(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-514231(P2021-514231A)
(43)【公表日】2021年6月10日
(54)【発明の名称】空気滅菌ユニット
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20210514BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20210514BHJP
A61L 9/16 20060101ALI20210514BHJP
B01D 46/52 20060101ALI20210514BHJP
【FI】
A61L9/20
A61L2/10
A61L9/16
B01D46/52 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-543851(P2020-543851)
(86)(22)【出願日】2019年2月13日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月5日
(86)【国際出願番号】EP2019053479
(87)【国際公開番号】WO2019158545
(87)【国際公開日】20190822
(31)【優先権主張番号】18156783.5
(32)【優先日】2018年2月14日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520306691
【氏名又は名称】ドルフィン ケア エイピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テルケルセン、ヨルン
【テーマコード(参考)】
4C058
4C180
4D058
【Fターム(参考)】
4C058AA30
4C058BB02
4C058BB06
4C058BB09
4C058CC01
4C058KK02
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4D058QA21
4D058SA13
4D058SA20
4D058TA03
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを有する空気滅菌ユニットであって、(a)微生物を放射するように適合された少なくとも1つのUCV光源が配置される内部空間と、周囲空気から微生物を減少させるまたは除去する能力を持ち、UVC耐性があり、UVC光源と少なくとも1つの出口との間に配置される少なくとも1つのフィルタとを備えたフィルタハウジングと、(b)周囲空気を少なくとも1つの入口からフィルタハウジング内に移動させ、UVC光に曝し、少なくとも1つのフィルタおよび少なくとも1つの出口を通して移動させる空気輸送ユニットとを備える空気滅菌ユニットに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを有する空気滅菌ユニットであって、
(a)微生物を放射するように適合された少なくとも1つのUVC光源が配置される内部空間と、周囲空気から微生物を減少させるまたは除去する能力を持ち、UVC耐性があり、前記UVC光源と前記少なくとも1つの出口との間に配置される少なくとも1つのフィルタとを備えたフィルタハウジングと、
(b)周囲空気を前記少なくとも1つの入口から前記フィルタハウジング内に移動させ、UVC光に曝し、前記少なくとも1つのフィルタおよび前記少なくとも1つの出口を通して移動させる空気輸送ユニットと
を備える、空気滅菌ユニット。
【請求項2】
直径が200μm未満の空中浮遊粒子を除去することができるプレフィルタが前記入口に配置される、請求項1に記載の空気滅菌ユニット。
【請求項3】
前記空気輸送ユニットは、周囲空気を前記フィルタハウジング内に移動させ、前記少なくとも1つのフィルタおよび前記少なくとも1つの出口を通して移動させるのに十分な容量を有するファンを備える、請求項1または2に記載の空気滅菌ユニット。
【請求項4】
前記UVC光源が、250〜260nmでUVC光を提供するように適合されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気滅菌ユニット。
【請求項5】
前記少なくとも1つのフィルタは、直径が0.5μm未満の空中浮遊粒子を除去することができるHEPAフィルタである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気滅菌ユニット。
【請求項6】
