(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-515591(P2021-515591A)
(43)【公表日】2021年6月24日
(54)【発明の名称】禁煙プログラムを実施する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A24F 15/14 20060101AFI20210528BHJP
【FI】
A24F15/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-567633(P2020-567633)
(86)(22)【出願日】2019年2月25日
(85)【翻訳文提出日】2020年9月25日
(86)【国際出願番号】EP2019054588
(87)【国際公開番号】WO2019166368
(87)【国際公開日】20190906
(31)【優先権主張番号】102018104470.4
(32)【優先日】2018年2月27日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】520326622
【氏名又は名称】アンドレアス ウンジッカー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ウンジッカー
(57)【要約】
喫煙者禁煙プログラムのための方法と装置が、開示されている。方法は次のものを有する:禁煙日用のバーチャルな喫煙製品のためのバッファ値(72)を定め、禁煙日用のバーチャルな喫煙製品のための保管室値(74)を定め、禁煙日のためにバーチャルな喫煙製品を保管室値(74)からバッファ値(72)へ移動させるためのバッファ充填時間(76)を定め、かつバッファ値(72)内のバーチャルな喫煙製品の数がゼロより大きい間、ハウジング(20)から喫煙製品(10)の1つを取り出すことを可能にする。この方法と装置によって、禁煙しようとする喫煙者にとって、禁煙時間の間永続的に減少される喫煙製品の量(身体的禁煙)を、「個別の危機的喫煙状況」のために利用して、しかるべき脳エリアに、これらの危機的喫煙状況を喫煙製品なしで乗り切る(精神的禁煙)ことを学習させることが、可能になる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(20)から少なくとも1つの喫煙製品(10)を放出する方法であって、
a)禁煙日のためのバーチャルな喫煙製品のためのバッファ値(72)を定め、
b)禁煙日のためのバーチャルな喫煙製品のための保管室値(74)を定め、
c)禁煙日のためにバーチャルな喫煙製品を保管室値(74)からバッファ値(72)へ移動させるためのバッファ充填時間(76)を定め、
d)バッファ値(72)内のバーチャルな喫煙製品の数がゼロより大きい間、ハウジング(20)から喫煙製品(10)の1つを取り出すことを可能にする、
方法。
【請求項2】
保管室値(74)からバッファ値(72)へのバーチャルな喫煙製品の移動が、保管室値(74)がゼロの達するまでの間行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a)禁煙プログラムの経過においてバッファ値(72)が減少され、
b)禁煙プログラムの経過において保管室値(74)が減少され、かつ/又は
c)禁煙プログラムの経過においてバッファ充填時間(76)が増大される、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ハウジング(20)からの喫煙製品(10)の取り出しが、時間遅延されて行われる、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
時間遅延が禁煙プログラムの経過において延長される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
喫煙者禁煙プログラムにおける請求項1から5のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項7】
喫煙製品(10)を取り出すための装置(20)であって、
a)喫煙製品(10)を保管するための内部空間(30)、
b)装置(20)の開放を阻止するためのロック(40)、
c)装置(20)の開放を検出するためのセンサ(28)、及び
