【実施例】
【0267】
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を例証する目的で与えられ、あらゆる様式で本発明を制限することを意図していない。本明細書に記載される方法とともに、本実施例は、好ましい実施形態の代表例かつ典型であり、本発明の範囲を限定するものとして意図されない。特許請求の範囲によって定められる本発明の趣旨の中に包含される変更および他の用途が、当業者に想定される。
【0268】
実施例1:転倒関連症状の処置および姿勢安定性の改善のための、ドーパミン作動薬と組み合わせたNP002
姿勢安定性(バランス)が欠如し、かつ転倒の経験がある、5年以上パーキンソン病を抱えている合計20人の患者を、介入研究に登録する。NP002の群、または、規則的なPDドーパミン作用性薬剤に加えてプラセボを受ける群に、患者を無作為に割り当てる。主な参加基準は以下のとおりである:1)典型的なパーキンソン病の臨床診断、2)30〜83歳の男性または女性、3)Hoehn and Yahrの重症度分類II−IVにある一方、「オン」状態である、4)過去に1回より多く転倒したことがある、5)Montreal Cognitive Assessment(MOCA)スコアが≧21である、6)レボドパ/カルビドパの安定した投与量を受けている。患者は、ドーパミンアゴニスト、モノアミンオキシダーゼB型阻害剤、またはアマンタジンを含む追加のドーパミン作動薬を受けている場合がある。
図1を参照する。
【0269】
以下の障害または症状を抱える患者を、登録から除外する。非定型パーキンソン病や、稀ではあるが疾患の特に初期に多くの転倒をもたらす障害を抱える患者を、除外する。これらの障害として、進行性核上性麻痺(PSP)、多系統萎縮症(MSA)、原発性すくみ足歩行(PFG)、および大脳皮質基底核変性症が挙げられる。痴呆症MOCA≧21を抱える患者を除外する。法的盲の患者を除外する。股関節部または膝に整形外科的な問題がある、または、股関節部または膝の置換術を必要とする患者を除外する。起立性低血圧を抱える患者を除外する。統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害の履歴のある患者を除外する。幻覚、精神病、または妄想を抱える患者を除外する。脳深部刺激(DBS)介入を受けていた患者を除外する。近年に脳卒中または心筋梗塞の履歴のある患者を除外する。
【0270】
試験は3段階で構成される:6か月の処置期間、2か月の処置再滴定期間、6か月のクロスオーバー処置期間。
図2を参照する。被験体を無作為に割り当てて、ニコチンまたはその塩を含むNP002、またはプラセボのいずれかを受けさせる。全ての患者が、安定したレボドパ/カルビドパ処置を受ける。患者は、ドーパミンアゴニスト、モノアミンオキシダーゼB型阻害剤、またはアマンタジンを含む追加のドーパミン作動薬を受けている場合がある。患者を、レボドパ/カルビドパを16時間中止した「オフ」期間、次いでレボドパ/カルビドパの通常の午前の投与を受けて1時間後の「オン」期間に評価する。1:1の比率のNP002またはプラセボを、6か月間盲検様式で、次いでさらに6か月間クロスオーバーにおいて、1日4回、経口カプセルとして投与する。処置レジメンの間に、被験体を、2か月間の処置再滴定期間にさらす。投薬を6時間ごとに1mgで開始し、日用量の合計は4mgであり、以下のように2週間間隔で上方に漸増される:
【0271】
2週間にわたり6時間毎に2mg、合計8mgの日用量。
【0272】
2週間にわたり6時間毎に4mg、合計16mgの日用量。
【0273】
2週間にわたり6時間毎に6mg、合計24mgの日用量。
【0274】
患者は、クロスオーバーまで試験の次の数週間にわたり、この投与量を受け続ける。プラセボを受けている患者はニコチンにさらされていないので、本来の漸増スケジュールを繰り返す。
【0275】
有害事象(AE)の発生、臨床検査、血清コチニン、ECG、およびバイタルサインの発生により、安全性を評価する。驚くべき症状は、Jay Modified Minnesota Impulsive Disorders Interview (JayMidi)を使用して評価される。禁断症状は、Minnesota Nicotine Withdrawal Scale(MNWS−R)を使用して評価される。
【0276】
統合パーキンソン病評価尺度(UPDRS)、バーロウ神経学研究所(BNI)の転倒評価、Hoehn & Yahrの重症度分類システム、ロンベルグ試験、回転検査、片足での直立、つぎ足歩行、歩幅、および速度、運動障害疾患学会の統合パーキンソン病評価尺度(MDS UPDRS)の質問2.12のWalking and Balance、運動障害疾患学会の統合パーキンソン病評価尺度(MDS UPDRS)の質問2.14のFreezing of Gait、本来の統合パーキンソン病評価尺度(UPDRS)の質問32−35のDyskinesias、本来の統合パーキンソン病評価尺度(UPDRS)の質問36−39からのResponse Fluctuation、本来の統合パーキンソン病評価尺度(UPDRS)の質問40のSleep Disturbance、運動障害疾患学会のパーキンソン病評価尺度(MDS UPDRS)の142点、運動障害疾患学会の統合パーキンソン病評価尺度(MDS UPDRS)の軸・中線部分、運動障害疾患学会の統合パーキンソン病評価尺度(MDS UPDRS)のGait Subtest、運動障害疾患学会の統合パーキンソン病評価尺度(MDS UPDRS)のPostural Stability Subtest、および運動障害疾患学会の統合パーキンソン病評価尺度(MDS UPDRS)のFreezing of Gait Subtest (FOG)を用いて、効果を評価する。
【0277】
「オン」、「オフ」、または「オン」と「オフ」両方の期間での軸UPDRSサブテストの改善は、歩行サブテスト、引っ張りサブテスト、およびFOGサブテストの改善、回転、片足での直立、つぎ足歩行、歩幅、および速度の改善、量的検査の改善を含む。
【0278】
これらの患者のすべてまたは多くに、反応変動:「ウェアリングオフ」および/または「オンオフ」がある場合がある。これらの患者の一部には、すくみ足歩行(FOG)がある場合がある。
【0279】
実施例2:ジスキネジアを軽減し、かつ反応変動を改善するための、ドーパミン作動薬と組み合わせたNP002
実施例1を繰り返す。これは、II相の単一施設、無作為化、二重盲検、プラセボ制御、効果、安全性、および耐容性の研究である。再発性転倒を伴う典型的なパーキンソン病を抱える合計20人の男性と女性を含める。試験は、初期評価、6か月間2か月毎の評価、クロスオーバー、および6か月間2か月毎の評価で構成される。
【0280】
実施例3:パーキンソン病における歩行、姿勢安定性、および転倒に対する、NC001、中央コリン作用性アゴニストの効果
この研究の主な目的は、NC001対ドーパミン作動薬を加えたプラセボでの処置により、PD患者の姿勢安定性が改善され、かつ転倒および/またはその重症度が減少するかどうかを、判定することである。これは、「オン」、「オフ」、またはその両方の期間において、選択されたMDS−UPDRSサブ検査の改善を実証することにより達成される。サブ検査は、「歩行」および「引っ張り検査」を含む。この目的は、「片足での直立」および歩幅などのサブ検査に対する改善を実証することにより達成される。
【0281】
上記の半定量的検査には制限があるため、それらは、Neurocomシステムを利用した運動制御時間(MCT)および姿勢摂動の検査によって、補足される。
【0282】
選択されたPD患者集団は、PDが進行しており、レボドパを受けており、および「ウェアリングオフ」を有している。これら患者の一部は、ジスキネジアを抱えている場合がある。患者は、レボドパを16時間受けていない「オフ」期間に評価され、そのとき、患者はジスキネジアを抱えていない。ジスキネジアがない場合での歩行および姿勢安定性に対するNC001の効果を、測定する。次いで、患者を、レボドパの通常の一日量を受けて1時間後の「オン」期間に評価する。
【0283】
このような評価に関する問題は、この評価のために、すくみ足歩行(FOG)や転倒の危険因子などの現象を含む、患者の歩行および姿勢安定性が、短期間にわたり捕捉されるということである。「オン」および「オフ」期間での患者の評価は、連続的にモニタリングして、FOG、姿勢安定性、および転倒をモニタリングする加速度計と比重計を組み込んだ着用可能なInertial Measuring Unitsを利用することによって、補足される。患者をIMUで最大3日間、モニタリングする。モニタリングを、患者がつけた日記により補足する。
【0284】
試験集団には、少なくとも5年間PDを抱え、姿勢安定性が欠如し、年に少なくとも2回転灯したことがあり、レボドパを受けており、「ウェアリングオフ」を有している(および「オフ」の際によく転倒する)、20人の患者が含まれる。患者の半分をNC001に、残り半分をプラセボに無作為化する。群を6か月間処置し、次いで切り替える。
【0285】
この研究の第2の目的は、ジスキネジアの減少、および反応変動:「ウェアリングオフ」の改善における、NC001の添加対プラセボの効果を評価することである。
【0286】
歩行、姿勢安定性、および転倒に対する認知機能不全(痴呆症)の効果により、痴呆症を抱えている患者を除外した。
【0287】
パーキンソン病は、黒質線条体のドーパミンニューロンの損失を特徴とする。ニコチン受容体は、線条体のほか、脚橋被蓋核および様々な視床核にも位置する。1:1の比率のNP001またはプラセボを、6か月間盲検様式で、次いでさらに6か月間クロスオーバーの後に、1日4回、経口カプセルとして投与する。二重盲検処置段階において、6時間毎に1mgから合計4mgの一日量まで、投薬を開始する。次いで、投与量を1日当たり24mgの全投与量へと漸増する。
【0288】
実施例4:ヒト臨床試験に対するGMP物質の製剤と産生
主な製剤の目的は、ゼロ時間で即時放出ボーラスを送達し、かつ消化の約6時間後に第2の即時放出ボーラスのニコチンを送達する、2パルス製剤を開発することである。この2パルス剤形は、以前に第2相研究で評価されたPKプロファイルを模倣するために、1日に12時間の間隔を置いて(q12hr)2回2回投与されることを意図されている。経口摂取後の長期遅延時間の後の薬物のボーラス放出が達成される、多数の製剤方法が存在しており、このような方法は、文献(Sharma, G.S. et al., 2010)に特徴が記載されている。この方法は、多くの薬物開発プログラムにおいて上手く使用されており、Zohydro ER、Adderall XR、Ritalin LA、Moxatag、Carbatrol、Equetroなどを含む多重微粒子剤形として設計されている、米国や他の国々の市場で承認された薬物製品が存在している。それぞれの場合に、特定の製剤が、薬物製品のために分子、および標的薬物動態プロファイルに適合された。この製剤開発計画は、半透膜で被覆される多重微粒子の即時放出剤形に焦点を当てている。この膜を一回水和すると、水は剤形へと流れるが、薬物は膜を通って漏れることがない。活性薬物に加えて、剤形のコアは、有機塩、膨張可能な物質、または、水の摂取のための推進力をもたらすとともに、計画された薬物放出のタイミングの規定を補助する、超崩壊剤(superdisintegrants)を含む場合がある。
【0289】
結合剤としてヒプロメロース(HPMC)、および有機酸改質剤としてコハク酸を含む、ニコチンの15%溶液を調製する。この溶液を、20%の固形物の重量増加がペレット剤上で達成されるまで、精密コーティング装置を取り付けた流動層乾燥機を使用して、ノンパレイルシード(nonpareil seed)上に被覆する。最終の薬剤層製剤は、5:3.5:1.5の比率でニコチン、HPMC、およびコハク酸を含んでいる。必要に応じて、代替的な結合剤を使用して、ノンパレイルシードへの薬物層の付着の質を改善することができる。このコアとなる薬物充填ペレットは、外観のためにOpadryなどの即時放出ポリマーで被覆され、複合剤形の即時放出成分として使用することができる。遅延放出ペレットに関しては、コアとなる薬物充填ペレットの別個の集団はさらに、別個の機能的なポリマーフィルムコーティングで被覆される。Eudragit RSの水溶液は、6:1:3の比率で粘着防止剤として機能する可塑剤としてクエン酸トリエチル、およびタルクで調製される。この溶液は、約70%の全固体の重量増加にまで精密度コーター(precision coater)を取り付けた流動層乾燥器を使用して、薬物充填ペレットへと被覆される。最適な重量増加は、フィードバック機構としてインビトロでの溶解を使用することにより実験的に決定される。Eudragit RLなどの代替的なポリマー材料も、遅延時間、または遅延放出ペレットからのニコチンの放出速度を修飾するために、ポリマーフィルムコーティング製剤に含まれる場合がある。
【0290】
遅延時間の長さ、および薬物放出の強度は、コーティング製剤、およびコーティングの重量増加に基づいて調整される。初期の製剤開発実験は、小さな実験室規模の設備およびバッチサイズ(10−50g/バッチ)で行われる。これらのバッチは、実験室またはベンチトップの尺度で製造され、製造の指示と条件はノートブックに文書化される。この材料は、臨床用ではなくインビトロ検査に適している。
【0291】
製剤の原型は、薬物製品の内容物アッセイの評価、不純物評価、用量ユニットの均一性、およびインビトロの薬物ニコチン放出速度の評価を含む、標準の薬物製品検査方法を使用して評価される。修飾された放出剤形を含む、固形の経口剤形の評価に重要なツールは、インビトロ溶解検査である。溶解検査は、全ての固形経口剤形、即時放出と修飾放出の両方の放出速度の評価のための、業界基準である。それは、開発中に原型の製剤のパフォーマンスを評価するために、そして慣例的な商用のバッチ放出中に患者に対して販売される製品の一貫性を確保するために使用され、かつ、インビボ/インビトロの相関(IVIVC)でインビボのパフォーマンスを予測するために使用できる。一旦IVIVCが確立されると、剤形の薬物動態プロファイルは、インビトロ放出速度の評価によって予測できる。溶解検査の条件は、胃腸管の条件を模倣し、見識を提供し、かつ時にインビボの薬物放出速度を予測するために、調整することができる。具体的には、即時放出製剤は、絶食した胃の条件を模倣するためにpHが1.1の希釈HClにおいて評価され、および、摂食された胃の条件を模倣するためにpH4.5の希釈HClにおいて評価される。遅延放出製剤は、胃から小腸への移動を模倣するために、pH6.8の培地への変化を伴う希釈HCl媒体において困難となる場合がある。
【0292】
剤形の即時放出パルスおよび遅延放出成分のインビトロの評価は、37℃で50RPMにてパドルを回転させながら、溶解槽の中で行われる。利用される培地は、胃腔の条件を模倣するためにpH1.1の希釈HCl溶液、および、腸の条件を模倣するために使用されるpH6.8の50mMリン酸緩衝液である。成功的な即時放出製剤は、30分または45分以内に、標識された量のニコチンの少なくとも80%を放出する。遅延放出製剤は、6時間で放出される薬物の量(漏れ)、および、一旦薬物放出が開始すると薬物の全投与量はどのくらい早く放出されるのかにより、評価される。ニコチン濃度は、溶解管から経時的に取り除かれ、かつ、UV検出を伴う高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システム上へとサンプルを注入する、培地のサンプル中で測定される。放出されるニコチンの量は、剤形に充填される標的薬物のパーセンテージとして測定される(すなわち、8mgの全投与量から放出される薬物の4mgは、50%の溶解結果を提供する)。成功的な遅延放出製剤は、最初の放出の6時間後に開始して約30−45分間にわたり、標識された量のニコチンの少なくとも80%を放出する。目標は、遅延放出製剤中の漏れの量を最小限にし、かつ、一旦放出が開始したときに薬物放出の速度を最大限にすることである。これにより薬物放出の強力なパルスがもたらされ、最初の投与の6時間後に投与される即時放出剤形と同様に実行されることが意図される。
【0293】
異なる4つの製剤が、人体研究のためのGMPガイドラインの下で開発される。鉛(lead)製剤が選択されると、それらは、より大きな設備およびバッチサイズへとスケールアップされる。製造パラメータはさらに、設備の規模に対して開発され、これらの実験は実験室ノートブックにて文書化される。臨床試験材料(CTM)薬物製品は、それらの正確な質、同一性、強度、純度、および効力を確保するために試験される。次いで、CTMは、資格があり、かつ製造および品質管理に関する基準(GMP)に従って操作される施設の部門において産生される。GMPは、製品が品質規格に従って一貫して産生かつ制御されることを確実にするためのシステムである。これは、最終産物の検査を介して不要にすることができない、任意の医薬品産生に関与するリスクを最小限にするように設計される。GMPは、出発物質、敷地、および設備から、スタッフの訓練および個人衛生まで、産生の全ての態様を包含する。詳細には、書面での手順が、最終製品の質に影響を及ぼす場合がある各プロセスに不可欠である。正確な手順が製造プロセスの各工程において一貫して従われ、どの時点でも製品が製造されるという書面での証明を提供するためのシステムが、存在しなければならない。これらのバッチは、品質ユニットにより放出される物質を使用して製造され、製造の指示は、事前承認されたバッチ記録において指定される。これらのバッチは、適切な資格のある方法を用いて検査され、および、ヒト臨床試験での投与前に品質ユニットにより放出される。
【0294】
実施例5:12時間の放出製剤に関する正常なヒトボランティアの研究。
最大4つの12時間の放出製剤を、ヒトにおいて検査する。12mgのパルス放出(PR)は、12時間にわたり2つのスパイクを提供するように意図される。この研究は、喫煙をしていない12人の正常な健康な男性と女性、現時点で3か月間禁煙中の喫煙者、または、研究期間中にタバコの使用を快く避けることのできる喫煙者における、生物学的同等性の第1相試験である。目標が、交絡因子からの干渉が最小である最高品質データを得ることであるため、健康な正常なボランティアを使用して研究を行う。健康なボランティアのPK研究は、集団におけるPK研究より優れていると示され、そこでは、一晩の滞在延長が困難であり、遵守率が低い。例えば、病気の被験体は食事を控えるのが困難であり、食物はデータの解釈に干渉しかねない。
【0295】
即時放出の比較上のPK/生物学的利用能およびニコチンの4つの異なる12時間放出製剤:
強度/形態:
(A)即時放出(IR)6mg q6h×4の投与量。
(B)パルス放出(PR)12mg 形態1 q12h×2の投与量。
(C)パルス放出(PR)12mg 形態2 q12h×2の投与量。
(D)パルス放出(PR)12mg 形態3 q12h×2の投与量。
(E)パルス放出(PR)12mg 形態4 q12h×2の投与量。
【0296】
各被験体は、次の期間に入る前に最低3日間のウォッシュアウト時間を有している。制限の時間は、−1日目から2日目の午前に至るまでを含む(各期間において2回の就寝)。
【0297】
