(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)2018年9月13日に「http://investors.resmed.com/investor−relations/events−and−presentations/press−releases/press−release−details/2018/ResMed−Introduces−Its−First−Minimal−contact−Full−Face−CPAP−Mask−AirFit−F30/default.aspx」にて公開 (2)(1)2018年9月13日に「https://www.businesswire.com/news/home/20180913005252/en/」にて公開
患者インターフェースは、口部位および鼻部位を有するプレナムチャンバと、前記シール形成構造を患者の頭部上において保持するための力を発生させるように構成された位置決めおよび安定化構造とを含み得る。プレナムチャンバは、患者の顔とシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、シール形成構造の前記鼻部位が少なくとも1つの鼻用穴を有し、シール形成構造の前記口部位が口用孔を有するシール形成構造と、使用時において患者の呼吸サイクル全体において患者による呼吸のための治療圧力における空気流れを受容するようなサイズおよび構造にされた1つ以上のプレナムチャンバ入口ポートを有し、前記シール形成構造を支持するシェルと、を含み得る。
前記シール形成構造の前記鼻部位は、患者の鼻孔の周囲の患者の鼻の下側周辺部および患者の上唇に対してシールするように構成された中央部を含み、前記中央部は、前記横方向支持部位よりも肉薄である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
前記シール形成構造の前記鼻部位は、前記中央部と前記横方向支持部位との間に設けられた中間部を含み、前記中間部は、前記中央部よりも肉厚である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
前記シェルは、前記鼻部位の基部における前記シール形成構造を使用時において強化させるように構成された後側突出部を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
前記曲線状の上側境界の曲率は、前記シール形成構造の上側周辺部の曲率に実質的に整合するかまたは実質的に追随する、請求項10または11の患者インターフェース。
前記2つのプレナムチャンバ入口ポートそれぞれの上側境界は、前記横方向支持部位のうちそれぞれ1つによって形成される、請求項10〜13のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
前記中間部は、襞に起因して患者の鼻の前記下側周辺部から周囲への漏洩経路が形成される事態を制限するように構成される、請求項15〜17のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
前記シール形成構造は、前記口用穴周辺部の大部分を包囲する後方を向く横方向部を含み、前記後方を向く横方向部は、前記口用穴周辺部よりも肉厚である、請求項21または22の患者インターフェース。
前記後方を向く横方向部は、前記口腔の最横縁部へと中間方向に延びて、前記横方向周辺支持部位を形成する、請求項21〜23のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
前記鼻部位の側部は、下方の力が患者の鼻から前記中央部へ付与された際に、患者の鼻翼へ向かって内方に牽引されるように構成される、請求項26〜28のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
前記曲線部は、使用時において未変形状態において患者の鼻から離隔方向に延びるように構成され、前記中央部が前記上唇部から離隔方向に移動した際に直線状になるように構成される、請求項31または32の患者インターフェース。
使用時において、前記ブリッジ部位により、前記中央部が患者に対して前方向に移動して患者の鼻尖点を受容して、患者が患者インターフェースを着用した際に異なる鼻長さに対応することが前記上唇部が患者の上唇から係合解除されることなく可能になる、請求項31〜33のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
前記第1の表面仕上げおよび前記第2の表面仕上げは、前記シール形成構造と患者の顔との間の摩擦係数が前記鼻部位においてよりも前記口部位において高くなるように異なっている、請求項35の患者インターフェース。
前記第2の表面仕上げは、患者の顔上におけるグリップ感向上を前記口部位へ付与するように構成される、請求項35〜37のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
前記第1の表面仕上げと前記第2の表面仕上げとの間の境界は、使用時において患者の両頬と接触するように構成された前記シール形成構造の一部に配置される、請求項35〜40のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【背景技術】
【0005】
2.2.1 ヒトの呼吸器系およびその疾患
【0006】
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口腔は、患者の気道への入口を形成する。
【0007】
これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸領域と呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2012。
【0008】
一定範囲の呼吸器疾患が存在している。特定の疾患は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
【0009】
呼吸器疾患の例には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)および胸壁疾患が含まれる。
【0010】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の1つの形態であり、睡眠時の上通気道の閉鎖または閉塞などの発症によって特徴付けられる。これは異常に小さい上気道と、舌の領域の筋緊張の通常の喪失、睡眠時の軟口蓋および後口咽頭壁の正常損失の組み合わせの結果である。このような状態に起因して、罹患患者の呼吸停止が典型的には30〜120秒にわたり、ときには一晩に200〜300回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候は一般的な疾患であり、特に中年の過体重の男性に多いが、患者に自覚症状は無い。米国特許第4,944,310号(Sullivan)を参照されたい。
【0011】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の疾患であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によっては、CCRは、重症不眠、交感神経活動の増加、および後負荷の増加の原因となる、反復性睡眠覚醒を随伴する。米国特許第6,532,959号(Berthon−Jones)を参照されたい。
【0012】
呼吸不全とは、呼吸器障害の総称であり、患者の需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO
2呼気を肺が行うことができていないことを指す。呼吸不全は、以下の疾患のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0013】
呼吸不全(一種の呼吸不全)の患者は、運動時に異常な息切れを経験することがある。
【0014】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に明確に無い状態における、重症肥満および覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0015】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0016】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋肉障害は、以下の急速進行性と緩徐進行性とに区分され得る:(i)急速進行性障害:数ヶ月かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、数年内に死亡に繋がる(例えば、ティーンエージャーにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD));(ii)可変性または緩徐進行性障害:数年かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、平均余命が若干低減するだけである(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋強直性筋ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0017】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または脊柱後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0018】
このような状態を治療または改善するために、一定範囲の治療が用いられている。さらに、その他の点では健常人も、呼吸器疾患の予防治療を有利に利用することができる。しかし、これらにおいては、複数の欠陥がある。
【0019】
2.2.2 治療法
【0020】
多様な療法(例えば、持続的気道陽圧(CPAP)治療法、非侵襲的換気(NIV)および侵襲的換気(IV))が上記の呼吸器疾患の1つ以上の治療のために用いられている。
【0021】
持続的気道陽圧(CPAP)療法が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用機構としては、例えば軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進または後退させることにより、持続陽圧呼吸療法が空気スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を防止し得る。CPAP治療によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が治療の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が治療を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
【0022】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助が、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0023】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0024】
2.2.3 治療システム
【0025】
これらの治療は、治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾患を治療することなくスクリーニング、診断、または監視するためにも、用いられ得る。
【0026】
治療システムは、呼吸圧力治療デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、およびデータ管理を含み得る。
【0027】
別の形態の治療システムとして、下顎再位置決めデバイスがある。
【0028】
2.2.3.1 患者インターフェース
【0029】
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口腔へのマスク、口腔への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域とのシールを形成し得、これにより、療法実行のための雰囲気圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば雰囲気圧力に対して約10cmH
2Oの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmH
2Oの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。
【0030】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護することと、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないこととを行うように、構成され得る。
【0031】
特定のマスクは、本技術において臨床的に好ましく無い場合があり得る(例えば、マスクが鼻を介して気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合)。
【0032】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介して密閉状態を生成および維持しなければならない場合、本技術において不快であるかまたは非実際的である場合がある。
【0033】
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実際的である場合がある。
【0034】
患者インターフェースの設計においては、複数の課題がある。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻および頭のサイズおよび形状は、個人によって大きく異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的力に対して異なる反応を示す。すなわち、顎部または下顎は、頭蓋骨の他の骨に相対して動き得る。頭部全体は、呼吸治療期間を通じて動き得る。
【0035】
これらの課題に起因して、いくつかのマスクの場合、特に装着時間が長い場合または患者がシステムに不慣れである場合、押しつけがましい、美観的に望ましくない、コストが高い、フィット感が悪い、使用が困難、および不快感があるなどの理由のうち1つ以上がある。誤ったサイズのマスクが用いられた場合、コンプライアンスの低下、快適性の低下および患者予後の低下に繋がり得る。飛行士専用のマスク、個人用保護装具(例えば、フィルターマスク)、SCUBAマスクの一部として設計されたマスク、または麻酔投与用マスクは、その元々の用途には耐えられるものの、このようなマスクの場合、長時間(例えば、数時間)にわたって装着するには望ましくないほど不快な場合がある。このような不快感に起因して、治療に対する患者のコンプライアンスが低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠時に装着する必要がある場合、特に当てはまる。
【0036】
CPAP治療は、患者が治療を承諾している場合、特定の呼吸器疾患の治療においては極めて効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、治療を承諾しない場合がある。患者はマスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組立または分解が困難である場合)、患者は、マスクを清浄することができず、患者のコンプライアンスに影響が出る場合がある。
【0037】
他の用途(例えば、飛行士)用のマスクの場合、睡眠呼吸障害の治療の使用には不適である場合があるため、睡眠呼吸障害の治療の使用のために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
【0038】
これらの理由のめ、睡眠時のCPAP送達のための患者インターフェースは、明瞭な分野を形成する。
【0039】
2.2.3.1.1 シール形成構造
【0040】
患者インターフェースは、シール形成構造を含み得る。患者インターフェースは、患者の顔と直接接触するため、シール形成構造の形状および構成は、患者インターフェースの有効性および快適性に直接影響を持ち得る。
【0041】
患者インターフェースは、使用時にシール形成構造を顔と係合させる場所の設計意図に従って、部分的に特徴付けられ得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、左鼻孔の周囲にシールを形成するための第1のサブ部分と、右鼻孔の周囲にシールを形成するための第2のサブ部分とを含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時において双方の鼻孔を包囲する単一の要素を含み得る。このような単一の要素は、例えば顔の上唇領域および鼻ブリッジ領域上に載置されるように、設計され得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に例えば顔の下唇領域上にシールを形成することにより口腔領域を包囲する要素を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に双方の鼻孔および口領域を包囲する単一の要素を含み得る。これらの異なる種類の患者インターフェースは、その製造業者によって鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕、鼻パフおよび口鼻マスクなどの多様な名称によって公知であり得る。
【0042】
患者の顔の一領域において有効であり得るシール形成構造は、例えば患者の顔の異なる形状、構造、変化性および感受性領域に起因して、別の領域において不適切であり得る。例えば、患者の前額上に載置される水泳用ゴーグルの密閉部は、患者の鼻上における使用には不適切である場合がある。
【0043】
特定のシール形成構造は、広範囲の異なる顔形状およびサイズに対して1つの設計が適合し、快適でありかつ有効になるように、大量製造用に設計され得る。密閉部を形成するためには、患者の顔の形状と、大量製造された患者インターフェースのシール形成構造との間の不整合がある範囲まで、一方または双方を適合させる必要がある。
【0044】
1つの種類のシール形成構造は、患者インターフェースの周囲を包囲して延び、シール形成構造が患者の顔に対向して係合している状態で力が患者インターフェースへ付加された際、患者の顔を密閉することを意図する。このシール形成構造は、空気または流体充填クッションを含み得るか、または、ゴムなどのエラストマーによって構成された弾力性のある密閉要素の成形されたかまたは形成された表面を含み得る。この種のシール形成構造により、フィット感が不適切である場合、シール形成構造と顔との間に隙間が発生し、密閉を達成するには、患者インターフェースを顔に押しつけるためにさらなる力が必要になる。
【0045】
別の種類のシール形成構造は、陽圧がマスク内に付加された際に患者の顔に対して自己気密作用を提供するように、マスクの周囲の周辺に配置された薄材のフラップシールを使用する。先述の種類のシール形成部分と同様に、顔とマスクとの間の整合が良くない場合、密閉を達成するために必要なさらなる力が必要になり得るか、またはマスクから漏洩が発生し得る。さらに、シール形成構造の形状が患者の形状と整合しない場合、使用時においてシール形成部分に折り目または座屈が発生し、漏洩の原因になる。
【0046】
別の種類のシール形成構造は、例えば鼻孔中へ挿入される摩擦嵌め要素を含み得るが、これらのシール形成部分を不快であると感じる患者も存在する。
【0047】
別の形態のシール形成構造は、密閉を達成するために接着部を用い得る。患者の中には、常に接着部を自身の顔に貼り付けるかまたは取り外すことが不便であると感じる患者もいる。
【0048】
一定範囲の患者インターフェースシール形成構造の技術について、(ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願:WO1998/004,310;WO2006/074,513;WO2010/135,785)に開示がある。
【0049】
鼻枕の一形態が、Puritan Bennettによって製造されたAdam回路において見受けられる。別の鼻枕または鼻パフが、Puritan−Bennett Corporationへ譲渡された米国特許第4、782、832号(Trimbleら)の主題になっている。
【0050】
ResMed Limitedは、鼻枕を用いた以下の製品を製造している:SWIFT(登録商標)鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)II鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)LT鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)FX鼻枕マスクおよびMIRAGELIBERTY(登録商標)フルフェイスマスク。ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願において、鼻枕マスクの実施例についての記載がある:国際特許出願WO2004/073、778号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)鼻枕の様相を記載)、米国特許出願第2009/0044808号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)LT鼻枕の様相を記載);国際特許出願WO2005/063、328号およびWO2006/130、903号(特に、ResMed LimitedのMIRAGE LIBERTY(登録商標)フルフェイスマスクの様相を記載);国際特許出願WO2009/052、560号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)FX鼻枕の様相を記載)。
【0051】
2.2.3.1.2 位置決めおよび安定化
【0052】
陽圧空気治療に用いられる患者インターフェースのシール形成構造は、密閉を妨害する空気圧力の対応する力を受ける。そのため、シール形成構造を位置決めすることと、顔の適切な部分に対して密閉を維持することとを行うために、多様な技術が用いられている。
【0053】
1つの技術において、接着部が用いられる。例えば、米国特許出願公開US2010/0000534号を参照されたい。しかし、接着部を用いた場合、不快感がある場合がある。
【0054】
別の技術において、1つ以上のストラップおよび/または安定化ハーネスが用いられる。多数のこのようなハーネスの場合、フィット感が悪い、かさばる、不快および扱いにくいなどの点のうち1つ以上が当てはまる。
【0055】
2.2.3.2 呼吸圧力治療(RPT)デバイス
【0056】
呼吸圧力治療(RPT)デバイスは、例えばデバイスを作動させて気道へのインターフェースへの空気送達流れを生成することにより、上記した複数の治療のうち1つ以上の送達に個別的に、またはシステムの一部として用いられ得る。この空気流れは、加圧され得る。RPTデバイスの例を挙げると、CPAPデバイスおよび人工呼吸器がある。
【0057】
2.2.3.3 加湿器
【0058】
