(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-514870(P2021-514870A)
(43)【公表日】2021年6月17日
(54)【発明の名称】3Dセラミック構造
(51)【国際特許分類】
B28B 1/30 20060101AFI20210521BHJP
C04B 41/87 20060101ALI20210521BHJP
【FI】
B28B1/30
C04B41/87 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-545516(P2020-545516)
(86)(22)【出願日】2019年2月14日
(85)【翻訳文提出日】2020年8月31日
(86)【国際出願番号】EP2019053695
(87)【国際公開番号】WO2019166231
(87)【国際公開日】20190906
(31)【優先権主張番号】18305226.5
(32)【優先日】2018年3月2日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】319006807
【氏名又は名称】イメルテック ソシエテ パル アクシオン サンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ガスニエ ジル
(72)【発明者】
【氏名】マリスィロウ エリク
【テーマコード(参考)】
4G052
【Fターム(参考)】
4G052DA05
4G052DB12
4G052DC06
(57)【要約】
本発明は、セラミック混合物の1つまたは複数の層を備えた3D構造を、セラミック基板上に付加することによって、3Dセラミック構造を成形する方法に関する。本発明は、3Dセラミック構造ならびに未加工3Dセラミック構造にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)未加工のセラミック基板を用意するステップ、
b)セラミック混合物の1つまたは複数の層を備えた3D構造を、ステップa)のセラミック基板上に付加するステップ、および
c)ステップb)の生成物を乾燥および/または焼成するステップ
を含み、
セラミック混合物が、セラミック材料と1種または複数の溶媒とを含み、セラミック混合物の乾燥収縮が、セラミック基板の乾燥収縮よりも5%以下高くかつ5%以下低い、
3Dセラミック構造を成形する方法。
【請求項2】
セラミック混合物の焼成収縮が、セラミック基板の焼成収縮よりも1.5%以下高くかつ1.5%以下低い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
セラミック混合物の熱膨張係数が、セラミック基板の熱膨張係数よりも5%以下高くかつ5%以下低い、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
セラミック混合物用のセラミック材料が、磁器、せっ器、溶化磁器、陶器、ボーンチャイナ、コーディエライト、ムライト、ステアタイト、アルミナ、酸化物をベースにしたセラミック、炭化ケイ素および炭化物をベースにしたセラミック、窒化物をベースにしたセラミック、およびこれらの組合せから選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
セラミック材料が、約0.5μm〜約500μmの範囲内の中央粒径d50を有するセラミック粒子を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
セラミック混合物用の1種または複数の溶媒が、水および/または1種もしくは複数の有機溶媒から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
セラミック混合物が、セラミック混合物の全質量に対して約15〜約30質量パーセントの溶媒含量を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
セラミック混合物が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ(エチレンオキシド)、多糖、ペクチン、アクリル樹脂、アクリル源のホモポリマーまたはコポリマーから選択される結合剤を、好ましくはセラミック混合物の全質量に対して約0.1〜約10質量パーセントの量で含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
セラミック混合物が、約10Pa・秒〜約500Pa・秒の粘度を有するセラミックペーストである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
