特表2021-516666(P2021-516666A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-516666前立腺がん特異的髄浸潤リンパ球およびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-516666(P2021-516666A)
(43)【公表日】2021年7月8日
(54)【発明の名称】前立腺がん特異的髄浸潤リンパ球およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20210611BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210611BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20210611BHJP
   C12N 5/078 20100101ALN20210611BHJP
【FI】
   A61K35/17 Z
   A61P35/00
   A61P13/08
   C12N5/078
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-541595(P2020-541595)
(86)(22)【出願日】2019年3月22日
(85)【翻訳文提出日】2020年7月29日
(86)【国際出願番号】US2019023543
(87)【国際公開番号】WO2019183455
(87)【国際公開日】20190926
(31)【優先権主張番号】62/646,649
(32)【優先日】2018年3月22日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519195419
【氏名又は名称】ウィンドミル セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】ヌーナン キンバリー エイ
(72)【発明者】
【氏名】ボレロ イヴァン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AC20
4B065BC14
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB43
4C087BB63
4C087CA04
4C087NA14
4C087ZA81
4C087ZB26
(57)【要約】
【課題】前立腺がんの治療に特異的な髄浸潤リンパ球(MIL)およびその使用の方法を提供する。
【解決手段】本開示は、前立腺がん特異的髄浸潤リンパ球を含む化合物、および同化合物を作製し使用する方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
髄浸潤リンパ球で、前立腺がんを有する対象を治療する方法であって、
(a)前立腺がんを有する対象から得た骨髄サンプルを、抗CD3抗体および抗CD28抗体と共に低酸素環境中で培養して、低酸素活性化髄浸潤リンパ球を生成するステップと、
(b)低酸素活性化髄浸潤リンパ球を正常酸素環境中で培養して、治療用活性化髄浸潤リンパ球を生成するステップと、
(c)治療用活性化髄浸潤リンパ球を、前立腺がんを有する対象に投与するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
低酸素環境が、約0%〜約5%の酸素の酸素含有率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リンパ球が、IL−2の存在下で培養される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
低酸素活性化髄浸潤リンパ球を正常酸素環境中で培養することが、IL−2の存在下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
骨髄サンプルが、低酸素環境中で約24時間培養される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
骨髄サンプルが、低酸素環境中で約2日間培養される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
骨髄サンプルが、低酸素環境中で約3日間培養される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
骨髄サンプルが、低酸素環境中で約2日間〜約5日間培養される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
低酸素環境が、約1%〜約2%の酸素である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
低酸素活性化髄浸潤リンパ球が、正常酸素環境中で約2日間〜約12日間培養される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
低酸素活性化髄浸潤リンパ球が、正常酸素環境中で約6日間培養される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
低酸素活性化髄浸潤リンパ球が、正常酸素環境中で約9日間培養される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(a)の前に、骨髄サンプルを、がんを有する対象から取り出すステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
抗CD3抗体および抗CD28抗体が、ビーズ上に結合される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前立腺がんが、腺房腺がん、管状腺がん、去勢抵抗性、移行上皮がん、扁平上皮がんまたは小細胞前立腺がんのうちの1種または複数である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
治療用活性化髄浸潤リンパ球で、前立腺がんを有する対象を治療する方法であって、
(a)前立腺がんを有する対象から得た骨髄サンプルを、抗CD3/抗CD28ビーズと共に約1%〜約2%の酸素の低酸素環境中で約2〜約5日間培養して、低酸素活性化髄浸潤リンパ球を生成するステップと、
(b)低酸素活性化髄浸潤リンパ球を、約21%の酸素の正常酸素環境中、IL−2の存在下で約2日間〜約12日間培養して、治療用活性化髄浸潤リンパ球を生成するステップと、
(c)治療用活性化髄浸潤リンパ球を、前立腺がんを有する対象に投与するステップと
を含む、方法。
【請求項17】
対象における前立腺がんを治療する方法であって、前立腺がん特異的髄浸潤リンパ球を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、方法。
【請求項18】
前立腺がん特異的髄浸潤リンパ球が、前立腺がんを有する対象から得られる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前立腺がん特異的髄浸潤リンパ球が、治療されている対象にとって自己由来である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前立腺がん特異的髄浸潤リンパ球が、治療されている対象にとって同種異系である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
髄浸潤リンパ球が低酸素活性化されている、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
髄浸潤リンパ球が低酸素活性化されかつ正常酸素活性化されている、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
