特表2021-516846(P2021-516846A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-516846燃料電池、単セル及びセルスタック構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-516846(P2021-516846A)
(43)【公表日】2021年7月8日
(54)【発明の名称】燃料電池、単セル及びセルスタック構造体
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0258 20160101AFI20210611BHJP
   H01M 8/0267 20160101ALI20210611BHJP
   H01M 8/2483 20160101ALI20210611BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20210611BHJP
【FI】
   H01M8/0258
   H01M8/0267
   H01M8/2483
   H01M8/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2020-542265(P2020-542265)
(86)(22)【出願日】2018年1月31日
(85)【翻訳文提出日】2020年8月19日
(86)【国際出願番号】CN2018074657
(87)【国際公開番号】WO2019148338
(87)【国際公開日】20190808
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520285190
【氏名又は名称】シャンハイ サンブリッジ パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン ジエンホワ
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA08
5H126AA23
5H126BB06
5H126EE11
(57)【要約】
本発明は、燃料電池、単セル、及びセルスタック構造体を提供する。単セルは、相対する第1のセパレータ及び第2のセパレータ、並びに第1及び第2のセパレータ間に積層された膜電極接合体を備え、前記単セルは、前記単セルの拡がる面を通り抜けるように、第1のセパレータ、第2のセパレータ、及び膜電極接合体に設けられた複数の燃料流体用開口部、複数の冷却媒体用開口部及び複数の酸化流体用開口部を備え、その中、少なくとも1つの燃料流体用開口部、少なくとも1つの冷却媒体用開口部、及び少なくとも1つの酸化流体用開口部を単セルの中央領域に配置している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単セルの一種であり、相対する第1のセパレータ及び第2のセパレータ、並びに前記第1及び第2のセパレータ間に積層された膜電極接合体を備え、前記単セルは、前記単セルの拡がる面を通り抜けるように、前記第1のセパレータ、前記第2のセパレータ、及び前記膜電極接合体に設けられた複数の燃料流体用開口部、複数の冷却媒体用開口部及び複数の酸化流体用開口部を備え、そのうち、少なくとも1つの燃料流体用開口部、少なくとも1つの冷却媒体用開口部、及び少なくとも1つの酸化流体用開口部を前記単セルの中央領域に配置していることを特徴とする単セル。
【請求項2】
前記複数の燃料流体用開口部、複数の冷却媒体用開口部、及び複数の酸化流体用開口部は、前記単セル全体に周期的に繰り返し又はある程度の変動周期的に繰り返される複数の基本単位により構成されていて、中央領域以外のエッジ領域において、前記基本単位の周期的な繰り返しを終了させるエッジ構造を備えていることを特徴とする請求項1記載の単セル。
【請求項3】
前記複数の燃料流体用開口部、複数の冷却媒体用開口部、及び複数の酸化流体用開口部には、それぞれの供給用開口部と排出用開口部とが備わっていることを特徴とする請求項1記載の単セル。
【請求項4】
前記複数の基本単位は、少なくとも2つの前記燃料流体用開口部と、少なくとも2つの前記冷却媒体用開口部と、少なくとも2つの前記酸化流体用開口部とから構成されていることを特徴とする請求項2記載の単セル。
【請求項5】
前記複数の基本単位は、以下の通り、各種流体の開口部の形状、位置、サイズが同じまたは異なっているか、あるいは、それらの組み合わせが存在し、
前記燃料流体用開口部の同一若しくは異なる形状、位置、サイズ、またはそれらの組み合わせ、
前記冷却媒体用開口部の同一若しくは異なる形状、位置、サイズ、またはそれらの組み合わせ、及び
前記酸化流体用開口部の同一若しくは異なる形状、位置、サイズ、またはそれらの組み合わせ
があることを特徴とする請求項2記載の単セル。
【請求項6】
前記基本単位は、二次元ブラベ格子配列で形成される開口部のパターンの最小繰返し配列周期を有する単位であることを特徴とする請求項2記載の単セル。
【請求項7】
前記単セルは、少なくとも2つの前記燃料流体用開口部と、少なくとも2つの前記冷却媒体用開口部と、少なくとも2つの前記酸化流体用開口部とを備え、それぞれの開口部には、供給用開口部と排出用開口部とが含まれていることを特徴とする請求項4記載の単セル。
【請求項8】
前記単セルは、少なくとも2つの前記燃料流体用開口部には複数の燃料流体用開口部または複数の部分的な燃料流体用開口部を、少なくとも2つの前記冷却媒体用開口部には複数の冷却媒体用開口部または複数の部分的な冷却媒体用開口部を、少なくとも2つの前記酸化流体用開口部には複数の酸化流体用開口部または複数の部分的な酸化流体用開口部を備えることを特徴とする請求項4記載の単セル。
【請求項9】
前記単セルの最小発電体は、約4分の1の燃料流体供給用開口部と、約4分の1の燃料流体排出用開口部と、約4分の1の酸化流体供給用開口部と、約4分の1の酸化流体排出用開口部と、約2分の1の冷却媒体供給用開口部と、約2分の1の冷却媒体排出用開口部とを備えることを特徴とする請求項7記載の単セル。
【請求項10】
前記基本単位と前記最小発電体とは、幾何的に類似していることを特徴とする請求項9記載の単セル。
【請求項11】
前記単セルについて、同一流体の供給用開口部と排出用開口部は互いに補完的な関係で第1列と第2列に配置され、前記第1列には、同一流体の供給用開口部と排出用開口部とが同時に存在せず、前記第2列には、同一流体の供給用開口部と排出用開口部とが同時に存在しないことを特徴とする請求項3または8記載の単セル。
【請求項12】
前記単セルには、供給用開口部のみを含む第1列と、排出用開口部のみを含む第2列とを備え、前記第1列及び前記第2列は、流体の流路方向に交互配列されていることを特徴とする請求項3または8記載の単セル。
【請求項13】
前記単セルの膜電極接合体は、第1のガス拡散層、第1の触媒層、電解質膜、第2の触媒層、及び第2のガス拡散層を備えることを特徴とする請求項1に記載の単セル。
【請求項14】
セルスタック構造体の一種であり、請求項1〜13のいずれか1項に記載の単セルが積層されているセルスタック構造体を備え、
前記複数の単セルの燃料流体用開口部、冷却媒体用開口部、及び酸化流体用開口部がそれぞれ重なることにより、前記セルスタック構造体の中に、それぞれの内部共用マニホールドが形成され、前記内部共用マニホールドは、前記複数の単セルに対して、燃料流体、冷却媒体、及び酸化流体を供給、排出することを特徴とするセルスタック構造体。
【請求項15】
前記内部共用マニホールドは、複数単セル面に対して基本的に垂直であること、及び/または鋭角挟みであることを特徴とする請求項14記載のセルスタック構造体。
【請求項16】
前記セルスタック構造体は、
各単セル内に配置され、燃料流体の流れを提供する第一流路と、
各単セル内に配置され、酸化流体の流れを提供する第二流路と、
隣接単セル間に配置され、冷却媒体の流れを提供する第三流路と、を備え、
前記第一流路、第二流路及び第三流路は、それぞれに対応する内部共用マニホールドに接続され、各単セル内には、前記第一から第三までの流路の流れを制御するシール材が設けられていることを特徴とする請求項14記載のセルスタック構造体。
【請求項17】
前記積層された複数の単セルにおいて、隣接する前記単セル間の回転角度は0度または0度以上であることを特徴とする請求項14記載のセルスタック構造体。
【請求項18】
前記積層された複数の単セルにおいて、燃料流体用開口部の間、冷却媒体用開口部の間、及び酸化流体用開口部の間では、それぞれの開口部が同じ形状とサイズを有し、互いに整合性を得るように直線及び/または曲線上に結合され、前記内部共用マニホールドが形成されることを特徴とする請求項14記載のセルスタック構造体。
【請求項19】
前記積層された複数の単セルにおいて、燃料流体用開口部の間、冷却媒体用開口部の間、及び酸化流体用開口部の間では、それぞれの開口部が互いに若干のずれがある形状とサイズを有し、直線及び/または曲線上に結合され、前記内部共用マニホールドが形成されることを特徴とする請求項14記載のセルスタック構造体。
【請求項20】
燃料電池の一種であり、請求項14〜19のいずれか1項に記載のセルスタック構造体を備えた燃料電池であって、第1のエンドプレート及び第2のエンドプレートを備え、
前記第1のエンドプレート及び第2のエンドプレートは、燃料流体、冷却媒体、または酸化流体を供給、排出するための内部共用マニホールドに対応する外部共用マニホールドを有し、両側から前記セルスタック構造体を挟んでいる燃料電池。
【請求項21】
前記外部共用マニホールドは、外部発電補助システムに接続された複数の第1導管と、前記内部共用マニホールドに接続された複数の第2導管とを含むことを特徴とする請求項20に記載の燃料電池。
【請求項22】
前記外部共用マニホールドは、前記内部共用マニホールドに対応する基本単位を有し、前記基本単位の周期的な繰り返しを終了させるエッジ構造を有することを特徴とする請求項20に記載の燃料電池。
【請求項23】
前記複数の第1導管は、前記開口部が配列された方向に沿って配置され、前記複数の第1導管は互いに平行または準平行に設けられ、互いに接触しないようにすることを特徴とする請求項21に記載の燃料電池。
【請求項24】
前記複数の第2導管は、前記複数の単セルの積層方向に沿って設けられ、前記内部共用マニホールドを延長し、互いに接触しないように設けられていることを特徴とする請求項21に記載の燃料電池。
【請求項25】
前記複数の第1導管及び前記複数の第2導管は、互いに垂直及び/または鋭角挟みに接続されていて、前記複数の第1導管の断面から見て、前記複数の第2導管は、前記複数の第1導管の中央若しくは中央近傍を貫通し、または前記複数の第1導管の端部若しくは端部付近を貫通し、または前記複数の第1導管の中央と端部の間を貫通することを特徴とする請求項21に記載の燃料電池。
【請求項26】
前記セルスタック構造体から最も遠く離れた第1のゾーンから第2のゾーンを経由して、前記セルスタック構造体に最も近い第3のゾーンまで、前記第2導管は、前記単セルの面内における第1の軸の幅サイズがゾーンごとに階段的に広くなり、
冷却媒体の外部発電補助システムに接続する第1導管は、前記第1のゾーンに位置する燃料流体の内部共用マニホールドに接続する第2導管の幅を基準ラインとして設定してセットバックされ、
酸化流体の外部発電補助システムに接続された第1導管は、前記第2のゾーンに位置する冷却媒体の内部共用マニホールドに接続する第2導管の幅を基準ラインとして設定してセットバックされることを特徴とする請求項21に記載の燃料電池。
【請求項27】
前記内部共用マニホールド及び外部共用マニホールドのエッジ構造は、前記開口部の前記単セルの第1の軸展開を終端させるエッジ構造については、端部にある内部共用マニホールド及び外部共用マニホールドの断面積が中間部の内部共用マニホールド及び外部共用マニホールドの断面積の半分または略半分になるよう設け、前記開口部の前記単セルの第2の軸展開を終端させるエッジ構造については、前記第2の軸に燃料流体、冷却媒体及び酸化流体の内部共用マニホールド並びに内部共用マニホールドに接続する導管を備えている基本セグメントに基づいて、前記基本セグメントの整数倍になる区切りを基準に開口部の前記第2の軸への展開を終端させることを特徴とする請求項21に記載の燃料電池。
【請求項28】
前記燃料流体、冷却媒体、及び酸化流体のいずれかの流体の供給用外部共用マニホールド及び排出用外部共用マニホールドは、同一エンドプレートに設けられ、または2つのエンドプレートに別々に設けられていることを特徴とする請求項22に記載の燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高出力密度と高容量な燃料電池の単セル、セルスタック構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、水素と酸素とが電解質を介して化学反応することにより発電する装置であり、環境負荷の低減に寄与すること等から実用化、普及が有望視されている。また、燃料電池は、使用される電解質の種類によって発電温度や特性が異なり、主に電解質に何を用いるかによって分類される。大別すると、固体高分子電解質形(PEFC)、固体酸化物形(SOFC)、リン酸形(PAFC)及び溶融炭酸塩形(MCMF)の4種類がある。
【0003】
例えば、固体高分子型燃料電池(PEFC)には、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の一方の面にアノード電極が、他方の面にカソード電極が、それぞれ配設された電解質膜・膜電極接合体(MEA)が備わっている。MEAは、セパレータによって挟持されることでセルを構成する。PEFCの作動温度は60℃〜90℃と低く、小型化しても出力効率が良いのが特徴であり、燃料電池自動車向けには、主にPEFCの燃料電池が使われている。PEFCの燃料電池は、太陽能電池、遠地アンテナの予備電池、過疎地のドローン機などにも使用されている。
【0004】
プラスとマイナスの電極板が電解質膜をはさむ構造はセルと呼ばれる。セルのプラス極(酸素極)とマイナス極(水素極)には数多くの細い流路があり、この流路を外部源から供給された酸素と水素が電解質膜をはさんで通ることによって反応が起こり、電気が発生する。1組のセルの出力は限られているため、必要な出力が得られるよう、多くのセルを重ねて1つのパッケージにしたものをスタック型燃料電池と呼ぶ。
【0005】
