(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-513388(P2021-513388A)
(43)【公表日】2021年5月27日
(54)【発明の名称】高テナシティヤーンを用いて作製された超低プロファイルの織られた、編まれた、および編組されたテキスタイルおよびテキスタイル複合材
(51)【国際特許分類】
A61F 2/06 20130101AFI20210430BHJP
A61L 31/08 20060101ALI20210430BHJP
A61L 31/06 20060101ALI20210430BHJP
A61L 31/04 20060101ALI20210430BHJP
A61L 31/14 20060101ALI20210430BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20210430BHJP
D04B 1/16 20060101ALI20210430BHJP
D04B 21/16 20060101ALI20210430BHJP
D04C 1/06 20060101ALI20210430BHJP
D06M 15/507 20060101ALI20210430BHJP
D06M 13/342 20060101ALI20210430BHJP
D06M 101/20 20060101ALN20210430BHJP
【FI】
A61F2/06
A61L31/08
A61L31/06
A61L31/04 120
A61L31/14 500
A61L31/04 110
D03D1/00 Z
D04B1/16
D04B21/16
D04C1/06 Z
D06M15/507
D06M13/342
D06M101:20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-541797(P2020-541797)
(86)(22)【出願日】2019年1月31日
(85)【翻訳文提出日】2020年9月23日
(86)【国際出願番号】US2019016146
(87)【国際公開番号】WO2019152709
(87)【国際公開日】20190808
(31)【優先権主張番号】62/624,546
(32)【優先日】2018年1月31日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】516334709
【氏名又は名称】ザ・セカント・グループ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー,アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】タスカン,メブリュト
(72)【発明者】
【氏名】スムート、カリッサ
(72)【発明者】
【氏名】メッツガー,アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4C081
4C097
4L002
4L033
4L046
4L048
【Fターム(参考)】
4C081AB13
4C081AB17
4C081AC09
4C081BA16
4C081BB02
4C081CA131
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4C081CA242
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4L002AA07
4L002AB02
4L002AC07
4L002BA00
4L002CA00
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4L033AB05
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4L033AB09
4L033AC07
4L033BA53
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4L046AA01
4L046BA00
4L046BB00
4L048AA21
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4L048AA48
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4L048AB11
4L048AC09
4L048BA01
4L048CA01
4L048DA22
4L048EB00
(57)【要約】
