(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-518873(P2021-518873A)
(43)【公表日】2021年8月5日
(54)【発明の名称】バイオベースEVA組成物及びその物品及びその方法
(51)【国際特許分類】
C08F 210/02 20060101AFI20210709BHJP
A43B 13/04 20060101ALI20210709BHJP
C08J 9/04 20060101ALI20210709BHJP
C08F 218/08 20060101ALI20210709BHJP
C08K 5/14 20060101ALI20210709BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20210709BHJP
【FI】
C08F210/02
A43B13/04 A
C08J9/04 101
C08J9/04CES
C08F218/08
C08K5/14
C08L23/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2020-556975(P2020-556975)
(86)(22)【出願日】2019年4月8日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月12日
(86)【国際出願番号】IB2019020006
(87)【国際公開番号】WO2019202405
(87)【国際公開日】20191024
(31)【優先権主張番号】62/658,294
(32)【優先日】2018年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】514091253
【氏名又は名称】ブラスケム・エス・エー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャンカルロス・デレヴァチ
(72)【発明者】
【氏名】マウロ・アルフレド・ソト・オヴィエド
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンダ・ムニョズ・アンデルリ
(72)【発明者】
【氏名】オマール・ワンディアー・レンク
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼ・アウグスト・エステヴェス・ヴィヴェイロ
【テーマコード(参考)】
4F050
4F074
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4F050BA01
4F050HA58
4F074AA22A
4F074AC21
4F074AC26
4F074AD10
4F074BA13
4F074BB02
4F074CA29
4F074CC03X
4F074CC04Y
4F074CC06X
4F074DA02
4F074DA09
4F074DA22
4F074DA24
4F074DA50
4J002BB061
4J002EK036
4J002EQ017
4J002FD146
4J002FD327
4J002GC00
4J100AA02P
4J100AA02Q
4J100AG04P
4J100AG04Q
4J100CA04
4J100DA09
4J100DA15
4J100DA23
4J100DA42
4J100DA48
4J100JA57
(57)【要約】
コポリマーは、エチレン及び酢酸ビニルを含むことができ、エチレンは、再生可能炭素源から少なくとも一部得られる。実施形態はまた、こうしたエチレン及び酢酸ビニルのコポリマーであって、エチレンが、再生可能炭素源から少なくとも一部得られる、コポリマーから形成される、又はそれを含む、硬化性ポリマー組成物、膨張性ポリマー組成物、物品、硬化物品、及び膨張物品を対象とすることもできる。エチレン酢酸ビニルコポリマーを製造する方法が含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン及び酢酸ビニルのコポリマーであって、前記エチレンが、再生可能炭素源から少なくとも一部得られる、コポリマー。
【請求項2】
前記酢酸ビニルが、再生可能炭素源から少なくとも一部得られる、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
前記酢酸ビニルが、コポリマー中に、5〜95wt%の範囲の量で存在する、請求項1又は2に記載のコポリマー。
【請求項4】
前記エチレンが、コポリマー中に、5〜95wt%の範囲の量で存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項5】
ASTM D792によって決定される場合、0.91〜1.25g/cm3の範囲の密度を示す、請求項1から4のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項6】
ASTM D1238によって、190℃で荷重2.16kgを用いる測定で決定される場合、0.1〜400g/10分の範囲のメルトインデックスを示す、請求項1から5のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項7】
ASTM D2240によって決定される場合、A60〜ショアA100の範囲のショアA硬度ショアを示す、請求項1から6のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項8】
ASTM D1525によって決定される場合、35〜90℃の範囲のビカット軟化温度を示す、請求項1から7のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項9】
ASTM D1646によって決定される場合、100℃で15〜50MUの範囲のムーニー粘度ML(1+4)を示す、請求項1から5のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項10】
少なくとも1種の追加のコモノマーを更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項11】
ASTM D6866-18B法によって決定される場合、少なくとも5%のバイオベース炭素含有量を示す、請求項1から10のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のコポリマーから製造される物品。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載のコポリマー及び少なくとも過酸化剤を含む、硬化性ポリマー組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の硬化性ポリマー組成物から製造される硬化非膨張物品。
【請求項15】
ASTM D-792によって決定される場合、0.7〜1.2g/cm3の範囲の密度を示す、請求項14に記載の硬化非膨張物品。
【請求項16】
ASTM D2240によって決定される場合、ショアA40〜90の範囲のショアA硬度を示す、請求項14又は15に記載の硬化非膨張物品。
【請求項17】
ISO 4649:2017によって、荷重10Nでの測定で決定される場合、20mm3〜200mm3の範囲の耐摩耗性を示す、請求項14から16のいずれか一項に記載の硬化非膨張物品。
【請求項18】
ASTM D6866-18B法によって決定される場合、少なくとも5%のバイオベース炭素含有量を示す、請求項14から17のいずれか一項に記載の硬化非膨張物品。
【請求項19】
請求項1から11のいずれか一項に記載のコポリマー並びに少なくとも発泡剤及び過酸化剤を含む、膨張性ポリマー組成物。
【請求項20】
請求項19に記載の膨張性ポリマー組成物から製造される膨張物品。
【請求項21】
ASTM D-792によって決定される場合、0.05〜0.7g/cm3の範囲の密度を示す、請求項20に記載の膨張物品。
【請求項22】
ABNT NBR 14455:2015によって決定される場合、アスカーC20〜95の範囲のアスカーC硬度を示す、請求項20又は21に記載の膨張物品。
【請求項23】
ASTM D395:2016B法によって決定される場合、20%〜95%の範囲の圧縮永久歪みを示す、請求項20から22のいずれか一項に記載の膨張物品。
【請求項24】
ABNT NBR 8619:2015によって決定される場合、20%〜80%の範囲の弾性反発を示す、請求項20から23のいずれか一項に記載の膨張物品。
【請求項25】
ISO 4649によって、荷重5Nでの測定で決定される場合、40mm3〜400mm3の範囲の耐摩耗性を示す、請求項20から24のいずれか一項に記載の膨張物品。
【請求項26】
PFI法に従って、70℃×1時間で測定される場合、0.1%から7%の間の収縮を示す、請求項20から25のいずれか一項に記載の膨張物品。
【請求項27】
ASTM D6866-18B法によって決定される場合、少なくとも5%のバイオベース炭素含有量を示す、請求項20から26のいずれか一項に記載の膨張物品。
【請求項28】