d)禁煙プログラムのためのデータを提供する値メモリ(48)、
を有し、
値メモリ(48)がバッファ値(72)と保管室値(74)を記憶し、かつロック(40)は、バッファ値がゼロより大きい場合に装置(20)の開放を可能にし、かつ喫煙製品(10)の取り出し後にバッファ値(72)が1つのバーチャルの喫煙製品だけ減少されており、かつバッファ充填時間(76)の後にバッファ値(72)が1つのバーチャルの喫煙製品だけ増大されて、同時に保管室値(74)が1つのバーチャルの喫煙製品だけ減少される、
装置。
【請求項8】
バッファ値(72)、保管室値(74)及びバッファ充填時間(76)が1日の最初に禁煙プログラムによって定められる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
さらに、喫煙者禁煙に必要な機能を制御する、プロセッサ(46)を有する、請求項7又は8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
内部空間(30)内にパッケージ(15)を固定するための隆起部(29)を有する、請求項7から9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
さらに、データを他の端末へ送受信するためのインターフェイスを有する、請求項7から10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
ロック(40)が、アクセス遅延後に初めて開放可能である、請求項7から11のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの喫煙製品、たとえばタバコ、を放出するためのハウジングを有する装置及び方法に関するものである。本発明に係る方法とハウジングは、禁煙しようとする喫煙者用の禁煙プログラムの実施を可能にする。
【背景技術】
【0002】
禁煙しようとする喫煙者にとって、喫煙を断念することはきわめて困難であり、かつ禁煙しようとする喫煙者はきわめて迅速に再び後戻りしてしまうことを、多くの調査が裏付けている。今日から明日にかけてやめ、あるいは鍼治療又は催眠状態を利用する、禁煙しようとする喫煙者の約6%しか、禁煙を続けられない。薬剤による処置又はニコチンパッチあるいはニコチンガムのようなニコチン代替品でさえも、約85%の逆戻り割合を有している。最も有望なのは、ともかく23%の成功率を有する行動療法である。
【0003】
最近の研究は、成功する断煙はまず第1に、学習された習慣である「喫煙」を、担当する脳のエリアからどのくらい永続的に「消去」あるいは「除去」できるかにかかっていることを、示している。禁煙しようとする各喫煙者は、担当する脳エリア内で、所定の生活場面においてタバコ又は他の喫煙製品に手を出すことを学習している(=習慣):一方では、食事の後、同僚とのカフェ休みあるいはバーで飲み物と共にタバコ、のようにポジティブな社会的状況において。他方では、諍いや心的葛藤、仕事又は不快な電話におけるストレスのような、ネガティブな感情場面において。したがって成功する禁煙は、正確にこの「危機的喫煙状況」における習慣(=タバコに手を出す)を、禁煙をしようとしている喫煙者の該当する脳エリアから消去することを、前提としている。というのは、まさにこれらの「危機的喫煙状況」こそが、逆戻りの原因だからである。
【0004】
したがって禁煙しようとする喫煙者は、その個別の「危機的喫煙状況」をタバコなしで乗り切ることを学習しなければならない。この学習プログラム(=習慣を忘れるプログラム)は、連続的な禁煙のために2つの決定的な利点を有する:A)禁煙しようとする喫煙者は、タバコなしでネガティブな環状場面を乗り切る心配を忘れ去り、タバコなしで再びポジティブな状況を享受することを学習する。B)禁煙しようとする喫煙者は、何かを諦めなければならないという感情をもって、その残りの人生を過ごす必要はない。高い後戻り率に対抗する2つの決定的なファクターである。
【0005】
喫煙者禁煙プログラムを支援するための種々の装置、ハウジング及び方法が、従来技術から知られている。たとえば、所定の時間インターバルの後に初めてタバコの放出を許すタバコ容器を示す装置が、特許文献1(米国特許第4620555号明細書)に見られる。この特許においてユーザー(禁煙しようとする喫煙者)は、容器の外側にあるボタンを押してからタバコを取り出すまでに、タバコを必要とする自らの欲求を熟考するために考える時間を有する。
