特表2021-519196(P2021-519196A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-519196(P2021-519196A)
(43)【公表日】2021年8月10日
(54)【発明の名称】前方頭位補正カラー
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/01 20060101AFI20210712BHJP
【FI】
   A61F5/01 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2021-500504(P2021-500504)
(86)(22)【出願日】2019年3月22日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月24日
(86)【国際出願番号】US2019023672
(87)【国際公開番号】WO2019183533
(87)【国際公開日】20190926
(31)【優先権主張番号】62/646,523
(32)【優先日】2018年3月22日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520367566
【氏名又は名称】ロナルド ピー. デラーノ
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド ピー. デラーノ
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB03
4C098BC08
4C098BC17
4C098BC20
4C098BD04
4C098BD14
(57)【要約】
前方頭位補正カラーであって、肩カラーアセンブリと、前方頭位補正カラーの装着者の頭部を係合し、かつ位置決めする顎先マストイドピースと、前方頭位補正カラーの装着者の頭部を係合し、かつ位置決めする頬又は顎ピースと、顎先ピースをカラーアセンブリに相互接続して、顎先ピースを手動で、好ましくはZ方向に増分的に調節可能にし、それによって、装着者の支持された頭部を前方頭位から次第に補正位置に調節することを可能にする相互接続手段と、を備える、前方頭位カラーが提供される。相互接続手段は、Z軸に沿った顎先マストイドピース及び/又は頬又は顎ピースの増分的調節と同時に、かつそれに比例した、肩カラーアセンブリに対して垂直方向に顎先マストイドピースを変位させるように更に適合される。顎先マストイドサポートピースのz軸変位に対して比例する垂直変位は、横方向Z軸に対して約5〜25°の傾斜で移動する点によって生じる。補正カラーは、カラーの後部に固定され、装着者の後部と係合可能であり、装着者の1つ以上の椎骨に対して補正力を加えることが可能な前弯補正アセンブリを更に含んでいても良い。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の頭部を所望の位置に位置合わせするのに用いられる調節可能な前方頭位アセンブリであって、
前記装着者に脱着可能に装着されるのに適合した第一メンバと、
前記第一メンバに移動可能かつ適合可能に固定された第二メンバであって、前記装着者の体の一部と係合する部分、及び前記第二メンバを所望の位置へ移動可能とする第一サブアセンブリを有する第二メンバと、
前記第二メンバに移動可能かつ適合可能に固定された第三メンバであって、前記装着者の体の一部と係合する部分、及び前記第三メンバを所望の位置へ移動可能とする第二サブアセンブリを有する第三メンバと、
を備え、
使用者が望む前記装着者の前記頭部の位置を所望の位置へ移動であって、前記頭部の第一状態から第二状態への移動のために、前記使用者によって前記第一サブアセンブリが操作される、前方頭位アセンブリ。
【請求項2】
前方頭位補正カラーであって、
肩カラーアセンブリと、
前記前方頭位補正カラーの装着者の頭部を係合する顎先マストイドピースと、
前記前方頭位補正カラーの前記装着者の前記頭部を係合し、かつ位置決めする頬又は顎ピースと、
前記顎先マストイドピース及び/又は前記頬又は顎ピースと、前記肩カラーアセンブリとを相互接続する手段と、
を備える、前方頭位補正カラー。
【請求項3】
前記前方頭位補正カラーの後部に固定され、前記装着者の後部と係合可能であり、特定の椎骨に対して増大した圧を加えることを可能とすることにより補正力を加えることができる前弯補正アセンブリを更に備える、請求項2に記載の前方頭位補正カラー。
【請求項4】
前記前弯補正アセンブリが、複数の別個の隣接ユニットを含み、
それぞれの前記隣接ユニットが、選択された椎骨に対して前記椎骨の後部から個別に前進させることができる前進可能面を有する、請求項3に記載の前方頭位補正カラー。
【請求項5】
肩アセンブリに対する前記顎先マストイドピース及び/又は前記頬又は顎ピースの垂直変位を可能とするよう操作可能であり、Z軸に対して10°〜25°の傾斜で移動する点によって生じる顎先サポートピースのZ軸変位に比例する、請求項2に記載の前方頭位補正カラー。
【請求項6】
補正アセンブリのユニットの前進可能面であり、複数の隣接するパッドによって画定される前進可能面を、更に備える、請求項2に記載の前方頭位補正カラー。
【請求項7】
選択された椎骨に対して選択された加圧を可能とするために、前記パッドの遠位面が前記装着者の前記椎骨に対して選択的に変位可能である、請求項5に記載の前方頭位補正カラー。
【請求項8】
変位可能とするために、前記パッドが個別に膨張可能である、請求項6に記載の前方頭位補正カラー。
【請求項9】
所望の調節が達成された場合に、前記顎先マストイドピース及び/又は前記頬又は顎ピースと前記肩アセンブリとの間の位置をロックするための手段を更に含む、請求項2に記載の前方頭位補正カラー。
【請求項10】
前記ロックするための手段が、更なる調節を可能とするために解除可能である、請求項8に記載の前方頭位補正カラー。