靴底、ミッドソール、アウトソール、ユニソール、インソール、モノブロックサンダル、ビーチサンダル、フルEVAフットウェア、スポーツ用品、シール、ホース、ガスケット、発泡体、発泡体マットレス、及び自動車用部品からなる群から選択される、請求項12、請求項14から18及び請求項20から26のいずれか一項に記載の物品。
【請求項29】
エチレン酢酸ビニルコポリマーを製造する方法であって、再生可能炭素源から少なくとも一部得られるエチレンを酢酸ビニルと重合させて、前記エチレン酢酸ビニルコポリマーを生成する工程を含む、方法。
【請求項30】
前記エチレン酢酸ビニルコポリマーが、ASTM D6866-18B法によって決定される場合、少なくとも5%のバイオベース炭素含有量を示す、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記酢酸ビニルが、再生可能炭素源から少なくとも一部得られる、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記酢酸ビニルが、前記コポリマー中に、5〜95wt%の範囲の量で存在する、請求項29から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記エチレンが、前記コポリマー中に、5〜95wt%の範囲の量で存在する、請求項29から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記コポリマーが、少なくとも1種の追加のコモノマーを更に含む、請求項29から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
エチレン酢酸ビニルコポリマーを製造する方法であって、
再生可能炭素源を発酵させてエタノールを生成する工程と、
エタノールを脱水して、エチレンを生成する工程と、
エチレン及び酢酸ビニルを重合させて、前記エチレン酢酸ビニルコポリマーを生成する工程と
を含む、方法。
【請求項36】
発酵させる前記工程により、前記エタノール及び高級アルコールを含む副生成物が生成され、脱水する前記工程により、前記エチレン及び高級アルケン不純物が生成され、前記方法が、前記エチレンを得るために、エチレン及び前記高級アルケン不純物を精製する工程を更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
発酵させる前記工程により、前記エタノール及び高級アルコールを含む副生成物が生成され、前記方法が、前記エタノールを得るために、前記エタノール及び前記副生成物を精製する工程を更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記再生可能炭素源が、サトウキビ及びテンサイ、カエデ、ナツメヤシ、ヤシ糖、ソルガム、アメリカンアガベ、トウモロコシ、小麦、大麦、ソルガム、米、ジャガイモ、キャッサバ、サツマイモ、藻、果実、セルロースを含む材料、ワイン、ヘミセルロースを含む材料、リグニンを含む材料、木材、わら、サトウキビバガス、サトウキビの葉、トウモロコシ茎葉、木材残渣、紙、並びにその組み合わせからなる群から選択される、植物材料である、請求項35から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記エチレン酢酸ビニルコポリマーが、ASTM D6866-18B法によって決定される場合、少なくとも5%のバイオベース炭素含有量を示す、請求項35から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記酢酸ビニルが、再生可能炭素源から少なくとも一部得られる、請求項35から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記酢酸ビニルが、前記コポリマー中に、5〜95wt%の範囲の量で存在する、請求項35から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記エチレンが、前記コポリマー中に、5〜95wt%の範囲の量で存在する、請求項35から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記コポリマーが、少なくとも1種の追加のコモノマーを更に含む、請求項35から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
重合させる前記工程が、管型反応器又はオートクレーブ反応器から選択される高圧重合反応器において、フリーラジカル発生剤の存在下で行われる、請求項29から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
過酸化剤の存在下で前記エチレン酢酸ビニルコポリマーを硬化させる工程を更に含む、請求項29から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
少なくとも発泡剤及び過酸化剤の存在下で、前記エチレン酢酸ビニルコポリマーを膨張及び硬化させる工程を更に含む、請求項29から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記エチレン酢酸ビニルコポリマーを硬化させる前記工程が、酸素で満たされた状態、又は酸素が部分的に存在する状態で行われる、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
請求項29から47に記載の方法のいずれかによって製造されるコポリマー。
【請求項49】
請求項1から11及び請求項48のいずれか一項に記載のコポリマーを含むポリマー組成物。
【請求項50】
請求項48に記載のコポリマーから製造される物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
エチレン酢酸ビニル(EVA)等のポリオレフィンコポリマーを用いて、薄膜、成形物、発泡体等を含む、多様な物品を製造することができる。一般に、ポリオレフィンは、広範囲の用途における、その多用途性のために、世界中で、広く使用されるプラスチックである。EVAは、優れた加工性、低い製造費用、柔軟性、低い密度、及び再利用可能性等の特徴を有することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】米国特許第9181143号
【特許文献2】米国特許第4396789号
【特許文献3】米国特許第5840971号
【特許文献4】PCT/BR2017/050398
【特許文献5】WO201694161A1
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「Selective catalytic oxidation of ethanol to acetic acid on dispersed Mo-V-Nb mixed oxides」Li X,Iglesia E.、Chemistry 2007、13(33)、9324〜30頁
【非特許文献2】「The Production of Vinyl Acetate Monomer as a Co-Product from the Non-Catalytic Cracking of Soybean Oil」Benjamin Jones、Michael Linnen、Brian Tande、及びWayne Seames、Processes、2015、3、61-9-633
【非特許文献3】「Acetic acid bacteria:A group of bacteria with versatile biotechnological applications」Saichana N、Matsushita K、Adachi O、Frebort I、Frebortova J.、Biotechnol Adv. 2015年11月 1;33(6Pt2):1260〜71頁
【非特許文献4】「Biotechnological applications of acetic acid bacteria」Raspor P、Goranovic D.、Crit Rev Biotechnol.2008;28(2):101〜24頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
この概要は、詳細な説明において、以下に更に記述される概念の選択を紹介するために提供する。この概要は、特許請求の範囲に記載の主題の、鍵となる特徴、又は必須の特徴を特定するものでもなく、特許請求の範囲に記載の主題の範囲を制限する一助として用いるものでもない。
【0005】
一態様において、本明細書で開示された実施形態は、エチレン及び酢酸ビニルのコポリマーであって、エチレンが、再生可能炭素源から少なくとも一部得られる、コポリマーに関する。
【0006】
別の態様において、本明細書で開示された実施形態は、エチレン及び酢酸ビニルのコポリマーから製造される物品であって、エチレンが、再生可能炭素源から少なくとも一部得られる、コポリマーから製造される物品に関する。
【0007】
別の態様において、本明細書で開示された実施形態は、エチレン及び酢酸ビニルのコポリマー及び少なくとも過酸化剤を含む硬化性ポリマー組成物であって、エチレンが、再生可能炭素源から少なくとも一部得られる、硬化性ポリマー組成物に関する。
【0008】
