(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-515688(P2021-515688A)
(43)【公表日】2021年6月24日
(54)【発明の名称】運動靴のためのトラクション要素及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A43B 13/26 20060101AFI20210528BHJP
【FI】
A43B13/26 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-568941(P2020-568941)
(86)(22)【出願日】2019年3月1日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月22日
(86)【国際出願番号】US2019020331
(87)【国際公開番号】WO2019169284
(87)【国際公開日】20190906
(31)【優先権主張番号】62/637,259
(32)【優先日】2018年3月1日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】505175065
【氏名又は名称】プライド マニュファクチャリング カンパニー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Pride Manufacturing Company LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】バート、ジョン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】シャトルワース、リー
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050BA11
4F050HA60
4F050JA20
(57)【要約】
スタッド体から軸方向に延在する金属インサートを有する、スタッド体付きの運動靴に使用されるトラクション要素、及びそのようなトラクション要素の製造方法の様々な実施形態が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクション要素の製造方法であって、
金属インサート付きのスタッド体を鋳造するステップであって、
前記スタッド体は遠位ヘッド部分と近位端部分とを有し、
前記金属インサートは遠位キャップ部分と近位ねじ部分との間に形成されたシャフト部分を画定し、
前記金属インサートは、前記金属インサートの前記近位ねじ部分が前記スタッド体から所定の距離だけ軸方向外向きに延在するように前記スタッド体と共に鋳造される、ステップと、
前記スタッド体の前記近位端部分をくり抜いて内部空洞を形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記スタッド体の外表面に沿って複数の切欠きを形成するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記内部空洞を充填材料で充填して、前記金属インサートの前記スタッド体に対する構造的一体性を提供するリテーナを形成するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記充填材料はナイロン材料を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記金属インサートは、前記金属インサートの前記シャフト部分と前記近位ねじ部分との間に形成された球状部分を備え、前記金属インサートを前記スタッド体に保持するためのリテーナに係合するように構成された、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
トラクション要素の製造方法であって、
遠位ヘッド部分と近位端部分とを有するスタッド体を鋳造するステップと、
前記スタッド体の前記近位端部分をくり抜いて内部空洞を形成するステップと、
前記内部空洞内へ金属インサートを駆動して、前記金属インサートを前記内部空洞の内表面内に切り込ませて、前記金属インサートを前記スタッド体に強固に係合させるステップと、
を含む、方法。
【請求項7】