燃料電池には、高出力密度と高容量(高エネルギー密度)とが求められる。つまり、燃料電池を効率よく発電させるためには、燃料電池スタックを構成する個々のセルを効率よく発電させる必要がある。そのためには、各セルへの水素、冷却水、空気等の各種流体の供給が均一になるように設計する必要がある。燃料電池の出力は、膜面積に比例し、その容積には比例しない。スタック型燃料電池の小型高出力化を試みるには、セルの面積(触媒反応面積)を増大させ、セルのピッチを短縮させることが最も有効である。触媒反応面積を増大させることにより、スタックの発電電流を効果的に大きくすることができる。また、ピッチを短縮させることにより、燃料電池の出力密度を高めることができる。
【0006】
しかしながら、セルの面積の増大とピッチの短縮だけでは、水素、冷却水、空気等の各種流体がセルの内面を通過する際の圧力損失が大きくなってしまう。過大な圧力損失は、エネルギーの発電効率の降下につながるため、できるだけ損失を少なくする工夫が必要である。
【0007】
さらに、従来技術では、マニホールドの周辺配置及び各種流体の流れの交差配置により、燃料ガス、冷却媒体または酸化ガスの流れ抵抗が大きくなり、セルの面積を大きくとることができなかった。
【0008】
非特許文献1と特許文献2に開示されている燃料電池においては、マニホールドが触媒層に周設された構造になっているため、触媒反応面積を2次元展開できる柔軟性に欠けている。また、非特許文献1にて開示されている車両搭載用の燃料電池については、流路の流れ分布が3次元的に交差しているため、触媒反応面積の拡大がより一層困難になる。さらに、特許文献1にて開示されている燃料電池については、セパレータに形成される流路の溝が深いため、その流路溝の角部に接触する発電機能層に対して局部ひずみ応力が集中的に加えられ、耐久性の減少の起因となってしまい、燃料電池の寿命に大きな問題が生じるという欠点がある。
【0009】
特許文献3には、幅方向のアスペクト比が低く、膜電極接合体の対向する2辺の外周に複数の燃料ガス流路開口部、冷媒流路開口部及び酸化ガス流路開口部が設けられた燃料電池が開示されている。このような設計は、触媒反応エリアを2次元的に拡大するのに役立つものの、幅方向が拡大し続けると、単セルの内面を通過する各種流体の圧力損失は依然として許容できないほど大きくなってしまう。
【0010】
燃料ガス、冷却媒体または酸化ガスの流れ抵抗、及びマニホールドに供給されるガスの高圧に対応するために、従来技術では、セルのスタック枚数を増加させることは困難であった。また、従来の問題点として、車両搭載用のセルスタックは、設置可能な空間が限られているため、セルスタック枚数の増加には限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2017−147134号公報
【特許文献2】特開2016−096015号公報
【特許文献3】国際公開番号WO2014/136965
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】2016年度トヨタMIRAIセダン型燃料電池自動車の製品情報
【発明の概要】
【0013】
本発明は、高出力密度で高容量な燃料電池並びに単セル及びセルスタック構造体を提供する。
【0014】
本発明の一態様は、単セルの一種を提供し、相対する第1のセパレータ及び第2のセパレータ、並びに前記第1及び第2のセパレータ間に積層された膜電極接合体を備え、前記単セルは、前記単セルの拡がる面を通り抜けるように、前記第1のセパレータ、前記第2のセパレータ、及び前記膜電極接合体に設けられた複数の燃料流体用開口部、複数の冷却媒体用開口部及び複数の酸化流体用開口部を備え、そのうち、少なくとも1つの燃料流体用開口部、少なくとも1つの冷却媒体用開口部、及び少なくとも1つの酸化流体用開口部を前記単セルの中央領域に配置している。
【0015】
本発明の一実施形態では、前記複数の燃料流体用開口部、複数の冷却媒体用開口部、及び複数の酸化流体用開口部は、前記単セル全体に周期的に繰り返し又はある程度の変動周期的に繰り返される複数の基本単位により構成されていて、中央領域以外のエッジ領域において、前記基本単位の周期的な繰り返しを終了させるエッジ構造を備えている。
【0016】
本発明の一実施形態では、前記複数の燃料流体用開口部、複数の冷却媒体用開口部、及び複数の酸化流体用開口部には、それぞれの供給用開口部と排出用開口部とが備わっている。
【0017】
本発明の一実施形態では、前記基本単位は、少なくとも2つの前記燃料流体用開口部と、少なくとも2つの前記冷却媒体用開口部と、少なくとも2つの前記酸化流体用開口部とから構成されている。
【0018】
本発明の一実施形態では、前記複数の基本単位は、以下の通り、各種流体の開口部の形状、位置、サイズが同じまたは異なっているか、あるいは、それらの組み合わせが存在している。燃料流体用開口部の同一若しくは異なる形状、位置、サイズ、またはそれらの組み合わせ、冷却媒体用開口部の同一若しくは異なる形状、位置、サイズ、またはそれらの組み合わせ、そして酸化流体用開口部の同一若しくは異なる形状、位置、サイズ、またはそれらの組み合わせがある。
【0019】
本発明の一実施形態では、前記基本単位は、二次元ブラベ格子配列で形成される開口部のパターンの最小繰返し配列周期を有する単位である。
【0020】
本発明の一実施形態では、前記単セルは、少なくとも2つの前記燃料流体用開口部と、少なくとも2つの前記冷却媒体用開口部と、少なくとも2つの前記酸化流体用開口部とを備え、それぞれの開口部には、供給用開口部と排出用開口部とが含まれている。
【0021】
本発明の一実施形態では、前記単セルは、少なくとも2つの前記燃料流体用開口部には複数の燃料流体用開口部または複数の部分的な燃料流体用開口部を、少なくとも2つの前記冷却媒体用開口部には複数の冷却媒体用開口部または複数の部分的な冷却媒体用開口部を、少なくとも2つの前記酸化流体用開口部には複数の酸化流体用開口部または複数の部分的な酸化流体用開口部を備える。
【0022】
本発明の一実施形態では、前記単セルの最小発電体は、約4分の1の燃料流体供給用開口部と、約4分の1の燃料流体排出用開口部と、約4分の1の酸化流体供給用開口部と、約4分の1の酸化流体排出用開口部と、約2分の1の冷却媒体供給用開口部と、約2分の1の冷却媒体排出用開口部とを含む。
【0023】
本発明の一実施形態では、前記基本単位と前記最小発電体とは、幾何的に類似している。
【0024】
本発明の一実施形態では、前記単セルについて、同一流体の供給用開口部と排出用開口部は互いに補完的な関係で第1列と第2列に配置され、前記第1列には、同一流体の供給用開口部と排出用開口部とが同時に存在せず、前記第2列には、同一流体の供給用開口部と排出用開口部とが同時に存在しない。
【0025】
本発明の一実施形態では、前記単セルには、供給用開口部のみを含む第1列と、排出用開口部のみを含む第2列とを備え、前記第1列及び前記第2列は、流体の流路方向に交互配列されている。
【0026】
本発明の一実施形態では、前記単セルの膜電極接合体は、第1のガス拡散層、第1の触媒層、電解質膜、第2の触媒層、及び第2のガス拡散層を備える。
【0027】
本発明の一態様は、セルスタック構造体の一種を提供し、複数の上に述べたような前記単セルが積層されているセルスタック構造体を備え、前記複数の単セルの燃料流体用開口部、冷却媒体用開口部、及び酸化流体用開口部がそれぞれ重なることにより、前記セルスタック構造体の中に、それぞれの内部共用マニホールドが形成され、前記内部共用マニホールドは、前記複数の単セルに対して、燃料流体、冷却媒体、及び酸化流体を供給、排出する。
【0028】
本発明の一実施形態では、前記内部共用マニホールドは、複数単セル面に対して基本的に垂直であり、及び/または鋭角挟みで交差している。
【0029】
本発明の一実施形態では、前記セルスタック構造体は、第一流路、第二流路及び第三流路を備え、前記第一流路は、各単セル内に配置され、燃料流体の流れを提供し、前記第二流路は、各単セル内に配置され、酸化流体の流れを提供し、前記第三流路は、隣接単セル間に配置され、冷却媒体の流れを提供し、前記第一流路、第二流路及び第三流路は、それぞれに対応する内部共用マニホールドに接続され、各単セル内には、前記第一から第三までの流路の流れを制御するシール材が設けられている。
【0030】
本発明の一実施形態では、前記積層された複数の単セルにおいて、隣接する前記単セル間の回転角度は0度または0度以上の所定角度である。
【0031】
本発明の一実施形態では、前記積層された複数の単セルにおいて、燃料流体用開口部の間、冷却媒体用開口部の間、及び酸化流体用開口部の間では、それぞれの開口部が同じ形状とサイズを有し、互いに整合性を得るように直線及び/または曲線上に結合され、前記内部共用マニホールドが形成される。
【0032】
本発明の一実施形態では、前記積層された複数の単セルにおいて、燃料流体用開口部の間、冷却媒体用開口部の間、及び酸化流体用開口部の間では、それぞれの開口部が互いに若干のずれがある形状とサイズを有し、直線及び/または曲線上に結合され、前記内部共用マニホールドが形成される。
【0033】
本発明の一態様は、燃料電池の一種を提供し、上に述べたようなセルスタック構造体を備えた燃料電池であって、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとで両側から挟みこまれている前記セルスタック構造体を備え、前記第1のエンドプレート及び第2のエンドプレートは、少なくとも1つの外部共用マニホールドを有し、当該外部共用マニホールドは、内部共用マニホールドに対応し、燃料流体、冷却媒体、または酸化流体を供給し、排出する。
【0034】
本発明の一実施形態では、前記外部共用マニホールドは、外部発電補助システムに接続された複数の第1導管と、前記内部共用マニホールドに接続された複数の第2導管とを含む。
【0035】
本発明の一実施形態では、前記外部共用マニホールドは、前記内部共用マニホールドに対応する基本単位を有し、前記基本単位の周期的な繰り返しを終了させるエッジ構造を有する。
【0036】
本発明の一実施形態では、前記複数の第1導管は、前記開口部が配列された方向に沿って配置され、前記複数の第1導管は互いに平行または準平行に設けられ、互いに接触しないようにする。
【0037】
本発明の一実施形態では、前記複数の第2導管は、前記複数の単セルの積層方向に沿って設けられ、前記内部共用マニホールドを延長し、互いに接触しないように設けられている。
【0038】
本発明の一実施形態では、前記複数の第1導管及び前記複数の第2導管は、互いに垂直及び/または鋭角挟みに接続されていて、前記複数の第1導管の断面から見て、前記複数の第2導管は、前記複数の第1導管の中央若しくは中央近傍を貫通し、または前記複数の第1導管の端部若しくは端部付近を貫通し、または前記複数の第1導管の中央と端部の間を貫通する。
【0039】
本発明の一実施形態では、前記セルスタック構造体から最も遠く離れた第1のゾーンから第2のゾーンを経由して、前記セルスタック構造体に最も近い第3のゾーンまで、前記第2導管は、前記単セルの面内における第1の軸の幅サイズがゾーンごとに階段的に広くなり、そして、冷却媒体の外部発電補助システムに接続する第1導管は、前記第1のゾーンに位置する燃料ガスの内部共用マニホールドに接続する第2導管の幅を基準ラインとして設定してセットバックされ、酸化ガスの外部発電補助システムに接続された第1導管は、前記第2のゾーンに位置する冷却媒体の内部共用マニホールドに接続する第2導管の幅を基準ラインとして設定してセットバックされる。
【0040】
本発明の一実施形態では、前記内部共用マニホールド及び外部共用マニホールドのエッジ構造は、前記開口部の前記単セルの第1の軸展開を終端させるエッジ構造については、端部にある内部共用マニホールド及び外部共用マニホールドの断面積が中間部の内部共用マニホールド及び外部共用マニホールドの断面積の半分または略半分になるよう設け、前記開口部の前記単セルの第2の軸展開を終端させるエッジ構造については、前記第2の軸に燃料流体、冷却媒体及び酸化流体の内部共用マニホールド並びに内部共用マニホールドに接続する導管を備えている基本セグメントにおいて、前記基本セグメントの整数倍になる区切りを基準に開口部の前記第2の軸への展開を終端させる。
【0041】
本発明の一実施形態では、前記燃料流体、冷却媒体、及び酸化流体のいずれかの流体の供給用外部共用マニホールド及び排出用外部共用マニホールドは、同一エンドプレートに設けられ、または2つのエンドプレートに別々に設けられている。
【0042】
本発明の特徴、性能は、以下の実施形態及び図面によってさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の一実施形態におけるスタック型燃料電池の構成図及び単セル8の構成を示す断面図。
図2】本発明の一実施形態における単セル8の各層と、複数の単セル8の間の各種流体の流路31、32、33を説明するための断面図。
図3】本発明の一実施形態における単セル8の面内に穿設される開口部11、12、13の配列に応用したブラベ格子のパターンの2次元展開の規則性を説明するための平面模式図。
図4】本発明の一実施形態における単セル8の面内に穿設される開口部11、12、13の配列の規則性を説明するための平面模式図。
図5】本発明の一実施形態における単セル8の面内に穿孔された開口部11、12、13の配列の規則性を説明するための平面模式図。
図6】本発明の一実施形態におけるセルスタック構造体9の垂直方向に内設される内部共通マニホールド41、42、43の形状を説明する断面図。
図7】本発明の一実施形態におけるセルスタック構造体9の垂直方向に内設される内部共通マニホールド41、42、43の形状を説明する断面図。
図8】本発明の一実施形態におけるセルスタック構造体9において面内回転させながら形成される内部共用マニホールド41、42、43の形状を説明する断面図。
図9】本発明の一実施形態におけるエンドプレート101、102に、各種流体の外部共用マニホールド51、52、53が内設された様子を部分的に示す見取図。
図10】本発明の一実施形態におけるエンドプレート101、102に、各種流体の外部共用マニホールド51、52、53が内設された様子を部分的に示す断面図。
図11】本発明の一実施形態におけるエンドプレート101、102に、各種流体の外部共用マニホールド51、52、53が内設された様子を部分的に示す断面図。
図12】本発明の一実施形態におけるエンドプレート101、102に、各種流体の外部共用マニホールド51、52、53が内設された様子を部分的に示す断面図。
図13】本発明の実施の形態2に係わるスタック型燃料電池を示す外観図。
