特表2021-518351(P2021-518351A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-518351抗菌剤として有用なピリジノンおよびピリミジノンホスフェートおよびピリミジノンボロネート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-518351(P2021-518351A)
(43)【公表日】2021年8月2日
(54)【発明の名称】抗菌剤として有用なピリジノンおよびピリミジノンホスフェートおよびピリミジノンボロネート
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/6558 20060101AFI20210705BHJP
   A61K 31/6615 20060101ALI20210705BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20210705BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20210705BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20210705BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20210705BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20210705BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20210705BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20210705BHJP
   C07F 9/576 20060101ALI20210705BHJP
   C07F 5/02 20060101ALI20210705BHJP
【FI】
   C07F9/6558CSP
   A61K31/6615
   A61P1/00
   A61P9/00
   A61P11/00
   A61P13/02 105
   A61P17/00 101
   A61P25/00
   A61P31/04
   C07F9/576
   C07F5/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】72
(21)【出願番号】特願2020-549577(P2020-549577)
(86)(22)【出願日】2019年3月14日
(85)【翻訳文提出日】2020年9月15日
(86)【国際出願番号】US2019022170
(87)【国際公開番号】WO2019178305
(87)【国際公開日】20190919
(31)【優先権主張番号】62/643,286
(32)【優先日】2018年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,マシュー・フランク
(72)【発明者】
【氏名】チェ,イェ
(72)【発明者】
【氏名】マーファット,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】メルニック,マイケル・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】モンゴメリー,ジャスティン・イアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ティモシー・アラン
(72)【発明者】
【氏名】イーウィン,リチャード・アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ウッチェロ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ライリー,ウサ
(72)【発明者】
【氏名】ブレイシュ,タミム・フェーメ
【テーマコード(参考)】
4C086
4H048
4H050
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086DA35
4C086GA13
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA36
4C086ZA51
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA82
4C086ZA89
4C086ZB35
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB29
4H048VA77
4H048VB10
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB29
(57)【要約】
本発明は、新しいピリジノンまたはピリミジノンヒドロキサム酸の式(1)のホスフェートおよび式(2)のボロネート、その立体異性体(式中、Qは、−P(0)(OH)、−P(0)(OH)(0’’M)、−P(0)(0’’M、および−P(0)(0’’)2+からなる群から選択され、Mは、出現ごとに薬学的に許容される一価カチオンであり、M2+は、薬学的に許容される二価カチオンであり、Xは、CHまたはNであり、Zは、本明細書で定義されるとおりである)、ならびにLpxC阻害剤としてのそれらの使用、そしてより具体的には、細菌感染を治療するためのそれらの使用を対象とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】
の化合物、およびその立体異性体であって、
式中、Qは、P(O)(OH)、−P(O)(OH)(O)、−P(O)(O、および−P(O)(O2+からなる群から選択され、
Xが、CHまたはNであり、
Zが、
【化2】
からなる群から選択され、
は、出現ごとに薬学的に許容される一価カチオンであり、
2+は、薬学的に許容される二価カチオンである、式(1)の化合物。
【請求項2】
式(1a)
【化3】
の化合物である、請求項1に記載の式(1)の化合物。
【請求項3】
Xが、CHであり、Zが、
【化4】
である、請求項2に記載の式(1a)の化合物。
【請求項4】
Qが、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)(O)、−P(O)(O、または−P(O)(O2+であり、Mが、出現ごとにLi、K、およびNaからなる群から独立して選択されるか、またはM+が、出現ごとにNH、NHC(CHOH)、NH(CHCH、NH(CHCH、ピロリジニウム、およびグリシニウムから独立して選択される薬学的に許容される一価カチオンであり、M2+が、Ca2+、Mg2+、およびZn2+からなる群から選択される、請求項2または3に記載の式(1a)の化合物。
【請求項5】
式(2)または式(2a)
【化5】
の化合物であって、
式中、Xは、CHであり、
Zは、
【化6】
からなる群から選択され、かつMが、薬学的に許容される一価カチオンである、式(2)または式(2a)の化合物。
【請求項6】
Xが、CHであり、Zが、
【化7】
である、請求項5に記載の式(2a)の化合物。
【請求項7】
が、Li、K、およびNa、NH、NHC(CHOH)、NH(CHCH、NH(CHCH、ピロリジニウム、およびグリシニウムからなる群から選択される、請求項6に記載の式(2a)の化合物。
【請求項8】
少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体との混合剤になっている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項9】
細菌感染の治療を必要としている患者において細菌感染を治療するための方法であって、治療有効量の請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物を患者に投与することを含む、方法。
【請求項10】
前記細菌感染が、グラム陰性細菌感染である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記グラム陰性細菌感染が、Mannheimia haemolytica、Pasteurella multocida、Histophilus somni、Actinobacillus pleuropneumoniae、Salmonella enteritidis、Salmonella gallinarium、Lawsonia intracellularis、Brachyspira hyodysenteriae、Brachyspira pilosicoli、Acinetobacter baumannii、Acinetobacter属、Citrobacter属、Enterobacter aerogenes、Enterobacter cloacae、Escherichia coli、Klebsiella oxytoca、Klebsiella pneumoniae、Serratia marcescens、Stenotrophomonas maltophilia、およびPseudomonas aeruginosaからなる群から選択されるグラム陰性細菌によって引き起こされる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記グラム陰性細菌感染が、呼吸器感染、胃腸感染、院内肺炎、尿路感染、菌血症、敗血症、皮膚感染、軟組織感染、腹腔内感染、肺感染、心内膜炎、糖尿病性足感染、骨髄炎、および中枢神経系感染からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記治療有効量の前記化合物が、経口、局所、または注射によって投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
Mannheimia haemolytica、Pasteurella multocida、Histophilus somni、Actinobacillus pleuropneumoniae、Salmonella enteritidis、Salmonella gallinarium、Lawsonia intracellularis、Brachyspira hyodysenteriae、Brachyspira pilosicoli、Acinetobacter baumannii、Acinetobacter属、Citrobacter属、Enterobacter aerogenes、Enterobacter cloacae、Escherichia coli、Klebsiella oxytoca、Klebsiella pneumoniae、Serratia marcescens、Stenotrophomonas maltophilia、およびPseudomonas aeruginosaからなる群から選択されるグラム陰性細菌によって引き起こされる細菌感染の治療のための請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物の使用であって、前記グラム陰性細菌感染が、呼吸器感染、胃腸感染、院内肺炎、尿路感染、菌血症、敗血症、皮膚感染、軟組織感染、腹腔内感染、肺感染、心内膜炎、糖尿病性足感染、骨髄炎、および中枢神経系感染からなる群から選択される、使用。
【請求項15】
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二ナトリウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二アンモニウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二カリウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二リチウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、カルシウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、マグネシウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、亜鉛塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、ピロリジン塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、トリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、ジエチルアミン塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、グリシン塩、およびそれらの薬学的に許容される他の塩、ならびに(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドのボロネートプロドラッグ、およびその薬学的に許容される塩からなる群から選択される化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のピリジノンおよびピリミジノンヒドロキサム酸ホスフェートおよびボロネートに関する。本発明はまた、細菌感染(特にグラム陰性菌感染)の治療におけるそのような化合物の使用方法、およびそのような化合物を含有する医薬組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
Pseudomonas aeruginosa、基質特異性拡張型β−ラクタマーゼ産生(ESBL)Enterobacteriaceae、およびAcinetobacter baumanniiなどのグラム陰性細菌による感染は、特に院内感染の場合、大きな健康問題である。さらに、現在の抗生物質療法に対する耐性レベルが高まっており、治療の選択肢を厳しく制限している。例えば、2002年には、集中治療室からのPseudomonas aeruginosa感染の33%がフルオロキノロンに耐性があり、一方でイミペネムに対する耐性は22%であった(CID 42:657−68,2006)。さらに、多剤耐性(MDR)感染も増加しており、Pseudomonas aeruginosaの場合、MDRは、1992年の4%から2002年の14%に増加している(Biochem Pharm 71:991:2006)。
【0003】
グラム陰性細菌は、それらの外膜がリポ多糖(LPS)を含有する点で特有であり、これは膜の完全性を維持するために重要であり、また細菌の生存に不可欠である(Ann.Rev.Biochem 76:295−329(2007)においてレビューされている)。LPSの主な脂質構成成分は、リピドAであり、リピドAの生合成の阻害は、細菌にとって致死的である。リピドAは、9つの異なる酵素からなる経路を介して、細菌内膜の細胞質面上で合成される。これらの酵素は、ほとんどのグラム陰性細菌において高度に保存されている。LpxC[UDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミンデアセチラーゼ]は、リピドA生合成経路における最初の関与段階である、UDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミンのN−アセチル基の除去を触媒する酵素である。LpxCは、哺乳動物相同体を有しないZn2+依存性酵素であり、新規抗生物質の開発の良好な標的となる。低nM親和性を有するいくつかのLpxC阻害剤が報告されている(Biochemistry 45:7940−48,2006)。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、ある特定の新規のピリジノンおよびピリミジノンヒドロキサム酸ホスフェートおよびボロネート、それらの化合物を含む医薬組成物、ならびにLpxCを阻害し、かつそれらの化合物を用いて細菌感染を治療する方法を対象とする。
【0005】
本発明の一実施形態では、式(1)
【化1】
の新しいピリジノンまたはピリミジノンヒドロキサム酸ホスフェートLpxC阻害剤化合物、その立体異性体であり、式中、Qは、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)(O)、−P(O)(O、および−P(O)(O2+からなる群から選択され、
Xは、CHまたはNであり、
Zは、
【化2】
からなる群から選択され、
は、出現ごとに薬学的に許容される一価カチオンであり、かつ
2+は、薬学的に許容される二価カチオンである。
【0006】
本発明の別の実施形態では、式(1a)
【化3】
の化合物であり、式中、Qは、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)(O)、−P(O)(O、および−P(O)(O2+からなる群から選択され、
Xは、CHまたはNであり、
Zは、
【化4】
からなる群から選択され、
は、出現ごとに薬学的に許容される一価カチオンであり、かつ
2+は、薬学的に許容される二価カチオンである。
【0007】
本発明の別の実施形態では、式(1a)の化合物であり、式中、Xは、CHであり、Zは、
【化5】
であり、Qは、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)(O)、−P(O)(O、および−P(O)(O2+からなる群から選択され、Mは、出現ごとに薬学的に許容される一価カチオンであり、M2+は、薬学的に許容される二価カチオンである。
【0008】
本発明のさらに別の実施形態では、式(1a)の化合物であり、式中、Xは、CHであり、Zは、
【化6】
であり、Qは、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)(O)、−P(O)(O、または−P(O)(O2+であり、Mは、出現ごとにLi、K、Na、NH、NHC(CHOH)、NH(CHCH、NH(CHCH、ピロリジニウム、およびグリシニウムからなる群から独立して選択され、かつ式中、M2+は、Ca2+、Mg2+、およびZn2+からなる群から選択される。別の実施形態では、Mは、出現ごとにLi、K、およびNaからなる群から独立して選択されるか、またはMは、出現ごとにNH、NHC(CHOH)、NH(CHCH、NH(CHCH、ピロリジニウム、およびグリシニウムから独立して選択される薬学的に許容される一価カチオンであり、式中、M2+は、Ca2+、Mg2+、およびZn2+からなる群から選択される。
【0009】
本発明のさらに別の実施形態では、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二ナトリウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二アンモニウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二カリウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二リチウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、カルシウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、マグネシウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、亜鉛塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、ピロリジン塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、トリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、ジエチルアミン塩、および
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、グリシン塩、ならびにそれらの薬学的に許容される他の塩からなる群から選択される式(1a)の化合物である。
【0010】
本発明の別の実施形態では、式(1a)の化合物であり、式中、Xは、Nであり、Zは、
