(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-517268(P2021-517268A)
(43)【公表日】2021年7月15日
(54)【発明の名称】カメラスライダーレールシステム用のレール要素
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20210618BHJP
【FI】
G03B17/56 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-546115(P2020-546115)
(86)(22)【出願日】2019年2月20日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月30日
(86)【国際出願番号】IB2019051350
(87)【国際公開番号】WO2019171193
(87)【国際公開日】20190912
(31)【優先権主張番号】740431
(32)【優先日】2018年3月5日
(33)【優先権主張国】NZ
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519375608
【氏名又は名称】シロップ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SYRP LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トムソン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ブローク,サムエル
(72)【発明者】
【氏名】アレン,ジェームス
【テーマコード(参考)】
2H105
【Fターム(参考)】
2H105AA01
2H105AA27
(57)【要約】
筒状本体部(11、33)の開放端(12、32)の内部に設置された拡張装置(23、30)を備えるカメラスライダーシステム用のレール要素(10、33)、より一般的には、レール用の筒状接合部が提供される。拡張装置は、筒状部(10、33)の端部に挿入可能な雄型部または接合要素(16,31)内にはめ込まれるように構成され、開放端(12、32)に対して接合部(16,31)を保持する力を径方向外側に及ぼし、それにより2つの筒状部すなわちレール要素の端部同士が接合される拡張状態となるように作動される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の本体部と、
前記長手方向の本体部の少なくとも一方の端部あるいはその近傍に設けられた拡張可能な接合要素と、を備え、
前記拡張可能な接合要素は、前記本体部に収納されて外向きの力を及ぼすように構成された拡張装置であるか、あるいは前記拡張装置をさらに備えること特徴とする、
カメラスライダーシステム用のレール要素。
【請求項2】
前記少なくとも一方の端部は、前記接合要素を受容するための開放筒状端部であり、前記接合要素は前記開放筒状端部から延在して隣接する他のレール要素の開放筒状端部に受容されることを特徴とする、
請求項1に記載レール要素。
【請求項3】
前記接合要素は、前記少なくとも一方の端部から延在して隣接する他のレール要素の開放筒状端部に受容されることを特徴とする、
請求項1に記載レール要素。
【請求項4】
前記接合要素は円筒状の長物あるいはインサートであることを特徴とする、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のレール要素。
【請求項5】
前記接合要素は、その側壁に割れ目を備えることを特徴とする、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のレール要素。
【請求項6】
前記長手方向の本体部から内側に突出し、前記接合要素の割れ目に収容されるピンあるいは突起をさらに備える、
請求項5に記載のレール要素。
【請求項7】
前記接合要素の外壁は波型である、および/または概して複数の長手方向の溝部または造形を含むことを特徴とする、
請求項1〜6のいずれか1項に記載のレール要素。
【請求項8】
前記拡張装置は、前記長手方向の本体部内を長手方向に延在するロッドを作動させるためのレバーを含むことを特徴とする、
請求項1に記載のレール要素。
