特表2021-519195(P2021-519195A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-519195モバイルデバイスを使用した視覚検査
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-519195(P2021-519195A)
(43)【公表日】2021年8月10日
(54)【発明の名称】モバイルデバイスを使用した視覚検査
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/028 20060101AFI20210712BHJP
   G16H 40/60 20180101ALI20210712BHJP
【FI】
   A61B3/028
   G16H40/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2021-500339(P2021-500339)
(86)(22)【出願日】2019年3月18日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月9日
(86)【国際出願番号】EP2019056685
(87)【国際公開番号】WO2019179931
(87)【国際公開日】20190926
(31)【優先権主張番号】18163352.0
(32)【優先日】2018年3月22日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】320008384
【氏名又は名称】ティラック ヘルスケア
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グロンダン,エリディア
(72)【発明者】
【氏名】トリボロワ,ドニ
(72)【発明者】
【氏名】エルダン,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ラガデック,マチュー
【テーマコード(参考)】
4C316
5L099
【Fターム(参考)】
4C316AA11
4C316AA13
4C316AA14
4C316FA06
4C316FB03
4C316FB06
4C316FB11
4C316FB12
4C316FB16
4C316FC04
4C316FC14
5L099AA03
(57)【要約】
個人の視覚を検査するためのモバイルデバイスおよび方法が提供され、モバイルデバイスは、少なくとも1つの検査パターンを表示するための画面を含み、スマートフォンまたはタブレットコンピュータなどである。個人の視覚の検査は、特に視力、コントラスト感度および/または視覚障害を検査するための、モバイルデバイスの画面上に表示された検査パターンを使用して行われる。さらに、検査結果に影響を及ぼすパラメータは、検査を行う前および/または検査を行っている間に評価される。パラメータは、個人の眼と画面との間の距離、検査パターンが表示される輝度、および周囲光度のうちの少なくとも1つを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人の視覚を検査するためのモバイルデバイスであって、前記モバイルデバイスは、検査パターンを表示するための画面を含み、
前記モバイルデバイスは、
(i)前記モバイルデバイスの前記画面上に表示された少なくとも1つの検査パターンを使用して前記個人の視覚の少なくとも1回の検査を行うように構成され、
(ii)パラメータを評価するように構成され、前記パラメータは、前記個人の眼と前記画面との間の距離、前記検査パターンが表示される輝度、および周囲光度のうちの少なくとも1つを含む、モバイルデバイス。
【請求項2】
前記個人の眼と前記画面との間の前記距離および前記周囲光度は評価される、請求項1に記載のモバイルデバイス。
【請求項3】
前記個人の眼と前記画面との間の前記距離、前記検査パターンが表示される前記輝度、および前記周囲光度は評価される、請求項1に記載のモバイルデバイス。
【請求項4】
前記個人の眼と前記画面との間の前記距離は、前記デバイスと前記眼との間の前記距離を推定するために、前記デバイスのカメラから送られた画像上でユーザの顔を検出して、前記画像内の両方の眼の間の距離を算出することによって、評価される、先行する請求項のいずれか1項に記載のモバイルデバイス。
【請求項5】
前記個人の視覚の前記検査は、近見視力を検査することを含み、近見視力を検査する際、前記画面は、好ましくはさまざまな向きおよびさまざまなサイズの一般的な「E」形状を有する視標記号を表示するように構成され、前記向きは、前記個人によって指し示される、先行する請求項のいずれか1項に記載のモバイルデバイス。
【請求項6】
前記個人の視覚の前記検査は、コントラスト感度を検査することを含み、コントラスト感度を検査する際、前記画面は、好ましくはさまざまなコントラストの輪とさまざまな向きを有する切れ目とを備えた一般的な「C」形状を有する視標記号を表示するように構成され、前記切れ目の前記向きは、前記個人によって指し示される、先行する請求項のいずれか1項に記載のモバイルデバイス。
【請求項7】
前記画面は、前記個人の視覚の前記検査として視覚障害、特に変性または暗点を検出するために、中央の点を有する格子を表示するように構成され、ゆがんだおよび/またはぼやけた領域は、視野の焦点を前記点に合わせながら前記個人によって指し示される、先行する請求項のいずれか1項に記載のモバイルデバイス。
【請求項8】
前記モバイルデバイスは、前記検査パターンが表示される前記輝度を評価して、予め規定された範囲内に制御するように構成され、前記予め規定された範囲は、特に約100ルクス〜約300ルクス、より好ましくは約150ルクス〜約250ルクスの範囲内で選択され、さらに好ましくは約200ルクスである、先行する請求項のいずれか1項に記載のモバイルデバイス。
【請求項9】
前記モバイルデバイスは、前記個人の少なくとも一方の眼との前記距離を評価し、前記距離が規定された範囲、特に約35cm〜約45cmの範囲内であるか否かを判断するように構成される、先行する請求項のいずれか1項に記載のモバイルデバイス。
【請求項10】
前記モバイルデバイスは、周囲光を評価して、前記周囲光が規定された範囲、特に5ルクス〜約2000ルクスの範囲内であるか否かを判断するように構成される、先行する請求項のいずれか1項に記載のモバイルデバイス。
【請求項11】
前記モバイルデバイスは、前記眼と前記画面との間の前記距離および/または前記周囲光度が前記規定された範囲内である場合にのみ前記検査を行うことができるように構成される、請求項9または10に記載のモバイルデバイス。
【請求項12】
前記モバイルデバイスは、前記行われた視覚検査の結果を格納するためのメモリを備える、先行する請求項のいずれか1項に記載のモバイルデバイス。
【請求項13】
前記モバイルデバイスは、検査結果をダッシュボードに送信するための送信機を備え、前記検査結果は、医師の診察室からオンラインでアクセス可能であり、前記ダッシュボードは、安全性が保証されたサーバに格納された医療データを表示する、先行する請求項のいずれか1項に記載のモバイルデバイス。
【請求項14】
前記モバイルデバイスはさらに、ゲームを実行するように構成され、前記ゲームは、予め定められた時間間隔で視覚検査が行われる場合にのみ実行または継続可能である、先行する請求項のいずれか1項に記載のモバイルデバイス。
