特表2021-519396(P2021-519396A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-519396酸化ゾーンを有するSCRF触媒を含む排気システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-519396(P2021-519396A)
(43)【公表日】2021年8月10日
(54)【発明の名称】酸化ゾーンを有するSCRF触媒を含む排気システム
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20210712BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20210712BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20210712BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20210712BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20210712BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20210712BHJP
   B01J 29/064 20060101ALI20210712BHJP
【FI】
   F01N3/08 B
   F01N3/10 AZAB
   F01N3/035 A
   F01N3/035 E
   F01N3/24 C
   F01N3/24 E
   F01N3/08 A
   F01N3/28 J
   F01N3/28 301D
   F01N3/28 301E
   B01D53/94 222
   B01D53/94 241
   B01D53/94 400
   B01D53/94 228
   B01D53/94 245
   B01D53/94 280
   B01J29/064 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-551867(P2020-551867)
(86)(22)【出願日】2019年3月29日
(85)【翻訳文提出日】2020年9月25日
(86)【国際出願番号】IB2019052596
(87)【国際公開番号】WO2019186485
(87)【国際公開日】20191003
(31)【優先権主張番号】62/649,614
(32)【優先日】2018年3月29日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ゲイビン
(72)【発明者】
【氏名】ハウル,ヴァレリー
(72)【発明者】
【氏名】ウォルトン,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ウィジェマンヌ,シレンカ
(72)【発明者】
【氏名】バージール,デイビッド
【テーマコード(参考)】
3G091
3G190
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
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4G169ZA01A
4G169ZA01B
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(57)【要約】
本発明のシステム及び方法は排気ガス浄化システムに関するものであり、(a)アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を排気ガス中に噴射するための第1のインジェクタと、(b)入口及び出口を含み、選択的触媒還元(SCR)触媒及び酸化触媒を含む、ディーゼル微粒子捕集フィルタと、(c)フィルタの下流に位置し、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を排気ガス中に噴射するための、第2のインジェクタと、(d)第2のインジェクタの下流に位置し、選択的触媒還元触媒を含む、下流触媒と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス浄化システムであって、
a.アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を前記排気ガス中に噴射するための第1のインジェクタと、
b.入口及び出口を含み、選択的触媒還元(SCR)触媒及び酸化触媒を含む、ディーゼル微粒子捕集フィルタと、
c.前記フィルタの下流に位置し、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を前記排気ガス中に噴射するための、第2のインジェクタと、
d.前記第2のインジェクタの下流に位置し、選択的触媒還元触媒を含む下流触媒と、を含む、排気ガス浄化システム。
【請求項2】
前記酸化触媒が、前記フィルタの前記出口上にコーティングされている、請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項3】
前記酸化触媒が、1つ以上の白金族金属を含む、請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項4】
前記酸化触媒が、白金、パラジウム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項5】
前記選択的触媒還元触媒が、金属酸化物系SCR触媒配合物、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物、又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項6】
前記下流触媒が、アンモニア酸化触媒を更に含む、請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項7】
前記下流触媒に入る前記排気ガスが、10%超のNO:NO比を有する、請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項8】
前記システムが、前記フィルタの上流に位置する上流触媒を更に含み、前記上流触媒は、ディーゼル酸化触媒、NO吸蔵触媒、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項9】
排気ガスの浄化方法であって、
a.第1のインジェクタによって、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を、前記排気ガス中に添加することと、
b.入口及び出口を含み、選択的触媒還元(SCR)触媒及び酸化触媒を含む、ディーゼル微粒子捕集フィルタに、前記排気ガスを通すことと、
c.前記フィルタの下流に位置する第2のインジェクタによって、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を前記排気ガス中に添加することと、
d.前記第2のインジェクタの下流に位置し、選択的還元触媒を含む下流触媒に、前記排気ガスを通すことと、を含む、方法。
【請求項10】
