(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
第1の区画、第2の区画、及び式(I)の化合物を含む粒子、並びに組成物及びその作製及び使用方法が本明細書に記載されている。粒子は、本明細書に記載の疾病、障害、又は状態の処置に有用な治療薬を発現することが可能な細胞を含み得る。
前記第2の区画の差分体積が、前記第1の区画の体積より約1%、2%、5%、7.5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、又は75%小さい、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粒子。
前記粒子が、1ミリメートル〜5ミリメートル、例えば、1ミリメートル〜4ミリメートル、1ミリメートル〜3ミリメートル、1ミリメートル〜2ミリメートル、又は1.5ミリメートル〜2ミリメートルの最大線形寸法(LLD)、例えば、直径を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の粒子。
前記第1の区画の外側境界と前記第2の区画の内側境界との間の平均距離が、500ナノメートル〜500マイクロメートルである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の粒子。
前記1つ又は複数の細胞が、単一細胞、1つ以上のスフェロイドとして存在するか、又は1つ以上のマイクロキャリアに結合される、請求項11〜14のいずれか一項に記載の粒子。
前記ポリペプチドが、第VIII因子タンパク質若しくはその変異体(例えば、配列番号1)又は第IX因子タンパク質若しくはその変異体(例えば、配列番号2)である、請求項20に記載の粒子。
前記ポリマーが、アルギン酸塩、キトサン、ヒアルロン酸塩、ゼラチン、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、又はポリ(乳酸グリコール酸)(PLGA)から選択される、請求項23に記載の粒子。
式(I−a)の前記化合物が、式(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(II)、(II−a)、(III)、(III−a)、(III−b)、(III−c)、若しくは(III−d)のいずれか1つの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項1〜27のいずれか一項に記載の粒子。
式(I−a)の前記化合物が、表2に示される化合物100、化合物101、化合物112、化合物113又は化合物114である、請求項1〜27のいずれか一項に記載の粒子。
化合物101が、窒素パーセントの燃焼分析によって決定した際に、少なくとも2.0%且つ9.0%未満の窒素(N)の密度(好ましくは、3.0%〜8.0%、4.0%〜7.0%、5.0%〜7.0%、又は6.0%〜7.0%)で、前記化学修飾アルギン酸塩中に存在する、請求項32に記載の粒子。
前記第1の区画が、約1000万〜約5000万個の細胞/ml、5000万〜約5億個の細胞/ml、約7500万〜約4億5000万個の細胞/ml、約1億〜約4億5000万個の細胞/ml、約1億〜約4億個の細胞/ml、又は約1億〜約3億個の細胞/mlを含むアルギン酸塩溶液から形成される、請求項30〜35のいずれか一項に記載の粒子。
前記細胞が、ARPE19細胞に由来し、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号26、配列番号27、及び配列番号28を含む外因性のヌクレオチド配列を含む、請求項30〜36のいずれか一項に記載の粒子。
ポリマー溶液の複数の液滴を、粒子を生成するのに十分な期間にわたって水性架橋溶液と接触させることを含む方法によって作製され、ここで、前記架橋溶液が、架橋剤、緩衝液、及び浸透圧調整剤を含む、請求項1〜40のいずれか一項に記載の粒子。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1の内側区画及びその中にカプセル化された細胞;外側境界を有する第2の外側区画;及び第1及び第2の区画の間の境界面を示す線を有する、本開示の例示的な球状粒子を示す。
【
図2A】例示的な組み換え細胞によってコードされる例示的なアミノ酸配列を示し、
図2Aは、例示的な組み換え細胞によってコードされる第VIII〜BDD因子タンパク質のアミノ酸配列(配列番号1)を示す。
【
図2B】例示的な組み換え細胞によってコードされる例示的なアミノ酸配列を示し、
図2Bは、ヒト野生型第IX因子タンパク質のアミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【
図3】細胞充填当量(100万個の細胞/mlアルギン酸塩)の関数としての単一区画及び2区画ヒドロゲルカプセルの品質を比較するグラフであり、ここで、mlアルギン酸塩は、2区画カプセルの第1の(内側)区画及び第2の(外側)区画を作製するのに使用されるアルギン酸塩の和である。
【
図4A】本開示の例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)の第2の(外側)区画の厚さに対する、押し出されるアルギン酸塩の流量を変化させることの影響を示す。
図4Aは、第1の(内側)区画及び第2の(外側)区画を形成するのに使用されるポリマー溶液の流量を変化させることによって生成される粒子(約1.5ミリメートル(mm)直径)の平均の第2の(外側)区画厚さを示すグラフである。
【
図4B】本開示の例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)の第2の(外側)区画の厚さに対する、押し出されるアルギン酸塩の流量を変化させることの影響を示す。
図4Bは、第1の(内側)区画及び第2の(外側)区画体積パーセンテージ及び実現される得られる区画厚さの表である。
【
図5】内側:外側流量(ml/h)の可変の比率を有する本開示の例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)の初期破壊を示すグラフである。第1の区画(内側)中のポリマーは、非修飾高分子量アルギン酸塩であり、第2の区画(外側)中のポリマーは、化学修飾アルギン酸塩対非修飾アルギン酸塩の70:30の比率における、化学修飾低分子量アルギン酸塩及び非修飾高分子量アルギン酸塩の混合物である。
【
図6A】内側:外側区画の50:50の体積比を有する例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)の明視野像である。第2の(外側)区画は、低、中程度又は高コンジュゲーションアルギン酸塩又は対照(非修飾)、アルギン酸塩を含む。外因性のタンパク質を発現するように組み換えられた例示的なRPE細胞を、2区画構造の視覚化のために第1の(内側)区画中にカプセル化した。
【
図6B】内側:外側区画の50:50の体積比を有する例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)の明視野像である。第2の(外側)区画は、低、中程度又は高コンジュゲーションアルギン酸塩又は対照(非修飾)、アルギン酸塩を含む。外因性のタンパク質を発現するように組み換えられた例示的なRPE細胞を、2区画構造の視覚化のために第1の(内側)区画中にカプセル化した。
【
図6C】内側:外側区画の50:50の体積比を有する例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)の明視野像である。第2の(外側)区画は、低、中程度又は高コンジュゲーションアルギン酸塩又は対照(非修飾)、アルギン酸塩を含む。外因性のタンパク質を発現するように組み換えられた例示的なRPE細胞を、2区画構造の視覚化のために第1の(内側)区画中にカプセル化した。
【
図6D】内側:外側区画の50:50の体積比を有する例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)の明視野像である。第2の(外側)区画は、低、中程度又は高コンジュゲーションアルギン酸塩又は対照(非修飾)、アルギン酸塩を含む。外因性のタンパク質を発現するように組み換えられた例示的なRPE細胞を、2区画構造の視覚化のために第1の(内側)区画中にカプセル化した。
【
図7A】例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)の第2の(外側)区画を含むアルギン酸塩における化学修飾のレベルを変化させることの、インビボでの線維化に対する影響を示す。
図7Aは、移植の1週間後にC57/BL6マウスから回収された粒子の明視野像である。第1の(内側)区画内に組み換えRPE細胞を含む粒子は、(i)アルギン酸塩にコンジュゲートされた低、中程度又は高レベルの式(I)の化合物、(ii)非修飾アルギン酸塩、又は(iii)アルギン酸塩にコンジュゲートされた中程度のレベルの式(I)の化合物から構成される空のカプセルから構成される第2の(外側)区画を有していた。
【
図7B】例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)の第2の(外側)区画を含むアルギン酸塩における化学修飾のレベルを変化させることの、インビボでの線維化に対する影響を示す。
図7Bは、移植の1週間後にC57/BL6マウスから回収された粒子の明視野像である。第1の(内側)区画内に組み換えRPE細胞を含む粒子は、(i)アルギン酸塩にコンジュゲートされた低、中程度又は高レベルの式(I)の化合物、(ii)非修飾アルギン酸塩、又は(iii)アルギン酸塩にコンジュゲートされた中程度のレベルの式(I)の化合物から構成される空のカプセルから構成される第2の(外側)区画を有していた。
【
図7C】例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)の第2の(外側)区画を含むアルギン酸塩における化学修飾のレベルを変化させることの、インビボでの線維化に対する影響を示す。
