特表2021-513320(P2021-513320A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ チャールズ・キソク・ソンの特許一覧

<>
  • 特表2021513320-摩擦電気発電素子及びその製造方法 図000003
  • 特表2021513320-摩擦電気発電素子及びその製造方法 図000004
  • 特表2021513320-摩擦電気発電素子及びその製造方法 図000005
  • 特表2021513320-摩擦電気発電素子及びその製造方法 図000006
  • 特表2021513320-摩擦電気発電素子及びその製造方法 図000007
  • 特表2021513320-摩擦電気発電素子及びその製造方法 図000008
  • 特表2021513320-摩擦電気発電素子及びその製造方法 図000009
  • 特表2021513320-摩擦電気発電素子及びその製造方法 図000010
  • 特表2021513320-摩擦電気発電素子及びその製造方法 図000011
  • 特表2021513320-摩擦電気発電素子及びその製造方法 図000012
  • 特表2021513320-摩擦電気発電素子及びその製造方法 図000013
  • 特表2021513320-摩擦電気発電素子及びその製造方法 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-513320(P2021-513320A)
(43)【公表日】2021年5月20日
(54)【発明の名称】摩擦電気発電素子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02N 1/04 20060101AFI20210423BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20210423BHJP
【FI】
   H02N1/04
   B32B15/08 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-546251(P2020-546251)
(86)(22)【出願日】2018年11月12日
(85)【翻訳文提出日】2020年5月21日
(86)【国際出願番号】KR2018013687
(87)【国際公開番号】WO2019103374
(87)【国際公開日】20190531
(31)【優先権主張番号】10-2017-0156387
(32)【優先日】2017年11月22日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】520178401
【氏名又は名称】チャールズ・キソク・ソン
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・キソク・ソン
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB10B
4F100AB10C
4F100AB17B
4F100AB17C
4F100AB24B
4F100AB24C
4F100AB25B
4F100AB25C
4F100AD11B
4F100AD11C
4F100AJ11D
4F100AK01A
4F100AK03D
4F100AK04A
4F100AK04D
4F100AK07A
4F100AK07D
4F100AK12A
4F100AK12D
4F100AK15A
4F100AK15D
4F100AK16A
4F100AK16D
4F100AK21A
4F100AK21D
4F100AK23A
4F100AK27A
4F100AK41A
4F100AK41D
4F100AK42D
4F100AK46A
4F100AK46D
4F100AK49A
4F100AK49E
4F100AK51A
4F100AK51D
4F100AK52A
4F100AK53D
4F100AK54E
4F100AK56E
4F100AK69D
4F100AL05A
4F100AL05D
4F100AL05E
4F100AN01A
4F100AT00B
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA07
4F100CB00
4F100CC00D
4F100GB41
4F100YY00A
4F100YY00D
4F100YY00E
(57)【要約】
既存の圧電素子とは違って、摩擦運動を発生させるための物理的空間が要求されないし、安価で量産しやすい摩擦素材複合体の接合摩擦部によって表面積が極大化され、発電素子の耐久性が改善されて電気を効率的に生産できる摩擦電気発電素子及びその製造方法が開示される。前記摩擦電気発電素子は、中心部に位置して相互異なる2つ以上の高分子からなる接合(junction)構造の摩擦部を含む摩擦電気発生層300;前記摩擦電気発生層300のいずれか一面に対向されて位置する第1電極100;及び前記摩擦電気発生層300の他の一面に対向されて位置する第2電極200;を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部に位置して相互異なる2つ以上の高分子からなる接合(junction)構造の摩擦部を含む摩擦電気発生層300;
前記摩擦電気発生層300のいずれか一面に対向されて位置する第1電極100;及び
前記摩擦電気発生層300の他の一面に対向されて位置する第2電極200;を含む摩擦電気発電素子。
【請求項2】
前記高分子は、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、天然ゴム、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル及びポリジメチルシロキサンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦電気発電素子。
【請求項3】
前記摩擦電気発生層には相互異なる2つの高分子が0.1:99.9ないし99.9:0.1の重量比で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦電気発電素子。
【請求項4】
前記第1及び第2電極は、銅、アルミニウム、金、銀、carbon felt、carbon paper及び炭素ナノチューブ(CNT)が添加された複合体からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦電気発電素子。
【請求項5】
