(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-517556(P2021-517556A)
(43)【公表日】2021年7月26日
(54)【発明の名称】核酸ライブラリー作製のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C40B 50/06 20060101AFI20210625BHJP
C12N 15/10 20060101ALI20210625BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20210625BHJP
C12Q 1/6813 20180101ALI20210625BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20210625BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20210625BHJP
【FI】
C40B50/06ZNA
C12N15/10 Z
C12Q1/6844 Z
C12Q1/6813 Z
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6876 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】65
(21)【出願番号】特願2019-566740(P2019-566740)
(86)(22)【出願日】2019年4月2日
(85)【翻訳文提出日】2019年11月28日
(86)【国際出願番号】CN2019081059
(87)【国際公開番号】WO2019192489
(87)【国際公開日】20191010
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/081748
(32)【優先日】2018年4月3日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】519425349
【氏名又は名称】グアングズホウ バーニング ロック ディーエックス シーオー., エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ジホング ズハング
(72)【発明者】
【氏名】タオ ズヘング
(72)【発明者】
【氏名】ビングシ リ
(72)【発明者】
【氏名】ワングロング デング
(72)【発明者】
【氏名】ユシェング ハン
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
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4B063QS25
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4B063QX02
(57)【要約】
様々な態様において、本開示は、ポリヌクレオチド配列決定のためなどの、核酸ライブラリーを作製するための、方法、組成物、反応混合物、キット、及びシステムを提供する。一部の実施態様において、作製方法は、テーリング反応、アダプターを結合するためのライゲーション反応、及びライゲーション反応間の増幅反応を含む。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリヌクレオチドライブラリーの作製方法であって、この方法が:
a. 第一のテーリング反応において、第一のテールを、鋳型非依存的重合により、複数の標的ポリヌクレオチドの各々へ追加する工程であって、ここで第一のテーリング反応が、第一のテールにハイブリダイズするオーバーハングを含む第一のアダプターを含む工程;
b. 第一のライゲーション反応において、第一のアダプターの鎖を第一のテールへライゲーションする工程;
c. 第一のアダプターの鎖へハイブリダイズされた第一のプライマーを伸長することにより、第一のアダプターの鎖を含む標的ポリヌクレオチドを増幅する工程;
d. 第二のテーリング反応において、鋳型非依存的重合により、複数の増幅された標的ポリヌクレオチドの各々へ、第二のテールを追加する工程であって、ここで第二のテーリング反応は、第二のテールへハイブリダイズするオーバーハングを含む第二のアダプターを含む工程;並びに
e. 第二のライゲーション反応において、第二のアダプターの鎖を第二のテールへライゲーションする工程:を含む、前記方法。
【請求項2】
前記方法が、(a)標的ポリヌクレオチドを作製するための、ポリヌクレオチドの断片化;(b)標的ポリヌクレオチドの一方又は両方の末端の脱リン酸化;並びに、(c)標的ポリヌクレオチドを作製するための、二本鎖ポリヌクレオチドの1本鎖ポリヌクレオチドへの変性:の1以上を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記複数の標的ポリヌクレオチドが、1本鎖DNAを含む、請求項1〜2のいずれか一項記載の方法。
【請求項4】
前記標的ポリヌクレオチドが、セルフリーポリヌクレオチド、又はそれらの増幅産物を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記標的ポリヌクレオチドが、1本鎖のセルフリーDNA(cfDNA)を含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記第一のテーリング反応における標的ポリヌクレオチドの量が、約0.1〜500ng、1〜100ng、又は5〜50ngである、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記標的ポリヌクレオチドが、平均長約50〜600ヌクレオチドを有する、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記標的ポリヌクレオチドが、工程(b)の前に、メチル化シトシン又は非メチル化シトシンを差次的に修飾するよう処理される、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記差次的修飾が、標的ポリヌクレオチドを亜硫酸水素塩で処理することを含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記鋳型非依存的重合が、ポリメラーゼにより触媒される、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
前記ポリメラーゼが、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記第一のテールが、第二のテールとは異なる配列を含む、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
前記第一のテール及び第二のテールが、同じ配列を含む、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
前記第一のテール、第二のテール、又は両方が、1又は2種のヌクレオチドからなる、請求項1〜13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
前記第一のテール、第二のテール、又は両方が、ポリ-A、ポリ-C、及びポリ-C/Tからなる群から選択される、請求項1〜14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
前記テールの少なくとも1つが、2種のヌクレオチドのプールから重合された2種のヌクレオチドからなり、ここでプール中の2種のヌクレオチドが、同じ又は異なる量で存在する、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
前記プール中の2種のヌクレオチドが、約9:1、5:1、3:1、又は1:1の比である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記第一のアダプター及び第二のアダプターが、ポリヌクレオチド配列が異なる二本鎖領域を含む、請求項1〜17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
前記増幅が、直線的増幅を含む、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
前記第一及び/又は第二のアダプターのオーバーハングが、3’-オーバーハングである、請求項1〜19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
前記第一及び/又は第二のアダプターのオーバーハングが、長さ6〜12ヌクレオチドである、請求項1〜20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
(i)第一のテーリング反応及び第一のライゲーション反応が、同じ反応混合物中で起こるか、並びに/又は(ii)第二のテーリング反応及び第二のライゲーション反応が、同じ反応混合物中で起こる、請求項1〜21のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
前記第二のアダプターの鎖にハイブリダイズされた第二のプライマーを伸長することにより、第二のアダプターの鎖を含む標的ポリヌクレオチドを増幅することを更に含む、請求項1〜22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
前記第一のアダプターの鎖とハイブリダイズする第一のプライマーの配列が、第二のアダプターとハイブリダイズする第二のプライマーの配列とは異なる、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記第二のアダプターの鎖にハイブリダイズされたプライマーによる増幅が、指数関数的増幅である、請求項23又は24記載の方法。
【請求項26】
第三のプライマー及び第四のプライマーによる増幅反応を更に含み、ここで(i)第三のプライマーは、第一のプライマーの少なくとも一部の相補体にハイブリダイズし、並びに(ii)第四のプライマーは、第二のプライマーの少なくとも一部の相補体にハイブリダイズする、請求項23〜25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
前記第三のプライマーのハイブリダイズ可能な配列が、第一のプライマーのハイブリダイズ可能な配列とは異なり、及び/又は第四のプライマーのハイブリダイズ可能な配列が、第二のプライマーのハイブリダイズ可能な配列とは異なる、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記第三のプライマー及び第四のプライマーの配列が異なる、請求項26又は27記載の方法。
【請求項29】
前記第三のプライマー、第四のプライマー、又は両方が、標的ポリヌクレオチドの試料給源を同定するインデックス配列を含む、請求項26〜28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
前記第二のプライマーを含む増幅の増幅産物を配列決定することを更に含む、請求項23〜25のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
前記第三及び第四のプライマーを含む増幅の増幅産物を配列決定することを更に含む、請求項26〜29のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
前記インデックス配列に従い配列決定リードを群別することを更に含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記配列決定が、参照配列に対し、配列バリアント又はヌクレオチドメチル化の差異を検出することを含む、請求項31又は32記載の方法。
【請求項34】
請求項1〜33のいずれか一項記載の方法において使用するための組成物。
【請求項35】
請求項1〜34のいずれか一項記載の方法に従い作製された、ポリヌクレオチド。
【請求項36】
ポリヌクレオチドライブラリーを作製するためのキットであり、このキットが:
a. 鋳型非依存的ポリメラーゼ;
b. 鋳型非依存的ポリメラーゼにより重合され得るヌクレオチドの第一プール;
c. 鋳型非依存的ポリメラーゼにより重合され得るヌクレオチドの第二プール;
d. ポリヌクレオチドの第一プールを重合することにより形成されるテールにハイブリダイズ可能であるオーバーハングを含む第一のアダプター;並びに
e. ポリヌクレオチドの第二プールを重合することにより形成されるテールにハイブリダイズ可能であるオーバーハングを含む第二のアダプターであって、ここで第二のアダプターが、第一のアダプターとは異なる配列を含むもの:を含む、前記キット。
【請求項37】
前記鋳型非依存的ポリメラーゼが、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)である、請求項36記載のキット。
【請求項38】
前記第一のプール及び第二のプールの少なくとも一方が、他方のプールには存在しない少なくとも1種のヌクレオチドを含む、請求項36又は37記載のキット。
【請求項39】
前記第一のプール及び第二のプールが、同じ1種以上のヌクレオチドを含む、請求項36又は37記載のキット。
【請求項40】
前記第一のプール、第二のプール、又は両方が、1又は2種のヌクレオチドからなる、請求項36〜38のいずれか一項記載のキット。
【請求項41】
前記第一のプール、第二のプール、又は両方が、(i)dATPのプール、(ii)dCTPのプール、並びに(iii)dCTP及びdTTPのプールからなる群から選択される、請求項36〜40のいずれか一項記載のキット。
【請求項42】
前記第一のプール及び第二のプールの少なくとも一方が、同じ又は異なる量で存在する2種のヌクレオチドからなる、請求項36〜41のいずれか一項記載のキット。
【請求項43】
前記プール中の2種のヌクレオチドが、約9:1、5:1、3:1、又は1:1の比である、請求項42記載のキット。
【請求項44】
前記第一のアダプター及び第二のアダプターが、ポリヌクレオチド配列が異なる二本鎖領域を含む、請求項36〜43のいずれか一項記載のキット。
【請求項45】
前記第一及び/又は第二のアダプターのオーバーハングが、3’-オーバーハングである、請求項36〜44のいずれか一項記載のキット。
【請求項46】
前記第一及び/又は第二のアダプターのオーバーハングが、長さ6〜12のヌクレオチドである、請求項36〜45のいずれか一項記載のキット。
【請求項47】
プライマー伸長反応の条件下で、第一のアダプターの鎖にハイブリダイズ可能である第一のプライマーを更に含む、請求項36〜46のいずれか一項記載のキット。
【請求項48】
プライマー伸長反応の条件下で、第二のアダプターの鎖にハイブリダイズ可能である第二のプライマーを更に含む、請求項36〜47のいずれか一項記載のキット。
【請求項49】
前記第一のアダプターの鎖にハイブリダイズ可能である第一のプライマーの配列が、第二のアダプターにハイブリダイズ可能である第二のプライマーの配列とは異なる、請求項48記載のキット。
【請求項50】
第三のプライマー及び第四のプライマーを更に含み、ここで(i)第三のプライマーは、プライマー伸長反応の条件下で、第一のプライマーの少なくとも一部の相補体にハイブリダイズ可能であり、並びに、(ii)第四のプライマーは、プライマー伸長反応の条件下で、第二のプライマーの少なくとも一部の相補体にハイブリダイズ可能である、請求項48又は49記載のキット。
【請求項51】
前記第三のプライマーのハイブリダイズ可能な配列が、第一のプライマーのハイブリダイズ可能な配列とは異なり、及び/又は第四のプライマーのハイブリダイズ可能な配列が、第二のプライマーのハイブリダイズ可能な配列とは異なる、請求項50記載のキット。
【請求項52】
前記第三のプライマーのハイブリダイズ可能な配列が、第一のプライマーのハイブリダイズ可能な配列に関して5’側にハイブリダイズし、及び/又は第四のプライマーのハイブリダイズ可能な配列が、第二のプライマーのハイブリダイズ可能な配列に関して5’側にハイブリダイズする、請求項50又は51記載のキット。
【請求項53】
前記第三のプライマー及び第四のプライマーの配列が異なる、請求項50〜52のいずれか一項記載のキット。
【請求項54】
前記第三のプライマー、第四のプライマー、又は両方が、標的ポリヌクレオチドの試料給源を同定するインデックス配列を含む、請求項50〜53のいずれか一項記載のキット。
【請求項55】
ポリヌクレオチドライブラリーの作製方法であって、この方法が:
a. 第一のテーリング反応において、第一のテールを、鋳型非依存的重合により、複数の標的ポリヌクレオチドの各々へ追加する工程であって、ここで第一のテーリング反応が、第一のテールにハイブリダイズするオーバーハングを含む第一のアダプターを含む工程;
b. 第一のライゲーション反応において、第一のアダプターの鎖を第一のテールへライゲーションする工程;
c. 第一のアダプターの鎖へハイブリダイズされた第一のプライマーを伸長することにより、第一のアダプターの鎖を含む標的ポリヌクレオチドを増幅する工程;並びに
d. 第二のライゲーション反応において、第二のアダプターの鎖を、増幅された標的ポリヌクレオチドへライゲーションする工程:を含む、前記方法。
【請求項56】
前記第二のライゲーション反応が、第二のテーリング反応において、第二のテールを鋳型非依存的重合により複数の増幅された標的ポリヌクレオチドの各々へ追加することを含む、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記第二のテーリング反応が、第二のテールへハイブリダイズするオーバーハングを含む第二のアダプターを含む、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記第二のライゲーション反応において、第二のアダプターの鎖を第二のテールへライゲーションする、請求項57記載の方法。
【請求項59】
前記第二のライゲーション反応が、増幅された標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズするオーバーハングを含む第二のアダプターを含む、請求項55記載の方法。
【請求項60】
前記方法が、(a)標的ポリヌクレオチドを作製するための、ポリヌクレオチドの断片化;(b)標的ポリヌクレオチドの一方又は両方の末端の脱リン酸化;並びに、(c)標的ポリヌクレオチドを作製するための、二本鎖ポリヌクレオチドの1本鎖ポリヌクレオチドへの変性:の1以上を含む、請求項55〜59のいずれか一項記載の方法。
【請求項61】
前記複数の標的ポリヌクレオチドが、1本鎖DNAを含む、請求項55〜60のいずれか一項記載の方法。
【請求項62】
前記標的ポリヌクレオチドが、セルフリーポリヌクレオチド、又はそれらの増幅産物を含む、請求項55〜61のいずれか一項記載の方法。
【請求項63】
前記標的ポリヌクレオチドが、1本鎖のセルフリーDNA(cfDNA)を含む、請求項55〜62のいずれか一項記載の方法。
【請求項64】
前記第一のテーリング反応における標的ポリヌクレオチドの量が、約0.1〜500ng、1〜100ng、又は5〜50ngである、請求項55〜63のいずれか一項記載の方法。
【請求項65】
前記標的ポリヌクレオチドが、平均長約50〜600ヌクレオチドを有する、請求項55〜69のいずれか一項記載の方法。
【請求項66】
前記標的ポリヌクレオチドが、工程(b)の前に、メチル化シトシン又は非メチル化シトシンを差次的に修飾するよう処理される、請求項55〜65のいずれか一項記載の方法。
【請求項67】
前記差次的修飾が、標的ポリヌクレオチドを亜硫酸水素塩で処理することを含む、請求項66記載の方法。
【請求項68】
前記鋳型非依存的重合が、ポリメラーゼにより触媒される、請求項55〜67のいずれか一項記載の方法。
【請求項69】
前記ポリメラーゼが、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)である、請求項68記載の方法。
【請求項70】
前記第一のテールが、第二のテールとは異なる配列を含む、請求項55〜69のいずれか一項記載の方法。
【請求項71】
前記第一のテール及び第二のテールが、同じ配列を含む、請求項55〜69のいずれか一項記載の方法。
【請求項72】
前記第一のテール、第二のテール、又は両方が、1又は2種のヌクレオチドからなる、請求項55〜71のいずれか一項記載の方法。
【請求項73】
前記第一のテール、第二のテール、又は両方が、ポリ-A、ポリ-C、及びポリ-C/Tからなる群から選択される、請求項55〜72のいずれか一項記載の方法。
【請求項74】
前記テールの少なくとも1つが、2種のヌクレオチドのプールから重合された2種のヌクレオチドからなり、ここでプール中の2種のヌクレオチドが、同じ又は異なる量で存在する、請求項55〜73のいずれか一項記載の方法。
【請求項75】
前記プール中の2種のヌクレオチドが、約9:1、7:1、5:1、3:1、又は1:1の比である、請求項74記載の方法。
【請求項76】
前記第二のテーリング反応が省略される、請求項55〜75のいずれか一項記載の方法。
【請求項77】
前記第一のアダプター及び第二のアダプターが、ポリヌクレオチド配列が異なる二本鎖領域を含む、請求項55〜76のいずれか一項記載の方法。
【請求項78】
前記増幅が、直線的増幅を含む、請求項55〜77のいずれか一項記載の方法。
【請求項79】
前記第一及び/又は第二のアダプターのオーバーハングが、3’-オーバーハングである、請求項55〜78のいずれか一項記載の方法。
【請求項80】
前記第一及び/又は第二のアダプターが、3’-オーバーハング及び5’-オーバーハングの両方を有する、請求項55〜79のいずれか一項記載の方法。
【請求項81】
前記第一及び/又は第二のアダプターの3’-オーバーハングが、長さ6〜12ヌクレオチドである、請求項55〜80のいずれか一項記載の方法。
【請求項82】
前記第一及び/又は第二のアダプターの5’-オーバーハングが、長さ2〜6ヌクレオチドである、請求項55〜81のいずれか一項記載の方法。
【請求項83】
(i)第一のテーリング反応及び第一のライゲーション反応が、同じ反応混合物中で起こるか、並びに/又は(ii)第二のテーリング反応及び第二のライゲーション反応が、同じ反応混合物中で起こる、請求項55〜82のいずれか一項記載の方法。
【請求項84】
前記第二のアダプターの鎖にハイブリダイズされた第二のプライマーを伸長することにより、第二のアダプターの鎖を含む標的ポリヌクレオチドを増幅することを更に含む、請求項55〜83のいずれか一項記載の方法。
【請求項85】
前記第一のアダプターの鎖とハイブリダイズする第一のプライマーの配列が、第二のアダプターとハイブリダイズする第二のプライマーの配列とは異なる、請求項84記載の方法。
【請求項86】
前記第二のアダプターの鎖にハイブリダイズされたプライマーによる増幅が、指数関数的増幅である、請求項84又は85記載の方法。
【請求項87】
第三のプライマー及び第四のプライマーによる増幅反応を更に含み、ここで(i)第三のプライマーは、第一のプライマーの少なくとも一部の相補体にハイブリダイズし、並びに(ii)第四のプライマーは、第二のプライマーの少なくとも一部の相補体にハイブリダイズする、請求項84〜86のいずれか一項記載の方法。
【請求項88】
前記第三のプライマーのハイブリダイズ可能な配列が、第一のプライマーのハイブリダイズ可能な配列とは異なり、及び/又は第四のプライマーのハイブリダイズ可能な配列が、第二のプライマーのハイブリダイズ可能な配列とは異なる、請求項87記載の方法。
【請求項89】
前記第三のプライマー及び第四のプライマーの配列が異なる、請求項87又は88記載の方法。
【請求項90】
前記第三のプライマー、第四のプライマー、又は両方が、標的ポリヌクレオチドの試料給源を同定するインデックス配列を含む、請求項87〜89のいずれか一項記載の方法。
【請求項91】
前記第二のプライマーを含む増幅の増幅産物を配列決定することを更に含む、請求項84〜86のいずれか一項記載の方法。
【請求項92】
前記第三及び第四のプライマーを含む増幅の増幅産物を配列決定することを更に含む、請求項87〜90のいずれか一項記載の方法。
【請求項93】
前記インデックス配列に従い配列決定リードを群別することを更に含む、請求項92記載の方法。
【請求項94】
請求項55〜93のいずれか一項記載の方法において使用するための組成物。
【請求項95】
請求項55〜93のいずれか一項記載の方法に従い作製された、ポリヌクレオチド。
【請求項96】
ポリヌクレオチドライブラリーを作製するためのキットであり、このキットが:
a. 鋳型非依存的ポリメラーゼ;
b. 鋳型非依存的ポリメラーゼにより重合され得るヌクレオチドの第一プール;
c. 鋳型非依存的ポリメラーゼにより重合され得るヌクレオチドの第二プール;
d. ポリヌクレオチドの第一プールを重合することにより形成されるテールにハイブリダイズ可能であるオーバーハングを含む第一のアダプター;並びに
e. 増幅された標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズ可能なオーバーハングを含む第二のアダプター:を含む、前記キット。
【請求項97】
前記鋳型非依存的ポリメラーゼが、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)である、請求項96記載のキット。
【請求項98】
前記第一のプール及び第二のプールの少なくとも一方が、他方のプールには存在しない少なくとも1種のヌクレオチドを含む、請求項96又は97記載のキット。
【請求項99】
前記第一のプール及び第二のプールが、同じ1種以上のヌクレオチドを含む、請求項96又は97記載のキット。
【請求項100】
前記第一のプール、第二のプール、又は両方が、1又は2種のヌクレオチドからなる、請求項96〜98のいずれか一項記載のキット。
【請求項101】
前記第一のプール、第二のプール、又は両方が、(i)dATPのプール、(ii)dCTPのプール、並びに(iii)dCTP及びdTTPのプールからなる群から選択される、請求項96〜100のいずれか一項記載のキット。
【請求項102】
前記第一のプール及び第二のプールの少なくとも一方が、同じ又は異なる量で存在する2種のヌクレオチドからなる、請求項96〜101のいずれか一項記載のキット。
【請求項103】
前記プール中の2種のヌクレオチドが、約9:1、7:1、5:1、3:1、又は1:1の比である、請求項102記載のキット。
【請求項104】
前記第一のアダプター及び第二のアダプターが、ポリヌクレオチド配列が異なる二本鎖領域を含む、請求項96〜103のいずれか一項記載のキット。
【請求項105】
