特表2021-514975(P2021-514975A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-514975サイクリン依存性キナーゼ阻害剤およびBET−ブロモドメイン阻害剤の組合せ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-514975(P2021-514975A)
(43)【公表日】2021年6月17日
(54)【発明の名称】サイクリン依存性キナーゼ阻害剤およびBET−ブロモドメイン阻害剤の組合せ
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/06 20060101AFI20210521BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20210521BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20210521BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210521BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210521BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20210521BHJP
   A61K 31/5513 20060101ALI20210521BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20210521BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20210521BHJP
   A61K 31/5025 20060101ALI20210521BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20210521BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20210521BHJP
【FI】
   A61K45/06
   A61K31/519
   A61K31/437
   A61P35/00
   A61P43/00 121
   A61K31/551
   A61K31/5513
   A61K31/47
   A61K31/517
   A61K31/5025
   A61K31/55
   C07D471/04 118Z
   C07D471/04 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2020-544823(P2020-544823)
(86)(22)【出願日】2019年2月22日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月22日
(86)【国際出願番号】IB2019051462
(87)【国際公開番号】WO2019166928
(87)【国際公開日】20190906
(31)【優先権主張番号】62/635,916
(32)【優先日】2018年2月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/796,223
(32)【優先日】2019年1月24日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】アンダース,ラーズ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ダナン
【テーマコード(参考)】
4C065
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065AA05
4C065BB04
4C065BB11
4C065CC01
4C065DD02
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH04
4C065HH09
4C065JJ04
4C065KK01
4C065LL01
4C065LL07
4C065PP03
4C065PP13
4C065PP15
4C084AA20
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB26
4C084ZC20
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC28
4C086BC46
4C086CB05
4C086CB08
4C086CB09
4C086CB11
4C086CB22
4C086CB30
4C086GA08
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA04
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、CDK4および/またはCDK6を阻害するサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤とブロモドメインおよび末端外ドメイン(BET)ファミリー阻害剤とを含む組合せ療法、ならびに関連する医薬組成物、処置方法、および薬学的使用に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤ならびに有効量のブロモドメインおよび末端外ドメイン(BET)阻害剤を対象に投与するステップを含む、対象において癌を処置する方法であって、CDK阻害剤が、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、サイクリン依存性キナーゼ6(CDK6)、またはCDK4およびCDK6の両方(CDK4/6)の阻害剤である方法。
【請求項2】
CDK阻害剤がCDK4/6阻害剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
CDK4/6阻害剤が、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
BET阻害剤が、ブロモドメイン含有タンパク質2(BRD2)、ブロモドメイン含有タンパク質3(BRD3)、ブロモドメイン含有タンパク質4(BRD4)、または精巣特異的ブロモドメイン含有タンパク質(BRDT)のうちの1つまたは複数の阻害剤である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
BET阻害剤がBRD2およびBRD4の阻害剤である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
BET阻害剤が、ミベブレシブもしくはAZD5153、または薬学的に許容されるその塩である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
癌が乳癌である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
CDK阻害剤およびBET阻害剤を逐次に、同時に、または同時発生的に投与する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
1つまたは複数の追加の抗癌剤を投与するステップをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
CDK阻害剤が、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である、CDK阻害剤およびBET阻害剤を含む組合せ。
【請求項11】
対象における癌の処置において使用する、請求項10に記載の組合せ。
【請求項12】
組合せが相乗的な組合せである、請求項10または11に記載の組合せ。
【請求項13】
CDK阻害剤がCDK4/6阻害剤である、請求項10から12のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項14】
CDK4/6阻害剤が、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩である、請求項13に記載の組合せ。
【請求項15】
BET阻害剤が、ミベブレシブもしくはAZD5153、または薬学的に許容されるその塩である、請求項10から14のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項16】
パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩、ミベブレシブもしくはAZD5153または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項17】
対象において癌を処置するための、CDK4/6阻害剤およびBET阻害剤を含む組合せの使用。
【請求項18】
組合せが相乗的な組合せである、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
CDK4/6阻害剤が、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩である、請求項17または18に記載の使用。
【請求項20】
BET阻害剤が、ミベブレシブもしくはAZD5153または薬学的に許容されるその塩である、請求項17から19のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌の処置に有用な組合せ療法に関する。具体的には、本発明は、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、サイクリン依存性キナーゼ6(CDK6)またはサイクリン依存性キナーゼ4および6(CDK4/6)の阻害剤、ならびにブロモドメインおよび末端外ドメイン(BET)ファミリーの阻害剤(BET阻害剤)を含む、組合せ療法に関する。また、本発明は、関連する処置方法、医薬組成物、および薬学的使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
後成学は腫瘍学における組合せ処置に非常に有望である(Jonesら、治療のための癌エピゲノムの標的化(Targeting the cancer epigenome for therapy)、Nat.Rev.Genetics(2016年)17巻:630〜641頁)。ブロモドメイン含有タンパク質には、転写因子複合体の構成要素および後成的記憶の決定要因として、顕著な生物学的興味が持たれている。BETファミリー(BRD2、BRD3、BRD4、およびBRDT)は、高いレベルの配列保存を示す2つのアミノ末端ブロモドメイン、およびより多岐にわたるカルボキシ末端の動員ドメインを特徴とする、共通のドメイン構造を共有する(Filippakopoulosら、BETブロモドメインの選択的阻害(Selective inhibition of BET bromodomains)、Nature(2010年)468巻、1067〜1073頁)。BRD2およびBRD3は、能動的に転写されている遺伝子に沿ってヒストンと会合することが報告されており、転写性の伸長の促進に関与している可能性がある(Leroyら、二重ブロモドメインタンパク質Brd2およびBrd3がヒストンアセチル化を転写と連関させる(The double bromodomain proteins Brd2 and Brd3 couple histone acetylation to transcription)、Mol.Cell.(2008年)30巻、51〜60頁)。また、BRD4またはBRD3が、NUT(精巣の核タンパク質)と融合して、新規融合癌遺伝子BRD4−NUTまたはBRD3−NUTを、上皮新形成の悪性度の高い形態で形成し得ることも報告されている(Frenchら、BRD4−NUT融合癌遺伝子:侵襲性癌腫における新規機構(BRD4−NUT fusion oncogene:a novel mechanism in aggressive carcinoma)、Cancer Res.、(2003年)63巻:304〜307頁およびFrenchら、NUT再編成を有する小児および若年成人の正中癌腫(Midline carcinoma of children and young adults with NUT rearrangement)、J.Clin.Oncol.(2004年)22巻、4135〜4139頁)。データはBRD−NUT融合タンパク質が発癌に寄与することを示唆している(Frenchら、BRD−NUT腫瘍性タンパク質:上皮分化を遮断し癌細胞の成長を維持する、密に関連する核タンパク質のファミリー(BRD−NUT oncoproteins:a family of closely related nuclear proteins that block epithelial differentiation and maintain the growth of carcinoma cells)、Oncogene(2008年)27巻、2237〜2242頁)。現在まで、BRDTは精巣および卵巣においてユニーク発現されていると考えられている。すべてのファミリーメンバーが、細胞周期の制御的または実行的側面において何らかの機能を有することが報告されており、細胞分裂中に染色体との複合体のままで保たれることが示されており、これは、後成的記憶の維持における役割を示唆している。さらに、一部のウイルスは、ウイルス複製プロセスの一部としてそのゲノムを宿主細胞クロマチンに繋留するために、これらのタンパク質を利用する(Youら、ウシパピローマウイルスE2タンパク質とBrd4との相互作用がウイルスDNAを宿主の有糸分裂染色体に繋留する(Interaction of the boveine papillomavirus E2 protein with Brd4 tethers the viral DNA to host mitotic chromosomes)、Cell(2004年)117巻、349〜60頁)。BRD4は、pTEF−P複合体の誘導性遺伝子への動員に関与しており、RNAポリメラーゼのリン酸化および転写出力の増加をもたらしていると考えられる(Hargreavesら、シグナル依存性転写性の伸長による誘導性遺伝子発現の制御(Control of inducible gene expression by signal−dependent transcriptional elongation)、Cell(2009年)138巻:129〜145頁)。また、BRD−4は、NF−κBのReIAサブユニットのアセチル化リシン−310と結合して、NF−κBの転写活性化の増強およびNF−κB応答性の炎症性遺伝子の部分組の発現をもたらすことも示されている(Huangら、Brd4はアセチル化ReIAとの特異的結合を介してNF−κBの転写活性化を同時活性化する(Brd4 Coactivates Transcriptional Activation of NF−κB via Specific Binding to Acetylated ReIA)、Mol Cell Biol(2009年)29巻、1375〜1387頁)。
【0003】
ブロモドメイン含有タンパク質4(BRD4)は、酵母および動物においては2つの直列のブロモドメイン(BD1およびBD2)ならびに末端外(ET)ドメインを含有する、BETファミリーのメンバーである。BRD4は、NF−κBのReIAサブユニットのアセチル化クロマチンおよびアセチル化リシン−310と優先的に結合する、二重ブロモドメイン含有タンパク質である。ヒトでは、4つのBETタンパク質(BRD2、BRD3、BRD4、およびBRDT)が同様の遺伝子配置、ドメイン組織、および何らかの機能的特性を示す(WuおよびChiang、二重ブロモドメイン含有クロマチンアダプターBrd4および転写調節(The Double Bromodomain−containing Chromatin Adaptor Brd4 and Transcriptional Regulation)、J.Biol.Chem.(2007年)282巻:13141〜13145頁)。