セラミック基板用のセラミック材料が、磁器、せっ器、溶化磁器、陶器、ボーンチャイナ、コーディエライト、ムライト、ステアタイト、アルミナ、酸化物をベースにしたセラミック、炭化ケイ素および炭化物をベースにしたセラミック、窒化物をベースにしたセラミック、およびこれらの組合せから選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
セラミック基板が、鋳込成形され、押出成形され、加圧成形され、またはろくろ成形される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
セラミック基板が、セラミック基板の全質量に対して約1〜約35質量パーセントの溶媒含量を有し、溶媒が、水および/または1種もしくは複数の有機溶媒から選択され得る、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
セラミック基板上への、セラミック混合物の1つまたは複数の層を備えた3D構造の付加が、3D印刷法によって実行され、好ましくはマイクロ押出成形または結合剤噴射によって実行される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法により得ることが可能な、3Dセラミック構造。
【請求項15】
セラミック基板上にセラミック混合物の1つまたは複数の層を含み、セラミック混合物がセラミック材料および1種または複数の溶媒を含み、セラミック混合物の乾燥収縮がセラミック基板の乾燥収縮よりも5%以下高くかつ5%以下低い、未加工3Dセラミック構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック混合物の1つまたは複数の層を備えた3D構造(3D structure)をセラミック基板上に付加することによって、3Dセラミック構造を成形する方法を対象とする。本発明は、3Dセラミック構造ならびに未加工(green)3Dセラミック構造も対象とする。
【背景技術】
【0002】
セラミック物品、例えばタイル、食器、工業用構成要素、および窯道具は、標準的な成形プロセス、例えば鋳込成形(casting)、押出成形、加圧成形、およびろくろ成形(jiggering)を使用して広く生産されている。記述される標準的な成形プロセスの難題は、3D構造の部分として詳細なデザインを組み込むことによって、困難を引き起こし得ることである。標準的な成形プロセスを使用して、必要とされる詳細なレベルが可能な場合であっても、プロセスは、大きな労働力を要し、時間がかかり、費用が非効率的な可能性がある。
固体自由形状製作(SFF)などの技法は、コンピューターモデルから直接3D構造を創出させる。そのようなプロセスには、3D印刷、ステレオリソグラフィー(SLA)、選択的レーザー焼結法(SLS)、薄膜積層法(laminated object manufacturing, LOM)、熱溶解積層法(FDM)、粉末配置モデリング(PDM)、および結合剤噴射が含まれる。これらのプロセスは、制御された状態で材料を付加させて、カスタマイズされた3D構造を構築する。コンピューターモデルの使用に起因して、SFFは、事前に選択された手法で、材料の付加を介して3D構造を成形する汎用的方法を提供する。
例えば鋳込成形セラミック基板上へのセラミック3D構造の付加は、多くの難題、特に、乾燥および/または焼成による未加工3D構造の構造一体性の維持という難題を課す。したがって、公知の欠点の1つまたは複数に対処する、3Dセラミック構造を成形する方法を開発することが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、添付される特許請求の範囲で定義される。
第1の態様によれば:
a)未加工セラミック基板を用意するステップ;
b)セラミック混合物の1つまたは複数の層を備える3D構造を、ステップa)のセラミック基板上に付加するステップ;および
c)ステップb)の生成物を乾燥および/または焼成するステップ
を含み、
セラミック混合物が、セラミック材料と1種または複数の溶媒とを含み;
セラミック混合物の乾燥収縮が、セラミック基板の乾燥収縮よりも5%以下高くかつ5%以下低い、
3Dセラミック構造を成形する方法が提供される。
第2の態様によれば、第1の態様による方法によって得ることが可能な3Dセラミック構造が提供される。
【0004】
第3の態様によれば、セラミック基板上にセラミック混合物の1つまたは複数の層を含み、
セラミック混合物がセラミック材料と1種または複数の溶媒とを含み;
セラミック混合物の乾燥収縮が、セラミック基板の乾燥収縮よりも5%以下高くかつ5%以下低い、
未加工3Dセラミック構造が提供される。
本発明の、ある特定の実施形態は、下記の利点:
・ 3Dセラミック構造の望ましい構造一体性;
・ 付加された3D構造の、セラミック基板への望ましい接着;
・ 3Dセラミック構造の望ましい機能性;
・ 3Dセラミック構造のデザインの、望ましい柔軟性;
・ 3Dセラミック構造の、望ましいカスタマイゼーション;
