(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-517906(P2021-517906A)
(43)【公表日】2021年7月29日
(54)【発明の名称】がんにおける免疫療法との併用タキソイドナノエマルジョン
(51)【国際特許分類】
A61K 47/54 20170101AFI20210702BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20210702BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20210702BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20210702BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20210702BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20210702BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20210702BHJP
【FI】
A61K47/54
A61K9/107ZNA
A61P35/00
A61K39/395 T
A61P35/02
A61P43/00 121
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2020-557314(P2020-557314)
(86)(22)【出願日】2018年12月19日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月15日
(86)【国際出願番号】US2018066465
(87)【国際公開番号】WO2019126302
(87)【国際公開日】20190627
(31)【優先権主張番号】62/608,015
(32)【優先日】2017年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】518432056
【氏名又は名称】タルガジェニックス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TARGAGENIX, INC.
(71)【出願人】
【識別番号】508095256
【氏名又は名称】ザ リサーチ ファウンデーション フォー ザ ステイト ユニバーシティ オブ ニューヨーク
(71)【出願人】
【識別番号】591127113
【氏名又は名称】ノースイースタン・ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イーガン、ジェイムズ イー.
(72)【発明者】
【氏名】アミジ、マンスール
(72)【発明者】
【氏名】オジマ、イワオ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C085AA14
4C085EE03
(57)【要約】
PDACなどの難治性がんにおける治療有効性を強化するために、免疫−腫瘍学(IO)薬剤と組み合わせて水中油型ナノエマルジョン(NE)薬物送達システムに製剤化されたオメガ−3多価不飽和脂肪酸(PUFA)−タキソイドコンジュゲートの組成物。NE薬物送達システムにカプセル化されたIO薬剤と組み合わせてオメガ03 PUFA−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物を、処置を必要とする対象に投与し、がんを処置することによって、がんを処置する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫−腫瘍学(IO)薬剤と組み合わせて水中油型ナノエマルジョン(NE)薬物送達システムに製剤化されたオメガ−3多価不飽和脂肪酸(PUFA)−タキソイドコンジュゲートを含む医薬組成物。
【請求項2】
PUFAが、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびα−リノレン酸(LNA)からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
PUFA−タキソイドコンジュゲートがNE−DHA−SBT−1214である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
タキソイドが、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、SBT−1213、SBT−12854、SBT−121303;SBT−1216、SBT−11033、SBT−121313、SBT−121602、カバジタキセル、SBT−1212、SBT−1217、SBT−1102、SBT−1103、SBT−1104、SBT−1106、SBT−1107、SBT−121301、SBT−121302、SBT−121304、SBT−121403、SBT−11031、SBT−11032、SBT−11034、SBT−12851、SBT−12852、SBT−12853、SBT−12855、SBT−12851−1、SBT−12851−3、SBT−12852−1、SBT−12852−3、SBT−12853−1、SBT−12853−3、SBT−12854−1、SBT−12854−3、SBT−12855−1およびSBT−12855−3からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
IO薬剤が抗PD−L1抗体である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
IO薬剤が、イピルムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、ピジルズマブ(pidiluzumab)、デュルバルマブ、抗CD47抗体、インドールアミン(2,3)−ジオキシゲナーゼ阻害剤、抗GD2抗体、アレムツズマブ、オファツムマブ、リツキシマブおよびサイトカインからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
水中油型NEが、オメガ−3脂肪酸に富む食用油を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
オメガ−3脂肪酸に富む食用油が、魚油、亜麻仁油、松の実油、ベニバナ油、サクラソウ油、ブラックカラント油、ボラージ油、小麦胚芽油、チア油、麻油、ペリラ油、ブドウ油、スクアレン油および真菌油からなる群から選択される、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
オメガ−3脂肪酸に富む食用油が、界面活性剤および標的化剤からなる群から選択される化合物で修飾されている、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
IO薬剤と組み合わせてNE薬物送達システムにカプセル化されたPUFA−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物を、処置を必要とする対象に投与するステップと、
がんを処置するステップと
を含む、がんを処置する方法。
【請求項11】
腫瘍微小環境でのPD−L1の発現を増加させるステップと、CD4+腫瘍浸潤リンパ球およびCD8+腫瘍浸潤リンパ球を増加させるステップと、対象をIO薬剤に対してより反応性にするステップとをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
がんが高度薬剤耐性である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
がんが、乳がん、卵巣がん、肺がん、頭頸部がん、結腸がん、直腸がん、膵臓がん、黒色腫、脳がん、前立腺がん、白血病、肉腫、甲状腺がん、非ホジキンリンパ腫、膀胱がん、神経膠腫、子宮内膜がんおよび腎がんからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
腫瘍で生存遺伝子を下方制御し、p53およびp21を活性化するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
PUFAが、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびα−リノレン酸(LNA)からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
PUFA−タキソイドコンジュゲートがNE−DHA−SBT−1214である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
タキソイドが、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、SBT−1213、SBT−12854、SBT−121303;SBT−1216、SBT−11033、SBT−121313、SBT−121602、カバジタキセル、SBT−1212、SBT−1217、SBT−1102、SBT−1103、SBT−1104、SBT−1106、SBT−1107、SBT−121301、SBT−121302、SBT−121304、SBT−121403、SBT−11031、SBT−11032、SBT−11034、SBT−12851、SBT−12852、SBT−12853、SBT−12855、SBT−12851−1、SBT−12851−3、SBT−12852−1、SBT−12852−3、SBT−12853−1、SBT−12853−3、SBT−12854−1、SBT−12854−3、SBT−12855−1およびSBT−12855−3からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
IO薬剤が抗PD−L1抗体である、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
PD−L1を上方制御するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
IO薬剤が、抗PD−1抗体、イピルムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、ピジルズマブ(pidiluzumab)、デュルバルマブ、抗CD47抗体、インドールアミン(2,3)−ジオキシゲナーゼ阻害剤、抗GD2抗体、アレムツズマブ、オファツムマブ、リツキシマブおよびサイトカインからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
水中油型NEが、オメガ−3脂肪酸に富む食用油を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項22】
