【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題は、とりわけ請求項1及び更なる独立形式請求項の教示によって解決される。
【0013】
本発明では、本技術的問題は、とりわけ、式(n個の繰返単位を有する):
【0014】
【化1】
による3S-ポリカランアミド、又は式(n個の繰返単位を有する):
【0015】
【化2】
による3R-ポリカランアミドであるポリカランアミドを提供することによっても解決される。
【0016】
本発明はまた、式(a個、b個及びn個の繰返単位を有する):
【0017】
【化3】
による3S-3R-コポリカランアミドに関する。
【0018】
上述のポリカランアミドは、好ましい実施形態では、本発明に従った方法によって、とりわけ本発明による方法を利用して製造可能であり、これらの方法により、本発明によるポリカランアミドは、3-カレン、好ましくは3-カランエポキシド及びとりわけそれらから得られる3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物から得られる。本発明の本質的な寄与は、3-カレン又は3-カランエポキシドから本発明による方法を介して、コポリカランアミド合成のための前駆体を提供すること、とりわけ3S-ポリカランアミドを提供するための3S-カラノンを提供することである。本発明の有利な形態では、3S-カラノンが富化された混合物、とりわけ、有利にも、3S-ポリカランアミドのための又は3S-コポリカランアミドの前駆体としての3S-カランオキシム及び3S-カランラクタムを得ることができる3S-カラノンが富化された混合物を提供することが意図される。
【0019】
本発明はまた、3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を3-カランエポキシドから製造するための方法であって、以下の方法工程:a)3-カランエポキシド及び少なくとも1種の酸性触媒を含む反応混合物を準備する方法工程、b)反応混合物中の3-カランエポキシドを-40℃〜140℃の温度で転位下に転化させる方法工程、並びにc)(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カラノン又は3R-カラノンの異性体比を有する異性体富化された混合物を得る方法工程を含む、方法に関する。
【0020】
好ましくは、本発明によれば、方法工程a)で準備された反応混合物は、第1の有機溶剤を追加的に含むことが意図されている。
【0021】
本発明は、とりわけ、3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を3-カランエポキシドから製造するための方法であって、以下の方法工程:a)3-カランエポキシド、少なくとも1種の酸性触媒及び少なくとも1種の第1の有機溶剤を含有する反応混合物を準備する方法工程、b)反応混合物中の3-カランエポキシドを-40℃〜140℃の温度で転位下に転化させる方法工程、並びにc)(3S-及び3R-カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カラノン又は3R-カラノンの異性体比を有する異性体富化された混合物を得る方法工程を含む、方法に関する。本発明により意図されている3-カランエポキシド、少なくとも1種の酸性触媒及び、好ましい実施形態では少なくとも1種の第1の有機溶剤を含有する反応混合物の準備は、好ましくは、3-カランエポキシド、少なくとも1種の酸性触媒及び任意に少なくとも1種の第1の有機溶剤の混合に対応する。こうして得られる反応混合物において、方法工程b)に従って、本発明により意図されている3-カランエポキシドの転化が行われ、3-カランエポキシドが3S-カラノン及び3R-カラノンに転位されて、(それぞれ3S-及び3R-カラノン(以下では短縮して「カラノン」とも)の総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カラノン又は少なくとも80%の3R-カラノンの異性体比を有する方法工程c)で得られる異性体富化された混合物が得られる。異性体を含む混合物は、好ましい方法で精製又は単離され得る。
【0022】
好ましくは、少なくとも1種の酸性触媒は、ルイス酸、特に好ましくは非常に強い酸の金属塩、とりわけ0.23のpKaを有するトリフルオロ酢酸よりも強い酸と、好ましくは第3〜第5周期、とりわけ第4〜第13族、とりわけ第7〜第12族の、とりわけ2〜3の酸化数を有する金属との金属塩である。
【0023】
好ましくは、少なくとも1種の第1の有機溶剤は、脂肪族又は芳香族の溶剤、とりわけヘテロ原子を有しない炭化水素のみからなる溶剤、とりわけ4〜10個の炭素、とりわけ5〜7個の炭素及び30℃から126℃の間の、好ましくは60℃〜81℃の沸点を有し、とりわけ0.164(ジオキサン)より低い相対極性を有する溶剤である。
【0024】
好ましくは、本発明によれば、方法工程b)におけるS-及びR-カラノンからの異性体富化された混合物への3-カランエポキシドの転化は、0℃〜100℃、好ましくは20℃〜80℃、好ましくは40℃〜65℃、とりわけ45℃〜60℃、とりわけ48℃〜53℃、とりわけ50℃〜60℃、とりわけ50℃又は60℃の温度で行うことが意図されている。
【0025】
好ましくは、本発明によれば、方法工程b)における3-カランエポキシドの転化は、Meinwald転位下に行うことが更に意図されている。とりわけ、Meinwald転位は、中間物質を伴わない協奏機構を介して又は中間物質を伴う機構を介して、特別には中間物質(1R,6S)-7,7-ジメチル-4-メチレンビシクロ[4.1.0]ヘプタン-3-オール及び(1R,6S)-4,7,7-トリメチルビシクロ[4.1.0]ヘプタ-3-エン-3-オールを介して行うことが意図されている。カラノンの総量に対して少なくとも80%の3S-カラノンを有して異性体富化された方法工程c)における混合物を得るための、方法工程b)における3S-カランエポキシドの立体選択的なMeinwald転位についての1つの理論は、この理論に縛られるべきではないが、この反応が好ましくは協奏機構を介して進行することである。
【0026】
好ましくは、本発明によれば、方法工程c)において得られる異性体富化された混合物は、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-カラノン又は3R-カラノンの異性体比を有することが意図されている。
【0027】
3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物の本発明による製造方法によって、有利には、中間生成物、とりわけ3-カラノンの異性体の製造が可能となり、それらの中間生成物から、ポリアミド製造のために必要とされる本発明によるモノマーを得ることができる。本発明によれば、好ましい実施形態では、相応して所望される中間生成物、つまり3S-カラノン又は3R-カラノンのいずれかが、得られた異性体富化された混合物中に高い割合で含まれるように、反応を制御することができる。本発明によれば、本発明によるポリアミドの製造のために必要とされるモノマーを、3S-カラノン及び3R-カラノンからのこの異性体富化された混合物から、更なる中間生成物である3-カランオキシム及び3-カランラクタムを介して、廉価、迅速及び効率的に製造することができる。これらのモノマーから製造可能な本発明によるテルペンベースの熱可塑性ポリアミドは、高い熱的要件を満たし、高いモル質量を有する。これに加えて、本発明によるポリマーのための製造方法の効率は、場合によっては、化石ベースのポリアミドのために工業的に使用されている製造方法に匹敵する。本発明による製造方法(本明細書では、合成経路とも呼ばれる)は、好ましくは、部分晶質又は完全非晶質のポリアミドのいずれかが生成されるように制御可能である。本発明による製造方法によって、本発明によれば、3-カレンベースのラクタム、すなわち、本発明によるポリアミドのモノマーを、2つのジアステレオマーに分けて製造することが可能であり、それらにより、ポリアミドにおいて完全非晶質性又は部分晶質性のいずれかがもたらされるため種々の適用要件が満たされる。3S-カランラクタム由来のポリアミドは部分結晶であり、3R-カランラクタム由来のポリアミドは非晶質である。両方のポリアミドは、50kDa又は(beziehungsweise)(以下で、「又は(bzw.)」と略される)100kDaを上回る、好ましくは10kDa又は33kDaを上回るモル質量を達成することができる。本発明により提供されるポリアミドは、好ましくは高い光学純度を有し、好ましい実施形態では透明であり、好ましくは立体規則性を有し、それらは、とりわけ立体及びエナンチオ選択的用途、例えばHPLCにおけるキラル固定相又はキラル膜のために有利に利用可能である。本発明により提供されるポリアミドは、好ましい実施形態では、それらのホモポリマーの形態でアイソタクチックである。
【0028】
本発明と関連して、3-カレンという用語は、(1S,6R)-(+)-3-カレンだけでなく、異性体の(1R,6S)-(-)-3-カレンとも解釈される。好ましくは、3-カレンとして(1S,6R)-(+)-3-カレンが使用される。したがって、本発明により3-カレンから製造される物質及び生成物は、立体異性の(1S,6R)-(+)-配置又は(1R,6S)-(-)-配置のいずれか、好ましくは(1S,6R)-(+)-配置を有する。
【0029】
本発明と関連して、「非晶質のポリマー」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)による熱分析において、分解温度までの下記の方法(3)に従ってガラス転移点のみを観察することができるが、融点を観察することはできないか、又は320℃の温度まで(方法3.1)の若しくは分解温度まで(方法3.2)の下記の方法(3.1)及び(3.2)に従ってガラス転移点のみを観察することができるが、融点を観察することはできないポリマーと解釈される。
【0030】
本発明と関連して、「部分晶質のポリマー」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)による熱分析において、分解温度までの下記の方法(3)又は方法(3.1)若しくは(3.2)に従ってガラス転移点も融点も観察することができるポリマーと解釈される。
【0031】
数平均(Mn)及び重量平均(Mw)は、好ましくは、本発明によれば、以下の方法(4.1)又は(4.2)に従って、とりわけ方法(4.2)に従って求められる。
【0032】
本発明と関連して、多分散性は、重量平均(本明細書では、質量平均とも呼ばれる)(Mw)を数平均(Mn)によって割った商(Mw/Mn)と解釈され、(Mn)及び(Mw)は、方法(4.1)又は(4.2)に従って、とりわけ方法(4.2)に従って求められる。
【0033】
本発明と関連して、「吸水性」という用語は、PA6(ポリアミド6)との定性的比較において、乾燥状態と比べて低下した水によるコンディショニング後のポリアミド試料の質量増加と解釈され、その質量増加は、PA6との定性的比較において下記の方法(5)に従って求めることができる。
【0034】
本発明と関連して、下記の方法(6)に従って、PA6及びPA12との定性的比較において無色透明ないし不透明なフィルムが作製され得る場合に、ポリアミドは「透明」である。
【0035】
本発明と関連して、「中間生成物」という用語は、出発化合物、本発明ではとりわけ3-カレン又は3-カランエポキシドから第1の方法工程の実施後に得られ、少なくとも1回の第2の方法工程、例えばまた複数回の方法工程において最終生成物、本発明ではとりわけ3-カランラクタム又はそのポリアミドへと変換される化合物と解釈される。本発明と関連して、中間生成物は、とりわけ3-カラノン及び3-カランオキシムであり、つまり3-カランエポキシドからモノマーの3-カランラクタムへの製造のための前駆物質である。
【0036】
本発明と関連して、「異性体富化された混合物」という表現は、ジアステレオマー化合物の1つが混合物中に別の化合物よりも豊富に存在する2つのジアステレオマー化合物からの混合物と更に解釈される。異性体は、本発明と関連して、好ましくはジアステレオマー化合物である。
【0037】