低プロファイルを有する血管内および他の医学的適用のためのテキスタイルが、提供される。テキスタイルは、織られ、編まれ、または編組され、かつ低(<17)デニールおよび高テナシティ(少なくとも7グラム/デニール)を有するヤーンから形成される。結果として得られるテキスタイルは、低プロファイル、高い縫合糸保持および極めて低い水透過性を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
17デニール未満のデニールおよび少なくとも7グラム/デニールのテナシティを有するヤーン;
を含む移植可能な医療用テキスタイルであって、
該テキスタイルが、織られており、編組されており、または編まれており;かつ
該テキスタイルが、200マイクロメートル未満の厚さであるテキスタイル。
【請求項2】
請求項1に記載のテキスタイルであって、該テキスタイルが、織られており、かつ該テキスタイルが、60マイクロメートル未満の厚さであるテキスタイル。
【請求項3】
請求項2に記載のテキスタイルであって、該テキスタイルが、平織り、綾織り、縦うね織りまたは横うね織りを含むテキスタイル。
【請求項4】
請求項3に記載のテキスタイルであって、該テキスタイルが、横うね織りであるテキスタイル。
【請求項5】
請求項1に記載のテキスタイルであって、該テキスタイルが、編まれており、かつ該テキスタイルが、140マイクロメートル未満の厚さであるテキスタイル。
【請求項6】
請求項5に記載のテキスタイルであって、該テキスタイルが、縦編みであるテキスタイル。
【請求項7】
請求項1に記載のテキスタイルであって、該ヤーンのデニールが、15デニール〜17デニールであるテキスタイル。
【請求項8】
請求項1に記載のテキスタイルであって、該ヤーンのデニールが、約16デニールであるテキスタイル。
【請求項9】
請求項1に記載のテキスタイルであって、該テキスタイルが、織られており、該テキスタイルが、縦糸方向に1インチ当たり約10回の撚りを有する16デニールのポリエチレンヤーンおよび横糸方向に16デニールのポリエチレンヤーンを有するテキスタイル。
【請求項10】
請求項1に記載のテキスタイルであって、該テキスタイルが、500ミリリットル/分/センチメートル2未満の水透過性を示すテキスタイル。
【請求項11】
請求項1に記載のテキスタイルであって、該テキスタイルが、100ミリリットル/分/センチメートル2未満の水透過性を示すテキスタイル。
【請求項12】
請求項1に記載のテキスタイルであって、さらに該テキスタイルを覆う生体吸収性コーティングを含み、該コーティングが、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(グリセロールセバケート)(PGS)、リジン−ポリ(グリセロールセバケート)(KPGS)、ポリ(グリセロールセバケートウレタン)(PGSU)、アミノ酸が組み込まれたPGSおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、それにより複合材テキスタイルを形成するテキスタイル。
【請求項13】
請求項12に記載のテキスタイルであって、該テキスタイルが、織られており、かつ該複合材テキスタイルが、5ミリリットル/分/センチメートル2未満の水透過性を示し、かつ50マイクロメートル〜75マイクロメートルの厚さを有するテキスタイル。
【請求項14】
請求項12に記載のテキスタイルであって、該コーティングが、織成または編成後に該テキスタイルに適用されるテキスタイル。
【請求項15】
請求項12に記載のテキスタイルであって、該テキスタイルが、編まれており、かつ該複合材テキスタイルが、5ミリリットル/分/センチメートル2未満の水透過性を示し、かつ100マイクロメートル〜200マイクロメートルの厚さを有するテキスタイル。
【請求項16】
請求項1に記載のテキスタイルであって、さらにポリウレタンコーティングを含むテキスタイル。
【請求項17】
移植可能な医療用テキスタイルであって、以下:
該縦糸および横糸のそれぞれにおいて少なくとも10デニールかつ17デニール未満のデニールを有するヤーンから形成された織られたテキスタイルであって、該ヤーンが、さらに少なくとも7グラム/デニールのテナシティを有するテキスタイル;
を含み、該テキスタイルが、60マイクロメートル未満の厚さであり、かつ200ミリリットル/分/センチメートル2未満の水透過性を有する医療用テキスタイル。
【請求項18】
請求項17に記載の医療用テキスタイルであって、さらに該テキスタイルを覆って複合材テキスタイルを形成するコーティングを含み、該複合材テキスタイルが、70マイクロメートル未満の厚さであり、5ミリリットル/分/センチメートル2未満の水透過性を有する医療用テキスタイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001] 本出願は、2018年1月31日に出願された米国特許出願第62/624,546号の利益およびそれに対する優先権を主張し、それは、参照により本明細書にそのまま援用される。