安全性評価は、スクリーニング、最初の投与前のバイタルサインと身体検査、ECGおよび標準臨床実験質検査を用いて研究に参加する全被験体が正常かつ健康であることを確実にすることに、焦点を当てている。研究中、被験体のレベルが各期間の開始時、および5回目の期間の終了時に正常範囲内にあることを確実にするためのPKサンプリングからの大量の血液量により、ヘモグロビンに細心の注意を払う。PKサンプリング:PKサンプリングスケジュールは各期間で同一であり、以下のとおりである:事前投与量(0時間)、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、10、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、16、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、22、24。
【0298】
分析物:ニコチンおよびコチニン。以前に生物分析で定量された、血漿または血清中のニコチンを、記述的統計を使用して分析し、処置および時点によりサンプル中の濃度を要約する。個々の被験体それぞれの、処置による濃度対時間のプロファイルを、非コンパートメント薬物動態(PK)方法を使用して分析し、対象のPKパラメータを導き出す。主な対象は、ピーク(C
max)曝露、様々な処置レジメンに対して24時間の期間にわたる全体的な全身曝露(AUC)である。加えて、ピークまでの時間(T
max)、24時間の間隔にわたる最小濃度、および半減期が、可能な場合に算出される。主な曝露パラメータは、2つの片側の同等な方法に従う分散分析(ANOVA)によって、統計的に比較される。結果は、提案された修飾放出ニコチンレジメンと即時放出製剤との間の幾何平均比率として提示され、平均における差異について対応する90%の信頼区間が含まれる。
【0299】
実施例6:認知機能関連症状および認知機能障害の処置のための、ドーパミン作動薬と組み合わせたNP002
パーキンソン病を5年以上抱え、認知症状が欠如している、合計20人の患者を、介入研究に登録する。NP002の群、または、規則的なPDドーパミン作用性薬剤に加えてプラセボを受ける群に、患者を無作為に割り当てる。主な参加基準は以下のとおりである:1)典型的なパーキンソン病の臨床診断、2)30〜83歳の男性または女性、3)「オン」状態でのHoehn and Yahr重症度分類がII−IV、および4)レボドパ/カルビドパの安定した投与量を受けている。患者は、ドーパミンアゴニスト、モノアミンオキシダーゼB型阻害剤、またはアマンタジンを含む追加のドーパミン作動薬を受けている場合がある。
【0300】
試験は3段階で構成される:6か月の処置期間、2か月の処置再滴定期間、6か月のクロスオーバー処置期間。被験体を無作為に割り当てて、ニコチンまたはその塩を含むNP002、またはプラセボのいずれかを受けさせる。全ての患者が、安定したレボドパ/カルビドパ処置を受ける。患者は、ドーパミンアゴニスト、モノアミンオキシダーゼB型阻害剤、またはアマンタジンを含む追加のドーパミン作動薬を受けている場合がある。患者を、レボドパ/カルビドパを16時間中止した「オフ」期間、次いでレボドパ/カルビドパの通常の午前の投与を受けて1時間後の「オン」期間に評価する。1:1の比率のNP002またはプラセボを、6か月間盲検様式で、次いでさらに6か月間クロスオーバーにおいて、1日4回、経口カプセルとして投与する。処置レジメンの間に、被験体を、2か月間の処置再滴定期間にさらす。投薬を6時間ごとに1mgで開始し、日用量の合計は4mgであり、以下のように2週間間隔で上方に漸増される:
【0301】
2週間にわたり6時間毎に2mg、合計8mgの日用量。
【0302】
2週間にわたり6時間毎に4mg、合計16mgの日用量。
【0303】
2週間にわたり6時間毎に6mg、合計24mgの日用量。
【0304】
患者は、クロスオーバーまで試験の次の数週間にわたり、この投与量を受け続ける。プラセボを受けている患者はニコチンにさらされていないので、本来の漸増スケジュールを繰り返す。
【0305】
有害事象(AE)の発生、臨床検査、血清コチニン、ECG、およびバイタルサインの発生により、安全性を評価する。驚くべき症状は、Jay Modified Minnesota Impulsive Disorders Interview (JayMidi)を使用して評価される。禁断症状は、Minnesota Nicotine Withdrawal Scale(MNWS−R)を使用して評価される。
【0306】
Montreal Cognitive Assessment尺度を用いて効果を評価する。
【0307】
実施例7:認知機能障害を減らすための、ドーパミン作動薬と組み合わせたNP002
実施例1を繰り返す。これは、II相の単一施設、無作為化、二重盲検、プラセボ制御、効果、安全性、および耐容性の研究である。認知機能障害を伴う典型的なパーキンソン病を抱える合計20人の男性と女性を含める。試験は、初期評価、6か月間2か月毎の評価、クロスオーバー、および6か月間2か月毎の評価で構成される。
【0308】
実施例8:ニコチンは、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に作用することでLIDを減らす。
ニコチンは通常、nAChRに作用することでその効果を発揮する。複数の受容体が身体全体に存在しており、α1β1
*、α3β4
*、およびα7のnAChRは、末梢神経系における主要な亜型であり、α4β2
*、α6β2
*、およびα7のnAChRは脳における原発性亜型である。アスタリスク*は、受容体中の他のnAChRサブユニットの存在を意味する。ニコチンの抗運動障害効果に関連する受容体を判定するために、nAChR亜型に選択的な薬物を、片側性の6−ヒドロキシドーパミン病変を伴うラットにおいて検査し、該ラットはLIDのモデルである。すべてのnAChRのほか、様々なβ2
*選択的薬物(A−85380、サゼチジン、TC−2696、TI−10165、TC−8831、およびTC−10600)にて作用するバレニクリンは、LIDのこのパーキンソン病動物モデルにおいて様々な程度にLIDを減らすことができる。これらのデータは、nAChRに作用することでニコチンがLIDを減らすことを示す。遺伝子組み換えマウスを用いた研究はさらに、ニコチンがnAChRを介してその抗運動障害効果を媒介するという考えを支持している。L−dopaで処置したパーキンソン病のα6β2
*nAChRのヌル突然変異体マウスは、ベースラインのLIDにおいて50%の減少を示した。ニコチンは、α4β2
*nAChRのノックアウトマウスに抗運動障害効果を及ぼさなかった。対照的に、L−dopaで処置したパーキンソン病のα7nAChRノックアウトマウスには、LIDが増加した。故に、薬学研究および遺伝学研究により、ニコチンの抗運動障害効果は受容体媒介性であり、β2
*とα7両方のnAChRが重要な役割を果たすことが示された。
【0309】
実施例9:nAChR薬物は、パーキンソン病非ヒト霊長類のLIDを減らす。
nAChR薬物は、パーキンソン病の非ヒト霊長類のLIDを減らす。薬理学的研究を行い、1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)サル、すなわちPDと非常によく似た動物モデルにおける、nAChRの治療可能性を調べた。初期の作業は、一般的なnAChRアゴニストであるバレニクリン、およびβ2
*アゴニストTC−8831が、耐性を持たないサルにおいてLIDを〜50%減らしたが、これらの薬物の制限は嘔吐の進行であったことを示した(表1)。そのため、他の様々なβ2
*選択的アゴニストを検査した(表4)。これらは、ABT−089、部分β2
*nAChRアゴニスト(Ki=17nM)、および完全β2
*アゴニストABT−894(Ki=0.3nM)であった。ABT−089は最大限にLIDを40%減らし、ABT−894はLIDを最大60%減らした(Zhang et al., 2014b)。これらの効果は数か月間持続したが、検出可能な副作用と嘔吐はなかった。どのアゴニストもパーキンソン症候群を悪化させなかった。AZD1446、すなわち比較的低い親和性のβ2
*nAChRアゴニスト(Ki=30nM)も検査した。これは最大限にLIDを30%減らした。完全な高親和性β2
*nAChRアゴニストが、より有効な場合もある。2つのα7nAChRアゴニストABT−107(Ki=0.5nM)およびAQW051(Ki=27nM)も、それらの親和性およびアゴニストの特性に関連する場合がある様々な効果により、パーキンソン病のサルのLIDを減らした。注目すべきは、LIDの最大の減少は、いずれか1つのnAChR薬物、またはβ2
*およびα7アゴニストとの併用治療では〜60%であった(表4)。
【0310】
サルのデータの要約(表4)は、LIDの最大の減少が、ニコチン、ABT−894、およびABT−107などの、より高い親和性(≧10nM)の完全なnAChRアゴニストに関連することを示す。より低い親和性を持つ部分アゴニストまたは薬物(バレニクリン、TC−8831、ABT−089、AZD1446、AQW051など)は、あまり効果を示さなかった。別の重要な事項は副作用である。バレニクリンおよびTC−8831などの薬物は、吐き気に関連付けることができ、ゆえに、場合によってはあまり望ましくないであろう。
【0311】
【表4】
【0312】
実施例10:転倒関連症状の処置および姿勢安定性の改善のための、ドーパミン作動薬と組み合わせたnAChRアゴニスト
姿勢安定性(バランス)が欠如し、かつ転倒の経験がある、5年以上パーキンソン病を抱えている合計20人の患者を、介入研究に登録する。患者を、β2またはα7の選択的なnAChRアゴニスト(ABT−894またはABT−107など)、または通常のPDのドーパミン作用性薬剤を加えた同一のプラセボへと無作為に割り当てる。主な参加基準は以下のとおりである:1)典型的なパーキンソン病の臨床診断、2)30〜83歳の男性または女性、3)Hoehn and Yahrの重症度分類II−IVにある一方、「オン」状態である、4)過去に1回より多く転倒したことがある、5)Montreal Cognitive Assessment(MOCA)スコアが≧21である、6)レボドパ/カルビドパの安定した投与量を受けている。患者は、ドーパミンアゴニスト、モノアミンオキシダーゼB型阻害剤、またはアマンタジンを含む追加のドーパミン作動薬を受けている場合がある。
【0313】
以下の障害または症状を抱える患者を、登録から除外する。非定型パーキンソン病や、稀ではあるが疾患の特に初期に多くの転倒をもたらす障害を抱える患者を、除外する。これらの障害として、進行性核上性麻痺(PSP)、多系統萎縮症(MSA)、原発性すくみ足歩行(PFG)、および大脳皮質基底核変性症が挙げられる。痴呆症MOCA≧21を抱える患者を除外する。法的盲の患者を除外する。股関節部または膝に整形外科的な問題がある、または、股関節部または膝の置換術を必要とする患者を除外する。起立性低血圧を抱える患者を除外する。統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害の履歴のある患者を除外する。幻覚、精神病、または妄想を抱える患者を除外する。脳深部刺激(DBS)介入を受けていた患者を除外する。近年に脳卒中または心筋梗塞の履歴のある患者を除外する。
【0314】
試験は3段階で構成される:6か月の処置期間、2か月の処置再滴定期間、6か月のクロスオーバー処置期間。被験体を無作為に割り当てて、nAChRアゴニスト(ABT−894またはABT−107など)、またはプラセボのいずれかを受けさせる。全ての患者が、安定したレボドパ/カルビドパ処置を受ける。患者は、ドーパミンアゴニスト、モノアミンオキシダーゼB型阻害剤、またはアマンタジンを含む追加のドーパミン作動薬を受けている場合がある。患者を、レボドパ/カルビドパを16時間中止した「オフ」期間、次いでレボドパ/カルビドパの通常の午前の投与を受けて1時間後の「オン」期間に評価する。β2またはα7のいずれかの選択的nAChRアゴニスト(ABT−894またはABT−107など)、またはプラセボを、1:1の比率で、6か月間盲検様式で1日4回、経口カプセル剤として投与し、次いで、さらに6か月間クロスオーバーにおいて投与する。処置レジメンの間に、被験体を、2か月間の処置再滴定期間にさらす。投薬を6時間ごとに1mgで開始し、日用量の合計は4mgであり、以下のように2週間間隔で上方に漸増される:
【0315】
2週間にわたり6時間毎に2mg、合計8mgの日用量。
【0316】
2週間にわたり6時間毎に4mg、合計16mgの日用量。
【0317】
2週間にわたり6時間毎に6mg、合計24mgの日用量。
【0318】
患者は、クロスオーバーまで試験の次の数週間にわたり、この投与量を受け続ける。プラセボを受けている患者はABT−894またはABT−107などのnAChRアゴニストにさらされていなかったので、本来の漸増スケジュールが繰り返される。
【0319】
有害事象(AE)の発生、臨床検査、血清コチニン、ECG、およびバイタルサインの発生により、安全性を評価する。驚くべき症状は、Jay Modified Minnesota Impulsive Disorders Interview (JayMidi)を使用して評価される。
【0320】
統合パーキンソン病評価尺度(UPDRS)、バーロウ神経学研究所(BNI)の転倒評価、Hoehn & Yahrの重症度分類システム、ロンベルグ試験、回転検査、片足での直立、つぎ足歩行、歩幅、および速度、運動障害疾患学会の統合パーキンソン病評価尺度(MDS UPDRS)の質問2.12のWalking and Balance、運動障害疾患学会の統合パーキンソン病評価尺度(MDS UPDRS)の質問2.14のFreezing of Gait、本来の統合パーキンソン病評価尺度(UPDRS)の質問32−35のDyskinesias、本来の統合パーキンソン病評価尺度(UPDRS)の質問36−39からのResponse Fluctuation、本来の統合パーキンソン病評価尺度(UPDRS)の質問40のSleep Disturbance、運動障害疾患学会のパーキンソン病評価尺度(MDS UPDRS)の142点、運動障害疾患学会の統合パーキンソン病評価尺度(MDS UPDRS)の軸・中線部分、運動障害疾患学会の統合パーキンソン病評価尺度(MDS UPDRS)のGait Subtest、運動障害疾患学会の統合パーキンソン病評価尺度(MDS UPDRS)のPostural Stability Subtest、および運動障害疾患学会の統合パーキンソン病評価尺度(MDS UPDRS)のFreezing of Gait Subtest (FOG)を用いて、効果を評価する。
【0321】
「オン」、「オフ」、または「オン」と「オフ」両方の期間での軸UPDRSサブテストの改善は、歩行サブテスト、引っ張りサブテスト、およびFOGサブテストの改善、回転、片足での直立、つぎ足歩行、歩幅、および速度の改善、量的検査の改善を含む。これらの患者のすべてまたは多くに、反応変動:「ウェアリングオフ」および/または「オンオフ」がある場合があるこれらの患者の一部には、すくみ足歩行(FOG)がある場合がある。
【0322】
実施例11.NC001製剤の開発
NC001(以前はNP002)酒石酸水素ニコチン)を、LIDを処置するために設計する。ニコチン(NC001)の製剤により、6時間の間隔を置いた4回の投与量としてニコチンを送達できるが、12時間毎に2つ以下の丸剤を摂取して送達できる。この製剤は、具体的にはニコチンが次のパルス前に血液系からほとんどなくなるように、系への薬物の短期間パルスを提供する。検査において、これは、ニコチンへの耐性の構築を回避すると示された。この製剤は、浸透性がコーティング中でのイオン相互作用を介して制御される有機イオン塩と組み合わせて、薬用ポリマー技術を使用する。
【0323】
重要な技術目的
【0324】
薬剤への遵守は、特にPDを抱える患者において困難な問題である。4−6時間毎の投与レジメンを必要とする薬剤は、睡眠障害を引き起こし、投与量が損なわれると、PDの場合、運動合併症の増大をもたらす。これは、服薬遵守に関する問題を最小限にするために開発されている複数の異なる新たなドーパミン製剤によって確認できるように、PDにいて確立されている。
【0325】
好ましい吸収部位での薬物置換の制御放出は、治療濃度域内で有効成分の送達を最適化し(Stocchi F, et al. 1996)、治療利益を最大限にする。2つの別個の薬物放出パルスを伴う薬物製品は、LIDの処置の臨床試験における使用を意図されている。この製剤方法により、投薬頻度を減らし、先の第2相研究で評価された薬物動態(PK)プロファイルを提供できる。この製剤は、ニコチンの特有の薬物放出プロファイルを達成し、標的とされたPKプロファイルをもたらすために、特定の製造プロセスと組み合わせての、ニコチン薬物と賦形剤の組み合わせである。
【0326】
2つのパルス製剤からの第1のパルスは、迅速な治療効果の達成を意図される、従来の即時放出である。これは、物質の効率的な適用のためにWursterカラムインサートを取り付けられた流動床乾燥器において、ニコチン薬物を微結晶性セルロース(MCC)のペレット基質上に層状にした薬物によって達成される。市販のMCCスフィアのブランドは、Celphereである。薬物を、ニコチンのペレットへの結合を補助する可溶性ポリマーと共に、MCCペレットへと噴霧する。次に、これに対し、外観のために異なる色で購入可能な追加の即時放出ポリマーを過剰被覆する。市販の審美的コーティングのブランドは、Opadryである。
【0327】
第2のパルスは、即時放出成分として同じ様式で、ニコチンおよび可溶性ポリマーで薬物層とされる。遅延放出パルスはまた、コハク酸などの、薬物層中の有機酸塩を含む。その後、機能フィルムコーティングが、薬物充填ペレットに適用される。機能フィルムコーティングは、第四級アンモニウム基を伴うメタクリル酸エステルを含有するアクリル酸エチルとメタクリル酸メチルのコポリマー、および可塑剤としてのクエン酸トリエチルで、構成される。ポリマーと有機酸改質剤との比率は、遅延放出成分からの薬物の放出時間を決定する。市販のポリマーのブランドは、Eudragit RLおよびEudragit RSである。遅延放出成分の機能フィルムコーティングはまた、Wursterカラムが取り付けられた流動床乾燥器に適用される。有機酸改質剤は、水が製剤へと浸出し、かつ最終的には薬物が放出される孔を作成するために、コポリマーと相互作用する。
【0328】
ペレットの両集団は、投与のためのカプセル剤へと充填され、追加の不活性成分と混合され、または錠剤へと形成することができる。両方の方法は、市販の薬物製品において使用されている。
【0329】
このパルス製剤により、標的薬物送達が可能となり、より良い遵守を通じて疾患の管理が改善され、患者の利便性が向上する。これにより、PDを悪化させず、医師が最大限に有効なL−dopa治療レジメンをもってPDを処置できる、安全な薬物が提供される。
【0330】
処置群における140人の患者とプラセボ群における140人の患者(計280人の患者)を、必要な患者の数として算出し、この数は、UDysRSの合計スコアにおけるNC001とプラセボとの差異を検出し、5%の有意レベルにて両側2サンプルt検定を仮定するのに十分な数である(90%の指数(power))。サンプルサイズの算出を、連続的な結果に基づいて行う。各処置群のベースラインおよび標準偏差からの平均変化を算出した。サンプルサイズの算出を、80%および90%の指数に対して行った。サンプルサイズの第1のセットは、片側α=0.05に基づき、第2のセットは両側α=0.05に基づく。サンプルサイズを算出し、2サンプルt検定を呈する。
