特表2021-513534(P2021-513534A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-513534抗癌剤として有用なテトラヒドロキナゾリン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-513534(P2021-513534A)
(43)【公表日】2021年5月27日
(54)【発明の名称】抗癌剤として有用なテトラヒドロキナゾリン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/04 20060101AFI20210430BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210430BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210430BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20210430BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20210430BHJP
   C07D 487/10 20060101ALI20210430BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20210430BHJP
   C07D 239/94 20060101ALI20210430BHJP
【FI】
   C07D403/04CSP
   A61P43/00 111
   A61P35/00
   A61P35/02
   A61K31/517
   C07D487/10
   C07D403/14
   C07D239/94
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】113
(21)【出願番号】特願2020-542790(P2020-542790)
(86)(22)【出願日】2019年2月7日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月6日
(86)【国際出願番号】IB2019050993
(87)【国際公開番号】WO2019155399
(87)【国際公開日】20190815
(31)【優先権主張番号】62/628,350
(32)【優先日】2018年2月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/651,796
(32)【優先日】2018年4月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/782,408
(32)【優先日】2018年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】ブルーン,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ピン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヘンミャオ
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ,マイケル・レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】リントン,マリア・アンジェリカ
(72)【発明者】
【氏名】マデルナ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】永田 麻子
(72)【発明者】
【氏名】パルマー,シンシア
(72)【発明者】
【氏名】プランケン,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】スパングラー,ジリアン・エリス
【テーマコード(参考)】
4C050
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA04
4C050BB02
4C050CC02
4C050EE02
4C050FF01
4C050GG01
4C050HH04
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB01
4C063BB02
4C063BB08
4C063CC31
4C063CC34
4C063DD02
4C063DD03
4C063DD22
4C063DD31
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC50
4C086CB02
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
(57)【要約】
一般式:

の化合物、これらの化合物の調製のためのプロセス、これらの化合物を含有する組成物およびこれらの化合物の使用。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容可能な塩であって;式中:
Jは、3〜12個の環原子を有する複素環であり、ここで、Jは、1、2、3、4、5または6個のRで置換されていてもよく;
Kは、C〜C12アリールであり、またはKは、5〜12個の環原子を有するヘテロアリールであり、ここで、Kは、1、2、3、4、5、6または7個のRで置換されていてもよく;
Wは、以下の基:
【化2】
からなる群から選択され:
ここで、Wは、1、2または3個のRで置換されていてもよく;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルキル−ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキル−C〜Cアルコキシ、ヒドロキシ、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ハロゲン、C〜Cハロアルキル、シアノおよび−N(Rからなる群から選択されるか、または2個のRが連結されて3〜12個の環原子を有する複素環もしくはC〜Cシクロアルキルを形成してもよく;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルキル−ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、C〜Cハロアルキル、シアノ、C〜Cアルキル−シアノおよびオキソからなる群から選択されるか、または2個のRが連結されて3〜12個の環原子を有する複素環もしくはC〜Cシクロアルキルを形成してもよく;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキル−ヒドロキシ、ハロゲン、C〜Cハロ−アルキル、N(R、オキソおよびシアノからなる群から選択されるか、または2個のRが場合により連結されて3〜12個の環原子を有する複素環もしくはC〜Cシクロアルキルを形成してもよく;
は、−X−Y−Zであり、ここで:
Xは、存在しないか、または酸素、硫黄および−NR−からなる群から選択され、
Yは、存在しないか、またはC〜Cアルキレニル(alkylenlyl)であり、かつ
Zは、H、−N(R、−C(O)−N(R、−OR、3〜12個の環原子を有する複素環、5〜12個の環原子を有するヘテロアリールおよびC〜Cシクロアルキルから選択され、
ここで、Rは、1個以上のRで置換されていてもよく;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、ハロゲンおよび−N(Rからなる群から選択され;
それぞれのRは、独立して水素、ヒドロキシル、C〜CアルコキシおよびC〜Cアルキルからなる群から選択されるか、または2個のRが連結されて3〜12個の環原子を有する複素環もしくはC〜Cシクロアルキルを形成してもよく;
それぞれのRは、独立してR7’またはC〜Cアルキル−R7’であり、ここで、それぞれのR7’は、独立してC〜Cアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、−N(R、3〜12個の環原子を有する複素環およびオキソからなる群から選択され;そして
mは、0、1、2、3、4、5、6または7である、
前記化合物または塩。
【請求項2】
式(I)の化合物:
【化3】
またはその薬学的に許容可能な塩であって;式中:
Jは、以下の基:
【化4】
からなる群から選択され、ここで、Wは、Wへの結合の点を表わし、Jは、1、2、3、4、5または6個のRで置換されていてもよく;
Kは、以下の基:
【化5】
からなる群から選択されるか、または
Kは、以下の基:
【化6】
からなる群から選択され、ここで、Kは、1、2、3、4、5、6または7個のRで置換されていてもよく;
Wは、以下の基:
【化7】
からなる群から選択され、ここで、Wは、1、2または3個のRで置換されていてもよく;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルキル−ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキル−C〜Cアルコキシ、ヒドロキシ、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ハロゲン、C〜Cハロアルキル、シアノおよび−N(Rからなる群から選択されるか、または2個のRが連結されて3〜12個の環原子を有する複素環もしくはC〜Cシクロアルキルを形成してもよく;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルキル−ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、C〜Cハロアルキル、シアノ、C〜Cアルキル−シアノおよびオキソからなる群から選択され、または2個のRは、場合により連結されて3〜12個の環原子を有する複素環もしくはC〜Cシクロアルキルを形成しており;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキル−ヒドロキシ、ハロゲン、C〜Cハロ−アルキル、N(R、オキソおよびシアノからなる群から選択されるか、または2個のRが連結されて3〜12個の環原子を有する複素環もしくはC〜Cシクロアルキルを形成してもよく;
は、−X−Y−Zであり、ここで:
Xは、存在しないか、または酸素、硫黄および−NR−からなる群から選択され、
Yは、存在しないか、またはC〜Cアルキレニル(alkylenlyl)であり、かつ
Zは、H、−N(R、−C(O)−N(R、−OR、3〜12個の環原子を有する複素環、5〜12個の環原子を有するヘテロアリールおよびC〜Cシクロアルキルから選択され、
ここで、Rは、1個以上のRで置換されていてもよく;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、ハロゲンおよび−N(Rからなる群から選択され;
それぞれのRは、独立して水素、ヒドロキシル、C〜CアルコキシおよびC〜Cアルキルからなる群から選択されるか、または2個のRが連結されて3〜12個の環原子を有する複素環もしくはC〜Cシクロアルキルを形成してもよく;
それぞれのRは、独立してR7’またはC〜Cアルキル−R7’であり、ここで、それぞれのR7’は、独立してC〜Cアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、−N(R、3〜12個の環原子を有する複素環およびオキソからなる群から選択され;そして
mは、0、1、2、3、4、5、6または7である
前記化合物または塩。
【請求項3】
式(I)の化合物:
【化8】
またはその薬学的に許容可能な塩であって;式中:
Jは、以下の基:
【化9】
からなる群から選択され、ここで、Wは、Wへの結合の点を表わし、Jは、Rで置換されていてもよく;
Kは、以下の基:
【化10】
からなる群から選択されるか、または
Kは、以下の基:
【化11】
からなる群から選択され、ここで、Kは、1または2個のRで置換されていてもよく;
Wは、以下の基:
【化12】
からなる群から選択され、ここで、Wは、1、2または3個のRで置換されていてもよく;
は、独立してC〜CアルキルおよびC〜Cアルキル−C〜Cアルコキシからなる群から選択され;
は、C〜Cアルキルであり;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、C〜Cハロ−アルキルおよびC〜Cアルキル−ヒドロキシからなる群から選択され;
は、−X−Y−Zであり、ここで:
Xは、存在しないか、または酸素であり、
Yは、存在しないか、またはC〜Cアルキレニル(alkylenlyl)であり、かつ
Zは、H、−N(R、−ORおよび3〜12個の環原子を有する複素環から選択され、
ここで、Rは、1個以上のRで置換されていてもよく;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、ハロゲンおよび−N(Rからなる群から選択され;
それぞれのRは、独立して水素およびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
それぞれのRは、独立してR7’またはC〜Cアルキル−R7’であり、ここで、それぞれのR7’は、独立してC〜Cアルキルおよび−N(Rからなる群から選択され;
mは、0または1である
前記化合物または塩。
【請求項4】
請求項2に記載の化合物または塩であって、Kが、以下の基:
【化13】
からなる群から選択される化合物または塩。
【請求項5】
請求項2に記載の化合物または塩であって、Kが、以下の基:
【化14】
からなる群から選択される化合物または塩。
【請求項6】
請求項2に記載の化合物または塩であって、Kが、以下の基:
【化15】
である化合物または塩。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物または塩であって、Wが、以下の基:
【化16】
である化合物または塩。
【請求項8】
請求項1、2、4、5または6のいずれか1項に記載の化合物または塩であって、Jが、置換されていてもよい以下の基:
【化17】
である化合物または塩。
【請求項9】
請求項1、2、4、5、6、7または8のいずれか1項に記載の化合物または塩であって、Jが、以下の基:
【化18】
からなる群から選択される化合物または塩。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物または塩であって、Rが、以下の基:
【化19】
からなる群から選択される化合物または塩。
【請求項11】
【化20-1】
【化20-2】
【化20-3】
からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項12】
【化21-1】
【化21-2】
からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項13】
1個以上の水素原子が重水素原子で置き換えられている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物または薬学的に許容可能な塩。
【請求項14】
療法上有効量の請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、および薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項15】
細胞中のKRAS活性を阻害するための方法であって、KRAS活性の阻害が望まれる該細胞を、有効量の請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩、または前記の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩を含有する医薬組成物と接触させることを含む方法。
【請求項16】
哺乳類における異常な細胞増殖を処置する方法であって、該方法が、療法上有効量の請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を該哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、該異常な細胞増殖が、癌である方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、該癌が、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部の癌、皮膚または眼内メラノーマ、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、ファロピウス管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、慢性または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫または下垂体腺腫である方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、該癌が、肺癌、結腸癌、膵臓癌および卵巣癌である方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法であって、該癌が、肺癌である方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法であって、該癌が、膵臓癌である方法。
【請求項22】
哺乳類における異常な細胞増殖の処置において有用な医薬品の調製のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項23】
請求項22に記載の使用であって、異常な細胞増殖が、癌である使用。
【請求項24】
請求項23に記載の使用であって、該癌が、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部の癌、皮膚または眼内メラノーマ、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、ファロピウス管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、慢性または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫または下垂体腺腫である使用。
【請求項25】
請求項23に記載の使用であって、該癌が、肺癌、結腸癌、膵臓癌および卵巣癌である使用。
【請求項26】
請求項23に記載の使用であって、該癌が、肺癌である使用。
【請求項27】
請求項23に記載の方法であって、該癌が、膵臓癌である方法。
【請求項28】
請求項17に記載の方法または請求項23に記載の使用であって、該癌が、KRAS変異と関係している方法または使用。
【請求項29】
請求項17に記載の方法または請求項23に記載の使用であって、該癌が、KRAS変異と関係しており、それが、G12C変異である方法または使用。
【請求項30】
それを必要とする患者において癌を処置するための方法であって、該方法が、以下の工程:
(a)該癌が、KRAS変異と関係していることを決定し;そして
(b)該患者に療法上有効量の請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬組成物を投与する;
を含む方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、前記の変異が、G12C変異である方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、KRASタンパク質の阻害剤として有用な新規テトラヒドロキナゾリン誘導体に関する。本発明は、哺乳類、特にヒトにおける異常な細胞増殖の処置においてそのような化合物を使用する方法に、および抗癌剤としての医薬組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
カーステンラット肉腫癌遺伝子ホモログ(Kirsten Rat Sarcoma Oncogene Homolog)(KRAS)は、細胞の外側からのシグナルを細胞内の増殖および生存シグナルに統合する小型のGTPアーゼである。これは、成長因子が媒介するグアニン交換因子(GEF)の活性化を通して生じ、それは、RasからGDPを除去し、細胞質中に高濃度で存在するGTPが入ることを可能にする。GTPヌクレオチドが結合すると、2つの無秩序な(disordered)スイッチ領域(スイッチIおよびスイッチII)がヌクレオチドのガンマホスフェートと相互作用してRasがRas結合ドメイン(RBD)を介してエフェクター酵素と相互作用することを可能にし、それが、遺伝子発現を変化させるシグナル伝達カスケードを開始する。GTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)の結合は、GTPのGDPへの内因性の変換を加速し、タンパク質を不活性状態にしてシグナルを終結させる(Rajalingam, K., R. Schreck, U. R. Rapp and S. Albert (2007). “Ras oncogenes and their downstream targets.”Biochim Biophys Acta 1773(8): 1177-1195.)。
【0003】
Rasは、ヒト腫瘍の20%に至るまでにおいてコドン12、13および61の位置で変異しており、それは、そのタンパク質のGTP結合形態を促進する役割を果たす。これらは、結腸腫瘍、膵臓腫瘍および肺腫瘍を含み、その後者は、全腫瘍の25〜30%に至るまでにおいてKRAS変異を示し、これらの40%は、タバコの煙中の発癌物質によって促進されると考えられているG12C変異を有する。G12C変異を有するKRASは、Mapk経路を活性化し、非小細胞肺癌(NSCLC)の増殖および生存を促進する(Prior, I. A., P. D. Lewis and C. Mattos (2012). “A comprehensive survey of Ras mutations in cancer.” Cancer Res 72(10): 2457-2467.)。
【0004】
ヒト腫瘍におけるKRAS変異およびこれらのタンパク質によるシグナル伝達の阻害が癌表現型の阻害を引き起こしたことの発見以来、学術グループおよび産業の両方によるRas阻害剤を見付ける強い望みがあった(Feramisco, J. R., R. Clark, G. Wong, N. Arnheim, R. Milley and F. McCormick (1985). “Transient reversion of ras oncogene-induced cell transformation by antibodies specific for amino acid 12 of ras protein.” Nature 314(6012): 639-642.およびMcCormick, F. (2015). “KRAS as a Therapeutic Target.” Clin Cancer Res 21(8): 1797-1801)。KRASエフェクターBRafの特異的阻害剤は、単独およびMapk経路の他の阻害剤との組み合わせで、このBRafが頻繁に変異により活性化されているメラノーマにおいて劇的な反応を示している(Flaherty, K. T., I. Puzanov, K. B. Kim, A. Ribas, G. A. McArthur, J. A. Sosman, P. J. O'Dwyer, R. J. Lee, J. F. Grippo, K. Nolop and P. B. Chapman (2010). “Inhibition of mutated, activated BRAF in metastatic melanoma.” N Engl J Med 363(9): 809-819.)。対照的に、一般的なMapk阻害剤は、潜在的に正常組織に対する適切な治療指数の欠如または他のRas経路による代償性シグナル伝達のため、変異型KRASを有する癌において劇的な反応を示さなかった(Turk Turke, A. B., Y. Song, C. Costa, R. Cook, C. L. Arteaga, J. M. Asara and J. A. Engelman (2012). “MEK inhibition leads to PI3K/AKT activation by relieving a negative feedback on ERBB receptors.” Cancer Res 72(13): 3228-3237.e, Song et al. 2012およびJanne, P. A., M. M. van den Heuvel, F. Barlesi, M. Cobo, J. Mazieres, L. Crino, S. Orlov, F. Blackhall, J. Wolf, P. Garrido, A. Poltoratskiy, G. Mariani, D. Ghiorghiu, E. Kilgour, P. Smith, A. Kohlmann, D. J. Carlile, D. Lawrence, K. Bowen and J. Vansteenkiste (2017). “Selumetinib Plus Docetaxel Compared With Docetaxel Alone and Progression-Free Survival in Patients With KRAS-Mutant Advanced Non-Small Cell Lung Cancer: The SELECT-1 Randomized Clinical Trial.” Jama 317(18): 1844-1853.)。
【0005】
変異型KRasに選択的に結合する化合物は、それらが正常組織に影響を与えないと考えられ、かつ腫瘍内のRasシグナル伝達を十分に阻害して抗腫瘍活性を引き出すため、非常に望ましい。最近、KRAS G12Cは、生化学的におよび癌細胞においての両方でサイクリング(cycling)を保持し、活性化を撹乱する機会を作り出すことが示された(Hunter, J. C., A. Manandhar, M. A. Carrasco, D. Gurbani, S. Gondi and K. D. Westover (2015). “Biochemical and Structural Analysis of Common Cancer-Associated KRAS Mutations.”Mol Cancer Res 13(9): 1325-1335.)。G12Cでのシステイン置換を結合に利用し、GDPのGTPへの交換を妨げる化合物が、記載された(Ostrem, J. M., U. Peters, M. L. Sos, J. A. Wells and K. M. Shokat (2013). “K-Ras(G12C) inhibitors allosterically control GTP affinity and effector interactions.” Nature 503(7477): 548-551.)。これは、KRASを不活性状態で固定するG12C結合化合物を利用して、癌処置のための魅力的な機会を作る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Rajalingam, K., R. Schreck, U. R. Rapp and S. Albert (2007). “Ras oncogenes and their downstream targets.” Biochim Biophys Acta 1773(8): 1177-1195
【非特許文献2】Prior, I. A., P. D. Lewis and C. Mattos (2012). “A comprehensive survey of Ras mutations in cancer.” Cancer Res 72(10): 2457-2467
【非特許文献3】Feramisco, J. R., R. Clark, G. Wong, N. Arnheim, R. Milley and F. McCormick (1985). “Transient reversion of ras oncogene-induced cell transformation by antibodies specific for amino acid 12 of ras protein.” Nature 314(6012): 639-642
【非特許文献4】McCormick, F. (2015). “KRAS as a Therapeutic Target.” Clin Cancer Res 21(8): 1797-1801
【非特許文献5】Flaherty, K. T., I. Puzanov, K. B. Kim, A. Ribas, G. A. McArthur, J. A. Sosman, P. J. O'Dwyer, R. J. Lee, J. F. Grippo, K. Nolop and P. B. Chapman (2010). “Inhibition of mutated, activated BRAF in metastatic melanoma.” N Engl J Med 363(9): 809-819
【非特許文献6】Turk Turke, A. B., Y. Song, C. Costa, R. Cook, C. L. Arteaga, J. M. Asara and J. A. Engelman (2012). “MEK inhibition leads to PI3K/AKT activation by relieving a negative feedback on ERBB receptors.” Cancer Res 72(13): 3228-3237.e, Song et al. 2012
【非特許文献7】Janne, P. A., M. M. van den Heuvel, F. Barlesi, M. Cobo, J. Mazieres, L. Crino, S. Orlov, F. Blackhall, J. Wolf, P. Garrido, A. Poltoratskiy, G. Mariani, D. Ghiorghiu, E. Kilgour, P. Smith, A. Kohlmann, D. J. Carlile, D. Lawrence, K. Bowen and J. Vansteenkiste (2017). “Selumetinib Plus Docetaxel Compared With Docetaxel Alone and Progression-Free Survival in Patients With KRAS-Mutant Advanced Non-Small Cell Lung Cancer: The SELECT-1 Randomized Clinical Trial.”Jama 317(18): 1844-1853
【非特許文献8】Hunter, J. C., A. Manandhar, M. A. Carrasco, D. Gurbani, S. Gondi and K. D. Westover (2015). “Biochemical and Structural Analysis of Common Cancer-Associated KRAS Mutations.” Mol Cancer Res 13(9): 1325-1335
【非特許文献9】Ostrem, J. M., U. Peters, M. L. Sos, J. A. Wells and K. M. Shokat (2013). “K-Ras(G12C) inhibitors allosterically control GTP affinity and effector interactions.” Nature 503(7477): 548-551
【発明の概要】
【0007】
KRASは、様々な生物学的プロセスの制御におけるその役割を考慮すると、低分子阻害剤による調節のための魅力的な標的である。今日まで、有効なKRAS阻害剤は少数しか開発されておらず、臨床に入ったKRAS阻害剤は、たとえあるとしても少数しかない。
【0008】
下記の本発明の化合物の態様のそれぞれは、本明細書で記載される本発明の化合物のあらゆる他の態様と、それが組み合わせられる態様と矛盾せずに組み合わせられることができる。さらに、本発明を記載する下記の態様のそれぞれは、本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩をその範囲内に想定している。従って、句“またはその薬学的に許容可能な塩”は、本明細書で記載される全ての化合物の記載において暗に示されている。
【0009】
本発明は、式(I)の化合物:
【0010】
【化1】
【0011】
またはその薬学的に許容可能な塩が提供される態様を含み;式中:
Jは、3〜12個の環原子を有する複素環であり、ここで、Jは、場合により1、2、3、4、5または6個のRで置換されており;
Kは、C〜C12アリールであり、またはKは、5〜12個の環原子を有するヘテロアリールであり、ここで、Kは、場合により1、2、3、4、5、6または7個のRで置換されており;
Wは、以下の基:
【0012】
【化2】
【0013】
からなる群から選択され:
ここで、Wは、場合により1、2または3個のRで置換されており;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルキル−ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキル−C〜Cアルコキシ、ヒドロキシ、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ハロゲン、C〜Cハロアルキル、シアノおよび−N(Rからなる群から選択され、または2個のRは、場合により連結されて3〜12個の環原子を有する複素環もしくはC〜Cシクロアルキルを形成しており;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルキル−ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、C〜Cハロアルキル、シアノ、C〜Cアルキル−シアノおよびオキソからなる群から選択され、または2個のRは、場合により連結されて3〜12個の環原子を有する複素環もしくはC〜Cシクロアルキルを形成しており;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキル−ヒドロキシ、ハロゲン、C〜Cハロ−アルキル、N(R、オキソおよびシアノからなる群から選択され、または2個のRは、場合により連結されて3〜12個の環原子を有する複素環もしくはC〜Cシクロアルキルを形成しており;
