(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-518282(P2021-518282A)
(43)【公表日】2021年8月2日
(54)【発明の名称】カラー画像生成可能文書
(51)【国際特許分類】
B42D 25/309 20140101AFI20210705BHJP
B42D 25/435 20140101ALI20210705BHJP
【FI】
B42D25/309
B42D25/435
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2020-549709(P2020-549709)
(86)(22)【出願日】2019年3月14日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月5日
(86)【国際出願番号】FR2019050569
(87)【国際公開番号】WO2019175514
(87)【国際公開日】20190919
(31)【優先権主張番号】1852273
(32)【優先日】2018年3月16日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519260337
【氏名又は名称】アイデミア フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100202201
【弁理士】
【氏名又は名称】兒島 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】ベルト,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンドルー,コラリー
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005HA02
2C005HA03
2C005HA04
2C005HB01
2C005HB02
2C005HB03
2C005HB09
2C005HB13
2C005JB02
2C005JB22
2C005JB40
2C005KA02
(57)【要約】
本発明は、カラー画像(6)を生成できる文書(2)に関し、これは、基板(2)上又は中に印刷されたピクセル(20)の群であって、各ピクセル(20)は、少なくとも2種類の色のサブピクセル(22)の配置を含むパターンを形成するピクセルの群と、レンズ(LN)のアレイであって、ピクセルの群と対向して設置されて、入射光をレンズを通じてサブピクセル(22)の少なくとも一部へと集光又は発散させることによってカラー画像(6)を生成するレンズ(LN)のアレイと、を含み、各レンズ(LN)は、反対に配置される関連のピクセル(20)に関して、入射光を前記関連のピクセルのサブピクセル(22)の少なくとも1つへと集光又は発散させることにより、カラー画像(6)のうち、前記レンズを通じて生成される領域において、前記レンズ(LN)に関係なく関連のピクセル(20)により本来的に形成されるパターンに関して、関連のピクセル(20)のサブピクセル(22)のそれぞれの色の寄与率を低減させるように位置付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー画像(6)の生成に適した文書(2)であって、
−基板(2)の上又は中に印刷された、各ピクセルが少なくとも2種類の色のサブピクセル(22)の配置を含むパターンを形成するピクセル(20)の群であって、前記ピクセルの群の各ピクセル(20)は、各サブピクセルが前記ピクセル内で1つの色を有するように構成されるピクセルの群と、
−レンズ(LN)のアレイであって、前記ピクセルの群の反対に、前記レンズ(LN)を通じて入射光を前記サブピクセル(22)の少なくとも一部へと集光又は発散させることによってカラー画像を生成するように設置されたレンズのアレイと、
を含み、
各レンズ(LN)は、対向する関連のピクセル(20)に関して、前記カラー画像(6)のうち、前記レンズを通じて生成される領域において、前記関連のピクセルの前記サブピクセル(22)の少なくとも1つへと前記入射光を集光又は発散させることにより、前記レンズ(LN)とは関係なく前記関連のピクセル(20)により本来的に形成される前記パターンに関して、前記関連のピクセルの前記サブピクセルのそれぞれの色の寄与率を変調させるように位置付けられる文書。
【請求項2】
前記ピクセルの群の各ピクセル(20)は、カラーサブピクキセル(22)の同じパターンを形成する、請求項1に記載の文書。
【請求項3】
前記ピクセル(20)の群は、前記サブピクセルが前記基板の上又はその中に均等に分散されるように構成される、請求項1又は2に記載の文書。
【請求項4】
各サブピクセルの色の存在の確率密度は、前記ピクセルの群の中で一定である、請求項1〜3の何れか1項に記載の文書。
【請求項5】
前記レンズ(LN)のアレイは、マイクロレンズを画定する表面変形を含む層から形成され、前記層は前記基板又は前記基板に積層された層である、請求項1〜4の何れか1項に記載の文書。
【請求項6】
前記ピクセルの群の前記サブピクセル(22)は、前記サブピクセルの下に位置付けられて、前記入射光を前記レンズのアレイを通じて反射させる反射面(23)を含む、請求項1〜5の何れか1項に記載の文書。
【請求項7】
前記レンズのアレイの中の少なくとも1つのレンズ(LN1;LN2)は、前記カラー画像のうち、前記レンズを通じて生成される対応領域において、受け取った前記入射光を集光させることにより、前記関連のピクセルの他の各サブピクセルのそれぞれの色寄与率に関して、前記関連のピクセルの少なくとも1つのサブピクセル(22)の色寄与率を増大させるように構成される、請求項1〜6の何れか1項に記載の文書。
【請求項8】
前記レンズのアレイの少なくとも1つのレンズは、受け取った前記入射光を前記関連のピクセルの前記サブピクセルの1つのみへと集光させることによって、前記カラー画像のうち、前記レンズを通じて生成される対応領域において、前記関連のピクセルの他の各サブピクセルの前記色をマスクするように構成される集束レンズ(LN1)である、請求項7に記載の文書。
【請求項9】
前記カラー画像のモノクロ領域において、前記レンズのアレイの各レンズは、受け取った前記入射光を前記関連のピクセルの中の同じ所定の色の1つのサブピクセルへと集光させることにより、前記カラー画像の前記モノクロ領域内に前記所定の色を1つの色として出現させるように構成される集束レンズ(LN1)である、請求項8に記載の文書。
【請求項10】
前記レンズのアレイの少なくとも第一のレンズ(LN2)は、受け取った前記入射光を前記関連のピクセルの少なくとも2つのサブピクセル(22)へと集光させることによって、前記カラー画像の対応領域内に前記少なくとも2つのサブピクセルの色(CL1、CL2)の組合せから得られるハイブリッド色を出現させるように構成された集束レンズであり、
前記第一のレンズは、その最小寸法において、150μmの、より少ない最大寸法を有する、
請求項7に記載の文書。
【請求項11】
前記レンズのアレイの少なくとも1つのレンズは、受け取った入射光を前記レンズによって発散させることにより、前記カラー画像のうち、前記レンズを通じて生成される前記対応領域において、前記関連のピクセルの他の各サブピクセルのそれぞれの色寄与率に関して、前記関連のピクセルの少なくとも1つのサブピクセルによる色寄与率を低減させるように構成された発散レンズである、請求項1〜10の何れか1項に記載の文書。
【請求項12】
前記ピクセル(20)の群の反対に設置された透明なレーザ加工可能層(65)をさらに含み、前記透明なレーザ加工可能層は、レーザ放射により少なくとも部分的に炭化されて、前記レンズを通じて生成された前記カラー画像内にグレイレベルを生じさせる、サブピクセルと反対の局所的に不透明化された領域を含む、請求項1〜11の何れか1項に記載の文書。
【請求項13】
カラー画像(6)の生成方法であって、
−基板の上又は中に、各ピクセルが少なくとも2種類の色のサブピクセル(22)の配置を含むパターンを形成するピクセル(20)の群を印刷するステップ(E2)であって、前記ピクセルの群の各ピクセル(20)は、各サブピクセル(22)が前記ピクセル内で1つの色を有するように構成されるステップと、
−前記ピクセルの群の反対にレンズのアレイを形成して、入射光を前記レンズを通じて前記サブピクセルの少なくとも一部へと集光又は発散させることによってカラー画像を生成するステップ(E4)と、
を含み、
各レンズは、対向する関連のピクセルに関して、前記入射光を前記関連のピクセルの前記サブピクセルのうちの少なくとも1つへと集光又は発散させることにより、前記カラー画像のうち、前記レンズを通じて生成される領域において、前記レンズとは関係なく前記関連のピクセルにより本来的に形成される前記パターンに関して、前記関連のピクセルの前記サブピクセルのそれぞれの色の寄与率を変調させるように位置付けられる方法。
【請求項14】
