特表2021-515213(P2021-515213A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-515213磁性材料の閉回路特性を推定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-515213(P2021-515213A)
(43)【公表日】2021年6月17日
(54)【発明の名称】磁性材料の閉回路特性を推定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20210521BHJP
【FI】
   G01R33/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-544898(P2020-544898)
(86)(22)【出願日】2019年2月26日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月26日
(86)【国際出願番号】GB2019050533
(87)【国際公開番号】WO2019166797
(87)【国際公開日】20190906
(31)【優先権主張番号】1803195.5
(32)【優先日】2018年2月27日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】503175450
【氏名又は名称】ハースト マグネティック インストルメンツ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ダディング, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】クレウェット, ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ウェイド, ジャック
(72)【発明者】
【氏名】コーネリアス, ロビン
【テーマコード(参考)】
2G017
【Fターム(参考)】
2G017AA01
2G017AA04
2G017CA01
2G017CD03
(57)【要約】
閉回路環境で測定されたかのようにして磁性材料の特性を推定するための改良された方法である。この方法は、パルス磁場磁力計と磁気体のコンピュータモデルとを使用して得られた開回路での測定値を利用する。正確な閉回路特性の計算を可能にする反復法が使用される。この方法は以前の解決法よりも汎用的であり、あらゆる3次元立体に適用できる。近似と当て推量の必要性を減らすことにより、より高い精度が達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料の閉回路特性を推定する方法であって、
(i)パルス磁場磁力計(PFM)での測定を使用して、前記磁性材料で形成された磁性体の開回路特性を計算することと、
(ii)節点位置の組を描く四面体メッシュを使用して前記磁性体のコンピュータモデルを生成することと、
(iii)外部から印加される磁場を設定することと、
[A]前記節点での磁化Mの開始分布を仮定することと、
[B]各節点について、他のすべての節点での磁化による磁場Hを計算することと、
[C]前記開回路特性から、各節点での新しい磁化Mを読み取ることと、
(iv)前記磁化Mが許容範囲内でしか変化しなくなるまで、[B]と[C]を繰り返すことと、
(v)開回路特性曲線上で、前記磁性体の磁場を含めるよう外部から印加される磁場Hを更新することと、
(vi)前記開回路特性曲線全体に亘って外部から印加される磁場の範囲に対して(iii)(iv)及び(v)を繰り返すことと
による方法。
【請求項2】
(v)で前記開回路特性曲線を更新するステップが、外部から印加される磁場がゼロである場合についての前記磁性体内部の前記磁場Hでの分布関数を計算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(v)で前記開回路特性曲線を更新するステップが、印加される磁場に分布関数の一次モーメントを追加することを含む、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性材料の閉回路特性を推定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外部から加えられた磁場に応じた材料の磁化を知ることが重要である多くの状況がある。最新の重要な例の1つは、電気自動車のモーターで使用する部品の製造である。
【0003】
材料の特性を明らかにするために、物体の磁化は従来は閉回路で、すなわち物体が鋼導波管内に閉じ込められた状態で測定される。導波管は、物体を通る磁束が均一であることを確実にする。このようにして、閉回路測定は、そうでなければ物体の形状が原因で発生するであろう境界効果を抑制する。したがって、閉回路測定は材料特性のみに関係する。
【0004】
最新の希土類磁性材料のピーク磁化(飽和)は、鋼導波管の飽和をはるかに超える非常に高い磁場で発生する。飽和は、鋼を通って駆動されることができる外部磁場の振幅を制限する。したがって、閉回路でこれらの重要な材料の特性を正確に明らかにすることはできない。
【0005】
最新の磁性材料の特性を明らかにする唯一の方法は、開回路測定を使用することである。つまり、磁性体を空気中に保持する。特許文献1は、パルス磁場磁力計(PFM)、及び開回路特性を明らかにすることによる方法について説明している。空間の局所領域で急速に変化する磁場のパラメータ、例えば鉄の物体の残留磁性は、領域の周りの既知の位置で間隔を空けて配置されたセンサーアレイを使用して測定される。そのセンサーは、物体の表面に沿って動かされるプローブを形成する直線的配列でのホールセンサーにされることができる。そのプローブは、空間領域からの既知の距離又は特定可能な距離で磁場の大きさ及び方向を測定し、そこから空間領域の磁場のパラメータを明らかにする。明らかにされ得る磁場のパラメータには、磁場の強さ、磁場強度、磁場強度の勾配、磁束密度、及び磁束密度の勾配が含まれる。
【0006】
