特表2021-519111(P2021-519111A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-519111食用塩組成物の強化用のカプセル化された微量栄養素顆粒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-519111(P2021-519111A)
(43)【公表日】2021年8月10日
(54)【発明の名称】食用塩組成物の強化用のカプセル化された微量栄養素顆粒
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/16 20160101AFI20210712BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20210712BHJP
【FI】
   A23L33/16
   A23L5/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2021-501122(P2021-501122)
(86)(22)【出願日】2019年3月27日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月26日
(86)【国際出願番号】IB2019052487
(87)【国際公開番号】WO2019186420
(87)【国際公開日】20191003
(31)【優先権主張番号】201821011987
(32)【優先日】2018年3月29日
(33)【優先権主張国】IN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】510242211
【氏名又は名称】タタ ケミカルズ リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520378425
【氏名又は名称】タタ コンシューマー プロダクツ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TATA CONSUMER PRODUCTS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】シャシカラ, エム. エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ジャガヴァラプ, サティヤナラヤナ レディー
(72)【発明者】
【氏名】ジャダヴ, プリタム
(72)【発明者】
【氏名】シング, ニシャ
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
【Fターム(参考)】
4B018LE02
4B018MD02
4B018MD05
4B018MD06
4B018MD10
4B018MD27
4B018MD35
4B018ME02
4B018MF08
4B035LC06
4B035LE07
4B035LG01
4B035LG07
4B035LG17
4B035LG26
4B035LK09
4B035LK14
4B035LP36
(57)【要約】
食用塩組成物の強化用の実質的にカプセル化された微量栄養素顆粒を開示する。カプセル化された前記微量栄養素顆粒は、0.1〜20%の少なくとも1種の微量栄養素、並びに、脂肪酸、セルロース誘導体、及び糖からなる群から選択される1〜99%の少なくとも1種の結合剤を含む顆粒を備え、前記顆粒は脂肪酸及びセルロース誘導体から構成される外面コーティングによってカプセル化されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用塩組成物の強化用の、実質的にカプセル化された微量栄養素顆粒であって、
0.1〜20%の少なくとも1種の微量栄養素、並びに、脂肪酸、セルロース誘導体、及び糖からなる群から選択される1〜99%の少なくとも1種の結合剤を含む顆粒を備え、前記顆粒が脂肪酸及びセルロース誘導体を含む外面コーティングによってカプセル化されている、カプセル化された微量栄養素顆粒。
【請求項2】
前記外面コーティングが、前記脂肪酸及びセルロース誘導体を5:1〜1:5の範囲の比率で含む、請求項1に記載のカプセル化された微量栄養素顆粒。
【請求項3】
前記脂肪酸がステアリン酸である、請求項1又は2に記載のカプセル化された微量栄養素顆粒。
【請求項4】
前記セルロース誘導体がヒドロキシルプロピルメチルセルロースである、請求項1又は2に記載のカプセル化された微量栄養素顆粒。
【請求項5】
粒子サイズが200〜800ミクロンの範囲である、請求項1に記載のカプセル化された微量栄養素顆粒。
【請求項6】
前記微量栄養素が、Fe源、Zn源、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のカプセル化された微量栄養素顆粒。
【請求項7】
98%の食用塩と、
0.1〜5%の請求項1〜6のいずれか一項に記載のカプセル化された微量栄養素顆粒と、
ヨウ素酸カリウム、ヨウ化カリウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される、0.01〜0.5%の追加の微量栄養素と、
を含む強化食用塩組成物。
【請求項8】
実質的にカプセル化された微量栄養素顆粒を調製する方法であって、