図14図13に示した本発明の実施の形態2のスタック型燃料電池からセルスタック構造体9の部分を取り除いた状態を示す外観図。
図15】本発明の実施の形態2におけるエンドプレート102に、各種流体の外部共用マニホールド51、52、53が内設された様子を示す立体断面図。
図16】本発明の実施の形態2におけるエンドプレート102に、各種流体の外部共用マニホールド51、52、53が内設された様子を示す立体断面図。
図17】本発明の実施の形態2におけるエンドプレート102に、各種流体の外部共用マニホールド51、52、53が内設された様子を示す立体断面図。
図18】本発明の一実施形態の単セル8における流路31、32、33を説明する断面図であって、(A)は、アノード側を流れる燃料流体の流路31、(B)は、カソード側を流れる酸化流体の流路33、(C)は、隣り合う単セル8のセパレータ間に形成される冷却媒体の流れる流路32を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の上述目的、特徴、利点をより明確に分かりやすくするために、これから図面を用いて本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。
【0045】
以下の説明では、本発明を十分に理解するために多くの具体的な詳細が説明されているが、本発明は、ここでの説明と異なる他の方式で実施されてもよいので、以下に開示される具体的な実施形態によって制限されない。
【0046】
本出願及び特許請求の範囲に示されるように、文脈が例外的な状況を明示的に提示しない限り、「一」、「一個」、「一種」、及び/または「該当」などの単語は、特に単数に限らず、複数を含むことができる。一般的に、用語「含む」と「備える」は、明確に識別されたステップ及び要素を単に含むことを示すが、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列を構成しない。方法または装置は、他のステップまたは要素を含むこともできる。
【0047】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
【0048】
ここでは、本発明のスタック型燃料電池について、図面を参照して、好ましい実施形態を例示して詳細に説明する。なお、以下の説明では、燃料電池を固体高分子型燃料電池とする場合を例に挙げて説明する。なお、本発明の一実施形態に記載された構造部材の材質、サイズ、形状、角度、その相対配置等は、特に特定の記載がない限り、本発明の範囲はこれらの記載に限られない。
【0049】
本発明の一態様によれば、単セルは、相対する第1のセパレータ及び第2のセパレータ、並びに前記第1及び第2のセパレータ間に積層された膜電極接合体を備え、前記単セルは、前記単セルの拡がる面を通り抜けるように、前記第1のセパレータ、前記第2のセパレータ、及び前記膜電極接合体に設けられた複数の燃料流体用開口部、複数の冷却媒体用開口部及び複数の酸化流体用開口部を備え、そのうち、少なくとも1つの燃料流体用開口部、少なくとも1つの冷却媒体用開口部、及び少なくとも1つの酸化流体用開口部を前記単セルの中央領域に配置している。
【0050】
端部だけに配置された開口部と比べて、中央領域に配置された開口部は、燃料流体、冷却媒体、酸化流体の単セル内の流れをより均衡させることができる。開口部は中央領域の一部に配置できることが理解できる。本発明の文脈では、用語「中央領域」の範囲は、単セルの中心の小領域に限定されることなく広く理解されるべきである。例えば、中央領域の面積はセルの表面の80%またはそれ以上に達することができる。
【0051】
実施の一形態によれば、複数の燃料流体用開口部、複数の冷却媒体用開口部、及び複数の酸化流体用開口部は、単セル全体に周期的に繰り返し又はある程度の変動周期的に繰り返される複数の基本単位を形成する。この実施形態では、開口部は中央領域に配置されているだけでなく、中央領域以外のエッジ領域に配置されている。また、単セルは、中央領域以外のエッジ領域において、前記基本単位の周期的な繰り返しを終了させるエッジ構造を有してもよい。
【0052】
以下、セルスタック構造体9の固体高分子型燃料電池の構成について説明する。
【0053】
図1(A)は、セルスタック構造体9の固体高分子型燃料電池の断面構成を表す模式図の一例である。本発明の実施の一形態におけるスタック型燃料電池は、燃料として純水素やメタノール等、様々な燃料を用いることができる。以下の例では水素を燃料として説明する。
【0054】
セルスタック構造体9は、1つまたは複数の単セル8によって積層されている。図1(B)は単セル8のラミネート構造を示し、1は電解質膜であり、電解質膜1を挟んで一対の電極触媒層2、3(すなわち、カソード側触媒層と、アノード側触媒層)が配置される。そして、電極触媒層2、3の外側には各々ガス拡散層4、5が配置され、各々ガス拡散層4、5のさらに外側には一対のセパレータ6、7が配置される。膜電極接合体は層1−5から構成されている。
【0055】
電解質膜1とは、プロトン伝導性を有する高分子膜のことであって、電解質が固体であるため蒸発によるロスがないこと、薄膜化が可能なこと、作動温度が低く常温から摂氏90度付近で作動が可能など優れた特徴がある。作動温度が低いこと、出力密度が高いことは、自動車用途の動力源として有用である。
【0056】
電解質膜1の両側に配置される電極触媒層2、3では、アノード及びカソードの燃料電池反応が起こる。電極触媒層2、3のアノード側では、水素をプロトン及び電子に解離する反応(水素酸化反応)が促進される。電極触媒層2、3のカソード側では、プロトンと電子と酸素から水を作成する反応(酸素還元反応)が促進される。
【0057】
電極触媒層2、3の両側に配置されるガス拡散層4、5は、反応流体(燃料流体、酸化流体)を電極触媒層2、3へ拡散、輸送する役割を担う。発電した電気を集める集電体として機能するのはセパレータ6、7である。以下においては、燃料流体はガス(水素)を例にとり、酸化流体はガス(酸素または空気を含む)を例に説明する。
【0058】
セパレータ6、7とは、アノード反応流体(燃料流体)とカソード反応流体(酸化流体)を分離することからこう呼ばれている。図2で明らかなように、セパレータ6、7のアノード側に燃料流体が流通する第一の流路31が形成されており、セパレータ6、7のカソード側に酸化流体が流通する第二の流路33が形成されており、セパレータ6、7の隣接側に冷却媒体が流通する第三の流路32が形成されている。
【0059】
シール材19は、各単セル8をシールする機能と、各種流体が流れる流路31、32、33を単セル8に作りこんで、各種流体を単セル8に送り込む機能を担う。セパレータ6、7自身の厚みと各種流体の流路31、32、33の高さを低くすることで実現できる。
【0060】
セルスタック構造体9を構成する単セル8が有する燃料電池発電機能は、図1(B)及び図2が示すように、7枚の機能層をラミネートした構成により実現される。以下、本発明の実施の一形態におけるスタック型燃料電池の構造について詳述する。単セル8、内部共用マニホールド41、42、43、流路31、32、33、外部共用マニホールド51、52、53からなる4部構成で説明する。外部共用マニホールド51は、例えば、導管61、71を含み、外部共用マニホールド52は、例えば、導管62、72を含み、外部共用マニホールド53は、例えば、導管63、73を含む。同様に、外部共用マニホールド51Aは、例えば、導管61A、71Aを含み、これに類推する。
【0061】
(単セル)
次に、本発明に係わる単セル8について、図1〜5に基づいて説明する。
【0062】
本発明の一実施形態の単セル8は、その面内方向であれば、任意に2次元展開できる。「面内方向に任意に2次元展開できる」とは、図3が示すとおり、単セル8の面内方向の有効面積を、必要に応じて自由自在に増大することができるという意味である。単セル8の面内方向の有効面積を増大させた場合、後述する2次元のブラベ格子の対称性を持ったパターンに従って、内部共用マニホールド41、42、43を構成するための開口部11、12、13の数を増やしてもよい。たとえ単セル8の有効面積が拡張しても、単セル8の面内に設けられる開口部11、12、13の寸法は一定であり、あるいは、大きく変化せず、上記有効面積が拡大することに伴って開口部11、12、13の寸法も拡大してしまうようなことはない。なお、「面内方向」とは、単セル8の面に対し、平行方向のことである。因みに、「単セル8の面内方向の有効面積」とは、触媒層2、3の反応面積のことを指している。
【0063】
単セル8の有効面積を変化させることにより、単セル8に含まれる触媒層2、3の面積のみに依存する発電電流を規定されることになるため、スタック型燃料電池の電圧を変えずにスタック型燃料電池から大きな出力電流が得られ、出力密度は発電電圧に依存せずに大きくさせることができる。
【0064】
図1(B)が示す通り、単セル8は、セパレータ6、7、ガス拡散層4、5、触媒層2、3、電解質膜1、触媒層2、3、ガス拡散層4、5、セパレータ6、7の順で合わせて7枚の機能層でラミネートされている。単セル8の各開口部11、12、13は、それらが所望の接続されている機能層だけと接続されていることが理解できる。例えば、開口部11は、燃料流体を流すため、ガス拡散層4、5のいずれかにのみ接続される。開口部13は、酸化流体を流すため、ガス拡散層4、5のうちの他のものとのみ接続される。開口部12は冷却媒体を流すため、隣接隔壁間の冷却流路のみと接続される。開口部とその通過を望まない層との間には、シール材を一回り設置することができる。
【0065】
上述した単セル8が複数積み重なって、セルスタック構造体9が構成される。セルスタック構造体9とは、単セル8を複数積み重ねてできた燃料電池本体のことである。車両用で数百枚をスタックして用いている。更に、本発明の実施の一形態の単セル8が構成するセルスタック構造体9は、任意に3次元展開することができる。「任意に3次元展開する」とは、図1が示すとおり、単セル8の面内方向に任意に2次元展開できることに加え、単セル8のスタック方向に、単セル8のスタック枚数を自由自在に増やすことができるという意味である。ここでC方向の定義は、単セル8の重ねる方向(スタック方向)である。図1の横に引いた点線矢印は、2次元展開の方向を示している。図1の縦に引いた点線矢印は、スタックする方向の展開を表している。
【0066】
また、単セル8がスタックされる枚数を変化させることにより、スタック型燃料電池の出力電圧を決定することができる。
【0067】
ここで、本発明で言及する各種流体について説明する。各種流体とは、スタック型燃料電池を循環する燃料流体、冷却媒体及び酸化流体のことである。外部の流体供給源から送り込まれた各種流体の燃料電池内の具体的な経路は次の通りである。外部BOP(後述する)から出力された各種流体の入り口、供給用外部共用マニホールド51A、52A、53A(供給用の外部BOPに接続する導管61A、62A、63A及び供給用の内部共用マニホールドに接続する導管71A、72A、73A)、供給用内部共用マニホールド41A、42A、43A、単セル8(7枚の機能層からなる)、排出用内部共用マニホールド41B、42B、43B、排出用外部共用マニホールド51B、52B、53B(排出用の内部共用マニホールドに接続する導管71B、72B、73B及び排出用の外部BOPに接続する導管61B、62B、63B)、そして外部BOPへの出口により編成されている。
【0068】
なお、本明細書の目的のために、前述した一連の経路において、セルスタック構造体9に内設される内部共用マニホールド41、42、43を構成する単セル8に穿設された切り口を「開口部11、12、13」と呼び、内部共用マニホールド41、42、43と外部共用マニホールド51、52、53との接続部を「接続口21、22、23」と呼ぶことにする。
【0069】
また、単セル8に設けられる開口部11、12、13は、単セル8をスタックして内部共用マニホールド41、42、43が形成される前は、単セル8の一部としてみなされるが、単セル8を重ね合わせてセルスタック構造体9が完成された後には、内部共用マニホールド41、42、43として捉えられると言えるだろう。簡単に言えば、単セル8の開口部11、12、13は、単セル8をスタックした後、内部共用マニホールド41、42、43になるということである。
【0070】
内部共用マニホールド41、42、43を構成する単セル8に設けられる開口部11、12、13を形成する製造方法としては機械加工、レーザ加工、エッチング等がある。
【0071】
(内部共用マニホールド)
次に、本発明に係わる内部共用マニホールド41、42、43について、図3〜8に基づいて説明する。
【0072】
複数の単セル8がスタックされて構成されたセルスタック構造体9の内側には、内部共用マニホールド41、42、43が内設される。内部共用マニホールド41、42、43は、外部の供給源から各種流体を燃料流体、冷却媒体及び酸化流体の流路31、32、33に供給し、使用済みガス及び流体を外部に排出する機能を果たす。各種流体の供給用内部共用マニホールド41A、42A、43A及び各種流体の排出用内部共用マニホールド41B、42B、43Bは、単セル8の面内方向に対して垂直または鋭角挟みに設けられている。
【0073】
また、燃料流体の内部共用マニホールド41をなす部分は、燃料流体の供給用接続口21Aから、燃料流体の供給用開口部11A及び燃料流体の排出用開口部11Bを経由し、燃料流体の排出用接続口21Bまでの距離である。冷却媒体の内部共用マニホールド42をなす部分は、冷却媒体の供給用接続口22Aから、冷却媒体の供給用開口部12A及び冷却媒体の排出用開口部12Bを経由し、冷却媒体の排出用接続口22Bまでの距離である。酸化流体の内部共用マニホールド43をなす部分は、酸化流体の供給用接続口23Aから酸化流体の供給用開口部13A及び酸化流体の排出用開口部13Bを経由し、酸化流体の排出用接続口23Bまでの距離である。
【0074】
既に説明したとおり、単セル8の面内には2次元のブラベ格子の対称性を有するパターンを基本単位16としての繰り返しを開口部11、12、13に適用している。内部共用マニホールド41、42、43の数は、一枚の単セル8に設けられた開口部11、12、13の面内の数に対応して形成されているというのは、当然の成り行きである。基本単位16は、二次元ブラベ格子配列で形成される開口部のパターンの最小繰返し配置周期を有する単位である。
【0075】
上述した「垂直」というのは、内部共用マニホールド41、42、43が、単セル8の面に対して、直角である90度をなす角度で設けられることであり、「鋭角挟み」というのは、単セル8の面に対して45度以上90度未満をなす角度で設けられることである。
