された整数若しくは工程又は整数若しくは工程のグループの包含を意味し、任意の他の整数若しくは工程又は整数若しくは工程のグループを除外しないことを意味することが理解される。
【0021】
本明細書で使用される「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値について許容可能な誤差範囲内であることを意味し、値が測定又は決定される方法、すなわち測定システムの限界に部分的に依存する。
【0022】
この明細書において、いずれかの従来の刊行物(若しくはそれから導かれる情報)、又は既知であるいずれかの事項への言及は、その従来の出版物(若しくはそれから導かれる情報)又は既知の事項が、この明細書が関係する技術分野での共通の一般的知識の一部を形成することを肯定又は承認するものではないか又は任意の形で示唆するものではなく、かつ肯定又は承認又は示唆の任意の形として解釈されるべきではない。
【0023】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の目的のために、次の用語を以下に定義する。
【0024】
「アルキル」は、直鎖状又は分岐状であってもよく、1〜4個の炭素原子又はより好ましくは1〜3個の炭素原子を有する一価のアルキル基を指す。本明細書で使用する場合、C
1〜4アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルからなる群から選択されるアルキルを指す。
【0025】
「賦形剤」は、薬物若しくは他の活性物質のためのビヒクル又は媒体として役立つ薬学的に不活性な物質である。製薬業界では、賦形剤は、希釈剤又は充填剤、結合剤又は接着剤、崩壊剤、滑剤、流動促進剤、香味剤、色、コーティング剤及び甘味料を含む様々なサブグループを含む包括的な用語である。そのような成分は、一般に、製剤中の混合物に存在する。当業者は、いくつかの賦形剤が製剤中で複数の機能を果たすことができることを知っている。例えば、クロスカルメロースナトリウムは、製剤に添加したとき、甘味剤及び/又は希釈剤として作用することができる。別の例では、微結晶セルロースは、希釈剤及び/又は崩壊剤として作用することができる。タルクは、固化防止剤、流動促進剤、希釈剤及び/又は滑剤として使用されてきた。
【0026】
「希釈剤」は、製剤中の充填剤として作用することができる不活性物質である。製剤に希釈剤を添加するのは、製剤の量を合わせるためである。この量の増大により、製剤は、したがって、取り扱いがより容易になり得る。
【0027】
「結合剤」は、製剤の異なる成分を保持又は結びつけるように作用する。この意味で、結合剤は製剤に凝集力を提供する。結合剤は、乾燥形態又は湿潤形態で添加することができる。
【0028】
「滑剤」は、金型壁と製剤との間の摩擦を低減し、金型又は抜型への製剤の接着を防止するために使用される。例えば、製剤が錠剤を形成するために使用される場合、滑剤は、金型壁と形成された錠剤との間の摩擦を低減する。したがって、滑剤は、錠剤が金型キャビティからより容易に排出されることを可能にするのに役立つ。滑剤は、製剤に可溶性であっても、不溶性であってもよい。
【0029】
「流動促進剤」は、製剤の流動特性に役立つ。これは、例えば、製剤がホッパーから金型キャビティに移送される際に、無駄を減少させ、制御を改善するので望ましい。流動促進剤は、製剤中の粒子間の摩擦を最小化することにより作用する。
【0030】
「崩壊剤」は、溶解流体における剤形のマトリックスの水分浸透及び分散を促進するために、製剤に含められる物質である。例えば、錠剤製剤又はハードシェルカプセル製剤などの経口製剤では、固体剤形は、それが調製された一次粒子に理想的に分散されるべきである。
【0031】
「固化防止剤」は、抗凝集剤としても知られている。これらは、造粒混合又はAPIにおける塊状形成を防止するために使用される。凝集は、流動、粒径及び一般的な加工性に関して問題となり得る。少量の水分の存在下では、APIは溶解し、溶解したAPIは結合剤として作用し、API自体又は混合物中に塊を形成する。表面積が大きいため、固化防止剤はAPI粒子を覆い、固化を防止する。さらに、固化防止剤は、API又は他の賦形剤と化学的に反応してはならない。
【0032】
第1の態様において、本発明は、医薬経口組成物を提供する。経口投与されると、該医薬組成物は、通常、当技術分野で公知の従来の装置及び技術を使用して、錠剤、カプレット、カシェ剤、粉末、顆粒、ビーズ、チュアブルトローチ剤、カプセル剤、液体、水性懸濁液又は溶液、又は類似の剤形などの単位剤形に製剤化される。例えば、該医薬経口組成物は、液体形態又は固体形態であってよい。いくつかの実施形態では、該医薬組成物は、錠剤の形態である。錠剤は、任意の適切な大きさ又は適切な形状のものであり得る。別の実施形態では、該医薬組成物は液体の形態である。別の実施形態では、該医薬組成物は粉末の形態である。別の実施形態では、該医薬組成物はカプセルの形態である。別の実施形態では、該医薬組成物はゲルの形態である。
【0033】
いくつかの実施形態では、該医薬組成物は、式(I)
【化2】
(式中、R
1はH又はC
1〜4アルキルである)
の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグを含む。
【0034】
一実施形態では、R
1は、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル又はtert−ブチルである。別の実施形態では、R
1は、H、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピルである。別の実施形態では、R
1はHである。別の実施形態では、R
1はメチルである。別の実施形態では、R
1はエチルである。別の実施形態では、R
1はn−プロピルである。別の実施形態では、R
1はイソプロピルである。別の実施形態では、R
1はn−ブチルである。別の実施形態では、R
1はsec−ブチルである。別の実施形態では、R
1はイソ-ブチルである。別の実施形態では、R
1はtert−ブチルである。
【0035】
したがって、いくつかの実施形態では、該医薬組成物は、以下のものから選択される式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグを含む:
【化3】
【0036】
特に、いくつかの実施形態では、該医薬組成物は、
【化4】
である式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグを含む。
【0037】
一実施形態では、式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグは、塩として提供される。別の実施形態では、式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグは、HCl塩である。別の実施形態では、式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグは、2HCl塩である。したがって、いくつかの実施形態では、該医薬組成物は、以下のものから選択される式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグを含む:
【化5】
【0038】
本発明に関連して、医薬組成物を製剤化する際に、本発明者らは、賦形剤と混合したときにAPIが凝集するという問題を見出した。これは、錠剤の表面上で観察されるような斑などの、製剤に望ましくない外観をもたらした。別の問題は、錠剤を製剤化する際に、圧縮中に製剤が抜型に付着することが判明したことである。さらに、錠剤は、APIの含有量がバッチ全体で均一ではなく、収量も低いことが判明した。これに関して、本発明者らは、上記問題を解決するために多数の方法を実験した。例えば、賦形剤の様々な組合せ及び比率を試験したが、これらの上述した問題の著しい改善はもたらされなかった。意外にも、本発明者らは、APIの微粉化がこれらの問題を著しく緩和するのに役立ち得ることを見出した。
【0039】
したがって、APIの粒度は、製剤混合物の均一性と溶解速度の両方に基本的な影響を与え、そのため、最終錠剤製剤に適切な賦形剤の選択を助けると考えられる。上述したように、製剤を作製するための混合の前にふるいにかけることは困難であることが判明した。さらに、ふるいスクリーン上に保持された様々な着色粒子(淡黄色、橙色及び茶色)が存在することが観察された。さらに、錠剤が圧縮されると、望ましくない顕著な斑が観察された。約70μm未満のAPIのD(0.5)粒度を有することが有利であることが判明した。特に、APIのD(0.5)粒度が約60μm未満である場合に、錠剤の硬さ、重量及び含有量の均一性、並びに溶解プロファイルは、バッチ間で一貫して維持される。
【0040】
当業者なら、D(0.5)粒度分布(又は或いはD(50))が、累積分布内の粒子の50%が規定値でインターセプトする粒度分布を指すことを理解する。したがって、D(0.5)は、試料の粒径の50%が規定値よりも小さく、かつ試料の粒径の50%が規定値よりも大きい粒度累積分布である。例えば、D(0.5)=5.8μmである場合、試料中の粒子の50%が5.8μmより大きく、50%が5.8μmよりも小さい。D(0.5)は、メジアン径又は粒度分布の中間値としても知られている。
【0041】
