(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-514689(P2021-514689A)
(43)【公表日】2021年6月17日
(54)【発明の名称】スキーブーツ
(51)【国際特許分類】
A43B 5/04 20060101AFI20210521BHJP
A43B 7/00 20060101ALI20210521BHJP
【FI】
A43B5/04 C
A43B7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2020-530468(P2020-530468)
(86)(22)【出願日】2018年8月27日
(85)【翻訳文提出日】2020年5月21日
(86)【国際出願番号】CN2018102522
(87)【国際公開番号】WO2019169836
(87)【国際公開日】20190912
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/078302
(32)【優先日】2018年3月7日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】520178386
【氏名又は名称】▲孫▼ 寅▲貴▼
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 寅▲貴▼
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲フイ▼
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA07
4F050GA13
4F050GA20
4F050GA25
4F050JA13
(57)【要約】
スキーブーツであって、外靴(100)及び内靴(200)を備え、外靴(100)は一体の靴底(110)と、アッパー右側部分(122)及びアッパー左側部分(123)を有するアッパー(120)とを備え、アッパー右側部分(122)とアッパー左側部分(123)とは靴底(110)に対して開放状態と閉合状態との間で回動するように靴底(110)にヒンジ結合され、外靴(100)は、ロッキング部材(130)及びロッキングワイヤ(140)をさらに備え、ロッキングワイヤ(140)は、アッパー(120)の複数の位置でアッパー(120)を取り巻き、ロッキング部材(130)に巻き込まれることでアッパー右側部分(122)及びアッパー左側部分(123)を閉合状態に保ち、ロッキング部材(130)から繰り出されることで、アッパー右側部分(122)とアッパー左側部分(123)との開放状態への回動を許容するように構成される。これにより、スキーヤーが外靴(100)を容易に着脱できる。また、スキーヤーの生命徴候を検出するためには、スキーブーツには生体検知システムがさらに搭載され、危急のときに自発的に救難信号を送信する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキーブーツであって、外靴と内靴とを備え、前記外靴は、一体の靴底と、アッパー右側部分及びアッパー左側部分を有するアッパーと、を備え、前記アッパー右側部分とアッパー左側部分とは、前記靴底に対して開放状態と閉合状態との間で回動するように前記靴底にヒンジ結合され、前記外靴は、ロッキング部材及びロッキングワイヤをさらに備え、前記ロッキングワイヤは、前記アッパーの複数の位置で前記アッパーを取り巻き、前記ロッキング部材に巻込まれることで前記アッパー右側部分及び前記アッパー左側部分を前記閉合状態に保ち、前記ロッキング部材から繰り出されることで、前記アッパー右側部分と前記アッパー左側部分との前記開放状態への回動を許容するように構成される、スキーブーツ。
【請求項2】
前記アッパーはトゥキャップ部分及びヒール部分をさらに備え、前記ヒール部分には、複数の位置決め溝又は位置決めリッブが設けられ、前記アッパー右側部分と前記アッパー左側部分とは、対応する位置に突起又は凹溝が設けられ、前記アッパー右側部分と前記アッパー左側部分とが前記閉合状態にある場合、前記位置決め溝又は位置決めリッブはそれぞれ前記突起又は凹溝に接合される、請求項1に記載のスキーブーツ。
【請求項3】
前記トゥキャップ部分には、複数の位置決め凹溜または突起が設けられ、前記アッパー右側部分と前記アッパー左側部分とは、対応する位置に複数の突起又は凹溜が設けられ、前記アッパー右側部分と前記アッパー左側部分とが閉合状態にある場合、前記位置決め突起はそれぞれ前記位置決め凹溜に接合される、請求項2に記載のスキーブーツ。
【請求項4】
舌革部分と前記トゥキャップ部分とのヒンジ結合箇所には、前記舌革部分を外方へ偏倚させるように偏倚装置が設けられる、請求項3に記載のスキーブーツ。
【請求項5】
前記アッパー右側部分と前記アッパー左側部分とはそれぞれ前記靴底とヒンジ結合する箇所に偏倚装置がさらに設けられ、前記偏倚装置はそれぞれ前記アッパー右側部分及び前記アッパー左側部分を開放させる方向へ偏倚させる、請求項1に記載のスキーブーツ。
【請求項6】
前記アッパー右側部分及び前記アッパー左側部分の下側には凸台が設けられ、前記内靴が前記外靴に挿入され、かつ、前記外靴が閉合された場合、前記凸台は前記内靴の靴底を押さえる、請求項1に記載のスキーブーツ。
【請求項7】
前記内靴の靴底の両側にはそれぞれ凹溝が形成される一方、前記アッパー左側部分及びアッパー右側部分の内側の下部の対応する箇所には突条が形成され、前記外靴のアッパーが閉合位置にある場合、前記突条は前記凹溝に圧入される、請求項1に記載のスキーブーツ。
【請求項8】
前記ロッキング部材は、
前記アッパー右側部分又はアッパー左側部分に固定される主軸と、
回転可能に主軸に設けられ、前記ロッキングワイヤが巻きつけられるリールと、
回動可能に前記主軸に設けられ、かつ、ロック位置とアンロック位置との間で前記主軸に沿って運動可能であるクラッチ部材であって、前記ロック位置では、第1方向にリールを回動駆動するように前記リールに接合され、リールが第1方向と反対する第2方向への回動を阻止し、前記アンロック位置では、前記リールの自由回動を許容するように前記クラッチ部材と前記リールとが離間するクラッチ部材と、
前記クラッチ部材に接続され、前記クラッチ部材が前記リールを回動させるように駆動するハンドルとを備える、請求項1至7のいずれか一項に記載のスキーブーツ。
【請求項9】
前記クラッチ部材は前記ロック位置とアンロック位置との間に前記主軸に沿う運動が、前記主軸に沿う並進滑り又は前記主軸に沿う回転滑りである、請求項8に記載のスキーブーツ。
【請求項10】
前記ロッキング部材は、前記アッパー右側部分又はアッパー左側部分に対して固定され、前記リールを回りに同軸に回転するロッキングスリーブをさらに備え、
前記ロッキングスリーブと前記リールとに、それぞれラチェットが設けられ、前記クラッチ部材には、ロック位置でそれぞれ前記ロッキングスリーブ及び前記リールに接合される第1ディテント及び第2ディテントが設けられ、
前記ロッキングスリーブのラチェットと前記リールのラチェットとは反対する方向に沿って設けられ、又は、前記第1ディテントと前記第2ディテントとは反対する方向に沿って設けられる、請求項9に記載のスキーブーツ。
【請求項11】
前記ロッキング部材は、前記クラッチ部材に取り付けられるディテント片をさらに備え、前記第1ディテントは、前記ディテント片に設けられる、請求項10に記載のスキーブーツ。
【請求項12】
前記主軸は、第2直径部分と、第3直径部分と、前記第2直径部分と第3直径部分との間に設けられる突出筋とを備え、前記突出筋は、前記第2直径部分及び第3直径部分よりも大きい直径を有し、ロック位置では、前記クラッチ部材は前記主軸の第2直径部分に位置し、前記アンロック位置では、前記クラッチ部材は前記主軸の第3直径部分に位置する、請求項10に記載のスキーブーツ。
【請求項13】
前記クラッチ部材には、前記クラッチ部材の、前記主軸における位置を確定するための位置決め機構がさらに設けられる、請求項12に記載のスキーブーツ。
【請求項14】
前記位置決め機構は、径方向に沿って前記クラッチ部材内に設けられるボールと、ボールを前記主軸に偏倚させる偏倚装置とを備える、請求項13に記載のスキーブーツ。