−第一の透明層を提供するステップと、
−前記第一の透明層の上に、第一のレーザ放射を投射して、前記第一の透明層の表面変形により前記レンズを形成するステップと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
−第一の透明層を提供するステップと、
−前記第一の透明層の上に、3Dプリンタヘッドを使って透明材料の突出部を作ることにより、前記第一の透明層の表面上にレンズを形成するステップと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記形成ステップ中に、各レンズは、前記レンズのアレイの他のレンズの位置付けに関係なく、前記対向する関連のピクセルに関して位置付けられる、請求項13〜15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記レンズのアレイの少なくとも第一のレンズは、受け取った前記入射光を前記関連のピクセルの少なくとも2つのサブピクセルへと集光させることにより、前記カラー画像のうちの対応領域において、前記少なくとも2つのサブピクセルの前記色の組合せから得られるハイブリッドカラーを出現させるように構成された集束レンズであり、
前記第一のレンズは、それが、その最小寸法において、150μmという、より小さい最大寸法を有するように形成される、
請求項13〜16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも2つのサブピクセルの各々に割り当てられるそれぞれの重みを特定するステップ(E6)を含み、前記重みは、前記ハイブリッド色を生成する前記色の前記組合せにおける各サブピクセルのそれぞれの寄与率を表し、
前記第一のレンズは、前記少なくとも2つのサブピクセルに割り当てられた前記それぞれの重みにしたがって前記関連のピクセルに関して構成される、
請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像形成の分野に関し、より詳しくは、カスタム化されたカラー画像の生成が可能な装置又は物体、例えば文書に関する。
【0002】
本発明は、身分証明カード、クレジットカード、パスポート、運転免許証、入場証等の公式文書をはじめとする身分証明文書における本人画像の形成において特に有用である。
【背景技術】
【0003】
カラー印刷を行うための様々な印刷技術が長年にわたって開発されてきた。特に上述のような身分証明文書の作成には、悪意ある人物による改ざんリスクを制限するために、安全な方法でのカラー画像の生成が必要となる。かかる文書の作成は、特に携帯者の本人画像において、許可を持たない人物による複製又は改ざんを困難にすることができるように複雑である必要がある。
【0004】
それゆえ、周知のように、例えば一部の公式文書は、高度な設備と十分な専門知識がなければ複製が難しい、印刷線の複雑な集合によるパターンを表すギロシェを含む。様々なセキュリティ要素(ホログラム、偽造防止インク等)が開発されたものの、これらは、特に今日では一部の偽造者にとって入手可能な重要な資源に関して、常に詐欺行為の防止に十分であるとはかぎらない。
【0005】
さらに、今日使用されているカラー画像形成技術では、特に安全が担保される身分証明文書において、常に満足できる視覚的レンダリング品質が得られるとはかぎらない。特に、使用される画像形成技術が幾つかの色を飽和させる能力において限定されている場合、問題が生じる。換言すれば、既知のカラー画像形成技術の色域(色の範囲を再現する能力)は限定的であることがある。
【0006】
例えば、本人画像が文書上に作成される場合、これは一般に、画像の背景となる明るい、さらには白い領域により取り囲まれた顔で構成される。顔領域又は背景において十分に飽和させた色を得て、例えば、モノクロの背景に載せられた、十分に鮮鋭でない、この同じ顔が、この顔と背景との間の、観察者にとって十分に満足できる満足なコントラストを持つ、ということが常に可能であるとはかぎらない。
【0007】
現在、例えば、特に前述のような身分証明文書において、カスタム化されたカラー画像を安全に形成する必要がある。特に、文書等でカラー画像を柔軟且つ安全にカスタム化でき、文書がある人物によって違法に取得されたとしても、その人物がカラー画像を自在にカスタム化して、しかも適正な検査中にそれが検出されないようにするのを不可能にする必要がある。
【0008】
さらに、適切なレベルの安全性及び柔軟性を提供できる今日の解決策では、特に画像領域が、ある色の中、例えば非常に明るい個人画像背景、すなわち完全に不飽和化されて明るい色の中で高い飽和レベルを持たなければならない場合、十分な色域を得ること、特にある高品質のカラー画像の形成に必要な色合いを得ることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は特に、前述のような先行技術の欠点及び短所を克服することを目指す。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、本発明はカラー画像の生成に適した文書に関し、これは、
−基板上又は基板内に印刷された、各ピクセルが少なくとも2種類の色のサブピクセルの配置を含むパターンを形成する1つのピクセル群と、
−レンズアレイであって、ピクセル群の反対に、レンズを通じて入射光をサブピクセルの少なくとも一部へと集光又は発散させることによってカラー画像を生成するように設置されたレンズアレイと、
を含み、
各レンズは、対向する関連のピクセルに関して、前記関連のピクセルのサブピクセルの少なくとも1つへと入射光を集光又は発散させることにより、カラー画像のうち、前記レンズを通じて生成される領域において、前記レンズとは関係なく関連のピクセルにより本来的に形成されるパターンに関して、関連のピクセルのサブピクセルのそれぞれの色の寄与率を変調させるように位置付けられる。
【0011】
本発明により、有利な点として、レンズのおかけで、レンズアレイとピクセル群との間の相互作用により、色合いを創出してカラー画像を形成できる。したがって、カラー画像は、レンズアレイと対向するピクセル群との組合せにより形成される。レンズを追加して入射光を慎重に方向付けなければ、ピクセル群は、この群がカラー画像を特徴付ける情報を持たないかぎり、カラーピクセルのブランクの配置にすぎなくなる。サブピクセルの選択された配置にしたがって、ピクセルの視覚的外観をカスタム化し、それゆえ、ピクセルの視覚的外観の並置により、最終的なカラー画像を生成するように構成されるのはレンズアレイである。
【0012】
特に、ピクセル群中に存在する異なる色の中から幾つかの色を選択するようにレンズ(形状、位置付け等)を構成することができる。反対に、最終的なカラー画像6の視覚的レンダリングにおいて、幾つかのサブピクセルをマスクし、又はその色寄与率を低減させることもできる。
【0013】
本発明により、特に、所望の色が高飽和状態のカラー領域又は、さらには、標的のサブピクセルが白い色である特定のケースでは不飽和化されたカラー領域を生成することができる。
【0014】
それゆえ、本発明により、高品質のモノクロ画像領域を形成しながら、詐欺行為に対して画像のセキュリティを保証する高い複雑さを確保できる。本発明により、例えば、高飽和の、又はある色、例えば白色の不飽和化された画像背景を生成できる。
【0015】
本発明の原理を実装することにより、画像が改ざんされているか、又は違法に複製されている場合に、容易に詐欺行為を検出できる。さらに、本発明により実現される画像のこのレベルの複雑さ及びセキュリティは、画像の視覚的レンダリングの品質を代償にしない。これは、特に、顔が画像背景に面しているケースのように高コントラストを必要とする領域を含むカラー画像が形成されるのを阻まない。本発明により、広い色域から高品質のカラー画像を形成できる。
【0016】
特定の実施形態によれば、前記ピクセル群の各ピクセルは、カラーサブピクセルの同じパターンを形成する。
【0017】
特定の実施形態によれば、ピクセル群は、サブピクセルが基板上又は基板内に均一に分散されるように構成される。
【0018】
特定の実施形態によれば、前記ピクセル群の各ピクセルは、各サブピクセルが前記ピクセル内の1つの色を有するように構成される。
【0019】
特定の実施形態によれば、レンズアレイは、マイクロレンズを画定する表面変形を含む層から形成され、前記層は基板又は基板と積層される層である。
【0020】
特定の実施形態によれば、ピクセル群のサブピクセルは、レンズアレイを通じて入射光を反射させるための、サブピクセルの下に位置付けられた反射面を含む。
【0021】
特定の実施形態によれば、レンズアレイ中の少なくとも1つのレンズは、受け取った入射光を集束することにより、カラー画像のうち、前記レンズを通じて生成される対応領域において、前記関連のピクセルの他の各サブピクセルのそれぞれの色寄与率に関して、関連のピクセル少なくとも1つのサブピクセルの色寄与率を増大させるように構成された集束レンズである。
