特表2021-513018(P2021-513018A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-513018(P2021-513018A)
(43)【公表日】2021年5月20日
(54)【発明の名称】便器の接続装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/13 20060101AFI20210423BHJP
【FI】
   E03D11/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-562850(P2020-562850)
(86)(22)【出願日】2019年1月29日
(85)【翻訳文提出日】2020年9月25日
(86)【国際出願番号】EP2019052130
(87)【国際公開番号】WO2019145568
(87)【国際公開日】20190801
(31)【優先権主張番号】18153793.7
(32)【優先日】2018年1月29日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】18153796.0
(32)【優先日】2018年1月29日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】18153795.2
(32)【優先日】2018年1月29日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】18153797.8
(32)【優先日】2018年1月29日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520280656
【氏名又は名称】ゲベリット インターナショナル アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アロイス ディートヘルム
(72)【発明者】
【氏名】フアネス ブラウリオ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ニーダーベルガー
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ワイス
(72)【発明者】
【氏名】マウルス ツウィッカー
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039CA01
2D039CA04
2D039CB01
2D039CB02
(57)【要約】
本発明は、便器(2)の接続装置(1)に関し、便器(2)の受入領域(3)に配置でき、且つ、便器(2)に固定して接続できる軸受要素(4)と、洗浄管(7)が取り付けられる第1の軸受ポイント(6)及び流出管(9)が取り付けられる第2の軸受ポイント(8)をもつ支持組立体(5)とを備え、前記洗浄管(7)は、現場に固定して配置される洗浄水用導管(10)と、便器に配置される洗浄水流入部(11)とに接続することができ、前記流出管(9)は、現場に固定して配置される廃水用導管(12)と、便器側に配置される廃水流出部(13)とに接続することができる。前記支持組立体(5)は、現場に固定して配置される固定要素(21)に機械的に固定して接続することができ、前記支持組立体(5)及び前記軸受要素(4)は、便器(2)の高さ位置を調整の際、調整動き(E)の方向に互いに対して動かすことができる。前記洗浄管(7)及び前記流出管(9)は、それぞれ、少なくとも1つの補償部(14,15)を有し、これを用いて、支持組立体(5)と軸受要素(4)との間の調整動き(E)中に生じる調整ずれ(V)を、現場に固定して配置される洗浄水用導管(10)又は廃水用導管(12)と、便器に配置される洗浄水流入部(11)又は廃水流出部(13)との間で補償できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器(2)の接続装置(1)であって、
洗浄管(7)が取り付けられる第1の軸受ポイント(6)と、流出管(9)が取り付けられる第2の軸受ポイント(8)とを有する、移動可能に便器(2)に接続できるキャリア機構(5)を備え、前記洗浄管(7)は、現場に位置を固定して配置される洗浄水用導管(10)に接続できるとともに、便器側に配置される洗浄水流入部(11)に接続でき、前記流出管(9)は、現場に位置を固定して配置される廃水用導管(12)に接続するとともに、便器側に配置される廃水流出部(13)に接続でき、
前記洗浄管(7)の中心軸(M7)と前記流出管(9)の中心軸(M9)との間の軸間距離(A)は、前記キャリア機構(5)において一定であり、
前記キャリア機構(5)と前記便器(2)は、便器(2)の高さ位置の調整時、調整動き(E)の方向に互いに対して移動させることができ、
前記洗浄管(7)及び前記流出管(9)はそれぞれ、少なくとも1つの補償部(14,15)を有し、これを用いて、前記キャリア機構(5)と前記便器(2)との間の前記調整動き(E)中に生じる調整ずれ(V)を、前記キャリア機構に取り付けられた前記洗浄管(7)及び前記キャリア機構に取り付けられた前記流出管(9)と、前記便器側に配置される前記洗浄水流入部(11)及び前記廃水流出部(13)のそれぞれとの間で、及び/又は、現場に位置を固定して配置される前記洗浄水用導管(10)及び現場に位置を固定して配置される前記廃水用導管(12)と、前記便器側に配置される前記洗浄水流入部(11)及び前記廃水流出部(13)のそれぞれとの間で、補償することができる接続装置(1)。