・ 使用されるセラミック材料の、望ましい柔軟性;
・ 望ましい費用
の1つまたは複数を提供し得る。
本発明の、記述される態様の任意の特定の1つまたは複数に関連して提供される、詳細、実施例、および選択物は、本発明の全ての態様に等しく適用される。その全ての可能性ある変形例における、本明細書に記述される実施形態、実施例、および選択物の任意の組合せは、他に本明細書に記述されない限りまたは他に文脈で明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
本発明について、下記の図を参照することにより、さらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】乾燥収縮および焼成収縮を測定する試料の成形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の記述および図の参照は、本発明の例示的な実施形態に関するものであり、特許請求の範囲を限定するものではないと理解される。
本発明は、セラミック混合物の1つまたは複数の層をセラミック基板に付加するステップを含む、セラミック構造を成形する方法に基づく。セラミック混合物の乾燥収縮は、セラミック基板の乾燥収縮よりも5%以下高くかつ5%以下低い。ある特定の実施形態では、セラミック混合物の乾燥収縮は、セラミック基板の乾燥収縮よりも4.5%以下高くかつ4.5%以下低く、またはセラミック基板の乾燥収縮よりも4%以下高くかつ4%以下低く、またはセラミック基板の乾燥収縮よりも3.5%以下高くかつ3.5%以下低く、またはセラミック基板の乾燥収縮よりも3%以下高くかつ3%以下低く、またはセラミック基板の乾燥収縮よりも2.5%以下高くかつ2.5%以下低く、またはセラミック基板の乾燥収縮よりも2%以下高くかつ2%以下低く、またはセラミック基板の乾燥収縮よりも1.5%以下高くかつ1.5%以下低く、またはセラミック基板の乾燥収縮よりも1%以下高くかつ1%以下低く、またはセラミック基板の乾燥収縮よりも0.5%以下高くかつ0.5%以下低い。理論に拘泥するものではないが、セラミック混合物およびセラミック基板の乾燥収縮をこのように一致させることによって、安定な3Dセラミック構造が成形され得ると考えられる。
【0007】
乾燥収縮は、乾燥の結果として材料が被る体積の低減と定義され得る。セラミック混合物およびセラミック基板に関する乾燥収縮は、以下に記述されるように測定され得る:
セラミック混合物の乾燥収縮の測定:
図1によるセラミック混合物の試料を、3Dデルタ4070(WASP)などの3Dプリンターを使用して印刷する。3Dデルタ4070(WASP)の押出機は、0.7mmのノズルを備える。試料は、一方向のみにノズルを移動させて印刷する。10層の連続層を印刷する。試料を、2方向:印刷中のノズルの移動に平行な(x)および垂直な(y)に沿って、キャリパーを使用して測定する。試料は、そのサイズが100mm×100mmである。印刷直後、各方向で90mmの距離に印を付ける。試料を室温で一晩乾燥し、次いで105℃で2時間乾燥する。印と印の間の距離を、x軸に沿ってキャリパーを使用して再び測定することによりx方向の長さ(Lx)を得、y軸に沿ってy方向の長さ(Ly)を得る。乾燥収縮(R)は、x方向に沿った収縮パーセンテージとy方向に沿った収縮パーセンテージの平均値である。
R=(Rx+Ry)/2
Rx=(90−Lx)×100/90(式中、Lxは、x軸に沿った印と印の間の距離である)、
Ry=(90−Ly)×100/90(式中、Lyは、y軸に沿った印と印の間の距離である)。
セラミック基板の乾燥収縮の測定: 鋳込成形、押出成形、またはろくろ成形によってセラミック基板を成形した後、2つの印を試料の上面に刻む。2つの印の間の距離は100mmであり、これはキャリパーで決定される。105℃で2時間乾燥した後、2つの印の間の距離をキャリパーで測定し(Ld)、乾燥収縮パーセンテージ(R)を、下式:
R=(100−Ld)×100/100
を使用して計算する。
【0008】
加圧成形によって成形されたセラミック基板では、加圧成形ダイから出てくる試料の長さ(Lp)を、キャリパーを使用して測定する。試料を105℃で2時間乾燥し、乾燥長さ(Lpd)を、キャリパーを使用して測定する。乾燥収縮パーセンテージ(R)を、下式:
R=(Lp−Lpd)×100/Lp
を使用して計算する。
ある特定の実施形態では、セラミック混合物の焼成収縮は、セラミック基板の焼成収縮よりも1.5%以下高くかつ1.5%以下低く、またはセラミック基板の焼成収縮よりも1%以下高くかつ1%以下低く、またはセラミック基板の焼成収縮よりも0.5%以下高くかつ0.5%以下低い。
焼成収縮は、焼成の結果として材料が被る体積の低減と定義され得る。セラミック混合物およびセラミック基板に関する焼成収縮は、以下に記述されるように測定されてもよい:
【0009】