更に別の態様において、本明細書で開示された実施形態は、エチレン及び酢酸ビニルのコポリマー及び少なくとも過酸化剤を含む硬化性ポリマー組成物から製造される硬化物品であって、エチレンが、再生可能炭素源から少なくとも一部得られる、硬化物品に関する。
【0009】
更に別の態様において、本明細書で開示された実施形態は、エチレン及び酢酸ビニルのコポリマー並びに少なくとも発泡剤及び過酸化剤を含む膨張性ポリマー組成物であって、エチレンが、再生可能炭素源から少なくとも一部得られる、膨張性ポリマー組成物に関する。
【0010】
別の態様において、本明細書で開示された実施形態は、エチレン及び酢酸ビニルのコポリマー並びに少なくとも発泡剤及び過酸化剤を含む膨張性ポリマー組成物から製造される膨張物品であって、エチレンが、再生可能炭素源から少なくとも一部得られる、膨張物品に関する。
【0011】
更に別の態様において、本明細書で開示された実施形態は、エチレン酢酸ビニルコポリマーを製造する方法であって、再生可能炭素源から少なくとも一部得られるエチレンを酢酸ビニルと重合させて、エチレン酢酸ビニルコポリマーを生成する工程を含む、方法に関する。
【0012】
更に別の態様において、本明細書で開示された実施形態は、エチレン酢酸ビニルコポリマーを製造する方法であって、再生可能炭素源を発酵させてエタノールを生成する工程と、エタノールを脱水して、エチレンを生成する工程と、エチレン及び酢酸ビニルを重合させて、エチレン酢酸ビニルコポリマーを生成する工程とを含む、方法に関する。
【0013】
特許請求の範囲に記載の主題の、他の態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の、1つ又は複数の実施形態のバイオベース酢酸ビニルの製造の、例示的な経路を示す図である。
【
図2】本開示の、1つ又は複数の実施形態の物品の収縮を測定するPFI法に関連した、いくつかの点を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一態様において、本明細書で開示された実施形態は、エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマーを含む組成物であって、エラストマーエチレン酢酸ビニルコポリマーのエチレンの少なくとも一部が、植物系材料等の再生可能炭素源から得られる、すなわち、バイオベースエチレン酢酸ビニルコポリマーを形成する、組成物に関する。
【0016】
EVAは、高温及び高圧での、エチレン及び酢酸ビニルの重合から誘導されるランダムな単位の配列によって形成される、エラストマーのポリオレフィン族のコポリマーである。EVAコポリマーにより、他の熱可塑性物質のように処理することができるが、柔軟性及び弾性を含む、ゴムのような特徴を与えることができる、材料がもたらされる。更に、EVAコポリマーは、広範囲の用途、例えば、接着剤、薄膜、膨張物品等において使用することができる。天然源に由来する生成物の使用は、化石源から得られるものとは対照的に、大気の二酸化炭素濃度の増加を減らし、故に温室効果の拡大を効率的に制限する、有効な手段として、益々、広く好まれるようになった。したがって、天然原料から得られる生成物は、化石源に由来する生成物に対して、その再生可能炭素含有量において異なる。この再生可能炭素含有量は、技術的なASTM D 6866-18規範「放射性炭素分析を用いた、固体試料、液体試料、及び気体状試料のバイオベース含有量を決定する、標準試験法」に記載された技法によって認定することができる。再生可能天然原料から得られる生成物は、そのライフサイクルの終わりで焼却することができ、化石に由来しないCO
2のみを生じ得る、付加的な特性を有する。
【0017】
本開示のポリマー組成物は、EVAポリマー中のエチレンの質量パーセントが、5wt%、25wt%、40wt%、60wt%、66wt%、及び72wt%のうちの1つから選択される下限から、80wt%、85wt%、88wt%、92wt%、及び95wt%のうちの1つから選択される上限までの範囲である、EVAコポリマーを含むことができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。更に、エチレンの、この全量のうち、そのエチレンの少なくとも一部は、再生可能炭素源をベースにすると理解される。
【0018】
本開示のポリマー組成物は、1種又は複数の、任意の追加のコポリマーを含むことに加えて、様々な比率の、エチレン及び酢酸ビニルを組み込んだEVAコポリマーを含むことができる。本開示のポリマー組成物は、ASTM D5594によって決定される場合、コポリマー中の酢酸ビニル含有量の質量パーセントが、5wt%、8wt%、12wt%、15wt%、及び20wt%のうちの1つから選択される下限から、25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、60wt%、75wt%、及び95wt%から選択される上限までの範囲である、EVAコポリマーを含むことができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。更に、酢酸ビニルの、この全量のうち、その酢酸ビニルの少なくとも一部は、再生可能炭素源をベースにすると理解される。
【0019】
詳細には、1つ又は複数の実施形態において、EVAコポリマーは、ASTM D6866-18B法によって決定される場合、少なくとも5%のバイオベース炭素含有量を示す。更に、他の実施形態は、バイオベース炭素を少なくとも10%、20%、40%、50%、60%、80%、又は100%含むことができる。前述したように、EVAポリマー中の、全ての、バイオベース炭素又は再生可能炭素は、バイオベースエチレン及び/又はバイオベース酢酸ビニルから付与され得る。これらのそれぞれは、次に説明される。
【0020】
例えば、1つ又は複数の実施形態において、再生可能炭素源は、サトウキビ及びテンサイ、カエデ、ナツメヤシ、ヤシ糖、ソルガム、アメリカンアガベ、トウモロコシ、小麦、大麦、ソルガム、米、ジャガイモ、キャッサバ、サツマイモ、藻、果実、セルロースを含む材料、ワイン、ヘミセルロースを含む材料、リグニンを含む材料、木材、わら、サトウキビバガス、サトウキビの葉、トウモロコシ茎葉、木材残渣、紙、並びにその組み合わせからなる群から選択される、1種又は複数の植物材料である。
【0021】
1つ又は複数の実施形態において、バイオベースエチレンは、再生可能炭素源を発酵させてエタノールを生成する工程によって得ることができ、エタノールはその後、脱水して、エチレンを生成することができる。更に、また、発酵させる工程により、エタノールに加えて、高級アルコールの副生成物も生成されると理解される。高級アルコール副生成物が脱水中に存在する場合、高級アルケン不純物が、エタノールと同時に形成され得る。したがって、1つ又は複数の実施形態において、エタノールを、脱水の前に精製して、高級アルコール副生成物を取り除くか、他の実施形態において、エチレンを精製して、脱水後に高級アルケン不純物を取り除くことができる。
【0022】
したがって、バイオエタノールとして知られる、生物学的起源のエタノールは、サトウキビ及びビート等の培養物に由来する糖、又はトウモロコシ等の、他の培養物に関連した加水分解でんぷんに由来する糖の発酵によって得られる。バイオベースエチレンは、わら及びサトウキビ外皮等の多くの農業副産物において見出され得る、セルロース及びヘミセルロースの加水分解に基づく生成物から得ることができることも想起される。この発酵は、多様な微生物の存在下で実施され、こうした微生物の最も重要なものは、酵母サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。それより得られるエタノールは、通常300℃を超える温度での触媒反応によって、エチレンに変換することができる。多様な触媒、例えば、高比表面積ガンマ-アルミナを、この目的で使用することができる。他の例には、米国特許第9181143号及び米国特許第4396789号に記載された教示が含まれ、それらは、参照によって本明細書にその全体が援用されている。
【0023】
他方で、バイオベース酢酸ビニルを、本開示のEVAコポリマーの、1つ又は複数の実施形態において使用することもできる。バイオベース酢酸ビニルは、エタノールの酸化によって、酢酸を生成し(上記のように生成されてもよい)、続いて、エチレン及び酢酸を反応させてエチレンをアシルオキシ化し(acyloxylate)、酢酸ビニルに至ることによって製造することができる。更に、酢酸と反応させるエチレンもまた、上記の再生可能資源から生成することができると理解される。
【0024】
バイオベース酢酸ビニルを得る、例示的な経路を