オメガ−3脂肪酸に富む食用油が、魚油、亜麻仁油、松の実油、ベニバナ油、サクラソウ油、ブラックカラント油、ボラージ油、小麦胚芽油、チア油、麻油、ペリラ油、ブドウ油、スクアレン油および真菌油からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
オメガ−3脂肪酸に富む食用油が、界面活性剤および標的化剤からなる群から選択される化合物で修飾されている、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
処置された腫瘍が、処置後、低密度の間質を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項25】
腫瘍内IFN−γ産生T細胞を増加させるステップと、炎症性マクロファージの浸潤を誘導するステップとをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
助成金情報
本出願の研究は、アメリカ国立衛生研究所からの助成金(NIH助成金番号CA103314、CA132396およびHHSN261201500018C)によって部分的にサポートされた。政府は本発明における一定の権利を有する。
【0002】
本発明は、がん、特に多剤耐性がんの処置に関する。より具体的には、本発明は、タキソイドと免疫療法の併用処置に関する。
【背景技術】
【0003】
PD−1およびPD−L1阻害剤は、様々な形態のがんを処置するために使用される免疫チェックポイント阻害剤である。残念ながら、PD−1/PD−L1阻害剤と相関し、その有効性に必要とされる可能性さえある重要なパラメータの1つであり得る、腫瘍細胞によるPD−L1の発現は、腫瘍型および個々の患者によって異なる(例えば、Taubeら、Clin Cancer Res;20(19):5064−74(2014)ならびにSunshineおよびTaube、薬理学における近年の動向(Current Opinion in Pharmacology)、23:32−38(2015)参照)。CTLA−4阻害剤も、様々な形態のがんを処置するために開発されているチェックポイント阻害剤である。CTLA−4発現も、CTLA−4阻害剤の有効性と相関することが示されている。
【0004】
膵管腺癌(PDAC)は致死的で侵攻性の疾患であり、日常的に追跡されている腫瘍型の中で5年患者生存率が最も低い(6%)。PDACの発生率は上昇しており、2025年までに米国でがん関連死の2番目に多い原因になると予測されている。PDACは、線維芽細胞、細胞外マトリックスおよび炎症性白血球に富む高密度の線維形成性間質によって区別される(ただし、浸潤性エフェクターT細胞はほとんどない)。一定の併用化学療法はPDACに対してますます有効であるが、腫瘍反応率は低いままであり、持続性が短い。ヒト膵臓腫瘍の亜集団としてのがん開始細胞またはがん幹細胞(CSC)の存在が確認されており、CSCは腫瘍増殖、浸潤および転移の増加、ならびに化学療法および放射線療法への耐性に起因するとされている。コラーゲンおよびヒアルロン酸に富むPDACの精巧な線維形成性細胞外マトリックスは、腫瘍内の血管系およびリンパ液排出を激しく歪め、灌流減少および間質液圧上昇をもたらす。したがって、血管機能障害は、腫瘍塊内に深く巣くったがん細胞に浸透し、薬物を送達する能力を制限する、PDACの別の特徴となる特性である。血管機能障害はさらに、腫瘍内の最適以下の酸素利用可能性に関連しており、化学療法および放射線療法に対する耐性の付与、ならびにがん細胞の侵襲性および転移能の増加に関係している低酸素微小環境を生じさせる。低酸素環境には、CSC様形質を示す高度薬剤耐性の静止細胞が含まれているため、この幹細胞の亜集団が、疾患を有効に処置し、臨床的再発に対処するための療法の重要な標的である。連携して機能するこれらの因子の全てが、PDACに対する安全で有効な療法を設計する上で克服できない障害を提示する。
【0005】
ここ約20年間、ゲムシタビンがPDACの化学療法の大黒柱であった。無作為化第III相試験では、生活の質において5−フルオロウラシル(5−FU)よりもゲムシタビンが優れていること、および中央全生存期間4.41ヶ月〜5.65ヶ月が実証された。この研究の後、化学療法剤とゲムシタビンの様々な組み合わせで複数の試験が行われた。残念ながら、最近まで、これらの試験のほとんどは、いくつかの例外を除いて、がっかりするほど否定的であった。著しく改善された全生存期間を示す最初の第III相臨床試験は、ロイコボリン調節5−フルオロウラシル、イリノテカンおよびオキサリプラチン(FOLFIRINOX)との新たな併用療法で報告され、中央生存期間11.1ヶ月をもたらした。しかしながら、FOLFIRINOXレジメンは、好中球減少症、下痢および感覚性ニューロパチーを含む重大な毒性を伴い、パフォーマンスステータスが良好な患者のみに使用が制限される。ナノ粒子アルブミン結合(nab)−パクリタキセル(ABRAXANE(登録商標))との別の新たな併用ゲムシタビンレジメンが、転移性膵臓腺癌試験(MPACT)の第III相臨床試験で導入された。ゲムシタビン+ABRAXANE(登録商標)は、ゲムシタビン単剤療法の6.6ヶ月と比較して、中央全生存期間を8.7ヶ月まで増加させた。さらに、ゲムシタビン+(nab)−パクリタキセルは、FOLFIRINOXと比較して毒性が低く、米国で新たに転移性膵臓がん(PC)と診断された患者の社会環境で最も広く使用されるレジメンになっている。しかしながら、2つの新たなレジメン−FOLFIRINOXとゲムシタビン+(nab)−パクリタキセル−で改善が行われたにもかかわらず、両レジメンでの無増悪生存期間は依然として悲惨なままである。2つのレジメンのいずれかで処置された多くの患者は最終的には再発し、第二選択療法を必要とする。さらに、抗PD−1または抗CTLA−4抗体療法などの新たな免疫腫瘍学「IO」薬剤は、高度な免疫抑制性の微小環境およびT細胞の腫瘍塊への浸潤を阻害する高密度間質のため、PDACで有効性を示していない。そのため、侵攻性で難治性のPDACには、悲惨な生存統計を改善することができるより優れた治療選択肢を開発するという重大な満たされていないニーズがある。
【0006】
PDACにおける最適な治療効果の欠如は、CSC種からの腫瘍の再増殖に加えて初期処置後の腫瘍獲得耐性の両方に関連している。併用処置レジメンで提供するための理想的な薬物は、腫瘍を減量すると同時にがん幹細胞集団を標的とする薬物であるだろう。パクリタキセルなどの薬物の利点の1つは、細胞生存に絶対に必要な細胞の基本成分であるチューブリン/微小管を標的とすることである。しかしながら、排出ポンプなどの多剤耐性(MDR)機構の上方制御またはチューブリン突然変異によって、耐性が達成され得る。したがって、がん化学療法における継続的な課題は、腫瘍に対する選択性が高く、MDRを克服し、薬理学が改善され、毒性が減少した新たな細胞傷害性薬剤を開発することである。
【0007】
DHA−SBT−1214などの次世代タキソイドの1つが、これらの課題に対処する。これは、単独処置として、または他の治療様式と組み合わせて、診療所で潜在的に有用な療法となるいくつかの固有の特性を有する。DHA−SBT−1214は、多くの薬剤耐性腫瘍型に対して活性であり、P−糖タンパク質(P−gp)トランスポーターの過剰発現などの、いくつかのMDR機構の基質ではなく、処置によって、膵臓がん、結腸がんおよび前立腺がんの異種移植モデルで完全な腫瘍退縮が得られる。DHA−SBT−1214は、MDR表現型を発現する薬剤耐性細胞株に対して、パクリタキセルおよびドセタキセルよりも2〜3桁高い効力を示した。次に、DHA−SBT−1214は、3つのヒト結腸がん細胞株DLD−1、HTC−116およびHT−29から精製されたCSCの幹関連遺伝子を下方制御することが示されている。DHA−SBT−1214は、パクリタキセルが完全に効果がなく、ABRAXANE(登録商標)が腫瘍増殖の遅延および生存率の改善にごくわずかしか有効でなかった、患者由来の前立腺がん幹細胞異種移植モデルで有効であった。パクリタキセルおよびドセタキセルは、最初は乳がん、卵巣がんおよび肺がんに対して有効であり、膵臓がんに対しては限られた有効性しか示さないが、ヒトアルブミン製剤化パクリタキセルは、いくつかの利点を示している。PDACは、パクリタキセルおよびドセタキセルを含む疎水性抗がん剤を排出する有効なATP結合カセット(ABCトランスポーター)であるPgpの過剰発現により、本質的に難治性である。パクリタキセルとは明確に対照的に、DHA−SBT−1214は、PDAC細胞および腫瘍異種移植片を含むMDR表現型を発現する薬剤耐性がん細胞に対して顕著な活性を示す。したがって、DHA−SBT−1214が、パクリタキセル、ドセタキセルおよびABRAXANE(登録商標)の弱点を克服する強力な腫瘍標的化学療法剤であり、PDAC患者の生活の質を大幅に改善するというあらゆる示唆がある。
【0008】
PDACの臨床処置のための治療薬としてのDHA−SBT−1214およびその他のタキソイドを開発するためには、いくつかの重要な考慮事項を満たさなければならない。第一に、これらの薬物は極めて疎水性であるため、分子を可溶化し、全身送達可能性を提供できる安全な製剤が必要である。第二に、エステル結合を通して結合したDHA分子が、水性環境、特にエステラーゼの存在下で切断されやすい。第三に、腫瘍塊への標的化送達を強化することによって、タキソイドのオフターゲット効果を減少させることが重要である。これらの要件に基づいて、水中油型ナノエマルジョン製剤を含有するオメガ3に富む魚油を開発し、ナイーブマウスとPPT−2ヒト前立腺腫瘍保有マウスの両方を使用して、溶液製剤と比較して、薬物の生体内分布および薬物動態を評価した。
【0009】
ナノエマルジョンは、超音波または高圧均質化法のいずれかを使用して、油滴がナノメートルサイズに縮小されている水中油で構成された不均一系である。油滴の表面は、界面張力を低下させ、水性媒体の存在下で安定性を提供するよう両親媒性分子で装飾されている。DHA−SBT−1214は、ナノエマルジョンの油滴にカプセル化することができ、エステラーゼによる加水分解から保護される。ポリ(エチレングリコール)(PEG)による油滴の表面修飾は、全身投与時の循環半減期を延長し、血管透過性・滞留性亢進(enhanced permeability and retention)(EPR)効果によって、漏出性血管系による固形腫瘍への受動的標的化を行う。さらに、腫瘍におけるオメガ3に富む油のより高い蓄積を示唆し、全身投与時に腫瘍塊へのタキソイドの送達において追加の選択性を提供する可能性もある証拠が存在する。
【0010】