前記酸化触媒が、前記フィルタの前記出口上にコーティングされている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記酸化触媒が、1つ以上の白金族金属を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記酸化触媒が、白金、パラジウム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記選択的触媒還元触媒が、金属酸化物系SCR触媒配合物、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物、又はこれらの混合物を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記下流触媒が、アンモニア酸化触媒を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記下流触媒に入る前記排気ガスが、10%超のNO:NO比を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、前記フィルタの上流に位置する上流触媒を更に含み、前記上流触媒は、ディーゼル酸化触媒、NO吸蔵触媒、又はこれらの組み合わせを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現在、内燃機関に関し対応が迫られている課題として、有害副生成物の排出量削減の必要性、並びに、燃費を向上するよう求める圧力の更なる高まり、がある。ディーゼルエンジンは、世界中の政府間組織によって規制されている少なくとも4種類の汚染物質、すなわち一酸化炭素(CO)、未燃焼炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)、及び微小粒子状物質(PM)を、ほとんどの場合に含有している、排ガスを生成する。各種汚染物質を1種類以上処理するための様々な排出ガス制御装置が存在している。環境中への排気ガスの排出前に、4種類のすべての汚染物質を確実に処理するために、多くの場合、これらの排気制御装置が排気システムの一部として組み合わされる。
【発明の概要】
【0002】
本発明のいくつかの実施形態によれば、排気ガス浄化システムは、(a)アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を排気ガス中に噴射するための第1のインジェクタと、(b)入口及び出口を含み、選択的触媒還元(SCR)触媒及び酸化触媒を含む、ディーゼル微粒子捕集フィルタと、(c)フィルタの下流に位置し、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を排気ガス中に噴射するための、第2のインジェクタと、(d)第2のインジェクタの下流に位置し、選択的触媒還元触媒を含む、下流触媒と、を含む。
【0003】
いくつかの実施形態では、酸化触媒は、フィルタの出口上にコーティングされている。酸化触媒は、1つ以上の白金族金属、例えば白金、パラジウム、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。好適な選択的触媒還元触媒は、金属酸化物系SCR触媒配合物、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物、又はこれらの混合物を含んでもよい。
【0004】
いくつかの実施形態では、下流触媒は、アンモニア酸化触媒を更に含む。いくつかの実施形態では、システムは、フィルタの上流に位置する上流触媒を更に含み、上流触媒は、ディーゼル酸化触媒、NO吸蔵触媒、又はこれらの組み合わせを含む。
【0005】
特定の実施形態では、下流触媒に入る排気ガスは、10%超のNO:NO比を有する。
【0006】
本発明のいくつかの実施形態によれば、排気ガスの浄化方法は、(a)第1のインジェクタによって、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を排気ガス中に添加することと、(b)入口及び出口を含み、選択的触媒還元(SCR)触媒及び酸化触媒を含む、ディーゼル微粒子捕集フィルタに、当該排気ガスを通すことと、(c)フィルタの下流に位置する第2のインジェクタによって、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を当該排気ガス中に添加することと、(d)第2のインジェクタの下流に位置し、選択的還元触媒を含む下流触媒に、当該排気ガスを通すことと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】比較システム1及びシステム2の下で試験した、SCRF(商標)触媒後のNO比を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のシステム及び方法は、内燃機関からの排気ガスの浄化に関する。本発明は、特に、ディーゼルエンジンからの排気ガスの浄化に関する。
【0009】
本発明のシステム及び方法は、(1)アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を排気ガス中に噴射するための第1のインジェクタと、(2)選択的触媒還元(SCR)触媒及び酸化触媒を含むディーゼル微粒子捕集フィルタと、(3)アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を排気ガス中に噴射するための第2のインジェクタと、(4)第2のインジェクタの下流に位置し、選択的触媒還元触媒を含む、下流触媒と、を含んでもよい。酸化触媒は、例えば、ディーゼル微粒子捕集フィルタの出口側に位置してもよい。いくつかの実施形態では、このようなシステムは、ディーゼル微粒子捕集フィルタの上流に位置する上流触媒を含み、上流触媒は、ディーゼル酸化触媒、NO吸蔵触媒、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0010】
本発明のシステム構成により、総じて排出ガスの削減が提供されることが判明した。ディーゼル微粒子捕集フィルタ上に、SCR触媒に加えて酸化触媒を含めることにより、フィルタ再生中に副生成物、例えばNH、CO、及び炭化水素を浄化するよう機能させることができる。しかし、本発明の実施形態では、ディーゼル微粒子捕集フィルタ上の酸化触媒がNOを生成して、下流SCR触媒の性能を最適化することにより、効果を得ることもできる。下流SCR触媒でのSCR反応に必要な還元剤を供給するために、第2の還元剤インジェクタを含めることが、これらの効果を実現するために必要であることも判明した。
【0011】
システムの構成要素、構成、及び効果の詳細については、本明細書で更に詳細に説明される。
【0012】
フィルタ
本発明のシステムは、SCR触媒及び酸化触媒を含む、フィルタを含む。このようなフィルタはまた、本明細書では、酸化触媒を有するSCRF(商標)触媒と称呼されることがある。いくつかの実施形態では、SCR触媒及び酸化触媒を含むフィルタは、下流SCR触媒上でのSCR反応を最適化するために、所望のNO:NO比が得られるように配合及び構成することができる。
【0013】
SCR触媒
本発明のシステムは、1つ以上のSCR触媒を含んでもよい。システムは、上記のように、ディーゼル微粒子捕集フィルタ上のSCR触媒、及びディーゼル微粒子捕集フィルタの下流に位置決めされたSCR触媒を含む。本発明のシステムはまた、1つ以上の更なるSCR触媒を含んでもよい。
【0014】
本発明の排気システムは、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を排気ガス中に導入するためのインジェクタの下流に位置決めされた、SCR触媒を含んでもよい。SCR触媒は、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を噴射するために、インジェクタのすぐ下流に位置決めされてもよい(例えば、インジェクタとSCR触媒との間に介在する触媒が存在しない)。
【0015】
SCR触媒は、担体と触媒組成物とを含む。担体は、フロースルー担体又は濾過担体であってもよい。SCR触媒がフロースルー担体を有する場合、担体はSCR触媒組成物を含んでもよく(すなわち、SCR触媒は押出によって得られる)、又はSCR触媒組成物は、担体上に配置又は担持されてもよい(すなわち、SCR触媒組成物は、ウォッシュコーティング法によって担体上に適用される)。
【0016】
SCR触媒が濾過担体を有する場合、それは、本明細書で「SCRF(商標)触媒」と略称される、選択的触媒還元フィルタ触媒である。SCRF(商標)触媒は、濾過担体及び選択的触媒還元(SCR)組成物を含む。本出願をとおして、SCR触媒の使用についての言及は、適用可能な場合、SCRF(商標)触媒の使用も含むと理解される。
