(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-518071(P2021-518071A)
(43)【公表日】2021年7月29日
(54)【発明の名称】アンテナ素子及びそれを含むディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/38 20060101AFI20210702BHJP
H01Q 13/08 20060101ALN20210702BHJP
【FI】
H01Q1/38
H01Q13/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-546884(P2020-546884)
(86)(22)【出願日】2019年3月5日
(85)【翻訳文提出日】2020年9月3日
(86)【国際出願番号】KR2019002517
(87)【国際公開番号】WO2019172609
(87)【国際公開日】20190912
(31)【優先権主張番号】10-2018-0026379
(32)【優先日】2018年3月6日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE−CHEM CO., LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】520337569
【氏名又は名称】ポステック リサーチ アンド ビジネス デベロップメント ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】POSTECH RESEARCH AND BUSINESS DEVELOPMENT FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】リュ, ハン スブ
(72)【発明者】
【氏名】オ, ユン セオク
(72)【発明者】
【氏名】フ, ヨン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ホン, ウォン ビン
【テーマコード(参考)】
5J045
5J046
【Fターム(参考)】
5J045AA05
5J045DA09
5J045HA03
5J045LA04
5J045MA07
5J045NA03
5J046AA03
5J046AB13
5J046PA07
(57)【要約】
本発明の実施形態のアンテナ素子は、誘電層と、誘電層の上面上に配置され、複数の電極ラインにより定義された単位セルが集合されたメッシュ構造を含むアンテナパターンとを含む。単位セルの向かい合う対辺間の最短距離は20〜225μmであり、前記電極ラインの線幅は0.5〜5μmである。単位セル構造により、電極の視認を抑制し、信号の感度を向上させることができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電層と、
前記誘電層の上面上に配置され、複数の電極ラインにより定義された単位セルが集合されたメッシュ構造を含むアンテナパターンとを含み、
前記単位セルの向かい合う対辺間の最短距離は20〜225μmであり、
前記電極ラインの線幅は、0.5〜5μmである、アンテナ素子。
【請求項2】
前記単位セルの前記向かい合う対辺間の前記最短距離は50〜196μmである、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項3】
前記メッシュ構造は、互いに交差する第1電極ライン及び第2電極ラインを含む、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項4】
前記単位セルは、菱形形状である、請求項3に記載のアンテナ素子。
【請求項5】
前記アンテナパターンの周辺に配列されたダミー電極をさらに含む、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項6】
前記ダミー電極は、前記アンテナパターンと同じ前記メッシュ構造を含む、請求項5に記載のアンテナ素子。
【請求項7】
前記アンテナパターン及び前記ダミー電極は、同じ金属を含み、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)及びこれらの合金からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項6に記載のアンテナ素子。
【請求項8】
前記アンテナパターンは、放射電極と、前記放射電極に接続された伝送線路と、前記伝送線路の一端に接続されたパッド電極とを含む、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項9】
前記放射電極は、前記メッシュ構造を含み、前記パッド電極は、中身が詰まった(solid)構造を有する、請求項8に記載のアンテナ素子。
【請求項10】
