(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【発明の概要】
【0005】
(発明の説明)
局所的な脳低灌流または全体的な低灌流(例えば、脳卒中、心停止による血流ショック、心不全、または外科手術時)による外傷および病態を原因とする神経変性または損傷からCNSを保護する薬剤に対する大きな満たされていない必要性が、研究者に新薬開発につながる新たな標的の探索を促してきた。N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体を標的とする、かつ/または抗炎症特性を有する化合物が、前臨床モデルで有望な結果を示しており、詳細な臨床試験につながった。残念ながら、これらの化合物のほぼ全部が臨床試験に失敗しており、血栓溶解剤が未だに唯一の承認された薬理学的治療である。様々なtPA治療の欠点としては、脳卒中後4.5時間以内である、かなり限られた治療域および出血性の形成異常の可能性が挙げられる。虚血性脳卒中の発症と治療の間の典型的な遅延により、このタイプの治療は禁忌とされることが多い。したがって、虚血性脳卒中後に臨床的に適切な時間枠内で神経細胞死を食い止め予防するために、他の化合物が必要とされている。
【0006】
GHB(γ−ヒドロキシ酪酸)は、哺乳動物の脳にマイクロモルの濃度で存在する、天然に存在するGABA(γ−アミノ酪酸)代謝産物であり神経調節物質である。GHB(ナトリウムオキシベート)は、ナルコレプシーの処方薬として臨床的にも、および娯楽薬(例えば、Fantasy)としても使用されている。GHBは、GABA
B受容体に対する低親和性結合およびニューロンの特定のタンパク質に対する高親和性(ナノモル〜マイクロモル)の両方を示す。GABA
B受容体を介する、十分に確立されたGHBの薬理効果の1つは、体温の低下である(Kaupmann et al.,2003)。これとは対照的に、高親和性結合部位と関係のある神経生理学的効果および神経薬理学的効果は、この結合部位の正確な分子的素性が捉えどころのないものであるため、未だ明らかにされていない。
【0007】
本発明は、以下の一般式(式I):
【化1】
を有し、式中、R
5がHであり、R
1とR
2が環系を形成する場合、上記化合物が、以下の式IIまたは式IV
【化2】
の化合物から選択され、式中、
nが、0または1であり;
Xが、OまたはNHから選択され、
Yが、NH、O、S、CH
2であり、
R
3が、H、−Me、−Et、−Pr、−iPr、−Bu、−iBu、−tBu、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、分岐鎖ヘキシルを含む直鎖もしくは分岐鎖C
1〜C
6−アルキル;−ベンジル、ポリエチレングリコリル(PEG)、または
【化3】
などの基から選択され、式中、R
9およびR
10が互いに独立に、Me、−Et、−Pr、−iPr、−Bu、−iBu、−tBu、ペンチル、ネオペンチル、またはヘキシルを含む直鎖または分岐鎖C
1〜C
6−アルキルから選択され;特に、R
10がH、−Me、−Et、−iPrから選択され;
R
4が、H、−C(=O)−C
1〜C
6−アルキルから選択され、式中、アルキルが、−C(=O)−Me、−C(=O)−Et、−C(=O)−Pr、−C(=O)−iPr、−C(=O)−Bu、−C(=O)−tBuを含む直鎖もしくは分岐鎖;−C(=O)−ベンジル、ポリエチレングリコリル(PEG)、または
【化4】
などの基であり、式中、R
11およびR
12が互いに独立に、−Me、−Et、−Pr、−iPr、−Bu、−iBu、−tBu、ペンチル、ネオペンチル、またはヘキシルを含む直鎖または分岐鎖C
1〜C
6−アルキルから選択され;特に、R
12が、H、−Me、−Et、−iPr、−iBuから選択され;
R
6およびR
7が互いに独立に、H、F、Cl、Br、I、アリール、直鎖または分岐鎖C
1〜8アルキル、−CH
2(CH
2)
p−アリール、−CH=CH−アリール、NH
2、NO
2、OH、SH、直鎖または分岐鎖−O−C
1〜8アルキル、直鎖または分岐鎖−S−C
1〜8アルキル、直鎖または分岐鎖−NH−C
1〜8アルキル、−O−アリール、−S−アリール、−NH−アリールから選択され、アリールが、O、N、またはSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を有するアリールを含み、pが、0または1であり;C
1〜8アルキルが、直鎖または分岐鎖であるMe、Et、Pr、Bu、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル−アルキルを含むか、あるいは
R
2がHであり、R
1とR
5が環系を形成する場合、上記化合物が式III
【化5】
を有し、式中、
nが、0または1であり;
Xが、OまたはNHであり、
mが、0または1であり;
R
3が、H、−Me、−Et、−Pr、−iPr、−Bu、−iBu、−tBu、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、分岐鎖ヘキシルを含む直鎖もしくは分岐鎖C
1〜C
6−アルキル;ベンジル、ポリエチレングリコリル(PEG)、または
【化6】
などの基から選択され、式中、R
9およびR
10が互いに独立に、−Me、−Et、−Pr、−iPr、−Bu、−iBu、−tBu、ペンチル、ネオペンチル、またはヘキシルを含む直鎖または分岐鎖C
1〜C
6−アルキルから選択され;特に、R
10が、H、−Me、−Et、−iPrから選択され;
R
4が、H、−C(=O)−C
1〜C
6−アルキルから選択され、アルキルが、−C(=O)−Me、−C(=O)−Et、−C(=O)−Pr、−C(=O)−iPr、−C(=O)−Bu、−C(=O)−tBuを含む直鎖もしくは分岐鎖、−C(=O)−ベンジル、ポリエチレングリコリル(PEG)、または
【化7】
などの基であり、式中、R
11およびR
12が互いに独立に、−Me、−Et、−Pr、−iPr、−Bu、−iBu、−tBu、ペンチル、ネオペンチル、またはヘキシルを含む直鎖または分岐鎖C
1〜C
6−アルキルから選択され;特に、R
12が、H、−Me、−Et、−iPrから選択され;
R
13およびR
14が互いに独立に、H、F、Cl、Br、I、アリール、直鎖または分岐鎖C
1〜8アルキル、−CH
2(CH
2)
p−アリール、−CH=CH−アリール、NH
2、NO
2、OH、SH、直鎖または分岐鎖−O−C
1〜8アルキル、直鎖または分岐鎖−S−C
1〜8アルキル、直鎖または分岐鎖−NH−C
1〜8アルキル、−O−アリール、−S−アリール、−NH−アリールから選択され、アリールが、O、N、またはSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を有するアリールを含み、pが、0または1であり;C
1〜8アルキルが、直鎖または分岐鎖であるMe、Et、Pr、Bu、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル−アルキルを含み、
ただし、以下のもの:
【化8】
[式中、R’がCOOHであり、R’’がHであり、R’’’がOCH
3であるか、または
式中、R’がCOOHであり、R’’がCH
3であり、R’’’がOHである]
の1つではない、
化合物あるいはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0008】
本発明の範囲内には、異性体、互変異性体、鏡像異性体、ラセミ体、またはその混合物、および重水素化誘導体が含まれる。したがって、例えば、式Iの化合物は、R型またはS型で存在し得るものであり、このような形態はいずれも、ラセミ混合物と同様に本発明の範囲内に含まれる。
【0009】
この文脈では、直鎖または分岐鎖C
1〜C
6−アルキルという用語は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tertブチル、ペンチル、ネオペンチル、ならびにその他の分岐鎖ペンチルヘキシルおよび分岐鎖ヘキシルを含む。直鎖または分岐鎖C
1〜C
8−アルキルという用語は、上記の直鎖または分岐鎖C
1〜C
6−アルキル、ならびにヘプチル、分岐鎖ヘプチル、オクチル、および分岐鎖オクチルを含む。
【0010】
特に目的とする化合物は以下のものである:
i)化合物が式IIまたはIIIを有し、式中、nが0である;
ii)化合物が式IVを有し、nが1である;
iii)R
3およびR
4の一方がHである;
iv)R
3およびR
4がともにHである;
v)化合物が式IIIを有し、R
13がHであり、R
14が、1位または2位にある;
vi)化合物が式IIIを有し、R
13がHであり、R
14が、H、F、Cl、Br、I、アリール、直鎖もしくは分岐鎖C
1〜8アルキル、−CH
2(CH
2)
p−アリール、または−CH=CH−アリールから選択される;
vii)化合物が式IIIを有し、R
13がHであり、R
14が、H、F、Cl、Br、I、Ph、または−CH=CH−アリールから選択される;
viii)化合物が式IIIを有し、式中、R
13がHであり、R
14が、H、F、Cl、Br、I、Ph、または−CH=CH−フェニルから選択される;
ix)R
3が、
【化9】
から選択されるか、または
R
4が、
【化10】
から選択される:
x)R
3が
【化11】
である
xi)化合物が式IIを有し、R
4がHであり、R
3が
【化12】
である;
xii)化合物が式IIIを有し、式中、n=0であり、R
3がHであり、XがOであり、R
4がHであり、R
13が、H、ハロゲン、フェニル、メチルから選択され、R
13が、1位または2位にあり、R
14がHである。
xii)化合物が式IIIを有し、式中、n=0であり、R
3が、H、−Me、−Et、−Pr、−iPr、−Bu、−tBu、およびPhから選択され;XがOであり、R
4がHであり、R
13が、H、ハロゲン、フェニル、メチルから選択され、R
13が、1位または2位にあり、R
14がHである。
xvv)化合物が、以下の構造の1つを有する:
【表1】
*これらの化合物の医学的使用だけが本発明の範囲内に含まれる。
【0011】
本発明はまた、医薬で使用するための式(I)の化合物に関する。
【0012】
必要に応じて、化合物A、B、C、および/またはDについては医学的使用を除外する。
【0013】
より具体的には、本発明は、本明細書で定義される急性脳損傷の治療で使用するための式(I)の化合物に関する。
【0014】
本発明は、社内で開発したGHBの類似体、3−ヒドロキシシクロペント−1−エンカルボン酸(A)(Wellendorph et al.,2005)が急性脳損傷に対する神経保護特性を有することを開示する。式(I)の化合物は同様の神経保護特性を有すると考えられる。一方、AはGHBとは対照的に、GABA
B結合部位に対して親和性を示さず(Klein et al.,2016;Wellendorph et al.,2005)、そのため、GHBで問題となる鎮静作用がない。Aは、「捉えどころのない」高親和性部位にのみ結合する。この結合部位は、
3H−Bと呼ばれる放射標識型の(E,RS)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−5H−ベンゾシクロヘプト−6−イリデン酢酸(NCS−382、B)を用いて探索された。ごく最近、本発明者らは、放射標識型のA(
3H−A)を開発し(Vogensen et al,2013)、これを用いて、
3H−Aの結合がマウス、ラット、およびブタでは主として皮質および海馬脳領域に限られることを特徴付け、明らかにした(Klein et al.,2016)。本発明者らは、Aのナトリウム塩が末梢投与後に容易に脳内に侵入し(Thiesen et al.,2015)、in vivoで高親和性標的に特異的を有して結合し、げっ歯類に500mg/kgもの高用量で投与しても、明らかな急性毒性および鎮静作用は観察されないことを明らかにした。
【0015】
本発明はさらに、社内で開発した新規なBの類似体、(E)−2−(5−ヒドロキシ−2−フェニル−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(2)が急性脳損傷に対する神経保護特性を有することを開示する。本発明者らはさらに、2および関連する類似体1、3〜10が、
3H−Aおよび
3H−Bによって探索された「捉えどころのない」高親和性部位に結合し、細胞膜を通過することを明らかにした。
【0016】
本発明者らは、Aが脳卒中後の細胞損傷の程度を最小限に抑え、機能回復を改善するのに有意な効果を発揮することを明らかにした。具体的には、Aの投与は、梗塞誘発後3〜7日の梗塞の大きさの減少および運動機能の用量依存性な改善を生じた。本明細書の実施例では、運動皮質に局所性脳卒中を誘発してから30分後、3時間後、6時間後、または12時間後にAを投与した。驚くべきことであると同時に、急性脳損傷治療へのAの臨床使用に極めて重要なことに、Aは、梗塞誘発から12時間後に投与しても、梗塞の大きさおよび運動能力の両方に有意な効果を示す。同様に、2は、損傷誘発後3時間または6時間にナトリウム塩として末梢投与すると、有意な神経保護作用を発揮する。
【0017】
Aおよび2の神経保護能の基礎となる機序は未だ推測の域を出ていない。GHBが体温を低下させ、ニューロンでの酸素およびグルコース消費を低下させることはよく知られている。この機序はまた、臨床試験で脳卒中後の治療として有用であることが示されている。しかし、軽度の低体温応答を示し、顕著な保護をもたらすことが報告されているクロメチアゾールなどのGABAモジュレーターは、細胞死を引き起こす事象のカスケードを遅らせるだけであって、それを防ぐことはないことに留意するべきである。このことは、薬物誘発性の低体温をモニターし、そのような応答を誘発する可能性のある薬物または受容体系、例えばGABA
B受容体などを除外する必要性を強調する。GHBによる体温制御は、GABA
B受容体により介在されることが明らかにされており(Kaupmann et al.,2003)、AはGHBとは異なり、GABA