【0017】
選択的触媒還元組成物は、金属酸化物系SCR触媒配合物、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物、又はこれらの混合物を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよい。このようなSCR触媒配合物は、当該技術分野において既知である。
【0018】
選択的触媒還元組成物は、金属酸化物系SCR触媒配合物を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよい。金属酸化物系SCR触媒配合物は、耐火性酸化物上に担持されたバナジウム若しくはタングステン又はこれらの混合物を含む。耐火性酸化物は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0019】
金属酸化物系SCR触媒配合物は、チタニア(例えば、TiO)、セリア(例えば、CeO)、並びにセリウム及びジルコニウムの混合酸化物又は複合酸化物(例えば、CeZr(1−x)、式中、x=0.1〜0.9、好ましくはx=0.2〜0.5)からなる群から選択される耐火性酸化物上に担持された、バナジウムの酸化物(例えば、V)及び/又はタングステンの酸化物(例えば、WO)を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよい。
【0020】
耐火性酸化物がチタニア(例えば、TiO)である場合、好ましくは、バナジウムの酸化物の濃度は、(例えば、金属酸化物系SCR配合物の)0.5〜6重量%であり、及び/又はタングステンの酸化物(例えば、WO)の濃度は5〜20重量%である。より好ましくは、バナジウムの酸化物(例えば、V)及びタングステンの酸化物(例えば、WO)は、チタニア(例えば、TiO)上に担持される。
【0021】
耐火性酸化物がセリア(例えばCeO)である場合、好ましくは、バナジウムの酸化物の濃度は、(例えば、金属酸化物系SCR配合物の)0.1〜9重量%であり、及び/又はタングステンの酸化物(例えば、WO)の濃度は0.1〜9重量%である。
【0022】
金属酸化物系SCR触媒配合物は、チタニア(例えば、TiO)上に担持された、バナジウムの酸化物(例えば、V)、及び所望によりタングステンの酸化物(例えば、WO)を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよい。
【0023】
選択的触媒還元組成物は、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよい。モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、所望により遷移金属交換モレキュラーシーブであるモレキュラーシーブを含む。SCR触媒配合物は、遷移金属交換モレキュラーシーブを含むことが好ましい。
【0024】
概して、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、アルミノケイ酸塩骨格(例えば、ゼオライト)、アルミノリン酸塩骨格(例えば、AlPO)、シリコアルミノリン酸塩骨格(例えば、SAPO)、ヘテロ原子含有アルミノケイ酸塩骨格、ヘテロ原子含有アルミノリン酸骨格(例えば、MeAlPO、式中、Meは金属である)、又はヘテロ原子含有シリコアルミノリン酸塩骨格(例えば、MeAPSO、式中、Meは金属である)を有するモレキュラーシーブを含んでもよい。ヘテロ原子(すなわち、ヘテロ原子含有骨格)は、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、及びこれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。ヘテロ原子は金属であることが好ましい(例えば、上記ヘテロ原子含有骨格の各々は、金属含有骨格であってもよい)。
【0025】
モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、アルミノケイ酸塩骨格(例えば、ゼオライト)又はシリコアルミノリン酸塩骨格(例えば、SAPO)を有するモレキュラーシーブを含むこと、又はこれから本質的になることが好ましい。
【0026】
モレキュラーシーブがアルミノケイ酸塩骨格を有する(例えば、モレキュラーシーブはゼオライトである)場合、典型的には、モレキュラーシーブは、5〜200(例えば、10〜200)、好ましくは10〜100(例えば、10〜30又は20〜80)、例えば、12〜40、より好ましくは15〜30の、シリカとアルミナとのモル比(SAR)を有する。
【0027】
典型的には、モレキュラーシーブは微孔性である。微孔性のモレキュラーシーブは、直径が2nm未満の細孔を有する(例えば、「微孔性」のIUPAC定義に従う[Pure & Appl.Chem.,66(8),(1994),1739−1758)]を参照されたい)。
【0028】
モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、小細孔モレキュラーシーブ(例えば、8個の四面体原子による最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)、中細孔モレキュラーシーブ(例えば、10個の四面体原子による最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)又は大細孔モレキュラーシーブ(例えば、12個の四面体原子による最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含んでもよい。
【0029】
モレキュラーシーブが小細孔モレキュラーシーブである場合、小細孔モレキュラーシーブは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、LTA、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SFW、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG及びZON、又はこれらの2つ以上の混合物及び/若しくはインターグロースからなる群から選択される骨格型コード(FTC)によって表される骨格構造を有し得る。好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、CHA、LEV、AEI、AFX、ERI、LTA、SFW、KFI、DDR及びITEからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。より好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、CHA及びAEIからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。小細孔モレキュラーシーブは、FTCのCHAによって表される骨格構造を有し得る。小細孔モレキュラーシーブは、FTCのAEIによって表される骨格構造を有し得る。小細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、FTCのCHAで表される骨格を有する場合、ゼオライトはチャバザイトであってもよい。
【0030】
モレキュラーシーブが中細孔モレキュラーシーブである場合、中細孔モレキュラーシーブは、AEL、AFO、AHT、BOF、BOZ、CGF、CGS、CHI、DAC、EUO、FER、HEU、IMF、ITH、ITR、JRY、JSR、JST、LAU、LOV、MEL、MFI、MFS、MRE、MTT、MVY、MWW、NAB、NAT、NES、OBW、−PAR、PCR、PON、PUN、RRO、RSN、SFF、SFG、STF、STI、STT、STW、−SVR、SZR、TER、TON、TUN、UOS、VSV、WEI及びWEN、又はこれらの2つ以上の混合物及び/若しくはインターグロースからなる群から選択される骨格型コード(FTC)によって表される骨格構造を有し得る。好ましくは、中細孔モレキュラーシーブは、FER、MEL、MFI、及びSTTからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。より好ましくは、中細孔モレキュラーシーブは、FER及びMFI、特にMFIからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。中細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、FTCのFER又はMFIによって表される骨格を有する場合、ゼオライトはフェリエライト、シリカライト、又はZSM−5であってもよい。