【請求項15】
前記クラッチ部材には、前記クラッチ部材を前記ロック位置にロックするためのロック機構がさらに設けられる、請求項12に記載のスキーブーツ。
【請求項16】
前記ロック機構は、径方向に沿って前記クラッチ部材内に設けられる内ボール、ロックピン及び外ボールと、前記クラッチ部材の外周に取付けることができるロッキングリングとを備え、前記ロッキングリングはロック位置とアンロック位置との間で移動でき、前記ロック位置では、前記ロッキングリングは、前記内ボール、ロックピン及び外ボールが径方向外方へ移動し前記突出筋を越えることを阻止し、アンロック位置では、前記阻止が解除される、請求項15に記載のスキーブーツ。
【請求項17】
前記ロッキング部材は、前記ハンドルに設けられる偏倚スプリングを備え、前記偏倚スプリングは前記ロッキングリングを前記ロック位置へ移動させる、請求項16に記載のスキーブーツ。
【請求項18】
前記ロック機構は、径方向に沿って前記クラッチ部材内に設けられる内ボール、ロックピン及び外ボールと、前記クラッチ部材の外周に取付けることができるロッキングリングとを備え、前記ロッキングリングはロック位置とアンロック位置との間で回動でき、前記ロック位置では、前記ロッキングリングは、前記内ボール、ロックピン及び外ボールが径方向外方へ移動し前記突出筋を越えることを阻止し、アンロック位置では、前記阻止が解除される、請求項15に記載のスキーブーツ。
【請求項19】
前記ロッキング部材は、前記ハンドルと前記ロッキングリングとの間に設けられる偏倚スプリングをさらに備え、前記偏倚スプリングは前記ロッキングリングを前記ロック位置へ偏倚させる、請求項18に記載のスキーブーツ。
【請求項20】
前記ロッキングリングは、前記クラッチ部材の外周に取り付けられるように円形状の開口を備え、前記円形状の開口の周辺には等間隔に複数のカム溝が設けられ、前記ロック位置では、前記内ボール、ロックピン及び外ボールは前記カム溝の最も浅い位置に合わせ、前記アンロック位置では、前記内ボール、ロックピン及び外ボールは前記カム溝の最も深い位置に合わせる、請求項18に記載のスキーブーツ。
【請求項21】
前記ロッキングリングは、前記円形状の開口の周辺に設けられる凹溝をさらに備え、前記クラッチ部材の外周面には突出ブロックが設けられ、前記突出ブロックは前記ロッキングリングの回動範囲を規制するように前記凹溝に挿入される、請求項20に記載のスキーブーツ。
【請求項22】
前記ハンドルはリング状であり、円周方向に等間隔に配置する複数のスポークを備え、前記複数のスポークのうちの少なくとも1つにはヒンジ結合される折り畳み取っ手が設けられ、前記折り畳み取っ手は、前記少なくとも1つの取っ手に折り畳み、又は、前記少なくとも1つの取っ手から展開することができる、請求項8に記載のスキーブーツ。
【請求項23】
前記スキーブーツはコントローラー及びセンサをさらに備え、前記センサは、前記スキーブーツを装着するスキーヤーの生命徴候を示す信号を検知するように構成され、前記コントローラーは、前記センサにより検知された信号を受信し、この信号に基づいて前記装着者の生命状態を確定するように構成される、請求項1に記載のスキーブーツ。
【請求項24】
前記コントローラーは、さらに前記センサにより検知された信号に基づいて、前記スキーヤーの生命状態を複数の種類のうちの1つに確定するように構成される、請求項23に記載のスキーブーツ。
【請求項25】
前記生命徴候は、スキーヤーの心拍、血圧、体温のうちの1つ又は複数を含む、請求項24に記載のスキーブーツ。
【請求項26】
前記コントローラーは、前記スキーヤーの生命状態は危急である場合、指定地点へ救難信号を送信するように構成される、請求項23または24に記載のスキーブーツ。
【請求項27】
前記指定地点は、複数の指定地点を含む、請求項26に記載のスキーブーツ。
【請求項28】
前記救難信号は、前記スキーヤーの生命徴候を示す信号を含む、請求項26または27に記載のスキーブーツ。
【請求項29】
前記コントローラーはさらに、前記スキーヤーの生命状態は自己回復可能な状態であると確定する場合、指定地点へ救難信号を送信せずに、且つ/又は、救護装置を起動させる、請求項24に記載のスキーブーツ。
【請求項30】
前記ロッキング部材は、
前記アッパー右側部分又はアッパー左側部分に固定されるベースと、
前記ベースに固定される主軸と、
順に前記主軸に回転可能に設けられるリール、リールカバー及びアンロックハンドルと、
前記リール、リールカバー及びアンロックハンドルが前記主軸から脱出することを防止するために主軸に接続されるロッキングキャップと、
前記リールカバーに接続されるハンドルと、を備え、
前記アンロックハンドルの回動により、前記リールカバーはロック位置とアンロック位置との間で運動でき、前記ロック位置では、前記リールカバーと前記リールとは接合され、前記リールと前記リールカバーとは共に回転できることが許容され、かつ、前記リールカバーは前記ベースに対して一方向のみに回動することが許容され、前記アンロック位置では、前記リールカバーと前記リールとは離間し、前記リールが前記主軸を回りに自在に回転することが許容される、請求項1至7のいずれか一項に記載のスキーブーツ。
【請求項31】
前記リールカバーは、前記ロック位置と前記アンロック位置との間の運動は、前記リールカバーが前記主軸に沿う軸方向移動である、請求項30に記載のスキーブーツ。
【請求項32】
前記ベースは円筒状であり、その一端の開口の内周面にはラチェットが設けられ、前記リールカバーには、前記ベースの開口内に延出される突出部が設けられ、前記突出部の外周面には一方向ラチェットが設けられ、かつ、前記一方向ラチェットは外方へ偏倚されて前記ベースのラチェットと噛み合い、前記ベースのラチェットの方向は、前記リールカバーが第1方向において前記ベースに対して回転可能、且つ、第1方向と反する第2方向において前記ベースに対する回転が阻まれるように構成される、請求項31に記載のスキーブーツ。
【請求項33】
前記突出部の一側の表面には歯が設けられ、前記リールの前記リールカバーと反対する表面にも歯が設けられ、前記ロック位置では、前記歯が互いに噛み合う、請求項32に記載のスキーブーツ。
【請求項34】
前記リールカバーと前記ロッキングキャップとの間にはロッキングサークリップが設けられ、前記ロッキングキャップは大径部と小径部とを備え、前記ロッキングサークリップは長楕円形状のリングであり、初期状態では前記大径部の直径よりも小さい直径を持つ短軸直径を有する、請求項33に記載のスキーブーツ。
【請求項35】
前記アンロックハンドルは、前記ロッキングサークリップ内に挿入されるアンロック突出ブロックを備え、前記アンロックハンドルが回動するときに、前記アンロック突出ブロックは前記ロッキングサークリップを前記大径部の直径よりも大きくするように広げる、請求項34に記載のスキーブーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はスキーブーツに関し、特にスキーヤーが着脱しやすく、かつ、生体検知システムが搭載されたスキーブーツに関する。
【背景技術】
【0002】
スキーブーツは、スキーに不可欠な道具である。しかし、伝統的なスキーブーツは重くて、スキーブーツを装着したスキーヤーの動きが不便になる。このため、スキーヤーが着脱しやすいスキーブーツに対するニーズがある。
【0003】
本出願人による以前の出願である国際特許出願PCT/CN2017/076921号においては、分割可能なハウジングを備えるスキーブーツが提出される。ここでは、援用により当該出願の内容を組み込む。
【0004】
なお、上記内容は、この部分に含まれたことにより従来技術として認識又は見なされるべきではない。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、スキーヤーが着脱しやすいスキーブーツを提供し、このスキーブーツは、装着者が危険にぶつかる(転倒する)場合、直ちに生体監視システムを起動させ、監視データを無線信号により所定位置、例えば、救急センター、装着者の緊急連絡先又は親族へ送信する。
【0006】