【請求項15】
前記モバイルデバイスは、スマートフォンまたはタブレットコンピュータである、先行する請求項のいずれか1項に記載のモバイルデバイス。
【請求項16】
個人の視覚を検査する方法であって、
(i)スマートフォンまたはタブレットコンピュータなどのモバイルデバイスの画面上に表示された少なくとも1つの検査パターンを使用して前記個人の視覚の少なくとも1回の検査を行うステップを備え、前記個人の視覚の前記検査は、近見視力を検査すること、コントラスト感度を検査すること、および視覚障害、特に変性または暗点を検出することのうちの1つ以上を含み、前記方法はさらに、
(ii)パラメータを評価するステップを備え、前記パラメータは、前記個人の眼と前記画面との間の距離、前記検査パターンが表示される輝度、および周囲光度のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人の視覚を検査するためのモバイルデバイスに関し、特に最終的な結果を提供する視覚検査を患者が定期的に行うことができるように適合されたスマートフォンまたはタブレットコンピュータなどの患者のモバイルデバイスの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性黄斑疾患を患う患者は、医師、通常は眼科医からの視覚パラメータの定期的なモニタリングを必要とする。これらの疾患は、滲出型(wet)AMD(加齢黄斑変性)、血管新生のリスクがある非滲出型(dry)AMD、筋浮腫を伴ったり伴わなかったりする糖尿病網膜症、および血管新生のリスクがある高度近視を含むが、これらに限定されるものではない。これらの患者の多くは、50歳以上であり、特に長年にわたって糖尿病を患っていることにより併存疾患があって多剤併用状態にある。
【0003】
通常、視覚パラメータは、個人の視覚および/または疾患の経過をモニタリングするために標準的な方法を使用して眼科医の診察室で検査される。実際の状況に応じて、定期的に行われる検査は、近見視力、コントラスト感度、ならびに/または、変性および暗点のような視覚障害のモニタリングを含む。
【0004】
どのような時間間隔で検査を繰り返すことが妥当であるかを推定することは困難である。一方では、たとえば網膜疾患は、数ヶ月または数年などの長期間にわたって安定している。しかし、他方では、視覚の突然の劣化が起こる場合もあり、これは、永久的な損傷を回避するためにも速やかな治療を必要とすることが多い。したがって、通常、少なくとも3ヶ月ごとに検査が医師によって繰り返される。
【0005】
定期的に医師の診察を受けなければならないことは、患者にとって厄介であるだけでなく、コストの問題もある。したがって、自己検査の可能性を患者に提供することが望ましいであろう。自己検査の結果は、明確に定義された条件下で医師の診察室で行われる検査の結果と同等またはさらには等価であるべきである。特に、検査結果は、網膜疾患などのモニタリングされている疾患のさらなる検査および/または治療の必要性を医師が推定することを可能にするべきである。
【0006】
特許出願US2015/190048およびUS2013/128229には、黄斑疾患および網膜疾患をモニタリングするためのシステムおよび方法が記載されており、これらのシステムおよび方法は、ビデオモニタとデバイスディスプレイとビデオカメラとを含むハードウェアプラットフォーム上に実装されたビデオゲーム検査を備える。しかし、上記のハードウェアプラットフォームの使用は、以下の特定の条件によって制限される。
【0007】
(i)被験者の眼は、デバイスディスプレイの上部および下部までおよそ等距離(D)(約43cm〜約48cm)でなければならず、これは、デバイスディスプレイをスタンド上に位置決めすることが好ましいことを暗に意味しており、距離Dを測定するための厳密な方法を必要とする。
【0008】
(ii)上記距離Dの測定は、片方の眼のみに関してビデオカメラによってモニタリングされ、上記カメラによって取り込むことができる正確かつ既知の寸法の目に見える特徴の使用を必要とする。この目に見える特徴は、ユーザの片方の眼の前の眼鏡に取り付けられた遮蔽レンズ上に設計されるか、または被験者の眼の角膜幅に対応し得る。したがって、これは、正確かつ既知の寸法を有するこのような目に見える特徴が利用可能であることを暗に意味している。さらに、このシステムによれば、遮蔽レンズにより、ユーザの眼はシーケンシャルな態様でしか検査できない。
【0009】
(iii)さらに、ビデオカメラは、上記の方法が薄暗い室内照明で(暗順応が低い状態で)行われなければならないので、周囲光レベルのモニタリングに使用される。さらに、画面の輝度は、視覚検査中はモニタリングされないが、測定された周囲光レベルに従って自動的に調整され、ユーザは、室内照明を適切に明るくしたり暗くしたりするように指示され得る。したがって、これは、上記のシステムおよび方法の使用条件を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、特定の使用条件または特定のユーザ依存要件に限定されない視覚検査を行うためのデバイスが依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
視覚検査結果の重要性を高めて、好ましくはそれらを医師の診察室で行われる検査と同等なものにするために、少なくとも1つの周囲パラメータが評価されてもよい。このパラメータは、検査を行う前に評価されてもよく、または好ましくは、検査を行っている間にモニタリングされる。特に、検査対象の個人の眼の、画面からの距離、画面の輝度、および周囲光度のうちの少なくとも1つは、検査中は特定の範囲内に制御される。
【0012】
したがって、本発明の目的は、視覚検査を行うためのモバイルデバイスを提供することである。特に、本発明は、患者の視覚を自己検査するためのスマートフォンまたはタブレットコンピュータなどのモバイルデバイスを使用するというアイデアに基づく。最終的な結果を提供するために、画面までの患者の距離または画面の輝度または環境(周囲光度)などの、検査結果に影響を及ぼし得る少なくとも1つのパラメータは、検査を行う前および/または検査を行っている間にモニタリングされる。
【0013】
好ましい実施形態によれば、画面からの患者の距離も周囲光度も、検査を行う前および/または検査を行っている間にモニタリングされる。
【0014】
より好ましい実施形態によれば、画面からの患者の距離も画面の輝度も環境も、検査を行う前および/または検査を行っている間にモニタリングされる。
【0015】
より好ましい実施形態によれば、上記パラメータのうちの少なくとも1つは、検査を行う前および検査を行っている間にモニタリングされる。
【0016】
したがって、本発明は、個人の視覚を検査するためのモバイルデバイスに関し、上記モバイルデバイスは、検査パターンを表示するための画面を含み、上記モバイルデバイスは、
(i)上記モバイルデバイスの上記画面上に表示された少なくとも1つの検査パターンを使用して上記個人の視覚の少なくとも1回の検査を行うように構成され、
(ii)少なくとも1つのパラメータを評価するように構成され、上記少なくとも1つのパラメータは、上記個人の眼と上記画面との間の距離、上記検査パターンが表示される輝度、および周囲光度からなる群から選択される。
【0017】