前記第一及び/又は第二のアダプターのオーバーハングが、3’-オーバーハングである、請求項96〜104のいずれか一項記載のキット。
【請求項106】
前記第一及び/又は第二のアダプターが、3’-オーバーハング及び5’-オーバーハングの両方を有する、請求項96〜104のいずれか一項記載のキット。
【請求項107】
前記第一及び/又は第二のアダプターの3’-オーバーハングが、長さ6〜12のヌクレオチドである、請求項96〜105のいずれか一項記載のキット。
【請求項108】
前記第一及び/又は第二のアダプターの5’-オーバーハングが、長さ2〜6のヌクレオチドである、請求項96〜106のいずれか一項記載のキット。
【請求項109】
プライマー伸長反応の条件下で、第一のアダプターの鎖にハイブリダイズ可能である第一のプライマーを更に含む、請求項96〜107のいずれか一項記載のキット。
【請求項110】
プライマー伸長反応の条件下で、第二のアダプターの鎖にハイブリダイズ可能である第二のプライマーを更に含む、請求項96〜109のいずれか一項記載のキット。
【請求項111】
前記第一のアダプターの鎖にハイブリダイズ可能である第一のプライマーの配列が、第二のアダプターにハイブリダイズ可能である第二のプライマーの配列とは異なる、請求項110記載のキット。
【請求項112】
第三のプライマー及び第四のプライマーを更に含み、ここで(i)第三のプライマーは、プライマー伸長反応の条件下で、第一のプライマーの少なくとも一部の相補体にハイブリダイズ可能であり、並びに、(ii)第四のプライマーは、プライマー伸長反応の条件下で、第二のプライマーの少なくとも一部の相補体にハイブリダイズ可能である、請求項110又は111記載のキット。
【請求項113】
前記第三のプライマーのハイブリダイズ可能な配列が、第一のプライマーのハイブリダイズ可能な配列とは異なり、及び/又は第四のプライマーのハイブリダイズ可能な配列が、第二のプライマーのハイブリダイズ可能な配列とは異なる、請求項112記載のキット。
【請求項114】
前記第三のプライマーのハイブリダイズ可能な配列が、第一のプライマーのハイブリダイズ可能な配列に関して5’側にハイブリダイズし、及び/又は第四のプライマーのハイブリダイズ可能な配列が、第二のプライマーのハイブリダイズ可能な配列に関して5’側にハイブリダイズする、請求項112又は113記載のキット。
【請求項115】
前記第三のプライマー及び第四のプライマーの配列が異なる、請求項112〜114のいずれか一項記載のキット。
【請求項116】
前記第三のプライマー、第四のプライマー、又は両方が、標的ポリヌクレオチドの試料給源を同定するインデックス配列を含む、請求項112〜115のいずれか一項記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(配列表)
本願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出されており、且つその全体が参照として本明細書に組み込まれている配列表を含む。2019年3月28日に作製された当該ASCIIコピーは、「232396-228002_SL.txt」と名前をつけ、且つサイズは5,661バイトである。
【背景技術】
【0002】
(背景)
複雑な核酸集団の同定及び分析は、多くの応用を伴う開発の活発な分野である。そのような分析は、超並列核酸シークエンシング(「ハイスループット配列決定」又は「次世代配列決定」(NGS)とも称される)により大きく促進されている。少量の試料の投入及び操作の様々な段階での誤差などの課題のために、かなり低い存在量で存在する核酸種を検出することは、依然困難である。そのような課題は、可能性のある夾雑物に関する試験(例えば食品又は水の中)、複雑な集団における特定の細菌の存在の検出(例えば環境試験における)、及び特に早期での、疾患(例えば感染症、又は癌)に関連した核酸の存在の検出などの状況において生じ得る。
【発明の概要】
【0003】
(概要)
前述のことを考慮し、核酸ライブラリー作製の改善された方法が必要である。本明細書において開示された組成物及び方法は、この必要性に対処し、且つ更に追加の利点を提供している。
【0004】
一つの態様において、本開示は、ポリヌクレオチドライブラリーの作製方法を提供する。一部の実施態様において、本方法は、(a)第一のテーリング反応において、第一のテールを、鋳型非依存的重合により、複数の標的ポリヌクレオチドの各々へ追加する工程であって、ここで第一のテーリング反応が、第一のテールにハイブリダイズするオーバーハングを含む第一のアダプターを含む工程;(b)第一のライゲーション反応において、第一のアダプターの鎖を第一のテールへライゲーションする工程;(c)第一のアダプターの鎖へハイブリダイズされた第一のプライマーを伸長することにより、第一のアダプターの鎖を含む標的ポリヌクレオチドを増幅する工程;(d)第二のテーリング反応において、鋳型非依存的重合により、複数の増幅された標的ポリヌクレオチドの各々へ、第二のテールを追加する工程であって、ここで第二のテーリング反応は、第二のテールへハイブリダイズするオーバーハングを含む第二のアダプターを含む工程;並びに、(e)第二のライゲーション反応において、第二のアダプターの鎖を第二のテールへライゲーションする工程:を含む。一部の実施態様において、本方法は、(a)標的ポリヌクレオチドを作製するための、ポリヌクレオチドの断片化;(b)標的ポリヌクレオチドの一方又は両方の末端の脱リン酸化;並びに、(c)標的ポリヌクレオチドを作製するための、二本鎖ポリヌクレオチドの1本鎖ポリヌクレオチドへの変性:の1以上を含む。一部の実施態様において、複数の標的ポリヌクレオチドは、1本鎖DNAを含む。一部の実施態様において、標的ポリヌクレオチドは、セルフリーポリヌクレオチド、又はそれらの増幅産物を含む。一部の実施態様において、標的ポリヌクレオチドは、1本鎖のセルフリーDNA(cfDNA)を含む。一部の実施態様において、第一のテーリング反応における標的ポリヌクレオチドの量は、約0.1〜500ng、1〜100ng、又は5〜50ngである。一部の実施態様において、標的ポリヌクレオチドは、平均長約50〜600ヌクレオチドを有する。一部の実施態様において、標的ポリヌクレオチドは、第一のライゲーション反応の前に、標的ポリヌクレオチドを亜硫酸水素塩で処理することによるなど、メチル化シトシン又は非メチル化シトシンを差次的に修飾するよう処理される。一部の実施態様において、鋳型非依存的重合は、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)などのポリメラーゼにより触媒される。一部の実施態様において、第一のテールは、第二のテールとは異なる配列を含む。一部の実施態様において、第一のテール及び第二のテールは、同じ配列を含む。一部の実施態様において、第一のテール、第二のテール、又は両方は、1又は2種のヌクレオチドからなる。一部の実施態様において、第一のテール、第二のテール、又は両方は、ポリ-A、ポリ-C、及びポリ-C/Tからなる群から選択される。一部の実施態様において、これらのテールの少なくとも1つは、2種のヌクレオチドのプールから重合された2種のヌクレオチドからなり、ここでプール中の2種のヌクレオチドは、同じ又は異なる量で存在する。一部の実施態様において、プール中の2種のヌクレオチドは、約9:1、5:1、3:1、又は1:1の比である。一部の実施態様において、第一のアダプター及び第二のアダプターは、ポリヌクレオチド配列が異なる二本鎖領域を含む。一部の実施態様において、増幅は、直線的増幅を含む。一部の実施態様において、第一及び/又は第二のアダプターのオーバーハングは、3’-オーバーハングである。一部の実施態様において、第一及び/又は第二のアダプターのオーバーハングは、長さ6〜12ヌクレオチドである。一部の実施態様において、(i)第一のテーリング反応及び第一のライゲーション反応は、同じ反応混合物中で起こるか、並びに/又は(ii)第二のテーリング反応及び第二のライゲーション反応は、同じ反応混合物中で起こる。
【0005】
一部の実施態様において、本方法は、第二のアダプターの鎖にハイブリダイズされた第二のプライマーを伸長することにより、第二のアダプターの鎖を含む標的ポリヌクレオチドを増幅することを更に含む。一部の実施態様において、第一のアダプターの鎖とハイブリダイズする第一のプライマーの配列は、第二のアダプターとハイブリダイズする第二のプライマーの配列とは異なる。一部の実施態様において、第二のアダプターの鎖にハイブリダイズされたプライマーによる増幅は、指数関数的増幅である。一部の実施態様において、本方法は、第三のプライマー及び第四のプライマーによる増幅反応を更に含み、ここで(i)第三のプライマーは、第一のプライマーの少なくとも一部の相補体にハイブリダイズし、並びに(ii)第四のプライマーは、第二のプライマーの少なくとも一部の相補体にハイブリダイズする。一部の実施態様において、第三のプライマーのハイブリダイズ可能な配列は、第一のプライマーのハイブリダイズ可能な配列とは異なり、及び/又は第四のプライマーのハイブリダイズ可能な配列は、第二のプライマーのハイブリダイズ可能な配列とは異なる。一部の実施態様において、第三のプライマー及び第四のプライマーの配列は異なる。一部の実施態様において、第三のプライマー、第四のプライマー、又は両方は、標的ポリヌクレオチドの試料給源を同定するインデックス配列を含む。一部の実施態様において、本方法は、第二のプライマーを含む増幅の増幅産物を配列決定することを更に含む。一部の実施態様において、本方法は、第三及び第四のプライマーを含む増幅の増幅産物を配列決定することを更に含む。一部の実施態様において、本方法は、インデックス配列に従い配列決定リードを群別することを更に含む。一部の実施態様において、配列決定は、参照配列に対し、配列バリアント又はヌクレオチドメチル化の差異を検出することを含む。
【0006】
一つの態様において、本開示は、本明細書記載の1以上の方法において使用するための組成物を提供する。
【0007】
一つの態様において、本開示は、本明細書記載の方法のいずれかに従い作製されたポリヌクレオチドを提供する。
【0008】
一つの態様において、本開示は、ポリヌクレオチドライブラリーを作製するキットを提供する。一部の実施態様において、キットは:(a)鋳型非依存的ポリメラーゼ;(b)鋳型非依存的ポリメラーゼにより重合され得るヌクレオチドの第一プール;(c)鋳型非依存的ポリメラーゼにより重合され得るヌクレオチドの第二プール;(d)ポリヌクレオチドの第一プールを重合することにより形成されるテールにハイブリダイズ可能であるオーバーハングを含む第一のアダプター;並びに、(e)ポリヌクレオチドの第二プールを重合することにより形成されるテールにハイブリダイズ可能であるオーバーハングを含む第二のアダプターであって、ここで第二のアダプターは、第一のアダプターとは異なる配列を含むもの:を含む。一部の実施態様において、鋳型非依存的ポリメラーゼは、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)である。一部の実施態様において、第一のプール及び第二のプールの少なくとも一方は、他方のプールには存在しない少なくとも1種のヌクレオチドを含む。一部の実施態様において、第一のプール及び第二のプールは、同じ1種以上のヌクレオチドを含む。一部の実施態様において、第一のプール、第二のプール、又は両方は、1又は2種のヌクレオチドからなる。一部の実施態様において、第一のプール、第二のプール、又は両方は、(i)dATPのプール、(ii)dCTPのプール、並びに(iii)dCTP及びdTTPのプールからなる群から選択される。一部の実施態様において、第一のプール及び第二のプールの少なくとも一方は、同じ又は異なる量で存在する2種のヌクレオチドからなる。一部の実施態様において、プール内の2種のヌクレオチドは、約9:1、5:1、3:1、又は1:1の比である。一部の実施態様において、第一のアダプター及び第二のアダプターは、ポリヌクレオチド配列が異なる二本鎖領域を含む。一部の実施態様において、第一及び/又は第二のアダプターのオーバーハングは、3’-オーバーハングである。一部の実施態様において、第一及び/又は第二のアダプターのオーバーハングは、長さ6〜12のヌクレオチドである。一部の実施態様において、本キットは、プライマー伸長反応の条件下で、第一のアダプターの鎖にハイブリダイズ可能である第一のプライマーを更に含む。一部の実施態様において、本キットは、プライマー伸長反応の条件下で、第二のアダプターの鎖にハイブリダイズ可能である第二のプライマーを更に含む。一部の実施態様において、第一のアダプターの鎖にハイブリダイズ可能である第一のプライマーの配列は、第二のアダプターにハイブリダイズ可能である第二のプライマーの配列とは異なる。一部の実施態様において、本キットは、第三のプライマー及び第四のプライマーを更に含み、ここで(i)第三のプライマーは、プライマー伸長反応の条件下で、第一のプライマーの少なくとも一部の相補体にハイブリダイズ可能であり、並びに、(ii)第四のプライマーは、プライマー伸長反応の条件下で、第二のプライマーの少なくとも一部の相補体にハイブリダイズ可能である。一部の実施態様において、第三のプライマーのハイブリダイズ可能な配列は、第一のプライマーのハイブリダイズ可能な配列とは異なり、及び/又は第四のプライマーのハイブリダイズ可能な配列は、第二のプライマーのハイブリダイズ可能な配列とは異なる。一部の実施態様において、第三のプライマーのハイブリダイズ可能な配列は、第一のプライマーのハイブリダイズ可能な配列に関して5’側にハイブリダイズし、及び/又は第四のプライマーのハイブリダイズ可能な配列は、第二のプライマーのハイブリダイズ可能な配列に関して5’側にハイブリダイズする。一部の実施態様において、第三のプライマー及び第四のプライマーの配列は異なる。一部の実施態様において、第三のプライマー、第四のプライマー、又は両方は、標的ポリヌクレオチドの試料給源を同定するインデックス配列を含む。
【0009】
ポリヌクレオチドライブラリーを作製するための本発明の方法の一部の実施態様において、本方法は、(a)第一のテーリング反応において、第一のテールを、鋳型非依存的重合により、複数の標的ポリヌクレオチドの各々へ追加する工程であって、ここで第一のテーリング反応は、第一のテールにハイブリダイズするオーバーハングを含む第一のアダプターを含む工程;(b)第一のライゲーション反応において、第一のアダプターの鎖を第一のテールへライゲーションする工程;(c)第一のアダプターの鎖へハイブリダイズされた第一のプライマーを伸長することにより、第一のアダプターの鎖を含む標的ポリヌクレオチドを増幅する工程;並びに、(d)第二のライゲーション反応において、第二のアダプターの鎖を、増幅された標的ポリヌクレオチドへライゲーションする工程:を含む。一部の実施態様において、第二のライゲーション反応は、第二のテーリング反応において、第二のテールを鋳型非依存的重合により複数の増幅された標的ポリヌクレオチドの各々へ追加することを含む。一部の実施態様において、第二のテーリング反応は、第二のテールへハイブリダイズするオーバーハングを含む第二のアダプターを含む。一部の実施態様において、第二のライゲーション反応において、第二のアダプターの鎖を第二のテールへライゲーションする。一部の実施態様において、第二のライゲーション反応は、増幅された標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズするオーバーハングを含む第二のアダプターを含む。
【0010】
一部の実施態様において、本方法は、(a)標的ポリヌクレオチドを作製するための、ポリヌクレオチドの断片化;(b)標的ポリヌクレオチドの一方又は両方の末端の脱リン酸化;並びに、(c)標的ポリヌクレオチドを作製するための、二本鎖ポリヌクレオチドの1本鎖ポリヌクレオチドへの変性:の1以上を含む。一部の実施態様において、複数の標的ポリヌクレオチドは、1本鎖DNAを含む。一部の実施態様において、標的ポリヌクレオチドは、セルフリーポリヌクレオチド、又はそれらの増幅産物を含む。一部の実施態様において、標的ポリヌクレオチドは、1本鎖のセルフリーDNA(cfDNA)を含む。一部の実施態様において、第一のテーリング反応における標的ポリヌクレオチドの量は、約0.1〜500ng、1〜100ng、又は5〜50ngである。一部の実施態様において、標的ポリヌクレオチドは、平均長約50〜600ヌクレオチドを有する。一部の実施態様において、標的ポリヌクレオチドは、工程(b)の前に、メチル化シトシン又は非メチル化シトシンを差次的に修飾するよう処理される。一部の実施態様において、差次的修飾は、標的ポリヌクレオチドを亜硫酸水素塩で処理することを含む。一部の実施態様において、鋳型非依存的重合は、ポリメラーゼにより触媒される。一部の実施態様において、ポリメラーゼは、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)である。一部の実施態様において、第一のテールは、第二のテールとは異なる配列を含む。一部の実施態様において、第一のテール及び第二のテールは、同じ配列を含む。一部の実施態様において、第一のテール、第二のテール、又は両方は、1又は2種のヌクレオチドからなる。一部の実施態様において、第一のテール、第二のテール、又は両方は、ポリ-A、ポリ-C、及びポリ-C/Tからなる群から選択される。一部の実施態様において、これらのテールの少なくとも1つは、2種のヌクレオチドのプールから重合された2種のヌクレオチドからなり、ここでプール中の2種のヌクレオチドは、同じ又は異なる量で存在する。一部の実施態様において、プール中の2種のヌクレオチドは、約9:1、7:1、5:1、3:1、又は1:1の比である。一部の実施態様において、第二のテーリング反応は省略される。一部の実施態様において、第一のアダプター及び第二のアダプターは、ポリヌクレオチド配列が異なる二本鎖領域を含む。一部の実施態様において、増幅は、直線的増幅を含む。一部の実施態様において、第一及び/又は第二のアダプターのオーバーハングは、3’-オーバーハングである。一部の実施態様において、第一及び/又は第二のアダプターは、3’-オーバーハング及び5’-オーバーハングの両方を有する。一部の実施態様において、第一及び/又は第二のアダプターの3’-オーバーハングは、長さ6〜12ヌクレオチドである。一部の実施態様において、第一及び/又は第二のアダプターの5’-オーバーハングは、長さ2〜6ヌクレオチドである。一部の実施態様において、(i)第一のテーリング反応及び第一のライゲーション反応は、同じ反応混合物中で起こるか、並びに/又は(ii)第二のテーリング反応及び第二のライゲーション反応は、同じ反応混合物中で起こる。
【0011】
一部の実施態様において、本方法は、第二のアダプターの鎖にハイブリダイズされた第二のプライマーを伸長することにより、第二のアダプターの鎖を含む標的ポリヌクレオチドを増幅することを更に含む。一部の実施態様において、第一のアダプターの鎖とハイブリダイズする第一のプライマーの配列は、第二のアダプターとハイブリダイズする第二のプライマーの配列とは異なる。一部の実施態様において、第二のアダプターの鎖にハイブリダイズされたプライマーによる増幅は、指数関数的増幅である。一部の実施態様において、本方法は、第三のプライマー及び第四のプライマーによる増幅反応を更に含み、ここで(i)第三のプライマーは、第一のプライマーの少なくとも一部の相補体にハイブリダイズし、並びに(ii)第四のプライマーは、第二のプライマーの少なくとも一部の相補体にハイブリダイズする。一部の実施態様において、第三のプライマーのハイブリダイズ可能な配列は、第一のプライマーのハイブリダイズ可能な配列とは異なり、及び/又は第四のプライマーのハイブリダイズ可能な配列は、第二のプライマーのハイブリダイズ可能な配列とは異なる。一部の実施態様において、第三のプライマー及び第四のプライマーの配列は異なる。一部の実施態様において、第三のプライマー、第四のプライマー、又は両方は、標的ポリヌクレオチドの試料給源を同定するインデックス配列を含む。一部の実施態様において、本方法は、第二のプライマーを含む増幅の増幅産物を配列決定することを更に含む。一部の実施態様において、本方法は、第三及び第四のプライマーを含む増幅の増幅産物を配列決定することを更に含む。一部の実施態様において、本方法は、インデックス配列に従い配列決定リードを群別することを更に含む。
【0012】
一つの態様において、本開示は、本明細書記載の1以上の方法において使用するための組成物を提供する。
【0013】
一つの態様において、本開示は、本明細書記載の方法のいずれかに従い作製されたポリヌクレオチドを提供する。
【0014】
一つの態様において、本開示は、ポリヌクレオチドライブラリーを作製するためのキットを提供する。一部の実施態様において、本キットは、(a)鋳型非依存的ポリメラーゼ;(b)鋳型非依存的ポリメラーゼにより重合され得るヌクレオチドの第一プール;(c)鋳型非依存的ポリメラーゼにより重合され得るヌクレオチドの第二プール;(d)ポリヌクレオチドの第一プールを重合することにより形成されるテールにハイブリダイズ可能であるオーバーハングを含む第一のアダプター;並びに、(e)増幅された標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズ可能なオーバーハングを含む第二のアダプター:を含む。一部の実施態様において、鋳型非依存的ポリメラーゼは、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)である。一部の実施態様において、第一のプール及び第二のプールの少なくとも一方は、他方のプールには存在しない少なくとも1種のヌクレオチドを含む。一部の実施態様において、第一のプール及び第二のプールは、同じ1種以上のヌクレオチドを含む。一部の実施態様において、第一のプール、第二のプール、又は両方は、1又は2種のヌクレオチドからなる。一部の実施態様において、第一のプール、第二のプール、又は両方は、(i)dATPのプール、(ii)dCTPのプール、並びに(iii)dCTP及びdTTPのプールからなる群から選択される。一部の実施態様において、第一のプール及び第二のプールの少なくとも一方は、同じ又は異なる量で存在する2種のヌクレオチドからなる。一部の実施態様において、プール内の2種のヌクレオチドは、約9:1、7:1、5:1、3:1、又は1:1の比である。一部の実施態様において、第一のアダプター及び第二のアダプターは、ポリヌクレオチド配列が異なる二本鎖領域を含む。一部の実施態様において、第一及び/又は第二のアダプターのオーバーハングは、3’-オーバーハングである。一部の実施態様において、第一及び/又は第二のアダプターは、3’-オーバーハング及び5’-オーバーハングの両方を有する。一部の実施態様において、第一及び/又は第二のアダプターの3’-オーバーハングは、長さ6〜12のヌクレオチドである。一部の実施態様において、第一及び/又は第二のアダプターの5’-オーバーハングは、長さ2〜6のヌクレオチドである。一部の実施態様において、本キットは、プライマー伸長反応の条件下で、第一のアダプターの鎖にハイブリダイズ可能である第一のプライマーを更に含む。一部の実施態様において、本キットは、プライマー伸長反応の条件下で、第二のアダプターの鎖にハイブリダイズ可能である第二のプライマーを更に含む。一部の実施態様において、第一のアダプターの鎖にハイブリダイズ可能である第一のプライマーの配列は、第二のアダプターにハイブリダイズ可能である第二のプライマーの配列とは異なる。一部の実施態様において、本キットは、第三のプライマー及び第四のプライマーを更に含み、ここで(i)第三のプライマーは、プライマー伸長反応の条件下で、第一のプライマーの少なくとも一部の相補体にハイブリダイズ可能であり、並びに、(ii)第四のプライマーは、プライマー伸長反応の条件下で、第二のプライマーの少なくとも一部の相補体にハイブリダイズ可能である。一部の実施態様において、第三のプライマーのハイブリダイズ可能な配列は、第一のプライマーのハイブリダイズ可能な配列とは異なり、及び/又は第四のプライマーのハイブリダイズ可能な配列は、第二のプライマーのハイブリダイズ可能な配列とは異なる。一部の実施態様において、第三のプライマーのハイブリダイズ可能な配列は、第一のプライマーのハイブリダイズ可能な配列に関して5’側にハイブリダイズし、及び/又は第四のプライマーのハイブリダイズ可能な配列は、第二のプライマーのハイブリダイズ可能な配列に関して5’側にハイブリダイズする。一部の実施態様において、第三のプライマー及び第四のプライマーの配列は異なる。一部の実施態様において、第三のプライマー、第四のプライマー、又は両方は、標的ポリヌクレオチドの試料給源を同定するインデックス配列を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
(図面の簡単な説明)
【
図1】
図1は、実施態様に従う、実施例ライブラリー調製法を図示する。この図は、配列
【化1】
を含む。
【0016】
【
図2】
図2は、実施態様に従う、実施例アダプターを図示する。この図は、上から下へ順に、配列番号:4-7を含む。
【0017】
【
図3】
図3は、テーリング反応を含む実施態様に従い調製されたポリヌクレオチド(下側)、及び「Y」アダプターを用いて代わりに調製されたポリヌクレオチド(上側)の間の比較を図示する。この図は、左側から右側、上から下へ順に、配列番号:8-15を含む。
【0018】
【
図4】
図4は、キャピラリー電気泳動分析の実施例プロットを図示している。
【0019】
【
図5】
図5A-Cは、キャピラリー電気泳動分析の実施例プロットを図示している。
【0020】
【
図6】
図6A-Bは、電気泳動分析の実施例プロットを図示している。
【0021】
【
図7】
図7は、様々な試料にわたり12,977の標的化されたCpG部位のメチル化レベルを図示している。
【0022】
【
図8】
図8A-Bは、キャピラリー電気泳動分析の実施例プロットを図示している。
【0023】
【
図9】
図9は、本発明の実施態様に従う実施例ライブラリー製造方法を図示している。この図は、配列
【化2】
を含み、ここでNは任意の塩基である。
【0024】
【
図10】
図10は、本発明の実施態様に従う、実施例アダプターを図示している。この図は、上から下へ順に、配列番号:4、22、6及び23を含む。
【0025】
【
図11】
図11は、キャピラリー電気泳動分析の実施例プロットを図示している(上から下へグラフのラインは、10ngラムダ、5ngラムダ、2ngラムダ、1ngラムダ)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(詳細な説明)