【請求項2】
前記キャリア機構(5)は、前記便器(2)の受入空間(3)内に配置することができること、及び/又は、前記少なくとも1つの補償部(14,15)は、前記便器(2)の前記受入空間(3)内にあること、及び/又は、前記補償部(14,15)は、前記キャリア機構(5)と、前記洗浄水流入部(11)及び前記廃水流出部(13)のそれぞれとの間にあることを特徴とする、請求項1に記載の接続装置(1)。
【請求項3】
前記2つの軸受ポイント(6,8)間の軸間距離(A)は、前記トイレ側に配置される洗浄水流入部(11)と、前記トイレ側に配置される廃水流出部(13)との間の軸間距離(B)より大きく、
前記2つの軸間距離の差は、好ましくは、最大調整ずれに相当することを特徴とする、請求項1又は2に記載の接続装置(1)。
【請求項4】
前記洗浄管(7)及び/又は前記流出管(9)の前記補償部(14)は、前記それぞれの管(7,9)の偏向部によって、及び、前記軸受ポイント(6,8)における前記それぞれの管(7,9)の旋回可能な取り付けによって提供され、
高さ調整時、前記それぞれの管(7,9)は前記軸受ポイント(6,8)内で旋回されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の接続装置(1)。
【請求項5】
前記洗浄水流入部(11)及び前記廃水流出部(13)のそれぞれへの入口の領域において、前記洗浄管(7)及び前記流出管(9)のそれぞれは、前記洗浄水流入部(11)及び前記廃水流出部(13)のそれぞれに密閉部(16)を備えて取り付けられ、前記密閉部(16)は、各管(7,9)の、前記洗浄水流入部(11)及び前記廃水流出部(13)のそれぞれの中心軸に対する横方向の変位を受け入れられるように構成されることを特徴とする、請求項4に記載の接続装置(1)。
【請求項6】
前記流出管(9)及び/又は前記洗浄管(7)の前記補償部(15)は柔軟で変形可能な管部であり、この柔軟で変形可能な管部は、好ましくは、ひだ状ベローズ又はゴムベローズであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の接続装置(1)。
【請求項7】
前記キャリア機構(5)は少なくとも1つの固定レセプタクル(19)を有し、この少なくとも1つの固定レセプタクル(19)にねじ付き要素(20)を配置することができ、
前記ねじ付き要素(20)は、現場に取り付けられたねじ付きロッド(21)と係合できること、及び/又は、前記便器(2)及び/又は前記キャリア機構(5)は、現場に固定して配置される固定要素(21)に機械的に固定させて接続できることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の接続装置(1)。
【請求項8】
前記キャリア機構(5)は、第1の担持部(17)と、この第1の担持部(17)に接続できる第2の担持部(18)とを備え、
前記洗浄管(7)の軸受ポイント(6)は、好ましくは前記第1の担持部(17)と前記第2の担持部(18)によって提供され、
前記流出管(9)の軸受ポイント(8)は、好ましくは前記第2の担持部(18)に配置されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の接続装置(1)。
【請求項9】
軸受要素(2)は、前記便器(2)に固定して接続され得るか、又は、前記便器(2)に一体化されるか、又は、前記便器(2)によって提供され、
前記キャリア機構(5)は、前記調整動き(E)を実行できるように、前記軸受要素(2)に移動可能なように接続されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の接続装置。
【請求項10】
前記キャリア機構(5)及び前記軸受要素(2)は、少なくとも1つの長手方向ガイド(26)を介して互いに接続され、
前記少なくとも1つの長手方向ガイド(26)は設置状態において垂直に向いていることを特徴とする、請求項9に記載の接続装置(1)。
【請求項11】
前記受入空間(3)のアクセス開口部(29)から前記受入空間(3)を見て、前記第1の担持部(17)は、前記軸受要素(4)の実質的に下流側にあること、及び、前記第2の担持部(18)は、前記軸受要素(4)の実質的に上流側にあることを特徴とする、請求項8〜10のいずれかに記載の接続装置。
【請求項12】
高さ位置の調整が完了した後、前記キャリア機構(5)は、形状結合及び/又は力結合及び/又は摩擦結合により、前記軸受要素(4)に固定され得るか、又は、前記軸受要素(4)に接続され得ることを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の接続装置(1)。
【請求項13】
前記軸受要素(4)は、クロスメンバー部(22)と、前記クロスメンバー部(22)から突出する互いに離間した2つの支持部(23)とを有し、
前記支持部(23)は、それらの自由端(24)の領域において、それぞれクランプ要素(25)を有し、このクランプ要素を用いて、前記軸受要素(4)は前記受入空間(3)に突っ張らせて保持できることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の接続装置(1)。
【請求項14】
前記支持部(25)は、前記長手方向ガイド(26)を有し、この長手方向ガイドに前記キャリア機構(5)が移動可能なように取り付けられ、
