【実施例1】
【0165】
クローン病内の標的としてIL−23に関係する前臨床証拠
遺伝子及び動物モデル試験は、クローン病の病態生理を駆動する上でのIL−12及びIL−23の寄与を調べた。結果は、IL−23が炎症性腸疾患(IBD)において主な役割を果たすことを示し、新たに現れた証拠は、IL−23のみを遮断することがIL−12及びIL−23の両方を遮断するよりも効果的な戦略であり得ることを示唆している。
【0166】
遺伝モデルデータ及び動物モデルデータからの初期観察は、クローン病が、IL−12及び/又はIL−23によって、潜在的にこれらが誘導するTh1及びTh17経路を介して、それぞれ介在されることを示唆する。しかしながら、クローン病におけるIL−23の主な役割を示唆する証拠は増え続けている。ゲノムワイド関連試験は、クローン病に関連するIL−23R遺伝子の多型を同定した。腸炎を駆動する際のIL−23の役割は、いくつかのマウスモデルで示されている。抗IL−23抗体で処置したマウスは、減衰された炎症を示し、IL−23のp19サブユニットの遺伝子欠失を有するマウスは、腸炎のいくつかのモデルでは保護されている。
【0167】
クローン病におけるIL−23を標的とするための概念実証を確立する臨床的証拠
クローン病においてIL−23に治療的役割があるという可能性は、IL−12/23p40拮抗薬(ブリアキヌマブ及びウステキヌマブ)の臨床試験によって初めて確立された。ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))は、最近、中程度から重度に活性なクローン病への治療に対して承認された。これらのプログラムは、IL−12及びIL−23の両方の遮断がクローン病の治療に有効であることを実証したが、これらの2つのサイトカインの相対的寄与を確認することはできなかった。
【0168】
2つの抗IL−23拮抗薬、リサンキズマブ(従来はBI−655066)、及びブラジクマブ(以前はMEDI2070、AMG139)のより最近の試験では、中程度から重度に活性なクローン病を有する参加者におけるIL−23遮断の有効性を実証する第2相の結果を報告している。これらの試験のそれぞれで観察された有効性の規模は、ウステキヌマブ(抗IL−12/23)と比較して有効性がより改善されている可能性を示唆し、交差試験による比較及び比較的小規模のIL−23第2相試験の限界を認めるものである。
【0169】
クローン病におけるIL−12/23標的療法(ウステキヌマブ)の臨床治験
クローン病におけるウステキヌマブ第3相プログラムは、ウステキヌマブの静脈内(IV)導入の有効性及び安全性を評価する2つの8週間の試験、並びに合計で52週間の治療期間にわたるウステキヌマブの皮下(SC)維持の有効性及び安全性を評価する1つの維持試験を含んだ。ウステキヌマブは、クローン病を有する生物学的に適格な患者、すなわち、従来療法失敗であったもの及び生物学的療法失敗であったものの全スペクトルを評価された。第0週時点での単回の約6mg/kgのウステキヌマブのIV導入投与の後、生物学的療法では失敗だった参加者及び従来療法では失敗だった参加者のそれぞれ21%及び40%(プラセボ治療参加者のそれぞれ約7%及び20%に対し)が、第8週で臨床寛解を達成した(クローン病活動性指数[CDAI]によって評価して)。ウステキヌマブのIV導入に応答し、かつ再び無作為化されて8週間毎に90mg(q8w)又は12週間毎に90mg(q12w)のウステキヌマブのSC維持を受けた参加者のうち、それぞれ約53%及び49%が第52週時点で臨床寛解期にあり、これと比較して、プラセボ維持を受けた参加者では36%であった。
【0170】
クローン病におけるIL−23標的化療法の臨床治験
2つのIL−23mAb、リサンキズマブ、及びブラジクマブについての最近の第2相試験は、主に生物学的に難治性のクローン病を有する参加者における、臨床的徴候及び症状の改善、炎症バイオマーカーの低減、並びに、内視鏡所見の改善におけるこれらの有効性を実証した。
【0171】
臨床寛解率についての交差試験によるIL−23遮断剤との比較は、ウステキヌマブと比較して有効性が改善されている可能性を示唆する。リサンキズマブ(第0、4、8週で200mg及び600mgのIV)及びブラジクマブ(第0及び4週で700mgのIV)の両方の試験で用いられた導入用量は、承認されたウステキヌマブの投与量(第0週で約6mg/kgのIV)よりも著しく高いことは注目に値する。化合物の交差メタ分析は、特にリサンキズマブを投与することで、用量応答曲線の終点がより高くなり得ることを示唆する。
【0172】
更に、リサンキズマブの第2相試験はまた、6ヶ月間の治療を経なければ応答率が最大に達し得ない可能性があることを示唆した。最大で6ヶ月にわたる4週間毎(q4w)の600mgのIV投与の場合、すべての治療を受けた患者において約50%の臨床寛解率が観察され、これは、ウステキヌマブを含むその他の薬剤に関して従来報告されている、同様の試験集団における同様のフォローアップ時点での寛解率よりも相当高い。6ヶ月で寛解期にあり、リサンキズマブ維持治療(180mgのSCをq8w)を継続したこれらの参加者のうち、約70%は1年で寛解期にあった。
【0173】
クローン病におけるグセルクマブの包括的な根拠
要約すると、遺伝的及び前臨床的証拠を合わせて、IBDの根本的な病態生理の調節においてIL−23を選択的に標的とすることについての大きな役割が示唆される。2つのIL−23拮抗薬について利用可能な臨床治験、及び承認されたIL−12/23拮抗薬(ウステキヌマブ)からの確立された証拠は、クローン病の治療においてIL−23を標的とするための機序実証及び概念実証をそれぞれ立証した。これと共に、利用可能な証拠は、クローン病の治療においてグセルクマブを治験するための裏付けを提供する。
【0174】
主要エンドポイント
主要エンドポイントは、第12週時点での臨床寛解である(CDAIスコア150未満であるとして定義される)。このエンドポイントの場合、各グセルクマブ群とプラセボとの比較が行われる。
【0175】
主要な副次エンドポイント
主要な副次エンドポイントを以下に記載する。
・第48週時点での臨床寛解(CDAI150未満であるとして定義される)
・第48週時点で永続的臨床寛解(第12週〜第48週の間の全訪問の80%以上(すなわち少なくとも10回の訪問のうち8回)でCDAIが150未満であるとして定義される)(第48週を含む必要がある))
・第48週時点でのコルチコステロイドなし臨床寛解(第48週時点でCDAIスコア150未満であり、かつ第48週時点でコルチコステロイドを服用していないとして定義される)
・第12週時点でのPro−2寛解(APスコアの1日平均値が1以下であり、及び平均1日SFスコアが3以下である、すなわち、AP1以下及びSF3以下として定義される)
・第48週時点でのPro−2寛解
・第12週時点での内視鏡応答(SES−CDスコアにおけるベースラインからの少なくとも50%の改善、又はSES−CDスコア2以下であるとして定義される)
・第48週時点での内視鏡応答
・第12週時点での疲労応答(SAPにおいて定義されるPROMIS Fatigue Short Form 7aに基づく)
【0176】
第12週時点での短期エンドポイントは、各グセルクマブ群とプラセボ群との比較に基づき、第48週時点での長期エンドポイントは、それぞれグセルクマブ群とウステキヌマブ群との比較に基づく。
【0177】
非臨床的な観点から、カニクイザルにおいて、5週間の週1回の50mg/kgの亜慢性IV投与、及び24週間の慢性の週1回SC投与後に有害所見が観察されなかったことに基づくと、4週間毎にグセルクマブが最大1200mgの用量、続いて提案されるq4wで最大200mgのSC維持用量でIV投与される場合(ヒト1kgあたり約16mg)は、クローン病患者に対するリスクは比較的低い。上記で要約したように、予想される第8週〜第12週の臨床でのVI導入投与間隔AUC、又は定常状態SC維持間隔AUC(どちらもサル投与間隔と比較するために週1回の投与に対して正規化された)と比較した、サルで達成された実際の曝露データ(血清濃度対時間曲線下の領域(AUC)は、提案される臨床投与に十分な曝露マージンを提供する。これは、グセルクマブは尋常性乾癬を有する参加者において良好な臨床安全性プロファイルを有する後期バイオ療法(late-stage biotherapeutic)であり、データは、第1相の臨床開発中に、尋常性乾癬を有する限られた数の患者、及び健康な健常志願者のそれぞれにおいて、主に100mgのSCで生成されるが、最大で300mgのSC及び10mg/kgのIVでも生成されるという事実により更に裏付けされる。最後に、クローン病を有する患者において、リサンキズマブ(グセルクマブに匹敵する臨床的効力を有するIL−23阻害剤)が、6ヶ月間にわたりq4wで最大600mgのIVについて試験され、忍容性が良好であると報告された。
【0178】
グセルクマブは、広範な非臨床及び臨床開発を受けている。健康な志願者及び尋常性乾癬を有する患者における第1相、第2相、及び第3相臨床試験の有効性及び安全性についての結果を合わせて、並びに近年、尋常性乾癬への適応が規制当局により認可されたことから、グセルクマブの尋常性乾癬の治療における好ましい損益プロファイルが確立された。この臨床治験は、開発が進行中のグセルクマブに対し、PsA、GPP、EP、及びPPPなどの他の炎症性疾患における裏付けを提供した。
【0179】
動物及びヒトの利用可能なデータは、クローン病の病因におけるIL−23の重要な役割を裏付け、他の抗IL−23mAbに関する試験は、中程度から重度に活性なクローン病を有する患者において、IL−23の選択的標的化が、ウステキヌマブを含む他の作用機序で観察されるよりも高いレベルの有効性を達成し得ることを示唆する。
【0180】
ウステキヌマブ及び他の抗IL−23mAbによる臨床データは、クローン病における最大限の有効性には、乾癬で使用されるものよりも高い用量及び曝露を必要とし得ることを示唆する。例えば、クローン病におけるウステキヌマブの初期投与(70kgの患者においては約6mg/kgのIV)は、乾癬におけるもの(第0週及び第4週に45mgのSC)より約4倍高い。したがって、クローン病における最大限の有効性のためにはグセルクマブのより高い用量及び曝露が必要であるかを評価するために、q4wで3用量で最大1200mgのIV導入用量、及びq4wで最大200mgのSCの維持用量が、本試験の第2相部分で試験される。非臨床毒性試験のデータは、このプロトコルにおいて提案された臨床用量について適切な曝露マージンを提供する。加えて、過去に、2つの他の抗IL−23mAbの第2相試験において同等の用量/曝露が評価されており、1年間の治療後に安全性についての有意な懸念は報告されていない。
【0181】
乾癬においてグセルクマブに承認された用量レジメン(第0週及び第4週に100mgのSC、続いてq8w)は、良好な安全性プロファイルを有することが実証されており、q8wの200mgのSCと高い用量レジメンは、関節リウマチにおける第2相試験において良好な安全性を有することが示されている。主要なリスクは感染である。グセルクマブIBについて更に詳細に記載されている他の安全性について可能性のある懸念は、グセルクマブが免疫調節性mAbであることに基づくものであり、悪性腫瘍及び過敏症を含む。グセルクマブのより高い用量レジメン(このプロトコルで提案されている)は過去に試験されていないため、安全性は、独立したデータモニタリング委員会(Data Monitoring Committee、DMC)によって25人の患者の初期コホートにおいて評価される。
【0182】
初期コホートの早期安全性評価は、より多数の患者における提案された第2相及び第3相用量レジメンの継続的な試験について許容可能な安全性を保証し、第2相及び第3相の試験を通したDMCによる進行中の非盲検安全性評価は、全体的な開発プログラムにおける患者の安全性を保証する。
【0183】
アクティブコンパレータ:ウステキヌマブ
ウステキヌマブ(STELARA)は、このプロトコルにおけるアクティブコンパレータである。ウステキヌマブは、ヒトIL−12及びヒトIL−23の両方に共通のp40サブユニットと高い親和性及び特異性で結合するヒトIgG1κmAbである。ウステキヌマブは、米国、カナダ、及びEUを含むいくつかの国の成人患者における中程度から重度に活性なクローン病に対して承認された治療であり、規制当局によるクローン病適応についての認可のための申請が、現在世界中の多くの国で審査されている。このプロトコルにおけるウステキヌマブについて提案された導入及び維持投与は、現在世界中で承認されている国家によるラベルと一致しており、また、中程度から重度に活性なクローン病を有する患者におけるウステキヌマブの有効性及び安全性を確立した、クローン病におけるウステキヌマブ第3相臨床開発プログラムにおいて評価される用量レジメンと一致している。
【0184】
第2相の用量設定(dose-ranging)試験(GALAXI1)
目的
主目的
・クローン病を有する参加者におけるグセルクマブの臨床的有効性を評価する
・グセルクマブの安全性を評価する
【0185】
副次的な目的
・グセルクマブの用量応答を評価して、このプロトコルの第3相部分の用量選択を通知する
・内視鏡的改善に対するグセルクマブの有効性を評価する
・C反応性タンパク質(CRP)及び便中カルプロテクチンの変化を含む、グセルクマブ療法の薬物動態(PK)、免疫原性、及び薬力学(PD)を評価する
【0186】
他の目的
・健康関連の生活の質(HRQOL)及び医療経済評価(Health Economics outcome)の指標に対するグセルクマブの影響を評価する
・組織学的改善に対するグセルクマブの有効性を評価する
・腸粘膜遺伝子発現プロファイル及びクローン病に関連する細胞組成に対するグセルクマブによる治療の影響を評価する
【0187】
エンドポイント
主要エンドポイント及び主要な副次エンドポイントは、プラセボに対するグセルクマブの短期的有効性を評価する。これらのエンドポイントを以下に記載する。
【0188】
主要エンドポイント
第12週時点でのCDAIスコアにおけるベースラインからの変化。
【0189】
主要な副次エンドポイント
・第12週時点での臨床寛解(CDAIスコア150未満であるとして定義される)。
・第12週時点での臨床応答(CDAIスコアにおけるベースラインからの100点以上の減少又はCDAIスコア150未満であるとして定義される)。
・第12週のPRO−2寛解(腹痛(AP)スコアの1日平均値が1以下であり、及び平均1日排便回数(SF)スコアが3以下である、すなわち、AP1以下及びSF3以下であるとして定義される)。
・第12週時点での臨床バイオマーカーの応答(CDAIスコアに基づく臨床応答、及びCRP又は便中カルプロテクチンにおけるベースラインからの50%以上の減少)。
・第12週時点での内視鏡応答(クローン病[SES−CD]の内視鏡スコアにおけるベースラインからの少なくとも50%の改善、又はSES−CDスコア2以下であるとして定義される)
【0190】
仮説
GALAXI1に対する一次仮説は、グセルクマブが、中程度から重度に活性なクローン病を有する参加者のCDAIスコアにおけるベースラインからの減少を誘導する点でプラセボよりも優れているというものである。
【0191】
第3相の用量確認試験(GALAXI2及びGALAXI3)
GALAXI2及びGALAXI3は同一の試験であり、同じ目的及びエンドポイントを有する。
【0192】
目的
主目的
・クローン病を有する参加者におけるグセルクマブの臨床的有効性を評価する
・グセルクマブの安全性を評価する
【0193】
副次的目的
・内視鏡的改善に対するグセルクマブの有効性を評価する
・HRQOLに対するグセルクマブの影響を評価する
・CRP及び便中カルプロテクチンの変化を含む、グセルクマブ療法のPK、免疫原性、及びPDを評価する
【0194】
他の目的
・医療経済評価の指標に対するグセルクマブの影響を評価する
・組織学的改善に対するグセルクマブの有効性を評価する
・腸粘膜遺伝子発現プロファイル及びクローン病に関連する細胞組成に対するグセルクマブによる治療の影響を評価する
【0195】
エンドポイント
主要エンドポイント
主要エンドポイントは、第12週時点での臨床寛解である(CDAIスコア150未満であるとして定義される)。このエンドポイントの場合、各グセルクマブ群とプラセボとの比較が行われる。