本発明の一形態によると、外靴と内靴とを備え、前記外靴は、一体化した靴底と、アッパー右側部分及びアッパー左側部分を有するアッパーと、を備え、前記アッパー右側部分とアッパー左側部分とは、前記靴底に対して開放状態と閉合状態との間で回動するように前記靴底にヒンジ結合され、前記外靴は、ロッキング部材及びロッキングワイヤをさらに備え、前記ロッキングワイヤは、前記アッパーの複数の位置で前記アッパーを取り巻き、前記ロッキング部材に巻込まれることで前記アッパー右側部分及び前記アッパー左側部分を前記閉合状態に保ち、前記ロッキング部材から繰り出されることで、前記アッパー右側部分と前記アッパー左側部分との前記開放状態への回動を許容するように構成される、スキーブーツが提供される。
【0007】
本発明により、アッパー左側部分及びアッパー右側部分を靴底に対して外方へ広げることで内靴を外靴に対して容易に進出させ、スキーヤーの歩きをしやすくする。また、必要に応じて、内靴を容易に外靴に挿入してハウジングを締付けることで、通常のスキーブーツと同様に利用できる。
【0008】
また、前記アッパーはトゥキャップ部分及びヒール部分をさらに備え、前記ヒール部分には、複数の位置決め溝又はリッブが設けられ、前記アッパー右側部分と前記アッパー左側部分とは、対応する位置に突起又は凹溝が設けられ、前記アッパー右側部分と前記アッパー左側部分とが前記閉合状態にある場合、前記位置決め溝又はリッブはそれぞれ前記突起又は凹溝に接合される。
【0009】
また、前記トゥキャップ部分には、複数の位置決め凹溜が設けられ、前記アッパー右側部分と前記アッパー左側部分とは、対応する位置に複数の突起が設けられ、前記アッパー右側部分と前記アッパー左側部分とが閉合状態にある場合、前記位置決め突起はそれぞれ前記位置決め凹溜に接合される。
【0010】
ヒール部分に設けられる位置決めリッブ、トゥキャップ部分に設けられる位置決め凹溜及び舌革部分に設けられる鋸状紋のうちの1つまたは任意の組み合わせにより、スキーブーツの外靴の側方向、前后方向の安定性を向上できる。
【0011】
また、前記舌革部分と前記トゥキャップ部分とのヒンジ結合箇所には、前記舌革部分を外方へ偏倚させるように偏倚装置が設けられる。好ましくは、この偏倚装置はねじりばねである。
【0012】
また、前記アッパー右側部分と前記アッパー左側部分とはそれぞれ前記靴底とヒンジ結合する箇所に偏倚装置がさらに設けられ、前記偏倚装置はそれぞれ前記アッパー右側部分及び前記アッパー左側部分を開放させる方向へ偏倚させる。好ましくは、この偏倚装置はねじりばねである。
【0013】
また、前記ロッキング部材は、
前記アッパー右側部分又はアッパー左側部分に固定される主軸と、
回転可能に主軸に設けられ、前記ロッキングワイヤが巻きつけられるリールと、
回動可能に前記主軸に設けられ、かつ、ロック位置とアンロック位置との間で前記主軸に沿って運動可能であるクラッチ部材であって、前記ロック位置では、第1方向にリールを回動駆動するように前記リールに接合され、リールが第1方向と反対する第2方向への回動を阻止するクラッチ部材と、
前記クラッチ部材に接続され、前記クラッチ部材が前記リールを回動させるように前記クラッチ部材を駆動するハンドルとを備える。
【0014】
また、前記ロッキング部材は、前記アッパー右側部分又はアッパー左側部分に対して固定され、前記リールを回りに同軸に回転するロッキングスリーブをさらに備える。
【0015】
また、前記ロッキングスリーブと前記リールとに、それぞれラチェットが設けられ、前記クラッチ部材には、ロック位置でそれぞれ前記ロッキングスリーブ及び前記リールに接合される第1ディテント及び第2ディテントが設けられる。
【0016】
また、前記ロッキングスリーブのラチェットと前記リールのラチェットとは反対する方向に沿って設けられ、又は、前記第1ディテントと前記第2ディテントとは反対する方向に沿って設けられる。
【0017】
また、前記ロッキング部材は、前記クラッチ部材に取り付けられるディテント片をさらに備え、前記第1ディテントは、前記ディテント片に設けられる。
【0018】
また、前記主軸は、第2直径部分と、第3直径部分と、前記第2直径部分と第3直径部分との間に設けられる突出筋とを備え、前記突出筋は、前記第2直径部分及び第3直径部分よりも大きい直径を有し、ロック位置では、前記クラッチ部材は前記主軸の第2直径部分に位置し、前記アンロック位置では、前記クラッチ部材は前記主軸の第3直径部分に位置する。
【0019】
また、前記クラッチ部材には、前記クラッチ部材の、前記主軸における位置を確定するための位置決め機構がさらに設けられる。
【0020】
また、前記位置決め機構は、径方向に沿って前記クラッチ部材内に設けられるボールと、ボールを前記主軸に偏倚させる偏倚装置とを備える。
【0021】
また、前記クラッチ部材には、前記クラッチ部材を前記ロック位置にロックするためのロック機構がさらに設けられる。
【0022】
また、前記ロック機構は、径方向に沿って前記クラッチ部材内に設けられる内ボール、ロックピン及び外ボールと、前記クラッチ部材の外周に取付けることができるロッキングリングとを備え、前記ロッキングリングはロック位置とアンロック位置との間で移動でき、前記ロック位置では、前記ロッキングリングは、前記内ボール、ロックピン及び外ボールが径方向外方へ移動し前記突出筋を越えることを阻止し、アンロック位置では、前記阻止が解除される。
【0023】
前記ロッキングリングの、ロック位置とアンロック位置との間の移動は、前記主軸に沿う並進滑り、又は、ロッキングリングの、ロック位置とアンロック位置との間での回転滑りである。即ち、回動によりロッキングリングをロック位置からアンロック位置への運動であり、逆にすれば同様である。これにより、ロットとアンロックとの切換が実現される。
【0024】
また、前記ロッキング部材は前記ハンドルに設けられる偏倚スプリングを備え、前記偏倚スプリングは前記ロッキングリングを前記ロック位置へ移動させる。
【0025】
上記構成により、ロッキング部材の体積を小さくするとともにロッキング部材の操作しやすさを確保し、外靴によい外観性を提供できる。
【0026】
前記スキーブーツは、コントローラー及びセンサをさらに備え、前記センサは、前記スキーブーツを装着するスキーヤーの生命徴候を示す信号を検知するように構成され、前記コントローラーは、前記センサにより検知された信号を受信し、この信号に基づいて前記装着者の生命状態を確定するように構成される。
【0027】
また、前記コントローラーは、さらに前記センサにより検知された信号に基づいて、前記スキーヤーの生命状態を複数の種類のうちの1つに確定するように構成される。
【0028】
また、前記生命徴候は、スキーヤーの心拍、血圧、体温のうちの1つ又は複数を含む。
【0029】
また、前記コントローラーは、前記スキーヤーの生命状態は危急である場合、指定地点へ救難信号を送信するように構成される
【0030】
また、前記指定地点は、複数の指定地点を含む。
【0031】
また、前記救難信号は前記スキーヤーの生命徴候を示す信号を含む。
【0032】
また、前記コントローラーは、前記スキーヤーの生命状態は自己回復可能な状態であると確定する場合、指定地点へ救難信号を送信せずに、且つ/又は、救護装置を起動させる。
【0033】
本発明のスキーブーツによると、スキーヤーが危険にぶつかる時、例えば、転倒する時に、自発的に所定場所へ救難信号を送信し、スキーヤーの身の安全性を向上させる。
【0034】
本開示内容の上記及びその他の特徴、メリット及び技術的な優位性は、下記図面に基づく本開示の好ましい実施形態に対する詳細な説明から理解される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1A】
図1Aは本開示内容の一実施例によるスキーブーツであって、閉合状態且つ内靴が省略されたスキーブーツを示す側面図である。
【
図1B】
図1Bは本開示内容の一実施例によるスキーブーツであって、閉合状態且つ内靴が省略されたスキーブーツを示す側面図である。
【
図2】
図2は
図1に示すスキーブーツの外靴を示す分解図である。
【
図3】
図3は
図2とは異なる角度から
図1に示すスキーブーツの外靴を示す分解図である。
【
図4】
図4は
図1Bに示すA-Aに沿って切断されたスキーブーツを示す図である。
【
図5B】
図5Aにおける線A-Aに沿って切断された側面図である。
