特表2021-517931(P2021-517931A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-517931超吸収性ポリマーおよびその製作方法および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-517931(P2021-517931A)
(43)【公表日】2021年7月29日
(54)【発明の名称】超吸収性ポリマーおよびその製作方法および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C08B 31/00 20060101AFI20210702BHJP
   C08L 3/00 20060101ALI20210702BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20210702BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20210702BHJP
   C08J 3/12 20060101ALI20210702BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20210702BHJP
【FI】
   C08B31/00
   C08L3/00
   B01J20/26 D
   B01J20/30
   C08J3/12 A
   A61F13/53 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2021-500014(P2021-500014)
(86)(22)【出願日】2019年3月12日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月6日
(86)【国際出願番号】US2019021855
(87)【国際公開番号】WO2019178102
(87)【国際公開日】20190919
(31)【優先権主張番号】62/642,374
(32)【優先日】2018年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520353008
【氏名又は名称】エムジェイジェイ テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MJJ TECHNOLOGIES INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100220663
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】ミラン エイチ. サビチ
【テーマコード(参考)】
3B200
4C090
4F070
4G066
4J002
【Fターム(参考)】
3B200BA01
3B200BB17
3B200DB02
3B200EA05
4C090AA02
4C090BA14
4C090BB05
4C090DA22
4C090DA26
4C090DA28
4F070AA03
4F070AA29
4F070AB11
4F070AB13
4F070DA48
4F070DB06
4F070DC02
4F070DC06
4G066AA13D
4G066AA45D
4G066AB07A
4G066AB10D
4G066AC01B
4G066AC02B
4G066AC17B
4G066AC35B
4G066BA09
4G066BA38
4G066CA43
4G066DA12
4G066DA13
4G066EA05
4G066FA07
4G066FA21
4G066FA37
4G066FA38
4J002AB041
4J002EF086
4J002EP016
4J002EP026
4J002FD146
4J002GC00
(57)【要約】
本明細書には、現在の市販のSAPと比較して優れた特性を示す超吸収性ポリマー(SAP)の実施形態が開示される。開示されたSAPは、様々な衛生製品において有用であり、費用効果の高い方法を用いて製作することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋剤および多糖類ベースのポリマーの1つ以上のカルボキシル基および/またはカルボキサミド基との間に形成される1つ以上の架橋を含む前記多糖類ベースのポリマーを含む超吸収性ポリマー(SAP)であって、前記SAPが2.7より大きいサージ指数値および/または2900より大きい容量指数値を示すSAP。
【請求項2】
架橋剤および多糖類ベースのポリマーの2つ以上のカルボキシル基との間に形成された1つ以上の架橋を含む前記多糖類ベースのポリマーを含む超吸収性ポリマー(SAP)であって、前記SAPが2.7より大きいサージ指数値を示すSAP。
【請求項3】
前記2つ以上のカルボキシル基が、前記架橋剤および前記1つ以上のカルボキシル基との間に形成された少なくとも1つの炭素―炭素結合を介して前記架橋剤に結合されている、請求項1または請求項2に記載のSAP。
【請求項4】
前記カルボキシル基が、前記多糖類ベースのポリマーをアクリル酸とカップリングさせることによって提供される、請求項1から3のいずれか一項に記載のSAP。
【請求項5】
前記SAPが3.2より大きいサージ指数値を示す、請求項1から4のいずれか一項に記載のSAP。
【請求項6】
前記SAPが3.4のサージ指数値を示す、請求項1から5のいずれか一項に記載のSAP。
【請求項7】
前記SAPが3.6のサージ指数値を示す、請求項1から6のいずれか一項に記載のSAP。
【請求項8】
架橋剤および多糖類ベースのポリマーの2つ以上のカルボキシル基との間に形成される1つ以上の架橋、架橋剤および前記多糖類ベースのポリマーの2つ以上のカルボキサミド基との間に形成される1つ以上の架橋、または架橋剤および前記多糖類ベースのポリマーのカルボキシル基およびカルボキサミド基との間に形成される1つ以上の架橋を含む、前記多糖類ベースのポリマーを含む超吸収性ポリマー(SAP)であって、前記SAPの官能基が少なくとも部分的に中和され、かつ前記SAPが2900より大きい容量指数値を示すSAP。
【請求項9】
前記カルボキシル基が前記多糖類ベースのポリマーをアクリル酸と組み合わせることによって提供され、かつ前記カルボキサミド基が前記多糖類ベースのポリマーをアクリルアミドと組み合わせることによって提供される、請求項8に記載のSAP。
【請求項10】
前記多糖類ベースのポリマーの前記カルボキシル基および/または前記カルボキサミド基が、前記架橋剤および前記カルボキシル基および/または前記カルボキサミド基との間に形成された炭素―炭素結合を介して前記架橋剤と架橋される、請求項9に記載のSAP。
【請求項11】
前記SAPが3000より大きい容量指数値を示す、請求項8から10のいずれか一項に記載のSAP。
【請求項12】
前記SAPが4000より大きい容量指数値を示す、請求項8から11のいずれか一項に記載のSAP。
【請求項13】
前記SAPが4712の容量指数値を示す、請求項8から12のいずれか一項に記載のSAP。
【請求項14】
前記SAPの前記官能基が水酸化ナトリウムで中和されている、請求項8から13のいずれか一項に記載のSAP。
【請求項15】
表面架橋のない前記SAPと比較して、外面でのより高い架橋密度が得られるように、前記SAPが粒子の形態であり、かつ前記粒子の少なくとも一部の前記外面が表面架橋されている、請求項8から14のいずれか一項に記載のSAP。
【請求項16】
前記多糖類ベースのポリマーがデンプンを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載のSAP。
【請求項17】
前記多糖類ベースのポリマーが、アルファ化デンプンである、請求項1から16のいずれか一項に記載のSAP。
【請求項18】
前記架橋剤がN、N―メチレンビス(アクリルアミド)である、請求項1から17のいずれか一項に記載のSAP。
【請求項19】
前記SAP中に存在する抽出物が200PPM未満の量で存在する、請求項1から18のいずれか一項に記載のSAP。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の前記SAPを含む吸収性物品。
【請求項21】
請求項20に記載の前記吸収性物品であって、前記吸収性物品が、請求項1から19に記載の前記SAP以外のSAPを含む吸収性物品と比較して、10%から100%少ない綿毛パルプを含む吸収性物品。
【請求項22】
請求項1から19のいずれか一項に記載する前記SAPを製作する方法であって、カルボニル含有モノマーまたはそのポリマーもしくはコポリマーを中和剤と組み合わせて、第1混合物を提供する工程、多糖含有ポリマー前駆体を前記第1混合物に添加して、前記多糖類ベースのポリマーを提供する工程、前記多糖含有ポリマーを前記架橋剤と組み合わせて第2混合物を形成する工程、前記第2混合物を処理して、前記架橋剤および前記多糖類ベースのポリマーとの間に前記1つ以上の架橋を形成して、SAP溶液を提供する工程、前記SAP溶液を乾燥させて、乾燥SAPを提供する工程、および前記乾燥SAPを粉砕して粒子にして、前記SAPを提供する工程を含む方法。
【請求項23】
前記架橋剤が、前記カルボニル含有モノマーの総重量に基づいて0.1重量%から1重量%の範囲の量で使用される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記架橋剤が、前記カルボニル含有モノマーの総重量に基づいて0.1重量%から0.7重量%の範囲の量で使用される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記第2混合物を処理することが、開始剤を添加する工程、および前記開始剤を添加した後に前記第2混合物を加熱する工程を含む、請求項22から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記開始剤が過硫酸アンモニウムである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項22から26のいずれか一項に記載の方法であって、SAP粒子を表面架橋剤でコーティングすることによって前記SAP粒子を表面架橋する工程をさらに含む方法。
