特表2021-515807(P2021-515807A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-515807一酸化窒素放出性坐剤及びその使用の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-515807(P2021-515807A)
(43)【公表日】2021年6月24日
(54)【発明の名称】一酸化窒素放出性坐剤及びその使用の方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/02 20060101AFI20210528BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20210528BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20210528BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20210528BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20210528BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20210528BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20210528BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20210528BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20210528BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20210528BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20210528BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20210528BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210528BHJP
   A61K 31/655 20060101ALI20210528BHJP
   A61K 47/59 20170101ALI20210528BHJP
   A61K 31/80 20060101ALI20210528BHJP
【FI】
   A61K9/02
   A61K47/44
   A61K47/14
   A61K47/42
   A61K47/10
   A61K47/02
   A61K47/12
   A61K47/08
   A61K47/20
   A61K47/06
   A61K47/34
   A61P31/12
   A61P43/00 105
   A61K31/655
   A61K47/59
   A61K31/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2020-568939(P2020-568939)
(86)(22)【出願日】2019年3月1日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月27日
(86)【国際出願番号】US2019020209
(87)【国際公開番号】WO2019169221
(87)【国際公開日】20190906
(31)【優先権主張番号】62/637,120
(32)【優先日】2018年3月1日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520331361
【氏名又は名称】ノーバン,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】カタール,フサイニー サイイド シャ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA01
4C076BB30
4C076CC35
4C076CC41
4C076DD22R
4C076DD22Z
4C076DD24R
4C076DD26Z
4C076DD34A
4C076DD34E
4C076DD36E
4C076DD37E
4C076DD37R
4C076DD38E
4C076DD38R
4C076DD41C
4C076DD41R
4C076DD41Z
4C076DD42Z
4C076DD43Z
4C076DD45E
4C076DD46A
4C076DD48R
4C076DD54R
4C076DD55C
4C076DD55R
4C076EE23A
4C076EE23E
4C076EE27
4C076EE42A
4C076EE51A
4C076EE53A
4C076EE53C
4C076EE55A
4C076EE59
4C076FF04
4C076FF09
4C076FF12
4C076FF15
4C076FF32
4C076FF34
4C076FF61
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA30
4C086FA05
4C086FA06
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA31
4C086MA56
4C086NA10
4C086NA11
4C086NA12
4C086ZB21
4C086ZB33
(57)【要約】
本発明は、一般に、一酸化窒素を放出する坐剤、及びそれを使用する方法に関する。本発明の幾つかの実施態様に従えば、一酸化窒素(NO)放出性坐剤(例えば、膣坐剤)が本明細書において提供される。幾つかの実施態様は、感染(例えば、ウィルス感染)を処置及び/又は予防する為の組成物、キット、及び/又は方法に向けられている。幾つかの実施態様において、ウィルス感染の処置及び/又は予防を必要とする対象におけるウィルス感染を処置及び/又は予防する方法が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一酸化窒素放出性有効医薬成分と
坐剤基剤と
を含む腟坐剤。
【請求項2】
前記一酸化窒素放出性有効医薬成分が、前記腟坐剤の約0.1重量%〜約10重量%、〜約20重量%、〜約30重量%、〜約40重量%、〜約50重量%、〜約60重量%、又は〜約70重量%の量で存在する、請求項1に記載の腟坐剤。
【請求項3】
前記腟坐剤が、リアルタイムイン・ビトロ(in vitro)放出試験によって測定される場合に、前記腟坐剤の約0.01重量%〜約10重量%の量で一酸化窒素を放出する、請求項1又は2に記載の腟坐剤。
【請求項4】
前記坐剤基剤が、前記腟坐剤の約0.01%〜約1%、〜約5%、〜約10%、〜約20%、〜約30%、〜約40%、〜約50%、〜約60%、〜約70%、〜約80%、〜約90%、〜約99%、又は〜約99.1%の量で存在し、任意的に、前記坐剤基剤が、前記腟坐剤の少なくとも約70%の量で存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の腟坐剤。
【請求項5】
前記坐剤基剤が、カカオ脂、C〜C20脂肪酸のトリグリセリド、モノグリセリド及びジグリセリドエステル並びにそれらの混合物、ゼラチン、ポリエチレングリコール(PEG)、及び/又はグリセロール化グリセリンを包含し、
前記脂肪酸が、カプリン酸、カプリル酸、エイコセン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リシノール酸、及びそれらの誘導体を包含する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の腟坐剤。
【請求項6】
前記坐剤基剤が、疎水性又は親水性である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の腟坐剤。
【請求項7】
前記腟坐剤が、該腟坐剤の約0.1重量%〜約0.5重量%、〜約1重量%、〜約2重量%、〜約3重量%、〜約4重量%、〜約5重量%、〜約6重量%、〜約7重量%、〜約8重量%、〜約9重量%、〜約10重量%、〜約11重量%、〜約12重量%、〜約13重量%、〜約14重量%、〜約15重量%、〜約16重量%、〜約17重量%、〜約18重量%、〜約19重量%、〜約20重量%、〜約21重量%、〜約22重量%、〜約23重量%、〜約24重量%、〜約25重量%、〜約26重量%、〜約27重量%、〜約28重量%、〜約29重量%、又は〜約30重量%の量で緩衝剤をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の腟坐剤。
【請求項8】
前記腟坐剤が、少なくとも2つの緩衝剤を含み、及び
前記少なくとも2つの緩衝剤のそれぞれが、前記腟坐剤の約0.1重量%〜約0.5重量%、〜約1重量%、〜約2重量%、〜約3重量%、〜約4重量%、〜約5重量%、〜約6重量%、〜約7重量%、〜約8重量%、〜約9重量%、〜約10重量%、〜約11重量%、〜約12重量%、〜約13重量%、〜約14重量%、〜約15重量%、〜約16重量%、〜約17重量%、〜約18重量%、〜約19重量%、〜約20重量%、〜約21重量%、〜約22重量%、〜約23重量%、〜約24重量%、〜約25重量%、〜約26重量%、〜約27重量%、〜約28重量%、〜約29重量%、又は〜約30重量%の量で存在する、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の腟坐剤。
【請求項9】
前記緩衝剤が、リン酸二水素カリウム、リン酸、クエン酸、酢酸、乳酸、ホウ酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸ナトリウム二水和物、及びそれらの任意の組み合わせを包含する、 請求項1〜8のいずれか1項に記載の腟坐剤。
【請求項10】
前記緩衝剤が、生理的な膣のpHで緩衝能力を有する、請求項7〜9のいずれか1項に記載の腟坐剤。
【請求項11】
前記腟坐剤が、該腟坐剤の約0.1%〜約0.2%、〜約0.3重量%、〜約0.4重量%、〜約0.5重量%、〜約0.6重量%、〜約0.7重量%、〜約0.8重量%、〜約0.9重量%、〜約1重量%、〜約1.1重量%、〜約1.2重量%、〜約1.3重量%、〜約1.4重量%、〜約1.5重量%、〜約1.6重量%、〜約1.7重量%、〜約1.8重量%、〜約1.9重量%、又は〜約2重量%の量で保存剤をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の腟坐剤。
【請求項12】
前記保存剤が、ソルビン酸、安息香酸、メチル−パラベン、プロピル−パラベン、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、ジアゾリジニル尿素、クロロブタノール、トリクロサン、塩化ベンゼトニウム、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、クロルヘキシジン、ジグルコネート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、アルコール類、塩化ベンザルコニウム、ホウ酸、ブロノポール、ブチルパラベン、ブチレン酢酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、二酸化炭素、陽イオン性、及びベントナイト、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クエン酸一水和物、クレゾール、ジメチルエーテル、エチルパラベン、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、イソプロピルアルコール、乳酸、モノチオグリセロール、ペンテト酸、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、安息香酸カリウム、ピロ亜硫酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、プロピレングリコール、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、キシリトール、二酸化硫黄、二酸化炭素、並びにそれらの任意の組み合わせを包含する、請求項11に記載の腟坐剤。
【請求項13】
前記腟坐剤が、該腟坐剤の約0.1重量%〜約1重量%、〜約5重量%、〜約10重量%、〜約20重量%、〜約30重量%、〜約40重量%、〜約50重量%、〜約60重量%、〜約70重量%、〜約80重量%、〜約90重量%、又は約99%の量で溶媒をさらに含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の腟坐剤。
【請求項14】
前記溶媒が、アセトン、メチルアルコール、エタノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、酢酸エチル、ジメチルイソソルビド、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、水(例えば、精製及び/又は滅菌水)、並びにそれらの混合物を包含する、請求項13に記載の腟坐剤。
【請求項15】
前記腟坐剤が、該腟坐剤の約1%〜約2重量%、〜約3重量%、〜約4重量%、〜約5重量%、〜約6重量%、〜約7重量%、〜約8重量%、〜約9重量%、又は〜約10重量%の量で滑沢剤をさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の腟坐剤。
【請求項16】
