(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-514293(P2021-514293A)
(43)【公表日】2021年6月10日
(54)【発明の名称】受動的肩回転運動を行うための療法装置
(51)【国際特許分類】
A61H 1/02 20060101AFI20210514BHJP
【FI】
A61H1/02 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-566872(P2020-566872)
(86)(22)【出願日】2018年9月6日
(85)【翻訳文提出日】2020年8月31日
(86)【国際出願番号】DO2018050002
(87)【国際公開番号】WO2019158176
(87)【国際公開日】20190822
(31)【優先権主張番号】P2018-0054
(32)【優先日】2018年2月19日
(33)【優先権主張国】DO
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520310942
【氏名又は名称】ゴンサレス・ルイス,グアロクヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100112988
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 一宏
(72)【発明者】
【氏名】ゴンサレス・ルイス,グアロクヤ
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA05
4C046AA10
4C046BB04
4C046DD02
4C046DD13
4C046DD37
4C046DD41
(57)【要約】
本発明は、上腕部を取り囲み、しっかりと把持する治療装置に関するものである。これにより、肘に力を伝達せずに受動的内外肩回転運動を実行するために、セラピストがデバイスの突起または隆起(6)(7)にどちらの方向にも接線力(13)を加えることが可能になる。上腕部に直接力を加えるこの方法では、治療プロセス中に肘に損傷または影響を与える可能性がある前腕をレバーとした回転の必要がなくなる。さらに、この装置では回復の機会を最大化するための最大限の力を肩に加えることが可能になる。装置の別設計ではカップリングパーツ(14)、(15)を組み込むことができ、可変速モーターを接続することができる。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のものからなる、受動的肩回転運動を行うための治療装置(Therapeutic Device For Performing Passive Shoulder Rotation Exercise):
患者の上腕を取り囲み、安定して固定する本体(1)
力(13)が加えられる、本体(1)に結合される少なくとも1つの突出ピースまたはハンドグリップ(6)(7)。
【請求項2】
請求項1に記載の治療装置であって、本体(1)が革でできているもの。
【請求項3】
請求項1に記載の治療装置であって、本体(1)が合成材料でできているもの。
【請求項4】
請求項1に記載の治療装置であって、上腕との摩擦を生み出す閉鎖システム(10)(2)を利用して、本体(1)が生成された力(13)を伝達できるよう患者の上腕をしっかりと締め付ける事のできるもの。
【請求項5】
請求項4に記載の治療装置であって、前記閉鎖システムがストラップ(10)およびバックル(2)を使用して実現されるもの。
【請求項6】
請求項4に記載の治療装置であって、前記閉鎖システムが取り外し可能な結束式ストラップ(10)の使用によって行われるもの。
【請求項7】
請求項1に記載の治療装置であって、患者の皮膚を引っかき傷から保護し、療法士が加える力の伝達を改善する保護片(3)(4)を含むもの。
【請求項8】
請求項1に記載の治療装置であって、療法士によるグリップを改善するためのハンドグリップ(6)(7)用のカバー(8)(9)を含むもの。
【請求項9】
請求項1に記載の治療装置であって、ストラップの余りを差し込むために突出部(7)に空けられた穴(12)を含むもの。
【請求項10】
請求項1記載の治療装置であって、以下のものを含むもの:
突出部品(6)(7)に組み込まれた結合部品(14)
力(13)を加える可変速モーターおよびそれへの接続可能にする補助カップリング(15)。
【請求項11】
受動的肩回転運動を行うための治療装置で、以下を含むもの:
本体が(1)患者の上腕を囲み、しっかりと締め付けることができるもの
力(13)が加えられる結合部分(14)が本体部分(1)に結合されたもの
力(13)を発生させるモーターを装置に接続させるための、補助カップリング、を備えた可変速モーター(15)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
このデバイスは、肩のリハビリまたは理学療法での使用、特に「五十肩」の症状における肩の内旋および外旋の受動的運動のための使用を目的とする。
【背景技術】
【0002】
(先行技術の説明)
