(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-515170(P2021-515170A)
(43)【公表日】2021年6月17日
(54)【発明の名称】アンモニア充填システム
(51)【国際特許分類】
F28D 15/02 20060101AFI20210521BHJP
B64G 1/50 20060101ALI20210521BHJP
【FI】
F28D15/02 106B
B64G1/50 600
F28D15/02 106C
F28D15/02 106D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-543930(P2020-543930)
(86)(22)【出願日】2019年2月12日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月5日
(86)【国際出願番号】TR2019050089
(87)【国際公開番号】WO2019160518
(87)【国際公開日】20190822
(31)【優先権主張番号】2018/02075
(32)【優先日】2018年2月14日
(33)【優先権主張国】TR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520307137
【氏名又は名称】トゥサシュ−テュルク・ハヴァジュルク・ヴェ・ウザイ・サナイー・アノニム・シルケティ
【氏名又は名称原語表記】TUSAS−TURK HAVACILIK VE UZAY SANAYII ANONIM SIRKETI
(71)【出願人】
【識別番号】520307148
【氏名又は名称】ガジ・ウニヴェルシテシ
【氏名又は名称原語表記】GAZI UNIVERSITESI
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ジェム・オミュル
(72)【発明者】
【氏名】アフメト・ビルゲ・ウイグル
(72)【発明者】
【氏名】ハサン・ギュルギュチュ・イシク
(72)【発明者】
【氏名】イルハミ・ホルズ
(57)【要約】
本発明は、チャンバー(2)と、熱移動のために使用され、チャンバー(2)に沿って延びる少なくとも1つのヒートパイプ(3)と、純粋なアンモニアを飽和蒸気として室温で貯蔵することができる少なくとも1つのアンモニア管(4)と、アンモニア管(4)からヒートパイプ(3)にアンモニアを供給することが可能で、ヒートパイプ(3)が取り外し可能に係合される少なくとも1つの供給ライン(5)と、供給ライン(5)上に配置され、アンモニアの流れを制御させる少なくとも1つのバルブ(6)と、供給ライン(5)上に配置され、封止制御を提供する少なくとも1つの検出器(7)と、ヒートパイプ(3)を加熱する少なくとも1つの加熱器(8)と、ヒートパイプ(3)を冷却する少なくとも1つの冷却器(9)と、を含む充填システム(1)に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー(2)と、熱移動のために使用され、チャンバー(2)に沿って延びる少なくとも1つのヒートパイプ(3)と、純粋なアンモニアを飽和蒸気として室温で貯蔵することができる少なくとも1つのアンモニア管(4)と、アンモニア管(4)からヒートパイプ(3)にアンモニアを供給することが可能で、ヒートパイプ(3)が取り外し可能に係合される少なくとも1つの供給ライン(5)と、供給ライン(5)上に配置され、アンモニアの流れを制御させる少なくとも1つの弁(6)と、供給ライン(5)上に配置され、封止制御を提供する少なくとも1つの検出器(7)と、ヒートパイプ(3)を加熱する少なくとも1つの加熱器(8)と、ヒートパイプ(3)を冷却する少なくとも1つの冷却器(9)と、を含む充填システム(1)であって、供給ライン(5)に接続されたヒートパイプ(3)の端部を所定の温度値より高く維持するための少なくとも1つの付加的な加熱器(10)を含むことを特徴とする、充填システム(1)。
【請求項2】
前記充填システム(1)が、前記ヒートパイプ(3)が冷却されている間に、前記供給ライン(5)に接続された該ヒートパイプ(3)の端部に熱を提供する付加的な加熱器(10)を有することを特徴とする、請求項1に記載の充填システム(1)
【請求項3】
前記充填システム(1)が、熱風を吹きつける付加的な加熱器(10)を有することを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の充填システム(1)。
