特表2021-513210(P2021-513210A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-513210(P2021-513210A)
(43)【公表日】2021年5月20日
(54)【発明の名称】発光ダイオード及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/30 20100101AFI20210423BHJP
   H01L 33/38 20100101ALI20210423BHJP
【FI】
   H01L33/30
   H01L33/38
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2020-528449(P2020-528449)
(86)(22)【出願日】2019年2月26日
(85)【翻訳文提出日】2020年8月6日
(86)【国際出願番号】CN2019076136
(87)【国際公開番号】WO2019210732
(87)【国際公開日】20191107
(31)【優先権主張番号】201810411333.1
(32)【優先日】2018年5月2日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520163407
【氏名又は名称】天津三安光電有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡 景元
(72)【発明者】
【氏名】呉 俊毅
(72)【発明者】
【氏名】李 福龍
(72)【発明者】
【氏名】王 篤祥
(72)【発明者】
【氏名】呉 超瑜
(72)【発明者】
【氏名】高 文浩
(72)【発明者】
【氏名】劉 暁峰
(72)【発明者】
【氏名】李 維環
(72)【発明者】
【氏名】舒 立明
(72)【発明者】
【氏名】劉 超
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA31
5F241AA41
5F241CA04
5F241CA22
5F241CA34
5F241CA36
5F241CA37
5F241CA63
5F241CA65
5F241CA67
5F241CA73
5F241CA74
5F241CA85
5F241CA92
5F241CB11
5F241CB15
(57)【要約】
第1の半導体層、AlGaInP活性層、第2の半導体層、及び第3の半導体層を順次に含むエピタキシャル構造が形成された基板を提供し、該第3の半導体層はAlGaAsを材料として前記第1の半導体層より前記基板に接近する位置にあると共に厚さは30μm以上であるステップ(1)と、前記エピタキシャル構造の前記基板から離れた一側の表面に前記第1の半導体層に電気的に接続する第1の電極及び前記第2の半導体層に電気的に接続する第2の電極を作成するステップ(2)と、前記基板を除去して前記第3の半導体層で該エピタキシャル積層を支持してその物理的安定性を確保するステップ(3)と、が含まれることを特徴とする発光ダイオードの製造方法及び該方法により製造される発光ダイオードを提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の半導体層、AlGaInP活性層、第2の半導体層、及び第3の半導体層を順次に含むエピタキシャル構造が形成された基板を提供し、該第3の半導体層はAlGaAsを材料として前記第1の半導体層より前記基板に接近する位置にあると共に厚さは30μm以上であるステップ(1)と、
前記エピタキシャル構造の前記基板から離れた側の表面に前記第1の半導体層に電気的に接続する第1の電極及び前記第2の半導体層に電気的に接続する第2の電極を作製するステップ(2)と、
前記基板を除去して前記第3の半導体層で該エピタキシャル積層を支持してその物理的安定性を確保するステップ(3)と、
が含まれることを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(1)には、
基板を提供するサブステップ(11)と、
液相エピタキシー技術を用いて前記基板上に前記第3の半導体層を成長させるサブステップ(12)と、
MOCVDエピタキシャル技術を用いて、該第3の半導体層上に、前記第2の半導体層と、前記活性層と、前記第1の半導体層を順次形成するサブステップ(13)と、が含まれることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項3】
前記ステップ(1)において形成された前記第3の半導体層の材料はAlGaAsであり、その中のアルミニウム成分の含有量は20%〜95%であることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項4】
前記ステップ(1)において形成された前記第3の半導体層の厚さは30〜300μmであることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(1)において形成されたエピタキシャル構造の第2の半導体層は、第2のタイプのカバー層と窓層とを含み、該窓層はAlGaAsまたはAlGaInPであり、前記ステップ(2)において形成される第2の電極は、前記窓層とオーミック接触を形成することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項6】
前記ステップ(2)において、前記第2のタイプの窓層の表面に第2の電極を形成した後、加熱処理を行って前記第1の電極の金属原子を前記第2のタイプの窓層に拡散させて前記第2の電極を前記第2のタイプの窓層にオーミック接触させることを特徴とする請求項5に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項7】
前記第2の電極は、単層または多層構造であり、前記窓層と直接に接する材料層がAuまたは金を含む合金であることを特徴とする請求項6に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項8】