好ましい実施形態によれば、本発明のモバイルデバイスは、(ii)個人の眼と画面との間の距離および周囲光度を評価するように構成される。
【0018】
好ましい実施形態によれば、本発明のモバイルデバイスは、(ii)個人の眼と画面との間の距離、検査パターンが表示される輝度、および周囲光度を評価するように構成される。
【0019】
好ましい実施形態によれば、本発明のモバイルデバイスは、(ii)検査パターンが表示される輝度を評価するように構成され、上記輝度は、周囲光度測定から独立して求められる。
【0020】
好ましい実施形態によれば、上記モバイルデバイスは、カメラ撮像画像、特にビデオ画像をさらに含む。好ましい実施形態によれば、上記モバイルデバイスは、普及しているという理由から、スマートフォンおよびタブレットコンピュータからなる群から選択される。さらに、スマートフォンまたはタブレットコンピュータは、一般に高画質を提供し、通常は本発明に従って有利に使用され得る追加のセンサを含む。
【0021】
特定の実施形態によれば、上記パラメータは、検査を行う前に評価される。好ましい実施形態によれば、上記パラメータのうちの少なくとも2つは、検査を行う前に評価される。より好ましい実施形態によれば、上記パラメータは全て、検査を行う前に評価される。
【0022】
好ましい実施形態によれば、上記パラメータは、検査を行っている間にモニタリングされる。好ましい実施形態によれば、上記パラメータのうちの少なくとも2つは、検査を行っている間に評価される。より好ましい実施形態によれば、上記パラメータは全て、検査を行っている間に評価される。
【0023】
好ましい実施形態によれば、上記パラメータは、検査を行う前および検査を行っている間にモニタリングされる。好ましい実施形態によれば、上記パラメータのうちの少なくとも2つは、検査を行う前および検査を行っている間に評価される。より好ましい実施形態によれば、上記パラメータは全て、検査を行う前および検査を行っている間に評価される。
【0024】
特別な実施形態によれば、個人の眼と画面との間の距離および周囲光度は、検査を行う前および検査を行っている間に評価される。この代替的な実施形態によれば、検査パターンが表示される輝度は、さらに、検査を行う前および/または検査を行っている間に評価され得る。
【0025】
本明細書における「患者」または「個人」という表現は、視覚、視覚の経過および/または疾患をモニタリングすることが求められる任意の対象を指す。それは、健康な患者を指す場合もあれば、および、疾患、より特定的には網膜疾患、特に慢性黄斑疾患を患う患者を指す場合もある。これらの疾患は、滲出型AMD(加齢黄斑変性)、血管新生のリスクがある非滲出型AMD、筋浮腫を伴ったり伴わなかったりする糖尿病網膜症、および血管新生のリスクがある高度近視を含むが、これらに限定されるものではない。
【0026】
本明細書における「約」という表現は、所与の値または範囲の10%以内、好ましくは8%以内、より好ましくは5%以内であることを意味する。特定の実施形態によれば、「約X」はXを意味する。
【0027】
検査対象の個人の眼と画面との間の距離を評価するために、たとえばモバイルデバイスのカメラを使用して、検査前および/または検査中に個人の顔を追跡してもよい。好ましい実施形態によれば、上記カメラによって取り込まれるユーザの顔の画像においてユーザの眼が認識され、それらの互いからの距離が測定される。測定された両方の眼の間の距離に基づいて、両方の眼の間の実際の距離(既知の標準値に基づいてもよく、または前もって測定されて格納されていてもよい)およびデバイスのカメラのパラメータとの関連で、個人の眼と画面との間の距離が求められてもよい。個人の両方の眼からの距離を測定することの1つの利点は、これが正確かつ既知の寸法の目に見える特徴、特に人工的な特徴の使用を必要としないということである。さらに、このユーザの片方の眼からもう片方の眼までの距離の測定は、特別な訓練なしに患者によって容易に対処される。
【0028】
したがって、本発明は、上記のモバイルデバイスに関し、個人の眼と画面との間の上記距離は、デバイスと眼との間の距離を推定するために、デバイスのカメラから送られた画像上でユーザの顔を検出して、上記画像内の両方の眼の間の距離を算出することによって、評価される。
【0029】
好ましい実施形態によれば、個人の眼と画面との間の距離は、上で説明したように個人の両方の眼からの距離を測定することによって、検査を行う前に評価され、先行技術のその他の方法によって、検査を行っている間にモニタリングされる。別の好ましい実施形態によれば、個人の眼と画面との間の距離は、上で説明したように個人の両方の眼からの距離を測定することによって、検査を行う前に評価され、両方の眼のうちの1つを遮蔽することを可能にする先行技術のその他の方法(単眼検査)によって、検査を行っている間にモニタリングされる。
【0030】
検査対象の眼と画面との間の距離は、好ましくは規定された範囲内である。それは、好ましくは約30cm〜約50cm、有利に約35cm〜約45cmの範囲内で選択され、理想的には約40cmである。この距離が検査中にこの範囲から外れると、画面に対する位置を調整するようにユーザに求める警告がユーザに対して表示されてもよい。さらにまたは代替的に、検査は、停止されて、個人の検査対象の眼と画面との間の距離が好ましい範囲内に戻った場合にのみ継続されてもよい。特別な実施形態によれば、個人の両方の眼は、同時に(両眼検査)または個々に(単眼検査)検査される。
【0031】
したがって、特別な実施形態によれば、本発明は、モバイルデバイスに関し、上記モバイルデバイスは、モバイルデバイスのカメラおよび個人の両方の眼の間の距離を使用して個人の顔を追跡することによって、個人の眼と画面との間の距離を評価し、眼と画面との間の推定された距離が、規定された範囲内、特に約30cm〜約50cm、有利に約35cm〜約45cmの範囲内、理想的には約40cmであるか否かを判断するように構成される。
【0032】
本発明はさらに、上記のモバイルデバイスに関し、個人の眼と画面との間の上記距離は、デバイスと眼との間の距離を推定するために、デバイスのカメラから送られた画像上でユーザの顔を検出して、上記画像内の両方の眼の間の距離を算出することによって、評価される。
【0033】
本発明によれば、モバイルデバイスは、検査パターンが表示される画面輝度が、好ましくは約100ルクス〜約300ルクス、より好ましくは約150ルクス〜約250ルクスの範囲内で選択され、さらに好ましくは約200ルクスであるように制御される。好ましい実施形態によれば、ユーザがディスプレイの輝度を手動で変化させる可能性は、検査を行っている間は無効にされる。
【0034】
したがって、特別な実施形態によれば、本発明は、モバイルデバイスに関し、上記モバイルデバイスは、検査パターンが表示される輝度を予め規定された範囲内に制御するように構成され、上記予め規定された範囲は、特に約100ルクス〜約300ルクス、より好ましくは約150ルクス〜約250ルクスの範囲内で選択され、さらに好ましくは約200ルクスである。
【0035】