前記金属インサートは、遠位ヘッド部分、近位ねじ部分、及び前記遠位ヘッド部分に隣接する前記近位ねじ部分から半径方向外向きに延在する複数の駆動グリップ部を備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記金属インサートを前記内部空洞に駆動するステップは、前記複数の駆動グリップ部を駆動ツールに係合させることと、前記金属インサートを前記内部空洞内へ回転させることとを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の駆動グリップ部は、半径方向に延在する複数のアームを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記遠位ヘッド部分は、前記金属インサートを前記スタッド体に係合させるときに前記スタッド体の表面に切り込むように構成された標準ねじ又は逆ねじのヘッドを形成する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
内部空洞と遠位ヘッド部分と近位端部分とを画定する、くり抜かれたスタッド体であって、靴のソールに取り付けられるようになったスタッド体と、
軽量の充填材料を含む、前記くり抜かれたスタッド体の前記内部空洞と、
前記スタッド体に連結され、前記スタッド体から軸方向に延在する金属インサートと、
を備えるトラクション要素。
【請求項12】
前記スタッド体は指ぬき形状であり、前記指ぬき形状は、地面に沿う牽引及び把持強度を提供するように構成された、請求項11に記載のトラクション要素。
【請求項13】
前記金属インサートは、前記トラクション要素を前記靴の前記ソールに機械的に結合させるように構成された、請求項11に記載のトラクション要素。
【請求項14】
前記スタッド体の前記近位端部分は、前記遠位ヘッド部分から次第に広がって、前記スタッド体内の内部空洞に連通する開口部を画定する周辺フランジを形成する、請求項11に記載のトラクション要素。
【請求項15】
前記金属インサートは少なくとも鋼又はアルミニウム材料を含む、請求項11に記載のトラクション要素。
【請求項16】
前記金属インサートはシャフト部分と近位ねじ部分との間に形成された球状部分を更に画定し、前記球状部分は内部空洞内に配置されたリテーナ又はライナのための係合面を提供するように構成された、請求項11に記載のトラクション要素。
【請求項17】
前記スタッド体の外表面に沿って軸方向に複数の切欠きが形成され、前記複数の切欠きは全体として駆動ツールを受けるように構成された、請求項11に記載のトラクション要素。
【請求項18】
複数の切欠きのそれぞれは、前記スタッド体の周辺フランジの近くに基部を形成するように構成された細長のスロットを画定する、請求項11に記載のトラクション要素。
【請求項19】
複数の切欠きは、三角形スロット、四角形スロット、対称形スロット、非対称形スロット及び円形スロットのうちの少なくとも1つを画定する、請求項11に記載のトラクション要素。
【請求項20】
前記金属インサートは前記スタッド体に鋳込まれる、請求項11に記載のトラクション要素。
【請求項21】
前記金属インサートは前記スタッド体に機械的に結合された、請求項11に記載のトラクション要素。
【請求項22】
前記軽量の充填材料はナイロンを含む、請求項11に記載のトラクション要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に靴のためのトラクション要素に関し、特に、軽量化した運動靴のためのトラクション要素およびそのようなトラクション要素の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
運動靴のためのトラクション要素は、靴のソールと、芝生競技場などの運動用地面との間にトラクションを形成するグリップ面の提供に使用される。一般にラグビーなどのスポーツに使用される運動靴のトラクション要素は、競技中に金属スタッドに加わる高い剪断力に適応するために金属材料製の金属スタッドが使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、様々なスポーツ機関により要請される、性能、形状仕様及び材料要件の全てを満たしつつ、トラクション要素の重量を低減するという、トラクション要素への要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の様々な態様は、とりわけこのような観察を念頭において考慮され、開発された。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本開示の態様によるトラクション要素の第1の実施形態の上面斜視図であり、スタッド体と金属インサートを示す。
【
図2】本開示の態様による
図1のトラクション要素の後方斜視図であり、スタッド体の内部空洞から延在する金属インサートを示す。
【
図3】本開示の態様による
図1のトラクション要素の分解図である。
【
図4】本開示の態様による
図1のトラクション要素の側面図である。
【
図5】本開示の態様による
図1のトラクション要素の上面図である。
【
図6】本開示の態様による
図1のトラクション要素の底面図である。
【