前記ステップ(1)において形成されるエピタキシャル構造は、第1のタイプのカバー層、活性層、第2のタイプのカバー層、オーミック接触層及び第3の半導体層を順次に含み、前記ステップ(2)において形成される第2の電極は、前記オーミック接触層に接触する、請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項9】
前記ステップ(1)において形成されるエピタキシャル構造は、第1のタイプのカバー層、活性層、第2のタイプのカバー層及び第3の半導体層を順次に含み、前記ステップ(2)で形成される第2の電極は、第3の半導体層に接していることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項10】
前記ステップ(2)は、前記第3の半導体層の表面に第2の電極を形成した後、前記第1の電極の金属原子が第3の半導体層内に拡散するように加熱処理を行い、当該第2の電極を第3の半導体層にオーミック接触させることを特徴とする請求項9に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項11】
前記ステップ(2)において、前記エピタキシャル構造の前記第1の半導体、前記活性層及び前記第2の半導体層の一部をエッチングしてメサ又は窪みを形成し、該メサ又は窪みは前記第2の半導体層又は前記第3の半導体層の表面が露出するように前記第2の半導体層又は前記第3の半導体層までエッチングし、該メサ又は窪みに第2の電極を形成することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項12】
前記ステップ(3)において、前記第3の半導体層を支持して前記基板を除去することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の発光ダイオードの製造方法により作成された発光ダイオード。
【請求項14】
第1の半導体層とAlGaInP活性層と第2の半導体層及び第3の半導体層を順次に含むエピタキシャル積層と、
前記エピタキシャル積層の同じ側に形成されて前記第1の半導体層に電気的に接続する第1の電極及び前記第2の半導体層に電気的に接続する第2の電極と、を備え、前記第3の半導体層の材料はAlGaAsとし、共に厚さは30μm以上であり、且つ前記エピタキシャル積層を支持してその物理的安定性を確保することを特徴とする発光ダイオード。
【請求項15】
前記第3の半導体層の厚さは30〜300μmであることを特徴とする請求項14に記載の発光ダイオード。
【請求項16】
前記第3の半導体層はAlGaAsであり、その中のアルミニウム成分の含有量は20%〜95%であることを特徴とする請求項14に記載の発光ダイオード。
【請求項17】
前記活性層から発される光は、前記第3の半導体層の一側の面から射出されることを特徴とする請求項14に記載の発光ダイオード。
【請求項18】
前記第1の半導体層の材料はAlGaAsと、AlGaInPと、AlInPと、GaPと、又は、それらの組み合わせにより作成されることを特徴とする請求項14に記載の発光ダイオード。
【請求項19】
前記第2の半導体層はAlGaAsと、AlGaInPと、AlInPと、GaPと、又は、それらの組み合わせにより作成されることを特徴とする請求項14に記載の発光ダイオード。
【請求項20】
前記第2の半導体層は、第2のタイプのカバー層と窓層とを含み、該窓層はAlGaAsまたはAlGaInPであり、前記第2の電極は、前記窓層とオーミック接触を形成することを特徴とする請求項14に記載の発光ダイオード。
【請求項21】
前記第2の電極は、単層または多層構造であり、前記窓層と直接に接する材料層がAuまたは金を含む合金であることを特徴とする請求項20に記載の発光ダイオード。
【請求項22】
前記窓層と直接接する材料層の厚さは5〜20nmであることを特徴とする請求項21に記載の発光ダイオード。
【請求項23】
前記第2の電極は、前記第3の半導体層とオーミック接触を形成することを特徴とする請求項14に記載の発光ダイオード。
【請求項24】
前記第2の電極は、単層または多層構造であり、前記窓層と直接接する材料層がAuまたは金を含む合金であることを特徴とする請求項23に記載の発光ダイオード。
【請求項25】
前記エピタキシャル積層のサイズは300μm×300μm以下であり、前記第2の半導体層は、第2のタイプのカバー層と窓層とを有し、前記第2の電極は、前記窓層と接触することを特徴とする請求項14に記載の発光ダイオード。
【請求項26】
前記エピタキシャル積層のサイズは300μm×300μm以下であり、前記第2の半導体層は、第2のタイプのカバー層とオーミック接触層とを有し、前記第2の電極は、前記オーミック接触層と接触することを特徴とする請求項14に記載の発光ダイオード。
【請求項27】
前記エピタキシャル積層は、第1のタイプのカバー層、AlGaInP活性層、第2のタイプのカバー層、第2のタイプの窓層及び第3の半導体層を順次に含み、前記第2の電極は、前記第2のタイプの窓層に接していることを特徴とする請求項14に記載の発光ダイオード。
【請求項28】
前記エピタキシャル積層は、第1のタイプの窓層、第1のタイプのカバー層、AlGaInP活性層、第2のタイプのカバー層、第2のタイプの窓層と、
オーミック接触層及び第3の半導体層を順次に含み、前記第2の電極は、前記オーミック接触層に接していることを特徴とする請求項14に記載の発光ダイオード。
【請求項29】
前記第1の電極と接触し且つ面積が前記第1の電極より広い第1の金属層と、前記第2の電極と接触し且つ面積が前記第2の電極より広い第2の金属層と、を更に有することを特徴とする請求項14に記載の発光ダイオード。
【請求項30】
前記第1の金属層及び第2の金属層を反射層とすることを特徴とする請求項29に記載の発光ダイオード。
【請求項31】
複数の発光ダイオードを備え、該複数の発光ダイオードにおける少なくとも1つが、
第1の半導体層とAlGaInP活性層と第2の半導体層及び第3の半導体層を順次に含むエピタキシャル積層と、