とりわけ、本発明の好ましい実施形態では、本発明の「異性体富化された混合物」は、(それぞれ全ての異性体の物質量に対して)少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも98、少なくとも99%の異性体、とりわけジアステレオマー化合物の1つを有する。
【0038】
「3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物」(特定の富化に関しては、3S-若しくは3R-カラノンが富化された混合物又は異性体混合物とも呼ばれる)という表現は、上述の異性体富化された混合物が、上述のジアステレオマー化合物を含み、とりわけ主として含み、とりわけ(混合物の乾燥物質量に対するジアステレオマー化合物の乾燥物質量に対して)50超、とりわけ60超、とりわけ70超、とりわけ80超、とりわけ90超、とりわけ95超、とりわけ99%超で含み、とりわけジアステレオマー化合物からなると解釈される。本発明において提供される他の異性体富化された混合物、とりわけ3S-及び3R-カランオキシム並びに3S-及び3R-カランラクタムに関しても同様に、「〜からの富化された混合物」という用語は、それぞれ示された異性体が混合物中に主として存在し、好ましくは(それぞれ混合物の乾燥物に対するジアステレオマー化合物の乾燥物質量に対して)50超、とりわけ60超、とりわけ70超、とりわけ80超、とりわけ90超、とりわけ95超、とりわけ99重量%超で存在し、とりわけ上述のジアステレオマー化合物からなることを意味することが当てはまる。
【0039】
3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物の製造のための本発明による方法によって、とりわけ、副生成物の顕著な割合、とりわけ所望の異性体へと変換又は異性化することができない副生成物を有さずに、所望の異性体を、(それぞれ両方の異性体の物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、とりわけ少なくとも95%、とりわけ少なくとも91%の異性体の高い収率及び高い純度で得ることができる。
【0040】
本発明による方法では、3S-カラノンが富化された異性体混合物を、唯一の反応工程のみにおいてエポキシドから出発して、中間工程を必要とせずに得ることができることが更に有利である。
【0041】
3-カレンから合成された本発明によるポリアミドは、高められた非晶質割合の他に、再生可能原料由来の大抵の市販のポリアミドの場合のような約60℃ではなく、100〜130℃、とりわけ105〜125℃、とりわけ105〜115℃、110〜120℃、とりわけ約115℃の明らかにより高いガラス転移点Tgを追加的に有する。本発明によるポリアミド及びコ-ポリアミドについて観察された値は、理論に縛られるべきでないが、もしかすると橋架けテルペンの3-カレンの、ラクタム、すなわち本発明によるモノマーから製造されたポリアミドにより、ポリマー鎖中に残っている環に基づき鎖が絡み合い、それに加えてより高い温度で初めて軟化(ガラス転移点)が生ずることになるということによって説明することができるかもしれない。これにより、ポリマーを使用することができる温度範囲の拡大が可能となる。
【0042】
3-カレンの分子構造に基づき、ラクタムへの転化に際して2つの異なるジアステレオマーが生ずる可能性がある。本発明によれば、個別の実施形態では、両方の異性体を、経済的に興味深い方法において立体中心の高い選択性で合成することが可能である。
【0043】
好ましくは選択的にR-カランラクタムから製造可能な本発明による3R-ポリカランアミド(3R-ポリアミドとも呼ばれる)は非晶質であり、好ましくは完全非晶質であり、約100〜130℃、とりわけ105〜125℃、とりわけ110〜120℃のガラス転移点Tgを有する。それにより、この材料は、商業的に興味深いバイオベースポリアミドについてこれまで公知ではなかった挙動を示す。
【0044】
好ましくは同様に選択的に3S-カランラクタムから製造可能な本発明による3S-ポリカランアミド(裏返しの新たな立体中心を有する)は部分晶質であり、230〜290℃、とりわけ240〜285℃、とりわけ260℃〜290℃の範囲内の融点Tmを有し、ガラス転移点は、同様に100〜130℃、とりわけ105〜125℃、とりわけ110〜120℃の範囲内である。非晶質領域の他に分子中に存在する晶質構造は、更に高められた温度での使用を可能にする。
【0045】
本発明による3S-カランラクタムは、好ましい実施形態では、3S-カランラクタムを他のラクタム、好ましくはカプロラクタム(CL)又はラウロラクタム(LL)と共重合させることができることを更に特徴とする。この場合に、3S-カランラクタムは、好ましくは重合の開始時のモノマーの量比によって定められる最大値の少なくとも1%で、とりわけ少なくとも10%で、とりわけ少なくとも50%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%及び100%まででコ-ポリカランアミド中に組み込まれる。したがって、本発明はまた、3S-カランラクタム及び少なくとも1種の別のラクタム、好ましくは3R-カランラクタム、カプロラクタム及び/又はラウロラクタムから製造された又は製造可能な3S-コ-ポリカランアミドに関する。
【0046】
本発明による3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、3S-カランラクタムの組み込みが増加するにつれて非晶質相が顕著になることを特徴とする。これにより、結晶性の調整が可能となる。3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、3S-カランラクタムの組み込みが増加するにつれて、より高いT
gを達成することができることを更に特徴とする。これにより、PA12(ポリアミド12)と比較してより高い温度の使用が可能となる。
【0047】
本発明による3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましくは、3S-カランラクタムの組み込みが増加するにつれて非晶質相が顕著になることを特徴とする。これにより、結晶性の調整が可能となる。3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、3S-カランラクタムの組み込みが増加するにつれて、より高いT
gを達成することができることを更に特徴とする。これにより、PA6と比較してより高い温度の使用が可能となる。
【0048】
本発明による3R-カランラクタムは、好ましい実施形態では、3R-カランラクタムを他のラクタム、好ましくはカプロラクタム又はラウロラクタムと共重合させることができることを更に特徴とする。この場合に、3R-カランラクタムは、好ましくは重合の開始時のモノマーの量比によって定められる最大値の少なくとも1.0%で、とりわけ少なくとも10%で、とりわけ少なくとも50%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%及び100%まででコ-ポリカランアミド中に組み込まれる。したがって、本発明はまた、3R-カランラクタム及び少なくとも1種の別のラクタム、好ましくは3S-カランラクタム、カプロラクタム及び/又はラウロラクタムから製造された又は製造可能な3R-コ-ポリカランアミドに関する。
【0049】
本発明による3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、3R-カランラクタムの組み込みが増加するにつれて非晶質相が顕著になることを特徴とする。これにより、結晶性の調整が可能となる。3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、3R-カランラクタムの組み込みが増加するにつれて、より高いT
gを達成することができることを更に特徴とする。これにより、PA12と比較してより高い温度の使用が可能となる。
【0050】
本発明による3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、3R-カランラクタムの組み込みが増加するにつれて非晶質相が顕著になることを特徴とする。これにより、結晶性の調整が可能となる。3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、3R-カランラクタムの組み込みが増加するにつれて、より高いT
gを達成することができることを更に特徴とする。これにより、PA6と比較してより高い温度の使用が可能となる。
【0051】
以下の表1a)及び1b)は、本発明による3R-及び3S-ポリカランアミド並びにそれらのコポリマー及びラウロラクタム及びカプロラクタムとのコポリマーの好ましい特性を開示している。
【0052】
【表1】
【0053】
本発明によるポリアミドの更なる特性決定は、3S-ポリカランアミド(
図78)、3R-ポリカランアミド(
図79)及び3R/3S-コ-ポリカランアミド(
図80)についてのそれぞれのGPC曲線から確認することができる。
【0054】
【表2】
【0055】
本発明によるポリアミドの更なる特性決定は、3S-ポリカランアミド(
図51〜
図60)、3R-ポリカランアミド(
図62〜
図71)及び3S/3R-コ-ポリカランアミド(
図72)、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(
図73〜
図75)並びに3S-カランラクタム-カランラクタム-コ-ポリカランアミド(
図76〜
図77)についてのそれぞれのGPC曲線から確認することができる。
【0056】
本発明による3S-ポリカランアミド(3S-ポリアミドとも呼ばれる)は、好ましい実施形態では、3S-ポリカランアミドが100℃〜130℃、とりわけ105℃〜125℃、とりわけ110℃〜120℃のガラス転移点又はガラス転移範囲(Tg)、230〜300℃、とりわけ230〜290℃、とりわけ250℃〜300℃、とりわけ255℃〜295℃、とりわけ260℃〜290℃の溶融温度又は溶融範囲(Tm)を有し、好ましい実施形態では、5.5×10
4g/mol〜7.5×10
4g/mol、とりわけ6.5×10
4g/molの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、0.4×10
4g/mol〜2.4×10
4g/mol、とりわけ1.4×10
4g/molの質量平均モル質量(Mw)を有する(Mn及びMwは、方法(4.1)に従って測定される)ことを特徴とする。
【0057】
本発明による3S-ポリカランアミド(3S-ポリアミドとも呼ばれる)は、好ましくは、3S-ポリカランアミドが100℃〜130℃、とりわけ105℃〜125℃、とりわけ110℃〜120℃のガラス転移点又はガラス転移範囲(Tg)、230〜300℃、とりわけ230〜290℃、とりわけ250℃〜300℃、とりわけ255℃〜295℃、とりわけ260℃〜290℃の溶融温度又は溶融範囲(Tm)を有し、好ましい実施形態では、1.0kDa〜100kDa、とりわけ5〜50kDa、とりわけ5〜25kDa、とりわけ10kDa〜70kDaの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、1.0kDa〜200kDa、とりわけ5〜50kDa、とりわけ5〜25kDa、とりわけ15kDa〜110kDaの質量平均モル質量(Mw)を有する(Mn及びMwは、方法(4.2)に従って測定される)ことを特徴とする。
【0058】
好ましくは、本発明による3S-ポリカランアミドは、本発明の方法の1つに従って製造可能である。好ましい実施形態では、本発明による3S-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、重合後にアニオン開環重合によって、とりわけ実施例7.1.1〜7.1.11に従って、1.0〜10、とりわけ1.0〜5、とりわけ1.0〜2.5、とりわけ1.0〜1.3の多分散性(PD)を更に有する。
【0059】
本発明による3R-ポリカランアミドは、好ましくは、3R-ポリカランアミドが100℃〜130℃、とりわけ105℃〜125℃、とりわけ110℃〜120℃のガラス転移点(Tg)を有し、好ましい実施形態では、2.0×10
5g/mol〜4.0×10