前記滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、硬化植物油、ステロテックス、ポリオキシエチレンモノステアレート、タルク、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、及び鉱油、又はそれらの組み合わせを包含する、請求項15に記載の腟坐剤。
【請求項17】
前記腟坐剤が、該腟坐剤の約1重量%〜約2重量%、〜約3重量%、〜約4重量%、〜約5重量%、〜約6重量%、〜約7重量%、〜約8重量%、〜約9重量%、〜約10重量%、〜約11重量%、〜約12重量%、〜約13重量%、〜約14重量%、〜約15重量%、〜約16重量%、〜約17重量%、〜約18重量%、〜約19重量%、又は〜約20重量%の量で鉱油をさらに含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の腟坐剤。
【請求項18】
前記腟坐剤が、該腟坐剤の約1重量%〜約2重量%、〜約3重量%、〜約4重量%、〜約5重量%、〜約6重量%、〜約7重量%、〜約8重量%、〜約9重量%、〜約10重量%、〜約11重量%、〜約12重量%、〜約13重量%、〜約14重量%、〜約15重量%、〜約16重量%、〜約17重量%、〜約18重量%、〜約19重量%、又は〜約20重量%の量で1以上の硬質ワックスをさらに含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の腟坐剤。
【請求項19】
前記一酸化窒素放出性有効医薬成分が、ジアゼニウムジオレート化メチルアミノプロピルトリメトキシシラン(MAP3)とオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)とを含む共縮合されたシリカネットワークを含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の腟坐剤。
【請求項20】
前記一酸化窒素放出性有効医薬成分が、ジアゼニウムジオレート化メチルアミノプロピルトリメトキシシラン(MAP3)と、エチルアミノイソブチルシロキサン(EAIB3)と、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)とを含む共縮合されたシリカネットワークを含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の腟坐剤。
【請求項21】
前記腟坐剤が、ウィルスに感染した細胞においてアポトーシスを誘発するのに十分な量で一酸化窒素を投与する、請求項1〜20のいずれか1項に記載の腟坐剤。
【請求項22】
前記腟坐剤が、約50%未満の宿主細胞細胞毒性でウィルス複製を減少又は排除するのに十分な量で一酸化窒素を投与する、請求項1〜21のいずれか1項に記載の腟坐剤。
【請求項23】
感染(例えば、ウィルス感染)の処置及び/又は予防を必要とする対象に、感染(例えば、ウィルス感染)の処置及び/又は予防をする為に、請求項1〜22のいずれか1項に記載の腟坐剤を使用する方法。
【請求項24】
本明細書に実質的に示された及び/又は記載された化合物、組成物、製造物、及び/又は方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願情報
本出願は、2018年3月1日に出願された米国仮特許出願第62/637,120号の利益を主張し、その開示の全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、坐剤及びそれを使用する方法に関する。該坐剤を使用する方法は、感染(例えば、ウィルス感染)を処置及び/又は予防する方法を包含する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一つの実施態様に関して記載されている観点は、それに関連して具体的に記載されていないけれども、異なる実施態様において組み込まれうることに留意されたい。NO放出性坐剤(例えば、膣坐剤)が本明細書に記載されている。幾つかの実施態様は、感染(例えば、ウィルス感染)を処置及び/又は予防する組成物、キット、及び/又は方法に向けられている。幾つかの実施態様において、ウィルス感染の処置及び/又は予防を必要とする対象におけるウィルス感染を処置及び/又は予防する方法が提供される。
【0004】
次に、本発明の上述及び他の観点は、本明細書に記載されている他の実施態様に関してより詳細に記載されるだろう。本発明は異なる形態において具現化されることができ、及び本明細書に記載された実施態様に限定されるものとして解釈されるべきではないことが理解されるべきである。むしろ、これらの実施態様は、本開示が徹底的且つ完全であり、及び本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
次に、本発明は、本明細書の下記により十分に記載されるだろう。しかしながら、本発明は異なる形態において具体化されてもよく、及び本明細書に記載の実施態様に限定されるものとして解釈されるべきではないことが理解されるべきである。むしろ、これらの実施態様は、本開示が徹底的且つ完全であり、及び本発明の範囲を当業者に十分に伝える為に提供される。
【0006】
本明細書において本発明の説明に使用される語は、特定の実施態様を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図されるものではない。本発明の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲において使用される場合に、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「該(the)」は、文脈が別段のことを明らかに示さない限り、複数形も包含することを意図される。
【0007】
別段に定義されていない限り、本明細書において使用される全ての語(技術的用語及び科学的用語を包含する)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。語、例えば一般的に使用される辞書に定義されている語、は本出願及び関連技術の文脈における意味と一致している意味を有すると解釈されるべきであり、理想化された又は過度に形式的な意味には、本明細書において明白にそのように定義されていない限り、解釈されるべきではないことが更に理解されるだろう。本明細書において本発明の詳細な説明において使用される語は、特定の実施態様を説明することのみを目的としており、本発明を限定するものとなることを意図されていない。本明細書において言及されている全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、それらの全体が参照によって組み込まれる。用語において矛盾する場合は、本明細書が優先する。
【0008】
また、本明細書において使用される場合、「及び/又は」は、列挙された1以上の関連項目の任意の及び全てのありうる組み合わせ、並びに選択肢(「又は」)で解釈される場合は組み合わせの欠如を云い且つ包含する。
【0009】
文脈が別段のことを指示しない限り、本明細書に記載されている本発明の様々な特徴は任意の組み合わせで使用できることが明確に意図される。更に、本発明はまた、本発明の幾つかの実施態様において本明細書に記載の任意の特徴又は特徴の組み合わせを排除又は省略できることも企図する。例を示すと、本明細書は、複合体が成分A、成分B及び成分Cを含むことを述べている場合、A、B若しくはCのいずれか、又はそれらの組み合わせが省略され且つ除かれることができることを明確に意図される。
【0010】
本明細書において使用される場合、移行句「から本質的になる」(及びその文法的変形)は、記載されている材料又は工程と、特許請求される発明の「基本的且つ新規な1以上の特性に実質的に影響を及ぼさない材料又は工程」とを包含すると解釈されるべきである。In re Herz, 537 F.2d 549, 551-52, 190 U.S.P.Q. 461, 463 (CCPA 1976)(強調は原文のまま)を参照のこと;また、MPEP第2111.03項を参照のこと。従って、本明細書において使用される場合、語「から本質的になる」は、「含む(comprising)」と等価であると解釈されるべきではない。
【0011】
本明細書において使用される場合、語「約」は、測定可能な値、例えば量又は濃度等、を云う場合に指定された値の最大±20%、例えば、これらに限定されないが、指定された値の±10%、±5%、±1%、±0.5%、又は更には±0.1%の変動値、及び該指定された値を云うことを意図される。例えば、「約X」は、Xが測定可能な値である場合、X、及びXの±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、又は更には±0.1%の変動値を包含することを意図される。本明細書において提供される測定可能な値の範囲は、任意の他の範囲及び/又はその範囲内の個々の値を包含しうる。
【0012】
本明細書において使用される場合、語「増加(increase)」、語「増加する(increases)」、語「増加した(increased)」、語「増加すること(increasing)」、及び類似の語は、指定されたパラメータの少なくとも、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約150%、約200%、約300%、約400%、又は約500%以上の上昇を示す。
【0013】
本明細書において使用される場合、語「減少する(reduce)」、語「減少する(reduces)」、語「減少した(reduced)」、語「減少(reduction)」、語「阻害する(inhibit)」、及び類似の語は、指定されたパラメータの少なくとも、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、又は約100%の低減を云う。
【0014】
本発明の幾つかの実施態様に従えば、一酸化窒素(NO)放出性坐剤(releasing suppository)(例えば、膣坐剤)が本明細書において提供される。本発明の膣坐剤は、対象の膣に挿入及び/又は配置されることができる固体を含む剤形であり得、挿入及び/又は配置に応じて融解、軟化、及び/又は溶解しうる。幾つかの実施態様において、膣坐剤は、アプリケータを用いて及び/又はアプリケータを用いること無しに膣に挿入されうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、指により投与されうる。幾つかの実施態様において、膣坐剤は、FDA CCSガイダンス及びUSPに準拠したアプリケータを用いて膣に挿入されうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、対象によって対象の膣に投与されうる、及び/又は投与する臨床医(例えば、医者)の必要なしに対象に投与されうる。
【0015】
幾つかの実施態様において、本発明の坐剤は、圧縮若しくは成形、又は当業者に公知の任意の他の技法によって調製される。本発明の坐剤は、1以上(例えば、1、2、3、又は4以上)の基剤(すなわち、坐剤基剤)及び任意的に、1以上(例えば、1、2、3、又は4以上)の賦形剤に分散及び/又は溶解された1以上(例えば、1、2、3、又は4以上)の有効医薬成分を含みうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、NO放出性(NO-releasing)有効医薬成分(API(active pharmaceutical ingredient))及び坐剤基剤を含む。該膣坐剤はまた、1以上の賦形剤、例えば緩衝剤、保存剤、溶媒、及び/又は滑沢剤等、を含みうる。賦形剤は、適用時の該膣における膣坐剤滞留時間、耐性及び/又は毒性学的プロファイルを不都合に変更しないものでありうる。幾つかの実施態様において、膣坐剤は、該膣坐剤からのほぼ全ての(例えば、少なくとも約75%)又は完全な(すなわち、100%)NO放出を実現することができる、及び/又は実現するように構成されている、組成物及び/又はpHを有する。幾つかの実施態様において、対象への投与時における本発明の膣坐剤からのNO放出の量は、イン・ビトロ(in vitro)でのNO放出の量と比較され、それは任意的に、該膣坐剤がイン・ビボ(in vivo)で接触しうる生理液に匹敵する組成物との接触によってイン・ビトロ(in vitro)において試験されうる。
【0016】
幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤の坐剤基剤及び/又は賦形剤は、APIの容易な分散及び/又は少なくとも部分的な可溶化(例えば、低温、例えば30℃未満(例えば、約30〜約50℃、約35〜約40℃、又は約45〜約50℃)等、における該APIの分散及び/又は可溶化)を可能にする為に選択されうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤の坐剤基剤及び/又は賦形剤は、該APIの分解を促進し得ない、及び/又は製造及び/又は保存中のNOの放出を促進し得ない。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤の坐剤基剤及び/又は賦形剤は、該APIの非晶質形態を維持しうる、及び/又は結晶化を促進しない。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤における該APIの少なくとも一部分は、結晶形態で存在しうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤及び/又はその坐剤基剤及び/又は賦形剤は、膣微生物叢を変更し得ない(例えば、微生物の数、pH等を、投与前の微生物の数、pH等と比較して±20%を超えて変更し得ない)。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤及び/又はその坐剤基剤及び/又は賦形剤は、有益な膣微生物の成長を促進しうる。
