(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本開示は、様々な生化学及び分子生物学的研究での使用のための、生体外培養における候補化合物と3D肝細胞スフェロイドとの相互作用の評価(候補化合物の代謝の評価を含む)のための方法に関する。上記方法は、3Dスフェロイド培養を微小パターン形成設計と組み合わせた実験器具で実施され、上記設計により、同一条件下での複数から数百のスフェロイドの処理や、ADME/Tox(吸収、分布、代謝、排泄、及び毒性)研究に関する十分な材料(例えば親薬剤、薬剤代謝産物、DNA、RNA及び細胞由来のタンパク質)の生産並びに比較的高い信号強度の生成が可能となる。上記方法により、他の用途の中でも特に、正確な生体外固有クリアランスデータの調査及び生成が可能となり、従って、特に低クリアランス化合物を用いた、生体内クリアランスのより正確な予測が可能となる。
前記側壁の表面は、垂直な円筒、前記チャンバの上部から底面に向かって直径が減少する垂直な円錐の一部分、前記凹状の底面に向かう円錐状移行部分を有する垂直な四角形シャフト、又はこれらの組み合わせを備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアッセイ法。
前記細胞培養用物品は1〜約2,000個の前記チャンバを備え、各前記チャンバは他のいずれの前記チャンバから物理的に隔てられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアッセイ法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
これより、本開示の主題の様々な実施形態に対する言及を更に詳細に行うが、これらのうちのいくつかの実施形態は、添付の図面に図示されている。図面中で使用される同様の番号は、同様の構成要素、ステップ等を指す。しかしながら、所与の図面においてある構成要素を指すためにある番号を使用することは、当該構成要素を、別の図面において同一の番号で標識されるように制限することを意図していないことが理解されるだろう。更に、複数の構成要素を指すために異なる番号を使用することは、異なる番号を付与されたこれらの構成部品が、他の番号を付与された構成部品と同一又は同様のものとなり得ないことを指示することを意図したものではない。
【0024】
以下の1つ以上の特定の実施形態の説明は、単なる例示的な性質のものであり、本発明、その用途、又は使用法(これらは当然のことながら様々であり得る)の範囲を限定することは一切意図していない。本発明は、本明細書に含まれる非制限的な定義及び用語法に関連して説明される。これらの定義及び用語法は、本発明の範囲又は実践に対する制限として機能するように設計されたものではなく、例示及び説明のみを目的として提示されている。特段の記載が無い限り、本明細書中で使用される(技術用語及び科学用語を含む)全ての用語は、本開示が属する分野の当業者が一般に理解するような意味と同一の意味を有する。更に、一般的に使用されている辞書で定義されている用語等の用語は、関連技術及び本開示の文脈中での意味と矛盾しない意味を有するものとして解釈されるべきものであり、本明細書中で明確に定義されていない限り、理想的な又は過度に形式的な意味で解釈してはならないことが理解されるだろう。
【0025】
定義
本明細書中で使用される場合、単数形「ある(a、an)」及び「上記(the)」は、そうでないことが文脈によって明示されていない限り、複数の指示物を含む。従って例えば、ある「構造形成された底面(structured bottom surface)」に関する言及は、そうでないことが文脈によって明示されていない限り、2つ以上のこのような「構造形成された底面」を有する例を含む。
【0026】
本明細書及び添付の請求項中で使用される場合、用語「又は(or)」は、そうでないことが文脈によって明示されていない限り、「及び/又は(and/or)」を含む意味で一般に使用される。用語「及び/又は」は、列挙されている要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙されている要素のうちのいずれの2つ以上の組み合わせを意味する。
【0027】
本明細書中で使用される場合、「有する(have、has、having)」、「含む(include、includes、including)」、「備える(comprise、comprises、comprising)」等は、非限定的かつ非包括的な意味で使用され、一般に「…を含むがそれに限定されない(include, but not limited to/includes, but not limited to/又はincluding, but not limited to)」を意味する。
【0028】
「任意の(optional)」又は「任意に(optionally)」は、その後に記載されているイベント、状況、又は構成要素が、発生してもしなくてもよいこと、及びこの記述が、該イベント、状況、又は構成要素が発生する例と発生しない例とを含むことを意味する。
【0029】
単語「好ましい(preferred)」及び「好ましくは(preferably)」は、特定の状況下において特定の利益をもたらす可能性がある本開示の実施形態を指す。しかしながら、同一の又は他の状況下において、他の実施形態が好ましい場合もある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを含意するものではなく、また他の実施形態を本発明の技術の範囲から排除することを意図したものではない。
【0030】
本明細書では、範囲を、「約(about)」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表現できる。範囲がこのように表される場合、実施例は、上記1つの特定の値から、及び/又は上記別の特定の値までを含む。同様に、先行語句「約」の使用によって、値が近似値として表現されている場合、上記特定の値は別の態様を形成することが理解されるだろう。更に、各範囲の端点は、他方の端点との関係においても、他方の端点とは独立しても、重要であることが理解されるだろう。
【0031】
また本明細書では、複数の端点による数値範囲の記載は、該範囲内に含まれる全ての数値を含む(例えば1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等を含む)。本明細書全体を通して与えられている全ての数値範囲は、このような比較的広い数値範囲内に収まる全ての比較的狭い数値範囲を含むことになり、このような比較的狭い数値範囲の全てが本明細書に明示的に記載されているかのように扱われることを理解されたい。ある数値範囲がある特定の値「より大きい(greater than)」、「より小さい(less than)」等の場合、上記値はこの範囲に含まれる。
【0032】
本明細書中で使用される場合、「…を提供するような構造を有する(structured to provide)」又は「…を提供するよう構成される(configured to provide)」は、その物品が、記載されている結果をもたらすような特徴を有することを意味している。
【0033】
本明細書で使用されるいずれの方向、例えば「上部(top)」、「底部(bottom)」、「左(left)」、「右(right)」、「上側(upper)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「下方(below)」、並びに他の方向及び配向は、本明細書では、分かりやすさのために図面を参照して記述されるものであり、実際のデバイス若しくはシステム、又は上記デバイス若しくはシステムの使用を制限するためのものではない。細胞培養装置に関して本明細書中で使用される方向記述子は、上記装置内で細胞を培養する目的で上記装置を配向したときの方向を指すことが多い。
【0034】
また、本明細書中の記載は、ある構成要素がある特定の方法で機能する「よう構成される(configured)」又は「よう適合される(adapted to)」ことを指すことに留意されたい。この点に関して、このような構成要素は、ある特定の特性を実現するよう、又はある特定の様式で機能するよう、「構成され」又は「適合され」ており、このような記述は、目的とする使用法の記述ではなく、構造に関する記述である。より具体的には、本明細書中での、ある構成要素が「構成される」又は「適合される」様式に関する言及は、該構成要素の既存の物理的条件を示すものであり、従って該構成要素の構造的特徴の決定的な記載として解釈されるべきものである。
【0035】
本明細書中で使用される場合、用語「細胞培養(cell culture)」は、細胞を生体外で生存したまま維持することを指す。この用語には、(例えば不死化表現型を有する)連続細胞株、初代細胞培養、有限細胞株(例えば形質転換していない細胞)、並びに生体外で維持される他のいずれの細胞集団(卵細胞及び胚を含む)が含まれる。
【0036】
本明細書中で使用される場合、用語「生体外(in vitro)」は、人工環境、及び人工環境で発生するプロセス又は反応を指す。生体外環境としては、限定するものではないが、試験管及び細胞培養が挙げられる。用語「生体内(in vivo)」は、天然環境(例えば動物又は細胞)、及び天然環境で発生するプロセス又は反応を指す。
【0037】
本明細書中で使用される場合、「長期間培養(long‐term culture)」は、少なくとも約12時間、任意に少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約72時間、少なくとも約96時間、少なくとも約7日、少なくとも約14日、少なくとも約21日、又は少なくとも約28日にわたって培養された細胞(例えば限定するものではないが肝細胞)を指すことを意図したものである。長期間培養は、培養物中での代謝経路等の機能的特性の確立を促進する。
【0038】
本明細書中で使用される場合、用語「細胞培養用物品(cell culture article)」は、細胞の培養に使用できるいずれのコンテナを意味し、プレート、ウェル、フラスコ、マルチウェルプレート、多層フラスコ、トランスウェルインサート、トランスウェルマイクロキャビティインサート、及び細胞培養のための環境を提供する灌流システムを含む。