【0006】
特許文献2(米国特許第8307834号明細書)及び特許文献3(独国実用新案登録第9001043号明細書)には、タイムスイッチを有する容器を示す装置が開示されている。この装置は、あらかじめ定められた時間後に初めて容器の開放を可能にする。
【0007】
他のやり方は、特許文献4(国際公開第2004079686号)から読み取ることができ、それはフォトインターラプタを有するタバコの箱を示している。タバコの蓋を開けた後は、フォトインターラプタが中断されて、喫煙の危険についてのオーディオメッセージが再生される。
【0008】
特許文献5(国際公開第2004/075671号)には、ユーザーの設定に従って喫煙者禁煙プログラムを計算する方法が開示されている。この特許出願は、方法を実施する装置も開示している。
【0009】
身体を段階的にニコチンから遠ざける目的で、禁煙しようとする喫煙者にタバコ又はその他の喫煙製品を時間制御で合理的に提供する多数の装置と方法が知られている。たとえば、特許文献6(米国特許第5778897号明細書)は喫煙者禁煙方法を記述しており、それにおいてタバコは容器から時間インターバルで放出される。タバコを放出するための時間インターバルは、複数日と周にわたって延長されて、ついにはあらかじめ定められた時点に達して、もはや容器からタバコは放出されなくなる。
【0010】
同様に、特許文献7(米国特許第6712075号明細書)からは、時計を有するタバコの箱が知られており、その場合にタバコの箱はロック機構の解除後に初めて開けることができる。
【0011】
これら既知の方法及びロック機構と喫煙製品の時間制御の放出を有する装置は、まさに個別の「危機的喫煙状況」に焦点を当てたものではなく、特に禁煙しようとする者に、禁煙プログラムの経過において減少するタバコ量を、正確にその人の個別の「危機的喫煙状況」のために使用して、しかるべき脳エリアに、正確にこれらの状況をタバコなしで乗り切ることを学習する可能性を与えるものではない。むしろタバコは、「危機的な喫煙状況」と可能なタバコアクセスが一致しない状況のために提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4620555号明細書
【特許文献2】米国特許第8307834号明細書
【特許文献3】独国実用新案登録第9001043号明細書
【特許文献4】国際公開第2004079686号
【特許文献5】国際公開第2004/075671号
【特許文献6】米国特許第5778897号明細書
【特許文献7】米国特許第6712075号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって本発明の課題は、禁煙しようとする喫煙者にその人の個別の危機的喫煙状況をタバコなしで乗り切るように学習させることを可能にする、方法と装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
装置はハウジングを有しており、そのハウジングは市場で一般的な喫煙製品のパッケージ、たとえばタバコの箱を収容することができる。ハウジング内には、ロックが内臓されており、そのロックは禁煙プログラムの設定に従ってタバコへのアクセスを可能にし、あるいは拒否する。センサが、装置のカバーが開放されたか否かを測定する。ディスプレイが、禁煙しようとしている人に禁煙プログラムについてのすべての必要な情報を見えるようにする。発光手段が、器具の状態(開放/閉鎖)を示す。ハウジングの外側に設けられたキーが、禁煙プログラムについての重要な情報の呼び出しを可能にし、かつ禁煙プログラムを初期化するために用いられる。
【0015】
したがって1つの視点において、装置は喫煙製品を収容するための内部空間、装置の開放を阻止するロック、装置の開放を検出するセンサ及び値メモリを有しており、その値メモリが禁煙プログラムのためのデータを提供する。この視点において、値メモリがバッファ値と保管室値を記憶する。ロックは、バッファ値がゼロより大きい場合に、装置の開放を可能にする。喫煙製品の取り出し後に、バッファ値はバーチャルな喫煙製品1つだけ減少され、かつバッファ充填時間後にバッファ値はバーチャルな喫煙製品1つだけ増大され、同時に保管室値がバーチャルな喫煙製品1つだけ減少される。
【0016】