前記パッド電極は、前記放射電極及び前記伝送線路の上層に配置され、
前記パッド電極と前記伝送線路を互いに電気的に接続するコンタクトをさらに含む、請求項9に記載のアンテナ素子。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のアンテナ素子を含む、ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ素子及びそれを含むディスプレイ装置に関する。より詳細には、電極パターンを含むアンテナ素子及びそれを含むディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会が進展するにつれて、ワイファイ(Wi−Fi)、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)などの無線通信技術がディスプレイ装置と結合され、例えばスマートフォンの形で実現されている。この場合には、アンテナが前記ディスプレイ装置に結合され、通信機能を実行することができる。
【0003】
最近では、移動通信技術が進化するにつれて、超高周波帯域の通信を行うためのアンテナが前記ディスプレイ装置に結合される必要がある。また、透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイなどの薄型、高透明、高解像度のディスプレイ装置が開発され、前記アンテナもまた、向上した透明性、柔軟性を持つように開発される必要がある。
【0004】
前記ディスプレイ装置の画面が大面積化されるにつれて、ベゼル部または遮光部の空間又は面積は減少している傾向にある。この場合には、アンテナが内蔵される空間又は面積も制限され、これにより、アンテナに含まれる信号送受信のための放射電極が前記ディスプレイ装置の表示領域と重畳することがある。このため、前記ディスプレイ装置の画像が前記アンテナの放射電極により隠されることや、前記放射電極がユーザに視認されて画質が低下することがある。
【0005】
例えば、韓国公開特許第2013−0095451号は、ディスプレイパネルに一体化されたアンテナを開示しているが、アンテナによるディスプレイ装置の画像の劣化については考慮していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、向上した視覚的な特性および信号の送受信効率を有するアンテナ素子を提供することである。
【0007】
本発明の課題は、向上した視覚的な特性および信号の送受信効率を有するアンテナ素子を含むディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1.誘電層と、前記誘電層の上面上に配置され、複数の電極ラインにより定義された単位セルが集合されたメッシュ構造を含むアンテナパターンとを含み、前記単位セルの向かい合う対辺間の最短距離は20〜225μmであり、前記電極ラインの線幅は0.5〜5μmである、アンテナ素子。
【0009】
2.前記項目1において、前記単位セルの前記向かい合う対辺間の前記最短距離は50〜196μmである、アンテナ素子。
【0010】
3.前記項目1において、前記メッシュ構造は、互いに交差する第1電極ライン及び第2電極ラインを含む、アンテナ素子。
【0011】
4.前記項目3において、前記単位セルは、菱形形状である、アンテナ素子。
【0012】
5.前記項目1において、前記アンテナパターンの周辺に配列されたダミー電極をさらに含む、アンテナ素子。
【0013】
6.前記項目5において、前記ダミー電極は、前記アンテナパターンと同じ前記メッシュ構造を含む、アンテナ素子。
【0014】
7.前記項目6において、前記アンテナパターンおよび前記ダミー電極は、同じ金属を含み、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)及びこれらの合金からなる群より選択される少なくとも一つを含む、アンテナ素子。
【0015】
8.前記項目1において、前記アンテナパターンは、放射電極と、前記放射電極に接続された伝送線路と、前記伝送線路の一端に接続されたパッド電極とを含む、アンテナ素子。
【0016】
9.前記項目8において、前記放射電極は、前記メッシュ構造を含み、前記パッド電極は、中身が詰まった(solid)構造を有するアンテナ素子。
【0017】
10.前記項目9において、前記パッド電極は、前記放射電極及び前記伝送線路の上層に配置され、前記パッド電極および前記伝送線路を互いに電気的に接続するコンタクトをさらに含む、アンテナ素子。
【0018】
11.前記項目1〜10のいずれかに記載のアンテナ素子を含む、ディスプレイ装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施形態に係るアンテナ素子は、例えば、ダイヤモンド形状又は菱形形状の単位セルが集合されたメッシュ構造を有する放射電極を含むことができる。前記放射電極の単位セルの向かい合う対辺間の最短距離を調節することにより、前記放射電極に含まれる電極ラインの視認を防止することができる。また、前記電極ラインの線幅を調節して抵抗および透過率を調節することができる。
