【実施例】
【0186】
実施例1:一般的な方法
反応を、商業的に入手可能なHPLCグレードを使用したアルゴン雰囲気下で行った。商業的に入手可能な試薬(シグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich))をそれ以上精製せずに使用した。N−アセチル−D−ガラクトサミンおよびN−アセチルノイラミン酸は、ローズサイエンティフィック社(Rose Scientific Ltd.)、アルバータ州、カナダから提供された。Fmoc−β−Ala−Wang樹脂およびFmocアミノ酸は、ペプチドテクノロジー社(Peptide Technologies Ltd)、ピエールフォン、Qc、カナダから商業的に入手可能であった。反応の進行を、シリカゲル60F
254でコーティングされたプレート(E.メルク(E. Merck))を使用した薄層クロマトグラフィーによってモニターした。クリックチオール−エン光化学反応によるコンジュゲーションを、2つの手持ち式のUV365nmランプ(UV−ACハンドランプ、デュアル254/365nm UV;115V〜60Hz、0.16amp、VWRカナダ(VWR Canada)、カタログ番号89131−492)の間に設置した石英キュベット(10×10mmのパス長、フィッシャー・サイエンティフィック・カナダ(Fisher Scientific Canada)、カタログ番号14−958−130)中で行った。フラッシュクロマトグラフィーを、カナダのライフサイエンス(Life Science)からのZEOprep(商標)シリカゲル60(40〜63μm)を使用して実行した。検出を、紫外線下で、または20%エタノールを含む硫酸またはモリブデン酸塩またはKMnO
4溶液と共にスプレーし、続いて加熱することによって行った。NMRスペクトルを、ブルカー(Bruker)のULTRASHIELD(商標)300MHzおよびブルカーのAvance(商標)III HD 600MHz分光計で記録した。プロトンおよび炭素の化学シフト(d)は、7.26ppm(
1H)および77.16ppm(
13C)で設定された残留CHCl
3の化学シフトに対するppmで報告される。結合定数(J)はヘルツ(Hz)で報告され、ピーク多重度に関しては以下の略語が使用される:一重項(s)、二重項(d)、二重項の二重項(dd)、等しい結合定数を有する二重項の二重項(t
ap)、三重項(t)、多重項(m)。分析および割り当てを、COSY(相関分光法)およびHSQC(異核単一量子干渉)実験を使用して行った。高分解能質量スペクトル(HRMS)を、アジレント・テクノロジーズ(Agilent technologies)からのLC−MS−TOF(高速液体クロマトグラフィー/飛行時間型質量分析)機器を用いて、UQAMの分析プラットフォームによってポジティブおよび/またはネガティブエレクトロスプレーモードで測定した。実験式の確認のために、プロトン化イオン(M+H)
+またはナトリウム付加物(M+Na)
+のいずれかを使用した。天然のTTおよびTT−コンジュゲートを、2000KDaのベンゾイル化透析チューブ(シグマ−アルドリッチ(Sigma-Aldrich)(オンタリオ州、カナダ)を使用して透析した。天然の、およびコンジュゲートしたTTの両方のチオール含量を、412nmでのエルマン試験によって決定した(Ellman, G. L. Arch. Biochem. Biophys. 1959、82、70〜77)。TT−コンジュゲートの全糖含量を、UV/VISウルトロスペック(Ultrospec)100プロット分光光度計(バイオクロム(Biochrom)、米国)を使用して492nmで測定された比色DuBois試験によって決定した(Dubois, M.; Gilles, K. A.;Hamilton, J. K.; Rebers, P. A.;Smith, F. Colorimetric Method for Determination of Sugars and Related Substances. Anal. Chem.、1956、28、350〜356)。動的光散乱(DLS)、粒度分布を、マルバーン(Malvern)からのゼータサイザーナノ(Zetasizer Nano)S90を使用して、PBS中で測定した。マウスモノクローナルIgG3抗体JAA−F11を、これまでにRittenhouse-Diakunら、1998に記載されたようにして生産された。
【0187】
■一般的な固相ペプチド合成(SPPS)手順
固相ペプチド合成(SPPS)の手順は、文献の手順(Papadopoulosら、2012)に従い、Fmoc−β−Ala−Wang樹脂(650mg、0.34mmol、1.0当量;100〜200メッシュ、ローディング=0.52mmol/g)から開始した。反応を、1.5×14cmのEcono−Pac使い捨てカラム(20mL)(バイオ−ラッド・ラボラトリーズ(Bio-Rad Laboratories)、オンタリオ州、カナダ)で回転によるかき混ぜによって実行した。1時間の間に、樹脂をCH
2Cl
2中で膨潤させ、次いでろ過し、1時間の間に、DMF中で再度調整した。商業的な樹脂またはアミノ酸のFmoc保護基を、DMF中の20%ピペリジンの溶液(5mL、2×5分、次いで1×10分)を用いて除去した。溶媒および試薬をろ過によって除去し、樹脂を、DMF、CH
2Cl
2およびMeOHで洗浄した(各溶媒で3回)。遊離アミノ基の存在を、カイザー試験またはTNBS試験によって検証した。樹脂上の遊離アミンを、DMF中の、予め活性化させたFmocアミノ酸:3当量のアミノ酸、3当量のHBTU(N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート)および触媒的な量のHOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)の溶液で4℃で(10分)処理した。次いでこの混合物にDIPEA(ジイソプロピルアミン、9当量)を添加し、室温で1時間30分撹拌した。カップリングの完了は、カイザーまたはTNBS比色試験を使用して決定した。ろ過の後、樹脂を洗浄し、Fmoc除去手順を再度繰り返した。合成配列の末端に、最後の遊離アミンを、アセチル化(1:1:8のAc
2O/DIPEA/DMF、1時間)によってキャッピングした。ろ過の後、溶液を切って、樹脂を真空中で乾燥させ、トリフルオロ酢酸/水/エタンジチオール/トリイソプロピルシラン(triisopropysilane)(94.0/2.5/2.5/1.0)を使用して切断を3時間行った。得られたペプチドをメチルtert−ブチルエーテルを用いて沈殿させ、遠心分離(20分、2000rpm、3×)によって樹脂ビーズから単離した。沈殿を空気噴流を用いて慎重に乾燥させた。未精製ペプチドをH
2O中に溶解させて、樹脂から分離した。次いで溶液を凍結乾燥して、所望のペプチドを得た。
【0188】
■dTT831−844−Cys−βAla
Fmoc−β−Ala−Wang樹脂(650mg、0.34mmol、1.0当量;100〜200メッシュ、ローディング=0.52mmol/g)から、所望のペプチドdTT831−844−Cys−βAlaを白色の粉末として単離した(62mg、0.034mmol、10%)。ESI
+-LC-MS:[M+2H]
+2 C
83H
135O
24N
19Sの計算値、906.9819;実測値、906.9849;CAN/H
2O 5〜95% 5.42分。
【0189】
■Cys−dTT831−844−βAla
Fmoc−β−Ala−Wang樹脂(650mg、0.34mmol、1.0当量;100〜200メッシュ、ローディング=0.52mmol/g)から、所望のペプチドCys−dTT831−844−βAlaを白色の粉末として単離した(62mg、0.034mmol、10%)。ESI
+-LC-MS:[M+2H]
+2 C
83H
135O
24N
19Sの計算値、906.9819;実測値、906.9844;CAN/H
2O 5〜95% 5.32分。
【0190】
実施例2:アリル2−アセトアミド−3,6−ジ−O−ピバロイル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(化合物2)
【0191】
【化27】
図5を参照すれば、塩化アセチル(2.76mL、38.80mmol、3.43当量)を、アルゴン雰囲気下で、0℃で、アリルアルコール(20.8mL)に一滴ずつ添加した。室温で、N−アセチル−D−グルコサミン(化合物1)(2.50g、11.3mmol、1.00当量)を添加した。反応混合物を70℃で3時間撹拌し、次いでpH7まで固体NaHCO
3を添加することによってクエンチした。懸濁液をセライトのパッドに通過させてろ過し、MeOHで数回洗浄した。溶媒を減圧下で除去し、未精製のアリル2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコサミンを、Et
2O/エタノールでの粉砕によって沈殿させた。次いで粉砕後、溶媒を減圧下で数回除去した。−15℃、窒素雰囲気下で、無水ジクロロメタン−ピリジン(45mL、v/v、1:2)の混合物中の、未精製のアリル2−アセトアミド−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド中間体の懸濁液に、塩化ピバロイル(3.90mL、31.64mmol、2.80当量)を一滴ずつ添加した。反応混合物を2時間撹拌し、室温に温め、望ましいα−アノマー(化合物2)(Rf=0.32)を一部のβ−アノマー(Rf=0.18)と共に得た;1:1のヘキサン/EtOAc)。次いで混合物をCH
2Cl
2で希釈し、有機相を連続的にHCl(1M)、KHSO
4の飽和水溶液、NaHCO
3の飽和溶液、およびブラインで数回洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させた。黄色がかった油をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(6:4〜1:1のヘキサン−EtOAc)で精製し、望ましい化合物であるアリル2−アセトアミド−3,6−ジ−O−ピバロイル−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(化合物2)を白色の固体として得た(4.85g、6.78mmol、60%)。Rf=0.32;1:1のヘキサン/EtOAc;
図6Aおよび6B:
1H NMR (CDCl
3, 600 MHz):δ 5.87 (dddd, 1H, J
H,H = 16.8, 10.5, 6.2, 5.3 Hz, OCH
2CH=CH
2), 5.77 (d, 1H, J
NH,H2 = 9.7 Hz, NH), 5.31-5.25 (m, 1H, OCH
2CH=CH
2), 5.22 (dd, 1H, J
H,H = 10.4, 1.3 Hz, OCH
2CH=CH
2), 5.09 (dd, 1H, J
3,4 = 10.7, J
2,3 = 9.3 Hz, H-3), 4.83 (d, 1H, J
