(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-515699(P2021-515699A)
(43)【公表日】2021年6月24日
(54)【発明の名称】炭素モノリス及び炭素モノリスの製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 20/30 20060101AFI20210528BHJP
C01B 32/05 20170101ALI20210528BHJP
C01B 32/318 20170101ALI20210528BHJP
B01J 20/20 20060101ALI20210528BHJP
【FI】
B01J20/30
C01B32/05
C01B32/318
B01J20/20 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2021-515251(P2021-515251)
(86)(22)【出願日】2018年5月25日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月18日
(86)【国際出願番号】AU2018050507
(87)【国際公開番号】WO2018213890
(87)【国際公開日】20181129
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】304044531
【氏名又は名称】モナシュ ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161034
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 知洋
(74)【代理人】
【識別番号】100187632
【弁理士】
【氏名又は名称】橘高 英郎
(72)【発明者】
【氏名】パーサ,ムハマド レザー
(72)【発明者】
【氏名】チャフィー,アラン ロイド
【テーマコード(参考)】
4G066
4G146
【Fターム(参考)】
4G066AA04B
4G066AA13D
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4G146BC23
4G146BC33A
4G146BC34A
4G146BD10
4G146BD12
(57)【要約】
炭素質前駆体材料をアルカリ塩と混合し、第1混合物を形成する工程(i)と、工程(i)で作製された第1混合物をモノリスの形状に押出成形する工程(ii)と、工程(ii)で作製されたモノリスを炭化する工程(iii)と、を有する炭素モノリス及びその製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素質前駆体材料をアルカリ塩と混合し、第1混合物を形成する工程(i)と、
工程(i)で作製された前記第1混合物をモノリスの形状に押出成形する工程(ii)と、
工程(ii)で作製された前記モノリスを炭化する工程(iii)と、
を有する炭素モノリスの製造方法。
【請求項2】
前記炭素モノリスは1つ又は複数の内部チャネルに適合される請求項1に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項3】
前記炭素モノリスはハニカムモノリスである請求項1又は2に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項4】
前記炭素質前駆体材料は、酸素含有率が少なくとも10wt%であり、水分含有率が少なくとも20wt%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項5】
前記炭素質前駆体材料は、褐炭、亜炭、泥炭、又はバイオマスから選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項6】
前記炭素質前駆体材料はビクトリア褐炭である請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項7】
前記炭化工程は、前記モノリスを毎分約0.5℃〜約15℃の範囲の加熱速度で加熱する工程を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項8】
前記炭化工程は、前記モノリスを約700℃〜約1200℃の間の温度に加熱する工程を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項9】
前記炭化工程(iii)を不活性雰囲気で行う請求項1〜8のいずれか1項に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項10】
前記炭化工程(iii)を、実質的に窒素を含む雰囲気で行う請求項9に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項11】