【請求項9】
前記ロッドは少なくとも1つの弾性要素を通って延在し、その末端部に幅広のヘッド部を含むことを特徴とする、
請求項8に記載のレール要素。
【請求項10】
前記レバーは、前記本体部内に収納されたブロック要素から取り付けられ、前記ブロック要素は、それ自体を貫通し前記ロッドを収納する孔部を有することを特徴とする、
請求項9に記載のレール要素。
【請求項11】
前記レバーは、前記ロッドを前記長手方向の本体部の前記少なくとも1つの端部から離れる方向に移動させることで、前記幅広のヘッド部と前記ブロック要素の壁部との間で前記弾性要素を圧縮し、前記接合要素に対して径方向に拡張させるように構成されていることを特徴とする、
請求項10に記載のレール要素。
【請求項12】
前記レバーは、前記本体部の外壁において、および/または外壁を通してアクセス可能であることを特徴とする、
請求項8〜11のいずれか1項に記載のレール要素。
【請求項13】
前記レバーは、前記拡張装置が非作動状態になる直立位置と、前記拡張装置が作動状態になる前記本体部の外壁と実質的に平坦となる位置との間を移動するように構成されていることを特徴とする、
請求項12に記載のレール要素。
【請求項14】
非弾性要素によって離間された少なくとも2つの弾性要素を備えることを特徴とする、
請求項9〜11のいずれか1項に記載のレール要素。
【請求項15】
前記非弾性要素は、前記弾性要素とほぼ同じ直径を有するか、あるいは少なくともそれが挿入される筒状部材よりわずかに小さい直径を有することを特徴とする、
請求項14に記載のレール要素。
【請求項16】
前記拡張装置は、前記外向きの力だけでなく、軸方向の力も及ぼすように構成されていることを特徴とする、
請求項1、8〜15のいずれか1項に記載のレール要素。
【請求項17】
前記軸方向の力は、2つの隣接するレール要素を互いに引き寄せる引張力であることを特徴とする、
請求項16に記載のレール要素。
【請求項18】
前記拡張装置は、1つの要素を別の要素に固定する径方向の力および/または軸方向の力を及ぼすように構成された、前記本体部に対して内部拡張可能な部材を提供することを特徴とする、
請求項1に記載のレール要素。
【請求項19】
前記拡張装置は、前記内部部材を周囲の要素に対して拡張できる、機械的、油圧式、または化学的な手段によって拡張可能となっていることを特徴とする、
請求項18に記載のレール要素。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれかに記載のレール要素が少なくとも1つ組み込まれた、
カメラスライダー用のレールシステム。
【請求項21】
端部支持要素をさらに備えた、
請求項20に記載のレールシステム。
【請求項22】
前記端部支持要素は、前記拡張可能な接合要素と同様の寸法で前記少なくとも1つのレール要素の開放筒状端部によって受容可能な接合要素を備えていることを特徴とする、
請求項21に記載のレールシステム。
【請求項23】
前記端部支持要素は、前記レール要素を地面に支持するための折りたたみ可能および/または延長可能な脚部を備えていることを特徴とする、
請求項21または22に記載のレールシステム。
【請求項24】
平行に配置された少なくとも1対のレール要素を備えた、
請求項20〜23のいずれか1項に記載のレールシステム。
【請求項25】
前記1対のレール間に設置可能なカメラスライダーをさらに備えた、
請求項24に記載のレールシステム。
【請求項26】
2つの筒状部の端部を接合するための筒状接合部であって、
前記筒状部の少なくとも1つの内側および端部近傍に収納された拡張装置を備え、
前記拡張装置は、接合される2つの筒状部の間に延在する雄型部内部にはめ込まれる第1の非拡張状態と、前記雄型部に内部から力を及ぼすことで前記雄型部を受容する雌型部に対して前記雄型部を保持する第2の拡張状態とを有することを特徴とする、
筒状接合部。
【請求項27】
前記拡張装置は、ロッドと、長手方向に筒状部内を延在する前記ロッドを作動させるためのレバーとを含むことを特徴とする、
請求項22に記載の筒状接合部。
【請求項28】
前記ロッドは少なくとも1つの弾性要素を通って延在し、その末端部に幅広のヘッド部を含むことを特徴とする、
請求項23に記載の筒状接合部。
【請求項29】