【0331】
ニコチンは、げっ歯類と霊長類のモデル両方のLIDを減らす。
【0332】
ニコチンの抗運動障害の可能性を調べる論理的根拠は、群からの初期の基礎研究発見から生じた。ラットおよびマウスにおいて、経口投与、注射、および遅延放出ミニポンプを含む様々な方法のいずれか1つにより投与した時にニコチンはLIDを減らし、経時的な効果の減少はなかったことを見出した(Quik et al., 2007; Bordia et al., 2010; Huang et al., 2011a)。また、ニコチンが、パーキンソン病のサル、すなわちPDに観察される運動欠損を最もよく模倣する動物モデルのLIDを減らしたと確証されると、重大な発見が生じた(Bezard and Przedborski, 2011)。ニコチン(全ニコチン受容体に結合し、それを活性化する)は、パーキンソン症候群を悪化させることなくサルのLIDを60%減少させた(Quik et al., 2007; Bordia et al., 2008)(
図4と
図5)。
図4は、NP002が、サルモデルのレボドパ誘発性ジスキネジア(LID)を減らすことを示す。
図5は、NP002が、オフのL−dopaまたはオンのL−dopaにおけるパーキンソン病の症状を増大させないことを示す。この減少は数カ月間持続し、耐性または効果の損失はなく、副作用は検出可能されなかった。
【0333】
神経生物学的機構の基礎的なLIDは、あまり理解されていない。広範な研究は、ニコチンコリン作動性受容体(nAChR)を含む、多数の神経伝達物質システムに関係していた(Huot et al., 2013; Al Dakheel et al., 2014)。基底核におけるニコチンのコリン作用性およびドーパミン作用性のシステムの組織化と機能には、広範な重複が存在する(Quik and Wonnacott, 2011)。ニコチンは、ドーパミン放出に影響を及ぼし、かつ動物のドーパミン関連運動行動を変更すると知られている。ニコチンをジスキネジアの動物モデルに使用できるという所見は、ニコチンの臨床的使用のための経路を考慮するための第一歩にすぎなかった。ニコチンは安全に投与するのが難しく、研究では、むしろ高投与量かつ維持量のニコチンが神経保護に必要であったことが示唆されている(Belluardo N et al., 2000; Picciotto MR and Zoli M, 2008; Quik M et al., 2007b)。実際、ニコチンパッチを用いて、ニコチンへの連続的な暴露をもたらし、パーキンソン病症状を遅くする際に有用かもしれない、事例証拠が存在していた(現在では、初期段階のPD患者において神経保護のための高投与量のニコチンパッチを評価する、NIHが資金提供した大規模な研究が存在する)。しかし、ニコチン受容体の維持された活性化は、ジスキネジアの減少を提供するとは思えないと述べられた(処方箋なしで購入できるニコチンパッチを使用した、またはパッチを使用した神経保護試験が行われている、PDおよびLIDを抱える患者の未公表の臨床観察)。
【0334】
nAChRでの主な困難は、ニコチンへの連続暴露により急速に脱感作されるようになるというものである。一旦脱感作されると、それらは、アゴニスト薬物に対する反応性をなくし、加えて、すべてではないが受容体は、同じ速度に脱感作される。そのため、例えば、心臓の受容体は、脳の受容体よりも徐々に脱感作される場合がある。これにより、ニコチンでの連続的な処置から、安全性、中毒、および退薬症状に関する多数の問題が生じる。臨床試験において、具体的にはニコチンが次のパルスの前に血液系から取り除かれるように、NP002(ニコチン)の短期間パルスを系に提供した投与レジメンを利用した。幸運にも、ニコチンは急速に吸収され、半減期は非常に短かった(Compton RF et al., 1997; Schneider NG et al., 2001; Hukkanen J et al., 2005)。呑み込まれ、急速に吸収され、約2時間以内に除去可能な経口製剤を開発することにより、この特性を利用しようと努めた。その後、6時間待機してから、別の投与量の薬剤を投与した。そのように、脳は、少なくとも4時間、ニコチン曝露が行われず、これは、nAChRの脱感作を回避するのに十分でなければならない。
【0335】
結果:PDおよびLIDを用いた被験体における短時間作用型ニコチンの断続的投与量の第2相臨床試験
【0336】
この研究(ClinicalTrials.gov識別子NCT00957918)を、LIDの処置のためのニコチンに承認される調節性を支持する2つの研究の1つとして使用されるように設計された、多重中心、プラセボ対照、安全性、耐容性、および探索的な効果研究としてFDAを用いて、IND(#105268)の下で行った。特発性PDを抱える被験体におけるニコチンの安全性および耐容性を、10週間6時間毎に送達されるニコチンの漸増投与量を使用して、有害事象(AE)、安全性研究所検査、身体検査、心電図(ECG)、バイタルサイン、衝動抑制の評価、ニコチン退薬症状、および原発性パーキンソン病の症状における変化によって評価した。研究を行った時点で(2009)、LIDの処置効果を測定するためのFDAに容認された手段は存在しなかった。それゆえ、様々な第2の目的を利用して、統合ジスキネジア評価尺度(UDysRS)を含む効果を評価した。この研究の完了以降、UDysRSは様々な研究で確認されており、FDAにより薬物が効果的かどうかを判定するための検証手段と考慮されている。
【0337】
LIDを伴う特発性PDを抱える、計65人の男性と女性の被験体を、研究において無作為化した。研究は4段階で構成される(
図6A):スクリーニング段階(最大3週間)、二重盲検処置段階(10週間)、減少(taper)段階(2週間)、および追跡段階(2週間)。各被験体に対する、およその研究期間は17週間であった。スクリーニング段階の後、研究被験体を無作為に割り当てて、1:1の比率でNP002による処置またはプラセボによる処置を受けさせて、10週間にわたり盲検様式で1日4回、経口カプセルを投与した。二重盲検処置段階中に、訪問0にて6時間毎に1mgの投薬を開始し(合計の一日量[TDD]=4mg/日)、次のように2週間間隔で上方に漸増させた:訪問1(2週目)で6時間毎に2mg(TDD=8mg/日);訪問2(4週目)で6時間毎に4mg(TDD=16mg/日);訪問3(6週目)で6時間毎に6mg(TDD=24mg/日);被験体を4週間、24mg/日で維持した。その後の減少段階(計2週間)、すなわち訪問4(10週目)の始めは、9日間の薬物減少、および訪問5(最後の安全性訪問)の前5日間の薬物中止で構成される。全ての被験体に対して、最後の安全性訪問の1週間後と2週間後に、追跡のための電話を行う。オンダンステロンは、スポンサーにより提供され、かつ、投与の開始または漸増後最初の4日間のみに吐き気や嘔吐についてそれを使用するための説明書と共に、各投与量漸増工程にて分配された。16mg/日のTDDに耐性はあるが、吐き気や嘔吐により24mg/日では耐性がない被験体は、調査者の選択時に、16mg/日の投与レベルにまで落とすことを認められた。他の投与量の下方滴定は認められなかった。表5を参照。
【0338】
【表5】
【0339】
重要なことに、計65人の被験体(35人はNP002群、30人はプラセボ群)を無作為化し、48人の被験体(25人はNP002群、23人はプラセボ群)が研究を終えた。無作為化の後、17人の被験体に研究を中止させた(10人の被験体はNP002群、7人の被験体はプラセボ群)。どの被験体も、研究薬物を摂取する前に研究を中止されなかった。中止する最も一般的な理由は、AE(n=11;6人の被験体がNP002群、5人の被験体がプラセボ群)、およびプロトコル違反(n=4; 2人の被験体がNP002群、2人の被験体がプラセボ群)であった。加えて、衝動や退薬症状に関する問題はなかった。重要なことに、UPDRS Part IIIも、Hoehn and Yahrの尺度も、研究中に何の悪化も示さず(かつ、僅かな改善を示す)、パーキンソン病症状は悪化しなかったことを実証した。それゆえ、ドーパミン薬剤で処置されていた、ニコチンを受けていない患者にニコチンを投与するための、安全で耐性が十分な方法を確立したことは、明らかであった(表6を参照)。
【0340】
【表6】
【0341】
NP002は、LIDおよび転倒の処置に効果的である。
【0342】
NP002は、ALL患者および医師により評価される効果の評価においてプラセボより優れており、場合によっては統計的有意差を達成した。
【0343】
プラセボと比較したときのニコチンの好ましい統計的有意差は、ジスキネジア身体障害(UDysRS part 3)および歩行(歩行およびバランスの改善を示す)、Lang−Fahn Activities of Daily Living (LF−ADL)尺度およびPatient Global Impression−Change (PGI−C)尺度に対する応答者のパーセンテージにおいて確認された。訪問4(10週目)では、LF−ADL応答者(ベースラインから≧25%の減少を伴う被験体)の数において、処置群間で統計的有意差があった(p=0.0453)。加えて、訪問4(10週目)では、PGI−C応答者(1、2、または3のスコアを伴う被験体)の数において、処置群間で統計的有意差があった(p=0.0048)。プラセボ群における9人(37.5%)の応答者に比べて、NP002群においては21人(77.8%)PGI−C応答者が存在した。この応答を裏付けると、訪問4では、PGI−C尺度の異なるカテゴリー(1から7)にある被験体の数において、処置群間で統計的有意差があった(p=0.0230)。重要なことに、ジスキネジアを評価するよう設計された尺度は全て、数的および/または統計的有意にプラセボより優れていた。加えて、UPDRSを使用すると、NP002は、PD症状を悪化させなかったことが実証された(プラセボに比べて好ましい傾向であり、PDの悪化はなく、僅かな改善が生じ得る)。それゆえ、結果として、ニコチンはLIDの処置に効果的であることが示される。
【0344】
要するに、検査におけるニコチンのこの送達方法は、患者が治療を中止したときに、ニコチンに対する耐性および依存性の構築を回避すると示された。これは安全であり、かつ効果的である。これは、LIDの処置のための最終の成功的なニコチン産物の製剤において重要なものである。
【0345】
イノベーション
【0346】
6時間毎の投薬製剤の使用は、この患者集団に対する慣例的な臨床的使用において実行可能ではない。遵守が低い場合があるため、この使用は大規模な臨床研究に対して極めて困難であり、このせいでデータの解釈が複雑となる。患者および医師の面会は、患者がL−dopaに関して既に有意な薬物の問題を取り扱っていることを実証した。患者が多くの場合に、4−8時間毎にL−dopaを必要とするという事実にもかかわらず、多くの患者が不承諾者であり、このため、ケアにおける大きな問題が生じる。追加データの調査は、大規模な臨床研究(100人以上の患者)には、薬物を6時間毎に与えねばならないという主要な遵守に係る制約があることを示した。
【0347】
手法
【0348】
重要なことに、ニコチンの生物薬剤の特性は。投薬製剤の改善に向いている。ニコチンは、遊離塩基として、および様々な塩形態において利用可能である(Siegfried Ltd, 2009)。酒石酸水素ニコチン二水和物塩は、生理的pH範囲にわたって水性培地において自由に可溶性であり、医薬品等級の物質として市販で入手可能である。ニコチンは、皮膚を含むヒト組織を介して吸収される。ニコチンは胃腸管の中で十分に吸収され、経口の生物学的利用能は約30%(文献では20%〜40%と報告)である(Hukkanen, J. et al. 2005)。ニコチンは初回通過代謝を受けて、コチニンへと広範囲に代謝され、報告された低くて可変的な絶対生物学的利用能の推定をもたらす。このような高溶解度と浸透性の特徴は、複数のボーラス放出プロファイルを含む修飾放出(パルス放出を含む)剤形の開発に向いている。
【0349】
第1層の目標1
【0350】
目標1は、固体、すなわち約6時間毎にヒトへニコチンの塊を送達できる経口剤形である。これは、ゼロ時間で即時放出ボーラスを送達し、かつ消化の約6時間後に第2の即時放出ボーラスのニコチンを送達する、2パルス製剤である。この2パルス剤形は、以前に第2相研究で評価されたPKプロファイルを模倣するために、1日に12時間の間隔を置いて(q12hr)2回投与される。この製剤は、半透膜で被覆される多重微粒子の即時放出剤形に焦点を当てている。この膜を一回水和すると、水は剤形へと流れるが、薬物は膜を通って漏れることがない。活性薬物に加えて、剤形のコアは、有機塩、膨張可能な物質、または、水の摂取のための推進力をもたらすとともに、計画された薬物放出のタイミングの規定を補助する、超崩壊剤を含む場合がある。多重微粒子製剤方法からの単一ペレットの例は、低投与量薬物に十分適しており、
図7に示される。結合剤としてヒプロメロース(HPMC)、および有機酸改質剤としてコハク酸を含む、ニコチンの15%溶液を調製する。この溶液を、20%の固形物の重量増加がペレット剤上で達成されるまで、精密コーティング装置を取り付けた流動層乾燥機を使用して、ノンパレイルシード(nonpareil seed)上に被覆する。最終の薬剤層製剤は、5:3.5:1.5の比率でニコチン、HPMC、およびコハク酸を含んでいる。必要に応じて、代替的な結合剤を使用して、ノンパレイルシードへの薬物層の付着の質を改善することができる。このコアとなる薬物充填ペレットは、外観のためにOpadryなどの即時放出ポリマーで被覆され、複合剤形の即時放出成分として使用することができる。遅延放出ペレットに関しては、コアとなる薬物充填ペレットの別個の集団はさらに、別個の機能的なポリマーフィルムコーティングで被覆される。Eudragit RSの水溶液は、6:1:3の比率で粘着防止剤として機能する可塑剤としてクエン酸トリエチル、およびタルクで調製される。この溶液は、約70%の全固体の重量増加にまで精密度コーター(precision coater)を取り付けた流動層乾燥器を使用して、薬物充填ペレットへと被覆される。最適な重量増加は、フィードバック機構としてインビトロでの溶解を使用することにより実験的に決定される。Eudragit RLなどの代替的なポリマー材料も、遅延時間、または遅延放出ペレットからのニコチンの放出速度を修飾するために、ポリマーフィルムコーティング製剤に含まれる場合がある。
【0351】
遅延時間の長さ、および薬物放出の強度は、コーティング製剤、およびコーティングの重量増加に基づいて調整することができる(Devane et al., 特許)。
【0352】
製造施設
【0353】
初期の製剤開発実験は、小さな実験室規模の設備およびバッチサイズ(10−50g/バッチ)で行われる。これらのバッチは、実験室またはベンチトップの尺度で製造され、製造の指示と条件はノートブックに文書化される。この材料は、臨床用ではなくインビトロ検査に適している。
【0354】
製剤の評価
【0355】
製剤の原型は、薬物製品の内容物アッセイの評価、不純物評価、用量ユニットの均一性、およびインビトロの薬物ニコチン放出速度の評価を含む、標準の薬物製品検査方法を使用して評価される。修飾された放出剤形を含む、固形の経口剤形の評価に重要なツールは、インビトロ溶解検査である。溶解検査は、全ての固形経口剤形、即時放出と修飾放出の両方の放出速度の評価のための、業界基準である。それは、開発中に原型の製剤のパフォーマンスを評価するために、そして慣例的な商用のバッチ放出中に患者に対して販売される製品の一貫性を確保するために使用され、かつ、インビボ/インビトロの相関(IVIVC)でインビボのパフォーマンスを予測するために使用できる。一旦IVIVCが確立されると、剤形の薬物動態プロファイルは、インビトロ放出速度の評価によって予測できる。溶解検査の条件は、胃腸管の条件を模倣し、見識を提供し、かつ時にインビボの薬物放出速度を予測するために、調整することができる。具体的には、即時放出製剤は、絶食した胃の条件を模倣するためにpHが1.1の希釈HClにおいて評価され、および、摂食された胃の条件を模倣するためにpH4.5の希釈HClにおいて評価される。遅延放出製剤は、胃から小腸への移動を模倣するために、pH6.8の培地への変化を伴う希釈HCl媒体において困難となる場合がある。
図8は、即時放出剤形、6時間でのボーラス放出を伴う剤形、およびこれらの2つの剤形の2パルスの組み合わせに対する、理論的なインビトロ溶解プロファイルの例である。
図8は、即時放出(三角形)、遅延放出(正方形)、および2パルス薬物放出プロファイル(円形)の薬物放出プロファイルを例示する。三角形は薬物の即時放出を示し、溶解を開始して1時間以内に完全な溶解を達成する。遅延放出成分は正方形で示され、即時放出速度に同様の放出を示すが、約6時間遅れている。第3のプロファイルは円で示され、2つの異なるペレット集団の複合体であり、結果として2パルス薬物放出プロファイルをもたらす。
【0356】
成功のための製剤選択と基準
剤形の即時放出パルスおよび遅延放出成分のインビトロの評価は、37℃で50RPMにてパドルを回転させながら、溶解槽の中で行われる。利用される培地は、胃腔の条件を模倣するためにpH1.1の希釈HCl溶液、および、腸の条件を模倣するために使用されるpH6.8の50mMリン酸緩衝液である。成功的な即時放出製剤は、30分または45分以内に、標識された量のニコチンの少なくとも80%を放出する。遅延放出製剤は、6時間で放出される薬物の量(漏れ)、および、一旦薬物放出が開始すると薬物の全投与量はどのくらい早く放出されるのかにより、評価される。ニコチン濃度は、溶解管から経時的に取り除かれ、かつ、UV検出を伴う高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システム上へとサンプルを注入する、培地のサンプル中で測定される。放出されるニコチンの量は、剤形に充填される標的薬物のパーセンテージとして測定される(すなわち、8mgの全投与量から放出される薬物の4mgは、50%の溶解結果を提供する)。成功的な遅延放出製剤は、最初の放出の6時間後に開始して約30−45分間にわたり、標識された量のニコチンの少なくとも80%を放出する。目標は、遅延放出製剤中の漏れの量を最小限にし、かつ、一旦放出が開始したときに薬物放出の速度を最大限にすることである。これにより薬物放出の強力なパルスがもたらされ、最初の投与の6時間後に投与される即時放出剤形と同様に実行されることが意図される。
【0357】
第2層の目標1:GMP臨床試験物質の製造
【0358】
異なる4つの製剤が、人体研究のためのGMPガイドラインの下で開発される。臨床試験材料(CTM)薬物製品は、それらの正確な質、同一性、強度、純度、および効力を確保するために試験される。次いで、CTMは、資格があり、かつ製造および品質管理に関する基準(GMP)に従って操作される施設の部門において産生される。これらのバッチは、品質ユニットにより放出される物質を使用して製造され、製造の指示は、事前承認されたバッチ記録において指定される。これらのバッチは、適切な資格のある方法を用いて検査され、および、ヒト臨床試験での投与前に品質ユニットにより放出される。
【0359】