図7Cは、移植の1週間後にC57/BL6マウスから回収された粒子の明視野像である。第1の(内側)区画内に組み換えRPE細胞を含む粒子は、(i)アルギン酸塩にコンジュゲートされた低、中程度又は高レベルの式(I)の化合物、(ii)非修飾アルギン酸塩、又は(iii)アルギン酸塩にコンジュゲートされた中程度のレベルの式(I)の化合物から構成される空のカプセルから構成される第2の(外側)区画を有していた。
【
図7D】例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)の第2の(外側)区画を含むアルギン酸塩における化学修飾のレベルを変化させることの、インビボでの線維化に対する影響を示す。
図7Dは、移植の1週間後にC57/BL6マウスから回収された粒子の明視野像である。第1の(内側)区画内に組み換えRPE細胞を含む粒子は、(i)アルギン酸塩にコンジュゲートされた低、中程度又は高レベルの式(I)の化合物、(ii)非修飾アルギン酸塩、又は(iii)アルギン酸塩にコンジュゲートされた中程度のレベルの式(I)の化合物から構成される空のカプセルから構成される第2の(外側)区画を有していた。
【
図7E】例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)の第2の(外側)区画を含むアルギン酸塩における化学修飾のレベルを変化させることの、インビボでの線維化に対する影響を示す。
図7Eは、移植の1週間後にC57/BL6マウスから回収された粒子の明視野像である。第1の(内側)区画内に組み換えRPE細胞を含む粒子は、(i)アルギン酸塩にコンジュゲートされた低、中程度又は高レベルの式(I)の化合物、(ii)非修飾アルギン酸塩、又は(iii)アルギン酸塩にコンジュゲートされた中程度のレベルの式(I)の化合物から構成される空のカプセルから構成される第2の(外側)区画を有していた。
【
図7F】例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)の第2の(外側)区画を含むアルギン酸塩における化学修飾のレベルを変化させることの、インビボでの線維化に対する影響を示す。
図7Fは、マウスモデルにおける移植前(初期、黒色のバー)及びC57/BL6マウスにおける移植の7日後の回収後(回収、灰色のバー)の粒子の平均初期破壊を比較するグラフである。
【
図8A】様々なヒドロゲルミリカプセル及び線維化反応に対するそれらの影響を比較する画像である。移植の2週間後にC57/BL6マウスから回収されたミリカプセルの概略図が示される。
図8A:細胞を含まない空のカプセル。
【
図8B】様々なヒドロゲルミリカプセル及び線維化反応に対するそれらの影響を比較する画像である。移植の2週間後にC57/BL6マウスから回収されたミリカプセルの概略図が示される。
図8B:5000個の細胞/カプセルを含む1区画カプセル。
【
図8C】様々なヒドロゲルミリカプセル及び線維化反応に対するそれらの影響を比較する画像である。移植の2週間後にC57/BL6マウスから回収されたミリカプセルの概略図が示される。
図8C:5000個の細胞/粒子を含む2区画カプセル。
【
図8D】様々なヒドロゲルミリカプセル及び線維化反応に対するそれらの影響を比較する画像である。移植の2週間後にC57/BL6マウスから回収されたミリカプセルの概略図が示される。
図8D:2500個の細胞/カプセルを含む2区画カプセル。
【
図8E】様々なヒドロゲルミリカプセル及び線維化反応に対するそれらの影響を比較する画像である。移植の2週間後にC57/BL6マウスから回収されたミリカプセルの概略図が示される。
図8E:2500個の細胞/カプセル及びより高密度の第2の(外側)区画を含む2区画カプセル。
【
図9A】
図9A〜9Kは、C57/BL6マウスにおける移植の1、2、及び4週間後の第2の(外側)区画中に可変(低、中程度、又は高)量の化学修飾アルギン酸塩を含む例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)におけるインビボでのマクロファージ付着のレベルを比較する免疫蛍光染色画像である。陽性対照(SLG20:非修飾中程度MWアルギン酸塩)及び陰性対照(空のカプセル)が、これらの実験に含まれていた。
【
図10A】C57/BL6マウスにおける移植の2週間後の例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)における線維化反応のレベルを示す明視野像である。粒子は、第2の(外側)区画中に可変(中程度、中程度−高、高、又は2倍の高さ)量の化学修飾アルギン酸塩を含んでいた。第2の(外側)区画中に中程度の量の化学修飾アルギン酸塩を含む陰性対照(空)カプセルも含まれていた。
【
図10B】C57/BL6マウスにおける移植の2週間後の例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)における線維化反応のレベルを示す明視野像である。粒子は、第2の(外側)区画中に可変(中程度、中程度−高、高、又は2倍の高さ)量の化学修飾アルギン酸塩を含んでいた。第2の(外側)区画中に中程度の量の化学修飾アルギン酸塩を含む陰性対照(空)カプセルも含まれていた。
【
図10C】C57/BL6マウスにおける移植の2週間後の例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)における線維化反応のレベルを示す明視野像である。粒子は、第2の(外側)区画中に可変(中程度、中程度−高、高、又は2倍の高さ)量の化学修飾アルギン酸塩を含んでいた。第2の(外側)区画中に中程度の量の化学修飾アルギン酸塩を含む陰性対照(空)カプセルも含まれていた。
【
図10D】C57/BL6マウスにおける移植の2週間後の例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)における線維化反応のレベルを示す明視野像である。粒子は、第2の(外側)区画中に可変(中程度、中程度−高、高、又は2倍の高さ)量の化学修飾アルギン酸塩を含んでいた。第2の(外側)区画中に中程度の量の化学修飾アルギン酸塩を含む陰性対照(空)カプセルも含まれていた。
【
図10E】C57/BL6マウスにおける移植の2週間後の例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)における線維化反応のレベルを示す明視野像である。粒子は、第2の(外側)区画中に可変(中程度、中程度−高、高、又は2倍の高さ)量の化学修飾アルギン酸塩を含んでいた。第2の(外側)区画中に中程度の量の化学修飾アルギン酸塩を含む陰性対照(空)カプセルも含まれていた。
【
図11】マウスモデルにおける移植前(初期、黒色のバー)及びC57/BL6マウスにおける移植の2週間後の回収後(回収、灰色のバー)の粒子の平均初期破壊を比較するグラフである。粒子は、第2の(外側)区画中に可変(中程度、中程度−高、高、又は2倍の高さ)量の化学修飾アルギン酸塩を含む。第2の(外側)区画中に中程度の量の化学修飾アルギン酸塩を含む陰性対照(空)カプセルが含まれていた。
【
図12A】C57/BL6マウスにおける移植の2週間後の、第2の(外側)区画中に可変(中程度又は高)量の化学修飾アルギン酸塩、又は第2の(外側)区画(「アミンを加え戻した」カプセル)中に非コンジュゲート抗線維性小分子(例えば、式(I)の化合物)のいずれかを含む例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)におけるインビボでの線維化反応のレベルを示す明視野像である。
【
図12B】C57/BL6マウスにおける移植の2週間後の、第2の(外側)区画中に可変(中程度又は高)量の化学修飾アルギン酸塩、又は第2の(外側)区画(「アミンを加え戻した」カプセル)中に非コンジュゲート抗線維性小分子(例えば、式(I)の化合物)のいずれかを含む例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)におけるインビボでの線維化反応のレベルを示す明視野像である。
【
図12C】C57/BL6マウスにおける移植の2週間後の、第2の(外側)区画中に可変(中程度又は高)量の化学修飾アルギン酸塩、又は第2の(外側)区画(「アミンを加え戻した」カプセル)中に非コンジュゲート抗線維性小分子(例えば、式(I)の化合物)のいずれかを含む例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)におけるインビボでの線維化反応のレベルを示す明視野像である。
【
図13】
図13A〜13Fは、異なる第2の(外側)区画を有する例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルミリカプセル)におけるインビボでのマクロファージ付着のレベルを比較する免疫蛍光染色画像である。第2の(外側)区画は、化学修飾低分子量(CM−LMW)アルギン酸塩対非修飾高分子量(U−HMW)アルギン酸塩の70:30又は60:40のいずれかの比率のブレンドから調製され、第2の(外側)区画中に可変(中程度、中程度−高、又は高)量の化学修飾アルギン酸塩も含む。
【
図14】
図12A〜14Dは、カプセル化後1週間にわたって培養された、1区画又は2区画ヒドロゲルミリカプセル中のカプセル化HEK293F細胞の明視野像である。
図14Aは、1区画又は2区画カプセルの画像に対応する。
【
図15A】2区画ヒドロゲルミリカプセルによるFIXのインビボでの発現レベルと、カプセルの内側区画中のARPE−19:FIX細胞の濃度との間の相関関係を示す。
図15Aは、マウスの腹腔に移植される前(初期)及び移植の5日後に回収した際(回収)の、異なる細胞充填濃度で調製されたカプセル中の細胞数を示す。
【
図15B】2区画ヒドロゲルミリカプセルによるFIXのインビボでの発現レベルと、カプセルの内側区画中のARPE−19:FIX細胞の濃度との間の相関関係を示す。