【0004】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)および関連セリン/スレオニンプロテインキナーゼは、細胞分裂および増殖の調節において必須の機能を行う重要な細胞酵素である。CDK1〜4、6、10、11は、細胞周期の進行において直接的役割を果たすことが報告されている一方で、CDK3、5、および7〜9は、間接的な役割(たとえば、他のCDKの活性化、転写または神経の機能の調節によって)を果たし得る。CDK触媒単位は、サイクリンとして知られる調節サブユニットとの結合、続いてリン酸化によって、活性化される。サイクリンは、その発現レベルが細胞周期中の様々な時点で変動する4つの一般的なクラス(G、G/S、S、およびMサイクリン)へと分けることができる。サイクリンB/CDK1、サイクリンA/CDK2、サイクリンE/CDK2、サイクリンD/CDK4、サイクリンD/CDK6、および可能性のある他のヘテロダインが、細胞周期の進行の重要な調節因子である。
【0005】
CDK阻害剤は、癌の処置において有用であることが実証されている。サイクリン依存性キナーゼの活性の増加または時間的に異常な活性化がヒト腫瘍の発生をもたらすことが示されており、ヒト腫瘍の発生は、CDKタンパク質自体またはその調節因子のいずれかにおける変更と一般的に関連している(Cordon−Cardo C.、細胞周期調節因子の突然変異:ヒト新形成の生物学的および臨床的暗示(Mutations of cell cycle regulatos:biological and clinical implications for human neoplasia.)、Am.J.Pathol.(1995年)147巻:545〜560頁、Karp JE、Broder S.、癌の分子学的根拠:介入のための新規標的(Molecular foundations of cancer:new targets for intervention.)、Nat.Med.(1995年)1巻:309〜320頁、Hall M、Peters G.、ヒト癌におけるサイクリン、サイクリン依存性キナーゼ、およびCdk阻害剤の遺伝子変化(Genetic alterations of cyclins,cyclin−dependent kinases, and Cdk inhibitors in human cancer.)、Adv.Cancer Res.(1996年)68巻:67〜108頁)。
【0006】
CDK4およびCDK6の突然変異が黒色腫および他の腫瘍の部分群において記載されている(Zuo Lら、家族性黒色腫におけるCDK4のp16INK4a結合ドメイン中の生殖系列突然変異(Germline mutations in the p16INK4a binding domain of CDK4 in familial melanoma.)Nature Genet.(1996年)12巻、97〜99頁、Ortega Sら、サイクリンD依存性キナーゼ、INK4阻害剤、および癌(Cyclin D−dependent kinases,INK4 inhibitors and cancer.)Biochim.Biophys.Acta(2002年)1602巻:73〜87頁、Smalley KSMら、KIT/サイクリン依存性キナーゼ−4過剰発現を有する黒色腫の新規部分群の同定(Identification of a novel subgroup of melanomas with KIT/cyclin−dependent kinase−4 overexpression.)Cancer Res(2008年)68巻:5743〜52頁)。CDKおよびサイクリンの調節サブユニットの増幅、ならびに内在性INK4 CDK阻害剤の突然変異、遺伝子欠失、または転写性サイレンシングも、経路を活性化することができる機構として報告されている(Smalley KSM(2008年))。
【0007】
内分泌療法と組み合わせたCDK4/6阻害剤の使用は、ホルモン受容体(HR)陽性、ヒト表皮成長因子2(HER2)陰性の進行性または転移性の乳癌の処置において有意な有効性が実証されており、CDK4/6阻害剤は、第一選択設定においてアロマターゼ阻害剤と共に、および第二選択設定においてフルベストラントと共に組み合わせて認可されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それにもかかわらず、癌の処置の改善された治療の必要性が依然として存在する。本発明の組合せおよび方法は、いずれかの治療剤単独を用いた処置よりも高い有効性、薬物間相互作用を低下させる潜在性、改善された投薬スケジュールを可能にする潜在性、副作用を低下させる潜在性、耐性機構を克服する潜在性などの、1つまたは複数の利点を有すると考えられている。本発明のこれらおよび他の利点は、以下の説明から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、異常細胞成長、特に癌の処置において使用するための治療方法、組合せ、および組成物に関する。
一側面では、本発明は、有効量のサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤ならびに有効量のブロモドメインおよび末端外ドメイン(BET)阻害剤を対象に投与するステップを含む、対象において癌を処置する方法を提供し、CDK阻害剤は、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、サイクリン依存性キナーゼ6(CDK6)、またはCDK4およびCDK6の両方(CDK4/6)の阻害剤である。
【0010】
別の側面では、本発明は、CDK阻害剤およびBET阻害剤を含む組合せを提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。一部の態様では、組合せは対象において癌を処置するために有用である。一部の態様では、組合せは相乗的な組合せである。
【0011】
別の側面では、本発明は、対象において癌を処置するためのCDK阻害剤およびBET阻害剤を含む組合せの使用を提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。一部の態様では、組合せは相乗的な組合せである。
【0012】
さらなる側面では、本発明は、CDK阻害剤、BET阻害剤、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0013】
ある特定の態様では、CDK阻害剤はCDK4/6阻害剤である。一部のそのような態様では、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブ、リボシクリブ、およびアベマシクリブ、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される。特定の態様では、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩である。
【0014】
一部の態様では、BET阻害剤は、ブロモドメイン含有タンパク質2(BRD2)、ブロモドメイン含有タンパク質3(BRD3)、ブロモドメイン含有タンパク質4(BRD4)、または精巣特異的ブロモドメイン含有タンパク質(BRDT)のうちの1つまたは複数の阻害剤である。
【0015】
ある特定の態様では、BET阻害剤は、BRD4阻害剤、BRD2阻害剤、および/またはBRD2/4阻害剤である。一部の態様では、BET阻害剤はBRD4阻害剤である。一部のそのような態様では、BET阻害剤はBRD2および/またはBRDTをさらに阻害する。特定の態様では、BET阻害剤は、ミベブレシブもしくはAZD5153、または薬学的に許容されるその塩である。
【0016】
好ましい態様では、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩であり、BET阻害剤は、ミベブレシブまたは薬学的に許容されるその塩である。別の好ましい態様では、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩であり、BET阻害剤は、AZD5153または薬学的に許容されるその塩である。
【0017】
以下に記載する本発明の側面および態様のそれぞれは、本明細書中に記載の本発明の1つまたは複数の他の態様と組み合わせてもよいが、組み合わせる態様はそれと矛盾しないものである。さらに、本発明を説明する以下の態様のそれぞれは、その範囲内に、本発明の化合物の薬学的に許容される塩を想定している。したがって、語句「または薬学的に許容されるその塩」とは、本明細書中に記載のすべての化合物の説明において暗黙的である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】相乗作用を決定するために曲線下面積分析を使用した、T47D乳癌腫瘍スフェロイドにおけるスクリーニング試験の組合せを示す模式図である。
図2図2A、2Bおよび2Cは、T47D乳癌スフェロイドにおける、パルボシクリブとBET阻害剤B1との組合せによる成長阻害の増強を、示した濃度での平均直径(mm)として示す図である。
図3図3A、3Bおよび3Cは、T47D乳癌スフェロイドにおける、パルボシクリブとBET阻害剤B2との組合せによる成長阻害の増強を、示した濃度での平均直径(mm)として示す図である。
図4図4A、4Bおよび4Cは、T47D乳癌スフェロイドにおける、パルボシクリブとBET阻害剤B3との組合せによる成長阻害の増強を、示した濃度での平均直径(mm)として示す図である。
図5図5A、5Bおよび5Cは、T47D乳癌スフェロイドにおける、パルボシクリブとBET阻害剤B4との組合せによる成長阻害の増強を、示した濃度での平均直径(mm)として示す図である。
図6図6A、6Bおよび6Cは、T47D乳癌スフェロイドにおける、パルボシクリブとBET阻害剤B5との組合せによる成長阻害の増強を、示した濃度での平均直径(mm)として示す図である。
図7図7A、7Bおよび7Cは、T47D乳癌スフェロイドにおける、パルボシクリブとBET阻害剤B6との組合せによる成長阻害の増強を、示した濃度での平均直径(mm)として示す図である。
図8図8A、8Bおよび8Cは、T47D乳癌スフェロイドにおける、パルボシクリブとBET阻害剤B7との組合せによる成長阻害の増強を、示した濃度での平均直径(mm)として示す図である。
図9図9A、9Bおよび9Cは、T47D乳癌スフェロイドにおける、パルボシクリブとBET阻害剤B8との組合せによる成長阻害の増強を、示した濃度での平均直径(mm)として示す図である。
図10図10A、10Bおよび10Cは、T47D乳癌スフェロイドにおける、パルボシクリブとBET阻害剤B9との組合せによる成長阻害の増強を、示した濃度での平均直径(mm)として示す図である。
図11図11A、11Bおよび11Cは、T47D乳癌スフェロイドにおける、パルボシクリブとBET阻害剤B10との組合せによる成長阻害の増強を、示した濃度での平均直径(mm)として示す図である。
図12図12A、12Bおよび12Cは、Hs766T膵癌スフェロイドにおける、パルボシクリブとBET阻害剤B7との組合せによる成長阻害の増強を、示した濃度での平均直径(mm)として示す図である。
図13図13Aは、13Bおよび13C、Hs766T膵癌スフェロイドにおける、パルボシクリブとBET阻害剤B8との組合せによる成長阻害の増強を、示した濃度での平均直径(mm)として示す図である。
図14】パルボシクリブ(50mpk)とABBV−075(B7)(2mpk)との組合せが、MCF−7乳癌異種移植片モデルにおいて腫瘍成長遅延および腫瘍成長阻害の増強させたことを示す図である。処置開始後21日目に投薬を停止し、腫瘍を47日目まで回復させた。平均腫瘍体積(mm)はMCF−7異種移植片(n=10)の平均である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、本明細書中に含まれる、以下の本発明の好ましい態様の詳細な説明および実施例を参照して、より容易に理解され得る。本明細書中で使用する用語は、具体的な態様を説明することのみを目的としており、限定的であることを意図しないことを理解されたい。本明細書中で具体的に定義しない限りは、本明細書中で使用する用語には、関連技術分野において知られているその従来の意味が与えられることをさらに理解されたい。
【0020】
本明細書中で使用する単数形「a」、「an」、および「the」には、別段に指摘しない限りは複数形の参照事項が含まれる。たとえば、「a」置換基には1つまたは複数の置換基が含まれる。
【0021】
数値的に定義されたパラメータを修飾するために使用する用語「約」とは、パラメータが、そのパラメータについて記述した数値の10%上または下ほども変動し得ることを意味する。たとえば、約5mg/kgの用量は、用量が4.5mg/kgから5.5mg.kgの間で変動し得ることを意味すると理解されるべきである。
【0022】
動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、臓器、または生体液に適用される用語「投与」および「処置」とは、外来性医薬品、治療用もしくは診断用薬剤、または組成物と、動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、臓器、または生体液との接触をいう。細胞の処置には、試薬と細胞との接触、および流体が細胞と接触している場合の試薬と流体との接触が包含される。また、「投与」および「処置」は、たとえば細胞の、試薬、診断的化合物、結合化合物、または別の細胞による、in vitroおよびex vivoの処置も意味する。
【0023】
用語「異常細胞成長」および「過剰増殖性障害」は本出願において互換性があるように使用される。
別段に指定しない限りは、本明細書中で使用する「異常細胞成長」とは、正常な調節機構とは独立した細胞成長をいう(たとえば接触阻害の喪失)。異常細胞成長は良性(癌性でない)または悪性(癌性)であり得る。
【0024】
用語「癌」、「癌性」、「悪性」とは、典型的には調節されない細胞成長によって特徴づけられている、哺乳動物における生理的条件をいう、またはそれを説明している。本明細書中で使用する「癌」とは、異常細胞成長によって引き起こされる任意の悪性および/または侵襲性の成長または腫瘍をいう。本明細書中で使用する「癌」とは、それを形成する細胞の種類に名前が由来する固形腫瘍、また、血液、骨髄、またはリンパ系の癌をいう。固形腫瘍の例には、それだけには限定されないが、肉腫および癌腫が含まれる。血液の癌の例には、それだけには限定されないが、白血病、リンパ腫、および骨髄腫が含まれる。用語「癌」には、それだけには限定されないが、身体内の特定の部位に源を発する原発癌、それが始まった場所から身体の他の部分へと拡散した転移癌、元の原発癌が寛解した後からの再発、および以前の癌の病歴を有する人における、最初ものとは異なる種類の新しい原発癌である第2の原発癌が含まれる。
【0025】
用語「患者」または「対象」とは、治療が所望される、または臨床治験、疫学的研究に参加しているもしくは対照として使用する、任意の単一の対象をいい、ヒトならびに畜牛、ウマ、イヌ、およびネコなどの哺乳動物の獣医学的患者が含まれる。ある特定の好ましい態様では、対象はヒトである。
【0026】
本明細書中で使用する用語、癌を「処置」または「処置すること」とは、本発明による組合せ療法を、癌を有するまたは癌を診断された対象に投与して、たとえば、癌細胞数の低下、腫瘍サイズの低下、末梢器官内への癌細胞浸潤の速度の低下、または腫瘍転移もしくは腫瘍成長の速度の低下、また、そのような用語が適用される障害もしくは状態またはそのような障害もしくは状態の1つまたは複数の症状の逆転、軽減、その進行の阻害、または防止などの、少なくとも1つの正の治療効果を達成することを意味する。別段に指定しない限りは、本明細書中で使用する用語「処置」とは、処置することの行為をいい、「処置すること」は直前に定義されている通りである。また、用語「処置すること」には、対象のアジュバントおよびネオアジュバント処置も含まれる。
【0027】