【0017】
坐剤基剤は、油性(すなわち、脂肪)基剤及び水溶性/水混和性基剤に分類される。油性(すなわち、脂肪)基剤は、これらに限定されないが、カカオ脂(すなわち、ココアバター)、並びにC〜C20脂肪酸のトリグリセリド、モノグリセリド及びジグリセリドエステル、並びにそれらの混合物を包含する。これらの脂肪酸の例は、これらに限定されないが、カプリン酸、カプリル酸、エイコセン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リシノール酸、及びそれらの誘導体を包含する。幾つかの実施態様において、脂肪基剤は、その天然源(例えば、ヤシ油、パーム油等)から調製されうる、及び/又は様々な添加剤と混合されうる。脂肪基剤の商品名の例は、これらに限定されないが、Suppocire(商標)、Ovucire(商標)、Japocire(商標)、Witepsol(商標)、Massa estarinum(商標)、Wecobee(商標)、Fattibase(商標)、Dehydag(商標)、Hydrokote(商標)、及びNovata(商標)を包含する。
【0018】
水溶性/水混和性基剤は、これらに限定されないが、ゼラチン(例えば、グリセリン化ゼラチン)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びグリセロール化グリセリンを包含する。幾つかの実施態様において、本発明の坐剤基剤は、脂肪基剤と水溶性/水混和性基剤との両方を包含しうる。
【0019】
幾つかの実施態様において、坐剤基剤は、該膣坐剤の約0.1重量%〜約99.9重量%の量で、本発明の膣坐剤中に存在しうる。幾つかの実施態様において、坐剤基剤は、該膣坐剤の約0.1重量%〜約1重量%、約0.1重量%〜約5重量%、約0.1重量%〜約10重量%、約0.1重量%〜約20重量%、約1重量%〜約10重量%、約1重量%〜約20重量%、約20重量%〜約30重量%、約30重量%〜約40重量%、約40重量%〜約50重量%、約50重量%〜約60重量%、約60重量%〜約70重量%、約70重量%〜約99.9重量%、約70重量%〜約95重量%、約70重量%〜約90重量%、約70重量%〜約85重量%、約70重量%〜約80重量%、約70重量%〜約75重量%、約80重量%〜約90重量%、又は約90重量%〜約99.9重量%の量で存在しうる。幾つかの実施態様において、坐剤基剤は、該膣坐剤の70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、又は95重量%以上の量で存在しうる。例えば、幾つかの実施態様において、坐剤基剤は、該膣坐剤の約0.1重量%、約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、約35重量%、約36重量%、約37重量%、約38重量%、約39重量%、約40重量%、約41重量%、約42重量%、約43重量%、約44重量%、約45重量%、約46重量%、約47重量%、約48重量%、約49重量%、約50重量%、約51重量%、約52重量%、約53重量%、約54重量%、約55重量%、約56重量%、約57重量%、約58重量%、約59重量%、約60重量%、約61重量%、約62重量%、約63重量%、約64重量%、約65重量%、約66重量%、約67重量%、約68重量%、約69重量%、約70重量%、約71重量%、約72重量%、約73重量%、約74重量%、約75重量%、約76重量%、約77重量%、約78重量%、約79重量%、約80重量%、約81重量%、約82重量%、約83重量%、約84重量%、約85重量%、約86重量%、約87重量%、約88重量%、約89重量%、約90重量%、約91重量%、約92重量%、約93重量%、約94重量%、約95重量%、約96重量%、約97重量%、約98重量%、約99重量%、又は約99.9重量%の量で本発明の膣坐剤中に存在しうる。
【0020】
幾つかの実施態様において、本発明の坐剤における坐剤基剤は疎水性(例えば、完全に疎水性)でありうる。幾つかの実施態様において、本発明の坐剤における坐剤基剤は親水性(例えば、PEG系坐剤基剤及び/又はグリセロール−ゼラチン)でありうる。幾つかの実施態様において、坐剤基剤は低い酸価を有し得、それは一酸化窒素の(例えば、製造及び/又は保存中の)早期放出を減少及び/又は予防しうる。例えば、坐剤基剤は、約3mg KOH/g未満、例えば、約2.5mg KOH/g未満、約2mg KOH/g未満、約1.5mg KOH/g未満、約1mg KOH/g未満、約0.5mg KOH/g未満、又は約0.2mg KOH未満等、の酸価を有しうる。幾つかの実施態様において、坐剤基剤は、水に可溶性若しくは分散性でありうる、及び/又は体温で融解しうる。
【0021】
幾つかの実施態様において、緩衝剤は、該膣坐剤の約0.1重量%〜約30重量%の量で、本発明の膣坐剤中に存在しうる。例えば、幾つかの実施態様において、緩衝剤は、該膣坐剤の約0.1重量%、約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、又は約30重量%の量で、本発明の膣坐剤に存在しうる。幾つかの実施態様において、2以上の緩衝剤が本発明の膣坐剤に存在し得、該2以上の緩衝剤のそれぞれは、該膣坐剤の約0.1重量%〜約15重量%(例えば、該膣坐剤の約0.1重量%、約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、又は約15重量%)の量で、本発明の膣坐剤に存在しうる。
【0022】
例示的な緩衝剤は、これらに限定されないが、リン酸二水素カリウム、リン酸、クエン酸、酢酸、乳酸、ホウ酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸ナトリウム二水和物、及びそれらの任意の組み合わせを包含する。幾つかの実施態様において、緩衝剤(例えば、酢酸緩衝液)は、膣の生理的pHにおいて強力な緩衝能を有しうる。幾つかの実施態様において、膣坐剤及び/又は膣坐剤に存在する緩衝剤は、約50、約100、約200、又は約300μmol/g〜約400、約500、約600、又は約700μmol/gの緩衝能を有しうる。幾つかの実施態様において、膣坐剤及び/又は膣坐剤に存在する緩衝剤は、約50、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450、約500、約550、約600、約650、又は約700μmol/gの緩衝能を有する。
【0023】
幾つかの実施態様において、保存剤は、該膣坐剤の約0.1重量%〜約2重量%、例えば、これらに限定されないが、該膣坐剤の約0.1重量%〜約1重量%、又は約0.1重量%〜約2重量%の量で、本発明の膣坐剤中に存在しうる。幾つかの実施態様において、保存剤は、該膣坐剤の約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、又は約2重量%の量で膣坐剤中に存在する。
【0024】
膣坐剤に存在しうる例示的な保存剤は、これらに限定されないが、ソルビン酸、安息香酸、メチル−パラベン、プロピル−パラベン、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン(metholisothiazolinone)、ジアゾリジニル尿素、クロロブタノール、トリクロサン、塩化ベンゼトニウム、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、クロルヘキシジン、ジグルコネート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、アルコール類(alcohols)、塩化ベンザルコニウム、ホウ酸、ブロノポール、ブチルパラベン、ブチレン酢酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、二酸化炭素、陽イオン性、及びベントナイト、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クエン酸一水和物、クレゾール、ジメチルエーテル、エチルパラベン、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、イソプロピルアルコール、乳酸、モノチオグリセロール、ペンテト酸、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、安息香酸カリウム、ピロ亜硫酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、プロピレングリコール、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、キシリトール、二酸化硫黄、二酸化炭素、並びにそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0025】
幾つかの実施態様において、溶媒は、該膣坐剤の約0.1重量%〜約99.8重量%、例えば、これらに限定されないが、該膣坐剤の約0.1重量%〜約1重量%、約0.1重量%〜約5重量%、約0.1重量%〜約10重量%、約0.1重量%〜約20重量%、約1重量%〜約10重量%、約1重量%〜約20重量%、約20重量%〜約30重量%、約30重量%〜約40重量%、約40重量%〜約50重量%、約50重量%〜約60重量%、約60重量%〜約70重量%、約70重量%〜約80重量%、約80重量%〜約90重量%、又は約90重量%〜約99.8重量%の量で存在しうる。幾つかの実施態様において、溶媒は、該膣坐剤の約0.1重量%、約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、約35重量%、約36重量%、約37重量%、約38重量%、約39重量%、約40重量%、約41重量%、約42重量%、約43重量%、約44重量%、約45重量%、約46重量%、約47重量%、約48重量%、約49重量%、約50重量%、約51重量%、約52重量%、約53重量%、約54重量%、約55重量%、約56重量%、約57重量%、約58重量%、約59重量%、約60重量%、約61重量%、約62重量%、約63重量%、約64重量%、約65重量%、約66重量%、約67重量%、約68重量%、約69重量%、約70重量%、約71重量%、約72重量%、約73重量%、約74重量%、約75重量%、約76重量%、約77重量%、約78重量%、約79重量%、約80重量%、約81重量%、約82重量%、約83重量%、約84重量%、約85重量%、約86重量%、約87重量%、約88重量%、約89重量%、約90重量%、約91重量%、約92重量%、約93重量%、約94重量%、約95重量%、約96重量%、約97重量%、約98重量%、約99重量%、又は約99.8重量%の量で、本発明の膣坐剤中に存在しうる。
【0026】
例示的な溶媒は、これらに限定されないが、アセトン、メチルアルコール、エタノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、酢酸エチル、ジメチルイソソルビド、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、水(例えば、精製及び/又は滅菌水)、並びにそれらの混合物を包含する。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤における溶媒はグリセリンでありうる。
【0027】
幾つかの実施態様において、滑沢剤は、本発明の膣坐剤中に存在しうる。滑沢剤は、対象の膣への膣坐剤の投与中及び/又は投与後に、該対象の該膣の表面と該膣坐剤との間の摩擦を軽減することを補助しうる。幾つかの実施態様において、滑沢剤は、該膣坐剤の約1重量%〜約10重量%の量で、本発明の膣坐剤中に存在しうる。例えば、幾つかの実施態様において、滑沢剤は、該膣坐剤の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、又は約10重量%の量で、本発明の膣坐剤中に存在しうる。
【0028】
例示的な滑沢剤は、これらに限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、硬化植物油、ステロテックス、ポリオキシエチレンモノステアレート、タルク、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、及び鉱油(例えば、軽油)、又はそれらの組み合わせを包含する。幾つかの実施態様において、滑沢剤は、坐剤の製造を増強及び/又は改善しうる。
【0029】
幾つかの実施態様において、鉱油及び/又は硬質ワックスは、本発明の膣坐剤中に存在し得、及び製造中の取扱いを改善しうる。幾つかの実施態様において、鉱油は、該膣坐剤の約1重量%〜約10重量%又は約1重量%〜約20重量%の量で、本発明の膣坐剤中に存在しうる。例えば、幾つかの実施態様において、鉱油は、該膣坐剤の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、又は約20重量%の量で、本発明の膣坐剤中に存在しうる。幾つかの実施態様において、1以上(例えば、1、2、3、4)の硬質ワックスは、該膣坐剤の約1重量%〜約10重量%又は約1重量%〜約20重量%の量で、本発明の膣坐剤中に存在しうる。例えば、幾つかの実施態様において、1以上の硬質ワックスは、該膣坐剤の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、又は約20重量%の量で、本発明の膣坐剤中に存在しうる。