前記第1及び第2電極は、前記摩擦電気発生層と対面する部分を除いた他の外部露出面が、接着成分が塗布されたテープまたは絶縁体物質によってマスキング(Masking)処理されることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦電気発電素子。
【請求項6】
前記摩擦電気発電素子は、
前記第1及び第2電極100、200それぞれの外周面に位置する一対以上の第1コーティング層400;及び
前記第1コーティング層400それぞれの外周面に位置する一対以上の第2コーティング層500;をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の摩擦電気発電素子。
【請求項7】
前記第1コーティング層は、エポキシ、ポリエステル、ポリウレタン、パラフィンワックスとポリオレフィンの混合物、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の摩擦電気発電素子。
【請求項8】
前記第2コーティング層500は、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、これらの混合物及びこれらの中でいずれか一つ以上と前記第1コーティング層400を構成する化合物の混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の摩擦電気発電素子。
【請求項9】
前記摩擦電気発生層の厚さは1nmないし10,000μmであることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦電気発電素子。
【請求項10】
前記第1及び第2電極の厚さは20nmないし5mmであることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦電気発電素子。
【請求項11】
前記第1コーティング層の厚さは100nmないし10mmで、前記第2コーティング層の厚さは1μmないし10mmであることを特徴とする、請求項6に記載の摩擦電気発電素子。
【請求項12】
前記摩擦電気発電素子は、
前記摩擦電気発生層と第1電極の間、及び摩擦電気発生層と第2電極の間それぞれに、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、天然ゴム、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル及びポリジメチルシロキサンからなる群から選択される素材を含む第1界面層600;及び第2界面層700;をさらに含み、
前記第1界面層及び第2界面層は、摩擦電気(Triboelectric)の極性が相互異なることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦電気発電素子。
【請求項13】
a)誘電性質が相違する2つ以上の高分子をそれぞれ溶媒に溶解及び分散させたり、溶解及び分散させた後で混合したり、溶融させて混合する段階;
b)素材が相違する第1電極及び第2電極それぞれの表面の一部をマスキング処理する段階;
c)前記マスキング処理された第1及び第2電極のいずれか一つの電極において、マスキング処理されていない露出面に前記a)段階で混合されたり混合されていない高分子溶液を供給した後で乾燥または硬化させ、電極上に摩擦電気発生層を形成する段階;及び
d)前記摩擦電気発生層の上部に前記摩擦電気発生層が形成されていない残りの電極を積層させた後で圧搾する段階;を含む摩擦電気発電素子の製造方法。
【請求項14】
前記c)段階及びd)段階のいずれか一つ以上の段階が行われた後は、前記摩擦電気発生層をアニーリングさせる工程が行われることを特徴とする、請求項13に記載の摩擦電気発電素子の製造方法。
【請求項15】
前記溶媒は、線形及び環形の脂肪族(alkane)系化合物、芳香族(aromatic)系化合物、ケトン(ketone)系化合物、線形及び環形のエーテル(ether)系化合物、アミン(amine)系化合物、硫化物(sulfide)系化合物及びハロゲン(halogen)系化合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の摩擦電気発電素子の製造方法。
【請求項16】
前記各高分子溶液の混合比は、重量比で0.1:99.9ないし99.9:0.1であることを特徴とする、請求項13に記載の摩擦電気発電素子の製造方法。
【請求項17】
前記摩擦電気発電素子の製造方法は、
e)前記第1電極及び第2電極の各外周面に第1コーティング層を形成する段階;及び
f)前記第1コーティング層の各外周面に第2コーティング層を形成する段階;をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の摩擦電気発電素子の製造方法。
【請求項18】
前記第1コーティング層は、エポキシ、ポリエステル、ポリウレタン、パラフィンワックスとポリオレフィンの混合物、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン及びこれらの混合物からなる群から選択され、前記第2コーティング層は、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、これらの混合物及びこれらの中でいずれか一つ以上と前記第1コーティング層を構成する化合物の混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項17に記載の摩擦電気発電素子の製造方法。
【請求項19】
前記摩擦電気発電素子の製造方法は、
前記c)段階で形成された摩擦電気発生層の表面上に、前記c)段階で使われた高分子混合液を1回以上再供給した後で乾燥させる段階;をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の摩擦電気発電素子の製造方法。
【請求項20】
前記高分子をそれぞれ溶媒に溶解及び分散させた後、混合せずに電極上に各高分子溶液を順次供給して積層型の摩擦電気発電素子が製造されることを特徴とする、請求項13に記載の摩擦電気発電素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年11月22日付韓国特許出願第10‐2017‐0156387号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、摩擦電気発電素子に係り、より詳しくは、既存の圧電素子とは違って、摩擦運動を発生させるための物理的空間が要求されず、安価で量産しやすい摩擦素材複合体の接合摩擦部によって表面積が極大化され、発電素子の耐久性が改善されて電気を効率的に生産できる、摩擦電気発電素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