B受容体に結合しない(Wellendorph et al.,2005)。これと一致して、本発明者らは、Aが高用量でもマウスの体温を低下させないことを示し、低体温がAの神経保護活性に関与しないことを強調する。一方、中枢神経全体のグルコース代謝率の低下は、非GABA
B介在性の作用であると思われる。化合物2は、同じ高親和性結合部位に結合できることを考慮すれば、同様の機序によって作用すると考えられる。
【0018】
脳卒中を標的とする薬物開発プログラムでよく研究されてきた方法の1つは、免疫調節化合物の使用である。蓄積しつつある証拠は、炎症誘発応答の活性化と梗塞の大きさの間のつながりを裏付ける。同様に、血液脳関門(BBB)の破壊は、おそらくリンパ球および好中球が浸潤しやすくなることにより、虚血性脳卒中後の転帰を悪化させることがわかっている。Aが脳虚血のこれらの有害な結果を減少させることができるかどうかを検討するため、本発明者らは、選択した炎症マーカーおよびBBB破壊物質であり、よく知られた脳卒中研究の薬物標的である細胞外プロテイナーゼMMP9の発現レベルに注目した。MMP9が脳卒中後(12時間および72時間)に著しくアップレギュレートされるというこれまでの知見を裏付け、本発明者らは、Aがこのアップレギュレーションを有意に低下させることを観察した。さらに、虚血性脳卒中後の炎症マーカーの発現をAによる治療と組み合わせて検討したところ、脳卒中の過程で起こる脳損傷が持続的な炎症性応答を引き起こし、Aはこれを低下させることができることが確認できた。
【0019】
本発明者らは最近、GHB、A、B、ならびに既知の化合物2−((2,6−ジクロロフェニル)アミノ)−5−ヒドロキシフェニル酢酸(C)、および新規な化合物1および2を含むGHB関連類似体の高親和性結合部位の分子的性状がカルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼIIアルファ(CAMK2A)であることを確認した。CAMK2Aは、十量体の酵素であり、シナプス後膜肥厚中に最も大量に存在するタンパク質の1つである(タンパク質全体の2〜6%)。CAMK2Aは、リン酸化およびシナプス活性の調節を含む多数の作用に関与し、長期増強および記憶形成に極めて重要な役割を果たしている。さらに、CAMK2Aタンパク質発現は、虚血性脳卒中後に梗塞周囲領域でアップレギュレートされる。CAMK2Aは、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルイソオキサゾール−4−プロピオン酸(AMPA)およびNMDA受容体をともにリン酸化することが知られており、それが虚血性脳卒中に関与することを考慮すると、CAMK2Aは有望な薬物標的となる(Coultrap et al.,2011)。脳卒中および全脳虚血の前臨床モデルでCAMK2A活性を直接調節することは、顕著な神経保護効果をもたらした。阻害ペプチドTat−CN21を用いたCAMK2Aの調節は脳卒中後の治療に有望であることが明らかにされており(Vest et al.,2007)、CN21は、キナーゼのThr286(pThr286)残基の自己リン酸化の虚血誘発性の増大を防ぐことが明らかにされている(Ahmed et al.,2017)。しかし、ペプチドの使用全般に関連する安定性および細胞浸透性ならびにバイオアベイラビリティの潜在的問題に加えて、Tat−ペプチドはさらに、高血圧を引き起こすことが知られている。脳虚血の標的としてCAMK2Aを調節することは瑣末なことではないことは明らかである(Coultrap et al.,2011)。例えば、ノックアウトマウスモデルでのCAMK2Aの完全な消失は、虚血性脳卒中後の脳損傷を悪化させるように思われた(Waxham et al.,1996)。本発明者らは、A由来の機能の機序がCAMK2A活性とのその直接的な相互作用および調節、例えば、CN21にみられるように、虚血後のpThr286自己リン酸化の阻害、から生じるという仮説を立てている。しかし、本発明者らが得たデータは、A、2、およびCN21の結合部位の間に大きな差があることを示している。CN21はCAMK2AのT部位と直接、相互作用することが知られている(Vest et al.,2007)が、化合物Aおよび関連するGHB類似体は、CAMK2Aのキナーゼドメイン、調節ドメイン、またはhubドメインのいずれかに結合すると考えられる。CAMK2Aに選択的な小分子の非ペプチドリガンドが存在しないことを考慮すると、提示される化合物はまた新規な作用機序を示すと思われる。
【0020】
Aおよび関連する類似体の物理化学的特徴である、腹腔内(i.p.)投与後数分以内のそれらの迅速な吸収、脳内への侵入、および標的への結合が、これらの小分子を極めて興味深いものにしている。式I、II、III、およびIVの化合物はまた、許容される物理化学的特性を有すると考えられる。
【0021】
本発明者らは本明細書で、Aおよび新規な類似体2が、著明な神経保護特性を示し、したがって、急性脳損傷後の神経細胞死を減少させる候補として有望であることを示す。
【0022】
定義:
急性脳損傷
本明細書で使用される「急性脳損傷」という用語は、脳組織に急性に損傷を与えるだけでなく、破壊的な神経毒性作用のカスケードも惹起する、原発性脳傷害または虚血性傷害を指す。例としては、外傷性脳損傷、脳卒中、くも膜下出血、新生児低酸素性虚血性脳症または関連する子宮内合併症、心停止による血流ショック、および外科手術時に起こる、または心不全による全体的な低灌流が挙げられる。
【0023】
本発明の化合物(GHB関連類似体とも表される)
本明細書で使用される「GHB関連類似体」という用語は、GHB関連構造(式I)を共有し、CAMK2Aの固有の部位に結合する本発明の化合物、例えば、A、B、C、1、2、または本発明の他の化合物を指す。
【0024】
自己リン酸化
本明細書で使用される「自己リン酸化」という用語は、CAMK2Aの残基Thr286、Thr305、およびThr306でのリン酸化を指す。
【0025】
CAMK2A
本明細書で使用される「CAMK2A」という用語は、カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII型アルファを指す。
【0026】
脳グルコース代謝率(CMRglc)
本明細書で使用される「CMRglc」という用語は、
14C−2−デオキシグルコースオートラジオグラフィーによって測定される脳グルコース代謝の変化を指す。
【0027】
出血性
本明細書で使用される「出血性」という用語は、脳内または脳周辺に出血を伴う脳卒中を指す。
【0028】
虚血
本明細書で使用される「虚血」という用語は、酸素およびグルコースの送達を制限する、組織への血液供給の途絶を指す。
【0029】
神経保護
本明細書で使用される「神経保護」という用語は、ある化学物質が、神経細胞損傷、例えば脳への急性損傷によって誘発されるものなどの神経細胞損傷を保護する能力を指す。
【0030】
梗塞周囲
本明細書で使用される「梗塞周囲」という用語は、梗塞を取り囲む領域を指す。
【0031】
永久中大脳動脈閉塞(pMCAO)局所虚血
本明細書で使用される「pMCAO」という用語は、中大脳動脈によって供給される領域により定められる領域への永久的な動脈血流の途絶を指す。
【0032】
光親和性標識
本明細書で使用される「光親和性標識」という用語は、UV光で刺激したときに標的に共有結合する化学プローブのUV光による活性化を指す。
【0033】
光血栓性局所虚血
本明細書で使用される「光血栓性局所虚血」という用語は、i.p.注射によって送達される光感受性色素との光化学反応により皮質梗塞を導入する方法を指す。
【0034】
組換え
本明細書で使用される「組換え」という用語は、HEK293T細胞にトランスフェクトされ、タンパク質として発現されるDNA配列を指す。
【0035】
外傷性脳損傷(TBI)
本明細書で使用される「外傷性脳損傷」という用語は、脳の正常な機能の破壊を引き起こし得る、脳への急性損傷を指す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
実施例
材料および方法
ラット脳膜結合アッセイ
化合物を、ラット皮質から調製した粗シナプス膜を用いる既に公開されているプロトコル(Wellendorph et al.,2005およびKlein et al.,2016)に従い、
3H−A、
3H−B、または
3H−GABA結合アッセイ(GABA
Bに対する)で評価した。
3H−Aおよび
3H−Bの結合には、膜を、96ウェルリガンドプレートで0〜4℃にて1時間、50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0またはpH7.4)中で、濃度を漸増させた被験化合物または非特異的結合のための1〜10mM GHBとインキュベートした。インキュベーション後に96ウェルPackardセルハーベスター(PerkinElmer社)を用いたGF/Cユニフィルター(PerkinElmer社、ボストン、マサチューセッツ州、USA)での迅速なろ過および氷冷結合緩衝液での3回の迅速な洗浄を行い、乾燥させたフィルターにmicroscintシンチレーション液(PerkinElmer社)を加え、フィルターに結合した放射能の量をPackard TopCountマイクロプレートシンチレーションカウンター(PerkinElmer社)で定量化した。GABA
B受容体結合アッセイには、膜を、48ウェルの設定で室温にて1時間、2.5mM CaCl
2と40μMイソグバシン(Sigma社)とを含有する50mMトリスHCl緩衝液(pH7.4)中で、濃度を漸増させた被験化合物または非特異的結合のための100μMバクロフェン(Sigma社)とインキュベートした。結合反応を、48ウェルハーベスターおよび氷冷結合緩衝液での迅速な洗浄を用いて、0.1%ポリエチレンイミンに浸漬したGF/Cフィルター(Whatman社)での迅速なろ過により終了させた。乾燥させたフィルターをOptifluorシンチレーション液(PerkinElmer社)に加え、カウントをTricarb 4910TRシンチレーションカウンター(PerkinElmer社)で求めた。データを、非線形回帰カーブフィッティングおよびチェン・プルソフ式によってそれぞれ算出した(対照に対する)%特異的結合およびIC
50またはK
i値として表す。
【0038】
温度記録
マウスを、実験当日のストレスを最小限に抑えるために、実験前の4日間生理食塩水のi.p.注射(0.9%生理食塩水)で前処置した。実験は静かな部屋で実施し、実験前の少なくとも2時間、マウスをその部屋の中で平穏な状態にしておいた。i.p.注射後、マウスをホームケージに2時間入れておき、中核体温を記録し、次いで安楽死させた。中核体温は、潤滑させたサーミスタプローブ(モデルPRA−22002−A、直径2.2mm;ELLAB Instruments社)で温度計(モデルDM852;ELLAB Instruments社;コペンハーゲン、デンマーク)により直腸内で測定した。マウスを尾基底部で持ち、安定した温度測定値が得られるまで測定した。
【0039】
グルコース代謝試験
局所脳グルコース代謝率(rCMRglc)を、実験全体を通して血液試料採取を実施する必要を回避するrCMRglcの半定量的指標(irCMRglc)を用いて、意識があり自由に運動するGABA
B(1)受容体ノックアウトマウス(Kaupmann et al.,2003)で測定した。GBL(200mg/kg)または生理食塩水i.p.注射の10分後に、マウスに生理食塩水0.4mlに溶かした5μCiの
14C−2−デオキシグルコース(比活性54.1mCi/mmol、Sigma社、イギリス)をi.p.注射した。45分後に、マウスを頸椎脱臼により安楽死させ、脳を急速凍結し、薄切まで−80℃で保管した。20μmの対照切片を、ブレグマに対応して2.68mm、1.34mm、0.74mm、−1.7mm、−3.08mm、および−5.68mmで収集し、スライドガラス(Fischer Scientific社、デンマーク)上に解凍マウントした。オートラジオグラフィー画像を、切片をカセット内で
14C感受性プレート(Science Imaging Scandinavia社、ナッカ、スウェーデン)に
14Cマイクロスケール(Amersham社、イギリス)とともに曝露することによって作製した。最後に、撮像プレートを、BAS−2500スキャナー(Fujifilm Europe社、デュッセルドルフ、ドイツ)でスキャンした。前頭皮質および海馬の特異的結合および非特異結合を、ImageJを用いてピクセル密度を測定することにより算出し、換算表を用いてnCiに換算した。
【0040】
局所虚血の光血栓マウスモデル
処置はいずれも、オタゴ大学、動物実験委員会、およびGuide for Care and Use of Laboratory Animals(NIH Publication No.85−23,1996)によって示される実験動物の管理と使用に関するガイドラインに従い実施した。in vivo試験はいずれも、オタゴ大学動物、倫理委員会による承認を受け、ARRIVE(Animal Research:Reporting In Vivo Experiments)ガイドラインに従い報告される。光化学的皮質病変モデルは、脳卒中および外傷性脳損傷(TBI)と臨床的に関係のある急性脳損傷の状態に類似している。局所虚血を、既に記載されている(Clarkson et al.,2010)通りに、体重約23〜30gの雄C57BL/6Jマウス(8〜10週齢)に光血栓法により誘発した。マウスをイソフルラン(O
2中2%〜2.5%)による麻酔下で定位装置に置き、頭蓋を正中切開により露出させ、結合組織を取り除き、乾燥させた。40倍対物レンズに取り付けられ直径2mmの照射を与える冷光源(KL1500 LCD、Zeiss社、オークランド、ニュージーランド)を、ブレグマの側方1.5mmに置いた。次いで、ローズベンガル(Sigma−Aldrich社、オークランド、ニュージーランド;通常の生理食塩水中10mg/ml)0.2mlをi.p.投与した。5分後に、脳を、露出させた無傷の頭蓋を通して15分間照射し、一方で体温を、加温パッド(Harvard apparatus社、ホリストン、マサチューセッツ州、米国)を用いて37.0±0.3℃で維持した。皮膚を接着し、マウスを覚醒期の間、加温パッドの上に置いたケージの中に入れておいた。マウスを12時間の明/暗サイクル下で、餌料および水を自由摂取させて飼育した。さらに、マウスを毎日モニターし、体重を測定した。
