(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-519321(P2021-519321A)
(43)【公表日】2021年8月10日
(54)【発明の名称】ペプチド含有製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 38/10 20060101AFI20210712BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20210712BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20210712BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20210712BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20210712BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20210712BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20210712BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20210712BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20210712BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20210712BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20210712BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20210712BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20210712BHJP
C07K 7/08 20060101ALN20210712BHJP
【FI】
A61K38/10
A61P3/00ZNA
A61P3/04
A61P3/10
A61P25/28
A61P9/00
A61P1/16
A61P1/00
A61P35/00
A61K9/08
A61K47/18
A61K47/26
A61K9/19
C07K7/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】53
(21)【出願番号】特願2020-552234(P2020-552234)
(86)(22)【出願日】2019年3月27日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月18日
(86)【国際出願番号】US2019024331
(87)【国際公開番号】WO2019191264
(87)【国際公開日】20191003
(31)【優先権主張番号】62/648,746
(32)【優先日】2018年3月27日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】519112542
【氏名又は名称】コーバー、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】カンディ、ケネス
(72)【発明者】
【氏名】グラインドスタッフ、ケント、ケー.
(72)【発明者】
【氏名】マグナン、レミ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA12
4C076AA94
4C076BB11
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC01
4C076CC11
4C076CC16
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4C076DD51Q
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4C076DD67Q
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4C076GG41
4C084BA01
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4C084BA23
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4C084NA03
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4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA151
4C084ZA152
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4C084ZA362
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZA701
4C084ZA702
4C084ZA751
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4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC211
4C084ZC212
4C084ZC351
4C084ZC352
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA15
4H045BA16
4H045BA17
4H045EA20
4H045FA10
(57)【要約】
グルタミン酸またはその塩、および有効量のペプチドを含む製剤が提供される。本発明はまた、製剤を調製する方法、製剤を使用して状態を治療する方法、および製剤の成分を含むキットも提供する。本発明はさらに、グルタミン酸またはその塩、およびある量のペプチドを含む原薬のための徐放性製剤を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MOTS−cアナログペプチド、およびグルタミン酸またはその塩を含む、製剤。
【請求項2】
前記製剤は液体形態である、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記グルタミン酸の濃度は約25mM〜約100mMの範囲である、請求項1または2に記載の製剤。
【請求項4】
前記グルタミン酸の濃度は約25mMである、請求項1または2に記載の製剤。
【請求項5】
前記MOTS−cアナログペプチドの濃度は約5mg/ml〜約100mg/mlの範囲である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
前記MOTS−cアナログペプチドの濃度は約10mg/ml〜約50mg/mlの範囲である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
前記MOTS−cアナログペプチドの濃度は約25mg/mlである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
前記ペプチドは、式I
【化1】
またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、X
1は存在しないか、存在する場合はX
7−RW−であり、X
7は存在しないか、または存在する場合は非極性側鎖または極性側鎖を有するアミノ酸であり;X
2およびX
3は、それぞれ独立して、非極性側鎖または極性側鎖を有するアミノ酸であり;X
4およびX
5は、それぞれ独立して、非極性側鎖を有するアミノ酸であり;X
6は存在しないか、存在する場合は−KL−X
8または−X
9−LRであり、X
8は存在しないか、存在する場合は非極性側鎖を有するアミノ酸であり、X
9は非極性側鎖を有するアミノ酸であるが、但し、ペプチドは次のいずれでもないものとする:MRWQEMGYIFYPRKLR(配列番号1);MRWQEMGYIFYFRKLR(配列番号2);MGWQEMGYIFYPRKLR(配列番号3);および/またはMGYIFYPRKLR(配列番号4)、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
前記ペプチドはRWQEMNYIFYPR(配列番号10)である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
前記ペプチド塩はRWQEMNYIFYPRアセテート(配列番号10)である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項11】
約25mg/mLのペプチド濃度および約25mMのL−グルタミン酸濃度;約50mg/mLのペプチド濃度および約50mMのL−グルタミン酸濃度;または、約75mg/mLのペプチド濃度および約75mMのL−グルタミン酸濃度を含む製剤から選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項12】
ソルビトールをさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項13】
水溶液からなる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項14】
MOTS−cアナログペプチドとグルタミン酸との混合物を含む安定な液体医薬製剤であって、液体形態である、安定な液体医薬製剤。
【請求項15】
グルタミン酸、またはグルタミン酸とヒスチジンの組み合わせを含む、請求項14に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項16】
MOTS−cアナログペプチドおよび前記MOTS−cアナログペプチドのゲル化を阻害するための安定剤を含む水性医薬組成物であって、前記安定剤はグルタミン酸塩を含む、水性医薬組成物。
【請求項17】
ソルビトールをさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記MOTS−cアナログペプチドのゲル化を阻害するために、約5mg/mL〜約20mg/mLのMOTS−cアナログペプチド濃度範囲、約10mMの酢酸緩衝液、およびソルビトールを含む、水性医薬組成物。
【請求項19】
前記製剤は少なくとも6日間ゲル化しない、請求項11〜18のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項20】
前記溶液は、約25℃で少なくとも約48時間沈殿しない、請求項11〜19のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項21】
前記製剤中の前記ペプチドは、少なくとも95%の純度および/または少なくとも95%の生物学的活性を少なくとも3日間保持する、請求項11〜20のいずれか一項に記載の製剤または組成物。
【請求項22】
代謝性疾患を治療するのに有効な量の請求項1〜21のいずれか一項に記載の製剤または組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における代謝性疾患を治療する方法。
【請求項23】
代謝性疾患を治療するための、請求項1〜21のいずれか一項に記載の製剤または組成物の使用。
【請求項24】
前記代謝性疾患は、肥満、糖尿病(例えば、2型糖尿病)、認知障害および/または神経変性障害、心血管疾患、脂肪性肝疾患、ならびに胃腸疾患からなる群から選択される、請求項22または23に記載の方法または使用。
【請求項25】
癌を治療するのに有効な量の請求項1〜21のいずれか一項に記載の製剤または組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における癌を治療する方法。
【請求項26】
癌を治療するための、請求項1〜21のいずれか一項に記載の製剤または組成物の使用。
【請求項27】
前記癌は、肺癌、膵臓癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、または肝細胞癌である、請求項25または26に記載の方法または使用。
【請求項28】
肝疾患を治療するのに有効な量の請求項1〜21のいずれか一項に記載の製剤または組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肝疾患を治療する方法。
【請求項29】
肝疾患を治療するための、請求項1〜21のいずれか一項に記載の製剤または組成物の使用。
【請求項30】
前記肝疾患は脂肪性肝疾患である、請求項28または29に記載の方法または使用。
【請求項31】
前記脂肪性肝疾患はNAFLDまたはNASHである、請求項30に記載の方法または使用。
【請求項32】
脂肪酸代謝を調節するのに有効な量の請求項1〜21のいずれか一項に記載の製剤または組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における脂肪酸代謝を調節する方法。
【請求項33】
対象における脂肪酸代謝を調節するための、請求項1〜21のいずれか一項に記載の製剤または組成物の使用。
【請求項34】
前記製剤が前記対象に投与された後、脂肪酸代謝が前記対象において増加する、請求項32または33に記載の方法または使用。
【請求項35】
対象の体重を減少させるのに有効な量の請求項1〜21のいずれか一項に記載の製剤または組成物を前記対象に投与することを含む、それを必要とする対象の体重を減少させる方法。
【請求項36】
体重を減少させるための、請求項1〜21のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項37】
請求項11〜21のいずれか一項に記載の製剤を含む、事前充填シリンジまたはペン、バイアルまたは輸液バッグ。
【請求項38】
フリーズドライされている、請求項1〜21のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項39】
前記フリーズドライされた製剤中のペプチドは、少なくとも95%の純度および/または少なくとも95%の生物学的活性を少なくとも4週間保持する、請求項38に記載の製剤。
【請求項40】
請求項1〜21および38〜39のいずれか一項に記載の製剤を含む、バイアル。
【請求項41】
MOTS−cアナログペプチドを製剤化する方法であって、5mg/ml〜100mg/mlの濃度のペプチドおよび25mM〜100mMの濃度のグルタミン酸またはその塩を含む製剤を作製するのに有効な量で、前記ペプチドをグルタミン酸またはその塩の水溶液と混合することを含む、方法。
【請求項42】
前記製剤を凍結乾燥することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
原薬をさらに含む、請求項1〜21および38〜39のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項44】
前記製剤は、インビボで徐放性マトリックスを形成する、請求項43に記載の製剤。
【請求項45】
前記製剤は、皮下注射または筋肉内注射されると徐放性マトリックスを形成する、請求項44に記載の製剤。
【請求項46】
前記原薬の放出は約1週間の期間にわたる、請求項44に記載の製剤。
【請求項47】
前記原薬の放出は約4週間の期間にわたる、請求項44に記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月27日に提出された米国仮出願第62/648,746号の優先権を主張するものであり、あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に完全に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
電子的に提出された資料の参照による組み込み
本明細書と同時に提出され、ASCIIテキストファイル:52074A_Seqlisting.txt、作成日:2019年3月25日、ファイルサイズ6,312バイトとして識別されるコンピュータ可読ヌクレオチド/アミノ酸配列表は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
2011年〜2014年には、米国の20歳以上の成人の3分の1超が肥満であった(Ogden et al.,Prevalence of Obesity Among Adults and Youth:United States,2011−2014),NCHS Data Brief,No.219(2015年11月)。この期間中、米国(2〜19歳)における小児肥満の有病率は17%であった。(Ogden,2015、上記)。肥満は、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、2型糖尿病、脂肪性肝疾患、心血管疾患、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、脳卒中、高血圧症、変形性関節症、生殖問題、および癌を含む多くの健康問題の発症の危険因子である(National Heart,Lung,and Blood Institute article:http://www.nhlbi.nih.gov/health/health−topics/topics/obe/risks)。
【0003】
肥満に関連する状態である糖尿病は、2010年には、米国で7番目に多い死亡原因であった。2012年には、米国の人口の9.3%(2,910万人)が糖尿病を患っており、米国の約208,000人の小児が糖尿病と診断されたと推定された。米国では毎年140万人が糖尿病と診断されている。糖尿病は、低血糖症、高血圧症、脂質異常症、心血管疾患、脳卒中、失明、糖尿病性網膜症、腎臓病、および肢切断を含むいくつかの合併症および併存疾患に関連している。米国糖尿病学会(American Diabetes Association)によれば、2012年に米国で診断された糖尿病の推定総費用は2,450億ドルであった(Diabetes Care 36:1033−1046(2013年4月))。この費用は、糖尿病がアメリカ社会に課している多大な負担を浮き彫りにしている。
【0004】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、肝臓にトリグリセリドの形態で脂肪が過剰に蓄積された状態である(脂肪症)。NAFLDは、米国で最も一般的な慢性肝疾患であり、8000万人もの人々、特に40代および50代に発症する。肝臓関連の罹患率および死亡率に加えて、NAFLDが、2型糖尿病、心血管疾患および心疾患、癌、ならびに慢性腎疾患のリスクが高い多系統疾患であるという証拠が増加している。NAFLD患者の死亡の大部分は心血管疾患に起因するが、米国では1500万人もの人々が、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)と呼ばれる状態である肝細胞の損傷および炎症を患っている。NASHは、中年で過体重または肥満の人に最も多く発生し、米国における肝硬変の主要な原因の1つとして位置付けられており、2030年までに肝移植の最も頻繁な適応症になると予測されている。現在のところ、NASHの治療に承認された薬物は存在しない。
【発明の概要】
【0005】
グルタミン酸またはその塩、および有効量のペプチドを含む製剤が提供される。本発明はまた、製剤を調製する方法、製剤を使用して状態を治療する方法、および製剤の成分を含むキットも提供する。本発明はさらに、グルタミン酸またはその塩、およびある量のペプチドを含む原薬のための徐放性製剤を提供する。
【0006】
方法として本明細書に記載されている本発明の態様は、「使用」として記載することもでき、そのような全ての使用は、本発明の態様として企図される。同様に、本明細書で「使用」を有すると記載されている組成物は、代わりに、本発明の態様として企図される使用のプロセスまたは方法として記載され得る。
【0007】
同様に、特定の方法、使用、組成、または他の製品に関連して本明細書に記載される本発明の詳細は、検査または他の目的のための本発明の異なるクラスであると考えられる態様または実施形態を含む、本発明の他の態様または実施形態に適用可能であると理解されるべきである。
【0008】
本発明は、追加の態様として、上記の特定の段落で定義される変形よりもいくらか範囲が狭い本発明のすべての実施形態を含む。例えば、本発明の特定の態様が属またはセットとして記載される場合、属またはセットの各メンバーが個々に本発明の態様であると理解されるべきである。同様に、あらゆる個々のサブセットは、本発明の態様として意図される。例として、本発明の態様が1、2、3、および4からなるグループから選択されるメンバーとして記載されている場合、各個々のサブグループ(例えば、{1,2,3}または{1,2,4}または{2,3,4}または{1,2}または{1,3}または{1,4}または{2,3}または{2,4}または{3,4}から選択されたメンバー)および各個々の種{1}または{2}または{3}または{4}は、本発明の態様または変形として企図される。同様に、本発明の態様が温度範囲または濃度範囲等の範囲として特徴付けられる場合、整数の部分範囲は、本発明の態様または変形として企図される。2つの端点の「間」として定義される範囲の場合、範囲は端点を含むことを意図する。
