特表2021-514292(P2021-514292A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-514292(P2021-514292A)
(43)【公表日】2021年6月10日
(54)【発明の名称】截骨装置及びその操作方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/64 20060101AFI20210514BHJP
【FI】
   A61B17/64
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-566869(P2020-566869)
(86)(22)【出願日】2019年3月6日
(85)【翻訳文提出日】2020年8月18日
(86)【国際出願番号】CN2019077193
(87)【国際公開番号】WO2019184670
(87)【国際公開日】20191003
(31)【優先権主張番号】201810257229.1
(32)【優先日】2018年3月27日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520312717
【氏名又は名称】スゾウ マイクロポート オーソレコン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スン ヤンドン
(72)【発明者】
【氏名】フ ファンキウ
(72)【発明者】
【氏名】ザオ カイユ
(72)【発明者】
【氏名】ウ ユウ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL12
4C160LL27
(57)【要約】
開示されている截骨装置は、截骨板(10)、固定板(20)及び調整構造(30)を備え、截骨板(10)が固定板(20)を介し大腿骨(B)上に装着され、調整構造(30)の二端がそれぞれ固定板(20)及び截骨板(10)に連結され、且つ截骨板(10)が調整構造(30)を介し固定板(20)に対して左右に摺動するものであり、更にその截骨板(10)が、四側面から截骨術を実行するための大腿截骨溝(11)と、大腿骨滑車截骨術を実行するための大腿骨滑車截骨溝(12)とを有する。本截骨装置を用いることで、四側面から截骨術の手術を実行した後に、截骨板(10)を置換することなく大腿骨滑車截骨術の手術を実行できるため、効果的に器具個数を減らすこと及び反復的な分解及び組立を排することができる。加えて、調整構造(30)を用いることで、本截骨装置では、固定板(20)に対し左右に摺動するよう截骨板(10)を至便に調整でき、ひいては截骨板(10)を調整し大腿骨滑車截骨溝(12)上に大腿滑車部が直に面する位置にすることができるため、大腿骨滑車截骨術の正確性を改善することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定板と、
上記固定板を介し大腿骨上に装着されうるよう構成された截骨板と、
調整構造であり、上記固定板及び上記截骨板のうち対応するものに連結されうるようその両端が構成された調整構造であって、自調整構造を介し当該截骨板が当該固定板に対し左右方向に摺動されうる調整構造と、
を備え、上記截骨板が、四面截骨術実行用の大腿截骨溝並びに大腿骨滑車截骨術実行用の大腿骨滑車截骨溝を有する截骨装置。
【請求項2】
請求項1に係る截骨装置であって、上記固定板の上端及び下端にラッチング歯がそれぞれ設けられており、上記截骨板の表面のうちその固定板に面するところに摺動溝が設けられており、当該ラッチング歯がその摺動溝内に可摺動咬合され、それらラッチング歯及び摺動溝が水平方向に相互摺動されうる截骨装置。
【請求項3】
請求項1又は2に係る截骨装置であって、上記調整構造が、
上記固定板に連結された偏心ホイールと、
上記偏心ホイールに連結され且つ上記截骨板に可回動連結されたロータリノブと、
を備え、上記ロータリノブが回動する際に上記偏心ホイールがそのロータリノブに対し偏心運動し、ひいては上記截骨板が上記固定板に対し左右方向に摺動可能となる截骨装置。
【請求項4】
請求項3に係る截骨装置であって、上記偏心ホイールが、
上記ロータリノブに連結された回動連結部と、
上記ロータリノブの回動軸からずらされた偏心部と、
を備える截骨装置。
【請求項5】
請求項4に係る截骨装置であって、上記固定板に溝が設けられその溝内に上記偏心部が嵌め込まれており、
上記ロータリノブと共に上記偏心ホイールが回動する際に上記偏心部が上記溝に沿い上下方向に摺動されうる截骨装置。
【請求項6】
請求項5に係る截骨装置であって、上記截骨板に、自截骨板を貫通する空洞が設けられており、その空洞と上記溝とが通ずることで中空空洞が形成され、上記ロータリノブがその空洞内に配置されており、
上記偏心ホイールが回動する際に、上記ロータリノブが上記空洞の側壁に当接することで上記截骨板が駆動されて左右方向に摺動する截骨装置。