がんの処置は、がん免疫療法の出現によって近年著しく進歩している。チェックポイント阻害剤(CI)は、今や外科手術、放射線療法および化学療法のより確立された様式と共にがんを処置し、多くのがん患者に新たな治療上の希望を提供するための基本的な新しい様式として確立されている。既にPD−1阻害剤ペンブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))およびニボルマブ(OPDIVA(登録商標))が、第一選択転移性黒色腫、B−raf阻害剤またはイピリムマブによる療法に失敗した転移性黒色腫、および白金ベースの療法に失敗した非小細胞肺がんの処置に承認されている。近年、ペンブロリズマブが、腎がんの第二選択処置として承認され、PD−L1阻害剤であるデュルバルマブ(IMFINZI(登録商標))が、手術不能または再発性の転移性膀胱がんのための画期的指定を受けた。臨床的成功にもかかわらず、これらの薬物は少数の患者でしか作用せず、PDAC患者には最小限の効果しか示していない。チェックポイント阻害剤に対する患者の反応率を高めることができる化合物を特定するために多大な努力が払われており、Winogradらは、ABRAXANE(登録商標)などの化学療法剤と組み合わせることによって、CIに対する完全な耐性を克服することができることをマウスモデルで示した。標的の発現増加およびT細胞浸潤を通した抗腫瘍免疫学的効果の促進におけるタキソイドの効果を示す出願人自身のデータを含む、有意な肯定的な証拠が存在する。タキサン処置は、腫瘍関連マクロファージ細胞傷害性を刺激し、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、腫瘍特異的細胞傷害性T細胞の活性化を誘導し、制御性T細胞(「T
regs」)を下方制御することが示されている。これが、骨髄由来サプレッサー細胞の機能を阻害することも示されている。このようなアプローチを抗PD−L1/PD−1療法と組み合わせると、臨床的利益が広がり、より多くの割合の患者が含まれるようになる。
【0011】
提示された予備的な証拠に基づいて、NE−DHA−SBT−1214は、腫瘍の減量とがん幹細胞の殺傷の両方を行う固有の機会を提供し、よって、IO薬剤と組み合わせるよう仕向ける前例のない道を切り開く。NE−DHA−SBT−1214とIO療法の併用の時間的順序付けは、この併用療法の潜在的な相乗効果を明らかにする上で重要になる。腫瘍を減量し、間質透過性に影響を及ぼすことによって、抗原を系に潜在的に放出し、がん幹細胞を殺傷することによって、がん幹細胞抗原を放出すると同時にこれらの細胞の再増殖効果を減少させている。腫瘍を減量することの追加の効果は、腫瘍の固有の免疫抑制のレベルを減少させていることである(例えば、免疫抑制サイトカインおよび免疫抑制リガンドを放出する腫瘍細胞の数の減少)。減量はまた、線維形成性間質の存在により、PDACの重大な障壁である腫瘍間質へのT細胞透過性を強化する。
【0012】
より有効ながん処置の必要性、およびがん処置における免疫学薬剤の有効性を高める必要性が依然として残っている。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、PDACなどの難治性がんにおける治療有効性を強化するために、免疫−腫瘍学(IO)薬剤と組み合わせて水中油型ナノエマルジョン(NE)薬物送達システムに製剤化されたオメガ−3多価不飽和脂肪酸(PUFA)−タキソイドコンジュゲートの組成物を提供する。
【0014】
本発明はまた、NE薬物送達システムにカプセル化されたIO薬剤と組み合わせてオメガ−3 PUFA−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物を、処置を必要とする対象に投与し、がんを処置することによって、がんを処置する方法を提供する。
【0015】
本発明の他の利点は、添付の図面に関連して考慮した場合、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されるようになるので、容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】分子DHA−SBT−1214の描写を示す図である。
【0017】
【
図2】CFPAC−1腫瘍移植後の中央腫瘍体積のグラフである。
【0018】
【
図3】PANC−1腫瘍移植後の中央腫瘍体積のグラフである。
【0019】
【
図4】Panc−02腫瘍移植後の中央腫瘍体積のグラフである。
【0020】
【
図5A】Panc02細胞に対する様々な抗がん剤の活性のグラフである。
【
図5B】Panc02細胞に対する様々な抗がん剤の活性のグラフである。
【0021】
【
図6A】ナノエマルジョンの透過型電子顕微鏡(TEM)である。
【
図6C】油滴のゼータ電位または表面電荷の測定(mV)を示す図である。
【
図6D】Panc02細胞におけるローダミンカプセル化ナノエマルジョン製剤の取り込みを示す図である。
【0022】
【
図7】インビトロでの様々な抗がん剤処置に応答した、およびインビボでの処置なしのPD−L1表面タンパク質発現のグラフである。
【0023】
【
図8】Panc02マウス腫瘍と比較した、未処置Panc02細胞およびIFN−γ(20ng/mlで4時間)処置Panc02細胞のウエスタンブロットを示す図である。
【0024】
【
図9】試験した処置についての腫瘍体積対時間のグラフである。
【0025】
図10A〜
図10Jは、様々な処置様式からの採取時に撮影された腫瘍画像である。
【
図10A】ビヒクルで処置されたマウスの腫瘍を示す図である。
【
図10B】PD−L1(200μg)で処置されたマウスの腫瘍を示す図である。
【
図10C】ABRAXANE(商標)+IgG(200μg)で処置されたマウスの腫瘍を示す図である。
【
図10D】ABRAXANE(商標)+PD−L1(200μg)で処置されたマウスの腫瘍を示す図である。
【
図10E】NE−DHA−SBT−1214(10mg/kg)+IgG(200μg)で処置されたマウスの腫瘍を示す図である。
【
図10F】ゲムシタビン+IgG(200μg)で処置されたマウスの腫瘍を示す図である。
【
図10G】ゲムシタビン+PD−L1(200μg)で処置されたマウスの腫瘍を示す図である。
【
図10H】NE−DHA−SBT−1214(10mg/kg)+PD−L1(200μg)で処置されたマウスの腫瘍を示す図である。
【
図10I】NE−DHA−SBT−1214+IgG(200μg)で処置されたマウスの腫瘍を示す図である。
【
図10J】NE−DHA−SBT−1214+PD−L1(200μg)で処置されたマウスの腫瘍を示す図である。
【0026】
【
図11】様々な併用療法による処置によって誘導された体重変化を示すグラフである。
【0027】
【
図12】RT−PCRを使用して分析された様々なマウス腫瘍処置群からのPD−L1のmRNA発現のグラフである。RT−PCRデータの相対的遺伝子発現をマウスβ−アクチンと比較して計算した。
【0028】
【
図13】RT−PCRを使用して分析された様々なマウス腫瘍処置群からのPD−1のmRNA発現のグラフである。RT−PCRデータの相対的遺伝子発現をマウスβ−アクチンと比較して計算した。
【0029】
【
図14】RT−PCRを使用して分析された様々なマウス腫瘍処置群からのCD−4のmRNA発現のグラフである。RT−PCRデータの相対的遺伝子発現をマウスβ−アクチンと比較して計算した。
【0030】
【
図15】RT−PCRを使用して分析された様々なマウス腫瘍処置群からのCD−8のmRNA発現のグラフである。RT−PCRデータの相対的遺伝子発現をマウスβ−アクチンと比較して計算した。
【0031】
【
図16】RT−PCRを使用して分析された様々なマウス腫瘍処置群からのArginase−1のmRNA発現のグラフである。RT−PCRデータの相対的遺伝子発現をマウスβ−アクチンと比較して計算した。
【0032】
【
図17】調製された様々な処置群からの腫瘍組織溶解物、およびウエスタンブロッティングを使用して分析された様々なタンパク質のタンパク質レベルを示す図である。
【0033】
図18A〜
図18Jは、対照および様々な併用処置マウスから収集されたPanc02誘発腫瘍組織(ヘマトキシリンおよびエオシン染色)の組織病理学的評価を示している。
【
図18C】ABRAXANE(商標)+IgGの図である。
【
図18D】ABRAXANE(商標)+PD−L1の図である。
【
図18G】10mg/kg NE−DHA−SBT−1214+IgGの図である。
【
図18H】10mg/kg NE−DHA−SBT−1214+PD−L1の図である。
【
図18I】25mg/kg NE−DHA−SBT−1214+IgGの図である。
【
図18J】25mg/kg NE−DHA−SBT−1214+PD−L1の図である。
【0034】
図19A〜
図19Jは、免疫組織化学による浸潤CD4細胞の分析を示している。
【
図19C】ABRAXANE(商標)+IgGの図である。
【
図19D】ABRAXANE(商標)+PD−L1の図である。
【
図19G】10mg/kg NE−DHA−SBT−1214+IgGの図である。
【
図19H】10mg/kg NE−DHA−SBT−1214+PD−L1の図である。
【
図19I】25mg/kg NE−DHA−SBT−1214+IgGの図である。
【
図19J】25mg/kg NE−DHA−SBT−1214+PD−L1の図である。
【0035】
図20A〜
図20Jは、免疫組織化学による浸潤CD8細胞の分析を示している。
【
図20C】ABRAXANE(商標)+IgGの図である。
【
図20D】ABRAXANE(商標)+PD−L1の図である。
【
図20G】10mg/kg NE−DHA−SBT−1214+IgGの図である。
【
図20H】10mg/kg NE−DHA−SBT−1214+PD−L1の図である。
【
図20I】25mg/kg NE−DHA−SBT−1214+IgGの図である。
【
図20J】25mg/kg NE−DHA−SBT−1214+PD−L1の図である。
【0036】
図21A〜
図21Jは、免疫組織化学による浸潤PD1細胞の分析を示している。
【
図21C】ABRAXANE(商標)+IgGの図である。
【
図21D】ABRAXANE(商標)+PD−L1の図である。
【
図21G】10mg/kg NE−DHA−SBT−1214+IgGの図である。
【
図21H】10mg/kg NE−DHA−SBT−1214+PD−L1の図である。
【
図21I】25mg/kg NE−DHA−SBT−1214+IgGの図である。
【
図21J】25mg/kg NE−DHA−SBT−1214+PD−L1の図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、概して、がんを処置するための組成物に関する。組成物は、好ましくは免疫−腫瘍学(IO)薬剤と組み合わせて水中油型ナノエマルジョン(NE)薬物送達システムに製剤化されたオメガ−3多価不飽和脂肪酸(PUFA)−タキソイドコンジュゲートである。好ましい実施形態は、抗PD−L1抗体と組み合わせた、NE−DHA−SBT−1214(PUFA−タキソイドコンジュゲートが、その構造が
図1に示されるDHA−SBT−1214である)である。
【0038】
「第二世代タキソイド」という用語は、(i)C−3’−フェニル基がアルケニルまたはアルキル基で置き換えられており、(ii)C−10位が一定のアシル基で修飾されており、C−3’N位がt−Boc基である、パクリタキセル(タキソール)およびドセタキセル(タキソイド)などの第一世代タキサンを指すために使用される。「PUFA−タキソイドコンジュゲート」という用語は、C2’位で多価不飽和脂肪酸(PUFA)にコンジュゲートしたタキソイドを指すために使用される。PUFA−タキソイドコンジュゲートは、腫瘍に優先的に蓄積され、長期間滞在する能力を特徴としながら、特に多剤耐性腫瘍に対して印象的な有効性を示す(Ojima,I.、がんを処置するためのタキソイド―脂肪酸コンジュゲートおよびその医薬組成物(Taxoid−Fatty Acid Conjugates and Pharmaceutical Compositions Thereof for Treatment of Cancer)、米国特許第7,820,839号明細書、2010年10月26日)。
