(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-515992(P2021-515992A)
(43)【公表日】2021年6月24日
(54)【発明の名称】永久磁石又は硬磁性材料を製造する方法
(51)【国際特許分類】
H01F 41/02 20060101AFI20210528BHJP
H01F 1/057 20060101ALI20210528BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20210528BHJP
【FI】
H01F41/02 G
H01F1/057 160
C22C38/00 303D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-570632(P2020-570632)
(86)(22)【出願日】2019年3月4日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月26日
(86)【国際出願番号】EP2019055291
(87)【国際公開番号】WO2019170593
(87)【国際公開日】20190912
(31)【優先権主張番号】102018105250.2
(32)【優先日】2018年3月7日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520345184
【氏名又は名称】テクニシエ ユニベルシテイト ダルムシュタット
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グロシュ、ペーター
(72)【発明者】
【氏名】チ、ファンスン
(72)【発明者】
【氏名】ビーシュナー、レンナルト
(72)【発明者】
【氏名】グレーブ、トールステン
(72)【発明者】
【氏名】ブルーデル、エンリコ
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー、クレメンス
【テーマコード(参考)】
5E040
5E062
【Fターム(参考)】
5E040AA04
5E040AA19
5E040CA01
5E040HB07
5E040HB09
5E040NN18
5E062CD04
5E062CE03
5E062CE07
(57)【要約】
硬磁性材料又は永久磁石を製造する方法が開示される。この方法は、カプセル110を形成するステップであって、カプセル110が、合金120を少なくとも一部取り囲み、合金120が、少なくとも1つの希土類元素、少なくとも1つの遷移金属、及び周期表のIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む、ステップS110を含む。さらに、この方法は、合金120がチクソ状態になる温度に合金120を加熱するステップS120と、異なる側からカプセルへの負荷及び除荷を繰り返すことにより、所定の期間にわたって、加熱された合金と共にカプセルの連続的な機械的再成形を行うステップS130とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬磁性材料又は永久磁石を製造する方法であって、
カプセル(110)を形成するステップであって、前記カプセル(110)が、合金(120)を少なくとも一部取り囲み、前記合金(120)が、少なくとも1つの希土類元素、少なくとも1つの遷移金属、及び周期表のIIIA族の少なくとも1つの元素を含む、ステップ(S110)と、
前記合金(120)がチクソ状態になる温度に前記合金(120)を加熱するステップ(S120)と、
異なる側から前記カプセルへの負荷及び除荷を繰り返すことにより、所定の期間にわたって、加熱された前記合金と共に前記カプセルの連続的な機械的再成形を行うステップ(S130)と
を含む方法。
【請求項2】
前記カプセル(110)を形成する前記ステップ(S110)が、
前記合金を溶融状態にして囲包体に導入すること、及び
固体凝集状態での前記合金から作製されたブランクを提供し、その後、前記ブランクを囲包体に導入することを含み、
前記囲包体が、変形可能な材料、特に鋼又は銅を含む
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カプセルが円筒形状に形成され、前記再成形がツールによって行われ、前記ツールが、少なくとも2つの対向する押圧体を有し、前記押圧体が、前記カプセルが繰り返し摺動及び/又は回転される間に、前記カプセルに周期的に圧力を加える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
硬磁性材料又は永久磁石を製造する方法であって、
合金を不活性環境に導入するステップであって、前記不活性環境が、前記合金の酸化を抑制し、前記合金が、少なくとも1つの希土類元素、少なくとも1つの遷移金属、及び周期表のIIIA族の少なくとも1つの元素を含む、ステップと、