【請求項7】
請求項3に係る截骨装置であって、上記偏心ホイール及び上記ロータリノブが軸方向に相対運動可能であり、且つその偏心ホイールが径方向に沿いそのロータリノブの方へと規制されており、弾性圧縮部材がそれら偏心ホイール及びロータリノブの間に設けられており、その弾性圧縮部材の両端がそれら偏心ホイール及びロータリノブのうち対応するものに弾性当接する截骨装置。
【請求項8】
請求項6に係る截骨装置であって、上記ロータリノブが段差付形状を有し、そのロータリノブの端のうち上記偏心ホイールに隣接する一端が挿入部、他端が歯付き円盤を有し、当該偏心ホイールの回動連結部には当該挿入部とマッチする挿入スロットが設けられており、上記空洞の端であり上記固定板から遠い方の端が歯付き開口を有し、上記歯付き円盤を、当該ロータリノブの回動軸に沿いその歯付き開口内に嵌め込むこと又はそこから取り除くことが可能であり、当該歯付き円盤が当該歯付き開口内に嵌め込まれているときに、その歯付き開口が上記截骨板に対する当該ロータリノブの回動運動を制約する截骨装置。
【請求項9】
請求項5に係る截骨装置であって、上記溝の底部に、上記固定板を貫通する貫通孔が設けられている截骨装置。
【請求項10】
請求項6に係る截骨装置であって、上記空洞の端のうち上記固定板に隣接する一端が制約溝を有し、上記調整構造で上記截骨板のストロークを調整するのに必要な制限位置へと上記偏心ホイールを動かす際に、その偏心ホイールが当該制約溝の一端に当接することで、偏心回動しないようその偏心ホイールが規制される截骨装置。
【請求項11】
請求項1に係る截骨装置であって、上記固定板の側面のうち上記截骨板から遠い方の側面に、その固定板を大腿骨上に装着しうるよう構成された固定爪が設けられている截骨装置。
【請求項12】
截骨装置を操作する方法であり、その截骨装置が、固定板と、その固定板を介し大腿骨上に装着されうるよう構成された截骨板と、調整構造と、を備え、その調整構造の両端が、それら固定板及び截骨板のうち対応するものに連結されうるよう構成されており、当該截骨板が当該調整構造を介し当該固定板に対して左右方向に摺動可能であり、当該截骨板が、四面截骨術実行用の大腿截骨溝並びに大腿骨滑車截骨術実行用の大腿骨滑車截骨溝を有する方法であって、
上記固定板を介し大腿骨上に上記截骨装置を固定するステップと、
上記固定板に対し左右方向にて適切な位置へと上記截骨板が摺動するよう上記調整構造を調整するステップと、
上記大腿截骨溝に沿い四面截骨術を実行するステップと、
上記大腿骨滑車截骨溝に沿い大腿骨滑車截骨術を実行するステップと、
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、「截骨装置」(osteotomy device)と題する2018年3月27日付中国特許出願第201810257229.1号の利益を主張するものであるので、その全容を本願に繰り入れることにする。
【0002】
(技術分野)
本件開示は医用装置の技術分野に関し、具体的には截骨(骨切)装置及びその截骨装置を操作する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
膝関節全置換術では、大腿截骨術が極めて重要なステップとされている。既存の大腿補綴具の内表面が四側面を有し、大腿骨滑車部が位置する中庸部にてそれが内方に張り出しているため、その補綴具に対応する特定の形状になるよう医師が大腿骨を処置し、その大腿補綴具を装着できるようにする必要がある。即ち、大腿骨の遠位端表面(その補綴具に連結される面)を対象にして四面截骨術が実行され、凹状形状が大腿骨滑車部に備わるようにその大腿骨の遠位端表面が整形される。このプロセスでは、截骨板がしっかり固定されているか否か、並びにその截骨板の反復的な分解及び組立が正確か否かが、その截骨術の効果に直に影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目下、医師らは、前部及び後部大腿顆処置を実行する際、四面截骨術の手術向けと大腿骨滑車截骨術の手術向けとで、一般に別々の截骨板を用いる必要がある。こうした外科手術は実施するのが厄介であり、截骨板の反復的な分解及び組立もまた、截骨術の正確性を非常に低下させやすく手術過誤の確率を上昇させるものである。更に、複数組の截骨板の個別使用により、装置個数が増すだけでなく製造コストも高まる。それと同時に、病院内使用時の反復運搬並びに消毒及び滅菌の保守コストも高まる。
【0005】