通常の圧電素子(Piezoelectric device)において、柔軟性にすぐれたPVDFなどの有機系列圧電素材は環境的な有害性及び高い素材コストによって競争力のある製品を製作することが困難である。また、柔軟性がよくない無機系列の圧電素材は、持続される外部圧力によって素材が破裂するなど、耐久性に問題がある。摩擦電気素子(triboelectric device)の場合、摩擦素材間の摩擦運動を発生させるための物理的空間が必要なだけでなく、素子の構造が複雑で量産にも困難があり、摩擦による素材摩耗の度合いが大きくて耐久性に対する信頼度が低い問題が発生する。また、既存の摩擦電気素材は、電極と摩擦素材との間の接合に対する難しさ、そして摩擦素材を素子に適用する工程方法が相違することで量産し難いという短所を持っている。よって、このような短所が補完された摩擦電気発電素子の開発が要求されている実情である。
【0004】
ここで、今まで進められた通常の摩擦電気素子の発電沿革について説明してみると、2012年に異種の摩擦電気素材を2重に配列(bilayer)した後、外部に電極を接するようにし、摩擦電気素材の間の垂直及び水平の動きを通じて電気生産が可能であることを確認し、2013年には異種の摩擦電気素材を交互に回転させる方式でも電気生産が可能であることを示し、個別摩擦電気素子を多層(並列構造)で構成して発電効率を改善したこともある。2014年には3次元構造の摩擦電気素子を通じて発生電流の量を大きく改善し、自転車車輪の形象を持つ円盤電極と摩擦電気素材を中心軸を基準にして回転させることで効率的な摩擦電気生産が可能であることを確認し、薄膜の摩擦電気素材にマイクロン単位でgratingして電極と重ねた後、水平移動することで効率的な電気生産が可能であることを示し、gratingされた摩擦電気素材と電極にばねをつけて素材と電極の間の水平移動及びばねを通じるエネルギー保存によって高い効率の(〜85%)物理エネルギーを電気エネルギーへと転換可能であることを確認した。
【0005】
2015年には、摩擦素材の間に鋼鉄の棒を軸受けの用途で挿入することによって、少ないエネルギーを加えても摩擦素材が柔らかく動けるように構造を改善し、それにもかかわらず摩擦電気の生産効率がさほど落ちないことを示した。また、ハイブリッド方式として電磁気発電機(AC)と摩擦電気素子(AC)を直列または並列で連結することで電圧や電流の量をもっと安定的に供給することができることを見つけ、さらに太陽電池(DC)と摩擦電気素子(AC)も連結することで光と運動エネルギーから同時に電力を生産できることを確認した。以後、摩擦電気素材の間のマイクロまたはナノ単位のパターニングを通じて電力生産効率を改善する研究が進められていて、素材を変更したり、運動エネルギーを受け入れる形態(垂直、水平、回転、曲がりなど)を変えながらもっと効率を改善させた。最近、注目すべき研究結果としては、摩擦電気素子の一面は基板に固定し、他の一面は風に搖れるように置くことで風力発電機としての活用可能性を示した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記紹介された全ての摩擦電気素子とは違って、本発明で説明しようとする摩擦電気素子は、物理的に摩擦電気素材間に不要な構造を排除し、ナノ単位または最大マイクロン単位の摩擦電気素材domainの間の接触がフィルムが曲がることによって離れたり、くっつく現象を利用して電力を生産する。これは、既存研究の素材表面の形象を調節するという面で発電した姿であり、幾つかの方式の運動エネルギーを活用する方案を研究することを受け継ぐことで正統性も確保した。
【0007】
よって、本発明の目的は、既存の圧電素子とは違って、摩擦運動を発生させるための物理的空間が要求されず、安価で量産しやすい摩擦素材複合体の接合摩擦部によって表面積が極大化され、発電素子の耐久性が改善されて電気を効率的に生産できる、摩擦電気発電素子及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、中心部に位置して相互異なる2つ以上の高分子からなる接合(junction)構造の摩擦部を含む摩擦電気発生層300;前記摩擦電気発生層300のいずれか一面に対向されて位置する第1電極100;及び前記摩擦電気発生層300の他の一面に対向されて位置する第2電極200;を含む摩擦電気発電素子を提供する。
【0009】
また、本発明は、a)誘電性質が相違する2つ以上の高分子をそれぞれ溶媒に溶解及び分散させたり、溶解及び分散させた後で混合したり、溶融させて混合する段階;b)素材が相違する第1電極及び第2電極それぞれの表面一部をマスキング処理する段階;c)前記マスキング処理された第1及び第2電極のいずれか一つの電極において、マスキング処理されていない露出面に前記a)段階で混合されたり混合されていない高分子溶液を供給した後で乾燥または硬化させ、電極上に摩擦電気発生層を形成する段階;及びd)前記摩擦電気発生層の上部に、前記摩擦電気発生層が形成されていない他の電極を積層させた後で圧搾する段階;を含む摩擦電気発電素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明による摩擦電気発電素子及びその製造方法は、既存の圧電素子とは違って、摩擦運動を発生させるための物理的空間が要求されず、安価で量産しやすい摩擦素材複合体の接合摩擦部によって表面積が極大化され、発電素子の耐久性が改善され、電気を効率的に生産できるという長所を持っている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施例による摩擦電気発電素子の側断面の模式図である。
図2】本発明によってマスキング処理された電極の模式図である。
図3】本発明の別の実施例による摩擦電気発電素子の側断面の模式図である。
図4】本発明のまた別の実施例による摩擦電気発電素子の側断面の模式図である。
図5】本発明のまた別の実施例による摩擦電気発電素子の側断面の模式図である。
図6】本発明の一実施例によって摩擦電気発電素子に加えられる衝撃による電圧及び電流を測定したグラフである。
図7】本発明の比較例によって摩擦電気発電素子に加えられる衝撃による電圧及び電流を測定したグラフである。
図8】本発明の比較例によって摩擦電気発電素子に加えられる衝撃による電圧及び電流を測定したグラフである。