本明細書に開示された一部の実施態様の特定の工程の実践は、別に指摘しない限りは、免疫学、生化学、化学、分子生物学、微生物学、細胞生物学、ゲノム科学及び組換えDNAの常用の技術を利用し、これらは当該技術分野の範囲内である。例えば、Sambrook及びGreenの文献「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」、第4版(2012);一連の「分子生物学最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」(F. M. Ausubelら編集);一連のMethods In Enzymology(Academic Press社)、「PCR2:実践的アプローチ(PCR 2: A Practical Approach)」(M.J. MacPherson、B.D. Hames及びG.R. Taylor編集(1995))、Harlow及びLane編集(1988)「抗体、実験マニュアル(Antibodies, A Laboratory Manual)」、並びに「動物細胞培養法:基本技術及び特定用途のマニュアル(Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique and Specialized Applications)」、第6版(R.I. Freshney編集(2010))を参照。
【0027】
本明細書及び請求項において使用する、単数形(“a”、“an”及び“the”)は、文脈が別に明確に指示しない限りは、複数の言及を含む。
【0028】
用語「約」又は「およそ」は、一部その値が測定又は決定される方式、すなわち測定システムの限界によって決まる、当業者により決定された特定値に関して許容し得る誤差範囲以内を意味する。例えば「約」は、当該技術分野の実践に従い、1又は1より大きい標準偏差以内を意味することができる。あるいは「約」は、所定の値の最大20%、最大10%、最大5%、又は最大1%までの範囲を意味することができる。あるいは、特に生物学的システム又はプロセスに関して、この用語は、値の10倍以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味することができる。特定の値が本願及び請求項において説明される場合、別に指定しない限りは、用語「約」は、特定の値について許容し得る誤差範囲内であることを意味すると想定されるべきである。
【0029】
用語「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「核酸」及び「オリゴヌクレオチド」は、互換的に使用される。これらは、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドのいずれかの任意の長さのヌクレオチドのポリマー型、又はそれらのアナログを指す。ポリヌクレオチドは、既知又は不明の、任意の三次元構造を有し、且つ任意の機能を発揮してよい。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的例である:遺伝子又は遺伝子断片のコード領域又は非コード領域、連鎖解析から規定された遺伝子座、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐したポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、プライマー、及びアダプター。ポリヌクレオチドは、1以上の修飾されたヌクレオチド、例えばメチル化されたヌクレオチド及びヌクレオチドアナログを含んでよい。存在するならば、ヌクレオチド構造への修飾は、ポリマーの集成の前又は後に施されてよい。ヌクレオチドの配列は、非-ヌクレオチド成分により中断されてよい。ポリヌクレオチドは更に、標識成分との結合によるなど、重合後に修飾されてよい。
【0030】
一般に、ポリヌクレオチドに適用される用語「セルフリー」、「循環」及び「細胞外」(例えば、「セルフリーDNA」及び「セルフリーRNA」)は、当初収集された試料(例えば、細胞又はウイルスからの抽出物中など)に対し単離されたか、そうでなければ溶解工程を適用することなく操作された対象由来の試料又はその一部中に存在するポリヌクレオチドを指すために、互換的に使用される。従って、セルフリーポリヌクレオチドは、対象の試料が収集される前であっても、それらが起源とする細胞又はウイルスに封入されないか又はこれを「非含有」である。セルフリーポリヌクレオチドは、細胞死(例えばアポトーシスもしくは壊死)又は細胞脱落の副産物として生成されてよく、ポリヌクレオチドを周囲の体液へ又は循環へと放出する。従って、セルフリーポリヌクレオチドは、血液の非-細胞画分(例えば、血清又は血漿)から、他の体液(例えば尿)から、あるいは他の型の試料の非-細胞画分から単離されてよい。
【0031】
本明細書において使用される「対象」は、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)又は霊長類(例えば、サル又はヒト)などの、哺乳動物であることができる。一部の実施態様において、対象はヒトである。一部の実施態様において、対象は、その例が本明細書に説明されているような、疾患、障害、又は状態を有するかもしくは有する可能性がある、哺乳動物(例えばヒト)である。一部の実施態様において、対象は、その例が本明細書に説明されているような、疾患、障害、又は状態を発症するリスクのある、哺乳動物(例えばヒト)である。
【0032】
本明細書で使用される用語「増幅する(amplify, amplifies)」、「増幅された」及び「増幅」は、一般に、それにより1以上のコピーが、標的ポリヌクレオチド又はその一部で作製される任意のプロセスを指す。ポリヌクレオチド(例えばDNA及び/又はRNA)を増幅する様々な方法が利用可能であり、その例の一部は、本明細書に説明されている。増幅は、直線的、指数関数的であってよく、あるいは多相性増幅プロセスにおいて、直線相及び指数関数相の両方に関与してよい。増幅方法は、熱変性工程などの、温度変化に関与するか、あるいは熱変性を必要としない等温プロセスであってよい。
【0033】
「ハイブリダイゼーション」とは、そこで1以上のポリヌクレオチドが反応し、ヌクレオチド残基の塩基間の水素結合により安定化される複合体を形成する反応を指す。水素結合は、ワトソン・クリック塩基対形成、フーグスティーン結合、又は塩基の相補性に従ういずれか他の配列特異的様式により生じてよい。この複合体は、二重鎖構造を形成する2本鎖、多重鎖複合体を形成する3本以上の鎖、1本のセルフハイブリダイズする鎖、又はこれらの任意の組合せを含んでよい。ハイブリダイゼーション反応は、PCRの開始、又はエンドヌクレアーゼによるポリヌクレオチドの酵素的切断などの、より広範なプロセス中の工程を構成してよい。第一の配列と完全な相補性がある第二の配列か、又は鋳型として第一の配列を使用しポリメラーゼにより重合された第二の配列は、第一の配列の「相補体」と称される。用語「ハイブリダイズ可能」とは、ポリヌクレオチドに適用される場合、ポリヌクレオチドの、ハイブリダイゼーション反応においてヌクレオチド残基の塩基間の水素結合により安定化される複合体を形成する能力を指す。一部の実施態様において、ヌクレオチドのハイブリダイズ可能な配列は、それがハイブリダイズする配列に対し、少なくとも約50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%の相補性である。一部の実施態様において、ハイブリダイズ可能な配列は、マルチ-工程プロセス(例えば、ライゲーション反応、又は増幅反応)の工程の一部として、且つその条件下で、1以上の標的配列へハイブリダイズするものである。
【0034】
「相補性」とは、従来のワトソン・クリック塩基対形成又は他の非従来型のいずれかにより、別の核酸配列と水素結合を形成する、核酸の能力を指す。完全な相補性は、第二の核酸配列と水素結合(例えば、ワトソン・クリック塩基対形成)を形成することができる第一の核酸配列の残基の割合を示す(例えば、10中、5、6、7、8、9、又は10は、各々、相補性50%、60%、70%、80%、90%、及び100%である)。「完全に相補的」とは、第一の核酸配列の近接残基全てが、第二の核酸配列中の同数の近接残基と、水素結合することを意味する。%相補性を評価する目的などのような、配列同一性は、任意の好適なアラインメントアルゴリズムにより測定されてよく、これはNeedleman-Wunschアルゴリズム(例えば、任意にデフォルト設定で、www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_needle/nucleotide.htmlで入手可能なEMBOSS Needle aligner参照)、BLASTアルゴリズム(例えば、任意にデフォルト設定で、blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiで入手可能なBLASTアラインメントツール参照)、又はSmith-Watermanアルゴリズム(例えば、任意にデフォルト設定で、www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_water/nucleotide.htmlで入手可能なEMBOSS Water aligner参照)を含むが、これらに限定されるものではない。最適アラインメントは、デフォルトのパラメータを含む、選択されたアルゴリズムのいずれか好適なパラメータを用いて評価されてよい。
【0035】
一般に、用語「配列バリアント」とは、1以上の参照配列に対する、配列における何らかの多様性を指す。典型的には、配列バリアントは、それに関する参照配列が公知である所定の個体集団について、参照配列よりも、低頻度で生じる。場合によっては、参照配列は、単独の個体のゲノム配列などの、単独の公知の参照配列である。場合によっては、参照配列は、参照集団として働く複数の個体のゲノム配列などの複数の公知の配列を整列化することにより形成されたコンセンサス配列、あるいは同じ個体由来のポリヌクレオチドの複数の配列決定リードである。場合によっては、配列バリアントは、集団において低頻度で生じる(「稀」配列バリアントとも称される)。例えば、配列バリアントは、約5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.75%、0.5%、0.25%、0.1%、0.075%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.005%、0.001%以下、又はほぼそれら未満の頻度で生じてよい。場合によっては、配列バリアントは、約0.1%又はほぼそれ未満の頻度で生じてよい。配列バリアントは、参照配列に対して何らかの多様性があることができる。配列多様性は、単独ヌクレオチドの、もしくは複数のヌクレオチド(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれよりも多いヌクレオチド)の、変化、挿入、又は欠失からなる。配列バリアントが、2以上のヌクレオチド差を有する場合、異なるこれらのヌクレオチドは、互いに近接するか、不連続である。配列バリアントの種類の非限定的例は、一塩基多型(SNP)、欠失/挿入多型(DIP)、コピー数多型(CNV)、ショートタンデムリピート(STR)、単純反復配列(SSR)、可変数タンデムリピート(VNTR)、増幅断片長多型(AFLP)、レトロトランスポゾン挿入多型、配列特異的増幅多型、及び配列バリアントとして検出され得るエピジェネティックマークの差(例えば、メチル化の差)がある。一部の実施態様において、配列バリアントは、非限定的に転座又は融合遺伝子を含む、染色体再編成を指すことができる。
【0036】
一つの態様において、本開示は、ポリヌクレオチドライブラリーの作製方法を提供する。一部の実施態様において、本方法は、(a)第一のテーリング反応において、第一のテールを、鋳型非依存的重合により、複数の標的ポリヌクレオチドの各々へ追加する工程であって、ここで第一のテーリング反応が、第一のテールにハイブリダイズするオーバーハングを含む第一のアダプターを含む工程;(b)第一のライゲーション反応において、第一のアダプターの鎖を第一のテールへライゲーションする工程;(c)第一のアダプターの鎖へハイブリダイズされた第一のプライマーを伸長することにより、第一のアダプターの鎖を含む標的ポリヌクレオチドを増幅する工程;(d)第二のテーリング反応において、鋳型非依存的重合により、複数の増幅された標的ポリヌクレオチドの各々へ、第二のテールを追加する工程であって、ここで第二のテーリング反応は、第二のテールへハイブリダイズするオーバーハングを含む第二のアダプターを含む工程;並びに、(e)第二のライゲーション反応において、第二のアダプターの鎖を第二のテールへライゲーションする工程:を含む。
【0037】
一つの態様において、本開示は、ポリヌクレオチドライブラリーの作製方法を提供する。一部の実施態様において、本方法は、(a)第一のテーリング反応において、第一のテールを、鋳型非依存的重合により、複数の標的ポリヌクレオチドの各々へ追加する工程であって、ここで第一のテーリング反応は、第一のテールにハイブリダイズするオーバーハングを含む第一のアダプターを含む工程;(b)第一のライゲーション反応において、第一のアダプターの鎖を第一のテールへライゲーションする工程;(c)第一のアダプターの鎖へハイブリダイズされた第一のプライマーを伸長することにより、第一のアダプターの鎖を含む標的ポリヌクレオチドを増幅する工程;並びに、(d)第二のライゲーション反応において、第二のアダプターの鎖を、増幅された標的ポリヌクレオチドへライゲーションする工程:を含む。このような実施態様において、第二のアダプターライゲーションは、テーリング反応を伴わずに使用される。任意にそのような方法において、第二のライゲーション反応は、第二のテーリング反応において、第二のテールを鋳型非依存的重合により複数の増幅された標的ポリヌクレオチドの各々へ追加することを含むことができる。一実施態様において、第二のテーリング反応は、第二のテールへハイブリダイズするオーバーハングを含む第二のアダプターを含むことができる。一実施態様において、第二のライゲーション反応において、第二のアダプターの鎖を第二のテールへライゲーションする。一実施態様において、第二のライゲーション反応は、増幅された標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズするオーバーハングを含む第二のアダプターを含む。そのような実施態様は、後続のライゲーションを可能にする。一実施態様において、第二のアダプターライゲーションは、ライゲーションを促進するスプリンターとして働くために、アダプター中のランダム塩基の3’オーバーハングを利用することができる。第二のアダプターは、増幅された標的ポリヌクレオチドの3’末端に追加され得る。アダプターの3’オーバーハングは、基質鎖を安定化し、且つ基質鎖の3’末端とリン酸化された反対のアダプター鎖の5’末端の間のライゲーションを促進するスプリンターとして働く。
【0038】
本開示の方法において有用なポリヌクレオチドは、任意の様々な試料給源に由来することができる。一部の実施態様において、試料は、天然の又は人工の大気などの環境試料、水試料、土壌試料、表面スワブ、又は関心対象の任意の他の試料である。一部の実施態様において、ポリヌクレオチドは、対象の試料など、生物学的試料に由来する。生物学的試料の非限定例としては、組織(例えば、皮膚、心臓、肺、腎臓、骨髄、乳房、膵臓、肝臓、筋肉、平滑筋、膀胱、胆嚢、結腸、腸、脳、前立腺、食道、甲状腺、及び腫瘍)、体液(例えば、血液、血液画分、血清、血漿、唾液、尿、乳汁、胃液及び消化液、涙液、精液、膣液、腫瘍組織由来の間質液、眼液、汗、粘液、油分、腺分泌物、髄液、脳脊髄液、胎盤液、羊水、臍帯血、体腔液、痰、膿)、糞便、スワブ又は洗浄液(例えば、鼻腔スワブ、咽喉スワブ、及び鼻咽頭洗浄液)、生検、及び他の排泄物又は体組織が挙げられる。一部の実施態様において、試料は、血液、血液画分、血漿、血清、唾液、痰、尿、精液、経膣液、脳脊髄液、又は糞便である。一部の実施態様において、試料は、全血又は血液画分(例えば、血清又は血漿)などの、血液である。
【0039】
一部の実施態様において、分析されるべきポリヌクレオチドが、細胞又はウイルスキャプシド内に含まれる場合などは、ポリヌクレオチドは、試料から抽出される。抽出法が使用される場合、選択される方法は、一部、処理される試料の種類によって決まる。様々な抽出法が利用可能である。例えば核酸は、フェノール、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール、又はTRIzol及びTriReagentを含む類似の配合物での有機抽出により精製されることができる。一部の実施態様において、試料は、タンパク質(例えば、プロテイナーゼK処理により)もしくはRNA(例えば、RNaseA処理により)などの1以上の成分を除去又は分解するように、及び/又はRNA(例えば、RNaseインヒビターによる処理により)などの1以上の成分を保持するように、処理される。抽出手順時に又はそれに続けてDNA及びRNAの両方が一緒に単離される場合、更なる工程が、一方又は両方を他方から個別に精製するために利用されてよい。抽出された核酸の亜画分はまた、作製され、例えばサイズ、配列、又は他の物理的もしくは化学的特徴により精製されることもできる。最初の核酸単離工程に加え、核酸の精製は、過剰な又は望ましくない試薬、反応物又は生成物の除去などの後続の操作後に、行うことができる。
【0040】
一部の実施態様において、本明細書記載の方法は、細胞抽出を伴わずに(例えば、細胞、ウイルス、及び/又は核酸を含む他の被膜を溶解する工程を伴わずに)対象の試料から得られた、セルフリーポリヌクレオチドの操作に関与している。一部の実施態様において、ポリヌクレオチドは、収集されたままの生物学的試料中で直接操作される。一部の実施態様において、セルフリーポリヌクレオチドは、試料中に存在し得る細胞内に含まれるポリヌクレオチドを放出する処理を伴わずに、試料の他の成分(例えば、細胞及び/又はタンパク質)から分離される。細胞を含有する試料に関して、この試料は、試料から細胞を分離するように、処理することができる。一部の実施態様において、試料は、遠心分離に供され、且つセルフリーポリヌクレオチドを含有する上清は、更なるプロセッシング(例えば、他の成分からのポリヌクレオチドの単離、又はポリヌクレオチドの他の操作)のために分離される。一部の実施態様において、セルフリーポリヌクレオチドは、最初の試料の他の成分(例えば、細胞及び/又はタンパク質)から精製される。沈殿又は基質への非特異的結合、それに続く基質洗浄による、結合したポリヌクレオチドの放出などの、細胞抽出を伴わないポリヌクレオチド単離の様々な手順が、利用可能である。
【0041】
試料給源(例えば、環境試料、又は対象由来の試料)から単離されたポリヌクレオチドの出発量は変動することができ、且つ場合によっては少量であってよい。一部の実施態様において、出発ポリヌクレオチドの量は、約1000ng、500ng、100ng 50ng、25ng、20ng、15ng、10ng、5ng、4ng、3ng、2ng、1ng、0.5ng、0.1ng以下、又はほぼそれら未満である。一部の実施態様において、出発ポリヌクレオチドの量は、約0.1〜500ng、例えば1〜100ng又は5〜50ngの範囲内である。一般により少ない出発材料は、一つのプロセッシング工程から次工程へのポリヌクレオチドの回収の重要性を増大する。後続反応に参加する試料中のポリヌクレオチドの量を減少するプロセスは、稀ポリヌクレオチド(例えば、変異)が検出され得る感度を低下する。一部の実施態様において、本明細書に開示された方法は、先行する検出方法に比べ、検出感度を増大する。
【0042】
一部の実施態様において、分析されるべきポリヌクレオチドは、試料由来のポリヌクレオチドの増幅産物を含む。増幅産物は、特異的に増幅されるか(例えば、標的-特異的増幅プライマーを使用することにより)、あるいは非-特異的に増幅される(例えば、非-特異的増幅プライマーのプールを使用することにより)ことができる。一部の実施態様において、増幅鋳型は、DNA及び/又はRNAを含む。一部の実施態様において、分析されるべきポリヌクレオチドは、逆転写(RT)反応の一部としてDNAへ逆転写されるRNAを含む。一般に逆転写は、相補DNA(cDNA)を作製するために鋳型として標的RNA分子を使用する、RNA-依存型DNAポリメラーゼ(「逆転写酵素」とも称される)により標的RNAへハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドプライマーの伸長を含む。逆転写酵素の例は、レトロウイルス逆転写酵素(例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(M-MLV)、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)又はラウス肉腫ウイルス(RSV)の逆転写酵素)、Superscript I(商標)、Superscript II(商標)、Superscript III(商標)、レトロトランスポゾン逆転写酵素、B型肝炎ウイルス逆転写酵素、カリフラワーモザイクウイルス逆転写酵素、細菌性逆転写酵素、及びそれらの変異体、バリアント又は誘導体を含むが、これらに限定されるものではない。一部の実施態様において、逆転写酵素は、ホットスタート逆転写酵素である。
【0043】
一部の実施態様において、これらのポリヌクレオチドは、断片化に供されたポリヌクレオチドである。一部の実施態様において、断片は、予め規定された長さ未満であるか又は予め規定された長さの範囲内である、長さの平均、長さの中央値、又は長さの部分分布(例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%又は以上に対処する)を有する。一部の実施態様において、予め規定された長さは、長さが約1500、1000、800、600、500、300、200、100、又は50ヌクレオチド、又はほぼそれら未満である。一部の実施態様において、予め規定された長さの範囲は、長さが10〜1000、10〜800、10〜700、50〜600、100〜600、又は150〜400ヌクレオチドの範囲である。一部の実施態様において、断片化されたポリヌクレオチドは、予め規定された範囲内の平均サイズを有する(例えば、長さの平均又は中央値が、約10〜約1,000ヌクレオチド、例えば10〜800、10〜700、50〜600、100〜600、又は150〜400ヌクレオチド;あるいは、長さの平均又は中央値が1500、1000、750、500、400、300、250、100、50未満、又はそれよりも少ないヌクレオチド長)。
【0044】
一部の実施態様において、ポリヌクレオチドの断片化は、機械的断片化、化学的断片化、及び/又は加熱を含む。一部の実施態様において、断片化は、試料ポリヌクレオチドを音波処理(acoustic sonication)に供することを含み、機械的に達成される。一部の実施態様において、断片化は、試料ポリヌクレオチドを、1種以上の酵素が核酸切断(例えば二本鎖切断)を生じるのに適した条件下で、1種以上の酵素で処理することを含む。ポリヌクレオチド断片の作製に有用な酵素の例は、配列特異的ヌクレアーゼ及び配列非特異的ヌクレアーゼを含む。ヌクレアーゼの非限定的例は、DNase I、フラグメンターゼ、制限エンドヌクレアーゼ、それらの変種、及びそれらの組合せを含む。例えば、DNase Iによる消化は、Mg++非存在及びMn++存在下で、DNAにおいてランダムな二本鎖切断を誘導することができる。一部の実施態様において、断片化は、試料ポリヌクレオチドの、1種以上の制限エンドヌクレアーゼによる処理を含む。断片化は、5’オーバーハング、3’オーバーハング、平滑末端、又はそれらの組合せを有する断片を生じることができる。一部の実施態様において、例えば断片化が1種以上の制限エンドヌクレアーゼの使用を含む場合、試料ポリヌクレオチドの切断は、予測可能な配列を有するオーバーハングを残す。断片化されたポリヌクレオチドは、カラム精製又はアガロースゲルからの単離などの、断片のサイズ選択の工程に供されてよい。
【0045】
一部の実施態様において、ポリヌクレオチドは、伸長工程又はライゲーション工程などの、後続の工程のために5’末端及び/又は3’末端を調製するように処理される。ポリヌクレオチド末端の調製は、以下の断片化手順に特に役立つ。ポリヌクレオチド末端の調製は、末端の「ポリッシング」又は「修復」と称されることが多い。一部の実施態様において、ポリヌクレオチド末端は、平滑末端又は5’リン酸化された末端を持つ1本鎖断片を作製するように、修復される(例えば、dNTP、T4 DNAポリメラーゼ、クレノウ大型断片、T4ポリヌクレオチドキナーゼ、及びATPを使用する)。一部の実施態様において、末端修復は、アデニンを、3’末端に追加し、3’-Aオーバーハングを作製することを含む(例えば、dATP、クレノウ断片(3’-5’エキソ-)又はTaqポリメラーゼを使用する)。一部の実施態様において、一方又は両方のポリヌクレオチド末端は、例えばホスファターゼによる処理により、脱リン酸化される。
【0046】
一部の実施態様において、本方法は、第一のテールが、鋳型非依存的重合により、複数の標的ポリヌクレオチドの各々が追加される、第一のテーリング反応を含む。一部の実施態様において、標的ポリヌクレオチドは、1本鎖である。標的ポリヌクレオチドは、天然に1本鎖であるか、又は既にそうではない場合は、1本鎖であるように処理される。例えば標的RNAは、逆転写され、DNA-RNAハイブリッド分子を形成し、これは次にRNaseHにより処理されるか又はRNase Aの存在下で熱変性され、RNAを分解し、且つ1本鎖cDNAを生じる。更なる例として、二本鎖DNAは、熱変性され(例えば、約95℃でのインキュベーションにより)、任意にそれに急冷(例えば、氷上でのインキュベーション)が続く。一部の実施態様において、標的ポリヌクレオチドは、1本鎖DNAを含む。一部の実施態様において、標的ポリヌクレオチドは、1本鎖cfDNAを含む。
【0047】
一般に、鋳型非依存的重合により作製された「テール」は、重合反応に供される標的ポリヌクレオチドの末端に重合されたヌクレオチドの新たに合成されたストリングを指す。このテールの長さ及びヌクレオチド配列は、一部、それよりテールが重合されるヌクレオチドの種類(例えば、A、T、G、及びCの1、2、3、又は4)、反応期間、使用されるポリメラーゼ、及び他の試薬の存在(例えば、重合反応時に第一のテールへハイブリダイズするオーバーハングを含むアダプター)によって決まるであろう。一部の実施態様において、テールは、1種以上の標的ポリヌクレオチドの3’末端へのみ重合される。
【0048】