前記合金がチクソ状態になる最低温度に合金を加熱するステップと、
異なる側からの負荷及び除荷を繰り返すことにより、所定の期間にわたって、前記合金の連続的な機械的変形を行うステップと
を含む方法。
【請求項5】
前記希土類元素が、Pr、Nd、Dy、Ce、La、Y、Tbのうちの少なくとも1つの元素を含み、
前記遷移金属が、Fe、Co、Cu、Ag、Au、Ni、Zrの少なくとも1つの元素、特にFeを含み、
周期表のIIIA族からの前記元素が、B、Ga、Alの少なくとも1つの元素、特にBを含む
請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
熱処理による前記合金の均質化をさらに含み、前記熱処理が、特に、前記合金内の望ましくない相、特にα鉄の還元をもたらす温度で行われる、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記再成形のステップが、
前記合金(120)に周期的な圧力(P)を加えること、及び
前記合金(120)に送り運動(V)を及ぼすこと
をさらに含み、
それにより、前記合金(120)が、周期的な負荷の下で、前記ツール(200)を通して軸方向に連続的に移動される
請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記加熱(S120)が、誘導加熱を含み、最低温度が500℃〜1400℃、又は600℃〜1200℃の範囲内にある、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
連続的な機械的再成形(S130)後のテクスチャリングをさらに含み、前記テクスチャリングが、圧搾、及び/又は後方押出、及び/又は圧延プロセスを含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法に従って製造された硬磁性材料の磁化により生じる、磁性材料を備えた永久磁石。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬磁性材料又は永久磁石を製造する方法に関し、特にチクソフォーミングを使用する希土類含有合金の磁気的硬化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、希土類を含む硬磁性材料は、複雑で高価な粉末冶金プロセスによって製造されてきた。より費用対効果の高い溶融冶金法による製造は、これらの合金が鋳造状態で好ましくない構造寸法及び不均質な構造分布を有し、したがって不十分な硬磁性特性しか有さないため、産業では使用されない。既知の合金は高温でもほぼ亀裂なしの状態で再成形することができないので、例えばより費用対効果の高い圧縮成形プロセスによる後からの粒子微細化は、これまで使用されていない。
【0003】
既知の粉末冶金プロセスでは、最初に粉末が製造され、次いで粉末が圧縮され、最後に粉末が焼結される。そのような方法は、例えば、焼結磁石に関して米国特許第4,773,950号に、熱間プレスされた磁石に関して米国特許第4,859,410号に開示されている。これらの方法の欠点として、複雑で高価な生産に加えて、とりわけ不連続なプロセス・フローがある。したがって、長いプロセス時間が必要である。さらに、高いエネルギー消費が必要であり、それがさらに製造コストの増加につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,773,950号明細書
【特許文献2】米国特許第4,859,410号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、より少ないプロセス・ステップが使用される効率的、連続的、且つ安価なプロセス管理を可能にし、それでも良好な硬磁性を達成可能である、硬磁性材料を製造するためのさらなる方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題の少なくとも一部は、請求項1又は請求項4に記載の方法によって解決される。従属クレームは、独立クレームの方法の有利な発展形態に関する。
【0007】
本発明は、硬磁性材料又は永久磁石を製造する方法に関する。この方法は、合金を少なくとも一部取り囲むカプセルを形成するステップを含み、ここで、合金は、少なくとも1つの希土類元素、少なくとも1つの遷移金属、及び周期表のIIIA族(IUPACによる第13族)からの少なくとも1つの元素を含む。さらに、この方法は、合金がチクソ状態になる温度に合金を加熱するステップと、異なる側からカプセルへの負荷及び除荷を繰り返すことにより、所定の期間にわたって、加熱された合金と共にカプセルの連続的な機械的再成形(例えばロータリ・スエージング)を行うステップとを含む。
【0008】