医薬組成物が、非経口投与、腹腔内投与または筋肉内投与によって投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
医薬組成物が、対象の前立腺内へ直接投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
対象に投与される髄浸潤リンパ球のうちの約75%〜約100%が、CD3を発現する、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
対象に投与される髄浸潤リンパ球のうちの約80%〜約100%が、CD3を発現する、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
対象に投与される髄浸潤リンパ球のうちの約85%〜約100%が、CD3を発現する、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
対象に投与される髄浸潤リンパ球のうちの約90%〜約100%が、CD3を発現する、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
対象に投与される組成物またはMIL中に存在するCD4+:CD8+T細胞の比が、約2:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前立腺がんを有する患者から単離した低酸素活性化髄浸潤リンパ球の集団を含む組成物であって、低酸素活性化髄浸潤リンパ球の集団のうちの約75%〜約100%が、CD3を発現する、組成物。
【請求項31】
低酸素活性化髄浸潤リンパ球の集団のうちの約80%〜約100%が、CD3を発現する、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
低酸素活性化髄浸潤リンパ球の集団のうちの約85%〜約100%が、CD3を発現する、請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
低酸素活性化髄浸潤リンパ球の集団のうちの約90%〜約100%が、CD3を発現する、請求項30に記載の組成物。
【請求項34】
組成物中に存在するCD4+:CD8+T細胞の比が、約2:1である、請求項30に記載の組成物。
【請求項35】
細胞集団が、
(a)骨髄サンプルを、抗CD3抗体および抗CD28抗体と共に約1%〜約3%の酸素の低酸素環境中で培養して、活性化髄浸潤リンパ球を生成するステップと、
(b)活性化髄浸潤リンパ球を、正常酸素環境中、IL−2の存在下で培養して、組成物を生成するステップと
によって、前立腺がんを有する対象から得た骨髄サンプルから得ることが可能である、請求項30に記載の組成物。
【請求項36】
MILが、前立腺がん特異的である、請求項30に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、35 U.S.C.§119(e)の下、2018年3月22日に出願された米国特許仮出願第62/646649号に対する優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は、一般に、前立腺がんの治療に特異的な髄浸潤リンパ球(MIL)およびその使用の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
前立腺がんは、最も一般に診断されるがんの1種であり、がん関連死の主要な原因であり、新しい療法が臨床的に優先なままである。転移性前立腺がんは、自己由来細胞免疫療法に対して感受性であり得る。mPCaを有する患者のためのシプロイセルT、自己由来細胞療法は、第III相治験において、総体的な生存率を高めた。PSMAおよびPSCAにおいて対象とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法が、前立腺がんにおいて現在開発されている。前途有望ではあるが、これらの療法の総体的な効能および実現可能性は未知のままである。
髄浸潤リンパ球(MIL)は、骨髄T細胞を活性化させ増殖させる製品である。骨髄は、抗原経験のセントラルメモリーT細胞のために富化されている免疫系における特殊化されたニッチである。MILは、複数の骨髄腫を有する患者において、免疫的に測定可能な臨床的有益性を授けることが示されてきた(米国特許第9687510号を参照されたい)。骨髄微環境はまた、乳がん、膵臓がんおよび卵巣がんなどの固形腫瘍を有する患者において、腫瘍抗原特異的T細胞を収集するとも示されてきた。したがって、必要なものは、がん療法における使用のための前立腺がん特異的MILである。
【発明の概要】
【0003】
本明細書で開示されるのは、髄浸潤リンパ球で、前立腺がんを有する対象を治療する方法であって、該方法は、(a)前立腺がんを有する対象から得た骨髄サンプルを、抗CD3抗体および抗CD28抗体と共に低酸素環境中で培養して、低酸素活性化髄浸潤リンパ球を生成するステップと、(b)低酸素活性化髄浸潤リンパ球を正常酸素環境中で培養して、治療用活性化髄浸潤リンパ球を生成するステップと、(c)治療用活性化髄浸潤リンパ球を、前立腺がんを有する対象に投与するステップとを含む。
本明細書でまた開示されるのは、低酸素環境が、約0%〜約5%の酸素の酸素含有率を有する、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、リンパ球が、IL−2の存在下で培養される、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、低酸素活性化髄浸潤リンパ球を正常酸素環境中で培養することが、IL−2の存在下で実施される、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、骨髄サンプルが、低酸素環境中で約24時間培養される、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、骨髄サンプルが、低酸素環境中で約2日間培養される、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、骨髄サンプルが、低酸素環境中で約3日間培養される、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、骨髄サンプルが、低酸素環境中で約2日間〜約5日間培養される、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、低酸素環境が、約1%〜約2%の酸素である、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、低酸素活性化髄浸潤リンパ球が、正常酸素環境中で約2日間〜約12日間培養される、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、低酸素活性化髄浸潤リンパ球が、正常酸素環境中で約6日間培養される、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、低酸素活性化髄浸潤リンパ球が、正常酸素環境中で約9日間培養される、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、ステップ(a)の前に、がんを有する対象から骨髄サンプルを取り出すステップを更に含む、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、抗CD3抗体および抗CD28抗体が、ビーズ上に結合されている、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、前立腺がんが、腺房腺がん、管状腺がん、去勢抵抗性、移行上皮がん、扁平上皮がんまたは小細胞前立腺がんのうちの1種または複数である、上に記載した方法の一実施形態である。
【0004】