【0041】
in vivo試験のための化合物供給源および化合物調製
Aのナトリウム塩を、既に記載されている(Vogensen et al.,2013)通りに社内で合成した。GHBのナトリウム塩、GHBプロドラッグのγ−ブチロラクトン(GBL)、NCS−382(B)、ジクロフェナク、および4’−ヒドロキシジクロフェナクを、Sigma−Aldrich社から購入し、CをCarbosynth社またはSantaCruz社(バークシャー州、イギリス)から入手した。CN21ペプチドを、Genscript社から入手した。
【0042】
in vivo試験には、全ての化合物を、無菌生理食塩水とH
2Oの混合物に溶かして等張(0.9%)にし、マウスの体重1グラム当たり10mg/mlおよび10μlの溶液として投与した。化合物の注射(i.p.)を、光血栓性脳卒中誘発の30分後、3時間後、6時間後、または12時間後に実施した。溶媒群は、同じ時点(30分後、3時間後、6時間後、または12時間後)で対応する体積の生理食塩水(0.9%)を受けた。
【0043】
局所虚血の光血栓モデルでの行動評価
前肢運動能力を、既に記載されている(Clarkson et al.,2010)通りにシリンダータスクおよびグリッド歩行タスクを用いて決定した。全個体を、それぞれ、虚血性傷害の1週間前および3日後または7日後に、試験セッションの前と後の両方で試験した。行動をスコア化する観察者には治療群を知らせなかった。
【0044】
局所虚血の永久中大脳動脈閉塞(pMCAO)モデル
pMCAO試験を、週齢の一致した雄C57BL/6Jマウス(Taconic)の若年成体(7〜8週齢)を用いて実施した。マウスを、日周照明下で別個のゲージで飼育し、餌料(1314 Altromin)および水を自由摂取させた。マウスを、デンマーク動物倫理委員会によって承認されたガイドラインに従い外科手術前の7日間順化させた。
【0045】
局所脳虚血を、左中大脳動脈(MCA)遠位部の永久閉塞により生じさせた。マウスを、Hypnorm(フェンタニルクエン酸塩0.315mg/mlおよびフルアニソン10mg/ml;Jansen−Cilag社)とStesolid(5mg/mlジアゼパム;Dumex社)と蒸留水の混合物の注射(1:1:2;0.20ml/10g体重、s.c.)により麻酔にかけた。マウスを37±0.5℃の温かい加温パッドの上に置き、眼から耳まで皮膚を切開した。耳下腺および側頭筋の上部を押しのけ、MCAの遠位部にドリルで小さい穴を開けた。電気凝固によってMCAを閉塞させ、開いた切開部を4.0ナイロン縫合糸で縫合した。外科手術後に、マウスに等張食塩水1mlを注射し、マウスの眼球を軟膏でコートした。マウスを28℃の回復室で外科手術から回復させた。術後疼痛を治療するため、マウスに1:30希釈のTemgesic(ストック:0.3mg/mlブプレノルフィン;Reckitt & Colman社、イギリス)0.15mlを外科手術直後に開始して8時間間隔で3回、s.c.投与した。
【0046】
pMCAOモデルでの行動評価
感覚運動障害を評価するため、マウスを、脳卒中の2〜3日後にロータロッド試験、握力試験、およびハーグリーブス試験で試験した。
【0047】
ロータロッド(LE8200、Panlab社)は、げっ歯類が回転ロッド上にとどまる時間を評価することにより、その運動能力を測定する。ロッドの回転は脳卒中の48時間後に5分かけて1分当たり0回転から40回転(rpm)に加速し、マウスを20分の間隔(休息時間)をあけて4回の反復試験で試験した。外科手術前に、マウスを、4rpmでロッド上に30秒間とどまるよう予め訓練した。握力計(BIO−GT−3、BIOSEB社)は、マウスにその握った足を放させるのに必要とされる最大の力を求めることによりマウスの神経筋機能の試験を可能にする。マウスに金属格子を握らせ、次いで、水平に後ろ向きに引っ張る。格子にかかる力をピーク張力として記録する。前肢の個々(左および右)の握力と合計(左右)の握力を、pMCAOの前(ベースライン)および3日後に測定した。各マウスを連続5回の試行で試験し、最大握力をスコアとして記録した。温痛覚過敏(通常は無害な熱源からの後肢の引っ込め)を、ハーグリーブス試験の設定で試験した。間に少なくとも2分間の中断を挟んで、片方の後肢につき5回の刺激の遅延時間を記録した。反射遅延の最低スコアと最大スコアを破棄し、左右の平均値を算出し、プロットした。
【0048】
in vivo試験の統計解析
全ての解析を、GraphPad6.0(サンディエゴ、カリフォルニア州、米国)で実施した。全てのデータを平均値+/−SEMで表す。2つのグループを比較する場合には、対応のないt検定を用い、3つ以上のグループを比較する場合には、事後検定にホルム・シダックを用いる一元配置ANOVAを実施した。行動解析には、事後検定にボンフェローニを用いる二次元配置ANOVA(光血栓性虚血のデータ)または反復測定二次元配置ANOVA(pMCAOのデータ)を用いた。
【0049】
組織学的評価
梗塞領域の定量化のため、マウスに生理食塩水、次いで4%パラホルムアルデヒド(PFA)を灌流し、脳を切り出し、後固定のために一晩4%PFAに浸漬した。次いで、脳を30%スクロース溶液に移し、処理まで4℃で保管した。脳を30μmの切片に薄切し、不凍媒体に浮遊させた。切片をマウントし、Lieら(2017)に記載されている通りに、クレシルバイオレットで染色し、梗塞全体を通じて6番目の切片毎に測定することにより、梗塞体積を求めた。全ての解析を、治療群を知らされていない観察者が実施した。pMCAO試験の脳をCO
2(気体)中で急速冷凍し、6つの並行するシリーズの切片(30μm)に処理した。別個のシリーズをスライドガラス上に収集し、梗塞の大きさの解析に使用するか、エッペンドルフチューブに入れ、qPCRに使用した。スライドガラスを、さらなる処理まで−80℃で保管し、次いで、光血栓光化学法で記載した通りにクレシルバイオレット染色し、定量化した。
【0050】
qPCR
梗塞周囲領域の組織を、脳卒中の12〜72時間後に収集し、急速凍結し、RNAを、製造業者の指示通りにRNA miniキット(Qiagen社)を用いて抽出した。抽出したRNAを、全て製造業者のプロトコルに従い、Turbo DNA−freeキット(Ambion社)を使用してDNアーゼで処理した。逆転写を、標準的なPCR機器にqScript(商標)cDNA SuperMix(Quanta Biosciences社、ゲイザースバーグ、メリーランド州、米国)を用いて実施し(25℃で5分間、42℃で30分間、85℃で5分間)、cDNAを、さらなる処理まで−20℃で保管した。
【0051】
qPCRを、PerfeCTa SYBR Green FastMix(Quanta Biosciences社)、無ヌクレアーゼ水(Qiagen社、ウエスト・サセックス州、イギリス)、およびプライマー(TAG Copenhagen社(コペンハーゲン、デンマーク))を混合して96ウェルプレート(Agilent Technologies社、サンタクララ、カリフォルニア州、米国)で実施した。PCRを、95℃で30秒間の初期変性段階、次いで、95℃で5秒間、60℃で15秒間、および72℃で10秒間からなるサイクルを40サイクルで実施した。単一産物増幅を確実に実施するため、95℃で60秒間、55℃で30秒間、および95℃で30秒間からなる解離曲線解析を実施した。qPCRを、Agilent Mx3005P qPCRシステム(Agilent Technologies社)を用いて実施し、対応するMxProソフトウェアを用いてCt値を求めた。2(参照Ct−目的Ct)を用いてΔCt値を算出した。
【0052】
プライマー配列
配列番号1 CD14(F)AATCTACCGACCATGGAGC
配列番号2 CD14(R)ACTTTCCTCGTCTAGCTCG
配列番号3 IL−6(F)CTCTGGGAAATCGTGGAAAT
配列番号4 IL−6(R)CCAGTTTGGTAGCATCCATC
配列番号5 MMP9(F)CAGCCGACTTTTGTGGTCTTC
配列番号6 MMP9(R)CGGCCGTAGAGACTGCTTCTI
配列番号7 GFAP(F)GGAGATGCGGGATGGTGAG
配列番号8 GFAP(R)ACCACGTCCTTGTGCTCCTG
配列番号9 Rpl13a(F)GGAGGGGCAGGTTCTGGTAT
配列番号10 Rpl13a(R)TGTTGATGCCTTCACAGCGT
配列番号11 SDHA(F)GCCCATGCCAGGGAAGATTA
配列番号12 SDHA(R)TGTTCCCCAAACGGCTTCTT
【0053】
血漿中サイトカインの定量化
MCP−1(単球走化性タンパク質−1)、IL−6(インターロイキン−6)、およびIL−1a(インターロイキン−1a)の検出を、製造業者の指示に従いLEGENDplexアッセイキット(BioPlex、BioLegend社、サンディエゴ、カリフォルニア州、米国)を使用して実施した。
【0054】
ラット脳からのGHB高親和性結合部位の光親和性標識および濃縮
粗シナプス膜を、暗所で4℃にて60分間、600nM 4−(4−((3−アジド−5−(アジドメチル)ベンジル)オキシ)フェニル)−4−ヒドロキシブタン酸(SBV3)と0.125mg/mlの濃度でインキュベートした。競合実験には、0.1nM〜10μMの化合物Cを加えた。次いで、膜を非組織培養物で処理したポリスチレンプレート上に移し、高強度(302nm、8W、M−20V)に設定したUVP Benchtopトランスイルミネーターを用いて、室温で4分間照射した。次いで、過剰のSBV3を1×PBSおよび遠心分離で洗い流した。シュタウディンガー・ベルトッツィライゲーションには、膜を1×PBS中0.5mg/mlの濃度に再懸濁させ、0.1%SDSおよび1mM EDTAを用いて37℃で15分間、可溶化した。EZ−Link(商標)Phosphine−PEG
3−Biotin(ThermoFisher Scientific社)を最終濃度200μMになるまで加え、反応物を37℃で60分間振盪した。ストレプトアビジンアフィニティー濃縮の前に、過剰のEZ−Link(商標)Phosphine−PEG3−Biotinを、PD MiniTrap G25スピンカラム(GE Healthcare社、ピッツバーグ、ペンシルベニア州、米国)を用いて除去した。
【0055】
ビオチン化タンパク質を、Pierce(商標)High Capacity Streptavidin Agarose(ThermoFisher Scientific社)を用いて濃縮した。可溶化した膜を最終濃度0.01%SDSに希釈し、室温で回転させながら30分間、レジンとインキュベートした。濃縮後、厳密な洗浄方法(10CV 1×PBS、0.01%Tweenで1分間×3回、および10CV 1×PBS、0.01%Tweenで10分間×3回)を実施した。ビオチン化タンパク質を、100μM DTTを添加した1×NuPAGE(商標)LDS試料緩衝液(ThermoFisher Scientific社)中、100℃で10分間、激しく振盪しながら煮沸することによって溶出させた。溶出液をNuPAGE(商標)4〜12%ビス‐トリスゲル(ThermoFisher Scientific社)上に負荷し、175Vで50分間泳動した。ゲルを、製造業者の指示通りにGelCode(商標)Blue Stain(ThermoFisher Scientific社)を用いて染色した。70kDaマーカーと25kDaマーカー(PageRuler(商標)Prestained Protein Ladder、10〜180kDa、ThermoFisher Scientific社)の間のゲル部分を切り出し、1×1mmの立方体に角切りにした。ゲル内消化を、37℃で一晩70ng/バンドのエンドプロテイナーゼLys−C(Sigma−Aldrich社)および37℃で8時間175ng/バンドのトリプシン(Sigma−Aldrich社)を用いて実施した。ペプチド抽出物を、社内で充填したC
18 STAGE Tip上に負荷し、2×20μlの水中40%アセトニトリル、0.5%酢酸で96ウェルマイクロタイタープレートに溶出させ、次いで、真空遠心分離で有機溶媒を除去し、ペプチドを水中2%のアセトニトリル、0.5%の酢酸、0.1%のTFAで再構成した。
【0056】
質量分析
全ての試料を、ナノエレクトロスプレー源を備えたQ−Exactive HF機器(ThermoFisher Scientific社)と連結したEasy−nLC1000で解析した。ペプチドを、社内で1.9μm C18ビーズ(Dr.Maisch社、ドイツ)を充填した15cmの分析カラム(内径75μm)で分離した。カラム温度を、組込み型のカラムオーブン(PRSO−V1、Sonation社、ビーベラハ、ドイツ)を用いて40℃に維持した。ペプチドを、流速250nl/分で35分間、0.5%酢酸中のアセトニトリルを直線勾配的に増加させることによって分離した。Q−Exactive HF質量分析計をデータ依存性取得モードで稼働させた。スプレー電圧を2kVに、SレンズRFレベルを50に設定し、キャピラリー温度を275℃で加熱した。全ての実験を、データ依存性取得モードで実施して、上位10個の多価前駆体をそれらの強度に従って自動的に単離およびフラグメント化した。前のターゲットイオンを40秒間、動的に排除し、全ての実験を、正極性モードを用いて取得した。フルスキャン分解能をm/z 200で60.000に設定し、質量範囲をm/z 350〜1400に設定した。フルスキャンイオンターゲット値は、100ミリ秒の最大充填時間を可能にする3E6であった。高エネルギー衝突解離(HCD)フラグメントスキャンを、単離幅1.3m/zおよび正規化衝突エネルギー28を用い、同時取得に最適な設定で取得した。HCDフラグメントスキャンのターゲット値を1e5に設定し、最大充填時間を45ミリ秒とし、分解能60.000で解析した。
【0057】