【0031】
モレキュラーシーブが大細孔モレキュラーシーブである場合、大細孔モレキュラーシーブは、AFI、AFR、AFS、AFY、ASV、ATO、ATS、BEA、BEC、BOG、BPH、BSV、CAN、CON、CZP、DFO、EMT、EON、EZT、FAU、GME、GON、IFR、ISV、ITG、IWR、IWS、IWV、IWW、JSR、LTF、LTL、MAZ、MEI、MOR、MOZ、MSE、MTW、NPO、OFF、OKO、OSI、−RON、RWY、SAF、SAO、SBE、SBS、SBT、SEW、SFE、SFO、SFS、SFV、SOF、SOS、STO、SSF、SSY、USI、UWY及びVET、又はこれらの2つ以上の混合物及び/若しくはインターグロースからなる群から選択される骨格型コード(FTC)によって表される骨格構造を有し得る。好ましくは、大細孔モレキュラーシーブは、AFI、BEA、MAZ、MOR、及びOFFからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。より好ましくは、大細孔モレキュラーシーブは、BEA、MOR、及びMFIからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。大細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、FTCのBEA、FAU又はMORによって表される骨格を有する場合、ゼオライトは、βゼオライト、フォージャサイト、ゼオライトY、ゼオライトX、又はモルデナイトであってもよい。
【0032】
概して、モレキュラーシーブは、小細孔モレキュラーシーブであることが好ましい。
【0033】
モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、好ましくは遷移金属交換モレキュラーシーブを含む。遷移金属は、コバルト、銅、鉄、マンガン、ニッケル、パラジウム、白金、ルテニウム、及びレニウムからなる群から選択されてもよい。
【0034】
遷移金属は銅であってもよい。銅交換されたモレキュラーシーブを含有するSCR触媒配合物の利点は、このような配合物が、優れた低温NO還元活性を有することである(例えば、鉄交換されたモレキュラーシーブの低温NO還元活性よりも優れたものにできる)。本発明のシステム及び方法は、任意の種類のSCR触媒を含んでもよいが、銅を含むSCR触媒(「Cu−SCR触媒」)は、特に硫酸化の影響を受けやすいことから、本発明のシステムからより顕著な効果を受けることができる。Cu−SCR触媒配合物としては、例えば、Cu交換SAPO−34、Cu交換CHAゼオライト、Cu交換AEIゼオライト、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0035】
遷移金属は、モレキュラーシーブの外部表面上の骨格外部位に存在してもよく、又はモレキュラーシーブのチャネル、空洞、若しくはケージ内に存在してもよい。
【0036】
典型的には、遷移金属交換モレキュラーシーブは、0.10〜10重量%の量、好ましくは0.2〜5重量%の量の遷移金属交換分子を含む。
【0037】
概ね、選択的触媒還元触媒は、0.5〜4.0g/in、好ましくは1.0〜3.0g/inの総濃度で選択的触媒還元組成物を含む。
【0038】
SCR触媒組成物は、金属酸化物系SCR触媒配合物と、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物との混合物を含んでもよい。(a)金属酸化物系SCR触媒配合物は、チタニア(例えば、TiO)上に担持された、バナジウムの酸化物(例えば、V)、及び所望によりタングステンの酸化物(例えば、WO)を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよく、(b)モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、遷移金属交換モレキュラーシーブを含んでもよい。
【0039】
SCR触媒がSCRF(商標)触媒である場合、濾過担体は、好ましくはウォールフローフィルタのモノリス担体であってよく、例えば本明細書で触媒加工煤煙フィルタに関して記載されたものであってもよい。ウォールフローフィルタのモノリス担体(例えば、SCR−DPF)は、典型的には、60〜400セル/平方インチ(cpsi)のセル密度を有する。ウォールフローフィルタのモノリス担体は、100〜350cpsi、より好ましくは200〜300cpsiのセル密度を有することが好ましい。
【0040】
ウォールフローフィルタのモノリス担体は、0.20〜0.50mm、好ましくは0.25〜0.35mm(例えば、約0.30mm)の壁厚(例えば、平均内部壁厚)を有し得る。
【0041】
概ね、コーティングされていないウォールフローフィルタのモノリス担体は、50〜80%、好ましくは55〜75%、より好ましくは60〜70%の多孔率を有する。
【0042】
コーティングされていないウォールフローフィルタのモノリス担体は、典型的には、少なくとも5μmの平均孔径を有する。平均孔径は、10〜40μm、例えば15〜35μm、より好ましくは20〜30μmであることが好ましい。
【0043】
ウォールフローフィルタの担体は、対称セル設計又は非対称セル設計を有し得る。
【0044】
SCRF(商標)触媒の場合、概して、選択的触媒還元組成物は、ウォールフローフィルタのモノリス担体の壁内に配置される。加えて、選択的触媒還元組成物は、入口チャネルの壁上に、及び/又は出口チャネルの壁上に配置されてもよい。
【0045】
酸化触媒
本発明のシステムは、SCR触媒及び酸化触媒を含む、フィルタを含んでもよい。いくつかの実施形態では、酸化触媒は、フィルタの出口上にコーティングされている。いくつかの実施形態では、SCR触媒及び酸化触媒を含むフィルタは、下流SCR触媒上でのSCR反応を最適化するために、所望のNO:NO比が得られるように配合及び構成することができる。酸化触媒は、1)壁、入口、又は出口の表面上に位置決めされるように、フィルタ上にコーティングされていてもよく、2)フィルタを貫通するように、すなわち、フィルタ内に位置決めされるように、多孔性壁上にコーティングされていてもよく、又は、3)多孔性フィルタ壁内及び壁の表面上の両方にあるように、コーティングされていてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、酸化は、1つ以上の白金族金属を含む。いくつかの実施形態では、酸化触媒は、NOをNOに酸化することに重点を置いて配合され、これにより、フィルタ上のSCR触媒からのNOのスリップに対処し、下流のSCR反応にとってより好都合なNO:NO比を得ることができる。
【0047】
アンモニア酸化触媒
本発明のシステムは、アンモニアスリップ触媒(「ASC」)とも称呼される1つ以上のアンモニア酸化触媒を含んでもよい。1つ以上のASCをSCR触媒の下流に含めて、過剰なアンモニアを酸化することで、それが大気に放出されるのを防ぐことができる。いくつかの実施形態では、ASCは、SCR触媒と同じ担体上に含まれてもよい。特定の実施形態では、アンモニア酸化触媒材料は、NO又はNOを形成する代わりにアンモニアの酸化を促進するように選択されてもよい。好ましい触媒材料としては、白金、パラジウム、又はこれらの組み合わせが挙げられ、白金又は白金/パラジウムの組み合わせが好ましい。好ましくは、アンモニア酸化触媒は、金属酸化物上に担持された白金及び/又はパラジウムを含む。好ましくは、触媒は、アルミナをはじめとするがこれに限定されない、高表面積担体上に配置されている。