【請求項28】
2.7より大きいサージ指数値および/または少なくとも3000の容量指数値を有する超吸収性ポリマー。
【請求項29】
3.2より大きいサージ指数値および/または少なくとも4000の容量指数値を有する超吸収性ポリマー。

































【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2019年3月13日に出願された米国仮特許出願第62/642,374号の先の出願日の利益および優先権を主張するものであり、その全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、吸収性物品に使用するための超吸収性ポリマーの実施形態、および超吸収性ポリマーを製作および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
超吸収性ポリマー(SAP)は、おむつ、衛生用品などの吸収性物品などの様々な物品で使用されている。さまざまなタイプのSAPが商品化されているが、そのようなSAPの多くは生分解性ではなく、および/またはセルロース繊維(または「綿毛」または「綿毛パルプ」)などの追加の成分を使用する必要がある。非生分解性のSAPは、環境に悪影響を与える製品をもたらす。そして、セルロース系繊維フィラーを使用する必要性は、消費者にとって魅力的ではない、かさばる、厚い物品をもたらす。当技術分野では、性能を犠牲にすることなく物品のかさばりを減らすことができる生分解性SAPが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書には、架橋剤および多糖類ベースのポリマーの1つ以上のカルボキシル基および/またはカルボキサミド基との間に形成される1つ以上の架橋を含む多糖類ベースのポリマーを含み、超吸収性ポリマー(SAP)が3.2を超えるサージ指数値および/または3000などの2900を超える容量指数値を示す、超吸収性ポリマー(SAP)の実施形態が開示される。
【0005】
さらに本明細書には、架橋剤および多糖類ベースのポリマーの2つ以上のカルボキシル基との間に形成される1つ以上の架橋を含む多糖類ベースのポリマーを含み、超吸収性ポリマー(SAP)が3.2を超えるサージ指数値を示す超吸収性ポリマー(SAP)の実施形態が開示される。
【0006】
さらに本明細書には、架橋剤および多糖類ベースのポリマーの2つ以上のカルボキシル基との間に形成された1つ以上の架橋、架橋剤および多糖類ベースのポリマーの2つ以上のカルボキサミド基との間に形成された1つ以上の架橋、または架橋剤および多糖類ベースのポリマーのカルボキシル基およびカルボキサミド基との間に形成された1つ以上の架橋を含む多糖類ベースのポリマーを含み、超吸収性ポリマー(SAP)の官能基が少なくとも部分的に中和されており、かつ超吸収性ポリマー(SAP)が2900より大きい容量指数値を示す超吸収性ポリマー(SAP)の実施形態が開示される。
【0007】
さらに追加の実施形態には、本開示によるSAPの実施形態を含む吸着剤製品の実施形態が含まれる。
【0008】
さらに本明細書には、本明細書に記載されるSAPの実施形態を製作するための方法の実施形態が開示される。いくつかの実施形態では、この方法は、カルボニル含有モノマーを中和剤と組み合わせて第1混合物を提供する工程;多糖含有ポリマー前駆体を第1混合物に添加して多糖類ベースのポリマーを提供する工程;多糖含有ポリマーを架橋剤と組み合わせて第2混合物を形成する工程;第2混合物を処理して、架橋剤および多糖類ベースのポリマーの1つ以上のカルボキサミド基および/またはカルボキシル基との間に1つ以上の架橋を形成してSAP溶液を提供する工程;SAP溶液を乾燥させて乾燥したSAPを提供する工程;および乾燥したSAPを粒子に粉砕してSAPを提供する工程を含む。
【0009】
本開示の前述のおよび他の目的および特徴は、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
I.用語の概要
用語の以下の説明は、本開示をより良く説明し、本開示の実施において当業者を導くために提供される。本明細書で使用するとき、「comprising(含む)」は「including(含む)」を意味し、単数形「a」または「an」または「the」は、文脈から明らかにそうでないと示されない限り、複数の参照を含む。「または」という用語は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、述べられた代替要素の単一の要素または2つ以上の要素の組み合わせを指す。
【0011】
他に説明されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または同等の方法および材料は、本発明の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。材料、方法、および実施例は、特に明記しない限り、単なる例示であり、限定を意図するものではない。本開示の他の特徴は、以下の発明の詳細な説明および請求項から明らかである。
【0012】
特に明記しない限り、本明細書または請求項で使用される、成分の量、分子量、パーセンテージ、温度、時間などを表すすべての数字は、「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、特に明記しない限り、黙示的または明示的に示された数値パラメーターは、求められる所望の特性および/または標準試験条件/方法での検出限界に依存する可能性がある近似値である。実施形態を議論された従来技術から直接かつ明示的に区別するときは、実施形態の数は、「約」という語が記載されない限り、概数ではない。
【0013】
本開示の様々な実施形態の検討を容易にするために、特定の用語の以下の説明が提供される。特定の官能基用語は、定義された官能基が、それが結合されるドナー化合物に、またはその中でどのように結合するかを示すために使用される記号「―」を含む。本開示の様々な実施形態の検討を容易にするために、特定の用語の以下の説明が提供される。
【0014】
脂肪族:少なくとも1つの炭素原子から50の炭素原子(C1−50)、たとえば1から25の炭素原子(C1−25)、または1から10の炭素原子(C1−10)を有する炭化水素基である。それは、アルカン(またはアルキル)、アルケン(またはアルケニル)、アルキン(またはアルキニル)、およびそれらの環状バージョンを含む。それはさらに、直鎖および分岐鎖配置、およびすべての立体異性体および位置異性体も同様に含む。
【0015】
芳香族:特記しない限り、5―15個の環原子が単一の環(例えば、フェニル)を成し、または少なくとも一つの環が芳香族である複数の縮合環(例えば、ナフチル、インドリル、またはピラゾロピリジニル)である環状共役基またはその部分である。すなわち、少なくとも一つの環、および任意に複数の縮合環は、連続的な、非局在化π電子系を有する。典型的には、面外π電子の数は、Huckel規則(4n+2)に対応する。親構造への結合点は、典型的には、縮合環系の芳香族部分を介する。たとえば、
【化1】
しかしながら、特定の例において、前後関係または明白な発表は、結合点が、縮合環系の非芳香族部分を介することを示し得る。たとえば、
【化2】
芳香族基または芳香族部分は、アリル基またはその部分などの、環の中の炭素原子のみを含み得る。あるいは、それは、ヘテロアリル基またはその部分などの、1つ以上の環炭素原子、および孤立電子対(例えば、S、O、N、P、またはSi)を含む一つ以上の環ヘテロ原子を含みうる。
【0016】
容量指数:SAPが水または水性液体を吸収する全体的な能力の尺度。容量指数の数値が高いことは、SAPの液体保持能力の最大化を反映する。容量指数の値が高いほど、SAPまたはSAPを構成する製品に保持できる液体の量が多くなる。容量指数が高いほど、SAPを含む製品は、他の吸収性材料を含めることなく、優れた吸収性を発揮できる。
【0017】
カルボキサミド:−R−C(O)NR’R’’、式中、Rがメチレン基(「CH2」またはそのラジカル)またはエチレン基(「CH2CH2」またはそのラジカル)であり、かつ、R’およびR’’は各々、独立して、水素、脂肪族、芳香族、ヘテロ脂肪族、またはそれらの任意の組み合わせから選択される;または、−R−C(O)NR’Mまたは−R−C(O)NM2、式中、各Mは独立して、リチウム、ナトリウム、カリウムなどの第1族元素から選択される対イオンである。
【0018】
カルボキシル:−R−C(O)OH、式中、Rはメチレン基(「CH2」またはそのラジカル)またはエチレン基(「CH2CH2」またはそのラジカル)である;または、R−C(O)OM、式中、Mは、リチウム、ナトリウム、カリウムなどの第1族元素から選択される対イオンである。
【0019】
カルボニル含有モノマー:少なくとも1つのカルボニル基を含む化合物。いくつかの実施形態では、カルボニル含有モノマーは、カルボキサミド基またはカルボキシル基を含む。
【0020】
架橋剤:多糖類ベースのポリマー、カルボニル含有モノマー、またはそれらの組み合わせの官能基に結合することができる化合物。
【0021】
架橋:たとえば架橋剤および多糖類ベースのポリマーの官能基間、同じ多糖類ベースのポリマー内の官能基間、および/またはそのような官能基および架橋剤間、および/または2つの異なる多糖類ベースのポリマーの官能基間、および/またはそのような官能基および架橋剤の間で形成される共有結合などの、2つの別個の化学種間または1つ以上の化学種の官能基間で形成される共有結合。架橋は、典型的には、そのような部分の間に形成される炭素−炭素結合を含む。
【0022】
内部架橋:カルボキシル基を含むモノマーまたはカルボキサミド基を含むモノマーを含むことができる、カルボニル含有モノマーで変性された多糖類化合物の官能基間で起こる化学反応。
【0023】