は、−X−Y−Zであり、ここで:
Xは、存在せず、または酸素、硫黄および−NR−からなる群から選択され、
Yは、存在せず、またはC〜Cアルキレニル(alkylenlyl)であり、かつ
Zは、H、−N(R、−C(O)−N(R、−OR、3〜12個の環原子を有する複素環、5〜12個の環原子を有するヘテロアリールおよびC〜Cシクロアルキルから選択され、
ここで、Rは、場合により1個以上のRで置換されており;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、ハロゲンおよび−N(Rからなる群から選択され;
それぞれのRは、独立して水素、ヒドロキシル、C〜CアルコキシおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され、または2個のRは、場合により連結されて3〜12個の環原子を有する複素環もしくはC〜Cシクロアルキルを形成しており;
それぞれのRは、独立してR7’またはC〜Cアルキル−R7’であり、ここで、それぞれのR7’は、独立してC〜Cアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、−N(R、3〜12個の環原子を有する複素環およびオキソからなる群から選択され;かつ
mは、0、1、2、3、4、5、6または7である。
【0014】
本発明は、式(I)の化合物:
【0015】
【化3】
【0016】
またはその薬学的に許容可能な塩が提供されるさらなる態様を含み;式中:
Jは、以下の基:
【0017】
【化4】
【0018】
からなる群から選択され、ここで、Wは、Wへの結合の点を表わし、かつここで、Jは、場合により1、2、3、4、5または6個のRで置換されており;
Kは、以下の基:
【0019】
【化5】
【0020】
からなる群から選択され、または
Kは、以下の基:
【0021】
【化6】
【0022】
からなる群から選択され、ここで、Kは、場合により1、2、3、4、5、6または7個のRで置換されており;
Wは、以下の基:
【0023】
【化7】
【0024】
からなる群から選択され、ここで、Wは、場合により1、2または3個のRで置換されており;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルキル−ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキル−C〜Cアルコキシ、ヒドロキシ、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ハロゲン、C〜Cハロアルキル、シアノおよび−N(Rからなる群から選択され、または2個のRは、場合により連結されて3〜12個の環原子を有する複素環もしくはC〜Cシクロアルキルを形成しており;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルキル−ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、C〜Cハロアルキル、シアノ、C〜Cアルキル−シアノおよびオキソからなる群から選択され、または2個のRは、場合により連結されて3〜12個の環原子を有する複素環もしくはC〜Cシクロアルキルを形成しており;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキル−ヒドロキシ、ハロゲン、C〜Cハロ−アルキル、N(R、オキソおよびシアノからなる群から選択され、または2個のRは、場合により連結されて3〜12個の環原子を有する複素環もしくはC〜Cシクロアルキルを形成しており;
は、−X−Y−Zであり、ここで:
Xは、存在せず、または酸素、硫黄および−NR−からなる群から選択され、
Yは、存在せず、またはC〜Cアルキレニル(alkylenlyl)であり、かつ
Zは、H、−N(R、−C(O)−N(R、−OR、3〜12個の環原子を有する複素環、5〜12個の環原子を有するヘテロアリールおよびC〜Cシクロアルキルから選択され、
ここで、Rは、場合により1個以上のRで置換されており;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、ハロゲンおよび−N(Rからなる群から選択され;
それぞれのRは、独立して水素、ヒドロキシル、C〜CアルコキシおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され、または2個のRは、場合により連結されて3〜12個の環原子を有する複素環もしくはC〜Cシクロアルキルを形成しており;
それぞれのRは、独立してR7’またはC〜Cアルキル−R7’であり、ここで、それぞれのR7’は、独立してC〜Cアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、−N(R、3〜12個の環原子を有する複素環およびオキソからなる群から選択され;かつ
mは、0、1、2、3、4、5、6または7である。
【0025】
本発明は、式(I)の化合物:
【0026】
【化8】
【0027】
またはその薬学的に許容可能な塩が提供されるさらに他の態様を含み;式中:
Jは、以下の基:
【0028】
【化9】
【0029】
からなる群から選択され、ここで、Wは、Wへの結合の点を表わし、かつここで、Jは、場合によりRで置換されており;
Kは、以下の基:
【0030】
【化10】
【0031】
からなる群から選択され、または
Kは、以下の基:
【0032】
【化11】
【0033】
からなる群から選択され、ここで、Kは、場合により1または2個のRで置換されており;
Wは、以下の基:
【0034】
【化12】
【0035】
からなる群から選択され、ここで、Wは、場合により1、2または3個のRで置換されており;
は、独立してC〜CアルキルおよびC〜Cアルキル−C〜Cアルコキシからなる群から選択され;
は、C〜Cアルキルであり;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、C〜Cハロ−アルキルおよびC〜Cアルキル−ヒドロキシからなる群から選択され;
は、−X−Y−Zであり、ここで:
Xは、存在せず、または酸素であり、
Yは、存在せず、またはC〜Cアルキレニル(alkylenlyl)であり、かつ
Zは、H、−N(R、−ORおよび3〜12個の環原子を有する複素環から選択され、
ここで、Rは、場合により1個以上のRで置換されており;
それぞれのRは、独立してC〜Cアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、ハロゲンおよび−N(Rからなる群から選択され;
それぞれのRは、独立して水素およびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
それぞれのRは、独立してR7’またはC〜Cアルキル−R7’であり、ここで、それぞれのR7’は、独立してC〜Cアルキルおよび−N(Rからなる群から選択され;
mは、0または1である。
【0036】
Kが以下の基:
【0037】
【化13】
【0038】
からなる群から選択される本発明の態様も、含まれ;
Kが以下の基:
【0039】
【化14】
【0040】
からなる群から選択される態様を含む。
Kが以下の基:
【0041】
【化15】
【0042】
からなる群から選択される本発明の態様も、含まれる。
Wが以下の基:
【0043】
【化16】
【0044】
である本発明の態様も、含まれる。
Jが以下の基:
【0045】
【化17】
【0046】
である本発明の態様も、含まれ;
Jが以下の基:
【0047】
【化18】
【0048】
からなる群から選択される態様を含む。
加えて、本発明は、Rが以下の基:
【0049】
【化19】
【0050】
からなる群から選択される態様を含む。
さらに、本発明の態様は、以下の化合物:
【0051】
【化20-1】
【0052】
【化20-2】
【0053】
【化20-3】
【0054】
またはその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される化合物を含む。
本発明の態様は、優先的に以下の化合物:
【0055】
【化21-1】
【0056】
【化21-2】
【0057】
またはその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される化合物を含む。
本発明の追加の態様は、療法上有効量の本明細書で記載される化合物またはその薬学的に許容可能な塩および薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を含む。
【0058】
本発明の追加の態様は、KRAS活性の阻害が望まれる細胞を、療法上有効量の本明細書で記載される化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩または前記の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩を含有する医薬組成物と接触させることにより細胞中のKRAS活性を阻害するための方法も含む。
【0059】
本発明の追加の態様は、癌を処置するための方法であって、癌を有する患者に、療法上有効量の本明細書で記載される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を、単独で、または1種類以上の薬学的に許容可能なキャリヤー、賦形剤もしくは希釈剤との組み合わせで投与することを含む方法も含む。
【0060】
態様はさらに、投与される化合物またはその薬学的に許容可能な塩の療法上有効量が、1日あたり約0.01〜300mg/kgである;または1日あたり約0.1〜100mg/kgであるそのような方法を含む。
【0061】
本発明の追加の態様は、哺乳類における異常な細胞増殖を処置するための方法であって、療法上有効量の本明細書で記載される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を哺乳類に投与することを含む方法も含む。特定のそのような態様において、異常な細胞増殖は、癌であり、それらの態様のあるものにおいて、癌は、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部の癌、皮膚または眼内メラノーマ、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、ファロピウス管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、慢性または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫または下垂体腺腫である。そのような癌は、KRAS関係の癌であり得る。特に興味深いのは、肺癌、結腸癌、膵臓癌および卵巣癌のような癌である。
【0062】
さらなる態様において、本明細書で記載される化合物を用いて癌を処置する方法が、提供され、ここで、癌は、肺癌、結腸癌、膵臓癌および卵巣癌である。
さらなる態様において、本明細書で記載される化合物を用いて癌を処置する方法が、提供され、ここで、癌は、肺癌である。
【0063】
さらなる態様において、本明細書で記載される化合物を用いて癌を処置する方法が、提供され、ここで、癌は、膵臓癌である。
本発明の態様は、哺乳類における異常な細胞増殖の処置において有用な医薬品の調製のための本明細書で記載される化合物の使用またはその薬学的に許容可能な塩の使用も含む。特定のそのような態様において、異常な細胞増殖は、癌であり、それらの態様のあるものにおいて、癌は、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部の癌、皮膚または眼内メラノーマ、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、ファロピウス管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、慢性または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂の癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫または下垂体腺腫である。そのような癌は、KRAS関係の癌であり得る。
【0064】
また、癌処置に関連して、本発明の態様は、以下の工程を含む、それを必要としている患者において癌を処置するための方法を含む:(a)癌がKRAS変異と関係していることを決定し;そして(b)患者に療法上有効量の本明細書で記載される化合物もしくは薬学的に許容可能な塩またはその医薬組成物を投与する。ある態様において、KRAS変異は、G12C変異であるか、またはG12C変異を組み込んでいる。ある態様において、KRAS変異は、コドン12、13および/もしくは61におけるRas変異であるか、またはそれを組み込んでいる。
【0065】
定義
別途記載されない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される以下の用語は、下記で論じられる意味を有する。R、X、n等のようなこの節で定義される変数は、この節内での参照のためだけのものであり、この定義の節の外で使用され得る意味と同じ意味を有することは、意図されていない。さらに、本明細書で定義される基の多くは、場合により置換されていることができる。この定義の節における典型的な置換基の列挙は、例示的なものであり、本明細書および特許請求の範囲内の他の箇所で定義された置換基を限定することは、意図されていない。
【0066】
“アルケニル”は、本明細書で定義されるように、少なくとも2個の炭素原子および少なくとも1個の炭素−炭素二重結合からなるアルキル基を指す。代表的な例は、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−、2−または3−ブテニル等を含むが、それらに限定されない。“アルケニレン”は、アルケニルの二価形態を指す。
【0067】
“アルコキシ”は、アルキルが好ましくはC〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜CまたはCアルキルである−O−アルキルを指す。
【0068】
“アルキル”は、1〜20個の炭素原子(“(C〜C20)アルキル”)、好ましくは1〜12個の炭素原子(“(C〜C12)アルキル”)、より好ましくは1〜8個の炭素原子(“(C〜C)アルキル”)、または1〜6個の炭素原子(“(C〜C)アルキル”)、または1〜4個の炭素原子(“(C〜C)アルキル”)の直鎖および分枝鎖基を含む飽和脂肪族炭化水素基を指す。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル等を含む。アルキルは、置換されていることができ、または非置換であることもできる。典型的な置換基は、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト,アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、ニトロ、シリル、アミノおよび−NRを含み、ここで、RおよびRは、例えば水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、カルボニル、アセチル、スルホニル、トリフルオロメタンスルホニルおよび組み合わせられた5または6員ヘテロ脂環式環である。“ハロアルキル”、例えば(C〜C)ハロアルキルは、1〜6個の炭素および1個以上のハロゲン置換基を有するアルキル、例えば−CFおよび−CHFを指す。“アルキレン”は、アルキルの二価形態を指す。
【0069】
“アルキニル”は、本明細書で定義されるように、少なくとも2個の炭素原子および少なくとも1個の炭素−炭素三重結合からなるアルキル基を指す。代表的な例は、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−、2−または3−ブチニル等を含むが、それらに限定されない。“アルキニレン”は、アルキニルの二価形態を指す。
【0070】
“アミノ”は、−NR基を指し、ここで、RおよびRは、両方とも水素である。
“(C〜C12)アリール”は、完全に共役したパイ電子系を有する6〜12個の炭素原子の全て炭素の単環式または縮合環多環式基を指す。同様に、“(C〜C12)アリール”は、完全に共役したパイ電子系を有する5〜12個の炭素原子の全て炭素の単環式または縮合環多環式基を指す。アリール基の例は、限定ではなく、フェニル、ナフタレニルおよびアントラセニルである。アリール基は、置換されていることができ、または非置換であることもできる。典型的な置換基は、ハロ、トリハロメチル、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ニトロ、カルボニル、チオカルボニル、C−カルボキシ、O−カルボキシ、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、スルフィニル、スルホニル、アミノおよび−NRを含み、RおよびRは、上記で定義された通りである。
【0071】
“(C〜C12)アリール”は、追加でそれに縮合した炭素環(carbocyclo)または複素環を含む上記のようなアリール環(rigs)および環系、例えば以下の基:
【0072】
【化22】
【0073】
も含む。
“シアノ”は、−C≡N基を指す。シアノは、CNとして表されることができる。
“(C〜C10)シクロアルキル”は、3〜10員の全て炭素の単環式環、3〜10員の全て炭素の二環式環、全て炭素の5員/6員または6員/6員の縮合二環式環、多環式縮合環(“縮合”環系は、系中のそれぞれの環が系中のそれぞれの他の環と隣接する炭素原子の対を共有していることを意味する)基を指し、ここで、環の1個以上が1個以上の二重結合を含有することができるが、完全に共役したパイ電子系および架橋された全て炭素の環系を有する環はない。シクロアルキル基の例は、限定ではなく、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキサジエン、アダマンタン、シクロヘプタン、シクロヘプタトリエン等である。シクロアルキル基は、置換されていることができ、または非置換であることもできる。典型的な置換基は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ,アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、チオカルボニル、C−カルボキシ、O−カルボキシ、O−カルバミル、N−カルバミル、C−アミド、N−アミド、ニトロ、アミノおよび−NRを含み、RおよびRは、上記で定義された通りである。
【0074】
“G12C”は、野生型KRAS中の12位のアミノ酸がグリシン残基からシステイン残基に変異している変異を指す。
“ハロゲン”または接頭辞“ハロ”は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを指す。好ましくは、ハロゲンは、フルオロまたはクロロを指す。
【0075】
“ヘテロアルキル”は、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜12個の炭素原子、より好ましくは1〜8個の炭素原子、または1〜6個の炭素原子、または1〜4個の炭素原子の直鎖または分枝鎖のアルキル基を指し、ここで、その炭素原子の1、2または3個は、NR、N、OおよびS(O)(ここで、nは、0、1または2である)から選択される複素原子により置き換えられている。典型的には、1個より多くの複素原子が存在するうちの複素原子は、互いに隣接していない。例示的なヘテロアルキルは、アルキルエーテル、二級および三級アルキルアミン、アミド、アルキルスルフィド等を含む。その基は、末端基または架橋基であることができる。本明細書で使用される際、架橋基の文脈で使用される場合の通常鎖(normal chain)への言及は、架橋基の2つの末端位置を連結している原子の直接の鎖(direct chain)を指す。“アルキル”と同様に、“ヘテロアルキル”上の典型的な置換基は、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、ニトロ、シリル、アミノおよび−NRを含み、ここで、RおよびRは、例えば水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、カルボニル、アセチル、スルホニル、トリフルオロメタンスルホニルおよび組み合わせられた5または6員ヘテロ脂環式環である。“ヘテロアルケニル”は、1個以上の炭素−炭素二重結合を有するヘテロアルキルを指す。“ヘテロアルキレン”は、ヘテロアルキルの二価形態を指す。“ヘテロアルケニレン”は、ヘテロアルケニルの二価形態を指す。
【0076】
“ヘテロアリール”は、NR、N、OおよびS(O)(ここで、nは、0、1または2である)から選択される1個、2個、3個または4個の環複素原子を含有し、加えて完全に共役したパイ電子系を有する5〜12個の環原子の単環式または縮合環基を指す。好ましいヘテロアリール基は、上記の定義に従う(C〜C)ヘテロアリールを含む。非置換ヘテロアリール基の例は、限定ではなく、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、プリン、テトラゾール、トリアジンおよびカルバゾールである。ヘテロアリール基は、置換されていることができ、または非置換であることもできる。典型的な置換基は、アルキル、シクロアルキル、ハロ、トリハロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ニトロ、カルボニル、チオカルボニル、スルホンアミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、スルフィニル、スルホニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、アミノおよび−NRを含み、RおよびRは、上記で定義された通りである。薬学的に許容可能なヘテロアリールは、本発明の化合物に結合させられ、医薬組成物中に配合され、その後それを必要とする患者に投与されるために十分に安定であるヘテロアリールである。典型的な単環式ヘテロアリール基の例は、以下の単環式ヘテロアリール基を含むが、それらに限定されない:
【0077】
【化23】
【0078】
適切な縮合環ヘテロアリール基の例は、以下の縮合環ヘテロアリール基を含むが、それらに限定されない:
【0079】
【化24】
【0080】
【化25】
【0081】
【化26】
【0082】
“ヘテロシクリル”は、N、OおよびS(O)(ここで、nは、0、1または2である)から選択される1、2、3または4個の環複素原子および1〜9個の炭素原子を含有する3〜12個の環原子を有する単環式、スピロ環式または縮合環系を指す。環は、1個以上の二重結合を有することもできる。しかし、環は、完全に共役したパイ電子系を有しない。好ましい複素環は、上記の定義に従う(C〜C)複素環を含む。
【0083】
適切な飽和複素環式基の例は、以下の飽和複素環式基を含むが、それらに限定されない:
【0084】
【化27】
【0085】
適切な部分的に不飽和の複素環式基の例は、以下の部分的に不飽和の複素環式基を含むが、それらに限定されない:
【0086】
【化28】
【0087】
適切な縮合複素環式基の例は、以下の縮合複素環式基を含むが、それらに限定されない:
【0088】
【化29】
【0089】
適切なセミ飽和(semi−saturated)縮合複素環式基の例は、以下のセミ飽和縮合複素環式基を含むが、それらに限定されない:
【0090】
【化30】
【0091】
適切なスピロ環式複素環式基の例は、以下のスピロ環式複素環式基を含むが、それらに限定されない:
【0092】
【化31】
【0093】
ヘテロシクリル基は、場合により独立してハロ、低級アルキル、カルボキシで置換された低級アルキル、エステルヒドロキシ、モノもしくはジアルキルアミノまたはオキソから選択される1または2個の置換基で置換されている。さらに、複素環は、複素環上の非隣接炭素間の架橋を含む架橋を含有することができ、架橋は、1〜2個の炭素ならびにNR、OおよびS(O)(ここで、nは、0、1または2である)から選択される0〜1個の複素原子を含有する。
【0094】
“ヒドロキシ”または”ヒドロキシル”は、−OH基を指す。
“インビトロ”は、例えば、限定ではなく、試験管または培養培地中のような人工的な環境で実施される手順を指す。
【0095】
“インビボ”は、限定ではなく、マウス、ラットまたはウサギのような生きている生物内で実施される手順を指す。
“任意に”または“場合により”は、その後で記載される事象または状況が発生し得るが発生する必要はないこと、ならびにその記載がその事象または状況が発生する場合およびそれが発生しない場合を含むことを意味する。例えば、“場合によりアルキル基で置換された複素環基”は、そのアルキルが存在し得るが存在する必要はないことを意味し、その記載は、その複素環基がアルキル基で置換されている状況およびその複素環基がアルキル基で置換されていない状況を含む。
【0096】
“生物”は、少なくとも1個の細胞からなるあらゆる生きている実体を指す。生きている生物は、例えば単一の真核細胞くらい単純であることができ、またはヒトを含む哺乳類くらい複雑であることもできる。
【0097】
“薬学的に許容可能な賦形剤”は、化合物の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性物質を指す。賦形剤の例は、限定ではなく、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖類および様々なタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコール類を含む。本明細書で使用される際、用語“薬学的に許容可能な塩”は、親化合物の生物学的有効性および特性を保持する塩類を指す。そのような塩類は、以下の塩類を含む:(i)親化合物の遊離塩基の無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、硫酸および過塩素酸等との、もしくは有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、(D)もしくは(L)リンゴ酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸等との反応により得られることができる酸付加塩;または(ii)親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンもしくはアルミニウムイオンにより置き換えられているか;もしくは有機塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン等と配位しているかのどちらかである場合に形成される塩類。
【0098】
“医薬組成物”は、本明細書で記載される化合物またはその生理学的に/薬学的に許容可能な塩類、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグの1以上の他の化学的構成要素、例えば生理学的に/薬学的に許容可能なキャリヤーおよび賦形剤との混合物を指す。医薬組成物の目的は、化合物の生物への投与を容易にすることである。
【0099】
本明細書で使用される際、“生理学的に/薬学的に許容可能なキャリヤー”は、生物に著しい刺激を引き起こさず、かつ投与される化合物の生物学的活性および特性を損なわないキャリヤーまたは希釈剤を指す。
【0100】
“療法上有効量”は、処置されている障害の症状の1以上をある程度緩和するであろう投与されている化合物の量を指す。癌の処置に関して、療法上有効量は、以下の作用のうち少なくとも1つを有する量を指す:腫瘍の大きさを低減する;腫瘍の転移を阻害する(すなわちある程度遅らせる、好ましくは停止させる);腫瘍の成長をある程度阻害する(すなわちある程度遅らせる、好ましくは停止させる);および癌と関係する1以上の症状をある程度緩和する(または好ましくは除去する)。
【0101】
“処置する”、”処置すること”および”処置”は、メチルトランスフェラーゼに媒介される細胞障害および/またはその付随症状を緩和または抑止する方法を指す。特に癌に関して、これらの用語は、単に、癌に罹患した個体の期待寿命が増大するであろうことまたは疾患の症状の1以上が低減するであろうことを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0102】
詳細な説明
本発明の化合物を合成するための一般的なスキームは、本明細書の実施例の節において見付けられることができる。
【0103】
別途示されない限り、本明細書における本発明の化合物への全ての言及は、その塩類、溶媒和物、水和物および錯体への、ならびにその塩類の溶媒和物、水和物および錯体への言及を、その多形、立体異性体および同位体標識されたバージョンを含めて含む。
【0104】
薬学的に許容可能な塩類は、酸付加塩および塩基塩(二塩(disalts)を含む)を含む。適切な酸付加塩は、非毒性の塩類を形成する酸から形成される。例は、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシレート(esylate)、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩,、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩を含む。
【0105】
適切な塩基塩は、非毒性の塩類を形成する塩基から形成される。例は、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リジン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛塩を含む。適切な塩類に関する総説に関して、StahlおよびWermuthによる“Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use”(Wiley-VCH, ドイツ、ヴァインハイム、2002)を参照、その開示は、参照によりそのまま本明細書に援用される。
【0106】
本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩は、化合物の溶液および所望の酸または塩基を適宜一緒に混合することによって容易に調製されることができる。その塩は、溶液から沈殿して濾過により回収されることができ、または溶媒の蒸発により回収されることもできる。塩におけるイオン化の程度は、完全にイオン化されたものからほとんどイオン化されていないものまで様々であることができる。
【0107】
本発明の化合物は、非溶媒和形態および溶媒和形態の両方で存在することができる。用語‘溶媒和物’は、本明細書において、本発明の化合物および1以上の薬学的に許容可能な溶媒分子、例えばエタノールを含む分子錯体を記載するために使用されている。用語‘水和物’は、溶媒が水である場合に用いられる。本発明に従う薬学的に許容可能な溶媒和物は、結晶化の溶媒が同位体(例えばDO、d−アセトン、d−DMSO)置換されることができる水和物および溶媒和物を含む。
【0108】
錯体、例えばクラスレート、薬物−ホスト包接錯体も、本発明の範囲内に含まれ、ここで、前記の溶媒和物とは対照的に、薬物およびホストは、化学量論量または非化学量論量で存在する。化学量論量または非化学量論量で存在することができる2種類以上の有機性および/または無機性構成要素を含有する薬物の錯体も、含まれる。結果として得られる錯体は、イオン化されている、部分的にイオン化されている、またはイオン化されていないことができる。そのような錯体の総説に関して、J Pharm Sci, 64 (8), 1269-1288 by Haleblian (August 1975)を参照、その開示は、参照によりそのまま本明細書に援用される。
【0109】
本発明の化合物の多形、プロドラッグおよび異性体(光学異性体、幾何異性体および互変異性体を含む)も、本発明の範囲内に含まれる。
それら自体はほとんどまたは全く薬理活性を有しない可能性があるが患者に投与された際に例えば加水分解的開裂によって本発明の化合物に変換されることができる本発明の化合物の誘導体。そのような誘導体は、‘プロドラッグ’と呼ばれる。プロドラッグの使用に関するさらなる情報が、‘Pro-drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14, ACS Symposium Series (T Higuchi and W Stella)および‘Bioreversible Carriers in Drug Design’, Pergamon Press, 1987 (編者 E B Roche, American Pharmaceutical Association)において見付けられることができ、その開示は、参照によりそのまま本明細書に援用される。本発明に従うプロドラッグは、例えば本発明の化合物中に存在する適切な官能性を、例えばH Bundgaardによる“Design of Prodrugs”(Elsevier, 1985)において記載されているような‘プロ部分(pro−moieties)’として当業者に知られている特定の部分で置き換えることにより生成されることができ、その開示は、参照によりそのまま本明細書に援用される。
【0110】