【請求項11】
前記補正カラーの各横方向側面に設けられ、カラーの各横方向側面でバランスの取れた移動を可能とするトラックアンドピニオンギアを更に備える、請求項2に記載の前方頭位補正カラー。
【請求項12】
前記顎先マストイドピース及び/又は前記頬又は顎ピースと、前記肩カラーアセンブリとを相互接続する前記手段が、Z軸に沿って前方/後方(Z軸)方向に前記肩カラーアセンブリに対して前記顎先マストイドピース及び/又は前記頬又は顎ピースを手動で増分的に調節する可能とする、請求項2に記載の前方頭位補正カラー。
【請求項13】
前記顎先マストイドピース及び/又は前記頬又は顎ピースを前記肩カラーアセンブリに相互接続する前記手段が、
前記顎先マストイドピース及び/又は前記頬又は顎ピースの前記肩アセンブリに対する垂直及び水平変位に対応する垂直対水平変化率を有する傾斜で配置された前記顎先マストイドピース及び/又は前記頬又は顎ピースに固定されたトラックと、
前記トラックの歯と係合するピニオンギアと、
前記ピニオンギアの回転位置に従って前記顎先マストイドピース及び/又は前記頬又は顎ピースを前記肩アセンブリに対して変位させる、請求項2に記載の前方頭位補正カラー。
【請求項14】
前記肩アセンブリに対する前記顎先マストイドピース及び/又は前記頬又は顎ピースの垂直変位が顎先サポートピースのZ軸変位に比例し、Z軸に対して10〜25°の傾斜で移動する点によって生じる、請求項2に記載の前方頭位補正カラー。
【請求項15】
前記前弯補正アセンブリが、膨張可能なチャンバと、所望の補正に形状が対応する使用者に面する表面と、を備える、請求項3に記載の前方頭位補正カラー。
【請求項16】
前記前弯補正アセンブリがカラーの後部に固定され、上部、中部、及び/又は下部頸椎に補正力を加えるために、前記装着者の後部と係合可能である、請求項3に記載の前方頭位補正カラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年3月22日出願の米国仮出願第62/646,523号を基礎とする優先権を主張するものであり、その内容は、全体として本願に組み込まれるものである。本発明は、整形外科的補正装置及び器具に関するものであり、具体的には、前方頭位補正カラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
前方頭位は、我々の社会において、ますます増加している疾患である。整形外科医、カイロプラクターや他の医療従事者によく知られているように、ヒトの頭部は、本来、首及び肩の上に直接的に位置するべきである。一部には我々の社会において増えているいくつかの習慣のために、頭部は、首及び肩の上に直接的に位置しておらず、その通常の位置よりも前方の「前方頭位」(又は「FHP」)と呼ばれる位置に変位された位置に変位され得る。FHPは、耳の位置が肩の上に直接的に位置するのに対して、耳の位置が肩と比較して前方にある場合として識別可能である。FHPは非常に広範囲に広がっており、未治療のまま放置すると、FHPは数多くの人に影響を及ぼす変形性及び障害を伴う関節疾患を発症する可能性があるため、パンデミックの派生効果を有する健康被害が既に発生している可能性がある。
【0003】
FHPがこのようなより一般的な問題になっている理由は数多くある。例えば、コンピュータスクリーンの使用が大幅に増加すると、操作者は頭部(及び耳)を望ましくない前方頭位に動かし、それが習慣となる。この問題は、従来のテレビ視聴については言うまでもなく、テレビゲームに長時間傾注することによって、子供及び若年成人において悪化する。特に子供における当該疾患の原因であると信じられている更に別の原因は、子供が極めて重いバックパックを学校の行き帰りに携行するという現状の慣習である。そのようなバックパックの重量は、荷重に対し釣り合いを取るために前方位置に頭部に置く必要があるほど大きく、その結果、子供及び若年成人の両方における前方頭位の所見が増加している。また、FHPは、所定の選手の頭部が想定外の方向に移動するフットボールやサッカーのようなコンタクトスポーツをしているアスリートにおいて発生する。フットボールにおいては、プレイヤーがタックルされたりブロックされたりする際に、プレイヤーの頭部がいくつかの方向に移動することが知られている。この場合、頭部は脊柱にストレスを生じさせる方向に移動し、頭部は、肩の前方に並進する。同種の移動は、サッカー中に所定のプレイが自分の頭部を使用してサッカーボールを打つことである場合に、発生することがある。
【0004】
前方頭位(FHP)による基本的な障害は、脊柱の上方の頸部部が慢性的に位置ずれを起こすことがあるために生じる。頭部は肩の前方に並進することになる。頭部が肩の前方に1インチ移動するごとに、機械的荷重が頸部に劇的に加えられる。例えば、姿勢が悪い個人は解剖学的に正しい0度と見なされる位置から、所定の度数だけ頭部が並進している場合がある。通常の解剖学的位置では、頭部は、耳が肩の中心と整列するように、0度の位置で肩の前方に並進している。この位置では、首及び頸椎に荷重される重量は約10〜12ポンドである。頭部が前方に移動し、耳が中心線から離れると、首に荷重されるポンド数が増加する。15度の変位で最大で27ポンド、16度の変異で更に60ポンドの荷重が首に加えられることになる。頭部が前方に位置することで、脊柱は解剖学的アライメントから引き出され、また、頸椎上に30ポンドもの異常なレバレッジが加えられ、その結果、脊柱をアライメントから引き出すことができる。頭位の移動により、背中の上部及び首の領域の筋肉は、頭部が胸部に向かって前方に落ちるのに対抗して、頭部(顎先を含む)を適切な位置に保つためにより厳しく機能するよう強いられる。FHPは頸部前弯の喪失により肺活量の30%の喪失をもたらし得ることが、当業者間で知られている。頸部前弯とは、頸椎又は首の領域の椎骨が弯曲した状態のことをいう。頸椎に存在する僅かなカーブにより、首を楽に動かすことができ、頭部の重量を支えることができる。頸椎のカーブは頭部の正常な移動を可能にするために、椎骨間の柔軟性を許容する。頸部前弯の範囲は34〜44度である。許容可能な頸部前弯カーブが失われたり、位置ずれたりして、脊柱の自然な湾曲が変更されると、首や背中の痛み、首の硬直、回転性めまいや悪心、頭痛や耳鳴、高血圧、不眠や疲労、首のしびれ感や刺痛感、また、当該技術分野で知られている他の症状等、多くの症状として生じる問題が起こり得る。