工程(iii)で作製された前記炭化されたモノリスを物理的に活性化する更なる工程を有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項12】
前記炭化されたモノリスを物理的に活性化する前記更なる工程は、前記炭化されたモノリスを約800℃〜約1200℃の間の温度に加熱する工程を含む請求項9に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項13】
前記活性化工程は、前記炭素モノリスをCO2及び/又は蒸気で実質的に構成される雰囲気に接触させる工程を含む請求項11又は12に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項14】
前記第1混合物は、押出成形を容易にする補助添加剤をさらに含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項15】
前記補助添加剤は、グリセリン、パラフィン油、メチルセルロース粉末、及び/又はメトセル(登録商標)から選択される請求項14に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項16】
前記第1混合物は、その後に形成される前記炭素モノリスの性能をカスタマイズする追加の添加剤をさらに含む請求項1〜15のいずれか1項に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項17】
前記追加の添加剤は、鉄II及びIII化合物、尿素及び/又はメラミンを含む窒素含有化合物から選択される請求項16に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項18】
前記炭化工程(iii)の前に前記工程(ii)で作製された前記押出成形された生地を調整する更なる工程を有する請求項1〜17のいずれか1項に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項19】
前記炭化工程(iii)の前又は後に前記モノリスを予備酸化する更なる工程を有する請求項1〜18のいずれか1項に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項20】
前記炭化工程(iii)の後に前記モノリスを酸洗浄する更なる工程を有する請求項1〜19のいずれか1項に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項21】
前記アルカリ塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はこれらの組合せのうちの適切な塩から選択される請求項1〜20のいずれか1項に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項22】
前記アルカリ塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はこれらの組合せの水酸化物、炭酸塩、又は重炭酸塩から選択される請求項1〜20のいずれか1項に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項23】
前記アルカリ塩は、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)2、Ca(OH)2、又はこれらの組合せから選択される請求項1〜20のいずれか1項に記載の炭素モノリスの製造方法。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の製造方法により形成された炭素モノリス。
【請求項25】
アルカリ塩と、水分含有率が少なくとも20wt%であり、酸素含有率が少なくとも10wt%である炭素質前駆体材料と、の押出成形混合物から形成される炭素モノリス。
【請求項26】
前記押出成形混合物は炭化及び活性化されている請求項25に記載の炭素モノリス。
【請求項27】
前記炭素質前駆体材料及び前記アルカリ塩が押出成形の前に一緒に混錬されることにより、前記炭素質前駆体材料と前記アルカリ塩との間のイオン交換が容易にされている請求項25又は26に記載の炭素モノリス。
【請求項28】
前記炭素質前駆体材料がビクトリア褐炭である請求項25〜27のいずれか1項に記載の炭素モノリス。
【請求項29】
前記アルカリ塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はこれらの組合せのうちの適切な塩から選択される請求項25〜28のいずれか1項に記載の炭素モノリス。
【請求項30】
前記アルカリ塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はこれらの組合せの水酸化物、炭酸塩、又は重炭酸塩から選択される請求項25〜28のいずれか1項に記載の炭素モノリス。
【請求項31】
