(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
吸着材料を含む第1の領域を含む。第1のモレキュラーシーブ触媒は、第1の貴金属及び第1のモレキュラーシーブを含み、第1のモレキュラーシーブは貴金属を含有する。第1のモレキュラーシーブは、STI骨格型を有する。
前記第1のモレキュラーシーブが、アルミノケイ酸塩骨格、アルミノリン酸塩骨格、シリコアルミノリン酸塩骨格、金属置換アルミノケイ酸塩骨格、金属置換アルミノリン酸塩骨格、又は金属置換シリコアルミノリン酸塩骨格を有する、請求項1又は2に記載のNOx吸着触媒。
第2のモレキュラーシーブ触媒を更に含み、前記第2のモレキュラーシーブ触媒が、第2の貴金属及び第2のモレキュラーシーブを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のNOx吸着触媒。
前記第2のモレキュラーシーブが、アルミノケイ酸塩骨格、アルミノリン酸塩骨格、シリコアルミノリン酸塩骨格、金属置換アルミノケイ酸塩骨格、金属置換アルミノリン酸塩骨格、又は金属置換シリコアルミノリン酸塩骨格を有する、請求項5又は6に記載のNOx吸着触媒。
前記第2のモレキュラーシーブが、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、CON、CSV、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、EUO、GIS、GME、GOO、IFR、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、LTL、MAZ、MER、MFS、MON、MOR、MTW、MWW、NES、NSI、OFF、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SEW、SFS、SFW、SIV、STF、SVR、SZR、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG、ZON、BEA、及びMFI、並びに2つ以上の連晶からなる骨格型の群から選択される小、中又は大細孔モレキュラーシーブである、請求項5〜7のいずれか一項に記載のNOx吸着触媒。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
本明細書で使用するとき、用語「領域」は、基材上のウォッシュコートの場所を指す。「領域」は、例えば、「層」又は「ゾーン」として基材上に配置又は担持され得る。基材上のウォッシュコートの場所又は配列は、概ね、基材にウォッシュコートを適用するプロセス中に制御される。「領域」は、典型的には、明確な境界又は縁部を有する(すなわち、従来の分析技術を使用して、一方の領域を別の領域から区別することが可能である)。
【0015】
典型的には、「領域」は、実質的に均一な長さを有する。この文脈における「実質的に均一な長さ」への言及は、その平均値から10%を超えた逸脱(例えば、最大長と最小長との差)をしない長さ、好ましくはその平均値から5%を超えた逸脱をしない長さ、より好ましくはその平均値から1%を超えた逸脱をしない長さを指す。
【0016】
各「領域」は、実質的に均一な組成を有する(すなわち、領域の一つの部分とその領域の別の部分とを比較する場合、ウォッシュコートの組成に実質的な差がない)ことが好ましい。この文脈における実質的に均一な組成は、領域の一つの部分を領域の別の部分と比較する場合に、組成の差が5%以下、通常は2.5%以下、最も通常的には1%以下である材料(例えば、領域)のものを指す。
【0017】
本明細書で使用される用語「ゾーン」は、基材の全長の75%以下の長さなど、基材の全長未満の長さを有する領域を指す。「ゾーン」は、典型的には、基材の全長の少なくとも5%(例えば5%以上)の長さ(すなわち、実質的に均一な長さ)を有する。
【0018】
基材の全長は、その入口端部とその出口端部と(例えば、基材の両端部)の間の距離である。
【0019】
本明細書で使用される「基材の入口端部に配置されているゾーン」への任意の言及は、基材上に配置又は担持されているゾーンであって、基材の入口端部までの方が、基材の出口端部までよりも近いゾーンを指す。したがって、ゾーンの中点(すなわち、その長さの半分での点)は、基材の入口端部までの方が基材の出口端部までよりも近い。同様に、本明細書で使用される「基材の出口端部に配置されているゾーン」への任意の言及は、基材上に配置又は担持されているゾーンであって、基材の出口端部までの方が基材の入口端部までよりも近いゾーンを指す。したがって、ゾーンの中点(すなわち、その長さの半分での点)は、基材の出口端部までの方が基材の入口端部までよりも近い。
【0020】
基材がウォールフローフィルタである場合、概して、「基材の入口端部に配置されているゾーン」への任意の言及は、基材上に配置又は担持されているゾーンであって、
(a)基材の入口チャネルの入口端部(例えば、開いている端部)までの方が入口チャネルの閉じた端部(例えば、遮断された端部又は塞がれた端部)までよりも近いもの、及び/又は
(b)基材の出口チャネルの閉じた端部(例えば、遮断された端部又は塞がれた端部)までの方が出口チャネルの出口端部(例えば開いている端部)までよりも近いものを指す。
【0021】
したがって、ゾーンの中点(すなわちその半分の長さでの点)は、(a)基材の入口チャネルの入口端部までの方が入口チャネルの閉じた端部までよりも近く、及び/又は(b)基材の出口チャネルの閉じた端部までの方が出口チャネルの出口端部までよりも近い。
【0022】
同様に、基材がウォールフローフィルタである場合、「基材の出口端部に配置されているゾーン」への任意の言及は、基材上に配置又は担持されているゾーンであって、
(a)基材の出口チャネルの出口端部(例えば、開いている端部)までの方が出口チャネルの閉じた端部(例えば、遮断された端部又は塞がれた端部)までよりも近いもの、及び/又は
(b)基材の入口チャネルの閉じた端部(例えば、遮断された端部又は塞がれた端部)までの方が入口チャネルの入口端部(例えば開いている端部)までよりも近いものを指す。
【0023】
したがって、ゾーンの中点(すなわちその半分の長さでの点)は、(a)基材の出口チャネルの出口端部までの方が出口チャネルの閉じた端部までよりも近い、及び/又は(b)基材の入口チャネルの閉じた端部までの方が入口チャネルの入口端部までよりも近い。
【0024】
ウォッシュコートがウォールフローフィルタのウォールに存在する(すなわち、ゾーンがウォール内のものである)場合、ゾーンは(a)と(b)との両方を満たし得る。
【0025】
用語「ウォッシュコート」は、当該技術分野において公知であり、通常は触媒の製造中基材に適用される、接着性コーティングを指す。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「貴金属」は、概して、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、及び金からなる群から選択される金属を指す。概ね、用語「貴金属」は、好ましくは、ロジウム、白金、パラジウム、及び金からなる群から選択される金属を指す。
【0027】
本明細書で使用されるとき、頭字語「PGM」は、「白金族金属」を指す。用語「白金族金属」は、概ね、Ru、Rh、Pd、Os、Ir及びPtからなる群から選択される金属、好ましくはRu、Rh、Pd、Ir及びPtからなる群から選択される金属を指す。概ね、用語「PGM」は、好ましくは、Rh、Pt、及びPdからなる群から選択される金属を指す。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「吸着体」は、特にNO
x吸着体との関連において、吸着によってのみ化学的実体(例えばNO
x)の吸蔵又はトラップに限定されるものと解釈されるべきではない。本明細書で使用される用語「吸着体」は、「吸収体」と同義である。
【0029】
本明細書で使用される用語「混合酸化物」は、概ね、当該技術分野において従来知られているように、単相にての酸化物の混合物を指す。本明細書で使用される用語「複合酸化物」は、概ね、当該技術分野において従来知られているように、2つ以上の相を有する酸化物の組成物を指す。
【0030】
本明細書で使用される「本質的になる」という表現は、特定の材料、及び例えば微量不純物など、その特徴の基本特性に実質的に影響を及ぼさない任意の他の材料又は工程を含む特徴の範囲を制限する。「から本質的になる」という表現は、「からなる」という表現を包含する。
【0031】
材料に関して本明細書で使用される「実質的に含まない」という表現は、典型的には、領域、層、又はゾーンの内容物との関連において、材料が少量、例えば、5重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下であることを意味する。「実質的に含まない」という表現は、「含まない」という表現を包含する。
【0032】
本明細書で使用される重量%として表されるドーパントの量、特に総量に対する任意の言及は、担体材料又はその耐火金属酸化物の重量を指す。
【0033】
本明細書で使用される用語「担持量」は、金属重量基準でのg/ft
3の単位の測定値を指す。
【0034】
発明の詳細な説明
本発明のNO
x吸着触媒は、受動的NO
x吸着体(PNA)として使用されるものである。NO
x吸着触媒は、ディーゼルエンジンからの排気ガスを処理するためのNO
x吸着触媒を含むか、又はこれから本質的になり得、該NO
x吸着触媒は、
第1のモレキュラーシーブ触媒を含むNO
x吸着材を含む第1の領域であって、第1のモレキュラーシーブ触媒が、第1の貴金属及び第1のモレキュラーシーブを含み、第1のモレキュラーシーブが、貴金属を含有する、第1の領域を含み、
第1のモレキュラーシーブが、STI骨格型を有する。
【0035】
概ね、NO
x吸着材は、受動的NO