【0005】
FHPに起因する困難は治癒技術分野では確かに十分に認識されているが、整形外科的装置などによる治療によってそれを補正する努力は成功していない。基本的には、頸部を何らかの方法で固定するための頸部カラーを使用するような形で、努力がなされてきた。これらのカラーの目的、又は他の先行技術治療の目的は、単に、頭部をその不適切な位置から変位させるために牽引力を利用することであった。
しかしながら、これらの先行技術カラーも、出願人の知る限りの、現在利用可能な他のいかなる装置及び/又は器具も、FHPの有害な効果を改善させるのに効果的ではない。
【0006】
本明細書で使用されるように、用語「Z軸」は仮想のヒトにおける1組の軸において前後方向に延びる水平軸を指し、対応する垂直軸はY軸であり、そのヒトにおける左右方向の水平軸はX軸である。使用又は提案されてきた先行技術装置の多くは、Z軸に沿った調節を達成しながらも、頸部前弯を同時に改善することには配慮されていなかった。ほとんどの頸椎カラーは、頸部を固定する、及び/又は軸方向並進に頸椎を除圧させる一方で、頸椎を直線化させるように設計されている。これは靭帯の障害が直線化された頸椎カーブの周囲では改善できないため、混合した効果をもたらす可能性がある。なぜならこれは異常なアライメントであり、最終的には頸椎関節への永続的な関節炎性変性をもたらすことになるからである。靭帯リハビリテーションには、長期の関節アライメントの改善が必要である。頸部前弯を改善するために設計された最新の伸展牽引療法のほとんどは、20分以内に実施される。
【0007】
その開示の全体が参照により本願に組み込まれる、デラーノ(Dellanno)の米国特許第8,038,635号には、肩カラーアセンブリと、カラーの装着者の頭部に係合して位置決めするための顎先マストイドピースと、肩カラーアセンブリと顎先マストイドピースとを相互接続し、Z軸に沿って前方/後方(Z軸)に頭部に対して顎先マストイドピースを手動で増分的に調節するためのするための相互接続手段と、を組み合わせて特徴とする前方頭位補正カラーが教示されている。FHPの補正に使用するための調節可能なカラーを提供することが望ましい。肩カラーアセンブリと、カラーの装着者の頭部に係合し、位置決めするための、顎先マストイドピースと、頬又は顎ピースと、を組み合わせて特徴とする前方頭位補正カラーを提供することが望ましい。顎先よりもむしろ頬顎に加えられる力を使用して係合し、位置決めすることが好ましい。デラーノ(Dellanno)の目的の1つは、長時間にわたって完全な補正カラーにより頸部前弯を改善することである。したがって、本発明は比較的快適であり、損傷した首の健康を損なう不健康な姿勢を回避するために、職場や家庭において、又は睡眠時間中でさえも使用することができる。
【発明の概要】
【0008】
装着者の頭部を所望の位置に位置決めするのに使用される調節可能な前方頭位アセンブリを特徴とする。アセンブリは、アセンブリを装着者に取り外し可能に取り付けるための第一メンバと、第一メンバに調節可能に固定された第二メンバと、第二メンバに調節可能に固定され、装着者の顎先に係合するための第三メンバとを備える。第二メンバは装着者の頭部の一部と係合し、第三メンバを位置決めするために第一メンバに対して移動するように適合されている。第三メンバは装着者の頭部の別の一部と係合し、第二メンバに調節可能に固定される。第二メンバ及び第三メンバの調節可能な動きは、個別に又は組み合わされて、装着者の頭部を第一状態で捕捉し、頭部を第二状態に移動させるために有利に使用され、第二状態は位置アセンブリの操作者によって所望されるような身体に対する頭部の好ましい位置である。
【0009】
別の実施形態では、肩カラーアセンブリと、カラーの装着者の頭部に係合するための顎先マストイドピースと、カラーの装着者の頭部に係合して位置決めするための頬又は顎ピースと、顎先マストイドピース及び/又は頬又は顎ピースを肩カラーアセンブリと相互接続するための相互接続手段と、を含む前方頭位補正カラーアセンブリを特徴とする。
【0010】
カラーの装着者の頭部に係合し、位置決めする頬又は顎ピースは、顎先マストイドピースを肩カラーアセンブリに相互接続するための相互接続手段に取り付けられ、接続され、又は実質的にその一部であってもよい。装着者の頭部と係合し、位置決めするための頬又は顎ピースは、頬又は顎との係合を緩衝するための1つ以上のパッドを装備するか、又は含むことができる。Z軸に沿って前方/後方(Z軸)方向に肩カラーアセンブリに対して顎先マストイドピース及び/又は頬又は顎ピースを手動で増分的に調節するための手段が設けられていても良い。Z軸に沿って前方/後方(Z軸)方向に肩カラーアセンブリに対して顎先マストイドピース及び/又は頬又は顎ピースを手動で増分的に調節するための手段は、Z軸に沿った増分的調節と同時に、かつそれに比例して、顎先マストイドピース及び/又は頬又は顎ピースを肩カラーアセンブリに対して垂直方向に変位させるために、顎先マストイドピース又は頬又は顎ピースを肩カラーアセンブリに更に相互接続するものであってもよい。顎先サポートピース及び/又は頬又は顎ピースのZ軸変位に比例する肩アセンブリに対する顎先マストイドピース及び/又は頬又は顎ピースの垂直方向の変位は、Z軸に対して5〜25°の傾斜で移動する点によってもたらされ得る。顎先マストイドピース及び/又は頬又は顎ピースを肩カラーアセンブリに相互接続する手段は、顎先マストイドピース及び/又は頬又は顎ピースの肩アセンブリに対する垂直及び水平変位に対応する垂直対水平変化率を有する傾斜で配置された顎先マストイドピースに固定されたトラックと、トラックの歯と係合するピニオンギアと、ピニオンギアの回転位置に従って顎先マストイドピース及び/又は頬又は顎ピースを肩アセンブリに対して変位させる手段と、を特徴とすることができる。当該手段は、装着者の支持された頭部を前方頭位から次第に補正される位置に調節することができる。