【0076】
図3〜5は、面内方向の単セル8の模式図である。それらの図面には、各種流体における内部共用マニホールド41、42、43を構成するための開口部11、12、13が配列されているのが見て取れる。
【0077】
開口部11、12、13のレイアウトは、2次元のブラベ格子の対称性を持ったパターンで、単セル8の面内に配置される。あるいは、開口部11、12、13のレイアウトは、すこしばかりゆらぎのある2次元のブラベ格子の対称性を持ったパターンで単セル8の面内に配置するのでもかまわない。「ブラベ格子の対称性を持ったパターンで面内に配置する」というのは、図3では、符号「14」をベクトルA、符号「15」をベクトルBで表しており、ブラベ格子の2次元展開の基本単位16は繰り返し単位として扱われるため、対称性を持ったブラベ格子のパターンを適用している限り、図3に示された任意の開口部11、12、13からでも始点として前記基本単位16をかたどるベクトルAとベクトルBを描くことができるという意味である。図3には、ベクトルAとベクトルBとを使って表したブラベ格子の2次元展開の基本単位16が示されている。この例では、基本単位16は斜方格子をかたどっており、その4本の辺線(ベクトルA、Bを含む)が囲む内側に位置する開口部11、12、13の数により、基本単位16が定められる。具体的には、図3の基本単位16が4本の辺線により包含される領域の内側にかかる開口部11、12、13の数としては、その4本の辺線にかかっている4つの燃料流体の開口部11は、その内側は2分の1なので、合わせると2つとカウントされる。2本の辺線にかかっている2つの冷却媒体の開口部12は、その内側は2分の1なので、合わせると1つになり、辺線にかからないところにある冷却媒体の開口部12が1つあるので、合わせると2つとカウントされる。基本単位16の4角にある4つの酸化流体の開口部13は、その内側は4分の1なので、合わせると1つになり、辺線にかからないところにある酸化流体の開口部13が1つあるので、合わせると2つとカウントされる。辺線にかかる開口部11、12、13と辺線にかからないところにある開口部11、12、13(辺線の内側)を含め、全てをあわせると、2つの燃料流体の開口部11、2つの冷却媒体の開口部12、そして2つの酸化流体の開口部13を全てあわせて6つの開口部により基本単位16が構成されている。ここで言う「包含」とは、2次元ブラベ格子の基本単位の辺線に囲まれた内側の領域にかかる開口部を含むという意味である。上記以外にも、辺線が6本である2次元ブラベ格子の基本単位16を適用する六方格子が例としてあげられる。
【0078】
図4、5において、単セル8の発電機能をもたらすためには、図3に示す開口部11、12、13をそれぞれ供給用と排出用に分けて次のように区別する。燃料流体供給用開口部11A、冷却媒体供給用開口部12A、酸化流体供給用開口部13A、燃料流体排出用開口部11B、冷却媒体排出用開口部12B、酸化流体排出用開口部13Bがある。外部共用マニホールド51、52、53を配列し易くするために、供給用内部共用マニホールド41A、42A、43Aを形成する供給用開口部11A、12A、13A及び排出用内部共用マニホールド41B、42B、43Bを形成する排出用開口部11B、12B、13Bのレイアウトは、図4、5に示した通り、2次元展開のブラベ格子の規則性に基づく基本単位16を用いて繰り返しで構成されている。図4、5に示した「最小発電体17」とは、燃料電池を機能させるのに最低限必要な供給用及び排出用開口部11、12、13で構成された発電体のことを指している。最小発電体17には、その4本の辺線に包含された内側の開口部11、12、13の数は、全部で2つ以上の開口部を有し、それぞれ4分の1以上または4分の1未満の燃料流体の供給用開口部11Aと、2分の1以上または2分の1未満の冷却媒体の供給用開口部12Aと、4分の1以上または4分の1未満の酸化流体の供給用開口部13Aと、4分の1以上または4分の1未満の燃料流体の排出用開口部11Bと、2分の1以上または2分の1未満の冷却媒体の排出用開口部12Bと、4分の1以上または4分の1未満の酸化流体の排出用開口部13Bで構成されている。
【0079】
図4、5で明らかなように、最小発電体17は、周期的に展開できない。最小発電体17の4本の辺線に包含された内側の開口部11、12、13の数と、基本単位16に包含された内側の開口部11、12、13の数は、異なっている。しかし、前記基本単位16と前記最小発電体17は、幾何学的相似性があり、ともに燃料流体、冷却媒体、酸化流体の供給用と排出用の6種類の開口部を備えている。よって、ブラベ格子の2次元展開の基本単位16は、理論的に周期性と対称性をより正確に示し、燃料電池の機能を果たす最小発電体17と対応する。なお、図4、5では、供給用開口部11A、12A、13Aの記号は×印で表示され、排出用開口部11B、12B、13Bの記号は黒丸印で表示されている。
【0080】
「ゆらぎ」とは、物理学において、広がりまたは強度を持つ量(エネルギー、密度、電圧など)の空間的または時間的な平均値からの変動を指す。ゆらぎの考え方としては、測定値は物理量の値だと素朴に考えられるかもしれないが、実際には、様々な状態が確率的に出現する。よって、物理量のゆらぎの値も様々である。測定値からどの程度ずれているかを示すのがゆらぎである。
【0081】
つまり、単セル8の面内にレイアウト設計される開口部11、12、13の寸法、形状と配列位置は、完璧でなくてもよく、少々ゆらぎのある寸法、形状と位置があっても構わないということである。具体的には、各基本単位の開口部11のうちで、サイズ、形状、及び/または配置位置に多少の差があっても良いし、同様に、各基本単位の開口部12のうちで、及び/または各基本単位の開口部13のうちで、サイズ、形状、及び/または配置位置に多少の差があっても良い。
【0082】
ここで、ブラベ格子の説明をする。結晶は格子と呼ばれる周期的で規則正しい原子配列を持っており、結晶は格子単位(格子点を結んだもののこと)の繰り返しとも言えるであろう。正しく配列している規則性を用いて分類された、格子点群の対称性により分類される格子構造をブラベ格子と呼んでいる。2次元のブラベ格子の分類には、斜方格子、長方格子、六方格子、正方格子、面心長方格子からなる5種類の繰り返しの単位が含まれる。
【0083】
このようなブラベ格子の規則性を有する繰り返しの基本単位16(図3を参照)を、内部共用マニホールド41、42、43を構成する単セル8の開口部11、12、13のレイアウト設計に適用させる理由としては、単セル8の全体にわたって各種流体を均一に供給及び排出し、流れの圧力損失を抑えることによる配流性が良くなり、単セル8の面積の有効利用等が挙げられる。
【0084】
なお、図3〜5に示すのは、単セル8の面内方向に配列された、内部共用マニホールド41、42、43を構成する開口部11、12、13である。開口部11、12、13の配列の様子を説明している図3〜5では、全ての開口部11、12、13の形状と寸法サイズを同一にして表している。これらは必ずしも同じである必要はない。各種流体の内部共用マニホールド41、42、43の形状と幅サイズに応じて、各種流体の開口部11、12、13の形状と寸法サイズを、各種流体の流量変化に応じて適切に設定することができる(異なる幅サイズの内部共用マニホールド41、42、43については後述する図6及び7を参照)。なお、図面では、作図の都合上、開口部11、12、13の形状が丸みを帯びた矩形で表されているが、実際はその他の形状でもよいし、それらの異なる形状の組み合わせでもよい。
【0085】
ここで、内部共用マニホールド41、42、43を構成する単セル8の開口部11、12、13の配列の規則性を示す一例について、図3、4を参照しながら具体的に述べる。
【0086】
図3で示すとおり、各種流体用の開口部11、12、13の配列の基本単位16が、ブラベ格子の各種パターンに準じて2次元展開されている。図3は、単セル8の面内方向の模式図であり、ブラベ格子の斜方格子のパターンの規則性を例証している。
【0087】
また、図4で示す通り、単セル8の面内に対して垂直または鋭角挟みに設けられる各種流体の内部共用マニホールド41、42、43を構成する開口部11、12、13には、3種類の流体(燃料流体、冷却媒体または酸化流体)の供給用開口部11A、12A、13Aと、3種類の流体の排出用開口部11B、12B、13Bが、流路31、32、33に沿って最も近く対向する位置にある。具体例を挙げると、図4では、酸化流体の供給用開口部13Aと、酸化流体の排出用開口部13Bとが、単セル8の酸化流体の流路方向に沿って最隣接に設置されているのが見て取れる。最隣接に設置すれば、同種類(この場合、酸化流体)の流体の流れが途中で途絶えることがないため、燃料電池の反応をより良く促進させるのに効果的である。すべての触媒反応面積を最大利用するため、触媒反応面積を無駄にしない。
【0088】
ここで、内部共用マニホールド41、42、43を構成する単セル8の開口部11、12、13の配列の規則性を示すもう1つの例について、図4を参照しながら具体的に述べる。
【0089】
図4が更に示すのは、各種流体の供給用開口部11A、12A、13Aと各種流体の排出用開口部11B、12B、13Bとを混在させた例である。これらの開口部11、12、13を含むF列とG列は、互いに補完関係にある。つまり1つのF列またはG列のいずれかにおいて、同じ種類の流体の供給用開口部11A、12Aまたは13Aと同じ種類の排出用開口部11B、12Bまたは13Bとが同じ列には共存しない。これにより、単セル8の流路31、32、33の交差方向(図3のB方向)には、一列に同じ種類の供給用開口部11A、12A、13A、または同じ種類の流体を配置する開口部11B、12B、13Bのみが配置されているので、内部共用マニホールド41、42、43は外部共用マニホールド51、52、53と接続しやすい。
【0090】
この点について具体例をあげて説明する。F列に燃料流体の排出用開口部11Bを配列すれば、燃料流体の供給用開口部11Aは隣接する別のG列に配列される。F列に冷却媒体の供給用開口部12Aを配列すれば、冷却媒体の排出用開口部12Bは隣接する別のG列に配列される。F列に酸化流体の供給用開口部13Aを配置すれば、酸化流体の排出用開口部13Bは隣接する別のG列に配列される。
【0091】
更に、内部共用マニホールド41、42、43を構成する単セル8の開口部11、12、13の配列の規則性を示す他の例について、図5を参照しながら具体的に述べる。
【0092】
図5が示すのは、各種流体の供給用開口部11A、12A、13Aまたは各種流体の排出用開口部11B、12B、13Bのいずれかを単セル8の面内方向のJ列またはK列に配列させた例である。供給用開口部11A、12A、13Aあるいは排出用開口部11B、12B、13Bのみが同じ列に構成され、構成された列が流路方向(A方向)に交互的に配列している。すなわち、供給専用のJ列と排出専用のK列が交互に配列されている。このような結晶学的パターンを利用して、内部共用マニホールド41、42、43を各流体の列単位で設計すると、外部共用マニホールド51、52、53が配置しやすい。
【0093】
繰り返しになるが、図3〜5で示した通り、単セル8の面内方向にレイアウトされる開口部11、12、13は、上述した対称の2次元ブラベ格子を有するパターンを適用し周期性のある2次元配列で設計される。つまり、2次元ブラベ格子の対称性を有するパターンを繰り返し単位とした周期性のある正しい規則性で配列される。あるいは、ブラベ格子の対称性を有するパターンを、少しばかりゆらぎのある周期性を有する2次元配列で開口部11、12、13を設計することができる。
【0094】
また、ブラベ格子の対称性のパターンには、5種類(斜方格子、長方格子、六方格子、正方格子、面心長方格子)あるため、本発明の実施の一形態は、図3〜5で説明した事例に限られるものではないということは、言うまでもない。
【0095】
既に述べたとおり、前述した開口部11、12、13のレイアウトに基づいて、関連する開口部11、12、13同士を重ね合わさせてゆくと、その結果として、図6、7が示すような形状を持つ内部共用マニホールド41、42、43が形成される。そのようにして形成された内部共用マニホールド41、42、43は、各単セル8をスタックし、その上下の位置関係にある単セル8の開口部11、12、13同士が同じ形状とサイズであれば、相互の整合性が取れた直線または曲線上に結合させることによって得ることができる。更に、上述した形状を持つ内部共用マニホールド41、42、43は、上下の位置関係にある単セル8の開口部11、12、13同士が少しずれた形状とサイズを持つ場合には、上下隣接開口部が非整合になるものの、直線または曲線上で結合されるので、問題なく連通する。これらの実施の形態は、燃料電池の形状に一定の柔軟性を与え、燃料電池の小型化を実現することができる。つまり、上記のように、単セル8の拡がる面内方向に設けられた開口部11、12、13は、単セル8の拡がる面内に垂直方向または鋭角挟み方向に沿って整合性を得るように結合しても良いし、整合性を持たないように結合しても良い。この配置では,種々の流体の流れを改善する効果が得られた。
【0096】
なお、ここで言う「整合性」とは、第1の単セル8と第2の単セル8それぞれに設けられた開口部11、12、13は同じ形状とサイズで結合することであり、結果的には、各種流体の内部共用マニホールド41、42、43は、直線状または曲線状マニホールドであっても、その断面の幅サイズが、管全体にわたって同じになる。(図6(A)、(B)、(C)を参照)。
【0097】
図3、4、5に例示する各種流体の開口部11、12、13が設けられた単セル8を、単セル8の垂直方向に重ねていった場合、図6に示すような整合性のとれた内部共用マニホールド41、42、43を形成することができる。図6(A)は、各種流体の内部共用マニホールド41、42、43が、単セル8に対して垂直方向を相互に平行しており、整合がとれている事例である。図6(B)は、各種流体の内部共用マニホールド41、42、43が、単セル8に対して鋭角挟みの方向で相互に平行しており、整合性がとれている事例である。図6(C)は、各種流体の内部共用マニホールド41、42、43が、単セル8に対して鋭角挟みの方向で相互に非平行であり、整合性がとれている事例である。
【0098】
更に、「非整合性」とは、第1の単セル8と第2の単セル8それぞれに設けられた開口部11、12、13は多少ずれた形状とサイズで結合することであり、結果的には、各種流体の内部共用マニホールド41、42、43は、直線状または曲線状マニホールドであってもその断面の幅サイズが、管全体にわたって変化する。(図7(A)、(B)、(C)、(D)を参照)。