【
図6A】
図6Aはスキーブーツの外靴が開放された状態での異なる角度からの斜視図である。
【
図6B】
図6Bはスキーブーツの外靴が開放された状態での異なる角度からの斜視図である。
【
図7】
図7は異なる角度から閉合途中のスキーブーツを示す斜視図である。
【
図8】
図8は
図1のスキーブーツに用いられるロッキング部材を示す分解斜視図である。
【
図10】
図10は
図8のロッキング部材におけるロッキングスリーブを示す斜視図である。
【
図13】
図13は
図8のロッキング部材におけるロッキングリングを示す斜視図である。
【
図17】
図17は本発明の別の実施例によるロッキング部材の分解斜視図である。
【
図19】
図19は
図17に示すロッキング部材がロック位置にある様子を示す平面断面図である。
【
図20】
図20は
図17に示すロッキング部材がアンロック位置にある様子を示す平面断面図である。
【
図21】
図21は本発明の第3実施例によるロッキング部材の分解斜視図である。
【
図22A】
図22Aはロッキング部材におけるリールカバーの2つ視角からの斜視図である。
【
図22B】
図22Bはロッキング部材におけるリールカバーの2つ視角からの斜視図である。
【
図23】
図23はロッキング部材のアンロックハンドルを示す斜視図である。
【
図24】
図24は当該ロッキング部材がロック状態にある様子を示す断面図である。
【
図25】
図25は当該ロッキング部材がアンロック状態にある様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下は、図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。ただし、以下の説明は単なる例示するためのものであり、本発明を限定するものではない。また、本発明はここで説明された好ましい実施形態に限らず、異なる形態で実施できることも当業者にとって明らかである。
【0037】
以下の説明においては、「前」、「後」、「左」、「右」などの方向的な技術用語は、スキーブーツの右靴が
図1に示すように置かれたときを基準とし、前方とは、靴のヒールからトゥキャップへの方向であり、後方は前方とは逆の方向であり、内方又は内側とは、靴の内側に向かう方向であり、即ち、装着者が靴を履いたときに靴の装着者の脚に接触する側であり、外方または外側とは、靴の内側から靴の外方に向かう方向であり、即ち、装着者が靴を履いたときに、装着者の脚から離れた側である。左方とは、左靴へ向かう後方であり、右方とは、左方とは逆の方向である。無論、これらの限定は、本願を分りやすく理解するためのものであり、本発明はこれに限らない。また、本願では、スキーブーツの右靴を例にして説明したが、スキーブーツとしては、左靴及び右靴を備え、左靴は、右靴のミラーイメージであり、ミラーイメージを呈する構成を有するため、スキーブーツの左靴にも同様な説明を均等に適用できることは理解できる。
【0038】
本発明において使われた「一実施例」又は「当該実施例」のような記載は、本発明の一実施例において説明された特徴がこの実施形態にしか適用されないことを意味せず、一実施形態の特徴を他の実施形態にも適用可能であり、又は、他の実施例における特徴と組合わせてさらに他の実施形態を取得可能であり、これらの全ての実施例は本発明の保護範囲に含まれる。
【0039】
スキーブーツは、外靴100と、内靴200とを含み、
図1に示すように、スキーブーツの外靴100は、靴底110と、アッパー120と、アッパー120上に設けられるロッキング部材130と、アッパーの複数の位置を巻きついたロッキングワイヤ140とを含む。
【0040】
靴底110は、靴底フレーム1101と、滑り止め材1102とを含み、当該滑り止め材1102は、靴底フレーム1101に固定されることにより、靴底110が雪地で歩けるための滑り止め要求を満たさせ、靴底の強度及び耐磨耗性を向上させる。
【0041】
アッパー120は、トゥキャップ部分121と、アッパー右側部分122と、アッパー左側部分123と、ヒール部分124と、舌革部分125とを備え、これらの図面に示すように、例えば、スキーヤーの操作を容易にするためには、ロッキング部材130はほぼ中間高さに位置するようにアッパー右側部分122に設けられても良い。
【0042】
図面に示すように、アッパー右側部分122とアッパー左側部分123とは、それらの底部で靴底110にヒンジ結合されることで、靴底110に対して開閉可能に構成される。
図1には、外靴100が閉合状態にある様子が示される。この状態では、スキーヤーは、スキーブーツをスキーボードに留めることで通常のスキーブーツと同様にスキー可能である。また、
図6A及び6Bに示すように、外靴100が開放状態にある。この状態では、アッパー右側部分122とアッパー左側部分123とは靴底に対して外方へ一定の角度で開かれ、スキーヤーが内靴を外靴に入れること、又は、外靴から内靴を取り出すこと、を許容する。これにより、例えば、スキーヤーがレスト域からスキー場へ向かう途中で、スキーヤーは内靴を履いたままで手で又はその他の方法で外靴を携帯できる。内靴は外靴よりも柔らかいため、スキーヤーは通常の靴を履いたときと同様に自由に歩ける。スキー場に着くと、スキーヤーは、外靴100が開いた状態で、内靴を履いた足を外靴100に入れることで、内靴をスキーボードに留めてスキー可能になる。一方、スキーが終わった場合、又は、スキー途中でしばらくスキー場を離れる場合、スキーヤーは簡単に外靴を開放状態にすることで内靴を履いた足を外靴から取り出す。これにより、他の活動を容易に行うことができる。
【0043】
図3に示すように、靴底110の両側には、ヒンジ部分1226,1236が設けられ、アッパー右側部分122及びアッパー左側部分123の底端には、対応するヒンジ部分1227,1237が設けられている。さらに、前記アッパー右側部分122及びアッパー左側部分123のヒンジ部分1227,1237を靴底110に設けられたヒンジ部分1226,1236に接続することでアッパー左側部分及びアッパー右側部分のヒンジ接続を構成するヒンジ軸1226及び1236が設けられる。
【0044】
図3を参照すると、アッパー左側部分123を容易に開かせるためには、アッパー左側部分123と靴底110とがヒンジで接続された位置の近くに設けられ、アッパー左側部分123を開口状態へ偏倚させる離間スプリング1234が設けられることが好ましい。同様に、アッパー右側部分122の対応する位置にも、離間スプリング1224が設けられる。
【0045】
前記アッパー右側部分122とアッパー左側部分123とは、ヒンジを介して靴底110に接続されたが、本発明はこれに限らない。他のあらゆる手段によりアッパー右側部分及びアッパー左側部分を靴底110にヒンジ結合し、アッパー右側部分とアッパー左側部分とを靴底110に対して開閉可能に構成することは当業者にとっては明らかなことである。
【0046】
本発明によると、アッパー右側部分122とアッパー左側部分123とを閉合状態に保つためには、ロッキング部材130及びロッキングワイヤ140がさらに設けられる。図面に示すように、ロッキングワイヤ140はロッキング部材130におけるリール(後述)から、アッパー右側部分122及びアッパー左側部分123の複数の位置を巻きついて、最終的にはロッキング部材130におけるリール(後述)に戻って巻きつけられる。これにより、ロッキング部材130のリールをまわすことで、ロッキングワイヤ140を締め付け、ロッキングワイヤ140がしっかりアッパー右側部分及びアッパー左側部分に巻き付けられ、アッパー右側部分及びアッパー左側部分を閉合状態に保つ。アッパー右側部分及びアッパー左側部分の複数の位置にロッキングワイヤ140をガイドし、かつ、そのロッキングワイヤが結びつく又はその他のものと干渉する(例えば、ストックに引っかかるなど)ことを防ぐために、アッパー右側部分122及びアッパー左側部分123には、ワイヤ導管141がさらに設けられる。このワイヤ導管141は、アッパー右側部分122又はアッパー左側部分123に一体に形成され、例えば、アッパーの材料内に通路を形成するものであってもよいし、別体の部材をアッパー110に固定するものであってもよい。
【0047】