図1に示す。初めに示されるように、少なくとも1種のアルコール(エタノール又はエタノールを含むアルコールの混合物のいずれか)を生成するために、上記のものを含む、再生可能出発材料を、発酵し、任意で精製することができる。アルコールを2つの部分に分けることができ、ここで、第1の部分を第1の反応器に導入し、第2の部分を第2の反応器に導入することができる。第1の反応器において、アルケン(発酵の後に精製を行ったかどうかによって、エチレン又はエチレンを含むアルケンの混合物)を生成するためにアルコールを脱水し、続いて任意で精製して、エチレンを得ることができる。当業者は、精製が脱水の前に起こる場合、脱水の後で精製する必要はなく、逆の場合も同じであることを認識し得る。第2の反応器において、酢酸を得るために、アルコールを酸化させることができ、それを任意で精製することができる。第3の反応器において、第1の反応器で生成されたエチレン及び第2の反応器で生成された酢酸を合わせることができ、反応させて、エチレンをアシルオキシ化し、酢酸ビニルを生成し、その後、単離し、任意で精製することができる。エタノールを酸化させて酢酸を生成することについての、追加の詳細は、米国特許第5840971号及び「Selective catalytic oxidation of ethanol to acetic acid on dispersed Mo-V-Nb mixed oxides」Li X,Iglesia E.、Chemistry 2007、13(33)、9324〜30頁で見出すことができる。
【0025】
しかし、本開示は、酢酸を生成する経路に関してあまり限定しない。むしろ、
図1に示したように、「The Production of Vinyl Acetate Monomer as a Co-Product from the Non-Catalytic Cracking of Soybean Oil」Benjamin Jones、Michael Linnen、Brian Tande、及びWayne Seames、Processes、2015、3、61-9-633に説明されるように、酢酸を脂肪酸から得ることも想起される。更に、「Acetic acid bacteria:A group of bacteria with versatile biotechnological applications」Saichana N、Matsushita K、Adachi O、Frebort I、Frebortova J.、Biotechnol Adv. 2015年11月 1;33(6Pt2):1260〜71頁及び「Biotechnological applications of acetic acid bacteria」Raspor P、Goranovic D.、Crit Rev Biotechnol.2008;28(2):101〜24頁に説明されるように、発酵からの酢酸の生成は、酢酸生成菌によって行われる。更に、
図1は、酢酸ビニルの生成を対象とするが、酢酸ビニルを生成するのに用いられるエチレンの生成は、その後、酢酸ビニルと反応させて、本開示のEVAコポリマーを生成する、エチレンを生成するのに使用することもできると理解される。したがって、例えば、第1の反応器及び第2の反応器に供給される、エタノールの量は、それぞれ、重合させるエチレン及び酢酸ビニルの相対的な量に応じて変えることができる。
【0026】
本開示のポリマー組成物は、EVAコポリマーの、キロダルトン(kDa)での数平均分子量(Mn)が、5kDa、10kDa、20kDa、及び25kDaのうちの1つから選択される下限から、30kDa、35kDa、40kDa、及び50kDaのうちの1つから選択される上限までの範囲である、EVAコポリマーを含むことができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0027】
本開示のポリマー組成物は、EVAコポリマーの、キロダルトン(kDa)での質量平均分子量(Mw)が、25kDa、50kDa、70kDa、90kDa、及び110kDaのうちの1つから選択される下限から、120kDa、140kDa、150kDa、及び180kDaのうちの1つから選択される上限までの範囲である、EVAコポリマーを含むことができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0028】
本開示のポリマー組成物は、EVAコポリマーの分散度(Mw/Mn)が、1.0、1.5、3.0、及び4.0のうちの1つから選択される下限から、5.0、6.0、7.0、及び8.0のうちの1つから選択される上限までの範囲である、EVAコポリマーを含むことができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0029】
分子量特性は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)実験によって測定することができる。こうした実験は、例えば、赤外検出器IR5、4ブリッジ式キャピラリー粘度計(PolymerChar社)及び8角度光散乱検出器(Wyatt社)等と、3方向で連結することができる。4混床、13μmカラム(Tosoh社)のセットを、温度140℃で使用することができる。実験では、濃度1mg/mL、流量1mL/分、溶解温度及び溶解時間、それぞれ160℃及び90分、注入容量200μL、並びにBHT100ppmで安定化させたトリクロリウムベンゼン(trichlorium benzene)の溶媒を使用することができる。
【0030】
本開示のポリマー組成物は、EVAコポリマーを含むことができ、EVAコポリマーは、ASTM D1238によって、190℃で荷重2.16kgを用いる測定で決定される場合、0.1g/10分、1g/10分、2g/10分、5g/10分、10g/10分、20g/10分、又は50g/10分のうちの1つから選択される下限から、50g/10分、100g/10分、200g/10分、300g/10分、又は400g/10分のうちの1つから選択される上限までの範囲であり得る、メルトインデックスを示し、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0031】
本開示のポリマー組成物は、EVAコポリマーを含むことができ、ASTM D792によって決定されるEVAコポリマーの密度は、0.91g/cm
3、0.95g/cm
3、0.97g/cm
3、又は1.1g/cm
3のうちの1つから選択される下限から、1.1g/cm
3、1.5g/cm
3、1.9g/cm
3、1.21g/cm
3、又は1.25g/cm
3のうちの1つから選択される上限までの範囲であることができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0032】
本開示のポリマー組成物は、EVAコポリマーを含むことができ、コポリマーは、ASTM D2240によって決定される場合、ショアA60、ショアA65、ショアA70、ショアA75、又はショアA80のいずれかの下限から、ショアA70、ショアA75、ショアA80、ショアA100の上限までの範囲である、ショアA硬度を示し、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0033】
本開示のポリマー組成物は、EVAコポリマーを含むことができ、コポリマーは、ASTM D1525A50法によって決定される場合、35℃、40℃、45℃、50℃、又は55℃のいずれかの下限から、65℃、70℃、75℃、85℃、又は90℃のいずれかの上限までの範囲であり得る、ビカット軟化温度を示し、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0034】
本開示のポリマー組成物は、EVAコポリマーを含むことができ、コポリマーは、ASTM D1646によって決定される場合、100℃において15〜50MUの範囲のムーニー粘度ML(1+4)を示す。こうしたムーニー粘度は、酢酸ビニル含有量(contact)がコポリマーの50%よりも多い場合に得ることができる。
【0035】
前述したように、本開示のEVAコポリマーは、EVAポリマー樹脂、EVAプレポリマー、又はEVAモノマーを、それらに限定されないが、PCT/BR2017/050398に記載された種類のもの等の、1種又は複数の極性モノマーを含む、1種又は複数の、追加のコモノマーと反応させることによって、1種又は複数の、追加のコモノマーを含むことができることも想起される。PCT/BR2017/050398は、参照によって、その全体が本明細書に援用されている
【0036】
本開示のポリマー組成物は、ポリマー加工中に、フリーラジカルを発生させることができる、1種又は複数の過酸化剤を含むことができる。例えば、過酸化剤は、重合及び/又は硬化の間にポリマーを反応させながら、EVA樹脂と組み合わせることができる。1つ又は複数の実施形態において、過酸化剤は、二官能性過酸化物、例えば、ベンゾイルペルオキシド;ジクミルペルオキシド;ジ-tert-ブチルペルオキシド;OO-Tert-アミル-O-2-エチルヘキシルモノペルオキシカーボネート;tert-ブチルクミルペルオキシド;tert-ブチル3,5,5-トリメチルヘキサノエートペルオキシド;tert-ブチルペルオキシベンゾエート;2-エチルヘキシルカーボネートtert-ブチルペルオキシド;2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシド)ヘキサン;1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシド)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシド)ヘキシン-3;3,3,5,7,7-ペンタメチル-1,2,4-トリオキセパン;ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシド)バレレート;ジ(2,4-ジクロロベンゾイル)ペルオキシド;ジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド;ペルオキシドジ(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等を含むことができる。