前記エピタキシャル積層の同じ側に形成されて前記第1のタイプの半導体層に電気的に接続する第1の電極及び前記第2タイプの半導体層に電気的に接続する第2の電極と、を備え、前記第3の半導体層の材料はAlGaAsであると共に厚さは30μm以上であり、且つ前記エピタキシャル積層を支持してその物理的安定性を確保する発光ダイオードであることを特徴とする発光装置。
【請求項32】
前記第3の半導体層のアルミニウム成分は20%〜95%であることを特徴とする請求項31に記載の発光装置。
【請求項33】
前記第3の半導体層の厚さは30〜300μmであることを特徴とする請求項31に記載の発光装置。
【請求項34】
前記エピタキシャル積層のサイズは300μm×300μm以下であり、前記第2の半導体層は、第2のタイプのカバー層と窓層とを有し、前記第2の電極は、前記窓層と接触することを特徴とする請求項31に記載の発光装置。
【請求項35】
前記エピタキシャル積層のサイズは300μm×300μm以下であり、前記第2の半導体層は、第2のタイプのカバー層とオーミック接触層とを有し、前記第2の電極は、前記オーミック接触層と接触することを特徴とする請求項31に記載の発光装置。
【請求項36】
前記エピタキシャル積層のサイズは100μm×100μm以下であり、前記第2の半導体層は、第2のタイプの制限層、カバー層、窓層とオーミック接触層とを有し、前記第2の電極は、前記オーミック接触層と接触することを特徴とする請求項31に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造に関し、特に発光ダイオード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フリップチップ発光ダイオードは、そのワイヤの回避、電極の遮光を必要とせず、優れた放熱等の利点から、発光ダイオードの発光効率をさらに向上させる有効な技術手段である。図1には、従来の透明基板を有するフリップチップAlGaInP系のLED構造が示され、透明ボンディング技術を用いて半導体構造を透明基板に移設し、透明基板の同一面側にp、nオーミック接触電極をそれぞれ形成してフリップチップ溶接電極にそれぞれ接続させて、フリップチップパッケージを実現する。
【0003】
中国特許出願公開第101897048号公報には、薄いフリップチップAlGaInPチップ装置及びその製造方法が開示されており、具体的には、半導体構造の同じ側にn電極及びp電極を形成し、金属接合又は、溶接によって半導体構造をキャリアに接続し、最後に成長基板を除去する。
【0004】
中国特許出願公開第107681034号公報には、半導体構造の下表面にn電極及びp電極を製造し、このエピタキシャル構造をキャリア基板にボンディングした後、成長基板を除去するマイクロ発光ダイオード及びその製造方法が開示されている。
【0005】
上述したようなフリップチップ型発光ダイオード装置は、製造工程において、半導体構成を基板に接合した後、成長基板を除去する。しかし、ボンディング工程で装置の損傷が生じ易く、歩留まりの低下を招く恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、ボンディング工程を実行しないフリップチップ型のAlGaInP発光ダイオード及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発光ダイオードの製造方法は、第1の半導体層と、AlGaInP活性層と、第2の半導体層、及び第3の半導体層と、を含むエピタキシャル構造が形成された基板を提供し、該第3の半導体層の材料はAlGaAsであり、厚さは30μm以上であるステップ(1)と、前記エピタキシャル構造の前記基板から離れた一側の表面に前記第1の半導体層に電気的に接続する第1の電極及び前記第2の半導体層に電気的に接続する第2の電極を作成するステップ(2)と、前記基板を除去して、フリップチップ発光ダイオードを形成し、第3の半導体層を光射出面とすると同時に、該エピタキシャル積層を支持してその物理的安定性を確保するステップ(3)と、を含む。
【0008】
ここで、前記ステップ(1)には、基板を提供するサブステップ(11)と、液相エピタキシー技術を用いて前記基板上に前記第3の半導体層を成長させるサブステップ(12)と、MOCVDエピタキシャル技術を用いて、前記第3の半導体層上に、前記第2の半導体層と、前記活性層と、前記第1の半導体層を順次形成するサブステップ(13)と、を含むことが好ましい。
【0009】
また、ステップ(1)において形成された前記第3の半導体層の材料はAlGaAsであり、アルミニウム成分の含有量は20%〜95%であることが好ましい。
【0010】
また、ステップ(1)において形成された前記第3の半導体層の厚さは30〜300μmであることが好ましい。
【0011】
更に、ステップ(2)では、エピタキシャル構造の第1の半導体層、活性層のエッチング部分にメサを形成し、該メサは前記第2の半導体層又は前記第3の半導体層までエッチングし、該メサに第2の電極を形成する。
【0012】
更に、ステップ(3)において、前記第3の半導体層を支持して、前記基板を除去する。
【0013】
該発光ダイオードは、第1の半導体層と、AlGaInP活性層と、第2の半導体層及び第3の半導体層と、を順次に有するエピタキシャル積層と、を含み、前記第3の半導体層の材料はAlGaAsであり、厚さは30μm以上であり、ある態様ではエピタキシャル積層を支持して、その物理的安定性を確保する。他の態様では光射出面として、第1の電極と第2の電極が第3の半導体層から離れた前記エピタキシャル積層と同じ一側に形成されており、第1の電極は前記第1の半導体層と電気的に接続し、第2の電極は第2の半導体層と電気的に接続する。
【0014】
更に、前記第3の半導体層は、p型導電又は、n型導電である。
【0015】
更に、前記エピタキシャル積層の第1の半導体層、活性層の一部がエッチングされることによりメサが形成され、第2の半導体層を露出し、該メサに前記第2の電極を形成する。
【0016】
