(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-516617(P2021-516617A)
(43)【公表日】2021年7月8日
(54)【発明の名称】自動噴流角度調節装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/146 20140101AFI20210611BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20210611BHJP
【FI】
B23K26/146
B23K26/00 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-539789(P2020-539789)
(86)(22)【出願日】2019年1月15日
(85)【翻訳文提出日】2020年7月17日
(86)【国際出願番号】EP2019050885
(87)【国際公開番号】WO2019141659
(87)【国際公開日】20190725
(31)【優先権主張番号】18152547.8
(32)【優先日】2018年1月19日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】506387498
【氏名又は名称】シノヴァ エスアー
【氏名又は名称原語表記】SYNOVA SA
(71)【出願人】
【識別番号】000154990
【氏名又は名称】株式会社牧野フライス製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンデーレグ、ルドヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルグ、アードリアン
(72)【発明者】
【氏名】金 赫
(72)【発明者】
【氏名】ディール、ヘルギ
(72)【発明者】
【氏名】リヘルツハーゲン、ベルナルド
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168CA13
4E168CB03
4E168FA05
4E168FB07
4E168GA05
(57)【要約】
本願発明はレーザービーム101を用いて被加工材を機械加工する装置100に関する。装置100は加圧液体噴流103を放出して、レーザービーム101を加圧液体噴流103の中に入射させて加圧液体噴流103と結合させる機械加工ユニット102を有する。装置100は機械加工ユニットをx方向軸および/またはy方向軸の周りに回転させる駆動ユニット104と、加圧液体噴流103と前記y方向軸の間の第1角度および/または加圧液体噴流103と前記x方向軸の間の第2角度を測定する測定ユニット105と、駆動ユニット104を制御して駆動ユニット104に前記第1角度に基づいて前記x方向軸の周りでおよび/または前記第2角度に基づいて前記y方向軸の周りで機械加工ユニット102を回転させる処理ユニットと106をさらに有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザービーム(101)を用いて被加工材を機械加工する装置(100)であって、
加圧液体噴流(103)を放出して、前記レーザービーム(101)を前記加圧液体噴流(103)の中に入射させて前記加圧液体噴流(103)と結合させる機械加工ユニット(102)と、
前記機械加工ユニット(102)をx方向軸および/またはy方向軸の周りに回転させる駆動ユニット(104)と、
前記加圧液体噴流(103)と前記y方向軸の間の第1角度および/または前記加圧液体噴流(103)と前記x方向軸の間の第2角度を測定する測定ユニット(105)と、
前記駆動ユニット(104)を制御して前記駆動ユニット(104)に前記第1角度に基づいて前記x方向軸の周りでおよび/または前記第2角度に基づいて前記y方向軸の周りで前記機械加工ユニット(102)を回転させる処理ユニットと(106)、を有する装置(100)。
【請求項2】
前記処理ユニット(106)は前記駆動ユニット(104)を制御して、前記駆動ユニット(104)に前記機械加工ユニット(102)を前記x方向軸の周りに第1調節角度だけ、および/または前記y方向軸の周りに第2調節角度だけ回転させ、
前記第1調節角度は第1目標角度と前記第1角度の差によって定められ、
前記第2調節角度は第2目標角度と前記第2角度の差によって定められる請求項1に記載する装置(100)。
【請求項3】
前記駆動ユニット(104)は前記x方向軸および/または前記y方向軸の周りで前記機械加工ユニット(102)を1°以下の精度で回転させる請求項1または2に記載する装置(100)。
【請求項4】
前記測定ユニット(105)は
機構ユニット(203)と、
前記レーザービーム(101)の光を感知し、その感知した光に相当する感知信号を作る感知ユニット(201)と、を含み、さらに
前記測定ユニット(105)は、前記機構ユニット(203)に対して前記機械加工ユニット(102)をx方向および/またはy方向に動かす間に、前記感知ユニット(201)からの感知信号の変化に基づき前記加圧液体噴流(103)のx方向位置および/またはy方向位置を測る請求項1乃至3のいずれかに記載する装置(100)。
【請求項5】
前記機構ユニット(203)は、前記加圧液体噴流(103)が触れると前記加圧液体噴流(103)を乱す尖った縁部(401)を有する衝突素子(400)を少なくとも含む請求項4に記載する装置(100)。
【請求項6】
前記機構ユニット(203)は前記衝突素子(400)である前記尖った縁部(401)を有する板(400)を含み、さらに/または前記衝突素子(400)はリング形状もしくは十字形状である請求項5に記載する装置(100)。
【請求項7】
前記被加工材を載せる機械加工表面(304)をさらに含み、前記機構ユニット(203)は前記機械加工表面(304)を含むか、または前記機械加工表面(304)に取り付けられている請求項5または6に記載する装置(100)。
【請求項8】