【0196】
主要な副次エンドポイント
主要な副次エンドポイントを以下に記載する。
・第48週時点での臨床寛解(CDAI150未満であるとして定義される)
・第48週時点での永続的臨床寛解(第12週〜第48週の間の全訪問の80%以上(すなわち少なくとも10回の来診のうち8回)でCDAIが150未満であるとして定義される)(第48週を含む必要がある))
・第48週時点でのコルチコステロイドなし臨床寛解(第48週時点でのCDAIスコアが150未満であり、かつ第48週時点でコルチコステロイドを服用していないとして定義される)
・第12週時点でのPro−2寛解(APスコアの1日平均値が1以下であり、及び平均1日SFスコアが3以下である、すなわち、AP1以下及びSF3以下であるとして定義される)
・第48週時点でのPro−2寛解
・第12週時点での内視鏡応答(SES−CDスコアにおけるベースラインからの少なくとも50%の改善、又はSES−CDスコアが2以下であるとして定義される)
・第48週時点での内視鏡応答
・第12週時点での疲労応答(SAPにおいて定義されるPROMIS Fatigue Short Form 7aに基づく)
第12週時点での短期エンドポイントは、各グセルクマブ群とプラセボ群との比較に基づき、第48週時点での長期エンドポイントは、それぞれグセルクマブ群とウステキヌマブ群との比較に基づく。
【0197】
仮説
GALAXI2及びGALAXI3の両方についての一次仮説は、グセルクマブが、中程度から重度に活性なクローン病を有する参加者の第12週時点での臨床寛解を達成する点においてプラセボよりも優れているというものである。
【0198】
GALAXI2及びGALAXI3は、グセルクマブとウステキヌマブとを比較することによる長期治療の相対的性能も評価する。ウステキヌマブとの比較に関する主要な二次仮説に関しては、最終的な目的は、グセルクマブの有効性がウステキヌマブよりも優れていることを実証することであるが、非劣性に関する初期試験もまた実施される。これは、最終結果が、特定のエンドポイントに関して相対的有効性がウステキヌマブに劣っていないことを示すのみであったとしても、グセルクマブの全体的なプロファイルがウステキヌマブと比較して好ましい場合がある(全体的な有効性及び安全性の面で)ことを理由とする。
【0199】
試験デザイン
全体的な計画
クローン病におけるグセルクマブの臨床開発プログラムは、この単一のプロトコルの下で実施される:これまでの既存の療法又は生物学的療法に対し不適切な応答又は忍容性がないことを示した、中程度から重度に活性なクローン病を有する参加者におけるグセルクマブの安全性及び有効性を評価するための第2/3相、無作為化、二重盲検、プラセボ及び活性対照(ウステキヌマブ)、並列群、多施設共同プロトコル。
【0200】
この臨床開発プログラムの概要を以下で簡単に説明する。このプロトコルの下では、3つの個別の試験、すなわち48週間の第2相の用量設定試験(すなわち、GALAXI1)及び2つの同一の48週間の第3相の確認試験(すなわち、GALAXI2及びGALAXI3)が存在する。3つの試験のすべてが、treat−through試験デザインを用いて実施され、すなわち、別段の指示がない限り、参加者は第0週の時点で治療レジメンに無作為に割り付けられ、各試験の少なくとも第48週までその治療レジメンを維持する。
【0201】
第2相の用量設定試験(すなわちGALAXI1)では、広範な導入及び維持用量範囲にわたりグセルクマブの用量レジメンの安全性及び有効性を評価して、第3相における確認評価のための導入及び維持用量レジメンの選択を支援する。第3相(GALAXI2及びGALAXI3)で評価する用量レジメンを選択するには、250〜500人の参加者が必要とされ得ることが推定される。したがって、GALAXI1において最初に250人の参加者が、初回用量決定コホートに登録され、これらの参加者が第12週に到達すると(又は、第12週の前に試験への参加を中止すると)、主にこのコホートに基づく中間分析(IA)が行われる。用量決定を通知するにはより多くの参加者からのデータが必要となる場合があるため、初期用量決定コホートからのデータが収集及び分析されている間も登録は継続され、新規登録された参加者(すなわち、参加者番号251から始まる)は、移行コホートに無作為に割り付けられる。移行コホートの目的は、試験を中断することなく、第2相の用量レジメンにて安全性及び有効性についてのデータを継続して蓄積し、それによって全体的な安全性データベースのサイズを増大させるのみならず、場合によっては、初期用量決定コホートからの結果に基づく用量選択に不確実性が存在する場合は、用量決定を行う際の追加情報に寄与するというものである。用量決定前に、最大500人の参加者がGALAXI1に登録されることが予想される(すなわち、初期用量決定コホートで250人、また移行コホートで最大250人)。500人目の患者が無作為に割り付けられるときまでに第3相の用量決定がなされなかった場合は、第3相投与の決定、又は開発プログラムを中止する決定が行われるまで登録は中止される。
【0202】
これは、操作上シームレスなプロトコルであり、すなわち500人の患者が無作為に割り付けられる前に用量決定を行うことができる場合、第2相試験と第3相試験との間に登録の中断は存在しない。プロトコルの第2相部分から第3相部分への移行は、第3相の用量決定が行われて実施された後に生じる。用量決定が実施された後に無作為に割り付けられたすべての参加者が、第3相試験の一部となる。
【0203】
第3相の用量確認試験(すなわち、GALAXI2及びGALAXI3)では、選択されたグセルクマブ用量レジメンの安全性及び有効性を評価する。プロトコルの第3相部分の参加者1,540人の全対象サンプルサイズに対して、第3相の試験のそれぞれに770人の対象参加者を登録する。
【0204】
48週間の第2相又は第3相試験を完了した参加者は、LTEに入り、追加で約2年間の治療を受ける資格を得ることができる。
【0205】
全体的なGALAXI第2相/3相プロトコルは、合計で約2,000人の参加者を登録し、各参加者の総継続時間は最大で約3年である。
【0206】
対象集団
このプロトコル下の3つすべての試験における対象集団は同一であり、中程度から重度に活性なクローン病(少なくとも3ヶ月の継続時間)に関するインフォームドコンセントを得た時点で18歳以上である男性又は女性で構成される。参加者は、それ以前にX線撮影、組織学、及び/又は内視鏡検査により確認されている大腸炎、回腸炎又は回結腸炎を有する必要がある。
【0207】
活動性疾患の判定基準
ベースラインでは、参加者は、以下のように定義される、活性なクローン病を有しなければならない。
【0208】
臨床的に活性なクローン病
a.CDAIスコアが220以上であり、但し450以下である
及び以下のいずれか
b.液状便又は超軟便の数の無加重CDAIコンポーネントに基づいて平均1日SF回数が3長である
又は
c.腹痛の無加重CDAIコンポーネントに基づいてAPスコアの1日平均値が1超である
並びに
【0209】
2.回腸結腸クローン病の内視鏡的証拠
内視鏡スクリーニング時に中央施設による内視鏡読影により評価されたSES−CDスコアが3以上である。このスコアは、少なくとも1つの大型潰瘍(回腸、結腸、又はその両方における)の存在を示すものであり、これにより、以下の結果が得られる。
a.「潰瘍のサイズ」のコンポーネントに関する最小スコア2。
及び
b.「潰瘍化表面」のコンポーネントに関する最小スコア1。
【0210】
各試験のそれぞれで、登録された集団全体の最大10%は、SES−CDが4未満である(すなわち、孤立性回腸疾患を有する参加者の場合)、又はSES−CDが7未満である(すなわち、結腸又は回腸結腸疾患を有する参加者の場合)というベースラインスコアを有する参加者である。
【0211】
薬歴の基準
更に、全身療法に適格な広範な参加者集団をこのプロトコルで評価した。この参加者集団は、以前に従来療法若しくは生物学的療法への忍容について不適切な応答を示した又は失敗した参加者を含む。
【0212】
ウステキヌマブに対する曝露が限定されている参加者、及びウステキヌマブに対する忍容性がないこと又は失敗を示さなかった参加者を除き、過去にIL−12/23又はIL−23薬剤に曝露されたことのある参加者は、このプロトコルに参加する資格を持たないことに留意されたい。
【0213】
・従来療法の失敗又は忍容性がない(CON失敗)
参加者は、経口コルチコステロイド剤(プレドニゾン、ブデソニド、及びジプロピオン酸ベクロメタゾンを含む)、又は免疫調節剤のアザチオプリン(AZA)、6−メルカプトプリン(6−MP)、若しくはメトトレキサート(MTX)の従来のクローン病療法のうち少なくとも1つに対し不適切な応答を示しているか、又はこれを忍容することに失敗していなければならない。コルチコステロイド依存性(すなわち、クローン病の症状を戻さずに、うまくコルチコステロイドを漸減することができない)を呈した参加者も適格である。参加者は、生物学的療法(すなわち、TNF拮抗薬又はベドリズマブ若しくはウステキヌマブ)を受けたことがない場合もあり、あるいは、生物学的療法に曝露されたことがあるが、忍容性がないこと又は不適切な応答を示していない場合もある。
【0214】
各試験内で、全登録集団の最小で25%かつ最大で50%が、CON失敗である参加者となる。
【0215】
・生物学的療法に対する忍容性がない又は失敗(BIO失敗)である
参加者は、クローン病の治療に承認されている用量の少なくとも1つ以上の生物学的療法(すなわち、TNF拮抗薬又はベドリズマブ)に対し、忍容に失敗しているか、又は不適切な応答を示していなければならない。不適切な応答とは、一次非応答(すなわち、初期応答がない)又は二次非応答(すなわち、初期応答はしたがその後に応答を喪失する)として定義される。ウステキヌマブに対し不適切な応答を示すか、又はこれを忍容することに失敗した参加者は適格ではない。
【0216】
併用療法及び禁止される療法について、用法を以下で説明する。一般に、併用療法は安定した投与を維持するべきであり(ステロイドの漸減を除く)、治験担当者により医学的に必要であると見なされない限り新たな併用療法が開始されるべきではない。コルチコステロイドは、第12週から漸減が開始される。禁止療法が開始されると、試験による介入は中止(SID)されることになる。最後に、不適切な応答の持続又は臨床的に有意なクローン病の悪化が起きた場合には、介入の中止が強く考慮されるべきである。
【0217】
評価
3つの試験全体を通して、適切な活動スケジュールに示される時点で、有効性、PK、バイオマーカー、及び安全性が評価される。
【0218】
薬理遺伝学のための血液サンプルは、プロトコルのこのコンポーネントに同意する参加者から採取される(現地条例が許可する場合)。薬理遺伝学的調査への参加は任意である。デオキシリボ核酸(DNA)サンプルは、臨床応答に関連し得る遺伝因子の同定のために分析される。
【0219】
DMC憲章(DMC charter)に準拠する規定の役割及び責任を有する外部の独立したDMCは、3つの試験にわたり参加者の安全性を評価する。DMCの最初の責任は、GALAXI1で無作為に割り付けられて治療された第1の25人の参加者からの安全データを慎重に審査することである。その後、進行中の安全性データの審査は、DMC憲章で指定されるとおりに継続する。各審査の後で、DMCは試験の継続について治験依頼者に勧告を行う。
【0220】
第2相の用量設定試験(GALAXI1)
第2相試験デザイン及び第3相の用量決定の概要
第0週の時点で、参加者は、グセルクマブ、ウステキヌマブ、又はプラセボの3つの用量レジメンのうちの1つを与えられるよう1:1:1:1:1の割合で無作為に割り付けられる。ベースラインCDAIスコア(300以下又は300超)及び過去のBIOでの失敗ステータス(はい/いいえ)を階層化変数として含む置換ブロック無作為化法(permuted block randomization)を用いて、参加者が治療群に割り付けられる。全登録集団の最小で25%かつ最大で50%はCON失敗の参加者である。加えて、登録集団全体の最大10%は、SES−CDが4未満である(すなわち、孤立性回腸疾患を有する参加者の場合)、又はSES−CDが7未満である(すなわち、結腸又は回腸結腸疾患を有する参加者の場合)というベースラインスコアを有する。治療群への割り付けは、中央の無作為化センタを使用して対話型ウェブ応答システム(interactive web response system、IWRS)によって実行される。
【0221】
第3相のための用量決定前に、最大500人の参加者が、GALAXI1に登録されることが予想される(すなわち、初期用量決定コホートで250人、また移行コホートで最大250人)。500人目の患者が無作為に割り付けられるときまでに第3相の用量決定が行われなかった場合は、第3相の投与の決定、又は開発プログラムを中止する決定が行われるまで登録は中止される。
【0222】
初期用量決定コホートからのすべての参加者が、第12週(又は第24週)の訪問を完了するか、又は第12週(又は第24週)の訪問の前に試験の参加を中止した後で、第12週時点で(及び、必要に応じて第24週時点で)、第3相の用量決定を通知するための中間分析が計画される。各IAの時点で、第12週を超える何らかのデータを含む初期用量決定コホート及び移行コホートの両方から入手可能なすべてのデータが分析される。第3相の用量決定を可能にするために必要とされる場合、追加のデータ転送及び分析がその他の時点で実行されてもよい。目的は、第3相における確認評価のために、グセルクマブ用量レジメンを2つ選択することである。
【0223】
治療群
第2相試験の第0週〜第48週の5つの治療群及びそれらの対応する投与スキームの概要を以下に提供する。
【0224】
第2相(すなわち、GALAXI1)の第0週〜第48週の5つの治療群の投与スキーム
第2相試験の全参加者(すなわち、初期用量決定コホート及び移行コホート)は、以下で説明されるように、5つの治療群の1つに無作為に割り付けられる。参加者は、以下で概説するプラセボ群を除いて、48週間の試験終了まで、割り当てられた治療レジメンを維持する。
【0225】
群1:グセルクマブレジメン1(q4w×3で1200mgのIV→q4wで200mgのSC)
参加者は、第0週から第8週までq4wのグセルクマブ1200mgのIV導入を受ける(すなわち、合計3回のIV投与)。第12週時点で、参加者は、グセルクマブ200mgのSC維持治療をq4wで第44週まで継続する。
【0226】
群2:グセルクマブレジメン2(q4w×3で600mgのIV→q4wで200mgのSC)
参加者は、第0週から第8週までq4wのグセルクマブ600mgのIV導入を受ける(すなわち、合計3回のIV投与)。第12週時点で、参加者は、それからグセルクマブ200mgのSC維持治療をq4wで第44週まで継続する。
【0227】
群3:グセルクマブレジメン3(q4w×3で200mgのIV→q8wで100mgのSC)
参加者は、第0週から第8週までq4wのグセルクマブ200mgのIV導入を受ける(すなわち、合計3回のIV投与)。第16週時点で、参加者は、グセルクマブ100mgのSC維持治療をq8wで第40週まで継続する。
【0228】
群4:活性対照、ウステキヌマブ(約6mg/kgのIV→q8wで90mgのSC)
参加者は、第0週時点で、単一のウステキヌマブのIV導入投与を受ける(以下で概説するように、6mg/kgに近似する重量ベースのIV用量)。第8週時点で、参加者は、ウステキヌマブのSC維持(q8wの90mgのSC)をそれから第40週まで受ける。
・ウステキヌマブ260mg(体重55kg以下)
・ウステキヌマブ390mg(体重55kg超かつ85kg以下)
・ウステキヌマブ520mg(体重85kg超)
【0229】
群5:プラセボ→プラセボ又はウステキヌマブ交差
参加者は、第0週から第8週までq4wのプラセボのIVを受ける(すなわち、合計3回のIV投与)。第12週で、参加者は、以下のとおりにそれらの臨床応答状態に基づいて治療を継続する。
・プラセボ応答者:第12週から第44週までのq4wのプラセボ治療を継続する。
・プラセボ非応答者:第12週で、単一のウステキヌマブのIV導入投与を受ける(上記で概説するように、6mg/kgに近似する体重ベースのIV投与)。第20週時点で、参加者は、ウステキヌマブのSC維持(q8wの90mgのSC)を第44週まで受ける。