未処理LC−MS/MSデータを、MaxQuantソフトウェア(v.1.5.5.1)を用いて処理し、ラットおよびマウスのUniProtデータベース(13.03.2017にダウンロード)に対して検索した。さらに、初期設定の夾雑タンパク質データベースを含め、これにヒットしたものはいずれも、さらなる解析から除外した。システインのカルバミドメチル化を固定修飾とし;セリン、トレオニン、およびチロシン残基のリン酸化、メチオニンの酸化、グルタミンからのピロ−グルタマート形成ならびにタンパク質N末端アセチル化を、可変修飾として設定した。
【0058】
さらなるデータ解析を、Perseus(v.1.5.6.0、マックスプランク生化学研究所、プロテオーム・シグナル伝達部門、ミュンヘン)、Microsoft Office Exel、およびGraphPad Prism(v.7.0)を用いて実施した。MaxQuantを用いたデータベース検索の後、Perseusを用いてproteingroups.txtファイルを処理し、具体的には、部位によって確認されただけのヒットまたはリバースデータベースからのヒットを除外した。次いで、データをGraphPad Prismにエクスポートし、非線形回帰を、「One site−Fit logIC
50」関数を用いて全タンパク質について実施した。Topのベストフィット値およびR
2値をたがいに対しプロットして、競合的な用量依存挙動を示すタンパク質を特定した。
【0059】
HEK293T細胞で発現された組換えCAMK2への
3H−A結合
HEK293Tを、GlutaMax、10%ウシ胎児血清、および1%ペニシリン−ストレプトマイシンを含むダルベッコ改変イーグル培地を使用する標準的条件を用いて培養し、95%O
2、5%CO
2の加湿雰囲気下、37℃でインキュベートした。細胞を、PolyFect(Qiagen社、ウエスト・サセックス州、イギリス)を製造業者のプロトコル通りに用いて、ラットCAMK2A(Origene社の構築物RR201121)またはラットCAMK2B(Origene社の構築物RR200520)でトランスフェクトした。全細胞ホモジネートを、トランスフェクションの48時間後、細胞を氷冷1×PBSで洗浄し剥離によって回収することにより、調製した。細胞を収集し、1000×gで10分間遠心分離した。細胞ペレットを氷冷1×PBSに再懸濁させ、最大速度で20秒間bullet blender中で2×1mmのジルコニウムビーズを用いてホモジナイズした(NextAdvance社、ニューヨーク州、米国)。ホモジネートを遠心分離(10分、4℃、14.000×g)により清澄化した。タンパク質濃度を、Bradfordタンパク質アッセイを用いて求めた。150〜200μgのタンパク質を、5nMの
3H−Aおよび被験化合物と総体積1mlで1時間、0〜4℃にてインキュベートした。非特異的結合を、1〜10mMのGHBで決定した。タンパク質を次いで、氷冷アセトン(アッセイ体積の4倍)を加え、ボルテックスし、−20℃で1時間インキュベートすることにより、沈殿させた。タンパク質をGF/Cユニフィルター(Whatman社)で迅速にろ過し、洗浄した。乾燥させたフィルターにシンチレーション液を加え、Tricarb 2100シンチレーションカウンター(Packard社)で放射能を測定した。
【0060】
tsA201細胞中のGHB類似体のMCTを介する取込み
取込みを、tsA201細胞中のMCTの内因性の発現を利用する細胞浸透性pH感受性色素2’,7’−ビス(2−カルボキシエチル)−5(6)−カルボキシフルオレセインアセトキシメチルエステル(BCECF−AM)(Molecular Probes社)を用いて測定した。アッセイ前日に、細胞を、底が透明でポリ−D−リシンでコートした黒色の96ウェルプレート(VWR社、ラドナー、ペンシルベニア州、米国)に播いた(50,000個/ウェル)。アッセイ当日に、培地を除去し、細胞を、緩衝液(20mM HEPES、1mM CaCl
2、1mM MgCl
2、および1.8mMプロベネシドを添加したHBSS、pH7.4)中のBCECF AMを50μl/ウェル(1.6μM)添加することにより負荷し、遮光した状態で45分間、37℃でインキュベートした。次いで、細胞を緩衝液100μlで2回洗浄し、細胞プレートをFlexStation 3リーダー(Molecular Devices社)で37℃にてアッセイした。リガンド添加後に、放出される蛍光を、485/444nmで励起後538nmで2分間記録した。485/444nmの蛍光をナイジェリシン検量曲線により細胞内pHに換算した。
【0061】
切り出したマウス組織でのpThr286自己リン酸化
光血栓性局所虚血の標準的プロトコルとともに、マウスを、損傷の30分後、生理食塩水または175mg/kgのA(i.p.)で治療した。損傷の3時間後に、マウスを屠殺し、脳を切り出し、1%ホスファターゼおよびプロテアーゼ阻害剤(ホスファターゼ阻害剤カクテル3 #P0044(Sigma社)、ホスファターゼ阻害剤カクテル2 #P5726(Sigma社)、および完全EDTAプロテアーゼ阻害剤(Roche社))を添加した氷冷PBSに直ちに5分間浸漬した。梗塞中心部領域からの皮質組織(すなわち、直径2mmの一次運動皮質を含むブレグマの右1.5mm)を切り出し、ドライアイス上で急速凍結した。組織ホモジナイゼーションを、ホスファターゼおよびプロテアーゼ阻害剤を添加した1×RIPA緩衝液、ならびにBullet Blenderを用いて、実施した。自己リン酸化を、総CAMK2Aレベル(抗CAMK2A、#NB100−1983、Novus Biologicals社を用いて定量化した)とリン酸化CAMK2Aのレベル(pThr286:#12716S、Cell Signalling Technology社;ヤギ抗ウサギHRP:#PI−1000 X0126、Vector社)を比較する、ウエスタンブロット解析により評価した。pThr286 CAMK2AおよびCaMK2Aのレベルを、参照タンパク質(抗GAPDH、#NB300−221、Novus Biologicals社)のシグナルに対して正規化した。次いで、正規化したpThr286 CAMK2Aのシグナルと総CAMK2A発現量の比を用いて、自己リン酸化の変化を検出した。バンドのデジタル画像を、冷却CCDカメラ(FluorChem HD2システム、ProteinSimple社)で取得し、デンシオメトリー(densiometric)解析を、ImageStudioLite(LI−COR Biosciences社)で実施した。
【0062】
化学合成
特に明示されない限り、下の実施例で使用される全ての試薬は商業的供給源から入手される。
【0063】
全般的な化学的方法
一般式IIIaの化合物は、下に記載するように、実施例1〜3の手順に従い、適切な置換6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オンから調製され得る。
【化13】
【0064】
一般式IVaの化合物は、下に記載するように、無機塩基の存在下で銅に触媒される、エチル2−(2−ヨード−5−メトキシフェニル)アセタートおよび適切な置換アニリン、フェノール、またはチオフェノール(X=N、O、またはS)から調製され得る。X=CH
2は、適切な置換ハロゲン化ベンジルを用い、パラジウムに触媒される交差カップリング反応により、エチル2−(2−ヨード−5−メトキシフェニル)アセタートから調製され得る。保護基はBBr
3によって切断され得る。
【化14】
【0065】
実施例1
(E)−2−(2−ブロモ−5−ヒドロキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(1)の合成
段階1:H
2O(4.6ml)およびエタノール(10ml)中のNaOH(368mg、9.1mmol)の溶液に、水(10ml)中の2−ブロモ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(Murineddu et al.,2005)(400mg、1.6mmol)とグリオキシル酸一水和物(495mg、6.6mmol)の混合物を室温で加えた。混合物を溶解するまで室温で攪拌し、次いで、4時間加熱還流した。冷却後、真空下でEtOHを除去し、残った水溶液をEt
2O(2×15ml)で洗浄し、HClでpHを1に調整し、EtOAc(2×20ml)で抽出した。合わせた有機相をMgSO
4で乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH 9.5:0.5+1%のAcOH)により精製して、369mg(75%)の(E)−2−(2−ブロモ−5−オキソ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸を褐色の固体として得た。
【0066】
段階2:CeCl
3・7H
2O(231mg、0.6mmol)および(E)−2−(2−ブロモ−5−オキソ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(183mg、0.6mmol)を窒素雰囲気下でMeOH(30ml)に溶かした。この溶液にNaBH
4(351mg、9.3mmol)を0℃で徐々に加えた。反応物を室温で4時間攪拌し、次いで、真空下で溶媒を蒸発させた。残渣にH
2O(50ml)を加え、HClでpHを1に調整した。水相をDCM(3×30ml)で抽出し、合わせた有機相をMgSO4で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(DCM+1%のAcOH)により精製して、(E)−2−(2−ブロモ−5−ヒドロキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(120mg、65%)を白色の固体として得た。
1H NMR(600MHz,Methanol−d
4),δ:7.39−7.36(d,J=8.2Hz,1H),7.35−7.32(dd,J=8.2,2.1Hz,1H),7.26−7.25(d,J=2.0Hz,1H),6.00(s,1H),5.25(s,1H),3.50−3.45(ddd,J=11.9,6.9,4.3Hz,1H),3.07−3.00(m,J=14.2,9.1,2.6Hz,1H),2.81−2.71(m,J=27.5,13.1,9.2,3.5Hz,2H),1.86−1.79(m,J=13.7,9.3,7.0,4.5,2.5Hz,1H),1.74−1.66(m,J=13.6,9.3,4.4,2.7Hz,1H).
13[C]NMR(151MHz,Methanol−d
4),δ:168.8,162.4,142.3,140.3,131.8,129.0,127.4,120.5,114.2,76.3,29.5,29.3,27.5。
【0067】
実施例2
(E)−2−(5−ヒドロキシ−2−フェニル−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(2)の合成
段階1:DMF(16ml)およびH
2O(8ml)中の2−ブロモ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(Murineddu et al.,2005)(100mg、0.4mmol)の溶液にフェニルボロン酸(101mg、0.8mmol)およびK
2CO
3(173mg、1.2mmol)を加えた。溶液を窒素雰囲気下で10分間攪拌し、次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(96mg、0.08mmol)を加え、混合物を窒素雰囲気下でさらに10分間攪拌した。反応物を24時間加熱還流した。真空下でDMFを蒸発させた後、H
2O(160ml)を加え、水相をEt
2O(80ml)で抽出した。有機相をH
2O(160ml)およびブライン(2×80ml)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 9:1)により精製して、2−フェニル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(65mg、68.8%)を黄色の油として得た。
【0068】
段階2:H
2O(0.7ml)およびエタノール(10ml)中のNaOH(59mg、1.4mmol)、H
2O(5ml)中の2−フェニル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(65mg、0.2mmol)およびグリオキシル酸一水和物(79mg、1.0mmol)を用いて、実施例1(段階1)に記載した通りに実施した。カラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH 9.5:0.5+1%のAcOH)により精製して、(E)−2−(5−オキソ−2−フェニル−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(47mg、59%)を黄色の固体として得た。
【0069】
段階3:CeCl
3・7H
2O(145mg、0.3mmol)、(E)−2−(5−オキソ−2−フェニル−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(116mg、0.3mmol)、MeOH(20ml)およびNaBH
4(145mg、5.9mmol)を用いて、実施例1(段階2)に記載した通りに実施した。カラムクロマトグラフィー(DCM+1%のAcOH)により精製して、(E)−2−(5−ヒドロキシ−2−フェニル−5,7,8,9−テトラヒドロ−6Hベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(92mg、80%)を白色の固体として得た。
1H NMR(600MHz,Methanol−d
4),δ:7.61−7.56(d,J=7.4Hz,2H),7.53−7.50(d,J=7.9Hz,1H),7.47−7.42(dd,J=7.9,2.0Hz,2H),7.42−7.37(t,J=7.7Hz,1H),7.35−7.33(d,J=2.0Hz,1H),7.32−7.27(t,J=7.4Hz,1H),6.03(s,1H),5.33(s,1H),3.55−3.39(m,1H),3.24−3.04(m,1H),2.96−2.73(m,2H),1.91−1.67(m,2H).