UVC耐性がある第2のフィルタが、前記UVC光源と前記少なくとも1つのフィルタとの間に配置され、直径が100μm未満の空中浮遊粒子を除去することができる活性炭フィルタを備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気滅菌ユニット。
【請求項7】
UVC耐性がある第3のフィルタが、前記UVC光源と前記第2のフィルタとの間に配置され、直径が100μm未満の空中浮遊粒子を除去することができ、前記フィルタはTiO2でコーティングされている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の空気滅菌ユニット。
【請求項8】
前記フィルタハウジングが円筒形ハウジングである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の空気滅菌ユニット。
【請求項9】
前記UVC光源が、1〜10個のUVCランプ、例えば、3〜4個のUVCランプなどである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の空気滅菌ユニット。
【請求項10】
周囲空気を前記空気輸送ユニットおよび前記フィルタハウジング内に引き込み、UVC光を受け、前記円筒形ハウジングの側面に位置する前記少なくとも1つの出口を通して排出するように適合された、請求項8〜9のいずれか一項に記載の空気滅菌ユニット。
【請求項11】
大きな表面積を作り出すために、前記HEPAフィルタが折り畳まれている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の空気滅菌ユニット。
【請求項12】
独立型装置である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の空気滅菌ユニット。
【請求項13】
閉じられた室内で機能するのに適した、請求項1〜12のいずれか一項に記載の空気滅菌ユニット。
【請求項14】
周囲空気から微生物を除去する方法であって、
請求項1〜13のいずれか一項に記載の空気滅菌ユニットに電流を供給するステップと、
周囲空気を前記少なくとも1つの入口から前記フィルタハウジングに移動させるステップとを含み、
前記空気は前記UVC光に曝されており、更に前記UVC光に曝された前記空気を前記少なくとも1つのフィルタおよび前記少なくとも1つの出口を通して移動させ、前記少なくとも1つの出口を出る前記空気から微生物が除去されている、方法。
【請求項15】
部屋から微生物を除去するための、前記部屋における請求項1〜13のいずれか一項に記載の空気滅菌ユニットの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、病院施設内の周囲空気を滅菌するための空気滅菌ユニットに関する。更に、本発明は、病院施設内の空気などの周囲空気から微生物および他の汚染粒子を除去する方法に関する。本発明はまた、周囲空気を洗浄するためのそのような空気滅菌ユニットの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
建物内の空気、特に、病院の部屋などの建物内の部屋の空気は、汚染された空気が建物全体および室内に存在する、周囲や環境の影響を強く受ける。今日のエアコンや他の空気清浄装置は室内で使用されており、臭気や微生物を含む他の汚染物質を減少させる効率は低く、そのような物質や微生物を除去することは不可能である。
【発明の概要】
【0003】
本発明者らは、病院施設、特に、病人を収容するための病室、および手術室における空気清浄を改善する必要があることを認識した。保育園、幼稚園、老人ホーム、教育施設、オフィス、生産施設についても同様のニーズがあるが、これらに限定されない。このような場所の周囲空気は、バクテリア、ウイルス、真菌などの微生物で汚染されており、また、臭いがして室内環境を悪化させる他の粒子でも汚染されている。本発明は、このような臭気を減少させることができ、同時に微生物を減少させることができ、好ましい実施形態では、臭気および微生物の両方を屋内の周囲空気から除去することができる。
【0004】
本発明は、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを有する空気滅菌ユニットであって、
(a)微生物を放射するように適合された少なくとも1つのUVC光源が配置される内部空間および周囲空気から空中浮遊粒子および微生物を減少させるまたは除去する能力を持ち、UVC耐性があり、前記UVC光源と前記少なくとも1つの出口との間に配置される少なくとも1つのフィルタを備えたフィルタハウジングと、