ヘテロ脂肪族:少なくとも1個のヘテロ原子から20個のヘテロ原子、例えば1から15個のヘテロ原子、または1から5個のヘテロ原子を含む脂肪族基である。ヘテロ原子は、基内の酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ホウ素、セレン、リン、およびそれらの酸化形態から選択することができるが、これらに限定されない。
【0024】
多糖類ベースのポリマー:少なくとも2つの糖類単位で構成される主鎖を含む高分子化合物。特定の実施形態では、多糖類ベースのポリマーは、トウモロコシ、米、小麦などのデンプン源から得られるデンプンを含む。
【0025】
超吸収性ポリマー(SAP):等価重量よりも高い量で水性ベースの流体を吸収することができる高分子材料。いくつかの実施形態では、SAPは、その等価重量の200倍以上、例えば、その等価重量の200から1000倍の流体を吸収することができる。生理食塩水を含むいくつかの実施形態では、SAPは、その等価重量の10倍より多く、例えば30倍より多くを吸収することができる。いくつかの実施形態では、SAPは、薄片、エラストマー、粒子、顆粒、繊維、またはフィルムの形態であり得る。
【0026】
サージ指数:水または水性ベースの流体の初期流量を制御し、SAPまたはSAPを含む製品における漏れを低減するSAPの能力の尺度。高サージ指数の数値は、SAPの吸収率が非常に高く、SAPが圧力下でかなりの量の液体を保持できることを示す。これは、液体がSAPまたはSAPを構成する製品に流入されると、液体がすばやく吸収され、SAPによってしっかりと保持されることを意味する。サージ指数が高いほど、吸収製品におけるSAPの全体的な性能が向上する。
【0027】
II.序文
超吸収性ポリマー(「SAP」)は、使い捨ておむつ、大人用失禁パッドおよびブリーフ、ベッドパッド、肉パッド、ペットパッド、衛生用ナプキンなどの衛生用品などのさまざまな用途で使用されている。このような製品に典型的に使用される超吸収性ポリマーは、SAPの特性(したがって、その性能)に関しては機能が制限されている。
【0028】
本明細書には、従来技術の分野で使用されるSAPと比較して、予想外に優れた特性を示す新しいSAPの実施形態が開示される。特定の開示された実施形態では、SAPは、現在市場で入手可能なSAPのそれらを超える遠心分離保持能力(または「CRC」)、負荷下の吸収性(または「AUL」)、サージ指数値、および/または容量指数値を示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSAPの実施形態は、様々な衛生用品(例えば、おむつおよび女性用衛生用品)に使用されるセルロース系繊維の量を置き換えるおよび/または減らすために使用されることができるため、それによって、そのような衛生用品に関する厚さを減らすことができる。吸収性物品の非常に望ましい特徴は、薄いおむつは着用するのにかさばらず、衣類の下によりよくフィットし、目立たないというように、薄さである。さらに、商品の包装がよりコンパクトになり、消費者がおむつを持ち運び、保管しやすくなる。さらに包装のコンパクトさは、製品単位あたりに必要な棚スペースの量を減らすことができるので、製造業者および販売業者の流通コストを削減する。
【0029】
さらに追加の実施形態では、本明細書に記載するSAPの実施形態は、圧力下でも、特に水および食塩水などの水性溶液について、現在市販されているSAPよりも速い速度でより高い吸収値を示す。それらはゲルを遮断する傾向がほとんどないか、全くない。また、それらは機械的に堅牢で、経年変化に安定しており、毒性学的に安全であり、かつ生分解性である。特定の開示された実施形態では、本開示のSAPの実施形態は、非生分解性成分および/または環境毒素を含む成分または副産物からなる合成SAPとは対照的に、生分解性成分を含むため、完全に生分解性である。したがって、本明細書で説明されるSAPの実施形態は、おむつ(大人用おむつおよび赤ちゃん用おむつ)、衛生用品、こぼれ封じ、包装およびヒースケアパッド、医療用包帯、火傷および創傷ケア、吸収性製品包装材料およびシステム、ペットおよび動物製品、火災防止および抑制製品、封止および漏れ封じ込め製品などのように、多種多様な使い捨て吸収性物品での使用に適している。
【0030】
III.SAPの実施形態
本明細書に記載のSAPの実施形態は、多糖類ベースのポリマー(または複数の多糖類ベースのポリマー)を含む高分子量SAPである。多糖類ベースのポリマーは、架橋を促進してSAPを形成するカルボキシル基および/またはカルボキサミド基を含む。いくつかの実施形態では、多糖類ベースのポリマーの少なくとも一部は架橋されていない。いくつかの実施形態において、多糖類ベースのポリマーは、天然状態ではカルボニル含有基を含まないが、多糖類ベースのポリマーの主鎖に共有結合する、複数のカルボニル含有基(例えば、カルボキシル基および/またはカルボキサミド基)を含むように変性し得る多糖類から得ることができる。そのような多糖類ベースのポリマーの例示的な実施形態は、デンプンベースのポリマーに限定するものではないが、米、トウモロコシ、小麦、キャッサバ、またはそれらの組み合わせ;アミロース;アミロペクチン;セルロースまたはセルロース誘導体;グアー、イナゴマメ、豆、小麦粉などから得られるポリガラクトマンナンなどのポリガラクトマンナン;またはそれらの任意の組み合わせなど、任意適切なデンプン供給源から得られ又ははそれに由来し得る。デンプンベースのポリマーの供給源に応じて、存在するアミロースの量は、ポリマーの重量に基づいて20%―25%の範囲にあり得る。そして、アミロペクチンの量は、ポリマーの重量に基づいて75%―80%の範囲にあり得る。いくつかの特定の開示された実施形態において、多糖類ベースのポリマーは、デンプンベースの化合物である。デンプンベースのポリマーの主鎖は、デンプンベースのポリマー主鎖に1つ以上のカルボニル含有モノマーをグラフトすることにより導入される、カルボニル含有官能基(例えば、カルボキシル基および/またはカルボキサミド基)で官能化される。さらに他の実施形態では、開示された高分子量SAPの形成に使用される多糖類ベースのポリマーは、自然に(肯定的な化学変性なしで)1つ以上のカルボキシル基を含み、したがって、カルボニル含有モノマーのグラフトを必要としない可能性がある多糖類である。そのようなポリマーの例示的な実施形態は、キサンタン、アルギン酸塩、アラビアゴム、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本明細書中に開示されるSAPは、カルボキシル基を含む(またはそれで変性された)多糖類の量に基づいて、10重量%―30重量%、例えば10重量%―20重量%、または10重量%―15重量%の範囲の量で、膨潤多糖類などのカルボキシル基を含まない多糖類の添加によって変性され得る。いくつかの実施形態では、SAPは、カルボニル含有モノマー(またはそのポリマーもしくはコポリマー)がグラフトされているデンプンベースのポリマーからなるか、または本質的にそれからなる。いくつかの実施形態において、SAPは、デンプンベースのポリマー、架橋剤、および1つ以上のカルボニル含有モノマー(またはそのポリマーもしくはコポリマー)の間で形成される生成物からなるか、または本質的にそれからなる。特定の開示された実施形態では、デンプンベースのポリマーは、加工または非加工デンプンである。いくつかの実施形態では、デンプンは加工され、加工トウモロコシデンプンであり得る。そのような実施形態では、トウモロコシデンプンは、(例えば、スラリー中のトウモロコシデンプンをジェットクッキングすることにより)アルファ化トウモロコシデンプンであり得る。特定の開示された実施形態において、デンプンベースのポリマーは、以下に記載されるように、多数のカルボニル基含有モノマー(またはそのポリマーもしくはコポリマー)がグラフトされている1つ以上の長い多糖鎖を含むアルファ化トウモロコシデンプンである。
【0031】
特定の開示された実施形態において、多糖類ベースのポリマー主鎖を含むSAPは、ポリマーをカルボニル含有モノマー(またはそのポリマー、または2つ以上のカルボニル含有モノマー間で形成されたコポリマー)と反応させることによって1つ以上のカルボニル基(例えば、カルボキシル基および/またはカルボキサミド基)を含むように変性されたデンプンベースのポリマーである。上記カルボニル含有モノマーは、たとえばアクリル酸、アクリルアミド、またはそれらの組み合わせであり、カルボニル含有モノマー(またはそのポリマーもしくはコポリマー)をポリマー主鎖にグラフトしたものである。いくつかの実施形態において、多糖類ベースのポリマー主鎖は、その官能基の90%以上がカルボニル含有モノマーと反応して、官能基の90%から100%、または95%から100%、または99%などの、多糖類ベースのポリマー上のカルボキシルおよび/またはカルボキサミド部位を提供するように、多数のカルボニル含有モノマーで官能化することができる。異なるカルボニル含有モノマーを利用するいくつかの実施形態では、カルボキシルおよび/またはカルボキサミドを含有する多糖類ベースのポリマーは、異なるカルボニル含有モノマーに対応する異なる量のカルボキシル基および/またはカルボキサミド基を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、アクリル酸とアクリルアミドの混合物は、多糖類ベースのポリマーを官能化するために使用される。そのような実施形態では、アクリル酸のアクリルアミドに対する量は、90:10から50:50(アクリル酸:アクリルアミド)、80:20から50:50(アクリル酸:アクリルアミド)、75:25から50:50(アクリル酸:アクリルアミド)、70:30から50:50(アクリル酸:アクリルアミド)、または60:40から50:50(アクリル酸:アクリルアミド)など、100:0から50:50(アクリル酸:アクリルアミド)の範囲とすることができる。また、そのような実施形態では、アクリル酸から多糖類ベースのポリマーに導入されたカルボキシル基に対するアクリルアミドから多糖類ベースのポリマーに導入されたカルボキシル基の比は、2:1(カルボキシレート基:カルボキシルアミド基)であり得る。他の開示された実施形態において、カルボキシル基は、多糖類ベースのポリマー上に存在する1つ以上のヒドロキシル基を、これらに限定されないが、セリウム(IV)塩(例えば、硝酸セリウムアンモニウム)、過硫酸塩(例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなど)、過酸化物(例えば、過酸化第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム−過酸化水素など)、または過マンガン酸塩(例えば、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸バナジウム、過マンガン酸塩など)またはそれらの組み合わせなどの、適切な酸化剤で酸化することにより導入され得る。