肩の関節は、体の中であらゆる角度での稼働が最も多く、上腕骨・肩甲骨・鎖骨の三つの骨によって形成されている。上腕骨の頭の球上部分は肩甲骨のくぼみに接続しており、強い結合組織に完全に包まれて肩の関節包を形成している。
【0003】
肩の関節は、動きを妨げ、激しい痛みを引き起こす「五十肩」を発症する可能性がある。この状態は「癒着性関節包炎」としても知られており、肩関節全体を覆う結合組織の慢性炎症からなり、癒着を形成し、腕の痛み、こわばり、腕の可動性の減少を引き起こすものである。
【0004】
五十肩は、糖尿病、ホルモンの変化(閉経)、甲状腺の問題、心臓の状態、怪我や手術後の不動化が原因となる。米国整形外科学会(AAOS)によると、この病状は人口の2%に影響を与えていると推定されている。米国整形外科医師会によると、この状態は糖尿病患者の10%から20%に症状をもたらしていると推定される。五十肩の治療には、集中的で毎日にわたる理学療法が行われている。処方される受動運動の1つには、肩の内旋および外旋がある。
【0005】
既存の手動での肩の受動的内旋および外旋の理学療法では、次のように行われる。まず、患者をストレッチャーに横たわらせる。腕は、両肩からなる軸上で脊椎の軸に対し垂直になるようにする。次に、肘を90度曲げ、前腕を天井に向ける。そしてセラピストが片方の手で肘を固定するように保持し、もう一方の手で前腕を手首の位置で支え、レバーの動作のように力を加えていく。レバーのように前腕に加えられた力は肘に、そして肘から上腕を介して肩に伝達される。この方法では肘に負荷がかかり、痛みを伴ったり怪我をしたりする可能性がある。肘の怪我を避けるには、確かなグリップで力の伝達を可能にする装置を使用し、上腕と同じ軸に力を加える必要がある。
【0006】
受動的肩回転療法での既存の特許取得済み技術では、患者の前腕が装置にしっかりと固定される構成になっている。装置で生成された力は、前述の手動による受動的運動と同様に、レバーのように前腕に適用される。(レバーの動作で)前腕に加えられたこれらの力は、肘を介しその後肩に到達する。既存の特許は、患者の必要に応じて肩を(レバーとして使用する際に)必要な位置に固定するための装置を実現している。これらが最も関連性の高い特許となっている。
【0007】
手動の方法を含め、肩の受動的回転運動を実行するために用いられるすべての既存の装置は、必要な力を加えるために前腕をレバーとして使用すると結論付けられる。したがって、これらの方法は肘に発生し得るリスクの元に成り立っている。同じ問題が、肩の一定の回転を可能にしながら固定する器具装置にも当てはまる。これらすべての装置および治療方法は、肘を傷つけたり痛みを感じたりする傾向がある。これは、前腕に加えられた力を伝達する肘がその力を耐えとめきれないためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
2017年8月10日に公開された発明者ピーター・M.ボヌッティ他、マナラパン、フロリダ州(米国)による特許US 2017/0224516 A1は、「屈曲/伸展装置を含む肩装具(Shoulder Orthosis Including Flexion/Extension Device)」がある。この発明は、肩関節の治療を行う肩装具装置についてのものである。装具は、肩の屈曲、伸展、外転、内転、内旋および外旋の運動を可能にする。装具は患者の体幹と上腕に配置される。肩の回転運動を実現するために、別の部品を前腕に取りつけ肩の回転角度を調整し、時計回りに回すことで前腕に機械的な力を加える。ここでは、加えられた力は最初に肘に伝達され、次に肩に伝達される。この技術の主な欠点(肩の回転に使用する場合)は、前腕をてことしてのみ力が伝達されることである。結果的に、加えられた力は健康な肘を通して伝達される。また、この理学療法中に加えられる力により、肘に痛みを感じたり、怪我をしたりする可能性がある。さらに、肘をかばうためにセラピストが肩の改善を促進するために必要な強度で力を加えられないことがある。
【0009】
2014年9月26日に公開された発明者リー・ドゥ・ヨン[韓国]による特許KR 20140114081(A)に、「五十肩用運動器具」がある。この発明は、寸法が大きな機械装置となっている。装置は、肩の回転、腕の持ち上げ、および五十肩の内旋および外旋による受動的運動を強制的円運動で行う。この技術の主な欠点(肩の回転に使用する場合)は、前腕をてことしてのみ力が伝達されることである。結果的に、加えられた力は健康な肘を通して伝達される。また、この理学療法中に加えられる力により、肘に痛みを感じたり、怪我をしたりする可能性がある。さらに、肘をかばうためにセラピストが肩の改善を促進するために必要な強度で力を加えられないことがある。
【0010】
2010年3月25日に公開された発明家ロバート・A・ケリーによる特許US 2010/0076354 A1に「連続肩受動モーション装置(Shoulder Continuous Passive Motion Device)」がある。この発明は、肩および屈曲肩治療を行うための装置となっている。この装置は、前腕ホルダーを機械的に前後にスライドさせる。肩の屈曲と伸展の受動的運動の治療のみが可能である。したがって、本明細の肩回転の治療とは関係がない。
【0011】