【0039】
「ナノエマルジョン」(NE)という用語は、平均液滴直径が50〜1000nmの範囲であり、直径200nm超が好ましい水中油型エマルジョンを指すために使用される。好ましいNE油相は、魚油または亜麻仁油などのオメガ−3脂肪酸に富む食用油を使用して、Amijiらの米国特許出願公開第20070148194号明細書のように調製される。それだけに限らないが、松の実油、ベニバナ油、サクラソウ油、ブラックカラント油、ボラージ油、小麦胚芽油、チア油、麻油、ペリラ油、ブドウ油、スクアレン油および真菌油などの他の油を使用することができる。油滴は、リン脂質(例えば、LIPOID(登録商標))およびポリ(エチレンオキシド)含有非イオン性界面活性剤(例えば、PluronicまたはTween)を含む界面活性剤で修飾される。油滴の表面はまた、葉酸塩、EGFRペプチドおよび他の既知の標的化リガンドの使用を含む、標的化剤による腫瘍細胞への選択的標的化のために修飾することもできる。組成物はまた、フルオロフォア、MRI造影剤または放射性化合物を含む画像造影剤を含有することもできる。
【0040】
本明細書で使用される「免疫腫瘍学薬剤」または「IO薬剤」という用語は、がんに対する反応を提供するために体の免疫系を標的とする任意の薬剤を指す。多くのがん細胞は、体の免疫系によって認識され得る腫瘍関連抗原を有し、これらの抗原が能動免疫療法で標的化され得る。受動免疫療法は、体の既存の抗腫瘍反応を強化することができる。免疫系の必須の役割は、悪性細胞の増殖から体を保護することである。免疫調節は、ますます多くのがんの処置にとって重要であると見なされている。いくつかの新たながん免疫療法について規制当局の承認が達成されており、その他多くが開発段階にある。特に、免疫浸潤の程度およびエフェクターT細胞と制御性T細胞の比は、多くの異なる種類のがんの多変量解析において、療法に関係なく、堅牢な予後因子であることが示されている。高レベルの免疫浸潤を伴うがんは、一般的に進行が遅くなる。免疫浸潤の再現性のある定量化のため方法論が現在検証されている。
【0041】
いくつかの免疫抑制経路は、T細胞が悪性腫瘍に有効に浸潤するのを防ぐ、および/またはリンパ球に浸潤する機能を抑制することが知られている。これらの経路には、(1)機能障害性抗原提示細胞の産生;(2)Th2応答、がんの免疫拒絶反応のための有効性の低い経路に向けた免疫系の分極化;(3)制御性T細胞および骨髄由来サプレッサー細胞などの免疫調節細胞の誘導;(4)IL10およびトランスフォーミング増殖因子(TGF)などの免疫抑制性サイトカインの誘導または分泌;ならびに(5)T細胞アネルギーまたはT細胞枯渇の誘導が含まれる。腫瘍細胞に対する宿主反応を遅延または防止し、腫瘍進行を可能にし、最終的に患者を殺傷することを可能にし得るこの一連の免疫抑制経路は、標的化免疫調節がん療法の安全で、有効で、かつ適切な実施に対する極めて複雑な診断上および治療上の課題となる。追加の困難は、これらの免疫抑制経路が機能的抗腫瘍免疫応答によって誘導され得ることである。
【0042】
正と負の両方の調節経路を調節することによって抗腫瘍免疫応答を強化することができる薬剤が、腫瘍学においてますます重要になっている。エフェクターT細胞サブセットから「ブレーキを取り除く」チェックポイント阻害剤は、いくつかの異なるがんにおける重要な臨床活性を媒介することができる。複数の免疫チェックポイント阻害剤またはT細胞アゴニストを組み込んだ一定の併用免疫療法が、臨床試験でさらに大きな活性を示している。
【0043】
コンジュゲート中のPUFAは、好ましくはドコサヘキサエン酸(DHA)(C−22)であるが、エイコサペンタエン酸(EPA、C−20)またはα−リノレン酸(LNA、C−18)であることもできる。
【0044】
本発明は、全体が本明細書に組み込まれる、Amijiらの米国特許出願公開第20070148194号明細書(2007)に開示されるように、NE中でナノ粒子にカプセル化されるPUFA−タキソイドコンジュゲートの製剤を含む。あるいは、任意のタキソイド、またはタキソイドの組み合わせをNEでカプセル化することができ、これには、それだけに限らないが、共に全体が本明細書に組み込まれる、Ojimaの米国特許第7,820,839号明細書に記載されるPUFA−タキソイドコンジュゲート、ならびにOjima IおよびDas M(2009)に記載されるタキソイドのいずれかが含まれる。
【0045】
NE製剤として本発明に含まれ得る他のタキソイドには、それだけに限らないが、パクリタキセル、ドセタキセル、SBT−1213、SBT−12854、SBT−121303;SBT−1216、SBT−11033、SBT−121313、SBT−121602、カバジタキセル、SBT−1212、SBT−1217、SBT−1102、SBT−1103、SBT−1104、SBT−1106、SBT−1107、SBT−121301、SBT−121302、SBT−121304、SBT−121403、SBT−11031、SBT−11032、SBT−11034、SBT−12851、SBT−12852、SBT−12853、SBT−12855、SBT−12851−1、SBT−12851−3、SBT−12852−1、SBT−12852−3、SBT−12853−1、SBT−12853−3、SBT−12854−1、SBT−12854−3、SBT−12855−1およびSBT−12855−3(Ojimaら、2009)が含まれる。それだけに限らないが、DHA−パクリタキセル(Bradleyら、2001);DHA−ドセタキセル、DHA−SBT−1213、DHA−SBT−1103、DHA−SBT−1104、DHA−SBT−1216、LNA−SBT−1213、LNA−パクリタキセル、LNA−ドセタキセル、DHA−カバジタキセルおよびLNA−カバジタキセル(LNA=α−リノレン酸)を含むPUFAコンジュゲート第二世代タキソイドも含まれる。上記の第二世代タキソイドのいずれかのDHAまたはLNAエステルを使用することもできる。当業者であれば、このようなエステルを容易に調製することができる。これらの製剤化および有効性の実施例は、全体が本明細書に組み込まれる、示される参考文献内に見出される。
【0046】
IO薬剤は、個体の免疫系を使用してがんを攻撃および処置する薬剤であり、最も好ましくは抗PD−L1抗体である。しかしながら、それだけに限らないが、抗PD−1抗体、イピルムマブ(CTLA−4阻害剤)、ニボルマブ(PD−1チェックポイント阻害剤)、ペンブロリズマブ(PD−1チェックポイント阻害剤)、アテゾリズマブ(PD−L1チェックポイント阻害剤)、ピジルズマブ(pidiluzumab)、デュルバルマブ、抗CD47抗体、インドールアミン(2,3)−ジオキシゲナーゼ阻害剤、抗GD2抗体、アレムツズマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、またはサイトカイン(インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γもしくはインターロイキン(1−36)などの任意の他のIO薬剤を使用することもできる。
【0047】
本発明は、IO薬剤と組み合わせてNE薬物送達システムにカプセル化されたPUFA−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物を、処置を必要とする対象に投与し、がんを処置することによって、がんを処置する方法を提供する。組み合わせの効果は、PUFA−タキソイドコンジュゲートが腫瘍微小環境でPD−L1の発現を増加させ、CD4
+腫瘍浸潤リンパ球とCD8
+腫瘍浸潤リンパ球の両方の増加を引き起こす能力によって駆動される。腫瘍微小環境におけるこれらの変化は、一般的に患者をI/O薬剤に対してより反応性にすることが以前に示されている。
【0048】
本明細書の方法で処置されるがんは、それだけに限らないが、乳がん、卵巣がん、肺がん、頭頸部がん、結腸がん、直腸がん、膵臓がん、黒色腫、脳がん、前立腺がん、白血病、肉腫、甲状腺がん、非ホジキンリンパ腫、膀胱がん、神経膠腫、子宮内膜がんおよび腎がんなどのあらゆる種類のがんであり得る。PUFA−タキソイドコンジュゲートは、本明細書に記載されているもののいずれか、特にDHA−SBT−1214であり得る。PUFA−タキソイドコンジュゲートはNEでカプセル化されているため、体に積極的に取り込まれ、DHAは通常の送達方法よりも効率的に切断される。IO薬剤は好ましくは抗PD−L1抗体であるが、上記の任意のIO薬剤であり得る。抗PD−L1が投与される場合、この方法は、PD−L1を上方制御するステップをさらに含む。
【0049】
DHAコンジュゲートSBT−1214(
図1)は、マウスの高度薬剤耐性腫瘍異種移植片に対して顕著な有効性を発揮し、DHAコンジュゲートパクリタキセル(TAXOPREXIN(登録商標));Luitpold Pharmaceuticals;ヒト第I〜III相臨床試験)パクリタキセル、およびnab−パクリタキセル(ABRAXANE(登録商標))は、意味のある活性を示さない。オメガ−3脂肪酸コンジュゲートがDHA−パクリタキセルの有益な特性(例えば、パクリタキセルと比較して大幅に減少した毒性、腫瘍内での延長した滞留時間および血漿中のより高い安定性)を有するという仮説に基づいて、DHA−をSBT−1214に連結した。DHAコンジュゲーションは、オメガ−3脂肪酸ベースのナノエマルジョンへの組み込みも助け、薬物濃度の5倍増加を達成することができる。DHA−SBT−1214は、微小管の安定化などのいくつかの活性をパクリタキセルと共有しているが、追加の抗腫瘍機構を有する。微小管ネットワークに対するこれらの化合物の効果は、古典的なタキサン(ドセタキセルおよびパクリタキセル)で観察されるものとは異なり、細胞での異なる束化を誘導し、微小管が極めて短くなり、極めて速い核形成効果を示し、これらの高い集合誘導力およびチューブリン突然変異を有する様々な細胞株の細胞分裂を阻害する能力を反映している。DHA−SBT−1214は、3つの結腸がん幹細胞株で多くの生存遺伝子を下方制御し、p53およびp21を活性化することが示されている。まとめると、これらのデータは、DHA−SBT−1214をパクリタキセル、ドセタキセルまたはABRAXANE(登録商標)と区別するいくつかの機構が存在することを示唆している。いくつかの腫瘍異種移植片、特にそれぞれPanc−1およびCFPAC−1(膵臓)(
図2および
図3)、ならびにCSCに対するDHA−SBT−1214の観察された顕著な有効性は、これが単なる漸進的な改善ではなく、化学療法パラダイムの重大な変化であることを明確に実証している。
【0050】