本明細書でまた開示されるのは、治療用活性化髄浸潤リンパ球で、前立腺がんを有する対象を治療する方法であって、(a)前立腺がんを有する対象から得た骨髄サンプルを、抗CD3/抗CD28ビーズと共に約1%〜約2%酸素の低酸素環境中、約2日間〜約5日間培養して、低酸素活性化髄浸潤リンパ球を生成するステップと、(b)低酸素活性化髄浸潤リンパ球を、約21%の酸素の正常酸素環境中、IL−2の存在下で約2日間〜約12日間培養して、治療用活性化髄浸潤リンパ球を生成するステップと、(c)治療用活性化髄浸潤リンパ球を、前立腺がんを有する対象に投与するステップとを含む、方法である。
本明細書でまた開示されるのは、前立腺がん特異的髄浸潤リンパ球を含む医薬組成物を、対象に投与することを含む、対象における前立腺がんを治療する方法である。
本明細書でまた開示されるのは、前立腺がん特異的髄浸潤リンパ球が、前立腺がんを有する対象から得られる、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、前立腺がん特異的髄浸潤リンパ球が、治療されている対象にとって自己由来である、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、前立腺がん特異的髄浸潤リンパ球が、治療されている対象にとって同種異系である、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、髄浸潤リンパ球が低酸素活性化されている、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、髄浸潤リンパ球が低酸素活性化されかつ正常酸素活性化されている、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、医薬組成物が、非経口投与、腹腔内投与または筋肉内投与によって投与される、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、医薬組成物が、対象の前立腺内へ直接投与される、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、対象に投与される髄浸潤リンパ球のうちの約75%〜約100%が、CD3を発現する、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、対象に投与される髄浸潤リンパ球のうちの約80%〜約100%が、CD3を発現する、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、対象に投与される髄浸潤リンパ球のうちの約85%〜約100%が、CD3を発現する、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、対象に投与される髄浸潤リンパ球のうちの約90%〜約100%が、CD3を発現する、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、対象に投与される、組成物中にまたはMIL中に存在するCD4+:CD8+T細胞の比が、約2:1である、上に記載した方法の一実施形態である。
また開示されるのは、低酸素活性化髄浸潤リンパ球の集団のうちの約75%〜約100%が、CD3を発現する、前立腺がんを有する患者から単離した低酸素活性化髄浸潤リンパ球の集団を含む組成物である。
本明細書でまた開示されるのは、低酸素活性化髄浸潤リンパ球の集団のうちの約80%〜約100%が、CD3を発現する、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、低酸素活性化髄浸潤リンパ球の集団のうちの約85%〜約100%が、CD3を発現する、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、低酸素活性化髄浸潤リンパ球の集団のうちの約90%〜約100%が、CD3を発現する、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、組成物中に存在するCD4+:CD8+T細胞の比が、約2:1である、上に記載した方法の一実施形態である。
【0005】
本明細書でまた開示されるのは、細胞集団が、(a)抗CD3抗体および抗CD28抗体を有する骨髄サンプルを、約1%〜約3%の酸素の低酸素環境中で培養して、活性化髄浸潤リンパ球を生成するステップと、(b)活性化髄浸潤リンパ球を、正常酸素環境中で、IL−2の存在下で培養して、組成物を生成するステップとによって、前立腺がんを有する対象から得る骨髄サンプルから得ることが可能である、上に記載した方法の一実施形態である。
本明細書でまた開示されるのは、MILが、前立腺がん特異的である、上に記載した方法の一実施形態である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】転移性前立腺がん患者の骨髄からのMILの首尾よい増殖を示すグラフである。各患者の骨髄標本についての、収集した細胞#/出発細胞数として表される増殖倍率を示す。
図2】増殖前および増殖後の、10人の転移性前立腺がん患者の骨髄標本のそれぞれにおける、各T細胞マーカーについて陽性に着色する細胞の百分率のグラフを示す。
図3】腫瘍特異的T細胞の定量化を示す。自己由来の抗原提示細胞(APCs)を、前立腺がん細胞株からのライセートでパルスし、CFSE標識MILまたはPBLと共培養した。
図4】増殖したMILまたはPBLにおける、腫瘍特異的T細胞の定量化の1人の患者についての代表的な結果を示す。
図5】増殖したMILのそれぞれについての、腫瘍細胞ライセートの組み合わせのそれぞれに対して測定したIFNγ生成CFSE−lo CD3+T細胞の百分率を示す。
図6】増殖させたPBLのそれぞれについての腫瘍細胞ライセートの組み合わせのそれぞれに対して測定したIFNγ生成CFSE−lo CD3+T細胞の百分率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で使用される場合、かつ別段の指定がない限り、用語「約」は、それが修飾する値の±5%を意味すると意図される。そのため、約100は、95〜105を意味する。加えて、用語「約」は、一連の用語、例えば「約1、2、3、4または5」における用語を修飾し、用語「約」が、列挙の構成要素のそれぞれを修飾し、例えば「約1、2、3、4または5」が、「約1、約2、約3、約4または約5」を意味すると理解され得ることが理解されるべきである。同じことが、用語「少なくとも」または他の定量化修飾語によって修飾される列挙にも該当し、例えば「未満」、「超」などであるがこれらに限定されない。
本明細書および添付の請求項の範囲中で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに別のことを示していない限り、複数の参照物も含む。
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprising)」(ならびに含む(comprising)の任意の形態、例えば「含む(comprise)」、「含む(comprises)」および「構成する(comprised)」)、「有する(having)」(ならびに有する(having)の任意の形態、例えば「有する(have)」および「有する(has)」)、「含む(including)」(ならびに含む(including)の任意の形態、例えば「含む(includes)」および「含む(include)」)、または「含有する(containing)」(ならびに含有する(containing)の任意の形態、例えば「含有する(contains)」および「含有する(contain)」)は、包括的であり、またはオープンエンドであり、追加の、引用されていない要素または方法ステップを排除しない。用語「含む(comprising)」を引用する任意の組成物または方法はまた、引用された成分または要素を構成する、からなる、または本質的になる、といった組成物もまた説明するとも理解されるべきである。