2006年6月8日に公開された発明者NEF、トビアス他による特許WO 2006/058442 A1、 「協調的腕療法のためのシステムおよび対応型回転モジュール(System And Method For A Cooperative Arm Therapy And Corresponding Rotation Module)」がある。この発明は、肩の内旋および外旋を可能にする機械装置である。装置により患者の腕と前腕を押さえ、モーターを使用して治療に必要な動きを与える。この技術の主な欠点(肩の回転に使用する場合)は、前腕をてことしてのみ力が伝達されることである。結果的に、加えられた力は健康な肘を通して伝達される。また、この理学療法中に加えられる力により、肘に痛みを感じたり、怪我をする可能性がある。さらに、肘をかばうためにセラピストが肩の改善を促進するために必要な強度で力を加えられないことがある。
【発明の概要】
【0012】
(本発明の説明)
本出願「受動的肩の回転運動を行うための治療装置(Therapeutic Device For Performing Passive Shoulder Rotation Exercise)」は、肩の内外の回転のために受動的運動を行う装置からなり、療法士は患者の上腕に直接力を加えることになり、前腕に力を加える必要がない。また、加えられた力は肘を介することがない。このため、治療中に肘が傷ついたり負傷したりすることを避けることができる。器具の別設計(
図9、
図10、
図11)では、肩の回転を行うための動力を供給する可変速モーターを接続できる。
【0013】
既存の技術はすべて、前腕に力を加えることで、腕全体を通し力を伝えるものである。このため、肘は受け止めきれないほどの不必要な力を受けることになる。この状況では、肘に怪我をする可能性がある。また、患者の肘を傷つけないようにするため、もしくは痛みなどの不快感のため、肩の改善を促進するための十分な強さで力が加えられない場合もある。
【0014】
本出願の装置を使用することで、肩の内旋および外旋に必要な力が上腕に適用されるようになる。療法士は、型の回復を最大限に促すより強い力を加えることができる。これにより、力の伝達が肘を介することなく、肘のけがの可能性を排除することができる。
【0015】
本出願の装置は、上腕に直接必要な力を加えることを可能にする肩の内外回転の受動運動療法のために開発された最初の発明である。この装置は前腕に力を加えることを避ける一方、既存の技術は前腕のみに力を加えている。生み出される力は肘を介した伝達とならないため、肘を傷つけたり負傷したりすることがない。加えて、本出願の装置では、起こり得る肘の損傷を防ぐため必要な制限を受けることなく、肩に最大の力を加えることを可能にする。
【0016】
本出願の装置は上腕に直接必要な力を加え、肩の受動的な内外の回転を実行するものである。この装置は、前腕に力がかかるのを防ぎ、治療する肩の側の肘の怪我や不快感を防ぐものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図4B】装置を装着し力を加えた際の正面図である。
【
図9】モーターへの連結部を含む、展開した装置上面図である。
【
図10】トルクをかけたモーターへの連結部の一部を含む、展開した装置B‐B′断面図である。
【
図11】トルクをかけたモーターへの連結部の一部を含む、装置の正面図である。
【
図12】バックル:静止図、分解図、上面図、C‐C′断面図である。
【
図13】エンジンカップリングパーツ:静止図、分解図、側面図および正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(本発明の詳細な説明)
「受動的肩回転運動を行うための療法装置」は、肘に負荷をかけずに直接上腕に力を加えることを可能にする。肘への影響や怪我を防ぎ、肩に伝える力の効果を最大化するのに役立つものである。当装置は上腕を包み込むもので、患者の腕に合わせて調整が可能であり、4つのストラップ(10)とそのバックル(5)で十分に締めることができる。クロージャーにより、ハンドグリップまたは突起(6)(7)に接線方向の力(13)を加えた際、装置がアームを回るように滑るのを防ぐ。療法士は、肩の内旋または外旋させるのに必要な力をハンドグリップに加えることができる。
【0019】
装置の別設計(
図9〜11)では、接線方向への力(13)は、カップリングパーツ(14)(15)を介してデバイスに取り付け可能な可変速モーターによって加えられることを示す。
【0020】
装置を構成する主な素材は、腕を包む際腕の形状に適応するように柔軟である必要がある(1)(3)(4)(10)。装置にかかる引っ張り動作のストレスに耐えられ、治療中に発生する力を伝達できるよう患者の腕との間に十分な摩擦を持つ必要がある。この素材は、厚さ2mmの革または同等の性能を持つ合成素材で作成される。接線力(8)(9)が加わる出っ張り部分のコーティングも同じ材料とする。
【0021】