【0048】
いくつかの実施形態では、アンモニア酸化触媒は、ケイ質担体上に白金族金属を含む。ケイ質材料は、材料として例えば、(1)シリカ、(2)シリカとアルミナとの比を少なくとも200として、ゼオライト、及び(3)40%以上のSiO含有量で非晶質シリカドープアルミナ、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ケイ質材料は、材料として例えばゼオライトを、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも750、少なくとも800、又は少なくとも1000の、シリカとアルミナとの比で含んでもよい。いくつかの実施形態では、白金族金属は、白金族金属及び担体の総重量の約0.5重量%〜約10重量%、白金族金属及び担体の総重量の約1重量%〜約6重量%、白金族金属及び担体の総重量の約1.5重量%〜約4重量%、白金族金属及び担体の総重量の約10重量%、白金族金属及び担体の総重量の約0.5重量%、白金族金属及び担体の総重量の約1重量%、白金族金属及び担体の総重量の約2重量%、白金族金属及び担体の総重量の約3重量%、白金族金属及び担体の総重量の約4重量%、白金族金属及び担体の総重量の約5重量%、白金族金属及び担体の総重量の約6重量%、白金族金属及び担体の総重量の約7重量%、白金族金属及び担体の総重量の約8重量%、白金族金属及び担体の総重量の約9重量%、又は白金族金属及び担体の総重量の約10重量%の量で、担体上に存在する。
【0049】
いくつかの実施形態では、ケイ質担体は、BEA、CDO、CON、FAU、MEL、MFI、又はMWWの骨格型を有する、モレキュラーシーブを含んでもよい。
【0050】
還元剤/尿素インジェクタ
本明細書に記載されるように、本発明のシステムは、少なくとも2つの還元剤インジェクタを含んでもよい。システムは、SCR及び/又はSCRF(商標)触媒の上流で排気システムに窒素系還元剤を導入するための手段を含んでもよい。窒素系還元剤を排気システムに導入するための手段は、SCR又はSCRF(商標)触媒のすぐ上流にある(例えば、窒素系還元剤を導入するための手段とSCR又はSCRF(商標)触媒との間に介在する触媒が存在しない)ことが好ましい場合がある。
【0051】
還元剤は、還元剤を排気ガス中に導入するための任意の好適な手段によって、流れる排気ガスに添加される。好適な手段としては、インジェクタ、噴霧器、又はフィーダーが挙げられる。このような手段は、当該技術分野において周知である。
【0052】
システムで使用するための窒素系還元剤は、アンモニアそのもの、ヒドラジン、又は尿素、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、及びギ酸アンモニウムからなる群から選択されるアンモニア前駆体であってもよい。尿素は特に好ましい。
【0053】
排気システムはまた、排気ガス中のNOを低減するために、排気ガス中への還元剤の導入を制御するための手段を含んでもよい。好ましい制御手段は、電子制御ユニット、所望によりエンジン制御ユニットを含んでもよく、また、NO還元触媒の下流に位置するNOセンサを更に含んでもよい。
【0054】
担体
本発明の触媒及び吸着剤は、各々、フロースルー担体又はフィルタ担体を更に含んでもよい。一実施形態では、触媒/吸着剤は、フロー−スルー担体又はフィルタ担体上にコーティングされてもよく、好ましくは、ウォッシュコート手順を用いてフロースルー担体又はフィルタ担体上に堆積されてもよい。
【0055】
SCR触媒とフィルタとの組み合わせは、選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標)触媒)として知られている。SCRF(商標)触媒は、SCR及び微小粒子フィルタの機能性を組み合わせた単一担体デバイスであり、所望に応じて本発明の実施形態に好適である。本出願全体にわたるSCR触媒の説明及び参照は、該当する場合、SCRF(商標)触媒も含むと理解される。
【0056】
フロースルー担体又はフィルタ担体は、触媒/吸着剤成分を含有することができる担体である。担体は、好ましくはセラミック担体又は金属担体である。セラミック担体は、任意の好適な耐火性材料、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、マグネシア、ゼオライト、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸塩、メタロアルミノケイ酸塩(コージライト及びスポジュメン(spudomene)など)、又はこれらの任意の2つ以上の混合物若しくは混合酸化物で作製されていてもよい。コージライト、マグネシウムアルミノケイ酸塩、及び炭化ケイ素が、特に好ましい。
【0057】
金属担体は、任意の好適な金属、特にチタン及びステンレス鋼などの耐熱性金属及び金属合金、並びにその他の微量金属に加えて鉄、ニッケル、クロム、及び/又はアルミニウムを含有するフェライト合金で作製されていてもよい。
【0058】
フロースルー担体は、好ましくは、担体を通って軸方向に連続しており、かつ担体の入口又は出口から全体にわたって延びている、多くの小さな平行薄壁チャネルを有するハニカム構造を有するフロースルーモノリスである。担体のチャネル断面は、任意の形状であってもよいが、好ましくは正方形、正弦波形、三角形、矩形、六角形、台形、円形、又は楕円形である。フロースルー担体はまた、触媒が担体壁に浸透することを可能にする高多孔性のものであってもよい。
【0059】
フィルタ担体は、好ましくはウォールフローモノリスフィルタである。ウォールフローフィルタのチャネルは、交互に遮断される。このことにより、排気ガス流が入口からチャネルに入り、その後、チャネル壁を通って流れ、出口につながる異なるチャネルからフィルタを出ることができる。したがって、排気ガス流中の微小粒子は、フィルタ内に捕捉される。
【0060】
触媒/吸着剤は、ウォッシュコート手順などの任意の既知の手段によって、フロースルー担体又はフィルタ担体に添加されてもよい。
【0061】
上流触媒
本発明のシステムは、SCR触媒及び酸化触媒を含むフィルタの上流に位置する、上流触媒を含んでもよい。いくつかの実施形態では、上流触媒は、ディーゼル酸化触媒、NO吸蔵触媒、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0062】
ディーゼル酸化触媒
本発明のシステムは、1つ以上のディーゼル酸化触媒を含んでもよい。酸化触媒、特にディーゼル酸化触媒(DOC)は、当該技術分野において周知である。酸化触媒は、COをCOに酸化するように、そして気相炭化水素(HC)及びディーゼル微小粒子の有機成分(可溶性有機成分)を、CO及びHOに酸化するように設計されている。典型的な酸化触媒には、アルミナ、シリカ−アルミナ、及びゼオライトなどの、高表面積無機酸化物担体上の、白金及び所望により更にパラジウムも含まれる。
【0063】
NO吸蔵触媒
本発明のシステムは、1つ以上のNO吸蔵触媒を含んでもよい。NO吸蔵触媒は、概して温度及び/又はリッチ/リーン排気条件に応じて、特定の条件に従ってNOを吸着、放出、及び/又は還元するデバイスを含んでもよい。NO吸蔵触媒は、例えば、受動的NO吸着剤、コールドスタート触媒、NOトラップなどを含んでもよい。
【0064】
受動的NO吸着剤
本発明のシステムは、1つ以上の受動的NO吸着剤を含んでもよい。受動的NO吸着剤は、NOを低温以下で吸着するのに有効で、かつ吸着されたNOを低温より高い温度で放出するのに有効なデバイスである。受動的NO吸着剤は、貴金属及び小細孔モレキュラーシーブを含んでもよい。貴金属は、好ましくは、パラジウム、白金、ロジウム、金、銀、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、又はこれらの混合物である。好ましくは、低温は、約200℃、約250℃、又は約200℃〜約250℃である。好適な受動的NOx吸着剤の例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20150158019号に記載されている。