図15Bは、それぞれ、移植されたカプセルによって生成される血漿及び腹腔液中のFIXレベルを示す。
【
図15C】2区画ヒドロゲルミリカプセルによるFIXのインビボでの発現レベルと、カプセルの内側区画中のARPE−19:FIX細胞の濃度との間の相関関係を示す。
図15Cは、それぞれ、移植されたカプセルによって生成される血漿及び腹腔液中のFIXレベルを示す。
【
図16A】2区画ヒドロゲルミリカプセルによるFIXのインビボでの発現レベル、カプセルの内側区画中のARPE−19:FIX細胞の濃度及びカプセル完全性の間の相関関係を示す。
図16Aは、カプセルが移植されたマウスの腹腔液中のFIXレベルを示す。
【
図16B】2区画ヒドロゲルミリカプセルによるFIXのインビボでの発現レベル、カプセルの内側区画中のARPE−19:FIX細胞の濃度及びカプセル完全性の間の相関関係を示す。
図16Bは、移植前(初期)及び回収された時点の、646M/mlの細胞を用いて調製されたカプセルの明視野像である。
【
図16C】2区画ヒドロゲルミリカプセルによるFIXのインビボでの発現レベル、カプセルの内側区画中のARPE−19:FIX細胞の濃度及びカプセル完全性の間の相関関係を示す。
【
図17】表4〜8中に、例示的なアミノ酸配列及び治療用ポリペプチドのコード配列、及びRPE細胞を組み換えるのに有用な例示的な発現ベクター内のヌクレオチド配列を示す。
【
図18A】内側:外側区画の50:50の体積比を有する、直径約0.75mm(
図18A)の例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルカプセルの明視野像である。第1の(内側)及び第2の(外側)区画のそれぞれが、中程度コンジュゲーションアルギン酸塩を含む。外因性のタンパク質を発現するように組み換えられた例示的なRPE細胞を、2区画構造の視覚化のために第1の(内側)区画中にカプセル化した。
【
図18B】内側:外側区画の50:50の体積比を有する、直径約1.0mm(
図18B)の例示的な粒子(すなわち、2区画ヒドロゲルカプセルの明視野像である。第1の(内側)及び第2の(外側)区画のそれぞれが、中程度コンジュゲーションアルギン酸塩を含む。外因性のタンパク質を発現するように組み換えられた例示的なRPE細胞を、2区画構造の視覚化のために第1の(内側)区画中にカプセル化した。
【0020】
[詳細な説明]
本開示は、第1の区画、第2の区画、及び式(I)の化合物を含む粒子(例えば、本明細書に記載される)、並びに組成物及びその作製及び使用方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、粒子及びその組成物は、疾病、障害、又は状態の予防又は処置に有用である。いくつかの実施形態において、第1のヒドロゲル区画及び第2のヒドロゲル区画及び式(I)の化合物を含むヒドロゲルミリカプセルとして構成される粒子は、有利な特性を示し、例えば、それらは、式(I)の化合物を含まないが、同じタイプのポリマーから構成され、実質的に同じサイズである類似のミリカプセルより抗線維性であり、単一の区画を含むミリカプセルと比較して、カプセル品質に対して最小限の悪影響で、より多くの細胞を保持することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子は、患者における疾病、障害、又は状態を処置するのに好適な治療薬(例えば、ポリペプチド)を生成する細胞(例えば、組み換え細胞)を含む。
【0021】
[略語及び定義]
本開示の詳細な説明及び実施例を通して、以下の略語が使用される。
CM−Alg:化学修飾アルギン酸塩
CM−LMW−Alg:化学修飾された、低分子量アルギン酸塩
CM−LMW−Alg−101:表2に示される化合物101で化学修飾された、低分子量アルギン酸塩
CM−HMW−Alg:化学修飾された、高分子量アルギン酸塩
CM−HMW−Alg−101:表2に示される化合物101で化学修飾された、高分子量アルギン酸塩
CM−MMW−Alg:化学修飾された、中間分子量アルギン酸塩
CM−MMW−Alg−101:表2に示される化合物101で化学修飾された、中間分子量アルギン酸塩
HMW−Alg:高分子量アルギン酸塩
MMW−Alg:中間分子量アルギン酸塩
U−Alg:非修飾アルギン酸塩
U−HMW−Alg:非修飾高分子量アルギン酸塩
U−LMW−Alg:非修飾低分子量アルギン酸塩
U−MMW−Alg:非修飾中間分子量アルギン酸塩
70:30のCM−Alg:U−Alg:化学修飾アルギン酸塩及び非修飾アルギン酸塩の70:30混合物(V:V)
【0022】
本開示が、より容易に理解され得るように、本明細書において使用されるいくつかの専門用語及び科学用語が、以下に具体的に定義される。本明細書において他の箇所に特に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての他の専門用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0023】
添付の特許請求の範囲を含め、本明細書において用いられるところ、「a」、「an」、及び「the」などの単数形の用語は、文脈上特に明記されない限り、それらの対応する複数の指示対象を含む。
【0024】
「約」は、数値により規定されたパラメータ(例えば、直径、球形度、粒子中の細胞の数、調製物中の粒子の数などの、ヒドロゲルカプセルの物理的性質)を修飾するために本明細書において用いられる場合、パラメータが、そのパラメータについて記載される数値を15%上回る又は下回る程度に変動し得ることを意味する。例えば、約1.5ミリメートル(mm)の直径を有し、約500万(M)個の細胞をカプセル化するものと定義されるヒドロゲルカプセルは、1.275〜1.725mmの直径を有し得、約425万〜575万個の細胞をカプセル化し得る。いくつかの実施形態において、約は、パラメータが、そのパラメータについて記載される数値を10%上回る又は下回る程度に変動し得ることを意味する。
【0025】
本明細書において用いられるところ、「取得する(Acquire)」又は「取得している(acquiring)」は、値又は物理的エンティティを「直接的に取得する」又は「間接的に取得する」ことによる、値(例えば数値若しくはイメージ)、又は、物理的エンティティ(例えばサンプル)の入手を達成することを指す。「直接的に取得する」とは、プロセスを実施(例えば分析方法又はプロトコルの実施)して、値又は物理的エンティティを得ることを意味する。「間接的に取得する」とは、他の団体又は提供者(例えば、物理的エンティティ又は値を直接的に取得した第三者の実験室)から値又は物理的エンティティを受け取ることを指す。値又は物理的エンティティを直接的に取得するステップは、物理的な物質における物理的な変更、又は、機器若しくはデバイスの使用を含むプロセスの実施を含む。値を直接的に取得するステップの例としては、ヒト患者からのサンプルの入手が挙げられる。値を直接的に取得するステップは、例えば、蛍光顕微鏡データを取得する蛍光顕微鏡といった、機器又はデバイスを使用するプロセスの実施を含む。
【0026】
本明細書において用いられるところ、「投与する(administer)」、「投与している(administering)」、又は「投与(administration)」は、本明細書に記載のエンティティ(例えば、第1の区画、第2の区画、及び式(I)の化合物を含む粒子(粒子封入細胞、例えば、組み換えRPE細胞を含む)、又は前記粒子を含む組成物)を、移植、吸収、経口摂取、注射、若しくは他の形で導入すること、又は患者にこれを提供することを指す。
【0027】
本明細書において用いられるところ、「抗線維性」は、異物反応(FBR)を軽減する化合物又は材料を指す。例えば、抗線維性化合物(例えば、式(I)の化合物、例えば、表2に列挙される化合物)を含む粒子(例えば、ヒドロゲルカプセル)のその組織への移植によって誘導される生体組織中のFBRの量は、抗線維性なしの参照粒子、すなわち、抗線維性化合物又は材料を含まないが、実質的に同じ組成を有する粒子(例えば、同じ細胞型)及び構造(例えば、区画のサイズ、形状、数、同じ封入ポリマーなど)の移植によって誘導されるFBRより少ない。実施形態において、FBRの程度は、例えば、国際公開第2017/075630号パンフレットに記載される当該技術分野において公知のアッセイを用いて、又はVegas,A.,et al.,Nature Biotechnol(上掲)に記載されるアッセイ/方法(例えば、移植されたカプセルの皮下カテプシン測定、組織切片のマッソンのトリクローム(MT)、ヘマトキシリン又はエオジン染色、コラーゲン密度の定量化、マクロファージ(CD68又はF4/80)細胞染色及び共焦点顕微鏡検査、筋線維芽細胞(α平滑筋アクチン(alpha−muscle actin)、SMA)又は一般的な細胞付着、公知の炎症因子及び免疫細胞マーカーの79RNA配列の定量化、又は好適な被験体、例えば、免疫応答性マウスの腹腔内で一定期間(例えば、14日)後に回収された粒子(例えば、カプセル)におけるマクロファージ及び好中球についてのFACS分析のうちの1つ以上を用いて、例えば、タンパク質吸着、マクロファージ、多核異物巨細胞、線維芽細胞、及び血管新生を含み得る移植された粒子(例えば、ヒドロゲルカプセル)を含む組織における免疫応答によって評価される。実施形態において、FBRは、免疫応答の1つ以上のバイオマーカー、例えば、カテプシン、TNF−α、IL−13、IL−6、G−CSF、GM−CSF、IL−4、CCL2、又はCCL4の移植を含む組織におけるレベルを測定することによって評価される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子(例えば、外側区画の表面中及び/又は外側区画の表面上に配置された抗線維性化合物を含む2区画ヒドロゲルカプセル)によって誘導されるFBRは、FBRなしの参照粒子、例えば、抗線維性化合物又は材料を含まないことを除き、その他の点では、権利請求される粒子と実質的に同一である、権利請求される粒子に実質的に同一の粒子によって誘導されるFBRより少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、又は約100%少ない。いくつかの実施形態において、移植された粒子によって誘導されるFBR(例えば、FBRバイオマーカーレベル)は、約30分、約1時間、約6時間、約12時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約1週間、約2週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約6ヶ月、又はそれ以上の後に測定される。