図2で、この実験は、ヒトCFPAC−1膵臓腫瘍異種移植片を使用して、パクリタキセル、DHA−パクリタキセルおよびDHA−SBT−1214の有効性を比較した。240mg/kgまたは300mg/kgの全用量を使用したDHA−SBT−1214が極めて有効であり、それぞれ5匹中5匹または4匹中4匹で完全な退縮および治癒をもたらした。パクリタキセルおよびDHA−パクリタキセルは、ビヒクルと比較したわずかな腫瘍増殖遅延のみで、はるかに有効性が低かった。SBT−1214(120mg/kg全用量)は、6匹中6匹のマウスについて腫瘍退縮を有し、パクリタキセルよりも優れた結果を示したが、6匹中1匹しか治癒せず、DHA−SBT−1214よりも毒性であるように見え、20日目までわずかな体重減少(4%未満)を示したが、240mg/kgまたは300mg/kgの全用量でのDHA−SBT−1214については、体重減少が無視できる程度であった。
【0051】
図3で、この実験は、RPCI SCIDマウスでヒトPANC−1膵臓腫瘍異種移植片を使用して、パクリタキセルおよびDHA−SBT−1214のq7d×3およびq3d×3のスケジュールを比較した。結果は、両スケジュールがこのヒト膵臓腫瘍異種移植片において極めて有効であることを示した(腫瘍増殖遅延90日超)。DHA−SBT−1214についてのMTDは240mg/kg全投与量(80mg/kg×3注射=240mg/kg)であるように思われ、300mg/kgの全用量で1例の毒性死が発生した。DHA−SBT−1214を受けた全てのマウスがCRを達成し、本質的に治癒した。パクリタキセルはごく弱く有効性であるにすぎず、q7d×3スケジュールでは18日、q3d×3スケジュールでは13日の腫瘍増殖遅延を示し、CRは示さなかった。
【0052】
開発されたナノエマルジョン(NE)技術は、PUFAに富む食用油の水への分散によって形成され、両親媒性リン脂質単層で安定化された、単純で、用途が広く、臨床的に翻訳可能なコロイド担体である。これらのNEは、流体力学的直径が200nm未満であり、油相の高体積画分にかなりの量の疎水性薬物を組み込むことができ、全身送達と経口送達の両方に適している。NEは、薬物を組み込むための柔軟性の高いビヒクルであり、極めて好ましい安全性プロファイルを有する、一般に安全と認められる(GRAS)材料で完全に構成されており、高圧ホモジナイザーを使用した大規模なGMP製造に適しており、これが迅速な臨床採用にとっての大きな利点である。
【0053】
以前の製剤と比較した本発明におけるナノエマルジョンの改善点の1つは、それがどのように細胞に取り込まれるかである。伝統的な製剤は、脂質二重層を通した受動拡散によって細胞に取り込まれる。対照的に、ナノエマルジョンは、P−糖タンパク質/mdr−1媒介薬物排出を迂回して、受容体媒介エンドサイトーシスによって取り込まれる。細胞内に入ると、タキソイドと脂肪酸尾部との間のエステル結合が切断され、活性化合物が放出される。出願人らは、Tween(登録商標)80またはSolutol−HS15中6mg/mlと比較して、30mg/mlもの濃度でNE−DHA−SBT−1214を製剤化することに成功した。液滴サイズは一貫して直径200nm未満であり、最終製剤を濾過滅菌することを可能にする。ナノエマルジョンのゼータ電位は、−23mV〜−33mの範囲内である。脂質層上の負電荷によりナノエマルジョン液滴が合体しないことが保証されるので、これが重要な点であり、出願人らはSolutol−HS15中では24時間未満であるのに対して、4℃で最大1年間の安定性データを有している。初期の毒物学研究は、侵攻性の患者由来異種移植モデルにおいて、25mg/kgの安全で効果的な用量を提供した。Panc−1細胞株に対するNE−DHA−SBT−1214の72時間IC
50は2.3nMであり、Tween−80で製剤化されたDHA−SBT−1214と比較して25分の1に減少し、有効性はインビボで少なくとも3倍高い。
【0054】
2つのヒト膵臓腫瘍モデル(
図2および
図3)でDHA−SBT−1214を使用した実験の結果、および患者由来CSCモデルでの概念実証を以下で説明する。DHA−SBT−1214前臨床活性の注目せざるを得ない側面は、CSCに対する効果である。高度形成性CSCは、難治性腫瘍の処置における重要な新たな薬物標的である。CSCを特異的に標的とする(または腫瘍細胞に加えてCSCを標的とする)薬物の開発を通して、より耐久性のある臨床反応が可能となり得る。細胞培養における前記の細胞傷害性アッセイに加えて、DHA−SBT−1214を、幹細胞の特徴であるCD133
high/CD44
highとして選択された細胞からスフェロイドとして増殖した結腸がんおよび前立腺がん細胞株で試験した。このアッセイでは、DHA−SBT−1214への曝露によってスフェロイドの数が大幅に減少した。さらに、DHA−SBT−1214は、著しく長期の腫瘍増殖遅延(167日超)により、全ての生存マウスで薬剤耐性結腸腫瘍異種移植片の完全な退縮を誘導した。おそらくより重要なのは、ミクロスフェアとして成長したいくつかの結腸がんおよび前立腺がん細胞株での「幹細胞性」に関連する遺伝子の発現に対する、比較的低濃度のDHA−SBT−1214(100nM〜1μM)への24時間の曝露の効果であった(6、7)。さらに、NE−DHA−SBT−1214は、患者由来PPT2前立腺がん幹細胞異種移植モデルにおいてABRAXANE(登録商標)よりも優れており、膵臓がんオルガノイドでも同様に有効である。
【0055】
DHA−SBT−1214および前立腺がん幹細胞を用いた研究で、出願人らは以前に、低濃度のDHA−SBT−1214(0.1〜1μM)が、幹細胞性を促進する培養条件下で維持された高度腫瘍原性および高度薬剤耐性の前立腺CD133
+細胞の最大80〜90%の死を誘導することを決定した。さらに、処置により、以前は存在しなかったアポトーシス促進タンパク質、p53およびp21の発現の有意な上方制御がもたらされ(「遺伝子覚醒(gene wake−up)」効果)、結果として、処置に対する感受性が劇的に増加した。患者由来前立腺CSC異種移植モデルでは、DHA−SBT−1214がABRAXANE(登録商標)よりも優れており、腫瘍クリアランスをもたらした。これは、インビボでの薬剤耐性膵臓がん、前立腺がんおよび乳がん腫瘍に対するDHA−SBT−1214の長期的有効性を、バルク腫瘍とがん幹細胞亜集団の両方に対するその効果によって説明することができることを示している。
【0056】
CSCに富むPDACモデルでの有効性の評価に加えて、PD−L1免疫チェックポイント阻害剤を標的とする抗体と組み合わせたNE−DHA−SBT−1214の有効性を、C56BL/6マウスで開発された皮下(subQ)Panc−2同系膵臓がんモデルで調べた。Panc−2細胞の移植後、IgG対照または抗PD−L1抗体(200μg/投与)と組み合わせたいずれかの単剤としての、ビヒクル(対照として)、ゲムシタビン(120mg/kg)、ABRAXANE(登録商標)(120mg/kg)およびNE−DHA−SBT−1214(10mg/kgおよび25mg/kg)の静脈内投与による毎週の処置のために、マウスを群に分けた。抗体を腹腔内投与した。腫瘍塊が50〜150mm
3の体積で触知できるようになった腫瘍移植の2週間後に処置を開始した。
【0057】
対照および試験製剤の毎週の注射を3セット後、腫瘍体積の変化を測定し、屠殺時に腫瘍を切除した。
図4に示される結果は、抗PD−L1抗体と組み合わせた25mg/kgおよび10mg/kgのNE−DHA−SBT−1214群で腫瘍増殖抑制が有意に大きかった(p<0.05)ことを示している。NE−DHA−SBT−1214とは対照的に、ABRAXANE(登録商標)の最適用量(120mg/kg)は、Panc−2誘発腫瘍のごくわずかな抑制しか引き起こさず、ゲムシタビンは中程度の効果を示した。様々な薬物の組み合わせによる処置によって、有意な体重変化は誘導されなかった。IACUCプロトコルに述べられているように、未処置対照腫瘍が最大直径約1cmに達したら、全ての動物を屠殺した。屠殺時に、腫瘍塊を切除したところ、他と比較してNE−DHA−SBT−1214(25mg/kg)+抗PD−L1抗体処置群から最小の腫瘍塊が示される。
【0058】
以下の実験例を参照することにより、本発明をさらに詳細に説明する。これらの例は、特に明記されていない限り、例示のみを目的として提供されており、限定することを意図したものではない。したがって、本発明は、以下の例に限定されると決して解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書で提供される教示の結果として明らかになる任意のおよび全ての変形を包含すると解釈されるべきである。
【0061】
SBT−1214のドコサヘキサエン酸コンジュゲート(すなわち、DHA−SBT−1214)は、以前報告された方法に従って、ChemMaster International,Inc.(ストーニーブルック、NY)によって合成された。超高純度グレードのオメガ−3に富む魚油はJedwards International(クインシー、MA)から、Lipoid E80はLipoid GMBH(ルートヴィヒスハーフェン、ドイツ)から、DSPE PEG2000はAvanti Polar Lipids,Inc.(アラバスター、AL)から、Tween 80はSigma Chemicals,Inc.(セントルイス、MO)から、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)およびLAL発色性エンドトキシン定量キットはThermo Scientific(ロックフォード、IL)から購入した。ペニシリン、ストレプトマイシンおよびトリプシンは、Invitrogen(グランドアイランド、NY、米国)から入手した。雌C57BL/6マウス(4〜6週齢)は、Charles River Laboratories(Frederick Research Model Facility−NCI)(ケンブリッジ、MA、米国)から購入した。Amicon Ultra−0.5ml、遠心フィルターはMillipore(コーク、アイルランド)製とした。他の全ての分析グレードの試薬は、Fisher Scientificを通して購入した。本研究では、膵臓がんを処置するために一般的に使用される薬剤であるゲムシタビン(GEM)、パクリタキセル(PTX)およびABRAXANE(商標)を使用した。全ての薬剤は使用前に直ちに調製した。GEMおよびPTXは、Sigma Chemicals,Inc.(セントルイス、MO)から購入した。
【0062】
ナノエマルジョン製剤の調製および特性評価
【0063】
ナノエマルジョン製剤の調製は、いくつかの修正を加えて、最近報告されている確立されたプロトコルを使用して行った。超音波処理法の代わりに、高圧均質化法によって水中油型ナノエマルジョンを調製した。
【0065】
C57Bl/6マウスと同系のマウス膵臓がん細胞株Panc02は、ネブラスカ州オマハのUNMCのMichael A.Hollingsworth教授からの親切な贈り物であった。Panc02細胞を、75cm