本発明に従うプロドラッグのいくつかの例は、以下のプロドラッグを含む:(i)化合物がカルボン酸官能性−(COOH)を含有する場合、そのエステル、例えば水素の(C−C)アルキルによる置換;(ii)化合物がアルコール官能性(−OH)を含有する場合、そのエーテル、例えば水素の(C−C)アルカノイルオキシメチルによる置換;および(iii)化合物が第一級または第二級アミノ官能性(−NHまたは−NHR、ここで、R≠H)を含有する場合、そのアミド、例えば一方または両方の水素の(C−C10)アルカノイルによる置換。前記の例および他のプロドラッグのタイプの例に従う置換基のさらなる例は、前記の参考文献において見付けられることができる。
【0111】
最後に、特定の本発明の化合物は、それら自体が本発明の化合物の他のもののプロドラッグの役目を果たすことができる。
1個以上の不斉炭素原子を含有する本発明の化合物は、2種類以上の立体異性体として存在し得る。本発明に従う化合物が少なくとも1個の不斉中心を有する場合、それらは、それゆえに鏡像異性体として存在することができる。化合物が2個以上のキラル中心を有する場合、それらは、さらにジアステレオマーとして存在することができる。同様に、本発明の化合物がシクロプロピル基またはキラリティーが存在する他の環式基およびアルケニルまたはアルケニレン基を含有する場合、幾何シス/トランス(またはZ/E)異性体が、可能である。化合物が、例えばケトもしくはオキシム基または芳香族部分を含有する場合、互変異性的異性(‘互変異性’)が、生じ得る。単一の化合物が、1より多くのタイプの異性を示し得る。
【0112】
本発明の化合物の全ての立体異性体、幾何異性体および互変異性型は、本発明の範囲内に含まれ、これは、1より多くのタイプの異性を示す化合物およびそれらの1種類以上の混合物を含む。対イオンが光学活性である酸付加塩もしくは塩基塩、例えばD−乳酸塩もしくはL−リジン、またはラセミ体、例えばDL−酒石酸塩もしくはDL−アルギニンも、含まれる。
【0113】
シス/トランス異性体は、当業者に周知の従来の技術、例えばクロマトグラフィーおよび分別結晶化によって分離されることができる。
個々のエナンチオマーの調製/単離のための従来の技法は、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成または例えばキラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)もしくは超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を用いたラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割を含む。
【0114】
あるいは、ラセミ体(またはラセミ前駆体)は、適当な光学活性化合物、例えばアルコール、または化合物が酸性もしくは塩基性部分を含有する場合には酸もしくは塩基、例えば酒石酸もしくは1−フェニルエチルアミンと反応させられることができる。結果として得られるジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶化によって分離されることができ、ジアステレオ異性体の一方または両方が、当業者に周知の手段により対応する純粋な鏡像異性体に変換されることができる。
【0115】
立体異性体の集合体は、当業者に既知の従来の技法によって分離されることがでる;例えばE L Elielによる“Stereochemistry of Organic Compounds”(Wiley, New York, 1994)を参照、その開示は、参照により本明細書にそのまま援用される。
【0116】
本発明は、本発明の同位体標識された化合物も含み、ここで、1個以上の原子が、同じ原子番号を有するが通常天然に存在する原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子により置き換えられている。本発明の化合物に含まれるのに適した同位体の例は、HおよびHのような水素の同位体、11C、13Cおよび14Cのような炭素の同位体、36Clのような塩素の同位体、18Fのようなフッ素の同位体、123Iおよび125Iのようなヨウ素の同位体、13Nおよび15Nのような窒素の同位体、15O、17Oおよび18Oのような酸素の同位体、32Pのようなリンの同位体ならびに35Sのような硫黄の同位体を含む。本発明の特定の同位体標識された化合物、例えば放射性同位体を組み込んでいる化合物は、薬物および/または基質の組織分布研究において有用である。放射性同位体であるトリチウム、Hおよび炭素−14、14Cは、それらの組み込みの容易さおよび迅速な検出手段ゆえにこの目的のために特に有用である。より重い同位体、例えば重水素、Hによる置換は、より高い代謝安定性、例えば増大したインビボ半減期または低減した投与量の要求の結果もたらされる特定の療法的利点を与えることができ、従ってある状況において好ましい可能性がある。陽電子放出同位体、例えば11C、18F、15Oおよび13Nによる置換は、基質受容体占有率を調べるための陽電子放射断層撮影(Topography)(PET)研究において有用であり得る。
【0117】
本発明の同位体標識された化合物は、一般に、当業者に既知の従来の技法により、または本明細書で記載されるプロセスに類似したプロセスにより、そうでなければ利用される非標識試薬の代わりに適切な同位体標識された試薬を用いて調製されることができる。
【0118】
本発明に従う薬学的に許容可能な溶媒和物は、結晶化の溶媒が同位体置換されることができる(例えばDO、d−アセトン、d−DMSO)溶媒和物を含む。
医薬的使用に関して意図されている本発明の化合物は、結晶質もしくは非晶質生成物またはそれらの混合物として投与されることができる。それらは、例えば沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥または蒸発乾燥のような方法により、固体のプラグ、粉末またはフィルムとして得られることができる。マイクロ波乾燥または高周波乾燥が、この目的のために使用されることができる。
【0119】
化合物は、単独で、または本発明の1種類以上の他の化合物との組み合わせで投与されることができる。一般に、それらは、1種類以上の薬学的に許容可能な賦形剤を伴なって配合物として投与されるであろう。用語“賦形剤”は、本明細書において、本発明の化合物(単数または複数)以外のあらゆる成分を記載するために用いられる。賦形剤の選択は、特定の投与方式、可溶性および安定性に対する賦形剤の作用ならびに剤形の性質のような要因に大きく依存するであろう。
【0120】
本発明の化合物の送達に適した医薬組成物およびそれらの調製のための方法は、当業者には容易に明らかであろう。そのような組成物およびそれらの調製のための方法は、例えば‘Remington’s Pharmaceutical Sciences’第19版(Mack Publishing Company, 1995)において見付けられることができ、その開示は、参照により本明細書にそのまま援用される。
【0121】
経口投与:本発明の化合物は、経口投与されることができる。経口投与は、化合物が胃腸管に入るように嚥下することを含むことができ、または化合物が口から直接血流に入るバッカルもしくは舌下投与が、利用されることができる。
【0122】
経口投与に適した配合物は、固体配合物、例えば錠剤、微粒子、液体または粉末を含有するカプセル、ロゼンジ(液体が充填されたものを含む)、噛むもの(chews)、マルチおよびナノ粒子、ゲル、固溶体、リポソーム、フィルム(粘膜付着性のものを含む)、腔坐剤(ovules)、スプレーおよび液体配合物を含む。
【0123】
液体配合物は、懸濁液、溶液、シロップおよびエリキシル剤を含む。そのような配合物は、軟質カプセルまたは硬質カプセル中の充填剤として使用されることができ、典型的にはキャリヤー、例えば水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは適当な油ならびに1種以上の乳化剤および/または懸濁剤を含む。液体配合物は、例えば小袋からの固体の再構成によって調製されることもできる。
【0124】
本発明の化合物は、速溶性、速崩壊性の剤形、例えばLiangおよびChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents, 11 (6), 981-986 (2001)において記載されている剤形において用いられることもでき、その開示は、参照により本明細書にそのまま援用される。
【0125】
錠剤剤形に関して、用量に応じて、薬物は、剤形の1重量%〜80重量%、より典型的には5重量%〜60重量%を構成し得る。薬物に加えて、錠剤は、一般に崩壊剤を含有する。崩壊剤の例は、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムを含む。一般に、崩壊剤は、剤形の1重量%〜25重量%、好ましくは5重量%〜20重量%を含むであろう。
【0126】
結合剤は、一般に、錠剤配合物に粘着性の品質を付与するために使用される。適切な結合剤は、微結晶セルロース、ゼラチン、糖類、ポリエチレングリコール、天然および合成ガム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。錠剤は、希釈剤、例えばラクトース(一水和物、噴霧乾燥された一水和物、無水物等)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶セルロース、デンプンおよび二塩基性リン酸カルシウム二水和物を含有することもできる。
【0127】
錠剤は、場合により、表面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80、ならびに滑剤、例えば二酸化ケイ素およびタルクを含むこともできる。存在する場合、表面活性剤は、典型的には錠剤の0.2重量%〜5重量%の量であり、滑剤は、典型的には錠剤の0.2重量%〜1重量%の量である。
【0128】
錠剤は、一般に、潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムのラウリル硫酸ナトリウムとの混合物を含有する。潤滑剤は、一般に、錠剤の0.25重量%〜10重量%の量で、好ましくは0.5重量%〜3重量%の量で存在する。
【0129】
他の従来の成分は、抗酸化剤、着色剤、香味料、保存剤および矯味剤を含む。
例示的な錠剤は、約80重量%までの薬物、約10重量%〜約90重量%の結合剤、約0重量%〜約85重量%の希釈剤、約2重量%〜約10重量%の崩壊剤および約0.25重量%〜約10重量%の潤滑剤を含有する。
【0130】
錠剤ブレンドは、錠剤を形成するために、直接またはローラーによって圧縮されることができる。あるいは、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部は、打錠前に湿式、乾式もしくは溶融造粒、溶融凝固または押出成形されることができる。最終配合物は、1以上の層を含むことができ、コーティングされていることができ、もしくはコーティングされていないこともでき;またはカプセル封入されていることもできる。
【0131】
錠剤の配合は、H. LiebermanおよびL. Lachmanによる“Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Vol. 1”, Marcel Dekker, ニューヨーク州ニューヨーク, 1980 (ISBN 0-8247-6918-X)において詳細に論じられており、その開示は、参照により本明細書にそのまま援用される。
【0132】
経口投与のための固体配合物は、即時放出および/または改変放出であるように配合されることができる。改変放出配合物は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的化放出およびプログラムされた放出を含む。
【0133】
適切な改変放出配合物は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散物ならびに浸透圧性粒子およびコートされた粒子のような他の適切な放出技術の詳細は、Verma et al, Pharmaceutical Technology On-line, 25(2), 1-14 (2001)において見付けられることができる。制御放出を達成するためのチューインガムの使用が、国際公開第00/35298号において記載されている。これらの参考文献の開示は、参照により本明細書にそのまま援用される。
【0134】
非経口投与
本発明の化合物は、血流中、筋肉中、または内臓中に直接投与されることもできる。非経口投与のための適切な手段は、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、髄腔内投与、脳室内投与、尿道内投与、胸骨内投与、頭蓋内投与、筋肉内投与および皮下投与を含む。非経口投与のための適切なデバイスは、針式(マイクロニードルを含む)注射器、針なし注射器および注入技法を含む。
【0135】
非経口配合物は、典型的には賦形剤、例えば塩類、炭水化物および緩衝剤(好ましくは3から9のpHにする)を含有し得る水溶液であるが、一部の適用に関して、それらは、無菌の非水溶液として、または無菌の発熱物質を含まない水のような適切なビヒクルと合わせて用いられるための乾燥形態としてより適切に配合されることができる。
【0136】
無菌条件下での、例えば凍結乾燥による非経口配合物の調製は、当業者に周知の標準的な製薬技法を用いて容易に成し遂げられることができる。
非経口溶液の調製において使用される本発明の化合物の可溶性は、可溶性増進剤の組み込みのような適切な配合技法の使用により増大させられ得る。非経口投与のための配合物は、即時放出および/または改変放出であるように配合されることができる。改変放出配合物は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的化放出およびプログラムされた放出を含む。従って、本発明の化合物は、有効化合物の改変放出を提供する埋め込み用デポーとしての投与のための固体、半固体またはチキソトロピー液体として配合されることができる。そのような配合物の例は、薬物でコートされたステントおよびPGLAマイクロスフィアを含む。
【0137】
局所投与
本発明の化合物は、皮膚または粘膜に局所的に投与される、すなわち皮膚投与または経皮投与されることもできる。この目的のための典型的な配合物は、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、粉剤、被覆物、泡状物質、フィルム、皮膚パッチ、カシェ剤、インプラント、スポンジ、繊維、包帯およびマイクロエマルジョンを含む。リポソームも、使用されることができる。典型的なキャリヤーは、アルコール、水、鉱物油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールを含む。浸透増進剤が、組み込まれることができ;例えば、FinninおよびMorganによるJ Pharm Sci, 88 (10), 955-958 (October 1999)を参照。局所投与の他の手段は、電気穿孔法、イオントフォレーシス、フォノフォレーシス、ソノフォレーシスおよびマイクロニードルまたは針なし(例えばPowderject(商標)、Bioject(商標)等)注射を含む。これらの参考文献の開示は、参照により本明細書にそのまま援用される
局所投与のための配合物は、即時放出および/または改変放出であるように配合されることができる。改変放出配合物は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的化放出およびプログラムされた放出を含む。
【0138】
吸入/鼻内投与
本発明の化合物は、鼻内に、または吸入により、典型的には乾燥粉末(単独で、例えばラクトースとの乾燥ブレンドでの混合物として、または例えばリン脂質、例えばホスファチジルコリンと混合された混合構成要素粒子としてのいずれか)の形態で、乾燥粉末吸入器から、または加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器(好ましくは電気流体力学を使用して微細なミストを生成する噴霧器)またはネブライザーからエアロゾルスプレーとして、噴射剤、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンを使用して、または使用せずに投与されることもできる。鼻内使用に関して、粉末は、生体付着性薬剤、例えばキトサンまたはシクロデキストリンを含むことができる。
【0139】
加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器またはネブライザーは、例えばエタノール、水性エタノール、または有効物質の分散、可溶化もしくは放出延長のための適切な代替薬剤、溶媒としての噴射剤(単数または複数)および任意の界面活性剤、例えばトリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸またはオリゴ乳酸を含む本発明の化合物(単数または複数)の溶液または懸濁液を含有する。
【0140】
乾燥粉末または懸濁液配合物における使用の前に、薬物生成物は、吸入による送達に適した大きさ(典型的には5ミクロン未満)に微粒子化される。これは、あらゆる適切な粉砕法、例えばスパイラルジェット製粉、流動床ジェット製粉、ナノ粒子を形成するための超臨界流体処理、高圧均質化または噴霧乾燥によって達成され得る。
【0141】
吸入器または注入器における使用のための(例えばゼラチンまたはHPMCから作られた)カプセル、ブリスターおよびカートリッジは、本発明の化合物、適切な粉末基剤、例えばラクトースまたはデンプンおよび性能調節剤、例えばl−ロイシン、マンニトールまたはステアリン酸マグネシウムの粉末混合物を含有するように配合されることができる。ラクトースは、無水または一水和物の形態であることができ、好ましくは後者である。他の適切な賦形剤は、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースを含む。
【0142】
微細なミストを生成するために電気流体力学を使用する噴霧器における使用のための適切な溶液配合物は、作動あたり1μg〜20mgの本発明の化合物を含有することができ、作動量は、1μL〜100μLまで変動することができる。典型的な配合物は、本発明の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含む。プロピレングリコールの代わりに使用されることができる代替溶媒は、グリセロールおよびポリエチレングリコールを含む。
【0143】
適切な香料、例えばメントールおよびレボメントール(levomenthol)または甘味料、例えばサッカリンもしくはサッカリンナトリウムが、吸入/鼻内投与に関して意図される本発明の配合物に添加されることができる。
【0144】
吸入/鼻内投与のための配合物は、例えばポリ(DL−乳酸−コグリコール酸(PGLA))を使用して即時放出および/または改変放出であるように配合されることができる。改変放出配合物は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的化放出およびプログラムされた放出を含む。
【0145】
乾燥粉末吸入器およびエアロゾルの場合、投与単位は、計量された量を送達する弁によって決定される。本発明に従う単位は、典型的には計量された量または所望の量の本発明の化合物を含有する“一吹き”を投与するように配分される。全一日量は、単一の用量で、より通常には一日を通して分割された用量として投与されることができる。
【0146】
直腸/膣内投与
本発明の化合物は、例えば、坐剤、腟坐剤または浣腸剤の形態で、直腸または膣に投与されることができる。カカオバターは、伝統的な坐剤用基剤であるが、様々な代替物が、適宜使用されることができる。直腸/膣投与用の配合物は、即時放出および/または改変放出であるように配合されることができる。改変放出配合物は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的化放出およびプログラムされた放出を含む。
【0147】
眼への投与
本発明の化合物は、典型的には微粒子化された等張性のpH調整された滅菌生理食塩水中の懸濁液または溶液の液滴の形態で、眼または耳に直接投与されることもできる。眼および耳への投与に適した他の配合物は、軟膏、生分解性(例えば吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えばシリコーン)のインプラント、カシェ剤、レンズおよび粒子状または小胞状の系、例えばニオソームまたはリポソームを含む。ポリマー、例えば架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースもしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖類ポリマー、例えばゲランガムが、保存剤、例えば塩化ベンザルコニウムと一緒に組み込まれることができる。そのような配合物は、イオントフォレーシスによって送達されることもできる。
【0148】
眼/耳への投与のための配合物は、即時放出および/または改変放出であるように配合されることができる。改変放出配合物は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的化放出またはプログラムされた放出を含む。
【0149】
他の技術
本発明の化合物は、前記の投与方式のいずれかにおける使用に関するそれらの可溶性、溶解速度、矯味、生分解性および/または安定性を向上させるために、可溶性高分子実体、例えばシクロデキストリンおよびその適切な誘導体またはポリエチレングリコール含有ポリマーと組み合わせられることができる。
【0150】
例えば、薬物−シクロデキストリン複合体は、一般にほとんどの剤形および投与経路に関して有用であることが分かっている。包接錯体および非包接錯体の両方が、使用されることができる。薬物との直接的な錯体形成の代替策として、シクロデキストリンは、補助添加剤、すなわちキャリヤー、希釈剤または可溶化剤として使用されることができる。これらの目的のために最も一般的に使用されるのは、アルファ−、ベータ−およびガンマ−シクロデキストリンであり、その例は、PCT公開国際公開第91/11172号、国際公開第94/02518号および国際公開第98/55148号において見付けられることができ、その開示は、参照により本明細書にそのまま援用される。
【0151】
投与量
投与される有効化合物の量は、処置される対象、障害または病気の重症度、投与の速度、化合物の性質および処方する医師の裁量に依存するであろう。しかし、有効投与量は、典型的には、単一または分割用量で、kg体重あたり1日あたり約0.001〜約100mg、好ましくは約0.01〜約35mg/kg/日の範囲である。70kgのヒトに関して、これは、約0.07〜約7000mg/日、好ましくは約0.7〜約2500mg/日に相当する。ある場合には、前記の範囲の下限未満の投与量レベルが、十分以上であり得るが、他の場合には、さらに大きい用量が、有害な副作用を一切引き起こすことなく使用されることができ、そのようなより大きい用量は、典型的には一日を通した投与のためにいくつかのより小さい用量に分割される。
【0152】
パーツのキット(Kit−of−Parts)
同様に、例えば特定の疾患または病気を処置する目的で、有効化合物の組み合わせを投与することが望ましい可能性があるため、2種類以上の医薬組成物(その少なくとも1種類が本発明に従う化合物を含有する)が組成物の同時投与に適したキットの形態で好都合に組み合わせられることができることは、本発明の範囲内である。従って、本発明のキットは、2種類以上の別々の医薬組成物(その少なくとも1種類が本発明の化合物を含有する)および前記の組成物を別々に保持するための手段、例えば容器、分割されたボトルまたは分割されたホイル小包を含む。そのようなキットの例は、錠剤、カプセル等の包装に使用される周知のブリスターパックである。
【0153】
本発明のキットは、異なる剤形、例えば経口剤形および非経口剤形を投与するために、別々の組成物を異なる投与間隔で投与するために、または別々の組成物を互いに対して用量設定するために特に適している。コンプライアンスを支援するために、キットは、典型的には投与のための指示を含み、記憶補助と共に提供されることができる。
【0154】
以下の略語が、本明細書で使用されることができる:Ac(アセチル);AcCl(アセチルクロリド);AcOHまたはHOAc(酢酸);AcO(無水酢酸);aq.(水性);Bocまたはboc(tert−ブトキシカルボニル);BOP((ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート);Bpin(ビス(ピナコラト)ジボロン);ca.(約またはおおよそ);CDCl(重水素化クロロホルム);CHClおよび/またはDCM(ジクロロメタン);DABCO(1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(1,4−diazabicyclo[2,2,2]pctane));DAST(ジエチルアミノ硫黄三フッ化物);DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン);DCE(ジクロロエタン);DEA(ジエチルアミン);DIBALまたはDIBAL−H(ジイソブチルアルミニウム水素化物);DIC(ジイソプロピルカルボジイミド);DIPEAまたはヒューニッヒ塩基(N,N−ジイソプロピルエチルアミン);DHP(ジヒドロピラン);DMA(ジメチルアセトアミド);DMF(ジメチルホルムアミド);DME(エチレングリコール);DMP(デス−マーチンペルヨージナン);DMAP(4−ジメチルアミノピリジン);DMSO(ジメチルスルホキシド);DMSO−d(重水素化ジメチルスルホキシド);EDCまたはEDCI(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド);Et(エチル);EtNまたはTEA(トリエチルアミン);EtOH(エタノール);EtOAc(酢酸エチル);EtO(ジエチルエーテル);gまたはgm(グラム(単数または複数));HATU(2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート);HBTU(o−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート);HFIP(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール);HMPT(トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン);HPLC(高速液体クロマトグラフィー);HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール);hまたはhr(時間(単数または複数)、適宜);iBu(イソブチル);IPA(イソプロピルアルコール);iPr(イソプロピル);iPrOAc(酢酸イソプロピル);KHMDS(カリウム ビス(トリメチルシリル)アミド);KOAc(酢酸カリウム);LCMS(液体クロマトグラフィー−質量分析);LDA(リチウム ジイソプロピルアミド);LiHMDS(リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド);mCPBA(メタ−クロロペルオキシ安息香酸);Me(メチル);MeOH(メタノール);MeOD(重水素化メタノール);MeCN(アセトニトリル);mまたはmin(分(単数または複数)、適宜);mg(ミリグラム(単数または複数));Ms(メチルスルホニル);MsCl(メタンスルホニルクロリド);N(通常);NBS(N−ブロモスクシンイミド);NCS(N−クロロスクシンイミド);NFSI(N−フルオロジベンゼンスルホンイミド);NMR(核磁気共鳴);nBu(n−ブチル);nBuLi(n−ブチルリチウム);nPr(n−プロピル);Pd/C(炭素上パラジウム);Pd(dba)(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0));Pd(dppf)Cl([1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II));Pd[P(o−tol)(ビス[トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン]パラジウム);Ph(フェニル);PTSAまたはpTSA(p−トルエンスルホン酸);PPTS:(p−トルエンスルホン酸ピリジニウム(pyridium p−toluenesulfonate));Rt(保持時間);rt(室温);RuCl(p−シメン)[(R,R)−Ts−DPEN]([N−[(1R,2R)−2−(アミノ−κN)−1,2−ジフェニルエチル]−4−メチルベンゼンスルホンアミダート−κN]クロロ[(1,2,3,4,5,6−η)−1−メチル−4−(1−メチルエチル)ベンゼン]−ルテニウム);sまたはsec(秒(単数または複数)、適宜);Selectfluor(N−クロロメチル−N’−フルオロトリエチレン二アンモニウム ビス(テトラフルオロボレート));SEM(2−トリメチルシリルエトキシメトキシ);SFC(超臨界流体クロマトグラフィー);Si−Thiol(シリカ 1−プロパンチオール);SK−CCO2−A(2−(ジメチルアミノメチル)フェロセン−1−イル−パラジウム(II)クロリド ジノルボルニルホスフィン);T3P(プロピルホスホン酸無水物);TBAF(テトラブチルアンモニウムフルオリド);TBDMSCl(t−ブチル−ジメチルシリルクロリド);TBMEまたはMTBE(tert−ブチルメチルエーテル);t−BuOH(2−メチル−2−プロパノール、tert−ブタノールまたはtert−ブチルアルコール);tBu−Xphos(2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル);TDA−1(トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミンまたはトリス(3,6−ジオキサヘプチル)アミン);TEA、NEtまたはEtN(トリエチルアミン);TFA(トリフルオロ酢酸);THF(テトラヒドロフラン);THP(テトラヒドロピラン);TLC(薄層クロマトグラフィー);TMS(トリメチルシリル);TMSCl(トリメチルシリルクロリド);TMSCF(トリメチル(トリフルオロメチル)シラン);Tosまたはトシル(4−トルエンスルホニル);TOSMIC(p−トルエンスルホニルメチル イソシアニド);UV(紫外線)。
【実施例】
【0155】
本明細書における反応および本明細書で使用される新規の出発物質の調製の全ては、従来のものであり、それらの性能または調製に関する適切な試薬および反応条件ならびに所望の生成物を単離するための手順は、文献の先例ならびに本明細書の実施例および調製を参照して、当業者には周知であろう。
【0156】
記載される工程の一部に関して、反応することが望まれない潜在的な反応性機能を保護し、結果として前記の保護基を切断することが、必要である可能性がある。そのような場合、あらゆる適合性の保護基が、使用されることができる。特に、T.W. Greeneにより記載された方法(Protective Groups in Organic Synthesis, A. Wiley-Interscience Publication, 1981)またはP. J. Kocienskiにより記載された方法(Protecting groups, Georg Thieme Verlag, 1994)のような保護および脱保護の方法が、用いられることができる。
【0157】
一般的な合成スキーム
スキームI:
【0158】
【化32】
【0159】
スキームIで例示されるように、Iのような化合物が、購入または合成されることができ(J. Org. Chem. 2012, 77, 9422-9425)、アキラル、ラセミまたはエナンチオピュアであることができる。Iのような化合物は、適当な塩基、例えばKPO、KOSiMeまたはLiOMeを溶媒、例えばHOを添加した、または添加していない1,4−ジオキサン中で用いる適当に置換されたボロン酸またはBPinエステル(II)とのロジウムに触媒される共役付加を経て、IIIのような化合物を生成することができる。IIIのような化合物は、適切な塩基およびカルボニル化(cabonylating)試薬を適切な溶媒、例えばTHF中NaHおよび炭酸ジエチル、THF中LDAおよびシアノギ酸メチルまたはトルエン中LHDMSおよびシアノギ酸メチル中で用いてカルボニル化されて、IVのような化合物を提供することができる。IVのような化合物は、典型的にはアルコキシド塩基を含むアルコール性溶媒中でホルムアミジンと縮合されてVのような化合物を提供することができる。Vのような化合物は、求核性アミン種とカップリングされてVIのような化合物を提供することができる。このカップリングは、典型的にはBOP試薬およびDBUを使用して1工程で、またはVをPOClで処理した後求核性アミン種を添加することによって2工程で実施される。VIのような化合物は、酸、典型的にはDCM中TFAまたはMeOH中HClでの処理によって脱保護されてVIIのような化合物を提供することができる。VIIのような化合物は、典型的には塩基としてTEAを含むDCM、塩基としてNaHCOを含むEtOAc/HOまたは塩基としてNaHCOを含むHFIP中での塩化アクリロイルによる処理によってアシル化されて、VIIIのような化合物を提供することができる。ある態様において、種Rは、保護基を含有することができ、それは、合成シーケンスにおける追加の工程によって除去されることができる。R、R’、AおよびBは、本明細書における下記の態様、スキーム、実施例および特許請求の範囲における通りに定められる。全ての工程における化合物は、標準的な技法、例えばカラムクロマトグラフィー、結晶化および逆相HPLCまたはSFCによって精製されることができる。必要に応じて、VIIIの鏡像異性体の分離が、当該技術で既知の標準的な方法、例えばキラルSFCまたはHPLCの下で実施されて、単一の鏡像異性体を与えることができる。
【0160】
スキームII:
【0161】
【化33】
【0162】