したがって、いくつかの実施形態では、該医薬組成物中の式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグは、約70μm未満のD(0.5)粒度分布を有する。別の実施形態では、D(0.5)は約60μm未満である。別の実施形態では、D(0.5)は約50μm未満である。別の実施形態では、D(0.5)は約40μm未満である。別の実施形態では、D(0.5)は約30μm未満である。別の実施形態では、D(0.5)は約20μm未満である。別の実施形態では、D(0.5)は約10μm未満である。別の実施形態では、D(0.5)は約5μm未満である。別の実施形態では、D(0.5)は約5μm〜約70μmである。別の実施形態では、D(0.5)は約5μm〜約60μmである。別の実施形態では、D(0.5)は約10μm〜約60μmである。別の実施形態では、D(0.5)は約20μm〜約60μmである。別の実施形態では、D(0.5)は約30μm〜約60μmである。別の実施形態では、D(0.5)は約40μm〜約60μmである。別の実施形態では、D(0.5)は約5μm〜50μmである。別の実施形態では、D(0.5)は約10μm〜約50μmである。別の実施形態では、D(0.5)は約20μm〜約50μmである。別の実施形態では、D(0.5)は約30μm〜50μmである。別の実施形態では、D(0.5)は約40μm〜約50μmである。
【0042】
錠剤は、典型的には、1種以上の賦形剤を含む。賦形剤は、製剤の他の成分と適合性があり、その許容者に対して生理学的に無害であるべきである。適切な賦形剤の例は、錠剤製剤の当業者には周知であり、例えば、医薬賦形剤のハンドブック(Rowe、Sheskey & Quinn編)、第6版、2009で見出され得る。
【0043】
一実施形態では、該医薬組成物は、少なくとも1種の希釈剤を含む。希釈剤は、ラクトース、ソルビトール、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム二水和物、炭酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム二水和物、クロスポビドン、酸化第二鉄、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、スクロース、又は塩化ナトリウムからなる群から選択され得る。別の実施形態では、少なくとも1種の希釈剤は、ラクトース、ソルビトール、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、酸化鉄、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、又はスクロースからなる群から選択され得る。別の実施形態では、少なくとも1種の希釈剤は、ラクトース、ソルビトール、又はスクロースからなる群から選択され得る。別の実施形態では、少なくとも1種の希釈剤はラクトースである。ラクトースは、無水形態又は水和形態(例えば、一水和物)で使用することができ、典型的には噴霧乾燥、流動床造粒、又はローラー乾燥によって調製される。別の実施形態では、少なくとも1種の希釈剤はソルビトールである。別の実施形態では、少なくとも1種の希釈剤はスクロースである。
【0044】
一実施形態では、少なくとも1種の希釈剤は、組成物の全重量に基づいて約10%〜約90%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の希釈剤は、組成物の全重量に基づいて約20%〜約80%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の希釈剤は、組成物の全重量に基づいて約30%〜約70%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の希釈剤は、組成物の全重量に基づいて約35%〜約70%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の希釈剤は、組成物の全重量に基づいて約40%〜約70%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の希釈剤は、組成物の全重量に基づいて約45%〜約70%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の希釈剤は、組成物の全重量に基づいて約50%〜約70%wt/wtの量で組成物中に存在する。
【0045】
一実施形態では、該医薬組成物は、少なくとも1種の滑剤を含む。滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、パラフィン、ラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、水素化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、フマル酸ステアリルナトリウム、鉱油、ポロキサマー、PEG400、PEG600、又はPEG8000からなる群から選択され得る。別の実施形態では、少なくとも1種の滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリル、フマル酸ステアリルナトリウム、ポロキサマー、PEG400、PEG600、又はPEG8000からなる群から選択され得る。別の実施形態では、少なくとも1種の滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、PEG400、PEG600、又はPEG8000からなる群から選択され得る。別の実施形態では、滑剤はステアリン酸マグネシウムである。別の実施形態では、滑剤はステアリン酸である。別の実施形態では、滑剤はステアリン酸カルシウムである。別の実施形態では、滑剤はPEG400である。別の実施形態では、滑剤はPEG600である。別の実施形態では、滑剤はPEG8000である。
【0046】
一実施形態では、少なくとも1種の滑剤は、組成物の全重量に基づいて約0.01%〜約4%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の滑剤は、組成物の全重量に基づいて約0.05%〜約3.5%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の滑剤は、組成物中の全重量に基づいて約0.1〜約3%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の滑剤は、組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約2.5%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の滑剤は、組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の滑剤は、組成物の全重量に基づいて約0.3%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の滑剤は、組成物の全重量に基づいて約0.5%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の滑剤は、組成物中の全重量に基づいて約0.7%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の滑剤は、組成物の全重量に基づいて約1%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在する。
【0047】
一実施形態では、該医薬組成物は、少なくとも1種の崩壊剤を含む。崩壊剤は、微結晶セルロース、アルギン酸、クエン酸、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、システインHCl、メチルセルロース、ポリオキシステアリン酸、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群から選択され得る。別の実施形態では、少なくとも1種の崩壊剤は、微結晶セルロース、アルギン酸、クエン酸、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、システインHCl、メチルセルロース、ポリオキシステアリン酸、デンプングリコール酸ナトリウム、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群から選択され得る。別の実施形態では、少なくとも1種の崩壊剤は、微結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群から選択され得る。別の実施形態では、少なくとも1種の崩壊剤は、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群から選択され得る。別の実施形態では、崩壊剤は微結晶セルロースである。別の実施形態では、崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。別の実施形態では、崩壊剤は、カルボキシメチルセルロースカルシウムである。別の実施形態では、崩壊剤はメチルセルロースである。別の実施形態では、崩壊剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウムである。
【0048】