調整が完了した後、前記キャリア機構(5)は、形状結合及び/又は力結合及び/又は摩擦結合により、前記支持部(25)に固定され得る、又は接続され得ることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の、特に請求項6及び11に記載の接続装置(1)。
【請求項15】
前記長手方向ガイド(26)は、互いに離間したラッチ開口部(27)を有し、このラッチ開口部に、前記キャリア機構(5)に配置されるラッチ要素(28)が、形状結合により係合され得ることを特徴とする、請求項14に記載の接続装置(1)。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の接続装置と便器(2)とを含む装置。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれかに記載の接続装置を組付けるための方法であって、
第1の工程において、前記キャリア機構(5)を前記便器(2)に接続し、前記洗浄管(7)を前記洗浄水流入部(11)に接続し、前記流出管(9)を前記廃水流出部に接続し、
第2の工程において、前記便器(2)を前記キャリア機構に対して移動させて、前記便器(2)の高さを調整でき、これにより、前記補償部(14,15)は、前記高さ位置に応じて、前記キャリア機構(5)と前記便器の間の調整動き(E)中に生じる前記調整ずれ(V)を、前記キャリア機構に取り付けられた前記洗浄管(7)及び前記キャリア機構に取り付けられた前記流出管(9)と、便器側に配置される前記洗浄水流入部(11)及び前記廃水流出部(13)のそれぞれとの間で、及び/又は、現場に位置を固定して配置される前記洗浄水用導管(10)及び前記廃水用導管(12)のそれぞれと、便器側に配置される前記洗浄水流入部(11)及び前記廃水流出部(13)のそれぞれとの間で、補償し、及び
第3の工程において、前記キャリア機構(5)を、前記現場の洗浄水用導管(10)、前記現場の廃水用導管(12)、及び前記現場の固定要素(21)に対して方向づけて、これらに接続することを特徴とする方法。
【請求項18】
高さ位置の調整が完了した後、前記キャリア機構(5)は、形状結合及び/又は力結合及び/又は摩擦結合により、前記軸受要素(4)に固定され得るか、又は接続され得ること、及び/又は、前記キャリア機構(5)は、前記固定要素(21)に固定して接続されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の便器の接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便器の接続装置は、従来技術から知られている。例えば、特許文献1及び特許文献2は、対応する装置を開示する。
【0003】
便器の組付け高さは、さまざまな理由で異なり得る。例えば、直接予測できないバスルーム内の床構造の厚さによって、又はトイレの将来のユーザーの要望によって異なり得る。
【0004】
通常、壁接続部の高さ、すなわち、洗浄水供給部や、流出部や、固定要素の高さは、現場に固定して予め決まっている。さらに、便器側の洗浄水の流入部及び廃水の流出部も固定して予め決まっている。従って、現場の予め組み込まれた接続構造物と、便器の予め決まっている排出構造があり、これらの構造を互いに接続する必要がある。便器の高さ位置の調整時、これら2つの接続構造の間にずれ(offset)が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/143965号
【特許文献2】国際公開第2017/063095号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術から始めて、本発明は、便器の高さ位置の調整時に簡単に上記ずれを補償することを可能にする、便器の接続装置を明示するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、請求項1に記載の主題によって達成される。従って、便器の接続装置は、洗浄管が取り付けられる第1の軸受ポイントと、流出管が取り付けられる第2の軸受ポイントとを有する、移動可能に便器に接続できるキャリア機構を備え、前記洗浄管は、現場に位置を固定して配置される洗浄水用導管に接続できるとともに、便器側に固定して配置される洗浄水流入部に接続することができ、前記流出管は、現場に位置を固定して配置される廃水用導管に接続できるとともに、便器側に固定して配置される廃水流出部に接続できる。洗浄管の中心軸と流出管の中心軸との間の軸間距離は、前記キャリア機構において一定である。キャリア機構と便器は、便器の高さ位置の調整時、調整動きの方向に互いに対して移動させることができる。洗浄管及び流出管はそれぞれ、少なくとも1つの補償部を有する。キャリア機構と便器との間の調整動き中に生じる調整ずれは、この補償部を用いて補償することができる。調整ずれは、キャリア機構に取り付けられた洗浄管及びキャリア機構に取り付けられた流出管と、便器側に配置される洗浄水流入部及び廃水流出部のそれぞれとの間で補償することができ、及び/又は、現場に位置を固定して配置される洗浄水用導管及び現場に位置を固定して配置される廃水用導管と、便器側に配置される洗浄水流入部及び廃水流出部のそれぞれとの間で補償することができる。
【0008】
便器に対して移動可能に配置されるキャリア機構上に洗浄管と流出管を固定して配置すること、及び、上記補償部により、組み立て作業時の調整ずれを簡単な方法で補償することのできる装置が生まれる。この場合、便器は、好ましくは、固定状態のキャリア機構に対して移動され、結果として生じる調整ずれは補償部によって補償される。キャリア機構は、洗浄管と流出管を介して、現場に位置を固定して配置される導管に接続され、これにより同様に位置的に固定される。
