(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-518419(P2021-518419A)
(43)【公表日】2021年8月2日
(54)【発明の名称】美容用局所適用のための乾燥フィルムの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20210705BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20210705BHJP
A61K 8/40 20060101ALI20210705BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20210705BHJP
A61K 8/33 20060101ALI20210705BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20210705BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20210705BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20210705BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20210705BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20210705BHJP
A61Q 19/06 20060101ALI20210705BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20210705BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/73
A61K8/40
A61K8/34
A61K8/33
A61K8/60
A61K8/44
A61K8/37
A61Q19/00
A61Q19/08
A61Q19/06
A61Q19/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2020-551323(P2020-551323)
(86)(22)【出願日】2019年3月26日
(85)【翻訳文提出日】2020年9月24日
(86)【国際出願番号】EP2019057527
(87)【国際公開番号】WO2019185597
(87)【国際公開日】20191003
(31)【優先権主張番号】1870340
(32)【優先日】2018年3月26日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520360648
【氏名又は名称】ソシエテ アンデュストリエル リムジン ダプリカシオン ビオロジック
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ポーフィック,ジャン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA031
4C083AA111
4C083AB431
4C083AB441
4C083AC071
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4C083AD262
4C083AD302
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4C083AD342
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4C083AD352
4C083AD392
4C083AD412
4C083BB01
4C083BB51
4C083CC07
4C083DD12
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE14
4C083EE16
(57)【要約】
【課題】美容用局所適用のための乾燥フィルムの使用に関する。
【解決手段】本発明は、皮膚の非治療的美容局所処置のための、水分活性が0.6未満である乾燥フィルムの使用に関し、乾燥フィルムは、少なくとも1つの天然由来ポリマー、少なくとも1つの鉱物賦形剤、少なくとも1つの可塑剤、および少なくとも1つの界面活性剤を含む。乾燥フィルムは、皮膚に適用した場合、潤いを与える効果および皮脂防止効果を有する。本発明はまた、皮膚の非治療的美容処置方法にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康な皮膚の局所美容処置のための、水分活性が0.6未満である乾燥可溶性フィルムの使用であって、乾燥可溶性フィルムは、
・前記乾燥フィルムの少なくとも5重量%に相当する少なくとも1つの鉱物賦形剤と、
・前記乾燥フィルムの少なくとも15重量%に相当する少なくとも1つの天然由来ポリマーと、
・前記乾燥フィルムの少なくとも20重量%に相当する少なくとも1つの可塑剤と、
・前記乾燥フィルムの少なくとも0.1重量%に相当する少なくとも1つの界面活性剤と、を含む、使用。
【請求項2】
皮膚に潤いを与える健康な皮膚の局所美容処置のための、請求項1に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項3】
前記美容処置が皮脂防止処置であることを特徴とする、請求項1または2に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項4】
皮膚を滑らかにする健康な皮膚の局所美容処置のための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項5】
顔色の輝きを改善させる健康な皮膚の局所美容処置のための、請求項1〜4のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項6】