【0039】
本明細書中で使用される場合、「チャンバ(chamber)」は、細胞培養容器を意味し、フラスコ、又は皿、又はマルチウェルプレートのウェルであってよい。いくつかの実施形態では、細胞培養用物品は1〜約2,000個の上記チャンバを含み、各チャンバは他のいずれのチャンバから物理的に隔てられている。実施形態では、チャンバは、マルチウェルプレートのウェルである。例えば細胞培養用物品は、単一のチャンバを備えたフラスコであってよく、細胞培養表面又は底面上にマイクロキャビティのアレイを有する。あるいは細胞培養用物品は、1、6、12、24、96、384、又は1536個のチャンバ又はウェルを有するマルチウェルプレートであってよい。いくつかの実施形態では、各チャンバは、約25〜約1,000個の上記マイクロキャビティを含む。
【0040】
実施形態では、「ウェル(well)」は、マルチウェルプレートのフォーマットで提供される、個々の細胞培養環境である。実施形態では、ウェルは、4ウェルプレート、6ウェルプレート、12ウェルプレート、24ウェルプレート、96ウェルプレート、538ウェルプレート、1536ウェルプレート、又は他のいずれのマルチウェルプレート構成のウェルとすることができる。
【0041】
実施形態では、単一のチャンバは、この単一のチャンバ内で単一の3D細胞集団として、即ち単一のスフェロイドとして成長するように関心対象の細胞に制約を与えるような構造を有する、マルチウェルプレートのウェルとすることができる。例えば、96ウェルプレートのウェル(従来の96ウェルプレートのウェル)は、深さがおよそ10.67mmであり、およそ6.86mmの上部アパーチャを有し、ウェル底部直径はおよそ6.35mmである。
【0042】
実施形態では、「スフェロイドプレート(spheroid plate)」は、単一のスフェロイドチャンバ又はウェルのアレイを有するマルチウェルプレートを意味する。即ち実施形態では、マルチウェルプレートは複数のチャンバ又はウェルを有してよく、各チャンバ又はウェルは、単一のスフェロイドを内包するよう構成される。
【0043】
本明細書中で使用される場合、「3Dスフェロイド形態で成長するように関心対象の細胞に制約を与えるような構造を有する(structured to constrain cells of interest to grow in 3D conformation)」等とされた「マイクロウェル(microwell)」又は「マイクロキャビティ(microcavity)」は、細胞の2次元シートではなく3D又はスフェロイド形態で成長するように培養物中の細胞を促進する寸法若しくは処理は寸法と処理との組み合わせを有する、マイクロウェル又はマイクロキャビティを意味する。処理としては例えば、低結合溶液による処理、表面の疎水性を低減する処理、又は滅菌処理が挙げられる。
【0044】
実施形態では、「マイクロキャビティ」又は「マイクロウェル」は例えば、上側アパーチャ及び最下点、上側アパーチャの中心、並びに最下点と上側アパーチャの中心との間の中心軸を画定するマイクロウェルとすることができる。実施形態では、マイクロキャビティ又はマイクロウェルは、上記軸に関して回転対称である(即ち側壁が円筒形である)。いくつかの実施形態では、上側アパーチャは、250μm〜1mm、又はこれらの測定値の間のいずれの範囲の、上側アパーチャを横断する距離を画定する。いくつかの実施形態では、上側アパーチャから最下点までの距離(深さ「d」)は、200μm〜900μm、又は400〜600μmである。マイクロキャビティのアレイは様々な幾何学的形状、例えば放物線状、双曲線状、シェブロン状、及び同等の断面幾何学形状、又はこれらの組み合わせを有してよい。
【0045】
実施形態では、ウェルは、「マイクロキャビティ」のアレイを有してよい。実施形態では、「マイクロキャビティ」は例えば、上側アパーチャ及び最下点、上側アパーチャの中心、並びに最下点と上側アパーチャの中心との間の中心軸を画定するマイクロウェルとすることができる。実施形態では、ウェルは、上記軸に関して回転対称である(即ち側壁が円筒形である)。いくつかの実施形態では、上側アパーチャは、250μm〜1mm、又はこれらの測定値の間のいずれの範囲の、上側アパーチャを横断する距離を画定する。いくつかの実施形態では、上側アパーチャから最下点までの距離(深さ「d」)は、200μm〜900μm、又は400〜600μmである。マイクロキャビティのアレイは様々な幾何学的形状、例えば放物線状、双曲線状、シェブロン状、及び十字状の幾何学的形状、又はこれらの組み合わせを有してよい。
【0046】
実施形態では、「マイクロキャビティスフェロイドプレート(microcavity spheroid plate)」は、ウェルのアレイを有するマルチウェルプレートを意味し、各ウェルはマイクロキャビティのアレイを有する。
【0047】
実施形態では、ウェル又はマイクロキャビティの「丸底(round bottom)」は例えば、ウェル又はマイクロキャビティの底部を構成する、半球、又は半球の水平断片若しくはスライスといった半球の一部分とすることができる。
【0048】
実施形態では、用語「3Dスフェロイド(3D spheroid)」又は「スフェロイド(spheroid)」は例えば、培養物中の細胞のボールであってよく、これは細胞の平坦な2次元シートではない。用語「3Dスフェロイド」及び「スフェロイド」は、ここでは交換可能なものとして使用される。実施形態では、スフェロイドは、例えばスフェロイド中の細胞のタイプに応じて例えば約100〜約500マイクロメートル、より好ましくは約150〜約400マイクロメートル、更に好ましくは約150〜約300マイクロメートル、最も好ましくは約200〜約250マイクロメートル(中間値及び範囲を含む)の直径を有する、単一の細胞タイプ又は複数の細胞タイプからなる。スフェロイドの直径は、例えば約200〜約400マイクロメートルとすることができる。スフェロイドの最大サイズは、一般に拡散に関する考慮事項による制約を受ける(スフェロイド及びスフェロイド容器のレビューに関しては、Achilli, T‐M, et. al. Expert Opin. Biol. Ther. (2012) 12(10)を参照)。
【0049】
本明細書中で使用される場合、「肝細胞(hepatocyte)」は、肝臓の主要な実質組織に由来するいずれの細胞を意味する。肝細胞は、ヒトを含む動物から取得若しくは単離された初代肝細胞とすることができ、又は肝細胞は、肝細胞株若しくは初代肝細胞由来細胞とすることができる。
【0050】
本明細書中で使用される場合、「インサート(insert)」は、スフェロイドプレート又はマイクロキャビティスフェロイドプレートのウェルに適合する細胞培養ウェルを意味する。インサートは、細胞を培養するためのキャビティを画定する側壁及び底面を有する。本明細書中で使用される場合、「トランスウェルマイクロキャビティインサート(transwell microcavity insert)」は、底面がマイクロキャビティのアレイを有するインサートを意味する。
【0051】
本明細書中で使用される場合、「インサートプレート(insert plate)」は、マルチウェルプレートのウェルのアレイに適合するような構造を有するインサートのアレイを内包する、インサートプレートを意味する。本明細書中で使用される場合、「マイクロキャビティインサートプレート(microcavity insert plate)」は、インサートのアレイ中の各インサートが、マイクロキャビティのアレイを備えた底面を有する、インサートプレートを意味する。
【0052】
本明細書中で使用される場合、「候補化合物(candidate compound)」等(例えば「化合物(compound)」、「関心対象の化合物(compound of interest)」、又は「薬剤化合物(drug compound)」)は、化合物のADME/Tox特性の決定が望まれる、(外因的に投与された、又は内因的に生成された)いずれの化合物を指すことを意図している。例示的な候補化合物としては:一般に「薬剤(drug)」と呼ばれる生体異物低分子量治療剤、及び他の治療剤;発癌性物質及び環境汚染物質;並びにステロイド、胆汁酸、脂肪酸、及びプロスタグランジンといった生物体内物質が挙げられる。候補化合物は、あらゆる種類の作用を含む薬剤を含んでよく、上記作用としては、限定するものではないが、抗腫瘍剤、免疫抑制剤、免疫刺激剤、抗増殖剤、抗トロンビン剤、抗血小板剤、抗脂質剤、抗炎症剤、抗生物質、血管新生剤、抗血管新生剤、ビタミン、ACE阻害剤、血管作動性物質、抗有糸分裂剤、メテロプロテイナーゼ阻害剤、NOドナー、エストラジオール、抗硬化剤、ホルモン、フリーラジカルスカベンジャー、毒素、アルキル化剤(単独又は組み合わせ)が挙げられる。候補化合物としては、限定するものではないが例として生物剤も挙げられ、上記生物剤としては、限定するものではないが、ペプチド、脂質、タンパク質薬剤、タンパク質複合体薬剤、酵素、オリゴヌクレオチド、リボザイム、遺伝物質、プリオン、ウイルス、及びバクテリアが挙げられる。
【0053】
本明細書中で使用される場合、「クリアランス(clearance)」は、単位時間あたりに化合物(限定するものではないが例えば薬剤)が完全に除去される血液の体積を指すことを意図している。クリアランスは典型的には、ml/分又はml/分/kgで測定される。
【0054】
本明細書中で使用される場合、「固有クリアランス(intrinsic clearance)」又は「Cl
int」は、流れの制限及び血中の細胞又はタンパク質への結合がない状態で、肝臓が化合物(限定するものではないが例えば薬剤)を除去する能力を指すことを意図している。よって固有クリアランスは、肝酵素が薬剤を代謝する固有の能力である。
【0055】
本明細書中で使用される場合、「低クリアランス化合物(low clearance compound)」は、クリアランスが<5ml/分/kgである化合物を指すことを意図している。
【0056】