【0009】
本明細書中の見出しは、読者の便宜のためであり、限定的であることを意図しない。本発明のさらなる態様、実施形態、および変形は、詳細な説明および/または特許請求の範囲から明らかになろう。
【0010】
出願人は、本明細書に記載される本発明の全範囲を発明したが、出願人は、他の先行技術研究に記載される主題を特許請求することは意図していない。したがって、特許請求の範囲内の法定の先行技術が特許庁、または他の団体もしくは個人によって出願人に通知された場合、出願人は、適用される特許法に基づいて修正権を行使して、そのような特許請求の範囲の主題を再定義して、そのような法定の先行技術または法定の先行技術の明らかな変形例をそのような特許請求の範囲から明確に除外する権利を留保する。そのような修正された特許請求の範囲によって定義される本発明の変形例も、本発明の態様として意図される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、ペプチド溶液のゲル化を防止するための薬剤としてのグルタミン酸またはその塩の同定に関する。
【0012】
12S rRNA−cのオープンリーディングフレームに由来するMOTS−cと称されるミトコンドリア由来のペプチドとその特性の一部は、Lee et al.,Cell Metabolism,21(3):443−54(3 March 2015)および米国特許公報第2017/0049853(ペプチドはMOTS3として記載される)(参照により、その全体が、またMOTS−c構造および活動の特定の教示について、両方とも本明細書に組み込まれる)に記載されている。ヒトMOTS−cは、アミノ酸配列MRWQEMGYIFYPRKLR(配列番号1)を有する。いくつかの変形例において、本発明は、ヒトMOTS−cペプチドを含むMOTS−cペプチドの製剤に関する。例えば、本発明は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるペプチドのグルタミン酸製剤を含む。
【0013】
例示的な実施形態において、本発明は、高濃度のペプチドを含む製剤に関する。本発明はまた、高濃度のMOTS−cアナログペプチドを含む製剤を提供する。本発明による製剤に適した例示的なMOTS−cアナログペプチドの例として、2017年9月27日に出願され、2018年4月5日にWO2018/064098として公開され、参照により、その全体が、また特にペプチドおよびペプチド特性の教示について本明細書に組み込まれる、国際特許出願第PCT/US2017/053597号に記載されるペプチドが挙げられる。
【0014】
さらに追加の実施形態において、本発明は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるPCT/US2017/053597に記載されるように、少なくとも1つの異種部分にコンジュゲートされたペプチドの製剤を含む。例えば、ペプチドは、脂質化(例えば、ミリトイル化、パルミトイル化、C7−C20脂質部分に結合)、グリコシル化、アミド化、カルボキシル化、リン酸化、エステル化、アシル化、アセチル化、環化、ペグ化、二量体化、重合、標的化部分に付着、または別様にコンジュゲートされ得る。
【0015】
例示的な実施形態において、本発明は、室温で最低3日間安定であるペプチド製剤に関する。例示的な実施形態において、本発明は、室温で少なくとも3日間、透明な液体であるかまたはゲルを含まない製剤に関する。
【0016】
例示的な実施形態において、本発明は、標準的なゲージの針を通して患者に投与することができるペプチド製剤に関する。例えば、標準的なゲージの針は約27ゲージである。
【0017】
例示的な実施形態において、本発明は、投与前に再構成するための固体製剤を形成するように凍結乾燥することができるペプチド製剤に関する。
【0018】
本明細書に記載される製剤の凍結乾燥形態は、本発明の実施形態である。凍結乾燥形態は、室温だけでなく、例えば、−70℃以上の低温でも安定である。凍結乾燥製剤の安定性は、溶液中で同じ製剤を用いて達成できるよりも長期間、室温で確立されている。
【0019】
例示的な実施形態において、本発明は、可溶化剤としてグルタミン酸またはその塩を含む製剤に関する。
【0020】
例示的な実施形態において、前記グルタミン酸は、約15〜約100mM、好ましくは約25mM〜約50mM、さらにより好ましくは約50mMの濃度で医薬製剤の水性形態で存在する。
【0021】
例示的な実施形態において、本発明は、約25mg/mLのペプチド濃度および約25mMのL−グルタミン酸濃度、約50mg/mLのペプチド濃度および約50mMのL−グルタミン酸濃度;または、約75mg/mLのペプチド濃度および約75mMのL−グルタミン酸濃度を含む製剤から選択される製剤に関する。
【0022】
例示的な実施形態において、用いられるグルタミン酸は、L型であり得る。本発明におけるグルタミン酸は、その様々なグルタミン酸塩形態も含む。グルタミン酸塩には、例えばグルタミン酸ナトリウムが含まれる。他の塩、例えば、グルタミン酸のカリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩またはマグネシウム塩だけでなく、当該技術分野で既知の他の塩も使用することができる。製剤成分の高度に精製された形態、例えばグルタミン酸は、ヒトに投与するのに十分に純粋な医薬品グレードの純度レベルを指すため、安全かつ無毒であるように汚染物質を含まない。L−グルタミン酸は、精製された形態で市販されており、Ajinomoto AminoScience LLC,NC,USAまたはJ.T.Bakerから入手することができる。
【0023】
例示的な実施形態において、医薬製剤の前記水性形態は、3〜7、好ましくは4〜7、より好ましくは約4のpHを有する。
【0024】
例示的な実施形態において、本開示のペプチドは、式Iのアミノ酸配列を含み、またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0026】
式中、X
1は存在しないか、存在する場合はX
7−RW−であり、X
7は存在しないか、または存在する場合は非極性側鎖または極性側鎖を有するアミノ酸であり;X
2およびX
3は、それぞれ独立して、非極性側鎖または極性側鎖を有するアミノ酸であり、X
4およびX
5は、それぞれ独立して、非極性側鎖を有するアミノ酸であり;X
6は存在しないか、存在する場合は−KL−X
8または−X
9−LRであり、X
8は存在しないか、存在する場合は非極性側鎖を有するアミノ酸であり、X
9は非極性側鎖を有するアミノ酸であるが、但し、ペプチドは次のいずれでもないものとする:MRWQEMGYIFYPRKLR(配列番号1);MRWQEMGYIFYFRKLR(配列番号2);MGWQEMGYIFYPRKLR(配列番号3);および/またはMGYIFYPRKLR(配列番号4)。
【0027】
例示的な実施形態において、ペプチドは、式Iのアミノ酸配列(式中、X
1は存在しないか、存在する場合はX
7−RW−であり、X
7は存在しないか、または存在する場合はD、(dD)、E、(dE)、K、(dK)、R、(dR)、H、(dH)、N、(dN)、Q、(dQ)、S、(dS)、T、(dT)、Y、(dY)、C、(dC)、G、A、(dA)、V、(dV)、L、(dL)、I、(dI)、F、(dF)、W、(dW)、P(dP)、Mおよび(dM)から選択され;X
2およびX
3は、それぞれ独立して、D、(dD)、E、(dE)、K、(dK)、R、(dR)、H、(dH)、N、(dN)、Q、(dQ)、S、(dS)、T、(dT)、Y、(dY)、C、(dC)、G、A、(dA)、V、(dV)、L、(dL)、I、(dI)、F、(dF)、W、(dW)、P(dP)、Mおよび(dM)から選択され;X
4およびX
5は、それぞれ独立して、G、A、(dA)、V、(dV)、L、(dL)、I、(dI)、F、(dF)、W、(dW)、P(dP)、Mおよび(dM)から選択され;X
6は存在しないか、存在する場合は−KL−X
8または−X
9−LRであり、X
8は存在しないか、存在する場合はG、A、(dA)、V、(dV)、L、(dL)、I、(dI)、F、(dF)、W、(dW)、P(dP)、Mおよび(dM)から選択され;X
9はG、A、(dA)、V、(dV)、L、(dL)、I、(dI)、F、(dF)、W、(dW)、P(dP)、Mおよび(dM)から選択される);またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0028】
例示的な実施形態において、ペプチドは、式Iのアミノ酸配列(X
1は存在しないか、存在する場合はX
7−RW−であり、X
7は存在しないか、または存在する場合はMまたはEであり;X
2はM、AまたはEであり、X
3はG、NまたはQであり、X
4はFまたはAであり、X
5はPまたはAであり;X
6は存在しないか、存在する場合は−KL−X
8または−X
9−LRであり、X
8は存在しないか、存在する場合はRまたはAであり、X
9はK、A、(dA)、NおよびQから選択される)、またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0029】
例示的な実施形態において、ペプチドは、MRWQEAGYIFYPRKLR(配列番号5);MRWQEMGYIFYPR(dA)LR(配列番号6);MRWQEMNYIFYPR(配列番号7);MRWQEMGYIFYPRNLR(配列番号8);MRWQEMQYIFYPRALR(配列番号9);RWQEMNYIFYPR(配列番号10);MRWQEMGYIFYPRALR(配列番号11);MRWQEMGYIFYPRKLA(配列番号12);MRWQEMGYIFYARKLR(配列番号13);RWQEMGYIFYPRQLR(配列番号14);MRWQEEGYIFYPRKLR(配列番号15);MRWQEMGYIFYPRKL(配列番号16);ERWQEAGYIAYPR(配列番号17);RWQEMQYIFYPR(配列番号18);およびMRWQEMGYIFYPAKLR(配列番号19)からなる群から選択されるアミノ酸配列;およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0030】
例示的な実施形態において、ペプチドは、アミノ酸配列RWQEMNYIFYPR(配列番号10);およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0031】
本明細書で使用される場合、「高温」という用語は、0℃より高い保存温度を指すものとする。好ましくは、前記高温は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40℃からなる群から選択される温度よりも高い。
【0032】
本明細書で使用される場合、「長期保存」という用語は、医薬製剤を含む組成物の1日以上、好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23日以上、またはさらには1か月以上の保存を指すものとする。
【0033】
凍結乾燥製剤の場合、初期の実験では、−70℃、5℃、および25℃の温度で少なくとも12週間の安定性が示されている。少なくとも4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52週間、104週間、またはそれ以上安定である凍結乾燥製剤が企図される。1〜104週間安定である凍結乾燥製剤、またはその整数の部分範囲が具体的に企図される。
【0034】
例示的な実施形態において、医薬製剤の前記水性形態は、実際の使用のために設計された条件(すなわち、投与に適した温度)で2日以上安定な溶液である。
【0035】
本明細書で使用される場合、「製剤(複数可)」という用語は、保存、さらなる加工、販売、および/または、例えば、特定の疾患を治療するための、特定の経路による、特定の量の特定の薬剤の対象への投与等の、対象への投与等の1つ以上の特定の用途のための、少なくとも1つの有効成分と1つ以上の他の成分との組み合わせを含む組成物を意味する。いくつかの実施形態において、「製剤」は、生物医薬品と、ヒトまたは動物に投与することができる生物医薬品と適合性のある薬学的に許容される媒体との組成物または混合物を指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、治療用ペプチドに関して使用される場合の「有効量」という用語は、標的疾患または生理学的状態に関連する少なくとも1つの症状を改善または緩和するのに十分な治療用分子の量を意味することを意図している。
【0037】
ペプチドのゲル化は、長期保存および/または高温での保存によって引き起こされる。本明細書に記載される製剤材料および方法は、ゲル化を低減する、緩徐にする、その発生を遅延させる、および/または解消する。
【0038】
例示的な実施形態において、ペプチドは、患者の疾患または別の病状を治療するために使用することができる医薬組成物を提供するために賦形剤とともに製剤化される。
【0039】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」という用語は、治療的に不活性な物質を意味することを意図している。賦形剤は、例えば、希釈剤、ビヒクル、緩衝剤、安定剤、等張化剤、増量剤、界面活性剤、凍結保護剤、凍結乾燥保護剤、抗酸化剤、金属イオン源、キレート剤および/または防腐剤を含む多種多様な目的で製剤に含めることができる。賦形剤は、例えば、ソルビトールまたはマンニトール等のポリオール;スクロース、ラクトースまたはデキストロース等の糖;ポリエチレングリコール等のポリマー;NaCl、KClまたはリン酸カルシウム等の塩、アミノ酸、例えば、プロリン、グリシンまたはメチオニン、界面活性剤、金属イオン、グルタミン酸、酢酸塩またはアスパラギン酸塩等の緩衝塩、防腐剤、およびヒト血清アルブミン等のポリペプチド、ならびに生理食塩水および水を含む。賦形剤は、糖、例えば糖アルコール、還元糖、非還元糖および糖酸を含み得る。賦形剤は当該技術分野において周知であり、例えば、Wang W.,Int.J.Pharm.185:129−88(1999)およびWang W.,Int.J.Pharm.203:1−60(2000)に記載されているのを見出すことができる。
【0040】
様々な実施形態において、製剤は、1つ以上の賦形剤を含むことができる。含まれる賦形剤の1つの潜在的な役割は、製造、出荷、および保存の間に発生する可能性のあるストレスに対して生物医薬品の安定化を提供することである。これを達成するために、少なくとも1つの賦形剤は、緩衝剤、安定剤、等張化剤、増量剤、界面活性剤、凍結保護剤、凍結乾燥保護剤、抗酸化剤、金属イオン源、キレート剤および/または防腐剤として機能することができる。さらに、少なくとも1つの賦形剤は、希釈剤および/またはビヒクルとして機能し得るか、またはそれらの送達を可能にし、かつ/または患者の利便性を高めるために、高濃度製剤の粘度を低下させるために使用できる。
【0041】
液体製剤または凍結乾燥製剤のいずれかにおいて有用であり得る様々な賦形剤は、フコース、セロビオース、マルトトリオース、メリビオース、オクツロース、リボース、キシリトール、アルギニン、ヒスチジン、グリシン、アラニン、メチオニン、グルタミン酸、リジン、イミダゾール、グリシルグリシン、マンノシルグリセラート、Triton X−100、Pluoronic F−127、セルロース、シクロデキストリン、デキストラン(10、40、および/または70kD)、ポリデキストロース、マルトデキストリン、フィコール、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメタ、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ZnCl
2、亜鉛、酸化亜鉛、クエン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、トロメタミン、銅、フィブロネクチン、ヘパリン、ヒト血清アルブミン、プロタミン、グリセリン、グリセロール、EDTA、メタクレゾール、ベンジルアルコール、フェノールを含む。当該技術分野で既知の様々な賦形剤は、例えば、Wang W.,Int.J.Pharm.185:129−88(1999)およびWang W.,Int.J.Pharm.203:1−60(2000)に記載される。
【0042】
本明細書で使用される場合、「防腐剤」は、例えば、細菌、真菌または他の望ましくない有機的成長の影響を低減することにより、経時的にペプチドの安定性を維持するのに役立つように製剤に加えることができる化合物を指す。防腐剤の添加はまた、複数回使用(複数回投与)製剤の製造を容易にすることもできる。潜在的な防腐剤の例として、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム(アルキル基が長鎖化合物である塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウムの混合物)、および塩化ベンゼトニウムが挙げられるが、これらに限定されない。他の種類の防腐剤は、例えば、フェノール、ブチルおよびベンジルアルコール等の芳香族アルコール、例えば、メチルまたはプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール、およびm−クレゾール等のアルキルパラベンを含む。
【0043】
高濃度の製剤は、非経口経路を介した、例えば、様々な疾患の治療のための皮下注射または静脈内注射を介した治療用ペプチドの効果的な使用に必要である。開示される製剤はまた、全身性障害の治療も対象としており、その治療は、皮下注射または静脈内注射による反復投与を必要とし得る。高濃度の製剤が利用できない場合、皮下注射による全身投与は不可能であるかまたは実用的ではない場合がある。
【0044】
小さな粒子を含まない、低粘度の安定な溶液は、凝集物を形成する可能性が低い。そのような溶液は、一般に、優れた製剤の結果であると考えられる。このような溶液特性は、より高い濃度(特に25mg/mLを超える濃度)でのペプチド製剤にとって重要である。
【0045】
本明細書で使用される場合、「粘度」は、「動粘度」または「絶対粘度」を指す。「動粘度」は、重力の影響下における流体の抵抗流の尺度である絶対粘度=動粘度×密度。粘度は濃度に依存する。以前に記載したいくつかの製剤は、ペプチドの達成可能な最高濃度を、溶液の粘度が20cPに達する濃度であると見なしている。本明細書に記載される材料および方法を使用すると、本明細書に記載される製剤の粘度は、10〜100mg/mLのペプチド濃度で20cPに達する。治療用ペプチドの製剤は、典型的には、通常、100mg/mL未満、例えば、約25〜約75mg/mLの範囲の濃度で20cPの粘度に達する。
【0046】
簡潔に述べると、ポリオール、多価アルコール、またはポリアルコールとしても知られる糖アルコールは、第一級または第二級ヒドロキシル基に還元されたカルボニル基を有する炭水化物の水素化形態である。ポリオールは、液体製剤および凍結乾燥製剤の両方において、安定化賦形剤および/または等張剤として使用することができる。ポリオールは、物理的分解経路および化学的分解経路の両方から生物医薬品を保護することができる。糖アルコールの例として、ソルビトール、グリセロール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトールおよびトレイトールを挙げることができる。
【0047】
還元糖は、例えば、ケトンまたはアルデヒド基を有する糖を含んでもよく、糖が還元剤として作用することを可能にする反応性ヘミアセタール基を含み得る。還元糖の具体例として、フルクトース、グルコース、グリセルアルデヒド、ラクトース、アラビノース、マンノース、キシロース、リボース、ラムノース、ガラクトースおよびマルトースが挙げられる。非還元糖は、アセタールであり、かつメイラード反応を開始するアミノ酸やポリペプチドと実質的に反応しない、アノマー炭素を含む。非還元糖の具体例として、スクロース、トレハロース、ソルボース、スクラロース、メレジトースおよびラフィノースが挙げられる。糖酸は、例えば、サッカリン酸、グルコン酸塩および他の多価ならびにそれらの塩を含む。
【0048】
緩衝液または賦形剤と組み合わせた緩衝液は、例えば、製品の有効期間を通して液体製剤のpHを維持することができ、凍結乾燥プロセス中および再構成時に凍結乾燥製剤のpHを維持することができる。
【0049】
液体製剤に含まれる等張化剤および/または安定剤は、例えば、製剤が投与に適するように、製剤に等張性、低張性または高張性を提供するために使用することができる。そのような賦形剤はまた、ペプチドの構造の維持を容易にするために、および/または静電による溶液のタンパク質間相互作用を最小限に抑えるために使用することもできる。等張化剤および/または安定剤の例として、ポリオール、塩および/またはアミノ酸を挙げることができる。
【0050】
抗酸化剤は、タンパク質の酸化を制御するために液体製剤において有用であり、また酸化反応を遅延させるために凍結乾燥製剤において使用することもできる。
【0051】
金属イオンは、例えば、補因子として液体製剤に含めることができ、亜鉛およびマグネシウム等の二価カチオンは、懸濁製剤に利用することができる。液体製剤に含まれるキレート剤は、例えば、金属イオン触媒反応を阻害するために使用することができる。凍結乾燥製剤に関して、金属イオンはまた、例えば、補因子として含めることができる。キレート剤は、一般に凍結乾燥製剤から除外されるが、凍結乾燥プロセス中および再構成時の触媒反応を低減するために、必要に応じてそれらを含めることもできる。