【化7】
であり、Qは、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)(O)、−P(O)(O、および−P(O)(O2+からなる群から選択され、Mは、出現ごとに薬学的に許容される一価カチオンであり、かつM2+は、薬学的に許容される二価カチオンである。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態では、式(1a)の化合物であり、式中、Xは、Nであり、Zは、
【化8】
であり、Qは、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)(O)、−P(O)(O、または−P(O)(O2+であり、Mは、出現ごとにLi、K、およびNaからなる群から独立して選択されるか、またはMは、出現ごとにNH、NHC(CHOH)、NH(CHCH、NH(CHCH、ピロリジニウム、およびグリシニウムから独立して選択される薬学的に許容される一価カチオンであり、かつM2+は、Ca2+、Mg2+、およびZn2+からなる群から選択される。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態では、それぞれ式(2)および式(2a)
【化9】
の化合物である式(1)および式(1a)のボロネートプロドラッグであり、式中、Xは、CHまたはNであり、Zは、
【化10】
からなる群から選択され、Mは、薬学的に許容される一価カチオンである。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態では、式(2a)の化合物であり、Xは、CHであり、Zは、
【化11】
であり、Mは、Li、K、およびNaからなる群から選択される薬学的に許容される一価カチオンであるか、またはMは、NH、NHC(CHOH)、NH(CHCH、NH(CHCH、ピロリジニウム、およびグリシニウムから独立して選択される薬学的に許容される一価カチオンである。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態では、式(2a)の化合物であり、Xは、Nであり、Zは、
【化12】
であり、Mは、Li、K、およびNaからなる群から選択される薬学的に許容される一価カチオンであるか、またはMは、NH、NHC(CHOH)、NH(CHCH、NH(CHCH、ピロリジニウム、およびグリシニウムから独立して選択される薬学的に許容される一価カチオンである。
【0015】
本発明のさらに別の実施形態では、(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドのボロネートプロドラッグである式(2a)の化合物、およびその薬学的に許容される塩である。本発明のさらに別の実施形態では、ナトリウム(R)−5−(4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−(メチルスルホニル)ブタン−2−イル)−2,2−ジヒドロキシ−1,3,4,2−ジオキサザボロール−2−ウイド、およびその薬学的に許容される他の塩である式(2a)の化合物である。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態では、
(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二ナトリウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二アンモニウム塩、
(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二ナトリウム塩、
(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミドホスフェート、二ナトリウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二ナトリウム塩、
(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二アンモニウム塩、
(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二アンモニウム塩、
(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミドホスフェート、アンモニウム塩、
(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二カリウム塩、
(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二カリウム塩、
(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミドホスフェート、二カリウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二カリウム塩、
(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二リチウム塩、
(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二リチウム塩、
(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミドホスフェート、二リチウム塩、および
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二リチウム塩、ならびにそれらの薬学的に許容される他の塩からなる群から選択される式(1a)の化合物がある。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態では、
ナトリウム(R)−5−(4−(4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−(メチルスルホニル)ブタン−2−イル)−2,2−ジヒドロキシ−1,3,4,2−ジオキサザボロール−2−ウイド、
ナトリウム(R)−2,2−ジヒドロキシ−5−(4−(4−(4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−(メチルスルホニル)ブタン−2−イル)−1,3,4,2−ジオキサザボロール−2−ウイド、
ナトリウム(R)−2,2−ジヒドロキシ−5−(2−(メチルスルホニル)−4−(2−オキソ−4−(4−(チアゾール−2−イル)フェニル)ピリジン−1(2H)−イル)ブタン−2−イル)−1,3,4,2−ジオキサザボロール−2−ウイド、および
ナトリウム(R)−5−(4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−2−(メチルスルホニル)ブタン−2−イル)−2,2−ジヒドロキシ−1,3,4,2−ジオキサザボロール−2−ウイド、ならびにそれらの薬学的に許容される他の塩からなる群から選択される式(2a)の化合物である。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態では、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体との混合剤になっている、式(1)、式(1a)、式(2)、または式(2a)の化合物を含む、医薬組成物がある。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態では、経口、局所、または注射可能な投与によって患者に投与するための、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体との混合剤になっている式(1)、式(1a)、式(2)、もしくは式(2a)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物である。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態では、患者における細菌感染を治療するための方法であり、方法は、治療有効量の式(1)、式(1a)、式(2)、もしくは式(2a)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、それを必要としている患者に投与することを含む。本発明のさらに別の実施形態では、患者における細菌感染を治療するための方法であり、方法は、治療有効量の式(1)、式(1a)、式(2)、もしくは式(2a)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、経口、局所、または注射可能な投与によって、それを必要としている患者に投与することを含む。
【0021】
本発明のさらに別の実施形態では、患者における細菌感染を治療するための薬剤を調製するための式(1)、式(1a)、式(2)、もしくは式(2a)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用である。
【0022】
さらに別の実施形態では、細菌感染は、グラム陰性細菌感染である。さらに別の実施形態では、グラム陰性細菌感染は、Mannheimia haemolytica、Pasteurella multocida、Histophilus somni、Actinobacillus pleuropneumoniae、Salmonella enteritidis、Salmonella gallinarium、Lawsonia intracellularis、Brachyspira hyodysenteriae、Brachyspira pilosicoli、Acinetobacter baumannii、Acinetobacter属、Citrobacter属、Enterobacter aerogenes、Enterobacter cloacae、Escherichia coli、Klebsiella oxytoca、Klebsiella pneumoniae、Serratia marcescens、Stenotrophomonas maltophilia、およびPseudomonas aeruginosaからなる群から選択されるグラム陰性細菌によって引き起こされる。さらに別の実施形態では、グラム陰性細菌感染は、呼吸器感染、胃腸感染、院内肺炎、尿路感染、菌血症、敗血症、皮膚感染、軟組織感染、腹腔内感染、肺感染、心内膜炎、糖尿病性足感染、骨髄炎、および中枢神経系感染からなる群から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
定義
特許請求の範囲を含む本出願全体を通して使用される場合、以下の用語は、特に明記されない限り、以下に定義される意味を有する。複数形および単数形は、数字の表示以外は互換的なものとして扱われるべきである。
【0024】
「アルキル」は、直鎖または分枝鎖ヒドロカルビル置換基(すなわち、水素の除去によって炭化水素から得られる置換基)を指し、一実施形態では、1(C)〜12(C12)個の炭素原子、すなわち、C〜C12を含有する。そのような置換基の非限定的な例としては、メチル、エチル(C)、プロピル(n−プロピルおよびイソプロピルを含む)、ブチル(n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチルを含む)、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどが挙げられる。
【0025】
「シクロアルキル」は、例えば3〜6個の炭素原子を有する、飽和炭素環式分子から水素を除去することによって得られる炭素環式置換基を指す。「C3〜6シクロアルキル」という用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシル基を含む3〜6員環のラジカルを意味する。
【0026】
場合によっては、ヒドロカルビル置換基(すなわち、アルキル、シクロアルキルなど)中の炭素原子の数は、接頭辞「C〜C−」または「Cx〜y」によって示され、式中、xは、置換基中の炭素原子の最小数であり、yは最大数である。したがって、例えば、「C〜C12−アルキル」または「C1〜12アルキル」は、1〜12個の炭素原子を含有するアルキル置換基を指し、「C〜C−アルキル」または「C1〜6アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル置換基を指す。さらに例示すると、C〜CシクロアルキルまたはC3〜6シクロアルキルは、3〜6個の炭素環原子を含有する飽和シクロアルキル基を指す。
【0027】
「本発明の化合物」とは、式(1)、式(1a)、式(2)、および式(2a)の化合物、それらの立体異性体、およびそれらの薬学的に許容される塩を意味する。
【0028】
本明細書においてM2+によって定義される「二価カチオン」は、2の価数を有するカチオンであり、金属カチオン:Mg2+、Ca2+、およびZn2+を含む。
【0029】
「幾何異性体」とは、二重結合または環などの構造的に剛性な結合の周囲の原子または原子団の配列が異なり、かつ結合または環のシス(同じ側)およびトランス(反対側)として定義される2つ以上の立体異性体のいずれかを意味する。
【0030】
「異性体」とは、本明細書に定義される「立体異性体」および「幾何異性体」を意味する。
【0031】
本明細書におけるMによって定義される「一価カチオン」としては、アンモニウム(NH)、モノ−、ジ−、トリ−、およびテトラ−(C〜C12アルキル)アンモニウム(すなわち、(C〜C12アルキル))NH、(C〜C12アルキル)NH、(C〜C12アルキル)NH、および(C〜C12アルキル))(アルキル基(複数可)は、指定されたモノ−、ジ−、トリ−、およびテトラ−(C〜Cシクロアルキル)アンモニウム(すなわち、(C〜Cシクロアルキル))NH、(C〜Cシクロアルキル)NH、(C〜Cシクロアルキル)NH、および(C〜Cシクロアルキル))として置換され得る)、アルカリ金属イオン(ナトリウム、リチウム、およびカリウムイオンなど)、有機アミンのイオン(ピロリジン、ピペリジン、またはピリジンなど)、ならびにアミノ酸のイオン(グリシン、アラニン、β−アラニン、バリン、リジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、アルギニン、オルニチン、トリプトファン、プロリン、グルタミン、システイン、フェニルアラニン、チロシン、およびセリンのイオンなど)が挙げられる。有機アミンまたはアミノ酸がそのプロトン化形態であるとき、これは接尾辞「イウム」の使用によって示すことができる。例えば、プロトン化ピロリジンは、ピロリジニウムであり、プロトン化ピペリジンは、ピペリジニウムであり、プロトン化ピリジンは、ピリジニウムであり、プロトン化グリシンは、グリシニウムである。
【0032】
「親化合物」は、代謝または異化作用プロセスの酵素作用を介して、あるいは式(1)もしくは式(1a)の化合物からのホスフェート塩または式(2)もしくは式(2a)の化合物のボロネートの投与後の化学プロセスを介して放出される、生物学的に活性な実態を指す。
【0033】
「患者」は、例えば、ヒトおよび非ヒトなどの温血動物を指す。「非ヒト」という用語は、家畜(すなわち、ウシ、ブタ、ヒツジ、およびヤギ)、ならびにコンパニオンアニマル(すなわち、ネコ、イヌ、およびウマ)などの動物を指し、また他の非ヒト動物、例えば、モルモット、マウス、ラット、アレチネズミ、ウサギ、サル、チンパンジーなども含む。
【0034】
「薬学的に許容される」とは、物質または組成物が化学的および/または毒物学的に、製剤を含む他の成分、および/またはそれにより治療されている患者と適合しなければならないことを示す。この用語は、「獣医学的に許容される」と同義である(すなわち、成分は非ヒト患者に適合する)。
【0035】
「プロドラッグ」とは、投与および吸収の後、何らかの代謝、異化作用、または化学プロセスを介して、例えば、式(1)および式(1a)の化合物中のホスフェートまたは式(2)および式(2a)の化合物中のボロネートの加水分解開裂によって、インビボで薬物を放出する、薬物前駆体である化合物を指す。
【0036】
「ピリドン」および「ピリジノン」は、本出願内で互換的に使用されている。特に断りのない限り、差異または区別は意味しない。
【0037】
「立体異性体」とは、1つ以上のキラル中心を有し、かつ各中心がRまたはS構成で存在し得る化合物を意味する。立体異性体としては、全てのジアステレオマー、エナンチオマー、およびエピマー形態だけでなく、ラセミ体、およびそれらの混合物も挙げられる。
【0038】
「治療有効量」とは、患者に投与されたとき、所望の効果、例えば、細菌感染に関連する症状の重症度の低減、罹患組織内の細菌の数の減少、および/または罹患組織内の細菌の数の増加(局所的もしくは全身的)の防止を提供する本発明の化合物(すなわち、式I、la、II、またはIIaの化合物)の量を指す。
【0039】
「治療する」、「治療すること」、「治療」などは、本発明の化合物が、患者の細菌感染(もしくは状態)またはその疾患に関連する任意の組織損傷を緩和する、軽減する、またはその進行を遅らせる能力を指す。
【0040】
本発明の化合物は、グラム陰性細菌によって引き起こされる細菌感染を有する患者の治療に有用であるLpxC阻害剤である。
【0041】
本発明の第1の態様の第1の実施形態は、新しいピリジノンもしくはピリミジノンヒドロキサム酸ホスフェートLpxC阻害剤、式(1)の化合物、
【化13】
またはその薬学的に許容される塩、その立体異性体、およびその薬学的に許容される塩であって、式中、Qは、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)(O)、−P(O)(O、および−P(O)(O2+からなる群から選択され、Xは、CHまたはNであり、Zは、
【化14】
からなる群から選択され、Mは、出現ごとに薬学的に許容される一価カチオンであり、
2+は、薬学的に許容される二価カチオンである。
【0042】
本発明の第2の態様の第1の実施形態は、式(2)
【化15】
の新しいボロネートLpxc阻害剤化合物であり、式中、Xは、CHまたはNであり、Mは、薬学的に許容される一価カチオンであり、Zは、
【化16】
からなる群から選択される。
【0043】
式(1)および式(2)の化合物は、それを必要としている患者にいったん投与されると、特にグラム陰性生物に対して抗菌活性を示す。これらの化合物は、哺乳動物、特にヒトにおける細菌感染を治療するために使用されてもよい。化合物はまた、家畜およびコンパニオンアニマルにおける感染の治療などの獣医学的用途にも使用されてもよい。
【0044】
式(1)および式(2)の化合物は、様々な感染、特に、院内肺炎、尿路感染、全身感染(菌血症および敗血症)、皮膚および軟組織感染、外科感染、腹腔内感染、肺感染(嚢胞性線維症患者におけるものを含む)、Helicobacter pylori(および消化性潰瘍疾患、胃癌発症などの関連する胃合併症の緩和)、心内膜炎、糖尿病性足感染、骨髄炎、および中枢神経系感染を含む、グラム陰性感染を治療するために有用である。
【0045】
投与を簡素化するために、化合物は典型的には、少なくとも1つの賦形剤と混合され、医薬剤形へと製剤化される。そのような剤形の例としては、錠剤、カプセル、注射用溶液/懸濁液、吸入用エアロゾル、局所使用、耳使用、または眼科使用のクリーム/軟膏、経口摂取用の溶液/懸濁液、および薬用飼料添加剤が挙げられる。本化合物は、それらが由来する親ヒドロキサム酸化合物と比較して増強された水溶性を有し、したがって、本化合物は、有利なことに注射可能な剤形で用いることができる。
【0046】
本発明の第1の態様の第2の実施形態は、式1aの第1の態様の第1の実施形態の化合物である。
【化17】
【0047】
本発明の第1の態様の第3の実施形態は、Xが、CHである、第1の態様の第2の実施形態の化合物である。
【0048】
本発明の第1の態様の第4の実施形態は、Zが、
【化18】
である、第1の態様の第3の実施形態の化合物である。
【0049】
本発明の第1の態様の第5の実施形態は、Zが、
【化19】
である、第1の態様の第3の実施形態の化合物である。
【0050】
本発明の第1の態様の第6の実施形態は、Zが、
【化20】