(b)周囲空気を少なくとも1つの入口からフィルタハウジング内に移動させ、UVC光に曝し、少なくとも1つのフィルタおよび少なくとも1つの出口を通して移動させる空気輸送ユニットと
を備える空気滅菌ユニットに関する。
【0005】
本発明の1つの実施形態において、直径が200μm未満の空中浮遊粒子を除去することができるプレフィルタが入口に配置される空気滅菌ユニットである。好ましくは、プレフィルタは、直径が100μm未満の空中浮遊粒子を除去することができる。
【0006】
本発明の更なる実施形態では、空気輸送ユニットは、周囲空気をフィルタハウジング内に移動させ、少なくとも1つのフィルタおよび少なくとも1つの出口を通過させるのに十分な容量を有するファンを備える。
【0007】
本発明の更なる実施形態では、UVC光源は、250〜260nm、例えば254nmでUVC光を提供するように適合される。
【0008】
本発明の更なる実施形態では、少なくとも1つのフィルタは、直径が0.5μm未満の空中浮遊粒子を除去することができるHEPAフィルタである。好ましくは、HEPAフィルタは、直径が0.3マイクロメートル(μm)の空中浮遊粒子の少なくとも99.995%を除去することができるHEPA14フィルタである。
【0009】
本発明の更なる実施形態では、UVC耐性がある第2のフィルタは、UVC光源と少なくとも1つのフィルタとの間に配置され、直径が100μm未満の空中浮遊粒子を除去できる活性炭フィルタを含む。
【0010】
本発明の更なる実施形態では、UVC耐性がある第3のフィルタは、UVC光源と第2のフィルタとの間に配置され、直径が100μm未満の空中浮遊粒子を除去することができ、フィルタはTiO2でコーティングされている。
【0011】
本発明の更なる実施形態では、フィルタハウジングは、円筒形ハウジングである。通常、空気滅菌ユニットは、周囲空気を空気輸送ユニットおよびフィルタハウジング内に引き込み、UVC光による放射を受け、円筒形ハウジングの側面に位置する少なくとも1つの出口を通して排出するように適合される。
【0012】
本発明の更なる実施形態では、UVC光源は、3つまたは4つのUVCランプなどの1〜10個のUVCランプを含む。
【0013】
本発明の更なる実施形態において、HEPAフィルタは、大きな表面積を作り出すために、プリーツのように折り畳まれている。
【0014】
本発明の更なる実施形態では、空気滅菌ユニットは独立型装置である。
【0015】
本発明の更なる実施形態では、独立型装置としての空気滅菌ユニットは、閉じられた部屋の中で機能するのに適している。
【0016】
別の態様では、本発明は、周囲空気から微生物を除去する方法であって、本発明の空気滅菌ユニットに電流を供給するステップと、周囲空気を少なくとも1つの入口からフィルタハウジングに移動させ、空気をUVC光に曝し、UVC光に曝された空気を少なくとも1つのフィルタおよび少なくとも1つの出口を通して更に移動させ、少なくとも1つの出口を出る空気から微生物が除去されているステップとを含む方法に関する。
【0017】
更なる態様では、本発明は、部屋から微生物を除去するための本発明の空気滅菌ユニットの室内での使用に関する。
【0018】
本発明は、記載された解決策によりこれらの利点を提供する。
【0019】
本発明の更なる目的および利点は、以下の説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】少なくとも1つのUVCが配置される内部空間またはチャンバを有するカートリッジフィルタ装置の断面/側断面側面図を示す。
【
図2】カートリッジフィルタ装置の上面断面図を示す。
【
図3】上部カバーを有するカバーパネルによって保護されたカートリッジフィルタ装置の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを有する空気滅菌ユニットであって、
(a)微生物を放射するように適合された少なくとも1つのUVC光源が配置される内部空間および周囲空気から空中浮遊粒子および微生物を減少させるまたは除去する能力を持ち、UVC耐性があり、前記UVC光源と前記少なくとも1つの出口との間に配置される少なくとも1つのフィルタを備えたフィルタハウジングと、
(b)周囲空気を少なくとも1つの入口からフィルタハウジング内に移動させ、UVC光に曝し、少なくとも1つのフィルタおよび少なくとも1つの出口を通して移動させる空気輸送ユニットと
を備える空気滅菌ユニットに関する。
【0022】