セラミック混合物の焼成収縮の測定: 乾燥収縮を決定するときに使用した方法による乾燥試料を使用し焼成して、特定のセラミック材料および適用例に関する所望の稠密化率(dr)を実現する。例えば、磁器に望ましい稠密化率は93から96%であり、高い機械性能を備えた工業用セラミックの場合は少なくとも95%であり、窯道具用のコーディエライト・ムライトの場合は70%である。稠密化率は:
dr=BD×100/SD
と定義される。
嵩密度(BD)は、周知のアルキメデス法を使用して測定される。重さ約10gの試料を、質量が一定になるまで炉内で乾燥した。試料を、デシケーター内で冷まし、次いで計量した(W
d)。次いで試料を、真空下のチャンバー内に20分間入れた。その後、チャンバーに20℃の水を満たして試料を覆い、次いでそのまま2時間沈めた(submersed)ままにした。試料を、水中に浸漬させながら計量した(W
i)。その後、過剰な水を慎重に乾燥除去し、試料をすぐに計量した(W
h)。測定温度での乾燥質量(W
d)、浸漬質量(W
i)、湿潤質量(W
h)、および水密度(d
w)の値を、下式:
BD=(W
d×d
w)/(W
h−W
i)
により嵩密度を計算するために使用した。
【0010】
骨格密度(SD)は、理論的に公知であり(例えば、アルミナのSDは3.98である)または測定される。骨格密度を測定するために、10gの重さの焼成体の試料を微粒子に粉砕し(典型的には100%<40μm)、その後、得られた粉末の密度を、ヘリウム・ピクノメーター(AccuPyc II 1340、Micromeritics製)を使用して測定する。
下記の距離は、キャリパーを使用して測定する:
乾燥試料のx軸に沿った印と印の間の距離(Ldx);
乾燥試料のy軸に沿った印と印の間の距離(Ldy);
焼成試料のx軸に沿った印と印の間の距離(Lfx);および
焼成試料のy軸に沿った印と印の間の距離(Lfy)。
x軸に沿った焼成収縮パーセンテージは、式:
Rfx=(Ldx−Lfx)×100/Ldx
を使用して計算される。
y軸に沿った焼成収縮パーセンテージは、式:
Rfy=(Ldy−Lfy)×100/Ldy
を使用して計算される。
生成物の焼成収縮パーセンテージは、RfxおよびRfyの平均値と見なされ、式:
Rf=(Rfx+Rfy)/2
を使用して計算される。
【0011】
セラミック基板の焼成収縮の測定: 鋳込成形、押出成形、またはろくろ成形によって成形されたセラミック基板では、乾燥収縮を決定するときに使用した方法による乾燥試料を、セラミック混合物の焼成収縮を測定するときの上述の方法に従い使用し焼成する。下記の距離は、キャリパーを使用して測定する:
試料上への乾燥状態での印と印の間の距離(Ld);および
試料上への焼成状態での印と印の間の距離(Lf)。
焼成収縮は、式:
R=(Ld−Lf)×100/Ld
を使用して計算する。
加圧成形により成形されるセラミック基板では、乾燥収縮を決定するときに使用した方法による乾燥試料を、セラミック混合物の焼成収縮を測定するときの上述の方法に従い使用し焼成する。下記の距離は、キャリパーを使用して測定する:
乾燥後の試験片の長さ(Lpd);および
焼成後の試験片の長さ(Lpf)。
焼成収縮は、式:
R=(Lpd−Lpf)×100/Lpd
を使用して計算する。
【0012】
ある特定の実施形態では、セラミック混合物の熱膨張係数は、セラミック基板の熱膨張係数よりも5%以下高くかつ5%以下低く、またはセラミック基板の熱膨張係数よりも4%以下高くかつ4%以下低く、またはセラミック基板の熱膨張係数よりも3%以下高くかつ3%以下低く、またはセラミック基板の熱膨張係数よりも2%以下高くかつ2%以下低く、またはセラミック基板の熱膨張係数よりも1%以下高くかつ1%以下低い。
熱膨張係数は、周知の膨張法に従い測定され、この方法では焼成試料を、定められた加熱速度で、膨張炉内で加熱し、その長さを、加熱処理の全期間中に測定する。試料長さが測定される間、試料に可能な限り近くに(しかし接触せずに)位置決めされた熱電対は、温度を同時に測定する。試料の膨張は温度の関数として決定され、熱膨張係数は、所望の温度範囲で計算することができる。焼成構造の各層の熱膨張係数を、加熱速度が5℃/分である25℃から800℃の間の気体流のない通常雰囲気(空気)中で、寸法が40mm×4mm×4mm(長さ×幅×厚さ)のバーを使用するNetzsch Dil 402 CD膨張計で、個々に測定する。
【0013】
セラミック基板