【請求項4】
前記充填システム(1)が、前記加熱器(8)によって前記ヒートパイプ(3)が加熱されている間に、封止制御を行う検出器(7)と、該ヒートパイプ(3)にアンモニアが充填されている間に、該ヒートパイプ(3)内のアンモニアを液化させるために、該ヒートパイプ(3)を冷却する冷却器(9)と、を含むことを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の充填システム(1)。
【請求項5】
前記充填システム(1)が、前記ヒートパイプ(3)及び前記供給ライン(5)を接続することが可能な管継手接続特性を有する接続部材(11)を含むことを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の充填システム(1)。
【請求項6】
前記充填システム(1)が、前記接続部材(11)の温度を所定の温度値より高く維持する付加的な加熱器(10)を有することを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の充填システム(1)。
【請求項7】
前記充填システム(1)が、前記ヒートパイプ(3)の端部から該ヒートパイプ(3)及び前記供給ライン(5)の接続部に向かって徐々に該ヒートパイプ(3)を冷却する冷却器(9)を含むことを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の充填システム(1)。
【請求項8】
前記充填システム(1)が、ドライアイスの冷却器(9)を含むことを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の充填システム(1)。
【請求項9】
前記充填システム(1)が、前記ヒートパイプ(3)又は前記供給ライン(5)上に配置され、アンモニアの該ヒートパイプ(3)への移動又は該ヒートパイプ(3)からの除去をさせる弁(6)と、該ヒートパイプ(3)の重量を測定する少なくとも1つの重量測定装置(12)と、を含むことを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の充填システム(1)。
【請求項10】
前記充填システム(1)が、前記供給ライン(5)又は前記ヒートパイプ(3)上に配置され、温度を測定する少なくとも1つの熱計(13)と、前記アンモニア管(4)又は該供給ライン(5)上に配置され、該アンモニア管(4)から該供給ライン(5)に所望量のアンモニアを供給することを可能にする少なくとも1つの調節器(14)と、を含むことを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の充填システム(1)。
【請求項11】
前記充填システム(1)が、重量データに応じて前記弁(6)の動作を制御する少なくとも1つの制御部(15)を含むことを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の充填システム(1)。
【請求項12】
前記充填システム(1)が、温度情報に応じて前記調節器(14)の動作を調整する制御部(15)を有することを特徴とする、請求項11に記載の充填システム(1)。
【請求項13】
前記充填システム(1)が、熱移動のために宇宙機及び/又は航空機で利用されるヒートパイプ(3)を含むことを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の充填システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱移動のために宇宙機及び/又は航空機で利用されるヒートパイプにアンモニアを充填することを可能にする充填システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートパイプは、生じた熱を移動するために宇宙機及び/又は航空機で利用される。これらのヒートパイプでは、流体を用いて熱供給が行われる、ここで、アンモニアは、これらの流体の中で主流の流体である。宇宙機及び/又は航空機での熱移動のために利用されるヒートパイプにアンモニアを充填する動作は、高精度に行われる。ヒートパイプ内のアンモニアの量は、ヒートパイプによって可能になる熱移動に影響を与える。