前記美容処置がしわ防止処置であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項7】
前記美容処置が老化防止処置であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項8】
前記美容処置が脱色素化処置であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項9】
前記美容処置がくま防止処置であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項10】
前記美容処置が、目の下のむくみに対する処置であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項11】
前記美容処置が、皮膚欠陥に対する処置であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項12】
前記美容処置が鎮静処置であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項13】
前記美容処置がセルライト防止処置であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項14】
前記鉱物賦形剤は、カオリン、タルク、ナトリウムモントモリロナイトまたはカルシウムモントモリロナイト、雲母、イライト、パーライト、珪藻、カリウム塩、ナトリウム塩またはカルシウム塩、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項15】
前記乾燥フィルムは、5〜75重量%の鉱物賦形剤を含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項16】
前記天然由来ポリマーは、植物または藻類または微生物から抽出されるポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項17】
前記天然由来ポリマーは多糖類であることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項18】
前記天然由来ポリマーが、プルラン、セルロース、キトサン、アカシアガム、グアーガム、タラガム、ジェランガム、コンニャクガム、キサンタンガム、ペクチン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、多糖類、カラギーナン、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項19】
15〜75重量%の天然由来ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項20】
尿素、グリセロール、グリセロールのエステルおよびエーテル、単糖類、ソルビトール、スクロース、アミノ酸、ブチレングリコールまたはプロピレングリコールなどのグリコール、脂肪アルコール、塩、乳酸エステルおよびエーテル、ならびにこれらの混合物から選択される少なくとも1つの可塑剤を含むことを特徴とする、請求項19に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項21】
少なくとも1つの美容有効成分も含むことを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項22】
0.5〜25重量%の少なくとも1つの美容有効成分を含むことを特徴とする、請求項21に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項23】
潤いを与える、および/もしくは滑らかにする、および/もしくは前記顔色の輝きを改善する、ならびに/または皮脂防止および/もしくはしわ防止および/もしくは老化防止および/もしくは脱色素化および/もしくはくま防止および/もしくは目の下のむくみ防止および/もしくは皮膚欠陥防止および/もしくは鎮静および/もしくはセルライト防止効果を有する美容有効成分から選択される、少なくとも1つの有効成分を含むことを特徴とする、請求項21または請求項22のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項24】
前記乾燥フィルム中に存在する前記美容有効成分(複数可)の経皮浸透を促進するための、請求項21〜23のいずれか一項に記載の乾燥可溶性フィルムの使用。
【請求項25】
健康な皮膚を処置するための美容方法であって、水分活性が0.6未満である乾燥可溶性フィルムを皮膚に少なくとも1回、5〜30分間適用することを伴い、前記乾燥フィルムは、
・前記乾燥フィルムの少なくとも5重量%に相当する少なくとも1つの鉱物賦形剤と、
・前記乾燥フィルムの少なくとも15重量%に相当する少なくとも1つの天然由来ポリマーと、
・前記乾燥フィルムの少なくとも20重量%に相当する少なくとも1つの可塑剤と、
・前記乾燥フィルムの少なくとも0.1重量%に相当する少なくとも1つの界面活性剤と、を含む、美容方法。
【請求項26】
潤いを与える、および/もしくは滑らかにする、および/もしくは顔色の輝きを改善する効果のため、ならびに/または皮脂防止および/もしくはしわ防止および/もしくは老化防止および/もしくは脱色素化および/もしくはくま防止および/もしくは目の下のむくみ防止および/もしくは皮膚欠陥防止および/もしくは鎮静および/もしくはセルライト防止効果のための、請求項25に記載の健康な皮膚を処置するための美容方法。
【請求項27】
前記乾燥可溶性フィルムを皮膚に少なくとも1回、10〜30分間適用することを伴う、請求項25または請求項26のいずれか一項に記載の健康な皮膚を処置するための美容方法。
【請求項28】