アッパー120は、トゥキャップ部分121をさらに備え、このトゥキャップ部分121には舌革部分125がヒンジ結合され、この舌革部分125はトゥキャップ部分121にヒンジ結合された部分を回りに前方及び後方へ回動可能である。これにより、閉合状態では、舌革部分125はアッパー右側部分122及びアッパー左側部分123の下方に重ね合わせることが可能であり、開放状態では、舌革部分125は前方へ回動し、内靴を挿入又は取出すための空間がさらに大きく形成される。また、トゥキャップ部分121と舌革部分125とがヒンジ結合された箇所に偏倚装置(図示せず)、例えば、ねじりばねが設けられることが好ましい。これにより、舌革部分125を前方へ偏倚させることで、開放状態では、舌革部分125が自動的に前方、即ちトゥキャップ方向へ回動し、内靴を挿入又は取り出すための空間が形成される。
【0048】
アッパー120は、靴底110に固設されて内靴を支持するためのヒール部分124をさらに備える。つまり、このヒール部分124は開放状態及び閉合状態では固定されて動かず、閉合状態では、このヒール部分124はアッパー右側部分122及びアッパー左側部分123の下方に重合わせる。
【0049】
スキー中に、特にスキーヤーが何らの動作をする又は方向を変えるなどのとき、スキーブーツには相当な横方向力が付与されるため、このような横方向力は、アッパー右側部分及びアッパー左側部分をヒール部分などに対してオフセットさせ、例えば、上下方向にオフセットさせる。このような問題を克服し、かつ、アッパー右側部分122及びアッパー左側部分123の閉合時にアッパー右側部分122及びアッパー左側部分123の位置を維持するためには、本実施例によると、固定装置が設けられている。
【0050】
図3からはっきり示されるように、この固定装置は、ヒール部分124に設けられる位置決め部1241を含み、この位置決め部1241はヒール部分124に沿って設けられ、この位置決め部1241から所定の間隔をおいて対向する2つの方向に複数の位置決め溝1242が形成される。この位置決め溝1242に嵌合するためには、アッパー右側部分122及びアッパー左側部分123の後縁には対応する複数の突起1221,1231が設けられる。
図3に示すように、アッパー右側部分122及びアッパー左側部分123が閉合されたときに、前記複数の突起1221,1231はそれぞれ位置決め溝1242に噛合わせ、これにより、アッパー右側部分122及びアッパー左側部分123が上下にオフセットすることを防止する。
【0051】
以上は、位置決め部に位置決め溝が形成され、アッパー部分に突起が形成されることを説明したが、このような配置を逆にしても本発明の目的から外れることはない。
【0052】
好ましくは、この固定装置はトゥキャップ部分121の縁部に設けられる複数の位置決め凹溜1211を含み、この位置決め凹溜1211に対応してアッパー右側部分122及びアッパー左側部分123の前縁にはそれぞれ複数の突条1222,1232が設けられる。アッパー右側部分122とアッパー左側部分123とが閉合するときに、この突条1222,1232はぞれぞれ前記位置決め凹溜1211に結合され、これにより、アッパー右側部分122とアッパー左側部分123とが上下にオフセットすることを防止する。
【0053】
以上は、位置決め凹溜がトゥキャップ部分に設けられ、突起がアッパー部分に設けられることを説明したが、このような配置を逆にしても本発明の目的から外れることはないことは、当業者にとっては明らかなことであるため、本発明の保護範囲に含まれる。
【0054】
図5A〜
図5Cを参照しながら、上記外靴100に用いられる内靴200を簡略に説明する。
【0055】
内靴200は、異なる柔軟なパッキング材を含むことで、保温性、防水性及び履き心地を確保する。しかし、内靴の靴底は、比較的に硬いゴム又は複合材料により形成されてもよい。これにより、内靴は、単独で着用されて雪又は路面での歩きを可能にする。外靴100内での内靴200のガタつきを防ぐためには、
図4及び
図5A〜5Cのように、内靴200の靴底の両側には凹溝201が形成され、これに対応して、外靴100のアッパー右側部分122及びアッパー左側部分123の下部の対応する位置に、突条1222,1223が形成され、アッパー右側部分122とアッパー左側部分123とが閉合された場合、この突条1222,1223がこの凹溝201に圧入され、これにより外靴100内での内靴200のガタつきを防止する。
【0056】
又は、外靴のアッパー左側部分123及びアッパー右側部分122の内側には凸台1238,1228が形成され、これにより、アッパー左側部分123とアッパー右側部分122とが閉合された場合、この凸台1238,1228が内靴の靴底に押さえられ、内靴の移動が防止される。
【0057】
又は、内靴の靴底表面には突条(図示せず)がさらに形成されていてもよい。この突条が外靴の靴底のフレームに形成された空間に嵌合可能であり、これにより、外靴100内での内靴200のガタつきがさらに防止される。
【0058】
以下は、
図8〜
図15を参照しながら、本実施例のロッキング部材130を説明する。
【0059】
図8を参照すると、
図8にはロッキング部材130を示す分解斜視図が示される。このロッキング部材130は固定片1を含み、この固定片1は外靴100のアッパー右側部分122の内側に設けられ、アッパー右側部分122の外側に設けられたロッキングスリーブ2とともにアッパー右側部分の材料を挟み込み、かつ、例えば、リベット又はビスによりロッキングスリーブ2とともに締付けられ、ロッキングスリーブ2をアッパー右側部分に固定する。例えば、
図8に示すように、この固定片1及びロッキングスリーブ2の底部にはそれぞれ複数(図面においては3つ)の孔12,23が設けられ、リベット又はビス(図示せず)が対応する孔及びアッパー右側部分122の材料を貫通してカシメされ、これにより、ロッキングスリーブ2がアッパー右側部分に固定される。
【0060】
図10を同時に参照すると、固定片1はその中心部にさらに貫通孔11を備える。ロッキングスリーブ2の内側の底部には環形状のボス23が形成され、ボス23の内部にキー溝24が設けられ、このロッキングスリーブ2の底部の中心部にも貫通孔22が設けられる。
図9A及び9Bに示すように、主軸20はその一端部に2つの突起21が形成され、この2つの突起を上記キー溝24に挿入することで、主軸20の移動が阻止される。ビス(図示せず)は固定片1の一側からそれぞれ固定片1の貫通孔、アッパー右側部分の材料及びロッキングスリーブ2の底部の貫通孔22を貫通して主軸の端部のねじ穴にねじ込まれ、これにより、主軸20をロッキングスリーブ2に固定するとともに、この主軸20をロッキングスリーブ2に対して回動不能にする。
【0061】
図9A及び
図9Bに示すように、主軸20は、第1直径部分22と、第2直径部分23と、突出筋24と、第3直径部分25と、端部カバー26と、を備える。
【0062】
図11に示すように、リール3とロッキングスリーブ2とはロッキングスリーブ2内に同軸に設けられ、このリール3は回転可能に主軸20の第1直径部分22に取り付けられることで、必要に応じてこのリール3を回動させ、ロッキングワイヤ140を巻き込むことができる。このリール3はその外周に2つのワイヤ溝31,32が備えられ、ロッキングワイヤ140の2つの端部はそれぞれ2つのワイヤ溝31、32内に固定され、リール3の回転に伴いロッキングワイヤ140を巻き込み、又は、繰り出すことができる。
【0063】
図10及び11に示すように、ロッキングスリーブ2の縁部にはラチェット21が形成され、そのリール3の外面にも全周にわたってラチェット33が設けられる。リール3がロッキングスリーブ2内に収納された場合、ラチェット21とラチェット33とはほぼ同一の平面に位置する。また、前記リール3におけるラチェット33とロッキングスリーブ2の縁部のラチェット21とは互いに反対する方向へ傾斜してもよい。
【0064】
主軸20にはクラッチ部材5が回転可能かつ軸方向へスライド可能に設けられ、具体的には、クラッチ部材5は中心貫通孔53を備え、この中心貫通孔53には主軸20が貫通され、クラッチ部材5が主軸20の第2直径部分から突出筋24を越えて第3直径部分25までスライドでき、逆にすれば同様である。