【0011】
前方頭位補正カラーは、カラーの後部に固定され、装着者の後部と係合可能な前弯補正アセンブリを特徴とし、これにより、特定の椎骨に対して増大した圧を加えることを可能にし、補正力を加えることができる。前弯補正アセンブリは、それぞれが選択された椎骨に対して椎骨の後部から個別に前進させることができる前進可能面を有する、別個の隣接ユニットを含む。
【0012】
前方頭位補正カラーは肩アセンブリに対する顎先マストイドピース及び/又は頬又は顎ピースの垂直変位を可能にすることができ、これは、Z軸に対して10〜25°の傾斜、好ましくは約10°の傾斜で移動する点によって生じる顎先サポートピースのZ軸変位に比例する。前方頭位補正カラーは、複数の別個の並列パッドによって画定される補正アセンブリの単位の前進可能面を提供することができる。パッドの遠位端は、装着者の椎骨に向かって選択的に変位可能であり、選択された椎骨に対する圧の選択的増大を可能にする。パッドは、前記移動を可能にするために個別に膨張可能であってもよい。
【0013】
前方頭位補正は、所望の調節が達成されたときに顎先マストイドピース及び/又は頬又は顎ピースと肩アセンブリとの間の位置をロックするための手段を含む。ロック手段は、さらなる調節を可能にするために解除可能であってもよい。トラックアンドピニオンギアは、補正カラーの各横方向側面に設けられ、カラーの各横方向側面でバランスの取れた移動を可能にすることができる。
【0014】
前方頭位補正カラーは、膨張可能なチャンバと、所望の補正に形状が対応する使用者に面する表面と、を備える補正アセンブリを含む。カラーの後部に固定された前弯補正アセンブリは上部、中部、及び/又は下部頸椎に補正力を加えるために、装着者の後部と係合可能であってもよい。カラーの後部に固定された前弯補正アセンブリは装着者の少なくとも頸椎に補正力を加えるために、装着者の後部と係合可能であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下の添付図面を例示としつつ、本発明について図面を用いて説明する。
図1図1は、本発明の一実施形態に係る補正カラーの正面斜視図である。
図2図2は、図1の装置の側方斜視図である。
図3図3は、図1の装置の後方斜視図である。
図4図4は、図1の装置の正面図である。
図5図5は、図1の装置の背面図である。
図6図6は、治療中の個人に使用されている図1の装置の正面図である。
図7図7は、装置に使用可能な膨張可能前弯補正アセンブリの詳細を示す、図6と同様の図である。
図8図8(A)及び図8(B)は、図1の装置に使用可能な顎先マストイドピース及び顎先マストイドピース支持ブラケットの側面図及び上面図である。
図9図9(A)、図9(B)、及び図9(C)は、それぞれ、図1の装置に使用可能な顎先マストイドピース支持ブラケットの、平面図、上面図、及び背面図である。
図10図10は、図9(A)、図9(B)、及び図9(C)に示す構成要素の分解斜視図である。
図11図11及び図11Aは、個人の脊柱の頸部及び上方胸部において、膨張可能な前弯補正アセンブリの発明が、どのようにして前弯を補正する発明の他の特徴と共働して用いられるかを示す側方模式図である。
図12図12は、図11及び図11Aと同様の側方模式図であるが、個人の首の後部に硬質フォーム前弯パッドが接触している状態で、1つの位置において空気ブラダーが充填されている図である。
図13図13は、首の後方に圧を加える加圧機構として、首の甲に接触する空気ブラダーと前弯パッドを示す側方模式図である。
図14図14は、図13と同様の側方模式図であるが、各個別の加圧手段が、それぞれ個別のフォーム前弯パッドと一致している図である。
図15図15(A)、図15(B)、及び図15(C)は、それぞれ、図14及び図15で用いられる加圧機構の上面模式図、正面模式図、及び側面模式図である。
図16図16は、図15(A)、図15(B)、及び図15(C)の加圧機構の分解図である。
図17図17は、発明に包含される装置の他の実施形態の模式的側方斜視図である。
図18図18は、図17に示す装置の模式的後方斜視図である。
図19図19は、図17に示す装置の正面図である。
図20図20は、図17に示す装置の側面図である。
図21図21は、図17に示す装置の背面図である。
図22図22は、図17に示す装置の分解された状態の構成要素を示す、分解図である。
図23図23は、図17に示す装置の、アセンブリ及び操作を示す斜視図である。
図24図24は、図17に示す装置の、アセンブリ及び操作を示す斜視図である。
図25図25は、図17に示す装置の、アセンブリ及び操作を示す斜視図である。
図26図26は、図17に示す装置の、アセンブリ及び操作を示す斜視図である。
図27図27は、図17に示す装置の、アセンブリ及び操作を示す斜視図である。
図28図28は、図17に示す装置の、操作を示す斜視図である。
図29図29は、図17に示す装置の、操作を示す斜視図である。
図30図30は、図17に示す装置の、操作を示す斜視図である。
図31図31は、図17に示す装置の、操作を示す斜視図である。
図32図32は、図17に示す装置の、仮想的個人装着者に対する使用を示す斜視図である。
図33図33は、図17に示す装置の、仮想的個人装着者に対する使用を示す斜視図である。
図34図34は、図17に示す装置の、仮想的個人装着者に対する使用を示す斜視図である。
図35図35は、図17に示す装置の、仮想的個人装着者に対する使用を示す斜視図である。