特段の明示的記載がない限り、本明細書に記載のいずれの方法も、その複数のステップを特定の順序で実施する必要があるものとして解釈されることは全く意図されていない。従って、その複数のステップが従うべき順序が方法クレームに実際に記述されていない場合、又は請求項若しくは本説明中に、これらのステップが特定の順序に限定されるべきであることが具体的に記載されていない場合、いかなる特定の順序を暗示することも意図されていない。いずれの1つの請求項中に記載されたいずれの単一又は複数の特徴又は態様は、他のいずれの1つ以上の請求項中に記載された他のいずれの特徴又は態様と、組み合わせる又は交換することができる。
【0057】
特定の実施形態の様々な特徴、要素、又はステップが、移行句「…を含む」を用いて開示される場合があるが、移行句「…からなる」又は「…から実質的になる」を用いて記述され得るものを含む代替実施形態が含意されていることを理解されたい。
【0058】
上述のように、化合物のADME/Tox(吸収、分布、代謝、排泄、及び毒性)特性は、該化合物の臨床的な成功を予測するための、及びプロファイルに問題がある薬剤を選択し、代謝の障害を低減し、最終的に1日1回の投薬を実現可能とするための、重要な要素である。従来の生体外システムはある程度成功しており、医薬品発見プログラムにおける低クリアランス化合物のパーセンテージの増大をもたらしているが、課題は残っている。生体外データを用いて生体内肝臓代謝及び毒性を予測できることは、重要である。更に、ゆっくりとした代謝を示す薬剤候補化合物に関してさえ、薬剤候補化合物を、予測されたそのクリアランスに基づいて正確に区別することが重要である。例えば、化合物の生体内肝クリアランスの予測は、薬剤の発見及び開発において重要である。というのは、化合物のクリアランスパラメータを理解することは、薬剤半減期、経口バイオアベイラビリティ、用量、及び投薬計画を決定するための必須の因子であるためである。正確な生体外固有クリアランスデータを生成できることは、生体内ヒトクリアランスの予測に必須の要素である。というのは、薬剤候補の予想外の生体内クリアランスは、曝露に関する問題及び安全性に関する懸念につながる可能性があるためである。
【0059】
しかしながら、現行の生体外肝臓モデルは、低クリアランス化合物(限定するものではないが例えば低クリアランス薬剤候補)の生体内クリアランス又は半減期を、高い信頼性で正確に(例えば実際の2倍又は3倍以内で)予測できない。例えば、肝細胞が肝臓内に存在する酸化/還元、加水分解、及び複合薬物代謝酵素の完全な補体(従って肝クリアランス経路の完全なセット)を含むという事実、並びに新鮮な肝細胞及び凍結保存された肝細胞の両方の利用可能性の上昇により、生体内肝クリアランスを予測するためには、生体外肝細胞懸濁液を一般に用いる。しかしながら、肝細胞懸濁液及びヒト肝臓ミクロソームは一般に、特に低クリアランス化合物に関して、生体内クリアランスを過小予測する。これは主に、生体外肝細胞懸濁液(典型的には4〜6時間以内)及びヒト肝臓ミクロソーム(典型的には約1〜2時間に制限される)の酵素活性が時間と共に急速に喪失し、これによって、ゆっくりと代謝される低クリアランス化合物の代謝安定性を正確に評価する能力が阻害されることを原因とする。それどころか、ヒト肝臓ミクロソームの使用における固有クリアランス測定の下限は、典型的には10ml/分/kgであり、ヒト肝細胞懸濁液の使用における固有クリアランス測定の下限は、典型的には6.3ml/分/kgである。上述のように、低クリアランス候補化合物のクリアランスは<5ml/分/kgである。
【0060】
本開示は特に、様々な生化学及び分子生物学的研究、特にADME/Tox(吸収、分布、代謝、排泄、及び毒性)研究での使用のための、候補化合物と3D肝細胞スフェロイドとの相互作用を評価するための、方法及び実験器具を説明する。複数の態様では、上記方法及び実験器具を用いて、生体外3D肝細胞スフェロイド培養における候補化合物の代謝を評価できる。上記方法は、3Dスフェロイド培養を微小パターン形成設計と組み合わせた実験器具で実施され、上記設計により、肝臓の細胞(例えば肝細胞)の生存率及び機能性の長期的な維持が可能となるだけでなく、同一の条件及び培地下での(例えば長期間培養中の)複数から数百のスフェロイドの処理や、ADME/Tox(吸収、分布、代謝、排泄、及び毒性)研究に関する十分な材料(例えば親薬剤、薬剤、代謝産物、並びに細胞由来のDNA、RNA及びタンパク質)の生産並びに比較的高い信号強度の生成が可能となるが、これらは全て、個々の3Dスフェロイドの間に物理的なバリアを提供することにより、培養又は試験中のいずれのスフェロイドの融合を防止する。本開示の方法のいくつかの実施形態では、1つ以上の候補化合物は低クリアランス化合物である。上述のように、低クリアランス化合物は、クリアランスが<5ml/分/kg分である化合物である。低クリアランス化合物としては、限定するものではないが、ワルファリン、メロキシカム、トルブタミド、ジアゼパム、アルプラゾラム、グリメピリド、プレドニゾロン、リルゾール、及びボリコナゾールが挙げられる。低クリアランス薬剤候補の生体内クリアランス又は半減期を高い信頼性で予測できない大半の現行の生体外肝臓モデルとは異なり、本方法により、他の使用法の中でも特に、正確な生体外固有クリアランスデータの調査及び生成が可能となり、従って、特にこのような低クリアランス化合物を用いた場合の、生体内クリアランスの正確な予測が可能となる。例えば、3Dスフェロイド培養を微小パターン形成設計と組み合わせた本開示の方法は、9個の低クリアランス化合物の生体外固有クリアランスデータを生成したが、上記データは、実際の2倍以内が44%、及び実際の3倍以内が67%という生体内クリアランスの予測の精度を有していた。対照的に、2D単層を利用した方法は、同じ9個の低クリアランス化合物に関して、実際の2倍以内が33%、及び実際の3倍以内が44%という生体内クリアランスの予測の精度を有する生体外固有クリアランスデータしか生成しなかった。更に、HepatoPac(登録商標)等の他の同時培養システムと比較すると、本方法は、3Dスフェロイド培養において動物間質細胞を必要とせず、大幅に低いコストで完了させることができる。更に、生体外リレー法と比較すると、本方法は、肝細胞の解凍及び上清の移動を繰り返す必要がないため、労力がはるかに小さい。
【0061】
様々な実施形態では、1つ以上の低クリアランス候補化合物と肝細胞との相互作用を評価するためのアッセイ法が開示される。複数の態様では、生体外3D肝細胞スフェロイド培養における低クリアランス候補化合物の代謝を評価するためのアッセイ法が開示される。上記アッセイ法は、肝細胞を細胞培養用物品中で培養してスフェロイドを形成するステップを含み、ここで上記細胞培養用物品はチャンバを備え、上記チャンバはマイクロキャビティのアレイを備え、各上記マイクロキャビティは、3Dスフェロイド形態で成長するように肝細胞に制約を与えるような構造を有する。上記アッセイ法は更に、上記3Dスフェロイド肝細胞を上記1つ以上の低クリアランス候補化合物と接触させるステップを含む。上記アッセイ法はまた、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物と、3D肝細胞スフェロイドとの、生体外培養における相互作用を測定するステップを含み、このような相互作用としては、限定するものではないが:クリアランス研究(取り込みクリアランス、基底外側流出クリアランス、毛細胆管流出クリアランス、代謝クリアランス);代謝産物ID及び代謝安定性(親寿命);候補化合物の細胞内濃度;培養された3Dスフェロイド肝細胞の、タンパク質及び遺伝子調節(誘導/抑制)並びに他の分子的、生化学的、及び遺伝的分析;毒物学的効果;化合物動態;細胞内蓄積並びに浮遊濃度又は総細胞内濃度(結合濃度と浮遊濃度との合計);胆管全体のクリアランス;P450及びトランスポーター薬剤相互作用;並びに薬物動態が挙げられる。実施形態では、測定された生体外相互作用を用いて、1つ以上の低クリアランス候補化合物の生体内堆積を予測する。
【0062】
本開示の方法のいくつかの実施形態では、(複数の態様では1つ以上の低クリアランス候補化合物と共に)3Dスフェロイドを形成する肝細胞を含むがこれに限定されない、培養される細胞は、長期間培養物として培養される。いくつかの実施形態では、培養される細胞は、少なくとも約12時間、任意に少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約72時間、少なくとも約96時間、少なくとも約7日、少なくとも約14日、少なくとも約21日、又は少なくとも約28日にわたって、(複数の態様では1つ以上の低クリアランス候補化合物と共に)培養される。長期間培養は、培養中の代謝経路等の機能的特性の確立を促進する。例えば
図5に示すように、3D肝細胞スフェロイドを形成するための本開示の実験器具及び方法を用いて、96ウェルスフェロイド培養プレート内で培養された、2人のドナー(Lot 299(上)及びLot 397(下))からの初代ヒト肝細胞は、2Dで培養された肝細胞に比べて、長期間にわたって高い(テストステロンの添加によって活性化及び測定された)CYP3A4活性を維持した。本開示の方法のいくつかの実施形態では、培養された3Dスフェロイド肝細胞は、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、又は少なくとも約4週間にわたって、機能的に安定している。機能的安定性は、代謝活性、細胞機能、遺伝子発現、又はこれらの組み合わせの測定を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で公知の方法で測定できる。いくつかの実施形態では、機能的安定性はCYP3A4活性によって測定される。
【0063】