前記アルカリ塩は、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)2、Ca(OH)2、又はこれらの組合せから選択される請求項25〜28のいずれか1項に記載の炭素モノリス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、炭素モノリス、特に、水分含有率及び酸素含有率が比較的高い低品位炭等の炭素質材料から形成された、炭素ハニカムモノリス等の内部チャネルを有する炭素モノリスに関する。また、炭素モノリスの製造方法も開示する。
【背景技術】
【0002】
炭素モノリスは、炭素から形成された一体構造であるか、又は炭素含有面を有する。このようなモノリスは、活性炭面を有していてもよく、また固体構造であってもよく、又は大きな表面積を有する1つ又は複数の内部チャネルを有していてもよい。
【0003】
ハニカムモノリスは、薄い壁によって区切られた長い平行な通路を有するモノリス材料である。チャネルは、実用的な形状の断面、最も一般的には円形又は正方形の断面を有していてもよいが、ハニカムモノリスは、ハチの巣の構造に似ていることから、そのように名付けられている。ハニカムモノリスは、ほとんどの場合、機械的に頑丈な製品を形成するために処理される柔軟な生地の押出成形により形成されている。
【0004】
ハニカムモノリスの吸着剤及び触媒担体としての特定の用途を見出した。ハニカムモノリスは、ハニカムモノリスに固有の高い空隙率がモノリスに高流量が適用された際の圧力降下を低減するため、粉末又はペレットタイプの吸着剤及び触媒よりも有利である。ハニカムモノリスの構造はまた、精製及び分離用途において充填媒体のクラスターよりも接触効率をより高めることがある。ハニカムモノリスは、NO
xの選択的還元及び化学プラントや家庭からの揮発性有機化合物(VOC)の破壊だけでなく、自動車の排気処理、航空機におけるオゾン削減、天然ガスエンジン、小型エンジンにおけるCO及び炭化水素の酸化等の種々の環境用途に一般的に用いられている。
【0005】
当分野で公知のハニカムモノリスには、被覆モノリス及び一体型モノリスの2つの主要なタイプがある。被覆モノリスは、通常、機械的強度を備えるとともに機能層で被覆された基板材料から作製されている。基板材料は、通常、押出成形されたセラミック生地、最も典型的にはコーディエライト(菫青石)に他の加工添加剤を混合した後、乾燥及び焼成して形成されている。それから、基板材料に一連のウォッシュコートを行い、小さな表面積、典型的には2〜4m
2/Lオーダである表面積を改善し、機能面、例えば吸収面又は触媒面を設ける。
【0006】
被覆モノリスは機械的強度のためだけに基板材料を必要とするので、基板材料が占める体積は、モノリスの機能目的には役立たない。この難点は、機械的強度及び機能面の両方を備える単一製剤から作製される一体型モノリスによって解決される。しかしながら、機能面だけでなく適切な機械的強度を有するモノリスを形成することができる材料は殆どない。
【0007】
炭素は、一体型モノリスとして用いることができる材料の一例である。活性炭ハニカムモノリスは気相及び液相吸着だけでなく、触媒用途及び電極材料においても種々の用途がある。活性炭モノリスには、圧力降下特性に加えて、粉末又はペレット化された活性炭よりも多くの利点がある。気相吸着用途では、活性炭モノリスは、電気スイング吸着(ESA)処理に使用されることがあり、この処理では容易な通電によりモノリスを素早く再生することができる。液相用途の場合、活性化されたハニカムモノリスは、フロースルー構成において高効率の吸着が得られることがある。
【0008】
一体型炭素ハニカムモノリスは、高価な樹脂前駆体から形成された生地から、通常は生地にバインダを添加して作製することができる。それから、この生地を、ハニカム形状に押出成形し、炭化し、活性化してもよい。一体型炭素モノリスは、バインダと混合された活性炭粉末の生地から形成されてもよい。しかしながら、この方法は、通常、十分な機械的強度を有するモノリスを形成するために大量のバインダを必要とする。
【0009】
したがって、比較的安価な前駆体材料から形成され、良好な表面特性だけでなく良好な機械特性を有する、内部チャネルを備える一体型炭素モノリスを提供する必要がある。さらに、ハニカムモノリスの形状で、良好な電気伝導度を示し得る炭素モノリスを作製する必要がある。
【0010】
驚くことに、亜炭や泥炭等の水分含有率及び酸素含有率が高い炭素質材料は、アルカリ塩で生地に形成され、良好な電気伝導度だけでなく、良好な機械特性及び表面特性を有するハニカムモノリスに加工され得ることが分かった。
【0011】