5g/mol、とりわけ3.0×10
5g/molの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、0.1×10
5g/mol〜2.1×10
5g/mol、とりわけ1.1×10
5g/molの質量平均モル質量(Mw)を有する(Mn及びMwは、方法(4.1)に従って測定される)ことを特徴とする。
【0060】
本発明による3R-ポリカランアミドは、好ましくは、3R-ポリカランアミドが100℃〜130℃、とりわけ105℃〜125℃、とりわけ110℃〜120℃のガラス転移点(Tg)を有し、好ましい実施形態では、1.0kDa〜100kDa、とりわけ10kDa〜70kDaの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、1.0kDa〜200kDa、とりわけ15kDa〜110kDaの質量平均モル質量(Mw)を有する(Mn及びMwは、方法(4.2)に従って測定される)ことを特徴とする。
【0061】
好ましくは、本発明による3R-ポリカランアミドは、本発明の方法の1つに従って製造可能である。好ましい実施形態では、本発明による3R-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、重合後にアニオン開環重合によって、とりわけ実施例7.2.1〜7.2.10に従って、1.0〜10、とりわけ1.0〜5、とりわけ1.0〜2.5、とりわけ1.0〜1.3の多分散性(PD)を更に有する。
【0062】
本発明による3S/3R-コ-ポリアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コ-ポリカランアミドとも呼ばれる)は、好ましくは、3S/3R-ポリアミドが100℃〜130℃、とりわけ105℃〜125℃、とりわけ110℃〜120℃のガラス転移点(Tg)、250℃〜300℃、とりわけ255℃〜295℃、とりわけ260℃〜290℃の溶融範囲を有し、好ましい実施形態では、2.2×10
4g/mol〜4.2×10
4g/mol、とりわけ3.2×10
4g/molの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、0.1×10
5g/mol〜2.1×10
5g/mol、とりわけ1.1×10
5g/molの質量平均モル質量を有する(Mn及びMwは、方法(4.1)に従って測定される)ことを特徴とする。
【0063】
本発明による3S/3R-コ-ポリアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コ-ポリカランアミドとも呼ばれる)は、好ましくは、3S/3R-ポリアミドが100℃〜130℃、とりわけ105℃〜125℃、とりわけ110℃〜120℃のガラス転移点(Tg)、250℃〜300℃、とりわけ255℃〜295℃、とりわけ260℃〜290℃の溶融範囲を有し、好ましい実施形態では、1.0kDa〜100kDa、とりわけ10kDa〜70kDaの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、1.0kDa〜200kDa、とりわけ15kDa〜110kDaの質量平均モル質量(Mw)を有する(Mn及びMwは、方法(4.2)に従って測定される)ことを特徴とする。
【0064】
好ましくは、本発明による3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コ-ポリカランアミドは、本発明の方法の1つに従って製造可能である。好ましい実施形態では、本発明による3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、重合後にアニオン開環重合によって、とりわけ実施例7.3.2に従って、1.0〜10、とりわけ1.0〜5、とりわけ1.0〜2.5、とりわけ1.0〜1.3の多分散性(PD)を更に有する。
【0065】
本発明による3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましくは、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドにおける3S-カランラクタム:ラウロラクタムの比=1:1.4の場合にガラス転移点(T
g)が45℃〜65℃、とりわけ50℃〜60℃であり、DSC法(3.2)に従って融点を有さず、好ましい実施形態では、1.0kDa〜100kDa、とりわけ10kDa〜70kDaの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、1.0kDa〜200kDa、とりわけ15kDa〜110kDaの質量平均モル質量を有し(Mn及びMwは、方法(4.2)に従って測定される)、好ましくは本発明の方法の1つに従って製造可能であることを特徴とする。
【0066】
本発明による3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましくは、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドにおける3S-カランラクタム:ラウロラクタムの比=1:2の場合にガラス転移点(T
g)が35℃〜55℃、とりわけ40℃〜50℃であり、DSC法(3.2)に従って融点を有さず、好ましい実施形態では、1.0kDa〜100kDa、とりわけ10kDa〜70kDaの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、1.0kDa〜200kDa、とりわけ15kDa〜110kDaの質量平均モル質量を有し(Mn及びMwは、方法(4.2)に従って測定される)、好ましくは本発明の方法の1つに従って製造可能であることを特徴とする。
【0067】
好ましい実施形態では、本発明による3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、重合後にアニオン開環重合によって、とりわけ実施例8.1.1〜8.1.3に従って、1.0〜10、とりわけ1.0〜5、とりわけ1.0〜2.5、とりわけ1.0〜1.3の多分散性(PD)を更に有する。
【0068】
本発明による3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましくは、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドにおける3S-カランラクタム:カプロラクタムの比=1:4.6の場合にガラス転移点(T
g)が50℃〜100℃、とりわけ50℃〜75℃、とりわけ50℃〜70℃、とりわけ58℃〜68℃であり、DSC法(3.2)に従って140℃〜220℃、とりわけ155℃〜200℃の溶融範囲を有し、好ましい実施形態では、1.0kDa〜100kDa、とりわけ10kDa〜70kDaの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、1.0kDa〜200kDa、とりわけ15kDa〜110kDaの質量平均モル質量を有し(Mn及びMwは、方法(4.2)に従って測定される)、好ましくは本発明の方法の1つに従って製造可能であることを特徴とする。
【0069】
本発明による3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましくは、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドにおける3S-カランラクタム:カプロラクタムの比=1:1.2の場合にガラス転移点(T
g)が70℃〜100℃、とりわけ80℃〜93℃であり、DSC法(3.2)に従って融点を有さず、好ましい実施形態では、1.0kDa〜100kDa、とりわけ10kDa〜70kDaの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、1.0kDa〜200kDa、とりわけ15kDa〜110kDaの質量平均モル質量を有し(Mn及びMwは、方法(4.2)に従って測定される)、好ましくは本発明の方法の1つに従って製造可能であることを特徴とする。
【0070】
好ましい実施形態では、本発明による3S-カランラクタム-カプロ-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、重合後にアニオン開環重合によって、とりわけ実施例8.1.1〜8.1.3に従って、1.0〜10、とりわけ1.0〜5、とりわけ1.0〜2.5、とりわけ1.0〜1.3の多分散性(PD)を更に有する。
【0071】
反応条件の適切な選択によって、同一の出発化合物、とりわけ好ましくは天然物の3-カレンから出発して、高選択率で、その立体化学に基づき十分に非晶質のポリアミドに転化され得る本発明によるラクタムの第1の異性体及びそのポリアミドが部分晶質となる本発明によるラクタムの第2の異性体を合成することが可能であり、両方のポリアミドは、100℃〜130℃の範囲の、とりわけ110℃のガラス転移点を有し、3S-カランラクタムは部分晶質のポリアミドへと、3R-カランラクタムは非晶質のポリアミドへと転化され得る。本発明による方法様式により、ポリアミドの結晶性を狙い通りに調整し、異性体富化された3-カランラクタム及びそれをベースとする高い光学純度を有するポリアミドを提供することが可能となる。
【0072】
本発明によるポリアミドによって、それらの化学的安定性に基づき有益なポリマークラスのポリアミドの適用範囲を更に拡げることができる。PA66と同様に、機械的及び熱的応力にさらされる構成部材、例えばボビン、ボーリング機械のハウジング、自動車用オイルパン等が実現可能であるだけでなく、より高い温度安定性に基づき100℃を超える適用も長期にわたり可能である。完全非晶質のポリアミドは、透明なプラスチックの分野においても使用することが可能である。述べられた使用分野の組合せも同様に可能であり、それにより、これまでに公知のバイオベースポリアミドの使用分野は、この点に関して、本発明によるポリアミドによって明らかに拡張され得る。
【0073】
したがって、本発明は、とりわけ3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド、3S/3R-コ-ポリカランアミド又は少なくとも1種の本発明によるカランラクタム及び少なくとも1種の更なる別のラクタムから構成されるコ-ポリカランアミドとして実施されているポリアミドを提供する。
【0074】
したがって、本発明と関連して、本発明によるモノマーを含む本発明によるポリアミドは、コ-ポリカランアミド(略称:コ-ポリアミド)としても存在し得る。
【0075】
したがって、本発明はまた、本発明によるポリアミドから製造可能な又は製造されたプラスチック部品、とりわけ本発明によるポリアミドからなるか又はこれらを含有する、とりわけ本質的な割合のポリアミドを含有する、例えば(プラスチック部品の総重量に対して)それぞれ5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%を上回るポリアミドを含有するプラスチック部品に関する。
【0076】
好ましくは、本発明によれば、方法工程a)で使用される3-カランエポキシドは、3S-カランエポキシドであり、方法工程c)で得られる異性体富化された混合物は、(カラノン、つまり3R-及び3S-カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-カラノンの異性体比を有する3S-カラノンが富化された混合物であることが意図されている。
【0077】
方法工程a)で使用される3-カランエポキシドは、3R-カランエポキシドであり、方法工程c)で得られる異性体富化された混合物は、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3R-カラノンの異性体比を有する3R-カラノンが富化された混合物であることが更に好ましい。
【0078】
好ましい一実施形態では、酸性触媒は、ルイス酸若しくはブレンステッド酸又はルイス酸及びブレンステッド酸の混合物であることが意図されている。
【0079】
更なる好ましい一実施形態では、酸性触媒は、強ブレンステッド酸又は0.7までのpKaを有するブレンステッド酸であることが意図されている。
【0080】