前記測定ユニット(105)は前記機械加工ユニット(102)に対して前記機構ユニット(203)をx方向、y方向およびz方向に動かす移動ユニット(202)をさらに含む請求項4乃至7のいずれかに記載する装置(100)。
【請求項9】
前記処理ユニット(106)は、前記測定ユニット(105)を制御し、前記第1角度および/または前記第2角度を測るために、前記機構ユニット(203)が前記機械加工ユニット(102)に対する2つ以上の異なるz方向位置にある時に、前記測定ユニット(105)に前記加圧液体噴流(103)のx方向位置および/またはy方向位置を測らせる請求項4乃至8のいずれかに記載する装置(100)。
【請求項10】
前記感知ユニット(201)は前記機構ユニット(203)、機械加工表面(304)または前記被加工材から反射する前記レーザービーム(103)の光(301)を感知する請求項4乃至9のいずれかに記載する装置(100)。
【請求項11】
前記感知ユニット(201)は前記機械加工ユニット(102)の中に入れられて前記機械加工ユニット(102)と一体になっている請求項4乃至10のいずれかに記載する装置(100)。
【請求項12】
前記感知ユニット(201)は前記加圧液体噴流(103)を通って戻る方向に伝播する前記レーザービーム(101)の光(301)を感知する請求項4乃至11のいずれかに記載する装置(100)。
【請求項13】
被加工材を機械加工するためのレーザービーム(101)をガイドする加圧液体噴流(103)の角度を調節する方法であって、
前記加圧液体噴流(103)を放出し、前記レーザービーム(101)を前記加圧液体噴流(103)の中に入射させて前記加圧液体噴流(101)と結合させ(501)、
前記加圧液体噴流(103)とy方向軸の間の第1角度および/または前記加圧液体噴流(103)とx方向軸の間の第2角度を測り(502)、
前記第1角度に基づき前記x方向軸の周りに前記加圧液体噴流(103)を回転させ、さらに/または前記第2角度に基づき前記y方向軸の周りに前記加圧液体噴流(103)を回転させる(503)方法(500)。
【請求項14】
第1目標角度および/または第2目標角度を定め(601)、
前記第1角度および/または前記第2角度を測り(502、602)、
前記第1目標角度と前記第1角度の差から第1調節角度を算出し、および/または前記第2目標角度と前記第2角度の差から第2調節角度を算出し(503)、さらに
前記加圧液体噴流(103)を前記x方向軸の周りに前記第1調節角度だけ回転させ、さらに/または前記加圧液体噴流(103)を前記y方向軸の周りに前記第2調節角度だけ回転させる(503、604)請求項13に記載する方法(600)。
【請求項15】
第1公差および/または第2公差を定め(601)、
もしも前記第1調節角度が前記第1公差よりも小さいとき、もしくは前記第2調節角度が前記第2公差よりも小さいとき、または前記第1調節角度が前記第1公差よりも小さく、かつ前記第2調節角度が前記第2公差よりも小さいときは、前記加圧液体噴流(103)を回転する(503、604)前に前記方法(600)を中断する請求項14に記載する方法(600)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は加圧液体噴流の中に入射してその加圧液体噴流と結合するレーザービームを用いて被加工材を機械加工する装置に関する。本願発明にかかる装置は少なくとも一つの軸に対する加圧液体噴流の角度を自動的に調節する。さらに本願発明はレーザービームをガイドする液体噴流の角度を調節する方法に関するものである。液体噴流の角度を調節することは、具体的に目標角度に対する角度を修正することを含む。したがって、本願発明は空間中の加圧液体噴流の角度を少なくとも一つ測ることを含む。
【背景技術】
【0002】
加圧液体噴流の中に入射してその加圧液体噴流と結合するレーザービームを用いて被加工材を機械加工する従来技術の装置が一般に知られている。このようなレーザービームを用いて被加工材を機械加工するためには、レーザービームは加圧液体噴流の中を全反射によってガイドされて被加工材上に入射する。
【0003】
被加工材を機械加工して複数の決められた角度のまたは傾斜した面を有する所定の製品にする場合、被加工材に対する加圧液体噴流の角度を繰り返し調節する必要がある。加圧液体噴流の角度を正確に調節可能であればあるほど、作製される製品の形状の精度を高めることができる。加圧液体噴流を正確に鉛直方向に平行に合わせて、傾いた構造を形状加工する時に被加工材を鉛直方向に対して傾けるのが望ましい場合がある。また、より複雑な構造の製品を作製するため、加圧液体噴流を鉛直方向に対して正確に傾けること(傾斜角と向きの角度)が望ましい場合もある。
【0004】
従来の装置で通常おきる問題は、その装置が液体噴流の角度を自動的に調節することがまったくできないことである。液体噴流の角度の調節は手作業でしかできないが、この調節は結構面倒で時間のかかる工程である。さらに、従来の装置を所定時間使用して操作した後では、液体噴流の角度が再びずれる。しかし、従来の装置はそれ自身では機械加工中の加工中液体噴流の角度を測ることができないので、従来の装置では液体噴流の角度がわずかにずれていることがわからない。さらに、機械加工をしている間は角度のずれた液体噴流を修正することはできない。