【0052】
製剤の安定性は、製剤中の生物医薬品の構造および/または機能および/または生物学的活性の保持を指す。構造および/または機能および/または生物学的活性の保持は100%である必要はない。製剤の安定性の測定は、比較測定であり得る。したがって、ある製剤がもう一方の製剤よりも安定であるまたはより高い安定性を有すると言われる場合、検討される特性が負の特性でない限り、より高い安定性を有する製剤は、他の製剤よりも高いパーセンテージで調査される所望の特性を維持している。特性が負の特性である場合、より高い安定性を有する製剤は、その特性をより少なく有する。例えば、保存中に製剤Bよりもゲルを形成する傾向が低い場合、製剤Aは製剤Bよりも安定である。
【0053】
様々な実施形態において、製剤中のペプチドの安定性は、物理的および/または化学的安定性の保持を含み得る。生物医薬品の安定性は、例えば、生物医薬品がその構造の化学修飾を含む物理的分解経路および/または化学的分解経路に供されたかどうかを決定することによって評価することができる。安定性の保持は、例えば、異なる温度での保存後、または複数の凍結融解サイクル後のゲル化の程度に関して測定することもできる。これらの測定は、ペプチド凝集の量を反映することができる。
【0054】
ペプチド製剤の安定性は、本明細書に記載されているように複数の基準によって評価することができる。いくつかの変形例において、安定性は純度によって証明される。純度の指標の1つは、例えばクロマトグラフィー分析(RP−HPLCまたはイオン交換HPLC等)を用いた、大規模および小規模な定量化である。いくつかの変形例において、純度は、主要なクロマトグラフィーピークおよび微小なクロマトグラフィーピークの面積によって評価した場合、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%98%、または99%である。整数およびその半整数の部分範囲を含む、90〜99.5%の範囲の純度が特に企図される。いくつかの変形例において、安定性は、安定したpH、濁度が最小限または不在であること(例えば、400〜700nmで評価した場合)、粒子が最小限または不在であること、および/または変色が最小限または不在であることを含む、溶液中のペプチドの特性によって明らかになる。いくつかの変形例において、安定性は、例えば、細胞ベースのアッセイまたは動物モデルにおける生物学的活性の保持によって明らかになる。いくつかの変形例において、純度は、複数のこれらの基準によって明らかになる。
【0055】
液体製剤中の防腐剤は、例えば、微生物の増殖から保護するために使用することができ、複数回投与製剤において特に有益である。凍結乾燥製剤には、防腐剤は一般的に再構成希釈剤に含まれる。ベンジルアルコールは、本発明の製剤において有用な防腐剤の具体例である。
【0056】
本明細書で使用される場合、「界面活性剤」という用語は、それが溶解された液体の表面張力を低下させるように機能する物質を意味することを意図している。界面活性剤は、例えば、液体製剤における凝集、粒子形成および/もしくは表面吸着を防止もしくは制御するため、または凍結乾燥剤における凍結乾燥プロセスおよび/もしくは再構成プロセスの間にこれらの現象を防止もしくは制御するためといった様々な目的のために製剤に含めることができる。界面活性剤は、例えば、有機溶媒と水溶液の両方において部分溶解性を示す両親媒性有機化合物を含む。界面活性剤の一般的な特性には、水の表面張力を低下させ、油と水の間の界面張力を低下させ、ミセルを形成する能力を含む。界面活性剤は、非イオン性およびイオン性界面活性剤を含み得る。界面活性剤は当該技術分野で既知であり、例えば、Randolph T.W.and Jones L.S.,Surfactant−protein interactions.Pharm Biotechnol.13:159−75(2002)に記載されているのを見出すことができる。
【0057】
非イオン性界面活性剤は、例えば、アルキルポリ(エチレンオキシド)、オクチルグルコシドおよびデシルマルトシド等のアルキルポリグルコシド、セチルアルコールおよびオレイルアルコール等の脂肪アルコール、コカミドMEA、コカミドDEA、およびコカミドTEAを含むことができる。非イオン性界面活性剤の特定の例として、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート28、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85等を含むポリソルベート;例えば、ポロキサマー188(ポロキサコールまたはポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)としても知られる)、ポロキサマー407またはポリエチレン−ポリプロピレングリコール等のポロキサマー、およびポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。ポリソルベート20は、TWEEN 20、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートと同義である。
【0058】
イオン性界面活性剤は、例えば、アニオン性、カチオン性および双性イオン性界面活性剤を含むことができる。アニオン性界面活性剤は、例えば、石鹸、脂肪酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸アンモニウムおよび他のアルキル硫酸塩等のスルホン酸塩系またはカルボン酸塩系の界面活性剤を含む。カチオン性界面活性剤は、例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリジニウム、ポリエトキシル化獣脂アミン(POEA)および塩化ベンザルコニウムなどの第四級アンモニウム系界面活性剤を含む。双性イオン性または両性の界面活性剤は、例えば、ドデシルベタイン、ドデシルジメチルアミンオキシド、コカミドプロピルベタインおよびココアンフォカルボキシグリシネートを含む。
【0059】
様々な実施形態において、製剤は原薬も含む。
【0060】
様々な実施形態において、製剤は、インビボで徐放性マトリックスを形成する。
【0061】
様々な実施形態において、製剤は、皮下注射または筋肉内注射されると徐放性マトリックスを形成する。
【0062】
様々な実施形態において、前記原薬の放出は、約4時間を超える期間にわたる。様々な実施形態において、前記原薬の放出は、約8時間を超える期間にわたる。様々な実施形態において、前記原薬の放出は、約12時間を超える期間にわたる。様々な実施形態において、前記原薬の放出は、約24時間を超える期間にわたる。様々な実施形態において、前記原薬の放出は7日の期間よりも長い。様々な実施形態において、前記原薬の少なくとも1つの薬理効果は、少なくとも約4時間持続する。様々な実施形態において、前記原薬の少なくとも1つの薬理効果は、少なくとも約8時間持続する。様々な実施形態において、前記原薬の少なくとも1つの薬理効果は、少なくとも約12時間持続する。様々な実施形態において、前記原薬の少なくとも1つの薬理効果は、少なくとも約24時間持続する。
【0063】
「徐放性剤形」または「徐放性マトリックス」は、最小限の副作用を伴って、一定の薬物レベルを特定の期間維持することにより、所定の速度で薬物を放出するように設計された形態を意味する。徐放性薬物送達システムの基本的な論拠は、その有用性が最大化され、副作用が低減され、疾患の治療および/または治療がよりよく達成されるように、薬物の生物薬剤学的特性、薬物動態特性、および薬力学的特性を最適化する。
【0064】
「原薬」、「医薬品有効成分(「API」)、「薬理活性物質」、「薬物」および「薬剤」という用語は、有益な生物学的効果、一般に、疾患または異常な生理学的状態の治療における治療効果を有する任意の化学化合物、複合体または組成物を指すために本明細書で互換的に使用される。これらの用語は、限定されないが、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝物、異性体、断片、類似体、配位化合物および錯体等を含む、本明細書で具体的に述べた原薬の薬学的に許容される薬理学的に活性な誘導体を包含する。「原薬」、医薬品有効成分(「API」)、「薬理活性物質」、「薬物」および「薬剤」という用語が使用される場合、または特定の活性物質が具体的に特定されている場合、出願人は、活性物質自体、ならびに薬学的に許容される薬理学的に活性な塩、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝物、異性体、断片、類似体、配位化合物および錯体等を含めることを意図することを理解されたい。
【0065】
本発明は多種多様な原薬の効果的な送達を可能にするため、本発明の医薬製剤を使用して投与され得る原薬は限定されない。したがって、投与される原薬(複数可)は、以下含むがこれらに限定されない、そのような原薬の様々なクラスのいずれかから選択することができる:鎮痛薬、麻酔薬、抗狭心症薬、抗関節炎薬、抗不整脈薬、抗喘息薬、抗菌剤、抗BPH剤、抗癌剤、抗コリン剤、抗凝固剤、抗けいれん剤、抗うつ剤、抗糖尿病薬、止瀉薬、抗てんかん薬、抗真菌薬、抗痛風薬、抗蠕虫薬、抗ヒスタミン薬、降圧薬、抗炎症薬、抗マラリア剤、抗片頭痛剤、抗ムスカリン剤、鎮吐薬、抗悪性腫瘍薬、抗肥満薬、抗骨粗鬆症薬、抗パーキンソニズム剤、抗原虫剤、抗掻痒薬、抗精神病剤、解熱剤、鎮痙薬、抗甲状腺薬、抗結核剤、抗潰瘍剤、抗尿失禁剤、抗ウイルス剤、抗不安薬、食欲抑制剤、注意欠陥障害(ADD)および注意欠陥多動性障害(ADHD)薬、カルシウムチャネル遮断薬、心臓変力剤、β遮断薬、中枢神経系刺激薬、認知増強剤、副腎皮質ステロイド、COX−2阻害剤、鬱血除去薬、利尿薬、胃腸薬、遺伝物質、ヒスタミン受容体拮抗薬、ホルモン分解薬、催眠薬、血糖降下薬、免疫抑制剤、角質溶解薬、ロイコトリエン阻害薬、脂質調節剤、マクロライド、有糸分裂阻害薬、筋弛緩薬、麻薬拮抗薬、栄養補助食品、神経遮断薬、ニコチン、栄養油、副交感神経遮断薬、鎮静薬、性ホルモン、交感神経刺激薬、精神安定剤、血管拡張剤、ビタミン、およびそれらの組み合わせ。当業者によって理解されるように、また以下の考察から推論され得るように、いくつかの薬剤は、前述の群の2つ以上に包含される。
【0066】
原薬は、疎水性、両親媒性、または親水性であり得る。本明細書において「疎水性」と称されるそれらの原薬の固有の水溶性、すなわち、電子的に中性の非イオン化形態での原薬の水溶性は、一般に1重量%未満、通常は0.1重量%未満または0.01重量%未満である。本明細書における親水性および両親媒性原薬(別途示さない限り、本明細書では集合的に「親水性」原薬と呼ぶ)は、少なくとも0.1重量%、通常は少なくとも1重量%の見かけの水溶性を有する。疎水性原薬および親水性原薬の両方は、本明細書に列挙される原薬クラスのいずれかから制限なく選択され得る。そのような薬剤の溶解度を分類する別の方法では、本発明の製剤に配合するために選択される薬剤(複数可)は、高い溶解度、中程度の溶解度、低い溶解度、低い〜中程度の溶解度、または中程度〜高い溶解度を有し得る。同様に、これらの溶解度クラス内の原薬は、本明細書に列挙される原薬クラスのいずれかから制限なく選択され得る。例えば、2つ以上の原薬が本発明の製剤における使用のために選択される場合、そのような原薬のそれぞれは、異なる溶解度クラスに由来し得る。
【0067】
上記で参照された様々な原薬の処方および/または一般用医薬品カテゴリーの中で、以下の非限定的な例が提供される:抗炎症薬原薬および非オピオイド鎮痛薬、例えば、限定されないが、アロキシプリン、オーラノフィン、アザプロパゾン、アザチオプリン、ベノリル酸、ブトルフェノール、カプサイシン、セレコキシブ、ジクロフェナク、ジフルニサル、エソナリモド、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェンカルシウム、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、レフルノミド、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ノバントロン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、パレコキシブ、フェニルブタゾン、ピクラミラスト、ピロキシカム、ロフェコキシブ、ロピバカイン、スリンダク、テトラヒドロカンナビノール、トラマドール、トロメタミン、バルデコキシブ、およびジコノチド、ならびに尿路鎮痛薬フェナゾピリジンおよびトルテロジン;抗狭心症薬原薬、例えば、限定されないが、ミベフラジル、レフルダン、ナネフェン、カルベジロール、クロマフィバン、ラミフィバン、ファスジル、ラノラジン、テディサミル、ニソルジピン、およびチザニジン;駆虫剤、例えば、限定されないが、アルベンダゾール、ヒドロキシナフトエ酸ベフェニウム、カンベンダゾール、ジクロロフェン、イベルメクチン、メベンダゾール、オキサムニキン、オクスフェンダゾール、パモ酸オキサンテル、プラジカンテル、パモ酸ピランテルおよびチアベンダゾール;抗不整脈薬、例えば、アミオダロン、ジソピラミド、酢酸フレカイニドおよび硫酸キニジン;抗喘息薬原薬、例えば、限定されないが、ジロートン、ザフィルルカスト、硫酸テルブタリン、モンテルカスト、およびアルブテロール;抗菌剤原薬には、例えば、限定されないが、アラトロフロキサシン、アジスロマイシン、バクロフェン、ベネタミンペニシリン、シノキサシン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クロファジミン、クロキサシリン、デメクロサイクリン、ジリスロマイシン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、エチオナミド、フラゾリドン、グレパフロキサシン、イミペネム、レボフロキサシン、ロレフロキサシン、モキシフロキサシン、ナリジクス酸、ニトロフラントイン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、スパルフロキサシン、スピラマイシン、スルファベンズアミド、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファフラゾール、スルファメトキサゾール、スルファピリジン、テトラサイクリン、トリメトプリム、トロバフロキサシン、およびバンコマイシン;抗癌剤原薬および免疫抑制剤、例えば、限定されないが、アリトレチノイン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アザチオプリン、ベキサロテン、ビカルタミド、ビリコダル、ビサントレン、ブスルファン、カンプトテシン、カンドキサトリル、カペシタビン、シタラビン、クロラムブシル、シクロスポリン、ダカルバジン、デシタビン、エリプチシン、エストラムスチン、エトポシド、ゲムシタビン、イリノテカン、ラソフォキシフェン、レトロゾール、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、モフェチル、ミコフェノレート、ネビボロール、ニルタミド、パクリタキセル、パロノセトロン、プロカルバジン、ラミプリル、ルビテカン、シロリムス、タクロリムス、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、サリドマイド、チラパザミン、トポテカン、クエン酸トレミフェン、ビタミンA、ビタミンA誘導体、およびザコプリド;抗凝固剤および脳卒中を予防および治療するための他の原薬、例えば、限定されないが、シロスタゾール、シチコリン、クロピドグレル、クロマフィバン、デキサナビノール、ジクマロール、ジピリダモール、ニクマロン、オプレルベキン、ペリンドプリルエルブミン、フェニンジオン、ラミプリル、レピノタン、チクロピジン、チロフィバン、およびヘパリン(有機または無機塩基で形成されたヘパリン塩を含むヘパリン、および低分子量ヘパリン、すなわち、一般に約1000〜約10,000Dの範囲の重量平均分子量を有し、エノキサパリン、ダルテパリン、ダナプロイド、ガンマパリン、ナドロパリン、アルデパリン、チンザパリン、セルトパリン、およびレビパリンによって例示されるヘパリン断片);抗糖尿病薬原薬、例えば、限定されないが、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、シグリタゾン、ファルグリタザール、グリベンクラミド、グリクラジド、グリピジド、グルカゴン、グリブリド、グリメピリド、ミグリトール、ナテグリニド、ピマゲジン、ピオグリタゾン、レパグリニド、ロシグリタゾン、トラザミド、トルブタミド、トリアムプテリン(triampterine)、トログリタゾンおよびボグリボース;抗てんかん薬、例えば、限定されないが、ベクラミド、カルバマゼピン、クロナゼパム、エトトイン、フェルバメート、フォスフェニトイン、ラモトリギン、メトイン、メトスクシミド、メチルフェノバルビトン、オキシカルバゼピン、パラメタジオン、フェナセミド、フェノバルビトン、フェニトイン、フェンスクシミド、プリミドン、スルチアム、チアガビン、トピラマート、バルプロ酸、およびビガバトリン;抗真菌薬原薬、例えば、限定されないが、アンホテリシン、ブテナフィン、硝酸ブトコナゾール、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナタマイシン、ナイスタチン、硝酸スルコナゾール、オキシコナゾール、テルビナフィン、テルコナゾール、チオコナゾールおよびウンデセン酸;抗痛風薬原薬、例えば、限定されないが、アロプリノール、プロベネシドおよびスルフィンピラゾン;抗ヒスタミンおよびアレルギー薬、例えば、限定されないが、アクリバスチン、アステミゾール、クロルフェニラミン、シンナリジン、セチリジン、クレマスチン、シクリジン、シプロヘプタジン、デスロラタジン、デクスクロルフェニラミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、エピナスチン、フェキソフェナジン、フルナリジン、ロラタジン、メクリジン、ミゾラスチン、オキサトミド、およびテルフェナジン;降圧薬原薬、例えば、限定されないが、アムロジピン、ベナゼプリル、ベニジピン、カンデサルタン、カプトプリル、カルベジロール、ダロジピン、ジルチアゼム、ジアゾキシド、ドキサゾシン、エナラプリル、エプレレノン、エプロサルタン、フェロジピン、フェノルドパム、ホシノプリル、グアナベンズ、イロプロスト、イルベサルタン、イスラジピン、レルカニジピン、リジノプリル、ロサルタン、ミノキシジル、ネビボロール、ニカルジビン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、オマパトリラト、フェノキシベンザミン、プラゾシン、キナプリル、レセルピン、セモチアジル、シタクスセンタン、テラゾシン、テルミサルタン、およびバルサルタン;抗マラリア剤、例えば、限定されないが、アモジアキン、クロロキン、クロルプログアニル、ハロファントリン、メフロキン、プログアニル、ピリメタミンおよび硫酸キニーネ;抗偏頭痛剤を含む頭痛を治療するための原薬、例えば、限定されないが、アルモトリプタン、ブトルファノール、ジヒドロエルゴタミン、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、エレトリプタン、エルゴタミン、フロバトリプタン、メチセルギド、ナラトリプタン、ピゾチリン、リザトリプタン、スマトリプタン、トナベルサト、およびゾルミトリプタン;抗ムスカリン剤原薬、例えば、限定されないが、アトロピン、ベンズヘキソール、ビペリデン、エトプロパジン、ヒヨスチアミン、臭化メペンゾレート、オキシフェンサイクリミン、スコポラミン、およびトロピカミド;抗原虫剤原薬、例えば、限定されないが、アトバコン、ベンズニダゾール、クリオキノール、デコキネート、ジヨードヒドロキシキノリン、ジロキサニドフロエート、ジニトルミド、フラゾリドン、メトロニダゾール、ニモラゾール、ニトロフラゾン、オルニダゾールおよびチニダゾール;抗甲状腺薬原薬、例えば、限定されないが、カルビマゾール、パリカルシトール、およびプロピルチオウラシル;鎮咳薬、例えば、限定されないがベンゾナテート;抗ウイルス剤原薬、例えば、限定されないが、抗ヘルペス剤アシクロビル、ファムシクロビル、ホスカルネット、ガンシクロビル、イドクスウリジン、ソリブジン、トリフルリジン、バラシクロビル、およびビダラビン、ならびに他の抗ウイルス剤、例えば、アバカビル、アマンタジン、アンプレナビル、デラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、インジナビル、インターフェロンアルファ、ラミブジン、ネルフィナビル、ネビラピン、リバビリン、リマンタジン、リトナビル、サキナビル、スタブジン、チプラナビル、バルガンシクロビル、ザルシタビン、およびジドブジン;ならびに他の抗ウイルス剤、例えば、アバカビル、インジナビル、インターフェロンアルファ、ネルフィナビル、リバビリン、リマンタジン、チプラナビル、ウルソデオキシコール酸、およびバルガンシクロビル;抗不安薬、鎮静薬、および催眠薬、例えば、限定されないが、アルプラゾラム、アミロバルビトン、バルビトン、ベンタゼパム、ブロマゼパム、ブロムペリドール、ブロチゾラム、ブトバルビトン、カルブロマル、クロルジアゼポキシド、クロルメチアゾール、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロナゼパム、クロバザム、クロチアゼパム、クロザピン、デクスメチルフェニデート(d−トレオ−メチルフェニデート)ジアゼパム、ドロペリドール、エチナメート、フルアニソン、フルニトラゼパム、トリフルプロマジン、デカン酸フルペンチキソール、フルフェナジン、フルラゼパム、ガバペンチン、ガボクサドール、γ−ヒドロキシブチレート、ハロペリドール、ラモトリギン、ロラゼパム、ロルメタゼパム、メダゼパム、メプロバメート、メソリダジン、メタカロン、メチルフェニデート、ミダゾラム、モダフィニル、モリンドン、ニトラゼパム、オランザピン、オキサゼパム、ペントバルビドン、ペルフェナジンピモジド、プレガバリン、プロクロルペラジン、プソイドエフェドリン、クエチアピン、リスペリドン、セルチンドール、シラメシン、スルピリド、スネピトロン、テマゼパム、チオリダジン、トリアゾラム、ザレプロン、ゾルピデム、およびゾピクロン;食欲抑制剤、抗肥満薬原薬、および摂食障害を治療する原薬、例えば、限定されないが、アンフェタミン、ブロモクリプチン、デキストロアンフェタミン、ジエチルプロピオン、リンチトリプト、マジンドール、メタンフェタミン、オルリスタット、フェンテルミン、およびトピラマート;心血管薬原薬、例えば、限定されないが、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えば、エナラプリル、ラミプリル、ペリンドプリルエルブミン、1−カルボキシメチル−3−l−カルボキシ−3−フェニル−(lS)−プロピルアミノ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−(3S)−1−ベンゾアゼピン−2−オン、3−(5−アミノ−l−カルボキシ−1S−ペンチル)アミノ−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−3S−1H−ベンゾアセピン酢酸または3−(1−エトキシカルボニル−3−フェニル−(1S)−プロピルアミノ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−(−3S)−ベンゾアゼピン酸一塩酸塩;強心配糖体および変力剤、例えば、アムリノン、ジゴキシン、ジギトキシン、エノキシモン、ラナトシドC、メジゴキシン、およびミルリノン;カルシウムチャネル遮断薬、例えば、ベラパミル、ニフェジピン、ニカルジピン、フェロジピン、イスラジピン、ニモジピン、アムロジピン、およびジルチアゼム;β遮断薬、例えばアセブトロール、アルプレノロール、アテノロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、オキシプレノロール、ピンドロール、プロパフェノン、プロプラノロール、エスモロール、ソタロール、チモロール、およびアセブトロール;抗不整脈薬、例えば、モリシジン、ドフェチリド、イブチリド、ネシ