一実施形態では、少なくとも1種の崩壊剤は、組成物の全重量に基づいて約10%〜約40%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の崩壊剤は、組成物の全重量に基づいて約15%〜約35%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の崩壊剤は、組成物の全重量に基づいて約18%〜約33%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の崩壊剤は、組成物の全重量に基づいて約20%〜約30%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の崩壊剤は、組成物の全重量に基づいて約22%〜約28%wt/wtの量で組成物中に存在する。
【0049】
一実施形態では、崩壊剤が微結晶セルロースである場合、崩壊剤は、組成物の全重量に基づいて約10%〜約40%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、崩壊剤は、組成物の全重量に基づいて約15%〜約35%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、崩壊剤は、組成物の全重量に基づいて約18%〜約33%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、崩壊剤は、組成物の全重量に基づいて約20%〜約30%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、崩壊剤は、組成物の全重量に基づいて約22%〜約28%wt/wtの量で組成物中に存在する。
【0050】
一実施形態では、崩壊剤がデンプングリコール酸ナトリウムである場合、崩壊剤は、組成物の全重量に基づいて約2%〜約7%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、崩壊剤は、組成物の全重量に基づいて約2%〜約6.5%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、崩壊剤は、組成物の全重量に基づいて約2%〜約6%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、崩壊剤は、組成物の全重量に基づいて約2.5%〜約5.5%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、崩壊剤は、組成物の全重量に基づいて約3%〜約5%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、崩壊剤は、組成物の全重量に基づいて約3%〜約4.5%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、崩壊剤は、組成物の全重量に基づいて約3%〜約4%wt/wtの量で組成物中に存在する。
【0051】
一実施形態では、該医薬組成物は、少なくとも1種の結合剤を含む。結合剤は、デンプン、ゼラチン、グルコース、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、キャンデリラワックス、カルナバワックス、コーンスターチ、グリセリルベヘン酸塩、ヒプロメロース、又はポリエチレンオキシドからなる群から選択され得る。別の実施形態では、少なくとも1種の結合剤は、デンプン、ゼラチン、グルコース、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、アラビアゴム、キャンデリラワックス、カルナバワックス、コーンスターチ、ベヘン酸グリセリル、又はヒプロメロースからなる群から選択され得る。別の実施形態では、少なくとも1種の結合剤は、デンプン、ゼラチン、グルコース、アラビアゴム、キャンデリラワックス、カルナバワックス、又はコーンスターチからなる群から選択され得る。別の実施形態では、結合剤はデンプンである。別の実施形態では、結合剤はゼラチンである。別の実施形態では、結合剤はグルコースである。別の実施形態では、結合剤はアラビアゴムである。別の実施形態では、結合剤はキャンデリラワックスである。別の実施形態では、結合剤はカルナバワックスである。別の実施形態では、結合剤はコーンスターチである。
【0052】
一実施形態では、少なくとも1種の結合剤は、組成物の全重量に基づいて約2%〜約20%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の結合剤は、組成物の全重量に基づいて約3%〜約19%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の結合剤は、組成物の全重量に基づいて約4%〜約18%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の結合剤は、組成物の全重量に基づいて約5%〜約17%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の結合剤は、組成物の全重量に基づいて約5%〜約16%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の結合剤は、組成物の全重量に基づいて約5%〜約15%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の結合剤は、組成物の全重量に基づいて約5%〜約14%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の結合剤は、組成物の全重量に基づいて約5%〜約13%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の結合剤は、組成物の全重量に基づいて約5%〜約12%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の結合剤は、組成物の全重量に基づいて約5%〜約11%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の結合剤は、組成物の全重量に基づいて約5%〜約10%wt/wtの量で組成物中に存在する。
【0053】
上述のように、斑の問題、抜型への付着及び錠剤バッチの一貫性は、APIの微粉化によって軽減することができる。APIの微粉化と固化防止剤の使用の組み合わせが、これらの問題をさらに軽減することができることが判明した。特に、APIの微粉化と特定の固化防止剤の使用の組み合わせは、斑のない錠剤製剤を生成することができ、抜型に付着せず、バッチごとに一貫している。
【0054】
したがって、一実施形態では、少なくとも1種の固化防止剤は、ヒュームドシリカ、二酸化ケイ素、又はタルクからなる群から選択され得る。別の実施形態では、固化防止剤はヒュームドシリカである。別の実施形態では、固化防止剤は二酸化ケイ素である。別の実施形態では、固化防止剤はタルクである。
【0055】
一実施形態では、少なくとも1種の固化防止剤は、組成物の全重量に基づいて約0.05%〜約4%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の固化防止剤は、組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約3.5%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の固化防止剤は、組成物の全重量に基づいて約0.15%〜約3%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の固化防止剤は、組成物の全重量に基づいて約0.2%〜約2.5%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の固化防止剤は、組成物の全重量に基づいて約0.2%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の固化防止剤は、組成物の全重量に基づいて約0.25%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の固化防止剤は、組成物の全重量に基づいて約0.3%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の固化防止剤は、組成物の全重量に基づいて約0.35%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の固化防止剤は、組成物の全重量に基づいて約0.4%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の固化防止剤は、組成物の全重量に基づいて約0.45%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種の固化防止剤は、組成物の全重量に基づいて約0.5%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在する。
【0056】