バッファ値、保管室値及びバッファ充填時間は、禁煙日の最初に禁煙プログラムによって定められている。
【0017】
他の視点において、装置のハウジングは内部空間内にパッケージを固定するために隆起部を有している。
【0018】
他の視点において、ロックはアクセス遅延後に初めて開放される。
【0019】
この装置によって、段階的にだんだんと少なくなる喫煙製品が提供され(身体的禁煙)かつ禁煙時間の間恒久的に減少された量の喫煙製品が「個別の危機的喫煙状況」のために利用されて、しかるべき脳エリアに、危機的な喫煙状況を喫煙製品なしで乗り切ること(精神的禁煙)を学習させることにより、禁煙しようとする喫煙者は喫煙者禁煙プログラムによって支援される。
【0020】
さらに、ハウジングはプロセッサを有しており、そのプロセッサが禁煙プログラム、ロック、ディスプレイ表示、発光手段及び他の機能を制御する。
【0021】
選択的に、装置から無線送信器及びインターフェイスを介して他の端末、−たとえばスマートフォン−へ情報、たとえばカバーの開放の頻度あるいは禁煙の日についての統計を、伝達することができる。選択的に、インターフェイスを介して他の端末から情報、たとえば禁煙プログラムについての更新された値を受信することができる。もちろん装置は、インターフェイスなしでも充分であり、禁煙しようとする喫煙者は付加的な端末なしで方法と装置を利用することができる。
【0022】
少なくとも1つの喫煙製品を放出する方法は、以下のステップを有している:
a)禁煙日のためにバーチャルな喫煙製品のためのバッファ値を定める;
b)禁煙日のためにバーチャルな喫煙製品のための保管室値を定める;
c)禁煙日のためにバーチャルな喫煙製品を保管室値からバッファ値へ移動させるためのバッファ充填時間を定める;
d)バッファ値内のバーチャルな喫煙製品の数がゼロより大きい間、ハウジングから喫煙製品を1つ取り出すことを可能にする。
【0023】
バーチャルな喫煙製品の1つを保管室値からバッファ値へ移動させることは、保管室値がゼロになるまでの間だけ、行われる。
【0024】
禁煙プログラムの間、バッファ値と保管室値は常に減少され、かつバッファ充填時間が増大される。
【0025】
ハウジングから禁煙製品の1つを取り出すことは、バッファ値がゼロに達した場合に阻止される。ハウジングからの喫煙製品の取り出しは、喫煙製品の1つが提供可能である場合に時間遅延して行われる。この時間遅延は、禁煙プログラムの経過において延長される。
【0026】
この方法と装置は、禁煙しようとする喫煙者が管理されずに彼のタバコへアクセスすることを阻止する。むしろ、禁煙しようとする喫煙者は、各禁煙日において自らの喫煙挙動を意識的に計画し、かつその「危機的喫煙状況」に焦点を当てる気にさせられる。さらに禁煙しようとする喫煙者は、彼にタバコがだんだんと少なくなるように設定された禁煙プログラムを守ることを可能にさせる装置を得る。というのは、彼はいつでもディスプレイを介して、該当する禁煙日のためにどのくらいのタバコが提供されるか、そしてどのくらいのタバコに「直接的であるが、遅延されたアクセス」を有するか(説明に従う)を読み出すことができるからである。
【0027】
装置自体は、非常に軽くて、禁煙しようとする喫煙者が市場で一般的なパッケージによって慣れているような、タバコの箱の通常の取扱いを決して妨げない。装置を満たすことは、市場で一般的なパッケージ全体を中のタバコと共に交換することによって行われる。禁煙プログラムの設定に従ってあらかじめ定められた、許されるタバコ(バーチャルのタバコ)の数は、装置内の「実際の喫煙可能なタバコ」の数と一致する必要はない。
【0028】
方法は、以下のステップを有している:たとえば「1日あたり実際に喫煙したタバコの数」と「喫煙した年数」の値を介して、禁煙期間を定める。これらの2つの値から、禁煙期間の長さ、たとえば180、150又は120日、が定められる。禁煙期間又はその決定は、他のやり方で定めることもでき、あるいは一般に固定的に定めることができる。
【0029】
