(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-515777(P2021-515777A)
(43)【公表日】2021年6月24日
(54)【発明の名称】眼科用製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/381 20060101AFI20210528BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20210528BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20210528BHJP
A61P 27/04 20060101ALI20210528BHJP
【FI】
A61K31/381
A61K9/08
A61K47/42
A61P27/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2020-547060(P2020-547060)
(86)(22)【出願日】2019年3月8日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月2日
(86)【国際出願番号】EP2019055818
(87)【国際公開番号】WO2019170848
(87)【国際公開日】20190912
(31)【優先権主張番号】18160981.9
(32)【優先日】2018年3月9日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520339600
【氏名又は名称】パノプテス ファルマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182730
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 浩明
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン シュペール
(72)【発明者】
【氏名】フランツ オーベルマイヤー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA07
4C076AA09
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4C086NA02
4C086NA05
4C086ZA33
(57)【要約】
本発明は、アルブミンに非共有結合される医薬活性化合物を含む眼科用組成物に関する。本発明の組成物は、眼の疾患及び障害の治療のために有用である。
【選択図】
図1【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用医薬活性化合物及びアルブミンを含み、前記眼科用医薬活性化合物の水溶解度が、医薬活性化合物の水溶解度に比較して、アルブミンの存在下で少なくとも10%高められる眼科用組成物。
【請求項2】
前記水溶解度が、少なくとも25%高められる、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項3】
前記医薬活性化合物の少なくとも50%が、アルブミンに非共有結合されている、請求項1又は2に記載の眼科用組成物。
【請求項4】
前記アルブミンが、ヒト血清アルブミン、組換えヒト血清アルブミン、そのN末端に少なくとも1つのアミノ酸切断を有する血清アルブミン、又はプレアルブミンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の眼科用組成物。
【請求項5】
前記眼科用医薬活性化合物が、眼アレルギー薬、抗生物質、ドライアイ治療薬、非ステロイド薬、コルチコステロイド薬、緑内障治療薬、及び帯状疱疹治療薬から成る群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の眼科用組成物。
【請求項6】
前記眼科用医薬活性化合物が、以下の群:アルファアドレナリン作動薬、ベータ遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、プロスタグランジン類似体、コリン作動薬、非ステロイド性抗炎症薬及びステロイド性抗炎症薬、抗生物質、及びDHODH阻害剤の1つから選択される、請求項5に記載の眼科用組成物。
【請求項7】
前記眼科用医薬活性化合物が、リファイトグラスト、シクロスポリンA、アゼラスチンHCl、ビマトプロスト、ブリンゾラミド、ジピベフリンHCl、フシジン酸、レボカバスチン、ネパフェナク、メタル酸ネタルスジル、酢酸プレドニゾロン、又は3−(2,3,5,6−テトラフルオロ−3'−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4 −イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボン酸(PP−001)である、請求項6に記載の眼科用組成物。
【請求項8】
1又は2以上の医薬的に許容できる賦形剤及び/又は担体をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の眼科用組成物。
【請求項9】
前記医薬的に許容できる賦形剤が、界面活性剤、防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、安定剤、及び張度調整剤から成る群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の眼科用組成物。
【請求項10】
前記医薬活性化合物が、約0.005重量%〜約20重量%含まれる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の眼科用組成物。
【請求項11】
前記アルブミンが、約1重量%〜約30重量%含まれる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の眼科用組成物。
【請求項12】
前記眼科用組成物中のアルブミン:医薬活性化合物の重量比が、約1:5、又は1:1、又は20:1、又は400:1、又はそれ以上である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の眼科用組成物。
【請求項13】
局所点眼用である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の眼科用組成物。
【請求項14】
眼薬、ジェル、軟膏、スプレーの形である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の眼科用組成物。
【請求項15】
ドライアイ症候群、白内障手術、緑内障、結膜炎、アレルギー、細菌感染、眼瞼炎、感染性角膜潰瘍、角膜擦過傷、眼の炎症、角膜移植、又はブドウ膜炎に苦しむ患者の治療への使用のための、請求項1〜14のいずれか1項に記載の眼科用組成物。
【請求項16】
前記ドライアイ症候群が、涙液欠乏性ドライアイ又は蒸発性ドライアイである、請求項15に記載の眼科用組成物。
【請求項17】
前記ドライアイ症候群が、涙腺、眼球乾燥症、シェーグレン症候群、乾性角結膜炎、スティーブンス・ジョンソン症候群、類天疱瘡、眼科手術後のドライアイ、アレルギー性結膜炎を伴うドライアイ、VDT(ビジュアルディスプレイターミナル)作業者の涙の減少、及び空調のためにドライルームによリ引き起こされる全身症状のない涙の減少を含むドライアイ様症状から成る群から選択される、請求項15に記載の眼科用組成物。
【請求項18】