【0009】
好ましくは、2つの軸受ポイントの間の軸間距離は、トイレ側に配置される洗浄水流入部とトイレ側に配置される廃水流出部との間の軸間距離よりも大きい。2つの軸間距離の差は、最大調整ずれに相当することが好ましい。対応する軸間距離の形成には、両極の位置において、洗浄水流入部における水溜り領域も、廃水流出部における吸い上げ管の増加も生じないという利点がある。
【0010】
結果として生じる調整ずれは、垂直に延びる調整ずれである。便器は、キャリア機構に対してほぼ垂直に移動させることができる。
【0011】
便器とキャリア機構との間の接続に関する「移動可能に接続できる」という表現は、その接続が、便器とキャリア機構が、これら2つの構成要素が互いに対して移動できるように互いと接続されていることを意味すると理解される。
【0012】
「補償部」という用語は、洗浄管及び流出管のそれぞれにある、調整ずれを補償できるように構成された部分を意味すると理解される。調整ずれは、補償部の変形によって、及び/又は補償部の位置の変化によって起こり得る。
【0013】
好ましくは、補償部は、補償部の変化によって生じる流体工学的損失(stroemungstechnischen Verluste)が可能な限り小さくなるように構成される。
【0014】
便器の受入空間における軸受要素の配置に関連する「固定して接続される」という表現は、軸受要素が便器の受入空間において、固定的に、すなわち実質的に移動不可能に接続できることを意味すると理解される。この場合の接続とは、便器に作用する力が軸受要素上に伝わる接続である。軸受要素は受入空間に挿入でき、便器に突っ張らせて保持することができる。
【0015】
「位置を固定した」という表現は、位置を固定して配置された部材が、それらが移動できないように、すなわち固定して、その位置に配置されることを意味すると理解される。
【0016】
2つの軸受ポイントは、互いに対して一定の決まった距離にある。このようにして、洗浄管及び流出管が、現場にある導管に適合する位置にあることが保証される。
【0017】
好ましくは、キャリア機構は、便器の受入空間内に配置することができる。すなわち、キャリア機構は、キャリア機構が便器の内部空間に配置されるように構成される。
【0018】
好ましくは、少なくとも1つの補償部は、便器の受入空間内にある。これは、補償部が外部の影響からうまく保護され、接続装置をコンパクトに構成できるという利点を有する。
【0019】
特に好ましくは、補償部はそれぞれ、キャリア機構と、便器の洗浄水流入部及び廃水流出部のそれぞれとの間にある。洗浄管及び流出管の端部は、有利には、それぞれ軸受ポイントの領域にあり、現場の洗浄水用導管及び廃水用導管はそれぞれ、軸受ポイントの領域で接続されている。
【0020】
好ましくは、洗浄管及び/又は流出管の補償部は、それぞれの管における偏向部によって、及び軸受ポイントにおけるそれぞれの管の旋回可能な取り付けによって提供され、高さ調整時、それぞれの管は軸受ポイント内で旋回される。この偏向部と旋回動作のために、軸受ポイントの外側にある管領域をずらすことができる。偏向部によって、洗浄管内に軸ずれが生まれ、この軸ずれを用いて、洗浄管及び流出管のそれぞれの、洗浄水流入部及び廃水流出部のそれぞれへの開口領域における位置を、調整ずれに適合させることができる。
【0021】
言い換えると、洗浄管の領域に一種の「偏心部」が生み出され、この偏心部を用いて、調整ずれを補償することができる。
【0022】
特に好ましくは、洗浄管は、偏向部を備えて構成される。その場合、洗浄管は、軸受部、上記偏向部、及び口部を備える。軸受部は軸受ポイントに旋回可能に存在し、洗浄水用導管に接続することができる。口部は、洗浄水流入部へと開いており、偏向部の配置により、軸受部からずれて存在する。つまり、軸受部の中心軸は、口部の中心軸と平行に、口部の中心軸から離間して延びる。
【0023】
好ましくは、上記洗浄管は、偏向部とともに、実質的に硬質又は事実上硬質に構成される。すなわち、調整動作時、補償部及び管の他の部分も変形しないか、又はごくわずかしか変形しない。これには、流れの状態が常に同じであり、便器の高さ位置に依存しないという利点がある。
【0024】
「実質的に硬質又は事実上硬質剛性」という表現は、好ましくは、偏向部が依然としてわずかに変形することができる程度に硬質であるように構成されることを意味すると理解される。
【0025】
特に好ましくは、洗浄水流入部及び廃水流出部のそれぞれへの入口の領域において、洗浄管及び流出管のそれぞれは、洗浄水流入部及び廃水流出部のそれぞれに密閉部を備えて取り付けられる。密閉部は、各管の、洗浄水流入部及び廃水流出部のそれぞれの中心軸に対する横方向の変位を受け入れられるように構成される。この変位は、実質的には、軸受ポイントにおける各管の中心軸周りの上記旋回運動から生じる。
【0026】
特に好ましくは、上記密閉部は、相互に離間した複数の弾性密閉リップを外側に備える。この場合、密閉リップは非常に柔軟に構成されており、前述の変位を補償するのに有利である。
【0027】
別の実施形態では、流出管及び/又は洗浄管の補償部は、柔軟で変形可能な管部であり、この柔軟で変形可能な管部は、好ましくは、ひだ状ベローズ又はゴムベローズである。柔軟で変形可能な管部は、この場合、流出管及び洗浄管のそれぞれの一部であってよい。あるいは、柔軟で変形可能な管部は、流出管又は洗浄管を提供することができる。