好ましくは、酸性触媒は、0.7までのpKaを有するブレンステッド酸、例えばスルホン酸、とりわけパラトルエンスルホン酸(PTSA)、メタンスルホン酸又はトリフルオロメタンスルホン酸であることが更に意図されている。
【0081】
好ましくは、酸性触媒はスルホン酸である。
【0082】
好ましくは、酸性触媒は、強酸、とりわけスルホン酸のアニオン又は塩素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(
-OTf)若しくは過塩素酸イオン(ClO
4-)のようなアニオンを有するルイス酸であることが更に意図されている。
【0083】
好ましくは、酸性触媒は、鉄ルイス酸、ニッケルルイス酸、銅ルイス酸、コバルトルイス酸又は亜鉛ルイス酸、好ましくは鉄ルイス酸であることが更に意図されている。
【0084】
好ましくは、酸性触媒は、酸、とりわけ強酸のアニオンを有するルイス酸又はブレンステッド酸、とりわけ強ブレンステッド酸若しくは0.7までのpKaを有するブレンステッド酸、とりわけ強ブレンステッド酸であることが更に意図されている。
【0085】
好ましくは、ルイス酸のアニオンとして、酸、とりわけ強酸、例えばスルホン酸のアニオンが使用されるか又は塩素酸イオン若しくは過塩素酸イオンのようなアニオンを使用することが更に意図されている。
【0086】
好ましくは、ルイス酸のための、とりわけ鉄、ニッケル、コバルト、銅又は亜鉛ルイス酸のためのアニオンとして、塩素酸イオン及び/又は過塩素酸イオン及び/又はスルホン酸イオンを使用することが更に意図されている。
【0087】
好ましくは、ルイス酸として、Fe(ClO
4)
2・H
2O、Ni(ClO
4)
2、Co(ClO
4)
2、Cu(ClO
4)
2又はそれらの対応する水和物を使用することができる。
【0088】
好ましい一実施形態では、酸性触媒は、酸、とりわけ強酸のアニオン、好ましくはトリフルオロメタンスルホン酸イオン若しくは過塩素酸イオンを有するルイス酸、とりわけ鉄、銅、コバルト、ニッケル若しくは亜鉛ルイス酸、好ましくは鉄ルイス酸又は0.7までのpKaを有する強ブレンステッド酸、例えばスルホン酸、とりわけパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、或いは上述のルイス酸及びブレンステッド酸の混合物である。
【0089】
好ましくは、酸性触媒は、上述のルイス酸及びブレンステッド酸の混合物であることが更に意図されている。
【0090】
好ましくは、酸性触媒としてゼオライト、とりわけZSM-5を使用することが更に意図されている。それに加えてこれは、ゼオライトが既に分離可能な固体として反応混合物に加えられ得るため、濾過によって分離することができるという利点を有する。
【0091】
好ましくは、気相転位における酸性触媒として酸性不均一系触媒を使用することが更に意図されている。
【0092】
更なる好ましい一実施形態では、好ましい一実施形態で意図されている第1の有機溶剤は、非極性溶剤又は0.310まで、とりわけ0.200まで、好ましくは0.100までの相対極性を有する溶剤であることが意図されている。
【0093】
更なる好ましい一実施形態では、第1の有機溶剤は、溶剤、とりわけ非極性溶剤、例えば脂肪族又は芳香族炭化水素、好ましくはキシレン、トルエン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン又はヘプタンであることが意図されている。
【0094】
更なる好ましい一実施形態では、第1の有機溶剤は、2-メチル-テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルム又はジクロロメタンであることが意図されている。
【0095】
更なる好ましい一実施形態では、第1の有機溶剤は、0.310まで、とりわけ0.200まで、好ましくは0.100までの相対極性を有する溶剤であることが意図されている。
【0096】
本発明と関連して、「相対極性」という用語は、文献"Solvents and Solvent Effects in Organic Chemistry", Christian Reichards, Wiley-VCH Publishers, 3rd ed., 2003に記載されているような極性と解釈される。シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン及びトルエンについての相対極性は、実施例1.1からの表から確認することができる。更なる溶剤の更なる相対極性については、上述のReichardsの文献が参照される。
【0097】
好ましくは、3-カランエポキシドを、方法工程a)及びb)に従った反応混合物において、少なくとも0.1M、好ましくは0.25M〜5M、とりわけ0.3M〜3M、特に好ましくは0.5M〜2M、とりわけ0.75M〜1.5M、とりわけ1Mの濃度において使用することが更に意図されている。これは、低い濃度で総選択率にも異性体選択率にも良い影響を及ぼすことができるという利点を有する。
【0098】
好ましい実施形態では、この方法は、少なくとも80%の3S-カランエポキシドの転化率の場合に、3R-カラノン及び3S-カラノンの混合物の総量に対して少なくとも50%、とりわけ少なくとも70%の選択率を有し、3R-カラノン及び3S-カラノンからのこの混合物は、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%の3S-カラノンを有することが意図されている。
【0099】
好ましくは、酸性触媒を、方法工程a)及びb)に従った反応混合物において、使用される3-カランエポキシドに対して0.01mol%〜2.0mol%の濃度において使用することが更に意図されている。
【0100】
好ましくは、酸性触媒を、方法工程a)及びb)に従った反応混合物において、使用される3-カランエポキシドに対して0.01mol%〜2.0mol%、とりわけ0.05mol%〜1.0mol%、とりわけ0.1mol%〜0.5mol%、とりわけ0.15mol%〜0.25mol%、特に好ましくは0.2mol%の濃度において使用することが更に意図されている。
【0101】
方法工程b)のための反応時間は、好ましくは、2分〜25時間、とりわけ5時間〜24時間、とりわけ5時間〜20時間、とりわけ30分〜1時間、とりわけ10分〜40分である。
【0102】
本発明は、好ましい実施形態では、3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を3S-カランエポキシドから製造するための方法であって、以下の方法工程:
a)3S-カランエポキシド、少なくとも1種の酸性触媒及び第1の有機溶剤を含有する反応混合物を準備する方法工程であって、酸性触媒がスルホン酸であるか、又はFe(ClO
4)
2・H
2O、Ni(ClO
4)
2、Co(ClO
4)
2、Ni(ClO
4)
2若しくはCu(ClO
4)
2からなる群から選択されるルイス酸であるか、或いは上述の酸の混合物であり、及び第1の有機溶剤がトルエン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2-メチル-テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル及びジクロロメタンからなる群から選択される、方法工程、
b)反応混合物における3S-カランエポキシドを、-40℃〜140℃の温度で転位下に転化させる方法工程、並びに
c)(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カラノンの異性体比を有する異性体富化された混合物を得る方法工程、
を含む、方法に関する。
【0103】
本発明はまた、3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を3S-カランエポキシドから製造するための上述の方法であって、酸性触媒がパラトルエンスルホン酸(PTSA)、メタンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸からなる群から選択されるスルホン酸である、方法に関する。
【0104】
特に好ましい一実施形態では、方法工程a)で使用される3-カランエポキシドは、方法工程a1)において3-カレンのエポキシ化によって得られる。
【0105】
更なる好ましい一実施形態では、方法工程a)で使用される出発化合物は、3S-カランエポキシドであり、方法工程a1a)において3-カレンのエポキシ化によって、a)過酸化物酸、例えば希釈過酢酸又はb)過酸化物、例えばH
2O
2及び酵素の存在下で得られることが意図されている。
【0106】
好ましい実施形態では、酵素は、例えば、とりわけカンジダ属の種、とりわけカンジダ・アンタルクティカ(Candida antarctica)由来のリパーゼ、例えばリパーゼBであり得る。
【0107】
更なる好ましい一実施形態では、方法工程a)で使用される出発化合物は、3R-カランエポキシドであり、方法工程a1b)において3-カレンのエポキシ化によってN-ブロモスクシンイミド(NBS)の存在下で、任意に追加的に塩基の存在下で得られることが意図されている。
【0108】
特に好ましい一実施形態では、方法工程c)で得られる異性体富化された混合物は、精製され、とりわけ単離形態で得られ、とりわけ酸性触媒及び/若しくは第1の溶剤は、除去され、並びに/又は混合物は、場合によっては更なる処理、例えば乾燥に供されることが意図されている。
【0109】
本発明により3S-カランエポキシドから少なくとも80%の3S-カラノンが富化された混合物が得られた場合は、この混合物を、所望であれば、3R-カラノンが富化された混合物へと転化させることができ、こうして、本発明による更なる方法工程において3R-カランラクタム、好ましくは3R-ポリカランアミドを製造することができる。好ましい一実施形態では、好ましくは方法工程c)において3S-カランエポキシドから得られた3S-カラノンが富化された混合物を少なくとも1種の第2の溶剤中で塩基又はブレンステッド酸の存在下で方法工程d)において異性化して、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも50%、とりわけ少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%又はとりわけ少なくとも95%の3R-カラノンの異性体割合を有する3R-カラノンが富化された混合物を得ることが意図されている。
【0110】
好ましくは、塩基は、水酸化カリウム若しくは水酸化ナトリウムであるか、又は別の強塩基であることが意図されている。
【0111】
好ましくは、塩基は、アルコラートであり、とりわけメタノラートであることが更に意図されている。
【0112】
好ましくは、ブレンステッド酸は、0.7までのpKaを有するブレンステッド酸であることが意図されている。
【0113】
好ましくは、ブレンステッド酸は、強ブレンステッド酸であることが更に意図されている。好ましくは、ブレンステッド酸は、水性塩化水素酸(水性HCl又は塩酸とも呼ばれる)又は硫酸である。
【0114】
好ましくは、ブレンステッド酸はスルホン酸である。
【0115】
好ましくは、第2の溶剤は、少なくとも0.200の相対極性を有する非プロトン性極性溶剤又は少なくとも0.200の相対極性を有するプロトン性極性溶剤であることが更に意図されている。
【0116】
好ましくは、少なくとも0.200の相対極性を有する非プロトン性極性溶剤は、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン又はアセトニトリルのような溶剤であり、とりわけアセトン又はアセトニトリルであることが更に意図されている。
【0117】
好ましくは、少なくとも0.200の相対極性を有するプロトン性極性溶剤は、水、アルコール、アミン、カルボン酸又はアミドのような溶剤であることが更に意図されている。
【0118】
好ましくは、少なくとも0.200の相対極性を有するプロトン性極性溶剤は、メタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールのようなアルコールであることが更に意図されている。
【0119】