そのため、また手作業で液体噴流の角度を調節することが、時間がかかる工程であることから、液体噴流の角度を修正することは機械加工工程の時間と効率に与える影響が大きいので、液体噴流の角度の修正は通常定期的に行われるわけではない。したがって、従来の装置を用いて行う機械加工工程の精度は通常最適化されたものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した問題および不利な点に鑑み、本願発明は液体噴流の中に入射させてその液体噴流と結合させたレーザービームを用いて機械加工する従来の装置およびその機械加工方法を改良することを目標とする。レーザービームをガイドする液体噴流の少なくとも一つの角度を自動的にかつ高精度で調節できる装置および方法を提供することが本願発明の目的である。この目的のため、本願発明の装置および方法は少なくとも一つの液体噴流の角度を高精度で測定できなければならない。また本願発明の装置および方法は目標角度から液体噴流角度が少しでもずれていれば、そのずれは自動的に修正できなければならない。これらの角度の調節および/または修正を迅速に行うこと、理想的には被加工材の機械加工工程の間にできるようにすることが可能であるはずである。その結果、本願発明は傾いた表面および/または複雑な構造を有する被加工材を従来よりも高精度でしかも高い効率で機械加工する装置および方法を目標とする。そのため、本願発明はさらに単純で小型の装置を実現することも目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の目的は添付した特許請求の範囲の独立項で与えられる解決策により達成される。本願発明は有利な実施の態様は従属項で定められる。
【0007】
本願発明の第1の特徴は、レーザービームを用いて被加工材を機械加工する装置であって、前記装置が、加圧液体噴流を放出して、前記レーザービームを前記加圧液体噴流の中に入射させて前記加圧液体噴流と結合させる機械加工ユニットと、前記機械加工ユニットをx方向軸および/またはy方向軸の周りに回転させる駆動ユニットと、前記加圧液体噴流と前記y方向軸の間の第1角度および/または前記加圧液体噴流と前記x方向軸の間の第2角度を測る測定ユニットと、前記駆動ユニットを制御して前記駆動ユニットに前記第1角度に基づいて前記x方向軸の周りでおよび/または前記第2角度に基づいて前記y方向軸の周りで前記機械加工ユニットを回転させる処理ユニットと、を有する。
【0008】
前記測定ユニットによる前記少なくとも一つの角度の測定は、一つ以上の代表的な測定値を前記処理ユニットに与えることを含むものでよく、前記処理ユニットは受け取った測定値に基づき前記少なくとも一つの角度を算出する。ここで前記測定ユニットは前記処理ユニットに制御されて、前記測定値を得るものでよい。例えば、前記処理ユニットは前記測定ユニットが測定値をいくつ得る必要があるか、またはいつ測定すべきかを前記測定ユニットに伝える。しかし、前記測定ユニットは前記少なくとも一つの角度を直接測定して、測定した角度を前記処理ユニットに与えるものでもよい。
【0009】
前記処理ユニットは前記第1角度および/または前記第2角度を用いて、少なくとも一つの軸の周りに前記機械加工ユニットを回転させる少なくとも一つの命令を前記駆動ユニットに与える。前記駆動ユニットは、前記少なくとも一つ軸の周りに前記機械加工ユニットを回転させることによって、前記加圧液体噴流を空間中でこの前記少なくとも一つの軸に対して傾けることができる。
【0010】
前記測定ユニットと、前記処理ユニットと、前記駆動ユニットとの間の相互作用により、少なくとも一つの液体噴流の角度を、前記装置は、特に機械加工工程の間に自動的に調節することができる。その結果、前記少なくとも一つの液体噴流角度を従来技術の装置で(手作業で)可能であったよりも、高精度で、しかもより迅速に調節可能である。
【0011】
好ましい実施の態様の本願発明の装置では、前記処理ユニットは前記駆動ユニットを制御して、前記駆動ユニットが前記機械加工ユニットを前記x方向軸の周りに第1調節角度だけ、および/または前記y方向軸の周りに第2調節角度だけ回転させ、前記第1調節角度は第1目標角度と前記第1角度の差によって定められ、前記第2調節角度は第2目標角度と前記第2角度の差によって定められる。
【0012】
前記少なくとも一つの目標角度は、例えば前記液体噴流が鉛直方向に平行になるように選択されるものでよい。しかし、特に液体が加圧されるため加圧された液体が真っ直ぐ進むので、鉛直方向に平行にしなくても任意の目標角度が可能である。前記少なくとも一つの調節角度だけ前記機械加工ユニットを自動的に回転することによって、機械加工工程の間に、またはその後で生じる前記液体噴流角度のずれを修正することが可能になる。機械加工工程を中断したり、手作業で角度を合わせたりすることは必要ない。前記測定ユニットからのフィードバックによって、前記処理ユニットを制御して、極めて迅速な角度の修正を行わせることができる。その結果、余り長くない時間を使うことなく、被加工材をより複雑な製品に形状加工できる。
【0013】
好ましい実施の態様の本願発明の装置では、前記駆動ユニットは前記x方向軸および/または前記y方向軸の周りで前記機械加工ユニットを1°以下の精度で回転させる。
【0014】
例えば、0.5〜1°もしくは0.1〜1°も可能だし、または0.01〜0.1°の精度も可能である。したがって、前記加圧液体噴流の少なくとも一つの角度を調節して、極めて高精度で修正でき、被加工材から複雑な製品の構造および形状を極めて高精度で作ることができる。
【0015】
好ましい実施の態様の本願発明の装置では、前記測定ユニットは機構ユニットと、前記レーザービームの光を感知し、その感知した光に相当する感知信号を作る感知ユニットと、を含み、さらに前記測定ユニットは、前記機構ユニットに対して前記機械加工ユニットをx方向および/またはy方向に動かす間に、前記感知ユニットからの感知信号の変化に基づき前記加圧液体噴流のx方向位置および/またはy方向位置を測る。
【0016】
前記感知ユニットはカメラ、光検知器等を含むものでよい。前記機構ユニットは板、リング、十字等を含むものでよい。前記移動ユニットは移動モーター等を含むものでよい。前記測定ユニットは前記加圧液体噴流に影響を与えずに前記加圧液体噴流の少なくとも一つの位置を光学的に測定する。レーザービームの光をこの測定に用いるのがさらに好都合である。この手法によれば簡単で小型の装置にすることが可能になるからである。少なくとも2つのz方向位置でx方向位置および/またはy方向位置の測定が少なくともなされれば、測定したx方向位置および/またはy方向位置を用いて前記加圧液体噴流の少なくとも一つの角度を測ることができる。
【0017】
好ましい実施の態様の本願発明の装置では、前記機構ユニットは、前記加圧液体噴流が触れると前記加圧液体噴流を乱す尖った縁部を有する衝突素子を少なくとも含む。