0.1〜20%の少なくとも1種の微量栄養素、並びに、脂肪酸、セルロース誘導体、及び糖からなる群から選択される1〜99%の少なくとも1種の結合剤を含む顆粒を形成するステップと、
脂肪酸及びセルロース誘導体を含む外面コーティングを用いて前記顆粒をコーティングして、カプセル化された前記微量栄養素顆粒を得るステップと
を含む方法。
【請求項9】
前記外面コーティングが、前記脂肪酸及びセルロース誘導体を、5:1〜1:5の比率で含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記脂肪酸がステアリン酸である、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記セルロース誘導体が、ヒドロキシルプロピルメチルセルロースである、請求項8又は9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本開示は、強化食用塩組成物に関する。特に、本開示は、食用塩組成物の強化用の実質的にカプセル化された微量栄養素顆粒に関する。
【0002】
[背景]
鉄及びヨウ素は、人体に必須な元素である。鉄は、酸素の運搬、貯蔵、及び利用において触媒として作用する。鉄は、ヘモグロビン、ミオグロビン、シトクロム、及び他の酵素に見出され、ヨウ素は、甲状腺ホルモンの必須構成成分である。
【0003】
鉄欠乏性(貧血)及びヨウ素欠乏性障害は、しばしば共存し、発展途上国及び先進国において世界人口の3分の1超の人々が苦しみ、精神的及び身体的発達に深刻な結果を招いている。鉄及びヨウ素によって強化された食品源は、鉄及びヨウ素といったミネラルを毎日確実に供給することにより、こうした問題を克服するのに役立ち得る。
【0004】
食用塩は、低コスト及び広範な用途のため、こうした強化のための理想的な食品ビヒクルである。鉄及びヨウ素強化食塩は、鉄及び/又はヨウ素欠乏性障害の治療に使用できる。しかし、鉄及びヨウ素による塩の二重強化には、様々な問題がある。問題の1つは、第一鉄イオン及び酸素の存在下での、ヨウ素酸塩からヨウ素への触媒還元であり、ヨウ素の昇華及び第一鉄から、塩マトリックスにおいて許容できない色及び感覚をもたらす第二鉄への共酸化を引き起こす。こうした問題は、鉄をカプセル化又はキレート化して、ヨウ素源に物理的障壁を設けることにより克服できることが知られている。
【0005】
Zimmermannら(Dual fortification of salt with iodine and microencapsulated iron:a randomized、double−blind、controlled trial in Moroccan schoolchildren.Am J Clin Nutr.2003年、77号、425〜432ページ)は、部分水素化植物油でカプセル化された硫酸第一鉄を含有する二重強化塩を用いて、モロッコの学童に、ランダム化二重盲検対照試験を実施した。許容できない塩の発色はあったが、有意な感覚受容の変化はなかった。
【0006】
国際公開第2002080706号は、a)1種又は複数の水溶性機能性成分が含浸された無機多孔性コア、及びb)融点が100℃超であって、鎖長が8以上である脂肪酸の多価金属塩を1種又は複数含む疎水性水不溶性外面コーティングを含む食品添加粒子を開示する。
【0007】
米国特許出願公開第2017216216号は、オイドラギット(EUDRAGIT)(登録商標)などの耐熱pH感受性水不溶性ポリマー内にカプセル化され、塩の殻に包まれた微量栄養素及びビタミン粒子を提供する。
【0008】
しかし、これまでに開発されたカプセル化製剤は高価であるため、二重強化塩の価格は著しくさらに高くなり、対象とする消費者、すなわち鉄欠乏性及びヨウ素欠乏性の両障害が一般的である低所得者層に届く可能性は低い。さらに、そうした製剤の鉄とヨウ素の安定性はどちらも、長期貯蔵となるとあまり有望ではない。そうした製剤は、多くの食品マトリックスに添加される場合、良好な感覚特性も有していない。
【0009】
したがって、長期貯蔵のために鉄及びヨウ素の安定性を改善した安価な強化食用塩組成物が必要である。さらに、そうした組成物を調製する簡単な方法が必要である。
[概要]
【0010】
本開示は、食用塩組成物の強化用の実質的にカプセル化された微量栄養素顆粒に関する。カプセル化された前記微量栄養素顆粒は、0.1〜20%の少なくとも1種の微量栄養素、並びに、脂肪酸、セルロース誘導体、及び糖からなる群から選択される1〜99%の少なくとも1種の結合剤を含む顆粒を備え、前記顆粒は脂肪酸及びセルロース誘導体から構成される外面コーティングによってカプセル化されている。
【0011】
カプセル化された微量栄養素顆粒から構成される強化食用塩組成物も、開示される。前記強化食用塩組成物は、98%の食用塩と、0.1〜5%の上記のカプセル化された微量栄養素顆粒と、ヨウ素酸カリウム、ヨウ化カリウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される0.01〜0.5%の追加の微量栄養素とから構成される。
【0012】