である、第1の態様の第3の実施形態の化合物である。
【0051】
本発明の第1の態様の第7の実施形態は、Zが、
【化21】
である、第1の態様の第3の実施形態の化合物である。
【0052】
本発明の第1の態様の第8の実施形態は、Xが、Nであり、Zが、
【化22】
である、第1の態様の第2の実施形態の化合物である。
【0053】
本発明の第1の態様の第9の実施形態は、Qが、−P(O)(OH)である、第1の態様の第2の実施形態の化合物である。本発明の第1の態様の第10の実施形態は、Qが、−P(O)(OH)(O)または−P(O)(Oである、第1の態様の第2の実施形態の化合物である。本発明の第1の態様の第11の実施形態は、Qが、−P(O)(Oである、第1の態様の第10の実施形態の化合物である。本発明の第1の態様の第12の実施形態は、Qが、−P(O)(O2+である、第1の態様の第2の実施形態の化合物である。本発明の第1の態様の第13の実施形態は、Mが、出現ごとにLi、K、およびNaからなる群から独立して選択される、第1の態様の第10の実施形態の化合物である。
【0054】
本発明の第1の態様の第14の実施形態は、Mが、出現ごとにアンモニウム、(C〜C12アルキル)アンモニウム、(C〜C12アルキル)アンモニウム、(C〜C12アルキル)アンモニウム、(C〜C12アルキル)アンモニウム、(C〜Cシクロアルキル)アンモニウム、(C〜Cシクロアルキル)アンモニウム、(C〜Cシクロアルキル)アンモニウム、(C〜Cシクロアルキル)アンモニウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム、およびピリジニウムから独立して選択される、薬学的に許容される一価カチオンであり、(C〜C12アルキル)または(C〜Cシクロアルキル)部分の各々が任意選択的に、1〜3個のヒドロキシまたはハロで置換される、第1の態様の第10の実施形態の化合物である。
【0055】
本発明の第1の態様の第15の実施形態は、Mが、出現ごとにグリシニウム、アラニニウム、β−アラニニウム、バリニウム、リシニウム、イソロイシニウム、ロイシニウム、メチオニニウム、トレオニニウム、アスパラギニウム、グルタミニウム、ヒスチジニウム、アルギニニウム、オルニチニウム、トリプトファニウム、プロリニウム、グルタミニウム、システイニウム、フェニルアラニニウム、チロシニウム、およびセリニウムからなる群から独立して選択される、薬学的に許容される一価カチオンである、第1の態様の第10の実施形態の化合物である。
【0056】
本発明の第1の態様の第16の実施形態は、Mが、Naである、第1の態様の第10の実施形態の化合物である。本発明の第1の態様の第17の実施形態は、Mが、Kである、第1の態様の第10の実施形態の化合物である。本発明の第1の態様の第18の実施形態は、Mが、Liである、第1の態様の第10の実施形態の化合物である。
【0057】
本発明の第1の態様の第19の実施形態は、Mが、NHである、第1の態様の第10の実施形態の化合物である。本発明の第1の態様の第20の実施形態は、Mが、NHC(CHOH)である、第1の態様の第10の実施形態の化合物である。本発明の第1の態様の第21の実施形態は、M+が、NH(CHCHである、第1の態様の第10の実施形態の化合物である。本発明の第1の態様の第22の実施形態は、M2+が、Ca2+、Mg2+、およびZn2+からなる群から選択される、第1の態様の第12の実施形態の化合物である。
【0058】
本発明の第1の態様の第23の実施形態は、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二ナトリウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二アンモニウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二カリウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二リチウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、カルシウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、マグネシウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、亜鉛塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、ピロリジン塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、トリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、ジエチルアミン塩、および
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、グリシン塩、ならびにその薬学的に許容される他の塩からなる群から選択される、第1の態様の第3の実施形態の化合物である。
【0059】
本発明の第1の態様の第24の実施形態は、
(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二ナトリウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二アンモニウム塩、
(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二ナトリウム塩、
(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミドホスフェート、二ナトリウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二ナトリウム塩、
(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二アンモニウム塩、
(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二アンモニウム塩、
(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミドホスフェート、アンモニウム塩、
(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二カリウム塩、
(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二カリウム塩、
(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミドホスフェート、二カリウム塩、
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二カリウム塩、
(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二リチウム塩、
(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二リチウム塩、
(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミドホスフェート、二リチウム塩、および
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二リチウム塩、ならびにその薬学的に許容される他の塩からなる群から選択される、第1の態様の第2の実施形態の化合物である。
【0060】
本発明の第2の態様の第2の実施形態は、式(2a)
【化23】
の第2の態様の第1の実施形態の化合物である。
【0061】
本発明の第2の態様の第3の実施形態は、Xが、CHである、第2の態様の第2の実施形態の化合物である。
【0062】
本発明の第2の態様の第4の実施形態は、Zが、
【化24】
である、第2の態様の第3の実施形態の化合物である。
【0063】
本発明の第2の態様の第5の実施形態は、Zが、
【化25】
である、第2の態様の第3の実施形態の化合物である。
【0064】
本発明の第2の態様の第6の実施形態は、Zが、
【化26】
である、第2の態様の第3の実施形態の化合物である。
【0065】
本発明の第2の態様の第7の実施形態は、Zが、
【化27】
である、第2の態様の第3の実施形態の化合物である。
【0066】
本発明の第2の態様の第8の実施形態は、Xが、Nであり、zが、
【化28】
である、第2の態様の第2の実施形態の化合物である。
【0067】
本発明の第2の態様の第9の実施形態は、Mが、Li、K、およびNaからなる群から選択される、第2の態様の第2の実施形態の化合物である。
【0068】
本発明の第2の態様の第10の実施形態は、Mが、アンモニウム、(C〜C12アルキル)アンモニウム、(C〜C12アルキル)アンモニウム、(C〜C12アルキル)アンモニウム、(C〜C12アルキル)アンモニウム、(C〜Cシクロアルキル)アンモニウム、(C〜Cシクロアルキル)アンモニウム、(C〜Cシクロアルキル)アンモニウム、(C〜Cシクロアルキル)アンモニウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム、およびピリジニウムからなる群から選択され、(C〜C12アルキル)または(C〜Cシクロアルキル)部分の各々が任意選択的に、1〜3個のヒドロキシまたはハロで置換される、第2の態様の第2の実施形態の化合物である。
【0069】
本発明の第2の態様の第11の実施形態は、Mが、グリシニウム、アラニニウム、β−アラニニウム、バリニウム、リシニウム、イソロイシニウム、ロイシニウム、メチオニニウム、トレオニニウム、アスパラギニウム、グルタミニウム、ヒスチジニウム、アルギニニウム、オルニチニウム、トリプトファニウム、プロリニウム、グルタミニウム、システイニウム、フェニルアラニニウム、チロシニウム、およびセリニウムからなる群から選択される、第2の態様の第2の実施形態の化合物である。
【0070】
本発明の第2の態様の第12の実施形態は、Mが、Naである、第2の態様の第2の実施形態の化合物である。本発明の第2の態様の第13の実施形態は、Mが、Kである、第2の態様の第2の実施形態の化合物である。本発明の第2の態様の第14の実施形態は、Mが、Liである、第2の態様の第2の実施形態の化合物である。本発明の第2の態様の第15の実施形態は、Mが、NHである、第2の態様の第2の実施形態の化合物である。本発明の第2の態様の第16の実施形態は、Mが、NHC(CHOH)である、第2の態様の第2の実施形態の化合物である。本発明の第2の態様の第17の実施形態は、M+が、NH(CHCHである、第2の態様の第2の実施形態の化合物である。
【0071】
本発明の第2の態様の第18の実施形態は、(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドのボロネートプロドラッグである、第2の態様の第2の実施形態、およびその薬学的に許容される塩である。
【0072】
本発明の第2の態様の第19の実施形態は、ナトリウム(R)−5−(4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−(メチルスルホニル)ブタン−2−イル)−2,2−ジヒドロキシ−1,3,4,2−ジオキサザボロール−2−ウイドである、(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドのボロネートプロドラッグである、およびその薬学的に許容される他の塩である、第2の態様の第2の実施形態である。
【0073】
本発明の第2の態様の第20の実施形態は、
ナトリウム(R)−5−(4−(4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−(メチルスルホニル)ブタン−2−イル)−2,2−ジヒドロキシ−1,3,4,2−ジオキサザボロール−2−ウイド、ナトリウム(R)−2,2−ジヒドロキシ−5−(4−(4−(4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−(メチルスルホニル)ブタン−2−イル)−1,3,4,2−ジオキサザボロール−2−ウイド、ナトリウム(R)−2,2−ジヒドロキシ−5−(2−(メチルスルホニル)−4−(2−オキソ−4−(4−(チアゾール−2−イル)フェニル)ピリジン−1(2H)−イル)ブタン−2−イル)−1,3,4,2−ジオキサザボロール−2−ウイド、およびナトリウム(R)−5−(4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−2−(メチルスルホニル)ブタン−2−イル)−2,2−ジヒドロキシ−1,3,4,2−ジオキサザボロール−2−ウイドからなる群から選択されるボロネートプロドラッグである第2の態様の第2の実施形態、ならびにそれらの薬学的に許容される他の塩である。
【0074】
本発明の第3の態様の第1の実施形態は、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体との混合剤になっている、第1または第2の態様の実施形態のいずれか1つによる化合物を含む医薬組成物である。
【0075】
本発明の第4の態様の第1の実施形態は、患者におけるグラム陰性細菌感染を治療するための方法であり、方法は、治療有効量の第1または第2の態様の実施形態のいずれか1つによる化合物を、それを必要としている患者に投与することを含む。
【0076】
本発明の第4の態様の第2の実施形態は、グラム陰性細菌感染が、Mannheimia haemolytica、Pasteurella multocida、Histophilus somni、Actinobacillus pleuropneumoniae、Salmonella enteritidis、Salmonella gallinarium、Lawsonia intracellularis、Brachyspira hyodysenteriae、Brachyspira pilosicoli、Acinetobacter baumannii、Acinetobacter属、Citrobacter属、Enterobacter aerogenes、Enterobacter cloacae、Escherichia coli、Klebsiella oxytoca、Klebsiella pneumoniae、Serratia marcescens、Stenotrophomonas maltophilia、およびPseudomonas aeruginosaからなる群から選択されるグラム陰性細菌によって引き起こされる、第4の態様の第1の実施形態の方法である。
【0077】
本発明の第4の態様の第3の実施形態は、グラム陰性細菌感染が、呼吸器感染、胃腸感染、院内肺炎、尿路感染、菌血症、敗血症、皮膚感染、軟組織感染、腹腔内感染、肺感染、心内膜炎、糖尿病性足感染、骨髄炎、および中枢神経系感染からなる群から選択される、第4の態様の第1の実施形態の方法である。
【0078】
本発明は、本発明の化合物の塩基付加塩に関する。これらの薬学的に許容される塩基塩を調製するために試薬として使用されてもよい化学塩基は、そのような化合物と非毒性塩基塩を形成するものである。そのような非毒性塩基塩としては、そのような薬理学的に許容されるカチオン(MもしくはM2+)に由来するもの、例えば、アルカリ金属カチオン(例えば、リチウム、カリウム、およびナトリウム)およびアルカリ土類金属カチオン(例えば、カルシウム、マグネシウム、および亜鉛)、アンモニウム、アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、テトラルキルアンモニウム、ピリジニウム、または水溶性アミン付加塩、例えば、N−メチルグルカミン−(メグルミン)、および低級アルカノールアンモニウム、ならびに薬学的に許容される有機アミンの他の塩基塩、例えば、ピペリジン、N−メチルピペリジン、モルホリン、N−メチルモルホリン、アミノ酸、ならびにカルボン酸およびリン酸の塩を形成するために使用されてきた他のアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
好適な塩基塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。好適な塩基塩の非限定的な例としては、アルミニウム、アルギニン、ベンザシン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リジン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、および亜鉛塩が挙げられる。酸および塩基の半塩、例えば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩もまた形成され得る。好適な塩に関するレビューについては、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use by Stahl and Wermuth(Wiley−VCH,2002)を参照されたい。本明細書に記載の方法に加えて、ホスフェートおよびボロネートの薬学的に許容される塩を作製するための方法は、当業者には公知である。
【0080】
Qが、P(O)(OH)(O)、−P(O)(O、または−P(O)(O2+である式(1)の化合物は、好ましくは、水、エーテル、アセトニトリル、ジオキサン、塩化メチレン、イソプロパノール、メタノール、エタノール、および酢酸エチルなどの一般的に使用される過剰な溶媒不活性溶媒を用いた溶液中で接触させることによって、式(1)の化合物(式中、Qが−P(O)(OH)である)を選択された適切な塩基と混合することによって、通常の方法で調製することができる。QがP(O)(OH)(O)、−P(O)(O、または−P(O)(O2+である式(1)の化合物はまた、メタセシスによって、あるいは式Iの化合物中の一価カチオンMまたは二価カチオンM2+が別の一価カチオンMまたは二価カチオンM2+によって置き換えられる条件下で、必要に応じて、所望の種の分離を可能にする条件下で(例えば、溶液からの沈殿もしくは溶媒への抽出、またはイオン交換樹脂からの溶出もしくはその上での保持によって)、イオン交換樹脂で処理することによっても調製することができる。同様に、式(2)の化合物もまた、メタセシスによって、あるいは式(2)の化合物中の一価カチオンMが別の一価カチオンMによって置き換えられる条件下で、所望の種の分離を可能にする条件下で(例えば、溶液からの沈殿もしくは溶媒への抽出、またはイオン交換樹脂からの溶出もしくはその上での保持によって)、イオン交換樹脂で処理することによって調製することができる。
【0081】
式(1)の化合物は、不斉中心を有し、したがって、2つの立体異性体形態として存在する。本発明は、式(1)の化合物個々の立体異性体の全ておよびそれらの混合物を含む。個々のエナンチオマーは、キラル分離によって、または合成中の関連するエナンチオマーを使用することによって得ることができる。例えば、式(1)の化合物の個々の(R)および(S)エナンチオマーは、エナンチオマー混合物からのキラル分離によって得ることができるか、またはそれらは、キラル合成法を使用して個々に調製することができる。好ましい実施形態は、化合物がキラル炭素中心で(R)立体化学を有する式Iaの化合物である。同様に、式(2)の化合物もまた、不斉中心を有し、好ましい実施形態は、描写されるような立体化学を有する式IIaの化合物である。
【0082】
加えて、本発明の化合物は、非溶媒和形態、ならびに水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒を用いた溶媒和形態で存在することができる。一般に、溶媒和形態は、本発明の目的のために非溶媒和形態と同等であると見なされる。化合物はまた、1つ以上の結晶状態、すなわち多形体中に存在し得るか、またはそれらは、非晶質固体として存在し得る。全てのそのような形態は、本発明の範囲内に、かつ特許請求の範囲によって包含される。
【0083】