x吸着体(PNA)触媒(すなわち、PNA活性を有する)である。
【0036】
第1の領域は、NO
x吸着材を含むか、又これから本質的になってもよい。NO
x吸着材は、第1のモレキュラーシーブ触媒を含むか、又はこれから本質的になる。第1のモレキュラーシーブ触媒は、第1の貴金属及び第1のモレキュラーシーブを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる。第1のモレキュラーシーブは、第1の貴金属を含有する。第1のモレキュラーシーブ触媒は、国際公開第2012/166868号に記載の方法に従って調製することができる。
【0037】
第1の貴金属は、典型的には、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される。好ましくは、第1の貴金属は、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、及びロジウム(Rh)からなる群から選択される。より好ましくは、第1の貴金属は、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、及びこれらの混合物から選択される。
【0038】
概して、第1の貴金属は、パラジウム(Pd)と、任意選択で白金(Pt)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、及びルテニウム(Ru)からなる群から選択される第2の金属とを含むか、又はこれらからなることが好ましい。好ましくは、第1の貴金属は、パラジウム(Pd)と、任意選択で白金(Pt)及びロジウム(Rh)からなる群から選択される第2の金属とを含むか、又はこれらからなる。更により好ましくは、第1の貴金属は、パラジウム(Pd)と、任意選択で白金(Pt)とを含むか、又はこれらからなる。より好ましくは、第1のモレキュラーシーブ触媒は、唯一の貴金属としてパラジウム(Pd)を含む。
【0039】
第1の貴金属がパラジウム(Pd)及び第2の金属を含むか、又はこれらからなる場合、パラジウム(Pd)と第2の金属との質量比は、>1:1である。より好ましくは、パラジウム(Pd)と第2の金属との質量比は、>1:1であり、パラジウム(Pd)と第2の金属とのモル比は、>1:1である。
【0040】
第1のモレキュラーシーブ触媒は、卑金属を更に含んでもよい。したがって、第1のモレキュラーシーブ触媒は、第1の貴金属、第1のモレキュラーシーブ、及び任意選択で卑金属を含んでもよく、又はこれらから本質的になってもよい。第1のモレキュラーシーブは、貴金属及び任意選択で卑金属を含有する。
【0041】
卑金属は、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)、並びにこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されてもよい。卑金属は、鉄、銅及びコバルト、より好ましくは鉄及び銅からなる群から選択されることが好ましい。更により好ましくは、卑金属は鉄である。
【0042】
あるいは、第1のモレキュラーシーブ触媒は、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)、並びにこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される卑金属などの卑金属を実質的に含まなくてもよい。したがって、第1のモレキュラーシーブ触媒は、卑金属を含まなくてもよい。
【0043】
概ね、第1のモレキュラーシーブ触媒は卑金属を含まないことが好ましい。
【0044】
第1のモレキュラーシーブ触媒は、バリウム(Ba)を実質的に含まず、より好ましくは、第1のモレキュラーシーブ触媒は、アルカリ土類金属を実質的に含まないことが好ましい場合がある。したがって、第1のモレキュラーシーブ触媒は、バリウムを含まなくてもよく、好ましくは、第1のモレキュラーシーブ触媒は、アルカリ土類金属を含まない。
【0045】
第1のモレキュラーシーブは、典型的には、アルミニウム、ケイ素、及び任意選択でリンから構成される。第1のモレキュラーシーブは、概して、酸素原子の共有によって結合されるSiO
4、AlO
4及び/又はPO
4の三次元配列(例えば骨格)を有する。第1のモレキュラーシーブは、アニオン性骨格を有してもよい。アニオン性骨格の電荷は、アルカリ元素及び/又はアルカリ土類元素(例えば、Na、K、Mg、Ca、Sr、及びBa)のカチオン、アンモニウムカチオン及び/又はプロトンなどのカチオンによって相殺され得る。
【0046】
典型的には、第1のモレキュラーシーブは、アルミノケイ酸塩骨格、アルミノリン酸塩骨格、又はシリコアルミノリン酸塩骨格を有する。第1のモレキュラーシーブは、アルミノケイ酸塩骨格又はアルミノリン酸塩骨格を有し得る。第1のモレキュラーシーブは、アルミノケイ酸塩骨格又はシリコアルミノリン酸塩骨格を有することが好ましい。より好ましくは、第1のモレキュラーシーブはアルミノケイ酸塩骨格を有する。
【0047】
第1のモレキュラーシーブがアルミノケイ酸塩骨格を有する場合、第1のモレキュラーシーブは、好ましくはゼオライトである。
【0048】
第1のモレキュラーシーブは、第1の貴金属を含有する。第1の貴金属は、典型的には、第1のモレキュラーシーブ上に担持される。例えば、第1の貴金属は、イオン交換などによって、第1のモレキュラーシーブ上にロードされ、担持されてもよい。したがって、第1のモレキュラーシーブ触媒は、第1の貴金属及び第1のモレキュラーシーブを含んでもよく、又はこれらから本質的になってもよく、第1のモレキュラーシーブは、第1の貴金属を含有し、第1の貴金属は、イオン交換によって、第1のモレキュラーシーブ上にロード及び/又は担持される。
【0049】
概して、第1のモレキュラーシーブは、金属置換モレキュラーシーブ(例えば、アルミノケイ酸塩又はアルミノリン酸塩骨格を有する金属置換モレキュラーシーブ)であってもよい。金属置換モレキュラーシーブの金属は、第1の貴金属であってもよい(例えば、モレキュラーシーブは、貴金属置換モレキュラーシーブである)。したがって、第1の貴金属を含有する第1のモレキュラーシーブは、貴金属置換モレキュラーシーブであってもよい。第1のモレキュラーシーブ触媒が卑金属を含む場合、第1のモレキュラーシーブは、貴金属及び卑金属で置換された金属置換モレキュラーシーブであってもよい。疑義を避けるために、用語「金属置換」は、用語「イオン交換」を包含する。
【0050】
第1のモレキュラーシーブ触媒は、概して、第1のモレキュラーシーブの細孔内部に位置する第1の貴金属の少なくとも0.1、好ましくは少なくとも0.2、より好ましくは少なくとも0.3、とりわけ好ましくは少なくとも0.5重量%(すなわち、モレキュラーシーブ触媒の貴金属の量)を有し、好ましくは少なくとも1重量%、特に好ましくは少なくとも2重量%を有する。いくつかの実施形態では、第1のモレキュラーシーブ触媒は、第1のモレキュラーシーブの細孔内部に位置する第1の貴金属の少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10%重量を有してもよい。
【0051】
第1のモレキュラーシーブは、STI骨格型を有する。STIゼオライトは、2組の相互接続チャネル:0.49×0.62nm域の開口部を有する[100]方向の10員環、及び0.27×0.56nm域の開口部を有する[101]方向の8員環からなる中細孔の二次元骨格ネットワークを有する。骨格は、STI及びBREの複合構築ユニットから構成される。この骨格型を有する材料としては、(国際ゼオライト協会に従って)束沸石、バラー沸石、ステラ沸石、合成バラー沸石、合成ステラ沸石、合成束沸石、及びTNU−10が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
第1のモレキュラーシーブは、典型的には、5〜100、より好ましくは5〜80(例えば5〜40)などの1〜200のシリカ対アルミナのモル比(SAR)を有する。SARは概して、アルミノケイ酸塩骨格(例えば、ゼオライト)又はシリコアルミノリン酸塩骨格、好ましくはアルミノケイ酸塩骨格(例えば、ゼオライト)を有する分子に関する。
【0053】
第1のモレキュラーシーブ触媒は、特に第1のモレキュラーシーブがゼオライトである場合、(モレキュラーシーブ自体の吸収ピークに加えて)750cm
−1〜1050cm
−1の範囲の特性吸収ピーク(characteristic absorption peak)を有する赤外線スペクトルを有し得る。好ましくは、特性吸収ピークは、800cm
−1〜1000cm
−1の範囲、より好ましくは850cm
−1〜975cm
−1の範囲である。
【0054】
第1のモレキュラーシーブ触媒の実施形態におけるモレキュラーシーブ触媒は、有利な受動的NO
x吸着体(PNA)活性を有することが見出されている。第1のモレキュラーシーブ触媒は、リーンバーンエンジンの始動直後など、排気ガス温度が比較的低いときにNO
xを吸蔵するために使用することができる。モレキュラーシーブ触媒によるNO
x吸蔵は、低温(例えば、200℃未満)で生じる。リーンバーンエンジンが暖まると、排気ガス温度が上昇し、モレキュラーシーブ触媒の温度も上昇する。モレキュラーシーブ触媒は、これらのより高い温度(例えば、200℃以上)で吸着したNO
xを放出する。
【0055】
また、第1のモレキュラーシーブ触媒が、コールドスタート触媒活性を有することも予想外に見出されている。このような活性は、NO
x及び炭化水素(HC)を比較的低い排気ガス温度(例えば、200℃未満)で吸着することによって、コールドスタート期間中の排出を低減することができる。吸着されたNO
x及び/又はHCは、モレキュラーシーブ触媒の温度が、NO及び/又はHCを酸化するための他の触媒成分又は排出制御デバイスの有効温度に近いか又はそれを超えるときに放出され得る。
【0056】
NO