【0030】
幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、賦形剤、プレバイオティクス、プロバイオティクス及び/又はシンバイオティクスを含み、それらは、耐性を高めうる及び/又は膣殺菌薬に関するFDAガイダンスに従いうる。幾つかの実施態様において、賦形剤、プレバイオティクス、プロバイオティクス及び/又はシンバイオティクスは、耐性を高める、治療効果を提供する、及び/又は膣微生物叢の健康及び/又は成長(例えば、微生物叢の正常な成長及び/又は数)を増強するのに十分な量で、本発明の膣坐剤中に存在しうる。
【0031】
幾つかの実施態様において、NO放出性APIは、該膣坐剤の約0.1重量%〜約70重量%の量で、本発明の膣坐剤中に存在しうる。例えば、幾つかの実施態様において、NO放出性APIは、該膣坐剤の約0.1重量%〜約10重量%、約0.1重量%〜約20重量%、約20重量%〜約30重量%、約30重量%〜約40重量%、約40重量%〜約50重量%、約50重量%〜約60重量%、又は約60重量%〜約70重量%の量で、本発明の膣坐剤中に存在しうる。幾つかの実施態様において、NO放出性APIは、該膣坐剤の約0.1重量%、約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%又は約70重量%の量で、本発明の膣坐剤中に存在しうる。
【0032】
本明細書において使用される場合、「一酸化窒素放出性医薬成分」及び「NO放出性API」は、一酸化窒素を対象の皮膚(例えば、粘膜)及び/又は組織に提供するが、気体の一酸化窒素ではない、化合物又は他の組成物を云う。幾つかの実施態様において、該NO放出性APIはまた、酸性化した亜硝酸塩でない。幾つかの実施態様において、該NO放出性APIは、以下で「NO放出性化合物」と称される一酸化窒素放出性化合物を包含する。NO放出性化合物は、ある特定の条件下で一酸化窒素を放出しうる官能基である少なくとも1のNO供与体を含む。
【0033】
任意の好適なNO放出性化合物が使用されうる。幾つかの実施態様において、該NO放出性化合物は、NO供与基を含む低分子化合物を包含する。本明細書において使用される場合、「低分子化合物」は、500ダルトン未満の分子量を有する化合物として定義され、有機及び/又は無機の低分子化合物を包含する。幾つかの実施態様において、該NO放出性化合物は、NO供与基を含む高分子を包含する。「高分子」は、本明細書において、500ダルトン以上の分子量を有する任意の化合物として定義される。架橋又は非架橋のポリマー、デンドリマー、金属化合物、有機金属化合物、無機系化合物、及び他の高分子骨格を包含する任意の好適な高分子が使用されうる。幾つかの実施態様において、該高分子は、約0.1nm〜約100μmの公称直径を有し、2以上の高分子の凝集体を含み得、それによって高分子構造はNO供与基で更に修飾される。
【0034】
幾つかの実施態様において、該NO放出性化合物は、NO供与体としてジアゼニウムジオレート官能基を含む。該ジアゼニウムジオレート官能基は、ある特定の条件下で、例えば水への曝露に応じて、一酸化窒素を生成しうる。別の例として、幾つかの実施態様において、該NO放出性化合物は、該NO供与体としてニトロソチオール官能基を含む。該NO供与体は、ある特定の条件下、例えば光への曝露に応じて、一酸化窒素を生成しうる。他のNO供与基の例は、ニトロソアミン、ヒドロキシルニトロソアミン、ヒドロキシルアミン及びヒドロキシ尿素を包含する。NO供与体及び/又はNO放出性化合物の任意の好適な組み合わせがまた、本明細書に記載されている膣坐剤において使用されうる。加えて、該NO供与体は、共有結合性及び/又は非共有結合性の相互作用を介して該低分子又は高分子の中に又はその上に取り込まれうる。
【0035】
NO放出性高分子は、NO放出性粒子、例えば開示の全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第8,282,967号明細書、同第8,962,029号明細書又は同第8,956,658明細書に記載されているNO放出性粒子、の形態でありうる。NO放出性化合物の他の非限定的な例は、米国特許出願公開第2006/0269620号明細書又は同第2010/0331968号明細書に記載されているNO放出性ゼオライト;米国特許出願公開第2010/0239512号明細書又は同第2011/0052650号明細書に記載されているNO放出性金属有機構造体(MOF);「Tunable 一酸化窒素放出性 Macromolecules Having Multiple Nitric Oxide Donor Structures」という発明の名称の国際出願第PCT/US2012/052350号に記載されているNO放出性多供与体化合物;米国特許出願公開第2009/0214618号明細書に記載されているNO放出性デンドリマー又は金属構造物;米国特許出願公開第2011/0086234号明細書に記載されている一酸化窒素放出性被膜;及び米国特許出願公開第2010/0098733号明細書に記載されている化合物を包含する。本段落における参考文献のそれぞれの開示は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。加えて、NO放出性高分子は、開示の全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2012年1月20日に提出された「Temperature Controlled Sol−Gel Co−Condensation」という発明の名称の国際出願第PCT/US2012/022048号に記載されているように作製されうる。
【0036】
一例として、本発明の幾つかの実施態様において、一酸化窒素放出性医薬成分はNO充填沈降シリカ(NO-loaded precipitated silica)を包含しうる。該NO充填沈降シリカは、一酸化窒素供与体で修飾されたシラン単量体から共縮合されたシロキサンネットワークへと形成されうる。本発明の一つの実施態様において、該一酸化窒素供与体はN−ジアゼニウムジオレートでありうる。本発明の幾つかの実施態様において、該一酸化窒素放出性医薬成分は、ジアゼニウムジオレート(例えば、N−ジアゼニウムジオレート)を含む共縮合されたシロキサンネットワークを含みうるか、それから本質的になりうるか、又はそれからなりうる。
【0037】
幾つかの実施態様において、該一酸化窒素供与体は、プリチャージ法(pre-charging method)によってアミノアルコキシシランから形成され得、そして該共縮合されたシロキサンネットワークは、アルコキシシランと該アミノアルコキシシランとを含むシラン混合物の縮合から合成されて、一酸化窒素供与体で修飾された共縮合されたシロキサンネットワークを形成しうる。本明細書において使用される場合、「プリチャージ法」は、アミノアルコキシシランとの共縮合前にアルコキシシランが一酸化窒素で「前処理される」(pretreated)又は「プリチャージされる」(precharged)ことを意味する。幾つかの実施態様において、プリチャージしている一酸化窒素は化学的方法によって達成されうる。別の実施態様において、該「プリチャージ」法は、共縮合されたシロキサンネットワークと、NO供与体でより高密度に官能基化された物質とを作成する為に使用されうる。本発明の幾つかの実施態様において、該一酸化窒素放出性医薬成分は、アルコキシシランと、ジアゼニウムジオレート(例えば、N−ジアゼニウムジオレート)に置換されたアミンを有する少なくとも1のアミノアルコキシシランとを含むシラン混合物の縮合から合成される共縮合されたシリカネットワークを含みうるか、それから本質的になりうるか、又はそれからなりうる。
【0038】
該共縮合されたシロキサンネットワークは、均一な大きさを有するシリカ粒子、多様な大きさを有するシリカ粒子の集合体、非晶質シリカ、ヒュームドシリカ、ナノ結晶性シリカ、セラミックシリカ、コロイドシリカ、シリカコーティング、シリカフィルム、有機的に修飾されたシリカ、メソポーラスシリカ、シリカゲル、生体活性ガラス、又はシリカの任意の好適な形態若しくは状態でありうる。
【0039】
幾つかの実施態様において、該アルコキシシランは、式Si(OR)を有するテトラアルコキシシランであり、ここで、Rはアルキル基である。該R基は、同じであってもよく又は異なっていてもよい。幾つかの実施態様において、該テトラアルコキシシランは、オルトケイ酸テトラメチル(TMOS:tetramethyl orthosilicate)又はオルトケイ酸テトラエチル(TEOS:tetraethyl orthosilicate)として選択される。幾つかの実施態様において、該アミノアルコキシシランは、式R”−(NH−R’)−Si(OR)を有し、ここで、Rはアルキルであり、R’はアルキレン、分岐状アルキレン、又はアラルキレンであり、nは1又は2であり、且つR”は、アルキル、シクロアルキル、アリール、及びアルキルアミンからなる群から選択される。
【0040】
幾つかの実施態様において、該アミノアルコキシシランは、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン(AHAP3);N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(AEAP3);(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン(DET3);(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン(AEMP3);[3−(メチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン(MAP3);N−ブチルアミノ−プロピルトリメトキシシラン(n−BAP3);t−ブチルアミノ−プロピルトリメトキシシラン(t−BAP3);N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン(EAiB3);N−フェニルアミノ−プロピルトリメトキシシラン(PAP3);及びN−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン(cHAP3)から選択されうる。
【0041】
幾つかの実施態様において、該アミノアルコキシシランは、式NH[R’−Si(OR)を有し、ここで、Rはアルキルであり、且つR’はアルキレンである。幾つかの実施態様において、該アミノアルコキシシランは、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン及びビス−[(3−トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンから選択されうる。
【0042】
幾つかの実施態様において、本明細書において上記されている通り、該アミノアルコキシシランはNO放出の為にプリチャージされ、及びアミノ基は、ジアゼニウムジオレートで置換されている。それ故に、幾つかの実施態様において、該アミノアルコキシシランは、式R”−N(NONO−X)−R’−Si(OR)を有し、ここで、Rはアルキルであり、R’はアルキレン又はアラルキレンであり、R”はアルキル又はアルキルアミンであり、且つXはNa、K及びLiからなる群から選択される陽イオンである。
【0043】
該シロキサンネットワークの組成(例えば、該アミノアルコキシシランの量又は化学組成)、並びに一酸化窒素帯電条件(例えば、溶媒及び塩基)は、一酸化窒素放出の量及び持続時間を最適化する為に変更されうる。従って、幾つかの実施態様において、シリカ粒子の組成は、シリカ粒子からのNO放出の半減期を調節する為に修正されうる。
【0044】
別の実施態様において、アミノアルコキシシランのアミノ基はジアゼニウムジオレートで置換され、該アミノアルコキシシランはR”−N(NONO−X)−R’−Si(OR)の式を有し、ここで、Rはアルキルであり、R’はアルキレン又はアラルキレンであり、R”はアルキル又はアルキルアミンであり、且つXはNa及びKからなる群から選択される陽イオンである。
【0045】
幾つかの実施態様において、該NO放出性APIは、ジアゼニウムジオレート化アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン(AEAP3)とオルトケイ酸テトラメチル(TMOS)とを含む共縮合されたシリカネットワーク、及び/又はジアゼニウムジオレート化アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン(AEAP3)とオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)とを含む共縮合されたシリカネットワークを含みうる。幾つかの実施態様において、該NO放出性APIは、ジアゼニウムジオレート化メチルアミノプロピルトリメトキシシラン(MAP3)とオルトケイ酸テトラメチル(TMOS)とを含む共縮合されたシリカネットワーク、及び/又はジアゼニウムジオレート化メチルアミノプロピルトリメトキシシラン(MAP3)とオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)とを含む共縮合されたシリカネットワークを含みうる。幾つかの実施態様において、該NO放出性APIは、ジアゼニウムジオレート化メチルアミノプロピルトリメトキシシラン(MAP3)とエチルアミノイソブチルシロキサン(EAIB3)とオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)とを含む共縮合されたシリカネットワークを含みうる。幾つかの実施態様において、該NO放出性APIは、エチルアミノイソブチルシロキサン/メチルアミノプロピルシロキサン−コポリシロキサン(EAIB3:MAP3−NONOエート/TEOS)でありうる。幾つかの実施態様において、該NO放出性APIは非晶質ポリマーを含みうる。