方法工程d)のための反応時間は、好ましくは、2〜80時間、とりわけ5〜68時間、好ましくは4〜12時間、とりわけ4〜10時間である。
【0120】
好ましい一実施形態では、好ましくは方法工程c)において3S-カランエポキシドから得られた3S-カラノンが富化された混合物を、少なくとも1種の第2の溶剤中で塩基、とりわけ強塩基又は0.7までのpKaを有するブレンステッド酸、とりわけ強ブレンステッド酸の存在下で方法工程d)において異性化して、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも50%、とりわけ少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%又はとりわけ少なくとも95%の3R-カラノンの異性体割合を有する3R-カラノンが富化された混合物を得、第2の溶剤は、少なくとも0.200の相対極性を有する非プロトン性極性溶剤又は少なくとも0.200の相対極性を有するプロトン性極性溶剤であることが意図されている。
【0121】
特に好ましい一実施形態では、好ましくは方法工程c)において3S-カランエポキシドから得られた3S-カラノンが富化された混合物を、少なくとも1種の第2の溶剤中で塩基、とりわけ強塩基又は0.7までのpKaを有するブレンステッド酸、とりわけ強ブレンステッド酸、好ましくはスルホン酸溶液若しくは塩酸溶液、好ましくは6%塩酸溶液の存在下で方法工程d)において異性化して、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも50%、とりわけ少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%又はとりわけ少なくとも95%の3R-カラノンの異性体割合を有する3R-カラノンが富化された混合物を得、第2の溶剤は、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン及びアセトニトリルからなる群から選択される少なくとも0.200の相対極性を有する非プロトン性極性溶剤又は水、アルコール、とりわけメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミン、カルボン酸及びアミドからなる群から選択される少なくとも0.200の相対極性を有するプロトン性極性溶剤であることが意図されている。
【0122】
これらの実施形態は、顕著な割合の副生成物を含まず、すなわち高い総選択率で3R-カラノンを得ることができるという利点を有する。方法工程a)での酸性触媒としてスルホン酸が使用される場合に、方法工程d)における3R-カラノンへの転位のために、溶剤の分離後にこのスルホン酸が触媒として使用され得ることが更に有利である。
【0123】
本発明によれば、3R-カラノン及び3S-カラノンからの異性体富化された混合物の製造方法において、方法工程a)において酸、とりわけスルホン酸又はルイス酸を酸性触媒として使用することが特に好ましい。この実施形態は、溶剤の蒸留による分離後に3R-カラノンへの転位の触媒反応のために更なる酸を添加する必要がないという利点を有する。
【0124】
更なる好ましい一実施形態では、方法工程d)において得られる異性化過程に供された異性体富化された混合物は、精製され、とりわけ単離形態で得られ、とりわけ第2の溶剤及び/又は酸若しくは塩基は、除去され、並びに/或いは混合物は、場合によっては更なる方法工程、例えば乾燥に供されることが意図されている。
【0125】
更なる一実施形態では、方法工程c)又はd)において得られる3S-及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を、更なる方法工程e)において少なくとも1種の第3の有機溶剤、塩基及びヒドロキシルアミン、好ましくはヒドロキシルアミン塩酸塩(HONH
2・HCl)の存在下で転化させて、(カランオキシム、つまり3R-及び3S-カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランオキシムの異性体比を有する3-カランオキシムが富化された混合物を得ることが意図されている。
【0126】
方法工程c)又はd)から出発して3R-カラノンが富化された混合物が方法工程e)において使用される場合は、3R-カランオキシムが富化された混合物が得られる。方法工程c)に従って得られる3S-カラノンが富化された混合物が方法工程e)において使用される場合は、3S-カランオキシムが富化された混合物が得られる。
【0127】
好ましくは、第3の有機溶剤は、エーテル、ニトリル、アルコールのような有機溶剤又は水及び上述の第3の有機溶剤の1つを含む水性-有機溶剤であることが意図されている。
【0128】
好ましくは、エーテルは、テトラヒドロフラン又は2-メチル-テトラヒドロフランであることが更に意図されている。
【0129】
好ましくは、ニトリルは、アセトニトリルであることが更に意図されている。
【0130】
好ましくは、アルコールは、メタノール、エタノール又はイソプロパノールであることが更に意図されている。
【0131】
好ましい実施形態では、塩基は酢酸ナトリウム(NaOAc)である。
【0132】
好ましい一実施形態では、方法工程c)又はd)において得られる3S-及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を、更なる方法工程e)において、エーテル、とりわけテトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、ニトリル、とりわけアセトニトリル、アルコール、とりわけメタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選択される少なくとも1種の第3の有機溶剤又は水及び上述の第3の有機溶剤の1つを含む水性-有機溶剤、塩基及びヒドロキシルアミン、好ましくはヒドロキシルアミン塩酸塩(HONH
2・HCl)の存在下で転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランオキシムの異性体比を有する3-カランオキシムが富化された混合物を得ることが意図されている。
【0133】
この方法から得られる3-カランオキシムが富化された混合物は、所望の異性体が高い割合で混合物中に存在するので、出発物質から出発して、出発物質の大部分の割合が所望の生成物へと、すなわち所望のモノマーのための所望の中間生成物へと高い収率で変換され得るという利点をもたらす。
【0134】
特に好ましい一実施形態では、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物は、精製され、とりわけ単離形態で得られ、とりわけ第3の溶剤及び/若しくは塩基及び/若しくはヒドロキシルアミンは、除去され、並びに/又は混合物は、場合によっては更なる方法工程、例えば乾燥に供されることが意図されている。
【0135】
更なる一実施形態では、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、好ましくは前接続された精製をせずに、更なる方法工程f)において転位下に転化させて、(カランラクタム、つまり3R-及び3S-カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得ることが意図されている。
【0136】
方法工程e)から出発して3S-カランオキシムが富化された混合物が方法工程f)において使用される場合は、3S-カランラクタムが富化された混合物、とりわけ3S-カランラクタムが得られる。方法工程e)に従って得られる3R-カランオキシムが富化された混合物が方法工程f)において使用される場合は、3R-カランラクタムが富化された混合物、とりわけ3R-カランラクタムが得られる。
【0137】
好ましい一実施形態では、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f1)において予め決められた温度に温度調節し、塩基及びパラトルエンスルホン酸塩化物を添加して転位下に転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得ることが意図されている。
【0138】
好ましくは、方法工程f1)において予め決められた温度は、0℃〜50℃、好ましくは10〜40℃、好ましくは5℃〜20℃、とりわけ10℃〜18℃であることが更に意図されている。
【0139】
好ましくは、塩基は、水性塩基であることが更に意図されている。
【0140】
塩基は、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムの溶液であることが更に好ましい。
【0141】
好ましくは、転位は、Beckmann転位であることが更に意図されている。
【0142】
好ましい一実施形態では、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f1)において-10℃〜50℃、とりわけ5℃〜20℃、とりわけ10℃〜18℃の温度に温度調節し、塩基、とりわけ水性塩基、好ましくは水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムの溶液及びパラトルエンスルホン酸塩化物を添加してBeckmann転位下に転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得ることが意図されている。
【0143】
これは、3-カラノンの3-カランオキシムを介した3-カランラクタムへの転化を、中間接続された精製工程なしに又は溶剤としてのアルコールの場合を除いて溶剤交換せずに方法工程e)及びf)のワンポット法において、例えば溶剤としてのアセトニトリル、ヒドロキシルアミン塩酸塩、NaOH及び塩化トシルを利用して行うことができるので、この方法は、特に迅速で、効率的で経済的であるという利点を有する。この場合に、方法工程が連続して溶剤交換して行われる方法の場合に匹敵する収率が得られる。
【0144】
好ましくは、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f2)において予め決められた温度に温度調節し、ルイス酸、とりわけ強ルイス酸を添加して転位下に転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得ることが更に意図されている。
【0145】
好ましくは、方法工程f2)において予め決められた温度は、15℃〜100℃、好ましくは77℃〜87℃、特に好ましくは82℃であることが更に意図されている。
【0146】
好ましくは、溶剤の沸点まで温度調節され、溶剤は、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物が溶解されているか又は存在する溶剤であることが更に意図されている。
【0147】
好ましくは、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物が溶解されているか又は存在する溶剤は、アセトニトリルであることが意図されている。
【0148】
好ましくは、ルイス酸は、強ルイス酸であることが更に意図されている。
【0149】
好ましくは、ルイス酸は、In(ClO
4)
3・n H
2O(過塩素酸インジウムn水和物)及び/又はZn(ClO
4)
2・n H
2O(過塩素酸亜鉛n水和物)であることが更に意図されている。
【0150】
好ましくは、ルイス酸は、In(CF
3SO
3)
3(トリフルオロメタンスルホン酸インジウム)及び/又はZn(CF
3SO
3)
2(トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛)であることが更に意図されている。
【0151】
好ましくは、転位は、Beckmann転位であることが更に意図されている。
【0152】
好ましくは、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f2)において77℃〜87℃、とりわけ82℃の温度に温度調節し、ルイス酸、とりわけ強ルイス酸、例えばIn(ClO
4)
3・n H
2O及び/又はZn(ClO
4)
2・n H