【0020】
前記アンテナ素子は、ディスプレイ装置の前面部に挿入または実装することができ、前記放射電極が前記ディスプレイ装置のユーザに視認されることを防止することができる。また、前記電極ラインの線幅の調整により、信号感度を増加させながら透過率を向上させ、ディスプレイ装置の画像品質の低下を最小限に抑えることができる。
【0021】
前記アンテナ素子は、金属材質のメッシュ構造を含むので、柔軟性の特性が向上し、フレキシブルディスプレイ装置に効果的に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態に係るアンテナ素子を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態に係るアンテナ素子を示す概略平面図である。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態に係るアンテナ素子のメッシュ構造を示す概略平面図である。
【
図4】
図4は、例示的な実施形態に係るアンテナ素子の単位セルを示す概略平面図である。
【
図5】
図5は、いくつかの例示的な実施形態に係るアンテナ素子の単位セルを示す概略平面図である。
【
図6】
図6は、いくつかの例示的な実施形態に係るアンテナ素子を示す概略断面図である。
【
図7】
図7は、いくつかの例示的な実施形態に係るアンテナ素子を示す概略平面図である。
【
図8】
図8は、例示的な実施形態に係るディスプレイ装置を説明するための概略平面図である。
【
図9】
図9は、例示的な抵抗(resistance)及び信号損失レベル(S21)間のシミュレーション結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態は、メッシュ構造を含む放射電極を含み、電極の視認を低減し、透過率および信号感度を共に向上させたアンテナ素子を提供するものである。
【0024】
前記アンテナ素子は、例えば、透明フィルムの形で製作されるマイクロストリップパッチアンテナ(microstrip patch antenna)であってもよい。前記アンテナ素子は、例えば、3G〜5G移動通信のための通信機器に適用できる。
【0025】
また、本発明の実施形態は、前記アンテナ素子を含むディスプレイ装置を提供するものである。
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態をより具体的に説明する。ただし、本明細書に添付される図面は、本発明の好適な実施形態を例示するものであって、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解する一助となる役割を果たすものであるため、本発明は図面に記載された事項のみに限定されて解釈されるものではない。
【0027】
図1及び
図2は、それぞれ例示的な実施形態に係るアンテナ素子を示す概略的な断面図および平面図である。
【0028】
図1及び
図2を参照すると、例示的な実施形態に係るアンテナ素子は、誘電層100と、誘電層100上に配置された第1電極層110とを含む。いくつかの実施形態では、誘電層100の底面上に第2電極層90をさらに含んでいてもよい。
【0029】
誘電層100は、所定の誘電率を有する絶縁物質を含むことができる。誘電層100は、例えば、ガラス、シリコン酸化物、シリコン窒化物、金属酸化物などの無機絶縁物質、又はエポキシ樹脂、アクリル樹脂、イミド系樹脂などの有機絶縁物質を含むことができる。誘電層100は、第1導電層110が形成されるアンテナ素子のフィルム基材として機能することができる。
【0030】
例えば、透明フィルムを誘電層100として提供することができる。前記透明フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体などのスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系またはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系樹脂;イミド系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;スルホン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;硫化ポリフェニレン系樹脂;ビニルアルコール系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂;ビニルブチラル系樹脂;アリレート系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;エポキシ系樹脂などの熱可塑性樹脂を含むことができる。