本開示は、実質的にカプセル化された微量栄養素顆粒を調製する方法にも関する。前記方法は、0.1〜20の少なくとも1種の微量栄養素、並びに、脂肪酸、セルロース誘導体、及び糖からなる群から選択される1〜99%の少なくとも1種の結合剤を含む顆粒を形成するステップと、脂肪酸及びセルロース誘導体を含む外面コーティングを用いて前記顆粒をコーティングして、カプセル化された前記微量栄養素顆粒を得るステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態にしたがって得られた未コーティング(球形化後)鉄顆粒の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。
図2】本発明の一実施形態にしたがって得られたコーティングされた鉄顆粒の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。
図3】本発明の一実施形態にしたがって得られた実質的にカプセル化された鉄顆粒のヨウ素含有量の、経時的な変化を示すグラフである。
図4】(i)100mlの蒸留水中、及び(ii)pH2の水中において、100rpmで撹拌する場合の、本発明の一実施形態にしたがって得られた実質的にカプセル化された鉄顆粒(鉄含有量:10〜10.5%)200mgの放出プロファイルを示すグラフである。
図5】(i)100mlの蒸留水中、及び(ii)pH2の水中において、撹拌しない場合の、本発明の一実施形態にしたがって得られた実質的にカプセル化された鉄顆粒(鉄含有量:10〜10.5%)200mgの放出プロファイルを示すグラフである。
図6】色に基づいた嗜好試験(本発明の一実施形態による強化食用塩組成物と対照ヨウ素添加塩との比較)の結果を示すグラフである。
図7】味に基づいた嗜好試験(本発明の一実施形態による強化食用塩組成物と対照ヨウ素添加塩との比較)の結果を示すグラフである。
図8】芳香に基づいた嗜好試験(本発明の一実施形態による強化食用塩組成物と対照ヨウ素添加塩との比較)の結果を示すグラフである。
図9】総合的な許容性に基づいた嗜好試験(本発明の一実施形態による強化食用塩組成物と対照ヨウ素添加塩との比較)の結果を示すグラフである。[詳細な説明]
【0014】
本開示の諸原理の理解を促進する目的で、次に実施形態を参照し、具体的な言語を使用して実施形態を説明する。しかしながら、それによって本開示の範囲を制限することは意図しておらず、開示された組成物及び方法におけるそうした変更及びさらなる改変、並びに開示された組成物及び方法における本開示の諸原理のそうしたさらなる適用は、本開示が関連する当業者が通常思いつくように企図されていると理解されるであろう。
【0015】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、本開示の例示的及び説明的なものであり、それに限定することを意図するものではないことが、当業者に理解されるであろう。
【0016】
本明細書を通して、「1つの実施形態」「一実施形態」又は同様の言語への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特色、構造、又は特徴が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して「1つの実施形態において」、「一実施形態において」という句、及び同様の言語の出現は、必ずしもそうではないが、すべてが同じ実施形態を指すことがある。
【0017】
本開示の最も広い範囲において、本開示は、強化食用塩組成物に関する。特に、本開示は、食用塩組成物の強化用の実質的にカプセル化された微量栄養素顆粒に関する。実質的にカプセル化された前記微量栄養素顆粒は、0.1〜20%の少なくとも1種の微量栄養素、並びに脂肪酸、セルロース誘導体、及び糖からなる群から選択される1〜99%の少なくとも1種の結合剤を含む顆粒を備え、この顆粒は脂肪酸及びセルロース誘導体から構成される外面コーティングによってカプセル化されている。
【0018】
本明細書において、セルロース誘導体、糖、及び脂肪酸からなる群から選択される結合剤は、防湿コーティングとして作用する。一実施形態によれば、前記顆粒は1〜99%の少なくとも1種の結合剤を含み、好ましくは60〜90%の少なくとも1種の結合剤を含む。
【0019】
一実施形態によれば、前記脂肪酸は、任意の脂肪酸であり、一端にカルボキシル基を、他端にメチル基を含有する本質的に長鎖の炭化水素を有する。前記脂肪酸は、水素化植物油又は動物油から得てもよく、長さは約C16〜C20である。一実施形態によれば、脂肪酸は、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸の塩、大豆ステレン(sterene)などからなる群から選択される。好ましい一実施形態によれば、脂肪酸はステアリン酸である。
【0020】
一実施形態によれば、セルロース誘導体は、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシルメチルセルロース、微結晶性セルロース、エチルセルロース、及びそれらのファミリーからなる群から選択される。好ましい一実施形態によれば、前記セルロース誘導体は、ヒドロキシルプロピルメチルセルロースである。
【0021】
一実施形態によれば、前記糖は、フルクトース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、スクロース、及びそれらのファミリーからなる群から選択され、好ましくはスクロースである。
【0022】
一実施形態によれば、前記顆粒は、0.1〜20%の少なくとも1種の微量栄養素を含み、好ましくは5〜18%の少なくとも1種の微量栄養素を含む。