医薬活性化合物としての3−(2,3,5,6−テトラフルオロ−3'−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4 −イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボン酸(PP−001)、及びヒト血清アルブミンを含む眼科用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルブミンに非共有結合される医薬活性化合物を含む眼科用組成物に関する。本発明の組成物は、眼の疾患及び障害の治療のために有用である。
【背景技術】
【0002】
多くの眼疾患は、初期症状を有さない。それらは無痛であり、そして疾患がかなり進行するまで視覚の変化は、知覚され得ない。
【0003】
ドライアイ疾患は、涙生成が低められる場合、又は涙の質の低下のために涙が急速に蒸発する場合に発生する。十分な潤滑を伴わない場合、眼は、ざらつき、乾燥、灼熱感、発赤、又は過度の涙の症状を伴って、乾燥する。
【0004】
眼に必要な効果に加えて、眼科用潤滑剤は、いくつかの所望しない効果を引起す可能性がある。それらの副作用が全てに発生するとは限らないが、治療が必要になる場合がある。多かれ少なかれ、一般的な副作用は、この薬の使用の前に存在しない視力障害、眼の発赤又は不快感又は他の刺激、光に対する眼の高められた感度、まつげのつや消し又はべたつき、及び眼の潤いである。
【0005】
ドライアイを助けることができる多くの市販薬及び処方薬が存在する。現在のところ、ドライアイを治療するためには、涙の補充を目的として人工涙液、及び自覚症状の緩和を目的としたコンドロイチン硫酸、グルタチオン、ヒアルロン酸、フィブロネクチン、上皮成長因子(EGF)などが投与されるが、しかしその効果はまだ十分ではない。
【0006】
欧州特許第0834320A1号は、単一の活性成分としてアルブミンを含む、角膜及び結膜の病変、及びドライアイの治療のための医薬組成物を開示している。
【0007】
欧州特許第0981375A1号は、血漿タンパク質に非共有結合された治療的活性化合物を含む、非経口投与のための医薬組成物に関する。欧州特許第0981375A1号によれば、治療的活性化合物が水混和性の医薬的に許容できる有機溶媒に溶解され、次に血漿タンパク質の水溶液と混合され、そして最後に有機溶媒が除去される。
【0008】
欧州特許第0179477号は、少量のアルブミンが安定剤として使用される、改善された水溶解度を有するフィブロネクチン調製物を開示している。
【0009】
しかしながら、効果的で且つ高い容認性の眼科用薬物が、依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
効果的で且つ十分に許容される眼科用製剤を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
その目的は、本明細書で請求され、そしてさらに説明される主題により解決される。
【0012】
本発明は、アルブミンに非共有結合された医薬的活性化合物を含む製剤に関する。
【0013】
本発明の1つの実施形態は、眼科用医薬活性化合物及びアルブミンを含み、前記眼科用医薬活性化合物の水溶解度が、医薬活性化合物単独での水溶解度に比較して、アルブミンの存在下で少なくとも10%高められる眼科用組成物に関する。
【0014】
本発明の1つの実施形態は、眼科用薬物及びアルブミンを含む眼科用組成物に関する。
【0015】
本発明の1つの実施形態は、眼科用医薬活性化合物及びアルブミンを含み、前記眼科用医薬活性化合物の水溶解度が、医薬活性化合物単独での水溶解度に比較して、アルブミンの存在下で少なくとも10%高められ、そして/又は前記医薬活性化合物の耐容性が、医薬活性化合物単独での耐容性に比較して、高められる、眼科用組成物に関する。
【0016】
本発明のさらなる実施形態は、前記医薬活性化合物の少なくとも50%が、アルブミンに非共有結合されている、本明細書に記載されるような眼科用組成物に関する。
【0017】
本発明のさらなる実施形態は、前記アルブミンが、ヒト血清アルブミン、組換えヒト血清アルブミン、そのN末端に少なくとも1つのアミノ酸切断を有する血清アルブミン、又はプレアルブミンである、本明細書に記載されるような眼科用組成物に関する。
【0018】
本発明の1つの実施形態は、前記眼科用医薬活性化合物が、眼アレルギー薬、抗生物質、ドライアイ治療薬、非ステロイド薬、コルチコステロイド薬、緑内障治療薬、帯状疱疹治療薬から成る群から選択され、好ましくは前記活性化合物が、リファイトグラスト、シクロスポリンA、又は3−(2,3,5,6−テトラフルオロ−3'−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4 −イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボン酸(PP−001)である、本明細書に記載されるような眼科用組成物に関する。
【0019】
本発明の1つの実施形態は、以下の群:アルファアドレナリン作動薬、ベータ遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、プロスタグランジン類似体、コリン作動薬、非ステロイド性抗炎症薬及びステロイド性抗炎症薬の1つから選択された眼科薬、及びアルブミンを含む眼科用組成物を提供する。
【0020】
本発明の別の実施形態は、ドルゾラミド及びブリンゾラミドから選択された炭酸脱水酵素阻害剤、及びアルブミンを含む眼科用組成物を提供する。
【0021】
本発明の別の実施形態は、チモロール、カルテオロール、ベタキソロール、レボブノロール又はメチプラノロール、好ましくはチモロール及びレボブノロールから選択されたβ遮断薬、及びアルブミンを含む眼科用組成物を提供する。
【0022】
本発明の別の実施形態は、ブリモニジン、アプラクロニジン、エピネフリン及びジピベフリンから選択されたアルファアドレナリン作動薬、及びアルブミンを含む眼科用組成物を提供する。
【0023】
本発明の別の実施形態は、メタル酸ネタルスジル、又はビマトプロスト、ラタノプロスト、トラボプロスト、ウノプロストンイソプロピル、及びタフルプロストから選択されたプロスタグランジン類似体などの眼内圧低下化合物、及びアルブミンを含む眼科用組成物を提供する。
【0024】
本発明の別の実施形態は、ピロカルピン、カルバコール及びエコーチオフェートから選択されるコリン作動薬、及びアルブミンを含む眼科用組成物を提供する。
【0025】
本発明の別の実施形態は、ブロムフェナク、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ケトロラク、ネパフェナク、ナプロキセン、ケトプロフェン、及びリファイトグラストから選択された非ステロイド性抗炎症薬、及びアルブミンを含む眼科用組成物を提供する。
【0026】
本発明の別の実施形態は、デキサメタゾン、ジフルプレドナート、ロテプレドノール、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、ブデソニド、リメキソロン、プレドニゾロン、及びフルオロメトロンから選択されるステロイド系抗炎症薬、及びアルブミンを含む眼科用組成物を提供する。
【0027】
本発明の別の実施形態は、アゼラスチン、レボカバスチン、オロパタジン及びエピナスチンから選択されたヒスタミン拮抗薬、及びアルブミンを含む眼科用組成物を提供する。
【0028】