蓄積効果、すなわち治癒効果を得るために、前記乾燥可溶性フィルムを皮膚に少なくとも週2回適用することを伴う、請求項25〜27に記載の健康な皮膚を処置するための美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容用途のための、美容有効成分を含むかまたは含まない特定の乾燥フィルムの使用に関する。本発明はまた、皮膚を非治療的に処置するための美容方法に関し、この方法には、かかる乾燥フィルムを健康な皮膚に特定の条件下で適用することを伴う。
【背景技術】
【0002】
今日では、健康な皮膚、特に顔の皮膚の手入れを目的とした様々な種類のマスクがあり、これには、クリームマスク、泥マスク、ゲルマスク、および剥離式マスクが含まれる。これらのマスクはいずれも皮膚のタイプに応じて選択される。しかし、これらのマスクには美容有効成分がほとんどまたは全く含有されていない。化粧水を含浸させた極細素材が含まれた、アジア式美容法に着想を得たシートマスクもある。これらのマスクの中には、その組成に活性物質が存在することを主張しているものがいくつかあるものの、皮膚における有効成分のバイオアベイラビリティに関する証拠はない。
【発明の概要】
【0003】
したがって、本発明の目的の1つは、健康な皮膚に作用すること、ならびに美容有効成分を含有させた場合に、かかる有効成分の皮膚への浸透をかなりの量および/またはより短時間で促進することができる乾燥美容フィルムを提供すること、すなわち、かかる有効成分の皮膚でのバイオアベイラビリティを改善することである。
【0004】
治療有効成分のバイオアベイラビリティを改善させるための口腔分散性パッチが医療分野で既知である。これらの医療デバイスには、水性媒体との接触時に即時可溶性であり、そのため、水がなくても患者の口で薬用有効成分が直接摂取されるようにできるという特定の特徴がある。しかしながら、この種の口腔分散性パッチは、直ちに崩壊することからマスクとして皮膚に適用することはできず、したがって好適ではない。
【0005】
したがって、目的を達成するため、本発明は、別の溶液、具体的には、局所美容用途のための特定の乾燥フィルムの使用を提案する。
【0006】
フィルム形態のドレッシングは既に存在している。一例は特許FR3029103であり、天然ポリマーと高含有量ミネラルとからなる可溶性フィルムの形態の可溶性粘着ドレッシングを開示しているが、特定の美容用途を開示しておらず、また実証もしていない。
【0007】
本発明によるフィルムは、乾燥フィルムの形態、すなわち、皮膚に適用される製品としてほとんど開発されていない形態であり、かつ、美容有効成分を豊富に含ませることができるという特定の特徴を有する。
【0008】
この乾燥フィルムの構成により、有効成分を含ませずに皮膚に適用した場合は、美容効果を非常に有利に得ることができ、また、かかるフィルムが有効成分を含有する場合は、かかる成分の皮膚におけるバイオアベイラビリティ、ひいては皮膚におけるそれら成分の機能性が著しく促進される。
【0009】
特に、本発明は、健康な皮膚の局所美容処置(すなわち、非治療的処置)のための、水分活性が0.6未満である乾燥フィルムの使用に関し、乾燥フィルムは、
・乾燥フィルムの少なくとも5重量%に相当する少なくとも1つの鉱物賦形剤と、
・乾燥フィルムの少なくとも15重量%に相当する少なくとも1つの天然由来ポリマーと、
・乾燥フィルムの少なくとも20重量%に相当する少なくとも1つの可塑剤と、
・乾燥フィルムの少なくとも0.1重量%に相当する少なくとも1つの界面活性剤と、を含む。
【0010】
本発明による特定の有用な乾燥フィルムは、他の成分、特に少なくとも1つの有効成分を含むことができる。
【0011】
有利なことに、この種の使用により、即時効果と中〜長期的効果の両方の獲得を可能にすることができる。
【0012】
本発明はまた、皮膚を非治療的に処置するための美容方法にも関し、これには、水分活性が0.6未満である乾燥フィルムを少なくとも1回、5〜30分間皮膚に適用することを伴い、かかる乾燥フィルムは、
・乾燥フィルムの少なくとも5重量%に相当する少なくとも1つの鉱物賦形剤と、
・乾燥フィルムの少なくとも15重量%に相当する少なくとも1つの天然由来ポリマーと、
・乾燥フィルムの少なくとも20重量%に相当する少なくとも1つの可塑剤と、
・乾燥フィルムの少なくとも0.1重量%に相当する少なくとも1つの界面活性剤と、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の本発明の詳細な説明から、他の特徴および利点が明らかになるであろう。
【0014】
定義
本発明の意味において「天然由来ポリマー」または「バイオポリマー」は、化学合成によって得られる合成ポリマーとは対照的に、天然原料に由来するポリマーを意味すると理解される。
【0015】
本発明の意味において「フィルム」は、皮膚に一時的に適用され、一定の適用時間後に除去され、かつ、美容効果または皮膚美容効果を示す化粧品を意味すると理解される。フィルムは、例えば、フェイスマスクであってよい。
【0016】
本発明の意味において「美容有効成分」または「美容活性物質」または「有効成分」または「活性物質」は、皮膚に適用した場合に美容上有効である1つ以上の分子を意味すると理解される。
【0017】
本発明の意味において「局所美容用途と適合性がある」とは、物質が皮膚に有害であってはならず、その物質が組成中に存在する結果として望ましくない効果を引き起こしてはならないことを意味すると理解される。したがって、これは、化粧品に関連する欧州規則番号1223/2009に定義される、化粧品として許容される製品である。
【0018】
本発明の意味において「皮膚の非治療的美容処置」は、健康な皮膚での美容処置を意味すると理解される。
【0019】
本発明の意味において「鎮静美容処置」は、皮膚のかゆみ、不快感および皮膚に対する刺激性を緩和する美容処置を意味すると理解される。したがって、快適さのための処置であって、健康回復による皮膚疾患の治療を目的とするものではない。