【0018】
前記衝突素子に前記加圧液体噴流が当たると、前記衝突素子はレーザービームを反射するのが好ましい。が前記加圧液体噴流に触れると、前記尖った縁部により前記加圧液体噴流が極めて明瞭にかつ際立って乱され、その結果レーザービームの反射も乱されるのが好ましい。したがって前記機構ユニットを用いて前記加圧液体噴流の少なくとも一方向位置を測るための正確な信号を発生させることができる。前記機構ユニットは機械加工工程の間に被加工材を支持して運ぶ機械加工表面とともに作られて、同機械加工表面と一体とすることができる。したがって、前記測定ユニットによる測定を機械加工工程の間におこなうことができる。すなわち前記装置を停止させ被加工材を除くことでやっと前記加圧液体噴流の測定ができるわけではない。さらに、このような機構ユニットにすれば、前記装置を小型にすることができる。
【0019】
好ましい実施の態様の本願発明の装置では、前記機構ユニットは前記衝突素子である前記尖った縁部を有する板を含み、さらに/または前記衝突素子はリング形状もしくは十字形状である。
【0020】
このような態様にすれば、前記機構ユニットを単純で、廉価で作れ、しかも効率よく使えるものにできる。
【0021】
好ましい実施の態様の本願発明の装置は、前記被加工材を載せる機械加工表面をさらに含み、前記機構ユニットは前記機械加工表面を含むか、または前記機械加工表面に取り付けられている。
【0022】
このようにすれば、前記装置は機械加工を行いながら角度の測定と調節をできる。この目的のために、被加工材と前記機械加工表面を取り除く必要がない。前記加圧液体噴流の少なくとも一つの液体噴流の角度を測り、前記加圧液体噴流を調節、修正または再び方向合わせするために、前記加圧液体噴流を機械加工工程の間に被加工材から前記機構ユニットまで動かし、その後引き続いて前記加圧液体噴流が被加工材の形状加工を行うものでよい。その結果、被加工材を設計どおりに従来よりも迅速で効率的に加工して、傾いた表面および/または複雑な構造を有する製品にすることができる。
【0023】
好ましい実施の態様の本願発明の装置では、前記測定ユニットが前記機械加工ユニットに対して前記機構ユニットをx方向、y方向およびz方向に動かす移動ユニットをさらに含む。
【0024】
前記移動ユニットは、前記機構ユニットと前記機械加工ユニットとを互いに相対的に変位させるため、前記機構ユニットもしくは前記機械加工ユニットのいずれかを動かすことができるか、またはこれら両方を動かすことができる。
【0025】
好ましい実施の態様の本願発明の装置では、前記処理ユニットは前記測定ユニットを制御し、前記第1角度および/または前記第2角度を測るために、前記機構ユニットが前記機械加工ユニットに対する2つ以上の異なるz方向位置にある時に、前記測定ユニットに前記加圧液体噴流のx方向位置および/またはy方向位置を測らせる。
【0026】
前記した2つ以上の異なるz方向位置で測定された前記加圧液体噴流のx方向位置および/またはy方向位置を用いて、前記加圧液体噴流の空間中での1つまたは2つの角度を測ることができる。前記処理ユニットは、例えば前記機構ユニットおよび前記測定ユニットを制御して、複数の測定した位置から角度を算出する。
【0027】
好ましい実施の態様の本願発明の装置では、前記感知ユニットは前記機構ユニット、機械加工表面または前記被加工材から反射するレーザービームの光を感知する。
【0028】
レーザービームの光は前記機構ユニットの専用の衝突素子で反射するのが好ましい。反射光、具体的には前記機構ユニットを前記機械加工ユニットに対して動かした時の反射光の変化が前記加圧液体噴流の位置を特定する正確な特徴を与える。したがって、前記加圧液体噴流の少なくとも2つの位置、したがって前記加圧液体噴流の少なくとも一つの角度を正確に測定できる。
【0029】
好ましい実施の態様の本願発明の装置では、前記感知ユニットは前記機械加工ユニットの中に入れられて前記機械加工ユニットと一体になっている。
【0030】
このようにすれば、小型の装置を組み立てることができる。さらに、前記感知ユニットは例えば機械加工工程の間に被加工材から飛び跳ねて戻ってくる液体から保護される。
【0031】
好ましい実施の態様の本願発明の装置では、前記感知ユニットは前記加圧液体噴流を通って戻る方向に伝播する前記レーザービームの光を感知する。
【0032】
前記加圧液体噴流は反射レーザー光を、反対方向に伝播するレーザービームをガイドして被加工材上に入射させるように、ガイドすることができる。このようにして、対象の光が極めてよく調節されたやり方で前記感知ユニットまでガイドされるので、前記測定ユニットはさらに高精度に働く。さらに、このような態様のために、測定に必要とする光成分の量は最低ですんでいる。
【0033】
本願発明の第2の特徴は、被加工材を機械加工するためのレーザービームをガイドする加圧液体噴流の角度を調節する方法であって、前記加圧液体噴流を放出し、前記レーザービームを前記加圧液体噴流の中に入射させて前記加圧液体噴流と結合させ、前記加圧液体噴流とy方向軸の間の第1角度および/または前記加圧液体噴流とx方向軸の間の第2角度を測り、前記第1角度に基づき前記x方向軸の周りに前記加圧液体噴流を回転させ、さらに/または前記第2角度に基づき前記y方向軸の周りに前記加圧液体噴流を回転させる方法を与える。
【0034】
本願発明の方法の好ましい実施の態様の前記方法は、第1目標角度および/または第2目標角度を定め、前記第1角度および/または前記第2角度を測り、前記第1目標角度と前記第1角度の差から第1調節角度を算出し、および/または前記第2目標角度と前記第2角度の差から第2調節角度を算出し、さらに前記加圧液体噴流を前記x方向軸の周りに前記第1調節角度だけ回転させ、さらに/または前記加圧液体噴流を前記y方向軸の周りに前記第2調節角度だけ回転させる。
【0035】
本願発明の方法の好ましい実施の態様の前記方法は、前記第1公差および/または第2公差を定め、もしも前記第1調節角度が前記第1公差よりも小さいとき、もしくは前記第2調節角度が前記第2公差よりも小さいとき、または前記第1調節角度が前記第1公差よりも小さく、かつ前記第2調節角度が前記第2公差よりも小さいときは、前記加圧液体噴流を回転する前に前記方法を中断する。