本明細書における公知文献(又はそれから派生した情報)又は公知の事実への言及は、公知文献(又はそれから派生した情報)又は公知の事実が、本明細書が関連する取り組みの分野における技術常識の一部を形成するということの承認、自認、又は示唆の形成ではなく、また、承認、自認、又は示唆の形成として解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、改善された特徴及び特性を有する発明を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1態様によれば、本発明は、炭素質前駆体材料をアルカリ塩と混合し、第1混合物を形成する工程(i)と、工程(i)で作製された前記第1混合物をモノリスの形状に押出成形する工程(ii)と、工程(ii)で作製された前記モノリスを炭化する工程(iii)と、を有する炭素モノリスの製造方法を提供する。
【0014】
更なる態様によれば、本発明は、前記炭素モノリスは1つ又は複数の内部チャネルに適合される、第1態様に係る方法を提供する。
【0015】
更なる態様によれば、本発明は、前記炭素モノリスはハニカムモノリスである、第1態様に係る方法を提供する。
【0016】
更なる態様によれば、本発明は、前記炭素質前駆体材料は、酸素含有率が少なくとも10wt%であり、水分含有率が少なくとも20wt%である、第1態様に係る方法を提供する。
【0017】
更なる態様によれば、本発明は、前記炭素質前駆体材料は、褐炭、亜炭、泥炭、又はバイオマスから選択される、第1態様に係る方法を提供する。
【0018】
更なる態様によれば、本発明は、前記炭素質前駆体材料はビクトリア褐炭である、第1態様に係る方法を提供する。
【0019】
更なる態様によれば、本発明は、前記炭化工程は、前記モノリスを毎分約0.5℃〜約15℃の範囲の加熱速度で加熱する工程を含む、第1態様に係る方法を提供する。
【0020】
更なる態様によれば、本発明は、前記炭化工程は、前記モノリスを約700℃〜約1200℃の間の温度に加熱する工程を含む、第1態様に係る方法を提供する。
【0021】
更なる態様によれば、本発明は、前記炭化工程(iii)を不活性雰囲気で行う、第1態様に係る方法を提供する。
【0022】
更なる態様によれば、本発明は、前記炭化工程(iii)を、窒素を実質的に含む雰囲気で行う、上述の態様に係る方法を提供する。
【0023】
更なる態様によれば、本発明は、工程(iii)で作製された前記炭化されたモノリスを物理的に活性化する更なる工程を有する、第1態様に係る方法を提供する。
【0024】
更なる態様によれば、本発明は、前記炭化されたモノリスを物理的に活性化する前記更なる工程は、前記炭化されたモノリスを約800℃〜約1200℃の間の温度に加熱する工程を含む、第1態様に係る方法を提供する。
【0025】
更なる態様によれば、本発明は、前記活性化工程は、前記炭素モノリスをCO
2及び/又は蒸気で実質的に構成される雰囲気に接触させる工程を含む、上述の態様に係る方法を提供する。
【0026】
更なる態様によれば、本発明は、前記第1混合物は、押出成形を容易にする補助添加剤をさらに含む、第1態様に係る方法を提供する。
【0027】
更なる態様によれば、本発明は、前記補助添加剤は、グリセリン、パラフィン油、メチルセルロース粉末、及び/又はメトセル(登録商標)から選択される、第1態様に係る方法を提供する。
【0028】
更なる態様によれば、本発明は、前記第1混合物は、その後に形成される前記炭素モノリスの性能をカスタマイズする追加の添加剤をさらに含む、第1態様に係る方法を提供する。
【0029】
更なる態様によれば、本発明は、前記追加の添加剤は、鉄II及びIII化合物、尿素及び/又はメラミンを含む窒素含有化合物から選択される、第1態様に係る方法を提供する。
【0030】
更なる態様によれば、本発明は、前記炭化工程(iii)の前に工程(ii)で作製された前記押出成形された生地を調整する更なる工程を有する、第1態様に係る方法を提供する。
【0031】
更なる態様によれば、本発明は、前記炭化工程(iii)の前又は後に前記モノリスを予備酸化する更なる工程を有する、第1態様に係る方法を提供する。
【0032】
更なる態様によれば、本発明は、前記炭化工程(iii)の後に前記モノリスを酸洗浄する更なる工程を有する、第1態様に係る方法を提供する。
【0033】
更なる態様によれば、本発明は、前記アルカリ塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はこれらの組合せのうちの適切な塩から選択される、第1態様に係る方法を提供する。
【0034】
更なる態様によれば、本発明は、前記アルカリ塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はこれらの組合せの水酸化物、炭酸塩、又は重炭酸塩から選択される、第1態様に係る方法を提供する。
【0035】
更なる態様によれば、本発明は、前記アルカリ塩は、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)
2、Ca(OH)
2、又はこれらの組合せから選択される、第1態様に係る方法を提供する。
【0036】
更なる態様によれば、本発明は、上述の態様のいずれか1つの方法により形成された炭素モノリスを提供する。