2Oを添加して転位下に転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得、好ましくは、方法工程e)から得られる3-カランオキシムが富化された混合物は、アセトニトリル中に溶解されているか又は存在することが意図されている。
【0153】
特に好ましい一実施形態では、方法工程f)において得られる3-カランラクタムが富化された混合物は、更に精製され、とりわけ単離形態で得られ、とりわけ塩基及び/若しくはパラトルエンスルホン酸塩化物は、除去され、並びに/又は混合物は、場合によっては更なる方法工程、例えば乾燥に供されることが意図されている。
【0154】
好ましい一実施形態では、方法工程f)において得られる3S-カランラクタムが富化された混合物から、好ましくは前接続された精製をせずに、方法工程g)において結晶化によって、例えば蒸留、とりわけ分別蒸留によって3S-カランラクタムを得ることが意図されている。
【0155】
好ましくは、方法工程f)において得られる3-カランラクタムが富化された混合物から、とりわけ方法工程g)に従った3S-カランラクタムの分離後に、方法工程h)において、好ましくは結晶化によって、例えば蒸留、とりわけ分別蒸留によって3R-カランラクタムを得ることが更に意図されている。
【0156】
本発明の好ましい一実施形態では、方法工程i)において、得られた3S-カランラクタム、3R-カランラクタム又は3R-及び3S-カランラクタムからの混合物を、好ましくはアニオン開環重合、カチオン開環重合、加水分解重合又は重縮合によって重合させて、3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド又は3S/3R-コポリカランアミドを得ることが意図されている。
【0157】
本発明によれば、本発明はまた、3-カランオキシムが富化された混合物の製造方法であって、本発明による方法工程a)、b)、c)を、好ましい実施形態では方法工程a1)、d)又はa1)及びd)を含めて含む、方法において、方法工程c)又はd)において得られる3S-及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を、更なる方法工程e)において少なくとも1種の第3の有機溶剤、塩基及びヒドロキシルアミン、好ましくはヒドロキシルアミン塩酸塩(HONH
2・HCl)の存在下で転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランオキシムの異性体比を有する3-カランオキシムが富化された混合物を得る、方法に関する。
【0158】
好ましくは、第3の有機溶剤は、エーテル、ニトリル、アルコールのような有機溶剤又は水及び上述の第3の有機溶剤の1つを含む水性-有機溶剤であることが更に意図されている。
【0159】
好ましくは、エーテルは、テトラヒドロフラン又は2-メチル-テトラヒドロフランであることが更に意図されている。
【0160】
好ましくは、ニトリルは、アセトニトリルであることが更に意図されている。
【0161】
好ましくは、アルコールは、メタノール、エタノール又はイソプロパノールであることが更に意図されている。
【0162】
好ましい実施形態では、塩基は酢酸ナトリウム(NaOAc)である。
【0163】
本発明によれば、本発明はまた、3-カランオキシムが富化された混合物の製造方法であって、本発明による方法工程a)、b)、c)を、好ましい実施形態では方法工程a1)、d)又はa1)及びd)を含めて含む、方法において、方法工程c)又はd)において得られる3S-及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を、更なる方法工程e)において、エーテル、とりわけテトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、ニトリル、とりわけアセトニトリル、アルコール、とりわけメタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選択される少なくとも1種の第3の有機溶剤又は水及び上述の第3の有機溶剤の1つを含む水性-有機溶剤、塩基並びにヒドロキシルアミン、好ましくはヒドロキシルアミン塩酸塩(HONH
2・HCl)の存在下で転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランオキシムの異性体比を有する3-カランオキシムが富化された混合物を得る、方法に関する。
【0164】
本発明によれば、本発明はまた、3-カランラクタムが富化された混合物の製造方法であって、本発明による方法工程a)、b)、c)、e)を、好ましい実施形態では方法工程a1)、d)又はa1)及びd)を含めて含む、方法において、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f)において転位下に転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得る、方法に関する。
【0165】
好ましくは、3-カランラクタムが富化された混合物の製造方法において、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f1)において予め決められた温度に温度調節し、塩基及びパラトルエンスルホン酸塩化物を添加して転位下に転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得ることが更に意図されている。
【0166】
好ましくは、方法工程f1)において予め決められた温度は、5℃〜20℃、とりわけ10℃〜18℃であることが更に意図されている。
【0167】
好ましくは、塩基は、水性塩基であることが更に意図されている。
【0168】
好ましくは、水性塩基は、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムの溶液であることが更に意図されている。
【0169】
好ましくは、転位は、Beckmann転位であることが更に意図されている。
【0170】
好ましくは、3-カランラクタムが富化された混合物の製造方法において、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f1)において5〜20℃、とりわけ10〜18℃の温度に温度調節し、塩基、とりわけ水性塩基、とりわけ水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムの溶液及びパラトルエンスルホン酸塩化物を添加して転位、とりわけBeckmann転位下に転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得ることが更に意図されている。
【0171】
好ましくは、3-カランラクタムが富化された混合物の製造方法において、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f2)において予め決められた温度に温度調節し、ルイス酸、とりわけ強ルイス酸を添加して転位下に転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得ることが更に意図されている。
【0172】
好ましくは、方法工程f2)において予め決められた温度は、15℃〜100℃、好ましくは77℃〜87℃、特に好ましくは82℃であることが更に意図されている。
【0173】
好ましくは、溶剤の沸点まで温度調節され、溶剤は、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物が溶解されているか又は存在する溶剤であることが更に意図されている。
【0174】
好ましくは、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物が溶解されているか又は存在する溶剤は、アセトニトリルであることが意図されている。
【0175】
好ましくは、ルイス酸は、強ルイス酸であることが更に意図されている。
【0176】
好ましくは、ルイス酸は、In(ClO
4)
3・n H
2O及び/又はZn(ClO
4)
2・n H
2Oであることが更に意図されている。
【0177】
好ましくは、ルイス酸は、In(CF
3SO
3)
3及び/又はZn(CF
3SO
3)
2であることが更に意図されている。
【0178】
好ましくは、転位は、Beckmann転位であることが更に意図されている。
【0179】
好ましくは、3-カランラクタムが富化された混合物の製造方法において、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f2)において77℃〜87℃、とりわけ82℃の温度に温度調節し、ルイス酸、とりわけ強ルイス酸、例えばIn(ClO
4)
3・n H
2O及び/又はZn(ClO
4)
2・n H
2Oを添加して転位下に転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得、好ましくは、方法工程e)から得られる3-カランオキシムが富化された混合物は、アセトニトリル中に溶解されているか又は存在することが更に意図されている。
【0180】
本発明によれば、本発明はまた、3S-カランラクタムを3S-カラノンから製造するための方法であって、方法工程e)及びf)を含む、方法において、方法工程e)において、好ましくは方法工程c)によって得られる、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-カラノンの異性体比を有する3S-及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を使用し、転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-カランオキシムの異性体比を有する3S-カランオキシムが富化された混合物を得、方法工程f)において方法工程e)からの溶剤を除去せずに、及びカランオキシムを単離せずに転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-カランラクタムの異性体比を有する3S-カランラクタムが富化された混合物を得、任意に方法工程g)において結晶化によって3S-カランラクタムが得られ、方法工程e)における第3の有機溶剤としてアルコールを使用しない、方法に関する。
【0181】
本発明によれば、本発明はまた、3R-カランラクタムを3R-カラノンから製造するための方法であって、方法工程e)及びf)を含む、方法において、方法工程e)において、好ましくは方法工程d)によって得られる、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも50%、とりわけ少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%又はとりわけ少なくとも95%の3R-カラノンの異性体比を有する3S-及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を使用し、転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも50%、とりわけ少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%又はとりわけ少なくとも95%の3R-カランオキシムの異性体比を有する3R-カランオキシムが富化された混合物を得、方法工程f)において方法工程e)からの溶剤を除去せずに、及びカランオキシムを単離せずに転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも50%、とりわけ少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%又はとりわけ少なくとも95%の3R-カランラクタムの異性体比を有する3R-カランラクタムが富化された混合物を得、任意に方法工程h)において結晶化による3S-カランラクタムの分離後に方法工程f)に従って3R-カランラクタムが得られ、方法工程e)における第3の有機溶剤としてアルコールを使用しない、方法に関する。
【0182】