チクソ状態とは、少なくとも1つの相が液体又はほぼ液体の状態にある一方で、他の少なくとも1つの相が固体状態にあることを意味する。液相は、特に隙間、亀裂、空洞に位置するか、又は固体状態(固相)での元素の表面を少なくとも一部覆う。加熱時の温度は、低融点Rリッチ相(Rは希土類元素)の溶融温度よりも高く、脆性の硬磁性相の溶融温度よりも低い範囲内の所定の温度でよい。本発明の文脈において、「相」という用語は、特に、特定の材料組成又は特定の元素に関連する。
【0009】
任意選択で、カプセルの形成は、溶融状態で合金を囲包体、したがって鋳造物に導入することを含み、ここで、囲包体は鋳型として働くことができる。任意選択で、固体凝集状態の合金から作製されたブランクを提供することもできる。任意選択で、ブランクの製造は、本発明による方法の一部であり得る。次いで、提供されたブランクを囲包体に導入して、合金のカプセル(すなわち、鋳造ブロック)を達成することができる。囲包体は、変形可能な材料(例えば、鋼又は銅など塑性変形可能な材料)を含むことができる。したがって、本発明はブランクの特定の製造に限定されないが、ブランクは鋳造体でよい。
【0010】
任意選択で、カプセルが円筒形状に形成され、再成形がツールによって行われ、ツールは、少なくとも2つの径方向に向けられた(例えば、対向する)押圧体(例えば、ツール・ジョー)を有し、押圧体は、カプセルが反復して若しくは連続して摺動される及び/又は軸方向の軸周りで回転される間に、カプセルに周期的に圧力をかける。
【0011】
本発明はまた、硬磁性材料又は永久磁石を製造するためのさらなる方法であって、
− 合金を不活性環境に導入するステップであって、不活性環境が、合金の酸化を抑制し、合金が、少なくとも1つの希土類元素、少なくとも1つの遷移金属、及び周期表のIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む、ステップと、
− 合金が二相状態になる最低温度に合金を加熱するステップと、
− 異なる側からの負荷及び除荷を繰り返すことにより、所定の期間にわたって、合金の連続的な機械的変形を行うステップと、
を含む方法に関する。
【0012】
任意選択で、希土類元素は、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Dy(ジスプロシウム)、Ce(セリウム)、La(ランタン)、Y(イットリウム)、Tb(テルビウム)のうちの少なくとも1つの元素を含み、特に、Nd、Pr、Dy、及びCeが有利に適している。任意選択で、遷移金属は、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Cu(銅)、Ag(銀)、Au(金)、Ni(ニッケル)、Zr(ジルコニウム)のうちの少なくとも1つの元素、特にFeを含む。任意選択で、周期表のIIIA族からの元素は、B(ホウ素)、Ga(ガリウム)、Al(アルミニウム)のうちの少なくとも1つの元素、特にBを含む。
【0013】
任意選択で、この方法は、熱処理による合金の均質化をさらに含み(再成形の前又は後に行うことができる)、熱処理が、特に、合金内の望ましくない相(例えば、α鉄相)の還元をもたらす温度で行われる。
【0014】
任意選択で、再成形のステップは、5Hz〜100Hzの範囲又は10Hz〜40Hzの範囲(又は約30Hzで行われる)の周波数で合金にパルス圧力を加えること、及び合金に送り運動を及ぼすことを含む。その結果、合金(カプセルを伴う又は伴わない)は、周期的な圧力をかけられながら、ツール内を軸方向に連続的に移動される。圧力は、合金の変形をもたらすように十分に大きい。
【0015】
任意選択で、加熱は誘導加熱を含み、所定の温度が500℃〜1400℃、又は600℃〜1200℃の範囲内にあり、すなわち低融点Rリッチ相(Rは希土類元素)の溶融温度よりも高く、脆性の硬磁性相の溶融温度よりも低い。
【0016】
当然、周波数及び温度に関する上記のプロセス・パラメータは単なる例であり、本発明はそれらに限定されないことを理解されたい。原則として、少なくとも粒子微細化の望ましい効果が実現される限り、任意の周波数及び温度を使用することができる。
【0017】
したがって、冒頭で述べた問題の少なくとも一部を克服するために、例示的実施形態は、いわゆるチクソフォーミングを使用し、チクソフォーミングでは、高温で、固相と液相とが同時に存在する状態で再成形が行われる。脆弱な固相は、段階的な再成形の際、低融点の液相によって囲まれた状態で粉砕又は破壊される。液相は、生じた亀裂に侵入し、亀裂を埋める。これは、関連する複数回の負荷状態と除荷状態を伴う漸進的なプロセスによって支援される。冷却時に液相が固化することにより、亀裂によって壊された材料の結合が回復される。液相はまた、脆性の強磁性相を磁気的に分離するのに役立ち、したがってかなりの磁気的硬化をもたらす。例示的実施形態のさらなる大きな利点は、連続的なプロセス管理を可能にする、器具を用いた再成形(例えば、ツールを使用するロータリ・スエージングによる)である。