前記レバーは、前記筒状部内に収納されたブロック要素から取り付けられ、前記ブロック要素は、それ自体を貫通し前記ロッドを収納する孔部を有することを特徴とする、
請求項24に記載の筒状接合部。
【請求項30】
前記第2の状態において、前記レバーは、前記ロッドを前記筒状部の端部から離れる方向に移動させることで、前記幅広のヘッド部と前記ブロック要素の壁部との間で前記弾性要素を圧縮し、前記弾性要素を前記雄型部に対して径方向に拡張させるように構成されていることを特徴とする、
請求項25に記載の筒状接合部。
【請求項31】
前記レバーは、接合される筒状部の一方または両方の外壁でおよび/または外壁を通してアクセス可能であることを特徴とする、
請求項23〜26のいずれか1項に記載の筒状接合部。
【請求項32】
前記レバーは、前記拡張装置が第1の状態になる直立位置と、前記拡張装置が第2の状態になる前記外壁と実質的に平坦となる位置との間を移動するように構成されていることを特徴とする、
請求項27に記載の筒状接合部。
【請求項33】
非弾性要素によって離間された少なくとも2つの弾性要素を備えることを特徴とする、
請求項28〜30のいずれか1項に記載の筒状接合部。
【請求項34】
前記非弾性要素は、前記弾性要素とほぼ同じ直径を有するか、あるいは少なくともそれが挿入される筒状部材よりわずかに小さい直径を有することを特徴とする、
請求項33に記載の筒状接合部。
【請求項35】
前記拡張装置は、径方向の力および/または軸方向の力を及ぼすように構成されていることを特徴とする、
請求項26〜34のいずれか1項に記載の筒状接合部。
【請求項36】
前記力は、2つの隣接する筒状部を互いに引き寄せる引張力である軸方向の力であることを特徴とする、
請求項35に記載の筒状接合部。
【請求項37】
前記拡張装置は、前記雄型部をその周囲の前記雌型部に対して拡張できる、機械的、油圧式、または化学的な手段によって拡張可能となっていることを特徴とする、
請求項26に記載の筒状接合部。
【請求項38】
添付の図面を参照して本明細書にて実質的に説明されたレール要素または筒状接合部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラスライダーレールシステム用のレール要素に関する。特に、本発明により、複数のレール要素が組み合わされることでレールの全長が形成される可変長でモジュール式のレールシステムが構成可能となる。本発明は、様々なタイプの製品、特にカメラに関連する製品、例えば、カメラクレーン、三脚、照明スタンド、ケーブルカム、およびカメラドリーのための筒状接合部として広く適用できるものである。
【背景技術】
【0002】
フィルムカメラまたはビデオカメラで動作を撮影する一般的な方法は、1つまたは複数の、通常は1対のレールに沿ってスライド移動するように配置されたキャリッジにカメラを取り付けることである。スムーズな移動とカメラによる動作の撮影とを確実に行うために、キャリッジはフライホイールを組み込むことができ、実際、キャリッジに接触するレールの表面もそれに応じて滑らかでなくてはならない。
【0003】
隣接するレール要素間の接合部は、1つのレール要素から別のレール要素へのスムーズな移行を保証するために効果的にシームレスである必要があるのは明らかであり、そうでなければ、接合部を通過するキャリッジがジッター/振動をわずかに受け、滑らかな撮影が損なわれる可能性がある。
【0004】
レールをつなげることで長さを変えられる可変長のトラックシステムが知られているが、そのようなシステムは通常、部品を保持するための外部接合手段を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、レール要素を提供することであり、その1つまたは複数がカメラスライダー用のレールシステムに組み込まれることで、滑らかなスライド面を実現するなど、上記の欠点のいくつかを克服するか、または少なくとも部分的に改善する。少なくとも、本発明によるレールシステムおよびレール要素によって、有用な選択が公衆に提供されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
広範な態様では、本発明は、カメラスライダーシステム用のレール要素を提供し、該レール要素は、
長手方向の本体部と、
長手方向の本体部の少なくとも1つの端部に、またはその近くに配置された、径方向に拡張可能な接合要素とを備えている。