図36図36は、図17に示す装置の、仮想的個人装着者に対する使用を示す斜視図である。
図37図37は、図17に示す装置の、仮想的個人装着者に対する使用を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、矢状面に対して有意な補正Z並進力を持つ温和な軸方向並進を利用する、新しい形式の前方頭位(FHP)補正カラーである。本発明は、FHPを患う患者が容易に使用することができる整形外科的補正装置であって、FHPが患者の7つの頸椎すべてに発生させる圧縮荷重、せん断、及び頸部モーメントの損傷効果を改善させることができる補正装置を提供する。
【0017】
本発明によれば、肩カラーアセンブリと、顎先マストイドピースと、カラーの装着者の頭部と係合し、位置決めするための頬又は顎ピースと、顎先マストイドピース及び/又は頬又は顎ピースをカラーアセンブリに相互接続して、前方頭位補正カラー及び/又は頬又は顎ピースを手動で、好ましくはZ方向に増分的に調節可能にし、それによって、装着者の支持された頭部を前方頭位から次第に補正位置に調節することを可能にする相互接続手段と、を備え、相互接続手段は、Z軸に沿った顎先マストイドピース及び/又は頬又は顎ピースの増分的調節と同時に、かつそれに比例した、肩カラーアセンブリに対して垂直方向に顎先マストイドピース及び/又は頬又は顎ピースを変位させるように更に適合される、前方頭位補正カラーが提供される。顎先マストイドサポートピース及び/又は頬又は顎ピースのz軸変位に対して比例する垂直変位は、約5〜25°の傾斜で、好ましくは横方向Z軸に対して10〜25°の傾斜で移動する点によって生じる。
【0018】
FHP補正カラーは、カラーの後部に固定された前弯補正アセンブリをさらに含むことができる。このアセンブリは上部、中部、及び/又は下部の頸椎に補正力を加えるために、装着者の後部と係合可能である。前弯補正アセンブリは7つの頸椎のうちの1つのみ又はいくつかのみを選択的に支持するために使用することもでき、頸部湾曲全体を支持する必要はない。さらに、アセンブリは所定の患者との適合に応じて、1つ以上の上部胸椎を支持することができる。
【0019】
「前方」及び「後方」との用語は、頭部の屈曲及び伸展の動きに適用する場合、しばしば誤用されることが認識されるべきである。本明細書に記載されるように、基準座標系は、x軸が前額面において右から左に延び、y軸が垂直軸であり、z軸が前方から後方の矢状面内に存在するものである。本発明は、矢状面に沿った並進運動、すなわちz軸の指示(前方から後方)に関する。これは、例えば、ボナッティ(Bonutti)の米国特許第6,770,047号のような、x軸の周りの回転運動(屈曲及び伸展又は上下運動)に関する代表的な先行技術に例示されているような多くの先行技術と対照的である。例えば、ボナッティ(Bonutti)の図4及び図5を参照されたい。例示的な先行技術であるボナッティ(Bonutti)は、首を屈曲(x方向負の向き、図4参照)又は伸展(x方向正の向き、上方、図5参照)に伸ばすように設計されている。患者はそのネーバル領域に位置する調節可能な制御ノブによってこの運動を制御することができるが、本発明においては、制御ノブは首部領域にあり、完全に異なった運動を引き起こす。したがって、本発明は、前方(正のz軸)及び後方(負のz軸)に移動する首部装具を有する。本発明において、屈曲や伸展の運動はない。本発明は、頸部前弯破壊を部位別に補正し、前方頭位を補正することを目的とする。本発明の設計は、意図された運動目標によって決定される。
【0020】
図1図2図3図4図5、及び図6の図面においては、前方頭位補正カラー10は、肩カラーアセンブリ12、及び顎先マストイドピース14を備え、カラーの装着者の頭部に係合して位置決めするための頬又は顎ピース19も有している。頬又は顎ピース19は、補正カラー10の装着者の頭部16を、調節可能に再配置するように肩カラーアセンブリ12に対して移動可能である。顎先マストイドピース14及び/又は頬又は顎ピース19は、トラック20及びロッド26によって、一対の顎先マストイドピース支持ブラケット18の一方に、その側部の各々で接続される。このようなロッド26が1つずつ、カラー16の両側に存在する。各々の顎先マストイドピース支持ブラケット18は、接続ロッド26の下端及びストラップ28によって肩カラーアセンブリ12及び後方の前弯補正アセンブリ24(図7)に接続されている。カラーの装着者の頭部に係合し、位置決めするための頬又は顎ピース19は、パッド39を備えることができ、鼻に対して横方向の位置で個人の頬又は顎に係合するのに適している。
【0021】
肩カラーアセンブリ12に対する顎先マストイドピース14及び/又は頬又は顎ピース19のZ変位及び垂直変位位置は、カラー10の各横方向側でノブ35によって調節され、その各々はトラック20(図10)の歯と噛み合うピニオンギア36を回す。各ノブ35が移動する回転角は調節中は同じであり、顎先マストイドピース及び/又は頬又は顎ピース19の変位における対称性を最大限保持することが好ましい。このような回転の同一性は、手動で、又は単純な相互接続によって制御することができる。調節中の移動は、後方のブラダーアセンブリ24の上部が明確にするために取り除かれている図面から見ることができる。調節によって生じる新しい位置は、影で示されている。
【0022】
装置の動作は、図2図6を参照することによってより良く理解される。顎先マストイドピース14及び/又は頬又は顎ピース19には、トラック20が設けられている(一対のうちの一方がピース14の対向する側面に対称的に固定されている)。トラック20の形状は、図10において良く図示されている。顎先マストイドピース14及び/又は頬又は顎ピース19は、顎先マストイドピース及び/又は頬又は顎ピース19の片側に永久的に固定され、外側に突出するアライメントピン30を有する。顎先マストイドピース14及び/又は頬又は顎ピース19は、ブラケット本体33と摺動可能に係合するトラック20を介してブラケット18に取り付けられる。このように、位置合わせピン30はブラケット18と係合し、ピボットキャップ34によって保持されていることが分かる。ロッド26の各々は、位置合わせピン30と肩アセンブリ12上のアンカー点との間に固定される。エア又は他のシリンダ22をロッド26に接続し、手動調節中に減衰手段として作用させることができる。