これらは、単独であるいは2以上を組み合わせて使用することができる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系などの熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂からなる透明フィルムを誘電層100として活用することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、誘電層100の誘電率は、約1.5〜12の範囲に調節することができる。前記誘電率が約12を超えると、駆動周波数が減少しすぎて、所望の高周波帯域での駆動を実現できないことがある。
【0032】
図2に示すように、第1電極層110は、放射電極112及び伝送ライン114を含むアンテナパターンを含むことができる。前記アンテナパターン又は第1電極層110は、伝送ライン114の末端に接続されたパッド電極116をさらに含むことができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1電極層110は、前記アンテナパターンの周辺に配列されたダミー電極118をさらに含むことができる。
【0034】
第1電極層110は、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、又はこれらの合金を含むことができる。これらは、単独であるいは2以上を組み合わせて使用することができる。例えば、放射電極112は、低抵抗の実現のために、銀(Ag)または銀合金を含むことができ、例えば、銀−パラジウム−銅(APC)合金を含むことができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1電極層110は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(ITZO)、亜鉛酸化物(ZnOx)のような透明金属酸化物を含むこともできる。
【0036】
例えば、第1電極層110は、少なくとも1層の金属または合金層、および透明金属酸化物層を含む複層構造を有することもできる。
【0037】
例示的な実施形態によると、前記アンテナパターンの放射電極112は、メッシュ(mesh)構造を含むことができる。これにより、放射電極112の透過率を増加させることができ、前記アンテナ素子の柔軟性を向上することができる。したがって、前記アンテナ素子は、フレキシブルディスプレイ装置に効果的に適用することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、ダミー電極118もまたメッシュ構造を含み、放射電極112に含まれるメッシュ構造と実質的に同一のメッシュ構造をダミー電極118に含むことができる。いくつかの実施形態では、ダミー電極118及び放射電極112は、同じ金属を含むことができる。
【0039】
伝送線路114は、放射電極112の一端から延長され、パッド電極116と電気的に接続することができる。例えば、伝送線路114は、放射電極112の中央に形成された突出部から延長することができる。
【0040】
一実施形態では、伝送線路114は、放射電極112と実質的に同一の導電物質を含み、実質的に同一のエッチング工程により形成することができる。この場合には、伝送線路114は、放射電極112と一体に接続され、実質的に単一の部材で提供することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、伝送線路114及び放射電極112は、実質的に同一のメッシュ構造を含むことができる。
【0042】
パッド電極116は、伝送線路114を介して放射電極112と電気的に接続され、駆動回路部(例えば、ICチップ)と放射電極112を電気的に接続することができる。
【0043】
例えば、パッド電極116上にフレキシブル回路基板(FPCB)のような回路基板が接合され、前記フレキシブル回路基板上に前記駆動回路部を配置することができる。これにより、前記アンテナパターンと前記駆動回路部との間で信号の送受信を実現することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、パッド電極116は、放射電極112と実質的に同一の層または同一のレベル上に配置することができる。この場合には、パッド電極116もまた、放射電極112と実質的に同一のメッシュ構造を含むことができる。
【0045】
ダミー電極118は、前述したように、放射電極112と実質的に同一のメッシュ構造を含むことができ、前記アンテナパターン及びパッド電極116と電気的、物理的に分離又は離隔することができる。
【0046】