本明細書で提供される錠剤は、コーティングされていなくても、又はコーティングされていてもよい(この場合、それらはコーティング剤を含む)。コーティングされていない錠剤を使用してもよいが、コーティングされた錠剤を提供することがより一般的であり、その場合、従来の非腸溶コーティング剤が使用されてよい。フィルムコーティングは当技術分野で公知であり、親水性ポリマー材料、限定されないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリ(ビニルアルコール−コ−エチレングリコール)及び他の水溶性ポリマーなどの多糖類材料で構成することができる。本発明のフィルムコーティングに含まれる水溶性材料は、単一のポリマー材料を含んでよいが、2種以上のポリマーの混合物を使用して形成されてもよい。コーティングは、白色であっても、着色されていても、例えば、灰色でもよい。適切なコーティングは、ポリビニルアルコールを含むものなどのポリマーフィルムコーティング剤、例えば、「Opadry(登録商標)II」(部分加水分解されたPVA、二酸化チタン、マクロゴール(3350)及びタルクを含み、任意選択で、酸化鉄又はインジゴカーミン又は酸化鉄黄色又はFD&C黄色#6などの着色剤を含む)が含まれるが、これらに限定されない。コーティング剤の量は、一般に、コアの重量の約2〜4%であり、ある特定の実施形態では、約3%である。特に具体的に述べない限り、剤形がコーティングされている場合には、錠剤の重量%への言及は、コーティング剤を含む全錠剤の重量%を意味すると理解されるべきである。
【0057】
したがって、該医薬組成物は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、エリスロシンナトリウム、又はプロピオン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種のコーティング剤をさらに含んでよい。別の実施形態では、少なくとも1種のコーティング剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、又はメタクリル酸コポリマーから選択され得る。別の実施形態では、コーティング剤は、ヒドロキシプロピルセルロースである。別の実施形態では、コーティング剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。別の実施形態では、コーティング剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートである。別の実施形態では、コーティング剤はメチルセルロースである。別の実施形態では、コーティング剤は、メタクリル酸コポリマーである。
【0058】
適切な医薬組成物は、例えば、約0.1%〜約99.9%の式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグ(有効成分)を含有する。一実施形態では、有効成分は、組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約90%wt/wtの量で組成物中に存在し得る。別の実施形態では、有効成分は、組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約80%wt/wtの量で組成物中に存在し得る。別の実施形態では、有効成分は、組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約70%wt/wtの量で組成物中に存在し得る。別の実施形態では、有効成分は、組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約60%wt/wtの量で組成物中に存在し得る。別の実施形態では、有効成分は、組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約50%wt/wtの量で組成物中に存在し得る。別の実施形態では、有効成分は、組成物の全重量に基づいて約1%〜約80%wt/wtの量で組成物中に存在し得る。別の実施形態では、有効成分は、組成物の全重量に基づいて約5%〜約80%wt/wtの量で組成物中に存在し得る。別の実施形態では、有効成分は、組成物の全重量に基づいて約10%〜約80%wt/wtの量で組成物中に存在し得る。別の実施形態では、有効成分は、組成物の全重量に基づいて約15%〜約80%wt/wtの量で組成物中に存在し得る。別の実施形態では、有効成分は、組成物の全重量に基づいて約20%〜約80%wt/wtの量で組成物中に存在し得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、錠剤形態の該医薬組成物は、
(i)本明細書に記載の式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグ;
(ii)ラクトース;
(iii)ステアリン酸マグネシウム;
(iv)微結晶セルロース;
(v)デンプン;及び
(vi)デンプングリコール酸ナトリウム
を含む。
【0060】
他の実施形態では、錠剤形態の該医薬組成物は、
(i)本明細書に記載の式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグであって、60μm未満のD(0.5)粒度分布を有する組成物内の式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグ;
(ii)ラクトース;
(iii)ステアリン酸マグネシウム;
(iv)微結晶セルロース;
(v)デンプン;及び
(vi)デンプングリコール酸ナトリウム
を含む。
【0061】
他の実施形態では、錠剤形態の該医薬組成物は、
(i)本明細書に記載の式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグであって、60μm未満のD(0.5)粒度分布を有する組成物内の式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグ;
(ii)組成物の全重量に基づいて約35%〜約70%wt/wtの量で組成物中に存在するラクトース;
(iii)組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在するステアリン酸マグネシウム;
(iv)組成物の全重量に基づいて約20%〜約30%wt/wtの量で組成物中に存在する微結晶セルロース;
(v)組成物の全重量に基づいて約5%〜約15%wt/wtの量で組成物中に存在するデンプン;及び
(vi)組成物の全重量に基づいて約2%〜約7%wt/wtの量で組成物中に存在するデンプングリコール酸ナトリウム
を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、該医薬組成物は、
(i)本明細書に記載の式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグ;
(ii)ラクトース;
(iii)ステアリン酸マグネシウム;
(iv)微結晶セルロース;
(v)デンプン;及び
(vi)ヒュームドシリカ
を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、錠剤形態の該医薬組成物は、
(i)本明細書に記載の式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグであって、60μm未満のD(0.5)粒度分布を有する組成物内の式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグ;
(ii)ラクトース;
(iii)ステアリン酸マグネシウム;
(iv)微結晶セルロース;
(v)デンプン;及び
(vi)ヒュームドシリカ
を含む。
【0064】
他の実施形態では、錠剤形態の該医薬組成物は、
(i)本明細書に記載の式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグであって、60μm未満のD(0.5)粒度分布を有する組成物内の式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグ;
(ii)組成物の全重量に基づいて約35%〜約70%wt/wtの量で組成物中に存在するラクトース;
(iii)組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在するステアリン酸マグネシウム;
(iv)組成物の全重量に基づいて約20%〜約30%wt/wtの量で組成物中に存在する微結晶セルロース;
(v)組成物の全重量に基づいて約5%〜約15%wt/wtの量で組成物中に存在するデンプン;及び
(vi)組成物の全重量に基づいて約0.2%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在するヒュームドシリカ
を含む。
【0065】
医薬として許容される塩には、塩基として機能する主化合物を無機酸又は有機酸と反応させて塩を形成することにより得られる塩、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、臭化水素酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、サリチル酸塩、マンデル酸塩、及び炭酸塩が含まれる。
【0066】