1,2 = 3.7 Hz, H-1), 4.39 (m, 1H, H-6a), 4.35-4.25 (m, 2H, H-6bおよびH-2), 4.19 (m, 1H, OCH
2), 4.02-3.93 (m, 1H, OCH
2), 3.85 (m, 1H, H-5), 3.59-3.48 (m, 1H, H-4), 3.03 (d, 1H, J
4,OH = 5.1 Hz, OH-4), 1.93 (s, 3H, NHCOCH
3), 1.23 (s, 9H, tert-ブチル)および1.19 ppm (s, 9H, tert-ブチル) ;
13C NMR (CDCl
3, 150 MHz):δ 179.8, 179.1 (tert-BuCO), 169.7 (NHCO), 133.2 (OCH
2CH=CH
2), 118.1 (OCH
2CH=CH
2), 96.4 (C-1), 73.4 (C-3), 70.5 (C-5), 69.1 (C-4)。68.2 (OCH
2), 63.1 (C-6), 51.4 (C-2), 39.0、38.9 (2×C(CH
3)
3), 27.2、27.0 (2×C(CH
3)
3)および23.2 ppm (CH
3)。
図6Cおよび6D:ESI
+-HRMS:[M+H]
+ C
21H
36O
8Nの計算値、430.2435;実測値、430.2445。β−アノマーを白色の固体として単離した(971mg、2.26mmol、20%)。Rf=0.18;1:1のヘキサン/EtOAc;
1H NMR (CDCl
3、300 MHz):δ 6.00 (d, 1H, J
NH,H2 = 9.3 Hz, NH), 5.95-5.75 (m, 1H, OCH
2CH=CH
2), 5.35-5.03 (m, 3H, OCH
2CH=CH
2およびH-3), 4.55 (d, 1H, J
1,2 = 8.4 Hz, H-1), 4.47-425 (m, 3H, H-6a, 6bおよびOCH
2), 4.14-3.90 (m, 2H, OCH
2およびH-2), 3.65-3.43 (m, 2H, H-5およびH-4), 3.23 (sb, 1H, OH-4), 1.92 (s, 3H, NHCOCH
3), 1.23 (s, 9H, tert-ブチル)および1.20 ppm (s, 9H, tert-ブチル)。
【0192】
実施例3:アリル2−アセトアミド−2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシド(アリルTn)
【0193】
【化28】
図5を参照すれば、無水ジクロロメタン−ピリジン(126mL、v/v、20:1)の混合物中のジ−O−ピバロイル化合物(化合物2)(5.50g、12.80mmol、1.0当量)をアルゴン雰囲気下で−35℃に冷却した。次いでトリフルオロメタンスルホン酸無水物(2.58mL、15.36mmol、1.2当量)を添加し、混合物をこの温度で撹拌した。温度を2時間かけて室温にした。次いでこの溶液に水(12mL)を添加した。混合物を加熱し、還流しながら(約50℃)一晩(12時間)撹拌した。室温に達した後、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、1MのHCl水溶液で数回洗浄した。有機層を、H
2O、飽和NaHCO
3、およびブラインで洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物を、ゼンプレン(Zemplen)条件(メタノール中の1Mナトリウムメトキシド溶液、40mL、pH9)下で処理した。この溶液を50℃で一晩撹拌した。室温に冷却した後、この溶液を、イオン交換樹脂(アンバーライト(Amberlite)(登録商標)IR120、H
+)に添加することによって中和し、ろ過し、MeOHで洗浄し、溶媒を減圧下で除去した。凍結乾燥後、MeOH/EtOAc/ヘキサン中での沈殿によってアリルT
Nを白色の固体として単離した(2.36g、9.10mmol、71%)。Rf=0.32;4:1のEtOAc/MeOH;
図7Aおよび7B:
1H NMR (CD
3OD, 600 MHz):δ 5.99-5.88 (m, 1H, OCH
2CH=CH
2), 5.31 (dd, 1H, J
trans= 17.3, J
gem = 1.3 Hz, OCH
2CH=CH
2), 5.17 (dd, 1H, J
cis = 10.5 Hz, OCH
2CH=CH
2), 4.86 (d, 1H, J
1,2 = 3.8 Hz, H-1), 4.27 (dd, 1H, J
2,3 = 11.0 Hz, H-2), 4.20 (m, 1H, OCH
2), 4.00 (m, 1H, OCH
2), 3.89 (dd, J
3,4= J
4,5 = 2.6 Hz, H-4), 3.85-3.77 (m, 2H, H-3およびH-5), 3.72 (m, 2H, H-6aおよびH-6b)および1.99 ppm (s, 3H, CH
3) ;
13C NMR (CD
3OD, 150 MHz):δ 172.5 (NHCO), 134.2 (OCH
2CH=CH
2), 116.1 (OCH
2CH=CH
2), 96.6 (C-1), 71.2 (C-3), 69.0 (C-4), 68.3 (C-5)。67.8 (OCH
2), 61.4 (C-6), 50.2 (C-2)および21.2 ppm (CH
3)。
図7Cおよび7D:ESI
+-HRMS:[M+H]
+ C
11H
20O
6Nの計算値、262.1285;実測値、262.1294。
【0194】
■手順B
アリル2−アセトアミド−2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシドはまた、文献の手順(Fengら、2004)に従ってN−アセチルガラクトサミン(GalNAc)から直接調製することもできる。アリルアルコール(8mL)中のN−アセチルガラクトサミン(442mg、2mmol、1.0当量)の溶液に、室温でBF
3・Et
2O(250μL、2mmol、1.0当量)を添加し、混合物を70℃で2時間撹拌した。この溶液を室温に冷却し、溶媒を減圧下で除去した。乾燥粗生成物を最小限のEtOH(5mL)中に溶解させた。所望のアリルT
N生成物を、ジイソプロピルエーテル中で沈殿させ、白色の固体として単離した(417mg、1.60mmol、80%)。
【0195】
C−アリルGalNAc類似体(
図5)[1−(2’−アセトアミド−2’−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル)−2−プロペン]を、文献の手順に従って調製した(Cipollaら、2000:3−(2−アセトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル)−1−プロペン(Cuiら、1998)(371mg、1.00mmol、1.0当量)を、ゼンプレン条件(メタノール中の1Mナトリウムメトキシド溶液、5mL、pH8〜9)下で処理した。この溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を、イオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標)IR120、H
+)に添加することによって中和し、ろ過し、MeOHで洗浄し、溶媒を減圧下で除去した。C−アリルT
Nをシリカゲルでのクロマトグラフィー(9:1〜4:1のEtOAc/MeOH)によって精製し、続いてEtOH中で白色の固体として結晶化させた(213mg、0.87mmol、87%)。Rf=0.28;EtOH 4:1;mp230℃(文献値215〜217℃、EtOAc/EtOH);文献のNMRデータにより:
1H NMR (CD
3OD, 600 MHz):δ 5.81 (m, 1H,
1CH
2CH=CH
2), 5.08 (dd, 1H, J
trans= 17.2, J
gem = 1.7 Hz,
1CH
2CH=CH
2), 5.02 (dd, 1H, J
cis = 10.2 Hz,
1CH
2CH=CH
2), 4.22 (dd, 1H, J = 9.3、5.0 Hz, H-2’), 4.14 (dt, 1H, J = 10.0、5.0 Hz, H-1’), 3.91 (dd, 1H, J = 3.0 Hz, H-4’), 3.82-3.64 (m, 4H, H-3’, H-5’およびH-6’ab), 2.45 (m, 1H, H-1a), 3.17 (m, 1H, H-1b)および1.97 ppm (s, CH
3) ;
13C NMR (CD
3OD, 150 MHz):δ 173.6 (NHCO), 136.2 (
1CH
2CH=CH
2), 117.1 (
1CH
2CH=CH
2), 72.9 (C-1’), 69.7 (C-4’), 69.5 (C-3’およびC-5’), 61.8 (C-6’), 52.0 (C-2’), 32.4 (
1CH
2)および22.5 ppm (CH
3)。ESI
+-LCMS:[M+H]
+ C
11H
20O
5Nの計算値、246.1336;実測値、246.1332;CAN/H
2O 5〜95% 1.4分。
【0196】
S−アリルGalNAc類似体(
図5)を文献:Knappら、2002に従って調製した。
【0197】
実施例4:アリル2−アセトアミド−4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシド(化合物4)
【0198】
【化29】
図5を参照すれば、無水DMF(20mL)中のアリルGalNAc(Tn)(2.35g、9.0mmol、1.0当量)およびベンズアルデヒドジメチルアセタール(6.75mL、45.0mmol、5.0当量)の溶液に、触媒的な量のp−トルエンスルホン酸一水和物を添加した。混合物を室温で撹拌した。5時間の後、混合物をCHCl
3で希釈し、NaHCO
3の飽和水溶液で洗浄した。有機層を分離し、水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮して、白色の固体を得た。ベンジリデンアセタール(4)を、EtOAc/ヘキサン中での沈殿によって白色の固体として単離した(2.64g、7.56、84%)。Rf=0.21;9.0:0.5のDCM/MeOH;
図8A:
1H NMR (CDCl
3、300 MHz):δ 7.59-7.46 (m, 2H, H-ar), 7.43-7.31 (m, 3H, H-ar), 5.91 (m, 1H, OCH
2CH=CH
2), 5.75 (d, 1H, J
NH,H2 = 9.0 Hz, NH), 5.58 (s, 1H, PhCH), 5.34-5.17 (m, 2H, OCH
2CH=CH
2), 5.01 (d, 1H, J
1,2 = 3.5 Hz, H-1), 4.56-4.42 (ddd, 1H, J
2,3 = 10.9 Hz, J
2,OH = 9.1 Hz, H-2), 4.34 (dd, 1H, J
5,6a = 1.5 Hz, J