本発明の化合物は、(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミド、(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミド、(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミド、(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミド、および(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドの、またはこれらの化合物のラセミ体のプロドラッグとして機能する。これらの化合物は、それら自体は薬理学的活性がほとんどまたは全くない場合があるが、体内または体へと投与されたとき、例えば、式(1)の化合物中のホスフェートまたは式(2)の化合物中のボロネート部分の加水分解開裂によって、所望の活性を有する親化合物へと変換することができる。
【0084】
本発明はまた、保護基を含有する化合物も包含する。例えば、式(1)または式(2)の化合物を調製するために使用されるある特定の中間化合物は、保護基を含有する場合がある。当業者であれば、本発明の化合物がまた、精製または保管に有用であり、患者に投与する前に除去することができるある特定の保護基と共に調製することができることも理解するであろう。官能基の保護および脱保護については、“Protective Groups in Organic Chemistry”edited by J.W.F.McOmie,Plenum Press(1973)、および“Protective Groups in Organic Synthesis”,3rd edition,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Wiley−Interscience(1999)に記載されている。
【0085】
本発明はまた同位体標識化合物も含み、これらは、式(1)または式(2)に列挙されるものと同一であるが、実際には1つ以上の原子が、通常自然界に見出される原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられる。本発明の化合物の中へと組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、および塩素の同位体が挙げられ、例えば、それぞれH、H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、および36Clなどであるが、これらに限定されない。前述の同位体および/または他の原子の他の同位体を含有する本発明の化合物は、本発明の範囲内である。本発明のある特定の同位体標識化合物、例えば、Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み込まれる化合物は、薬物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化、すなわち、H、および炭素−14、すなわち、14C同位体は、それらの調製の容易さおよび検出性に関して特に好ましい。さらに、重水素、すなわち、Hなどのより重い同位体での置換は、より大きい代謝安定性に起因するある特定の治療上の利点、例えば、インビボ半減期の増大または用量要件の低減を提供することができ、したがって、いくつかの状況において好ましい場合がある。本発明の同位体標識化合物は一般に、以下のスキームおよび/または実施例に開示される手順を実施することによって、容易に入手可能な同位体標識試薬を非同位体標識試薬に置き換えることによって調製することができる。
【0086】
式(1)の全ての化合物は、以下に示されるようなスルホニル部分を含有する。
【化29】
当業者に容易に明らかであるように、スルホニル部分に隣接する炭素は、キラル中心である。したがって、化合物は、ラセミ体として、S−エナンチオマーとして、またはR−エナンチオマーとして、またはそれらの混合物として存在することができる。さらなる実施形態では、式(1)の化合物は、以下に示されるように、R−エナンチオマー(すなわち、式(1a)の化合物)として調製および投与されてもよい。
【化30】
【0087】
描写される式(1)および式(2)の化合物は、ラセミ、個々の異性体、またはそれらの混合物とすることができるが、式(1a)および式(2a)の化合物は、それぞれ、それらの式について描写される立体化学を有する。当業者に容易に明らかであるように、合成された化合物は、単一のエナンチオマーとして排他的に存在することはまれであろう。反対のエナンチオマー(すなわち、S−エナンチオマー)が、微量で存在してもよい(すなわち、「実質的に純粋」)。この微量は、最大10w/w%、より典型的には5w/w%以下、さらなる実施形態では1w/w%以下、またはより具体的には0.5w/w%以下とすることができる。
【0088】
実験的合成
式(1)および式(2)の化合物は、当該技術分野において同様に公知である様々な方法によって調製することができる。以下に提示される反応スキームAおよびBは、式I’またはI”の中間化合物を調製するための2つの代替方法を図示する。それらの修正を含むその他のものは、当業者には容易に明らかであろう。次いで、式I’またはI”の化合物を式(1)および式(2)の化合物の合成に用いることができる。
【0089】
式I’またはI”の化合物の合成は、以下のスキームAおよびBで以下に示される。第1のステップは、ステップAに示されるN−アルキル化を実施することである。構造1のピリジノン/ピリミジノン(式中、Xはそれぞれ、CHまたはNである)を、構造2のスルホニル誘導体と反応させ、構造3の中間体を生成する。構造3をさらに誘導体化して、式(1)の化合物を生成することができる。2つの代替合成が描写されるが(選択肢AまたはB)、読者は、それらが同じ合成の変形であることに容易に気づくであろう。唯一の違いは、ステップを実行する順序である。
【0090】
最初に選択肢Aにおいて、構造3のピリジノン/ピリミジノンの4位におけるLgによって示されるハロゲン化物などの適切な脱離基を、Z−Mとの反応によって所望の基Z部分で置き換え、式中、Mは、Suzuki−Miyaura反応などの典型的なクロスカップリングを受けるのに好適なホウ素誘導体などの金属種である。ステップCにおけるエチル保護基(または他の好適な保護基)の加水分解または除去により、構造5の化合物を得る。次いで、構造5の末端カルボン酸を、構造8によって示されるように保護ヒドロキサム酸誘導体に変換する(式中、Prは、適切な保護基である)。ステップHに示されるように、構造8の保護ヒドロキサム酸誘導体の脱保護により、式I’の中間体が得られる。これらの反応は当業者に周知であるが、それらは以下でより詳細に考察される。
【0091】
最初にスキームAの選択肢Bにおいて、エチル保護基(または他の従来の保護基)を、ステップEに示されるように、構造6の化合物を生成する構造3のピリジノン/ピリミジノンから除去する。ステップFにおいて、構造6の末端カルボン酸を、アミド化条件を介して構造7の保護ヒドロキサム酸誘導体に変換する。次いで、ステップGにおいて、ピリジノン/ピリミジノン部分上のハロゲン化物官能基などの脱離基Lgを、カップリング反応を介してZ−Mを反応させることによって、所望の基Z部分で直接置き換え、構造8の保護ヒドロキサム酸誘導体を得る。前のように、ステップHに示される保護ヒドロキサム酸誘導体の脱保護により、式I’の化合物を得る。
【0092】
以下に示されるスキームBは、構造1のピリジノン/ピリミジノンを構造2’のスルホニル誘導体と反応させ、構造3’の中間体を生成することを除いて、スキームAと類似している。構造3’をさらに誘導体化して、式I”の化合物を生成することができる。最初に選択肢Aにおいて、構造3’の2−ピリジノン/ピリミジノン上のLgによって示されるハロゲン化物などの適切な脱離基を、Z−Mとの反応によって所望のZ部分で置き換え、式中、Mは、Suzuki−Miyaura反応などの典型的なクロスカップリングを受けるのに好適なホウ素誘導体などの金属種である。ステップCにおけるエチル保護基(または他の好適な保護基)の加水分解または除去により、構造5’の化合物を得る。次いで、構造5’の末端カルボン酸を、構造8’によって示されるように保護ヒドロキサム酸誘導体に変換する(式中、Prは、適切な保護基である)。ステップHに示されるように、構造8’の保護ヒドロキサム酸誘導体の脱保護により、式I”の中間体が得られる。これらの反応は当業者に周知であるが、それらは以下でより詳細に考察される。
【0093】
最初にスキームBの選択肢Bにおいて、エチル保護基(または他の従来の保護基)を、ステップEに示されるように、構造6’の化合物を生成する構造3’のピリジノン/ピリミジノンから除去する。ステップFにおいて、構造6’の末端カルボン酸を、アミド化条件を介して構造7’の保護ヒドロキサム酸誘導体に変換する。次いで、ステップGにおいて、ピリジノン/ピリミジノン部分上のハロゲン化物官能基などの適切な脱離基Lgを、カップリング反応を介してZ−Mを反応させることによって、所望の基Z部分で直接置き換え、構造8’の保護ヒドロキサム酸誘導体を得る。前のように、ステップHに示される保護ヒドロキサム酸誘導体の脱保護により、式I”の化合物を得る。
【化31】
【化32】
【0094】
以下の説明は、スキームAおよびBで使用される合成ステップに関する。スキームAおよびスキームBのステップAにおける上記に示されるN−アルキル化を、当業者に周知の技術を使用して実施することができる。出発物質のうちの1つは、構造1の2−ピリジノンまたはピリミジノン誘導体である。このピリジノンまたはピリミジノンにおいて、Lgは、ハロゲン化物などの適切な脱離基である。これらのピリジノンまたはピリミジノン誘導体の多くは、当該技術分野において公知であり、残りのものは、当該技術分野において公知の同様の合成技術を使用して生成することができる。そのような技術の説明について、読者の注目は、Tet.Lett.(2005)Vol 46,7917に向けられる。以下の調製2もまた、それらの調製を例示する。
【0095】
ステップAに示されるN−アルキル化におけるもう一方の反応物は、構造2または2’の保護アルキルスルホネートである。構造2または2’において、エチル保護基が描写される(すなわち、カルボン酸をそのエチルエステルとして保護する)が、任意の標準的なカルボン酸保護基が置換されてもよい。これらのアルキルスルホネートも当該技術分野において公知である。それらの調製の記載について、読者の注目は、Journal of Organic Chemistry,(1980)Vol 45,8,1486−1489に向けられる。以下の調製1もまた、それらの調製を例示する。
【0096】
N−アルキル化は、当該技術分野において公知のように実施することができる。典型的には、同量の構造1および2または2’の化合物を、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、水素化ナトリウムなどの塩基の存在下で、テトラヒドロフランおよびt−ブタノールなどの非プロトン性溶媒およびプロトン性溶媒の混合物中で接触させる。必要に応じて、臭化テトラブチルアンモニウムなどの移動剤を利用することができる。反応物を典型的には加熱し、反応を完了まで進めさせる。構造3または3’の所望の生成物を、当該技術分野において公知の方法によって単離することができる。必要に応じて、構造3または3’の生成物を精製することができるか、あるいは粗生成物を反応の次のステップに使用することができる。以下の調製2は、そのようなN−アルキル化を例示する。
【0097】
スキームAは、ヒドロキサム酸部分を分子に組み込む方法を示す。最初に、保護基をカルボン酸から除去し、それにより、ステップC(選択肢A)およびステップE(選択肢B)にそれぞれ示されるように、構造5または5’および6または6’の中間体を生成する。これが達成される方法は、実際の保護基の同一性によって変化し、当業者に周知である。潜在的な保護基およびそれらの除去のための方法の考察について、読者の注目は、上記のMcOmieまたはGreeneに向けられる。以下の調製2は、スキームAおよびBに示されるように、エチル部分を除去する方法を記載する。
【0098】
ステップFおよびDにおいて、示されるヒドロキサム酸部分を分子に組み込む。保護ヒドロキシルアミン源を使用してもよく、続いて、後続の脱保護反応を行ってもよい(あるいは、ヒドロキシルアミンを直接組み込んで脱保護ステップを排除してもよい)。いずれの場合も、標準的なアミド化反応を使用してヒドロキサム酸を分子に組み込む。例えば、構造5もしくは5’(選択肢A)または6もしくは6’(選択肢B)の化合物を、ジクロロメタンなどの非プロトン性溶媒中の過剰な塩化オキサリルと十分な期間接触させて、対応する酸塩化物の形成を可能にし、続いて、過剰なヒドロキシルアミンまたは保護ヒドロキシルアミンのいずれかを添加してもよい。次いで、反応を完了まで進め、構造7または7’(選択肢B)または8もしくは8’(選択肢A)の保護中間体を、当該技術分野において公知のように反応培地から単離し、精製する。上述のように、任意の脱保護を、当該技術分野において公知のように実施してもよい(上記のGreeneまたはMcOmieを参照)。あるいは、当該技術分野において公知のように、アミドカップリング試薬、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン(CDMT)、または1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)を使用して、アミドを形成することができる。
【0099】
スキームAおよびBはまた、末端基Z部分を分子に組み込む方法を示す。選択肢Aまたは選択肢Bのいずれを選ぶかにかかわらず、末端基Z部分をピリジノン/ピリミジノン中間体に結合するために、最終的にカップリング反応を実施する。スキームAおよびBの両方において、共反応物は、Z−Mとして示され、式中、Mは、構造3もしくは3’または7もしくは7’におけるピリジノン/ピリミジノン中間体への所望の結合点におけるマグネシウム、銅、スズ、ボロン酸エステル/酸などの金属(または半金属)(すなわち、もう一方の反応物)を表す。
【0100】
カップリング反応は、様々な技術によって実施することができる。Suzuki−Miyaura戦略を使用して、炭素−炭素結合を形成することができる。そのような反応において、Mは、ボロン酸/エステルによって表される。同等のモル量の反応物を、遊離または樹脂結合パラジウムまたはニッケル種などの遷移金属触媒の存在下で、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、フッ化セシウム、炭酸セシウムなどの塩基と共に、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、水、トルエン、またはそれらの混合物などの溶媒中で接触される。反応混合物を、適切な変換が達成されるまで、マイクロ波または他の従来の技術によって加熱することができる。完了すると、当該技術分野において公知のように、所望の生成物を単離し、反応から回収し、さらに精製してもよい。同様に、当該技術分野において公知の他の炭素−炭素結合形成方法を用いて、カップリング反応を実施することができる。そのような反応において、Mは、トリメチルスタンニル、トリブチルスタンニル、またはトリ−t−ブチルスタンニルなどの、原位置で生成されたカプレート種またはトリアルキルスズ部分によって表すことができる。同等の当モル量の反応物を、遊離または樹脂結合パラジウムまたはニッケルなどの遷移金属触媒の存在下で、例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの好適な有機塩基などの適切な塩基と共に、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、またはそれらの混合物などの溶媒中で接触させる。反応混合物を、適切な変換が達成されるまで、マイクロ波または他の従来の技術によって加熱することができる。完了すると、当該技術分野において公知のように、所望の生成物を単離し、反応から回収し、さらに精製してもよい。
【化33】
【0101】
スキームCは、それぞれ、化合物I’およびI”からの式(1)および式(1a)の化合物の調製を示す。式I’またはI”の化合物を、適切なリン酸前駆体化合物Q’−Lgと反応させ、式中、Lgは適切な脱離基を表し、かつQ’は適切なリン酸基Qへと変換することができるリン含有基を表す。リン酸前駆体化合物Q’−Lgの例としては、オキシ塩化リン(POCl)またはホスホロアミダイト試薬(PgO)P−NR’が挙げられる。適切な反応条件下で、Q’部分を、式(1)または式(1a)に記載されるように基Qに変換する。そのようなQ’からQへの変換のより詳細な説明は、以下のスキームDおよびEに提供される。
【化34】
【0102】
スキームDは、式(1)の範囲内の新規のホスフェート(すなわち、式Ib、Ic、Id、およびIeの化合物)の調製を示す。式I”のヒドロキサム酸化合物をアセトニトリルなどの適切な溶媒中に溶解し、0℃〜−10℃などの低温においてN−メチルモルホリンなどの適切な塩基で処理する。次いで、得られた混合物をオキシ塩化リンと反応させ、次いで水でクエンチして、式Ibのホスフェートを得ることができる。次いで、式Ibの化合物を、示されるように適切な塩基(すなわち、MまたはM2+(X(式中、Xは、アニオン性対イオンである))と反応させて、式Ic、Id、またはIeの化合物を得ることができる。あるいは、式Ibの化合物を、水溶液中のDowexイオン交換樹脂などの適切なイオン交換樹脂で処理して、式Idの化合物を得ることができる。
【化35】
【0103】
スキームEは、式Ib〜Ieの化合物を調製するための代替方法を示す。式I”の化合物を、好適なホスホロアミダイト試薬(PgO)P−NR’と反応させ、式中、基Pgは、t−ブチルまたはベンジルなどの適切な保護基を表し、基R’は、エチルまたはイソプロピルなどの低級アルキル基を表す。典型的には反応は、アセトニトリル、ジクロロメタン、またはそれらの混合物などの適切な溶媒中で、テトラゾールなどの活性化剤の存在下で1〜8時間の期間にわたって、ほぼ周囲温度で実施する。次いで、反応混合物を冷却し、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、またはm−CPBAなどの適切な酸化剤で処理することによって原位置酸化を実施して、式Ib’の化合物を得ることができる。次いで、式Ib’の化合物を、標準的な方法論を使用して脱保護して、式Ibの化合物を得る。例えば、Pgがt−ブチルを表すとき、式Ib’の化合物を、塩酸またはトリフルオロ酢酸などの強酸での処理によって脱保護することができる。あるいは、Pgがベンジルを表す場合、式Ib’の化合物を、触媒水素化によって脱保護することができる。次いで、式Ibの化合物を使用して、反応スキームDについてすでに記載されたように、式Ic、Id、またはIeの化合物を調製することができる。
【化36】
【0104】
スキームFは、式(2)および式(2a)のホウ酸塩モノマー化合物の調製を示す。1当量の式I’またはI”のヒドロキサム酸を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化リチウム(MOH)などの1当量の適切な塩基の存在下で、水中の1当量のホウ酸と組み合わせる。混合物を周囲温度で30分〜4時間撹拌し、次いで混合物に真空下での濃縮、または凍結および凍結乾燥のいずれかを行って、式(2)または式(2a)のモノボロン酸化合物を得ることができる。
【0105】
本発明の化合物を生成するための上述の反応スキームは、単なる例示である。当業者に容易に明らかであるように、それらは、特定の化合物、試薬の可用性などに応じて修正されてもよい。
【0106】
医学的および獣医学的用途