【0036】
本願発明の第2の特徴の前記方法は、本願発明の第1の特徴の前記した有利な点および効果をもたらす。この第2の特徴の前記方法は、本願発明の第1の特徴の装置の前記した様々な他の好ましい実施の態様と類似する複数の実施の態様と組み合わせることにより、さらに拡張することができる。この第2の特徴の前記方法は特に本願発明の第1の特徴の装置、またはその複数の好ましい実施の態様の装置のいずれでも実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本願発明の前記した特徴および好ましい実施の態様は、添付した図面とともに以下の具体的な実施形態により説明される。
【0038】
【
図1】
図1は本願発明の実施形態にかかる装置を示す。
【
図2】
図2は本願発明の実施形態にかかる装置を示す。
【
図3】
図3は本願発明の実施形態にかかる装置を示す。
【
図4】
図4は本願発明の実施形態にかかる装置が液体噴流の角度を測定する手法の考え方を示す。
【
図5】
図5は本願発明の実施形態にかかる方法を示す。
【
図6】
図6は本願発明の実施形態にかかる方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は本願発明の実施形態にかかる装置100を示す。装置100は加圧液体噴流103の中に入射させ加圧液体噴流103と結合させたレーザービーム101を用いて被加工材を機械加工する。被加工材は、例えば金属、セラミックス、ダイアモンド、半導体、合金、超合金または超硬材料を含む材料でできたものでよい。被加工材を機械加工することには、被加工材を切断もしくは穿孔すること、または材料除去加工により被加工材を3次元までの形状加工することを含むものでよい。レーザービームのレーザーパワーは20〜400Wまたはそれよりも大きいものであることが好ましい。レーザービームはパルスレーザービームでもよいし、連続的なレーザービームとすることもできる。加圧液体噴流の圧力は50〜800barとすることが好ましい。
【0040】
装置100は加圧液体噴流103を放出して被加工材に当てる。被加工材は機械加工表面304上に置かれる(
図3参照)。機械加工表面304は装置100の一部でもよいし、そうでなくてもよい。いずれの場合でも、装置100は、機械加工表面304上に配置された被加工材を機械加工するように構成されている。装置100は機械加工表面304の3次元までの動きを制御できる。
【0041】
本願発明の装置100は具体的にレーザービーム101をガイドする加圧液体噴流103の(複数の)角度を調節できるように構成されている。したがって、この目的に必要な装置100の部品が
図1に示されている。具体的に装置100は機械加工ユニット102と、駆動ユニット104と、測定ユニット105と、処理ユニット106とを有する。
【0042】
機械加工ユニット102は加圧液体噴流103を放出し、レーザービーム101を加圧液体噴流103の中に入射させ加圧液体噴流103と結合させる。
【0043】
駆動ユニット104はx方向軸および/またはy方向軸の周りで、すなわち少なくとも一つの軸の周りで機械加工ユニット102を回転させる。x方向軸およびy方向軸は、(
図1中に示すように)互いに垂直であることが好ましい。z方向軸はx方向軸とy方向軸の両方に垂直である。x方向軸とy方向軸が水平面を定め、z方向軸が鉛直方向を定めるものでよいが、これに必ずしも該当しなくてもよい。加圧液体噴流103は(すなわち、その進行方向は)z方向軸と平行とするか、および/または鉛直方向と平行となるようにしてよい。しかしながら、加圧液体噴流103は加圧されているので、このように方向を合わせることは加圧液体噴流103が真っ直ぐに進行するために必要なわけではない。
【0044】
駆動ユニット104は、例えば機械加工ユニット102をx方向軸の周りに第1調節角度Daだけ回転させて、または機械加工ユニット102をy方向軸の周りに第2調節角度Dbだけ回転させて機械加工ユニット102を制御する。このようにして、機械加工ユニット102、y方向軸およびz方向軸に対して、並びに/またはx方向軸およびz方向軸に対して傾き、したがって加圧液体噴流103も同じように傾く。
【0045】
測定ユニット105は加圧液体噴流103(その進行方向)とy方向軸の間の第1角度、および/または加圧液体噴流103(その進行方向)とx方向軸の間の第2角度を測定する。すなわち、測定ユニット105は加圧液体噴流103の少なくとも一つの(現在の)角度を測定する。ここで、少なくとも一つの角度を測定することは、測定ユニット105が角度に相当する(生の)測定値を測り、処理ユニット106がその測定値を処理して角度(値)にすること、または角度の計算値を出力して直接処理ユニット106に送ることを意味するものでよい。
【0046】
処理ユニット106は測定ユニット105が測定した加圧液体噴流103の少なくとも一つの角度に基づいて駆動ユニット104を制御する。すなわち、処理ユニット106は加圧液体噴流103の少なくとも一つの角度に基づいて駆動ユニット104を制御する。処理ユニット106は具体的に駆動ユニット104を制御して測定した第1角度に基づいて駆動ユニット104が機械加工ユニット102をx方向軸の周りに回転させ、さらに/または測定した第2角度に基づいて駆動ユニット104が機械加工ユニット102をy方向軸の周りに回転させることができる。このようにすれば、処理ユニット106は測定した角度を用いて、例えば前記した少なくとも一つの調節角度Daおよび/またはDbを算出することができる。
【0047】
図2は本願発明の実施形態にかかる装置100を示す。この装置100は
図1中に示す装置100を発展させたものである。
図2と
図1中の同一な要素は、同じ符号が付され、同じように機能する。したがって、