【0008】
本明細書で使用される場合、用語「治療する」、「治療される」または「治療されている」は、目的が、望ましくない生理学的症状、障害または疾患の速度を落とす(低減する)ことである療法的治療と、または有益なもしくは所望の臨床的結果を得ることとの両方を意味する。本明細書に記載されている実施形態の目的のために、有益なまたは所望の臨床的結果としては、徴候の緩和;症状、障害または疾患の程度の減少;症状、障害または疾患の安定化された(すなわち悪化していない)状態;症状、障害または疾患の進行の開始を遅らせることまたは遅くすること;検出可能であれ検出不能であれ、症状、障害または疾患の状態の寛解または鎮静(部分的であれ全体的であれ);必ずしも患者によって認識され得ない少なくとも1種の測定可能な物理的パラメータの寛解;または症状、障害または疾患の改良または改善が挙げられるがこれらに限定されない。そのため、「がんの治療」または「がんを治療する」は、がんに伴う一次的現象もしくは二次的徴候のうちの任意のもの、または本明細書に記載されている任意の他の症状を、緩和するまたは寛解する作用を意味する。いくつかの実施形態では、治療されているがんは、本明細書に引用されているがんの1種である。
【0009】
本明細書で使用される場合、用語「対象」は、用語「患者」と互換的に使用され得る。対象は、哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、サル、ウマ、ウシなどであり得る。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、前立腺がんを診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、前立腺がんを有すると確信されている。いくつかの実施形態では、対象は、前立腺がんを有すると疑われている。
本明細書で使用される場合、用語「発現する」はまた、それが例えばCD3、CD4およびCD8であるがこれらに限定されない細胞表面受容体を指す場合、細胞がそのマーカーに陽性であるとも称され得る。例えば、CD3を発現する細胞はまた、CD3陽性(CD3+)とも称され得る。
【0010】
用語「がん」は、本明細書で使用される場合、異常型細胞の急速で制御不能な増殖によって特徴づけられる疾患と定義される。がん細胞は、局所的にまたは血流およびリンパ球系を通じて体の他の部分へ拡大し得る。用語「前立腺がん」は、本明細書で使用される場合、前立腺を起源とするがん、または前立腺における、もしくは前立腺内にあるがんと定義される。いくつかの実施形態では、前立腺がんは、腺房腺がん、管状腺がん、去勢抵抗性、移行上皮がん、扁平上皮がんまたは小細胞前立腺がんのうちの1種または複数である。
「有効量」または「治療有効量」は、本明細書では互換的に使用され、本明細書に記載されている化合物、配合物、材料または組成物の、特定の生物学的結果を達成するのに有効な量を指す。このような結果としては、当技術分野において好適な任意の手段により決定されるウイルス感染の阻害が挙げられるがこれらに限定されない場合がある。
【0011】
本明細書で使用される場合、「髄浸潤リンパ球」または「MIL」は、免疫細胞の亜集団であり、例えば米国特許第9687510号に記載されており、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。MILは、末梢血リンパ球(PBL)とは著しく異なる。例えば、MILは、PBLよりも、より容易に増殖され、より大きい程度まで活性化マーカーを上昇制御し、より多くの非対称なVβレパートリーを維持し、骨髄に輸送され、最も重要なことに、有意により大きい腫瘍特異性を有する。いくつかの実施形態では、MILは、例えば、本明細書に記載されている通り、MILを、抗CD3/抗CD28ビーズと共に、かつ低酸素環境下でインキュベートすることによって活性化され得る。いくつかの実施形態では、低酸素環境下で成長するMILはまた、米国特許第9687510号および国際公開第2016/037054号にも記載されており、その両方が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0012】
多発性骨髄腫などの非固形腫瘍タイプのがんにおいてMILを使用する従来の方法と比べて、固形腫瘍のがんを治療する上でのMILの使用は、異なった別個のパラダイムを要する。多くの腫瘍が、T細胞媒介腫瘍特異的免疫を逸脱させるために、腫瘍細胞および他の細胞におけるPD−L1の上昇制御を通じてPD−1/PD−L1経路を利用することが知られる。PD−1とPD−L1との間の相互作用を阻害すると、この免疫抑制シグナルが減少し、腫瘍特異的細胞毒性T細胞が腫瘍細胞にアクセスして死滅させることを可能にする。
【0013】
MIL(商標)は、養子免疫細胞療法の他の2つの形態とは別個である。表1は、MIL(商標)の重要な特性を、キメラ抗原受容体(CAR−T)および遺伝子操作したT細胞受容体(eTCR)細胞療法と比較している。最も重要なのは、CAR−TおよびeTCR細胞療法の効能が、腫瘍細胞における同族の抗原の会合;腫瘍がCAR−TまたはeTCR療法を無効にすることによるその抗原の選択的編集または削除に依存していることである。対照的に、MIL(商標)のポリクローナル認識は、疾患再発の機序としての抗原逸脱損失腫瘍バリアントの産生のリスクを最小にすべきである。
【表1】
【0014】
いくつかの実施形態では、MILを調製する方法は、対象からの、骨髄、リンパ球および/または髄浸潤リンパ球から細胞を取り出すことと、該細胞を低酸素環境中でインキュベートし、それによって活性化MILを生成することとを含み得る。いくつかの実施形態では、対象は、前立腺がんを有する。細胞はまた、本明細書に記載されている抗CD3/抗CD28抗体およびサイトカインの存在下で活性化され得る。
【0015】
回収された骨髄は、凍結されてもよく、または例えば腫瘍特異的MILを創製するために直ちに使用されてもよい。骨髄が凍結される場合、それは、好ましくはインキュベーション前に解凍される。骨髄は、当業者に既知の方法を通じてMILを精製するために処理されてもよい。MILは、例えばビーズで、例えば抗CD4/CD28ビーズで活性化され得る。溶液中の、ビーズの、細胞に対する比は多様であってもよく、いくつかの実施形態では、比は3:1である。同様に、MILは、1種または複数の抗体、抗原および/またはサイトカインの存在下で、例えば抗CD3/CD28ビーズの不在下で、増殖され得る。回収された骨髄の細胞カウント数は、例えば、MILに添加されることになるビーズ、抗体、抗原および/またはサイトカインの量を調整するように決定され得る。いくつかの実施形態では、MILは、細胞を回収するように特に設計されたビーズを使用して捕捉される。
【0016】
回収されたMILは、最初の期間、低酸素環境中で成長され得る。低酸素環境は、約7%未満の酸素、例えば約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満の酸素を含んでもよい。例えば、低酸素環境は、約0%の酸素〜約7%の酸素、0%の酸素〜約6%の酸素、例えば約0%の酸素〜約5%の酸素、約0%の酸素〜約4%の酸素、約0%の酸素〜約3%の酸素、約0%の酸素〜約2%の酸素、約0%の酸素〜約1%の酸素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、低酸素環境は、約1%〜約5%の酸素を含む。いくつかの実施形態では、低酸素環境は、約1%〜約2%の酸素である。いくつかの実施形態では、低酸素環境は、約0.5%〜約1.5%の酸素である。いくつかの実施形態では、低酸素環境は、約0.5%〜約2%の酸素である。低酸素環境は、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%または約0%の酸素、およびこれらの量の間にあるこれらの任意の分数を含んでもよい。