本発明の化合物は、感染性障害、特に感受性および多剤耐性(MDR)グラム陰性細菌によって引き起こされるものの治療または予防に使用され得る。そのようなグラム陰性細菌の例としては、Acinetobacter baumannii、Acinetobacter属、Achromobacter属、Aeromonas属、Bacteroides fragilis、Bordetella属、Borrelia属、Brucella属、Campylobacter属、Citrobacter diversus(koseri)、Citrobacter freundii、Enterobacter aerogenes、Enterobacter cloacae、Escherichia coli、Francisella tularensis、Fusobacterium属、Haemophilus influenzae(β−ラクタマーゼ陽性および陰性)、Helicobacter pylori、Klebsiella oxytoca、Klebsiella pneumoniae(基質特異性拡張型β−ラクタマーゼ(以下、「ESBL」)をコードするものを含む)、Legionella pneumophila、Moraxella catarrhalis(β−ラクタマーゼ陽性および陰性)、Morganella morganii、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Proteus vulgaris、Porphyromonas属、Prevotella属、Mannheimia haemolyticus、Pasteurella属、Proteus mirabilis、Providencia属、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas属、Salmonella属、Shigella属、Serratia marcescens、Treponema属、Burkholderia cepacia、Vibrio属、Yersinia属、およびStenotrophomonas mulophiliaが挙げられる。他のグラム陰性生物の例としては、現在入手可能なセファロスポリン、セファマイシン、カルバペネム、およびベータ−ラクタム/ベータ−ラクタマーゼ阻害剤の組み合わせに対する耐性を付与する、ESBL;KPC、CTX−M、メタロ−β−ラクタマーゼ(例えば、NDM−1など)、およびAmpC型ベータ−ラクタマーゼを発現するEnterobacteriaceaeのメンバーが挙げられる。
【0107】
より具体的な実施形態では、グラム陰性細菌は、Acinetobacter baumannii、Acinetobacter属、Citrobacter属、Enterobacter aerogenes、Enterobacter cloacae、Escherichia coli、Klebsiella oxytoca、Klebsiella pneumoniae、Serratia marcescens、Stenotrophomonas maltophilia、Pseudomonas aeruginosa、ならびに現在入手可能なセファロスポリン、セファマイシン、カルバペネム、およびベータ−ラクタム/ベータ−ラクタマーゼ阻害剤の組み合わせに対する耐性を付与する、ESBL、KPC、CTX−M、メタロ−β−ラクタマーゼ、およびAmpC型ベータ−ラクタマーゼを発現するEnterobacteriaceaeおよびPseudomonasのメンバーからなる群から選択される。
【0108】
式(1)の化合物で治療され得る感染の例としては、院内肺炎、尿路感染、全身感染(菌血症および敗血症)、皮膚および軟組織感染、外科感染、腹腔内感染、嚢胞性線維症患者、肺感染を患う患者における肺感染、心内膜炎、糖尿病性足感染、骨髄炎、および中枢神経系感染が挙げられる。
【0109】
加えて、化合物は、ヒト(および他の哺乳動物)の胃腸管内のHelicobacter pylori感染を治療するために使用することができる。これらの細菌の排除は、消化不良症状の低減、消化性潰瘍の再発および再出血の低減、胃癌のリスクの低減などを含む健康転帰の改善に関連している。H.pyloriの根絶および胃腸疾患へのその影響についてのより詳細な考察は、ワールドワイドウェブ:informahealthcare.com,Expert Opin.Drug Saf.(2008)7(3)で見ることができる。
【0110】
この抗感染活性を示すために、化合物は、治療有効量で投与される必要がある。「治療有効量」とは、感染を治療するのに十分な量の化合物を、任意のそのような医療に適用可能な妥当なリスク/ベネフィット比において記載することを意味する。しかしながら、主治医は、正当な医学的判断の範囲内で、化合物の1日の総投与量を決定することが理解されるであろう。任意の特定の患者の特定の治療有効用量レベルは、治療される障害および障害の重症度、用いられる特定の化合物の活性、用いられる特定の組成物、患者の年齢、体重、一般的健康、性別、および食生活、用いられる特定の化合物の投与時間、投与経路、および排泄速度、治療期間、用いられる特定の化合物と組み合わせて、または同時に使用される薬物、ならびに医学分野において周知の同様の要因を含む、様々な要因によって決まる。しかしながら、一般的なガイドラインとして、1日の総用量は典型的には、単回または分割用量で約0.1mg/kg/日〜約5000mg/kg/日の範囲である。典型的には、ヒトに対する投与量は、単回または複数回用量で、1日当たり約10mg〜約3000mgの範囲である。
【0111】
典型的には、経口、非経口、局所、直腸、経粘膜、および腸を含む感染性疾患を治療するために使用される任意の経路が、化合物を投与するために使用され得る。非経口投与は、全身効果をもたらすための注射または患部への直接注射を含む。非経口投与の例は、皮下、静脈内、筋肉内、皮内、髄腔内、および眼内、鼻腔内、または脳室内注射または注入技術である。局所投与としては、例えば、眼、外耳および中耳感染を含む耳、膣、開放創、表面皮膚および真皮構造下を含む皮膚、または下部腸管などの局所適用によって容易にアクセス可能な領域の治療が挙げられる。経粘膜投与には、鼻腔エアロゾルまたは吸入適用が含まれる。経口投与としては、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液、水および/または食品との混合剤、サシェなどが挙げられる。
【0112】
製剤
本発明の化合物は、抗生物質などの他の生物活性剤との類似によって、人間医学または獣医学で使用するための任意の方法での投与のために製剤化することができる。そのような方法は、当該技術分野において公知であり、以下に要約される。
【0113】
組成物は、皮下、吸入による、経口、局所、または非経口などの当該技術分野において公知の任意の経路による投与のために製剤化することができる。組成物は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、トローチ剤、クリーム、または液体調製物(経口または滅菌非経口溶液または懸濁液など)を含むがこれらに限定されない、当該技術分野において公知の任意の形態であってもよい。
【0114】
本発明の局所製剤は、例えば、軟膏、クリームまたはローション、眼科用軟膏/点眼薬および点耳薬、含浸包帯、およびエアロゾルとして提示することができ、防腐剤、薬剤浸透を補助するための溶媒および皮膚軟化剤などの適切な従来の添加剤を含有してもよい。そのような局所製剤は、クリームまたは軟膏基剤およびローションのためのエタノールまたはオレイルアルコールなどの従来の担体も含有してもよい。そのような担体は、例えば、製剤の約1%〜最大約98%存在し得る。
【0115】
経口投与のための錠剤およびカプセルは、単位用量提示形態であってもよく、また結合剤、例えば、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、もしくはポリビニルピロリドン;充填剤、例えば、ラクトース、糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトール、もしくはグリシン;錠剤潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、もしくはシリカ;崩壊剤、例えば、ジャガイモデンプン;またはラウリル硫酸ナトリウムなどの許容される湿潤剤などの従来の賦形剤を含有してもよい。錠剤は、通常の薬務で周知の方法に従ってコーティングされてもよい。
【0116】
経口液体調製物は、例えば、水性もしくは油性懸濁液、溶液、乳剤、シロップ、もしくはエリキシル剤の形態であってもよく、または使用前に水もしくは他の好適なビヒクルとの再構成のための乾燥生成物として提示されてもよい。そのような液体調製物は、懸濁剤(例えば、ソルビトール、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、または硬化食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、またはアカシアなど);非水性ビヒクル(食用油を含んでもよい)(例えば、アーモンドオイル)、油性エステル(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、またはエチルアルコールなど);防腐剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピル、またはソルビン酸)、および必要に応じて従来の香味剤または着色剤などの従来の添加剤を含有してもよい。
【0117】
非経口投与のために、化合物および滅菌ビヒクル(典型的には水)を利用して流体単位剤形が調製される。化合物は、使用されるビヒクルおよび濃度に応じて、ビヒクルまたは他の好適な溶媒中に懸濁または溶解することができる。溶液を調製する際に、化合物は、注射用の水の中に溶解され、濾過滅菌された後に、好適なバイアルまたはアンプルの中へと充填され、密封することができる。有利なことに、局所麻酔薬、防腐剤、および緩衝剤などの薬剤をビヒクル中に溶解することができる。安定性を高めるために、組成物を、バイアルの中へと充填した後凍結し、真空下で水を除去することができる。次いで、乾燥した凍結乾燥粉末はバイアル内に密封され、使用前に液体を再構成するための付随する注射用の水のバイアルが供給されてもよい。非経口懸濁液は、化合物が溶解される代わりにビヒクル中に懸濁すること、および濾過によって滅菌を達成することができないことを除いて、実質的に同じ方法で調製される。化合物は、滅菌ビヒクル中に懸濁する前に酸化エチレンに曝露することによって滅菌することができる。有利にも、界面活性剤または湿潤剤が組成物中に含まれ、化合物の均一な分布を容易にする。
【0118】
組成物は、例えば、投与方法に応じて、約0.1重量%〜約100重量%の活性物質を含有してもよい。組成物が投与量単位を含む場合、各単位は、例えば、約0.5〜1000mgの活性成分を含有する。成人のヒト治療に用いられる投与量は、例えば、投与の経路および頻度に応じて、1日当たり約10〜3000mgの範囲である。
【0119】
必要に応じて、本発明の化合物は、1つ以上の追加の抗菌剤(「追加の活性剤」)と組み合わせて投与されてもよい。追加の活性剤と組み合わせた本発明の化合物のそのような使用は、同時に、別々に、または連続して使用するためのものであってもよい。
【0120】
以下に提供される実施例および調製物は、本発明の化合物およびそのような化合物の調製方法をさらに例示および実証する。本発明の範囲は、以下の実施例および調製物の範囲によって何ら限定されるものではないことを理解されたい。以下の実施例では、特に断りのない限り、単一のキラル中心を有する分子は、ラセミ混合物として存在する。特に断りのない限り、2つ以上のキラル中心を有するこれらの分子は、ジアステレオマーのラセミ混合物として存在する。単一のエナンチオマー/ジアステレオマーは、当業者には公知の方法によって得られてもよい。
【実施例】
【0121】
実験手順
実験は、一般に、不活性雰囲気(窒素またはアルゴン)下で、特に酸素または湿気感受性試薬または中間体を用いた場合、実施した。市販の溶媒および試薬は、適切な場合には、無水溶媒を含み、一般にさらに精製することなく使用した(一般に、Aldrich Chemical Company(Milwaukee,Wisconsin)製のSure−Seal(商標)製品)。質量分析データは、液体クロマトグラフィー−質量分析(LCMS)または大気圧化学イオン化(APCI)のいずれかから報告される。核磁気共鳴(NMR)データの化学シフトは、用いられる重水素化溶媒からの残留ピークを参照した百万分率(ppm、δ)で表される。融点は補正されない。低分解能質量スペクトル(LRMS)を、化学イオン化(アンモニウム)を利用するHewlett Packard 5989(登録商標)、またはイオン化剤として0.1%のギ酸を有するアセトニトリル/水の50/50混合物を使用するFisons(もしくはMicro Mass)大気圧化学イオン化(APCI)プラットフォームのいずれかで記録した。室温または周囲温度は、20〜25℃を指す。
【0122】
他の実施例における手順を参照する合成の場合、反応条件(反応の長さおよび温度)は異なる場合がある。一般に、反応に続いて、薄層クロマトグラフィーまたは質量分析を行い、適切な場合には精密検査に供した。精製は、実験間で異なる場合があり、一般に、溶媒、および溶離剤/勾配に使用される溶媒比は、適切なRsまたは保持時間を提供するように選ばれた。
【0123】
上記の考察および以下の実施例において、以下の略語は、以下の意味を有する。略称が定義されていない場合、その一般的に許容されている意味を有する:大気圧化学イオン化(APCI);水性(aq);重陽子クロロホルム(CDCl);2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン(CDMT);重陽子メタノール(CDOD);ジクロロメタン(DCM);ジメチルホルムアミド(DMF);ジメチルスルホキシド(DMSO);酢酸エチル(EtOAc);グラム(g);時間(h、hr、hrs);塩酸(HCl);高圧液体クロマトグラフィー(HPLC);水酸化カリウム(KOH)、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、脱離基(Lg)、水酸化リチウム(LiOH)、メタ−クロロ過安息香酸(mCPBA)、硫酸マグネシウム(MgSO)、分(min)、水酸化ナトリウム(NaOH)、パラジウム(Pd);酢酸パラジウムおよびBINAP、ポリ尿素マトリックス中にマイクロカプセル化、0.39mmol/g Pd装填BINAP 0.25、Pd 1.0(Pd EnCat(商標));ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリド(Pd(dppf)Cl)、保持因子(R);保持時間(rt);室温(RT);トリフルオロ酢酸(TFA)、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒロピラニル(tetrahyropyranyl)(THP)、テトラメチルシラン(TMS);理論収量(TY);およびウリジン5’−二リン酸塩(UDP)。
【0124】
出発物質の調製
調製物1および調製物1A。
(+/−)−4−ブロモ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸エチル、ならびに個々のエナンチオマー(R)および(S)。
ステップA)2−(メチルスルホニル)プロピオン酸エチル
【化37】
ナトリウムメチルスルフィネート(103g、937mmol)を、500mLの一口丸底フラスコ内で、エタノール(350mL)中の2−クロロプロピオン酸エチル(109g、892mmol)と組み合わせた。反応物を77℃まで20時間温め、次いで室温まで冷却させた。セライトを通した濾過によって固体を除去し、フィルタパッドをエタノールで洗浄し、組み合わせた濾液を真空下で濃縮した。粗生成物をジエチルエーテル(250mL)中に懸濁し、固体を濾過によって除去した。濾液を真空下で濃縮して、淡黄色油として表題化合物を得た(51g、73%)。H NMR(CDCl,400MHz)δ ppm 1.32(t,J=7.05Hz,3 H)1.67(d,J=7.47Hz,3 H)3.05(s,3 H)3.83−3.92(m,1 H)4.18−4.37(m,2 H).
【0125】
ステップB)(+/−)−4−ブロモ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸エチル
水素化ナトリウム(鉱物油中60%分散体、2.33g、58.3mmol)を、窒素下で100mLの二口丸底フラスコ内のヘキサン(2×10mL)で洗浄し、次いでDMF(30mL)中に懸濁した。懸濁液をDMF(10mL)中の2−(メチルスルホニル)プロピオン酸エチル(10.0g、55.49mmol)で滴下処理した。混合物を室温で30分間撹拌し、0℃まで冷却し、1,2−ジブロモエタン(5.17mL、58.8)で滴下処理した。混合物を一晩撹拌しながら室温まで温めた。混合物を飽和塩化アンモニウム(100mL)でクエンチし、混合物をジエチルエーテル(4×50mL)で抽出した。組み合わせた有機物を50%飽和塩化ナトリウム(4×50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濾液を真空下で濃縮した。10〜20%EtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲル(350g、230〜400メッシュ)上で粗物質をクロマトグラフして、淡黄色油として表題化合物を得た(7.9g、50%)。H NMR(CDCl,400MHz)δ ppm 1.33(t,J=7.05Hz,3 H)1.64(s,3 H)2.49−2.59(m,1 H)2.78(ddd,J=13.89,10.16,6.64Hz,1 H)3.05(s,3 H)3.33−3.41(m,1 H)3.46−3.54(m,1 H)4.22−4.37(m,2 H).
【0126】
ステップC)(+/−)−4−ブロモ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸エチルのキラル分離
粗(+/−)−4−ブロモ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸エチル(1.82kg)を、LP−600カラムおよびトルエンを溶離液として使用したフラッシュクロマトグラフィーを介して精製して、純粋な(+/−)−4−ブロモ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸エチル(1.63kg)を得た。精製した物質をエタノール(75g/L)中に溶解し、MCC−2上のキラルマルチカラムクロマトグラフィー(表1に列挙される条件)を介して分解して、エナンチオマー1(738.4g、rt=4.719分、[α]58920=+14.1°)を99%のエナンチオマー純度で、およびエナンチオマー#2(763.8g、rt=4.040分)を95%のエナンチオマー純度で得た。エナンチオマーの純度を、キラルHPLC、4.6×250mm Chiralpak AD、10μカラム、215nmの波長、移動相:エタノール、周囲温度で1mL/分の定組成溶離を介して決定した。
【表1】
【0127】
エナンチオマー1を、(2R)−4−ブロモ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸エチルであると決定した。
【0128】
調製物1B:
(+/−)−4−ブロモ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸ベンジル、ならびに個々のエナンチオマー(R)および(S)
ステップA)2−クロロプロピオン酸ベンジル
ベンジルアルコール(242mL、253g、2.34mol)およびピリジン(204mL、204g、2.57mol)を塩化メチレン(2.5L)中に溶解し、0℃まで冷却した。2−クロロプロパノイルクロリド(250mL、327g、2.57mol)を、0℃〜5℃の温度を保持しながら滴下した。添加後、混合物を一晩室温へと温めた。混合物を20%クエン酸水溶液(2.5L)、飽和NaHCO水溶液(2.5L)、ブライン(2.5L)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空下で濃縮した。得られた褐色液体(450g)を少量の塩化メチレン中に溶解し、シリカゲルの短い経路を通して濾過した。濃縮後、粗生成物をバルブ・ツー・バルブ蒸留(2*10−2mbar、90〜95℃)を介して精製し、淡黄色液体として表題化合物を得た(420g、90%)。H NMR(CDCl,300MHz)δ ppm 1.75(d,3 H,CH),4.45(q,1 H,CHCl),5.25(s,2 H,CH2Ar),7.40(m,5 H,ArH).