【0230】
臨床応答は、CDAIスコアのベースライン(すなわち第0週)からの100ポイント以上の減少、又は臨床寛解期にあること(CDAIが150未満である)として定義される。盲検性を維持するために、すべての治療群における参加者は、第12週の臨床応答状態について評価される。加えて、プラセボ投与(IV及びSC)が、必要に応じて、試験期間全体にわたり盲検性を維持するために与えられる。上記の臨床応答状態に基づいて第12週時点での第5群(プラセボ)は除き、第0週〜第48週ではいずれかの治療群についても投与量の調整は計画されない。
【0231】
併用療法及び禁止される療法について、用法を以下で説明する。一般に、併用療法は安定した投与を維持するべきであり(ステロイドの漸減を除く)、治験担当者により医学的に必要であると見なされない限り新たな併用療法が開始されるべきではない。コルチコステロイドは、第12週から漸減が開始される。禁止療法が開始されると、SIDとなる。最後に、不適切な応答の持続、又は臨床的に有意なクローン病の悪化が起きた場合には、介入の中止が強く考慮されるべきである。
【0232】
48週間の評価を完了したすべての参加者は、LTEに入り、追加で約2年間(第48週〜第156週)の介入を受け続ける資格を得ることができる。
【0233】
エンドポイント及び評価
主要エンドポイントは、第12週時点でのCDAIスコアのベースラインからの変化である。主要な副次エンドポイントは、第12週時点での臨床寛解、第12週時点での臨床応答、第12週時点でのPro−2寛解、第12週時点での内視鏡応答、及び第12週時点での臨床バイオマーカー応答である。これらのエンドポイントの分析は、それぞれグセルクマブ群とプラセボ群との比較に基づく。第48週時点でのグセルクマブとウステキヌマブとの比較を含む、その他の時点におけるエンドポイントの更なる分析も実行される。
【0234】
有効性、PK及びPDパラメータ、バイオマーカー、並びに安全性が評価される。
【0235】
データベースロック(DBL)は、第12週及び第48週に計画される。追加のDBL(例えば、第24週)が、必要に応じて追加されてもよい。
【0236】
第3相の用量確認試験(GALAXI2及びGALAXI3)
第3相計画の概要
第0週時点で、ベースラインCDAIスコア(300以下又は300超)、ベースラインSES−CDスコア(12以下又は12超)、過去のBIO失敗ステータス(はい/いいえ)、及びベースラインコルチコステロイド使用(はい/いいえ)を階層化変数として含む置換ブロック無作為化法を用いて、1,540人の対象参加者がGALAXI2(n=770)又はGALAXI3(n=770)に無作為に割り付けられる。各階層内で、各試験の参加者は、グセルクマブ、ウステキヌマブの2回の用量レジメンのうちの1つ、又はプラセボを与えられるよう2:2:2:1の割合で無作為に割り付けられる。各試験(GALAXI2及びGALAXI3)において、全登録集団の最小で25%かつ最大で50%が、CON失敗である参加者となる。加えて、登録集団全体の最大10%が、SES−CDが4未満である(すなわち、孤立性回腸疾患を有する参加者の場合)、又はSES−CDが7未満である(すなわち、結腸又は回腸結腸疾患を有する参加者の場合)に関するベースラインスコアを有する。治療群への割り付けは、中央の無作為化センタを使用してIWRSによって実行される。
【0237】
群
第3相のグセルクマブ用量レジメンは、第2相試験で評価された、導入投与範囲(すなわち、200mg〜1200mgのIV)の有効性及び安全性、並びに維持投与範囲(すなわち、q8wの100mgのSC〜q4wの200のSC)に基づいて選択される。
【0238】
第2相のデータに基づいて、第3相における確認評価のために、2つのグセルクマブ用量レジメン(すなわち、IV導入→SC維持)が選択されていることになる。同一の用量レジメンが、第3相の試験の両方において評価される。
【0239】
2つの第3相試験における4つの治療群の概要、及び第0〜48週のそれらの対応する投与スキームを以下で要約する。参加者は、以下で概説するプラセボ群以外は、48週間の試験の終了まで割り付けられた治療レジメンを維持する。
【0240】
第3相試験(すなわち、GALAXI2及びGALAXI3)における第0〜48週の4つの治療群の投与スキーム
群1及び群2:グセルクマブレジメン1及びグセルクマブレジメン2
参加者は、第0週から第8週までq4wのグセルクマブのIV導入を受ける(すなわち、合計3回のIV投与)。選択されたSC維持用量がq4w及び/又はq8wで与えられているかどうかに応じて、参加者は、グセルクマブのSC維持治療を、第12週に開始して第44週まで(すなわち、q4wレジメンである場合)、あるいは第16週に開始して第40週まで(すなわち、q8wレジメンである場合)継続する。
【0241】
群3:活性対照−ウステキヌマブ(約6mg/kgのIV→q8wの90mgのSC)
参加者は、第0週で、単一のウステキヌマブのIV導入投与を受ける(以下で概説するように、6mg/kgに近似する体重ベースのIV用量)。第8週時点で、参加者は、ウステキヌマブのSC維持(q8wの90mgのSC)を第40週まで受ける。
・ウステキヌマブ260mg(体重55kg以下)
・ウステキヌマブ390mg(体重55kg超かつ85kg以下)
・ウステキヌマブ520mg(体重85kg超)
【0242】
群4:プラセボ→プラセボ又はウステキヌマブ交差
参加者は、第0週から第8週までq4wのプラセボのIVを受ける(すなわち、合計3回のIV投与)。第12週で、参加者は、以下のとおりにそれらの臨床応答状態に基づいて治療を継続する。
・プラセボ応答者:第12週から第44週までプラセボ治療を継続する。
・プラセボ非応答者:第12週で、単一のウステキヌマブのIV導入投与を受ける(上記で概説するように、6mg/kgに近似する体重ベースのIV投与)。第20週時点で、参加者は、ウステキヌマブのSC維持(q8wの90mgのSC)を第44週まで受ける。
【0243】
臨床応答は、CDAIスコアのベースライン(すなわち第0週)からの100ポイント以上の減少、又は臨床寛解期にあること(CDAIが150未満である)として定義される。盲検性を維持するために、すべての治療群における参加者は、第12週の臨床応答状態について評価される。
【0244】
加えて、プラセボ投与(IV及びSC)が、必要に応じて、試験期間全体にわたり盲検性を維持するために与えられる。第0週〜第48週で治療群のいずれについても投与量の調整は計画されないが、上記の臨床応答状態に基づいて、第12週時点での第4群(プラセボ)は除く。
【0245】
併用療法及び禁止される療法について、用法を以下で説明する。一般に、併用療法は安定した投与を維持するべきであり(ステロイドの漸減を除く)、治験担当者により医学的に必要であると見なされない限り、新たな併用療法が開始されるべきではない。コルチコステロイドは、第12週から漸減が開始される。禁止療法が開始されると、SIDとなる。最後に、不適切な応答の持続、又は臨床的に有意なクローン病の悪化が起きた場合には、介入の中止が強く考慮されるべきである。
【0246】
第48週の評価を完了したすべての参加者は、LTEに入り、追加で約2年間の治療を受け続ける資格を得ることができる。
【0247】
エンドポイント及び評価
GALAXI2及びGALAXI3の両方は、同じ主要エンドポイント及び主要な副次エンドポイントを有する。
【0248】
主要エンドポイントは、グセルクマブとプラセボとの比較に基づく第12週時点での臨床寛解である。第48週時点での臨床寛解、第48週時点での永続的臨床寛解、第48週時点でのコルチコステロイドなし臨床寛解、第48週時点でのPro−2寛解、及び第48週時点での内視鏡応答の主要な副次エンドポイントは、グセルクマブとウステキヌマブとの比較に基づく。第12週時点でのPro−2寛解、第12週時点での内視鏡応答、及び第12週時点での疲労応答の主要な副次エンドポイントは、それぞれグセルクマブ治療群とプラセボ群との比較に基づく。
【0249】
有効性、PK及びPDパラメータ、バイオマーカー、並びに安全性が評価される。
【0250】
第48週にDBLが計画される。必要に応じて追加のDBLが追加されてもよく、これはSAPにおいて指定される。
【0251】
長期延長
LTEは、第48週から第156週までの約2年間実施される。
【0252】
GALAXI1、GALAXI2、又はGALAXI3の第48週時点で、治験担当者の意見によれば治療の恩恵を受け続けることになる(すなわち、第48週の臨床評価及び内視鏡評価に基づいて)すべての参加者は、LTEに入り追加で約2年間の治療を受ける資格を得、その間、グセルクマブの長期間の有効性及び安全性が評価されることになる。すべての参加者が評価される。LTEの最終的な有効性及び安全性についてのフォローアップ(FES)訪問は、約156週(すなわち、第140週時点での最後の介入実施から約16週間後)に行われる。
【0253】
第48週時点でLTEに入る資格を得ない参加者は、最後の介入実施から16週間後にFES訪問のために戻ることになる。
【0254】
LTEの間、すべての参加者は、GALAXI1、GALAXI2、又はGALAXI3の終了時に参加者が受けていたものと同じ治療レジメン(すなわち、グセルクマブ、ウステキヌマブ、又はプラセボ)を受け続ける。LTEにおける最初の介入実施は第48週に行われ、最後の介入実施は第140週に行われる。不適切な応答に対する治療調整は、LTEの第52週〜第80週の間で許される。
【0255】
治験担当者及び参加者の裁量により、適切かつ文書化された訓練の後、第48週の時点から、参加者は治験施設において自身で介入を実施することができる。介護者もまた、介入を実施するように訓練されてもよい。第48週時点で訓練を受けた後に、介入の自身(又は介護者)による実施の資格がある参加者は、自宅での実施のための介入を提供されて、第52週にその最初の自宅での実施を行う。治験施設から離れて介入を実施することが不可能な、又はそれを望まない参加者は、治験施設における実施を継続することになる。
【0256】
LTE中、すべての参加者は、第48週のDBL及び第48週の分析が完了した後に第2相試験(GALAXI1からLTEに入った参加者の場合)に対して又は第3相試験(GALAXI2又はGALAXI3からLTEに入った参加者の場合)に対して行われる試験の非盲検化まで、盲検方式で活性試験又はプラセボ試験の介入実施を継続して受ける。
【0257】
試験の非盲検化後、活性な治療(すなわちグセルクマブ又はウステキヌマブ)をなされているすべての参加者は、LTEの残りの期間にわたり第140週まで、それらの割り付けられた活性治療を受け続ける。プラセボの参加者は、試験の非盲検化時に介入を中止し、その時点でFES訪問を持つことになる。
【0258】
不適切な応答に対する治療調整
すべての治療群(すなわちグセルクマブ、ウステキヌマブ、及びプラセボ)の参加者のうち、第52週(すなわち、治療の調整が許可される最初の訪問)〜80週(すなわち、治療調整が許可される最後の訪問)の間で不適切な応答を示した参加者は、単一の治療調整の資格を得る(すなわち、不適切な応答基準が初めて満たされる)。
【0259】
不適切な応答とは、臨床応答ではなく、かつ、少なくとも220ポイントのCDAIスコアを有するものと定義される。臨床応答は、CDAIスコアのベースライン(すなわち第0週)からの100ポイント以上の減少、又は臨床寛解期にあること(CDAIが150未満である)として定義される。
【0260】
参加者(プラセボ、ウステキヌマブ、又はグセルクマブのより低いSC維持投与を受けている)は、当該参加者らが登録されるプロトコルの第2相又は第3相部分にて定義されるとおりの最大のグセルクマブSC維持投与へと、単一の盲検的治療調整を受ける資格を得る。最高のグセルクマブSC維持投与を既に受けている参加者は、単一の盲検的偽治療の調整を受ける。治療調整を受けた参加者は、第92週まで新たな治療レジメンを維持する。
【0261】
第96週に、治療調整の効果が評価される。LTEの残りの期間における参加の継続は、第96週の臨床評価及び内視鏡評価の結果をもとに治験担当者が臨床的に判断して決定される。介入の継続が参加者にとって最大の利益とならない場合、すなわち不満足な応答の持続又は臨床的に有意に悪化するクローン病を有する参加者については介入の中止が検討されるべきである。
【0262】
エンドポイント及び評価
第156週まで、グセルクマブの長期間の有効性及び安全性が評価されることになる。加えて、治療調整の効果は、様々な有効性エンドポイント(SAPにおいて指定される)の記述的分析に基づいて評価される。
【0263】
データベースロックは、第96週、及び最終参加者が、LTEにおける最終的な有効性及び安全性についての訪問を完了したときに計画される。必要に応じて追加のDBLが追加されてもよく、これは第3相のSAPにおいて指定される。
【0264】
プラセボ及び活性対照の使用
同じプロトコルにプラセボ及び活性対照の両方を含めることは、いくつかの利点を有する。短期間のプラセボ対照期間は、活性疾患を有する参加者におけるプラセボの使用が科学的調査を臨床的に裏付けると見なされる時間枠内において、新規治療の短期間の有効性及び安全性をプラセボと比較して評価することを容易にする。長期治療の場合、アクティブコンパレータ対照の使用は、プラセボの長期使用に対する懸念を軽減することができ、また、無作為化比較の設定において相対的有効性及び安全性を評価する機会を提供することもできる。新しい治療選択肢が、承認された治療選択肢と比較して患者に類似の又はより大きな利益を提供するかを判定することには大きな臨床的価値がある。
【0265】
ウステキヌマブは、重複する作用機序(すなわちIL−12/23両方の遮断)を標的とし、また、前臨床的評価により、IL−23をより特異的に標的とすることにより有効性が改善される可能性が示唆されることから、アクティブコンパレータとして選択された。更に、このプロトコルにおいてウステキヌマブに提案される投与量は、現在承認されている最大の導入−維持用量レジメンであり、かつクローン病におけるウステキヌマブ第3相臨床開発プログラムにおいて評価された用量レジメンのうちの1つであった。したがって、このプログラムにおいてアクティブコンパレータとしてウステキヌマブを含めることは、グセルクマブと比較する際の有益かつ適当なベンチマークを提供する。
【0266】
ウステキヌマブは、第2相試験において活性基準群として含まれ、第3相試験のため治療効果サイズ及びサンプルサイズの想定について情報を提供するデータを収集する。ウステキヌマブは、2つの第3相試験にアクティブコンパレータ対照群として含められ、約1年(すなわち、第48週)の治療を通して2つのグセルクマブ用量レジメンをウステキヌマブと比較して、長期有効性及び安全性を無作為化比較により評価することを可能にする。この開発プログラムは、長期臨床寛解の達成においてグセルクマブの有効性がウステキヌマブより優れている(又は、少なくとも劣っていない)か判定することを重要な目的とする。
【0267】
健康関連の生活の質に関する患者報告アウトカム
患者報告アウトカム(PRO)評価(すなわちIBDQ、PROMIS−29、PROMIS Fatigue 7−item Short Form、5段階EuroQol5次元[EQ−5D−5L]手段)が、疾患特異的及び全般的HRQOLに対するグセルクマブ治療の効果を評価するために用いられる。
【0268】
第2相の用量設定試験(GALAXI1)
以下のグセルクマブ用量レジメンは、GALAXI1の第48週まで評価される。
・グセルクマブレジメン1−導入:第0、4、8週時点での1200mgのIV、続いて維持:q4wの200mgのSC(すなわち、第12、16、20、24、28、32、36、40及び44週時点でのSC)
・グセルクマブレジメン2−導入:第0、4、8週時点での600mgのIV、続いて維持:q4wの200mgのSC(すなわち、第12、16、20、24、28、32、36、40及び44週時点でのSC)
・グセルクマブレジメン3−導入:第0、4、8週時点で200mgのIV、続いて維持:q8wの100mgのSC(すなわち、第16、24、32、及び40週時点でのSC)
【0269】
導入用量レジメン