リチド、プロカインアミド、キニジン、ジソピラミド、リドカイン、フェニトイン、トカイニド、メキシレチン、フレカイニド、エンカイニド、ブレチリウムおよびアミオダロン;心保護剤、例えば、デクスラゾキサンおよびロイコボリン;血管拡張薬、例えばニトログリセリン;利尿剤、例えば、アセタゾラミド、アミロライド、ベンドロフルメチアジド、ブメタニド、クロロチアジド、クロルタリドン、エタクリン酸、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、メトラゾン、ネシリチド、スピロノラクトン、およびトリアムテレン;およびモンテプラーゼおよびコルロパム等の種々の心血管薬;副腎皮質ステロイド、例えば、限定されないが、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、コルチゾン、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、フルニソリド、フルオコルトロン、プロピオン酸フルチカゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンおよびトリアムシノロン;勃起不全薬原薬、例えば、限定されないが、ポモルフィン、フェントラミン、およびバルデナフィル;胃腸薬原薬、例えば、限定されないが、アロセトロン、ビサコジル、シランセトロン、シメチジン、シサプリド、ジフェノキシレート、ドンペリドン、エソメプラゾール、ファモチジン、グラニセトロン、ランソプラゾール、ロペラミド、メサラジン、ニザチジン、オメプラゾール、オンダンセトロン、パントプラゾール、ラベプラゾールナトリウム、ラニチジン、リスペリドン、スルファサラジン、およびテガセロド;遺伝物質、例えば、限定されないが、核酸、RNA、DNA、組換えRNA、組換えDNA、アンチセンスRNA、アンチセンスDNA、リボザイム、リボオリゴヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、アンチセンスリボオリゴヌクレオチド、およびアンチセンスデオキシリボオリゴヌクレオチド。代表的な遺伝子は、血管内皮成長因子、線維芽細胞成長因子、Bcl−2、嚢胞性線維症貫通制御因子、神経成長因子、ヒト成長因子、エリスロポエチン、腫瘍壊死因子、およびインターロイキン−2をコードするもの、ならびにHLA−B7等の組織適合性遺伝子;角質溶解薬、例えば、限定されないが、アセトレチン、カルシポトリエン、カルシフェジオール、カルシトリオール、コレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール、エトレチネート、レチノイド、タルグレチン、およびタザロテンを含む。一般に疎水性として分類される脂質調節剤原薬は、HMG CoA還元酵素阻害剤、例えば、限定されないが、アトルバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン、およびピタバスタチン、ならびに他の脂質低下(「抗高脂血症」)原薬、例えば、1−メチルニコチンアミドクロリド(1−MNA)HCI、ベザフィブラート、ベクロブラート、ビニフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブラン酸、エゼチミブ、エトフィブラート、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸、ゲムフィブロジル、ナイアシン、ニコフィブラート、ピリフィブラート、プロブコール、ロニフィブラート、シンフィブラート、およびテオフィブラートを含む;筋弛緩剤、例えば、限定されないが、シクロベンザプリン、ダントロレンナトリウムおよびチザニジンHCl;アルツハイマー病を治療するための活性原薬を含む、神経変性疾患を治療するための薬剤、例えば、限定されないが、アカチノール、ドネペジル、塩酸ドネペジル、ドロナビノール、ガランタミン、ネオトロフィン、ラサギリン、フィゾスチグミン、サリチル酸フィゾスチグミン、プロペントフィリン、クエチアピン、リバスチグミン、タクリン、塩酸タクリン、サリドマイド、およびキサリプロデン;ハンチントン病を治療するための原薬、例えば、限定されないが、フルオキセチンおよびカルバマゼピン;有用な抗パーキンソン病薬物、例えば、限定されないが、アマンタジン、アポモルヒネ、ブロモクリプチン、エンタカポン、レボドパ(特にレボドパ/カルビドパの組み合わせ)、リスリド、ペルゴリド、プラミペキソール、ラサギリン、リルゾール、ロピニロール、セレギリン、スマニロール、トルカポン、トリヘキシフェニジル、および塩酸トリヘキシフェニジル;;抗痙攣剤バクロフェン、ジアゼピン、およびチザニジン等のALSを治療するための原薬;硝酸塩および他の抗狭心症薬原薬、例えば、限定されないが、硝酸アミル、三硝酸グリセリン、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビドおよび四硝酸ペンタエリスリトール;例えば、抗うつ薬、抗躁薬、および抗精神病薬を含む神経遮断薬原薬を含み、抗うつ薬は、限定されないが、(a)アモキサピン、アミトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、およびトリミプラミン等の三環系抗うつ薬、(b)シタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、およびベンラファキシン等のセロトニン再取り込み阻害剤、(c)フェネルジン、トラニルシプロミン、および(−)−セレギリン等のモノアミン酸化酵素阻害剤、ならびに(d)アプレピタント、ブプロピオン、デュロキセチン、ゲピロン、イグメシン、ラモトリギン、マプロチリン、ミアンセリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ラバルゾタン(rabalzotan)、スネピトロン、トラゾドン、およびベンラファキシン等の他の抗うつ薬を含み、抗躁薬および抗精神病薬は、例えば、限定されないが、(a)アセトフェナジン、マレイン酸アセトフェナジン、クロルプロマジン、塩酸クロルプロマジン、フルフェナジン、塩酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン、メソリダジン、ベジル酸メソリダジン、ペルフェナジン、チオリダジン、塩酸チオリダジン、トリフルオペラジン、および塩酸トリフルオペラジン等のフェノチアジン、(b)クロルプロチキセン、チオチキセン、および塩酸チオチキセン等のチオキサンテン;(c)カルバマゼピン、クロザピン、ドロペリドール、ハロペリドール、デカン酸ハロペリドール、コハク酸ロキサピン、モリンドン、塩酸モリンドン、オランザピン、ピモジド、クエチアピン、リスペリドン、およびセルチンドール等の他の複素環薬;例えば、限定されないが、カルシトリオール、カロテン、ジヒドロタキステロール、必須脂肪酸、非必須脂肪酸、フィトナジオール、ビタミンA、ビタミンB
2、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK等の栄養剤;例えば、限定されないが、アルフェンタニル、アポモルヒネ、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、デキストロプロポキシフェン、ジアモルヒネ、ジヒドロコデイン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メプタジノール、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロポキシフェン、スフェンタニル、およびトラマドール等のオピオイド鎮痛薬を含み;ペプチジル原薬は、天然に存在するか、化学的に合成されたか、組換えにより生成されたか、および/またはより大きな分子の生化学的(例えば、酵素的)断片化により生成されたかに関係なく、治療用ペプチドおよびタンパク質自体を含み、天然配列またはその活性断片を含み得る。特定のペプチジル薬は、例えば、限定されないが、ペプチジルホルモンのアクチビン、アミリン、アンジオテンシン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、カルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、カルシトニンN末端隣接ペプチド、毛様体神経栄養因子(CNTF)、コルチコトロピン(副腎皮質刺激ホルモン、ACTH)、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRFまたはCRH)、上皮成長因子(EGF)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ガストリン、ガストリン阻害ペプチド(GIP)、ガストリン放出ペプチド、ゴナドトロピン放出因子(GnRFまたはGNRH)、成長ホルモン放出因子(GRF、GRH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCH)、インヒビンA、インヒビンB、インスリン、黄体形成ホルモン(LH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、αメラニン細胞刺激ホルモン、βメラニン細胞刺激ホルモン、γメラニン細胞刺激ホルモン、メラトニン、モチリン、オキシトシン(ピトシン)、膵臓ポリペプチド、副甲状腺ホルモン(PTH)、胎盤ラクトゲン、プロラクチン(PRL)、プロラクチン放出阻害因子(PIF)、プロラクチン放出因子(PRF)、セクレチン、ソマトトロピン(成長ホルモン、GH)、ソマトスタチン(SIF、成長ホルモン放出抑制因子、GIF)、チロトロピン(甲状腺刺激ホルモン、TSH)、チロトロピン放出因子(TRHまたはTRF)、チロキシン、血管作動性腸管ペプチド(VIP)、およびバソプレシンを含む。他のペプチジル原薬は、サイトカイン、例えば、コロニー刺激因子4、ヘパリン結合神経栄養因子(HBNF)、インターフェロンα、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロンα−n3、インターフェロンβ等、インターロイキン−1、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−5、インターロイキン−6等、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子α、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子、ミッドカイン(MD)、およびチモポエチンである。さらに他のペプチジル原薬は、エンドルフィン(例えば、デルモルフィン、ダイノルフィン、αエンドルフィン、βエンドルフィン、γエンドルフィン、σエンドルフィン、[Leu.sup.5]エンケファリン、[Met.sup.5]エンケファリン、サブスタンスP)、キニン(例えば、ブラジキニン、増強剤B、ブラジキニン増強剤C、カリジン)、LHRH類似体(例、ブセレリン、デスロレリン、フェルチレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、リュープロリド、ルトレリン、ナファレリン、トリプトレリン)、および凝固因子、例えば、α
1−抗トリプシン、α
2−マクログロブリン、抗トロンビンIII、第I因子(フィブリノーゲン)、第II因子(プロトロンビン)、第III因子(組織プロトロンビン)、第V因子(プロアクセリン)、第VII因子(プロコンバーチン)、第VIII因子(抗血友病グロブリンまたはAHG)、第IX因子(クリスマス因子、血漿トロンボプラスチン成分またはPTC)、第X因子(スチュアート・プロワー因子)、第Xl因子(血漿トロンボプラスチン前区物質またはPTA)、第XII因子(ハーゲマン因子)、ヘパリン補因子II、カリクレイン、プラスミン、プラスミノーゲン、プレカリクレイン、プロテインC、プロテインS、およびトロンボモジュリンを含み、性ホルモンは、例えば、限定されないが、プロゲスチン(プロゲストーゲン)、エストロゲン、およびそれらの組み合わせを含む。プロゲスチンは、アセトキシプレグネノロン、アリルエストレノール、酢酸アナゲストン、酢酸クロルマジノン、シプロテロン、酢酸シプロテロン、デソゲストレル、ジヒドロゲステロン、ジメチステロン、エチステロン(17−α−エチニルテストステロン)、二酢酸エチノジオール、酢酸フルロゲストン、ゲスタデン、ヒドロキシプロゲステロン、酢酸ヒドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシメチルプロゲステロン、酢酸ヒドロキシメチルプロゲステロン、3−ケトデソゲストレル、レボノルゲストレル、リネストレノール、メドロゲストン、酢酸メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、酢酸メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチドロン、ノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、ノルエチノドレル、ノルゲスチメート、ノルゲストレル、ノルゲストリエノン、ノルメチステロン、プロゲステロン、およびトリメゲストンを含む。また、この一般的なクラスには、エストロゲン、例えば、エストラジオール(すなわち、1,3、5−エスト
ラトリエン−3,17−β−ジオール、または「17−β−エストラジオール」)およびそのエステル(エストラジオール安息香酸エステル、吉草酸エステル、シピオン酸エステル、ヘプタン酸エステル、デカン酸エステル、酢酸エステルおよび二酢酸エステルを含む);17α−エストラジオール;エチニルエストラジオール(すなわち、17α−エチニルエストラジオール)ならびにそのエステルおよびエーテル(エチニルエストラジオール3−酢酸エステルおよびエチニルエストラジオール3−安息香酸エステルを含む);エストリオールおよびコハク酸エストリオール;リン酸ポリエストロール;エストロンならびにそのエステルおよび誘導体(酢酸エストロン、硫酸エストロン、および硫酸ピペラジンエストロンを含む);キネストロール;メストラノール;ならびに共役ウマエストロゲンが含まれる。多くの状況において、例えば女性の避妊およびホルモン補充療法(HRT)では、プロゲスチンとエストロゲンの組み合わせ、例えばプロゲステロンと17−β−エストラジオールが使用される。HRTの場合、アンドロゲン剤も同様に有利に含まれ得る。この目的のためのアンドロゲン剤は、例えば、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA:「プラステロン」とも称される)、デヒドロエピアンドロステロン硫酸ナトリウム、4−ジヒドロテストステロン(DHT:「スタノロン」とも称される)、およびテストステロン、ならびにテストステロンと4−ジヒドロテストステロンの薬学的に許容されるエステル、通常はC−17の位置に存在するヒドロキシル基から形成されるエステル(限定されないが、エナント酸エステル、プロピオン酸エステル、シピオン酸エステル、フェニル酢酸エステル、酢酸エステル、イソブチル酸エステル、ブシクラート(buciclate)、ヘプタン酸エステル、デカン酸エステル、ウンデカン酸エステル、カプリン酸エステルおよびイソカプリン酸エステルを含む);アンドロゲン原薬もまた当該技術分野で周知の他の目的のために投与され得る。上に列挙したアンドロゲン剤に加えて、他のアンドロゲン剤は、アンドロステロン、アンドロステロンアセテート、アンドロステロンプロピオネート、アンドロステロンベンゾエート、アンドロステンジオール、アンドロステンジオール−3−アセテート、アンドロステンジオール−17−アセテート、アンドロステンジオール−3,17−ジアセテート、アンドロステンジオール−17−ベンゾエート、アンドロステンジオール−3−アセテート−17−ベンゾエート、アンドロステンジオン、エチルエストレノール、オキサンドロロン、ナンドロロンフェンプロピオネート、ナンドロロンデカノエート、ナンドロロンフリルプロピオネート、ナンドロロンシクロヘキサン−プロピオネート、ナンドロロンベンゾエート、ナンドロロンシクロヘキサンカルボキシレート、スタンゾロール、ドロモスタノロン、およびドロモスタノロンプロピオネート;注意欠陥障害(ADD)および注意欠陥多動性障害(ADHD)を含むナルコレプシーを治療するための活性原薬、例えば、限定されないが、アンフェタミン、デキサンフェタミン、デクスフェンフルラミン、マジンドール、メチルフェニデート(d−スレオ−メチルフェニデートまたは「デクスメチルフェニデート」を含む)、モンダフィニル、ペモリンおよびシブトラミンを含む刺激薬を含む。
【0068】
溶解性を考慮して、例示的な疎水性活性物質として、限定されないが、アセトレチン、アセチルコエンザイムQ、アルベンダゾール、アルブテロール、アミノグルテチミド、アミオダロン、アムロジピン、アンフェタミン、アンホテリシンB、アトルバスタチン、アトバクオン、アジスロマイシン、バクロフェン、ベクロメタゾン、ベナゼプリル、ベンゾナテート、ベタメタゾン、ビカルタニド、ブデソニド、ブプロピオン、ブスルファン、ブテナフィン、カルシフェジオール、カルシポトリエン、カルシトリオール、カンプトテシン、カンデサルタン、カプサイシン、カルバマゼピン、カロテン、セレコキシブ、セリバスタチン、セチリジン、クロルフェニラミン、コレカルシフェロール、シロスタゾール、シメチジン、シンナリジン、シプロフロキサシン、シサプリド、クラリスロマイシン、クレマスチン、クロミフェン、クロミプラミン、クロピドグレル、コデイン、コエンザイムQ10、シクロベンザプリン、シクロスポリン、ダナゾール、ダントロレン、デクスクロルフェニラミン、ジクロフェナク、ジクマロール、ジゴキシン、デヒドロエピアンドロステロン、ジヒドロエルゴタミン、ジヒドロタキステロール、ジリスロマイシン、ドネペジル、エファビレンツ、エプロサルタン、エルゴカルシフェロール、エルゴタミン、必須脂肪酸源、エストラジオール、エトドラク、エトポシド、ファモチジン、フェノフィブラート、フェンタニル、フェキソフェナジン、フィナステリド、フルコナゾール、フルルビプロフェン、フルバスタチン、フォスフェニトイン、フロバトリプタン、フラゾリドン、ガバペンチン、ゲムフィブロジル、グリベンクラミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド、グリセオフルビン、ハロファントリン、イブプロフェン、イルベサルタン、イリノテカン、硝酸イソソルビド、イソトレチノイン、イトラコナゾール、イベルメクチン、ケトコナゾール、ケトロラク、ラモトリギン、ランソプラゾール、レフルノミド、リシノプリル、ロペラミド、ロラタジン、ロバスタチン、L−チロキシン、ルテイン、リコピン、メドロキシプロゲステロン、ミフェプリストン、メフロキン、酢酸メゲストロール、メサドン、メトキサレン、メトロニダゾール、ミコナゾール、ミダゾラム、ミグリトール、ミノキシジル、ミトキサントロン、モンテルカスト、ナブメトン、ナルブフィン、ナラトリプタン、ネルフィナビル、ニフェジピン、ニソルジピン、ニルタニド、ニトロフラントイン、ニザチジン、オメプラゾール、オプレベルキン、オキサプロジン、パクリタキセル、パリカルシトール、パロキセチン、ペンタゾシン、ピオグリタゾン、ピゾチフェン、プラバスタチン、プレドニゾロン、プロブコール、プロゲステロン、プソイドエフェドリン、ピリドスチグミン、ラベプラゾール、ラロキシフェン、レパグリニド、リファブチン、リファペンチン、リメキソロン、リタノビル、リザトリプタン、ロフェコキシブ、ロシグリタゾン、サキナビル、セルトラリン、シブトラミン、クエン酸シルデナフィル、シンバスタチン、シロリムス、スピロノラクトン、スマトリプタン、タクリン、タクロリムス、タモキシフェン、タムスロシン、タルグレチン、タザロテン、テルミサルタン、テニポシド、テルビナフィン、テラゾシン、テトラヒドロカンナビノール、チアガビン、チクロピジン、チロフィバン、チザニジン、トピラマート、トポテカン、トレミフェン、トラマドール、トレチノイン、トログリタゾン、トロバフロキサシン、ユビデカレノン、バルサルタン、ベンラファキシンベルテポルフィン、ビガバトリン、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ザフィルルカスト、ジロートン、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾピクロン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0069】