2の細胞培養フラスコで増殖させ、10%ウシ胎児血清(FBS)、L−グルタミンおよびペニシリン(100U/ml)/ストレプトマイシン(100μg/ml)(共にGibco Life Technologies、カールスバッド、CA、米国製)を補充したDMEM培地で維持した。細胞を、5%CO
2を含有する加湿雰囲気中、37℃でインキュベートした。
【0066】
ナノエマルジョンの取り込みおよび細胞分布のインビトロ評価
【0067】
Panc02細胞(0.5×10
6)を、5%CO2を含有する加湿雰囲気中、37℃で一晩、6ウェルプレートのガラスカバースリップに播種した。次いで、細胞を2μMのNE−ローダミンナノ粒子と共に0.5時間〜4時間の範囲の様々な時点にわたってインキュベートして、細胞によるナノ粒子の取り込みを可能にした。最後のインキュベーション時点の後、ガラスカバースリップをPBSで洗浄した後、ホルマリン中で、室温で15分間固定した。固定された細胞の核を、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)で染色した。ローダミンナノエマルジョンの取り込みを、異なる時点間で同等の取り込みを有するように固定パラメータを使用して、蛍光共焦点顕微鏡(Zeiss LSM 700)によって調べた。
【0069】
様々な薬物およびナノエマルジョン製剤の細胞傷害性効果を確認するために、5%CO2を含有する加湿雰囲気中、37℃で一晩、96ウェルプレートの各ウェルに5000個の細胞を播種した。様々な薬物(パクリタキセル、Abraxane、ゲムシタビン、ならびにDHA−SBT−1214の溶液およびナノエマルジョン)を、0nM、0.01nM、0.1nM、1nM、10nM、100nM、1000nM〜10000nMの範囲の濃度で希釈し、Panc02細胞をこれらの濃度で96時間処置した。インキュベーション後、細胞を3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)で処置した。MTT結晶をDMSOで溶解し、BioTek Synergy HTXマルチモードマイクロプレートリーダーを使用して、プレートを570nmの吸光度で読み取った。
【0070】
様々な治療薬への曝露後のPD−L1の発現
【0071】
細胞を、5%CO2を含有する加湿雰囲気中、37℃で一晩、6ウェルプレートに、0.5×10
6細胞/ウェルで播種した。24時間後、細胞を、IC
50値の
図5Aおよび
図5Bに述べられている様々な薬物に48時間曝露した。最大反応率を、Panc02細胞に投与した場合の抗がん剤の関数として示す。細胞生存率は、37℃で96時間のインキュベーション後に、MTTアッセイによって測定した。データは平均±標準偏差(n=3)を表す。有意差は以下のように示される:*p<0.05、および**p<0.01。PD−L1の発現レベルを、以下のようにフローサイトメトリーを使用して決定した。手短に言えば、インビトロ培養物から収穫した細胞を、3%BSA/PBSで2回洗浄し、次いで、ラット抗PD−L1またはアイソタイプ対照抗体(マウス、BioXcell、ウェストレバノン、NH、米国)と共に4℃で30分間インキュベートし、次いで、3回洗浄し、抗ラットAlexaFluor 488コンジュゲート抗体と共にインキュベートした。細胞を3%BSA/PBSで1回洗浄し、FACSCaliburフローサイトメーターのフローサイトメーターおよびCellQuest(商標)Proバージョン6.0ソフトウェア(共にBecton−Dickinson and Co.製)によって分析した。
【0073】
細胞および腫瘍組織をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、2%プロテイナーゼ阻害剤(共にSigma−Aldrich Co.、セントルイス、MO、米国製)を含有する氷冷溶解緩衝液中で溶解した。細胞をセルスクレーパーで回収し、攪拌し、氷上で15分間インキュベートした。マウス腫瘍組織を、ソニケーターを用いて氷上で10秒間超音波処理した。溶解物を遠心分離し、上清を収集し、Bio−Radタンパク質アッセイ(Bio−Rad Laboratories、ハーキュリーズ、CA、米国)を使用してタンパク質濃度を決定した。上清を溶解緩衝液で希釈して、等濃度のタンパク質を作成した。50μgのタンパク質を4〜12%Bis−Trisゲルで分離し、iBlot Dry Blotting System(全てLife Technologies製)を製造業者のプロトコルに従って使用して、ニトロセルロース膜に転写した。ブロットをTBS−T[10mM Tris−HCl(pH8.0)、150mM NaCl、0.1%Tween−20v/v]中1%粉乳で、室温で1時間ブロッキングし、TBS−Tで1回洗浄した。膜を、TBS−T(1:1,000希釈)中抗PD−L1(Abcam製)、PD−1、F4/80およびヒストン3(全てCell Signaling Technology,Inc.製)抗体と共に4℃で一晩インキュベートした。TBS−Tで3回洗浄した後、膜を、TBS−T(1:10,000希釈)中二次抗ウサギおよびマウスIgG抗体(Life Technologies)と共に室温で1時間インキュベートした。ウエスタンブロッティング(ECL Prime;GE Healthcare UK Ltd.、バッキンガムシャー、英国)を使用して免疫複合体を検出した。
【0074】
リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)
【0075】
前記のようにリアルタイムPCRを使用して他のタンパク質についてのPD−L1およびmRNAの発現レベルを決定した。mRNA単離に使用した試料は、膵臓がん細胞(Pan02)または腫瘍組織から取り出した。記載のプロトコル(Thermo Fisher Scientific(ロックフォード、IL))に従って、市販のRNA抽出キットを使用して全mRNAを抽出した。単離したRNAを、リアルタイムPCRに使用するまで−80℃で保存した。後者では、1μgの抽出RNAを、市販のcDNA合成キット(Thermo Fisher Scientific(ロックフォード、IL))を使用して逆転写した。得られたcDNAを、マウスPD−L1の以下のプライマーを使用して、Applied Biosystems(商標)PowerUp(商標)SYBR(商標)Green Master Mix(Thermo Fisher Scientific(ロックフォード、IL))を用いてRT−PCRに供した:(順方向プライマー、5’−AAAGTCAATGCCCCATACCG−3’(配列番号1)および逆方向プライマー、5’−TTCTCTTCCCACTCACGGGT−3’(配列番号2));マウスPD−1(順方向プライマー、5’−TTCACCTGCAGCTTGTCCAA−3’(配列番号4)および逆方向プライマー、5’−TGGGCAGCTGTATGATCTGG−3’(配列番号5));CD4:(順方向プライマー、5’−ACACACCTGTGCAAGAAGCA−3’(配列番号6)および逆方向プライマー、5’−GCTCTTGTTGGTTGGGAATC−3’(配列番号7));マウスCD8(順方向プライマー、5’−CTCACCTGTGCACCCTACC−3’(配列番号8)および逆方向プライマー、5’−ATCCGGTCCCCTTCACTG−3’(配列番号9));マウスArginase−1(順方向プライマー、5’−GAACACGGCAGTGGCTTTAAC−3’(配列番号10)および逆方向プライマー、5’−TGCTTAGCTCTGTCTGCTTTGC−3’(配列番号11));およびマウスβ−アクチン(順方向プライマー、5’−CTCCTGAGCGCAAGTACTCTGTG−3’(配列番号12)および逆方向プライマー、5’−TAAAACGCAGCTCAGTAACAGTCC−3’(配列番号13))。リアルタイムPCRシステム(7300;Applied Biosystems、フォスターシティ、CA、米国)を使用してPCRを実施した。qRT−PCRデータによる遺伝子発現の相対的定量化を、マウスβ−アクチンと比較して計算した。
【0076】
インビボ研究−皮下腫瘍の誘導および増殖
【0077】
動物の使用を伴う全ての実験は、ノースイースタン大学の動物実験委員会(IACUC)によって承認された研究プロトコルを介して、アメリカ国立衛生研究所の実験動物の管理と使用に関する手引きの推奨に厳密に従って行った。手短に言えば、十分に増殖した後、Panc02マウス膵臓がん細胞を1:1 PBS/Matrigelに再懸濁し、2×10
5個の細胞を6週齢のC57Bl/6マウスの右側腹部に皮下注射した。腫瘍の発達を週に2回監視した。腫瘍サイズは週単位でノギスで測定し、おおよその腫瘍体積を、式0.5ab
2(式中、bは2つの垂直直径のうちの小さい方である)を使用して決定した。腫瘍サイズが直径1500mm
2以上に達したら、マウスを屠殺した。
【0079】
PD−L1(10F.9G2)に対するマウス抗体および関連するアイソタイプIgG対照は、Bio X Cellから購入した。200μgのPD−L1に対する抗体および関連するアイソタイプIgG対照を、マウス1匹当たりIPを介して週2回、3週間注射した。ゲムシタビン溶液およびAbraxane 120mg/kgを週1回i.p.を通して注射した。パクリタキセル120mg/kgおよび10mg/kgまたは25mg/kgのいずれかのNE−DHA−SBT−1214を週1回i.v.を通して注射した。全ての化学療法薬を、抗PD−L1抗体またはアイソタイプIgG対照と組み合わせて注射した。合計で、1実験当たり3回処置を行った。
【0080】
腫瘍組織の組織学および免疫組織化学(IHC)分析
【0081】
マウスの腫瘍量の組織学的分析を、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色を使用して、ホルムアルデヒド固定およびパラフィン包埋腫瘍組織で行った。IHCを、PD−1、CD4およびCD8抗体のパラフィン包埋組織切片で行った。PD−1、CD4およびCD8に対する全てのマウス特異的抗体は、Cell Signaling Technologyから購入した。IHCは、プロトコルおよびCell Signaling Technologyからの推奨希釈に従って処理した。
【0083】
全ての結果は平均±SDとして表す。治療実験では、1処置群当たり3匹のマウスを割り当てた。統計解析を、GraphPad Prism 6ソフトウェアを使用して実施した。対応のないスチューデントのt検定およびANOVAを使用してデータを分析し、その差がp<0.05で有意であると見なした。
【0085】
DHA−SBT−1214ナノエマルジョン製剤の特性評価
【0086】
ナノエマルジョン送達アプローチは、出願人らの以前の研究で、強化された治療可能性を示した。この研究では、出願人らは、オメガ−3およびオメガ−6脂肪酸などのPUFAに富む魚油を使用して、新世代タキソイドであるDHA−SBT−1214の水中油型ナノエマルジョンを製剤化した。このタキソイドカプセル化ナノエマルジョンを使用して、膵臓がん前臨床マウスモデルで免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせてその治療有効性を調べた。出願人らは、高圧均質化技術を使用して、この均一で乳白色の安定なナノエマルジョンを製剤化した。