本発明の空気滅菌ユニットは、通常、金属メッシュの内側に配置されており、装置を誤って押したり叩いたりすることにより、人などの怪我から装置を保護する。また、装置は、病院などの家屋、特に、病室内で機能するために電流に接続されるように適合されている。空気滅菌ユニットは、2つの部品(a)と(b)として記載されているが、個別の部品として供給されて関連施設で接続されるか、または空気輸送ユニットが関連施設に保管されていて、フィルタハウジングが、例えば、破損した場合や、1つまたは複数のフィルタが詰まったために能力が低下した場合など、特定の期間に交換してもよい。また、1つまたは複数のUVCランプが破損していて交換が必要な場合がある、即ち、空気滅菌ユニットを分離する必要がある。このことを考慮して、本発明はまた、微生物を放射するように適合された少なくとも1つのUVC光源が配置される内部空間を有するフィルタハウジング、および周囲空気中の空中浮遊粒子および微生物を減少させるまたは除去する能力を有する少なくとも1つのフィルタにも関し、該フィルタはUVC耐性があり、UVC光源と少なくとも1つの出口との間に配置される。空気滅菌ユニットのフィルタハウジングに関連して以下に記載されている全ての関連する実施形態は、空気輸送ユニットに接続されていない場合のフィルタハウジングの実施形態でもあることが意図されている。
【0023】
これに続いて、本発明は、組み立てられると、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを有する空気滅菌ユニットを備えた部品のキットであって、2つの部品として、
(a)微生物を放射するように適合された少なくとも1つのUVC光源が配置される内部空間と、周囲空気から空中浮遊粒子および微生物を減少させるまたは除去する能力を持ち、UVC耐性があり、前記UVC光源と前記少なくとも1つの出口との間に配置される少なくとも1つのフィルタとを備えたフィルタハウジングと、
(b)周囲空気を少なくとも1つの入口からフィルタハウジング内に移動させ、UVC光に曝し、少なくとも1つのフィルタおよび少なくとも1つの出口を通して移動させる空気輸送ユニットと
を備えるキットに関する。
【0024】
本発明の1つの実施形態において、直径が200μm未満の空中浮遊粒子を除去することができるプレフィルタが入口に配置される空気滅菌ユニットである。好ましくは、プレフィルタは、直径が100μm未満、例えば、10〜100μmの空中浮遊粒子を除去することができる。通常、プレフィルタはクラスG3フィルタであり、集塵効率A(5)は80<A<90である。除去される粒子の例は、水滴、汚れ、目に見える塵埃である。
【0025】
本発明の更なる実施形態では、空気輸送ユニットは、周囲空気をフィルタハウジング内に移動させ、少なくとも1つのフィルタおよび少なくとも1つの出口を通過させるのに十分な容量を有するファンを備える。
【0026】
本発明の更なる実施形態では、UVC光源は、100〜280nm、例えば、250〜260nm、例えば、254nmなどのUVC光を供給するように適合される。250〜260nmのUVC光は、バクテリアやウイルスをより効果的に殺すと同時に、UCV光は空気滅菌ユニットの材料、特に、規定されている様々なフィルタを破壊しない。
【0027】
本発明の更なる実施形態では、少なくとも1つのフィルタは、直径が0.5μm未満の空中浮遊粒子を除去することができるHEPAフィルタである。好ましくは、HEPAフィルタは、直径が0.3マイクロメートル(μm)の空中浮遊粒子の99.995%を除去することができるHEPA14フィルタである。HEPAは、高効率粒子状物質空気の略であり、高効率粒子状物質捕捉または高効率粒子状物質集塵と呼ばれることもある。
【0028】
本発明の更なる実施形態では、第2のフィルタは、UVC耐性があり、UVC光源と少なくとも1つのフィルタとの間に配置され、直径が100μm未満、例えば、10〜100μmの空中浮遊粒子を除去できる活性炭フィルタを含む。通常、カーボンフィルタはクラスG4のフィルタであり、集塵効率A(5)は90<Aである。粒子の例としては、目に見える塵埃である。一般的には、カーボンフィルタは、0.5〜2m
2、例えば、0.2〜1.5m
2の表面積を有する。第2のフィルタが存在する場合、洗浄される周囲空気は最初に、放射を受けるフィルタハウジング内に移動し、次に第2のフィルタを、次いで少なくとも第1のフィルタを通って移動し、少なくとも1つの出口を介して排出される。
【0029】
本発明の更なる実施形態では、UVC耐性がある第3のフィルタは、UVC光源と第2のフィルタとの間に配置され、直径が100μm未満、例えば10〜100μmの空中浮遊粒子を除去することができ、該フィルタはTiO2でコーティングされている。通常、第3のフィルタは、効率がE(%)40<E<60のクラスM5フィルタなど、TiO2でコーティングされたガラスフィルタである。除去される粒子の例は目に見える塵埃および花粉である。通常、TiO