空気流れの送達を加湿無しで行った場合、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイスおよび患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生成されるため、鼻粘膜の乾燥が最小化され、患者気道の快適性が増加する。加えて、より冷涼な気候においては、概して患者インターフェースの周囲の顔領域へ温風を付加すると、冷風の場合よりも快適性が高まる。
【0059】
2.2.3.4 データ管理
【0060】
臨床的理由により、呼吸治療が処方された患者が「コンプライアンスを遵守している」(例えば、患者が自身のRPTデバイスを1つ以上の「コンプライアンスルール」に則っているか)を決定するためのデータを入手する場合がある。CPAP治療についてのコンプライアンスルールの一例として、患者がコンプライアンスを遵守しているとみなすためには、患者が連続30日間のうち少なくとも21日間にわたってRPTデバイスを一晩あたり少なくとも4時間にわたって使用する必要がある。患者のコンプライアンスを決定するためには、RPTデバイスのプロバイダ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)は、RPTデバイスを用いた患者の治療を記述するデータを手作業で入手し、所定期間にわたる使用率を計算し、これをコンプライアンスルールと比較し得る。ヘルスケアプロバイダが患者が自身のRPTデバイスをコンプライアンスルールに則って使用したと決定すると、当該ヘルスケアプロバイダは、患者がコンプライアンスを遵守している旨を第三者に通知し得る。
【0061】
患者の治療において、治療データの第三者または外部システムへの通信から恩恵を受ける他の態様があり得る。
【0062】
このようなデータを通信および管理するための既存のプロセスの場合、高コスト、時間がかかること、エラーの発生し易さのうち1つ以上が発生し得る。
【0063】
2.2.3.5 下顎の再位置決め
【0064】
下顎再位置決めデバイス(MRD)または下顎前方固定デバイス(MAD)は、睡眠時無呼吸およびいびきの治療選択肢の1つである。これは、歯科医または他の供給業者から利用可能である調節可能な口腔用器具であり、下顎部(下顎)を睡眠時に前方位置に保持する。MRDは、取り外し可能なデバイスであり、患者の睡眠前に口腔内に挿入され、睡眠後に取り外される。そのため、MRDは、常時装着用途を想定した設計はされていない。MRDは、カスタム仕様にしてもよいし、あるいは、標準形態で製造してもよく、患者の歯に適合するように設計された咬合印象部位を含む。この下顎からの機械的突出部は、舌の後ろ側の空間を拡張させ、咽頭壁上へ張力を付加して、気道崩壊を低減させ、口蓋振動を低減させる。
【0065】
特定の実施例において、下顎前方固定デバイスは、上顎または上顎骨上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された上側スプリントと、上顎または下顎上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された下側スプリントとを含み得る。上側スプリントおよび下側スプリントは、一対の接続ロッドを介して相互に横方向に接続される。この1組の接続ロッドは、上側スプリントおよび下側スプリント上において対称に固定される。
【0066】
このような設計において、接続ロッドの長さは、MRDが患者の口腔中に配置されたときに下顎が前方位置に保持されるように、選択される。接続ロッドの長さは、下顎の突出レベルを変化させるように、調節され得る。歯科医は、突出レベルを下顎に合わせて決定することができ、その結果、接続ロッドの長さが決定される。
【0067】
下顎を上顎骨に対して前方に押し出すように構成されているMRDもあれば、ResMed Narval CC(登録商標)MRDなどの他のMADのように、下顎を前方位置に保持するように設計されているものもある。このデバイスにより、歯科的副作用および側頭/下顎間の関節(TMJ)の副作用も低下または最小化される。そのため、このデバイスは、歯のうち1つ以上の任意の移動を最小化または回避するように構成される。
【0068】
2.2.3.6 通気技術
【0069】
いくつかの形態の治療システムは、吐き出された二酸化炭素を押し出すための通気部を含み得る。この通気部により、患者インターフェースの内部空間(例えば、プレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば、周囲)へのガス流れが可能になり得る。
【0070】
この通気部は、オリフィスを含み得、マスク使用時において、ガスがオリフィスを通じて流れ得る。多数のこのような通気部の場合、音がうるさい。他の場合、使用時において閉塞し得るため、押し出しが不十分になる。いくつかの通気部の場合、例えば音または気流集中に起因して、患者1000と同床者1100の睡眠を妨げる場合がある。
【0071】
ResMed Limitedは、複数の向上したマスク通気技術を開発している。下記を参照されたい:国際特許出願公開第WO1998/034、665;国際特許出願公開第WO2000/078、381;米国特許第6、581、594号;米国特許出願公開第US2009/0050156;米国特許出願公開第2009/0044808。
【0072】
従来のマスクのノイズの表(ISO17510−2:2007、1mにおける10cmH
2O圧力)
【0073】
【表1】
[この文献は図面を表示できません]
【0074】
(
*試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmH
2Oにて測定)
【0075】
多様な対象の音圧値を以下に羅列する
【0076】
【表2】
[この文献は図面を表示できません]
【0077】
2.2.4 スクリーニング、診断、および監視システム
【0078】
睡眠ポリグラフ(PSG)は、心肺疾患の診断および監視のための従来のシステムであり、典型的には、システム適用のために専門家臨床スタッフを必要とすることが多い。PSGにおいては、多様な身体信号(例えば、脳波検査(EEG)、心電図検査(ECG)、電気眼球図記録(EOG)、筋電図描画法(EMG))を記録するために、典型的には15〜20個の接触覚センサを人体上に配置する。睡眠時呼吸障害のPSGのめには、患者を専門病院において二晩にわたって観察する必要があった。すなわち、第一夜は純然たる診断のためであり、第二夜は、臨床医による治療パラメータのタイトレーションのために必要であった。そのため、PSGは高コストであり、利便性も低い。睡眠呼吸障害のスクリーニング/診断/監視は家庭において特に不向きである。
【0079】
一般に、スクリーニングおよび診断は、疾患の兆候と症状によって疾患を特定することである。通常、スクリーニングは、患者のSDBがさらなる調査を求める程であるかないかを示す真/偽結果を出すいっぽう、診断は、臨床で実行可能な情報を出すことが多い。スクリーニングおよび診断は、一回性手続きになる傾向であることに反して、疾患の経過をモニタリングすることは無限定に続けられる。いくつかのスクリーニング/診断システムは、スクリーニング/診断にのみ適合されているが、いくつかはモニタリングにも使用することができる。
【0080】
臨床専門家は、患者のスクリーニング、診断または監視をPSG信号の視覚的観察に基づいて適切に行い得る。しかし、臨床専門家が居ないまたは臨床専門家への支払いができない状況がある。患者の状態について臨床専門家によって意見が異なる場合がある。さらに、或る臨床専門家は、時期によって異なる基準を適用し得る。
【発明を実施するための形態】
【0146】
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0147】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な実施例に関連して提供される。任意の1つの実施例の1つ以上の特徴は、別の実施例または他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの実施例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成し得る。
【0148】
本技術の態様および例の記載において解剖学的な方向を示す用語が用いられる(例えば、「前方」、「後方」、「上側」、「下側」、「横方向」、「中間」)が、これらの方向は、患者による使用時において本技術の文脈において適用される。例えば、患者インターフェースの前側部は、患者が患者インターフェースを意図される様態で着用したときに患者に対して前方にある患者インターフェースの側部を指す。
【0149】
表面または部位がいずれかの方向を向いている様子を記述する際(例えば、「上方を向く」、「前方を向く」)、文脈から明確に分からない限り、当該表面または部位は少なくとも部分的に特定の方向を向いているものとして理解されるものとする。ある部位が概して上方を向いている場合、当該部位は、部分的に別の方向にも向いている場合であっても「上方を向く」と言っていい。
【0151】
一形態において、本技術は、呼吸器疾患の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ陽圧を付加するステップを含む。
【0152】
本技術の特定の実施例において、陽圧における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。
【0153】
本技術の特定の実施例において、口呼吸が制限されるか、限定されるかまたは妨げられる。
【0155】
1つの形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための装置またはデバイスを含む。装置またはデバイスは、加圧空気を患者インターフェース3000への空気回路4170を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る。
【0157】
本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含む:シール形成構造3100を含むプレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気部3400、空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、気道への陽圧での空気供給を促進するように、患者の気道の入口を包囲するように配置される。
【0158】
本技術のいくつかの例において、プレナムチャンバ3200は、シェル3210およびシール形成構造3100によって少なくとも部分的に形成される。プレナムチャンバ3200は、例えばクッションモジュールまたはクッションアセンブリを含み得る。シェル3210は、シール形成構造3100のためのシャーシとして機能し得る。
【0159】
本技術のいくつかの例において、患者インターフェース3000は、口腔鼻患者インターフェースである。すなわち、患者インターフェース3000は、患者の鼻気道および口腔気道双方をシールするように構成される。いくつかの例において、患者インターフェース3000は、鼻気道および口腔気道それぞれの周囲の別個のシールを含む。例えば
図7〜
図14、
図49〜
図56、
図119〜
図125および
図126〜
図157に示すように、患者インターフェース3000は、鼻部位3230および口部位3260を有するプレナムチャンバ3200を含み得る。シール形成構造は、鼻部位3230において鼻気道を包囲することと、口部位3260において患者の口周囲をシールすることとを行うように構成され得る。よって、シール形成構造3100は、鼻部位および口部位を有するものとしてもみなされ得、シール形成構造の鼻部位および口部位は、患者の鼻気道および口腔周囲をそれぞれシールする部分を含む。
【0160】
図7〜
図14、
図49〜
図56、
図119〜
図125および
図126〜
図157に示す例において、鼻部位3230におけるシール形成構造3100は、患者の顔の鼻梁領域または鼻堤領域上に配置されるのではなく、患者の鼻の下面をシールする。鼻部位3230は、上唇、鼻翼および鼻尖点の前面および/または鼻尖点の下面をシールし得る。実際の密閉位置は、患者によって異なり得る。鼻部位3230は、鼻翼と鼻唇溝との間の患者の顔の領域と、鼻唇溝の近隣の上唇の横方向部との接触および/またはシールを行うようにも、構成され得る。
【0161】
口部位3260のシール形成構造3100は、使用時において患者の口の周辺部に対してシールを形成するように構成され得る。口部位3260は、例えば上唇、鼻唇溝、頬、下唇、頤において患者の顔に対してシールを形成するように構成され得る。
【0162】
シール形成構造3100の内部に1つ以上の穴が設けられ得、これらの穴により、治療圧力の空気流れが患者の鼻孔および患者の口へ1つ以上の穴を介して送達される。シール形成構造により、患者への空気流れの送達のための口用穴および1つ以上の鼻用穴が規定され得る。
図7〜
図14、
図49〜
図56、
図119〜
図125および
図126〜
図157に示す例において、プレナムチャンバ3200は、口用穴3271および2つの鼻用穴3272を含むシール形成構造3100を含む。鼻用穴3272はそれぞれ、使用時において空気流れを患者の鼻孔送達させるように、プレナムチャンバ3200上において患者の鼻孔と実質的に整列されるように位置決めされ得る。
【0163】
患者インターフェースが最低レベルの陽圧を快適に気道へ送達できない場合、患者インターフェースは呼吸圧力治療に不適切であり得る。
【0164】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも6cmH
2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0165】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも10cmH
2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0166】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも20cmH
2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0168】
プレナムチャンバ3200は、使用時に密閉が形成される領域において平均的な人の顔の表面外形に対して相補的である形状の周囲を有する。
図7〜
図14、
図49〜
図56、
図119〜
図125および
図126〜
図157に示す例において、プレナムチャンバは、シェル3210およびシール形成構造3100を含む。これら実施例において、プレナムチャンバ3200の周辺縁部は、顔の隣接する表面に近接して位置決めされる。顔との実際の接触は、シール形成構造3100によって提供される。シール形成構造3100は、使用時においてプレナムチャンバ3200の縁部全体の周りに延び得る。いくつかの形態において、プレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100は、単一の均質的材料ピースから形成される。
【0169】
本技術のいくつかの形態において、プレナムチャンバ3200は、使用時において患者の眼を被覆しない。換言すると、眼は、プレナムチャンバによって規定される加圧空間外にある。このような形態の場合、押しつけがさが低減しかつ/またはより着用者の快適性が増すことが多いため、治療コンプライアンスが向上し得る。
【0170】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200の一部は、透明材料(例えば、透明ポリカーボネート)から構築される。
図7〜
図14、
図49〜
図56、
図119〜
図125および
図126〜
図157に示す例において、シェル3210は、透明ポリカーボネート製である。透明材料の利用により、患者インターフェースの押しつけがましさが低減され得、治療へのコンプライアンスの向上が補助され得る。透明材料の利用により、臨床医が患者インターフェースの配置様態および機能を確認することが補助され得る。いくつかの例において、シェル3210は、シリコーンから形成され得る。
【0171】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、半透明材料から構成される。半透明材料を用いることにより、患者インターフェースの押しつけがましさを低減することができ、治療へのコンプライアンスの向上を補助することができる。
【0172】
図7〜
図47、
図49〜
図75および
図119〜
図183は、シェル3210によって部分的に形成された本技術の例によるプレナムチャンバ3200を示す。さらに、プレナムチャンバ3100は、シール形成構造3200により部分的に形成される。いくつかの例において、シール形成構造3100は、シェル3210へオーバーモールドされる。あるいは、シール形成構造3100をシェル3210と別個に形成し、シェル3210へ永続的または取り外し可能に接続するように構成してもよい。シール形成構造3100およびシェル3210は、一体形成され得る。
【0173】
図7〜
図47、
図49〜
図75および
図119〜
図183に示す例において、シェル3210はポリカーボネートから形成され、シール形成構造3100はシリコーンから形成される。シリコーンのショアA硬度は、30または40デュロメータであり得る。この高度を備えたシリコーンまたは類似の材料の場合、患者の顔への適合およびシールにおける快適性および可撓性において有利である。ポリカーボネート(または他のより高剛性の材料)をシリコーンよりも高硬度および高剛性と共に使用すると、(シリコーンを用いて同一抵抗を得るために必要な材料よりも少量の材料により)変形への抵抗がより高い部位が得られる点において、有利である。使用材料が低減すると、全体的な嵩および重量の低減の保持になるため有利であり得、ユーザに対する押しつけがましさが低下し得る。別の例において、シェル3210は、ナイロンまたはポリプロピレンから形成され得る。あるいは、シール形成構造3100は、シリコーン、適切な発泡材または任意の適切な熱可塑性エラストマーから形成され得る。
【0174】
図40〜
図46に示すように、シェル3210は、シェル3210の上側横方向角部において後側突出部3215を有し得る。後側突出部3215により、鼻部位の基部が強化され得、シール形成構造3100の安定化が支援され得る。後側突出部3215により、シール形成構造近接後角部3131の位置(例えば
図10および
図52に示すもの)の強化も支援され、これにより、患者の顔上のプレナムチャンバの鼻部位も支持され、患者の鼻唇溝内にも有利にフィットする。後方突出部位3215は、シェル3210から患者の鼻唇溝の位置または鼻唇溝に沿った患者の両頬に向かって突出し得る。後方突出部位3215は、(下記に述べる)横方向支持部位3151の下側に設けられ得る。
【0176】
本技術のいくつかの例において、例えば
図18、
図19、
図32、
図35および
図38に示すように、プレナムチャンバ3200は、プレナムチャンバ3200の鼻部位3230の前側部上に横方向支持部位3151を含む。横方向支持部位3151は、シール形成構造の1つ以上の隣接部3100よりも変形に対して高い抵抗を有し得る。横方向支持部位3151は、横方向支持部位3151の上側のプレナムチャンバ3200の領域よりも高剛性であり得る。追加的にまたは代替的に、横方向支持部位3151は、プレナムチャンバ3200の中央領域よりも高剛性であり得る。比較的より高剛性の領域は、プレナムチャンバの周囲領域よりも比較的高剛性の領域を提供するように構成されたフィン形状をとり得る。
図34〜
図38に示すシール形成構造3100は、横方向支持部位3151を内部に含む。さらに、
図49〜
図56に示すプレナムチャンバ3200は、横方向支持部位3151をシェル3210内に含む。
図49〜
図56のプレナムチャンバ3200のシェル3210が
図81〜
図86中において孤立状態にある様子が図示される。図示のように、横方向支持部位3151は、シェル3210そのものの上側横方向部によって形成される。
【0177】
横方向支持部位3151により、プレナムチャンバ3200の鼻部位3230の横方向安定性が支援され得る。
図7〜
図38の例において、横方向支持部位3151は、プレナムチャンバ3200の横方向に間隔を空けて配置された少なくとも部分的に前方を向く側部へ設けられる。詳細には、横方向支持部位3151は、鼻部位3230の患者に対向していない側(例えば、前側部または少なくとも部分的に前方を向く側部)へ設けられる。これらの例において、1つの横方向支持部位3151は、プレナムチャンバ3200の各横側部上において少なくとも部分的に前方を向く壁へ提供される。プレナムチャンバ3200は、使用時において患者の鼻翼のおおよそ反対側のシール形成構造3100内に横方向支持部位3151が配置されるように、構成される。
【0178】
横方向支持部位3151は、周囲領域または隣接領域よりも材料厚さが大きなプレナムチャンバ3200の領域を含み得る。代替的にまたは追加的に、横方向支持部位3151は、周囲領域または隣接領域中の材料よりも高剛性の材料によって形成され得る。
【0179】
横方向支持部位3151は、実質的にフィン状形状であり得る(例えば、曲線状の上側境界およびより平坦な下側境界を有する)。
図34〜
図38に示すように、シール形成構造3100の横方向支持部位3151は、曲線状の上側境界3153およびより平坦な下側境界3152を含む。同様に、
図49〜
図56に示すようなシェル3210の横方向支持部位3151は、曲線状の上側境界3153を有する(が、本例においては、横方向支持部位3151の別個の下側境界は無い)。フィン状形状(詳細には、曲線状の上側境界または縁の提供)を用いると、横方向支持部位3151の上縁または境界が鼻部位3230の上側周辺部3232の曲率を追随するため、有利である。これにより、シェル3210の上方の鼻部位3230の高さが一貫になり、以下に述べるように鼻部位3230の構造の剛性が一貫または制御される点において、有利であり得る。さらに、鼻部位3230の前側部全体の周囲の平坦な境界ではなく曲線状の上側境界3153により、鼻部位の中央の前方を向く部位が可撓性を保持するため、患者の鼻尖点上への過度の力が回避される。
【0180】
横方向支持部位3151により、プレナムチャンバ3200の前側部の崩壊性が制御され得る。横方向支持部位3151の高さ(例えば、上側伸長部の量)は、崩壊性と構造剛性との間のバランスが得られるように、選択され得る。シール形成構造3100の構造において一定量の可撓性があると、シール形成構造3100が広範囲の鼻形状およびサイズに対応することが可能になるため、望ましい。しかし、横方向支持部位3151が上方向に延びすぎた場合、シール形成構造3100の収容性が不十分になるかまたは快適性が不十分になり得る。あるいは、横方向支持部位3151が上方向に充分に延びていない場合、シール形成構造3100が崩壊し易くなり得るため、患者の顔との密閉係合の破裂を回避することが不可能になり得る。
【0181】
さらに、シール形成構造3100の全体的構造に一定の可撓性を設けると、長い鼻および/または幅狭の鼻の収容において有利であり得る。シール形成構造3100を上方移動させて幅狭の鼻の下側に接触させる場合、鼻部位3230の全体構造の一定量の可撓性は望ましくない。なぜならば、このような可撓性に起因して、患者の鼻から下方の力がシール形成構造3100の中心へ付加された結果、シール形成構造3100の横側部が内方に牽引され得るからである。