個人の視覚をモニタリングするための先行技術のモバイルデバイスとは違って、本発明のデバイスは、周囲光を暗順応が低いまたは薄暗い室内照明に調整することを必要としない。参考として、一般的な室内照明は、300〜500ルクスほどであるのに対して、室外光は、曇りの日の1500ルクス〜晴れた日の100000ルクスまでさまざまである。本発明は、周囲光が規定された範囲内であるか否かを判断するように構成されたモバイルデバイスに関する。好ましくは、周囲光度は、暗順応が低いまたは薄暗い室内照明を上回るように選択される。好ましくは、周囲光度は、約5ルクス〜約2000ルクスの範囲内で選択され、より好ましくは5ルクスを上回り、好ましくは約10ルクス〜約2000ルクスの範囲内で選択され、さらに好ましくは10ルクスを上回る。
【0036】
周囲光度を求めるために、モバイルデバイスに含まれるセンサが使用されてもよい。たとえば、モバイルデバイスは、専用の光センサを備えてもよく、この専用の光センサは、その他の場合は、本発明に従って周囲光度をモニタリングするのに使用され得るディスプレイの輝度、コントラストおよび/または色温度を適合させるのに使用される。さもなければ、モバイルデバイスのカメラのうちの1つ、好ましくはフロントカメラがこの目的で使用されてもよい。好ましくは、周囲光度は、約5ルクス〜約2000ルクスの範囲内で選択され、より好ましくは5ルクスを上回り、好ましくは約10ルクス〜約2000ルクスの範囲内で選択され、さらに好ましくは10ルクスを上回る。やはり、周囲光度が好ましい範囲外であると判断されると、検査は中断されてもよく、および/または、たとえば検査を行うための別の環境を選択することによって、周囲光度を調整するように個人に要求する警告が表示されてもよい。
【0037】
特別な実施形態によれば、本発明は、周囲光を測定するように構成されたモバイルデバイスに関し、上記モバイルデバイスは、周囲光が規定された範囲内であるか否かを判断するように構成され、上記規定された範囲は、特に約5ルクス〜約2000ルクスの範囲内で選択され、より好ましくは5ルクスを上回り、好ましくは約10ルクス〜約2000ルクスの範囲内で選択され、さらに好ましくは10ルクスを上回る。
【0038】
好ましい実施形態によれば、本発明は、モバイルデバイスに関し、上記モバイルデバイスは、眼と画面との間の推定された距離および/または周囲光度が規定された範囲内である場合にのみ検査を行うことができるように構成される。
【0039】
より好ましい実施形態によれば、本発明は、モバイルデバイスに関し、上記モバイルデバイスは、眼と画面との間の推定された距離および周囲光度が規定された範囲内である場合にのみ検査を行うことができるように構成される。
【0040】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は、モバイルデバイスに関し、上記モバイルデバイスは、
眼と画面との間の推定された距離が、約30cm〜約50cm、有利に約35cm〜約45cmの範囲内で選択され、理想的には約40cmである場合、および
周囲光度が、約5ルクス〜約2000ルクス、より好ましくは10ルクスを上回る場合にのみ検査を行うことができるように構成される。
【0041】
本発明のモバイルデバイスは、個人の視覚を検査またはモニタリングするためのプログラム、アプリケーションまたはビデオゲームを表示するための画面を含む。より正確には、本発明のモバイルデバイスは、検査パターンを表示するための画面を含む。検査パターンは、行われる特定の視覚検査(たとえば、視力検査、コントラスト感度検査、視覚障害検査)によって決まる。特別な実施形態によれば、本発明のモバイルデバイスは、後続の検査パターンを有する多項選択検査を表示するための画面を含む。
【0042】
視力が検査されるべきである場合、周知の視力検査表(たとえば、スネレンまたはEラスキンチャート)の改作版を使用することができる。特別な実施形態によれば、視力が検査されるべきである場合、たとえば文字「E」の一般的な形状を有する記号が表示されてもよく、Eの足部分は、たとえば左、右、上および下などのさまざまな方向を指し示している。検査中に、この記号はさらにサイズが変化してもよい。
【0043】
したがって、特別な実施形態によれば、本発明はさらに、モバイルデバイスに関し、個人の視覚の検査は、視力、より具体的には近見視力を検査することを含み、視力を検査する際、画面は、好ましくはさまざまな向きおよびさまざまなサイズの一般的な「E」形状を有する視標記号を表示するように構成され、向きは、個人によって、特にモバイルデバイスのタッチスクリーンを使用して指し示される。結果は、文字番号、logMAR、小数、スネレンまたはモノイエで表示される。
【0044】
さらに、コントラスト感度が検査されるべきである場合、周知の検査(たとえば、ランドルト検査)の改作版を使用することができる。特別な実施形態によれば、コントラスト感度が検査されるべきである場合、記号、たとえば輪とここでも左、右、上および下のさまざまな向き、場合によってはさらに中間の向きを有する切れ目とを有するC形状記号。この記号はさらに、さまざまなコントラストで表示される。検査を行うために、個人は、特にモバイルデバイスのタッチスクリーンを使用して、さまざまな表示された記号の向きを指し示すように求められる。正しい回答および誤った回答から、視覚パラメータが判断されてもよい。
【0045】
したがって、特別な実施形態によれば、本発明はさらに、モバイルデバイスに関し、個人の視覚の検査は、コントラスト感度を検査することを含み、コントラスト感度を検査する際、画面は、好ましくはさまざまなコントラスト値(たとえば、0〜1.8logCS)の輪とさまざまな向きを有する切れ目とを備えた一般的な「C」形状を有する視標記号を表示するように構成され、切れ目の向きは、個人によって指し示される。結果は、LogCSまたはパーセントで表示される。
【0046】
さらに、個人の視野における視覚障害、特に変性または暗点が検査されるべきである場合、周知の検査(たとえば、アムスラー格子)の改作版を使用することができる。特別な実施形態によれば、視覚障害、特に変性または暗点が検査されるべきである場合、一般にアムスラー格子と呼ばれる、個人が焦点を合わせる中央の点を有する格子が画面上に表示されてもよい。検査対象の個人は、特にモバイルデバイスのタッチスクリーンを使用してそれぞれの領域を指し示すことによって格子内のゆがんだおよび/またはぼやけた領域を指し示すように求められる。ゆがんだ/ぼやけた領域の存在およびそれらの位置は、個人の網膜、特に斑点の変化の兆候と見なされてもよい。視野を広げるために、検査は、タッチスクリーンの機能を使用して格子を移動させることが可能であってもよい。
【0047】
したがって、特別な実施形態によれば、本発明はさらに、モバイルデバイスに関し、画面は、個人の視覚の検査として視覚障害、特に変性または暗点を検出するために、中央の点を有する格子を表示するように構成され、ゆがんだおよび/またはぼやけた領域は、視野の焦点を上記点に合わせながら個人によって指し示される。
【0048】
本発明によれば、個人の視覚の検査を行うために、当業者によって周知の多数の検査パターンをモバイルデバイスの画面上に表示することができる。
【0049】
自身のモバイルデバイスを定期的に使用して視覚検査を行おうとする患者の意欲をさらに高めるために、視覚検査に対応する検査パターンは、モバイルデバイス上で実行可能なモバイルゲーミングアプリに組み込まれてもよい。ゲームを開始することまたはゲームの特定の箇所でゲームを継続することを許可されるように、ユーザは、視覚検査を行うように求められてもよい。ゲームは、検査が完了した場合にのみ継続されてもよい。したがって、本発明はさらに、ゲームを実行するようにさらに構成されたモバイルデバイスに関し、ゲームは、予め定められた時間間隔で視覚検査が行われる場合にのみ実行または継続可能である。