13[C]NMR(151MHz,Methanol−d
4),δ:170.4,164.1,142.1,141.8,141.7,141.2,129.7,129.3,128.2,127.9,127.8,126.1,115.4,78.5,35.4,30.8,29.3。
【0070】
実施例3
ナトリウム(E)−2−(5−ヒドロキシ−2−フェニル−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)アセタート(2のナトリウム塩)の合成
2(85.4mg、0.290mmol)をエタノール(2ml)に溶かすことによって2のナトリウム塩を調製し、NaOH(aq)(282μl、0.296mmol、0.5M Tritisol)を加えた。真空下で溶媒を除去して、生成物(90mg、99%)を白色の固体として得た。
【0071】
実施例4
(E)−2−(5−ヒドロキシ−2−((E)−スチリル)−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(3)の合成
段階1:CH
3CN(15ml)中の2−ブロモ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(Murineddu et al.,2005)の溶液にスチレン(8.4ml、6.0mmol、2eq)およびトリエチルアミン(5.5ml、39.7mmol、19eq)を加えた。溶液を窒素雰囲気下で5分間攪拌し、次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(725mg、0.4mmol)を加え、混合物を窒素雰囲気下でさらに5分間攪拌した。反応物を22時間加熱還流し、飽和NH
4Cl水溶液(10ml)を加え、次いで、EtOAc(2×20ml)で抽出した。合わせた有機相をH
2Oおよびブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、真空下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 9.8:0.2)により精製して、(E)−2−スチリル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(229mg、52%)を帯黄色の粘着性油として得た。
【0072】
段階2:H
2O(1.9ml)およびエタノール(7ml)中のNaOH(152mg、10mmol)、H
2O(5ml)中の(E)−2−スチリル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(100mg、0.3mmol)およびグリオキシル酸一水和物(140mg、5mmol)を用いて、実施例1(段階1)に記載した通りに実施した。カラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH 9.5:0.5+1%のAcOH)により精製して、(E)−2−(5−オキソ−2−((E)−スチリル)−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(121mg、50%)を黄色の固体として得た。
【0073】
段階3:CeCl
3・7H
2O(70mg、0.1mmol)、(E)−2−(5−オキソ−2−((E)−スチリル)−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(63mg、0.1mmol)、MeOH(20ml)、およびNaBH
4(74mg、1.9mmol)を用いて、実施例1(段階2)に記載した通りに実施した。カラムクロマトグラフィー(DCM+1%のAcOH)により精製して、(E)−2−(5−ヒドロキシ−2−((E)−スチリル)−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(30mg、49%)を白色の固体として得た。
1H NMR(600MHz,Methanol−d
4),δ:7.55−7.50(d,J=6.9Hz,2H),7.45−7.37(m,2H),7.36−7.30(m,J=7.0Hz,2H),7.30−7.27(d,J=5.2Hz,1H),7.25−7.19(m,J=7.3,6.8Hz,2H),6.01(s,1H),5.29(s,1H),3.50−3.40(m,1H),3.18−3.01(m,J=14.1,7.7,3.4Hz,1H),2.97−2.71(m,2H),1.91−1.68(m,2H).
13[C]NMR(151MHz,Methanol−d
4),δ:170.6,164.3,141.6,141.5,138.8,138.1,129.6,129.5,129.3,128.8,127.7,127.4,125.7,115.4,78.6,35.3,30.7,29.3。
【0074】
実施例5
(E)−2−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(4)の合成
【化15】
段階1:H
2O(18mL)およびEtOH(40mL)中のNaOH(1.48g、37.1mmol)、H
2O(40mL)中の2−クロロ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(Murineddu et al.,2005)(1.20g、6.18mmol)およびグリオキシル酸一水和物(2.28g、24.7mmol)を用いて、実施例1(段階1)に記載した通りに実施した。カラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH 9.5:0.5+1%のAcOH)により精製して、(E)−2−(5−オキソ−2−クロロ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(764mg、49%)を白色の固体として得た。
【0075】
段階3:CeCl
3・7H
2O(735mg、3.0mmol)、(E)−2−(5−オキソ−2−クロロ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(740mg、3.0mmol)、MeOH(150mL)、およびNaBH
4(1.1g、30mmol)を用いて、実施例1(段階2)に記載した通りに実施した。カラムクロマトグラフィー(DCM+1%のAcOH)により精製して、(E)−2−(5−ヒドロキシ−2−クロロ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(402mg、52%)を白色の固体として得た。
1H NMR(400MHz,Methanol−d
4),δ:7.44−7.43(d,J=8.25Hz,1H),7.20−1.18(dd,J=2.29,8.25Hz,2H),7.11−7.10(d,J=2.29Hz,1H),6.00(s,1H),5.27(s,1H),3.49−3.45(m,1H),3.07−3.02(m,1H),2.81−2.73(m,2H),1.86−1.80(m,1H),1.74−1.68(m,1H).
13[C]NMR(151MHz,Methanol−d
4),δ:170.3,164.0,143.5,141.2,133.9,130.3,128.7,127.4,115.6,77.8,35.0,30.9,29.0
【0076】
実施例6
(E)−2−(2−ヨード−5−ヒドロキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(5)の合成
【化16】
段階1:乾燥トルエン(35mL)中の2−ブロモ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(Murineddu et al.,2005)(826mg、3.5mmol)、ビス(トリブチルスズ)(4.0g、6.9mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(400mg、0.3mmol)の混合物をアルゴン雰囲気下で3時間加熱還流した。溶媒を、真空下で乾燥するまで蒸発させた。粗生成物を段階2に用いた。
【0077】
段階2:THF(50mL)中の2−(トリブチルスタンニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(1068g、2.4mmol)の溶液を0℃に冷却し、THF(35mL)中のヨウ素(905g、3.6mmol)の溶液を滴加した。0℃で1時間経過した後、飽和Na
2S
2O
3水溶液の添加により反応を停止させた。飽和NaHCO
3水溶液で中和し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 4:1)により精製して、生成物(272mg、27%)を無色の油として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3),δ:7.66(dd,J=8.2,1.7Hz,1H),7.61(d,J=1.7Hz,1H),7.43(d,J=8.1Hz,1H),2.90−2.84(t,J=7.2,5.3Hz,2H),2.75−2.68(m,2H),1.93−1.75(m,4H).
13C NMR(100.6MHz,CDCl
3),δ:205.3,143.2,138.7,138.3,136.1,130.3,99.9,40.9,32.3,25.2,20.9。
【0078】
段階3:H
2O(3mL)およびEtOH(6mL)中のNaOH(215.0mg、5.2mmol)、ならびにH
2O(7mL)中の2−ヨード−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(272mg、0.95mmol)およびグリオキシル酸一水和物(354mg、3.8mmol)を用いて、実施例1(段階1)に記載した通りに実施した。カラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH 9.5:0.5+1%のAcOH)により精製して、(E)−2−(5−オキソ−2−ヨード−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(151mg、46%)を黄色の固体として得た。
1H NMR(400MHz,Methanol−d
4),δ:7.77(dd,J=8.1,1.7Hz,1H),7.72(d,J=1.7Hz,1H),7.47(d,J=8.1Hz,1H),6.68(s,1H),2.82−2.76(dt,J=6.8,4.8Hz,4H),2.07−1.98(p,2H).
13C NMR(100.6MHz,Methanol−d
4),δ:198.2,169.3,153.3,143.7,139.6,137.6,137.5,131.7,126.5,102.0,31.8,26.2,24.2。
【0079】
段階4:CeCl
3・7H
2O(158mg、0.4mmol)、(E)−2−(5−オキソ−2−ヨード−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(145mg、0.4mmol)、MeOH(20mL)、およびNaBH
4(160mg、4.2mmol)を用いて、実施例1(段階2)に記載した通りに実施した。カラムクロマトグラフィー(DCM+1%のAcOH)により精製して、(E)−2−(2−ヨード−5−ヒドロキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(113mg、77%)を白色の固体として得た。
1H NMR(600MHz,Methanol−d
4)δ:7.55(dd,J=8.1,1.9Hz,1H),7.46(d,J=1.9Hz,1H),7.23(d,J=8.1Hz,1H),5.99(s,1H),5.24(s,1H),3.50−3.45(ddd,J=11.8,6.9,4.3Hz,1H),3.04−2.98(ddd,J=14.2,9.1,2.6Hz,1H),2.80−2.71(m,2H),1.86−1.79(m,J=13.6,6.9,4.5,2.5Hz,1H),1.73−1.65(m,J=13.5,9.3,4.3,2.7Hz,1H).
13C NMR(151MHz,Methanol−d
4),δ:170.3,163.8,143.8,142.4,139.3,136.8,129.0,115.7,93.4,77.8,34.9,30.9,29.0.HPLC(254nm):100%。
【0080】
実施例7
(E)−2−(2−フルオロ−5−ヒドロキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(6)の合成
【化17】
段階1:アセトン(35mL)中の2−(トリブチルスタンニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(1017mg、2.3mmol)に、Ag
2O(31mg、0.1mmol)、NaHCO
3(397mg、4.5mmol)、およびF−TEDA−BF
4(1204mg、3.4mmol)を室温で加えた。反応混合物を6時間攪拌還流した。室温に冷却した後、反応混合物を短いセライトパッドでろ過し、真空下で蒸発させた。粗生成物を次の段階に用いた。
【0081】
段階2:H
2O(8mL)およびEtOH(16mL)中のNaOH(221mg、5.5mmol)、ならびにH
2O(16mL)中の2−フルオロ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(179mg、1.0mmol)およびグリオキシル酸一水和物(370mg、4.0mmol)を用いて、実施例1(段階1)に記載した通りに実施した。カラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH 9.5:0.5+1%のAcOH)により精製して、(E)−2−(5−オキソ−2−フルオロ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸を得た。粗生成物を次の段階に用いた。MS(m/z)for C
13H
11FO
3(M−1)
−calcd.:234.1,found:(M)H−233.0。
【0082】
段階3:CeCl
3・7H
2O(235.7mg、0.6mmol)、(E)−2−(5−オキソ−2−フルオロ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(135mg、0.6mmol)、MeOH(30mL)、およびNaBH
4(218mg、5.6mmol)を用いて、実施例1(段階2)に記載した通りに実施した。粗生成物を分取HPLCにより精製して、(E)−2−(2−フルオロ−5−ヒドロキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(23.2mg、17%)を白色の固体として得た。
1H NMR(400MHz,CD
3OD),δ:7.44(dd,J=8.5,5.9Hz,1H),6.89(td,J=8.5,2.7Hz,1H),6.84(dd,J=9.6,2.7Hz,1H),5.98(s,1H),5.26(s,1H),3.46−3.38(ddd,J=12.1,6.9,4.7Hz,1H),3.13−3.04(ddd,J=14.2,8.8,3.4Hz,1H),2.85−2.73(m,2H),1.86−1.70(m,2H).
13C NMR(100.6MHz,Methanol−d
4),δ:170.4,164.6,164.1,162.2,144.1,144.0,138.3,129.3,129.2,117.3,117.1,115.7,113.7,113.5,78.1,35.1,30.6,29.1.19F NMR(376.4MHz,Methanol−d
4),δ:−118.3(s,1F).MS(m/z)for C13H13FO3(M−1)
−calcd.:236.2,found:235.0(M)H
−.HPLC(254nm):95.5%。
【0083】
実施例8
(E)−2−(2−メチル−5−ヒドロキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(7)の合成
【化18】
段階1:H
2O(80mL)およびEtOH(40mL)中のNaOH(6.71g、167.7mmol)、H
2O(40mL)中の2−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(Murineddu et al.,2005)(4.84g、27.8mmol)およびグリオキシル酸一水和物(10.28g、111.7mmol)を用いて、実施例1(段階1)に記載した通りに実施した。カラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH 9.5:0.5+1%のAcOH)により精製して、(E)−2−(2−メチル−5−オキソ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(5.42g、85%)を黄色の固体として得た。
【0084】
段階2:CeCl
3・7H
2O(6.35g、17.0mmol)、(E)−2−(2−メチル−5−オキソ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(3.56g、15.5mmol)、MeOH(150mL)、およびNaBH
4(8.79g、232.3mmol)を用いて、実施例1(段階2)に記載した通りに実施した。カラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH 30:1+1%のAcOH)により精製した後、EtOAcから再結晶させて、(E)−2−(5−ヒドロキシ−2−メチル−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(1.56g、43%)を白色の固体として得た。
1H NMR(400MHz,Methanol−d
4),δ:7.29(d,J=7.7Hz,1H),7.00(dd,J=7.8,1.9Hz,1H),6.90(s,1H),5.96(s,1H),5.22(s,1H),3.40−3.33(m,1H),3.09−3.03(m,1H),2.85−2.80(m,1H),2.76−2.69(m,1H),2.27(s,3H),1.82−1.72(m,2H).