図112および
図113は、患者1000の鼻との密閉位置へ移動させられる前および後のシール形成構造1000を示す。
図113に示すように、鼻部位3230中のシール形成構造3100が患者の鼻と接触させられると、シール形成構造3100の外方を向く横側部が内方に牽引されて、シール形成構造3100の内方を向く横側部が患者の鼻の下側周辺部に適合することが支援される。シール形成構造3100の横側部の可撓性が不十分である場合、患者が補償のためにヘッドギアを締める必要がある際に、シール形成構造3100の幅狭の鼻への適応が低下しかつ/または快適性が低下し得る。可撓性が過度になると、シール形成構造3100が自身の形状を保持することおよび有効なシールの維持することができなくなり得る。
【0182】
横方向支持部位3151の高さは、シール形成構造3100により広範囲の鼻を快適にシールすることを可能にするよう充分な可撓性を保持しつつ鼻部位3230の構造剛性を充分にするために適切なものにする必要がある。横方向支持部位3151は、鼻部位3230の高さのおおよそ35〜65%だけ(例えば、例において、プレナムチャンバ3200の前側部上の鼻部位の基部3230とプレナムチャンバ3200の最上側点との間の距離の40〜60%または50%だけ)上方に延び得る。
【0183】
他の例において、横方向支持部位3151の代わりに、他の剛性化/硬質化の構造またはフィーチャを用いてもよい。いくつかの例において、鼻部位3230への構造剛性の付与のために、概して横方向支持部位3151の位置において、シール形成構造3100の鼻部位3230の内部または外部へリブが設けられる。他の例において、横方向支持部位3151が硬質化され得る。シール形成構造3100は、横方向支持部位3151へ設けられた支持インサート(例えば、硬質化剤要素)を含み得る。一例において、横方向支持部位3151への剛性付与のために、シール形成構造3100は、1つ以上の硬質化剤要素へオーバーモールドされ得る。
【0184】
他の例において、プレナムチャンバ3200は、鼻部位3230の構造へ必要な支持を提供するアンダークッションを含み得る。アンダークッションは、シール形成構造3100の顔接触部位よりも肉厚であり得るため、患者接触壁を快適性のために肉薄にしかつ患者の鼻および顔へ適合させることが可能になる。
【0185】
さらに、いくつかの例において、シール形成構造3100の鼻部位3230の構造の支持のため、別個のコンポーネントが設けられる。例えば、プレナムチャンバ3200が接続されるフレームは、横方向支持部位3151の領域内においてシール形成構造3100を強化する部位を有し得る。
【0186】
5.3.1.1.1 シール形成構造によって形成される横方向支持部位
【0187】
図7〜
図40に示すプレナムチャンバ3200は、シール形成構造3100によって設けられた横方向支持部位3151を含む。横方向支持部位3151は、プレナムチャンバ3200前側部へかつ鼻部位3230の各横側部上へ設けられる。本例において、横方向支持部位3151は、鼻部位3230の各横側部の下側領域に設けられる。
【0188】
本例において、鼻部位3230の少なくとも大部分は、シール形成構造3100によって形成される。プレナムチャンバ3200の鼻部位3230の大部分は、柔らかい可撓性の弾性材料から形成される。本例において、鼻部位3230の大部分は、シリコーンから形成される。
図7〜
図33の例において、鼻部位の実質的に全体が、シール形成構造3100によって形成される。
図49〜
図75の例において、鼻部位の部位は、シェル3210によって形成される。
【0189】
これらの例において、横方向支持部位3151は、シール形成構造3100の領域であり、シール形成構造3100の1つ以上の隣接領域よりも比較的高剛性である。詳細には、横方向支持部位3151は、横方向支持部位3151の上側のシール形成構造3100の領域よりも肉厚の材料を有する。このようなより肉厚の材料厚さにより、一定量の剛性または構造剛性がシール形成構造3100の構造および詳細には鼻部位3230へ付与される。鼻部位3230の後方側の大部分は、快適性のために壁厚さが薄くかつ患者の顔をシールできることができるため、鼻部位3230の形状の有意な構造剛性に繋がらない。横方向支持部位3151は、患者接触壁から得られる構造剛性の欠如を補償し、鼻部位3230に対する全体的構造剛性を増加させる。
【0190】
図35および
図38に示すように、横方向支持部位3151はそれぞれ、実質的に平坦な下側境界3152を含む。実質的に平坦な下側境界3152はおおよそ平坦であるものの、例えば鼻部位の基部がプレナムチャンバ3200の口部位3260内へ移行するために必要な一定の曲率に起因して、少量の曲率を有し得る。各平坦な下側境界3152は、シェル3210の各後側突出部3215に隣接し得る。本例において、横方向支持部位3151はそれぞれ、曲線状の上側境界3153を含む。さらに、曲線状の上側境界3153の曲率は、鼻部位3230においてシール形成構造3100の上側周辺部3232の曲率に実質的に整合するかまたは追随し得る。
【0191】
5.3.1.1.2 シェルによって形成される横方向支持部位
【0192】
図49〜
図75ならびに
図126〜
図157に示すプレナムチャンバ3200はそれぞれ、プレナムチャンバ3200のシェル3210によって設けられる横方向支持部位3151を含む。
図81〜
図86は、
図49〜
図75中において孤立状態にあるプレナムチャンバ3200のシェル3210を示す。これらの例において、横方向支持部位3151は、シェル3210の上部位を含む。横方向支持部位3151は、プレナムチャンバ3200の鼻部位3230中へ上方向に延びる。これらの例において、横方向支持部位3151は、鼻部位3230へ設けられたシェル3210の部位を含む。
図7〜
図33に示す例において、シェル3210は概して平坦な上縁を有するが、
図49〜
図75および
図81〜
図86に示す例中のシェル3210は、横方向支持部位3151を含む曲線状の上縁3211を含む。横方向支持部位3151は、上縁3211の中央部よりも広範囲において上方向に延びて、2つの横方向支持部位3151を形成する。これらの例において、横方向支持部位3151はそれぞれ、曲線状の上縁または境界を含む。各上縁の曲率は、シール形成構造の上側周辺部3232の曲率に実質的に整合するかまたは追随する。シェル3210の横方向支持部位3151は、鼻部位3230の前方を向く側部および横方向を向く側部の領域を占有し、使用時において患者の鼻翼とおおよそ反対方向にある。
【0193】
図49〜
図75および
図81〜
図86に示す例中の横方向支持部位3151は、
図7〜
図33.の例に示す横方向支持部位3151と同様の機能を提供する。横方向支持部位3151は、構造剛性をシール形成構造3100の鼻部位3230へ付与する。シール形成構造3100の患者接触(後方)側は比較的肉薄の可撓性壁を含むため、可撓性壁、横方向支持部位3151により、一定レベルの構造剛性が鼻部位3230へ付与される。
【0194】
5.3.1.2 プレナムチャンバ入口ポート
【0195】
シェル3210は、1つ以上のプレナムチャンバ入口ポート3240を含み得る。1つ以上のプレナムチャンバ入口ポート3240により、他のコンポーネントへの接続が可能になり得る(例えば、フレーム、結合解除構造、通気配置構成、熱水分交換器(HMX)、一定流量通気孔(CFV)、窒息防止弁(AAV)および/または多様な例中の導管への接続ポート)。
【0196】
図7〜
図14に示す例において、プレナムチャンバ3200は、単一の入口ポート3240を含む。入口ポート3240は、シェル3210中の実質的に中央に設けられる。本例において、入口ポート3240は、ヘッドギアまたは他の位置決めおよび安定化構造コンポーネントを接続させることが可能なフレームへ接続するように、構成され得る。本技術のこの例示的形態において、入口ポート3240は、実質的に円形である。
【0197】
図49〜
図56および
図126〜
図183に示す例において、プレナムチャンバ3200は、2つの入口ポート3240を含む。入口ポート3240は、シェルの横側部3210へ設けられる。これらの例において入口ポート3240は、導管が空気回路へ接続された患者の頭部の上方に配置された結合解除コンポーネントへ接続する導管へ接続するように、構成される。これらの導管は、位置決めおよび安定化構造3300の一部を形成し得る(すなわち、「ヘッドギア導管」であり得る)。いくつかの例において、複数の機能(例えば、通気、空気流れの供給およびヘッドギア取付点)の提供のために、入口ポート3240は、組み合わせ型ヘッドギアおよび導管接続アセンブリを受容し得る。組み合わせ型ヘッドギアおよび導管接続アセンブリは、AAVも含み得る。これらの例において、入口ポート3240は、おおよそ楕円形状(例えば、楕円状)である。
【0198】
いくつかの例において、
図7〜
図14に示すプレナムチャンバ3200は、導管ヘッドギアへの接続のために、シェルの横側部3210上の1つまたは2つの入口ポート3240を備え得る。シール形成構造3100の本明細書中に記載のフィーチャのいずれか(例えば、
図7〜
図48に示すプレナムチャンバ3200のもの)は、導管ヘッドギアを含む患者インターフェース内に採用され得ることが理解される。
【0199】
図49〜
図56に示す例中の各入口ポート3240の上側周辺部は、鼻部位3230の横方向支持部位3151によって形成される。入口ポート3240がヘッドギア導管へ接続する例において、プレナムチャンバ3200からヘッドギア導管への接続をプレナムチャンバ3200の上側位置において行うことが有利に可能になる。これにより、プレナムチャンバ3200の下側位置に設けられた入口ポート3240と比較してより短い導管、より好適な力ベクトルおよび/またはより小さな導管占有面積が患者の顔上において可能になる。
【0200】
一例において、プレナムチャンバ3200は、フレームへ接続し、位置決めおよび安定化構造3300(例えば、ヘッドギア)を介して患者の顔の前方において支持される。フレームへの接続は、スナップ嵌め接続であり得る。あるいは、この接続は、圧入、バヨネット接続または他の適切な接続であり得る。
【0201】
一例において、フレーム3350は、シェル3210のリムを介して嵌め付けられるスナップ嵌めフック3351を含む。いくつかの例において、2つのスナップ嵌めフック3351は、プレナムチャンバ3200の空気入口ポート3240へ設けられたリム3218を介してフレームスナップへ設けられる。
図87は、フレーム3350とプレナムチャンバ3200との間の水平面における接続の断面図であり、空気入口ポート3240のリム3218を介してスナップされた水平スナップ嵌めフック3351を示す。本例において、2つのスナップ嵌めフック3351は、空気入口ポート3240上において水平方向に対向する。他の例において、アームは、垂直方向に対向する。(例えば、空気入口3240の周囲の9時の位置および3時の位置において)水平方向に対応するスナップ嵌めアームを設けると、プレナムチャンバ3200またはフレーム3350上に横方向力が付与された際の係合解除への抵抗が有利に得られる。
図88は、フレーム3350とプレナムチャンバ3200との間の垂直面における接続の断面図であり、接続の垂直方向に対向する側部におけるスナップ嵌め接続の欠如を示す。患者は頭を横向きにして寝る場合があるため、プレナムチャンバ3200は、使用時において垂直力よりも横方向力を受ける可能性が高い。水平方向に対向するスナップ嵌め接続により、患者がフレーム3350に対してプレナムチャンバ3200を上方または下方に回転させて分解することが可能になるが、使用時におけるプレナムチャンバ3200上への横方向力に起因してプレナムチャンバ3200がフレームから係合解除される可能性は低い。
【0203】
本技術の一形態において、シール形成構造3100は、目標シール形成領域を提供し、クッション機能をさらに提供し得る。目標シール形成領域は、シール形成構造3100において密閉が発生し得る領域である。密閉が実際に発生する領域(すなわち、実際の密閉面)は、一定範囲の要素(例えば、顔面上の患者インターフェースの配置位置、位置決めおよび安定化構造における張力、および患者の顔の形状)に応じて、所与の治療セッションにおいて患者によって日々変化し得る。
【0204】
一形態において、目標シール形成領域が、シール形成構造3100の外面上に配置される。
【0205】
本技術の特定の形態において、シール形成構造3100は、生体適合性材料(例えば、液状シリコーンゴム(LSR))から構成される。
【0206】
本技術によるシール形成構造3100は、柔らかく、可撓性でありかつ弾力性のある材料(例えば、液状シリコーン(LSR))から構成され得る。
【0207】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くのシール形成構造3100を含むシステムが提供される。各シール形成構造3100は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適したシール形成構造3100の一形態および大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの頭に適した別のものを含み得る。
【0209】
一形態において、シール形成構造3100は、圧力アシスト密閉機構を用いる密閉フランジを含む。使用時において、密閉フランジは、プレナムチャンバ3200内のシステム陽圧に容易に応答してその下側上に作用して、面と緊密な密閉係合を形成させ得る。圧力アシスト機構は、位置決めおよび安定化構造における弾性張力と共に作用し得る。
【0210】
一形態において、シール形成構造3100は、密閉フランジおよび支持フランジを含む。密閉フランジは、厚さが約1mm未満(例えば、約0.25mm〜約0.45mm)の比較的肉薄の部材を含む。この部材は、プレナムチャンバ3200の縁部長さの周囲に延びる。支持フランジは、密閉フランジよりも比較的肉厚であり得る。支持フランジは、密閉フランジと、プレナムチャンバ3200の周縁部との間に配置され、周辺長さの周囲の少なくとも一部に延びる。支持フランジは、バネ様要素であるかまたはバネ様要素を含み、密閉フランジを使用時に座屈しないように支持するよう機能する。
【0211】
一形態において、シール形成構造は、圧縮密閉部またはガスケット密閉部を含み得る。使用時において、圧縮密閉部またはガスケット密閉部は、例えば位置決めおよび安定化構造における弾性張力に起因して圧縮状態となるように、構築および配置される。
【0212】
一形態において、シール形成構造は、張力部を含む。使用時において、張力部は、例えば密閉フランジの隣接領域により、ぴんと張られた状態で保持される。
【0213】
一形態において、シール形成構造は、粘着面または接着面を有する領域を含む。
【0214】
本技術の特定の形態において、シール形成構造は、圧力アシスト密閉フランジ、圧縮密閉部、ガスケット密閉部、張力部、および粘着面または接着面を有する部位のうち1つ以上を含み得る。
【0216】
本技術の特定の形態において、シール形成構造3100は、患者の鼻の下面に対してシールを形成するように構成された中央部を含む。中央部は、患者の鼻の下側周辺部(例えば、患者の鼻孔の周囲および患者の上唇)をシールし得る。例において、シール形成構造3100は、鼻梁の下側または鼻尖点の下側において患者の顔と接触するように構成され得る。
【0217】
図34〜
図80および
図158〜
図183に示すように、シール形成構造3100は、使用時において患者の鼻の下側周辺部をシールするように構成された中央部と、使用時において患者の鼻翼またはその近隣に配置されるように構成された中間部とを含む。より詳細には、中央部は、上方を向く中央部3111と、前方を向く中央部3115とを含む。中央部と患者の鼻との接触の大部分または全ては、上方を向く中央部3111によって行われる。さらに、中間部は、上方を向く中間部3121と、前方を向く中間部3125とを含む。中間部と患者の鼻との接触の大部分または全ては、上方を向く中間部3121によって行われる。
【0218】
シール形成構造3100が患者の顔に接触する実際の量は、本技術の特定の実行および特定の患者の解剖学的構造に依存することが理解される。
図158〜
図164(小型プレナムチャンバ3200)および
図165〜
図171(中型プレナムチャンバ3200)に示すプレナムチャンバ3200のシール形成構造3100は、鼻形状が長い患者および鼻形状が幅狭の患者による使用のために構成される。これとは対照的に、
図172〜
図176(小型幅広プレナムチャンバ3200)および
図177〜
図183(幅広プレナムチャンバ3200)に示すプレナムチャンバ3200のシール形成構造3100は、鼻が比較的短い患者および鼻が比較的幅広の患者による使用のために構成される。
図158〜
図171に示す小型および中型のプレナムチャンバ3200において、上方を向く中間部により、患者の鼻の横方向下面3121との接触が(
図172〜
図183に示す小型幅広および幅広プレナムチャンバ3200の場合よりも)より大量になる。なぜならば、小型および中型のプレナムチャンバ3200を用いる患者は概してより幅狭の鼻を有し得、また、小型および中型のプレナムチャンバ3200がシール形成構造3100の鼻部位3230中においてよりも大きな陥没部を有し得るからである。本技術のこれらの特定の例それぞれにおいて、上方を向く中央部3111により、大部分と患者の鼻の下面との間の接触が可能になる。
【0219】
上唇部3116は、患者の上唇と共に患者の鼻の下面とも有意に接触し得る。いくつかの例において、シール形成表面3100から患者の鼻の下側周辺部によって形成されたシールの大部分は、上方を向く中央部3111および上唇部3116によって構成され得る。上方を向く中央部3111および上唇部3116はそれぞれ、他のシール形成構造の部位3100よりも低剛性であり得、これは、本技術のいくつかの例において、シール形成構造3100の他の部位よりも薄い壁厚さによって提供される。患者の鼻および上唇の下面は、ジオメトリが複雑であり得、圧力に対しても高感度であり得る。そのため、これらの位置と接触するかまたはこれらの位置に対してシールされるプレナムチャンバ3200の領域を可撓性かつ柔順的にすると有利であり、これらの領域における顔上への過度な圧力発生が回避される。これらの例において、鼻用穴3272の近隣のシール形成構造3100の鼻部位3230の中央部中の壁厚さが薄いことにより可能にされた低剛性により、クッションが患者の鼻の下側の表面(例えば、前方向の鼻尖点、横側部および上唇のいずれかの鼻翼)をシールするように容易に変形することが可能になる。
図110は、患者1000の鼻の下側周辺部とシーリング接触しているプレナムチャンバ3200の断面図である。鼻部位3230の外方を向く領域(例えば、後角部3131、前方を向く中間部3125および前方を向く中央部3115)の全体的形状および構造は、使用時において概して維持される一方、より高可撓性の上方を向く中央部3111は、患者の鼻の下側周辺部に適合することができる。
【0220】
上方を向く中央部3111および上唇部3116の壁厚さが薄いことにより、これらの部位においてシール形成構造を膨張させてて、下面のジオメトリおよび患者の鼻の周辺部に適合させることが可能になる。
図110に示すように、上方を向く中央部3111および上唇部3116内におけるシール形成構造3100の壁を薄くすると、鼻の下部および周囲における複雑なジオメトリに対する良好なシール生成において有利である。この肉薄の壁は、圧力下において変形および膨張することができ、患者の顔の表面に適合して、有効かつ快適なシールを生成することができる。
【0221】
シール形成構造の鼻用穴3272の上方および前方の上方を向く中央領域3111は、患者の鼻尖点の下側および部分的に前面をシールすることを意図する。鼻尖点は多くの患者において比較的高感度の領域であり得るため、シール形成構造3100のこの領域の壁厚さは薄くされ得る。中央部は、クッションの後方の上方を向く中央部3111(すなわち、患者を向く)側から中央サドル部位3112および周辺縁を介してシール形成構造の前方(すなわち、患者に対向しない)側の前方を向く中央部3115内へ延び得る。この領域の壁厚さを薄くすることにより、高感度の鼻尖点領域上への過度の圧力付与が回避される。
【0222】
シール形成構造3100の上唇部3116は、上唇をシールすることを意図する。上唇部3116は、中央ならびに鼻用穴3272の下側および後方に設けられる。上唇部3116は、低い壁剛性を含み得る。いくつかの例において、低い壁剛性は、薄い壁厚さによって得られる。鼻尖点をシールすることを意図するシール形成構造3100の領域と同様に、上唇は高感度の領域であり得るため、薄い壁厚さは、シール形成構造3100の鼻部位3230の中央下側/後方領域にわたって延びる。薄い壁厚さにより、比較的肉厚の壁厚さから付与される場合よりも低い力が、上唇へ付与され得る。
【0223】
高感度の鼻尖点および上唇領域と接触するように構成された領域内において壁厚さを薄く保持すると、快適性が得られて有利になるが、本技術の例においては、これらの領域における壁厚さは、シール形成構造3100が患者の顔への安定的シールを維持できなくなる範囲までは低減されない。これらの領域において壁厚さが薄すぎる場合、シール形成構造において襞が発生し易くなり、シールの破壊および漏洩経路の発生に繋がり得、患者の顔とクッションとの間において空気が周囲へ流動し得る。
【0224】
上方を向く中間部3121は、使用時において患者の鼻の下側周辺部のいくつかまたは全ての周囲に配置され得る。例えば、上方を向く中間部3121は、鼻の基部において患者の鼻のすぐ外側(例えば、鼻翼の近隣にまたは鼻翼に接触して)配置されるように構成され得る。シール形成構造3100の上方を向く中間部3121は、部分的に中間方向および部分的に上方向を向く(例えば、中間方向および上方向を向く外側面および外面を有し)かついくつかの例において部分的に後側を向く一対の外壁を含み得る。
図113に示すように、鼻部位3230の上方を向く中間部3121は、患者1000の鼻の下側周辺部に近接して配置される。シール形成構造3100の剛性は、中央部3111および3115においてよりも上方を向く中間部3121において高くなる。これらの例において、シール形成構造3100の壁厚さは、中央部3111および3115ならびに上唇部3116においてよりも中間部3121および3125において肉厚になる。
【0225】
本技術の多様な例において、一般的に、シール形成構造3100の領域の剛性をシール形成構造3100の他の領域の剛性よりも高くするには、より大きな壁厚さ、より高剛性の材料(例えば、より高デュロメータのシリコーンまたは他の材料)、強化構造(例えば、タイまたはリブ、アンダークッション、部位またはシャーシなど)が用いられ得る。
【0226】
図34〜
図38および
図76〜
図80の例において、鼻部位は、上方を向く中央部3111に加えて患者の鼻尖点の前方領域または下側領域をシールし得る中央サドル部位3112を有する。これらの例において、これらの中間部は、上方を向く中央部3111のいずれかの側部上のシール形成構造3100の鼻部位3230の横側部へ設けられるが、中央サドル部位3112には設けられない。中央サドル部位3112は、本技術のこれらの例において、上方を向く中央部3111および前方を向く中央部3115と同じ低剛性を含む。
【0227】