【0032】
例示的な実施形態では、多糖類ベースのポリマーは、米、小麦、トウモロコシ、または他の植物源から得られるデンプンなどのデンプンである。いくつかの実施形態において、デンプンは、アルファ化デンプンである。デンプンは、アクリル酸、アクリルアミド、またはそれらの組み合わせ(またはポリマーまたはコポリマー)により、上述のように、変性することができる。本明細書で説明するSAPの実施形態は、500,000から1,000,000(原子量)、または600,000から1,000,000(原子量)、または700,000から1,000,000(原子量)、または800,000から1,000,000(原子量)、または900,000から1,000,000(原子量)など、400,000から1,000,000(原子量)の範囲の分子量値を有する。いくつかの実施形態では、SAPの実施形態は、500,000から600,000(原子量)、または600,000から700,000(原子量)、または700,000から800,000(原子量)の範囲の分子量値を有する。特定の開示された実施形態では、SAPの分子量は、気相クロマトグラフィーおよび/または質量分析を使用して決定することができる。特定の独立した実施形態では、SAPは、カルボキシメチルセルロースではないか、またはこれを含まない。代表的な実施形態において、SAPは、アルファ化トウモロコシデンプンの官能基(例えば、ヒドロキシル基)の少なくとも一部がカルボキシル含有基、カルボキサミド含有基、またはそれらの組み合わせなどのカルボニル含有基に変換されている、アルファ化トウモロコシデンプンを含むか、本質的にこれからなるか、またはこれからなる。
【0033】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、SAPの実施形態を形成するために使用することができる。そのような薬剤は、非官能化多糖類ベースのポリマー、カルボニル含有(例えば、カルボキシル含有および/またはカルボキサミド含有)多糖類ポリマー、またはそれらの組み合わせの間の分子間および/または分子内架橋を可能にすることができる。したがって、架橋剤は、多糖類ベースのポリマーのカルボニル含有基間および/または2つ以上の多糖類ベースのポリマーのカルボニル含有基間に1つ以上の架橋を形成することにより、SAP構造の一部になることができる。典型的には、架橋剤は、架橋剤と多糖類ベースのポリマーのカルボニル含有官能基との間に形成された炭素−炭素結合を介して結合されるようになる。適切な架橋剤は、N、N’−メチレンビスアクリルアミド、ビスヒドロキシアルキルアミド、ホルムアルデヒド、イソシアネート、エポキシ樹脂、アクリレート(例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、またはそれらの組み合わせ)、トリアリールアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコール、グリセリン、エチレンカーボネート、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。使用できる架橋剤の適切な量は、本明細書に開示されている。
【0034】
本明細書に記載のSAPの実施形態は、当技術分野で既知のSAPでは達成されない優れた自由膨潤の値、CRC値、サージ指数値、および/または容量指数値を示すように十分な架橋を示す高分子量SAPであるように設計される。いくつかの実施形態では、SAPは、例えば2.7以上、または3以上、または3.1以上、または3.2以上、または3.3以上、または3.4以上、または3.5、または3.6以上などの2.5よりも高いサージ指数値を示すことができる。特定の開示された実施形態では、SAPは3.6のサージ指数値を示す。サージ指数は、CRCを決定し、これを渦速度で割り算することによって計算される。CRCおよび渦速度の値は、本開示の実施例のセクションに記載されている方法を使用して決定することができる。
【0035】
一部の実施形態では、SAPは、2900を超える、例えば3000以上、3200以上、3400以上、3600以上、3800以上、4000以上、4200以上、4400以上、4600以上、または4800以上の容量指数値を示すことができる。特定の開示された実施形態では、SAPは、4600から4800の間の容量指数値を示す。たとえば、SAPは4650から4800、4700から4800、または4750から4800の間の容量指数値を示す。代表的なSAPの容量指数値は4712である。容量指数値は、CRCを決定し、それに自由膨潤の値を乗算して計算される。CRCおよび自由膨潤の値は、本開示の実施例セクションの方法を使用して決定することができる。
【0036】
特定の開示された実施形態では、アルファ化デンプン、アクリル酸、およびN、N−メチレンビス(アクリルアミド)の組み合わせから形成された代表的なSAPが、その特性について評価された。いくつかの実施形態では、この代表的なSAPは中和されず、いくつかの実施形態では、例えば400,000から700,000、または400,00から600,000などの、400,000から1,000,000の範囲の分子量値を有する。追加された実施形態において、この代表的なSAPは中和される。特定の開示された実施形態において、このSAPは、表面架橋されていない。この代表的なSAPは、本出願の実施例のセクションの表1に要約されるように、現在の市場で入手可能な非デンプンベースのSAPおよびデンプンベースのSAPのサージ指数値の2倍以上の高いサージ指数値を提供する。
【0037】
別の実施形態では、デンプン、アクリル酸、アクリルアミド、およびN、N−メチレンビス(アクリルアミド)の組み合わせから形成された代表的なSAPが、その特性について評価された。いくつかの実施形態では、使用されるアクリル酸の量は、100:0から75:25などの100:0から51:49の範囲のアクリル酸:アクリルアミドの比を提供するように、アクリルアミドの量よりも多い。一部の実施形態では、この代表的なSAPは、50:50のアクリル酸:アクリルアミドの比を使用して製作された。この代表的なSAPは、中和剤、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはそれらの組み合わせのいずれかで中和される。特定の開示された実施形態では、このSAPは表面架橋されていない。この代表的なSAPは、本出願の実施例のセクションの表1に要約されるように、現在市販されている非デンプンベースおよびデンプンベースのSAPの高容量指数値のほぼ2倍の高容量指数を提供する。
【0038】
IV.方法
A.SAPの実施形態を製作する方法
本明細書には、SAPを製作するための方法の実施形態が開示される。このような方法の実施形態は、従来のSAPと比較して改善された吸収率を有し、優れた遠心分離保持能力(CRC)および負荷下吸収率(AUL)を有するSAPの実施形態を製作するために使用することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上のカルボニル含有モノマー(またはそのポリマーもしくはコポリマー)を含む第1混合物を多糖類ベースのポリマーおよび架橋剤と組み合わせて第2混合物を提供する工程を含む。次に、第2混合物は、架橋剤および多糖類ベースのポリマーとの間に1つ以上の架橋を形成するために処理され得る。特定の開示された実施形態では、使用される多糖類ベースのポリマーの量は、たとえば5重量%から75重量%、5重量%から65重量%、5重量%から55重量%、または5重量%から45重量%など、5重量%から85重量%(乾燥SAPの総重量に基づいて)の範囲とすることができる。特定の開示された実施形態において、多糖類ベースのポリマーの量は、45重量%を超えない。いくつかの実施形態では、使用されるカルボニル含有モノマーの量は、たとえば20重量%から50重量%、30重量%から50重量%、または40重量%から50重量%など、20重量%から60重量%、の範囲とすることができる(乾燥SAPの総重量に基づく)。架橋剤は、例えば0.03重量%から0.4重量%、または0.05重量%から0.3重量%、または0.1重量%から0.3重量%、または0.1重量%から0.7重量%、または0.1重量%から0.5重量%など、0.001重量%から1重量%の範囲の量で含まれ得る(カルボニル含有モノマーの総重量に基づく)。デンプンポリマーを使用する特定の開示された実施形態では、使用される架橋剤の量は、0.7重量%などの1重量%とすることが可能であり、このことは当技術分野の他のSAPによって達成されない吸収率の増加に寄与し得る。いくつかの実施形態では、使用される架橋剤の量は、0.5重量%であり、このことは、当該技術分野の他のSAPによって達成されない吸収値の増加に寄与し得る。いくつかの実施形態において、1000部の全カルボニル含有モノマーに対して1部の架橋剤が使用される。この比率は、たとえば、より多くの架橋剤を追加して、カルボニル含有モノマーから形成される分子側鎖を長くし、またはSAPから生じるゲルの吸収性および/または柔らかさを増進するために、架橋(または形成される架橋)の量を最大化するように調整できる。
【0040】
