特表2021-517041(P2021-517041A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-517041(P2021-517041A)
(43)【公表日】2021年7月15日
(54)【発明の名称】湿乾式真空掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20210618BHJP
   A47L 7/00 20060101ALI20210618BHJP
【FI】
   A47L9/28 C
   A47L9/28 T
   A47L7/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-549736(P2020-549736)
(86)(22)【出願日】2019年3月21日
(85)【翻訳文提出日】2020年9月16日
(86)【国際出願番号】EP2019057017
(87)【国際公開番号】WO2019180108
(87)【国際公開日】20190926
(31)【優先権主張番号】18163236.5
(32)【優先日】2018年3月22日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】クサーヴァー ハンズルマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】スウェンヤ ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】ミハエル ゲンチ
(72)【発明者】
【氏名】リヒター ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ヘス
【テーマコード(参考)】
3B057
【Fターム(参考)】
3B057DE06
(57)【要約】
本発明は、吸引ヘッド、塵埃容器、及び吸引ホースを接続するように設計された入口取付け具を有する湿乾式真空掃除機に関し、入口取付け具は、吸引された塵埃粒子が入口接続部を介して塵埃容器の中に入ることができるように、湿乾式真空掃除機内に構成された、湿乾式真空掃除機の入口接続部に流体的に接続されており、入口接続部は水平方向に流出するディフューザとして設計されている。更には、湿乾式真空掃除機の入口接続部は、入口接続部が吸引流用の流入開口部と2つの流出開口部とを備えるように、Y字形状を有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空掃除機ヘッド(10)を有し、塵埃容器(20)を有し、吸引ホース(200)の接続用に設計された入口取付け具(25)を有する、湿乾式真空掃除機(100)であって、前記入口取付け具(25)は、引き込まれた塵埃粒子(P)が入口コネクタ(27)を介して前記塵埃容器(20)の中に移動することができるように、前記湿乾式真空掃除機(100)内に位置する前記入口コネクタ(27)に前記湿乾式真空掃除機(100)の流れの点で接続されている前記湿乾式真空掃除機(100)において、
前記入口コネクタ(27)は水平方向への流出を伴うディフューザとして設計されていることを特徴とする、湿乾式真空掃除機。
【請求項2】
ディフューザとして設計された前記入口コネクタ(27)を通る吸引流(S)が、前記塵埃容器(20)の内壁(21)に向かって導かれることを特徴とする、請求項1に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項3】
前記塵埃容器(20)の前記内壁(21)は前記塵埃容器(20)の側壁であることを特徴とする、請求項2に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項4】
ディフューザとして設計された前記入口コネクタ(27)はディフューザ開口部(28)を有し、前記内壁(21)に対する前記ディフューザ開口部(28)の壁間隔(WA)は、前記塵埃容器(20)の容器幅(B)の5分の1未満であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項5】
前記ディフューザ開口部(28)の断面積(Q1)は、前記塵埃容器(20)の中への壁通路の領域における前記入口取付け具(25)の断面積(Q2)よりも少なくとも50%大きいことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項6】