いくつかの実施形態では、上記チャンバの各上記マイクロキャビティは、上部アパーチャと、底面を備える液体非透過性底部とを備え、上記底面の少なくとも一部分は、上記底面内又は上記底面上に、低接着性又は非接着性材料を備える。いくつかの実施形態では、上記底面を含む上記液体非透過性底部は、ガス透過性である。いくつかの実施形態では、上記底部の少なくとも一部分は透明である。いくつかの実施形態では、上記底面は、凹状の底面を備える。いくつかの実施形態では、上記チャンバの各上記マイクロキャビティの上記少なくとも1つの凹状の底面は、半球面、側壁から上記底面への30〜約60°のテーパを有する円錐面、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、上記チャンバは更に側壁を備える。いくつかの実施形態では、上記細胞培養用物品は1〜約2,000個の上記チャンバを含み、各上記チャンバは他のいずれの上記チャンバから物理的に隔てられている。いくつかの実施形態では、各上記チャンバは、約25〜約1,000個の上記マイクロキャビティを含む。限定するものではないが例えば、6ウェルプレートは、この6ウェルプレートの1つのウェルにおよそ700個のマイクロキャビティを備えてよく、従って1つのウェルに700個のスフェロイド(合計およそ120万個の細胞)を収容する。同様に、24ウェルプレートは、ウェル1個あたりおよそ100〜200個のマイクロキャビティを備えてよく、96ウェルプレートは、ウェル1個あたりおよそ50個のマイクロキャビティを備えてよい。
【0064】
スフェロイド等の3次元で培養された細胞は、単層として2次元で培養された同等の細胞に比べて、より生体内に近い機能性を示すことができる。2次元細胞培養システムでは、細胞は、これらの細胞が培養される基材に付着し得る。しかしながら、細胞をスフェロイド等の3次元で成長させると、細胞は基材に付着するのではなく、互いに相互作用する。3次元で培養された細胞は、細胞のコミュニケーション及び細胞外マトリックスの発達に関して、生体内組織により類似している。例えば、肝細胞の3Dスフェロイド培養により、持続的な肝細胞薬剤代謝活性及び細胞生存率が得られる。よって、肝細胞3Dスフェロイドは、ADME/Tox研究(特にこのような低クリアランス化合物を用いた場合の生体内クリアランスのより正確な予測のための、正確な生体外固有クリアランスデータの調査及び生成を含む)のための優れたモデルを提供する。
【0065】
ここで
図1A、
図1B、及び
図1Cを参照すると、マイクロキャビティスフェロイドプレート、この場合は96ウェルマイクロキャビティスフェロイドプレートである、細胞培養用物品の一実施形態が示されており、これは、各ウェルの底面にマイクロキャビティのアレイを有し、各マイクロキャビティは、3Dスフェロイド形態で成長するように、培養された細胞に制約を与えるような構造を有し、これにより、96個のウェルそれぞれにおいて複数のスフェロイドを提供する。
図1Aは、ウェルのアレイ110を有するマルチウェルプレート10を示す。
図1Bは、
図1Aのマルチウェルプレート10の単一のウェル101を示す。単一のウェル101は、上部アパーチャ118、液体非透過性底面106、及び側壁113を有する。
図1Cは、
図1BのボックスCに示されているウェル101の底面106の領域の拡大図であり、
図1Bに示されている単一のウェルの底面のマイクロキャビティのアレイ112を示す。マイクロキャビティのアレイ112の各マイクロキャビティ115は、側壁121及び液体非透過性底面116を有する。個々のウェル101の底部においてマイクロキャビティのアレイ112を提供する、
図1A、
図1B、及び
図1Cに示されているマイクロキャビティスフェロイドプレートを用いて、マルチウェルプレートの個々のウェルの各マイクロキャビティ内で1つの独立した3Dスフェロイドを成長させることができる。このタイプの容器を用いることにより、ユーザは、マルチウェルプレートの各ウェルで多数のスフェロイドを成長させることができ、これにより、長期の生存率及び機能性を維持し、かつ本明細書で提供されるアッセイでの使用のための培養及び実験条件と同一の条件下で処理できる、多数の肝臓細胞スフェロイドを提供できる。更に、このタイプの容器は、個々の3Dスフェロイド間に物理的なバリアを提供することにより、培養又は試験中のいずれのスフェロイドの融合を防止する。
図3A、及び
図3Bに示すように、(
図3Aの時点0に示されている)Corning HepatoCellsから作製されたスフェロイドを手動で集めて22時間にわたってインキュベートすると、スフェロイドは1つに融合した(
図3Bに示されている)。スフェロイドの融合は、総体積に対する露出した細胞表面積の比率の変化につながり得る。よって、本開示のマイクロウェルの設計は、ウェル全体にわたる均質な拡散及び薬剤代謝活性を可能とするために、試験化合物との長期のインキュベーション時間中に、各スフェロイドの完全性を維持できるようにする、物理的なバリアを提供する。
【0066】
ここで
図2Aを参照すると、マイクロキャビティのアレイ112の一例が示されている。
図2Aはマイクロキャビティ115を示し、これらはそれぞれ、上部アパーチャ118、底面119、深さd、及び側壁121によって画定される幅wを有する。
図2A、及び
図2Bに示すように、マイクロキャビティのアレイは、液体非透過性の凹状弓形底面116を有する。実施形態では、マイクロキャビティの底面は、丸底若しくは円錐型、角度付き、平坦、又は3Dスフェロイドの形成に好適ないずれの形状とすることができる。丸底が好ましい。丸底119は、垂直な側壁が丸底119に移行する際の移行ゾーン114を有することができる。これは、平滑な又は角度付きの移行ゾーンとすることができる。実施形態では、「マイクロキャビティ」は例えば、上側アパーチャ118及び最下点116、上側アパーチャの中心、並びに最下点と上側アパーチャの中心との間の中心軸105を画定する、マイクロウェル115とすることができる。実施形態では、ウェルは、軸に関して回転対称である(即ち側壁が円筒形である)。いくつかの実施形態では、上側アパーチャは、250μm〜1mm、又はこれらの測定値の間のいずれの範囲の、上側アパーチャを横断する距離(幅w)を画定する。いくつかの実施形態では、上側アパーチャから最下点までの距離(深さ「d」)は、200μm〜900μm、又は400〜600μmである。マイクロキャビティのアレイは様々な幾何学的形状、例えば放物線状、双曲線状、シェブロン状、及び同等の断面幾何学形状、又はこれらの組み合わせを有してよい。実施形態では、マイクロキャビティは、マイクロキャビティをラボベンチ又はテーブルといった表面との直接接触から保護するために、マイクロキャビティの下に保護層130を有してよい。いくつかの実施形態では、ウェルの底部119と保護層との間に空間110が設けられていてよい。実施形態では、空間110は、外部環境と連通していてよく、又は閉鎖されていてよい。3D肝細胞スフェロイド25は、いくつかの独立したマイクロキャビティ115の底部に示されている。ここで
図2Bを参照すると、マイクロキャビティのアレイ112の更なる例が示されている。
図2Bは、マイクロキャビティのアレイ112が、正弦曲線又は放物線形状を有してよいことを示している。この形状は、丸みを帯びた上縁部又はマイクロキャビティ縁部を形成し、これにより、実施形態では、マイクロキャビティの上部の鋭利なコーナー又は90°の角度における、空気の閉じ込めが低減される。
図2Bに示すように、複数の態様では、マイクロキャビティ115は、上部直径Dtopを有する上部開口、マイクロキャビティの底部116からマイクロキャビティの上部までの高さH、マイクロキャビティの上部とマイクロキャビティの底部116との間の半分の高さにおけるマイクロキャビティの直径D
H、及び側壁113を有する。このような実施形態では、ウェルの底部は丸底(例えば半球状)であり、側壁の直径はウェルの底部から上部に向かって増大し、ウェルの間の境界は丸みを帯びている。従って、ウェルの上部は直角に終端しない。いくつかの実施形態では、ウェルは、底部と上部との間の半分の地点における直径D(D
Hとも呼ばれる)、ウェルの上部における直径D
top、及びウェルの底部から上部までの高さHを有する。これらの実施形態では、D
topはDより大きい。
【0067】
実施形態では、少なくとも1つの凹状弓形底面又は「カップ(cup)」を有するマイクロキャビティの底面は例えば、半球面、丸底を有する円錐面、及び類似の表面幾何学形状、又はこれらの組み合わせとすることができる。マイクロキャビティの底部は、ディンプル、ピット、及び同様の凹状の円錐台状起伏表面、又はこれらの組み合わせといった、スフェロイドに「好都合な(friendly)」丸みを帯びた又は湾曲した表面で終端するか、終了するか、又はこのような表面となる。実施形態では、チャンバ内の各マイクロキャビティの少なくとも1つの凹面は、半球面、側壁から底面に向かって30〜約60°のテーパを有する円錐面、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの凹状弓形底面は例えば、例えば選択されたウェルの幾何学的形状、各ウェル内の凹状弓型表面の数、プレート内のウェルの数、及び同等の考慮事項に応じて、例えば約250〜約5,000マイクロメートル(即ち0.010〜0.200インチ)(中間値及び範囲を含む)の直径を有する、半球の水平断片又はスライスといった半球の一部分とすることができる。他の凹状弓型表面は、放物線状、双曲線状、シェブロン状、及び同等の幾何学的形状、又はこれらの組み合わせを有することができる。
【0068】
実施形態では、チャンバを備える細胞培養用物品(各チャンバはマイクロキャビティ(例えばマルチウェルプレート、マイクロキャビティスフェロイドプレート、マイクロキャビティインサート、マイクロキャビティインサートプレート等)を備える)は、低接着性、超低接着性、又は非接着性コーティングを更に備えることができる。このコーティングは、各マイクロキャビティの少なくとも1つの底面若しくは少なくとも1つの凹状の底面、及び/又は各マイクロキャビティの1つ以上の側壁といった、マイクロキャビティの一部分の上にあってよい。非接着性材料の例としては、パーフルオロ化ポリマー、オレフィン、若しくは同等のポリマー、又はこれらの混合物が挙げられる。他の例としては:アガロース;ポリアクリルアミド等の非イオン性ヒドロゲル;ポリエチレンオキシド、若しくはポリビニルアルコール等のポリオールといった、ポリエーテル;若しくは同等の材料;又はこれらの混合物が挙げられる。
【0069】