【0028】
特に好ましい実施形態では、洗浄管は偏向部を備えて構成され、流出管は柔軟に又は弾性的に変形可能な管部を備えて構成される。これは、洗浄管の場合、上述のように、流れ損失が小さくなり、これは便器への水の導入にとって重要である。一方で、流出管の場合、変形によって起こり得る流れ損失は、それほど重要でないという利点を有する。それゆえに、調整ずれを補償するための対応する変形がある場合、2つの管のそれぞれに最適な特性を割り当てることができる。
【0029】
キャリア機構は、現場に取り付けられた固定手段にしっかりと固定されることが好ましい。特に好ましくは、キャリア機構は、少なくとも1つの固定レセプタクルを有する。特に好ましくは、2つの固定レセプタクルが配置される。固定レセプタクルにはねじ付き要素を配置することができ、このねじ付き要素は、現場に取り付けられたねじ付きロッドと係合させることができる。この場合、ねじ付きロッドが、現場に取り付けられた上記固定手段を表す。
【0030】
好ましくは、上記ねじ付き要素は、便器のアクセス開口部を通して作動させることができるように配置される。
【0031】
しかしながら、代替案として、便器を、現場に取り付けられた固定手段にしっかりと固定することもできる。
【0032】
特に好ましくは、キャリア機構は、第1の担持部と、第1の担持部に接続することができる第2の担持部とを含む。キャリア機構のこの2部品からなる構造は、受入空間におけるキャリア機構の組み立て、特に、既に取り付けられた軸受要素への接続がより簡単になるという利点を有する。受入空間の空間的条件は通常制限されており、その結果、2部品からなる構造によって、組み立てがしやすくなる。
【0033】
特に好ましくは、洗浄管の軸受ポイントは、第1の担持部及び第2の担持部によって提供される。さらに好ましくは、流出管の軸受ポイントは第2の担持部に配置され、流出管は好ましくは軸受ポイントに固定して接続される。
【0034】
好ましくは、接続装置は軸受要素をさらに備える。キャリア機構は、軸受要素を介して便器に接続される。軸受要素は、以下のさまざまな方法で構成することができる:
−第1の変形形態による軸受要素は、便器に固定して接続され、軸受要素は、好ましくは、受入空間内で便器に固定して接続される。
−第2の変形形態による軸受要素は、便器に固定して一体化される。
−第3の変形形態による軸受要素は、便器によって提供される。
3つの変形のすべてにおいて、キャリア機構は、軸受要素に移動可能に接続され、具体的には、前記調整動きを実行できるように接続される。
【0035】
好ましくは、キャリア機構及び軸受要素は、少なくとも1つの長手方向ガイドを介して互いに接続され、前記少なくとも1つの長手方向ガイドは、設置状態において垂直に向いている。好ましくは、2つの離間した長手方向ガイドが、軸受要素上に配置され、これにキャリア機構が係合する。
【0036】
好ましくは、受入空間のアクセス開口部から受入空間を見て、第1の担持部は、軸受要素の実質的に下流側に配置され、第2の担持部は、軸受要素の実質的に上流側に配置される。このようにして、窮屈な空間条件を最適に利用でき、大きな力を吸収するように軸受要素をうまく配置する。
【0037】
第2の担持部は、好ましくは、第1の担持部の下側に配置され、従って、第1の担持部を支持する。
【0038】
好ましくは、高さ位置の調整が完了した後、キャリア機構は、形状結合及び/又は力結合及び/又は摩擦結合により、軸受要素に固定するか、又は軸受要素に接続することができる。
【0039】
キャリア機構上に存在する前記固定レセプタクルは、好ましくは、第1の担持部及び第2の担持部上に配置される。特に好ましくは、固定レセプタクルは、少なくとも部分的に軸受要素を貫通する。
【0040】
上記少なくとも1つの固定レセプタクルは、2つの軸受ポイントに対して一定の決まった距離にある。このようにして、現場の部材に接続されるキャリア機構の部材が、現場の部材に適合して位置することが保証される。
【0041】
好ましくは、軸受要素は、クロスメンバー部と、このクロスメンバー部から突出する互いに離間した2つの支持部とを有し、支持部は、それらの自由端の領域において、それぞれクランプ要素を有し、これを用いて、軸受要素を受入空間に突っ張らせて保持することができる。
【0042】
洗浄管及び流出管は、上記2つの支持部の間の中間空間にあり、この中間空間を突き抜ける。
【0043】
好ましくは、支持部は、それぞれ、少なくとも1つの長手方向ガイドを有し、その中で、キャリア機構は、軸受要素に移動可能なように取り付けられ、調整が完了した後、キャリア機構を、形状結合及び/又は力結合及び/又は摩擦結合により、支持部に固定するか、又は接続することができる。
【0044】
好ましくは、キャリア機構は上記長手方向ガイドに係合し、支持部に対して長手方向ガイドに沿って移動することができる。長手方向ガイドは、好ましくは、支持部の切り抜き部であり、この切り抜き部は、キャリア機構が軸受要素の両側から長手方向ガイドに係合できるように、対応して支持部を貫通する。
【0045】
好ましくは、長手方向ガイドは、互いに離間したラッチ開口部を有し、それに、キャリア機構に配置されたラッチ要素が、形状結合により係合することができる。ラッチ開口部間の距離は、好ましくは5〜15ミリメートルの範囲であり、対応する細かい段階的変化を提供できる。
【0046】
好ましくは、調整動きは約50ミリメートルである。