本明細書で使用されるセラミック基板は、未加工セラミック基板である。セラミック基板用のセラミック材料は、磁器、せっ器、溶化磁器、陶器、ボーンチャイナ、コーディエライト、ムライト、ステアタイト、アルミナ、酸化物をベースにしたセラミック、炭化ケイ素および炭化物をベースにしたセラミック、窒化物をベースにしたセラミック、およびこれらの組合せから選択されてもよい。セラミック混合物は、セラミック基板を成形するのに使用され得る。セラミック混合物は、1種または複数の溶媒を含んでいてもよく、これらの溶媒は、水と、1種または複数の有機溶媒とから選択されてもよい。1種または複数の有機溶媒は、エタノール、メタノール、プロパノール、アセトン、メチルエチルアセトン、酢酸エチル、エーテル、グリコールエーテル、エステル、フルフラール、およびグリセロールから、独立して選択されてもよい。セラミック基板は、セラミック混合物の鋳込成形、押出成形、加圧成形、またはろくろ成形によって成形されてもよい。セラミック基板は、固体自由形状製作を使用して成形されてもよい。
【0014】
ある特定の実施形態では、セラミック基板は、セラミック基板の全質量に対して約1〜約35質量パーセント、または約2〜約33質量パーセント、または約3〜約31質量パーセント、または約4〜約29質量パーセント、または約5〜約27質量パーセント、または約6〜約25質量パーセント、または約7〜約23質量パーセント、または約8〜約21質量パーセント、または約9〜約19質量パーセント、または約10〜約17質量パーセント、または約11〜約15質量パーセント、または約12〜約13質量パーセントの溶媒含量を有する。溶媒は、セラミック基板を成形する前はセラミック混合物中に存在していてもよく、かつ/または成形された後はセラミック基板に添加されてもよい。ある特定の実施形態では、溶媒が水であってもよい。
セラミック基板は、滑らかなまたは粗い表面を有していてもよい。ある特定の実施形態では、セラミック基板は、平らなまたは湾曲した表面を有する。セラミック表面の部分が平らであってもよく、その他の部分が湾曲していてもよい。
ある特定の実施形態では、セラミック基板は、セラミック・タイル、磁器プレート、食器構成要素、工業用構成要素、または窯用具であってもよい。
【0015】
セラミック混合物
セラミック混合物用のセラミック材料は、磁器、せっ器、溶化磁器、陶器、ボーンチャイナ、コーディエライト、ムライト、ステアタイト、アルミナ、酸化物をベースにしたセラミック、炭化ケイ素および炭化物をベースにしたセラミック、窒化物をベースにしたセラミック、およびこれらの組合せから選択されてもよい。ある特定の実施形態では、セラミック混合物は、レーザー回折により測定したときに中央粒径d
50が約0.5μm〜約500μm、または約0.75μm〜約450μm、または約1.0μm〜約400μm、約2.0μm〜約350μm、約4.0μm〜約300μm、約5.0μm〜約250μm、約6.0μm〜約200μm、約10μm〜約150μm、約20μm〜約100μm、約30μm〜約50μmの範囲にあるセラミック粒子を含む。あるレーザー回折法では、水性媒体中に完全に分散された試料を、堀場製作所により供給されるPartica LA−950V2機を使用して測定する。CILAS 1190LDをレーザー回折法で使用してもよい。
セラミック混合物は、1種または複数の溶媒を含む。溶媒は、水、および/または1種もしくは複数の有機溶媒から選択されてもよい。1種または複数の有機溶媒は、エタノール、メタノール、プロパノール、アセトン、メチルエチルアセトン、酢酸エチル、エーテル、クリコールエーテル、エステル、フルフラール、およびグリセロールから独立して選択されてもよい。
【0016】
セラミック混合物は、セラミック混合物の全質量に対して約15〜約30質量パーセント、または約17〜約29質量パーセント、または約19〜約28質量パーセント、または約20〜約26質量パーセント、または約22〜約27質量パーセントの溶媒含量を有していてもよい。
セラミック混合物は、1種または複数の結合剤を含んでいてもよい。結合剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ(エチレンオキシド)、多糖、ペクチン、アクリル樹脂、アクリル源のホモポリマーまたはコポリマーから選択されてもよい。セラミック混合物は、セラミック混合物の全質量に対して約0.1〜10質量パーセント、または約0.2〜9.5質量パーセント、または約0.4〜9質量パーセント、または約0.6〜8.5質量パーセント、または約0.8〜8質量パーセント、または約1〜7.5質量パーセント、または約2〜7質量パーセント、または約3〜6質量パーセント、または約4〜5質量パーセントの結合剤含量を有していてもよい。
ある特定の実施形態では、セラミック混合物はさらに、増粘剤、潤滑剤、および/または湿潤剤を含んでいてもよい。増粘剤は、多糖またはセルロース誘導体から選択されてもよい。潤滑剤は、ポリエーテルまたは脂肪酸調製物から選択されてもよい。湿潤剤は、陽イオン性、陰イオン性、または非イオン性界面活性剤から選択されてもよい。
【0017】
ある特定の実施形態では、セラミック混合物がセラミックペーストである。ある特定の実施形態では、セラミックペーストは、セラミック材料と1種もしくは複数の溶媒および/または1種もしくは複数の結合剤との均質混合物であってもよい。