【0022】
特定の実施形態によれば、レンズアレイ中の少なくとも1つのレンズは、受け取った入射光を関連のピクセルのサブピクセルのうちの1つのみに集光させて、カラー画像のうち、前記レンズを通じて生成される対応領域において、前記関連のピクセルの他の各サブピクセルの色をマスクするように構成される集束レンズである。
【0023】
特定の実施形態によれば、カラー画像のモノクロ領域において、レンズアレイの各レンズは、受け取った入射光を関連のピクセルの同じ所定の色の1つのサブピクセルに集束させて、カラー画像の前記モノクロ領域に所定の色を淡色として出現させるように構成された集束レンズである。
【0024】
特定の実施形態によれば、レンズアレイの少なくとも第一のレンズは、受け取った入射光を関連のピクセルの少なくとも2つのサブピクセルに集光させて、カラー画像の対応領域内に前記少なくとも2つのサブピクセルの色の組合せから得られるハイブリッド色を出現させるように構成された集束レンズであり、
前記第一のレンズは、その最小寸法において、150μmと、より小さい最大寸法を有する。
【0025】
特定の実施形態によれば、レンズアレイの少なくとも1つのレンズは、受け取った入射光をレンズにより発散させて、カラー画像のうち、前記レンズを通じて生成される対応領域において、前記関連のピクセルの他の各サブピクセルのそれぞれの色寄与率に関して、関連のピクセルの少なくとも1つのサブピクセルの色寄与率を低減させるように構成された発散レンズである。
【0026】
特定の実施形態によれば、文書は:
ピクセル群と反対に設置された透明なレーザ加工可能層をさらに含み、前記透明なレーザ加工可能層は、レーザ放射により少なくとも部分的に炭化されて、サブピクセルと反対の局所的に不透明化され、レンズを通じて生成されるカラー画像にグレイレベルを生じさせる領域を含む。
【0027】
特定の実施形態によれば、各サブピクセルの色の存在の確率密度はピクセル群の中で一定である。
【0028】
本発明はまた、上で定義された文書の中に画像を生成する方法にも関する。
【0029】
より詳しくは、本発明は、カラー画像を生成する方法に関し、これは:
−基板上又は基板内に、各ピクセルが少なくとも2種類の色のサブピクセルの配置を含むパターンを形成するピクセル群を印刷するステップと、
−レンズアレイであって、ピクセル群の反対に、レンズを通じて入射光をサブピクセルの少なくとも一部へと集光又は発散させることによってカラー画像を生成するように設置されるレンズアレイを形成するステップと、
を含み、各レンズは、対向する関連のピクセルに関して、前記関連のピクセルのサブピクセルの少なくとも1つへと入射光を集光又は発散させることにより、カラー画像のうち、前記レンズを通じて生成される領域において、前記レンズとは関係なく関連のピクセルにより本来的に形成されるパターンに関して、関連のピクセルのサブピクセルのそれぞれの色の寄与率を変調させるように位置付けられる。
【0030】
本発明の文書に関する上述の各種の実施形態並びに関係する利点は、本発明の生成方法に同様に適用される点に留意されたい。
【0031】
特定の実施形態によれば、方法は:
−第一の透明層を提供するステップと、
−第一の透明層の上に第一のレーザ照射を投射して、前記第一の透明層の表面変形によりレンズを形成するステップと、
を含む。
【0032】
特定の実施形態によれば、方法は:
−第一の透明層を提供するステップと、
−3Dプリンタヘッドを使って第一の透明層の上に透明材料の突出部を作り、第一の透明層の表面上にレンズを形成するステップと、
を含む。
【0033】
特定の実施形態によれば、形成ステップ中、各レンズは、前記レンズアレイの他のレンズの位置付けと関係なく、対向する関連のピクセルに関して位置付けられる。
【0034】
特定の実施形態によれば、レンズアレイの少なくとも第一のレンズは、受け取った入射光を関連のピクセルの少なくとも2つのサブピクセル上に集光させることにより、カラー画像の対応領域において、前記少なくとも2つのピクセルの色の組合せから得られるハイブリッド色を出現させるように構成され、
前記第一のレンズは、それがその最小寸法において、150μmの、より小さい最大寸法を有するように形成される。
【0035】
特定の実施形態によれば、方法は、前記少なくとも2つのサブピクセルの各々に割り当てられるそれぞれの重みを特定するステップを含み、前記重みはハイブリッド色を生成する色の組合せにおける各サブピクセルのそれぞれの寄与率を表し、
前記第一のレンズは、関連のピクセルに関して、前記少なくとも2つのサブピクセルに割り当てられる前記それぞれの重みにしたがって構成される。
【0036】
本発明のその他の特長と利点は、例示的な実施形態を限定せずに示す添付の図面に関する下記の説明から明らかとなるであろう。図中:
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の特定の実施形態による文書を概略的に表す。
【
図2】本発明の特定の実施形態による文書を概略的に表す断面図である。
【
図3A-3D】本発明の特定の実施形態によるピクセル群を概略的に表す。
【
図4】本発明の特定の実施形態による文書を概略的に表すIVに沿った断面図である。
【
図5】本発明の特定の実施形態による、
図4の文書を概略的に表す斜視図である。
【
図6-7】本発明の特定の実施形態による、
図4の文書のピクセル群を概略的に表す上面図である。
【
図8】本発明の特定の実施形態による、
図4の文書により生成される画像の視覚的外観を概略的に表す上面図である。
【
図9】本発明の特定の実施形態による文書を概略的に表すIXに沿った断面図である。
【
図10】本発明の特定の実施形態による、
図9の文書を概略的に表す斜視図である。
【
図11】本発明の特定の実施形態による、
図9の文書のピクセル群を概略的に表す上面図である。
【
図12】本発明の特定の実施形態による、
図9の文書により生成される画像の視覚的外観を概略的に表す上面図である。
【
図13】本発明の特定の実施形態による文書を概略的に表す断面図である。
【
図14】本発明の特定の実施形態による文書を概略的に表す断面図である。
【
図15】本発明の特定の実施形態による文書を概略的に表す断面図である。
【
図16】本発明の特定の実施形態によるカラー画像の生成方法のステップを図表の形態で表す。
【
図17】本発明の特定の実施形態によるカラー画像の生成方法のステップを図表の形態で表す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
前述のように、本発明は、カラー画像の形成に関し、特に、カラーピクセルからカスタム化されたカラー画像を生成できる装置又は物体、例えば文書に関する。
【0039】
本発明の意味における装置は、様々な形態をとり、様々な機能を有することができ、1つの特長は、本明細書で開示される本発明の原理によりカラー画像を生成できることである。
【0040】
本明細書の残りの部分において、本発明の例示的な実装は、本発明の原理によりカラー画像を生成できる文書のケースで説明される。この文書は、冊子又はカード型若しくはカードなど、特に身分証明分書の何れの文書とすることもでき、例えば身分証明カード、クレジットカード、パスポート、運転免許証、入場証等である。
【0041】
しかしながら、本発明は文書に限定されず、本発明の原理によりカラー画像を生成するように構成されたその他の物にも適用されると理解されたい。
【0042】
同様に、下記の例は本人画像を生成することを目標としている。しかしながら、検討される画像は何れの画像とすることもできると理解されたい。特に、画像はモノクロでもマルチカラーでもよい(又は、モノクロ又はマルチカラー領域を含む)。
【0043】
本発明は、安全性が高く、高い画像品質を有するカスタム化されたカラー画像を創出することを提案する。そのために、本発明は、各種の実施形態によりカラー画像を生成できる装置を実装し、これは、基板上又は基板内に印刷された、各ピクセルが少なくとも2種類の色のサブピクセルの配置を含むパターンを形成するピクセル群と、レンズアレイであって、ピクセル群の反対に、レンズを通じて入射光をサブピクセルの少なくとも一部へと集光又は発散させることによってカラー画像を生成するように設置されたレンズアレイと、を含む。
【0044】
各レンズは、対向するピクセル(「関連のピクセル」と呼ぶ)に関して、前記関連のピクセルのサブピクセルの少なくとも1つへと入射光を集光又は発散させることにより、カラー画像のうちレンズを通じて生成された領域において、前記レンズに関係なく(又はそれを用いずに)関連のピクセルにより本来的に形成されるパターンに関して、関連のピクセルのサブピクセルのそれぞれの色の寄与率を変調させるように位置付ける(又は構成する)ことができる。
【0045】