【0020】
乾燥フィルムの「含水率」は、フィルムに含有される液体水の量(フィルムの総重量に対する水の重量比)を意味すると理解される。
【0021】
本発明は、健康な皮膚を非治療的に局所美容処置するための、水分活性が0.6未満である乾燥可溶性フィルムの使用に関し、乾燥フィルムは、
・少なくとも1つの鉱物賦形剤と、
・少なくとも1つの天然由来ポリマーと、
・少なくとも1つの可塑剤と、
・少なくとも1つの界面活性剤と、を含む。
【0022】
特に、本発明は、この種の乾燥可溶性フィルムを以下の特定美容用途のうち1つ以上のために使用することに関する。
−潤いを与える
−滑らかにする
−顔色の輝きを改善する
−皮脂防止
−しわ防止
−老化防止
−脱色素化
−くま防止
−目の下のむくみ防止
−皮膚欠陥防止
−鎮静化
−セルライト防止。
【0023】
本発明による使用は、好ましくは、潤いを与える、および/または皮脂防止の効果のため、ならびに任意選択で他の1つ以上の特定美容用途、特に上述用途から選択される用途のための、少なくとも1つの使用に関する。
【0024】
本発明による有用な乾燥可溶性フィルムは、有効成分を含有していなくてもこれらの美容効果を示すことができるが、フィルム中に1つ以上の美容有効成分を存在させることによってこれらの効果を強化することができる。これは、乾燥フィルムの特定の構成および特性により、有効成分の経皮バイオアベイラビリティを有意な量で促進することが可能であるためである。水分活性が0.6未満である乾燥フィルムのその構成およびその特性により、かかるフィルムは、皮膚に最適に適用し、容易かつ簡便に使用するための強度および柔軟性を保証する特別な機械的特性を有する。
【0025】
フィルムは、好ましくは水分活性が0.6未満である。当業者に周知のこのパラメータにより、材料中の利用可能な水分の確認が可能になる。これは、LabSwift−AWメーターなど、AWメーターとして知られる装置によって測定することができる。値は単位がなく、0〜1である。
【0026】
美容上の使用が本発明の主題となっている乾燥可溶性フィルムの含水率は、好ましくは乾燥フィルムの総重量の6重量%未満である。このパラメータは、水分活性とは異なり、オーブンで乾燥する前後の逐次秤量によって測定される。
【0027】
美容上の使用が本発明の主題となっている乾燥フィルムの可溶性は、好ましくは、以下の通り決定される:直径3.5cmの円形フィルムを25℃の水20ml中に置いたまま、200rpmで撹拌する。フィルムが1時間未満で完全に溶解した場合、フィルムは本発明の意味において可溶性であるとみなされる。
【0028】
フィルムは、好ましくは、
−べたつかず、脆くなく、
−強度および柔軟性がある。
【0029】
本発明によれば、乾燥フィルムは、皮膚に適用した場合に有利に、
−潤いを与える効果がある、
−皮脂防止効果がある、
−滑らかにする効果がある、
−顔色に輝きを出す効果がある、
−フィルム中に存在する可能性がある有効成分(複数可)の高いバイオアベイラビリティを可能にし、結果として皮膚へのそれらの経皮浸透を促進する、
−皮膚に適用しやすく、皮膚から除去しやすい。
【0030】
これは、有効成分を含まないかまたは任意の美容有効成分を含む場合である。また、フィルム中に存在する有効成分(複数可)の美容有効性に応じて、さらなる美容効果を示すこともできる。
【0031】
したがって、本発明は、フィルム中に存在する美容有効成分(複数可)の経皮浸透を促進するため、フィルムを皮膚上で使用することにも関する。これは、本発明によるフィルムは、皮膚に適用した場合に、含有有効成分が有する皮膚でのバイオアベイラビリティを、先行技術の美容マスクまたは皮膚美容マスクで得られるものより大きくすることができるためである。
【0032】
本発明による乾燥可溶性フィルムは、特に、
−しわ防止効果のため、および/または
−皮膚の輝きを改善するかまたは標準にするため、および/または
−皮膚の色を明るくするため、および/または
−加齢によるしみの色を薄くするため、および/または
−皮膚微小循環を改善するため、および/または
−くまの色を薄くするため、および/または
−むくみを縮小させるため、および/または
−皮膚欠陥を滑らかにするため、および/または
−皮膚の毛穴の大きさを小さくするため、および/または
−にきびができやすい皮膚の欠陥を低減させるため、および/または
−皮膚のバリア効果を改善するため、および/または
−アトピー性の皮膚の快適さを改善するため、および/または
−敏感性皮膚または反応性皮膚の快適さを改善するため、および/または
−皮膚に対する刺激性の徴候を減少させるため、および/または
−皮膚老化の徴候を減少させるため、および/または
−皮膚のセルライト状態を軽減させるため、および/または
−セルライト皮膚の外観を改善するためにも使用され得る。
【0033】
本発明に従って使用される乾燥可溶性フィルムは、好ましくは、0.5〜25%の少なくとも1つの美容有効成分を含む。美容有効成分(複数可)は、既知または未知の美容有効成分から選択することができ、特に、上記フィルムは、潤いを与える、および/もしくは滑らかにする、および/もしくは顔色の輝きを改善する、ならびに/または皮脂防止および/もしくはしわ防止および/もしくは老化防止および/もしくは脱色素化および/もしくはくま防止および/もしくは目の下のむくみ防止および/もしくは皮膚欠陥防止および/もしくは鎮静および/もしくはセルライト防止効果を有する美容有効成分から選択される、少なくとも1つの有効成分を含む。
【0034】
使用は、即時かつ任意選択で単一の効果のためでも、または治癒効果のためでもあり得る。
【0035】