加えて、四面截骨術とは違い、大腿骨滑車截骨術の位置は大腿補綴具滑車通路の位置に対応させねばならず、故に大腿骨滑車截骨板の固定位置はより厳重なものとなる。しかしながら、大腿骨滑車截骨術に現在使用されている截骨板では、その固定後に左右方向に調整することができず、それにより医師がセンタリング及び位置決めを確定する上での困難性も高まっている。大腿骨滑車部は膝蓋骨が大腿骨に対し摺動する通路であるので、大腿骨滑車截骨術のセンタリング位置が不正確で左右方向におけるずれが発生していると、大腿補綴具が装着される位置にそれが直に影響することとなろう。更には、補綴具がリセットされた後の膝蓋骨摺動通路のずれにそれが影響し、不正常な膝蓋骨通路、前部膝蓋骨痛その他の問題が引き起こされることとなりうる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件開示の様々な実施形態によれば、截骨装置及びその截骨装置を操作する方法が提供される。
【0007】
本件開示のある態様によれば、截骨板、固定板及び調整構造を有する截骨装置が提供される。截骨板が、固定板を介し大腿骨上に装着されうるよう構成される。調整構造の両端が、固定板及び截骨板のうち対応するものに連結されうるよう構成される。截骨板を、その調整構造を介し固定板に対して左右方向に摺動可能とする。截骨板が、四面截骨術実行用の大腿截骨溝並びに大腿骨滑車截骨術実行用の大腿骨滑車截骨溝を有する。
【0008】
実施形態のうちあるものでは、固定板の上端及び下端にラッチング歯がそれぞれ設けられる。截骨板の表面のうち固定板に面するところに摺動溝が設けられる。そのラッチング歯がその摺動溝内に可摺動咬合する。それらラッチング歯及び摺動溝を水平方向に相互摺動可能とする。
【0009】
実施形態のうちあるものでは調整構造がロータリノブ及び偏心ホイールを有する。そのロータリノブがその偏心ホイールに連結され且つ截骨板に可回動連結される。その偏心ホイールが固定板に連結される。ロータリノブを回動させると偏心ホイールがそのロータリノブに対し偏心運動し、截骨板が固定板に対し左右方向に摺動可能となる。
【0010】
実施形態のうちあるものでは偏心ホイールが回動連結部及び偏心部を有する。その回動連結部がロータリノブに連結される。その偏心部がそのロータリノブの回動軸からずらされる。
【0011】
実施形態のうちあるものでは固定板に溝が設けられ、その溝内に偏心部が嵌め込まれる。ロータリノブと共に偏心ホイールが回動する際に、その偏心部がその溝に沿い上下方向に摺動されうる。
【0012】
実施形態のうちあるものでは、截骨板に、その截骨板を貫通する空洞が設けられる。その空洞と上記溝とが通ずることで中空空洞が形成される。ロータリノブがその空洞内に配置される。偏心ホイールが回動する際、そのロータリノブがその空洞の側壁に当接することで截骨板が駆動されて左右方向に摺動する。
【0013】
実施形態のうちあるものでは、偏心ホイール及びロータリノブを軸方向に沿い相互運動可能とする。偏心ホイールがロータリノブの方へと径方向規制される。偏心ホイール・ロータリノブ間には弾性圧縮部材が設けられる。その弾性圧縮部材の両端が偏心ホイール及びロータリノブのうち対応するものに弾性当接する。
【0014】
実施形態のうちあるものではロータリノブが段差付形状を有する。そのロータリノブの端のうち偏心ホイールに隣接する一端が挿入部を有し、他端が歯付き円盤を有する。偏心ホイールの回動連結部には、その挿入部とマッチする挿入スロットが設けられる。上記空洞の端のうち固定板から遠い方の一端が歯付き開口を有する。その歯付き円盤を、ロータリノブの回動軸に沿い、その歯付き開口内に嵌め込み又はそこから取り除けるようにする。歯付き円盤がその歯付き開口内に嵌め込まれているときには、截骨板に対するロータリノブの回動運動がその歯付き開口により制約される。
【0015】
実施形態のうちあるものでは、上記溝の底部に、固定板を貫通する貫通孔が設けられる。
【0016】
実施形態のうちあるものでは、上記空洞の端のうち固定板に隣接する一端が制約溝を有する。調整構造により截骨板のストロークを調整するのに必要な制限位置まで偏心ホイールが動いたときに、その偏心ホイールがその制約溝の一端に当接することで、偏心運動しないようその偏心ホイールが制約される。
【0017】
実施形態のうちあるものでは、固定板の側面のうち截骨板から遠い方の側面に、その固定板を大腿骨上に装着しうるよう構成された固定爪が設けられる。
【0018】
本截骨装置では、截骨板が四面截骨術実行用の大腿截骨溝及び大腿骨滑車截骨術実行用の大腿骨滑車截骨溝を有しているので、四面截骨術の手術を実行した後、その截骨板を置換することなく大腿骨滑車截骨術の手術を実行することができ、それにより装置個数が効果的に減る一方、反復的な分解及び組立が回避され手術手順が簡略化される。加えて、本截骨装置では、調整構造を用い、固定板に対し左右方向における截骨板の摺動を至便に調整できるため、截骨板を調整して大腿骨滑車截骨溝が大腿骨滑車部に直に向かい合う位置にすることで大腿骨滑車截骨術の正確性を改善することができ、対応する大腿骨滑車截骨術の位置が不正確なため補綴具リセット後に不正常な膝蓋骨常摺動通路が生じるのを避けることができる。
【0019】