x吸着触媒はまた、第2のモレキュラーシーブを更に含んでもよい。
【0057】
第2のモレキュラーシーブは、典型的には、アルミニウム、ケイ素、及び任意選択でリンから構成される。第2のモレキュラーシーブは、概して、酸素原子の共有によって結合されるSiO
4、AlO
4及び/又はPO
4の三次元配列(例えば骨格)を有する。第2のモレキュラーシーブは、アニオン性骨格を有してもよい。アニオン性骨格の電荷は、アルカリ元素及び/又はアルカリ土類元素(例えば、Na、K、Mg、Ca、Sr、及びBa)のカチオン、アンモニウムカチオン及び/又はプロトンなどのカチオンによって相殺され得る。
【0058】
典型的には、第2のモレキュラーシーブは、アルミノケイ酸塩骨格、アルミノリン酸塩骨格、シリコアルミノリン酸塩骨格、金属置換アルミノケイ酸塩骨格、金属置換アルミノリン酸塩骨格、又は金属置換シリコアルミノリン酸塩骨格を有する。好ましくは、第2のモレキュラーシーブは、アルミノケイ酸塩骨格、アルミノリン酸塩骨格、又はシリコアルミノリン酸塩骨格を有する。第2のモレキュラーシーブは、アルミノケイ酸塩骨格又はアルミノリン酸塩骨格を有し得る。第2のモレキュラーシーブがアルミノケイ酸塩骨格又はシリコアルミノリン酸塩骨格を有することが特に好ましい。より好ましくは、第2のモレキュラーシーブはアルミノケイ酸塩骨格を有する。
【0059】
第2のモレキュラーシーブがアルミノケイ酸塩骨格を有する場合、第2のモレキュラーシーブは、好ましくはゼオライトである。
【0060】
第2のモレキュラーシーブは、小細孔モレキュラーシーブ(すなわち、8個の四面体原子による最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)、中細孔モレキュラーシーブ(すなわち、10個の四面体原子による最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)、及び大細孔モレキュラーシーブ(すなわち、12個の四面体原子による最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)から選択され得る。より好ましくは、第2のモレキュラーシーブは、小細孔モレキュラーシーブ及び中細孔モレキュラーシーブから選択される。
【0061】
好ましい一実施形態では、第2のモレキュラーシーブは小細孔モレキュラーシーブである。小細孔モレキュラーシーブは、好ましくは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、CON、CSV、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、EUO、GIS、GME、GOO、IFR、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MFS、MON、MOR、MTW、MWW、NES、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SEW、SFS、SIV、STF、SVR、SZR、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG及びZON、並びにこれらのうちのいずれか2つ以上の混合又は連晶からなる群から選択される骨格型を有する。連晶は、好ましくは、KFI−SIV、ITE−RTH、AEW−UEI、AEI−CHA、及びAEI−SAVから選択される。より好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、AEI、CHA、又はAEI−CHA連晶である骨格型を有する。更により好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、AEI又はCHA、特にAEIである骨格型を有する。
【0062】
好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、アルミノケイ酸塩骨格又はシリコアルミノリン酸塩骨格を有する。より好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、特に、小細孔モレキュラーシーブがAEI、CHA又はAEI−CHA連晶、特にAEI又はCHAである骨格型を有する場合、アルミノケイ酸塩骨格を有する(すなわち、第2のモレキュラーシーブはゼオライトである)。
【0063】
更に好ましい実施形態では、第2のモレキュラーシーブは、AEI、MFI、EMT、ERI、MOR、FER、BEA、FAU、CHA、LEV、MWW、CON及びEUO、並びにこれらのうちのいずれか2つ以上の混合からなる群から選択される骨格型を有する。
【0064】
更に好ましい実施形態では、第2のモレキュラーシーブは、中細孔モレキュラーシーブである。中細孔モレキュラーシーブは、好ましくは、MFI、FER、MWW、及びEUO、より好ましくはMFIからなる群から選択される骨格型を有する。
【0065】
更に好ましい実施形態では、第2のモレキュラーシーブは、大細孔モレキュラーシーブである。大細孔モレキュラーシーブは、好ましくは、CON、BEA、FAU、MOR及びEMT、より好ましくはBEAからなる群から選択される骨格型を有する。
【0066】
これらの前述の実施形態におけるそれぞれにおいて、第2のモレキュラーシーブは、好ましくはアルミノケイ酸塩骨格を有する(例えば、モレキュラーシーブはゼオライトである)。前述の3文字のコードのそれぞれは、「IUPAC Commission on Zeolite Nomenclature」及び/又は「Structure Commission of the International Zeolite Association」に準拠した骨格型を表す。
【0067】
これらの前述の実施形態におけるいずれにおいても、概して、第2のモレキュラーシーブ(例えば、大細孔、中細孔、又は小細孔)は、少なくとも2つの異なる骨格型の連晶ではない骨格を有することが好ましい場合がある。
【0068】
第2のモレキュラーシーブは、典型的には、10〜100、より好ましくは15〜80(例えば15〜30)などの、5〜200(例えば10〜40)のシリカ対アルミナのモル比(SAR)を有する。SARは概して、アルミノケイ酸塩骨格(例えば、ゼオライト)又はシリコアルミノリン酸塩骨格、好ましくはアルミノケイ酸塩骨格(例えば、ゼオライト)を有する分子に関する。
【0069】
第2のモレキュラーシーブ触媒は、存在する場合、第1の領域に存在してもよい。加えて、又は代替的に、NO
x吸着触媒は、第2のモレキュラーシーブ触媒を含んでもよく、第2のモレキュラーシーブ触媒は、第1の領域に存在しない。
【0070】
NO
x吸着触媒はまた、第1の無機酸化物を更に含んでもよい。
【0071】
好ましい第1の無機酸化物は、好ましくは、10〜1500m
2/gの範囲の表面積、0.1〜4mL/gの範囲の細孔容積、及び約10〜1000Åの細孔直径を有する。80m
2/g超の表面積を有する高表面積無機酸化物、例えば高表面積のセリア又はアルミナが特に好ましい。他の好ましい第1の無機酸化物としては、マグネシア/アルミナ複合酸化物が挙げられ、これは、任意選択でセリウム含有成分、例えば、セリアを更に含む。このような場合、セリアは、例えばコーティングとして、マグネシア/アルミナ複合酸化物の表面上に存在してもよい。
【0072】
好ましくは、少なくとも1つの無機酸化物は、ドーパントでドープされた無機酸化物を含み、ドーパントは、タングステン(W)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)、ネオジム(Nd)、及びこれらの2つ以上の組み合わせ、又はこれらの酸化物からなる群から選択される元素である。
【0073】
第1の無機酸化物は、存在する場合、第1の領域内に存在してもよい。加えて、又は代替的に、NO
x吸着触媒は、第1の無機酸化物を含んでもよく、第1の無機酸化物は第1の領域に存在しない。
【0074】
NO
x吸着触媒は、第2の領域を含んでもよい。疑義を避けるために、第2の領域は、第1の領域とは別個の、すなわち異なる領域である。第2の領域は、第2のモレキュラーシーブ触媒、第1の無機酸化物、又は第1のモレキュラーシーブ触媒、第2のモレキュラーシーブ触媒、及び第1の無機酸化物の任意の組み合わせの混合物(すなわちブレンド)を含んでもよい。
【0075】
あるいは、第2の領域は、二酸化窒素還元材料を含んでもよい。二酸化窒素還元材料は、少なくとも1つの無機酸化物(すなわち、第2の無機酸化物)を含む。少なくとも1つの無機酸化物は、好ましくは、第2族、第3族、第4族、第5族、第13族、及び第14族の元素の酸化物である。少なくとも1つの無機酸化物は、好ましくは、アルミナ、セリア、マグネシア、シリカ、チタニア、ジルコニア、ニオビア、酸化タンタル、酸化モリブデン、酸化タングステン、及びこれらの混合酸化物又は複合酸化物からなる群から選択される。特に好ましくは、少なくとも1つの無機酸化物は、アルミナ、セリア、又はマグネシア/アルミナ複合酸化物を含む。1つの特に好ましい無機酸化物はアルミナである。少なくとも1つの無機酸化物がアルミナを含む実施形態では、少なくとも1つの無機酸化物は、アルミナから本質的になってもよく、特に好ましくはアルミナからなってもよい。
【0076】
本発明のNO
x吸着触媒は、NO
xの吸蔵及び放出を促進するいくつかの配列のうちの1つを有してもよく、これによりNO
x吸蔵及び放出のためのより広い温度範囲を提供することができる。
【0077】
第1の配列では、NO
x吸着触媒は、第1の領域を含む、これから本質的になる、又はこれからなる。
【0078】
第1の領域は、基材上に配置又は担持されてもよい。第1の領域は、基材上に直接配置されるか、又は直接担持されることが好ましい(すなわち、第1の領域は基材の表面と直接接触している)。
【0079】
第2の配列では、NO
x吸着触媒は、第1の領域及び第2の領域を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる。