【0007】
接合要素は、好ましくは、接合要素の内壁に対して径方向の力を及ぼすように作動される拡張装置または手段によって径方向に拡張可能である。好ましい実施形態では、接合要素は、レール要素の開放端および/または隣接するレール要素の開放端の中に受容可能である。接合要素は、接合される筒状部からの接合延長部を受容する(または受容される)ように、筒状部の開放中空端部内に配置された拡張装置として解釈することも可能である。一実施形態では、筒状部の一端に一体化されて雄型部を形成する接合部が設けられ、該接合部は恒久的に取り付けられ、拡張機構を収納している雌端部と協働する。別の実施形態では、拡張装置は、雄型部と一体化され、隣接する筒状部の雌端部と協働する。
【0008】
好ましくは、接合要素がインサートである場合、それはカメラスライダー用のレールシステムの一部としてレール要素と共に提供される。接合要素は円筒状の長物であってもよく、例えば、係合/接合手段/機構が係合されたときの直径のわずかな増加に対応し、拡張することで開放端の内壁に力を加えるための割れ目をその側壁に有している。好ましくは、接合要素の外壁は波形であり、および/または、概して開放端の内壁との係合を強固にするための複数の長手方向の溝部または造形を含んでいる。あるいは、接合要素は、隣接するレール要素または端部支持体などの他の構成部品の端部と一体的に形成されるか、またはそれらから延在するよう構成されていてもよい。端部支持体は、地面においてレール要素を支持するための折り畳み可能および/または伸長可能な脚部を含んでもよい。
【0009】
前述の別の実施形態では、接合要素は、レール要素と一体化/固定され、レール要素の開放端を形成してもよい。拡張要素/手段は、隣接するレール要素の開放端に受容される固定接合要素内に存在してもよい。それぞれのレール要素の実質的な直径は同じであるが、接合部の端部の直径はわずかに小さい。このような構成では、接合ごとに1つの接合機構だけで済む。
【0010】
好ましい実施形態では、拡張装置または手段は、例えば本体部の外壁でおよび/または外壁を通してアクセス可能で、長手方向の本体部内で長手方向に延在するロッドを作動させるレバーを含む機構である。好ましくは、ロッドは、幅広の遠位端を含んでおり、レバーが開放端から離れる方向にロッドを作動させるとき、その幅広の遠位端が弾性要素を静止面に対して押し込む。押し込まれた弾性要素は変形する、すなわち、径方向外側に拡張して接合要素と係合し、それを開放端の内壁に押し付ける。拡張手段は、本発明の概念を実現する任意の装置構成であると理解されるべきであり、それは、ある要素を別の要素に対して固定する目的で径方向の力を及ぼすように構成された内部拡張可能な部材を提供するためのものである。これは、周囲の要素に対して内部部材を拡張させることができる機械的、油圧的、または他の手段によるもので実現できる。
【0011】
好ましくは、レバーによってロッドを作動させることで、接合要素が本体部の開放端に引き込まれる。こうすることで、2つのレール要素が当接すると、それぞれの開放端が互いに向き合って、それぞれの接合機構によって接合要素が係合され、開放端は互いに引き寄せられて、形成される継ぎ目/合わせ目は最小となる。
【0012】
本発明の筒状接合機構によって、カメラスライダーなどと係合するための外部構造の少なくとも実質的な部分が接合部分においても滑らかになるように、動画の撮影を損なう可能性のある段差や外部形状が無い状態で、2つの筒状部/レールを内部で接続することが可能になる。
【0013】
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、「および」または「または」、あるいはその両方を意味している。
【0014】
本明細書で使用される場合、名詞に続く「(s)」は、名詞の複数形および/または単数形を意味している。
【0015】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「備える」という用語は、「少なくとも部分的に〜からなる」ことを意味する。その用語を含む本明細書の記載および特許請求の範囲を解釈する場合、各記載にてその用語で述べられる特徴はすべて存在する必要があるが、その他の特徴が存在していてもよい。「備えている」や「備えた」などの関連用語も同様に解釈される。