図9】本発明の比較例によって摩擦電気発電素子に加えられる衝撃による電圧及び電流を測定したグラフである。
図10】本発明の別の実施例によって摩擦電気発電素子に加えられる衝撃による電圧及び電流を測定したグラフである。
図11】本発明の別の実施例によって摩擦電気発電素子に加えられる衝撃による電圧及び電流を測定したグラフである。
図12】本発明の別の実施例によって摩擦電気発電素子に加えられる衝撃による電圧及び電流を測定したグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施例による摩擦電気発電素子の側断面の模式図である。図1に図示されたように、本発明による摩擦電気発電素子は、中心部に位置して相互異なる2つ以上の高分子からなる接合(junction)構造の摩擦部を含む摩擦電気発生層300、前記摩擦電気発生層300のいずれか一面に対向されて位置する第1電極100及び前記摩擦電気発生層300の他の一面に対向されて位置する第2電極200を含む。
【0013】
本発明による摩擦電気発電素子は、外部から加えられる全ての物理的運動エネルギーを電気エネルギーへと転換可能な素子であって、風力発電、潮力発電及び波力発電などに活用可能であり、各発電方式を具現するために、複数の素子が繰り返して配置されるモジュール及びそのモジュールの複数が繰り返して配置される発電機で構成されることができる。それだけでなく、本発明による摩擦電気発電素子は、物理的な動きを感知したり、肌触り(texture)、硬度(hardness)または加えられる力(force)を感知することも可能であってセンサー(sensor)としても活用可能である。
【0014】
前記摩擦電気発生層300は、電気を発生させる摩擦部を含むフィルム形態の摩擦素材複合体(triboelectric composite material)であって、前記摩擦部はナノメートル(nm)ないしマイクロメーター(μm)単位のランダム(random)な接合部(junction)からなって、前記接合部は相互異なる2種以上の素材が不均一に当接しているバルク異種接合(bulk‐heterojunction)の構造を有したり、多重接合(multi‐junction)の構造を有することができ、例えば、バルク異種接合有機太陽電池(bulk‐heterojunction organic photovoltaics、ウェブサイト参照)の活性層(Active Layer)と類似な構造を有することができる。一方、前記多重接合構造は、基本的に前記バルク異種接合構造と類似するが、より規則的な形象で2つ以上の物質が当接している構造であってもよい(ウェブサイト参照)。よって、極性を帯びる各摩擦電気素材の移動距離が極めて短いにもかかわらず、表面積が極大化されて素材耐久性に対する信頼改善と効率的な電気生産が可能となる。
【0015】
一方、前記摩擦電気発生層300の厚さは、1nmないし10,000μm、好ましくは100nmないし5,000μm、より好ましくは1ないし1,000μmであって、前記摩擦電気発生層300の厚さが10,000μmを超過する場合は、接合部で発生した電荷の分離によって形成される電場が集電極まで影響を及ぼすことができず、電圧及び電流が生成されない問題が発生する恐れがあり、1nm未満の場合は集電極間の距離が近すぎてトンネリング(tunneling)現象による素子ショート(short)現象が発生することがある。
【0016】
前記摩擦電気発生層(または、摩擦部)は、誘電性質が相互異なる2つ以上の高分子、好ましくは相互異なる2種の高分子からなるものであって、前記高分子は製造コストが安価で量産しやすい素材、すなわち、例えば、ポリアミド(Polyamide)、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol(PVA))、ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate(PMMA))、ポリエステル(Polyester)、ポリウレタン(Polyurethane)、ポリビニルブチラール(Polyvinyl butyral(PVB))、ポリアクリロニトリル(Polyacrylonitrile)、天然ゴム(natural rubber)、ポリスチレン(Polystyrene(PS))、ポリ塩化ビニリデン(Polyvinylidene chloride)、ポリエチレン(Polyethylene(PE))、ポリプロピレン(Polypropylene(PP))、ポリイミド(Polyimide)、ポリ塩化ビニル(Polyvinylchloride(PVC))及びポリジメチルシロキサン(Polydimethylsiloxane(PDMS))になってもよく、PVCとPMMAの混用、PVCとPVAの混用、PVCとPVBの混用、PPとPMMAの混用及びPEとPMMAの混用が好ましい。前記高分子が2種混合して使われる場合(すなわち、前記摩擦電気発生層が相互異なる2つの高分子を含む場合)のその含まれる(混合する)割合は0.1:99.9ないし99.9:0.1の重量比であって、前記2つの高分子のいずれか一つが微量で含まれても本発明による効果が発生し、好ましくは20:80ないし80:20の重量比、より好ましくは40:60ないし60:40の重量比であってもよい。その他、前記各高分子は10,000ないし5,000,000の重量平均分子量(Mw)を持つことが好ましい。
【0017】
前記のように摩擦部を誘電性質が相違する高分子で構成するようになれば、誘電性質が異なる高分子間のバックボーン(backbone)及び官能基の結合が破れてラジカルを形成するようになり、これは2つの物質間の電荷移動が電子またはラジカルによって形成された物質移動(material transfer)によって生じ得ることを意味する。さらに、高分子内部のイオン単分子が既に存在したり摩擦によって形成される時、これらも異種の高分子間を移動するようになって電荷移動の原因になれる。このような理由によって、2つの物質間に電荷が分離されることで摩擦電気が発生する。
【0018】
一方、前記高分子素材の量産性をより高めるために、Acetone、Tetrahydrofuran(THF)、Toluene、Dichloromethane、Chloroform、Toluene、Hexane、Cyclohexane、dimethyl sulfoxide、NMP及び水などの汎用溶媒を利用することができる。すなわち、このような溶媒に前記相互異なる高分子を溶解(dissolve)した後で混合したり、前記高分子を溶融して混合したり、前記相互異なる高分子をそれぞれ水系及び非水系溶媒に分散(water‐borneまたはsolvent‐borne dispersion)させた後で混合する方式(すなわち、エマルジョン重合)を通じて、複合フィルムまたは複合粒子などの複合体(composite material)を形成することができる。