例えば、分離領域115が、前記アンテナパターンの側面ライン又はプロファイルに沿って形成され、ダミー電極118と前記アンテナパターンを互いに分離させることができる。
【0047】
前述したように、前記アンテナパターンを、前記メッシュ構造を含むように形成することにより、前記アンテナ素子の透過率を向上させることができる。一実施形態では、前記メッシュ構造を採用し、かつ前記メッシュ構造に含まれる電極ラインは、銅、銀またはAPC合金のような低抵抗金属で形成することにより、抵抗の増加を抑制することができる。したがって、低抵抗、高感度の透明フィルムアンテナを効果的に実現することができる。
【0048】
また、前記アンテナパターンの周辺に同じメッシュ構造のダミー電極118を配列することにより、位置別の電極配列の差異によってディスプレイ装置のユーザに前記アンテナパターンが視認されることを防止することができる。
【0049】
図2では、説明を容易にするために1つのアンテナパターンのみを示しているが、複数の前記アンテナパターンを誘電層100上にアレイ形状に配列することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、第2電極層90は、前記アンテナ素子のグランド層で提供することができる。例えば、誘電層100によって、放射電極112と第2電極層90との間で前記アンテナ素子の厚さ方向に静電容量(capacitance)またはインダクタンス(inductance)が形成され、前記アンテナ素子が駆動又はセンシングすることができる周波数帯域を調節することができる。例えば、前記アンテナ素子は、垂直放射アンテナで提供することができる。
【0051】
第2電極層90は、第1電極層110と実質的に同一または類似の金属を含むことができる。一実施形態では、前記アンテナ素子が実装されるディスプレイ装置の導電性部材を第2電極層90で提供することもできる。
【0052】
前記導電性部材は、例えば、ディスプレイパネルに含まれる薄膜トランジスタ(TFT)のゲート電極、スキャンライン又はデータラインなどの各種の配線、または画素電極、共通電極などの各種の電極などを含むことができる。
【0053】
図3及び
図4は、それぞれ例示的な実施形態に係るアンテナ素子のメッシュ構造および単位セルを示す概略平面図である。例えば、
図3は、前記アンテナ素子に含まれるアンテナパターンの内部のメッシュ構造を示している。
【0054】
図3を参照すると、前記アンテナパターンに含まれるメッシュ構造は、互いに交差する電極ラインによって定義され得る。
【0055】
前記メッシュ構造は、延長方向によって区分される第1電極ライン120a及び第2電極ライン120bを含むことができる。第1及び第2電極ライン120a,120bは、互いに交差する方向に延長し、複数の第1電極ライン120a及び複数の第2電極ライン120bが互いに交差して、単位セル125が集合された前記メッシュ構造を定義できる。
【0056】
単位セル125は、隣り合う2つの第1電極ライン120aと、隣り合う2つの第2電極ライン120bとが互いに交差して定義され、この場合、ダイヤモンド形状または菱形形状を有することができる。
【0057】
図4を参照すると、単位セル125は、菱形形状を有し、互いに向かい合う一対の第1辺121aと、互いに向かい合う一対の第2辺121bとを含むことができる。第1辺121aは第1電極ライン120aに由来し、第2辺121bは第2電極ライン120bに由来する。
【0058】
互いに向かい合う対辺間の最短距離は、第1辺121a間の距離(D1)または第2辺121b間の距離(D2)と定義することができる。一実施形態では、第1辺121a間の距離(D1)と第2辺121b間の距離(D2)は、互いに同一であってもよい。
【0059】
例示的な実施形態では、向かい合う対辺間の最短距離は、約225μm以下であってもよい。この場合には、単位セル125の各辺から発生する回折ピークの重畳又は干渉が低減し、前記メッシュ構造または電極ラインがユーザに視認されることを抑制できる。
【0060】
一方、互いに向かい合う対辺間の最短距離が減少しすぎると、単位セル125の内部の空間が減少し、アンテナ素子の透過率が全体的に低下することがある。
【0061】
透過率および電極視認の抑制の両方を考慮して、前記対辺間の最短距離は約20〜225μmであり、好ましくは約50〜196μmの範囲であってもよい。
【0062】
例示的な実施形態では、単位セル125の各辺または前記電極ラインの線幅(Lw)は、約0.5〜5μmであってもよい。前記電極ラインの線幅(Lw)が約0.5μm未満であると、前記アンテナ素子の信号損失率が増加しすぎて、前記アンテナ素子の有効な駆動特性が確保されないことがある。前記電極ラインの線幅(Lw)が約5μmを超えると、前記アンテナ素子の透過率が低下することがある。
【0063】
単位セル125の向かい合う対辺間の最短距離および各電極ラインの線幅を前述したように調節することにより、透過率を維持しながら電極の視認を遮断することができ、アンテナ素子の有効な信号感度を確保することができる。