本発明の別の実施形態は、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、フラミセチン、フシジン酸、ゲンタマイシン、グラミシジン、ロメフロキサシン、ネオマイシン、オフロキサシン、ポリミキシンB、イセチオン酸プロパミジン、ベシフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、アジスロマイシン、エリスロマイシン、トブラマイシン、バンコマイシン、セファゾリン、セフタジジム、アミカシン、バシトラシン、セフロキシム、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、メトロニダゾール及びトリメトプリムから選択された抗生物質、及びアルブミンを含む眼科用組成物を提供する。
【0029】
本発明の別の実施形態は、シクロスポリンA及びメトトレキサートから選択された免疫抑制薬、及びアルブミンを含む眼科用組成物を提供する。
【0030】
本発明のさらなる実施形態は、1又は2以上の医薬的に許容できる賦形剤及び/又は担体をさらに含む、本明細書に記載されるような眼科用組成物に関する。
【0031】
本発明のさらなる実施形態は、医薬的に許容できる賦形剤が、界面活性剤、防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、安定剤、及び張度調整剤から成る群から選択される、本明細書に記載されるような眼科用組成物に関する。
【0032】
本発明のさらなる実施形態は、医薬活性化合物が、約0.005重量%〜約20重量%、又は0.01重量%〜10重量%、又は0.05重量%〜5重量%含まれる、本明細書に記載されるような眼科用組成物に関する。本発明の1つの実施形態によれば、PP−001は、0.05重量%〜10重量%、又は0.05重量%〜5重量%、又は0.05重量%〜3重量%、又は0.05重量%〜2重量%、又は0.05重量%〜1重量%含まれる。
【0033】
本発明のさらなる実施形態は、アルブミンが、約1重量%〜約30重量%含まれる、本明細書に記載されるような眼科用組成物に関する。
【0034】
本発明のさらなる実施形態は、眼科用組成物中のアルブミン:医薬活性化合物の重量比が、約1:5、又は1:3、又は1:2、又は1:1、又は2:1、又は3:1、又は5:1、又は20:1、又は400:1、又はそれ以上である、本明細書に記載されるような眼科用組成物に関する。本発明の1つの実施形態によれば、眼科用組成物中のアルブミン:PP−001の比は、約1:1、又は20:1、又は400:1又はそれ以上である。
【0035】
本発明のさらなる実施形態は、局所点眼用である、本明細書に記載されるような眼科用組成物に関する。
【0036】
本発明のさらなる実施形態は、眼薬、ジェル、軟膏、スプレーの形である、本明細書に記載されるような眼科用組成物に関する。
【0037】
本発明のさらなる実施形態は、ドライアイ症候群、白内障手術、緑内障、結膜炎、アレルギー、細菌感染、眼瞼炎、感染性角膜潰瘍、角膜擦過傷、眼の炎症、角膜移植、又はブドウ膜炎に苦しむ患者の治療への使用のための、本明細書に記載されるような眼科用組成物に関する。
【0038】
本発明のさらなる実施形態は、ドライアイ症候群が、涙液欠乏性ドライアイ又は蒸発性ドライアイである、本明細書に記載されるような眼科用組成物に関する。
【0039】
本発明のさらなる実施形態は、ドライアイ症候群が、涙腺、眼球乾燥症、シェーグレン症候群、乾性角結膜炎、スティーブンス・ジョンソン症候群、類天疱瘡、眼科手術後のドライアイ、アレルギー性結膜炎を伴うドライアイ、VDT(ビジュアルディスプレイターミナル)作業者の涙の減少、及び空調のためにドライルームにより引き起こされる全身症状のない涙の減少を含むドライアイ様症状から成る群から選択される、本明細書に記載されるような眼科用組成物に関する。
【0040】
本発明の1つの実施形態は、医薬活性化合物としての3−(2,3,5,6−テトラフルオロ−3'−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4 −イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボン酸(PP−001)、及びヒト血清アルブミンを含む眼科用組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は、異なるPP−001製剤の快適性評価を示す。
【0042】
【
図2】
図2は、ニュージーランド白ウサギへの局所投与の後のPP−001の平均結膜濃度(ng/g)を示す。
【0043】
【
図3】
図3は、ニュージーランド白ウサギへの局所投与の後のPP−001の平均角膜濃度(ng/g)を示す。
【0044】
【
図4】
図4は、マウスドライアイモデルにおける20日目(95%信頼区間の中央値)でのフルオレセイン染色を示す。
【0045】
【
図5】
図5は、マウスドライアイモデルにおける20日目での「未処置」グループに対する処置グループの角膜染色の平均値の差異を示す。
【0046】
【
図6】
図6は、PBSからPBS中の溶解度(%)の5%HASへの上昇を示す。
【0047】
【
図7】
図7は、飽和点眼剤製剤における活性化合物のHSAへの結合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
薬物の治療効率は、治療作用を最大化し、そして患者への副作用を最小化する濃度及び頻度での標的部位での薬物の利用可能性に依存する。治療効果を最大にするために薬物担体が使用され得る。薬物担体は、薬物投与の選択性、有効性及び/又は安全性を改善するのに役立つ薬物送達の工程において使用される任意の基質であり得る。
【0049】
アルブミンの天然の輸送機能、複数のリガンド結合部位及び細胞相互作用は、薬物送達のためのアルブミンの開発のために合理性を提供する。薬物を共有結合及び非共有結合する能力、又はアルブミン−薬物融合の発現が、臨床試験に又は市場でさえ採用されている広範囲の設計オプションを提供する。
【0050】
薬物担体としてアルブミンを使用することのいくつかの利点が存在する:
1)内因性タンパク質として、ヒト血清アルブミン(HSA)は、身体に固有のものである。それは天然において生分解性であり、非毒性であり、且つ非免疫原性であり;
2)アルブミンは強力なタンパク質である。それは、4〜9の広いpHで安定しており、有害な影響を与えることなく、60℃で最大10時間、加熱でき、中程度の濃度で変性剤及び溶媒により変更されない。
【0051】
市販の点眼薬のほとんどは、灼熱感及び刺痛感を誘発する。点眼薬の悪影響を克服するために、いくつかの解決策がすでに調査されている。文献においては、リン酸緩衝液のホウ酸緩衝液による交換及び/又はカフェインの添加が、点眼薬の耐容性を高めることができたと言及されている。しかしながら、我々の試験においては、これはわずかな改善に過ぎなかった。さらに、シクロデキストリン又はミセル形成賦形剤を使用する試みも、問題を十分に解決できなかった。
【0052】
局所送達のための薬物の開発の間、高められた水溶性及び安定性を含む改善された特性を有するそのような薬物物質の新規形を有することは好都合であり得る。一般的に、そのような固体形の溶解速度を早め、そしてそれらの生物学的利用能を潜在的に高めることもまた所望される。これはまた、眼科用薬物化合物の新規形の開発にも適用される。
【0053】
本発明者らは、驚くべきことには、医薬活性化合物及びアルブミンを含む眼科用組成物が、医薬活性化合物の水溶性及び/又は医薬活性化合物の耐容性を、医薬活性化合物単独の水溶性又は耐容性に比較して、高めることを見出した。
【0054】
本発明の1つの実施形態は、医薬活性化合物及びアルブミンを含む眼科用組成物に関し、ここで前記医薬活性化合物の水溶性が、医薬活性化合物単独の水溶性に比較して、アルブミンの存在下で少なくとも10%高められる。本発明のさらなる実施形態は、少なくとも20%、25%、50%、75%、100%、又はそれ以上の医薬活性化合物の溶解度の上昇に関する。