スキームIIで例示されるように、(スキームIに従って調製された)IVのような化合物は、N,N−ジアルキルグアニジンと縮合されてIXのような化合物を提供する。典型的には、これらの反応は、適切なアルコキシド塩基を含むアルコール性溶媒中で行われる。IXのような化合物は、求核性アミン種とカップリングされてXのような化合物を提供することができる。このカップリングは、典型的にはBOP試薬およびDBUを使用して1工程で、またはIXをPOClで処理した後求核性アミン種を添加することによって2工程で実施される。Xのような化合物は、酸性条件、典型的にはDCM中TFAまたはMeOH中HClの下で脱保護されてXIのような化合物を提供することができる。XIのような化合物は、典型的には塩基としてTEAを含むDCM、塩基としてNaHCOを含むEtOAc/HOまたは塩基としてNaHCOを含むHFIP中での塩化アクリロイルによる処理によってアシル化されて、XIIのような化合物を提供することができる。R、R’、R’’、R’’’、AおよびBは、本明細書における下記の態様、スキーム、実施例および特許請求の範囲における通りに定められる。全ての工程における化合物は、標準的な技法、例えばカラムクロマトグラフィー、結晶化および逆相HPLCまたはSFCによって精製されることができる。必要に応じて、XIIの鏡像異性体の分離が、当該技術で既知の標準的な方法、例えばキラルSFCまたはHPLCの下で実施されて、単一の鏡像異性体を与えることができる。
【0163】
スキームIII:
【0164】
【化34】
【0165】
スキームIIIで例示されるように、IVのような化合物は、尿素と縮合されてXIIIのような化合物を提供する。XIIIのような化合物は、典型的にはPOClで塩素化されてXIVのような化合物を提供し、次いでそれは、塩基性条件下で求核性アミン種とカップリングされてXVのような化合物を提供する。典型的には穏やかな触媒酸の存在下でのDHPによるXVのような化合物の保護は、XVIのような化合物を提供する。塩基性条件下でのXVIのような化合物のアルコールとのカップリングは、XVIIのような化合物を提供する。酸性条件、典型的にはDCM中TFAまたはMeOH中HClの下でのXVIIのような化合物の脱保護は、XVIIIのような化合物を提供する。XVIIIのような化合物は、典型的には塩基としてTEAを含むDCM、NaHCOを含むEtOAc/HOまたは塩基としてNaHCOを含むHFIP中での塩化アクリロイルによる処理によってアシル化されて、XIXのような化合物を提供することができる。R、R’、R’’’’は、本明細書における下記の態様、スキーム、実施例および特許請求の範囲における通りに定められる。全ての工程における化合物は、標準的な技法、例えばカラムクロマトグラフィー、結晶化および逆相HPLCまたはSFCによって精製されることができる。必要に応じて、XIXの鏡像異性体の分離が、当該技術で既知の標準的な方法、例えばキラルSFCまたはHPLCの下で実施されて、単一の鏡像異性体を与えることができる。
【0166】
スキームIV:
【0167】
【化35】
【0168】
スキームIVにおいて例示されるように、XXのような化合物は、酵素酸化を受けてXXIのような化合物を提供する。
スキームV:
【0169】
【化36】
【0170】
スキームVにおいて例示されるように、XXIIのような化合物は、標準的なPd触媒鈴木カップリング条件下で適切なアリールボロン酸またはアリールBPinエステルとカップリングされてXXIIIのような化合物を提供する。XXIIIのような化合物は、典型的には触媒的Pd/CまたはPt/Cを極性溶媒、例えばMeOH中でHの存在下で用いて水素化されてXXIVのような化合物を提供する。XXIVのような化合物は、酸性条件、典型的にはDCM中TFAまたはMeOH中HClの下で脱保護されてXXVのような化合物を提供する。XXVのような化合物は、典型的には塩基としてTEAを含むDCM、塩基としてNaHCOを含むEtOAc/HOまたは塩基としてNaHCOを含むHFIP中での塩化アクリロイルによる処理によってアシル化されて、XXVIのような化合物を提供することができる。Zは、本明細書における下記の態様、スキーム、実施例および特許請求の範囲における通りに定められ、保護基を含有することができ、それは、合成シーケンスにおけるその後の工程により除去されることができる。全ての工程における化合物は、標準的な技法、例えばカラムクロマトグラフィー、結晶化および逆相HPLCまたはSFCによって精製されることができる。必要に応じて、XXVIの鏡像異性体の分離が、当該技術で既知の標準的な方法、例えばキラルSFCまたはHPLCの下で実施されて、単一の鏡像異性体を与えることができる。
【0171】
スキームVII:
【0172】
【化37】
【0173】
スキームVIIにおいて例示されるように、XXVIIのような化合物は、酵素酸化を受けてXXVIIIのような化合物を提供する。
合成中間体の調製
スキーム1において示されるような[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]ボロン酸 (Int−1)の調製。
【0174】
スキーム1:
【0175】
【化38】
【0176】
工程1:4−ブロモ−5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール (1b)の合成
この反応は、2個の並行したバッチで行われた。4−ブロモ−5−メチル−1H−インダゾール(100g、474mmol、1.0当量)のDCM(1L)中における撹拌溶液に、PPTS(11.9g、47.4mmol、0.1当量)を28℃で添加した。次いで、DHP(119.6g、1.4mol、3.0当量)を一度に添加した。混合物を30℃で18時間撹拌した。TLC分析(20% EtOAc/石油エーテル)は、出発物質の完全な消費を示した。2個のバッチを仕上げのために一緒に合わせた。反応をHO(1.5L)で停止させ、層を分離した。水層をDCM(1L)で抽出した。有機性物質を合わせてHO(1L)およびブライン(1L)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して乾燥させた。残留物を石油エーテル(300mL)で摩砕処理すると、4−ブロモ−5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール (1b)が灰白色固体として得られた(223g、収率80%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.00 (s, 1H), 7.68 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.39 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.84 (dd, J = 9.6, 2.5 Hz, 1H), 3.87 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 3.73 (ddd, J = 11.5, 7.7, 6.0 Hz, 1H), 2.45 (s, 3H), 2.43 - 2.31 (m, 1H), 2.09 - 1.90 (m, 2H), 1.83 - 1.66 (m, 1H), 1.57 (dt, J = 9.3, 3.9 Hz, 2H). LCMS (ESI) m/z 295, 297 (M+H)。
【0177】
工程2:[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]ボロン酸 (Int−1)の合成
反応は、2個の並行したバッチで実施された。4−ブロモ−5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール(210.0g、711.44mmol、1.0当量)およびB(O−iPr)(267.61g、1.42mol、2.0当量)のTHF(2.0L)中における撹拌溶液を、−70℃に冷却した。次いで、n−BuLi(526.5mL、1.32mol、1.85当量)を上記の溶液に3時間の期間をかけて、反応温度を−70℃〜−65℃で維持しながら滴加した。添加後、反応混合物を−70℃で1時間撹拌した。TLC分析(20% EtOAc/石油エーテル)は、出発物質の消費を示した。混合物を飽和水性NHClの溶液(2.0L)で停止させ、MTBE(2.0L)で希釈した。層を分離し、水層をMTBE(1.0L)で抽出した。有機性物質を合わせてブライン(1.5L)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、25℃で濃縮した。残留物をMTBE(300mL)中で溶解させた。石油エーテル(1.2L)を溶液に20℃(室温)で滴加した。白色固体が、石油エーテルの添加の間に沈殿した。結果として得られた懸濁液を濾過し、フィルターケーキを石油エーテル(800mL)で洗浄した。フィルターケーキを真空下で乾燥させると、[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]ボロン酸 (Int−1)(280.0g、収率76%)が白色固体として得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.29 (s, 2H), 7.89 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.55 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.19 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 5.77 (dd, J = 9.7, 2.6 Hz, 1H), 3.91 - 3.83 (m, 1H), 3.72 (ddd, J = 11.5, 7.8, 6.2 Hz, 1H), 2.45 (s, 3H), 2.39 (ddd, J= 16.2, 8.4, 3.8 Hz, 1H), 2.10 - 1.97 (m, 1H), 1.91 (dq, J = 13.0, 3.4 Hz, 1H), 1.80 - 1.67 (m, 1H), 1.57 (dq, J = 9.0, 4.6 Hz, 2H). LCMS (ESI) m/z 261 (M+H)。
【0178】
スキーム2において示されているような5−クロロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−オール (Int−2)の調製。
スキーム2:
【0179】
【化39】
【0180】
工程1:4−ブロモ−5−クロロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール (2b)の合成
4−ブロモ−5−クロロ−1H−インダゾール (2a)(950mg、4.10mmol、1.0当量)のTHF(50mL)中における溶液に、DHP(518mg、6.16mmol、1.5当量)およびPPTS(103mg、0.410mmol、0.1当量)を添加した。混合物を50℃で20時間撹拌した。DHP(173mg、2.05mmol、0.5当量)の別のバッチを添加し、結果として得られた混合物を50℃で16時間撹拌した。LCMS分析は、出発物質が消費されて生成物が2種類の位置異性体の混合物として得られたことを示した。溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、20g、10% EtOAc/石油エーテル)により精製すると、4−ブロモ−5−クロロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール (2b)が白色固体として得られた(850mg、収率66%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.11 (s, 1H), 7.84 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 5.93 - 5.88 (m, 1H), 3.87 (d, J = 12.2 Hz, 1H), 3.77 - 3.72 (m, 1H), 2.37 - 2.32 (m, 1H), 2.01 (t, J = 14.0 Hz, 2H), 1.73 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 1.58 (t, J = 6.4 Hz, 2H). LCMS (ESI) m/z 315, 317 (M + H)。
【0181】
工程2:[5−クロロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]ボロン酸 (Int−2)の合成
4−ブロモ−5−クロロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール (2b)(2.27g、7.193mmol 1.0当量)のTHF(20mL)中における混合物に、n−BuLi(ヘキサン中2.4M、4.5mL、10.8mmol、1.5当量)を−70℃で添加した。混合物をこの温度で20分間撹拌した。ホウ酸トリメチル(2.24g、22mmol、3.0当量)を−70℃で添加した。混合物をこの温度で20分間撹拌した。LCMS分析は、所望の化合物の形成を示した。反応を飽和水性NHClで停止させ、次いでEtOAc(2×30mL)で抽出した。有機性物質を合わせてブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(SiO、0→50% EtOAc/PE)で精製すると、[5−クロロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]ボロン酸 (Int−2)が白色固体として得られた(1.42g、収率70%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.59 (s, 2H), 7.94 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.70 (dd, J = 8.9, 0.9 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.84 (dd, J = 9.6, 2.6 Hz, 1H), 3.94 - 3.82 (m, 1H), 3.73 (ddd, J = 11.5, 7.9, 5.8 Hz, 1H), 2.45 - 2.28 (m, 1H), 2.08 - 1.97 (m, 1H), 1.94 (dq, J = 13.1, 3.6 Hz, 1H), 1.82 - 1.65 (m, 1H), 1.58 (tt, J = 8.6, 3.7 Hz, 2H). LCMS (ESI) m/z 281 (M + H)。
【0182】
スキーム3において示されているような5−クロロ−6−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インダゾール (Int−3)の調製。
【0183】
スキーム3:
【0184】
【化40】
【0185】
工程1:1−ブロモ−2−クロロ−5−フルオロ−3−メチルベンゼン (3b)の合成
2−ブロモ−4−フルオロ−6−メチルアニリン (3a)(5g、24.5mmol、1.0当量)を濃HCl(30mL)およびHO(30mL)の溶液に添加し、結果として得られた混合物を60〜70℃で1時間撹拌した。混合物を0〜5℃に冷却し、NaNO(2.03g、29.4mmol、1.2当量)のHO(10mL)中における溶液を添加し、反応を15分間撹拌した。混合物をCuCl(3.64g、36.8mmol、1.5当量)の濃HCl(50mL)中における溶液中に添加し、70〜80℃で30分間撹拌した。粗製の反応混合物を室温まで冷却し、DCM(3×100mL)で抽出した。有機性物質を合わせて無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮すると、1−ブロモ−2−クロロ−5−フルオロ−3−メチルベンゼン (3b)が褐色の油として得られ(4.5g、収率80%)、それをそれ以上精製せずに用いた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.23 (dd, J = 7.8, 2.9 Hz, 1H), 6.97 - 6.91 (m, 1H), 2.43 (s, 3H)。
【0186】
工程2:2−ブロモ−3−クロロ−6−フルオロ−4−メチルベンズアルデヒド (3c)の合成
1−ブロモ−2−クロロ−5−フルオロ−3−メチルベンゼン (3b)(13g、58mmol、1.0当量)のTHF(100mL)中における溶液に、LDA(THF中2.0M、35mL、1.2当量)を−78℃で添加した。混合物を40分間撹拌し、次いでDMF(6.5mL)を添加した。反応を−78℃で1時間撹拌した。反応混合物をHO(50mL)中に注ぎ、EtOAc(3×40mL)で抽出した。有機性物質を合わせて無水NaSOで乾燥させ、濃縮して乾燥させた。粗製の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0→15% EtOAc/PE)により精製すると、2−ブロモ−3−クロロ−6−フルオロ−4−メチルベンズアルデヒド (3c)(8.34g、収率57%)が淡黄色固体として得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.29 (s, 1H), 7.09 (d, J = 10.6 Hz, 1H), 2.51 (s, 3H)。
【0187】
工程3:5−ブロモ−4−メトキシ−1H−インダゾール (3d)の合成
2−ブロモ−3−クロロ−6−フルオロ−4−メチルベンズアルデヒド (3c)(220mg、0.875mmol、1.0当量)のDMSO(5mL)中における混合物に、NHNH(516mg、10.3mmol、12当量)を添加した。混合物を130℃で3時間撹拌した。反応混合物をHO(35mL)中に注ぎ、DCM(3×30mL)で抽出した。有機性物質を合わせて無水NaSOで乾燥させ、濃縮して乾燥させた。粗製の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0→20% EtOAc/PE)により精製すると、4−ブロモ−5−クロロ−6−メチル−1H−インダゾール (3d)(108mg、収率50%)が白色粉末として得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.02 (s, 1H), 7.33 (s, 1H), 2.56 (d, J = 0.6 Hz, 3H). LCMS (ESI) m/z 245, 247 (M + H)。
【0188】
工程4:4−ブロモ−5−クロロ−6−メチル−1H−インダゾール (3e)の合成
4−ブロモ−5−クロロ−6−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール (3e)(2.4g、収率59%)を、反応がTHF中で50℃において行われたことを除いて、4−ブロモ−5−メチル−1−(テトラヒドロ2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール (1b)を調製するために用いられた手順に従って調製した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.94 (s, 1H), 7.43 (s, 1H), 5.66 (dd, J = 9.0, 2.6 Hz, 1H), 3.99 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 3.80 - 3.64 (m, 1H), 2.56 (s, 3H), 2.54 - 2.46 (m, 1H), 2.15 (dd, J = 8.1, 4.4 Hz, 1H), 2.11 - 2.03 (m, 1H), 1.79 - 1.64 (m, 3H). LCMS (ESI) m/z329, 331 (M + H)。
【0189】
工程5:5−クロロ−6−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インダゾール (Int−3)の合成
4−ブロモ−5−クロロ−6−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール (3e)(3g、9.1mmol、1.0当量)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(4.62g、18.2mmol、2.0当量)、KOAc(2.68g、27.3mmol、3.0当量)およびPd(dppf)Cl(0.666g、0.910mmol、0.1当量)の1,4−ジオキサン(25mL)中における混合物を、80℃で16時間撹拌した。LCMS分析は、出発物質の完全な消費を示した。反応を25℃に冷却し、濃縮して乾燥させた。残留物をHO(30mL)で希釈し、EtOAc(3×30mL)で抽出した。有機性物質を合わせてブライン(50mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濃縮して乾燥させた。粗製の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0→20% EtOAc/PE)により精製すると、5−クロロ−6−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インダゾール (Int−3)(2.2g、収率63.7%)が淡黄色のゴムとして得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.06 (s, 1H), 7.82 (s, 1H), 6.08 - 5.29 (m, 1H), 3.92-3.82 (m, 1H), 3.80 - 3.66 (m, 1H), 2.46 (s, 3H), 2.43-2.33(m, 1H), 2.08 - 2.00 (m, 1H), 1.97 - 1.88 (m, 1H), 1.80 - 1.67 (m, 1H), 1.63-1.53 (s, 2H), 1.38 (s, 12H); LCMS (ESI) m/z 377 (M + H)。
【0190】
スキーム4に従うtert−ブチル 4−(7−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−5,6−ジヒドロキナゾリン−4−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート (Int−4)の調製。
【0191】
スキーム4:
【0192】
【化41】
【0193】
工程1:エチル 4−エトキシ−2−オキソシクロヘキサ−3−エン−1−カルボキシレート (4b)の合成
3−エトキシシクロヘキサ−2−エン−1−オン (4a)(50g、356.7mmol、1.0当量)および炭酸ジエチル(84.3g、713mmol、2.0当量)のTHF(600mL)中における溶液に、LHMDS(THF中1.0M、713mL、713mmol、2.0当量)を−78℃で迅速に滴加した。混合物を20℃に温め、16時間撹拌した。追加のLHMDS(250mL、250mmol、1.0M)を添加し、混合物を20℃で4時間撹拌した。混合物を1N HCl(1L)中に注ぎ、1時間撹拌した。混合物をEtOAc(3×500mL)で抽出した。有機性物質を合わせてブライン(400mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させた。濾過および濃縮後、残留物を石油エーテル/EtOAc(10/1)で洗浄すると、エチル 4−エトキシ−2−オキソシクロヘキサ−3−エン−1−カルボキシレート (4b)が黄色固体(57g、収率75%)として得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ 5.38 (s, 1H), 4.21 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.91 (qd, J = 7.1, 2.2 Hz, 2H), 3.31 (dd, J = 8.9, 5.0 Hz, 1H), 2.56 (dt, J = 17.0, 5.4 Hz, 1H), 2.51 - 2.25 (m, 2H), 2.25 - 2.06 (m, 1H), 1.36 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.28 (t, J = 7.1 Hz, 3H). LCMS (ESI) m/z 213 (M + H)。
【0194】
工程2:7−オキソ−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート (4c)の合成
エチル 4−エトキシ−2−オキソシクロヘキサ−3−エン−1−カルボキシレート (4b)(220g、1.03mol、1.0当量)の70%水性酢酸(1.5L)中における溶液を、60℃で16時間撹拌した。混合物を濃縮して乾燥させた。結果として得られた残留物をベンゼン(3×)からの共沸蒸留により乾燥させると、粗製のジケトンが得られた。ジケトンのベンゼン(800mL)中における溶液に、エチレングリコール(70g、1.13mmol、1.1当量)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(19.57g、1.03mmol、1.0当量)を添加した。フラスコにディーンスタークトラップで蓋をして、混合物を2時間加熱還流した。室温まで冷却した後、溶液を飽和水性NaHCOで塩基性にした。生成物をEtOAc(3×2L)で抽出した。有機性物質を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発させて乾燥させた。粗製の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、2% EtOAc/ヘキサン類)により精製すると、エチル 7−オキソ−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート (4c)が黄色の油として得られた(48g、収率21%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 4.19 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.97-3.82 (m, 5H), 2.49 - 2.42 (m, 2H), 2.27 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 1.69 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 1.23 (t, J = 7.1 Hz, 3H). LCMS (ESI) m/z 229 (M + H)。
【0195】
工程3:5’,8’−ジヒドロ−3’H−スピロ[1,3−ジオキソラン−2,7’−キナゾリン]−4’(6’H)−オン (4d)の合成
エチル 7−オキソ−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート (4c)(48g、210.5mmol、1.0当量)、ホルムアミジン酢酸塩(43.78g、421mmol、2.0当量)およびNaOMe(22.7g、421mmol、2.0当量)のMeOH(500mL)中における混合物を、4時間還流させた。反応混合物を濃縮して乾燥させ、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、DCM/MeOH = 20/1)により精製すると、5’,8’−ジヒドロ−3’H−スピロ[1,3−ジオキソラン−2,7’−キナゾリン]−4’(6’H)−オン (4d)が黄色固体として得られた(29g、収率66%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.99 (s, 1H), 4.01 - 3.89 (m, 4H), 2.70 (s, 2H), 2.47 (dd, J = 13.8, 7.3 Hz, 2H), 1.78 (t, J = 6.6 Hz, 2H). LCMS (ESI) m/z 209 (M + H)。
【0196】
工程4:tert−ブチル 4−(5’,8’−ジヒドロ−6’H−スピロ[1,3−ジオキソラン−2,7’−キナゾリン]−4’−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート (4e)の合成
5’,8’−ジヒドロ−3’H−スピロ[1,3−ジオキソラン−2,7’−キナゾリン]−4’(6’H)−オン (4d)(29g、139.4mmol、1.0当量)、tert−ブチル ピペラジン−1−カルボキシレート(38.9g、209.1mmol、1.5当量)およびBOP試薬(123.2g、278.8mmol、2.0当量)のDMF(300mL)中における混合物にDBU(63.56g、418.2mmol、3.0当量)を添加し、混合物を20℃で16時間撹拌した。EtOAc(500mL)を添加し、混合物をHO(3×300mL)で洗浄した。有機相を無水NaSOで乾燥させた。濾過および濃縮後、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル/EtOAc = 2/3)により精製すると、tert−ブチル 4−(5’,8’−ジヒドロ−6’H−スピロ[1,3−ジオキソラン−2,7’−キナゾリン]−4’−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート (4e)が黄色の油として得られた(25g、収率47.5%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.48 (s, 1H), 3.97 (td, J = 6.4, 1.9 Hz, 4H), 3.46 - 3.42 (m, 4H), 3.32 - 3.27 (m, 4H), 2.92-2.89 (m, 2H), 2.68 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 1.81 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 1.42 (s, 9H). LCMS (ESI) m/z 377 (M + H)。
【0197】
工程5:4−(ピペラジン−1−イル)−5,6−ジヒドロキナゾリン−7−オール (4f)の合成
tert−ブチル 4−(5’,8’−ジヒドロ−6’H−スピロ[1,3−ジオキソラン−2,7’−キナゾリン]−4’−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート (4e)(25g、66.31mmol、1.0当量)のTHF(300mL)中における溶液に、HCl(1,4−ジオキサン中4.0N、60mL、240mmol、3.6当量)を添加し、混合物を50℃で16時間撹拌した。LCMS分析は、出発物質の消費を示した。混合物を濃縮して乾燥させると、4−(ピペラジン−1−イル)−5,6−ジヒドロキナゾリン−7−オール (4f)が得られ、それをそれ以上精製せずに用いた。LCMS (ESI) m/z 233 (M + H)。
【0198】
工程6:tert−ブチル 4−(7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート (4g)の合成
粗製の4−(ピペラジン−1−イル)−5,6−ジヒドロキナゾリン−7−オール 塩酸塩 (4f)のTHF(300mL)、HO(60mL)およびEtOAc(100mL)中における溶液を、pH=7に調整し、(Boc)O(15.18g、69.62mmol、1.05当量)を添加した。次いで、KCO(9.15g、66.31mmol)を添加し、混合物を20℃で30分間撹拌した。混合物をEtOAc(2×400mL)で抽出した。有機性物質を合わせてブライン(400mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させた。濾過および濃縮後、残留物をEtOAc/石油エーテル(1/40)で摩砕処理すると、tert−ブチル 4−(7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート (4g)(16g、収率73%、2工程)が黄色固体として得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.62 (s, 1H), 3.68 (s, 2H), 3.57 (dd, J = 6.2, 3.9 Hz, 4H), 3.44 - 3.32 (m, 4H), 2.92 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 2.65 - 2.52 (m, 2H), 1.49 (s, 9H). LCMS (ESI) m/z 333 (M + H)。
【0199】
工程7:tert−ブチル 4−(7−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−5,6−ジヒドロキナゾリン−4−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート (Int−4)の合成
磁気撹拌子を備えた50mLフラスコに、tert−ブチル 4−(7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート (4g)(1.0g、3.008mmol、1.0当量)およびTHF(10mL)を入れた。混合物を−78℃に冷却した。LHMDS(THF中1.0M、3.01mL、3.01mmol、1.0当量)を添加した。10分後、PhNTf(1.02g、2.86mmol、0.95当量)を添加した。混合物を−78℃で2時間撹拌し、次いで室温に一夜温めた。LCMS分析は、所望される生成物の形成および出発物質の完全な消費を示した。混合物を1M水性NaHCO(10mL)で停止させ、EtOAc(3×30mL)で抽出した。有機性物質を合わせて水およびブラインで洗浄し、次いで無水MgSOで乾燥させた。混合物を濾過し、濃縮して乾燥させると、残留物が得られ、それをフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0→60% EtOAc/ヘプタン類)により精製すると、tert−ブチル 4−(7−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−5,6−ジヒドロキナゾリン−4−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート (Int−4)(1.4g、収率100%)が淡黄色固体として得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.66 - 8.59 (m, 1H), 6.62 - 6.42 (m, 1H), 3.62 - 3.49 (m, 4H), 3.38 - 3.22 (m, 4H), 3.00 - 2.87 (m, 2H), 2.78 - 2.65 (m, 2H), 1.49 (s, 9H). LCMS (ESI) m/z 465 (M + H)。