【0046】
本発明の幾つかの実施態様において、NO放出性APIの粒径は、約20nm〜約20μm又はその中の任意の範囲、例えば、これらに限定されないが、約100nm〜約20μm若しくは約1μm〜約20μm、でありうる。該粒径は、毒性、及び/又は表皮(若しくは易感染性の真皮)を介した血管への浸透を最小限にするか又は予防するように調整されうる。特定の実施態様において、該粒径は20μm未満又はその中の任意の範囲の平均粒径付近に分布し、該大きさは粒子が卵胞に侵入することを可能にしうる。幾つかの実施態様において、NO放出性APIは、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、又は約1μmの平均粒径付近に分布する粒径を有しうる。更なる実施態様において、NO放出性APIは、10μm未満又はその中の任意の範囲、例えば、これらに限定されないが、約2μm〜約10μm若しくは約4μm〜約8μm、の平均粒径付近に分布する粒径を有しうる。他の実施態様において、該粒径は、20μm超又はその中の任意の範囲の平均粒径付近に分布し得、該大きさは粒子が該卵胞に侵入することを予防しうる。更なる実施態様において、平均粒径が2以上の平均粒径付近に分布している粒子の混合物が提供されうる。NO放出性APIは微粒子化(例えば、ボール及び/又はジェットミル粉砕)されうる。所望の粒径及び/又は微粒子化を実現する為の方法は、これらに限定されないが、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2013/0310533号明細書に記載されている方法を包含する。
【0047】
幾つかの実施態様において、NO放出性APIは低い電荷を有しうる。幾つかの実施態様において、NO放出性APIの電荷は制御され及び/又は調節されうる。
【0048】
本発明の膣坐剤は、NO放出性APIを含み得、該膣坐剤の約0.01重量%〜約10重量%、例えば、これらに限定されないが、該膣坐剤の約0.15重量%〜約2重量%、約0.15重量%〜約1重量%、約0.3重量%〜約1.2重量%、約0.15重量%〜約6重量%、約1重量%〜約10重量%、約3重量%〜約6重量%、又は約1重量%〜約5重量%の量の一酸化窒素を保存及び/又は放出しうる。或る実施態様において、本発明の膣坐剤は、一酸化窒素放出性活性医薬を含み得、該膣坐剤の約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、約0.15重量%、約0.3重量%、約0.6重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.25重量%、約1.5重量%、約1.75重量%、約2重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、約5重量%、約5.25重量%、約5.5重量%、約5.75重量%、約6重量%、約6.25重量%、約6.5重量%、約6.75重量%、約7重量%、約7.25重量%、約7.5重量%、約7.75重量%、約8重量%、約8.25重量%、約8.5重量%、約8.75重量%、約9重量%、約9.25重量%、約9.5重量%、約9.75重量%、又は約10重量%の量の一酸化窒素を保存及び/又は放出しうる。放出された一酸化窒素の量は、リアルタイムイン・ビトロ(in vitro)放出試験を使用して決定されうる。幾つかの実施態様において、一酸化窒素放出は、化学発光式一酸化窒素分析計を使用して決定されうる。
【0049】
本発明の膣坐剤は、一酸化窒素を酸性環境において放出しうる。本発明の膣坐剤の対象への投与(例えば、挿入及び/又は配置)に応じて、対象の膣のpHは7未満に維持されうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤の対象への投与に応じて、対象の膣のpHは約6、5、4、又は3未満程度に維持されうる。幾つかの実施態様において、対象への本発明の膣坐剤の投与に応じて、対象の膣のpHは約3.5〜約4.8でありうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤の対象への投与は、対象の膣のpHを、2pH単位を超えて変化させ得ない。例えば、本発明の膣坐剤の対象への投与は、対象の膣のpHを2pH単位以下、例えば、約1.5、約1、約0.5、又は約0pH単位等、変化させうる。
【0050】
幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤の対象への投与に応じて、対象の膣は、生理学的に許容可能な範囲の正味アルカリ度、及び/又は本発明の膣坐剤の非存在下における生理的正味アルカリ度に等しい正味アルカリ度を有しうる。
【0051】
本発明の膣坐剤は、副作用及び/又は毒性を有し得ないか、又は軽減した副作用及び/又は毒性を有しうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、生殖毒性、軽度を超える膣刺激、及び/又は染色体異常を有しないか及び/又はそれらをもたらさない。
【0052】
本明細書において使用される場合、語「有効期間」は、本発明の膣坐剤が治療有効量の治療剤、例えば、これに限定されないが、一酸化窒素、を放出する能力を、推奨される保存条件下で保存された未開封の包装において維持する時間の長さを云う。該有効期間は、例えば、該膣坐剤の「使用」期限若しくは「推奨使用」期限、製造業者による該膣坐剤の有効期限及び/又は指定された期間後の膣坐剤の実際の特性によって明示されうる。従って、本明細書において使用される場合、語「有効期間」は、別段に述べられていない限り、該膣坐剤の「実際の」有効期間と該膣坐剤の「予測された」有効期間との両方を包含すると解釈されるべきである。当業者は認識するだろうが、包装及び/又は保存された状態の膣坐剤における一酸化窒素の放出の速度は、該膣坐剤が使用中である(例えば、対象に投与される)場合の一酸化窒素の放出の速度と異なる場合がある(すなわち、より速い又はより遅い場合がある)。或る実施態様において、本発明の膣坐剤からの一酸化窒素の放出の速度は、該膣坐剤が使用中である場合、APIを含む膣坐剤が包装及び/又は保存されていた場合の一酸化窒素の放出の速度と比較してより急速でありうる。
【0053】
幾つかの実施態様において、有効期間は、加速された温度でのデータの外挿、例えばアレニウスの式を使用すること等、によって決定されうる。幾つかの実施態様において、有効期間は、例えばAPI分解の動態が温度依存性ではない場合等では、線形回帰分析を使用して決定されうる。幾つかの実施態様において、有効期間は、該API(例えば、NO放出性API)を測定することによって、例えば高圧液体クロマトグラフィーを使用すること等によって、評価され及び/又は決定されうる。
【0054】
幾つかの実施態様において、該膣坐剤の該有効期間は、該膣坐剤が放出しうる一酸化窒素の初期量の少なくとも50%を放出する能力を包装されている時に維持する時間である。幾つかの実施態様において、該膣坐剤の該有効期間は、該膣坐剤が放出しうる一酸化窒素の初期量の約60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%を放出する能力を包装されている時に維持する時間である。幾つかの実施態様において、該膣坐剤の該有効期間は、該膣坐剤が治療有効量の一酸化窒素を放出する能力を所望の期間にわたり維持する時間である。幾つかの実施態様において、該推奨される保存条件は室温である。幾つかの実施態様において、該推奨される保存条件は冷蔵保存条件で或る実施態様において、該冷蔵保存条件は約1℃〜約12℃又は約2℃〜約8℃である。幾つかの実施態様において、包装された膣坐剤は、少なくとも約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、若しくは約24か月以上、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値の有効期間を有しうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、25℃/60%相対湿度(RH)で保存された場合に少なくとも約2年の有効期間、及び/又は40℃/75%RHで保存された場合に少なくとも約6か月の有効期間を有しうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、約2℃〜約8℃の温度で保存された場合に少なくとも約2年の有効期間、及び/又は25℃/60%RHで保存された場合に少なくとも約6か月の有効期間を有しうる。
【0055】
幾つかの実施態様は、膣坐剤を開封した後少なくとも約7日の有用期間を有する、本発明の包装された膣坐剤を提供しうる。幾つかの実施態様において、該有用期間は、少なくとも約30日、少なくとも約60日、少なくとも約90日、又は少なくとも約1、約2、約3、約4、約5、約6、約8、若しくは約9か月である。更なる実施態様において、該包装された膣坐剤は、少なくとも約60日〜少なくとも約730日の有用期間を有しうる。本明細書において使用される場合、語「有用期間」は、該膣坐剤が、推奨されたように適用された場合及び推奨される保存条件下で保存された場合に開封済みの包装された膣坐剤から治療有効量の一酸化窒素を放出する能力を維持する時間の長さを云う。該有用期間は、例えば、製造業者により推奨される、開封後の該膣坐剤を処分する時間又は開封後の該膣坐剤の特性の測定によって明示されうる。
【0056】
従って、本明細書において使用される場合、語「有用期間」は、別段に述べられていない限り、該膣坐剤の「実際の」有用期間と該膣坐剤の「予測された」有用期間との両方を包含すると解釈されるべきである。幾つかの実施態様において、該膣坐剤の該有用期間は、該膣坐剤が放出しうる初期量一酸化窒素の少なくとも50%を放出する能力を開封される時に維持する時間である。更なる実施態様において、該膣坐剤の該有用期間は、該膣坐剤が放出しうる初期量一酸化窒素の少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%を放出する能力を開封される時に維持する時間である。幾つかの実施態様において、開封後の該推奨される保存条件は室温で或る実施態様において、開封後の該推奨される保存条件は冷蔵条件である。
【0057】
本発明の膣坐剤からの一酸化窒素放出の速度は、周囲環境における陽子の利用可能性によって制御され及び/又は調節されうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、それぞれの内容の全体が参照によって本明細書に組み込まれる、国際出願第PCT/US2015/039908号及び/又は国際出願第PCT/US2016/012668号に記載されているNO放出速度、様式、及び/又は量を有しうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、NOが投与に応じて、膣の組織中及び/又は上に浸透することを可能にする及び/又は実現するのに好適な放出速度で一酸化窒素を放出し得、且つ生理学的に許容可能でありうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、対象の膣への該膣坐剤の投与に応じて、NOが該対象の子宮頸部組織中及び/又は上に浸透することを可能にする及び/又は実現するのに好適な放出速度で一酸化窒素を放出しうる。
【0058】
幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は単相系(すなわち、単一単位剤形)でありうる。単相系は、単一の層を有しうるか、又は多数の層(例えば、外層に緩衝液、並びに内層及び/又はコアにAPI)が該単一単位剤形に存在しうる。単相系の場合、本発明の膣坐剤は、膣の生理的pHとの相互作用及び/又は接触時に一酸化窒素を放出しうる。幾つかの実施態様において、API及び陽子源は、対象の膣への該膣坐剤の投与後にのみ相互作用するように、本発明の単相系に一括されうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は二相系でありうる。二相系の場合、本発明の膣坐剤から分離している活性化物質(例えば、水又はヒドロゲル系活性化物質)が該膣坐剤からの一酸化窒素の放出を開始する為に使用されうる。
【0059】
幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤を対象に投与することに応じて、該膣坐剤は融解しうる、及び/又は該対象の膣の表面に皮膜若しくは被膜を形成しうる。幾つかの実施態様において、該膣坐剤は、対象の膣表面の少なくとも約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約90%、約95%、又は約100%に皮膜又は被膜をもたらす。幾つかの実施態様において、該膣坐剤は、対象の膣表面の疾患領域の一部分(例えば、25%、50%、75%)又は全て(すなわち100%)に皮膜又は被膜をもたらす。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤を対象に投与することに応じて、該膣坐剤は、対象の子宮頸部組織の少なくとも約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約90%、約95%、又は約100%に皮膜又は被膜をもたらす。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は好適なオスモル濃度を有しうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、約10mOsm/kg〜約8000mOsm/kg又は約250mOsm/kg〜約400mOsm/kgのオスモル濃度を有しうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、約10mOsm/kg〜約100mOsm/kg、約100mOsm/kg〜約200mOsm/kg、約200mOsm/kg〜約300mOsm/kg、約300mOsm/kg〜約400mOsm/kg、約400mOsm/kg〜約500mOsm/kg、約500mOsm/kg〜約600mOsm/kg、約600mOsm/kg〜約700mOsm/kg、約700mOsm/kg〜約800mOsm/kg、約800mOsm/kg〜約900mOsm/kg、約900mOsm/kg〜約1000mOsm/kg、約1000mOsm/kg〜約2000mOsm/kg、約2000mOsm/kg〜約3000mOsm/kg、約3000mOsm/kg〜約4000mOsm/kg、約4000mOsm/kg〜約5000mOsm/kg、約5000mOsm/kg〜約6000mOsm/kg、約6000mOsm/kg〜約7000mOsm/kg、又は約7000mOsm/kg〜約8000mOsm/kgのオスモル濃度を有しうる。例えば、本発明の膣坐剤は、約10、約50、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450、約500、約550、約600、約650、約700、約750、約800、約850、約900、約950、約1000、約2000、約3000、約4000、約5000、約6000、約7000、又は約8000mOsm/kgのオスモル濃度を有しうる。
【0060】
幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、約0.5mL〜約5mLの容量を有しうる。例えば、本発明の膣坐剤は、約0.5mL、約1mL、約1.5mL、約2mL、約2.5mL、約3mL、約3.5mL、約4mL、約4.5mL、又は約5mLの容量を有しうる。
【0061】
幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、膣の表面に付着しうる及び/又は膣の表面に対して粘膜付着性でありうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、活性、処置、及び/又は投与計画に適切な平均滞留時間を有しうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、対象に治療効果をもたらすのに好適な平均滞留時間を有しうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、処置有効量の該API及び/又はNOを該対象に投与する持続時間に関する平均滞留時間を有しうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、該膣坐剤がNOを放出する時間の持続時間と少なくとも等価である持続時間を有する平均滞留時間を有しうる。
【0062】
幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は無水膣坐剤でありうる。本明細書において使用される場合、「無水」は、調製されている場合に該膣坐剤への水の直接添加が存在しないことを意味する。しかしながら、当業者は、水は該膣坐剤の調製、保存、及び/又は使用中の任意の時間において、該膣坐剤によって及び/又は該膣坐剤の1以上の成分によって物理的及び/又は化学的に吸収されうること(すなわち、該膣坐剤への水の間接添加)を認識するだろう。幾つかの実施態様において、語「無水」は、該膣坐剤が該膣坐剤の5重量%未満又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値の含水量を有することを意味する。膣坐剤は、該膣坐剤の重量で5%未満、4.5%未満、4%未満、3.5%未満、3%未満、2.5%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、若しくは0.5%未満、又はその中の任意の範囲の含水量を有しうる。含水量は、当業者に知られた方法、例えば、これに限定されないが、カール・フィッシャー滴定によって測定されうる。
【0063】
本発明の幾つかの実施態様に従えば、対象中及び/又は対象においてウィルス、細菌、原生動物、及び/又は真菌感染を処置及び/又は予防する為の方法が本明細書において提供される。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤及び/又は方法は、対象中及び/又は対象においてウィルス、細菌、原生動物、及び/又は真菌感染を処置及び/又は予防しうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、抗菌性(antimicrobial)(例えば、抗ウィルス性、抗細菌性(antibacterial)、及び/又は抗真菌性(antifungal))でありうる。
【0064】
本発明の幾つかの実施態様に従えば、感染(例えば、ウィルス感染)を処置及び/又は予防する方法が本明細書において提供される。感染(例えば、ウィルス感染)を処置及び/又は予防する方法は、本発明の膣坐剤を対象の膣に投与し、それによって、該対象における該感染を処置及び/又は予防することを含みうる。幾つかの実施態様において、該膣坐剤は、該膣坐剤を該対象の該膣に挿入及び/又は配置すること等によって投与されうる。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、ウィルスのウィルス複製を抑制及び/又は阻害しうる、及び/又は対象の局所免疫応答を増強しうる。幾つかの実施態様において、該膣坐剤の投与は、該対象への一酸化窒素(NO)の局部及び/又は経皮送達を実現しうる。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、対象の膣若しくはその一部分へのNOの標的化送達を実現しうる、及び/又は該対象の周囲組織及び/又は器官へのNOの局所、全身送達を実現しうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤を投与する方法は、NOを対象の組織に、及び/又は該組織を通って局所領域に投与しうる。
【0065】
例示的なウィルス感染は、これらに限定されないが、サイトメガロウィルス(CMV)、エプスタイン−バーウィルス、単純ヘルペスウィルス(HSV1+2)、帯状疱疹、ヒトヘルペスウィルス6(HHV−6)、ヒトヘルペスウィルス8(HHV−8)、乳頭腫ウィルス、及び/又は伝染性軟属腫によって引き起こされるウィルス感染を包含する。幾つかの実施態様において、該ウィルス感染は、乳頭腫ウィルス、例えばヒト乳頭腫ウィルス、によって引き起こされうる。該ヒト乳頭腫ウィルス(HPV)は、HPV1、2、3、4、6、10、11、16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、及び/又は59型でありうる。幾つかの実施態様において、該ウィルス感染は、単純ヘルペスウィルス、例えば単純ヘルペス1型及び/又は単純ヘルペス2型、によって引き起こされうる。幾つかの実施態様において、該ウィルス感染は、該対象の膣組織及び/又は子宮頸部組織に感染しうる。或る実施態様において、ウィルスはヒトウィルスでありうる。
【0066】
幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は、高リスク型HPV媒介性子宮頸上皮内腫瘍(CIN:Cervical Intraepithelial Neoplasia)を処置及び/又は予防する為に使用されうる。幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤及び/又は方法は、該膣坐剤の投与及び/又は該膣坐剤を用いた処置後に、子宮頸部ブラシを使用してHPVについてのPCR陰性結果を生じる及び/又は提供する。
【0067】
本明細書において使用される場合、「処置する」、「を処置すること」又は「の処置」(及びそれらの文法的活用形)は、対象に利益を付与する任意の種類の処置を云い、対象の状態の重症度が軽減されるか、少なくとも部分的に改善若しくは寛解すること、及び/又は該状態(例えば、ウィルス感染)に関連付けられた少なくとも1の臨床症状のある程度の緩和、軽減若しくは低減が達成されること、及び/又は該状態の進行の遅延が存在することを意味しうる。幾つかの実施態様において、状態、例えばウィルス感染(例えばヒト乳頭腫ウィルスによって引き起こされるウィルス感染)等、の重症度は、対象において、本発明の方法の非存在下における該状態の重症度と比較して軽減されうる。或る実施態様において、本発明の方法は、対象におけるウィルス感染、例えば該対象の膣に影響を及ぼしているウィルス感染、を処置する。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、ウィルス感染に関連付けられた少なくとも1の臨床症状(例えば、良性病変)の大きさ及び/又は外観を排除及び/又は減少させることによって該ウィルス感染を処置しうる。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、ウィルス感染に関連付けられた少なくとも1の臨床症状(例えば、良性病変)を所与の期間(例えば、1日、2日、3日、4日、5日、若しくは6日、又は1週、2週、3週、若しくは4週以上等)排除することによって該ウィルス感染を処置しうる。
【0068】
幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は処置有効量で投与される。「処置有効量」及び「治療有効量」は、本明細書において交換可能に使用され、対象を処置する(本明細書に定義されているように)のに十分な量を云う。当業者は、何らかの利益が該対象に提供される限り、治療効果は完全である必要も治癒的である必要もないことを理解するだろう。幾つかの実施態様において、本発明の処置有効量の膣坐剤は、投与され得、処置有効量の一酸化窒素放出性医薬成分を投与することを包含しうる。幾つかの実施態様において、処置有効量の一酸化窒素は、本発明の方法において投与及び/又は適用されうる。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、一酸化窒素(NO)放出性有効医薬成分(API)を含む膣坐剤の投与が一酸化窒素の該投与、例えば該膣坐剤、NO放出性API、及び/又はNOが処置有効量で投与される場合等、から全身効果(例えば有害な全身効果)を生じないように実行される。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、一酸化窒素放出性医薬成分を含む膣坐剤の投与が一酸化窒素の該投与、例えば該膣坐剤、NO放出性API、及び/又はNOが処置有効量で投与される場合等、から局所的で、全身的な効果を生じるように実行される。
【0069】
語「予防する」、「予防すること」及び「予防」(並びにそれらの文法的活用形)は、対象における状態(例えば、ウィルス感染)及び/又はそれに関連付けられた臨床症状の発症の回避、減少及び/又は遅延、及び/又は該状態及び/又は臨床症状の該発症の重症度の、本発明の方法の非存在下において生じうるものと比べた軽減を云う。該予防は完全、例えば該状態及び/又は臨床症状の全くの非存在であることができる。該予防はまた、該対象における該状態及び/又は臨床症状の出現率、及び/又は発症の該重症度が本発明の方法の非存在下において生じうるものよりも小さくなるように、部分的であることもできる。或る実施態様において、本発明の方法は、対象におけるウィルス感染、例えば該対象の膣に影響を及ぼすことができるウィルス感染、を予防する。
【0070】
幾つかの実施態様において、本発明の膣坐剤は予防有効量で投与される。本明細書において使用される場合、「予防有効」量は、該対象における該状態(例えば、ウィルス感染)及び/又は臨床症状を予防する(本明細書に定義されているように)のに十分な量である。当業者は、何らかの利益が該対象に提供される限り、予防のレベルは完全である必要はないことを理解するだろう。幾つかの実施態様において、本発明の予防有効量の膣坐剤は、投与され得、予防有効量の一酸化窒素放出性医薬成分を投与することを包含しうる。幾つかの実施態様において、予防有効量の一酸化窒素は、本発明の方法において投与及び/又は適用されうる。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、NO放出性APIを含む膣坐剤の投与が一酸化窒素の該投与、例えば該膣坐剤、NO放出性API、及び/又はNOが予防有効量で投与される場合等、から全身効果(例えば、有害な全身効果)を生じないように実行される。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、一酸化窒素放出性医薬成分を含む膣坐剤の投与が一酸化窒素の該投与、例えば該膣坐剤、NO放出性API、及び/又はNOが予防有効量で投与される場合等、から局所的で、全身的な効果を生じるように実行される。
【0071】