【0016】
前述および後述の引用されているすべての出願、特許および刊行物の開示全体は、もしあれば、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書の目的のために、「プラスチック」という用語は、広範囲の合成または半合成重合生成物の総称を意味すると解釈され、一般に炭化水素系のポリマーからなる。本明細書の目的のために、方法ステップが順番に記述されているが、順序を解釈する他の論理的な方法がない限り、順序は必ずしもステップがその順序で時系列に並べられることを意味するわけではない。
【0017】
広義では、本発明は、本出願の明細書において個別にまたは集合的に言及または示された部品、要素および特徴、ならびに前記部品、要素または特徴の任意の2つ以上の組み合わせのいくつかまたはすべてからなると言うこともでき、本発明が関連する当技術分野で既知の同等物を有する特定の完成体が本明細書で言及される場合、そのような既知の同等物は、個別に説明されているものとして本明細書に組み込まれていると見なされる。たとえば、「レール」、「スライダー」などの用語には別の表現があるが、機能的に同等の部品を示している。解釈の目的で、機能的に同等の表現はすべて開示されていると見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の態様は、例として添付の図面を参照して述べられる以下の説明から明らかになるであろう。
【
図1】本発明の実施形態によるレール要素の一般的な概要を示す図である。
【
図2】接合要素がレール要素の開放端に挿入されている、
図1の全体図を示す図である。
【
図3】接合機構が係合されている第2の状態におけるレール要素の概要を示す図である。
【
図4】
図2に示される状態におけるレール要素の断面を示しており、ロッドがレバーによって作動可能でありレール要素内で長手方向に移動可能である状態を示す図である。
【
図5】
図3に示される状態におけるレール要素の断面を示しており、ロッドがレール要素内で開口端から離れて長手方向に移動し、それによって一連の弾性要素の変形が引き起こされ、接合要素およびレール要素の開放端の内壁に対して径方向に力が加えられている状態を示す図である。
【
図6】本発明によるレールシステムが取り付けられたカメラスライダーの一般的な下面図である。
【
図7】複数のレール要素を備えるレールシステムの組み立て図である。
【
図8】別の実施形態による筒状接合部の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、概して円筒形の外観のレール要素10を示している。外側の円筒形の壁部は、カメラスライダーのホイールまたは他の要素に接触する範囲にわたって十分に滑らかな長手方向の本体部11を形成する(
図6を参照)。
【0020】
長手方向の本体部11は、開放端12を含み、レール要素が実質的に中空筒状構造であることを示している。側面開口部13は、本体部11への内部アクセス、特に、別のレール要素10と係合する前の直立状態で示される(
図1)レバー14へのアクセスを提供する。また、開口部13を通して見えるのは、一般にレバーを支持することでその移動の自由を画定するレバー取り付けブロック15である。
【0021】
図2は、
図1と同様の斜視図/状態図を示しており、その全長に沿って長手方向に延びる割れ目17を有する筒状インサートの形態である接合要素16が所定の位置にある状態を示している。接合要素16は、本体部11の開放端12に挿入可能であり、レール要素の内部に配置された接合機構と係合するのに十分な位置まで押し込まれている。係合/接合手段の詳細は、
図4および
図5を参照して本明細書に示される。
【0022】
図示の実施形態では、ピン18は、本体部11の円筒形壁部を通って延在し、内側に突出している。ピン18は、割れ目/細穴17によって接合要素16の圧縮閉口を制限し、また、レール要素10の筒状壁部と同心の接合要素の位置を定めることによって位置合わせを可能にする。ピン18によって接合要素16のねじれが防止され、結合が改善されることも明らかであろう。別の実施形態では、ピン18を省略してもよい。
【0023】