【0099】
図3、4、5に示す開口部11、12、13が設けられた単セル8を垂直方向に重ねていった場合、図7が示すような整合性がとれていない(非整合性)内部共用マニホールド41、42、43を形成することもできる。図7(A)は、各種流体の内部共用マニホールド41、42、43の流れが同方向であり、それら内部共用マニホールド41、42、43の中心線が互いに平行配置された例である。図7(B)は、各種流体の内部共用マニホールド41、42、43の流れが非同方向であり、それら内部共用マニホールド41、42、43の中心線が互いに非平行配置された例である。図7(C)は、各種流体の内部共用マニホールド41、42、43の流れが非同方向であり、それら内部共用マニホールド41、42、43の中心線が平行配置された例である。図7(D)は、各種流体の内部共用マニホールド41、42、43の流れが非同方向であり、それら内部共用マニホールド41、42、43の中心線が平行配置された例である。図7(A)、(B)、(C)、(D)のすべてのケースにおいて、内部共用マニホールド41、42、43は、単セル8に対して、垂直または鋭角挟みに設けられている。図7(B)、(C)は、内部共用マニホールド41、42、43がコンパクトに配置された例である。
【0100】
図7に示す内部共用マニホールド41、42、43は、先が狭まったノズルの形状をしている。つまり、内部共用マニホールド41、42、43の入り口付近の幅サイズは、それら出口付近の幅サイズより、大きくしてある。図6で示された内部共用マニホールド41、42、43の幅サイズが均等である通常の形状では、流れは入口から距離がかさむことにつれ、運動エネルギー損失が大きくなり速度が遅くなる傾向にある。出口付近の幅サイズを狭めることにより、流体エネルギーと圧力を犠牲にする代わり、運動エネルギーを高め、流れを弱めることなく、単セル8に各種流体を供給することができる。
【0101】
図8が示すのは、単セル8の面内を螺旋状に回転するよう重ねていった結果形成される内部共用マニホールド41、42、43である。単セル8をセルスタック構造体9の垂直方向に重ねる時、次のシナリオにて内部共用マニホールド41、42、43が形成される。隣接する単セル8間の面内配置の回転角度がゼロの場合と、所定の角度を持って回転される場合とがある。「回転角度がゼロ」というのは、回転させない完璧なアライメントで単セル8を重ねることである。「所定の角度を持って回転される場合」には、図2図4図5に基づいて、本発明に係る流路31、32、33を説明する。これにより、内部共用マニホールド41、42、43の各種流体の流れが改善される。
【0102】
(流路)
上述したとおり、単セル8はスタックされているので、その両側には、図2で詳しく示したとおり、同様の単セル8が隣接している。単セル8のアノード側には、セパレータ6、7とガス拡散層4、5の間に、ガス拡散層4、5を浸透する燃料流体が流通する流路31が設けられ、単セル8のカソード側には、セパレータ6、7とガス拡散層4、5の間に、ガス拡散層4、5を浸透する酸化流体が流通する流路33が設けられ、単セル8間には、冷却媒体が流れる流路32が設けられる。なお、図4及び5には、各開口部11、12、13のB方向に沿った列の間には、各種流体が流れる流路31、32、33の軌跡が示されている。流路はA軸の2方向に流れる。
【0103】
図18が示す通り、各種流体の単セル8への供給及び排出は、シール材19により制御されている。各種流体の供給用開口部11A、12A、13A及び排出用開口部11B、12B、13Bの近傍にシーリングを施している。つまり、該当する流体とは無関係の開口部が塞がれ、該当する流体が無関係の流路へ流れ込まないようになっている。つまり、シール材19の役割は、各種流体の内部共用マニホールド41、42、43を、単セル8内及び単セル8間の各種流体にそれぞれ該当する流路31、32、33につなぎ、各種流体を互いに干渉せずそれぞれ供給及び排出できるようにすることである。なお、図18に記載の実線矢印が表すのは、各種流体の流れ方向である。
【0104】
図18(A)には、燃料流体が流通する流路31が示されており、そこでは燃料流体を単セル8に供給及び排出するため、冷却媒体の流路32の入り口となる供給用開口部12A、出口となる排出用開口部12B(図18(C))、そして酸化流体の流路33の入り口となる供給用開口部13A、出口となる排出用開口部13B(図18(B))が全てシール材19によって塞がれ、冷却媒体及び酸化流体が燃料流体の流路31に流入しないようにする。
【0105】
図18(B)には、酸化流体が流通する流路33が示されており、そこでは酸化流体を単セル8に供給及び排出するため、燃料流体の流路31の入り口となる供給用開口部11A、出口となる排出用開口部11B(図18(A))、及び冷却媒体の流路32の入り口となる供給用開口部12A、出口となる排出用開口部12B(図18(C))が全てシール材19によって塞がれ、燃料流体及び冷却媒体が酸化流体の流路33に流入しないようにする。
【0106】
図18(C)には、冷却媒体が流通する流路32が示されており、そこでは冷却媒体を単セル8の間に循環させるため、燃料流体の流路31の入り口となる供給用開口部11A、出口となる排出用開口部11B(図18(A))、及び酸化流体の流路33の入り口となる供給用開口部13A、出口となる排出用開口部13B(図18(B))が全てシール材19によって塞がれ、燃料流体及び酸化流体が冷却媒体の流路32に流入しないようにする。
【0107】
図18(A)は、燃料流体が流れる流路31及び燃料流体供給用開口部11Aと排出用開口部11Bの封止部位を示している。流路31上の開口部11A、11Bに封止せずに接続し、流路32と流路33上の開口部11A、11Bに封止することで、単セル8に対する燃料流体の供給と排出を実現する。燃料流体の流れる経路は、次の順となる。すなわち、供給用内部共用マニホールド41A、供給用開口部11A、流路31、排出用開口部11B、排出用内部共用マニホールド41Bである。その結果として、供給された燃料流体がアノード側ガス拡散層4を経由しアノード触媒層2に到達できたことで、燃料流体から電子が離れ水素酸化反応が促進され、電子が外部回路に移動し、単セル8が発電する。
【0108】
図18(B)は、酸化流体が流れる流路33及び酸化流体供給用開口部13Aと排出用開口部13Bの封止部位を示している。流路33上の開口部13A、13Bに封止せずに接続し、流路31と流路32上の開口部13A、13Bに封止することで、単セル8に対する酸化流体の供給と排出を実現する。酸化流体の流れる経路は、次の順となる。すなわち、供給用内部共用マニホールド43A、供給用開口部13A、流路33、排出用開口部13B、排出用内部共用マニホールド43Bである。その結果として、供給された酸化流体がカソード側のガス拡散層5を経由し、カソード触媒層3に到達できたことで、プロトンと電子と酸素から水を作成する酸素還元反応が促進され、単セル8が発電する。
【0109】
図18(C)は、冷却媒体が流れる流路32及び冷却媒体供給用開口部12Aと排出用開口部12Bの封止部位を示している。流路32上の開口部12A、12Bに封止せずに接続し、流路31と流路33上の開口部12A、12Bに封止することにより、単セル8間を冷却媒体が循環することを実現する。冷却媒体の流れの経路は、次の順である。すなわち、供給用内部共用マニホールド42A、供給用開口部12A、流路32、排出用開口部12B、排出用内部共用マニホールド42Bである。
【0110】
(外部共用マニホールド)
次に、本発明に係わる外部共用マニホールド51、52、53について、図9〜12に基づいて説明する。なお、図3〜12に記載の点線矢印が表すのは、作図の都合上、「繰り返し部分」を省略した箇所であるが、その繰り返し部分が無限に続くという意味合いを含むものではない。また、図9図12で図解する外部共用マニホールド51、52、53に表現された波状の輪郭線は、省略部分を切り取った状態を表している。
【0111】
セルスタック構造体9の両端は、エンドプレート101(第1のエンドプレート)、102(第2のエンドプレート)によって挟み込まれている。そのエンドプレート101、102には、各種流体の供給用外部共用マニホールド51A、52A、53A及び排出用外部共用マニホールド51B、52B、53Bが設けられている。つまり、全部で6種類の外部共用マニホールド51、52、53が、エンドプレート101、102に設けられることになる。すなわち、エンドプレート101、102には、燃料流体の供給用外部共用マニホールド51A及び燃料流体の排出用外部共用マニホールド51B、冷却媒体の供給用外部共用マニホールド52A及び冷却媒体の排出用外部共用マニホールド52B、酸化流体の供給用外部共用マニホールド53A及び酸化流体の排出用の外部共用マニホールド53Bが設けられる。前記エンドプレート101、102は、単セル8をスタックする上下両方向からセルスタック構造体9を締め付け、電極の集電板機能を有する。エンドプレート101、102に設置する外部共用マニホールド51、52、53は、スタックされた単セル8の機能層に各種流体を流通させる機能を果たす。本実施の一形態では、エンドプレート101、102が外部共用マニホールド51、52、53の役割を兼ね備えていると考えてよい。
【0112】
既に説明したとおり、単セル8の面内には、2次元ブラベ格子の規則性を有する基本単位16が、繰り返しで開口部11、12、13に適用されている。内部共用マニホールド41、42、43は、一枚の単セル8に設けられた開口部11、12、13の数に対応して、基本単位16で繰り返し形成されているということは、当然の成り行きである。更に、内部共用マニホールド41、42、43と外部共用マニホールド51、52、53が接続口21、22、23を経由してつながっているため、内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73(第一の導管)も、一枚の単セル8に設けられた開口部11、12、13の数と、内部共用マニホールド41、42、43の数に対応して、ブラベ格子の規則性を有する基本単位16を繰り返し形成されているということは、当然の成り行きである(図9〜12を参照)。
【0113】
例外的に2次元ブラベ格子の規則性を有する基本単位16が適用されていないのは、後述する外部BOPに接続する導管61、62、63(第二の導管)である。ブラベ格子の規則性を有する基本単位16が適用されている各種流体の内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73は、ブラベ格子の規則性を有する基本単位16が適用されていない外部BOPに接続する導管61、62、63を貫通している。
【0114】
図9(A)〜12(A)は、本発明の実施の一形態におけるエンドプレート101、102に、各種流体の外部共用マニホールド51、52、53が内設された様子を示す立体断面図である。図9(A)〜12(A)で明らかなように、外部共用マニホールド51、52、53には、外部BOPに接続する導管61、62、63がB方向に沿って設けられている。また、外部共用マニホールド51、52、53には、内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73がC方向に沿って設けられる。図9〜12は、図4の単セル8の面内に対して形成された開口部11、12、13の配列規則性を説明する模式図に基づいている。
【0115】
BOPとは、Balance of Plantの略であって、燃料や空気を供給するポンプや発電をコントロールする電気回路などの発電補助機器の総称である。改良器、ブロア、昇圧器、加湿器、熱交換器、直流交流変換機などの発電システムの周辺機器を指している。
【0116】
前記外部BOPに接続する導管61、62、63は、単セル8内の燃料流体、冷却媒体及び酸化流体の流路31、32、33に交差するB方向に沿って延設されている。B方向は、開口部11、12、13からなるF列とG列の配列(図4)と同方向である。各種流体用の前記外部BOPに接続する導管61、62、63が互いに接触しないよう平行または準平行に設けられる。
【0117】
「準平行に設けられる」というのは、B方向からずれて斜設しているという意味であり、これは斜め加工した結果でもある。それぞれ外部BOPに接続する導管61、62、63が準平行に設けられ、内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73との接続が調整され、流れやすくなる場合がある。
【0118】
前記内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73は、前記内部共用マニホールド41、42、43を延長させるよう、前記単セル8のスタック方向に沿うように延設されている。それら内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73が互いに接触しないよう平行または準平行に設けられる。
【0119】
なお、図9〜12に図示された例では、各種流体用の外部BOPに接続する導管61、62、63は、相互に平行に設けられている。また、各種流体用の内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73は、相互に平行に設けられている。そして、各種流体用の外部BOPに接続する導管61、62、63と内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73とが、90度の角度で直交している例が描写されているものの、本発明の実施の一形態は、この例に限るものではない。交差する角度としては、例えば、1度以上90度未満の範囲で設定することができる。
【0120】
図9(A)は、本発明の実施の一形態におけるエンドプレート101または102に、各種流体の外部共用マニホールド51、52、53が内設された様子を部分的に示した立体図である。
【0121】
図9(C)は、図9(A)の内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73と一致する接続口21、22、23の配列を示す模式図である。具体的には、図9(C)における燃料流体の供給用接続口21A及び燃料流体の排出接続口21B、冷却媒体の供給用接続口22A及び冷却媒体の排出用接続口22B、そして酸化流体の供給用接続口23A及び酸化流体の排出用接続口23Bは、図9(A)に示す内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73に対応する。図9(A)の上向き矢印は、セルスタック構造体9への供給方向を指しており、図9(C)の×印で表した各種流体の供給用接続口21A、22A、23Aに対応する。図9(A)の下向き矢印は、セルスタック構造体9からの排出方向を指しており、図9(C)の黒丸印で表した各種流体の排出用接続口21B、22B、23Bに対応する。図9(C)で示したT−T’は、図9(B)のエンドプレート101、102の投影図の向きを示している。