【0200】
スキーム5に従う6−クロロ−5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インダゾール (Int−5)の調製。
【0201】
スキーム5:
【0202】
【化42】
【0203】
工程1:4−クロロ−2−フルオロ−5−メチルアニリン (5b)の合成
1−クロロ−5−フルオロ−2−メチル−4−ニトロベンゼン (5a)(23.0g、121mmol)のEtOH/HO(200mL、1:1)中における溶液に、12M HCl(10.1mL、121mmol)を添加した。混合物を80℃に加熱し、Fe(23.7g、425mmol)を30分間の期間をかけてゆっくりと添加した。混合物を同じ温度で1時間撹拌した。LCMS分析は、出発物質が消費されたことおよび所望される生成物が形成されたことを示した。混合物を25℃に冷却し、酢酸エチル(300mL)で希釈し、飽和水性NaHCOでpH=8〜9に塩基性化した。層を濾過し、分離し、水層を酢酸エチル(2×300mL)で抽出した。有機性物質を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮すると、4−クロロ−2−フルオロ−5−メチルアニリン (5b)が黄色固体として得られた(18.0g、収率93%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.08 (d, J = 11.1 Hz, 1H), 6.69 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 5.20 (s, 2H), 2.15 (s, 3H). LCMS (ESI) m/z 160, 162 (M + H)。
【0204】
工程2:2−ブロモ−4−クロロ−6−フルオロ−3−メチルアニリン (5c)の合成
4−クロロ−2−フルオロ−5−メチルアニリン (5b)(18.7g、117mmol)のDMF(150mL)中における溶液に、NBS(20.9g、117mmol)を0℃でゆっくりと添加した。次いで、混合物を25℃まで温め、1時間撹拌した。LCMS分析は、出発物質が消費されたことおよび所望される生成物が形成されたことを示した。混合物を飽和水性NaHCOで停止させ、酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。有機層を合わせて水およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、120g、石油エーテル/酢酸エチル=98:2)により精製すると、2−ブロモ−4−クロロ−6−フルオロ−3−メチルアニリン (5c)が黄色固体として得られた(22.1g、収率79%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.30 (d, J = 10.9 Hz, 1H), 5.45 (s, 2H), 2.36 (d, J = 1.0 Hz, 3H). LCMS (ESI) m/z 238, 240 (M + H)。
【0205】
工程3:3−ブロモ−1−クロロ−5−フルオロ−4−ヨード−2−メチルベンゼン (5d)の合成
濃HSO(62mL)のHO(250mL)中における溶液に、2−ブロモ−4−クロロ−6−フルオロ−3−メチルアニリン (5c)(22.1g、93mmol)を添加した。混合物を25℃で10分間撹拌し、5℃に冷却した。HO(20mL)中のNaNO(7.1g、102mmol)を、滴加した。結果として得られた混合物を、5℃で20分間撹拌し、KI(62g、370mmol)のHO(50mL)中における溶液に添加し、それを5℃で20分間撹拌し、次いで25℃で18時間温めた。TLC分析(石油エーテル)は、出発物質が消費されたことを示した。混合物を水(150mL)で停止させ、酢酸エチル(2×500mL)で抽出した。有機層を合わせて飽和水性NaSOおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、120g、石油エーテル)により精製すると、3−ブロモ−1−クロロ−5−フルオロ−4−ヨード−2−メチルベンゼン (5d)が淡黄色固体として得られた(18g、収率56%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.60 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 2.56 (d, J = 1.1 Hz, 3H)。
【0206】
工程4:2−ブロモ−4−クロロ−6−フルオロ−3−メチルベンズアルデヒド (5e)の合成
3−ブロモ−1−クロロ−5−フルオロ−4−ヨード−2−メチルベンゼン (5d)(17.5g、50.1mmol)のTHF(100mL)中における溶液に、n−BuLi(ヘキサン類中2.5M、20mL、50mmol)を−100℃で滴加した。混合物を同じ温度で30分間撹拌した。乾燥DMF(4.0g、55mmol)を添加し、混合物を−100℃で20分間撹拌した。TLC(石油エーテル)は、出発物質のほとんど全てが消費されたことおよび所望される生成物が形成されたことを示した。粗製の反応混合物を1N HClで停止させた。水を混合物に添加し、水層を酢酸エチル(2×150mL)で抽出した。有機層を合わせてHOで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO、120g、石油エーテル/酢酸エチル=97:3)により精製すると、2−ブロモ−4−クロロ−6−フルオロ−3−メチルベンズアルデヒド (5e)が黄色固体として得られた(8.6g、収率68%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.18 (s, 1H), 7.75 (d, J = 10.4 Hz, 1H), 2.52 - 2.50 (m, 3H). LCMS (ESI) m/z 251, 253 (M + H)。
【0207】
工程5:4−ブロモ−6−クロロ−5−メチル−1H−インダゾール (5f)の合成
4−ブロモ−6−クロロ−5−メチル−1H−インダゾール (5f)(6.7g、収率80%)を、反応が90℃で21時間行われたことを除いて、5−ブロモ−4−メトキシ−1H−インダゾール (3d)を調製するために用いられた手順に従って調製した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.43 (s, 1H), 8.00 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.73 (s, 1H), 2.53 (s, 3H). LCMS (ESI) m/z 245, 247 (M + H)。
【0208】
工程6:4−ブロモ−6−クロロ−5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール (5g)の合成
4−ブロモ−6−クロロ−5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール (5g)(5.7g、収率73%)を、反応が80℃においてTHF中で行われたことを除いて、4−ブロモ−5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール (1b)を調製するために用いられた手順に従って調製した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.05 (s, 1H), 8.01 (s, 1H), 5.88 (dd, J = 9.6, 2.4 Hz, 1H), 3.86 (d, J = 12.1 Hz, 1H), 3.80 - 3.73 (m, 1H), 2.54 (s, 3H), 2.38 - 2.31 (m, 1H), 2.05 - 1.94 (m, 2H), 1.71 (dd, J = 9.1, 3.3 Hz, 1H), 1.57 (dt, J = 9.1, 4.6 Hz, 2H). LCMS (ESI) m/z 329, 331 (M + H)。
【0209】
工程7:6−クロロ−5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インダゾール (Int−5)の合成
4−ブロモ−6−クロロ−5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール (7g、20mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(5.93g、23.4mmol)、KOAc(6.25g、63.7mmol)およびPd(dppf)Cl(0.777g、1.06mmol)の1,4−ジオキサン(100mL)中における混合物を、N下で16時間85℃に加熱した。LCMS分析は、出発物質のほとんどが消費されたことを示した。混合物を25℃に冷却し、濾過した。濾液を濃縮した。残留物をHO(80mL)で希釈し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。有機性物質を合わせてブライン(50mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗製の物質をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0〜10%EtOAc/石油エーテル)により精製すると、6−クロロ−5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インダゾール (Int−5)(7.4g、収率90%、純度65%)が白色固体として得られ、それには6−クロロ−5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾールが混入していた。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.19 (s, 1H), 8.01 (s, 1H), 5.85 (dd, J = 9.6, 2.5 Hz, 1H), 3.90 - 3.82 (m, 1H), 3.80 - 3.68 (m, 1H), 2.59 (s, 3H), 2.44 - 2.26 (m, 1H), 2.10 - 1.98 (m, 1H), 1.97 - 1.86 (m, 1H), 1.79 - 1.66 (m, 1H), 1.64 - 1.50 (m, 2H), 1.38 (s, 12H). LCMS (ESI) m/z 377, 379 (M + H)。
【0210】
実施例の調製:
実施例A1 (スキームA):1−{4−[7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン
実施例A2 (スキームA):1−{4−[(7R)−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン
実施例A3(スキームA):1−{4−[(7S)−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン
スキームA:
【0211】
【化43】
【0212】
工程1:3−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]シクロヘキサノン (A−1)の合成
磁気撹拌子を備えた25mLフラスコに、[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]ボロン酸 (Int−1)(650mg、2.5mmol、1.0当量)、[RhCl(COD)](61.6mg、0.125mmol、0.05当量)およびNaHCO(620mg、5.0mmol、2.0当量)を入れた。フラスコに窒素をパージし、次いで水(12.5mL)およびシクロヘキサノン(721mg、7.5mmol、3.0当量)を添加した。混合物を80℃で一夜撹拌した。LCMS分析は、ボロン酸の完全な消費を示した。反応を室温まで冷却した。混合物を分液漏斗中に注ぎ、EtOAc(2×25mL)で抽出した。有機性物質を合わせて無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(Biotage、25g SiO、25% EtOAc/ヘプタン類)により精製すると、3−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]シクロヘキサノン (A−1)(ジアステレオ異性体の1:1混合物、680mg、収率87%)が透明な油として得られ、それは、静置すると凝固して灰白色固体になった。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.18 (s, 1H), 7.39 (dd, J = 8.5, 3.2 Hz, 1H), 7.22 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 5.71 (dt, J = 9.5, 2.5 Hz, 1H), 4.05 (d, J = 12.3 Hz, 1H), 3.84 - 3.69 (m, 1H), 3.54 (tt, J= 13.1, 3.9 Hz, 1H), 3.01 (t, J= 13.9 Hz, 1H), 2.68 - 2.48 (m, 4H), 2.43 (s, 3H), 2.41 - 2.35 (m, 1H), 2.34 - 2.22 (m, 1H), 2.19 (s, 1H), 2.12 - 1.92 (m, 2H), 1.94 - 1.75 (m, 3H), 1.69 (d, J = 3.1 Hz, 1H). LCMS (ESI) m/z 313 (M + H)。
【0213】
工程2:3−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]シクロヘキサノン (A−2)の合成
磁気撹拌子を備えた50mLフラスコに、3−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]シクロヘキサノン (A−1)(677mg、2.2mmol、1.0当量)、炭酸ジエチル(3mL)およびTHF(6mL)を入れた。水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、217mg、5.4mmol、2.5当量)を一度に添加した。フラスコに還流凝縮器を装備させ、次いで混合物を70℃に加熱した。1時間後、反応をLCMSによりチェックし、それは、出発物質の消費およびジアステレオ異性体の複合混合物としての生成物の形成を示した。反応を分液漏斗中に注ぎ、EtOAcで希釈し、飽和水性NHClで洗浄した。水層をEtOAcで抽出した。有機性物質を合わせてブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Biotage、25g SiO、10→25% EtOAc/ヘプタン類)により精製すると、3−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]シクロヘキサノン (A−2)が黄色の油として得られ(680mg、収率82%)、それをそれ以上精製せずに用いた。LCMS (ESI) m/z 385 (M + H)。
【0214】
工程3:7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン (A−3)の合成
磁気撹拌子を装備した2ドラムバイアル(2 dram vial)に、エチル 4−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−オキソシクロヘキサンカルボキシレート (A−2)(384mg、1.0mmol、1.0当量)およびホルムアミジン酢酸塩(521mg、5.0mmol、5.0当量)を入れた。ナトリウムメトキシド(MeOH中0.5M、20mL、10.0mmol、10当量)を添加し、混合物を一夜加熱還流させた。反応を室温まで冷却し、濃縮して乾燥させた。残留物をEtOAc中で溶解させ、飽和水性NHClで洗浄した。水層をEtOAcで抽出した。有機性物質を合わせて無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Biotage、10g SiO、100% EtOAc→15% EtOH/EtOAc)により精製すると、7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン (A−3)が白色固体として得られた(ジアステレオ異性体の1:1混合物、364mg、収率48%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.06 (s, 1H), 8.03 (s, 1H), 7.39 (d, J= 8.5 Hz, 1H), 7.23 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 5.70 (dd, J = 9.4, 2.7 Hz, 1H), 4.04 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.74 (td, J = 11.1, 2.8 Hz, 1H), 3.52 (tdd, J = 12.4, 5.2, 2.9 Hz, 1H), 3.24 (dd, J = 17.3, 11.7 Hz, 1H), 2.98 (dd, J= 17.3, 5.0 Hz, 1H), 2.88 (dd, J= 18.4, 4.6 Hz, 1H), 2.67 - 2.52 (m, 2H), 2.46 (s, 3H), 2.39 - 2.23 (m, 1H), 2.20 - 2.02 (m, 3H), 1.81 - 1.61 (m, 3H). LCMS (ESI) m/z 365 (M + H)。
【0215】
工程4:tert−ブチル 4−{7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (A−4)の合成
磁気撹拌子を備えた10mLフラスコに、7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン (A−3)(364mg、1.0mmol、1.0当量)、DMF(2.5mL)、DBU(304mg、2.0mmol、2.0当量)、BOP試薬(464mg、1.05mmol、1.05当量)およびtert−ブチル ピペラジン−1−カルボキシレート(233mg、1.25mmol、1.25当量)を入れた。混合物を65℃に一夜加熱した。LCMS分析は、ジアステレオ異性体の1:1混合物としての所望される生成物への変換を示した。反応を室温まで冷却し、水を添加した。白色固体が形成され、それを濾過により収集した。フィルターケーキを水で洗浄し、真空下で乾燥させた。結果として得られた固体をEtOAc(30mL)中で溶解させ、0.1N HCl(2×20mL)およびブラインで洗浄した。有機性溶液を無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(Biotage、25g SiO、60→100% EtOAc/ヘプタン類)により精製すると、tert−ブチル 4−{7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレートが灰白色固体として得られた(ジアステレオ異性体の1:1混合物、327mg、収率61%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.55 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.32 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 5.62 (ddd, J = 9.5, 4.2, 2.8 Hz, 1H), 4.00 - 3.88 (m, 1H), 3.73 - 3.62 (m, 1H), 3.56 (t, J = 3.5 Hz, 3H), 3.43 (d, J = 9.9 Hz, 4H), 3.30 - 3.16 (m, 3H), 3.08 (dd, J = 18.8, 6.3 Hz, 1H), 2.81 - 2.61 (m, 3H), 2.56 - 2.43 (m, 1H), 2.40 (s, 3H), 2.24 - 1.99 (m, 4H), 1.75 - 1.63 (m, 2H), 1.42 (s, 9H). LCMS (ESI) m/z 533 (M + H)。
【0216】
工程5:7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (A−5)の合成
磁気撹拌子を備えた25mLフラスコに、tert−ブチル 4−{7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (A−4)(325mg、0.61mmol、1.0当量)、MeOH(6.1mL)およびHCl(1,4−ジオキサン中4.0N、3.1mL、12.2mmol、20当量)を入れた。反応を一夜撹拌しておいた。LCMS分析は、完全に脱保護された生成物の形成を示した。反応を濃縮して乾燥させると、7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (A−5)(214mg、収率100%)が褐色の油として得られた。それをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。LCMS (ESI) m/z 349 (M + H)。
【0217】
工程6:1−{4−[7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例A1)の合成
磁気撹拌子を備えた25mLフラスコに、7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (A−5)(34.8mg、0.1mmol、1.0当量)、DCM(4mL)、TEA(101mg、1.0mmol、10当量)および塩化アクリロイル(13.6mg、0.15mmol、1.5当量)を入れた。2時間後、反応をLCMSによりチェックし、それは、所望される生成物への変換を示した。反応を濃縮して乾燥させ、フラッシュクロマトグラフィー(Biotage、10g SiO、20% EtOH/EtOAc)により精製すると、1−{4−[7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オンが白色固体として得られた(14.7mg、収率37%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.58 (s, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.29 (d, J= 9.9 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.53 (dd, J = 16.7, 10.6 Hz, 1H), 6.27 (dd, J = 16.8, 1.7 Hz, 1H), 5.74 (dd, J = 10.6, 1.7 Hz, 1H), 4.11 - 3.63 (m, 9H), 3.25 - 3.15 (m, 2H), 3.01 - 2.83 (m, 1H), 2.84 - 2.70 (m, 1H), 2.39 (s, 3H), 2.32 - 2.06 (m, 2H). LCMS (ESI) m/z 403 (M + H)。
【0218】
工程7:1−{4−[(7R)−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例A2)および1−{4−[(7S)−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例A3)の合成
磁気撹拌子を備えた25mLフラスコに、7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン(214mg、0.614mmol、0.614当量)、DCM(10mL)、TEA(621mg、6.14mmol、10当量)および塩化アクリロイル(83.3mg、0.92mmol、1.5当量)を入れた。1時間後、反応を濃縮して乾燥させた。残留物をChrialpak AD−3(4.6mm×100mm、3ミクロン粒径)カラム上でのキラルSFCにより精製し、それを120barにおいて25℃で保たれたCO中で40%IPAにより溶離した。4.0mL/分の流速は、Rt(ピーク1)=1.62分およびRt(ピーク2)=1.62分を与えた。1−{4−[(7R)−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例A2)(ピーク1):36mg、>99% ee、収率15%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.94 (s, 1H), 8.52 (s, 1H), 8.11 (s, 1H), 7.30 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.85 (dd, J = 16.7, 10.4 Hz, 1H), 6.15 (dd, J = 16.7, 2.4 Hz, 1H), 5.72 (dd, J= 10.4, 2.4 Hz, 1H), 3.85 - 3.70 (m, 2H), 3.69 - 3.57 (m, 3H), 3.55 - 3.48 (m, 2H), 3.30 - 3.23 (m, 2H), 3.20 - 3.07 (m, 1H), 3.05 - 2.88 (m, 2H), 2.70 (d, J = 16.7 Hz, 1H), 2.43 (s, 3H), 2.36 - 2.20 (m, 1H), 2.00 (d, J = 12.4 Hz, 1H); [α]d22= -44.0 (C=0.1, CHCl3); LCMS (ESI) m/z 403 (M + H)。1−{4−[(7S)−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例A3)(ピーク2):34.3mg、約98% ee、収率14%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.94 (s, 1H), 8.52 (s, 1H), 8.11 (s, 1H), 7.30 (d, J= 8.5 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.85 (dd, J = 16.7, 10.5 Hz, 1H), 6.15 (dd, J = 16.7, 2.4 Hz, 1H), 5.72 (dd, J= 10.5, 2.4 Hz, 1H), 3.86 - 3.69 (m, 2H), 3.70 - 3.57 (m, 3H), 3.57 - 3.44 (m, 2H), 3.30 - 3.22 (m, 2H), 3.15 (dd, J= 18.3, 11.5 Hz, 1H), 3.04 - 2.87 (m, 2H), 2.70 (d, J = 16.3 Hz, 1H), 2.43 (s, 3H), 2.35 - 2.19 (m, 1H), 2.00 (d, J = 12.3 Hz, 1H); [α]d22= +53.3° (C=0.2, CHCl3); LCMS (ESI) m/z 403 (M + H)。
【0219】
表A中の実施例は、スキームAにおける類似の化学ならびに1−{4−[7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例A1)および[(6R,7R)−rel−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−6−イル]メタノール (A−7)を調製するために用いられた手順を用いて調製された。以下の実施例は、実施例A1を調製するために用いられた例示された手順に対する重要ではない変更または置換により作製され、当業者はそれを実現することができるであろう。
【0220】
【表1-1】
【0221】
【表1-2】
【0222】
以下の調製において詳述される中間体A−6は、方法Aに従って実施例A7を与える。しかし、この実施例は、完全性のために必要とされる脱保護工程およびこの化学が下記に含まれているため、先行する実施例の合成範囲から外れている。最終的な実施例を与えるためのその後の化学は、方法Aの実施例に類似しており、当業者が理解し得る最小限の追加または変更がある。
【0223】
[(6R,7R)−rel−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−6−イル]メタノール (A−7)の合成
【0224】
【化44】
【0225】
10mLのステンレス鋼の反応容器に、tert−ブチル 4−{(6R,7R)−rel−6−[(ベンジルオキシ)メチル]−7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (A−6)(340mg、0.52mmol、1.0当量)、MeOH(5.2mL)およびHCl(1,4−ジオキサン中4.0N、0.26mL、1.0mmol、2.0当量)を入れた。Pd/C(10%装填、70mg)を添加し、容器をHで8barに加圧し、50℃に一夜加熱した。LCMS分析は、完全な脱ベンジルとTHPおよびBoc基の部分的な脱保護を示した。粗製の反応物をセライトの薄いパッドを通して濾過した。混合物をロータリーエバポレーター(rotovap)上で濃縮し、次いでMeOH(6mL)中で溶解させた。追加のHCl(1,4−ジオキサン中4.0N、1.3mL、5.2mmol、10当量)を、完全な脱保護を誘導するために添加した。混合物を一夜撹拌しておいた。混合物を濃縮して乾燥させると、[(6R,7R)−rel−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−6−イル]メタノール (A−7)が灰白色固体として得られ(195mg、収率99%)、それをそれ以上精製せずに用いた。LCMS (ESI) m/z 379 (M + H)。
【0226】
【表2】
【0227】
実施例B1(スキームB):1−{6−[7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]−2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプタ−2−イル}プロパ−2−エン−1−オンを、ライブラリ形式で調製した。
【0228】
スキームB:
【0229】
【化45】
【0230】
工程1:4−クロロ−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (B−1)の合成
40mLバイアルに、7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン (A−4)(300mg、0.825mmol、1.0当量)、POCl(5mL)およびトルエン(5mL)を入れた。DIPEA(320mg、2.475mmol、3.0当量)を添加した。バイアルに蓋をして、110℃で16時間振盪した。溶媒を減圧下で除去すると、4−クロロ−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (B−1)が得られ、それをそれ以上精製せずに直接次の工程において用いた。
【0231】
工程2:tert−ブチル 6−[7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]−2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボキシレート (B−2)の合成
8mLバイアルに、tert−ブチル 2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボキシレート(90μmol、1.2当量)の溶液を入れた。TEA(225μmol、3.0当量)をバイアルに添加した後、4−クロロ−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (B−1)(75μmol、1.0当量)のNMP(0.9mL)中における溶液を添加した。バイアルに蓋をして、130℃で16時間振盪した。LCMS分析は、反応が完了したことを示している。溶媒を真空中で除去し、結果として得られた残留物を分取TLCにより精製すると、tert−ブチル 6−[7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]−2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボキシレート (B−2)が得られた。
【0232】
工程3:4−(2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプタ−2−イル)−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (B−3)の合成