特定の実施形態では、多糖類ベースのポリマー、カルボニル基含有モノマー(またはそれから形成されるポリマーもしくはコポリマー)、および架橋剤は、重合が起こりSAPを形成し、さらにSAPの予備膨潤を容易にするのに十分な条件下で、典型的には水溶液中で混合することが可能である。いくつかの実施形態において、本方法は、重合を容易にするための開始工程を使用することによって、架橋剤と多糖類ベースのポリマーとの混合物を処理する工程をさらに含むことができる。本方法は、熱処理(例えば、混合物に熱を適用すること)またはUV誘発光重合を使用する工程を含むことができる。開始剤を使用してラジカル形成による重合を促進するいくつかの実施形態(例えば、熱処理または他のラジカル形成処理による)において、開始剤は、アゾ開始剤(例えば、アゾビスイソブチロニトリル)、過酸化物開始剤(例えば、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキシドなど)、酸化還元開始剤(例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなど)、有機ハロゲン化物開始剤(例えば、臭化アリル、2−ヒドロキシ−5−ニトロベンジル臭化物、ヨウ化イソプロピルなど)、またはそれらの任意の組み合わせから選択され得る混合物に加えられ得る。そのような実施形態では、開始剤の活性を促進するために熱が加えられてもよい。したがって、開始剤が添加される混合物は、それが、例えば75°Cから90°C、または77°Cから85°C、または78°Cから80°Cなど、70°C以上の範囲の温度に達するまで加熱され得る。UV誘発光重合工程を使用する実施形態では、アセトフェノン(またはその誘導体、たとえば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ)−2−プロピルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなど)、ベンゾイン(またはその誘導体、たとえば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイルエチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテルなど、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなど)、ベンゾフェノン(またはその誘導体、たとえばo−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロライドなど)、チオキサントン化合物、アシルホスフィンオキシド誘導体(たとえば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキサイドなど)、アゾ化合物(例、2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル、2,2’−{アゾビス(2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル)プロ]ピオンアミド]など)、またはそれらの任意の組み合わせ、などの光開始剤が使用され得る。開始剤を使用するいくつかの実施形態では、開始剤は、例えば0.01重量%から0.5重量%、または0.01重量%から0.3重量%、または0.014重量%から0.1重量%など、0.01重量%から1.0重量%の範囲の量で使用できる(カルボニル含有モノマーの総重量に基づく)。いくつかの実施形態では、開始剤の量は、500部のトウモロコシデンプンに対して1部の開始剤とすることができる。いくつかの実施形態において、より少量の開始剤は、比較的少数の側鎖を有する高分子量ポリマーを生成することができる。より多量の開始剤が使用される場合、多くの小さな鎖が典型的に形成される。少量の架橋を含むより高いモル質量のSAPはより大量の液体を吸収できる。一方、より低いモル質量のSAPは部分的に水/液体に溶解する可能性がある。
【0041】
いくつかの実施形態において、多糖類ポリマー、カルボニル含有モノマー、架橋剤、および開始剤を反応させることから形成されるSAPは、中和工程に曝されることができる。それによって、重合を受けていないカルボニル含有モノマーの残存量が中和され得る。さらにいくつかの実施形態において、それ自体重合していない多糖類SAP上にグラフトされた酸性カルボキシル基は、中和され得る。しかしながら、中和工程は、任意の工程であり、本開示の特定の方法の実施形態の必須の工程ではない。特定の開示された実施形態において、中和工程は、SAP(残留遊離カルボニル含有モノマーを含んでも含まなくてもよい)を含む溶液を、金属水酸化物、金属炭酸塩、アミン、またはそれらの任意の組み合わせなどの、中和剤に曝す工程を含み得る。さらに他の実施形態では、中和工程は、方法の第1の工程として使用され得る。そのような実施形態では、カルボニル含有モノマーは、中和剤の水溶液と組み合わされる。このことは、完全または部分的な中和となり得る。いくつかの実施形態では、中和工程を最初の工程として使用することは、その後、多糖類ベースのポリマー、架橋剤および/または開始剤と組み合わせることができる、カルボニル含有モノマーのポリマー(または2つ以上の異なるカルボニル含有モノマーを使用する場合はコポリマー)の形成を容易にする。適切な金属水酸化物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムから選択することができる。適切な金属炭酸塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウムおよび重炭酸カリウムから選択され得る。特定の開示された実施形態では、SAPの酸性カルボキシル基は、カルボキシル基の50%から95%、例えば70%から95%、または75%から95%が中和されるように中和される。
【0042】
重合(および任意の中和工程および/または前膨潤工程)後、SAPは、低い残留水分含有量を有するように乾燥され、そしてまたSAP粒子を提供するための粉砕工程に暴露され得る。特定の開示された実施形態では、乾燥および粉砕は、典型的には、予備膨潤後に行われる。さらに他の実施形態において、乾燥および粉砕は、予備膨潤なしに起こり得る。いくつかの実施形態では、乾燥は、単に、任意の残留水を蒸発させることによって、または放射乾燥(例えば、赤外線乾燥)、たとえばマイクロ波の使用による高周波乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、または噴霧乾燥などの積極的な乾燥工程を使用して行われ得る。さらにいくつかの追加の実施形態では、乾燥は、薄膜乾燥工程(例えば、二軸缶乾燥機を使用することによる)、プレート乾燥工程(多層のプレート上にSAPを装填し、それを通って熱風が循環する乾燥チャンバ内に配置することによる)、缶乾燥機を使用する回転ドラム工程、またはコンベアベルト工程(または「ベルト乾燥」工程)を使用して行われ得る。ここのとき、円形コンベヤの複数の中空トレーは、乾燥されるSAPとともにトンネル内に装填され、SAPは、トンネルを通る間にトレー穴を通して熱風を吹き込むことによって乾燥される。SAPは典型的には、SAPの残留水分含有量が0重量%から30重量%以下、例えば0重量%から15重量%、または0重量%から10重量%の範囲になるように乾燥される。
【0043】
いくつかの実施形態では、乾燥工程は、SAPを乾燥するのに十分であるがSAPの内部架橋を開始しない温度でSAPを乾燥する工程を含むことができる。いくつかの実施形態では、SAPは、70°Cから150°C、または80°Cから120°C、または90°Cから100°Cなど、50°Cから180°Cの範囲の温度で乾燥され得る。特定の開示された実施形態では、SAPは、100°Cから150°C、または70°Cから100°Cの範囲の温度で乾燥される。いくつかの実施形態では、SAPは、SAPを乾燥させるだけでなくSAPの内部架橋を回避するように十分な時間乾燥され得る。いくつかの実施形態では、SAPは、20分から5時間、例えば30分から4時間、または30分から3時間、または30分から2時間の範囲の時間にわたり乾燥される。特定の開示された実施形態において、乾燥工程は、80°Cから100°Cの範囲の温度で行われ、外部圧力に対して同等の吸収性と相まって著しく高い吸収および保持能力を有するSAP実施形態を提供する。
【0044】
上述のように、粉砕工程は、SAP粒子を提供するために使用され得る。いくつかの実施形態では、粉砕工程は、ブレーカープレートを通してSAPをプレスして、切削工具を使用してさらに短いゲル押出物に分割することができるゲル押出物を形成する工程を含むことができる。いくつかの実施形態では、粉砕工程は、ゲル表面積のゲル体積に対する比を拡大するために使用され得る。このような実施形態では、乾燥工程は、乾燥工程で必要とされる時間およびエネルギー出力を著しく減少させることができる。このことは、一部の実施形態では、粉砕後に起こり得る。さらに他の実施形態では、乾燥は粉砕の前に行うことができる。いくつかの実施形態では、任意のスクリーニング工程が、10μmから3000μm、例えば70μmから2000μm、または150μmから850μmの範囲で、粒子サイズの分布を設定するために使用され得る。3000μmを超えるサイズを有するSAP粒子は、さらなる粉砕に曝され得る。10μm未満のサイズを有するSAP粒子はリサイクルされ得る。
【0045】