本発明の目的のために、有益なまたは所望される臨床結果には、それだけには限定されないが、以下のうちの1つまたは複数が含まれる:新生細胞もしくは癌細胞の増殖の低下(または破壊)、新生細胞の転移の阻害、腫瘍サイズの縮小もしくは減少、癌の寛解、癌から生じる症状の減少、癌を患っている者の生活の質の増加、癌を処置するために必要な他の医薬品の用量の減少、癌の進行の遅延、癌の治癒、癌の1つまたは複数の耐性機構の克服、および/あるいは癌を有する患者の生存の延長。癌における正の治療効果はいくつかの方法で測定することができる(たとえば、W.A.Weber、治療に対する腫瘍応答の評価(Assessing tumor response to therapy)、J.Nucl.Med.50巻補遺1:1S〜10S頁(2009年)を参照されたい。たとえば、腫瘍成長阻害(T/C)に関して、国立癌研究所(NCI)の基準によると、42%以下のT/Cが抗腫瘍活性の最低レベルである。<10%のT/Cは高い抗腫瘍活性レベルであるとみなされ、T/C(%)=処置したものの腫瘍体積中央値/対照の腫瘍体積中央値×100である。
【0028】
一部の態様では、本発明の組合せによって達成される処置は、以下の部分応答(PR)、完全応答(CR)、全体応答(OR)、無進行生存(PFS)、無疾患生存(DFS)、および全生存(OS)のうちの任意のものを参照することによって定義される。「腫瘍進行までの時間」としても呼ばれるPFSは、癌が成長しない、処置中および後の期間を示し、患者がCRまたはPRを経験した期間、および患者が安定疾患(SD)を経験した期間が含まれる。DFSとは、患者が疾患なく保たれる、処置中および後の期間をいう。OSとは、ナイーブまたは未処置の対象または患者と比較した平均余命の延長をいう。一部の態様では、本発明の組合せに対する応答は、固形腫瘍における応答評価基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors、RECIST)1.1の応答基準を使用して評価する、PR、CR、PFS、DFS、OR、またはOSのうちの任意のものである。
【0029】
癌患者の処置に有効な本発明の組合せの治療レジメンは、患者の病状、年齢、および重量、ならびに対象において抗癌応答を誘発する治療の能力などの要因に応じて変動し得る。本発明の側面のうちの任意のものの態様は、すべての対象において正の治療効果を達成するために有効ではない場合がある一方で、統計的に有意な数の対象では、スチューデントt−検定、カイ二乗検定、マンおよびホイットニーによるU検定、クラスカル−ワリス検定(H検定)、ジョンキール−テルプストラット(Terpstrat)検定、ならびにウィルコンオン(Wilcon on)検定などの、当分野で知られている任意の統計的検定によって決定して、有効となるであろう。
【0030】
用語「治療レジメン」、「投薬プロトコル」、および「投薬レジメン」とは、互換性があるように使用され、本発明の組合せにおけるそれぞれの治療剤の用量および投与のタイミングをいう。
【0031】
「寛解させること」とは、本明細書中に記載の組合せを用いた処置の際の、組合せを投与しない場合と比較した、1つまたは複数の症状の軽減または改善を意味する。また、「寛解させること」には、症状の持続期間の短縮または縮小も含まれる。
【0032】
本明細書中で使用する「有効用量」または「有効量」の薬物、化合物、または医薬組成物とは、疾患の生化学的、組織学的、および/または行動的な症状、その合併症、ならびに疾患の発生中に呈される中間の病理学的表現型を含めた、任意の1つまたは複数の有益なまたは所望される効果をもたらすために十分な量をいう。治療的使用には、「治療上有効な量」とは、処置している障害の症状のうちの1つまたは複数をある程度まで軽減させる、投与する化合物の量をいう。癌の処置に関しては、治療上有効な量とは、(1)腫瘍のサイズを低下させる効果、(2)腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度まで遅くする、好ましくは停止させる)効果、(3)腫瘍成長もしくは腫瘍侵襲性をある程度まで阻害する(すなわち、ある程度まで遅くする、好ましくは停止させる)効果、(4)癌に関連する1つもしくは複数の徴候もしくは症状をある程度まで軽減させる(もしくは好ましくは排除する)効果、(5)疾患の処置に必要な他の医薬品の用量を減少させる効果、および/または(6)別の医薬品の効果を増強させる効果、および/または(7)患者における疾患の進行を遅延させる効果を有する量をいう。
【0033】
有効用量は、1回または複数回の投与で投与することができる。本発明の目的のために、有効用量の薬物、化合物、または医薬組成物とは、直接的または間接的のどちらかで予防的または治療的処置を達成するために十分な量である。臨床的コンテキストで理解されるように、有効用量の薬物、化合物、または医薬組成物は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と併せて達成されても、達成されなくてもよい。
【0034】
癌を診断された、または癌を有すると疑われる対象に適用される「腫瘍」とは、任意のサイズの悪性または潜在的に悪性の新生物または組織塊をいい、原発性腫瘍および二次新生物が含まれる。固形腫瘍とは、通常は嚢胞または液状領域を含有しない、組織の異常成長または塊である。固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫、およびリンパ腫である。白血病(血液の癌)は、一般に固形腫瘍を形成しない(国立癌研究所、癌用語辞典(Dictionary of Cancer Terms))。
【0035】
「腫瘍量(tumor burden)」または「腫瘍量(tumor load)」とは、身体全体にわたって分布された腫瘍状物質の総量をいう。腫瘍量とは、リンパ節および骨髄を含めた身体全体にわたる全癌細胞数または腫瘍の合計サイズをいう。腫瘍量は、たとえばカリパスを使用して、または、体内にある場合はイメージング技法、たとえば、超音波、骨スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)、または磁気共鳴画像法(MRI)スキャンを使用してなど、当分野で知られている様々な方法によって決定することができる。
【0036】
用語「腫瘍サイズ」とは、腫瘍の長さおよび幅として測定することができる腫瘍の合計サイズをいう。腫瘍サイズは、たとえば、対象から取り出した際にたとえばカリパスを使用して腫瘍の寸法を測定することによって、または、体内にある場合はイメージング技法、たとえば、骨スキャン、超音波、CR、またはMRIスキャンを使用してなど、当分野で知られている様々な方法によって決定し得る。
【0037】
用語「相加的」とは、2つの化合物、構成要素、または標的薬剤の組合せの結果が、それぞれの化合物、構成要素、または標的薬剤の個々の合計以下であることを意味するために使用する。
【0038】
用語「相乗作用」または「相乗的な」とは、2つの化合物、構成要素、または標的薬剤の組合せの結果が、それぞれの化合物、構成要素、または標的薬剤の個々の合計よりも高いことを意味するために使用する。処置している疾患、状態、または障害のこの改善は、「相乗的な」効果である。「相乗的な量」とは、相乗効果をもたらす一定量の2つの化合物、構成要素、または標的薬剤の組合せであり、「相乗的な」とは本明細書中に定義されている通りである。
【0039】
1つまたは2つの構成要素間の相乗的な相互作用、効果の最適範囲、および効果のためのそれぞれの構成要素の絶対的用量範囲の決定は、様々な用量範囲にわたる構成要素の投与、および/または処置を必要としている患者への用量比によって決定的に測定し得る。しかし、in vitroモデルまたはin vivoモデルにおける相乗作用の観察は、ヒトおよび他の種における効果の予測的なものであることができ、本明細書中に記載のように、相乗効果を測定するためのin vitroモデルまたはin vivoモデルが存在する。また、そのような研究の結果を使用して、薬物動態学的方法および/または薬力学的方法を適用することによってなど、ヒトおよび他の種において必要な有効用量および血漿濃度比範囲ならびに絶対的用量および血漿濃度を予測することもできる。
【0040】
本発明において有用なCDK阻害剤には、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、およびCDK4/6阻害剤が含まれる。そのような化合物は、複数のCDKを阻害する、またはCDK4および/もしくはCDK6を選択的に阻害し得る、pan−CDK阻害剤であり得る。CDK阻害剤は、CDKに加えて標的に対して活性を有し得る。そのような化合物は、CDKおよび他のプロテインキナーゼの阻害を測定するためにルーチン的に使用されている標準アッセイを使用して同定し得る。たとえば、Fryら、PD0183812の細胞周期および生化学的効果。サイクリンD依存性キナーゼCDK4およびCDK6の強力な阻害剤(Cell cycle and biochemical effects of PD 0183812.A potent inhibitor of the cyclin D−dependent kinases CDK4 and CDK6)、J.Biol.Chem.(2001年)、276巻:16617〜16623頁を参照されたい。典型的なCDK阻害剤は、そのようなアッセイにおいて1μM未満、好ましくは100nM未満、より好ましくは20nM未満のIC50値を有する。
【0041】
CDK阻害剤の開発は文献中に総説されている。たとえば、Sanchez−Martinezら、抗癌薬としてのサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤(Cyclin dependent kinase(CDK) inhibitors as anticancer drugs)、Bioorg.Med.Chem.Lett.(2015年)25巻:3420〜3435頁(およびそれ中に引用されている参考文献)を参照されたい。
【0042】
いくつかのCDK4/6阻害剤が認可されている、または現在臨床開発中であり、パルボシクリブ(PD−0332991としても知られる)、リボシクリブ(LEE−011としても知られる)、アベマシクリブ(LY2835219としても知られる)、G1T38、トリラシクリブ(GTI128としても知られる)、およびSHR6390が含まれる。CDK4活性を有するPan−CDK阻害剤には、それだけには限定されないが、AT7519、JNJ−7706621、P276−00、R547(RO−4584820としても知られる)、ロニシクリブ(BAY1000394としても知られる)、RGB−286638、およびフラボピリドール(アルボシディブ)が含まれる。そのような化合物またはその薬学的に許容される塩は、本発明において有用であり得る。
【0043】
一部の態様では、CDK阻害剤は、パルボシクリブ、リボシクリブ、アベマシクリブ、G1T38、トリラシクリブ、およびSHR6390、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択されるCDK4/6阻害剤である。他の態様では、CDK阻害剤は、パルボシクリブ、リボシクリブ、およびアベマシクリブ、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択されるCDK4/6阻害剤である。特定の態様では、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩である。他の態様では、CDK4/6阻害剤は、リボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩である。他の態様では、CDK4/6阻害剤は、アベマシクリブまたは薬学的に許容されるその塩である。さらなる態様では、CDK4/6阻害剤は、G1T38または薬学的に許容されるその塩である。
【0044】
パルボシクリブはWHO薬物情報(WHO Drug Information)、27巻、2号、172頁(2013年)中に記載されている。パルボシクリブならびにその薬学的に許容される塩および製剤は、国際公開WO2003/062236号ならびに米国特許第6,936,612号、第7,208,489号、および第7,456,168号、国際公開WO2005/005426号ならびに米国特許第7,345,171号および第7,863,278号、国際公開WO2008/032157号および米国特許第7,781,583号、国際公開WO2014/128588号、国際公開WO2016/193860号に開示されている。前述の参考文献のそれぞれの内容は、その全体で本明細書中に参照により組み込まれている。
【0045】
本発明において有用なBET阻害剤には、それだけには限定されないが、BRD4阻害剤、BRD2阻害剤、およびBRD2/4阻害剤が含まれる。そのような化合物は、複数のBET標的を阻害する、またはBRD4および/もしくはBRD2を選択的に阻害し得る、pan−BET阻害剤であり得る。BET阻害剤は、BETに加えて標的に対して活性を有し得る。そのような化合物は、BETタンパク質との結合を測定するためにルーチン的に使用されている標準アッセイを使用して同定し得る。たとえば、Zolotarjova,N.I.およびWynn,R.、ブロモドメインタンパク質の結合アッセイ:腫瘍学および炎症性疾患における創薬におけるその有用性(Binding Assays for Bromodomain Proteins:Their Utility in Drug Discovery in Oncology and Inflammatory Disease)、Current Protocols in Pharmacol.(2018年)、80巻:3.16.1〜3.16.14頁を参照されたい。典型的なBET阻害剤は、1μM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは50nM未満のIC50値の、BETタンパク質との結合用量依存的な阻害を示す。
【0046】
ブロモドメインBET阻害剤の開発は文献中に総説されている。たとえば、Theodoulouら、小分子ブロモドメイン阻害剤の臨床的進行および薬理学(Clinical progress and pharmacology of small molecule bromodomain inhibitors)、Curr.Opin.Chem.Biol.(2016年)、33巻:58〜66頁(およびそれ中に引用されている参考文献)を参照されたい。
【0047】
いくつかのBET阻害剤が現在臨床開発中であり、ABBV−075(ミベブレシブとしても知られる)、AZD5153、BAY1238097、BI−894999、BMS−986158、CPI−0610、FT−1101、GSK525762(IBET−762としても知られる)、GSK2820151、GS−5829、INCB054329、INCB057643、N−メチル−2−ピロリドン、MK−8628(OTX015)、RO6870810(TEN−010としても知られる)、RVX−208(RVX000222またはアパベタロンとしても知られる)、およびZEN003694が含まれる。BET阻害剤のさらなる例には、それだけには限定されないが、IBET−151(GSK1210151)、JQ1、PFI−1、PFI−2、CPI−267203、IBET−819(GW−841819X)、BET−BAY−002、およびSF−2523が含まれる。そのような化合物またはその薬学的に許容される塩は、本発明において有用であり得る。
【0048】
本発明の一部の態様では、BET阻害剤は、ミベブレシブ、AZD5153、BAY1238097、BI−894999、BMS−986158、CPI−0610、FT−1101、GSK525762、GSK2820151、GS−5829、INCB054329、INCB057643、N−メチル−2−ピロリドン、MK−8628、RO6870810、アパベタロン、およびZEN003694、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される。一部のそのような態様では、BET阻害剤は、ミベブレシブもしくはAZD5153、または薬学的に許容されるその塩である。他のそのような態様では、BET阻害剤は、ミベブレシブまたは薬学的に許容されるその塩である。他のそのような態様では、BET阻害剤は、AZD5153または薬学的に許容されるその塩である。
【0049】