【0028】
本明細書において用いられるところ、「細胞」は、組み換え細胞又は組み換えが行われていない細胞を指す。実施形態において、細胞は、不死化細胞である。
【0029】
本明細書において用いられるところ、「保存的に修飾された変異体」又は保存的置換」は、そのアミノ酸配列中に1つ以上の保存的アミノ酸置換を有することを除いて、参照分子と同一である参照ペプチド又はポリペプチドの変異体を指す。実施形態において、保存的に修飾された変異体は、参照アミノ酸配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%又は99%同一のアミノ酸配列からなる。保存的アミノ酸置換は、同様の特徴(例えば、電荷、側鎖サイズ、疎水性/親水性、骨格構造及び剛性など)を有し、且つ得られる置換ペプチド又はポリペプチドの生物活性に最小限の影響を与えるアミノ酸による、アミノ酸の置換を指す。機能的に類似したアミノ酸の保存的置換の表は、当該技術分野において周知であり、機能的特徴によって分類された例示的な置換が、以下の表1に記載されている。
【0030】
【表1】
【0031】
本明細書及び特許請求の範囲を通して用いられるところの「から本質的になる(consists essentially of)」、及び「から本質的になる(consist essentially of)」又は「から本質的になる(consisting essentially of)」などの変化形は、任意の記載される要素又は要素の群の包含、及び規定の分子、組成物、粒子、又は方法の基本的又は新規な性質を実質的に変化させない、記載される要素と類似の又は異なる性質の他の要素の任意選択の包含を示す。非限定的な例として、記載されるアミノ酸配列から本質的になる治療用タンパク質は、それぞれ、治療用タンパク質の関連する生物学的活性に実質的に影響を与えない、1つ以上のアミノ酸残基の、記載されるアミノ酸配列内における置換を含む1つ以上のアミノ酸も含み得る。別の非限定的な例として、記載されるアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドは、ポリペプチドの関連する生物学的活性を実質的に変化させない1つ以上の共有結合された部分(例えば、放射性又は蛍光標識)を含有し得る。
【0032】
本明細書において用いられるところ、1つ又は複数の細胞に関する「に由来する」は、組織、細胞株、又は他の細胞から得られる1つ又は複数の細胞を指し、これらは、任意選択により、その後、培養、継代、不死化、分化及び/又は誘導されて、由来細胞を産生する。
【0033】
本明細書において用いられるところ、「差分体積」は、別の区画に占有される空間を除く、粒子内の1つの区画の体積を指す。例えば、2区画粒子中の第2の区画の差分体積は、第1の区画に占有される空間を除く、第2の(例えば、外側)区画内の体積を指す。
【0034】
本明細書において用いられるところ、「有効量」は、例えば、疾病、障害、又は状態を処置するための生物学的応答を誘発するために十分な、粒子の組成物(例えば、粒子組成物)又は粒子成分、例えば、細胞、例えば、組み換え細胞、又は細胞、例えば、組み換え細胞によって生成される薬剤、例えば、治療薬の量を指す。いくつかの実施形態において、「有効量」という用語は、粒子成分の量、例えば、粒子中の細胞の数、粒子表面上及び/又は外側区画中に配置される抗線維性化合物の濃度又は密度を指す。当業者に認識されるであろうとおり、有効量は、所望される生物学的エンドポイント、治療薬、組成物又は粒子の薬物動態、処置される状態、投与形態、並びに患者の年齢及び健康状態などの要因に応じて様々であり得る。有効量は、治療的及び予防的処置を包含する。例えば、粒子によって誘導されるFBRを軽減するために、式(I)の化合物の抗線維性有効量は、線維化を低減するか、又は移植された粒子上又はその近くの線維化組織の増殖若しくは転移を停止させ得る。粒子、その組成物又は成分(例えば、抗線維性化合物、例えば、抗線維性ポリマー)の抗線維性有効量は、当該技術分野において公知であるか又は本明細書に記載される任意の技術によって決定され得る。
【0035】
本明細書において用いられるところ、「内因性の核酸」とは、患者の細胞内で自然に生じる核酸である。
【0036】
本明細書において用いられるところ、「内因性のポリペプチド」とは、患者の細胞内で自然に生じるポリペプチドである。
【0037】
本明細書において用いられるところ、「組み換え細胞」とは、天然のものではない改変を有する細胞(例えば、RPE細胞)であり、典型的には、同様の条件下で組み換えがなされていない他の同様の細胞中に存在していない(又は、異なるレベルで存在する)核酸配列(例えば、DNA又はRNA)又はポリペプチドを含む(外因性の核酸配列)。実施形態において、組み換え細胞は外因性の核酸を含む(例えば、ベクター又は改変染色体配列)。実施形態において、組み換え細胞は、外因性のポリペプチドを含む。実施形態において、組み換え細胞は、組み換えがなされていない同様の細胞に存在しない外因性の核酸配列、例えば配列、例えばDNA又はRNAを含む。実施形態において、外因性の核酸配列は染色体性であり、例えば、外因性の核酸配列は、内因性の染色体配列中に配置された外因性の配列である。実施形態において、外因性の核酸配列は、染色体性又は染色体外性である、例えば非組み込み型ベクターである。実施形態において、外因性の核酸配列は、RNA配列、例えば、mRNAを含む。実施形態において、外因性の核酸配列は、RNAとして発現される配列、例えばmRNA又は調節RNAを含む染色体性又は染色体外性の外因性の核酸配列を含む。実施形態において、外因性の核酸配列は、ポリペプチドをコードする配列、又は、ポリペプチドとして発現される配列を含む染色体性又は染色体外性の核酸配列を含む。実施形態において、外因性の核酸配列は、第2の核酸配列の立体構造又は発現を調節する第1の染色体性又は染色体外性の外因性の核酸配列を含み、ここで、第2のアミノ酸配列は外因性又は内因性であることが可能である。例えば、組み換え細胞は、内因性の配列の発現を制御する外因性の核酸を含んでいることが可能である。実施形態において、組み換え細胞は、組み換えがなされていない同様の細胞において見出されるレベルとは異なるレベル又は分布で存在するポリペプチドを含み得る。実施形態において、組み換え細胞(例えば、RPE細胞)は、ポリペプチドをコードする配列、又はポリペプチドとして発現される配列を含む染色体性又は染色体外性の核酸配列を含む外因性の核酸配列を含む。実施形態において、組み換え細胞(例えば、RPE細胞)は、内因性の配列の配置又は発現を調節する外因性の核酸配列を含む。
【0038】
本明細書において用いられるところ、「外因性の核酸」は、患者細胞内で天然に存在しない核酸である。
【0039】
本明細書において用いられるところ、「外因性のポリペプチド」は、患者細胞内で天然に存在しないポリペプチドである。
【0040】
本明細書において用いられるところ、「第VII因子タンパク質」又は「FVIIタンパク質」は、別段の定めがある場合を除き、当該技術分野において認識されているアッセイによって決定される際、FVII生物活性、例えば、血液凝固の促進を有する、天然の第VII因子タンパク質又はその変異体のアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。天然のFVIIは、一本鎖酵素前駆体、酵素前駆体様の二本鎖ポリペプチド及び完全に活性化された二本鎖形態(FVIIa)として存在する。いくつかの実施形態において、FVIIへの言及は、酵素前駆体様及びFVIIaを含む、その一本鎖及び二本鎖形態を含む。本明細書に記載の粒子(例えば、2組み換えRPE細胞を含む2区画ヒドロゲルカプセル)によって生成され得るFVIIタンパク質は、野生型霊長類(例えば、ヒト)、ブタ、イヌ、及びマウスタンパク質、並びに1つ以上のアミノ酸置換及び/又は欠失を有する断片、突然変異体、変異体を含む、このような野生型タンパク質の変異体を含む。いくつかの実施形態において、変異体FVIIタンパク質は、野生型第VIIa因子の活性の少なくとも50%、75%、90%又はそれ以上(>100%を含む)を有する完全に活性化された二本鎖形態(第VIIa因子)へと活性化されることが可能である。FVII及びFVIIaの変異体は公知であり、例えば、マルゼプタコグアルファ(marzeptacog alfa)(活性化)(MarzAA)並びに欧州特許第1373493号明細書、米国特許第7771996号明細書、米国特許第9476037号明細書及び米国特許出願公開第20080058255号明細書に記載されている変異体である。
【0041】
FVII生物活性は、別段の定めがある場合を除き、当該技術分野において認識されているアッセイによって定量化され得る。例えば、生体液、例えば、血漿のサンプルのFVII生物活性は、(i)脂質膜及び第X因子に埋め込まれたTFを含むシステムにおいて生成された第Xa因子の量を測定すること(Persson et al.,J.Biol.Chem.272:19919−19924,1997);(ii)水性系における第X因子加水分解を測定すること;(iii)表面プラズモン共鳴に基づいて機器を用いて組織因子(TF)へのその物理的結合を測定すること(Persson,FEBS Letts.413:359−363,1997);又は(iv)合成基質の加水分解を測定すること;及び/又は(v)TF非依存性インビトロ系におけるトロンビンの生成を測定することによって定量化され得る。実施形態において、FVII活性は、市販の発色アッセイ(BIOPHEN FVII,HYPHEN BioMed Neuville sur Oise,France)によって評価され、ここで、FVIIを含有する生体サンプルが、トロンボプラスチンカルシウム、第X及びSXa−11因子(第Xa因子に特異的な発色性基質と混合される。