【0037】
過酸化剤はまた、ベンゾイルペルオキシド、2,5-ジ(クミルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ジ(クミルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン-3,4-メチル-4-(t-ブチルペルオキシ)-2-ペンタノール、ブチル-ペルオキシ-2-エチル-ヘキサノエート、tert-ブチルペルオキシピバレート、第三級ブチルペルオキシネオデカノエート、t-ブチル-ペルオキシ-ベンゾエート、t-ブチル-ペルオキシ-2-エチル-ヘキサノエート、4-メチル-4-(t-アミルペルオキシ)-2-ペンタノール,4-メチル-4-(クミルペルオキシ)-2-ペンタノール、4-メチル-4-(t-ブチルペルオキシ)-2-ペンタノン、4-メチル-4-(t-アミルペルオキシ)-2-ペンタノン、4-メチル-4-(クミルペルオキシ)-2-ペンタノン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3,2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)ヘキシン-3,2,5-ジメチル-2-t-ブチルペルオキシ-5-ヒドロペルオキシヘキサン、2,5-ジメチル-2-クミルペルオキシ-5-ヒドロペルオキシヘキサン、2,5-ジメチル-2-t-アミルペルオキシ-5-ヒドロペルオキシヘキサン、m/p-アルファ,アルファ-ジ[(t-ブチルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼン、1,3,5-トリス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3,5-トリス(t-アミルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3,5-トリス(クミルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ[1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブチル]カーボネート、ジ[1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブチル]カーボネート、ジ[1,3-ジメチル-3-(クミルペルオキシ)ブチル]カーボネート、ジ-t-アミルペルオキシド、t-アミルクミルペルオキシド、t-ブチル-イソプロフェニルクミルペルオキシド、2,4,6-トリ(ブチルペルオキシ)-s-トリアジン、1,3,5-トリ[1-(t-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル]ベンゼン、1,3,5-トリ-[(t-ブチルペルオキシ)-イソプロピル]ベンゼン、1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブタノール、1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブタノール、ジ(2-フェノキシエチル)ペルオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、ジベンジルペルオキシジカーボネート、ジ(イソボルニル)ペルオキシジカーボネート、3-クミルペルオキシ-1,3-ジメチルブチルメタクリレート、3-t-ブチルペルオキシ-1,3-ジメチルブチルメタクリレート、3-t-アミルペルオキシ-1,3-ジメチルブチルメタクリレート、トリ(1,3-ジメチル-3-t-ブチルペルオキシブチルオキシ)ビニルシラン、1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブチルN-[1-{3-(1-メチルエテニル)-フェニル)1-メチルエチル]カルバメート、1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブチルN-[1-{3(1-メチルエテニル)-フェニル}-1-メチルエチル]カルバメート、1,3-ジメチル-3-(クミルペルオキシ))ブチルN-[1-{3-(1-メチルエテニル)-フェニル}-1-メチルエチル]カルバメート、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル4,4-ジ(t-アミルペルオキシ)バレレート、エチル3,3-ジ(t-ブチルペルオキシ)ブチレート、2,2-ジ(t-アミルペルオキシ)プロパン、3,6,6,9,9-ペンタメチル-3-エトキシカルボニル(cabonyl)メチル-1,2,4,5-テトラオキサシクロノナン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレート、エチル-3,3-ジ(t-アミルペルオキシ)ブチレート、ベンゾイルペルオキシド、OO-t-ブチル-O-水素-モノペルオキシ-サクシネート、OO-t-アミル-O-水素-モノペルオキシ-サクシネート、3,6,9,トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキシノナン(又はメチルエチルケトンペルオキシド環状三量体)、メチルエチルケトンペルオキシド環状二量体、3,3,6,6,9,9-ヘキサメチル-1,2,4,5-テトラオキサシクロノナン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t-ブチルペルベンゾエート、t-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルペルベンゾエート、t-アミルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシイソブチレート、3-ヒドロキシ-1,1-ジメチルt-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、OO-t-アミル-O-水素-モノペルオキシサクシネート、OO-t-ブチル-O-水素-モノペルオキシサクシネート、ジ-t-ブチルジペルオキシフタレート、t-ブチルペルオキシ(3,3,5-トリメチルヘキサノエート)、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシカルボ)シクロヘキサン、t-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチル-ペルオキシ-(cis-3-カルボキシ)プロピオネート、アリル3-メチル-3-t-ブチルペルオキシブチレート、OO-t-ブチル-O-イソプロピルモノペルオキシカーボネート、OO-t-ブチル-O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート、1,1,1-トリス[2-(t-ブチルペルオキシ-カルボニルオキシ)エトキシメチル]プロパン、1,1,1-トリス[2-(t-アミルペルオキシ-カルボニルオキシ)エトキシメチル]プロパン、1,1,1-トリス[2-(クミルペルオキシ-カルボニル(cabonyl)オキシ)エトキシメチル]プロパン、OO-t-アミル-O-イソプロピルモノペルオキシカーボネート、ジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジ(3-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジ(2-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、2,4-ジブロモ-ベンゾイルペルオキシド、過酸化コハク酸、ジベンゾイルペルオキシド、ジ(2,4-ジクロロ-ベンゾイル)ペルオキシド、及びその組み合わせを含むこともできる。
【0038】
1つ又は複数の実施形態において、本開示のポリマー組成物は、1種又は複数の過酸化剤を、0.01wt%、0.1wt%、0.15wt%、0.4wt%、0.6wt%、0.75wt%、及び1wt%のうちの1つから選択される下限から、0.5wt%、1.25wt%、2wt%、4wt%、及び5wt%のうちの1つから選択される上限までの範囲である、全組成物の質量パーセント(wt%)で含むことができ、任意の下限を任意の上限と共にも使用することができる。更に、過酸化剤の濃度は、最終材料の用途に応じて、多かれ少なかれ決まることがあると想起される。
【0039】