シール形成構造3100は、上方を向く中央部3111、前方を向く中央部3115および/または上唇部3116における壁厚さは0.15〜0.4mmであり得る(例えば、0.2mm〜0.3mm(例えば、0.25mm))。上方を向く中間部3121および前方を向く中間部3125における壁厚さは、0.5mm〜1mmであり得る(例えば、0.6mm〜0.9mm(例えば、0.75mm))。
【0228】
いくつかの例において、シール形成構造3100上方を向く中間部3121は、シール形成構造3100の上方を向く中央部3111を強化させる。さらなる例において、上方を向く中間部3121により、襞に対する障壁が得られ、シール形成構造3100内に漏洩経路が形成される事態が回避される。さらに、上方を向く中間部3121により、プレナムチャンバ3200上への側方装填に対する可撓性および支持が得られて、横方向力下におけるシール破壊の回避が支援され得る。
【0229】
上方を向く中央部3111は壁厚さが薄くなっているゆえに、極めて高可撓性であるため、条件によっては襞が発生し易い。上方を向く中間部3121は、壁厚さがより大きいため、上方を向く中央部3111よりも高剛性であり、よって襞の発生し易さも低くなる。いくつかの例において、シール形成構造3100の鼻部位3230の場合、患者の鼻の横側部の近隣において襞が特に発生し易い。襞がシール形成表面中において発生し始め、シール形成表面の外部において継続した場合、襞に起因して漏洩経路が発生し得、この漏洩経路を通じてガスが襞を通じてプレナムチャンバ3200の内部から周囲へ漏洩し得、患者の顔を通過し得る。
【0230】
いくつかの例において、上方を向く中間部3121は、壁剛性が高いため、シール形成構造3100の襞に抵抗する。シール形成構造3100の上方を向く中央部3111内に襞が発生した場合、上方を向く中間部3121および/またはより肉厚後角部領域3131に起因して襞サイズが限定され得るため、襞が鼻部位3230の患者に対向する側部を継続的に上方移動してシール形成表面(例えば、患者の鼻の周辺部の一部)を通過する事態が回避され得る。そのため、上方を向く中間部3121は、鼻の基部周囲の患者の鼻翼の縁またはその近隣に配置されることにより、患者の鼻の形状を詳細に追随する襞に対する障壁として機能する。
図116は、プレナムチャンバ3200を多様な記載のシール形成構造3100の多様な部位と共に示す。図示のように、襞3110は、上方を向く中央部3111内に形成されるが、上方を向く中間部3121および後角部3131により、襞3110が外方に伝搬して患者の顔と共に形成されたシールを通じた漏洩経路を形成する事態を回避する障壁が有効に提供される。後角部3131は、上方を向く中央部3111の下側および横方向の襞3110に対する障壁を提供し得る。上方を向く中間部3121により、上方を向く中央部3111の上側および横方向の襞3110に対する障壁が提供され得る。
【0231】
さらに、中間部3121または3125により、より肉薄中央部3111または3115中に襞が形成される事態に対する抵抗または回避が支援され得る。患者が患者インターフェース3000を着用した場合、中間部は、より肉薄の中央部を鼻の基部上へ(例えば、下側周辺部へ)伸長させ得る。患者の鼻翼の近隣の中間部により、変形抵抗性が増大しているため、中央部を鼻の基部上へ伸長させることにより、中央部内に襞が形成される事態に対する抵抗または回避が可能になり得る。
【0232】
シール形成構造3100は、シール形成構造3100の鼻部位3230の横方向の患者に対向していない領域上に横方向を向く後部3141も含み得る。鼻部位3230の横方向を向く後部3141は、上方を向く中間部3121および前方を向く中間部3125よりも高剛性であり得る。横方向を向く後部3141は、中間部、中央部および/または上唇部3116よりも壁厚さが大きくなり得る。
【0233】
上方を向く中間部3121は、患者が患者インターフェース3000を着用した場合に患者の鼻の側部に接触するように配置されるが、患者の鼻に起因して横方向に変形可能になるような可撓性も備える。使用時において、シール形成構造3100は、上方を向く中間部3121において付勢されて、患者の鼻翼と接触する。患者が患者インターフェース3000を着用する際、患者の鼻からシール形成構造3100の側部上へ外方から力が付与される。その結果、鼻部位3230中のシール形成構造3100の側部は、患者の鼻の周辺部に適合して、安定かつ頑強なシールを形成する。
図112および
図113は、患者1000が患者インターフェース3000を着用する前および後の鼻部位3230を示す。図示のように、シール形成構造3100は、患者1000が患者インターフェース3000を着用した際に患者の鼻の下側周辺部に適合するように、鼻部位3230内に形状される。
図113は、上方を向く中間部3121の近隣の上方を向く中央部3111中のシール形成構造3100が患者1000の鼻の周辺部に適合して、良好なシールを形成する様子を示す。上方を向く中間部3121内のシール形成構造3100の剛性は、鼻部位3230が幅狭の鼻との頑強なシールに適合しかつこのようなシールを生成するだけ充分に有利に大きくかつより幅広の鼻にとって不快になるほどには高剛性ではない。
【0234】
さらに、上方を向く中間部3121によって提供される鼻の側部上への前負荷により、患者の鼻およびプレナムチャンバ3200の残り部分と患者インターフェース3000との間の結合解除が可能になり、使用時においてシールを妨害すること無く、プレナムチャンバ3200のいくつかの部位(例えば、シェル3210)の一定の横方向移動に耐えることが可能になる。
図114は、プレナムチャンバ3200の横方向変位無しにシール形成構造3100が患者1000の鼻のシーリング接触している様子を示す。
図115は、
図114と同じ図を示すが、シール形成構造3100が(例えば管牽引により)横方向変位した後の様子を示す。
図115に示すように、シール形成構造3100を付勢して患者1000の鼻と接触させることにより、プレナムチャンバ3200が比較的大きく変位した場合でも、シール形成構造3100が鼻の両側とシーリング接触した状態が保持される。
【0235】
これらの例において、
図7〜
図8、
図49〜
図50、
図128〜
図129、
図138〜
図139、
図146〜
図147、
図154〜
図155に示すように、シール形成構造3100の鼻部位3230は、2つの横方向部3231を含む。鼻部位3230の各横方向部3231は、患者に対向する側および患者に対向していない側を含み得る。患者に対向する側は、中間方向および後方向を向き得、患者に対向していない側は、横方向および前方向に対向し得る。患者に対向する側および患者に対向していない側はどちらとも、上方向において部分的に対向し得る。鼻部位3230の横方向部3231の患者に対向する側は、上方を向く中央表面3111の一部と、隣接する上方を向く中間部3121とを含み得る。鼻部位3230の横方向部3231の患者に対向していない側は、前方を向く中間部3125と、横方向を向く後部3134とを含み得る。
【0236】
本技術のいくつかの例において、シール形成構造3100の鼻部位3230の横方向部3231は、本技術の他の例よりも高さを高くすることができる。すなわち、横方向部3231は、使用時において上方向により大きな距離だけ口部位3260から突出し得る。
図7〜
図8および
図49〜
図50に示すプレナムチャンバ3200は、背の高い横方向部3231を鼻部位3230内に含む。これらのプレナムチャンバ3200は、比較的長い鼻、幅狭の鼻および/または鼻柱よりも鼻翼が長い鼻を含む患者に良好に適合し得る。
図128〜
図129および
図138〜
図139に示すプレナムチャンバ3200は、横方向部3231を鼻部位3230内に含む。これらの横方向部3231は、
図7〜
図8および
図49〜
図50に示す例ほど背は高くないが、中程度の高さである。これらの横方向部3231は、長い鼻および幅狭の鼻を有する患者にも良好に適合し得る。
図146〜
図147および
図154〜
図155に示す横方向部3231は、より短い横方向部3231を鼻部位3230内に有する。これらのプレナムチャンバ3200は、より幅広の鼻、より短い鼻かつ/またはより平坦な鼻の患者に良好に適合し得る。
【0237】
鼻部位3230の前領域は、患者の鼻に対して安定したシールを形成可能でありつつ快適になるように構成される。
【0238】
いくつかの例において、前方を向く中央部3115の厚さはおおよそ0.15〜0.4mm(例えば、0.2〜0.3mm)であり、図示の例において、壁厚さはおおよそ0.25mmである。前方を向く中間部3125は、前方を向く中央部3115における壁厚さよりも大きい壁厚さを含み得、0.5mm〜1mm(例えば、0.65mm〜0.85mm)または図示の例においておおよそ0.75mmであり得る。いくつかの例において、シール形成構造3100の厚さは、異なる厚さを有する領域間においてテーパー形状になる。他の例において、厚さは、比較的急激に(例えば、段階的に)変化する。鼻部位3230の前領域は、若干柔順的になるように構成されるため、鼻部位3230の他の領域(例えば、(厚さが1〜1.5mmの範囲内である)鼻部位3230の後角部3131)ほど肉厚かつ高剛性ではない。鼻部位3230の前領域は、患者によって着用された際にその全体的形状を保持できるくらいに高剛性となるような充分な厚さを有し得る。
【0239】
鼻部位3230の前部を可撓性にすることにより、患者の鼻(特に、長い鼻)を受容した際にシール形成構造3100が若干変形することが可能になる。
図117は、鼻が短い患者1000の顔とのシーリング接触によるプレナムチャンバ3200を示す。
図118は、鼻が長い患者1000の顔とのシーリング接触におけるプレナムチャンバ3200を示す。本例において、シール形成構造3100は、より長い鼻を受容するように、より広範囲において変形することができる。これは、患者の快適性への悪影響無く達成することができる。患者の鼻尖点は、特に高感度の領域であり得、鼻部位3230の前部の可撓性により、シール形成構造3100から患者の鼻へ付加される力の低減が支援され得る。この可撓性は、鼻尖点の位置において特に有利であるため、中央部は、前方を向く中間部3125よりも剛性が低い。上方を向く中央部3111および前方を向く中央部3115は、厚さが約0.25mmであり得、前方を向く中間部3125は、壁厚さが約0.75mmであり得る。中央部の厚さを薄くすることにより、鼻尖点上への圧力が低減され、より肉厚中間部3125により、鼻部位3230の全体的構造に対して一定の支持が得られる。
【0240】
鼻部位3230の可撓性中央領域のさらなる利点として、患者が患者インターフェース3000を着用し、患者の鼻からシール形成構造の上方を向く中央部3111上へ下方の力が付加された際に、鼻部位3230の側部を内方に(例えば中間方向に)牽引することが可能になる点がある。鼻部位3230の側部を患者の鼻の側部へ内方牽引することにより、シール形成構造3100が患者の鼻の下側周辺部内およびその周辺に牽引されるため、シール向上が可能になる。
図113は、患者の鼻の周辺部に適合するシール形成構造3100を示す。
【0241】
鼻部位3230の横側部は内方牽引されるものの、前部および詳細にはより可撓性の前方を向く中央部3115のいずれかの側部上の前方を向く中間部3125は、シール形成構造3100の全体的形状の維持および襞に起因する漏洩経路発生の回避のための充分な構造剛性を保持する。別の例において、前方を向く中央部3115は、前方を向く中間部3125と厚さが類似し得るため、鼻部位3230の中央サドル部位3112においてさらなるさらなる襞抵抗が得られる。
【0242】
シール形成構造3100の鼻部位3230および詳細には鼻用穴3272と鼻部位3230の中央サドル領域3112との間の領域は、前方および後方において比較的長尺であるため、有利である。シール形成構造3100の鼻部位3230のこの部分は、他の領域と比較してそれほど支持されていない。シール形成構造3100のこの部分における長尺領域により、シール形成構造3100の鼻部位3230の変形のための充分な空間が得られるため、シール形成構造3100が鼻を受容する際に有利である。シール形成構造3100がこの領域においてより高剛性の構造を有する場合、患者の鼻尖点(特に、より長い鼻)上に過度の力が付加され得る。鼻尖点は特に高感度の領域であり得るため、このような過度の力を回避すると、快適性の点において有利である。しかし、より短くかつ比較的幅広であり得る鼻の患者も存在する。
図142〜
図149および
図150〜
図157に示すプレナムチャンバ3200は、より短い鼻の患者に適している。これらのプレナムチャンバ3200は、上唇部3116と中央サドル領域3112との間の長さがより短い鼻部位3230を含む。これらのプレナムチャンバ3200は、アパチャ3272と中央サドル領域3112との間の上方を向く中央部3111内にも表面を有し、患者にとって快適な様態で鼻尖点を受容することができるが、上唇部3116と中央サドル領域3112との間ほどには長くはない。なぜならば、
図126〜
図133または
図134〜
図141に示すプレナムチャンバ3200は、より長い鼻を有する患者により適しているからである。
図126〜
図133および
図134〜
図141に示すプレナムチャンバ3200は、
図142〜
図149および
図150〜
図157に示すプレナムチャンバ3112の中央サドル領域3112よりもシャーシ3210に対して前方に配置された中央サドル領域3112も含む。
【0243】
シール形成構造3100の鼻部位3230の上方を向く中央部3111は、上方を向く中央部3111の前方領域を鼻部位の上唇部3116と接続させるブリッジ部位3113を有する。そのため、ブリッジ部位3113は、使用時において患者の鼻柱の下側に配置され、2つの鼻用穴3272(1つはいずれかの横側部)を部分的に規定する。これらの鼻用穴3272を通じて、患者への空気供給が行われ得る。
【0244】
患者が患者インターフェース3000を着用していないときにはゆるんでいるよう、ブリッジ部位3113は可撓性かつ曲線状である。ブリッジ部位3113のゆるみにより、患者が患者インターフェース3000を着用した際に中央部3111の前方部分(使用時において患者の鼻尖点と接触するブリッジの前方)が上唇部3116から離隔方向に移動することが可能になる。
【0245】
有利なことに、これにより、より長い長さの鼻をシール形成構造3100によって快適に収容することも可能になる。より長くかつ/またはより幅狭の鼻により、上方を向く中央部3111の前部分を前方に快適に押し出すことができる。このように鼻部位3230を変形させることにより、シール形成構造3100から(概して極めて高感度である)患者の鼻尖点上へ再度付与される力を相当なレベルまで保持することが可能になる。
図117および
図118は、ブリッジ部位3113を有するプレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100を示す。ブリッジ部位3113は、弛緩するように形成され、短い鼻および長い鼻それぞれを有する患者1000によって着用される。
図117に示すように、患者1000の鼻により上方を向く中央部3111の前部分が有意な範囲まで前方に押し出されていないため、ブリッジ部位3113は、概して曲線状でありかつゆるんでいる。しかし、
図118に示すように、より長い鼻により、ブリッジ部位3113が伸長してより直線状の構成になる範囲まで、上方を向く中央部3111の前部分が前方に押し出されている。そのため、ブリッジ部位3113により、快適性を保ちかつ良好なシールを達成可能にしつつシール形成構造が一定範囲の鼻サイズを収容することを可能にされる点において有利である。
【0246】
ブリッジ部位3113はS字型形状であり得るため、直線状になって、シール形成構造3100の上方を向く中央部3111の上唇部3116からの離隔方向移動に耐えることができる。ブリッジ部位3113は、弓状であってもよいし、曲線状であってもよいし、あるいは折り目状であってもよい。ブリッジ部位3113は、蛇腹またはベローズを有し得る。ブリッジ部位3113は、ブリッジがC字型形状になるように1本の曲線のみを含んでもよいし、あるいは、より大きな弛緩が得られるようにS字型形状になるように2本の弓を含んでもよい。ブリッジ部位3113は、スリング形状(例えば、端部間に吊下された部位)であり得る。ブリッジ部位3113は、より長尺であり、鼻部位3230の上方を向く中央部3111の前部と後部との間の隙間を埋めるために必要な材料よりも多くの材料を含む。このような余分な材料を用いることにより、ブリッジ部位3113が直線状になってからピンと張られるまでの伸長が可能になる。このような余分な材料が多いほど、上方を向く中央部3111の前部分へ付加される力に起因してブリッジ部位3113がピンと張られるまでのブリッジ部位3113の伸長を多くすることが可能になる。ブリッジ部位3113は、患者の鼻を完全にシールするために患者の鼻柱をシールする必要が無いため、ブリッジ部位3113が若干弛緩状態にある場合でも、小さな鼻に対して良好なシールを行うことが可能になる。
【0247】
ブリッジ部位3113の厚さは、約0.2mm〜045mmまたは0.3〜0.4mm(例えば、0.35mm)であり得る。ブリッジ部位3113の材料厚さは、シール形成構造3100の周囲の上方を向く中央部3111の材料厚さよりも大きいため、ブリッジ部位3113の破断に対する抵抗またはブリッジ部位3113の破断の回避が支援される。あるいは、ブリッジ部位3113をより幅広かつより肉薄にしてもよい。一例において、鼻用穴3272が比較的大きくなるように、より肉厚かつより幅狭のブリッジ部位3113が設けられる。
【0248】
ブリッジ部位3113は、他の目的にも用いられ得る。例えば、ブリッジ部位3113は、中央部3111の肉薄ゾーンにおける完全性を維持し得る。ブリッジ部位3113が無い代わりに単一の鼻用穴が有る場合、中央部の壁厚さが比較的薄いことに起因して、圧力下において(例えば、顔の引っ張りおよび再配置を介して)シール形成構造が再装着される際またはシール形成構造が急速な動的装填を受ける際、上方を向く中央部3111において破裂が発生する可能性がある。ブリッジ部位3113により上方を向く中央部3111が上唇部3116へ締結されることにより、上方を向く中央部3111における破裂の可能性が低減する。
【0249】
さらに、ブリッジ部位3113により、患者が患者インターフェース3000の設定を不正確に行う事態の回避が支援され得る。ブリッジ部位3113が設けられていない代わりに単一の鼻用穴がある場合、患者が誤って自身の鼻を鼻用穴中に挿入してしまう可能性がある。いくつかの例において、シール形成構造3100は患者の鼻の下側周辺部をシールするように構成されるため、患者が自身の鼻を鼻用穴中へ挿入した場合、シール形成構造は、適切なシールを達成することができない。
【0250】
本技術のいくつかの形態におけるブリッジ部位3113の利点にも関わらず、いくつかの代替的例において、ブリッジ部位3113は設けられず、シール形成構造3100の鼻部位3230内に単一の穴のみが設けられる。これにより、鼻部位3230の上方を向く中央部3111が下側部位に相対して移動することが可能になり、シール形成構造3100の清掃も容易になる。しかし、シール形成構造3100の上方を向く中央部3111が上唇部3116へ締結されていない場合、患者によっては、破裂の危険性の増大があり得る。さらに、患者が自身の鼻を単一の穴中へ挿入する可能性がある。(例えば、シール形成構造をより肉厚、より小型またはより密接な膜と共に穴周囲に設けることにより)、これらの危険性を軽減するためのステップがとられる。その後、単一の穴(すなわち、ブリッジ無し)が本技術のいくつかの例において設けられ得る。本技術の例による患者インターフェース3000のシール形成構造3100は、患者の鼻通路への空気流れ提供のための1つまたは2つのアパチャを含み得る。
【0251】
上記したシール形成構造3100の領域内において、シール形成構造3100の壁厚さを薄くすることにより複雑なジオメトリへ快適に適合できるようにすると有利であるものの、シール形成構造3100のいくつかの領域において、比較的より大きな壁厚さが、本技術の他の形態において有利である。
【0252】
例えば、シール形成構造3100の鼻部位3230は、鼻唇溝の近隣の患者の顔をシールするように構成された後角部3131を含む。これらの後角部3131は、シール形成構造3100の鼻部位3230の中央部と比較して壁厚さがより大きい。このように壁厚さをより大きくすることにより、これらの領域内におけるシール形成構造3100の構造剛性を有意にすることができ、複数の利点を得ることができる。
【0253】
後角部3131は、患者の顔上のシール形成構造の支持を支援し得るため、シール形成構造3100の中央部(例えば、上方を向く中央部3111かつ/または上唇部3116)によって達成されるシールを崩壊および妥協させないような充分な構造剛性を持つ必要がある。別の例において、後角部3131は、強化のためのアンダークッションを備える。単一の壁シール形成構造3100が設けられた図示の例において、構造剛性は、充分に大きな壁厚さによって提供され、一例における厚さは約0.8〜1.6mmであり得る(例えば、1.1mm〜1.45mmまたは1.25mm)。後角部3131は、患者の鼻翼の下側の領域内の患者の顔および患者の鼻の下側および横方向の外方(例えば、鼻唇溝と、鼻翼の下側に配置された上唇の領域との間)に配置されるように構成される。
【0254】
図27、
図34、
図69および
図76に示すように、後角部3131中のより大きな壁厚さと、シール形成構造3100の上唇部3116中の薄い壁厚さとの間(すなわち、上唇をシールする領域)において、急激な移行(例えば、急激なテーパーまたはステップ)が存在する。上唇部3116が患者の上唇に対してシールされた様態で配置された状態において支持が必要/有利である場合、肉厚の後角部3131により、シール形成構造の支持が得られ、この後角部3131は、力を最低限に抑えつつ、患者の顔の外形に適合するように顕著に可撓性になり得る。顔ジオメトリは患者によって大きく異なり得るため、急激な移行は、ほとんど直接的に下側から上唇上の鼻翼へ配置され得る。
【0255】
本技術のいくつかの例において、シール形成構造3100は、中央部の部分を形成する横方向角部領域3114を含む。これらの横方向角部領域3114は、鼻翼に接触および鼻翼をシールするように構成される。
図34、
図76、
図160、
図161、
図164、
図168および
図170に示すように、後角部3131のうちより肉厚のものとシール形成構造3100の鼻部位3230の上唇部3116におけるより肉薄の壁厚さのものとの間の接合部の位置の上側において、上方を向く中央部3111の横方向角部領域3114があり、横方向、後方向および上方向において目標シール形成領域のいずれかの側に延びている(例えば、シール形成構造3100の中間方向を向く側において上方に延びている)。鼻翼は、有意に曲線状であり得、多くの患者の場合、大きく陥凹したポケット部または凹部において、鼻翼が顔に繋がっていることがある。これらのポケット部は、曲線状に中間方向において(例えば矢状面に向かって)鼻の最も幅広部分と鼻翼および顔の接合部との間に戻る鼻翼に起因し得る。これらの例において薄い壁厚さによって達成される低剛性をこれらの横方向角部領域3114において提供することにより、シール形成構造3100が変形して鼻翼の曲率に整合することが可能になる。このような可撓性と、適合する能力とにより、患者の鼻の下側角部に存在し得る陥凹部のシール形成構造3100による充填が支援され得る。
【0256】