単一剤形からの第3のパルス、および場合によっては第4のパルスを送達する障害は、投与後12〜18時間での剤形の位置に関連した、必要とされる薬物放出の遅延である。
多重微粒子剤形が摂取され、GI管を下って移動すると、ペレットまたは顆粒剤は腸で拡散し、可変的な胃内容排出事象が始まる。ペレットの小集団が胃を離れて、小腸と大腸に沿って拡散すると、薬物製品の溶解に利用可能な培地のpHや体積を含む、様々な条件にさらされることになる。これらの様々な条件により、異なる時間に薬物を放出する多重微粒子物の異なる集団がもたらされ、ボーラスがさらに弱くなる場合がある。単一的剤形方法の開発は、多重微粒子ペレットの拡散の問題に取り組む場合がある。
【0360】
標準のヒトボランティアの研究
【0361】
最大4つの12時間の放出製剤を、ヒトにおいて検査する。12mgのパルス放出(PR)は、12時間にわたり2つのスパイクを提供するように意図される。この研究は、喫煙をしていない12人の正常な健康な男性と女性、現時点で3か月間禁煙中の喫煙者、または、研究期間中にタバコの使用を快く避けることのできる喫煙者における、生物学的同等性の第1相試験である。目標が、交絡因子からの干渉が最小である最高品質データを得ることであるため、健康な正常なボランティアを使用する。健康なボランティアのPK研究は、集団におけるPK研究より優れていると示され、そこでは、一晩の滞在延長が困難であり、遵守率が低い。例えば、病気の被験体は食事を控えるのが困難であり、食物はデータの解釈に干渉しかねない。
【0362】
研究設計
【0363】
即時放出の比較上のPK/生物学的利用能およびニコチンの4つの異なる12時間放出製剤:
強度/形態:
(A)即時放出(IR)6mg q6h×4の投与量。
(B)パルス放出(PR)12mg 形態1 q12h×2の投与量。
(C)パルス放出(PR)12mg 形態2 q12h×2の投与量。
(D)パルス放出(PR)12mg 形態3 q12h×2の投与量。
(E)パルス放出(PR)12mg 形態4 q12h×2の投与量。
【0364】
各被験体は、次の期間に入る前に最低3日間のウォッシュアウト時間を有している。制限の時間は、−1日目から2日目の午前に至るまでを含む(各期間において2回の就寝)。
【0365】
安全性
【0366】
安全性評価は、スクリーニング、最初の投与前のバイタルサインと身体検査、ECGおよび標準臨床実験質検査を用いて研究に参加する全被験体が正常かつ健康であることを確実にすることに、焦点を当てている。研究中、被験体のレベルが各期間の開始時、および5回目の期間の終了時に正常範囲内にあることを確実にするためのPKサンプリングからの大量の血液量により、ヘモグロビンに細心の注意を払う。PKサンプリング:PKサンプリングスケジュールは各期間で同一であり、以下のとおりである:事前投与量(0時間)、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、10、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、16、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、22、24。
図9を参照する。
【0367】
分析アッセイおよび統計分析
【0368】
分析物:ニコチンおよびコチニン。以前に生物分析で定量された、血漿または血清中のニコチンを、記述的統計を使用して分析し、処置および時点によりサンプル中の濃度を要約する。個々の被験体それぞれの、処置による濃度対時間のプロファイルを、非コンパートメント薬物動態(PK)方法を使用して分析し、対象のPKパラメータを導き出す。主な対象は、ピーク(C
max)曝露、様々な処置レジメンに対して24時間の期間にわたる全体的な全身曝露(AUC)である。加えて、ピークまでの時間(T
max)、24時間の間隔にわたる最小濃度、および半減期が、可能な場合に算出される。主な曝露パラメータは、2つの片側の同等な方法に従う分散分析(ANOVA)によって、統計的に比較される。結果は、提案された修飾放出ニコチンレジメンと即時放出製剤との間の幾何平均比率として提示され、平均における差異について対応する90%の信頼区間が含まれる。重要なことに、我々のチームは、前臨床的および臨床設定でのニコチンの使用に関する広範な専門的知識を有している。生物分析能力の組み合わせには、方法の開発、方法の移行、および、当該技術分野での大域的プラットフォーム上での最も敏感なニコチンアッセイ(LLOQ 0.2ng/mL)をアッセイの広範な概略が含まれる。表7は、利用可能な現行のニコチンアッセイのリストである。
【0369】
【表7】
【0370】
成功の基準
【0371】
第2相の成功のベンチマークは、患者に1日1回または2回提供可能であり、かつ、第2相研究に使用されるNP002の投薬レジメンとほぼ同一のPKプロファイルを送達する、ニコチンの製剤の識別である。
【0372】
実施例12.ニコチン製剤の開発
薬剤への遵守
68−70は、特にPDを抱える患者において困難な問題である。4−6時間毎の投与レジメンを必要とする薬剤は、睡眠障害を引き起こし、投与量を損ない、これはPDの場合、運動合併症の増大をもたらす。これはPDに確立されており
68−70、この場合、患者
83の46%が薬剤への不承諾者であることが報告されている。それゆえ、各々が24mgの総一日量に対して2つのパルスを送達する、1日1回のカプセル投与により標的とされたPKプロファイルを提供する、新たな製剤を開発することが重要である。
【0373】
好ましい吸収部位での薬物の制御放出は、治療可能時間域内で有効成分の送達を最適化し
76,9、その治療効果を最大限にする。ニコチンの副作用は血漿C
maxに関連するので、1日4回のパルスにわたる全投与量の拡散は、C
maxを弱め、起こり得る副作用を減らす。患者は、睡眠中にLIDに悩むことはめったにないが、おそらくLIDの機構は睡眠中に停止することはない。それゆえ、ニコチンのQ6Hパルスを提供する1日2回のカプセル投与が、合理的な方法である。この製剤により、投薬頻度を減らし、先の第2相研究で評価された同じPKプロファイルを提供できる。薬物カプセル(2つのパルスで構成)からの第1のパルスは、迅速な治療効果の達成を意図される、従来の即時放出をもたらす。これは、物質の効率的な適用のためにWursterカラムインサートを取り付けられた流動床乾燥器において、ニコチン薬物を微結晶性セルロース(MCC)のペレット基質上に層状にすることによって達成される。市販のMCCスフィアのブランドは、Celphereである。薬物を、ニコチンのペレットへの結合を補助する可溶性ポリマーと共に、MCCペレットへと噴霧する。次に、これに対し、外観のために異なる色で購入可能な追加の即時放出ポリマーを過剰被覆する。市販の審美的コーティングのブランドは、Opadryである。
【0374】
薬物カプセルの第2のパルス(時間放出)は、即時放出成分として同じ様式で、ニコチンおよび可溶性ポリマーで薬物層とされる。遅延放出パルスはまた、コハク酸などの、薬物層中の有機酸塩を含む。機能フィルムコーティングは、薬物充填ペレットに適用されるものであり、第四級アンモニウム基を伴うメタクリル酸エステルを含有するアクリル酸エチルとメタクリル酸メチルのコポリマー、および可塑剤としてのクエン酸トリエチルで、構成される。ポリマーと有機酸改質剤との比率は、遅延放出成分からの薬物放出の時間を決定する。この使用に適した、2つの商業上利用可能なポリマーは、Eudragit RLおよびEudragit RSである。遅延放出成分の機能フィルムコーティングはまた、Wursterカラムが取り付けられた流動床乾燥器に適用される。有機酸改質剤は、水が製剤へと浸出し、かつ最終的には薬物が放出される孔を作成するために、コポリマーと相互作用する。ペレットの両集団は、投与のためのカプセル剤へと充填され、追加の不活性成分と混合され、または錠剤へと形成することができる。
【0375】
この2パルスの時間放出剤形は、標的とされた薬物輸送を可能とし、より良い遵守と患者利便性の強化を介して疾患管理を改善する。これにより、重要な受容体を脱感作せず、医師が最大限に有効なL−dopa治療レジメンをもってPDを処置できる、安全な薬物が提供される。
【0376】
製品開発プロセスは、NDAを支援する必要がある。
【0377】
この計画の大きな長所の1つは、商品化が計画されている投与量でのニコチンがすでに、安全であると証明されていることである。そのため、追加の前臨床安全性薬理学および毒性学、または長期的な臨床的安全性データなしにNDAを提出する機会は、505(b)(2)経路の使用を通じて実現可能である。この経路により、公有財産におけるデータの利用がNDAを支援できる場合がある。505(b)(2)は、完全な安全性と有効性の報告を含んでいるが、承認に必要な情報の一部が、申請者により、または申請者に対して実施されない研究から生じることを可能とする、新薬適用である。この方法は、従来の経路により求められる時間とコストの数分の1でNDAの申請を可能にする、新薬のより短い開発経路を可能とする。我々はFDAを満たし、NDAを支援するために単一の確証的な第3相人体研究を必要とすると理解している。FDAはまた、ニコチンの前臨床安全性に対する既存の公有財産データが、動物における薬物間相互作用に対する3か月間の反復投与毒性研究の必要性を例外として、我々のNDAを支援するのに十分であると述べた。これら要件に加えて、完全に改良されたCMCセクションも、既存のINDに提供することができる。ニコチンでの第2相データに基づいて、我々の本来のニコチン製剤、効果の大きさ、および標準偏差は、第2相に観察されたものと同様である。それゆえ、処置群における140人の患者とプラセボ群における140人の患者(計280人の患者)を必要と算出し、この数は、UDysRSの合計スコアにおけるNC001とプラセボとの差異を検出し、5%の有意レベルにて両側2サンプルt検定を仮定するのに十分な数である(90%の指数)。サンプルサイズの算出を、連続的な結果に基づいて行う。各処置群のベースラインおよび標準偏差からの平均変化を算出した。サンプルサイズの算出を、80%および90%の指数に対して行った。サンプルサイズの第1のセットは、片側α=0.05に基づき、第2のセットは両側α=0.05に基づく。サンプルサイズを算出し、2サンプルt検定を呈する。表8を参照。
【0378】
【表8】
【0379】
計画の全体的な重要性に対する非営利的な考慮の影響
【0380】
PDは、黒質線条体のドーパミン作動性ニューロンの損失を特徴とする。ニコチン受容体は、線条体および脚橋被蓋核において位置する。これらは、ドーパミンの放出を調節する、リガンド依存性イオンチャネルである。これら受容体は、ニコチンおよびアセチルコリンによって刺激される。ニコチン受容体亜型は、主に、ドーパミン放出を調節するドーパミン作用性末端に局在化される。ニコチンは通常、多数の受容体が身体全体にわたって存在するnAChRにて作用することにより、その効果を発揮する
11。ニコチンの抗運動障害効果に関連する受容体を理解するための方法として、多くのnAChR亜型アゴニストが診療所において検査されたが、いずれも、LID(以下を参照)の処置に効果は見出されず、歩行、バランス、および担当に対して何の効果もなかった。
【0381】
科学的な観点から、2パルス(合計1日4回のパルス)でのLIDの処置の成功により、時間放出剤形のニコチン製剤は、歩行、姿勢安定性、転倒、およびLIDの根幹をなす機構に対する新たな見識をもたらす。これはLIDのより正確な評価をもたらすことができ、より重要なことに、LIDを減らすことに加えて、転倒を減らし、かつ、PD患者のケアにおける合併症の年間医療費として270億ドルを超える金額に対処する、安全で有効な薬物を取得できる。
【0382】
ニコチンは長年にわたり、処方箋なしで購入できる薬物製品として入手可能であった。加えて、広範な事例証拠により、多くの神経学者が、PDの処置におけるニコチンの有用性を確信している。
【0383】
市場分析
【0384】
PD研究の重大な必要性の最終勧告としてアメリカ国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)議会78に提示された最優先事項は、PDのL−dopa耐性特徴に対する有効な処置を開発することである。これらは、転倒を引き起こす、ジスキネジア、歩行、および姿勢不安定性などの運動症状を含む。米国には、約150万人のパーキンソン病患者がいる。転倒に関連する損傷は、苦痛および経済的損失両方の観点から、PD患者を悩ませる。50−70%のPD範囲における年間転倒発生率、および再発性転倒は、身体障害の主な原因である。結果として生じる自立性の損失、および処置のコストは、実質的に、年間270億ドルと推測されるPDのヘルスケア支出に追加される
79。このコストは、集団が年齢を重ねるにつれ、今後数十年で実質的に高くなる。転倒の減少において費用対効果の高い介入は、地域社会全体に対する主要な利益をもたらすことになる。第3相登録試験において、NC001(レボドパへの添加時)での処置が、ジスキネジアの軽減に加えて、歩行や姿勢安定性を改善し、転倒を減らすかどうかを判定する。LIDの発生は、レボドパでの処置の投与量と持続期間、および、疾患の重症度と持続期間に関連すると考えられる。加えて、より若い年齢でPDを進行させた患者は、LIDの発症と速度がより早くなる
66。PD患者の数、および、上記の基準に述べられるような歩行、姿勢不安定性、ジスキネジア問題、および転倒に悩む患者のパーセンテージに基づいて、米国には、このような問題や、その他L−dopa関連の運動症状を抱える約750,000人のPD患者が存在すると結論を下した。国際的に、潜在市場は米国市場の少なくとも2倍である。
【0385】
医師の行動:
【0386】
ニコチンは現在、禁煙を補助するものとして多くの形態で入手可能である。これらの製品は通常、渇望を永続的に防ぐために一定期間にわたりニコチンの効果を維持するように製剤される(研究戦略を参照)。これらの製品(パッチおよびガム)は通常、渇望を永続的に防ぐために、ニコチンの持続的かつ連続的な血液レベルを送達するように製剤される(
図3)。このように使用されるニコチンは、結果として受容体の脱感作をもたらし、かつ、耐性と依存性を引き起こすため、PD関連の歩行障害に対する利益を維持することができない。ニコチン耐性は、薬物がLIDの処置において効果的になるのを妨げる場合があり、NC001は、具体的にはニコチンが次のパルス前に少なくとも4時間にわたり脳にほぼ存在せず、故に受容体が脱感作されるのを妨げるように、薬物の短期間パルスをシステムに提供するように設計される。NC001は、4つのパルスを6時間別々に配達して、徐放性の投薬によって、特にこのプロファイルを達成する。我々の検査において、これは、ニコチンに対する耐性の構築を回避すると示され、患者が治療を中止したときには依存性に関する指標はなかった。これらの特質は、PDにおける歩行、姿勢不安定性、ジスキネジア、および転倒の減少の処置に対する成功的なニコチン生成物を製剤するのに重要なものであり、長年にわたり使用されている。
【0387】
パーキンソン病(PD)における転倒を防ぐためのニコチン製剤の開発
【0388】
試験の主要な目標は、脱感作を誘発する可能性をさらに減らし、4〜2x/日の投薬に取り組むことで患者の遵守を増大させることになる、ニコチン(NC001)の時間放出製剤を検証することである。この時点で、放出製剤は、処置において執着を特に促進する、重要、現在40−60%ものPD患者がL−dopaの3−4x/日の投薬レジメン投与計画を忠実に守らないと仮定して、特に重要な処置における固守を奨励する。
【0389】
ニコチンのパルス投与はLIDの処置に重要であった。薬物投与の遵守は、PD患者にとって重要な問題である。40−60%ものPD患者が、処方された薬剤を摂取しない。それゆえ、薬の投与を単純化し、かつ、かなり高い割合の遵守をもたらす薬物送達の方法を開発することが、不可欠である。ニコチンの第2相臨床試験前に、ニコチンの安全性プロファイルを改善して、脱感作を誘発することなく持続効果を維持するだけでなく、遵守を保証するために1日2回の修飾用量の製剤を開発する必要性に対する認識が欠如していた。
【0390】
2回の投与で計24mg/日を送達する、ニコチンの2パルスの時間放出製剤は、必要とされる曝露および血液プロファイルを提供し;最大の有効性、安全性、および遵守を確保しつつ、受容体の脱感作および耐性の構築を回避する。
【0391】
後述におけるヒトへの研究は、ニコチンには有意な抗LID活性があるが、より重要なことに、ニコチンはPD患者の転倒に関連する歩行障害に関連する症状を大幅に減少することを確認している。
【0392】
予備的研究
【0393】
LIDおよびPD関連の歩行障害に対する潜在的な治療剤としてニコチンを研究するための論理的根拠:転倒およびジスキネジアを減少するためにニコチンを使用する論理的根拠は、1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6テトラヒドロピリジン(MPTP)によりパーキンソン病を付与されたげっ歯類およびサルでの研究から生じる。このモデルにおいて、経口投与されたニコチンは、ニコチン性アセチルコリンエステラーゼ受容体(n−AChR)の後シナプス刺激を介してLIDを減らした。この観察を通じて、LIDを抱えるPD患者への研究が行われた。n−AChRに関する問題は、ニコチンへの連続暴露により急速に脱感作され、一旦脱感作されると、反応性をなくすことである。これにより、特にニコチンパッチを利用する連続暴露からの退薬症状が引き起こされる場合がある。ニコチンは急速に吸収され、半減期が短く、かつ、急速に除去される場合がある(ニコチンの吸入時には早すぎる場合もあり、この経路は不適当となる)。ゆえに、臨床試験において、薬剤が先のパルスの血液から除去された後に経口的に投与されたニコチンの短期間パルスをもたらす、投与レジメンを使用した。1日2回の薬物(4回の短パルス)で経口投与されるニコチンには、ピーク効果がある。薬物の大半は、(各パルスにおいて)1時間以内に放出さえ、残存する薬物は受容体を脱感作する。この結果、少なくとも4時間にわたり脳にニコチンがなくなり、ニコチンへの連続暴露をもたらすニコチンパッチと共に生じるように、受容体の脱感作を妨げる。
【0394】
ニコチンは、げっ歯類と霊長類のモデル両方のLIDを減らす。
【0395】
ニコチンの抗運動障害の可能性を調べる最初の根拠は、動物様式での研究からの初期の基礎研究発見から生じた。ラットおよびマウスにおいて、経口適用、注射、および遅延放出ミニポンプを含む様々な方法のうちいずれか1つにより投与されたときにニコチンはLIDを減らし、経時的にその効果は減少しなかったことが分かった
12−14。また、ニコチンが、パーキンソン病のサル、すなわちPD29に観察される運動欠損を最もよく模倣する動物モデルのLIDを減らしたと確証されると、重大な発見が生じた。ニコチン(すべてのニコチン受容体に結合し、それを活性化する)は、結果としてパーキンソン病を悪化させることなく、サルのLIDの60%の減少をもたらした
12,15(
図4と
図5を参照)。この減少は数カ月間持続し、耐性または効果の損失はなく、副作用は検出可能されなかった。
【0396】
どのようにしてニコチンは、PD関連のLID関連の歩行およびバランス症状の処置に対してヒトに安全かつ効率的に投与できるのか。
【0397】
神経生物学的機構の基礎的なLIDは、あまり理解されていない。広範な試験は、ニコチンコリン作動性受容体(nAChR)を含む多数の神経伝達物質系に関係していた