【0023】
これにより、ノブ35が回転されると、支持トラック20の傾斜のために、及び支持ブラケット18内に維持される位置合わせのために、顎先マストイドピース14及び/又は頬又は顎ピース19の上方への移動がアセンブリ12に対して可能となる。支持ブラケット18は、明確のために0°で概略的に示されている。
【0024】
支持ブラケット18と顎先マストイドピース14及び/又は頬又は顎ピース19との間の相互作用は、図10により良く図示されている。調節が行われると、ロッド26は、いったん調節が完了するとロックされる回転解放手段23(図1)によって最初に解放される。支持トラックの傾斜は約50°〜約25°の範囲とすることができ、好ましい傾斜範囲は約10°〜約25°であり、典型的な好ましい傾斜は約10°である。
【0025】
頬又は顎ピース19は、カラーの装着者の頭部に係合し、位置決めする。頬又は顎ピース19は、パッド39を備えることができ、個人の頬又は顎を鼻に対して横方向の位置で係合させるのに適している。
【0026】
顎先マストイドピース14及び/又は頬又は顎ピース19、及び関連する支持ブラケット18の側面斜視図及び上面斜視図は、図8(A)及び図8(B)に示される。乳様突起は対象者の耳の後方に位置し、前方頭位を補正する際に頭部を後方に動かすための優れたレバーアームとして働く。乳様突起は、顎先が顎の一部である一方で、頭部の一部であり、頭部につながっている。顎先を単独で係合させて使用することは可能であるが、顎の問題を引き起こす可能性がある。
【0027】
図7図11、及び図12に更に示されるように、本装置はこれらの概略図に示されるように、使用者が膨張可能な部位及びその下にある圧接面29を備えることができる前弯補正アセンブリ24と接続させることもできる。アセンブリ24は、符号38(図13)に示すような簡単なハンドバルブによって膨張可能である。このアセンブリの目的は、顎先マストイドピース14及び/又は頬又は顎ピース19の選択された変位位置が達成されることにより、前弯カーブが補正されることである。前弯補正面29の正確な形状は、デラーノ(Dellano)の米国特許第5,181,763号、第5,290,091号、及び第5,580,124号(これらの開示は、本願において参照として組み込まれる)において詳細に論じられている装置及び曲率構成と同様とすることができる。
【0028】
補正面29は、複数の別個の隣接パッド39を備えることができる。これらは発泡体若しくは同様の材料であってもよく、又は図11及び図11aに示されるように、それぞれ別個の膨張可能な単位又はセルであってもよい。これにより、指定された椎骨に対して、選択的により高い圧力を供給することが可能になる。これにより、41、43等の別々の入力ポートを空気圧源に接続して、特定の椎骨に対して接続された膨張可能ユニットを膨張させることができる。図11Aは、拡張されたパッド39aをC7椎骨に対して前進させるために行われる場合の接続を示す。インプットポート41とパッド39との間の相互接続は、管や適当な弁によって行われる。
【0029】
また、前述のように、パッド39は、硬質若しくは軟質の発泡体、又は他の材料で形成された非膨張性ユニットであってもよい。このような場合、パッドは、簡単な機械的配置によって所望の椎骨に対して選択的に前進させることができる。パッド39の遠位端(患者から遠い)は硬質板で覆うことができ、硬質板は、筐体45を通ってアセンブリの後部の点まで延在する調節可能なねじ付きメンバ50によって患者に向かって付勢される。図13及び図14に示すように、複数の調節可能な前進手段44が個々の発泡体パッド39と接続されている。手段44のための適切な構造が、図15(A)、図15(B)、図15(C)、及び図16に示されている。ねじが切られた部材は、ボタン46に接し、ばね48とエンドキャップ49によって保持されている嵌合ハーフナット47を通過し、このナットはアセンブリに抗して支持され、その回転によって調節を可能にすることができる。
【0030】
パッド39はまた、膨張可能であってもよいが、使用者の脊柱に直接的に当接する代わりに、別個であるが脊柱に接触するパッドを駆動することができ、このような別個のパッドは発泡体又は他の材料から構成される。
【0031】
本発明の特徴は、顎先マストイドピース及び/又は頬又は顎ピースを肩カラーアセンブリと相互接続する手段が提供されることであり、これらの手段は手動及び漸増的に調節可能であり、顎先マストイドピース及び/又は頬又は顎ピースが2つの明示的な方向に同時に移動することができ、これらのうちの1つは、前後方向、すなわち、Z軸に沿ってであり、また肩カラーアセンブリに対して垂直方向である。さらに、これらの2つのタイプの同時移動は、垂直方向に沿った変位がZ軸に沿った増分同時変位に比例するものである。本発明のこれらの原理の機能は、頭部及び脊柱の構成(A、B、及びCで)の変更、及び前述のステップワイズ及び期間ワイズの調節が(ノブ35を介して)肩カラーアセンブリ14に対する顎先マストイドピース12及び/又は頬又は顎ピース19の位置決めにおいて行われるときに生じる脊椎前弯の変更を、非常にグラフィカルに示す図18によって、最も良く理解される。
【0032】
本発明は、頸部脊椎後弯症/前方頭位症として知られる医学的状態を治療しようとするものである。このような損傷状態を補正するためには、頸部カーブを反転させている正確な椎骨で患者の頸部カーブを支え、同時に頭部を後方に再配置して肩の上に合わせなければならない。この後者の動きは、後方への並進運動であり、引用された先行技術に見られるような回転運動ではない。