換言すれば、各レンズは、対向する関連のピクセルに関して、入射光を前記関連のピクセルのサブピクセルの少なくとも1つへと集光又は発散させることによって、カラー画像のうち、前記ピクセルに対応する領域において、前記関連のピクセルの他の各サブピクセルのそれぞれの寄与率に関して、関連のピクセルの少なくとも1つのサブピクセルのそれぞれの色の寄与率を変調させるように位置付ける(又は構成する)ことができる。
【0046】
それゆえ、レンズによって、色合いを生じさせて、レンズアレイとピクセル群との間の相互作用によりカラー画像を形成(又は生成)することができる。より具体的には、各レンズアレイにより色合いを生じさせて、各アレイに特定であり、ピクセルのパターンとは異なる1つのカラー画像を形成できる。本発明はまた、それに対応するカラー画像の創出(又は生成)方法にも関する。
【0047】
本発明の他の態様及び利点は、前述の図面に関して以下に説明される例示的な実施形態から明らかとなるであろう。
【0048】
特に別段の記載がないかぎり、複数の図面に共通する、又は類似する要素には同じ参照符号が付され、同じ又は同様の文字を有するため、これらの共通の要素は全体として、簡潔さを期して繰り返して説明されない。
【0049】
図1は、本発明の例示的な実施形態による装置2を概略的に表す。この例では、装置2は、装置本体(又は基板)4の中又は上に形成された本人画像6を含む文書である。この例では、文書2はカードの形態をとっているが、他の実施形態も可能である。
【0050】
カラー画像6は、この例では、例えばモノクロ、白、又は淡い青の画像背景10により取り囲まれた顔8を表す。
【0051】
図2は、特定の実施形態による、
図1に表される文書2に形成されたカラー画像6を概略的に表す断面図である。より具体的には、文書2は基板12を含み、その中又はその上にレンズアレイ(又は配置)LNが配置されている。
【0052】
ティルティング(又はピクセルのティルティング)とも呼ばれるピクセル20の群が基板12内に印刷され、各ピクセル20は少なくとも2種類の色のサブピクセル22の配置を含むパターンを形成する。その考え得る構成は複数ある、サブピクセルのパターンの例は、
図3A〜3Dに関して後で具体的に説明する。
【0053】
基板12はここでは、透明であり、入射光が少なくとも部分的にレンズLNを透過して、カラーピクセル20に到達できるようになっている。ピクセル20及び、より具体的にはそのサブピクセル22は、この例では反射面23を含み、これはサブピクセルの下に配置されて、受け取った入射光をレンズLNアレイを通じて(少なくとも部分的に)反射させる。この反射面は、例えば白い表面である。
【0054】
図2に表されるように、レンズLNのアレイはピクセル20の群の反対に設置されて、レンズLNを通じて入射光をサブピクセル22の少なくとも一部に集光又は発散させることによって、カラー画像6(
図1)を生成する。後述のように、レンズは様々な方法で構成でき、特に、場合に応じて集束型及び/又は発散型とすることができる。検討中の例では、レンズLNは集束型であり、入射光を対向する関連のピクセル20のサブピクセル22の少なくとも1つへと集束させる。
【0055】
より詳しくは、各レンズLNは、「関連の」ピクセルと呼ばれる対向するピクセル20に関して、入射光を関連のピクセル20のサブピクセル22の少なくとも1つへと集光又は発散させることにより、対応のカラー画像6のうちのある領域(すなわち、このレンズLNを通じて生成される)において、前記レンズLNに関係なく関連のピクセル20により本来的に形成されるパターンに関して、関連のピクセル20のサブピクセル22のそれぞれの色の寄与率を変調させるように位置付けられる。
【0056】
換言すれば、レンズLNは、入射光を幾つかのサブピクセル22へと集光又は発散させることによって、ピクセル20の群からカラー画像6を出現させ(それを露出させ)、その一方で幾つかのサブピクセルの色寄与率をその他の物より有利にするように構成される。
【0057】
レンズLNによりそれゆえ、色合いを作り出すことによって、レンズLNのアレイとピクセル20の群との間の光学的相互作用により、カラー画像6を形成できる。カラー画像6はしたがって、レンズLNのアレイとそれに対向するピクセル20の群との組合せにより形成される。レンズLNを追加して入射光を慎重に方向付けなければ、ピクセル20の群は、この群がカラー画像6を特徴付ける情報を持たないかぎり、カラーピクセルのブランクの配置にすぎない。サブピクセル22の選択された配置にしたがって、ピクセル20の視覚的外観をカスタム化し、ピクセルのこの視覚的外観の並置により、最終的なカラー画像6を生成するように構成されるのは、レンズLNのアレイである。
【0058】
レンズが、最終的なカラー画像6における幾つかのサブピクセル22の色寄与率を他のサブピクセルに関して変調するために入射光をどのように案内することができるかは、後でより詳しく説明する。
【0059】
特に、レンズLN(形状、位置付け等)を、ピクセル20の群の中にある各種の色の中から幾つかの色を選択するように構成することが可能である。反対に、最終的なカラー画像6の視覚的レンダリングにおいて幾つかのサブピクセル22をマスクするか、その色寄与率を低減させることも可能である。
【0060】
後述のように、幾つかのサブピクセル22の反対に不透明化素子(例えば、黒色又は暗い色)をさらに追加することにより、結果として得られるカラー画像6にグレイレベルを生じさせ、ひいては、適当なサブピクセル上へのレンズの配列によって適当なティントが選択された後に、カラー画像中にコントラストを生成することが可能である。
【0061】
ピクセル20の群の反対に設置されたレンズLNは、様々な形状、寸法、及び構成(倍率、集束型又は発散型等)を有することができる。場合に応じて、レンズLNは、例えば楕円体又は円柱面とすることができる。
【0062】
さらに、本発明の意味におけるピクセル20の群は、異なる形状、構成、寸法等とすることができる。特に、ピクセル20の群の各ピクセルは、カラーサブピクセル22と同じパターンを形成してよい。この場合、ピクセル群は1つのパターンのサブピクセルからなり、それが複数回繰り返される。このようなサブピクセルの配置は、それが本来的に(すなわち、レンズLN及び/又は不透明化素子を追加しないと)カラー画像6を形成しないという意味で「ブランク」の配置という。
【0063】
特定の例によれば、各ピクセル20は、ピクセル20の群の全体を通じて、同じ向きの同じサブピクセル22のパターンを有する。それゆえ、カラーサブピクセルをピクセルの群の中で均等に分散させることが可能であり(例えば、
図3Aに示される)、それによって、各ピクセルに同じ基準のフレーム(すなわち、同じ配置)が使用されるかぎり、レンズの形成が容易となる。
【0064】
特定の例によれば、各ピクセル20は同じサブピクセル22のパターンを有するが、このパターンの向きは、ピクセル20の群の全体を通じて、幾つかのピクセル間で相互に関して変更される。換言すれば、カラーサブピクセル22の同じパターンが前記群のピクセル20の全部の中にあるが、少なくとも2つの異なる向きにしたがっている(例えば、ピクセル20の群を通じて繰り返される同じパターンを90°及び/又は180°回転させることによる)。
図3Cはそれゆえ、カラーサブピクセル22a〜22dの同じパターンがピクセル20の群の中で2つの異なる向き(180°回転)を向いている例を示している。この変形型はそれゆえ、カラーサブピクセルのブランクの群を形成でき、それによってレンズLNを通じて何れの画像を生成するためにも必要な柔軟性が提供され、その一方で、同じパターンを様々な向きで組み込むことにより、例えば、複製が難しく、詐欺行為の場合に容易に検出可能な、各カラー画像に固有の署名又はセキュリティ素子を形成できる。
【0065】
ピクセル20の群は、サブピクセルが基板12上又はその中に均等に分散されるように構成できる。換言すれば、ピクセルの群は、サブピクセル22の規則的又は周期的な配置を形成し、それによって場合に応じてサブピクセルの同じ又は同じでないパターンを形成できる。
【0066】
ピクセル20の群は、サブピクセル22の行及び列からなるピクセルのマトリクスを形成できる。これらの行及び列は直線的で、任意選択により相互に垂直とすることができる。
【0067】
特定の例によれば、各ピクセル20は、少なくとも2種類の色のサブピクセル22の配置からなるパターンを形成し、各サブピクセルの色の存在の確率密度はピクセルの配置のピクセル20において一定である。換言すれば、n個のカラーサブピクセルのピクセル20が考慮される場合(nは整数)、各色の表面割合(1つ又は複数のサブピクセルにより形成される)は、ピクセルの群の各ピクセル20において同じである。例えば、各ピクセル20においては以下の密度が見られる:黄30%、マゼンタ20%、シアン40%、及び白10%。この特定の例では、各ピクセル20はそれゆえ、ピクセル20の配置全体を通じてカラーサブピクセル22の同じパターンを同じ向きで、又は任意選択により、ピクセル20の配置において変化する(ランダム変化によるか、又は規則的変化若しくはその他の変化による)向きで有することができる。