本発明の膣坐剤は、当業者に公知の任意の方法を使用して対象に投与されうる。幾つかの実施態様において、該膣坐剤は、該対象に1日当たり少なくとも1回、2回、又は3回以上投与されうる。幾つかの実施態様において、該膣坐剤は、該対象に1週間及び/又は1か月当たり少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、又は8回以上投与されうる。或る実施態様において、該膣坐剤は、該対象に毎日1回、毎日2回、隔日、3日ごと、1週間当たり1回、又は1週間当たり2回投与されうる。幾つかの実施態様において、該膣坐剤は、長期間(例えば、1週間、1か月、2か月等)及び/又は該状態(例えば、ウィルス感染)及び/又はそれに関連付けられた臨床症状が処置及び/又は予防されるまで、少なくとも毎日1回投与されうる。幾つかの実施態様において、該膣坐剤は必要な場合に適用されうる。
【0072】
本発明は、獣医学用途と医学用途との両方における使用を見出す。本発明の好適な対象は、これらに限定されないが、鳥類及び哺乳動物を包含する。本明細書において使用される場合、語「鳥類」は、これらに限定されないが、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、シチメンチョウ、キジ、オウム、インコ、コンゴウインコ、オカメインコ、カナリア、及びフィンチを包含する。本明細書において使用される場合、語「哺乳動物」は、これらに限定されないが、霊長類(例えば、類人猿及びヒト)、非ヒト霊長類(例えば、サル、ヒヒ、チンパンジー、ゴリラ)、ウシ亜科、ヒツジ、ヤギ、有蹄動物、ブタ、ウマ科、ネコ科、イヌ科、ウサギ目、鰭脚類、げっ歯類(例えば、ラット、ハムスター、及びマウス)等を包含する。幾つかの実施態様において、該対象は哺乳動物であり、或る実施態様において、該対象はヒトである。ヒト対象は、男性と女性との両方、並びに胎児期、新生児期、乳児期、児童期、青年期、成人期、及び老人期の対象を包含する全ての年齢の対象を包含する。
【0073】
本発明の方法はまた、獣医学的目的及び/又は薬物スクリーニング及び薬物開発の目的で、動物対象、特に哺乳動物対象、例えばマウス、ラット、イヌ、ネコ、家畜及びウマ、に関しても実行されうる。
【0074】
幾つかの実施態様において、該対象は、本発明の方法「を必要とする」又は「それを必要とする」、例えば、該対象はリスク集団において存在する(例えば、該対象はウィルス感染のリスクがあるか又はウィルス感染の影響をより受けやすい場合がある)、該対象はウィルス感染と典型的に関連付けられた所見を有する、及び/又は該対象はウィルスに曝露されているか若しくは曝露されていたと考えられる。幾つかの実施態様において、それを必要とする対象は、本発明の方法を用いて処置されうるウィルス感染及び/又はそれに関連付けられた臨床徴候若しくは症状を有する。本発明は、小児、青年、成人、及び/又は老人期の対象に特に好適でありうる。
【0075】
幾つかの実施態様において、本発明の方法は、良性病変の外観及び/又は大きさを予防及び/又は減少させうる。例示的な良性病変は、これらに限定されないが、疣贅(例えば、生殖器疣贅等)、乳頭腫、伝染性軟属腫、及び/又は疱疹性病変を包含する。幾つかの実施態様において、該良性病変は乳頭腫ウィルス、例えばヒト乳頭腫ウィルス、によって誘発され及び/又は引き起こされうる。
【0076】
本発明の方法は、良性病変の外観及び/又は大きさを、本発明の膣坐剤の投与前の良性病変の外観及び/又は大きさと比較して、少なくとも約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、又は約100%減少させうる。該良性病変の該外観は、例えば、これらに限定されないが、該対象及び/又は医師によって、視覚的に評価されうる。該良性病変の該大きさは、当業者に知られた方法を使用して決定されうる。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、疣贅の外観及び/又は大きさを予防及び/又は減少させうる。
【0077】
或る実施態様において、該対象は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、若しくは13の日及び/又はその週以内、又はそれよりも長い期間以内に良性病変の大きさ及び/又は外観の減少を観察しうる。幾つかの実施態様において、該方法は、12週以下で、幾つかの実施態様において、8週又はそれよりも短い期間内で、及び更なる実施態様において、4週又はそれよりも短い期間内で、該対象の皮膚及び/又は組織における良性病変の大きさ及び/又は外観を減少させうる。
【0078】
本発明の方法は、良性病変の数を、本発明の膣坐剤の投与前の良性病変の数と比較して、少なくとも約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%又は約100%減少させうる。良性病変の数は、例えば、これらに限定されないが、該対象及び/又は医師によって、視覚的に評価されうる。良性病変の数は、当業者に知られた方法を使用して決定されうる。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、疣贅の数を予防及び/又は減少させうる。
【0079】
本発明の方法は、対象における良性病変の再発の速度を、本発明の膣坐剤の投与の非存在下における同じ種類の良性病変の再発の速度と比較して、少なくとも約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%又は約100%低減させうる。再発の速度は、当業者に知られた方法を使用して決定されうる。例えば、良性病変の処置及び/又は除去後、良性病変の数は、再発の速度を決定する為に所与の期間の後に視覚的に決定されうる。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、対象における疣贅の再発の速度を低減させうる。
【0080】
或る実施態様において、本発明の方法は、前悪性病変及び/又は悪性病変、例えば腫瘍等、の外観及び/又は大きさを予防及び/又は減少させうる。該前悪性病変及び/又は悪性病変は、ウィルス感染によって引き起こされうる及び/又は誘発されうる。幾つかの実施態様において、前悪性病変及び/又は悪性病変は、前悪性及び/又は悪性皮膚病変でありうる。幾つかの実施態様において、該前悪性病変及び/又は悪性病変は、子宮頸部の癌に起因しうる、及び/又は子宮頸部の癌によって引き起こされうる。幾つかの実施態様において、該前悪性病変及び/又は悪性病変は、乳頭腫ウィルス、例えばヒト乳頭腫ウィルス、によって誘発されうる及び/又は引き起こされうる。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、子宮頸上皮内腫瘍の外観及び/又は大きさを予防及び/又は減少させうる。
【0081】
本発明の方法は、前悪性病変及び/又は悪性の外観及び/又は大きさを、本発明の膣坐剤の投与前の前悪性病変及び/又は悪性病変の外観及び/又は大きさと比較して、少なくとも約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約97%以上減少させうる。該前悪性病変及び/又は悪性病変の該外観は、例えば、これらに限定されないが、該対象及び/又は医師によって、視覚的に評価されうる。該前悪性病変及び/又は悪性病変の該大きさは、当業者に知られた方法を使用して決定されうる。
【0082】
本発明の方法は、前悪性病変及び/又は悪性病変の数を、本発明の膣坐剤の投与前の前悪性病変及び/又は悪性病変の数と比較して、少なくとも約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%又は約100%減少させうる。前悪性病変及び/又は悪性病変の数は、例えば、これらに限定されないが、該対象及び/又は医師によって、視覚的に評価されうる。前悪性病変及び/又は悪性病変の数は、当業者に知られた方法を使用して決定されうる。
【0083】
本発明の方法は、対象における前悪性病変及び/又は悪性病変の再発の速度を、本発明の膣坐剤の投与の非存在下における同じ種類の前悪性病変及び/又は悪性病変の再発の速度と比較して、少なくとも約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%又は約100%低減させうる。再発の速度は、当業者に知られた方法を使用して決定されうる。例えば、前悪性病変及び/又は悪性病変の処置及び/又は除去後、前悪性及び/又は悪性病変の数は、再発の速度を決定する為に所与の期間の後に視覚的に決定されうる。
【0084】
幾つかの実施態様において、本発明の方法は、一酸化窒素を対象の上皮の基底層に投与しうる。本発明の方法は、処置有効量及び/又は予防有効量の一酸化窒素を対象の上皮の基底層に投与しうる。幾つかの実施態様において、一酸化窒素は、対象の上皮の基底膜に投与されうる。
【0085】
幾つかの実施態様において、本発明の方法は、ウィルスに感染した細胞においてアポトーシス又は他の細胞損傷を誘発するのに十分な量の一酸化窒素を投与しうる。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、ウィルスに感染した細胞におけるウィルス複製を阻害及び/又は予防するのに十分な量の一酸化窒素を投与しうる。本発明の方法は、ウィルス複製を、本発明の方法前の複製の速度と比較して、少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、99%、又は100%減少させうる。
【0086】
幾つかの実施態様において、本発明の方法は、宿主細胞に対する細胞毒性を伴わずに又は宿主細胞に対する軽減した細胞毒性で、対象におけるウィルス感染を処置及び/又は予防しうる。該方法は、該ウィルス感染を処置する為の異なる方法、例えば一酸化窒素を対象の皮膚及び/又は組織に投与しない方法、又は酸性化した亜硝酸塩を使用する方法等、と比較して軽減した宿主細胞細胞毒性で、該対象における該ウィルス感染を処置及び/又は予防しうる。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、宿主細胞細胞毒性を、該ウィルス感染を処置する為の異なる方法と比較して、少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%、又は約100%軽減しうる。本発明の方法は、宿主細胞細胞毒性なしに又は最小限の宿主細胞細胞毒性でウィルス複製を減少及び/又は排除しうる。例えば、該方法は、約50%以下(例えば、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約10%以下、約5%以下)の宿主細胞細胞毒性を提供しうる。細胞毒性は当業者に知られた方法、例えばヘマトキシリン及びエオジン(H&E)スライドの定性的読み取り、乳酸脱水素酵素(LDH)アッセイ及び/又は3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウムブロミド(MTT)アッセイ等、を使用して決定されうる。幾つかの実施態様において、本発明の方法はアポトーシスを引き起こし得ない。例えば、該方法は該皮膚及び/又は組織の角化細胞層においてアポトーシスを引き起こし得ない。
【0087】
幾つかの実施態様において、本発明の方法は、該皮膚及び/又は組織における細胞を正常化させうる。該細胞は、本発明の方法から治療的及び/又は予防的効果を受け取った細胞でありうる。例えば、該細胞は、本発明の方法に従って一酸化窒素を投与された細胞でありうる。該細胞は、例えば正常な成長速度に戻ることによって正常化しうる、及び/又は分化を完了しうる。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、該皮膚及び/又は組織全体にわたって活発に分裂する細胞の数を減少させ得、正常な生理的状態であるように細胞分裂を該皮膚及び/又は組織の基底層に制限させうる。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、該皮膚及び/又は組織の細胞を、該細胞、皮膚、及び/又は組織が過増殖、過形成(例えば、良性過形成)、及び/又は異形成を呈しない成長速度に戻しうる。
【0088】
幾つかの実施態様において、該ウィルスは該皮膚及び/又は組織の領域において肥厚を引き起こし得(例えば、該ウィルスは該皮膚に疣贅をもたらしうる)、本発明の方法は、この領域における該皮膚及び/又は組織の厚さを、例えば少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、若しくは約50%以上減少させうる、及び/又はこの領域における該皮膚及び/又は組織の該厚さを正常な厚さに戻しうる。幾つかの実施態様において、該方法は、皮膚及び/又は組織の肥厚した領域の厚さを減少させうる、及び/又は該肥厚した領域における該皮膚及び/又は組織の厚さを、該皮膚及び/又は組織の正常な厚さに対して約20%以下の厚さに戻しうる。例えば、正常な皮膚の領域は2mmの厚さを有し得、本発明の方法はこの領域における肥厚した皮膚の厚さを約2.4mm〜約2mmの厚さに減少させうる。
【0089】
幾つかの実施態様において、本発明の方法は、該皮膚及び/又は組織の細胞を正常なG2及び/又はS期に戻しうる。例えば、ウィルスは、細胞にS期再進入後の延長したG2期を有させうる。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、ウィルス複製に関与するタンパク質を破壊及び/又は妨害しうる。例えば、本発明の方法は、E7及び/又はE6タンパク質、及び/又はその相互作用及び/又はシグナル伝達を破壊及び/又は妨害しうる。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、E6及び/又はE7ウィルスタンパク質の量及び/又は活性化を減少させうる。幾つかの実施態様において、本発明の方法は、ウィルス複製を妨げる及び/又は低減する細胞過程を活性化及び/又は増加させうる。