一部の実施態様において、テールは、4種のDNA塩基(A、T、G、及びC)からなるプールから重合され、その結果生じるテールは、4種の塩基のいずれか又は全てを含む機会を有する。一部の実施態様において、テールは、塩基A、T、G、及びCのいずれか3種からなるプールから重合され、その結果生じるテールは、3種の選択された塩基のいずれか又は全てを含む機会を有する。一部の実施態様において、テールは、塩基A、T、G、及びCのいずれか2種、例えばC/T又はA/Gなどからなるプールから重合され、その結果生じるテールは、2種の選択された塩基の一方又は両方を含む機会を有する。一部の実施態様において、テールは、A、T、G、及びCから選択された1種の塩基からなるプールから重合され、その結果生じるテールは、選択された型の塩基からなる。一部の実施態様において、プールは、チミン塩基(ポリ-Tテールを生じる)又はシトシン塩基(ポリ-Cテールを生じる)からなる。典型的には、これらの塩基は、三リン酸型(例えば、dATP、dTTP、dGTP、及び/又はdCTP)である。プール内に2種以上の塩基が存在する場合、テールの構成は、プール内の塩基種の比を調節することにより、調節することができる。一部の実施態様において、プール内の全て塩基種は、ほぼ同量で存在し、その結果任意の1種の任意の他の種に対する比は、約1:1である。一部の実施態様において、プール内の1種の塩基の別の種に対する比は、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1以上、又はほぼそれらよりも大きい。一部の実施態様において、プール中の1種の塩基の別の種に対する比は、約3:1、5:1、又は9:1、又はほぼそれらよりも大きい。一部の実施態様において、この比は、約9:1、又はほぼそれよりも大きい。プール内に2種以上のヌクレオチドが存在する場合、テールの配列は、プールのメンバーを表す文字の縮重配列として表されることができる。例えば、「RRR」は、3つのプリンの配列を指し、配列AAA、AAG、AGA、GAA、AGG、GAG、GGA、及びGGGを表し;「YYY」は、3つのピリミジンの配列を指し、配列TTT、TTC、TCT、CTT、TCC、CCT、CTC、及びCCCを表す。そのような状況において、1つの分子上のテールは、別のものと同じであっても同じでなくともよい。しかし、生じたテーリングされたポリヌクレオチドのプール内の可能性のある配列のセット及びそれらの相対確率は、そのプール内のヌクレオチドの種類及びそれらの相対量を基に調節され得る。2つ以上のテーリング反応を含む実施態様において、各反応の条件は、2種以上のヌクレオチドがプール内に存在する場合、含まれるヌクレオチドの長さ、種類、及び/又はヌクレオチドの相対量などに関して、同じであるか又は異なるテールを作製するように、選択することができる。一部の実施態様において、本方法は、2つのテーリング反応を含み、それらのテールは同じである。一部の実施態様において、本方法は、2つのテーリング反応を含み、それらのテールは異なる。
【0049】
一部の実施態様において、1以上の工程は、ポリメラーゼによる、ポリヌクレオチド伸長を含む。ポリヌクレオチド伸長反応の例は、逆転写、テーリング、及び増幅を含む。様々なポリメラーゼが利用可能であり、且つ好適なポリヌクレオチド伸長反応の種類のために、適切に選択され得る。一部の実施態様において、ポリヌクレオチド伸長反応は、鋳型非依存的テーリング反応などの、テーリング反応である。一部の実施態様において、鋳型非依存的テーリング反応は、鋳型非依存的ポリメラーゼによる、ポリヌクレオチド伸長に関与する。一般に鋳型非依存的ポリメラーゼは、重合される配列に対し相補的な鋳型の非存在下で、ポリヌクレオチド伸長反応を触媒することが可能であるポリメラーゼである。鋳型非依存的ポリメラーゼは、この反応を触媒するために鋳型の存在を必要とせず、その結果重合は、鋳型分子が存在するかどうかとは無関係に生じるので、鋳型の非存在は、必ずしも必須ではない。鋳型非依存的ポリメラーゼの非限定的例としては、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT;DNAヌクレオチジルエキソトランスフェラーゼ(DNTT)又は末端転移酵素としても公知)、ポリ-Aポリメラーゼ、RNA-特異的ヌクレオチド転移酵素、ポリ(U)ポリメラーゼ、及びそれらの変異型もしくは修飾型が挙げられる。一部の実施態様において、鋳型非依存的ポリメラーゼは、TDTである。この鋳型非依存的ポリメラーゼは、任意の好適な給源に由来することができる。鋳型非依存的ポリメラーゼの具体的非限定的例は、組換えにより作製されたウシ胸腺TDT及び大腸菌ポリ-Aポリメラーゼがあり、両方共市販されている。
【0050】
一部の実施態様において、テーリング反応は、テールにハイブリダイズするオーバーハングを含むアダプターを含む。このオーバーハングは、ポリヌクレオチド伸長反応時に、テールへハイブリダイズしてよいが;しかし、鋳型非依存的ポリメラーゼにより開始される鋳型非依存的重合反応において、そのようなハイブリダイゼーションは、鋳型非依存的としての反応の状態を無効にしない。オーバーハングを持つアダプターは、少なくとも1つの1本鎖領域(オーバーハング)及び少なくとも1つの二本鎖領域(そのオーバーハングに直ぐに隣接する)を含む。アダプターは、両端にオーバーハングを含むことができ、且つ同じ鎖又は異なる鎖に関与している。例えば二本鎖領域は、より長いオリゴヌクレオチドの中央の短いオリゴヌクレオチドのハイブリダイズにより形成されることができる。別の例として、2つのオリゴヌクレオチドは、互いにハイブリダイズすることができ、その結果一方の末端のオーバーハングは、1つのオリゴヌクレオチドにより形成され、他方の末端のオーバーハングは、他方のオリゴヌクレオチドにより形成される。一部の実施態様において、一方の末端にのみオーバーハングが存在し、その結果他方の末端は、対のあるヌクレオチドで終結する(「平滑末端」とも称される)。アダプターはまた、3以上のオリゴヌクレオチドをハイブリダイズすることにより形成されることもでき、且つ二本鎖領域間に内部1本鎖領域を含んでよい(例えば、長いオリゴヌクレオチドに沿って離れた1以上ヌクレオチドである領域で、同じ長いオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした2つの短いオリゴヌクレオチドにおけるように)。一部の実施態様において、5’末端又は3’末端のいずれかに、単独のオーバーハングのみが存在する。一部の実施態様において、オーバーハングは、3’オーバーハングである。一部の実施態様において、アダプターは、3’オーバーハング及び5’オーバーハングの両方を有する。特定の理論により結びつけられるものではないが、5’オーバーハングは、アダプターそれ自身上のリーキーなテーリング反応を防止することができる劣性(recessive)3’末端を作製する。5’オーバーハングは、他方の鎖上に3’劣性末端を作製し、これはオリゴヌクレオチド合成時の不完全な3’末端の化学ブロッキングのために、アダプター上のリーキーなテーリング反応を防止する。
【0051】
一般に、特定のテールにハイブリダイズするオーバーハングは、重合されるべきテールに対し相補性であるように設計された配列を含む。一部の実施態様において、オーバーハングの全長は、テールにハイブリダイズするように設計される。テールにハイブリダイズするように設計された配列は、テールに対する完全な相補性は必要ではなく;むしろ、オーバーハングが、テーリング反応時など、特定の反応条件下で、テールにハイブリダイズするように設計されることのみ必要である。一部の実施態様において、オーバーハングは、完全に相補性であるように設計される。テールが単独の種類のヌクレオチドのプールから重合される場合(例えば、ポリ-A)、完全な相補性のオーバーハング(又はその一部)の設計は、余り複雑ではない(例えば、ポリ-Aの場合のポリ-T)。
【0052】
テールが2種以上のポリヌクレオチドのプールから重合される場合、個々のテール配列は変動することができ、その結果個々のテールに完全な相補性であるアダプターオーバーハングは、その他に対する完全な相補性はない。一部の実施態様において、単独のアダプターオーバーハング配列は、2種以上のヌクレオチドから重合されたテールとの相補性を最大化するように設計される。例えば、C:T比5:1でC及びTから重合されたテールは、ポリ-Gであるように設計されることができる。そのような例において、10ヌクレオチドのテールは、同じ長さのポリ-Gアダプターオーバーハングに沿って、平均2のミスマッチを有すると予測される。あるいは、アダプター配列は、それにハイブリダイズするように設計されているテールの縮重位置を基に選択された、1以上(又は全て)の縮重位置を含むように発現されることができる。例えば、配列「YYY」により表されたテールに関して、オーバーハングは、配列「RRR」を有するように設計されることができる。オーバーハングが1以上の縮重塩基位置を含む場合、「そのアダプター」は、プール内で表された各縮重位置で各々異なるヌクレオチドを持つアダプターオリゴヌクレオチドのプールを表す。アダプターオリゴヌクレオチドのプール内で、オーバーハング中の特定のヌクレオチドの相対表現、又はプール内の1以上の配列の相対量は、調節することができる(例えば、それからテールが重合されるヌクレオチドのプール内のヌクレオチドの相対量に対応して)。例えばオーバーハングを形成するアダプターの鎖を形成するオリゴヌクレオチドは、そのテールのヌクレオチドに対して相補性であり且つ対応する相対量(例えば、9:1 C:Tから重合されたテールについて9:1 G:A)のヌクレオチドのプールから重合されることができる。別の例として、ポリ-C/Tテール(例えば、9:1 C:T)にハイブリダイズするように設計されたアダプターは、長さが10ヌクレオチドであり、且つ1個のアデニンを有する全ての可能性のあるオーバーハングを等量含み、並びに任意に各配列は2個のアデニンを有するように設計することができる。ヌクレオチドの所定のプールから重合されたテールにハイブリダイズするオーバーハングの設計に関する他の変動が、可能である。
【0053】
一部の実施態様において、アダプターのオーバーハングの長さは、特にポリメラーゼが鎖置換活性を欠いている場合に、鋳型非依存的ポリメラーゼにより作製されたテールの長さを制御するように選択される。そのような実施態様において、アダプターの二本鎖領域は、テールがオーバーハングにハイブリダイズされる場合に、テールの伸長を阻害する。テール伸長の阻害は、伸長反応において作製される全てのテールが、オーバーハングと同じ長さであることは、必ずしも必要ではない。むしろ、鋳型非依存的重合反応において作製される平均テール長が、アダプター非存在下で作製される平均テール長よりも短い場合に、テール伸長は、アダプターにより阻害されると考えられる。一部の実施態様において、アダプターオーバーハングは、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25以上のヌクレオチド長、又はほぼそれら未満である。一部の実施態様において、アダプターオーバーハングは、約3〜25、5〜20、又は10〜15ヌクレオチド長である。一部の実施態様において、オーバーハングは、約6〜12ヌクレオチド長である。
【0054】
2種以上のアダプター(例えば、第一のアダプター及び第二のアダプター)を含む方法において、アダプター、又はその任意の部分(例えば、オーバーハング、二本鎖領域、又は一部の他の配列エレメント、例えばプライマー結合部位)の長さ及び/又は配列は、同じ又は異なることができる。一部の実施態様において、本方法は、各々がアダプターを含み、且つ2つのアダプターが、等しい長さ及び/又は同じ配列のオーバーハングを有する、2つのテーリング反応を含む。一部の実施態様において、本方法は、各々がアダプターを含み、且つ2つのアダプターが、異なる長さ及び/又は異なる配列のオーバーハングを有する、2つのテーリング反応を含む。一部の実施態様において、アダプターは、反応中の標的ポリヌクレオチドの量に関して、約0.25倍、0.5倍、0.75倍、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍以上、又はほぼそれら未満の相対モル量で、テーリング反応中に存在する。一部の実施態様において、アダプターは、標的ポリヌクレオチドに関して、およそ1:1モル比でテーリング反応中に存在する。
【0055】
一部の実施態様において、アダプターは、テールとハイブリダイズするオーバーハングに加え、1以上の様々な配列エレメントを含む。追加の配列エレメントの例は、1以上の増幅プライマーアニーリング配列又はそれらの相補体、1以上の配列決定プライマーアニーリング配列又はそれらの相補体、1以上のインデックス配列(例えば、それとインデックスが関連している標的ポリヌクレオチドの起源を同定するために使用することができる特定の試料給源又は反応に関連した1以上の配列)、複数の異なるアダプター又は異なるアダプターのサブセット間で共有される1以上の共通配列、1以上の制限酵素認識部位、1以上のプローブ結合部位(例えば、Illumina社により開発されたフローセルのような、超並列シークエンシングのためのフローセルなどの、配列決定プラットフォームへの結合のため)、1以上のランダム配列もしくはランダムに近い配列(例えば、1以上の位置での2以上の異なるヌクレオチドのセットからランダムに選択された1以上のヌクレオチド、1以上の位置で選択された異なるヌクレオチドの各々は、そのランダム配列を含むアダプターのプール中に提示される)、及びそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。一部の実施態様において、アダプターは、例えば標的ポリヌクレオチドに結合されたアダプター(又はその一部)に相補的配列を含むオリゴヌクレオチドでコーティングされているビーズ(特に操作を簡単にするために磁気ビーズ)を使用することにより、それにそれらが結合した標的ポリヌクレオチドを精製するために使用される。2以上の配列エレメントは、互いに隣接しない(例えば、1以上のヌクレオチドにより隔てられる)、互いに隣接している、部分的に重複している、又は完全に重複していることができる。例えば、増幅プライマーアニーリング配列はまた、配列決定プライマーアニーリング配列として働くこともできる。配列エレメントは、3’末端にもしくは近傍に、5’末端にもしくは近傍に、又はアダプターオリゴヌクレオチドの内部に配置されることができる。配列エレメントは、例えば約3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50以上のヌクレオチド長、又はほぼそれら未満など、任意の好適な長さであってよい。アダプターオリゴヌクレオチドは、それらが含まれる1以上の配列エレメントを収容するのに少なくとも十分な、任意の好適な長さを有することができる。一部の実施態様において、アダプターは、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75以上のヌクレオチド長、又はほぼそれら未満の長さを有するように、各々独立して選択されるオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施態様において、アダプターオリゴヌクレオチドは、約10〜75ヌクレオチド長、例えば約15〜50ヌクレオチド長の範囲である。一部の実施態様において、アダプターは、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75以上のヌクレオチド長、又はほぼそれら未満の二本鎖部分を含む。
【0056】
一部の実施態様において、アダプターは、例えば鋳型非依存的重合反応時など、ポリヌクレオチド伸長のための基質ではない、3’末端を1以上含む。そのような場合、その3’末端は、「ブロックされた」と称される。一部の実施態様において、ブロックされた3’末端は、鋳型非依存的重合時に形成されるテールにハイブリダイズするオーバーハングの3’末端であり、その結果この3’末端は、この反応時に伸長しない。様々な方法が、伸長することができない3’末端を形成するために利用可能であり、これは3’末端での伸長することができないヌクレオチドの組込み、及びそれを伸長不可能にする3’末端ヌクレオチドの修飾を含むが、これらに限定されるものではない。一部の実施態様において、この3’末端は、別のヌクレオチドに共有結合するためにポリメラーゼにより必要とされる3’ヒドロキシル基を欠いている。一部の実施態様において、ブロッキング基は、アダプターの末端3’-OH又は2’-OHに追加される。ブロッキング基のいくつかの非限定的例は、アルキル基、非-ヌクレオチドリンカー、リン酸基、ホスホロチオエート基、アルカン-ジオール部分、及びアミノ基を含む。一部の実施態様において、3’-ヒドロキシル基は、水素のフッ素による置換によるか、又はエステル、アミド、スルフェートもしくはグリコシドの形成により、修飾される。一部の実施態様において、3’-OH基は、水素と置き換えられる(ジデオキシヌクレオチドを形成する)。一部の実施態様において、3’末端は、リン酸基を含む。
【0057】
一部の実施態様において、アダプターの鎖は、例えばライゲーション反応において、テール配列へライゲーションされる。一部の実施態様において、ライゲーションは、テーリング反応と同じ反応混合物において起こる。一部の実施態様において、ライゲーション反応を実行するための試薬は、テーリング反応に含まれる。一部の実施態様において、ライゲーション反応を実行するための試薬は、テーリングが開始又は終結された後の反応混合物に添加される。一部の実施態様において、ライゲーションは、リガーゼ酵素により実行される。様々なリガーゼ酵素が利用可能であり、その非限定的例は、Taq DNAリガーゼ、サーマス・フィリフォルミス(Thermus filiformis)DNAリガーゼ、大腸菌DNAリガーゼ、Tth DNAリガーゼ、サーマス・スコトダクタス(Thermus scotoductus)DNAリガーゼ(I及びII)、耐熱性リガーゼ、Ampligase耐熱性DNAリガーゼ、VanC-型リガーゼ、及び9N DNAリガーゼを含む、NAD-依存型リガーゼ;並びに、T4 RNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、T3 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、Pfu DNAリガーゼ、DNAリガーゼ1、DNAリガーゼIII、及びDNAリガーゼIVを含む、ATP-依存型リガーゼである。
【0058】
一部の実施態様において、標的ポリヌクレオチドは、メチル化シトシン又は非メチル化シトシンを差次的に修飾するよう処理される。一部の実施態様において、シトシンメチル化状態を識別するための処理は、例えば標的ポリヌクレオチドに関与する第一のライゲーション反応の後であるが後続の増幅の前、ライゲーション反応時、又はライゲーション反応前(例えば、標的ポリヌクレオチドのテーリングの前、又は試料調製の一部として)など、増幅反応の前に実行される。一部の実施態様において、シトシンメチル化状態を識別する処理は、特定の給源由来の標的ポリヌクレオチドの一部について実行され、及び同じ給源由来の別の部分(例えば、共通溶液由来の異なるアリコート中)は処理されず、その結果処理試料及び未処理試料を引き続き比較することができる。ある種のプロセスにおいて、比較は、処理の結果として生じた配列の差を同定することなどで、シトシンメチル化状態の同定を促進する。メチル化又は非メチル化シトシンを差次的に修飾する様々な処理プロセスが、利用可能である。メチル化シトシンを選択的に修飾する試薬の例は、タンパク質のTETファミリー(例えば、TET1、TET2、TET3、及びCSSC4)であり、これらは水酸化により、シトシンヌクレオチド5-メチルシトシンを、5-ヒドロキシメチルシトシンに転換する。5-ヒドロキシメチルシトシンは、例えば金属(VI)オキソ錯体(例えば、マグネシウム酸塩(Mn(VI)O
42-)、鉄酸塩(Fe(VI)O
42-)、オスミウム酸塩(Os(VI)O
42-)、ルテニウム酸塩(Ru(VI)O
42-)、又はモリブデン酸塩(Mo(VI)O
42-))による処理などにより、選択的に修飾することができる。金属(VI)オキソ錯体による処理は、5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)残基を、5-ホルミルシトシン(5fC)残基へ酸化し、これは引き続き亜硫酸水素塩処理により、ウラシルへ転換され得る。一部の実施態様において、メチル化シトシン又は非メチル化シトシンを差次的に修飾するための処理は、標的ポリヌクレオチドを、亜硫酸水素ナトリウム(亜硫酸水素塩)で処理することを含み、これは非メチル化シトシンはスルホン化するが、メチル化シトシンは効率的にスルホン化しない。スルホン化された非メチル化シトシンは、自発的に脱アミノ化する傾向があり、これはスルホン化されたウラシルを生じる。その後スルホン化されたウラシルは、高いpHで、ウラシルへと脱スルホン化される。ピリミジンウラシル及びシトシンの塩基-対形成特性は、根本的に異なる:DNA中のウラシルは、チミンの同等物として認識され、従ってDNAのハイブリダイゼーション又は重合時に、アデニンと対形成するのに対し、シトシンは、DNAのハイブリダイゼーション又は重合時に、グアノシンと対形成する。従って亜硫酸水素塩処理したDNAでのゲノム配列決定又はPCRの性能は、ウラシルへ転換されるゲノム中の非メチル化シトシンを、転換されないままのメチル化シトシンに対して識別するために使用される。そのような技術は、マイクロアレイハイブリダイゼーション及びハイスループット配列決定などの他の技術と組合せた場合に、大規模スクリーニングアプローチに適している。メチル化又は非メチル化シトシンを差次的に修飾及び識別するプロセスの例は、例えば、US 9,822,394、US 9,115,386、及びUS20150299781において説明されており、これらは引用により本明細書中に組み込まれている。
【0059】
一部の実施態様において、第一のテーリング反応及び第一のライゲーション反応に供されることにより生じる、第一のアダプターの鎖にライゲーションされた第一のテールを含む標的ポリヌクレオチドは、増幅される。一部の実施態様において、増幅は、より早いライゲーション反応においてライゲーションされた第一のアダプターの鎖にハイブリダイズされた第一のプライマーを伸長することを含む。そのような場合、このプライマーは、アダプターのライゲーションされた鎖の少なくとも一部とハイブリダイズ可能である配列を含む。一部の実施態様において、このハイブリダイズ可能な配列は、それにハイブリダイズする配列と、相補的である。一部の実施態様において、このプライマーは、ライゲーション反応時にライゲーションされた第一のアダプターポリヌクレオチド全てに存在する共通配列にハイブリダイズする。一部の実施態様において、プライマーのハイブリダイズ可能な部分は、約10、15、20、25、30、35、45、50以上、又はほぼそれよりも大きいヌクレオチド長である。典型的には、プライマーのハイブリダイズ可能な部分は、プライマーの3’末端を含む。一部の実施態様において、第一のプライマーは、1以上の追加の配列エレメントを含む。追加の配列エレメントの例は、1以上のプライマーアニーリング配列又はそれらの相補体(例えば、配列決定プライマー)、1以上のインデックス配列(例えば、それとインデックスが関連している標的ポリヌクレオチドの起源を同定するために使用することができる特定の試料給源又は反応に関連した1以上の配列)、1以上の制限酵素認識部位、1以上のプローブ結合部位(例えば、Illumina社により開発されたフローセルのような、超並列シークエンシングのためのフローセルなどの、配列決定プラットフォームへの結合のため)、1以上のランダム配列もしくはランダムに近い配列(例えば、1以上の位置での2以上の異なるヌクレオチドのセットからランダムに選択された1以上のヌクレオチド、1以上の位置で選択された異なるヌクレオチドの各々は、そのランダム配列を含むアダプターのプール中に提示される)、及びそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。配列エレメントは、約3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50以上のヌクレオチド長、又はほぼそれら未満など、任意の好適な長さであってよい。
【0060】
第一のアダプターの鎖へライゲーションされた第一のテールを含む標的ポリヌクレオチドの増幅のために、様々な増幅プロセスが、利用可能であり、これは指数関数的及び非指数関数的(例えば、直線的)プロセスの両方を含む。指数関数的増幅において、プライマー伸長産物は、第一のものと相補的である更なるプライマー伸長産物の生成のための鋳型として使用される。対照的に、直線的増幅反応は、典型的には、この反応時に形成される他のプライマー伸長産物の鋳型とされるプライマー伸長産物の形成を最小化又は除外するよう設計される。一部の実施態様において、第一のアダプターの鎖にライゲーションされた第一のテールを含む標的ポリヌクレオチドの増幅は、直線的増幅である。増幅の第一の工程は、第一のプライマーが、テールへライゲーションされたアダプターの鎖へハイブリダイズする、プライマーアニーリングを含む。プライマーハイブリダイゼーション部位が、アダプターの二本鎖部分を含む場合、鋳型鎖中のハイブリダイゼーション部位は、最初に露出されるであろう。このハイブリダイゼーション部位の露出は、アダプターの非-鋳型鎖の変性及び/又は分解により達成することができる。変性は、ある期間(例えば、約1、2、3、4、5、10分間以上、又はほぼそれよりも長く)の約90℃〜95℃、又はほぼそれ以上での加熱などの、熱変性を含む。アダプターの非-鋳型鎖の分解に関して、様々なプロセスが利用可能であり、且つ分解されるべき鎖の組成を基に、適切に選択され得る。例えば、鎖が1以上のRNA塩基を含む場合、リボヌクレアーゼ(例えば、RNase H又はRNase A)を使用し、非-鋳型鎖を分解することができる。更なる例として、アダプターの非-鋳型鎖が1以上のウラシル塩基を含む場合、分解は、ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)及びDNAグリコシラーゼ-脱離酵素エンドヌクレアーゼVIIIの混合物である、ウラシル-特異的切断試薬(USER)酵素の添加により実行することができる。
【0061】