図7】本開示の態様によるトラクション要素の
図5の線7−7に沿う断面図である。
【
図8】本開示の態様によるトラクション要素の第2の実施形態の上面斜視図であり、トラクション体と金属インサートを示す。
【
図9】本開示の態様による
図8のトラクション要素の後方斜視図であり、スタッド体の内部空洞から延在する金属インサートを示す。
【
図10】本開示の態様による
図8のトラクション要素の分解図である。
【
図11】本開示の態様による
図8のトラクション要素の側面図である。
【
図12】本開示の態様による
図8のトラクション要素の上面図である。
【
図13】本開示の態様による
図8のトラクション要素の底面図である。
【
図14】本開示の態様によるトラクション要素の
図12の線14−14に沿う断面図である。
【
図15】本開示の態様によるトラクション要素の第3の実施形態の上面斜視図であり、トラクション体と金属インサートを示す。
【
図16】本開示の態様による
図15のトラクション要素の後方斜視図であり、トラクション要素の空洞から延在する鋼製インサートを示す。
【
図17】本開示の態様による
図15のトラクション要素の分解図である。
【
図18】本開示の態様による
図15のトラクション要素の側面図である。
【
図19】本開示の態様による
図15のトラクション要素の上面図である。
【
図20】本開示の態様による
図15のトラクション要素の底面図である。
【
図21】本開示の態様によるトラクション要素の、
図19の線21−21に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
対応する参照文字は、図面の図の間の対応する要素を示す。図に使用されている見出しは、特許請求の範囲を制限するものではない。
【0007】
運動靴に使用されるトラクション要素の様々な実施形態をここに開示する。いくつかの実施形態において、トラクション要素は、運動靴に対する業界の既存の性能基準を満たしつつ、減量化を達成した。いくつかの実施形態において、トラクション要素は内部空洞を画定するスタッド体を含み、金属インサートがそのスタッド体に鋳造されて、中空の空洞から外へ延在する。いくつかの実施形態において、トラクション要素は内部空洞を画定するスタッド体と金属インサートを含み、金属インサートはスタッド体内に機械的に結合されて、内部空洞から外へ延在する。いくつかの実施形態において、トラクション要素の金属インサートは、運動靴のソールに結合されてトラクションを提供するようになっている。いくつかの実施形態において、金属インサートがスタッド体に鋳造されるか、又は運動靴のソールに係合される前にスタッド体に機械的に結合されるようになったトラクション要素の製造方法が開示される。いくつかの実施形態では、金属インサートには球状の中央部分が含まれ、トラクション要素が運動靴に係合するとき、これがスタッド体の内部空洞内のプラスチック又は類似の材料のリテーナに係合して、金属インサートとスタッド体との間の更なる構造一体性を提供する。一態様において、トラクション要素は、例えばROCなどの公的なスポーツ統治機関が要求する現在の基準を満たす。ROCは、本明細書に記載のトラクション要素を含む運動靴に使用されるラグビースタッドなどの運動器具に対して設定される性能、形状、材料の要件に関して、国際ラグビーを統括する。図を参照すると、運動靴に使用されるトラクション要素の様々な実施形態が示されており、
図1〜
図21においてはその全体を100、200及び300で表す。
【0008】
図1〜
図7には、符号100で示されるトラクション要素の第1の実施形態を示す。いくつかの実施形態において、トラクション要素100は、概略指ぬき形状の本体を有し、運動靴のソールに取り付けられたときに地面に沿う牽引力と把持力を提供するように構成されたスタッド体102を含む。いくつかの実施形態において、スタッド体102は、製造時にスタッド体102に鋳造されて、スタッド体102の長さ軸Aに沿って整列する金属インサート104を含む。金属インサート104はトラクション要素100を運動靴のソール(図示せず)に機械的に結合させるように構成される。特に
図2〜
図4、
図6、
図7を参照すると、スタッド体102は遠位ヘッド部分110と近位端部分112を画定する。いくつかの実施形態において、スタッド体102の近位端部分112は、遠位ヘッド部分110から次第に傾斜して広がり、製造時にスタッド体102の内部に形成される内部空洞120に連通する開口118を画定する周辺フランジ122を形成する。更に示すように、遠位ヘッド部分110はトラクション要素100の上端116を画定し、これはトラクション要素100がグランド又はその他の競技地面に係合するとき、運動靴のソール(図示せず)に沿うトラクション面を提供するように構成されている。
【0009】