【0055】
一般的な点眼液は、例えばエデト酸二ナトリウム、メチルスルホニルメタン(MSM)、マイトマイシン、又はデキサメタゾンを含むことができる。抗真菌性眼科用製剤は、例えば溶液、軟膏又は懸濁液としてクロトリマゾール、アンフォテリシン、フルコナゾール、ボリコナゾール、又は硝酸ミコナゾールを含む眼科用製剤である。ドライアイ用の薬物は、例えば、単独の活性成分としてアルブミン、シクロスポリン(商品名Restasis(米国)及びIkervis(欧州))、タクロリムス、レチノイン酸、又は溶液又は軟膏としてカロシンを含む眼科用製剤である。眼科用抗生物質製剤は、例えば、活性成分として、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、フラミセチン、フシジン酸、ゲンタマイシン、グラミシジン、ロメフロキサシン、ネオマイシン、オフロキサシン、ポリミキシンB、イセチオン酸プロパミジン、モキシフロキサシン、トブラマイシン、バンコマイシン、セファゾリン、セフタジジム、アミカシン、セフロキシム、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、メトロニダゾール又はトリメトプリマを含む製剤である。
【0056】
リファイテグラスト(商品名Xiidra)は、乾性角結膜炎と呼ばれる症候群であるドライアイの兆候及び症状の治療に適用された、FDA承認の薬剤である。リファイトグラストは、炎症性細胞結合を阻害することにより炎症を軽減する。臨床試験における共通する副作用は、目の刺激、不快感、かすみ目、味覚異常(味覚の歪み)である。
【0057】
レスタシス点眼薬は、免疫抑制剤であるシクロスポリンを含む。シクロスポリンは、眼の炎症により減少された涙の産生を高めることができる。レスタシス点眼薬は、炎症により引き起こされる可能性がある慢性ドライアイの治療に使用される。レスタシスの最も一般的な副作用は、眼の一時的な灼熱感である。シクロスポリンの低い水溶性のために、レスタシスは、シクロスポリン懸濁液として配合される。同じ理由で、Ikervisは、エマルジョンとしてシクロスポリンを含む。
【0058】
また、眼科疾患の治療において有益な効果を有するいくつかの活性化合物、例えば3−(2,3,5,6−テトラフルオロ−3'−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4 −イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボン酸(PP−001)(国際公開第2015/169944号)が現在開発されている。しかしながら、PP−001は、低い水溶性を有する(pH7.4のリン酸緩衝液において0.8mg/ml)。
【0059】
PP−001(3−(2,3,5,6−テトラフルオロ−3'−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4 −イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボン酸)は、顕著な抗ウィルス活性を有する。PP−001は、ブドウ膜炎の治療にインビボでの有効性を示している。ブドウ膜炎の2つの異なるラットモデルにおいて、PP−001は、疾患の臨床学的及び組織学的症状を完全に改善する。さらに、PP−001による治療アプローチは、実験的自己免疫性ブドウ膜炎の再発を防ぐ。
【0060】
本発明者らは、驚くべきことには、PP−001及び他の眼科用化合物がアルブミンに可逆的に結合することを発見し、そして彼らは、この新規製剤が薬物の燃焼及び刺痛効果を低めることができることを想定した。さらに、アルブミンへの結合は、前記化合物の不良な水溶性を高める可能性がある。さらに、ヒト血漿アルブミンは、天然のヒトタンパク質及び涙液の成分である。さらに、アルブミン含有溶液は、ドライアイ患者の目を保湿するために、人工涙液(セルロース誘導体HPMC又はCMCと同様に)としてすでに使用されている。
【0061】
医学的用途において通常使用するのに適切な純度に精製されるヒト血清アルブミンは、いずれの特定の問題もなしに、本発明に好ましくは使用され得る。すなわち、アルブミンを80%以上含むそれらが(電気分解による分析の場合)、好ましい。ウィルスなどを不活性化するためには、加熱処理することにより得られたそれらが好ましい。特に、薬物として市販されているヒト血清アルブミンが好ましくは、使用される。他方では、遺伝子組み換えにより得られた微生物により産生されたアルブミンもまた使用され得る。
【0062】
本発明の製剤のために使用されるアルブミンの由来は特に限定されない。ヒト由来のアルブミン、例えばヒト血清アルブミンが好ましくは、使用される。
【0063】
本発明の医薬組成物は、錠剤、丸剤、散剤、懸濁剤、カプセル剤、坐剤、注射剤、軟膏、点眼剤などなどの剤形であり得る。点眼薬を局所投与することが特に好ましい。製剤に依存して、補助賦形剤が、医薬組成物に存在することができる。
【0064】
「医薬的に許容できる」という用語は、本明細書において使用される場合、健全な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に見合った過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題又は合併症を伴わないで、ヒト及び動物の組織と接触しての使用のために適切であるそれらのリガンド、材料、組成物及び/又は剤形を示す。
【0065】
「医薬的に許容できる塩」とは、本明細書において使用される場合、無機塩基、有機塩基、無機酸、有機酸、又は塩基性又は酸性アミノ酸との塩を含む。無機塩基の塩は、例えばアルカリ金属、例えばナトリウム又はカリウム;アルカリ土類金属、例えばカルシウム及びマグネシウム又はアルミニウム;及びアンモニアを含む。有機塩基の塩は、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンを含む。無機酸の塩は、例えば、塩酸、ホウ酸、硝酸、硫酸、及びリン酸を含む。有機酸の塩は、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びp−トルエンスルホン酸を含む。塩基性アミノ酸の塩は、例えばアルギニン、リシン及びオルニチンを含む。酸性アミノ酸は、例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸を含む。
【0066】
用語「医薬的に許容できる担体」とは、本明細書において使用される場合、医薬的に許容できる材料、組成物又はビークル、例えば流体又は固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又は封入材料を意味する。本明細書において使用される場合、用語「医薬的に許容できる担体」とは、医薬投与に適合する、緩衝液、注射用滅菌水、溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。各担体は、製剤の他の成分と適合し、そして患者に有害ではないという意味で「許容できる」ものでなければならない。
【0067】
本明細書において使用される場合、用語「眼疾患(ocular disease)」、「眼の状態(ocular condition)」、「眼の疾患(eye disease)」及び「眼の状態(eye condition)」とは、視力を脅かす可能性があり、目の不快感を導く可能性があり、そして全身性健康問題を示す可能性がある目の疾患/状態を指す。
【0068】