別段に指摘しない限りは、本明細書中におけるCDK阻害剤およびBET阻害剤へのすべての言及には、その塩、溶媒和物、水和物、および複合体、ならびにその塩の溶媒和物、水和物、および複合体への言及が含まれ、その非晶質および多型の形態、立体異性体、ならびに同位体標識した型が含まれる。
【0050】
本発明において有用なCDK阻害剤およびBET阻害剤は、たとえば酸付加塩および塩基付加塩などの、薬学的に許容される塩の形態で存在し得る。
本明細書中で使用する用語「薬学的に許容される塩」とは、親化合物の生物学的な有効性および特性を保持している塩をいう。別段に指定しない限りは、本明細書中で使用する語句「薬学的に許容される塩」には、本明細書中に開示されている式の化合物中に存在し得る酸性基または塩基性基の塩が含まれる。たとえば、塩基性の性質である本発明の化合物は、様々な無機酸および有機酸と多様多種の塩を形成することが可能であり得る。無毒性の酸付加塩、すなわち、薬理学的に許容される陰イオンを含有する塩、たとえば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩[すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸塩)]などを形成するものの、そのような塩基性化合物の薬学的に許容される酸付加塩を調製するために使用し得る酸。塩の例には、それだけには限定されないが、酢酸塩、アクリル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩(クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、およびメトキシ安息香酸塩など)、炭酸水素塩、硫酸水素塩、亜硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、ブチン−1,4−ジオエート、エデト酸カルシウム、カンシラート、炭酸塩、塩化物、カプロン酸塩、カプリル酸塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、デカン酸塩、二塩酸塩、リン酸二水素塩、エデト酸塩、エジシル酸塩(edislyate)、エストレート、エシレート、エチルコハク酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキシン−1,6−ジオエート、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、ヨウ化物、イソ酪酸塩、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メタリン酸塩、メチル硫酸塩、モノリン酸水素塩、粘液酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、オキサレート、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニル酪酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フタル酸塩、リン酸塩(phospate)/二リン酸塩、ポリガラクツロ酸塩、プロパンスルホン酸塩、プロピオン酸塩、プロピオール酸塩、ピロリン酸塩、ピロ硫酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、スベリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、亜硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチルヨード、ならびに吉草酸塩が含まれる。あるいは、酸性の性質である有用な化合物は、様々な薬理学的に許容される陽イオンと塩基塩を形成することが可能であり得る。そのような塩の例には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、特にナトリウムおよびカリウム塩が含まれる。これらの塩は慣用技術によって調製し得る。本発明の薬学的に許容される塩基塩を調製するための試薬として使用し得る化学塩基には、本明細書中の酸性化合物と無毒性の塩基塩を形成するものが含まれる。酸性の性質である本発明の化合物の薬学的に許容される塩基塩を調製するための試薬として使用し得る化学塩基は、そのような化合物と無毒性の塩基塩を形成するものである。そのような無毒性の塩基塩には、それだけには限定されないが、アルカリ金属陽イオン(たとえば、カリウムおよびナトリウム)ならびにアルカリ土類金属陽イオン(たとえば、カルシウムおよびマグネシウム)などの薬理学的に許容される陽イオン、アンモニウムまたはN−メチルグルカミン−(メグルミン)などの水溶性アミン付加塩、ならびに、低級アルカノールアンモニウムおよび薬学的に許容される有機アミンの他の塩基塩に由来するものが含まれる。また、酸および塩基のヘミ塩、たとえば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩も形成し得る。適切な塩の総説には、医薬塩の手引き:特性、選択、および使用(Handbook of Pharmaceutical Satlt:Properties,Selection,and Use)StahlおよびWermuth(Wiley−VCH、2002年)を参照されたい。薬学的に許容される塩を作製する方法は当業者に知られている。
【0051】
さらに、本発明に有用なCDK阻害剤およびBET阻害剤は、非溶媒和および溶媒和の形態の両方で存在し得る。溶媒または水が強固に結合している場合、複合体は、湿度に依存しない明確に定義された化学量論を有する。しかし、チャネル溶媒和物および吸湿性化合物などのように溶媒または水が弱く結合している場合は、水/溶媒の含有量は湿度および乾燥条件に依存する。そのような場合には、非化学量論が基準となる。本明細書において用語「溶媒和物」とは、本発明の化合物と1つまたは複数の薬学的に許容される溶媒分子、たとえばエタノールとを含む分子複合体を説明するために使用する。用語「水和物」は、溶媒が水である場合に用いる。本発明による薬学的に許容される溶媒和物には、結晶化の溶媒が同位体的に置換されていてよい、たとえばDO、d−アセトン、およびd−DMSOである、水和物および溶媒和物が含まれる。
【0052】
本発明に有用なCDK阻害剤およびBET阻害剤は、結晶性もしくは非晶質の生成物、またはその混合物として使用し得る。これらは、たとえば、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、または蒸発乾固などの方法によって、固形プラグ、粉末、またはフィルムとして得られ得る。マイクロ波または高周波乾燥をこの目的のために使用し得る。
治療方法、使用、組合せ、および組成物
本発明の方法、使用、組合せ、および組成物は癌の処置に有用であり得る。本明細書中に提供する一部の態様は、以下の効果のうちの1つまたは複数をもたらす:(1)癌細胞の増殖の阻害、(2)癌細胞の侵襲性の阻害、(3)癌細胞のアポトーシスの誘導、(4)癌細胞の転移の阻害、(5)血管形成の阻害、または(6)癌処置に関する1つもしくは複数の耐性機構の克服。
【0053】
一側面では、本発明は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤ならびにブロモドメインおよび末端外ドメイン(BET)阻害剤を対象に投与するステップを含む、対象において癌を処置する方法を提供し、CDK阻害剤は、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、サイクリン依存性キナーゼ6(CDK6)、またはCDK4およびCDK6の両方(CDK4/6)の阻害剤である。
【0054】
別の側面では、本発明は、有効量のサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤ならびに有効量のブロモドメインおよび末端外ドメイン(BET)阻害剤を対象に投与するステップを含む、対象において癌を処置する方法を提供し、CDK阻害剤は、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、サイクリン依存性キナーゼ6(CDK6)、またはCDK4およびCDK6の両方(CDK4/6)の阻害剤である。
【0055】
別の側面では、本発明は、一定量のサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤ならびに一定量のブロモドメインおよび末端外ドメイン(BET)阻害剤を対象に投与するステップを含む、対象において癌を処置する方法を提供し、CDK阻害剤は、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、サイクリン依存性キナーゼ6(CDK6)、またはCDK4およびCDK6の両方(CDK4/6)の阻害剤であり、CDK阻害剤およびBET阻害剤の量は、一緒になって癌の処置に有効である。
【0056】
別の側面では、本発明は、CDK阻害剤およびBET阻害剤を含む組合せ療法を対象に投与するステップを含む、対象において癌を処置する方法を提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0057】
別の側面では、本発明は、有効量のCDK阻害剤および有効量のBET阻害剤を含む組合せ療法を対象に投与するステップを含む、対象において癌を処置する方法を提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0058】
別の側面では、本発明は、一定量のCDK阻害剤および一定量のBET阻害剤を含む組合せ療法を対象に投与するステップを含む、対象において癌を処置する方法を提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である、CDK阻害剤およびBET阻害剤の量は、一緒になって癌の処置に有効である。
【0059】
別の側面では、本発明は、有効量のパルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩ならびに有効量のブロモドメインおよび末端外ドメイン(BET)阻害剤を対象に投与するステップを含む、対象において癌を処置する方法を提供する。この側面の一部の態様では、BET阻害剤は、ミベブレシブもしくはAZD5153、または薬学的に許容されるその塩である。
【0060】
別の側面では、本発明は、有効量のパルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩および有効量のミベブレシブまたは薬学的に許容されるその塩を対象に投与するステップを含む、対象において癌を処置する方法を提供する。
【0061】
別の側面では、本発明は、CDK阻害剤およびBET阻害剤を含む組合せを提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
別の側面では、本発明は、対象における癌の処置において使用する、CDK阻害剤およびBET阻害剤を含む組合せを提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0062】
別の側面では、本発明は、医薬品として使用する、CDK阻害剤およびBET阻害剤を含む組合せを提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0063】
別の側面では、本発明は、CDK阻害剤およびBET阻害剤を含む相乗的な組合せを提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0064】
別の側面では、本発明は、対象における癌の処置において使用する、CDK阻害剤およびBET阻害剤を含む相乗的な組合せを提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0065】
別の側面では、本発明は、医薬品として使用する、CDK阻害剤およびBET阻害剤を含む相乗的な組合せを提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0066】
別の側面では、本発明は、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩およびBET阻害剤を含む組合せを提供する。この側面の一部の態様では、BET阻害剤は、ミベブレシブもしくはAZD5153、または薬学的に許容されるその塩である。この側面の特定の態様では、BET阻害剤は、ミベブレシブまたは薬学的に許容されるその塩である。一部のそのような態様では、組合せは相乗的な組合せである。
【0067】
別の側面では、本発明は、対象において癌を処置するための、CDK阻害剤およびBET阻害剤の使用を提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0068】
別の側面では、本発明は、対象において癌を処置するための、有効量のCDK阻害剤および有効量のBET阻害剤の使用を提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0069】
別の側面では、本発明は、対象において癌を処置するための、一定量のCDK阻害剤および一定量のBET阻害剤の使用を提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である、CDK阻害剤およびBET阻害剤の量は、一緒になって癌の処置に有効である。
【0070】
別の側面では、本発明は、対象において癌を処置するためのCDK阻害剤およびBET阻害剤を含む組合せの使用を提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0071】
別の側面では、本発明は、対象において癌を処置するための、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩およびBET阻害剤の使用を提供する。
別の側面では、本発明は、対象において癌を処置するための、有効量のパルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩および有効量のBET阻害剤の使用を提供する。
【0072】
別の側面では、本発明は、対象において癌を処置するための、一定量のパルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩および一定量のBET阻害剤の使用を提供し、CDK阻害剤およびBET阻害剤の量は、一緒になって癌の処置に有効である。
【0073】
別の側面では、本発明は、対象において癌を処置するための、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩およびBET阻害剤を含む組合せの使用を提供する。
前述の使用のそれぞれの一部の態様では、BET阻害剤は、ミベブレシブもしくはAZD5153、または薬学的に許容されるその塩である。特定の態様では、BET阻害剤は、ミベブレシブまたは薬学的に許容されるその塩である。
【0074】
別の側面では、本発明は、CDK阻害剤、BET阻害剤、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0075】
別の側面では、本発明は、CDK阻害剤およびBET阻害剤を含む、癌の処置において使用する組成物を提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0076】
別の側面では、本発明は、CDK阻害剤、BET阻害剤、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、癌の処置において使用する組成物を提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0077】
別の側面では、本発明は、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩、BET阻害剤、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
別の側面では、本発明は、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩およびBET阻害剤を含む、癌の処置において使用する組成物を提供する。
【0078】