【0042】
本明細書において用いられるところ、「第VIII因子タンパク質」又は「FVIIIタンパク質」は、別段の定めがある場合を除き、当該技術分野において認識されているアッセイによって決定される際、FVIII生物活性、例えば、凝固活性を有する、天然の第VIII因子ポリペプチド又はその変異体のアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。本明細書に記載の粒子、例えば、組み換えRPE細胞を含む2区画ヒドロゲルカプセルによって発現され得るFVIIIタンパク質は、野生型霊長類(例えば、ヒト)、ブタ、イヌ、及びマウスタンパク質、並びに1つ以上のアミノ酸置換及び/又は欠失、Bドメイン欠失(BDD)変異体、一本鎖変異体及び半減期延長ポリペプチドを有する上記の野生型又は変異体のいずれかの融合を有する断片、突然変異体、変異体を含む、このような野生型タンパク質の変異体を含む。実施形態において、細胞は、Bドメインの完全又は部分的な欠失を有する前駆体第VIII因子ポリペプチド(例えば、シグナル配列を有する)をコードするように組み換えられる。実施形態において、細胞は、一本鎖第VIII因子ポリペプチドをコードするように組み換えられる。変異体FVIIIタンパク質は、好ましくは、対応する野生型第VIII因子の凝固活性の少なくとも50%、75%、90%又はそれ以上(>100%を含む)を有する。FVIIIタンパク質の凝固活性を測定するためのアッセイは、一段階又は二段階凝固アッセイ(Rizza et al.,1982,Coagulation assay of FVIII:C and FIXa in Bloom ed.The Hemophelias.NY Churchill Livingston 1992)又は発色性基質FVIII:Cアッセイ(Rosen,S.1984.Scand J Haematol 33:139−145、補遺)を含む。
【0043】
いくつかのFVIII−BDD変異体が公知であり、例えば、以下の米国特許第4,868,112号明細書(例えば、第2欄、2行から第19欄、21行及び表2);同第5,112,950号明細書(例えば、第2欄、55〜68行、
図2、及び実施例1);同第5,171,844号明細書(例えば、第4欄、122行から第5欄、36行);同第5,543,502号明細書(例えば、第2欄、17〜46行);同第5,595,886号明細書;同第5,610,278号明細書;同第5,789,203号明細書(例えば、第2欄、26〜51行及び実施例5〜8);同第5,972,885号明細書(例えば、第1欄、25行から第2欄、40行);同第6,048,720号明細書(例えば、第6欄、1〜22行及び実施例1);同第6,060,447号明細書;同第6,228,620号明細書;同第6,316,226号明細書(例えば、第4欄、4行から第5欄、28行及び実施例1〜5);同第6,346,513号明細書;同第6,458,563号明細書(例えば、第4欄、25〜53行)及び同第7,041,635号明細書(例えば、第2欄、1行から第3欄、19行、第3欄、40行から第4欄、67行、第7欄、43行から第8欄、26行、及び第11欄、5行から第13欄、39行)のいずれかに開示されている完全又は部分的なBドメイン欠失を有する変異体が挙げられる。
【0044】
いくつかの実施形態において、(例えば、粒子に含まれる組み換え細胞によって発現される)本明細書に記載の粒子より生成されるFVIII−BDDタンパク質は、Bドメインにおけるアミノ酸の以下の欠失の1つ以上を有する:(i)2つのポリペプチド鎖への一次翻訳産物の細胞内プロセシングに不可欠なアミノ末端Bドメイン配列を除くBドメインの大部分(国際公開第91/09122号パンフレット);(ii)アミノ酸747〜1638(Hoeben R.C.,et al.J.Biol.Chem.265(13):7318−7323(1990));アミノ酸771〜1666又はアミノ酸868〜1562(Meulien P.,et al.Protein Eng.2(4):301−6(1988);アミノ酸982〜1562又は760〜1639(Toole et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.83:5939−5942(1986));アミノ酸797〜1562(Eaton et al.,Biochemistry 25:8343−8347(1986));741〜1646(Kaufman、国際公開第87/04187号パンフレット))、747〜1560(Sarver et al.,DNA 6:553−564(1987));アミノ酸741〜1648(Pasek、国際公開第88/00831号パンフレット))、アミノ酸816〜1598又は741〜1689(Lagner(Behring Inst.Mitt.(1988)No 82:16−25、EP295597号明細書)の欠失;フーリンプロテアーゼ認識配列における1つ以上の残基を含む欠失、例えば、米国特許第9,956,269号明細書、第10欄、65行から第11欄、36行に記載されている特定の欠失のいずれかを含む、アミノ酸1643〜1648におけるLKRHQR。
【0045】
他の実施形態において、FVIII−BDDタンパク質は、以下のBドメインアミノ酸又はアミノ酸配列のいずれかを保持する:(i)Bドメインにおける1つ以上のN−連結されたグリコシル化部位、例えば、残基757、784、828、900、963、又は任意選択により943、最初の226アミノ酸又は最初の163アミノ酸(Miao,H.Z.,et al.,Blood 103(a):3412−3419(2004)、Kasuda,A.,et al.,J.Thromb.Haemost.6:1352−1359(2008)、及びPipe,S.W.,et al.,J.Thromb.Haemost.9:2235−2242(2011)。
【0046】
いくつかの実施形態において、FVIII−BDDタンパク質は、米国特許第10,023,628号明細書、同第9,394,353号明細書及び同第9,670,267号明細書に記載されているR1645及び/又はR1648位置における置換のいずれかを含む、この部位におけるタンパク質分解による切断を防ぐフーリンプロテアーゼ認識配列における1つ以上のアミノ酸の置換(アミノ酸1643〜1648におけるLKRHQR)によって生成される一本鎖変異体である。
【0047】
いくつかの実施形態において、上記のFVIII−BDDタンパク質のいずれかは、以下の変位の1つ以上をさらに含み得る:FVIII−BDDタンパク質の発現を改善するためのF309S置換(Miao,H.Z.,et al.,Blood 103(a):3412−3419(2004);アルブミン融合(国際公開第2011/020866号パンフレット);及びFc融合(国際公開第04/101740号パンフレット)。
【0048】
別段の定めがある場合を除き、本明細書において言及されるすべてのFVIII−BDDアミノ酸位置は、完全長ヒトFVIIIにおける位置を指す。
【0049】
本明細書において用いられるところ、「第IX因子タンパク質」又は「FIXタンパク質」は、別段の定めがある場合を除き、当該技術分野において認識されているアッセイによって決定される際、FIX生物活性、例えば、凝固活性を有する天然の第IX因子タンパク質又はその変異体のアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。FIXは、不活性な酵素前駆体として生成され、これは、活性化ペプチドの第XIa因子除去によって活性な形態に転化されて、1つ以上のジスルフィド結合によって一緒に保持された重鎖及び軽鎖が生成される。(例えば、粒子に含まれる組み換えRPE細胞により発現される)本明細書に記載の粒子によって生成され得るFIXタンパク質は、野生型霊長類(例えば、ヒト)、ブタ、イヌ、及びマウスタンパク質、並びに半減期延長ポリペプチドを有する上記の野生型又は変異体タンパク質のいずれかの1つ以上のアミノ酸置換及び/又は欠失及び融合を有する断片、突然変異体、変異体を含む、このような野生型タンパク質の変異体を含む。実施形態において、細胞は、完全長野生型ヒト第IX因子ポリペプチド(例えば、シグナル配列を有する)又はその機能的変異体をコードするように組み換えられる。変異体FIXタンパク質は、好ましくは、野生型第VIX因子の凝固活性の少なくとも50%、75%、90%又はそれ以上(>100%を含む)を有する。FIXタンパク質の凝固活性を測定するためのアッセイとしては、Biophen第IX因子アッセイ(Hyphen BioMed)及び一段階凝固アッセイ(活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)(例えば、欧州特許第2032 607 B2号明細書に記載される)、トロンビン生成時間アッセイ(TGA)及び回転式トロンボエラストメトリー(例えば、国際公開第2012/006624号パンフレットに記載される)が挙げられる。
【0050】