8mLバイアルにtert−ブチル 6−[7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]−2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボキシレート (B−2)およびHCl(MeOH中4.0M、750μL)を入れた。バイアルに蓋をして、30℃で2時間振盪した。LCMS分析は、反応が完了したことを示した。溶媒を真空下で除去すると、4−(2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプタ−2−イル)−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (B−3)が得られ、それをそれ以上精製せずに用いた。
【0233】
工程4:1−{6−[7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]−2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプタ−2−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例B1)の合成
4−(2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプタ−2−イル)−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (B−3)を含有するバイアルに、飽和水性NaHCO(500μL)、THF(500μL)および塩化アクリロイルの溶液(THF中0.15M、500μL、75μmol、1.0当量)を添加した。バイアルに蓋をして、30℃で2時間振盪した。LCMS分析は、生成物への変換を示した。混合物をEtOAc(3×1.5mL)で抽出した。有機性物質を合わせて無水MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を分取HPLC(Agela Durashell C18、150×25mm、5μm、アセトニトリルおよび水(0.22%ギ酸)の0〜35%勾配、30mL/分)により精製すると、1−{6−[7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]−2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプタ−2−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例B1)が得られた。LCMS (ESI) m/z 414 (M + H)。
【0234】
表Bにおける実施例は、スキームBにおける類似の化学および1−{6−[7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]−2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプタ−2−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例B1)を調製するために用いられた手順を用いてライブラリ形式で調製された。以下の実施例は、実施例B1を調製するために用いられた例示された手順に対する重要ではない変更または置換により作製され、当業者はそれを実現することができるであろう。
【0235】
【表3】
【0236】
実施例C1 (スキームC):tert−ブチル 4−{2−クロロ−7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート
スキームC:
【0237】
【化46】
【0238】
工程1:エチル 4−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−オキソシクロヘキサンカルボキシレート (C−1)の合成
エチル 4−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−2−オキソシクロヘキサンカルボキシレート (A−2)(11.5g、29.9mmol、1.0当量)のMeOH(400mL)中における溶液に、尿素(3.59g、59.8mmol、2.0当量)およびNaOMe(3.23g、59.8mmol、2.0当量)を添加した。反応を80℃で16時間撹拌した。LCMS分析は、所望される生成物の形成を示した。混合物を濃縮して乾燥させ、粗製の残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO、10% MeOH/DCM)により精製すると、エチル 4−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−オキソシクロヘキサンカルボキシレート (C−1)(2.3g、収率20%)が得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.95 (s, 1H), 10.69 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 8.28 (s, 1H), 7.49 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.22 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.79 (dd, J = 9.8, 2.5 Hz, 1H), 3.87 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 3.79 - 3.65 (m, 1H), 3.45 - 3.36 (m, 1H), 2.94 - 2.77 (m, 1H), 2.57 - 2.47 (m, 1H), 2.46 - 2.34 (m, 5H), 2.31 - 2.15 (m, 2H), 2.09 - 1.97 (m, 1H), 1.93 (dd, J = 13.3, 3.2 Hz, 1H), 1.84 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 1.79 - 1.65 (m, 1H), 1.62 - 1.50 (m, 2H). LCMS (ESI) m/z 381 (M + H)。
【0239】
工程2:2,4−ジクロロ−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (C−2)の合成
エチル 4−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−オキソシクロヘキサンカルボキシレート (C−1)(2.3g、6.0mmol)のPOCl(30mL)中における溶液を、105℃で2時間撹拌した。LCMS分析は、出発物質の完全な消費を示した。混合物を濃縮して乾燥させた。残留物をDCM(30mL)で希釈し、TEAを添加してpHを8に調整した。溶媒を蒸発させた。粗製の残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO、33% EtOAc/PE)により精製すると、2,4−ジクロロ−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (C−2)(1g、収率50%)が得られた。LCMS (ESI) m/z 333 (M + H)。
【0240】
工程3:tert−ブチル 4−[2−クロロ−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−カルボキシレート (C−3)の合成
2,4−ジクロロ−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (C−2)(1g、3mmol、1.0当量)のDMF(30mL)中における溶液に、tert−ブチル ピペラジン−1−カルボキシレート(671mg、3.6mmol、1.2当量)およびDIPEA(776mg、6mmol、2.0当量)を添加した。反応を80℃で2時間撹拌した。LCMS分析は、所望される生成物への変換を示した。反応混合物を室温まで冷却し、分液漏斗の中に注いだ。水(50mL)を添加し、混合物をEtOAc(2×30mL)で抽出した。有機性物質を合わせてブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して乾燥させた。粗製の物質をカラムクロマトグラフィー(SiO、25% EtOAc/PE)により精製すると、tert−ブチル 4−[2−クロロ−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−カルボキシレート (C−3)(1g、収率70%)が得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.04 (s, 1H), 7.32 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.22 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 3.72 - 3.43 (m, 8H), 3.44 - 3.35 (m, 2H), 3.30 (dd, J = 19.2, 11.5 Hz, 1H), 3.14 (dd, J = 19.1, 6.4 Hz, 1H), 2.79 - 2.66 (m, 2H), 2.46 (s, 3H), 2.32 - 2.02 (m, 2H), 1.49 (s, 9H). LCMS (ESI) m/z 483 (M + H)。
【0241】
工程4:tert−ブチル 4−{2−クロロ−7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (C−4)の合成
tert−ブチル 4−[2−クロロ−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−カルボキシレート (C−3)(520mg、1.08mmol、1.0当量)のDCM(400mL)中における0℃の溶液に、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(272mg、3.23mmol、3.0当量)および4−トルエンスルホン酸ピリジニウム(pridinium 4−toluenesulfonate)(27.1mg、0.108mmol、0.1当量)を添加した。反応を20℃に温め、18時間撹拌した。LCMS分析は、所望される生成物への変換を示した。混合物を濃縮して乾燥させ、粗製の残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO、50% EtOAc/PE)により精製すると、tert−ブチル 4−{2−クロロ−7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (C−4)(500mg、収率82%)が得られた。LCMS (ESI) m/z 567 (M + H)。
【0242】
工程5:tert−ブチル 4−{2−(2−メトキシエトキシ)−7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (C−5)の合成
tert−ブチル 4−{2−クロロ−7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (C−4)(200mg、0.353mmol、1.0当量)の1,4−ジオキサン(20mL)中における溶液に、2−メトキシエタン−1−オール(107mg、1.41mmol、4.0当量)およびNaH(鉱油中60%分散液、70.5mg、1.76mmol、5.0当量)を添加した。反応を90℃で16時間撹拌した。LCMS分析は、所望される生成物への変換を示した。反応を水(10mL)の添加により停止させた。混合物を分液漏斗中に注ぎ、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機性物質を合わせてブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して乾燥させた。粗製の残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO、50% EtOAc/PE)により精製すると、tert−ブチル 4−{2−(2−メトキシエトキシ)−7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (C−5)(200mg、収率94%)が得られた。LCMS (ESI) m/z 607 (M + H)。
【0243】
工程6:2−(2−メトキシエトキシ)−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (C−6)の合成
tert−ブチル 4−{2−(2−メトキシエトキシ)−7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (C−5)(200mg、0.33mmol、1.0当量)のDCM中25%TFA(20mL)中における溶液を、20℃で2時間撹拌した。LCMS分析は、所望される生成物への変換を示した。反応混合物を濃縮して乾燥させると、2−(2−メトキシエトキシ)−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (C−6)(120mg、収率86%)が得られ、それをそれ以上精製せずに用いた。LCMS (ESI) m/z 423 (M + H)。
【0244】
工程7:1−{4−[2−(2−メトキシエトキシ)−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例C1)
2−(2−メトキシエトキシ)−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (C−6)(120mg、0.284mmol、1.0当量)のEtOAc(10mL)中における溶液に、飽和NaHCOの溶液(10mL)を添加した。塩化アクリロイル(31mg、0.341mmol、1.2当量)のEtOAc中における溶液を添加し、反応を20℃で20分間撹拌した。LCMS分析は、所望される生成物への変換を示した。反応混合物を分液漏斗中に注ぎ、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機性物質を合わせてブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して乾燥させた。粗製の残留物を分取HPLC(Gemini 5u C18、150×21.2mm、40〜50%アセトニトリル、20mL/分)により精製すると、1−{4−[2−(2−メトキシエトキシ)−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例C1)(25.7mg、収率19%)が得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.14 - 7.94 (m, 1H), 7.30 (d, J= 7.7 Hz, 1H), 7.22 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.60 (dd, J = 16.7, 10.6 Hz, 1H), 6.35 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 5.76 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 4.46 (s, 2H), 4.07 - 3.88 (m, 1H), 3.78 (d, J = 32.0 Hz, 4H), 3.63 (s, 4H), 3.52 - 3.08 (m, 7H), 2.75 (s, 2H), 2.47 (s, 3H), 2.21 (d, J = 32.3 Hz, 2H). LCMS (ESI) m/z 477 (M + H)。
【0245】
表Cにおける実施例は、スキームCにおける類似の化学および1−{4−[2−(2−メトキシエトキシ)−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例C1)を調製するために用いられた手順を用いて調製された。以下の実施例は、実施例C1を調製するために用いられた例示された手順に対する重要ではない変更または置換により作製され、当業者はそれを実現することができるであろう。
【0246】
【表4-1】
【0247】
【表4-2】
【0248】
【表4-3】
【0249】
【表4-4】
【0250】
【表4-5】
【0251】
実施例D1(スキームD):1−(4−{(6R,7R)−7−[5−(ヒドロキシメチル)−1H−インダゾール−4−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン
スキームD:
【0252】
【化47】
【0253】
2個の無菌の250mL Nalgeneフラスコ(バッフル付き、通気孔付き)のそれぞれに、25mLの無菌Iowa培地(デキストロース(20g)、栄養大豆粉(Nutrisoy flour)(5g)、NaCl(5g)、酵母抽出物(5g)、KHPO(5g)、P2000消泡剤(1mL)、脱イオン水(1000mL))を入れた。pHを1N HClで7.0に調整し、溶液を滅菌するためにオートクレーブした(121℃、25分/L))。ストレプトマイセス・スペクタビリス(Streptomyces spectabilis)ATCC 27465の解凍された増殖性ストック(vegetative stock)での溶液(0.25mL)を、それぞれのフラスコに添加した。フラスコに蓋をして、2”スロー(throw)ロータリーシェーカー(Innova 4900、210rpm)上で30℃で2日間インキュベートした。1−{4−[(6R,7R)−6−メチル−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例A6)(5mg、12μmol)のDMSO(1mL)中における溶液を、それぞれのフラスコに添加した。フラスコに蓋をして、上記のようにインキュベートした。5日後、それぞれの培養に関する2個のフラスコを合わせて分液漏斗中に注いだ。溶液をEtOAc(2×50mL)で抽出し、有機性物質を合わせて無水MgSOのパッドを通して濾過した。フィルターケーキをEtOAc(20mL)で洗浄し、有機性物質を合わせて濃縮して乾燥させた。粗製の物質をPrinceton Methane Sulfonamide(10mm×250mm、5ミクロン粒径)カラム上での分取SFCにより精製し、それを25℃において100barで保たれたCO中で60% MeOHで、10mL/分の流速で溶離すると、1−(4−{(6R,7R)−7−[5−(ヒドロキシメチル)−1H−インダゾール−4−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン (実施例D1)(11μg、収率0.2%)が得られた。LCMS (ESI) m/z 433 (M + H)。
【0254】
実施例E1(スキームE):1−{4−[(6R,7R)−7−(7−ヒドロキシ−5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン
スキームE:
【0255】
【化48】
【0256】
1−{4−[(6R,7R)−7−(7−ヒドロキシ−5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例E1)(26μg、収率0.5%)を、ストレプトマイセス・スペクタビリスATCC 13273が細胞株として用いられたことを除いて、実施例D1に関する一般的な手順に従って調製した。LCMS (ESI) m/z 433 (M + H)。
【0257】
実施例F1(スキームF):1−{4−[(6R,7R)−rel−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン
実施例F2(スキームF):1−{4−[(6S,7S)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン
実施例F3(スキームF):1−{4−[(6R,7R)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン
スキームF:
【0258】
【化49】
【0259】
工程1:(3R,4R)−rel−4−メチル−3−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]シクロヘキサノン (F−1)の合成
(3R,4R)−rel−4−メチル−3−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]シクロヘキサノン (F−1)(118g、収率90%、>20:1dr)を、KOSiMeが1,4−ジオキサン/HO(20:1)の溶媒混合物中の塩基として用いられたことを除いて、3−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]シクロヘキサノン (A−1)の合成に関する手順に従って調製し、所望される生成物が黄色のゴムとして得られた。LCMS (ESI) m/z 327 (M + H)。
【0260】
工程2:エチル (4R,5R)−rel−5−メチル−4−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−オキソシクロヘキサンカルボキシレート (F−2)およびエチル (2S,3R)−rel−3−メチル−2−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−6−オキソシクロヘキサンカルボキシレート (F−3)の合成
エチル (4R,5R)−rel−5−メチル−4−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−オキソシクロヘキサンカルボキシレート (F−3)およびエチル (2S,3R)−rel−3−メチル−2−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−6−オキソシクロヘキサンカルボキシレート (F−2)の約1:1混合物(86.8g、収率44.02%)を、3−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]シクロヘキサノン (A−2)を合成するために用いられた一般的な手順に従って調製すると、生成物が灰白色固体として得られた。LCMS (ESI) m/z 399 (M + H)。
【0261】
工程3:(6R,7R)−rel−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン (F−4)の合成
エチル (4R,5R)−rel−5−メチル−4−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−オキソシクロヘキサンカルボキシレート (F−3)およびエチル (2S,3R)−rel−3−メチル−2−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−6−オキソシクロヘキサンカルボキシレート (F−2)の約1:1混合物(885mg、1.11mmol、1.0当量)ならびに3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−カルボキシイミドアミド塩酸塩(411mg、2.89mmol、2.6当量)(国際公開第15089327号)の乾燥EtOH(5mL)中における撹拌溶液に、NaOEtの溶液[Na金属(204mg、8.88mmol)をエタノール(5mL)に添加することにより調製された]を添加した。結果として得られた混合物を、25℃で4時間撹拌した。LCMSは、エチル (4R,5R)−rel−5−メチル−4−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−オキソシクロヘキサンカルボキシレートのみの消費を示した。混合物を濾過し、ケーキをEtOH(2×3mL)で洗浄した。濾液を合わせて濃縮した。粗製の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0→10% MeOH/DCM)により精製すると、(6R,7R)−rel−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン (F−4)(300mg、収率57%)がゴム状の白色固体として得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.05 (s, 1H), 7.34 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.20 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 5.81 - 5.57 (m, 1H), 4.18 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 4.04 (t, J = 12.6 Hz, 3H), 3.75 (t, J = 9.9 Hz, 1H), 3.33 (s, 1H), 3.21 (s, 1H), 3.16 - 3.03 (m, 1H), 2.87 (dd, J= 17.3, 4.6 Hz, 1H), 2.70 (dd, J= 18.1, 4.4 Hz, 1H), 2.56 (s, 1H), 2.42 (s, 4H), 2.28 (s, 6H), 2.09 (dd, J = 28.1, 10.2 Hz, 3H), 1.81 - 1.60 (m, 3H), 0.74 (s, 3H). LCMS (ESI) m/z 477 (M + H)。
【0262】
工程4:tert−ブチル 4−{(6R,7R)−rel−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (F−5)の合成
磁気撹拌子を備えた250mLフラスコに、(6R,7R)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン (F−4)(1g、2.1mmol、1.0当量)、tert−ブチル ピペラジン−1−カルボキシレート(1.95g、10.5mmol、5.0当量)およびBOP試薬(1.4g、3.15mmol、1.5当量)を入れた。MeCN(21mL)およびDBU(639mg、4.2mmol、2.0当量)を添加し、混合物を60℃に加熱した。48時間後、反応をLCMSによりチェックし、それは、所望される生成物への変換を示した。反応混合物を室温まで冷却し、分液漏斗中に注いだ。混合物をTBME(50mL)および水(20mL)の間で分配した。有機層を水(20mL)およびブライン(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Biotage、25g SiO、40→60% EtOAc/ヘプタン類 +2% NEt)により精製すると、tert−ブチル 4−{(6R,7R)−rel−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (F−5)が灰白色固体として得られた(1.33g、収率99%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.98 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 7.34 (dd, J = 15.0, 8.6 Hz, 1H), 7.23 - 7.15 (m, 1H), 5.68 (ddd, J= 12.6, 9.7, 2.6 Hz, 1H), 4.16 - 3.86 (m, 5H), 3.75 (dd, J = 10.8, 8.1 Hz, 1H), 3.62 (t, J = 8.5 Hz, 2H), 3.46 (d, J = 11.2 Hz, 3H), 3.34 - 3.03 (m, 6H), 2.70 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 2.64 - 2.50 (m, 1H), 2.43 (s, 3H), 2.32 (q, J = 11.9, 11.0 Hz, 2H), 2.21 (s, 6H), 2.15 (s, 1H), 2.06 (d, J = 12.3 Hz, 1H), 1.80 - 1.72 (m, 3H), 1.49 (s, 9H), 0.76 (d, J = 5.6 Hz, 3H). LCMS (ESI) m/z 645 (M + H)。
【0263】
工程5:N,N−ジメチル−1−[(6R,7R)−rel−6−メチル−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−2−イル]アゼチジン−3−アミン (F−6)の合成
tert−ブチル 4−{(6R,7R)−rel−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (F−5)(125mg、0.194mmol、1.0当量)のDCM(8mL)中における撹拌溶液に、TFA(2mL)を添加した。結果として得られた溶液を、25℃で72時間撹拌した。LCMS分析は、生成物への変換を示した。溶媒を減圧下で除去すると、N,N−ジメチル−1−[(6R,7R)−rel−6−メチル−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−2−イル]アゼチジン−3−アミン (F−6)(89mg、収率100%)が褐色の油として得られ、それをそれ以上精製せずに用いた。LCMS (ESI) m/z 461 (M + H)。
【0264】
工程6:1−{4−[(6R,7R)−rel−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例F1)の合成
N,N−ジメチル−1−[(6R,7R)−rel−6−メチル−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−2−イル]アゼチジン−3−アミン (F−6)(89mg、0.19mmol、1.0当量)のEtOAc(50mL)および飽和NaHCO(50mL)中における撹拌混合物に、塩化アクリロイル(17.5mg、0.193mmol、1.0当量)のEtOAc(5mL)中における溶液を0〜5℃で滴加した。結果として得られた混合物を、同じ温度で20分間撹拌した。LCMS分析は、出発物質の消費を示した。有機層を分離した。水層をEtOAc(2×30mL)で抽出した。有機性物質を合わせて無水NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗製の物質をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0→5% MeOH/DCM)により精製すると、1−{4−[(6R,7R)−rel−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例F1)(26mg、収率27%)が白色固体として得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.94 (s, 1H), 8.05 (s, 1H), 7.28 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.84 (dd, J = 16.7, 10.5 Hz, 1H), 6.14 (dd, J = 16.7, 2.4 Hz, 1H), 5.71 (dd, J = 10.4, 2.4 Hz, 1H), 3.95 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 3.85 - 3.75 (m, 1H), 3.76 - 3.67 (m, 3H), 3.64 - 3.57 (m, 2H), 3.49 - 3.40 (m, 2H), 3.29 - 3.15 (m, 3H), 3.12 - 2.94 (m, 2H), 2.81 (dd, J = 18.3, 6.2 Hz, 1H), 2.69 - 2.61 (m, 1H), 2.60 - 2.51 (m, 1H), 2.45 - 2.34 (m, 4H), 2.09 (s, 6H), 0.68 (d, J = 6.1 Hz, 3H). LCMS (ESI) m/z 515 (M + H)。
【0265】
工程7:1−{4−[(6S,7S)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例F2)および1−{4−[(6R,7R)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例F3)の合成