【0023】
一実施形態によれば、微量栄養素は、Fe源、Zn源、及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはFe源である。一実施形態によれば、前記Fe源は、硫酸第一鉄七水和物、フマル酸第一鉄、クエン酸第一鉄、及びそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含有する食品グレードの鉄であり、好ましくは硫酸第一鉄七水和物である。一実施形態によれば、前記Zn源は、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛からなる群から選択される。
【0024】
一態様によれば、外面コーティングは、脂肪酸及びセルロース誘導体を含む。脂肪酸は、防湿剤として作用し、セルロース誘導体は、脂肪酸の水和性及び展延性を改善する。一実施形態によれば、外面コーティングは、脂肪酸及びセルロース誘導体を、5:1〜1:5の範囲の比率で含み、好ましくは3:1の間である。
【0025】
一実施形態によれば、前記脂肪酸は、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸の塩、大豆ステレンなどからなる群から選択され、好ましくはステアリン酸である。一実施形態によれば、前記セルロース誘導体は、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシルメチルセルロース、微結晶性セルロース、エチルセルロース、及びそれらのファミリーからなる群から選択され、好ましくはヒドロキシルプロピルメチルセルロースである。
【0026】
一実施形態によれば、外面コーティングは、脂肪酸及びセルロース誘導体の1つ又は複数の連続した層を有する。別の一実施形態によれば、外面コーティングは、脂肪酸及びセルロース誘導体のブレンドの、1つ又は複数の層を有する。好ましい一実施形態によれば、外面コーティングは、脂肪酸及びセルロース誘導体のブレンドを有する。一実施形態によれば、外面コーティングは、乳化剤をさらに含有する。前記乳化剤は、10〜1000ppmのポリソルベート80を含む。
【0027】
一実施形態によれば、実質的にカプセル化された前記微量栄養素顆粒は、粒子サイズが200〜800ミクロンの範囲であり、好ましくは300〜600ミクロンである。
【0028】
本開示は、実質的にカプセル化された微量栄養素顆粒を調製する方法にも関する。前記方法は、
0.1〜20%の少なくとも1種の微量栄養素、並びにセルロース誘導体、糖、及び脂肪酸からなる群から選択される1〜99の少なくとも1種の結合剤を含む顆粒を形成するステップと、
脂肪酸及びセルロース誘導体を含む外面コーティングを用いて前記顆粒をコーティングして、カプセル化された前記微量栄養素顆粒を得るステップと
を含む。
【0029】
一態様によれば、開示された方法は、第1ステップの造粒と、それに続く第2ステップのカプセル化を含む。造粒の方法は、微量栄養素を結合剤とブレンドするステップと、ブレンドを200〜800ミクロン、好ましくは300〜600ミクロンの範囲の必要なサイズに造粒するステップとからなる。一実施形態によれば、造粒は、高剪断造粒法、直接圧縮結合法、及び押出球形化法からなる群から選択される方法によって行われる。造粒後、得られた顆粒を、30〜70℃、好ましくは45〜60℃の範囲の温度で乾燥させる。
【0030】
一実施形態によれば、外面コーティングは、脂肪酸とセルロース誘導体を、5:1〜1:5の範囲の比率で、好ましくは3:1で含むように塗布される。一実施形態によれば、外面コーティングは、脂肪酸及びセルロース誘導体の、1つ又は複数の連続した層で顆粒をコーティングすることによって形成される。別の一実施形態によれば、外面コーティングは、脂肪酸及びセルロース誘導体のブレンドの、1つ又は複数の層をコーティングすることによって形成される。好ましい一実施形態によれば、外面コーティングは、脂肪酸及びセルロース誘導体のブレンドを含有する。
【0031】
一実施形態によれば、脂肪酸は、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸の塩、大豆ステレンからなる群から選択され、好ましくはステアリン酸である。一実施形態によれば、脂肪酸は、有機溶媒に融解又は溶解している。前記有機溶媒は、好ましくはエタノールである。本発明を目的とする脂肪酸、特にステアリン酸は、任意の既知の市販源から得てもよい。一実施形態によれば、脂肪酸及びセルロース誘導体のブレンドは、水性媒体又はエタノール−水二成分系混合物中で調製される。
【0032】
一実施形態によれば、前記セルロース誘導体は、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシルメチルセルロース、微結晶性セルロース、エチルセルロース、及びそれらのファミリーからなる群から選択され、好ましくはヒドロキシルプロピルメチルセルロースである。本発明を目的とするセルロース誘導体、特にヒドロキシルプロピルメチルセルロースは、任意の既知の市販源から得てもよく、既知の市販源には、Dow、Ashland、又は任意の地元の製造業者などがある。
【0033】