本件開示の別の態様によれば、固定板の側面のうち截骨板から遠い方の側面に固定爪が設けられる。固定板上のその固定爪により截骨板に係る初期固定を行えるため、調整構造を介し医師が左右方向における截骨板のセンタリング位置を調整するプロセスにて、その截骨板の安定性を高めることができる。センタリングが確定された後は、その固定爪と被駆動斜行爪との協働によりその截骨板が完全に固定されるため、截骨術中の安定性及び截骨術の正確性を確保することができる。
【0020】
本件開示の別の態様によれば、上掲の截骨装置を操作する方法が提供される。本方法は、固定板を介し大腿骨上にその截骨装置を固定するステップと、固定板に対して左右方向に適切な位置へと截骨板が摺動するよう調整構造を調整するステップと、大腿截骨溝に沿い四面截骨術を実行するステップと、大腿骨滑車截骨溝に沿い大腿骨滑車截骨術を実行するステップと、を有する。
【0021】
本件開示の諸実施形態或いは従来技術における技術的解決策をより明瞭に説明するため、それら実施形態或いは従来技術の記述にて必要とされる図面を、以下、簡略に紹介することにする。明らかな通り、以下の記述中の図面は本件開示の幾つかの実施形態に過ぎない。本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)であれば、何ら創造的労力を払うことなく、他の諸実施形態の図面をこれらの図面に基づき得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る截骨装置の構造展開図である。
図2図1に示した截骨装置の截骨板及び固定板の組立構造図である。
図3図2に示した截骨装置の断面図である。
図4】実施形態に従い大腿骨に装着されつつある截骨装置の模式図である。
図5図4中の線A−Aに沿い採取された断面図である。
図6】実施形態に係る截骨装置操作方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本件開示のより良好な理解のため、以下、関連図面を参照し本件開示をより全面的に記述する。図面には本件開示のより良好な実現形態が描かれている。しかしながら、本件開示は多種多様な形態にて実現されうるものであり、本願記載の諸実施形態には限定されない。それら実施形態を提示しているのは、寧ろ、本件開示の開示内容についてのより一貫した包括的理解を助けるためである。
【0024】
上掲の装置の構造をより明瞭に記述するため、本件開示では語「遠位端」及び「近位端」を定義する。ここで述べた語は医用装置の分野で一般的な語である。具体的には、「遠位端」は手術中に施術者から遠いところにある端のことを指しており、「近位端」は手術中に施術者に隣り合ったところにある端のことを指している。図5を例として取り上げるなら、図5の右側が遠位端、左側が近位端である。
【0025】
なお、ある要素が他要素の「上に固定」されていると述べられている場合、それが他要素上に直に存することもありうるし、それらの間に介在要素が存することもありうる。ある要素が他要素に「連結・接続」されていると見なされている場合、それが他要素に直に連結・接続されていることもありうるし、それらの間に介在要素が存することもありうる。その「連結・接続」には着脱可能な連結・接続も含まれうる。本願での用法によれば、語「内部」、「外部」、「左」、「右」及びそれに類する表現は専ら例証のためのものであり、唯一実施形態たるべきことを意味してはいない。
【0026】
図1及び図2に示すように、実施形態に係る截骨装置は截骨板10、固定板20及び調整構造30を有している。截骨板10は固定板20を介し大腿骨B上に装着されるものであり、その固定板20に対し左右方向に動かすことができる。即ち、本截骨装置では、大腿骨Bに対し左右方向における截骨板10の位置を調整でき、ひいては適切な位置にて截骨術を実行することができる。本願における左右方向の位置は以下の定義によるものである:図1及び図5に示すように、本截骨装置は大腿骨Bの遠位端面に装着される。大腿骨Bの遠位端面が所在する平面にて、截骨溝11aに対し平行な方向を左右方向即ち水平方向とし、その水平方向に対し垂直な方向を上下方向即ち鉛直方向としている。
【0027】
本実施形態では、截骨板10が、四面截骨術実行用の大腿截骨溝11、具体的には大腿截骨溝11a、11b、11c及び11dを有している。截骨板10は、更に、大腿骨滑車截骨術実行用の大腿骨滑車截骨溝12を有している。截骨板10を駆動し左右方向に摺動させるよう調整構造30が構成されているので、大腿骨Bに対する截骨板10の位置を調整することができ、ひいては截骨ツール例えば鋸刃により大腿截骨溝11a、11b、11c及び11dそれぞれに沿い四面截骨術を実行しうる一方、大腿骨滑車截骨溝12によりその截骨ツールで大腿骨滑車截骨術を実行することができる。
【0028】