禁煙日あたりのバッファ値と保管室値を定める:バッファ値は喫煙者に、どのくらい多くのバーチャルのタバコにそのときに「直接、しかし遅延して」アクセスできるか、を示す。正確にこのバッファ値からのバーチャルなタバコが、「学習プログラム」のために使用される。保管室値は禁煙しようとする喫煙者に、禁煙日の最後までにどのくらいのバーチャルなタバコが提供されるかを示し、そのそのタバコには「直接、しかし遅延したアクセス」はなく、かつ「学習プログラム」のために実際には提供されない。バッファ値と保管室値は一緒になって、それぞれの禁煙日のために許された実際の喫煙可能なタバコの最大数をもたらす。禁煙日の増加に伴って、許される実際の喫煙可能なタバコの最大数は連続的に減少される。同様にバッファ値と保管室値は、バーチャルなタバコについて減少される。
【0030】
バッファ充填時間を定める:バッファ充填時間は禁煙しようとする喫煙者に、どのような時間インターバルで、たとえば各時間に、「バーチャルな」タバコが保管室値からバッファ値内へ移動されるか、を示す。禁煙日の増加にともなって、バッファ充填時間の時間インターバルは連続的に増大される。
【0031】
バッファ値、保管室値及びバッファ充填時間という手段を介して、禁煙しようとする喫煙者は禁煙プログラムの間自らの禁煙挙動を次のように、すなわち実際の喫煙可能なタバコの提供をだんだんと少なくして、実際の喫煙可能なタバコが正確に自分の「危機的喫煙状況」のために提供され、したがって学習プログラムのために用いられるように、制御することができる。
【0032】
アクセス遅延を定める:アクセス遅延は、開放キーの押圧後に実際の喫煙可能なタバコが即座に装置から取り出すことができないことを、阻止する。むしろ、装置のロックは、タイムインターバル(アクセス遅延)の経過後に初めて開放する。アクセス遅延は、禁煙プログラムの進行において連続的にたとえば20秒から5分へ増大する。アクセス遅延は、学習プロセスのために使用される。
【0033】
以下の図面を用いて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、喫煙製品用のパッケージのための装置を、開放された状態において示す正面図である。
【
図2】
図2は、装置を、閉鎖された状態において示す正面図である。
【
図3】
図3は、パッケージを有する装置を、開放された状態において示す側面図である。
【
図4】
図4は、パッケージを有する装置を、閉鎖された状態において示す正面図である。
【
図5】
図5は、パッケージを有する装置を、開放された状態において示す正面図である。
【
図6】
図6は、喫煙者禁煙プログラムのシーケンスを示している。
【
図7】
図7は、禁煙日における喫煙者禁煙プログラムのシーケンスを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1から5は、たとえばタバコ又はシガリロのような喫煙製品10のパッケージ15用のハウジング20を有する装置を示している。ハウジング20は、パッケージ15を収容するための内部空間30からなる。パッケージ15は、多数の喫煙製品10を有する市場で一般的なパッケージである。ハウジング20は、上げ蓋式のカバー24を有しており、そのカバーは継ぎ手26を用いて開放することができる。ハウジング20はロック40を有しており、そのロックは、ロック40がしかるべくアンロックされた場合にのみ上げ蓋式のカバー24を開けることができるように、配置されている。センサ28が、上げ蓋式のカバー24の位置(
図1、3、5におけるような開放又は
図2と4におけるような閉鎖)を検出する。
【0036】
ハウジング20はディスプレイ42を有しており、そのディスプレイは禁煙プログラムに関する多数の情報、たとえば実際のバッファ値、実際の保管室値、バッファ充填時間又はアクセス遅延を、表示することができる。
【0037】
ハウジング20は同様に開放キー54を有しており、その開放キーは押すとロック40内のアンロック機構を作動させ、それによってカバー24を開けることができる。パッケージ15内の、喫煙可能な実際の喫煙製品10は、カバー24が開放された場合にのみ取り出すことができる。
【0038】
ハウジング20は、同様にモーニングキー50を有しており、そのモーニングキーは押すと禁煙のための禁煙プログラムを始動させる。
【0039】
ハウジング20は、同様に情報キー52を有しており、その情報キーは押すと、ディスプレイ42に禁煙しようとする喫煙者のための禁煙日についての重要なすべての情報(特にバッファ値、保管室値及びバッファ充填時間)を表示する。
【0040】
ハウジング20は、同様に発光手段56を有しており、その発光手段は禁煙しようとする喫煙者に、カバー24が開くか否かを表示する。