眼の表面は、角膜、結膜、瞼、涙腺とマイボーム腺、及び相互接続神経から構成される。本明細書において使用される場合、用語「前眼部疾患」とは、目の表面、瞼、結膜、前房、虹彩、及び毛様体、及び目の水晶体に影響を及ぼす全ての障害を指す。
【0069】
本明細書において使用される場合、用語「後眼部疾患」及び「眼球後部疾患」とは、眼の後部に影響を及ぼす全ての障害を指す。後眼部疾患は、後眼部、例えば脈絡膜又は強膜、硝子体、硝子体腔、網膜、視神経、及び血管、及び後眼部を血管新生又は神経支配する神経に主に影響を及ぼす疾患である。
【0070】
従って、1つの側面によれば、本明細書に記載されるような製剤を局所投与することを含む眼の疾患又は状態を治療又は予防する方法が提供される。いくつかの実施形態によれば、眼の疾患は、前眼部疾患である。いくつかの実施形態によれば、眼の疾患は、ドライアイ症候群、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、前部ブドウ膜炎(虹彩炎)、脈絡網膜炎、結膜炎、アレルギー性結膜炎、角膜炎、角結膜炎、春季角結膜炎(VKC)、アトピー性角結膜炎、全身性免疫介在性疾患、例えば瘢痕形成結膜炎及び眼表面の他の自己免疫疾患、眼瞼炎、強膜炎、細菌感染、感染性角膜潰瘍、角膜剥離、眼の炎症、角膜移植、及びブドウ膜炎から成る群から選択された1つ又は2以上である。
【0071】
1つの実施形態によれば、眼の疾患は、ドライアイである。1つの実施形態によれば、眼の疾患は、アレルギー性結膜炎である。1つの実施形態によれば、眼の疾患は、ウィルス性結膜炎である。
【0072】
本明細書において使用される場合、用語「ドライアイ」とは、角膜及び結膜病変の有無に関係なく、涙の質の低下又は変化を伴う状態として定義される単純なドライアイ(涙の減少)だけでなく、しかしまた、種々のドライアイ状態、例えば涙腺、眼球乾燥症、シェーグレン症候群、乾性角結膜炎、スティーブンスジョンソン症候群及び類天疱瘡、眼瞼炎も含む。
【0073】
さらに、用語「ドライアイ」とは、白内障手術後のアレルギー性結膜炎を伴うドライアイ、並びにドライアイ様症状、例えばVDT(ビジュアルディスプレイターミナル)作業者の涙の減少、及び空調のためにドライルームによリ引き起こされる全身症状のない涙の減少を含む。
【0074】
本明細書において使用される場合、用語「治療」又は「治療する」とは、状態の予防、治癒及び軽減、及び状態の進行の停止又は軽減を含む、状態の制御の任意の手段を指す。
【0075】
本開示の1つの側面は、本明細書に記載されているような化合物、又は医薬的許容できるその塩と血清アルブミンとの非共有結合複合体に向けられる。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載されているような化合物と血清アルブミンとの非共有結合複合体は、約1:1〜約400:1のアルブミン:化合物の重量比を有する。いくつかの実施形態によれば、前記重量比は、以下の範囲を有する:約1:1〜約300:1、約1:1〜約200:1、約1:1〜約100:1、約1:1〜約50:1、約1:1〜約45 :1、約1:1〜約40:1、約1:1〜約35:1、約1:1〜約30:1、約1:1〜約25:1、約1 :1〜約20:1、約1:1〜約15:1、約1:1〜約10:1、約1:1〜約9:1、約1:1〜約8: 1、約1:1〜約7:1、約1:1〜約6:1、約1:1〜約5:1、約1:1〜約4:1、約1:1 〜約3:1、又は約1:1〜約2:1。いくつかの実施形態によれば、前記重量比は、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、又は1:20以下である。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載されるような医薬的に許容できる活性化合物と血清アルブミンとの非共有結合複合体は、固体製剤である。固体製剤は、典型的には、凍結乾燥により均一な手段で製造されている。当業者は、固体製剤も製造することができる他の方法、例えば回転蒸発法を認識するであろう。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載されるような医薬的に許容できる活性化合物と血清アルブミンとの非共有結合複合体は、水性製剤である。いくつかの実施形態によれば、前記化合物と血清アルブミンとの非共有結合複合体は、水以外の溶媒を実質的に含まない水性製剤である。いくつかの実施形態によれば、前記化合物と血清アルブミンとの非共有結合複合体は、約0.5重量%、0.3重量%、0.2重量%、0.1重量%、0.075重量%、0.05重量%、0.03重量%、0.02重量%、0.01重量%、0.0075重量%、0.005重量%、0.003重量%、0.002重量%、又は0.001重量%以下の任意の非水溶媒を含む水溶液である。いくつかの実施形態によれば、前記化合物と血清アルブミンとの非共有結合複合体は、水以外の溶媒を含まない水性製剤である。
【0079】
本明細書に記載されるような医薬活性化合物及び血清アルブミンの非共有結合複合体は、前記化合物単独と比較して、非常に増強された溶解度を有する。
【0080】
本明細書に記載される場合、「少なくともXmg/mlの水溶液への溶解度」とは、pH7.4で50mMのリン酸緩衝液又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)水溶液において、少なくともXmg/mlの化合物の熱力学的溶解度を意味する。PP−001は、pH7.4でのリン酸緩衝水溶液において0.8mg/mlの溶解度を有する。しかしながら、水性緩衝液が5%のアルブミンを含む場合、PP−001は少なくとも5mg/mlの溶解度を有する。
【0081】
医薬組成物はまた、アジュバント、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤を含むことができる。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの包含により確保され得る。張度調整剤、例えば糖などを組成物中に含めることもまた所望され得る。さらに、注射可能な医薬形の延長された吸収が、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅延する剤の包含によりもたらされ得る。
【0082】
本発明の組成物が点眼薬をして配合される場合、その組成物は、約0.5mg/ml、又は3.0mg/ml、又は5.0mg/ml、又は10.0mg/mlの量で活性医薬化合物を含むことができる。
【0083】
眼科用薬物は、眼の疾患又は障害を治療し、予防し、又は診断するために使用される薬物である。眼科用薬物の非限定的な例は、以下を含む:眼アレルギー薬、抗生物質、ドライアイ治療、非ステロイド薬、コルチコステロイド薬、緑内障治療薬、帯状疱疹治療薬、アルファアドレナリン作動薬、ベータブロッカー、炭酸脱水酵素阻害剤、プロスタグランジン類似体、コリン作動薬、及びそれらの組合せ。
【0084】
代表的な眼アレルギー剤は、以下を含むが、但しそれらだけには限定されない:ケトロラック、ケトチフェン、ロテプレドノール、ベポタスチン、エピナスチン、エメダスチン、アルカフタジン、アゼラスチン、オロパタジン、オロパタジン、ネドクロミル、ロドキサミド、クロモリン、レボカバスチン、及び医薬的に許容できるそれらの塩、並びに/又はそれらの組合せ。
【0085】