上掲の実施形態では、大腿骨Bに対する截骨板10の位置を調整構造30により調整できるので、截骨板10を調整して大腿骨滑車截骨溝12が大腿骨滑車部に直に向かい合う位置にすることができ、ひいては大腿骨滑車截骨術の位置を大腿骨Bの補綴具滑車部の移動通路に確と対応させることができるため、補綴具がリセットされた後に大腿骨滑車截骨術の対応する位置が不正確なため不正常な膝蓋骨摺動通路が生じることを、避けることができる。加えて、本截骨装置を用い、四面截骨術の手術及び大腿骨滑車截骨術の手術の双方を完遂すること、即ち四面截骨術手術が完遂された後に截骨板10を分解及び置換することなく大腿骨滑車截骨術の手術を続けて行うことができる。そのため、手術がより正確となり、手術時間が短縮され、手術効率が改善され、また截骨術を実行するのに四角形截骨板10及び大腿骨滑車截骨板10がそれぞれ必要になるという従来型膝関節全置換術での状況が回避されるので、効果的に装置個数を減らし、手術手順を単純化し、且つ手術及び保守のコストを低減することができる。
【0029】
注記すべきことに、幾つかの実施形態では、截骨板10が対称構造とされ、ひいては対応する位置にて截骨術の手術を実行しうるよう大腿骨Bにフィットするものとされる。本実施形態では、大腿骨滑車截骨溝12が截骨板10の中庸部に所在しているため、截骨板10を調整して大腿骨Bのセンタリング部分に合せたときに、大腿骨滑車截骨溝12が大腿骨滑車部と直に向かい合うようにすることができる。こうした構成は、大腿骨Bに対し左右方向における截骨板10の動きを速やかに調整して大腿骨滑車截骨溝12に向かわせ、截骨板10をそのセンタリング部分に位置決めするのに便利であり、ひいては大腿骨滑車部に対する截骨術の手術を実行することで、調整効率を高めつつ大腿骨滑車截骨術の位置のずれを避け手術効果を改善することができる。
【0030】
截骨板10及び固定板20の相互隣接面(即ち截骨板10の近位端表面及び固定板10の遠位端表面)上には摺動連結構造がそれぞれ設けられており、それら摺動連結構造が互いにマッチしている。図3に示すように、幾つかの実施形態では固定板20の上端及び下端にラッチング歯20a,20bがそれぞれ設けられ、それらが水平方向に延びている。截骨板10の表面のうち固定板20に面するところには摺動溝10a,10bが設けられており、ラッチング歯20a,20bに対応する位置にて水平方向に延びている。ラッチング歯20aは摺動溝10a内に可摺動咬合しており、ラッチング歯20bは摺動溝10b内に可摺動咬合している。本実施形態では、固定板20上のラッチング歯20a及びラッチング歯20bが截骨板10上の摺動溝10a及び摺動溝10b内に摺動咬合によって咬合しているので、截骨板10が固定板20に対し摺動する際に、固定板20により截骨板10を上下方向において好適に支持することができ、ひいては固定板20に対し左右方向に摺動したときに截骨板10がより良好な安定性を呈することとなるので、截骨術の位置調整の正確性を確保することができる。本実施形態では、そのラッチング歯20aを連続ラッチング歯とすることも、(図3に示す如く)2本以上の不連続ラッチング歯で構成することもできる。後者の場合に、そのラッチング歯20aに加え20bを2本以上の小柱で構成してもよい。他の幾つかの実施形態では、固定板20の上端及び下端に摺動溝がそれぞれ設けられ、截骨板10の表面のうち固定板20に面するところに、その摺動溝内に咬合するラッチング歯が設けられよう。截骨板10・固定板20間相対水平摺動が果たせる限り、これら摺動溝及びラッチング歯を他の摺動連結構造で以て置換してもよい。例えば、固定板20及び截骨板10の接手面にスライダ及び摺動溝をそれぞれ設けて摺動咬合状態にすることで、その摺動溝に沿いスライダが摺動したときに截骨板10も固定板20に対し摺動させることが可能となるので、截骨板10が固定板20を介し大腿骨B上に装着されているときに、大腿骨Bに対する截骨板10の相対位置を摺動的要領にて調整し、截骨術での必要性に合致させることができるのであるが、これについての冗長な記述は本願では行わないことにする。
【0031】
幾つかの実施形態では、固定板20の側面のうち截骨板10から遠い方の面に固定爪21が設けられている。固定爪21を用いることで、本截骨装置を予備固定することができる。
【0032】
注記すべきことに、固定爪21の本数はこれに限定されない。本実施形態では固定爪21の本数が2とされている。それら2本の固定爪21が、固定板20上で左右方向に対称配列されている。固定爪21が円柱形状のスパイクであるので、より良好な安定性を呈しつつ、大腿骨B内に至便に送り込むことができる。加えて、截骨板10の両側に爪孔13が傾斜配設されているので、調整構造30の働きで截骨板10及び大腿骨Bの相対位置を調整した後に、それら爪孔13内に延びる爪等の締結具を大腿骨B内に送り込んで截骨装置を位置決めすることができ、それにより截骨術の手術中の安定性を確保し截骨術の正確性を改善することができる。
【0033】