【0047】
好ましくは、キャリア機構と、便器に固定して接続される軸受要素との間の相対位置は、現場に取り付けられた固定手段にキャリア機構を組付ける前に調整される。続いて、キャリア機構は現場に取り付けられた固定手段に固定して接続され、洗浄管と流出管が洗浄水用導管と廃水用導管に接続される。
【0048】
代替案として、キャリア機構を、調整動きの前に、現場に配置された固定手段に接続し、その後、便器を、便器の高さ位置を調整するために軸受要素と共に移動させる。調整が完了した後、キャリア機構を現場に配置された固定手段に固定して接続する。
【0049】
装置は、上記説明による接続装置と、受入空間、洗浄水流入部、及び廃水流出部を有する便器とを備え、該接続装置は、好ましくは上記受入空間に配置される。
【0050】
上記説明による接続装置を組付けるための方法は、
第1の工程において、キャリア機構を便器に接続し、洗浄管を洗浄水流入部に接続し、流出管を廃水流出部に接続し、
第2の工程において、便器zをキャリア機構に対して移動させて、便器の高さを調整することができ、この際、補償部が、高さ位置に従って、キャリア機構と便器の間の調整動き中に生じる調整ずれを、キャリア機構に取り付けられた洗浄管及びキャリア機構に取り付けられた流出管と、便器側に配置される洗浄水流入部及び廃水流出部のそれぞれとの間で、及び/又は、現場に位置を固定して配置される洗浄水用導管及び廃水用導管のそれぞれと、便器側に配置される洗浄水流入部及び廃水流出部のそれぞれとの間で補償し、及び
第3の工程において、キャリア機構を、現場の洗浄水用導管、現場の廃水用導管、及び現場の固定要素に対して方向づけて、これらに接続することを特徴とする。
【0051】
上記工程は、説明の順序に従って連続して実行される。しかしながら、第3の工程が第2の工程の前に実行されることも考えられる。
【0052】
前記調整ずれは、補償要素を用いて補償される。
【0053】
軸受要素が存在する場合、第1の工程で、キャリア機構は軸受要素を介して便器に接続される。軸受要素が便器とは別に構成される場合、第1の工程の前の工程で、軸受要素を便器に接続する。
【0054】
さらなる実施形態を、従属請求項に明記する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して以下に説明するが、これらは単に説明のためのものであり、限定として解釈されてはならない。
【0056】
図1図1は、本発明の第1の実施形態による接続装置の概略図である。
図2図2は、本発明による便器を備えた接続装置の分解図である。
図3図3は、図2の詳細図である。
図4図4は、図1〜3の背面図であり、それぞれ便器が異なる高さ位置に置かれている。
図5図5は、図1〜3の斜視図であり、それぞれ便器が異なる高さ位置に置かれている。
図6図6は、図1〜5による接続装置の詳細図である。
図7図7は、図1〜5による接続装置のさらなる詳細図である。
図8図8は、接続装置を備えた便器の断面図である。
図9図9は、接続装置を備えた便器のさらなる断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は、便器2の接続装置1を概略的に示す。接続装置1は、実質的に、軸受要素4及びキャリア機構5を備える。軸受要素4は任意であってよく、他の実施形態で省略することもできる。次に、軸受要素4を備えた図についてより詳細に説明する。
【0058】
軸受要素4は、便器2の受入空間3に固定して配置され、便器2に固定して接続される。好ましくは、軸受要素4は、受入空間3において、受入空間3の内壁に対して突っ張らせて保持される。
【0059】
キャリア機構5は、洗浄管7が取り付けられる第1の軸受ポイント6と、流出管9が取り付けられる第2の軸受ポイント8とを備える。洗浄管7を介して、洗浄水を便器2に供給することができ、流出管9を介して、廃水を便器2から排出する。組み付けられた状態で、洗浄管7は、現場に位置を固定して配置される洗浄水用導管10に接続され、便器側で、便器2の洗浄水流入部11に接続される。洗浄水流入部11は便器2の一部である。洗浄水流入部11を介して、洗浄水は洗浄水用導管10から便器2に供給される。組み立てられた状態で、流出管9は、現場に位置を固定して配置される廃水用導管12に接続され、便器側で、廃水流出部13に接続される。キャリア機構5において、洗浄管7の中心軸M7と流出管9の中心軸M9との間の軸間距離Aは固定又は一定である。この軸間距離は、洗浄水用導管10と廃水用導管12との間の軸間距離に相当する。すなわち、2つの軸受ポイント6,8は、キャリア機構5に固定して配置される。同様に、現場に配置される部材、すなわち洗浄水用導管10及び廃水用導管12も、互いに対して一定の距離にある。さらに、便器2の洗浄水流入部11及び廃水流出部13もまた、互いに対して一定の距離にある。好ましくは、2つの軸受ポイント6,8間の軸間距離Aは、トイレ側に配置される洗浄水流入部11とトイレ側に配置される廃水流出部13との間の軸間距離Bよりも大きい。2つの軸間距離A,B間の差は、好ましくは最大調整ずれVに対応する。洗浄水用導管10と廃水用導管12との間の軸間距離Cは、実質的に軸間距離Aに相当する。
【0060】
キャリア機構5は、現場の固定要素21に固定して接続することができる。現場の固定要素21は、同様に、位置を固定して配置され、洗浄水用導管10及び廃水用導管12に対して一定の距離にある。
【0061】