ある特定の実施形態では、セラミックペーストは、約10Pa・秒〜約500Pa・秒、または約30Pa・秒〜約450Pa・秒、または約50Pa・秒〜約400Pa・秒、または約70Pa・秒〜約450Pa・秒、または約100Pa・秒〜約400Pa・秒、または約130Pa・秒〜約350Pa・秒、または約150Pa・秒〜約300Pa・秒、または約170Pa・秒〜約250Pa・秒、または約190Pa・秒〜約220Pa・秒の粘度を有していてもよい。低粘度のセラミックペーストは、Anton Paar製のRheolabQCなどの回転式レオメーターを使用して測定されてもよい。高粘度のセラミックペーストは、Anton Paar製のモジュラーコンパクトレオメーターMCR 302などの振動式レオメーターを使用して測定されてもよい。
【0018】
ある特定の実施形態では、セラミック材料は、1種もしくは複数の溶媒および/または1種もしくは複数の結合剤と混合されて均質なペーストを形成し、その後、未加工セラミック構造上に付加して3D構造を成形してもよい。他の実施形態では、セラミック材料を、粉末として未加工セラミック構造上に配置し、そこに1種もしくは複数の溶媒および/または1種もしくは複数の結合剤を添加して制御された状態でセラミック材料を付加することにより3D構造を成形する。後者の方法のセラミック混合物は不均質であってもよく、これは1種もしくは複数の溶媒および/または1種もしくは複数の結合剤がセラミック混合物全体にわたって均一に分布されなくてもよいことを意味する。この試料において、充填密度も混合物全体にわたって様々であってもよい。
【0019】
3D印刷
ある特定の実施形態では、セラミック混合物の1つまたは複数の層を備えた3D構造の、セラミック基板上への付加は、3D印刷法によって実行される。
ある特定の実施形態では、3D印刷法は、コンピューター支援設計(CAD)ソフトウェアを使用した三次元幾何形状の画定から開始する。次いでこのCADデータは、本質的に二次元である多数の薄層にモデルをスライスするソフトウェアで、処理してもよい。次いでこれらの層の連続印刷によって物理的部分を創出して、所望の幾何形状を再創出してもよい。
一実施形態では、個々の層を、事前に混合したセラミック混合物を付着させることによって印刷してもよく、これはセラミック基板上に押出成形されてもよいもので、本明細書ではマイクロ押出成形として公知のものである。マイクロ押出成形は、PDM(ペースト堆積モデリング)、圧力支援マイクロシリンジ、低温堆積製造、3Dバイオプロッティング、ロボキャスティング、ダイレクトライトアセンブリ、および溶媒系押出自由成形(solvent-based extrusion freeforming)を含むがこれらに限定することのない、いくつかの方法を包含する。これらの技法は、材料の融解がなされない、最も一般的に使用される付加製造技法である。さらにこのマイクロ押出成形は、熱溶解積層法(FDM)として当技術分野でしばしば開示される。「FDM」という用語の使用は、マイクロ押出成形法では生じない材料の融解をFDMが必要とするので、厳密には正しくない。しかし本発明の部分として、マイクロ押出成形という用語は、FDMが材料の融解を行なわないと理解される限りFDMを含む。
一実施形態では、個々の層は、最初にセラミック材料粉末の薄層を塗り拡げ、次いで1種もしくは複数の溶媒および/または1種もしくは複数の結合剤を印刷して、セラミック材料粉末を一緒に選択領域内に接着させて、所望の層パターンを創出することにより、印刷されてもよい。次いで成長部分をピストンによって低下させてもよく、粉末の新しい層を上面に塗り拡げる。このプロセスを、全ての層が印刷されるまで繰り返す。1種もしくは複数の溶媒および/または1種もしくは複数の結合剤は、1つの層内でおよび層と層との間でセラミック材料粉末を一緒に接合する。印刷が終了した後、未結合のセラミック材料粉末を除去し、所望の幾何形状を持つ部分を残す。この方法を、結合剤噴射と呼んでもよい。
【0020】
ある特定の実施形態では、セラミック混合物を、約1〜約100mm/秒、または約5〜約95mm/秒、または約10〜約90mm/秒、または約15〜約85mm/秒、または約20〜約80mm/秒、または約25〜約75mm/秒、または約35〜約70mm/秒、または約30〜約65mm/秒、または約35〜約60mm/秒、または約40から約55mm/秒、または約45〜約50mm/秒の速度で、セラミック基板上に印刷する。
ある特定の実施形態では、セラミック混合物の1つまたは複数の層は、約0.1mm〜約5mm、または約0.2mm〜約4.8mm、または約0.3mm〜約4.6mm、または約0.4mm〜約4.4mm、または約0.5mm〜約4.2mm、または約0.7mm〜約4.0mm、または約0.5mm〜約3.8mm、または約0.7mm〜約3.6mm、または約0.9mm〜約3.4mm、または約1.0mmから約3.2mm、または約1.2mm〜約3.0mm、または約1.4mm〜約2.8mm、または約1.6mm〜約2.6mm、または約1.8mm〜約2.4mm、または約2.0mm〜約2.2mmの厚さで、セラミック基板上に印刷される。