ディフューザとして設計された前記入口コネクタ(27)は、前記塵埃容器(20)によって画定される容積(V)内に、好ましくは独占的に、構成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項7】
前記湿乾式真空掃除機(100)は前記真空掃除機ヘッド(10)内に構成された電気タービン(15)を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項8】
前記湿乾式真空掃除機(100)は、前記吸引流(S)に対して、ディフューザとして設計された前記入口コネクタ(27)の下流に位置付けられた、塵埃フィルタ(17)を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項9】
ディフューザとして設計された前記入口コネクタ(27)は、単一の部品として形成されている、及び/又は前記塵埃容器(20)に一体形成されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項10】
ディフューザとして設計された前記入口コネクタ(27)は、プラスチックから成ることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項11】
前記入口コネクタ(27)は前記ディフューザ開口部(28)の領域に端部(29)を有し、前記端部(29)は前記吸引流(S)に対する流入開口部(30)を有し、且つ2つの流出開口部(32)を備える流出領域(31)を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項12】
前記流入開口部(30)は、前記端部(29)の実質的に平坦な上面に対して傾斜するように形成されていることを特徴とする、請求項11に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項13】
前記流出開口部(32)はそれぞれ1つの壁領域(33)を備え、前記流出開口部(32)の前記壁領域(33)は、前記入口コネクタ(27)の前記端部(29)の前記実質的に平坦な上面に実質的に平行に形成されていることを特徴とする、請求項11又は12に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項14】
前記端部(29)は、その形状によって、前記吸引流(S)の方向を進路変更するように設計されていることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1項に記載の湿乾式真空掃除機。
【請求項15】
前記端部(29)の前記流入開口部(30)は、前記塵埃容器(20)の最大充填レベルの上に構成されていることを特徴とする、請求項11〜14のいずれか1項に記載の湿乾式真空掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空掃除機ヘッドを有し、塵埃容器を有し、吸引ホースの接続用に設計された入口取付け具を有する、湿乾式真空掃除機に関する。入口取付け具は、引き込まれた塵埃粒子が、入口コネクタを介して塵埃容器の中に移動することができるように、湿乾式真空掃除機内に位置する湿乾式真空掃除機の入口コネクタに、流れの点で接続されている。
【背景技術】
【0002】
導入部で述べた種類の湿乾式真空掃除機は、原則的に従来技術から知られている。これらは、例えば、典型的にはアングルグラインダで実施される作業中に形成される塵埃粒子を引き抜く役割を担う。この目的のため、吸引ホースが入口取付け具に接続され、吸引ホースは次いで、例としてアングルグラインダによって接続されている。いわゆる湿式用途では、汚れた水が引き込まれる。乾式用途では、乾燥した塵埃粒子のみが、又は主として塵埃粒子が引き込まれる。引き込まれた埃と水及び/又は空気の混合物は、一般に塵埃容器内に収集され、その後、塵埃容器は空にされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、改善された動作挙動を示す湿乾式真空掃除機を提供することである。提供される湿乾式真空掃除機の場合は、収容される埃又は水の量を最大化させることができるように、塵埃容器の利用可能な容積を最適に利用することが更に追求される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本目的は、入口コネクタが水平方向への流出を伴うディフューザとして設計されることで実現される。特に、本発明は湿乾式真空掃除機用の入口コネクタに関し、吸引流が真空掃除機の塵埃容器の中に実質的に水平方向に流れるように、入口コネクタが湿乾式真空掃除機内に構成されている。吸引流の流体−粒子混合物の実質的に水平方向の流入方向は、塵埃容器の基部表面に好ましくは実質的に平行であり、基部表面は、好ましくは同様に、湿乾式真空掃除機が置かれている下地表面に実質的に平行である。