一実施形態によれば、外面コーティングを用いた乾燥顆粒のカプセル化は、流動層コーティング装置で行われた。別法では、外面コーティングを用いた乾燥顆粒のカプセル化は、ワースター(wurster)コーティング装置で行うことができる。顆粒は、脂肪酸及びセルロース誘導体の粘度、水和性、及び比率を調整することによって、均一にコーティングされる。
【0034】
本開示は、強化食用塩組成物にも関する。前記強化食用塩組成物は、
98%の食用塩と、
0.1〜5%の、開示された実質的にカプセル化された微量栄養素顆粒と、
ヨウ素酸カリウム、ヨウ化カリウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される、0.01〜0.5%の追加の微量栄養素と
を含む。
【0035】
一実施形態によれば、前記食用塩としては、これらに限定されないが、NaCl、KCl、又はそれらの混合物がある。一実施形態によれば、天日乾燥塩と真空蒸発塩のどちらも、開示された実質的にカプセル化された微量栄養素顆粒を使用して強化してもよい。
【0036】
一実施形態によれば、微量栄養素は、強化食用塩組成物に100〜2000ppmの間の濃度で存在する。
【0037】
強化食用塩組成物を調製する任意の既知の方法が使用できる。特に、前記強化食用塩組成物は、実質的にカプセル化された微量栄養素顆粒をNaCl塩とブレンドすることによって調製される。
[実施例]
【0038】
実施例1:実質的にカプセル化された鉄顆粒の調製
硫酸第一鉄七水和物200グラムを取り、微粉末にした。K4Mグレードのヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)(2.5%)、適量のスクロース溶液を添加し、練り粉様の粘稠度に達するまで混合した。次いで、混合物を52メッシュのふるいに通し、球形化して、300〜500ミクロンの顆粒を得た。得られた顆粒を50℃の乾燥器で乾燥させた。
【0039】
得られた顆粒のカプセル化を、容量が250グラムの実験室型ユニフルーイド(Unifluid)ミニ流動層乾燥機で行った。顆粒200グラムを流動層乾燥機に装入した。ステアリン酸50グラム(顆粒の25重量%)をエタノール150mlに溶解し、60〜75℃に維持した。顆粒をカプセル化するためにトップスプレーコーティング法を行った。温度の低下によるステアリン酸の凝固を回避するために、溶液を運ぶ蠕動ポンプ管を断熱した。噴霧空気圧を1〜2バールに保った。吸気流量は2000〜3000cfmとし、生成物の温度を40〜45℃に維持した。流動化をさらに10分間続けて、最終生成物にわずかなエタノールも残らないように、エタノールを完全に蒸発させた。
【0040】
上記のカプセル化された顆粒を、室温及び生成物温度が42〜45℃で、2%のHPMCを用いてさらにコーティングした。こうして生成したカプセル化された鉄顆粒は、白色から淡黄色であると認められた。プレミックスの鉄含有量は、19〜20%であることが判明した。水和作用の消失により、鉄含有量の増加が認められた。
【0041】
実施例2:実質的にカプセル化された鉄顆粒の調製
硫酸第一鉄七水和物200グラム及びスクロース40グラムを取り、微粉末にした。K4MグレードのHPMC(2.5%)を添加し、練り粉様の粘稠度に達するまで混合した。次いで、混合物を52メッシュのふるいに通し、球形化して、300〜500ミクロンの顆粒を得た。得られた顆粒を50℃の乾燥器で乾燥させた。
【0042】
得られた顆粒のカプセル化を、容量が250グラムの実験室型ユニフルーイドミニ流動層乾燥機で行った。顆粒200グラムを流動層乾燥機に装入した。ステアリン酸50グラム(顆粒の25重量%)をエタノール150mlに溶解し、60〜75℃に維持した。顆粒をカプセル化するためにトップスプレーコーティング法を行った。温度の低下によるステアリン酸の凝固を回避するために、溶液を運ぶ蠕動ポンプ管を断熱した。噴霧空気圧を1〜2バールに保った。吸気流量は2000〜3000cfmとし、生成物の温度を40〜45℃に維持した。流動化をさらに10分間続けて、最終生成物にわずかなエタノールも残らないように、エタノールを完全に蒸発させた。
【0043】
上記の顆粒を、室温及び生成物温度が42〜45℃で、2.5%のHPMCを用いてさらにコーティングした。こうして生成したカプセル化された鉄顆粒は、白色から淡黄色である。プレミックスの鉄含有量は、18〜19%であることが判明した。
【0044】
実施例3:実質的にカプセル化された鉄顆粒の調製
硫酸第一鉄七水和物1000グラム及びスクロース200グラムを取り、ブレンドして微粉末にした。K4MグレードのHPMC(2.5%)を添加し、練り粉様の粘稠度に達するまで混合した。次いで、混合物を押出機及び球形化整粒機に通して、300〜800ミクロンのサイズの顆粒を得た。得られた顆粒を50℃の乾燥器で乾燥させた。顆粒の鉄含有量は18%であることが判明した。
【0045】
上記顆粒のカプセル化を、容量が1.5Kgのボトムスプレーワースターコーティング装置、ユニフルーイドWで行った。顆粒800グラムを流動層乾燥機に装入した。ステアリン酸200グラム(顆粒の25重量%)を、ホットメルトコーティング法を採用することによって、脂質添加剤を用いてコーティングした。ステアリン酸は融解し、90℃の温度を維持した。顆粒をカプセル化するためにボトムスプレーコーティング法を行った。温度の低下によるステアリン酸の凝固を回避するために、溶液を運ぶ蠕動ポンプ管を断熱し、加熱した。噴霧空気圧を1〜2バールに保った。噴霧温度を120℃に維持した。吸気流量を2000〜2500cfmに維持し、生成物の温度を40〜45℃に維持した。流動化をさらに15分間続けて、試料を完全に乾燥させた。