7,16。基底核におけるニコチンのコリン作用性およびドーパミン作用性のシステムの組織化と機能には、広範な重複が存在する
18。ニコチンは、ドーパミン放出に影響を及ぼし、かつ動物のドーパミン関連運動行動を変更すると知られている。ニコチンはジスキネジアの動物モデルに有効できるという所見は、ニコチンの臨床的使用のための経路を考慮するための第一歩にすぎなかった。ニコチンは安全に投与するのが難しく、研究では、むしろ高投与量かつ持続投与量のニコチンが神経保護に必要であると示唆されている。診療所においてニコチンの使用方法を特定することと平行して、この分野は、ニコチン受容体の生物学に対する理解の中で実質的に進展した。nAChRでの主な困難は、ニコチンへの連続暴露により急速に脱感作されるようになるというものである。NC001は、1日2回の投与、4回の短パルスの送達のために設計され、および受容体を脱感作しない、ニコチンの新規な経口製剤である。ニコチンの他の製剤(パッチなど)は、ニコチンの持続かつ連続的な血液レベルを送達するように製剤されており、これは受容体の脱感作を引き起こすものである。一旦脱感作されると、これら受容体は、アゴニスト薬物に対する反応性を失い、加えて、すべての受容体が同じ速度で脱感作されるわけではなく、例えば、心臓の受容体は脳より遅く脱感作される場合がある。これにより、ニコチンでの連続的な処置から、安全性、中毒、および退薬症状に関する多数の問題が生じる。脱感作を回避する方法で分子を送達することが重要であった判断した(
図3を参照)。
【0398】
ニコチンは、禁煙を補助するものとして多くの形態で入手可能である。これら製品は通常、渇望を永続的に妨げるために、ニコチンの持続かつ連続的な血液レベルを送達するように製剤される。ニコチンには耐性および依存性を引き起こす可能性があるが、これは短期処置として規定されるので、さほど問題にならない。それゆえ、ニコチンは、複数の異なるタイプのドーパミン作用性治療薬で処置を受けているPD患者に安全に投与できること、および、投与量は、耐性および依存性を引き起こすことなくLIDを有効に処置するように送達されるものと見出すことができることを、確立するのが重要であった。
【0399】
PD患者におけるニコチンの臨床検査
【0400】
論理的根拠:我々の第2相臨床試験に対して
図3に示されるデータを考慮すると、具体的にはニコチンが次のパルス前に血液システムから除去されるように、システムにニコチンの4回の短期間パルスを提供する薬物送達の方法が必要であった。幸運にも、経口送達されたニコチンは急速に吸収され、半減期は非常に短かった
23−25。呑み込まれ、急速に吸収され、約2時間以内に実質的に除去可能な経口製剤を開発することにより、この特性を利用しようと努めた。投与間のタイミングは6時間であり、これは、AChR受容体機能を脱感作しないように各投与量を除去するのに十分な時間であった。また、この投薬方法は安全性プロファイルの改善をもたらす場合があると、仮定した。最後に、6時間毎に提供される製剤は、最適な市販の製剤である可能性は少ない一方で、ニコチンの短パルスがPD患者において臨床的に効果的であり、かつ、数週間にわたる投与量の上方調整を可能にするという仮定を検査するのに十分なものであることが認められ、薬物を安全かつ効率的に送達する方法が確立された(製剤、臨床試験物質、および安定性試験の詳細に関する添付IND Module 2.3PQOs CMCを参照)。後述のように、我々の試験は、この仮定が正しいことを証明した。
【0401】
PDおよびLIDを抱える患者の第2相ニコチン研究
【0402】
臨床試験の説明と、安全性の結果
【0403】
この研究を、IND#105268の下で、LIDの処置用のニコチン(NP002)のための規制当局の承認を支持する2つの研究の1つとして使用されるように設計された、多中心、プラセボ対照、安全性、耐容性、漸増投与量、および探索的な効果研究として行った。特発性PDを抱える被験体におけるニコチンの安全性および耐容性を、10週間6時間毎に送達されるニコチンの漸増投与量を使用して、有害事象(AE)、安全性、研究所検査、身体検査、心電図(ECG)、バイタルサイン、衝動抑制の評価、ニコチン退薬症状、および原発性パーキンソン病の症状における変化によって評価した。PDにおける歩行、バランス、およびジスキネジアを評価する統合ジスキネジア評価尺度(UDysRS)、半定量的評価、FDA有効器機を用いて、効果を測定した。様々な臨床的部位からLIDを抱えているためレボドパを受けている、ニコチンを受けていない計65人の患者を、無作為化した。スクリーニングの後、患者を無作為に割り当てて、盲検様式で1日4回、1:1の比率でニコチンまたはプラセボを経口投与した。投薬は、6時間毎に1mgで行われ、1日に24mgの最終投与量となる。1日に少なくとも16mgの総一日量に耐容性があった患者は、研究を継続した。プラセボ群の6人の患者、およびニコチン群の5人の患者は、軽微かつ可逆的な副作用のため、研究を中止した。
【0404】
被験体を4週間、24mg/日で維持した。その後の減少段階(計2週間)、すなわち訪問4(10週目)の始めは、9日間の薬物減少、および訪問5(最後の安全性訪問)の前5日間の薬物中止で構成される。全ての被験体に対して、安全性訪問の1週間後と2週間後に、追跡のための電話を行う。16mg/日に耐性はあるが、吐き気や嘔吐により24mg/日では耐性がない被験体は、調査者の選択時に、16mg/日の投与レベルにまで落とすことを認められた。他の下方滴定は認められなかった。重要なことに、計65人の被験体(35人はニコチン群、30人はプラセボ群)を無作為化し、48人の被験体(25人はニコチン群、23人はプラセボ群)が研究を終えた。無作為化の後、17人の被験体に研究を中止させた(10人の被験体はニコチン群、7人の被験体はプラセボ群)。どの被験体も、研究薬物を摂取する前に研究を中止されなかった。中止する最も一般的な理由は、AE(n=11;6人の被験体がニコチン群、5人の被験体がプラセボ群)、およびプロトコル違反(n=4;2人の被験体がニコチン群、2人の被験体がプラセボ群)であった。加えて、衝動や退薬症状に関する問題はなかった。重要なことに、UPDRS Part IIIも、Hoehn and Yahrの尺度も、研究中に何の悪化も示さず(かつ、僅かな改善を示す)、パーキンソン病症状は悪化しなかったことを実証した。それゆえ、ドーパミン薬剤で処置されていた、ニコチンを受けていない患者にニコチンを投与するための、安全で耐性が十分な方法を確立したことは、明らかであった(添付CSRを参照)。
【0405】
第2相臨床試験の効果の評価:ニコチンは、6時間毎の投与による、歩行、姿勢安定性、およびLIDの処置に効果的である。
【0406】
ニコチンは、すべての患者および医師による効果の評価においてプラセボよりも優れており、歩行、バランス、およびジスキネジアの減少の統計的有意差を達成した。プラセボと比較したときのニコチンの好ましい統計的有意差は、ジスキネジア身体障害(UDysRS part 3)および歩行(歩行およびバランスの改善を示す)、Lang−Fahn Activities of Daily Living(LF−ADL)尺度、およびPatient Global Impression−Change(PGI−C)尺度に対する応答者のパーセンテージにおいて確認された。訪問4(10週目)では、LF−ADL応答者(ベースラインから≧25%の減少を伴う被験体)の数において、処置群間で統計的有意差があった(p=0.0453)。加えて、訪問4(10週目)では、PGI−C応答者(1、2、または3のスコアを伴う被験体)の数において、処置群間で統計的有意差があった(p=0.0048)。プラセボ群における9人(37.5%)の応答者に比べて、ニコチン群においては21人(77.8%)PGI−C応答者が存在した。この応答を裏付けると、訪問4では、PGI−C尺度の異なるカテゴリー(1から7)にある被験体の数において、処置群間で統計的有意差があった(p=0.0230)。重要なことに、姿勢、歩行、およびジスキネジアを評価するよう設計された尺度はすべて、数的および/または統計的有意にプラセボより優れていた。加えて、UPDRSを使用して、ニコチンがPD症状の悪化を引き起こさなかったことを実証した。実際、プラセボに比べてニコチンが好ましい傾向が存在した。それゆえ、6mgのパルス投与(6時間毎)で送達されるニコチンは、LIDの処置に効果的かつ安全であり、脱感作を誘導しないことを、確立した。
【0407】
臨床検査の概要:要するに、ニコチンを送達するこの方法は、患者が治療を中止したとき、ニコチンへの耐性(脱感作)および依存性の構築を回避する。これは、PDに関連付けられる歩行障害、およびLIDの処置に、完全かつ効果的である。
【0408】
ニコチンは、患者および医師による効果の評価すべてにおいてプラセボより優れていた。ニコチンは、UDysRSの歩行サブ検査においてプラセボよりも統計的に優れており、このことは、歩行および姿勢安定性の改善を示している。これが、線条体および脳幹(脚橋被蓋核)におけるコリン作用性機構を介して歩行および姿勢安定性における主な改善によるものか、または、LIDの減少に付随するものなのかは、現時点で不明である。このことにより、6mgのパルス投与(6時間毎)で送達されたニコチンが、転倒を経験する可能性がより高いLIDおよび歩行障害を抱えるPD患者に使用するのに、安全かつ十分に許容される薬物であるという結論を下した。
【0409】
方法:この提案の全体的な目標は、転倒につながる歩行およびバランス異常の調節に対するPD患者の臨床試験に使用するための第2相臨床試験において有効であると以前に示されている、ニコチンの経口製剤の時間放出製剤を開発することである。
【0410】
論理的根拠:ニコチンの生物薬剤の特性は、投薬製剤の改善に向いている。ニコチンは遊離塩基として、および様々な塩形態で利用可能である
26。酒石酸水素ニコチン二水和物塩は、生理的pH範囲にわたって水性培地において自由に可溶性であり、医薬品等級の物質として市販で入手可能である。ニコチンは、皮膚を含むヒト組織を介して吸収される。これは胃腸管の中で十分に吸収され、経口生物学的利用能は約30%(20%〜40%)と報告されている。これらの高い溶解度および浸透性の特徴により、2−パルスの修飾剤形の開発を進めた。剤形は、6時間間隔で6mgのニコチンの二重パルスを送達する、12mgのニコチン形態である。この修飾されたニコチンの剤形を1日2回経口摂取することは、PDにおける歩行、姿勢安定性、およびジスキネジアの処置に対する成功的なニコチン製品の開発に重要であった。このような薬物は、患者の遵守を大幅に増大させ、PD患者の生活の質を改善するはずである。これは、ファストトラック(fast track)の第1−2相の提案である。
【0411】
第1相:6時間間隔でニコチンの2パルスを送達するインビトロ溶解プロファイルを送達する半透膜で被覆される、様々な多重微粒子の即時放出ニコチン剤形を開発かつ選択する。第2相試験(NCT000957918)において、即時放出ニコチンは6時間毎に投与され、LIDの基準として総合的なUDysRSの改善をもたらした。酒石酸水素ニコチンを含有するカプセル剤の経口投与により、〜90分のT
maxを伴う迅速な吸収がもたらされた。〜6時間(360分)まで、ニコチンの血漿濃度はベースライン付近に戻る。第1相ニコチン製剤は、12時間毎で1日2回摂取される。目標は、この修飾剤形が、ニコチンの塊を即時に放出した後、約6時間後にニコチンの第2の塊を放出するということである。
図11Bは、2−パルスの修飾剤形の単一カプセル剤の投与後の、標的ニコチンPKプロファイルを表す。この目標で生成された原型の製剤を、インビトロ溶解を用いて検査し、理想的な薬物放出プロファイルを
図10に示した。
図10は、即時放出(三角形)および遅延放出(正方形)の薬物放出プロファイルを例示する。三角形で示された薬物放出プロファイルは、溶解の開始1時間以内に完全な溶解を達成する薬物の即時放出を示す。正方形で示された遅延放出成分は、即時放出と同様の放出速度を示すが、初期の薬物放出は約6時間遅れる。
【0412】
第2相、目標2では、第1相で作成された、最大3つの原型の2−パルス修飾剤形、および第2層の目標1で製造したGMPのパフォーマンスを検査する。健康なボランティアにこれらの製剤を投与し、理想的なPKプロファイルは、
図11Aと
図11Bに示されるものと同様である。
図11Aは、単回投与量のニコチンPKプロファイルのグラフを例示する。
図11Bは、2−パルス修飾剤形の仮定上のニコチンPKプロファイルを例示する。
【0413】
上述のように、第1相で生成された剤形を、インビトロ溶解検査を用いて検査した。個々の成分および複合体における所望のインビトロ溶解プロファイルの例を、
図12に示す。
【0414】
ノンパレイルコアは、剤形への薬物層の適用のための基質である。
図7を参照する。コアの均一なサイズと形状は、薬物層の機械的強度、および薬物製品の均一性に理想的なものである。薬物層は、活性な薬物、およびコアペレットへのニコチンを付着させるためのポリマーを含んでいる。ポリマーフィルム層は、薬物製品からのニコチンの溶解を調節する機能的フィルムコーティングである。機能的フィルムコーティングにより、水はコアペレットにゆっくり浸透することができ、この水浸入の速度は、フィルムコーティングの成分とフィルムコーティングの厚みによって規定される。十分に適切なコアペレットの一例を
図7に示す。
【0415】
図10に示される溶解プロファイルからの標的PKプロファイルを、
図12に示す。
【0416】
コアペレット製剤:結合剤としてヒプロメロース(HPMC)、および有機酸改質剤としてコハク酸を含む、酒石酸水素ニコチン二水和物の15%溶液を調製する(薬物の詳細に関しては添付IND CMCのセクション2.3を参照)。この溶液を、20%の固形物の重量増加がペレット剤上で達成されるまで、精密コーティング装置を取り付けた流動層乾燥機を使用して、ノンパレイルシード(nonpareil seed)上に被覆する。コアペレット製剤上の薬物層は、5:3.5:1.5の比率でニコチン、HPMC、およびコハク酸を含んでいる。必要に応じて、代替的なレベルのHPMCまたは結合剤を使用して、ノンパレイルシードへの薬物層の付着の質を改善することができる。最終的な薬物層を施したペレット製剤は、1)ペレットの目視観測、2)標的アッセイ値に対するペレット剤への薬物含量の特徴づけ、および3)各製剤の薬物放出特徴に基づいて選択される。コーティングは、顕微鏡評価の下で滑らかかつ均一でなければならず、これにより剤形の薬物含量の優れた均一性がもたらされる。加えて、追加の機能的フィルムコーティングのための滑らかな基質は、効率的なコーティングおよび許容可能な付着に望ましい。アッセイ値は、標的薬物含量の+/−5%以内でなければならない。視覚アッセイとアッセイ検査の両方は、製造工程の品質の指標である。薬物放出はコアペレットから急速に行われねばならず、15分で85%を超える標的が溶解される。
【0417】
即時放出粒子製剤:このコアとなる薬物充填ペレットは、外観のためにOpadryなどの即時放出ポリマーで被覆され、複合剤形の即時放出成分として使用される。Opadry粉末は、複合薬物製品のための即時放出組成物を製造するべく、コアペレットへの適用のために約10%の懸濁液として再構成できる。この懸濁液は、上述のような精密度コーターを取り付けられた流動床乾燥器を使用して、コアペレット製剤上に被覆される。このコーティングは、透明、白色、または外観のために選択される他の色でもよい。
【0418】
修飾放出粒子製剤:遅延放出ペレットに関しては、コアとなるペレットの別個の集団はさらに、別個の機能的なポリマーフィルムコーティングで被覆される。Eudragit RSの水性分散液は、6:1:3の比率で粘着防止剤として機能する可塑剤としてクエン酸トリエチル、およびタルクで調製される。この分散液は、約70%の全固体の重量増加にまで精密度コーターを取り付けた流動層乾燥器を使用して、薬物充填ペレットへと被覆される。最適な重量増加は、フィードバック機構としてインビトロでの溶解を使用することにより実験的に決定される。製剤は、その薬物放出プロファイルに基づき、さらなる評価のために選択される。製剤は、以下により区別することができる:1)薬物の放出を活性化するために製剤に含まれる有機塩の量および/またはタイプ、2)コアペレット上のポリマー製剤の重量増加、3)修飾放出ポリマーフィルムコーティング下で膨張可能な物質の包含、および4)Eudragit RLなどの代替的なポリマー物質。
【0419】
有機塩の量は、水が製剤に進入するのを可能とするためにポリマーが水和する速度に影響を及ぼす場合がある。ポリマー重量増加はまた、水侵入の速度のほか、フィルムコーティングの強度を修飾する役目を果たす。より厚いコーティングにより、水取込速度が遅くなり、かつ、フィルムコーティングの強度が原因で薬物放出が遅延する。膨張可能な物質を添加して、フィルムコーティングへの圧力を増し、薬物放出の速度を速めることができる。他のポリマーを使用して、フィルムコーティングの浸透特徴を修飾することができる。Eudragit RLの追加により、Eudragit RSに対するフィルムコーティングの浸透性を増大させ、水取込速度を増大させ、薬物放出の遅延時間を減らすことができる。これら製剤の物質と条件を利用して、修飾放出ペレット剤からのニコチンの遅延時間または放出速度を修飾することができる。
【0420】
複合体の、多重微粒子薬物製品:即時放出および修飾放出の粒子成分を、小型(#3)カプセルシェルに充填する。遅延時間の長さ、および薬物放出の強度は、コーティング製剤、およびコーティングの重量増加に基づいて調整することができる
28。製剤の評価:初期の製剤開発実験は、小さなバッチサイズ(10−50g/バッチ)と共に小さな実験室規模の設備で行われる。これらのバッチは、実験室またはベンチトップの尺度で製造され、製造の指示と条件はノートブックに文書化される。この材料は、臨床用ではなくインビトロ検査に適している。製剤の原型を、内容物、不純物、用量単位の均一性、およびインビトロ薬物(ニコチン)放出速度の評価を含む、様々な方法を使用して評価する。含水量および微生物含有量などの他の特質を評価する。安定性試験は賦形剤適合性研究により支持できるが、室温(25℃/60%RH)および加速(40℃/75%RH)条件で実際の薬物製品に対し実証される。安定性プログラムは、ニコチン(アッセイおよび関連物質)の物理的安定性、および剤形のパフォーマンス(外観および溶解)を評価する。
【0421】
溶解検査:溶解検査は、即時放出粒子と修飾放出粒子の両方のほか、原型カプセル製剤のパフォーマンスを評価するために開発中に使用される放出速度の評価に関する業界基準である。溶解サンプル濃度は、第2相研究で以前に評価された臨床検査物質の放出および安定性の検査に使用したものと同様の、UV検出を伴うHPLCを使用して測定される(本来の方法に関しては添付のIND section 2.3PQOS Assay, Content Uniformity and Related Substances of Nicotine in Nicotine Capsules by HPLC AC−AM−00337を参照されたいが、より多くの洗練された方法がここで利用可能である)。初期の原型が標的プロファイルを満たさない場合、製剤開発プロセスは、製剤修飾を誘導するために1回目の開発からのフィードバックを使用して反復される。原型の製剤は、絶食状態の胃を模倣するためにpH1.1の希釈HCl培地、同様に、腸状態を模倣するためにpH6.8の緩衝液における、薬物評価について評価される。加えて、主な原型も、シミュレートした腸液(FaSSIFおよびFeSSIF)のほか、摂食状態の胃を模倣するためにpH4.5の酢酸緩衝液において評価される。製剤方法は、培地のpHのとは関係なく実施できるように設計され、これにより、剤形の投与から生じるPKに対する最小の食効がもたらされる。