【0005】
本発明は、従来技術の湿乾式真空掃除機の場合は、入口取付け具及び/又は入口コネクタが、典型的には真空掃除機ヘッド内に位置しており、その結果として、塵埃容器の利用可能な容積を最適に利用することができるという気づきを取り入れている。ここで、入口コネクタは典型的には、直接、塵埃容器の中に方向付けられ、その結果、既に引き込まれた、塵埃容器内の塵埃粒子の望ましくない撹拌及び掻き回しに至る。これにより、湿式用途の場合には早期の遮断につながり、乾式用途の場合には比較的短いフィルタの有効寿命につながることが観察された。水平方向への流出を伴うディフューザとして本発明により設計された入口コネクタのおかげで、これらの欠点を回避することができる。むしろ、塵埃容器内での掻き回しなしで、塵埃容器の中に塵埃粒子を層状に導入することが促進される。このようにして実現された、塵埃容器の実質的に層状の充填により、塵埃容器内で利用可能な容積を、従来技術から既知の通常の湿乾式真空掃除機の場合よりも、更に一層効率的に利用することが可能であることは有利である。水平方向に向いた入口コネクタは、特に従来技術からの逸脱を構成する。その理由は、専門家はこれまで、塵埃容器内の利用可能な容積の最適な利用が、入口コネクタの傾斜した構成によって実現され、その場合、入口コネクタは、塵埃容器内の容積に向いているか、又は塵埃が下方の空間方向に送られて塵埃容器の中に入るように構成されると想定してきたからである。本発明との関係において、「下方」の空間的な方向は、好ましくは、塵埃が基部の方向に、又は塵埃容器の底面の方向に送られることを意味する。
【0006】
従来技術からの逸脱において、ディフューザとして設計された入口コネクタを通る吸引流が塵埃容器の内壁に向かって導かれると有利であることが確認されている。内壁からの吸引流の跳ね返りにより、塵埃粒子を含む引き込まれた空気は減速されるか又は遅くなり、それにより、塵埃容器の中への塵埃粒子の導入が更に改善される。
【0007】
塵埃容器の内壁は、好ましくは塵埃容器の側壁である。内壁は、必ずしも塵埃容器の側壁である必要はない。むしろ、内壁はまた、湿乾式真空掃除機内の更なる壁であってもよく、更なる壁は、垂直方向に向いている、及び/又はその面積は、入口コネクタのディフューザ開口部の断面積と少なくとも同じくらいの大きさである。
【0008】
特に好ましい態様では、ディフューザとして設計された入口コネクタはディフューザ開口部を有し、内壁に対するディフューザ開口部の壁間隔は、塵埃容器の容器幅の5分の1未満である。
【0009】
ディフューザ開口部の断面積は、好ましくは、塵埃容器の中への壁通路の領域における入口取付け具の断面積よりも少なくとも50%大きい。
【0010】
ディフューザ開口部は、好ましくは独占的に、塵埃容器の上側3分の1に構成されてもよい。比較的小さい塵埃容器の場合は、ディフューザ開口部は、好ましくは、容器の上側半分に位置してもよい。
【0011】
ディフューザとして設計された入口コネクタが、塵埃容器によって画定される容積内に構成されると有利であることが確認されている。ディフューザとして設計された入口コネクタは、塵埃容器によって画定される容積内に独占的に構成されることが特に好ましい。
【0012】
湿乾式真空掃除機は、真空掃除機ヘッド内に構成された電気タービンを有することが特に好ましい。湿乾式真空掃除機は、吸引流に対して、ディフューザとして設計された入口コネクタの下流に位置付けられた塵埃フィルタを有してもよい。
【0013】
更に好ましい態様では、ディフューザとして設計された入口コネクタは、単一の部品として形成されている。ディフューザとして設計された入口コネクタは、塵埃容器上に一体形成されてもよい。ディフューザとして設計された入口コネクタは、好ましくはプラスチック又はポリマーから成る。
【0014】
更なる態様では、本発明はY字形状の入口コネクタに関する。本発明のこの態様では、入口コネクタはディフューザ開口部の領域に端部を有し、端部は吸引流に対する流入開口部を有し、且つ2つの流出開口部を備える流出領域を有することが好ましい。
【0015】