【0037】
第2態様によれば、本発明は、アルカリ塩と、水分含有率が少なくとも20wt%であり、酸素含有率が少なくとも10wt%である炭素質前駆体材料と、の押出成形混合物から形成される炭素モノリスを提供する。
【0038】
更なる態様によれば、本発明は、前記押出成形混合物は炭化及び活性化されている、第2態様に係る方法を提供する。
【0039】
更なる態様によれば、本発明は、押出成形の前に前記炭素質前駆体材料及び前記アルカリ塩を一緒に混錬することにより、前記炭素質前駆体材料と前記アルカリ塩との間のイオン交換を容易にする、第2態様に係る方法を提供する。
【0040】
更なる態様によれば、本発明は、前記炭素質前駆体材料がビクトリア褐炭である、第2態様に係る方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
例示実施形態は、少なくとも1つの好ましいが非限定的な実施形態の一例としてのみ与えられ、添付の図面に関連して説明される以下の記載から明白になる。
【0042】
【0043】
【0044】
【
図3】本発明に係る炭素モノリスのサンプルのラマンスペクトルを示す。
【0045】
【
図4】本発明に係る炭素モノリスのサンプルの水銀ポロシメトリ解析の結果を示す。
【0046】
【
図5】本発明に係る炭素モノリスのサンプルの透過型電子顕微鏡(TEM)像を示す。
【0047】
【
図6】本発明に係る炭素モノリスのXPS解析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
1つの又は複数の好ましい実施形態の主題のより正確な理解のために、例としてのみ与えられる以下の態様を説明する。
【0049】
本明細書には、炭素質前駆体材料とアルカリ塩との押出成形混合物から形成された、炭素ハニカムモノリス等の、1つ又は複数の内部チャネルを有する炭素モノリスが記載されている。本明細書にはまた、炭素質前駆体材料とアルカリ塩との押出成形混合物から、炭素ハニカムモノリス等の、1つ又は複数の内部チャネルを有する炭素モノリスを作製する方法が記載されている。
【0050】
定義として、モノリスは一体構造を指し、ハニカムモノリスは、薄い壁によって区切られた複数の通路が内部を横断している一体構造を指す。
【0051】
ハニカムモノリスは、酸素含有率及び水分含有率が比較的高い炭素質前駆体材料から作製され得る。ハニカムモノリスは、少なくとも約20wt%及び約10wt%から選択される酸素含有率、及び少なくとも約20wt%及び約10wt%から選択される水分含有率を有する炭素質前駆体材料から作製され得る。必要な水分含有率及び酸素含有率を有し得る材料の例として、褐炭(低品位炭)、亜炭、泥炭、及びいくつかの形態のバイオマスが挙げられる。ビクトリア褐炭(VBC)は、オーストラリアのビクトリア州に広く堆積している低品位炭であり、おおよそ50〜67wt%の高い水分含有率とおおよそ25〜30wt%(無水無灰ベース(daf))の高い酸素含有率とを典型的に有している。
【0052】
特定の非限定的な実施形態では、ビクトリア褐炭(VBC)から形成された活性炭ハニカムモノリス、及びその製造方法が本明細書に記載されている。他の形状のモノリス及び他の炭素質前駆体材料で形成されたモノリスは、本開示の範囲内であるということが理解されるべきである。
【0053】
ハニカムモノリスは、炭素質前駆体材料をアルカリ塩と最初に混合し、生地と呼ばれる第1混合物を形成することにより形成され得る。広い態様では、その後、ハニカムモノリスの一般的な形状に生地を押出成形し、それから、乾燥/調整(コンディショニング)及び炭化し、炭素ハニカムモノリスを作製し得る。モノリスの大きさは、モノリスからの水分及び揮発物の損失により、押出成形されてから炭化されるまでの間に小さくなることがある。しかしながら、全体形状及び幾何学は、実質的に類似し、そのまま残り得る。本明細書に記載の実施形態では、アルカリ塩の存在により炭化工程中に活性炭が形成されるように炭素モノリスを構成してもよい。モノリスを炭化して炭素をさらに活性化した後、さらなる物理的な活性化工程を行ってもよい。
【0054】
アルカリ塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属(すなわち、周期表の第1族及び第2族の金属)のうちの適切な塩とすることができ、一般的な例はLiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)
2、及びCa(OH)
2である。アルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩及び重炭酸塩も適切であり得る。アンモニウムカチオンは熱的に不安定である場合があるので、アンモニウムカチオンを含む塩は効果がない場合がある。
【0055】