6a,6b = 12.5 Hz, H-6a), 4.19 (m, 2H, H-4およびOCH
2), 4.04 (m, 1H, dd, 1H, J
5,6b= 1.6 Hz, J
6a,6b = 12.5 Hz, H-6b), 4.01 (m, OCH
2), 3.86 (dd, 1H, J
3,4 = 10.9 Hz, H-3), 3.71 (sb, 1H, H-5), 2.80 (d, 1H, J
3,OH= 10.7 Hz, OH-3)および2.05 ppm (s, 3H, CH
3) ;
図8Bおよび8C:ESI
+-HRMS:[M+H]
+ C
18H
24O
6Nの計算値、350.1598;実測値、350.1608。
【0199】
実施例5:アリル(2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→3)−2−アセトアミド−4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシド(化合物6)
【0200】
【化30】
図5を参照すれば、化合物4(2.0g、5.72mmol、1.0当量)およびシアン化第二水銀(2.17g、8.60mmol、1.5当量)を、アルゴン雰囲気下で、4Åの分子篩を含有する無水ニトロメタン−トルエン(100mL、3:2、v/v)の混合物中に溶解させた。混合物を室温で30分撹拌した。混合物に、2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−ガラクトピラノシルブロミド(化合物5)(5.66g、8.58mmol、1.5当量)を添加した。この溶液を70℃で5時間撹拌し、次いで室温で一晩(8時間)撹拌し続けた。TLC(9.0:0.5のDCM/MeOH)によって示されるように出発材料(化合物4)が全部消費された後、溶媒を減圧下で除去した。残留物をEtOAc中に溶解させ、続いてセライトパッドを介してろ過した。ろ液を連続的に10%ヨウ化カリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および水で洗浄し、次いでNa
2SO
4上で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させて、白色の発泡体を得た。粗生成物を、100%ヘキサンから1:2のヘキサン/EtOAcの勾配を使用したシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製して、望ましい二糖(化合物6)を白色の固体として得た(4.98、5.38mmol、94%)。mp:110〜111℃、Rf=0.20;1:2のヘキサン/EtOAc;
図9Aおよび9B:
1H NMR (CDCl
3、600 MHz):δ 8.06-7.19 (m, 5H, H-ar), 5.98 (dd, 1H, J
3,4’ = 3.3 Hz, J
4,5’ = 1.0 Hz, H-4
II), 5.85-5.78 (m, 2H, OCH
2CH=CH
2およびH-2
II), 5.60 (dd, 1H, J
2,3’ = 10.2 Hz, J
3,4’ = 3.4 Hz, H-3
II), 5.48 (sb, 1H, NH), 5.23 (m, 3H, OCH
2CH=CH
2およびH-1), 4.68 (dd, 1H, J
5’,6a’ = 6.9 Hz, J
6a’,6b’ = 11.4 Hz, H-6a
I), 4.63-4.58 (m, 1H, H-2), 4.46-4.36 (m, 3H, H-4, H-5およびH-6b
II), 4.14-4.07 (m, 3H, H-6a, OCH
2およびH-3), 3.96 (m, 1H, OCH
2), 3.75 (m, 1H, H-6b), 3.51 (m, 1H, H-5)および1.40 ppm (s, 3H, CH
3) ;
13C NMR (CDC
13、150 MHz):δ 170.0 (NHCO), 166.0、165.5、165.4、165.2 (CO), 137.6-126.2 (multi, 30 C-arom), 133.2 (OCH
2CH=CH
2), 117.8 (OCH
2CH=CH
2), 102.0 (C-1
II), 100.9 (CPhCH), 97,3 (C-1
I), 76.1 (C-3), 75.4 (C-4), 71.7 (C-3
IIおよびC-5
II), 70.2 (C-2
II), 69.1 (C-6), 68.6 (OCH
2), 68.1 (C-4
II), 62.9 (C-5), 62.6 (C-6
I), 48.2 (C-2)および22.5 ppm (CH
3)。
図9Cおよび9D:ESI
+-HRMS:[M+H]
+ C
52H
50O
15Nの計算値、928.3175;実測値、928.3133。
【0201】
実施例6:アリル(β−D−ガラクトピラノシル)−(1→3)−2−アセトアミド−2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシド(アリルTF)
【0202】
【化31】
図5を参照すれば、メタノール中の1Mナトリウムメトキシド(12mL、pH8〜9)中の化合物6(1.12g、1.20mmol、1.0当量)の溶液を、出発材料が消費されるまで室温で撹拌した。1時間30分後、この溶液をイオン交換樹脂(アンバーライトIR120、H
+)の添加によって中和し、ろ過し、MeOHで洗浄し、この溶液にシリカゲルを懸濁し、ろ過し、溶媒を減圧下で除去した。シリカゲルを、100%EtOAcで数回洗浄し、続いて第2の溶液(1:1:0.1のEtOAc/MeOH/H
2O)で洗浄した。合わせたろ液を減圧下で蒸発させて、中間体(化合物7)を白色の固体として得た。Rf=0.20;11:6:1のCHCl
3/MeOH/H
2O;
図10Aおよび10B:
1H NMR (D
2O, 600 MHz):δ 7.47-7.39 (m, 2H, H-ar), 7.37-7.26 (m, 3H, H-ar), 5.82 (m, 1H, OCH
2CH=CH
2), 5.61 (s, 1H, PhCH), 5.20-5.09 (m, 2H, OCH
2CH=CH
2), 4.88 (d, 1H, J
1,2 = 3.4 Hz, H-1), 4.47 (dd, H-4), 4.37-4.25 (m, 2H, H-2およびH-1
II), 4.13-3.98 (m, 4H, H-3, H-6a, H-6b, OCH
2), 3.96-3.88 (m, 1H, H-5), 4.56-4.42 (ddd, 1H, J
2,3 = 10.9 Hz, J
2,OH = 9.1 Hz, H-2), 4.34 (dd, 1H, J
5,6a = 1.5 Hz, J
6a,6b = 12.5 Hz, H-6a), 4.19 (m, 2H, H-4およびOCH
2), 4.04 (m, 1H, dd, 1H, J
5,6b= 1.6 Hz, J
6a,6b = 12.5 Hz, H-6b), 4.01 (m, OCH
2), 3.86 (dd, 1H, J
3,4 = 10.9 Hz, H-3), 3.71 (sb, 1H, H-5), 2.80 (d, 1H, J
3,OH= 10.7 Hz, OH-3)および2.05 ppm (s, 3H, CH
3) ;3.83 (s, 1H, OCH
2), 3.72 (d, 1H, J
3’,4’ =
J
4’,5’ =
3.2 Hz, H-4
II), 3.65-3.55 (m, 2H, H-6a,b), 3.49, (m, 1H, H-5
II), 3.43 (dd, 1H, J
2’,3’ = 10.0 Hz, J
3’,4’ = 3.3 Hz, H-3
II), 3.33-3.24 (m, 1H, H-2
II)および1.86 ppm (s, 3H, CH
3) ;
13C NMR (D
2O, 150 MHz):δ 174.6 (NHCO), 136.8 (C-arom), 133.6 (OCH
2CH=CH
2), 129.9、128.7、126.5 (C-arom), 118.0 (OCH
2CH=CH
2), 104.9 (C-1
II), 101.3 (CHPh), 97.0 (C-1), 76.0 (C-4), 75.0 (C-3), 75.0 (C-5
II), 72.4 (C-3
II), 70.4 (C-2
II), 69.0 (C-6), 68.7 (OCH
2CH=CH
2), 68.6 (C-4
II), 63.0 (C-5), 61.0 (C-6
II), 48.6 (C-2)および22.0 ppm (CH
3)。Rf=0.38;7:3:0.1のEtOAc/MeOH/H
2O;Rf=0.46;7:2:1のACN/MeOH/H
2O。
図10Cおよび10D:ESI
+-HRMS:[M+H]
+ C
24H
34O
11Nの計算値、512.2126;実測値、512.2119。
【0203】
次いで白色の固体である中間体を、10mLの60%酢酸水溶液中に溶解させ、得られた溶液を60℃で1.5時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を凍結乾燥して、最終的なアリルTFを白色の固体として得た(427mg、1.0mmol、84%)。mp=230〜232℃;Rf=0.53;11:6:1のCHCl
3/MeOH/H
2O;
図11Aおよび11B:
1H NMR (D
2O, 600 MHz):δ 5.80 (m, 1H, OCH
2CH=CH
2), 5.19 (dd, 1H, J
trans = 17.3 Hz, OCH
2CH=CH
2), 5.09 (dd, 1H, J
cis = 10.4 Hz, OCH
2CH=CH
2), 4.77 (d, 1H, J
1,2 = 3.7 Hz, H-1), 4.29 (d, 1H, J
1,2 = 3.7 Hz, H-1), 4.29 (d, 1H, J
1,2= 7.8 Hz, H-1
II), 4.16 (dd, 1H, J
2,3 = 11.2 Hz, J
1,2= 3.7 Hz, H-2), 4.08-4.01 (m, 2H, H-4およびOCH
2), 3.92-3.82 (m, 3H, H-3, H-5およびOCH
2), 3.73 (dd, 1H, H-4
II), 3.63-3.52 (m, 4H, H-6a,bおよびH-6’a,b), 3.47 (m, 2H, H-3
IIおよびH-5
II), 3.39 (dd, 1H, J
2’,3’= 10.0 Hz, J
1’,2’ = 7.7 Hz, H-2
II)および1.85 ppm (s, 3H, CH
3) ;
13C NMR (150 MHz, CDC
13):δ 174.6 (NHCO), 133.7 (OCH
2CH=CH
2), 117.9 (OCH
2CH=CH
2), 104.7 (C-1
II), 96.4 (C-1), 77.2 (C-3), 75.0 (C-5
II), 72.5 (C-3
II), 70.7 (C-5), 70.6 (C-2