様々な直線的増幅プロセスが利用可能であり、且つ例としては、等温プロセス及び非-等温プロセスを含む。非-等温プロセスにおいて、このプロセスは、異なる温度で実行される、変性工程及びプライマー伸長工程を含む。変性は、鋳型上で形成されたプライマー伸長産物を放出し、そのプライマーの別のコピーとのハイブリダイゼーションのために、プライマーハイブリダイゼーション部位を自由にする(freeing)。第一のプライマーの更なるコピーの伸長は、同じ鋳型から別のプライマー伸長産物を生じ、この全プロセスは、数回の変性及び伸長の「サイクル」を通じて反復され得る。一部の実施態様において、非-等温プロセスが使用され、サイクル数は、約2、5、10、15、20、25以上、又は少なくともほぼそれらである。等温直線的増幅プロセスの例は、単一プライマー等温増幅(SPIA)である。一般に、SPIAは、3’DNA部分及び5’RNA部分を有する複合プライマーの伸長、RNase HによるRNA部分の分解、複合プライマーの別のコピーのアニーリング、及び鎖置換活性を持つポリメラーゼによる複合プライマーの更なるコピーの伸長を含み、これらは全て、同じ温度で実行することができる。これら及び他の増幅反応の更なる説明は、例えばUS20170362636 A1に認めることができ、これは引用により本明細書中に組み込まれている。一部の実施態様において、増幅は、鋳型標的ポリヌクレオチドに対し相補的である複数の1本鎖コピーを生じ、これは第一のテール及び第一のアダプターのライゲーションされた鎖の少なくとも一部に相補的である配列を含む。一部の実施態様において、増幅条件は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、100、200、500以上、又はほぼそれら未満の標的ポリヌクレオチドのコピーを生じるように選択される。
【0062】
一部の実施態様において、第一のプライマーとの増幅反応の増幅産物は、第二のテーリング反応と称される、テーリング反応に供される。第二のテーリング反応は、第二のテールを、鋳型非依存的重合により、複数の増幅された標的ポリヌクレオチドの各々へ追加する。第一のテーリング反応のように、テールの長さ及びヌクレオチド配列は、一部、それからテールが重合されるヌクレオチドの種類(例えば、A、T、G、及びCの1、2、3、又は4)、反応期間、使用されるポリメラーゼ、及び他の試薬(例えば、重合反応時に第二のテールにハイブリダイズするオーバーハングを含むアダプター)の存在によって決まるであろう。先に提供したように、一般にテールの形成及び組成に関する考察は、この第二のテーリング反応に関して同等に適用可能である。一部の実施態様において、テールは、1以上の増幅された標的ポリヌクレオチドの3’末端にのみ重合される。一部の実施態様において、第二のテーリング反応は、第一のテールと同じ又は実質的に同じ配列、又はそれらに相補的な配列を有するテールを作製するように、設計される。例えば、最初の、第二のテールは、アデニン塩基のみのプールから形成され、ポリ-Aテールを形成することができる。第二のテーリング反応が、テーリングされた標的ポリヌクレオチド鋳型に相補的な増幅産物上で行われる場合、生じる第二のテーリングされたポリヌクレオチドは、一方の末端にポリ-Aテール、及びそれに第一のテールがハイブリダイズしたアダプター鎖の相補体の少なくとも一部に隣接したポリ-Tテールを含むであろう。更なる例として、第一のテールは、ポリ-Aテールであることができ、且つ第二のテールは、ポリ-Tテールであることができる。第二のテーリング反応が、テーリングされた標的ポリヌクレオチド鋳型に相補的な増幅産物上で実行される場合、この例の結果は、1つは第一のテール由来で、且つ1つは第二のテール由来の、2つのポリ-T部分配列(stretch)を有するポリヌクレオチドであろう。一部の実施態様において、第二のテーリング反応は、例えば第一のテーリング反応において使用されたプール内では使用されなかった第二のテーリング反応のためのヌクレオチドプール内の1以上のヌクレオチドを使用することなどにより、第一のテールとは異なる配列を有するテールを作製するように、設計される。異なる第一、第二のテールの様々な組合せが、可能である。非限定的テールの組合せは、以下を含む:(a)1つのテールは1つのヌクレオチド型からなり、且つ別のテールは、別のヌクレオチド型からなるもの;(b)1つのテールは1つのヌクレオチド型からなり、且つ別のテールは、2以上のヌクレオチド型からなるもの;(c)両方のテールは、2以上のヌクレオチド型を含むか又はそれからなるが、各々他方が含まないヌクレオチド型を少なくとも1つ含むもの。一部の実施態様において、第一のテール、第二のテール、又は両方は、ポリ-A、ポリ-C、及びポリ-C/Tからなる群から選択される。
【0063】
一部の実施態様において、第二のテーリング反応は、第二のテールにハイブリダイズするオーバーハングを含むアダプター(第二のアダプターと称される)を含む。このオーバーハングは、ポリヌクレオチド伸長反応時に、テールへハイブリダイズしてよいが;しかし、鋳型非依存的ポリメラーゼにより開始される鋳型非依存的重合反応時には、そのようなハイブリダイゼーションは、鋳型非依存的としての反応の状態を無効にしない。第二のアダプターは、少なくとも1つの1本鎖領域(オーバーハング)及び少なくとも1つの二本鎖領域(オーバーハングに直ぐ隣接)を含む。第二のアダプターは、両端にオーバーハングを含むことができ、且つ同じ又は異なる鎖に関与する。例えば二本鎖領域は、比較的長いオリゴヌクレオチドの中央で短いオリゴヌクレオチドをハイブリダイズすることにより形成されることができる。別の例として、2つのオリゴヌクレオチドは、互いにハイブリダイズされ、その結果オリゴヌクレオチドの一方により、一方の端にオーバーハングが形成され、且つ他方のオリゴヌクレオチドにより、他方の末端にオーバーハングが形成される。一部の実施態様において、一方の末端にのみオーバーハングが存在し、その結果他方の末端は、対のあるヌクレオチドで終結する(「平滑末端」とも称される)。アダプターは、3以上のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズすることにより形成されることができ、且つ二本鎖領域間に内部1本鎖領域を含んでよい(例えば、長いオリゴヌクレオチドに沿って離れた1以上のヌクレオチドである領域で、同じ長いオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした2つの短いオリゴヌクレオチドにおけるように)。一部の実施態様において、5’末端又は3’末端のいずれかに、単独のオーバーハングのみが存在する。一部の実施態様において、オーバーハングは、3’オーバーハングである。一部の実施態様において、アダプターは、3’オーバーハング及び5’オーバーハングの両方を有する。第一及び第二のアダプターが使用される場合、両方のアダプターは、5’オーバーハング及び3’オーバーハングの両方を有することができる。
【0064】
先に示したように、テールへのその関係を含む、アダプターの形成及び組成に関する考察は一般に、第二のアダプター及び第二のテーリング反応における第二のテールへのその関係に関してと同様に適用することができる。これらの考察は、オーバーハング長、オーバーハング配列、ヌクレオチド組成、ブロックされた3’末端の任意の使用、及びオーバーハングに加え1以上の配列エレメントの任意の包含を含むが、これらに限定されるものではない。一部の実施態様において、第二のアダプターは、第一のアダプターと同じである。一部の実施態様において、第二のアダプターの少なくとも一部は、第一のアダプターとは異なる。一部の実施態様において、第一及び第二のアダプターは、1以上の共通部分を含む一方で、他の部分は異なる。例えば、第一及び第二のアダプターは、第二のアダプターの増幅された標的ポリヌクレオチドへの結合後に、更なる指数関数的増幅が、共通のプライマー結合配列又はその相補体にハイブリダイズする単独のプライマーにより達成されるように設計された、共通のプライマー結合配列を含んでよい。一部の実施態様において、第一及び第二のアダプターの両方は、異なるプライマーによる指数関数的増幅のために設計されているプライマー結合配列を含む。
【0065】
一部の実施態様において、第二のアダプターの鎖は、例えばライゲーション反応(第二のライゲーション反応と称される)において、第二のテール配列にライゲーションされる。一部の実施態様において、ライゲーションは、第二のテーリング反応と同じ反応混合物において生じる。一部の実施態様において、第二のライゲーション反応を実行するための試薬は、第二のテーリング反応に含まれる。一部の実施態様において、第二のライゲーション反応を実行するための試薬は、第二のテーリングが開始又は終結された後に、反応混合物へ添加される。一部の実施態様において、ライゲーションは、リガーゼ酵素により実行され、その例は先に提供されている。一部の実施態様において、第二のライゲーション反応の産物は、ポリヌクレオチドの集合であり、各々は、以下のエレメントを5’側から3’側へ含む:(a)第一のアダプターのライゲーションされた鎖の少なくとも一部に相補的な配列、(b)第一のテールに相補的な配列、(c)標的ポリヌクレオチドに相補的な配列、(d)第二のテール、及び(e)第二のアダプターのライゲーションされた鎖。簡単に言うと、そのようなライゲーション産物、並びにそれらの増幅産物は、たとえ、エレメント(a)が第一のアダプターの全体がライゲーションされたアダプター鎖を含まないか、エレメント(b)が標的ポリヌクレオチドに相補的なコピーであるか、並びにエレメント(e)が全体がライゲーションされたアダプター鎖を含まない(例えば、第二のライゲーション産物の増幅産物の場合)ことが理解されたとしても、「デュアル-適応された(dual-adapted)」又は「ダブル適応された(double-adapted)」標的ポリヌクレオチドと称される。複数の異なる標的ポリヌクレオチドが、ダブル適応された標的ポリヌクレオチドの集合で表された場合、この集合は、ライブラリーと称されてよい。
【0066】
一部の実施態様において、ダブル適応された標的ポリヌクレオチドは、増幅反応において増幅される。一部の実施態様において、この増幅は、第二のアダプターのライゲーションされた鎖にハイブリダイズされた第二のプライマーを伸長することを含む。そのような場合、第二のプライマーは、第二のアダプターのライゲーションされた鎖の少なくとも一部にハイブリダイズ可能である配列を含む。一部の実施態様において、このハイブリダイズ可能な配列は、それにハイブリダイズする配列に相補的である。一部の実施態様において、プライマーは、第二のライゲーション反応時にライゲーションされた全ての第二のアダプターポリヌクレオチド中に存在する共通配列にハイブリダイズする。一部の実施態様において、プライマーのハイブリダイズ可能な部分は、約10、15、20、25、30、35、45、50以上、又はほぼそれよりも大きいヌクレオチド長である。典型的には、プライマーのハイブリダイズ可能な部分は、プライマーの3’末端を含む。一部の実施態様において、第二のプライマーは、1以上の追加の配列エレメントを含む。追加の配列エレメントの例は、1以上のプライマーアニーリング配列又はその相補体(例えば、配列決定プライマー)、1以上のインデックス配列(例えば、それとインデックスが関連している標的ポリヌクレオチドの起源を同定するために使用することができる特定の試料給源又は反応に関連した1以上の配列)、1以上の制限酵素認識部位、1以上のプローブ結合部位(例えば、Illumina社により開発されたフローセルのような、超並行シークエンシングのためのフローセルなどの、配列決定プラットフォームへの結合のため)、1以上のランダム配列もしくはランダムに近い配列(例えば、1以上の位置での2以上の異なるヌクレオチドのセットからランダムに選択された1以上のヌクレオチド、1以上の位置で選択された異なるヌクレオチドの各々は、そのランダム配列を含むアダプターのプール中に表される)、及びそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。配列エレメントは、約3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50以上のヌクレオチド長、又はほぼそれら未満など、任意の好適な長さであってよい。
【0067】
第二のプライマーによる増幅は、指数関数的又は非指数関数的(例えば、直線的)であることができる。増幅は、等温又は非-等温であることができる。一部の実施態様において、第二のライゲーション反応の産物は、実質的に直線的であり、且つ増幅は、第二のプライマーの伸長により二本鎖化されたライゲーション産物とすることからなる。一部の実施態様において、第二のプライマーは、第一のプライマーと同じであるか、又は第一のプライマーと同じハイブリダイズ可能な配列を含む。一部の実施態様において、第二のプライマーは、例えばハイブリダイズ可能な配列に関して、第一のプライマーとは異なる。一部の実施態様において、増幅反応は、第二のプライマー、及び第二のプライマーとは異なるリバースプライマーを含む。一部の実施態様において、リバースプライマーは、第一のプライマー(第一のライゲーションの産物の増幅に関して先に説明された)である。一部の実施態様において、リバースプライマーは、そこに第一のプライマーがハイブリダイズする場所に関して下流である配列にハイブリダイズし(「ネステッド」とも称される)、且つ任意に1以上の追加配列エレメント(例えば、先に説明された任意の1以上のプライマー配列エレメント)を含む。一部の実施態様において、リバースプライマーは、第一のプライマーのハイブリダイズ可能な配列の全て又は一部、及び第一のプライマーとは異なる1以上の配列エレメント(例えば、先に説明された任意の1以上のプライマー配列エレメント)を含む。増幅の第一工程は、プライマーアニーリングを含み、ここでは第二のプライマーが、第二のテールへライゲーションされた第二のアダプターの鎖へハイブリダイズする。プライマーハイブリダイゼーション部位が第二のアダプターの二本鎖部分を含む場合、鋳型鎖中のハイブリダイゼーション部位は、最初に露出されるであろう。ハイブリダイゼーション部位の露出は、アダプターの非-鋳型鎖の変性及び/又は分解により達成することができ、それに関するプロセス例は、先に説明されている。直線的増幅プロセスの非限定的例は、先に説明されている。指数関数的増幅プロセスの非限定的例は、先に説明されており、且つ以下により詳述される。
【0068】
一部の実施態様において、ダブル適応された標的ポリヌクレオチドは、第三のプライマー及び第四のプライマーによる増幅反応において増幅され、ここで(i)第三のプライマーは、第一のプライマーの少なくとも一部の相補体にハイブリダイズし、及び(ii)第四のプライマーは、第二のプライマーの少なくとも一部の相補体にハイブリダイズする。一部の実施態様において、この増幅工程は、第二のプライマーによる増幅の工程と置き換わり、その場合第三及び第四のプライマーは、第二のプライマー及び先に説明したリバースプライマーに類似している。一部の実施態様において、第三及び第四のプライマーによる増幅は、第二のプライマーによる増幅(これは、リバースプライマーによる増幅を含んでも含まなくともよい)に追加される。一部の実施態様において、第三のプライマーのハイブリダイズ可能な配列は、第一のプライマーのハイブリダイズ可能な配列とは異なり、及び/又は第四のプライマーのハイブリダイズ可能な配列は、第二のプライマーのハイブリダイズ可能な配列とは異なる。一部の実施態様において、第三のプライマーは、第一のプライマーに関してネステッドされ、及び/又は第四のプライマーは、第二のプライマーに関してネステッドされる。
【0069】
一部の実施態様において、第三及び/又は第四のプライマーのハイブリダイズ可能な部分は、長さが約10、15、20、25、30、35、45、50以上のヌクレオチド、又はほぼそれらよりも大きいものから、独立して選択される。典型的には、プライマーのハイブリダイズ部分は、プライマーの3’末端を含む。一部の実施態様において、第三及び/又は第四のプライマーは、1以上の追加の配列エレメント(例えば、先に説明された任意の1以上のプライマー配列エレメント)を含む。配列エレメントは、任意の好適な長さ、例えば約3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50以上のヌクレオチド長、又はほぼそれら未満であってよい。一部の実施態様において、 第三のプライマー及び第四のプライマーは、例えば全長、配列、ハイブリダイズ可能な配列の配列、1以上の配列エレメントの存在、1以上の配列エレメントの長さ、及び1以上の配列エレメントの配列などの1つ以上に関して、異なる。
【0070】
一部の実施態様において、第三のプライマー、第四のプライマー、又は両方は、インデックス配列(バーコード、又は簡単に「インデックス」とも称される)を含む。一般に、用語「インデックス」は、それにインデックスが関連しているポリヌクレオチドのいくつかの特徴が同定されることを可能にする既知の核酸配列を指す。一部の実施態様において、同定されるべきポリヌクレオチドの特徴は、それからポリヌクレオチドが誘導される給源(例えば、試料、試料画分、又は反応)である。一部の実施態様において、インデックスは、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15以上のヌクレオチド長、又は少なくともほぼそれらである。一部の実施態様において、インデックスは、10、9、8、7、6、5、又は4ヌクレオチド長よりも短い。一部の実施態様において、一部のポリヌクレオチドに関連したインデックスは、他のポリヌクレオチドに関連したインデックスと異なる長さのものである。一般にインデックスは、十分な長さのものであり、且つ特に混合物中の異なる給源由来のポリヌクレオチドに関連した様々なインデックス間から、それらが関連したインデックスを基にした給源の同定を可能にするのに十分に異なる配列を含む。一部の実施態様において、インデックス、及びそれに関連した給源は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のヌクレオチドの変異、挿入、又は欠失など、インデックス配列中の1以上のヌクレオチドの変異、挿入、又は欠失の後に、正確に同定され得る。一部の実施態様において、複数のインデックス中の各インデックスは、複数の少なくとも3つのヌクレオチド位置、例えば少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10以上のヌクレオチド位置で、どの他のインデックスとも異なる。複数のインデックスは、異なる給源由来のポリヌクレオチドのプール内で表されてよく、各給源は、プール内の他の給源から誘導されたポリヌクレオチドに含まれるインデックスとは異なる1以上のインデックスを含むポリヌクレオチドを含む。ここで、インデックスは、所定の実験内で独自であることのみ必要とされることは強調される。従って同じインデックスが、異なる実験で処理される異なる試料をタグ付けするために使用されてよい。加えてある種の実験において、同じ実験内で異なる試料のサブセットをタグ付けするために、同じインデックスを使用してよい。例えば特異的表現型を有する個体由来の全ての試料を、同じインデックスにより、タグ付けしてよく、例えば対照(又は野生型の)の対象由来の全ての試料を、第一のインデックスによりタグ付けする一方で、疾患状態を有する対象を、第二のインデックス(第一のインデックスとは異なる)によりタグ付けすることができる。別の例として、同じ給源由来の異なる試料(例えば、経時的な試料、組織内の異なる部位に由来する試料、又は異なる処理(例えば、亜硫酸水素塩処理の有無)に供された同じ試料の異なるアリコート)を異なるインデックスでタグ付けすることが望ましいことがある。一旦インデックスが結合されたら、異なるインデックスを含むポリヌクレオチドのプールは、増幅及び/又は配列決定などの、更なるプロセッシングのために一緒にすることができる。配列決定時に、これらのインデックスは、同じ給源由来の配列を群別するために、使用することができ、これによりその給源による1以上の特定のインデックスを有する配列を関連づける。一部の実施態様において、方法は、それに標的ポリヌクレオチド(又はその相補体もしくは誘導体)が連結されたインデックス配列を基に、それから標的ポリヌクレオチドが誘導された試料を同定することを含む。インデックスの例及び試料給源の同定におけるそれらの使用は、US20140121116、US20150087535、及びUS20120071331において認めることができ、これらは引用により本明細書中に組み込まれている。
【0071】
一部の実施態様において、本方法は、指数関数的増幅工程を含む。指数関数的増幅は、例えば、フォワードプライマー及びリバースプライマーを含む反応を含み、その結果フォワードプライマーのプライマー伸長産物は、リバースプライマーのプライマー伸長のための鋳型として役立ち、その逆もあてまる。増幅は、等温又は非-等温であってよい。標的ポリヌクレオチドの増幅に関する様々な方法が利用可能であり、且つ非限定的に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を基にした方法を含む。PCRによる標的配列の増幅に好ましい条件は、そのプロセスの様々な工程で最適化することができ、且つ標的の種類、標的濃度、増幅される配列の長さ、標的及び/又は1以上のプライマーの配列、プライマー長、プライマー濃度、使用されるポリメラーゼ、反応容積、1以上のエレメントの1以上の別のエレメントに対する比などの、反応中のエレメントの特徴に左右され、その一部又は全ては適切に変更され得る。一般に、PCRは、増幅される標的の変性工程(二本鎖の場合)、標的への1以上のプライマーのハイブリダイゼーション工程、及びDNAポリメラーゼによるプライマーの伸長工程が関与しており、これらの工程は、標的配列を増幅するために、反復(又は「サイクル」)される。このプロセスの工程は、収量の増強、偽生成物形成の減少、及び/又はプライマーアニーリングの特異性の増大など、様々な成果のために最適化されることができる。最適化の方法は、増幅反応におけるエレメントの種類もしくは量、並びに/又は例えば特定の工程での温度、特定の工程の期間、及び/もしくはサイクル数など、そのプロセス中の所定の工程の条件を調節することを含む。一部の実施態様において、増幅反応は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、50以上のサイクルを含む。一部の実施態様において、増幅反応は、多くとも5、10、15、20、25、35、50以上のサイクルを含む。サイクルは、任意の数の工程、例えば1、2、3、4、5以上の工程を含むことができる。工程は、非限定的に3’末端伸長、プライマーアニーリング、プライマー伸長、及び鎖変性を含む、所定の工程の目的を達成するのに適している、任意の温度又は温度勾配を含むことができる。工程は、非限定的に約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、180、240、300、360、420、480、540、600秒以上、又はほぼそれら未満を含む、任意の期間であることができ、これは手作業で中断されるまでの無期限を含む。一部の実施態様において、増幅は、独立した試料又はアリコートから、標的ポリヌクレオチド(例えば、ダブル-アダプター標的ポリヌクレオチド)をプールする前又は後に実行される。PCR増幅技術の非限定的例は、定量的PCR(qPCR又はリアルタイムPCR)、デジタルPCR、及び標的-特異的PCRを含む。
【0072】
PCRにおける使用のためのポリメラーゼ酵素の非限定的例としては、耐熱性DNAポリメラーゼ、例えばサーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)HB8ポリメラーゼ;サーマス・オシマイ(Thermus oshimai)ポリメラーゼ;サーマス・スコトダクタスポリメラーゼ;サーマス・サーモフィルスポリメラーゼ;サーマス・アクアティクス(Thermus aquaticus)ポリメラーゼ(例えば、AmpliTaq(登録商標)FS又はTaq(G46D;F667Y);パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)ポリメラーゼ;サーモコッカス種(9°N-7株)ポリメラーゼ;Tspポリメラーゼ;Phusion高忠実度DNAポリメラーゼ(ThermoFisher);並びに、それらの変異体、バリアント、又は誘導体が挙げられる。一部のPCR反応において有用なポリメラーゼ酵素の更なる例は、DNAポリメラーゼI、変異体DNAポリメラーゼI、クレノウ断片、クレノウ断片(3’から5’へのエキソヌクレアーゼマイナス)、T4 DNAポリメラーゼ、変異体T4 DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、変異体T7 DNAポリメラーゼ、phi29 DNAポリメラーゼ、及び変異体phi29 DNAポリメラーゼを含むが、これらに限定されるものではない。一部の実施態様において、ホットスタートポリメラーゼが使用される。ホットスタートポリメラーゼは、熱活性化が必要であるDNAポリメラーゼの修飾形である。典型的には、ホットスタート酵素は、不活性状態で提供される。熱活性化時に、修飾又は修飾因子が放出され、活性酵素を生じる。数多くのホットスタートポリメラーゼが、Applied Biosystems;Bio-Rad;ThermoFisher;New England Biolabs;Promega;QIAGEN;Roche Applied Science;Sigma- Aldrichなどの、様々な商業的供給業者から入手可能である。
【0073】
一部の実施態様において、プライマー伸長及び増幅反応は、等温反応を含む。等温増幅技術の非限定的例は、リガーゼ連鎖反応(LCR)(例えば、米国特許第5,494,810号及び第5,830,711号参照);転写増幅法(TMA)(例えば、米国特許第5,399,491号、第5,888,779号、第5,705,365号、第5,710,029号参照);核酸配列ベース増幅(NASBA)(例えば、米国特許第5,130,238号参照);RNAシグナル媒介型増幅技術(SMART)(例えば、Wharam らの論文、Nucleic Acids Res. 2001, 29, e54参照);鎖置換増幅(SDA)(例えば、米国特許第5,455,166号参照);好熱性SDA(例えば、米国特許第5,648,211号参照);ローリングサークル増幅(RCA)(例えば、米国特許第5,854,033号参照);DNAのループ-媒介型等温増幅(LAMP)(例えば、米国特許第6,410,278号参照);ヘリカーゼ-依存型増幅(HDA)(例えば、米国特許出願第20040058378号参照);SPIAを基にした指数関数的増幅法(例えば、米国特許第7,094,536号参照);並びに、サーキュラーヘリカーゼ-依存型増幅(cHDA)(例えば、米国特許出願第20100075384号)がある。
【0074】