いくつかの機能的FIX変異体が公知であり、以下の国際特許公報:国際公開第02/040544 A3号パンフレット、4頁、9〜30行及び15頁、6〜31行;国際公開第03/020764 A2号パンフレット、14〜24頁の表2及び3、及び12頁、1〜27行;国際公開第2007/149406 A2号パンフレット、4頁、1行から19頁、11行;国際公開第2007/149406 A2号パンフレット、19頁、12行から20頁、9行;国際公開第08/118507 A2号パンフレット、5頁、14行から6頁、5行;国際公開第09/051717 A2号パンフレット、9頁、11行から20頁、2行;国際公開第09/137254 A2号パンフレット、2頁、段落[006]から5頁、段落[011]及び16頁、段落[044]から24頁、段落[057];国際公開第09/130198 A2号パンフレット、4頁、26行から12頁、6行;国際公開第09/140015 A2号パンフレット、11頁、段落[0043]から13頁、段落[0053];国際公開第2012/006624号パンフレット;国際公開第2015/086406号パンフレットに記載されている機能的FIX変異体のいずれかを含む本発明に記載の粒子に封入される組み換え細胞によって発現され得る。
【0051】
一定の実施形態において、FIXポリペプチドは、FIXタンパク質の半減期を延長する異種ポリペプチド又は非ポリペプチド部分に融合された野生型又は変異体配列を含む。例示的な半減期延長部分としては、Fc、アルブミン、PAS配列、トランスフェリン、CTP(その4つのO−グリカンを有するヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の28アミノ酸C末端ペプチド(CTP))、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合ポリペプチド、アルブミン結合小分子、又はこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。例示的なFIXポリペプチドは、国際公開第2012/006624号パンフレットに記載されているrFIXFcタンパク質であり、これは、Fcのヒンジ領域における2つのジスルフィド結合を介して一緒に結合されたFIXFc一本鎖(FIXF c−sc)及びFc一本鎖(Fc−sc)である。
【0052】
FIX変異体は、機能獲得及び機能喪失変異体も含む。機能獲得変異体の例は、ヒトFIXの「Padua」変異体であり、これは、R(アルギニン)(配列番号2のアミノ酸位置384に対応する)の代わりに成熟タンパク質の位置338におけるL(ロイシン)を有し、野生型ヒトFIXと比較してより高い触媒及び凝固活性を有する(Chang et al.,J.Biol.Chem.,273:12089−94(1998))。機能喪失変異体の例は、成熟タンパク質の開始から5番目のアミノ酸位置におけるリジンと置換されるアラニンであり、これは、コラーゲンIVへの結合の低下(例えば、機能喪失)を有するタンパク質をもたらす。
【0053】
本明細書において用いられるところ、「インターロイキン2タンパク質」又は「IL−2タンパク質」は、別段の定めがある場合を除き、当該技術分野において認識されているアッセイによって決定される際、IL−2生物活性を有する、例えば、Treg細胞におけるIL−2受容体シグナル伝達を活性化する、天然のIL−2タンパク質又はその変異体のアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。本明細書に記載の粒子、例えば、組み換えRPE細胞を含む粒子によって生成され得るIL−2タンパク質は、野生型霊長類(例えば、ヒト)、ブタ、イヌ、及びマウスタンパク質、並びにこのような野生型タンパク質の変異体を含む。変異体IL−2タンパク質は、好ましくは、対応する野生型IL−2の生物活性の少なくとも50%、75%、90%又はそれ以上(>100%を含む)を有する。IL−2タンパク質のための生物活性アッセイが、米国特許第10,035,836号明細書に記載されており、例えば、CD4+CD25−/低T細胞又はNK細胞と比較して、Treg細胞におけるリン酸化STAT5タンパク質のレベルを測定することを含む。本開示の粒子(例えば、組み換えRPE細胞を含む粒子)によって生成され得る変異体IL−2タンパク質は、以下のアミノ酸置換:N88R、N88I、N88G、D20H、Q126L、Q126F、及びC125S又はC125Aの1つ以上を有するタンパク質を含む。
【0054】
本明細書において用いられるところ、「膵島細胞」は、任意の天然の又は任意の合成的に生成された、又は修飾された細胞であって、膵臓ランゲルハンス島の細胞の部分的若しくは全体的な機能を部分的若しくは全体的に再現する、模倣する又は他の形で発現することを意図された細胞を含む細胞を意味する。「膵島細胞」という用語は、幹細胞、例えば、人工多能性幹細胞に由来するグルコース応答的なインスリン産生細胞を含む。
【0055】
本明細書において用いられるところ、「マンニトール」は、特に明記されない限り、D−マンニトールを指す。
【0056】
「間葉系幹機能細胞(mesenchymal stem function cell)」又は「MSFC」は、それらの用語が本明細書において用いられるところ、中胚葉系統に由来するか、又は中胚葉系統の細胞に特有の少なくとも1つの特徴を有する細胞を指し、ここで、MSFCは、i)分化の末期状態でなく、ii)1つ以上の細胞型へと最終的に分化し得る。MSFCは、内胚葉由来の細胞、例えば、腸細胞、又は外胚葉由来の細胞、例えば、皮膚に由来する細胞、CNS、又は神経細胞を含まない。実施形態において、MSFCは、多能性である。実施形態において、MSFCは、分化全能性でない。実施形態において、MSFCは、以下の特徴の1つ以上を含む:
a)それは、間葉系幹細胞(MSC)又はそれに由来する細胞を含み、このような細胞としては、MSCの一次細胞培養物に由来する細胞、天然のMSC(例えばヒト又は他の哺乳動物由来)から直接単離された細胞(長期の培養を伴わない、例えば、細胞分裂が単離から5又は10継代又は回未満)、形質転換、多能性、不死化、又は長期(例えば、細胞分裂から5又は10継代又は回超)MSC培養物に由来する細胞が挙げられる。実施形態において、MSFCは、ヒト供給源、例えば、血液(例えば、末梢血)、骨髄(例えば、腸骨稜、大腿骨、脛骨、脊椎、肋骨、又は膝)、滑膜組織、脂肪組織、皮膚、胎児組織、臍帯、又は胎盤に由来し;
b)それは、低分化細胞から得られた細胞、例えば、MSCに発生、プログラム、若しくは再プログラム(例えばインビトロで)された細胞、又はいずれかの遺伝子組み換えを除き、1種以上の天然MSCと実質的に同様である細胞又はMSCの一次若しくは長期培養物由来の細胞、又は上のa)に記載される細胞を含む。MSFCが由来し得る低分化細胞の例としては、IPS細胞、胚性幹細胞、又は他の分化全能性又は多能性細胞が挙げられ;例えば、Chen,Y.S.et al(2012)Stem Cells Transl Med 1(83−95);Frobel,J et al(2014)Stem Cell Reports 3(3):414−422;Zou,L et al(2013)Sci Rep 3:2243を参照されたい;
c)例えば、細胞の多能性についての情報を提供することが可能な任意のアッセイ、例えば、顕微鏡検査によって測定した際に、それは多能性であり;
d)それは、円形ないし楕円形の核と共に、特徴的な単核の卵形、星形又は紡錘形を示す。楕円形の細長い核は、隆起した核小体及びヘテロクロマチンとユークロマチンとの混合物を有し得る。MSFC(例えば、MSC)は、細胞質をほとんど含まないが、核から伸びているように見える多くの薄い突起(process)を有し得る;
e)例えば、細胞分裂についての情報を提供することが可能な任意のアッセイ、例えば、顕微鏡検査によって測定した際に、それは細胞分裂が可能である。実施形態において、MSFCは、(例えば、本明細書に記載の粒子内にカプセル化されるか又は組み込まれる前に)培養物中で細胞分裂が可能である。実施形態において、それは、粒子(例えば、本明細書に記載の2区画カプセル)内にカプセル化された、例えば、本明細書に記載されるようにカプセル化されたか、又は組み込まれた後、細胞分裂が可能である。実施形態において、それは、コンフルエンスに達した後、細胞分裂することができない;
f)それは、間葉細胞系統、例えば、骨芽細胞、軟骨芽細胞、脂肪細胞、又は線維芽細胞へと分化することが可能である;
g)それは、間葉細胞マーカー、例えば、CD105、CD106、CD73、CD90、Stro−1、CD49a、CD29、CD44、CD146、CD166、TNAP+、THY−1+、Stro−2、Stro−4、及びアルカリホスファターゼのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又はすべてを発現する;
h)それは、CD34、CD31、VE−カドヘリン、CD45、HLA−DR、CD11b及びグリコホリン又は白血球分化抗原、例えば、CD14、CD33、CD3及びCD19のうちの1つ、2つ、3つ、又はいずれかの有意なレベルを発現しない;
i)それは、CD75、CD90、及びCD105のうちの1つ、2つ、又はすべてを発現し、CD45、CD34、及びCD14のうちの1つ、2つ、又はいずれかを発現しない;
j)例えば、炎症に関連する情報を提供することが可能な任意の方法、例えば、T細胞増殖のインビボ阻害によって測定した際に、それは、抗炎症性又は免疫減衰性(immune−dampening)である;
k)例えば、目視検査などによって決定した際に、それは、付着性、例えば、プラスチック付着性であることが可能である;又は
l)例えば、目視検査などによって決定した際に、3次元で成長し得る。
【0057】