図2の装置100もレーザービーム101をガイドする加圧液体噴流103を作る機械加工ユニット102と、機械加工ユニット102の(複数の)回転を調節する駆動ユニット104と、少なくとも駆動ユニット104を制御する処理ユニット106と、加圧液体噴流103の少なくとも一つの角度を測定する測定ユニット105とを有する。
【0048】
図2は測定ユニット105をさらに詳しく図解する。具体的に言うと、
図2中の測定ユニット105は、機構ユニット203と、移動ユニット202と、感知ユニット201と含む。
【0049】
感知ユニット201はレーザービーム101の光を感知し(すなわち、感知ユニット201はレーザービームの波長を感知できる)、感知した光に相当する感知信号を出力する(すなわち、この感知信号は少なくとも受光した光の強度に対応している)。
図2中に示されている感知ユニット201は代表的に機械加工ユニット102の上方に配置されている。しかし、感知ユニット201は、反射したレーザーライトを受光できる位置ならば他の位置に配置されてもよい。例えば、感知ユニット201は機械加工ユニット102の下方かつ/もしくは加圧液体噴流103の隣に配置されてもよいし、また機構ユニット203の下方に配置されてもよい。
【0050】
測定ユニット105は、具体的に、機械加工ユニット102が機構ユニット203に対してx方向および/またはy方向に動かされる間に、感知ユニット201が与える感知信号の変化に基づいて加圧液体噴流103のx方向位置および/またはy方向位置を測定する。これにより、測定ユニット105は感知ユニット201を用いて機械加工ユニット102に対する機構ユニット203の複数の異なる位置で複数の感知信号を発生できる。すなわち、機構ユニット203は機械加工ユニット102に対して動かすことができ、その間に感知ユニット201は一方少なくとも一つの感知信号を、例えば所定の時間間隔で、さらに/または各移動ステップ後に出力するものでよい。
【0051】
機構ユニット203を動かすために測定ユニット105は、移動ユニット202を含む。移動ユニット202は機構ユニット203を機械加工ユニット102に対して機構ユニット203をx方向、y方向およびz方向に動かすのが好ましい。具体的に、移動ユニット202は、この相対的な動きを可能にするため、機構ユニット203および/または機械加工ユニット102を動かすことができるものでよい。
【0052】
機械加工ユニット102が機構ユニット203を基準として動かされる時、レーザー光は機構ユニット203から複数の異なる態様で、具体的に言えば、加圧液体噴流103の現在のx/y方向位置に依存して反射する(注目すべきことに、所定のx/y方向位置では機構ユニット203からレーザー光は全く反射しない)。
【0053】
測定ユニット105は機械加工ユニット102に対する機構ユニット203の2以上のz方向位置で、加圧液体噴流103の前記した第1および第2x方向位置並びに/または第1および第2y方向位置を測定するものでよい。この目的のため、移動ユニット202は、例えば機械加工ユニット102を基準とする第1z方向位置に機構ユニット203を動かし、この第1z方向位置で測定ユニット105は前記第1x方向位置および/または前記第1y方向位置を測る。その後、移動ユニット202は異なる第2z方向位置に機構ユニット203を動かし、この第2z方向位置で測定ユニット105が前記第2x方向位置および/または前記第2y方向位置を測る。これらの第1および第2x方向位置並びに/または第1および第2y方向位置に基づいて、測定ユニット105は加圧液体噴流103の前記第1角度および/または前記第2角度を測ることができる。
【0054】
処理ユニット106は具体的に測定ユニット105を制御して、測定ユニット105に前記した機構ユニット203が複数の異なるz方向位置にあるときの位置の測定を行わせる。例えば、
図2中に(破線で)示すように、処理ユニット106は感知ユニット201を制御して、感知ユニット201に光を感知させ感知信号を出力させ、処理ユニット106は当然この感知信号を受信して処理することができる。さらに、処理ユニット106は移動ユニット202を制御して、移動ユニット202が機構ユニット203を動かし、処理ユニット106は移動ユニット202から設定した(複数の)位置についてのフィードバックを受け取ることができる。このようにして、処理ユニット106は加圧液体噴流103のx方向位置および/またはy方向位置を算出するために、移動ユニット202が設定しフィードバックする複数のx方向、y方向およびz方向位置を考慮して感知ユニット201の感知信号を処理し、最終的に前記第1および/または第2角度を算出することができる。
【0055】
例えば、処理ユニット106はマイクロプロセッサもしくはコンピュータおよび/またはソフトウェアによって実現され、感知ユニット201から受信した(複数の)感知信号に信号処理を行う。信号処理は、例えばスケーリング、平均化、所定時間中の記録、時間積分または(複数の)感知信号の変換を含むものでよく、さらに(複数の)感知信号、または平均化した信号または積分信号を基準信号と比較することを含むものでよい。
【0056】
処理ユニット106はさらに機械加工ユニット102を制御するものでよい。具体的に言えば、処理ユニット106はレーザーユニットによって発生するレーザービーム101の発生および/またはパルス変換(パルス幅、振幅および/またはレート)を調節する。さらに、処理ユニット106は例えば加圧液体噴流103用の液体を供給する液体源を制御することによって、並びに/または供給バルブおよび/もしくは供給ポンプを制御することによって、加圧液体噴流103の発生および圧力を調節することができる。
【0057】
機械加工ユニット102はさらにレーザービーム101を加圧液体噴流103の中に入射させて加圧液体噴流103に結合させるレンズのような少なくとも一つの光学素子204を含むものでよい。レーザービーム101は処理ユニット106によって制御されるレーザーユニットによって作られる。機械加工ユニット102はまた光学部品配置部を、すなわち代表的には少なくとも一つの光学素子204を、液体回路部と隔離し、さらに加圧液体噴流103が作られる機械加工ユニット102の領域と隔離するために、光学的に透明な保護窓(図示せず)を含むものでよい。