したがって、ヒートパイプにアンモニアを充填する動作を正確及び省エネルギー方式の両方で行うことは重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような典型的な充填システムは、公表された特許出願US 4881580 A号に開示されており、ここで、該文書は、ヒートパイプ及び同様の密閉キャリア(closed carrier)のための充填及び排出動作の両方を行うシステムに言及している。ここで、純粋な流体として、水、アンモニア、アルコール、及びハロゲン系炭化水素がヒートパイプ内で使用されてもよい。適切な量で選択された純粋な流体は、弁を介してヒートパイプに制御可能に充填される。しかしながら、宇宙機及び/又は航空機のために要求される高精度の充填動作を提供すること及び充填動作中に所望のエネルギー効率を得ることは可能ではない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明による充填システムは、チャンバーと、熱移動のために使用され、チャンバーに沿って延びる少なくとも1つのヒートパイプと、純粋なアンモニアを飽和蒸気として室温で貯蔵することができる少なくとも1つのアンモニア管と、アンモニア管からヒートパイプにアンモニアを移動することが可能で、ヒートパイプが取り外し可能に係合される少なくとも1つの供給ラインと、供給ライン上に配置され、アンモニアの流れを制御させる少なくとも1つの弁と、供給ライン上に配置され、真空引き及び/又は封止評価(sealing assessment)のために使用される少なくとも1つの検出器と、ヒートパイプの温度を上昇させる少なくとも1つの加熱器と、ヒートパイプを冷却する少なくとも1つの冷却器と、を含む。
【0005】
本発明による充填システムは、供給ラインに接続されたヒートパイプの端部領域を所定の温度値より高く維持するための少なくとも1つの付加的な加熱器を含む。
【0006】
本発明の別の実施形態では、充填システムは、ヒートパイプが冷却されている間に、供給ラインに接続されたヒートパイプの領域に熱を提供する付加的な加熱器を有する。ヒートパイプにアンモニアを充填している間、ヒートパイプは冷却器によって冷却される。これは、ヒートパイプ内のアンモニアを液化すること及びヒートパイプにアンモニアを充填することを提供する。ヒートパイプが冷却されている間、付加的な加熱器によって、アンモニアの導入が起こるヒートパイプの端部に熱が提供される。ヒートパイプにアンモニアを充填する動作中、アンモニアの導入が起こるヒートパイプの端部でアンモニアが液化するのが防止される。これは、より効果的な方法でヒートパイプにアンモニアを充填することを提供する。
【0007】
本発明の別の実施形態では、充填システムは、熱風を噴射する付加的な加熱器を有する。付加的な加熱器は、ヒートパイプ及び供給ラインの接続領域に熱風を噴射する。これは、簡便かつ効果的な方式で、該領域の温度値を所定の温度値より高く維持することを提供する。
【0008】
本発明の別の実施形態では、充填システムは、検出器によってヒートパイプのための封止評価を処理する工程、供給ラインによってアンモニア管から所定量のアンモニアをヒートパイプに充填する工程、加熱器によってヒートパイプの温度を上昇させる工程、真空引きによってヒートパイプ内のアンモニアをヒートパイプから除去している間に検出器によって封止制御(seal control)を行う工程、供給ラインによってアンモニア管からヒートパイプにアンモニアを装填する工程、ヒートパイプ内のアンモニアを液化するために冷却器によってヒートパイプを冷却する工程、及びヒートパイプを冷却する動作中に供給ラインに接続されたヒートパイプの端部に付加的な加熱器によって熱を提供する工程と、を含む。
【0009】
本発明のある実施形態では、充填システムは、ヒートパイプ及び供給ラインを接続することが可能な管継手接続特性(tube−fitting connection feature)を有する接続部材を含む。好ましくは、管状接続部は、ナットによって締め付けられた口輪(ferrule)を介して互いに堅固に接続される。これのおかげで、高圧値下の接続点で安全に封止が提供される。したがって、ヒートパイプにアンモニアを充填することがより効果的な方法で行われる。
【0010】
本発明の別の実施形態では、充填システムは、接続部材の温度を所定の特定の温度値より高く維持する付加的な加熱器を有する。これは、接続領域でのアンモニアの液化を防止し、それによって効果的な方法で、ヒートパイプにアンモニアを充填させる。
【0011】