入口コネクタの端部の流出領域の2つの流出開口部によって、吸引流が塵埃容器の中に引き込まれる速度は顕著に低減され得る。吸引流は、好ましくは、流体−粒子混合物によって形成され、流体は、例えばガス、又は空気などのガス混合物であってもよい。流体はまた、水などの液体であってもよい。粒子は、好ましくは、埃及び引き込まれた塵埃である。流体−粒子混合物の流入速度が低減された結果として、有利なことに、入口コネクタの端部での吸引流の鎮静化が実現され、これが塵埃容器の充填の改善に貢献する。換言すれば、2つの流出開口部を有する入口コネクタのY字形状は、塵埃容器内で粒子の層状の堆積が可能になるように、流体−粒子混合物内の流れを鎮静化するという効果を有する。発明者らは、埃及び/又は塵埃のそのような層ごとの堆積又は層状の堆積が、有利なことに、塵埃容器内の利用可能な容積の最適な利用につながることに気付いた。
【0016】
端部の流入開口部は、好ましくは、入口コネクタと端部との間に移行部を形成する。本発明との関係において、流入開口部の領域にある端部に吸引流が入ることが好ましく、そこでは、端部の設計のおかげで、流れは、好ましくは、最初に端部の背面壁、及び/又は基部、及び/又は底面に抗して送られる。吸引流が端部に入る方向は、特に端部内の流入開口部の構成によって画定される。
【0017】
本発明との関係において、流入開口部が、端部の実質的に平坦な上面に対して傾斜するように形成されていることが好ましい。このように、吸引流は特に、端部の背面壁と基部との間の移行領域に対して引き込まれ、そこで、流体−粒子混合物の急激な制動に起因して流れの減速が生じる。本発明との関係において、端部の背面壁又は基部が塵埃容器の内部の内壁として機能することが特に好ましい場合があり、端部の内壁又は背面壁及び/又は壁領域は、吸引流が端部の内壁又は背面壁及び/又は壁領域に送られた場合に、吸引流を制動するように構成されている。この場合、流体−粒子混合物は壁から跳ね返り、流れの速度は顕著に低減される。
【0018】
入口コネクタの端部は、好ましくは、吸引流又は流体−粒子混合物を分割及び/又は膨張させるための流入デバイスと称されてもよい。特に、提案される端部はY字形状の流入分配器を構成する。1つの流入開口部と2つの流出開口部とを有する端部の好ましい設計により、有利なことに、流入量に比べて流出量を顕著に増加させることが可能である。本発明の特別な利点として、このことから、流入開口部の領域におけるよりも流出開口部において流れ速度がより小さくなり、それにより入口コネクタの好ましい設計によって、有利なことに、流体−粒子混合物の堆積挙動を改善することが可能である。
【0019】
流入開口部の傾斜した形状に関連して、端部の実質的に平坦な上面に垂直な面法線を定義することができる。本発明との関係において、流入開口部によって定義された平面に垂直な更なる面法線を定義することが好ましい。このように定義された2つの面法線は、好ましくは、本発明との関係において、好ましくは「流入開口部の傾斜角度」と称される角度を包含する。流入開口部の前記傾斜角度は、5〜30度の範囲、好ましくは10〜20度の範囲、特に好ましくは15度であることが好ましい場合がある。
【0020】
塵埃容器の中への吸引流の実質的に水平方向への流入に加えて、吸引流の速度の低減が同様に、流体−粒子混合物が塵埃容器内に堆積される形態に大きな影響を与えることが試験により示されている。この関連で、好ましくは傾斜した流入開口部を有する入口コネクタのY字形状が、塵埃容器内で利用可能な容積を更に有効に利用すること、及び、流体−粒子混合物を、特に空間を節約する形態で塵埃容器内に堆積すること、を可能にするという点で大きな貢献をする。
【0021】
本発明との関係において、流出開口部がそれぞれ1つの壁領域を備え、流出開口部の壁領域が、入口コネクタの端部の実質的に平坦な上面に実質的に平行に形成されていると好ましい。流出開口部の壁領域は、好ましくは、入口コネクタの端部の外側終端部を形成する。壁領域は、好ましくは、引き込まれた塵埃を前記壁領域に抗して送ることを可能にする役割を担い、その衝撃の結果として、吸引流は速度を失い、特に減速される。発明者らは、吸引流又は引き込まれた塵埃の減速が、塵埃容器の容積の改善された充填及び最適化された利用に対して大きな要因となることに気付いた。
【0022】
流入開口部の傾斜のおかげで、吸引流又は引き込まれた塵埃は、有利なことに、吸引流又は引き込まれた塵埃が特に効果的な形態で制動され得るように、入口コネクタの端部の背面壁と壁領域との間の移行領域へ送られる。特に、入口コネクタの端部の設計は吸引流の進路変更をもたらす。入口コネクタの端部の背面壁は、好ましくは、端部の実質的に平坦な上面に対して実質的に垂直に構成されている。背面壁は更に、流出開口部のそれらの壁領域に実質的に垂直に構成され、壁領域は好ましくは、端部の基部又は底面を形成する。