例示的な親水性活性物質として、限定されないが、アカルボース、アシクロビル、アセチルシステイン、塩化アセチルコリン、アラトロフロキサシン、アレンドロネート、アルグルセラーゼ、塩酸アマンタジン、アンベノミウム、アミホスチン、塩酸アミロライド、アミノカプロン酸、アンホテリシンB、抗血友病因子(ヒト)、抗血友病因子(ブタ)、抗血友病因子(組み換え体)、アプロチニン、アスパラギナーゼ、アテノロール、ベシル酸アトラクリウム、アトロピン、アジスロマイシン、アズトレオナム、BCGワクチン、バシトラシン、ベカプレルミン、ベラドナ、塩酸ベプリジル、硫酸ブレオマイシン、ヒトカルシトニン、サケカルシトニン、カルボプラチン、カペシタビン、硫酸カプレオマイシン、セファマンドールナファート、セファゾリンナトリウム、セフェピム塩酸塩、セフィキシム、セフォニシドナトリウム、セフォペラゾン、セフォテタン二ナトリウム、セフォタキシム、セフォキシチンナトリウム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシムアキセチル、セファレキシン、セファピリンナトリウム、コレラワクチン、絨毛性ゴナドトロピン、シドホビル、シスプラチン、クラドリビン、臭化クリジニウム、クリンダマイシンおよびクリンダマイシン誘導体、シプロフロキサシン、クロドロネート、コリスチメタートナトリウム、硫酸コリスチン、コルチコトロピン、コシントロピン、クロモリンナトリウム、シタラビン、ダルテパリンナトリウム、ダナパロイド、デフェロキサミン、デニロイキンジフチトクス、デスモプレシン、ジアトリゾエートメグルミンおよびジアトリゾエートナトリウム、ジサイクロミン、ジダノシン、ジリスロマイシン、ドパミン塩酸塩、ドルナーゼアルファ、塩化ドキサクリウム、ドキソルビシン、エチドロン酸二ナトリウム、エナラプリラート、エンケファリン、エノキサパリン、エノキサパリンナトリウム、エフェドリン、エピネフリン、エポエチンα、エリスロマイシン、塩酸エスモロール、第IX因子、ファムシクロビル、フルダラビン、フルオキセチン、ホスカルネットナトリウム、ガンシクロビル、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球−マクロファージ刺激因子、組換えヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、ゲンタマイシン、グルカゴン、グリコピロレート、ゴナドトロピン放出ホルモンおよびその合成類似体、ゴナドレリン、グレパフロキサシン、ヘモフィルスB結合型ワクチン、不活性化A型肝炎ウイルスワクチン、不活性化B型肝炎ウイルスワクチン、ヘパリンナトリウム、硫酸インジナビル、インフルエンザウイルスワクチン、インターロイキン2、インターロイキン3、インスリンヒト、インスリンリスプロ、インスリンプロシン、インスリンNPH、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル、インターフェロンα、インターフェロンβ、臭化イプラトロピウム、イホスファミド、日本脳炎ウイルスワクチン、ラミブジン、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、レボフロキサシン、リンコマイシンおよびリンコマイシン誘導体、ロブカビル、ロメフロキサシン、ロラカルベフ、マンニトール、麻疹ウイルスワクチン、髄膜炎菌ワクチン、メノトロピン、臭化メペンゾレート、メサラミン、メテナミン、メトトレキサート、メトスコポラミン、塩酸メトホルミン、メトプロロール、メズロシリンナトリウム、塩化ミバクリウム、流行性耳下腺炎ウイルスワクチン、ネドクロミルナトリウム、臭化ネオスチグミン、硫酸ネオスチグミン、ニューロンチン、ノルフロキサシン、酢酸オクトレオチド、オフロキサシン、オルパドロネート、オキシトシン、パミドロン酸二ナトリウム、臭化パンクロニウム、パロキセチン、ペルフロキサシン、イセチオン酸ペンタミジン、ペントスタチン、ペントキシフィリン、ペンシクロビル、ペンタガストリン、フェントラミンメシル酸塩、フェニルアラニン、サリチル酸フィゾスチグミン、ペストワクチン、ピペラシリンナトリウム、血小板由来成長因子、肺炎球菌多価ワクチン、ポリオウイルスワクチン(不活化)、ポリオウイルス生ワクチン(OPV)、硫酸ポリミキシンB、塩化プラリドキシム、プラムリンチド、プレガバリン、プロパフェノン、臭化プロパンテリン、臭化ピリドスチグミン、狂犬病ワクチン、リセドロネート、リバビリン、塩酸リマンタジン、ロタウイルスワクチン、サルメテロールキシナホエート、シンカリド、痘瘡ワクチン、ソラトール、ソマトスタチン、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、スタブジン、ストレプトキナーゼ、ストレプトゾシン、塩化スキサメトニウム、塩酸タクリン、硫酸テルブタリン、チオペタ、チカルシリン、チルドロネート、チモロール、組織型プラスミノーゲン活性化因子、TNFR:Fc、TNK−tPA、トランドラプリル、グルコン酸トリメトレキサート、トロスペクトマイシン、トロバフロキサシン、塩化ツボクラリン、腫瘍壊死因子、腸チフス生ワクチン、尿素、ウロキナーゼ、バンコマイシン、バラシクロビル、バルサルタン、水痘ウイルス生ワクチン、バソプレシンおよびバソプレシン誘導体、臭化ベクロニウム、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビタミンB12、ワルファリンナトリウム、黄熱ワクチン、ザルシタビン、ザナミビル、ゾレンドロネート、ジドブジン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0070】
当然、疎水性として示される特定の活性物質は、例えば、非イオン化活性物質をイオン化して医薬的に許容される薬理学的に活性な塩を形成することにより、親水性形態に容易に変換され、市販され得る。逆に、親水性として示される特定の活性物質は、例えば中和、エステル化等により、疎水性形態に容易に変換され、市販され得る。したがって、親水性または疎水性としての特定の活性物質の上記の分類は、限定的であることを意図するものではないことを理解されたい。
【0071】
また、前述の活性物質のいずれも、本発明の製剤を使用した組み合わせで投与され得る。組み合わせて投与される活性物質は、同じ治療クラス(例えば、脂質調節剤または抗凝固剤)から、または異なる治療クラス(例えば、脂質調節剤および抗凝固剤)からであり得る。原薬の組み合わせ製品の非限定的な例として、限定されないが、以下が挙げられる:プロゲストーゲンとエストロゲンの両方を含む女性用避妊薬組成物;プロゲストーゲン、エストロゲン、およびアンドロゲンを含む女性HRT組成物;脂質調節剤の組み合わせ、例えば、(a)フェノフィブラートとスタチン、例えばフェノフィブラートとアトルバスタチン、フェノフィブラートとシンバスタチン、フェノフィブラートとロバスタチン、またはフェノフィブラートとプラバスタチン;(b)フィブラートとニコチン酸、例えばフェノフィブラートとナイアシン;および(c)スタチンとニコチン酸、例えばロバスタチンとナイアシン;脂質調節剤と抗ウイルス剤の組み合わせ、例えばフィブラートとプロテアーゼ阻害剤、例えば、フェノフィブラートとリトナビル;脂質調節剤と抗凝固剤の組み合わせ、例えば、(a)フィブラートとサリチル酸塩、例えばフェノフィブラートとアスピリン、(b)フィブラートと別の抗凝固剤、例えばフェノフィブラートとクロピドグレル、(c)スタチンとサリチル酸塩、例えばシンバスタチンとアスピリン、および(d)スタチンと別の抗凝固剤、例えばプラバスタチンとクロピドグレル;脂質調節剤と抗糖尿病薬の組み合わせ((a)フィブラートとチアゾリジンジオン等のインスリン抵抗性改善薬、例えばフェノフィブラートとピオグリタゾン、またはフェノフィブラートとロシグリタゾン、(b)フィブラートとスルホニル尿素等のインスリン刺激薬、例えばフェノフィブラートとグリメピリド、またはフェノフィブラートとグリピジド、スタチンとチアゾリジンジオン等のインスリン抵抗性改善薬、例えばロバスタチンとピオグリタゾン、シンバスタチンとロシグリタゾン、プラバスタチンとピオグリタゾン等を含む);脂質調節剤と心血管薬の組み合わせ、例えば(a)フィブラートとカルシウムチャネル遮断薬、例えばフェノフィブラートとアムロジピン、またはフェノフィブラートとイルベサルタン、または(b)スタチンとカルシウムチャネル遮断薬、例えば、ホシノプリルとプラバスタチン;抗凝固剤の組み合わせ、例えば、(a)サリチル酸塩と血小板受容体結合阻害剤、例えばアスピリンとクロピドグレル、(b)サリチル酸塩と低分子量ヘパリン、例えばアスピリンとダルテパリン、および(c)血小板受容体結合阻害剤と低分子量ヘパリン、例えばクロピドグレルとエノキサパリン;抗糖尿病薬の組み合わせ、例えば、(a)インスリン抵抗性改善薬とインスリン刺激薬、例えば(i)グリタゾンまたはピオグリタゾン等のチアゾリジンジオンとグリメピリド等のスルホニル尿素、ホシノプリルメトホルミン等のビグアナイドとレパグリニド等のメグリチニド、(b)インスリン抵抗性改善薬とおよびαグルコシダーゼ阻害薬、例えばメトホルミンとアカルボース、(c)インスリン刺激薬とαグルコシダーゼ阻害薬、例えば(i)アカルボースと組み合わせたグリブリド等のスルホニル尿素、(ii)アカルボースとレパグリニド等のメグリチニド、(iii)ミグリトールとグリピジド等のスルホニル尿素、(iv)アカルボースとピオグリタゾン等のチアゾリジンジオン、または(v)メトホルミンとピオグリタゾン;ACE阻害剤の組み合わせ、例えばリシノプリルとカンデサルタン等の心血管薬の組み合わせ;ACE阻害薬と利尿薬の組み合わせ、例えばロサルタンとヒドロクロロチアジド;カルシウムチャネル遮断薬とβ遮断薬の組み合わせ、例えばニフェジピンとアテノロール;カルシウムチャネル遮断薬とACE阻害薬の組み合わせ、例えばフェロジピンとラミプリル;降圧薬と抗糖尿病薬の組み合わせ、例えばACE阻害剤とスルホニル尿素、例えばイルベサルタンとグリピジド;抗ヒスタミン剤と抗喘息剤の組み合わせ、例えば、抗ヒスタミン剤とロイコトリエン受容体拮抗薬、例えばロラタジンとザフィルルカスト、デスロラチジンとザフィルルカスト、およびセチラジンとモンテルカスト;抗炎症薬と鎮痛薬の組み合わせ、例えば、COX−2阻害剤と非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えばロフェコキシブとナプロキセン、またはCOX−2阻害剤とサリチル酸塩、例えばセレコキシブとアスピリン;抗肥満薬と抗糖尿病薬の組み合わせ、例えばメトホルミンと組み合わせたオルリスタット等のリパーゼ阻害剤;脂質調節剤と冠状動脈疾患を治療するための薬物の組み合わせ、例えばフェノフィブラートとエゼチミブ、またはロバスタチンとエゼチミブ;および他の組み合わせ、例えば、ドセタキセルとシスプラチン、チラパザミンとシスプラチン、メトクロプラミドとナプロキセンナトリウム、オキシコドン等のオピオイド鎮痛薬と抗炎症薬、プラゾシン等の降圧薬/血管拡張薬とアルプロスタジル等の勃起不全治療薬。
【0072】
したがって、当業者は、本明細書に提供される開示に基づいて、用量および投与計画が治療分野で周知の方法に従って調整されることを理解するであろう。すなわち、最大耐量を容易に確立することができ、対象に検出可能な治療効果を提供するための各薬剤を投与するための時間的要件と同様に、対象に検出可能な治療効果を提供する有効量も決定することができる。したがって、特定の用量および投与計画が本明細書で例示されているが、これらの例は、本開示を実施する際に対象に提供され得る用量および投与計画を決して限定しない。
【0073】
投与量の値は、緩和されるべき状態の種類および重症度に応じて変動してもよく、単回投与または複数回投与を含み得ることに留意されたい。特定の対象については、個々の必要性および組成物の投与を管理または監督する人の専門的判断に従って、特定の投与計画を経時的に調整する必要があり、本明細書に記載の投与量範囲は例示であることをさらに理解されたいクレームされた組成物の範囲または実施を制限することを意図したものではない。さらに、本開示の組成物を用いた投与計画は、疾患の種類、対象の年齢、体重、性別、病状、状態の重症度、投与経路、および使用される特定のペプチドを含む、様々な要因に基づき得る。したがって、投与計画は大きく異なり得るが、標準的な方法を使用して日常的に決定され得る。例えば、用量は、薬物動態学的または薬力学的パラメータに基づいて調整することができ、これには毒性効果および/または検査値などの臨床効果が含まれる場合がある。したがって、本開示は、当業者によって決定される対象内の用量漸増を包含する。適切な投与量およびレジメンの決定は、関連技術分野で周知であり、本明細書に開示される教示が提供されれば、当業者に包含されると理解されるであろう。
【0074】
本開示のペプチドの用量はまた、本開示の特定のペプチドの投与に伴う可能性がある任意の有害な副作用の存在、性質および程度によって決定され。通常、主治医は、年齢、体重、一般的な健康、食事、性別、本発明のペプチドなどの様々な要因を考慮して、個々の患者を治療する本開示のペプチドの投与量を決定する。投与される開示、投与経路、および治療されている状態の重症度。例として、限定的であることを意図するものではないが、本開示のペプチドの用量は、約0.0001〜約100mg/治療される対象の体重1kg/日、約0.001〜約10mg/体重1kg/日、または約0.01mg〜約1mg/体重1kg/日であり得る。ペプチドは、1日当たり1〜3回の用量等の1回以上の用量で投与することができる。
【0075】
種々の実施形態において、単回または複数回投与の医薬組成物は、対象が必要および忍容性を示す投与量および頻度に応じて投与される。いずれにしても、組成物は、対象を効果的に治療するのに十分な量の本明細書に開示されるペプチドの少なくとも1つを提供する必要がある。投与量は1回投与できるが、治療結果が得られる、または副作用が治療の中止を保証するかのいずれかまで、定期的に適用することができる。
【0076】
ペプチド医薬組成物の投与の投与頻度は、治療および治療される特定の疾患の性質に依存する。投与は、ペプチドの場合、1日1回、2回、3回または4回であってもよい。治療有効量のペプチドによる対象の治療は、単回治療を含むことができ、または好ましくは、一連の治療を含むことができる。好ましい例では、対象は毎日、週に1回または隔週でペプチドにより治療される。
【0077】
ペプチドは、米国仮出願第62/401,123号、および2017年9月27日に出願され、2018年4月5日にWO2018/064098として公開され、参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願第PCT/US2017/053597号に記載されるように調製することができる。
【0078】
例えば、過体重または肥満であることに加えて、対象または患者は、過体重または肥満関連の併存症、すなわち、過体重または肥満であることに関連する、それによって悪化する、または誘発される、疾患および他の有害な健康状態をさらに有し得る。本明細書で企図されるのは、これらの過体重または肥満関連状態を治療することが以前に示されている少なくとも1つの他の薬剤と組み合わせて単独で投与される本発明のペプチド製剤である。
【0079】
例えば、II型糖尿病は肥満に関連付けられている。II型糖尿病の特定の合併症、例えば障害および早期死亡は、持続的な体重減少によって予防、改善、または解消することができる(Astrup,A.Pub Health Nutr(2001)4:499−5 15)。II型糖尿病を治療するために投与される薬剤は、スルホニル尿素(例えば、クロルプロパミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド);メグリチニド(例えば、レパグリニドおよびナテグリニド);ビグアニド(例えば、メトホルミン);チアゾリジンジオン(ロシグリタゾン、トログリタゾン、およびピオグリタゾン);ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、およびサクサグリプチン);グルカゴン様ペプチド−1模倣物(例えば、エクセナチドおよびリラグルチド);およびα−グルコシダーゼ阻害薬(例えば、アカルボースおよびミグリトールを含む。
【0080】
心臓の障害および状態、例えば高血圧症、脂質異常症、虚血性心疾患、心筋症、心筋梗塞、脳卒中、静脈血栓塞栓症および肺高血圧は、過体重または肥満に関連している。例えば、過剰な脂肪組織が腎臓から作用を受ける物質を分泌し、高血圧症を引き起こすため、高血圧症は肥満と関連付けられている。さらに、肥満では、一般に産生されるインスリンの量が多くなり(脂肪組織が過剰であるため)、この過剰なインスリンもまた血圧を上昇させる。高血圧症の主な治療選択肢は減量である。高血圧症を治療するために投与される薬剤は、クロルタリドン;ヒドロクロロチアジド;インダパミド、メトラゾン;ループ利尿薬(例えば、ブメタニド、エタクリン酸、フロセミド、ラシックス、トルセミド);カリウム保持性利尿薬(例えば、塩酸アミロライド、ベンザミル、スピロノラクトン、およびトリアムテレン);末梢性薬剤(例えば、レセルピン);中枢性α作動薬(例えば、塩酸クロニジン、酢酸グアナベンズ、塩酸グアンファシン、およびメチルドパ);α遮断薬(例えば、メシル酸ドキサゾシン、塩酸プラゾシン、および塩酸テラゾシン);β遮断薬(例えば、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、フマル酸ビソプロロール、塩酸カルテオロール、酒石酸メトプロロール、コハク酸メトプロロール、ナドロール、硫酸ペンブトロール、ピンドロール、塩酸プロプラノロール、およびマレイン酸チモロール);α遮断薬とβ遮断薬の併用(例えば、カルベジロールと塩酸ラベタロール);直接血管拡張薬(例えば、塩酸ヒドララジンおよびミノキシジル);カルシウム拮抗薬(例えば、塩酸ジルチアゼムおよび塩酸ベラパミル);ジヒドロピリジン類(例えば、ベシル酸アムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、およびニソルジピン);ACE阻害剤(塩酸ベナゼプリル、カプトプリル、マレイン酸エナラプリル、ホシノプリルナトリウム、リシノプリル、モエキシプリル、塩酸キナプリル、ラミプリル、トランドラプリル);アンジオテンシンII受容体遮断薬(例えば、ロサルタンカリウム、バルサルタン、およびイルベサルタン);レニン阻害剤(例えば、アリスキレン);およびそれらの組み合わせを含む。これらの化合物は、当該技術分野で既知のレジメンおよび投薬量で投与される。
【0081】
Carr et al.(The Journal of Clinical Endocrinology&Metabolism(2004)Vol.89,No.6 2601−2607)は、過体重または肥満であることと脂質異常症との関連性について論じている。脂質異常症は、通常、スタチンで治療される。HMG−CoAレダクターゼ阻害剤であるスタチンは、対象におけるコレステロールの生成を遅延させ、かつ/または動脈からコレステロールの蓄積を除去する。スタチンは、メバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ベロスタチン、ジヒドロコンパクチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ダルバスタチン、カルバスタチン、クリバスタチン、ベバスタチン、セフバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、およびグレバスタチンを含む。これらの化合物は、当該技術分野で既知のレジメンおよび投薬量で投与される。Eckel(Circulation(1997)96:3248−3250)は、過体重または肥満であることと虚血性心疾患との関連性について論じている。虚血性心疾患を治療するために投与される薬剤は、スタチン、硝酸塩(例えば、二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビド)、β遮断薬、およびカルシウムチャネル拮抗薬を含む。これらの化合物は、当該技術分野で既知のレジメンおよび投薬量で投与される。