【0050】
視覚検査の結果、特に数回の連続した視覚検査の結果は、モバイルデバイスのメモリに格納されてもよい。したがって、特別な実施形態によれば、本発明はさらに、モバイルデバイスに関し、上記モバイルデバイスは、行われた視覚検査の結果を格納するためのメモリを備える。
【0051】
さらに、結果は、モバイルデバイスの通信機能を使用して、たとえば個人の医療記録を格納するデータベースまたは安全性が保証されたサーバに送信されてもよい。したがって、特別な実施形態によれば、本発明はさらに、モバイルデバイスに関し、上記モバイルデバイスは、検査結果をダッシュボードに送信するための送信機を備え、検査結果は、医師の診察室からオンラインでアクセス可能であり、ダッシュボードは、安全性が保証されたサーバに格納された医療データを表示する。
【0052】
好ましい実施形態によれば、結果は、医師によって、好ましくは医師の診察室からオンラインでアクセス可能である。検査の結果は、さらなる検査の必要性が存在するか否かを医師が決定することを手助けし得て、さらなる検査は、医師の診察室で行われてもよく、治療を開始させてもよい。それによって、患者が短い間隔で定期的に医師の診察を受ける必要性を回避することができる。
【0053】
特別な実施形態によれば、本発明のモバイルデバイスは、スマートフォンまたはタブレットコンピュータである。
【0054】
したがって、本発明に係るモバイルデバイスは、単にモバイルデバイスの画面上に検査パターンを表示することを可能にするスマートフォンまたはタブレットコンピュータのための利用可能なアプリとは違って、特定のセンサを使用して行われる視覚検査の重要性の判定に関連するパラメータを考慮に入れる可能性を提供する。したがって、本発明は、視覚検査を行うための改良されたモバイルデバイスを提供する。
【0055】
さらに、本発明は、個人の視覚を検査する方法を提供する。上記方法は、スマートフォンまたはタブレットコンピュータなどのモバイルデバイスの画面上に表示された検査パターンを使用して個人の視覚の検査を行うステップを備える。個人の視覚の検査は、近見視力を検査すること、コントラスト感度を検査すること、および視覚障害、特に変性または暗点を検出することのうちの1つ以上を含む。上記方法はさらに、パラメータを評価するステップを備え、パラメータは、個人の眼と画面との間の距離、検査パターンが表示される輝度、および周囲光度のうちの少なくとも1つを含む。
【0056】
したがって、本発明はさらに、個人の視覚を検査する方法に関し、上記方法は、
(i)スマートフォンまたはタブレットコンピュータなどのモバイルデバイスの画面上に表示された少なくとも1つの検査パターンを使用して上記個人の視覚の少なくとも1回の検査を行うステップを備え、上記個人の視覚の上記検査は、近見視力を検査すること、コントラスト感度を検査すること、および視覚障害、特に変性または暗点を検出することのうちの1つ以上を含み、上記方法はさらに、
(ii)パラメータを評価するステップを備え、上記パラメータは、上記個人の眼と上記画面との間の距離、上記検査パターンが表示される輝度、および周囲光度のうちの少なくとも1つを含む。
【0057】
特別な実施形態によれば、ステップ(ii)はステップ(i)の前に実現される。
特別な実施形態によれば、ステップ(ii)はステップ(i)に付随して実現される。
【0058】
本発明はさらに、個人の視覚を検査する上記の方法に関し、個人の眼と画面との間の距離および周囲光度は評価される。
【0059】
本発明はさらに、個人の視覚を検査する上記の方法に関し、個人の眼と画面との間の距離は、デバイスと眼との間の距離を推定するために、デバイスのカメラから送られた画像上でユーザの顔を検出して、上記画像内の両方の眼の間の距離を算出することによって、評価される。好ましい実施形態によれば、上記方法は、眼と画面との間の距離が、規定された範囲内、特に約30cm〜約50cm、有利に約35cm〜約45cmの範囲内、理想的には約40cmである場合に行われる。
【0060】
本発明はさらに、個人の視覚を検査する上記の方法に関し、上記モバイルデバイスは、周囲光を測定するように構成されたセンサをさらに備え、上記方法は、規定された範囲内の周囲光で行われる。好ましくは、周囲光度は、約5ルクス〜約2000ルクスの範囲内で選択され、より好ましくは5ルクスを上回り、好ましくは約10ルクス〜約2000ルクスの範囲内で選択され、さらに好ましくは10ルクスを上回る。
【0061】
本発明について、図面を参照しながら以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】視力の検査に使用される本発明の実施形態に係るモバイルデバイスの画面を示す図である。
図2】(a)スクリーニング段階および(b)閾値段階における視力の推定に使用されるアルゴリズムを示す図である。
図3】コントラスト感度の検査に使用される本発明の実施形態に係るモバイルデバイスの画面を示す図である。
図4】(a)スクリーニング段階および(b)閾値段階におけるコントラスト感度の推定に使用されるアルゴリズムを示す図である。
図5】視覚障害を検査するためのアムスラー格子を表示する本発明の実施形態に係るモバイルデバイスの画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本発明の目的は、自己検査のためのアプリケーションソフトウェア(以下では、「アプリ」または「モバイルアプリ」とも呼ばれる)を実行するタブレットまたはスマートフォンなどのモバイルデバイスを提供することであり、このモバイルデバイスは、医師または眼科医によって処方されてもよく、(近見)視力、コントラスト感度、ならびに変性および暗点の検出のうちの少なくとも1つの視覚パラメータのモニタリングを可能にするよう意図されている。検査は、標準的な方法によって病院または診察室で行われる検査と等価であるかまたは少なくとも類似しているべきである。
【0064】
患者は、家から検査を行うことができる。データ結果は、医師がデータを視覚化することができるデジタルダッシュボードで使用され得るデータベース、好ましくは安全性が保証されたサーバに送信されてもよい。異常な結果が検出された場合には、変化、特に視覚パラメータの劣化を示す警告がダッシュボードおよび/またはモバイルデバイスに表示されてもよく、これにより、医師の判断によるさらなる診察のスケジューリングが可能になる。
【0065】
患者の記憶をアプリに向けることにより定期的に検査を行うために、モバイルアプリ内のゲーム部分が使用されてもよい。特別な実施形態によれば、このゲーム部分は、患者の行動を分析して、視覚検査を引き起こし得る異常を検出することができる。
【0066】
本発明の実施形態によれば、モバイルデバイスは、モバイルアプリを実行するモバイルデバイスとオンラインダッシュボードとを備えるシステムに組み込まれてもよい。
【0067】
1.モバイルアプリは、以下の視覚モジュールのうちの少なくとも1つを備える:
・患者が自身の視力を検査することを可能にする視力モジュールであって、それはETDRS(糖尿病性網膜症早期治療研究)に基づく;