別の側面では、本発明は、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩、BET阻害剤、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、癌の処置において使用する組成物を提供する。
【0079】
前述の組成物のそれぞれの一部の態様では、BET阻害剤は、ミベブレシブもしくはAZD5153、または薬学的に許容されるその塩である。特定の態様では、BET阻害剤は、ミベブレシブまたは薬学的に許容されるその塩である。
【0080】
別の側面では、本発明は、第1の容器、第2の容器、および添付文書を含むキットを提供し、第1の容器は少なくとも1つの用量のCDK阻害剤を含み、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤であり、第2の容器は少なくとも1つの用量のBET阻害剤を含み、添付文書は、医薬品を使用する対象において癌を処置するための指示を含む。
【0081】
別の側面では、本発明は、対象における癌の処置において使用するCDK阻害剤に関し、CDK阻害剤をBET阻害剤と組み合わせて使用し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0082】
別の側面では、本発明は、対象における癌の処置において使用するBET阻害剤に関し、BET阻害剤をCDK阻害剤と組み合わせて使用し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0083】
別の側面では、本発明は、対象において癌を処置するための医薬品の製造における、CDK阻害剤およびBET阻害剤の使用を提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0084】
別の側面では、本発明は、癌を処置するための医薬品を製造するためのCDK阻害剤の使用を提供し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤であり、医薬品は、BET阻害剤と組み合わせた使用に適応されている。
【0085】
別の側面では、本発明は、癌を処置するための医薬品を製造するためのBET阻害剤の使用を提供し、医薬品は、CDK阻害剤と組み合わせた使用に適応されており、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0086】
別の側面では、本発明は、対象における癌の処置において使用する、CDK阻害剤(CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である)と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物に関し、CDK阻害剤を含む医薬組成物は、BET阻害剤および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物と組み合わせて使用する。
【0087】
別の側面では、本発明は、対象における癌の処置において使用する、BET阻害剤および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関し、BET阻害剤を含む医薬組成物は、CDK阻害剤および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物と組み合わせて使用し、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0088】
本明細書における側面のそれぞれの一部の態様では、CDK阻害剤はCDK4/6阻害剤である。一部のそのような態様では、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブ、リボシクリブ、およびアベマシクリブ、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される。他のそのような態様では、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブ、リボシクリブ、アベマシクリブ、G1T38、トリラシクリブ、およびSHR6390、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される。特定の態様では、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩である。さらなる態様では、CDK4/6阻害剤は、リボシクリブもしくはアベマシクリブ、または薬学的に許容されるその塩である。
【0089】
本明細書における側面のそれぞれの一部の態様では、CDK阻害剤はCDK4阻害剤である。本明細書における側面のそれぞれの他の態様では、CDK阻害剤はCDK6阻害剤である。前述の側面のそれぞれのさらなる態様では、CDK阻害剤は、CDK4を阻害するpan−CDK阻害剤である。
【0090】
本明細書における側面のそれぞれの一部の態様では、BET阻害剤は、BRD4阻害剤、BRD2阻害剤、またはBRD2/4阻害剤である。一部のそのような態様では、BET阻害剤はさらにBRDTを阻害する。
【0091】
一部の態様では、BET阻害剤は、ミベブレシブ、AZD5153、BAY1238097、BI−894999、BMS−986158、CPI−0610、FT−1101、GSK525762、GSK2820151、GS−5829、INCB054329、INCB057643、N−メチル−2−ピロリドン、MK−8628、RO6870810、アパベタロン、およびZEN003694;または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される。特定の態様では、BET阻害剤は、ミベブレシブもしくはAZD5153、または薬学的に許容されるその塩である。一部のそのような態様では、BET阻害剤は、ミベブレシブまたは薬学的に許容されるその塩である。他のそのような態様では、BET阻害剤は、AZD5153または薬学的に許容されるその塩である。
【0092】
前述の側面および態様のそれぞれでは、CDK阻害剤およびBET阻害剤は、独立して任意選択で薬学的に許容される塩の形態であり得る。
本明細書中に記載の側面のそれぞれの好ましい態様では、CDK阻害剤は、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩であり、BET阻害剤は、ミベブレシブもしくはAZD5153、または薬学的に許容されるその塩である。本明細書中に記載の側面のそれぞれの特定の態様では、CDK阻害剤は、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩であり、BET阻害剤は、ミベブレシブまたは薬学的に許容されるその塩である。本明細書中に記載の側面のそれぞれの特定の態様では、CDK阻害剤は、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩であり、BET阻害剤は、AZD5153または薬学的に許容されるその塩である。
【0093】
本発明の側面のそれぞれの頻繁な態様では、対象はヒトである。
癌の例には、それだけには限定されないが、癌腫、リンパ腫、白血病、芽細胞腫、および肉腫が含まれる。本方法の一部の態様では、本発明の方法、使用および組合せは、それだけには限定されないが、以下の癌を含めた1つまたは複数の癌の処置に有用であり得る:
循環系、たとえば、心臓(肉腫[血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫]、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫、奇形腫)、縦隔や胸膜、および他の胸腔内臓器、血管腫瘍、ならびに腫瘍関連の血管組織、
気道、たとえば、鼻腔および中耳、副洞、喉頭、気管、気管支、ならびに肺、たとえば、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、気管支原性癌(扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫など、
胃腸管系、たとえば、食道(扁平細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、胃部、膵臓(導管腺癌、膵島細胞腫、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カルポジ(Karposi)肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、
尿生殖路、たとえば、腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および/または尿道(扁平細胞癌、移行細胞癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胚性癌腫、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫)、
肝臓、たとえば、肝細胞癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫、膵内分泌腫瘍(褐色細胞腫、膵島細胞腫、血管作動性腸管ペプチド腫瘍、島細胞腫瘍、およびグルカゴノーマなど)、
骨、たとえば、骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫、脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨腫症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨腫、および巨細胞腫、
神経系、たとえば、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、頭蓋骨癌(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳癌(星細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽細胞腫、乏突起神経膠腫、シュワン腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫)、
生殖器系、たとえば、婦人科系、子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部異形成)、卵巣(子宮癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類の癌腫]、顆粒膜−卵胞膜(thecal)細胞腫、セルトリ−レイディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平細胞癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平細胞癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、輸卵管(癌腫)および女性生殖器に関連する他の部位、胎盤、陰茎、前立腺、精巣、および男性生殖器に関連する他の部位、
血液系、たとえば、血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、脊髄形成異常症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫]、
口腔、たとえば、唇、舌、歯茎、口腔底、口蓋、および口の他の部分、耳下腺、および唾液腺の他の部分、扁桃腺、中咽頭、上咽頭、梨状陥凹、下咽頭、ならびに唇、口腔、および咽頭における他の部位、
皮膚、たとえば、悪性黒色腫、皮膚黒色腫、基底細胞癌(BCC)、扁平細胞癌(SCC)、カルポジ(Karposi)肉腫、黒子異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、およびケロイド、
副腎、神経芽細胞腫、ならびに
結合組織および軟組織、後腹膜および腹膜、目、眼球内黒色腫、ならびに付属器を含めた他の組織、乳房、頭部または/および頸部、肛門部、甲状腺、副甲状腺、副腎および他の内分泌腺ならびに関連構造、二次および不特定のリンパ節の悪性新生物、呼吸器系および消化器系の二次悪性新生物、ならびに他の部位の二次悪性新生物。
【0094】
本発明に関連して本明細書中で使用する場合、癌のより具体的な例には、乳房、卵巣、肺(SCLCおよびNSCLCが含まれる)、皮膚、結腸、膀胱、肝臓、胃、前立腺、腎臓、食道、上咽頭、甲状腺、子宮頸部、膵臓、頭頸部、もしくは肉腫の癌、または前述の癌のうちの1つもしくは複数の組合せが含まれる。
【0095】
さらにより具体的には、本発明に関係する乳癌の例には、ホルモン受容体陽性(HR+)乳癌、すなわち、エストロゲン受容体陽性(ER+)および/またはプロゲステロン受容体陽性(PR+)、ヒト表皮成長因子受容体2陰性(HER2−)乳癌、ヒト表皮成長因子受容体2陽性(HER2+)乳癌、ならびにトリプルネガティブ乳癌(TNBC)が含まれる。本発明の一態様では、癌は固形腫瘍である。
【0096】
本明細書中に記載の側面のそれぞれの一部の態様では、癌は乳癌または膵癌である。
頻繁な態様では、癌は乳癌である。一部のそのような態様では、癌は、ER+および/またはPR+乳癌を含めたHR+乳癌である。
【0097】
さらなる態様では、癌はHER2−乳癌である。頻繁な態様では、癌はHR+HER2−乳癌である。
他の態様では、癌はHER2+乳癌である。一部のそのような態様では、癌はHR+HER2+乳癌である。他の態様では、癌はHR−HER2+乳癌である。
【0098】
一部の態様では、癌はTNBC(すなわち、ER−、PR−、およびHER2−)である。一部のそのような態様では、癌はBRCA1またはBRCA2遺伝子に関連している。
【0099】
本明細書中に記載の側面のそれぞれの一部の態様では、癌は局所進行性である。本明細書中に記載の側面のそれぞれの一部の態様では、癌は転移性である。本明細書中に記載の側面のそれぞれの他の態様では、癌は不応性である。
【0100】
本明細書中に記載の側面のそれぞれの一部の態様では、癌は、CDK阻害剤を用いた処置に対して耐性である、たとえば、癌は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤を用いた処置に対して耐性である。他のそのような態様では、癌は、BET阻害剤を用いた処置に対して耐性である。
【0101】
本明細書中に記載の側面のそれぞれのさらなる態様では、癌は、1つまたは複数の標準治療剤を用いた処置に対して耐性である。一部のそのような態様では、癌は、アロマターゼ阻害剤、SERD、またはSERMなどの内分泌療法を用いた処置に対して耐性である乳癌である。他の態様では、癌は、それだけには限定されないが、白金剤、タキサン、ドセタキセル、またはゲムシタビンを含めた化学療法剤を用いた処置に対して耐性である。
【0102】
別の側面では、本発明は、CDK阻害剤およびBET阻害剤を含む組合せ療法を対象に投与するステップを含む、対象において癌細胞の増殖を阻害する方法を提供し、CDK阻害剤は、細胞の増殖を阻害するために有効な量の、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0103】
別の側面では、本発明は、CDK阻害剤およびBET阻害剤を含む組合せ療法を対象に投与するステップを含む、対象において癌細胞の侵襲性を阻害する方法を提供し、CDK阻害剤は、細胞の侵襲性を阻害するために有効な量の、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0104】
別の側面では、本発明は、CDK阻害剤およびBET阻害剤を含む組合せ療法を対象に投与するステップを含む、対象において癌細胞におけるアポトーシスを誘導する方法を提供し、CDK阻害剤は、アポトーシスを誘導するために有効な量の、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤である。
【0105】