【0068】
特に、より複雑な例では、ピクセル20のランダム配置が可能である。特に、サブピクセル22の分散をランダムに、ただし各サブピクセル色の存在の確率密度がピクセル群のピクセル20において一定となるように構成することが可能である。この場合、ピクセル20の配置のある領域において、たとえ対応するサブピクセルが想定される理論的座標上に正確に位置付けられていなくても、レンズLNによって所望の色を選択できる必要がある。
【0069】
特定の例によれば、ピクセルの群の各ピクセル20は、サブピクセル22の各々が前記ピクセル20の中で1つの色を有するように構成される。それゆえ、ピクセル20は全てが異なる色の複数のサブピクセル22で構成できる。代替的に、ピクセル20は、各ピクセルが異なる色の少なくとも2つのサブピクセル22を含むかぎり、これらがそれらの全てのサブピクセルの中で同じ色の少なくとも2つのサブピクセル22(例えば、各原色の2つのサブピクセル)を含むように画定することが可能である。
【0070】
サブピクセル22の色は場合に応じて異なっていてもよく、また、原色を構成してよく、そこからレンズLNのアレイとの組合せにより画像6が生成される。特定の例において、各ピクセル20は原色の赤/緑/青(RGB)のサブピクセル22及び任意選択により白、又は原色の黄/マゼンタ/シアン及び任意選択で白のサブピクセル22を含む。白い領域は任意選択により、色の重複を避けるために、ピクセル22の配置の中でサブピクセル22の行と列との間に配置できる。
【0071】
ここで、
図1〜2に表される文書等の本発明の装置において実装可能なピクセル20のティルティング(配置)の特定の例について、
図3A、3B、3C、及び3Dに関して説明する。留意すべき点として、これらの実装は、非限定的な例として示されているにすぎず、特にピクセル及びサブピクセルの配置及び形状の他、これらのサブピクセルに割り当てられる色に関して、多くの変更が可能である。
【0072】
図3Aは、特定の実施形態によるピクセル20の群を表す上面図である。この例では、ティルティングは相互に垂直なピクセルの行及び列のマトリクスを形成する。各ピクセル20は正方形であり、同じく正方形の、22a〜22dで示される4つのサブピクセル22からなるパターンを形成する。この例では、考慮されているピクセル20の中で全てのサブピクセル22が1つの色を有する。ピクセル20は均一に分散され、基板12のある領域の中でサブピクセル22の同じパターンが周期的に繰り返される。
【0073】
図3Bは、各ピクセル20が、各々異なる色の、22a〜22cで示される3つのサブピクセル22からなる規則的ティルティングの別の例を表す上面図である。サブピクセル22はここでは六角形である。
【0074】
図3Cは、各ピクセル20が、各々異なる色の、22a〜22dで示される4つのサブピクセル22からなる規則的ティルティングの別の例を表す上面図である。サブピクセル22はここでは三角形である。
【0075】
図3Dは、各ピクセル20が、各々異なる色の、22a〜22dで示される4つのサブピクセル22からなる規則的ティルティングの別の例を表す上面図である。サブピクセル22はここでは長方形であり、直線状に配置され、すなわち、相互に平行に配置されて、サブピクセルの直線コラムが形成される。
【0076】
次に、
図1、2、及び3A〜3Dに関して上述した装置2の特定の実装を以下に説明する。より詳しくは、文書2の第一の特定の実装(
図1)について、
図4〜8に関して説明する。
【0077】
装置2は、この例では、基板12を含み、その中にピクセル20の群が設置され、各ピクセルは複数のサブピクセル22を含む。レンズのアレイは、ここではLN1で示され、ピクセル20の群の反対に設置されて、入射光30を幾つかのサブピクセル22へと集光させることによってカラー画像6(
図1)を生成する。
【0078】
より詳しくは、
図4及び5に示されているように、基板12はこの例では、白い下層12bの上に設置された透明の上層12aを含む。ピクセル20の群は、下層12bの上面又は上層12aの下面に、基板12の内部の層12a及び12b間の界面に存在するように印刷される。1つの変形型によれば、ピクセル20の群は基板12の上面に印刷される。
【0079】
前述のように、各ピクセル20は、少なくとも2種類の色のサブピクセル22の配置を含むパターンを形成する。サブピクセル22は、当業者が場合に応じて選択できる何れのカラー印刷技術を使っても製作できる。この例で使用されるピクセル20の群については、
図6に関して後で説明する。
【0080】
この例において、レンズLN1は、レンズを画定する表面変形を含む層14に形成される。この層14は基板12を覆い、層14と基板12は、例えば相互に積層される。層14は例えば、シリカガラス若しくはポリカーボネート、又はさらには、空気のそれとは異なる密度を有して光を屈折させ、したがってレンズ効果を生じさせる何れの透明材料でも製作できる。1つの変形型によれば、レンズLN1のアレイは基板12の中に直接形成され、するとこれはレンズを画定する表面変形を含み、したがって追加の層14は不要となる。
【0081】
図5〜6に示されているように、レンズLN1はここでは円柱形状であり、相互に平行に延びる。
【0082】
レンズLN1はこの例では、集束レンズである。レンズLN1のアレイ(又は配置)は、ピクセル20の群の反対に設置されて、入射光30をレンズを通じてサブピクセル22の少なくとも一部へと集光させることにより、カラー画像6を生成する。各レンズLN1は、対向する関連のピクセル20に関して、入射光30を関連のピクセル20のサブピクセル22の少なくとも1つへと集光させることにより、カラー画像6のうち、前記レンズLN1を通じて生成される領域において、前記レンズLN1とは関係なく関連のピクセル20により本来的に形成されるパターンに関して、関連するピクセル20のサブピクセル22のそれぞれの色の寄与率を変更(又は変調)するように位置付けられる。
【0083】
本明細書において、「ピクセルにより本来的に形成されるパターン」とは、前記ピクセルのサブピクセルの色により形成されるパターンを意味し、このパターンは、そのように考えられ、対向するレンズの位置付けから生じる変調効果は考慮されない。
【0084】
すでに説明したように、基板12及び層14は透明であり、そのため入射光が少なくとも部分的にレンズLN1を通過して、カラーピクセル20に到達できる。ピクセル20及び、より詳しくはそれらのサブピクセル22は、この例では、サブピクセルの下に配置された反射面23を含み、これは受け取った入射光30をレンズLN1のアレイを通じて(少なくとも部分的に)反射させる。層12及び14は例えば、ポリカーボネートで製作される。反射層23は、ピクセルの下に配置された白い面とすることができる。
【0085】
図4に表されているように、各レンズLN1は、入射光30を受け取ることのできる入射面(又はレンズ面)S1を含み、さらに、ピクセル20の群の表面上に有効面S2が画定され、その上にレンズLN1が入射光30を集束させる(案内する)。各レンズLN1は、それに関連するピクセル20の反対に位置付けられ、レンズLN1は、その有効面S2が関連のピクセル20のサブピクセル22の1つ又は複数の少なくとも一部の上に位置付けられるように設置される。
【0086】
レンズLN1はそれゆえ、受け取った入射光30を集光させて、カラー画像のうち、前記レンズを通じて生成された対応領域において、関連のピクセル20の他の各サブピクセル22のそれぞれの色寄与率に関して、関連のピクセル20の少なくとも1つのサブピクセル22の色寄与率を高める。サブピクセルの比色寄与率のこのような変調については、
図6、7、及び8に関して後でより詳しく説明する。
【0087】
ここで検討中の例で使用されるピクセル20の群は、
図6に示されている。ピクセル20は長方形であり、それぞれが長方形である4つのサブピクセル22a〜22dで構成される。同じピクセル20の各サブピクセル22a〜22dは、それぞれCLa〜CLdで示される1つの色を有する。サブピクセル22は均一に分散され、色CLa〜CLdは基板12内で周期的に繰り返される。この長方形の構成には、比較的単純であり、カラー印刷により実現できるという利点がある。
【0088】
1つの変形型によれば、例えば幅30μm未満の細い白い線が、異なる色のサブピクセルCLa、CLb、CLc、及びCLd間に配置される。
【0089】
1つの変形型によれば、色CLa、CLb、CLc、及びCLdの色の中の1つは白である。
【0090】
図7は、点線により、関連のピクセル20上の各レンズLN1により画定される有効面S2を表す。この例では、有効面S2の輪郭は色CLcのサブピクセル22cに対応する。変形型では、有効面S2は対応するサブピクセルより小さく、それによって、観察者がレンズの表面を正確な垂直以外の角度で見たときに(傾斜観察)、観察される色は変化しない。
【0091】