また、前記第3の半導体層の厚さは30〜300μmであることが好ましい。一部の実施例において、該第3の半導体層の厚さは30〜50μmである。一部の実施例において、該第3の半導体層の厚さは50〜100μmである。一部の実施例において、該第3の半導体層の厚さは100〜150μmである。一部の実施例において、該第3の半導体層の厚さは150〜300μmである。
【0017】
また、前記第3の半導体層はAlGaAsであり、アルミニウム成分の含有量は20%〜95%であることが好ましい。一部の実施例において、該第3の半導体層のアルミニウム成分は30%〜70%である。
【0018】
更に、前記第1の半導体層の材料はAlGaAsと、AlGaInPと、AlInPと、GaPと、又はそれらの組み合わせより作成される。
【0019】
更に、前記第2の半導体層はAlGaAsと、AlGaInPと、AlInPと、GaPと、又はそれらの組み合わせである。
【0020】
一部の実施例において、前記エピタキシャル積層のサイズは300μm×300μm以下であり、前記第2の半導体層は、第2のタイプのカバー層と、窓層と、を有し、前記第2の電極は、前記窓層と接触する。
【0021】
一部の実施例において、前記エピタキシャル積層のサイズは300μm×300μm以下であり、前記第2の半導体層は、第2のタイプのカバー層と、オーミック接触層と、を有し、前記第2の電極は、前記オーミック接触層と接触する。
【0022】
一部の実施例において、前記エピタキシャル積層のサイズは100μm×100μm以上であり、前記第2の半導体層は、第2のタイプの制限層と、キャップ層と、窓層と、オーミック接触層と、を有し、前記第2の電極は、前記オーミック接触層と接触する。
【0023】
前記発光ダイオードは、更に前記第1の電極と接触し且つ面積が前記第1の電極より広い第1の金属層と、前記第2の電極と接触し且つ面積が前記第2の電極より広い第2の金属層と、を有することが好ましい。
【0024】
更に、前記第1の金属層及び第2の金属層を反射層とする。
【0025】
また、本発明は更に複数の発光ダイオードを備え、該複数の発光ダイオードにおける少なくとも1つが、第1の半導体層と、AlGaInP活性層と、第2の半導体層及び第3の半導体層と、を順次に含むエピタキシャル積層であり、前記第3の半導体層の材料はAlGaAsであり、厚さは30μm以上であり、ある態様ではエピタキシャル積層を支持して、その物理的安定性を確保する。他の態様では光射出面として、第1の電極と第2の電極が第3の半導体層から離れた前記エピタキシャル積層と同じ一側に形成されており、第1の電極は前記第1のタイプの半導体層と電気的に接続し、第2のタイプの電極は第2の半導体層と電気的に接続することを特徴とする発光装置、をも提供する。
【0026】
上記発光ダイオードは、30μm以上のAlGaAs半導体層をエピタキシャル成長させ、前記AlGaAs半導体層を支持して成長基板を除去し、且つ、該AlGaAs半導体層を光射出面とすることにより、ボンディング工程を省略し、効率的にフリップチップ発光ダイオードの歩留まりを向上させ、コストを低減することができる。
【0027】
また、本発明は、更にMOCVD法により、エピタキシャル基板上に電流拡散層、N型層、発光層、P型層を含むエピタキシャル構造を成長させるフリップチップ4元系発光ダイオードエピタキシャル構造の成長方法であって、前記電流拡散層はAlGa1−xAs、0<x<1である。本発明は、従来のAlGaInP層の代わりに、電流拡散層にAlGa1−xAs材料を採用することにより、プロセス時間の短縮(コスト低減)及び結晶品質を高める技術的効果を得ることができる。
【0028】
前記基板は、GaAs、GaP、InPであることが好ましく、GaAsであることがより好ましい。
【0029】
また、電流拡散層の機能を確保するために、電流拡散層の厚さは、3μm以上であることが好ましく、結晶成長の品質や光取り出し効率の観点から、前記電流拡散層の厚さは3〜5μmあることがより好ましい。
【0030】
また、電流分散層の光取り出し効率を確保するため、x≧0.45にすることが好ましく、0.45≦x≦0.65にすることがより好ましい。xが0.65を超えると、発光ダイオードの電圧が高すぎてしまう。
【0031】
また、前記バッファ層はGaAsであり、前記エッチングストップ層はAlInP、であり、前記接触層はGaAsであり、前記P型層はAlInPであり、前記N型層はAlInPであり、前記発光層は(AlGal−yIn1−zP、0<y<1、0<z<1であり、前記窓層はp−GaPであることが好ましい。y、zの値を調整することにより、エピタキシャル構造の発光領域を、緑色光から赤色光に調整して、発光波長を560nmから650nmの範囲にすることができる。
【0032】
前記電流拡散層はnドーピングであり、nドーピングの濃度は1E18〜2E18であり、これにより前記電流拡散層のn型層及び上記量子井戸発光層との接触抵抗をさらに低減することが好ましい。
【0033】
また、本発明は、成長基板と、エッチングストップ層と、電流拡散層と、N型層と、発光層と、P型層とを備え、電流拡散層がAlGa1−xAs、0<x<1のフリップチップ4元系発光ダイオードエピタキシャル構造をも提供する。
【0034】
本発明のフリップチップ4元系発光ダイオードエピタキシャル構造により得られるフリップチップ発光ダイオードは、永久基板上に、下から順に、P型層、発光層、N型層、電流拡散層を備えている。
【0035】
前記電流分散層は、N型層表面における光取り出し効果を高めるために粗面化処理されていることが好ましい。
【0036】
本発明のフリップチップ4元系発光ダイオードエピタキシャル構造及びフリップチップ4元系発光ダイオード及びその成長方法により、以下の効果を得ることができる。
【0037】
(1)フリップチップ四元系LED構造に対し、AlGa1−xAs材料を電流拡散層として用いる場合、従来のAlGaInPの成長速度限界を7Å/Sから40Å/Sまで向上し、成長速度を3倍以上にあげることができ、エピタキシャル構造の成長時間を30%以上短縮でき、プロセス時間を大幅に短縮でき、生産コストを低減でき、大量生産に有利である。
【0038】