【0082】
Wong et al.(Nature Clinical Practice Cardiovascular Medicine(2007)4:436−443)は、過体重または肥満であることと心筋症との関連性について論じている。心筋症を治療するために投与される薬剤は、変力剤(例えば、ジゴキシン)、利尿薬(例えば、フロセミド)、ACE阻害剤、カルシウム拮抗薬、抗不整脈薬(例えば、ソトロール、アミオダロン、ジソピラミド)、およびβ遮断薬を含む。これらの化合物は、当該技術分野で既知のレジメンおよび投薬量で投与される。Yusef et al.(Lancet(2005)366(9497):1640−1649)は、過体重または肥満であることと心筋梗塞との関連性について論じている。心筋梗塞を治療するために投与される薬剤は、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬、直接血管拡張薬、β遮断薬、抗不整脈薬および血栓溶解薬(例えば、アルテプラーゼ、レタプラーゼ、テネクテプラーゼ、アニストレプラーゼ、およびウロキナーゼ)を含む。これらの化合物は、当該技術分野で既知のレジメンおよび投薬量で投与される。
【0083】
Suk et al.(Stroke(2003)34:1586−1592)は過体重または肥満であることと脳卒中との関連性について論じている。脳卒中を治療するために投与される薬剤は、抗血小板剤(例えば、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール、およびチクロピジン)、抗凝固剤(例えば、ヘパリン)、および血栓溶解剤を含む。Stein et al.(The American Journal of Medicine(2005)18(9):978−980)は、過体重または肥満であることと静脈血栓塞栓症との関連性について論じている。静脈血栓塞栓症を治療するために投与される薬剤は、抗血小板剤、抗凝固剤、および血栓溶解剤を含む。Sztrymf et al.(Rev Pneumol Clin(2002)58(2):104−10)は、過体重または肥満であることと肺高血圧症との関連性について論じている。肺高血圧症を治療するために投与される薬剤は、変力剤、抗凝固剤、利尿薬、カリウム(例えば、K−dur)、血管拡張剤(例えば、ニフェジピンおよびジルチアゼム)、ボセンタン、エポプロステノール、およびシルデナフィルを含む。肥満低換気症候群、喘息、および閉塞性睡眠時無呼吸等の呼吸器疾患および状態は、過体重または肥満であることと関連付けられている。Elamin(Chest(2004)125:1972−1974)は、過体重または肥満であることと喘息との関連性について論じている。喘息を治療するために投与される薬剤は、気管支拡張剤、抗炎症薬、ロイコトリエン阻害薬、および抗Ige剤を含む。特定の喘息薬は、ザフィルルカスト、フルニソリド、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、テルブタリン、フルチカゾン、ホルモテロール、ベクロメタゾン、サルメテロール、テオフィリン、およびゾペネックスを含む。
【0084】
Kessler et al.(Eur Respir J (1996)9:787−794)は、過体重または肥満であることと閉塞性睡眠時無呼吸との関連性について論じている。睡眠時無呼吸を治療するために投与される薬剤は、モダフィニルおよびアンフェタミンを含む。
【0085】
非アルコール性脂肪性肝疾患等の肝臓障害および状態は、過体重または肥満であることと関連付けられている。Tolman et al.(Ther Clin Risk Manag(2007)6:1153−1163)は、過体重または肥満であることと非アルコール性脂肪性肝疾患との関連性について論じている。非アルコール性脂肪性肝疾患を治療するために投与される薬剤は、抗酸化剤(例えば、ビタミンEおよびC)、インスリン抵抗性改善剤(メトホルミン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、およびベタイン)、肝保護剤、および脂質低下薬を含む。
【0086】
腰痛および荷重関節の変形性関節症等の骨障害および状態は、過体重または肥満であることと関連付けられており、van Saase(J Rheumatol(1988)15(7):1152−1158)は、過体重または肥満であることと荷重関節の変形性関節症との関連性について論じている。荷重関節の変形性関節症を治療するために投与される薬剤は、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(例、イブプロフェン、エトドラク、オキサプロジン、ナプロキセン、ジクロフェナク、およびナブメトン)、COX−2阻害剤(例、セレコキシブ)、ステロイド、サプリメント(例えば、グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸)、および人工関節液を含む。
【0087】
代謝障害および状態、例えばプラダー・ウィリー症候群および多嚢胞性卵巣症候群は、過体重または肥満であることと関連付けられている。Cassidy(Journal of Medical Genetics(1997)34:917−923)は、過体重または肥満であることとプラダー・ウィリー症候群との関連性について論じている。プラダー・ウィリー症候群を治療するために投与される薬剤は、ヒト成長ホルモン(HGH)、ソマトロピン、減量剤(例えば、オルリスタット、シブトラミン、メタンフェタミン、イオナミン、フェンテルミン、ブプロピオン、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジン、ベンズフェテルミン、およびトパマックス)を含む。
【0088】
Hoeger(Obstetrics and Gynecology Clinics of North America(2001)28(1):85−97)は、過体重または肥満であることと多嚢胞性卵巣症候群との関連性について論じている。多嚢胞性卵巣症候群を治療するために投与される薬剤は、インスリン抵抗性改善薬、合成エストロゲンとプロゲステロンの組み合わせ、スピロノラクトン、エフロルニチン、およびクロミフェンを含む。性機能障害、勃起不全、不妊症、分娩合併症、および胎児異常等の生殖障害および状態は、過体重または肥満であることと関連付けられている。Larsen et al.(Int J Obes (Lond)(2007)8:1189−1198)は、過体重または肥満であることと性機能障害との関連性について論じている。Chung et al.(Eur Urol(1999)36(l):68−70)は、過体重または肥満であることと勃起不全との関連性について論じている。勃起不全を治療するために投与される薬剤は、ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、タダラフィル、クエン酸シルデナフィル、およびバルデナフィル)、プロスタグランジンE類似体(例えば、アルプロスタジル)、アルカロイド(例えば、ヨヒンビン)、およびテストステロンを含む。Pasquali et al.(Hum Reprod (1997)1:82−87)は、過体重または肥満であることと不妊症との関連性について論じている。不妊症を治療するために投与される薬剤は、クロミフェン、クエン酸クロミフェン、ブロモクリプチン、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)、GnRHアゴニスト、GnRHアンタゴニスト、タモキシフェン/ノルバデックス、ゴナドトロピン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、ヒト閉経期ゴナドトロピン(HmG)、プロゲステロン、組換え卵胞刺激ホルモン(FSH)、ウロフォリトロピン、ヘパリン、ホリトロピンアルファ、およびホリトロピンベータを含む。
【0089】
Weiss et al.(American Journal of Obstetrics and Gynecology(2004)190(4):1091−1097)は、過体重または肥満であることと分娩合併症との関連性について論じている。分娩合併症を治療するために投与される薬剤は、塩酸ブピバカイン、ジノプロストンPGE2、メペリジンHC1、Ferro−folic−500/IBERET−folic−500、メペリジン、マレイン酸メチルエルゴノビン、ロピバカインHC1、ナルブフィンHC1、オキシモルホンHC1、オキシトシン、ジノプロストン、リドコリン、臭化水素酸スコポラミン、クエン酸スフェンタニル、および分娩誘発剤を含む。
【0090】
精神障害および状態、例えば、体重に関連するうつ病および不安症は、過体重または肥満であることと関連付けられている。Dixson et al.(Arch Intern Med(2003)163:2058−2065)は、過体重または肥満であることとうつ病との関連性について論じている。うつ病を治療するために投与される薬剤は、セロトニン再取り込み阻害剤(例えば、フルオキセチン、エスシタロプラム、シタロプラム、パロキセチン、セルトラリン、およびベンラファキシン)、三環系抗うつ薬(例:アミトリプチリン、アモキサピン、クロミプラミン、デシプラミン、塩酸ドスレピン、ドキセピン、イミプラミン、イプリンドール、ロフェプラミン、ノルトリプチリン、オピプラモール、プロトリプチリン、およびトリミプラミン);モノアミンオキシダーゼ阻害剤(例えば、イソカルボキサジド、モクロベミド、フェネルジン、トラニルシプロミン、セレギリン、ラサギリン、ニアラミド、イプロニアジド、イプロクロジド、トロキサトン、リネゾリド、ジエノリドカバピロンデスメトキシヤンゴニン、およびデキストロアンフェタミン);精神刺激薬(例えば、アンフェタミン、メタンフェタミン、メチルフェニデート、およびアレコリン);抗精神病薬(例えば、ブチロフェノン、フェノチアジン、チオキサンテン、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、ジプラシドン、アミスルプリド、パリペリドン、シンビアックス、テトラベナジン、およびカンナビジオール);および気分安定剤(例えば、炭酸リチウム、バルプロ酸、ジバルプロエクスナトリウム、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリギン、カルバマゼピン、ガバペンチン、オクスカルバゼピン、およびトピラマート)を含む。
【0091】
Simon et al.(Archives of General Psychiatry(2006)63(7):824−830))は、過体重または肥満であることと不安症との関連性について論じている。不安症を治療するために投与される薬剤は、セロトニン再取り込み阻害剤、気分安定剤、ベンゾジアゼピン(例えば、アルプラゾラム、クロナゼパム、ジアゼパム、およびロラゼパム)、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、およびβ遮断薬を含む。
【0092】
本発明の別の実施形態は、対象に体重減少をもたらすのに有効な量の開示されるペプチド製剤を対象に投与することと、対象において減少した体重を維持するために、治療有効量の異なる減量剤を投与することとを含む、対象における体重減少を促進および維持するための方法を提供する。減量剤は、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、ならびに腸リパーゼ阻害剤を含む。特定の減量剤には、リラグルチド、オルリスタット、シブトラミン、メタンフェタミン、イオナミン、フェンテルミン、ブプロピオン、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジン、ベンズフェテルミン、ブロモクリプチン、ロルカセリン、トピラマート、あるいは、グレリン作用を遮断すること、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1(DGAT1)の活性を阻害すること、ステアロイルCoA不飽和酵1(SCD1)の活性を阻害すること、ニューロペプチドY受容体1の機能を阻害すること、ニューロペプチドY受容体2もしくは4の機能を活性化すること、またはナトリウム−グルコース共輸送体1もしくは2の活性を阻害することによって食物摂取を調節するように作用する薬剤を含む。これらの化合物は、当該技術分野で既知のレジメンおよび投薬量で投与される。
【0093】
本明細書および/または2017年9月27日に出願され、2018年4月5日にWO2018/064098として公開され、参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願第PCT/US2017/053597号に提示されるデータは、本明細書に開示されるペプチドが、脂肪細胞の遊離脂肪酸レベルを低下させる能力を実証し、それを必要とする哺乳動物の体重、血中グルコースレベル、および/または脂肪量を低下させるためのそのようなペプチドの使用を支持する。提示されたデータはまた、血漿中のそのようなペプチドの安定性を実証し、哺乳類への投与に適した治療用ペプチドとしてのそれらの使用を支持する。したがって、本開示は、体重、血中グルコースレベル、および脂肪量に関連する疾患、例えば、肥満、脂肪性肝疾患、および糖尿病を含む代謝性疾患を治療する方法を提供する。
【0094】
特定の理論に拘束されるものではないが、脂肪細胞をペプチドで処理した後の細胞培養培地中の遊離脂肪酸(FFA)は、脂質または脂肪酸レベルの細胞調節に関与する経路の変調を示す。培地中の脂肪酸レベルの低下は、限定されないが、シグナル伝達経路の阻害脂質生合成の低下、脂肪分解の低下、または脂肪酸酸化の増加を含む多くのプロセスから生じ得る。遊離脂肪酸の正味濃度に影響を与えるペプチドは、代謝障害の治療に潜在的に有用である。したがって、本開示は、脂肪酸代謝を調節するのに有効な量で本開示のペプチド製剤を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における脂肪酸代謝を調節する方法を提供する。例示的な実施形態において、方法は、それを必要とする対象において脂肪酸代謝を増加させる方法である。本開示はまた、脂肪酸代謝を調節するのに有効な量で、細胞を本明細書に記載されるように製剤化されたペプチドと接触させることを含む、細胞における脂肪酸代謝を調節する方法を提供する。例示的な実施形態において、方法は、細胞内の脂肪酸代謝を増加させる方法である。
【0095】
脂肪萎縮症は、様々な体の領域からの脂肪組織(体脂肪)の選択的な損失および/または他の領域における過剰な脂肪の蓄積を特徴とする障害の一般名称である。顔等の1つの領域からの局所的な脂肪の減少は、脂肪萎縮と称される。脂肪損失の程度は、身体の一部の非常に小さな領域から、全身の脂肪組織がほぼ完全に存在しない状態まで様々である。さらに、患者は重度の代謝合併症または単なる美容上の問題を抱えている可能性がある。重度の脂肪損失を伴う脂肪萎縮症は、糖尿病、高レベルの血清トリグリセリド、および脂肪肝(肝臓脂肪症)等のインスリン抵抗性に関連する代謝性合併症の原因となり得る。脂肪萎縮症は、先天性(家族性部分性脂肪萎縮症またはベラルディネッリセイプ症候群等)または後天性(例えば、様々な種類の疾病または薬物に関連する)のいずれかであり得る。後天性脂肪萎縮症は、薬物、自己免疫機構によって引き起こされるか、または特発性であり得る。後天性脂肪萎縮症は、非常に活性な抗レトロウイルス療法(HAART)、後天性全身性脂肪萎縮症(AGL)、後天性部分型脂肪萎縮症(APL)および限局性脂肪萎縮症によって誘発され得る、HIV感染患者(LD−HIV)における脂肪異栄養症を含む。後天性脂肪萎縮症には直接的な遺伝的根拠はない。いくつかの実施形態によれば、本発明は、脂肪萎縮症を軽減、改善または予防するための方法を提供する。
【0096】
ペプチド製剤は、グルコース、活性酸素種(ROS)および/または遊離脂肪酸(FFA)の異常な血中濃度によって明らかになる不均衡な代謝状態に関連する状態の治療に有用である。良好な代謝状態は、健康な対象のものと同等のグルコース、ROS、FFAの血中濃度(健康な集団の平均レベルの範囲内)を特徴とするバランスの取れたエネルギー恒常性として定義される。したがって、本明細書で使用される好ましくない代謝状態は、異常な、すなわち、(例えば、医師または当業者によって評価された場合に)健康な対象におけるそれらのそれぞれのレベルと比較して有意に変化したグルコース、ROSおよび/またはFFAの血中レベルを指す。好ましくない代謝状態という用語は、いくつかの実施形態において、(例えば、医師または当業者によって評価された場合に)健康な対象に検車におけるそれらのそれぞれのレベルと比較して有意に高いグルコース、ROSおよび/またはFFAの血中レベルを指す。好ましくない代謝状態は、グルコース(炭水化物)および/または脂肪酸酸化経路が関与し得る異常な代謝から生じる可能性がある。脂肪酸酸化経路の異常が関与している場合、好ましくない代謝状態は通常、健康な対象と比較して有意に高いROS血中濃度および/または異常なFFA血中濃度によって明らかになる。これらの異常はまた、酸化型低密度リポタンパク質(LDL)の血中濃度の上昇によっても明らかになる。グルコース代謝の異常が関与している場合、グルコース血中濃度は通常、健康な対象と比較して有意に高い。本明細書で使用される場合、不均衡な血糖コントロールの閾値を超えない有意に高い血糖値を有する患者は、本明細書に記載されるように、前記増加が異常な血中ROSおよび/またはFFA値を伴う場合、好ましくない代謝状態を有すると定義される。当該技術分野で知られているように、不均衡な代謝状態は、エネルギー摂取および様々なエネルギー消費および利用パラメータを考慮することによって、前記医師または当業者によって評価され得る。例えば、限定されないが、細胞(例えば、血小板)ATP生成および細胞酸化等の細胞レベルでのパラメータ、ならびに呼吸商(RQ)等の全身レベルでのパラメータを評価して、対象の代謝状態を決定してもよい。例えば、健康な患者と病気の患者との間でそのようなパラメータの相対比を比較することにより、当業者は、健康な対象と比較して対象の代謝状態を評価することができる。好ましくない代謝状態は、適切な治療計画によって適切に治療されていないまたはバランスが取れていない慢性代謝障害および/または炎症性障害に苦しむ患者に見られる場合がある。
【0097】
したがって、本開示は、代謝性疾患を治療するのに有効な量で本開示のペプチド製剤を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における代謝性疾患を治療する方法を提供する。
【0098】
「代謝性疾患」または「代謝性障害」という用語は、グルコース(炭水化物)、脂肪酸および/またはタンパク質の酸化経路が関与し得る、代謝異常、代謝不均衡、または準最適な代謝が起こる、特定された障害の群を指す。したがって、不均衡の場合、本明細書に記載されるように、これらの障害は通常、健康な対象におけるそれらのそれぞれのレベルと比較してグルコース、ROSおよび/またはFFAの異常な血中レベルを特徴とする好ましくない代謝状態によって明らかになる。そのような障害は、限定されないが、糖尿病、および栄養または内分泌の不均衡に関連する障害を含む。
【0099】
好ましくない代謝状態は、慢性の炎症性障害の結果としても起こる可能性があり、治療抵抗性の不均衡な炎症プロセスは、健康な対象におけるそれらのそれぞれのレベルと比較してグルコース、ROSおよび/またはFFAの異常な血中レベルによって明らかになる二次性の代謝合併症を伴う。そのような障害の非限定的な例は、敗血症および自己免疫疾患である。
【0100】
シンドロームX(またはメタボリックシンドローム)は、腹部の脂肪の蓄積に関連する一連の兆候および症状を示す。この形態の脂肪分布は中年男性によく見られ、ぽっこりしたお腹または太鼓腹として目に見えることが多い。シンドロームXは、痛風、グルコース代謝障害(糖尿病への感受性の増加)、血圧の上昇、および血中コレステロール値を含む、多くの障害を特徴とする。シンドロームXを有する人々は心臓病のリスクが高い。シンドロームXは、米国臨床内分泌学者協会(American Association of Clinical Endocrinologists)によって、血清または血漿のインスリン/グルコースレベル比、脂質、尿酸レベル、血管生理学、および凝固因子の不均衡における一連の代謝異常として定義されている。したがって、本明細書で使用される「シンドロームX」という用語は、以下のうち少なくとも2つの陽性診断によって特徴付けられる状態を指す:非インスリン依存性糖尿病、正常と見なされるレベルを超える血圧、正常と見なされるレベルを超えるインスリンレベル、脂質異常症、および肥満。
【0101】
本発明のペプチド製剤は、以下の代謝性疾患において有用であり得る。