実施形態では、チャンバ及び/又は各マイクロキャビティの側壁表面(即ち周囲)は例えば:垂直な円筒又はシャフト;チャンバの上部からチャンバの底部に向かって直径が減少する垂直な円錐の一部分;ウェルの上部が正方形又は楕円形であり、円錐へと移行して、少なくとも1つの凹状弓型表面を有する(即ち丸みを帯びた又は湾曲した)底部で終端する、垂直な正方形シャフト又は垂直な楕円形シャフト;あるいはこれらの組み合わせとすることができる。他の幾何学的形状の例としては:孔が空いた円筒形;孔が空いた円錐;初めは円筒形で、その後円錐になる形状;及び他の同等の幾何学的形状;又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0070】
例えば、低接着性の基材、マイクロキャビティの本体及び基部のウェルの湾曲、並びに重力のうちの1つ以上によって、腫瘍細胞を、スフェロイドへと自己集合するように誘導できる。例えば、個々の細胞は、マイクロキャビティの底部へと落下して互いに接着し(マイクロウェルの低結合性コーティング済み表面には接着せず)、スフェロイドへと成長できる。肝細胞は、2D単層で成長した細胞に比べてより生体内に近い応答の指標である、分化した細胞機能を維持する。実施形態では、例えばスフェロイド中の細胞のタイプに応じて、スフェロイドは例えば、直径が例えば約100〜約500マイクロメートル、より好ましくは約150〜約400マイクロメートル、更に好ましくは約150〜約300マイクロメートル、最も好ましくは約200〜約250マイクロメートル(中間値及び範囲を含む)の略球体とすることができる。スフェロイドの直径は例えば約200〜約400マイクロメートルとすることができ、直径の上限は拡散に関する考慮事項によって制約を受ける。
【0071】
実施形態では、チャンバ及び/又はチャンバ内の各マイクロキャビティを含む細胞培養用物品は、不透明の側壁、及び/又は少なくとも1つの凹面を備えるガス透過性かつ液体非透過性の底部を更に含むことができる。不透明の側壁は、蛍光撮像を採用した場合にウェル又はマイクロウェル間のクロストークを防止する。いくつかの実施形態では、上記底部の、少なくとも1つの凹面を備える少なくとも一部分は、透明である。このような特徴部分を有する細胞培養用物品(例えばマイクロキャビティスフェロイドプレート、マイクロキャビティインサート、マイクロキャビティインサートプレート等)は、本開示の方法に関する複数の利点を提供でき、上記利点としては、培養した細胞のスフェロイドを、(スフェロイドが形成され、視認できる)あるマルチウェルプレートから、アッセイを実施するための別のプレートに移す必要がなくなり、従って時間が節約され、またスフェロイドの不必要な破壊が回避されることが挙げられる。更に、ガス透過性底部(例えば特定の所与の厚さにおいてガス透過特性を有するポリマーから作製されたウェル底部)により、3D肝細胞スフェロイドにより多量の酸素を付加できる。例示的なガス透過性底部は、特定の厚さの、パーフルオロ化ポリマー、又はポリ4メチルペンタン等のポリマーから形成できる。
【0072】
ガス透過性ポリマーの代表的な厚さ及び範囲は例えば、約0.001インチ(25.4マイクロメートル)〜約0.025インチ(63.5マイクロメートル)、0.0015インチ(38.1マイクロメートル)〜約0.03インチ(76.2マイクロメートル)(中間値及び範囲を含む)とすることができる(ここで1インチ=25,400マイクロメートル;0.000039インチ=1マイクロメートルである)。更に、又はあるいは、ポリジメチルシロキサンポリマー等の高いガス透過性を有する他の材料が、例えば最大約1インチ(2.54cm)の厚さにおいて、十分なガス拡散を提供できる。
【0073】
ここで
図4を参照すると、様々な生化学及び分子生物学的研究、特にADME/Tox(吸収、分布、代謝、排泄、及び毒性)研究での使用のための、生体外培養における候補化合物と3D肝細胞スフェロイドとの相互作用を評価するための、本開示の方法及び実験器具の一実施形態が示されている。複数の態様では、本開示の方法及び実験器具を用いて、生体外3D肝細胞スフェロイド培養における1つ以上の低クリアランス候補化合物の代謝を評価する。
図4に示すように、(肝臓から単離できる肝細胞及び/又は非実質細胞を含むがこれらに限定されない)肝臓細胞等の関心対象の細胞201を、3D形態で成長するように肝臓細胞に制約を与えるような構造を有する細胞培養用物品(例えばマイクロキャビティスフェロイドプレート、マイクロキャビティインサート、マイクロキャビティインサートプレート等)のキャビティのマイクロキャビティ内の培地中で成長させる(即ち長期間であってよい培養を行う)(203)。この場合、図示されているように、細胞培養用物品は24ウェルマイクロキャビティスフェロイドプレートであり、また(肝細胞及び/又は非実質細胞を含むがこれらに限定されない)肝臓細胞等の関心対象の細胞は、マイクロキャビティのアレイ112を有するマルチウェルプレート10のウェル101内で成長(203)し、各マイクロキャビティ115は、3Dスフェロイド形態25で成長するように関心対象の細胞に制約を与えるような構造を有し、これにより、マルチウェルプレートのウェルの底面上のマイクロキャビティのアレイ中の各マイクロキャビティにおいて1つずつの、スフェロイドのアレイの発生が得られる。培養において細胞が成長及び増殖する際、細胞は、スフェロイドとして成長するように制約を受ける。スフェロイド25が発生する。複数の態様では、マイクロキャビティインサート又はマイクロキャビティインサートプレートを用いて、関心対象の細胞を、3Dスフェロイド形態で成長するように培養できる。例えば
図7Aに示すように、インサートは、上部アパーチャ418と、側壁421と、マイクロキャビティ420のアレイを形成する底面419とを有する。マイクロキャビティインサート又はマイクロキャビティインサートプレートの使用により、より迅速にスフェロイドを形成できる。例えば
図7B(肝細胞培養の1日目)及び
図7C(肝細胞培養の3日目)に示すように、24ウェルマイクロキャビティインサートを用いて、3日間の培養で肝細胞スフェロイドを形成できる。インサートは多数の構成で利用でき、上記構成としては、限定するものではないが、6ウェルマイクロキャビティインサート、12ウェルマイクロキャビティインサート、24ウェルマイクロキャビティインサート、48ウェルマイクロキャビティインサート、96ウェルマイクロキャビティインサート、及び単一のプレートが複数のインサートを内包しており、マルチウェルインサートプレートは、相補的なマルチウェルプレートのウェルのアレイに挿入されるような構造を有する、インサートプレート構成が挙げられることを理解されたい。
【0074】
再び
図4を参照すると、(肝細胞及び/又は非実質細胞を含むがこれらに限定されない)肝臓細胞がスフェロイド25へと成長した後、ADME/Tox(吸収、分布、代謝、排泄、及び毒性)研究を含む肝臓代謝研究を、1つ以上の低クリアランス候補化合物205に関して実施できる。例えば、3D肝臓細胞スフェロイド及び候補化合物が共にインキュベートされるように、1つ以上の低クリアランス候補化合物をマルチウェルプレートの各ウェルに加えることができる。次に、適切な期間の後、1つ以上の低クリアランス候補化合物と細胞との相互作用を評価する。1つ以上の低クリアランス候補化合物と3D肝臓細胞スフェロイド(例えば3D肝細胞スフェロイド)との評価可能な相互作用としては、限定するものではないが:クリアランス研究(取り込みクリアランス、基底外側流出クリアランス、毛細胆管流出クリアランス、代謝クリアランス);代謝産物ID及び代謝安定性(親寿命);候補化合物の細胞内濃度;培養された3Dスフェロイド肝細胞の、タンパク質及び遺伝子調節(誘導/抑制)並びに他の分子的、生化学的、及び遺伝的分析;毒物学的効果;化合物動態;細胞内蓄積並びに浮遊濃度又は総細胞内濃度(結合濃度+浮遊濃度);胆管全体のクリアランス;P450及びトランスポーター薬剤相互作用;並びに薬物動態が挙げられる。これらの相互作用及び効果は、生体染色技法、ELISAアッセイ、免疫組織化学、並びに様々な従来の分子、生化学及び遺伝的アッセイを含むがこれらに限定されない、当該技術分野で公知のいずれの適当な手段によって測定してよい。上述のように、本発明の方法は、3Dスフェロイド培養を微小パターン形成設計と組み合わせた実験器具で実施され、上記設計により、肝臓の細胞(例えば肝細胞)の生存率及び機能性の長期的な維持が可能となるだけでなく、同一条件下での複数から数百のスフェロイドの処理や、上述の様々な研究に関する十分な材料(例えば親薬剤、薬剤、代謝産物、並びに細胞由来のDNA、RNA及びタンパク質)の生産並びに比較的高い信号強度の生成が可能となる。インキュベーション期間は、1つ以上の低クリアランス候補化合物に応じて様々となる。インキュベーション時間の調整は予備実験で行うことができ、十分に当業者の一般的な技能の範囲内である。
【0075】
いくつかの実施形態では、1つ以上の低クリアランス候補化合物と肝細胞との相互作用を評価するためのアッセイ法は、細胞培養用物品中で肝細胞を培養してスフェロイドを形成するステップを含み、上記細胞培養用物品はチャンバを備え、上記チャンバはマイクロキャビティのアレイを備え、各上記マイクロキャビティは、3Dスフェロイド形態で成長するように上記肝細胞に制約を与えるような構造を有する。上記アッセイ法は更に、3D肝細胞スフェロイドを1つ以上の低クリアランス候補化合物と接触させるステップを含む。適切な期間の後、上記アッセイ法はまた、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の生体外固有クリアランスを測定するステップを含む。このインキュベーション期間は、候補化合物に応じて様々となる。インキュベーション時間の調整は予備実験で行うことができ、十分に当業者の一般的な技能の範囲内である。
【0076】
いくつかの実施形態では、1つ以上の候補化合物の生体外固有クリアランスは、上記1つ以上の候補化合物からの代謝産物の形成によって測定される。しかしながら、薬剤代謝産物の形成(例えば存在又は不在)から固有クリアランスを計算するためには、十分に定義されたクリアランス経路(例えば候補化合物クリアランスの要因となる特定の酵素)、及び確実な代謝産物基準が必要であり、これらは常に判明しているわけではなく、又は常に利用可能であるわけではない。よって実施形態では、1つ以上の候補化合物の生体外固有クリアランスを、この1つ以上の消失によって測定する。1つ以上の候補化合物からの代謝産物の形成及び/又は1つ以上の候補化合物の消失はいずれも、当該技術分野で公知のいずれの手段で測定でき、上記手段としては、限定するものではないが、質量分光分析、液体クロマトグラフィ‐質量分光分析、液体クロマトグラフィ‐タンデム質量分光分析、又は高速液体クロマトグラフィが挙げられる。生体外クリアランスは、Chan et al. (2013) Drug Metab Dispos 41:2024‐2032(この文献はその全体が参照により本出願に援用される)で開示されているような、当該技術分野で公知の方法で計算できる。