【0019】
したがって、本発明による摩擦電気発電素子は、このように量産しやすい摩擦電気発生層(または摩擦素材複合体、300)を伝導性の両電極(第1電極100、第2電極200)の間に位置(または、挿入)させた後、防水/防湿の役目をするコーティング層400と、支持する役目をするコーティング層500をコーティングさせる簡単な構造を有することで、既存の摩擦電気素子に比べて非常に単純な構造を有し、既に商用化された圧電素子とは類似な構造を有するので、量産性及び信頼性が高い。
【0020】
次に、前記第1電極100及び第2電極200は帯電現象によって電気を通す伝導性物質からなるものであって、これを充たす伝導性物質であれば特に制限せずに適用されることができる。このような伝導性物質では、銅、アルミニウム、金、銀、carbon felt、carbon paper及び炭素ナノチューブ(CNT)が添加された複合体などを例示することができ、前記電極は通常のフィルム形態以外に多孔性フォーム(foam)形態など、その形態においては特に制限がない。
【0021】
ただし、前記第1電極100と第2電極200は、相互異なる素材でそれぞれ構成されてもよい。また、前記第1電極100及び第2電極200の厚さは20nmないし5mm、好ましくは50nmないし1mm、より好ましくは100nmないし100μmであって、前記第1電極100及び第2電極200の厚さが5mmを超過する場合は、所望の素子に対応する柔軟性が低下する恐れがあって、20nm未満の場合には抵抗増加によって素子の性能が低下することがある。
【0022】
一方、前記第1電極100及び第2電極200は、電線を結合(接地)させるために、各電極の一端を摩擦電気発生層300に比べて突出されるように構成することができる(図2参照)。また、本発明において、前記第1電極100及び第2電極200は、両電極間のショート(short)現象を防止し、また、摩擦電気発生層300の面積を素子ごとに同一に維持するために、前記摩擦電気発生層300と対面する部分を除いた残りの外部露出面が接着成分が塗布されたテープやPPまたはPEなどの絶縁体物質によってマスキング(Masking)処理されてもよい。図2は、本発明によってマスキング処理された電極の模式図であって、前記電極のマスキング処理は、図2のAに図示されたように、両面(図2‐Aのa及びb)を対象にしてもよく、図2のBに図示されたように、いずれか一面のみを対象にしてもよいなど、目的とする電極の性能などによって変わることがある。その他、以上で説明されていない電極の基本的な役目などに対する内容は、通常の摩擦電気素子に使われる電極の内容を準用することができる。
【0023】
図3は、本発明の別の実施例による摩擦電気発電素子の側断面の模式図である。一方、前記摩擦電気発電素子は、必要に応じて、図3に図示されたように、前記第1及び第2電極100、200それぞれの外周面に位置して防水、防湿及び酸素遮断などの役目をする一対以上の第1コーティング層400をさらに含むことができ、さらに、前記第1コーティング層400それぞれの外周面に位置して支持などの役目をする一対以上の第2コーティング層500をさらに含むことができる。
【0024】
具体的に、前記第1コーティング層400は、本発明による摩擦電気発電素子の防水性、防湿性、酸素遮断性、耐候性及び耐久性などを向上させ、素子の内部を外部から遮断するための層であって、その素材としては、エポキシ(Epoxy)、ポリエステル(Polyester)、ポリウレタン(Polyurethane)、パラフィンワックス(paraffin wax)とポリオレフィン(polyolefin)の混合物、ポリエチレンテレフタレート(PET、Polyethylene terephthalate)、ポリプロピレン(PP、Polypropylene)、ポリエチレン(PE、Polyethylene)、ポリスチレン(PS、Polystyrene)、ポリ塩化ビニル(PVC、Polyvinyl chloride)、ポリエチレンナフタレート(PEN、Polyethylene naphthalate)、ポリアミド(PA、Polyamide)、ポリビニルアルコール(PVAL、Polyvinyl alcohol)、エチレンビニルアルコール(EVOH、ethylene vinyl alcohol)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC、Polyvinylidene chloride)及びこれらの混合物などを例示することができ、防水性、防湿性、酸素遮断性、耐候性及び耐久性のいずれか一つ以上の性質を有する素材であれば特に制限せずに使われることができる。
【0025】
また、前記第2コーティング層500は摩擦電気発電素子の支持機能を基本的に持っていて、前記第1コーティング層400の機能まで有することができるものであって、より正確には、素子に弾性を与える層である。前記第2コーティング層500の素材としては、ポリイミド(Polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(Polyether ether ketone)、これらの混合物及びこれらの中でいずれか一つ以上と前記第1コーティング層400を構成する化合物の混合物などを例示することができ、柔軟で強いなど摩擦電気発電素子が支持機能を有するようにする素材であれば特に制限せずに使われることができる。
【0026】
前記第1コーティング層400の厚さは100nmないし10mm、好ましくは1μmないし1mm、より好ましくは10ないし100μmであって、前記第1コーティング層400の厚さが前記範囲を脱する場合は、素子の柔軟性が低下したり、防水/防湿などの機能を充分に行うことができない問題が発生することがある。一方、前記第1コーティング層400の量端は、集電極を含む素子全体を水、湿気及び酸素から保護するために、図3に図示されたように、前記第1及び第2電極100、200の量端に比べて突出されるように構成することができる。
【0027】