美容上の使用が本発明の主題となっている乾燥可溶性フィルムは、好ましくは、カオリン、タルク、ナトリウムモンモリロナイトもしくはカルシウムモントモリロナイト、雲母、イライト、パーライト、珪藻、カリウム塩、ナトリウム塩またはカルシウム塩、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1つの鉱物賦形剤を含む。鉱物賦形剤は、乾燥フィルムの少なくとも5重量%、好ましくは5%〜75%に相当しうる。これらの鉱物賦形剤は、ナノ粒子の形態にはなく、また化学修飾されていない。
【0036】
天然由来ポリマー(複数可)は、植物または藻類または微生物から抽出されたポリマーから選択される。かかるポリマーは、好ましくは天然由来の多糖類であり、本発明による有用な乾燥フィルム中に存在する天然由来ポリマー(複数可)は、好ましくは、プルラン、セルロース、キトサン、アカシアガム、グアーガム、タラガム、ジェランガム、コンニャクガム、キサンタンガム、ペクチン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、多糖類、カラギーナン、およびこれらの混合物から選択される。乾燥フィルム中の天然由来ポリマーの含有量は、好ましくは乾燥フィルムの15重量%超、好ましくは乾燥フィルムの15〜75重量%である。
【0037】
天然由来ポリマーは、好ましくは水に可溶性である。
【0038】
上述の乾燥可溶性フィルムはまた、他の成分を含み、具体的には、
−局所美容用途に適合し、かつ、フィルムの乾物の10重量%未満、好ましくはフィルムの乾物の2重量%未満に相当する、少なくとも1つの界面活性剤、および
−局所美容用途に適合し、かつ、好ましくは尿素、グリセロール、グリセロールのエステルおよびエーテル、単糖類、ソルビトール、スクロース、アミノ酸、ブチレングリコールまたはプロピレングリコールなどのグリコール、脂肪アルコール、塩、乳酸エステルおよびエーテル、ならびにこれらの混合物から選択される少なくとも1つの可塑剤であって、フィルムの乾物重量に対して20〜80重量%で存在する可塑剤(複数可)を含む。可塑剤は、好ましくは水に可溶性である。
【0039】
しかしながら、乾燥可溶性フィルムは、ポリイソブチレン、ビニルエーテルポリマー、またはポリシロキサンなどの疎水性ポリマーを含まない。
【0040】
本発明はまた、上述の乾燥可溶性フィルムの使用の文脈において、皮膚の非治療的処置のための美容方法も具体的に目的としており、この方法では、好ましくは、潤いを与える、および/もしくは滑らかにする、および/もしくは顔色の輝きを改善する効果のため、ならびに/または皮脂防止および/もしくはしわ防止および/もしくは老化防止および/もしくは脱色素化および/もしくはくま防止および/もしくは目の下のむくみ防止および/もしくは皮膚欠陥防止および/もしくは鎮静および/もしくはセルライト防止効果のために、本発明による有用なフィルムを皮膚に少なくとも1回、5〜30分間適用することを伴う。好ましくはフィルムを適用する前に皮膚を湿らせる。
【0041】
特に好適な適用時間は10〜30分である。
【0042】
フィルムは、例えば、マスクとして使用するために顔に適用することができるが、セルライトまたは欠陥のある領域など、体の他の任意の部分に適用することもできる。したがって、フィルムは、顔または体のどの形状にも合わせられる機械的特性を有する必要がある。顔または体に簡単に適用できるよう柔軟性がなければならない。皮膚に乗せる際、取り扱い中に裂けないよう強度がなければならない。皮膚のあらゆる形状(くぼみ、隆起)に適応するために弾力性がなければならない。
【0043】
蓄積効果、すなわち治癒効果を得るために、フィルムを皮膚に少なくとも週2回適用することが好ましい。
【0044】
ここで、本発明を、乾燥フィルムの実施例およびかかるフィルムの美容有効性を実証する試験結果によって説明する。
【実施例】
【0045】
フィルムのいくつかの例を提示する。
【0046】
実施例1
この実施例では、有効成分を含まないか、または1つもしくは2つの有効成分を含むかのいずれかである、様々なフィルムを提示する。
【0047】
フィルムAは有効成分を含有しない。
【0048】
フィルムBは、有効成分、すなわち、ジペプチドおよびトリペプチドを含有する。フィルムの組成を以下に記載する。
【表1】
【0049】
実施例2
この実施例では、有効成分を含まないか、または1つもしくは2つの有効成分を含むかのいずれかである、様々なフィルムを提示する。
【0050】
フィルムAは有効成分を含有しない。
【0051】
フィルムBは、有効成分、すなわち、グルコース−フルクトースおよびガラクトキシランオリゴ糖を含有する。
【0052】
フィルムCは、有効成分、すなわち、ペプチドを含有する。
【0053】
フィルムDは、有効成分、すなわち、硫酸化されたポリガラクトマンナンおよびガラクタンを含有する。
【0054】
フィルムの組成を以下に記載する。
【表2】
【0055】
実施例3
このフィルムは、有効成分、すなわち、グルコース−フルクトースオリゴ糖を含有する。かかるフィルムの組成を以下に示す。
【表3】
【0056】
実施例4
このフィルムは、有効成分、すなわち、グルコース−フルクトースオリゴ糖を含有する。かかるフィルムの組成を以下に示す。
【表4】
【0057】
実施例5
このフィルムは、有効成分、すなわち、グルコース−フルクトースオリゴ糖を含有する。かかるフィルムの組成を以下に示す。
【表5】
【0058】
実施例6
この実施例では、有効成分を含まないか、または1つもしくは2つの有効成分を含むかのいずれかである、様々なフィルムを提示する。
【0059】
フィルムAは有効成分を含有しない。
【0060】
フィルムBは、有効成分、すなわち、ジペプチドおよびトリペプチドを含有する。
【0061】
フィルムCは、有効成分、すなわち、ポリフェノール酸を含有する。
【0062】
フィルムの組成を以下に記載する。
【表6】
【0063】
実施例7
このフィルムは、有効成分、すなわち、グルコース−フルクトースオリゴ糖を含有する。かかるフィルムの組成を以下に示す。
【表7】
【0064】
実施例8