1−{4−[(6R,7R)−rel−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (218mg)をChrialpak AD−3(4.6mm×100mm、3ミクロン粒径)カラム上でのキラルSFCにより精製し、それを120barにおいて25℃で保たれたCO中で30% IPA + 10mM NHにより溶離した。4.0mL/分の流速は、Rt(ピーク1)=2.53分およびRt(ピーク2)=4.58分を与えた。1−{4−[(6R,7R)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例F2)(ピーク1):29.8mg、>99% ee、収率14%。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 8.03 (s, 1H), 7.28 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.83 (ddd, J = 14.9, 10.0, 4.1 Hz, 1H), 6.14 (dd, J = 16.6, 2.3 Hz, 1H), 5.71 (dt, J = 10.7, 1.8 Hz, 1H), 3.94 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 3.78 (s, 1H), 3.73 - 3.68 (m, 3H), 3.60 (s, 2H), 3.41 - 3.34 (m, 3H), 3.27 - 3.14 (m, 1H), 3.08 - 2.96 (m, 2H), 2.81 (dd, J = 18.5, 6.6 Hz, 1H), 2.67 - 2.61 (m, 2H), 2.49 - 2.34 (m, 5H), 2.07 (s, 6H), 0.68 (s, 3H); [α]d22= -27.3° (C=0.1, MeOH); LCMS (ESI) m/z 515 (M + H)。1−{4−[(6S,7S)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例F3)(ピーク2):32.7mg、約99% ee、収率15%。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 8.04 (s, 1H), 7.28 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.94 - 6.72 (m, 1H), 6.25 - 5.97 (m, 1H), 5.71 (dt, J= 10.5, 1.9 Hz, 1H), 3.94 (t, J= 7.4 Hz, 2H), 3.79 (d, J = 17.9 Hz, 1H), 3.74 - 3.67 (m, 3H), 3.61 (s, 2H), 3.41 - 3.34 (m, 3H), 3.31 - 3.13 (m, 1H), 3.08 - 2.97 (m, 2H), 2.81 (dd, J = 18.5, 5.8 Hz, 1H), 2.63 (d, J = 15.4 Hz, 2H), 2.49 - 2.34 (m, 5H), 2.07 (s, 6H), 0.68 (d, J = 6.3 Hz, 3H); [α]d22= 51.2° (C=0.1, MeOH); LCMS (ESI) m/z 515 (M + H)。
【0266】
実施例F14(スキームF’):1−(4−{(6R,7R)−7−(6−クロロ−5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン
スキームF’:
【0267】
【化50】
【0268】
工程1:(3R,4R)−3−[6−クロロ−5−メチル−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−4−メチルシクロヘキサン−1−オン (F−7)の合成
磁気撹拌子を備えたオーブン乾燥したフラスコに、6−クロロ−5−メチル−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インダゾール(9.4mg、25mmol)、LiOMe(1.1g、30.0mmol)および[RhCl(COD)](247mg、0.50mmol)を入れた。フラスコに徹底的にNをパージした。脱気した1,4−ジオキサン(Nを1時間注入してかき混ぜた)および(4R)−4−メチルシクロヘキサ−2−エン−1−オン(3.58g、32.5mmol)を添加した。反応を40℃に加熱し、この温度で48時間撹拌した。LCMS分析は、出発物質の消費と所望される生成物の質量の形成を示した。反応を分液漏斗に移し、EtOAcおよび飽和水性NHClの間で分配した。有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Biotage、50g SiO、15〜25% EtOAc/ヘプタン類)により精製すると、(3R,4R)−3−[6−クロロ−5−メチル−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−4−メチルシクロヘキサン−1−オン (F−7)(6.15g、収率68%)が濃い白色の泡状物質として得られ、それは、静置すると凝固した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.25 - 8.09 (m, 1H), 7.59 (d, J= 7.7 Hz, 1H), 5.64 (td, J = 9.7, 2.7 Hz, 1H), 4.13 - 3.93 (m, 1H), 3.86 - 3.68 (m, 1H), 3.30 (ddd, J = 14.3, 11.0, 4.3 Hz, 1H), 3.10 - 2.83 (m, 1H), 2.69 - 2.37 (m, 8H), 2.31 - 2.03 (m, 3H), 1.90 - 1.56 (m, 4H), 0.73 (dd, J = 6.5, 3.6 Hz, 3H). LCMS (ESI) m/z 361 (M + H)。
【0269】
工程2:メチル (4R,5R)−4−[6−クロロ−5−メチル−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−ヒドロキシ−5−メチルシクロヘキサ−1−エン−1−カルボキシレート (F−9)およびメチル (5R,6R)−6−[6−クロロ−5−メチル−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−ヒドロキシ−5−メチルシクロヘキサ−1−エン−1−カルボキシレート (F−8)の合成
磁気撹拌子を備えたオーブン乾燥したバイアルフラスコに、トルエン(39.6ml、c=0.14M)、LHMDS(PhMe中1.0M、11.1mL、11.1mmol)およびTEA(6.73g、9.27mL、66.5mmol)を入れた。混合物を−78℃に冷却した。(3R,4R)−3−[6−クロロ−5−メチル−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−4−メチルシクロヘキサン−1−オン (F−7)(2.0g、5.54mmol)のトルエン(10mL)中における溶液を滴加し、混合物を−78℃で撹拌した。山吹色の反応溶液が、生成された。シアノギ酸メチル(566mg、0.54ml、6.65mmol)のトルエン(10mL)中における溶液を滴加した。混合物を5分間撹拌した。LCMS分析は、出発物質の消費と所望される生成物の質量の形成を示した。反応を飽和水性NHClの添加により停止させ、混合物を分液漏斗に移した。反応をEtOAcおよび水の間で分配した。有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮すると(2.3g)、白色の泡状物質になった。H NMR分析は、粗製の物質が、主な位置異性体としてのメチル (4R,5R)−4−[6−クロロ−5−メチル−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−ヒドロキシ−5−メチルシクロヘキサ−1−エン−1−カルボキシレート (F−9)および少ない方の位置異性体としてのメチル (5R,6R)−6−[6−クロロ−5−メチル−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−ヒドロキシ−5−メチルシクロヘキサ−1−エン−1−カルボキシレート (F−8)を含むジアステレオ異性体の複合混合物であることを示した。LCMS (ESI) m/z 419 (M + H)。
【0270】
工程3:(6R,7R)−7−[6−クロロ−5−メチル−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン (F−10)の合成
磁気撹拌子を備えたフラスコに、メチル (4R,5R)−4−[6−クロロ−5−メチル−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−ヒドロキシ−5−メチルシクロヘキサ−1−エン−1−カルボキシレート (F−9)(2.3g、5.5mmol)、3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−カルボキシイミドアミド 二塩酸塩(国際公開第15089327号)(1.2g、5.5mmol)を含有する粗製の混合物を窒素の下で入れた。NaOMe(MeOH中1M、16.6mL、16.6mmol)の溶液を添加し、混合物を周囲温度で2時間撹拌した。LCMS分析は、F−9の選択的かつ完全な消費と所望される生成物の質量の形成を示した。反応を飽和水性NaHCOで停止させ、DCM(3×)で抽出した。有機性抽出物を合わせてNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮すると、黄色固体になった。粗製の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Isco、40g SiO、0〜15% MeOH/DCM +2% TEA)により精製すると、(6R,7R)−7−[6−クロロ−5−メチル−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン (F−10)(1.4g、収率49%)が灰白色固体として得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.24 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 7.78 (s, 1H), 5.94 - 5.74 (m, 1H), 3.98 (td, J = 8.0, 7.3, 1.9 Hz, 2H), 3.91 - 3.82 (m, 1H), 3.75 (td, J = 11.1, 9.0, 6.2 Hz, 3H), 3.40 - 3.19 (m, 2H), 3.15 - 3.03 (m, 1H), 2.94 (td, J= 14.6, 11.6, 6.8 Hz, 1H), 2.70 (dt, J= 17.5, 4.3 Hz, 1H), 2.56 - 2.47 (m, 1H, under DMSO), 2.47 - 2.29 (m, 4H), 2.06 (s, 9H), 1.80 - 1.65 (m, 1H), 1.57 (dq, J = 10.4, 6.2, 4.8 Hz, 2H), 0.63 (dd, J =9.0, 6.4 Hz, 3H). LCMS (ESI) m/z 511 (M + H)。
【0271】
工程4:tert−ブチル 4−{(6R,7R)−7−[6−クロロ−5−メチル−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (F−11)の合成
磁気撹拌子を備えた丸底フラスコに、(6R,7R)−7−[6−クロロ−5−メチル−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン (F−10)(1.4g、2.6mmol)およびtert−ブチル ピペラジン−1−カルボキシレート(3.5g、18.6mmol)を入れた。フラスコに窒素をパージし、MeCN(6.63mL、c=0.4M)、DBU(0.8mL、5.3mmol)およびBOP試薬(1.8g、4.0mmol)を添加した。反応を50℃に加熱し、この温度で24時間撹拌した。LCMS分析は、出発物質の消費と所望される生成物の質量の形成を示した。反応を室温まで冷却し、次いで水中に注いだ。混合物を1時間撹拌し、次いでMTBE(2×)で抽出した。有機層を合わせて水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濃縮すると、黄色の残留物が得られた。その物質をフラッシュクロマトグラフィー(Isco、SiO、10〜15% MeOH/DCM + 2% TEA)により精製すると、tert−ブチル 4−{(6R,7R)−7−[6−クロロ−5−メチル−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (F−11)(1.8g、収率82%)が灰白色固体として得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.19 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 5.84 (dd, J = 9.4, 2.4 Hz, 1H), 3.93 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 3.85 (s, 1H), 3.76 (q, J = 7.1, 6.0 Hz, 1H), 3.70 (dd, J = 8.5, 5.7 Hz, 2H), 3.52 (d, J = 9.5 Hz, 2H), 3.39 (dd, J = 18.6, 10.3 Hz, 5H), 3.22 - 3.10 (m, 2H), 3.03 (q, J = 6.2 Hz, 1H), 2.99 - 2.91 (m, 1H), 2.86 (td, J = 11.2, 5.8 Hz, 1H), 2.69 - 2.54 (m, 1H), 2.48 (s, 3H), 2.39 (dd, J= 22.2, 11.5 Hz, 2H), 2.07 (s, 8H), 1.82 - 1.63 (m, 1H), 1.57 (s, 2H), 1.42 (s, 9H), 0.67 (dd, J= 8.7, 6.0 Hz, 3H). LCMS (ESI) m/z 679 (M + H)。
【0272】
工程5:1−[(6R,7R)−7−(6−クロロ−5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−6−メチル−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−2−イル]−N,N−ジメチルアゼチジン−3−アミン (F−12)の合成
磁気撹拌子を備えたバイアルに、tert−ブチル 4−{(6R,7R)−7−[6−クロロ−5−メチル−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (F−11)(1.1g、1.5mmol)を入れた。DCM(5.1mL、c=0.3M)およびTFA(7.4g、5.0mL、66mmol)を添加した。混合物を3時間撹拌し、それは、出発物質の消費と所望される生成物の質量の形成を示した。反応混合物を注意深く水性飽和NaHCO中に注ぎ(ガス発生)、DCM(4回)で抽出した。有機性抽出物を合わせて無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮すると、1−[(6R,7R)−7−(6−クロロ−5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−6−メチル−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−2−イル]−N,N−ジメチルアゼチジン−3−アミン (F−12)(786mg、収率100%)が得られ、それをそれ以上精製せずに用いた。LCMS (ESI) m/z 495 (M + H)。
【0273】
工程6:1−(4−{(6R,7R)−7−(6−クロロ−5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン (実施例F14)
磁気撹拌子を備えたバイアルに、1−[(6R,7R)−7−(6−クロロ−5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−6−メチル−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−2−イル]−N,N−ジメチルアゼチジン−3−アミン (F−12)(1.1g、2.2mmol)およびHFIP(11mL、c=0.2M)を入れた。混合物を、固体が溶解するまで撹拌した。NaHCO(1.1g、13.2mmol)および塩化アクリロイル(234mg、0.21mL、2.6mmol)を添加した。5分後、LCMS分析は、所望される生成物の質量の形成と約20%の残っている出発物質を示した。追加の塩化アクリロイル(0.035mL、0.43mmol)を添加した。5分後、反応をMTBEで希釈し、分液漏斗に移し、HOで洗浄した。水層をMTBEで抽出した。有機性物質を合わせて無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮すると、黄色の残留物が得られた。粗生成物をDMSO中で溶解させ、Phenomenex Luna Omega Polar C18カラム(250×50mm、5μm粒径)を用いる分取HPLCにより精製し、それを5〜30% MeCN/HO(+0.1% AcOH)で、85mL/分の流速で溶離すると、1−(4−{(6R,7R)−7−(6−クロロ−5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン (実施例F14)(588mg、収率47%)が灰白色固体として得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.06 (s, 1H), 8.13 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 6.84 (dd, J= 16.7, 10.5 Hz, 1H), 6.14 (dd, J= 16.7, 2.4 Hz, 1H), 5.71 (dd, J= 10.4, 2.4 Hz, 1H), 3.94 (dd, J= 8.7, 7.0 Hz, 2H), 3.86 - 3.67 (m, 4H), 3.61 (s, 2H), 3.50 - 3.37 (m, 3H), 3.24 (d, J= 26.7 Hz, 2H), 3.08 - 2.94 (m, 2H), 2.84 (dd, J= 18.3, 6.3 Hz, 1H), 2.63 (dd, J= 15.0, 3.5 Hz, 1H), 2.47 (s, 5H), 2.08 (s, 6H), 0.68 (d, J= 6.0 Hz, 3H). LCMS (ESI) m/z 549 (M + H)。
【0274】
実施例F5(スキームF’’):1−(4−{(6R,7R)−rel−7−(5−クロロ−1H−インダゾール−4−イル)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン
実施例F10(スキームF’’):1−(4−{(6R,7R)−7−(5−クロロ−1H−インダゾール−4−イル)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン
実施例F11(スキームF’’):1−(4−{(6S,7S)−7−(5−クロロ−1H−インダゾール−4−イル)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン
スキームF’’:
【0275】
【化51】
【0276】
工程1:(3R,4R)−rel−3−[5−クロロ−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−4−メチルシクロヘキサン−1−オン (F−13)の合成
(5−クロロ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル)ボロン酸 (Int−2)(1.8g、6.43mmol)、4−メチルシクロヘキサ−2−エン−1−オン(1.06g、9.63mmol)およびKPO(4.09g、19.3mmol)の、1,4−ジオキサン(40mL)およびHO(9mL)の混合物中における撹拌溶液に、[Rh(COD)Cl](160mg、0.321mmol)を不活性雰囲気下で添加した。結果として得られた混合物を、Nの下で40℃において16時間撹拌した。LCMS分析は、出発物質の消費と所望される生成物の質量の形成を示した。反応をブライン(50mL)の添加により停止させ、混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。有機性物質を合わせてブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、0〜30% EtOAc/石油エーテル)により精製すると、(3R,4R)−rel−3−[5−クロロ−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−4−メチルシクロヘキサン−1−オン (F−13)(955mg、収率43%)が白色固体として得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.66 (s, 1H), 7.66 (dd, J = 9.0, 2.4 Hz, 1H), 7.44 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 5.94 - 5.77 (m, 1H), 3.87 (d, J = 10.3 Hz, 1H), 3.75 (dq, J = 11.5, 6.3, 5.4 Hz, 1H), 3.50 (ddd, J = 13.6, 11.2, 4.2 Hz, 1H), 3.11 (td, J = 13.9, 6.8 Hz, 1H), 2.92 (td, J = 14.1, 6.1 Hz, 1H), 2.72 - 2.54 (m, 1H), 2.46 - 1.91 (m, 6H), 1.75 (dd, J = 12.5, 8.0 Hz, 1H), 1.64 - 1.44 (m, 3H), 0.64 (dd, J = 8.7, 6.4 Hz, 3H). LCMS (ESI) m/z 347 (M+H)。
【0277】
工程2:メチル (5R,6S)−rel −6−[5−クロロ−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−ヒドロキシ−5−メチルシクロヘキサ−1−エン−1−カルボキシレート (F−14)およびメチル (4R,5R)−4−[5−クロロ−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−ヒドロキシ−5−メチルシクロヘキサ−1−エン−1−カルボキシレート (F−15)の合成
(3R,4R)−rel−3−[5−クロロ−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−4−メチルシクロヘキサン−1−オン (F−13)(950mg、2.74mmol)のTHF(30mL)中における溶液に、LDA(THF中2M、2.74mL、5.48mmol)を−78℃で滴加した。混合物を30分で−78℃撹拌した。次いで、シアノギ酸エチル(407mg、4.11mmol)を添加し、混合物を−78℃で2時間撹拌した。LCMSは、出発物質がないことを示した。混合物を飽和水性NHClで停止させ、EtOAc(3×40mL)で抽出した。有機性物質を合わせてNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル/EA=3/2)により精製すると、エチル (5R,6S)−rel−6−[5−クロロ−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−ヒドロキシ−5−メチルシクロヘキサ−1−エン−1−カルボキシレート (F−14)およびエチル (4R,5R)−4−[5−クロロ−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−ヒドロキシ−5−メチルシクロヘキサ−1−エン−1−カルボキシレート (F−15)(1.0g、収率87%、約1:1混合物)がジアステレオ異性体の複合混合物として、黄色の油として得られた。LCMS (ESI) m/z 419 (M+H)。
【0278】
工程3:(6R,7R)−rel−7−[5−クロロ−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オンの合成
エチル (5R,6S)−rel−6−[5−クロロ−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−ヒドロキシ−5−メチルシクロヘキサ−1−エン−1−カルボキシレート (F−14)およびエチル (4R,5R)−4−[5−クロロ−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−ヒドロキシ−5−メチルシクロヘキサ−1−エン−1−カルボキシレート (F−15)(1.0g、2.4mmol)および3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−カルボキシイミドアミド(679mg、4.77mmol)のEtOH(20mL)中における混合物に、NaOMe(258mg、4.77mmol)を添加し、混合物を16時間還流状態で撹拌した。LCMS分析は、F−15の完全かつ選択的な消費と所望される生成物の質量の形成を示した。混合物を濃縮して乾燥させ、フラッシュクロマトグラフィー(SiO、DCM/MeOH=1:1)により精製すると、(6R,7R)−rel−7−[5−クロロ−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン (F−16)(400mg、収率34%)が黄色固体として得られた。LCMS (ESI) m/z 497 (M+H)。
【0279】
工程4:tert−ブチル 4−{(6R,7R)−rel−7−[5−クロロ−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (F−17)の合成
(6R,7R)−rel−7−[5−クロロ−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4(3H)−オン (F−16)(400mg、0.805mmol)、tert−ブチル ピペラジン−1−カルボキシレート(300mg、1.61mmol)およびBOP試薬(711mg、1.61mmol)のMeCN(10mL)中における混合物に、DBU(245mg、1.61mmol)を添加し、混合物を20℃で16時間撹拌した。LCMS分析は、HOBt付加物の形成を示した。混合物を濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、DCM/MeOH=7/3)により精製すると、1−{(6R,7R)−4−[(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)オキシ]−7−[5−クロロ−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−2−イル}−N,N−ジメチルアゼチジン−3−アミン(400mg、収率82%)が得られた。DMF(10ml)中のこの中間体(400mg、0.651mmol)およびtert−ブチル ピペラジン−1−カルボキシレート(243mg、1.3mmol)に、DBU(198mg、1.3mmol)を添加し、混合物を90℃で16時間撹拌した。LCMS分析は、出発物質の消費と所望される生成物の形成を示した。混合物を濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、DCM/MeOH=20/1)により精製すると、tert−ブチル 4−{(6R,7R)−rel−7−[5−クロロ−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (F−17)(300mg、収率69%)が褐色の油として得られた。LCMS (ESI) m/z 665 (M+H)。
【0280】
工程5:1−[(6R,7R)−rel−7−(5−クロロ−1H−インダゾール−4−イル)−6−メチル−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−2−イル]−N,N−ジメチルアゼチジン−3−アミン (F−18)の合成
tert−ブチル 4−{(6R,7R)−rel−7−[5−クロロ−1−(オキサン−2−イル)−1H−インダゾール−4−イル]−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (F−17)(300mg、0.451mmol)のDCM(5mL)中における溶液に、HCl(1,4−ジオキサン中4M、3mL)を添加した。混合物を20℃で2時間撹拌した。LCMS分析は、出発物質の消費と所望される生成物の質量の形成を示した。混合物を濾過し、濃縮すると、1−[(6R,7R)−rel−7−(5−クロロ−1H−インダゾール−4−イル)−6−メチル−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−2−イル]−N,N−ジメチルアゼチジン−3−アミン (F−18)(233mg、収率100%)が褐色の固体として得られ、それをそれ以上精製せずに用いた。LCMS (ESI) m/z 481 (M+H)。
【0281】
工程6:1−(4−{(6R,7R)−rel−7−(5−クロロ−1H−インダゾール−4−イル)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン (実施例F5)の合成
1−[(6R,7R)−rel−7−(5−クロロ−1H−インダゾール−4−イル)−6−メチル−4−(ピペラジン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−2−イル]−N,N−ジメチルアゼチジン−3−アミン (F−18)(233mg、0.45mmol)のEtOAc(40mL)および飽和水性NaHCO(40mL)中における溶液に、塩化アクリロイル(45mg、0.495mmol)を添加した。混合物を周囲温度で30分間撹拌した。混合物をEA(3×40mL)で抽出した。有機性抽出物を合わせてブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をGemini−18カラム(100×21.2mm、5μm粒径)を用いる分取HPLCにより精製し、それを45〜55% MeCN/HO(+0.05% NH)で溶離すると、1−(4−{(6R,7R)−rel−7−(5−クロロ−1H−インダゾール−4−イル)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(実施例F5)(28mg、収率12%)が白色固体として得られた。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.13 (s, 1H), 7.45 - 7.39 (m, 2H), 6.81 (dd, J = 16.8, 10.6 Hz, 1H), 6.26 (d, J= 1.9 Hz, 1H), 5.81 - 5.75 (m, 1H), 4.12 - 4.09 (m, 2H), 3.91 - 3.78 (m, 4H), 3.71 - 3.60 (m, 4H), 3.42 - 3.33 (m, 2H), 3.25 - 3.05 (m, 3H), 3.00 - 2.94 (m, 1H), 2.76 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 2.54 - 2.40 (m, 2H), 2.21 (s, 6H), 0.82 (d, J = 5.7 Hz, 3H). LCMS (ESI) m/z 535, (M+H)。
【0282】
工程7:1−(4−{(6R,7R)−7−(5−クロロ−1H−インダゾール−4−イル)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン (実施例F10)および1−(4−{(6S,7S)−7−(5−クロロ−1H−インダゾール−4−イル)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン (実施例F11)の合成
1−(4−{(6R,7R)−rel−7−(5−クロロ−1H−インダゾール−4−イル)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン(18.2mg)(実施例F5)を、Phenomenex Lux Amylose−1カラム(100×4.6mmカラム、3μm)を用いる分取SFCにより精製し、それをCO中で5〜60% IPA(+10mM NH)で溶離した。4mL/分の流速は、Rt(ピーク1)=2.84分およびRt(ピーク2)=3.36分を与えた。1−(4−{(6R,7R)−7−(5−クロロ−1H−インダゾール−4−イル)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン (実施例F10)(ピーク1):6.02mg、>99% ee、収率33%。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 13.35 (s, 1H), 8.28 (s, 1H), 7.50 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.41 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.88 (dd, J = 16.7, 10.5 Hz, 1H), 6.19 (dd, J = 16.7, 2.4 Hz, 1H), 5.76 (dd, J = 10.4, 2.4 Hz, 1H), 3.99 (ddd, J = 9.8, 7.1, 3.2 Hz, 2H), 3.87 - 3.58 (m, 8H), 3.52 - 3.47 (m, 2H), 3.31 - 3.23 (m, 2H), 3.15 - 3.02 (m, 2H), 2.85 (dd, J= 18.3, 6.2 Hz, 1H), 2.70 (d, J= 12.3 Hz, 1H), 2.50 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 2.12 (s, 6H), 0.76 (d, J= 5.4 Hz, 3H); [α]d22 = -45.5°(c = 0.1, MeOH); LCMS (ESI) m/z 535 (M+H)。1−(4−{(6S,7S)−7−(5−クロロ−1H−インダゾール−4−イル)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン (実施例F11)(ピーク2):6.38mg、>99% ee、収率35%。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 13.35 (s, 1H), 8.28 (s, 1H), 7.49 (s, 1H), 7.41 (d, J= 8.8 Hz, 1H), 6.89 (dd, J = 16.7, 10.4 Hz, 1H), 6.19 (dd, J= 16.7, 2.4 Hz, 1H), 5.76 (dd, J= 10.5, 2.3 Hz, 1H), 4.08 - 3.92 (m, 2H), 3.88 - 3.59 (m, 8H), 3.51 - 3.46 (m, 2H), 3.32 - 3.21 (m, 2H), 3.15 - 3.04 (m, 2H), 2.85 (dd, J = 18.3, 6.1 Hz, 1H), 2.70 (d, J = 12.3 Hz, 1H), 2.50 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 2.12 (s, 6H), 0.76 (d, J = 5.4 Hz, 3H); [α]d22 = +78.9°(c = 0.1, MeOH); LCMS (ESI) m/z 535 (M+H)。