【0422】
成功のための製剤選択基準
【0423】
修飾放出粒子評価:遅延放出製剤は、最初の放出の6時間後に開始して約30−45分間にわたり、標識された量のニコチンの少なくとも90%を放出する。残り10%の薬物は受容体を脱感作しない。ニコチンは急速に除去されるので、このニコチン投与方法により、少なくとも4時間にわたり脳にニコチンがなくなり、受容体が脱感作されるのを防ぐ。標的目標は、遅延放出製剤中の漏れの量を最小限にし、かつ、一旦放出が開始したときに薬物放出の速度を最大限にすることである。これにより薬物放出の強力なパルスがもたらされ、最初の投与の6時間後に投与される即時放出剤形と同様に実行されることが意図される。修飾放出製剤は、6時間で放出される薬物の量(漏れ)、および、一旦薬物放出が開始すると薬物の全投与量はどのくらい早く放出されるのかにより、評価される。ニコチン濃度は、溶解管から経時的に取り除かれ、かつ、UV検出を伴う高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システム上へとサンプルを注入する、培地のサンプル中で測定される。放出されるニコチンの量は、剤形に充填される標的薬物のパーセンテージとして測定される(すなわち、8mgの全投与量から放出される薬物の4mgは、50%の溶解結果を提供する)。ニコチンの遅延放出製剤のインビトロ溶解パフォーマンスを、
図13に示される決定木に従い評価する。製剤原型はそれぞれ、これらの基準に対して評価され、およびPK研究投薬のために同定され、または溶解遅延時間と放散速度基準を満たすように修飾される。
【0424】
インビトロ溶解検査から評価基準を満たす製剤を、ヒトにおけるインビボ薬物動態検査へと進めた。インビトロ溶解検査は、ヒトにおけるインビボパフォーマンスとは正確に相関しない場合がある。それゆえ、3つの原型の製剤を、初期のPK検査で評価する。これらの製剤は、機能的フィルムコーティングの標的の遅延時間および定性的組成において異なる。膨張可能なポリマーのポア形成および有機酸のレベルは、どの組み合わせがインビボ溶解で最も早いものをもたらすのかを評価するために修飾される。これらの構成要素の相互作用の理解は、臨床試験へと進むための最終薬物製品の原型の設計と選択の鍵となる。
【0425】
GastroPlusモデリング:製剤パフォーマンスの評価と理解に使用可能な他のツールは、GastroPlusである。GastroPlusは、Advanced Compartmental Absorption and Transit(ACAT)モデルに基づく、市販のモデリングとシミュレーション用のソフトウェアプログラムである。これは、インビボの溶解および吸収を含む、製剤のインビボパフォーマンスの理解を提供できる、生理学ベースのPKモデルである。腸壁にわたる能動輸送の影響、運動性の変化、および薬物代謝も、このモデルに含めることができる。モデルはまた、製剤パフォーマンスに対する食物の影響の徹底的な把握のために、摂食または絶食状態の胃に基づいて開発される場合がある。モデルへの入力は、次のとおりである:薬物、物理的かつ化学的な特徴、および製剤溶解速度。IV投薬、経口溶液、または即時放出製剤からのPKデータも、モデルの開発に役立つ。FDAは、出願人のNDAの臨床薬理学的および生物薬剤的なパフォーマンスの評価におけるGastroPlusの使用を積極的に推奨している。
【0426】
第2層の目標1:GMP臨床試験物質の製造:4つの製剤(ニコチン、および第1相で特定された3つの原型の製剤)を、人体研究のためのGMPガイドラインの下で製造する。この作業を、フロリダ州タンパのXcelienceで行う。Xcelienceには、製剤および分析方法の開発のほか、第1相および第2層の研究のためのGMP物質の製造と流通において、20年以上の経験がある。重要なことに、彼らには、ニコチン製剤開発活動に直接関与した経験がある。調査者はXcelienceにて直接作業を行い、同様の剤形製品を流通させた。製造パラメータはさらに、製造設備の規模に対して開発され、これらの実験は実験室ノートブックにて文書化される。
【0427】
インビトロ溶解検査は、常にインビボパフォーマンスを予測するとは限らない。多重微粒子剤形が摂取され、GI管を下って移動すると、ペレットまたは顆粒剤は腸で拡散し、可変的な胃内容排出事象が始まる場合がある。ペレットの小集団が胃を離れて、小腸と大腸に沿って拡散すると、薬物製品の溶解に利用可能な培地のpHや体積を含む、様々な条件にさらされる場合がある。これらの様々な条件により、異なる時間に薬物を放出する多重微粒子物の異なる集団がもたらされ、ボーラスがさらに弱くなる場合がある。この起こり得る効果は、標的間隔(投薬後12時間または18時間)で強力なボーラス放出に対する障害をもたらす場合がある。しかし、一旦ヒトPKデータを備えると、2回目の製剤開発のためにより良いインビボ/インビトロの相関(IVIVC)を発達させることができる。この可能性に対して予算を立てた。
【0428】
標準のヒトボランティアの研究:ニコチンのパルス製剤は、即時放出(IR)成分のほか、6時間の遅延放出(DR)成分も必要とする。両成分(IRおよびDR)の相対的な吸収は、同様である必要がある。これは、GI管中の性質および偏位に左右される。予備データをラットまたはサルから得ることができるが、胃内容排出および腸の偏位/吸収は、ヒトと比較するとラットおよびサルにおいて十分に異なっている。それゆえ、ヒトにおける単純なクロスオーバーPK研究は、製剤のパフォーマンスに関する迅速かつ決定的な情報を提供することになる。1日2回送達される、12mgで2−パルス(各々6mg)の、修飾投薬製剤は、12時間にわたり2つのスパイクを提供することを意図されている。ニコチンの副作用は血漿C
maxに関連する。4回の毎日の投与にわたり全投与量を拡張することで、C
maxは鈍くなり(blunts)、場合によっては副作用の可能性が減る。患者は、睡眠中にLIDに悩むことはめったにないが、おそらくLIDの機構は睡眠中に停止することはない。それゆえ、ニコチンのQ6Hパルスを提供する1日2回のカプセルは、ジスキネジアが最も顕著で無効であり、かつ受容体が一晩で感作されるのを可能にする、覚めている日を含む、合理的な方法である。この研究は、喫煙をしていない12人の正常な健康な男性と女性、現時点で3か月間禁煙中の喫煙者、または、研究期間中にタバコの使用を快く避けることのできる喫煙者における、生物学的同等性の第1相試験である。目標が、交絡因子からの干渉が最小である最高品質データを得ることであるため、健康な正常なボランティアを使用する。健康なボランティアのPK研究は、集団におけるPK研究より優れていると示され、そこでは、一晩の滞在延長が困難であり、遵守率が低い。例えば、病気の被験体は食事を控えるのが困難であり、食物はデータの解釈に干渉しかねない。胃内容排出による効果は患者により異なるので、各患者は自身の対照として行動する。
【0429】
研究設計:即時放出および2−パルスの修飾剤形の比較用PK/生物学的利用能:
【0430】
強度/形態:
A)即時放出(IR)6mg q6h×4の投与量。
B)2−パルスの修飾剤形(PR)12mgの原型形態1 q12h×2の投与量。
C)2−パルスの修飾剤形(PR)12mgの原型形態2 q12h×2の投与量。
D)2−パルスの修飾剤形(PR)12mgの原型形態3 q12h×2の投与量。
各被験体は、次の期間に入る前に最低3日間のウォッシュアウト時間を有している。制限の時間は、1日目から2日目の午前に至るまでを含む(各期間において2回の就寝)。
【0431】
安全性:安全性評価は、スクリーニング、最初の投与前のバイタルサインと身体検査、ECGおよび標準臨床実験質検査を用いて、研究に参加する全被験体が正常かつ健康であることを保証にすることに、焦点を当てている。研究中、被験体のレベルが各期間の開始時、および5回目の期間の終了時に正常範囲内にあることを確実にするためのPKサンプリングからの大量の血液量により、ヘモグロビンに細心の注意を払う。
【0432】
PKサンプリング:PKスケジュールは各期間で同一であり、以下のとおりである:事前投与量(0時間)、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、10、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、16、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、22、24。
【0433】
無作為な割り当て
【0434】
分析アッセイ&統計分析:分析物:生物分析能力の組み合わせには、当該技術分野での大域的プラットフォーム上での最も敏感なニコチンアッセイ(LLOQ 0.2ng/mL)を含む、方法の開発、方法の移行、およびアッセイの広範な概略が含まれる。
【0435】
一旦定量されると、血漿または血清中のニコチン濃度は、記述的統計を使用して、各時点で処置により要約される。個々の被験体それぞれの濃度対時間のプロファイルを、非コンパートメントPK方法を使用する処置により分析し、対象のPKパラメータを導き出す。主な対象は、24時間の投薬期間全体にわたる、および4つの6時間間隔の各々(0−6時間、6−12時間、12−18時間、および18−24時間)以内の、ピーク(C
max)曝露および全体の全身曝露(AUC)である。曲線の形状を、他の様々なパラメータに加えて比較する。測定される追加のパラメータとして、以下が挙げられる:ピークまでの時間(T
max)(全体で24時間、およびそれぞれ6時間間隔内)、24時間間隔にわたる最小濃度(Cmin)、および半減期(T1/2)。曝露パラメータは、2つの片側の同等な方法に従う分散分析(ANOVA)によって、統計的に比較される。結果は、提案された修飾放出ニコチンレジメンの各々と即時放出製剤との比較のためのパラメータ値の幾何平均比率として提示され、平均における差異について対応する90%の信頼区間が含まれる。重要なことに、チームには、前臨床および臨床設定でのニコチンの使用の広範な専門的知識、およびPKデータの解析における専門的知識がある。
【0436】
成功の基準:第2相の成功のベンチマークは、患者に1日2回提供可能であり、かつ、第2相研究に使用されるニコチンの即時放出投薬レジメンとほぼ同一のPKプロファイルを送達する、ニコチンの製剤の識別である。曲線は、統計的出力の検討に加えて視覚的に比較される。生物学的等価研究における「標的」PKプロファイルは、ヒト血清、血漿、および尿に対してLC−MSを使用して同定できる。PKは、C
max、T
max、AUC0−24、Cmin、およびT1/2を含む全24時間の投薬間隔内で、および、C
max0−6とT
max0−6とAUC0−6、C
max6−12とT
max6−12とAUC6−12、C
max12−18とT
max12−18とAUC12−18、C
max18−24とT
max18−24とAUC18−24を含む、各6時間の「パルス」投与内で検査される。4つの検査パルス製剤の各々の2回の投与からのニコチンへの即時および遅い曝露は、対応する暴露パラメータについて6時間間隔および全体の各々においてIR基準製剤の4回の投与に比べて、評価される。他の計算を使用して、6時間毎に投与される4つの固有のIR間隔から綿密な(close match)暴露が存在するかどうかを判定できる。例えば、データに基づいて、デフォルト生物学的同等性(BE)基準(「同一」プロファイルに対する)、または、検査形態1、2、3、または4と、(0.80および1.25)の標準のBE境界内に含まれるIR製剤との間の各時間対応C
maxとAUCの比較のための幾何学的最小二乗手段(GMR)の比率周囲の90%の信頼区間(CI)などの別の予め指定された基準(「類似度」プロファイル)のいずれかを使用して、各間隔内の類似度を評価するほうが、適切な場合もある。しかし、より広域のCIは、予期される安全性および効果から正当なものと考慮される場合がある。すなわち、成功を、IR暴露の±30%以内の4つの間隔の各々におけるピークおよび全体の暴露と定める場合(間隔は一致)、(0.7と1.43)。加えて、各検査製剤からの薬物放出の2パルス、即時放出パルス、および6時間の遅延放出パルスを評価しているので、早いvs遅い放出特徴は、相対的なT
max値(例えば、遅い放出のT
maxとして、AMとPM両方の投与の組み合わせ(T
max6−12およびT
max18−24)vs所定の製剤の早い放出(T
max0−6およびT
max12−18))の非母数比較を用いて、各検査製剤内で比較される。
【0437】
実施例13.パーキンソン病(PD)における歩行、姿勢安定性、ジスキネジア、および転倒の減少に対する、中央コリン作用性アゴニストNC001の効果
研究対象
【0438】
この研究の主な目的は、NC001((以前はNP002)、酒石酸水素ニコチン塩)対ドーパミン作動薬を加えたプラセボでの処置が、ジスキネジアの軽減に加えて、姿勢安定性を改善し、かつ転倒を減らすのかどうかを判定することである。これは、「オン」または「オフ」、または「オンまたはオフ」の期間で、運動障害疾患学会統合パーキンソン病評価尺度(MDS−UPDRS)、および、MDS−UPDRSの選択されたサブ検査の、運動部分における改善を実証することにより、達成される。サブ検査は、「歩行」、「引っ張り検査」、および「すくみ足歩行(FOG)」のサブ検査を含む。これらは、「片足で直立」、「回転」、「つぎ足歩行」、「歩幅」、および「速度」を含む、バーロウ神経学研究所(BNI)Balance Scaleの選択されたサブ検査により補足される24。歩行および姿勢安定性の評価には、これらの半定量的なサブ検査に対する制限があるので、これらの検査は、自宅および診療所での定量的検査によって、補足される。診療所での検査はすべて、IMUを着用する患者に行われる。これにより、「オン」と「オフ」の両期間でのMDS−UPDRSの半定量的サブ検査からの情報を、定量的IMUからの情報と相関させることができる。
【0439】
上記の情報は、Neurocom Equitestを利用する「オン」および「オフ」状態での静的および動的なバランスに関する情報、および、Slip−Simulatorを利用する「オン」および「オフ」状態での実際の転倒の情報により、完成されることになる。Neurocom EquitestおよびSlip−Simulator検査を受ける患者は、IMUを着用することになる。これにより、静的および動的なバランス検査、および実際の点灯検査からの情報を、転倒を予測可能な着用可能センサーの開発目標を伴うIMUからの情報と相関させることができる。
【0440】
診療所での検査は、診療所で利用される同じ無線IMUを利用した3日間のモニタリングを含む、自宅での検査することにより補足される。加速度計およびジャイロスコープを組み込んだIMU技術製品は、歩行、静的・動的安定性、ジスキネジア、およびエネルギー消費を評価する。これは、ジスキネジアと転倒を文書化する、3日間の標準的な日記により裏付けられる。IMUは、現行の方法よりもジスキネジアの重症度および時間発生割合の、正確な評価を提供できる。6か月間のNC001補足は、歩行および姿勢安定性を改善し、転倒を減らし、LIDを減らすことができる。
【0441】
研究設計
【0442】
第2層の単中心、二重盲検、無作為化、プラセボ対照、クロスオーバー、効果、安全性、および耐容性の研究を、提唱する。試験は、(年に2回より多くの)再発性転倒を伴う一般的なPDを抱える40人の男性と女声の患者の標的登録を含む。これら患者の30%である12人の患者には、LIDがある。1:1の比率のNP001またはプラセボを、6か月間盲検様式で、次いでさらに6か月間クロスオーバーの後に、1日4回、経口カプセルとして患者に投与する。補足前に、初期のベースライン評価を行う。その後、研究は、6か月間2か月毎の評価、クロスオーバー、およびその後の6か月間2か月毎の評価で構成される。効果は、Neurocom System、加速度計とジャイロスコープを備えた着用可能センサー、およびSlip−Simulatorを含む、転倒リスクに関連している一連の安定性、姿勢、歩行、および活動の測定器具により測定される。
【0443】
この研究は、歩行、姿勢不安定性、転倒、およびLIDの根幹をなす機構への見識を提供する。これは、LIDのより正確な評価を提供することになる。脳深部刺激などのジスキネジアを軽減する他の手段を研究するのに有用な評価。患者の約30%にはLIDがあり、70%にはLIDがない。患者が「オン」状態にあり、かつ「オフ」状態にあるときにLIDが生じるので、LIDのない患者の70%、および、「オフ」状態にあるLIDを抱える患者の30%において、歩行(IMUにより測定)の改善、静的および動的な姿勢安定性(Neurocom Equitestにより測定)の改善、および転倒(Slip Simulatorにより測定)の減少は、患者すべてにLIDがないと、姿勢安定性の改善および転倒の減少が、(LIDの減少を通じて)NC001の主要効果または副次的効果なのかを確立することになる。このような区別は、転倒の減少対LIDの減少に関して、別々かつ別個のコリン作用性機構を示唆する。これ自体は重要な観察となる。
【0444】
研究集団
【0445】
被験体の数
【0446】
この研究は、姿勢安定性が欠如し、かつ転倒を2年以上経験している、PD(サンプルサイズの決定を参照)を5年以上抱えている40人の被験体を、NC001、または、規則的なPDドーパミン作用性薬剤に加えて同一のプラセボへと無作為に割り当てる、介入的な研究である。すべての患者が、レボドパ/カルビドパを受けることになる。患者は、ドーパミンアゴニストおよび/またはモノアミンオキシダーゼB型阻害剤を含む追加のドーパミン作動薬を受けている場合がある。これらの患者のすべてまたは大半には、反応変動:「ウェアリングオフ」があるかもしれない。患者の一部には、すくみ足歩行(FOG)がある。患者の約30%が、LIDを抱える。
【0447】
包含/除外基準
【0448】
参加者は、バーロウ神経学研究所、セント・ジョゼフズ・ホスピタル・アンド・メディカルセンターのMuhammad Ali Parkinson Center partの患者集団からスクリーニングされる。
包含基準:
・患者は、機関内倫理委員会(IEC)/治験審査委員会(IRB)により承認されたインフォームドコンセントフォーム(ICF)に自発的に署名および日付を記入し。研究への任意の参加前に医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)(または他の適用可能なプライバシー調節)認証を与えられた。
・患者は男性または女性であり、年齢は30歳以上83歳以下である。
・「オン」状態においてHoehn and Yahr重症度分類がII、III。
・過去において2回より多く転倒したことがある。
・Montreal Cognitive Assessment(MOCA)スコアが24以上。
・レボドパ、ドーパミンアゴニストおよび/またはモノアミンオキシダーゼB阻害剤、アマンタジンの安定した、すなわち3か月間不変の投与を受けている。