截骨板10には、重量を減らすため中空部が適宜配設されている。その中空部の形状、個数及び位置はこれに限定されない。截骨板10の強度及び截骨術の手術に影響を及ぼすことなく複数個の中空部を設けることができる。他の幾つかの実施形態では、偶数個の中空部が截骨板10上に対称配設されよう。図2に示すように、本実施形態では、截骨板10の側面のうち固定板20から遠い方の面にT字形溝15が設けられているので、截骨術の手術後に、そのT字形溝15とマッチする道具例えば摺動ハンマによって、截骨板10を取り除くことができる。
【0034】
翻って図1に示すように、調整構造30はロータリノブ31及び偏心ホイール32を有している。ロータリノブ31は、偏心ホイール32に連結され且つ截骨板10に可回動連結されている。偏心ホイール32は固定板20に連結されている。ロータリノブ31が回動する際、そのロータリノブ31に対し偏心ホイール32が偏心運動するので、固定板20に対し左右方向に截骨板10を摺動させることができる。
【0035】
偏心ホイール32は回動連結部321及び偏心部322を有している。回動連結部321はロータリノブ31に連結されている。偏心部322はロータリノブ31の回動軸からずらされている。本実施形態では固定板20に溝22が設けられており、偏心部322がその溝22内に嵌め込まれている。ロータリノブ31と共に偏心ホイール32が回動する際には、ラッチング歯20a及びラッチング歯20bと摺動溝10a及び摺動溝10bとの間の相互咬合なる制約故に、固定板20及び截骨板10が上下方向に相互変位せず、その一方で偏心部322が溝22に沿い上下方向に摺動することとなる。従って、偏心ホイール32が偏心運動する際に、上下方向変位の変化が固定板20と抵触することがない。ご理解頂くべきことに、溝22は上方及び下方に延びる傾向があるキドニーグルーブ又は長尺溝とすることができる。
【0036】
固定板20に対する截骨板10の摺動方向に対し、溝22の延長方向が垂直であるので、ロータリノブ31と共に偏心部322が動くときに、偏心部322・固定板20間の力が左右方向のものとなるので、左右方向における截骨板10・固定板20間の摺動効果が良好になる。
【0037】
図3に示すように、截骨板10には、その截骨板10を貫通する空洞10cが設けられている。固定板20が截骨板10と咬合されているときには、その空洞10cが、溝22の位置に対応するところにある。即ち、それら空洞10c及び溝22が通ずることで、調整構造30収容用の中空空洞が形成される。ロータリノブ31がその空洞10c内に所在する。ロータリノブ31が回動する際には、そのロータリノブ31に対し偏心ホイール32が偏心運動するため、ロータリノブ31に働く偏心ホイール32の作用力によってそのロータリノブ31を空洞10cの側壁に当接させることができ、それにより截骨板10を駆動して摺動溝10a及び摺動溝10bに沿い固定板20に対して左右方向に摺動させることができる。
【0038】
偏心ホイール32及びロータリノブ31は軸方向に相対運動させることができ、偏心ホイール32はロータリノブ31の方へと径方向に規制されている。それら偏心ホイール32・ロータリノブ31間には弾性圧縮部材33が設けられている。その弾性圧縮部材33の両端が偏心ホイール32及びロータリノブ31のうち対応するものに弾性当接している。本願で用いられる軸方向及び径方向は以下の定義によるものである:図5に示すように、本截骨装置が大腿骨Bの遠位端表面(截骨面)に取り付けられるところ、その截骨面に対し垂直な方向(即ちロータリノブ31の回動軸に対し平行な方向)を軸方向とし、その軸方向に対し垂直な方向を径方向としている。本願における弾性圧縮部材33は、圧縮ばねとすることや、より良好な圧縮能を有する弾性リングとすることができる。
【0039】
本実施形態では、偏心ホイール32及びロータリノブ31を軸方向に相対運動させうるので、偏心ホイール32及びロータリノブ31の端のうち弾性圧縮部材33から遠い方の端をそれぞれ加圧することで、その弾性圧縮部材33を圧縮することができ、ひいては偏心ホイール32・ロータリノブ31間の軸方向距離を変化させることができ、それによって、固定板20及び截骨板10を組み立てる際に偏心ホイール32が固定板20と抵触することを避けることができる。加えて、固定板20及び截骨板10が組み立てられた後に、弾性圧縮部材33の両端が偏心ホイール32及びロータリノブ31のうち対応するものに弾性当接するため、弾性圧縮部材33の作用を受け偏心ホイール32が溝22に当接することとなる。偏心ホイール32が径方向に沿いロータリノブ31の方へと規制されているため、ロータリノブ31が回動する際にそのロータリノブ31と共に偏心ホイール32が回動することとなり、ひいては截骨板10を固定板20に対し左右方向に摺動させること及び大腿骨Bに対する截骨板10の左右位置を調整することができるため、適切な位置にて截骨術の手術を実行することができる。
【0040】