【0129】
ステップB)2−(メチルスルホニル)プロピオン酸ベンジル
2−クロロプロピオン酸ベンジルを、調製物1Aにおける2−(メチルスルホニル)プロピオン酸エチルについて概説した一般的な手順に従って表題化合物に変換した。表題化合物を黄色液体として得た(389g、70%)。H−NMR(CDCl、300MHz)δppm 1.65(dt,3 H,CHCH),3.00(s,3 H,SOCH),3.95(q,1 H,CH),5.25(m,2 H,CO2CH2Ar),7.40(m,5 H,ArH)。
【0130】
ステップC)(+/−)−4−ブロモ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸ベンジル
2−(メチルスルホニル)プロピオン酸ベンジルを、調製物1Aにおける(+/−)−4−ブロモ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸エチルについて概説した一般的な手順に従って表題化合物に変換した。表題化合物を淡黄色液体として得た(300g、58%)。H NMR(CDCl,300MHz)δ ppm 1.70(s,3 H,CH),2.60(m,1 H,CHCHBr),2.80(m,1 H,CHCHBr),3.00(s,3 H,SOCH3),3.35(m,1 H,CHCHBr),3.50(m,1 H,CHCHBr),5.30(m,2 H,COCHAr),7.40(m,5 H,ArH)。
【0131】
ステップD)(+/−)−4−ブロモ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸ベンジルのキラル分離
【化38】
(+/−)−4−ブロモ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸ベンジル(275g)をイソプロパノール/アセトニトリル(900mL)中に溶解し、分析SFC−4器具、AS−Hカラム(30×250)、CO/プロパノール(90/10)移動相を使用して、流速120g/分で分解して、エナンチオマー1(98g、rt=3.09分、[α]58920=−13.9)を99.94%のエナンチオマー純度で、およびエナンチオマー2(101.5g、保持時間=4.18分、[α]58920=+11.61)を97.77%のエナンチオマー純度で得た。
(S)−4−ブロモ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸ベンジル
H NMR(CDCl,400MHz)δ ppm 1.65(s,3 H)2.48−2.60(m,1 H)2.74−2.86(m,1 H)2.95(s,3 H)3.25−3.37(m,1 H)3.40−3.52(m,1 H)5.16−5.31(m,2 H)7.31−7.40(m,5 H).[α]58920=−13.9
(R)−4−ブロモ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸ベンジル
H NMR(CDCl,400MHz)δ ppm 1.67(s,3 H)2.51−2.61(m,1 H)2.75−2.87(m,1 H)2.97(s,3 H)3.28−3.37(m,1 H)3.40−3.60(m,1 H)5.15−5.36(m,2 H)7.30−7.48(m,5 H).[α]58920=+11.61
【0132】
調製物2
以下の反応スキームは、4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブタンアミドおよびその対応するR−エナンチオマーの調製を例示する。調製物2Bにおける反応配列は、所望のエナンチオマーに到達するために、(2R)−4−ブロモ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸ベンジルを出発物質として使用することを除いて同じである。
【化39】
【0133】
化合物VI(T3)の合成:ジアステレオ異性体の混合物としての4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブタンアミド。
【化40】
ステップA)4−ヨードピリジン−2(1H)−オン(化合物III)
2−フルオロ−4−ヨードピリジン(2.21kg、9.91mol)を、機械的に撹拌しながら酢酸(7L)とHO(3.5L)の混合物中に懸濁した。混合物を一晩加熱還流させた。室温まで冷却した後、固体を濾過し、真空下で濃縮した。残渣をEtO(3L)中で撹拌し、表題化合物(1.72kg、7.78mol)を淡黄色固体として濾過によって回収した。H NMR(DMSO−d,300MHz)δ ppm 6.50(d,1 H),6.85(s,1 H),7.15(d,1 H),11.80(s,1 H)。
【0134】
ステップB)化合物IV(T1):4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸エチル(A=Et)
上記のステップAで生成され得る4−ヨードピリジン−2(1H)−オン(3.9g、18mmol)と、周囲温度のテトラヒドロフラン(176mL)中の炭酸セシウム(11.9g、35.3mmol)の混合物に、4−ブロモ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸エチル(6.08g、21.2mmol)(化合物II)を添加した。混合物を50℃まで加熱し、一晩撹拌した。混合物を周囲温度まで冷却させ、セライトパッドを通して濾過した。パッドを塩化メチレンで洗浄し、濾液を真空下で濃縮した。粗生成物油を、ヘプタン/酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーを介して精製した。所望の画分を単離し、回転蒸発を介して溶媒を除去し、固体として4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸エチルを得た。4.73g。LCMS:(M+1)428.2
【0135】
ステップC)化合物(V)T2:4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸
周囲温度のテトラヒドロフラン/メタノール(4:1、60mL)中の、上記のステップBのように生成され得る4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸エチル(3.26g、7.63mmol)の溶液に、水酸化リチウム一水和物(水中0.9M、15.3mmol)の溶液を添加した。得られた混合物を周囲温度で3時間撹拌した。混合物を塩酸水溶液(1N、16mL)で酸性化し、塩化メチレンで3回抽出した。組み合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、固体として4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸を得た。3.05g。LCMS:(M+1)400.1
【0136】
ステップD)化合物(VI)T3:4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブタンアミド
周囲温度の塩化メチレン(75mL)中の、上記のステップCにあるように生成され得る4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸(3.01g、7.54mmol)の溶液に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(2.02g、10.6mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(2.08g、13.6mmol)、トリエチルアミン(1.89mL、13.6mmol)、およびO−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル−ヒドロキシルアミン(1.33g、11.3mmol)を添加した。得られた混合物を周囲温度で一晩撹拌した。混合物を塩化メチレンおよび水で希釈した。相を分離し、水相を塩化メチレンで2回抽出した。有機抽出物を組み合わせ、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して粗残渣とした。粗残渣を、塩化メチレンおよびメタノールで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーを介して精製した。所望の生成物を含有する画分を組み合わせ、濃縮して、固体として4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブタンアミドを得た。3.62g。LCMS:(M−1)497.
【0137】
調製物2B
T6の合成:(2R)−4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブタンアミド
【化41】
ステップA)T4:(2R)−4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸ベンジル
調製物2のステップAにあるように生成され得る4−ヨードピリジン−2(1H)−オン(32.9g、149mmol)と、周囲温度のテトラヒドロフラン(400mL)中の炭酸セシウム(102g、312mmol)の混合物に、(2R)−4−ブロモ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸ベンジル(62.3g、178.4mmol)を添加した。混合物を60℃まで加熱し、一晩撹拌した。混合物を周囲温度まで冷却させ、セライトパッドを通して濾過した。パッドを酢酸エチル(500mL)で洗浄し、濾液を組み合わせ、真空下で濃縮して、オレンジ色油を得た。ヘプタン/酢酸エチルで溶出するシリカゲルパッドを通した濾過を介して粗生成物油を精製した。所望の画分を単離し、回転蒸発を介して溶媒を除去して、白色固体として(2R)−4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸ベンジルを得た。44.91g。NMR(CDCl)δppm 7.39−7.36(5 H,m),7.03(1 H,d,J=1.76 Hz),6.77(1 H,d,J=7.03 Hz),6.41(1 H,dd,J=1.76Hz,J=7.03 Hz),5.21(2 H,d,J=1.56 Hz),4.19−4.12(1 H,m),3.82−3.75(1 H,m),2.97(3 H,s),2.47−2.42(2 H,m),1.73(3 H,s)。
【0138】
ステップB)T5:(2R)−4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸
周囲温度のテトラヒドロフラン(300mL)およびメタノール(300mL)中の、上記のステップAにあるように生成され得る(2R)−4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸ベンジル(44.91g、91.7mmol)の溶液に、水酸化カリウム(水中3.76M、564mmol)を添加した。得られた混合物を周囲温度で16時間撹拌した。回転蒸発を介して溶媒を除去し、残渣を水中に溶解した。水層をジエチルエーテルで洗浄し、次いで濃縮塩酸(約pH2)で酸性化し、白色沈殿物を得た。濾過を介して沈殿物を回収し、水で洗浄し、一定の重量まで真空下で乾燥させて、白色固体として(2R)−4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸を得た。33.2g。LCMS:(M+1)400.4NMR(CDOD)δppm 7.34(1 H,d,J=7.23),7.03(1 H,d,J=1.76),6.69(1 H,dd,J=1.95,J=7.23),4.24−4.16(1 H,m),4.05−3.98(1 H,m),3.14(3 H,s),2.57−2.50(1 H,m),2.35−2.28(1 H,m),1.68(3 H,s)。
【0139】
ステップC)T6:(2R)−4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブタンアミド
周囲温度の塩化メチレン(400mL)中の、上記のステップBにあるように生成され得る(2R)−4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸(33.18g、83.12mmol)の溶液に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(22.3g、116mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(22.9g、150mmol)、トリエチルアミン(20.9mL、150mmol)、およびO−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル−ヒドロキシルアミン(14.6g、125mmol)を添加した。得られた混合物を周囲温度で一晩撹拌した。混合物を塩化メチレンおよび水で希釈した。相を分離し、水相を塩化メチレンで2回抽出した。有機抽出物を組み合わせ、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、かつ濃縮し粗残渣とした。粗残渣を、最小限のメタノールと共に塩化メチレン(約150mL)中に溶解した。この溶液にヘプタン(450mL)を添加し、混合物を真空下で150mLまで濃縮し、濾過した。固体をヘプタンで洗浄し、真空乾燥させて、(2R)−4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブタンアミドを得た。26.1g。LCMS:(M−1)497.6
【0140】
調製物3A:(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミド
【化42】
ステップA)2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−2H−1,2,3−トリアゾールの調製
酢酸カリウム(391mg、3.98mmol)を、バイアル内の1,4−ジオキサン中の2−(4−ブロモフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール(1.0当量)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン(1.20当量)、および[1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)dcm錯体(0.30当量)の溶液に添加した。バイアルに栓をし、80℃まで加熱し、この温度で一晩撹拌した。[1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)dcm錯体(0.30当量)を反応物に添加し、混合物を80℃まで再加熱し、この温度で一晩撹拌を続けた。反応物を冷却し、酢酸エチルおよび水で希釈し、セライトを通して濾過し、フィルタパッドを酢酸エチルで洗浄した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。組み合わせた有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。粗生成物を、Analogix SF15−24gカラムおよび溶離液としてヘプタン中の酢酸エチル(30〜80%)を使用したフラッシュクロマトグラフィーを介して精製して、表題化合物を得て、表題生成物に変換した。標題化合物をオレンジ色固体として得た(240.6mg、78%)LC−MS m/z 272.4(M+1)。H NMR(CDCl,400MHz)δ ppm 1.37(s,12 H)7.83(s,2 H)7.94(d,J=8.59Hz,2 H)8.10(d,J=8.59Hz,2 H)。
【0141】
ステップB)(2R)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブタンアミド
マイクロ波バイアル内のジオキサン:水(4:1)中の炭酸カリウム(2.54当量)、2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−2H−1,2,3−トリアゾール(1.5当量)、および4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブタンアミド(1.0当量)の混合物に、Pd EnCat(商標)(0.08当量)を添加し、反応物を90℃で一晩加熱した。反応物を濾過し、樹脂を酢酸エチルおよび水で洗浄した。濾液を濃縮して乾燥させ、粗生成物を、Analogix SF15−12gカラム上のフラッシュクロマトグラフィーを介して精製し、ヘプタン中の酢酸エチル(0〜80%)で溶出して、表題化合物を得た。表題化合物は、白色固体として得た(101mg、48.8%)LC−MS m/z 514.7(M−1)。
【0142】
ステップC)(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミド
1,4−ジオキサン中のHClの4.0M溶液を、0℃のジクロロメタンと水(5:1)中の(2R)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブタンアミドの溶液にゆっくりと添加した。氷浴を除去し、反応物を室温まで温めさせた。30分後(TLCによって完了)、反応物を濃縮して、固体粗生成物を得た。粗生成物を一晩イソプロパノール中で粉砕した。固体を濾過を介して回収し、イソプロパノール、イソプロパノール:ヘプタン(1:1)、ヘプタン、およびエーテルで洗浄した。表題化合物をオフホワイト色固体として得た(63.7mg、74%)。LC−MS m/z 432.5(M+1)。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.58(s,3 H)2.09−2.25(m,1 H)2.34−2.47(m,1 H)3.11(s,3 H)3.70−3.82(m,1 H)4.04−4.19(m,1 H)6.68−6.73(m,1 H)6.78(d,J=2.15Hz,1 H)7.79(d,J=7.22Hz,1 H)7.95(d,J=8.78Hz,2 H)8.12(d,J=8.59Hz,2 H)8.17(s,2 H)11.15(br.s.,1 H)。
【0143】
調製物3B:(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミド
【化43】
ステップA)(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブタンアミド
Pd EnCat(商標)(200mg、0.06mmol)を、25mLの丸底フラスコ内のジオキサン:水(5.5mL、10:1混合物)中の炭酸カリウム(250mg、1.81mmol)、(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)ボロン酸(113mg、0.602mmol)、および(2R)−4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブタンアミド(300mg、0.602mmol)の混合物に添加した。フラスコを80℃で一晩加熱した。反応物を周囲温度まで冷却し、セライトを通して濾過し、酢酸エチル(20mL)で洗浄した。粗物質を濃縮して粗生成物を得た。得られた粗物質をシリカゲル上のクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル)によって精製して、粘性の泡状油として表題化合物を得た。収量:132mg、42.6%。MS(APCI)m/z 515.5(M+H)H NMR(CDCl,400MHz)δ ppm 1.54−1.66(m,3 H)1.68(d,J=2.34Hz,3 H)1.71−1.97(m,3 H)2.30−2.44(m,1 H)2.45−2.58(m,1 H)3.18(d,J=3.12Hz,3 H)3.54−3.68(m,1 H)3.92(s,3 H)3.99−4.08(m,1 H)4.11−4.23(m,1 H)4.26−4.40(m,1 H)5.10−5.21(m,1 H)6.42−6.53(m,1 H)6.75(s,1 H)6.77−6.86(m,1 H)7.05−7.17(m,1 H)7.37(d,J=7.02Hz,1 H)12.10(d,J=7.61Hz,1 H)。
【0144】
ステップB)(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミド
1.0MのHCl水溶液(2.76mL)を、1,4−ジオキサン(15mL)中の(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブタンアミド(132mg、0.26mmol)の溶液に室温でゆっくりと添加した。反応物を室温で一晩撹拌させた。18時間後、反応物を元の体積の25%に濃縮し、白色沈殿物を得た。ブフナー漏斗を介して沈殿物を濾過し、ヘキサン(20mL)で洗浄して、白色固体を得た。収量45mg、41%。MS(APCI)m/z 431.1(M+H)。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.55(s,3 H)2.14(td,J=12.20,4.88Hz,1 H)2.35−2.45(m,1 H)3.08(s,3 H)3.72(td,J=12.05,4.78Hz,1 H)3.90(s,3 H)4.09(td,J=11.90,5.27Hz,1 H)6.46(dt,J=7.02,1.85Hz,1 H)6.54(s,1 H)7.03−7.17(m,1 H)7.37(td,J=8.63,2.24Hz,1 H)7.72(d,J=7.22Hz,1 H)9.22(br.s.,1 H)11.10(s,1 H)。