【0058】
図3は本願発明の実施形態にかかる装置100を示す。この装置100は
図1中に示す装置100を発展させたものである。
図3と
図1中の同一な要素は、同じ符号が付され、同じように機能する。具体的に言えば、
図3中の装置100もレーザービーム101を搬送する加圧液体噴流103を作る機械加工ユニット102と、機械加工ユニット102を移動/回転させる駆動ユニット104と、角度測定用の測定ユニット105(感知ユニット201と、移動ユニット202と、機構ユニット203とを含む)と、好ましくは装置100とその複数のユニットのすべての動作を調節する処理ユニット106とを含む。
【0059】
図3は機械加工ユニット102をより詳細に示している。加圧液体噴流103を作るために、機械加工ユニット102がノズル開口を有する液体噴流発生ノズル303を含むのが好ましい。液体噴流発生ノズル303は保護された環境下で加圧液体噴流103を作るため機械加工ユニット102の内部に配置されるのが好ましい。前記ノズル開口により加圧液体噴流103の幅が定まる。前記ノズル開口の直径は10〜200μmとすることが好ましく、加圧液体噴流103の直径は前記ノズル開口の0.6〜1倍とすることが好ましい。加圧液体噴流103用の圧力は処理ユニット106によって制御される外部の液体供給源を通して与えられる。加圧液体噴流103用に供給される液体は好ましくは水であり、すなわち加圧液体噴流103は水噴流である。装置100から加圧液体噴流103を放出するために、機械加工ユニット102は放出開口を有する放出ノズルを含むのが好ましい。この放出開口は前記ノズル開口よりも大きいのが好ましい。
【0060】
機械加工ユニット102はさらにレーザー光源300を含むものでよく、処理ユニット106がレーザー光源300を制御するものでよい。レーザー光源300はレーザービーム101を供給する。レーザー光源300は機械加工ユニット102にも装置100にも含まれない外部デバイスであって機械加工ユニット102のレーザー供給ポートにレーザー光を供給する外部デバイスでもよい。機械加工ユニット102内でレーザービーム101は加圧液体噴流103の中に入射して加圧液体噴流103と結合するように、光学ユニット302によって少なくとも一つの光学素子204の方向に向けられるのが好ましい。光学ユニット302は、好ましくはビームスプリッタであり、また少なくとも一つの光学素子204と測定ユニット105の感知ユニット201との間の光路中に設置するのが好ましい。
【0061】
注目すべき点は、反射光301(
図3中で機械加工表面304で反射した)も加圧液体噴流103中をレーザービーム101と反対方向に光学ユニット302にまで伝播する。反射光301は光学ユニット302によって感知ユニット201に向けられる。
図3中で、感知ユニット201が機械加工ユニット102の内部に含まれている(ただし、これはオプションにすぎない)のは有利である。
【0062】
装置100はさらに波長分離ユニット(図示せず)を含んでもよい。波長分離ユニットは反射光301の少なくとも一部を分離して感知ユニット201に入射させる。この波長分離ユニットは光学ユニット302と感知ユニット201の間の光路中に配置するのが好ましい。そのようにすれば、この波長分離ユニットは、加圧液体噴流103と光学ユニット302を通って伝播する反射光301を受光し、反射光301の少なくとも一部を含む対象とする光を出光して感知ユニット201上に入射させる。この波長分離ユニットは一つ以上の光フィルタからなり、不要な電磁放射光(特に他の光)をフィルタにより除く光フィルタユニットとしてよい。すなわち、この波長分離ユニットは所定の波長の(不要な)光が感知ユニット201に入射するのを防ぐ。間違って波長分離ユニットに入射する(反射レーザー光301以外の)光は、この波長分離ユニットがなければ感知ユニット201に入射してしまうが、波長分離ユニットあるので除かれる。
【0063】
図3に示すように、レーザー光はレーザービーム101が入射する機械加工表面304上で反射する。同様に、レーザー光は機械加工表面304上に置かれた被加工材からも反射する。反射光301は、機械加工ユニット102の中に入れられ、好ましくは機械加工ユニット102と一体になった感知ユニット201により感知される。このようにして、感知ユニット201が加圧液体噴流103を通って戻る方向に伝播するレーザービーム101の反射光301を感知するのが好ましい。機構ユニット203が移動ユニット202により動かされて加圧液体噴流103の中に入ると(
図3中に示されていない状況)、レーザー光は機構ユニット203からも反射する。
【0064】
しかし、機構ユニット203からのレーザービーム101の反射は機械加工表面304からのレーザービーム101の反射とも、被加工材からのレーザービーム101の反射とも異なる。反射に少しでも違いが生じれば、その違いは感知ユニット201が検出でき、例えば処理ユニット106がその違いを用いて、機構ユニット203が機械加工ユニット102に対して所定のz方向位置にある時の加圧液体噴流103のx方向位置および/またはy方向位置を測定することができる。さらに、加圧液体噴流103が機構ユニット203に触れると、機構ユニット203は加圧液体噴流103を乱すので、その結果レーザービーム101は、戻る方向に反射して加圧液体噴流103の中に入って感知ユニット201に向かってガイドされることなく、散乱することになる。このことは以下で詳しく説明する。
【0065】
図4は本願発明の実施形態にかかる装置100が液体噴流103の角度を測定する代表的な手法の考え方を示す。
図4中で機構ユニット203は縁部401を有する少なくとも一つの衝突素子400を含む。具体的に言えば、衝突素子400は尖った縁部401を有するのが好ましい。ここで「尖った」とは尖った縁部401がナイフの縁部のような形状をしていることを意味することが好ましい。加圧液体噴流103が尖った縁部401に触れると、尖った縁部401は加圧液体噴流103を乱す。尖った縁部401は、例えば衝突素子400の中に設けられる開口の内縁部によって形成される。