・患者が自身のコントラスト感度を検査することを可能にするコントラスト感度モジュールであって、それはペリ・ロブソン検査に基づく;
・変性および暗点を検出することを可能にするアムスラー格子モジュールであって、それはアムスラー格子論文に基づく。
【0068】
モバイルデバイスはさらに、以下のような少なくとも1つのモバイルアプリを実行してもよい:
・ログイン、メインメニュー、パラメータ、通知などを提供するグローバルモジュール;
・ユーザの記憶を可能にするパズルなどのビデオゲーム。
【0069】
以下の検査の各々は、患者の片方の眼(単眼)に対して行うことができ、または患者の両方の眼(両眼)に対して行うことができる。
【0070】
アプリを実行するモバイルデバイスは、患者から流されたデータおよび警告の視覚化を可能にするオンラインダッシュボードにデータを送信する。
【0071】
アプリにおいて、視覚モジュールは、通常は眼科医の診察室において標準的な方法を使用して得られる視覚に関連するデータを収集することを目的としている。ビデオゲームは、医療の精度とデジタルエンターテイメントとの間の微妙なバランスであり、スムーズで、新鮮で、心強い経験を患者に提供する。
【0072】
医師(たとえば、眼科医)は、アプリを実行するモバイルデバイスを処方し、任意に、患者が行うべき検査の頻度およびタイプを構成する。患者は、家に帰って、ゲームをして、視覚モジュールを介して定期的な検診を行う。ユーザの結果は、アプリケーションによって保存され、医者のダッシュボードに送信される。ダッシュボードは、患者の結果および経過を表示する。視覚パラメータ(たとえば、視力およびコントラスト感度)の低下が現れると、ダッシュボードは、医師に対して警告を表示し、アプリは、医師に連絡をとることを提案する通知を患者に対して表示する。アプリおよびダッシュボードは、いかなる勧告も提供すべきでなく、いかなる検査結果の解釈も提供すべきでない。アプリは、診断を意図したものではない。医師は、患者が既にスケジューリングされた次回の診察よりも早く診察を受ける必要があるか否かを決定する。診断は、処方する医師の責任下にある。
【0073】
3つの視覚モジュールについて、以下でより詳細に説明する。
1.1 視力モジュール
視力モジュールの目的は、ユーザの近見視力(NVA)を判定することである。このモジュールは、患者の視力を判定するためおよび眼科学における臨床研究のための眼科学におけるゴールドスタンダードである標準的な方法ETDRSからアイデアを得ている。
【0074】
NVAモジュールは、ETDRS視力表によって判定される視力の評価を再現する。それは、視力を判定するための短い双方向の検査を提案し、そこでは、患者は、対応する方向(上、下、左または右)に指をスライドさせることによって視標「E」の向きを指し示す必要がある。視標は、文字Eのように見える「タンブリングE」として知られている。
【0075】
いくつかの選択された視標、たとえば「E」は、図1に示されるように、モバイルデバイスの画面上に、好ましくは画面の中央に一つずつ表示される。視標の向きおよび/またはサイズは、各々の患者反応後に変化する。視標の向きはランダムであるが、そのサイズは予め規定されたアルゴリズムに従って変化する。
【0076】
特別な実施形態によれば、この視標は、典型的な視力検査表における他の文字と同様に、形状の周りのノイズをシミュレーションした「クラウディングバー(crowding bars)」を思い起こさせる黒色の正方形によって取り囲まれている。線の幅および視標のバー同士の間の空間は、そのサイズを問わず、均等な比率を維持することを可能にする。
【0077】
特別な実施形態によれば、視標は、標準的な視力検査のように、100%のコントラストで画面上に表示される。好ましい実施形態によれば、背景は白色であり、視標およびその周りのバーは黒色である。
【0078】
特別な実施形態によれば、視標は、画面の中央に表示される。したがって、患者は、画面全体を使用して、モバイルデバイスのタッチスクリーン上で対応する方向に指をスライドさせることによって、視標が見える方向を指し示すことができる。
【0079】
検査は、0.0〜約0.3logMAR、好ましくは0.0〜約1.5logMAR(最小視角の対数)の視力の範囲を判定することができる。
【0080】
患者によって提供される回答から視力を判定するのに使用されるアルゴリズムは、2つの段階に分割される。これら2つの段階は、独立していることができる。図2(a)に示される第1の段階、すなわちスクリーニング段階は、視力閾値の近似値を得るための段階である。図2(b)に示される第2の段階、すなわち閾値段階は、視力スコアを得るためのより完全な検査段階である。
【0081】
スクリーニング段階は、標準的な階段化アルゴリズムである。ユーザの回答が正しければより小さな「E」が表示され、そうでなければより大きな「E」が表示される。それは、誤った回答が2回なされると停止する。最後の誤った回答の前の「E」のサイズが閾値と見なされる。
【0082】
閾値段階の間、スクリーニング段階において閾値として判断されたサイズの視標は、複数回数(たとえば、5回)表示されてもよい。その後、アルゴリズムは、前の回答が正しければより難しいステップ、すなわちより小さな視標を表示し、そうでなければより簡単なステップを表示する。この段階の間、全ての異なるサイズの視標は混合されてもよい。
【0083】
より具体的には、図2(b)に示されるように、閾値段階は、スクリーニング段階中に閾値のサイズの「E」が5回求められ、より小さなサイズを有する「E」がさらに5回求められたことを含むプールから「E」を表示してもよい。正しい回答が提供されるたびに、より小さなサイズを有する記号がより多くプールに追加され、回答が誤っていると、より大きなサイズを有する記号がプールに追加される。この段階の間、異なるサイズの記号は混合される。
【0084】
検査の終了時に、患者の近見視力の最も正確な推定値がモジュールによって保持され、この推定値は、次の視力検査を開始させるために使用される。すなわち、スクリーニング検査は、患者がモバイルデバイスを使用し始めるときにのみ行われる。全ての後続の検査は、閾値段階のみを含み、これらの検査は、前の検査の視力から開始する。
【0085】
本発明に係るモバイルデバイス上で視力モジュールを使用して行われる検査と、医師の診察室で行われる公知の検査との主な違いは、公知の検査が通常はチャート上でさまざまな文字を使用するのに対して、視力モジュールはタンブリングEのみを表示するというものである。したがって、可能な回答の回数が4回に減少し、偽陽性の回答のリスクを上昇させる。しかし、これは、視力モジュールで使用される特定のアルゴリズムによって補償される。さらに、視力モジュールを使用するための文字を読み取れることは不要である。
【0086】
1.2 コントラスト感度モジュール
コントラスト感度(CS)モジュールの目的は、ユーザのコントラスト感度を判定することである。このモジュールは、コントラスト感度を判定するための眼科学におけるゴールドスタンダードであるペリ・ロブソン検査(D.G.ペリ等、Cli.Vision Sci.、第2巻、No.3、187〜199頁、1988)からアイデアを得ている。コントラスト感度閾値を求めるのに使用されるアルゴリズムは、視力モジュールで使用されるものと同様である。
【0087】