医薬として許容される塩には、主化合物が酸として機能し、適切な塩基と反応して、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、及びコリン塩を形成するものも含まれる。当業者は、酸付加塩が、いくつかの既知の方法のいずれかを介して、適切な無機酸又は有機酸との化合物の反応によって調製され得ることをさらに認識する。あるいは、アルカリ及びアルカリ土類金属塩は、様々な公知の方法を介して化合物を適切な塩基と反応させることにより調製することができる。以下のものは、無機酸又は有機酸:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、二硫酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、メシル酸塩及びウンデカン酸塩との反応により得ることができる酸塩のさらなる例である。
【0067】
特に、上述した成分に加えて、本発明の組成物は、当技術分野において、問題の組成物の種類に関して従来の他の薬剤を含んでよく、例えば、経口投与に適するものは、結合剤、甘味剤、増粘剤、香料、崩壊剤、コーティング剤、保存剤、滑剤及び/又は時間遅延剤などのさらなる薬剤を含んでよいことを理解すべきである。適切な甘味料には、アスパルテーム又はサッカリンが含まれる。適切な香料には、ペパーミント油、ヒメコウジ、チェリー、オレンジ又はラズベリーの香料の油が含まれる。適切な保存剤には、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、α−トコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン又は重亜硫酸ナトリウムが含まれる。適切な時間遅延剤には、グリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレートが含まれる。
【0068】
本組成物は、任意の他の適切な担体、希釈剤又は賦形剤を含有してもよい。これらには、全ての従来の溶媒、分散媒体、充填剤、固体担体、コーティング剤、抗真菌剤及び抗菌剤、皮膚浸透剤、界面活性剤、等張剤及び吸収剤などが含まれる。本発明の組成物は、他の補助的生理活性剤も含んでよいことが理解される。
【0069】
例えば、該医薬組成物は、保存剤、緩衝剤、安定剤及び/又は粘度増強剤をさらに含んでよい。適切な保存剤の例としては、パラヒドロキシ安息香酸、プロピレングリコール、フェノール、フェニルエチルアルコール又はベンジルアルコールの安息香酸エステルが挙げられる。適切な緩衝剤の例としては、リン酸ナトリウム塩、クエン酸、及び酒石酸などが挙げられる。適切な安定剤の例としては、α−トコフェロール酢酸塩、α−チオグリセリン、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アセチルシステイン、8−ヒドロキシキノリンなどの酸化防止剤、エデト酸二ナトリウムなどのキレート剤が挙げられる。適切な粘度増強剤、懸濁剤又は分散剤の例としては、ポリビニルアルコール、カルボマー、ポリオキシプロピレングリコール、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60が挙げられる。
【0070】
例えば、該医薬組成物は、pH調節剤及び/又は等張剤をさらに含んでよい。適切なpH調節剤の例としては、塩酸、及び水酸化ナトリウムなどが含まれる。適切な等張剤の例としては、グルコース、D−ソルビトール又はD−マンニトール、塩化ナトリウムが挙げられる。
【0071】
担体は、本組成物の他の成分と適合性があり、対象に有害でないという意味で、医薬として「許容」されなければならない。組成物は、経口、直腸、経鼻、局所(頬及び舌下を含む)、膣又は非経口(parental)(皮下、筋肉内、静脈内及び皮内を含む)投与に適する組成物を含む。本組成物は、単位剤形で都合よく提供されてよく、薬学分野で周知の任意の方法によって調製されてよい。そのような方法には、有効成分を、1種以上の副成分を構成する担体と会合させる工程を含む。一般に、本組成物は、有効成分を液体担体又は微細に分割された固体担体又はその両方と均一かつ密接に会合させ、次いで必要に応じて、生成物を成形することによって調製される。
【0072】
いくつかの実施形態では、錠剤への圧縮の際に、該医薬組成物が抜型錠剤プレスに付着していることが観察された。都合のよいことに、錠剤の公称重量を変えることにより、付着の影響をさらに最小化及び/又は排除することができることが観察された。
【0073】
したがって、一実施形態では、錠剤形態の該医薬組成物は、約50mg〜約500mgの重量を有する。別の実施形態では、錠剤は約50mg〜約450mgである。別の実施形態では、錠剤は約50mg〜約400mgである。別の実施形態では、錠剤は約50mg〜約350mgである。別の実施形態では、錠剤は約50mg〜約300mgである。別の実施形態では、錠剤は約100mg〜約300mgである。別の実施形態では、錠剤は約50mgである。別の実施形態では、錠剤は約75mgである。別の実施形態では、錠剤は約100mgである。別の実施形態では、錠剤は約150mgである。別の実施形態では、錠剤は約200mgである。別の実施形態では、錠剤は約250mgである。別の実施形態では、錠剤は約300mgである。別の実施形態では、錠剤は約350mgである。別の実施形態では、錠剤は約400mgである。別の実施形態では、錠剤は約450mgである。別の実施形態では、錠剤は約500mgである。
【0074】
経口投与に適する本発明の組成物は、所定量の有効成分を各々含有するカプセル、サシェ又は錠剤などの個別の単位として、粉末又は顆粒として、水性若しくは非水性液体中の溶液又は懸濁液として、又は水中油型液体エマルジョン又は油中水型液体エマルジョンとして、提供され得る。有効成分は、ボーラス、舐剤又はペーストとして提供されてもよい。
【0075】
錠剤は、圧縮又は成形により、任意選択で1種以上の補助成分を用いて作製されてよい。圧縮された錠剤は、任意選択で結合剤(例えば、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)界面活性剤又は分散剤と混合された粉末又は顆粒などの自由流動形態で有効成分を適切な機械で圧縮することによって調製されてよい。成形された錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らされた粉末化合物の混合物を適切な機械で成形することによって作製されてよい。錠剤は、任意選択でコーティング又はスコア化されてもよく、所望の放出プロファイルを提供するために、例えば、様々な割合でヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用して、その中への有効成分の徐放又は制御放出を提供するように製剤化されてよい。錠剤は、任意選択で、腸溶コーティングされ、胃以外の腸の部分で放出されてよい。
【0076】
口に局所投与するのに適する組成物には、有効成分をフレーバー基剤中に含むトローチ剤、通常はスクロース及びアラビアゴム又はトラガカントガム;ゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアラビアゴムなどの不活性基剤に有効成分を含む舐剤;並びに適切な液体担体に有効成分を含む口内洗浄剤が含まれる。
【0077】
好ましい単位投薬組成物は、有効成分の本明細書で上述したような1日用量若しくは単位、1日サブ用量、又はその適切な画分を含有するものである。
【0078】
一実施形態では、錠剤形態の該医薬組成物は、即時放出医薬組成物である。この点において、該医薬組成物は、経口投与直後にAPIを放出するように製剤化される。即時放出生成物は、一般に、比較的迅速な薬物吸収及び付随する薬力学的効果の発揮をもたらす。該医薬組成物は、この異常な状態に長くあればあるほど対象の状態が悪化する可能性があるので、上昇したICPの迅速な軽減を、それを必要とする対象に提供することが有利である。上昇したICPは、重度の害を引き起こす可能性が非常に高く、長期化された場合には通常は致命的である。例えば、上昇したICPは、脳組織を破砕し、脳構造をシフトさせ、水頭症に関与し、脳ヘルニアを引き起こし、脳への血液供給を制限し得る。したがって、本組成物は、限定されないが、頭痛、悪心のない嘔吐、眼球麻痺、意識レベルの変更、血圧上昇、背部痛、二重視力、乳頭浮腫又は脳若しくは脊髄へのさらなる損傷、又はそれらの組み合わせなどの、上昇したICPに起因する病態及び/又は症状からの軽減を提供し得る。
【0079】
一実施形態では、式(I)の化合物は、経口投与直後に放出される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、経口投与の1分後に放出される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、経口投与の5分後に放出される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、経口投与の10分後に放出される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、経口投与の15分後に放出される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、経口投与の20分後に放出される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、経口投与の25分後に放出される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、経口投与の30分後に放出される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、経口投与の40分後に放出される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、経口投与の50分後に放出される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、経口投与の60分後に放出される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、経口投与の90分後に放出される。