また、前記第2コーティング層500の厚さは1μmないし10mm、好ましくは5μmないし5mm、より好ましくは10μmないし1mmであって、前記第2コーティング層500の厚さが前記範囲を脱する場合は、素子の柔軟性が低下したり、素子支持機能を充分に行うことができない問題が発生することがある。一方、図3には前記第1コーティング層400と第2コーティング層500の長さを同一に表現したが、これは一例に過ぎなず、前記第2コーティング層500のある一端または量端が前記第1コーティング層400に比べて突出されるように構成することもできる。このように突出して構成すれば、コーティング層が外部支持層によってもう一度完全にコーティングされ(包まれ)、外部からの遮断効果が向上されることができる。
【0028】
図4及び5は、本発明のまた別の実施例による摩擦電気発電素子の側断面の模式図である。一方、本発明による摩擦電気発電素子は、必要に応じて、図4に図示されたように、前記摩擦電気発生層300と第1電極100の間、そして、前記摩擦電気発生層300と第2電極200の間のそれぞれに、ポリアミド(Polyamide)、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol(PVA))、ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate(PMMA))、ポリエステル(Polyester)、ポリウレタン(Polyurethane)、ポリビニルブチラール(Polyvinyl butyral(PVB))、ポリアクリロニトリル(Polyacrylonitrile)、天然ゴム(natural rubber)、ポリスチレン(Polystyrene(PS))、ポリ塩化ビニリデン(Polyvinylidene chloride)、ポリエチレン(Polyethylene(PE))、ポリプロピレン(Polypropylene(PP))、ポリイミド(Polyimide)、ポリ塩化ビニル(Polyvinylchloride(PVC))及びポリジメチルシロキサン(Polydimethylsiloxane(PDMS))からなる群から選択される素材を含む第1界面層600及び第2界面層700をさらに含むことができる。また、本発明による摩擦電気発電素子は、素子の性能を向上させるために、必要に応じて、図5に図示されたように、前記第1界面層600及び第2界面層700を複数の層で構成し、摩擦電気発生層300と交互に積層させることもでき、その順は図5に制限されず、素子性能を考慮して多様な組み合わせからなってもよい。
【0029】
前記第1界面層600及び第2界面層700は、前記摩擦電気発生層300との相互作用及び摩擦電気発生層300で電荷が逆方向に流れることを防いで摩擦電気の発電度合いをより向上させるためのものであって、前記第1界面層600と第2界面層700は摩擦電気(Triboelectric)の極性が相異なって、例えば、前記第1界面層600がPMMAである場合、前記第2界面層700はPVCであってもよい。具体的に、前記第1界面層600と第2界面層700のいずれか一つがPMMA、Polyamide、Polyvinyl Alcohol、Polybutyral及びPolystyreneからなる群から選択されれば、残りの一つの界面層はPVC、PDMS、Polypropylene、Polyethylene及びPolyvinylidine Chlorideからなる群から選択されることができる。
【0030】
その他、前記第1界面層600及び第2界面層700の厚さは1nmないし1mm、好ましくは50nmないし500μm、より好ましくは100nmないし100μmであって、前記第1界面層600及び第2界面層700の厚さが前記範囲を脱する場合は、素子の柔軟性が低下したり、素子の発電性能が低下したり、摩擦電気発生層300で逆方向に動く電荷を遮断する役目をまともに行うことができない問題が発生することがある。
【0031】
一方、今まで説明した摩擦電気発生層300、第1電極100、第2電極200、第1コーティング層400、第2コーティング層500、第1界面層600及び第2界面層700の幅(横×縦、上から見下ろした姿を基準とする)は特に制限せず、目的とする摩擦電気発電素子の大きさ及び特性などによって可変されることができる。
【0032】
次に、図1及び3を参照して、本発明による摩擦電気発電素子の製造方法について説明する。前記摩擦電気発電素子の製造方法は、a)誘電性質が相違する2つ以上の高分子をそれぞれ溶媒に溶解及び分散させたり、溶解及び分散させた後で混合したり、溶融して混合する段階、b)素材が相違する第1電極及び第2電極それぞれの表面の一部をマスキング処理する段階、c)前記マスキング処理された第1及び第2電極のいずれか一つの電極(図面上第2電極、200)において、マスキング処理されていない露出面に前記a)段階で混合されたり混合されていない高分子溶液を供給した後で乾燥または硬化させ、電極上に摩擦電気発生層(または高分子複合フィルム、300)を形成する段階、及びd)前記摩擦電気発生層300の上部に、前記摩擦電気発生層300が形成されていない別の電極(図面上第1電極、100)を積層させた後で圧搾する段階を含む。
【0033】
一方、前記c)段階及びd)段階のいずれか一つ以上の段階が行われた後は、前記摩擦電気発生層300をアニーリングさせる工程が行われてもよく、前記摩擦電気発電素子の製造方法は、必要に応じて、e)前記第1電極100及び第2電極200の各外周面に第1コーティング層400を形成する段階及びf)前記第1コーティング層400の各外周面に第2コーティング層500を形成する段階をさらに含む。
【0034】
本発明によって、摩擦電気発電素子を製造するためには、先ず、誘電性質が相違する2つ以上の高分子をそれぞれ溶媒に溶解及び分散させたり、溶解及び分散させた後で混合したり、誘電性質が相違する2つ以上の高分子を溶融させて混合しなければならない(エマルジョン重合の場合、water‐borne溶液及びsolvent‐borne溶液を混合、a段階)。前記高分子(素材)は摩擦電気発電素子内で電気を発生させる摩擦部を構成するものであって、これに対する具体的な説明は、前記摩擦電気発電素子で記述した高分子に関する内容を準用する。一方、高分子をそれぞれ溶媒に溶解及び分散させた後で混合しない場合は、電極上に各高分子溶液を順次供給することで積層型の摩擦電気発電素子が製造されることができる。
【0035】
前記高分子を溶媒に溶解/分散させることは前記高分子の量産性をより向上させるための本発明固有の工程であって、使用可能な溶媒としては、線形及び環形の脂肪族(alkane)系化合物、芳香族(aromatic)系化合物、ケトン系(ketone)化合物、線形及び環形のエーテル(ether)系化合物、アミン(amine)系化合物、硫化物(sulfide)系化合物及びハロゲン(halogen)系化合物などの有機溶剤を挙げることができ、より具体的には、Hexane、Cyclohexane、Toluene、Acetone、Diethyl ether、Tetrahydrofuran(THF)、N‐Methyl‐2‐pyrrolidone、Dimethyl sulfoxide、Dichloromethane及びChloroformなどの汎用溶媒を例示することができる。