【0033】
図17は、装着者の頭部を所望の状態に位置決めする際に使用するための、調節可能なカラーアセンブリ60の代替実施形態を示す。カラー60は、前述のカラー10と同様な方法で使用される。カラー60は、ベース支持体を形成する第一アセンブリメンバ62を備え、その上に可動の第二アセンブリメンバ64が取り付けられている。第二アセンブリメンバ64は、カラーアセンブリ60が使用されている際に、第一アセンブリメンバ62から取り外され、第一アセンブリメンバ62に対して移動するようになっている。
【0034】
第一アセンブリメンバ62は、使用者の肩及び首部の周囲を模るか又はフィットする肩パッド66を備える。第一アセンブリメンバ62は、好ましくはポリプロピレン、ポリエチレン、又はナイロンのような、比較的硬いが、比較的柔軟で耐久性のあるポリマーで作られる。好ましくは、ある様式のプラスティックがカラーアセンブリ60の構成要素の大部分に使用され、軽量化され、長期間使用された場合に耐久性のある装置を提供する。
【0035】
パッド66は、2つのアーム68及び70を有し、これらは、ネックサポート74が2つのアーム68及び70から離れるように延びる背面72で互いに接合される。好ましくは、2つのアーム68及び70が、同じ材料で作られた背面72を組み込んだ射出成形法を用いて、ナイロンで作られる。パッド66の装着及び使用を緩衝するために、カラーアセンブリ60は、使用者と係合するのであろう第一アセンブリメンバの表面に取り付けられる耐久性があるが柔らかい緩衝材を有している。材料は、好ましくはスエード、又は使用者が着用するのに快適な他の衝撃吸収及び緩衝材料を含むことができる発泡積層体である。エポキシ、又は工業グレードの接着剤、又は当技術分野で知られている他の固定手段を使用して、模造スエード材料がバッドに固定されることが好ましい。同様の個々の係合であるが、快適な材料が、頬及び顎部分にも適用される。
【0036】
アームの両側には調節アセンブリ76及び78があり、これらはカラーアセンブリ60の内側に延びる仮想長手方向軸に対して互いに鏡像である。調節アセンブリ76及び78。
【0037】
調節アセンブリ76及び78は互いの鏡像であるので、アセンブリ76について、アセンブリ78の例示として説明する。アセンブリ76は、第二アセンブリメンバの条件及び状態を調節するために、アセンブリ76に取り付けられた移動手段を含む。移動手段は、調節メンバ84に機械的に係合されるトラック82を含む。トラック82は、トラック82の長軸に対する調節メンバ84の動きを制御するための歯を有する。回転可能なノブ86は、トラック82に沿った調節メンバ84の位置を調節するために使用される。ノブ86はトラック82に沿った調節メンバ84の動きを制御するために、時計回り又は反時計回りに回転させることができる。調節メンバ84は取り付けられた状態で、トラック82から離れて延在する。調節メンバ84は、調節メンバ84の長軸に対して、下側の状態から上側の状態に潜望鏡のように動くように適合されたタワーアセンブリ88のための支持体を提供する。カラーアセンブリ60の反対側には、タワーアセンブリ88の鏡像である別のタワーアセンブリ90が存在する。タワーアセンブリ90は、トラック98に移動可能に取り付けられた調節メンバ94に潜望鏡方式で移動可能に接合されている。トラック98及び調節メンバ9は、調節メンバ84に対するトラック82の制御されたステップ状の動きと同一の方法で動作する。調節メンバ84及び94の位置は、それぞれのトラックに沿って動き、好ましくは、それらのそれぞれのトラック82及び98の長手方向軸64及び64’に沿って互いに協調して、タワーアセンブリ88及び90がカラーアセンブリ60の肩部分のネックサポート74の後方に向かって、又は遠ざかるように動く。
【0038】
タワーアセンブリ88及び90は互いの鏡像であるので、タワーアセンブリ88の記述は、タワーアセンブリ90の記述の例示となるであろう。図17及び図18に図示されるように、タワーアセンブリ88は下側の状態(図18)及び上側の状態(図17)を有し、その結果、第三アセンブリメンバ100は、紙面の下端に向かって、タワーアセンブリ88に対して紙面の上端に向かって移動する調節メンバ84に向かって、又はそれから離れて移動することができる。回転可能なノブ102及び204は、タワーアセンブリ88の動きを調節するために(好ましくは協調して)回転させることができ、機械的接続によって、タワーアセンブリ90の動きを長手方向軸64及び64’に近づけたり遠ざけたりすることができ、又は、別の言い方をすれば、調節メンバ84及び98のy軸と並行とすることができる。
【0039】
第三メンバ100は、タワーアセンブリ88及び90に別々に取り付けられた一対の対向するアーム106及び108を有するサブアセンブリを備える。塔メンバ88へのアーム106のアセンブリは例示的であり、タワーアセンブリ90へのアーム108のアセンブリの例示である。アーム06は、タワーアセンブリ88の先端部に回転可能に取り付けられている。アームは、調節可能な延長アーム112が顎先サブアセンブリ114に取り付けられるベース110を含む。延長されたアーム112は、スロットと、アーム112の内部に形成された一連の開口116内を移動するように成形された解放可能に係止されるピンと、を含む。開口部116は、顎先サブアセンブリ114の階段状で制御された動きを容易にし、その結果、係止されるピンをスライドさせ、それを所定の位置に固定することによって、ピースを調節することができる。
【0040】
顎先サブアセンブリ114は、顎先マストイドピース118、対向する頬又は顎ピース120及び122をそれぞれ含み、カラー60の装着者の頭部に係合し、位置決めするための顎先受けメンバ124も設けられる。また、頬又は顎ピース120及び122は、カラーアセンブリ60の位置を調節するように肩カラーアセンブリに対して移動可能とされている。チェック又は顎ピースは、その両側のそれぞれにおいて、一対のタワーアセンブリ88及び90のうちの一方に接続される。顎先アセンブリ114を取り付けることにより、支点アセンブリ124が操作されると、カラーアセンブリが移動して装着者の首及び頸椎の位置を調節することができる。