【0017】
MILを低酸素環境中でインキュベートすることは、例えば、組織培養培地中で、少なくとも約1時間、例えば少なくとも約12時間、18時間、24時間、30時間、36時間、42時間、48時間、60時間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または更には少なくとも約14日間、MILをインキュベートすることを含んでもよい。インキュベートすることは、約1時間〜約30日間、例えば約1日〜約20日間、約1日〜約14日間、または約1日〜約12日間、MILをインキュベートすることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、MILを低酸素環境中でインキュベートすることは、約2日〜約5日間、MILを低酸素環境中でインキュベートすることを含む。方法は、約1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間または14日間、MILを低酸素環境中でインキュベートすることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、方法は、約3日間、MILを低酸素環境中でインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、方法は、約2日間〜約4日間、MILを低酸素環境中でインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、方法は、約3日間〜約4日間、MILを低酸素環境中でインキュベートすることを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、低酸素活性化MILは、次いで正常酸素環境中で培養されて、治療用活性化髄浸潤リンパ球を生成する。いくつかの実施形態では、正常酸素環境は、少なくとも約7%の酸素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、正常酸素環境は、例えば約8%の酸素〜約30%の酸素、10%の酸素〜約30%の酸素、約15%の酸素〜約25%の酸素、約18%の酸素〜約24%の酸素、約19%の酸素〜約23%の酸素、または約20%の酸素〜約22%の酸素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、正常酸素環境は約21%の酸素を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、MILは、IL−2または他のサイトカインの存在下で培養される。いくつかの実施形態では、MILは、正常酸素環境中、IL−2の存在下で培養される。いくつかの実施形態では、他のサイトカインは、IL−7、IL−15、IL−9、IL−21、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、MILは、1種または複数のサイトカイン、例えばIL−2、IL−7および/もしくはIL−15、またはそれらの任意の好適な組み合わせを含む細胞培養培地中で培養され得る。各サイトカインの好適な濃度、またはサイトカインの総濃度の例示的な例としては、約25IU/mL、約50IU/mL、約75IU/mL、約100IU/mL、約125IU/mL、約150IU/mL、約175IU/mL、約200IU/mL、約250IU/mL、約300IU/mL、約350IU/mL、約400IU/mL、約450IU/mLもしくは約500IU/mL、またはそれらのサイトカインの任意の介入量が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、細胞は、IL−2、IL−1および/もしくはIL−15、またはこれらの任意の組み合わせの、それぞれのまたは総てのうちの約100IU/mL中で培養される。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、IL−2、IL−1および/もしくはIL−15、またはそれらの任意の組み合わせの、それぞれのまたは総てのうちの約250IU/mLを含む。
【0020】
正常酸素環境中でMILをインキュベートすることは、少なくとも約1時間、例えば少なくとも約12時間、18時間、24時間、30時間、36時間、42時間、48時間、60時間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または更には少なくとも14日間、MILをインキュベートすることを含んでもよい。インキュベートすることは、約1時間〜約30日間、例えば約1日〜約20日間、約1日〜約14日間、約1日〜約12日間、または約2日間〜約12日間、MILをインキュベートすることを含んでもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、MILは、本明細書に記載されている通り、骨髄サンプルを対象から抽出して、細胞を培養する/インキュベートすることによって得られる。いくつかの実施形態では、骨髄サンプルは、赤血球細胞を取り出すために遠心分離される。いくつかの実施形態では、骨髄サンプルは、アフェレーシスに供されない。いくつかの実施形態では、骨髄サンプルは末梢血リンパ球(「PBL」)を含まないか、または骨髄サンプルはPBLを実質的に含まない。これらの方法は、TILとして知られるようになったものと同一ではない細胞を選び出す。そのため、MILはTILではない。TILは、当業者に既知の方法によって選択され得、TILが、本明細書に記載されているキメラ膜貫通型タンパク質を発現できるように、本明細書に記載されている核酸分子で形質移入され得るまたは感染され得る。いくつかの実施形態では、骨髄サンプルは、MILの総計と比較して10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満のPBLを含有する。いくつかの実施形態では、サンプルはPBLを含まない。
【0022】
いくつかの実施形態では、細胞はまた、CD3およびCD28に対する抗体と共に培養することによっても活性化される。これは、例えば、細胞を、市販されているまたは当業者によって作製され得る抗CD3/抗CD28ビーズと共にインキュベートすることによって実施され得る。次いで、細胞は、プレート、フラスコまたはバッグ中に載置され得る。低酸素条件は、低酸素チャンバまたは細胞培養バッグのいずれかを、95%窒素と5%CO2ガスとの混合物で3分間フラッシングすることによって達成され得る。これは、例えば、レセプタクル中の1〜2%以下のO2ガスへと至らせ得る。このようなビーズおよび刺激方法の例は、例えば米国特許第6352694号、第6534055号、第6692964号、第6797514号、第6867041号、第6905874号において見出すことができ、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ビーズの代替物は、操作された細胞、例えばMILを刺激するために使用され得るK562細胞である。このような方法は、例えば米国特許第8637307号および第7638325号に見出すことができ、これらのそれぞれは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。細胞はまた、他の方法を用いて刺激することもでき、例えば米国特許第8383099号に記載されている方法であり、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、活性化MILおよび/または治療用活性化MILは、前立腺がんを有するまたは有すると疑われる対象に投与される。いくつかの実施形態では、低酸素活性化MILおよび/または治療用活性化MILは、前立腺がんを有するまたは有すると疑われる対象からの骨髄から生成され、次いで前立腺がんを治療するために同一の対象に投与する。いくつかの実施形態では、MILは、対象にとって同種異系である。