さらに追加の実施形態では、方法は、予備膨潤したSAP粒子に対して表面架橋工程を実施することを含むことができる。表面架橋工程は、SAP粒子をスプレーコーティングすることにより、予備膨潤したSAP粒子を、SAP粒子の表面に適用される表面架橋剤に曝露する工程を含み得る。SAP粒子の表面を表面架橋剤でコーティングするのみにより、表面のみでポリマーを架橋し、表面架橋剤のSAP粒子のコアへの浸透を回避することは可能である。特定の開示された実施形態では、表面架橋剤を含む水溶液がSAP粒子の表面に噴霧される。溶液は、多糖類を基準として、表面架橋剤を、0.01重量%から30重量%、例えば0.1重量%から20重量%、または0.1重量%から15重量%、または0.1重量%から10重量%、または0.1重量%から5重量%の範囲の量で含むことができる。いくつかの実施形態では、溶液は、20重量%または5重量%の表面架橋剤を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、アセトン、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、グリセロール、THF、ジオキサン、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール)、ポリビニルアルコールおよびポリアクリル酸などの1つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、表面架橋剤は水溶性であり、典型的には、SAPのカルボキシル基、ヒドロキシル基、および/またはカルボキサミド基と、水溶液中で反応することができる少なくとも2つの官能基または官能性を含む。いくつかの実施形態では、表面架橋剤は、有機化合物または金属カチオンであり得る(例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、クロム、セリウム、ジルコニウム、コバルトなどのカチオンである。これらは水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化鉄など塩によって提供され得る)。SAPの含むアミンおよび/またはヒドロキシル基と反応することができる表面架橋剤として使用できる有機化合物の例は、ジアルデヒド、二無水物、ポリアミン、ポリ酸、ジクロライド、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。SAPのカルボキシル基と反応するために使用できる表面架橋剤の例は、グリコール化合物(例えば、グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン置換化合物、メチル−エピクロロヒドリン置換化合物、ポリアミンエピクロロヒドリン付加物、ポリエチレン−ポリアミン−エピクロロヒドリン付加物、ヒドロキシ末端オキシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、糖、糖誘導体、ポリオキシエチレンソルビトール誘導体、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、またはそれらの任意の組み合わせが含むが、これらに限定されない。特定の開示された実施形態において、表面架橋剤は、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリエチレントリアミン、ポリエチレンアミン、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジンジニル)プロピオネート]、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパンジオールブタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、およびソルビトールから選択される。
【0047】
いくつかの実施形態では、表面架橋は、熱を使用して促進することができる。いくつかの実施形態では、表面架橋剤で表面コーティングされたSAP粒子は、90°Cから250°C、たとえば100°Cから200°C、または125°Cから175°C、または125°Cから150°Cの範囲の温度で加熱される。特定の開示された実施形態において、表面架橋剤で表面コーティングされたSAP粒子は、150°Cから200°C以上、例えば155°Cから200°C、または160°Cから200°Cの範囲の温度で加熱される。いくつかの実施形態において、表面架橋工程は、主にSAP粒子の表面においてのみ、SAPの架橋を可能にするのに十分な時間、行うことが許される。いくつかの実施形態では、表面架橋工程は、1分から60分の範囲、例えば5分から40分、または10分から20分の範囲の時間、行うことが許される。特定の開示された実施形態において、表面架橋工程は、加熱してまたは加熱せずに10分から20分間行うことが許される。
【0048】
十分な表面架橋が行われた後、表面架橋されたSAPは、SAPの表面架橋の安定性/強度を高めるために乾燥される。乾燥は、SAPの吸収特性を劣化させることなく、またはそうでなければ有害に影響することなく、所望の程度の乾燥を引き起こすのに十分な任意の条件下、例えば、上記のように、SAPが予め膨潤された後に乾燥が行われる条件下で起こり得る。
【0049】
さらに追加の実施形態では、方法は、SAPを無機または有機の二次架橋剤でコーティングする工程を含むことができる。特定の開示された実施形態では、このコーティング工程は、表面架橋工程の前に行われる。そのような実施形態では、二次架橋剤の水溶液が調製される。次に、SAPは、この混合物に加えられ、水および二次架橋剤がSAPの外表面の少なくとも一部に浸透して軟化するのを可能にするのに十分な時間、溶液中に保持される。次に、SAPは乾燥される。いくつかの実施形態では、この方法で使用される二次架橋剤は、上記のように、表面架橋に使用されるものから選択することができる。
【0050】
B.使用方法
本明細書に記載されるSAP実施形態は、おむつ(大人および赤ちゃん用おむつ)、衛生用品、こぼれ封じ、包装およびヒースケアパッド、医療用包帯、火傷および創傷ケア、吸収性製品包装材料およびシステム、ペットおよび動物製品、火災防止および抑制、封止および漏れ封じ込め製品、ワイヤシース、ガスケット、一時的プラグ、建築製品など、様々な用途における使用に役立つ優れた特性を有する。特定の開示された実施形態において、SAP実施形態は、抽出物が200PPM未満、または150PPM未満、または100PPM未満、または1PPB未満、または50PPB未満、または200PPB未満存在するというように、抽出物を実質的に含まない。特定の開示された実施形態では、本明細書で説明されるSAP実施形態は、水性ベースの流体などの様々な流体の吸収に使用できる任意の物品で使用され得る。いくつかの実施形態では、SAP実施形態は、吸収パッド(例えば、肉パッド、食品パッド、ベッドパッドなど)、創傷ケア製品(例えば、包帯、圧迫パッド、ガーゼパッド、火傷ケア製品など)、および包装製品のような、他の吸収性物品で使用され得る。追加の実施形態であるSAP実施形態は、あらゆる寸法および厚さの繊維、ウェビング、およびフィルムを形成するために使用され得る。特定の開示された実施形態では、本明細書に記載されるSAP実施形態は、おむつ脚部カフスおよび/または女性用衛生パッドカフスを形成するために使用することができるエラストマーフィルムとして形成され得る。
【0051】
特定の開示された実施形態では、本明細書に記載のポリマーは、従来の市販のポリマーが使用される場合、おむつなどの衛生用品に通常含まれるセルロース繊維(または「綿毛」または「綿毛パルプ」)の大部分を置き換えるために使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるSAP実施形態を含む衛生製品は、従来のSAPが許容可能な性能特性(例えば、吸収性)を提供するために必要とするものよりも、10%から50%、10%から25%、50%から100%、または25%から100%など、10%から100%少ない綿毛パルプを利用する。
【0052】
V.いくつかの実施形態の概要
本明細書には、架橋剤および1つ以上のカルボキシル基および/または多糖類ベースのポリマーのカルボキサミド基との間に形成される1つ以上の架橋を含む多糖類ベースのポリマーを含み、SAPが2.7を超えるサージ指数値および/または2900を超える容量指数値を示す、超吸収性ポリマー(SAP)の実施形態が開示される。
【0053】
さらに本明細書には、架橋剤および多糖類ベースのポリマーの2つ以上のカルボキシル基との間に形成される1つ以上の架橋を含む多糖類ベースのポリマーを含み、SAPが2.7を超えるサージ指数値を示す、超吸収性ポリマー(SAP)の実施形態が開示される。
【0054】
上記の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、2つ以上のカルボキシル基は、架橋剤および1つ以上のカルボキシル基との間に形成された少なくとも1つの炭素−炭素結合を介して架橋剤に結合される。
【0055】
上記の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、カルボキシル基は、多糖類ベースのポリマーをアクリル酸とカップリングさせることによって提供される。
【0056】
上記の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、SAPは3.2を超えるサージ指数値を示す。
【0057】
上記の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、SAPは3.4のサージ指数値を示す。
【0058】
上記の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、SAPは3.6のサージ指数値を示す。
【0059】
さらに本明細書には、架橋剤および多糖類ベースのポリマーの2つ以上のカルボキシル基との間に形成された1つ以上の架橋、架橋剤および多糖類ベースのポリマーの2つ以上のカルボキシサミド基との間に形成された1つ以上の架橋、または架橋剤および多糖類ベースのポリマーのカルボキシル基およびカルボキサミド基との間に形成された1つ以上の架橋を含み、SAPの官能基が少なくとも部分的に中和され、かつSAPが2900を超える容量指数値を示す、多糖類ベースのポリマーを含む、超吸収性ポリマー(SAP)の実施形態が開示される。
【0060】
いくつかの実施形態において、カルボキシル基は、多糖類ベースのポリマーをアクリル酸と組み合わせることによって提供される。そして、カルボキサミド基は、多糖類ベースのポリマーをアクリルアミドと組み合わせることによって提供される。