また、架橋助剤は、硬化過程の間に、ポリマー組成物に合わせることができると想起される。架橋助剤により、追加の架橋反応部位がつくられる。したがって、ポリマーの架橋の程度は、過酸化物をより多く添加することによって通常得られるものよりも、著しく増加する。一般に、助剤は、架橋率を増やす。1つ又は複数の実施形態において、架橋助剤には、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリメチロールプロパン-トリス-メタクリレート(TRIM)、トリアリルシアヌレート(TAC)、及びその組み合わせが挙げられる。
【0040】
1つ又は複数の実施形態において、本開示のポリマー組成物は、1種又は複数の架橋助剤を、0.01phr、0.25phr、0.5phr、1phrのうちの1つから選択される下限から、1.5phr及び2phrの1つから選択される上限までの範囲である、樹脂百分率(phr)で含むことができる。
【0041】
本開示のポリマー組成物は、膨張ポリマー組成物及び発泡体を製造するために、1種又は複数の発泡剤を含むことができる。発泡剤は、固体発泡剤、液体発泡剤、又は気体状発泡剤を含むことができる。固体発泡剤を使用する実施形態において、発泡剤は、粉末又は顆粒として、ポリマー組成物と合わせることができる。
【0042】
本開示の発泡剤は、ポリマー加工温度で分解し、発泡ガス、例えば、N
2、CO、CO
2等を放出する化学発泡剤を含む。化学発泡剤の例には、ヒドラジン、例えば、トルエンスルホニルヒドラジン、ヒドラジド、例えば、オキシジベンゼンスルホニルヒドラジド、ジフェニルオキシド-4,4'-ジスルホン酸ヒドラジド等、硝酸塩、アゾ化合物、例えば、アゾジカルボンアミド、シアノ吉草酸、アゾビス(イソブチロニトリル)、及びN-ニトロソ化合物、及び他の窒素系材料、及び当技術分野で公知の他の化合物を含む有機発泡剤が挙げられる。
【0043】
無機化学発泡剤は、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸塩を含むことができ、それらは、単独で用いてもよく、又は弱い有機酸、例えば、クエン酸、乳酸、若しくは酢酸と合わせて用いてもよい。
【0044】
1つ又は複数の実施形態において、本開示のポリマー組成物は、1種又は複数の発泡剤を、1phr、1.5phr、2phr、2.5phr、及び3phrのうちの1つから選択される下限から、3.5phr、4phr、4.5phr、5phr、5.5phr、及び6phrのうちの1つから選択される上限までの範囲である、樹脂百分率(phr)で含むことができ、任意の下限を任意の上限と共にも使用することができる。
【0045】
本開示のポリマー組成物は、関連する活性化温度を下げることによって、発泡剤の作用を増進するか、又は開始する、1種又は複数の発泡促進剤(キッカーとしても知られている)を含むことができる。例えば、選択された発泡剤が、170℃よりも高い温度、例えば、220℃以上で、反応するか、又は分解する場合、周囲のポリマーは、活性化温度まで加熱されるならば、分解することになり、発泡促進剤が使用され得る。発泡促進剤は、選択された発泡剤を活性化させることができる、任意の好適な発泡促進剤を含むことができる。1つ又は複数の実施形態において、好適な発泡促進剤には、カドミウム塩、カドミウム-亜鉛塩、鉛塩、鉛-亜鉛塩、バリウム塩、バリウム-亜鉛(Ba-Zn)塩、酸化亜鉛、二酸化チタン、トリエタノールアミン、ジフェニルアミン、スルホン酸化芳香族酸、及びその塩等が挙げられる。
【0046】
1つ又は複数の実施形態において、本開示のポリマー組成物は、1種又は複数の発泡促進剤を、0.1phr、0.25phr、0.5phr、1phr、2phr、及び2.5phrのうちの1つから選択される下限から、1.5phr、2phr、2.5phr、3phr、3.5phr、4phr、4.5phr、及び5phrのうちの1つから選択される上限までの範囲である、樹脂百分率(phr)で含むことができ、任意の下限を任意の上限と共にも使用することができる。
【0047】
添加剤
本開示のポリマー組成物は、加工助剤、潤滑剤、帯電防止剤、清澄剤、核形成剤、ベータ-核形成剤、滑り剤、酸化防止剤、相溶化剤、制酸剤、光安定剤、例えば、HALS、IR吸収剤、増白剤、無機充填剤、有機染料及び/又は無機染料、ブロッキング防止剤、加工助剤、難燃剤、可塑剤、殺生物剤、粘着促進剤、酸化金属、鉱物充填剤、流動促進剤、油、抗酸化物質、オゾン劣化防止剤、促進剤、並びに加硫剤等の、1種又は複数のポリマー添加剤を含む、ブレンド中にポリマー組成物に添加される場合、様々な物理的特性及び化学的特性を改質する、充填剤及び添加剤を含むことができる。
【0048】
本開示のポリマー組成物は、タルク、ガラス繊維、大理石粉塵、セメント粉塵、クレイ、カーボンブラック、長石、シリカ、若しくはガラス、フュームドシリカ、ケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、ケイ酸粉末、ガラス微小球、雲母、酸化金属粒子及び酸化金属ナノ粒子、例えば、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、無機塩粒子及び無機塩ナノ粒子、例えば、硫酸バリウム、珪灰石、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)、又は再生EVA等の、1種又は複数の無機充填剤を含むことができる。本明細書に定められたように、再生EVAは、少なくとも1つの加工方法、例えば、成形又は押出成形を施されたリグラインド材料から得ることができ、その後のスプルー、ランナー、鋳ばり、型抜きした部分等は、粉砕されるか、又は切り刻まれる。
【0049】
1つ又は複数の実施形態において、本開示のポリマー組成物は、1種又は複数の充填剤を、0.02wt%、0.05wt%、1.0wt%、5.0wt%、10.0wt%、15.0wt%、及び20.0wt%のうちの1つから選択される下限から、25.0wt%、30.0wt%、40.0wt%、50.0wt%、60.0wt%、及び70.0wt%のうちの1つから選択される上限までの範囲である、全組成物の質量パーセント(wt%)で含むことができ、任意の下限を任意の上限と共にも使用することができる。
【0050】
反応器内合成
1つ又は複数の実施形態において、本開示のポリマー組成物を、反応器内で調製することができる。エチレン及び酢酸ビニルを、反応器に加えて重合させる。一部の実施形態において、エチレン及び酢酸ビニル、及び任意で1種又は複数の極性コモノマーを、高圧ラジカル重合によって重合させ、過酸化剤が重合開始剤として作用する。一部の実施形態において、エチレン及び酢酸ビニル及び過酸化剤は、温度80℃〜300℃の、オートクレーブ又は管型の反応器中に、高圧で加えられ、反応器内の圧力は、一部の実施形態では500バール〜3000バールであり、一部の実施形態では圧力1000バール〜2600バールである。他の実施形態において、コポリマーは、溶液重合方法によって製造される。
【0051】
追加のコモノマーを含む実施形態において、こうした追加のコモノマーは、エチレン及び酢酸ビニルと共に反応器に加えることができるが、反応性押出成形の間、生成されたEVAコポリマーと反応し得ることも理解される。
【0052】
前述されたように、前述されたもののいずれかを含む、1種又は複数のフリーラジカル発生剤は、重合の間、含まれていてもよい。
【0053】
後重合法
更に、EVAコポリマーは、例えば、同様に、前述されたものを含む過酸化物、及び任意で、架橋助剤の存在下で、硬化させることもできると理解される。膨張組成物を含む実施形態について、以下に説明されるように、膨張及び硬化させる工程は、発泡剤及び過酸化剤、並びに任意で、キッカー及び/又は架橋助剤の存在下であってもよい。こうした硬化させる工程(膨張させるかどうかに関わらず)のいずれかの間に、1つ又は複数の実施形態において、EVAコポリマーを硬化させる工程は、酸素で満たされた状態、又は酸素が部分的に存在する状態で行うことができ、例えば、WO201694161A1に説明され、参照によってその全体が援用されている。
【0054】
物理的特性
本開示のEVAコポリマーを含む硬化非膨張物品は、ASTM D-792によって決定される場合、0.7g/cm
3、0.8g/cm
3、0.9g/cm
3、又は1.0g/cm
3のいずれかの下限から、1.0g/cm
3、1.1g/cm
3、又は1.2g/cm
3のいずれかの上限までの範囲であり得る密度を有することができ、任意の下限を任意の上限と共にも使用することができる。
【0055】
本開示のポリマー組成物によって製造される硬化非膨張物品は、ASTM D2240によって決定されるショアA硬度が、ショアA40、ショアA50、又はショアA60のうちの1つから選択される下限から、ショアA60、ショアA70、ショアA80、及びショアA90のうちの1つから選択される上限までを有する範囲内であることができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0056】
本開示のポリマー組成物によって製造される硬化非膨張物品は、ISO 4649:2017によって、荷重10Nでの測定で決定される場合の耐摩耗性が、20mm
3、40mm
3、60mm
3、70mm
3、90mm
3、又は100mm
3のうちの1つから選択される下限から、120mm
3、140mm
3、170mm
3、200mm