【0145】
調製物3C:(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミド
【化44】
ステップA)2−(4−ブロモフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール1−オキシド
水(20mL)を、グリオキサール(2.0g、14mmol)を含むフラスコに添加した。ヒドロキシルアミン.HCl(958mg、13.8mmol)および炭酸ナトリウム(1.53g、14.5mmol)を、グリオキサールフラスコに1回で添加した(CO発生が観察された)。反応混合物を室温で20分間撹拌した(反応混合物は黄色になった)。メタノール(40mL)を反応混合物に添加し、4−ブロモフェニルヒドラジン.HCl(3.1g、13.8mmol)を氷冷却下で分割添加した。次いで、反応混合物を室温で30分間撹拌した。硫酸銅(II).六水和物(20g、78mmol)を反応混合物に添加した。水:ピリジン(1:1)混合物(200mL)を添加し、次いで90℃で16時間加熱した。反応混合物を冷却し、6NのHCl(約200mL)でpH=3に調整した。セライトを通して混合物を濾過し、不溶性物質を除去した。セライトを追加の酢酸エチル(1000mL)で洗浄した。有機層を分離し、生成物をEtOAc(3×250mL)で水層からさらに抽出した。有機相を組み合わせ、炭酸カリウム上で乾燥させ、濾過し、約半分の体積まで濃縮した。次いで、この物質を、シリカパッド(約6インチ)を通して濾過した。シリカをさらに300mLの酢酸エチルで洗浄した。次いで、溶媒を真空下で濃縮した。粗物質をシリカゲル上のクロマトグラフィー(4:1ヘプタン:EtOAc〜3:1ヘプタン:EtOAc)によって精製した。濃縮画分は、薄褐色固体(1.0g、30%TY)を得た。MS(LC/MS)m/z 240.1(M+1)。H NMR(CDCl,400MHz)δppm 7.47(d,J=0.98Hz,1 H)7.65−7.69(m,2 H)7.73(d,J=0.78Hz,1 H)7.86−7.90(m,2 H)。
【0146】
ステップB)2−(4−ブロモフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール−4−イルアセテート
塩化アセチル(4.71mL、63mmol)を、2−(4−ブロモフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール1−オキシド(500mg、2.08mmol)を収容するフラスコに添加し、室温で16時間撹拌した。塩化アセチルを真空下で除去し、酢酸エチル(30mL)を添加し、濃縮(2×)して、薄褐色固体(520mg、90%)を得た。MS(LC/MS)m/z 282.1(M+1)。H NMR(CDCl,400MHz)δppm 2.39(s,3 H)7.57−7.63(m,2 H)7.84(s,1 H)7.87−7.93(m,2 H)。
【0147】
ステップC)2−(4−ブロモフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール−4−オール
2−(4−ブロモフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール−4−イルアセテート(520mg、1.84mmol)をメタノール(10mL)および水(10mL)で、続いて1,4−ジオキサン(5mL)で処理した。得られた溶液を水酸化リチウム(265mg、11.1mmol)で処理した。反応混合物を室温で36時間撹拌した。1NのHCl(40mL)を反応混合物に添加し、生成物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。組み合わせた有機相を炭酸カリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗物質をシリカゲル上のクロマトグラフィー(4:1ヘプタン:EtOAc 1:4ヘプタン:EtOAc)によって精製して、薄褐色固体(440mg、98%TY)を得た。MS(LC/MS)m/z 240.21(M+1).H NMR(CDCl,400MHz)δppm 7.33(s,1 H)7.58(d,J=8.98Hz,2 H)7.78(d,J=8.98Hz,2 H).
【0148】
ステップD)2−(4−ブロモフェニル)−4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール
2−(4−ブロモフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール−4−オール(200mg、0.833mmol)を、セプタキャップを備えた20mLのバイアルの中へと計量した。THF(10.0mL)を添加した。これに炭酸セシウム(814mg、2.5mmol)を添加し、続いてシリンジを介してヨウ化メチル(65.8uL、1.04mmol)を添加した。反応物を60℃で16時間加熱した。水(20mL)を添加し、生成物を酢酸エチル(2×75mL)で抽出した。有機相を組み合わせ、炭酸カリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、薄褐色固体(190mg、89%TY)を得た。H NMR(CDCl,400MHz)δppm 4.04(s,3 H)7.30(s,1 H)7.56(d,J=8.98Hz,2 H)7.84(d,J=8.98Hz,2 H)。
【0149】
ステップE)4−メトキシ−2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−2H−1,2,3−トリアゾール
酢酸カリウム(220mg、2.24mmol)を、セプタキャップを備えた20mLのバイアル内の2−(4−ブロモフェニル)−4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール(190mg、0.748mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(228mg、0.898mmol)、およびPd(dppf)Cl.DCM錯体(185mg、0.224mmol)に添加した。バイアルを空にし、窒素3×で再充填した。これに1,4−ジオキサン(8mL)を添加した。反応混合物を80℃で16時間加熱した。反応混合物を、セライト(約2インチ)を通して濾過した。セライトを追加の酢酸エチル(150mL)で洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、粗物質をシリカゲル上のクロマトグラフィー(9:1ヘプタン:EtOAc〜2:4ヘプタン:EtOAc)によって精製して、薄褐色固体(145mg、65%TY)を得た。MS(LC/MS)m/z 302.3(M+1)。H NMR(CDCl,400MHz)δppm 1.37(s,12 H)4.06(s,3 H)7.31(s,1 H)7.90(s,2 H)7.95(s,2 H)。
【0150】
ステップF)(2R)−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブタンアミド
Pd EnCat(商標)(98mg、0.03mmol)を、20mLのバイアル内のジオキサン:水(6mL、5:1)中の炭酸カリウム(171mg、1.24mmol)、4−メトキシ−2−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−2H−1,2,3−トリアゾール(138mg、0.457mmol)、および(2R)−4−(4−ヨード−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブタンアミド(190mg、0.381mmol)の混合物に添加した。反応物を冷却し、セライト(約1インチ)を通して濾過した。セライトを追加のメタノール(100mL)で洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、粗物質をシリカゲル上のクロマトグラフィー(4:1ヘプタン:EtOAc〜100%EtOAc〜85%EtOAc:15%メタノール)によって精製して、薄褐色ガム(120mg、58%TY)を得た。MS(LC/MS)m/z 546.2(M+1)。H NMR(CDOD,400MHz)δppm 1.28(s,1 H)1.57−1.70(m,2 H)1.68−1.81(m,3 H)1.78−1.92(m,3 H)2.36−2.50(m,1 H)2.55−2.72(m,1 H)3.09−3.21(m,3 H)3.56−3.70(m,1 H)4.07(s,3 H)4.12(d,J=7.22Hz,2 H)4.15−4.25(m,1 H)4.25−4.42(m,1 H)5.01−5.14(m,1 H)6.76−6.85(m,1 H)6.87(s,1 H)7.49(s,1 H)7.68−7.80(m,1 H)7.85(d,J=9.17Hz,2 H)8.08(d,J=8.98Hz,2 H)。
【0151】
ステップG)(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミド
(2R)−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブタンアミド(120mg、0.22mmol)に、ジオキサン(2mL)、ジクロロメタン(2mL)、および水(1mL)を添加した。反応フラスコを氷で外部冷却し、次いでジオキサン(0.55mL)中の4.0MのHClで処理した。反応混合物を15分間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。イソプロパノール(10mL)を添加し、濃縮していかなる残りの水も共沸させて、褐色固体(80mg、80%TY)を得た。MS(LC/MS)m/z 462.3(M+1)。H NMR(CDOD,400MHz)δppm 1.74(s,3 H)2.34−2.51(m,1 H)2.55−2.81(m,1 H)3.13(s,3 H)3.96−4.06(m,1 H)4.07(s,3 H)4.26−4.45(m,1 H)6.84−7.00(m,2 H)7.49(s,1 H)7.75−7.93(m,3 H)8.09(d,J=8.78Hz,2 H).
【0152】
調製物3D:(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミド
【化45】
表題化合物は、上記の手順に類似した方法で作製することができる。生成物は典型的には、末端ヒドロキサム酸保護基の任意選択的な脱保護とのSuzuki−Miyauraクロスカップリングから導出することができる。ボロン酸またはエステルなどの前駆体またはカップリングパートナーの合成を記載するために使用される方法は、当業者には公知である。保持時間:0.48、質量イオン448。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 1.58(s,3 H)2.18(td,J=12.05,4.98Hz,1 H)2.40−2.48(m,1 H)3.11(s,3 H)3.77(td,J=12.15,5.37Hz,1 H)4.08−4.19(m,1 H)6.72(dd,J=7.22,2.15Hz,1 H)6.79(d,J=2.15Hz,1 H)7.80(d,J=7.22Hz,1 H)7.84。
【0153】
調製物4A:(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミド
【化46】
ステップA:4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−メトキシピリミジンの調製
【化47】
以下の反応を2つの別々のランで同じスケールで実施し、ラン間の差は加熱方法および加熱時間であった。2−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール(619mg、2.28mmol)と4−クロロ−6−メトキシピリミジン(300mg、2.08mmol)の混合物に、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)(150mg、0.21mmol)を添加し、次いで1,2−ジメトキシエタン(6mL)、エタノール(2mL)、および2.0M炭酸ナトリウム水溶液(3.1mL)を添加した。反応混合物をマイクロ波で120℃において15分間加熱したか、あるいは120℃の油浴で1時間加熱した。反応混合物を、勾配溶出を使用してシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc、0〜100%)によって精製した。画分を含有する生成物を真空下で濃縮して、表題化合物を得た(マイクロ波加熱からの収量130mg、収率25%、油浴加熱からの収量80mg、収率15%)。H NMR(400MHz,CDCl)δppm 8.86−8.90(m,1 H),8.21(m,4 H),7.87(s,2 H),7.15−7.18(m,1 H),4.06(s,3 H)。
【0154】
ステップB:6−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)ピリミジン−4(3H)−オンの調製
【化48】
酢酸(6mL)中の4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−メトキシピリミジン(210mg、0.829mmol)の溶液に、臭化水素酸(0.533mL)を添加した。反応混合物を85℃で一晩加熱し、次いで真空下で濃縮した。EtOAcを残渣に添加し、次いで混合物を真空下で濃縮して、表題化合物を得た。生成物を次のステップで使用した。
【0155】
ステップC:(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸エチルの調製
【化49】
アセトニトリル(10mL)中の6−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)ピリミジン−4(3H)−オン(260mg、1.09mmol)、(R)−4−ブロモ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸エチル(344mg、1.20mmol)、炭酸カリウム(451mg、3.26mmol)、およびテトラブチルアンモニウムブロミド(35.9mg、0.11mmol)の懸濁液を1時間還流させた。白色沈殿物が形成され、LC/MSは生成物がないことを示し、そのため追加のアセトニトリルを添加した(10mL)。反応混合物を一晩還流させた。LC/MSは、2つの生成物(O−アルキル化およびN−アルキル化生成物)の混合物が形成されたことを示す。反応混合物を冷却させ、次いで真空下で濃縮した。残渣を、塩化メチレンで溶出した小さいシリカゲルカラムを通して濾過し、濾液を真空下で濃縮した。次いで、得られた残渣を、勾配溶出を使用したシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc、40〜100%EtOAc)によって精製した。第1の生成物(O−アルキル化)は50%ヘプタン/EtOAc中で溶出し、一方で第2の生成物(所望のN−アルキル化)を20%ヘプタン/80%EtOAc中で溶出した。画分を含有する生成物を真空下で濃縮して、表題化合物を得た(160mg、収率33%)。
【0156】
ステップD:(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸の調製
【化50】
2−メチルテトラヒドロフラン(5mL)中の(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸エチル(160mg、0.359mmol)の溶液に、水酸化リチウム(43.0mg、1.80mmol)の溶液を添加した。反応混合物を50℃で一晩加熱し、LC/MSは、生成物が形成されたことを示す。混合物を冷却させ、次いで層を分離した。有機層を1N水酸化ナトリウム(4mL)で処理した。組み合わせた水層を3Nの塩酸でpH2に酸性化した。白色のクリーム状固体が形成され、濾過によって回収され、乾燥させて、表題化合物を得た(100mg、収率67%)。
【0157】
ステップE:(2R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−N−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ブタンアミドの調製
【化51】
2−メチルテトラヒドロフラン(5mL)中の(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタン酸(100mg、0.24mmol)の懸濁液に、N−メチルモルホリン(0.04mL、0.36mmol)および2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン(56.5mg、0.312mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いでO−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシルアミン(36.6mg、0.312mmol)を添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、反応混合物を濾過し、真空下で濃縮した。残渣をジクロロメタン中に溶解し、次いで得られた溶液を、勾配溶出を使用したシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc、40〜100%EtOAc)によって精製した。50%EtOAc/50%ヘプタン中で溶出した画分を含有する生成物を真空下で濃縮して、表題化合物を得た(50mg、40%)。
【0158】
ステップF:(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドの調製
【化52】
ジオキサン(5mL)中の(2R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−N−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ブタンアミド(50.0mg、0.10mmol)の溶液に、塩化水素(0.50mmol、ジエチルエーテル中0.125mLの4.0M)を添加した。反応混合物を1時間撹拌し、次いで真空下で濃縮し、残渣を酢酸エチルおよびエタノールで洗浄して、表題化合物を得た(40mg、93%)。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 1.59(s,3 H),2.20(ddd,J=13.22,11.07,4.98Hz,1 H),2.52−2.58(m,1 H),3.10(s,3 H),3.84(ddd,J=12.93,10.88,5.27Hz,1 H),4.09(ddd,J=12.93,10.88,4.68Hz,1 H),7.04−7.07(m,1 H),8.11−8.16(m,2 H),8.19(s,2 H),8.26−8.31(m,2 H),8.52−8.64(m,1 H)。
【0159】
実施例1
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二ナトリウム塩
【化53】
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミド(500mg、1.16mmol)をテトラヒドロフラン(150mL)中で溶解するまで加熱し、その後すぐに室温まで冷却し、トリエチルアミン(3.9mL、28mmol)を添加した。次いで、混合物を−40℃まで冷却し、オキシ塩化リン(0.32mL、3.3mmol)を添加し、混合物を−12℃まで温め、水(20mL)を添加した。混合物を室温まで温め、一晩撹拌した。次いで、溶液を酢酸エチルで抽出し、組み合わせた有機抽出物を水で抽出した。次いで、組み合わせた水層を部分的に蒸発させ、pH=13になるまで4MのNaOHを添加し、水層を蒸発させて、オフホワイト色固体を得た。DMSOと水の1:1混合物を添加し、デカントした後に白色固体を水(10mL)で粉砕して、白色固体を得た。H−NMR(400MHz,DO)δ1.6(s,3 H),2.25(dt,1 H),2.6(dt,1 H),3.25(s,3 H),4.00(dt,1 H),4.25(dt,1 H),6.75(s,1 H),6.85(d,1 H),7.75(d,2 H),7.85(d,1 H),7.9(d,2 H),8.00(s,2 H).m/z(CI)512(M−2Na+3H)。
【0160】
実施例2
(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二ナトリウム塩