【0080】
NO
x吸着触媒における第2の配列の例を
図1に示す。
図1に示す配列では、NO
x吸着触媒は、第1のゾーン及び第2のゾーンを含む。
【0081】
第1の領域(1)は、基材(3)上に配置又は担持されてもよい。第1の領域は、基材上に直接配置されるか、又は直接担持されることが好ましい(すなわち、第1の領域は基材の表面と直接接触している)。
【0082】
第2の配列では、第1の領域は第1のゾーンであってもよい。第1のゾーンは、典型的には、基材の長さの10〜90%(例えば、10〜45%)、好ましくは基材の長さの15〜75%(例えば15〜40%)、より好ましくは基材の長さの20〜70%(例えば、25〜45%などの30〜65%)、更により好ましくは25〜65%(例えば35〜50%)の長さを有する。
【0083】
第2の配列では、第2の領域(2)は第2のゾーンであってもよい。第2のゾーンは、典型的には、基材の長さの10〜90%(例えば、10〜45%)、好ましくは基材の長さの15〜75%(例えば15〜40%)、より好ましくは基材の長さの20〜70%(例えば、25〜45%などの30〜65%)、更により好ましくは25〜65%(例えば、35〜50%)の長さを有する。
【0084】
第1のゾーンは、第2のゾーンの上流に配置されてもよい。あるいは、第1ゾーンは、第2ゾーンの下流に配置されてもよい。第2ゾーンは、
図1に示されるように、第1ゾーンの上流に配置されることが好ましい。
【0085】
第1のゾーンは、第1のモレキュラーシーブ触媒を含むNO
x吸着材を含むか、又はこれから本質的になる。第2のゾーンは、第2のモレキュラーシーブ触媒を含むか、又はこれから本質的になる。
【0086】
第1ゾーンが第2ゾーンの上流に配置されるとき、第1ゾーンは、基材の入口端部に配置されてもよく、及び/又は第2のゾーンは、基材の出口端部に配置されてもよい。
【0087】
第1ゾーンが第2ゾーンの下流に配置されるとき、第1ゾーンは、基材の出口端部に配置されてもよく、及び/又は第2のゾーンは、基材の入口端部に配置されてもよい。
【0088】
第1のゾーンは、第2のゾーンに隣接してもよい。好ましくは、第1のゾーンは、第2のゾーンと接触している。
【0089】
第1のゾーンが第2のゾーンに隣接及び/又は接触している場合、第1のゾーンと第2のゾーンとの組み合わせは、基材上に層(例えば、単一層)として配置又は担持されていてもよい。したがって、第1及び第2のゾーンが互いに隣接又は接触している場合、層(例えば、単一層)が基材上に形成されてもよい。このような配列によって、背圧による問題を回避することができる。
【0090】
典型的には、第1のゾーン及び/又は第2のゾーンは、基材上に配置又は担持される。好ましくは、第1のゾーン及び/又は第2のゾーンは、基材上に直接配置される(すなわち、第1のゾーン及び/又は第2のゾーンは、基材の表面と接触している)。
【0091】
第3の配列では、NO
x吸着触媒は、第1の領域及び第2の領域を含む。第1の領域は、第1のモレキュラーシーブ触媒を含むNO
x吸着材を含むか、又はこれから本質的になる。第2の領域は、第2のモレキュラーシーブ触媒又は第2の無機酸化物を含む二酸化窒素還元材料、好ましくは第2のモレキュラーシーブ触媒を含むか、又はこれから本質的になる。第3の配列では、第1の領域が第2の領域に重なり合う(例えば、
図2を参照)か、又は第2の領域が第1の領域と重なり合う(例えば、
図3を参照)。
【0092】
第2の領域は、基材上に直接配置されてもよい(すなわち、第2の領域は基材の表面と接触している)。第1の領域は、
(a)第2の領域上に配置又は担持されていてもよく、及び/又は
(b)基材上に直接配置されていてもよく[すなわち、第1の領域は基材の表面と接触している]、及び/又は
(c)第2の領域と接触していてもよい[すなわち、第1の領域は、第2の領域に隣り合っている又は隣接している]。
【0093】
第1の領域の一部又は一部分は、第2の領域上に配置又は担持されてもよい(例えば、第1の領域は第2の領域と重なってもよい)。例えば、
図2に示す配列を参照されたい。第2の領域は第2のゾーンであってもよく、第1の領域は第1の層又は第1のゾーンであってもよい。
【0094】
第1の領域の一部又は一部分が第2の領域上に配置又は担持されるとき、好ましくは、第1の領域の一部又は一部分は、第2の領域に直接配置される(すなわち、第1の領域は第2の領域の表面と接触する)。
【0095】
あるいは、第2の領域の一部又は一部分は、第1の領域上に配置又は担持されてもよい(例えば、第2の領域は第1の領域と重なってもよい)。例えば、
図3に示される配列を参照されたい。第1の領域は第1のゾーンであってもよく、第2の領域は第2の層又は第2のゾーンであってもよい。
【0096】
第2の領域の一部又は一部分が第1の領域上に配置又は担持されるとき、好ましくは、第2の領域の一部又は一部分は、第1の領域に直接配置される(すなわち、第2の領域は第1の領域の表面と接触する)。
【0097】
第3の配列では、第1の領域は、第2の領域の上流に配置されてもよい。例えば、第1の領域は、基材の入口端部に配置されてもよく、第2の領域は、基材の出口端部に配置されてもよい。
【0098】
あるいは、第1の領域は、第2の領域の下流に配置されてもよい。例えば、第1の領域は、基材の出口端部に配置されてもよく、第2の領域は、基材の入口端部に配置されてもよい。
【0099】
第3の配列では、第2の領域は第2の層であってもよく、第1の領域は第1のゾーンであってもよく、第1のゾーンは、第2の層上に配置される。好ましくは、第1のゾーンは、第2の層上に直接配置される(すなわち、第1のゾーンは第2の層の表面と接触している)。あるいは、第1の領域は第1の層であってもよく、第2の領域は第2のゾーンであってもよく、第2のゾーンは第1の層上に配置される。好ましくは、第2のゾーンは、第1の層上に直接配置される(すなわち、第2のゾーンは第1の層の表面と接触している)。
【0100】
第1のゾーンが第2の層上に配置又は担持されるとき、第1のゾーンの全長は、第2の層上に配置又は担持されることが好ましい。第1のゾーンの長さは、第2の層の長さよりも短い。第1のゾーンは、基材の出口端部において第2の層上に配置されることが好ましい。
【0101】
第2のゾーンが第1の層上に配置又は担持されるとき、第2のゾーンの全長は、第1の層上に配置又は担持されることが好ましい。第2のゾーンの長さは、第1の層の長さよりも短い。第2のゾーンは、基材の入口端部において第1の層上に配置されることが好ましい。
【0102】
第4の配列では、NO
x吸着触媒は、第1の層及び第2の層を含む。第1の層は、第1のモレキュラーシーブ触媒を含むNO
x吸着材を含むか、又はこれから本質的になる。第2の層は、第2のモレキュラーシーブ触媒を含むか、又はこれから本質的になる。
【0103】
第1の層は、第2の層上に配置、好ましくは直接配置されてもよい(例えば、
図4に示される配列を参照されたい)。第2の層は、基材上に配置されてもよい。好ましくは、第2の層は、基材上に直接配置される。
【0104】
あるいは、第2の層は、第1の層上に配置、好ましくは直接配置されてもよい(例えば、
図5に示される配列を参照されたい)。第1の層は、基材上に配置されてもよい。好ましくは、第1の層は、基材上に直接配置される。第4の配列のこの例、すなわち、
図5に示される配列が特に好ましい。
【0105】
本発明のNO
x吸着触媒は、例えば、NO
x吸着触媒がSCR又はSCRF(商標)触媒の上流に配置される場合、特定の用途において有利であり得る。このような配列では、下流のSCR又はSCRF(商標)触媒がNO
xからN
2への還元において触媒活性を持つのに十分な高温になるまで、NO
xがNO
x吸着触媒から放出されないようにするために、本発明のNO
x吸着触媒のNO
x放出温度が、従来のNO
x吸着触媒より高いことが有利であり得る。したがって、本発明のNO
x吸着触媒は、排気流、例えば、ディーゼルエンジン(好ましくは軽量ディーゼルエンジン)などのリーンバーンエンジンの排気流からのNO
x排出を低減するのに特に有利であり得る。
【0106】
疑義を避けるために、第1の領域は、第2の領域とは異なる(すなわち、組成が異なる)。
【0107】
概ね、第2及び第3の配列に関して、第1の領域が第1のゾーンである場合、第1のゾーンは、典型的には、基材の長さの10〜90%(例えば、10〜45%)、好ましくは基材の長さの15〜75%(例えば、15〜40%)、より好ましくは基材の長さの20〜70%(例えば、25〜45%などの30〜65%)、更により好ましくは25〜65%(例えば、35〜50%)の長さを有する。
【0108】
第2の領域が第2のゾーンである場合、概して、第2のゾーンは、基材の長さの10〜90%(例えば、10〜45%)、好ましくは基材の長さの15〜75%(例えば、15〜40%)、より好ましくは基材の長さの20〜70%(例えば25〜45%などの30〜65%)、更により好ましくは25〜65%(例えば35〜50%)の長さを有する。
【0109】
第2〜第4の配列では、第1の領域が第1の層である場合、典型的には、第1の層は、基材の全長(すなわち、実質的に全長)、特に基材モノリスのチャネルの全長にわたって延びている。
【0110】
概ね、第2の領域が第2の層である場合、典型的には、第2の層は通常、基材の全長(すなわち、実質的に全長)、特に基材モノリスのチャネルの全長にわたって延びている。
【0111】
第2〜第4の配列では、第1の領域は、好ましくは、ロジウム、並びに/又はアルカリ金属、アルカリ土類金属及び/若しくは希土類金属の酸化物、炭酸塩若しくは水酸化物を含む、又はこれらから本質的になるNO
x吸蔵成分を実質的に含まない。より好ましくは、第1の領域は、ロジウム、並びに/又はアルカリ金属、アルカリ土類金属及び/若しくは希土類金属の酸化物、炭酸塩若しくは水酸化物を含む、又はこれらから本質的になるNO