3のうちの1つから選択される上限までを有する範囲内であり、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0057】
更に、前述されたように、EVAコポリマーは、例えば、説明された発泡剤及び過酸化剤で、膨張し、硬化することができることも想起される。本開示のポリマー組成物によって製造される膨張物品は、ASTM D-792によって決定される密度が、0.05g/cm
3、0.12g/cm
3、0.2g/cm
3、0.25g/cm
3、0.5g/cm
3のうちの1つから選択される下限から、0.4g/cm
3、0.5g/cm
3、0.6g/cm
3、0.65g/cm
3、及び0.70g/cm
3のうちの1つから選択される上限までを有する範囲内であることができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0058】
本開示のポリマー組成物によって製造される膨張物品は、ABNT NBR 14455:2015によって決定されるアスカーC硬度が、アスカーC20、アスカーC30、アスカーC40、又はアスカーC50のいずれかの下限及びいずれかの、アスカーC50、アスカーC60、アスカーC70、又はアスカーC95の上限を有する範囲であることができ、但し、いずれの下限も、いずれの上限とも対になることができる。
【0059】
本開示のポリマー組成物によって製造される膨張物品は、ASTM D395:2016B法によって決定される圧縮永久歪み(PCS)が、20%、30%、40%、又は50%のうちの1つから選択される下限から、50%、60%、70%、80%、又は90%のうちの1つから選択される上限までを有する範囲内であることができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0060】
本開示のポリマー組成物によって製造される膨張物品は、ABNT NBR 8619:2015によって決定される弾性反発が、20%、30%、35%、40%、45%、及び50%のうちの1つから選択される下限から、50%、60%、70%、80%、及び90%のうちの1つから選択される上限までを有する範囲であることができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0061】
本開示のポリマー組成物によって製造される膨張物品は、PFI法(PFI「靴製造産業の試験研究機関(Testing and Research Institute for the Shoe Manufacturing Industry)」Pirmesens、Germany)を用いた、70℃×1時間での、0.1%、1%、1.5%、及び5%のうちの1つから選択される下限から、4%、5%、6%、及び7%のうちの1つから選択される上限までを有する範囲内の、収縮を有することができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0062】
PFI法は、収縮測定の業界で使用することができ、以下に詳述する。
【0063】
装置
・ 強制空気循環を備えたオーブン
・ パキメーター
・ 試験片又はテンプレートに印をつけるための定規
・ 厚さゲージ
【0064】
試料
3個の、寸法少なくとも100×100mmの試験片を、それぞれの試料で評価すべきである。
【0065】
手順
試験片は、温度23±2℃及び相対湿度50±5%で、1時間調整することができる。試料の、おおよその厚さを測定する。
【0066】
図2に示すように、定規又はテンプレートを用いて、試験片のそれぞれに、各点A、B、C、及びDを印し付けた。
【0067】
初期長(C
i)を、パキメーターを用いて、A方向(区分A-B及び区分C-D)において、並びにB方向(区分A-C及び区分B-D)において、最も近い0.01mmまで測定する。
【0068】
次いで、試験片を、強制空気循環オーブンにおいて、70℃で1時間保持する。
【0069】
暴露時間の後、試験片をオーブンから取り出し、温度23±2℃及び相対湿度50±5%で60分間調整する。
【0070】
最終長(C
f)を、カリパスを用いて、A方向(区分A-B及び区分C-D)において、並びにB方向(区分A-C及び区分B-D)において、最も近い0.01mmまで測定する。
【0071】
平均初期長(C
im)は、試験片のそれぞれについて、A方向において、A-B区分及びC-D区分の平均として、並びにB方向において、A-C区分及びB-D区分の平均として計算される。
【0072】
平均最終長(C
fm)は、試験片のそれぞれについて、A方向において、A-B区分及びC-D区分の平均として、並びにB方向において、A-C区分及びB-D区分の平均として計算される。
【0073】
結果
膨張EVAの収縮は、以下の式によって示され、最も近い0.1%までパーセントで表される。
【0074】
収縮%=(C
im-C
fm)×100/C
im
式中、
C
im=初期長平均(mm)
C
fm=最終長平均(mm)
【0075】
最終のEVA収縮結果は、A方向及びB方向について、それぞれの試験片で計算された収縮値の平均として計算される。
注記:PFIは、A方向及びB方向の膨張材料の収縮の、許容できる最大値を推奨する(
図1):
0.6g/cm
3までの密度を有する材料について-3%
0.6g/cm
3を超える密度を有する材料について-2%
【0076】
本開示のポリマー組成物によって製造される膨張物品は、ISO 4649によって、荷重5Nでの測定で決定される耐摩耗性が、40、80、120mm
3、150mm
3、200mm
3、又は400mm
3のうちの1つから選択される下限から、300mm
3、600mm
3、700mm
3、又は800mm
3のうちの1つから選択される上限までを有する範囲内であることができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0077】
用途
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、押出成形、圧縮成形、射出成形、熱成形、キャストフィルム押出成形、インフレーション成形、発泡、押出ブロー成形、射出ブロー成形、ISBM(射出延伸ブロー成形)、3D印刷、回転成形、引き抜き成形、二重膨張(double expansion)法等を含む、様々な成形方法において使用されて、製品を製造することができる。
【0078】
本開示のポリマー組成物を用いて、織物、不織布、ポリウレタン、EVA、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリエステル、ポリアミド等を含む、織物及び不織布材料のための接着膜を製造することができる。一部の実施形態において、ポリマー組成物は、1種又は複数の接着剤層、並びに織物及び不織布を含む、1種又は複数の基材層を含む多層物品を形成するのに使用される、接着膜に組み込むことができる。様々な実施形態において、基材層は、薄膜、ブロック、又はシートの形態をとることができる。EVAコポリマーが薄膜として存在する、特定の実施形態において、ポリマーは、より狭いメルトインデックス及び上記で示した範囲の酢酸ビニル含有量から選択することができる。例えば、酢酸ビニル含有量が5〜19wt%である場合、選択されるメルトインデックスは1〜6g/10分の狭い範囲であり得るが、より高い酢酸ビニル含有量は異なるメルトフローインデックスと合わされ得ることも認識される。
【0079】
ポリマー組成物から製造された薄膜は、綿及び羊毛等の天然繊維、又はポリエステル及びポリプロピレンを含むポリオレフィン等の合成繊維から得られる、織物及び不織布織物(NWF)を滑らかにする(dub)のに好適であり得る。1つ又は複数の実施形態において、本開示のEVAを含む接着膜は、多層物品において使用することができ、ここで、接着膜を、例えば、薄膜、シート、又はブロック等の基材に塗布することができる。したがって、例えば、特定の実施形態において、本開示の多層物品は、バイオベースEVAの少なくとも1つの層を、例えば、織物、不織布、ポリウレタン、別のEVA、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリエステル、及びポリアミドから選択される材料によって製造された基材であってもよい少なくとも第2の層と共に、含むことができる。
【0080】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、ABNT NBR10456:2012によって測定される、20Nよりも大きい最大接着強度を有する、接着剤組成物として配合することができる。一部の実施形態において、ポリマー組成物は、30Nよりも大きい接着強度を示すことができる。例えば、最大接着強度は、20N〜50Nの範囲であることができる。
【0081】
本開示のポリマー組成物は、インソール、ミッドソール、ソール、ホットメルト接着剤、プライマー、土木建築における、内張り、産業用床、遮音材を含む、多くのポリマー物品に配合することもできる。本開示のポリマー組成物は、靴底、ミッドソール、アウトソール、ユニソール、インソール、モノブロックサンダル、及びビーチサンダル、フルEVAフットウェア、スポーツ用品等を含む、多種多様な最終用途に用いられる物品を形成することができる。特定の実施形態において、こうした物品は、少なくとも17wt%であるビニル含有量、例えば、18〜40wt%の範囲のビニル含有量を有することができる。