装置の構造に使用するものには、丸みを帯びさせたエッジ(6)(7)を備えた強度の強い素材も使用する。剛性のある部分は、療法士が力(13)を加える際にグリップとして機能する。加えられた力は肩に伝達され、回転させることになる。素材には、木材、堅いプラスチック、または同様の特徴もつ素材を採用する。丸みを帯びた形状は、カバーを保護する機能も果たし(8)(9)、使用時にはがれることを防止する。さらに、金属製のバックル(2)が装置の構造に使用される。バックルは、短いストリップ(11)をバックルの中心軸の1つに巻き付け、本体(1)に取り付ける。前述のバックル(2)を保持するリベット(5)で所定の位置に固定される。リベットは、バックルが腕から分離しないようレザープロテクター(3)を所定の位置に固定する。
【0022】
バックル(2)は、
図12の詳細の通り二重の軸で構成される。最初の軸には、ベルト(10)をかみ合わせて固定する回転釘(18)が含まれる。もう一方の中心軸(17)は、バックル(2)を本体(1)に結合する短いストリップ(11)となる。さらに、外部軸の1つに中空シリンダー(16)があり、自由に回転してベルト(10)の締め付けを容易にする。
【0023】
図13は、装置を可変速モーターに接続するためのカップリングパーツ(14)の詳細を示す。
図11に示すように、カップリングのメス側(15)とカップリングのオス側(14)により、装置とモーターを接続する。
図14は装置のグリップ(6)(7)をつき通るネジのようになっている。カップリングのための部品の端はナット(20)とワッシャー(19)からなり、端には六角レンチを使用するための六角穴がある。主ヘッドのカップリング(14)はシリンダー形状となっており、結合部品(15)とのカップリングのため中間部の軸の直径が小さくなっているカップリングヘッド内側にはワッシャーを埋め込んでいる。結合部品(14)は、突出部またはハンドグリップ(6)(7)に組み込まれることも、または本体(1)に直接取り付けることもできるようになっている。
【0024】
患者の腕に装着した装置の図は、
図1の通りとなる。
図2と
図3は、左斜め前と右斜め前の静止図である。
図4Aと
図4Bは、装着した装置の側面図を示す。
図5は展開した装置の右斜めからの静止図を示し、
図6はデバイスのすべての部品を取り外した際の静止図を示す。
図7と
図8は、展開した装置の上面図と横断面A‐A′を示し、主要な寸法を示す。
図9、
図10および
図11は、可変速モーターによって力を加える際にカップリングパーツ(14)(15)を組み込んだ装置の別設計図を示す。
図12と
図13は、バックル(2)と可変速モーターへの結合部品(14)の詳細を示す。
【0025】
図7〜10に示す装置の寸法は、装置によって締め付けられた際上腕二頭筋が24.9?33.3センチメートルとなる場合用の設計となる。
【0026】
装置の製造プロセスは次の通りとなる。
【0027】
a)装置の本体(1)は厚さ2mmの革(または同等の合成素材)で、上腕を包む。一端に4つのストラップまたは長いストリップ(10)があり、短い間隔で複数の穴がある。もう一端には、4つの短いストリップに金属バックル(2)がリベット(5)で固定される(11)。長い方のストリップ(10)がバックル(2)に入り、装置が上腕をしっかりと固定できるようにできるだけ強く締めることとなる。したがって、接線方向の力を加えた際、装置が腕の周りで滑ることがなくなる。
【0028】
b)患者の皮膚を保護するための革部品も(4)(3)に組み込まれている。これにより、革と腕の接触面積を改善する。また、バックル(2)に対応する四つの長いストリップ(10)と四つの短いストリップ(11)の下で、デバイスとアーム間の摩擦力も増加させる。両部品が本体(1)に縫い付け、接着剤で接合する。
【0029】
c)使用されているリベット(5)で、バックル(2)の2つの中心軸(17)の1つに短いストリップ(11)を固定し、保護用部品(3)を所定の位置に固定する。
【0030】
d)木製または別の硬質プラスチック材料でできた、丸みを帯びたエッジ(6)(7)の部品を本体の革のピース(1)の上に配置する。この部品は、革のラップ(8)と(9)によって固定され、本体の革の部分(1)に縫い付けられており、木の部分を内側に固定する。木片(6)は強度のあるもので、もう一方の木片(7)には長方形の2つの穴(12)に差し込まれる。この穴は、デバイスが患者の腕に合わせて調整されるときに、デバイスの長いストラップ(10)を通すもので、療法士が掴む際の干渉を防止する。
【0031】
次に、療法士による使用と可変速モーターの使用について説明する。
【0032】
・初めに、
図1の通りストラップ(10)とバックル(2)を用い、上腕の周りに置いた装置をしっかりと締める。次に、ストレッチャーおよび患者の背骨の方向の面に垂直となるように上腕を置き、前腕を曲げて天井を指すようする。療法士は、装置(6)(7)の突起の1つを各手でつかみ、
図4Bの矢印(13)で示されるように接線方向に両向きの力を加える。こうして患者の肩の内部および外部回転を発生させる。
【0033】
・装置の別設計では突起(6)(7)部分が変更され、可変速モーターに接続できるようにするカップリングパーツ(14)が組み込まれる。モーターにより、肩の回転を生み出すための両方向の力を発生させる。このモーター装着向けの別設計では、木の部品(7)は完全な個体であり、穴(12)は空けられていない。
【国際調査報告】