図6A〜
図6Dに示されるように、ナノエマルジョン液滴は、光散乱および透過型電子顕微鏡法(TEM)によって観察されるように、形態がほぼ球形であり、平均直径がおよそ220nmであった。青色(核)、赤色(ローダミンカプセル化ナノエマルジョン)および紫色のオーバーレイ画像を示す蛍光顕微鏡画像。画像は63倍の倍率で撮影した。画像スケールバーは100μmである。粒径に加えて、ナノエマルジョンの均一性および電荷もそれらの生物学的利用能を予測する。均一性は多分散性指数(PDI)で表され、PDIの値が低い(0.2未満)と、ナノエマルジョンの均一で安定な形態を示す。薬物カプセル化ナノエマルジョンのPDI値は0.1未満であった。ナノエマルジョン中の油滴の平均表面電荷は−28.9mVであった(
図6C)。ナノエマルジョンの負電荷は、これらのナノエマルジョンの調製に使用される魚油の遊離脂肪酸の存在に起因し得る。
【0087】
HPLCアッセイを使用して、ナノエマルジョン製剤中の薬物濃度を決定した。20mg/mlのDHA−SBT−1214ナノエマルジョンは、97%の薬物負荷効率を表す。ナノエマルジョンのこの高い薬物カプセル化効率は、この薬物がナノエマルジョンの油コアに保持されるので、薬物の相対的親油性に起因した。全ての製剤を0.2ミクロンのフィルターを通して濾過し、貯蔵期間中にLimulus Amebocyte Lysate(LAL)アッセイで確認した場合、最小レベルのエンドトキシンを有していた。
【0088】
Panc02細胞におけるDHA−SBT−1214製剤のインビトロ評価
【0089】
ナノエマルジョンがPanc02細胞に内在化されているかどうかを調べるために、ローダミンをナノエマルジョンにカプセル化し、共焦点顕微鏡検査を実施した。ローダミンカプセル化ナノエマルジョン製剤の最適な細胞およびスフェロイド取り込みを、様々な時点で、ローダミン2μMインキュベーション後に観察した(
図6D)。
図6Dに示されるように、画像は、ナノエマルジョンがカプセル化色素を細胞内に効率的に送達し、ローダミンナノエマルジョン処置細胞の増加した時点での蛍光シグナルの増加がPanc02細胞による高い細胞内取り込みを示していることを明確に示している。ナノエマルジョン製剤の内在化が細胞取り込み実験によって確認されたため、ナノエマルジョン製剤においてローダミンをDHA−SBT−1214で置き換え、細胞生存率に対するその効果を様々な抗がん剤と比較した。
【0090】
様々な抗がん剤の細胞殺傷効率を、MTTアッセイを使用してPanc02細胞で調べた。ブランクナノエマルジョンまたはビヒクル対照に加えて、これらの研究のために選択したDHA−SBT−1214の最終濃度は、SBT−1214の以前の研究
6に基づいて0.01nM、0.1nM、1nM、10nM、100nM、1,000nM〜10,000nMであった。Panc02細胞におけるDHA−SBT−1214および他の抗がん剤に対する濃度−反応研究を
図5A〜
図5Bに示す。結果は、37℃で96時間の薬物曝露後の処置の関数としての残っている生細胞の割合として示される。DHA−SBT−1214を10nMおよび100nMの濃度で投与した場合、水溶液と比較して、ナノエマルジョン製剤でより高い細胞傷害性が観察された。しかしながら、インビトロ条件下では、ゲムシタビンが154nMの平均IC
50値で最高の効力を示し、引き続いてDHA−SBT−1214ナノエマルジョンで215nM、溶液中DHA−SBT−1214で262nMであった。対照的に、パクリタキセルおよびAbraxane(商標)の平均IC
50値は、それぞれ443nMおよび428nMで有意に高かった。
【0091】
Panc02細胞における薬物療法後のPD−L1発現の評価
【0092】
Panc02細胞を、ゲムシタビン、Abraxane(商標)、パクリタキセルおよび溶液とナノエマルジョンの両方のDHA−SBT−1214で、48時間処置し、PD−L1タンパク質の発現を誘導できるかどうかを決定した。腫瘍細胞でのPD−L1発現レベルをフローサイトメトリーによって決定し、Δ平均蛍光強度(ΔMFI;アイソタイプ対照から差し引かれた、抗PD−L1を使用したMFI)として表す。
図7に示されるように、IC
50値の様々な抗がん剤で48時間処置すると、Panc02マウス膵臓がん細胞でPD−L1表面の発現が誘導された。試験した抗がん剤に応答したPD−L1の上方制御は、未処置対照と比較して有意に増加した。PD−L1の発現を、フローサイトメトリーを使用して分析し、ΔMFI(アイソタイプ対照から差し引かれた抗PD−L1を使用したMFI)として表す。データは、少なくとも3回の独立した実験の平均±標準偏差を表す;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。以前報告されたように、PD−L1レベルは、
図8に示されるように、インビトロで増殖している細胞と比較して膵臓腫瘍組織で強化された。
【0093】
併用薬物および抗PD−L1抗体療法のインビボ評価
【0094】
出願人らは、インビボでのPanc02誘発腫瘍増殖に対する、単独でのまたはPD−L1に対する遮断抗体と組み合わせた、様々な抗がん剤の効果を調べた。Panc02細胞を直接皮下注射し、1週間後に腫瘍体積を測定し、実験が終了するまで継続した。腫瘍サイズがおよそ100mm
3に達した後、出願人らは、全ての処置群間でほぼ等しい腫瘍体積を有するようにマウスを無作為化した。次いで、マウスを単独で、またはPD−L1抗体と組み合わせて、抗がん剤で3週間処置した。
図9および
図10A〜
図10Jは、3週間の処置後の各処置群の腫瘍増殖阻害効果を示している。
図9は、全ての処置様式を要約するグラフである。値は平均±SD(n=3)である。有意差は以下のように示される:*p<0.05、および**p<0.01。未処置対照群と比較して、各処置群は、IgG処置群と抗体組み合わせ処置群の両方において、25mg/kgのNE−DHA−SBT−1214で最も顕著な阻害効果を有した。これらの結果は、PD−L1のみの遮断は腫瘍増殖の減少に効率的ではなかったが、25mg/kg NE−DHA−SBT−1214と組み合わせると、腫瘍増殖を有意に阻害したことを示している。PD−L1抗体と組み合わせたNE−DHA−SBT−1214処置は、10mg/kgでさえ、標準的な化学療法薬であるゲムシタビンと比較して、腫瘍増殖の抑制に有効であった。10mg/kg DHA−SBT−1214での処置は、120mg/kgのAbraxane処置よりも優れていた。全体として、NE−DHA−SBT−1214と抗PD−L1抗体の併用処置は、単一処置と比較して相乗効果を示した。
図11に示されるように、毒性の大まかな代用として、各処置群内で有意な体重変化はなかった。
【0095】
抗がん剤はPanc02腫瘍モデルにおいてインビボでPD−L1発現を誘導する
【0096】
抗がん剤が膵臓がん腫瘍組織でPD−L1、PD−1、CD4、CD8およびArginase−1のmRNA発現をどのように誘導するかを調査するために、単独での、または免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせた、PD−L1、PD−1、CD4、CD8およびArginase−1のmRNAレベルをRT−PCRによって決定した。
図12に示されるように、PD−L1 mRNAレベルは、それぞれのIgG対照群と比較して、全ての抗がん剤間で、併用療法で上方制御された。しかしながら、PD−1およびCD4 mRNAレベルは、
図13および
図14にそれぞれ示されるようにIgG処置群と比較して有意には高くなかったゲムシタビンを除いて、抗PD−L1+抗がん剤で低かった。CD8 mRNAレベルは、それぞれ
図15に示されるように、IgG処置群と比較して、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせた場合、全ての抗がん剤の併用処置に応答して上方制御された。しかしながら、Arginase−1レベルは、
図16に記載されるように、免疫チェックポイント阻害剤と比較してIgG処置群で有意に高かった。
図17に示されるように、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせた抗がん剤の処置は、PD−L1 mRNA発現レベルの上方制御に加えて、PD−L1タンパク質発現レベルも強化する。データは、少なくとも3回の独立した実験の平均±標準偏差を表す;*p<0.05、**p<0.01。PD−L1タンパク質の発現と同様に、IgG処置群と比較して、高用量のNE−DHA−SBT−1214を除いてPD−1発現も上方制御された。より高いPD−L1タンパク質レベルは、この高用量のNE−DHA−SBT−1214処置群におけるマクロファージの存在に起因し得るが、これは
図17のF4/80のより高いタンパク質レベルから明らかである。
【0097】
Panc02腫瘍におけるCD4+、CD8+およびPD−1細胞の浸潤
【0098】
次いで、出願人らは、組織学(
図18A〜
図18J)および免疫組織化学(
図19A〜
図19J、
図20A〜
図20J、および
図21A〜
図21J)によって、21日目の腫瘍組織におけるCD4+、CD8+およびPD−1細胞の浸潤を調べた。様々な処置群からの腫瘍組織の組織学は、NE−DHA−SBT−1214処置群からの腫瘍が他の処置群からの固形腫瘍塊と比較して低密度の間質を有することを示した(
図18A〜
図18J)。画像は63倍の倍率で撮影した。
【0099】
未処置対照腫瘍組織では、比較的少数のCD4+細胞が見られた。未処置腫瘍と比較して、CD4+細胞の浸潤は、抗PD−L1処置および様々な抗がん剤の併用処置によって有意に増加した(
図19A〜
図19J)。
【0100】
対照腫瘍組織では、少数のCD8+細胞浸潤しか観察されなかった。NE−DHA−SBT−1214と組み合わせた抗PD−L1抗体による処置は、腫瘍微小環境におけるCD8+細胞浸潤の有意な増加をもたらした(
図20A〜
図20J)。膵臓腫瘍のコアにおけるCD8+細胞の浸潤は、おそらく、様々な処置群の各々における腫瘍増殖の抑制を担っている。しかしながら、T細胞でのPD−1の発現は、全ての処置群で同等であった(
図21A〜
図21J)。
【0102】
膵臓がんは、従来の抗がん剤に対する耐性が発達しているため、依然として難病である。現在、免疫チェックポイント阻害剤の成功およびキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法などの新世代の養子細胞移植療法により、多くの処置レジメンでの免疫療法の可能性に大きな熱意が注がれている。しかしながら、免疫チェックポイント阻害剤は、多くの腫瘍型、特にPDACなどの一定の固形腫瘍で単一処置レジメンとして使用された場合、有望な結果を示していない。そのため、反応率および有効性を改善することを目的として、免疫ベースと非免疫ベースのがん療法を有効に組み合わせることに多大な努力が払われている。
【0103】