尋常性乾癬を有する患者におけるグセルクマブ第2相試験とリサンキズマブ第2相試験との間の交差試験比較は、ほぼ同様の用量レジメンで同等の有効性が得られたことを示唆する。モデルベースのメタ分析も、これらの2種類の化合物について臨床的効力が同等であることを示唆する。加えて、グセルクマブのPKは、リサンキズマブ13,23のPKと類似していることが判明した。これらの用量応答及びPKデータは、これらの2種類の化合物に関しては、同様の用量レジメン又は全身曝露により、クローン病において同等レベルのIL−23遮断及び有効性が達成され得ることを示唆している。更に、クローン病において承認された、ウステキヌマブ(IL−12/23遮断薬)のPK/PDモデルは、様々なグセルクマブ用量レジメンの投与後の有効性を予測するために適用可能であると見なされた。
【0270】
中程度から重度に活性なクローン病を有する参加者におけるリサンキズマブの第2相試験において、より低い用量レジメン(すなわち、q4wの200mgのIV)で投与され第12週で寛解を達成した者と比較して、リサンキズマブのより高い導入用量レジメン(すなわちq4wの600mgのIV)で投与された参加者の大部分で用量依存的有効性が実証された。しかしながら、この第2相試験において、リサンキズマブ600mgのIV導入用量レジメンで最大有効性が得られたかは明らかではなかった。リサンキズマブの用量依存的有効性については、この試験の第2期間(第12週から第26週)で200mgのIVから600mgのIVに切り替えた患者の寛解率の増加によって示されるように更に実証された。グセルクマブ及びリサンキズマブの同等のPK及び臨床効力と共に、またクローン病におけるグセルクマブのPK/PD予測を加味し、これらの発見に基づき、それぞれ第0、4、及び8週時点でグセルクマブ600mgのIV、及び200mgのIVが与えられる導入用量レジメンが、第2相の用量設定試験に選択された。
【0271】
加えて、より高用量のグセルクマブ(q4wの1200mgのIV)導入用量レジメンは、第2相で試験されるより高いリサンキズマブ用量レジメン(すなわち600mgのIV)で観察されるよりも高いレベルの有効性を第12週で達成する可能性を評価する。全体として、3つのグセルクマブのIV導入用量レジメンは、用量レベル間の適切な分離をもたらす可能性が高い6倍の曝露範囲を提供し、結果として、第3相のグセルクマブ導入用量の選択を支援する。
【0272】
これらのより高いIV導入グセルクマブ用量の安全性に関しては、10mg/kg程度のグセルクマブの単回用量(試験された最大単回用量は987mg)が、過去に参加者の数を限定した第1相の尋常性乾癬試験において研究されている。更に、5週間で毎週最大50mg/kgのグセルクマブIV用量及び24週間で毎週最大50mg/kgのグセルクマブSC用量は、カニクイザルにおいて良好に忍容され、臨床的又は解剖学的所見は全く得られなかった。これらのデータは、毒性試験で観察されたものと比較して、1200mgのIVレジメンについて予測される、グセルクマブ曝露間の許容可能な曝露マージンを示唆する。更に、リサンキズマブは、最大6用量でq4wの600mgのIV、すなわち26週間の期間にわたり合計3600mgの用量レジメンで、良好に忍容された。第52週までのこれらの参加者の長期にわたるフォローアップは、公開されたデータに基づいて、いかなる重大な安全性に関する懸念も特定しなかった。それにもかかわらず、外部DMCは、グセルクマブの効果−リスクの監視を任命される。
【0273】
維持用量レジメン
クローン病のその他の生物学的製剤の薬量学によると、疾患の炎症性負荷が減じられると、有効性を維持するために必要とされる薬物曝露は、初期導入用量で得られる曝露よりも低減され得ることが示唆される。
【0274】
ウステキヌマブのクローン病第3相試験では、約6mg/kgのIVの導入レジメン後、第8週時点で寛解した参加者の中でも、q8wの90mgのSC維持レジメンでは、第52週時点で対象の67%が寛解を維持するという結果が得られた。リサンキズマブのクローン病第2相試験では、最大6ヶ月のq4wの600mgのIV導入投与を受けた後に第26週時点で寛解した参加者の中でも、q8wの180mgのSCレジメンでは、第52週時点で患者の71%が寛解を維持するという結果が得られたことを、長期非対照データが示した。
【0275】
したがって、このプロトコルでは、12週間のグセルクマブIV導入治療後、第48週までのSC維持治療中に、より低いグセルクマブ曝露を提供する用量レジメンが評価される。選択された維持用量レジメンは、十分な維持を提供し、導入曝露比は、クローン病に承認されたその他の生物学的製剤のそれと同等である。
【0276】
レジメン1及び2は、それぞれq4wのグセルクマブ1200mgのIV及びq4wの600mgのIV導入を評価する。これらのレジメンのそれぞれで、維持における有効性を最適化するためにはリサンキズマブの第2相試験(すなわちq8wの180mgのSC)で試験されたものよりも高い曝露が必要であるか評価するために、q4wの200mgのSC維持レジメンが試験された。
【0277】
q4wのグセルクマブ200mgのIV導入を評価するレジメン3では、q8wの100mgのSC維持レジメンが試験される。q8wのグセルクマブ100mgのSCレジメンは、q8wのウステキヌマブ90mgのSCで観察されるものと、少なくとも同様、又はこれを上回る有効性を提供することが期待され、この試験ではアクティブコンパレータの維持用量レジメンが評価される。
【0278】
全体として、2つのグセルクマブ維持SC用量レジメンは、第3相の用量選択を支援するであろう4倍の曝露範囲を提供する。
【0279】
GALAXI1の第0週から第48週までの治療群のいずれに対しても治療調整は計画されないが、この試験において評価されるウステキヌマブ用量レジメン(すなわち、第12週で約6mg/kgのIV、続いて第20週からq8wの90mgのSC)を受ける、クロスオーバーのIVプラセボ導入の非応答者は除く。第12週の時点で応答者でありプラセボIVに無作為に割り付けられた参加者は、第44週までSCプラセボを受け続ける。
【0280】
第3相の用量確認試験(GALAXI2及びGALAXI3)
第2相のデータに基づいて、第3相における確認評価のために、2つのグセルクマブ用量レジメン(すなわち、IV導入→SC維持)が選択される。
【0281】
目的は、用量決定の時点における有効性、安全性、及び曝露−応答(E−R)データの総計に基づき、第2相の用量設定試験において評価された導入用量範囲(すなわち第0週、第4週、及び第8週でのq4wの200mg〜1200mgのIV)から、単一の導入用量レジメンを選択することである。第3相の用量確認試験において評価される単一の導入レジメンの選択は、最適な導入用量レジメンを確立するのに十分な量の情報が利用可能であることを考慮することに基づく。このシナリオでは、選択された導入用量レジメンは、第2相で評価されたグセルクマブSC用量レジメンから得られる曝露の範囲(すなわち、q8wの100mg〜q4wの200mg)から選択される2つの維持用量レジメンと対になる。
【0282】
第2相のデータが、第3相の評価のための2つ以上の導入用量レジメンの選択を支援し得ることもあり得る。この場合、選択されたそれぞれの導入用量レジメンは、適切な維持用量レジメンと対になる。
【0283】
この試験で評価されるウステキヌマブ用量レジメン(すなわち、第12週で約6mg/kgのIV、続いて第20週からq8wの90mgのSC)をクロスオーバーで受けるIV導入プラセボの非応答者以外、GALAXI2及びGALAXI3の第0週から第48週までの治療群のいずれに対しても治療調整は計画されない。第12週で応答者であるプラセボIVに無作為に割り付けられた参加者は、第44週までSCプラセボを受け続ける。
【0284】
長期延長(第48週〜第144週)
参加者は、GALAXI1、GALAXI2、及びGALAXI3のLTE中に割り付けられたグセルクマブ維持用量を継続する。それぞれの試験において評価されている2つの維持用量レジメンのうちより低い方に参加しており、かつ第52週〜第80週で不適切な応答を経験する参加者は、単一の用量調整の資格を得、また、当該参加者らが臨床応答を回復可能かを評価するためにLTEの終了までより高い維持用量を受ける。
【0285】
組み入れ基準
可能性のある参加者はそれぞれ、この試験に登録されるために、下記の基準すべてを満たす必要がある。
1.18歳以上の男性又は女性であること(当該参加者が染色体対をもとに生まれ持った生殖器官及び生殖機能に従う)。
2.過去の任意の時点でX線撮影、組織学的検査、及び/又は内視鏡検査により確認された大腸炎、回腸炎、又は回結腸炎を伴う、クローン病又は瘻孔クローン病を少なくとも3か月の持続期間(最小で12週間と定義される)で有すること。
3.ベースラインCDAIスコアが220以上であるが450以下であるとして定義される、臨床的に活性なクローン病を有し、
a.液状便又は超軟便の数についての無加重のCDAIコンポーネントに基づいて平均1日SF回数が3超である、
又は
b.腹痛の無加重CDAIコンポーネントに基づいてAPスコアの1日平均値が1超である、のいずれかであること。
4.内視鏡スクリーニング時に中央施設による内視鏡読影により評価され、スクリーニングSES−CDスコアが3以上であるとして決定された、活性な回腸結腸クローン病の内視鏡的証拠を有すること。このスコアにより少なくとも1つの大型潰瘍(回腸、結腸、又はこれらの両方における)の存在が示され、以下の結果が得られる、
a.「潰瘍のサイズ」についてのコンポーネントに関する最小スコア2
及び
b.「潰瘍化表面」についてのコンポーネントに関する最小スコア1。
【0286】
各試験のそれぞれで、登録集団全体の最大10%が、SES−CDが4未満である(すなわち、孤立性回腸疾患を有する参加者の場合)、又はSES−CDが7未満である(すなわち、結腸又は回腸結腸疾患を有する参加者の場合)に関するベースラインスコアを有する参加者である。
【0287】
受けた併用薬物療法又は過去の薬物療法
5.クローン病のために過去又は現在受けている薬物療法は、以下のうち少なくとも1つを含む必要があり、また、付録2(セクション10.2)、付録3(セクション10.3)、及び付録4(セクション10.4)に記載される追加の基準を満たす必要がある。
a.経口コルチコステロイド(ブデソニド及びジプロピオン酸ベクロメタゾンを含む)及び/又は免疫調節剤(AZA、6−MP、MTX)による現在の治療
又は
b.経口コルチコステロイド(ブデソニド及びジプロピオン酸ベクロメタゾンを含む)又は免疫調節剤(AZA、6−MP、MTX)の療法のうちの少なくとも1つに対する応答又は忍容の失敗の履歴。
又は
c.コルチコステロイド依存性(すなわち、クローン病の症状を戻さずに、うまくコルチコステロイドを漸減することができない)の履歴。
又は
d.過去に初期応答の欠如を示した(すなわち一次非応答者)か、初期応答はしたが療法を継続すると応答を喪失した(すなわち二次非応答者)か、又は、クローン病の治療に承認されている用量での1つ以上の生物学的薬剤(すなわち、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、ベドリズマブ、又はこれらの薬剤に対する承認されたバイオ後続品)に対し忍容性がなかったこと。
注記:基準5a〜cを満たす参加者はまた、生物学的療法(すなわち、TNF拮抗薬又はベドリズマブ若しくはウステキヌマブ)を受けたことがない場合もあり、あるいは、これらの生物学的療法に曝露されたことがあるが、忍容性がないこと又は不適切な応答を示していない場合もある。過去にIL−12/23又はIL−23薬剤に曝露されたことのある参加者はこのプロトコルに入る資格を持たないが、承認を受けた表示用量でウステキヌマブの限定的な曝露を受けたことがあり、かつ、必要なウォッシュアウト基準を満たしており、かつ、ウステキヌマブに対する忍容性がないこと又は失敗を示したことのない参加者は例外である。
【0288】
6.クローン病の治療のための併用薬剤に対する以下の要件を順守する。以下の薬物療法は、以下に列挙される要件を満たす用量が安定であるか、又は以下で指定される時間枠内のベースラインの前に中止されているという条件の下に許容される。
a.少なくとも2週間にわたって安定した用量での経口5−アミノサリチル酸(5−ASA)化合物;あるいは、最近中止された場合は、少なくとも2週間停止されなければならない。
b.少なくとも2週間にわたって安定した投与で、プレドニゾン等価用量で40mg/日以下の経口コルチコステロイド、又は9mg/日のブデソニド、又は5mg/日のジプロピオン酸ベクロメタゾン;あるいは、最近中止された場合は、少なくとも2週間停止されなければならない。
c.少なくとも12週間にわたり、かつこれまでに少なくとも4週間にわたって安定な用量で、従来の免疫調節剤(すなわち、AZA、6−MP、又はMTX);あるいは、最近中止された場合は、少なくとも4週間停止されなければならない。
d.抗生物質をクローン病の一次治療として服用する場合、用量は少なくとも3週間にわたって安定でなければならない;あるいは、最近中止された場合は、少なくとも3週間停止されなければならない。
e.クローン病の一次治療として経腸栄養剤を服用する場合、少なくとも2週間服用していなければならない;あるいは、最近中止された場合は、少なくとも2週間停止されなければならない。
【0289】
検査室試験のスクリーニング
7.以下のパラメータ範囲内で検査室によるスクリーニング試験結果を有すること。検査室によるパラメータのうちの1つ以上が範囲外である場合にも、約5週間のスクリーニング期間中に、かかる検査室による値について単一の再試験が許容される。
a.ヘモグロビンが8.0g/dL以上である。
b.白血球が3.5×103/μL以上である。
c.好中球が1.5×103/μL以上である。
d.血小板が100×103/μL以上である。
e.血清クレアチニンが1.5mg/dL以下である。
f.アスパルテートアミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の濃度が、検査を実施した検査室で正常範囲の上限(upper limit of the normal range、ULN)の2倍以内でなければならない。
g.直接(抱合型)ビリルビンが1.0mg/dL未満である。
【0290】
結核
8.以下の結核(TB)スクリーニング基準に従って資格を有すると考えられること:
a.スクリーニング前に、潜在性又は活動性TBの病歴がないこと。潜在性TBの履歴を有し、かつ以下の基準のうちの1つを満たす参加者は例外となる。
・潜在性TBの治療を現在受けている
・介入の初回実施の前又はそれと同時に潜在性TBの治療を開始する
又は
・介入の初回実施の5年前までに潜在性TBに対する適切な治療を完了していることを証明する書類を有している。過去の抗結核治療の妥当性を検証し、適切な文書を提供することは、治験担当者の責任である。
b.病歴及び/又は身体検査の際に活動性TBを示唆する徴候又は症状を有しないこと。
c.活動性TBを有する人との密接な接触が最近ないこと。接触があった場合には、TB専門医師に紹介して追加評価を行い、確認された場合は、介入の初回実施の前又はそれと同時に、潜在性TBに対する適切な治療を受ける。
d.介入の初回実施の8週間以前までに、QuantiFERON(登録商標)−TB Gold試験の陰性結果を有すること、あるいは活動性TBが除外され、潜在性TBに対する適切な治療が最初の介入実施の前又はそれと同時のいずれかで開始された、新たに確認されたQuantiFERON−TB Gold試験の陽性結果を有すること。
注記:このプロトコルが実施される国でQuantiFERON−TB Gold検査が承認/登録されていない場合は、ツベルクリン皮膚試験の陰性結果が追加で必要となる。ウクライナ国では、QuantiFERON−TB Gold試験は承認/登録されていないが、容認されており、追加のツベルクリン皮膚試験は必須ではない。QuantiFERON−TB Gold試験及びツベルクリン皮膚試験は、上述の組み入れ基準8aに記載されているように、活動性TBが除外されている場合、及び適切な治療が開始/完了している場合は、潜在性TBの病歴を有する参加者のスクリーニングにおいては必要とされない。
e.介入の初回実施前12か月以内に行った胸部X線撮影(後−前像及び側面像の両方で、又は国内条例が適用される場合はそれに準拠する)を有し、適格な放射線医による読影がなされ、現在の活動性TB又は古い不活動性TBのエビデンスがないこと。