2でコーティングされたフィルタは、0.1〜1.5m
2、例えば0.2〜0.5m
2の表面積を有する。第3のフィルタが存在する場合、洗浄される周囲空気は最初に、放射を受けるフィルタハウジング内に移動し、次に第3のフィルタを、その後、第2のフィルタを、次いで少なくとも第1のフィルタを通して移動し、少なくとも1つの出口を介して排出される。
【0030】
本明細書で使用される「集塵効率」という用語は、フィルタがより大きな粒子を除去する効率の程度の尺度である。
【0031】
本発明の更なる実施形態では、フィルタハウジングは、円筒形ハウジングである。通常、空気滅菌ユニットは、周囲空気を空気輸送ユニットおよびフィルタハウジング内に引き込み、UVC光による放射を受け、円筒形ハウジングの側面に位置する少なくとも1つの出口を通して排出するように適合される。このようなフィルタハウスの他の構造は、例えば、楕円構造が可能である。一般的な実施形態では、円筒形ハウジングはカートリッジフィルタハウジングである。
【0032】
本発明の更なる実施形態では、UVC光源は、1〜10個のUVCランプを備える。実際には、フィルタハウジング内の使用可能な空間のサイズによってUVCランプの制限が設定されるが、独立型装置の場合は、1〜10個のランプを使用することが推奨される。一実施形態では、UVC光源は3つのUVCランプである。別の実施形態では、UVC光源は4つのUVCランプである。好ましくは、UVCランプは、各光源間の距離が同じになるように配置される。
【0033】
本発明の更なる実施形態において、HEPAフィルタは、大きな表面積を作り出すために、プリーツのように折り畳まれている。通常、HEPAフィルタは、1〜20m
2、例えば、5〜15m
2の表面積を作り出すように折り畳まれている。
【0034】
本発明の更なる実施形態では、空気滅菌ユニットは独立型装置である。
【0035】
本発明の更なる実施形態では、独立型装置としての空気滅菌ユニットは、閉じられた部屋の中で機能するのに適している。
【0036】
別の態様では、本発明は、周囲空気から微生物を除去する方法であって、
(a)微生物を放射するように適合された少なくとも1つのUVC光源が配置される内部空間および周囲空気から微生物を減少させるまたは除去する能力を持ち、UVC耐性があり、前記UVC光源と前記少なくとも1つの出口との間に配置される少なくとも1つのフィルタを備えたフィルタハウジングと、
(b)周囲空気を少なくとも1つの入口からフィルタハウジング内に移動させ、UVC光に曝し、少なくとも1つのフィルタおよび少なくとも1つの出口を通して移動させる空気輸送ユニットと
を備え、
少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを有するエアフィルタに電流を供給するステップと、
少なくとも1つの入口からフィルタハウジングに周囲空気を移動させ、空気をUVC光に曝し、UVC光に曝された空気を少なくとも1つのフィルタおよび少なくとも1つの出口を通して移動させ、少なくとも1つの出口を出る空気から微生物および他の粒子状物質が除去されているステップと
を含む方法に関する。
【0037】
更なる態様では、本発明は周囲空気から微生物を除去する方法であって、本発明および規定された実施形態のいずれか1つの空気滅菌ユニットに電流を供給するステップと、少なくとも1つの入口からフィルタハウジングに周囲空気を移動させ、空気をUVC光に曝し、更にUVC光に曝された空気を少なくとも1つのフィルタおよび少なくとも1つの出口を通して移動させ、少なくとも1つの出口を出る空気から微生物および他の粒子状物質が除去されているステップとを含む方法に関する。
【0038】
別の態様では、本発明は、周囲空気から微生物および他の粒子状物質を除去する方法であって、本発明および規定された実施形態のいずれか1つの空気滅菌ユニットに電流を供給するステップと、少なくとも1つの入口からフィルタハウジングに周囲空気を移動させ、空気をUVC光に曝し、更にUVC光に曝された空気を少なくとも1つのフィルタおよび少なくとも1つの出口を通して移動させ、少なくとも1つの出口を出る空気から微生物および他の粒子状物質が除去されているステップとを含む方法に関する。
【0039】
更なる態様では、本発明は、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを有するエアフィルタの使用であって、