図7を参照すると、いくつかの実施形態において、金属インサート104は鋼及び/又はアルミニウム製であり、製造中にスタッド体102に鋳造される遠位ヘッド部分130を画定する細長の本体125となっている。さらに、遠位ヘッド部分130は金属インサート104のシャフト部分131に繋がり、これが金属インサート104の遠位キャップ部分130と近位ねじ部分132の間に延在する。図に示すように、近位ねじ部分130が雄ねじ135を画定し、運動靴のソール(図示せず)に沿って画定された各ねじ止め係合点内に形成された雌ねじ(図示せず)に結合するようになっている。いくつかの実施形態において、金属インサート104はさらに、シャフト部分131と近位ねじ部分132との間に形成される球状部分133を画定し、これが内部空洞120内部に配置されたリテーナ又はライナに対する係合面を提供して、スタッド体102と金属インサート104の間の構造的補強を与える。これについては後で述べるトラクション要素200に関連してより詳細を議論する。
【0010】
特に
図4及び
図5に示すように、いくつかの実施形態において、複数の切欠き114が軸方向に、スタッド体102の外表面に沿って形成されてもよい。複数の切欠き114は全体として、クリートレンチなどの駆動ツール(図示せず)を受けるように構成されてよい。駆動ツールが各切欠き114に係合し、金属インサート104が運動靴のソールに沿ったねじ付きの係合点に完全に係合し始めると、その回転によってスタッド体102を手動で回転させることができる。特に
図5を参照すると、いくつかの実施形態において、スタッド体102は3つの切欠き114A、114B、114Cを有し、それぞれがスタッド体102の近位端部分112の表面に沿って軸方向にある距離だけ延在し、互いに120度の角度で等距離に離間している。他の実施形態では、2以上の切欠き114が形成されて、トラクション要素100を運動靴のソールに固定するときにクリートレンチに係合してもよい。いくつかの実施形態において、各切欠き114はスタッド体102の周辺フランジ122の近くに基部を形成する細長のスロット構成であって、これが近位端部分112の長さに亘って延在し、各切欠き114の頂部に形成される頂点に向かって次第に先細となっている。別の実施形態では、複数の切欠き114は、三角形のスロット、四角形のスロット、対称形のスロット、非対称形のスロット、円形のスロット、又はそれらの組み合わせであってよい。
【0011】
トラクション要素100の一製造方法において、スタッド体102がまず、アルミニウムなどの金属材料から鋳造され、そこで金属インサート104がスタッド体102に直接鋳込まれて金属インサート104の近位ねじ部分132がスタッド体102の鋳造体から部分的に外へ延在するようにされる。スタッド体102の内部には、金属インサート104の周りのスタッド体102内部をくり抜くことによって内部空洞120が形成され、内部空洞120と開口118が形成される。いくつかの実施形態において、複数の切欠き114は、スタッド体102が鋳型内に鋳造されるときに形成される。あるいはそれに代わって、複数の切欠き114は、スタッド体102の鋳造体が十分に冷却された後に、近位端部分112の表面を機械加工してもよい。本明細書で開示のトラクション要素100の製造方法は、スタッド体102と金属インサート104との間の強力な構造的結合を提供し、使用時にトラクション要素100に掛かる剪断力により金属インサート104が破壊したり、スタッド体102に対して曲がったり、捩れたりすることがない。
【0012】
一態様において、製造時にスタッド体102をくり抜いて内部空洞120を形成することで、トラクション要素100に、通常のトラクション要素に要求される全ての性能、形状仕様及び材料要件を満たさせながら、トラクション要素100の全体重量が低減される。
【0013】
いくつかの実施形態において、トラクション要素100は、製造時に使用される以下の寸法で製造されてもよい。
図4を参照すると、スタッド体102は全長400が20.8mmであり、幅402が19.4mmであってよい。更に示すように、スタッド体102の遠位ヘッド部分110は、幅404が11.9mmで長さ406が4mmであり、一方、スタッド体102の近位端部分112は、長さ408が16.8mmで、幅402が20.8mmであってよい。
図7に戻ると、スタッド体102の内部空洞120は長さ410が14.6mmであり、内部空洞120の開口118は長さ414が9.0mmであってよい。金属インサート104がスタッド体102と共に鋳造された後、金属インサート104の近位ねじ部分132がスタッド体102の長手軸Aに中心を合わせて、スタッド体102の開口118から、外方向に距離412が6.0mm程延在する。本開示は、スタッド体102及び金属インサート104の寸法は、違うタイプの運動靴に使用されるトラクション要素の異なる形状及びサイズに適応するように変化し得ることを企図している。