図7は、ピクセル20の反対に位置付けられたレンズLN1の位置を画定する入射面(又はレンズ面)S1の輪郭を、重ね合わせによりさらに表している。この例では、各レンズLN1は関連のピクセル20のサブピクセル22b、22c、及び22dに対応して位置付けられ、さらに関連のピクセル20のサブピクセル22aの一部(及び隣接するピクセル20のサブピクセル22aの一部)をさらに覆う。
【0092】
また、この特定の例において、各レンズLN1は、受け取った入射光30(
図4)を関連のピクセル20のサブピクセル22cへと集光させ、その結果、カラー画像6(
図1)のうち、前記レンズLN1を通じて生成された対応領域において、関連のピクセル20の他の各サブピクセル22a、22b、及び22dのそれぞれの色寄与率に関して、サブピクセル22cの色寄与率を大きく増大させる。
【0093】
図8は、観察者OB(
図4)により観察可能なカラー画像6の、領域R1及びR2における視覚的レンダリングを表す。図のように、領域R1及びR2は、レンズLN1が入射光30をサブピクセル22cに集光させるため、1つの色CLcで観察可能である。
【0094】
入射光30を幾つかの適切に選択されたサブピクセル22に選択的に集束させることにより、それゆえ、所望のカラー画像6を生成する(又は露出させる)ことができる。レンズLN1により、幾つかの色を選択し、レンズLN1のアレイとピクセル20の群との間の相互作用によって、最終的なカラー画像6を形成することができる。
【0095】
したがって、カラー画像6はレンズLN1のアレイとそれに対向するピクセル20の群との組合せにより形成される。レンズLN1を追加して入射光を慎重に方向付けなければ、ピクセル20の群は、この群がカラー画像6を特徴付ける情報を持たないかぎり、カラーピクセルのブランクの配置にすぎない。サブピクセル22の選択された配置にしたがって、ピクセル20の視覚的外観をカスタム化し、それゆえ、最終的なカラー画像6を生成するように構成されるのは、レンズLN1のアレイである。
【0096】
ここで考慮される例において、レンズLN1は各々、入射光30を関連のピクセル20の中の同じ所定の色CLcの1つのサブピクセル22cに向かって集束させ、カラー画像6の中のモノクロ領域(例えば、画像背景10)(
図1)の中で色CLcを1つの色として出現させる。
【0097】
特定の例によれば、レンズLN1の最小寸法は、350.10
-6m、すなわち350μm以下である。
図5〜7に表されているようにレンズLN1が円柱形である場合、レンズの最小寸法は、レンズの円柱部分とそれが乗っている平面との交線により形成される長方形の最小辺に対応する。
【0098】
特定の例によれば、
図4〜8に表される文書2のピクセル20の配置は、そのピクセル20のサブピクセル22の初期の色寄与率(すなわち、レンズに関係なく、このサブピクセル22の色の本来の寄与率)は25%であり、最終的なカラー画像6の対応領域(関連のレンズの入射面に対応する)におけるその寄与率は100%である。
【0099】
したがって、本発明は、有利な点として、所望の色CLcが高飽和状態の、又はさらには、標的のサブピクセルが白い色である特定のケースでは不飽和化されたカラー領域を生成できる。各レンズLN1は、カラー画像10のうち、レンズを通じて生成される対応領域(R1及びR2)の中の関連のピクセル20のその他のサブピクセル22a、22b、及び22dの色CLa、CLb、CLdをマスクする。このようにマスクされた状態は好ましくは、マップが観察者OBに関して傾けられていない場合、すなわちピクセルが延びる平面に対して垂直に観察しているときに、目に見える。観察は、レンズの集束によって、標的のサブピクセルに中心を置く、より小さい有効面を有することができる場合、正確に垂直であることに制約されなくてよい。
【0100】
それゆえ、本発明により、高品質のモノクロ画像領域を形成しながら、詐欺行為に対する画像のセキュリティを保証できる高い複雑さが確保される。本発明により、例えば、例えば白のような、ある色において高飽和状態又は不飽和化された画像背景10(
図1)を作ることができる。
【0101】
カラー画像6を検査することにより、本発明のおかげで、画像が改ざんされているか、又は違法に複製されているときに、詐欺行為を容易に検出できる。レンズの構成は、すでに印刷され、したがって画像の中で固定されるピクセル20の群にのみ適応される。さらに、本発明により実現される画像のこのレベルの複雑さ及びセキュリティは、画像の視覚的レンダリングの品質を代償にしない。これは、特に、顔が画像背景に面しているケースのように高コントラストを必要とする領域を含むカラー画像が形成されるのを阻まない。本発明により、広い色域から高品質のカラー画像を形成できる。
【0102】
代替的に、レンズLN1を、それらの各々が入射光30を関連のピクセル20の1つのサブピクセル22へと集光させるように構成することが可能であり、これらのサブピクセル22は必ずしも同じ色であるとはかぎらない。それゆえ、色の様々な関連付けが可能である。
【0103】
さらに、
図4〜8に表される例では、レンズLN1は各々、入射光を対向する関連のピクセル20の1つのサブピクセル22へと集光させる。しかしながら、レンズが入射光を1つのピクセルの少なくとも2つのサブピクセルへと集光させる他の実施形態も可能であり、これについては後述する。
【0104】
次に、
図1、2、及び3A〜3Dに関して上述した装置2の第二の特定の実装について、
図9〜13に関して説明する。
【0105】
装置2はここでは基板12を含み、その中に40で示されるピクセルの群が設置され、各ピクセルはここでは42で示される複数のサブピクセルを含む。ここではLN2で示されるレンズのアレイは、ピクセル40の群と反対に、入射光30をサブピクセル42の幾つかへと集光させることによってカラー画像6(
図1)を生成するように設置される。
【0106】
より詳しくは、基板12は、
図4〜5の実施形態と同様に、下層12bの上に設置された上層12aを含む。ピクセル40の群は、下層12bの上面に、又は上層12aの下面に、基板12の内部の層12a及び12b間の界面に存在するように印刷される。1つの変形型によれば、ピクセル40の群は、基板12の上面に印刷される。
【0107】
前の例において既に説明したように、各ピクセル40は、少なくとも2種類の色のサブピクセル42の配置を含むパターンを形成する。サブピクセル42は、当業者が場合に応じて選択できる何れのカラー印刷技術に基づいても製作できる。この例で使用されるピクセル20の群については、
図11に関して後で説明する。
【0108】
この例では、レンズLN2が、
図4〜5の実施形態と同様に、レンズを画定する表面変形を含む層14の中に形成される。この層14は基板12を覆い、層14と基板12は例えば相互に積層される。層14は、シリカガラス、ポリカーボネート、又は他の何れかの透明材料で製作できる。1つの変形型によれば、レンズLN2のアレイは基板12の中に直接形成され、するとこれはレンズを画定する表面変形を含み、したがって追加の層14は不要となる。
【0109】
図9〜10に示されるように、レンズLN2はここで、楕円体形状であり、例えば行及びそれに垂直な列で構成されるレンズLN2のマトリクスを形成する。しかしながら、レンズLN2は、どの視覚的効果を求めるかに応じて、垂直以外の配置に、又はさらには不規則的に配置することも可能である。
【0110】
LN2レンズはこの例では、集束レンズである。レンズLN2のアレイ(又は配置)は、ピクセル40の群の反対に設置されて、入射光30をレンズLN2を通じてサブピクセル42の少なくとも一部へと集光させることにより、カラー画像6を生成する。各レンズLN2は、対向する関連のピクセル40に関して、入射光30を関連のピクセル20のサブピクセル42の少なくとも1つへと集光させることにより、カラー画像6のうち、前記レンズLN2を通じて生成される領域において、前記レンズLN2に関係なく関連のピクセル40により本来的に形成される(すなわち、前記レンズの変調効果を考慮せずに)パターンに関して、関連のピクセル40のサブピクセル42のそれぞれの色の寄与率を変更(又は変調)させるように位置付けられる。
【0111】
換言すれば、各レンズLN2は、対向する関連のピクセル40に関して、入射光30を関連のピクセル40のサブピクセル42の少なくとも1つへと集光させることによって、カラー画像6のうち、前記レンズLN2を通じて生成される対応の領域において、前記関連のピクセル40の他の各サブピクセル42のそれぞれの色寄与率に関して、関連のピクセル40の少なくとも1つのサブピクセル42のそれぞれの色の寄与率を変更(又は変調)するように位置付けられる(又は構成される)。
【0112】
このように、各レンズは、
図10において例として示されている完全に規則的な構成にしたがって、ピクセル40の位置に関して固有の方法でシフトさせることができる。
【0113】