図12A〜12Cに示すように、クラッチ部材5はリール3に面する第1端面にディテント51が設けられ、このディテント51の配置位置はラチェット33と噛み合うようにラチェット33の位置に対応する。また、この第1端面にはディテント片4(
図8参照)が設けられ、例えば、外周の4つの孔はビスによってクラッチ部材5に締付けられる。このディテント片4はロッキングスリーブ2と類似する直径を有し、その外周の辺には4つのディテント41が設けられ、この4つのディテント41はロッキングスリーブ2のラチェット21に噛み合うことができる。これにより、クラッチ部材5が主軸20に沿って第2直径部分23から第3直径部分25へのスライドに伴い、ディテント51及びディテント41はそれぞれラチェット33及びラチェット21から離脱し、クラッチ部材5が主軸20に沿って第3直径部分25から第2直径部分23へのスライドに伴い、ディテント51及びディテント41はそれぞれラチェット33及びラチェット21に噛み合う。なお、本実施例において、ディテント41及びディテント51はそれぞれディテント片41及びクラッチ部材5に設けられてディテント片41がクラッチ部材5に取り付けられたが、本発明によると、ディテント片を省略し、クラッチ部材5に2つのディテント41,51を形成しても構わず、これも本発明の範囲に含まれる。
【0065】
クラッチ部材5が主軸での位置を確認でき、かつ、クラッチ部材5の位置が移動した感覚をスキーヤーに与えるために、
図12Cに示すように、クラッチ部材5は外周に沿って等間隔に通路52が形成され、この通路52はクラッチ部材5の外周面から径方向に沿ってクラッチ部材5の中心貫通孔53まで延出される。
図12Cに示すように、合計6つの通路52が設けられる。この6つの通路52のうち、1つの通路52おきに、即ち、円周に等間隔の3つの通路に位置決め機構が設けられ、この位置決め機構は、ボール61と、スプリング62と、トップネジ63とを備え、このトップネジ63は、例えば、例如ねじにより通路52に固定され、スプリング62によりボール61を主軸20の外周に押し付けることで、クラッチ部材5が主軸20における位置が変わらないことを確保する。これにより、クラッチ部材5が主軸20の第2直径部分から第3直径部分へスライドする途中で、主軸の突出筋24を通過するときに、ボール61がスプリング62を圧縮し、この突出筋24を通過した後、スプリング62が復元し、「ガタ」という感覚が発生する。
【0066】
クラッチ部材5にはロック機構がさらに設けられ、このロック機構は、位置決め機構が存在しない他の3つの通路52内のロッキングシステム及びロッキングリング8を備え、ロッキングシステムは内ボール71、ロックピン72及び外ボール73を備える。
図13に示すように、ロッキングリング8は環形状なものであり、クラッチ部材5の外周に取り付けられ、ロック位置とアンロック位置との間で移動できる。具体的には、
図15A〜15Cを参照すると、ロック位置では、ロッキングリング8がクラッチ部材5に取付けられ、ロッキングリング8のロッキングリング面81は外ボール73の外側に位置することで、ロッキングシステムが通路52に沿って外方へ移動することが阻止される。このように、クラッチ部材5は、例えば、第2直径部分から第3直径部分へスライドしようとする時、ロッキングシステムの内ボール71、ロックピン72及び外ボール73がロッキングリング8のロッキングリング面81によって阻まれたため、外方へ移動することができない。これにより、内ボール71が主軸20の突出筋24によって阻まれたため、突出筋24を越えることができず、クラッチ部材5全体は主軸20の軸方向に沿って移動することができない。一方、ロッキングリング8が主軸20に沿って外方へスライドされる(本実施例では、第3直径部分の方向へスライドされる)ことにより、ロッキングリング面81が阻まれた位置から離れると、
図16A〜16Cを参照すると、ロッキングシステムが阻まれなくなり、ロッキングシステムが外方へスライドする。このため、クラッチ部材5は突出筋24を越えて主軸20の第3直径部分25まで移動できる。
【0067】
クラッチ部材5はさらにビス(図示せず)を介してハンドル30(
図14参照)に接続され、ロッキングリングがクラッチ部材5とハンドル30との間に設けられる。ハンドル30は内側の面、即ち、クラッチ部材に面する一側面には板ばね9が設けられ、この板ばね9はロッキングリング8をそのロック位置に偏倚させる。ハンドル30はスキーヤーにとって持ちやすい3つの葉片状取っ手31を備える。また、その3つの取っ手31の1つでは、ハンドル30を容易に回すためのレバー32(
図1参照)が設けられても良い。
【0068】
主軸20は、主軸20に設けられた各部品が主軸20から外れることを防止する端部カバー26をさらに備える。
【0069】
以下は、
図15A〜16Bを参照しながら、ロッキング部材及び外靴の動作を説明する。
【0070】
外靴100が開放された状態では、スキーヤーは内靴を外靴に挿入可能であり、内靴200が所定位置まで挿入されると、スキーヤーはクラッチ部材5をロック位置、即ち、主軸20の第2直径部分にスライドさせ、例えば、第1方向に沿ってハンドル30を回す。このとき、ロッキングリング8は板ばね9によってロック位置(
図15A及び15B参照)に偏倚され、クラッチ部材5は主軸20の第2直径部分にあるとともに、クラッチ部材5のディテント51とリール3のラチェット33とは噛み合い、ディテント片4におけるディテント41とロッキングスリーブ2のラチェット21とは噛み合う。しかし、ラチェット33とラチェット21とは方向が逆であるため、ハンドル30をまわすときに、ディテント51はリール3を第1方向に回動させる一方、ディテント41はロッキングスリーブ2のラチェット21に引っかからないようにスライドする。これにより、回動するリール3はロッキングワイヤ140を巻き込み、外靴100のアッパー右側部分122及びアッパー左側部分123を閉合状態に締め付ける。ディテント41はロッキングスリーブ2のラチェット21と噛み合うため、スキーヤーがハンドル30を解放しても、クラッチ部材5が第1方向と反対する第2方向に回動することを抑制でき、リール3が第2方向に沿って回動することによるロッキングワイヤ140の緩みを抑制できる。
【0071】
スキーヤーは外靴100を脱ごうとするときに、ロッキングリング8を握ってそのロッキングリング8を外方へ引っ張る。これにより、ロッキングリング8は板ばね9の弾性力を抗してアンロック位置に引っ張られる。
図16A及び16Bに示すように、この状態では、クラッチ部材5のロッキングシステムに対するロックが解放され、クラッチ部材5はハンドル30とともに外方へ引っ張られ、クラッチ部材5のディテント51と、ディテント片4のディテント41とは、それぞれリール3におけるラチェット33及びロッキングスリーブ2におけるラチェット21から離脱し、リール3は自由に回動できるようになる。また、アッパー右側部分122及びアッパー左側部分123の離間スプリングの力により、アッパー右側部分122及びアッパー左側部分123が開放状態に回動し、スキーヤーは内靴200を容易に取り外すことができる。
【0072】
以上はロッキングリング8を引っ張ることでロッキング部材のロック及びアンロックを行う実施例を説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、ロッキングリング8は、位置とアンロック位置との間に回動可能に設けられることでロッキング部材をロック/アンロックロックしてもよい。以下は図面を参照しながら本発明の別の実施例のロッキング部材を説明する。この別の実施例において、前記実施例と同一又は類似な構成に同じ符号を付け、重複な説明を省略する。
【0073】
図17は本発明の第2実施例によるロッキング部材の分解斜視図であり、
図18はロッキングリングの斜視図である。
【0074】
図17に示すロッキング部材は、ロッキングリング8’が回転式のロッキングリングである点以外では、
図8に示すロッキング部材とはほぼ同じであるため、以下は、この第2実施例の相違点のみを説明する。
【0075】
図18A及び18Bを結合して
図17を参照する。