本発明によれば、本発明はまた、3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド又は3S/3R-コ-ポリカランアミドの製造方法及びこの方法により製造されるポリアミドであって、とりわけ本発明により得られる3S-カランラクタム、3R-カランラクタム又は3S-及び3R-カランラクタムからの混合物を、方法工程i)において、好ましくはアニオン開環重合、カチオン開環重合、加水分解重合又は重縮合によって重合させて、3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド又は3S/3R-コポリカランアミドを得る、方法及びポリアミドに関する。
【0183】
本発明によれば、本発明はまた、3S-ポリカランアミドの製造方法及びこの方法により製造されるポリアミドであって、とりわけ本発明により得られる3S-カランラクタムを、方法工程i)において、好ましくはアニオン開環重合、カチオン開環重合、加水分解重合又は重縮合によって重合させて、3S-ポリカランアミドを得る、方法及びポリアミドに関する。
【0184】
したがって、本発明はまた、3S-ポリカランアミドに関する。
【0185】
本発明によれば、本発明はまた、3R-ポリカランアミドの製造方法及びこの方法により製造されるポリアミドであって、とりわけ本発明により得られる3R-カランラクタムを、方法工程i)において、好ましくはアニオン開環重合、カチオン開環重合、加水分解重合又は重縮合によって重合させて、3R-ポリカランアミドを得る、方法及びポリアミドに関する。
【0186】
したがって、本発明はまた、3R-ポリカランアミドに関する。
【0187】
本発明によれば、本発明はまた、3S/3R-コ-ポリカランアミドの製造方法及びこの方法により製造されるポリアミドであって、3S-及び3R-カランラクタムからの混合物、とりわけ本発明により得られる3S-及び3R-カランラクタムからの混合物を、方法工程i)において、好ましくはアニオン開環重合、カチオン開環重合、加水分解重合又は重縮合によって重合させて、3S/3R-コ-ポリカランアミドを得る、方法及びポリアミドに関する。
【0188】
したがって、本発明はまた、3S/3R-コ-ポリカランアミドに関する。
【0189】
本発明によれば、本発明はまた、コ-ポリアミドの製造方法及びこの方法により製造されるコ-ポリアミドであって、本発明により得られる3S-カランラクタム、3R-カランラクタム又は3S-及び3R-カランラクタムからの混合物を、ラウロラクタム又はカプロラクタムのようなモノマーと一緒に方法工程i2)において、好ましくはアニオン開環重合、カチオン開環重合、加水分解重合又は重縮合によって重合させて、コ-ポリアミド、とりわけ3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)、3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)、3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)、3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)、3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)又は3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)を得る、方法及びコ-ポリアミドに関する。
【0190】
本発明によれば、本発明はまた、完全に又は共重合体として又は種々のポリマー若しくはモノマーの混合物の一部として本発明による3-カランラクタム、とりわけ3S-ポリカランアミド及び/又は3R-ポリカランアミド、とりわけ3S-ポリカランアミド或いはそれらの開環されたアミノ酸、アミノ酸エステル又はアミノ酸誘導体を含むポリマー、とりわけポリアミドの製造方法に関する。
【0191】
本発明によれば、本発明はまた、3S-カランラクタムを3-カレンから製造するための方法であって、方法工程a)〜c)、e)、f)及びg)、とりわけa1)〜c)、e)、f)及びg)を含む、方法において、方法工程a)において、好ましくは3-カレンのエポキシ化によって得られる3S-カランエポキシドを使用し、方法工程c)において、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-カラノンの異性体比を有する3S-カラノンが富化された混合物を得、方法工程e)において転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-カランオキシムの異性体比を有する3S-カランオキシムが富化された混合物を得、方法工程f)において転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-カランラクタムの異性体比を有する3S-カランラクタムが富化された混合物を得、方法工程g)において結晶化によって3S-カランラクタムを得る、方法に関する。
【0192】
好ましい実施形態では、方法工程ia)において、引き続き3S-カランラクタムから、重合によって、好ましくはアニオン開環重合、カチオン開環重合、加水分解重合又は重縮合によって3S-ポリカランアミドを得ることができる。
【0193】
本発明によれば、本発明はまた、3R-カランラクタムを3-カレンから製造するための方法であって、方法工程a)〜c)、e)、f)及びg)、とりわけa1)〜c)、e)、f)及びg)を含む、方法において、方法工程a)において、好ましくは3-カレンのエポキシ化によって得られる3R-カランエポキシドを使用し、方法工程c)において、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3R-カラノンの異性体比を有する3R-カラノンが富化された混合物を得、方法工程e)において転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3R-カランオキシムの異性体比を有する3R-カランオキシムが富化された混合物を得、方法工程f)において転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3R-カランラクタムの異性体比を有する3R-カランラクタム混合物を得、方法工程h)において3S-カランラクタムの分離後に3R-カランラクタムを得る、方法に関する。
【0194】
好ましい実施形態では、方法工程ib)において、引き続き3R-カランラクタムから、重合によって、好ましくはアニオン開環重合、カチオン開環重合、加水分解重合又は重縮合によって3R-ポリカランアミドを得ることができる。
【0195】
本発明によれば、本発明はまた、3R-カランラクタムを3-カレンから製造するための方法であって、方法工程a)〜h)、好ましくはa1)〜h)を含む、方法において、方法工程a)において、好ましくは3-カレンのエポキシ化によって得られる3S-カランエポキシドを使用し、方法工程c)において、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-カラノンの異性体比を有する3S-カラノンが富化された混合物を得、これを方法工程d)において異性化させて、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも50%、とりわけ少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%又はとりわけ少なくとも95%の3R-カラノンの異性体割合を有する3R-カラノンが富化された混合物を得、方法工程e)において転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも50%、とりわけ少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%又はとりわけ少なくとも95%の3R-カランオキシムの異性体比を有する3R-カランオキシムが富化された混合物を得、方法工程f)において転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも50%、とりわけ少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%又はとりわけ少なくとも95%の3R-カランラクタムの異性体比を有する3R-カランラクタムが富化された混合物を得、方法工程h)において3S-カランラクタムの分離後に3R-カランラクタムを得る、方法に関する。
【0196】
好ましい実施では、方法工程ib)において、引き続き3R-カランラクタムから、重合によって、好ましくはアニオン開環重合、カチオン開環重合、加水分解重合又は重縮合によって3R-ポリカランアミドを得ることができる。
【0197】
本発明によれば、本発明はまた、式:
【0198】
【化4】
に従った、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な3S-カラノンに関する。
【0199】
本発明によれば、本発明はまた、式:
【0200】
【化5】
に従った、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な3S-カランオキシムに関する。
【0201】
本発明によれば、本発明はまた、式:
【0202】
【化6】
に従った、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な3S-カランラクタムに関する。
【0203】
本発明と関連して、数nは、自然数、とりわけ2以上の自然数、好ましくは2〜1000000の自然数、とりわけ10〜10000の自然数、特に好ましくは75〜2000、とりわけ100〜1000の自然数と解釈される。
【0204】
本発明と関連して、数a、b及びc、とりわけa及びbは、それぞれ自然数、とりわけ1以上の自然数、好ましくは1〜1000の自然数、とりわけ10〜50の自然数と解釈される。
【0205】
本発明と関連して、数aは、自然数、とりわけ1以上の自然数、好ましくは1〜1000の自然数、特に好ましくは10〜50の自然数と解釈される。
【0206】
本発明と関連して、数bは、自然数、とりわけ1以上の自然数、好ましくは1〜1000の自然数、特に好ましくは10〜50の自然数と解釈される。
【0207】
本発明と関連して、数cは、自然数、とりわけ1以上の自然数、好ましくは1〜1000の自然数、特に好ましくは10〜50の自然数と解釈される。
【0208】
本発明と関連して、自然数a及びbは、好ましくは1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1、特に好ましくは1:6〜6:1の比率を有する。
【0209】
本発明と関連して、自然数a及びcは、好ましくは1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1、特に好ましくは1:6〜6:1の比率を有する。
【0210】
本発明と関連して、自然数b及びcは、好ましくは1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1、特に好ましくは1:6〜6:1の比率を有する。
【0211】
好ましい実施形態では、自然数n、a、b及びc、とりわけa、b及びc、とりわけa及びbは、同じか又は互いに異なっていてよい。本発明の好ましい実施形態では、自然数n、a、b及びcは、互いに独立している。
【0212】
本発明によれば、本発明はまた、式(n個の繰返単位を有する):
【0213】
【化7】
に従った、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な3S-ポリカランアミドに関する。
【0214】
好ましい一実施形態では、本発明による3S-ポリカランアミドは、以下の繰返単位:
【0215】
【化8】
に従った3S-ポリカランアミド繰返単位のみからなることが意図されている。
【0216】
好ましくは、本発明による3S-ポリカランアミドは、(繰返単位の総数nに対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%、とりわけ少なくとも95%、とりわけ少なくとも98%、とりわけ少なくとも99%、とりわけ少なくとも99.5%、とりわけ少なくとも99.9%、とりわけ100%の以下の繰返単位:
【0217】
【化9】
に従った3S-ポリカランアミド繰返単位を含むことが更に意図されている。
【0218】
本発明によれば、本発明はまた、式(n個の繰返単位を有する):
【0219】
【化10】
に従った、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な3R-ポリカランアミドに関する。
【0220】
好ましい一実施形態では、本発明による3R-ポリカランアミドは、以下の繰返単位:
【0221】
【化11】
に従った3R-ポリカランアミド繰返単位のみからなることが意図されている。
【0222】
好ましくは、本発明による3R-ポリカランアミドは、(繰返単位の総数nに対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%、とりわけ少なくとも95%、とりわけ少なくとも98%、とりわけ少なくとも99%、とりわけ少なくとも99.5%、とりわけ少なくとも99.9%、とりわけ100%の以下の繰返単位:
【0223】
【化12】
に従った3R-ポリカランアミド繰返単位を含むことが更に意図されている。
【0224】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3S-カランラクタム、3R-カランラクタム又は3S-カランラクタム及び3R-カランラクタムからの混合物から本発明による方法に従って製造された又は製造可能な、以下の式
【0225】
【化13】
の少なくとも1つの繰返単位及び以下の式
【0226】
【化14】
の少なくとも1つの繰返単位を含むコ-ポリカランアミドに関する。
【0227】
本発明によれば、本発明はまた、式(a個、b個及びn個の繰返単位を有する):
【0228】
【化15】
に従った、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な3S/3R-コ-ポリカランアミドに関する。
【0229】
本発明はまた、とりわけ3S-カランラクタム、3R-カランラクタム又は3S-カランラクタム及び3R-カランラクタムからの混合物、とりわけ3S-ポリカランアミドと一緒に少なくとも1種の更なるラクタムから本発明による方法に従って製造された又は製造可能な、少なくとも1種の組み込まれたラクタム、好ましくはラウロラクタム及び/又はカプロラクタム並びに式
【0230】
【化16】
の少なくとも1つの繰返単位若しくは式
【0231】
【化17】
の少なくとも1つの繰返単位又は両方の上述の繰返単位を有するコ-ポリカランアミドに関する。
【0232】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3S-カランラクタム、3R-カランラクタム又は3S-カランラクタム及び3R-カランラクタムからの混合物と一緒に、少なくとも1種の更なるラクタムから本発明による方法に従って製造された又は製造可能な、とりわけ以下の式(a個、b個及びc個の繰返単位を有する):
【0233】
【化18】
(式中、Aはコ-ポリアミド中に組み込まれた更なるラクタムの繰返単位を意味する)
の1つに従った繰返単位の少なくとも1つを含むコ-ポリカランアミドに関する。
【0234】
好ましくは、ラクタムは、ラウロラクタム、カプロラクタム及び上述のラクタムの混合物からなる群から選択されることが意図されている。
【0235】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3S-カランラクタム又は3S-カランラクタム及び3R-カランラクタムからの混合物と一緒に、少なくとも1種の更なるラクタムから本発明による方法に従って製造された又は製造可能な、とりわけ以下の式(a個、b個及びc個の繰返単位を有する):
【0236】
【化19】
(式中、Aはコ-ポリアミド中に組み込まれた更なるラクタムの繰返単位を意味する)
の1つに従った繰返単位の少なくとも1つを含むコ-ポリカランアミドに関する。
【0237】
好ましくは、ラクタムは、ラウロラクタム、カプロラクタム及び上述のラクタムの混合物からなる群から選択されることが意図されている。
【0238】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3R-カランラクタム又は3S-カランラクタム及び3R-カランラクタムからの混合物と一緒に、少なくとも1種の更なるラクタムから本発明による方法に従って製造された又は製造可能な、とりわけ以下の式(a個、b個及びc個の繰返単位を有する):
【0239】
【化20】
(式中、Aはコ-ポリアミド中に組み込まれた更なるラクタムの繰返単位を意味する)
の1つに従った繰返単位の少なくとも1つを含むコ-ポリカランアミドに関する。
【0240】
好ましくは、ラクタムは、ラウロラクタム、カプロラクタム及び上述のラクタムの混合物からなる群から選択されることが意図されている。
【0241】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3S-カランラクタム及びラウロラクタムから、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な、とりわけ式(a個、b個及びn個の繰返単位を有する):
【0242】
【化21】
に従った3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)に関する。
【0243】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3S-カランラクタム及びカプロラクタムから、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な、とりわけ式(a個、b個及びn個の繰返単位を有する):
【0244】
【化22】
に従った3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)に関する。
【0245】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3R-カランラクタム及びラウロラクタムから、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な、とりわけ式(a個、b個及びn個の繰返単位を有する):
【0246】
【化23】
による3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)に関する。
【0247】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3R-カランラクタム及びカプロラクタムから、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な、とりわけ式(a個、b個及びn個の繰返単位を有する):
【0248】
【化24】
に従った3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)に関する。
【0249】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3S-カランラクタム、3R-カランラクタム及びラウロラクタムから、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な、とりわけ式(a個、b個、c個及びn個の繰返単位を有する):
【0250】
【化25】
に従った3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)に関する。
【0251】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3S-カランラクタム、3R-カランラクタム及びカプロラクタムから、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な、とりわけ式(a個、b個、c個及びn個の繰返単位を有する):
【0252】
【化26】
に従った3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)に関する。
【0253】
本発明はまた、本発明により製造されたポリアミドの少なくとも1つ、とりわけ3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド又は本発明により提供されるコ-ポリカランアミドの少なくとも1つを含む、とりわけ少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%又は少なくとも99重量%のポリアミドを含む、とりわけこれらのポリアミドの少なくとも1つからなる製品、とりわけプラスチック製品に関する。
【0254】
好ましい一実施形態では、そのようなプラスチック製品は、工業製品、医療製品又は構成部材である。
【0255】
本発明による製造方法及び3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物の更なる転化と関連して開示された方法工程a1)〜i2)のための好ましい実施形態は、本発明によれば、例えばここでは、3-カランオキシムが富化された混合物、3-カランラクタムが富化された混合物、3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド、3S/3R-コ-ポリカランアミド、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)、3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)、3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)、3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)、3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)、3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)の製造方法のための、並びに3S-カランオキシム、3S-カランラクタム、3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド、3S/3R-コ-ポリカランアミド、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)、3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)、3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)、3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)、3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)及び3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)及び完全に又は共重合体として又は種々のポリマー若しくはモノマーの混合物の一部として3-カランラクタム又はそれらの開環されたアミノ酸、アミノ酸エステル若しくはアミノ酸誘導体を含むポリマー、とりわけポリアミドのための、方法工程a1)〜i2)においても好ましい。
【0256】
本発明はまた、好ましくは本明細書で3S-カランラクタム、3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド及び3S/3R-コ-ポリカランアミドについて示された式に従った、完全に又は共重合体として又は種々のポリマー若しくはモノマーの混合物の一部として本発明による3-カランラクタム、とりわけ3S-カランラクタム若しくは3R-カランラクタム、とりわけ3S-カランラクタム又はそれらの開環されたアミノ酸、アミノ酸エステル若しくはアミノ酸誘導体を含むポリマー、とりわけポリアミドに関する。
【0257】
更なる好ましい実施形態は、とりわけ従属形式請求項から明らかである。
【0258】
以下の実施例及び添付の図面は本発明を説明するものである。