13C NMR(101MHz,Methanol−d
4)δ 170.4,164.8,141.2,139.1,138.4,131.5,128.1,127.6,115.3,79.0,35.2,30.5,29.4,21.0.HPLC(254nm):100%.UPLC−MS:m/z=231.4[M−H]
−
【0085】
実施例9
(E)−2−(1−ブロモ−5−ヒドロキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(8)の合成
【化19】
段階1:H
2O(3mL)およびEtOH(7mL)中のNaOH(194mg、4.8mmol)、H
2O(7mL)中の1−ブロモ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(Gruber et al.1983)(192mg、0.8mmol)およびグリオキシル酸一水和物(299mg、3.2mmol)を用いて、実施例1(段階1)に記載した通りに実施した。カラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH 9.5:0.5+1%のAcOH)による粗精製により、粗(E)−2−(1−ブロモ−5−オキソ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(172mg、73%)を黄色の固体として得た。
【0086】
段階2:CeCl
3・7H
2O(236mg、0.6mmol)、(E)−2−(1−ブロモ−5−オキソ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(166mg、0.6mmol)、MeOH(8mL)、およびNaBH
4(214mg、5.6mmol)を用いて、実施例1(段階2)に記載した通りに実施した。分取HPLC(流速20mL/分で勾配30〜55%のB、溶離液A(H
2O/TFA、100:0.1)および溶離液B(MeCN/H
2O/TFA、90:10:0.1)、9分間)により精製して、(E)−2−(1−ブロモ−5−ヒドロキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(92mg、55%)を白色の固体として得た。
1H NMR(400MHz,Methanol−d
4)δ:7.48(d,J=8.7Hz,2H),7.09(t,J=7.8Hz,1H),6.04(s,1H),5.37(s,1H),3.52−3.35(m,2H),3.07−3.00(m,1H),2.69−2.62(m,1H),1.87−1.78(m,1H),1.69−1.57(m,1H).
13C NMR(101MHz,Methanol−d
4)δ:170.3,163.8,145.0,139.9,132.9,129.0,126.5,125.5,115.8,77.5,32.5,30.8,27.5.HPLC(254nm):98%.ESI−MS:m/z=295.0,297.0[M−H]
−
【0087】
実施例10
(E)−2−(1−フェニル−5−ヒドロキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(9)の合成
【化20】
段階1:DMF(24mL)およびH
2O(16mL)中のフェニルボロン酸(255mg、2.1mmol)、K
2CO
3(436mg、3.1mmol)、1−ブロモ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(Gruber et al.1983)(247mg、1.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(239mg、0.2mmol)を用いて、実施例2(段階1)に記載した通りに実施した。カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 9:1)による粗精製により、1−フェニル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(220mg、90%)を黄色の油として得た。
【0088】
段階2:H
2O(3mL)およびEtOH(8mL)中のNaOH(214mg、5.3mmol)、H
2O(5mL)中の1−フェニル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(210mg、0.9mmol)およびグリオキシル酸一水和物(329mg、3.6mmol)を用いて、実施例1(段階1)に記載した通りに実施した。粗(E)−2−(5−オキソ−1−フェニル−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸を、精製せずに次の段階に用いた。
【0089】
段階3:CeCl
3・7H
2O(362mg、1.0mmol)、(E)−2−(5−オキソ−1−フェニル−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(258mg、0.9mmol)、MeOH(14mL)、およびNaBH
4(338mg、8.9mmol)を用いて、実施例1(段階2)に記載した通りに実施した。分取HPLC(流速20mL/分で勾配30〜72%のB、溶離液A(H
2O/TFA、100:0.1)および溶離液B(MeCN/H
2O/TFA、90:10:0.1)、10分間)により精製して、(E)−2−(5−ヒドロキシ−1−フェニル−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(106mg、40%(2段階での全収率))を白色の固体として得た。
1H NMR(600MHz,Methanol−d
4)δ:7.50(dd,J=7.7,1.4Hz,1H),7.42−7.36(m,2H),7.36−7.30(m,1H),7.25−7.19(m,3H),7.09(dd,J=7.6,1.4Hz,1H),6.07(s,1H),5.40(s,1H),3.47(ddd,J=12.5,6.4,4.6Hz,1H),3.00(ddd,J=14.5,9.1,2.7Hz,1H),2.69(tdd,J=11.6,9.3,3.7Hz,2H),1.77−1.71(m,1H),1.65−1.58(m,1H).
13C NMR(151MHz,Methanol−d
4)δ:170.6,164.5,143.6,143.4,143.0,138.3,130.4,130.3,129.1,127.9,127.0,126.3,115.3,78.1,30.9,29.6,28.9.HPLC(254nm):100%.UPLC−MS:m/z=293.0[M−H]
−
【0090】
実施例11
(E)−2−(3−ブロモ−5−ヒドロキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(10)の合成
【化21】
段階1:H
2O(3mL)およびEtOH(7mL)中のNaOH(246mg、6.0mmol)、H
2O(7mL)中の3−ブロモ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−オン(Gruber et al.1983)(237mg、1.0mmol)およびグリオキシル酸一水和物(366mg、4.0mmol)を用いて、実施例1(段階1)に記載した通りに実施した。カラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH 9.5:0.5+1%のAcOH)により精製して、(E)−2−(3−ブロモ−5−オキソ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(259mg、89%)を黄色の固体として得た。
【0091】
段階2:CeCl
3・7H
2O(356mg、1.0mmol)、(E)−2−(3−ブロモ−5−オキソ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(256mg、0.9mmol)、MeOH(10mL)、およびNaBH
4(332mg、8.7mmol)を用いて、実施例1(段階2)に記載した通りに実施した。分取HPLC(流速20mL/分で勾配30〜55%のB、溶離液A(H
2O/TFA、100:0.1)および溶離液B(MeCN/H
2O/TFA、90:10:0.1)、9分間)により精製して、(E)−2−(3−ブロモ−5−ヒドロキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[7]アヌレン−6−イリデン)酢酸(139mg、54%)を白色の固体として得た。
1H NMR(600MHz,Methanol−d
4)δ:7.64(d,J=2.2Hz,1H),7.28(dd,J=8.0,2.2Hz,1H),7.00(d,J=8.0Hz,1H),6.01(s,1H),5.28(s,1H),3.57(ddd,J=12.6,6.5,4.2Hz,1H),2.99(ddd,J=14.3,8.6,2.6Hz,1H),2.80(ddd,J=14.3,9.8,2.5Hz,1H),2.66(ddd,J=12.5,9.9,4.5Hz,1H),1.90−1.84(m,1H),1.65−1.59(m,1H).
13C NMR(151MHz,Methanol−d
4)δ:170.3,163.8,145.0,140.3,132.4,131.2,129.3,121.2,115.6,77.0,34.9,31.5,29.0.HPLC(254nm):99%.ESI−MS:m/z=295.0,297.0[M−H]
−
【0092】
実施例12
アセトキシメチル3−ヒドロキシシクロペント−1−エン−1−カルボキシラート(11)の合成
【化22】
乾燥DMF(5ml)中の3−ヒドロキシシクロペント−1−エン−1−カルボン酸(A)(Vogensen et al.,2013)(207.4mg、1.62mmol)、K
2CO
3(114.9mg、0.83mmol)、およびKI(138.4mg、0.83mmol)の混合物を室温で30分間攪拌した。この反応混合物に、酢酸クロロメチル(218.9mg、2.03mmol)の溶液を滴加し、次いで、70℃で2時間攪拌した後、それを室温に冷却した。水(15ml)を加え、水相をEtOAc(3×20ml)で抽出した。合わせた有機相をMgSO
4で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン 1:1)により精製して、生成物(202.5g、63%)を透明な油として得た。
1H NMR(600MHz,Methanol−d
4)δ:6.74(q,J=2.1Hz,1H),5.81(s,2H),4.91−4.88(m,1H),2.72−2.65(m,1H),2.50−2.43(m,1H),2.38−2.33(m,1H),2.08(s,3H),1.79−1.73(m,1H).
13C NMR(151MHz,Methanol−d
4)δ:171.1,164.9,146.7,138.3,80.6,77.5,34.0,30.6,20.5.HPLC(254nm):96%。
【0093】
実施例13
3−(2−アセトキシアセトキシ)シクロペント−1−エン−1−カルボン酸(12)
【化23】
THF(3mL)中のアセトキシアセチルクロリド(0.4mL、3.8mmol)とアセトキシ酢酸(457mg、3.9mmol)の混合物を0℃に冷却した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.8mL,10.4mmol)を5℃未満で加えた。得られた溶液を室温に温め、30分間攪拌した。3−ヒドロキシシクロペント−1−エン−1−カルボン酸(HOCPCA)(Vogensen et al.,2013)(222mg、1.7mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(22mg、0.2mmol)をTHF(1.5mL)に溶かした。この溶液を反応混合物に一度に加え、室温で3時間攪拌した。水(3mL)を加え、反応物を室温で90分間攪拌した。混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン 1:1+1%のAcOH)により精製して、3−(2−アセトキシアセトキシ)シクロペント−1−エン−1−カルボン酸(35mg、9%)をオフホワイトの固体として得た。
1H NMR(600MHz,Methanol−d
4)δ:6.62(q,J=2.1Hz,1H),5.85−5.82(m,1H),4.62(s,2H),2.73−2.67(m,1H),2.57−2.51(m,1H),2.48−2.42(m,1H),2.12(s,3H),1.98−1.92(m,1H).
13C NMR(151MHz,Methanol−d
4)δ172.1,169.3,167.7,143.7,139.0,81.9,61.9,31.0,31.0,20.3.HPLC(254nm):95%。
【0094】
実施例14
ネオペンチル3−ヒドロキシシクロペント−1−エン−1−カルボキシラート(13)の合成
【化24】
段階1:DCM(9mL)中の3−オキソシクロペント−1−エン−1−カルボン酸
4(126mg、1.0mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(24mg、0.2mmol)、および2,2−ジメチルプロパン−1−オール(124mg、1.4mmol)の溶液に、DCM(4mL)中のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(260mg、1.4mmol)を0℃で加えた。次いで、混合物を室温に温め、一晩攪拌した。混合物に飽和NH
4Cl溶液を加え、次いで、これをDCMで洗浄した。合わせた有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 4:1)による粗精製により、不純物を含んだネオペンチル3−オキソシクロペント−1−エン−1−カルボキシラート(75mg、43%)を黄色の油として得た。
【0095】
段階2:CeCl
3・7H
2O(309mg、0.8mmol)、ネオペンチル3−オキソシクロペント−1−エン−1−カルボキシラート(131mg、0.7mmol)、MeOH(7mL)、およびNaBH
4(127mg、3.4mmol)を用いて、実施例1(段階2)に記載した通りに実施した。カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 3:1)により精製して、ネオペンチル3−ヒドロキシシクロペント−1−エン−1−カルボキシラート(57mg、43%)を透明な油として得た。
1H NMR(600MHz,Chloroform−d)δ:6.71(q,J=2.1Hz,1H),5.01−4.97(m,1H),3.85(s,2H),2.79−2.73(m,1H),2.54−2.49(m,1H),2.45−2.39(m,1H),1.83−1.78(m,1H),0.97(s,9H).