本明細書において用いられるところ、「副甲状腺ホルモン」又は「PTH」は、例えば、当該技術分野において認識されているアッセイによって決定される際、PTH生物活性を有する、天然の副甲状腺ホルモンポリペプチド又はペプチド又はその変異体のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチドを意味する。本明細書に記載の封入細胞によって発現され得るPTHポリペプチド及びペプチドは、野生型霊長類(例えば、ヒト)、ブタ、イヌ、及びマウスタンパク質、並びにこのような野生型タンパク質の変異体を含む。このようなPTHポリペプチド及びペプチドは、プレプロ−PTHポリペプチド(115アミノ酸)、プロ−PTHポリペプチド(90アミノ酸)、成熟84−アミノ酸ペプチド(PTH(1−84))、及び生物学的に活性なその変異体、例えば、切断型変異体ペプチドPTH(1−34)のための野生型ヒト配列から本質的になり得る。ヒト野生型配列における1つ以上のアミノ酸置換を有するPTHペプチド変異体が、例えば、米国特許第7410948号明細書及び8563513号明細書並びに米国特許出願公開第20130217630号明細書に記載されている。PTH変異体は、好ましくは、対応する野生型PTHの生物活性の少なくとも50%、75%、90%又はそれ以上(>100%を含む)を有する。タンデム質量分析法による特定のPTH変異体を検出するためのアッセイが、米国特許第8383417号明細書に記載されている。PTHペプチド変異体のための生物活性アッセイ、cAMPレベルを測定することによって決定される際、アデニル酸シクラーゼの刺激が、米国特許第7410948号明細書に記載されている。
【0058】
本明細書において用いられるところ、「ポロキサマー」は、2つのポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))部分が横に配置されたポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の中心の疎水性鎖から構成される非イオン性トリブロック直鎖コポリマーの種類に対する標準的な総称を指す。
【0059】
本明細書において用いられるところ、「ポロキサマー188」又は「P 188」は、ポリオキシプロピレンコアについて1800g/モルのおよその分子量及び約80%重量パーセント、例えば、79.0〜83.7パーセントのオキシエチレン含量を有するポロキサマーを指す。実施形態において、ポロキサマー188は、8350g/モルの平均分子量を有する。実施形態において、ポロキサマー188は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィによって決定した際に、7680g/モル〜9510g/モルの平均分子量、及び81.8±1.9%重量パーセントのオキシエチレン含量を有する。実施形態において、ポロキサマー188中の各ポリオキシエチレン鎖は、75〜85(例えば、80)のエチレンオキシドモノマーを有し、ポリオキシプロピレンコアは、25〜30(例えば、27)のプロピレンオキシドモノマーを有する。実施形態において、本明細書に記載の方法において使用されるポロキサマー188は、この方法が行われる時点で公式である、米国薬局方−国民医薬品集(United States Pharmacopeia−National Formulary)(USP−NF)又は欧州薬局方(European Pharmacopoeia)(Ph.Eur.)によって公表されるポロキサマーの研究論文に記載される規格を実質的に満たす。
【0060】
本明細書において用いられるところ、「ポロキサマー407」又は「P 407」は、ポリプロピレンコアについて4000g/モルのおよその分子量及び約70重量%のオキシエチレン含量を有するポロキサマーを意味する。実施形態において、ポロキサマー407は、9,840g/モル〜14,600g/モルの平均分子量及び73.2±1.7重量%のオキシエチレン含量を有する。実施形態において、ポロキサマー407中の各ポリオキシエチレン鎖は、95〜105(例えば、101)のエチレンオキシドモノマー(例えばを有し、ポリオキシプロピレンコアは、54〜60(例えば、56)のプロピレンオキシドモノマーを有する。
【0061】
本明細書において用いられるところ、「ポリペプチド」は、ペプチド結合を介して結合されたアミノ酸残基を含み、少なくとも2、実施形態において、少なくとも10、50、75、100、150又は200のアミノ酸残基を有するポリマーを指す。
【0062】
本明細書において用いられるところ、「予防(prevention)」、「予防する(prevent)」、及び「予防している(preventing)」は、投与又は治療の適用を含む処置であって、例えば、封入細胞の組成物(例えば、本明細書に記載の)を、疾病、障害、又は状態の発症の前に、前記疾病、障害、又は状態に係る物理的徴候を妨げるために投与するステップを含む処置を指す。いくつかの実施形態において、「予防(prevention)」、「予防する(prevent)」及び「予防(preventing)」は、疾病、障害又は状態の兆候又は症状が未だ発生していないか、又は、実測されていないことが必要とされる。いくつかの実施形態において、処置は、予防を含み、他の実施形態においては含まない。
【0063】
「置換治療」又は「置換タンパク質」は、タンパク質の減少、変性又は欠乏に関連する疾病又は状態にある患者において減少している、不十分な量で存在している、変性した(例えば、変異した)、又は、欠乏しているタンパク質を置換又は増大させる治療用タンパク質又はその機能性画分である。例は、一定の血液凝固障害における一定の血液凝固因子、又は、一定のライソゾーム蓄積症における一定のライソゾーム酵素である。実施形態において、置換治療又は置換タンパク質は、内因性のタンパク質の機能が提供される。実施形態において、置換治療又は置換タンパク質は、置換されるタンパク質の、例えば野生型対立遺伝子又は障害に関連していない対立遺伝子といった天然の変異体と同一のアミノ酸配列を有する。実施形態において、又は置換治療若しくは置換タンパク質は、例えば野生型対立遺伝子又は障害に関連していない対立遺伝子であって、例えば患者が有する対立遺伝子といった天然変異体とは、アミノ酸残基の約1、2、3、4、5、10、15又は20%以下でアミノ酸配列が異なる。
【0064】
本明細書において用いられるところ、「RPE細胞」は、以下の特徴の1つ以上を有する細胞を指す:a)それは、網膜色素上皮細胞(RPE)(例えば、ARPE−19細胞株(ATCC(登録商標)CRL−2302(商標))を用いて培養される)又はこれに由来する細胞を含み、このような細胞としては、RPE細胞の一次細胞培養物に由来する細胞、天然のRPE細胞(例えばヒト又は他の哺乳動物由来)から直接単離された細胞(長期の培養を伴わない、例えば、細胞分裂が単離から5又は10継代又は回未満)、形質転換、不死化、又は長期(例えば、細胞分裂から5又は10継代又は回超)RPE細胞培養物に由来する細胞が挙げられ;b)低分化細胞から得られた細胞、例えば、RPE細胞に発生、プログラム、若しくは再プログラム(例えばインビトロで)された細胞、又はいずれかの遺伝子組み換えを除き、1種以上の天然RPE細胞と実質的に同様である細胞又はRPE細胞の一次若しくは長期培養物由来の細胞(例えば、このような細胞は、IPS細胞から誘導可能である);又はc)以下の特性の1つ以上を有する細胞:i)それは、バイオマーカーCRALBP、RPE−65、RLBP、BEST1、又はαB−クリスタリンの1つ以上を発現する;ii)それは、バイオマーカーCRALBP、RPE−65、RLBP、BEST1、又はαB−クリスタリンの1つ以上を発現しない;iii)それは、網膜中に天然に見られ、ブルッフ膜中の脈絡膜血管上に単一層を形成する;iv)それは、網膜における上皮輸送、光吸収、分泌、及び免疫調節を担う;又はv)それは、合成的に生成されているか、又は不死化RPE細胞株(例えば、ARPE−19細胞株(ATCC(登録商標)CRL−2302(商標)))と同じ若しくは実質的に同じ遺伝的内容、及び任意選択により、同じ若しくは実質的に同じ後成的内容を有するように、天然細胞から修飾されている。実施形態において、本明細書に記載のRPE細胞は、例えば、新たな特性を有するように操作され、例えば、細胞は、治療用タンパク質を発現するように操作される。他の実施形態において、RPE細胞は、操作されていない。
【0065】
「配列同一性」又は「パーセント同一」は、本明細書において、2つのヌクレオチド配列又は2つのアミノ酸配列を指すために用いられる場合、2つの配列が比較され、比較ウィンドウ(comparison window)又は指定される領域にわたって最大の一致のために整列される場合、2つの配列が規定の領域内で同じであるか、又は規定の領域内のヌクレオチド又はアミノ酸位置の規定のパーセンテージの同じヌクレオチド又はアミノ酸を有することを意味する。配列同一性は、限定されないが、米国特許出願公開第2017/02334455号明細書に記載されているアルゴリズムのいずれかを含む、当該技術分野において公知の標準的な技術を用いて決定され得る。実施形態において、同一のヌクレオチド又はアミノ酸位置の規定のパーセンテージは、少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上である。
【0066】
本明細書において用いられるところ、「球状」は、球体(例えば、完全に円形の球)又は球体様の形状を形成する曲面を有する粒子を指す。球体及び球体様の物体は、3つの垂直軸、a、b、及びcのそれぞれの周りの円、楕円、又は組み合わせの回転によって数学的に定義され得る。球体については、3つの軸a、b、及びcが同じ長さである。一般に、球体様の形状は、互いに10%、又は5%、又は2.5%以内である半主軸(semi−principal axes)a、b、及びcを有する楕円体(その平均面について)である。球体又は球体様の形状の直径は、半主軸の平均などの平均直径である。
【0067】
本明細書において用いられるところ、「患者」は、ヒト又は非ヒト動物を指す。実施形態において、患者は、例えば任意の年齢群のヒト(すなわち、男性又は女性)、小児科の患者(例えば乳児、小児、青年)又は成人患者(例えば、若年成人、中年成人、又は老人)である。実施形態において、患者は、非ヒト動物、例えば哺乳動物(例えば、霊長類(例えばカニクイザル又はアカゲザル)である。実施形態において、患者は、(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、又はイヌ)の商業的に関連する哺乳動物)又は鳥類(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、又はシチメンチョウなどの商業的に関連する鳥類)である。一定の実施形態において、動物は哺乳動物である。動物は、オス又はメスであり得、任意の成長段階であり得る。非ヒト動物は遺伝子組み換え動物であり得る。