【0023】
いくつかの実施形態では、MILは、医薬調製物または医薬組成物において投与され得る。前立腺がん特異的MILを含む医薬組成物は、更に、緩衝剤、例えば中性緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水など;炭水化物、例えばグルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトール;タンパク質;ポリペプチドまたはアミノ酸、例えばグリセリン;抗酸化剤;キレート剤、例えばEDTAまたはグルタチオン;補助剤(例えば水酸化アルミニウム);および保存料を含んでもよい。組成物は、非経口投与、例えば血管内(静脈内もしくは動脈内)、腹腔内投与または筋肉内投与用に配合され得る。いくつかの実施形態では、MILおよび/または組成物は、非経口投与、例えば血管内(静脈内もしくは動脈内)、腹腔内投与または筋肉内投与によって投与される。組成物はまた、前立腺内に直接投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、静脈内に投与される。
【0024】
いくつかの実施形態では、組成物は、それらが溶液であれ懸濁液であれ他の同様の形態であれ、以下のうちの1種または複数を含んでもよい:DMSO、滅菌希釈剤、例えば注射用水、生理食塩水溶液、好ましくは生理食塩水、リンゲル溶液、等張性炭化ナトリウム、不揮発油、例えば溶媒もしくは懸濁用培地として役立ち得る合成モノグリセリドもしくはジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒;抗細菌剤、例えばベンジルアルコールもしくはメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸もしくは重亜硫酸ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸:緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩もしくはリン酸塩、ならびに張性調節用の作用剤、例えば塩化ナトリウムもしくはデキストロース。
【0025】
いくつかの実施形態では、対象は、フルダラビンありでまたはなしで、シクロホスファミドで予備条件付けされ得る。1つのこのような例は、米国特許第9855298号において提供され、これは参照により本明細書に組み込まれる。別の非限定的例は、フルダラビン(静脈内に1日30mg/m2を4日間)およびシクロホスファミド(フルダラビンの最初の投与と共に静脈内に1日500mg/m2を2日間)を投与することである。投与後、フルダラビン完了後2日〜14日にMILが投与され得る。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドが、約500〜約600mg/m2の用量で2日間〜3日間投与される。
いくつかの実施形態では、投与される組成物は、本明細書で提供されている前立腺がん特異的MILを含む。このようなMILの組成物もまた、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、前立腺がん特異的MILは、低酸素活性化されている。いくつかの実施形態では、前立腺がん特異的MILは、低酸素活性化/正常酸素活性化MILである。前立腺がん特異的MILは、対象において前立腺がんを特異的に標的とすることができるMILである。
【0026】
いくつかの実施形態では、組成物は、CD3陽性である前立腺がん特異的MILの集団を含む。いくつかの実施形態では、MILのうちの少なくとも約または少なくとも40%がCD3陽性である。いくつかの実施形態では、MILのうちの約または少なくとも45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%または89%がCD3陽性である。いくつかの実施形態では、MILのうちの少なくともまたは約80%がCD3陽性である。いくつかの実施形態では、MILのうちの約40%〜約100%がCD3陽性である。いくつかの実施形態では、MILのうちの約45%〜約100%、約50%〜約100%、約55%〜約100%、約60%〜約100%、約65%〜約100%、約70%〜約100%、約75%〜約100%、約80%〜約100%、約85%〜約100%、約86%〜約100%、約87%〜約100%、約88%〜約100%、または約90%〜約100%がCD3陽性である(CD3を発現する)。
いくつかの実施形態では、組成物は、CD3を発現しないMILの集団か、または例えばCD3を発現するMILの集団からのMILの発現レベルに対して低いレベルのCD3を発現するMILの集団かのいずれかを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、組成物は、インターフェロンガンマ(「IFNγ」)を発現するMILの集団を含み、すなわち、IFNγを発現するMILの集団中の各細胞は、例えばフローサイトメトリーで検出して、IFNγを発現する髄浸潤リンパ球である。例えば、組成物中の細胞のうちの少なくとも2%は、IFNγを発現するMILであってもよく、またはIFNγを発現するMILのうちの少なくとも約2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、または更には少なくとも約18%である。いくつかの実施形態では、IFNγを発現するMILのうちの約2%〜約100%、例えばMILのうちの約2%〜約100%、約3%〜約100%、約4%〜約100%、約5%〜約100%、約6%〜約100%、約7%〜約100%、約8%〜約100%、約9%〜約100%、約10%〜約100%、約11%〜約100%、約12%〜約100%、約13%〜約100%、約14%〜約100%、約15%〜約100%、約16%〜約100%、約17%〜約100%、または更には約18%〜約100%である。いくつかの実施形態では、組成物は、例えばフローサイトメトリーで検出して、IFNγを発現しないMILの集団か、または、すなわちIFNγを発現するMILの集団からのMILの発現レベルに対して低いレベルのIFNγを発現するMILの集団かのいずれかを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、組成物は、CXCR4を発現するMILの集団を含む。例えば、CXCR4を発現するMILのうちの少なくとも約98%、例えばMILのうちの少なくとも約98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、または更には約99.7%である。いくつかの実施形態では、約98%〜約100%が、CXCR4を発現するMILであってもよく、例えば組成物中のMILのうちの少なくとも約98.1%〜約100%、約98.2%〜約100%、約98.3%〜約100%、約98.4%〜約100%、約98.5%〜約100%、約98.6%〜約100%、約98.7%〜約100%、約98.8%〜約100%、約98.9%〜約100%、約99.0%〜約100%、約99.1%〜約100%、約99.2%〜約100%、約99.3%〜約100%、約99.4%〜約100%、約99.5%〜約100%、約99.6%〜約100%、または更には約99.7%〜約100%である。いくつかの実施形態では、組成物は、例えばフローサイトメトリーで検出して、CXCR4を発現しないMILの集団か、または、すなわちCXCR4を発現するMILの集団からのMILの発現レベルに対して低いレベルのCXCR4を発現するMILの集団かのいずれかを含む。
【0029】