【0041】
ハウジング20内には、しかるべき値メモリ48を有するプロセッサ46が組み込まれている。値メモリ48は、禁煙プログラムに関するパラメータ、たとえばバッファ値、保管室値、バッファ充填時間及びアクセス遅延を記憶し、かつキーの押圧後にディスプレイ42上にパラメータが表示される。プロセッサ46と値メモリ48は、別体のコンポーネントとして、あるいは電子メンバー内に組み込まれたソフトウェアとして実現することができる。
【0042】
他の視点において、ハウジング20内に無線送信機が組み込まれており、それがスマートフォン又はコンピュータとの接続(たとえばブルートゥース(登録商標)を介して)を可能にする。
【0043】
図3において、ハウジング20の内部空間30内に隆起部29が見られる。この隆起部29が、パッケージ15の様々な大きさを補償する。それによって大きさが異なる場合に装置内でパッケージ15がぐらつくことが阻止される。
【0044】
喫煙者禁煙プログラムのための方法の基礎を説明する:冒頭で説明したように、禁煙しようとする喫煙者は、危機的な状況においてパッケージ15内の喫煙可能な実際のタバコ10、あるいは他の喫煙製品を手にとらないように、「学習」しなければならない。しかるべき脳エリア内のこの学習プロセス(=習慣を忘れるプロセス)は、理想的には、喫煙しようとする喫煙者にとって、その個別の「危機的喫煙状況」において実際の喫煙可能なタバコ10へのアクセスが所定の期間の間拒否される場合に、生み出される。喫煙者禁煙プログラムの開始時に、この期間はたとえば20秒である。このアクセス遅延は、理想的には、たとえば180日の喫煙者禁煙プログラムの経過においてゆっくりと、しかし連続的にたとえば5分の期間まで延ばすことができる。その場合にアクセス遅延は、たとえば30分と、長すぎないように注意しなければならない。というのは、そうでないと「諦め気分」が勝って、ポジティブな学習効果が得られないからである。実際の喫煙可能なタバコ10の1本を「すぐに」(時間遅延であっても)喫煙することはできるが、「危機的喫煙状況」を所定の期間にわたって実際の喫煙可能なタバコ10なしで乗り切る自覚こそが、しかるべき脳エリアに喫煙の習慣を1歩ずつ「忘れる」ことを学習させる。
【0045】
この比較的短いアクセス遅延は、もちろん朝は、最初の実際の喫煙可能なタバコ10を吸う前に、たとえば60分まで延長することができる。夜を越えて、禁煙をしようとする喫煙者のニコチンレベルが低下する。大多数の喫煙者は、目覚めた直後の朝の最初のタバコによってニコチンレベルの低下を補わなければならない。したがってこの「朝のタバコ」において、前面に出てくるのは身体的な禁煙であって、精神的な禁煙ではない。
【0046】
この開示において記述される、実際の喫煙可能なタバコ10内のニコチンから禁煙しようとする喫煙者の身体が歩進的に離脱することは、付加的に喫煙ストップの成功にポジティブに作用する。というのは、身体的な禁断現象は発生しないか、発生しても軽微だからである。いきなり禁煙した場合には、知られているように、禁断現象は初日からすでに、たとえば攻撃的な挙動、いらいら及び睡眠と集中障害の形式で認められる。したがって歩進的な禁煙が、原則的に有意義である。もちろん禁煙しようとする喫煙者の場合、実際において歩進的な禁煙は、しばしば、禁煙しようとする喫煙者がその喫煙挙動をコントロールする補助手段を持たず、まさにその人の個別の「危機的喫煙状況」においてこの削減方法を投げ捨てて、もとの喫煙パターンに戻ることで、失敗する。まさにここで、本装置が歩進的な禁煙を管理し、かつ維持する手助けをする。
【0047】
所定のモチベーション補助が喫煙ストップの成功を支援するように作用する。たとえばスマートフォン上にモチベーションメッセージを表示するアプリをプログラムすることができる:たとえば「私はどのくらいのお金を節約したか?」あるいは「私は禁煙プランに基づく設定よりも良いか?」。このアプリは、たとえば無線送信器を介して、ハウジング20からデータを取得する。
【0048】
禁煙プログラムの経過時間は、禁煙プログラムの最初に禁煙しようとする喫煙者の入力によって定められる。実際に喫煙したタバコ10の数と喫煙者年の数が、禁煙プログラムの経過時間を定める。禁煙プログラムは、好ましくは180日、150日又は120日続くが、この日数は本発明を限定するものではない。禁煙プログラムの最初の禁煙日に提供される実際の喫煙可能なタバコ10の最大の数のスタート値は、たとえば実際に喫煙したタバコの数に相当する。禁煙日のためのこのスタート値は、禁煙プログラムの経過において段階的にゼロまで減少される(