「接触させる」とは、本発明の化合物または薬学的に許容される塩とCDK4、CDK6、またはCDK4/6を発現する細胞とを、化合物が、CDK4、CDK6、またはCDK4/6の活性を直接または間接的のいずれかで影響を与え得る様式で、一緒にすることをいう。接触させることは、in vitroで(すなわち、たとえば、それだけには限定されないが、試験管もしくは培養培地内などの人工環境で)またはin vivoで(すなわち、それだけには限定されないが、マウス、ラット、もしくはウサギなどの生きた生物内で)達成し得る。
【0106】
一部の態様では、細胞は、癌細胞系などの細胞系中にある。他の態様では、細胞は組織または腫瘍中にあり、組織または腫瘍は、ヒトを含めた対象中にあり得る。
剤形およびレジメン
本発明の方法および組合せ療法のそれぞれの治療剤は、単独で、または、治療剤と薬学的実施に従った1つもしくは複数の薬学的に許容される担体、賦形剤、もしくは希釈剤とを含む医薬品(本明細書中で医薬組成物とも呼ぶ)中でのいずれかで投与し得る。
【0107】
本明細書中で使用する用語「組合せ療法」とは、単独でまたは医薬品中でのいずれか、逐次、同時発生的(concurrently)、または同時の(simultaneously)いずれかでの、本発明の組合せ療法のそれぞれの治療剤の投与をいう。
【0108】
本明細書中で使用する用語「逐次」または「逐次に」とは、単独でまたは医薬品中でのいずれかで、相次いでの、本発明の組合せ療法のそれぞれの治療剤の投与をいい、それぞれの治療剤は任意の順序で投与することができる。逐次投与は、組合せ療法中の治療剤が異なる剤形である場合、たとえば、1つの薬剤が錠剤であり、別の薬剤が無菌的な液体である場合、および/または、薬剤を異なる投薬スケジュールに従って投与する場合、たとえば、1つの薬剤を1日1回投与し、第2の薬剤を週に1回などのより低い頻度で投与する場合に、特に有用であり得る。
【0109】
本明細書中で使用する用語「同時発生的に」とは、単独でまたは別々の医薬品中でのいずれかでの、本発明の組合せ療法中のそれぞれの治療剤の投与をいい、第2の治療剤は、第1の治療剤の直後に投与するが、治療剤は任意の順序で投与することができる。好ましい態様では、治療剤は同時発生的に投与する。
【0110】
本明細書中で使用する用語「同時」とは、同じ医薬品中での本発明の組合せ療法のそれぞれの治療剤の投与をいう。
本発明の一部の態様では、CDK阻害剤およびBET阻害剤を逐次に、同時に、または同時発生的に投与する。一部のそのような態様では、CDK阻害剤を、BET阻害剤の投与の前に投与する。他の態様では、CDK阻害剤を、BET阻害剤の投与の後に投与する。他の態様では、CDK阻害剤を、BET阻害剤の投与と同時発生的に投与する。さらなる態様では、CDK阻害剤を、BET阻害剤と同時に投与する。前述の態様のそれぞれでは、CDK阻害剤はCDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤であることが理解されよう。
【0111】
当業者には理解されるように、組合せ療法は、その処置の様々な段階中に対象に有用に投与し得る。
一部の態様では、組合せ療法は、以前に処置していない、すなわち処置ナイーブである対象に投与する。
【0112】
一部の態様では、組合せ療法は、生物療法剤または化学療法剤を用いた以前の治療の後に持続性応答を達成できなかった対象、すなわち処置を経験した対象に投与する。
組合せ療法は、腫瘍を除去するための手術の前もしくは後に投与し得る、および/または放射線療法の前、その間、もしくは後に使用し得る、および/または化学療法の前、その間、もしくはその後に使用し得る。
【0113】
特定の腫瘍における本明細書中に記載の組合せ有効性は、他の認可されたまたは実験的な癌治療、たとえば、放射線照射、手術、化学療法剤、標的療法、腫瘍において調節不全となっている他のシグナル伝達経路を阻害する薬剤、およびPD−1もしくはPD−L1拮抗剤などの他の免疫増強剤との組合せによって、増強され得る。本発明の方法、組合せ、および使用は、1つまたは複数の追加の抗癌剤をさらに含み得る。
【0114】
本発明の組合せの投与は、作用部位への化合物の送達を可能にする任意の方法によって達成し得る。これらの方法には、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、血管内、または輸液が含まれる)、局所、および直腸の投与が含まれる。
【0115】
投薬レジメンは、最適な所望の応答をもたらすために調整し得る。たとえば、本発明の組合せ療法の治療剤は、単一のボーラスとして、経時的に投与するいくつかの分割された用量として投与し得るか、または、用量は、治療状況の緊急性によって示されるように比例的に減少もしくは増加させ得る。投与の容易性および用量の均一性のために、治療剤を単位剤形で製剤化することが特に有利であり得る。本明細書中で使用する単位剤形とは、処置する哺乳動物対象の単位用量として適した、物理的に分離された単位をいい、それぞれの単位は、所望の治療効果を生じるように計算された、事前に決定された量の活性化合物を、必要な薬学的担体を付随させて含有する。本発明の単位剤形の仕様は、(a)化学療法剤のユニークな特徴および達成させる具体的な治療的または予防的効果、ならびに(b)個体における感度の処置のための、そのような活性化合物を配合する技術分野に固有の制限によって指示され、それに直接依存し得る。
【0116】
したがって、当業者は、本明細書中に提供する開示に基づいて、用量および投薬レジメンを治療学の分野において周知の方法に従って調整することが理解されよう。すなわち、最大の耐用用量を容易に確立し得、検出可能な治療上の利点を対象にもたらす有効量も決定し得る、また、検出可能な治療上の利点を対象にもたらすための、それぞれの薬剤を投与する時間的要件も決定することができる。したがって、特定の用量および投与レジメンを本明細書中に例示するが、これらの例は、いかなる様式でも、本発明の実施において対象に提供し得る用量および投与レジメンを限定しない。
【0117】
用量の値は緩和させる状態の種類および重篤度に伴って変動する場合があり、単一または複数の用量が含まれ得ることに注意されたい。さらに、任意の特定の対象において、具体的な投薬レジメンは、障害または状態の重篤度、投与の速度、化合物の素質、および処方医師の裁量などの要因を考慮して、個々のニーズおよび組成物を投与しているまたは投与を監督している人の専門的判断に従って、時間と共に調整するべきであることを理解されたい。本明細書中に記載の用量範囲は例示的のみであり、特許請求した組成物の範囲または実施を限定することを意図しない。たとえば、用量は、毒性効果などの臨床効果および/または実験室での値が含まれ得る、薬物動態学または薬力学的なパラメータに基づいて調整し得る。したがって、本発明には、当業者によって決定された、患者内の用量の段階的増大が包含される。化学療法剤を投与するための適切な用量およびレジメンの決定は関連分野において周知であり、本明細書中に開示されている教示が提供されれば、包含されるものと当業者によって理解されるであろう。
【0118】
一部の態様では、組合せ療法中の治療剤のうちの少なくとも1つは、薬剤を同じ癌を処置するための単独療法として使用した場合に典型的に用いられるものと同じ投薬レジメン(用量、頻度、および処置期間)を使用して投与する。他の態様では、対象は、組合せ療法中の治療剤のうちの少なくとも1つを、同じ薬剤を単独療法として使用した場合よりも低い総量、たとえば、より低い治療剤用量、より少ない投薬頻度、および/またはより短い投薬期間で受けた。
【0119】
小分子阻害剤の有効用量は、典型的には、1日あたり体重1kgあたり約0.001〜約100mg、好ましくは約1〜約35mg/kg/日の範囲の、単一または分割された用量である。70kgのヒトでは、これは、約0.01〜約7g/日、好ましくは約0.02〜約2.5g/日、より好ましくは約0.02〜約1.0g/日の量となる。一部の例では、前述の範囲の下限の用量レベルが十分以上であり得る一方で、他の事例では、有害な副作用をまったく引き起こさずにより高い用量を用い得る(ただし、そのようなより高い用量は、1日を通して投与するいくつかの低い用量へとまず分割する)。
【0120】
一部の態様では、CDK阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、1日あたり約50mg〜約1000mg、好ましくは1日あたり約50mg〜約600mg、より好ましくは1日あたり約75mg〜約200mgの1日用量で投与する。ある特定の態様では、CDK阻害剤は、パルボシクリブまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、1日あたり75mg、100mg、または125mgの1日用量で投与する。他の態様では、CDK阻害剤は、リボシクリブまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、1日あたり約200mg〜約600mgの1日用量で投与する、あるいは、アベマシクリブまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、1日あたり約150mgまたは約400mgの1日用量で投与する。
【0121】
一部の態様では、CDK阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、または約1500mgの1日用量で投与する。この用量は、単一用量(q.d.)として投与し得るか、または、任意選択で、b.i.d.、t.i.d.、またはq.i.d.での投与に適したより低い用量へと細分割し得る。
【0122】
一部の態様では、BET阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、または約1500mgの1日用量で投与する。この用量は、単一用量(q.d.)として投与し得るか、または、任意選択で、b.i.d.、t.i.d.、またはq.i.d.での投与に適したより低い用量へと細分割し得る。
【0123】
投与もしくは投薬レジメンの反復、または投与もしくは投薬レジメンの調整を必要に応じて実施して、所望の処置を達成し得る。本明細書中で使用する「断続的な投薬スケジュール」とは、用量の中断期間、たとえば処置を行わない日が含まれる投与または投薬レジメンをいう。処置サイクル間に7日間の処置の中断を用いた、14または21日間の処置サイクルの反復が、断続的な投薬スケジュールの一例である。処置を行う2または3週間および処置を行わない1週間を用いたそのようなスケジュールは、それぞれ2/1週間または3/1週間の処置サイクルと呼ぶ場合もある。
【0124】
本明細書中で使用する「連続的な投薬スケジュール」とは、用量の中断がない、たとえば処置を行わない日がない投与または投薬レジメンである。処置サイクル間に用量の中断がない21または28日間の処置サイクルの反復が、連続的な投薬スケジュールの一例である。
【0125】
一部の態様では、CDK阻害剤およびBET阻害剤を断続的な投薬スケジュールで投与する。他の態様では、CDK阻害剤およびBET阻害剤を連続的な投薬スケジュールで投与する。
【0126】
さらに他の態様では、CDK阻害剤およびBET阻害剤のうちの一方を断続的な投薬スケジュール(たとえば、2/1週間または3/1週間のスケジュール)で投与し、他方を連続的な投薬スケジュールで投与。一部のそのような態様では、CDK阻害剤を断続的な投薬スケジュールで投与し、BET阻害剤を連続的な投薬スケジュールで投与する。他のそのような態様では、CDK阻害剤を連続的な投薬スケジュールで投与し、BET阻害剤を断続的な投薬スケジュールで投与する。
【0127】
本発明の一部の態様では、CDK阻害剤およびBET阻害剤は、一緒になって癌の処置に有効である量で投薬する。
本発明の一部の態様では、CDK阻害剤およびBET阻害剤は、一緒になって相乗的である量で投薬する。
【0128】
本発明の一部の態様では、CDK阻害剤およびBET阻害剤は、一緒になって相加的である量で投薬する。
前述の態様のそれぞれでは、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤であることが理解されよう。
医薬組成物および投与経路
「医薬組成物」とは、活性成分としての、本明細書中に記載の治療剤のうちの1つもしくは複数、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグと、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤との混合物をいう。一部の態様では、医薬組成物は、2つ以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む。
【0129】
本明細書中で使用する「薬学的に許容される担体」とは、生物に対して顕著な刺激を引き起こさず、活性化合物または治療剤の生物活性および特性を抑止しない、担体または希釈剤をいう。
【0130】
薬学的に許容される担体は、任意の慣用の薬学的担体または賦形剤を含み得る。担体および/または賦形剤の選択肢は、具体的な投与様式、溶解度および安定性に対する賦形剤の効果、ならびに剤形の性質などの要因に大幅に依存する。
【0131】
適切な薬学的担体には、不活性の希釈剤または充填剤、水、および様々な有機溶媒が含まれる(水和物および溶媒和物など)。医薬組成物は、所望する場合は、香味料、結合剤、賦形剤などの追加の成分を含有し得る。したがって、経口投与には、クエン酸などの様々な賦形剤を含有する錠剤を、デンプン、アルギン酸、および特定の複合体シリケートなどの様々な崩壊剤と、ならびにスクロース、ゼラチン、およびアカシアなどの結合剤と一緒に用い得る。それだけには限定されないが、賦形剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプンの種類、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ならびにポリエチレングリコールが含まれる。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびタルクなどの潤滑剤が、錠剤化目的のためにしばしば有用である。また、同様の種類の固形組成物も、軟および硬充填ゼラチンカプセルに用い得る。したがって、材料の非限定的な例には、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。水性懸濁液またはエリキシルが経口投与に所望される場合、それ中の活性化合物は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはその組合せなどの希釈剤と一緒に、様々な甘味剤または香味剤、着色剤または色素、および、所望する場合は、乳化剤または懸濁化剤と組み合わせ得る。
【0132】
たとえば、医薬組成物は、たとえば、錠剤、カプセル、丸薬、粉末、持続放出の製剤、溶液、もしくは懸濁液としての経口投与、無菌的な溶液、懸濁液、もしくは乳濁液としての非経口注射、軟膏もしくはクリームとしての局所投与、または坐薬としての直腸投与に適した形態であり得る。
【0133】
例示的な非経口投与形態には、無菌的水溶液、たとえば、プロピレングリコール水溶液またはデキストロース水溶液中の活性化合物の溶液または懸濁液が含まれる。そのような剤形は、所望する場合は適切に緩衝してもよい。
【0134】
医薬組成物は、正確な量の単回投与に適した単位剤形であり得る。
本発明の組合せ療法の治療剤の送達に適した医薬組成物およびその調製方法は、当業者に容易に明らかであろう。そのような組成物およびその調製方法は、たとえば、その開示がその全体で本明細書中に参照により組み込まれている「レミントンの製薬化学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」、第19版(Mack Publishing Company、1995年)中に見つけ得る。
【0135】
本発明の組合せ療法の治療剤は経口投与し得る。経口投与は、治療剤が胃腸管に入るように嚥下を含み得る、または、治療剤が口から直接血流に入る頬側もしくは舌下投与を用い得る。
【0136】
経口投与に適した製剤には、固形製剤、たとえば、錠剤、粒子、液剤、または粉末を含有するカプセル、ロゼンジ(液体を充填したものが含まれる)、咀嚼錠、マルチおよびナノ粒子、ゲル、固溶体、リポソーム、フィルム(粘膜接着剤が含まれる)、オビュール剤(ovule)、スプレー、ならびに液体製剤が含まれる。