図17に示すように、固定片1はスリーブ状に形成され、ロッキングスリーブ2がこの固定スリーブ1に挿入され、ボスによりロッキングスリーブ2を回転不能に規制する。固定スリーブ1の円周壁には2つの凹み口が対向して設けられ、これにより、ワイヤの巻き込み及び引き出しを許容する。また、補強リング4がさらに設けられ、この補強リング4を固定スリーブ1に留ることで、この凹み口を密閉し、スリーブ1の構造を補強する。
【0076】
ロッキングリング8’はほぼクローバーの形状であり、中間に円形状の開口を有するため、このロッキングリング8’はクラッチ部材5の外周に取り付けられ、クラッチ部材5の外周を回りに回動するようになる。
図18に示すように、この円形状の開口の円周には、複数(図面では3つ)の凹溝81が設けられ、ロッキングリング8’がクラッチ部材5に取り付けられたときに、クラッチ部材5の外周面における柱状ボス(図示せず)は、凹溝81に挿入されてもよい。これにより、ロッキングリング8’が回動するときに、この柱状ボスは凹溝81内に移動し、ロッキングリング8’の回動範囲を規制できる。また、クラッチ部材5におけるロッキングシステムに対応して、ロッキングリング8’の円周には複数のカム溝82が等間隔に形成され、ロッキングリング8’の回動に伴い、クラッチ部材5のロッキングシステムの外ボール73はカム溝82に沿ってスライド可能である。円形状の開口の円周には複数のボス83が形成され、ロッキングリング8’がクラッチ部材5の外周に取り付けられた後、前記ボス83はハンドル30に対向する。また、ハンドル30の対応する位置にもボス(図示せず)が形成され、これにより、ハンドルのボスとロッキングリング8’のボスとの間にスプリング84を配置可能であり、このスプリング84はロッキング部材をロック位置へ偏倚する。
【0077】
以下は、
図19及び20に基づいて本実施例のロッキング部材の動作を説明する。
図19に示すように、ロッキングリング8’がロック位置にあり、この位置では、スプリング84の偏倚により、ロッキングリング8’はその円形状の開口の周辺のカム溝82のもっとも浅い位置に保持されてクラッチ部材5のロッキングシステムのロック位置に当接する。これにより、前記実施例において説明されたように、ロッキングシステムの内ボール71、ロックピン72及び外ボール73が当接されて外方へ移動できず、クラッチ部材5は主軸20に沿って移動できなくなる。スプリング84の偏倚力を抗してロッキングリング8’を回す場合、
図20に示すように、ロッキングシステムの外ボール73はロッキングリング8’のカム溝82に沿って移動させてカム溝82のもっとも深い部分に進入する。このとき、ロッキングシステムの内ボール71、ロックピン72及び外ボール73は外方へ移動可能であり、クラッチ部材5への閉鎖が解除される。これにより、前記した実施例において説明されたように、クラッチ部材5は主軸20に沿って移動可能であり、ロッキング部材が解放されるようになる。
【0078】
また、
図17に示すように、ハンドル30は円形状であり、例えば、3つのスポーク31を備える。そのうちの1つのスポーク31には折り畳み取っ手311が備えられ、この折り畳み取っ手311はヒンジ軸を介してハンドル30の1つの取っ手31に接続され、この折り畳み取っ手311の自由端には握り部分312が設けられている。非使用の時、折り畳み取っ手311はハンドル30の取っ手31に折畳可能で、握り部分312は他のものと干渉しないように、この取っ手31に形成された穴に挿入可能である。使用の時、折り畳み取っ手311を展開させ、握り部分312によりハンドル30を回すことが可能である。
【0079】
折り畳み取っ手311を採用することで、非使用の時は、他のもの(又はワイヤなど)と干渉しないように、ハンドル30に折り畳むことができるとともに、使用の時はハンドル30の外に展開可能であるため、ハンドル30を回すモーメントが向上させ、スキーブーツの外靴の閉合が容易になる。
【0080】
以下は、
図21〜
図25を参照しながら本発明の第3実施例のロッキング部材を説明する。そのうち、
図21は本発明の第3実施例のロッキング部材の分解斜視図であり、
図22A及び22Bはロッキング部材におけるリールカバー4の2つ視角からの斜視図である。
図23はロッキング部材のアンロックハンドル8の斜視図である。
図24はこのロッキング部材のロック状態を示す断面図である。
図25はこのロッキング部材のアンロック状態を示す断面図である。
【0081】
図21に示すように、ロッキング部材は、ベース1、主軸21、リール3、リールカバー4、アンロックハンドル8、ロッキングキャップ22及びハンドル30を備える。このベース1は、例えば、リベットなどによりアッパーの一側に固定される。
図24及び25を参照すると、ベース1は密閉した筒状に形成され、その開口縁の内周面にはラチェット11が設けられる。この主軸21は例えば、固定ビス20によりこのベースの底壁に直交するようにベースの底壁に固定される。このリール3は回転可能に主軸21に設けられ、ベース1に収納される。このリールカバー4は前記リール3をカバーし、回転可能かつ軸方向に沿って移動可能に主軸21に取り付けられる。このアンロックハンドル8は回転可能に前記主軸21に取り付けられる。このロッキングキャップ22は、前記主軸21に設けられるリール3、リールカバー4及びアンロックハンドル8が主軸21から脱出することを防止するように、主軸21の固定ビス20に結合する端部と反対する端部に接続される。このハンドル30は例えば、ビス91により前記リールカバー4に接続される。
【0082】
図21に示すように、リール3は線軸形状に形成され、外周面に形成されるワイヤ巻き溝31と、リール3の外側面(スキーブーツから離れた側)における歯32とを備える。
【0083】
図22A及び22Bを参照すると、リールカバー4はほぼ王冠状であり、ベース1の開口では、その内側(即ち、スキーブーツに面する側)の表面には突出部44が設けられ、この突出部44の表面には歯42が形成される。ロッキング部材がロック位置に位置する場合、この歯42はリール3の歯32と噛み合うことで、リール3を回動させる。また、この突出部44の外周の複数の位置(図面では3つの位置)に凹み部45が形成され、ラチェット6がそれぞれこの凹み部45に設けられ、スプリング7によって外方へ偏倚されることで、リールカバー4がベース1の開口をカバーするときに、ラチェット6はそれぞれベース1のラチェット11と噛み合い、一方向のラチェット構造が形成される。具体的には、ベース1のラチェット11の方向は、リールカバー4がベース1に対して第1方向(例えば、時計方向)へ回転する時に、ラチェット11がラチェット6を押し付けることで、ラチェット6がスプリング7の偏倚力を抗して凹み部45に戻り、リールカバー4がベース1に対して回転できるように形成される。また、ベース1のラチェット11の方向は、リールカバー4がベース第1方向と反対する第2方向(例えば、反時計方向)へ回転する時に、スプリング7の偏倚力により、ラチェット11とラチェット6とは噛み合い、ベース1に対するリールカバー4の回動を抑制する。
【0084】
図22Aに示すように、リールカバー4の外側(スキーブーツから離れた側)の表面には突出ブロック41が設けられ、ロッキングサークリップ5はこの突出ブロック41に取り付けられる。
【0085】
図21に示すように、ロッキングサークリップ5はほぼ長楕円状のリングであり、その短軸方向の直径は、その長軸方向の直径よりも遥かに小さくなる。
【0086】
リールカバー4の外周には3つの耳部43がさらに設けられ、各耳部43には、ねじ孔が形成される。このねじ孔に固定ビス91が結合されることで、ハンドル30とリールカバー4とを接続することが可能であり、ハンドル30はリールカバー4とともに回転できるようになる。
【0087】
リールカバー4の外側には、主軸21回りにアンロックハンドル8がさらに設けられ、
図23に示すように、アンロックハンドル8は中央円板81及び中央円板81から径方向に沿って等間隔に外方へ延出する3つのブランチ82を備え、この3つのブランチ82の外端面には握りをやすくするための模様821が形成される。アンロックハンドル8の中心円板81の内側の表面には、2つのアンロック突出ブロック83が対向して設けられ、ロッキング部材に組み付けられた後、このアンロック突出ブロック83は、ほぼ楕円形状のリングのロッキングサークリップ5の内側に挿入される。