【0283】
表F中の実施例は、スキームF、スキームF’およびスキームF’’における類似の化学ならびに1−{4−[(6R,7R)−rel−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例F1)、1−{4−[(6S,7S)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例F2)、1−{4−[(6R,7R)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−7−(5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例F3)、1−(4−{(6R,7R)−7−(6−クロロ−5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン (実施例F14)、1−(4−{(6R,7R)−rel−7−(5−クロロ−1H−インダゾール−4−イル)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン (実施例F5)、1−(4−{(6R,7R)−7−(5−クロロ−1H−インダゾール−4−イル)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン (実施例F10)、1−(4−{(6S,7S)−7−(5−クロロ−1H−インダゾール−4−イル)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン (実施例F11)を調製するために用いられた手順を用いて調製された。以下の実施例は、実施例F1を調製するために用いられた例示された手順に対する重要ではない変更または置換により作製され、当業者はそれを実現することができるであろう。
【0284】
【表5-1】
【0285】
【表5-2】
【0286】
【表5-3】
【0287】
実施例G1(スキームG):1−(4−(7−(5−(トリフルオロメチル)−1H−インダゾール−4−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン
スキームG:
【0288】
【化52】
【0289】
工程1:tert−ブチル 4−(7−(1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−インダゾール−4−イル)−5,6−ジヒドロキナゾリン−4−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート (G−1)の合成
磁気撹拌子を備えた25mLフラスコに、tert−ブチル 4−(7−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−5,6−ジヒドロキナゾリン−4−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート (Int−4)(186mg、0.4mmol)を添加した。その物質をTHF/HO(9:1、5mL)中で溶解させた。[1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−インダゾール−4−イル]ボロン酸(151mg、0.48mmol、1.2当量)およびPdCl(dppf)(29.3mg、0.04mmol、0.1当量)を添加した。フラスコを排気し、窒素(3×)を充填し、次いでトリエチルアミン(0.56mL、4.0mmol、10当量)を添加した。混合物を60℃で2時間加熱した。LCMS分析は、所望される生成物の形成および出発物質の完全な消費を示した。混合物をEtOAcで希釈し、ブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させた。混合物を濃縮して乾燥させ、残留物をISCO(0〜50% アセトン/ヘプタン類)により精製すると、tert−ブチル 4−(7−(1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−インダゾール−4−イル)−5,6−ジヒドロキナゾリン−4−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート (G−1)(200.0mg、収率85%)が灰白色/淡黄色固体として得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 8.67 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.70 (s, 2H), 6.67 - 6.59 (m, 1H), 5.81 - 5.71 (m, 1H), 4.04 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 3.84 - 3.72 (m, 1H), 3.59 (br s, 4H), 3.37 (br s, 4H), 3.00 - 2.85 (m, 2H), 2.70 (br s, 2H), 2.61 - 2.47 (m, 1H), 2.17 (s, 1H), 1.88 - 1.62 (m, 4H), 1.50 (s, 9H). LCMS (ESI) m/z 585.7 (M + H)。
【0290】
工程2:4−(ピペラジン−1−イル)−7−[5−(トリフルオロメチル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (G−2)の合成
磁気撹拌子を備えた50mLチューブに、tert−ブチル 4−(7−(1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−インダゾール−4−イル)−5,6−ジヒドロキナゾリン−4−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート (G−1)(30mg、0.051mmol、1.0当量)、MeOH(5mL)およびPt/C(5%装填、70mg)を入れた。混合物をH(100psi)で加圧し、次いで60℃で3日間加熱した。LCMS分析は、所望される生成物の形成および出発物質のほぼ完全な消費を示した。混合物をセライトのパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、粗製の物質をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0〜70%、アセトン/ヘプタン類)により精製すると、4−(ピペラジン−1−イル)−7−[5−(トリフルオロメチル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (G−2)(17.0mg、収率56%)が黄色固体として得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.63 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.14 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.73 - 7.65 (m, 1H), 7.62 - 7.51 (m, 1H), 5.83 - 5.66 (m, 1H), 4.10 - 3.97 (m, 1H), 3.90 - 3.73 (m, 2H), 3.71 - 3.60 (m, 2H), 3.51 (d, J = 9.8 Hz, 4H), 3.43 - 3.18 (m, 4H), 2.80 (br. s., 1H), 2.64 - 2.47 (m, 1H), 2.17 (m, 4H), 1.87 - 1.63 (m, 4H), 1.50 (s, 9H). LCMS (ESI) m/z 587.6 (M + H)。
【0291】
工程3:4−(ピペラジン−1−イル)−7−[5−(トリフルオロメチル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (G−3)の合成
磁気撹拌子を備えた8mLバイアルに、tert−ブチル 4−{7−[1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−カルボキシレート (G−2)(6mg、0.01mmol、1.0当量)、DCM(0.4mL)およびTFA(0.2mL)を添加した。反応を15分間撹拌しておいた。LCMS分析は、完全に脱保護された生成物の形成を示した。反応を濃縮して乾燥させると、4−(ピペラジン−1−イル)−7−[5−(トリフルオロメチル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (G−3)(6mg、収率100%)が褐色の残留物として得られ、それをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。LCMS (ESI) m/z 403.3 (M + H)。
【0292】
工程4:1−(4−{7−[5−(トリフルオロメチル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン (実施例G1)の合成
4−(ピペラジン−1−イル)−7−[5−(トリフルオロメチル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン (G−3)を、THF(1mL)中で溶解させ、0℃に冷却した。混合物を塩化アクリロイル(0.945mg、0.01mmol、0.85μL、1.0当量)およびトリエチルアミン(7.13μL、0.05mmol、10.0当量)で処理した。混合物を0℃で15分間で撹拌した。LCMS分析は、所望される生成物の形成および出発物質の完全な消費を示した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をHPLCにより精製すると、1−(4−{7−[5−(トリフルオロメチル)−1H−インダゾール−4−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン (実施例G1)(3.0mg、収率40%)が灰白色固体として得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.61 (s, 1H), 8.16 - 8.10 (m, 1H), 7.65 - 7.57 (m, 1H), 7.52 - 7.41 (m, 1H), 6.62 - 6.50 (m, 1H), 6.34 - 6.22 (m, 1H), 5.82 - 5.66 (m, 1H), 4.14 - 3.59 (m, 8H), 3.53 - 3.39 (m, 2H), 3.12 - 2.60 (m, 3H), 2.36 - 2.08 (m, 2H). LCMS (ESI) m/z 457.5 (M + H)。
【0293】
以下の調製において詳述される中間体G−4は、方法Gに従って実施例G2およびG3を与える。しかし、この実施例は、完全性のために必要とされる脱保護工程およびこの化学が下記に含まれているため、先行する実施例の合成範囲から外れている。最終的な実施例を与えるためのその後の化学は、方法Gの実施例に類似しており、当業者が理解し得る最小限の追加または変更がある。
【0294】
工程5:1−{4−[(7R)−7−(3−ヒドロキシナフタレン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例G2)および1−{4−[(7S)−7−(3−ヒドロキシナフタレン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (実施例G3)の合成
【0295】
【化53】
【0296】
1−{4−[7−(3−メトキシナフタレン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン (G−4)(166mg、0.387mmol)の窒素下のDCM(10mL)中における溶液を、氷浴で0℃に冷却した。混合物を三臭化ホウ素の溶液(1.0M、1.94mL、1.94mmol、5.0当量)で一滴ずつ処理すると、桃色の懸濁液が得られ、それをゆっくりと室温に温め、さらに4時間撹拌した。懸濁液を氷浴で冷却し、注意深く飽和水性NaHCO(10mL)で停止させた。層を分離し、水層をDCM:MeOH(95:5、4回)で抽出した。有機性物質を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗製の物質をChiralpak AD−3(4.6×100mm)カラム上での分取SFCにより精製し、それを120barにおいてCO中で40% IPAで溶離した。4mL/分の流速は、Rt(ピーク1)=2.83分およびRt(ピーク2)=3.49分を与えた。1−{4−[(7R)−7−(3−ヒドロキシナフタレン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン(ピーク1)(実施例G2):23mg、>99% ee、収率32%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) = 9.66 (s, 1H), 8.52 (s, 1H), 8.08 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.71 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.40 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.35 - 7.27 (m,1H), 7.05 - 6.97 (m, 2H), 6.84 (dd, J = 10.4, 16.6 Hz, 1H), 6.15 (dd, J = 2.3, 16.8 Hz, 1H), 5.77 - 5.65 (m, 1H), 3.92 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 3.84 - 3.58 (m, 4H), 3.50 (td, J = 3.5, 13.0 Hz, 2H), 3.29 - 3.25 (m, 2H), 3.17 (dd, J = 5.0, 18.1 Hz, 1H), 3.01 (t, J = 11.4 Hz, 1H), 2.85 (dd, J = 11.0, 18.2 Hz, 1H), 2.64 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 2.15 (d, J = 12.7 Hz, 1H), 1.87 (dd, J = 3.3, 11.5 Hz, 1H). [α]d22= 27.7° (C=0.1, MeOH); LCMS (ESI) m/z 415 (M + H)。1−{4−[(7S)−7−(3−ヒドロキシナフタレン−1−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル]ピペラジン−1−イル}プロパ−2−エン−1−オン(ピーク2)(実施例G3):27mg、約99% ee、収率37%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.66 (s, 1H), 8.52 (s, 1H), 8.08 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.71 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.40 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.35 - 7.27 (m,1H), 7.07 - 6.97 (m, 2H), 6.84 (dd, J = 10.5, 16.6 Hz, 1H), 6.15 (dd, J = 2.3, 16.8 Hz, 1H), 5.79 - 5.64 (m, 1H), 3.92 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 3.83 - 3.58 (m, 4H), 3.55 - 3.44 (m, 2H), 3.29 - 3.25 (m, 2H), 3.17 (dd, J = 4.8, 18.3 Hz, 1H), 3.00 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 2.85 (dd, J = 11.1, 18.2 Hz, 1H), 2.71 - 2.59 (m, 1H), 2.15 (d, J = 12.7 Hz, 1H), 1.87 (dd, J = 3.8, 12.0 Hz, 1H). [α]d22= -24.8° (C=0.1, MeOH); LCMS (ESI) m/z 415 (M + H)。
【0297】
実施例H1(スキームH):1−(4−{(6R,7R)−7−(6−クロロ−5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−6−メチル−2−[3−(メチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン (実施例H1)の合成
【0298】
【化54】
【0299】
500mLのエルレンマイヤーフラスコに、脱イオンHO(27.04mL)を入れ、pH7.5(4.0mL)の1.0Mリン酸カリウム緩衝溶液、0.165M MgCl溶液(0.8mL、132μmol)および1−(4−{(6R,7R)−7−(6−クロロ−5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−2−[3−(ジメチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン (実施例F14)(0.16mL、0.8μmol)のMeCN/HO(1:1)中における0.005M溶液で処理した。混合物をデキサメタゾンに誘発されるオスラット肝ミクロソーム(新しく調製されたもの、2mg/mL)で処理した後、新しく調製されたNADPHの0.013M水溶液(4.0mL、52μmol)を添加した。蓋をされていないエルレンマイヤーフラスコを、Thermo Scientific Precisionシェーカーを用いて37℃において1”スローで1時間振盪した。反応混合物を等分(各20mL)に分け、2本の50mL Falconコニカル遠心管中に注いだ。溶液を、MeCN(20ml)のそれぞれのFalconチューブへの添加により停止した。Falconチューブをボルテックスし、Cetrifuge CT422機器を用いて3000rpmで5分間遠心分離した。上清をデカンテーションし、2本の50ml Falconコニカル遠心管に等分(各20mL)で移し、EZ−2 Plus Genevac(1時間HPLC設定、34℃/238mbar〜41℃/7mbar)を用いて溶媒を蒸発させた。残りの水溶液を合わせて(約20mL)50ml Falconコニカル遠心管中に入れ、MeCN(0.5mL)で処理し、ニートのギ酸(0.5mL)で処理し、50mLの終体積まで脱イオンHOを入れた。溶液を等分(各25mL)に分け、2本の高速遠心管中に注ぎ、Beckman Coulter Allegra 64R(速度26200、24℃)機器を用いて40,000Gで30分間遠心分離した。上清を50mLのガラスコニカルチューブ中にデカンテーションし、透明な溶液をJASCO PU−1580 HPLCポンプを使用して0.8ml/分の流速で約60分間かけてC18 HPLCカラム(Zorbax Polaris、C18−A、250×4.6mm、5μm粒径)上に吸収させた。HPLCカラムを、クォータナリポンプ、オートサンプラーおよびフォトダイオードアレイ紫外/可視検出器で構成されるWaters Acquity UHPLC機器につながったThermo LTQ Velos質量分析計に移した。勾配(MeCN/HO + 0.1%ギ酸)を適用して、対象の生成物を分離した。PDA検出器を通過した後、溶離液を約15:1の比率で分け、より大きい部分がフラクション検出器(Collect PAL,Leap Technologies)に行き、より小さい部分が質量分析計に行った(フラクションは、20秒ごとに収集された)。対象のピークを含有するフラクションを、Thermo Accelar UHPLCおよびダイオードアレイ紫外/可視検出器につながったThermo Orbitrap Elite高分解能イオントラップ質量分析計をCTC Analytics Leapオートインジェクター(Thermo−Fisher)と共に用いるUHPLC−UV−HRMSにより分析した。試料をC18 UHPLCカラム(Phenomenex Kinetex、C18、50×2.1mm、1.7μm粒径)上に注入し(2μL)、MeCN/HO +0.1%ギ酸勾配を、0.4mL/分の流速で適用し、45℃で維持した。UHPLC−UV−HRMS分析後、フラクションをプールし、EZ−2 Plus Genevac(3時間HPLC 設定34℃/238mbar→41℃/7mbar)を用いて溶媒を除去すると、1−(4−{(6R,7R)−7−(6−クロロ−5−メチル−1H−インダゾール−4−イル)−6−メチル−2−[3−(メチルアミノ)アゼチジン−1−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−4−イル}ピペラジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン (実施例G1)(32μg、60nmol、収率7.5%)が得られた。乾燥した試料を、Topspin V3.2によるERETIC2機能を用いて、NMR分光法により分析し、DMSO−d中での5.0mM安息香酸標準溶液のH NMRスペクトルに対する外部較正により定量化した。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 13.12 (br. s, 1H), 8.12 (s, 1H), 7.54 (s, 1H), 6.85 (dd, J = 16.7, 10.4 Hz, 1H), 6.15 (dd, J = 16.7, 2.3, 1H), 5.72 (dd, J = 10.4, 2.3 Hz, 1H), 4.03 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.87 - 3.77 (m, 1H), 3.77 - 3.67 (m, 1H), 3.65 - 3.56 (m, 4H), 3.50 - 3.40 (m, 4H), 3.24 - 3.15 (m, 2H), 3.04 - 2.96 (m, 1H), 2.89 - 2.81 (m, 1H), 2.64 - 2.61 (m, 1H), 2.49 - 2.47 (m, 4H), 2.43 - 2.39 (m, 1H), 2.22 (s, 3H), 0.68 (d, J = 6.3 Hz, 3H). HRMS (ESI-TOF) C28H36ClN8Oに関して計算 [M+H]: m/z = 535.2701, 実測値535.2700 (0.2 ppm)。
【0300】
生物学的実施例および生化学的アッセイ法
質量分析反応性アッセイ(MSRA)
本発明で示される化合物は、kRas G12Cに共有結合し、例示的な化合物およびkRas G12Cの共有結合性付加物を検出するためにMSRAを使用する。
【0301】
GDPを装填されたkRas(1−169)G12C、C51S、C80L、C118Sを、タンパク質アッセイ緩衝液25mM Hepes pH7.5、200mM NaCl、5%グリセロール中で5μMの濃度に希釈し、20μlのタンパク質を96ウェルプレート中に移した。最初の化合物ストックは、それらの所望されるアッセイ濃度の100倍高い濃度で生成された。K−Ras(G12C)阻害剤は、GTP親和性およびエフェクター相互作用をアロステリックに制御する;Ostrem JM, Peters U, Sos ML, Wells JA, Shokat KM; Nature. 2013, Nov 28; 503(7477):548-51。
【0302】
DMSO中で溶解された例示的な化合物を、反応を開始するために、96ウェルプレート中の20μLの5μM KRasタンパク質を含有する溶液中に100倍希釈した。Mosquito(TPP Lab tech)液体取り扱いロボットを用いて、タンパク質溶液に化合物を添加した。化合物の典型的な終濃度は、10μMであった。プレートをシェーカー上に室温で1分間置き、密封し、室温で指定された期間の間インキュベートした。5μlの反応混合物を10μlの0.2%ギ酸停止溶液に添加し、よく混合した。典型的な終点は、30、120、600および1440分であった。
【0303】
データを、Waters Acquity H−class UPLCシステム/Xevo G2−XS TOF質量分析計を用いて収集した。タンパク質をそれらの液相においてBruker Microtrapタンパク質カラムTR1/15109/03上に注入した。以下の緩衝液を使用してLC勾配を設定した:緩衝液A:0.2%ギ酸H20;B:0.2%ギ酸CAN。タンパク質を以下のLC勾配を用いてカラムから溶離した:0〜0.4分、10%B〜30%B;0.4分〜2.4分、90%Bへ、2.5分、10%B、3分、10%B。初期データ解析は、データ取得直後にMaxEntソフトウェアを用いて実施された。
【0304】
標準的な自動処理機能を用いて、データ取得直後にMexEntソフトウェアを用いて未修飾および修飾kRasタンパク質の百分率を定めた。最大のピークを100%と定め、一方でより小さいピークは自動処理機能により定められた数を割り当てられた。例示的な化合物で修飾されたものおよび未修飾のKRas GDP装填kRas(1−169)G12C、C51S、C80L、C118Sに対応する修飾のパーセントを、Xcelデータ解析ソフトウェアにエクスポートした。
【0305】
例示的な化合物の定められた濃度における修飾されたタンパク質のパーセントを、以下の式を用いて計算した:%修飾 = 修飾されたピークの数/修飾+未修飾の合計。結果として得られた値は、パーセント修飾(PM)として定義され、PMにおける増大は、その特定の化合物が所与の時点において指定された化合物濃度において他の化合物よりも良好であることを反映している。
【0306】
MiaPaCa2細胞活性アッセイ
本発明で示された化合物は、ヒト癌細胞株の処置の際にGDP結合型RASの蓄積をもたらす。
【0307】
細胞環境におけるGDP結合型KRAS G12Cの蓄積を、KRAS G12Cがその活性なGTP結合状態にある場合にのみその下流のキナーゼであるRaf−1(MAPキナーゼキナーゼキナーゼ)に結合するという原理に基づいて測定した。この状態では、Rasは、Ras結合ドメイン(RBD)と呼ばれるRaf−1キナーゼのドメインに結合した。
【0308】
MiaPaCa2細胞を、10%ウシ胎児血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補ったDMEM培地(Gibco 11995)中で増殖させた。細胞を、96ウェル組織培養プレート中に40,000細胞/ウェルの密度でまき、16〜24時間接着させた。試験化合物を、DMSO中の10mMストックとして調製し、3倍希釈スキームを用いて100%DMSO中で系列希釈した。完全増殖培地中の中間的な5倍濃縮されたプレートを作製し、0.1%DMSOの終濃度のために25μl/ウェルを100μlの細胞に添加した。例示的な化合物の各濃度を二重に試験した。陰性対照ウェルは、10μMの対照阻害剤を用いた細胞であり、陽性対照ウェルは、薬物を用いずDMSOのみの細胞であった。プレートを37℃、5%COで6時間インキュベートした。処理後、細胞を氷冷PBSで3回洗浄し、100μl/ウェルの氷冷1×Assay/Lysisで洗浄した。プロテアーゼ阻害剤を含む緩衝液(25mM HEPES、pH7.5、150mM NaCl、1% NP−40、10mM MgCl2、1mM EDTA、2%グリセロール)を添加した。溶解後、試料を−80℃で凍結させた。
【0309】
Raf−1 RBD(LJIC−1988A1)をPBS中で100ng/ウェルに希釈し、5μl/ウェルをMSD高結合SECTORプレート(L15XB)上にスポットコートした。プレートをオービタルシェーカー上で室温で1時間インキュベートした。プレートをPBS/0.05% Tween−20で洗浄し、50μl/ウェルの解凍した溶解物試料を添加した後、50μlのPBS/0.05% Tween−20(R93BA)中の1% MSD Blocker Aを添加した。プレートをオービタルシェーカー上で1時間インキュベートし、PBS/0.05% Tween−20で洗浄した。25μl/ウェルの1:3000希釈した抗pan−Ras抗体(Cell Biolabs 244003)を1% MSD Blocker A溶液中で添加し、プレートをオービタルシェーカー上で1時間インキュベートし、PBS/0.05% Tween−20で洗浄した。SULFO−TAGヤギ抗マウス二次抗体(MSD R32AC)をMSD Blocker A溶液中で1:500希釈し、25μL/ウェルで添加した。プレートをオービタルシェーカー上で1時間インキュベートし、PBS/0.05% Tween−20で洗浄した。150μl/ウェルのHO中で1:3希釈したRead Buffer T(MSD R92TC)を添加し、プレートをMeso Scale Discovery Sector Imager S600上で読み取った。
【0310】
KRASシグナルを最大阻害およびDMSO対照値に対して標準化し、用量反応曲線の4パラメーター当てはめを用いてIC50値を生成した。IC50における減少は、例示的な化合物が癌細胞株の処置の特定の時点で別の例示的な化合物よりも高いレベルのGDP結合型KRAS G12Cの蓄積をもたらすことを反映している。
【0311】
H358細胞活性アッセイ
本発明で示された化合物は、ヒト癌細胞株の処置の際にGDP結合型Rasの蓄積をもたらす。
【0312】
細胞環境におけるGDP結合型KRAS G12Cの蓄積を、KRAS G12Cがその活性なGTP結合状態にある場合にのみその下流のキナーゼであるRaf−1(MAPキナーゼキナーゼキナーゼ)に結合するという原理に基づいて測定した。この状態では、RasはRas結合ドメイン(RBD)と呼ばれるRaf−1キナーゼのドメインに結合していた。
【0313】
H358細胞を、10%ウシ胎児血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補ったRPMI1640培地(Gibco 11875)中で増殖させた。細胞を40,0000細胞/ウェルの密度で96ウェル組織培養プレートにまき、16〜24時間接着させた。試験化合物を、DMSO中の10mMストックとして調製し、3倍希釈スキームを用いて100%DMSO中で系列希釈した。完全増殖培地中の中間的な5倍濃縮されたプレートを作製し、0.1%DMSOの終濃度のために25μl/ウェルを100μlの細胞に添加した。例示的な化合物の各濃度を二重に試験した。陰性対照ウェルは、10μMの対照阻害剤を用いた細胞であり、陽性対照ウェルは、薬物を用いずDMSOのみの細胞であった。プレートを37℃、5%COで6時間インキュベートした。処理後、細胞を氷冷PBSで3回洗浄し、100μl/ウェルの氷冷1×Assay/Lysisで洗浄した。プロテアーゼ阻害剤を含む緩衝液(25mM HEPES、pH7.5、150mM NaCl、1% NP−40、10mM MgCl2、1mM EDTA、2%グリセロール)を添加した。溶解後、試料を−80℃で凍結させた。
【0314】
Raf−1 RBD(LJIC−1988A1)をPBS中で100ng/ウェルに希釈し、5μl/ウェルをMSD高結合SECTORプレート(L15XB)上にスポットコートした。プレートをオービタルシェーカー上で室温で1時間インキュベートした。プレートをPBS/0.05% Tween−20で洗浄し、50μl/ウェルの解凍した溶解物試料を添加した後、50μlのPBS/0.05% Tween−20中の1% MSD Blocker A(R93BA)を添加した。プレートをオービタルシェーカー上で1時間インキュベートし、PBS/0.05% Tween−20で洗浄した。25μl/ウェルの1:3000希釈した抗pan−Ras抗体(Cell Biolabs 244003)を1% MSD Blocker A溶液中で添加し、プレートをオービタルシェーカー上で1時間インキュベートし、PBS/0.05% Tween−20で洗浄した。SULFO−TAGヤギ抗マウス二次抗体(MSD R32AC)をMSD Blocker A溶液中で1:500希釈し、25μL/ウェルで添加した。プレートをオービタルシェーカー上で1時間インキュベートし、PBS/0.05% Tween−20で洗浄した。150μl/ウェルのHO中で1:3希釈したRead Buffer T(MSD R92TC)を添加し、プレートをMeso Scale Discovery Sector Imager S600上で読み取った。
【0315】
KRASシグナルを最大阻害およびDMSO対照値に対して標準化し、用量反応曲線の4パラメーター当てはめを用いてIC50値を生成した。IC50における減少は、例示的な化合物が癌細胞株の処置の特定の時点で別の例示的な化合物よりも高いレベルのGDP結合型KRAS G12Cの蓄積をもたらすことを反映している。
【0316】
MSRAデータおよびMIAPaCa−2細胞活性アッセイデータ
【0317】
【表6-1】
【0318】
【表6-2】
【国際調査報告】