シール形成構造3100は、肉厚の後角部3131と肉薄の上唇部3116との間の各移行が鼻翼の横方向の患者の顔上において鼻翼に近接して配置されるように、構成され得る。鼻のいずれかの下側横側部上において患者の顔と接触するシール形成構造3100の領域は、シール形成構造3100へ良好な支持および安定性を提供するように、肉厚の後角部3131の一部であり得る。
図111は、患者の顔上の密閉位置における本技術の一例によるプレナムチャンバ3200の破断図を示す。上方を向く中央部3111は、患者1000の鼻の下側周辺部をシールし、上唇部3116は、患者の上唇をシールする。上方を向く中間部3121は、患者の鼻の側部の近隣(例えば、鼻翼の近隣)に配置される。さらに、上方を向く中央部3111の横方向角部領域3114は、患者の鼻翼を受容するように変形し得る。例えば、横方向角部領域3114は、患者の鼻翼をカップ状に被覆し得る。横方向角部領域3114は、クッション中に棚を生成して患者の鼻翼の近隣部位を使用時に支持できるようにすることができ、シール形成構造3100が使用時において患者の鼻の下側周辺部に(特に上唇の近隣において)良好に適合することが可能になる。
【0257】
図111に示すように、後角部3131を形成する肉厚の壁とシール形成構造3100の中間隣接部との間の境界を上方、外方およびその後内方に追跡することができ、これにより、患者の鼻の曲率を患者の鼻翼の下側から開始する上方向において追随することができる。肉厚の後角部3131を形成する壁の中間境界は、鼻のいずれかの側部に沿った曲率に追随する鼻のいずれかの側部上の患者の顔の上方の経路をたどり得る。これにより、より肉薄部位(例えば、上方を向く中央部3111および上唇部3116)の鼻翼および患者の鼻の下側への適合およびシールを可能にしつつ、必要なときに(例えば、患者の鼻のすぐ下側の患者の顔およびの患者の鼻のいずれかの側の患者の顔)を良好に支持することが可能になり得る。
【0258】
例えば
図18、
図19、
図30、
図31、
図32、
図38、
図58および
図80に示す側面図に示すように、シール形成構造3100は、シェル3210(
図38または
図80に示していないが
図9および
図51に示しているシェル3210)により近接する前側部に向かってさらにより肉厚になっている。上記したように、シール形成構造3100は、シール形成構造3100の鼻部位3230の部分的に前方を向く横側部上の肉厚領域の形態をとる横方向支持部位3151を含む。シェル3210に近接するシール形成構造3100のより肉厚領域により、シール形成構造3100の良好な支持および構造剛性が得られる。
【0259】
シェル3210に近接する肉厚領域は構造剛性を得るために有利であるものの、シール形成構造3100の鼻部位3230は、異なる幅の鼻に対応するためにシール形成構造3100の側部を外方に押圧するかまたは内方に牽引することを可能にするための一定レベルの可撓性も保持する。
【0260】
例えば、シール形成構造3100の鼻部位3230の患者に対向していない側または領域(例えば、前側部、少なくとも部分的に前方を向く側部)(特に、シール形成構造3100の鼻部位3230のいずれかの側部上の患者と接触しない領域)は、シール形成構造3100へ充分な構造剛性を付与できるくらいに充分に肉厚であり、かつ、長く幅狭の鼻の患者がシール形成構造3100を着用した際に患者の鼻から上方を向く中央領域3111上へ働く下方の力により鼻部位3230の側部を若干内方に牽引することにより患者の鼻のいずれかの側部上のシール形成構造3100の患者接触表面を患者の鼻と良好に接触させることが可能なように、充分に肉薄である。同様に、シール形成構造3100の鼻部位3230の構造は充分に可撓性であるため、より幅広の鼻の患者がシール形成構造3100を着用した際に(シール形成構造の剛性がより幅広の鼻に耐えるには高すぎる場合に発生し得る)患者の鼻の側部上への過度な内方の力が無くなる。異なる範囲の幅の鼻に対応できるよう、複数の異なるサイズのシール形成構造3100を設けることも可能である。
【0261】
図7、
図8および49、
図55、
図126、
図129、
図138〜
図139、
図146、
図147、
図154、
図155に示すように、例えば、プレナムチャンバ3200の周辺部における口腔鼻移行3275において、鼻部位3230および口部位3260が接続される。シール形成構造3100の周辺部は、本技術の例間においてこの位置において変化する。
図7に示すように、口腔鼻移行3275は比較的急激であり、鼻部位3230と口部位3260との間にシール形成構造3100の周辺部において比較的大きな正の曲率がある。これとは対照的に、
図49に示すように、口腔鼻移行3275は比較的に漸進的であり、鼻部位3230と口部位3260との間にシール形成構造3100の周辺部において比較的小さな正の曲率がある。どちらの場合においても、口腔鼻移行3275は、サドル領域を含む。
図128、
図138、
図146および
図154に示すプレナムチャンバ3200は、明確なかつ漸進的な口腔鼻移行3275を含む。
【0262】
シール形成構造3100の周辺部をシール形成構造3100の全体的形状を支持しかつ大きな襞および座屈を回避できるくらいに充分に高剛性にすると好適であるため、周辺部の形状は、患者の顔および近隣領域と接触する領域(すなわち、襞に起因して患者の顔を通じた漏洩経路が発生することを回避する肉薄ゾーンおよびより肉厚のゾーン)よりも変化し得る。いずれの場合も、シール形成構造3100の鼻部位と口部位との間の口腔鼻移行3275は、襞または座屈に起因するこれらの部位間の漏洩の発生および生成を回避するために、シール形成構造3100の低剛性部位(例えば、上方を向く中央部3111)と比較して比較的高剛性である(例えば、比較的肉厚である)。あるいは、口腔鼻移行3275は、任意の適切な手段(例えば、アンダークッション、リブ、シェルの一部またはフレーム)によって強化され得る。
【0263】
いくつかの例において、シール形成構造3100口部位3260は、襞回避のためのフィーチャを含む。口用穴3271の横方向周辺部の場合、クッションの鼻部位上への下方の力および口腔開口部の幅広の楕円形状に起因して、口用穴3271の上部および下部よりも襞または座屈が発生し易い。
【0264】
図34〜
図80に示す例において、シール形成構造3100は、シール形成構造3100の他の部位よりも肉薄の口用穴周辺部3117を口用穴3271の周辺部において含む。さらに、これらの例におけるシール形成構造は、後方を向く横方向部3135を含む。これらの後方を向く横方向部3135は、口用穴周辺部3117よりも肉厚であり、漏洩経路の形成の原因になり得るクッションにおける襞および座屈に抵抗する。本技術のいくつかの例において、
図126〜
図157に示すシール形成構造3100は、口部位3260の後方を向く横方向部よりも低剛性の口用穴周辺部も備え得る。
【0265】
例えば
図48に示すプレナムチャンバ3200などのいくつかの例において、シール形成構造は、口用穴3271の対向する横側部における横方向周辺支持部位3136を含む。本例において、後方を向く横方向部3135により、横方向周辺支持部位3136が形成される。後方を向く横方向部3135は、口用穴3271の最も横方向の縁に向かって中間方向に延びて、横方向周辺支持部位3136を提供する。横方向周辺支持部位3136により、座屈に対する抵抗がさらに得られる。本技術のいくつかの例において、
図126〜
図157に示すシール形成構造3100は、横方向周辺支持部位3136も備え得る。
【0267】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、患者の顔の上唇領域(すなわち、上唇)上に使用時に密閉を形成するシール形成構造3100を含む。シール形成構造3100は、患者の上唇に対してシールを形成するように構成された上唇部3116を含み得る。
【0268】
一形態において、シール形成構造3100は、使用時において患者の顔の上唇領域上にシールを形成するように構築されたサドル状領域を含む。
【0269】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、使用時に口部位3260における患者の口の周囲に密閉を形成するシール形成構造3100を含む。シール形成構造3100は、患者の顔の顎領域上にシールを形成し得る。
【0270】
一形態において、シール形成構造3100は、使用時において患者の顔の顎領域上にシールを形成するように構築されたサドル状領域を含む。
【0271】
図34〜
図80および
図126〜
図183に示すように、シール形成構造3100は、患者の顎領域に対してシールを形成する下唇部3118を含む。一例において、下唇部3118を含むシール形成構造3100は、使用時において患者の顎の下側(すなわち、オトガイ隆起の下側)に延びないかまたは使用時において顎の下側の患者の顔(すなわち、オトガイ隆起の下側)と係合しない。シール形成構造の下唇部3118は、患者の下唇および頤をシールし得る。さらに、これらの例において、シール形成構造3100は、口用穴周辺部3117を含む。下唇部3118は、口用穴周辺部3117を介して上唇部3116へ接続され得る(例えば、隣接し得る)。シール形成構造3100は、口用穴周辺部3117および顎領域に対して配置されたシール形成構造3100の下唇部3118において(他の領域と比較して)比較的小さな壁厚さを含む。これらの位置における壁厚さを薄くすることにより、有効かつ快適なシールの達成が支援される。これらの領域におけるシール形成構造3100は、任意の複雑なジオメトリ(例えば、下顎襞)に容易に適合することができる。
【0272】
これらの例において、口部位3260は、シール形成構造3100の患者と接触する側上の後方を向く横方向部3135を含む。上記したように、口用穴周辺部3117における口用穴3271のすぐ周囲における壁厚さは、シール形成構造3100の他の領域と比較して薄いが、これらの例において、口用穴周辺部3117のいずれかの横側部において、口用穴周辺部3117よりも肉厚の後方を向く横方向部3135が存在する。これらの領域の壁厚さは、約1mm〜1.5mm(例えば、1.15mm〜1.35mm(例えば、約1.25mmの厚さ))であり得る。使用時においてこれらの領域と接触する領域(すなわち、患者の両頬)は、顔の他の領域ほど高感度ではないことが多いため、患者は、これらの領域において壁厚さ/剛性がより大きなシール形成構造3100に耐えられることが多い。さらに、口部位3260の後方を向く横方向部3135は、患者の顔との接触部分から離隔方向に曲線状になっているため、これらの領域における患者の顔上の接触領域が低減する。別の例において、口部位3260の後方を向く横方向部3135をより肉厚にする代わりに、別の手段(例えば、強化構造((例えば、リブ)、より高剛性の材料、アンダークッション))によって高剛性化させてもよい。
【0273】
後方を向く横方向部3135により、口用穴3271の近隣に形成され得る襞に対する抵抗が得られ、これにより、漏洩経路の生成が回避される。後方を向く横方向部3135により、より肉薄の口用穴周辺部3117において形成される襞に対する障壁が得られ、これにより、口用穴3271から離隔方向における襞の範囲が制限される。後方を向く横方向部3135のこの機能は、上記した鼻部位3230の上方を向く中間部3121によって得られる襞抵抗機能に類似し得る。
【0274】
口部位3260の下唇部3118は、口部位3260の幅のおよそ半分であり、口用穴3271の下側においてセンタリングされる。上記したように、下唇部3118は、比較的肉薄であり得る。いずれかの横側部におけるより肉薄下唇部3118とより肉厚後方を向く横方向部3135との間の移行は、患者の下顎の襞またはその近隣に配置されるように構成され得る。下唇部3118は、シール形成構造3100の下側周辺部においてよりも口用穴3271の周辺部においてより幅広である。そのため、下唇部3118の幅は、口用穴3271から下方にかけてテーパー状にされる。
図49〜
図80に示す例において、下唇部3118は、シール形成構造3100の後方を向く側から下側を向く周辺部へ延びる。患者の顔と接触する下唇部3118の実際の量は、患者の顎の形状に依存し得る。顎がより前方に突出している患者の場合、下唇部3118との接触が増大し得る。
図158〜
図183に示すプレナムチャンバ3200において、シェル3210の下側周辺部は、
図49〜
図80に示すプレナムチャンバ3200のシェル3210の下側周辺部と、シール形成構造3100の下側周辺部の周囲のシール形成構造3100および下唇部3118ほど下側ではなく、これにより、下唇部3118の部分的に前方を向く部位を形成する。
【0275】
口部位3260の横方向周辺部における後方を向く横方向部3135よりも患者との接触から遠位(例えば、シェル3210へより近接)にあるものとして、口部位3260の横方向部3145がある。これらの例において、横方向部3145は、口部位の後方を向く横方向部3135よりも肉厚である。いくつかの例において、口部位の横方向部3145の厚さは、1.5〜2.2mm(例えば、1.7〜2mm)の範囲内である。横方向部3145のほとんどまたは全ては、使用時において患者の顔と接触する可能性は低いため、これらの領域については患者の快適性はそれほど重要な設計検討事項ではなく、壁厚さを、患者接触領域よりもこれらの領域においてより大きくすることができる。このように壁厚さを大きくすると、シール形成構造3100の口部位3260の全体的形状において構造剛性が得られ得る。いくつかの例において、患者の顔からさらに遠位になるほど、シール形成構造3100の特定の領域は、(例えば、シール形成構造3100の鼻部位の側部を変形させるために)当該領域を可撓性にする必要がある理由が無い限り、その領域よりも肉厚になる。横方向部3145により、シール形成構造3100の横方向周辺部が口部位3260内に規定される。
【0276】
シール形成構造3100の前側部上において、壁厚さは、鼻部位の前側部およびシール形成構造3100の口部位の中央下側領域を除いて、これらの例よりも概して大きい。これらの例において、シール形成構造3100は、前方を向く横方向部3155を含む。これらの例において、横方向前方を向く部位3155の壁厚さは、横方向部3145(および後方を向く横方向部3135)よりも大きい。前方を向く横方向部の壁厚さは、1.7〜2.7mmの範囲内(例えば、2.0〜2.5mmの範囲内)であり得る。これらのより肉厚の領域により、シール形成構造3100の全体的形状に対して実質的な支持および構造構成が付与される。横方向前方を向く部位3155は、壁厚さが厚いシール形成構造の他の部位(例えば、横方向部3145)と協働して、シール形成構造3100の全般的形状が保持され、襞かつ/または座屈などに抵抗することができ、シール形成構造3100の患者に対向する側へ設けられたより肉薄の領域は、位置決めおよび安定化構造3300からプレナムチャンバ3200へ付与される力下において患者の顔に押圧されて変形する。
【0277】
シール形成構造3100の前側部上には、口部位3260の前方支持部位3161も設けられる。前方支持部位3161は、(鼻部位がフレームの近隣の口部位と接合される)前側部上の鼻部位の基部におけるおよび口部位3260の下側横方向角部におけるシール形成構造3100のさらにより肉厚のゾーンである。これらの領域における壁厚さは、2〜3mmの範囲内(例えば、2.5〜3mm)であり得る。これらの領域により、さらなる構造剛性がシール形成構造へ付与され得る。前方支持部位3165は、前方を向く横方向部3155よりも大きな壁厚さを有し得る。一般的に、クッションは、シール形成領域からさらに遠位方向においてさらに大きな壁厚さを有するが、シェル3210の直近位置において、厚さは、前方支持部位3165がより肉厚であっても、前方を向く横方向部3155の厚さと同様であり得る。いくつかの例において、シェル3210の直近位置にあるシリコーンは、シェル3210の周辺縁によって強化され得るため、壁厚さは小さくてすみ得る。
【0279】
一形態において、シール形成構造は、シール使用時において患者の顔の前額領域上にシールを形成する。このような形態において、プレナムチャンバは、使用時において眼を被覆し得る。
【0281】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000のシール形成構造は、一対の鼻パフまたは鼻枕を含む。各鼻パフまたは鼻枕は、患者の鼻の各鼻孔とのシールを形成するように構成および配置される。
【0282】
本技術の一態様による鼻枕は、円錐台を含む。円錐台のうち少なくとも一部は、患者の鼻の下側、柄部、円錐台の下側上の可撓性領域上に密閉を形成し、円錐台を柄部へ接続させる。加えて、本技術の鼻枕が接続される構造は、柄部のベースに隣接する可撓性領域を含む。可撓性領域は、自在接合構造を促進するように機能し得る。自在接合構造は、円錐台の変位および角度双方と、鼻枕が接続される構造との相互移動に対応する。例えば、円錐台は、柄部が接続された構造に向かって軸方向に変位し得る。
【0284】
いくつかの例において、シール形成構造3100の異なる領域は、異なる表面仕上げを含む。
【0285】
図47を参照して、プレナムチャンバ3200は、鼻部位3230および口部位3260を含むシール形成構造3100を含む。シール形成構造は、第1の表面仕上げを鼻部位内に含み、第1の表面仕上げと異なる第2の表面仕上げを口部位内に含む。図示の例において、領域3101は第1の表面仕上げを有し、領域3103は第2の表面仕上げを有する。第1の表面仕上げと第2の表面仕上げとの間の境界は、使用時において患者の両頬と接触し得る線3102によって特定される。
【0286】
シール形成構造3100と患者の顔との間の摩擦係数は、鼻部位3230内においてよりも口部位3260内において高い。領域3101における第1の表面仕上げは、患者の顔上の平滑な感触を鼻部位へ付与するように構成され得るため、より快適になり得る。領域3103内における第2の表面仕上げは、患者の顔上におけるグリップ接触を口部位へ付与するように構成され得るため、より頑強なシールが可能になる。いくつかの例において、領域3101における第1の表面仕上げは、つや消しの表面仕上げであり得る。いくつかの実施形態において、領域3103における第2の表面仕上げは、研磨表面仕上げであり得る。本例において、鼻部位3230は、第1の表面仕上げを有する上唇部3116を含む。
【0287】
研磨表面仕上げは、滑りにくく、ねばねばした感触を有し得るため、シール形成構造3100が患者の顔に相対移動する際、より高い摩擦が発生する。このようにすると、患者がプレナムチャンバ3200を着用した際にプレナムチャンバ3200の移動の回避が支援されることにより、シール維持が支援されるため、概して望ましい。しかし、患者は、研磨表面仕上げの顔上における感触について、より滑らかに感じられる低摩擦の表面仕上げよりも快適ではないとみなす場合がある。鼻は、より高感度の領域であることが多いため、患者は、自身の両頬および口の下側においては研磨仕上げの感触に我慢できる一方、鼻およびその周囲においては研磨表面の感触に耐えられない場合がある。そのため、本例においては、研磨仕上げを口部位3260の周囲に設ける一方、つや消し仕上げをシール形成構造3100の鼻部位3230に設ける。つや消し仕上げを鼻部位3230に設けると、つや消し仕上げは鼻周囲の表面に適合するため、シール形成構造3100の鼻に相対する移動も支援することが可能になり得、シール形成も支援され得る。
【0288】
さらに、領域3103における第2の表面仕上げの領域内をより高摩擦にすることによるグリップ感向上により、患者の下顎が動いているときの口部位3260によるシール維持が支援される。顎は、頭部に相対して移動し、(その後詳細には降下する)傾向があり得る。グリップ感向上により、顎が動いているときの患者の口周囲のシール位置の維持が支援される。
【0289】
3103における研磨仕上げと3101におけるつや消し仕上げとの間の境界3102は、シール形成構造3100の鼻部位3230と口部位3260との間の(鼻部位3230よりも口部位3260に若干近い)境界に近い。境界3102は、口用穴3271を包囲する口部位3260上の経路におおよそ垂直なシール形成構造3100にわたって配置される。口用穴3271の周辺部において、境界3102は、上唇上に配置され得る。シール形成構造3100の口部位3260の周辺部において、境界は、患者の頬骨に近接して配置され得る。
【0290】
5.3.2 位置決めおよび安定化構造
【0291】
本技術の患者インターフェース3000のシール形成構造3100は、使用時において位置決めおよび安定化構造3300によって密閉位置において保持され得る。
【0292】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、顔から浮き上がるためのプレナムチャンバ3200中の陽圧の効果に打ち勝つのに少なくとも充分な保持力が得られる。
【0293】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への引力に打ち勝つだけの保持力が得られる。
【0294】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への破壊的作用の可能性(例えば、管引き摺りまたは患者インターフェースとの不慮の干渉に起因するもの)を解消するための安全マージンとして保持力が得られる。
【0295】
本技術の一形態において、患者が睡眠時に装着されるように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、装置の感知される嵩または実際の嵩を低減するように、目立たない外形または断面厚さを有する。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、矩形断面を有する少なくとも1つのストラップを含む。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、少なくとも1つの平坦ストラップを含む。
【0296】
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の後部領域を枕に載せた状態で仰臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。
【0297】
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の側部領域を枕に載せた状態で側臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。
【0298】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、位置決めおよび安定化構造3300の前部と位置決めおよび安定化構造3300の後方部位との間に配置された結合解除部を備える。この結合解除部は、圧縮に耐えず、例えば可撓性またはぺらぺらのストラップであり得る。結合解除部は、患者が頭を枕に載せて横たわったときに結合解除部の存在により後部への力が位置決めおよび安定化構造3300に沿って伝達されてシールが妨害される事態を回避できるように、構築および配置される。
【0299】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、布地患者接触層、発泡材料内側層および布地外側層の積層物から構成されたストラップを含む。一形態において、発泡材料は、湿気(例えば、汗)がストラップを通過できるような多孔性である。一形態において、布地外側層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。