(a)高血糖、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、インスリン非依存型糖尿病、MODY(若年発症成人型糖尿病)、妊娠糖尿病等のあらゆる形態の糖尿病の予防および/もしくは治療、ならびに/またはHbA1Cの低下のため、
(b)2型糖尿病の進行等の糖尿病疾患の進行の遅延もしくは予防、耐糖能障害(IGT)のインスリン使用2型糖尿病への進行の遅延、インスリン抵抗性の遅延もしくは予防、および/またはインスリン非使用2型糖尿病のインスリン使用2型糖尿病への進行の遅延、
(c)β細胞アポトーシスの減少、β細胞機能および/もしくはβ細胞質量の増加等のβ細胞機能の改善、ならびに/またはβ細胞に対するグルコース感受性の回復、
(d)アルツハイマー病、パーキンソン病、および/または多発性硬化症等の認知障害および/または神経変性障害の予防および/または治療、
(e)肥満等の摂食障害の予防および/もしくは治療、例えば、食物摂取量の減少、減量、食欲抑制、満腹感の誘導;抗精神病薬もしくはステロイドの投与により誘発される過食性障害、神経性過食症、および/もしくは肥満の治療もしくは予防;胃の運動性低下;胃内容排出の遅延;身体可動性の増加;ならびに/または変形性関節症および/もしくは尿失禁等の肥満への併存症の予防および/もしくは治療、
(f)血管障害;梢神経障害を含む神経障害;腎障害;および/または網膜症等の糖尿病合併症の予防および/または治療、
(g)脂質異常症の予防および/または治療、総血清脂質の低下;HDLの増加;小さく密度の高いLDLの低下;VLDLの低下;トリグリセリの低下;コレステロールの低下;ヒトにおけるリポタンパク質a(Lp(a))の血漿レベルの低下;インビトロおよび/またはインビボでのアポリポタンパク質a(apo(a))の生成の阻害等の脂質パラメータの改善、
(h)シンドロームX、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈心疾患、再灌流障害、脳卒中、低酸素症、脳虚血、早期心疾患または早期心血管疾患、左心室肥大、冠動脈疾患、高血圧症、本態性高血圧症、急性高血圧緊急症、心筋症、心不全、運動不耐性、急性および/もしくは慢性心不全、不整脈、心不整脈、失神、狭心症、心臓バイパスおよび/もしくはステント再閉塞、間欠性跛行(閉塞性動脈硬化症)、拡張不全、および/もしくは収縮不全;ならびに/または収縮期血圧の低下等の血圧の低下等の心血管疾患の予防および/または治療
(i)炎症性腸疾患、短腸症候群、またはクローン病もしくは大腸炎等の胃腸疾患;消化不良、および/もしくは胃潰瘍;ならびに/または乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、および/もしくは全身性エリテマトーデス等の炎症の予防および/または治療、
(j)重症患者、重症疾患多発ニューロパチー(CIPNP)患者、および/もしくは潜在的なCIPNP患者の治療等の重症疾患の予防および/もしくは治療;重症疾患もしくはCIPNPの発症の予防;患者における全身性炎症反応症候群(SIRS)の予防、治療、治療および/もしくは治癒;入院中に菌血症、敗血症、および/または敗血症性ショックに罹患する患者の可能性の予防または減少;ならびに/または急性疾患の集中治療室患者における血糖、インスリンバランス、および任意選択的に代謝の安定、
(k)多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の予防および/または治療、
(l)脳虚血、脳出血、および/または外傷性脳損傷等の脳疾患の予防および/または治療、
(m)睡眠時無呼吸の予防および/または治療、
(n)アルコール乱用および/または薬物乱用等の乱用の防止および/または治療、
(o)脂肪性肝疾患(FLD)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を含むがこれらに限定されない脂肪性肝疾患の予防または治療、
(p)活性酸素種(ROS)の細胞内生成の治療、ならびに/または
(q)インスリン抵抗性に関連する疾患の治療。
【0102】
さらなる実施形態において、治療を必要とする患者に有効量のペプチド製剤を投与することによって糖尿病および/または糖尿病関連合併症を治療するための方法が本明細書に提供される。有利には、本明細書に提供される方法に従って糖尿病および/または関連合併症を治療するために使用されるペプチドは、膵臓β細胞に対する抗アポトーシス活性を有し、かつ/またはその増殖を刺激し、ペプチドを投与するとインスリン産生β細胞の数および患者によって産生されるインスリンのレベルが増加する。
【0103】
本開示はまた、肝疾患を治療するのに有効な量で本開示のペプチド製剤を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肝疾患を治療する方法を提供する。
【0104】
一部の実施形態において、疾患または医学的状態は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である。NAFLDは、単純な脂肪肝(脂肪症)から非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変(不可逆的な進行した肝臓の瘢痕化)までの幅広い肝疾患を指す。NAFLDの全ての段階に共通して、肝細胞(肝細胞)に脂肪が蓄積する(脂肪浸潤)。単純な脂肪肝は、炎症または瘢痕化を伴わない、特定の種類の脂肪であるトリグリセリドの肝細胞への異常な蓄積である。NASHでは、脂肪の蓄積は、肝臓の様々な程度の炎症(肝炎)および瘢痕化(線維症)に関連している。炎症細胞は肝細胞を破壊する可能性がある(肝細胞壊死)。「脂肪性肝炎(steatohepatitis)」および「脂肪壊死(steatonecrosis)」という用語において、脂肪(steato)は脂肪浸潤を指し、肝炎(hepatitis)は肝臓の炎症を指し、壊死(necrosis)は破壊された肝細胞を指す。NASHは最終的には肝臓の瘢痕化(線維症)を引き起こし、次いで、不可逆的な進行した瘢痕化(肝硬変)を引き起こす可能性がある。NASHによって引き起こされる肝硬変は、NAFLDスペクトルの最終的かつ最も深刻な段階である。(Mendler,Michel,“Fatty Liver:Nonalcoholic Fatty Liver Disease(NAFLD)and Nonalcoholic Steatohepatitis(NASH),”ed.Schoenfield,Leslie J.,MedicineNet.com,August 29,2005)。
【0105】
アルコール性肝疾患、またはアルコール誘発性肝疾患は、アルコールの過剰摂取に関連する、またはそれによって引き起こされる3つの病理学的に異なる肝疾患である、脂肪肝(脂肪症)、慢性または急性肝炎、および肝硬変を包含する。アルコール性肝炎は、異常な臨床検査が唯一の疾患の兆候である軽度の肝炎から、黄疸(ビリルビンの滞留によって引き起こされる黄色い皮膚)、肝性脳症(肝不全によって引き起こされる神経機能障害)、腹水(腹部の体液貯留)、出血性食道静脈瘤(食道の静脈瘤)、異常な血液凝固および昏睡等の重篤な肝機能障害まで様々であり得る。組織学的には、アルコール性肝炎は、肝細胞の風船様変性、好中球による炎症、および時にはマロリー小体(細胞性中間フィラメントタンパク質の異常な凝集)を伴う特徴的な外観を有する。肝硬変は解剖学的に、線維症と組み合わさった肝臓内の広範な結節を特徴とする。(Worman,Howard J.,“Alcoholic Liver Disease”,Columbia University Medical Center website)。
【0106】
いずれか特定の理論に拘束されるものではないが、本明細書に記載のペプチドは、アルコール性肝疾患、NAFLD、またはその任意の段階、例えば、脂肪症、脂肪性肝炎、肝炎、肝臓の炎症、NASH、肝硬変、またはそれらの合併症の治療に有用である。したがって、本開示は、アルコール性肝疾患、NAFLD、またはその段階を予防または治療するのに有効な量で本明細書に記載のペプチド製剤を対象に提供することを含む、対象におけるアルコール性肝疾患、NAFLD、またはその任意の段階を予防または治療する方法を提供する。そのような治療法は、以下の1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の低下を含む:肝脂肪含有量、肝硬変の発生または進行、肝細胞癌の発生、炎症の兆候、例えば、異常な肝酵素レベル(例えば、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼASTおよび/またはアラニンアミノトランスフェラーゼALT、またはLDH)、血清フェリチンの上昇、血清ビリルビンの上昇、および/または線維症の兆候、例えばTGF−βレベルの上昇。例示的な実施形態において、ペプチド製剤は、単純な脂肪肝(脂肪症)を超えて進行し、炎症または肝炎の兆候を示す患者を治療するために使用される。そのような方法は、例えば、ASTおよび/またはALTレベルの低下をもたらし得る。
【0107】
いくつかの実施形態において、ペプチドは抗癌活性を有する。例えば、いくつかの実施形態において、ペプチドは、限定されないが前立腺癌細胞および/または乳癌細胞等の癌細胞に対してアポトーシス促進活性を有する。さらなる実施形態において、ペプチドは、限定されないが前立腺癌細胞および/または乳癌細胞等の癌細胞に対して抗増殖活性を有する。
【0108】
本開示はまた、癌を治療するのに有効な量で本開示のペプチド製剤を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における癌を治療する方法を提供する。本開示はまた、治療を必要とする対象に有効量のペプチド製剤を投与することを含む、癌を治療する方法を含む。本明細書で提供されるペプチドは、様々な抗癌効果を発揮し、広範囲の癌および他の増殖性障害を治療するために使用することができる。本明細書で提供されるペプチドは、癌細胞におけるアポトーシスの誘導、腫瘍血管新生の阻害、腫瘍転移の阻害、細胞周期の調節、癌細胞増殖の阻害、癌細胞分化の促進、活性酸素種の産生の阻害および/または活性酸素種からの保護、およびストレス耐性の強化等の様々な抗癌活性を有することができる。「癌」は一般に、制御されない異常な細胞成長および増殖を特徴とする疾患を指す。「腫瘍」または「新生物」は、過剰な、制御されない、および進行性の細胞分裂に起因する組織の異常な塊である。本明細書に記載される方法は、癌、肉腫、軟部組織肉腫、リンパ腫、血液癌、白血病、胚細胞腫瘍、および固形腫瘍のない癌(例えば、造血器癌)を含むがこれらに限定されない任意の種類の癌および増殖性障害の治療に有用である。様々な実施形態において、ペプチドは、肺、乳房、上皮、大腸、直腸、睾丸、膀胱、甲状腺、胆嚢、胆管、胆道、前立腺、結腸、胃、食道、膵臓、肝臓、腎臓、子宮、子宮頸部、卵巣、および脳組織を含むがこれらに限定されない任意の組織に由来するおよび/または影響を与える癌および/または腫瘍を治療するために使用され得る。ペプチドで治療可能な特定の癌の非限定的な例として、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、副腎皮質癌、AIDS関連リンパ腫、肛門癌、星状細胞腫、大脳基底細胞癌、胆管癌、肝外膀胱癌、膀胱癌、骨癌、骨肉腫/悪性線維性組織球腫、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、脳幹神経膠腫、星状細胞腫/悪性神経膠腫、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視覚路および視床下部神経膠腫、乳癌、男性気管支腺腫/カルチノイド、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、原発不明の中枢神経系リンパ腫の消化管癌、子宮頸癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、菌状息肉症およびとセザリー症候群、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、ユーイング家族腫瘍、胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫、胆嚢癌、胃(胃)癌、消化管カルチノイド腫瘍、卵巣妊絨毛性腫瘍、神経膠腫、視床下部皮膚癌(黒色腫)、皮膚癌(非黒色腫)、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、原発不明の扁平上皮頸部癌、転移性胃(胃)癌、胃(胃)癌、T細胞リンパ腫、精巣癌、胸腺腫、胸腺癌、甲状腺癌、腎盂の移行上皮癌、尿管絨毛腫瘍、移行細胞癌、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、膣癌、視床下部神経膠腫、外陰癌、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、ウィルムス腫瘍、有毛細胞白血病、頭頸部癌、肝細胞(肝臓)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、膵島細胞癌(内分泌膵臓)、カポジ肉腫、腎臓(腎細胞)癌、腎臓癌、喉頭癌、有毛細胞口唇癌および口腔癌、肝臓癌、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、皮膚T細胞、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ウォルデンストレーム骨の悪性線維性組織球腫/骨肉腫、髄芽腫、眼内(眼)メルケル細胞癌、中皮腫、悪性中皮腫、原発不明の転移性扁平上皮頸部癌、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、骨髄性白血病、多発性骨髄増殖性疾患、慢性鼻腔および副鼻腔癌、鼻咽頭癌、胸膜肺芽細胞腫、骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫、褐色細胞腫、松果体芽腫、およびテント上原始神経外胚葉性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態において、癌は、乳癌である。別の実施形態において、癌は、前立腺癌である。
【0109】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供される方法に従ってペプチド製剤を投与することは、確立された癌治療の効力を増強する。さらなる実施形態において、本明細書に提供される方法に従ってペプチド製剤を投与することは、放射線療法または化学療法等の別の癌療法の抗癌活性を増強する。いくつかの実施形態において、癌細胞および/または腫瘍細胞において細胞死を誘導するための方法が本明細書で提供され、方法は、癌細胞死および/または腫瘍細胞死を誘導するのに十分な量で本明細書に記載のペプチド製剤を投与することを含む。
【0110】
いくつかの実施形態において、ペプチドは、1つ以上の細胞保護活性または細胞保護性活性を有する。例えば、いくつかの実施形態において、ペプチドは、細胞損傷を防止し、細胞生存を改善し、および/または限定されないが、熱ショック、血清離脱、化学療法、および/または放射線等の環境ストレスに対する耐性を高めることができる。
【0111】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法に従ってペプチド製剤を投与することにより、確立された癌治療の副作用が減少する。
【0112】
さらに好ましい医学的用途は、変性障害、特にアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、運動失調、例えば、脊髄小脳失調症、ケネディ病、筋緊張性ジストロフィー、レビー小体型認知症、多系統性萎縮、筋萎縮性側索硬化症、原発性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、プリオン関連疾患、例えば、クロイツフェルト・ヤコブ病、多発性硬化症、毛細血管拡張症、バッテン病、大脳皮質基底核変性症、大脳皮質基底核変性症、脊髄の亜急性複合変性、テーブス背部、テイサックス病、中毒性脳症、乳児レフサム病、レフサム病、神経有棘赤血球症、ニーマン・ピック病、ライム病、マチャド・ジョセフ病、サンドホフ病、シャイ・ドレーガー症候群、ハリネズミふらつき症候群、プロテオパチー、脳βアミロイド血管症、緑内障における網膜神経節細胞変性、シヌクレイン病、タウオパチー、前頭側頭葉変性(FTLD)、認知症、カダシル症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、アレクサンダー病、セイピノパシー(seipinopathies)、家族性アミロイド神経障害、老人性全身性アミロイドーシス、セルピノパシー、AL(軽鎖)アミロイドーシス(原発性全身性アミロイドーシス)、AH(重鎖)アミロイドーシス、AA(続発性)アミロイドーシス、大動脈中膜アミロイドーシス、ApoAIアミロイドーシス、ApoAIIアミロイドーシス、ApoAIVアミロイドーシス、フィンランド型の家族性アミロイドーシス(FAF)、リゾチームアミロイドーシス、フィブリノーゲンアミロイドーシス、透析アミロイドーシス、封入体筋炎/ミオパチー、白内障、ロドプシン変異を伴う網膜色素変性症、甲状腺髄様癌、心房性アミロイドーシス、下垂体プロラクチノーマ、遺伝性格子状角膜ジストロフィー、皮膚苔癬アミロイドーシス、マロリー小体、角膜ラクトフェリンアミロイドーシス、肺胞タンパク症、歯原性(ピンボルグ)腫瘍アミロイド、嚢胞性線維症、鎌状赤血球病、または重症疾患ミオパチー(CIM)の治療または予防を含む。特定の理論に限定されるものではないが、本明細書に提供されるペプチドは、神経細胞および/または他の細胞型の神経変性損傷を修復および/または予防することができる1つ以上の活性を有すると考えられる。本明細書に提供される方法に従って治療可能な「神経変性疾患」は、例えば神経細胞死(アポトーシス)に起因するニューロンの変性および/または喪失をもたらす進行性疾患である。神経変性疾患の例として、限定されないが、脳変性疾患(例えば、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、ハンチントン病(HD))、および脊髄変性疾患/運動ニューロン変性疾患(例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、(SMA:ウェルドニッヒ・ホフマン病またはクーゲルベルク・ヴェランダー症候群)、脊髄小脳失調症、球脊髄性筋萎縮症(BSMA;ケネディ・オルター・スン症候群))が挙げられる。「運動ニューロン変性疾患」は、体の運動を制御する上位および下位運動ニューロンの進行性の逆行性障害を特徴とする神経変性疾患である。さらなる実施形態において、ペプチドおよびその組成物はまた、筋萎縮、筋力低下、球麻痺(顔面、咽頭および舌の筋萎縮または筋力低下、ならびにそれによって引き起こされる失語症または嚥下障害)、ならびに筋線維性攣縮、および呼吸障害等の運動ニューロン変性疾患に起因する状態を改善するのにも有効である。
【0113】
さらなる使用は、ミトコンドリア機能障害に関連する疾患または状態の予防および治療を含む。代謝プロセスの中心となるミトコンドリアは、エネルギー産生、プログラム細胞死、および活性酸素種(ROS)の生成に関与している。従来、ミトコンドリアは、エネルギー産生および細胞死を調節する膨大な量の細胞シグナルを受け取って処理する、「末端機能」オルガネラであると見なされてきた。ペプチドおよびその医薬製剤は、多くの代謝的影響を伴う様々な加齢性疾患を治療するために使用することができる。またそれらは、ミトコンドリア呼吸、グルコース輸送、グルコース利用、解糖、インスリン調節、および細胞増殖/生存に影響を与えるように、in vitroおよびin vivoの様々な方法で試験されてきた。ミトコンドリア機能障害は、限定されないが、代謝障害、神経変性疾患、慢性炎症性疾患、および老化の疾患に関連する。一部のミトコンドリア疾患は、ミトコンドリアゲノムの変異または欠失に起因する。ミトコンドリアは、それらの宿主細胞よりも速い代謝回転速度で分裂および増殖し、それらの複製は核ゲノムの制御下にある。細胞内のミトコンドリアの閾値比に欠陥がある場合、および組織内のそのような細胞の閾値比が欠陥のあるミトコンドリアを有する場合、結果として組織または器官の機能障害の症状が生じる可能性がある。実際には、あらゆる組織が影響を受ける可能性があり、異なる組織が関与する程度に応じて、多種多様な症状を呈し得る。遺伝性の欠陥のあるミトコンドリアに関与する先天性障害に加えて、後天性ミトコンドリア機能障害は、疾患、特にパーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病のような加齢に関連する神経変性疾患の原因となる。ミトコンドリアDNAにおける体細胞変異の発生率は、年齢とともに指数関数的に増加し、呼吸鎖活動の低下は、高齢者に広く見られる。ミトコンドリア機能障害は、発作または虚血に関連するもの等の興奮毒性ニューロン損傷にも関係している。ミトコンドリア機能障害に関連する他の障害は、慢性炎症性障害および代謝障害を含む。
【0114】