【0014】
図9〜
図14には、符号200で示されるトラクション要素の第2の実施形態を示す。いくつかの実施形態において、トラクション要素200は、運動靴のソールに取り付けられたときに地面に沿う牽引力と把持力を提供するように構成された概略指ぬき形状の本体を有する、中空のスタッド体202を含む。いくつかの実施形態において、スタッド体202は、製造時にスタッド体202に鋳造されて、スタッド体202の長さ軸Aに沿って整列する金属インサート204を含む。金属インサート104はトラクション要素200をスポーツシューズのソール(図示せず)に機械的に結合させるように構成される。特に
図10〜
図12、
図13及び
図14を参照すると、スタッド体202は遠位ヘッド部分210と近位端部分212を画定する。いくつかの実施形態において、スタッド体202の近位端部分212は、遠位ヘッド部分210から次第に傾斜して広がり、スタッド体202の内部に形成される内表面224を画定する内部空洞220に連通する開口218を画定する周辺フランジ222を形成する。更に示すように、遠位ヘッド部分210はトラクション要素200の上端216を画定し、これはトラクション要素200がグランド又はその他の競技地面に係合するとき、運動靴のソールに沿うトラクション面を提供するように構成される。
【0015】
図14を参照すると、いくつかの実施形態において、金属インサート204は鋼及び/又はアルミニウム製であり、製造中にスタッド体202に鋳造される遠位ヘッド部分230を画定する細長の本体225となっている。さらに、遠位ヘッド部分230は、金属インサート204のシャフト部分231に繋がり、これが金属インサート204の遠位キャップ部分230と近位ねじ部分232の間に延在する。図に示すように、近位ねじ部分230が雄ねじ235を画定し、運動靴のソール(図示せず)に沿って画定される、各係合点内に形成された雌ねじ(図示せず)に結合するようになっている。
図9及び
図14に示すように、いくつかの実施形態において、金属インサート204は更にシャフト部分231と近位ねじ部分232の間に形成された球状部分233を画定し、製造中に内部空洞220の内側に配置されるナイロンなどの充填材料でできたリテーナ206に接触するための係合面を提供する。リテーナ206は、より詳細を以下で議論するように、スタッド体202と金属インサート204の間の更なる構造補強を提供するように構成される。
【0016】
特に
図11及び
図12に示すように、いくつかの実施形態において、複数の切欠き214が軸方向に、スタッド体202の外表面に沿って形成されてもよい。複数の切欠き214は全体として、クリートレンチなどの駆動ツール(図示せず)を受けるように構成されてよい。駆動ツールが各切欠き214に係合し、金属インサート204が運動靴のソールに完全に係合し始めると、その回転によってスタッド体202を手動で回転させることができる。特に
図12を参照すると、いくつかの実施形態において、スタッド体202は3つの切欠き214A、214B、214Cを有し、それぞれが近位端部分212の表面に沿って軸方向にある距離だけ延在し、互いに120度の角度で等距離に離間している。他の実施形態では、2以上の切欠き214がスタッド体202に沿って形成されて、トラクション要素200を運動靴のソールに結合するとき駆動ツールに係合してもよい。いくつかの実施形態において、各切欠き214は、スタッド体202の周辺フランジ222の近くの基部と、近位端部分212の長さに亘って延在しかつ各切欠き214の頂部に形成される頂点に向かって次第に先細となった2つの対向側面とを形成する細長のスロット構造を形成する。別の実施形態では、複数の切欠き214は、三角形のスロット、四角形のスロット、対称形のスロット、非対称形のスロット、円形のスロット、又はそれらの組み合わせであってよい。
【0017】
一製造方法において、トラクション要素200のスタッド体202がまず、アルミニウムなどの金属材料から鋳造され、そこで金属インサート204がスタッド体102に直接鋳造されて金属インサート204の近位ねじ部分232がスタッド体202の鋳造体から部分的に外へ延在するようになってよい。スタッド体202の内部には、金属インサート204の周りのスタッド体202内部をくり抜くことによって内部空洞220が形成され、内部空洞220と開口218が形成される。内部空洞220が形成されると、リテーナ206を形成するナイロン又はその他の種類の充填材料208が、金属インサート204を囲む内部空洞220内に注入、鋳込み又は挿入されて、スタッド体202と金属インサート204の間の更なる構造一体性を提供する。