【0018】
本発明の例示的実施形態は、以下の詳細な説明及び様々な例示的実施形態の添付図面に基づいてより良く理解され、しかし、それらは、本開示を特定の実施形態に限定するものとは理解されるべきではなく、単に説明及び理解のために用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の例示的実施形態による、硬磁性材料又は永久磁石を製造する方法に関する流れ図である。
【
図2】例示的実施形態に従って行われる合金のカプセリングの結果を示す図である。
【
図3】カプセル/合金を再成形するためのツールに関する例示的実施形態を示す図である。
【
図4】例示的実施形態による、ツールにおいてカプセル/合金を再成形するときの可能な相対運動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の例示的実施形態による硬磁性材料又は永久磁石を製造する方法に関する流れ図を示す。この方法は、
− カプセル(例えば完全に形成することができる囲包体)を形成するステップであって、カプセルが、合金を少なくとも一部取り囲み、合金が、少なくとも1つの希土類元素R、少なくとも1つの遷移金属(21〜30、39〜48、57〜80、及び89〜112の原子番号を有する元素)、及び周期表のIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む、ステップS110と、
− 合金がチクソ状態になる温度に合金を加熱するステップS120と、
− 異なる側からカプセルへの負荷及び除荷を繰り返すことにより、所定の期間にわたって、加熱された合金と共にカプセルの連続的な機械的再成形を行うステップS130と
を含む。
【0021】
加熱は、特に、材料の所望の変化をもたらす熱処理も含まれるように特定の期間にわたって行うことができる。
【0022】
この方法は、特に、希土類元素R(例えば、Nd)を用いたR−Fe−B基の合金の磁気的硬化のための再成形プロセスを定義する。このために、合金は、事前に鋳造体として製造することができる。しかし、本発明は、合金の特定の製造に限定されない。その後のカプセル形成S110が、鋳造体を酸化から保護する。加熱時、鋳造体は液固状態に変換され、Rリッチ相が液状になる。その後の再成形により、鋳造体に複数回の機械的負荷が加えられ、鋳造体は固液状態のままである。これは粒子微細化をもたらす。これらの結晶粒間の亀裂及び空隙を閉じる液相に関連して、これは所望の磁気的硬化をもたらす。最後に、上で変形された鋳造体が室温に冷却される。
【0023】
任意選択で、事前のカプセル形成S110なしで磁気的硬化を行うことも可能である。カプセルは、磁気的特性に悪影響を及ぼす酸化からの保護に役立つ。例えば低酸素環境で、特に真空又は保護ガス中で合金を処理することによって酸化を妨げることもできる。保護ガスとして、希ガスや窒素などの不活性ガスを使用することができる。その後、液固状態を達成するために再び加熱が行われる。ここでもRリッチ相が液状になる。最後に、保護ガスの存在下で粒子微細化を再び行うことができ、粒子を粉砕するために、固液状態での合金に複数回の機械的負荷が再び加えられる。同時に、液相はこれらの粒子又は結晶粒間の亀裂及び空隙を閉じ、所望の磁気的硬化をもたらす。
【0024】
図2は、カプセル110内に配置された合金120のカプセリングの結果を示す。酸化を避けるために、カプセリングが完全に閉じられていると有利である。しかし、カプセル110は片側で開いていてもよい。この時点で場合によって形成され得る酸化部分は、後で除去することができる。任意選択で、酸化又は囲包体への酸素の侵入を抑制するために、(表面層によって)開放側でもカプセル110を密封することも可能である。
【0025】
有利には、カプセル110は、できるだけ合金120の近くに隣接し、隙間を残さないように構成される。カプセル110は、鋳造体120のための(一時的な)囲包体であり、十分に耐熱性があり伸張可能な材料を有する。酸化からの保護に加えて、囲包体110は、機械的負荷中にキャストブロックが破損する可能性を防ぐための保護機能をさらに満たす。
【0026】
鋳造体120は、例えば、保護ガス雰囲気又は真空下で、化学量論的な2−14−1相のR−Fe−B基合金(R=Nd、Pr、Ceなどの希土類元素)から製造される。合金120が液体状態で囲包体110に注がれ、その後、冷却されて固化されることも可能である。しかし、鋳造体120(合金)が別個に製造されるとき、鋳造体120の形状は、鋳造体120をできるだけ隙間なく囲包体110に導入することができるように、有利には囲包体110の内側輪郭の形状にできるだけ合致すべきである。これにより、カプセル110内に酸素が存在するのを妨げることができる。酸素が存在すると、変形中に酸化を引き起こすおそれがある。
【0027】