【0300】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、伸張可能である(例えば、弾力性と共に伸張可能である)ストラップを含む。例えば、ストラップは、使用時にはピンと張った状態にされて、シール形成構造を患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように、構成され得る。一実施例において、ストラップは、タイとして構成され得る。
【0301】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は第1のタイを含み、第1のタイは、使用時においてその下縁部の少なくとも一部が上を通過して患者の頭の上耳底点へ移動し、後頭骨を被覆することなく頭頂骨の一部を被覆するように、構築および配置される。
【0302】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第2のタイを含む。第2のタイは、使用時においてその上縁部の少なくとも一部が患者頭部の下側の下耳底点の下側を通過し、患者頭部の後頭骨を被覆するかまたは患者頭部の後頭骨の下側に載置されるように、構築および配置される。
【0303】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第1のタイおよび第2のタイが相違に離隔方向に移動する傾向を低減させるように第1のタイおよび第2のタイを相互接続させるように構築および配置された第3のタイを含む。
【0304】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、屈曲可能であり例えば非剛性であるストラップを含む。本態様の利点として、患者が睡眠時に体を横たえたときにストラップがより快適になっている点がある。
【0305】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、内部を水蒸気が通過できるように呼吸可能なように構成されたストラップを含む。
【0306】
図89〜
図95は、本技術の一例による患者インターフェース3000を示す。患者インターフェース3000は、位置決めおよび安定化構造3300と、シール形成構造3100.を有するプレナムチャンバ3200とを有する。本例において、位置決めおよび安定化構造3300は、フレーム3350と、フレーム3350へ接続された複数のヘッドギアストラップとを含む。
【0307】
患者インターフェース3000のプレナムチャンバ3200は、フレーム3350へ接続される。
図89〜
図95に示す例示的な患者インターフェース3000のプレナムチャンバ3200は、
図7〜
図14に示すプレナムチャンバ3200であるが、位置決めおよび安定化構造3300は、本技術の別の例における他のプレナムチャンバ3200と共に用いてもよい。プレナムチャンバ3200は、スナップ嵌め接続を介してフレーム3350へ接続し得る。一例において、プレナムチャンバ3200は、
図87〜
図88を参照して述べた様態でフレーム3350へ接続し得る。他の例において、プレナムチャンバ3200は、フレーム3350に対する異なる種類の取り外し可能な接続、スナップ嵌め、取り外し可能な圧入またはその他のものを形成してもよいし、あるいは、フレーム3350へ恒久的に接続してもよい。
【0308】
位置決めおよび安定化構造3300は、複数のストラップまたはストラップ部位を含み得る。これらのストラップまたはストラップ部位は、プレナムチャンバ3200を患者の顔に対して密閉位置において支持するために、フレーム3350へ接続し、患者の頭部の周囲を通過する。単一の「ストラップ」は、より長い長さを生成するために別個に切断または形成された後に端部において接合された複数の長さの材料(単数または複数)によって形成してもよいし、あるいは、単一の「ストラップ」を単一の長さの材料(単数または複数)にしてもよいことが理解される。
【0309】
図89〜
図95に示す例において、位置決めおよび安定化構造3300は、一対の上ストラップ3310を含む。各上ストラップ3310は、患者の各眼と耳との間を通過するようにことが構成される。さらに、位置決めおよび安定化構造3300は、患者の両頬上において患者の頬骨の下側に配置されるように構成された一対の下ストラップ3320を含む。本例において、プレナムチャンバ3200は、フレーム3350を介したヘッドギアストラップへの4点接続を介して所定位置に保持される。
【0310】
フレーム3350が孤立している様子を
図103〜
図108に示す。フレーム3350は、フレーム入口接続ポート3354を含む。フレーム入口接続ポート3354は、加圧された呼吸可能なガス(例えば、空気)の源へ接続するように構成され得る。例えば
図89〜
図95に示す患者インターフェースなどの一例において、フレーム入口接続ポート3354は、空気回路4170への接続のための接続ポート3600を提供するスイベルエルボーアセンブリ3610への接続を可能にするように構成され得る。本例において、フレーム入口接続ポート3354は、接続リム3355を含む。接続リム3355は、ラジアル方向に外方に延びるフランジを含み得る。スイベルエルボーアセンブリ3610は、接続リム3355と解放可能なスナップ嵌めを形成し得、これにより、流体接続をスイベルエルボーアセンブリとフレーム3350との間に生成する。
図87〜
図88および
図90Aに示すように、フレーム入口接続ポート3354の反対側は、プレナムチャンバへ流体接続するように構成される。そのため、フレーム3350により、スイベルエルボーアセンブリ3610とプレナムチャンバ3200の内部との間の流体接続が可能になる。
【0311】
フレーム3350は、上ストラップ3310の接続先である一対の対向する上ストラップ接続点3315も含む。本例において、各上ストラップ接続点3315は、フレーム3350中に形成されたアパチャを含む。各上ストラップ3310は、アパチャを通過し、自身にループバックしその後自身に固定されることにより、各上ストラップ接続点3315へ接続することができる。各上ストラップ3310は、接触したときに解放可能に結合されるように構成されたフックおよびループ材料を介して、自身に固定され得る。別の例において、各上ストラップ3310は、各アパチャを通じて通過し、自身にループバックした後に、バンド、クリップなどにより自身に固定され得る。さらに別の例において、上ストラップ3310は、サイドリリースバックル接続を介してフレームへ接続し得る。
【0312】
フレーム3350は、下ストラップ3320の接続先である一対の対向する下ストラップ接続点3325も含む。本例において、各下ストラップ接続点3325は、磁石を含む。各下ストラップ3320は、磁石または材料を含む下ストラップクリップ3326を含む。この磁石または材料は、下ストラップ接続点3325において磁石へ取り付けられる。本例において、各下ストラップクリップ3326は、アパチャを含む。このアパチャを通じて、各下ストラップ3320の端部を通過させた後、ループバックさせ、(例えばフックおよびループ材料、帯、クリップなどにより)自身に固定することができる。別の例において、下ストラップ3320は、サイドリリースバックル接続を介してフレーム3350へ接続し、フックまたは他の任意の適切な接続上へ接続し得る。
【0313】
一例において、フレーム3350および上ストラップ接続点3315は、上ストラップ3310から提供される力/張力をプレナムチャンバ3200へ付加される部分的に上方および部分的に後方の力ベクトルへ方向付けるような構造および配置にされる。詳細には、この部分的に上方および部分的に後方力ベクトルにより、シール形成構造3100の鼻部位3230が患者の鼻の下側周辺部および患者の上唇とシーリング接触させられる。
【0314】
上ストラップ3310はそれぞれ、選択的に調節可能であり得る。例えば、上ストラップ3310それぞれの有効長さを変更するには、各上ストラップ接続点3315におけるアパチャを通じて通過した後に自身にループバックされる上ストラップ3310の分量を変更すればよい。アパチャを通過する上ストラップ3310の分量を増加させると、上ストラップ3310の長さが有効に低減され、これにより、力ベクトルの変更および患者インターフェース3000のフィット感の調節が可能になる。
【0315】
一例において、フレーム3350および下ストラップ接続点3325は、下ストラップ3320から提供される力/張力をプレナムチャンバ3200へ付与される部分的に後方および部分的に可能の力ベクトルへ方向付けるような構造および配置にされる。詳細には、部分的に後方および部分的に下方の力ベクトルにより、口部位3260は患者の口の周辺部の周囲の患者の顔とシーリング接触させられる。下ストラップ3320からフレーム3350へ付加される部分的に下方の力により、上ストラップ3310から付加される部分的に上方の力と、患者の鼻からシール形成構造3100へ付与され得る下方に方向付けられる任意の力との間のバランスがとられ得る。
【0316】
下ストラップ3320は、選択的に調節可能であり得る。例えば、下ストラップ3320それぞれの有効長さの変更は、各下ストラップ3310を各下ストラップクリップ3326中のアパチャを通じて通過させた後に自身にループバックさせる各下ストラップ3310の分量の変更により行えばよい。アパチャを通じて通過する各下ストラップ3320の分量を増加させると、下ストラップ3320の長さが有効に低減され、これにより、力ベクトルの変更および患者インターフェース3000のフィット感の調節が可能に鳴る。
【0317】
位置決めおよび安定化構造3300は、トップクラウンストラップ3330、一対の横方向クラウンストラップ3332およびネックストラップ3334のうち1つ以上も含み得る。
図89〜
図95に示す例において、上ストラップ3310および下ストラップ3320は、トップクラウンストラップ3330の端部へ接続される。トップクラウンストラップ3330は、患者の頭部周囲を通過し、上方および後方に対向する表面に対して配置されるように構成される。トップクラウンストラップ3330は、患者の頭蓋骨の頭頂骨上に配置されるように構成され得る。トップクラウンストラップ3330の各端部は、上ストラップ3310それぞれと、一対の横方向クラウンストラップ3332それぞれとにも接続する。横方向クラウンストラップ3332それぞれは、患者の頭部の各側部において上ストラップ3310と下ストラップ3320との間に接続される。横方向クラウンストラップ3332の下端は、ネックストラップ3334によって相互接続される。ネックストラップ3334は、矢状面にわたって通過し、患者の頭部の下方および/または後方を向く表面に対して配置されるかまたは患者の首の後ろ側に配置されるように構成され得る。ネックストラップ3334は、患者の頭蓋骨の後頭骨の上側または下側に配置され得る。
【0318】
トップクラウンストラップ3330の長さは、選択可能に調節することができる。
図89〜
図95に示す例において、トップクラウンストラップ3330は、一対のアパチャを有するリンクによって接続された2個のストラップ部位によって形成される。トップクラウンストラップ3330を形成するこれら2個のストラップ部位はそれぞれ、アパチャそれぞれを通じて通過した後にループバックし、例えばフックアンドループ材料、さらなるクリップ、バンドおよび/またはその他を介して自身に固定することができる。リンクを通じて送られる各上ストラップ部の量は、トップクラウンストラップ3330の長さおよびよって位置決めおよび安定化構造3300のフィット感の調節のために変更することができる。
【0319】
全てのヘッドギアストラップの調節および患者インターフェース3000の所望のフィット感の達成がなされた後、下ストラップクリップ3326によって提供される磁気クリップ接続により、下ストラップ3320をフレーム3350上の下ストラップ接続点3325から迅速に係合解除することができ、これにより、患者からの患者インターフェース3000の取り外しをストラップ調節無しに行うことが可能になる。同様に、患者が患者インターフェースを再度着用する際、下ストラップクリップ3326を下ストラップ接続点3325において迅速に係合解除させて、ストラップ調節の必要無しに患者インターフェース3000をフィットさせることができる。磁気クリップを含む位置決めおよび安定化構造のさらなる利点およびフィーチャについて、WO2014/110622に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0320】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くの位置決めおよび安定化構造3300を含むシステムが提供される。各位置決めおよび安定化構造3300は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するための保持力を提供するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適しかつ大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの別の頭に適した位置決めおよび安定化構造3300の一形態を含み得る。
【0321】
図184および
図185は、
図134〜
図141に示すプレナムチャンバ3200を含む患者インターフェース3000を示す。本例において、患者インターフェース3000は、使用時においてプレナムチャンバ3200を患者の顔上の密閉位置に保持するための位置決めおよび安定化構造3300も含む。本例において、位置決めおよび安定化構造3300は、一対のヘッドギア管3340を含む。この一対のヘッドギア管3340は、その上端において相互接続され、それぞれ、使用時において患者の頭部の上方および横方向の表面上に配置されるように構成される。ヘッドギア管3340はそれぞれ、使用時において患者の眼と耳との間に配置されるように構成される。各ヘッドギア管3340の下端は、プレナムチャンバ3300へ流体接続するように構成される。本例において、各ヘッドギア管3340の下端は、プレナムチャンバ3200のシェル3210へ接続するように構成されたヘッドギア管コネクタ3344へ接続する。位置決めおよび安定化構造3300は、2本のヘッドギア管3340の接合部において導管ヘッドギア入口3390を含む。導管ヘッドギア入口3390は、例えば接続ポート3600を含むエルボーを介して加圧ガス流を受容し、このガス流をヘッドギア管3340の中空内部中へ流動させるように、構成される。これらのヘッドギア管3340により、加圧ガス流がプレナムチャンバ3200へ供給される。
【0322】
位置決めおよび安定化構造3300は、これらのヘッドギア管3340に加えて1つ以上のストラップを含み得る。本例において位置決めおよび安定化構造3300は、一対の上ストラップ3310および一対の下ストラップ3320を含む。上ストラップ3310および下ストラップ3320の後端は、相互に接合される。上ストラップ3310と下ストラップ3320との間の接合部は、患者の頭部の後面に配置されるように構成されるため、上ストラップ3310および下ストラップ3320のアンカー固定が可能になる。上ストラップ3310の前端は、ヘッドギア管3340へ接続する。本例において、各ヘッドギア管3340は、開口部を有するタブ3342を含む。この開口部を通じて、各上ストラップ3310を送った後にループバックさせて自身に固定することにより、上側ヘッドギアストラップ3310をヘッドギア管3340へ固定することができる。位置決めおよび安定化構造3300は、下ストラップ3320それぞれの前端へ設けられた下ストラップクリップ3326も含む。下ストラップクリップ3326はそれぞれ、プレナムチャンバ3200上の下側接続点3325へ接続されるように構成される。本例において、下ストラップクリップ3326は、下側接続点3325へ磁気的に固定される。いくつかの例において、下ストラップクリップ3326と、下側接続点3325との間に機械的係合も設けられる。
【0323】
ヘッドギア管コネクタ3344は、プレナムチャンバ3200内に圧力が無いときに患者が周囲の空気を呼吸することを可能にするように構成され得る。各ヘッドギア管コネクタ3344は、窒息防止弁(AAV)を含み得る。各ヘッドギア管コネクタ3344中のAAVは、プレナムチャンバ3200の内部と周囲との間の空気流れを可能にするように、プレナムチャンバ3200内に圧力が無いときに開くように構成され得る。各AAVは、プレナムチャンバ3200の内部から各ヘッドギア管3340中への空気流れを遮断しかつプレナムチャンバ3200と周囲との間の空気交換を可能にする構成中へ付勢され得る。ヘッドギア管3340が加圧されると、各ヘッドギア管コネクタ3344中のAAVにより、プレナムチャンバ3200の内部と周囲との間の空気交換が回避され得、かつ、患者の呼吸のために各ヘッドギア管3340からプレナムチャンバ3204中への空気流れが可能にされ得る。
【0325】
一形態において、患者インターフェース3000は、吐き出されたガス(例えば、二酸化炭素)の押し出しを可能にするように構成および配置された通気部3400を含む。
【0326】
特定の形態において、通気部3400は、プレナムチャンバ内の圧力が雰囲気に対して正であるときにプレナムチャンバ3200の内部から雰囲気への連続的通気流れを可能にするように構成される。通気部3400は、使用時においてプレナムチャンバ内の治療圧力を維持しつつ、通気流量の大きさが呼気されたCO
2の患者による再呼吸を低減できるだけの充分な大きさになるように、構成される。
【0327】
本技術による一形態の通気部3400は、複数の穴(例えば、約20個〜約80個の穴または約40個〜約60個の穴または約45個〜約55個の穴)を含む。
【0328】
通気部3400は、プレナムチャンバ3200内に配置され得る。あるいは、通気部3400は、結合解除構造(例えば、スイベル)内に配置される。
【0329】
図89〜
図95に示す例において、患者インターフェース3000は、通気部3400を含む。本例において、通気部3400は、フレーム3350およびスイベルエルボーアセンブリ3610内に通路を含む。これらの通路を通じて、プレナムチャンバ3200の内部から周囲への空気の流れが可能になる。
図91、
図95および
図103〜
図105に示すように、フレーム3350は、フレーム入口接続ポート3354の周辺部の周囲の通気部3400の一部を形成する4つの穴を含む。他の例において、任意の数の通気孔(例えば、単一の通気孔)が、フレーム3350へ設けられ得る。
図90に示すように、空気がスイベルエルボーアセンブリ3610中に流れた後、通気部3400の一部を形成するスイベルエルボーアセンブリ3610外部穴を通じて周囲へ流れ得る。スイベルエルボーアセンブリ3610は、国際公開第WO2017/049357A1に記載のものと実質的に同様であり得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0330】
図126〜
図157に示すプレナムチャンバ3200は、通気部3400を含む。本例において、通気部3400は、複数の穴を含む。これらの例において通気部3400は、シェル3210へ設けられる。本例において、通気部3400の穴は、シェル3210中に形成される。本技術の他の例において、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200へ恒久的または取り外し可能に接続された通気モジュールを含み得る。本技術のいくつかの例において、患者インターフェース3000は、通気部3400内を通過する空気を拡散させるように構成された通気拡散器を含む。
図126〜
図157に示すプレナムチャンバ3400において、通気部3400は、中央に設けられる。プレナムチャンバ3200に対して中央に設けられた通気部3400の場合、横向きに寝た際に遮断される可能性が低くなるため、有利である。さらに、これらの例において、通気部3400は、シェル3210の下側位置に設けられる。シェル3210上における下側位置により、通気部3400が患者の口とほぼ整列される。患者からの呼気の大部分は患者の口から来るため、患者の口の反対側に配置された通気部3400により、ガスを良好に洗い流すことが可能になり得る。さらに、プレナムチャンバ3200の入口ポート3240はプレナムチャンバ3200の上側位置に設けられるため、入口ポート3240から受容された付勢空気流れは、(例えば、上側位置から下側位置への)大容量を通じて流動することができるため、効率的なガス洗い流しが可能になり得、付勢流れが停滞空気ポケット部を迂回する可能性を低減させることができる。
【0331】
5.3.4 結合解除構造(複数または単数)
【0332】
一形態において、患者インターフェース3000は、少なくとも1つの結合解除構造(例えば、スイベルまたは球窩)を含む。
【0334】
接続ポート3600は、空気回路4170への接続を可能にする。
【0336】
一形態において、患者インターフェース3000は、
図3Aに示すような前額支持部3700を含む。例えば
図7〜
図125に示すような他の例において、患者インターフェース3000は、前額支持部位を除外し得る。さらに、患者インターフェース3000は、患者の前額と全く接触しないように構成され得る。
【0338】
一形態において、患者インターフェース3000は、窒息防止弁を含む。
【0339】
上記したように、患者インターフェース3000は、窒息防止弁を含むヘッドギア管コネクタ3344を介してプレナムチャンバ3200へ接続された1つ以上のヘッドギア管3340を含み得る。代替的にまたは追加的に、患者インターフェース3000は、供給導管へ接続するように構成されたスイベルエルボーを含み得る。スイベルエルボーは、窒息防止弁を含む。他の例において、窒息防止弁は、例えばプレナムチャンバ3200のシェル3210へ設けられることにより、プレナムチャンバ3200中へ組み込まれ得る。
【0341】
本技術の一形態において、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200内の量へのアクセスを可能にする1つ以上のポートを含む。一形態において、これにより、臨床医が補充酸素を供給することが可能になる。一形態において、これにより、プレナムチャンバ3200内のガス(例えば、圧力)の特性を直接測定することが可能になる。
【0343】
本技術の一態様によるRPTデバイス4000は、機械、空気圧式、および/または電気部品を含み、1つ以上のアルゴリズム(例えば全体的にせよ部分的にせよ本明細書に記載の方法のうちいずれか)を実行するように構成される。RPTデバイス4000は、例えば本文書中のいずれか一項に記載の呼吸状態のうち1つ以上の治療のために患者の気道へ送達される空気流れを生成するように構成され得る。
【0344】
一形態において、RPTデバイス4000は、少なくとも6cmH
2Oまたは少なくとも10cmH
2Oまたは少なくとも20cmH
2Oの陽圧を維持しつつ、空気流れを−20L/分〜+150L/分の範囲で送達できるように構築および配置される。RPTデバイスアルゴリズム
【0345】
RPTデバイスは、外部ハウジング4010を持ち得る。外部ハウジング4010は、上部4012および下部4014の2つの部分によって形成される。さらに、外部ハウジング4010は、1つ以上のパネル(単数または複数)4015を含み得る。RPTデバイス4000は、RPTデバイス4000の1つ以上の内部コンポーネントを支持するシャーシ4016を含む。RPTデバイス4000は、ハンドル4018を含み得る。
【0346】