【0291】
避妊
男性又は女性による避妊(産児制限)の実施は、臨床試験参加者にとって避妊について許容される方法に関する現地条例と合うものでなければならない。典型的な実施失敗率は、一貫してかつ正確に実施された場合とは異なる場合がある。実施は、臨床試験の参加者にとって避妊の実施に関する現地条例と合うものでなければならない。
9.妊娠の可能性のある女性参加者は、スクリーニング及びベースラインにおいて尿妊娠検査の陰性結果を有しなければならない。
10.無作為抽出の前に、女性参加者は以下のとおりでなければならない。
a.妊娠の可能性がないこと
b.妊娠の可能性があること、かつ、
c.効果の高い避妊法(一貫して正確に実施された場合の1年当たりの失敗率が1%未満である)を実施し、介入を受ける間、かつ最終投与から16週間後(すなわち、関連する全身曝露の終了)まで効果の高い方法を維持することに同意すること。しかしながら、選択された方法は、非常に効果的な避妊のための現地/地域条例/ガイドラインを満たす必要がある。
注記:試験開始後に、参加者の妊娠の可能性が変化した場合(例えば、初経前の女性が初経を経験する場合)、又は妊娠リスクが変化した場合(例えば、異性間性交に活発的でない女性が活発的になるなど)、女性は、組み入れ及び除外基準全体に記述されているように、効果の高い避妊方法の実施を開始しなければならない。
11.女性は、試験中、及び介入の最後の実施から16週間は、生殖補助の目的で卵子(卵子、卵母細胞)を提供しないことに同意しなければならない。
12.試験中、及び介入の最後の実施から少なくとも16週間、男性参加者は、
a.妊娠の可能性のある女性との性行動に活発的である場合、バリア避妊法(例えば、殺精子フォーム/ゲル/フィルム/クリーム/座薬を含むコンドーム)を使用することに合意しなければならない。
b.妊娠した女性との性行動に活発的である場合、コンドームを使用しなければならない。
c.生殖目的で精子を提供しないことに同意しなければならない。
【0292】
一般的事項
13.このプロトコルで指定された生活様式の制限事項を守る意思があり、それが可能であること。
14.各自が試験の目的とそれに必要な手順を理解し、試験に参加する意思があることを示す、インフォームドコンセントフォーム(ICF)に署名しなければならない。
15.各自が研究のために任意にDNAサンプルを提供することに同意する場合は、個別のICFに署名しなければならない(現地条例が許す場合)。任意のDNA研究サンプルについての承諾を拒否しても、参加者を試験への参加から除外することはない。
【0293】
5.2.除外基準
以下の基準のいずれかを満たす見込み参加者は、このプロトコルの参加から除外される。
1.症候性狭窄又は狭窄症、短腸症候群、又は手術の必要が予測され得る任意の他の症状発現などの、クローン病の合併症を有している場合は、治療に対する応答を評価するCDAIの使用から除外され得る。さもなければ、グセルクマブ又はウステキヌマブでの治療効果を評価するのに混乱が生じる可能性がある。
2.現在膿瘍があるか、又は膿瘍の疑いがある場合。最近の皮膚及び肛門膿瘍は、更なる手術の必要性が予想されない限りにおいて、ベースラインの少なくとも3週間前、又は腹腔内膿瘍に関してはベースラインの8週間前に、排膿され適切に治療されている場合は、除外とはならない。活動性の瘻孔を有する参加者は、手術の必要性が予想されない場合、かつ現在特定されている膿瘍がない場合には、組み入れることができる。
3.ベースライン前の6ヶ月以内に任意の種類の腸切除を、又は12週間以内に任意の他の腹腔内若しくは他の大手術(例えば、全身麻酔を必要とする)を行った場合。
4.排液中の(すなわち、機能中の)ストーマ又はオストミーを有する場合。
5.過去4か月以内に、Clostridium difficile毒素を含む腸内病原菌に関して便培養又はその他の検査で陽性となっている場合。但し、再検査結果が陰性であり、かつその病原の感染継続の徴候がない場合は除く。
【0294】
受けた併用薬物療法又は過去の薬物療法
6.所定期間内に、以下の処方薬又は療法のいずれかを受けている場合:
a.ベースラインの3週間以内に受けたIVコルチコステロイド
b.ベースラインの8週間以内に受けたシクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、又はミコフェノール酸モフェチル
c.ベースラインの4週間以内に受けた6−チオグアニン(6−TG)
d.生物学的薬剤:
1)ベースラインの8週間以内に受けた抗TNF療法(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト、セルトリズマブペゴル、アダリムマブ、ゴリムマブ)
2)ベースラインの16週間以内に受けたベドリズマブ
3)ベースラインの16週間以内に受けたウステキヌマブ
4)ベースラインの12週間以内又はベースラインの5半減期のうちいずれか長い方の間に受けた他の免疫調節生物学的薬剤。
e.ベースラインの4週間以内又はベースラインの5半減期のうちいずれか長い方の間に受けた任意の治験介入。
f.ベースラインの12か月以内に受けた、非自家幹細胞療法(例えばProchymal)、ナタリズマブ、エファリズマブ、又はB細胞若しくはT細胞を枯渇させる生物学的薬剤(例えば、リツキシマブ、アレムツズマブ、又はビジリズマブ)の投与。
g.ベースラインの3週間以内に受けた、クローン病のための、アフェレーシス(例えば、アダカラムアフェレーシス)又は完全非経口栄養を用いた治療。
7.過去に、ブリアキヌマブ、ブラジクマブ、グセルクマブ、ミラキズマブ(mirakizumab)(以前はLY2525623)、及びリサンキズマブが挙げられるが、これらに限定されないIL−12/23又はIL−23を標的化する生物学的薬剤を受けている場合。
例外:ウステキヌマブをその承認を受けた表示用量で限定的に曝露され、かつ、必要なウォッシュアウト基準を満たし、かつ、ウステキヌマブに対する忍容性がないこと又は失敗を示していない参加者は、他の組み入れ基準を満たしており、他の除外基準を満たしていないという条件でこのプロトコルから除外されない。
【0295】
感染、又は感染しやすい素質:
8.慢性腎感染症、慢性胸部感染症(例えば気管支拡張症)再発性尿路感染症(例えば、再発性腎盂腎炎又は慢性継続性膀胱炎)、又は開放、排膿、若しくは感染皮膚創傷若しくは潰瘍が含まれるがこれらに限定されない慢性又は再発性の感染症の病歴があるか又は進行中である場合。
9.現在、臨床的に有意な感染の徴候又は症状を有する場合。明確に非重篤な感染症(例えば、急性上気道感染症、単純尿路感染症)の場合は、治験担当者の裁量により、除外と見なす必要はない。
10.ベースライン前の8週間に、入院又はIV抗生物質投与を必要とする任意の感染症が挙げられる重篤な感染症(例えば、肝炎、敗血症、肺炎、又は腎盂腎炎)の履歴を有する場合。
11.ベースライン前の8週間以内に帯状疱疹感染のエビデンスを有する場合。
12.スクリーニング前に、ヒストプラスマ症又はコクシジオイデス症を含む潜在性又は活動性の肉芽腫性感染症の履歴を有する場合。過去にヒストプラスマ症又はコクシジオイデス症の可能性があるX線写真の証拠を有する参加者は除外される。
13.TBを含む悪性腫瘍又は現在の活動性感染症の異常な示唆を示す、介入の初回実施から12週間前以内の胸部X線写真を有する場合。
14.非結核性抗酸菌感染症又は臨床的に有意な日和見感染症(例えば、サイトメガロウイルス大腸炎、ニューモシスチス症、侵入性アスペルギルス症)を有しているか、又は有したことがある場合。
15.参加者は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のスクリーニングを受けなければならない。HIV抗体陽性の履歴を有する、又はスクリーニング時にHIVに対して検査陽性の参加者はいずれもこの試験に対する資格を得ることができない。
16.C型肝炎ウイルス(HCV)に対する抗体に対して血清陽性の参加者。但し、抗ウイルス治療の完了後からスクリーニング前までに少なくとも6ヶ月離れた2つのHCV RNA試験の陰性結果を有し、スクリーニング時に第3のHCV RNA試験の陰性結果を有する場合は除く。
17.B型肝炎ウイルス(HBV)感染試験陽性である場合。
注記:HIV、HCV、HBV、又はTB検査結果のためにこの試験に対する資格が得られなかった参加者は、これらの感染の治療における専門知識を有する医師と相談することが推奨される。
18.介入の初回実施から12週間前以内に、任意の生ウイルス又は細菌ワクチン接種を受けたか、又は受けたと見込まれる場合。カルメット・ゲラン桿菌(Bacille Calmette-Guerin、BCG)ワクチンについては、除外基準14を参照されたい。
19.スクリーニングの12ヶ月以内にBCGワクチン接種を受けている場合。
【0296】
悪性腫瘍、又は悪性腫瘍の高い可能性
20.現在悪性腫瘍を有するか、又はスクリーニングから5年前以内に悪性腫瘍の履歴を有すること(適切に治療され、最初の介入実施の前の少なくとも3ヶ月間[最小で12週間として定義される]は再発のエビデンスがない非黒色腫皮膚癌、又は、既に治療され、最初の介入実施の前の少なくとも3ヶ月間は再発のエビデンスがない子宮頸上皮内癌は除く)。
21.意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症、リンパ腫を含むリンパ増殖性疾患の既知の履歴を有する場合、又はリンパ節腫脹症、肝臓肥大、脾腫、若しくは意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症などリンパ増殖性疾患の可能性を示唆する徴候及び症状を有する場合。
【0297】
合併する医学的状態又は過去の医療履歴
22.重度、進行性、又は制御されていない腎、泌尿生殖器、肝、血液、内分泌、心臓、血管、肺、リウマチ、神経、精神、若しくは代謝障害、又はこれらの徴候及び症状の履歴を有する場合。
23.移植された臓器有する場合(スクリーニングから12週間超前に行われた角膜移植は除く)。
24.忍容性に乏しい、又は十分な静脈へのアクセスがないために複数の静脈穿刺を受けることができない、又は受ける意思がない場合。
25.ベースライン前の12ヶ月以内に、Diagnostic and Statistical Manual of Disorders(5th edition)(DSM−V)の基準に従って薬物又はアルコール乱用の履歴を有していることが知られている場合。
26.過去6ヶ月の間に、実行する意向のある自殺念慮(念慮レベル4)、具体的な計画及び意向を伴う自殺念慮(念慮レベル5)、又は自殺行動(実際の自殺企図、自殺企図の中断、自殺企図の失敗、又は自殺企図をなすための準備行動)のColumbia−Suicide Severity Rating Scale(C−SSRS)スクリーニング評点と定義され得る不安定な自殺念慮又は自殺行動を有し、かつ、精神保健専門家による評価に基づいて治験担当者によりその危険があると見なされること。加えて、死を望むこと(「念慮レベル1」)、非特異的な活動的自殺念慮(「念慮レベル2」)、実行する意向のない任意の方法による活動的自殺念慮(計画なし)(「念慮レベル3」)、又は治験担当者によってその危険があると判定される非自殺的自傷行動のC−SSRS評点を有する参加者は、無作為に割り付けられない場合がある。
27.グセルクマブ若しくはウステキヌマブ又はそれらの賦形剤のいずれかに対し既知のアレルギー、過敏性、又は非忍容性を有すること(グセルクマブIB及びウステキヌマブIBを参照されたい)。
28.この試験に登録している間、又は介入の最終投与から16週間後以内に妊娠している又は母乳を与えている又は妊娠する計画のある女性である場合。
29.この試験に登録している間、又は介入の最終投与から16週間後以内に、子供の父親となる計画をしている男性であること。
【0298】
一般的事項
30.この試験の参加中に、治験薬又は手順を用いた任意の他の試験に登録中であるか、又は参加する意図がある場合。
31.治験担当者の意見によれば、参加することが参加者の最善の利益にならない(例えば、健康を損なう)か、又はプロトコルに規定された評価を妨げる、制限する、若しくは混乱させ得る任意の条件を有する場合。
32.治験担当者又は試験拠点の被雇用者であり、治験担当者又は試験拠点の指示に基づいて提示試験又は他の試験に直接的に関与している者、あるいはそのような被雇用者又は治験責任者の家族である場合。
注記:治験担当者は、すべての試験登録基準がスクリーニング時に満たされていることを確実にするべきである。スクリーニング後であるが、介入の初回用量が与えられる前に、参加者の臨床状態が変化して(任意の利用可能な検査結果又は追加の医療記録の受領を含む)、その結果、参加者がすべての資格基準を満たすことができなくなった場合、参加者は試験への参加から除外されるべきである。
【0299】
実施される介入
プロトコルの第2相及び第3相部分の両方において、
・すべての参加者は、第0週に2回のIV注入(活性又はプラセボのいずれか)、並びに第4、8、及び12週に1回のIV注入(活性又はプラセボのいずれか)を受ける。
・すべての参加者は、第8週に1回のSC注射(活性又はプラセボのいずれか)、及び第12週から第140週までの各訪問において、最大3回のSC注射(活性又はプラセボのいずれか)を受ける。
【0300】
静脈内介入は、1時間以上かつ2時間以下の期間にわたって実施されるべきである。この注入は、調製から6時間以内に完了されるべきである。投与訪問内で複数のSC注射が投与され得るため、介入の各注射は、身体の異なる場所に与えられるべきである。
【0301】
併用薬剤
ベースラインにおいて、クローン病の治療のために経口5−ASA化合物、経口コルチコステロイド、従来の免疫調節剤(すなわち、AZA、6−MP、又はMTX)、抗生物質、及び/又は経腸栄養を服用している参加者は、組み入れ基準に定められるように、ベースライン前の特定の期間、安定した用量を維持すべきである。
【0302】
一般に、すべての3つの試験のベースライン(すなわち、第0週)においてクローン病のためにこれらの薬剤を服用している参加者は、経口コルチコステロイドを除いて、第48週まで安定した用量を維持すべきである。療法は、毒性又は他の医学的必要性により、治験担当者の判断により必要とされる場合のみ、第0週の後に中止又は用量を低減することができ、毒性が解決されても、当該療法は再開されるべきではない。コルチコステロイドは、第12週までベースライン用量を維持されなければならず、すべての参加者は、医学的に実行可能でない場合を除いて第12週にコルチコステロイドの漸減を開始しなければならない。
【0303】
第0週〜第48週
各試験の第0週〜第48週、登録した参加者は、以下のクローン病特異的併用薬物療法のいずれも開始するべきではない。
・経口又は直腸5−ASA化合物。
・免疫調節剤(すなわちAZA、6−MP、又はMTX)。
・ブデソニド及びジプロピオン酸ベクロメタゾンを含む、経口、非経口、又は直腸コルチコステロイド。
・クローン病の一次治療としての抗生物質。
・クローン病の治療としての完全非経口栄養又は経腸栄養。
【0304】
治験担当者によって評価される医学的必要性に基づいて上記の薬物療法が開始されるか、又は薬剤用量が変更される場合、参加者は、すべての試験訪問に参加し続け、すべての評価を有するべきである。このことは、試験プロトコルからの逸脱を表すものではなく、参加者はそれらの割り当てられた療法(グセルクマブ、ウステキヌマブ、又はプラセボ)を維持してもよいが、これは治療失敗と見なされ得る。治療失敗は、SAPにおいて定義される。
【0305】
第12週〜第48週
各試験の第12週〜第48週、参加者は、クローン病の治療に対する応答の損失以外の理由で、一時的に(すなわち、4週間未満)コルチコステロイドの用量を増加させてもよい(例えば、手術、ぜんそく、副腎皮質機能不全に対するストレス量のコルチコステロイド)。
【0306】
LTEの治療フェーズ(すなわち、第48週〜第144週):
5−ASA、コルチコステロイド、抗生物質、及び免疫調節剤(すなわち、AZA、6−MP、若しくはMTX)、及び/又は完全静脈(parental)若しくは経腸栄養を含むクローン病に対する併用療法が、治験担当者の裁量により実施及び変更されてもよい。