(a)微生物を放射するように適合された少なくとも1つのUVC光源が配置される内部空間と、周囲空気から微生物を減少させるまたは除去する能力を持ち、UVC耐性があり、前記UVC光源と前記少なくとも1つの出口との間に配置される少なくとも1つのフィルタとを備えたフィルタハウジングと、
(b)周囲空気を少なくとも1つの入口からフィルタハウジング内に移動させ、UVC光に曝し、少なくとも1つのフィルタおよび少なくとも1つの出口を通して移動させる空気輸送ユニットと
を備え、
室内で微生物を部屋から除去するための使用に関する。
【0040】
更なる態様において、本発明は、部屋から微生物を除去するために、本発明および規定された実施形態のいずれか1つの空気滅菌ユニットの室内での使用に関する。
【0041】
更なる態様では、本発明は、部屋の周囲空気から微生物および他の粒子状物質を除去するために、本発明および規定された実施形態のいずれか1つの空気滅菌ユニットの室内での使用に関する。
【0042】
本明細書で使用される「独立型」という用語は、病院で働いている人などのユーザが持ち運び、病人のための病室、手術室、建物のオフィスなどの任意の場所で、プラグイン(電流供給用)できる装置を意味する。
【0043】
次に、本発明の空気滅菌ユニットの一般的な実施形態を示す添付の図面を参照して、本発明をより完全に記載する。
【0044】
これらの図面は、決して本発明の範囲を限定するものではなく、本発明をよりよく理解するために当業者を導くことのみを意図している。
【0045】
図1
少なくとも1つのUVCが配置される(図示せず)内部空間またはチャンバ(12)を有するカートリッジフィルタ装置(10)の断面/側断面側面図を示す。フィルタ装置は、上部(14)が閉じられ、空気に対して非透過性である円筒形ハウジングと、本発明による空気輸送ユニットを受け入れるように適合された底部フランジ(16)とを有する。フィルタ装置(10)の外周は、微生物を除去できるHEPAフィルタ(18)である。第2のカーボンフィルタ(20)は、第1のフィルタ(18)によって近接して取り囲まれており、空気が該フィルタを通して押し出されると、臭気や他の粒子状物質を除去できる。第2のフィルタ(20)は、通常、TiO
2でコーティングされたガラスフィルタである第3のフィルタ(22)に近接しており、フィルタ(22)を取り囲んでいる。第3のフィルタ(22)は、空間(12)を取り囲み、装置(10)が作動しているときにUVC光に直接曝されるフィルタである。
【0046】
図2
カートリッジフィルタ装置(10)の上面断面図を示し、その円筒形を示す。カートリッジフィルタ装置(10)の内部には空間またはチャンバ(12)があり、4つのUVCランプ(24、26、28、30)が互いから同じ距離に配置され、円周(32)上に設置されている。
図1で説明したように、第1のフィルタは、通常、HEPA14フィルタであり、オプションで第2のカーボンフィルタ(34)が外周を画定し、第3のフィルタ(36)が内周を画定して空間(12)を取り囲む。
【0047】
図3
上部カバー(44)を有するカバーパネル(42)によって保護された本発明のカートリッジフィルタ装置(40)の実施形態を示し、カバーパネル(42)は下方に延びて、周囲から装置(40)内に空気を引き込むように適合されたファン(48)を有するファンハウスなどの空気輸送ユニット(46)を保護する。カバーパネル(42)の内部には、カートリッジフィルタ装置とファン(48)を備えたファンハウス(46)があり、作動中、ファンは、周囲空気をチャンバ(50)内に引き込み、1つまたは複数のフィルタ(52)を通して排出し、更にカートリッジフィルタ(40)の側面にある金属メッシュ(図示せず)から排出する。UVCランプ(図示せず)は、フィルタチャンバ(50)の内側に配置される。カートリッジフィルタハウスの下部フランジ(58)は、ファンチャンバ(46)が2つの部品を気密モードで一緒に保持する状態で、対応するフランジに適合する。バラスト(60、62)は、ファンハウス(46)の両側に配置され、ファンハウスに面してもよく、および/またはカバーパネル(42)に面してもよい。ファンハウス(46)の底部にはフローグリッド(54)があり、周囲空気はプレフィルタ(56)を通してファンハウス(46)内に引き込まれる。カートリッジフィルタ装置(40)は、例えば、病院で働いている人が移動しやすいように車輪(64、66)を備えている。
【0048】
図4