この実施例のフィルムは、2つの有効成分、すなわち、ガラクトキシランおよびグルコース−フルクトースオリゴ糖を含有する。かかるフィルムの組成を以下に示す。
【表8】
【0065】
実施例9
このフィルムは、2つの有効成分、すなわち、ガラクトキシランおよびグルコース−フルクトースオリゴ糖を含有する。かかるフィルムの組成を以下に示す。
【表9】
【0066】
実施例10
この実施例のフィルムは、2つの有効成分、すなわち、ペプチドおよびグルコース−フルクトースオリゴ糖を含有する。かかるフィルムの組成を以下に示す。
【表10】
【0067】
実施例11
この実施例では、有効成分を含まないか、または1つもしくは2つの有効成分を含むかのいずれかである、様々なフィルムを提示する。
【0068】
フィルムAは有効成分を含有しない。
【0069】
フィルムBは、2つの有効成分、すなわち、ガラクトキシランおよびグルコース−フルクトースオリゴ糖を含有する。
【0070】
フィルムCは、有効成分、すなわち、グルコース、フルクトースおよびガラクツロン酸オリゴ糖を含有する。
【0071】
フィルムDは、有効成分、すなわち、ガラクトマンナンオリゴ糖を含有する。
【0072】
フィルムEは、有効成分、すなわち、マンナン多糖類を含有する。
【0073】
フィルムの組成を以下に記載する。
【表11】
【0074】
実施例12
このフィルムは、2つの有効成分、すなわち、ガラクトキシランおよびグルコース−フルクトースオリゴ糖を含有する。かかるフィルムの組成を以下に示す。
【表12】
【0075】
実施例13
このフィルムはいかなる有効成分も含有しない。かかるフィルムの組成を以下に示す。
【表13】
【0076】
実施例14
このフィルムはいかなる有効成分も含有しない。かかるフィルムの組成を以下に示す。
【表14】
【0077】
実施例15
このフィルムはいかなる有効成分も含有しない。かかるフィルムの組成を以下に示す。
【表15】
【0078】
実施例16
この実施例のフィルムは、2つの有効成分、すなわち、ペプチドおよびグルコース−フルクトースオリゴ糖を含有する。かかるフィルムの組成を以下に示す。
【表16】
【0079】
実施例17
この実施例のフィルムは、2つの有効成分、すなわち、ポリフェノールおよびオリゴフルクトサンを含有する。かかるフィルムの組成を以下に示す。
【表17】
【0080】
先行技術のマスクの例
先行技術のこれらマスクの処方もまた作製される。
【表18】
【表19】
【表20】
【0081】
フィルムの機械的特性
前述のいくつかの実施例の発明によるフィルム、および先行技術に対応するフィルム(FR3029103、D、EおよびFで示されるフィルム)のヤング率を、TAXplusテクスチャアナライザで測定した。
【0082】
TAXplusテクスチャアナライザによって得られる物理的特性は、以下の通りである。
−フィルムの破断に要する最大の力である破断荷重
−公称応力(MPa)=(破断荷重)/(試料断面積)
−試料断面積(mm2)=(幅−6mm)/(厚さ)
−相対的伸び=(伸び)/(長さ−34)
−ヤング率(MPa)=(公称応力)/(相対的伸び)
【0083】
したがって、ヤング率は、フィルムの特性を豊富にする尺度である。値が低いほどフィルムの柔軟性がある。
【0084】
エネルギーは、フィルムの破断に要するエネルギーに対応する。
【0085】
伸びは、フィルムが破断することなく伸びる能力である。
【0086】
結果を下の表に示す。
【表21】
【0087】
フィルムD、EおよびFは、FR3029103に記載されるフィルムに対応するものである。
【0088】
フィルムDは、先行技術によるフィルムの中で最も柔軟性がある(ヤング率は、フィルムEおよびフィルムFの値よりもはるかに低い7.3という値を与える)が、破断が速く(破断に要するエネルギー=4N秒)、あまり弾力性がない(4.5mmの伸び)。
【0089】
本発明の実施例1、2、4、6、10および11はいずれもヤング率によって、先行技術のフィルムよりもヤング率が低いと特徴付けられる。したがって、実施例のフィルムはより柔軟性がある。しかしながら、それらのいずれも破断に要するエネルギーは、先行技術によるエネルギーよりも高い。したがって、それらはより強度がある。最後に、破断するまでの伸びは、先行技術のフィルムの場合よりも大きい。したがって、それらはより延伸可能である。
【0090】
乾燥フィルムの美容有効性を実証する試験
試験−フィルム中の有効成分のバイオアベイラビリティの実証
フィルム中の有効成分のバイオアベイラビリティ特性を評価するために、いくつかの処方を作製しておいた。
【0091】
フィルムが皮膚で活性物質を利用可能にする能力を、活性物質を含有する被験フィルムをブタの耳の皮膚の表面に置いた後、体外で試験した。本試験は、経皮浸透のための基準であるOECD428に基づく。
【0092】
バイオアベイラビリティの試験中である活性物質含有フィルムを10〜20分間皮膚に置く。10〜20分間の接触後、フィルムを取り除き、皮膚表面に存在する分子を除去する。次いで、皮膚の角質層を採取し、これらの層に存在する活性物質を抽出して定量化し、これが、角質層に存在する活性物質の含有量に対応する。
【0093】
各試験を6つの異なる皮膚で3回実施する。
【0094】
試料中の活性物質の用量は、被験活性物質の性質に適合した方法に従って、例えば、フルオロメトリー、クロマトグラフィー、または選択活性物質の用量に好適な他の任意の分析方法によって実行される。
【0095】
結果は、皮膚に置かれた活性物質の量に対する、角質層に存在する活性物質のパーセンテージとして表される。
【0096】
当業者は、角質層における有効成分のバイオアベイラビリティが少なくとも5%である場合は、フィルムが有効成分のバイオアベイラビリティを可能にすると考える。
【0097】
市販の標準的処方と比較するため、実施例に提示される、先行技術のマスクの古典的な3つの処方、すなわち、クリームマスク、ハイドロゲルマスク、およびファブリックマスク+化粧水を選択し、それらが含有する有効成分のバイオアベイラビリティを試験した。