【0137】
液体製剤には、懸濁液、溶液、シロップ、およびエリキシルが含まれる。そのような製剤は、軟および硬カプセルにおいて充填剤として使用してよく、典型的には、担体、たとえば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切な油、ならびに1つまたは複数の乳化剤および/または懸濁化剤が含まれる。また、液体製剤は、固形、たとえばサッシェからの固形物の再構成によっても調製し得る。
【0138】
また、本発明の組合せ療法の治療剤は、その開示がその全体で本明細書中に参照により組み込まれているExpert Opinion in Therapeutic Patents、11巻(6号)、981〜986頁、LiangおよびChen著(2001年)中に記載されているものなどの、速溶性、速崩壊性の剤形においても使用し得る。
【0139】
錠剤剤形では、治療剤が剤形の1wt%〜80wt%、より典型的には剤形の5wt%〜60wt%を構成し得る。活性薬剤に加えて、錠剤は一般に崩壊剤を含有する。崩壊剤の例には、グリコール酸ナトリウムデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプン、およびアルギン酸ナトリウムが含まれる。一般に、崩壊剤は剤形の1wt%〜25wt%、好ましくは5wt%〜20wt%を構成し得る。
【0140】
結合剤は、一般に、錠剤製剤に粘着性の性質を与えるために使用する。適切な結合剤には、微結晶セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成のガム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。また、錠剤は、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥した一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶セルロース、デンプン、および二塩基性リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤も含有し得る。
【0141】
また、錠剤には、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤、ならびに二酸化ケイ素およびタルクなどの流動促進剤も任意選択で含まれ得る。存在する場合、界面活性剤は典型的には錠剤の0.2wt%〜5wt%の量であり、流動促進剤は典型的には錠剤の0.2wt%〜1wt%である。
【0142】
また、錠剤は、一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物などの潤滑剤も含有する。潤滑剤は、一般に錠剤の0.25wt%〜10wt%、好ましくは0.5wt%〜3wt%の量で存在する。
【0143】
他の慣用の成分には、抗酸化剤、着色料、香味剤、保存料、および味マスキング剤が含まれる。
例示的な錠剤は、約80wt%までの活性薬剤、約10wt%〜約90wt%の結合剤、約0wt%〜約85wt%の希釈剤、約2wt%〜約10wt%の崩壊剤、および約0.25wt%〜約10wt%の潤滑剤を含有し得る。
【0144】
錠剤用配合物を直接またはローラーによって圧縮して、錠剤を形成し得る。あるいは、錠剤用配合物または配合物の一部分を湿式、乾式、もしくは溶融造粒、溶融凝結、または押し出し形成した後に、錠剤化し得る。最終製剤には1つまたは複数の層が含まれていてよく、コーティングされていてもされていなくてもよく、またはカプセル封入されていてもよい。
【0145】
錠剤の製剤は、その開示がその全体で本明細書中に参照により組み込まれている「薬学的剤形:錠剤、第1巻(Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1)」、H.LiebermanおよびL.Lachman著、Marcel Dekker、ニューヨーク州N.Y.、1980年(ISBN0−8247−6918−X)中に詳述されている。
【0146】
経口投与用の固形製剤は、即時放出性および/または放出調節性であるように製剤化し得る。放出調節製剤には、遅延放出、徐放、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0147】
適切な放出調節製剤は米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散ならびに浸透性粒子および被覆粒子などの他の適切な放出技術の詳細は、Vermaら、Pharmaceutical Technology On−line、25巻(2)、1〜14頁(2001年)中に見つけ得る。制御放出を達成するためのチューイングガムの使用はWO00/35298号に記載されている。これらの参考文献の開示は、その全体で本明細書中に参照により組み込まれている。
【0148】
一態様では、本発明の組合せ療法に有用な医薬組成物は、単一の治療剤、たとえばCDK阻害剤またはBET阻害剤のどちらかのみを含む。
別の態様では、本発明の組合せ療法に有用な医薬組成物は、CDK阻害剤およびBET阻害剤の両方を含む。
【0149】
本発明の組合せ療法の治療剤は、組成物の同時投与に適したキットの形態において好都合に組み合わせ得る。
一側面では、本発明は、第1の容器、第2の容器、および添付文書を含むキットに関し、第1の容器は少なくとも1つの用量のCDK阻害剤を含み、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、またはCDK4/6阻害剤であり、第2の容器は少なくとも1つの用量のBET阻害剤を含み、添付文書は、医薬品を使用して対象を癌について処置するための指示を含む。
【0150】
一態様では、本発明のキットは、活性薬剤のうちの一方または両方を医薬組成物の形態で含んでいてよく、医薬組成物は、活性薬剤またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、および薬学的に許容される担体を含む。キットは、容器、分割されたボトル、または分割されたフォイルパケットなどの、前記組成物を別個に保つ手段を含有し得る。そのようなキットの例は、錠剤、カプセルなどの梱包に使用されている見慣れたブリスターパック。
【0151】
キットは、異なる剤形、たとえば経口および非経口の剤形を投与するため、別々の組成物を異なる投薬間隔で投与するため、または別々の組成物を互いに滴定するために特に適切であり得る。コンプライアンスを支援するために、キットには、典型的には投与の指示が含まれ、記憶補助と共に提供し得る。キットは、希釈剤、フィルター、IVバッグおよびライン、針、シリンジなどの、医薬品の投与に有用であり得る他の材料をさらに含み得る。
さらなる治療剤
さらなる側面では、本発明の方法および組合せ療法は、その量が一緒になって前記癌の処置に有効である、抗腫瘍剤、抗血管形成剤、シグナル伝達阻害剤、および抗増殖剤などのさらなる抗癌剤を投与するステップをさらに含み得る。一部のそのような態様では、抗腫瘍剤は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、挿入性抗生物質、成長因子阻害剤、放射線照射、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調節物質、抗体、細胞毒性剤、抗ホルモン剤などからなる群から選択される。
【0152】
本発明の方法および組合せ療法の一態様では、レジメンには、アロマターゼ阻害剤、SERD、またはSERMなどの内分泌薬剤であるさらなる活性薬剤が含まれる。
抗血管形成剤の例には、たとえば、VEGF阻害剤、VEGFR阻害剤、TIE−2阻害剤、PDGFR阻害剤、アンジオポエチン(angiopoetin)阻害剤、PKCβ阻害剤、COX−2(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤、インテグリン(アルファ−v/ベータ−3)、MMP−2(マトリックス−メタロプロテイナーゼ2)阻害剤、およびMMP−9(マトリックス−メタロプロテイナーゼ9)阻害剤が含まれる。好ましい抗血管形成剤には、スニチニブ(Sutent(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、アキシチニブ(AG13736)、SU14813(Pfizer)、およびAG13958(Pfizer)が含まれる。追加の抗血管形成剤には、バタラニブ(CGP79787)、ソラフェニブ(Nexavar(登録商標))、ペガプタニブオクタナトリウム(Macugen(登録商標))、バンデタニブ(Zactima(登録商標))、PF−0337210(Pfizer)、SU14843(Pfizer)、AZD2171(AstraZeneca)、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、Neovastat(登録商標)(AE941)、テトラチオモリブデート(tetrathiomolybdata)(Coprexa(登録商標))、AMG706(Amgen)、VEGF Trap(AVE0005)、CEP7055(Sanofi−Aventis)、XL880(Exelixis)、テラチニブ(BAY57−9352)、およびCP−868,596(Pfizer)が含まれる。他の抗血管形成剤には、エンザスタウリン(LY317615)、ミドスタウリン(CGP41251)、ペリホシン(KRX0401)、テプレノン(Selbex(登録商標))、およびUCN01(Kyowa Hakko)が含まれる。抗血管形成剤の他の例には、セレコキシブ(Celebrex(登録商標))、パレコキシブ(Dynastat(登録商標))、デラコキシブ(SC59046)、ルミラコキシブ(Preige(登録商標))、バルデコキシブ(Bextra(登録商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(登録商標))、イグラチモド(Careram(登録商標))、IP751(Invedus)、SC−58125(Pharmacia)、およびエトリコキシブ(Arcoxia(登録商標))が含まれる。さらなる抗血管形成剤には、エクシスリンド(Aptosyn(登録商標))、サルサレート(Amigesic(登録商標))、ジフルニサル(Dolobid(登録商標))、イブプロフェン(Motrin(登録商標))、ケトプロフェン(Orudis(登録商標))、ナブメトン(Relafen(登録商標))、ピロキシカム(Feldene(登録商標))、ナプロキセン(Aleve(登録商標)、Naprosyn(登録商標))、ジクロフェナク(Voltaren(登録商標))、インドメタシン(Indocin(登録商標))、スリンダク(Clinoril(登録商標))、トルメチン(Tolectin(登録商標))、エトドラク(Lodine(登録商標))、ケトロラック(Toradol(登録商標))、およびオキサプロジン(Daypro(登録商標))が含まれる。さらなる抗血管形成剤には、ABT510(Abbott)、アプラタスタット(TMI005)、AZD8955(AstraZeneca)、インサイクリニド(Metastat(登録商標))、およびPCK3145(Procyon)が含まれる。さらなる抗血管形成剤には、アシトレチン(Neotigason(登録商標))、プリチデプシン(aplidine(登録商標))、シレングチド(cilengtide)(EMD121974)、コンブレタスタチンA4(CA4P)、フェンレチニド(4 HPR)、ハロフギノン(Tempostatin(登録商標))、Panzem(登録商標)(2−メトキシエストラジオール)、PF−03446962(Pfizer)、レビマスタット(BMS275291)、カツマキソマブ(Removab(登録商標))、レナリドマイド(Revlimid(登録商標))、スクワラミン(EVIZON(登録商標))、サリドマイド(Thaloid(登録商標))、Ukrain(登録商標)(NSC631570)、Vitaxin(登録商標)(MEDI522)、およびゾレドロン酸(Zometa(登録商標))が含まれる。
【0153】
別の態様では、抗癌剤は、いわゆるシグナル伝達阻害剤である(たとえば、細胞内で情報交換される細胞成長、分化、および生存の基本工程を調節分子が支配する、その手段を阻害する)。シグナル伝達阻害剤には、小分子、抗体、およびアンチセンス分子が含まれる。シグナル伝達阻害剤には、たとえば、キナーゼ阻害剤(たとえば、チロシンキナーゼ阻害剤またはセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤)および細胞周期阻害剤が含まれる。より具体的には、シグナル伝達阻害剤には、たとえば、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、EGF阻害剤、ErbB−1(EGFR)、ErbB−2、pan erb、IGF1R阻害剤、MEK、c−Kit阻害剤、FLT−3阻害剤、K−Ras阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、JAK阻害剤、STAT阻害剤、Rafキナーゼ阻害剤、Akt阻害剤、mTOR阻害剤、P70S6キナーゼ阻害剤、WNT経路の阻害剤、およびいわゆる多標的キナーゼ阻害剤が含まれる。好ましいシグナル伝達阻害剤には、ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、スニチニブ(Sutent(登録商標))、イマチニブ(Gleevec(登録商標))、およびPD325901(Pfizer)が含まれる。本発明の化合物および本明細書中に記載の医薬組成物と併せて使用し得るシグナル伝達阻害剤のさらなる例には、BMS214662(Bristol−Myers Squibb)、ロナファルニブ(Sarasar(登録商標))、ペリトレキソール(AG2037)、マツズマブ(EMD7200)、ニモツズマブ(TheraCIM h−R3(登録商標))、パニツムマブ(Vectibix(登録商標))、バンデタニブ(Zactima(登録商標))、パゾパニブ(SB786034)、ALT110(Alteris Therapeutics)、BIBW2992(Boehringer Ingelheim)、およびCervene(登録商標)(TP38)が含まれる。シグナル伝達阻害剤の他の例には、PF−2341066(Pfizer)、PF−299804(Pfizer)、カネルチニブ(CI1033)、ペルツズマブ(Omnitarg(登録商標))、ラパチニブ(Tycerb(登録商標))、ペリチニブ(EKB569)、ミルテフォシン(Miltefosin(登録商標))、BMS599626(Bristol−Myers Squibb)、ラプロイセル−T(Neuvenge(登録商標))、NeuVax(登録商標)(E75癌ワクチン)、Osidem(登録商標)(IDM1)、ムブリチニブ(TAK−165)、CP−724,714(Pfizer)、パニツムマブ(Vectibix(登録商標))、ラパチニブ(Tycerb(登録商標))、PF−299804(Pfizer)、ペリチニブ(EKB569)、およびペルツズマブ(Omnitarg(登録商標))が含まれる。シグナル伝達阻害剤の他の例には、ARRY142886(Array Biopharm)、エベロリムス(Certican(登録商標))、ゾタロリムス(Endeavor(登録商標))、テムシロリムス(Torisel(登録商標))、AP23573(ARIAD)、およびVX680(Vertex)が含まれる。さらに、他のシグナル伝達阻害剤には、XL647(Exelixis)、ソラフェニブ(Nexavar(登録商標))、LE−AON(ジョージタウン大学)、およびGI−4000(Globelmmune)が含まれる。他のシグナル伝達阻害剤には、ABT751(Abbott)、アルボシディブ(フラボピリドール)、BMS387032(Bristol Myers)、EM1421(Erimos)、インジスラム(E7070)、セリシクリブ(CYC200)、BIO112(Onc Bio)、BMS387032(Bristol−Myers Squibb)、PD0332991(Pfizer)、およびAG024322(Pfizer)が含まれる。