一部の実施態様において、方法は、ダブル適応されたポリヌクレオチドの配列決定を含む。一部の実施態様において、方法は、第二のプライマーによる増幅産物の配列決定を含む。一部の実施態様において、本方法は、第三及び第四のプライマーによる増幅産物の配列決定を含む。様々な配列決定法、特にハイスループット配列決定法が利用可能である。例としては、Illumina社(HiSeq(登録商標)及びMiSeq(登録商標)などの配列決定システム)、Life Technologies社(Ion Torrent(登録商標)、SOLiD(登録商標)など)により製造された配列決定システム、Roche社の454 Life Sciences Systems、Pacific Biosciences Systems、Oxford Nanopore Technologies社のナノポア配列決定プラットフォームなどを含むが、これらに限定されるものではない。一部の実施態様において、配列決定は、約50、75、100、125、150、175、200、250、300以上のヌクレオチド長、又はほぼそれらより多いリードを生じることを含む。一部の実施態様において、配列決定は、合成プロセスによる配列決定を含み、ここでは個別のヌクレオチドは反復して同定され、それに従い成長するプライマー伸長産物に追加される。パイロシークエンシングは、配列決定反応の副産物、すなわちピロリン酸塩の存在に関して、生じる合成混合物をアッセイすることによる、ヌクレオチドの組込みを同定する合成プロセスによる配列の例であり、その例証的説明は、米国特許第6,210,891号に認めることができる。一部の配列決定法に従い、プライマー/鋳型/ポリメラーゼ複合体が、基板上に固定され、この複合体は、標識したヌクレオチドと接触される。更なる配列決定技術の非限定的例は、US20160304954、US 7,033,764、US 7,416,844、及びWO2016077602に説明されている。
【0075】
場合によっては、本明細書に記載したような様々な型の配列決定反応は、様々な試料プロセッシングユニットを含んでよい。試料プロセッシングユニットは、複数のレーン、複数のチャネル、複数のウェル、及び複数の試料セットを実質的に同時にプロセッシングする他の手段を備えるが、これらに限定されるものではない。加えて、試料プロセッシングユニットは、複数の同時試行のプロセッシングを促進するための、複数の試料チャンバーを備えてよい。一部の実施態様において、同時配列決定反応は、マルチプレックスシークエンシングを用いて実行される。一部の実施態様において、ポリヌクレオチドは、例えば単独の反応又は反応容器において、約5000、10000、50000、100000、1000000、5000000、10000000以上、又はほぼそれらよりも多い配列決定リードを並行して生じるように配列決定される。引き続きのデータ解析は、配列決定反応の全て又は一部について行うことができる。ポリヌクレオチドが、インデックス配列と関連している場合、データ解析は、一緒に分析するためのインデックス配列を基にした配列の群別、及び/又は1以上の異なるインデックスと関連した配列との比較を含むことができる。
【0076】
一部の実施態様において、配列解析は、例えばアラインメントの実行など、1以上のリードの参照配列(例えば、対照配列、参照集団の配列決定データ、同じ対象の異なる組織に関する配列決定データ、同じ対象の別の時点での配列決定データ、又は参照ゲノム)との比較を含む。典型的アラインメントにおいて、参照中のマッチしていない塩基に沿った配列決定リード中の塩基は、その点で置換変異が起こったことを指摘している。同様に、1つの配列が他方の配列中の塩基に沿ってギャップを含む場合、挿入又は欠失変異(「インデル」)が生じたと推定される。一配列が、別の配列と整列化されることを特定することが望ましい場合、そのアラインメントは時には、ペアワイズアラインメントと称される。マルチプル配列アラインメントは一般に、例えば、一連のペアワイズアラインメントを含む、2以上の配列のアラインメントを指す。一部の実施態様において、アラインメントのスコアリングは、置換及びインデルの確率の値の設定に関与している。個々の塩基が整列化される場合、マッチ又はミスマッチは、置換確率により、アラインメントスコアに寄与する。インデルは、ギャップペナルティだけ、アラインメントスコアから差し引かれる。ギャップペナルティ及び置換確率は、どのように配列が変異するかについての経験的知識又は先験的仮定を基にすることができる。それらの値は、生じるアラインメントに影響を及ぼす。アラインメントを実行するためのアルゴリズムの例としては、Smith- Waterman(SW)アルゴリズム、Needleman-Wunsch(NW)アルゴリズム、Burrows-Wheeler Transform(BWT)を基にしたアルゴリズム、及びハッシュ関数アライナー(aligner)、例えばNovoalign (Novocraft Technologies;www.novocraft.comで入手可能)、ELAND(Illumina、サンディエゴ、カリフォルニア州)、SOAP(soap.genomics.org.cnで入手可能)、及びMaq(maq.sourceforge.netで入手可能)を含むが、これらに限定されるものではない。BWTアプローチを実行するアラインメントプログラムの一例は、Geeknet(フェアファックス、Va.)により維持されるSourceForgeウェブサイトから入手可能なBurrows-Wheeler Aligner(BWA)である。Smith-Watermanアルゴリズムのあるバージョンを実行するアラインメントプログラムは、MUMmerであり、これはGeeknet(フェアファックス、Va.)により維持されるSourceForgeウェブサイトから入手可能である。アラインメントプログラムの他の非限定的例は、以下を含む:Kent Informatics(サンタクルズ、カリフォルニア州)のBLAT;Beijing Genomics Institute(北京、Conn.)又はBGI Americas Corporation(ケンブリッジ、マサチューセッツ州)のSOAP2;Bowtie;Efficient Large-Scale Alignment of Nucleotide Databases(ELAND)又はConsensus Assessment of Sequence and Variation(CASAVA)ソフトウェア(Illumina、サンディエゴ、カリフォルニア州)のELANDv2コンポーネント;Real Time Genomics社(サンフランシスコ、カリフォルニア州)のRTG Investigator;Novocraft(セランゴール、マレーシア)のNovoalign;European Bioinformatics Institute(ヒンクストン、英国)のExonerate、ダブリン大学(ダブリン、アイルランド)のClustal Omega;並びに、ダブリン大学(ダブリン、アイルランド)のClustalW又はClustalX。
【0077】
一部の実施態様において、増幅産物は、参照配列に関して又は変異のないバックグラウンドにおいて、配列バリアント、例えば、挿入、欠失、置換、重複、転座及び/又は稀に体細胞変異を検出するために、配列決定される。一部の実施態様において、配列バリアントは、疾患又は形質と相関される。一部の実施態様において、配列バリアントは、疾患又は形質と相関されない。一般に、それと疾患又は形質との関連の統計学的、生物学的、及び/又は機能的証拠が存在する配列バリアントは、「因果関係のある(causal)遺伝子バリアント」と称される。単独の因果関係のある遺伝子バリアントは、2以上の疾患又は形質とつながることができる。場合によっては、因果関係のある遺伝子バリアントは、メンデル形質、非メンデル形質、又は両方と関連している。因果関係のある遺伝子バリアントは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50以上の配列の差異のようなポリヌクレオチド間の多様性(因果関係のある遺伝子バリアントを含むポリヌクレオチドと、同じ相対ゲノム位置に因果関係のある遺伝子バリアントを欠いているポリヌクレオチドの間など)として顕在化され得る。因果関係のある遺伝子バリアントの種類の非限定的例は、一塩基多型(SNP)、欠失/挿入多型(DIP)、コピー数多型(CNV)、ショートタンデムリピート(STR)、制限断片長多型(RFLP)、単純配列反復(SSR)、可変数タンデムリピート(VNTR)、ランダム増幅多型DNA法(RAPD)、増幅断片長多型(AFLP)、インター-レトロトランスポゾン増幅多型(IRAP)、長い及び短い散在性反復配列(LINE/SINE)、ロングタンデムリピート(LTR)、可動性エレメント、レトロトランスポゾンマイクロサテライト増幅多型、レトロトランスポゾン挿入多型、配列特異的増幅多型、及び遺伝性エピジェネティック修飾(例えば、DNAメチル化)を含む。因果関係のある遺伝子バリアントは、密接に関係した遺伝子バリアントのセットを含むことができる。一部の因果関係のある遺伝子バリアントは、RNAにおける配列多様性としての影響を発揮することがある。このレベルで、一部の因果関係のある遺伝子バリアントはまた、RNAの種の存在又は非存在によっても指摘される。一部の因果関係のある遺伝子バリアントは、タンパク質に配列多様性を生じる。多くの因果関係のある遺伝子バリアントが、報告されている。SNPである因果関係のある遺伝子バリアントの例は、鎌状赤血球貧血を引き起こすヘモグロビンのHbSバリアントである。DIPである因果関係のある遺伝子バリアントの例は、嚢胞性線維症を引き起こすCFTR遺伝子のデルタ-F508変異である。CNVである因果関係のある遺伝子バリアントの例は、三染色体性21であり、これはダウン症候群を引き起こす。STRである因果関係のある遺伝子バリアントの例は、ハンチントン舞踏病を引き起こすタンデムリピートである。追加の因果関係のある遺伝子バリアントの非限定的例は、US2014121116に説明されている。
【0078】
因果関係のある遺伝子バリアントが関連し得る疾患標的及び遺伝子標的の例は、21-水酸化酵素欠損症、ABCC8-関連インスリン過剰症、ARSACS、軟骨形成不全症、色覚異常、アデノシン一リン酸デアミナーゼ1、ニューロパシーを伴う脳梁欠損、アルカプトン尿症、アルファ-1-抗トリプシン欠乏症、アルファ-マンノシドーシス、アルファ-サルコグリカン異常症、アルファ-サラセミア、アルツハイマー、アンジオテンシンII受容体、I型、アポリポタンパクE遺伝子型、アルギノコハク酸尿症、アスパルチルグルコサミン尿症、ビタミンE欠乏症を伴う運動失調、運動失調-毛細血管拡張症、1型自己免疫多腺性内分泌障害症候群、BRCA1遺伝性乳癌/卵巣癌、BRCA2遺伝性乳癌/卵巣癌、1種以上の他の癌型、バルデー-ビードル症候群、ベスト卵黄状黄斑ジストロフィー、ベータ-サルコグリカン異常症、ベータ-サラセミア、ビオチニダーゼ欠乏症、ブラウ症候群、ブルーム症候群、CFTR-関連障害、CLN3-関連神経セロイドリポフスチン症、CLN5-関連神経セロイドリポフスチン症、CLN8-関連神経セロイドリポフスチン症、キャナバン病、カルニチンパルミトイル転移酵素IA欠損症、カルニチンパルミトイル転移酵素II欠損症、軟骨-毛髪形成不全症、脳海綿状血管腫、先天性脈絡膜欠如、コーエン症候群、先天性白内障、顔面異形症、及びニューロパシー、グリコシル化の先天性障害、グリコシル化Ibの先天性障害、フィンランド型先天性ネフローゼ、クローン病、シスチン蓄積症、DFNA9(COCH)、糖尿病及び難聴、早期発症原発性ジストニア(DYTI)、接合部型表皮水疱症、ヘルリッツ-ピアソン型、FANCC-関連ファンコニー貧血、FGFR1-関連頭蓋骨癒合症、FGFR2-関連頭蓋骨癒合症、FGFR3-関連頭蓋骨癒合症、第V因子ライデン変異血栓性素因、第V因子R2変異血栓性素因、第XI因子欠乏症、第XIII因子欠乏症、家族性腺腫様ポリープ、家族性自律神経異常症、家族性高コレステロール血症B型、家族性地中海熱、遊離シアル酸蓄積症、パーキンソニズム-17を伴う前頭側頭型認知症、フマラーゼ欠損症、GJB2-関連DFNA 3非症候性難聴及び聴覚消失、GJB2-関連DFNB 1非症候性難聴及び聴覚消失、GNE-関連ミオパシー、ガラクトース血症、ゴーシェ病、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ欠損症、グルタル酸血症1型、1a型糖原病、1b型糖原病、II型糖原病、III型糖原病、V型糖原病、Gracile症候群、HFE-関連遺伝性ヘモクロマトーシス、ハルダーAIM、ヘモグロビンSベータ-サラセミア、遺伝性フルクトース不耐性、遺伝性膵炎、遺伝性チミン-ウラシル尿症、ヘキソヘミニダーゼA欠損症、無汗性外胚葉形成不全症2、シスタチオニンベータ-合成酵素欠損症に起因したホモシスチン尿症、高カリウム性周期性四肢麻痺1型、高オルニチン血症-高アンモニア血症-ホモシトルリン尿症症候群、原発性高シュウ酸尿症1型、原発性高シュウ酸尿症2型、軟骨低形成症、低カリウム性周期性四肢麻痺1型、低カリウム性周期性四肢麻痺2型、低ホスファターゼ血症、小児ミオパシー及び乳酸アシドーシス(致命的及び非致命的型)、イソ吉草酸血症、クラッベ病、LGMD2I、レーベル遺伝性視神経症、リー症候群フランス系カナダ人型、長鎖3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症、MELAS、MERRF、MTHFR欠損症、MTHFR熱不安定性変種、MTRNR1-関連難聴及び聴覚消失、MTTS1-関連難聴及び聴覚消失、MYH-関連ポリポーシス、メープルシロップ尿症1A型、メープルシロップ尿症1B型、マッキューン-オルブライト症候群、中鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症、皮質下嚢胞を持つ大頭型白質脳症、異染性白質萎縮症、ミトコンドリア心筋症、ミトコンドリアDNA-関連リー症候群及びNARP、ムコリピドーシスIV、ムコ多糖症I型、ムコ多糖症IIIA型、ムコ多糖症VII型、多発性内分泌腺腫2型、筋-眼-脳病、ネマリンミオパシー、神経学的表現型、スフィンゴミエリナーゼ欠損症に起因したニーマン・ピック病、ニーマン・ピック病C1型、ナイミーヘン染色体不安定症候群、PPT1-関連ニューロンセロイド脂褐素沈着症、PROP1-下垂体ホルモン欠損症、パリスターホール症候群、先天性パラミオトニア、ペンドレッド症候群、ペルオキシソーム二頭酵素欠損症、広汎性発達障害、フェニルアラニン水酸化酵素欠損症、プラスミノーゲン活性化抑制因子I、常染色体劣性多発性嚢胞腎、プロトロンビンG20210A血栓性素因、偽ビタミンD欠損性くる病、濃化異骨症、常染色体劣性網膜色素変性症、ボスニア型、レット症候群、根状点状軟骨異形成症1型、短鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症、シュバッハマン-ダイアモンド症候群、シェーグレン・ラルソン症候群、スミス-レムリ-オピッツ症候群、痙性対麻痺13、硫酸イオン輸送体関連骨軟骨異形成症、TFR2-関連遺伝性ヘモクロマトーシス、TPP1-関連ニューロンセロイド脂褐素沈着症、致死性骨異形成症、トランスチレチンアミロイド症、三機能タンパク質欠損症、チロシン水酸化酵素欠損症DRD、チロシン血症I型、ウィルソン病、X-染色体性若年網膜分離症、及びツェルヴェーガー症候群スペクトル障害を含むが、これらに限定されるものではない。
【0079】
癌に関連した配列バリアントの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されるものではない:PIK3CA遺伝子の配列バリアント(例えば、結腸直腸癌において認められる;最も一般的にはエキソン9(ヘリカルドメイン)及びエキソン20(キナーゼドメイン)内の2つの「ホットスポット」領域内に位置する;位置3140は、特異的に標的化される);BRAF遺伝子の配列バリアント(例えば、慢性の光誘導した損傷を伴わない皮膚由来のメラノーマを含む、悪性黒色腫において認められる、特にV600Eを生じるミスセンス変異);EGFR遺伝子の配列バリアント(例えば、非-小細胞肺癌において認められる、特にEGFRエキソン18-21内、並びにエキソン19欠失及びエキソン21 L858R点変異を含む);KIT遺伝子の配列バリアント(例えば、消化管間質腫瘍(GIST)において認められる、特に膜近傍のドメイン(エキソン11)、細胞外二量体化モチーフ(エキソン9)、チロシンキナーゼ1(TK1)ドメイン(エキソン13)、及びチロシンキナーゼ2(TK2)ドメイン及び活性化ループ(エキソン17)。一部の実施態様において、癌に関連した1以上の遺伝子の配列バリアントが、同定される。癌に関連した遺伝子の非限定的例としては、PTEN;ATM;ATR;EGFR;ERBB2;ERBB3;ERBB4;Notch1;Notch2;Notch3;Notch4;AKT;AKT2;AKT3;HIF;HIF1a;HIF3a;Met;HRG;Bcl2;PPARアルファ;PPARガンマ;WT1(ウイルムス腫瘍);FGF受容体ファミリーメンバー(5つのメンバー:1、2、3、4、5);CDKN2a;APC;RB(網膜芽細胞腫);MEN1;VHL;BRCA1;BRCA2;AR;(アンドロゲン受容体);TSG101;IGF;IGF受容体;Igf1(4つのバリアント);Igf2(3つのバリアント);Igf1受容体;Igf2受容体;Bax;Bc12;カスパーゼファミリー(9つのメンバー:1、2、3、4、6、7、8、9、12);Kras;及び、Apcが挙げられる。
【0080】
一部の実施態様において、本発明の方法は、相対的に低存在量で存在する核酸種の検出に関して、高感度を有する。一部の実施態様において、低存在量の種は、夾雑(例えば、食品又は水の中)、複雑な集団中の特定の細菌(例えば、環境の試験において)、及び疾患に関連した核酸(例えば、感染症、又は因果関係のある遺伝子バリアント)である。一部の実施態様において、本方法は、約1000中1、5000中1、10000中1、20000中1以下、又はほぼそれら未満で存在する核酸種(例えば、参照ポリヌクレオチド由来の変異体)を検出する。
【0081】
一部の実施態様において、方法は、対象において癌又は感染症などの疾患の存在又は非存在を検出することを、更に含む。癌細胞は、ほとんどの細胞が、古い細胞は死滅し且つより新しい細胞により置き換えられる代謝回転率により特徴付けることができる。一般に死滅した細胞は、所定の対象の血管系と接触し、DNA又はDNA断片を血流へ放出されることがある。これはまた、その疾患の様々な病期の癌細胞にも当てはまる。癌細胞はまた、コピー数多様性並びに稀変異などの様々な因果関係のある遺伝子バリアントにより、疾患の病期に応じて、特徴付けることもできる。この現象は、本明細書記載の方法及びシステムを使用し、対象における癌の存在又は非存在を検出するために使用することができる。場合によっては、癌は、疾患の症状又は他の兆候が現れる前に検出される。検出され得る癌の型及び数は、血液癌、脳腫瘍、肺癌、皮膚癌、鼻の癌、咽喉癌、肝臓癌、骨癌、リンパ腫、膵臓癌、皮膚癌、腸管癌、直腸癌、甲状腺癌、膀胱癌、腎臓癌、口腔癌、胃癌、固形状態の腫瘍、不均一腫瘍、均一腫瘍などを含むが、これらに限定されるものではない。一部の実施態様において、本明細書記載のシステム及び方法は、ある種の癌の特徴決定を助けるために使用される。本開示のシステム及び方法から作製された遺伝子データは、医師が特定の形の癌をより良く特徴付けることを助けることを可能にする。しばしば、癌は、組成及び段階の両方が不均一であることがある。遺伝子プロファイルデータは、その特定の亜型の診断又は治療において重要である、癌の特定の亜型の特徴決定を可能にする。この情報はまた、対象又は医師団に、特定の型の癌の予後に関することを提供することができる。癌発達の進行及び/又は治療レジメンに対する反応は、経時的なある種の因果関係のある遺伝子バリアントの出現、消失、又は相対量の変化を検出することにより、追跡することができる。
【0082】
一態様において、本開示は、様々な他の態様及び本開示の実施態様のいずれかに関するものを含む、本明細書に記載された方法において使用又は製造される組成物を提供する。本開示の組成物は、本明細書記載のエレメントのいずれか1以上を含むことができる。一部の実施態様において、組成物は、以下の1以上を含む:それ由来のテールが重合され得るヌクレオチドの1種以上のプール、テールにハイブリダイズする3’オーバーハングを含む1種以上のアダプター、メチル化又は非メチル化シトシンを差次的に修飾するための1種以上の試薬、1種以上の増幅プライマー、1種以上の配列決定プライマー、1種以上の酵素(例えば、1種以上のポリメラーゼ、逆転写酵素、リガーゼ、リボヌクレアーゼ、及びグリコシラーゼ)、1種以上の緩衝液(例えば、炭酸ナトリウム緩衝液、炭酸水素ナトリウム緩衝液、ホウ酸エステル緩衝液、トリス緩衝液、MOPS緩衝液、HEPES緩衝液)、これらのいずれかを利用するための試薬、これらのいずれかを含有する反応混合物、及びこれらの使用に関する指示書。一部の実施態様において、本明細書記載の方法に従い作製されたポリヌクレオチドが提供される。
【0083】
一態様において、本開示は、本開示の他の様々な態様のいずれかに関するものを含む、本明細書記載の方法において使用又はそれにより作製された、反応混合物を提供する。一部の実施態様において、この反応混合物は、本明細書記載の1以上の組成物を含む。
【0084】
一態様において、本開示は、本開示の他の様々な態様のいずれかに関するものを含む、本明細書記載の方法のいずれかにおいて使用するためのキットを提供する。一部の実施態様において、キットは、本明細書記載の1以上の組成物を含む。このキットのエレメントは、非限定的に、任意の量及び/又は組合せ(同じキット又は同じ容器内などで)で、更に提供されることができる。一部の実施態様において、キットは、本発明の方法に従い使用するための追加の物質を含む。キットのエレメントは、非限定的に、テストチューブ、バイアル、フラスコ、ボトル、アンプル、シリンジなどを含む、任意の好適な容器中に提供され得る。これらの試薬は、本発明の方法において直接使用されてよい形状、又は凍結乾燥された試薬の再構成など、使用前に調製を必要とする形状で提供され得る。物質は、単回使用のためのアリコートで又は数多くの反応などにおいて反復使用が得られるストックとして提供されてよい。一部の実施態様において、キットは、以下を含む:(a)鋳型非依存的ポリメラーゼ;(b)鋳型非依存的ポリメラーゼにより重合され得るヌクレオチドの第一プール;(c)鋳型非依存的ポリメラーゼにより重合され得るヌクレオチドの第二プール;(d)ポリヌクレオチドの第一プールを重合することにより形成されるテールにハイブリダイズ可能であるオーバーハングを含む第一のアダプター;並びに、(e)ポリヌクレオチドの第二プールを重合することにより形成されるテールにハイブリダイズ可能であるオーバーハングを含む第二のアダプターであって、ここで第二のアダプターが、第一のアダプターとは異なる配列を含むもの。一部の実施態様において、キットは、1以上のプライマーを更に含む。ポリメラーゼ、ヌクレオチドプール、アダプター、及びプライマーの例は、本開示の様々な方法に関するものを含み、本明細書において明らかにされる。
【0085】
一態様において、本開示は、本開示の様々な他の態様のいずれかに関するものを含む、本明細書記載の方法を実行するための、コンピュータシステムなどの、システムを提供する。本明細書に開示された一部の実施態様に関与するコンピュータ操作を実行する上でヒトの助けを借りずには、実践されず、更にはほとんどの場合において可能でさえないことは理解されなければならない。例えば、試料から単独の30bpリードのヒト染色体のいずれか一つへのマッピングには、コンピュータ装置の援助なくしては、長年にわたる労力を必要とする。当然、助けを借りない配列解析及びアラインメントの課題は、低いアレル頻度の変異の信頼できるコールが、1以上の染色体への数千 (例えば、少なくとも約10,000)又は数百万ものリードのマッピングを必要とする場合には、折り合いがつけられる。従って、本明細書記載の方法の一部の実施態様は、ヒトの気力のみにおいて、又はただ紙と鉛筆を使って実行することは不可能であるが、むしろ1以上の解析プロセスを実行するようプログラムされた1個以上のプロセッサを備えるシステムなどの、コンピュータシステムの使用が必須である。
【0086】
一部の実施態様において、本開示は、様々なコンピュータが実行するオペレーションを実施するための、プログラム命令及び/又はデータ(データ構造を含む)を含む、有形及び/又は一過性でないコンピュータの可読性媒体又はコンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータ-可読性媒体の例は、半導体メモリー装置、ディスクドライブ、磁気テープなどの磁気媒体、CD、光磁気媒体などの光学媒体、並びに読み取り専用記憶装置(ROM)及びランダムアクセスメモリー(RAM)などのプログラム命令を保存し且つ実行するように特別に構成されたハードウェア装置を含むが、これらに限定されるものではない。コンピュータの可読性媒体は、末端のユーザーにより直接的に制御されてよいか、又は媒体は、末端のユーザーにより間接的に制御されてよい。直接制御される媒体の例は、ユーザーの施設に配置された媒体、及び/又は他の実体と共有されない媒体を含む。間接制御される媒体の例は、外部ネットワークを介して及び/又は「クラウド」などの共有リソースを提供するサービスを介して、ユーザーに間接的にアクセス可能な媒体を含む。プログラム命令の例は、コンパイラにより作製されるような機械語、及びインタプリタを使用しコンピュータにより実行されるより高度なレベルのコードを含むファイルの両方を含む。
【0087】
一部の実施態様において、本明細書に開示された方法及びシステムにおいて利用されるデータ又は情報は、電子フォーマットで提供される。そのようなデータ又は情報の例は、核酸試料由来の配列決定リード、参照配列(単独又は本来の多型を提供する参照配列を含む)、配列決定リードの調製において使用される1以上のオリゴヌクレオチドの配列(それらの一部、及び/又はそれらの相補体を含む)、癌診断コールなどのコール、カウンセリング推奨、診断を含むが、これらに限定されるものではない。本明細書において使用されるように、電子フォーマットで提供されるデータ又は他の情報は、機械上の保存及び機械間の伝送のために利用可能である。慣習的に、電子フォーマットのデータは、デジタルで提供され、且つ様々なデータ構造、リスト、データベースなどにおけるビット及び/又はバイトとして保存される。データは、電子的、光学的になど、具象化されてよい。
【0088】
一部の実施態様において、被験試料中のポリヌクレオチドの配列を示すアウトプットを生じるコンピュータプログラム製品が、本明細書に提供される。このコンピュータ製品は、ポリヌクレオチドライブラリーを調製するため、及び任意にポリヌクレオチド配列を決定するために、前述の方法のいずれか1以上を実行する命令を含んでよい。説明されたように、コンピュータ製品は、プロセッサが関心対象の配列を決定することを可能にするためにその上に記録されたコンピュータが実行可能な又はコンパイル可能な論理回路(例えば、命令)を有する一過性でなく及び/又は有形のコンピュータ可読性媒体を含んでよい。一例において、コンピュータ製品は、プロセッサが状態を診断し及び/又は関心対象の核酸配列を決定することを可能にするためにその上に記録されたコンピュータが実行可能な又はコンパイル可能な論理回路(例えば、命令)を有するコンピュータ可読性媒体を含んでよい。
【0089】