13C NMR(151MHz,Chloroform−d)δ:165.3,142.7,139.4,77.4,74.0,33.8,31.6,30.1,26.6.HPLC(254nm):99%。
【0096】
実施例15
tert−ブチル3−ヒドロキシシクロペント−1−エン−1−カルボキシラート(14)の合成(Aye et al,2008)
【化25】
段階1:DMF(5mL)中の3−オキソシクロペント−1−エン−1−カルボン酸
4(209mg、1.7mmol)の溶液にtert−ブチル2,2,2−トリクロロアセトイミダート(3.0mL、16.7mmol)および三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(0.1mL、0.9mmol)を加えた。混合物を50℃で一晩攪拌した。飽和NaHCO
3溶液を加え、次いで、水相をEtOAcで抽出した。合わせた有機相を無水Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、真空下で乾燥するまで蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 3:1)による粗精製により、tert−ブチル3−オキソシクロペント−1−エン−1−カルボキシラート(138mg、46%)を黄色の油として得た。
【0097】
段階2:CeCl
3・7H
2O(499mg、1.3mmol)、tert−ブチル3−オキソシクロペント−1−エン−1−カルボキシラート(203mg、1.1mmol)、MeOH(11mL)、およびNaBH
4(213mg、5.6mmol)を用いて、実施例1(段階2)に記載した通りに実施した。カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 2:1)により精製して、tert−ブチル3−ヒドロキシシクロペント−1−エン−1−カルボキシラート(Aye et al,2008)(25mg、12%)をオフホワイトの油として得た。
【0098】
実施例16
リチウム(I)(2S)−2−アミノ−3−(3−(3−ヒドロキシシクロペント−1−エン−1−カルボキサミド)フェニル)プロパノアート(15)の合成
【化26】
段階1:3−ヒドロキシシクロペント−1−エン−1−カルボン酸(HOCPCA)(Vogensen et al.,2013)(355mg、2.8mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(35mg、0.3mmol)をTHF(15mL)に溶かし、アルゴン下で0℃に冷却した。無水酢酸(0.4mL、4.2mmol)を滴加し、室温で一晩攪拌した。水を加え、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 1:3+1%のAcOH)により精製して、3−アセトキシシクロペント−1−エン−1−カルボン酸(434mg、92%)を白色の固体として得た。
【0099】
段階2:3−アセトキシシクロペント−1−エン−1−カルボン酸(137mg、0.8mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(152mg、0.8mmol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(108mg、0.8mmol)、トリエチルアミン(0.22mL、1.6mmol)をTHF(3mL)に溶かし、アルゴン下で10分間攪拌した。THF(3mL)中のメチル(S)−3−(3−アミノフェニル)−2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロパノアート(281mg、1.0mmol)を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。混合物に飽和NH
4Cl溶液を加え、次いで、これをEtOAcで洗浄した。合わせた有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 1:1)により精製して、メチル(2S)−3−(3−(3−アセトキシシクロペント−1−エン−1−カルボキサミド)フェニル)−2−((tert−ブトキシカルボニル)−アミノ)プロパノアート(320mg、90%)を黄色の固体として得た。
【0100】
段階3:ジオキサン(1.2mL)中のメチル(2S)−3−(3−(3−アセトキシシクロペント−1−エン−1−カルボキサミド)フェニル)−2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロパノアート(139mg、0.3mmol)の溶液に4M HCl/ジオキサン(1.2mL、4.7mmol)を0℃で滴加した。混合物を室温で1時間攪拌した。飽和NaHCO
3溶液を加え、次いで、水相をEtOAcで抽出した。合わせた有機相を無水Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、真空下で乾燥するまで蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(EtOAc/MeOH 5:1)による粗精製により、対応する中間体を黄色の油として得た。水(0.5mL)中のLiOH(4mg、0.2mmol)を、MeOH(0.5mL)中の中間体の溶液に加えた。混合物を、完全に変換されるまで室温で攪拌した。混合物を、真空下で乾燥するまで蒸発させて、リチウム(I)(2S)−2−アミノ−3−(3−(3−ヒドロキシシクロペント−1−エン−1−カルボキサミド)フェニル)プロパノアート(30mg、34%)をオフホワイトの固体として得た。
1H NMR(400MHz,Methanol−d
4)δ:7.62(ddd,J=8.1,2.2,1.0Hz,1H),7.33(t,J=1.9Hz,1H),7.25(t,J=7.9Hz,1H),7.05(dt,J=7.6,1.4Hz,1H),6.61(q,J=2.1Hz,1H),4.94(tdd,J=5.2,2.6,1.6Hz,1H),3.47(dd,J=8.1,4.7Hz,1H),3.10(dd,J=13.5,4.7Hz,1H),2.86−2.73(m,2H),2.65−2.50(m,1H),2.43−2.35(m,1H),1.85−1.76(m,1H).
13C NMR(151MHz,Methanol−d
4)δ:181.4,166.3,143.0,140.9,139.9,139.4,129.8,126.8,123.1,120.4,77.9,58.9,42.7,34.1,31.1.HPLC(254nm):99%。
【0101】
実施例17
GHB関連類似体は6.0および7.4の両方のpH値でラット脳シナプス膜中の特定のGHB部位に高い親和性で結合する(
図1)
新規な類似体を、確立されている結合アッセイで試験し、参照化合物と比較した。pH6で、化合物1〜10は、A)440nMのK
i値を有する化合物Bと比べ、
3H−B結合を阻害する(K
i値はそれぞれ50nM、92nM、30nM、52nM、53nM、108nM、325nM、225nM、382nM、9687nM)ことがわかった。B)化合物1、2、および3はまた、2.75μMのK
i値を有するGHB自体と比べ、
3H−A結合を同程度の親和性(K
i値はそれぞれ56nM、144nMおよび50nM)で濃縮依存的に阻害した。C)pH7.4で、
3H−A結合アッセイにおいて低い親和性が得られ、化合物1、2および3についてそれぞれ約267nM、604nM、および87nMのK
i値を得た。既知のCAMK2A阻害剤CN21は、最大で30μM(報告されているそのIC
50値の約300倍)の濃度でも
3H−A結合を変位させることができなかった。D)
3H−A結合アッセイでの化合物Cとジクロフェナクと4’−ヒドロキシジクロフェナクの競合は、化合物Cの親和性が4’−ヒドロキシジクロフェナクおよびジクロフェナクよりも優れている(K
i値は、22nM対16μMおよび4.7μM)ことを示した。
【0102】
実施例18
GHB類似体の顕著なGABA
B受容体結合の欠如(
図2)
GHB、化合物A、および化合物Cを、確立されている結合アッセイでGABA
B受容体に対する親和性について試験した。GHBが0.1mMおよび1mMの両方で
3H−GABA
B結合を阻害できたのに対して、化合物Aは最大で1mMの濃度でも競合能を示さず、化合物Cは濃度1mMでわずかな阻害を示した。
【0103】
実施例19
化合物Aはマウスで低体温を引き起こさないが、GBLは引き起こす(
図3)
化合物AがGABA
B受容体を機能的に活性化できないことを確認するため、既知のGABA
Bの低体温作用を、野生型マウスとGABA
B受容体ノックアウトマウス(Kaupmann et al.,2003)でGHBプロドラッグGBL(750mg/kg)および化合物A(500mg/kg)の投与を比較することにより試験した。予想された通り、GBLは大幅な体温低下を促進できた。これとは対照的に、化合物Aは、野生型マウスでもノックアウトマウスでも低体温に何ら影響を及ぼさなかった。
【0104】
実施例20
GBLはGABA
B受容体により介在されない脳グルコース代謝率の低下を誘発する(
図4)
GHBプロドラッグGBLが非GABA
B受容体依存的機序を介してグルコース代謝を変化させることを確認するため、GABA
B1受容体ノックアウトマウスに生理食塩水(黒のバー)またはGBL(200mg/kg)(白のバー)を投与(i.p.)した。10分後に、
14C−デオキシグルコースを全マウスに投与(i.p.)して、脳のグルコース消費量を推定した。これは、45分後に前頭皮質および海馬での脳グルコース代謝率の有意なGHB誘導性の低下を示した(前頭皮質で10.46nCi/(ROI・分)対6.78nCi/(ROI・分)、海馬で9.74対6.45であり、
*P<0.05であり、エラーバーがSDとして示されている)。
【0105】
実施例21
化合物Aは光血栓性局所虚血後30分で投与されると梗塞の大きさを減少させる(
図5)
A)大脳皮質への局所性脳卒中の誘発後30分に、化合物Aを2つの異なる用量でマウスに投与し、生理食塩水治療個体と比較した。脳卒中誘発から3日後に、左運動皮質で梗塞が見られた。B)梗塞体積の定量化は、生理食塩水と化合物A(175mg/kg)を比較する場合30%の減少を明らかにした(9.38mm
3対6.56mm
3、
***P<0.0005)。低用量(17.5mg/kg)を投与したマウスのグループは、生理食塩水と比較して梗塞体積の有意な減少を示さなかった(9.38mm
3対8.95mm
3)。
【0106】
実施例22
化合物Aは光血栓性局所虚血の30分後に投与されると、影響を受けた肢での運動能力を改善する(
図6)
局所虚血後に化合物Aを投与した後の運動機能改善を評価するため、左前肢の運動回復の具体的尺度にシリンダータスクおよびグリッド歩行タスクを用いた。局所虚血後3日のシリンダータスクおよびグリッド歩行タスクで、左前肢と右前肢の間に非対称性が観察された。A)グリッド歩行タスクで、高用量(175mg/kg)を投与したマウスのグループは生理食塩水治療群と比較して26%の改善を示し(
**P<0.01)、17.5mg/kgのグループには有意な減少はみられなかった(10%)。B)シリンダータスクで測定した非対称性は、用量17.5mg/kgおよび用量175mg/kgのグループの両方で、化合物Aを投与したときに有意に減少し、その効果はそれぞれ40%および42%であった。
【0107】
実施例23
化合物Aは光血栓性局所虚血の3時間後、6時間後、または12時間後に投与されると梗塞の大きさを減少させる(
図7)
さらに時間が経過したのちの治療の効果を評価するため、梗塞誘発の3時間後、6時間後、または12時間後に、化合物Aを2つの異なる用量で投与した。A)脳卒中後3時間、6時間、または12時間の化合物A(175mg/kg)の投与は、梗塞の大きさを有意に減少させ(それぞれ、5.51mm
3対3.12mm
3、3.68mm
3、および3.58mm
3)(P<0.01〜0.05)、33〜43%の減少に達した。比較のため、3時間の時点でのGHB(275mg/kg)は、梗塞の大きさの有意な減少をもたらさなかった(不掲載)。B)脳卒中後3時間の低用量の化合物A(90mg/kg)の投与は、梗塞の大きさを有意に51%減少した(5.55mm
3対2.68mm
3、
**P<0.01)。
【0108】
実施例24
化合物Aは光血栓性局所虚血の3時間後、6時間後、または12時間後に投与されると、影響を受けた肢での運動能力を改善する(
図8)
梗塞誘発後のさらに遅い時点で用量175mg/kgのAを投与した治療群での運動技能を評価するため、局所虚血の7日後にグリッド歩行タスクおよびシリンダータスクで左前肢と右前肢との間の非対称性を測定した。A)グリッド歩行タスクで測定した非対称性は、3時間後、6時間後、および12時間後のいずれの治療時点でも極めて有意に減少された(効果はそれぞれ、31%、22%、および21%(
***P<0.001)。B)シリンダータスクで、3時間後(
*P<0.05)および6時間後(
**P<0.001)の時点で、生理食塩水治療群と比較してそれぞれ16%および20%の改善が観察されたのに対して、12時間後の時点は有意でなかった。
【0109】
実施例25
化合物2は光血栓性局所虚血の3時間後または6時間後に投与されると、梗塞の大きさを減少させ、影響を受けた肢での運動能力を改善する(
図9)
梗塞誘発の3時間後または6時間後に、新規な化合物2を175mg/kg(A〜C)または50mg/kg(D〜F)の用量で投与(i.p.)した。A)損傷の3時間後または6時間後の2(175mg/kg)の投与は、梗塞の大きさを有意に減少させ(それぞれ5.55mm
3対3.44mm
3および2.98mm
3、P<0.01〜0.05)、38〜46%の減少に達した。化合物2の投与は、B)6時間後のグループで肢の踏外し回数(*P<0.05)、ならびにC)生理食塩水治療で治療したマウスと比べ3時間後および6時間後の両方で、影響を受けた足で過ごす時間(P<0.01〜0.001)、を有意に減少させた。D)2(50mg/kg)の投与は、損傷後3時間後に同様の保護を促進し、梗塞の大きさを有意に39%減少させた(5.55mm