PDAC患者の場合、ゲムシタビンはABRAXANE(商標)と組み合わせてフロントライン処置として使用されているが、延命効果はごくわずかである。パクリタキセルは依然として多くの固形腫瘍型のフロントライン処置であり、アポトーシスを開始し、G2/M期での細胞周期停止を引き起こす。タキサン、特にCremophor−エタノール製剤(TAXOL(登録商標))のパクリタキセルは、その送達ビヒクルおよび腫瘍特異的送達の欠如のために、いくつかの毒性の課題を抱えている。パクリタキセルの効率をさらに改善するために、シクロデキストリン、リポソームおよびアルブミン結合ナノ粒子(ABRAXANE(商標))製剤などの、その水溶性を高める多数の製剤ならびにパクリタキセルのプロドラッグが開発されてきた。しかしながら、結腸および前立腺を含む一部のがんは、有効なATP結合カセット(ABC)トランスポーターであるP−糖タンパク質(Pgp)を過剰発現し、パクリタキセルを排出する。これが、パクリタキセルがこれらのがんに対して有効でない理由である。排出の課題を克服するために、DHAコンジュゲート薬が血流中でPUFAの主要な担体であるヒト血清アルブミンに対してより高い親和性を有するため、パクリタキセルをDHAとコンジュゲートしたが、Pgpおよび/または他のABCトランスポーターを過剰発現するがんでは、パクリタキセルがエステラーゼの存在下でDHAから解放されると、ゆっくり放出されるが、排出ポンプによって捕捉され、がん細胞から排除される。
【0104】
パクリタキセルとは対照的に、SBT−1214と呼ばれる新世代タキソイドは、MDR表現型を発現する薬剤耐性がん細胞に対して優れた活性を示した。以前の研究では、DHAコンジュゲートSBT−1214が、EPR効果を通して腫瘍部位での薬物の蓄積を増加させることにより、治療有効性を改善した。DHA−SBT−1214の有効性をさらに改善するために、出願人らは、魚油液滴中にDHA−SBT−1214を含有するナノエマルジョン担体系の製剤化および研究に成功し、これは薬物リザーバーとして有利に作用した。このコロイド系は、インビトロで製剤の安定性を維持し、インビボでの性能を強化するのに望ましい粒径およびゼータ電位を有する。表面形態DHA−SBT−1214ナノエマルジョン製剤は、形態が球形であり、目に見える薬物結晶はなかった。定性的な細胞取り込み分析は、ナノエマルジョン製剤がPanc02細胞に効率的に内在化されることを実証した。これは、ナノエマルジョンが、ペイロードを細胞中の細胞内部位に効率的に送達し、その薬物溶液よりも強力であったことを示唆している。近年の研究で、出願人らは、DHA−SBT−1214がナノエマルジョン製剤で送達された場合に腫瘍増殖をより高程度に抑制し、単独療法として使用された場合のより高い治療有効性を強調することを認めた。結論として、その研究からの出願人らのデータは、DHA−SBT−1214コンジュゲートのナノエマルジョンが優れた退縮および腫瘍増殖阻害を誘導し、新規な抗がん剤候補としての高い可能性を有することを実証した。
【0105】
本研究で、出願人らは、膵臓がんにおける免疫療法と抗がん剤の組み合わせの有効性を調査した。以前報告されたように、膵臓がん細胞株Panc02におけるPD−L1表面発現は、パクリタキセル、ABRAXANE(商標)、DHA−SBT−1214およびゲムシタビンによって上方制御された。
【0106】
出願人らの知る限り、これは、同系膵臓がんマウスモデルにおけるPD−L1発現に対するチェックポイント阻害剤と組み合わせた抗がん剤の効果に取り組む最初の研究である。PD−L1発現に対する化学療法剤の効果は以前の研究で議論されているが、相反する所見があった。例えば、3つの研究は、抗がん剤が表面PD−L1の発現を上方制御することを実証したが、1つの研究は、表面PD−L1の下方制御を報告した。例えば、Gongらは、パクリタキセルが2つの異なるがん細胞モデルでPD−L1表面タンパク質およびmRNAの発現を誘導することを報告した。同様に、Pengは、卵巣がん細胞株におけるPD−L1発現が、パクリタキセル、ゲムシタビンまたはカルボプラチン処置によりNF−κBシグナル伝達を介して増強されることを報告した。対照的に、Ghebehらは、ドキソルビシンが乳がん細胞におけるPD−L1の表面発現を下方制御し、PD−L1の核発現を上方制御することを報告した。これらの以前の研究間の違いの1つの考えられる説明は、各研究で使用された細胞株および抗がん剤の違いによるものであり得る。
【0107】
本研究では、出願人らは、膵臓がんを処置する際に、ABRAXANE(商標)、ゲムシタビン、パクリタキセル、およびDHA−SBT−1214の溶液とナノエマルジョン製剤の両方を、単独で、または他の薬剤と組み合わせて使用した。出願人らの実験における各抗がん剤の濃度は、Panc02細胞のIC
50値に基づいていた。抗がん剤間の薬物濃度のそれぞれの違いは、薬剤によるPD−L1誘導の程度に有意な影響を及ぼさず、フローサイトメトリーによって決定されるように、PD−L1表面タンパク質の発現は全ての抗がん剤に応答して増強された。PD−L1調節の機構に関して、Pardollは、自然免疫および適応免疫耐性が、腫瘍細胞がPD−L1を調節する2つの一般的な機構であると報告した。一般に、抗がん剤は細胞傷害性を引き起こすだけでなく、腫瘍免疫応答を変化させ、腫瘍免疫エスケープを誘導し得る。この研究では、出願人らは、同系マウス膵臓がんモデルを使用することによって、インビボでのPD−L1遮断と組み合わせた様々な抗がん剤の抗腫瘍効果を実証した。PD−1/PD−L1相互作用が負の調節を誘導することは周知であり、これはT細胞の活性化後の免疫恒常性にとって重要である。この負の調節は、がん細胞が腫瘍特異的T細胞免疫から逃れるのに有益であると考えられている。PD−L1遮断が腫瘍の発生を阻害することを示した膵臓がん細胞株を使用した研究もあるが、これらの研究では免疫チェックポイント阻害剤と一緒に抗がん剤を使用していない。がん免疫は種特異的な白血球動員によって高度に調節されているため、出願人らは、マウス膵臓がん細胞のマウス膵臓への皮下注射によって確立された膵臓がんモデルを使用した。結果として、PD−L1の遮断は、単一処置選択肢として使用した場合、または膵臓がんに対して一般的に使用される抗がん剤(パクリタキセル、Abraxaneおよびゲムシタビン)と組み合わせて使用した場合、膵臓がんモデルで腫瘍増殖速度を減少させた。しかしながら、NE−DHA−SBT−1214とPD−L1遮断の組み合わせは、有意な腫瘍抑制を示し、処置後でさえも腫瘍退縮を維持し、PD−L1が膵臓がんの処置の標的となる可能性があることを示している。
【0108】
Freemanらは、PD−L1がT細胞増殖を減少させることを報告したが、出願人らは、抗PD−L1抗体処置後に腫瘍浸潤細胞の数が増加することを発見した。PD−1/PD−L1経路の遮断によるIFN−γの増加は、がん免疫に加えて、慢性感染症を含むいくつかのモデルで実証されている。抗PD−L1抗体による処置は、PD−L1の発現を増加させ、これはIFN−γ産生CD8+細胞の腫瘍組織への浸潤の増加により得る。抗PD−L1抗体処置後のPD−L1 mRNAおよびタンパク質レベルの上方制御の別の考えられる理由は、PD−L1も発現するマクロファージおよび骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)の動員である。長期間のエフェクターT細胞からの大量のIFN−γ発現は、抗腫瘍免疫を強化するM1マクロファージなどの炎症細胞の浸潤を誘導し得るので、腫瘍組織への浸潤CD8+細胞によるIFN−γ増加は抗腫瘍効果に寄与し得る。腫瘍微小環境のマクロファージはArginase−1を過剰発現しており、MDSCの存在の可能性に加えてこれらのマクロファージがM1であることを示している。したがって、腫瘍増殖に対する抗PD−L1抗体の抑制効果は、NE−DHA−SBT−1214併用処置群における腫瘍浸潤エフェクター細胞の数の増加によって主に説明することができると考えられる。換言すれば、未処置群では、PD−L1が、IFN−γ産生T細胞およびM1マクロファージの浸潤を減少させることによって、このがんモデルで腫瘍免疫を減弱し得る。膵臓腫瘍を形成するためにマウスに注射された同じ細胞は、インビトロでのIFN−γ処置後に極めて高レベルのPD−L1を発現した。出願人らの研究では、腫瘍浸潤CD4+T細胞の数はPD−L1遮断後に減少しなかった。まとめると、結果は、PD−L1遮断が、NE−DHA−SBT−1214の相乗効果を通して膵臓腫瘍負荷を減少させることができることを示している。さらに、様々な処置群からの腫瘍組織の組織学は、NE−DHA−SBT−1214処置群からの腫瘍が他の処置群からの固形腫瘍塊と比較して低密度の間質を有することを示した。しかしながら、最も一般的に使用される抗がん剤の単剤療法および併用療法は、NE−DHA−SBT−1214を除いて、相加的な抗腫瘍効果を予想外に示さなかった。NE−DHA−SBT−1214のより高い有効性についての1つの考えられる説明は、他の抗がん剤と比較して、がん幹細胞の処置におけるその役割である。
【0110】
要約すると、出願人らの結果は、NE−DHA−SBT−1214と組み合わせてPD−L1を遮断することによる有意な腫瘍抑制を示している。PD−L1の遮断により、腫瘍内IFN−γ産生T細胞および炎症性マクロファージの浸潤が増加し、これが抗腫瘍効果に直接つながる。対照的に、PD−1レベルとPD−L1レベルの両方が、一般的に使用される抗がん剤の組み合わせで高く、Treg細胞の腫瘍浸潤の増加を強調し、これは主に非抗腫瘍効果が原因であり得る。
【0111】
本出願を通して、米国特許を含む様々な刊行物は著者および年によって参照され、特許は番号によって参照される。刊行物の完全な引用を以下に列挙する。これらの刊行物および特許の開示の全体が、本発明が関連する先行技術をより完全に説明するために、参照により本出願に組み込まれる。
【0112】
本発明は例示的な方法で説明されており、使用されてきた用語は、限定ではなく説明の語の性質となることを意図していることを理解されたい。
【0113】
明らかに、本発明の多くの修正および変形が上記の教示に照らして可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明を、具体的に記載されている以外の方法で実施することができることを理解されたい。
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【配列表フリーテキスト】
【0114】
配列表1 <223>順方向プライマー マウスPD−L1
配列表2 <223>逆方向プライマー マウスPD−L1
配列表3 <223>順方向プライマー マウスPD−1
配列表4 <223>逆方向プライマー マウスPD−1
配列表5 <223>順方向プライマー CD4
配列表6 <223>逆方向プライマー CD4
配列表7 <223>順方向プライマー マウスCD8
配列表8 <223>逆方向プライマー マウスCD8
配列表9 <223>順方向プライマー マウスArginase−1
配列表10 <223>逆方向プライマー マウスArginase−1
配列表11 <223>順方向プライマー マウスβ−アクチン
配列表12 <223>逆方向プライマー マウスβ−アクチン
【国際調査報告】