【0082】
他の用途には、シール、ホース、ガスケット、発泡体、発泡体マットレス、家具、電気-電子、自動車、包装、EVAタイヤ、ブラジャー、マット、板紙、スポーツ用品、玩具、水泳用付属品、脚用浮き輪、ヨガブロック、ダンベルグローブ、ジムステップ、ロドシート(rodo sheet)、着物の紐、サンドペーパー、指保護具、壁保護具、指股、教育用ゲーム及び教育用製品、装飾用パネル、EVAボール、ツイステッドヘックススツール(twisted Hex stool)、スリッパ、枕、スポンジ、椅子、サイクリングビブパッド、保護カバー、カーペット、エプロン、及びその他が挙げられる。
【0083】
1つ又は複数の実施形態において、改質されたEVA組成物は、他の樹脂とのブレンドを製造するための濃縮マスターバッチとして配合することができる。次いで、マスターバッチ組成物を、他のポリマーと合わせて、ポリマー加工原料を生成することができる。ブレンドを得るための混合は、任意の従来の、樹脂の混合方法、例えば、上記の溶解法及び押出成形法において行うことができる。1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、質量パーセント1wt%〜20wt%でポリマー樹脂に添加されるマスターバッチとして配合されて、加工原料を生成することができる。
【0084】
ポリマー樹脂
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、本開示のEVAコポリマーに加えて、他のポリマー樹脂を含むことができる。一部の実施形態において、1種又は複数のバイオベースEVAコポリマーは、石油化学系ポリマー、例えば、石油化学系EVAと合わせることができる。
【0085】
一部の実施形態において、ポリマー樹脂に後で合わせて、接着剤又はポリマー物品の製造用の加工原料を生成する、マスターバッチ配合物は、EVA樹脂(又はエチレンモノマー及び酢酸ビニルモノマー)から調製することができる。このように、本開示のEVAコポリマーは、接着剤としてのEVAの使用に加えて、他のポリマー樹脂の相溶化剤として作用することができると想起される。
【0086】
1つ又は複数の実施形態において、EVAコポリマーは、非相溶性の、又は熱力学的に非混和性のポリマー樹脂間の相溶化剤として作用して、相溶化剤が2相間の界面張力を下げ、多様なポリマー樹脂について、良好な機械的性質及び加工を示すブレンドを生成することができる。
【0087】
本開示のポリマー樹脂には、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンコポリマー、例えば、エチレン無水マレイン酸等、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリウレタン、エラストマー、例えば、5-ビニル-2-ノルボルネン-EPDM、ポリスルフィドゴム、エチレンプロピレンゴム(EPM)、ポリ(エチレン-メチルアクリレート)、ポリ(エチレン-アクリレート)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ビニルシリコーンゴム(VMQ)、フルオロシリコーン(FVMQ)、ニトリルゴム(NBR)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレントリブロックコポリマー(SEBS)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(SIS)、部分的に水素化されたアクリロニトリルブタジエン(HNBR)、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレンゴム(IR)、ネオプレンゴム(CR)、ポリクロロプロペン、ブロモブチルゴム、クロロブチルゴム、塩化ポリ(エチレン)、フッ化ビニリデンコポリマー(CFM)、シリコーンゴム、ビニルシリコーンゴム、クロロスルホン化ポリ(エチレン)、フルオロエラストマー、エラストマーポリオレフィン、例えば、エチレンC3〜C12アルファ-オレフィンコポリマー、及びその組み合わせが挙げられる。
【0088】
一部の実施形態において、EVAコポリマーは、ポリオレフィン及びバイオポリマーブレンドにおいて、相溶化剤として作用することができる。バイオポリマーには、それらに限定されないが、でんぷん、多糖類、例えば、セルロース及びメチルセルロース、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、例えば、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリヒドロキシ吉草酸(PHV)、ポリヒドロキシヘキサン酸(PHH)、ポリヒドロキシオクタン酸(PHO)、及びそのコポリマー、並びにその組み合わせが挙げられる。
【実施例】
【0089】
以下の実施例において、ポリマー組成物の配合物は、様々な物理的特性を研究するために、調製され、分析された。
【0090】
(実施例1)
エチレン酢酸ビニルのバイオベースコポリマーの製造
本発明のエチレン及び酢酸ビニルのバイオベースコポリマーを、サトウキビから得られる、エタノールの脱水から得られるエチレンを用いて製造した。エチレンを生成するための、エタノールの脱水は、直列につながれた、連続の、4個の固定床断熱反応器において、350℃から480℃まで変わる温度、及び圧力3〜10atmで、アルミナ触媒を用いて実施した。その後、反応生成物を、深冷蒸留によって精製し、ポリマー等級エチレンを得る。
【0091】
エチレン及び酢酸ビニルのコポリマーを、長さ1.110m及び直径50mmの高圧管型反応器において製造した。エチレンを、流量8.5トン/時間で反応器に注入し、酢酸ビニルを、流量2000kg/時間で注入した。混合物を、ハイパー圧縮機で2400バールまで圧縮し、130℃で予め加熱した。第三級ブチルペルオキシピバレート/t-ブチルペルオキシ-2-エチル-ヘキサノエート/OO-Tert-アミル-O-2-エチルヘキシルモノペルオキシカーボネートの混合物を開始剤として使用した。反応温度を、190℃から250℃の間で変化させ、EVAコポリマーを8.5トン/時間で製造した。以下の表は、得られるバイオベースEVAの特性を示す。
【0092】
【表1】
【0093】
(実施例2)
硬化非膨張物品の調製
以下の実施例において、硬化性ポリマー組成配合物を、ニーダーXSN-5型QUANZHOU YUCHENGSHENG MACHINE CO.,LTD社で、温度100℃で調製し、その後、シリンダー(開放混合)で薄片化し、Luxor Industria de Maquinas Ltda社からの液圧プレスLPB-100-AQ-EVA型で、175℃で7分間加圧し、硬化させて、10×10cmのプラークを製造し、それらを分析して様々な物理的特性を調べた。バイオベースEVA及び石油化学系EVAの混合物を含む、硬化性ポリマー組成配合物を、Table 2(表2)に示す。
【0094】
【表2】
【0095】
試料を、硬度(ショアA)、密度、耐摩耗性、及びバイオベース炭素含有量について分析し、結果をTable 3(表3)に示す。
【0096】
【表3】
【0097】
(実施例3)
膨張物品の調製
以下の実施例において、膨張性ポリマー組成配合物を、ニーダーXSN-5型QUANZHOU YUCHENGSHENG MACHINE CO.,LTD社で、温度105℃で調製し、その後、シリンダー(開放混合)で薄片化し、Luxor Industria de Maquinas Ltda社からの液圧プレスLPB-100-AQ-EVA型で、175℃で7分間加圧し、硬化させて、異なる膨張率で膨張させてプラークを製造し、それらを分析して様々な物理的特性を調べた。膨張性ポリマー組成配合物をTable 4(表4)に示す。
【0098】
【表4】
【0099】
試料を、硬度(ショアA及びアスカーC)、密度、耐摩耗性、圧縮永久歪み、収縮、弾性反発、及びバイオベース炭素含有量について分析し、結果をTable 5(表5)に示す。
【0100】
【表5】
【0101】
いくつかの例示的な実施形態のみが、上記で詳述されているものの、当業者は、例示的な実施形態において、本発明から実質的に逸脱することなく、多くの変更が可能であることを容易に認識するであろう。したがって、全てのこうした変更は、以下の特許請求の範囲で定められた、本開示の範囲内に含まれるものである。特許請求の範囲において、ミーンズ・プラス・ファンクションクレームは、列挙された機能を果たすものとして本明細書に記載された構成、及び構造的均等物だけでなく、均等構成にも及ぶことを意図する。故に、釘は、円柱表面を用いて、木材部品を共に固定するが、ネジは、木材部品を取り付ける環境でらせん表面を用いるという点で、釘及びネジは、構造的均等物ではない可能性があるが、釘及びネジは、均等構成であり得る。それは、特許請求の範囲において関連の機能と共に用語「〜のためのミーンズ」を明示的に使用するものを除いて、本明細書に記載の特許請求の範囲のいずれかを限定するための、米国特許法第112条第6項を行使しないことは、出願者の明確な意図である。
【国際調査報告】