【0065】
小細孔モレキュラーシーブは、ゼオライトを含む任意の天然又は合成モレキュラーシーブであってもよく、好ましくはアルミニウム、ケイ素、及び/又はリンから構成される。モレキュラーシーブは、典型的には、酸素原子の共有によって結合されるSiO、AlO、及び/又はPOの三次元配置を有するが、同様に二次元構造であってもよい。モレキュラーシーブの骨格は、典型的にはアニオン性であり、これは、電荷補償カチオン、典型的にはアルカリ及びアルカリ土類元素(例えば、Na、K、Mg、Ca、Sr、及びBa)、アンモニウムイオン、並びにまたプロトンが対となって均衡する。他の金属(例えば、Fe、Ti、及びGa)が、小細孔モレキュラーシーブの骨格に組み込まれることで、金属組み込みモレキュラーシーブを得ることができる。
【0066】
好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ、金属置換アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ、アルミノリン酸塩モレキュラーシーブ、又は金属置換アルミノリン酸塩モレキュラーシーブから選択される。より好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG、及びZON、並びに任意の2つ以上の混合物又はインターグロースの骨格型を有するモレキュラーシーブである。特に好ましい小細孔モレキュラーシーブのインターグロースとしては、KFI−SIV、ITE−RTH、AEW−UEI、AEI−CHA、及びAEI−SAVが挙げられる。最も好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、AEI若しくはCHA、又はAEI−CHAインターグロースである。
【0067】
好適な受動的NO吸着剤は、任意の既知の手段によって調製することができる。例えば、貴金属を小細孔モレキュラーシーブに添加して、任意の既知の手段によって受動的NO吸着剤を形成することができる。例えば、貴金属化合物(硝酸パラジウムなど)を、含浸、吸着、イオン交換、インシピエント・ウェットネス(incipient wetness)、沈殿などによって、モレキュラーシーブ上に担持することができる。他の金属もまた、受動的NO吸着剤に添加することができる。好ましくは、受動的NO吸着剤中の貴金属の一部(添加される全貴金属の1%超)は、小細孔モレキュラーシーブの細孔の内側に位置する。より好ましくは、貴金属の総量の5%超が小細孔モレキュラーシーブの細孔の内側に位置し、更により好ましくは、貴金属の総量の10%超、又は25%超、又は50%超が小細孔モレキュラーシーブの細孔の内側に位置してもよい。
【0068】
好ましくは、受動的NO吸着剤は、フロースルー担体又はフィルタ担体を更に含む。受動的NO吸着剤は、フロースルー担体又はフィルタ担体上にコーティングされ、好ましくは、ウォッシュコート手順を用いてフロースルー担体又はフィルタ担体上に堆積され、受動的NO吸着剤システムが得られる。
【0069】
コールドスタート触媒
本発明のシステムは、1つ以上のコールドスタート触媒を含んでもよい。コールドスタート触媒は、NO及び炭化水素(HC)を低温以下で吸着するのに有効であり、かつ吸着されたNO及びHCを低温より高い温度で変換し放出するのに有効なデバイスである。好ましくは、低温は、約200℃、約250℃、又は約200℃〜約250℃である。好適なコールドスタート触媒の例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015085300号に記載されている。
【0070】
コールドスタート触媒は、モレキュラーシーブ触媒及び担持白金族金属触媒を含んでもよい。モレキュラーシーブ触媒は、貴金属及びモレキュラーシーブを含んでもよく、又はこれらから本質的になってもよい。担持白金族金属触媒は、1つ以上の白金族金属及び1つ以上の無機酸化物担体を含む。貴金属は、好ましくは、パラジウム、白金、ロジウム、金、銀、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、又はこれらの混合物である。
【0071】
モレキュラーシーブは、ゼオライトを含む任意の天然又は合成モレキュラーシーブであってもよく、好ましくはアルミニウム、ケイ素、及び/又はリンから構成される。モレキュラーシーブは、典型的には、酸素原子の共有によって結合されるSiO、AlO、及び/又はPOの三次元配置を有するが、同様に二次元構造であってもよい。モレキュラーシーブの骨格は、典型的にはアニオン性であり、これは、電荷補償カチオン、典型的にはアルカリ及びアルカリ土類元素(例えば、Na、K、Mg、Ca、Sr、及びBa)、アンモニウムイオン、並びにまたプロトンが対となって均衡する。
【0072】
モレキュラーシーブは、好ましくは、8個の四面体原子による最大環サイズを有する小細孔モレキュラーシーブ、10個の四面体原子による最大環サイズを有する中細孔モレキュラーシーブ、又は12個の四面体原子による最大環サイズを有する大細孔モレキュラーシーブであってもよい。より好ましくは、モレキュラーシーブは、AEI、MFI、EMT、ERI、MOR、FER、BEA、FAU、CHA、LEV、MWW、CON、EUO、又はこれらの混合物の骨格構造を有する。
【0073】
担持白金族金属触媒は、1つ以上の白金族金属(「PGM」)及び1つ以上の無機酸化物担体を含む。PGMは、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、又はこれらの組み合わせ、最も好ましくは白金及び/又はパラジウムであってもよい。無機酸化物担体には、最も通常的には、第2族、第3族、第4族、第5族、第13族、及び第14族の元素の酸化物が含まれる。有用な無機酸化物担体は、好ましくは、10〜700m/gの範囲の表面積、0.1〜4mL/gの範囲の細孔容積、及び約10〜1000Åの細孔直径を有する。無機酸化物担体は、好ましくは、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア、ニオビア、酸化タンタル、酸化モリブデン、酸化タングステン、又はこれらの任意の2つ以上の混合酸化物若しくは複合酸化物、例えば、シリカ−アルミナ、セリア−ジルコニア、若しくはアルミナ−セリア−ジルコニアである。アルミナ及びセリアは特に好ましい。
【0074】
担持白金族金属触媒は、任意の既知の手段によって調製することができる。好ましくは、1つ以上の白金族金属は、担持PGM触媒を形成するための任意の既知の手段によって、1つ以上の無機酸化物上に担持され、添加の方法は特に重要であるとはみなされない。例えば、白金化合物(硝酸白金など)を、含浸、吸着、イオン交換、インシピエント・ウェットネス、又は沈殿などによって、無機酸化物上に担持することができる。他の金属、例えば鉄、マンガン、コバルト、及びバリウムもまた、担持PGM触媒に添加することができる。
【0075】
本発明のコールドスタート触媒は、当該技術分野において周知のプロセスによって調製することができる。モレキュラーシーブ触媒及び担持白金族金属触媒を物理的に混合して、コールドスタート触媒を得ることができる。好ましくは、コールドスタート触媒は、フロースルー担体又はフィルタ担体を更に含む。一実施形態では、モレキュラーシーブ触媒及び担持白金族金属触媒は、フロースルー担体又はフィルタ担体上にコーティングされ、好ましくは、ウォッシュコート手順を用いてフロースルー担体又はフィルタ担体上に堆積され、コールドスタート触媒系が得られる。
【0076】
NOトラップ
本発明のシステムは、1つ以上のNOトラップを含んでもよい。NOトラップは、NOをリーン排気条件下で吸着し、吸着されたNOをリッチ条件下で放出し、放出されたNOを還元して、Nを形成するデバイスである。
【0077】