(2)AlGaInPに比べてAlGa1−xAsを電流拡散層とする方が、温度窓が(680℃±30℃)増加した。
【0039】
(3)GaAs基板であることが好ましく,AlGa1−xAs自体は、GaAs基板の結晶とほぼ完全にマッチングしており、高品質であるAlGa1−xAsが成長しやすくなる。
【0040】
(4)プロセスウィンドウが拡大した場合、エピタキシャル成長の品質がより制御しやすくなり、最終的にESDの4000V性能が少なくとも20%以上向上する。
【0041】
(5)本発明のフリップチップ4元系発光ダイオードエピタキシャル構造により、全く新しいフリップチップ4元系発光ダイオードを提供することができる。
【0042】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の説明において説明され、部分的には説明から明らかとなるか、又は本発明を実施することによって理解される。本発明の目的及び他の利点は、明細書、特許請求の範囲及び図面に具体的に指摘された構造によって実現及び達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図面は本発明のより一層の理解のために提供するものであり、また明細書の一部を構成するものであり、本発明の実施例と共に本発明の解釈に用いられ得るが、本発明の限定するものではない。また、図面における数値は概要を示すにすぎず、比率に応じて描かれたものではない。
図1】従来の4元系発光ダイオードのエピタキシャル構造を示す図である。
図2】本発明の実施例に係る4元系発光ダイオードエピタキシャル構造を示す。
図3】従来の透明基板を有するフリップチップ型AlGaInP系LEDの構造を示す図である。
図4】本発明の実施例に係る発光ダイオードの製造方法のフローチャートである。
図5】本発明の実施例に係る発光ダイオードの製造方法の部分フローチャートである。
図6】本発明の実施例によるフリップチップ型発光ダイオード装置を製造するためのプロセスの概略図である。
図7】本発明の実施例によるフリップチップ型発光ダイオード装置を製造するためのプロセスの概略図である。
図8】本発明の実施例によるフリップチップ型発光ダイオード装置を製造するためのプロセスの概略図である。
図9】本発明の実施例によるフリップチップ型発光ダイオード装置を製造するためのプロセスの概略図である。
図10】本発明の実施例によるフリップチップ型発光ダイオード装置を製造するためのプロセスの概略図である。
図11】本発明の実施例によるフリップチップ型発光ダイオード装置を製造するためのプロセスの概略図である。
図12】本発明の実施例に係る発光ダイオードの構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施例を図面及び実施例を参照して詳細に説明し、これにより、本発明がどのように技術的手段を適用して課題を解決し、技術的効果を達成するためにどのように実現されるかが十分に理解され、それによって実施される。要するに、本発明の各実施例及び各実施例における特徴は、矛盾が生じない限り、互いに組み合わせることができ、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
【0045】
実施例1
AlGaInP材料系のLEDの発光効率向上に基づく方法としては複数あるが、フリップチップ構造を採用することでLEDの輝度を大幅に向上させることができる。一方、フリップチップエピタキシャル構造におけるn面とp面の電流拡散能力の優劣は、LEDエピタキシャル構造の発光効率及び歩留まりに大きく影響する。図1に示されるように、このAlGaInPフリップチップ発光ダイオードは、電流拡散層、N型層、MQW発光層、及びP型層を有し、その電流拡散層は通常AlGaInP材料系を用いるが、AlGaInP系は、エピタキシャル工程において、温度窓が±10℃と小さく、しかもIn取り込み効率の制限により成長速度が温度依存性となり、成長速度が7Å/Sに達した時点で成長の限界に達してしまい、成長結晶の品質を制御することが困難であった。
【0046】
以上のような欠点に鑑み、本実施例のAlGaInP系LEDエピタキシャル構造の成長方法は、有機金属気相成長法(MOCVD)により、n−GaAs基板100上に、下から上に厚さ0.2μmのn−GaAsバッファ層101と、厚さ0.2μmのGaInPエッチングストップ層102と、厚さ70nmのn−GaAs接触層103と、厚さ3μmのAl0.45Ga0.45As電流拡散層104と、厚さ0.3μmのn−AlInPのN型層105と、厚さ0.2μmの(AlGa1−z0.5In0.5P発光層106と、厚さ0.3μmp−AlInPのP型層107と、厚さ1.2μmのP−GaP窓層108と、を順次にエピタキシャル成長させ、ここで、バッファ層が設けられるため基板表面におけるエピタキシャル構造の成長を容易にすることができ、そしてバッファ層の上に後続のフリップチップ発光ダイオードの製造プロセスにおける基板を除去するためのエッチングストップ層が設けられている。このエッチングストップ層上には、電極のオーミック接触のための接触層が設けられている。前記発光層は多重量子井戸構造であり、井戸及び障壁の材料は(AlGa1−yIn1−zP、0<y<1,0<z<1であり、y/zの値を調整して、緑色から赤色の発光波長が560−650nmの発光ダイオード構造を得ることができ、本実施例において、井戸層は(Al0.1Ga0.90.5In0.5Pであり、障壁は(Al0.65Ga0.350.5In0.5Pであり、発光波長は620〜624nmの間であることが好ましい。N−AlInP制限層は電子の提供に用いられ、P−AlInP制限層はキャビティの提供に用いられる。窓層はP型層に設置されてP型層側の電流拡散に用いられる。ここで、Al0.45Ga0.45As電流拡散層の成長温度は650〜710℃の間であり、成長時間は25分で、成長ガスはTMAl、TMGa、AsHであり、成長厚さは3μmである。
【0047】