側方の割れ目17に加えて、接合要素16は、一般に、筒状本体部11の内壁に係合して把持する複数の隆起した造形を有する波形表面も含んでいる。この波形により、より柔らかい素材を使用しているかのように、接合部に収縮性を持たせることができる。別の実施形態では、接合部に組み込まれた波形または他の表面造形を省略してもよい。
【0024】
接合要素16は、レール本体部(通常、チタン、炭素繊維、アルミニウムおよび/または繊維強化プラスチックなどのより硬い金属、複合材料および/またはポリマー材料で構成される)と比較して相対的に柔らかくなるように、アルミニウムまたはプラスチックから作製され得る。
【0025】
図1と
図2は、概して、2つの雌型筒状部の端部を接合できる雄型筒状部すなわち接合部品を受け入れられる開放状態の雌型筒状部を示している。
【0026】
図3は、レバー14が本体部11側に倒されて開口部13の大部分を覆っている、接合/係合機構の第2の係合状態を示している。この状態では、レバー14を直立位置に戻すためにユーザーの指が係合するのに十分なスペースのみが開口部13に残されている。方向矢印EおよびPは、それぞれ開放端12内で発生する、接合要素16の内部拡張および引張力を表している。ロックレバーを閉じると機構によって接合部が拡張され、さらに内側に引っ張り込まれることで、しっかりとはめ合わされる。
図4は、
図1と同様に、レバー14および接合手段すなわち「内部係合機構」が係合されていない状態が示されている断面図である。ここで、ロッド19は、レバー14のピボット軸20に近接しているがオフセットされているアンカーポイントから、幅広のヘッド部21を含む遠位端まで延在している。
【0027】
ロッド19は、レバー取り付けブロック15を通って延在し、レール要素10の長手方向軸Aに沿ってスライド移動するように配置されている。
【0028】
ブロック15は、レバー14をしっかりと取り付け、そこを通るロッド19に制限的な同軸の移動経路が提供できる、十分に堅い/非弾性の材料で形成されている。ブロック15の端面22によって、筒状本体部11の開放端12によって形成される中空部を画定する壁部が設けられる。壁部22は静止しているので、ロッド19に装着された少なくとも1つの弾性要素23は、その表面に対して押し付けられ、変形され得る。
【0029】
図示の形態では、3つの弾性要素23がロッド19に装着され、それぞれの弾性要素23は非弾性円筒形ブロック24によって離間されており、非弾性円筒形ブロック24は弾性要素23が押し付けられることで変形することができるさらに硬い表面を有している。
【0030】
図5の係合状態(
図3と一致)に示されるように、てこの作用で方向づけられたレバー14の動作Lによって、ロッド19が矢印Pの方向に本体部11内に引き込まれ、弾性要素23が幅広のヘッド部21によって硬い壁面22および円筒形ブロック24の硬い外面に対して押し付け/押し込まれ、それによって変形し、接合要素16の内壁に外向きの係合圧力を加える。径方向に加えられた力Eによって接合要素16が固定され、一方、方向Pへの動きは、接合要素16をさらに開放端12に引き込むのを補助する。特に、同様の接合機構(例えば、レバー14、ブロック15およびロッド19)が、接合要素16の露出端部を受容する隣接するレール要素に実装されている場合、隣接するレール要素の開放端12の外縁は互いに当接して引き付け合い、それによってレール要素10間のすき間/継ぎ目が最小化される。言い換えれば、別の雌型筒状部が反対側の端から同一の方法で接合部に取り付けられる。
【0031】
弾性要素23のうちの2つがロッドのヘッド部21の近くにまとめて配置され、第3の弾性要素23がブロック15の端面22に対して配置されていることが明らかであろう。弾性要素23は、接合部インサート16の全体的な保持および組み立てられたレールに加えられる外力に対する曲げモーメントの反作用を改善するように(例えば、ブロック24によって)離間されている。さらに、接合部近傍の曲げが筒状中空部に詰め込まれた固体によって最小限に抑えられるように、ブロック24は弾性要素23と共に接合部16内にぴったりとはまるような寸法となっている。別の構成は、それが挿入される筒状中空部の大部分を詰め込む細長い拡張装置を特徴とし得る。
【0032】