本発明の実施形態のNOトラップは、NOの吸蔵のためのNO吸着剤、及び酸化/還元触媒を含んでもよい。典型的には、酸化触媒の存在下で、一酸化窒素が酸素と反応し、NOが生成する。次に、NOは、NO吸着剤によって無機硝酸塩の形態で吸着される(例えば、BaO又はBaOは、NO吸着剤上でBa(NOに変換される)。最後に、エンジンをリッチ条件下で運転すると、吸蔵された無機硝酸塩は分解してNO又はNOを形成し、これらが次いで還元触媒の存在下で一酸化炭素、水素、及び/又は炭化水素との反応によって(又はNH又はNCO中間体を介して)還元されて、Nを形成する。典型的には、窒素酸化物は、排気流中で、熱、一酸化炭素、及び炭化水素の存在下で、窒素、二酸化炭素、及び水に変換される。
【0078】
NO吸着剤成分は、好ましくは、アルカリ土類金属(Ba、Ca、Sr、及びMgなど)、アルカリ金属(K、Na、Li、及びCsなど)、希土類金属(La、Y、Pr、及びNdなど)、又はこれらの組み合わせである。これらの金属は、典型的には、酸化物の形態で見られる。酸化/還元触媒は、1つ以上の貴金属を含んでもよい。好適な貴金属としては、白金、パラジウム、及び/又はロジウムを挙げることができる。好ましくは、白金は酸化機能を発揮するために含まれ、ロジウムは還元機能を発揮するために含まれる。酸化/還元触媒及びNO吸着剤は、排気システムに使用するための無機酸化物などの担体材料上に担持することができる。
【0079】
フィルタ
本発明のシステムは、上記のように、SCR触媒及び酸化触媒を含むフィルタに加えて、1つ以上の微小粒子フィルタを含んでもよい。微小粒子フィルタは、内燃機関の排気から微小粒子を削減するデバイスである。微小粒子フィルタとしては、触媒加工微小粒子フィルタ及びそのまま(bare)(触媒加工していないもの)の微小粒子フィルタが挙げられる。触媒加工微小粒子フィルタは、(ディーゼル及びガソリン用途に関しては)触媒加工煤煙フィルタとも称呼され、金属及び金属酸化物成分(Pt、Pd、Fe、Mn、Cu、及びセリアなど)を含むことにより、フィルタによって捕捉された煤煙を分解することに加えて、炭化水素及び一酸化炭素を酸化する。
【0080】
燃料インジェクタ
本発明のシステムは、1つ以上の燃料インジェクタを含んでもよい。例えば、システムは、ディーゼル酸化触媒の上流に二次燃料インジェクタを含んでもよい。任意の好適な種類の燃料インジェクタを、本発明のシステムに使用することができる。
【0081】
実施形態/システム
本発明のシステムは、(1)アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を排気ガス中に噴射するための第1のインジェクタと、(2)入口及び出口を含み、選択的触媒還元(SCR)触媒及び酸化触媒を含む、ディーゼル微粒子捕集フィルタと、(3)フィルタの下流に位置し、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を排気ガス中に噴射するための、第2のインジェクタと、(4)第2のインジェクタの下流に位置し、選択的触媒還元触媒を含む、下流触媒と、を含んでもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、システムは、ディーゼル酸化触媒、NO吸蔵触媒、又はこれらの組み合わせを含む、上流触媒を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、SCR触媒及び酸化触媒は、酸化触媒に接触する前に排気ガスがSCR触媒と接触するように、フィルタ上に構成される。いくつかの実施形態では、酸化触媒は、フィルタの出口上にコーティングされている。いくつかの実施形態では、SCR触媒は、フィルタの入口上にある。
【0084】
いくつかの実施形態では、SCR触媒は、フィルタの入口端から出口端に向かって延びるが酸化触媒と重ならない層に、含まれる。いくつかの実施形態では、SCR触媒は、フィルタの入口端から延び少なくとも部分的に酸化触媒と重なる層に、含まれる。いくつかの実施形態では、SCR触媒を含む層は、完全に酸化触媒を覆う。いくつかの実施形態では、SCR触媒を含む層は、部分的に酸化触媒を覆う。いくつかの実施形態では、SCR触媒を含む層は、酸化触媒の長さの、約0%、5%、7%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、最大約10%、約5%〜約50%、約20%〜約50%、約25%〜約75%、又は約30%〜約70%を覆う。
【0085】
いくつかの実施形態では、酸化触媒は、フィルタ担体の長さ全体に延びる底層に含まれ、SCR触媒は、担体の入口端から延び酸化触媒層の全て又は一部を覆う上層に含まれる。
【0086】
方法
排気ガスの浄化方法は、(1)第1のインジェクタによって、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を排気ガス中に添加することと、(2)入口及び出口を含み、SCR触媒及び酸化触媒を含む、ディーゼル微粒子捕集フィルタに、当該排気ガスを通すことと、(3)ディーゼル微粒子捕集フィルタの下流に位置する第2のインジェクタによって、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を排気ガス中に添加することと、(4)第2のインジェクタの下流に位置し、選択的還元触媒を含む下流触媒に、当該排気ガスを通すことと、を含んでもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、フィルタ上のSCR触媒及び酸化触媒は、下流SCR触媒上でのSCR反応を最適化するために、所望のNO:NO比が得られるように配合及び構成することができる。いくつかの実施形態では、SCR触媒及び酸化触媒を備えるフィルタから出る排気ガスは、10%超、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも20%のNO/NO比を有する。いくつかの実施形態では、SCR触媒及び酸化触媒を備えるフィルタから出る排気ガスは、10%〜70%、好ましくは15%〜65%、より好ましくは20%〜60%のNO/NO比を有する。いくつかの実施形態では、SCR触媒及び酸化触媒を備えるフィルタから出る排気ガスは、15%〜40%、又は25%〜35%のNO/NO比を有する。いくつかの実施形態では、SCR触媒及び酸化触媒を備えるフィルタから出る排気ガスは、40%〜70%、又は40%〜60%のNO/NO比を有する。
【0088】
効果
本発明のシステム構成により、総じて排出ガスの削減が提供されることが判明した。フィルタ上のSCR触媒と共に酸化触媒を含めることにより、フィルタ再生中に副生成物、例えばNH、CO、及び炭化水素を浄化するよう機能させることができる。しかし、本発明の実施形態では、ディーゼル微粒子捕集フィルタ上の酸化触媒によって、NOを生成し、下流SCR触媒の性能を最適化して、効果を得ることもできる。概して、SCR触媒を備えるディーゼル微粒子捕集フィルタ(すなわち、SCRF(商標)触媒)から出る排気流のNO/NO比を非常に低くすることができ、その際、SCR反応は、約50%のNO/NO比で最良に行われる。本発明のシステムでは、ディーゼル微粒子捕集フィルタ上の酸化触媒により、より好都合なNO/NO比を得るために、フィルタ上のSCR触媒からスリップするNOをNOに酸化することにより、下流SCR触媒の性能を向上させることができる。
【0089】
下流SCR触媒上でのSCR反応に必要な還元剤を供給するために、第2の還元剤のインジェクタを含めることが、これらの効果を実現するために必要であることも判明した。
【実施例】
【0090】
比較システム1:DOC+SCRF(商標)触媒
DOCと、DOCの後段の、1平方インチ当たりのセル(CPSI)が約300、及び壁厚(WT)が約12milの炭化ケイ素ウォールフローフィルタ(DPF)上にCu−ゼオライト系触媒がコーティングされたSCRF(商標)触媒と、からなるシステム。
【0091】
システム2:DOC+DOC成分を含有するSCRF(商標)触媒