さらに、製剤は、低血糖症、高インスリン血症、統合失調症、前頭側頭型認知症、ギランバレー症候群、シャルコー・マリー・トゥース症候群、インスリン受容体障害、クッシング病、ドナヒュー症候群、ヘモクロマトーシス、HIV感染、高血糖、脂肪酸またはグリセロールの血中濃度上昇、高トリグリセリド血症、頭部痛、グルカゴノーマ、気道の分泌障害、骨粗しょう症、再狭窄、腎不全、うっ血性心不全、肺水腫、過敏性腸症候群、急性冠症候群、術後異化変化、冬眠心筋、不十分な尿中ナトリウム排泄、過剰尿中カリウム濃度、呼吸困難、下痢、術後ダンピング症候群、重症疾患多発ニューロパチー(CIPN)、虚血後の血流の再灌流によって引き起こされる臓器組織損傷、および冠動脈心疾患危険因子(CHDRF)症候群、末梢血管疾患、糖尿病性神経障害、糸球体腎炎、糸球体硬化症、ネフローゼ症候群、高血圧性腎硬化症、胆石、胆嚢炎、胆石症、骨の治癒または再生、眼疾患および糖尿病性足潰瘍を含むインスリン受容体調節に関連する障害に使用することができる。
【0115】
本開示のペプチド製剤は、一実施形態に従って、キットの一部として提供され得る。したがって、いくつかの実施形態において、ペプチドを必要とする患者にそれを投与するためのキットが提供され、キットは本明細書に記載されるペプチドを含む。
【0116】
一実施形態において、キットは、患者に組成物を投与するためのデバイス、例えば、注射針、ペンデバイス、ジェット式注射器、または他の無針注射器とともに提供される。キットは、代替的または追加的に、1つ以上の容器、例えば、バイアル、チューブ、ボトル、輸液バッグ、単一または複数チャンバーの事前充填シリンジ、カートリッジ、輸液ポンプ(外部または埋め込み可能)、ジェット式注射器、事前充填ペンデバイス等を含み、任意選択的に、凍結乾燥形態でまたは水溶液中にペプチドを含む。いくつかの実施形態におけるキットは、使用のための説明書を含む。一実施形態によれば、キットのデバイスはエアロゾル分配デバイスであり、組成物はエアロゾルデバイス内に予め包装されている。別の実施形態において、キットは、シリンジおよび針を含み、一実施形態において、滅菌組成物はシリンジ内に予め充填されている。
【0117】
例示的な実施形態において、事前充填シリンジまたはペンデバイスは、凍結乾燥形態(その後、例えば、投与前に注射用水で可溶化する必要がある)または水性形態のいずれかで製剤を含むことができる。前記シリンジまたはペンデバイスは、多くの場合、単回使用のみの使い捨て物品であり、0.1〜20mlの容量を有し得る。しかしながら、シリンジまたはペンデバイスは、複数回使用または複数回投与用のシリンジまたはペンであってもよい。前記バイアルもまた、凍結乾燥形態または水性形態の製剤を含むことができ、単回または複数回使用デバイスとして役立ち得る。複数回使用デバイスとして、前記バイアルはより大きな容積を有することができる。前記輸液バッグは、通常、製剤を水性形態で含み、20〜5000mlの容量を有し得る。
【0118】
医薬製剤は、通常、非経口投与に適している。本明細書で使用される場合、医薬組成物の「非経口投与」は、対象の組織の物理的破壊および組織の破壊による医薬組成物の投与によって特徴付けられる投与の任意の経路を含み、したがって一般的に血流、筋肉、または内蔵への直接投与をもたらす。したがって、非経口投与には、これらに限定されないが、組成物の注射による、外科的切開による組成物の適用による、組織貫通非外科的創傷による組成物の適用によるなどの、医薬組成物の投与が含まれる。特に、非経口投与には、これらに限定されないが、皮下注射、腹腔内注射、筋肉内注射、胸骨内注射、静脈内注射、動脈内注射、髄腔内注射、脳室内注射、尿道内注射、頭蓋内注射、滑液嚢内注射、もしくは点滴、または腎臓透析注入技術を含むことが企図される。
【0119】
様々な実施形態において、ペプチド医薬組成物は、経口で、または静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、腹腔内注射、眼内注射、硝子体内注射(例えば、硝子体液への注射)、経皮注射、動脈内注射、胸骨内注射、髄腔内注射、脳室内注射、尿道内注射、頭蓋内注射、滑液嚢内注射を介して、もしくは点滴を介して対象に全身投与することができる。様々な実施形態において、医薬組成物は、筋肉内注射、皮下注射、経皮注射、胸骨内注射、尿道内注射、頭蓋内注射または滑膜内注射を介して対象に全身投与することができる。医薬組成物は、好ましくは、天然には見られない少なくとも1つの構成成分を含む。
【0120】
そのような製剤は、ボーラス投与または連続投与に好適な形態で調製、包装、または販売され得る。注射可能な製剤は、アンプルまたは防腐剤を含む複数回投与容器などの単位剤形で調製、包装、または販売され得る。非経口投与用の製剤には、これらに限定されないが、懸濁液、溶液、油性または水性ビヒクル中の乳濁液、ペーストなどが含まれる。そのような製剤は、これらに限定されないが、懸濁剤、安定化剤、または分散剤を含む1つ以上の追加の成分をさらに含んでもよい。非経口投与用の製剤の一実施形態において、活性成分は、再構成された組成物の非経口投与前に好適なビヒクル(例えば、減菌の発熱性物質を含まない水)で再構成するための乾燥(すなわち、粉末または顆粒)形態で提供される。例示的な非経口投与形態には、滅菌水溶液中の溶液または懸濁液、例えば、水性プロピレングリコールまたはデキストロース溶液が含まれる。そのような剤形は、所望の場合、好適に緩衝化することができる。有用な他の非経口投与可能な製剤には、微結晶形態の、またはリポソーム製剤の活性成分を含むものが含まれる。非経口投与用の製剤は、即時および/または調節放出となるように製剤化され得る。放出調節製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出を含む。
【0121】
本開示は、適用点で局所的に作用するか、または体の血液循環に入ると全身的に作用する、経皮送達または局所送達のための組成物および方法を含む。これらのシステムでは、軟膏などの形態の物質または薬物の直接局所適用などの技術によって、または薬物(または他の物質)を保持するリザーバーなどとのパッチの接着によって送達を達成することができ、時間制御された様式で皮膚にそれを放出する。調製物は、ある特定の実施形態において対象の血液と等張であり得る、減菌の水性または非水性の溶液、懸濁液、および乳濁液を含むことができる。非水性溶媒の例は、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、ゴマ油、ココナッツ油、落花生油、ピーナッツ油、鉱油、オレイン酸エチルなどの有機エステル、または合成モノまたはジ−グリセリドを含む固定油である。水性溶媒には、生理食塩水および緩衝媒体を含む、水、アルコール/水溶液、乳濁液または懸濁液が含まれる。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、1,3−ブタンジオール、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液、または固定油が含まれる。静脈内ビヒクルには、液体および栄養補給剤、電解質補給剤(リンゲルデキストロースに基づくものなど)などが含まれる。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスなどの防腐剤および他の添加物もまた存在し得る。
【0122】
例えば、一態様では、注射可能な減菌溶液は、上に列挙した成分の1つまたは組み合わせとともに適切な溶媒中に必要な量のペプチドを組み込むことによって調製することができ、必要であればその後に濾過滅菌が行われる。一般に、分散剤は、塩基性分散媒体と、上に列挙したもののうち必要な他の成分とを含む滅菌ビヒクルに活性ペプチドを組み込むことによって調製される。注射可能な滅菌溶液の調製のための滅菌粉末剤の場合、真空乾燥およびフリーズドライなどの調製方法は、その以前に滅菌濾過された溶液からの任意の追加の所望の成分に加えて、活性成分の粉末剤を産生する。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散の場合には必要な粒径の維持によって、かつ界面活性剤の使用によって維持され得る。注射可能な組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物に含むことによりほぼもたらされ得る。様々な実施形態において、注射可能な組成物は、市販の使い捨ての注射可能なデバイスを使用して投与される。
【0123】
非経口製剤は、アンプルおよびバイアル等の単位投与または複数回投与用の密封容器内に提供することができ、使用直前に、無菌液体賦形剤、例えば、水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)条件で保存することができる。即時注射溶液および懸濁液は、当該技術分野で既知の種類の滅菌粉末剤、顆粒、および錠剤から調製することができる。注射可能な製剤は、本発明によるものである。注射可能な組成物のための有効な薬学的担体の要件は、当業者に周知である(例えば、Pharmaceutics and Pharmacy Practice,J.B.Lippincott Company,Philadelphia,Pa.,Banker and Chalmers,eds.,pages 238−250(1982)、およびASHP Handbook on Injectable Drugs,Toissel,4th ed.,pages 622−630(1986)を参照されたい)。
【0124】
さらに、本開示のペプチド製剤は、乳化塩基または水溶性塩基等の様々な塩基と混合することによって、直腸投与用の坐剤にすることができる。膣内投与に好適な製剤は、活性成分に加えて、当該技術分野で適切であることが既知である担体などを含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー製剤として提供することができる。
【0125】
以下の実施例は、単に本発明を例示するためだけに提供され、その範囲を如何様にも限定するためではない。実験およびそれらの結果を詳細に説明する前に、前記実験は、活性成分がMOTS−cアナログペプチドである医薬製剤を用いて行われたことが言及されている。概念を共有するペプチドの構造的類似性により、当業者は、本明細書で得られた結果を、類似のペプチドを含む医薬製剤に直接転用できることを理解するであろう。
【実施例】
【0126】
実施例1−溶解度スクリーニング
ペプチド、RWQEMNYIFYPR(配列番号:10)、酢酸塩を、標準的な配合および濃度の混合物で評価した。12.5mg/mLのペプチド濃度の製剤は、40mg/mLから段階希釈により調製した。構成成分を表1に記載する。
【0127】
【表1】
【0128】
標準的な配合および濃度の混合物を、様々なペプチド濃度および保存温度で安定性について試験した。その結果は表2に含まれる。アスタリスク付きの結果は、状態確認の前に試料が16時間超インキュベートされたことを示す。全ての製剤は、特に高濃度で、24時間以内に沈殿またはゲル化した。しかしながら、5つの選択肢がさらなる試験のために選択された。
【0129】
【表2-1】
【0130】
【表2-2】
【0131】
実施例2
構成成分1、2、4、5、および6は、さらなる試験のために選択された。より高いペプチド濃度でのゲル形成は、より低い濃度への希釈中に持続する潜在的な核形成部位を生成し、より低い濃度の製剤においてゲル形成を誘導したと仮定を立てた。ゲル形成の可能性を低下させるために、2番目のスクリーンの異なる製剤濃度(5mg/ml、12.5mg/mlおよび20mg/ml)を(段階希釈ではなく)個別に調製した。配合を表3に記載し、結果を表4に提供する。
【0132】
【表3】
【0133】
【表4-1】
【0134】
【表4-2】
【0135】
【表4-3】
【0136】
実施例3
表5に記載されているように、さらなる製剤を調製した。ペプチド濃度(RWQEMNYIFYPR(配列番号10)酢酸塩、12.5および25mg/ml)を(連続希釈ではなく)個別に調製した。結果を表6に報告する。
【0137】
【表5】
【0138】
【表6】
【0139】
実施例4
グルタミン酸含有製剤を、表7に記載されるように調製した。ペプチド濃度(RWQEMNYIFYPR(配列番号10)酢酸塩、12.5および25mg/ml)を(連続希釈ではなく)個別に調製した。結果を表8に報告する。50mMグルタミン酸は、ペプチドに対する有効な可溶化剤であった。他の全ての液体製剤は、特に高濃度(40mg/mL)で、室温で24時間以内に沈殿またはゲル化した。50mg/mLの50mMグルタミン酸中のペプチドは、室温で6日間安定である。高濃度(≧50mg/mL)での実現可能性を評価するために、この可溶化剤を凍結乾燥した。
【0140】
【表7】
【0141】
【表8】
【0142】
実施例5
RWQEMNYIFYPR(配列番号10)酢酸塩のグルタミン酸含有製剤を、表9に記載されるように試験した。グルタミン酸溶液を37℃で加温しながらボルテックスして、水中で50mM(pH=3)に調製した。ペプチド濃度(12.5および25mg/ml)を個別に調製した。15mlのコニカルチューブで約1ml(実際のペプチド量に応じて)に製剤を調製し、次いで、900μLを1.7mlのマイクロフュージチューブに移した。約50mM L−グルタミン酸に25mg/mlを含む製剤はpH4であり、約50mM L−グルタミン酸に12.5mg/mlのペプチドを含む製剤はpH3.5であった。74時間後、どちらの試料も粘度は変化せずに透明のままであり、正常に見えた。
【0143】
【表9】
【0144】
実施例6
RWQEMNYIFYPR(配列番号10)酢酸塩のさらなるグルタミン酸含有製剤を、表10〜11に記載されるように試験した。グルタミン酸溶液を水中で約50mMに調製し、37℃で加温しながらボルテックスして約25mMおよび約10mMに希釈した。3つの溶液は全てpH3であった。ペプチド濃度(10、50および100mg/ml)を個別に調製した。15mlのコニカルチューブで約1ml(実際のペプチド量に応じて)に製剤を調製し、次いで、900μLを1.7mlのマイクロフュージチューブに移した。約10mM L−グルタミン酸で形成したゲルは、50mM L−グルタミン酸よりも濁っていた25mM L−グルタミン酸よりも不透明であった。*約10mMグルタミン酸中の100mg/mlペプチドは、20分で非常に白濁していたが、均一ではなかった。1時間で、試料は再び透明になり、粘度の増加の兆候は見られなかった。
【0145】
【表10】
【0146】
【表11】
【0147】
実施例7
50mM L−グルタミン酸を含み、2.5%ソルビトールを含むかまたは張性調整剤を含まない、水中に50mg/mLの配列番号10のペプチドを含む溶液製剤を調製した。溶液製剤を混合して溶解し、0.2μmメンブレンフィルターを通した濾過により滅菌し、0.75mLの体積で3cc滅菌ガラスバイアルに充填し、栓をし、蓋をし、ラベルを付け、管理された条件(−70℃/周囲相対湿度、−20℃/周囲相対湿度、5℃/周囲相対湿度、25℃/60%相対湿度、または40℃/75%相対湿度)で保存するか、または同じ条件で蓋をして保管する前に凍結乾燥した。
【0148】
液体製剤と凍結乾燥(水中で再構成)製剤の両方の試料をゼロ時に試験し、追加の試料を12週間超の間隔で保存場所から取り出し、安定性を評価した。保存後の初期特性および安定性はどちらも、外観、pH、UV吸光度によって決定される濃度、HPLCによって決定される純度、300nM〜700nMの光学密度によって決定される濁度、およびFlowCAM粒子イメージングシステムを使用した粒子含有量を含む方法の組み合わせによって評価した。溶液製剤(分析のために必要に応じて解凍)は、25℃/60%相対湿度で少なくとも1週間、−70℃/周囲相対湿度および−20℃/周囲相対湿度で少なくとも12週間、良好な安定性を示した。これらの時点で試験した全ての試料は、目に見える粒子のない無色の溶液であり、標的とする値またはそれに近い濃度であった。12週間では、−70℃/周囲相対湿度および−20℃/周囲相対湿度で保存された液体製剤は、純度の点で安定しており、初期の値(97.0%〜97.9%)に匹敵する97.9%〜98.0%の範囲の主要なHPLCピークのパーセンテージを示した。
【0149】
凍結乾燥製剤は、5℃/周囲相対湿度および25℃/60%相対湿度で少なくとも12週間良好な安定性を示した。12週間では、凍結乾燥製剤は無色で、再構成時に目に見える粒子はなかった。全ての条件で保存された凍結乾燥製剤は、純度の点で安定しており、初期の値(97.7%〜97.9%)に匹敵する、HPLCによる96.9%〜98.1%の範囲の主要なHPLCピークのパーセンテージを示した。
【0150】
実施例8
製剤の生物学的暴露アッセイ
50mM L−グルタミン酸を含み、2.5%ソルビトールを含むかまたは張性調整剤を含まない、水中に50mg/mLの配列番号10のペプチドを含む溶液製剤を調製した。皮下注射による配列番号10のペプチド25mg/kgの単回用量として雄カニクイザル(治療群あたり3匹の動物)に投与されるまで、製剤を凍結保存した。3匹の雄カニクイザルの追加群に、配列番号10のペプチド水溶液(50mg/mL)を25mg/kgの用量で単回皮下投与した(投与直前に調製し、ゲル化が起こる前に投与した)。12時間超の間隔を空けて全ての動物から全血試料を採取し、アセトニトリル/メタノール(3:1)と0.1%Triton X−100を含む溶液を加えることにより急冷した。急冷した血液試料は、分析するまで凍結して−70℃で保存した。
【0151】
急冷した血液試料を、高感度かつ特異的なLC/MS−MS法を使用して、配列番号10のペプチドの濃度について分析した。全血中のペプチドの最大濃度(Cmax)は、L−グルタミン酸を含まない水溶液製剤では10.8ng/mL、50mM L−グルタミン酸を含む溶液製剤では12.0ng/mL、50mM L−グルタミン酸および2.5%ソルビトールを含む溶液製剤では32.1ng/mLであった。したがって、ペプチド製剤への安定剤L−グルタミン酸の添加は、皮下投与後のペプチドの吸収を妨げなかった。
実施例9
50mM L−グルタミン酸を含み、2.5%ソルビトールを含むかまたは張性調整剤を含まない、水中に50mg/mLの配列番号10のペプチドを含む溶液製剤を調製する。溶液製剤を混合して溶解する。原薬を加え、混合して溶解する。得られた溶液を0.2μmメンブレンフィルターを通して濾過する。溶液を凍結乾燥するか、または溶液として保存する。溶液の皮下注射後、原薬の放出は、原薬のみの投与と比較して長期間にわたって持続される。
【0152】
本明細書に開示され、特許請求される物品および方法は全て、本開示の観点から過度の実験なしで作製および実行され得る。本開示の物品および方法が好ましい実施形態の観点から記載されているが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、物品および方法に変化が適用され得ることが当業者には明らかであろう。現在存在するか、または今後開発されるかにかかわらず、当業者に明らかなそのような変形および等価物は全て、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の趣旨および範囲内にあるとみなされる。例えば、使用方法として本明細書に記載される全ての態様および/または実施形態は、記載される使用のための組成物、または特定の使用のための医薬品に使用するための組成物としても企図される。本明細書で言及された全ての特許、特許出願、および刊行物は、本開示が属する当業者のレベルを示している。本明細書に例示的に記載される開示は、本明細書に具体的に開示されていない要素の不在下で好適に実施され得る。したがって、例えば、本明細書の各例において、「を含む」、「から本質的になる」、および「からなる」という用語はいずれも、他の2つの用語のいずれかに置き換えられてもよい。用いられている用語および表現は、用語を説明するものとして使用されており、限定するものではなく、そのような用語および表現の使用において、示され説明される特徴のいずれの等価物またはその一部を除外するようには意図されておらず、特許請求される開示の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。したがって、本開示が好ましい実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の修正および変形が当業者によってなされてもよく、そのような修正および変形が添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲内にあるとみなされることを理解されたい。
【0153】
本明細書に引用される刊行物、特許出願および特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が参照により個々にかつ具体的に組み込まれるように示され、その全体が本明細書に記載されているのと同程度まで(法律で認められる最大限の範囲で)、参照により本明細書に組み込まれる。全ての見出しおよび小見出しは、本明細書において便宜上使用されているに過ぎず、決して限定的であると解釈されるべきではない。特に要求されない限り、本明細書中に提供されるあらゆる例、または例示的な言語(例えば「等」)の使用は、本開示をより上手く説明することを意図しているに過ぎず、本開示の範囲に制限を課すものではない。本明細書における言語は、本開示の実施に不可欠な任意の非請求要素を示すと解釈されるべきではない。本明細書における特許文書の引用および組み込みは、便宜上行われているに過ぎず、そのような特許文書の有効性、特許性、および/または執行可能性のいかなる見解も反映していない。
【0154】
本開示は、適用法で許可されるように、本明細書に付属する態様において列挙される主題の全ての変更例および均等物を含む。
【国際調査報告】