均質で柔軟な生地を形成するために、褐炭及びアルカリ塩の混合を、これらの材料を一緒に混錬することにより行ってもよい。混錬処理は、褐炭の残留セル構造を破壊し得るせん断処理を含んでいてもよい。このセル構造の破壊により、混錬時に生地の温度が上がることがある。アルカリ塩と酸性褐炭との間の反応は発熱性であることがあり、これにより、混錬時に生地の温度がさらに上がることがある。
【0056】
生地は、後続の工程中における不要な変形やクラックの発生を抑制するために充分な完全性を有する全体形状及び幾何学を保持するモノリスの形状に押出成形されるために必要な柔らかさ及び弾力性を有していなければならない。いくつかの実施形態では、生地はプラスチシンに似たしなやかさで作られている。柔らかすぎる生地は、押出成形されたモノリスの形状を実質的に維持できないことがある。同様に、硬すぎる生地は、押出成形することが非常に難しかったり、生地と押出ダイスとの間の摩擦により、表面が傷つけられて押出成形されたりすることがある。このような表面を有するモノリスは、後続の工程中に有害となることがあり、また、クラックが発生しやすくなることがある。特に、調整及び炭化中にモノリスの大きさが変化するので、モノリスの内部チャネルを区切る薄い壁にクラックが発生しやすくなることがある。
【0057】
生地に補助添加剤を添加することにより生地の特性を調整してもよい。これらの補助添加剤は、乾燥及び炭化中に全体形状及び幾何学を維持するための充分な完全性を有するモノリスの形状に生地が押出成形されるように、必要に応じて、生地のレオロジー、柔らかさ、及び弾力性を調整するように構成されることができる。補助添加剤は、グリセリン、パラフィン油、メトセル(登録商標、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーの専有混合物)等のセルロース粉末、並びに、押出成形の技術で公知の他の添加剤のうちの1つ又は複数を含み得る。いくつかの実施形態では、褐炭及びアルカリ塩を一緒に混錬して冷却した後に、生地に添加剤を添加してもよい。
【0058】
その後に形成されるモノリスの性能をカスタマイズ又はアシストするために、吸着、触媒、及び導電性を含む種々の用途の追加の添加剤が生地に含まれていてもよい。追加の添加剤の例として、鉄II及びIII化合物、及び例えば尿素やメラミンの窒素含有化合物を挙げることができる。
【0059】
褐炭及びアルカリ塩を、生地の温度が約35℃を超えるまで、好ましくは約40℃〜50℃に上がるまで一緒に混錬してもよい。このような温度上昇は、石炭及びアルカリ塩を、約50〜120rpmで、約1〜2.5時間、一緒に混錬して、生地を形成することにより起こることがある。特定の実施形態では、約30rpm〜50rpmの間で生地を押出成形してもよい。添加剤を使用する場合、生地を冷却した後に添加剤を添加し、その後、約30〜50rpmの間の速度で、約15〜45分の間に時間、さらに混錬してもよい。
【0060】
生地が形成されたら、生地に対して、ダイスを介してハニカムモノリスの形状にする押出成形を行ってもよい。押出成形されたモノリスは、後続の処理工程の最終製品であるモノリスと区別するために「グリーン」ハニカムモノリスと称することもある。グリーンハニカムモノリスは、本明細書に記載されるような最終的な活性炭ハニカムモノリスと実質的に同じ形状及び幾何学に形成されているが、グリーンハニカムモノリスは、乾燥及び炭化中に水分含有率及び揮発物含有率が低下するため、より大きな大きさであることがある。
【0061】
グリーンハニカムモノリスは、その形成に用いられる褐炭の水分含有率に起因して高い水分含有率を有することがある。モノリスの水分含有率は高温炭化工程で低下するので、モノリスの大きさが実質的に小さくなることがある。ある場合において、この大きさの縮小は、モノリスの表面クラックの発生、さらには破損につながることがある。特に、モノリス内の内部通路を区切る薄い壁は、処理中にモノリスが収縮する際に破損しやすい。クラックの発生が問題となる場合、グリーンハニカムモノリスに対して、炭化工程よりも前に調整工程を行ってもよい。調整工程では、後続の処理中にモノリスにクラックが形成されることを抑制するために炭化工程の前にグリーンモノリスの水分含有率を低下させる。調整工程の要件は、クラックを形成するグリーンモノリスの脆弱性に依存し、褐炭の特性の影響を受けることがある。いくつかの実施形態では、グリーンモノリスを大気条件でしばらく調整して水分を徐々に除去するだけで充分である。他の実施形態では、クラックが発生しやすいグリーンモノリスの場合、湿度が漸次低下する雰囲気チャンバ内でモノリスを調整してもよい。いくつかの実施形態では、湿度が85%から50%まで漸次低下する雰囲気チャンバ内にグリーンモノリスを配置し、乾燥時にモノリスにクラックが発生することを防止した。いくつかの実施形態では、グリーンモノリスは、調整中に最大約50%の大きさまで縮小することもある。パラフィン油、グリセリン、メトセル(登録商標)等の添加剤を生地中に使用すると、クラックの発生に対する脆弱性が全て低下することがあり、その結果、調整工程の必要性が低下することがある。