一部の実施態様において、本明細書(又はその一部)に記載の方法は、本明細書記載の方法を実行するために適合されるか又は設定されているコンピュータプロセッシングシステムを用いて実行される。一実施態様において、このシステムは、本明細書記載の様々な態様のいずれかに関するものなどの、本明細書の別所記載の配列情報の種類を得るために、ポリヌクレオチドを配列決定するよう適合されるか又は設定されている配列決定装置を含む。一部の実施態様において、本装置は、本明細書記載の様々な方法のいずれかの1以上の工程(例えば、試料プロセッシング、ポリヌクレオチド精製、及び様々な反応(例えば、テーリング反応、ライゲーション反応、増幅反応、及び配列決定反応など)を実行するためのモジュールを含む、液体ハンドラー及び配列決定システムなどの、試料をプロセッシングするための構成要素を含む。
【0090】
一部の実施態様において、配列又は他のデータは、コンピュータへインプットされるか、又は直接的もしくは間接的のいずれかでコンピュータ可読性媒体上に保存される。一実施態様において、コンピュータシステムは、試料由来の核酸の配列を読み及び/又は分析する配列決定装置に直接連結される。そのようなツールからの配列又は他の情報は、コンピュータシステムのインターフェースを介して提供される。あるいは、システムによりプロセッシングされた配列は、データベース又は他のリポジトリなどの配列の保存ソースから提供される。一旦プロセッシング装置が利用可能になったならば、記憶装置又は大容量記憶装置は、少なくとも一時的に核酸の配列を格納もしくは保存する。加えて、記憶装置は、様々な染色体又はゲノムに関するリードカウントなどを保存してよい。記憶はまた、配列又はマッピングされたデータを解析するための様々なルーチン及び/又はプログラムを保存してよい。一部の実施態様において、プログラム/ルーチンは、統計解析を実行するためのプログラムを含む。
【0091】
一例において、ユーザーは、配列決定装置へ、ポリヌクレオチド試料を提供する。データは、コンピュータに接続された配列決定装置により、収集され及び/又は解析される。コンピュータ上のソフトウェアは、データ収集及び/又は解析を可能にする。データは、保存され、表示され(モニター又は他の類似の装置を介して)、及び/又は別の場所に送信される。コンピュータは、インターネットに接続されてよく、それは遠隔ユーザー(例えば、物理学者、科学者又は解析者)により利用されるハンドヘルド装置へデータを伝送するために使用される。データは、伝送前に、保存され及び/又は解析され得ることは、理解されるべきである。一部の実施態様において、生データは、収集され、データを解析及び/又は保存する遠隔ユーザー又は装置へ送られる。伝送は、インターネットを介して行われるが、また衛星及び/又は他の接続を介して行われることもできる。あるいは、データは、コンピュータ-可読性媒体上に保存され、この媒体は、末端ユーザーへ発送される(例えば、郵送により)ことができる。遠隔ユーザーは、非限定的に建物、市、州、国又は大陸を含む、同じ又は異なる地理上の場所に居ることができる。
【0092】
一部の実施態様において、本方法は、複数のポリヌクレオチド配列に関するデータの収集(例えば、リード、及び/又は参照染色体配列)、並びにコンピュータもしくは他のコンピュータシステムへのデータの送付を含む。例えば、コンピュータは、例えば、試料収集装置、ヌクレオチド増幅装置、又はヌクレオチド配列決定装置などの、実験装置に接続され得る。コンピュータは次に、実験室装置により集められた適用可能なデータを収集することができる。このデータは、例えば、リアルタイムで、送付前に、送付時もしくは送付と同時発生で、又は送付後に収集される一方で、任意の工程でコンピュータ上に保存されることができる。データは、コンピュータから抽出され得るコンピュータ-可読性媒体上に保存することができる。収集又は保存されたデータは、例えば、ローカルネットワーク又はインターネットなどの広域ネットワークを介して、コンピュータから遠隔地へ伝送されることができる。遠隔地では、様々な操作が、伝送されたデータについて実行され得る。
【0093】
本明細書において明らかにされたシステム、装置、及び方法において保存、伝送、解析、及び/又は操作されてよい、電子的にフォーマットされたデータの種類には、以下がある:核酸の配列決定により得られたリード、参照ゲノム又は配列、影響されたコール又は影響されないコール、もしくは無コールのいずれかの被験試料のコーリングの閾値、関心対象の配列に関連した医学的状態の実際のコール、診断(コールに関与した臨床状態)、コール及び/又は診断に由来した更なる試験に関する推奨、コール及び/又は診断に由来した治療及び/又はモニタリングプラン。一部の実施態様において、これらのデータの様々な型が、個別の装置を用い1つ以上の場所で、入手され、保存され、伝送され、解析され及び/又は操作される。プロセッシングのオプションは、広範なスペクトルのオプションに及ぶ。このスペクトルの一端では、この情報の全て又は多くは、例えば、診療所又は他の臨床的状況など、被験試料がプロセッシングされる場所で、保存され、且つ使用される。このスペクトルの他端では、試料は、一箇所で得られ、これは別の場所でプロセッシングされ、且つ任意に配列決定され、1つ以上の異なる場所で、リードは整列化されコールが作製され、並びに更に別の場所(これはその試料が入手された場所であってよい)で診断、推奨、及び/又はプランが準備される。
【実施例】
【0094】
(実施例)
下記実施例は、本発明の様々な実施態様の例証を目的として示され、且ついかなる様式でも本発明を限定する意味はない。本実施例は、本明細書に説明された方法と共に、好ましい実施態様の現時点での代表であり、且つ本発明の範囲を限定することは意図されない。請求の範囲により規定される本発明の精神内に包含されるそれらの変更及び他の使用は、当業者によりもたらされるであろう。
【0095】
(実施例1)
NA12878ゲノムDNAは、Coriell Institute(Coriell Institute、NA12878)から入手した。濃度は、Qubit dsDNA HSアッセイキット(Thermo Fisher Scientific、Q32851)により測定し、且つライブラリー調製において使用したDNAの量は、10ngであった。DNA基質を、50μl IDTE緩衝液(IDT、11-05-01-09)中に希釈し、集中音波装置(focused acoustic sonicator)(Covaris、M220)を用い、約100〜600bpの断片に剪断した。音波処理のパラメータは、以下のように設定した:ピーク入射電力50W、デューティ(duty)因子20%、バースト当たりのサイクル数200、時間150秒、及び温度6〜8℃。剪断したDNA断片のサイズは、LabChip GXIIタッチ24(Perkin Elmer)により確認した。
【0096】
言及しない場合は、全ての実験は、2〜3回の技術的繰り返しにより実施した。
【0097】
亜硫酸水素塩転換工程(BC)は、EZ-96 DNAメチル化-ライトニング(商標)MagPrep(Zymo、D5047)から改変されたプロトコールにより実行した。ライトニング転換試薬97.5μl及び剪断ゲノムDNA又はcfDNAの15μlを、48-ウェルプレート(Thermo Fisher Scientific、AB0648)へ添加した。これらの試料を、ピペッティングにより上下混合し、且つサーマルサイクラーにおいて以下の条件でインキュベーションした:(i)98℃で8分間;(ii)54℃で60分間;(iii)4℃で最大20時間貯蔵。BC-処理したDNA試料を、各ウェルに450μlのM-結合緩衝液及び7.5μlのMag結合ビーズが予め負荷された96-ウェルミディ-プレート(Thermo Scientific、AB0859)へ移した。成分を完全に混合し、プレートを、室温で5分間放置した。次にプレートを、更に5分間磁気スタンドに移し、上清を除去した。ビーズを、M-洗浄緩衝液300μlで洗浄し、ビーズをL-脱スルホン化緩衝液150μlと共に、室温(20〜30℃)で25分間インキュベーションした。プレートを、磁気スタンド上に3分間配置し、上清を廃棄し、その後ビーズを、M-洗浄緩衝液300μlで2回洗浄した。洗浄工程後、プレートを、金属ヒーター(Illumina、SC-60-504、BD-60-601)に、55℃で30分間移し、ビーズを乾燥させ、次にM-溶離緩衝液16μlを添加し、更に4分間、55℃でインキュベーションした。次にプレートを、磁気スタンドに1分間動かし、上清を回収し、後続のライブラリー調製工程の鋳型とした。
【0098】
スプリンターアダプターMDA1を、モル比9:1でランダムに合成された8つのG又はAを複数有するように設計した。第一のテーリング及びライゲーション工程時に、これは、1本鎖化されたDNA基質の3’末端ポリ-C/Tテールへアニーリングした(
図3、下側参照)。MDA1を形成するオリゴヌクレオチドの配列を、
図2に図示した。MDA1アダプターは、オリゴATN-R2-Top及びATN-R2-Botを一緒にアニーリングすることにより調製した。詳細には、各オリゴ50μl(100μM)を混合し、95℃で10分間インキュベーションし、0.1mM EDTA及び50mM NaClを含有する10mM トリス-HCl中で、ゆっくり室温まで冷却した。両方のオリゴの3’末端を、リン酸基によりブロックし、セルフライゲーションを防いだ。MDA2アダプターは、同様の戦略に従い、ATN-R1-Top及びATN-R1-Botオリゴにより調製した。MDA2を形成するオリゴヌクレオチドの配列もまた、
図2に図示している。MDA1、MDA2を形成するオリゴヌクレオチド、並びに「アンカープライマー」と称される増幅プライマーの配列を、表1に示している。
表1:
【表1】
【0099】
亜硫酸水素塩転換したDNA断片を、DNA 試料12.5μl、10×CutSmart緩衝液(NEB、B7204S)1.5μl、エビアルカリホスファターゼ(NEB、M0371L)1μlと混合し、37℃で30分間インキュベーションすることにより、末端-修復させた。これらの生成物を、95℃で5分間インキュベーションさせ、氷上で急冷することにより、更に変性した。
【0100】
次に、第一のライゲーション反応を、予め処理したDNA基質、1×CutSmart緩衝液、0.25mM CoCl
2(NEB、B0252S)、0.025mMβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NEB、B9007S)、0.09mM dCTP(Roche、11934520001)、0.01mM dTTP(Roche、11934546001)、1μM MDA1アダプター、0.5U/μl大腸菌リガーゼ(NEB、M0205L)及び0.5U/μl末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT;NEB、M0315S)を含有する20μlの反応容積で行った。この反応物を、37℃で30分間インキュベーションし、引き続き95℃で2分間加熱し、及び4℃で維持した。
【0101】
ライゲーションされた生成物を、伸長させ、且つ1×KAPA HiFiホットスタートウラシル+レディミックス(KAPA、KK2802)、及び0.91μMアンカープライマーの存在下で、直線的に増幅した。この直線的増幅反応を、以下の熱プロファイルで実行した:(i)95℃で5分間;(ii)98℃で20秒間、62℃で30秒間、72℃で1分間を、15サイクル、並びに(iii)72℃で5分間。この反応が完了した後、緩衝液を、2.5× AMPure XPビーズ(Beckman Coulter, A63881)による精製により交換し、且つ11.5μl溶離緩衝液(10mMトリス-HCl、pH8.0)により溶離した。
【0102】
第二のライゲーション反応は、精製されたDNA産物10μl、1×CutSmart緩衝液、0.25mM CoCl
2(NEB、B0252S)、0.025mMβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NEB、B9007S)、0.1mM dATP(Roche、11934511001)、1μM MDA2、0.5U/μl大腸菌リガーゼ(NEB、M0205L)及び0.5U/μl末端デオキシヌクレオチド転移酵素(NEB、M0315S)を含有する20μl反応容積で行った。この反応物を、37℃で30分間インキュベーションし、引き続き95℃で2分間加熱し、及び4℃で維持した。第二のライゲーションの実施例産物の図示は、
図3(下側)に提供し、「Y」アダプターが関与するライゲーション反応の産物(上側)と比較している。
【0103】
ライゲーションされた産物のPCRエンリッチメントは、前述のDNA産物20μl、1×KAPA HiFi緩衝液、dNTP、1μMプライマーF及びプライマーR、並びに1U/μl KAPA HiFiポリメラーゼを含有する、50μl反応物中で行った。PCRプログラムは、以下のようであった:(i)95℃で5分間;(ii)98℃で20秒、60℃で30秒、72℃で1分間を、12サイクル、並びに(iii)72℃で10分間。PCR産物を、Agencourt AMPure XPビーズ(Beckman Coulter、A63881)を用いて精製し、EB(10mMトリス-HCl、pH8.0)18μl中に溶離した。プライマーF配列は、
【化3】
であった。プライマーR配列は、
【化4】
であった。
【0104】
精製したDNAライブラリー(50〜200ng/μl)の15μlを、4μlブロッカー混合物とよく混合し、以下の条件でサーマルサイクラー内でインキュベーションした:(i)95℃で5分間;(ii)65℃で保持。その間に、ハイブリダイゼーション緩衝液(13×SSPE;13.5mM EDTA;13×デンハート液;0.45%SDS)の10μl、RNAse-インヒビター0.5μl及びAgilent SureSelect Custom Panelプローブプール0.5μlを、65℃で2分間予め温めた。次にDNA-ブロッカー混合物の全ての内容物を、このプローブ混合物へ移し、65℃でハイブリダイゼーション反応させ、16〜24時間続けた。
【0105】
図4は、キャピラリー電気泳動分析の実施例プロットを図示し、これはPCRエンリッチメント後の捕獲前のライブラリー断片の実施例サイズ分布を示している。予想されるピークサイズは、200〜400bpであった。全てのライブラリーは、HT DNA高感度LabChipキット(Perkin Elmer)上に装加した。1×MDA1アダプターにより提供される場合、300bpで最高の曲線は、ライゲーションされた基質を示している。その次の曲線は、上から下へ、各々、2×、3×、及び4×アダプターを表している。このデータは、1×MDA1は、アダプターが結合するのに十分であり、これらの条件下で、増大するMDA1濃度によりライゲーション効率は低下することを指摘している。
【0106】
ハイブリダイゼーション後、ストレプトアビジン-コンジュゲートしたDynaBeads(商標)(Thermo Fisher Scientific、65602)の25μlを、200μlの結合緩衝液(10mMトリス-HCl、pH8.0、0.5mM EDTA、1M NaCl)で4回洗浄することにより、順化した。DNA捕獲は、サーモミキサー内、25℃で600RPMで30分間実行した。非特異的結合によりプルダウンされた非-標的DNAを除去するために、ビーズを、最初に洗浄緩衝液1の500μlにより室温で1回洗浄し、次に洗浄緩衝液2(10mMトリス-HCl、pH8.0、0.02%Triton X-100)により65℃で3回洗浄した。次にビーズを、20μlの溶離緩衝液(10mMトリス-HCl、pH8.0)中で再懸濁させ、以下のインデックスPCR工程の鋳型として使用した。
【0107】
マルチプレックス配列決定のために、5μlインデックスプライマー(予め混合したi5及びi7、各々20μM)を、再懸濁したT1ビーズ20μl、及びKapa HiFiホットスタートレディミックス(Kapa Biosystem、KK2602)25μlを含有する反応物50μlへ添加した。PCRプログラムは、以下のようであった:(i)98℃で45秒;(ii)98℃で15秒、60℃で30秒、72℃で1分間を、12サイクル;及び、(iii)72℃で5分間。精製したDNAライブラリーを、EBの20μl中に溶離し、Qubit dsDNA HSアッセイキットにより定量した。インデックスプライマーi5の配列は、
【化5】
;下線の配列は、実施例インデックス配列に対応している)であった。インデックスプライマーi7の配列は、
【化6】
;下線の配列は、実施例インデックス配列に対応している)であった。
【0108】
インデックスPCR工程の産物は、製造業者の指示に従いPE150サイクルランを使用し、Illumina HiSeq 2500又はNovaSeq上で、配列決定した。FASTQ配列は、分析パイプラインにより脱マルチプレックス化させ、且つ一般的ライブラリー品質測定基準(metrics)を分析した。例証的ライブラリーバイオインフォマティクスQC要約表を、下記表2A及び2Bに示している。
表2A:
【表2】
表2B:
【表3】
【0109】
実施例のライブラリー調製法の全般的図を、
図1に提供している。テーリング工程は、好適なdNTP(複数可)と共にTdTを用いて実行し、ssDNA断片の3’末端に対するホモポリマー又はほぼ-ホモポリマーテールを作製した。このホモポリマーは、上側鎖内に5’リン酸基を含むアダプターの3’オーバーハングにアニーリングした。リガーゼにより触媒したライゲーション反応は、ssDNA断片の3’末端をシールし、過剰なテーリングを防いだ。アダプターの下側鎖は、アンカープライマーにより競合され、直線的増幅プロセスの開始部位を露出する。増幅されたssDNA鎖は、テーリング及びライゲーションの第二のラウンドの鋳型として働き、その産物は次に増幅された。
【0110】
(実施例2)
NA12878ゲノムDNAは、Coriell Institute(Coriell Institute、NA12878)から入手した。濃度は、Qubit dsDNA HSアッセイキット(Thermo Fisher Scientific、Q32851)により測定し、且つライブラリー調製において使用したDNAの量は、2〜30ngであった。DNA基質を、50μl IDTE緩衝液(IDT、11-05-01-09)中に希釈し、集中音波装置(Covaris、M220)を用い、約100〜600bpの断片に剪断した。音波処理のパラメータは、以下のように設定した:ピーク入射電力50W、デューティ因子20%、バースト当たりのサイクル数200、時間150秒、及び温度6〜8℃。剪断したDNA断片のサイズは、LabChip GXIIタッチ24(Perkin Elmer)により確認した。
【0111】
血漿試料は、ヒト採血から得た。セルフリーDNA(cfDNA)を、QiaAmp Circulating核酸キット(Qiagen、55114)を用いて抽出した。cfDNAを、Qubit dsDNA HSアッセイキットにより、NA12878ゲノムDNAとして定量したが、断片化には供さなかった。
【0112】
言及しない場合は、全ての実験は、2〜3回の技術的繰り返しにより実施した。
【0113】
亜硫酸水素塩転換工程(BC)は、EZ-96 DNAメチル化-ライトニング(商標)MagPrep(Zymo、D5047)から改変されたプロトコールにより実行した。ライトニング転換試薬97.5μl及び剪断ゲノムDNA又はcfDNAの15μlを、48-ウェルプレート(Thermo Fisher Scientific、AB0648)へ添加した。これらの試料を、ピペッティングにより上下混合し、且つサーマルサイクラーにおいて以下の条件でインキュベーションした:(i)98℃で8分間;(ii)54℃で60分間;(iii)4℃で最大20時間貯蔵。BC-処理したDNA試料を、各ウェルに450μlのM-結合緩衝液及び7.5μlのMag結合ビーズが予め負荷された96-ウェルミディ-プレート(Thermo Scientific、AB0859)へ移した。成分を完全に混合し、プレートを、室温で5分間放置した。次にプレートを、更に5分間磁気スタンドに移し、上清を除去した。ビーズを、M-洗浄緩衝液300μlで洗浄し、ビーズをL-脱スルホン化緩衝液150μlと共に、室温(20〜30℃)で25分間インキュベーションした。プレートを、磁気スタンド上に3分間配置し、上清を廃棄し、その後ビーズを、M-洗浄緩衝液300μlで2回洗浄した。洗浄工程後、プレートを、金属ヒーター(Illumina、SC-60-504、BD-60-601)に、55℃で30分間移し、ビーズを乾燥させ、次にM-溶離緩衝液16μlを添加し、更に4分間、55℃でインキュベーションした。次にプレートを、磁気スタンドに1分間動かし、上清を回収し、後続のライブラリー調製工程の鋳型とした。
【0114】
スプリンターアダプターMDA1を、モル比9:1でランダムに合成された8つのG又はAを複数有するように設計した。第一のテーリング及びライゲーション工程時に、これは、1本鎖化されたDNA基質の3’末端ポリ-C/Tテールへアニーリングした(
図3、下側参照)。MDA1を形成するオリゴヌクレオチドの配列を、
図2に図示した。MDA1及びMDA2アダプターは、実施例1のように調製した。MDA1、MDA2を形成するオリゴヌクレオチド、並びに「アンカープライマー」と称される増幅プライマーの配列を、先の表1に示している。
【0115】
亜硫酸水素塩転換したDNA断片を、DNA 試料12.5μl、10×CutSmart緩衝液(NEB、B7204S)1.5μl、エビアルカリホスファターゼ(NEB、M0371L)1μlと混合し、37℃で30分間インキュベーションすることにより、末端-修復させた。これらの生成物を、95℃で5分間インキュベーションさせ、氷上で急冷することにより、更に変性した。
【0116】
次に、第一のライゲーション反応を、予め処理したDNA基質、1×CutSmart緩衝液、0.25mM CoCl
2(NEB、B0252S)、0.025mMβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NEB、B9007S)、0.09mM dCTP(Roche、11934520001)、0.01mM dTTP(Roche、11934546001)、1μM MDA1アダプター、0.5U/μl大腸菌リガーゼ(NEB、M0205L)及び0.5U/μl末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT;NEB、M0315S)を含有する20μlの反応容積で行った。この反応物を、37℃で30分間インキュベーションし、引き続き95℃で2分間加熱し、及び4℃で維持した。
【0117】
ライゲーションされた生成物を、伸長させ、且つ1×KAPA HiFiホットスタートウラシル+レディミックス(KAPA、KK2802)、及び0.91μMアンカープライマーの存在下で、直線的に増幅した。この直線的増幅反応を、以下の熱プロファイルで実行した:(i)95℃で5分間;(ii)98℃で20秒間、62℃で30秒間、72℃で1分間を、15サイクル、並びに(iii)72℃で5分間。この反応が完了した後、緩衝液を、2.5×AMPure XPビーズ(Beckman Coulter、A63881)による精製により交換し、且つ11.5μl溶離緩衝液(10mMトリス-HCl、pH8.0)により溶離した。
【0118】
第二のライゲーション反応は、精製されたDNA産物10μl、1×CutSmart緩衝液、0.25mM CoCl
2(NEB、B0252S)、0.025mMβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NEB、B9007S )、0.1mM dATP(Roche、11934511001)、1μM MDA2、0.5U/μl大腸菌リガーゼ(NEB、M0205L)及び0.5U/μl末端デオキシヌクレオチド転移酵素(NEB、M0315S)を含有する20μl反応容積で行った。この反応物を、37℃で30分間インキュベーションし、引き続き95℃で2分間加熱し、及び4℃で維持した。第二のライゲーションの実施例産物の図示は、
図3(下側)に提供し、「Y」アダプターが関与するライゲーション反応の産物(上側)と比較している。
【0119】
ライゲーションされた産物のPCRエンリッチメントは、前述のDNA産物20μl、1×KAPA HiFi緩衝液、dNTP、1μMプライマーF及びプライマーR、並びに1U/μl KAPA HiFiポリメラーゼを含有する、50μl反応物中で行った。PCRプログラムは、以下のようであった:(i)95℃で5分間;(ii)98℃で20秒、60℃で30秒、72℃で1分間を、12サイクル、並びに(iii)72℃で10分間。PCR産物を、Agencourt AMPure XPビーズ(Beckman Coulter、A63881)を用いて精製し、EB(10mMトリス-HCl、pH8.0)18μl中に溶離した。
【0120】
図5A-Cは、キャピラリー電気泳動分析の実施例プロットを図示し、これはPCRエンリッチメント後の捕獲前のライブラリー断片の実施例サイズ分布を示している。予想されるピークサイズは、200〜400bpであった。捕獲前のライブラリーは、インプットの増加に伴い、収量が増加した。インプット10ngで、cfDNAは、剪断したゲノムDNA(gDNA)よりも、より高い収量を有した。全てのライブラリーは、HT DNA高感度LabChipキット(Perkin Elmer)上に装加した。
【0121】
精製したDNAライブラリー(50〜200ng/μl)の15μlを、4μlブロッカー混合物とよく混合し、以下の条件でサーマルサイクラー内でインキュベーションした:(i)95℃で5分間;(ii)65℃で保持。その間に、ハイブリダイゼーション緩衝液(13×SSPE;13.5mM EDTA;13×デンハート液;0.45%SDS)の10μl、RNAse-インヒビター0.5μl及びAgilent SureSelect Custom Panelプローブプール0.5μlを、65℃で2分間予め温めた。次にDNA-ブロッカー混合物の全ての内容物を、このプローブ混合物へ移し、65℃でハイブリダイゼーション反応させ、16〜24時間続けた。
【0122】
ハイブリダイゼーション後、ストレプトアビジン-コンジュゲートしたDynaBeads(商標)(Thermo Fisher Scientific、65602)の25μlを、200μlの結合緩衝液(10mMトリス-HCl、pH8.0、0.5mM EDTA、1M NaCl)で4回洗浄することにより、順化した。DNA捕獲は、サーモミキサー内、25℃で600RPMで30分間実行した。非特異的結合によりプルダウンされた非-標的DNAを除去するために、ビーズを、最初に洗浄緩衝液1(0.15M塩化ナトリウム、0.015Mクエン酸ナトリウム、0.1%SDS)の500μlにより室温で1回洗浄し、次に洗浄緩衝液2(0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウム、0.1%SDS)により65℃で3回洗浄した。次にビーズを、20μlの溶離緩衝液(10mMトリス-HCl、pH8.0)中で再懸濁させ、以下のインデックスPCR工程の鋳型として使用した。