【0046】
ステアリン酸でカプセル化された顆粒を、HPMCを用いてさらにコーティングし、カプセル化された鉄顆粒の鉄含有量は、14〜15%の範囲であることが判明した。
【0047】
実施例4:実質的にカプセル化された鉄顆粒の調製
硫酸第一鉄七水和物116グラム及びスクロース28グラムを取り、微粉末にした。E5グレードのHPMC28グラム、ステアリン酸14グラム、及び糖溶液を添加し、練り粉様の粘稠度に達するまで混合した。次いで、混合物を52メッシュのふるいを備える押出機に通し、2分間球形化して、300〜500ミクロンの顆粒を得た。得られた顆粒を50℃の乾燥器で乾燥させた。
【0048】
上記の得られた顆粒のカプセル化のために、E5グレードのHPMC10グラムを、水100グラムに分散させた。ステアリン酸15グラムをエタノール75グラムに70℃で溶解させた。200mgのポリソルベート80を乳化剤として添加した。溶解したステアリン酸(STA)溶液を、絶えず撹拌しながらHPMC溶液にゆっくりと添加した。この溶液をゆっくりと冷却し、2時間撹拌を続けて、水−エタノール溶液中でのSTA粒子の均一な分散を得た。顆粒のコーティングはこの溶液を用いて行った。カプセル化は、容量が250グラムの実験室型ユニフル−イドミニ流動層乾燥機で行った。顆粒100グラムを流動層乾燥機に装入した。顆粒をカプセル化するために、ワースター技術に基づくボトムスプレーコーティング法を行った。噴霧空気圧を1〜2バールに保ち、スプレー速度は2ml/分であった。吸気流量を2000〜3000cfmに維持し、生成物の温度を40〜45℃に維持した。流動化をさらに10分間続けて、最終生成物にわずかなエタノールも残らないように、エタノールを完全に蒸発させた。
【0049】
コーティングを繰り返し、障壁を増加させるために、上記カプセル化の方法を繰り返した。乾燥顆粒の鉄含有量は、11〜12%であることが判明した。
【0050】
実施例5:実質的にカプセル化された鉄顆粒の調製
硫酸第一鉄七水和物62グラム、ステアリン酸1.0グラム、並びにE5グレードのHPMC及び13グラムのスクロース各13グラムを添加し、必要量の糖溶液を添加して室温で混合し、練り粉様の粘稠度を得た。混合物を60rpmで押出機に通し、0.5mmメッシュサイズに通した。押出機を必要回数球形化して、均一な球形顆粒を得た。次いで、顆粒を300〜500ミクロンの必要なサイズになるまでふるいにかけた。
【0051】
上記顆粒100グラムのカプセル化のために、水性溶液を以下のように調製した。ステアリン酸7.5グラムを70Cで融解させ、20mgのポリソルベート80を、絶えず撹拌しながら添加した。E5のHPMC2.5グラムを水100グラムに分散させ、70Cに加熱した。溶解したHPMC溶液を、絶えず撹拌しながら、融解したステアリン酸溶液に滴加した。溶液を絶えず撹拌しながら室温まで下げた。実験室型ボトムスプレーコーティング装置でコーティングされた、安定した均一な溶液が得られた。
【0052】
均一なコーティングを付与し、障壁を増加させるために、上記のカプセル化の方法を繰り返した。乾燥顆粒の鉄含有量は、11〜12%であることが判明した。
【0053】
実施例6:実質的にカプセル化された鉄顆粒の調製
硫酸第一鉄七水和物305グラム、ステアリン酸5グラム、並びにE5グレードのHPMC及びスクロース各65グラムを添加し、必要量の糖溶液を添加して室温で混合し、練り粉様の粘稠度を得た。混合物を60rpmで押出機に通し、0.5mmメッシュサイズに通した。押出機を必要回数球形化して、均一な球形顆粒を得た。次いで、顆粒を300〜500ミクロンの必要なサイズになるまでふるいにかけた。
【0054】
上記顆粒100グラムのカプセル化のために、水性溶液を以下のように調製した。ステアリン酸7.5グラムを70Cで融解させ、20mgのポリソルベート80を、絶えず撹拌しながら添加した。E15のHPMC2.5グラムを水100グラムに分散させ、70Cに加熱した。溶解したHPMC溶液を、絶えず撹拌しながら、融解したステアリン酸溶液に滴加した。溶液を絶えず撹拌しながら室温まで下げた。実験室型ボトムスプレーコーティング装置でコーティングされた、安定した均一な溶液が得られた。顕微鏡観察からコーティングが均一であると確認されるまで、コーティングを繰り返した。
【0055】
均一なコーティングを付与し、障壁を増加させるために、上記のカプセル化の方法を繰り返した。乾燥顆粒の鉄含有量は、11〜12%であることが判明した。
【0056】
実施例7:実質的にカプセル化された鉄顆粒の調製
硫酸第一鉄七水和物305グラム、ステアリン酸5グラム、並びにE5グレードのHPMC及びスクロース各65グラムを添加し、必要量の糖溶液を添加して室温で混合し、練り粉様の粘稠度を得た。混合物を60rpmで押出機に通し、0.5mmメッシュサイズに通した。押出機を必要回数球形化して、均一な球形顆粒を得た。次いで、顆粒を300〜500ミクロンの必要なサイズになるまでふるいにかけた。
【0057】