x吸蔵成分を含まない。したがって、第1の領域は、好ましくは、リーンNO
xトラップ(LNT)領域(すなわち、リーンNO
xトラップ活性を有する領域)ではない。
【0112】
追加的に又は代替的に、第2〜第4の配列では、第2の領域は、好ましくは、ロジウム、並びに/又はアルカリ金属、アルカリ土類金属及び/若しくは希土類金属の酸化物、炭酸塩若しくは水酸化物(セリウムの酸化物(すなわち、第2のNO
x吸着材からのもの)を除く)を含む、又はこれらから本質的になるNO
x吸蔵成分を実質的に含まない。より好ましくは、第2の領域は、ロジウム、並びに/又はアルカリ金属、アルカリ土類金属及び/若しくは希土類金属の酸化物、炭酸塩若しくは水酸化物(セリウムの酸化物を除く)を含む、又はこれらから本質的になるNO
x吸蔵成分を含まない。したがって、第2の領域は、好ましくは、リーンNO
xトラップ(LNT)領域(すなわち、リーンNO
xトラップ活性を有する領域)ではない。
【0113】
本発明の第5の配列では、NO
x吸着触媒は、上記の第1〜第4の配列のうちのいずれか1つに定義されるような配列を有し、ディーゼル酸化触媒(DOC)領域を更に含む。DOC領域は、ディーゼル酸化触媒活性を有する。したがって、DOC領域は、一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)及び任意選択で一酸化窒素(NO)を酸化することができる。
【0114】
DOC領域は、DOCゾーンであってもよい。DOCゾーンは、典型的には、基材の長さの10〜90%(例えば、10〜45%)、好ましくは基材の長さの15〜75%(例えば、15〜40%)、より好ましくは基材の長さの20〜60%(例えば、30〜55%又は25〜45%)、更により好ましくは25〜50%(例えば、25〜40%)の長さを有する。
【0115】
DOC領域は、好ましくは、第1の領域及び第2の領域の上流に配置される。DOC領域は、基材の入口端部に配置されることが好ましい。より好ましくは、DOC領域は、基材の入口端部に配置されたDOCゾーンである。
【0116】
あるいは、DOC領域は、DOC層であってもよい。DOC層は、基材の全長(すなわち、実質的に全長)、特に基材モノリスのチャネルの全長にわたって延びていてもよい。
【0117】
DOC層は、好ましくは、第1の領域及び/又は第2の領域上に配置される。したがって、DOC層は、第1の領域及び/又は第2の領域の前で、入口排気ガスと接触することになる。
【0118】
第5の配列の好ましい例では、DOC領域(4)は、DOC層又はDOCゾーン、好ましくはDOC層であり、上述のような第1の領域及び第2の領域の両方の少なくとも一部又は一部分の上に配置される(好ましくは直接配置される)。特に好ましい例では、DOC領域は、第1の層上に配置された(好ましくは直接配置された)DOC層であり、上記第1の層は、第1の領域及び第2の領域を含む。このような配列では、第1の領域(すなわち、第1のモレキュラーシーブ触媒を含むNO
x吸着材を含む第1の領域)は、第2の領域(すなわち、第2のモレキュラーシーブ触媒を含む第2の領域)の下流に配置される。第1の領域及び第2の領域は両方とも基材上に配置される(好ましくは、直接配置される)。この好ましい配列は、
図6及び
図7に示される。
【0119】
疑義を避けるために、
図6及び
図7に示される配列では、DOC領域は、上述のような層及び/又はゾーンであってもよい。
【0120】
第1〜第5の配列のうちのいずれか1つを含む本発明のNO
x吸着触媒は、好ましくは、SCR触媒(例えば、SCR触媒を含む領域)、特に、セリウム(Ce)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、バナジウム(V)、又はこれらのうちのいずれか2つ以上の組み合わせからなる群から選択される金属を含むSCR触媒を含まない。
【0121】
上述した領域、ゾーン、及び層は、基材上にウォッシュコートを作製及び適用するための従来の方法を使用して調製することができ、また、当該技術分野において公知である(例えば、国際公開第99/47260号、同第2007/077462号、及び同第2011/080525号を参照されたい)。
【0122】
第1〜第5の配列の第1の領域は、典型的には、5〜550gft
−3、好ましくは15〜400gft
−3(例えば、75〜350gft
−3)、より好ましくは25〜300gft
−3(例えば、50〜250gft
−3)、更により好ましくは30〜150gft
−3の貴金属(すなわち、第1の領域内のモレキュラーシーブ触媒の貴金属)の総担持量を含む。
【0123】
本発明のNO
x吸着触媒は、好ましくは、入口端部及び出口端部を有する基材を含む。
【0124】
基材は、典型的には、(例えば、排気ガスが通過するための)複数のチャネルを有する。概して、基材はセラミック材料又は金属材料である。
【0125】
基材は、コーディエライト(SiO
2−Al
2O
3−MgO)、炭化ケイ素(SiC)、Fe−Cr−Al合金、Ni−Cr−Al合金、又はステンレス鋼合金で作製又は構成されることが好ましい。
【0126】
典型的には、基材はモノリス(本明細書では、基材モノリスとも呼ばれる)である。このようなモノリスは、当該技術分野において周知である。基材モノリスは、フロースルーモノリス又はフィルタリングモノリスであってもよい。
【0127】
フロースルーモノリスは、典型的には、そこを貫通して延びる複数のチャネルを有するハニカムモノリス(例えば、金属又はセラミックのハニカムモノリス)を含み、各チャネルは、入口端部及び出口端部で開いている。
【0128】
フィルタリングモノリスは、概して、複数の入口チャネル及び複数の出口チャネルを含み、入口チャネルは、上流端(すなわち、排気ガス入口側)で開き、下流端(すなわち、排気ガス出口側)で塞がれる又は閉じ、出口チャネルは、上流端で塞がれる又は閉じ、下流端で開き、各入口チャネルは、多孔質構造によって出口チャネルから分かれている。
【0129】
モノリスがフィルタリングモノリスである場合、フィルタリングモノリスはウォールフローフィルタであることが好ましい。ウォールフローフィルタでは、各入口チャネルは、多孔質構造のウォールによって出口チャネルから交互に分かれており、逆もまた同様である。入口チャネル及び出口チャネルは、ハニカム配列で配置されることが好ましい。ハニカム配列が存在する場合、入口チャネルに垂直及び横方向に隣接するチャネルは上流端部で塞がれていることが好ましく、逆もまた同様である(すなわち、出口チャネルに垂直及び横方向に隣接するチャネルは、下流端部で塞がれる)。いずれかの端部から見たとき、チャネルの交互に塞がれ、開いている端部は、チェス盤の外観をとる。
【0130】
原則として、基材は、任意の形状又は大きさであってもよい。しかし、基材の形状及び大きさは、通常、触媒中の触媒活性材料の排気ガスへの暴露を最適化するように選択される。基材は、例えば、管状、繊維状、又は微粒子形態を有してもよい。好適な担持基材の例としては、モノリシックハニカムコーディエライト型の基材、モノリシックハニカムSiC型の基材、層状繊維又は編地型の基材、発泡体型の基材、クロスフロー型の基材、金属ワイヤメッシュ型の基材、金属多孔質体型の基材、及びセラミック粒子型の基材が挙げられる。
【0131】
基材は、電気的に加熱可能な基材であってもよい(すなわち、電気的に加熱可能な基材は、使用中に電気的に加熱する基材である)。基材が電気的に加熱可能な基材である場合、本発明のNO
x吸着触媒は、電力接続部、好ましくは少なくとも2つの電力接続部、より好ましくは2つの電力接続部のみを含む。各電力接続部は、電気的に加熱可能な基材及び電源に電気的に接続されてもよい。NO
x吸着触媒は、ジュール加熱によって加熱することができ、抵抗器を通る電流は、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する。
【0132】
電気的に加熱可能な基材は、吸蔵されたNO
xを第1の領域から放出するために使用することができる。したがって、電気的に加熱可能な基材のスイッチがオンになると、NO
x吸着触媒は加熱され、第1のモレキュラーシーブ触媒の温度を、そのNO
x放出温度まで上昇させることができる。好適な電気的に加熱可能な基材の例は、米国特許第4,300,956号、同第5,146,743号、及び同第6,513,324号に記載されている。
【0133】
概ね、電気的に加熱可能な基材は、金属を含む。金属は、電力接続部又は複数の電力接続部に電気的に接続されてもよい。
【0134】
典型的には、電気的に加熱可能な基材は、電気的に加熱可能なハニカム基材である。電気的に加熱可能な基材は、使用中に、電気的に加熱するハニカム基材であってもよい。
【0135】
電気的に加熱可能な基材は、電気的に加熱可能な基材モノリス(例えば、金属モノリス)を含んでもよい。モノリスは、波形金属シート又は箔を含んでもよい。波形金属シート又は箔は、ロール処理、巻き取り、又は積層されてもよい。波形金属シートがロール処理又は巻き取りされる場合、コイル、螺旋形状、又は同心パターンにロール処理又は巻き取りされてもよい。
【0136】
電気的に加熱可能な基材の金属、金属モノリス及び/又は波形金属シート若しくは箔は、アルミニウムフェライト鋼、例えばFecralloy(商標)を含んでもよい。
【0137】
典型的には、NO
x吸着触媒は、200℃を超える温度でNO
xを放出する。好ましくは、NO
x吸着触媒は、220℃以上、例えば230℃以上、240℃以上、250℃以上、又は260℃以上の温度でNO
xを放出する。200℃を超える温度でNO
xを放出することにより、本発明の触媒は、従来技術の受動的NO
x吸着触媒と比較して、SCR又はSCRF(商標)触媒などのNO
xを触媒的に還元するように構成された、下流触媒デバイスのライトオフ温度と重複する改善された放出温度を有する。この改善された放出温度の重複により、NO
xは低温で吸蔵され、下流の触媒デバイスが受動的NO