【0098】
先行技術のマスクを皮膚に10〜20分間適用した後の、角質層における活性物質の利用可能性のパーセンテージの平均は、以下の通りである。
【表22】
【0099】
市販マスクの各種処方では、角質層における活性物質に許容されるバイオアベイラビリティは低い。さらに、クリームマスク、シートマスク+化粧水、またはハイドロゲルマスクのいずれのタイプであっても、各処方間にばらつきは観察されない。
【0100】
本発明による様々な乾燥フィルムを試験した。処方は、前述の通りである。
【表23】
【0101】
本発明によるこれらのフィルムの全てが、それらが含有する有効成分を角質層において利用可能にする能力を有することがわかる。
【表24】
【0102】
活性物質の性質は、角質層における活性物質の利用可能性にほとんど影響を及ぼさないことに留意されたい。フィルムで適用した場合、活性物質の全てが皮膚において生体利用可能である。
【0103】
試験−フィルムの美容有効性の実証
異なる有効成分を含有するかまたは含有しない様々なフィルムの皮膚での機能性、すなわち、フィルムの美容有効性の観点からの性能をボランティアで評価した。フィルムの美容的評価では、潤いを与える効果もしくは滑らかにする効果もしくは輝きを改善する効果もしくは明るくする/脱色素化する効果、または脂漏防止効果もしくは老化防止効果に焦点を当てた。また、効果は、単一フィルムの適用直後、または複数のフィルムの治癒処置後の長期にわたっても試験された。
【0104】
これらの試験はフィルムの使用に続いて行われた。
【0105】
ボランティアは、フィルムを顔または顔の一部に10〜20分間適用した。潤いを与える、滑らかにする、顔色の輝き、脂漏防止およびしわ防止といった効果を、即時効果を評価するために単一フィルムの直後に、および/または長期的効果を評価するために28日間にわたる8つのフィルムの適用後に評価した。
【0106】
各種試験での選択基準は以下の通りであった。
−25歳〜65歳
−フェイスマスクの定期的使用者(最低1回/月)
【0107】
試験の性質に応じて、ボランティアの皮膚に関連するさらなる基準を考慮した。
【0108】
潤いを与える効果の評価
この試験では、有効成分を含有しない、または含有するフィルムの潤いを与える即時効果を評価することを伴う。水和率は、Delfin TechnologiesのMoistureMeter−D(登録商標)を使用して額で測定された。
【0109】
MoistureMeter D(登録商標)は、プローブによって皮膚に送られる高周波電磁波を生成する。反射された電磁波を記録し、測定された組織の含水率に比例する誘電率を得る。
【0110】
この定数の値が高いほど、組織の含水率は大きい。測定実施に使用されるプローブは、主に0.5mmの有効測定深さで表皮の含水率を測定するXS5プローブである。
【0111】
12〜21人のボランティアが、フィルムの1つを顔に10分間適用した。測定は、フィルムの除去の前後に行われた。
【0112】
結果を下の表に示す。
【表25】
【0113】
有効成分を含有するかまたは含有しない乾燥フィルム使用後、皮膚の水和率は著しく増大する。フィルムを10分間適用した結果、皮膚の表層に潤いが与えられた。
【0114】
脂漏防止効果の評価
皮膚表面の皮脂レベルを測定することによって脂漏防止効果を評価する。フィルム適用の前後に額で皮脂レベルを測定した。MPA 580(登録商標)ハンドセットを使用して測定を行った。MPA 580(登録商標)では皮脂分泌を直接測定することができる。カートリッジに入っているプラスチックフィルムは、半透明で、つや消しになっている(霜降りガラスのように)。皮脂と接触すると、皮膚表面にある皮脂の量に応じてこのフィルムが透明になる。皮脂レベルは、カートリッジのヘッドをMPA 580(登録商標)のハンドセットに挿入することによって決定される。次いで、セルによりフィルムの透明度が分析される。結果を、皮脂(μg)/皮膚(cm
2)で表示する。
【0115】
フィルム適用前およびフィルム除去10分後に測定を行った。皮脂レベルが150超の11〜21人のボランティアによって異なるフィルムが試験された。
【0116】
結果は以下の通りである。
【表26】
【0117】
乾燥フィルムを10分間適用した結果、フィルムが有効成分を含有するかどうかにかかわらず、皮脂の産生は著しく減少する。
【0118】
使用者らは、このようなフィルムの適用により、油性肌の人々の特徴である光沢のある皮膚の外観が著しく制限され(−44%)、毛穴の大きさが12%引き締められる傾向があることに留意した。
【0119】
滑らかにする効果の評価
皮膚のマイクロレリーフの3D測定専用装置(Eotech)を使用して、縞投影によって目尻しわの皮膚のマイクロレリーフを分析することによって、滑らかにする効果を評価した。このシステム(DermaTOP 1303)は、光縞投影器と、Optocat取得ソフトウェア(Eotech)に連結された高解像度CCDカメラとを組み合わせた測定センサーを備える。
【0120】
3軸移動に応じてボランティアの頭部を再配置するシステムにより、試験中、異なる時間に同じ測定ゾーンを見つけることができる。
【0121】
フィルムの効果は、元の取得から自動的に切り出される関心領域において測定される。
【0122】
皮膚のマイクロリリーフは、面粗さの算術平均を表す3D粗さパラメータ(Sa)を使用して試験される。
【0123】
使用するソフトウェアは、OPTOCAT、EOTECHソフトウェアである。これらの異なるパラメータの減少は、試験した面を滑らかにすることの特徴である。
【0124】
ボランティアは、回答(同意する、どちらかといえば同意する、どちらかといえば同意しない、同意しない)が用意されている、
−このフィルムにより即座に滑らかになる、
−このフィルムにより皮膚のきめが細かくなる、