【0077】
いくつかの実施形態では、1つ以上の候補化合物の、測定された生体外固有クリアランスを利用して、上記1つ以上の候補化合物の生体内半減期を予測する。いくつかの実施形態では、1つ以上の候補化合物の、測定された生体外固有クリアランスを利用して、上記1つ以上の候補化合物の生体内クリアランスを予測する。例えば、十分に撹拌したモデルを用いて、実施例において示されるように、計算された生体外固有クリアランスから、生体内肝クリアランスを計算できる。
【0078】
いくつかの実施形態では、上記アッセイ法は更に、1つ以上の低クリアランス候補化合物の代謝産物を分析するステップを含み、上記代謝産物は、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物を用いた3Dスフェロイド肝細胞のインキュベーション中に生成される。いくつかの実施形態では、1つ以上の候補化合物の上記代謝産物を分析するステップは、1つ以上の低クリアランス候補化合物を用いた3Dスフェロイド肝細胞のインキュベーション中に生成された1つ以上の候補化合物の代謝産物の同定を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の候補化合物の代謝産物を分析するステップは、1つ以上の低クリアランス候補化合物を用いた3Dスフェロイド肝細胞のインキュベーション中に生成された1つ以上の候補化合物の代謝産物の定量化を含む。1つ以上の低クリアランス候補化合物からの代謝産物の形成の測定は、代謝産物の同定のためであるか代謝産物の定量化のためであるかに関わらず、当該技術分野で公知のいずれの手段によって測定でき、上記手段としては、限定するものではないが、質量分光分析、液体クロマトグラフィ‐質量分光分析、液体クロマトグラフィ‐タンデム質量分光分析、又は高速液体クロマトグラフィが挙げられる。
【0079】
いくつかの実施形態では、上記アッセイ法は、上記3Dスフェロイド肝細胞に対する上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の分子的、生化学的、又は遺伝的影響を分析するステップを含む。インキュベーション期間中の1つ以上の低クリアランス候補化合物による3Dスフェロイド肝細胞への影響は、当該技術分野で公知のいずれの手段によって測定でき、上記手段としては、細胞、細胞抽出物、又は培地の遺伝子、代謝又はタンパク質分析、例えば公知の可視化技法、蛍光測定、ELISAアッセイ、免疫組織化学アッセイ、並びに様々な従来の分子、生化学及び遺伝的アッセイが挙げられる。いくつかの実施形態では、上記3Dスフェロイド肝細胞に対する上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の上記分子的、生化学的、又は遺伝的影響を分析する上記ステップは、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物を用いた上記3Dスフェロイド肝細胞のインキュベーション中の、遺伝子及び/又はタンパク質発現の変化を測定するステップを含む。いくつかの実施形態では、上記3Dスフェロイド肝細胞に対する上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の上記分子的、生化学的、又は遺伝的影響を分析する上記ステップは、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物を用いた上記3Dスフェロイド肝細胞のインキュベーション中に、上記3Dスフェロイド肝細胞によって産生された(例えば上記細胞、細胞抽出物、及び/又は培地から単離された)DNA、RNA、及び/又はタンパク質を測定するステップを含む。
【0080】
本開示の方法のいくつかの実施形態では、候補化合物としては:一般に「薬剤(drug)」と呼ばれる生体異物低分子量治療剤、及び他の治療剤;発癌性物質;環境汚染物質;並びにステロイド、胆汁酸、脂肪酸、及びプロスタグランジンといった生物体内物質が挙げられる。候補化合物は、あらゆる種類の作用を含む薬剤を含んでよく、上記作用としては、限定するものではないが、抗腫瘍剤、免疫抑制剤、免疫刺激剤、抗増殖剤、抗トロンビン剤、抗血小板剤、抗脂質剤、抗炎症剤、抗生物質、血管新生剤、抗血管新生剤、ビタミン、ACE阻害剤、血管作動性物質、抗有糸分裂剤、メテロプロテイナーゼ阻害剤、NOドナー、エストラジオール、抗硬化剤、ホルモン、フリーラジカルスカベンジャー、毒素、アルキル化剤(単独又は組み合わせ)が挙げられる。候補化合物としては、限定するものではないが例として生物剤も挙げられ、上記生物剤としては、限定するものではないが、ペプチド、脂質、タンパク質薬剤、タンパク質複合体薬剤、酵素、オリゴヌクレオチド、リボザイム、遺伝物質、プリオン、ウイルス、及び微生物が挙げられる。
【0081】
本開示の方法のいくつかの実施形態では、上記方法は、複数の候補化合物を同時に評価するステップを含む。本開示の方法のいくつかの実施形態では、上記方法は、1つ以上の候補化合物を3Dスフェロイド肝細胞に繰り返し曝露する/接触させるステップを含む。
【0082】
本開示の方法のいくつかの実施形態では、肝細胞は、肝臓の主要な実質組織に由来するいずれの細胞とすることができる。肝細胞は、ヒトを含む動物から取得若しくは単離された初代肝細胞とすることができ、又は肝細胞は、肝細胞株若しくは初代肝細胞由来細胞とすることができる。実施形態では、細胞集団は、ヒト細胞、ラット細胞、マウス細胞、サル細胞、ブタ細胞、イヌ細胞、モルモット細胞、魚類細胞を含むがこれらに限定されない1つ以上の種に由来するものとすることができる。更に、上記細胞は、新鮮なものであっても凍結保存されたものであってもよい。
【0083】
本開示の方法のいくつかの実施形態では、非実質細胞を、培養される肝細胞と共に含むことができ、又は培養される肝細胞と同時培養できる。非実質細胞としては、限定するものではないが、クッパー細胞、(伊東細胞、類洞内皮細胞、及び胆管細胞を含むがこれらに限定されない)肝臓細胞、(線維芽細胞、及び周皮細胞を含むがこれらに限定されない)間質細胞、(T細胞、好中球、マクロファージ、樹状細胞、好酸球、肥満細胞を含むがこれらに限定されない)免疫細胞、並びに(肝臓前駆細胞、胚性幹細胞、及び造血幹細胞を含むがこれらに限定されない)幹細胞が挙げられる。これらの細胞集団は、ヒト細胞、ラット細胞、マウス細胞、サル細胞、ブタ細胞、イヌ細胞、モルモット細胞、魚類細胞を含むがこれらに限定されない1つ以上の種に由来するものとすることができる。更に、上記細胞は、新鮮なものであっても凍結保存されたものであってもよい。本開示の方法のいくつかの実施形態では、3Dスフェロイド培養における動物間質細胞に要件はない。
【0084】
いくつかの実施形態では、肝細胞の培養中にマトリックス又は足場を使用できる。よって、肝細胞(及び非実質細胞を含む他の同時に培養される可能性がある細胞)を、培養中にマトリックス若しくは足場に埋め込む、混合する、又はマトリックス若しくは足場で覆うことができる。代表的なマトリックス又は足場としては、限定するものではないがコラーゲン、ラミニン、及びマトリゲル(登録商標)といった、いずれの好適な天然又は合成マトリックス又は足場が挙げられる。
【0085】
いくつかの実施形態では、上記方法は、当該技術分野で公知の、(例えば栄養分(例えばタンパク質、ペプチド、アミノ酸)、エネルギ(例えば炭水化物)、必須金属及び無機物(例えばカルシウム、マグネシウム、鉄、リン酸塩、硫酸塩)、緩衝剤(例えばリン酸塩、酢酸塩)、pH変化のインジケータ(例えばフェノールレッド、ブロモクレゾールパープル)、選択された作用剤(例えば化学物質、抗微生物剤)等を含む)培養培地を含む。
【0086】
態様
方法、システム、組成物、及びキットの様々な態様を本明細書に記載した。このような方法、システム、組成物、及びキットのいくつかの選択された例の概要を以下に提供する。
【0087】
第1の態様は、1つ以上の低クリアランス候補化合物と肝細胞との相互作用を評価するためのアッセイ法であり、上記アッセイ法は:
肝細胞を細胞培養用物品中で培養してスフェロイドを形成するステップであって、ここで上記細胞培養用物品はチャンバを備え、上記チャンバは、マイクロキャビティのアレイを備え、各上記マイクロキャビティは、肝細胞スフェロイドを形成するために、3Dスフェロイド形態で成長するように肝細胞に制約を与えるような構造を有し、上記チャンバの各上記マイクロキャビティは:
上部アパーチャ;及び底面を備える液体非透過性底部であって、上記底部の少なくとも一部分は、上記底面内又は上記底面上に低接着性又は非接着性材料を含む、液体非透過性底部
を備える、ステップ;
3D肝細胞スフェロイドを上記1つ以上の低クリアランス候補化合物と接触させるステップ;並びに
上記1つ以上の候補化合物の生体外固有クリアランスを測定するステップ
を含む、アッセイ法である。
【0088】
第2の態様は、上記培養が長期間培養である、第1の態様に記載の方法である。
【0089】
第3の態様は、上記長期間培養が、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約72時間、少なくとも約96時間、少なくとも約7日、少なくとも約14日、少なくとも約21日、又は少なくとも約28日にわたる、第1又は第2の態様に記載の方法である。
【0090】
第4の態様は、上記底面を備える上記液体非透過性底部が、ガス透過性である、第1〜第3の態様のいずれか1つに記載の方法である。
【0091】
第5の態様は、上記底面が凹状の底面を備える、第1〜第4の態様のいずれか1つに記載の方法である。
【0092】
第6の態様は、上記底部の少なくとも一部分が透明である、第1〜第5の態様のいずれか1つに記載の方法である。