II), 68.8 (C-4), 68.6 (C-4
II), 68.4 (OCH
2), 61.2 (C-6
II), 61.0 (C-6), 48.6 (C-2)および22.0 ppm (CH
3)。
図11Cおよび11D:ESI
+-HRMS:[M+Na]
+ C
17H
29O
11NNaの計算値、446.1633;実測値、446.1613。
【0204】
実施例7:破傷風トキソイド単量体の精製
破傷風トキソイド(TT)単量体を、コンジュゲーション前に、ゲルろ過クロマトグラフィーによって得た。1ミリリットルの4.5mg/mlタンパク質を含有する液体調製物(改変されたローリータンパク質アッセイによって決定した場合)を、PBS(20mMのNaHPO
4[pH7.2]、150mMのNaCl)中で平衡化したスーパーデックス(Superdex)(登録商標)200Prepグレード(GEヘルスケア・ライフサイエンス(GE Healthcare Life Sciences)、ウプサラ、スウェーデン)を充填したXK16−100カラム上にローディングし、同じ緩衝液で溶出した。2つのピークでカラムから溶出したタンパク質:先に溶出したピークは、オリゴマー化されたトキソイドを含有し、後に溶出したピークは、TT単量体を含有する150,000のMrに対応する。後の(単量体)ピークに対応する画分をプールし、脱イオン水に対して脱塩し、セントリコン(Centricon)(登録商標)プラス−70遠心フィルターデバイス(30K ウルトラセルPL(Ultracel PL)膜;ミリポア(Millipore)、マサチューセッツ州ビレリカ)を使用して濃縮し、次いで凍結乾燥した。
【0205】
実施例8:Tn−破傷風トキソイドコンジュゲート(Tn−TTコンジュゲート)
【0206】
【化32】
■手順A
石英セル中で、500μLのPBS中のアリルTn(0.15mg、0.56μmol、18.0当量)の溶液に、4.7mg(0.03μmol)の破傷風トキソイドを含有する1.5mLのPBSを添加した。この溶液を、アルゴン雰囲気下で脱気した後、254nmで7時間放射線照射した。この溶液を、二重に蒸留した水でのいくつかの洗浄液に対して24時間透析し、凍結乾燥して、Tn−TT−Aコンジュゲートを白色の固体として得た(2.0mg、43%)。手順B:同じチオール−エンクリック反応下で、アセトニトリル(100μL)中の触媒的な量のDMPAを、PBS中の破傷風トキソイド(2mL、4.5mg/mL、0.06μmol)を含有するアリルTn(3mg、10.8μmol、180.0当量)の溶液に添加した。この溶液を365nmで15分間放射線照射した。次いで溶液を24時間透析し、凍結乾燥して、Tn−TT−Bコンジュゲートを白色の固体として得た(5.4mg、61%)。
【0207】
実施例9:TF−破傷風トキソイドコンジュゲート(TF−TTコンジュゲート)
【0208】
【化33】
■手順A
石英セル中で、500μLのPBS中のアリルTF(0.24mg、0.56μmol、18.0当量)の溶液に、1.5mLの4.7mg(0.03μmol)の破傷風トキソイドを含有するPBSを添加した。この溶液を、アルゴン雰囲気下で脱気した後、254nmで7時間放射線照射した。次いで溶液を24時間透析し、凍結乾燥して、TF−TT−Aコンジュゲートを白色の固体として得た(2.1mg、45%)。手順B:同じチオール−エンクリック反応下で、アセトニトリル(100μL)中の触媒的な量のDMPAを、PBS(2mL、4.5mg/mL、0.06μmol)中の破傷風トキソイドを含むアリルTF(5mg、10.8μmol、180.0当量)の溶液に添加した。この溶液を365nmで15分間放射線照射した。次いで溶液を24時間透析し、凍結乾燥して、TF−TT−Bコンジュゲートを白色の固体として得た(5.3mg、60%)。
【0209】
実施例10:Tn−TTおよびTF−TTコンジュゲートの特徴付け
破傷風トキソイド(TT)単独およびワクチンコンジュゲート(Tn−TT−A;Tn−TT−B;TF−TT−A;およびTF−TT−B)を、SDSゲル電気泳動によって、糖含量の存在に関して比色分析(Dubois試験)によって、チオール含量に関してエルマン試験によって、動的光散乱(DLS)(
図12)によって分析し、さらに、公知のマウスモノクローナル抗体JAA−F11との反応性を、二重の放射免疫拡散を使用して分析した。SDSゲル電気泳動の結果から、炭水化物抗原(TnおよびTF)の存在に関して、コンジュゲートのモノマー形態も陽性染色されたことが明らかに示された。比色分析(Dubois試験)から、コンジュゲーションの後、炭水化物抗原の存在(10重量%)、および担体タンパク質上に残留した遊離チオール基がないことが確認された。二重の放射免疫拡散分析から、沈殿のバンドは明らかに、新しいTF−TTコンジュゲートの、抗TFモノクローナル抗体JAA−F11との交差反応性を示すことが解明され、したがって、TF−TTコンジュゲート上における免疫原性炭水化物抗原(TF)の存在が確認され、担体タンパク質(破傷風トキソイド)単独の沈殿バンドは観察されなかった。
【0210】
■コンジュゲートのHPLC分析
グリココンジュゲート調製物のHPLC分析を、サイズ排除クロマトグラフィーによって行った。クロマトグラフ分離は、SB−807Gガードカラム(昭和電工株式会社(Showa Denko))を先頭に有する、直列に接続した3つの8×300mmのShodex OHpakゲルろ過カラム(2つのSB−804および1つのSB−803)を用いて実行された。グリココンジュゲート免疫原を、示差屈折計(RI)検出器モデル2300および波長280nmでのUV検出器モデル2600を備えたナウアー(Knauer)のスマートライン(Smartline)システムを使用して、0.4mL/分の流速で、0.1MのNaNO
3で溶出させた。コンジュゲート調製物(移動相中、8mg/mL溶液)を、50μΛ注入ループを使用して注入した。選択された実験において、空隙容量で溶出する画分は、コンジュゲート画分に対応し、これをプールし、スペクトラポア(Spectra/Por);分子量カットオフ(MWCO)、12,000〜14,000[スペクトラムラボラトリーズ(Spectrum Laboratories)])で水に対して透析し、凍結乾燥した。これは、2:1の分画されたコンジュゲートに相当する。
【0211】
実施例11:ペプチドdTT831−844−Cys−βAlaの遊離チオールにおけるチオール−エン光化学反応によるO−アリル−糖のコンジュゲーションの作用
ペプチドdTT831−844−Cys−βAla(破傷風毒素(831−844);MW:1813、配列番号2)を、3.7×10
−3Mのペプチド濃度で水(500uL)に溶解させ、これを、キュベットから2〜5cmの距離で、2つの手持ち式のUV365nmランプ(0.16amp、VWR)の間に設置した石英キュベット(10×10mmのパス長、フィッシャー)中で、(6uL、0.1M、3.0当量の)O−アリル−TnまたはO−アリル−TFおよび水溶性触媒AAPH(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル、23uL、0.025M、3.0当量と共に室温で撹拌した。AAPHを添加した直後に、UVをオンにした。この溶液を、0、45、90および135分でサンプリングし、遊離チオール濃度をシステイン標準曲線を使用したエルマン試験によって測定した。
図13は、遊離チオール濃度が、光チオール−エン反応の結果として、時間依存性の方式で低減されることを示す。
【0212】
実施例12:O−アリル−Tnのコンジュゲーションおよびチオール−エン光反応生成物の免疫反応性に対する、dTT831−844−Cys−βAlaにおけるシステインの位置決定/接近しやすさ、および採用される活性化剤のタイプの作用
N末端またはC末端にシステインを有するペプチドdTT831−844を合成し、2mM(1mL)の濃度で水に溶解させ、これを、キュベットから2〜5cmの距離で、2つの手持ち式のUV365nmランプ(0.16amp、VWR)の間に設置した石英キュベット(10×10mmのパス長、フィッシャー)中で、200uL、0.1M、10当量のO−アリル−Tnおよび触媒的な量(0.2当量)の活性化剤AAPHと共に室温で撹拌した。活性化剤を添加した直後に、UVをオンにし、60分反応させた。0および60分の時間に、遊離チオール濃度を、システイン標準曲線を使用したエルマン試験によって測定した。遊離チオールにおける低減倍率は、t=0/t=60におけるチオール濃度に相当する。
【0213】
図14に示される結果は、チオール−エン光化学反応コンジュゲーションにおける、N末端(「SH−ペプチド」)またはC末端(「ペプチド−SH」)にシステインを有するdTT831−844ペプチドの、水溶性(AAPH)または水不溶性活性化剤(DMPA)のいずれかを使用した、遊離チオール濃度における低減倍率を提示する。
【0214】
チオール−エン光反応生成物の免疫反応性を酵素結合レクチンアッセイ(ELLA)によって測定した。100μLのpH7.4のPBS中の1μgのペプチドを、96−ウェルプレート(マキシソープ(Maxisorp)(商標)、ヌンク(Nunc))に、最低限でも室温で1時間または4℃で一晩吸着させた。次いでウェルをPBS−トゥイーン(Tween)(商標)0.05%(PBS−T)で2回洗浄し、次いでPBS−T+1%BSAブロッキング溶液を30分にわたり充填した。次いでウェルをPBS−Tで3回洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼにカップリングされたナヨクサフジレクチン(抗Tn VVA)またはピーナッツ凝集素(抗TF PNA)(VVA−hrp、PNA−hrp、EYラボ(EY LAbs))の100μLの1/100希釈物で充填した。穏やかに振盪しながらの室温で1時間または4℃で12時間のインキュベーションの後、ウェルをPBS−Tで4回洗浄し、100μLのhrp基質(ウルトラTMB−ELISA(Ultra TMB-ELISA)、サーモ・サイエンティフィック(Thermo Scientific))を各ウェルに添加した。反応を、100μLの0.5N硫酸の添加によって止め、プレートリーダー(バイオテック(Biotek)EL808)においてプレートをOD450nmで読んだ。
【0215】
図15に示される結果は、水溶性(AAPH)または水不溶性活性化剤(DMPA)のいずれかを使用した、異なるTn−ペプチド(すなわち、コンジュゲートしていない:「pep−Cys」および「Cys−pep」;Tn−コンジュゲートした:「Tn−pep」および「pep−Tn」;「unc」:コーティングされていないプレート)へのレクチン反応性を提示する。興味深いことに、C末端システインを有するTTペプチドは、抗TnレクチンVVAによって特異的に認識され、コンジュゲーション反応は、水溶性活性化剤AAPHを用いた場合に最も有効であった。Tnグリココンジュゲートはどれも、陰性対照として使用された抗TFレクチン(ピーナッツレクチン、PNA)によって認識されなかった。
【0216】