【0021】
ある特定の実施形態では、未加工3Dセラミック構造を、乾燥し、乾燥および焼結し、乾燥および焼成し、焼結し、または焼成して、3Dセラミック構造を得る。
ある特定の実施形態では、3Dセラミック構造を成形する方法および3Dセラミック構造は、下記の効果:
− 制御された成形;
− 詳細な成形;
− 亀裂の低減など、改善された構造一体性;
− セラミック基板とセラミック混合物との間の改善された接着;
− 乾燥後の亀裂に対して改善された抵抗性;
− 焼成後の亀裂に対して改善された抵抗性;
− 効率的な生成方法;
− 柔軟な生成方法;または
− 費用効果的な生成方法
の1つまたは複数を有していてもよい。
【0022】
疑義を避けるため、本出願は、下記の番号が付されたパラグラフに記述される主題を対象とする。
1. a)未加工のセラミック基板を用意するステップ;
b)セラミック混合物の1つまたは複数の層を備えた3D構造を、ステップa)のセラミック基板上に付加するステップ;および
c)ステップb)の生成物を乾燥および/または焼成するステップ
を含み、
セラミック混合物が、セラミック材料と1種または複数の溶媒とを含み;セラミック混合物の乾燥収縮が、セラミック基板の乾燥収縮よりも5%以下高くかつ5%以下低い、
3Dセラミック構造を成形する方法。
2. セラミック混合物の焼成収縮が、セラミック基板の焼成収縮よりも1.5%以下高くかつ1.5%以下低い、パラグラフ1の方法。
3. セラミック混合物の熱膨張係数が、セラミック基板の熱膨張係数よりも5%以下高くかつ5%以下低い、パラグラフ1またはパラグラフ2の方法。
【0023】
4. セラミック混合物用のセラミック材料が、磁器、せっ器、溶化磁器、陶器、ボーンチャイナ、コーディエライト、ムライト、ステアタイト、アルミナ、酸化物をベースにしたセラミック、炭化ケイ素および炭化物をベースにしたセラミック、窒化物をベースにしたセラミック、およびこれらの組合せから選択される、パラグラフ1〜3のいずれか1つの方法。
5. セラミック材料が、約0.5μm〜約500μmの範囲内の中央粒径d
50を有するセラミック粒子を含む、パラグラフ4の方法。
6. セラミック混合物用の1種または複数の溶媒が、水および/または1種もしくは複数の有機溶媒から選択され、1種または複数の有機溶媒が、エタノール、メタノール、プロパノール、アセトン、メチルエチルアセトン、酢酸エチル、エーテル、グリコールエーテル、エステル、フルフラール、およびグリセロールから選択される、パラグラフ1〜5のいずれか1つの方法。
7. セラミック混合物が、セラミック混合物の全質量に対して約15〜約30質量パーセントの溶媒含量を有する、パラグラフ1〜6のいずれか1つの方法。
【0024】
8. セラミック混合物が結合剤を含む、パラグラフ1〜7のいずれか1つの方法。
9. 結合剤が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ(エチレンオキシド)、多糖、ペクチン、アクリル樹脂、アクリル源のホモポリマーまたはコポリマーから選択される、パラグラフ8の方法。
10. セラミック混合物が、セラミック混合物の全質量に対して約0.1〜約10質量パーセントの結合剤含量を有する、パラグラフ8またはパラグラフ9の方法。
11. セラミック材料が、増粘剤、潤滑剤、および/または湿潤剤をさらに含む、パラグラフ1〜10のいずれか1つの方法。
12. セラミック混合物がセラミックペーストである、パラグラフ1〜11のいずれか1つの方法。
13. セラミックペーストの粘度が、約10Pa・秒〜約500Pa・秒である、パラグラフ12の方法。
【0025】
14. セラミック基板用のセラミック材料が、磁器、せっ器、溶化磁器、陶器、ボーンチャイナ、コーディエライト、ムライト、ステアタイト、アルミナ、酸化物をベースにしたセラミック、炭化ケイ素および炭化物をベースにしたセラミック、窒化物をベースにしたセラミック、およびこれらの組合せから選択される、パラグラフ1〜13のいずれか1つの方法。
15. セラミック基板が、鋳込成形され、押出成形され、加圧成形され、またはろくろ成形される、パラグラフ1〜14のいずれか1つの方法。
16. セラミック基板が、セラミック基板の全質量に対して約1〜約35質量パーセントの溶媒含量を有する、パラグラフ1〜15のいずれか1つの方法。
17. 溶媒が、水および/または1種もしくは複数の有機溶媒から選択される1種または複数の溶媒でもよく、1種または複数の有機溶媒が、エタノール、メタノール、プロパノール、アセトン、メチルエチルアセトン、酢酸エチル、エーテル、グリコールエーテル、エステル、フルフラール、およびグリセロールから選択される、パラグラフ16の方法。