【0122】
図9(B)は、エンドプレート101、102に各種流体の外部共用マニホールド51、52、53が形成された時の投影図である。図9(C)のT−T’側から見た投影図によれば、実際に見えている辺を実線で表し、見えない辺を破線で補っている。この投影図から、外部共用マニホールド51、52、53が互いに干渉しないようにするため、前記内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73のA軸の2方向に伸びる幅サイズは、前記エンドプレート102を第1のゾーン511、第2のゾーン522、第3のゾーン533に分けて、階段的に変えて設けられている。前記A軸の2方向にのびる幅サイズを、セルスタック構造体9から最も遠く離れた位置である第1のゾーン511から、中間位置である第2のゾーン522を経由し、セルスタック構造体9に最も近い位置である第3のゾーン533まで、ゾーンごとにA軸の2方向に階段的に広くしている。なお、各ゾーンの位置関係を図9(B)の右端に示す。更に、前記冷却媒体の外部BOPに接続する導管62は、前記第1のゾーン511に位置する燃料流体の内部共用マニホールドに接続する導管71の幅サイズを基準ラインとして設定し、A軸の2方向に沿ってセットバックされ、前記酸化流体の外部BOPに接続する導管63は、前記第2のゾーン522に位置する冷却媒体の内部共用マニホールドに接続する導管72の幅サイズを基準ラインとして設定し、A軸の2方向に沿ってセットバックされる。
【0123】
図9(B)で示した通り、外部BOPに接続する導管61、62、63及び前記内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73は、相互に垂直に接続されている。燃料流体の供給用内部共用マニホールドに接続する導管71Aは、第1のゾーン511に位置する燃料流体の供給用外部BOPに接続する導管61Aの中央に貫通する。次に、冷却媒体の内部共用マニホールドに接続する導管72Bは、第2ゾーン522に位置する冷却媒体の排出用外部BOPに接続する導管62Bの端部に貫通する。更に、酸化流体の排出用内部共用マニホールドに接続する導管73Bは、第3ゾーン533に位置する酸化流体の排出用外部BOPに接続する導管63Bの端部に貫通する。なお、図示していないが、外部BOPに接続する導管61、62、63及び前記内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73は、相互に鋭角挟みに接続されてもよい。また、図示していないものの、内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73は、外部BOPに接続する導管61、62、63の略中央、あるいは、略端部、あるいは、両者の間にて貫通させてもよい。
【0124】
外部共用マニホールド51、52、53の断面積は、上述した各種流体の流量変化に応じて、適切に定めることが好ましい。燃料流体は、流れの途中において消費されるので、流量変化がある。流量変化の著しい燃料流体の外部共用マニホールド51では、燃料流体は流れの途中において全組成が消費できるものの、流れ速度が早いので、一定気圧で供給できるように外部共用マニホールドの断面積を小さく設定するのがよい。冷却媒体は発電時において消費されない。流量変化のない冷却媒体は、その冷却効率を上げるため、且つ、冷却媒体用の外部共用マニホールド52の両面側から冷却効果を発揮させるため、燃料流体用の外部共用マニホールド51と酸化流体用の外部共用マニホールド53との間に冷却媒体用の外部共用マニホールド52を設置させるのが好ましい。外部共用マニホールドの表面積が大きいほど、冷却効果が高くなるので、その断面積は大きめに設定するのがよい。酸化流体の外部共用マニホールド53では、全成分の一部である酸素は消費されるものの、主成分の流体は消費されないことから、燃料流体の外部共用マニホールド51と比べると反応による減少量は少ない。酸素含量の少ない酸化流体を適切に供給するには、酸化流体の外部共用マニホールド53の断面積は大きめに設定するのがよい。
【0125】
前記セルスタック構造体9の両側にはエンドプレート101、102があるため、各種流体の供給用外部共用マニホールド51A、52A、53A及び各種流体の排出用外部共用マニホールド51B、52B、53Bを、片側にある1つのエンドプレート102に設けることもできるし、あるいは、両側にあるエンドプレート101、102に分けて設けてもよい。具体例としては、エンドプレート101に燃料流体の供給用外部共用マニホールド51A及び燃料流体の排出用外部共用マニホールド51Bを設け、エンドプレート102に冷却媒体の供給用外部共用マニホールド52A及び冷却媒体の排出用外部共用マニホールド52Bと、酸化流体の供給用外部共用マニホールド53A及び酸化流体の排出用外部共用マニホールド53Bとを設けてもよい。
【0126】
図10(A)は、本発明の実施の一形態におけるエンドプレート101または102に、各種流体の外部共用マニホールド51、52、53が内設された様子を部分的に示す立体図である。図10(B)は、本発明の実施の一形態におけるエンドプレート101または102に、燃料流体の排出用の内部共用マニホールドに接続する導管71Bと燃料流体の排出用の外部BOPに接続する導管61Bとの継ぎ、及び、酸化流体の排出用の内部共用マニホールドに接続する導管73Bと酸化流体の排出用の外部BOPに接続する導管63Bとの継ぎが形成された様子を示す断面図P−P’である。セルスタック構造体9から最も離れた位置にある第1のゾーン511において、燃料流体の排出用の内部共用マニホールドに接続する導管71Bは、冷却媒体と酸化流体の内部共用マニホールドに接続する導管72、73の幅サイズと比較して最も小さく、燃料流体の排出用の外部BOPに接続する導管61Bに貫設する。セルスタック構造体9から最も近い位置にある第3のゾーン533において、酸化流体の排出用の内部共用マニホールドに接続する導管73Bは、燃料流体と冷却媒体の内部共用マニホールドに接続する導管71、72の幅サイズと比較して最も大きく、酸化流体の排出用の外部BOPに接続する導管63Bに貫設する。
【0127】
図10(C)は、図10(A)の内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73と一致する接続口21、22、23の配列を示す模式図である。図10(C)における燃料流体の供給用接続口21A及び燃料流体の排出接続口21B、冷却媒体の供給用接続口22A及び冷却媒体の排出用接続口22B、そして酸化流体の供給用接続口23A及び酸化流体の排出用接続口23Bは、図10(A)に示す内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73に対応する。図10(A)の上向き矢印は、セルスタック構造体9への供給方向を指しており、図10(C)の×印で表した各種流体の供給用接続口に対応する。図10(A)の下向き矢印は、セルスタック構造体9からの排出方向を指しており、図10(C)の黒丸印で表した各種流体の排出用接続口に対応する。図10(C)で示すP−P’は、図10(B)の断面の切断位置である。
【0128】
図11(A)は、本発明の実施の一形態におけるエンドプレート101または102に、各種流体の外部共用マニホールド51、52、53が内設された様子を部分的に示す立体図である。図11(B)は、本発明の実施の一形態におけるエンドプレート101または102に、冷却媒体の供給用の内部共用マニホールドに接続する導管72Aと冷却媒体の供給用の外部BOPに接続する導管62Aとの継ぎ、及び、冷却媒体の排出用の内部共用マニホールドに接続する導管72Bと冷却媒体の排出用の外部BOPに接続する導管62Bとの継ぎが形成された様子を示す断面図Q−Q’である。セルスタック構造体9から中間位置にある第2のゾーン522において、冷却媒体の供給用の内部共用マニホールドに接続する導管72Aの幅サイズは、燃料流体の内部共用マニホールドに接続する導管71の幅サイズより大きく、酸化流体の内部共用マニホールドに接続する導管73の幅サイズより小さく、冷却媒体の供給用の外部BOPに接続する導管62Aに貫設する。A軸の2方向に隣接する冷却媒体の排出用の内部共用マニホールドに接続する導管72Bの幅サイズは、燃料流体の内部共用マニホールドに接続する導管71の幅サイズより大きく、酸化流体の内部共用マニホールドに接続する導管73の幅サイズより小さく、冷却媒体の排出用の外部BOPに接続する導管62Bに貫設する。
【0129】
図11(C)は、図11(A)の内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73と一致する接続口21、22、23の配列を示す模式図である。図11(C)で示すQ−Q’は、図11(B)の断面の切断位置である。なお、図10(A)〜(C)の内容と重複する部分には、同一の符号を付して、その説明は一部省略する。
【0130】
図12(A)は、本発明の実施の一形態におけるエンドプレート101または102に、各種流体の外部共用マニホールド51、52、53が内設された様子を部分的に示す立体図である。図12(B)は、本発明の実施の一形態におけるエンドプレート101または102に、酸化流体の供給用の内部共用マニホールドに接続する導管73Aと酸化流体の供給用の外部BOPに接続する導管63Aとの継ぎ、及び、燃料流体の供給用の内部共用マニホールドに接続する導管71Aと燃料流体の供給用の外部BOPに接続する導管61Aとの継ぎが形成された様子を示す断面図R−R’である。セルスタック構造体9から最も離れた位置にある第1のゾーン511において、燃料流体の供給用の内部共用マニホールドに接続する導管71Aの幅サイズは、冷却媒体と酸化流体の内部共用マニホールドに接続する導管72、73の幅サイズと比較して最も小さく、燃料流体の供給用の外部BOPに接続する導管61Aに貫設する。セルスタック構造体9から最も近い位置にある第3のゾーン533において、酸化流体の供給用の内部共用マニホールドに接続する導管73Aの幅サイズは、燃料流体と冷却媒体の内部共用マニホールドに接続する導管71、72の幅サイズと比較して最も大きく、酸化流体の供給用の外部BOPに接続する導管63Aに貫設する。
【0131】
図12(C)は、図12(A)の内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73と一致する接続口21、22、23の配列を示す模式図である。図12(C)で示すR−R’は、図12(B)の断面の切断位置である。なお、図10(A)〜(C)の内容と重複する部分には、同一の符号を付して、その説明は一部省略する。
【0132】
既に述べた通り、本明細書において、各種流体の外部共用マニホールド51、52、53と各種流体の内部共用マニホールド41、42、43の接続点を「接続口21、22、23」と呼んでいる。外部共用マニホールド51、52、53と干渉させないように、内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73の幅サイズを変化させて設ける必要があるので、内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73の幅サイズは、内部共用マニホールド側の構造である接続口21、22、23の幅サイズと一致しない場合がある。従って、内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73は、接続口21、22、23との連接部711、712、713の形状を変化させ、両者間の形状とサイズを一致させる必要がある。図9(B)が示すように、燃料流体の内部共用マニホールドに接続する導管71の幅サイズは、冷却媒体と酸化流体の内部共用マニホールドに接続する導管72、73より幅サイズが最も小さいので、連接部711に向かって勾配面を長くし、勾配面の傾斜角度αが90度以下であり、B軸の左右2箇所に設けている。図9(B)が示すように、冷却媒体の内部共用マニホールドに接続する導管72の幅サイズは、燃料流体の内部共用マニホールドに接続する導管71の幅サイズより大きく、酸化流体の内部共用マニホールドに接続する73の幅サイズより小さいので、連接部712に向かって勾配面を適切に設定し、勾配面の傾斜角度αが90度以下であり、B軸の左右2箇所に設けている。図9(B)が示すように、酸化流体の内部共用マニホールドに接続する導管73の幅サイズは、冷却媒体と燃料流体の内部共用マニホールドに接続する導管72、71より幅サイズが大きいので、連接部713の勾配面は設けず、接続口23に直接連接させる。但し、上述した内容は一例に過ぎず、必ずしもそうとは限らない。あるいは、傾斜させずに、上記連接部を丸まった形状あるいは角ばりのある形状にし、内部共用マニホールド41、42、43につなぐことができる。
【0133】
以下に、本発明の実施の形態1、2を図1〜18に基づいて説明するが、本発明は、実施の形態1、2のみに限定されるものではない。
【0134】
(実施の形態1)
図1〜18を用いて、本前文で述べた構成概念に基づいて、実施の形態1におけるスタック型燃料電池について説明する。
【0135】
既に述べた通り、電解質膜1の両面に、2つの電極触媒層2、3を配置し、それら2つの電極触媒層2、3の外側にガス拡散層4、5を配置し、更に、それらを狭持する一対のセパレータ6、7からなる本発明の一形態である単セル8を作製することができる。言い換えれば、燃料電池発電機能を有するのは、本発明の実施の一形態の単セル8である。図2に、単セル8内の各層と複数の単セル8の間を流れる流体(燃料流体の流路31、冷却媒体の流路32、酸化流体の流路33)を示す。
【0136】
また、図1(B)が示すのは、セパレータ6、7、ガス拡散層4、5、触媒層2、3、電解質膜1、触媒層2、3、ガス拡散層4、5、セパレータ6、7の順で合わせて7層でラミネートされており、現在において通常使われている燃料単セルの厚みよりも薄厚で作成することのできる単セル8である。
【0137】