実施例13:O−アリル−TnへのペプチドdTT831−844−Cys−βAlaのチオール−エン光化学反応によるコンジュゲーションに対する波長の作用
ペプチドdTT831−844−Cys−βAla(MW:1813、配列番号2)を、キュベットから2〜5cmの距離で、365nmまたは355nmのいずれか(0.16amp、VWR)の2つの手持ち式の紫外線ランプの間に設置した石英キュベット(10×10mmのパス長、フィッシャー)中で、1mLの水中の0.55mMのO−アリル−TnおよびAAPH(1.44mg、5.5nmol、10.0当量)またはDMPA(0.3mg、1.1nmol、2.0当量)と共に室温で撹拌した。AAPHを添加した直後に、UVをオンにし、60分後にオフにして反応を止めた。またペプチドを、活性化剤の非存在下で、UV254nmでも、O−アリル−Tnにコンジュゲートした。遊離チオール濃度を、システイン標準曲線を使用したエルマン試験によって測定した。
図16は、3つの異なるコンジュゲーション条件(「355nm+AAPH」;「365nm+DMPA」;および「254nm」)の経時的な(分)遊離チオールの減少を示す。
【0217】
チオール−エン光反応生成物の免疫反応性を酵素結合レクチンアッセイ(ELLA)によって測定した。100μLのpH7.4のPBS中の指定された量のペプチドを、96−ウェルプレート(マキシソープ、ヌンク)に、最低限でも室温で1時間または4℃で一晩吸着させた。次いでウェルをPBS−トゥイーン(商標)0.05%(PBS−T)で2回洗浄し、ウェルをブロッキング溶液で30分にわたり充填した。次いでウェルをPBS−Tで3回洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼにカップリングされたナヨクサフジレクチン(VVA−hrp、EYラボ)の100μLの1/100希釈物で充填した。穏やかに振盪しながらの室温で1時間または4℃で12時間のインキュベーションの後、ウェルをPBS−Tで4回洗浄し、100μLのhrp基質(ウルトラTMB−ELISA、サーモ・サイエンティフィック)を各ウェルに添加した。反応を、100μLの0.5N硫酸の添加によって止め、プレートリーダー(バイオテックEL808)においてプレートを450nmで読んだ。
【0218】
ELLAの結果は、
図17に提示され、AAPHまたはDMPAPの存在下における365nmでの、または活性化剤の非存在下における254nmでの、チオール−エン光化学反応によってコンジュゲートした様々な量のTn−ペプチドへのVVAレクチン反応性を示す。コンジュゲーション生成物は、レクチンによって検出されたが、コンジュゲートしていないペプチド(「ペプチド」)またはO−アリル−Tn単独(「Tn」)は非反応性であった。興味深いことに、
図17は、活性化剤の非存在下における254nmでのコンジュゲーションが、活性化剤の存在下における365nmまたは355nmによって生成したものより免疫反応性のグリココンジュゲート生成物を生成したことを示す。
【0219】
実施例14:チオール−エン光化学反応によるC−アリルおよびO−アリル糖のペプチドdTT831−844−Cys−βAlaへのコンジュゲーションおよび反応性
dTT831−844−Cys−βAlaペプチド(MW:1813)を、0.55mMの濃度で水に溶解させ、その1mLを、キュベットから2〜5cmの距離で、365nm(0.16amp、VWR)の2つの手持ち式の紫外線ランプの間に設置した石英キュベット(10×10mmのパス長、フィッシャー)中で、O−アリル−Tn、O−アリル−TF、またはC−アリル−Tn(100uL、11mM、2.0当量)およびAAPH(1.44mg、5.5nmol、10.0当量)と共に室温で撹拌した。AAPHを添加した直後に、UVをオンにした。この溶液を、指定された時間でサンプリングし、遊離チオール濃度を、システイン標準曲線を使用して測定した。
図18は、試験された異なるアリル糖:O−アリル−Tn(「Tn」)、O−アリル−TF(「TF」)、またはC−アリル−Tn(「cTn」)の経時的な(分)遊離チオールの減少を示す。
【0220】
チオール−エン光反応生成物の免疫反応性を酵素結合レクチンアッセイおよび酵素結合免疫吸着測定法によって測定した。100μLのpH7.4のPBS中の指定された量のペプチドコンジュゲートを、96−ウェルプレート(マキシソープ、ヌンク)に、最低限でも室温で1時間または4℃で一晩吸着させた。次いでウェルをPBS−トゥイーン(商標)0.05%(PBS−T)で2回洗浄し、次いでPBS−T+1%BSAブロッキング溶液で30分にわたり充填した。次いでウェルをPBS−Tで3回洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼにカップリングされたナヨクサフジレクチンもしくはピーナッツ凝集素(VVA−hrp、PNA−hrp、EYラボ)の100μLの1/100希釈物、または0.1μg/mlのTF特異的な精製マウスモノクローナル抗体JAAF11で充填した。穏やかに振盪しながらの室温で1時間または4℃で12時間のインキュベーションの後、JAAF11を含有するウェルをPBS−Tで洗浄し、次いで二次抗体であるヤギ抗マウスIgG(H+L)−hrp(ジャクソン・イムノリサーチ(Jackson Immunoresearch))と共にさらに60分インキュベートした。次いでウェルをPBS−Tで4回洗浄し、100μLのhrp基質(ウルトラTMB−ELISA、サーモ・サイエンティフィック)を各ウェルに添加した。反応を、100μLの0.5N硫酸の添加によって止め、プレートリーダー(バイオテックEL808)においてプレートを450nmで読んだ。
【0221】
図19は、O−アリル−Tn(ただしC−アリル−Tnではなく)を用いて生成したペプチドコンジュゲートのみが抗TnレクチンVVAによって認識されたことを示す。これらの結果は、C−アリル−Tnは、ペプチドにコンジュゲートしていながらも、レクチンへの結合を可能にするコンフォメーションを有さないことを示唆する。
【0222】
実施例15:チオール−エン光化学反応による化学的に還元されたdTTへのO−アリル−TFのコンジュゲーション
弱毒化破傷風トキソイド(dTT)を、pH7.4のPBS中で透析し(MWCO2,000)、次いで、1000当量のDTTと共にインキュベートした。室温および回転下で2時間のインキュベーションの後、還元タンパク質溶液をpH7.4のPBS中で、遠心ろ過(MWCO10,000、アミコン(Amicon))によって洗浄した。次いで還元タンパク質(1mL、3.51mg/mL、0.02nmol)を、キュベットから2〜5cmの距離で、365nm(0.16amp、VWR)の2つの手持ち式の紫外線ランプの間に設置した石英キュベット(10×10mmのパス長、フィッシャー)中で、1.0mLのPBSの最終容量で、O−アリル−TF(30.0当量)およびAAPH(2.0当量)と共に撹拌した。AAPHを添加した直後に、UVをオンにして反応を開始させ、次いで2時間後に止めた。
【0223】
天然のdTTと比較した、DTT処理によって生成した還元dTTの遊離チオール濃度を、緩衝液交換dTTサンプルで、システイン標準曲線を使用したエルマン試験によって測定し、タンパク質濃度を、BSA標準曲線を使用したブラッドフォードアッセイによって測定した。
【0224】
dTTサンプルの免疫反応性を測定するために、1μgのタンパク質サンプルを、100μLのpH7.4のPBSで希釈し、96−ウェルプレート(マキシソープ、ヌンク)のウェルに、最低限でも室温で1時間または4℃で一晩吸着させた。次いでウェルをPBS−トゥイーン(商標)0.05%(PBS−T)で2回洗浄し、次いでブロッキング溶液で30分にわたり充填した。次いでウェルをPBS−Tで3回洗浄し、100μLの0.1μg/mLのTF特異的な精製マウスモノクローナル抗体JAAF11で充填した。穏やかに振盪しながらの室温で1時間または4℃で12時間のインキュベーションの後、プレートをPBS−Tで洗浄し、次いで二次抗体であるヤギ抗マウスIgG(H+L)−hrp(ジャクソン・イムノリサーチ)の100μLの1/1000希釈物と共にさらに60分インキュベートした。次いでウェルをPBS−Tで4回洗浄し、100μLのhrp基質(ウルトラTMB−ELISA、サーモ・サイエンティフィック)を各ウェルに添加した。反応を、100μLの0.5N硫酸の添加によって止め、プレートリーダー(バイオテックEL808)においてプレートを450nmで読んだ。
【0225】
図20は、JAAF11(「dTT(DTT)−TF」)に対するdTT−TFの免疫反応性を示すが、還元dTT(「dTT(DTT)」)または天然のdTT(データは示されない)は非反応性であった。これは、O−アリル−TFが、実際に、免疫反応性のコンフォメーションでチオール−エン光反応によってdTTにコンジュゲートしたことを示す。
【0226】
実施例16:チオール−エン光化学反応による化学的に還元されたdTTへのO−アリル−Tnのコンジュゲーション
dTTを、pH7.4のPBS中で透析し(MWCO30,000)、次いで0.5mL(5.8mg/mL)を、50または500当量のDTTと共に、室温、回転下でインキュベートした。2時間後、還元タンパク質溶液をpH7.4のPBS中で、遠心ろ過(MWCO10,000、アミコン)によって洗浄した。次いで500当量のDTT(70uL、0.5mmol/mL)で還元されたタンパク質を、キュベットから2〜5cmの距離で、365nm(0.16amp、VWR)の2つの手持ち式の紫外線ランプの間に設置した石英キュベット(10×10mmのパス長、フィッシャー)中で、0.1MのO−アリル−TF(60.0当量)および0.1MのAAPH(4.0当量)と共に撹拌した。AAPHを添加した直後に、UVをオンにして反応を開始させ、次いで45分後に止めた。還元dTTの遊離チオールが、コンジュゲーションの結果として還元耐性チオエーテル結合を形成したか、またはジスルフィド結合に再酸化したことを検証するために、コンジュゲートした生成物を、100当量のDTTで1時間処理し、次いで遠心ろ過によって洗浄し、次いで還元処理の前および後にチオール含量を測定した。遊離チオールの適用量を、システイン標準曲線を使用したエルマン試験によって測定した。タンパク質濃度を、BSA標準曲線を使用したブラッドフォードアッセイによって測定した。
【0227】
図21は、異なるコンジュゲーション条件後のdTTにおける遊離チオールのモル比を示す。結果から、dTTタンパク質が用量依存性の方式で還元され、500当量のDTTでの処理で、9個の遊離チオールに達した(dTTにおける10個のシステインの最大限の理論上の数から)ことが示される。チオール−エン光反応によるO−アリル−TnまたはO−アリル−TFのコンジュゲーションは、非還元dTTのレベルに、またはそれ未満に遊離チオールを低減した。還元に対するdTT−Tnコンジュゲートの耐性は、チオール−エン光反応によって形成された還元耐性チオエーテル結合の存在を確認した。
【0228】