−このフィルムによりすぐに滑らかになる、というクローズドクエスチョンを使用して、この効果を主観的に評価するよう求められた。
【0125】
a.即時効果
この最初の試験では、フィルムの即時効果評価が行われる。12〜20人のボランティアが顔に20分間フィルムを適用した。フィルム除去前およびフィルム除去30分後に測定を行った。
【0126】
結果を下の表に示す。
【表27】
【0127】
フィルム使用後、皮膚のマイクロリリーフの粗さの特徴であるSaパラメータが減少する。フィルムを20分間適用した結果、ボランティアの皮膚のマイクロレリーフが滑らかになる。フィルムにより、即座に滑らかになり、皮膚のきめが細かくなる。
【0128】
b.長期的効果
この試験は、フィルムの長期的効果を評価することで構成される。12〜20人のボランティアは28日間で8つのフィルムを使用した。各フィルムを顔に20分間適用した。測定は、第1のフィルムの前および第8のフィルムの翌日に行われた。
【0129】
結果は以下の通りである。
【表28】
【0130】
8つの滑らかにするフィルムでの治癒処置後、皮膚のマイクロレリーフの粗さの特徴であるパラメータSaは7.1%減少する。8つのフィルムでの治癒処置の結果、ボランティアの皮膚のマイクロレリーフは持続的に滑らかになる。
【0131】
88%のボランティアによると、フィルムは皮膚を持続的に滑らかにし、皮膚の欠陥を制限する。
【0132】
顔色への輝き効果の評価
顔色の輝きは、顔色の輝きを表す異なるパラメータを判断するよう先に訓練されている2人の専門家によって盲目的に評価された。
【0133】
評価は、スコア尺度(1〜10)に基づいて実施され、以下のパラメータが特定されている。
−皮膚の輝きは、輝く顔色の特徴である。顔の突き出ている領域で捕捉される光の強度が大きいほど、皮膚はより輝く。
−淡いピンク色が輝きのある顔色の特徴である。顔色がバラ色であるほど生き生きとしていると認識される。
−オリーブ色のパラメータは健康的なつや効果を表し、オリーブ色が減少すると、健康的なつや効果は大きくなる。
−健康的なつやの一般的認識には、色の均一性とその顔全体の空間分布が反映される。
【0134】
これらの異なるパラメータは、頬骨、額、顎、および目の領域で評価される。
【0135】
ボランティアは、回答(同意する、どちらかといえば同意する、どちらかといえば同意しない、同意しない)が用意されている、
−このフィルムにより輝きが高まる、
−このフィルムにより顔色が甦る、というクローズドクエスチョンを使用して、この効果を主観的に評価するよう求められた。
【0136】
a.即時効果
この第1の試験では、有効成分を含むかまたは含まないフィルムの即時効果の評価が行われる。15〜20人のボランティアが顔に20分間フィルムを適用した。フィルム除去前およびフィルム除去30分後に測定を行った。
【0137】
結果を下の表に示す。
【表29】
【0138】
フィルム使用後、ボランティアの皮膚の輝きは8.9%まで大幅に改善され、健康的なつや効果は4.9%まで改善される。
【0139】
フィルムを20分間適用した結果、フィルムにより、ボランティアの健康的なつや効果および皮膚の輝きが改善される。
【0140】
少なくとも69%のボランティアによると、このフィルムにより輝きがすぐに高まり、顔色の輝きが甦る。
【0141】
b.長期的効果
この試験は、フィルムの長期的効果を評価することで構成される。ボランティア15〜20人が28日間で8つのフィルムを使用した。各フィルムを顔に20分間適用した。測定は、第1のフィルムの前および第8のフィルムの翌日に行われた。
【0142】
結果は以下の通りである。
【表30】
【0143】
8つのフィルムでの治癒処置後、ボランティアの健康的なつや効果は6.6%著しく改善され、輝く顔色は13.8%改善され、くすんだ顔色は10.3%減少した。
【0144】
8つのフィルムの治癒処置は、ボランティアの健康的なつや効果と輝く顔色を改善し、皮膚のくすみを軽減するのに役立った。
【0145】
81%のボランティアによると、8つのフィルムの治癒処置により皮膚に永久的な輝きが与えられ、94%のボランティアは、8つのフィルムの治癒処置により皮膚がより均質になることを示した。
【0146】
しわ防止即時効果の評価
目尻の主なしわの深さを分析することにより、即時のしわ防止効果を評価した。顔の標準化された写真は、VISIA−CRシステム(Canfield)を使用して、再現可能な照明条件下で撮影された。異なる測定時間に初期画像を表示し、マーキングフィルムを使用することにより、試験中の異なる時間に被験者を確実に正しく再配置することが可能になる。
【0147】
その後、3人で構成されたパネルは、各写真の目尻のしわの段階を、事前に定義されたスコアスケールで評価した。この完全盲目評価を行うために写真の各々を事前にカット、コーディング、ランダム化しておいた。
【0148】
目尻のしわは、主なしわの深さを評価すること、しわの数を無視すること、しわの幅を無視すること、傷跡を無視することという推奨事項に従って評価された。ボランティアは、鏡で自分自身を見て、上記のスケールを使用して目尻のしわの段階を評価するよう求められた。この評価は、フィルムを使用する前後に行われた。
【0149】
この試験では、フィルムの即時的なしわ防止効果について、その即時効果の評価が行われる。12〜20人のボランティアが顔に20分間フィルムを適用した。自己評価は、フィルム除去前およびフィルム除去30分後に行われた。
【0150】
結果を下の表に示す。
【表31】
【0151】
フィルム使用後、専門家はボランティアと同様に、目尻のしわが滑らかになったと評価した。しわの段階が大幅に減少した。
【0152】
ボランティアはまた、フィルムにより、92%のボランティアにとって皮膚がより滑らかに、より潤い、より柔らかくなることを示した。ボランティアの75%はフィルムにより引き上げられる。ボランティアの92%では、フィルムにより目周囲のしわが減り、小じわおよびしわが薄くなった。
【国際調査報告】