x吸着体から放出されるNO
xの触媒還元を行うことができる場合にのみ放出されるため、有利には排気システムからのNO
xスリップが低減される。
【0138】
NO
x吸着触媒は、典型的には、250℃以下の温度でNO
xを吸収又は吸蔵する。これは、第1の温度範囲の上限である。好ましくは、NO
x吸着触媒は、220℃以下、例えば200℃以下、190℃以下、180℃以下、又は175℃以下の温度でNO
xを吸収又は吸蔵する。特に好ましくは、NO
x吸着触媒は、100℃以下、例えば80℃以下の温度でNO
xを吸蔵し始めることがある。NO
x吸着触媒が低温で、理想的には、触媒と流体連通しているエンジンが動作を開始する瞬間からNO
xを吸着し始めることが望ましい。この低温のNO
x吸着は、エンジンがオンに切り替えられた直後などのコールドスタート期間中、又は例えば都市の運転条件におけるエンジンアイドリング中に、排気システムからのNO
xスリップを低減するので有利である。
【0139】
NO
x吸着触媒は、一酸化窒素(NO)を優先的に吸収又は吸蔵することができる。したがって、これに関連するNO
xの吸収、吸蔵、又は放出への任意の言及は、一酸化窒素(NO)を吸収、吸蔵、又は放出することを指し得る。NOを優先的に吸収又は吸蔵することにより、排気ガス中のNO:NO
2の比率が低下する。
【0140】
本発明はまた、NO
x吸着触媒と排出制御デバイスとを含む排気システムを提供する。排出制御デバイスの例としては、ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)、リーンNO
xトラップ(LNT)、リーンNO
x触媒(LNC)、選択的触媒還元(SCR)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、触媒煤煙フィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標))触媒、アンモニアスリップ触媒(ASC)、及びこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。このような排出制御デバイスは、当該技術分野において周知である。
【0141】
排気システムは、リーンNO
xトラップ(LNT)、アンモニアスリップ触媒(ASC)、ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)、選択的触媒還元(SCR)触媒、触媒煤煙フィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標))触媒、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される排出制御デバイスを含むことが好ましい。より好ましくは、排出制御デバイスは、リーンNO
xトラップ(LNT)、選択的触媒還元(SCR)触媒、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標))触媒、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0142】
本発明の好ましい排気システムでは、排出制御デバイスはLNTである。本発明のNO
x吸着触媒のNO
x放出温度は、LNTのNO
x吸蔵温度と重複してもよい。本発明のNO
x吸着触媒は、NO
xの吸蔵及び処理のための広範な温度範囲を提供するために、LNT及びSCR又はSCRF(商標)触媒(例えば、PNA+LNT+SCR又はSCRF(商標)をこの順で含む排気システム)と共に使用してもよい。
【0143】
概して、本発明の排気システムは、炭化水素を排気ガスに導入するための手段を更に含んでもよい。
【0144】
炭化水素を排気ガスに導入するための手段は、(例えば、リッチ排気ガスを生成するための)炭化水素供給装置を含んでもよく、又はこれらからなってもよい。炭化水素供給装置は、エンジン管理システムに電子的に連結されてもよく、典型的にはLNTからNO
x(例えば、吸蔵されたNO
x)を放出するために、炭化水素を排気ガス中に噴射するように構成されている。
【0145】
炭化水素供給装置は、インジェクタであってもよい。炭化水素供給装置又はインジェクタは、燃料を排気ガスに噴射するのに好適である。炭化水素供給装置は、典型的にはリーンバーンエンジンの排気出口の下流に配置される。炭化水素供給装置は、本発明のNO
x吸着触媒の上流又は下流であってもよい。
【0146】
炭化水素供給装置の代わりに又はそれに加えて、リーンバーンエンジンは、エンジン管理システム(例えば、エンジン制御ユニット[ECU])を含んでもよい。エンジン管理システムは、典型的にはNO
x(例えば、吸蔵されたNO
x)をLNTから放出するための炭化水素(例えば、燃料)の筒内噴射(in-cylinder injection)用に構成されてもよい。
【0147】
概して、エンジン管理システムは、LNTの状態をモニタリングする排気システム内のセンサに連結される。このようなセンサは、LNTの下流に配置されてもよい。センサは、LNTの出口で排気ガスのNO
x組成をモニタリングしてもよい。
【0148】
概して、炭化水素は燃料、好ましくはディーゼル燃料である。炭化水素がディーゼル燃料などの燃料である場合、燃料は、≦50ppmの硫黄を含むことが好ましく、より好ましくは≦15ppmの硫黄、例えば≦10ppmの硫黄、更により好ましくは≦5ppmの硫黄を含む。
【0149】
本発明のNO
x吸着触媒の第1〜第5の配列において、炭化水素供給装置は、本発明のNO
x吸着触媒の上流に配置されてもよい。
【0150】
本発明の排気システムがSCR触媒又はSCRF(商標)触媒を含む場合、排気システムは、窒素系還元剤、例えばアンモニア、又はアンモニア前駆体、例えば尿素若しくはギ酸アンモニウム、好ましくは尿素を、酸化触媒の下流、及びSCR触媒又はSCRF(商標)触媒の上流の排気ガス中に噴射するためのインジェクタを更に含み得る。このようなインジェクタは、窒素系還元剤前駆体の供給源(例えばタンク)に流体連結されてもよい。排気ガスへの前駆体のバルブ制御された投入は、排気ガスの組成をモニタリングするセンサによって提供される、適切にプログラム化されたエンジン管理手段及び閉ループ又は開ループフィードバックによって調節され得る。アンモニアはまた、カルバミン酸アンモニウム(固体)を加熱することによって生成することができ、生成されたアンモニアは排気ガス中に噴射することができる。
【0151】
窒素系還元剤を噴射するためのインジェクタの代わりに又はそれに加えて、in situで(例えば、SCR触媒又はSCRF(商標)触媒の上流に配置されたLNTのリッチ再生中で)、例えば排気システムが、炭化水素供給装置、例えばLNTからNO
x(例えば、吸蔵されたNO
x)を放出するための炭化水素の筒内噴射用に構成されたエンジン管理システムを更に備える場合、アンモニアを生成できる。
【0152】
SCR触媒又はSCRF(商標)触媒は、Cu、Hf、La、Au、In、V、ランタニド及び第VIII族遷移金属(例えばFe)のうちの少なくとも1つからなる群から選択される金属を含んでもよく、金属は、耐火性酸化物又はモレキュラーシーブ上に担持される。金属は、好ましくは、Ce、Fe、Cu、及びこれらのうちのいずれか2つ以上の組み合わせから選択され、より好ましくは、金属はFe又はCuである。
【0153】
SCR触媒又はSCRF(商標)触媒用の耐火性酸化物は、Al
2O
3、TiO
2、CeO
2、SiO
2、ZrO
2、及びこれらの2つ以上を含有する混合酸化物からなる群から選択され得る。非ゼオライト触媒はまた、酸化タングステン(例えば、V
2O
5/WO
3/TiO
2、WO
x/CeZrO
2、WO
x/ZrO
2又はFe/WO
x/ZrO
2)も含むことができる。追加的に又は代替的に、非ゼオライト触媒はまた、Nb、Ce、及びこれらの酸化物、例えば、NbO
x/CeO
2又はWO
x/CeO
2を含み得る。
【0154】
SCR触媒、SCRF(商標)触媒、又はそのウォッシュコートが、アルミノケイ酸塩ゼオライト又はSAPOなどの少なくとも1つのモレキュラーシーブを含む場合に特に好ましい。少なくとも1つのモレキュラーシーブは、小、中又は大細孔モレキュラーシーブとすることができる。本明細書において「小細孔モレキュラーシーブ」とは、CHAなどの8の最大環サイズを含むモレキュラーシーブを意味し、本明細書において「中細孔モレキュラーシーブ」とは、ZSM−5などの10の最大環サイズを含むモレキュラーシーブを意味し、本明細書において「大細孔モレキュラーシーブ」とは、betaなどの12の最大環サイズを有するモレキュラーシーブを意味する。小細孔モレキュラーシーブは、SCR触媒での使用に場合により有利である。
【0155】
SCR触媒又はSCRF(商標)触媒に好ましいモレキュラーシーブは、AEI、AFX、ZSM−5、ZSM−20、ZSM−34を含むERI、モルデナイト、フェリエライト、Betaを含むBEA、Y、CHA、Nu−3を含むLEV、MCM−22及びEU−1、好ましくはAEI又はCHAからなる群から選択される合成アルミノケイ酸塩ゼオライトモレキュラーシーブであり、約15〜約40などの約10〜約50のシリカ対アルミナ比を有する。
【0156】
本発明における第1の排気システムの実施形態では、排気システムは、本発明のNO
x吸着触媒(NO
x吸着触媒の第1〜第5の配列のうちのいずれか1つを含む)と、リーンNO
xトラップ(LNT)[すなわち、NO
x吸着触媒とは別の基材上のLNT]とを含む。このような配列は、PNA/LNTと呼ばれることがある。NO
x吸着触媒の後に、典型的には、リーンNO
xトラップ(LNT)が続く(例えば、NO
x吸着触媒はLNTの上流にある)。したがって、例えば、NO
x吸着触媒の出口は、リーンNO
xトラップ(LNT)の入口に接続され、好ましくは直接接続される(例えば、介在する排出制御デバイスなしで)。NO