dTTサンプルの免疫反応性を測定するために、1μgのタンパク質サンプルを、100μLのpH7.4のPBSで希釈し、96−ウェルプレート(マキシソープ、ヌンク)のウェルに、最低限でも室温で1時間または4℃で一晩吸着させた。次いでウェルをPBS−トゥイーン(商標)0.05%(PBS−T)で2回洗浄し、次いでブロッキング溶液で30分にわたり充填した。次いでウェルをPBS−Tで3回洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼにカップリングされたナヨクサフジレクチンもしくはピーナッツ凝集素(VVA−hrp、PNA−hrp、EYラボ)の100μLの1/100希釈物、または0.1μg/mLのTF特異的な精製マウスモノクローナル抗体JAAF11で充填した。穏やかに振盪しながらの室温で1時間または4℃で12時間のインキュベーションの後、JAAF11を含むウェルを、PBS−Tで洗浄し、次いで二次抗体であるヤギ抗マウスIgG(H+L)−hrp(ジャクソン・イムノリサーチ)の100μLの1/1000希釈物と共にさらに60分インキュベートした。穏やかに振盪しながらの室温で1時間または4℃で12時間のインキュベーションの後、プレートをPBS−Tで4回洗浄し、100μLのhrp基質(ウルトラTMB−ELISA、サーモ・サイエンティフィック)を各ウェルに添加した。反応を、100μLの0.5N硫酸の添加によって止め、プレートリーダー(バイオテックEL808)においてプレートを450nmで読んだ。
【0229】
図22は、コンジュゲートしていないdTTと比較した、dTT−TnコンジュゲートのレクチンVVAへの高い反応性を示す。
【0230】
天然のdTTおよびdTT−Tnコンジュゲートを、10%ポリアクリルアミドゲルでのSDS−PAGE電気泳動によって分析し、次いでクーマシーブルーで染色した。ゲル電気泳動の結果は、dTT−Tnコンジュゲートが、天然の非コンジュゲートdTTより高い分子量に移動したことを示した(データは示されない)。
【0231】
実施例17:チオール−エン光反応性によるO−アリル−Tnの化学的にチオール化したdTTへのコンジュゲーションに対するAAPH濃度の作用
dTTを、pH8のPBS(MWCO30,000)中で透析し、次いで100μL(0.8mg)を、キュベットから2〜5cmの距離で、365nm(0.16amp、VWR)の2つの手持ち式の紫外線ランプの間に設置した石英キュベット(10×10mmのパス長、フィッシャー)中で、水中の0.1Mの2−イミノチオラン塩酸塩の200当量/タンパク質(シグマ(Sigma))、水中の200当量/タンパク質の0.1MのO−アリル−TF、および水中の0.8当量/タンパク質またはおよそ450当量/タンパク質のAAPHの溶液と共に、124μLの最終容量で撹拌した。AAPHを添加した直後に、UVをオンにして、反応を開始させた。光化学反応中、15分に、および45分での反応の完了時に、サンプルを回収した。セファデックス(Sephadex)(商標)G25が充填されたミニスピンカラムを使用したサイズ排除クロマトグラフィーによって、コンジュゲーション生成物の緩衝液をpH7.4のPBSに交換した。遊離チオール濃度を、システイン標準曲線を使用したエルマンアッセイによって測定した。タンパク質濃度を、標準としてBSAを使用したブラッドフォードアッセイによって測定した。
【0232】
図23は、2−イミノチオランでの化学的チオール化およびO−アリル−Tnの非存在下におけるチオール−エン光化学反応の後のdTTサンプル中の遊離チオールの比率が、25〜30に達するが、O−アリル−Tnの存在は、dTTのチオール比率を、AAPH濃度に対する用量依存性の方式でおよそ20および5に低減させることを示し、これは、チオエーテル結合がチオール−エン光反応によって形成されたことを示唆している。
【0233】
dTTサンプルの免疫反応性を測定するために、1μgのタンパク質サンプルを、100μLのpH7.4のPBSで希釈し、96−ウェルプレート(マキシソープ、ヌンク)のウェルに、最低限でも室温で1時間または4℃で一晩吸着させた。次いでウェルをPBS−トゥイーン(商標)0.05%(PBS−T)で2回洗浄し、次いでブロッキング溶液で30分にわたり充填した。次いでウェルをPBS−Tで3回洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼにカップリングされたナヨクサフジレクチン(VVA−hrp、EYラボ)の100μLの1/100希釈物で充填した。穏やかに振盪しながらの室温で1時間または4℃で12時間のインキュベーションの後、プレートをPBS−Tで4回洗浄し、100μLのhrp基質(ウルトラTMB−ELISA、サーモ・サイエンティフィック)を各ウェルに添加した。反応を、100μLの0.5N硫酸の添加によって止め、プレートリーダー(バイオテックEL808)においてプレートを450nmで読んだ。
【0234】
図24は、レクチンVVA−hrpに対するdTTサンプルの反応性を示す。天然のコンジュゲートしていないdTTと比較してTnコンジュゲートは、より高い反応性を有することが観察された。さらに、反応性は、光反応の持続時間および使用されるAAPH活性化剤の量と相関する。
【0235】
dTTコンジュゲート(5μg)を、10%ポリアクリルアミドゲルでのSDS−PAGE電気泳動によって分析し、クーマシーブルーでの染色、またはウェスタンブロット分析のための膜(イモビロン−P、メルク・ミリポア(Merck Millipore))への移行のいずれかを行った。膜をPBS−T+1%BSA中で1時間ブロッキングし、PBS−Tで洗浄し、次いで、PBS−T中のホースラディッシュペルオキシダーゼにカップリングされたナヨクサフジレクチン(VVA−hrp、EYラボ)の1/100希釈物と共に室温で1時間または4℃で一晩インキュベートした。次いで膜をPBS−Tで徹底して洗浄し、結合したVVA−hrpを、ホースラディッシュペルオキシダーゼ発色性基質である4−クロロ1−ナフトール(Naphtol)(0.03%過酸化水素を含有するPBS中、0.3mg/mL、シグマ)を用いて検出した。クーマシー染色されたSDS−PAGEと対応するVVA−hrpで染色したウェスタンブロットの両方からの結果から、dTT−Tnが、天然のdTTより高い分子量に移動したこと、およびVVAへの特異的な反応性を有することが解明され、これは、生成物が実際にTnにコンジュゲートしていることを示す(データは示されない)。
【0236】
実施例18:チオール−エン光化学反応によるO−アリル−TnおよびO−アリル−TFの化学的に還元されたBSAへのコンジュゲーション
BSA(1mLPBS、pH7.4中の7mg)を、600当量のDTTと共に2時間インキュベートし、次いでpH7.4のPBS中で、遠心ろ過(MWCO10,000、アミコン)によって洗浄した。次いで還元タンパク質を、チオール−エン光化学反応によってO−アリル−TnまたはO−アリル−TFにコンジュゲートした。還元BSA(600uL、5.3mg/mL、0.047nmol)を、キュベットから2〜5cmの距離で、365nm(0.16amp、VWR)の2つの手持ち式の紫外線ランプの間に設置した石英キュベット(10×10mmのパス長、フィッシャー)中で、O−アリル−糖(60当量)およびAAPH(4.0当量)およびpH7.4のPBS(720uL)と共に撹拌した。AAPHを添加した直後に、UVをオンにして、反応を開始させた。45分後、生成物をpH7.4のPBSで遠心ろ過(MWCO10,000、アミコン)によって洗浄して、全ての未反応のO−アリルおよび試薬を除去した。還元BSAの遊離チオール濃度を、システイン標準曲線を使用したエルマンアッセイによって測定し、タンパク質濃度を、標準としてBSAを使用したブラッドフォードアッセイによって測定した。
【0237】
BSAサンプルの免疫反応性を測定するために、1μgのタンパク質サンプルを、100μLのpH7.4のPBSで希釈し、96−ウェルプレート(マキシソープ、ヌンク)のウェルに、最低限でも室温で1時間または4℃で一晩吸着させた。次いでウェルをPBS−トゥイーン(商標)0.05%(PBS−T)で2回洗浄し、次いでブロッキング溶液で30分にわたり充填した。次いでウェルをPBS−Tで3回洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼにカップリングされたナヨクサフジレクチンもしくはピーナッツ凝集素(VVA−hrp、PNA−hrp、EYラボ)の100μLの1/100希釈物、または0.1μg/mLのTF特異的な精製マウスモノクローナル抗体JAAF11で充填した。穏やかに振盪しながらの室温で1時間または4℃で12時間のインキュベーションの後、JAAF11を含有するウェルを、PBS−Tで洗浄し、次いで二次抗体であるヤギ抗マウスIgG(H+L)−hrp(ジャクソン・イムノリサーチ)と共にさらに60分インキュベートした。次いでウェルをPBS−Tで4回洗浄し、100μLのhrp基質(ウルトラTMB−ELISA、サーモ・サイエンティフィック)を各ウェルに添加した。反応を、100μLの0.5N硫酸の添加によって止め、プレートリーダー(バイオテックEL808)においてプレートを450nmで読んだ。
【0238】
図25は、これらの条件下で生成したBSA−TFおよびBSA−Tnが、抗TFJ AAF11モノクローナル抗体および抗TnレクチンVVAそれぞれに対して高度に反応性を有し、特異的であったことを示す。
【0239】
BSA−TnおよびBSA−TFコンジュゲート(5μg)を、クーマシーブルーで染色した10%ポリアクリルアミドゲルでのSDS−PAGE電気泳動によって分析した。使用された条件下でのBSAの還元は、エルマン試験によって測定したところ、19.29のチオールのモル比を生じた。いずれかのO−アリル−糖とのコンジュゲーションの後、エルマン試験は陰性であったことから、チオール−エン光化学反応によって遊離チオールがO−アリル糖に化学的にカップリングされたことが示唆される(データは示されない)。クーマシー染色されたSDS−PAGEゲルから、両方のBSA−コンジュゲートが、期待されるBSAの分子量に移動するか、それより高い分子量種に移動したことが示された(データは示されない)。
【0240】
実施例19:チオール−エン光化学反応によるO−アリル−Tnの化学的に還元されたBSAへのコンジュゲーション
BSA(500μL、7mg/mL)を、400、200または1000当量のDTT(0.5M)と共に、室温で1時間、回転させながらインキュベートした。次いで還元BSA溶液をpH7.4のPBS中で一晩透析した。次いで還元BSAの遊離チオール濃度を、システイン標準曲線を使用したエルマンアッセイによって測定し、タンパク質濃度を、標準としてBSAを使用したブラッドフォードアッセイによって測定し、それらから遊離チオール/BSAのモル比を計算した。
【0241】
図26は、生成した遊離チオールの量と還元剤であるDTTの量との相関を示し、それによれば、還元が、採用された条件下で1000当量のDTTを用いて実行された場合、約10のチオール/BSAに到達する。
【0242】