【0307】
経口コルチコステロイドの漸減
第0週でコルチコステロイドを摂取したすべての参加者は、第12週でコルチコステロイドの漸減を開始しなければならない。この漸減は、医学的に実行可能でない場合を除いて必須であり、表6に示される推奨スケジュールに従うべきである。コルチコステロイドの漸減中に、参加者がそれらの疾患活動性の悪化を経験する場合、治験担当者によって必要と見なされる場合は、更なる用量減少を停止してもよく、かつ/又はその経口コルチコステロイド用量を一時的に増加させてもよい。しかしながら、経口コルチコステロイドの用量は、医学的必要性のない限り、第0週の用量を超えて増加させてはならない。コルチコステロイドの漸減が中断されている参加者に対して、治験担当者は、4週間以内に漸減を再開するよう促される。漸減は、医学的必要性によって正当性を保証された場合(例えば、コルチコステロイド関連の副作用を経験している参加者)のみ、このスケジュールを超過してもよい。
【0308】
禁止される併用薬剤
試験参加中に以下の治療を開始した参加者は、その介入を中止される。
・AZA、6−MP、又はMTX以外の免疫調節薬(6−TG、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、タクロリムス、及びシロリムスを含むがこれらに限定されない)。
・免疫調節生物学的薬剤(TNF拮抗薬、ナタリズマブ、ウステキヌマブ、リツキシマブ、ベドリズマブを含むがこれらに限定されない)。この試験において、ウステキヌマブは、無作為化でウステキヌマブに割り当てられた参加者にのみ、かつこのプロトコルで規定されるとおりでのみ、許可される。
・試験的クローン病薬剤(ウパダシチニブ、フィルゴチニブ、オザニモド、エトロリズマブ、ブラジクマブ、ミラキズマブ入手可能なコンピュータプログラム[以前はLY−3074828]、リサンキズマブ、GS−5745を含むがこれらに限定されない)。
・サリドマイド又は関連剤。
【0309】
有効性評価
有効性評価は、以下を含む。
・CDAI
・PRO−2(液状便又は超軟便及び腹痛スコアの総数の無加重CDAIコンポーネント)
・粘膜潰瘍の有無、及びSES−CD、並びにGlobal Histology Activity Score(GHAS)に基づく組織学的評価に基づく腸粘膜の内視鏡評価
・CRP及び便中カルプロテクチンを含む炎症性PDマーカー
・瘻孔評価
・患者報告アウトカム(PRO)は、HRQOL結果(すなわち、IBDQ、PROMIS−29、及びPROMIS Fatigue 7−item Short Form[7a]、並びにEQ−5D−5L)、及び医療経済評価(すなわち、WPAI CD)を評価するために測定する。
・BSFS、AP−NRS、クローン病の重症度に対する患者の全体的印象(Patient’s Global Impression of Severity、PGIS)、及びクローン病の重症度の変化に対する患者の全般的印象(Patient's Global Impression of Change、PGIC)を含む予備的な患者報告症状の測定。
【0310】
CDAIは、8つの異なるクローン病関連変数(腸外症状発現、腹部腫瘤、体重、ヘマトクリット、液状又は超軟便の合計回数、腹痛/痙攣、下痢止め薬(複数可)及び/又はあへん剤の使用、並びに全般的な健康状態)に関する情報を集めることによって評価される。最後の4つの変数は、参加者が7日間にわたり日誌カードにスコア付けを行い、日誌カードは参加者が毎日完了させなければならない。PRO−2は、液状便又は超軟便の総数及びAPスコアの無加重CDAIコンポーネントを含む。
【0311】
腸粘膜の内視鏡評価は、全参加者における回腸結腸内視鏡術中に評価される。第12、48、及び96週のスクリーニングにおいてビデオ回腸結腸内視鏡検査が実施される。第4週の評価を含む任意のサブ試験は、同意する参加者に対して上記の指定された評価に加えて実施される。ビデオ内視鏡は中央施設によって評価され、治療群及び訪問に対して盲検化される。完全なビデオ内視鏡検査は、回腸末端部が視覚化できない場合、回腸末端部の評価を必要としない。SES−CDスコアは内視鏡的改善を評価するために用いられる。SES−CD、5つの回結腸セグメントにわたって、4つの内視鏡要素の評価(潰瘍の存在/大きさ、潰瘍に覆われた粘膜表面の割合、他の病変の影響を受けた粘膜表面の割合、及び狭細/狭窄の存在/タイプ)に基づく。各内視鏡コンポーネントは、セグメント毎に0〜3にスコア付けされ、各コンポーネントに対して最大15の合計スコアを得るが、定義により、通過することのできない狭細の存在は1回しか観察することしかできないために最大で11の合計スコアしか獲得することができない狭細要素を除く。要約すると、全SES−CDスコアは、全コンポーネントのスコアの合計から導出され、0〜56の範囲であり得る。治療的介入に応答した粘膜潰瘍の解消(不在)として従来定義されている内視鏡治癒も評価される。
【0312】
組織学的評価は、回腸結腸内視鏡術中に収集された生検サンプルを使用して行われる。生検サンプルは、第12、48、及び96週のスクリーニングにおいて、3つの所定の解剖学的位置:末端回腸、脾彎曲部、及び直腸のそれぞれから収集される。第4週の評価を含む任意のサブ試験は、同意する参加者に対して上記の指定された評価に加えて実施される。ベースライン後に収集される生検サンプルは、スクリーニング生検サンプルが3つの所定の位置のそれぞれから収集された場所の近くで得られる。組織学的評価は、治療群及び訪問に対して盲検化された中央施設の観察者によって行われる。Global Histology Activity Score(GHAS)を使用して、組織学的改善及び治癒が評価される。5つの分析はSAPにおいて指定される。
【0313】
試験期間全体を通して、瘻孔評価がすべての参加者に対して継続的に行われる。すべての参加者がベースラインにおける瘻孔に関して評価される。瘻孔疾患を有する参加者に対しては、試験中に瘻孔の閉鎖が評価される。腸管皮膚瘻(例えば肛囲及び腹部)は、軽い圧迫にもかかわらず排液がない場合に、もはや排液性ではない(すなわち、閉鎖している)と見なされる。直腸腟瘻は、身体的検査又は関連症状(例えば、直腸内容物の通過、膣からの排気など)がないことのいずれかに基づいて、閉鎖していると見なされる。
【0314】
患者報告アウトカムの指標は、活動スケジュール(セクション1.3)に示されるように、訪問時に評価される。
IBDQは、IBDを有する参加者のための有効な32項目の自己報告アンケートであり、4つの次元、すなわち腸症状(軟便、腹痛)、全身症状(疲労、睡眠パターンの変化)、社会的機能(勤怠、社交的イベントをキャンセルする必要性)、及び感情的機能(怒り、抑うつ、苛立ち)にわたるPROを評価する。11のスコアの範囲は32〜224であり、スコアが高いほど良い結果を示す。
・PROMIS−29は、疾患特異的ではない、有効な全般的な健康プロファイル手段である。これは、7つのドメイン(うつ病、不安、身体的機能、疼痛干渉、疲労、睡眠障害、並びに社会的な役割及び活動への参加能力)のそれぞれに対する4項目を含む簡易フォームの集合である。PROMIS−29はまた、全体的平均疼痛強度の0〜10数値化スケール(NRS)を含む。
・PROMISの疲労についての7項目の質問票(PROMIS Fatigue Short Form 7a)は、疲労関連症状(すなわち、疲弊、憔悴、精神的倦怠感、及びエネルギーの欠乏)及び日常的活動に対する付随的な影響(仕事、セルフケア、及び運動に関連する活動の制限)を評価する7つの項目を含む。PROMIS Fatigue Short Form 7aは、過去7日間の回想期間を有する。PROMIS−29の疲労スケールと比較して、Fatigue Short Form 7aは、疲労の重症度を評価するための追加情報を提供する。
・EQ−5D−5Lは、EuroQol 5次元記述システム(EQ−5D)及びEuroQol視覚アナログスケール(EQ−VAS)からなる有効な手段である。記述システムは、5つの次元(移動性、セルフケア、通常の活動、疼痛/不快感、不安/うつ病)を含む。各次元は、問題なし、わずかな問題、中程度の問題、深刻な問題、及び極度の問題の5つのレベルを有する。回答者は、5つ次元のそれぞれにおいて最も適切な記述をチェックすることによって各自の健康状態を示すように求められる。
EQ−VASは、「あなたが想像できる最高の健康状態」及び「あなたが想像できる最悪の健康状態」と標識されたエンドポイントを有する20cmの縦型の視覚的アナログスケール上に、回答者の自己評点した健康状態を記録する。回答者は、その日の健康状態を示すためにスケール上に「X」をマークし、次いで、ボックス内のスケール上にマークされた数字を書き込む。
・WPAI−CDは、クローン病に起因する、欠勤、疾病中出勤(presenteeism)、及び日常的活動の減損の量の患者報告定量的評価として作成された有効な手段である。WPAI−CDは、雇用状態、クローン病のために欠勤した時間、その他の理由により欠勤した時間、労働時間、労働中にクローン病が労働生産性に影響を及ぼした程度、及び労働以外の活動にクローン病が影響を及ぼした程度を判定するための6つの質問から構成される。4つのスコア:すなわち欠勤の割合、疾病中出勤の割合(労働中の生産性が低下している)、欠勤と疾病中出勤とを組み合わせる全体的な労働減損、及び労働外で実施された活動の減損の割合が導出される。スコアが高くなるほど、減損は大きくなる。
【0315】
予備的な患者報告症状測定値は、活動スケジュールに示されるように、訪問時に評価される。
・BSFSは、ヒト糞便の形態(又は稠度)を7つのカテゴリに分類するための医療補助である。14 これは、腸の様々な疾患(例えば過敏性腸症候群[IBS])に対する治療の有効性を評価するための調査ツールとして用いられてきた。参加者は、第0週から第48週目までの毎日の日誌の入力としてBSFSを完了する。
・AP−NRSは、腹痛を評価するために用いられる11ポイント(0〜10)のスケールである。スコア0は「腹痛なし」を表し、スコア10は「起こり得る最悪の痛み」を表し、大きなスコアほど痛みの重症度と強度が大きいことを示す。参加者は、第0週から第48週まで毎日の日誌の入力としてのAP−NRSを完了し、その痛みが最悪なときを最も良く反映する1つの数のみを選択する。
・クローン病のPGIS:参加者はベースライン及び各訪問におけるそのクローン病の活動性を5ポイントのスケール(「なし」、「軽度」、「中度」、「重度」、及び「きわめて重度」)を用いて評点する。PGISは、他の臨床エンドポイントの応答基準を確立及び/又は検証するためのアンカーとして使用される。
・クローン病の重症度のPGIC:参加者のクローン病の重症度における知覚された変化(改善又は悪化)はPGICを用いて評価される。参加者は、「現在ははるかに良い」から「現在ははるかに悪い」までの7ポイントスケール(中立的な中央ポイント(「より良くもより悪くもない」)を含む)を用いて、そのクローン病が試験開始時点からどのように変化してきたのかを評点する。PGICは、他の臨床エンドポイントの応答基準を確立及び/又は検証するためのアンカーとして使用される。
【0316】
安全性評価
有害事象は、治験担当者によって報告及び追求される。試験中に発生するあらゆる臨床上関連する変化は、eCRFの有害事象の項に記録されなければならない。試験の最後に/早期離脱時に持続しているあらゆる臨床上の有意な異常は、解決まで又は臨床上安定したエンドポイントに達するまで、治験担当者によって追求されるであろう。
【0317】
本試験は、指定された時点に基づく安全性及び耐用性の以下の評価を含む。
【0318】
心電図
12誘導心電図(ECG)は、スクリーニングにおいて実行される。
【0319】
ECGを収集する間、参加者は、気を散らすもの(例えば、テレビ、携帯電話)がない静かな環境にいるべきである。参加者は、ECGの収集前に少なくとも5分間は仰臥位で安静にするべきであり、話すこと又は腕若しくは脚を動かすことを控えるべきである。ECG記録と同じ時点で血液サンプリング又はバイタルサイン測定が予定される場合、処置は、ECG(複数可)、バイタルサイン、採血の順序で実行されるべきである。
【0320】
健康診断
健康診断は、活動スケジュールで指定されるとおりに実施される。安全性及び有効性に関する参加者の評価は、すべての訪問における治験担当者による何らかの健康診断を必要とするが、より完全な詳細にわたる健康診断は、指定された訪問で実施される。
【0321】
身長及び体重
身長及び体重は、活動スケジュールで指定されたとおりに測定される。対象は、これらの測定の前に、靴及び屋外用衣料及び装具を取り外すよう指示される。
【0322】
バイタルサイン
バイタルサイン(体温、脈拍/心拍数、呼吸数、及び血圧を含む)は、すべてのIV注入の前、及びIV注入中の約30分間毎に、並びに最終IV注入が完了してから約30分後のインターバルで得る。バイタルサインは、最終SC注入の前及び約30分後に得られるべきである。
【0323】
感染症
介入実施は、臨床的に重要な活動性感染症を有する参加者に与えられるべきではない。治験担当者は、予定された訪問において、感染症の任意の徴候又は症状に関して参加者を評価することを求められる(活動スケジュールのセクション1.3を参照されたい)。参加者が敗血症又は肺炎が挙げられるがこれに限定されない重篤な感染症を発症した場合、試験治療の中止(すなわち、更なる介入実施を行わない)を検討しなければならない。
【0324】
結核評価(複数可)
初期結核評価
参加者は、TBのための試験を受けなければならず、それらの病歴評価は、TBの履歴、又は活動性TBを有する個人への既知の職業的又は他の個人的曝露に関する特定の質問を含まなければならない。参加者は、胸部X線検査結果及びツベルクリン皮膚又は他のTB試験に対する応答を含む、TBに対する過去の試験に関する質問をされるべきである。治験担当者が、その判断に基づいて、両方の試験を使用することが潜在性TBを有する高いリスクを有する参加者を評価するために臨床的に指示されると信じる場合は、治験担当者は潜在性TBをスクリーニングするために、QuantiFERON−TB Gold試験及びツベルクリン皮膚試験の両方を用いる選択肢を有する。QuantiFERON−TB Gold試験又はツベルクリン皮膚試験のいずれかが陽性であった場合、参加者は、この試験の適格性の目的で潜在性TB感染症を有するものと見なされる。
【0325】
QuantiFERON−TB Gold試験の陰性結果(及びQuantiFERON−TB Gold試験が承認/登録されていないか、又はツベルクリン皮膚試験が現地の保健機関によって命じられている国においては、ツベルクリン皮膚試験の陰性結果)を有する参加者は、無作為抽出前手順を継続する資格を有する。新たに同定されたQuantiFERON−TB Gold(又はツベルクリン皮膚)試験の陽性結果を有する参加者は、活動性TBを除外するための評価を受け、潜在性TBのための適切な治療を開始しなければならない。潜在性TBのための適切な治療は、免疫不全患者に対する現地の国のガイドラインに従って定義される。免疫不全患者に対する現地の国のガイドラインが存在しない場合、米国ガイドラインに従わなければならないか、あるいは参加者は試験から除外される。
【0326】
最初のQuantiFERON−TB Gold試験結果が不明確である参加者は、試験を繰り返すべきである。第2のQuantiFERON−TB Gold試験結果も不明確である場合、参加者は、潜在性TBが除外され、それらの胸部X線写真がTB(活動性又は古い非活動性TB)を示唆する異常を示さず、参加者が治験担当者によって判断されるTBの更なるリスク因子を有しない場合、潜在性TBの治療なしで登録され得る。この判定は、治験依頼者又は被指名者のメディカルモニタに速やかに報告され、参加者のソースドキュメントに記録され、治験担当者によって頭文字で略式署名されなければならない。
【0327】
結核の評価
活動性結核の早期検出
試験参加中にTBの再活性化又は新規のTB感染の早期検出を助けるために、参加者は、予定された訪問時に、又は電話による接触によって、約8〜12週間毎に活動性TBの徴候及び症状を評価されなくてはならない。評価中に使用するために、以下の一連の質問が提案される。
・「あなたは14日未満の期間の新たな咳、又は慢性咳の変化を有しましたか?」
・「あなたは以下の症状のいずれかを有していますか?