このモジュールは、コントラスト感度を判定することを可能にし、そこでは、患者は、対応する方向(上、下、左または右)に指をスライドさせることによって視標「C」の向きを指し示す必要がある。視標は、特定のストローク/空白割合および比率を有する文字Cのように見える、切れ目を有する輪である「ランドルトC」として知られている。
【0088】
本発明のモジュールでは、いくつかの視標、たとえば「C」は、図3に示されるように、モバイルデバイスの画面上に、好ましくは画面の中央に一つずつ表示される。視標の向きおよびコントラストは、各々の患者反応後に変化するが、視標のサイズは固定されている。視標の向きはランダムであるが、そのコントラストは予め規定されたアルゴリズムに従って変化する。
【0089】
特別な実施形態によれば、背景は好ましくは白色であり、視標は黒色の階調(たとえば、灰色)で表示される。
【0090】
特別な実施形態によれば、視標は、画面の中央に現れる。ユーザは、画面全体を使用して、モバイルデバイスのタッチスクリーン上で対応する方向に指をスライドさせることによって、視標が見える方向を指し示すことができる。
【0091】
検査は、0.0〜1.8logCSのコントラスト感度の範囲を判定することができる。
【0092】
アルゴリズムは、上記の視力の判定に使用されるものと同様であり、これも2つの段階に分割される。これら2つの段階は、独立していることができる。図4(a)に示される第1の段階、すなわちスクリーニング段階は、コントラスト感度閾値の近似値を得るための段階である。図4(b)に示される第2の段階、すなわち閾値段階は、コントラスト感度の正確な値を得るためのより完全な検査段階である。
【0093】
スクリーニング段階は、標準的な階段化アルゴリズムである。ユーザの回答が正しければ、コントラストがより低い視標が表示され、そうでなければ、コントラストがより高い視標が表示される。検査は、誤った回答が2回なされると停止する。
【0094】
閾値段階は、スクリーニング段階において閾値として求められたコントラストを有する視標を数回、たとえば3回表示する。次いで、前の回答が正しければ、より難しいステップ、すなわち知覚することがより困難な視標を表示し、そうでなければより簡単なステップを表示する。この段階の間、全ての異なるコントラストの記号は混合される。
【0095】
好ましい実施形態によれば、背景は白色である。好ましい実施形態によれば、背景の輝度は、約100ルクス〜約300ルクス、より好ましくは約150ルクス〜約250ルクスの範囲内で選択され、さらに好ましくは約200ルクスである。コントラストは、背景の輝度(好ましくは、およそ200ルクス)と文字の輝度との間で計算される。黒色の文字(およそ0ルクス)は100%コントラストであり、50%灰色の文字(およそ100ルクス)は50%コントラストであり、背景(たとえば、白色)と同様の文字は0%コントラストである。
【0096】
やはり、視力の検査に関しては、スクリーニング検査は、患者がモバイルデバイスを使用し始めるときにのみ行われる。全ての後続の検査は、閾値段階のみを含み、これらの検査は、前の検査の視力から開始する。
【0097】
標準的な検査またはモバイルデバイスのための公知のアプリとは対照的に、識別対象の文字ではなくランドルトCが使用される。さらに、画面までの距離は、眼科医の診察室で行われる検査と比較して、好ましくは約30cm〜約50cm、有利に約35cm〜約45cmの範囲内で選択され、理想的には40cmに固定され、約1mのペリ・ロブソンコントラスト感度チャートからの距離が一般に使用される。
【0098】
1.3 アムスラー格子モジュール
アムスラー格子モジュールの目的は、アムスラー格子のデジタル化バージョンを提案することである(M.アムスラー、Brit.J.Ophthal.、第37巻、521、1953)。アムスラー格子は、網膜、特に黄斑の変化によって引き起こされる視覚障害の検出を支援する診断ツールである。それは、通常、用紙に印刷された10×10cm格子上でなされ、家でなされるよう意図されている。
【0099】
本発明に係るモバイルデバイスによって実行されるアムスラー格子モジュールは、ユーザがしていた経験と同様の経験を提供するように設計される。それは、ゆがみが見られる場合には線を引くようにユーザに求め、または、中央の点を固定しながら、格子が見えなくなる領域を塗りつぶすもしくは丸で囲むことをユーザに求める。デバイスの画面は、通常は10×10cm格子を表示するには小さすぎるので、格子は、左/中央/右の3つの部分に分割されてもよく、ユーザは、格子内を移動するときに移動する点に依然として焦点を合わせながら、タッチスクリーンのタッチ機能を使用して1つの領域から別の領域に移動して、それらを一つずつ塗りつぶすことができる。特定の実施形態では、モバイルデバイス上の格子は、正方形であり、好ましくはこの正方形は、少なくとも8×8cm、好ましくは9×9cmまたは10×10cmであるため、論文のものよりも判定するビットが少ない。すなわち、アムスラー格子論文は20度の視野(40cmの距離で10×10cm)をカバーすることを可能にするが、アムスラー格子モジュールは18度を可能にするのみである。しかし、関係する病理学では、周辺視野はめったに影響を受けない。より小さなサイズを有することは別として、アムスラー格子論文は、0.5×0.5cmの正方形を有するスケーリングを含む状態でモバイルデバイスの画面上で正確に再現される。
【0100】
アムスラー格子検査は、結果または値を提供しないが、モジュールは、ユーザが描いた符号化された画像を、好ましくは医師がアクセスできる記憶空間またはメモリに格納する。次いで、医師は、障害のある領域の経過をチェックして、必要であれば診察に来るようにユーザに求める。
【0101】
2.パラメータモニタリング
好ましい実施形態によれば、上記少なくとも1つの検査モジュールは、
・画面までの距離の設定、
・画面輝度の設定、および
・周囲光度の設定、からなる群から選択される少なくとも1つの制御された条件に従って実行される。
【0102】
2.1 画面までの距離
上記の検査モジュールは、デバイスとユーザの眼の少なくとも一方との間の距離が好ましくは約30cm〜約50cm、有利に約35cm〜約45cmの範囲内で選択され、理想的には約40cmである状態で使用されるよう意図されている。この距離が正確であり、検査前および検査中に維持されることを保証するために、モバイルデバイスは、この距離を自動的に推定し、ユーザが誤った位置にいる(遠すぎる、近すぎる)場合にはユーザに警告する。好ましくは、各検査中に検証が連続的に(毎秒数回)なされる。適切な位置にいる場合、患者は検査を行い続ける。そうでなければ、検査は中断され、患者は正確な位置に移るように求められる。
【0103】
デバイスのカメラ、たとえばフロントカメラを使用して、この距離を推定してもよい。具体的には、アプリは、デバイスのフロントカメラから送られた画像上でユーザの顔を検出し、いくつかの顔の目印点(眼、鼻、口など)を追跡して、デバイスと眼との間の距離を推定するために画像内の眼同士の間の距離を算出する。
【0104】
画面までの距離は、以下の式により近似される:
距離=ObjectSizeInRealWorld*FocalLength/ObjectSizeOnImageSensor
ここで、
距離:画面までの距離(出力は40cmであるべきである)
ObjectSizeInRealWorld:ユーザ瞳孔間距離の平均値(一定値=63mm)
ObjectSizeOnImageSensor:画像内の眼同士の間の距離から算出される