図6は、平行なレール10間のスライド移動のために取り付けられたカメラスライダーユニットSの下面図を示し、レバー14および露出した開口部13が、レール10とスライダーSとの間の接触領域から離れる方向に向けられていることが明らかである。隣接するレール要素10の互いに当接する開放端12の間に合わせ目25見えるが、本発明により、その上を移動するスライダーSに悪影響を及ぼすことはない。
【0033】
成形されたゴム製のストリップ(図示せず)を、スライダーキャリッジSに対するレール要素10の接触領域に任意に接着することで、スライダーSのグリップおよび駆動を改善してもよい。
【0034】
図7は、平行対の2倍の長さとして配置された少なくとも4つのレール要素10を備える、組み立てられたレールシステムの概要を示しているが、必要な長さを得るために任意の数の対を接合することができる。組み立てられたレールシステム構造の剛性/全体的な安定性を改善するために、平行なレール10間にまたがるように中間支持要素27が設けられている。さらに、端部支持要素28はレール要素10の末端部を覆い、端部支持要素28によって、システムを地面に配置するための延長可能な脚部/足部が提供される。好ましくは、各端部支持要素28は、レール要素10の開放端12が受容可能な、図示された要素16と同等の延長接合要素部を含んでいる。
【0035】
なお、
図2および3に例示された形態のレール要素は、接合要素16が本体部11に一体的に形成されるか、あるいは固定されている本発明の別の実施形態にも類似しているものである。そのような実施形態では、接合手段/機構(
図4および5に示される)は、接合要素16の遠位端にさらに配置され、第2のレール要素の開放筒状端部が接合要素16を受容した際に、接合手段は接合部16の内部に径方向の力を加え、接合部16を開放筒状端部に押し付けるように拡張可能である。
【0036】
前述の説明において、既知の同等物を有する要素や完成体が言及されている場合、そのような同等物は、個別に説明されているものとして組み込まれていると見なされる。本発明は、例として特定の実施形態を参照して説明されてきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、変形および/または改善を行うことができることを理解されたい。
【0037】
本発明は、カメラスライダーシステムのレール要素に関して説明されてきたが、接合機構は、カメラ機器に関連してもしていなくても、あらゆる分野における筒状部材の接合により広く適用可能であり得ることは明らかである。例えば、
図8は、
図1から
図7の接合システムと共通の発明概念を有する筒状接合装置の別の実施形態を示している。
【0038】
径方向拡張装置は、概して点線のボックス30によって囲まれている。図示の拡張装置の動作メカニズムは、前述したものと同じであり、すなわち、ロッド19が方向Pに作動することにより弾性部材23がより硬い表面22および24に対して押し込まれ、接合要素31に対して径方向に拡張する。ただし、外側に拡張して表面に係合するための別の手段も適用可能である。
【0039】
図8の実施形態では、拡張装置30を内部に収納する第1の筒状部33に関連する雌型筒状部すなわちスリーブ端部32は、隣接する第2の筒状部34に関連する雄型筒状接合部31を受容する。図示されるように、雄型筒状部31は、弾性部材23および拡張装置30の他の遠位部品を取り囲みながら、スリーブ端部32内に延在する。したがって、作動されると、拡張装置30は径方向に拡張して雄型部31の内壁に対して押し付けられ、さらに、雌型スリーブ端部32に対して押し付けられる。前述のように、方向Pの動きによって、雄型部32を所定の位置までさらに深く引き込み、外部から見える継ぎ目25を最小化し、滑らかな表面移送を確実にする。
【0040】
雄型接合要素31は、拡張に対応するための長手方向の割れ目をその側壁に有していてもよく、または必要に応じて適切な材料で形成されてもよい。
【0041】
図8の別の形態は、それぞれ逆の構成を有する筒状部33および34の雄型部および雌型部を特徴とし得る。すなわち、雄型接合要素31は、拡張装置30を収納する第1の筒状部33から一体的に延在して、第2の隣接する筒状部34のより広い雌型開放端32によって受容されてもよい。そのような実施形態においては、同様に動作するが、筒状部を互いに引き合う有益な力を提供することはできない(とはいえ、ロッド19が内側で往復運動する間、雄型部31は静止するので、筒状部同士を押し離すということもない)。
【国際調査報告】