代表的な眼抗生物質は、以下を含むが、但しそれらだけには限定されない:クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、フラミセチン、フシジン酸、ゲンタマイシン、グラミシジン、ロメフロキサシン、ネオマイシン、オフロキサシン、ポリミキシンB、イセチオン酸プロパミジン、ベシフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、アジスロマイシン、エリスロマイシン、トブラマイシン、バンコマイシン、セファゾリン、セフタジジム、アミカシン、バシトラシン、セフロキシム、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、メトロニダゾール、トリメトプリム、及び医薬的に許容できるそれらの塩、並びに/又はそれらの組合せ。
【0086】
代表的なドライアイ療法は、人工涙液、例えばヒマシ油、グリセロール、鉱油及び軽鉱油を含む。
【0087】
代表的な眼非ステロイド剤は、以下を含むが、但しそれらだけには限定されない:ブロムフェナク、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ケトロラク、ネパフェナク、ナプロキセン、ケトプロフェン、リファイトグラスト、及び医薬的に許容できるそれらの塩、並びに/又はそれらの組合せ。
【0088】
代表的な眼コルチコステロイド剤は、以下を含むが、但しそれらだけには限定されない:デキサメタゾン、ジフルプレドネート、ロテプレドノール、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、ブデソニド、リメキソロン、プレドニゾロン、及びフルオロメトロン、及び医薬的に許容できるそれらの塩、並びに/又はそれらの組合せ。
【0089】
代表的な眼の局所緑内障剤は、以下を含むが、但しそれらだけには限定されない:レボブノロール、チモロール、ベタキソロール、ビマトプロスト、トラボプロスト、ラタノプロスト、タフルプロスト、ブリモニジン、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、及び医薬的に許容できるそれらの塩、並びに/又はそれらの組合せ。
【0090】
1つの実施形態によれば、活性医薬化合物は、眼アレルギー薬、抗生物質、ドライアイ治療薬、非ステロイド薬、コルチコステロイド薬、緑内障治療薬、帯状疱疹治療薬から成る群から選択される。本発明のさらなる実施形態は、活性医薬化合物としてのPP−001、リファイトグラスト、シクロスポリンA、アゼラスチンHCl、ビマトプロスト、ブリンゾラミド、ジピベフリンHCl、フシジン酸、レボカバスチン、ネパフェナク、メタル酸ネタルスジル、酢酸プレドニゾロンに関する。
【0091】
本発明の組成物が点眼薬として配合される場合、その組成物は、約1〜300mg/ml、又は約10〜200mg/ml、又は約50〜100mg/mlの量でアルブミンを含むことができる。組成物はさらに、医薬的に許容できる希釈剤も含むことができる。
【0092】
本明細書において使用される場合、「医薬的に許容される希釈剤」とは、当業者に知られている眼科用組成物のために使用される任意の希釈剤、例えば水、生理食塩水、人工涙液など。
【0093】
本発明の医薬組成物はさらに、通常の眼科用組成物に使用される種々の成分、例えば安定剤、滅菌剤、緩衝剤、張度調整剤、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤などを含むことができる。
【0094】
医薬組成物は典型的には、医薬的に許容できる担体を含む。医薬的に許容できる担体として作用することができる材料のいくつかの例は、以下を含む:(1)糖、例えばラクトース、グルコース、ス及びクロース;(2)デンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、及び置換又は非置換のβ-シクロデキストリン;(3)セルロース及びその誘導体、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、及びセルロースアセテート;(4)トラガカントの粉;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、例えばココアバター及び坐剤ワックス; (9)オイル、例えば落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール;(12)エステル、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張食塩水;(18)リンガー液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝液;及び(21)医薬製剤に使用される他の非毒性適合性物質。特定の実施形態によれば、本明細書に提供される医薬組成物は、非発熱性であり、すなわち患者に投与される場合、有意な温度上昇を誘発しない。
【0095】
医薬的に許容できる抗酸化剤の例は、以下を含む:(1)水溶性抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性抗酸化剤、例えばパルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなど;及び(3)金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など。
【0096】
安定剤の例は、以下を含む:通常のL型アミノ酸、例えばグリシン、及びアラニンなど、単糖類、例えばブドウ糖、マンノースなど、二糖類、例えばスクロース、マルトースなど、糖アルコール、例えばマンニトール、キシリトールなど、及び多糖類、例えばデキストランなど。
【0097】
安定剤の例は、ベンザルコニウム塩、クロルヘキシジン塩、及びパラオキシ安息香酸のエステルなどを含む。
【0098】
緩衝剤の例は、ホウ酸、リン酸、酢酸、及びクエン酸又はその塩を含む。
【0099】
等張化剤の例は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び糖類等を含む。
【0100】
キレート剤の例は、エデト酸ナトリウム、及びクエン酸などを含む。
【0101】
眼科用製剤であるので、pHは好ましくは、5〜8の範囲である。眼科用製剤のpHは、例えば、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、又は8.0である。
【0102】
本発明の1つの実施形態によれば、医薬活性化合物及びアルブミンを含む眼科用製剤は、本発明の医薬組成物として投与され得る。投与経路は、限定されないが、しかし眼への局所投与が最も好ましい。
【0103】
本発明の1つの実施形態によれば、医薬組成物は、約1〜100μl/眼、好ましくは約10〜50μl/眼、及びより好ましくは、約20〜40μl/眼の投与量で投与され得る。医薬組成物は、1日当たり約1〜20回、好ましくは、1日当たり1〜5回、及びより好ましくは、1日当たり1回、投与され得る。
【実施例】
【0104】
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために記載されているが、本発明の範囲を限定することを意図しておらず、そして決してそのように解釈されるべきではない。 例には、従来の方法の詳細な説明は含まれていません。 そのような方法は、当業者によく知られている。
実施例1−アルブミンへのPP−001の結合:
【0105】
HSA(ヒト血清アルブミン)へのPP−001の結合の分析のために、Thermo ScientificTMからの迅速平衡透析(RED)アッセイを行った。異なるPP−001製剤を、装置のドナー側に適用し、そして50mMのリン酸緩衝液(pH7.4)を、アクセプター媒体として使用した。透析において平衡を達成するのに必要とされる時間を、5時間と決定した。配合物を23℃で300rpm下でインキュベートした。非結合画分を、透析膜を通してアクセプター緩衝液チャンバーに浸透させた。5時間の平衡時間の後、非結合画分を、HPLC/DADを介して各コンパートメント内のPP−001の量を分析することにより、決定した。