3対3.4mm
3、
**P<0.01)。同様に、低用量で治療したマウスは、E〜F)両方の非対称性試験で運動能力の有意な改善を示した。
【0110】
実施例26
化合物Aでの治療は、光血栓性局所虚血に関連する選択した分子マーカーの発現を減少させる(
図10)
局所虚血性傷害後の脳損傷に対する保護機序を検討するため、脳卒中の3日後に、虚血中心部周囲の脳組織のマーカー、GFAP、CD14、およびMMP9のmRNA発現レベルを測定した。A)脳卒中の個体でGFAPレベルが著明に増大したが、2つの治療群の間でそのレベルに差はみられなかった。B)C)これとは対照的に、局所虚血事象の30分後に化合物A(175mg/kg)を投与した個体では、CD14およびMMP9のmRNAレベルが著明に低下した。低用量のA(17.5mg/kg)で既に、MMP9のmRNAレベルは生理食塩水を投与した個体よりも有意に低下していた。D)12時間後でも同様の結果がみられた。
【0111】
実施例27
化合物Aでの治療は、光血栓性局所虚血での選択した炎症誘発性サイトカインの血漿中レベルを低下させる(
図11)
早い時点での炎症性応答を評価するため、局所虚血性事象の誘発から4時間後に、血液試料を採取した。A)梗塞の形成は、MCP−1、IL−6、およびIL−1aのレベルを有意に増大させた。MCP−1レベルは、4時間後に化合物Aで治療した個体の血漿で低下の傾向を示した。B)化合物Aでの治療は、生理食塩水で治療したマウスと比べIL−6の血漿中レベルを有意に低下させた。C)Aによる治療は、生理食塩水で治療したマウスと比較してIL−1aレベルに有意に影響しなかった。
【0112】
実施例28
化合物Aは局所虚血の永久中大脳動脈閉塞(pMCAO)モデルの梗塞の大きさを減少させる(
図12)
中大脳動脈の永久閉塞による局所性脳卒中の誘発から30分後に、マウスに化合物A(175mg/kg)を投与し、生理食塩水で治療した個体と比較した。脳卒中誘発の3日後に、左運動皮質で梗塞が見られた。梗塞の定量化は、30分後の生理食塩水とA(175mg/kg)の比較で梗塞体積の有意な減少を明らかにした(16.6mm
3対12.3mm
3、
*P<0.05)。
【0113】
実施例29
化合物AはpMCAO局所病変の30分後に投与されると機能回復を改善する(
図13)
中大脳動脈の永久閉塞により局所性脳卒中を誘発してから30分後に、マウスに化合物A(175mg/kg)を投与し、生理食塩水で治療した個体と比較し、ロータロッド試験、握力試験、およびハーグリーブス試験を用いて運動障害および感覚障害の両方を検討した。
【0114】
ロータロッド試験では、脳卒中の48時間後にマウスを4回の試行(T1〜T4)に供した。A)生理食塩水で治療したマウスは、ロータロッドでT2〜T3に有意に学習した。B)これと比較して、Aによる治療を実施したマウスは学習曲線の勾配がより大きかった(T1〜T2)、しかしT4でロータロッド上にとどまる時間に群間差はみられなかった。C)脳卒中から3日後に、生理食塩水で治療したマウスは、影響を受けた前肢での握力の有意な傷害を示し、化合物Aで治療したマウスは、この試験で何らかの障害を示さなかった。D)同様に、影響を受けた前肢での感覚障害の評価では、生理食塩水で治療したマウスは、影響を受けた前肢のハーグリーブス試験で応答時間の増大を示し、一方でこれは、Aで治療したマウスには認められなかった。
【0115】
実施例30
マウス脳からの冠状脳切片でのex vivoの
3H−A放射性リガンド結合(
図14)
3H−Aを用いて、C57BL/6Jマウスへのex vivo結合を実施した。したがって、1グループ当たり5匹のマウスを用いたデザインで、
3H−A(マウス1匹当たり5MBq)をi.p.注射した。30分後に、脳を切り出し、オートラジオグラフィーを実施した。正規化に用いた小脳と比較して、有意な特異的結合レベルが海馬および皮質で観察された。
【0116】
実施例31
CAMK2AがGHB高親和性結合部位であることの確認(
図15)
A)光親和標識ワークフローの原理。ラット海馬からの粗シナプス膜を光親和性リガンドSBV3とインキュベートし、UV照射(波長302nm)してGHB結合タンパク質に光親和性リガンドを共有結合させた。シュタウディンガー・ベルトッツィライゲーションによりビオチンをEZ−Link(商標)Phosphine−PEG
3−Biotin(ThermoFisher Scientific社)に導入した後、ビオチン標識タンパク質をアフィニティー精製し、LC−MS/MS解析に供した。B)抗ビオチンウエスタンブロットは、光リガンドの存在下で(第一のレーン)および不在下で(第二のレーン)55kDa付近に特異的に標識されたバンドを示す。C)CAMK2AノックアウトマウスおよびCAMK2Bノックアウトマウスからの脳の皮質膜への
3H−Aの結合。D)ラットCAMK2AをトランスフェクトしたHEK293T細胞からの全細胞ホモジネートへの
3H−A結合は、非特異的レベルと比べ有意に高い全結合を示し(特異的結合87%)、一方でCAMK2Bでは特異的結合はみられなかった(黒のバー=特異的結合、白のバー=非特異的結合;1mM GHB)。
【0117】
実施例32
GHBならびにGHB関連類似体A、B、C、1および2は、組換えCAMK2Aに直接結合する(
図16)
HEK細胞で発現されたヒト/ラットCAMK2Aを、CAMK2AトランスフェクトHEK293T細胞の全細胞溶解物で実施される社内で確立した
3H−Aろ過結合アッセイでアッセイした。ラット脳皮質からのシナプス膜への結合について認められるように、化合物GHB、A、B、C、1および2は、濃度依存的に放射性リガンド結合を阻害できた。得られたK
i値は、それぞれ50.4μM、1.95μM、3.71μM、0.81μM、0.72μM、および1.09μMであり、化合物1および2は、
3H−A放射性リガンドとの競合でGHBより50〜70倍もの優れた親和性を示し、このことは、
3H−A結合アッセイで観察された結合能のシフト(
図1B)と類似している。
【0118】
実施例33
化合物Aおよび2は、プロトン共役輸送体においてそれらの基質活性により迅速にtsA201細胞膜を通過する(
図17)
化合物が細胞内に侵入し、標的(CAMK2A)に到達する能力をモニターするため、pH感受性色素BCECFを用いる蛍光ベースのアッセイを用いた。MCTを発現することがわかっている細胞(tsA201;HEK293−Tに関連する)を、96ウェルプレートで増殖させ、化合物に曝露し、pH低下を2分間測定した。A)既知のMCT1基質であるAについて予想された通り、濃度依存性のpH低下が観察された(EC
50値8.2mM)。B)複数の類似体を代表する化合物2も同様に、濃度依存的にpHを低下させ(EC
50値1.6mM)、細胞の細胞質ゾル内への化合物送達を裏付けた。
【0119】
実施例34
化合物Aは光血栓性局所虚血に供されたマウスでpThr286 CAMK2A自己リン酸化を防ぐ(
図18)
Aの機能的活性を評価するため、光血栓性損傷に供され、Aによる治療を実施したマウスおよび実施していないマウスから単離した皮質組織に、十分に記載されているpThr286アッセイ(Kool et al.,2016)を用いた。
【0120】
この目的に向けて、損傷の3時間後に、偽手術マウスまたはマウスを生理食塩水または175mg/kgのA(i.p.)で治療した。損傷から30分後に、マウスを屠殺し、皮質組織を処理した。ウエスタンブロット解析により自己リン酸化を評価し、pThr286 CAMK2Aのレベルを総CAMK2Aに対し正規化して自己リン酸化の変化を検出した。虚血に関する他の報告(Ahmed et al.,2017)と一致して、光血栓法により誘発された局所虚血はり、自己リン酸化を有意に増大させた(
#P<0.05)。この応答は、化合物Aにより有意に阻害され(
*P<0.05)、偽手術条件と比較して自己リン酸化の73%減少に至った。
【0121】
(参考文献)
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【0122】
(項目)
1.式I
【化27】
の化合物であって、
式中、R
1とR
2が環系を形成して、
【化28】
から選択される化合物を生じ、式中、nが、0または1であり;
R
3が、H、−Me、−Et、−Pr、−iPr、−Bu、−tBu、−ベンジル、ポリエチレングリコリル(PEG)、または
【化29】
などの基から選択され、式中、R
9が、−Me、−Et、−Pr、−iPr、−Bu,−iBu、または−tBuから選択され、R
10が、H、−Me、−Et、−iPrから選択され;
R
4が、H、−C(=O)−Me、−C(=O)−Et、−C(=O)−Pr、−C(=O)−iPr、−C(=O)−Bu、−C(=O)−tBu、−C(=O)−ベンジル、ポリエチレングリコリル(PEG)、または
【化30】
などの基から選択され、式中、R
11が、−Me、−Et、−Pr、−iPr、−Bu、iBu、または−tBuから選択され、R
12が、H、−Me、−Et、−iPrから選択され;
R
5、R
6、R
7、およびR
8が互いに独立に、H、F、Cl、Br、I、アリール、直鎖または分岐鎖C
1〜8アルキル、−CH
2(CH
2)
p−アリール、−CH=CH−アリール、NH
2、NO
2、OH、SH、直鎖または分岐鎖−O−C
1〜8アルキル、直鎖または分岐鎖−S−C
1〜8アルキル、直鎖または分岐鎖−NH−C
1〜8アルキル、−O−アリール、−S−アリール、−NH−アリールから選択され、アリールが、O、N、またはSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を有するアリールを含み、pが、0または1であり;
mが、0または1であり;
Xが、N、O、S、CH
2であり、
ただし、以下の:
【化31】
の1つではない、
化合物またはその薬学的に許容される塩。
【0123】
2.式IIまたはIIIを有し、nが0である、項目1に記載の化合物。
【0124】
3.式IVを有し、nが1である、項目1に記載の化合物。
【0125】
4.R
3およびR
4の一方がHである、項目1〜3のいずれかに記載の化合物。
【0126】
5.R
3およびR
4がともにHである、項目1〜4のいずれかに記載の化合物。
【0127】
6.式IIIを有し、R
5がHであり、R
6が2位にある、項目1〜5のいずれかに記載の化合物。
【0128】
7.IIIを有し、R
5がHであり、R
6が、H、F、Cl、Br、I、アリール、直鎖もしくは分岐鎖C
1〜8アルキル、−CH
2(CH
2)
p−アリール、または−CH=CH−アリールから選択される、項目1〜6のいずれかに記載の化合物。
【0129】
8.式IIIを有し、R
5がHであり、R
6が、H、F、Cl、Br、I、Ph、または−CH=CH−アリールから選択される、項目1〜7のいずれかに記載の化合物。
【0130】
9.式IIIを有し、R
5がHであり、R
6が、H、F、Cl、Br、I、Ph、または−CH=CH−フェニルから選択される、項目1〜8のいずれかに記載の化合物。
【0131】
10.R
3が、
【化32】
から選択されるか、またはR
4が、
【化33】
から選択される、項目1〜4、5〜9のいずれかに記載の化合物。
【0132】
11.R
3が
【化34】
である、項目1〜4、5〜10に記載の化合物。
【0133】
12.式IIを有し、R
4がHであり、R
3が
【化35】
である、項目1〜4、10のいずれかに記載の化合物。
【0134】
13.以下の構造
【化36】
の1つを有する、項目1〜12のいずれかに記載の化合物。
【0135】
14.医薬での使用のための項目1〜13のいずれかに記載の化合物。
【0136】
15.本明細書で定義される急性脳損傷の治療での使用のための項目1〜14のいずれかに記載の化合物。
【0137】
16.本明細書で定義される急性脳損傷の治療のための薬剤の製造のための項目1〜13のいずれかに記載の化合物。
【0138】
17.急性脳損傷のある対象を治療するための方法であって、上記治療が、上記対象に項目1〜13のいずれかで定められる化合物の有効量を投与することを含む、方法。
【0139】
18.急性脳損傷の治療での使用のための式I
【化37】
による化合物であって、式中、
R
1とR
2が環系を形成して、
【化38】
から選択される化合物を生じ、式中、nが、0または1であり;
R
3が、H、−Me、−Et、−Pr、−iPr、−Bu、−tBu、−ベンジル、ポリエチレングリコリル(PEG)、または
【化39】
などの基から選択され、式中、R
9が、−Me、−Et、−Pr、−iPr、−Bu、または−tBuから選択され、R
10が、H、−Me、−Et、−iPrから選択され;
R
4が、H、−C(=O)−Me、−C(=O)−Et、−C(=O)−Pr、−C(=O)−iPr、−C(=O)−Bu、−C(=O)−tBu、−C(=O)−ベンジル、ポリエチレングリコリル(PEG)、または
【化40】
などの基から選択され、式中、R
11が、−Me、−Et、−Pr、−iPr、−Bu、または−tBuから選択され、R
12が、H、−Me、−Et、−iPrから選択され;
R
5、R
6、R
7、およびR
8が互いに独立に、H、F、Cl、Br、I、アリール、直鎖または分岐鎖C
1〜8アルキル、−CH
2(CH
2)
p−アリール、−CH=CH−アリール、NH
2、NO
2、OH、SH、直鎖または分岐鎖−O−C
1〜8アルキル、直鎖または分岐鎖−S−C
1〜8アルキル、直鎖または分岐鎖−NH−C
1〜8アルキル、−O−アリール、−S−アリール、−NH−アリールから選択され、アリールが、O、N、またはSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を有するアリールを含み、pが、0または1であり;
mが、0または1であり;
Xが、N、O、S、CH
2である、
化合物またはその薬学的に許容される塩。
【0140】
19.
【化41】
から選択される、項目18に記載の使用のための化合物。