CD4を発現するMILの集団は、4−1BBを発現する複数のMILを含んでもよい。例えば、組成物中の細胞のうちの少なくとも約21%が、4−1BBを発現する複数のMILからのMILであってもよく、例えば組成物中の細胞のうちの少なくとも約22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、または更には少なくとも約43%である。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞のうちの約21%〜約100%が、4−1BBを発現する複数のMILからのMILであってもよく、例えば組成物中の細胞のうちの約22%〜約100、約23%〜約100%、約24%〜約100%、約25%〜約100%、約26%〜約100%、約27%〜約100%、約28%〜約100%、約29%〜約100%、約30%〜約100%、約31%〜約100%、約32%〜約100%、約33%〜約100%、約34%〜約100%、約35%〜約100%、約36%〜約100%、約37%〜約100%、約38%〜約100%、約39%〜約100%、約40%〜約100%、約41%〜約100%、約42%〜約100%、または更には約43%〜約100%である。
組成物は、CD8を発現するMILの集団を含んでもよい。CD8を発現するMILの集団は、CXCR4を発現する複数のMILを含んでもよい。
【0030】
CD8を発現するMILの集団は、4−1BBを発現する複数のMILを含んでもよい。例えば、組成物中の細胞のうちの少なくとも約21%が、4−1BBを発現する複数のMILからのMILであってもよく、例えば組成物中の細胞のうちの少なくとも約8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、または更には少なくとも約21%である。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞のうちの約2%〜約100%が、4−1BBを発現する複数のMILからのMILであってもよく、例えば組成物中の細胞のうちの約8%〜約100%、約9%〜約100%、約10%〜約100%、約11%〜約100%、約12%〜約100%、約13%〜約100%、約14%〜約100%、約15%〜約100%、約16%〜約100%、約17%〜約100%、約18%〜約100%、約19%〜約100%、約20%〜約100%、または更には約21%〜約100%である。
【0031】
いくつかの実施形態では、組成物は、4−1BBを発現するMILの集団を含む。例えば、組成物中の細胞のうちの少なくとも約21%が、4−1BBを発現するMILの集団からのMILであってもよく、例えば組成物中の細胞のうちの少なくとも約22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、または更には少なくとも約43%である。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞のうちの約21%〜100%が、4−1BBを発現するMILの集団からのMILであってもよく、例えば組成物中の細胞のうちの約22%〜約100%、約23%〜約100%、約24%〜約100%、約25%〜約100%、約26%〜約100%、約27%〜約100%、約28%〜約100%、約29%〜約100%、約30%〜約100%、約31%〜約100%、約32%〜約100%、約33%〜約100%、約34%〜約100%、約35%〜約100%、約36%〜約100%、約37%〜約100%、約38%〜約100%、約39%〜約100%、約40%〜約100%、約41%〜約100%、約42%〜約100%、または更には約43%〜約100%である。いくつかの実施形態では、組成物は、例えばフローサイトメトリーで検出して、4−1BBを発現しないMILの集団か、または、すなわち4−1BBを発現するMILの集団からのMILの発現レベルに対して低いレベルの4−1BBを発現するMILの集団かのいずれかを含む。
いくつかの実施形態では、組成物は、CD4を発現するMILを含む。
いくつかの実施形態では、組成物は、CD8を発現するMILを含む。
いくつかの実施形態では、組成物は、CD4を発現するMILを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、CD8を発現するMILを含む。いくつかの実施形態では、組成物中に存在するCD4+:CD8+MILの比は、約2:1である。
組成物は、CD8を発現するMILの集団を含んでもよい。CD8を発現するMILの集団は、CXCR4を発現する複数のMILを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、組成物は、CD4を発現するMILの集団を含む。CD4を発現するMILの集団は、CXCR4を発現する複数のMILを含んでもよい。
【0032】
MILは、単独でまたは互いの組み合わせで、本明細書に記載されている異なる因子または表面受容体を発現することができる。そのため、例えば、MILは、CD3+、CD4+およびCD8+であり得る。このような細胞はまたIFNγを発現することもできる。細胞はまた、本明細書で提供されている多様な因子または受容体について陽性でも陰性でもあり得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、対象における前立腺がんを予防するまたは治療する方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、例えば本明細書で提供される前立腺がん特異的MILであるがこれに限定されない、本明細書に記載されている組成物のうちの1種を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書で提供されている通り、投与される。いくつかの実施形態では、方法は、治療有効量の、本明細書に記載されている組成物のうちの任意の1種を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、治療有効量の前立腺がん特異的MILを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、MILは活性化されている。いくつかの実施形態では、MILは、本明細書に記載されている通り、かつ本明細書に参照されている通り、低酸素活性化されている。いくつかの実施形態では、MILは、本明細書に記載されている通り、かつ本明細書に参照されている通り、低酸素条件下で培養され、続いて正常酸素条件により培養される。いくつかの実施形態では、MILは、前立腺がんを有する対象から得た骨髄サンプルから得られるまたは抽出される。いくつかの実施形態では、MILは、治療されている対象にとって同種異系である。いくつかの実施形態では、方法は、対象からの骨髄サンプルを、抗CD3抗体および抗CD28抗体と共に約1%〜約3%の酸素の低酸素環境中で培養して、活性化髄浸潤リンパ球を生成するステップと、(b)活性化髄浸潤リンパ球を、正常酸素環境中、IL−2の存在下で培養して、組成物を生成するステップとを含む。次いで、組成物は、前立腺がんを有する対象に投与され得る。
以下の実施例は、例示的であるが限定的ではない、本明細書に記載されている組成物および方法である。当業者に既知の他の好適な修正および適応は、以下の実施形態の範囲内である。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
前立腺がんを有する対象からのMILの生成
骨髄サンプルを、多様な量の骨髄を包含しているホルモン未経験および去勢抵抗性前立腺がん患者(n=10)から回収した。患者のサブセット(n=4)について、骨髄穿刺時に、適合した末梢血もまた回収した。
MILと末梢血リンパ球(PBL)との両方を、それぞれ患者の骨髄および血液サンプルから、先に記載した方法を用いて、活性化させ増殖させた(それらの両方が参照により組み込まれる米国特許第9687510号および第10172887号を参照されたい)。MILは、10人のmPCa患者から単離した骨髄から、平均315.1倍(範囲29.1〜1625)の増殖倍率を伴って首尾よく増殖させた。各患者の骨髄標本の増殖倍率(収集した細胞#/出発細胞数)を示している。図1を参照されたい。