図6を参照)。
【0049】
禁煙プログラムは、それぞれの禁煙日のために定められた量の実際の喫煙可能なタバコ10(又は他の喫煙製品)の最大の数(「最大数」)を、2つのバーチャルグループに分割する。第1のバーチャルグループは「バッファ値」であって、そのバッファ値は、たとえば最大数の25%である。第2のバーチャルグループは、残りのタバコを有する「保管室値」であり、たとえば最大数の75%である。これらの値は、値メモリ内に格納される。したがって、禁煙プログラムが禁煙日に全部で20本の実際の喫煙可能なタバコ10を提供すると仮定して(180から177日、
図6を参照)、5本のバーチャルタバコがバッファ内に、そして15本のバーチャルタバコが保管室にある。さらに禁煙プログラムは、「バッファ充填時間」を定め、そのバッファ充填時間は、次々とバーチャルタバコが保管室からバッファへ移動されるタイムインターバル、たとえば40分毎(2、400秒、
図6を参照)を示す。バッファ内と保管室内の「バーチャル」タバコとバッファ充填時間に関するこの記載は、単なる例としての記載であって、本発明を限定するものではない。
【0050】
禁煙しようとする喫煙者が、たとえば朝の9:00にハウジング20上の「モーニングキー」50を押した場合に、上の例において、最初の禁煙日にディスプレイ42を介して:バッファ内の5本のバーチャルタバコ、保管室内の15本のバーチャルタバコそして40分のバッファ充填時間が見られる。これは、この例において19:00時までに15本のバーチャルタバコ全部が保管室からバッファ内へ移動されたことを意味している。それぞれの禁煙日における値の実際の状態は、いつでも情報キー52を介して呼び出すことができる。
【0051】
禁煙しようとする喫煙者は、バッファ内のバーチャルタバコに直接、しかし遅延したアクセスを有する。禁煙しようとする喫煙者が開放キー54を押した場合に、ハウジング20のカバー24は即座には開かない。たとえば20秒のアクセス遅延の経過後に、ロックが解錠されて、禁煙しようとする喫煙者はカバー24を開けて、パッケージ15から実際の喫煙可能なタバコ10を取り出すことができる。このアクセス遅延は、ディスプレイ42内に「カウントダウン」として表示される。カバー24の閉鎖後に、バーチャルタバコがバッファ値から引き算される。カバー24が開放されなかった場合には、バッファ値は変化しない。というのは実際の喫煙可能なタバコ10は取り出されなかったからである。カバー24の開放と閉鎖は、センサ28を介して検出される。
【0052】
アクセス遅延は、禁煙プログラムの経過においてたとえば5分まで延長される。その場合に−上で説明したように−しかるべき脳エリアが、危機的な喫煙状況をタバコなしで乗り切ることができることを学習する。
【0053】
バッファ値が値ゼロに達した場合に、禁煙しようとする喫煙者は、次のバーチャルタバコが保管室からバッファ内へ移動されるまで、この例においては40分まで、待たなければならない。バッファ値と保管室値が値ゼロを有する場合に、ハウジング20はこの禁煙日の残りの間閉鎖されたままとなる。
【0054】
禁煙の開始時に、禁煙しようとする喫煙者には、原理的に、その喫煙パターンを維持するために充分に実際の喫煙可能なタバコが提供される。しかし禁煙プログラムの経過において、実際の喫煙可能なタバコ10は減少される(
図6を参照)。今や、禁煙しようとする喫煙者にとって、残りの実際の喫煙可能なタバコ10を正確にその人の個別の「危機的喫煙状況」のために使用することが重要である。というのは、禁煙しようとする喫煙者は、まさにこれらの状況においてアクセス遅延を介してしかるべき脳エリアに、これらの状況を実際の喫煙可能なタバコ10なしで乗り切ることを学習させなければならないからである。
【0055】
バッファ、保管室及びバッファ充填時間の機能を介して、禁煙しようとする喫煙者は、実際の喫煙可能なタバコの提供がだんだんと少なくなるタバコ消費量をその人の個別の「危機的喫煙状況」に焦点を合わせるよう促される。禁煙しようとする喫煙者が、たとえば夕方に飲み会が計画されていることを知った場合に、禁煙しようとする喫煙者は、夕方に「満たされた」バッファを有するために、昼間は喫煙を少なくすることができる。