本発明の別の実施形態では、充填システムは、ヒートパイプの端部からヒートパイプ及び供給ラインの接続部に向かってヒートパイプを局所的に冷却する冷却器を含む。冷却器は、ヒートパイプ内のアンモニアを冷却して、アンモニアを液相に変える。ヒートパイプ及び供給ラインの接続部から離れた位置でヒートパイプは、冷却され始める。ヒートパイプにアンモニアを充填する前に、ヒートパイプ及び供給ラインの接続部でアンモニアが液化するのが防止される。これは、ヒートパイプにアンモニアを効果的な方法で充填させる。
【0012】
本発明の別の実施形態では、冷却器は、二酸化炭素の固相であるドライアイスである。
【0013】
本発明の別の実施形態では、充填システムは、ヒートパイプ又は供給ライン上に配置され、アンモニアのヒートパイプへの移動又はヒートパイプからの除去をさせる弁と、ヒートパイプの重量を測定する少なくとも1つの重量測定装置と、を含む。重量を測定することによって、ヒートパイプが所望量充填されているか否かが検出される。もしもヒートパイプに多量のアンモニアが存在するならば、弁によって送出され、もしもヒートパイプに不足量のアンモニアが存在するならば、弁によってアンモニアは、ヒートパイプに加えられる。
【0014】
本発明の別の実施形態では、充填システムは、供給ライン又はヒートパイプ上に配置され、温度を測定する少なくとも1つの熱計と、アンモニア管又は供給ライン上に配置され、アンモニア管から供給ラインに所定量のアンモニアを供給することを可能にする少なくとも1つの調節器と、を含む。これは、ヒートパイプにアンモニアを制御可能に充填することを提供する。
【0015】
本発明の別の実施形態では、充填システムは、重量データを介して弁の動作を制御する制御部を含む。これは、ヒートパイプにアンモニアを制御可能に充填することを提供する。
【0016】
本発明の別の実施形態では、充填システムは、温度情報に応じて調節器の動作を調整する制御部を有する。温度データに応じて、調節器から供給ラインに供給されるアンモニアの流量が調整される。
【0017】
本発明のある実施形態では、ヒートパイプは、熱移動のために宇宙機及び/又は航空機で利用される。宇宙機及び/又は航空機では熱移動が高精度に行われる。充填システムのおかげで、ヒートパイプは高精度の効果的な方法でアンモニアが充填される。
【0018】
本発明による充填システムは、アンモニア気体の純度を乱すことなく、ヒートパイプにアンモニアを充填することを可能にする。そのうえ、1つのシステムは、充填及び気体排出の両方の動作を行うことができ、それによって製造コストの削減を行うことができる。加えて、本発明によるシステム及び方法は、室内条件で気相であるアンモニアを所望量でヒートパイプに充填することができる。
【0019】
<発明の目的>
本発明の目的は、宇宙機及び/又は航空機に提供されたヒートパイプにアンモニアを充填することを可能にする充填システムを提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、純粋なアンモニア気体の、その純度を乱すことなくヒートパイプに充填することを可能にする充填システムを提供することである;
【0021】
本発明のさらなる目的は、室内条件で気相であるアンモニア気体を所望量ヒートパイプに充填することが可能な低コストの充填システムを提供することである。
【0022】
本発明の更に別の目的は、ヒートパイプの熱移動容量を所望の水準に維持する充填システムを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の目的を達成するために実現される充填システムは添付図面に示される、図中:
【0024】
図面に示されている全ての部品には個々に参照番号が付されていて、これらの番号の対応する用語は以下のように列挙される:
1.充填システム
2.チャンバー
3.ヒートパイプ
4.アンモニア管
5.供給ライン
6.弁
7.検出器
8.加熱器
9.冷却器
10.付加的な加熱器
11.接続部材
12.重量測定装置
13.熱計
14.調節器
15.制御部
【0025】
<発明の説明>
充填システム(1)は、チャンバー(2)と、熱移動のために使用され、チャンバー(2)に沿って延びる少なくとも1つのヒートパイプ(3)と、純粋なアンモニアを飽和蒸気として室温で貯蔵することができる少なくとも1つのアンモニア管(4)と、アンモニア管(4)からヒートパイプ(3)にアンモニアを供給することが可能で、ヒートパイプ(3)が取り外し可能に係合される少なくとも1つの供給ライン(5)と、供給ライン(5)上に配置され、アンモニアの流れを制御させる少なくとも1つの弁(6)と、供給ライン(5)上に配置され、封止制御を提供する少なくとも1つの検出器(7)と、ヒートパイプ(3)を加熱する少なくとも1つの加熱器(8)と、ヒートパイプ(3)を冷却する少なくとも1つの冷却器(9)と、を含む。