【0123】
マルチプレックス配列決定のために、5μlインデックスプライマー(予め混合したi5及びi7、各々20μM)を、再懸濁したT1ビーズ20μl、及びKapaHiFiホットスタートレディミックス(Kapa Biosystem、KK2602)25μlを含有する反応物50μlへ添加した。PCRプログラムは、以下のようであった:(i)95℃で5分間;(ii)98℃で20秒、60℃で30秒、72℃で1分間を12サイクル;及び(iii)72℃で10分間。精製したDNAライブラリーを、EBの20μl中に溶離し、Qubit dsDNA HSアッセイキットにより定量した。
【0124】
インデックスPCR工程の産物は、製造業者の指示に従いPE150サイクルランを使用し、Illumina HiSeq 2500又はNovaSeq上で、配列決定した。FASTQ配列は、分析パイプラインにより脱マルチプレックス化させ、且つ一般的ライブラリー品質測定基準を分析した。例証的ライブラリーバイオインフォマティクスQC要約表を、下記表3A及び3Bに示している。
表3A:
【表4】
表3B:
【表5】
【0125】
(実施例3)
増大したメチル化レベルを有するSW48ゲノムDNAを、ATCCから購入した(ATCC、CCL231)。濃度は、Qubit dsDNA HSアッセイキット(Thermo Fisher Scientific、Q32851)により測定した。10ngのSW48ゲノムDNAを、REPLI-gミニキット(Qiagen、150023)により、標準プロトコールに従い(30℃で16時間のインキュベーションを含む)、50μlにおいて、総ゲノム増幅した(WGA)。増幅した物質を、100μl Ampure XPビーズ(Beckman Coulter、A63881)により精製し、且つ50μlのIDTE緩衝液(IDT、11-05-01-09)中に溶離した。最終WGA DNA収量は、メチル化レベルが、当初のSW48の約1/300で、約3μgであった。WGA DNAは、ゲノム-規模メチル化レベル勾配を模倣するために、当初のSW48ゲノムDNAと、0%、20%、50%、80%、及び100%のレベルで、比例して混合した。各DNA混合物50ngを、集中音波装置 (Covaris, M220)を用い、約100〜600bpの断片に剪断した。音波処理のパラメータは、以下のように設定した:ピーク入射電力50W、デューティ因子20%、バースト当たりのサイクル数200、時間150秒、及び温度6〜8℃。剪断したDNA断片のサイズは、LabChip GXIIタッチ24(Perkin Elmer)により確認した。
【0126】
亜硫酸水素塩転換工程(BC)は、EZ-96 DNAメチル化-ライトニング(商標)MagPrep(Zymo、D5047)から改変されたプロトコールにより実行した。ライトニング転換試薬97.5μl及び15μl中の剪断ゲノムDNA混合物40ngを、48-ウェルプレート(Thermo Fisher Scientific、AB0648)へ添加した。これらの試料を、ピペッティングにより上下混合し、且つサーマルサイクラーにおいて以下の条件でインキュベーションした:(i)98℃で8分間;(ii)54℃で60分間;(iii)4℃で最大20時間貯蔵。BC-処理したDNA試料を、各ウェルに450μlのM-結合緩衝液及び7.5μlのMag結合ビーズが予め負荷された96-ウェルミディ-プレート(Thermo Scientific、AB0859)へ移した。成分を完全に混合し、プレートを、室温で5分間放置した。次にプレートを、更に5分間磁気スタンドに移し、上清を除去した。ビーズを、M-洗浄緩衝液300μlで洗浄し、ビーズをL-脱スルホン化緩衝液150μlと共に、室温(20〜30℃)で25分間インキュベーションした。プレートを、磁気スタンド上に3分間配置し、上清を廃棄し、その後ビーズを、M-洗浄緩衝液300μlで2回洗浄した。洗浄工程後、プレートを、金属ヒーター(Illumina、SC-60-504、BD-60-601)に、55℃で30分間移し、ビーズを乾燥させ、次にM-溶離緩衝液16μlを添加し、更に4分間、55℃でインキュベーションした。次にプレートを、磁気スタンドに1分間動かし、上清を回収し、後続のライブラリー調製工程の鋳型とした。
【0127】
MDA1及びMDA2アダプターは、実施例1に説明したように調製した。MDA1、MDA2を形成するオリゴヌクレオチド、並びに「アンカープライマー」と称される増幅プライマーの配列を、先に表1に示している。
【0128】
各亜硫酸水素塩転換したDNA断片10ngを、DNA 試料12.5μl、10×CutSmart緩衝液(NEB、B7204S)1.5μl、エビアルカリホスファターゼ(NEB、M0371L)1μlと混合し、37℃で30分間インキュベーションすることにより、末端-修復させた。これらの生成物を、95℃で5分間インキュベーションさせ、氷上で急冷することにより、更に変性した。
【0129】
第一のライゲーション、後続の増幅、第二のライゲーション、及びPCRエンリッチメントは、実施例1のように行った。精製したDNAライブラリー(50〜200ng/μl)の15μlを、4μlブロッカー混合物とよく混合し、以下の条件でサーマルサイクラー内でインキュベーションした:(i)95℃で5分間;(ii)65℃で保持。その間に、ハイブリダイゼーション緩衝液(13×SSPE;13.5mM EDTA;13×デンハート液;0.45%SDS)の10μl、RNAse-インヒビター0.5μl及びAgilent SureSelect Custom Panelプローブプール0.5μlを、65℃で2分間予め温めた。次にDNA-ブロッカー混合物の全ての内容物を、このプローブ混合物へ移し、65℃でハイブリダイゼーション反応させ、16〜24時間続けた。
【0130】
図6Aは、キャピラリー電気泳動分析の実施例プロットを図示し、これはPCRエンリッチメント後の捕獲前のライブラリー断片のサイズ分布を示している。曲線は、上側から下側へ、下側から上側へ凡例で示された試料に対応している。予想されるピークサイズは、200〜400bpであった。全てのライブラリーは、HT DNA高感度LabChipキット(Perkin Elmer)上に装加した。全ての捕獲前のライブラリーは、非常に類似した収量及び挿入サイズを有し、このことは、このライブラリー調製法は、メチル化状態に対しバイアスを有さないことを指摘している。
【0131】
DNAは、ストレプトアビジン-コンジュゲートしたDynaBeads(商標)を用いて捕獲し、溶離し、実施例1のインデックスプライマーを用いて増幅した。
図6Bは、キャピラリー電気泳動分析の実施例プロットを図示し、これはインデックスPCR後の捕獲後ライブラリー断片のサイズ分布を示している。全てのライブラリーは、HT DNA高感度LabChipキット(Perkin Elmer)上に装加した。ライブラリー収量は、当初のメチル化レベルが増加するにつれて、次第に減少し、このことは、これらの条件下での、このライブラリー調製手順の全般的GCバイアスを指摘している。
【0132】
インデックスPCR工程の産物は、製造業者の指示に従いPE150サイクルランを使用し、Illumina HiSeq 2500上で、配列決定した。FASTQ配列は、分析パイプラインにより脱マルチプレックス化させ、且つ一般的ライブラリー品質測定基準を分析した。例証的ライブラリーバイオインフォマティクスQC要約表を、下記表4A及び4Bに示している。
表4A:
【表6】
表4B:
【表7】
【0133】
各標的化したCpGメチル化レベルは、アラインメント結果及び塩基カウントを基に算出した。
図7は、12,977の標的化されたCpG部位のメチル化レベルを図示している。これらの部位は、SW48-1試料(100%SW48、0%WGA)において、>97%のメチル化レベルを有した。異なるWGA試料のスパイク-インにより、これらの部位のメチル化レベルは、比例して減少し、且つ予測の範囲内であった。このことは、全ライブラリー調製及び捕獲プロセスは、正確且つ精密にCpGメチル化レベルを測定する事ができることを指摘している。
【0134】
(実施例4)
NA12878ゲノムDNA及び注文生産した5%変異ゲノムDNA参照を、Coriell Institute(Coriell Institute、NA12878)及びHorizon Discovery(HD-C669)から入手した。濃度は、Qubit dsDNA HSアッセイキット(Thermo Fisher Scientific, Q32851)により測定した。HD-C669を、比1:9でNA12878と比例して混合し、変異アレル頻度0.5%と予想した(生じる混合物は、「PC1」と称す)。変異及びそれらの予想される頻度を、表6Aに列挙している。50ngの純粋なNA12878及び0.5%AF混合したDNA基質を、50μlのIDTE緩衝液(IDT, 11-05-01-09)中に希釈し、集中音波装置 (Covaris, M220)を用い、約100〜600bpの断片に剪断した。音波処理のパラメータは、以下のように設定した:ピーク入射電力50W、デューティ因子20%、バースト当たりのサイクル数200、時間150秒、及び温度6〜8℃。剪断したDNA断片のサイズは、LabChip GXIIタッチ24(Perkin Elmer)により確認した。剪断した物質は、Qubit dsDNA HSアッセイキットにより定量し、ライブラリー調製インプットとして10ngを得た。
【0135】
言及しない場合は、全ての実験は、2〜3回の技術的繰り返しにより実施した。
【0136】
参照のために、ライブラリーは、典型的「Y」アダプター手順を用いて調製した。50μlのIDTE中の10ngの剪断したゲノムDNAを、48-ウェルプレート(Thermo Fisher Scientific、AB0648)に添加した。これらの試料を、標準KAPA Hyper Prepキット(KAPA Biosystem、KK8504)を用い、末端修復させ、且つライゲーションさせた。
図3(上側)に説明した「Y」アダプターを、最終濃度0.8μMで、ライゲーションシステムにおいて使用した。
【0137】
スプリンターアダプターが支援したライブラリー調製のために、12.5μl IDTE中の剪断したゲノムDNAの10ngを、48-ウェルプレート(Thermo Fisher Scientific、AB0648)に添加し、10×CutSmart緩衝液(NEB、B7204S)1.5μl及びエビアルカリホスファターゼ(NEB、M0371L)1μlと混合することにより、末端修復させた。この混合物を、37℃で30分間インキュベーションし、次に95℃で5分間加熱し、引き続き氷上で急冷した。MDA1及びMDA2アダプターは、実施例1のように調製した。MDA1、MDA2を形成するオリゴヌクレオチド、並びに「アンカープライマー」と称される増幅プライマーの配列を、先の表1に示している。第一のライゲーション、後続の増幅、第二のライゲーション、及びPCRエンリッチメントは、実施例1のように行った。
【0138】
「Y」アダプター及びスプリンターアダプターの両方を用いてライゲーションされた産物のPCRエンリッチメントは、DNA産物20μl、1×KAPA HiFi緩衝液、dNTP、1μMプライマーF及びプライマーR、並びに1U/μl KAPA HiFiポリメラーゼを含有する、50μl反応物中で行った。PCRプログラムは、以下のようであった:(i)95℃で5分間;(ii)98℃で20秒、60℃で30秒、72℃で1分間を、12サイクル、並びに(iii)72℃で10分間。PCR産物を、Agencourt AMPure XPビーズ(Beckman Coulter、A63881)を用いて精製し、EB(10mMトリス-HCl、pH8.0)18μl中に溶離した。
【0139】
図8Aは、キャピラリー電気泳動分析の実施例プロットを図示し、これはPCRエンリッチメント後の捕獲前のライブラリー断片の実施例サイズ分布を示している(上側及び下側のプロットは、各々、ELSA-12878-pre及びHS-12878-preである。「ELSA」は、スプリンターアダプターライブラリーを意味し、且つ「HS」は、「Y」アダプターライブラリーを意味する)。予想されるピークサイズは、200〜500bpであった。全てのライブラリーは、HT DNA高感度LabChipキット(Perkin Elmer)上に装加した。
【0140】
15μlの溶離緩衝液中の精製したDNAライブラリー750ngを、4μlブロッカー混合物とよく混合し、以下の条件でサーマルサイクラー内でインキュベーションした:(i)95℃で5分間;(ii)65℃で保持。その間に、ハイブリダイゼーション緩衝液(13×SSPE;13.5mM EDTA;13×デンハート液;0.45%SDS)の10μl、RNAse-インヒビター0.5μl及びAgilent SureSelect Custom Panelプローブプール0.5μlを、65℃で2分間予め温めた。次にDNA-ブロッカー混合物の全ての内容物を、このプローブ混合物へ移し、65℃でハイブリダイゼーション反応させ、16〜24時間続けた。
【0141】
ハイブリダイゼーション後、ストレプトアビジン-コンジュゲートしたDynaBeads(商標)(Thermo Fisher Scientific、65602)の25μlを、200μlの結合緩衝液(10mMトリス-HCl、pH8.0、0.5mM EDTA、1M NaCl)で4回洗浄することにより、順化した。DNA捕獲は、サーモミキサー内、25℃で600RPMで30分間実行した。非特異的結合によりプルダウンされた非-標的DNAを除去するために、ビーズを、最初に洗浄緩衝液1(0.15M塩化ナトリウム、0.015Mクエン酸ナトリウム、0.1%SDS)の500μlにより室温で1回洗浄し、次に洗浄緩衝液2(0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウム、0.1%SDS)により65℃で3回洗浄した。次にビーズを、20μlの溶離緩衝液(10mMトリス-HCl、pH8.0)中で再懸濁し、以下のインデックスPCR工程の鋳型として使用した。
【0142】
マルチプレックス配列決定のために、5μlインデックスプライマー(予め混合したi5及びi7、各々20μM)を、再懸濁したT1ビーズ20μl、及びKapaHiFiホットスタートレディミックス(Kapa Biosystem、KK2602)25μlを含有する反応物50μlへ添加した。PCRプログラムは、以下のようであった:(i)95℃で5分間;(ii)98℃で20秒、60℃で30秒、72℃で1分間を14サイクル;及び(iii)72℃で10分間。精製したDNAライブラリーを、EBの20μl中に溶離し、Qubit dsDNA HSアッセイキットにより定量した。
図8Bは、キャピラリー電気泳動分析の実施例プロットを図示し、これはインデックスPCR後の捕獲されたライブラリー断片の実施例サイズ分布を示している(上側及び下側プロットは、各々、ELSA-12878-post及びHS-12878-postである)。
【0143】
インデックスPCR工程の産物は、製造業者の指示に従いPE150サイクルランを使用し、Illumina NextSeq上で、配列決定した。FASTQ配列は、分析パイプラインにより脱マルチプレックス化させ、且つ一般的ライブラリー品質測定基準を分析した。Picard HSMetricsにより作製された例証的ライブラリーバイオインフォマティクスQC要約表を、表5A-Dに示している(「PC1」は、0.5%AF DNA混合物を意味し、「12878」は、NA12878ゲノムDNAを意味する)。
表5A
【表8】
表5B
【表9】
表5C
【表10】
表5D
【表11】
【0144】
配列は、変異を同定するために分析した。コールされた体細胞変異を、表6A-Cに列挙しており、これらはスプリンターアダプターライブラリーと「Y」アダプターライブラリーの間の性能を比較している。スプリンターアダプターライブラリーは、0.5% AF PC1でより良い変異検出感度を有するが、NA12878においては、いくつかの推定偽陽性コールがあった。
表6A
【表12】
表6B
【表13】
表6C
【表14】
【0145】
(実施例5)
ラムダDNAは、Promega(マジソン、WI、カタログ番号:D1521)から購入した。濃度は、Qubit dsDNA HSアッセイキット(Thermo Fisher Scientific、ウォルサム、MA、Q32851)により測定し、ライブラリー調製に使用したDNAの量は、1〜10ngの範囲であった。DNA基質は、50μlのIDTE緩衝液(Integrated DNA Technologies、コーラルビル、IA;11-05-01-09)中に希釈し、集中音波装置(Covaris、ウォーバン、MA、M220)を用い、約100〜600bpの断片に剪断した。音波処理のパラメータは、以下のように設定した:ピーク入射電力50W、デューティ因子20%、バースト当たりのサイクル数200、時間150秒、及び温度6〜8℃。剪断したDNA断片のサイズは、LabChip GXIIタッチ24(Perkin Elmer、ウォルサム、MA)により確認した。
【0146】
亜硫酸水素塩転換工程(BC)は、EZ-96 DNAメチル化-ライトニング(商標)MagPrep(Zymo、アーバイン、CA、D5047)から改変されたプロトコールにより実行した。ライトニング転換試薬97.5μl及び剪断ゲノムDNAの15μlを、48-ウェルプレート(Thermo Fisher Scientific、AB0648)へ添加した。これらの試料を、ピペッティングにより上下混合し、且つサーマルサイクラーにおいて以下の条件でインキュベーションした:(i)98℃で8分間;(ii)54℃で60分間;(iii)4℃で最大20時間貯蔵。BC-処理したDNA試料を、各ウェルに450μlのM-結合緩衝液及び7.5μlのMag結合ビーズが予め負荷された96-ウェルミディ-プレート(Thermo Scientific、AB0859)へ移した。成分を完全に混合し、プレートを、室温で5分間放置した。次にプレートを、更に5分間磁気スタンドに移し、上清を除去した。ビーズを、M-洗浄緩衝液300μlで洗浄し、ビーズをL-脱スルホン化緩衝液150μlと共に、室温(20〜30℃)で25分間インキュベーションした。プレートを、磁気スタンド上に3分間配置し、上清を廃棄し、その後ビーズを、M-洗浄緩衝液300μlで2回洗浄した。洗浄工程後、プレートを、金属ヒーター(Illumina、サンディエゴ、CA、SC-60-504、BD-60-601)に、55℃で30分間移し、ビーズを乾燥させ、次にM-溶離緩衝液16μlを添加し、更に4分間、55℃でインキュベーションした。次にプレートを、磁気スタンドに1分間動かし、上清を回収し、後続のライブラリー調製工程の鋳型とした。
【0147】
アダプターMDA1は、下側鎖上に、8つの塩基の3’オーバーハング及び4つの塩基の5’オーバーハングを有するように設計した。3’オーバーハングは、モル比3:1でランダムに合成された8つのG又はAを複数有する。4つの塩基の5’オーバーハングは、上側鎖上に劣性3’末端を作製し、これは、上側鎖の3’末端の不完全なブロックのために、リーキーなTdT活性を防いだ。第一のテーリング及びライゲーション工程時に、この3’オーバーハングは、1本鎖化されたDNA基質の3’末端ポリ-C/Tテールへアニーリングした(
図9に図示)。MDA1を形成するオリゴヌクレオチドの配列を、
図10に図示した。MDA1アダプターは、オリゴATN-R2-Top及びATN-R2-Botを一緒にアニーリングすることにより調製した。詳細には、各オリゴ50μl(100μM)を混合し、95℃で10分間インキュベーションし、0.1mM EDTA及び50mM NaClを含有する10mM トリス-HCl中で、ゆっくり室温まで冷却した。両方のオリゴの3’末端を、リン酸基によりブロックし、セルフライゲーションを防いだ。
【0148】
MDA2アダプターは、7つのN(モル比1:1:1:1でランダムに合成されたA、T、G又はC)を複数有するように設計した。これは、1本鎖化されたDNA基質の3’末端へアニーリングし、第二のライゲーション工程時に、MDA2とDNA基質の間のライゲーションを引き起こした(
図9に図示)。MDA2アダプターは、オリゴATN-R1-Top及びATN-R1-Botを一緒にアニーリングすることにより調製した。MDA2を形成するオリゴヌクレオチドの配列は、
図10に図示している。MDA1、MDA2を形成するオリゴヌクレオチド、並びに「アンカープライマー」と称される増幅プライマーの配列を、表7に示している。
表7
【表15】
【0149】
亜硫酸水素塩転換したDNA断片を、DNA試料12.5μl、10×CutSmart緩衝液(NEB, B7204S)1.5μl、エビアルカリホスファターゼ(New England Biolabs(NEB)、イプスウィッチ、MA、M0371L)1μlと混合し、37℃で30分間インキュベーションすることにより、末端-修復させた。これらの生成物を、95℃で5分間インキュベーションさせ、氷上で急冷することにより、更に変性した。
【0150】
次に、第一のライゲーション反応を、予め処理したDNA基質、1×CutSmart緩衝液、0.25mM CoCl
2(NEB、B0252S)、0.025mMβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NEB、B9007S)、0.09mM dCTP(Roche、11934520001、Sigma-Aldrich、セントルイス、MOから販売)、0.01mM dTTP(Roche、11934546001)、1μM MDA1アダプター、0.5U/μl大腸菌リガーゼ(NEB、M0205L)及び0.5U/μl末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT;NEB、M0315S)を含有する20μlの反応容積で行った。この反応物を、37℃で30分間インキュベーションし、引き続き95℃で2分間加熱し、及び4℃で維持した。
【0151】
ライゲーションされた生成物を、伸長させ、且つ1×KAPA HiFiホットスタートウラシル+レディミックス(KAPA Biosystems、ウィルミントン、MA、KK2802)、及び0.91μMアンカープライマーの存在下で、直線的に増幅した。この直線的増幅反応を、以下の熱プロファイルで実行した:(i)95℃で5分間;(ii)98℃で20秒間、62℃で30秒間、72℃で1分間を、15サイクル、並びに(iii)72℃で5分間。この反応が完了した後、緩衝液を、2.5× AMPure XPビーズ(Beckman Coulter、ブレア、CA、A63881)による精製により交換し、且つ11.5μl溶離緩衝液(10mMトリス-HCl、pH8.0)により溶離した。
【0152】
第二のライゲーション反応は、精製されたDNA産物10μl、1×T4 DNAリガーゼ緩衝液、10%PEG8000、1μM MDA1アダプター、及び20U/μl T4 DNAリガーゼ(NEB、M0202L)を含有する20μl反応容積で行った。この反応物を、20℃で30分間インキュベーションし、引き続き65℃で20分間加熱し、及び4℃で維持した。
【0153】
ライゲーションされた産物のPCRエンリッチメントは、前述のDNA産物20μl、1×KAPA HiFi緩衝液、dNTP、1μMプライマーF及びプライマーR、並びに1U/μl KAPA HiFiポリメラーゼを含有する、50μl反応物中で行った。PCRプログラムは、以下のようであった:(i)95℃で5分間;(ii)98℃で20秒、60℃で30秒、72℃で1分間を、8サイクル、並びに(iii)72℃で10分間。PCR産物を、Agencourt AMPure XPビーズ(Beckman Coulter、A63881)を用いて精製し、EB(10mMトリス-HCl、pH8.0)18μl中に溶離した。
【0154】
マルチプレックス配列決定のために、5μlインデックスプライマー(予め混合したi5及びi7、各々20μM)を、前述の精製したPCR産物1μl、及びKapaHiFiホットスタートレディミックス(Kapa Biosystem、KK2602)25μlを含有する反応物50μlへ添加した。PCRプログラムは、以下のようであった:(i)98℃で45秒;(ii)98℃で15秒、60℃で30秒、72℃で1分間を、6サイクル;及び、(iii)72℃で5分間。精製したDNAライブラリーを、EBの20μl中に溶離し、Qubit dsDNA HSアッセイキットにより定量した。
【0155】
図11は、キャピラリー電気泳動分析の実施例プロットを図示し、これはインデックスPCR後のライブラリー断片のサイズ分布を示している。全てのライブラリーは、HT DNA高感度LabChipキット(Perkin Elmer)上に装加した。
【0156】
インデックスPCR工程の産物は、製造業者の指示に従いPE150サイクルランを使用し、Illumina Novaseq上で、配列決定した。FASTQ配列は、分析パイプラインにより脱マルチプレックス化させ、且つ一般的ライブラリー品質測定基準を分析した。例証的ライブラリーバイオインフォマティクスQC要約表を、下記表8に示している。
表8A
【表16】
表8B
【表17】
【0157】
先に説明したライブラリー調製法の概略図を、
図9に提供している。テーリング工程は、好適なdNTP(複数可)と共にTdTを用いて行い、ssDNA断片の3’末端へ、ホモポリマー又はほぼ(near)ホモポリマーのテールを作製した。このホモポリマーは、上側鎖において5’リン酸基を含むアダプターの3’オーバーハングへアニーリングする。リガーゼにより触媒されるライゲーション反応は、ssDNA断片の3’末端をシールし、余分なテーリングを防ぐ。アダプターの下側鎖は、アンカープライマーにより競合され、直線的増幅プロセスの開始部位を露出する。増幅されたssDNA鎖は、ライゲーションの第二ラウンドの基質として働き、ここでスプリントオリゴヌクレオチドを使用し、dsDNA断片の短い部分配列を作製し、これはT4 DNAリガーゼによる標準dsDNAライゲーションを使用し、アダプターの引き続きのライゲーションを可能にする。
【0158】
前述のことから、本発明の具体的な実施態様は、例証を目的として本明細書において説明されているが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることは、明らかであろう。
【0159】
本発明の説明を通じて、様々な特許出願及び公開文書が参照とされ、その各々は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【手続補正書】
【提出日】2020年10月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]
【国際調査報告】