【0036】
前記高分子を溶媒に溶解させる濃度は、0.1ないし10,000g/kg、好ましくは1ないし5,000g/kg、より好ましくは10ないし1,000g/kgであって、前記高分子を溶媒に溶解させる濃度が前記範囲を脱する場合は、前記高分子を溶媒に溶解させることで得られる効果が微々たるものであったり、混合工程が難しいことがある。また、前記高分子を溶媒に溶解させる温度は0ないし70℃、好ましくは10ないし50℃、より好ましくは25ないし40℃であって、前記高分子を溶媒に溶解させる温度が前記範囲を脱する場合、溶解されなかったり分解されたり、または爆発の危険性が増加する問題が発生するおそれがある。
【0037】
この時、各高分子溶液の混合比は0.1:99.9ないし99.9:0.1の重量比、好ましくは20:80ないし80:20の重量比、より好ましくは40:60ないし60:40の重量比であってもよい。一方、相互異なる高分子溶液を混合するa)段階を行う時は、各高分子素材の柔軟性及び衝撃強度を補強するために、必要に応じて、可塑剤及び衝撃補強材などの添加剤をさらに添加することができる。
【0038】
次に、素材が異なる電極(第1電極及び第2電極)を用意した後、各表面の一部をマスキング処理する(b段階)。前記第1電極及び第2電極は、摩擦電気の発電が可能であるように相互異なる素材で構成しなければならない。このように、第1及び第2電極表面の一部をテープでマスキング処理する理由は、両電極間のショート(short)現象を防止し、また、摩擦電気発生層の面積を素子ごとに同一に維持するためであって、前記高分子混合液の塗布(または、供給)を望まない部分をマスキング適用部位とする。その他、電極及びマスキングに対する具体的な説明は、前記摩擦電気発電素子で記述した電極及びマスキングの内容を準用する。
【0039】
前記各電極の表面をマスキング処理した後は、前記第1及び第2電極のいずれか一つの電極(図面上第2電極、200)上に(正確には、電極のマスキング処理されていない露出面に)、前記a)段階で混合されたり混合されていない高分子溶液を供給(塗布)した後で乾燥または硬化させ、一つの電極上に摩擦電気発生層(または高分子複合フィルム、300)を形成させる(c段階)。前記高分子混合液を電極上に供給する方式としては、ドロップキャスティング(drop casting)、スクリーンプリンティング(screen printing)、スピンコーティング(spin coating)、ロトグラビアプリンティング(rotogravure printing)、スプレイコーティング(spray coating)及びインクジェットプリンティング(ink‐jet printing)などがある。その他、前記摩擦電気発生層300の厚さは、1nmないし10,000μm、好ましくは100nmないし5,000μm、より好ましくは1ないし1,000μmであって、前記摩擦電気発生層300の厚さが10,000μmを超過する場合は、接合部で発生した電荷の分離によって形成される電場が集電極まで影響を及ぼすことができなくて電圧及び電流が生成されない問題が発生する恐れがあり、1nm未満の場合は集電極間の距離が近すぎてトンネリング(tunneling)現象による素子ショート(short)現象が発生することがある。
【0040】
一方、前記摩擦電気発電素子の製造方法は、必要に応じて、前記c)段階で形成された高分子複合フィルム(摩擦電気発生層)の表面上に前記c)段階で使われた高分子混合液を1回以上、好ましくは1ないし100回、より好ましくは5ないし20回再供給した後で乾燥させる段階をさらに含む。これは、前記高分子複合フィルムの厚さを調節するための過程であって、前記a)段階の高分子濃度が低いほど再供給回数は多くなり、よって、高分子濃度が高い場合は、このような高分子混合液の再供給過程が行われないこともある。
その他、本明細書において、高分子溶液及び混合液を先に製造し、以後、電極の表面をマスキング処理すると記載しているが、これはあくまで説明の便宜のためのものにすぎず、その手順が変わったり、同時に進められてもよい。
【0041】
前記のように電極上に摩擦電気発生層が形成されると、アニーリングされた摩擦電気発生層300の上部に、前記摩擦電気発生層300が形成されていない他の電極(図面上第1電極、100)を積層させた後で圧搾する(d段階)。前記圧搾はロールプレス方式及びホットプレス方式などの通常の圧搾方式によって、40ないし250℃の温度及び1gFないし100kgFの圧力下で行われることができる。
【0042】
一方、前記c)段階及びd)段階のいずれか一つ以上の段階が行われた後は、前記摩擦電気発生層300をアニーリングさせる工程が行われる。前記アニーリング工程は、摩擦電気発生層300を一定温度にした後、該当温度で一定時間維持させ、続いて室温で冷却させる過程であって、前記摩擦電気発生層300内部の高分子の結集度調節による総接合面積の調節によって発電効率を最適化する用途で利用される。このようなアニーリング工程の温度、所要時間及び回数は、目的とする発電素子の物性などを考慮して任意変更可能であるが、30ないし250℃、好ましくは50ないし150℃の温度下で、1ないし3,600秒、好ましくは10ないし180秒間1ないし24回、好ましくは1ないし10回行われることができる。
【0043】
一方、前記アニーリング工程が行われる場合、図4に図示されたように、前記摩擦電気発生層300と第1電極100の間、そして、前記摩擦電気発生層300と第2電極200の間のそれぞれに(または、摩擦電気発生層300の両面に)、界面層(図4において、第1界面層600及び第2界面層700)が形成されることができる。これは、アニーリング工程の時、加熱によって摩擦電気発生層300の高分子が上下部に漏れる現象であって密度差によるものであり、前記第1界面層600及び第2界面層700は摩擦電気(Triboelectric)の極性が逆の高分子で形成されるように誘導可能である。
【0044】
一方、前記界面層は、アニーリング工程によって形成される方法の他に、電極上に摩擦電気発生層(または高分子複合フィルム、300)を形成させる前、などの時点で意図的に形成されることができる。よって、図5に図示されたように、前記第1界面層600及び第2界面層700を複数の層に構成して摩擦電気発生層300と交差積層させることもでき、その順は図5に制限されず、素子性能を考慮して多様な組み合わせからなることができる。ここで、摩擦電気素子が図5のような構成からなると、素子の性能がより向上されることができる。