空気圧RPTデバイス4000の空気圧経路は、1つ以上の空気回路アイテム(例えば、入口空気フィルタ4112、入口マフラー4122、空気を陽圧で供給することが可能な圧力生成器4140(例えば、送風機4142)、出口マフラー4124)ならびに1つ以上の変換器4270(例えば、圧力センサおよび流量センサ)を含み得る。
【0347】
上記したように、本技術のいくつかの形態において、中央制御装置は、非一時的なコンピュータで読出可能な記録媒体(例えば、メモリ)中に記録されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上のアルゴリズムを具現するように構成され得る。このアルゴリズムは、モジュールと呼ばれるグループにグループ付けられることが一般的だ。
【0348】
RPTデバイス4000は、電源4210、1つ以上の入力デバイス4220、中央コントローラ、治療デバイスコントローラ、圧力生成器4140、1つ以上の保護回路、メモリ、変換器4270、データ通信インターフェース、および1つ以上の出力デバイス4290を有することができる。電気部品4200は、シングルプリント回路基板アセンブリ(PCBA)4202上に取り付けられ得る。一代替形態において、RPTデバイス4000は、1つよりも多くのPCBA4202を含み得る。
【0349】
本技術の一形態によるRPTデバイスは、空気フィルタ4110または複数の空気フィルタ4110を含み得る。
【0350】
一形態において、出口空気フィルタ4114(例えば抗菌ファクタ)は、空気圧ブロック4020の出口と、患者インターフェース3000との間に配置される。
【0351】
本技術の一形態によるRPTデバイスは、マフラー4120または複数のマフラー4120を含み得る。
【0352】
本技術の一形態において、アンチスピルバック弁4160が、加湿器5000と、空気圧ブロック4020との間に配置され得る。アンチスピルバック弁は、水が加湿器5000から上流に(例えば、送風機のモータ4144へ)流れる危険性を低減させるように、構築および配置される。
【0354】
本技術の一態様による空気回路4170は、使用時において空気流れが2つのコンポーネント(例えば、RPTデバイス4000および患者インターフェース3000)間に移動するように、構築および配置された導管またはチューブである。
【0355】
詳細には、空気回路4170は、空気圧ブロック4020の出口および患者インターフェースと流体接続し得る。空気回路は、空気送達管と呼ばれ得る。いくつかの場合において、吸息および呼息のための回路の別個の肢があり得る。他の場合において、単一の肢が用いられる。
【0356】
いくつかの形態において、空気回路4170は、(例えば空気温度の維持または上昇のために)空気回路中の空気を加熱するように構成された1つ以上の加熱要素を含み得る。加熱要素は、加熱ワイヤ回路の形態をとり得、1つ以上の変換器(例えば、温度センサ)を含み得る。一形態において、加熱ワイヤ回路は、空気回路4170の軸周囲にらせん状に巻かれ得る。加熱要素は、コントローラ(例えば、中央コントローラ)と連通し得る。加熱ワイヤ回路を含む空気回路4170の一実施例について、米国特許出願第8,733,349号に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0358】
本技術の一形態において、補充用酸素4180が、空気圧経路における1つ以上のポイント(例えば、空気圧ブロック4020の上流)、空気回路4170および/または患者インターフェース3000へ送達され得る。
【0361】
本技術の一形態において、患者へ送達されるべき空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に相対して変化させるための加湿器5000が提供される(例えば、
図5Aに示すようなもの)。典型的には、加湿器5000は、患者気道へ送達される前に空気流れの(周囲空気に相対する)絶対湿度を増加させかつ温度を増加させるために、用いられる。
【0362】
加湿器5000は、加湿器リザーバ5110と、空気流れを受容する加湿器入口5002と、加湿された空気流れを送達させるための加湿器出口5004とを含み得る。
図5Aおよび
図5Bに示すようないくつかの形態において、加湿器リザーバ5110の入口および出口はそれぞれ、加湿器入口5002および加湿器出口5004であり得る。加湿器5000は、加湿器ベース5006をさらに含み得る。加湿器ベース5006は、加湿器リザーバ5110を受容するように適合され得、加熱要素5240を含み得る。
【0363】
図5Cに示すように、加湿器コントローラ5250は、1つ以上のコントローラを含み得る(例えば、中央加湿器コントローラ5251、加熱空気回路4171の温度を制御するように構成された加熱空気回路コントローラ5254および/または加熱要素5240の温度を制御するように構成された加熱要素コントローラ5252)。
【0366】
1つの配置構成によれば、加湿器5000は、空気流れの加湿のために蒸発させるべき一定量の液体(例えば、水)を収容または保持するように構成された水リザーバ5110を含み得る。水リザーバ5110は、少なくとも呼吸治療セッション期間(例えば、一晩の睡眠)にわたって適切な加湿を提供するための所定の最大量の水を収容するように、構成され得る。典型的には、リザーバ5110は、数百ミリリットルの水(例えば、300ミリリットル(ml)、325ml、350mlまたは400ml)を収容するように、構成される。他の形態において、加湿器5000は、外部水源(例えば、建物の水供給システム)から水供給を受容するように、構成され得る。
【0367】
一態様によれば、水リザーバ5110は、空気流れがRPTデバイス4000を通過する際にRPTデバイス4000からの空気流れを加湿するように、構成される。一形態において、水リザーバ5110は、空気流れがリザーバ5110中の一定量の水と接触しつつ、空気流れのリザーバ5110中の蛇行経路の移動を促進するように、構成され得る。
【0368】
一形態によれば、リザーバ5110は、例えば
図5Aおよび
図5Bに示すように横方向において加湿器5000から取り外し可能であり得る。
【0369】
リザーバ5110は、例えばリザーバ5110がその通常の動作方向(例えば、任意のアパチャを通じておよび/またはそのサブコンポーネント間に)から変位および/または回転した時にリザーバ5110からの液体放出を抑制するようにも構成され得る。加湿器5000によって加湿すべき空気流れは加圧されていることが多いため、リザーバ5110は、漏洩および/または流れインピーダンスを通じた空気圧の損失を防止するようにも、構成され得る。
【0371】
1つの配置によれば、リザーバ5110は、加熱要素5240からリザーバ5110中の一定量の液体への効率的な熱伝達を可能にするように構成された伝導性部位5120を含む。一形態において、伝導性部位5120はプレートとして配置され得るが、他の形状も適切であり得る。伝導性部位5120の全体または一部は、アルミニウムなどの熱伝導性材料(例えば、厚さおよそ2mm(例えば、1mm、1.5mm、2.5mmまたは3mm))、別の熱伝導金属また何らかのプラスチックによって構成され得る。いくつかの場合において、適切な熱伝導性が、適切なジオメトリのより低伝導性の材料により、達成され得る。
【0372】
5.6.2.3 加湿器リザーバドック
【0373】
一形態において、加湿器5000は、加湿器リザーバ5110を受容するように構成された(
図5Bに示すような)加湿器リザーバドック5130を含み得る。いくつかの配置において、加湿器リザーバドック5130は、ロック機能を含み得る(例えば、リザーバ5110を加湿器リザーバドック5130内に保持するように構成されたロックレバー5135)。
【0375】
加湿器リザーバ5110は、
図5A〜
図5Bに示すような水位インジケータ5150を含み得る。いくつかの形態において、水位インジケータ5150は、加湿器リザーバ5110中の水の量についての1つ以上の兆候を患者1000または介護者などのユーザへ提供し得る。水位インジケータ5150から提供されるこれら1つ以上の兆候は、最大の所定量の水、その任意の一部の通知を含み得る(例えば、25%、50%または75%または量(例えば、200ml、300mlまたは400ml))。
【0376】
5.6.2.5 加湿器変換器(単数または複数)
【0377】
加湿器5000は、上記した変換器4270の代わりにまたは上記した変換器4270に加えて1つ以上の加湿器変換器(センサ)5210を含み得る。加湿器変換器5210は、
図5Cに示すような空気圧センサ5212、空気流量変換器5214、温度センサ5216または湿度センサ5218のうち1つ以上を含み得る。加湿器変換器5210は、1つ以上の出力信号を生成し得る。これらの出力信号は、コントローラ(例えば、中央コントローラおよび/または加湿器コントローラ5250)へ通信され得る。いくつかの形態において、加湿器変換器は、出力信号をコントローラへ通信しつつ、加湿器5000の外部に(例えば、空気回路4170内に)配置され得る。
【0379】
図6Aは、睡眠時の人のモデルの典型的な呼吸波形波形を示す。水平軸は時間であり、垂直軸は呼吸流量である。パラメータ値は変動し得るため、典型的な呼吸は、以下のおおよその値を持ち得る:一回換気量、Vt、0.5L、吸息時間、Ti、1.6秒、ピーク吸気流量、Qピーク、0.4L/秒、呼息時間、Te、2.4s、ピーク呼気流量、Qピーク、−0.5L/秒。呼吸の全持続時間Ttotは約4秒である。人間は典型的には、1分あたり呼吸を約15回行い(BPM)、換気Ventは約7.5L/minである。典型的な負荷サイクル、TiとTtotの比は約40%である。
【0381】
本技術の一形態における治療パラメータ決定アルゴリズムによって用いられる治療圧力方程式(エラー!参照源未詳)中のパラメータAおよびP
0の値に応じて、多様な呼吸圧力治療モードがRPTデバイス4000によって行われ得る。
【0383】
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0385】
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
【0386】
雰囲気:本技術の特定の形態において、「雰囲気」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0387】
例えば、加湿器に対する雰囲気
湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような雰囲気湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
【0388】
別の実施例において、雰囲気圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
【0389】
特定の形態において、雰囲気(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中の背景ノイズレベルとみなすことができる。雰囲気ノイズは、部屋の外の発生源から発生し得る。
【0390】
自動的な気道陽圧(APAP)療法:SDB発症の通知の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP療法。
【0391】
持続的気道陽圧(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時において低減される)。
【0392】
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」と呼ぶ場合もある。
【0393】
加湿器:「加湿器」という単語は、患者の医療呼吸状態を改善するために治療上有益な量の水(H
2O)蒸気を空気流れへ提供することが可能な物理的構造を備えて構築、配置または構成された加湿装置を意味するものとして解釈される。
【0394】
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一実施例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の実施例において、漏洩は、周囲に対するスイベルエルボーにおいて発生し得る。
【0395】
ノイズ伝導(音響):本文書において、伝導ノイズとは、空気圧経路(例えば、空気回路および患者インターフェースおよびその内部の空気)によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することにより、定量化され得る。
【0396】
ノイズ放射(音響):本文書において、放射ノイズとは、周囲空気によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該対象の音響パワー/圧力レベルをISO3744に従って測定することにより、定量化され得る。
【0397】
ノイズ通気(音響):本文書において、通気ノイズとは、任意の通気(例えば、患者インターフェース中の通気孔)を通じた空気流れにより生成されるノイズを指す。
【0398】
患者:呼吸器疾患に罹患しているかまたはしていない人。
【0399】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現され得る(例えば、cmH
2O、g−f/cm
2、及びヘクトパスカル)。1cmH
2Oは、1g−f/cm
2に等しく、およそ0.98ヘクトパスカルである。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmH
2Oの単位で付与される。
【0400】
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてマスク圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0401】
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0402】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
【0404】
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この登録商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35〜約45である。
【0405】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの熱可塑性ポリマーである。
【0407】
弾性:弾性変形時にエネルギーを吸収することおよび除荷時にエネルギーを解放することが可能な材料の能力。
【0408】
弾性のある:除荷時に実質的に全てのエネルギーを解放する。例えば特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
【0409】
硬度:材料自体の変形に抵抗する能力(例えば、ヤング係数または規格化されたサンプルサイズ上において測定された押込硬さスケールによって記述されたもの)。
【0410】
・ 「軟性」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得る。
【0411】
・ 「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得ない。
【0412】
構造または構成要素の剛度(または剛性):構造または構成要素が負荷を受けたときに変形に抵抗する能力。負荷は、力またはモーメントであり得る(例えば、圧縮、伸張、屈曲またはねじれ)。構造または構成要素は、異なる方向において異なる抵抗を提供し得る。
【0413】
フロッピー構造または構成要素:自重を支持させられた際に比較的短期間(例えば、1秒)以内に形状を変化させる(例えば、屈曲する)構造または構成要素。
【0414】
剛性の構造または構成要素:使用時において典型的に遭遇する負荷を受けた際に実質的に形状変化の無い構造または構成要素。このような用途の実施例として、患者インターフェースを例えばおよそ20〜30cmH
2Oの圧力の負荷において患者気道入口に対して密閉した様態でセットアップおよび維持することがあり得る。
【0415】
一実施例として、I形ばりは、第2の直交方向と比較した第1の方向において、異なる曲げ剛性(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の実施例において、構造または構成要素は、第1の方向においてはフロッピーであり得、第2の方向においては剛性であり得る。
【0417】
無呼吸:いくつかの定義によれば、無呼吸とは、所定の閾値を下回った流れが例えば10秒間の継続期間にわたって継続した場合に発生したと言われる。閉塞性無呼吸とは、患者の労作にもかかわらず、何らかの気道閉塞により空気の流れが許されないときに発生すると言われる。中枢性無呼吸とは、気道が開通しているにも関わらず呼吸努力の低下または呼吸努力の不在に起因して無呼吸が検出された状態を指すと言われる。混合無呼吸とは、呼吸努力の低下または不在が気道閉塞と同時発生した状態を指すと言われる。
【0418】
呼吸速度:患者の自発呼吸速度であり、通常は毎分あたりの呼吸回数で測定される。
【0419】
負荷サイクル:吸息時間Tiの合計呼吸時間Ttotに対する比。
【0420】
労作(呼吸):呼吸努力は、呼吸しようとしている人の自発呼吸によって行われる動きを指すと言われる。
【0421】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流れの開始から吸気流れの開始までの期間。
【0422】
流れ制限:流れ制限は、患者による労作の増大が流量の対応する増大を引き起こさない患者の呼吸における状況であると解釈される。呼吸サイクルの吸気部分において流れ制限が発生した場合、当該流れ制限は吸気流れ制限と称することができる。呼吸サイクルの呼気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は呼気流量制限と称することができる。
【0423】
呼吸低下:一部の定義によれば、呼吸低下は、流れの中断ではなく、流れの低下を意味する。一形態において、閾値速度を下回った流れ低下が継続期間にわたって続いた場合、呼吸低下が発生したと言われる。呼吸努力の低下に起因して呼吸低下が検出された場合、中枢性呼吸低下が発生したと言われる。成人の一形態において以下のうちいずれかが発生した場合、呼吸低下と見なされ得る:
【0424】
(i)患者呼吸の30%の低下が少なくとも10秒+関連する4%の脱飽和、または、
【0425】
(ii)患者呼吸の(50%未満の)低下が少なくとも10秒間継続し、関連して脱飽和が少なくとも3%であるかまたは覚醒が発生する。
【0426】
過呼吸:流れが通常の流量よりも高いレベルまで増加すること。
【0427】
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流れの開始から呼気流れの開始までの期間が、呼吸サイクルの吸気部分としてとられる。
【0428】
開通性(気道):気道が開いている度合いまたは気道が開いている範囲。気道開通性とは、開口である。気道開通性の定量化は、例えば、開通性を示す値(1)と、閉鎖(閉塞)を示す値(0)で行われ得る。
【0429】
呼吸終末陽圧(PEEP):肺中の大気を越える圧力であり、呼気終了時に存在する。
【0430】
ピーク流量(Qpeak):呼吸流れ波形の吸気部分における流量最大値。
【0431】
呼吸気流量、空気流量、患者の空気流量、呼吸気空気流量(Qr):これらの用語は、RPTデバイスの呼吸空気流量の推定を指すものとして理解され得、通常リットル/分で表される患者の実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸気流量」と対照的に用いられる。
【0432】
1回換気量(Vt):余分な努力をせずに通常の呼吸時に吸い込まれたかまたは吐き出された空気の量である。原則的に、吸気量V
i(吸気された空気の量)は、呼気量V
e(呼気された空気の量)に等しいため、単一の一回換気量V
tは、いずれかの量に等しいものとして規定され得る。実際には、一回換気量V
tは、何らかの組み合わせ(例えば、吸気量V
iと呼気量V
eの平均)として推定される。
【0433】
(吸息)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
【0434】
(呼息)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
【0435】
(合計)時間(Ttot):呼吸流量波形の一つの吸気部分の開始と呼吸流量波形の次の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
【0436】
典型的な最近の換気:所定の時間スケールにわたる換気Ventの直近値が密集する傾向となる換気値(すなわち、換気の直近値の中心の傾向の度合い)。
【0437】
上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞および合計上気道閉塞両方を含む。上気道上の圧力差の増加(スターリングレジスタ挙動)と共に流量がわずかに増加するかまたは低下し得る流れ制限の状態と関連し得る。
【0438】
換気(Vent):患者の呼吸器系によって行われるガス交換率の測定。換気の測定は、単位時間あたりの吸気および呼気流のうち片方または双方を含み得る。1分あたりの体積として表される場合、この量は、「分換気」と呼ばれることが多い。分換気は、単に体積として付与されることもあり、1分あたりの体積として理解される。
【0441】
翼(Ala):外部の外壁または各鼻穴の「翼」(複数形:alar)
【0443】
翼曲率(または鼻翼頂上)点:各翼の曲線状基準線における最後方点であり、翼および頬の結合によって形成される折り目において見受けられる。
【0445】
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨の前頭突起および前頭骨の鼻部分を含む。
【0446】
(鼻)軟骨格:鼻の軟骨格は、中隔軟骨、外側軟骨、大軟骨および小軟骨を含む。
【0447】
鼻柱:鼻孔を分離する皮膚片であり、鼻尖点から上唇へ延びる。
【0448】
鼻柱角度:鼻穴の中点を通じて引かれる線と、鼻下点と交差しつつフランクフルト水平に対して垂直に引かれる線との間の角度。
【0449】
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下側点から左耳点へ延びる線。耳点は、ノッチ上側から耳介の耳珠への最も深い点である。
【0450】
眉間:軟組織中に配置され、前額部の正中矢状において最も顕著な点。
【0451】
外側鼻軟骨:軟骨の概して三角形の板。その上側周縁は鼻骨および上顎骨の前頭突起へ取り付けられ、その下側周縁は大鼻翼軟骨へ接続される。
【0452】
唇、下側(下唇:labrale inferius):
【0453】
唇、上側(上唇:labrale superius):
【0454】
大鼻翼軟骨:軟骨の板であり、外側鼻軟骨の下側に配置される。これは、鼻孔の前方部分の周囲において曲線状になる。その後端は、3つまたは4つの翼の小軟骨を含む強靱な線維膜により、上顎骨の前頭突起へ接続される。
【0455】
鼻孔(鼻穴):概して楕円体の翼穴であり、鼻腔への入口を形成する。鼻孔(nares)の単数形は鼻孔(naris)(鼻穴)である。これらの鼻孔は、鼻中隔によって分離される。
【0456】
鼻唇溝または鼻唇折り目:皮膚の折り目または溝であり、鼻の各側から口の角部へ延びて、頬を上唇から分離させる。