−持続する熱
−意図的でない体重減少
−寝汗」
・「あなたは活動性TBを有する個人と密接な接触をしましたか?」(接触が「密接」と見なされるべきかに関して不確実性が存在する場合、TB専門医に相談するべきである)。
【0328】
評価により、参加者がTBの再活性化又は新たなTB感染を有し得るという疑いが生じた場合、可能な場合はTB専門医への相談を含む即座の徹底した調査が行われるべきである。治験担当者らは、免疫不全を有する参加者におけるTBの再活性化は、播腫性疾患として、又は肺外特徴(extrapulmonary features)を有して存在し得ることを認識するべきである。活動性TBの証拠を有する参加者は、適切な治療を紹介されるべきである。試験の実施中に活動性TBを有する個人と密接に接触した経験を有する参加者は、参加者が活動性TBを発症するリスク及び潜在性TBの治療が正当であるかどうかを判定するために、反復胸部X線検査、反復QuantiFERON TB Gold試験、QuantiFERON−TB Gold試験が承認/登録されていないか、又はツベルクリン皮膚試験が現地の保健機関によって命じられている国においては反復ツベルクリン皮膚試験、及び、可能であれば、TB専門医への紹介を行わなければならない。
【0329】
介入実施は、調査中に中断されるべきである。QuantiFERON−TB Gold試験又はツベルクリン皮膚試験の陽性結果は、潜在性TBの検出と見なされるべきである。QuantiFERON−TB Gold試験の結果が不明確である場合、試験は、付録5(セクション10.5)に概説されるように反復されるべきである。参加者は、プロトコルに従って予定されたすべての後続の試験訪問のために戻ることを奨励されるべきである。潜在性TBを時期尚早に中止した、又は療法を順守しない対象は、活動スケジュール(セクション1.3)に従い、介入の更なる投与を即座に中止して、すべての後続の予定された試験訪問のために戻るように奨励されなければならない。
【0330】
アレルギー反応
いかなるSC注射又はIV注入の前にも、適切に訓練された人員及び薬剤が、アナフィラキシーを含むアレルギー反応を治療するために利用可能でなければならない。すべての参加者は、アレルギー反応の症状(例えば、じんま疹、掻痒、皮疹)に関して注意深く観察されなければならない。軽度又は中程度のアレルギー反応が観察される場合、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬、及び/又はジフェンヒドラミンを投与してよい。
【0331】
重症のアレルギー反応(例えば、アナフィラキシー)の場合、SCの水性エピネフリン、コルチコステロイド、呼吸補助、及びその他の適切な蘇生手段が必要不可欠であり、注射又は注入が投与される試験拠点で利用可能でなければならない。
【0332】
注射又は注入に関連した深刻な拒絶反応を経験する参加者は、更なる介入実施を中止されるべきである。
【0333】
注射又は注入後に補助換気を必要とする喘鳴及び/又は呼吸困難を伴う気管支痙攣をもたらす反応、又は40mmHgを超える収縮期血圧低下を伴う症候性低血圧を経験する参加者は、追加の介入を受けることを許されない。
【0334】
介入の注入後1〜14日で発生する血清病様反応を示唆する反応(その他の認識された臨床的症候群の徴候及び症状を表さない発熱及び/又は発疹を伴う筋肉痛及び/又は関節痛などの症状をもたらす)を経験する参加者は、更なる介入実施を中止するべきである。これらの症状は、掻痒、顔、手、又は唇の浮腫、嚥下障害、蕁麻疹、咽頭炎、及び/又は頭痛を含む他の事象を伴う場合があることに留意されたい。
【0335】
時間的に注入に関連する有害事象
介入のIV注入中、又はその後1時間以内に起こる任意のAE(検査室異常を除く)は、慎重に評価される。臨床的に指示されるように、注入に関連する少量のAEは、IV注入の速度を減少させ、並びに/又は抗ヒスタミン剤及び/若しくはアセトアミノフェン(パラセタモール)で治療することにより管理することができる。治験担当者の意見によれば重症でもなく、又は重大な有害事象(SAE)をもたらすものでもないAEのために、介入のIV注入が中断される場合、注入は慎重に再開されてもよい。
【0336】
注射部位反応
注射部位反応は、SC介入注射部位における任意の有害反応である。注射部位は反応について評価され、任意の注射部位反応はAEとして記録される。
【0337】
Columbia−Suicide Severity Rating Scale(C−SSRS)
C−SSRSは自殺念慮の5つのサブタイプ及び4つの可能な自殺行動、並びに非自殺的自傷行動、及び完遂された自殺を定義する。これは、包括的な安全性評価の一環として、本試験における自殺念慮及び行動を予測的に評価するためのスクリーニングツールとして使用される。C−SSRSは、治験担当者によって管理されるアンケートである。この2つのバージョンが本試験で使用され、C−SSRSの「ベースライン/スクリーニング」バージョンは、スクリーニング訪問中に実施され、C−SSRSの「最終訪問以後」バージョンは、試験の終了までその他すべての訪問で完了される。
【0338】
治験担当者又は訓練された試験拠点の人員は、参加者を面接して、C−SSRSを完了する。C−SSRSは、現地のガイドラインに従って現地の言語で提供される。
【0339】
スクリーニングでは、C−SSRSは、任意の他の試験手順の前に実行される第1の評価である。すべての後続の訪問において、C−SSRSは評価スケジュールに従って実行され、これは他のPROの後であるが、任意の他の試験手順の前に実行されるべきである。参加者は、非公開の静かな場所で治験担当者又は訓練された試験拠点の人員によって面接される。
【0340】
各評価の終わりに、C−SSRSを管理する訓練された人員は、自殺念慮又は行動が存在する場合はそのレベルを判定する。続いて、任意のレベルの自殺念慮又は行動が報告される場合、次の行動方針を決定する。治験担当者によってC−SSRSが審査され、参加者のリスクが評価され必要に応じてフォローアップが決定されるまで、参加者は拠点から解放されるべきではない。
【0341】
スクリーニング(直近6ヶ月以内)及び第0週時点で、C−SSRS評点が、実行する意向のある自殺念慮(念慮レベル4)、具体的な計画及び意向を伴う自殺念慮(念慮レベル5)、又は自殺行動(実際の自殺企図、自殺企図の中断、自殺企図の失敗、又は自殺企図をなすための準備行動)、である参加者が無作為に割り付けられるためには、精神保健の専門家(例えば精神科医、心理学者、又は適切な訓練を受けたソーシャルワーカー若しくは看護師)による評価に基づいて治験担当者によりその危険にないと判定されなければならない。
【0342】
C−SSRS評点が、死を望む(「念慮レベル1」)、具体的ではない活発な自殺念慮(「念慮レベル2」)、実行する意図はなくなんらかの方法によるものである活発な自殺念慮(計画なし)(「念慮レベル3」)、又は自殺的ではない自傷行動、である参加者が無作為に割り付けられるためには、治験担当者によりその危険にないと判定されなければならない。このような参加者の資格に関する任意の質問は、メディカルモニタ又は被指名者によって議論されるべきである。
【0343】
第0週より後の各評価に関して、該当する場合は、以下の処置が講じられるべきである。
・自殺念慮又は自殺行動(自殺意図のない自傷行動を含む)なし:更なる処置は必要なし。
・自殺念慮レベル1−3又は非自殺的自傷行動:参加者のリスクが治験担当者によって評価される。
・自殺念慮レベル4若しくは5、又は任意の自殺行動:参加者のリスクが評価され、精神保健専門家に紹介される。
【0344】
研究治療の中断又は中止は、ベースライン後のC−SSRS評価上で実行する意向のある自殺念慮(念慮レベル4)、具体的な計画及び意向を伴う自殺念慮(念慮レベル5)、又は自殺行動(実際の自殺企図、中断された自殺企図の中断、自殺企図の失敗、又は自殺企図をなすための準備行動を報告するすべての参加者、かつ、精神保健専門家による評価に基づいて治験担当者によりその危険があると見なされるすべての参加者に関して検討されるべきである。参加者が精神病療法及び/又は薬物療法で適切に治療され得る場合、参加者は、治験担当者の裁量により、メディカルモニタ又は被指名者により同意を受けた場合は治療を継続することができる。メディカルモニタ又は被指名者による当該参加者についての議論は必要である。
【0345】
治験担当者の意見によれば新規であるか、又は悪化しておりかつ臨床的に有意であると見なされるいかなるC−SSRSの発見も、AE eCRF(Adverse Events:Definitions and Procedures for Recording,Evaluating,Follow−up,and Reporting)上で報告されるべきである。
【0346】
臨床安全性検査室評価
血清化学検査及び血液学用の血液サンプルを収集する。治験担当者は、検査結果を審査し、この審査を文書化し、試験中に生じた任意の臨床的に関連する変化をeCRFのAEセクションに記録しなければならない。検査報告は、ソース文書と共に提出しなければならない。
【0347】
以下の試験は、メディカルモニタによる別段の指定又は承認がない限り、中央検査室によって実施される。
・血液学的評価としては、ヘモグロビン、ヘマトクリット値、血小板数、総WBC数、及び微分WBC数が挙げられるがこれらに限定されない。
・血液化学評価としては、化学パネル(全及び直接ビリルビン、ALT、AST、アルカリホスファターゼ、アルブミン、総タンパク質、カルシウム、リン酸塩、ナトリウム、カリウム、クロリド、血液尿素窒素/尿素、及びクレアチニン)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0348】
試験実施中に検査室マニュアルで定義される予め指定された異常な検査室値が任意の参加者において特定された場合、メディカルモニタ又は代表者及び臨床施設は通知を受ける。
・血清学:HIV抗体、HBV抗体及び表面抗原、並びにHCV抗体
・肝機能検査異常:試験に登録されて介入を受けている対象に対する検査室試験により、血清アミノトランスフェラーゼ(ALT又はAST)の3×ULN超までの上昇、及びビリルビンの2×ULN超までの上昇が明らかになった場合、試験薬剤は即座に停止されるべきである。加えて、ALT、AST、アルカリホスファターゼ、及び総ビリルビンに関する検査室試験は、試験結果の通知から可能な場合は24時間以内、遅くとも72時間以内に再試験によって確認されるべきである。
・妊娠試験:出産能力のある女性参加者は、各介入実施前のスクリーニング時、SID訪問時、及びFES訪問時に尿妊娠試験を受ける。
【0349】
免疫原性評価(グセルクマブ及びウステキヌマブに対する抗体)
血清サンプルは、グセルクマブ又はウステキヌマブに結合する抗体に関してスクリーニングされ、確認された陽性サンプルの力価が適宜報告される。その他の分析を実施して、グセルクマブ又はウステキヌマブの免疫原性を更に特性決定することができる。すべての参加者から採取された血液上でグセルクマブ又はウステキヌマブに対する抗体が評価される。更に、サンプルは、試験を中止した参加者の最終訪問時にも採取されるべきである。これらのサンプルは、治験依頼者又は治験依頼者の被指名者により試験される。これらの血清サンプルについては遺伝子解析は行われない。参加者の守秘義務は保たれる。
【0350】
評価
介入の血清濃度に加えて介入に対する抗体が評価される訪問においては、十分な体積の1つの静脈血液サンプルが収集されるべきである。
各血清サンプルは3つのアリコートに分けられる(介入の血清濃度、介入に対する抗体、及びバックアップに1つずつ)。
【0351】
分析手順
グセルクマブ及びウステキヌマブに対する抗体の検出及び特性決定は、治験依頼者により又は治験依頼者の監督下で有効なアッセイ法を用いて実施される。
【0352】
薬歴調査
併用薬剤は、各訪問時に審査される。
【0353】
有害事象及び重大な有害事象
臨床試験からの安全性情報の適時の、正確な、かつ完全な報告及び分析は、参加者、治験担当者、及び治験依頼者の保護に欠かせないものであり、世界中の規制当局によって命じられている。治験依頼者は、安全性情報の適切な報告を確実にするために世界的な規制要件に準拠して標準業務手順(Standard Operating Procedures)を確立し、治験依頼者又はその関係者によって実施されるすべての臨床試験は、これらの手順に従って実施される。
【0354】
有害事象は、試験の持続期間にわたって、参加者(又は、適切な場合、介護人、代理人、又は参加者の法的に認められる代表者)によって報告される。
【0355】
予想される事象が記録され、報告される。
【0356】
有害事象及び重大な有害事象情報を収集する期間及び頻度
すべての有害事象
重大又は非重大にかかわらず、すべてのAE及び特別な報告状況は、署名され、かつ日付を記入したICFが取得された時間から、参加者の最後の試験関連手順の完了まで(安全性のフォローアップのための連絡を含み得る)報告される。介入の最後の用量16週間後以内に、治験担当者に自発的に報告されたものを含む重大な有害事象は、重大な有害事象フォーム(Serious Adverse Event Form)を使用して報告されなければならない。治験依頼者は、プロトコルに指定された時間枠を越えて治験担当者によって自発的に報告されたすべての安全性情報を評価する。
【0357】
重大な有害事象
試験中に生じるすべてのSAEは、その事象の認識から24時間後以内に、試験拠点の人員によって適切な治験依頼者又は被指名者の連絡担当者に報告されなければならない。
【0358】
SAEに関する情報は、重大な有害事象フォームを使用して治験依頼者又は被指名者に送信され、これは、試験拠点の医師によってすべて記入及び審査され、24時間以内に治験依頼者又は被指名者に送信されなければならない。
【0359】
有害事象及び重大な有害事象のフォローアップ
妊娠を含む有害事象は治験担当者によって追求される。
【0360】
重大な有害事象に対する規制報告要件
治験依頼者は、規制当局へのAEの適切な報告の責任を負う。治験依頼者はまた、すべてのSUSARを治験担当者(及び、必要な場合は治験施設の施設長)に報告する。治験担当者(又は必要な場合は治験依頼者)は、プロトコルを承認した適切なIEC/IRBにより別段の要求がなされ、かつ文書化されていない限りは、IEC/IRBにSUSARを報告しなければならない。SUSARは、規制当局に非盲検的に報告される。別段の指定がなされない限り、参加する治験担当者及びIEC/IRBは、盲検的なSUSARの要約を受けることになる。
【0361】
妊娠
女性参加者又は男性参加者の配偶者におけるすべての妊娠の初期報告は、その事象の認識から24時間以内に、適切な妊娠通知フォームを使用し、試験拠点の人員によって治験依頼者又は被指名者に報告されなければならない。異常な妊娠結果(例えば自然流産、胎児死、死産、先天異常、子宮外妊娠)はSAEと見なされ、重大な有害事象フォームを使用して報告されなければならない。試験中に妊娠した任意の参加者は、更なる介入を中止しなければならない。
【0362】
妊娠の結果及び乳児のあらゆる出生後遺症の結果に関するフォローアップ情報が必要とされる。
【0363】
特に興味深い事象
この臨床試験に参加している参加者における最初の介入実施(複数可)後に生じる、新たに特定された悪性腫瘍又は活動性TBの症例は、すべて治験担当者によって報告されなければならない。治験担当者はまた、ほとんどの国では、活動性TBが報告可能な疾患と見なされることも助言されている。これらの事象は、SAEの定義を満たす場合にのみ重篤であると見なされるべきである。
【0364】
過剰投与の治療
この試験では、このプロトコルで指定された単回投与訪問時の最高用量よりも高い介入の任意の用量は、過剰投与と見なされる。治験依頼者は、過剰投与のための特定の介入を推奨しない。
【0365】
過剰投与の場合、治験担当者又は治療する医師は、以下のことを行うべきである。
・直ちにメディカルモニタに連絡する。
・AE/SAE及び検査室異常に関して参加者を密に監視する。
・eCRFに過剰用量の量を文書化する。
【0366】
用量の中断又は修正に関する決定は、参加者の臨床評価に基づいて、メディカルモニタと相談の上で治験担当者によって行われる。
【0367】
薬物動態