【0080】
第2の態様において、本発明は、それを必要とする対象において上昇した頭蓋内圧を治療する方法であって、
(i)式(I)
【化6】
(式中、R
1はH又はC
1〜4アルキルである)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグであって、組成物において約60μm未満のD(0.5)粒度分布を有する式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグ;
(ii)ラクトース、ソルビトール、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム二水和物、炭酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム二水和物、クロスポビドン、酸化第二鉄、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、スクロース、又は塩化ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の希釈剤であって、組成物の全重量に基づいて約35%〜約70%wt/wtの量で組成物中に存在する少なくとも1種の希釈剤;
(iii)ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、パラフィン、ラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、水素化ヒマシ油、グリセリルモノステアレート、グリセリルベヘネート、ナトリウムステアリルフマレート、鉱油、ポロキサマー、PEG400、PEG600、又はPEG8000からなる群から選択される少なくとも1種の滑剤であって、組成物の全重量に基づいて約0.1%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在する少なくとも1種の滑剤;
(iv)微結晶セルロース、アルギン酸、クエン酸、クロスカメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、システインHCl、メチルセルロース、ポリオキシステアリン酸、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の崩壊剤であって、組成物の全重量に基づいて約20%〜約30%wt/wtの量で組成物中に存在する少なくとも1種の崩壊剤;
(v)デンプン、ゼラチン、グルコース、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、キャンデリラワックス、カルナバワックス、コーンスターチ、グリセリルベヘン酸塩、ヒプロメロース、又はポリエチレンオキシドからなる群から選択される少なくとも1種の結合剤であって、組成物の全重量に基づいて約5%〜約15%wt/wtの量で組成物中に存在する少なくとも1種の結合剤;
(vi)ヒュームドシリカ、二酸化ケイ素、又はタルクからなる群から選択される少なくとも1種の固化防止剤であって、組成物の全重量に基づいて約0.2%〜約2%wt/wtの量で組成物中に存在する少なくとも1種の固化防止剤、
を含む錠剤形態の医薬組成物を該対象に投与することを含む方法を提供する。
【0081】
第3の態様では、本発明は、それを必要とする対象において上昇した頭蓋内圧の治療に使用するための錠剤形態の医薬組成物を提供し、該医薬組成物は、本明細書に記載されるとおりである。
【0082】
一実施形態では、本発明の様々な実施形態において対象に投与される医薬組成物の投薬は、式(I)の化合物が0.1mg/kg〜100mg/kgの範囲で投与されるようなものである。一実施形態では、本発明の様々な実施形態では対象に投与される医薬組成物の投薬は、式(I)の化合物が0.1mg/kg〜100mg/kgの範囲で投与されるようなものである。例えば、投薬量は、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kg、4.0mg/kg、5.0mg/kg、6.0mg/kg、7.0mg/kg、8.0mg/kg、9.0mg/kg、10.0mg/kg、11.0mg/kg、12.0mg/kg、13.0mg/kg、14.0mg/kg、15.0mg/kg、16.0mg/kg、17.0mg/kg、18.0mg/kg、19.0mg/kg、20.0mg/kg、21.0mg/kg、22.0mg/kg、23.0mg/kg、24.0mg/kg、25.0mg/kg、26.0mg/kg、27.0mg/kg、28.0mg/kg、29.0mg/kg、30.0mg/kg、31.0mg/kg、32.0mg/kg、33.0mg/kg、34.0mg/kg、35.0mg/kg、36.0mg/kg、37.0mg/kg、38.0mg/kg、39.0mg/kg、40.0mg/kg、41.0mg/kg、42.0mg/kg、43.0mg/kg、44.0mg/kg、45.0mg/kg、46.0mg/kg、47.0mg/kg、48.0mg/kg、49.0mg/kg、50.0mg/kg、51.0mg/kg、52.0mg/kg、53.0mg/kg、54.0mg/kg、55.0mg/kg、56.0mg/kg、57.0mg/kg、58.0mg/kg、59.0mg/kg、60.0mg/kg、61.0mg/kg、62.0mg/kg、63.0mg/kg、64.0mg/kg、65.0mg/kg、66.0mg/kg、67.0mg/kg、68.0mg/kg、69.0mg/kg、70.0mg/kg、71.0mg/kg、72.0mg/kg、73.0mg/kg、74.0mg/kg、75.0mg/kg、76.0mg/kg、77.0mg/kg、78.0mg/kg、79.0mg/kg、80.0mg/kg、81.0mg/kg、82.0mg/kg、83.0mg/kg、84.0mg/kg、85.0mg/kg、86.0mg/kg、87.0mg/kg、88.0mg/kg、89.0mg/kg、90.0mg/kg、91.0mg/kg、92.0mg/kg、93.0mg/kg、94.0mg/kg、95.0mg/kg、96.0mg/kg、97.0mg/kg、98.0mg/kg、又は99.0mg/kgであってよい。
【0083】
一実施形態では、該医薬組成物は、損傷事象後の脳振盪に関連する損傷の治療として投与される。
【0084】
一実施形態では、上昇した頭蓋内圧を治療する方法は、外傷性脳損傷を治療する方法である。
【0085】
別の実施形態では、上昇した頭蓋内圧を治療する方法は、脳卒中を治療する方法である。
【0086】
一実施形態では、有効量は、少なくとも3日間、例えば、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、又は少なくとも20日間の治療範囲で、式(I)の化合物、又はその医薬として許容される塩、溶媒和物、又はプロドラッグの血液濃度を維持することができる量である。
【0087】
一実施形態では、有効量は、単回用量又は複数回用量として投与される。一実施形態では、有効量は、単回又は複数回の経口用量として投与される。
【0088】
「治療する」、「治療」、及び「治療すること」という用語は、以下のもののうちの1以上を指す:
(a)例えば、TBI患者における頭蓋内圧の低下又は脳振盪後のPCSの予防を含む、対象における障害の少なくとも1種の症状を軽減又は緩和すること;
(b)所与の刺激(例えば、圧力、組織損傷、冷温など)に応答するものを含むが、これに限定されない、対象が経験する障害の発現の強度及び/若しくは持続時間を軽減又は緩和すること;並びに
(c)発症を停止、遅延すること(すなわち、障害の臨床症状の前の期間)及び/又は障害を発症若しくは悪化させるリスクを低減すること。
【0089】
治療用化合物の投与が疾患又は障害に有効な治療計画である対象又は患者は、好ましくはヒトである。
【0090】
式(I)の化合物のプロドラッグである任意の化合物も、本発明の範囲及び趣旨に含まれることが理解される。「プロドラッグ」という用語は、その最も広い意味で使用され、インビボで本発明の化合物に変換されるその誘導体を包含する。そのような誘導体は、当業者が容易に思いつき、例えば、ホスホン酸誘導体を含む。
【0091】
当業者なら、本明細書に記載の本発明が、具体的に記載されたもの以外の変形及び変更を受けやすいことを理解する。本発明は、その趣旨及び範囲内にあるそのような全ての変形及び変更を含むことを理解すべきである。本発明はまた、本明細書で言及されるか又は本明細書に示される工程、特徴、組成物及び化合物の全てを個々に又は集合的に含み、前記工程又は特徴の任意の2以上のいずれかの組み合わせ及び全ての組み合わせを含む。
【0092】