【0023】
本発明との関係において、流出開口部が、入口コネクタの端部の背面壁に実質的に平行であり、流出開口部の壁領域に実質的に垂直となるように形成された、流出平面を画定すると更に好ましい。入口コネクタの端部内における流出開口部に対する流入開口部の構成により、吸引流は、引き込まれた塵埃が塵埃容器内に薄層状で堆積されるように、有利なことに進路変更される。
【0024】
提案された入口コネクタの端部部品はまた、フィルタバッグに関連して使用されることが有利な場合がある。この目的のため、本発明との関係において、Y字形状の入口コネクタ、又はその端部部品が、従来のコネクタに比べて拡大された接続形状を有することが好ましい場合がある。封止形状は、好ましくは、例えば楕円形状、例えば卵形であってもよい。
【0025】
本発明との関係において、入口コネクタの端部が、流出開口部を1つだけ有することが好ましい場合もあるが、その時は、好ましくは、流出開口部のサイズは流入開口部の面積よりもかなり大きい。このようにして、収集容器の充填の改善を可能にする、吸引流の流入分布が有利なことに実現される。
【0026】
特に、入口コネクタの好ましくはY字形状の端部によって、吸引流の流入方向の進路変更が可能になる。換言すれば、本発明との関係において、入口コネクタの端部は、その形状により、吸引流の方向を進路変更するように設計されていると好ましい。特に、本発明との関係において、塵埃容器の先端側の方向への実質的に90度の進路変更が好ましい。本発明との関係において、吸引流が、容器基部に対して好ましくは実質的に平行である方向を有すると好ましい。
【0027】
入口コネクタに対する提案された端部の更なる利点は、速度の低減及び塵埃容器内の流れの鎮静化である。
【0028】
本発明の更なる態様では、端部の流入開口部が、塵埃容器の最大充填レベルの上方に構成されていると好ましい。換言すれば、本発明との関係において、端部コネクタが塵埃又は水の表面の上方に構成されると好ましい。これは、特にコネクタが塵埃中に突出しない場合に塵埃容器内での塵埃の層状の堆積が可能であることから好ましい。塵埃中への突出は、不都合なことに、塵埃中での望ましくない掻き回しにつながり、回避すべきである。
【0029】
本発明の特段に好ましい態様では、入口コネクタを有する湿乾式真空掃除機が開示され、入口コネクタは水平方向への流出を伴うディフューザとして設計され、入口コネクタは吸引流のための1つの流入開口部と2つの流出開口部とを備えるという意味においてY字形状を有する。特に、湿乾式真空掃除機は塵埃容器を有し、引き込まれた塵埃粒子が、入口コネクタを介して塵埃容器の中に移動することができる。入口コネクタがディフューザ開口部の領域に端部を有し、入口コネクタの端部が吸引流のための流入開口部と、流出領域とを有し、流出領域は2つの流出開口部を備えるならば好ましい。
【0030】
更なる利点は、以下の図の説明から明らかになるであろう。
【0031】
図、本明細書の記載、及び特許請求の範囲は、多数の特徴を組み合わせて含む。当業者も、適宜、特徴を個別に検討し、それらを組み合わせて、好都合な更なる組み合わせをもたらすであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の好ましい実施例を示す図である。
図2】本発明の好ましい実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明による湿乾式真空掃除機の好ましい実施例を図1に示す。湿乾式真空掃除機100は、真空掃除機ヘッド10、塵埃容器20、及び吸引ホース200の接続用に設計された入口取付け具25を有する。
【0034】
入口取付け具25に接続される吸引ホース200を図1に概略的に示す。
【0035】
湿乾式真空掃除機100は入口コネクタ27を更に有し、入口コネクタ27は、引き込まれた塵埃粒子Pが入口コネクタ27を介して塵埃容器20の中に移動することができるように、入口取付け具25への流れの点で接続されている。
【0036】
図1から分かるように、入口コネクタ27は、水平方向への流出を伴うディフューザとして、本発明により設計される。
【0037】