【0002】
[0002] 本発明は、高テナシティ(HT)ヤーンで作製された超低プロファイルの織られた、編まれた、および編組された(braided)テキスタイルおよびテキスタイル複合材に向けられている。
【背景技術】
【0003】
[0003] 血管内動脈瘤修復(EVAR)術式のための血管ステントグラフトにおいて、テキスタイルは、送達デバイスの不動産(real estate)の30%までを占める。織られたEVARおよび経カテーテル弁置換/修復(TVR)グラフト材料における現在の技術水準は、61マイクロメートル(μm)以上の厚さである。この厚さは、送達カテーテルの大きさを14frに制限し、それは、特に女性において、より小さい大腿動脈を有する多くの患者を除外する。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 例示的な態様は、例えば、裸のテキスタイルの厚さが60μm未満であるがなお意図される適用に望ましい強度および透過性の特徴を示す織られた血管内ステントグラフトならびに経カテーテル心臓弁スカートおよびカフ布帛における使用のためのより低いプロファイルのテキスタイルを提供することによって、医学的適用および他の適用のためのテキスタイルにおけるこの限界および他の限界を克服しようとする。加えて、低減したテキスタイルプロファイルを有する例示的な態様を提供することは、より小さな送達システムによるこれらのデバイスの患者への送達を可能にし、潜在的に便益を受け得る患者集団を拡張する。加えて、例示的な態様はまた、医学的適用において用いられる現在の編成テキスタイルよりも著しく薄い厚さを有する編成テキスタイルを達成する。
【0005】
[0005] 一態様において、血管内テキスタイルは、17デニール未満のデニールおよび少なくとも7グラム/デニールのテナシティを有するヤーンを含む。テキスタイルは、織成された、編組された、または編成された構造のものであることができる。裸のテキスタイルの厚さは、100マイクロメートル未満であり、テキスタイルが織られている場合、60マイクロメートル未満であり、コーティングされた織られた血管内テキスタイルは、70マイクロメートル未満の厚さを有する。
【0006】
[0006] 本発明の他の特徴および利点は、本発明の原理を例として図説する添付の図面と合わせて受け取られる以下のより詳細な記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】[0007]
図1は、例示的な態様に従う平織りの移植可能なテキスタイルの一領域の模式的表現である。
【
図2】[0008]
図2は、例示的な態様に従う横うね織りの移植可能なテキスタイルの一領域の模式的表現である。
【
図3】[0009]
図3は、例示的な態様に従う2×2の綾織りの移植可能なテキスタイルの一領域の模式的表現である。
【
図4】[0010]
図4は、一態様に従うコーティングされたシングルバー(single bar)(1−0/1−2)複合材の移植可能な編成テキスタイルである。
【
図5】[0011]
図5は、一態様に従うコーティングされた2GB(1−0/1−2)複合材の移植可能な編成テキスタイルである。
【
図6】[0012]
図6は、一態様に従うコーティングされていない平織りの移植可能なテキスタイルである。
【
図7】[0013]
図7は、一態様に従うPGSでコーティングされた平織り複合材の移植可能なテキスタイルである。
【
図8】[0014]
図8は、一態様に従うコーティングされていない横うね織りの移植可能なテキスタイルである。
【
図9】[0015]
図9は、一態様に従う例示的なグラフト構造物である。
【
図10】[0016]
図10は、一態様に従う例示的な心臓弁である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0017] 血管内動脈瘤修復(EVAR)および経カテーテル大動脈弁置換(TAVR)術式のための低プロファイルの移植可能なテキスタイルが、提供される。
[0018] 本開示の態様は、例えば、本明細書で開示される特徴の1以上を含まないような概念と比較して、17デニール(dn)未満の高テナシティヤーン(少なくとも7グラム/デニール)を含み200マイクロメートル未満のテキスタイルの厚さを有する血管内テキスタイルを提供する。
【0009】