本発明の特定の実施形態をこれから以下の実施例を参照して説明するが、これらは、例示の目的のみのためのものであり、本明細書で前述した一般性の範囲を限定することを意図するものではない。
【0093】
実施例
製剤の予備研究
活性医薬成分(API)の特徴付け
化合物(Ia)HCl(API)は、およそ2.5のpHを有する酸性化合物である。式(I)の化合物、特に、以下に示す化合物(Ia)は、全ての実施例で使用され、特に、化合物(Ia)の2HCl塩(化合物(Ia)2HCl)である。
【化7】
【0094】
粒度
Malvern Mastersizerを用いて、化合物(Ia)2HCl(API)の粒度分布を測定した。得られた結果を表1にまとめる。D(0.1)は、試料の10%がこのサイズよりも小さい粒子として存在することを意味する。D(0.5)は、試料の50%が、このサイズよりも小さい粒子として存在することを意味する。D(0.9)は、試料の90%が、このサイズよりも小さい粒子として存在することを意味する。
【0095】
表1:化合物(Ia)の粒度分布
【表1】
【0096】
バルク密度及びタップ密度
バルク密度及びタップ密度の測定は、APIの流動特性及び圧縮性に関する情報を提供する。バルク密度は、測定容器内に「注入」されるか又は受動的に満たされる材料の密度として測定されるが、タップ密度は、材料を「充填した」後に達成される限界密度である。バルク密度及びタップ密度並びにそれに続くCarr指数を化合物(Ia)HClで測定し、その結果を表2に示す。25より大きいCarr指数は不十分な流動性の指標であり、15未満は良好な流動性であるとみなされる。
【0097】
表2:化合物(Ia)2HCl APIのバルク密度及びタップ密度
【表2】
【0098】
溶解度及び固有の溶解速度(IDR)
溶解度及びIDRは、バルク原薬及び賦形剤からなる固体剤形の事前製剤化及び特徴づけに有用な情報を提供し、潜在的な生体吸収問題を強調する。
【0099】
賦形剤の適合性
安定で有効な固体剤形の製剤化の成功は、投与を容易にし、一貫した放出を促進し、製造の助けとなり、それを分解から保護するために添加される賦形剤の慎重な選択に依存する。およそ50:50のAPI:賦形剤を含有する一連の混合物を、指定期間、高温に供し、観察される劣化を監視することによって賦形剤の適合性を調査する。
【0101】
表3に詳細に記載された材料を以下のように処理した:
1.400mgの賦形剤を、重複して400mgの化合物I(a)2HClと乾式混合した。
2.得られた混合物をガラスバイアルに入れ、スクリューキャップ蓋で密封した。
3.一方の密閉容器を25℃/60%RHインキュベーターに置き、他方の密閉容器を40℃/75%RHインキュベーターに4週間置いた。
【0102】
4週間の保存期間後に試料を分析した。関連物質について分析した全ての試料を、初期結果(時間=0)と比較した。結果を表4〜表6に提示する。
【0103】
表4:各賦形剤の組み合わせについてのアッセイ結果(%)
【表4】
【0104】
表5:賦形剤の組み合わせのための主要な不純物の結果
【表5】
【0105】
表6:賦形剤の組み合わせについての全不純物の結果(%)
【表6】
【0106】
製剤開発
直接圧縮プロセス
全ての材料を混合前に710ミクロン篩スクリーン(25メッシュ)に通した。各バッチの方法は、ラクトースの半分の添加に続いて、化合物(Ia)2HCl、微結晶セルロース(製剤試験3及び4用のデンプングリコール酸ナトリウム)及びラクトースの残りの半分の添加を伴った。材料をおよそ5分間混合した。この混合物にステアリン酸マグネシウムを添加し、さらにおよそ2分間混合した。錠剤を、8mmラウンドツーリングを用いてManesty F3シングルプレスで圧縮した。医薬組成物は、表7に示す通りである。
【0107】
表7:化合物(Ia)2HClの1mg錠剤の製剤化
【表7】
【0108】
追加の2種類の製剤(表7からの製剤1及び製剤3に基づく)を、錠剤当たり200mgの公称重量で調製した。ふるいにかけ、混合する前に、APIを乳鉢及び乳棒で粉砕した。
【0109】
表8:化合物(Ia)2HClの90mg錠剤の製剤化
【表8】
【0110】
6つのランダム試料のアッセイをHPLCによって行い、その結果を表9に示す。
【0111】
表9:HPLCアッセイの結果
【表9】
【0112】
300mgの錠剤
錠剤当たり300mgの公称重量で化合物(Ia)2HClの1mg錠剤用に2種類の製剤を調製した(表10を参照されたい)。化合物(Ia)2HClを乳鉢及び乳棒で粉砕した。全ての材料を混合前に、710ミクロン篩スクリーンに通した。各バッチの方法は、ラクトースの1/3を添加し、続いて化合物(Ia)2HClを添加することを伴った。これをおよそ3分間(「バッグ」混合技術を用いて)混合した。
【0113】
別に、アエロジル(ヒュームドシリカ)を、ラクトースの1/3と共に篩にかけた。微結晶セルロース、アエロジル/ラクトース混合物、デンプン(製剤6のデンプングリコール酸ナトリウム)及びラクトースの残りの1/3をバッグに添加し、さらにおよそ3分間混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウムを添加し、さらにおよそ1分間混合した。錠剤を、10mmラウンドツーリングを用いてManesty F3シングルプレス上で圧縮した。
【0114】
表10:化合物(Ia)2HClの1mg錠剤の製剤化
【表10】
【0115】
アッセイをHPLCにより行い、結果を表11に示す。
【0116】
表11:製剤5及び6についてのHPLCアッセイ結果
【表11】
【0117】
これらの製剤は、混合物の流動特性の改善を示した。錠剤の外観が改善され、斑が観察されなかった。6個の錠剤の含有量の均一性の結果ははるかに高い一貫性を示した。硬さの物理的属性がより緊密に制御され、破砕性は受け入れ基準内に入った(表12参照)。
【0119】
混合物のバルク密度及びタップ密度
バルク密度及びタップ密度の測定は、混合物の流動及び圧縮性に関する情報を提供する。製剤5の混合物のバルク密度及びタップ密度並びにそれに続くCarr指数を決定し、結果を表13に示す。
【0120】
表13:製剤5のバルク密度及びタップ密度
【表13】
【0121】
着色製剤
活性錠剤の外観(将来のGMP製造のための臨床バッチの要件)が一致することを確実にするために、着色料を製剤に添加した。製剤の詳細を下の表14に提供する。
【0122】
表14:化合物(Ia)2HClの1mg、15mg、90mgの錠剤の製剤化
【表14】
【0123】
TM1373に従って分析を行い、結果を表15にまとめる。
【0124】
表15:化合物(Ia)2HClの1mg、15mg、90mgの錠剤の製剤化の結果
【表15】
【0125】
GLP錠剤の製造
GMP臨床バッチの製造前に、意図したスケールで製造プロセスを実行し、指標安定性試験を実行することにより安定性データを得るために、GLPバッチを生成した。
【0126】
上で発見したように、混合物の均質性及び錠剤の外観を改善するために、GLP錠剤製造前にAPIを粉砕する必要があった。
【0127】
APIについて粒度分析を行い、結果を表16に提示する。
【0128】
表16:化合物(Ia)2HClの粒度分布
【表16】
【0129】
3つのGLPバッチについて得られた分析結果を表17に提示する。
【0130】
表17:GLPバッチの結果
【表17】
【0131】
製剤の溶解研究
媒体選択
溶解媒体の選択は、シンク条件が満たされることを確実にするために、溶解度データ及び用量範囲に基づく。「シンク条件」という用語は、原薬の飽和溶液を形成するのに必要な少なくとも3倍以上の媒体体積と定義される。
【0132】
シンク条件:
以下の溶解媒体中のUSP38<1092>にしたがって、シンク条件試験を行った:
1.HCl 0.01N、
2.緩衝液 pH6.8、
3.水
【0133】
37℃で、250mLの異なる媒体に溶解し、わずかに攪拌した75mgの化合物(Ia)HClの溶解度決定を行った。λ
maxを、200〜400nmのUV走査によって決定した。結果については表18を参照されたい。
【0134】
表18:化合物(Ia)2HClの溶解度及びλ
max
【表18】
【0135】
固有の溶解速度(IDR)の決定
IDRは、事前に製剤化した薬物の圧縮ディスクの薬物放出速度を監視することによって決定する。IDRは、製剤効果とは無関係であり、pH及びイオン強度などの溶解媒体効果の関数として、薬物及び塩の固有の性質を測定する。水中の薬物のIDRと、酸及びアルカリで得られるものとの比較は、その直接の微小環境を制御する薬物の能力の尺度を提供する。
【0136】
手順
緩慢な圧縮を用いて、200mgの化合物(Ia)2HClを含有する圧縮ディスクを調製することにより、IDRを決定した。全ての金属表面を、クロロホルム中のステアリン酸の5%w/v溶液を4滴用いて事前に滑らかにした。溶媒を蒸発させ、化合物(Ia)2HClを加え、試料を6トンにゆっくりと圧縮した。この圧力を4分間維持して、適切な圧縮を確実にした。
【0137】
次いで、ディスクを、37℃に維持した1リットルの流体を含有する1リットルの平底溶解容器の底から25mmで、100rpmで回転させた。5mLのサンプリング容量で手動サンプリングを、5、10、15、30及び60分の時点で行った。次いで、放出した薬物の量をHPLCにより監視した。化合物(Ia)2HClを、0.01NのHCl(胃のpHに相当)、リン酸緩衝液pH6.8(腸)及び蒸留水中で評価した。化合物(Ia)2HClの放出率については表19を参照されたい。