固体高分子電解質膜1は、一般的に、フッ素系高分子電解質膜と炭化水素系高分子電解質膜に大別することができる。フッ素系高分子電解質膜としては、Nafion(登録商標、DuPont社製)、Flemion(登録商標、旭硝子社製)やAciplex(登録商標、旭化成社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマーなどからなる高分子膜が挙げられる。
【0138】
一方、炭化水素系高分子電解質膜には、全フッ素化、部分フッ素化、炭化水素系の3タイプがある。
【0139】
本発明では、固体高分子電解質膜1としては、フッ素系及び炭化水素系のどちらも好ましく用いることができる。また、1種類の電解質を単独で用いても、2種類以上を複数あわせて用いてもよい。また、フッ素系と炭化水素系の共重合体構造や支持膜への細孔フィリング膜などを用いてもよい。
【0140】
ガス拡散層は、支持層と支持層よりも平均細孔径が小さいマイクロポーラス層との二層によって構成されていて、支持層は100nm以上90μm以下の細孔径分布を有する導電性の炭素基材で構成されることが好ましい。例えば、撥水処理が施されたカーボンクロス、カーボンペーパー、カーボン不織布等を用いることができる。
【0141】
セパレータとしては、例えば、アルミ、銅、ステンレスなど様々な金属シート、金属箔、金属薄膜などを用いることができる。このような金属シート、金属箔、金属薄膜は耐腐食性と機械強度を持つ導電性材料からなることが好ましい。さらに、前記金属シート、金属箔、金属薄膜は、表面塗布、コーティング及び表面物理化学処理により耐腐食性、機械強度及び導電性がより高くなることがより好ましい。セパレータには流路が設けられており、流路は凸部と凹部から構成されるチャネルであり、その製造方法には、塗装、印刷、エッチング、プレス加工や切削加工等がある。
【0142】
触媒層には、カソード触媒層とアノード触媒層があり、触媒担持カーボンブラックと白金などの触媒粒子からなる。カソード触媒層は、酸素還元反応(プロトンと電子と酸素とから水を生成する反応)を促進し、アノード触媒層は、水素酸化反応(水素をプロトン及び電子に解離する反応)を促進する。
【0143】
車両搭載用の燃料電池では、以上のように作製された単セル8を数百枚積載して用いている。個々の単セル8には、2次元ブラベ格子の基本単位16に準じて開口部11、12、13が設けられており、開口部11、12、13の近傍にシーリング処理を施しており、複数の単セル8をスタックする処理に従って開口部11、12、13が重ね合わせられ、その結果としてセルスタック構造体9の内側に内部共用マニホールド41、42、43が内設される。内部共用マニホールド41、42、43の具体的な構造とその仕組みの詳細については、本前文の「内部共用マニホールド」部分を参照できる。このような単セル8に設けられる開口部11、12、13を形成する方法としては、機械加工、レーザ加工、エッチング等がある。開口部11、12、13の近傍のシーリング処理方法では、各種有機密封材料、無機密封材料あるいは有機と無機混合密封材料を用いることができ、または、機械加工、レーザ加工、エッチング等で加工後に密封接着処理を施してもよい。
【0144】
上述した方法により、開口部11、12、13は単セル8に設けられ、そして単セル8が一枚一枚重ね合わさることにより、セルスタック構造体9の内側に、図6及び図7で示したような内部共用マニホールド41、42、43が内設される。内部共用マニホールド41、42、43を流れる各種流体は、それぞれの供給開口部11A、12A、13A及び排出用開口部11B、12B、13Bを経由して、単セル8へ供給、そして排出される。図18で既に述べた通り、各種流体の単セル8への供給と排出の流れは、シール材19によって制御される。図3〜5で示した2次元ブラベ格子の規則性を有する繰り返しの基本単位16を、内部共用マニホールド41、42、43を構成する単セル8の開口部11、12、13のレイアウト設計に適用させることにより、内部共用マニホールド41、42、43を流通する各種流体の流れが促進される。また、単セル8の触媒層の有効面積を最大限に利用することが可能となる。
【0145】
次に、上述したように形成された内部共用マニホールド41、42、43は、接続口21、22、23を経由して、外部共用マニホールド51、52、53に接続される。図9(A)〜12(A)で明らかなように、外部共用マニホールド51、52、53には、外部BOPに接続する導管61、62、63がB方向に設けられている。
【0146】
また、外部共用マニホールド51、52、53には、内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73がC方向に設けられている。
【0147】
図9(B)が示すとおり、外部BOPに接続する導管61、62、63及び前記内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73は、相互に垂直に接続されている。内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73は、外部BOPに接続する導管61、62、63の中央部または端部に貫通する。
【0148】
上述のように、内部共有マニホールドに接続する導管71、72、73を外部BOPに接続する導管61、62、63に貫通させる効果は、各種流体の乱流防止である。外部BOPに接続する導管61、62、63は、3種の供給口及び排出口として同じエンドプレート101、102に設置することができる。
【0149】
外部共用マニホールド51、52、53の具体的な構造とその仕組みの詳細については、本前文の「外部共用マニホールド」部分を参照できる。
【0150】
外部共用マニホールド51、52、53に内設される外部BOPに接続する導管61、62、63及び内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73の形状の製造方法としては、例えば、切削加工がある。あるいは、金型加工または3Dプリンターを用いて外部共用マニホールド51、52、53を、エンドプレート101、102のブロックに作成することも可能である。
【0151】
(実施の形態2)
次に、図13〜17を用いて、実施の形態2におけるスタック型燃料電池について説明する。
【0152】
図13は、実施の形態2に係わるスタック型燃料電池を示す外観図である。
【0153】
図14は、図13に示した本発明の実施の形態2のスタック型燃料電池のセルスタック構造体9の部分を取り除いた状態を示すエンドプレート102の外観図である。図15は、本発明の形態2におけるエンドプレート102に、各種流体の外部共用マニホールド51、52、53が内設された様子を示す立体断面図である。図16は、本発明の形態2におけるエンドプレート102に、各種流体の外部共用マニホールド51、52、53が内設された様子を示す立体断面図である。図17は、本発明の実施の形態2におけるエンドプレート102に、各種流体の外部共用マニホールド51、52、53が内設された様子を示す立体断面図である。なお、図1〜12及び18に示される部材と共通する部材には同一の記号を付して、その説明は一部省略する。
【0154】
図13〜17に示す実施の形態2においては、内部共用マニホールド41、42、43と外部共用マニホールド51、52、53にエッジ構造が施されている点が主に異なり、他の構成については、図1〜12及び18に示す第1の実施の形態とほぼ同一である。
【0155】
図13に示すように、実施の形態2のスタック型燃料電池は、本発明の一形態である単セル8をスタックさせ、エンドプレート101、102により挟み込んだセルスタック構造体9を有する。実施の形態2では、エンドプレート101に外部共用マニホールド51、52、53を設けず、エンドプレート102に各種流体の外部共用マニホールドを設けている。
【0156】
図15〜17において、エンドプレート102の中間部分に位置する外部BOPに接続する導管61、62、63及び内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73が接続された様子を断面図で描写している。また、エンドプレート102のエッジ部分に位置する外部BOPに接続する導管81、82、83及び内部共用マニホールドに接続する導管91、92、93が接続された様子を断面図で描写している。
【0157】
図15は、本発明の実施の形態2におけるエンドプレート102に、エッジ部分の燃料流体の排出用の内部共用マニホールドに接続する導管91Bと燃料流体の排出用の外部BOPに接続する導管81Bとの継ぎ、中間部分の燃料流体の排出用の内部共用マニホールドに接続する導管71Bと燃料流体の排出用の外部BOPに接続する導管61Bとの継ぎ、及び、中間部分の酸化流体の排出用の内部共用マニホールドに接続する導管73Bと酸化流体の排出用の外部BOPに接続する導管63Bとの継ぎが形成された様子を示す立体断面図である。
【0158】
図16は、本発明の実施の形態2におけるエンドプレート102に、エッジ部分の冷却媒体の供給用の内部共用マニホールドに接続する導管92Aと冷却媒体の供給用の外部BOPに接続する導管82Aとの継ぎ、中間部分の冷却媒体の排出用の内部共用マニホールドに接続する導管72Bと冷却媒体の排出用の外部BOPに接続する導管62Bとの継ぎ、及び、中間部分の冷却媒体の供給用の内部共用マニホールドに接続する導管72Aと冷却媒体の供給用の外部BOPに接続する導管62Aとの継ぎが形成された様子を示す立体断面図である。
【0159】
図17は、本発明の実施の形態2におけるエンドプレート102に、エッジ部分の酸化流体の供給用の内部共用マニホールドに接続する導管93Aと酸化流体の供給用の外部BOPに接続する導管83Aとの継ぎ、中間部分の燃料流体の供給用の内部共用マニホールドに接続する導管71Aと燃料流体の供給用の外部BOPに接続する導管61Aとの継ぎ、及び、中間部分の酸化流体の供給用の内部共用マニホールドに接続する導管73Aと酸化流体の供給用の外部BOPに接続する導管63Aとの継ぎが形成された様子を示す立体断面図である。
【0160】
図14〜17を用いて、本実施の形態2におけるエッジ構造について説明する。実際のセルスタック構造体9における2次元展開は有限であり、必ずエッジが存在する。外部の供給源である外部BOPから供給される各種流体を単セル8の重ね合わせにより構成されたセルスタック構造体9の内側に均一に供給し、セルスタック構造体9の内側から排出される各種流体を均一に排出するために、内部共用マニホールド41、42、43と外部共用マニホールド51、52、53の双方にエッジ構造を設ける必要がある。そのため、同一単セル8の面内においては、燃料流体の供給用内部共用マニホールド41Aの配置と断面積(供給流れ分布と流量)と、燃料流体の排出用内部共用マニホールド41Bの配置と断面積(排出流れ分布と流量)とは均衡している。また、冷却媒体の供給用内部共用マニホールド42Aの配置と断面積(供給流れ分布と流量)と、冷却媒体の排出用内部共用マニホールド42Bの配置と断面積(排出流れ分布と流量)とは均衡している。更に、酸化流体の供給用内部共用マニホールド43Aの配置と断面積(供給流れ分布と流量)と、酸化流体の排出用内部共用マニホールド43Bの配置と断面積(排出流れ分布と流量)とは均衡している。
【0161】
なお、各種流体の供給排出の流れは、均衡していることが最適ではあるものの、たとえ均衡を強要しなくとも、本発明の燃料電池は発電するということは、敢えて言うまでもない。
【0162】
開口部のA軸の2方向展開を終端させるエッジ構造は、B方向に沿って設けられるエッジ構造である。開口部のA軸の2方向展開を終端させるエッジ構造には、内部共用マニホールドのエッジ構造(図示せず)及び外部共用マニホールドのエッジ構造80、90が含まれている。内部共用マニホールドのエッジ構造は、図示していないものの、セルスタック構造体9のB軸の2方向に沿った2端部に内設される。外部共用マニホールドのエッジ構造80、90は、図14が示すとおり、エンドプレート102のB軸の2方向に沿った2端部に内設される。開口部のA軸の2方向を終端させるエッジ構造は、中間部分にある外部BOPに接続する導管61、62、63及び内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73の断面の原形を維持しながら半形状型にして作成され、その結果、外部BOPに接続する導管81、82、83及び内部共用マニホールドに接続する導管91、92、93の断面積が中間部分にある全形型の断面積の半分になるようになる。同一単セル8の面内においては、各種流体の供給用内部共用マニホールド41A、42A、43Aの分布と総断面積(エッジ部と中間部)に対応する供給分布と総流量と、各種流体の排出用内部共用マニホールド41B、42B、43Bの分布と総断面積(エッジ部と中間部)に対応する供給分布と総流量は、それぞれ均衡になる。
【0163】
開口部のB軸の2方向展開を終端させるエッジ構造は、A方向に沿って設けられるエッジ構造である。開口部のB軸の2方向展開を終端させるエッジ構造には、内部共用マニホールドのエッジ構造(図示せず)及び外部共用マニホールドのエッジ構造80、90が含まれている。内部共用マニホールドのエッジ構造は、図示していないものの、セルスタック構造体9のA方向に沿った2端部に設けられる。外部共用マニホールドのエッジ構造は、図14が示すとおり、エンドプレート102のA方向に沿った2端部に設けられる。
【0164】
開口部のB軸の2方向展開を終端させるエッジ構造は、発電機能を維持する基本セグメント18を基準としている。基本セグメント18には、前記B方向に燃料流体、冷却媒体及び酸化流体の内部共用マニホールド41、42、43と内部共用マニホールドに接続する導管71、72、73から構成される。基本セグメント18の整数倍になる区切りを基準に開口部のB軸の2方向展開を終端させ、セルスタック構造体9及びエンドプレート102のA方向に沿って2端部のエッジが形成されている。図14に示した例によれば、基本セグメント18は、1つの燃料流体の内部共用マニホールドに接続する導管71、1つの冷却媒体の内部共用マニホールドに接続する導管72、及び1つの酸化流体の内部共用マニホールドに接続する導管73から構成されている。
【0165】
エッジ構造を施さなければ、端部近傍にある各種流体の供給と排出のバランスが崩れ、局部反応が強まり、触媒層に大きなダメージを与え、破損につながり、また、耐久性も著しく低下する。
【0166】