[0019] 経カテーテル術式、例えば血管内動脈瘤修復(EVAR)および経カテーテル大動脈弁置換(TAVR)術式の間に、血管内テキスタイルが、血管の冒された領域を補強するために患者内に挿入されることができる。そのような挿入物が用いられることができる体の領域は、冒された血管の直径によって制限される。低プロファイルのテキスタイルは、血管がより小さい直径のものである体の領域に救命外科技法を適用する機会を与える。さらに、血管内インプラントのプロファイルを低減することにより、インプラントは、デバイスの送達カテーテル内でより少ない空間を占め、身体の追加の領域への送達をさらに増強させる。
図9および
図10は、例示的な態様に従うテキスタイルと共に使用するためのグラフトおよび弁の構造の基本的な形態をそれぞれ模式的に図説しているが、特定の立体構造は広く変動することは、理解されるであろう。
【0010】
[0020] 血管インプラントで必要とされる機能特性を犠牲にすることなくより薄い布帛を作り出すために、低デニール(<17デニール)、高テナシティ(>7グラム/デニール)のヤーンが、より高いヤーン密度を可能にするために使用される。これは、結果として布帛におけるより大きい縫合糸保持および強度特性を達成し、一方でテキスタイル構造の厚さも減少させる能力をもたらす。ある態様において、低デニール、高テナシティヤーンは、マルチフィラメントヤーンである。
【0011】
[0021] 横うね織りのような安定な構造と合わせて高テナシティ特徴を有する17デニール未満の微細なデニールのヤーンを利用することにより、例示的な態様は、より厚い従来のテキスタイルと類似の縫合糸保持強度および水透過性を維持する一方でさらにそのプロファイルも低下させることができる。テキスタイルは、様々な織られた、編まれた、または編組された構造から形成されることができ、それは、ダブルニードル・バーニット、トリコット・ワープ・ニット、平織り、綾織り、うね織り(例えば縦うね織りまたは横うね織り)、繻子織り、朱子織り、模紗織りおよび/または杉綾織りを含むが、それらに限定されない。ある態様において、テキスタイルは、平織り、2×2の綾織り、横うね織りまたは繻子織りから形成される。ある態様において、テキスタイルは、ダブルニードル・バーニットまたはトリコット・ワープ・ニットから形成される。ある態様において、HTヤーンのデニールは、10デニール以上、12デニール以上、14デニール以上、15デニール超、約16デニール、17デニール未満およびそれらの組み合わせである。
【0012】
[0022] ヤーンは、例えばポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびコラーゲンを含む、血管内テキスタイルに適切に使用されることができるあらゆる適切な構造の材料から形成されることができる。特定の現在好ましい態様では、ヤーンは、PETを含む。ある態様において、ヤーンは、実質的に丸い横断面を有する。
【0013】
[0023] ある態様において、テキスタイルは、織られる。例示的な態様において、織られた血管内テキスタイルを作製する方法は、17未満のデニールおよび7グラム/デニールより大きいテナシティを有する高テナシティPETヤーンを織ることを含む。一態様において、テキスタイルは、縦糸に関して10z撚り(すなわち1インチ当たり10回転)を有する16デニールの高テナシティPETヤーンおよび横糸に対してゼロ回の撚りを有する16デニールの高テナシティPETヤーンを使用して織られる。撚りが付与される場合、最初の撚りプロセスの後、ヤーンは、オートクレーブされることができる。これは、織成プロセスを開始する前に寸法安定性を加えるためにヤーンにおける撚りを熱硬化させるのを助ける。
【0014】
[0024] 利用され得る様々な織成パターンの中には、平織り、綾織り、縦うね織りおよび横うね織りがある。平織り、横うね織りおよび2×2の綾織りのそれぞれを利用する例示的な態様の図説が、それぞれ
図1、
図2および
図3において示されている。
【0015】
[0025] 例示的な態様に従うテキスタイルは、好ましくは1インチ当たり450エンド未満のエンド数(EPI)を有し、170未満の1インチ当たりのピック数(PPI)を有する。ある態様において、テキスタイルは、横うね織り構造を有する織機において120〜320EPIおよび80〜148PPIを有する織られたテキスタイルである。場合により、数本の縦糸のエンドが、それぞれのエンドを補強するために束ねられて1つとして織られることができる。これは、結果として向上した縫合糸保持強度特徴を有するテキスタイル構造をもたらし得る。
【0016】