18. セラミック基板が、平らなまたは湾曲した表面を有する、パラグラフ1〜17のいずれか1つの方法。
19. セラミック基板が、セラミック・タイル、磁器プレート、食器構成要素、工業用構成要素、または窯用具から選択される、パラグラフ1〜18のいずれか1つの方法。
20. セラミック基板上への、セラミック混合物の1つまたは複数の層を備えた3D構造の付加が、3D印刷法によって実行される、パラグラフ1〜19のいずれか1つの方法。
21. 3D印刷法が、マイクロ押出成形または結合剤噴射である、パラグラフ20の方法。
【0026】
22. セラミック混合物が、約1〜約100mm/秒の速度でセラミック基板上に印刷される、パラグラフ1〜21のいずれか1つの方法。
23. セラミック混合物の1つまたは複数の層が、約0.1mm〜約5mmの厚さでセラミック基板上に印刷される、パラグラフ1〜22のいずれか1つの方法。
24. セラミック混合物が、3D構造を成形するためにセラミック基板の一部に印刷される、パラグラフ1〜23のいずれか1つの方法。
25. 3D構造が、CADモデルを使用して作成される、パラグラフ24による方法。
26. パラグラフ1〜25のいずれか1つの方法により得ることが可能な3Dセラミック構造。
27. セラミック基板上にセラミック混合物の1つまたは複数の層を含み、セラミック混合物がセラミック材料および1種または複数の溶媒を含み;セラミック混合物の乾燥収縮がセラミック基板の乾燥収縮よりも5%以下高くかつ5%以下低い、未加工3Dセラミック構造。
28. セラミック混合物の焼成収縮が、セラミック基板の焼成収縮よりも1.5%以下高くかつ1.5%以下低い、パラグラフ27の未加工3Dセラミック構造。
【実施例】
【0027】
セラミックペーストおよびセラミック基板を、表1の組成に従い作製した。
セラミックペースト
セラミックペーストを、表1の組成物Aの原材料を水と共にボールミリングすることによって調製した。次いでスラリーを濾過し、加圧して、水24.3%を含む塑性体を得、これを引き続き、脱気押出機を使用して脱気しかつ押し出した。
加圧成形セラミック基板
加圧成形セラミック基板を、水と共に表1の組成物Bの原材料をボールミリングすることによって調製した。次いでスラリーを、2〜3%の間の残留水分を含む顆粒で作製された粉末を得るために噴霧乾燥した。次いでこの粉末を300barで加圧して、基板を成形した。
【0028】
鋳込成形セラミック基板
鋳込成形セラミック基板を、水と共に表1の組成物Cの原材料をボールミリングすることによって調製した。次いでスラリーをフィルター加圧した。フィルター加圧から得られた固体を使用して、水および分散剤を添加することによりスリップを調製する。次いでスリップを、石膏型で鋳込成形して、鋳込成形基板を成形する。
【表1】
組成物A、1B、および2Bのそれぞれの乾燥収縮および焼成収縮を、上記にて開示されたように測定し、その結果を表2に示す。
【表2】
【0029】
未加工3D構造の調製
加圧成形セラミック基板(1B)および鋳込成形セラミック基板(2B)を、上記にて開示したように調製し、離型直後に(あらゆる乾燥収縮が生じる前に)3D印刷のために使用した。基板のそれぞれの表面を、スポンジを使用して水で僅かに濡らした。セラミックペースト(A)を上述のように調製し、25mm/秒の速度で、1.5mmのノズルを備えたWasp製のDelta 4070 3Dプリンターを使用して、加圧成形セラミック基板(1B)および鋳込成形セラミック基板(2B)のそれぞれ1つに印刷することにより、それぞれが0.5mmの厚さを持つ1〜3層を印刷した。
【0030】
未加工3D構造の乾燥
印刷終了後、未加工3D構造を室温で12時間乾燥し、次いで105℃で3時間乾燥した。乾燥後の試料を目視検査し、これらの試験の結果を表3に示す。
【表3】
表3からわかるように、優れた接着は、1層および3層の両方で、ペーストAおよび基板2Bから作製された3D構造で得られた。3D構造は、いかなる亀裂も示さなかった。これは本発明による実施例であり、2Bの乾燥収縮は、Aの乾燥収縮よりも2.1%低い(表2参照)。Aと2Bとの間の焼成収縮の差は0.6%である。
表3からもわかるように、ペーストAおよび基板1Bから作製された3D構造は、十分機能せず、その結果、剥離および不十分な接着をもたらした。この例では、乾燥収縮が、5.1%の差でミスマッチである(表2参照)。焼成収縮も、1.9%の差でこの例ではミスマッチである。
【0031】
乾燥した3D構造の焼成
次いで上記方法を使用して得られた基板2B上のペーストAの、乾燥した3D構造を、5℃/分の加熱速度で1370℃まで焼成し、その後、1370℃で1時間の均熱時間、およびフリークーリングを経た。優れた接着が、両方の場合に観察された。
乾燥後の3D構造が不十分な接着または剥離を示したので、焼成は、基板1B上のペーストAに関する試料では実行しなかった。
【国際調査報告】