本発明のカートリッジフィルタ(70)の側面断面図を示し、UVCランプ(72、74)が示されている。フィルタ(70)は、少なくとも1つのUVC(72、74)が配置される内部チャンバ(12)を有する。フィルタ装置は、上部(84)が閉じられ、空気に対して非透過性である円筒形ハウジングと、本発明による空気輸送ユニットを受け入れるように適合された底部フランジ(76)とを有する。フィルタ装置(70)の外周は、通常、微生物を除去することができるHEPAフィルタ(78)である。第2のカーボンフィルタ(80)は、第1のフィルタ(78)に近接して取り囲まれており、該フィルタを通して空気が押し出されると、臭気やその他の粒子状物質を除去できる。第2のフィルタ(80)は、通常、TiO
2でコーティングされたガラスフィルタである第3のフィルタ(82)に近接しており、フィルタ(82)を取り囲んでいる。第3のフィルタ(82)は、空間(12)を取り囲み、装置(70)が作動しているときUVC光(72、74)に直接曝されるフィルタである。
【0049】
本明細書に引用された出版物、特許出願および特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が個別にかつ具体的に参照により組み込まれることが示され、かつその全体が本明細書に記載されているかのように同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
本明細書では全ての見出しおよび小見出しを便宜上使用しているだけであり、決して本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0051】
本明細書で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、その全ての可能な変形における上記の要素の任意の組合せが本発明に包含される。
【0052】
本明細書での値の範囲の列挙は、本明細書で別段の指示がない限り、範囲内に含まれる各個別の値を個別に参照する簡単な方法として機能することのみを意図しており、各個別の値は、個別に本明細書に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。特に明記しない限り、本明細書で提供される全ての正確な値は、対応する概算値を表す(例えば、特定の要因または測定に関して提供される全ての正確な例示的な値は、適切な場合、「約」によって変更された対応する概算測定も提供すると見なすことができる)。
【0053】
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。
【0054】
本発明を説明する文脈で使用される用語「a」および「an」および「the」および類似の指示対象は、本明細書で別段の指示がないかまたは文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を挿入すると解釈されるべきである。したがって、「1つ(a)」および「1つ(an)」および「その(the)」は、少なくとも1つ、または1つ以上を意味する場合がある。
【0055】
本明細書で提供されるありとあらゆる例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をよりよく明らかにすることを意図しており、特に明記しない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言語も、明確に述べられていない限り、任意の要素が本発明の実施に必須であることを示すと解釈されるべきではない。
【0056】
記載全体にわたって、「から選択される」または「からなる群から選択される」が使用される場合、それはまた、述べられた用語の全ての可能な組合せ、ならびに各個々の用語を意味する。
【0057】
本明細書での特許文書の引用と組込みは、便宜のためにのみ行われ、そのような特許文書の有効性、特許性、および/または実施可能性のいかなる見解も反映していない。
【0058】
1つまたは複数の要素に関して「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」または「含む(containing)」などの用語を使用する本発明の任意の態様または実施形態の本明細書の記載は、特に明記されていない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、特定の要素を「からなる(consists of)」、「から本質的になる(consists essentially of)」、または「実質的に含む(substantially comprises)」発明の類似の態様または実施形態のサポートを提供することを意図している(例えば、特定の要素を含むものとして本明細書に記載されている組成物は、特に明記されていないか、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、その要素からなる組成物も記載していると理解されるべきである)。