[0026] 織成後、結果として得られたテキスタイルは、布帛上のあらゆる潤滑(lubrications)または汚れを除去するためにごしごし洗われる(scoured)ことができ、次いで例えば大気オーブン中に置かれているステンレス鋼ドラム上で熱硬化させられる、または加熱された幅出し機を通して連続的に供給されることができる。一度布帛が乾燥したら、それは、場合により布帛を圧縮して結果的にさらに薄いプロファイルをもたらすためにカレンダー加工または熱プレスされることができる。
【0017】
[0027] 一態様において、布帛は、洗浄され、次いで寸法安定性のために約205℃(約400°F)で熱硬化させられる。一態様において、布帛は、綿で包まれたローラーおよびステンレス鋼ローラーを使用して約150℃(約300°F)でカレンダー加工される。
【0018】
[0028] 結果として得られた裸のテキスタイルは、一般に35〜60または70マイクロメートルの範囲の厚さを有する。ある態様において、テキスタイルの厚さは、35マイクロメートルより大きい、40マイクロメートルより大きい、50マイクロメートルより大きいことができ、一般に70マイクロメートル未満、例えば60マイクロメートル未満、およびそれらの間のあらゆる範囲または部分範囲である。
【0019】
[0029] 他の態様において、テキスタイルは、低デニール、高テナシティヤーンにより、編組または編成により形成されることができる。例示的な態様に従って編まれたテキスタイルは、単一の連続的な低デニール、高テナシティヤーンを使用して製造され、単一または二重ガイドバー(GB)技法のどちらかを用いて成し遂げられるもの両方を含め、あらゆる適切な編成技法を使用して編まれることができる。結果として得られた裸の編成テキスタイルは、140マイクロメートル未満、例えば約120マイクロメートル以下、例えば約110マイクロメートルの厚さを有する。例示的な態様に従う織られたテキスタイルと同様に、テキスタイルの厚さは、編成後に熱プレスを導入してその厚さを圧縮し、その密度を増大させることによってさらに低減することができ、カレンダー加工されることもできることは、理解されるであろう。
【0020】
[0030] 心臓弁置換または修復のような様々な医学的適用において、水不透過性の障壁を有することが望ましい可能性があることは、理解されるであろう。従って、裸のテキスタイルは、水透過性を低下させるために、織った後に生体吸収性または非生体吸収性材料でコーティングされ、それにより複合材テキスタイルを形成することができる。
【0021】
[0031] 適切な非生体吸収性コーティング材は、ポリウレタン類(PU)および様々なエラストマーを含む。適切な吸収性材料は、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(グリセロールセバケート)(PGS)、リジン−ポリ(グリセロールセバケート)(KPGS)、ポリ(グリセロールセバケートウレタン)(PGSU)、アミノ酸が組み込まれたPGSおよびそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。ある態様において、コーティングは、スプレーコーティング、浸漬コーティングまたは積層技法によって適用されることができる。
【0022】
[0032] ある態様において、テキスタイルの水透過性は、500mL/分/cm
2未満、400mL/分/cm
2未満、375mL/分/cm
2未満、350mL/分/cm
2未満、325mL/分/cm
2未満、300mL/分/cm
2未満、275mL/分/cm
2未満、250mL/分/cm
2未満、225mL/分/cm
2未満、200mL/分/cm
2未満、150mL/分/cm
2未満、100mL/分/cm
2未満、75mL/分/cm
2未満、50mL/分/cm
2未満、30mL/分/cm
2未満、20mL/分/cm
2未満、10mL/分/cm
2未満、5mL/分/cm
2未満、3mL/分/cm
2未満および/または1mL/分/cm
2未満である。
【0023】
[0033] さらに、複合材テキスタイルを形成するためのコーティングの適用はテキスタイルの厚さを増大させることは、理解されるであろう。ある態様において、コーティングされた織られたテキスタイル複合材の厚さは、110マイクロメートル未満、例えば90マイクロメートル未満、好ましくは70マイクロメートル未満であり、40マイクロメートルより大きい、50マイクロメートルより大きい、60マイクロメートルより大きいことができ、または例えば前記のいずれかのあらゆる範囲もしくは部分範囲であることができる。
【0024】