図4に示すように、具体的に、機構ユニット203は尖った縁部401を有する衝突素子400である板400を含むものでよい。代わりに、または加えて、衝突素子400はリング形状または十字形状でもよい。
【0066】
図4(A)中で、機械加工ユニット102は加圧液体噴流103を放出し、加圧液体噴流103が衝突素子400内の開口を通り抜け、機械加工表面304に当たるように、機構ユニット203は機械加工ユニット102を基準として配置されている(例えば、移動ユニット202によって配置される)。レーザービーム101の少なくとも一部が機械加工表面304から反射し、反射光301は加圧液体噴流103を通って戻る方向(レーザービーム101と反対の方向に)に伝播して機械加工ユニット102の中に入射する。機械加工ユニット102内で反射光301は感知ユニット201によって検出されるものでよい。被加工材が機械加工表面304上に載せられていない状態では、示されている角度測定および調節工程は被加工材を載置して機械加工する前に行うのが好都合である。しかし、機械加工の間に被加工材を載せた状態でも同じ測定および調節工程は可能である。この場合、被加工材は
図4(A)の状況でレーザー光を反射することができる。
【0067】
図4(B)において、機構ユニット203が動かされ(例えば、移動ユニット202によって)、その結果加圧液体噴流103が衝突素子400の尖った縁部401に触れている。これによって加圧液体噴流103が乱されるので、レーザービーム101は戻る方向に反射しなくなり、例えば散乱により失われてしまう。すなわち、加圧液体噴流103が尖った縁部401に触れると、感知ユニット201により検出できる反射光301がない(または、少なくとも反射光301は極めて弱い)。
【0068】
図4(C)において、機構ユニット203をさらに外側に動かし(例えば、移動ユニット202によって)、その結果加圧液体噴流103は機構ユニット203の衝突素子400に当たっている。レーザービーム101の少なくとも一部が衝突素子400から反射し、再び反射光301が加圧液体噴流103を通って戻る方向に(レーザービーム101と反対の方向に)伝播して機械加工ユニット102の中に入射するようになっている。機械加工ユニット102内で反射光301は感知ユニット201によって検出される。反射光(の強度)は
図4(A)の場合と同じか、または反射光の強度は機械加工表面304から反射するよりも低いかまたは高い。すなわち、感知ユニット201は
図4(A)と
図4(C)に示す状況での反射光を区別することができるのである。
【0069】
いずれにしても、
図4(A)から
図4(B)および
図4(C)へと移行するときの反射のパターンの変化は、感知ユニット201の感知信号出力中に現れるので、この手順を2つ以上のz方向位置で行えば、この反射パターンの変化を用いて加圧液体噴流103の位置を測定でき、最終的に加圧液体噴流103の角度を測定できる。
【0070】
図5は本願発明の実施形態にかかるレーザービーム101をガイドする加圧液体噴流103の角度調節の方法500を示す。レーザービーム101は被加工材の機械加工に用いることができる。方法500は
図1乃至4のどの図中に示した装置100によっても実施することができる。具体的に、方法500は、加圧液体噴流103を放出してレーザービーム101を加圧液体噴流103の中に入射させて加圧液体噴流103と結合させるステップ501と、加圧液体噴流103とy方向軸の間の第1角度および/または加圧液体噴流103とx方向軸の間の第2角度を測定するステップ502と、前記第1角度に基づいて前記x方向軸の周りにおよび/または前記第2角度に基づいて前記y方向軸の周りに加圧液体噴流103を回転させるステップ503を有する。
【0071】
図6は、
図5に示す方法500を発展させた方法600を示す。方法600は次のステップを有することが好ましい。
【0072】
1. 第1目標角度a
0および/または第2目標角度b
0を定め(または、例えばメモリもしくは他の記憶デバイスから読み出す)、さらに好ましくは第1公差t
1および/または第2公差t
2を定める(601)。
【0073】
2. (方法500のステップ502と同様に)加圧液体噴流103の第1角度および/または第2角度(aおよび/またはb)を測定する(602)。
【0074】
3. 第1目標角度a
0と第1角度aとの差から第1調節角度Daを、および/または第2目標角度b
0と第2角度bとの差から第2調節角度Dbを算出する(603)。
【0075】
もしも第1調節角度Daが第1公差t
1よりも小さいならば、もしくは、もしも第2調節角度Dbが第2公差t
2よりも小さいならば、または、もしも第1調節角度Daが第1公差t
1よりも小さく、かつ第2調節角度Dbが第2公差t
2よりも小さいならば、方法600を終える。
【0076】
4. (方法500のステップ503と同様に)加圧液体噴流103を前記x方向軸の周りに第1調節角度Daだけ、および/または前記y方向軸の周りに第2調節角度Dbだけ回転させる(604)。好ましくは“2”(ステップ602)に戻り“3”(ステップ603)のいずれかの場合に該当して方法600が終わるまで、すべてのステップを繰り返す。
【0077】
本願発明を様々な実施形態および実施の態様とともに説明した。しかし、当業者ならば、添付した図面、明細書および独立請求項から他の変更例を考えつくことができる。発明の詳細な説明中だけでなく特許請求の範囲中で、「有する(comprising)」は他の要素やステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は複数を排除するものではない。単一の要素または他のユニットは特許請求の範囲中の複数の物や製品の機能を果たしてもよい。所定の複数の手段が互いに異なる請求項に記載されているからといって、これらの手段の組み合わせを用いて好都合な実施の態様にすることできないということを示すものではない。
【国際調査報告】