【0059】
前述の説明で開示された特徴は、別々におよびそれらの任意の組合せの両方で、本発明をその多様な形態で実現するための材料であり得る。
【0060】
実験
カートリッジフィルタ装置としての本発明の空気滅菌ユニット(
図1〜
図3を参照)は、2つのバージョンで作成されており、小型バージョンは、日中500m
3/時および夜間250m
3/時の空気取入れ口を備え、大型バージョンは、日中は1000m
3/時および夜間500m
3/時の空気取入れ口を備えている。
【0061】
小型バージョンには、6.7m
2のHEPA14フィルタ、1.0m
2のカーボンフィルタ、および0.28m
2のTiO
2コーティングフィルタがある。また、3つのUVCランプがある。
【0062】
大型バージョンには、14.2m
2のHEPA14フィルタ、1.554m
2のカーボンフィルタ、および0.42m
2のTiO
2コーティングフィルタがある。また、4つのUVCランプがある。
【0063】
どのバージョンも、電流が印加されると、大量の周囲空気(上記を参照)をカートリッジフィルタ装置に取り込み、回転ファン(後方に湾曲した遠心ファン、Bホイール)によって周囲空気は更に様々なフィルタを通して押し出され、カートリッジフィルタ装置の側面を通して排出される。
【0064】
大型カートリッジフィルタ装置の直径は470mm、高さは400mmである。1つのバージョンでは、このフィルタが3つのフィルタ材料で構成されており、1つは表面積が14.2m
2のHEPA14フィルタ、2つ目は1.554m
2のカーボンフィルタ、3つ目は0.28m
2のTiO
2でコーティングされたガラスベースのフィルタである。それぞれ254nmの放射波長を有する4つのUVCランプがある。
【0065】
TiO
2でコーティングされたガラスベースのフィルタを使用すると、微生物を殺す効率が高くなることが観察されており、理論に縛られることなく、二酸化チタン(TiO
2)にUVC光を照射すると、光触媒反応が起こると考えられる。強力な酸化性ヒドロキシルラジカルが形成される。ラジカルはバクテリアの細胞壁を破壊する。二酸化チタン(TiO
2)はプロセスの触媒として機能するため、時間が経っても消費されない。
【0066】
本実験において、このようなカートリッジフィルタは病室に設置され、周囲空気はポリエステル繊維を含むプレフィルタ(クラスG3)を通して底部からカートリッジフィルタ内に引き込まれる。その後、空気は遠心ファン(空気輸送ユニット)を備えたベンチレータハウスを通り、更に上昇してカートリッジフィルタの空間に入り、そこでUVCランプが空気を放射し、微生物を殺す。微生物やその他の汚染物質の粒子が除去された空気は、清潔で滅菌された空気として部屋に戻る。
【0067】
別の実験では、3つのフィルタを持つカートリッジフィルタがテストされる。上記で説明したように、空気はカートリッジフィルタの空間内に引き込まれ、UVCランプが空気を放射して微生物を殺す。254nmの放射波長を生成する4つのUVCランプがあり、各ランプの強度は98μW/cm
2で、合計強度は392μW/cm
2である。放射された後、空気はまずTiO
2でコーティングされたガラスベースのフィルタを通過し、次に、臭気やその他の粒子状汚染物質を吸収する活性炭をベースとする第2のフィルタを通して押し出される。最後に、空気は、微生物を除去するために折り畳まれた/ひだが付いたHEPA14フィルタを通して押し出され、直径が0.3μmの浮遊粒子(細菌およびウイルス)の99.995%の濾過効率を実現する。清浄化された空気は、その後、周囲空間に再循環される。
【0068】
このカートリッジフィルタ装置を使用して活性炭フィルタをテストすると次の結果が得られ、効率は1〜4の数字で示される。
【表1】
【0069】
大量の空気(1,000m
3/時)を処理するには、大きなフィルタ面積が必要であり、プリーツフィルタとして折り畳むことにより、直径が450mm、高さが400mmのこの大型カートリッジフィルタ装置で14.2m
2という非常に大きな表面積が作り出された。直径が560mmで高さが560mmの本発明の空気滅菌ユニット(カートリッジフィルタ)を使用した実験で、4つのUVCランプが254nmの放射波長を生成して微生物を減少させるためのフィルタは、表面積が20.16m2であり、効率E(%)が60<E<80(直径が10〜25μmの粒子を除去)のM6であり、フィルタを使用しないが定期的に洗浄する場合と比較して、微生物数が30〜40%減少した。
【国際調査報告】