【0106】
RED Device InsertsへのPP−001の非特異的結合を調査するために、50mMのリン酸緩衝液(pH7.4)中、0.05ng/mlのPP−001の溶液を、対照サンプルとして使用した。アクセプターコンパートメントにおけるPP−001濃度は、ドナーコンパートメントにおける濃度の82%以上であった。RED装置へのPP−001の小さな非特異的結合のみが決定された。
【0107】
材料:
RED:REDデバイスインサート、50 /パック、製品番号89809(ロット番号1897071)
テフロン(登録商標)素材で作られた再利用可能なベースプレート(製品番号89811、ロット番号NJ1617201)
96ウェルプレート用シールテープ(製品番号15036、ロット番号NE171995)
インキュベーション装置:エッペンドルフサーモミキサー
サンプル容器:エッペンドルフ PPバイアル(1.5及び2 mL)
HPLC容器(G1)、ガラス、1.5 mL
遠心分離機Hettich Mikro 220 R、最大14000 rpm
【0108】
結果:
【0109】
遊離PP−001の量を、以下の等式に従って計算した:
%遊離率=(PP−001濃度アクセプターチャンバー)* 100%/(PP−001濃度ドナーチャンバー)
【0110】
結合されたPP−001の量を、以下として計算する:
%結合率=100−%遊離率
【表1】
高いPP−001濃度でさえ、PP−001は、このアッセイにおいてアルブミンにほぼ完全に結合される。
実施例2−PP−001/アルブミン点眼薬の配合:
【0111】
PP−001原薬(150mg)を、水(21.0g)及び1MのNaOH水溶液(482μl)の混合物に混濁し、そしてその混合物を、室温で(20〜25℃)で0.5O〜3時間にわたって、700rpmで攪拌し、その後、20%アルブミン水溶液(7.5ml)を添加した。攪拌を、室温でさらに1〜2時間、続けた。溶液のpH及び浸透圧を、1MのHCl水溶液及び26%NaCl水溶液(575μl)のゆっくりした(滴下)添加により、それぞれ、約7.4及び279〜330mOsm/kgに調整した。黄色がかったほぼ透明な混合物をさらに15分間、攪拌し、その後、0.2μmの滅菌フィルターを用いて濾過した。
【0112】
図1に示されるように、3mg/mlのPP−001及び50mg/mlのアルブミンを含む製剤は、試験された患者グループから卓越した快適性評価を受けた。
実施例3−実施例2で調製されたPP−001/アルブミン点眼薬の物理化学的特性:
【0113】
pH7.39
【0114】
276mOsm / kg
【0115】
アルブミンへの98%以上のPP−001結合
実施例4−PP−001/アルブミン点眼薬の眼刺激性/快適性試験:
【0116】
PP−001のアルブミン含有点眼製剤を、賦形剤としてHPMC、PVP及びグリセロールを含むPP−001点眼剤、及び市販のシクロスポリン点眼剤(Ikervis(登録商標))と比較した。1滴を、片眼に滴下した。全ての製剤は、3mg/mlのPP−001を含んでいた。Ikervis(登録商標)は、エマルジョン製剤中に0.1%シクロスポリンを含む。異なる製剤の快適性を、以下の快適性評点に従って評価した:
1:快適(等張食塩水のように)
2:非常に穏やかな一時的な感覚
3:軽度の灼熱感又は異感覚
4:灼熱感又は刺すような感覚
5:強い灼熱又は刺すような感覚又は発赤
【0117】
HPMC、PVP及びグリセロール中、PP−001の製剤は志願者により灼熱及び刺痛として評価されたが、5%又は20%アルブミンを含む製剤は、快適で眼に対して刺激がないとして評価された。同じ快適性評価(評点1)で、全ての試験されたプラセボ製剤が得られた(データは示されていない)。Ikervis(登録商標)は、HPMC、PVP及びグリセロールを含むPP−001製剤と同様に灼熱性であることがわかった。
実施例5−ウサギにおけるPK研究:
【0118】
PP−001/アルブミン製剤が標的組織(すなわち、結膜及び角膜)に十分なPP−001を送達することを確認するために、薬物動態研究を、ニュージーランド白ウサギにおいて実施した。
【0119】
方法:
生後薬3カ月の10匹の雌の動物を、時点0で、両眼に製剤1(3mg/mlのPP−001)を1滴(35μlの滴径)投与した。動物を、投与後30分、又は2、4又は12時間後に犠牲にし、そして眼組織及び血漿を収集した。血漿及び組織中のPP−001濃度を、検証済みのHPLC−MC分析方により決定した。
【0120】
結果:
結果は、それぞれ、結膜及び角膜について
図2及び3に示されている。製剤中のアルブミンに結合された高いPP−001画分(95%以上)にもかかわらず、相当量のPP−001が、そのような点眼薬の投与後、眼組織により吸収されている。
【0121】
PP−001は、角膜において非常に持続的であり、ここで濃度は、投与後に時間までにCmaxからそれほど減少しなかった。血漿においては、Cmaxは9ng/ml以下であった。結果的に、全身性の影響は、PP−001/アルブミン点眼薬によっては予想されない。
実施例6−有効性の研究:
【0122】
有効性の研究の目的は、マウスドライアイ疾患モデルにおいて5%HSAに配合されたPP−001の抗炎症及び細胞保護効果を決定することであった。有効性を、参照化合物Restasis(登録商標)と比較した。
【0123】
方法:
雄のC57BL/6マウスを、スコポラミンの経皮投与による制御された乾燥環境に暴露した。10日目及び20日目、角膜フルオレセイン染色を評価した。4つのグループ(n=8匹のマウス)を、この研究で評価した。グループは、未処置及びビークル処置された動物、5mg/mlのPP−001/アルブミン製剤を受けるグループ又は参照化合物Restasis(登録商標)を受けるグループを含んだ。組織学的評価は、結膜胚細胞の定量化、涙腺病変の重症度評点及び角膜の厚さの測定を含んだ。
【0124】
結果:
5%HSAに配合された5mg/mlのPP−001は、角膜フルオレセイン染色の変化において統計学的に有意な治療効果を示し、これはRestasis(登録商標)の効果に匹敵した(
図4及び5を参照のこと)。涙腺病変の減少傾向が、PP−001/アルブミン治療グループに観察された。
実施例7−異なる医薬活性化合物の熱力学的溶解度:
【0125】
異なる医薬活性化合物の熱力学的溶解度を、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)pH7.5及びPBS中5%ヒト血清アルブミン(HSA)において決定した。このプロセスは、1mlの定義された緩衝液を、約1mgの固体化合物に添加することにより開始された。溶液を、少なくとも15時間、混合した。目に見える溶液に溶解されていない物質が存在しない場合、固体化合物の追加部分を添加し、そしてその溶液をさらに、少なくとも15時間、混合した。この工程を、平衡の飽和が達成されるまで、反復した;過剰な固体が明確に見えた。平衡状態になるまでの合計混合時間は、40時間を越えるべきである。平衡に達した後、溶液を、14,000rpmで10分間、遠心分離した。飽和溶液中の活性化合物の含有量を定義するために、上清液をLC/MS分析に使用した。
【0126】
材料:
分析天びん:Radwag AS60 / 220 / C / 2(精度:0.1 mg)
サンプル容器、ガラスバイアル、20 mL、Bionovo、(製品番号L−0323)
HPLC容器、ガラス、2 mL、製品番号VT009M−1232