【化54】
表題化合物は、(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドを出発物質として使用することによって、実施例1について記載される手順を使用して調製することができる。
【0161】
実施例3
(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二ナトリウム塩
【化55】
表題化合物は、(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドを出発物質として使用することによって、実施例1について記載される手順を使用して調製され得る。
【0162】
実施例4
(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミドホスフェート、二ナトリウム塩
【化56】
表題化合物は、(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミドを出発物質として使用することによって、実施例1について記載される手順を使用して調製することができる。
【0163】
実施例5
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二ナトリウム塩
【化57】
表題化合物は、(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドを出発物質として使用することによって、実施例1について記載される手順を使用して調製することができる。
【0164】
実施例6
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二アンモニウム塩
【化58】
表題化合物は、4MのNaOHの代わりに濃縮水酸化アンモニウム水溶液を使用して、実施例1の化合物と類似した方法で調製することができる。
【0165】
実施例7
(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二アンモニウム塩
【化59】
表題化合物は、4MのNaOHの代わりに濃縮水酸化アンモニウム溶液を使用して、実施例2の化合物と類似した方法で調製することができる。
【0166】
実施例8
(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二アンモニウム塩
【化60】
表題化合物は、4MのNaOHの代わりに濃縮水酸化アンモニウム水溶液を使用して、実施例3の化合物と類似した方法で調製することができる。
【0167】
実施例9
(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミドホスフェート、アンモニウム塩
【化61】
表題化合物は、4MのNaOHの代わりに濃縮水酸化アンモニウム水溶液を使用して、実施例3の化合物と類似した方法で調製することができる。
【0168】
実施例10
(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二アンモニウム塩
【化62】
【0169】
実施例11〜15
実施例11〜15は、4MのNaOHの代わりに4MのKOHを使用して、実施例1〜5の対応する化合物と類似する方法で調製することができる。
実施例11:(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二カリウム塩。
実施例12:(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二カリウム塩。
実施例13:(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二カリウム塩。
実施例14:(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミドホスフェート、二カリウム塩。
実施例15:(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二カリウム塩。
【0170】
実施例16〜20
実施例16〜20は、4MのNaOHの代わりに4MのLiOHを使用して、実施例1〜5の対応する化合物と類似する方法で調製することができる。
実施例16:(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二リチウム塩。
実施例17:(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二リチウム塩。
実施例18:(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二リチウム塩。
実施例19:(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミドホスフェート、二リチウム塩。
実施例20:(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、二リチウム塩。
【0171】
塩の調製に関する一般的な手順I
Dowex−50wx8−100カチオン交換樹脂を水、メタノール、および再び水で洗浄する。次いで、樹脂を適切な金属水酸化物(水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、水酸化アンモニウム、アミノ酸、または有機アミン溶液で処理することによって塩基化し、次いで水で洗浄する。すぐに使用できる樹脂を3分割する。水中の適切なピリジノンまたはピリミジノンヒドロキサム酸ホスフェート塩(アンモニウムもしくは二アンモニウム塩、またはナトリウムもしくは二ナトリウム塩(例えば、実施例1〜10の化合物または対応するモノ塩)など)の溶液に、樹脂を一度に添加する。混合物を10分間撹拌し、次いでそれを濾過し、固体を水ですすぐ。組み合わせた濾液に樹脂の別の部分を添加し、10分間撹拌し、濾過し、固体を水ですすぐ。樹脂の最終部分を添加し、10分間撹拌し、濾過し、固体を水ですすぐ。濾液を真空下で濃縮し、残渣をアセトニトリル中に溶解し、濾過し、濾液を真空下で濃縮する。残渣を塩化メチレン中に溶解し、ヘキサンを添加し、真空下で濃縮して、対応するホスフェートモノ塩またはジ塩を得る。
【0172】
二価カチオン塩の調製に関する一般的な手順II
1当量の適切なピリジノンまたはピリミジノンヒドロキサム酸ホスフェート((R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミドホスフェート、または(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェートなど)を、約10mg/mLの濃度でメタノールなどの好適な溶媒中に取り込み、1当量の対応する酢酸金属(酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、または酢酸マグネシウムなど)で処理する。得られた混合物を周囲温度で数日間撹拌し、次いで真空下で濃縮する。得られた残渣を少量のメタノールで洗浄し、生成物を乾燥させる。
【0173】
以下の実施例21〜23は、一般的な手順IIに従って調製することができる。
実施例21:(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、カルシウム塩。
実施例22:(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、マグネシウム塩。
実施例23:(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、亜鉛塩。
【0174】
一価カチオン塩の調製に関する一般的な手順III
1当量の適切なピリジノンまたはピリミジノンヒドロキサム酸ホスフェート((R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミドホスフェート、または(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェートなど)を、約10mg/mLの濃度でメタノールなどの適切な溶媒中に取り込み、1.0〜1.1当量の適切な対応するアミン(ピロリジン、ピペリジン、ピリジン、モルホリン、ピペラジン、トリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ジエチルアミノ、グリシンなど)で処理する。得られた混合物を周囲温度で数日間撹拌し、次いで真空下で濃縮する。得られた残渣を少量のメタノールで洗浄し、生成物を乾燥させる。
【0175】
以下の実施例24〜27は、一般的な手順IIIに従って調製することができる。
実施例24:(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、ピロリジン塩。
実施例25:(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、トリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩。
実施例26:(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、ジエチルアミン塩。
実施例27:(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドホスフェート、グリシン塩。
【0176】
ボロネートの調製に関する一般的な手順IV
1当量の適切なヒドロキサム酸(例えば、(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミド、(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミド、(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミド、(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}−ブタンアミド、または(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミド)を、水中に懸濁する(約1.5Mの濃度で)。ホウ酸(1.0当量)を添加し、続いて適切な塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化リチウム(1.0当量))を添加する。反応物を室温で約30分間撹拌させる。反応溶液を、テフロン(登録商標)フィルタを介して濾過する。濾液を250mLの丸底フラスコに移し、−78℃で凍結させる。凍結固体を凍結乾燥機上に置き、一晩乾燥させ(真空=0.2mbar)、所望の生成物を得る。
【化63】
【0177】
上記に示される化合物、ナトリウム(R)−5−(4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−(メチルスルホニル)ブタン−2−イル)−2,2−ジヒドロキシ−1,3,4,2−ジオキサザボロール−2−ウイドは、一般的な手順IVに従って、(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドを出発物質として、かつ水酸化ナトリウムを塩基として使用して調製することができる。
【化64】
【0178】
上記に示される化合物、ナトリウム(R)−5−(4−(4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−(メチルスルホニル)ブタン−2−イル)−2,2−ジヒドロキシ−1,3,4,2−ジオキサザボロール−2−ウイドは、一般的な手順IVに従って、(2R)−4−[4−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル]−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドを出発物質として、かつ水酸化ナトリウムを塩基として使用して調製することができる。
【化65】
【0179】
上記に示される化合物、ナトリウム(R)−2,2−ジヒドロキシ−5−(4−(4−(4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−2−(メチルスルホニル)ブタン−2−イル)−1,3,4,2−ジオキサザボロール−2−ウイドは、一般的な手順IVに従って、(2R)−N−ヒドロキシ−4−{4−[4−(4−メトキシ−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]−2−オキソピリジン−1(2H)−イル}−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドを出発物質として、かつ水酸化ナトリウムを塩基として使用して調製することができる。
【化66】
【0180】
上記に示される化合物、ナトリウム(R)−2,2−ジヒドロキシ−5−(2−(メチルスルホニル)−4−(2−オキソ−4−(4−(チアゾール−2−イル)フェニル)ピリジン−1(2H)−イル)ブタン−2−イル)−1,3,4,2−ジオキサザボロール−2−ウイドは、一般的な手順IVに従って、(2R)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)−4−{2−オキソ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニル]ピリジン−1(2H)−イル}ブタンアミドを出発物質として、かつ水酸化ナトリウムを塩基として使用して調製することができる。
【化67】
【0181】
上記に示される化合物、ナトリウム(R)−5−(4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−2−(メチルスルホニル)ブタン−2−イル)−2,2−ジヒドロキシ−1,3,4,2−ジオキサザボロール−2−ウイドは、一般的な手順IVに従って、(R)−4−(4−(4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)−N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)ブタンアミドを出発物質として、かつ水酸化ナトリウムを塩基として使用して調製することができる。
【0182】
生物学的実施例
化合物の生物活性を評価するために、選択された化合物上で選択されたインビトロアッセイを行った。アッセイの1つは、グラム陰性細菌の外膜の構成成分であるリポ多糖LPSの合成を破壊する化合物の能力を測定した。この合成の破壊は、細菌にとって致命的である。アッセイは、LPSの生合成経路における第1の酵素であるLpxCを阻害する化合物の能力を決定した(IC50として測定)。さらに、いくつかの細菌についてMIC(最小阻止濃度)を決定した。具体的なプロトコルは以下に記載される。
【0183】
A)IC50アッセイ、P.aeruginosa由来のLpxC酵素(PA LpxC酵素IC50と標識される):
LpxC酵素アッセイにおけるIC50の決定を、BioTrove RapidFire HTS Mass Spectrometry(aNew Lead Discovery and bInflammation and Infectious Disease,cStructural Chemistry,Schering−Plough Research Institute,Kenilworth,NJ 07033,(BioTrove,Inc.12 Gill St.,Suite 4000,Woburn,MA 01801)を使用して、Malikzay らの2006 Poster,Screening LpxC(UDP−3−O−(R−3−hydroxymyristoyl)−GlcNAc deacetylase)に記載されるものと同様の方法で行った。簡単に説明すると、E.coli過剰発現細菌から精製されたPseudomonas aeruginosa LpxC酵素(0.1nM)を、阻害剤化合物の存在下および非存在下で0.5uMのUDP−3−O−(R−3−ヒドロキシデカノイル)−N−アセチルグルコサミン、1mg/mLのBSA、および50mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)を含有する50uLの最終体積で、25℃においてインキュベートした。1時間の終わりに、5uLの1NのHClを添加して酵素反応を停止し、プレートを遠心分離し、次いでBioTrove Rapidfire HTMS Mass Spectrometry Systemで処理した。変換率の値からIC50値を計算する際に無酵素対照を使用した。
【0184】
B)MIC決定:実施例に記載される化合物の親化合物のインビトロ抗菌活性を、臨床検査標準化委員会(Clinical and Laboratory Standards Institute、CLSI)に従って最小阻止濃度(MIC)試験によって評価した。Clinical and Laboratory Standards Institute.Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria that Grow Aerobically;Approved Standard−Eighth Edition.CLSI document M7−A8[ISBN 1−56238−689−1].Clinical and Laboratory Standards Institute,940 West Valley Road,Suite 1400,Wayne,Pennsylvania 19087−1898 USA,2006、およびClinical and Laboratory Standards Institute.Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing;Twentieth Informational Supplement.CLSI document M100−S20[ISBN1−56238−716−2].Clinical and Laboratory Standards Instituteを参照。
【0185】
MIC決定は、化合物の抗菌活性を評価するための標準的な実験室法である。MICは、一晩のインキュベーション後の細菌の目に見える成長を阻害する最低薬物濃度を表す。MIC値を決定するために、ある範囲の薬物濃度(例えば、0.06μg/mL〜64μg/mL)を、定義された細菌株と共にインキュベートする。典型的には、薬物濃度範囲を、2倍の増分(例えば、0.06μg/mL、0.12μg/mL、0.25μg/mL、0.50μg/mL、1.0μg/mLなど))に分割し、様々な薬物濃度を全て、ほぼ同じ数の細菌と共に一晩個別にインキュベートする。次いで、各濃度での薬物効果を目視検査し、無薬物対照と比較して細菌成長を阻害した最低薬物濃度を特定することによって、MICを決定する。典型的には、細菌はMICよりも低い薬物濃度で成長し続け、MIC以上の濃度では成長しない。
【0186】
以下の表2に記載されるMIC値は、各試験化合物を重複して評価したアッセイに由来する。重複値が0〜2倍変化した場合、2つの値のうちより低い値を以下に報告した。一般的に言えば、重複値が2倍以上変化する場合、アッセイを無効とみなし、重複ラン間の変化が2倍以下になるまで繰り返した。上記で参照したCLSIガイドラインに従って、対照生物および参照化合物の両方を各MICアッセイで利用して、適切な品質管理を提供した。これらの対照生物および参照化合物を用いて生成されたMIC値は、アッセイが有効であると見なされ、かつ本明細書に含まれるために、定義された範囲内に収まることが要求された。当業者であれば、MIC値が実験毎に異なる可能性があり、かつ実際に異なることを認識するであろう。一般的に言えば、MIC値は、実験毎に+/−2倍変化することが多いことが認識されるべきである。各化合物および各微生物について単一のMICが報告されているが、読者は、各化合物が1回のみ試験されたと結論付けるべきではない。複数の化合物を複数の試験に供した。表2に報告されるデータは、化合物の相対活性を反映しており、異なるMICは、上記のガイドラインに従ってこれらの場合に生成された可能性がある。
【0187】
以下の細菌株をこれらMIC決定に使用した:
1)Pseudomonas aeruginosa UI−18:野生型、表2においてPA−7と標識、
2)Acinetobacter baumannii/haemolyticus:表2においてAB−3167と標識される多剤耐性臨床単離株、
3)Escherichia coli EC−1:VOGEL、表2においてEC−1と標識されるマウス病原性、
4)Klebsiella pneumoniae:シプロフロキサシン耐性単離株、基質特異性拡張型ベータ−ラクタマーゼ(ESBL)を発現する、臨床単離株であり、表2においてKP−3700と標識。
【0188】
以下の表2は、実施例1〜32の化合物を調製するために使用される親化合物について得られた結果を示す。特定の表項目が空白のままになっている場合、データは現在利用できない。
【0189】
列1は、実施例番号に関連する親化合物に対応し、列2は、IUPAC名を提供し、列3は、上記のLpxC酵素アッセイからの結果を提供し、列4〜7は、上記のMICデータを提供する。
【表2】
【国際調査報告】