DOCと、DOCの後段の、酸化層を有するSCRF(商標)触媒と、からなるシステムであって、比較システム1の同様のCu−ゼオライト系触媒、及び本明細書に記載される酸化成分を添加した担体組成物からなる。
【0092】
V6−3Lエンジンでのベンチ試験
表1に示すように、エンジン評価について、200℃、250℃、及び300℃を対象温度として設定した。これらの温度点への到達により、様々な気流にて、NO、HC、及びCOが、エンジンにより生成された。SCRF(商標)触媒上に投与された尿素の量は、1.1のアルファ値であった。
【表1】
【0093】
図1に示すように、比較システム1では、SCRF(商標)触媒後(酸化ゾーンなし)のNO比は、表1における定常状態試験条件下で、10%未満(実線)であった。対照的に、システム2と同じ試験条件下、250℃以降、酸化ゾーンを有するSCRF(商標)触媒の後では、10%超(点線)のNO比を有する。NO比が高くなるほどNO変換率が改善される(高速SCR反応による)ので、これは、下流SCRでのNO変換率が改善された結果である。
【0094】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「触媒(a catalyst)」への言及には、2つ以上の触媒(catalysts)の混合物などを含む。
【0095】
用語「アンモニアスリップ」は、SCR触媒を通過する未反応のアンモニアの量を意味する。
【0096】
用語「担体」は、触媒が固定されている材料を意味する。
【0097】
用語「焼成する」又は「焼成」は、空気又は酸素中で材料を加熱することを意味する。この定義は、IUPACによる焼成の定義と一致するものである。(IUPAC.Compendium of Chemical Terminology,2nd ed.(the「Gold Book」)。A.D.McNaught and A.Wilkinsonが作成。Blackwell Scientific Publications,Oxford(1997)。XML、オンライン補正バージョン:http://goldbook.iupac.org(2006−)、M.Nic,J.Jirat,B.Kosataが作成し、更新版はA.Jenkinsが編集。ISBN0−9678550−9−8.doi:10.1351/goldbook.)焼成は、金属塩を分解し、触媒内の金属イオンの交換を促進し、また触媒を担体に付着させるために行われる。焼成に使用される温度は、焼成される材料中の成分によって異なり、概ね約400℃〜約900℃で約1〜8時間である。場合によっては、約1200℃の温度まで焼成を行うことができる。本明細書に記載されるプロセスを伴う用途では、焼成は、概ね、約400℃〜約700℃の温度で約1〜8時間、好ましくは約400℃〜約650℃の温度で約1〜4時間行われる。
【0098】
様々な数値要素の1つの範囲又は複数の範囲が指定されている場合、特に指定しない限り、1つの範囲又は複数の範囲に値を含めることができる。
【0099】
用語「N選択性」は、アンモニアの窒素への変換についての百分率を意味する。
【0100】
用語「ディーゼル酸化触媒」(DOC)、「ディーゼル発熱触媒」(DEC)、「NO吸収剤」、「SCR/PNA」(選択的触媒還元/受動的NO吸着剤)、「コールドスタート触媒」(CSC)、及び「三元触媒」(TWC)は、燃焼プロセスからの排気ガスを処理するために使用される様々な種類の触媒を説明するために使用される、当該技術分野において周知の用語である。
【0101】
用語「白金族金属」又は「PGM」は、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、及びイリジウムを指す。白金族金属は、好ましくは白金、パラジウム、ルテニウム、又はロジウムである。
【0102】
用語「下流」及び「上流」は、排気ガスの流れが担体又は物品の入口端から出口端に向かう触媒又は担体の配置方向を説明する。
図1
【手続補正書】
【提出日】2020年9月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス浄化システムであって、
a.アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を前記排気ガス中に噴射するための第1のインジェクタと、
b.入口及び出口を含み、選択的触媒還元(SCR)触媒及び酸化触媒を含む、ディーゼル微粒子捕集フィルタと、
c.前記フィルタの下流に位置し、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を前記排気ガス中に噴射するための、第2のインジェクタと、
d.前記第2のインジェクタの下流に位置し、選択的触媒還元触媒を含む下流触媒と、を含み、
前記酸化触媒が、前記フィルタの前記出口上にコーティングされている、
排気ガス浄化システム。
【請求項2】
前記酸化触媒が、1つ以上の白金族金属を含む、請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項3】
前記酸化触媒が、白金、パラジウム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項4】
前記選択的触媒還元触媒が、金属酸化物系SCR触媒配合物、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物、又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項5】
前記下流触媒が、アンモニア酸化触媒を更に含む、請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項6】
前記下流触媒に入る前記排気ガスが、10%超のNO:NO比を有する、請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項7】
前記システムが、前記フィルタの上流に位置する上流触媒を更に含み、前記上流触媒は、ディーゼル酸化触媒、NO吸蔵触媒、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項8】
排気ガスの浄化方法であって、
a.第1のインジェクタによって、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を、前記排気ガス中に添加することと、
b.入口及び出口を含み、選択的触媒還元(SCR)触媒及び酸化触媒を含む、ディーゼル微粒子捕集フィルタに、前記排気ガスを通すことと、
c.前記フィルタの下流に位置する第2のインジェクタによって、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を前記排気ガス中に添加することと、
d.前記第2のインジェクタの下流に位置し、選択的還元触媒を含む下流触媒に、前記排気ガスを通すことと、を含み、
前記酸化触媒が、前記フィルタの前記出口上にコーティングされている、
方法。
【請求項9】
前記酸化触媒が、1つ以上の白金族金属を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記酸化触媒が、白金、パラジウム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記選択的触媒還元触媒が、金属酸化物系SCR触媒配合物、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物、又はこれらの混合物を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記下流触媒が、アンモニア酸化触媒を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記下流触媒に入る前記排気ガスが、10%超のNO:NO比を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、前記フィルタの上流に位置する上流触媒を更に含み、前記上流触媒は、ディーゼル酸化触媒、NO吸蔵触媒、又はこれらの組み合わせを含む、請求項8に記載の方法。
【国際調査報告】