【0026】
本発明の充填システム(1)は、供給ライン(5)に接続されたヒートパイプ(5)の端部を所定の温度値より高く維持するための少なくとも1つの付加的な加熱器(10)を含む(
図1及び
図2)。
【0027】
本発明の充填システム(1)は、ほぼ気相のアンモニアが存在するアンモニア管(4)からアンモニアを供給ライン(5)に供給する。アンモニアは、少なくとも1つの弁(6)によって、供給ライン(5)からヒートパイプ(3)に制御可能に供給され得る。ヒートパイプ(3)にほぼ気相で供給され、ヒートパイプ(3)を冷却するとすぐに、ヒートパイプ(3)内でアンモニアが液化し、それによって、ヒートパイプ(3)にアンモニアを充填する動作を行う。ヒートパイプ(3)にアンモニアを適切に導入することができるために、付加的な加熱器(10)によって、アンモニアの導入が起こるヒートパイプ(3)の端部が加熱される。これは、供給ライン(5)に接続され、アンモニアの導入が起こるヒートパイプ(3)の端部でアンモニアに起因する閉塞を回避する。したがって、ヒートパイプ(3)は、効果的な方法でアンモニアが充填される。
【0028】
本発明の別の実施形態では、充填システム(1)は、ヒートパイプ(3)が冷却されている間に、供給ライン(5)に接続されたヒートパイプ(3)の端部に熱を提供する付加的な加熱器(10)を有する。ヒートパイプ(3)にアンモニアを充填している間に、冷却器(9)によってヒートパイプ(3)は冷却される。これは、ヒートパイプ(3)内のアンモニアが液化し、ヒートパイプ(3)にアンモニアが充填されることを提供する。ヒートパイプ(3)が冷却されている間に、付加的な加熱器(10)によって、アンモニアの導入が起こるヒートパイプ(3)の端部が加熱される。ヒートパイプ(3)にアンモニアを充填する動作中に、アンモニアの導入が起こるヒートパイプ(3)の端部でアンモニアが液化するのが防止される。これは、より効果的な方法で、ヒートパイプ(3)にアンモニアを充填することを提供する。
【0029】
本発明の別の実施形態では、充填システム(1)は、熱風を吹きつける付加的な加熱器(10)を有する。付加的な加熱器(10)は、ヒートパイプ(3)及び供給ライン(5)との接続領域に熱風を吹きつける。これは、簡便及び効果的な方式で、該領域の温度値を所定の温度値より高く維持することを可能にする。
【0030】
本発明の別の実施形態では、充填システム(1)は、ヒートパイプ(3)が加熱器(8)によって加熱されている間に、封止制御を行う検出器(7)及び、ヒートパイプ(3)がアンモニアを充填されている間に、ヒートパイプ(3)内のアンモニアを液化させるためにヒートパイプ(3)を冷却する冷却器(9)と、を含む。充填システム(1)の動作方法(M)は、検出器(7)によってヒートパイプ(3)のための封止制御を行う工程と、供給ライン(5)によってヒートパイプ(3)にアンモニア管(4)からアンモニアの所定量を充填する工程と、加熱器(8)によってヒートパイプ(3)を加熱する工程と、真空引きによってヒートパイプ(3)内のアンモニアをヒートパイプ(3)から除去している間に検出器(7)によって封止制御を行う工程と、供給ライン(5)によってアンモニア管(4)からアンモニアをヒートパイプ(3)に充填する工程と、ヒートパイプ(3)にアンモニアを充填している間に、ヒートパイプ(3)内のアンモニアを液化するために、冷却器(9)によってヒートパイプ(3)を冷却する工程、及びヒートパイプ(3)の冷却動作中に、付加的な加熱器(10)によってヒートパイプ(3)の端部を加熱する工程と、を含む。好ましくは、ヘリウム気体を検出することができる検出器(7)によって、供給ライン(5)及びヒートパイプ(3)は、好ましくは、ヘリウム気体が充填されて、検出器(7)によって封止制御が提供される。封止制御後、ヒートパイプ(3)に所定量のアンモニア気体が移動される。加熱器(8)を介してヒートパイプ(3)を加熱することによって、ヒートパイプ(3)内のアンモニアは、ほぼ気相に変えられ、真空引きされ、送り出される。該アンモニアがヒートパイプ(3)から真空引きされている間、検出器(7)によって封止制御が繰り返される。漏れが検出されない場合、ヒートパイプ(3)は、アンモニア管(4)から供給ライン(5)によって、アンモニアが充填される。ヒートパイプ(3)は、冷却されて、ヒートパイプ(3)内のアンモニアを液化する。ヒートパイプ(3)にアンモニアを導入している間、アンモニアが液化しないように、供給ライン(5)に接続されたヒートパイプ(3)の端部が付加的な加熱器(10)によって加熱される。これは、効果的な方法でヒートパイプ(3)にアンモニアを充填することを提供する。