【0041】
図23に示されるように、支点アセンブリはバネ作動される蝶ネジ127を含み、当該蝶ネジは、それらの内側に対向する側部の中間にバネ130を備えて組み立てられるキャップ126及び板128に作動的に接合される。板130は頸椎の椎骨の特定の部分を所望の位置に移動させるために、頸部の部分と係合するように成形されたパッド付き調節メンバ134を移動させるために使用される支点ロックキー付きメカニズム132に接合される。つまみねじを回すことによって、パッドは、図28及び図29に示すように、頸椎、好ましくはC2〜C7椎骨を押圧して、頸椎をその通常の解剖学的位置に近づける。サムノブはアセンブリ60が個体に装着され、頸椎を調節するために使用される場合に、パッドの横方向の動きを減少させるために適所に留まる。好ましくは使用中、サムノブはパッドの位置が個人の首の前側に向かって、トラックの長手方向軸に並行して、長手方向軸に沿って移動することができるように、調節され得る。ノブの移動は、パッドを脊柱方向に付勢するために時計回りに、又はパッド134を反跳させるために反時計回りに回すことによって制御される。
【0042】
図24〜39は、図17に示されるカラーアセンブリ60のアセンブリ及び搭載状態を示す。使用に際して、医師は個々の患者のx線撮影を行い、頸椎の正常な解剖学的位置からの並進の程度を判定するための検査を実施する。医師は、個人の病歴、変形の原因、身体活動、頸椎の変化の原因と思われるものについて検討する。
【0043】
両側で、肩部の開放端を肩に滑り込ませ、穏やかな圧を加えて、カラーアセンブリ60を個体の頭部に係合させるのを助ける。その後、タワーアセンブリがトラックに沿って移動するように、トラックアセンブリの両側のノブを操作する。支点は、デフォルトの下位置のままにするか、上位置に調節する。調節するには、スプリングを圧縮しながらサムホイールを押し下げ、支点を上下にスライドさせる。
【0044】
支点パッドが所望の位置に移動するまで、蝶ネジを回す。注意:つまみネジは、必要に応じて、患者がカラーを着用している間、この手順で説明したように調節できる。両方のポストは完全な前方位置にあり、トラックと係合していなければならない。顎先当てを跳ね上げ、個人の顎先の下端と係合させる。耳を避けて、頭部の上端からカラーを引っ張り、ポスト上端の小さなノブを緩め、頬の骨の上端に位置するように頬のパッドを均等に調節する。小さなノブを締め直す。スプリングボタンを引き出し、顎先当てを上下にスライドさせ、顎先当てが顎先の下に快適に配置されるようにすることで、顎先当てを下に倒し、必要に応じて調節する。
【0045】
例えば、FHPは脊柱全体に損傷を与える構造的ストレスを生じる位置であるので、脊椎手術後の患者にカラーを適用することは理にかなっている。頸椎、胸椎、腰椎−骨盤の術後処置に適用される。これは、前方頭位位置によって生じる損傷せん断応力及びモーメント機械的応力なしに脊椎関節の治癒を可能にする。上述の理由のために、カラーは、自動車事故又はスポーツ傷害等からの外傷後の状況においても使用され得る。したがって、病院及びEMT職員は、その使用を採用することが望ましい。前弯補正アセンブリは、また、前方頭位補正が困難であり得る従来の頸部カラー、すなわち、脊椎関節の癒合が、最小の動きがあり得る点まで進行した高齢患者にも使用され得る。これらの条件には、軽度の前弯支持療法が依然として有効である。これにより、これらの患者の機械的緊張及び疼痛の一部が軽減されるであろう。
【0046】
頸椎前弯の漸進的な改善には、原因となる不整列椎骨への正確な支持が必要である。引用した例では、椎骨はCSである。典型的には図37に示すように、治療が約1ヶ月でAからBに進行するにつれて、Bは肩の上に整列するように−Z方向に移動した頭部を示す。必要とされる伸展又はスレキシオン運動はない。Bにおける首は+Z又は前方に移動する。完全な輪郭の支持体は、支持をC1−C7の広範囲に広げるため、十分ではない。最後に、図18のCでは、頸部湾曲は通常復元されており、前方頭位はカラーの上方に傾斜した−Z方向の動きによって肩の上に再配置されている。これらの運動及び意図された前方頭位及び頸椎後弯症の補正は、先行技術では議論されておらず、先行技術では達成することができなかった。なぜなら、頸椎前弯を頸椎後弯に変化させるためには、不整列の頸椎に対する前方頭位及び正確な支持の両方を同時に補正しなければならないからである。この治療は、頸椎関節炎及び頸椎椎間板変性と痛みを伴う頸椎の位置ずれを防止するであろう。
【0047】
本発明は、その特定の実施形態に関して記載されているが、本開示は本発明に対する多数の変更が当業者に可能であるようなものであり、これらの変更は本教示の範囲内に依然として存在する。従って、ここに添付された本請求項の範囲及び趣旨によってのみ、広く解釈され、限定されるべきである。使用される材料の説明は本明細書に記載される全ての実施形態に適用され、本発明は米国食品医薬品局のような政府機関に受け入れられる、中間及び製造技術において公知の同等の材料を包含することが理解される。示された実施形態は例示的なものであり、本発明の目的の範囲内で他の同等の形態を使用することができることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
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図32
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図36
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【国際調査報告】