上記顆粒のカプセル化のために、E5グレードのHPMC50グラムを、水500グラムに分散させた。ステアリン酸100グラムをエタノール350グラムに70℃で溶解させた。ポリソルベート80(1グラム)を乳化剤として添加した。溶解したステアリン酸(STA)溶液を、絶えず撹拌しながらHPMC溶液にゆっくりと添加した。2時間撹拌を続けながら、この溶液をゆっくりと冷却して、水−エタノール溶液中でのSTA粒子の均一な分散を得た。顆粒のコーティングはこの溶液を用いて行った。カプセル化は、容量が2Kgの、ワースター技術に基づくボトムスプレーコーティング装置で行った。噴霧空気圧を1〜2バールに保ち、溶液を2ml/分の速度でスプレーした。吸気流量を2000〜3000cfmに維持し、生成物の温度を40〜45℃に維持した。流動化をさらに10分間続けて、最終生成物にわずかなエタノールも残らないように、エタノールを完全に蒸発させた。
【0058】
均一にコーティングし、防湿を確実にするために、コーティングを繰り返した。乾燥顆粒の鉄含有量は、10〜12%であることが判明した。
【0059】
実施例8:実質的にカプセル化された鉄顆粒の調製
硫酸第一鉄610グラム、ステアリン酸10グラム、E5のHPMC及びスクロース各130グラムを添加し、必要量の糖溶液を添加して室温で混合し、練り粉様の粘稠度を得た。混合物を60rpmで押出機に通し、0.5mmメッシュサイズに通した。押出機を必要回数球形化して、均一な球形顆粒を得た。次いで、顆粒を300〜500ミクロンの必要なサイズになるまでふるいにかけた。
【0060】
上記顆粒のカプセル化のために、E5グレードのHPMC90グラムを、水1000グラムに分散させた。さらに、ステアリン酸300グラムをエタノール1000グラムに70℃で溶解させた。2グラムのツイン(Tween)80を添加することで、水−エタノールの2成分混合物にステアリン酸を均一に分散させた。溶解したステアリン酸(STA)溶液を、絶えず撹拌しながらHPMC溶液にゆっくりと添加した。この溶液をゆっくりと冷却し、2時間撹拌を続けて、水−エタノール溶液中でのSTA粒子の均一な分散を得た。顆粒のコーティングはこの溶液を用いて行った。カプセル化は、容量が2Kgの、ウルスター技術に基づくボトムスプレーコーティング装置で行った。噴霧空気圧を1〜2バールに保ち、溶液のスプレー速度は2ml/分であった。吸気流量を2000〜3000cfmに維持し、生成物の温度を40〜45℃に維持した。流動化をさらに10分間続けて、最終生成物にわずかなエタノールも残らないように、エタノールを完全に蒸発させた。
【0061】
均一にコーティングし、防湿を確実にするために、コーティングを繰り返した。乾燥させたカプセル化された鉄顆粒の鉄含有量は、10〜12%であることが判明した。
【0062】
表1には、得られた実質的にカプセル化された鉄顆粒の特性を収載する。図1及び図2は、それぞれ、未コーティング(球形化後)及びコーティングした鉄顆粒の走査型電子顕微鏡(SEM)像を表す。
【0063】
【表1】
【0064】
図4及び図5は、(i)100mlの蒸留水中、及び(ii)pH2の水中において、それぞれ、100rpmで撹拌する場合の、及び撹拌しない場合の、本発明の一実施形態にしたがって得られた実質的にカプセル化された鉄顆粒(鉄含有量:10〜10.5%)200mgの放出プロファイルを示す。
【0065】
実施例9:強化食用塩組成物の調製
本開示の一実施形態による、灰白色で、鉄含有量が14〜15%の、実質的にカプセル化された鉄顆粒を取った。カプセル化された前記鉄顆粒を、FSSAIガイドラインで要求される通り、塩の鉄含有量が850ppmを超えるようにヨウ素添加塩1Kgに添加した。ヨウ素の安定性及び塩の色を、周囲温度及び湿度で5か月間に渡って監視した。ヨウ素は、塩の中で依然として安定したままであり、カプセル化された前記鉄顆粒は淡褐色を呈したことが認められた。
【0066】
実施例10:強化食用塩組成物の調製
ヨウ素含有量が45ppmのヨウ素添加塩50Kgを取り、本開示の一実施形態による、鉄含有量が14〜15%の、カプセル化された鉄顆粒を、塩の鉄含有量が1000ppmになるようにブレンドした。ブレンドは、塩に鉄を均一に取り込むために、段階希釈によってV型円錐形ブレンダーで行った。ヨウ素及び鉄の分析のために、この1回分から3つの試料を選び取った。ヨウ素は40〜42ppmで存在し、鉄は950〜990ppmで存在した。
【0067】
ヨウ素は、5か月間に渡って安定していることが判明したが、カプセル化された鉄顆粒は、消費者には許容されない淡褐色を呈した。
【0068】
実施例11:強化食用塩組成物の調製
ヨウ素無添加塩1Kgを取り、KIOを添加して、ヨウ素40ppmを得た。固結防止剤としてシリカを添加した。これに、鉄含有量が10〜12%のカプセル化された鉄顆粒を添加して、鉄含有量が850ppmを超えるようにした。ヨウ素を一定期間監視した。図3に示すように、カプセル化された鉄顆粒の色及びヨウ素は、8か月間に渡って安定している。
【0069】
実施例12:強化食用塩組成物の調製
真空蒸発塩200Kgを取り、KIOを等比数列的に添加して、40ppmのヨウ素を得た。固結防止剤としてシリカを添加した。これに、鉄含有量が10〜12%のカプセル化された鉄顆粒を添加して、鉄含有量が850ppmを超えるようにした。ヨウ素を一定期間監視した。カプセル化された鉄顆粒の色及びヨウ素は、5か月間(保存寿命の研究進行中)を超えて安定していることが判明した。
【0070】
実施例13:強化食用塩組成物の調製