【0064】
前述のように、単位セル125は、例示的に前記菱形形状を有することができ、六角形形状のような他の凸多角形の形状を有することもできる。
【0065】
図5は、一部の例示的な実施形態に係るアンテナ素子の単位セルを示す概略平面図である。
【0066】
図5を参照すると、単位セル127は、六角形の形状を有することもできる。この場合には、単位セル127は、異なる3つの方向に延長する電極ラインに由来する第1辺123aと、第2辺123bと、第3辺123cとを含むことができる。例えば、第1辺123a及び第2辺123bは、2つの斜線方向にそれぞれ延長し、第3辺123cは、垂直方向に延長することができる。
【0067】
向かい合う対辺間の最短距離は、向かい合う一対の第1辺123a間の距離(Da)と、向かい合う一対の第2辺123b間の距離(Db)と、向かい合う一対の第3辺123c間の距離(Dc)とを含むことができる。
【0068】
例示的な実施形態によると、第1辺123a間の距離(Da)、第2辺123b間の距離(Db)、および第3辺123c間の距離(Dc)は、互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ約225μm以下、好ましくは約20〜225μm、より好ましくは約50〜196μmの範囲であってもよい。
【0069】
図6及び
図7は、それぞれ、一部の例示的な実施形態に係るアンテナ素子を示す概略的な断面図および平面図である。
【0070】
図6及び
図7を参照すると、アンテナ素子のパッド電極130は、メッシュ構造ではなく、中身が詰まった(solid)構造を含むことができる。これにより、駆動ICチップと放射電極112との間の信号の送受信効率を向上させ、信号の損失を抑制することができる。
【0071】
図6に示すように、いくつかの実施形態では、パッド電極130は、アンテナパターン(例えば、放射電極112および伝送線路114を含む第1電極層110)とは異なる層又は異なるレベルに位置することができる。
【0072】
例えば、パッド電極130は、第1電極層110の上部レベルに位置し、コンタクト135を介して第1電極層110と電気的に接続することができる。
【0073】
一実施形態では、層間絶縁層140が誘電層100上に形成され、第1電極層110を覆うことができる。コンタクト135は、層間絶縁層140を貫通し、第1電極層110に含まれる伝送線路114と電気的に接続することができる。
【0074】
パッド電極130は、層間絶縁層140上に配置されてコンタクト135と接触することができる。層間絶縁層140上には、パッド電極130を覆う保護層150をさらに形成してもよい。
【0075】
例えば、層間絶縁層140内に伝送線路114の上面を部分的に露出させるコンタクトホールを形成することができる。その後、前記コンタクトホールを満たす金属膜または合金膜を形成し、それをパターニングしてコンタクト135を形成することができる。いくつかの実施形態では、コンタクト135及びパッド電極130は、実質的に一体に接続された単一の部材として提供することができ、この場合、前記金属膜または合金膜に対する同じパターニング工程により形成することができる。
【0076】
層間絶縁層140および保護層150は、シリコン酸化物、シリコン窒化物などの無機絶縁物質、またはアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂などの有機絶縁物質を含むことができる。
【0077】
パッド電極130は、例えば、ディスプレイ装置の遮光部、ベゼル部などの周辺部に配置することができる。このため、ユーザに視認されないので、中身が詰まった金属を含むように形成して信号の損失を抑制することができる。一方、ディスプレイ装置の表示領域に配置され得る放射電極112は、前述のメッシュ構造を含むように形成し、透過率を向上させるとともに電極の視認を防止することができる。
【0078】
図8は、例示的な実施形態に係るディスプレイ装置を説明するための概略平面図である。例えば、
図8は、ディスプレイ装置のウインドウを含む外部形状を示している。
【0079】
図8を参照すると、ディスプレイ装置200は、表示領域210及び周辺領域220を含むことができる。周辺領域220は、例えば、表示領域210の両側部及び/又は両端部に配置することができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、前述のアンテナ素子は、ディスプレイ装置200の周辺領域220にパッチ又はフィルムの形で挿入することができる。いくつかの実施形態では、前述のアンテナ素子の放射電極112は、ディスプレイ装置200の表示領域210に少なくとも部分的に対応するように配置し、パッド電極116,130は、ディスプレイ装置200の周辺領域220に対応するように配置することができる。