【0062】
生地を押出成形してグリーンモノリスを形成し、任意に調整したら、酸素がない状態でモノリスを高温に加熱することにより、モノリスを炭化してもよい。炭化中に、グリーンモノリスの大部分が揮発し、これにより、内部チャネルを含むモノリスの全体形状及び幾何学を実質的に維持しつつ、モノリスの大きさが縮小することがある。いくつかの実施形態では、モノリスの約30%〜約50%が炭化中に揮発することがある。
【0063】
特定の実施形態では、グリーンモノリスを、約550℃の温度に達するまで約0.5℃/分の速度で温度を上げ、それから850℃に達するまで1℃/分の速度で温度を上げることによりオーブン中で炭化した。その後、オーブンのスイッチが切られてモノリスがゆっくりと冷却される前に、おおよそ1時間、約850℃の温度でモノリスを維持してもよい。他の実施形態では、モノリスを冷却する前にモノリスを最終温度で約1時間浸漬する前に、モノリスを約1℃/分の速度で温度を約850℃〜約1100℃の温度に上げることにより炭化してもよい。いくつかの実施形態では、炭化されたモノリスに対して活性化工程を行う前に、炭化されたモノリスを冷却する必要がない場合がある。
【0064】
モノリスを炭化するために用いられる正確な加熱レジメは、褐炭前駆体の組成、チャネル間の壁の厚さ等のモノリスの大きさ及び形状、添加剤の存在、調整の度合い、及びクラックの発生や破損に対するモノリスの傾向を含むいくつかの要因の関数である。したがって、上述の加熱速度よりも速い加熱速度は、反りやクラックを発生させることなく特定のモノリスを炭化するのに適していることがある。特定の実施形態では、加熱速度は、約0.5℃/分〜約15℃/分までの範囲、及び/又は、約700℃〜約1200℃の温度範囲までであり得る。特定の実施形態では、炭化工程を例えば窒素環境の不活性雰囲気で行ってもよい。
【0065】
グリーンモノリス中にアルカリ塩が存在すると、炭化工程中にモノリスが化学的に活性化し、それによりモノリスの表面積が増大することがある。モノリスが炭化される前は、モノリスは、その形成に用いられた褐炭前駆体と実質的に同様の表面積を有している。炭化後は、表面積は、CO
2及びN
2吸着のそれぞれによって決定されるように660m
2/gオーダ及び450m
2/gオーダであり得る。炭化はまた、モノリスの導電性を著しく向上させることができ、電気スイング吸着等の用途に適している。
【0066】
いくつかの実施形態では、物理的な活性化を介してモノリスの表面をさらに改良することが望ましいことがある。物理的な活性化は、炭化されたモノリスを、高温で、例えば、約850℃〜約1000℃の間の温度で、蒸気又はCO
2にさらすことにより行うことができる。炭化されたモノリスを、これらの高温で、おおよそ1時間又はモノリスが充分に活性化するまで保持してもよい。物理的な活性化は、炭化中に発生した高温を維持するためにモノリスが炭化された直後に行ってもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、表面積等のモノリスの特性を高める活性化の前に、モノリスの酸素含有率を高めるために、モノリスを予備酸化してもよい。炭化の前及び/又は後に予備酸化を行ってもよい。いくつかの実施形態では、モノリスの活性化の前又は後にモノリスを酸洗浄することにより、アルカリ成分及び/又は他の残留金属成分を除去してもよい。モノリスが炭化工程中に化学的に活性化された後にモノリスの物理的な活性が行われるのであれば、物理的な活性化の後に酸洗浄を行ってもよい。
【0068】
理論に縛られることを望まず、褐炭とアルカリ塩との間の化学相互作用は特定の有利な特性を有する生地をもたらすと考えられる。褐炭は、酸素含有率が高く、その多くはカルボン酸やフェノール等の酸性及び極性官能基の形態である。例えばpH4.5未満の低pH環境では、分子内水素結合及び分子間水素結合の両方が、褐炭構造を共に結合してそれを安定化させる酸性官能基と極性官能基との間に形成される。アルカリ塩が充分な濃度及び湿環境で褐炭に添加されるのであれば、アルカリ塩が褐炭中の水素原子と交換されるので、乾燥された際に、極性官能基がアルカリカチオンによって架橋される。イオン交換のこの現象は、静電相互作用のさらに強力な分子間ネットワーク及び分子内ネットワークをもたらす。この静電結合ネットワークの進歩的な開発は、押出成形された後に乾燥されるモノリスの完全性を維持することに役立つと考えられる。
【0069】
実施例1:ハニカム炭素モノリスの作製
【0070】
炭素質前駆体材料としてビクトリア褐炭(VBC)を用いて生地を作製した。下記の表1に示すように、未精製のVBCを、アルカリ塩のNaOH及びKOHと補助添加剤のパラフィン油及びグリセリンとを組み合わせて混合した。製剤Aは、1kgのVBC及び350gのNaOHで構成した。製剤Bは、1kgのVBC、350gのNaOH、75gのメトセル(登録商標)、70gのパラフィン油、及び100gのグリセリンで構成した。製剤Cは、1kgのVBC及び350gのKOHで構成した。製剤Dは、1kgのVBC、350gのKOH、70gのメトセル(登録商標)、70gのパラフィン油、及び100gのグリセリンで構成した。