溝22の底部には、固定板20を貫通する貫通孔22aを設けることができる。その場合、貫通孔22aを介し偏心ホイール32を加圧することで、偏心ホイール32により弾性圧縮部材33を圧縮して固定板20から離し、最終的には偏心ホイール32の偏心部322を溝22外へと動かすことができる。このとき、左右方向において固定板20が偏心ホイール32により拘束されないので、固定板20及び截骨板10を摺動溝10a及び摺動溝10bに沿い相互摺動させることができる。
【0041】
ロータリノブ31が段差付形状を有していてもよい。ロータリノブ31の端のうち偏心ホイール32に隣接する一端は挿入部311、他端は歯付き円盤312を有している。偏心ホイール32の回動連結部321には、その挿入部311とマッチする挿入スロット321aが設けられている。ご理解頂けるように、挿入スロット321a及び挿入部311の断面形状を非円形、例えば長方形、角丸長方形等とすることができ、それによって、偏心ホイール32・ロータリノブ31間径方向規制を確と行いつつ偏心ホイール32及びロータリノブ31を軸方向に相対運動させることができる。
【0042】
本実施形態では、空洞10cの端のうち固定板20から遠い方の端が歯付き開口14を有している。歯付き円盤312を、ロータリノブ31の回動軸に沿い、その歯付き開口14内に嵌め込むこと或いはそこから取り除くことができる。歯付き円盤312が歯付き開口14内に嵌め込まれているときには、截骨板10に対するロータリノブ31の回動運動をその歯付き開口14により規制することで、截骨板10及び固定板20の相対位置をロックすることができ、それにより手術過誤時又は截骨装置装着時の截骨板10・固定板20間変位を避けることができる。
【0043】
注記すべきことに、上掲の諸実施形態では、ロータリノブ31により弾性圧縮部材33を圧縮しているときに、そのロータリノブ31が固定板20の方に動くにつれ歯付き円盤312が歯付き開口14外へと動き、ひいては歯付き円盤312が歯付き開口14から外れることとなるので、ロータリノブ31を截骨板10に対し回動させることが可能となり、それにより水平方向における截骨板10・固定板20間の相対位置が調整されることとなる。こうした要領で、截骨板10上の大腿骨滑車截骨溝12が、截骨術の手術向けに大腿骨滑車部に対し整列される。
【0044】
歯付き円盤312の端面には作動部321aが設けられているので、その作動部321aと協働する道具で以て、ロータリノブ31を回動させることができる。その作動部321aを六角形ザグリとすることができる。これに呼応し、その六角形ザグリとマッチする道具例えばレンチ又はねじ回しによりロータリノブ31を回動させることができ、ひいては偏心ホイール32の偏心運動を介して截骨板10を駆動し固定板20に対して左右方向に摺動させること並びに大腿骨Bに対し左右方向に截骨板10の位置を調整することができるので、大腿骨滑車截骨溝12を大腿骨Bに対しセンタリング位置に所在させて、大腿骨滑車部に対する正確な截骨術の手術を大腿骨滑車截骨溝12に沿い道具例えば鋸刃により実行することができる。
【0045】
空洞10cの端のうち固定板20に隣接する端は制約溝10dを有している。制約溝10dを用いロータリノブ31による偏心ホイール32の回動振幅を制約することで、截骨板10・固定板20間の相対変位を制約でき、ひいては大腿骨Bに対し左右方向における截骨板10のストロークを適切に調整できるため、左右方向における截骨板10の過剰摺動が原因でラッチング歯20a及びラッチング歯20bが摺動溝10a及び摺動溝10b外へと摺動することを防ぎ、或いは摺動溝10a及び摺動溝10bに対するラッチング歯20a及びラッチング歯20bの接触面が小さ過ぎて装置全体の固定に影響することを防ぐことができる。具体的には、調整構造30で截骨板10のストロークを調整するのに必要な制限位置まで偏心ホイール32が動いたときに、その偏心ホイール32が制約溝10の端に当接するため、偏心回動しないよう偏心ホイール32を制約することができる。
【0046】
注記すべきことに、他の幾つかの実施形態では、制約溝が省略される一方、溝22のサイズの設計により偏心ホイール32の回動振幅が制約されることとなろう。具体的には、溝22を然るべき要領で構成することで、調整構造30で截骨板10のストロークを調整するのに必要な制限位置まで偏心ホイール32が動いたときに、偏心ホイール32が溝22の端に当接してもはや偏心運動し得なくなるように、することができる。従って、より良好な制約効果をも偏心ホイール32の回動振幅について達成することができる。
【0047】
加えて、偏心ホイール32により駆動され固定板20に対し左右方向に摺動する截骨板10のストロークも、偏心ホイール32自体が偏心運動する際の、ロータリノブ31の回動軸からの偏心ホイール32のずれにより影響される。具体的には、ロータリノブ31を同じ角度で回動させたときには、ロータリノブ31の回動軸からの、偏心ホイール32の偏心部322の回動通路のずれが大きいほど、偏心ホイール32により駆動され固定板20に対し左右方向に摺動する截骨板10の変位が大きくなる。従って、偏心ホイール32をまず選択した上で、偏心ホイール32により模擬的に截骨板10を駆動して所定ストロークの制限位置まで固定板20に対し摺動させればよい。この時点で、偏心ホイール32の偏心部322に当接するよう溝22の端部位置を構成設定することで、溝22のサイズの設計を完遂することができる。