【0081】
周辺領域220は、例えば、画像表示装置の遮光部又はベゼル部に相当し得る。また、周辺領域220には、ディスプレイ装置200及び/又は前記アンテナ素子のICチップのような駆動回路を配置することができる。
【0082】
前記アンテナ素子のパッド電極116,130を前記駆動回路に隣接するように配置することにより、信号の送受信経路を短縮して信号損失を抑制することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、表示領域210上に前記アンテナ素子のダミー電極118を配置することができる。放射電極112およびダミー電極118を、例えば
図3及び
図4で説明した単位セルを含む同じメッシュ構造を有するように形成し、透過率の向上および電極視認の防止を共に効果的に実現することができる。
【0084】
以下、本発明の理解を助けるために好適な実施例を提示するが、これらの実施例は本発明を例示するものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を制限するものではない。これらの実施例に対し、本発明の範疇および技術思想の範囲内で種々の変更および修正を加えることが可能であることは当業者にとって明らかであり、これらの変形および修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然のことである。
【0085】
実験例1:単位セルの対辺間の最短距離による電極視認の評価
実施例及び比較例
誘電層上に銀(Ag)、パラジウム(Pd)及び銅(Cu)の合金(APC)を用いて、
図3に示すメッシュ構造を形成した。電極ラインの線幅は3μm、電極の厚さ(又は高さ)は、2000Åとなるように形成し、菱形の単位セルのX軸方向の対角線の長さ(表1のX)、Y軸方向の対角線の長さ(表1のY)を調節することで向かい合う対辺間の最短距離(表1のA)を変更し、実施例及び比較例のフィルムアンテナのサンプルを製造した。下記のようにして、前記サンプルの透過率および電極視認の有無を評価した。
【0086】
(1)透過率の測定
実施例及び比較例で製造されたサンプルの透過率を、波長550nmの条件下で分光測色計(CM−3600A、Konica Minolta)により測定した。
【0087】
(2)視認性の評価
実施例及び比較例で製造されたサンプルを目視で観察し、電極ライン又はメッシュ構造が視認されるかどうかを評価した。具体的には、10人のパネルに肉眼で観察してもらい、電極パターンが明確に視認されたと評価したパネルの数を数えて、以下のように視認性を評価した。
◎:10人中0人
○:10人中1〜3人
△:10人中4〜5人
×:10人中6人以上
評価結果は、下記表1に示す。
【0089】
表1を参照すると、対辺間の最短距離が225μmを超えると、透過率は増加するが、むしろ電極の視認現象は深刻化した。これに対して、対辺間の最短距離が約20μm以上の範囲では、実質的に電極の視認が防止され、約50〜225μm(又は196μm)の範囲では、電極の視認が実質的に遮断されるとともに87%以上の透過率が確保された。
【0090】
実験例2:電極ラインの線幅による抵抗および信号損失の評価
実施例及び比較例
誘電層上に銀(Ag)、パラジウム(Pd)及び銅(Cu)の合金(APC)を用いて、
図3に示すメッシュ構造を形成した。菱形の単位セルの対辺間の最短距離を実験例1の実施例1−6と同様に196μmに固定し、電極ラインの線幅を変化させながら実施例及び比較例のサンプルを製造した。
【0091】
実施例及び比較例のサンプルの信号損失(S21(dB))、線抵抗および透過率を測定した。
【0092】
具体的には、信号損失は、ネットワーク・アナライザ(Network analyzer)を用いて28GHzでSパラメータ(S−parameter)を抽出することにより測定した。線抵抗は、Resistance simulation(Q3D tool)の方法で測定した。透過率は、実験例1と同様な方法で測定した。評価結果は、下記表2に示す。
【0094】
図9は、例示的な抵抗および信号損失レベル(S21)間のシミュレーション結果を示すグラフである。
図9を参照すると、50%以上の効率(出力強度/入力強度)を示すターゲットS21の値が−3dBに設定され、それによるアンテナパターンの抵抗は22.5Ωで測定される。
【0095】
前記ターゲットS21は、下記数式1に基づいて設定できる。
【0096】
[数式1]
S21(dB)=10*Log(出力強度/入力強度)
【0097】
表2を参照すると、前記ターゲット信号効率を有する電極ラインの線幅は、0.5μmで測定され、0.5μm未満に電極ラインの線幅が下がる場合には、前記ターゲット信号効率の値が得られなかった。一方、電極ライン線幅が5μmを超える場合には、アンテナ素子の透過率が90%未満に低下した。
【国際調査報告】