【0093】
第7の態様は、上記凹面が、半球面、側壁から上記底面への30〜約60°のテーパを有する円錐面、又はこれらの組み合わせを含む、第5の態様に記載の方法である。
【0094】
第8の態様は、上記チャンバの各上記マイクロキャビティが更に側壁を備える、第1〜第7の態様のいずれか1つに記載の方法である。
【0095】
第9の態様は、上記側壁の表面が、垂直な円筒、上記チャンバの上部から底面に向かって直径が減少する垂直な円錐の一部分、上記凹状の底面に向かう円錐状移行部分を有する垂直な四角形シャフト、又はこれらの組み合わせを備える、第8の態様に記載の方法である。
【0096】
第10の態様は、上記細胞培養用物品が1〜約2,000個の上記チャンバを備え、各上記チャンバは他のいずれの上記チャンバから物理的に隔てられている、第1〜第9の態様のいずれか1つに記載の方法である。
【0097】
第11の態様は、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の上記生体外固有クリアランスが、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の消失によって測定される、第1〜第10の態様のいずれか1つに記載の方法である。
【0098】
第12の態様は、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の上記生体外固有クリアランスが、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物からの代謝産物の形成によって測定される、第1〜第11の態様のいずれか1つに記載の方法である。
【0099】
第13の態様は、測定された上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の上記生体外固有クリアランスを利用して、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の生体内半減期を予測する、第1〜第12の態様のいずれか1つに記載の方法である。
【0100】
第14の態様は、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の上記生体外固有クリアランスを利用して、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の生体内クリアランスを予測する、第1〜第13の態様のいずれか1つに記載の方法である。
【0101】
第15の態様は、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の代謝産物を分析するステップを更に含み、上記代謝産物は、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物を用いた上記3Dスフェロイド肝細胞のインキュベーション中に生成される、第1〜第14の態様のいずれか1つに記載の方法である。
【0102】
第16の態様は、上記1つ以上の候補化合物の上記代謝産物を分析する上記ステップが、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物を用いた上記3Dスフェロイド肝細胞のインキュベーション中に生成された上記1つ以上の候補化合物の上記代謝産物の同定を含む、第15の態様に記載の方法である。
【0103】
第17の態様は、上記1つ以上の候補化合物の上記代謝産物を分析する上記ステップが、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物を用いた上記3Dスフェロイド肝細胞のインキュベーション中に生成された上記1つ以上の候補化合物の上記代謝産物の定量化を含む、第15の態様に記載の方法である。
【0104】
第18の態様は、上記3Dスフェロイド肝細胞に対する上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の分子的、生化学的、又は遺伝的影響を分析するステップを更に含む、第1〜第17の態様のいずれか1つに記載の方法である。
【0105】
第19の態様は、上記3Dスフェロイド肝細胞に対する上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の上記分子的、生化学的、又は遺伝的影響を分析する上記ステップが、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物を用いた上記3Dスフェロイド肝細胞のインキュベーション中に、上記3Dスフェロイド肝細胞によって産生されたDNA、RNA、及び/又はタンパク質を測定するステップを含む、第18の態様に記載の方法である。
【0106】
第20の態様は、上記肝細胞が初代ヒト肝細胞を含む、第1〜第19の態様のいずれか1つに記載の方法である。
【0107】
第21の態様は、上記肝細胞が肝細胞株を含む、第1〜第20の態様のいずれか1つに記載の方法である。
【0108】
第22の態様は、複数の候補化合物を同時に評価するステップを更に含む、第1〜第21の態様のいずれか1つに記載の方法である。
【0109】
第23の態様は、上記3Dスフェロイド肝細胞が、少なくとも3週間にわたって機能的に安定している、第1〜第22の態様のいずれか1つに記載の方法である。
【0110】
第24の態様は、上記3Dスフェロイド肝細胞の機能的安定性が、代謝活性、細胞機能、遺伝子発現、又はこれらの組み合わせを測定することによって決定される、第23の態様に記載の方法である。
【0111】
第25の態様は、上記機能的安定性が、CYP3A4活性によって測定される、第24の態様に記載の方法である。
【実施例】
【0112】
以下の実施例は、本開示の具体的な特徴及び態様を例示することを意図したものであり、本開示の範囲の限定として解釈してはならない。
【0113】
実施例1
初代ヒト肝細胞(PHH)高密度(HD)スフェロイド培養
スフェロイドインサートの予備湿潤:ピペットエイドを低分散速度とした。5mLピペットを使用し、チップを側壁に対して底部に位置決めして、2mLのウィリアムE培地+(WEM+)培地(FBS非含有)を、およそ700マイクロウェル/ウェルインサートを有する6ウェルスフェロイドインサートに加えた。200μlのピペットチップを用いて、マイクロウェル内に閉じ込められたいずれの気泡を吹き飛ばした。顕微鏡下でプレートを検査して、全ての気泡が除去されたことを確認した。
【0114】
6ウェル高密度スフェロイドインサート(〜700マイクロウェル/インサート)へのPHHの播種:PHHを標準的な手順として解凍し、WEM播種培地中に再懸濁した。PHHを計数し、WEM播種培地を用いて細胞密度を0.35e6/mlに調整した。PHHの播種のために、ピペットエイドを低分散速度に設定した。播種の直前に、5mLピペットを用いて、予備湿潤済みのインサートから大半の培地を除去した。穏やかに上下にピペッティングすることにより、均一な細胞懸濁液を調製した。5mLピペットを、チップが側壁に対して底部に位置決めされた状態で使用して、2mLの細胞懸濁液(細胞700K個、〜1000個/マイクロウェル)を6ウェルスフェロイドインサートに加えた。プレートをフード内に15〜20分間静置した。4倍対物レンズを備えた顕微鏡下でプレートを検査して、各マイクロウェル内に同数の細胞が定着したことを確認した。
【0115】
実施例2
3D PHH高密度スフェロイド薬剤クリアランスアッセイ
WME+培地での培地の半量の交換:ピペットエイドを低分散速度とした。5mLピペットを用いて、1mLの古い培地を各インサートからゆっくりと取り出した。1000μLピペットチップをインサート側壁の上部に対して位置決めし、1mLの予熱したWME+培地を、この培地が側壁を流れ落ちるようにして、ゆっくりと加えた。培地の半量の交換の度に5〜10分間待機して、培地の半量の交換を更に3回繰り返した。PHHを顕微鏡下で、スフェロイドの形成に関して検査した。
【0116】
表1に示すような、最終DMSO濃度が0.2%未満の2Xクリアランスアッセイ溶液の調製
【0117】
【表1】
【0118】
クリアランス試験の対象である1つ以上の候補化合物と、培養されたスフェロイドとのインキュベーション:ピペットエイドを低分散速度に設定した。5mLピペットを用いて、1mLの古い培地を各インサートからゆっくりと取り出した。1000μLピペットチップをインサート側壁の上部に対して位置決めし、クリアランス試験の対象である候補化合物を含有する1mLの2×基質溶液を、この培地が側壁を流れ落ちるようにして、ゆっくりと加えた。5〜10分後、培養物を37℃のインキュベータに戻した。インキュベーションのタイマーをこの時点で開始した。
【0119】
サンプリング:40μL/ウェルの停止溶液ラベタロール(0.05%FA/50%ACN中で0.2μM)を、アッセイプレートに分注し、氷上で保持した。所望のアッセイインキュベーション時点(0時間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週、4週、又はこれらの間のいずれの値若しくは範囲)において、各インキュベーションウェルから40μLのサンプルを抽出し、停止溶液と十分に混合して、−80℃で保存した。
【0120】
LC/MS分析:候補化合物の量を、当該技術分野で公知であるように、液体クロマトグラフィ/質量分光分析を用いて測定した。
【0121】
実施例3
データ分析及びクリアランスの計算
除去率定数(k
el)の計算:当該技術分野において公知であるように、特定のインキュベーション時点における質量分光分析ピーク面積比を、ゼロ時点におけるもので除算することによって、培養物中に残存する候補化合物の百分率を計算した。残存する候補化合物の百分率の自然対数を時間に対してプロットし、傾きからの絶対値としてk
elを計算した。
【0122】
候補化合物の欠乏半減期の計算:候補化合物に関してk
elを決定した後、当該技術分野において公知であるように、候補化合物の欠乏半減期を等式1によって決定した。
【0123】
【数1】
【0124】
候補化合物の生体外クリアランス(Clint)の計算:当該技術分野において公知であるように、候補化合物の生体外クリアランスを、等式1からの生体外半減期と等式2の倍率とを用いて計算した。