天日蒸発ヨウ素添加塩200Kgを取った。固結防止剤としてシリカを添加した。これに、鉄含有量が10〜12%のカプセル化された鉄顆粒を添加して、鉄含有量が850ppmを超えるようにした。ヨウ素を一定期間監視した。カプセル化された鉄顆粒の色及びヨウ素は、5か月間(保存寿命の研究進行中)を超えて安定していることが判明した。
感覚評価:本発明の一実施形態による二重強化塩に対する嗜好を決定するために、対照ヨウ素添加塩(市販)に相対して、嗜好試験を行った。本発明の塩及び対照塩を用いて調製した食品は、9点満点の快不快尺度で評価された。色、芳香、味、及び総合的な許容性に基づいた評価である。
【0071】
1.米:米100グラムを、塩2グラムを入れた圧力鍋で、水200mlで調理し、試食として提供した。
2.ジラアル(Jeera aloo):ジラアルを、塩2グラムを用いて作り、試食として提供した。
3.サブダナ(サゴ)キチディ(Sabudana(Sago)Khichdi):サブダナキチディを、塩2.5グラムを用いて作り、試食として提供した。
4.ムングキチディ(Moong Khichdi):ムングキチディを、塩3グラムを用いて作り、試食として提供した。
5.カード(Curd):カードに1%の塩を添加し、試食として提供した。
【0072】
観察:
色:査定者が評価したように、本発明の二重強化塩及び対照ヨウ素添加塩を用いて調理した食品の色に、知覚可能な変化は見られなかった。色に基づいた嗜好試験の結果を図6に示す。
【0073】
味:味の評価に基づき、本発明の二重強化塩及び対照ヨウ素添加塩を用いて調理した米、サブダナキチディ、及びアルジラ(aloo jeera)は、同様のスコアを有する。一方で、ムングダルキチディ(Moong dal khicdi)及びカードでは、査定者によって、軽度の変動が認められた。味に基づいた嗜好試験の結果を図7に示す。
【0074】
芳香:査定者が評価したように、本発明の二重強化塩及びヨウ素添加塩を用いて調理した食品の芳香に、知覚可能な変化は見られなかった。芳香に基づいた嗜好試験の結果を図8に示す。
【0075】
許容性:本発明の二重強化塩の総合的な許容性の評価は、対照ヨウ素添加塩の評価と同等であることが判明した。許容性に基づいた嗜好試験の結果を図9に示す。
【0076】
特定の実施形態について以下に説明する
食用塩組成物の強化用の実質的にカプセル化された微量栄養素顆粒であって、0.1〜20%の少なくとも1種の微量栄養素、並びに、脂肪酸、セルロース誘導体、及び糖からなる群から選択される1〜99%の少なくとも1種の結合剤を含む顆粒を備え、当該顆粒は脂肪酸及びセルロース誘導体を含む外面コーティングによってカプセル化されている、カプセル化された微量栄養素顆粒。
【0077】
外面コーティングが、脂肪酸及びセルロース誘導体を5:1〜1:5の範囲の比率で含む、カプセル化された微量栄養素顆粒。
【0078】
脂肪酸がステアリン酸である、カプセル化された微量栄養素顆粒。
【0079】
セルロース誘導体がヒドロキシルプロピルメチルセルロースである、カプセル化された微量栄養素顆粒。
【0080】
粒子サイズが200〜800ミクロンの範囲である、カプセル化された微量栄養素顆粒。
【0081】
微量栄養素が、Fe源、Zn源、及びそれらの混合物からなる群から選択される、カプセル化された微量栄養素顆粒。
【0082】
98%の食用塩と、
0.1〜5%のカプセル化された微量栄養素顆粒と、
ヨウ素酸カリウム、ヨウ化カリウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される、0.01〜0.5%の追加の微量栄養素と
を含む強化食用塩組成物。
【0083】
実質的にカプセル化された微量栄養素顆粒を調製する方法であって、
0.1〜20%の少なくとも1種の微量栄養素、並びに、脂肪酸、セルロース誘導体、及び糖からなる群から選択される1〜99%の少なくとも1種の結合剤を含む顆粒を形成するステップと、
脂肪酸及びセルロース誘導体を含む外面コーティングを用いて前記顆粒をコーティングして、カプセル化された前記微量栄養素顆粒を得るステップと
を含む方法。
【0084】
外面コーティングが、脂肪酸及びセルロース誘導体を、5:1〜1:5の比率で含む、方法。
【0085】
脂肪酸がステアリン酸である、方法。
【0086】
セルロース誘導体が、ヒドロキシルプロピルメチルセルロースである、方法。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本開示は、食用塩組成物の強化用の実質的にカプセル化された微量栄養素顆粒を提供する。開示された実質的にカプセル化された微量栄養素顆粒は、鉄及び亜鉛による食用塩の効果的な強化を可能にする。本方法は、銅、セレンなどのミネラルをカプセル化することにさらに及び得る。
【0088】
入念な感覚研究は、本発明の一実施形態によって得られた強化食用塩組成物が、知覚可能な色の変化及び金属味などの感覚受容の変化を付与しないことを示している。開示された強化食用塩組成物は、鉄及びヨウ素によって強化された場合、カプセル化された前記微量栄養素顆粒の変色の問題を回避しながら、最低でも8か月間に渡り、満足できるレベルでヨウ素を保持する。
【0089】
開示された、実質的にカプセル化された微量栄養素顆粒を調製する方法は、実行するのに簡単で安価である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】