【0061】
上記の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、多糖類ベースのポリマーのカルボキシル基および/またはカルボキサミド基は、架橋剤およびカルボキシル基および/またはカルボキサミド基との間に形成される炭素−炭素結合を介して架橋剤と架橋される。
【0062】
上記の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、SAPは3000を超える容量指数値を示す。
【0063】
上記の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、SAPは4000を超える容量指数値を示す。
【0064】
上記の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、SAPは4712の容量指数値を示す。
【0065】
上記の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、SAPの官能基は、水酸化ナトリウムで中和される。
【0066】
上記の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、SAPは粒子の形態であり、粒子の少なくとも一部の外面は、表面架橋なしのSAPと比較して、外面においてより高い架橋密度が得られるように、表面架橋されている。
【0067】
上記の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、多糖類ベースのポリマーはデンプンを含む。
【0068】
上記の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、多糖類ベースのポリマーは、アルファ化デンプンである。
【0069】
上記の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、架橋剤は、N、N−メチレンビス(アクリルアミド)である。
【0070】
上記の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、SAPに存在する任意の抽出物は、200PPM未満の量で存在する。
【0071】
さらに、本明細書では、上記の実施形態のいずれかまたはすべてによるSAPを含む、吸収性物品の実施形態が開示される。
【0072】
いくつかの実施形態では、吸収性物品は、上記の実施形態のいずれかまたはすべてによるSAP以外のSAPを含む吸収性物品と比較して、10%から100%少ない量の綿毛パルプを含む。
【0073】
さらに本明細書には、カルボニル含有モノマーを中和剤と組み合わせて第1混合物を提供する工程、多糖含有ポリマー前駆体を第1混合物に加えて多糖類ベースのポリマーを提供する工程、多糖含有ポリマーを架橋剤と組み合わせて第2混合物を形成する工程、架橋剤および多糖類ベースのポリマーの1つ以上のカルボキサミド基および/またはカルボキシル基との間に1つ以上の架橋を形成するために第2混合物を処理して、SAP溶液を提供する工程、SAP溶液を乾燥させて乾燥SAPを提供する工程、および乾燥されたSAPを粒子に粉砕して、SAPを提供する工程を含む、上記実施形態のうちのいずれかまたはすべてによるSAPを製作するための方法の実施形態が開示される。
【0074】
いくつかの方法の実施形態では、架橋剤は、カルボニル含有モノマーの総重量に基づいて0.1重量%から1重量%の範囲の量で使用される。
【0075】
上記の方法の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、架橋剤は、カルボニル含有モノマーの総重量に基づいて0.1重量%から0.7重量%の範囲の量で使用される。
【0076】
上記の方法の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、第2混合物を処理する工程は、開始剤を添加する工程、および開始剤を添加した後に第2混合物を加熱する工程を含む。
【0077】
上記の方法の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、開始剤は過硫酸アンモニウムである。
【0078】
上記の方法の実施形態のいずれかまたはすべてにおいて、方法は、SAP粒子を表面架橋剤でコーティングすることによってSAP粒子を表面架橋する方法をさらに含む。
【0079】
さらに本明細書には、2.7より大きいサージ指数および/または少なくとも3000の容量指数を有する超吸収性ポリマーの実施形態が開示される。いくつかの実施形態では、超吸収性ポリマーは、3.2より大きいサージ指数および/または少なくとも4000の容量指数を有する。
【0080】
VI.実施例
(実施例1)
この実施例では、デンプンベースのSAP、ならびにSAPを製作するために使用される例示的な方法が記載される。この例では、次の成分が使用された:デンプン(アルファ化)、脱イオン水、氷アクリル酸、50%水酸化ナトリウム、過硫酸アンモニウム(開始剤として使用)、およびN’N−メチレンビスアクリルアミド(架橋剤として使用)。
【0081】
この実施例では、バッチ/半連続工程がSAPを製作するために使用された。工程のバッチ部分は、アルファ化デンプン/脱イオン水スラリーの準備を含む。工程の半連続部分は、特定の量のアルファ化デンプン/脱イオン水スラリーと共に他の成分を適切な容器に加える工程を含む。SAPを提供するために、重合が起こされ、次いで、得られた生成物が乾燥され、乾燥したポリマーを粉砕することによって粒子が形成される。
【0082】
アルファ化デンプン/脱イオン水スラリーのバッチ調製:1ポンドのアルファ化トウモロコシデンプンに対する10ポンドの脱イオン水の比率が、アルファ化デンプン/脱イオン水スラリーを製作するために使用された。これらの2つの成分は、アルファ化トウモロコシデンプンを膨潤させるために、適切な時間組み合わされた。膨潤を誘発するために加熱は必要なかった。しかし、アルファ化トウモロコシデンプンのさらなる膨潤が望まれる場合、熱が使用され得る。アルファ化デンプン/脱イオン水スラリーの沈殿を防ぎ、酸素の導入を回避するために、アルファ化トウモロコシデンプンおよび脱イオン水を含むタンクで、コンスタントな軽い撹拌が行われた。
【0083】
重合を促進するための半連続工程:重合を促進するため、適当な容器(例えば、ガラスライニングされたPfaudler反応器)が不活性雰囲気下に保たれ(例えば、容器をN2で覆うことにより)、この容器に全ての成分が加えられ、次いでこの容器は加熱された。
【0084】
中和工程は、次の2つのオプションのいずれかを使用して実行された:
【0085】
オプション1:このオプションでは、アクリル酸は、重合工程に使用される容器とは別の容器で中和される。1モルの50%水酸化ナトリウムは80MWである(水酸化ナトリウムのモル重量は40MW)。1モルの氷アクリル酸は72.06MWである。このオプションを使用して、50%水酸化ナトリウムの56重量にあたる、80MW水酸化ナトリウムの70%が別個の容器に添加される。この同じ容器に、50.5重量のアクリル酸にあたる、72.06MWアクリル酸の70%が添加される。次いで、容器は、100%中和されたポリアクリル酸ナトリウムを含有する。次いで、この100%中和ポリアクリレートは、アルファ化されたデンプン/脱イオン水スラリーおよび氷アクリル酸の残りの30%残りを70%中和したままの状態で、不活性雰囲気下に保持した容器に、実質的に同時に、または連続して、任意の順序で添加される。重合反応は、架橋剤および開始剤を工程の少し後で追加することにより、実行される(以下を参照)。
【0086】
オプション2:このオプションでは、不活性雰囲気下にある容器が、同じ容器内のすべての成分を混合するために使用された。この容器に、水酸化ナトリウムの56重量にあたる、80MW 50%水酸化ナトリウムの70%が添加された。この同じ反応容器に、72.06MWのアクリル酸を1モル添加した。これら2つが、撹拌を使用して実質的に均質な混合物を形成するために混合された後、70%中和されたポリアクリル酸ナトリウムおよび30%遊離氷アクリル酸が得られた。次いで、他の成分が、以下に記載するように添加され得る。
【0087】
この特定の例では、上述のオプション2が、単一の容器内でSAPを調製するために使用された。上記のように、容器は、70%の予備中和ポリアクリル酸ナトリウムおよび30%の未中和氷アクリル酸を含有した。この容器に、適量のアルファ化デンプン/脱イオン水スラリーが、N’N―メチレンビスアクリルアミド架橋剤および過硫酸アンモニウム開始剤と共に、実質的に同時にまたは順次、任意の順序で、添加された。1000部の全アクリル酸に対して1部の架橋剤が使用された。
【0088】
中和反応中に一定量の熱が発生したため、容器内に30%のアクリル酸および/または他の成分を追加して存在させることは、温度の上昇を最小限に抑えることができる。反応温度は、中和後、またはすべての成分が容器に添加された後でありかつ混合の前に、測定され得る。混合が完了し、温度を172°F(または78°C)に上げる直前に、温度が再び測定され得る。
【0089】
容器内ですべての成分が混合された後、溶液を完全に混合しながら、混合物は撹拌により完全に混合され、混合物は最低温度172°Fに加熱された。172°Fに達すると、過硫酸アンモニウム開始剤が重合工程を開始した。過硫酸アンモニウムは、特に反応混合物が172°Fの温度に達したときに、熱で活性化された。容器の内容物は205°F未満に維持された。重合工程は迅速であり(通常は数分以内に完了)、その時点での重合生成物は半固体の粘稠な粘着性の塊になった。この実施例で使用される過硫酸アンモニウムの量は、500部のトウモロコシデンプンに対して1部の過硫酸塩であった。
【0090】
重合反応が所望の重合の程度まで完了すると、ポリマー質量温度の低下を開始するために、容器は冷却水に入れて冷却された。冷却されると、内容物を保持ホッパーに移動することにより、容器が空にされた。ポリマー塊は、容器の底部の十分に大きな開口部が、開かれると、重力を利用して、数分以内に(依然として撹拌しながら)容器を通って製品を流すように、流し出ることができた。