図から分かるように、ディフューザとして設計された入口コネクタ27は、塵埃容器によって画定される容積V内に独占的に構成される。更には、入口コネクタ27として設計されたディフューザは、吸引流Sが塵埃容器20の内壁21に直接向くように方向付けられるように構成されている。換言すれば、吸引流Sは、入口コネクタ27のディフューザ開口部28を通って、内壁21に向かって水平方向Hに流れ、内壁21から跳ね返され、通過し、減速されて、塵埃容器20の下側領域に入り、それにより、塵埃粒子Pを、掻き回しなしで、又は掻き回しが少なくとも顕著に低減されて、層状で導入することができる。
【0038】
同様に、図1から分かるように、入口コネクタ27のディフューザ開口部28は内壁21までの壁間隔WAを有し、壁間隔WAは塵埃容器20の容器幅Bの5分の1未満である。
【0039】
本実施例では、ディフューザ開口部28の断面積Q1は、塵埃容器20の中への壁通路の領域における入口取付け具25の断面積Q2よりも少なくとも50%大きい。
【0040】
図1の湿乾式真空掃除機100は、真空掃除機ヘッド10内に構成された電気タービンを更に有する。吸引流Sは前述の電気タービンによって生成され、湿式用途又は乾式用途の過程で、その吸引流により塵埃粒子Pが塵埃容器20の中に引き込まれる。
【0041】
湿乾式真空掃除機100は、吸引流Sに対して、ディフューザとして設計された入口コネクタ27の下流に位置付けられた塵埃フィルタ17を更に有する。ここに示される実施例では、塵埃フィルタ17は、真空掃除機ヘッド10と塵埃容器20との間の移行部に構成される。
【0042】
真空掃除機ヘッド10は、塵埃容器20に上から置かれ、塵埃容器に固定されている(固定部は図示されず)。図1の好ましい実施例では、ディフューザとして設計された入口コネクタ27は単一の部品として形成され、塵埃容器20に直接、一体形成されている。ここでは、入口コネクタ27と塵埃容器20の両方がプラスチックから成る。
【0043】
代替実施例では、塵埃容器20は、例えば金属から作製されてもよく、その中に、例えば、プラスチック、エラストマー又はポリマーから成る入口コネクタが、プラスチック又はポリマーから成る入口取付け具25と共に固定される。
【0044】
図2は、湿乾式真空掃除機100の入口コネクタ27のY字形状の端部29の好ましい実施例を示す。端部29の上部側は、実質的に平らな、すなわち平坦な上面によって形成されている。流入開口部30が、端部29の前記上部側に存在する。吸引ホース200から通ってきた流体−粒子混合物は、前記流入開口部30を通って湿乾式真空掃除機100の塵埃容器20の中に流れ込む。流体−粒子混合物が好ましくは流入方向とは同じでない方向に端部29を出るように、吸引流Sは、端部29を通過するにつれて有利なことに進路変更される。端部29による、塵埃容器20の先端側の方向への、例えば90度程度の流れ方向の進路変更が特に好ましい。
【0045】
図2に示す本発明の実施例では、流入開口部30は、端部29の実質的に平坦な上部側に対して傾斜するように形成されている。想像上の仮想の中心軸線を流入開口部30を通して描くことができ、この軸線は、端部29の実質的に平坦な上面の面法線に対する傾斜角を包含する。前述の傾斜角は、好ましくは、端部29の上部側に対して流入開口部30が傾く角度を示す。流入開口部30は、好ましくは、楕円形の、特に円形の基部領域を有し、その直径は、例えば3〜8cm、好ましくは4〜7cm、特に好ましくは5〜6cmにあってもよい。
【0046】
端部29は、2つの流出開口部32によって形成される流出領域31を更に有する。本発明との関係において、1つの流出開口部32、又は3つ以上の流出開口部32が提供されることも可能であり、いずれの場合でも、流出開口部32の面積は、1つの流入開口部30のサイズに比べて拡大されるべきである。流出開口部32は、好ましく、端部29の実質的に平坦な上面に対して実質的に直交するように構成された流出平面に広がっている。流出平面は、好ましくは、端部29の背面壁に実質的に平行に、且つ端部29の壁領域33に実質的に垂直に位置し、この壁領域は、好ましくは、端部29の基部又は下側終端部を形成する。
【符号の説明】
【0047】
10 真空掃除機ヘッド
15 電気タービン
17 塵埃フィルタ
20 塵埃容器
21 内壁
25 入口取付け具
27 入口コネクタ
28 ディフューザ開口部
29 端部
30 流入開口部
31 流出領域
32 流出開口部
33 壁領域
100 湿乾式真空掃除機
200 吸引ホース
B 容器幅
H 水平軸
P 塵埃粒子
Q1 ディフューザ開口部の断面積
Q2 入口取付け具の断面積
S 吸引流
V 塵埃容器の容積
WA 壁間隔
図1
図2
【国際調査報告】