内部空洞220内へ充填材料20を注入する間、球状部分233は、スタッド体202と金属インサート204の間に更なる構造補強を付加する保持機能を提供するように構成される。いくつかの実施形態において、複数の切欠き214は、スタッド体202が鋳型内に鋳造されるときに形成される。あるいはそれに代わって、複数の切欠き214は、スタッド体202の鋳造体が十分に冷却された後に、近位端部分212の表面を機械加工してもよい。本明細書に開示のトラクション要素200の製造方法は、スタッド体202と金属インサート204との間に強力な構造的結合を与え、運動活動時にトラクション要素200に加えられる剪断力によって、金属インサート204を破壊したり、スタッド体202に対して、曲がったり捩れたりすることがない。
【0018】
一態様において上記のように、製造時にスタッド体202をくり抜いて内部空洞220を形成することで、運動靴の通常のトラクション要素に要求される全ての性能、形状仕様及び材料要件をトラクション要素200に満たさせながら、トラクション要素200の全体重量を低減する。
【0019】
いくつかの実施形態において、トラクション要素200は、以下の寸法で製造されてもよい。
図11を参照すると、スタッド体202は全長500が20.8mmであり、幅502が19.4mmであってよい。更に示すように、スタッド体202の遠位ヘッド部分210は、幅504が11.9mmで長さ506が4.0mmであり、一方、スタッド体202の近位端部分212は、長さ508が16.8mmで、幅502が20.8mmであってよい。
図14に戻ると、スタッド体202の中空空洞220は長さ510が14.6mmであり、内部空洞220の開口218は長さ514が9.0mmであってよい。金属インサート204がスタッド体202と共に鋳造され、リテーナ206が内部空洞220内に配置された後、金属インサート204の近位ねじ部分232がスタッド体204の長手軸Aに中心を合わせて、スタッド体202の開口218から外方向に距離512が6.0mm程延在する。本開示では、スタッド体202及び金属インサート204の寸法は、違うタイプの運動靴に使用されるトラクション要素の異なる形状及びサイズに適応するように変化し得ることを企図している。
【0020】
図15〜
図21には、符号300で示されるトラクション要素の第3の実施形態を示す。いくつかの実施形態において、トラクション要素300は、概略指ぬき形状の本体を有し、運動靴のソールに取り付けられたときに地面に沿う牽引力と把持力を提供するように構成されたスタッド体302を含む。いくつかの実施形態において、スタッド体302は標準ねじ又は逆ねじのヘッドを有する金属インサート304を含む。これは製造時に押し込まれてスタッド体302の内部空洞320の表面に切り込み、金属インサート304の遠位キャップ部分330とスタッド体302との間の確実な係合を確立する。この詳細は後で述べる。トラクション要素300の他の実施形態と同様に、金属インサート304はトラクション要素300を運動靴のソール(図示せず)に機械的に結合させるように構成されている。
図17〜
図19、
図20、
図21を参照すると、スタッド体302は遠位ヘッド部分310と近位端部分312を画定する。スタッド体302の近位端部分312は、遠位ヘッド部分310から次第に傾斜して広がり、スタッド体302の内部に形成される内部空洞320に連通する開口318を画定する周辺フランジ322を形成する。更に示すように、遠位ヘッド部分310はトラクション要素300の上端316を画定し、これはトラクション要素300がグランド又はその他の競技地面に係合するとき、運動靴のソール(図示せず)に沿うトラクション面を提供するように構成されている。
【0021】
図17と
図21を参照すると、いくつかの実施形態において、金属インサート304は鋼及び/又はアルミニウム製であり、これが遠位キャップ部分330と、遠位ヘッド部分330から軸方向に延在する近位ねじ部分332を画定するインサート体325を形成する。上に述べたように、遠位キャップ部分330は雄ねじ350を形成し、これが全体として標準ねじ又は逆ねじのヘッドを形成し、製造時にスタッド体302の内部空洞320に押し込まれて、遠位キャップ部分330の雄ねじ350とインサートの雌ねじ331がスタッド体302の内表面に直接切り込んで、金属インサート304の遠位キャップ部分330とスタッド体302との間の確実な係合を確立する。内部空洞320は、リセス308、スタッド体の第1開口318、スタッド体の第2開口319、ショルダ321及び内表面324を画定する。金属インサート304は、スタッド体302に係合すると、スタッド体302の長手軸Aに中心を合わせて整列し、スタッド体302の内部空洞320から部分的に外へ延在する。更に示すように、金属インサート304は、金属インサート304の遠位キャップ部分330に隣接する、近位ねじ部分332から半径方向の外に向かって延在する複数の駆動グリップ部333A、333B、333C、333D、333E、333Fを形成する。複数の駆動グリップ部330は、以下で詳細を述べるように、金属インサート304をスタッド体302内に押し込んで永続的に係合させる駆動ツール(図示せず)を係合するように構成される。