キャリア機構5と軸受要素4は、便器2の高さ位置の調整時、調整動きEの方向に互いに対して移動させることができる。このとき、軸受要素4は、便器2に固定して接続されており、位置を固定されたキャリア機構5に対して便器2と共に移動される。これは、図1の2つの描写で容易に認識できる。
【0062】
さらに、洗浄管7及び流出管9はそれぞれ、少なくとも1つの補償部14,15を備え、これを用いて、キャリア機構5と軸受要素4との間の調整動きE中に生じる調整ずれVを、キャリア機構に取り付けられた洗浄管7及びキャリア機構に取り付けられた流出管9のそれぞれと、便器側に配置される洗浄水流入部11及び廃水流出部13のそれぞれとの間で補償することができる。この調整ずれは、追加的又は代替的に、現場に位置を固定して配置される洗浄水用導管10及び廃水用導管12のそれぞれと、便器側に固定して配置される洗浄水流入部11及び廃水流出部13のそれぞれとの間で補償することができる。この調整ずれVを、2つの便器2の間の高さの差として図1に示す。
【0063】
図1の左側では、便器はより低い位置にあり、図1の右側では、便器はより高い位置にある。この場合、キャリア機構5は、洗浄管7、流出管9及び固定要素21とともに元の位置に留まり、一方、便器2は固定要素4、洗浄水流入部11及び廃水流出部13とともに上方に移動されている。高さ調整中に生じる変位は、2つの補償部14,15によって補償されている。2つの補償部14,15は、図1に概略的に示され、補償の程度は対応する線の異なる傾きで示される。高さのずれを対応して補償する補償部14,15を変化させることにより、現場での、又は便器への修正を必要とせずに、空間における便器2の高さを簡単な方法で調整することが可能である。
【0064】
図2は、便器2及び接続装置1の分解図を示す。接続装置1は、個々の部品に分解して示されているが、便器2の受入空間3内にある。受入空間3はアクセス開口部29を介して後ろからアクセスでき、接続装置1の個々の部材は、アクセス開口部29を介して挿入することができる。
【0065】
図3は、接続装置1の個々の部品のさらなる分解図を示す。この図に基づいて、ここに示される接続装置1の実施形態の基本構造をより詳細に説明する。
【0066】
図の実施形態では、軸受要素4は、クロスメンバー部22と、クロスメンバー部22から突出する互いに離間した2つの支持部23とを備える。好ましくは、クロスメンバー部22及び支持部23は、一体に接続された金属プロファイルである。端側に、支持部23は、その自由端24の領域において、それぞれクランプ要素25を有する。軸受要素4は、このクランプ要素25を用いて、受入空間3に突っ張らせて保持することができる。上側で、クロスメンバー部22が受入空間3に当接し、下側で、固定要素4がクランプ要素25を用いて便器2の受入空間3の内部に立設する。
【0067】
好ましい実施形態では、キャリア機構5は、実質的に2部品から構成されている。キャリア機構5は、第1の担持部17と、第1の担持部17に接続することのできる第2の担持部18とを備える。
【0068】
ここで、洗浄管7の軸受ポイント6は、第1の担持部17及び第2の担持部18の両方によって提供される。洗浄管7は、これら2つの担持部17,18の間に保持される。軸受ポイント6の上側部分は、第1の担持部17にあり、軸受ポイントの下側部分は第2の担持部18にある。さらに、流出管9の軸受ポイント8は、第2の担持部18に配置される。アクセス開口部29から見て、第1の担持部17は、軸受要素4の実質的に下流側にあり、第2の担持部18は、軸受要素4の実質的に上流側にある。キャリア機構5の2部品構成には、この構成が、受入空間3に既に取り付けられている軸受要素4上により簡単な方法で取り付けることができるという利点がある。
【0069】
キャリア機構5は、ここでは第1の担持部17及び第2の担持部18上に、固定レセプタクル19を備える。固定レセプタクル19内には、ねじ付き要素20を配置することができる。このねじ付き要素20を用いて、キャリア機構5は、現場に位置を固定して取り付けられた、通常はねじ付きロッドである固定要素21に接続することができる。ねじ付きロッド21は、図1に概略的に示される。キャリア機構5内にあるねじ付き要素20を作動させることにより、接続装置1は、便器2と共に、壁に対して締め付けることができる。ねじ付き要素20は、便器2の2つのアクセス開口部36を介してねじ付き要素20に案内される工具を用いて作動させることができる。このために、クロスメンバー部もまた、参照符号36が付けられた対応するアクセス開口部を有する。
【0070】
図の実施形態では、ねじ付き要素20は、第1の担持部17と第2の担持部18を一緒に保持する。このために、ねじ付き要素20は、対応するクランプ部32を有し、これは、第1の担持部17の固定レセプタクル19を通り抜けて、第2の担持部18及び固定レセプタクル19を通り抜けて延びる。クランプ部32は、ここでは、端側に止め部37を有し、これは、2つの担持部17,18をクランプ部32上に保持する。クランプ部32は、ここでは、外側に跳ね返るタブを備える。
【0071】
図の実施形態では、2つの支持部23は、それぞれ、キャリア機構5が移動可能なように取り付けられる長手方向ガイド26をさらに有する。キャリア機構5は、この場合、軸受要素4に対して移動可能なように取り付けられる。高さ調整が完了した後、キャリア機構5と軸受要素4は、互いに固定して接続することができる。軸受要素4は、所望の高さの便器とともに、空間的に位置固定されたキャリア機構5に固定して留め付けることができる。
【0072】