x吸着触媒とLNTとの間に炭化水素供給装置が存在し得る。
【0157】
第2の排気システムの実施形態は、本発明のNO
x吸着触媒(NO
x吸着触媒の第1〜第5の配列のうちのいずれか1つを含む)と、選択的触媒還元(SCR)触媒と、を含む排気システムに関する。このような配列は、PNA/SCRと呼ばれることがある。NO
x吸着触媒の後に、典型的には、選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、NO
x吸着触媒はSCRの上流にある)。したがって、例えば、NO
x吸着触媒の出口は、SCR触媒の入口に接続され、好ましくは直接接続される(例えば、介在する排出制御デバイスなしで)。
【0158】
窒素系還元剤インジェクタは、NO
x吸着触媒と選択的触媒還元(SCR)触媒との間に配列され得る。したがって、NO
x吸着触媒の後に、窒素系還元剤インジェクタが続いてもよく(例えば、NO
x吸着触媒は窒素系還元剤インジェクタの上流にある)、窒素系還元剤インジェクタの後に、選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、窒素系還元剤インジェクタはSCR触媒の上流にある)。
【0159】
第2の排気システムの実施形態では、(例えば、NO
x吸着触媒の)基材がフィルタリングモノリスであることが好ましい場合がある。(例えば、NO
x吸着触媒の)基材は、NO
x吸着触媒がDOC領域を含む場合、フィルタリングモノリスであることが特に好ましい。
【0160】
第3の排気システムの実施形態は、本発明のNO
x吸着触媒(NO
x吸着触媒の第1〜第5の配列のうちのいずれか1つを含む)と、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標))触媒とを含む。このような配列は、PNA/SCRF(商標)と呼ばれることがある。NO
x吸着触媒の後に、典型的には、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標))触媒が続く(例えば、NO
x吸着触媒はSCRF(商標)触媒の上流にある)。したがって、例えば、NO
x吸着触媒の出口は、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標))触媒の入口に接続され、好ましくは直接接続される(例えば、介在する排出制御デバイスなしで)。
【0161】
窒素系還元剤インジェクタは、NO
x吸着触媒と選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標))触媒との間に配列され得る。したがって、NO
x吸着触媒の後に、窒素系還元剤インジェクタが続いてもよく(例えば、NO
x吸着触媒は窒素系還元剤インジェクタの上流にある)、窒素系還元剤インジェクタの後に、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標))触媒が続いてもよい(例えば、窒素系還元剤インジェクタはSCRF(商標)触媒の上流にある)。
【0162】
第4の排気システムの実施形態は、本発明のNO
x吸着触媒(NO
x吸着触媒の第1〜第5の配列のうちのいずれか1つを含む)と、リーンNO
xトラップ(LNT)と、選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標))触媒のいずれかと、を含む排気システムに関する。これらの配列は、PNA/LNT/SCR配列、又はPNA/LNT/SCRF(商標)配列と呼ばれることがある。NO
x吸着触媒の後に、典型的には、リーンNO
xトラップ(LNT)が続く(例えば、NO
x吸着触媒はLNTの上流にある)。リーンNO
xトラップ(LNT)の後に、典型的には、選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標))触媒のいずれかが続く(例えば、LNTはSCR触媒又はSCRF(商標)触媒のいずれかの上流にある)。NO
x吸着触媒とLNTとの間に炭化水素供給装置が存在し得る。
【0163】
窒素系還元剤インジェクタは、リーンNO
xトラップ(LNT)と選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標))触媒のいずれかとの間に配列され得る。したがって、リーンNO
xトラップ(LNT)の後に、窒素系還元剤インジェクタが続いてもよく(例えば、LNTは窒素系還元剤インジェクタの上流にある)、窒素系還元剤インジェクタの後に、選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標))触媒が続いてもよい(例えば、窒素系還元剤インジェクタはSCR触媒又はSCRF(商標)触媒の上流にある)。
【0164】
第5の排気システムの実施形態は、本発明のNO
x吸着触媒(NO
x吸着触媒の第1〜第5の配列のうちのいずれか1つを含む)と、触媒煤煙フィルタ(CSF)と、選択的触媒還元(SCR)触媒と、を含む排気システムに関する。このような配列は、PNA/CSF/SCRと呼ばれることがある。NO
x吸着触媒の後に、典型的には、触媒煤煙フィルタ(CSF)が続く(例えば、NO
x吸着触媒はCSFの上流にある)。触媒煤煙フィルタの後に、典型的には、選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、触媒煤煙フィルタはSCR触媒の上流にある)。
【0165】
窒素系還元剤インジェクタは、触媒煤煙フィルタ(CSF)と選択的触媒還元(SCR)触媒との間に配列され得る。したがって、触媒煤煙フィルタ(CSF)の後に、窒素系還元剤インジェクタが続いてもよく(例えば、CSFは窒素系還元剤インジェクタの上流にある)、窒素系還元剤インジェクタの後に、選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、窒素系還元剤インジェクタはSCR触媒の上流にある)。
【0166】
上記第2〜第5の排気システムの実施形態におけるそれぞれにおいて、ASC触媒は、SCR触媒又はSCRF(商標)触媒(すなわち、別個の基材モノリスとして)の下流に配置することができる、又はより好ましくはSCR触媒を含む基材モノリスの下流端又は後端上のゾーンを、ASCの担体として使用することができる。
【0167】
本発明の排気システム(第1〜第5の排気システム実施形態を含む)は、炭化水素(例えば、燃料)を排気ガスに導入するための手段を更に含んでもよい。炭化水素を排気ガスに導入する手段が炭化水素供給装置である場合、炭化水素供給装置が本発明のNO
x吸着触媒の下流にあることが概して好ましい(上記の別段の指定がない限り)。
【0168】
本発明の排気システムは、リーンNO
xトラップ(LNT)、特に、NO
x吸着触媒の上流、例えばNO
x吸着触媒の直接上流にあるリーンNO
xトラップ(LNT)を含まない(例えば、介在する排出制御デバイスを含まない)ことが好ましい場合がある。
【0169】
本発明のNO
x吸着触媒のPNA活性により、NO
x、特にNOが、低い排気温度で吸蔵されることを可能にする。より高い排気ガス温度では、NO
x吸着触媒はNOをNO
2に酸化することができる。したがって、本発明のNO
x吸着触媒を、排気システムの一部として特定の種類の排出制御デバイスと組み合わせることが有利である。
【0170】
本発明の別の態様は、車両又は装置に関する。車両又は装置は、リーンバーエンジンを含む。好ましくは、リーンバーエンジンはディーゼルエンジンである。
【0171】
ディーゼルエンジンは、均質混合圧縮着火(HCCI)エンジン、予混合圧縮着火(PCCI)エンジン、又は低温燃焼(LTC)エンジンであってもよい。ディーゼルエンジンは、通常の(すなわち従来からの)ディーゼルエンジンであることが好ましい。
【0172】
リーンバーンエンジンは、燃料、好ましくはディーゼル燃料で運転するように構成又は適合され、≦50ppmの硫黄、より好ましくは≦15ppmの硫黄、例えば≦10ppmの硫黄、更により好ましくは≦5ppmの硫黄を含むことが好ましい。
【0173】
車両は、米国又は欧州法令で定義されるような軽量ディーゼル車両(LDV)であってもよい。軽量ディーゼル車両は、典型的には、<2840kgの重量、より好ましくは<2610kgの重量を有する。
【0174】
米国では、軽量ディーゼル車両(LDV)は、≦8,500ポンド(米国ポンド)の総重量を有するディーゼル車両を指す。欧州では、軽量ディーゼル車両(LDV)という用語は、(i)運転席に加えて8席以下で、最大質量が5トンを超えない乗用車、及び(ii)最大質量が12トンを超えない物品輸送用の車両を指す。
【0175】
あるいは、車両は、米国法令で定義されるような、>8,500ポンド(米国ポンド)の総重量を有するディーゼル車などの大型ディーゼル車両(HDV)であり得る。
【0176】
本発明の更なる態様は、排気ガスを上述のNO
x吸着触媒、又は上述の第1〜第5の排気システムのいずれかと接触させることを含む、内燃機関からの排気ガスを処理する方法である。好ましい方法では、排気ガスはリッチガス混合物である。更に好ましい方法では、排気ガスは、リッチガス混合物とリーンガス混合物との間で循環する。
【0177】
内燃機関からの排気ガスを処理するいくつかの好ましい方法では、排気ガスは、約150〜300℃の温度である。
【0178】
内燃機関からの排気ガスを処理する更に好ましい方法では、排気ガスは、上述のNO
x吸着触媒に加えて、1つ以上の更なる排出制御デバイスと接触する。1つ又は複数の排出制御デバイスは、好ましくは、NO
x吸着触媒の下流にある。
【0179】
更なる排出制御デバイスの例としては、ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)、リーンNO
xトラップ(LNT)、リーンNO