【0022】
特に
図18及び
図19に示すように、いくつかの実施形態において、複数の切欠き314が軸方向に、スタッド体302の外表面に沿って形成されてもよい。複数の切欠き314は全体として、クリートレンチなどの駆動ツール(図示せず)を受けるように構成されてよい。これがそれぞれの切欠き314に係合して、金属インサート304が運動靴のソールに沿って形成された係合点に完全に係合し始めると、クリートレンチの回転でスタッド体302を手動で回転させることができる。特に
図19を参照すると、いくつかの実施形態において、スタッド体302は3つの切欠き314A、314B、314Cを有し、それぞれがスタッド体302の近位端部分312の表面に沿って軸方向にある距離だけ延在し、互いに120度の角度で等距離に離間している。他の実施形態では、2以上の切欠き314がスタッド体302に沿って形成されて、トラクション要素300を運動靴のソールに結合するときクリートレンチを係合してもよい。いくつかの実施形態において、各切欠き314は、スタッド体302の周辺フランジ322の近くの基部と、近位端部分312の長さに亘って延在しかつ各切欠き314の頂部に形成される頂点に向かって次第に先細となった2つの対向側面とを形成する細長のスロット構造を形成する。別の実施形態では、複数の切欠き314は、三角形のスロット、四角形のスロット、対称形のスロット、非対称形のスロット、円形のスロット、又はそれらの組み合わせであってよい。
【0023】
一製造方法において、トラクション要素300のスタッド体302は、アルミニウムなどの金属材料から鋳造されてもよい。内部空洞320は、製造時にスタッド体302の内部をくり抜くことによって形成される。他の実施形態では、スタッド体302を冷却した後に、内部空洞320が機械加工されてもよい。内部空洞320が形成されると、金属インサート304をスタッド体302の内部空洞320内に手動で押し込むときには、駆動ツール(図示せず)を使用して金属インサート302の複数の駆動グリップ部333を係合して、次にそれを駆動ツールによって回転させる。駆動ツールの回転動作により、金属インサート304の雄ねじ350を標準ねじヘッド又は逆ねじヘッドとして作用させ、これがスタッド体302の内表面に直接切り込んで、金属インサート304とスタッド体302の間の確実な係合を確立する。金属インサート304とスタッド体302との間の係合は、金属インサート304とスタッド体302の間の強力な構造的結合を生み出し、運動活動中にトラクション要素300に加えられる剪断力により金属インサート304が破壊したり、スタッド体302に対して曲がったり捩れたりすることがない。
【0024】
いくつかの実施形態において、トラクション要素300は、製造時に使用される以下の寸法で製造されてもよい。
図18を参照すると、スタッド体302は全長600が15.0mmであり、幅602が16.0mmであってよい。更に示すように、スタッド体202の遠位ヘッド部分310は、幅604が12.2mmで長さ606が4.0mmであり、一方、スタッド体302の近位端部分312は、長さ608が12.0mmで、幅602が16.0mmであってよい。
図21に戻ると、スタッド体302の内部空洞320は長さ610が少なくとも7.5mmであり、内部空洞320の開口318は長さ614が13.0mmであってよい。金属インサート104がスタッド体102に係合された後、金属インサート304の近位ねじ部分332がスタッド体304の長手軸Aに沿って整列し、スタッド体302の開口318から、外方向に距離616が6.5mm程延在する。その幅が最大の点において、金属インサート304のヘッドは、幅612が8.5mmであってよい。本開示では、スタッド体302及び金属インサート304の寸法は、違うタイプの運動靴に使用されるトラクション要素の異なる形状及びサイズに適応するように変化し得ることが企図されている。
【0025】
特定の実施形態を図示し説明したが、当業者に明らかなように、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正を行い得ることを上記から理解されたい。そのような変更および修正は、本明細書に添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲および教示の範囲内である。
【国際調査報告】