好ましくは、軸受要素4とキャリア機構5との間の接続は、形状結合及び/又は力結合及び/又は摩擦結合によるものである。図の実施形態では、形状結合による接続の変形形態が示される。長手方向ガイド26内には、図7に示されているいくつかのラッチ開口部27が配置される。キャリア機構5にラッチ要素28が配置され、このラッチ要素は、所望する高さが調整されたときに、ラッチ要素をラッチ開口部27に挿入できるように移動可能である。この場合、第2の担持部18の領域において、ラッチ要素28は、第2の担持部18上に配置され、ラッチ要素28がラッチ開口部27に係合するように移動させることができる。
【0073】
図の実施形態では、第2の担持部18は、さらに、ガイド33のための受入部を有する。ラッチ要素28はガイド33内に移動可能なように取り付けられる。ガイド33はさらに、第2の担持部18の受入部34に係合する。第1の担持部17のガイド33と第2の担持部18の受入部34との間の接続は、さらに、第1の担持部17と第2の担持部18との間の改善された、特に安定した接続を提供する。
【0074】
洗浄管の補償部14は、洗浄管7の偏向部14によって提供される。ここで、偏向部14は、口部30と軸受部31との間にある。軸受部31を用いて、洗浄管7は、第1の軸受ポイント6に旋回可能に取り付けられる。洗浄水流入部11の方向に、軸受部31に偏向部14が隣接し、これに口部30が続く。軸受部31は洗浄水用導管10に接続され、口部30は洗浄水流入部11へとつながる。口部30と軸受部31は平行な中心軸に沿って延在する。洗浄管7がその軸受ポイント6で中心軸の周りを旋回すると、口部30の位置、特に高さが変化し、その結果、高さのずれを対応して補償することができる。
【0075】
上記旋回運動により、口部30は曲線に沿って動かされる。旋回運動は、図面に参照符号Sで示される。この動きは、便器2内の洗浄水流入部11での口部30の横方向のずれにつながる。この横方向のずれは、対応して、密閉部16によって補償される。密閉部16は、弾性、特に高弾性の密閉部であり、図の実施形態では、洗浄水流入部11の壁と接触する複数の密閉リップ35を有する。高さ調整時、これら密閉リップ35は、それらの偏心度に応じて、洗浄水流入部11に向かって弾性的に変形される。洗浄管7は好ましくは硬質に形成され、柔軟な部分を含まない。これは、組付け中に起こる洗浄管7の望ましくない変形の結果としての流体工学上の損失が発生しないという利点を有する。洗浄管の口部30も比較的長い形状であり、その結果、洗浄管7は口部30内に可能な限り深く突出することができ、その結果、流体工学上の損失を対応して予測することができる。
【0076】
図9には洗浄管7が口部30を用いてどのように洗浄水流入部11内へ突出するか、及び、密閉部16が密閉リップ35を用いてどのように洗浄水流入部11の壁と接触しているかを示す。さらに、図9は、軸受部31が洗浄水用導管10と接触していることを示す。
【0077】
流出管9の補償部15は、柔軟で変形可能な管部によって提供される。図の実施形態では、前記管部は、柔軟なひだ状ベローズ、又はゴムベローズである。図4から、高さ調整中にひだ状ベローズ又はゴムベローズの形状がどのように変化するかを容易に認識することができる。さらに、図4では、高さ調整中に第1の軸受ポイント6の領域で洗浄管7がその中心軸の周りにどのように旋回されるかを容易に認識することもできる。流出管9は第2の軸受ポイント8に固定して保持される。
【0078】
次に、図5は、様々な高さ位置にある接続装置1のさらなる斜視図を便器2と共に示す。
【0079】
図6は、組み立てた接続装置1の背面図を示す。キャリア機構5はスナップフィット要素38をさらに備え、これはキャリア機構5の溝39に係合する。この場合、溝39は、長手方向ガイド26と同じ方向を向いており、スナップフィット要素38は、高さ調整中に溝内で移動させることができる。さらに、図6は、クロスメンバー部22の上側肩部40とクランプ要素25の下側肩部40を示す。これら両方の肩部を介して、軸受要素4を受入空間3に挟むことができる。図8から、クランプ要素25は、アクセス部42を通して作動させられることが容易に分かる。
【0080】
次に、図7は、組み立てた接続装置1の正面図をより詳細に示す。流出管9の補償部15に対して横方向に、それぞれのガイドタブ41が配置され、このガイドタブは、補償部15が上記高さ調整の動き方向に対して横方向に偏向するのを防止する。
【符号の説明】
【0081】
1 接続装置
2 便器
3 受入空間
4 軸受要素
5 キャリア機構
6 第1の軸受ポイント
7 洗浄管
8 第2の軸受ポイント
9 流出管
10 洗浄水用導管
11 洗浄水流入部
12 廃水用導管
13 廃水流出部
14 補償部
15 補償部
16 密閉部
17 第1の担持部
18 第2の担持部
19 固定レセプタクル
20 ねじ付き要素
21 固定要素
ねじ付きロッド
22 クロスメンバー部
23 支持部
24 自由端
25 クランプ要素
26 長手方向ガイド
27 ラッチ開口部
28 ラッチ要素
29 アクセス開口部
30 口部
31 軸受部
32 クランプ部
33 ガイド
34 受入部
35 密閉リップ
36 アクセス開口部
37 止め部
38 スナップフィット要素
39 溝
40 上側及び下側肩部
41 ガイドタブ
42 アクセス部

A 軸間距離
B 軸間距離(トイレ側)
E 調整動き
V 調整ずれ
M7 洗浄管中心軸
M8 流出管中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】