すでに説明したように、基板12と層14は透明であり、入射光30が少なくとも部分的にレンズLN2を透過してサブピクセル40に到達できるようになっている。ピクセル40及び、より詳しくはこれらのサブピクセル42は、この例では反射面23を含み、これはサブピクセル42の下に位置付けられて、受け取った入射光30をレンズLN2のアレイを通じて(少なくとも部分的に)反射させる。層12及び14は例えば、ポリカーボネートで製作される。
【0114】
図9に表されるように、また
図4に関してすでに説明したように、各レンズLN2は、入射光30を受けることのできる入射面S1を含み、さらに、ピクセル40の表面において、有効面S2を画定し、レンズLN2は入射光30をその上へと集束させる。各レンズLN2は、それに関連するピクセル40の反対に位置付けられ、レンズLN2は、その有効面S2が関連のピクセル40の2つのサブピクセル42の少なくとも一部の上に位置付けられる。
【0115】
それゆえ、レンズLN2は受け取った入射光30を集光させて、カラー画像のうち、前記レンズを通じた対応の領域において、関連のピクセル40の他の各サブピクセル42のそれぞれの色寄与率に関して、関連のピクセル40の少なくとも2つのサブピクセル42の色寄与率を増大させる。サブピクセルの比色寄与率のこの変調については、
図11及び12に関して後でより詳しく説明する。
【0116】
ここで考慮する例で使用されるピクセル40の群は
図11に示されている。ピクセル40はここでは、六角形の4つのサブピクセル42a〜42dで構成される。同じピクセル40の各サブピクセル42a〜42dは、考慮されているピクセルの中のそれぞれCLa〜CLdで示される1つの色を有する。サブピクセル42は均一に分散され、それによって色CLa〜CLdは基板12中で周期的に繰り返される。この六角形の構成は、生成可能な色の範囲における大きな柔軟性を提供する。各ピクセル40の中に異なる色の3つのみのサブピクセル42を有する他の例示的な実施形態も可能である(例えば、
図3Bに表される変形型を参照)。
【0117】
図11は、点線で、関連のピクセル40上に各レンズLN2により画定される有効面S2を表す。この例では、各レンズLN2の有効面S2は、対向する関連のピクセル40の2つのサブピクセル42にまたがる領域を画定する。他の変形型では、入射光を3つ、又はさらに多くのサブピクセルに集光させるようにレンズを構成することもできる。
【0118】
入射面S1は特に、ピクセル40の反対にあるレンズLN2の位置を画定する。これらの入射面S1は、レンズLN2の形状、位置、及びより一般的には構成に依存する。この例では、各レンズLN2は関連のピクセル40の幾つかのサブピクセル42の一部に対応するように位置付けられ、必要に応じて、1つ又は複数の隣接するピクセル40の一部を覆うこともできる。
【0119】
より詳しくは、ここでは、それぞれの入射面S11及びS12並びに有効面S21及びS22を画定する2つのレンズLN2の場合を考える。
【0120】
また、この特定の例では、各レンズLN2は受け取った入射光30(
図9)を関連のピクセル40の2つのサブピクセル42へと集光させ、その結果、カラー画像6(
図1)のうち、前記レンズLN2を通じて生成された、入射面S11、S12に対応する対応の領域において、関連のピクセル20の他の各サブピクセル42のそれぞれの色寄与率に関して、これらのサブピクセルの色寄与率を大きく増大させる。
【0121】
それゆえ、
図11に表される例において、有効面S21により画定される領域は、それぞれのサブピクセル42c及び42dの色CLc及びCLdが考慮されているピクセル40の他のサブピクセル42の色に関して強化される、というものである。同様に、有効面S22により画定される領域は、それぞれのサブピクセル42a及び42bの色CLa及びCLbが、考慮されているピクセル40の他のサブピクセル42の色に関して強化されている、というものである。レンズLN2の構成を適応させることによって、有効面の形状と寸法を制御して、画像6の各領域における好ましい色及び、各サブピクセル42の比色寄与率を変調させる割合を選択することが可能である。
【0122】
図12は、観察者OB(
図9)により観察可能なカラー画像6の領域R1及びR2における視覚的レンダリングを表す。図のように、2つのレンズLN2の入射面S11及びS12にそれぞれ対応する領域R1及びR2は、入射光30が集光されるサブピクセルから引き出される色の混合により得られるハイブリッド色CL1及びCL2で観察可能である。
【0123】
それゆえ、領域R1は、サブピクセル42c及び42dの色CLc及びCLdの重み付けされた寄与の加算から得られるハイブリッド色CL1を呈する。同様に、領域R2は、サブピクセル42a及び42bの色CLa及びCLbの重み付けされた寄与の加算から得られるハイブリッド色CL2を呈する。
【0124】
好ましくは、入射光30を適切に選択された幾つかのサブピクセル22へと集束させることによって、所望のカラー画像6をこのように生成する(又は露出させる)ことができる。レンズLN2により、レンズの反対に配置されたサブピクセルの色から複雑な色を生成できる。使用されるティルティングに応じて、例えば2、3、又は4つの異なるサブピクセルからハイブリッド色を生成することが可能である。したがって、すでに説明したように、カラー画像6はレンズLN2のアレイとそれに対向するピクセル40の群との組合せにより形成される。レンズLN2を追加して入射光を慎重に方向付けなければ、ピクセル40の群は、この群がカラー画像6を特徴付ける情報を持たないかぎり、カラーピクセルのブランクの配置にすぎない。選択されたサブピクセル42の配置に応じて、ピクセル40の視覚的外観をカスタム化して、それゆえ、最終的なカラー画像6を生成するように構成されるのは、レンズLN2のアレイである。
【0125】
レンズが入射光を少なくとも2つのサブピクセルへと集束させるときに、異なる種類の視覚的レンダリングが得られることに留意されたい。上で検討した例では、カラー画像6の領域R1及びR2(
図12)は、それが観察者OBから見えるときにモノクロであると仮定される。換言すれば、これらの領域R1及びR2は、単一の均一に分散される色、すなわちこの例ではそれぞれのハイブリッド色CL1及びCL2を有する領域として見える。そのために、レンズLN2の寸法は、画像と観察者との間の距離に関して十分に小さく、人間の眼の元来の分解能がハイブリッド色CL1及びCL2をそれぞれ構成する異なる原色を区別できないようにする必要がある。異なる色の組合せが人間の眼の分解能を超えて起こると、成分である色の加算から得られるハイブリッド色だけが観察者により認識される。
【0126】
図13は、点Iから、画像のうちレンズLN2に投射された部分を見ている観察者OBを表す。特定の実施形態によれば、レンズLN2の最小寸法Dは:
D<tan(α
lim/
2)・2L
であり、式中、αlimは、それを超えると人間の眼が2つの異なる色を区別できなくなる観察角度上限に対応し、Lは観察点Iと画像との間の距離である。Dの最小寸法は、考慮されているレンズLN2が延びる平面内にある点に留意されたい。
【0127】
人間の眼が、有効面S1により画定される画像領域(
図11)内のサブピクセル40の異なる色を別々の区別できないようにするには、観察角度αを:
α<αlim
とする必要がある。
【0128】
ここでは、αlim=1’(分)=3.10
-4radと考えられる。
【0129】
特定の例によれば、観察距離L=0.5m(メートル)と仮定すると、レンズLN2の最小寸法Dは150.10
-6m、すなわち150μm未満である必要がある。レンズLN2が楕円体形状である場合、最小寸法Dはレンズの球体部分とそれが乗っている平面との交線により形成される円の直径に対応する。
【0130】
前述の例示的な実施形態では使用されるレンズは集束型であるが、他の実施形態も可能である点に留意されたい。それゆえ、発散レンズを使って本発明の原理をこのように応用できる。例えば、
図2に表される文書2の中で、レンズLNのアレイは、受け取った入射光をレンズにより発散させることにより、カラー画像6のうち、前記レンズを通じて生成された対応領域において、前記関連のピクセル20の他の各サブピクセル22のそれぞれの色寄与率に関して、関連のピクセル20の少なくとも1つのサブピクセル22による色寄与率を低減させるように構成された少なくとも1つの発散レンズを含んでいてよい。
【0131】
図13は、
図2に表される実施形態の1つの変形型による文書2の断面図を表す。文書2は、
図2の実装とは、ここでLN3で示されるレンズが発散型であり、これらが入射光をそれに対応して配置されるサブピクセル22へと発散させる点が異なる。それゆえ、発散レンズLN3を幾つかのサブピクセル22に対応して位置付け、カラー画像6のうち、これらのレンズを通じて生成される領域におけるこれらのサブピクセルの色寄与率を低減させることが可能である。
図11に関して、S21及びS22が発散レンズLN3の入射面を画定し、S11及びS12がこれらのレンズの有効面を画定する例示的な実施形態を考慮することができる。