次いで還元タンパク質を、様々な比率のO−アリル−Tnにコンジュゲートした。還元BSA(5nmol)を、キュベットから2〜5cmの距離で、365nm(0.16amp、VWR)の2つの手持ち式の紫外線ランプの間に設置した石英キュベット(10×10mmのパス長、フィッシャー)中で、AAPHと共に、pH7.4のPBS500μLの最終容量で、100当量のO−アリル−Tn/還元BSAまたは100当量のO−アリル−Tn/BSA−チオールと共に撹拌した。AAPHを添加した直後に、UVをオンにして、反応を開始させた。45分後、生成物を、pH7.4のPBSで遠心ろ過(MWCO10,000、アミコン)によって洗浄して、未反応のO−アリルおよび試薬を除去した。
【0243】
BSAサンプルの免疫反応性を測定するために、1μgのタンパク質サンプルを、100μLのpH7.4のPBSで希釈し、96−ウェルプレート(マキシソープ、ヌンク)のウェルに、最低限でも室温で1時間または4℃で一晩吸着させた。次いでウェルをPBS−トゥイーン(商標)0.05%(PBS−T)で2回洗浄し、次いでブロッキング溶液で30分にわたり充填した。次いでウェルをPBS−Tで3回洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼにカップリングされたナヨクサフジレクチン(VVA−hrp、EYラボ)の100μLの1/100希釈物または0.1μg/mLのTF特異的な精製マウスモノクローナル抗体JAAF11で充填した。穏やかに振盪しながらの室温で1時間または4℃で12時間のインキュベーションの後、JAAF11を含有するウェルを、PBS−Tで洗浄し、次いで二次抗体であるヤギ抗マウスIgG(H+L)−hrp(ジャクソン・イムノリサーチ)と共にさらに60分インキュベートした。穏やかに振盪しながらの室温で1時間または4℃で12時間のインキュベーションの後、プレートをPBS−Tで4回洗浄し、100ulのhrp基質(ウルトラTMB−ELISA、サーモ・サイエンティフィック)を各ウェルに添加した。反応を、100μLの0.5N硫酸の添加によって止め、プレートリーダー(バイオテックEL808)においてプレートを450nmで読んだ。
【0244】
図27は、レクチンVVAおよび抗TFモノクローナル抗体JAAF11(+ヤギ抗マウスIgG−hrpコンジュゲート)に対する様々なBSA−Tnコンジュゲートの反応性を示す。O−アリルの最大比率でコンジュゲートしたBSA−コンジュゲートのうち2つが、チオール−エン光化学反応の結果として、特異的にVVAへの高度な反応性を有することを見出した。
【0245】
BSA−Tnコンジュゲート(5μg)を、クーマシーブルーで染色した10%ポリアクリルアミドゲルでのSDS−PAGE電気泳動によって分析するか、または糖タンパク質に関して製造元(ピアース(Pierce))の説明書に従って分析した。結果から、高い分子量に移動したBSAコンジュゲートはグリカンに関して陽性染色されたが、天然のコンジュゲートしていないBSAはそうではなかったことが示された(データは示されない)。
【0246】
実施例19:チオール−エン光化学反応によるO−アリル−TFの化学的にチオール化BSAへのコンジュゲーション
BSA(1mL、0.088μmol、5.89mg/mL、pH8.0のPBS)を、5、10、または20当量の2−イミノチオラン(5、10、20μL、0.1mmol/mL)と共に1時間インキュベートした。次いでチオール化BSAを遠心ろ過(MWCO10,000、アミコン)によって洗浄して未反応の試薬を除去し、その後、チオール−エン光コンジュゲーションによってO−アリル−TFにコンジュゲートした。チオール化BSA(440;480;575μL、6.8;6.4;5.2mg/mL)を、キュベットから2〜5cmの距離で、365nm(0.16amp、VWR)の2つの手持ち式の紫外線ランプの間に設置した石英キュベット(10×10mmのパス長、フィッシャー)中で、3当量/チオールのO−アリル−TnおよびAAPH(0.2当量/チオール)およびpH7.4のPBSと共に、1mLの最終容量で撹拌した。AAPHを添加した直後に、UVをオンにして、反応を開始させた。1時間後、生成物をpH7.4のPBSで遠心ろ過(MWCO10,000、アミコン)によって洗浄して、未反応のO−アリルおよび他の試薬を除去した。BSAサンプルの遊離チオール濃度を、システイン標準曲線を使用したエルマンアッセイによって測定し、タンパク質濃度を、標準としてBSAを使用したブラッドフォードアッセイによって測定した。
【0247】
BSAサンプルの免疫反応性を測定するために、1μgのタンパク質サンプルを、100μLのpH7.4のPBSで希釈し、96−ウェルプレート(マキシソープ、ヌンク)のウェルに、最低限でも室温で1時間または4℃で一晩吸着させた。次いでウェルをPBS−トゥイーン(商標)0.05%(PBS−T)で2回洗浄し、次いでブロッキング溶液で30分にわたり充填した。次いでウェルをPBS−Tで3回洗浄し、レクチン、ホースラディッシュペルオキシダーゼにカップリングされたピーナッツ凝集素(PNA−hrp、EYラボ)の100μLの1/100希釈物、または0.1μg/mLのTF特異的な精製マウスモノクローナル抗体JAAF11で充填した。穏やかに振盪しながらの室温で1時間または4℃で12時間のインキュベーションの後、JAAF11を含有するウェルを、PBS−Tで洗浄し、次いで二次抗体であるヤギ抗マウスIgG(H+L)−hrp(ジャクソン・イムノリサーチ)と共にさらに60分インキュベートした。次いでウェルをPBS−Tで4回洗浄し、100μLのhrp基質(ウルトラTMB−ELISA、サーモ・サイエンティフィック)を各ウェルに添加した。反応を、100μLの0.5N硫酸の添加によって止め、プレートリーダー(バイオテックEL808)においてプレートを450nmで読んだ。
【0248】
図28において、二軸グラフは、TFコンジュゲーション前に測定されたそれぞれのコンジュゲートのチオールの比率に対する、抗TFレクチンPNAまたはmAb JAAF11へのBSA−TFコンジュゲートの反応性を示す。これらの結果は、最もチオール化されたBSAでJAAF11反応性が検出されることを示す。
【0249】
実施例20:チオール−エン光化学反応によるO−アリル−Tnの化学的にチオール化BSAへのコンジュゲーション
BSA(250μL、4.3mg/mL)を、キュベットから2〜5cmの距離で、365nm(0.16amp、VWR)の2つの手持ち式の紫外線ランプの間に設置した石英キュベット(10×10mmのパス長、フィッシャー)中で、200当量の0.1Mの2−イミノチオラン(シグマ)と共に、200当量の0.1MのO−アリル−Tnおよびおよそ450当量のAAPHおよびpH8のPBSの存在または非存在下で、316μLの最終容量でインキュベートした。AAPHを添加した直後に、UVをオンにして、反応を開始させた。サンプルを反応中の指定された時間に取った。反応を45分後に止め、その後、セファデックス(商標)G25ミニスピンカラムを使用したゲルろ過クロマトグラフィーによって生成物の緩衝液をpH7.4のPBSに交換した。BSAサンプルの遊離チオール濃度を、システイン標準曲線を使用したエルマンアッセイによって測定し、タンパク質濃度を、標準としてBSAを使用したブラッドフォードアッセイによって測定した。
【0250】
図29は、BSAを、2−イミノチオランと、単独で、または365nmの光の存在下で反応させたときの遊離チオール官能基の時間依存性の増加を示すが、光化学反応におけるO−アリル−Tnの存在または非存在下でのAAPHの添加は、検出可能な遊離チオールの形成を防ぐ。
【0251】
BSAサンプルの免疫反応性を測定するために、1μgのタンパク質サンプルを、100μLのpH7.4のPBSで希釈し、96−ウェルプレート(マキシソープ、ヌンク)のウェルに、最低限でも室温で1時間または4℃で一晩吸着させた。次いでウェルをPBS−トゥイーン(商標)0.05%(PBS−T)で2回洗浄し、次いでブロッキング溶液で30分にわたり充填した。次いでウェルをPBS−Tで3回洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼにカップリングされたナヨクサフジレクチン(VVA−hrp、EYラボ)の100μLの1/100希釈物で充填した。穏やかに振盪しながらの室温で1時間または4℃で12時間のインキュベーションの後、次いでウェルをPBS−Tで4回洗浄し、100μLのhrp基質(ウルトラTMB−ELISA、サーモ・サイエンティフィック)を各ウェルに添加した。反応を、100μLの0.5N硫酸の添加によって止め、プレートリーダー(バイオテックEL808)においてプレートを450nmで読んだ。
【0252】
図30において、レクチンVVAに対するBSAコンジュゲートの反応性は、ELLAにおいて、O−アリル−Tnの存在下におけるチオール−エン光化学反応によって生成したBSAのみがVVAによって検出されるが、O−アリル−Tnの非存在下で生成した生成物は、陰性であることを示す。これらの結果は、AAPHおよびUV365nm光が、O−アリル−糖の非存在下で遊離ジスルフィドのジスルフィドへの再酸化を触媒し、これは、O−アリル−Tnの存在下におけるチオエーテル結合の形成と競合することを示唆する。
【0253】
実施例21:チオール−エン光化学反応によるO−アリル−Tnの化学的にチオール化BSAへのコンジュゲーション
BSA(250μL、4.3mg/mL)を、石英キュベット(10×10mmのパス長、フィッシャー)中で、200当量の0.1Mの2−イミノチオラン(シグマ)、200当量の0.1MのO−アリル−Tn、および0.8当量のAAPHまたはおよそ450当量のAAPHのいずれか、ならびにpH8のPBSと共に、316μLの最終容量でインキュベートした。コンジュゲーションに対する抗酸化剤ビタミンC(およそ5mM)の作用を、大量のAAPHを含有する条件で試験した。キュベットから2〜5cmの距離で、365nm(0.16amp、VWR)の2つの手持ち式の紫外線ランプの間に、キュベットを設置した。AAPHを添加した直後に、UVをオンにして、反応を開始させた。サンプルを反応中の指定された時間に取った。反応を45分後に止め、その後、セファデックス(商標)G25ミニスピンカラムを使用したゲルろ過クロマトグラフィーによって生成物の緩衝液をpH7.4のPBSに交換した。コンジュゲートしたBSAサンプルの遊離チオール濃度を、システイン標準曲線を使用したエルマンアッセイによって測定し、タンパク質濃度を、標準としてBSAを使用したブラッドフォードアッセイによって測定した。
【0254】