【0138】
表19:化合物(Ia)2HClの固有溶解速度
【表19】
【0139】
溶解方法
即時放出剤形では、溶解手順の持続時間は、典型的には単一時点の試験で30〜60分である。理想的な溶解度未満(10mg/mL未満)を示す生成物は、典型的には、約30〜45分で85%〜100%に達する漸進増加を示す放出プロファイルを実証する。そのため、15、30、45及び60分の範囲の溶解時点は、即時放出生成物に共通である。結果として、この研究を通して、5、10、15、20、30、45及び60分のサンプリング時点を採用した。
【0140】
試薬及び装置
脱イオン(DI)水
濃塩酸(HCl) 37%ARグレード又は同等物
エタノール、ACSグレード
化合物(Ia)HCl参照標準
較正した溶解システム(パドルを有する)
較正した分析バランス
目盛り付き温度計
使い捨て0.45μmのGHPフィルター
使い捨ての10mLシリンジ
攪拌機/ホットプレート
超音波浴
真空装置及びフィルター
【0141】
培地調製(0.1NのHCl)
8.5mLの濃2HClを1000mLのDI水と混合する。標準物質を調製するためにいくつかを設定する。残りを、脱気するために真空下で0.45μmのフィルターを通過させる。この調製は、適宜、拡大又は縮小してよい。
【0142】
移動相の調製
5mMの水酸化アンモニウム
1.0mLの28%のアンモニア溶液を脱イオン水で25mLに希釈する。さらに、この溶液2.0mLを水で250mLに希釈する。この調製は、適宜、拡大又は縮小してよい。
【0143】
5mMの酢酸アンモニウム、pH8.2の溶液
1800mLの水におよそ0.69gの酢酸アンモニウムを溶解する。5mMの水酸化アンモニウムを150mL添加する。pHを調べ、必要に応じて、5mMの水酸化アンモニウムでpH8.20±0.10に調整する。この調製は、適宜、拡大又は縮小してよい。
【0144】
移動相
pH8.2の5mMの酢酸アンモニウム溶液300mLに、アセトニトリル700mLを添加する。0.45μmの膜フィルターに通過させて、脱気する。この調製は、適宜、拡大又は縮小してよい。
【0145】
標準物質の調製
重複して標準物質を調製する(標準物質1及び2として表示する)。
【0146】
ストック用標準物質
20mgの化合物(Ia)2HCl参照標準物質を重複して正確に20mg秤量し、個々の200mL容積フラスコに移す。エタノールを容積フラスコの約半分まで添加し、5分間超音波処理して固形物を溶解させる。エタノールで容量まで希釈し、よく混合する。使用時に、重複して0.1gの標準物質を使用して、カールフィッシャーによって標準物質の含水率を決定する。
【0147】
作業用標準物質
媒体で2.0mLのストック標準物質を100.0mLに希釈し、よく混合する(2μg/mLの化合物(Ia)2HCl)。
【0148】
溶解手順
溶解パラメータ
装置:USP II(Paddle)
媒体:0.1NのHCl
速度:50rpm
温度:37.0±0.5℃
サンプリング時間:30分
サンプリング容量:15mL
注:1mgの錠剤の体積:500mL
15mg及び90mgの錠剤の体積:900mL
【0149】
試料の溶解
溶解浴を組み立て、媒体を添加し、温度まで平衡化させる。各容器について媒体の実際の温度を記録する。6個の錠剤を個々に秤量し、重量を記録する。装置を位置にセットし、指定速度でパドルの回転を開始する。各錠剤を個々の容器に落下させ、時間測定を開始する。各容器間の適切なサンプリング時間を保証するために、各錠剤添加の間に十分な時間があることを確実にする。
【0150】
30分で、各容器から15mLのアリコートを取り出す。次に、0.45μmのGHPフィルターを使用して濾過する。最初の4mLの濾液を廃棄する。
【0151】
1mgの強度については、HPLC分析に進む。15mgの強度については、HPLC分析の前に媒体で3.0mL〜25.0mLに希釈し、よく混合する。90mgの強度については、HPLC分析の前に媒体で希釈2.0mL〜100.0mLに希釈し、よく混合する。
【0152】
希釈工程は、最終濃度が維持される限り、利用可能なガラス製品に適合するように調整することができる。
【0153】
クロマトグラフシステム
クロマトグラフパラメータ
カラム:Waters XBridge BEH C18カラム、3.5μm、4.6×150mm
カラム温度:40℃
移動相:30%の5mM酢酸アンモニウム、pH8.2、70%アセトニトリル
流速:1.0mL/分
実行時間:8分
注入量:20μL
検出:260nmのUV
試料温度:周囲(25℃)
針洗浄:70%アセトニトリル
【0154】
システムの適合性
ブランク(希釈剤)溶液の重複注射を行う。アクティブの保持時間に重大な干渉がないことを保証する。
【0155】
第1の標準物質溶液の6回の重複注射を行う。化合物I(a)2HClはおよそ4分で溶出する。化合物(Ia)2HClピークのピーク面積と保持時間の相対標準偏差を計算する。
【0156】
第2の標準物質溶液の重複注射を行う。標準物質間の一致を以下のように計算する:
一致率(%)=(As
1×Ws
2/Ws
1×As
2)×100
(式中、
As1=標準物質1中の化合物(Ia)2HClのピークの平均面積
Ws1=標準物質1中の化合物(Ia)2HClの重量(mg)
As2=標準物質2中の化合物(Ia)2HClのピークの平均面積
Ws2=標準物質2中の化合物(Ia)2HClの重量(mg))。
【0157】
表20のシステム適合性限界が、各分析ランについて満たされなければならない。
表20:システム適合性パラメータ
【表20】
【0158】
計算
以下の式に従って、試験中に溶解した化合物(Ia)2HClを計算する:
【数1】
(式中、
Ws=標準物質中の化合物(Ia)2HClの重量(mg)
P=化合物(Ia)2HCl標準物質の効力(%無水)
As=標準物質中の化合物(Ia)2HClのピークの括弧内平均面積
Ds=標準物質の希釈倍率(10000)
Au=試料中の化合物(Ia)2HClのピーク面積
Du=試料の希釈倍率(1mgについては500、15mgについては7500、90mgについては45000)
Wu=錠剤のラベルクレーム(mg))。
【0159】
解釈
試験される投与単位から溶解した有効成分の量が表2に適合している場合には、要件は満たされる。その結果がS1又はS2のいずれかに適合しない限り、3段階を経て試験を継続する。量Qは、ラベルした投与単位の含有量の割合として表される溶解した有効成分の量の仕様である。表21中の5%、15%、及び25%の値は、これらの値及びQが同じ用語内にあるようなラベルした含有量の割合である。「Q」値については本明細書シートを参照されたい。
【0160】
表21:溶解基準
【表21】
C
std=標準物質の濃度(mg/mL)
【0161】
化合物(Ia)2HClの錠剤の溶解パラメータの評価
即時放出生成物については、錠剤製剤のために、パドル方法(装置2)が50〜75rpmの攪拌速度で日常的に使用される。化合物(Ia)2HCl錠剤の最適な溶解パラメータを決定するために、化合物(Ia)2HCl錠剤1mgについて以下の構成を調査し、得られた溶解プロファイルを比較した。各研究について、37℃±0.5℃の温度の精製水を溶解媒体として使用した。様々な攪拌速度で得られた溶解結果については表22〜表24を参照されたい。
【0162】
表22:50rpmでの化合物(Ia)2HCl錠剤1mgの水での溶解
【表22】
【0163】
表23:75rpmでの化合物(Ia)2HCl錠剤1mgの水での溶解
【表23】
【0164】
表24:100rpmでの化合物(Ia)2HCl錠剤1mgの水での溶解
【表24】
【0165】
USPによって推奨されるように、3つの試験において溶解媒体として水を使用した。最高速度で60分後、薬物の放出率は75%未満であった。
【0166】
37℃±0.5℃の温度で0.1NのHClを溶解媒体として用いて、化合物(Ia)2HCl錠剤1mgを用いて別のプロファイルを行った。75rpmの攪拌速度を選択した。0.1MのHCl溶解媒体の結果を表25に提示する。
【0167】
表25:75rpmでの化合物(Ia)2HCl錠剤1mgの0.1NのHClでの溶解
【表25】
【0168】
この結果は、およそ10分で約100%の放出である急速な溶解を示した。HClの特異的濃度を決定するために、0.1NのHClと0.01NのHClとの比較を全ての錠剤強度について行い、その結果を表26に提示する。USP(II)(Paddle)を使用して、0.1NのHClの媒体、50rpmの速度、37.0±0.5℃の温度、30分のサンプリング時間、15mLのサンプリング容量を用いると、溶解プロファイルから、50rpmでのパドルの使用時に、化合物(Ia)2HCl錠剤1mg及び15mgについては5分以内、並びにEU−C−001HCl錠剤90mgについては15分以内に、90%超の溶解が達成されたことが実証される。
【0169】
表26:50rpmでの化合物(Ia)2HCl錠剤の0.1N及び0.01NのHClでの溶解
【表26】
【0170】
このプロファイルから、全ての錠剤強度について、0.1NのHClと0.01NのHClの間の放出率に有意な差は示されなかった。全体として、0.1NのHCl溶解媒体中で、50rpmの攪拌速度でパドルを用いると最適な放出が得られ、化合物(Ia)HCl錠剤1mg、15mg及び90mgのおよそ100%の溶解速度がこれらの条件下で30分以内に達成されたことが観察された。
【国際調査報告】