FocalLength:デバイスのフロントカメラの焦点距離。
【0105】
カメラから送られた画像内の顔検出結果を使用することにより、患者が眼を閉じることができないために眼を手で覆う必要がある場合に顔が部分的に遮蔽された状態でさえ距離を推定することができる。
【0106】
先行技術において現在利用可能な自己検査ソリューションはいずれも、検査を行いながら画面までの距離を確認することはできない。
【0107】
2.2 画面輝度
標準的な検査に基づいて、視覚検査は、約100ルクス〜約300ルクス、より好ましくは約150ルクス〜約250ルクスの範囲内から選択され、さらに好ましくは約200ルクスである特定の輝度を表示することをモバイルデバイスに要求する。視覚検査が起動されると、輝度は自動的にセットアップされる。特別な実施形態によれば、デバイスは、ユーザがデバイスの設定を介して画面輝度を変更しないようにセットアップされる。
【0108】
2.3 周囲光
好ましい実施形態によれば、近見視力、コントラスト感度およびアムスラー格子などの視覚検査は、周囲光が10ルクス〜約2000ルクスの範囲内で選択される場合にのみ信頼性があると考えられる。この範囲外では、よい条件で検査を行うには場所が暗すぎるかまたは明るすぎると考えられる。
【0109】
よい環境条件を再現するために、モバイルデバイスは、たとえばデバイスの光センサ(アンドロイド(登録商標))またはカメラ入力およびデバイスのパラメータを使用したアルゴリズム(iOS)を使用することによって、外部環境光が約2000ルクスよりも高いか否か、および約10ルクスよりも低いか否かを検出する。
【0110】
ユーザが検査を行っている間、デバイスは周囲光を検出する。光が約10ルクスよりも低いか、または約2000ルクスよりも高い場合、より明るい場所またはより暗い場所に行くようにユーザに求める警告が表示される。
【0111】
したがって、視覚機能の定量的モニタリングを提供するよう意図された、たとえばモバイルデバイスを使用した視覚自己検査のための利用可能なアプリとは違って、本発明は、検査が行われる環境条件を連続的にモニタリングする。これにより、家で意味のある結果を得ることができ、これは、医師がさらなる検査および治療の間隔を計画するための根拠になり得る。
【0112】
本発明は、以下の項目によってさらに定義される。
1.個人の視覚を検査するためのモバイルデバイスであって、前記モバイルデバイスは、検査パターンを表示するための画面を含み、
前記モバイルデバイスは、
前記モバイルデバイスの前記画面上に表示された前記検査パターンを使用して前記個人の視覚の検査を行うように構成され、
パラメータを評価するように構成され、前記パラメータは、前記個人の眼と前記画面との間の距離、前記検査パターンが表示される輝度、および周囲光度のうちの少なくとも1つを含む、モバイルデバイス。
【0113】
2.前記パラメータは、前記検査を行う前に評価される、項目1に記載のモバイルデバイス。
【0114】
3.前記パラメータは、前記検査を行っている間にモニタリングされる、項目1に記載のモバイルデバイス。
【0115】
4.前記個人の視覚の前記検査は、近見視力を検査することを含み、近見視力を検査する際、前記画面は、好ましくはさまざまな向きおよびさまざまなサイズの一般的な「E」形状を有する視標記号を表示するように構成され、前記向きは、前記個人によって指し示される、先行する項目のいずれか1つに記載のモバイルデバイス。
【0116】
5.前記個人の視覚の前記検査は、コントラスト感度を検査することを含み、コントラスト感度を検査する際、前記画面は、好ましくはさまざまなコントラストの輪とさまざまな向きを有する切れ目とを備えた一般的な「C」形状を有する視標記号を表示するように構成され、前記切れ目の前記向きは、前記個人によって指し示される、先行する項目のいずれか1つに記載のモバイルデバイス。
【0117】
6.前記画面は、前記個人の視覚の前記検査として視覚障害、特に変性または暗点を検出するために、中央の点を有する格子を表示するように構成され、ゆがんだおよび/またはぼやけた領域は、視野の焦点を前記点に合わせながら前記個人によって指し示される、先行する項目のいずれか1つに記載のモバイルデバイス。
【0118】
7.前記モバイルデバイスは、前記検査パターンが表示される前記輝度を予め規定された範囲内に制御するように構成され、前記予め規定された範囲は、特に約100ルクス〜約300ルクス、より好ましくは約150ルクス〜約250ルクスの範囲内で選択され、さらに好ましくは約200ルクスである、先行する項目のいずれか1つに記載のモバイルデバイス。
【0119】
8.前記モバイルデバイスは、前記眼同士の間の推定された距離を使用して、前記モバイルデバイスのカメラおよび前記画面を使用して前記個人の顔を追跡することによって、前記個人の少なくとも一方の眼との前記距離を評価し、前記眼と前記画面との間の前記推定された距離が規定された範囲、特に約35cm〜約45cmの範囲内であるか否かを判断するように構成される、先行する項目のいずれか1つに記載のモバイルデバイス。
【0120】
9.前記モバイルデバイスは、周囲光を測定するように構成されたセンサをさらに備え、前記モバイルデバイスは、前記周囲光が規定された範囲、特に約10ルクス〜約2000ルクスの範囲内であるか否かを判断するように構成される、先行する項目のいずれか1つに記載のモバイルデバイス。
【0121】
10.前記モバイルデバイスは、前記眼と前記画面との間の前記推定された距離および/または前記周囲光度が前記規定された範囲内である場合にのみ前記検査を行うことができるように構成される、項目8または9に記載のモバイルデバイス。
【0122】
11.前記モバイルデバイスは、前記行われた視覚検査の結果を格納するためのメモリを備える、先行する項目のいずれか1つに記載のモバイルデバイス。
【0123】
12.前記モバイルデバイスは、検査結果をダッシュボードに送信するための送信機を備え、前記検査結果は、医師の診察室からオンラインでアクセス可能であり、前記ダッシュボードは、安全性が保証されたサーバに格納された医療データを表示する、先行する項目のいずれか1つに記載のモバイルデバイス。
【0124】
13.前記モバイルデバイスはさらに、ゲームを実行するように構成され、前記ゲームは、予め定められた時間間隔で視覚検査が行われる場合にのみ実行または継続可能である、先行する項目のいずれか1つに記載のモバイルデバイス。
【0125】
14.前記モバイルデバイスは、スマートフォンまたはタブレットコンピュータである、先行する項目のいずれか1つに記載のモバイルデバイス。
【0126】
15.個人の視覚を検査する方法であって、
スマートフォンまたはタブレットコンピュータなどのモバイルデバイスの画面上に表示された検査パターンを使用して前記個人の視覚の検査を行うステップを備え、前記個人の視覚の前記検査は、近見視力を検査すること、コントラスト感度を検査すること、および視覚障害、特に変性または暗点を検出することのうちの1つ以上を含み、前記方法はさらに、
パラメータを評価するステップを備え、前記パラメータは、前記個人の眼と前記画面との間の距離、前記検査パターンが表示される輝度、および周囲光度のうちの少なくとも1つを含む、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】