鋼製コア中よりも空気中での外部磁場の形状及び幅を制御する方が簡単であるため、開回路測定は、より精密かつ正確に行われることができる。しかし、開回路測定は物体内に自己消磁場の形成を許容し、その強度は物体の形状及び材料特性の両方に依存する。そのため、開回路測定は所定の材料に固有のものではない。
【0007】
現在、開回路での測定値を、限られた範囲の物体形状、具体的には回転楕円体、直方体、円柱の閉回路での測定値に対応付けることしかできない。これらの形状についてでさえ、最先端の方法では近似と当て推量を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】英国特許出願公開第2515817号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、開回路から閉回路への対応付けをあらゆる2次元又は3次元形状に拡張すること、そしてはるかに高い精度を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、それらが閉回路環境で測定されたかのようにして、磁性材料の特有の性質を推定する方法を提供する。この方法は、パルス磁場磁力計を使用して得られた開回路での測定値と、磁気体のコンピュータモデルとを利用する。正確な閉回路特性の計算を可能にする反復法が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下の説明及びそこで参照される添付の図面は、本発明がどのように実施され得るかを説明するために、非限定的な例として含まれている。
図1】磁性体の開回路特性及びコンピュータモデルに基づいて磁性材料の閉回路特性を推定するために使用される方法のフローチャートである。
図2】四面体メッシュで構築された磁性体のコンピュータモデルである。
図3】磁性体の測定された磁化が、外部から印加された磁場の関数としてどのように変化するかを示す特性曲線である。
図4】開回路特性曲線の第2象限から計算されたスケーリングされた透磁率μを示す。
図5】磁性体内の磁場に関する計算された分布関数と、その分布関数の一次モーメント(平均)を示す。
図6】開回路特性及び推定された閉回路特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図3は、すべての磁性体が示すものと同様の磁気特性曲線である。この特定の曲線は、Hirst PFM06のパルス磁場磁力計を使用して測定された希土類磁石の開回路特性を示す。その特性曲線は、印加された磁場Hの関数として磁化Mがどのように変化するかを示し、破線は、特定の磁場Hでの磁化Mをどのように特性曲線から読み取ることができるかを示す。磁性体の開回路特性曲線は、特許文献1(その全内容は、参照により本明細書に援用される)に開示されたような磁場測定を使用して正確に計算されることができる。本発明の方法の目的は、これらの開回路特性を使用して、これまで可能であったよりも高い精度で閉回路特性を推定することである。
【0013】
本発明の方法では、図1に示す反復法を使用する。
【0014】
まず、特許文献1でのように、パルス磁場磁力計を使用して空気中で開回路特性を測定する。
【0015】
磁性体の四面体メッシュコンピュータモデルが生成されて、節点位置の配列を定義する。円柱体を切り分けるために使用されることができる典型的な四面体メッシュを図2に示す。
【0016】
測定された開回路特性から閉回路特性の計算を開始するために、印加磁場(駆動場)が選択される。
【0017】
[A]磁性体内の磁化の開始分布が仮定される。簡単にするために、これは均一にされることができる。
【0018】
[B]下付き文字jで示される四面体メッシュでの各節点について、下付き文字iで示される他のすべての節点による磁場Hjを計算する。これは、式(1)及び(2)を使用して行われる。
【0019】
磁位φは
【数1】
により与えられる。
【0020】
磁場は、
【数2】
を使用して計算されることができる。
【0021】
[C]測定された開回路特性を使用して、図3に示されるようにして、すべての節点で計算された磁場Hjを使用して磁化Mjが読み取られる。同様に透磁率
【数3】
は、図4に示されるように、スケーリングされた透磁率を使用して読み取られることができる。その図は測定された開回路特性を示し、重ね合わせられた曲線は、回路特性曲線の第2象限から計算されたスケーリングされた透磁率μを示す。
【0022】
磁化の計算のステップ[B]及び[C]は、磁化Mが許容範囲内の定常値に収束するまで、すべての節点に対して繰り返される。
【0023】
磁石内部の定常磁場は、自己消磁場(磁性体の磁場)と外部から加えられた磁場の合計である。自己消磁場の一次モーメントを印加磁場に加えることにより、図5に示されるように、特性をH軸上にオフセットすることができる。外側の線は、計算された開回路特性を再度示す。挿入線は、外部から印加された磁場をゼロとした場合の磁性体内部の磁場Hの計算された分布関数を示す。縦の破線は、分布関数の一次モーメントを示す。これは、外部から印加された磁場がゼロの場合に磁石が受ける平均磁場である。(H軸上の分布関数の位置は、強調のために誇張されていることに注意されたい。)これにより、単一の印加磁場での開回路から、推定される閉回路曲線への特性の歪曲をもたらす。
【0024】
印加された磁場の範囲に対して計算全体が繰り返されて、開回路から閉回路の特性への完全な対応付け(歪曲)がもたらされる。典型的な結果を図6に示す。黒い実線は、測定された開回路特性を再度示す。破線は、説明した方法を用いて実施された、閉回路特性の対応する推定値を示す。
【0025】
磁化と透磁率は開回路測定に基づいているため、この対応付けは依然として推定値にすぎないことに注意されたい。しかし、望ましいレベルの精度が達成されるまで、閉回路特性の推定値を使用してプロセス全体を繰り返すことができる。
【0026】
上記の説明は、新しいと考えられる部分に重点を置き、認識された特定の問題に対処するが、本明細書に開示される特徴は、当分野において新しい有用な進歩を提供することができるあらゆる組み合わせで使用され得ることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】