鋳造体120の加熱は、例えば誘導的に行われ、低融点Rリッチ相の固相線温度を超える温度になるまで続けられ、ここで、Rリッチ相の固相線温度/液相線温度は、鋳造プロセスで製造されたR−Fe−B基での合金の合金元素の正確な組成によって決まる。他の既存の相、とりわけ脆性の硬磁性相は、構造内で固体形態である(チクソ状態)。
【0028】
本発明が限定されないにせよ、合金120は、例えばアルゴン雰囲気下でステンレス鋼から作製されたロッドにカプセル化されたシリンダの形態での鋳造NdFeBサンプルを含むことができる。
【0029】
図3は、カプセル110を合金120(鋳造体)と共に異なる側から交互に変形させるためのツール200に関する例示的実施形態を示す。この目的で、ツール200は、カプセル110を異なる側から変形させるために、押圧体として例えばいくつかのツール・ジョー210、220、230、・・・・・・を有する。例えば、2つの水平に対置するツール・ジョー及び2つの垂直に対置して配置されたツール・ジョー210、220、230、・・・・・・が存在してよく、カプセル110を径方向で交互に挟んで加圧する(例えば、最初に水平方向に、すなわち
図3の図面の平面に直交する方向に挟んで加圧し、次いで垂直方向に挟んで加圧する)。この径方向再成形は、任意の周波数(約30Hzなど)で周期的に行うことができる。
【0030】
カプセル110がツール200に挿入される前に、カプセル110内の合金120に関する所望の温度(例えば、合金の固体線温度と液相線温度との間の温度、すなわち、Rリッチ相が液体状態であり、脆性の硬磁性相がまだ固体状態である温度)を生成するために、誘導コイル150による加熱を行うことができる。プレス・プロセス中にカプセル110を軸方向に移動させ、さらに(例えばやはり交互に)回転させることもでき、したがって、カプセル110は、所定の周波数で異なる側から挟んで加圧され、その後、再び加圧解除される。
【0031】
したがって、上述したチクソ状態では、加熱された鋳造体120の複数回の機械的負荷及び除荷/漸進的な再成形が行われる。機械的負荷/変形は高い歪み速度で行われ、再成形された材料に非常に高い応力を局所的にもたらし、脆性の固相が破壊されて亀裂を生成する。これにより、硬磁性構造成分の粒子微細化が生じる。生じた亀裂に液相が侵入して亀裂を埋める。これにより、硬磁性構造成分は液相によって完全に囲まれる。機械的負荷/再成形が完了した後、鋳造体は室温に冷却され、室温で鋳造体の全ての相が固体状態になる。
【0032】
機械的負荷中に亀裂が生成されるが、室温への冷却後の液相の固化によって、再成形された材料の結合が保証される。プロセスに基づく低融点Rリッチ相による硬磁性相の包み込みは、硬磁性構造成分の磁気的分離、したがって材料のかなりの磁気的硬化をもたらす。
【0033】
様々なツール幾何形状により、径方向と、径方向−軸方向平面との両方で機械的負荷/変形が可能にされる。
【0034】
図4は、例えば、カプセル110を伴う又は伴わない合金120が、例えば左から右にツール200を通って案内される様子を例として示す。ここで、ツール・ジョー210、220は、径方向で交互の加圧運動Pを行い、これにより、ツール・ジョー210、220は、カプセル/合金110、120を径方向で挟んで加圧する。同時に、軸方向運動V(送り方向)が行われることがある。任意選択で、カプセル/合金110、120はさらに、加圧運動Pが重ね合わされている間に左から右に交互に移動することができる。
【0035】
これにより、合金/カプセル110、120は、所望の粒子微細化が行われている間にツール200を通して連続的に移動される。最後に、カプセル/合金110、120は、右側で例えばツール200から出る。
【0036】
図4の左側には、例として、粒子微細化が行われる前の合金121の略図が示されている。
図4の右側には、ツール200によって粒子微細化が行われた後の合金122が示されている。明るい領域は低融点Rリッチ相を示し、暗い領域は脆性の硬磁性相を示す。再成形前の熱処理も、均質化及びα鉄含有量の減少をもたらす。この図が示すように、ツール200での機械的再成形により、合金内で粒子が粉砕されている。
【0037】
鋳造状態中(左)及びロータリ・スエージング後(右)のサンプルの微細構造は、ツール200の振動運動P又はワークピース120への複数回の機械的負荷及び除荷によって破壊され、所望の粒子微細化が得られる。
【0038】
任意選択で、このように処理された磁石/材料は、硬磁性特性のさらなる向上を達成するために、その後、圧搾、後方押出、又は圧延プロセスによってテクスチャリングすることができる。
【0039】
例示的実施形態は、以下の利点を提供する。
− 規定の再成形プロセスでの継続的なプロセス管理が可能にされる。
− チクソフォーミングが、鋳造された硬磁性合金の亀裂のない再成形を可能にする。
− かなりの粒子微細化が可能である。
− 鋳造された合金に基づいていくつかのプロセス・ステップで高性能硬質磁石を製造するための費用対効果の高いプロセス管理が可能である。