【0031】
本発明のある実施形態では、充填システム(1)は、ヒートパイプ(3)及び供給ライン(5)を接続することが可能な管継手接続特性を有する接続部材(11)を含む。好ましくは、管式の接続部は、漏れがないように、ナットによって締め付けられた口輪を介して互いに堅固に接続される。これのおかげで、高圧値下の接続点で安全に封止が提供される。したがって、より効果的な方法で、ヒートパイプ(3)にアンモニアを充填することが行われる。
【0032】
本発明の別の実施形態では、充填システム(1)は、接続部材(11)の温度を所定の温度値より高く維持する付加的な加熱器(10)を有する。これは、接続領域でのアンモニアの液化を防止し、それによってヒートパイプ(3)にアンモニアを効果的な方法で充填させる。
【0033】
本発明の別の実施形態では、充填システム(1)は、ヒートパイプ(3)の端部からヒートパイプ(3)及び供給ライン(5)の接続部に向かって徐々にヒートパイプ(3)を冷却する冷却器(9)を含む。冷却器(9)は、ヒートパイプ(3)内のアンモニアを冷却して、アンモニアを液相に変える。ヒートパイプ(3)及び供給ライン(5)の接続部から離れた位置でヒートパイプ(3)は、冷却され始める。ヒートパイプ(3)にアンモニアを充填する前に、ヒートパイプ(3)及び供給ライン(5)の接続部でアンモニアが液化するのが防止される。これは、ヒートパイプ(3)にアンモニアを効果的な方法で充填させる。
【0034】
本発明の別の実施形態では、冷却器(9)はドライアイスである。これは、ヒートパイプ(2)の所望の領域又は全領域を冷却することを可能にする。
【0035】
本発明の別の実施形態では、充填システム(1)は、ヒートパイプ(3)又は供給ライン(5)上に配置され、アンモニアのヒートパイプ(3)への移動又はヒートパイプ(3)からの除去をさせる弁(6)と、ヒートパイプ(3)の重量を測定する少なくとも1つの重量測定装置(12)と、を含む。重量を測定することにより、ヒートパイプ(3)が所望量充填されているか否かが検出される。もしもヒートパイプ(3)に多量のアンモニアが存在するならば、弁(6)によって送出され、もしもヒートパイプ(3)に不足量のアンモニアが存在するならば、弁(6)によってアンモニアは、ヒートパイプ(3)に加えられる。
【0036】
本発明の別の実施形態では、充填システム(1)は、供給ライン(5)又はヒートパイプ(3)上に配置されて温度を測定する少なくとも1つの熱計(13)と、アンモニア管(4)又は供給ライン(5)上に配置され、所望量のアンモニアをアンモニア管(4)から供給ライン(5)に供給することを可能にする少なくとも1つの調節器(14)と、を含む(
図3)。これは、ヒートパイプ(3)にアンモニアを制御可能に充填することを提供する。
【0037】
本発明の別の実施形態では、充填システム(1)は、重量データに応じて弁(6)の動作を制御する制御部(15)を含む。これは、ヒートパイプにアンモニアを制御可能に充填することを提供する。
【0038】
本発明の別の実施形態では、充填システム(1)は、温度情報に応じて調節器(14)の動作を調整する制御部(15)を有する。温度データに応じて、調節器(14)から供給ライン(5)に供給されるアンモニアの流量が調整される。
【0039】
本発明のある実施形態では、ヒートパイプ(3)は、熱移動のために宇宙機及び/又は航空機で利用される。宇宙機及び/又は航空機では熱移動が高精度で行われる。充填システム(1)のおかげで、ヒートパイプ(3)に効果的な方法で高精度にアンモニアが充填される。
【0040】
本発明による充填システムは、アンモニア気体の純度を乱すことなく、ヒートパイプ(3)にアンモニアを充填することを可能にする。そのうえ、1つのシステムは、充填及び気体排出の両方の動作を行うことができ、それによって製造コストを削減する。加えて、本発明による充填システム(1)及び方法は、室内条件で気相であるアンモニアを所望量でヒートパイプ(3)に充填することができ、それによってヒートパイプ(3)の熱移動容量を所望の水準で得る。
【国際調査報告】