【0071】
混合物を50〜120rpmで混錬し、最高50℃の温度に到達させ、生地を形成した。生地を、Brabender(登録商標)社製の二軸式押出機lab-compounder 20/40で、40〜50rpmの速度でハニカムモノリスの形状に押出成形した。生地をハニカムモノリスの形状に押出成形したら、次に、25℃の雰囲気チャンバ内で、チャンバの湿度を5時間ごとに5%ずつ下げて、最終湿度が50%になるように押出成形品を調整した。
【0072】
調整されたモノリスを、制御された窒素流の下で、850℃のオーブンで1時間炭化した。550℃の温度に達するまでオーブンの温度を0.5℃/分の速度で徐々に上げ、その時点から、オーブンが850℃の温度に達するまで、温度を1℃/分で徐々に上げた。モノリスを、窒素流の下で850℃のオーブンで1時間維持して炭化した後、雰囲気をCO
2ガスに切り替え、モノリスの表面を850℃で1時間活性化させた。それから、外部からの熱の印加を取り除き、そして、モノリスを室温まで冷却した。結果として得られたモノリスは良好な完全性を有し、いかなる表面クラックをも観察されなかった。さらに、モノリスは炭化後に良好な表面積及び導電特性を示し、活性化後にさらに高められた。
【0073】
図1は、実施例1の方法にしたがって作製した3つの活性炭ハニカムモノリスを示す。左端の試料は炭化されており、直径は約1.2cmである。右端の2つの試料は、調整されているが炭化されておらず、直径は約2.5cmである。これらの直径の違いは、上述したように炭化工程中の収縮に起因する。
図2は炭化されたモノリスの端面図を示す。
【0074】
また、表1では、活性炭ハニカムモノリスを、選択されたポリマー前駆体から作製した特定の従来技術のハニカムモノリスと比較している。
【表1】
図3は、本発明の例示実施形態の活性炭モノリスのラマンスペクトルを示す。結果は、かなりのレベルの黒鉛化を証明している。テストした活性炭モノリスのサンプルでは、I
G/I
D比は0.8未満である。
図4は、例示実施形態に係る炭素モノリスの種々のサンプルの水銀ポロシメトリ解析の結果を示す。炭素モノリスの細孔径分布を処理条件によって調整できることが分かる。
図5は、本発明の例示実施形態に係る活性炭モノリスの透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示す。TEM画像は、活性炭モノリスは、炭素層間に配列があるグラファイト様のドメインをいくつか有しているということを示す。
図6は、本発明の例示実施形態の活性炭モノリスのXPS解析を示す。この図は、活性炭モノリスの表面がa)C及びO原子の存在を示し、b)実質的に、炭素が、284.5eVにメインピークを有し、シェイクアップ衛線(shake-up satellites)を有するグラファイトであることを示す、ということを示す。
【0076】
この実施例では、まず、特定の炭化条件(15℃の加熱速度により850℃で2時間)及び活性化条件(900℃で2時間)により炭素モノリスのサイズ分布を調整し、メソ多孔性を改善した。作製した炭素モノリスを用い、pH3〜8の範囲で水溶液(40ml)からフェノールを除去した。pH6で159mg/gの最大吸着容量を達成した。
【0078】
この実施例では、活性炭モノリス及び鉄含有炭素モノリスを用い、pH3〜7の範囲で水溶液(20ml)から燐(Na
3PO
4)を除去した。炭素モノリスは、添加剤を加えなかった場合、最初の実験においてpH4で最大3.5mg/gの吸着を示した。この吸着レベルは、添加剤なしの活性炭に関して報告されている燐の吸着容量の範囲内であり、モノリスに含有される鉄、ランタン、マグネシウム等の活性金属の量を増やすことにより高め得るということを当業者は理解するであろう。
【0079】
実施例4:水からのメチレンブルー染料吸着
【0080】
この実施例では、活性炭モノリスを用い、水溶液(20ml)からメチレンブルー染料を除去する。1120m
2/gの表面積を有する活性炭モノリスにより54mg/gの最大吸着容量を達成した。
【0081】
上記記載の多くは、ビクトリア褐炭から形成された活性炭モノリスの特定の実施形態に焦点を当てていたが、内部チャネルなしで形成されたモノリス、褐炭、亜炭、泥炭、及びバイオマスを含む他の炭素質前駆体から形成されたモノリス等の多くの他の実施形態が本明細書で開示される主題に含まれることが理解されるべきである。
【0082】
本発明の炭素モノリスは、より高いランクの石炭又はコールタールやコールタールピッチ等の石炭誘導体の添加を必要としないので有利であり得る。
【0083】
本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変形が当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】