【0457】
鼻唇角:鼻柱と上唇との間の角度であり、鼻下点と交差する。
【0458】
下耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最低点。
【0459】
上耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最高点。
【0460】
鼻尖点:鼻の最も突出した点または先端であり、頭部の部分の残り部分の側面図中に確認され得る。
【0461】
人中:鼻中隔の下側境界から上唇領域中の唇の上部へ延びる正中線溝。
【0462】
ポゴニオン:軟組織上に配置された、顎の最前方中点。
【0463】
(鼻)堤:鼻堤は、鼻の正中線隆起であり、セリオンから鼻尖点へ延びる。
【0464】
矢状面:前方(前)から後方(後)へ続く垂直面である。正中矢状面は、右半分および左半分に分割する矢状面である。
【0465】
セリオン:軟組織上に配置された、前頭鼻骨縫合の領域上の最も凹状の点である。
【0466】
中隔軟骨(鼻):鼻中隔軟骨は、隔膜の一部であり、鼻腔の前部分を分割する。
【0467】
鼻翼最下点:翼ベースの下側周縁における点であり、翼ベースは上(上)唇の皮膚と接合する。
【0468】
鼻下点:軟組織上に配置され、鼻柱が正中矢状における上唇と合体する点。
【0469】
スプラメントン:下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の正中線中の最も凹状の点。
【0470】
5.9.3.2 頭蓋骨の解剖学的構造
【0471】
前頭骨:前頭骨は、前額部として知られる領域に対応する大型垂直部分である前頭鱗を含む。
【0472】
下顎骨:下顎骨は、下側顎部を形成する。オトガイ隆起は、顎部の骨隆起であり、顎を形成する。
【0473】
上顎骨:上顎骨は、上側顎部を形成し、下顎の下側および眼窩の下側に配置される。上顎骨の前頭突起は、鼻の側部によって上方に突出し、その外側境界の部分を形成する。
【0474】
鼻骨:鼻骨は、2つの小さな長方形骨であり、個人によってサイズおよび形態が異なる。鼻骨は、顔の中間部分および上部分に並んで配置され、その接合により鼻の「ブリッジ」を形成する。
【0475】
鼻根点:前頭骨および2本の鼻骨の交差であり、眼と鼻のブリッジの上側との間に直接設けられた凹領域である。
【0476】
後頭骨:後頭骨は、頭蓋の裏および下側部分に配置される。後頭骨は、楕円穴である大後頭孔を含み、この穴を通じて、頭蓋内腔が椎管と連痛する。大後頭孔の後側の曲面板は、後頭鱗である。
【0477】
眼窩:頭蓋骨中の骨空洞であり、眼球を含む。
【0478】
頭頂骨:頭頂骨は、相互に接合されると頭蓋の頂部および側部を形成する骨である。
【0479】
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨のベースおよび側部上に配置され、こめかみとして知られる顔の部分を支持する。
【0480】
頬骨:顔に含まれる2つの頬骨は、顔の上側部分および外側部分中に配置され、頬の隆起を形成する。
【0481】
5.9.3.3 呼吸器系の解剖学的構造
【0482】
横隔膜:シート状の筋肉であり、胸郭下部上に延びる。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を腹腔から分離させる。横隔膜が収縮すると、胸腔の容量が増加し、肺中に空気が引き込まれる。
【0483】
喉頭:声帯ひだを収容する喉頭または発声器であり、咽頭の下部(下咽頭)を気管へ接続させる。
【0484】
肺:ヒトにおける呼吸臓器。肺の伝導性ゾーンは、気管、気管支、気管支、および終末細気管支を含む。呼吸ゾーンは、呼吸気管支、肺胞管および肺胞を含む。
【0485】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中央の鼻の上方および後方の空気が充填された大きな空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直フィンによって2つに分割される。鼻腔の側部には、鼻甲介または鼻介骨と呼ばれる3つの水平伸長物がある。鼻腔の前方には鼻があり、後方は後鼻孔を介して鼻咽頭内に繋がる。
【0486】
咽頭:鼻腔の直接下側(下方)に配置されかつ食道および喉頭の上方に配置された咽喉の部分。咽頭は、従来から以下の3つの部分へ区分される:鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、口咽頭(中咽頭)(咽頭の口部分)、および咽喉(下咽頭)。
【0488】
窒息防止弁(AAV):マスクシステムの構成要素またはサブアセンブリであり、フェールセーフ様態での雰囲気中への開口により、患者による過度のCO
2の再呼吸の危険性を低減させる。
【0489】
エルボー:エルボーは、内部を移動する空気の流れの軸を方向付けて、角度を通じて方向を変化させる構造の実施例である。一形態において、角度はおよそ90度であり得る。別の形態において、角度は、90度超過または未満であり得る。エルボーは、ほぼ円形の断面を持ち得る。別の形態において、エルボーは、楕円または矩形の断面を持ち得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素に対して例えば約360度で回転可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素から例えばスナップ接続を介して取り外すことが可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、製造時にワンタイムスナップを介して噛み合い構成要素へ組み付けることが可能である一方、患者が取り外すことはできない。
【0490】
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重を支持するマスク構造を意味するものとしてとられる。マスクフレームは、マスク中の非気密負荷支持構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
【0491】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上において使用されるように設計された、一形態の位置決めおよび安定化構造を意味するものとしてとられる。例えば、ヘッドギアは、患者インターフェースを呼吸治療の送達のために患者の顔上の所定位置に配置および保持するように構成された1つ以上の支柱、タイおよび補剛材の集合を含み得る。いくつかのタイは、柔らかい可撓性の弾性材料(例えば、発泡材料および布地の層状複合材)によって形成される。
【0492】
膜:膜は、典型的には肉薄の要素を意味するものとしてとられ、好適には屈曲に対して実質的に抵抗せずかつ伸縮に対しては抵抗する。
【0493】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、空間の容積を少なくとも部分的に封入する壁を有する患者インターフェースの一部を意味するものとしてとられ、容積中の空気は、加圧されて使用時において気圧を超える。シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
【0494】
シール:名詞(「シール」)として用いられる場合は構造を指し得、動詞(「密閉(する)」)として用いられる場合はその効果を指し得る。2つの要素は、別個の「シール」要素自体を必要とすることなく両者間において「シール」するかまたは「密閉」効果を得るように、構築および/または配置され得る。
【0495】
シェル:シェルは、屈曲、引っ張りおよび圧縮剛性を有する曲線状の比較的肉薄構造を意味するものとしてとられる。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであり得る。いくつかの形態において、シェルはファセットされ得る。いくつかの形態において、シェルは気密であり得る。いくつかの形態において、シェルは気密でない場合もある。
【0496】
補剛材:補剛材は、別の構成要素の剛軟度を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0497】
支柱:支柱は、別の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0498】
スイベル(名詞):構成要素のサブアセンブリであり、共通軸の周囲において好適には独立して好適には低トルク下において回転するように構成される。一形態において、スイベルは、少なくとも360度の角度で回転するように構成され得る。別の形態において、スイベルは、360度未満の角度で回転するように構成され得る。空気送達導管の文脈において用いられる場合、構成要素のサブアセンブリは好適には、一対組み合わせの円筒導管を含む。使用時において、スイベルからの空気流れの漏れはほとんど無い。
【0499】
タイ(名詞):張力に抵抗するように設計された構造。
【0500】
通気:(名詞):マスクまたは導管の内部の周囲空気への空気流れを可能にする構造であり、吐き出されたガスの臨床的に有効な洗い流しを可能にする。例えば、臨床的に有効な洗い流しにおいては、約10リットル/分〜約100リットル/分の流量がマスク設計および治療圧力に応じて用いられ得る。
【0502】
本技術による製品は、1つ以上の三次元機械構造(例えば、マスククッションまたはインペラ)を含み得る。三次元構造は、二次元表面によって制限され得る。これらの表面は、関連付けられた表面の方向、位置、機能または他の何らかの特性を記述するためのラベルを用いて区別され得る。例えば、構造は、前表面、後表面、内面および外面のうち1つ以上を含み得る。別の実施例において、シール形成構造は、顔接触(例えば、外側の)表面と、別個の非顔接触(例えば、下側または内側の)表面を含み得る。別の実施例において、構造は、第1の表面および第2の表面を含み得る。
【0503】
三次元構造の形状および表面の説明を容易にするために、構造の表面を通じた点pにおける断面について先ず検討する。
図3B〜
図3Fを参照されたい。
図3B〜
図3Fは、表面上における点pにおける断面例と、その結果得られる平面曲線の例とを示す。
図3B〜
図3Fは、pにおける外向き法線ベクトルも示す。pにおける外向き法線ベクトルは、表面から離隔方向に延びる。いくつかの実施例において、架空の小さな人が表面上に直立している観点から、この表面について説明する。
【0505】
pにおける平面曲線の曲率は、符号(例えば、正、負)および大きさ(例えば、pにおいて曲線に接する円形の1/半径)を持つものとして記述され得る。
【0506】
正の曲率:pにおける曲線が外向き法線に向かって曲がる場合、その点における曲率は、正の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上り坂を歩行する必要がある)。
図3B(
図3Cと比較して比較的大きな正の曲率)および
図3C(
図3Bと比較して比較的小さな正の曲率)を参照されたい。このような曲線を、凹状と呼ぶことが多い。
【0507】
ゼロ曲率:pにおける曲線が直線である場合、曲率はゼロとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上向きでも下向きでもない水平面を歩行することができる)。
図3Dを参照されたい。
【0508】
負の曲率:pにおける曲線が外向き法線から離隔方向に曲がる場合、その点およびその方向における曲率は、負の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、下り坂を歩行する必要がある)。
図3E(
図3Fと比較して比較的小さな負の曲率)および
図3F(
図3Eと比較して比較的大きな負の曲率)を参照されたい。このような曲線は、凸状と呼ばれることが多い。
【0510】
本技術による二次元表面上の所与の点における形状の記述は、複数の垂直断面を含み得る。複数の断面は、外向き法線(「法平面」)を含む面において表面を切断し得、各断面は、異なる方向においてとられ得る。各断面の結果、対応する曲率を有する平面曲線が得られる。その点における異なる曲率は、同一符号または異なる符号を持ち得る。その点における曲率はそれぞれ、(例えば、比較的小さな)大きさを有する。
図3B〜
図3F中の平面曲線は、特定の点におけるこのような複数の断面の例であり得る。
【0511】
主要な曲率および方向:曲線の曲率が最大値および最小値をとる法平面の方向を主要な方向と呼ぶ。
図3B〜
図3Fの実施例において、最大曲率は
図3Bにおいて発生し、最小は
図3Fにおいて発生するため、
図3Bおよび
図3Fは、主要な方向における断面である。pにおける主要な曲率は、主要な方向における曲率である。
【0512】
表面の領域:表面上の連結された点の集合。領域内のこの1組の点は、類似の特性(例えば、曲率または符号)を持ち得る。
【0513】
サドル領域:(上り坂または下り坂を歩行し得る架空の人が向く方向に応じて)各点において主要な曲率が反対の符号(すなわち、片方が正の符号および他方が負の符号)を有する領域。
【0514】
ドーム領域:各点において主要な曲率が同一符号(双方とも正(「凹状ドーム」)または双方とも負(「凸状ドーム」))を持つ領域。
【0515】
円筒型領域:1つの主要な曲率がゼロ(または、例えば製造公差内のゼロ)をとり、他方の主要な曲率が非ゼロである領域。
【0516】
平面領域:主要な曲率双方がゼロであるか(または例えば製造交差内のゼロである)表面の領域。
【0517】
表面の縁部:表面または領域の境界または限界。
【0518】
経路:本技術の特定の形態において、「経路」は、数学的‐トポロジー的意味合いにおける経路(例えば、表面上におけるf(0)からf(1)への連続空間曲線)を意味するものとしてとられる。本技術の特定の形態において、「経路」は、例えば表面上の1組の点を含むルートまたはコースとして記述され得る。(架空の人の経路は、表面上において歩行する場所であり、庭の経路に類似する)。
【0519】
経路長さ:本技術の特定の形態において、「経路長さ」とは、表面に沿ったf(0)からf(1)への距離(すなわち、表面上の経路に沿った距離)を指すものとしてとられる。表面上の2つの点間において1つよりも多くの経路があり得、このような経路は、異なる経路長さを持ち得る。(架空の人の経路長さは、表面上を経路に沿って歩行する距離である)。
【0520】
直線距離:直線距離は、表面上の2つの点間の距離であるが、表面は考慮しない。平面領域上において、表面上の2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する表縁上の距離がある。非平面表面上において、2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する経路は存在し得ない。(架空の人にとって、直線距離は、「カラスが飛ぶ」距離に対応する)。
【0522】
空間曲線:平面曲線と異なり、空間曲線は、任意の特定の平面内に必ずしも存在しない。空間曲線は閉鎖され得る。すなわち、終点を有さない。空間曲線は、三次元空間の一次元ピースとみなされ得る。DNA螺旋の鎖上を歩行している架空の人物は、空間曲線に沿って歩行する。典型的なヒトの左耳は、左手螺旋を含む(
図3Qを参照)。典型的なヒトの右耳は、右手螺旋を含む(
図3Rを参照)。
図3Sは、右手螺旋を示す。構造の縁部(例えば、膜またはインペラの縁部)は、空間曲線をたどり得る。一般的に、空間曲線は、空間曲線上の各点における曲率およびねじれによって記述され得る。ねじれとは、平面から発生する曲線の様態の尺度である。ねじれは、符号および大きさを有する。空間曲線上の点におけるねじれは、当該点における接線ベクトル、法線ベクトルおよび従法線ベクトルに対して特徴付けられ得る。
【0523】
接線単位ベクトル(または単位接線ベクトル):曲線上の各点について、当該点におけるベクトルは、当該点からの方向および大きさを指定する。接線単位ベクトルとは、当該点における曲線と同じ方向を向く単位ベクトルである。架空の人物が曲線に沿って飛行しており、特定の点において自身の車両から落ちた場合、接線ベクトルの方向は、その人物が移動しているはずの方向である。
【0524】
単位法線ベクトル:架空の人物が曲線に沿って移動している場合、この接線ベクトルそのものが変化する。接線ベクトルが変化している方向と同じ方向を向く単位ベクトルは、単位主法線ベクトルと呼ばれる。これは、接線ベクトルに対して垂直である。
【0525】
従法線単位ベクトル:従法線単位ベクトルは、接線ベクトルおよび主法線ベクトル双方に対して垂直である。その方向は、右手の法則(例えば
図3Pを参照)または表すあるいは左手の法則(
図3O)によって決定され得る。
【0526】
接触平面:単位接線ベクトルおよび単位主法線ベクトルを含む平面。
図3Oおよび
図3Pを参照されたい。
【0527】
空間曲線のねじれ:空間曲線の点におけるねじれとは、当該点における従法線単位ベクトルの変化速度の大きさである。これは、曲線の接触平面からの逸脱の程度を測定する。平面内にある空間曲線のねじれはゼロである。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的少量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的小さい(例えば、緩やかに傾斜する螺旋状経路)。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的大量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的大きい(例えば、急勾配に傾斜する螺旋状経路)。
図3Sを参照して、T2>T1であるため、
図3Sの螺旋の最上部コイルの近隣のねじれの大きさは、
図3Sの螺旋の最下部コイルのねじれの大きさよりも大きい。
【0528】
図3Pの右手の法則を参照して、右手従法線の方向に向かって曲がる空間曲線は、右手方向に正のねじれとしてみなされ得る(例えば、
図3Sに示すような右手螺旋)。右手従法線方向から離隔方向を向く空間曲線は、右手の負のねじれを持つものとしてみなされ得る(例えば、左手螺旋)。
【0529】
同様に、左手の法則(
図3Oを参照)を参照して、左手従法線方向を向く空間曲線は、左手の正のねじれ(例えば、左手螺旋)を持つものとしてみなされ得る。よって、左手の正の方向は、右手の負の方向に相当する。
図3Tを参照されたい。
【0531】
表面は、一次元穴を持ち得る(例えば、平面曲線または空間曲線によって境界付けられた穴)。穴を含む肉薄構造(例えば、膜)の場合、この構造は、一次元穴を有するものとして記述され得る。例えば、
図3Iに示す構造の表面中の一次元穴が平面曲線によって境界付けられる様子を参照されたい。
【0532】
構造は、二次元穴(例えば、表面によって境界付けられた穴)を持ち得る。例えば、可膨張性タイヤは、タイヤ内面によって境界付けられた二次元穴を有する。別の実施例において、空気またはゲルのための空洞を備えたブラダーは、二次元穴を持ち得る。例えば
図3Lのクッション、および二次元穴を境界付ける内面が示される
図3Mおよび
図3Nにおける
図3Lの例示的断面を参照されたい。さらに別の実施例において、導管は、(例えばその入口またはその出口において)一次元穴を含み得、導管の内面によって境界付けられた二次元穴を含み得る。
図3Kに示す構造を通じておりかつ図示のように表面によって境界付けられた二次元穴も参照されたい。
【0534】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0535】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0536】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的な方法および材料が本明細書中に記載される。
【0537】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0538】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0539】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していないと認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0540】
「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0541】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0542】
本明細書中の技術について、特定の実施例を参照して述べてきたが、これらの実施例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「first(第1の)」および「second(第2の)」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその態様を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0543】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。
前記シェルは、前記鼻部位の基部における前記シール形成構造を使用時において強化させるように構成された後側突出部を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
前記曲線状の上側境界の曲率は、前記シール形成構造の上側周辺部の曲率に実質的に整合するかまたは実質的に追随する、請求項10または11の患者インターフェース。
前記2つのプレナムチャンバ入口ポートそれぞれの上側境界は、前記横方向支持部位のうちそれぞれ1つによって形成される、請求項10〜13のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
前記中間部は、襞に起因して患者の鼻の前記下側周辺部から周囲への漏洩経路が形成される事態を制限するように構成される、請求項15〜17のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
前記シール形成構造は、前記口用穴周辺部の大部分を包囲する後方を向く横方向部を含み、前記後方を向く横方向部は、前記口用穴周辺部よりも肉厚である、請求項21または22の患者インターフェース。
前記後方を向く横方向部は、前記口用穴の最横縁部へと中間方向に延びて、前記横方向周辺支持部位を形成する、請求項21〜23のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
前記曲線部は、使用時において未変形状態において患者の鼻から離隔方向に延びるように構成され、前記中央部が前記上唇部から離隔方向に移動した際に直線状になるように構成される、請求項30または31の患者インターフェース。
使用時において、前記ブリッジ部位により、前記中央部が患者に対して前方向に移動して患者の鼻尖点を受容して、患者が患者インターフェースを着用した際に異なる鼻長さに対応することが前記上唇部が患者の上唇から係合解除されることなく可能になる、請求項30〜32のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
前記第1の表面仕上げおよび前記第2の表面仕上げは、前記シール形成構造と患者の顔との間の摩擦係数が前記鼻部位においてよりも前記口部位において高くなるように異なっている、請求項34の患者インターフェース。