図2に示されるように、発光ダイオードエピタキシャル構造は、成長基板100と、バッファ層101と、エッチングストップ層102と、接触層103と、電流拡散層104と、N型層105と、発光層106と、P型層107と、窓層108と、を有し、電流拡散層はAl0.45Ga0.45Asである。
【0048】
本発明のフリップチップ型赤外線発光ダイオードエピタキシャル構造及びその製造方法は、以下の利点を有する:
従来のAlGaInP電流拡散層に対して、Al0.45Ga0.45Asの電流拡散層の成長温度窓は680±30℃であり、同じ厚さの成長時間は、従来から一般的に用いられている電流拡散層(Al0.6Ga0.40.5InPの成長時間に対して25分にまで短縮可能、エピタキシャル構造のプロセスは30%程度短縮出来る。MOCVDエピタキシャル成長過程においてPH3の消費量が大幅に減少し、メンテナンス時の安全率が向上し、著しくコストダウンすることができ、そしてAs源を節約できるMOCVDを採用すれば、生産コストをさらに低減できる。
【0049】
実施例2
実施例1のフリップチップ赤色発光ダイオードエピタキシャル構造を用いて、フリップチップ赤色発光ダイオードを得る方法として、具体的には以下のステップがある。前記エピタキシャル構造の窓層上に透明誘電層を設け、誘電層の表面に鏡面層を積層して全鏡面反射層を形成し、鏡面層の下に金属結合層を積層してボンディングし、表面に金属結合層を積層した永久基板を選択し、そして高温高圧ボンディング法により、永久基板をエピタキシャル構造にボンディングする。次に、エピタキシャル成長基板とバッファ層とエッチングストップ層を薄化、化学エッチングにより除去して接触層を露出させ、接触層上方に第1の電極を作製し、第1の電極以外の接触層をエッチングして電流拡散層を露出させ、電流拡散層を粗化処理して光射出面を形成し、そして永久基板裏面に裏面電極を作製して本発明のフリップチップ赤色発光ダイオードを得る。
【0050】
上記鏡面層は、金または金合金を含む単層または多層の鏡面材料であることが好ましく、前記永久基板は、珪素、窒化珪素等の通常の基板材料を使用し、前記第1の電極及び裏面電極は、金、白金、ニッケル、クロム、ゲルマニウムまたはこれらの合金等を用いた従来の金属電極である。
【0051】
この実施例で得られたフリップチップ赤色発光ダイオードは、永久基板上に、上から下へ少なくとも接触層、電流拡散層、N型層、発光層、P型層、鏡面層、基板層、裏面電極が順次に形成され、電流拡散層は光取り出し効率を向上させるために粗面化処理がされている。
【0052】
ESD(静電気保護性能)試験により、チップESD4000Vの性能は25%向上し、高電圧のLED製品の性能要件を満たすことができる。
【0053】
実施例3
実施例1と異なるのは、上記電流拡散層AlGa1−xAs(0<x<1)のxが、0.45<x<0.65であることがより好ましい。xが0.65を超えると、前記電流拡散層が電圧の上昇を引き起こして、従来のチップ電圧範囲を超える0.23V以上となる。本実施例において、電流拡散層はAlGa1−xAs(0<x<1)であることが好ましく、xは0.55であることが更に好ましく、実施例2で作製した工程により得られたチップのESD性能が23%向上した点である。
【0054】
実施例4
実施例1と異なるのは、前記電流拡散層はn型ドーピングであり、そのドーピング濃度は1E18〜2E18であり、この実施例は1E18であり、電流拡散層をエピタキシャル成長させる過程でシリコン源を用いてドーピングし、異なる濃度はシリコン源の流量によって制御でき、n型ドーピングによってn型層及び前記量子井戸発光層との接触抵抗をさらに低減させ、エピタキシャル構造の発熱を低減して電流を節約することができる点である。
【0055】
実施例5
図4及び図5は、本発明の実施例に基づくフリップチップ型AlGaInP系発光ダイオードの製造方法を示すフローチャートであり、主にステップS100〜S300が含まれている。また、ステップS100には、更にサブステップS110〜S130が含まれており、図6図11を参照して以下のように詳しく説明する。
【0056】
(一)エピタキシャル成長
図6に示されるように、まず、成長基板100を用意し、その上に第1の半導体層111、活性層112、第2の半導体層113、第3の半導体層114とを含むエピタキシャル構造を形成する。具体的には、以下の工程が含まれている。通常のGaAs基板である基板100を提供する。ちなみに、基板100はGaAsに限定されず、他の材料を用いても可能である。次に、液相エピタキシャル技術を用いて基板100上にAlGaAs材料層からなる第3の半導体層114を成長させる。この半導体層の厚さは30μm以上であり、50〜220μmであることが好ましく、その中のアルミニウム成分の含有量は20%〜95%であり、30%〜70%であることが好ましい。アルミニウム成分は、発光ダイオードの発光波長により確認することができる。次に、AlGaAs第3の半導体層上にMOCVD法により第2の半導体層113、活性層112及び第1の半導体層111を順次成長させる。1つの実施例において、第1の半導体層111はp型キャップ層及びp型窓層を含み、第2の半導体層はn型オーミック接触層、n型窓層、n型キャップ層などを含むことができる。なお、上記内容は単に構造層をいくつか列挙しただけであり、各層は必ずしも必要なものではなく、例えば、実際の必要に応じてn型窓層を省略したり、n型制限層、p型制限層、AlGaInP移行層等を追加してもよい。各層の役割及びパラメータについては、下記の表1を参照することができる。
【0057】
【表1】
【0058】