【0125】
【数2】
【0126】
予測生体内肝クリアランス(CL
h)の計算:当該技術分野において公知であるように、生体内肝クリアランスを、等式2によって決定された生体外クリアランスから、十分に混合されたモデル等式3を用いて計算した。
【0127】
【数3】
【0128】
実施例4
結果
図6A〜Iに示すように、本開示の方法及び実験器具は、ワルファリン(
図6A)、メロキシカム(
図6B)、トルブタミド(
図6C)、ジアゼパム(
図6D)、グリメピリド(
図6E)、アルプラゾラム(
図6F)、プレドニゾロン(
図6G)、リルゾール(
図6H)、及びボリコナゾール(
図6I)といった古典的な低クリアランス化合物を測定できた。更に、表2に示すように、3Dスフェロイド培養を微小パターン形成設計と組み合わせた本開示の方法は、9個の低クリアランス化合物の生体外固有クリアランスデータを生成したが、上記データは、実際の2倍以内が44%、及び実際の3倍以内が67%という生体内肝クリアランスの予測の精度を有していた。対照的に、2D単層を利用した方法は、同じ9個の低クリアランス化合物に関して、実際の2倍以内が33%、及び実際の3倍以内が44%という生体内クリアランスの予測の精度を有する生体外固有クリアランスデータしか生成しなかった。よって、低クリアランス薬剤候補の生体内クリアランス又は半減期を高い信頼性で予測できない、大半の現行の生体外肝臓モデルとは異なり、本開示のデータは、本発明の方法により、他の用途の中でもとりわけ、低クリアランス化合物の正確な生体外固有クリアランスデータの調査及び生成、従って特に上述のような低クリアランス化合物を用いた場合の生体内クリアランスのより正確な予測が可能となることを実証している。対照的に、浮遊フォーマットで成長させたPHHでは、ワルファリン(
図8A)、メロキシカム(
図8B)、トルブタミド(
図8C)、ジアゼパム(
図8D)、グリメピリド(
図8E)、アルプラゾラム(
図8F)、プレドニゾロン(
図8G)、リルゾール(
図8H)、及びボリコナゾール(
図8I)といった古典的な低クリアランス化合物を測定できなかった。
【0129】
【表2】
【0130】
本明細書中で言及された全ての刊行物及び特許は、参照により本出願に援用される。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の技術に対して様々な修正及び変更を実施できることは、当業者には明らかであろう。本開示は、特定の好ましい実施形態との関連で記述されているが、請求対象となる本開示は、これらの特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことを理解されたい。本発明の技術の精神及び実態を組み込んだ本開示の実施形態の修正、組み合わせ、部分的組み合わせ、及び変更は、当業者に想起され得るものであるため、本発明の技術は、添付の請求項及びその均等物の範囲内の全てを含むものとして解釈されるものとする。
【0131】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0132】
実施形態1
1つ以上の低クリアランス候補化合物と肝細胞との相互作用を評価するためのアッセイ法であって、上記アッセイ法は:
肝細胞を細胞培養用物品中で培養してスフェロイドを形成するステップであって、ここで上記細胞培養用物品はチャンバを備え、上記チャンバは、マイクロキャビティのアレイを備え、各上記マイクロキャビティは、肝細胞スフェロイドを形成するために、3Dスフェロイド形態で成長するように肝細胞に制約を与えるような構造を有し、上記チャンバの各上記マイクロキャビティは:
上部アパーチャ;及び底面を備える液体非透過性底部であって、上記底部の少なくとも一部分は、上記底面内又は上記底面上に低接着性又は非接着性材料を含む、液体非透過性底部
を備える、ステップ;
3D肝細胞スフェロイドを上記1つ以上の低クリアランス候補化合物と接触させるステップ;並びに
上記1つ以上の候補化合物の生体外固有クリアランスを測定するステップ
を含む、アッセイ法。
【0133】
実施形態2
上記培養は長期間培養である、実施形態1に記載のアッセイ法。
【0134】
実施形態3
上記長期間培養は、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約72時間、少なくとも約96時間、少なくとも約7日、少なくとも約14日、少なくとも約21日、又は少なくとも約28日にわたる、実施形態2に記載のアッセイ法。
【0135】
実施形態4
上記底面を備える上記液体非透過性底部は、ガス透過性である、実施形態1に記載のアッセイ法。
【0136】
実施形態5
上記底面は凹状の底面を備える、実施形態1に記載のアッセイ法。
【0137】
実施形態6
上記底部の少なくとも一部分は透明である、実施形態1に記載のアッセイ法。
【0138】
実施形態7
上記凹面は、半球面、側壁から上記底面への30〜約60°のテーパを有する円錐面、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態5に記載のアッセイ法。
【0139】
実施形態8
上記チャンバの各上記マイクロキャビティは更に側壁を備える、実施形態1に記載のアッセイ法。
【0140】
実施形態9
上記側壁の表面は、垂直な円筒、上記チャンバの上部から底面に向かって直径が減少する垂直な円錐の一部分、上記凹状の底面に向かう円錐状移行部分を有する垂直な四角形シャフト、又はこれらの組み合わせを備える、実施形態8に記載のアッセイ法。
【0141】
実施形態10
上記細胞培養用物品は1〜約2,000個の上記チャンバを備え、各上記チャンバは他のいずれの上記チャンバから物理的に隔てられている、実施形態1に記載のアッセイ法。
【0142】
実施形態11
上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の上記生体外固有クリアランスは、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の消失によって測定される、実施形態1に記載のアッセイ法。
【0143】
実施形態12
上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の上記生体外固有クリアランスは、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物からの代謝産物の形成によって測定される、実施形態1に記載のアッセイ法。
【0144】
実施形態13
測定された上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の上記生体外固有クリアランスを利用して、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の生体内半減期を予測する、実施形態1に記載のアッセイ法。
【0145】
実施形態14
上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の上記生体外固有クリアランスを利用して、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の生体内クリアランスを予測する、実施形態1に記載のアッセイ法。
【0146】
実施形態15
上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の代謝産物を分析するステップを更に含み、上記代謝産物は、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物を用いた上記3Dスフェロイド肝細胞のインキュベーション中に生成される、実施形態1に記載のアッセイ法。
【0147】
実施形態16
上記1つ以上の候補化合物の上記代謝産物を分析する上記ステップは、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物を用いた上記3Dスフェロイド肝細胞のインキュベーション中に生成された上記1つ以上の候補化合物の上記代謝産物の同定を含む、実施形態15に記載のアッセイ法。
【0148】
実施形態17
上記1つ以上の候補化合物の上記代謝産物を分析する上記ステップは、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物を用いた上記3Dスフェロイド肝細胞のインキュベーション中に生成された上記1つ以上の候補化合物の上記代謝産物の定量化を含む、実施形態15に記載のアッセイ法。
【0149】
実施形態18
上記3Dスフェロイド肝細胞に対する上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の分子的、生化学的、又は遺伝的影響を分析するステップを更に含む、実施形態1に記載のアッセイ法。
【0150】
実施形態19
上記3Dスフェロイド肝細胞に対する上記1つ以上の低クリアランス候補化合物の上記分子的、生化学的、又は遺伝的影響を分析する上記ステップは、上記1つ以上の低クリアランス候補化合物を用いた上記3Dスフェロイド肝細胞のインキュベーション中に、上記3Dスフェロイド肝細胞によって産生されたDNA、RNA、及び/又はタンパク質を測定するステップを含む、実施形態18に記載のアッセイ法。
【0151】
実施形態20
上記肝細胞は初代ヒト肝細胞を含む、実施形態1に記載のアッセイ法。
【0152】
実施形態21
上記肝細胞は肝細胞株を含む、実施形態1に記載のアッセイ法。
【0153】
実施形態22
複数の候補化合物を同時に評価するステップを更に含む、実施形態1に記載のアッセイ法。
【0154】
実施形態23
上記3Dスフェロイド肝細胞は、少なくとも3週間にわたって機能的に安定している、実施形態1に記載のアッセイ法。
【0155】
実施形態24
上記3Dスフェロイド肝細胞の機能的安定性は、代謝活性、細胞機能、遺伝子発現、又はこれらの組み合わせを測定することによって決定される、実施形態23に記載のアッセイ法。
【0156】
実施形態25
上記機能的安定性は、CYP3A4活性によって測定される、実施形態24に記載のアッセイ法。