x触媒(LNC)、選択的触媒還元(SCR)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、触媒煤煙フィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標))触媒、アンモニアスリップ触媒(ASC)、コールドスタート触媒(dCSC)、及びこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。このような排出制御デバイスは、当該技術分野において周知である。
【0180】
上述の排出制御デバイスの一部は、フィルタ基材を有する。フィルタ基材を有する排出制御デバイスは、ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)、触媒煤煙フィルタ(CSF)、及び選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標))触媒からなる群から選択され得る。
【0181】
本方法は、リーンNO
xトラップ(LNT)、アンモニアスリップ触媒(ASC)ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)、選択的触媒還元(SCR)触媒、触媒煤煙フィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標))触媒、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される排出制御デバイスと排気ガスを接触させることを含むことが好ましい。より好ましくは、排出制御デバイスは、ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)、選択的触媒還元(SCR)触媒、触媒煤煙フィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標))触媒、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。更により好ましくは、排出制御デバイスは、選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標))触媒である。
【0182】
本発明の方法が、排気ガスをSCR触媒又はSCRF(商標)触媒と接触させることを含む場合、該方法は、窒素系還元剤、例えばアンモニア、又はアンモニア前駆体、例えば尿素若しくはギ酸アンモニウム、好ましくは尿素を、リーンNO
xトラップ触媒の下流、及びSCR触媒又はSCRF(商標)触媒の上流の排気ガス中に噴射することを更に含んでもよい。
【0183】
このような噴射は、インジェクタによって行われてもよい。インジェクタは、窒素系還元剤前駆体の供給源(例えばタンク)に流体連結されてもよい。排気ガスへの前駆体のバルブ制御された投入は、排気ガスの組成をモニタリングするセンサによって提供される、適切にプログラム化されたエンジン管理手段及び閉ループ又は開ループフィードバックによって調節され得る。
【0184】
アンモニアはまた、カルバミン酸アンモニウム(固体)を加熱することによって生成することができ、生成されたアンモニアを排気ガス中に噴射することができる。
【0185】
インジェクタの代わりに又はそれに加えて、in situで(例えば、SCR触媒又はSCRF(商標)触媒の上流に配置されたLNTのリッチ再生中で)、アンモニアを生成することができる。したがって、本方法は、排気ガスを炭化水素で富化することを更に含んでもよい。
【0186】
SCR触媒又はSCRF(商標)触媒は、Cu、Hf、La、Au、In、V、ランタニド及び第VIII族遷移金属(例えばFe)のうちの少なくとも1つからなる群から選択される金属を含んでもよく、金属は、耐火性酸化物又はモレキュラーシーブ上に担持される。金属は、好ましくは、Ce、Fe、Cu、及びこれらのうちのいずれか2つ以上の組み合わせから選択され、より好ましくは、金属はFe又はCuである。
【0187】
SCR触媒又はSCRF(商標)触媒用の耐火性酸化物は、Al
2O
3、TiO
2、CeO
2、SiO
2、ZrO
2、及びこれらの2つ以上を含有する混合酸化物からなる群から選択され得る。非ゼオライト触媒はまた、酸化タングステン(例えば、V
2O
5/WO
3/TiO
2、WO
x/CeZrO
2、WO
x/ZrO
2又はFe/WO
x/ZrO
2)も含み得る。追加的に又は代替的に、非ゼオライト触媒はまた、Nb、Ce、及びこれらの酸化物、例えば、NbO
x/CeO
2又はWO
x/CeO
2も含み得る。
【0188】
SCR触媒、SCRF(商標)触媒、又はそのウォッシュコートが、アルミノケイ酸塩ゼオライト又はSAPOなどの少なくとも1つのモレキュラーシーブを含む場合に特に好ましい。少なくとも1つのモレキュラーシーブは、小、中、又は大細孔モレキュラーシーブであり得る。本明細書における「小細孔モレキュラーシーブ」とは、CHAなどの8の最大環サイズを含むモレキュラーシーブを意味し、本明細書における「中細孔モレキュラーシーブ」とは、ZSM−5などの10の最大環サイズを含むモレキュラーシーブを意味し、本明細書における「大細孔モレキュラーシーブ」とは、betaなどの12の最大環サイズを有するモレキュラーシーブを意味する。小細孔モレキュラーシーブは、SCR触媒での使用に場合により有利である。
【0189】
本発明の排気ガスを処理する方法において、SCR触媒又はSCRF(商標)触媒に好ましいモレキュラーシーブは、AEI、AFX、ZSM−5、ZSM−20、ZSM−34を含むERI、モルデナイト、フェリエライト、Betaを含むBEA、Y、CHA、Nu−3を含むLEV、MCM−22及びEU−1、好ましくはAEI又はCHAからなる群から選択される合成アルミノケイ酸塩ゼオライトモレキュラーシーブであり、約15〜約40などの約10〜約50のシリカ対アルミナ比を有する。
【実施例】
【0190】
これから、以下の非限定的な実施例によって本発明を例示する。
【0191】
材料
全ての材料は市販されており、別途記載のない限り、既知の供給元から入手した。STIゼオライトを、以下に示す方法で調製した。
【0192】
実施例1:本発明の受動的NO
x吸着体(PNA)の調製
STIゼオライトの調製
別途記載のない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第2008/058196(A1)号に記載の方法によって、STIゼオライトを調製した。
【0193】
PNA 1A:1%Pd/STI SAR41
パラジウムを、以下の手順に従って41のシリカ対アルミナ比(SAR)でSTIゼオライトに添加して、PNA 1Aを生成する:前駆体として可溶性パラジウム化合物を使用したゼオライトの湿式含浸によって、粉末触媒を調製する。105℃で乾燥させた後、試料を500℃で焼成して、フレッシュ触媒を用意し、次いで、フレッシュ触媒の一部分を、体積で10%のH
2Oを含有する空気雰囲気中で750℃にて水熱エージングする。PNA 1AのPd担持量は、1重量%である。
【0194】
PNA 1B:1%Pd/STI SAR30
使用されるSTIゼオライトのシリカ対アルミナ比(SAR)が30のであったことを除いて、PNA 1Aと同じ手順を使用して、PNA 1Bを生成する。PNA 1BのPd担持量は、1重量%である。
【0195】
PNA 1C:800℃でエージングした1%Pd/STI SAR30
PD/STIを750℃ではなく800℃でエージングしたことを除いて、PNA 1Aと同じ手順を用いてPNA 1Cを生成する。PNA 1CのPd担持量は、1重量%である。
【0196】
PNA 1D:1%Pd/STI SAR16
使用したSTIゼオライトのシリカ対アルミナ比(SAR)が16であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるS.B.Hong et al J.Am.Chem.Soc.2004,126,5817に開示されている方法に従って合成したことを除いて、PNA 1Aと同じ手順を使用して、PNA 1Dを生成する。PNA 1DのPd担持量は、1重量%である。
【0197】
実施例2:比較PNAの調製
比較PNA 2A:1重量%Pd/CHA
STIの代わりに25のシリカ対アルミナ比(SAR)を有する小細孔チャバザイト(CHA)ゼオライトを使用したことを除いて、PNA 1Aと同じ手順を用いて比較PNA 2Aを生成する。比較PNA 2AのPd担持量は、1重量%である。
【0198】
実施例3:NO
x吸蔵容量試験手順
300L*hr
−1*g
−1のMHSVで2リットル/分で流れるNO含有ガス混合物中で、約100℃の吸着温度にて5分間、触媒(0.4g)を保持する。この吸着段階に続いて、床温度が約450℃に達するまで、同一のNO含有ガスの存在下で、17℃/分の傾斜速度にて温度プログラム脱着(TPD)を継続する。
【0199】
吸着及び脱着の両方の間のNO含有ガス混合物は、N
2中に、10体積%のO
2、60ppmのNO、5体積%のCO
2、1500ppmのCO、130ppmのC
3H
6、及び5体積%のH
2Oを含む。
【0200】
NO
x吸蔵量は、粉末触媒1グラム当たりのミリグラム単位で吸蔵されたNOの量として計算される(出口NO
x濃度が元の入口の値に達するまで)。結果を、ピークNO
x放出温度と共に表1に示す。
【表1】
【0201】
パラジウムを含むモレキュラーシーブ触媒及びSTI骨格型を有するモレキュラーシーブ(すなわち、本発明による触媒)を含有するPNA 1A、1B、及び1Cのそれぞれは、Pd/チャバザイトモレキュラーシーブ触媒を含むPNA 2A(250℃)と比較して、NO
x放出温度が増加している(310又は315℃)ことが表1の結果から確認できる。これは、SCR触媒が放出されるNO
xの還元を触媒するのに十分な高温になる前に、上流のPNAからNO
xが放出されないようにするために、下流のSCR触媒と組み合わせて使用される場合に特に有利であり得る。