本実施例において、第3の半導体層114は、基板と第2の半導体層との間に配置され、後続のチップ製造プロセスにおいて基板が除去される際に、エピタキシャル構造を支持するとともに光射出面として機能する。この第3の半導体は、AlGaAsを用いることが好ましい。まず、AlGaAsとGaAs基板との結晶格子がほぼ完全にマッチングし、液相エピタキシャルによる高速成長が可能であり、次にAlGaAs材料は光吸収を行えず、光取り出し窓として好適である。n型オーミック接触層は、後に装置を作製した後にn型電極とオーミック接触を行うために用いられ、材料は通常GaAsが用いられ、吸光を低減するために50nm以内、例えば5〜20nmの範囲内に抑えることが好ましい。いくつかの実施例では、n型オーミック接触層は、例えばAlGaAsまたはAlGaInPなどの他の材料を用いてもよい。n型の窓層は、n型のオーミック接触層上に設けられ、主に電流を拡散する機能を提供し、その拡散効果は厚さに依存するので、本実施例では具体的な装置のサイズに応じてその厚さを選択できるが、5000nm以下に抑えることが好ましい。一般に、発光ダイオード装置のサイズは、1〜5000μmであってもよく、小さいサイズの装置(例えば、100μm以下)では、電流の拡散が問題とならない場合が多いが、厚さ0を選択することができ、すなわち、n型窓層221を設ける必要がない。また、300μm以上のデバイスに対しては、500nmから5000nmの厚さが好ましい。活性層はエピタキシャル構造の発光層であり、発光波長及び輝度を決定するものである。本実施例において、多重量子井戸構造を採用することが好ましく、具体的には、障壁層としてAla1Ga1−a1InPを使用し、井戸層として、Ala2Ga1−a2InP(ただし、a1>a2)を使用する。n型キャップ層及びp型カバー層の材料は、活性層のバンドギャップに基づいて選択されるが、発光波長が670nm以上の活性層はバンドギャップが低く、カバー層は、AlGaAsやAlGaInPをそのまま用いることができればよく、発光波長が670nm以下、特に640nm以下の活性層はバンドギャップが大きく、一般的には1.9eV以上であり、カバー層は高バンドギャップ材料を用いる必要があり、一般的にはAlIn1−bP材料(0<b<0.5)が選択され、AlGaInP材料系では、最もバンドギャップの高い整合材はAl0.5In0.5Pである。従って本実施例では、n型カバー層及びp型カバー層の双方にAl0.5In0.5P材料を用いることで、活性層とp型キャップ層とのバンドギャップ差を最大化することができる。また、活性層の両側にそれぞれドーピングされていないAlInPもしくはAlGaInP材料層を形成し、ドーピングされていない活性層を採用することにより、p/nドーピング源が活性層224へ拡散して活性層の性能に影響を与えることを抑制することができる。この実施例では、GaP材料を用いることができ、その厚さは1.2μmであることが好ましい。GaP材料の結晶格子定数とp型AlInPキャップ層の結晶格子定数との差が大きいため、p型AlInPカバー層とp型窓層の間に、組成変化し接合に寄与するAlGaInPの移行層を挿入し、AlInPとGaPを接合させてGaP窓層の結晶格子品質を向上させることができる。
【0059】
表1に記載のエピタキシャル構造は、エピタキシャル積層のサイズが100μm×100μm以上の発光ダイオードに適用し、エピタキシャル積層のサイズが300×300μm以上の発光ダイオードに特に好適であり、一定の厚さを持つn型の窓層を形成するため電流拡散能力を向上させるのに好ましい。
【0060】
(2)電極作製
まず、図6に示されるようにエピタキシャル構造の表面にn電極エリアとp電極エリアを定義する。
【0061】
次いで、図7に示されるように、n電極エリアの第1の半導体層111、活性層112及び第2の半導体層113の一部をエッチングしてメサAを形成する。具体的に説明すると、表1に示されるエピタキシャル構造を例として、n電極エリアのp型窓層、p型カバー層、活性層、n型カバー層、n型窓層に対して、n型オーミック接触層が露出するまでエッチングする。この工程においては、n型窓層までドライエッチングを行い、その後、ウェットエッチングにより残留するn型窓層を除去し、n型電極とオーミック接触を形成するように、n型オーミック接触層が表面に露出することを確保することが好ましい。
【0062】
次いで、図8に示されるように、p型窓層表面のp電極エリアと露出したn型オーミック接触層上にそれぞれp電極121とn電極122を作製する。電極の材料としては、例えばAu/AuZn/Auとすることができ、この工程では電極を融合してエピタキシャル構造とオーミック接触させることができる。
【0063】
また、図9に示されるように、エピタキシャル構造の表面を絶縁保護層140で被覆し、p電極121及びn電極122のみを露出させることが好ましい。絶縁保護層140は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム等の材料を用い、厚さを1μm以上とすることが好ましい。
【0064】
図10に示されるように、p電極121及びn電極122上に、絶縁保護層140の一部の表面にまで延在する延在電極131及び132を形成することが好ましい。この延伸電極は、同時に反射鏡面としてもよく、その材料は、チタン、モリブデン、アルミニウム、金、銀及び銅等の金属材料であってもよい。
【0065】
ちなみに、上記実施例では、メサを形成してからn電極を形成した。他の実施例において、第1の半導体層111及び活性層112を貫通する1つ以上の凹部を形成し、これらの凹部内に導電性ポストを形成し、それから、同等の高さのp/n電極を形成しやすいように、第1の半導体層111の表面上にn電極を引く、もしくはエピタキシャル積層の外側領域までn電極を引くこともできる。
【0066】
(3)基板の除去
図11に示されるように、第3の半導体層114を支持して、基板100を除去し、第3の半導体層114の表面を露出させる。この除去は、レーザリフトオフ(LLO)、研削またはエッチングなど、様々な方法によって実現することができるが、特に成長した基板301の材料選択によって、示される特定の実施例において、基板100がGaAsから構成される場合、エッチングまたは研削と選択的エッチングとの組み合わせによって、エッチングストップ層上で選択的エッチングストップとともに除去する。
【0067】
本実施例では、支持層として、30μm以上の厚さのAlGaAs層を液相エピタキシャル成長させ、フリップチップ構造のボンディング工程を省略し、フリップチップ型AlGaInP系発光ダイオードの作製の歩留りを向上させる。
【0068】
実施例5