【0132】
この変形型によれば、本発明の原理により、最終的なカラー画像6のレンダリングにおいて、幾つかのサブピクセルの色寄与率をその他のサブピクセルに関して変化(変調)させることもできる。
【0133】
さらに、前述のように、幾つかのサブピクセルの反対に不透明化(黒又は暗い色)素子を追加して、カラー画像6のグレイスケールを生じさせることによって、カラー画像6(
図1)にコントラストを付与することが可能であり、これについては後述する。
【0134】
図15は特定の実施形態を表し、これは、
図2の実施形態とは、文書2が幾つかのサブピクセル22の反対に配置され、最終的なカラー画像6にグレイレベルを生じさせる、例えば暗い色又は灰色又は黒であってよい不透明な(若しくは不透明化する)又は反射しない領域(又は体積)60をさらに含む点で異なる。そのために、基板12は例えば、透明なレーザ加工可能層65(例えば、
図4及び9に表される層12aに対応する)を含む。ここでは、「レーザ加工可能」層とは、レーザ放射に対して感受性を有する層を意味する。
【0135】
透明なレーザ加工可能層65は、ピクセル20の群の反対に設置され、この透明なレーザ加工可能層はレーザ放射LR1によって少なくとも部分的に炭化され、それによってサブピクセル20の反対で局所的に不透明化されて、レンズLNを通じて生成されるカラー画像6の中にグレイレベル(すなわち、コントラスト)を生じさる領域60を含む。
【0136】
不透明領域60は、サブピクセル22の幾つか(サブピクセル22の一部)を部分的又は完全にマスクし、それによってカラー画像6のグレイレベルを形成する。これらの不透明領域はまた、レンズも部分的又は完全にマスクすることができ、それゆえ、レンズとサブピクセルの整列により作られる合成色の光度を変調、すなわち変化させることが可能となる。
【0137】
レーザ加工可能層の局所的不透明化のこの技術をカラーサブピクセルの反対に設置されたレンズの使用に基づく本発明の原理と組み合わせることによって、高品質のカスタム化されたカラー画像を取得し、その一方で、画像の特に高度な複雑さにより詐欺行為に対する高いセキュリティレベルを保証することができる。
【0138】
図15に表される例において、不透明領域60は対応するサブピクセル22の全体を覆うように形成されているが、例えば、これらの不透明領域60の少なくとも幾つかがそれに対応するサブピクセル22の一部のみを覆う、他の実施形態も可能である。それゆえ、画像6(
図1)内のグレイレベルをきわめて精密に適応させることが可能である。
【0139】
特定の例によれば、1つ又は複数の不透明領域60は、ピクセル20の配置のうち、対向する関連のレンズLNを通じて見えるそれぞれの領域を部分的に(又はさらには全体に)マスクするように構成される。不透明領域60の群は、刻印文字(例えば、氏名その他の文字又は記号)又は画像等の一般的なパターンを形成できる。この一般的パターンはすると、レンズLNを通じて見える。
【0140】
本発明はまた、本発明の原理によるカラー画像の生成(又は形成)方法にも関する。この生成方法は、本明細書に記載の実施形態の何れの1つによる装置(又は文書)を作成するためにも構成できる。
【0141】
ここで、
図2に表される文書2の生成(又は形成)方法を、
図16に関して説明する。
【0142】
方法は、以下のステップを含む:
−基板12の上又は中に、各ピクセル20が少なくとも2種類の色のサブピクセル22の配置を含むパターンを形成するピクセル20の群を印刷するステップ(ステップE2)、及び
−ピクセル20の群の反対にレンズLNのアレイを形成して、入射光をレンズを通じてサブピクセル22の少なくとも一部へと集光又は発散させることによってカラー画像6(
図1)を生成するステップ(ステップE4)。
図2に表される例では、レンズLNは集束型であり、これらは入射光をサブピクセル22へと集光させる。
【0143】
形成するステップE4は、各レンズLNが、対向する関連のピクセル20に関して、入射光を前記関連のピクセル20のサブピクセル22のうちの少なくとも1つへと集光(又は、代替的に発散)させることにより、カラー画像6のうち、前記レンズを通じて生成される領域において、前記レンズ20とは関係なく関連のピクセル20により本来的に形成されるパターンに関して、関連のピクセルのサブピクセルのそれぞれの色の寄与率を変調させるように位置付けられる、というものである。
【0144】
特定の例において、レンズLNを形成するステップE4は:
−第一の透明層を提供するステップと、
−この第一の透明層の上に、レーザ放射(
図15に表されるレーザLR1とは異なる)を投射して、前記第一の透明層の表面変形によりレンズLNを形成するステップと、
を含む。
【0145】
1つの変形型によれば、透明材料の突出部が3Dプリンタヘッドを使って第一の透明層の上に作られて、第一の透明層の表面上にレンズが形成される。
【0146】
この第一の透明層は、例えば
図4及び9に表される層14に、又はレンズLNが基板内に直接形成される場合は基板12そのものに対応できる。
【0147】
例えば、CO
2タイプのレーザ放射を例えば使用して、レンズLNのアレイを形成するのに必要な表面変形を作ることができる。
【0148】
特定の例によれば、形成ステップE4の中で、各レンズLN(
図2)は、レンズアレイの他のレンズLNの位置付けとは関係なく、関連のピクセル20に関して位置付けられる。この位置付けは例えば、各レンズについて、関連のピクセル20に関する適応された位置を識別できるカメラを使って行われる。
【0149】
方法は、不透明領域60を形成して、最終的な画像の中にグレイレベルを作るステップE5をさらに含んでいてよく、これは、
図15に関してすでに説明したとおりである。
【0150】
図17に表されているように、方法は、形成ステップE4の前に、レンズLNの少なくとも1つが、ハイブリッド色を作るために、例えば
図11及び12に表されているように少なくとも2つのサブピクセルへと入射光を集光させるように構成しなければならないか否かを特定するステップE6をさらに含んでいてよい。
【0151】
例えばコンピュータ等の計算ユニットにより実行されるこの計算ステップE6中に、取得したいハイブリッド色を構成する各色のそれぞれの重み(又は、それぞれの割合若しくはそれぞれの重み係数)が特定され、これらの重みから、関連のピクセルのサブピクセルに関する対応するレンズLNの位置(及び特に、その有効面の位置)が特定される。
【0152】
このように、特定の様式では、レンズのアレイの、第一のレンズと呼ばれる少なくとも1つのレンズLNは、受け取った入射光を関連のピクセル40の少なくとも2つのサブピクセル42(
図9〜12)へと集光させることにより、カラー画像6の対応する領域R1、R2の中で、前記少なくとも2つのサブピクセルの色の組合せから得られるハイブリッド色CL1、CL2を出現させるように構成された集束レンズであり、前記第一のレンズLNは、それがその最小寸法において、150μmという、より小さい最大寸法を有するように構成される。生成ステップはすると、前記少なくとも2つのサブピクセル42の各々に割り当てられたそれぞれの重みの特定(E6)を含み、これらの重みはハイブリッド色を生成する色の組合せの中の各サブピクセル42のそれぞれの寄与率を表し、第一のレンズは、前記少なくとも2つのサブピクセル42に割り当てられた前記それぞれの重みにしたがって、関連のピクセル40に関して位置付けられる。
【0153】
前述のように、方法(
図17)は、最終画像にグレイレベルを生じさせるために不透明領域60を形成するステップE5をさらに含むことができ、これは
図15に関してすでに説明したとおりである。
【0154】
上で考察した各種の例示的な実施形態において示されているように、本発明の枠組み内で多くの変更や適応が可能である。特に、当業者であれば、レンズの多くの構成を想像できる。同様に、場合に応じたピクセルの多くの配置も可能である。
【0155】
図16及び17でステップが実行される順序は、場合に応じて適応させることができる。
【0156】
特定の実施形態によれば、本発明の文書の各レンズは1つの画素に関連付けられる。画像6(
図1)は、そのようにしてレンズ/関連のピクセルのn個のペアにより形成され、nは1以上の整数である。
【0157】
当業者であれば、上述の実施形態及び変形型は、本発明の実装の非限定的な例を構成するにすぎないと理解するであろう。特に、当業者であれば、非常に特定的なニーズを満たすために、前述の特長及び実施形態の中から何れの適応又は組合せも想像できるであろう。
【0158】
それゆえ、例えば、
図4及び9の実施形態において発散レンズを、又は
図4の実施形態において楕円体レンズを、又は
図9の実施形態において円柱レンズを使用することも可能である。本明細書に記載の実施形態の各々において、ピクセルの異なるティルティングが可能である。各実施形態について記載されている様々な変形型は、他の実施形態にも応用できる。
【国際調査報告】