【0088】
ロッキングキャップ22は主軸21の外側端部に接続され、リール3、リールカバー4及びアンロックハンドル8が主軸21からの脱出を防止する。ロッキングキャップ22は小径部221と大径部222とを備え、小径部221はロッキングサークリップ5の長楕円形状のリングの内側に挿入される。初期状態では、小径部221は、ロッキングサークリップ5の短軸方向の直径が大径部222の直径よりも短いので、大径部222の端面に当接する。
【0089】
以下は、
図24及び25に基づき、本願第3実施例のロッキング部材の動作手順を説明する。
【0090】
図24に示すように、
図24にはロック状態のロッキング部材が示されている。ロック状態では、リールカバー4がベース1の開口をカバーし、リールカバー4の歯42とリール3の歯32とは噛み合いとともに、リールカバー4に設けられる一方向ラチェット6とベース1のラチェット11とは噛み合う。このとき、ロッキングサークリップ5は初期状態にあるため、ロッキングサークリップ5の短軸方向の直径はロッキングキャップ22の大径部222の直径よりも小さくなり、ロッキングキャップ222の大径部222によって外側への移動が阻止され、リールカバー4とリール3との噛み合い及びリールカバー4とベース1との噛み合いが保持される。この状態では、ワイヤの巻込み方向(例えば、時計方向)へハンドルを回すことで、リールカバー4がベース1に対して回転し、リール3をワイヤの巻込み方向に沿って回動させてワイヤを巻き込み、ひいてはスキーブーツを締付ける。また、リールカバー4に設けられる一方向ラチェット6とベース1におけるラチェット11とは一方向の回転機構を形成することで、リール3とリールカバー4との反対方向への回動を阻止でき、ワイヤの緩みひいてはスキーブーツの緩みを防止できる。
【0091】
スキーヤーは、例えば、スキーブーツを脱ごうとするときに、ワイヤを緩めるためには、ロッキング部材をアンロック状態にする必要がある。この場合、スキーヤーはアンロックハンドル8を回し、アンロックハンドル8のアンロック突出ブロック83はロッキングサークリップ5の内側で回動し、ロッキングサークリップ5の短軸方向の開口は大径部222の直径よりも大きくするようにロッキングサークリップ5を広げ、リールカバー4の軸方向移動が阻止されなくなる。これにより、リールカバー4は外側へ移動可能で、リールカバー4の歯42とリール3の歯32とは離間させ、リール3は回転自在になる。アッパー右側部分122及びアッパー左側部分123の離間スプリングの力により、アッパー右側部分122とアッパー左側部分123とは開放状態へ回転し、スキーヤーは内靴200を容易に取り外すことができるようになる。また、スキーブーツにコントローラーがさらに設けられ、前記コントローラーはセンサを備え、又は、センサに通信可能に接続される。このセンサは、スキーブーツの内側でスキーヤーがスキーブーツを履いているときにスキーヤーの足の動脈に接触する位置に設けられる。これにより、スキーヤーの生命徴候、例えば、心拍、血圧、体温などを示す信号を取得し、取得された信号をコントローラーに送信する。
【0092】
前記コントローラーはセンサにより取得された信号に基づいてスキーヤーの状態を確定する。例えば、前記コントローラーはセンサからの信号と予め設定された許容範囲とを比較し、スキーヤーの心拍、血圧及び体温のうちの1つ又は複数は許容範囲にあるかどうかを確認する。前記比較により前記スキーヤーの心拍、血圧及び体温のうちの1つ又は複数は許容範囲外にあると確定するとき、前記コントローラーが警報信号を発する。前記警報信号は例えば、音、光などの信号を含む。あるいは、前記比較により前記スキーヤーの心拍、血圧及び体温のうちの1つ又は複数が許容範囲外にあることを確定する場合、前記コントローラーは、例えば、内蔵する又はそれに接続する通信モジュールを介して指定地点へ救難又は警報信号を送信する。前記送信は、例えば、WiFi、NFC、Bluetooth、4G又は5Gなどの無線通信によって行われる。
【0093】
また、前記スキーブーツは傾斜センサを備えても良い。これにより、前記スキーブーツの向き、ひいてはスキーヤーの姿勢を確認でき、前記スキーブーツの傾斜角度がある閾値以上の状態が所定時間継続すると、前記コントローラーは前記センサを動作させ、スキーヤーの生命徴候を示す信号を検知する。
【0094】
また、前記コントローラーは前記センサから取得された、スキーヤーの生命徴候を示す信号に基づいてスキーヤーの状態を確認し、そのスキーヤーの状態を4つの種類を分類する。例えば、第1種類は、危急状態であり、この状態では、スキーヤーが大きく脅かされ、直ぐに治療される必要があるため、コントローラーは通信モジュールを制御し、指定地点、例えば、救急センター及び/又はスキーヤーの緊急連絡先へ緊急救難信号を送信する。第2種類は、緊急状態であり、この状態では、救助又は他人からの助けが必要とされているが、危急状態のように緊切ではない。第3種類は危険状態であり、この状態では、スキーヤーは、危険に瀕するが、自己回復する可能性があるため、コントローラーはしばらく救難信号を送信せず、ある時間後に再びスキーヤーの状態を確認し、2回の状態ではともにスキーヤーの生命徴候は比較的に危ないと判断するときに、指定地点へ救難信号を送信すればよい。第4種類は、自己恢復状態であり、この状態では、コントローラーは救難信号を送信せず、スキーヤーの自己恢復を待たせばよく、それと同時に、コントローラーはスキーヤーの生命徴候を引き続き検知し、又は、例えばスキーウェアなどに設けられた救護装置(例如、加温装置)を動作させ、スキーヤーの自己恢復を促進してもよい。
【0095】
以上は図面に基づき本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明は上記好ましい実施例の詳細構成に限らず、当業者は本発明の教示に基づいて、様々な修正や変更などを加えることは可能である。例えば、上記実施例において、リールが一方向のみに駆動され、かつ、他の方向にロックされた機能を実現するためには、ロッキングスリーブのラチェットとリールのラチェットとは逆方向である。実際に、同様な一方向駆動の機能を実現するためには、この2つのラチェットの方向を一致させ、この2つのラチェットに係合するディテントを互いに逆方向の形にしても構わない。
【0096】
以上は、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、当業者は上記記載に基づいて、さまざまな改良及び変更を想到できる。このため、本発明は上記した具体的な実施形態に限らず、本発明の保護範囲は、添付した請求の範囲及びその均等物によって限定される。
【符号の説明】
【0097】
1 スリーブ
2 ロッキングスリーブ
3 リール
4 ディテント片
5 ロッキングサークリップ
6 ラチェット
7 スプリング
8 アンロックハンドル
8’ ロッキングリング
11 貫通孔
20 主軸
21 突起
22 第1直径部分
23 第2直径部分
24 突出筋
25 第3直径部分
26 端部カバー
30 ハンドル
31 スポーク
32 ワイヤ溝
33 ラチェット
41 ディテント
42 歯
43 耳部
44 突出部
45 凹み部
51 ディテント
52 通路
53 中心貫通孔
61 ボール
62 スプリング
63 トップネジ
71 内ボール
72 ロックピン
73 外ボール
81 凹溝
82 ブランチ
83 ボス
83 アンロック突出ブロック
84 スプリング
91 ビス
100 外靴
110 靴底
110 アッパー
120 アッパー
121 トゥキャップ部分
122 アッパー右側部分
123 アッパー左側部分
124 ヒール部分
125 舌革部分
130 ロッキング部材
140 ロッキングワイヤ
141 ワイヤ導管
200 内靴
201 凹溝
221 小径部
222 大径部
222 ロッキングキャップ
311 手
312 部分
1101 靴底フレーム
1102 材
1211 凹溜
1221 突起
1222 突条
1223 突条
1224 離間スプリング
1226 ヒンジ軸
1227 ヒンジ部分
1228 凸台
1231 突起
1232 突条
1234 離間スプリング
1236 ヒンジ軸
1237 ヒンジ部分
1238 凸台
【国際調査報告】