エッペンドルフ遠心分離機5804 R
その他:エッペンドルフチップ、エッペンドルフピペット、IKA KS 501デジタル
LC−MSシステム:
Degaser Ultimate 3000
ポンプUltimate 3000ポンプ
オートサンプラーUltimate 3000 RSオートサンプラー
カラムオーブンUltimate 3000 RSカラムコンパートメント
検出器Ultimate 3000フォトダイオードアレイ検出器
質量分析計Bruker Daltonics amaZon SL
カラム:Agilent Technologies、Eclipse XDB-C18、3.0 × 75mm、3.5 μM、プレカラム付き
【0127】
結果:
【表2】
【0128】
PBS(pH7.4)のみでの水溶解度が、100%として定義された(
図6を参照のこと)。PBS中、5%HSAを緩衝液として使用する場合、熱力学的溶解度の増加率(グラフ中のy軸)を、以下の等式に従って計算した:
%上昇率=(PBS中5%HASにおける溶解度)* 100%/(PBSにおける溶解度)−100%
【0129】
試験された全ての化合物について、医薬活性化合物単独の水溶解度と比較した場合、アルブミンの存在下で少なくとも10%(グラフの線)の増加を達成した。溶解度の最高の増加は、ネタルスジルメシレート(274,765%以上)、PP−001(5,978%)及びレボカパスチンHCl(2,333%)で示された。
実施例8−異なる医薬活性化合物のアルブミンへの結合:
【0130】
異なる医薬活性化合物のHSA(ヒト血清アルブミン)への結合の分析のために、Thermo Scientific TMからの迅速平衡透析(RED)アッセイを行った。異なる医薬活性化合物(実施例1で調製された飽和溶液中の)を、装置のドナー側に適用した。PBS(pH7.4)を、アクセプター媒体として使用した。透析において平衡を達成するのに必要とされる時間を、5時間に決定された。製剤を300rpmで23℃でインキュベートした。非結合画分は、透析膜を通してアクセプター緩衝液チャンバーに浸透された。5時間の平衡時間の後、非結合画分を、LC/MSを介して各コンパートメントの活性化合物の量を分析することにより決定した。
【0131】
材料:
RED:REDデバイスインサート、50 /パック、製品番号89809(ロット番号Tl2635252)
テフロン(登録商標)素材で作られた再利用可能なベースプレート(製品番号89811)
シーリングテープPerkinElmer(製品番号1450−461、ロット番号875−15081)
インキュベーション装置:エッペンドルフサーモミキサー
サンプル容器、ガラスバイアル、20 mL、Bionovo、(製品番号L−0323)
HPLCコンテナ、ガラス、2 mL、製品番号VT009M−1232
エッペンドルフ遠心分離機5804 R
LC−MSシステム:
Degaser Ultimate 3000
ポンプUltimate 3000ポンプ
オートサンプラーUltimate 3000 RSオートサンプラー
カラムオーブンUltimate 3000 RSカラムコンパートメント
検出器Ultimate 3000フォトダイオードアレイ検出器
質量分析計Bruker Daltonics amaZon SL
カラム:Agilent Technologies、Eclipse XDB-C18、3.0 × 75 mm、3.5 μM、プレカラム付き
【0132】
結果:
【0133】
遊離化合物の量を、以下の等式に従って計算した:
%遊離率=(アクセプターチャンバー内の化合物の濃度)* 100%/(ドナーチャンバー内の化合物の濃度)
【0134】
結合された化合物の量を、%結合率=100−%遊離率として計算する。
【表3】
【0135】
グラフは、5%HSAの飽和溶液中、ヒト血漿アルブミンに非共有結合される各化合物の%を示す(
図7を参照のこと)。全ての試験された化合物は、65%以上HSAに非共有結合される。
【0136】
メシル酸ネタールスジル及びPP−001は、飽和溶液中HSAにほぼ100%結合される。描かれた線は、医薬活性化合物の50%以上がアルブミンに結合されることを明確に示している。
【手続補正書】
【提出日】2020年11月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用医薬活性化合物としての3−(2,3,5,6−テトラフルオロ−3'−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4 −イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボン酸(PP−001)及びアルブミンを含む、眼科用組成物。
【請求項2】
前記アルブミンが、ヒト血清アルブミン、組換えヒト血清アルブミン、そのN末端に少なくとも1つのアミノ酸切断を有する血清アルブミン、又はプレアルブミンである、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項3】
前記アルブミンがヒト血清アルブミンである、請求項2に記載の眼科用組成物。
【請求項4】
1又は2以上の医薬的に許容できる賦形剤及び/又は担体をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の眼科用組成物。
【請求項5】
前記医薬的に許容できる賦形剤が、界面活性剤、防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、安定剤、及び張度調整剤から成る群から選択される、請求項4に記載の眼科用組成物。
【請求項6】
前記医薬活性化合物が、約0.005重量%〜約20重量%含まれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の眼科用組成物。
【請求項7】
前記アルブミンが、約1重量%〜約30重量%含まれる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の眼科用組成物。
【請求項8】
前記眼科用組成物中のアルブミン:医薬活性化合物の重量比が、約1:5、又は1:1、又は20:1、又は400:1、又はそれ以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の眼科用組成物。
【請求項9】
局所点眼用である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の眼科用組成物。
【請求項10】
眼薬、ジェル、軟膏、又はスプレーの形である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の眼科用組成物。
【請求項11】
ドライアイ症候群、白内障手術、緑内障、結膜炎、アレルギー、細菌感染、眼瞼炎、感染性角膜潰瘍、角膜擦過傷、眼の炎症、角膜移植、又はブドウ膜炎に苦しむ患者の治療への使用のための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の眼科用組成物。
【請求項12】
前記ドライアイ症候群が、涙液欠乏性ドライアイ又は蒸発性ドライアイである、請求項11に記載の眼科用組成物。
【請求項13】
前記ドライアイ症候群が、涙腺、眼球乾燥症、シェーグレン症候群、乾性角結膜炎、スティーブンス・ジョンソン症候群、類天疱瘡、眼科手術後のドライアイ、アレルギー性結膜炎を伴うドライアイ、VDT(ビジュアルディスプレイターミナル)作業者の涙の減少、及び空調のためにドライルームによリ引き起こされる全身症状のない涙の減少を含むドライアイ様症状から成る群から選択される、請求項11に記載の眼科用組成物。
【国際調査報告】