【0035】
(実施例2)
T細胞表現型マーカーの特性評価
T細胞表現型マーカーCD3、CD4およびCD8を、フローサイトメトリー(FACS)により、増殖前および増殖後に特性評価した。各T細胞マーカーについて陽性に着色した細胞の百分率を、増殖前に(前)および増殖に続いて(後)、10人の転移性前立腺がん患者の骨髄標本のそれぞれについて示す。増殖前に、骨髄T細胞の組成は、21.5%(7.8〜38.0)のCD3+、14.1%(7.5〜26.2)のCD4+、および6.1%(2.3〜11.8)のCD8+であった。活性化および増殖の後、MILは、平均して91.5%(88.6〜95.1)のCD3+であり、CD4+:CD8+T細胞の比は、約2.5:1であった[それぞれ66.4%(37.2〜88.0)対25.7%(11.9〜56.3)]。図2を参照されたい。
【0036】
(実施例3)
増殖したMILおよびPBLにおける腫瘍特異的T細胞の定量化
腫瘍特異的T細胞を、先に記載した機能的アッセイを用いて、増殖したMILおよびPBLにおいて定量化した(Noonan KA、Huff CA、Davis Jら、Sci Transl Med.2015;7(288):288ra78)。簡潔に記すと、実施例1で説明した、得られたMILおよびPBLを、製造業者の推奨に従って、カルボキシフルオレセインジアセテートサクシニミジルエステル(CFSE、Invitrogen)で標識し、37℃で10分間インキュベートし、洗浄した。自己由来の抗原提示細胞(APCs)を、前立腺がん細胞株からのライセートでパルスし、CFSE標識MILまたはPBLで共培養した。骨髄腫細胞株ライセートまたは培地単独でパルスしたAPCsを、負の対照として使用した。5日後、細胞を、抗CD3およびIFNγ(eBioscience)で着色することによって、かつそれらをフローサイトメトリーで分析することによって、腫瘍特異性を決定した。Galliosフローサイトメーター(Beckman Coulter)においてデータを収集し、Kaluzaソフトウェア(Beckman Coulter)で分析した。腫瘍特異的T細胞を、IFNγ生成CFSE−low、CD3+集団として定義した。図3を参照されたい。
【0037】
図4は、1人の患者の代表的な結果を示す。IFNγ生成CFSE−lo CD3+、CD8+およびCD4+T細胞の百分率、続いて細胞ライセートなしで(培地単独)パルスした自己由来の骨髄APCsでの刺激を、負の対照としての多数の骨髄腫ライセートと共に、または試験した前立腺がん細胞株ライセートの4つの異なる組み合わせのうちの2つと共に、患者8人から増殖させた適合したMILおよびPBLについて示す。
図5は、増殖したMILのそれぞれについての腫瘍細胞ライセートの組み合わせのそれぞれに対して測定したIFNγ生成CFSE−lo CD3+T細胞の百分率を示す。前立腺腫瘍特異的T細胞を、増殖したMILの全て(n=9)において検出した。平均して、増殖したMIL中の総T細胞レパートリーのうちの11.1%(1.25〜44)が腫瘍特異的であった。
図6は、増殖したPBLのそれぞれについての腫瘍細胞ライセートの組み合わせのそれぞれに対して測定したIFNγ生成CFSE−lo CD3+T細胞の百分率を示す。対照的に、4人の患者からの増殖させて活性化させた適合したPBLは、測定可能な腫瘍特異的T細胞を明示しなかった。
【0038】
(実施例4)
前立腺がん患者へのMILの投与
MILの投与前に、患者は、5日前から3日前までシクロホスファミド(300mg/m2/日)およびフルダラビン(30mg/m2/日)で、非骨髄破壊的リンパ球欠乏を受けることになる。リンパ球欠乏は、養子免疫T細胞療法の総体的な効能を向上させることが示された。膀胱における任意の出血を最少にするために、2−メルカプトエタンスルホネートナトリウム(MESNA)を必要に応じて使用してもよい。
患者はまた、第1日に(MIL(商標)投与後およそ24時間)、かつ再び3週ごとに投与されるペンブロリズマブ(200mg)を受けてもよい。
患者は、単独でMIL(商標)を投与されてもよい。これらの対象は、MIL(商標)投与後7日間、安全性観察のために、緊密に追跡されることになる。
【0039】
MIL(商標)を、中心静脈カテーテルを介して投与することになり、これは、末梢挿入された中心静脈カテーテル(PICC)株または中心静脈株のいずれかであり得る。活性化したMIL(商標)を投与する前に、対象は、水中5%デキストロースおよび50%の正常な生理食塩水(D5W1/2NS)で、1時間当たりおよそ200mLの速度で少なくとも1時間、水分補給されることになる。MIL(商標)は、ベッド脇で、37℃(±2℃)の水浴中、1個のバッグ当たりおよそ90秒(±30秒)間、解凍され、その後、第0日(+1日)に投与されることになる。各バッグは、蒸気相液体窒素シッパーから、一度に1個取り出し、水浴に入れ、いくらかの氷の小塊が存在するまで揉むことになる。MIL(商標)の各バッグは、1分当たりおよそ10mLの速度で点滴し、生理食塩水で濯ぎ、その後、MIL(商標)の次のバッグを投与することになる。
【0040】
MIL(商標)の点滴に続き、患者は、D5W1/2NSで、1時間につきおよそ200mLの速度で2時間水分補給されることになる。各バッグごとに、解凍の日付および時間、投与の回数、および点滴時間が含まれるがこれらに限定されない投与情報が記録されることになる。全MIL(商標)製品が少なくとも1日、第0日(+1日)に投与されることになるため、用量の修正は適用不能である。
患者における腫瘍量を、既知のアッセイを用いて、前立腺特異的抗原(「PSA」)を測定することによって評価することになる。
【0041】
MILは存在しており、試験した全ての前立腺がん骨髄サンプルから増殖させた。全ての患者からのMILが、機能的に活性な腫瘍特異的T細胞を含有していた。対照的に、対応するPBLは、検出可能な腫瘍特異的免疫認識を一切示すことができなかった。そのため、MILを用いる養子免疫T細胞療法が、本明細書で提供されている実施形態が養子免疫T細胞療法を用いて達成可能であると予期されるまで、前立腺を有するがん患者にとって、驚くべき、かつ実行可能な新規の治療アプローチである。前立腺特異的MILからの結果は驚くべきものであり、予期しないものであった。
【0042】
本記載は、記載されている特定のプロセス、組成物または方法論に限定されず、多様であり得る。本明細書中で用いる用語は、特定のバージョンまたは実施形態を説明する目的のみのためであり、本明細書に記載されている実施形態の範囲を限定することは意図していない。別段の定義がなされていない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的用語は、当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。いくつかの事例では、通常理解されている意味を有する用語が、明解さのためにおよび/または即座の参照のために本明細書で定義されており、本明細書中でのこのような定義の包含は、当技術分野で一般に理解されているものを超えた実質的差異を表すものと必ずしも解釈されるべきでない。しかしながら、争議の事例では、定義を含む本特許明細書が優先される。
【0043】
前述のことから、本開示の多様な実施形態が例示目的で本明細書に記載されてきたこと、および多様な修正が、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなくなされ得ることが認識されることになる。したがって、本明細書に開示されている多様な実施形態は、限定することを意図していない。本明細書に引用されている全ての参照文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図5
図6
【国際調査報告】