実施例4と異なるのは、エピタキシャル構造の第2の半導体層113にn型GaAsオーミック接触層を設けず、n型窓層をオーミック接触層として直接採用して、n電極122と直接に接触している点である。表2にこの実施例に適用可能なエピタキシャル構造が示されている。
【0069】
【表2】
【0070】
本実施例では、AlxGax−xInP窓層をそのままオーミック接触層として用いることにより、n電極のメサAを作製する際に、ドライエッチングをn型窓層の表面までドライエッチングを用いるだけで、電極作製の歩留まりが向上する。この実施例では、n型窓層上にn電極を形成した後、高温溶接(例えば300℃以上)を行って、n電極中の金属原子をn型窓層内に拡散させ、n電極とn型窓層とをオーミック接触にするが、n電極の材料は、金、ゲルマニウム、ニッケル、またはこれらの任意の組合せの合金、例えばAuGe、AuGeNi、Au/AuGe/Ni/Au、Au/AuGeNi/Auなどであってもよい。n電極は、n型窓層と直接接触する第1層がAu層または金を含む合金であり、厚さは1nm〜50nmの間、例えば5〜20nmの厚さを有する多層構造であることが好ましい。
【0071】
n型窓層のAl成分xが0.5〜1の範囲内にあり、放射線に対する窓層の吸光効果を効果的に低減できることが好ましい。また、アルミニウムガリウムインジウムリンは、ガリウム砒素のようなエピタキシャル成長基板との結晶格子整合を良好にし、良好な成長品質を実現するので更に好ましい。この場合、前記xは0.6〜0.8の範囲内にある。更に、電流の横方向への拡散を確保するために、前記n型窓層の厚さが0.02〜6.0μmであることが好ましく、2.5〜3.5μmの範囲内にあることがより好ましい。オーミック接触及び横方向への電流拡散効果に応じて、前記n型窓層のドーピング濃度は1×E18以上が好ましく、そして1〜2E18であると更に好ましい。ドーピング濃度がこれより低いと、前記オーミック接触抵抗値が高すぎてしまい、そして更に高いドーピング濃度であると、吸光現象を引き起こし、光取り出し効率を低下させる。このn型窓層のドーピング濃度は、厚さ方向に均一でも不均一でもよいが、ドーピング濃度が不均一である場合、窓層のドーピング濃度の変化が窓層の厚さの方向に沿って変化し、即ち、第1の電極の接触領域に接近すれば接近するほど、ドーピング濃度が高くなり、これによりオーミック接触を促進することができる。
【0072】
本実施例は、小さいサイズの発光ダイオード、例えばエピタキシャル積層のサイズが300μm×300μm以下であるミニ型発光ダイオードまたはマイクロ型発光ダイオードに適用することができる。さらに、本実施例は、第3の半導体層を光射出面とし、光を吸収しやすいGaAsオーミック接触層を省略し、窓層をそのままオーミック接触として用いてn電極に接触することで、発光効率をさらに向上させることができる。
【0073】
実施例6
実施例5と異なるのは、n型窓層はAlGa1−xAsを用い、Al成分xは、0.45〜0.65であることが好ましく、例えば0.5であってもよい。従来のAlGaInP窓層に対して、成長速度限界を7Å/Sから40Å/Sまで高めて、成長速度を3倍以上に高めることができ、エピタキシャル構造の成長時間を30%以上短縮でき、プロセス時間を大幅に短縮でき、生産コストを低減でき、大量生産に有利である。同時に、AlGaAsの温度窓が(680℃±30℃)(680℃±30℃)増加し、エピタキシャル成長の品質をより容易に制御することができる。
【0074】
実施例7
実施例4と異なるのは、エピタキシャル構造の第2の半導体層113には、n型窓層を設けず、エピタキシャル積層のサイズが300μm×300μm以下であるミニ型発光ダイオードまたはマイクロ型発光ダイオードに適用することができる点である。
【0075】
実施例8
実施例4と異なるのは、図12に示されるように、第3の半導体層114は、図12に示すように、n型のドーピングを有し、その厚さは30〜100μmであり、n電極が第3の半導体層に直接に接触する点である。表3にこの実施例に適用可能なエピタキシャル構造が示されている。
【0076】
【表3】
【0077】
本実施例では、オーミック接触層として第3の半導体層114をそのまま採用し、n型窓層及びn型GaAsオーミック接触層を省略して、エピタキシャル積層のサイズが300μm×300μm以下であるミニ型発光ダイオードまたはマイクロ型発光ダイオードに適用することができる。
【0078】
実施例9
実施例4と異なるのは、エピタキシャル構造の第1の半導体層はn型、第2の半導体層はp型であるという点である。具体的には、第1の半導体層111は、n型カバー層、n型窓層を含むことができ、第2の半導体層113は、p型カバー層、p型窓層を含むことができる。
【0079】
【表4】
【0080】
表4に本実施例に適用可能なエピタキシャル構造を示す。このうちn電極はn型窓層に接続され、p電極はp型窓層に接続されている。
【0081】
変形例として、第2の半導体層113は、p電極がGaAsオーミック接触層に接続されるGaAsオーミック接触層を含んでもよい。別の態様では、この第2の半導体層113は、窓層及びオーミック接触層を含まず、第3の半導体層114は、p型の導電を有するとともにオーミック接触層としてp電極に接続される。
【0082】
以上の説明は、本発明の好ましい実施例を説明したに過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神と原理の範囲内で行われるあらゆる修正、均等物、改良等は、本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0083】
100 基板
101 バッファ層
102 エッチングストップ層
103 接触層
104 電流拡散層
105 N型層
106 発光層
107 P型層
108 窓層
111 第1の半導体層
112 活性層
113 第2の半導体層
114 第3の半導体層
121 p電極
122 n電極
131 延在電極
132 延在電極
140 絶縁保護層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】