【0154】
別の態様では、抗癌剤は、いわゆる古典的な抗新生物剤である。古典的な抗新生物剤には、それだけには限定されないが、ホルモン性、抗ホルモン性などのホルモンモジュレーター、アンドロゲン作用剤、アンドロゲン拮抗剤、および抗エストロゲン治療剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、遺伝子サイレンシング剤または遺伝子活性化剤、リボヌクレアーゼ、プロテオソーム剤(proteosomics)、トポイソメラーゼI阻害剤、カンプトテシン誘導体、トポイソメラーゼII阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ−1(PARP−1)阻害剤、マイクロチューブリン阻害剤、抗生物質、植物由来紡錘体阻害剤、白金配位化合物、遺伝子治療剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、血管標的薬剤(VTA)、およびスタチンが含まれる。本発明の化合物との組合せ療法において、任意選択で1つまたは複数の他の薬剤と共に使用する古典的な抗新生物剤の例には、それだけには限定されないが、糖質コルチコイド、たとえば、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、およびプロゲスチン、たとえば、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール(Megace)、ミフェプリストン(RU−486)、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(タモキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、アフィモキシフェン、アルゾキシフェン、バゼドキシフェン、フィスペミフェン、オルメロキシフェン、オスペミフェン、テスミリフェン、トレミフェン、トリロスタン、およびCHF4227(Cheisi)などのSERM、選択的エストロゲン受容体下方調節因子(フルベストラントなどのSERD)、エキセメスタン(Aromasin)、アナストロゾール(Arimidex)、アタメスタン、ファドロゾール、レトロゾール(Femara)、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH、一般的に黄体形成ホルモン放出ホルモン[LHRH]とも呼ばれる)作用剤、たとえば、ブセレリン(Suprefact)、ゴセレリン(Zoladex)、ロイプロレリン(Lupron)、およびトリプトレリン(Trelstar)、アバレリックス(Plenaxis)、ビカルタミド(Casodex)、シプロテロン、フルタミド(Eulexin)、メゲストロール、ニルタミド(Nilandron)、およびオサテロン、デュタステリド、エプリステリド、フィナステリド、ノコギリヤシ、PHL00801、アバレリックス、ゴセレリン、ロイプロレリン、トリプトレリン、ビカルタミド、タモキシフェン、エキセメスタン、アナストロゾール、ファドロゾール、フォルメスタン、レトロゾール、ならびにその組合せが含まれる。本発明の化合物と組み合わせて使用する古典的な抗新生物剤の他の例には、それだけには限定されないが、スベロールアニリド(suberolanilide)ヒドロキサム酸(SAHA、Merck Inc./Aton Pharmaceuticals)、デプシペプチド(FR901228またはFK228)、G2M−777、MS−275、酪酸ピバロイルオキシメチル、およびPXD−101、Onconase(ランピルナーゼ)、PS−341(MLN−341)、Velcade(ボルテゾミブ)、9−アミノカンプトテシン、ベロテカン、BN−80915(Roche)、カンプトテシン、ジフロモテカン、エドテカリン、エキサテカン(Daiichi)、ギマテカン、10−ヒドロキシカンプトテシン、イリノテカンHCl(Camptosar)、ルルトテカン、Orathecin(ルビテカン、Supergen)、SN−38、トポテカン、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、9−アミノカンプトテシン、イリノテカン、SN−38、エドテカリン、トポテカン、アクラルビシン、アドリアマイシン、アモナフィド、アムルビシン、アンナマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エルサミトルシン、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、ガラルビシン、ヒドロキシカルバミド、ネモルビシン、ノバントロン(ミトキサントロン)、ピラルビシン、ピクサントロン、プロカルバジン、レベッカマイシン、ソブゾキサン、タフルポシド、バルルビシン、Zinecard(デクスラゾキサン)、ナイトロジェンマスタードN−オキシド、シクロホスファミド、AMD−473、アルトレタミン、AP−5280、アパジクオン、ブロスタリシン、ベンダムスチン、ブスルファン、カルボコン、カルムスチン、クロラムブシル、ダカルバジン、エストラムスチン、フォテムスチン、グルフォスファミド、イホスファミド、KW−2170、ロムスチン、マフォスファミド、メクロレタミン、メルファラン、ミトブロニトール、ミトラクトール、マイトマイシンC、ミトキサトロン(mitoxatrone)、ニムスチン、ラニムスチン、テモゾマイド、チオテパ、白金配位アルキル化化合物、たとえば、シスプラチン、Paraplatin(カルボプラチン)、エプタプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、Eloxatin(オキサリプラチン、Sanofi)、ストレプトゾシン、サトルプラチン(satrplatin)、ならびにその組合せが含まれる。
【0155】
別の態様では、抗癌剤は、いわゆるジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤(メトトレキサートおよびNeuTrexin(グルクロン酸トリメトレセート(trimetresate))など)、プリン拮抗剤(6−メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、6−チオグアニン、クラドリビン、クロファラビン(Clolar)、フルダラビン、ネララビン、およびラルチトレキセドなど)、ピリミジン拮抗剤(5−フルオロウラシル(5−FU)、Alimta(プレメトレキセド(premetrexed)二ナトリウム、LY231514、MTA)、カペシタビン(Xeloda(登録商標)など)、シトシンアラビノシド、Gemzar(登録商標)(ゲムシタビン、Eli Lilly)、テガフール(UFT OrzelまたはUforal、テガフール、ギメスタット、およびオトスタットのTS−1組合せが含まれる)、ドキシフルリジン、カルモフル、シタラビン(オクホスファート、ホスフェートステアレート、持続放出、およびリポソームの形態が含まれる)、エノシタビン、5−アザシチジン(Vidaza)、デシタビン、エチニルシチジン)、他の代謝拮抗剤、たとえば、エフロルニチン、ヒドロキシ尿素、ロイコボリン、ノラトレキセド(Thymitaq)、トリアピン、トリメトレキセート、N−(5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−テノイル)−L−グルタミン酸、AG−014699(Pfizer Inc.)、ABT−472(Abbott Laboratories)、INO−1001(Inotek Pharmaceuticals)、KU−0687(KuDOS Pharmaceuticals)、GPI18180(Guilford Pharm Inc)、ならびにその組合せである。
【0156】
古典的な抗新生物性細胞毒性剤の他の例には、それだけには限定されないが、Abraxane(Abraxis BioScience,Inc.)、バタブリン(Amgen)、EPO906(Novartis)、ビンフルニン(Bristol−Myers Squibb Company)、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ネオカルジノスタチン(ジノスタチン)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン(Navelbine)、ドセタキセル(Taxotere)、オルタタキセル、パクリタキセル(DHA/パシルタキセル(paciltaxel)コンジュゲートであるTaxoprexinが含まれる)、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン(Eloxatin)、サトラプラチン、Camptosar、カペシタビン(Xeloda)、オキサリプラチン(Eloxatin)、Taxotere アリトレチノイン、カンフォスファミド(Telcyta(登録商標))、DMXAA(Antisoma)、イバンドロン酸、L−アスパラギナーゼ、ペグアスパルガーゼ(Oncaspar(登録商標))、エファプロキシラル(Efaproxyn(登録商標)−放射線療法)、ベキサロテン(Targretin(登録商標))、テスミリフェン(DPPE−細胞毒性の有効性を増強させる)、Theratope(登録商標)(Biomira)、トレチノイン(Vesanoid(登録商標))、チラパザミン(Trizaone(登録商標))、モテキサフィンガドリニウム(Xcytrin(登録商標))Cotara(登録商標)(mAb)、およびNBI−3001(Protox Therapeutics)、ポリグルタメート−パクリタキセル(Xyotax(登録商標))、ならびにその組合せが含まれる。古典的な抗新生物剤のさらなる例には、それだけには限定されないが、Advexin(ING201)、TNFerade(GeneVec、放射線療法に応答してTNFアルファを発現する化合物)、RB94(ベイラー医科大学)、Genasense(オブリメルセン、Genta)、コンブレタスタチンA4P(CA4P)、Oxi−4503、AVE−8062、ZD−6126、TZT−1027、アトルバスタチン(Lipitor、Pfizer Inc.)、プロバスタチン(Provastatin)(Pravachol、Bristol−Myers Squibb)、ロバスタチン(Mevacor、Merck Inc.)、シンバスタチン(Zocor、Merck Inc.)、フルバスタチン(Lescol、Novartis)、セリバスタチン(Baycol、Bayer)、ロスバスタチン(Crestor、AstraZeneca)、ロボスタチン(Lovostatin)、ナイアシン(Advicor、Kos Pharmaceuticals)、Caduet、Lipitor、トルセトラピブ、およびその組合せが含まれる。
【0157】
以下に列挙する例示的な具体的な態様を含めた、本発明のこれらおよび他の側面は、本明細書中に含有される教示から明らかである。
【実施例】
【0158】
実施例1
BET阻害剤の調製
表1に示すBET阻害剤B1〜B10を公開されている手順に従って調製し、組合せ実験において使用した。
【0159】
【表1-1】
【0160】
【表1-2】
【0161】
【表1-3】
【0162】
実施例2
T47D乳癌多細胞性腫瘍スフェロイドにおけるin vitroスクリーニング
スクリーニングにおいて使用するために、T47D多細胞性腫瘍スフェロイドを低接着性96ウェルプレート中で成長させた。略図を図1に提供する。T47D細胞を、10%のウシ胎児血清(GIBCO(登録商標))を補充したRPMI1640培地中で培養した。96ウェルの超低付着プレート(ULA−96U、Thermo Fisher)のウェル1個あたり200個のT47D細胞を播種した。細胞を4日間成長させてスフェロイドを形成させ、続いて、示したように化合物処置を開始した(0日目)。細胞を、ビヒクル(DMSO)、または30nM、300nM、もしくは3000nMの試験化合物B1〜B6のいずれかで処置した。同時に、ビヒクル(DMSO)またはパルボシクリブ(25nMの最終濃度)のどちらかをそれぞれの試料に加えた。培地を3日毎に交換した。スフェロイドの平均直径を3日毎に定量し(Celigo 200−BFFL−S、Nexcelcom)、スフェロイド成長曲線が得られた。曲線下面積(AUC)を定量し、パルボシクリブと組み合わせたBET阻害剤の相乗作用スコアを計算するために使用した(Chalice Analyzer、Horizon Discovery)。25nMのパルボシクリブと組み合わせた試験化合物の相乗作用スコアを表2に提供する。
【0163】
BET阻害剤B1〜B6の元のT47Dスフェロイド成長曲線を図2A〜2C(B1)、図3A〜3C(B2)、図4A〜4C(B3)、図5A〜5C(B4)、図6A〜6C(B5)、および図7A〜7C(B6)に示す。
【0164】
【表2】
【0165】
実施例3
T47D乳癌多細胞性腫瘍スフェロイドにおけるin vitroスクリーニング
T47D多細胞性腫瘍スフェロイドを実施例2に記載のように成長させた。細胞を、ビヒクル(DMSO)、または阻害効力に応じた適切な濃度(3nM、10nM、30nM、300nM、もしくは3000nM)のBET阻害剤B7、B8、B9、およびB10で処置した。ビヒクル(DMSO)またはパルボシクリブ(25nMの最終濃度)のどちらかをそれぞれの試料に加えた。T47Dスフェロイド成長曲線を実施例2に記載のように作成した。示したBET濃度での成長曲線を図8A〜8C(B7)、図9A〜9C(B8)、図10A〜10C(B9)、および図11A〜11C(B10)に示す。
【0166】
実施例4
Hs766T PDAC多細胞性腫瘍スフェロイドにおけるin vitroスクリーニング
スクリーニングにおいて使用するために、Hs766T多細胞性腫瘍スフェロイドを低接着性96ウェルプレート中で成長させた。Hs766T細胞を、10%のウシ胎児血清(GIBCO(登録商標))を補充したDMEM培地中で培養した。2%のマトリゲル(Cultrex、カタログ番号3432−005−1)を培地に加え、続いて、96ウェルの超低付着プレート(ULA−96U、Thermo Fisher)のウェル1個あたり400個の細胞/ウェルを播種した。細胞を4日間育成してスフェロイドを形成させ、続いて、示したように化合物処置を開始した(0日目)。細胞を、ビヒクル(DMSO)、または3nM、10nM、もしくは30nMの試験化合物B7、または30nM、300nM、もしくは3000nMの試験化合物B8のいずれかで処置した。ビヒクル(DMSO)またはパルボシクリブ(50nMの最終濃度)のどちらかをそれぞれの試料に加えた。培地を3日毎に交換した。スフェロイドの平均直径を3日毎に定量した(Celigo 200−BFFL−S、Nexcelcom)。スフェロイド成長曲線を実施例2に記載のように作成し、図12A〜12C(B7)および図13A〜13C(B8)に示す。
【0167】
実施例5
MCF−7乳癌異種移植片におけるin vivo研究
NOD scidガンマ(NSG)マウス(6〜7週齢、Jax laboratory、カリフォルニア州Sacramento)に、5×10個のMCF−7細胞(ATCC)を50%のマトリゲルと共に皮下注射した。MCF−7異種移植片が約150mmの体積に達した際、腫瘍保有マウスを4つの処置群にランダムに割り当て、それぞれn=10匹であった(ビヒクル、パルボシクリブ(50mpk)、ミベブレシブ(2mpk)、パルボシクリブ(50mpk)+ミベブレシブ(2mpk)の組合せ処置)。示したように処置をランダム化の後に開始した。マウスを0〜20日目に1日1回処置し、その後、腫瘍を47日目まで回復させた。平均腫瘍体積(mm)はMCF−7異種移植片(n=10)の平均である。腫瘍成長阻害曲線を図14に提供する。
【0168】
本明細書中に引用したすべての出版物および特許出願は、その全体で本明細書中に参照により組み込まれている。例示および実施例によって前述の発明を多少詳しく説明したが、本発明の教示に鑑みて、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱せずに特定の変更および修正を行い得ることは、当業者には容易に明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】