BSAサンプルの免疫反応性を測定するために、1μgのタンパク質サンプルを、100μLのpH7.4のPBSで希釈し、96−ウェルプレート(マキシソープ、ヌンク)のウェルに、最低限でも室温で1時間または4℃で一晩吸着させた。次いでウェルをPBS−トゥイーン(商標)0.05%(PBS−T)で2回洗浄し、次いでブロッキング溶液で30分にわたり充填した。次いでウェルをPBS−Tで3回洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼにカップリングされたナヨクサフジレクチン(VVA−hrp、EYラボ)の100μLの1/100希釈物で充填した。穏やかに振盪しながらの室温で1時間または4℃で12時間のインキュベーションの後、次いでウェルをPBS−Tで4回洗浄し、100μLのhrp基質(ウルトラTMB−ELISA、サーモ・サイエンティフィック)を各ウェルに添加した。反応を、100μLの0.5N硫酸の添加によって止め、プレートリーダー(バイオテックEL808)においてプレートを450nmで読んだ。
【0255】
図31は、2つのY軸を有し、O−アリル−TnのBSAへのチオール−エン光コンジュゲーションの結果としての、時間の関数としてのレクチンVVAに対するコンジュゲーション生成物の反応性の増加、および対応する遊離チオールの減少を示す。これらの結果は、反応が、より高い濃度のAAPHでより有効であったことを示唆する。ビタミンCの存在下で生成した生成物は、VVAレクチンに対して反応性を有していなかった(示されていない)。
【0256】
BSA−Tnコンジュゲート(5μg)を、クーマシーブルーで染色した10%ポリアクリルアミドゲルでのSDS−PAGE電気泳動によって分析した。結果から、より少ないAAPHでの反応と比べて、より多くのAAPHでの反応で高分子量種の量が多いことが示された。ビタミンCは、高分子量種の形成を防いだ(データは示されない)。
【0257】
実施例22:タンパク質のチオール化の機能におけるチオール−エン光化学反応によるO−アリル−TnのBSAへのコンジュゲーション
BSA(93μL、11.7mg/mL)を、石英キュベット(10×10mmのパス長、フィッシャー)中で、200当量の0.1Mの2−イミノチオラン(シグマ)、200当量の0.1MのO−アリル−Tnおよび0.08当量、0.8当量またはおよそ450当量のAAPHのいずれか、ならびにpH8のPBSと共に、316μLの最終容量でインキュベートした。一部のサンプルでは、2−イミノチオランおよび/またはAAPHを省き、pH8のPBSで置き換えた。キュベットから2〜5cmの距離で、365nmまたは254nm(0.16amp、VWR)の2つの手持ち式の紫外線ランプの間にキュベットを設置した。AAPHを添加した直後に、UVをオンにして、反応を開始させた。反応を45分後に止め、その後、セファデックス(商標)G25ミニスピンカラムを使用したゲルろ過クロマトグラフィーによって生成物の緩衝液をpH7.4のPBSに交換した。タンパク質濃度を、標準としてBSAを使用したブラッドフォードアッセイによって測定した。
【0258】
BSAサンプルの免疫反応性を測定するために、1μgのタンパク質サンプルを、100μLのpH7.4のPBSで希釈し、96−ウェルプレート(マキシソープ、ヌンク)のウェルに、最低限でも室温で1時間または4℃で一晩吸着させた。次いでウェルをPBS−トゥイーン(商標)0.05%(PBS−T)で2回洗浄し、次いでブロッキング溶液で30分にわたり充填した。次いでウェルをPBS−Tで3回洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼにカップリングされたナヨクサフジレクチン(VVA−hrp、EYラボ)の100μLの1/100希釈物で充填した。穏やかに振盪しながらの室温で1時間または4℃で12時間のインキュベーションの後、次いでウェルをPBS−Tで4回洗浄し、100μLのhrp基質(ウルトラTMB−ELISA、サーモ・サイエンティフィック)を各ウェルに添加した。反応を、100μLの0.5N硫酸の添加によって止め、プレートリーダー(バイオテックEL808)においてプレートを450nmで読んだ。
【0259】
図32は、コンジュゲーションが、タンパク質のチオール化の非存在下で実行される場合、またはチオール化したタンパク質が、活性化剤であるAAPHの非存在下でコンジュゲートされる場合の、VVAに対する生成物の最小の反応性を示す。しかしながら、VVA反応性生成物は、タンパク質チオール化およびAAPHの非存在下で、UV254nmによって生成される。
【0260】
実施例23:高いコンジュゲーション比率におけるBSA−TF反応性の非存在
BSA(93μL、11.7mg/mL)を、室温のベンチ上で、またはキュベットから2〜5cmの距離で、365nm(0.16amp、VWR)の2つの手持ち式の紫外線ランプの間に設置した石英キュベット(10×10mmのパス長、フィッシャー)中で、200当量の0.1Mの2−イミノチオラン(シグマ)、200当量の0.1MのO−アリル−TFおよび0.8当量またはおよそ450当量のAAPHおよびpH8のPBSの存在または非存在下で、316μLの最終容量でインキュベートした。AAPHを添加した直後に、UVをオンにして、反応を開始させた。反応を45分後に止め、その後、セファデックス(商標)G25ミニスピンカラムを使用したゲルろ過クロマトグラフィーによって生成物の緩衝液をpH7.4のPBSに交換した。タンパク質濃度を、標準としてBSAを使用したブラッドフォードアッセイによって測定した。TFエピトープのコンジュゲートしたガラクトースを、ガラクトース標準を使用したDuboisの方法によって測定した。
【0261】
BSAサンプルの免疫反応性を測定するために、1μgのタンパク質サンプルを、100μLのpH7.4のPBSで希釈し、96−ウェルプレート(マキシソープ、ヌンク)のウェルに、最低限でも室温で1時間または4℃で一晩吸着させた。次いでウェルをPBS−トゥイーン(商標)0.05%(PBS−T)で2回洗浄し、次いでブロッキング溶液で30分にわたり充填した。次いでウェルをPBS−Tで3回洗浄し、抗TFモノクローナル抗体JAAF11の100μLの0.1μg/mL希釈物で充填した。穏やかに振盪しながらの室温で1時間または4℃で12時間のインキュベーションの後、次いでウェルをPBS−Tで4回洗浄し、さらに、二次抗体であるヤギ抗マウスIgG(H+L)−hrp(ジャクソン・イムノリサーチ)の100μLの1/1000希釈物と共に60分インキュベートした。次いでウェルをPBS−Tで4回洗浄し、100μLのhrp基質(ウルトラTMB−ELISA、サーモ・サイエンティフィック)を各ウェルに添加した。反応を、100μLの0.5N硫酸の添加によって止め、プレートリーダー(バイオテックEL808)においてプレートを450nmで読んだ。
【0262】
図33は、2つのY軸を有し、より低いガラクトースコンジュゲートと比較して、BSA−TFのより低い免疫反応性と、高いガラクトース比率を示す。2つのコンジュゲートにおいてガラクトースが検出されたことによって、TFが、BSAにコンジュゲートされているが、コンジュゲートしたTFの免疫反応性は、高い比率で損なわれることを確認する。
【0263】
実施例24:チオール−エン光化学反応によるO−アリル−TnのペプチドdTT831−844−Cys−(Tn)−βAla BSAへのコンジュゲーション
図34は、dTT831−844−Cys−βAlaおよびCおよびN末端にシステイン残基を有するCys−dTT831−844−βAlaの化学構造を、それぞれそれらの表形式のLC−MSデータと共に示す。
【0264】
図35は、ペプチドdTT831−844−Cys−βAla(C末端)の詳細なLC−MSデータを示す。
【0265】
図36は、ペプチドCys−dTT831−844−βAla(N末端)の詳細なLC−MSデータを示す。
【0266】
■手順A
UVキュベット中で、水(1mL、2mM)中のペプチドの溶液に、H
2O(200μL、0.1M、10当量)中のO−アリル−Tnの溶液および触媒的な量のAAPHを添加した。混合物を、365nmの放射線照射下で、室温で60分撹拌した。エルマン試験から、45分で反応が完成したことが示された。次いで溶液を凍結乾燥して、白色の粉末を得て、LC−MSから、望ましいTn−コンジュゲートペプチドの存在が示された;LC-MS:[M] C
94H
152O
31N
20Sの計算値、2089.0653;実測値、2089.0780;CAN/H
2O 5〜95% 5.08分。
【0267】
■手順B(有機溶媒中)
dTT831−844−Cys−(Tn)−βAla(
図34)。UVキュベット中で、MeOH(1mL、2mM)中のペプチドの溶液に、H
2O(200μL、0.1M、10当量)中のTnの溶液および触媒的な量のDMPAPを添加した。混合物を、365nmの放射線照射下で、室温で60分撹拌した。エルマン試験から、45分で反応が完成したことが示された。次いで溶液を凍結乾燥して、白色の粉末を得て、LC−MSから、望ましいペプチド−TNの存在が確認された。LC-MS:[M] C
94H
152O
31N
20Sの計算値、2089.0653;実測値、2089.0675;CAN/H
2O 5〜95% 5.07分。
【0268】
図37は、C末端ペプチドdTT831−844−Cys−βAlaにおけるO−アリルTnの光分解性のAAPHによって触媒されたチオール−エン反応を示す。
【0269】
図38は、C末端ペプチドにおけるO−アリルTnのLC−MSプロファイルを示す。
【0270】
実施例25:チオール−エン光化学反応によるO−アリル−TnのペプチドCys−(Tn)−dTT831−844−βAlaへのコンジュゲーション
■手順A
UVキュベット中で、水(2mL、0.482mM)中のペプチドCys−(Tn)−dTT831−844−βAla(
図33)の溶液に、H
2O(100μL、0.1M、10当量)中のTnの溶液および触媒的な量のAAPHを添加した。混合物を、365nmの放射線照射下で、室温で60分撹拌した。エルマン試験から、45分で反応が完成したことが示された。次いで溶液を凍結乾燥して、白色の粉末を得て、LC−MSから、望ましいペプチド−Tnコンジュゲートの存在が示された。LC-MS:[M] C
94H
152O
31N
20Sの計算値、2089.0653;実測値、2089.0719;CAN/H
2O 5〜95% 5.11分。
【0271】
■手順B
Cys−(Tn)−dTT831−844−βAla(
図33)。UVキュベット中で、メタノール(2mL、0.482mM)中のペプチドの溶液に、H
2O(100μL、0.1M、10当量)中のTnの溶液および触媒的な量のDMPAを添加した。混合物を、365nmの放射線照射下で、室温で60分撹拌した。エルマン試験から、45分で反応が完成したことが示された。次いで溶液を凍結乾燥して、白色の粉末を得て、LC−MSから、望ましいペプチド−Tnの存在が示された。LC-MS:[M] C
94H
152O
31N
20Sの計算値、2089.0653;実測値、2089.0817;CAN/H
2O 5〜95% 5.10分。
【0272】
図39は、N末端ペプチドCys−dTT831−844−βAlaにおけるO−アリルTnの光分解性のAAPHによって触媒されたチオール−エン反応を示す。
【0273】
図40は、N末端ペプチドにおけるO−アリルTnの詳細なLC−MSプロファイルを示す。
【0274】
参考文献
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