【0090】
幾つかの実施態様において、本発明の方法は、ウィルスに感染した細胞及び/又は対象の膣におけるウィルスDNAの量を減少させうる。例えば、本発明の方法は、ウィルスDNAの量を、本発明の方法前に存在するウィルスDNAの量と比較して、少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%、又は約100%減少させうる。
【0091】
本発明は、下記の非限定的な実施例においてより詳細に説明される。
【実施例】
【0092】
実施例1
【0093】
【表1】
【0094】
Ovucire(商標)/Suppocire(商標)/Japocire(商標)は、該有効成分(NVN3100)を分散させる為に使用される、硬質脂肪に基づく坐剤基剤である。これらの坐剤基剤は、膣腔において融解し、該基剤に懸濁した該薬物を放出することができる。
【0095】
水分の存在はNVN3100から一酸化窒素を放出させることができるので、選択された該坐剤基剤は疎水性である。選択された該坐剤基剤は低酸価を有し、製造における及び/又は保存中の一酸化窒素の放出を最小限にする。幾つかの実施態様において、該坐剤基剤は、該坐剤の90重量%以上の量で存在する。
【0096】
該膣坐剤に含まれうる追加の賦形剤は、任意的に、該坐剤の約0.01重量%〜約1.0重量%の量の保存剤(例えば、パラベン)、任意的に、該坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の滑沢剤(例えば、鉱油)、及び/又は任意的に、該坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の硬質ワックスを包含する。
【0097】
実施例2
【0098】
【表2】
【0099】
該坐剤の融解範囲は、グリセロゼラチン坐剤を使用して調整されうる。グリセリンは該APIを分散及び/又は溶解するのに役立ちうる。ゼラチンとグリセリンとの比は、最小限の水分が存在するように選択される。該坐剤への水分の封入を最小限にするように注意が払われる。幾つかの実施態様において、該APIは、グリセロール−ゼラチン坐剤基剤を使用することを可能にする為に被覆されうる。例えば、幾つかの実施態様において、マイクロカプセル化は、該APIの分解及び/又は該APIからのNOの早期放出を最小限にする為に使用されうる。幾つかの実施態様において、グリセリンは、該坐剤の70重量%以上の量で存在する。
【0100】
該膣坐剤に含まれうる追加の賦形剤は、任意的に、該坐剤の約0.01重量%〜約1.0重量%の量の保存剤(例えば、パラベン)、任意的に、該坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の滑沢剤(例えば、鉱油)、任意的に、該坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の硬質ワックス、及び/又は任意的に、坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の1以上の追加の溶媒(例えば、精製水)を包含する。
【0101】
実施例3
【0102】
【表3】
【0103】
ココアバター(カカオ脂)は、脂肪酸のトリグリセリドから構成されるワックス基剤であり、及び約31℃〜約34℃の融点を有する。幾つかの実施態様において、ワックス基剤(例えば、ココアバター)は該坐剤の90重量%以上の量で存在する。
【0104】
該基剤は異なる物理化学的特性を有する多形に転化する傾向を有するので、該基剤の製造中の過熱を最小限にするように注意が払われる。供給源を低級遊離脂肪酸と同定することは、該基剤に分散した該APIの安定性を高めうる。
【0105】
該膣坐剤に含まれうる追加の賦形剤は、任意的に、該坐剤の約0.01重量%〜約1.0重量%の量の保存剤(例えば、パラベン)、任意的に、該坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の滑沢剤(例えば、鉱油)、及び/又は任意的に、該坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の硬質ワックスを包含する。
【0106】
実施例4
【0107】
【表4】
【0108】
この坐剤は、該API及び陽子源を共送達することができる単相単位用量坐剤であり得、それは、患者の、容易な及び/又は増加した服薬遵守を実現しうる。幾つかの実施態様において、該坐剤基剤は、該坐剤の60重量%以上の量で存在する。
【0109】
該APIと1以上の緩衝剤との相互作用を最小限にする、硬質脂肪に基づく坐剤基剤が選択されうる。該緩衝剤は、膣の生理的pHにおいて強力な緩衝能を有し、且つ生理学的に許容可能な緩衝液であるように選択されうる。
【0110】
代替的には、該坐剤は、該APIがコアに保存され且つ該緩衝剤が該コアの周りの外層にある多層化単相系であるように設計され及び製造されうる。膣腔へ挿入すると、該基剤は融解して、該緩衝剤を放出し、それは該コア中に分散される該APIから一酸化窒素を放出する為に必要とされる陽子を提供する。
【0111】
該膣坐剤に含まれうる追加の賦形剤は、任意的に、該坐剤の約0.01重量%〜約1.0重量%の量の保存剤(例えば、パラベン)、任意的に、該坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の滑沢剤(例えば、鉱油)、及び/又は任意的に、該坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の硬質ワックスを包含する。
【0112】
実施例5
【0113】
【表5】
【0114】
この坐剤は、該API及び陽子源を共送達することができる単相単位用量坐剤であり得、それは、患者の、容易な及び/又は増加した服薬遵守を実現しうる。幾つかの実施態様において、該坐剤基剤は該坐剤の60重量%以上の量で存在する。
【0115】
グリセロゼラチン基剤は、該坐剤において製造されて、該APIと1以上の緩衝液との相互作用を最小限にすることができる。該緩衝剤は、膣の生理的pHにおいて強力な緩衝能を有し、且つ生理学的に許容可能な緩衝液であるように選択されうる。
【0116】
該坐剤は、該APIがコアに保存され、1以上の緩衝剤が外層にある多層化単相系であり得、それは、急速に分散及び/又は融解しうる。膣腔へ挿入すると、該坐剤基剤は融解及び/又は分散し得、それによって1以上の該緩衝剤を放出し、それは、該コアに分散した該APIからNOを放出する為に使用することができる陽子を提供することができる。
【0117】
該膣坐剤に含まれうる追加の賦形剤は、任意的に、該坐剤の約0.01重量%〜約1.0重量%の量の保存剤(例えば、パラベン)、任意的に、該坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の滑沢剤(例えば、鉱油)、及び/又は任意的に、該坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の硬質ワックスを包含する。
【0118】
実施例6
【0119】
【表6】
【0120】
この坐剤は、該API及び陽子源を共送達することができる単相単位用量坐剤であり得、それは、患者の、容易な及び/又は増加した服薬遵守を実現しうる。幾つかの実施態様において、該坐剤基剤は該坐剤の60重量%以上の量で存在する。
【0121】
ココアバター基剤は、該坐剤において製造されて、該APIと1以上の緩衝液との相互作用を最小限にすることができる。該緩衝剤は、膣の生理的pHにおいて強力な緩衝能を有し、且つ生理学的に許容可能な緩衝液であるように選択されうる。
【0122】
該坐剤は、該APIがコアに保存され、1以上の緩衝剤が外層にある多層化単相系であり得、それは、急速に分散及び/又は融解しうる。膣腔へ挿入すると、該坐剤基剤は融解及び/又は分散し得、それによって1以上の該緩衝剤を放出し、それは、該コアに分散した該APIからNOを放出する為に使用することができる陽子を提供することができる。
【0123】
該膣坐剤に含まれうる追加の賦形剤は、任意的に、該坐剤の約0.01重量%〜約1.0重量%の量の保存剤(例えば、パラベン)、任意的に、該坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の滑沢剤(例えば、鉱油)、及び/又は任意的に、該坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の硬質ワックスを包含する。
【0124】
実施例7
【0125】
【表7】
【0126】
この坐剤は、該API及び陽子源を共送達することができる単相単位用量坐剤であり得、それは、患者の、容易な及び/又は増加した服薬遵守を実現しうる。幾つかの実施態様において、該坐剤基剤は該坐剤の70重量%以上の量で存在する。
【0127】
該APIと1以上の緩衝剤との相互作用を最小限にする、硬質脂肪に基づく坐剤基剤が選択されうる。該緩衝剤は、膣の生理的pHにおいて強力な緩衝能を有し、且つ生理学的に許容可能な緩衝液であるように選択されうる。幾つかの実施態様において、クエン酸は該坐剤に存在せず、それ故該緩衝液はリン酸緩衝剤を含む。幾つかの実施態様において、クエン酸とリン酸二水素カリウムとの両方が該坐剤中に存在する。
【0128】
代替的には、該坐剤は、該APIがコアに保存され、該緩衝剤が該コアの周りの外層にある多層化単相系であるように設計され及び製造されうる。膣腔へ挿入すると、該基剤は融解して、該コアに分散する該APIから一酸化窒素を放出する為に必要とされる陽子を提供する該緩衝剤を放出する。
【0129】
該膣坐剤に含まれうる追加の賦形剤は、任意的に、該坐剤の約0.01重量%〜約1.0重量%の量の保存剤(例えば、パラベン)、任意的に、該坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の滑沢剤(例えば、鉱油)、及び/又は任意的に、該坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の硬質ワックスを包含する。
【0130】
実施例8
【0131】
【表8】
【0132】
この坐剤は、該API及び陽子源を共送達することができる単相単位用量坐剤であり得、それは、患者の、容易な及び/又は増加した服薬遵守を実現しうる。幾つかの実施態様において、該坐剤基剤は該坐剤の70重量%以上の量で存在する。
【0133】
グリセロゼラチン基剤は、該坐剤において製造されて、該APIと1以上の緩衝液との相互作用を最小限にすることができる。該緩衝剤は、膣の生理的pHにおいて強力な緩衝能を有し、且つ生理学的に許容可能な緩衝液であるように選択されうる。幾つかの実施態様において、クエン酸は該坐剤に存在せず、それ故該緩衝液はリン酸緩衝剤を含む。幾つかの実施態様において、クエン酸とリン酸二水素カリウムとの両方が該坐剤中に存在する。
【0134】
該坐剤は、該APIがコアに保存され、1以上の緩衝剤が外層にある多層化単相系であり得、それは、急速に分散及び/又は融解しうる。膣腔へ挿入すると、該坐剤基剤は融解及び/又は分散し得、それによって1以上の該緩衝剤を放出し、それは、該コアに分散した該APIからNOを放出する為に使用することができる陽子を提供することができる。
【0135】
該膣坐剤に含まれうる追加の賦形剤は、任意的に、該坐剤の約0.01重量%〜約1.0重量%の量の保存剤(例えば、パラベン)、任意的に、該坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の滑沢剤(例えば、鉱油)、及び/又は任意的に、該坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の硬質ワックスを包含する。
【0136】
実施例9
【0137】
【表9】
【0138】
この坐剤は、該API及び陽子源を共送達することができる単相単位用量坐剤であり得、それは、患者の、容易な及び/又は増加した服薬遵守を実現しうる。幾つかの実施態様において、該坐剤基剤は該坐剤の70重量%以上の量で存在する。
【0139】
ココアバター基剤は、該坐剤において製造されて、該APIと1以上の緩衝液との相互作用を最小限にすることができる。該緩衝剤は、膣の生理的pHにおいて強力な緩衝能を有し、且つ生理学的に許容可能な緩衝液であるように選択されうる。幾つかの実施態様において、クエン酸は該坐剤に存在せず、それ故該緩衝液はリン酸緩衝剤を含む。幾つかの実施態様において、クエン酸とリン酸二水素カリウムとの両方が該坐剤中に存在する。
【0140】
該坐剤は、該APIがコアに保存され、1以上の緩衝剤が外層にある多層化単相系であり得、それは、急速に分散及び/又は融解しうる。膣腔へ挿入すると、該坐剤基剤は融解及び/又は分散し得、それによって1以上の該緩衝剤を放出し、それは、該コアに分散した該APIからNOを放出する為に使用することができる陽子を提供することができる。
【0141】
該膣坐剤に含まれうる追加の賦形剤は、任意的に、該坐剤の約0.01重量%〜約1.0重量%の量の保存剤(例えば、パラベン)、任意的に、該坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の滑沢剤(例えば、鉱油)、及び/又は任意的に、該坐剤の約1重量%〜約10重量%の量の硬質ワックスを包含する。
【0142】
上述のものは本発明の例を示すものであり、それを限定するものとして解釈されるべきではない。本発明は、特許請求の範囲の均等物が包含されるべきである下記の特許請求の範囲によって定義される。本明細書において引用されている全ての刊行物、特許出願、特許、特許刊行物、及び他の参考文献は、該参考文献が提示される文及び/又は段落に関連付けられた教示に関して、それらの全体が参照によって組み込まれる。
【国際調査報告】