グセルクマブ及びウステキヌマブのPKが、血清サンプルを使用して評価される。グセルクマブ及びウステキヌマブの血清濃度分析のために採取されたサンプルは、試験期間中又はその後に生じる懸念に対処する安全性又は有効性の側面を評価するため、又は関連するバイオマーカーの評価のために、更に用いることができる。これらの血清サンプルについては遺伝子解析は行われない。参加者の守秘義務は保たれる。
【0368】
評価
介入の血清濃度のみが評価される(すなわち、介入に対する抗体は評価されない)訪問時には、十分な量の静脈血サンプル1本を採取すべきであり、各血清サンプルを2つのアリコートに分けるべきである(介入の血清濃度用に1つ、及びバックアップ用に1つ)。介入の血清濃度及び介入に対する抗体が評価される訪問時には、十分な量の静脈血サンプル1本を採取するべきである。各血清サンプルは3つのアリコートに分けられる(介入の血清濃度、介入に対する抗体、及びバックアップに1つずつ)。
【0369】
分析手順
治験依頼者のそれぞれのアッセイ法によって、又はその監督の下で、それぞれの有効で特異的かつ高感度な方法を用いて、血清サンプルを分析して、グセルクマブ及びウステキヌマブの濃度を判定する。
【0370】
薬物動態パラメータ
活動スケジュールに従い、すべての参加者から採取された血液に基づき、血清サンプルを使用して、様々なグセルクマブのPKパラメータを評価する。
【0371】
薬力学
炎症性PDマーカーは、訪問時に収集された血液サンプルを使用して評価される。ベースライン後のPD試験結果は、中央検査によって治験担当者に向けて公開されない。
・CRPは、IBD患者における炎症のマーカーとして有用であることが示されている。クローン病において、高いCRP濃度は、重度の臨床活動性、高い沈降率、及び大腸内視鏡検査で検出される活動性疾患に関連している。CRPの測定のための血液サンプルは、すべての参加者から収集される。CRPは、有効な高感度アッセイを使用して評価される。
・便中カルプロテクチンは、腸炎及びIBD患者の治療に対する応答の特定における高感度の特異的マーカーであることが実証されている。便中カルプロテクチン濃縮物の3つの糞便サンプルが、すべての参加者から収集される。便中カルプロテクチン濃度のアッセイは、有効な方法を使用して実施される。マイクロバイオームなどの腸炎及び治療応答に関連する追加的なマーカーのために、追加の試験を糞便サンプルに対して行うこともできる。
【0372】
遺伝学
薬理遺伝学的血液サンプルは、現地の規制が許可する場合は必要に応じ、薬理遺伝学的リサーチを可能にするために、試験のこのコンポーネントに個別に同意する参加者から収集される。薬理遺伝学的リサーチへの参加は任意である。
【0373】
遺伝子(DNA)の変動は、薬物応答及び関連する臨床転帰における個体間変動に対する重要な有力因子であり得る。遺伝因子はまた、疾患感受性及び予後のためのマーカーとして機能することができ、介入に対して異なる応答を示す集団のサブグループを同定することができる。
【0374】
DNAサンプルは、臨床応答に関連し得る遺伝因子の同定のために分析される。このリサーチは、グセルクマブ若しくはウステキヌマブ介入及び/又はクローン病に関する1つ以上の候補遺伝子の分析、単一核酸多型(SNP)の評価、又は全ゲノムの分析(必要に応じて)からなり得る。遺伝分析のために約10mLの全血サンプルを収集する。
【0375】
第2相の用量設定試験(GALAXI1)
一次仮説は、第12週時点でのCDAIにおけるベースラインからの減少によって評価されるように、グセルクマブがプラセボよりも優れているというものである。
【0376】
第3相の用量確認試験(GALAXI2及びGALAXI3)
一次仮説は、第12週時点で臨床寛解を達成する参加者の割合によって評価されるように、グセルクマブ治療がプラセボよりも優れているというものである。
【0377】
ウステキヌマブとの比較に関する主要な二次仮説に関しては、最終的な目的は、グセルクマブの有効性がウステキヌマブよりも優れていることを実証することであるが、非劣性に関する初期試験が含まれ、その理由は、最終結果が、特定のエンドポイントに関する相対的有効性がウステキヌマブに劣っていないということを示すのみであったとしても、グセルクマブの全体的なプロファイルがウステキヌマブと比較して良好な場合がある(全体的な有効性及び安全性の点で)ためである。サンプルサイズの判定
【0378】
仮定
いくつかのソースからのデータは、以下の項に要約されるように、第2相及び第3相におけるサンプルサイズ判定の基礎的仮定を提供した。これらは、3つの試験(すなわちCNTO1275CRD3001、CNTO1275CRD3002、及びCNTO1275CRD3003)で構成されるウステキヌマブクローン病第3相プログラム、すなわち、治験依頼者により過去にTNF拮抗薬療法に失敗したか若しくは忍容性がなかった(本明細書ではTNF失敗と称する)、又は過去に従来療法に失敗したか若しくは忍容性がなかった(本明細書ではCON失敗と称する)クローン病を有する患者において実施されたプログラム、並びに、参加者の大部分が過去に生物学的療法に失敗したか又は忍容性がなかった者であった(本明細書ではBIO失敗と称する)リサンキズマブクローン病第2相試験からのデータを含む。
【0379】
第12週時点の臨床寛解
第12週時点でのBIO失敗集団の仮定は以下に基づいていた。
・CNTO1275CRD3001では、第8週時点での臨床寛解期にある参加者の割合(CDAIが150未満である)は、13.6%の治療差に対し、プラセボ及びウステキヌマブ約6mg/kgでそれぞれ7.3%及び20.9%であった。8
・第12週時点でのプラセボに対する15%の臨床寛解率に基づいて、リサンキズマブ第2相試験は、第12.7週時点での200mgのIVとプラセボとの間の約9%の臨床寛解期の差、及び600mgのIVとプラセボとの間の約21%の臨床寛解期の差を示唆した。
【0380】
これらのデータに基づいて、BIO失敗集団における第12週の臨床寛解率は、プラセボが10%、グセルクマブ200mgのIVが20%、及びグセルクマブ600mgのIVが30%であると仮定される。
【0381】
第12週時点でのCON失敗集団の仮定は以下に基づいていた。
・CNTO1275CRD3002では、第8週時点で臨床寛解期にある参加者の割合は、20.6%の治療差に対し、プラセボ及びウステキヌマブ約6mg/kgでそれぞれ19.6%及び40.2%であった。8
・現在、CON失敗集団におけるグセルクマブ又は他の抗IL−23剤のデータは利用可能ではない。同様の母集団におけるCNTO1275CRD3002及び過去の生物学的試験からのデータに基づいて、CON失敗集団における活性物質とプラセボとの間の治療効果の差は、BIO失敗集団で観察されるものと比較してより大きいと仮定することは妥当である。加えて、CON失敗集団における用量応答傾向は、BIO失敗集団で観察されたものと同様であると想定される。
【0382】
これらのデータ及び仮定に基づいて、CON失敗集団における臨床寛解率は、プラセボが20%、グセルクマブ200mgのIVが40%、及びグセルクマブ600mgのIVが50%であると仮定される。
【0383】
グセルクマブ又はその他の抗IL−23剤からの1200mgのIV用量のデータが存在しない場合、慎重を期するために、BIO失敗集団及びCON失敗集団の両方で、グセルクマブ1200mgのIVの臨床寛解率は、最小でグセルクマブ600mgのIVのそれと同様であると仮定される。
【0384】
BIO失敗/CON失敗を組み合わせた集団を考慮に入れ、第12週時点での無作為化された集団全体についての仮定は、以下に基づくものとした。
・CON失敗患者母集団における参加者の最小25%及び最大50%の比に基づき、第12週時点で臨床寛解期にある参加者の割合は、プラセボで約12%〜15%、グセルクマブ200mgのIVで約25%〜30%、並びにグセルクマブ600mgのIV及びグセルクマブ1200mgのIVの両方で約35%〜40%であると予想される。
【0385】
第12週時点でのCDAIの変化
BIO失敗集団及びCON失敗集団の仮定は以下に基づくものであった。
・CNTO1275CRD3001においては、第8週時点でのベースラインからの平均CDAIの変化は、プラセボ及びウステキヌマブ6mg/kgの群でそれぞれ−25.1(SD=91.41)及び−78.7(SD=91.79)であった。8
・CNTO1275CRD3002においては、第8週時点でのベースラインからの平均CDAIの変化は、プラセボ及びウステキヌマブ6mg/kgの群でそれぞれ−66.3(SD=97.81)及び−116.3(SD=102.88)であった。8
【0386】
組み合わせたBIO失敗/CON失敗集団を考慮に入れると、第12週時点でのベースラインからの平均CDAIの減少は、一般的SDを100として、第12週時点でプラセボで約45〜50、グセルクマブ200mgのIVで約85〜95、並びにグセルクマブ600mgのIV及びグセルクマブ1200mgのIVの両方で約105〜115であると予想される(比較的小規模な第2相試験における変動性の増加を考慮に入れる)。
【0387】
第48週での臨床寛解
CNTO1275CRD3003において無作為に割り付けられた集団と非無作為に割り付けられた集団とを組み合わせて第48週時点での臨床寛解率を導出したところ、臨床寛解率は、ウステキヌマブに対するTNFを失敗した参加者で23%、及びCONを失敗した参加者で50%であった。これにより、参加者の最小で25%及び最大で50%がCON失敗集団に由来する無作為化集団全体的では、ウステキヌマブについては第48週の時点で約30%〜36%の臨床寛解を達成することが予想される。臨床寛解におけるグセルクマブとウステキヌマブとの間の15%もの大きな差は、第48週時点でのものであると推測される。
【0388】
検出力及びサンプルサイズの計算
第2相用量設定試験(GALAXI1)
以下に説明する2つの分析集団の第2相の検出力を、2サンプルt検定(有意水準0.05)を用いて評価して、第12週時点でのCDAIスコアにおけるベースラインからの変化におけるグセルクマブ高IV導入用量とプラセボとの有意差を検出した。
【0389】
第12週時点での、一般的SDを100として、グセルクマブ高IV導入用量群における約105〜115対プラセボ群における約45〜50の、ベースラインからの平均CDAI減少を仮定すること:
初期用量決定コホートでは、グセルクマブ高IV導入用量群の50人の参加者、及びプラセボ群の50人の参加者が、α=0.05(両側)に調節されたタイプ1エラー率で、グセルクマブとプラセボとの間の治療差を検出するために80%超の検出力を提供する(表8)。5つの用量群では、初期用量決定コホートの総サンプルサイズは、250対象である。
第2相の集団のすべてにおいて、100〜250人の参加者が、第3相に対する用量決定が行われるときまでに移行コホートに登録されることが予想される。したがって、第2相試験全体のサンプルサイズは、最小で350人の参加者(1用量群当たり70人)から最大500人の参加者(1用量群当たり100人)までの範囲であると予想される。最小の参加者数に基づく検出力は、第12週時点でのCDAIスコアのベースラインからの変化に対しては90%超であり、第12週時点での臨床寛解に対しては85%超である(表8)。表8:第12週時点でのCDAIの平均変化及び臨床寛解を達成した参加者の割合に基づく、グセルクマブ対プラセボの治療効果を検出するための検出力
【0390】
安全性分析
有害事象
治験担当者によりeCRFにおいてAEを特定するために使用される報告者が使用した逐語的用語は、Medical Dictionary for Regulatory Activitiesを使用して符号化される。治療により発現したAEは、介入期中に開始するAEであるか、又はベースラインから悪化した既往症の結果であるAEである。報告される治療により発現したAEのすべてが分析に含まれる。各AEについて、所与の事象の少なくとも1回の発生を経験する参加者の割合は、介入群毎に要約される。
【0391】
以下のAEの分析を使用して参加者の安全性を評価する。
・AEの頻度及び種類。
・SAEの頻度及び種類。
・治験担当者によって評価された、合理的に関連するAEの頻度及び種類。
・介入の中止につながるAEの頻度及び種類。
・感染症の頻度及び種類。
・注入と時間的に関連するAEの頻度及び種類。
・注射部位反応の頻度及び種類。
【0392】
死亡した、AEのために介入を中止した、又は重大なAEを経験した参加者の要約、リスト、データセット、又は参加者の談話は、適宜提供されてもよい。
【0393】
臨床検査室試験
臨床検査室試験の以下の概要を使用して、参加者の安全性を評価する。
・検査室パラメータ、及び検査室パラメータにおけるベースラインからの変化(血液学的及び化学的)。
・ベースライン後の検査室値(血液学及び化学)に対する最大NCI−CTCAE毒性等級の要約。
【0394】
NCI−CTCAE等級2以上の任意の異常なベースライン後検査室値を有する参加者のリストも提供される。
【0395】
自殺念慮及び行動
C−SSRS及びAEに基づく自殺念慮及び行動は、記述的に要約される。
【0396】
その他の分析
薬物動態分析
各サンプリング時点で、血清グセルクマブ及びウステキヌマブ濃度の記述的統計が計算される。これらの濃度は、治療群毎に経時的に要約される。
【0397】
定量可能な最低濃度未満のすべての濃度又は消失したデータは、濃度データベース又はデータ提示中でそのように標識される。定量可能な最低濃度を下回る濃度は、要約統計においてゼロとして扱われる。
【0398】
非線形混合効果モデリング(nonlinear mixed-effects modeling)を用いる集団PK分析アプローチを用いて、グセルクマブのPKパラメータを評価する。集団PKパラメータ推定値に対する重要な共変量の影響が評価され得る。詳細は、集団PK分析計画に提供され、集団PK分析の結果は別の技術報告に提示される。
【0399】
参加者は、そのデータがPKの正確な評価を可能にしない場合には、PK分析から除外される(例えば、介入の不完全な投与;介入実施の損なわれた時間)。分析の詳細な規則は、SAPにおいて指定される。
【0400】
免疫原性分析
グセルクマブ及びウステキヌマブに対する抗体の発生率及び力価は、グセルクマブ又はウステキヌマブの用量を受け、かつ、グセルクマブ又はウステキヌマブに対する抗体の検出のために適切なサンプルを有するすべての参加者(すなわち、グセルクマブ又はウステキヌマブの初回用量後に取得された少なくとも1つのサンプルを有する参加者)毎にそれぞれ要約される。
【0401】
グセルクマブ又はウステキヌマブに対する抗体が陽性である参加者のリストが提供される。グセルクマブ又はウステキヌマブに対する抗体の最大力価は、グセルクマブ又はウステキヌマブに対する抗体が陽性である参加者に関して提供される。
【0402】
グセルクマブ又はウステキヌマブに対する中和抗体(NAb)の出現率は、グセルクマブ又はウステキヌマブに対する抗体が陽性であり、かつグセルクマブ又はウステキヌマブに対するNAbに関して評価可能なサンプルを有する参加者毎に要約される。
【0403】
バイオマーカー分析
計画されたバイオマーカー分析は、新たな試験データが有用な科学的情報を提供する可能性を全く示さない場合は、延期され得る。締切日後に契約供給元又は治験依頼者によって受領されたいかなるバイオマーカーサンプルも分析されず、したがって、バイオマーカー分析から除外される。
【0404】
経時的に得られた血清タンパク質検体及び全血RNAの変化は、治療群毎に要約される。選択されたマーカーにおけるベースライン値及びベースラインからの変化と、治療に対する応答と、の間の関連性が調査される。RNA分析は、別の技術報告で要約される。
【0405】
バイオマーカー分析は、グセルクマブの影響を特性決定することにより、治療に関連するバイオマーカーを同定し、これらのバイオマーカーがグセルクマブに対する応答を予測することができるかどうかを判定する。血清、全血分析、糞便、及び粘膜生検分析の結果は、別の技術報告で報告される。
【0406】
薬物動態学的/薬力学的分析
血清グセルクマブ濃度と有効性測定対との間の関係をグラフを使って分析する。任意の視覚的傾向が観察される場合、好適な集団PK/PDモデルを開発して、E−R関係を説明することができる。詳細は、集団PK/PD分析計画中で提供され、集団PK/PD分析の結果は別の技術報告で提示される。
【0407】
医療資源の利用及び医療経済学的分析
労働生産性を含む医療資源の利用及び医療経済性は、治療群毎に要約される。