− 特に、粉末冶金のステップが避けられる。
【0040】
本明細書、特許請求の範囲、及び図に開示された本発明の特徴は、個別にも、任意の組合せでも、本発明を実現するために不可欠であり得る。
【符号の説明】
【0041】
110 カプセル
120 合金
121、122 粒子微細化前後の合金
150 熱媒体
200 ツール
210、220、・・・・・・ ツール・ジョー
P 交互加圧運動
V 送り運動
【手続補正書】
【提出日】2020年11月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬磁性材料又は永久磁石を製造する方法であって、
カプセル(110)を形成するステップであって、前記カプセル(110)が、合金(120)を少なくとも一部取り囲み、前記合金(120)が、少なくとも1つの希土類元素、少なくとも1つの遷移金属、及び周期表のIIIA族の少なくとも1つの元素を含む、ステップ(S110)と、
前記合金(120)がチクソ状態になる温度に前記合金(120)を加熱するステップ(S120)と、
異なる側から前記カプセルへの負荷及び除荷を繰り返すことにより、所定の期間にわたって、加熱された前記合金と共に前記カプセルの連続的な機械的再成形を行うステップ(S130)と
を含む方法。
【請求項2】
前記カプセル(110)を形成する前記ステップ(S110)が、
前記合金を溶融状態にして囲包体に導入すること、及び
固体凝集状態での前記合金から作製されたブランクを提供し、その後、前記ブランクを囲包体に導入することを含み、
前記囲包体が、変形可能な材料、特に鋼又は銅を含む
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カプセルが円筒形状に形成され、前記再成形がツールによって行われ、前記ツールが、少なくとも2つの対向する押圧体を有し、前記押圧体が、前記カプセルが繰り返し摺動及び/又は回転される間に、前記カプセルに周期的に圧力を加える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
硬磁性材料又は永久磁石を製造する方法であって、
合金を不活性環境に導入するステップであって、前記不活性環境が、前記合金の酸化を抑制し、前記合金が、少なくとも1つの希土類元素、少なくとも1つの遷移金属、及び周期表のIIIA族の少なくとも1つの元素を含む、ステップと、
前記合金がチクソ状態になる最低温度に合金を加熱するステップと、
異なる側からの負荷及び除荷を繰り返すことにより、所定の期間にわたって、前記合金の連続的な機械的変形を行うステップと
を含む方法。
【請求項5】
前記再成形(S130)又は変形が、5Hz〜100Hzの範囲の周波数で前記合金にパルス圧力を加えること、及び前記合金に送り運動を及ぼすことを含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記パルス圧力を加えることが、異なる側から交互に行われ、それと同時に前記合金が軸方向に移動される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記希土類元素が、Pr、Nd、Dy、Ce、La、Y、Tbのうちの少なくとも1つの元素を含み、
前記遷移金属が、Fe、Co、Cu、Ag、Au、Ni、Zrの少なくとも1つの元素、特にFeを含み、
周期表のIIIA族からの前記元素が、B、Ga、Alの少なくとも1つの元素、特にBを含む
請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
熱処理による前記合金の均質化をさらに含み、前記熱処理が、特に、前記合金内の望ましくない相、特にα鉄の還元をもたらす温度で行われる、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記再成形のステップが、
前記合金(120)に周期的な圧力(P)を加えること、及び
前記合金(120)に送り運動(V)を及ぼすこと
をさらに含み、
それにより、前記合金(120)が、周期的な負荷の下で、前記ツール(200)を通して軸方向に連続的に移動される
請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記加熱(S120)が、誘導加熱を含み、最低温度が500℃〜1400℃、又は600℃〜1200℃の範囲内にある、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
連続的な機械的再成形(S130)後のテクスチャリングをさらに含み、前記テクスチャリングが、圧搾、及び/又は後方押出、及び/又は圧延プロセスを含む、請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法に従って製造された硬磁性材料の磁化により生じる、磁性材料を備えた永久磁石。
【国際調査報告】