[0034] 例示的な態様において、低プロファイルの編成構造をコーティングする場合、テキスタイルと共に伸長し、その低い水透過性特徴を維持するエラストマーポリマーが、使用されることができる。エラストマーコーティングは、その完全性を維持する一方で独特の幾何学的形状に適合し、編成構造の伸縮性との組み合わせで、体の内部運動および脈動に適合することができる。ある態様において、コーティングされた編成テキスタイル複合材の厚さは、好ましくは170マイクロメートル未満、例えば150マイクロメートル未満、130マイクロメートル未満または120マイクロメートル未満であるが、ある態様において、さらに70マイクロメートルより大きく、80マイクロメートルより大きく、90マイクロメートルより大きく、または前記のいずれかのあらゆる範囲もしくは部分範囲である。
【0025】
[0035] 複合材テキスタイルは、その後、厚さをさらに減少させるためにカレンダー加工されることができる。
【実施例】
【0026】
[0036] 本発明は、実施化されており、平織りおよび横うね織りのテキスタイルが7グラム/デニールより大きいテナシティを有する17デニール未満のHTポリエステル(PET)を使用して形成される例示的な態様が、形成されている。
【0027】
実施例1
[0037] 平織りテキスタイルを、16/10z HT PET縦糸を用いて織り、横糸は、ゼロ回の撚りを有する16デニールHT PETヤーンであった。実施例1のテキスタイルが、
図6において示されている。
【0028】
実施例2
[0038] 続いて、実施例1の平織りテキスタイルを、ポリ(グリセロールセバケート)(PGS)の吸収性コーティングでコーティングした。実施例2のテキスタイルが、
図7において示されている。
【0029】
実施例3
[0039] 実施例1で使用された縦糸および横糸を使用して、横うね織りテキスタイルを織った。
【0030】
[0040] 実施例1〜3を、縫合糸保持および水透過性に関して測定し、7グラム/デニール未満のテナシティを有する20デニールのPETマルチフィラメントヤーンから織られた従来の平織りPETグラフトテキスタイルに対して比較し、結果が、以下の表1において示されている。
【0031】
【表1】
【0032】
[0041] 16デニールのHT PETは、低減した厚さとの組み合わせで向上した縫合糸保持を有することによって、従来の20デニールのPETより性能が優れていた。結果として得られた複合材テキスタイルは、なお70マイクロメートル未満の複合材の厚さおよび1mL/分/cm
2未満の水透過性を示した。
【0033】
[0042] 編成構造も、実施化されてきた。複合材の編成テキスタイルを形成するためのPGSでコーティングされたシングルバー(1−0/1−2)編成テキスタイルが、
図4において示されており、それは、約124マイクロメートルの厚さを有し、ここで、裸の編成テキスタイルは、約111マイクロメートルの厚さを有していた。複合材の編成テキスタイルを形成するためのPGSでコーティングされた、コーティングされた2GB(1−0/1−2)編成テキスタイルが、
図5において示されている。
図5の二重バーの複合材の編成テキスタイルは、約168マイクロメートルの厚さを有し、ここで、裸の編成テキスタイルは、約164マイクロメートルの厚さを有する。シングルバーのテキスタイルは、同じヤーンを使用する場合、構造を作り出すために必要とされるそのヤーンの量の増大のため、一般に二重ガイドバーパターンよりも薄いプロファイルを有するであろうことは、理解されるであろう。
【0034】
[0043] 本明細書で記載される材料および技法によって製造されるテキスタイルは、主に血管内適用、例えば真っ直ぐな、または二股の織られた血管内グラフト;血管内動脈瘤修復(EVAR)および経カテーテル大動脈弁置換(TAVR)術式;ならびに編成血管内グラフトにおける使用に関して記載されているが、ヘルニア修復、泌尿器科、失禁および豊胸術;コーティングされた編組された縫合糸およびテザーを(全て例として)含む様々な他の適用において用いられることもできる。
【0035】
[0044] 本発明は、1以上の態様への参照により記載されてきたが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更がなされることができ、均等物がその要素の代わりに用いられることができることは、当業者には理解されるであろう。加えて、多くの改変が、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、その本質的な範囲から逸脱することなくなされることができる。従って、本発明は、本発明を実施するために意図される最高の方式として開示された特定の態様に限定されず、本発明は、添付された特許請求の範囲内に入る全ての態様を含むであろうことが、意図されている。加えて、詳細な記載において同定された全ての数値は、あたかも正確な値および近似値が両方とも明示的に同定されているかのように解釈されるものとする。
【国際調査報告】