上記説明した実施の形態1、2において、スタック枚数を可能な限り増やしつつも、内部共用マニホールド41、42、43のC方向の長さをなるべく最小限に抑える(つまり平たくする)ことが望ましい。これにより、本発明のスタック型燃料電池を車両のエンジンルームのような限られた空間に設置することができ、また、高い圧力で酸化流体を送り込むためのコンプレッサーを必ずしも必要としないため、製造コストの削減になり、軽量化により小型の航空機などのパワー源として利用することもできる。
【0167】
また、供給及び排出のバランスの観点で、本発明の実施の形態1、2における内部共用マニホールド41、42、43及び外部共用マニホールド51、52、53のレイアウトは、上述した例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、その他の様々な形態で実施されることが可能である。
【0168】
以上のようにして構成された本発明の実施の形態1、2のスタック型燃料電池における各種流体の流路の流れを、実験シミュレーションによって確認してもよい。
【0169】
(燃料電池のメカニズム)
スタック型燃料電池のメカニズムは以下のとおりである。アノード(燃料極と呼ばれる)には水素流体が供給され、触媒の助けをかりて、供給された水素流体から電子が離れ外部回路に移動する。ここで水素は水素イオン(プロトンと呼ばれる)に変わる。一方、カソード(空気極と呼ばれる)には酸素が供給される。酸素は電解質膜から通過してくるプロトンと外部回路から流入してくる電子とに反応して水が生成される。
【0170】
(本発明の効果)
既述の構造概念で説明したとおり、前記単セル8の有効面積を変化させることにより、出力密度を電圧に依存せずに大きくすることができる。また、単セル8がスタックされる枚数を変化させることにより、前記燃料電池の出力電圧を決定できる。更に、薄い単セル8を用いることにより、出力を変えずセルスタック構造体の体積を大きく減らし、出力密度とエネルギー密度を大きくさせることができる。更に、薄厚単セル8を用いることにより、流路の高さを低くすることができるため、スタックピッチが短くなるので、スタック枚数を増やすことが可能になり、更に、高い圧力で酸化流体を送り込むためのコンプレッサーを必ずしも必要としない。このようなブラベ格子の規則性を有する繰り返しの基本単位16(図3を参照)を、内部共用マニホールド41、42、43を構成する単セル8の開口部11、12、13のレイアウト設計に適用させる理由としては、単セル8の全体にわたって各種流体を均一に供給及び排出し、流れの圧力損失を抑えることによる配流性が良くなり、単セル8の面積の有効利用等が挙げられる。また、同種流体(燃料流体、冷却媒体または酸化流体)の供給用開口部11A、12A、13Aと排出用開口部11B、12B、13Bを流路方向に沿って最隣接に設置すれば、同種流体の流れが連続し途絶えることがなく、燃料電池の反応を促進し、すべての触媒反応面積を最大限有効利用することができる。
【0171】
上記説明した内部共用マニホールド41、42、43及び外部共用マニホールド51、52、53のレイアウトによれば、流量むらが発生することを抑えることができる。更に、全体をコンパクトに構成することができるので、高出力密度及び高容量のスタック型燃料電池を提供することができ、効率的に発電を行うことができる。更に、スタック型燃料電池が占める面積を小さくでき、エンジンルーム内のレイアウトの自由度を高めることができる。内部共用マニホールド41、42、43内のスタック方向の偏流を抑えることにより、より一層均等に供給及び排出することができる。そして、流れの圧力損失を低減し、良好な配流性を向上させることができる。また、このレイアウトは、組み立て時の製造のばらつきにも柔軟性をもって対応することができる。
【0172】
内部共用マニホールド41、42、43、外部共用マニホールド51、52、53の構成が単純であり、切削加工などの手段によって容易に形成されることから、エンドプレート101、102の製造を簡素にでき、多数の部品を溶接して組み立てる場合などに比較して安価に製造するこができる。小型化されたスタック型燃料電池は、車載性、生産性、コストに優れる。また、このように構造に工夫を施すことで、スタック型燃料電池に特殊な外部装置を装着しなくても、流れ抵抗を減少した各種流体が単セル8面内を行き渡ることが可能になる。流体の流れの観点からだけではく、内部の応力が集中するのを著しく低減できる。特に、電解質膜1に対する局部応力が集中するのを無くすことができるため、単セルスタック型燃料電池の寿命を大きく延ばすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明の実施の一形態は、車両搭載用の燃料電池として利用することができる。
【0174】
本発明は、上述の実施の形態1、2に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、本発明の明細書の実施の形態1、2に記載した技術的特徴は、上述の課題及び効果の一部又は全部を解決するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。
【符号の説明】
【0175】
1 電解質膜
2、3 電極触媒層、触媒層
4、5 ガス拡散層
6、7 セパレータ
8 単セル
9 セルスタック構造体
11 燃料流体の開口部
11A 燃料流体の供給用開口部、
11B 燃料流体の排出用開口部
12 冷却媒体の開口部
12A 冷却媒体の供給用開口部
12B 冷却媒体の排出用開口部
13 酸化流体の開口部
13A 酸化流体の供給用開口部
13B 酸化流体の排出用開口部
14 ベクトルA
15 ベクトルB
16 2次元ブラベ格子の基本単位
17 最小発電体
18 基本セグメント
19 シール材
21 燃料流体の接続口
21A 燃料流体の供給用接続口
21B 燃料流体の排出用接続口
22 冷却媒体の接続口
22A 冷却媒体の供給用接続口
22B 冷却媒体の排出用接続口
23 酸化流体の接続口
23A 酸化流体供給用の接続口、
23B 酸化流体の排出用の接続口
31 燃料流体の流れ、燃料流体が流れる流路
32 冷却媒体の流れ、冷却媒体が流れる流路
33 酸化流体の流れ、酸化流体が流れる流路
41 燃料流体の内部共用マニホールド
41A 燃料流体の供給用内部共用マニホールド
41B 燃料流体の排出用内部共用マニホールド
42 冷却媒体の内部共用マニホールド
42A 冷却媒体の供給用内部共用マニホールド
42B 冷却媒体の排出用内部共用マニホールド
43 酸化流体の内部共用マニホールド
43A 酸化流体の供給用内部共用マニホールド
43B 酸化流体の排出用内部共用マニホールド
51 燃料流体の外部共用マニホールド
51A 燃料流体の供給用外部共用マニホールド
51B 燃料流体の排出用外部共用マニホールド
52 冷却媒体の外部共用マニホールド
52A 冷却媒体の供給用外部共用マニホールド
52B 冷却媒体の排出用外部共用マニホールド
53 酸化流体の外部共用マニホールド
53A 酸化流体の供給用外部共用マニホールド
53B 酸化流体の排出用外部共用マニホールド
61 燃料流体の外部BOPに接続する導管
61A 燃料流体の供給用の外部BOPに接続する導管
61B 燃料流体の排出用の外部BOPに接続する導管
62 冷却媒体の外部BOPに接続する導管
62A 冷却媒体の供給用の外部BOPに接続する導管
62B 冷却媒体の排出用の外部BOPに接続する導管
63 酸化流体の外部BOPに接続する導管
63A 酸化流体の供給用の外部BOPに接続する導管
63B 酸化流体の排出用の外部BOPに接続する導管
71 燃料流体の内部共用マニホールドに接続する導管
71A 燃料流体の供給用の内部共用マニホールドに接続する導管
71B 燃料流体の排出用の内部共用マニホールドに接続する導管
72 冷却媒体の内部共用マニホールドに接続する導管
72A 冷却媒体の供給用の内部共用マニホールドに接続する導管
72B 冷却媒体の排出用の内部共用マニホールドに接続する導管
73 酸化流体の内部共用マニホールドに接続する導管
73A 酸化流体の供給用の内部共用マニホールドに接続する導管
73B 酸化流体の排出用の内部共用マニホールドに接続する導管
80 外部共用マニホールドのエッジ構造
81 燃料流体の外部BOPに接続する導管(端部)
81A 燃料流体の供給用の外部BOPに接続する導管(端部)
81B 燃料流体の排出用の外部BOPに接続する導管(端部)
82 冷却媒体の外部BOPに接続する導管(端部)
82A 冷却媒体の供給用の外部BOPに接続する導管(端部)
82B 冷却媒体の排出用の外部BOPに接続する導管(端部)
83 酸化流体の外部BOPに接続する導管(端部)
83A 酸化流体の供給用の外部BOPに接続する導管(端部)
83B 酸化流体の排出用の外部BOPに接続する導管(端部)
90 外部共用マニホールドのエッジ構造
91 燃料流体の内部共用マニホールドに接続する導管(端部)
91A 燃料流体の供給用の内部共用マニホールドに接続する導管(端部)
91B 燃料流体の排出用の内部共用マニホールドに接続する導管(端部)
92 冷却媒体の内部共用マニホールドに接続する導管(端部)
92A 冷却媒体の供給用の内部共用マニホールドに接続する導管(端部)
92B 冷却媒体の排出用の内部共用マニホールドに接続する導管(端部)
93 酸化流体の内部共用マニホールドに接続する導管(端部)
93A 酸化流体の供給用の内部共用マニホールドに接続する導管(端部)
93B 酸化流体の排出用の内部共用マニホールドに接続する導管(端部)
101 エンドプレート
102 エンドプレート
511 第1のゾーン
522 第2のゾーン
533 第3のゾーン
711 燃料流体の内部共用マニホールドに接続する導管の連接部
722 冷却媒体の内部共用マニホールドに接続する導管の連接部
733 酸化流体の内部共用マニホールドに接続する導管の連接部
F F列
G G列
K K列
J J列
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2020年10月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
本発明の一実施形態では、前記セルスタック構造体から最も遠く離れた第1のゾーンから第2のゾーンを経由して、前記セルスタック構造体に最も近い第3のゾーンまで、前記第2導管は、前記単セルの面内における第1の軸(A軸)の幅サイズがゾーンごとに階段的に広くなり、そして、冷却媒体の外部発電補助システムに接続する第1導管は、前記第1のゾーンに位置する燃料ガスの内部共用マニホールドに接続する第2導管の幅を基準ラインとして設定してセットバックされ、酸化ガスの外部発電補助システムに接続された第1導管は、前記第2のゾーンに位置する冷却媒体の内部共用マニホールドに接続する第2導管の幅を基準ラインとして設定してセットバックされる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
本発明の一実施形態では、前記内部共用マニホールド及び外部共用マニホールドのエッジ構造は、前記開口部の前記単セルの第1の軸(A軸)展開を終端させるエッジ構造については、端部にある内部共用マニホールド及び外部共用マニホールドの断面積が中間部の内部共用マニホールド及び外部共用マニホールドの断面積の半分または略半分になるよう設け、前記開口部の前記単セルの第2の軸(B軸)展開を終端させるエッジ構造については、前記第2の軸に燃料流体、冷却媒体及び酸化流体の内部共用マニホールド並びに内部共用マニホールドに接続する導管を備えている基本セグメントにおいて、前記基本セグメントの整数倍になる区切りを基準に開口部の前記第2の軸への展開を終端させる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0101
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0101】
図8が示すのは、単セル8の面内を螺旋状に回転するよう重ねていった結果形成される内部共用マニホールド41、42、43である。単セル8をセルスタック構造体9の垂直方向に重ねる時、次のシナリオにて内部共用マニホールド41、42、43が形成される。隣接する単セル8間の面内配置の回転角度がゼロの場合と、所定の角度を持って回転される場合とがある。「回転角度がゼロ」というのは、回転させない完璧なアライメントで単セル8を重ねることである。「所定の角度を持って回転される場合」には、単セル8のセルスタック構造体9が、螺旋状に回転しているケースも含まれる。図2図4図5に基づいて、本発明に係る流路31、32、33を説明する。これにより、内部共用マニホールド41、42、43の各種流体の流れが改善される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項26
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項26】
前記セルスタック構造体から最も遠く離れた第1のゾーンから第2のゾーンを経由して、前記セルスタック構造体に最も近い第3のゾーンまで、前記第2導管は、前記単セルの面内における第1の軸(A軸)の幅サイズがゾーンごとに階段的に広くなり、
冷却媒体の外部発電補助システムに接続する第1導管は、前記第1のゾーンに位置する燃料流体の内部共用マニホールドに接続する第2導管の幅を基準ラインとして設定してセットバックされ、
酸化流体の外部発電補助システムに接続された第1導管は、前記第2のゾーンに位置する冷却媒体の内部共用マニホールドに接続する第2導管の幅を基準ラインとして設定してセットバックされることを特徴とする請求項21に記載の燃料電池。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項27
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項27】
前記内部共用マニホールド及び外部共用マニホールドのエッジ構造は、前記開口部の前記単セルの第1の軸(A軸)展開を終端させるエッジ構造については、端部にある内部共用マニホールド及び外部共用マニホールドの断面積が中間部の内部共用マニホールド及び外部共用マニホールドの断面積の半分または略半分になるよう設け、前記開口部の前記単セルの第2の軸(B軸)展開を終端させるエッジ構造については、前記第2の軸に燃料流体、冷却媒体及び酸化流体の内部共用マニホールド並びに内部共用マニホールドに接続する導管を備えている基本セグメントに基づいて、前記基本セグメントの整数倍になる区切りを基準に開口部の前記第2の軸への展開を終端させることを特徴とする請求項21に記載の燃料電池。
【国際調査報告】