【0045】
一方、前記e)段階の第1コーティング層400を形成した後、または前記f)段階の第2コーティング層500を形成した後も、必要に応じて、アニーリング工程がさらに行われることができ、その他、前記第1コーティング層400及び第2コーティング層500の素材及び厚さなどに関する説明は、前記摩擦電気発電素子で記述した内容を準用する。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、具体的な実施例を通じて本発明をより詳しく説明する。下記実施例は本発明を例示するためのものであって、本発明が下記実施例によって限定されることではない。
【0047】
[実施例1]摩擦電気発電素子の製造
先ず、PMMAをTetrahydrofuran(THF)に0.1g/mLの濃度で常温で溶解させ、PVCもTHFに0.1g/mLの濃度で同様に常温で溶解させた後、PMMA溶液とPVC溶液を1:1の重量比で混合して高分子混合液を製造した。
【0048】
次に、アクリル接着剤が塗布されたPETコーティング用紙の表面上に4.3cm×9cm×10μmの大きさを有するアルミニウム電極を接着して電極表面をアセトンで洗浄した後、図2に図示されたような形態で4.3cm×8cmの面積(Exposed Electrode)を除いた残りの部分をスコッチテープでマスキング処理した電極フィルムを2枚用意した。
【0049】
次いで、露出された(マスキング処理されていない)電極フィルム1枚の表面にPMMA‐PVC高分子混合液をバーコーティング(bar coating)して乾燥させて摩擦電気発生層を形成した後、摩擦電気発生層の上部面(表面)に前記PMMA‐PVC高分子混合液をさらに5回バーコーティング及び乾燥させた。
【0050】
以後、マスキング処理された電極フィルム1枚をPMMA‐PVC高分子混合液でコーティングされた電極表面に重ねた後、ラミネイタ(Kolami‐320S、コラミ、大韓民国)を利用して摩擦電気発生層を70ないし90℃で約5秒間アニーリングシキさせ、約1kgFの圧力で圧搾して摩擦電気発電素子を製造した。
【0051】
[実施例2]積層型摩擦電気発電素子の製造
PVCとPMMA溶液を混合せずにPVCとPMMA層を1回順次コーティングして積層したことを除いては、前記実施例1と同様に行って摩擦電気発電素子を製造した。
【0052】
[実施例3]積層型摩擦電気発電素子の製造
PVCとPMMA層を交互に交差して3回ずつコーティングして積層したことを除いては、前記実施例2と同様に行って摩擦電気発電素子を製造した。
【0053】
[実施例4]積層型摩擦電気発電素子の製造
PVCとPMMA層を交互に交差して5回ずつコーティングして積層したことを除いては、前記実施例2と同様に行って摩擦電気発電素子を製造した。
【0054】
[比較例1]摩擦電気発電素子の製造
高分子混合液を使用しないため、ドロップキャスティング、乾燥及びアニーリング工程が排除されたことを除いては、前記実施例1と同様に行って摩擦電気発電素子を製造した。
【0055】
[比較例2]摩擦電気発電素子の製造
PVC溶液を除いて、PMMA‐PVC高分子混合液の代わりにPMMA高分子溶液を使用したことを除いては、前記実施例1と同様に行って摩擦電気発電素子を製造した(すなわち、摩擦電気発生層はPMMA高分子のみで構成)。
【0056】
[比較例3]摩擦電気発電素子の製造
PMMA溶液を除いて、PMMA‐PVC高分子混合液の代わりにPVC高分子溶液を使用したことを除いては、前記実施例1と同様に行って摩擦電気発電素子を製造した(すなわち、摩擦電気発生層はPVC高分子のみで構成)。
【0057】
[実施例1、比較例1〜3]摩擦電気発生量評価
前記実施例1及び比較例1ないし3で製造された摩擦電気発電素子の両電極とマルチメートル(multimeter、UT61E、UNI‐T社、中国)を電線で連結した後、素子に加えられる衝撃による電圧変化を測定した。すなわち、最初10秒の休止期後に20秒間、1秒当たり3回ずつ(3Hz)素子を上下に曲げ、次いで、10ないし20秒の休止期を持ち、以後、最初休止期を除いた残りの過程をさらに2回繰り返した。
【0058】
図6は本発明の一実施例によって摩擦電気発電素子に加えられる衝撃による電圧及び電流を測定したグラフで、図7ないし9は本発明の比較例によって摩擦電気発電素子に加えられる衝撃による電圧及び電流を測定したグラフであって、図6は前記実施例1に該当し、図7ないし9はそれぞれ前記比較例1ないし3に該当する。先ず、前記実施例1で製造された(高分子複合フィルムを使用した)摩擦電気発電素子の場合、図6に図示されたように、素子に加えられる衝撃/変化によって電気が即刻発生することを確認することができた。
【0059】
一方、比較例1で製造された(高分子複合フィルムを使用していない)素子の場合は、図7に図示されたように、摩擦電気が全然発生していないし、比較例2で製造された(PMMA高分子のみを使用した)素子の場合、図8に図示されたように、電気は発生したが実施例1に比べてとても少ないことが分かるし、比較例3で製造された(PVC高分子のみを使用した)素子の場合は、図9に図示されたように、極少量の電気のみが発生することを確認することができた。
【0060】
[実施例2〜4]摩擦電気発生量評価
前記実施例2ないし4で製造された積層型摩擦電気発電素子の両電極とマルチメートル(multimeter、UT61E、UNI‐T社、中国)を電線で連結した後、素子に加えられる衝撃による電圧変化を測定した。すなわち、最初10秒の休止期後に20秒間、1秒当たり3回ずつ素子を上下に曲げ、次いで、10ないし20秒の休止期を持ち、以後、最初休止期を除いた残りの過程をさらに2回繰り返した。
【0061】
図10ないし12は本発明の別の実施例によって摩擦電気発電素子に加えられる衝撃による電圧及び電流を測定したグラフであって、図10ないし12はそれぞれ前記実施例2ないし4に該当する。前記実施例2ないし4で製造された積層型摩擦電気発電素子は、積層型ではない摩擦電気発電素子に関する実施例1と同様、素子に加えられる衝撃/変化によって電気が即刻発生することを確認することができた(図10ないし12を参照)。また、積層数が増加するほど、発生する電気の電圧及び全体的な電流量が増加することも確認することができた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】