【0048】
左右方向における、截骨装置の截骨板10の幅を、截骨対象大腿骨Bの幅に対応させることで、大腿骨Bに対する截骨板10の位置を調整する際に、その大腿骨Bを調整後位置の決定基礎として用いること、ひいては大腿骨Bの大腿骨滑車部に向かい合う位置へと截骨板10上の大腿骨滑車截骨溝12を速やかに動かすことが可能となる。
【0049】
図4及び図5に示すように、本截骨装置を用い外科手術を実行する際には、まず寸法計測装置により大腿骨Bのサイズが計測され、その外部回動角が決定される。その上で、大腿骨Bのサイズに従い、適切な種類の截骨装置が選択される。その截骨装置の側面のうち固定板20が設けられている方の側面が、大腿骨Bの遠位端表面に取り付けられ、その固定板20上の固定爪21を用い、その截骨装置の予備固定が実行される。左右方向における調整量は、その大腿骨Bの内側面及び外側面並びに截骨板10の両側面の相対位置により決定される。その上で、六角レンチ又はそれに類する装置を用いロータリノブ31を調整することで、偏心ホイール32を駆動し回動させる。偏心ホイール32が回動すると、截骨板10が駆動されて左右方向に沿い適切な位置へと動く。この調整が完遂された後には、截骨板10上の爪孔13を介し大腿骨B内へと斜行爪が送り込まれて截骨板10が固定され、ひいては截骨板10が固定爪21及び斜行爪によりしっかり固定されるので、緩みにより引き起こされる截骨術の過誤を避けることができる。その上で、鋸刃を用い4個の大腿截骨溝11a、11b、11c及び11dに沿い四面截骨術が順次実行される。四面截骨術が完遂された後は、大腿骨滑車截骨溝12に沿い鋸刃により大腿骨滑車截骨術を実行すること、或いはマッチするU字型骨鑿により処置することができる。截骨術の手術が完遂された後は、まずは斜行爪が取り外され、その上で取出し具例えば摺動ハンマにより截骨板10上のT字形溝15を介し截骨板10が取り外されるので、爾後の大腿骨B準備に関するリセット動作を実行することが可能となる。
【0050】
図6には、截骨装置を操作する方法の実施形態が描かれている。本実施形態における截骨装置は、諸実施形態のうち何れか一つにて述べられた截骨装置である。その截骨装置が本方法によって装着され、ひいては外科手術が実行される。具体的には、本方法は以下の諸ステップを有している。
【0051】
ステップS200では、固定板を介し大腿骨上に截骨装置が固定される。
【0052】
ステップS400では、固定板に対し左右方向に適切な位置まで截骨板が摺動するよう調整構造が調整される。
【0053】
ステップS600では、大腿截骨溝に沿い四面截骨術が実行される。
【0054】
ステップS800では、大腿骨滑車截骨溝に沿い大腿骨滑車截骨術が実行される。
【0055】
これらのステップについては先の記述中で詳細に説明済みであるので、本願ではそれについての冗長な記述を行わないことにする。
【0056】
なお、ご理解頂くべきことに、図6のフローチャートでは諸ステップが矢印に従い順に示されているが、それらステップがその矢印により示される順序で実行される必要はない。文脈に従い宣明されていない限り、それらステップの実行は厳密に順序限定されないのであり、それらステップを他の順序にて実行することもできる。更に、図6中の諸ステップのうち少なくとも幾つかが、複数個のサブステップ又は複数個の段階を含んでいてもよい。それらサブステップ又は段階が同時に実行される必要はなく、別時点で実行されてもよい。それらサブステップ又は段階の実行順序が順に実行される必要はなく、他の諸ステップ又は他の諸ステップのサブステップ若しくは段階のうち少なくとも幾つかと交互に又は順序を入れ替えて実行されるのでもよい。
【0057】
上掲の諸実施形態の各技術的特徴を、任意に組み合わせることができる。記述を簡略化するため、諸実施形態中の各技術的特徴の潜在的組合せ全てを述べてはいない。とはいえ、それら技術的特徴の組合せに矛盾がない限りは、それらは本件明細書の技術的範囲内に収まるべきものである。
【0058】
本件開示の数個の実施形態しか実施形態の態で描かれておらず、またそれについての記述がより具体的且つ詳細なものとなっているが、それらを本件開示の技術的範囲に対する限定として解すべきではない。注記すべきことに、いわゆる当業者であれば、本件開示の概念から離隔することなく幾つかの修正及び改善をなしうるのであり、それらは全て本件開示の保護範囲内に収まる。そのため、本件開示の保護範囲は別項の特許請求の範囲の対象とされよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】