【0056】
図6は、タバコのための典型的な禁煙プログラムを示している。禁煙プログラム(180日)の最初に、最初の禁煙日のための喫煙製品10の最大数と禁煙プログラムの進行時間が定められる。禁煙しようとする喫煙者が実際に典型的に1パックのタバコ(20本)を吸い、かつ30年にわたって喫煙しているものと仮定する。そこからたとえば180日の禁煙プログラムの進行時間が生じる。値メモリ48が、個々の禁煙日のためのすべての必要なデータを定める(
図6を参照)。
【0057】
図7は、1日にわたる喫煙者禁煙プログラムのシーケンスを示している:禁煙日の最初にステップ700において(モーニングキー50の押圧)、その日の経過においてユーザーがハウジング20から吸ってよい実際の喫煙可能なタバコ10の数が定められる。この1日の最大数が値メモリ48から取り出されて、上述したようにバッファ値72と保管室値74に分割される。1日の最大数は、個別の喫煙者禁煙プログラムに従って変化する(
図6を参照)。さらにディスプレイ42が、禁煙の日70、バッファ充填時間76(時/分)及びモーニングタバコまでのアクセス遅延78のカウントダウン(時/分/秒)を示す。
【0058】
次のステップ710において、開放キー54の押圧とハウジング20のカバー24のアンロックの間のアクセス遅延80のための期間(時/分/秒)が値メモリ48から取り出される。アクセス遅延(80)の時間インターバルは、喫煙者禁煙プログラムの長さにわたって増大する(
図6を参照)。
【0059】
禁煙しようとする喫煙者がタバコ又はその他の喫煙製品10を喫煙しようとしていると、仮定する。ステップ720において、禁煙しようとする喫煙者が、実際の喫煙可能なタバコ10に対する欲求を示すために、開放キー54を押圧する。もちろん開放キー54の押圧によって、ハウジング20のカバー24が開いて、それによってユーザーが実際の喫煙可能なタバコ10を取り出せることにはならない。その前に禁煙しようとする喫煙者に、実際のバッファ値72とステップ710からのアクセス遅延80が示される。ステップ720における開放キー54の押圧は、ハウジング20内のカウントダウンを作動させる。カウントダウン(アクセス遅延80、ステップ710で定められる)の経過後に、ハウジング20が開放する。禁煙しようとする喫煙者は実際の喫煙可能なタバコ10を取り出すことができ、かつハウジング20を再び閉鎖することができる。センサ28がカバー24の開放を測定する。バッファ値72が、バーチャルタバコ1つ分だけ減少される。禁煙しようとする喫煙者が、取り出すことが可能であるにもかかわらず、カバー24を開けなかった場合には、バッファ値72がバーチャルタバコ1つ分だけ減少されることはない。禁煙しようとする喫煙者は、バッファ値が「ゼロ」に達するまで、ステップ720を実施することができる。
【0060】
バッファ値72が値ゼロに達したと仮定すると(ステップ730)、禁煙しようとする喫煙者は開放キー54を押した後に、バーチャルのタバコが保管室からバッファへ移動されるまでに残っているバッファ充填時間76(時/分)を見る。
【0061】
バッファ値72と保管室値74が両方とも値ゼロに達したと仮定すると(ステップ740)、禁煙しようとする喫煙者はこの禁煙日の間もはや実際の喫煙可能なタバコ10を取り出すことはできない。
【0062】
情報キー52を介して(ステップ750)、禁煙しようとする喫煙者は禁煙日の間いつでもバッファ値72、保管室値74及びバッファ充填時間76(時/分)の実際の状態を呼び出すことができる。
【0063】
したがって禁煙しようとする喫煙者は、各禁煙日の間ステップ700から750を介して自らの禁煙挙動を次のように、すなわち実際の喫煙可能なタバコ10の数の減少にもかかわらず(身体的禁煙)、だんだんと少なくなる実際の喫煙可能なタバコ10が正確に彼の「危機的喫煙状況」とそれに伴って忘れるプロセス(精神的禁煙)のために使用されるように、制御することができる。
【0064】
ハウジング20内の実際の喫煙可能なタバコ10の実際の数は、バッファ値と保管室値のバーチャルタバコの数と一致する必要がないことに、注意しなければならない。パッケージ15内の実際の喫煙可能なタバコ10がバッファ値と保管室値内に示されるよりも少ない場合には、ハウジング20が開放された状態において、空のパッケージ15が詰まったパッケージ15と交換される。
【国際調査報告】