・患者は歩行可能であり、補助装置の使用あり/なしで10メートル以上歩行できる。
除外基準:
・稀ではあるが疾患の特に初期に多くの転倒をもたらす非定型パーキンソン病を抱える患者。これらは、次のものを含む:進行性核上性麻痺(PSP)、多系統萎縮症(MSA)、原発性すくみ足歩行(PFG)、および大脳皮質基底核変性症。
・痴呆症MOCAが23以下の患者。痴呆症はPDの一部であり、転倒のリスク要因となる場合があるが、PDと痴呆症を抱える患者の半分より多くに、介護者が少なくとも4時間付き添っておらず、すべての転倒を報告するかどうかが不確かである。
・心収縮(20pts)および心拡張(10pts)以上に血圧が低下した患者
・股関節部または膝に整形外科的な問題がある患者、および、股関節部または膝の置換術を必要とする患者。
・統合失調症、統合失調感情障害、または双極性障害を抱える患者。
・幻覚、精神病、または妄想を抱える患者。
・近年に脳卒中または心筋梗塞の履歴のある患者。
・ニコチンまたはニコチン含有製品に敏感であると分かった患者。
・最初の投与前に最低30日以内に、以下の薬剤または物質のいずれかを摂取する患者:ニコチンの任意の形態、研究期間中または予定していた研究薬物の最初の投与の30日以内のシトクロムP450 2A6(CYP2A6)誘導物質または阻害剤、神経抑制薬、抗コリン作用薬(吸入式の抗コリン作用薬、例えばイプラトロピウム、チオトロピウム(tiatropium)は例外)、または覚せい剤
・オンダンステロン(ニコチンの投与の初期に付随する場合がある吐き気の処置に使用)への禁忌によるアポモルヒネ
・ワーファリン
【0449】
研究手順
【0450】
患者は、静的・動的バランスを評価するNeurocom、実際の転倒への反応を評価するSlip−Simulator、および、診療所や家庭での歩行、姿勢安定性、およびジスキネジアを評価する着用可能センサーを含む、歩行、姿勢安定性、および転倒を定量的に評価するための検査を受ける。
【0451】
患者は、ベースライン、2か月目、4か月目、および6か月目に確認される。各訪問時に、患者は、「オン」および「オフ」の検査に加え、血圧のモニタリングを受ける。6か月後の、各患者は自身の対照としての役目も果たすため、NC001を受けた患者をプラセボに変更し、プラセボを受けていた患者をNC001に変更する。クロスオーバー、「ウォッシュアウト」、および再滴定が完了した後、すべての患者が、「オン」と「オフ」両方の状態で評価を受ける。次いで、患者は、2か月目、4か月目25、および6か月目に確認され、初期の訪問はこれまで通り行われる。
【0452】
NC001の投与と滴定
【0453】
パーキンソン病は、黒質線条体のドーパミン作動性ニューロンの損失を特徴とする。ニコチン受容体は、線条体および脚橋被蓋核において位置する。これらは、ドーパミンの放出を調節する、リガンド依存性イオンチャネルである。これら受容体は、ニコチンおよびアセチルコリンによって刺激される。ニコチン受容体亜型は、主に、ドーパミン放出を調節するドーパミン作用性末端に局在化される。
【0454】
1:1の比率のNP001またはプラセボを、6か月間盲検様式で、次いでさらに6か月間クロスオーバーの後に、1日4回、経口カプセルとして投与する。二重盲検の処置位相中、投与を6時間毎に1mgで始め、合計の一日量は4mgとなり、以下のように2週間間隔で上方に漸増される:
2週間にわたり6時間毎に2mg、合計8mgの日用量
2週間にわたり6時間毎に4mg、合計16mgの日用量
その後、6時間毎に6mg、合計24mgの日用量。
吐き気がある場合、オンダンステロンで処置する。
【0455】
患者は、クロスオーバーまでの研究期間(6か月)中に、この投与量を維持される。プラセボを受けている患者はニコチンにさらされていないので、本来の漸増スケジュールを繰り返す。クロスオーバー時の2週間のウォッシュアウト期間は、9日の減少、および5日の薬物なしの期間で構成される。減少は、以下のように3日毎の割合での漸増の反対(reverse)である:
3日間16mg
3日間8mg
3日間4mg
【0456】
検査のスケジュール
【0457】
各訪問時にすべての患者は、転倒の頻度と重症度について質問され
21,23、転倒した場合には電話するよう指示される。すべての患者は、電話をする、しないにかかわらず、週に1回電話を受けて、転倒に関する質問を受ける。診療所では、測定は、「歩行」、「すくみ足歩行(FOG)」、および「引っ張り検査」のサブ検査を含む、「オン」および「オフ」両方の状態でのUPDRSの運動性部分で構成される。測定は、「片足での直立検査」、「360度回転」、「つぎ足歩行」、10メートル歩行後の「歩幅と速度」を含む、BNIバランス検査のサブ検査で構成される。歩幅と速度は、患者の身長に対して補正され、着用可能センサーから算出される。試験は、「オン」および「オフ」状態の患者へのNeurocom Equitestの利用で構成される。Neurocom Equitestを使用して、摂動への反応の測定値である運動制御時間(MCT)を評価する。試験は、「オン」と「オフ」両方の状態におけるSlip Simulator上での歩行と滑りで構成される。診療所での全試験中、患者はIMUを着用する。これにより、半定量的臨床検査からの情報、Neurocom Equitestからの情報、およびSlip Simulatorからの情報を、IMUからの情報と相関させることができる。これは、歩行、姿勢安定性、ジスキネジア、および転倒をモニタリングする単一で単純な着用可能デバイスの開発に繋がる場合がある。
【0458】
自宅では、測定は、加速度計およびジャイロスコープを組み込む着用可能センサーを利用する患者のモニタリングで構成される。これらのセンサーは、歩行、姿勢安定性、転倒、およびジスキネジアに関する情報を提供する。センサーからの情報は、標準的な3日間の日記と関連付けられる。
【0459】
中止
【0460】
参加者は、任意の時間に、何らかの理由により、研究を自由に中止できる。研究者が参加者を研究から除外したほうがよいと判断すれば、参加者は、感謝の印として日割りの保証金を受け取る。
【0461】
分析法
【0462】
歩行、姿勢安定性、および、姿勢偏位パターンと持続期間における病理変化を、健康/転倒リスク状況の指標として使用できる
34,35。着用可能センサー、慣性計測装置(IMU)の使用は、人が原因で起こる歩行/姿勢のタイミング事象のエラーを減らし、現行の研究に十分に適している。3次元モーションキャプチャシステムから得られるものに対する、歩行、および着席状態から起立状態への姿勢移動における、時間事象と偏位段階IMUベースのシステムの併存的妥当性を試験した
35。IMU信号のウェーブレットノイズ除去は、姿勢中心と運動神経に関する臨床情報をさらに提供した、姿勢事象および偏位期間を強調した
36。さらに、IMUは、個体の毎日の動作のモニタリングにおいて効率的に使用でき
36、動作の頻度と強度に関する情報を提供し、歩行と姿勢不安定性のより良い診断、および、自身の生活環境における環境と状況の中での転倒リスクの評価に繋がる場合がある。
【0463】
独立変数:患者を、「オフ」期間(レボドパ/カルビドパを16時間中止)、次いで「オン」期間(レボドパ/カルビドパの通常の午前の投与を受けて1時間後)に評価する。
【0464】
診療所内評価:従属変数:
【0465】
転倒評価:患者の日記を含む、転倒の回数と重症度。
【0466】
MDS UPDRS:MDS−UPDRSの運動部分、歩行、FOG、および引っ張りのサブ検査(質問3.9−3.14)。
【0467】
BNIバランスサブテスト:360度回転
5、片足での直立、つぎ足歩行。患者はまた、10メートルの歩行能力について評価される。歩幅と速度は、着用可能センサーにより判定される。
【0468】
FOGアンケート:MDS−UPDRSのFOG質問2.13、およびFOGのMDS−UPDRS運動サブ検査(3.11)。
【0469】
TUG検査:タイムアップアンドゴー検査。
【0470】
起立性低血圧症状評価の質問1
【0471】
パーキンソン病の感情鈍麻のアンケート
【0472】
UDysRS:統合ジスキネジア評価尺度
【0473】
姿勢安定性:姿勢安定性は、日常生活動作を安全に実施することに寄与する重要なものである。実際、この制御システムの劣化は、転倒リスクの増加に関連付けられる。この研究において、安定性、および起こり得る転倒リスクを規定する評価項目は、揺れ領域(sway area)、安定性、および可能性としてリスクを属する、振動領域などのいくつかの尺度を含む、圧力中心(COP)速度、前後方向、側方揺れ範囲、および、近似エントロピーやサンプルエントロピーなどの様々な非線形測定など、様々な線形測定を含む。姿勢安定性の測定は、静かに直立した状態で行われ、足は正常な位置にあり、患者は、自身の側部にて腕と共に前方を見る。2つの視覚条件が実行される:目を開く(EO)、目を閉じる(EC)。各測定は30−60秒間持続し、各条件に対して3回繰り返される。測定間に3分の休止が提供される。
【0474】
運動制御時間(MCT):Neurocomシステムを使用して、運動制御、または様々な姿勢摂動への反応時間を評価する。姿勢安定性は、バランスおよび配向の目的のために、空間内での全身の位置制御として規定される場合がある
26。姿勢の配向は、身体と体節との適切な関連性を維持する能力であり、動作タスクの目標、および環境状況に左右される。
【0475】
ヒトの姿勢安定性は、前庭、視覚的、自己受容性刺激の入力、および統合型の中央処理によって統制される。筋緊張活動のバックグラウンドレベルは、重力を中和するための特定の反重力姿勢筋において変化する。抗重力筋におけるこの活性の増加は、姿勢緊張として知られる。視覚入力および前庭系は、様々な筋肉の姿勢緊張に影響を及ぼす一方、偏位運動が行われる(例えば、着席状態から起立状態へ)。
【0476】
動作に関連付けられる姿勢調整、先行随伴性姿勢調節(APA)は、中枢神経系(CNS)により事前に用意され、動作中に姿勢安定性への摂動を中和する
32。言い換えれば、自発的な四肢の動きの前に、APAは、四肢の移動に関連付けられる力を不安定にすることを補うことで姿勢安定性を維持し、ゆえに、先の学習に基づいて姿勢要求のための感覚系と運動系を用意する。CNSは、独立しているが関連する筋肉を、筋肉相乗作用と呼ばれるユニットへと組み合わせ、これは、共に作用することで、CNSに対する要求を減らす。高レベルで、動作の安定性を最適化するためにCNSはどのようにしてAPAを管理するのかは知られていないが、低レベルでは、タスクの姿勢要求(起立状態から着席状態、着席状態から横になる、および他の日常活動)により連節された姿勢戦略は、Neurocom Equitestにより定量化され、かつ調べられる場合がある。この測定は、筋神経系の最終反応を示す。多くの研究者が、姿勢安定性を、高齢者におけるバランス、運動制御、および歩行の問題の理解にづけた
26。姿勢不安定性の遅延は、姿勢障害に対してバランスを維持する際の困難さを引き起こし、転倒のリスクを増大させる場合がある。
【0477】
歩行と姿勢の偏位の評価:患者は1分間歩き、二重課題を含む姿勢偏位動作を行う。歩行中のバランス制御と動的安定性に関連する、歩行と姿勢安定性の2つの要因は、安定性を改善する歩行調節を示す二重支持時間とウォーキング速度、および、転倒の増加に繋がる病状を示す長期の姿勢偏位時間である
37,38。加えて、これらパラメータの1つまたは両方の変異性の増加は、特にバランス機構にストレスがかけられると、転倒しやすくなる場合がある。様々な歩行周期にわたる姿勢の二重支持時間および偏位態様を使用して、歩行および可動性の減少を評価する
38。機能的可動性状態の代わりに、歩行速度と姿勢偏位の両方を測定する。歩行速度が選択される。これは、入院へとつながる転倒の独立予測因子であると示されたからである
40,41。姿勢偏位パラメータは重要なものであり、これは、着席状態から起立状態への動作、および臥位から起き上がることは、日常生活に関連するとくに最も一般的な活動であり、日常活動動作の機能的なタスクを最も機械的に要求するものである
42,43。PDを抱える人々は多くの場合、これら偏位中に転倒する。IMUを使用する姿勢偏位のモニタリングを使用して、転倒リスクを評価する。これらの偏位は、「起き上がりの遅さ」、「腕を使わずに膝高さの椅子から立ち上がることができない」である
44。
【0478】
運動変異性の真の構造を覆う場合がある従来の線形ツールを避けるために、非線形の動的解析も、安定性の差、および処置条件に関連する転倒リスクを定量化するのに適用される。
【0479】
動的安定は、局所的な摂動に対する個体の耐性を直接表すために選択され、それは、転倒しやすい成人の独立予測因子であると示されている
45。ゆえに、IMUシステムを使用すると、高精度で個体の転倒リスク特徴を評価でき、かつモーションキャプチャ研究所に匹敵する生体力学的な変化が、測定される。分類化の手順の後、二重支持時間および姿勢偏位期間などの歩行および可動性のパラメータは、後述の方法を使用して算出される。
【0480】
7分の活動中の直立、歩行、および他の様々な姿勢の間のTrunk Gyro−X(屈曲/伸長による胴の角速度)信号が、測定される。sternum TEMPOからの3秒間の歩行データはノイズ除去され、かかとが当たる、およびつま先が離れる事象が、特定される。二重支持時間を、地についている足によるかかとの当たりと、反対側の足のつま先の離れとの間の時間として算出する。胴の垂直加速は、踵が当たる事象の直後に生じる全身のCOMの偏位加速を表す
45。姿勢偏位時間は、初期屈曲期−t1、中間偏位期−t2、および遅い伸長期−t3(姿勢持続期間=全ての段階の合計)を含む。歩行速度は、歩行プロトコル中にIMUを使用して、10メートルの歩行から算出される。
【0481】
自宅での評価(3日連続):従属変数
【0482】
この研究において、着座、臥床、起立、および歩行などの日常生活の活動に関連する可動性特徴を、評価する。加えて、着席状態から起立状態への動作などの姿勢偏位特徴を、自身の生活環境においてIMUを利用して評価する。さらに、活動の強度、エネルギー消費、睡眠の質/動作、および転倒頻度を、IMUシステムを使用して記録する。
【0483】
身体活動:身体的に活動的であるということは、転倒リスクおよび身体障害を制限または予防する方法として徐々に認められつつある。身体活動に関する客観的で正確な情報は、この研究にとって基本的に重要である。事象検出前に、IMU信号は、明確に表示され、フィルタ処理されて、信号からのノイズや人為的な乱れを除去されなければならない。IMU信号は、非定常であり、ノイズ除去を必要とするものであり、非定常信号処理の効率的な技術は、ウェーブレット変換である。ウェーブレット変換は、時間−頻度のスケール面において信号の分解として使用できる。生の、および脱ノイズ化された信号を、測定する。ユーザーに特定された任意のパラメータがない、個体の日常生活に生じる姿勢事象を検出するための強固なアルゴリズムを、展開する。
【0484】
歩行の検出:移動窓中央値(Moving window median)は、ジャイロ−yおよびジャイロ−z上で使用され、歩行閾値が確立される。中央窓は、歩行などの動的事象からの、直立から着座、着座から直立、着座から臥床、臥床から着座といった短い姿勢偏位を排除するのに役立つ。
【0485】
臥床検出:臥床事象は、検出された動的事象が、0.5gを超えるacc−z、および0.5g未満のacc−yを登録するときに分類される。この閾値は、背臥の姿勢で横になっている時のIMUの、敏感なy方向から敏感なz方向への主な重力成分推移として使用される。
【0486】
着座/起立事象の検出:着席状態から起立状態への事象、および起立状態から着席状態への事象は、歩行でも臥床でもないと分類される、動的事象として分類される。これは、歩行と臥床の事象が生じるデータ間隔を較正データポイントにより置き換え、かつ、トランケートされたacc−zおよびトランケートされたジャイロ−xにおける静的閾値を使用するで、行われる。
【0487】
身体活動の評価項目:様々な身体活動を、3日連続で記録される。1日中の動作の非活動(Sedentary)部分と活動部分を記録する(
図14および
図15)。
図14は、異なるタイプの身体活動を含む、7日間の活気を示す。
【0488】
エネルギー消費:慣性計測装置(IMU)はエネルギー消費(EE)を定量化する。IMUは、3軸の加速度計で構成される。データをデバイスに記憶することで、3日間にわたりデータ収集が可能となり、かつ、非臨床環境でデータを捕捉できるので、被験体は、自身の環境で通常の日常活動を行うことができる。被験体は、日常身体活動を測定するためのデバイスの操作と取り付けの方法を指示される。デバイスは、腰回りのベルトに取り付けられた状態で背中に着用され(L5/S1)、身体活動(EEact)のEEが推定される3つの直交軸において1分ごとの加速を提供する。加速の出力、および被験体の身体特徴を利用して、このEEactを推定する(EEact=EE−安静時エネルギー消費量)。個々のパラメータを、各被験体の体質量、身長、性別、および年齢に対して一般化し、その結果、線形および非線形モデルと加速出力の使用により、EE、続いてEEactを予測できる(Chen et al., 1997)。被験体の毎分キロカロリー(4.19kJ/分)における安静時エネルギー消費量(REE)を、個々の身体特徴と予測方程式(1)および(2)によって判定する。
【0489】
【数1】
【0490】
【数2】
【0491】
線形モデル:EEact(kJ/分)を、3つすべての方向(軸)の組み合わせた加速
【0492】
【数3】
に基づいて算出する。V成分は、x軸とy軸から単離された、z軸の加速で構成される。軸を分離する背景にある論理的根拠は、z軸が重力の影響を受ける一方で、他の寸法はこの要因から解放されているという事実による。H成分は、x軸とy軸の二乗信号の合計の平方根
【0493】
【数4】
として定義される。α
Lとb
Lの両方は、線形方程式において回帰母数を表し、kは時間(すなわち、k分のEEact)を含む。
【0494】
【数5】
【0495】
非線形モデル:非線形モデルにおいて、V信号とH信号を、2つの指数パラメータ(p1とp2)により適用することで、EEactと身体加速との非線形関係を判定する。これを測定したEEactと比較することで、エラーを判定し、最適化因子として使用することができる。さらなる情報は、Chen et al. (1997)の研究を参照されたい。
【0496】
【数6】
【0497】
最後に、エネルギー消費は、METレベルに従って分類され(軽度、中程度、活発、および非常に活発)、その日にわたる活動レベルを項目化する(
図16)。
図16は、軽度、中程度、活発、および非常に活発な活動などの、様々な活動を含む7日間に関連付けられる活動レベルを示す。
【0498】
睡眠運動:不十分、または質の悪い睡眠は、嗜眠状態、および、転倒リスクを増大しかねない集中力の低下をもたらす場合がある。睡眠運動は、夜の休息に関連する動作情報を測定し、かつ分類する。動作強度を使用して、夜の休息中の偏位を識別する。各偏位の中で、規模および平均速度を、胴の傾斜の変化を用いて算出する。動作時間中の平均動作強度を算出して、例示する(
図17)。夜の休息検出、起床、および睡眠中の異なる姿勢を、定量化する。
図17は、睡眠に関連する様々な活動を示す。
【0499】
すくみ足歩行(霧):FOGの客観的特定のために、脛骨IMUを利用するMoore et al.