【0091】
この実施例では、最終生成物中のトウモロコシデンプンの含有量は、ポリアクリル酸ナトリウムおよび中和されていないアクリル酸の量に対するトウモロコシデンプンが5重量%であった。1モルのポリアクリル酸ナトリウムは94.05MWである。1モルのアクリル酸は72.06MWである。したがって、70%中和されたアクリル酸は94.05MWの70%であり、それは65.85重量%に相当する。ポリマーの合成部分トータルの総重量が87.47%であるのに対し、遊離アクリル酸の30%は21.62重量%に相当する。デンプンの5%の追加は、0.05X87.47%の重量であり、合計で4.37重量%のデンプンになる。4.37重量%は、この反応のデンプンの水分含有量を調整するために、5重量%に増やすことができる。反応のすべての成分の追加は、87.47重量%のポリマー、5.00重量%のデンプン、および92.47%のSAP総重量、となる。
【0092】
この実施例の工程はまた、乾燥工程を含む。この乾燥工程では、SAPは、4.2%の水分含量を提供するのに十分な時間、160°Fから185°F以上の範囲の温度に曝されることにより乾燥された。次いで、乾燥されたポリマーは、ミルによって機械的に特定サイズのメッシュ範囲に粉砕された。
【0093】
(実施例2)
本実施例では、実施例1で上述した工程が用いられているが、アクリル酸はアクリル酸およびアクリルアミドの混合物(50:50の比)に置き換えられる。使用した残りの成分および方法工程は、実施例1に記載したものと同じである。
【0094】
(実施例3)
この実施例では、開示されたSAPの様々な実施形態の特性が、評価され、いくつかの従来のポリマーの特性と比較された。従来の各ポリマーの簡単な説明が以下に示される。
・比較例1は、ポリアクリル酸ナトリウムポリマーである住友精化製のAQUAKEEP(登録商標)SA 60Sである。
・比較例2は、ポリアクリル酸ナトリウムポリマーである住友精化製のAQUAKEEP(登録商標)SA 60N TYPE IIである。
・比較例3は、FAVORPAC(登録商標)230である。これは、ポリアクリル酸ナトリウム架橋ポリマーであるEvonik―Stockhausen製のポリマーである。
・比較例4は、LGケミカル製のポリマーである。
・比較例5は、Danson Technology製のポリアクリル酸ナトリウム架橋ポリマーであるDSORB(登録商標)―128である。
・比較例6は、Danson Technology製のポリアクリル酸ナトリウム架橋ポリマーであるDSORB(登録商標)―228である。
・比較例7は、Danson Technology製のポリアクリル酸ナトリウム架橋ポリマーであるDSORB(登録商標)―328である。
・比較例8は、Danson Technology製のポリアクリル酸ナトリウム架橋ポリマーであるDSORB(登録商標)―428である。
・比較例9は、BASF SE,Ludwigshafen;Germany製の、部分的に中和されたアクリル酸のコポリマーであるHYSORB(登録商標)B7055である。
・比較例10は、BASF SE、Ludwigshafen;Germany製の、部分的に中和されたアクリル酸のコポリマーであるHYSORB(登録商標)B8700である。
・比較例11は、BASF SE、Ludwigshafen;Germany製の、部分的に中和されたアクリル酸のコポリマーであるHYSORB(登録商標)B7075である。
・比較例12は、トウモロコシデンプンベースのポリマーである。
・比較例13は、トウモロコシデンプンベースのポリマーである。
【0095】
以下の方法を使用して、以下の表に列挙される特性を決定するために、様々なSAP実施形態が試験された。
【0096】
自由膨潤の値を決定するために、以下の試験がSAP実施形態に使用される。
1)約60mm×80mmサイズのティーバッグを4枚用意する。乾燥したティーバッグの重さを秤量する。
2)2グラムのサンプルを2つのティーバッグに入れる。
3)4つのティーバッグを平らなプラスチックスクリーン上に置き、試料を広げ、凝集させないようにする。スクリーンをガラストレイに下げ、ティーバッグおよび試料を0.9%生理食塩水に60分間浸す。
4)ティーバッグを取り出し、標準的なキッチンペーパータオル上に15秒間置く。すべてのティーバッグの重さを秤量する。
5)次の式を用いて自由膨潤の値を計算する。
1g当たりのSAPに吸収される0.9%生理食塩水の自由膨潤グラム数=(ティーバッグおよびSAPの重量―SAPを含まないティーバッグの平均湿重量)/SAPの乾燥重量。
【0097】
渦吸収率を決定するために、SAPの実施形態に次の試験が使用される。100mlビーカーに0.9%生理食塩水50mlおよび磁気バー(20*5mm八角形)が入れられた。ビーカーが600rpmの速度で撹拌されながら、2.0gの吸収性ポリマーが生成された渦に供給され、同時にストップウォッチが作動された。渦が消え、液面が完全に水平になるまでの時間(単位:秒)が測定された。
【0098】
負荷時の吸収性を決定するために、SAPの実施形態に次の試験が使用される:
SAPのAULは、EDANAメソッドWSP 242.3に従って測定された。内径60mmのプラスチック製シリンダーの底にステンレス製の400メッシュが取り付けられた。約0.90gのSAPが、室温および湿度50%で金属メッシュ上に均一に広げられた。シリンダーの内径60mmより少し小さい外径のピストンが、4.83kPa(0.7psi)の荷重を均一にかけるように、取り付けられた。装置の重量(Wa)がグラムで測定された。
【0099】
直径90mm、厚さ5mmのガラスフィルターが、直径150mmのシャーレの内側に取り付けられた。次に、0.90重量%の塩化ナトリウムを含む生理食塩水が、90mmの直径を有する濾紙を取り付けたガラスフィルターの上部と同程度まで加えられた。測定装置が、荷重をかけた状態で1時間液体を吸収するよう、ろ紙の上に取り付けられた。1時間後、測定装置を持ち上げた後に重量(Wb)がグラムで測定された。
【0100】
荷重下の吸収力(g/g)は、式1に従ってWaおよびWbから計算された。
AUL(g/g)=(Wb−Wa)/(グラム単位の吸収性ポリマーの重量)
数式(1)
【0101】
本開示の特定のSAPに関するAUL結果は、以下の表1に提供される。SAP実施形態1は、カルボニル含有モノマーとしてアクリル酸およびアクリルアミド、多糖類ベースのポリマーとしてアルファ化デンプン、および架橋剤としてN、N−メチレンビス(アクリルアミド)(0.5%の量で使用)を使用した。SAP実施形態2は、カルボニル含有モノマーとしてアクリル酸、多糖類ベースのポリマーとしてアルファ化デンプン、および架橋剤(0.7%の量で使用)としてN、N−メチレンビス(アクリルアミド)を使用した。SAP実施形態3は、カルボニル含有モノマーとしてアクリル酸、多糖類ベースのポリマーとしてアルファ化デンプン、および架橋剤(0.5%の量で使用される)としてN、N−メチレンビス(アクリルアミド)を使用した。
【0102】
【表1】
【0103】
遠心保持容量は、2つのSAPの実施形態に対して次の試験を使用して決定される。ある量(W)の各ポリマー(約2グラム)が不織布のバッグに入れられ、続いてシールされる。次に、バッグは室温で生理食塩水(0.9重量%)に浸された。約30分後、バッグは遠心分離機で1,750 RPMで3分間排水され、バッグの重量W2がグラムで測定された。ポリマーを使用せずに同じ手順が実行され、得られた重量W1がグラムで測定された。CRC(g/g)は、これらの重量から式2を使用して計算された。
CRC(g/g)={(W2―W1―W)/W}
数式(2)
【0104】
各サンプルのサージ指数値を決定するためには、測定されたCRC値は、測定された渦速度の値により割り算される。このような例では、渦速度は秒単位で測定される。渦試験は、50ミリリットルの生理食塩水溶液を磁気撹拌プレート上で600回転/分で撹拌することによって生成される渦を止めるために、2グラムのSAP材料に必要な秒単位の時間の量を測定する。渦が止まるのにかかる時間は、超吸収性材料の自由膨潤吸収率の指標である。
【0105】
各サンプルの容量指数を決定するためには、測定されたCRC値は、測定された自由膨潤の値により乗算される。
【0106】
(上記のような)本開示の3つのSAP実施形態の値は、上記の方法を使用して決定された。比較実施形態の値は、比較実施形態に関連する入手可能な製品文献から得られた。表2は容量指数値の概要を示す。表3はサージ指数値の概要を示す。
【0107】
【表2】
【0108】
表2の情報から分かるように、本明細書で開示されるSAP実施形態は、他のデンプンベースのSAPを含む他のSAPよりもはるかに優れているサージ指数値および/または容量指数値を示すことができる。SAP実施形態1などのいくつかの実施形態では、容量指数は、比較例の最高容量指数値よりも10%超高かった。現在のSAPでは、CRCが上昇するにつれてフリー膨潤が低下する。しかし、本明細書に開示されるSAP実施形態は、CRCが増加するにつれて自由膨潤が低下しないので、最大またはより大きな容量指数を有する。
【0109】
【表3】
【0110】
おおきなサージ指数値は、SAPが水性流体(尿など)の初期の流れを制御し、製品の漏れを減らす能力の尺度になる。表2の情報から分かるように、本明細書に開示されるSAP実施形態は、デンプンベースのSAPを含む他のSAPよりもはるかに優れているサージ指数値を示すことができる。
【0111】
開示された発明の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を考慮して、例示された実施形態は、好ましい例にすぎず、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、本開示の範囲は、以下の請求項によって定義される。したがって、私は本開示の範囲およびこれらの請求項の精神に含まれるすべてを私の発明として主張する。
【国際調査報告】