46により提唱された、FOG指標を使用する予定である。すくみ足歩行指数を定義するために、FOG中に3−8Hzの周波数帯域にある脚の動きの信号エネルギーにおける大幅な増加を探索する
47。左の脛骨の垂直で線形の加速度の、6秒間隔でのパワースペクトル解析を使用する。時間tでのFOG指標は、運動帯域(0.5−3Hz)におけるスペクトル下面積の二乗で割られる、「麻痺」帯域におけるデータ(時間tにて集中)の6s窓の指数スペクトル下面積の二乗として定義される。閾値を定めるために、個々の較正を使用する。
【0500】
統計の声明
【0501】
MDS UPDRSスコアを使用した、必要なサンプルサイズの評価は、非転倒者と頻繁な転倒者とを区別することに関連付けられる、有意な効果における変異性の推定から生じる
51。指数計算は、高確立で2つの群間のパラメータ差を決定するほど十分大きなサンプルサイズに焦点を置くことにより、ここで実行される。標準の両側t検定の利用:
【0502】
【数7】
ここで、dは非中心的位置パラメータ、または、AとBの平均間の距離の測定値であり(13.4):
【0503】
【数8】
ここで、sは、MDS UPDRSスコアの分布の標準偏差であり(最大SD=12.6)、nは、各群の被験体の数である。a=0.05と特定すると、15人の患者(クロスオーバー設計における)は、0.05のI型エラーおよび<0.20のII型エラーのリスクを伴う、歩行と姿勢のスコアにおいて特定された差異を検出するのに十分でなければならない(指数>0.80)。除外基準を考慮して、20人の参加者のデータを集める。
【0504】
群の割り当て:研究助手は、任意の評価に関与するものではなく、参加者を処置群またはプラセボ群に割り当てる。選択バイアスをさらに制限し、かつ群が可能な限り同一となることを確認するために、適応性のある試験を利用し、それにより、ベースラインレベルの広がりを確立した後に、層化と無作為化を定める。被験体を、2つの群の一方に割り当てる。
【0505】
遵守の保証:様々な工程は、処置手順が追従されることを保証する。まず、補足物を各診療所訪問時に被験体に分配し、その後の診療所訪問時に集める。次に、補足物のそれぞれの分配と収集の後に、研究助手がフォームに署名する。最後に、PIがフォームを調べて、遵守を監視する。従わない場合、参加者は、試験を完了する、および/または実験プロトコルを終える選択肢を与えられる。
【0506】
データ処理および統計的考察:主要評価項目は、引っ張り検査、片足で立てる能力、および安定性の測定(姿勢の揺れ、運動制御時間、および動的安定性により定められる)である。副次的評価項目は、転倒リスクの判定時の対象の従属変数に関連する。
【0507】
PIは、検査の技術的成功を確かなものにするために、参加者のデータを使用して全診療所訪問後に結果をモニタリングする。中間解析によるI型エラーの増加の問題を回避するために、必要なp値への補正を適用する。すべての統計的比較のために、通常は分配されないデータに対して変換を使用し、正常度の極端な違反が発見された場合にはノンパラメトリック検定法を利用する。分散仮定の均一性が違反された場合は、変換を適用する(ルビーン検定)。多数の追跡比較の補正を、ボンフェローニ補正を使用して行う。
【0508】
検査の特定の目標および最適な投薬:線形混合効果モデルを、長手方向測定すべてに実行する。加えて、反復測定分散分析も実行する(脱落者がいない場合、および追加の感度分析として)。エンドポイント評価に関連付けられる測定を、最終モデルに使用する。主要エンドポイントは、検査の任意のバッテリーにおけるp<0.05のレベルに基づく。
【0509】
成功のベンチマーク:試験の最初の3週間は、ベースライン条件の評価、および評価者の信頼度の確立に専念する。査定人の訓練は比較的簡潔(straight−forward)でなければならない。なぜなら、全評価項目が経験的に検証され、十分に発達した方法/指示、およびスコアリングシステムが備わっており、高い評価者間の信頼度の可能性を増大させるからである(Chohen’s Kappa)。次の6か月は、処置効果を検査するための試験で初期に実行された中間解析による、被験体の結果の評価に費やす。目標20人の参加者登録を達成するために、毎週動員目標を確認し、動員の努力が、目標登録の達成に必要な割合を10%下回った場合、研究チームは施設の追加について議論する。
【0510】
有害事象
【0511】
処置中に、介護者は、任意の問題または有害事象に遭遇したかどうかについて、アンケート上で報告する。診療所訪問時に、研究看護士は、問題または有害事象について問い合わせる。加えて、血圧と心拍数をモニタリングし、文書化してから検査を行う。有害事象が生じた場合、有害事象のタイプ、有害事象の程度(例えば、軽度/重度)、および有害事象が処置に関連するかどうかについての説明を含む、有害事象のフォームに記入する。各有害事象は、相談を受けて患者の補足を停止または中止すべきかどうかを判断するPIと共に議論される。重篤有害事象が生じた場合、事象、強度、入院が必要な場合には事象の結果(例えば、回復/進行中)、および取られた行動を説明する、特別な重篤有害事象のフォームに記入する。重篤有害事象が補足に関連すると評価された場合、PIとIRBは、さらなる判定が安全性に対して行うことができるまでに、試験全体を停止すべきかどうかを判断する。
【0512】
実施例14:NP002は、パーキンソン病(PD)を抱える患者の転倒およびすくみ足歩行(FOG)を減らす
方法
【0513】
特発性PDおよびレボドパ誘発性ジスキネジア(LID)を抱える計65人の患者を無作為化した。患者の人口統計を表9に要約する。患者は、特発性のPDの診断を受け、Hoehn&Yahr重症度分類II−IV内にあり、一方でピーク「ON」状態(治療域におけるレボドパ)にあることを要求された。患者は、UPDRSのPart IIの質問32と33、かつ≧26のMini−Mental State Examinarion(MMSE)スコアにより判定されるように、起きている日の少なくとも25%にわたり中程度〜重度の障害LIDを抱えていなければならない。非定型パーキンソンの障害、事前の脳深部刺激(DBS)、不安定狭心症、心室性不整脈の履歴、または活動的な消化性潰瘍、または統合失調症、分裂情動性障害、または双極性疾患の履歴のある患者を、除外した。積極的にたばこを吸った患者も除外した。
【0514】
【表9】
【0515】
研究期間は17週間であった。NP002またはプラセボによる10週間の積極的処置、偏位期間、および処置後期間。コンピュータ生成プログラムを使用して、PD患者を1:1の比率でNP002またはプラセボのいずれへと無作為に割り当てた。薬物、または外観およびパッケージにおいて同一のプラセボを、盲検様式で1日4回経口投与した。レボドパが治療域にあるとき、患者を「ON」状態の間に診察した。処置段階中に、6時間毎に1mgの投薬を開始し(合計の一日量=4mg/日)、次のように2週間間隔で上方に漸増させた:訪問1にて6時間毎に2mg;訪問2にて6時間毎に4mg;訪問3にて6時間毎に6mg。患者を4週間、24mg/日で維持した。すべての患者、現場の人員、評価者、および治験依頼者には、処置の割り当てを知らせなかった。
【0516】
本来のUPDRS尺度を使用した。Part II(日常生活動作、ADL)およびPart III(運動検査)を、NP002での処置の前後に比較した。UPDRS Part IIにおいて、質問13は、麻痺とは無関係な転倒に関するものである。これは5点の項目であり、反応は、「0」(転倒なし)から「4」(1日1回より多くの転倒)まで及ぶ。35人のNP002患者のうち、20人(57%)は過去に転倒の経験があり、12人(34%)は月に少なくとも2回転倒している。27人のプラセボ患者のうち、14人(52%)は過去に転倒の経験があり、9人(30%)は月に少なくとも2回転倒している。Part IIにおいて、質問14は、歩行時の麻痺に関するものである。これは5点の項目であり、2つの様々な麻痺と転倒がある。35人のNP002患者のうち、13人(37%)に毎日FOGがあった。27人のプラセボ患者のうち、10人(37%)に毎日FOGがあった。Part II全体を、NP002とプラセボとの間で比較した(表10)。質問13と14を別々に比較した(表11)。引っ張り検査(UPDRS Part IIIの項目30)により評価される、後方突進、姿勢制御の測定も、NP002患者とプラセボ患者との間で比較した(表11)。
【0517】
【表10】
【0518】
【表11】
【0519】
LIDを、UDysRS、LIDの主な測定によって評価した(表12)。血清コチニンレベルにより遵守を確認した(コチニンはニコチンの代謝産物である)。ニコチン禁断症状を、ニコチン禁断症状評価により確認した。処置に関連する可能性のある有害事象(AE)を、NP002患者とプラセボ患者における頻度の順で列挙した(表13)。試験は、ヘルシンキ宣言およびグッド・クリニカル・プラクティス・ガイドラインに従って行なわれた。施設内治験審査委員会および書面でのインフォームドコンセントの承認を受けた部位はすべて、参加前に各患者から得られる。
【0520】
【表12】
【0521】
【表13】
【0522】
統計的手法
【0523】
すべての仮説を、0.050レベルの有意水準にてαセットによる両側検定を使用して検査した。一般的に、効果のデータを処置群毎に要約し、安全性のデータを処置群毎と全体的に要約した。すべての解析において、正常度および等分散性などの仮定を、提案されたパラメータの統計的処理の実施前に検討した。カテゴリー変数を、Fisherの正確な両側検定により分析し、連続変数を2−サンプルt検定の下で検査した。分散の均等性をF検定により検討してから、2−サンプルt検定を行った。2つの群間の分散が大きく不均等等であった場合、t検定統計を調整した。
【0524】
修飾処置意図(MITT)集団は、無作為化集団にあり、研究薬剤を少なくとも1回投与され、ベースラインがあり、かつベースライン評価後に少なくとも1回が予定されている患者すべてで構成される。効果の解析を、MITT集団を使用して行った。
【0525】
サンプルサイズの計算は、以下の仮定に基づいていた:α=0.05のI型エラー、指数=70%、片側検定、プラセボ反応率=36.8%、プラセボと比較して30%の反応改善。初期のプロトコル指数計算は、Stata v10.1を使用した、2×2の表の指数の標準式に基づいていた。この計算は、N−Query Advisor6.01を使用した、等比率の2群のカイ二乗検定を使用することによって確認された。この計算は、片側検定を使用して、1つの腕当たり25の評価可能な被験体が、プラセボとNP002との差異を検出する可能性は70%であろうことを示した。
【0526】
転倒(UPDRS Part II、質問13)について、5点の尺度を使用された:0:転倒なし〜4:1日に2回より多く転倒。FOG(質問14)に関連するFOGおよび転倒について、5点の尺度を使用した:0:FOGなし〜3または4:FOGによる頻繁な転倒。NP002患者とプラセボ患者との間の分布の比較を、−3(5点尺度で3点の改善)〜+3(5点尺度で3点の悪化)に及ぶ分布を使用して行った。Fisherの正確な両側検定を分析に利用した。ベースラインより上の改善または悪化を、最後の処置訪問から算出した(表11)。
【0527】
LIDに対する効果の変動は、UDysRS合計スコア;UDysRSサブスコアにおけるベースライン〜10週間の平均変化であった(表12)。共分散分析(ANCOVA)は、退縮の特徴と分散分析(ANOVA)を組み合わせた。ベースラインからエンドポイントまでの各変動の記述的概要に加えて、各群における最小二乗(LS)平均の標準エラーと95%の信頼区間(CI)、および2つの処置群とその95%のCIとの間のLSの差が、示される。同様の解析が、UPDRS Part IIとUPDRS Part IIIとの比較に適用された。
【0528】
結果
【0529】
65人の患者を無作為化し、35人にNP002、30人にプラセボを割り当てた。転倒、FOG、および後方突進に関して、30人のNP002患者と27人のプラセボ患者には、分析に十分なデータがあった。NP002とプラセボとの間に、処置後のUPDRS Part II(ADL)およびPart III(運動検査)における有意差はなかった(表11)。
【0530】
30人(47%)のNP002患者のうち14人には転倒の減少が生じ、12人には研究中に転倒が生じなかった。対照的に、27人(11%)のプラセボ患者のうち3人しか、転倒は減少しなかった。これらの差異は有意なものである(p=0.00857)(表11)。NP002患者の87%近くに、この研究の活動期中に転倒の減少または欠如のいずれかが生じた。対照的に、プラセボ患者の11%にしか、転倒の減少または欠如は生じなかった。30人(40%)のNP002患者のうち12人にはFOGの減少が生じ、10人には研究中にFOGは生じなかった。27人(14.8%)のプラセボ患者のうち5人には、FOGの減少が生じた。これらの差異は有意なものである(p=0.04301)(表11)。NP002患者の73%近くに、この研究の活動期中にFOGの減少または欠如のいずれかが生じた。対照的に、プラセボ患者の5%にしか減少は生じなかった。30人(33.3%)のNP002患者のうち10人に後方突進の減少が生じたが、27人(7.4%)プラセボ患者のうち2人にしか生じなかった。これらの差異は有意なものである(p=0.0228)(表11)。
図18−20も参照。
【0531】
UDysRS歩行サブ検査では、NP002患者には、歩行に対するLIDの効果が46%減少(改善)したのに対し、プラセボ患者には、歩行に対するLIDの効果が8.6%しか減少しなかった。これらの差異は、NP002に都合よく有意であった(p=0.011)。合計のUDysRSに関し、LID変化の主な測定にて、NP002ではLIDが39%減少し、プラセボでは17.2%しか減少しなかった。これらの差異は、NP002に都合良い有意差(p=0.092)に傾いていたが、それには達しなかった(表12)。
【0532】
NP002またはプラセボにはニコチン退薬症状がなかった。血清コチニンレベルは、NP002患者のニコチンの投薬と同等であり、プラセボ患者には存在しなかった。頻度の順序における有害事象を、表13に報告する。NP002患者の中で最も頻繁な有害事象は、吐き気であった。これは通常、自然に、またはオンダンステロンにより解決される。プラセボ患者の中で最も頻繁な有害事象は、不眠症であった。より多くの有害事象(45)が、プラセボ患者よりもNP002の中で報告された(14)。11人の患者は、有害事象により研究を中止した。その中6人はNP002を、5人はプラセボを受けていた。
【0533】
実施例15.個別の処置レジメン
個別の処置レジメンを被験体のために決定する。患者に、最大で許容される適量の、NP002の漸増投与量を投与する。1日当たり24mg以下を被験体に投与する。
【0534】
典型的な投与量漸増スケジュールは、以下のとおりである:訪問0で1mg、および、次のように1週間〜4週間の間隔で上方へ漸増する:訪問1で2mg、訪問2で4mg、訪問3で6mg、その結果、1日当たり24mg以下が投与される。例えば、
図6Bを参照。NP002の投与量は、パルス様式において被験体に1日当たり1回〜6回投与される。第1のパルスが被検体に投与され、その後、第2のパルスが、第1のパルスと第2のパルスとの間を少なくとも2時間空けて投与される。各パルス間の時間は、3〜10時間の範囲の場合がある。
【0535】
各訪問時に、医師は、1つ以上のパラメータについて被験体を検査する。評価は、研究室検査、併用薬の解析、身体検査、精神評価、身体評価、心電図(ECG)、バイタルサイン、衝動抑制の評価、ニコチン退薬症状、病徴の変化、小規模精神状態検査、Jay Midi尺度、UDysRS、Hoehn & Yahrの尺度、臨床世界印象尺度、患者世界印象尺度、Lang−Fahn日常活動尺度、および改定Minnesota Nicotine Withdrawal尺度(MNWS−R)を用いた検査を含む。実行される研究室検査は、血清コチニン解析、尿コチニン解析、血清ニコチン解析、血液学、化学、および妊娠検査を含む。
【0536】
検査に基づいて、NP002の投与量を調整する。許容される適量を決定するまで、NP002の投与量を調整する。一旦適量を決定すると、NP002は長期的に使用される。
【0537】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中で示され、かつ記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されるものであることは、当業者に明白である。多数の変形、変更、および置き換えは、本発明から逸脱することなく、当業者によって現在想到されるものである。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用されるかもしれないことを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲およびその同等物の範囲内の方法と構造は、それにより包含されることが、意図されている。