【0068】
本明細書において用いられるところ、「総体積」は、別の区画に占有される空間を含む粒子の1つの区画内の体積を指す。例えば、2区画粒子の第2の(例えば、外側)区画の総体積は、第1の区画に占有される空間を含む第2の区画内の体積を指す。
【0069】
本明細書において用いられるところ、「処置(treatment)」、「処置する(treat)」、及び「処置している(treating)」は、疾病、障害、若しくは状態の発症の低減、逆転、緩和、遅延の1つ以上、又は疾病、障害、若しくは状態の症状、兆候、若しくは基礎原因の1つ以上の進行の阻害を指す。実施形態において、処置は、疾病、障害若しくは状態の発症の低減、逆転、緩和、遅延、又は、疾病、障害若しくは状態の症状の進行の阻害を含む。実施形態において、処置は、疾病、障害若しくは状態の発症の低減、逆転、緩和、遅延、又は、疾病、障害若しくは状態の兆候の進行の阻害を含む。実施形態において、処置は、疾病、障害又は状態の基礎原因の発症の低減、逆転、緩和、低減又は遅延を含む。いくつかの実施形態において、「処置(treatment)」、「処置する(treat)」及び「処置している(treating)」は、疾病、障害又は状態の兆候又は症状が発生しているか、又は、実測されていることを必要とする。他の実施形態において、処置は、疾病又は状態の兆候又は症状が不在でも、例えば予防的処置で投与されてもよい。例えば、処置は、症状の発症(例えば、症状の履歴を鑑みて、及び/又は、遺伝的又は他の感受性要因を鑑みて)の前に感受性の個体に投与され得る。処置はまた、例えば再発を遅延又は予防するために、症状が回復した後も継続してもよい。いくつかの実施形態において、処置は予防を含み、他の実施形態においては含まない。
【0070】
本明細書において用いられるところ、「フォン・ヴィレブランド因子タンパク質」又は「VWFタンパク質」は、別段の定めがある場合を除き、当該技術分野において認識されているアッセイによって決定される際、VWF生物活性、例えば、FVIII結合活性を有する天然のVWFポリペプチド又はその変異体のアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。(例えば、粒子に含まれる組み換え細胞によって発現される)本明細書に記載の粒子によって生成され得るVWFタンパク質は、野生型霊長類(例えば、ヒト)、ブタ、イヌ、及びマウスタンパク質、並びにこのような野生型タンパク質の変異体を含む。封入細胞は、以下のVWFポリペプチドのいずれかをコードするように組み換えられ得る:2813アミノ酸の前駆体VWF、22アミノ酸のシグナルペプチドを欠くVWF、及び任意選択により、741アミノ酸のプレプロペプチド、2050アミノ酸の成熟VWFタンパク質、及びその切断型変異体、例えば、VWF欠損マウスにおける内因性のFVIIIレベルを安定させるのに十分なVWF断片、例えば、D’D3領域(アミノ酸764〜1247)又はD1D2D’D3領域を含有する切断型変異体;及び例えば、米国特許第9458223号明細書に記載されているように、D’領域における1つ以上のアミノ酸置換を有するVWF変異体。変異体VWFタンパク質は、好ましくは、対応する野生型VWFタンパク質の生物活性の少なくとも50%、75%、90%又はそれ以上(>100%を含む)を有する。VWFの生物活性を決定するための当該技術分野において認識されているアッセイは、リストセチン補因子活性(Federici A B et al.2004.Haematologica 89:77−85)、血小板糖タンパク質複合体Ib−V−IXのGP IbαへのVWFの結合(Sucker et al.2006.Clin Appl Thromb Hemost.12:305−310)、及びコラーゲン結合(Kallas & Talpsep.2001.Annals of Hematology 80:466−471)を含む。
【0071】
いくつかの実施形態において、本開示の粒子によって産生されるVWFタンパク質は、VWFタンパク質の半減期を延長する異種ポリペプチド又は非ポリペプチド部分に融合された天然又は変異体VWFアミノ酸配列を含む。例示的な半減期延長部分としては、Fc、アルブミン、PAS配列、トランスフェリン、CTP(その4つのO−グリカンを有するヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の28アミノ酸C末端ペプチド(CTP))、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合ポリペプチド、アルブミン結合小分子、又はこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0072】
[選択される化学的定義]
特定の官能基及び化学用語の定義を以下により詳細に記載する。化学元素は、Handbook of Chemistry and Physics,75
th Ed.の内表紙のPeriodoic Table of the Elements,CAS versionに従って識別し、特定の官能基は、ここに記載されているとおり通常どおり定義している。また、有機化学の一般原則、並びに特定の官能基部分及び反応性は、Thomas Sorrell,Organic Chemistry,University Science Books,Sausalito、1999;Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry,5
th Edition,John Wiley & Sons,Inc.,New York、2001;Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers,Inc.,New York、1989;及びCarruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,3
rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載されている。
【0073】
本明細書で用いている略語は、化学及び生物学の技術分野におけるその従来の意味を有する。本明細書に記載の化学構造及び式は、化学技術分野において既知である化学原子価に係る標準的な規則に従って構成されている。
【0074】
値の範囲が列挙されている場合、範囲中の各値及び部分範囲が包含されることが意図されている。例えば「C
1〜C
6アルキル」は、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6、C
1〜C
6、C
1〜C
5、C
1〜C
4、C
1〜C
3、C
1〜C
2、C
2〜C
6、C
2〜C
5、C
2〜C
4、C
2〜C
3、C
3〜C
6、C
3〜C
5、C
3〜C
4、C
4〜C
6、C
4〜C
5、及びC
5〜C
6アルキルを包含することが意図されている。
【0075】
本明細書において用いられるところ、「アルキル」は、1〜24個の炭素原子(「C
1〜C
24アルキル」)を有する直鎖又は分岐飽和炭化水素基のラジカルを指す。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜12個の炭素原子(「C
1〜C
12アルキル」)、1〜10個の炭素原子(「C
1〜C
12アルキル」)、1〜8個の炭素原子(「C
1〜C
8アルキル」)、1〜6個の炭素原子(「C
1〜C
6アルキル」)、1〜5個の炭素原子(「C
1〜C
5アルキル」)、1〜4個の炭素原子(「C
1〜C
4アルキル」)、1〜3個の炭素原子(「C
1〜C
3アルキル」)、1〜2個の炭素原子(「C
1〜C
2アルキル」)、又は1個の炭素原子を有する(「C
1アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、2〜6個の炭素原子を有する(「C
2〜C
6アルキル」)。C
1〜C
6アルキル基の例としては、メチル(C
1)、エチル(C
2)、n−プロピル(C
3)、イソプロピル(C
3)、n−ブチル(C
4)、tert−ブチル(C
4)、sec−ブチル(C
4)、イソ−ブチル(C
4)、n−ペンチル(C
5)、3−ペンタニル(C
5)、アミル(C
5)、ネオペンチル(C
5)、3−メチル−2−ブタニル(C
5)、第三級アミル(C
5)、及びn−ヘキシル(C
6)が挙げられる。アルキル基の追加の例としては、n−ヘプチル(C
7)、n−オクチル(C
8)などが挙げられる。アルキル基の各実例は独立して任意選択により置換され得、すなわち、非置換であるか(「非置換アルキル」)又は1個以上の置換基(例えば、実例として、1〜5個の置換基、1〜3個の置換基、又は1個の置換基)で置換されている(「置換アルキル」)。
【0076】
本明細書において用いられるところ、「アルケニル」は、2〜24個の炭素原子、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、及び三重結合を有さない直鎖又は分岐炭化水素基のラジカル(「C
2〜C
24アルケニル」)を指す。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2〜12個の炭素原子(「C
2〜C
12アルケニル」)、2〜10個の炭素原子(「C
2〜C
10アルケニル」)、2〜8個の炭素原子(「C
2〜C
8アルケニル」)、2〜6個の炭素原子(「C
2〜C
6アルケニル」)、2〜5個の炭素原子(「C
2〜C
5アルケニル」)、2〜4個の炭素原子(「C
2〜C
4アルケニル」)、2〜3個の炭素原子(「C
2〜C
3アルケニル」)、又は2個の炭素原子を有する(「C
2アルケニル」)。1つ以上の炭素−炭素二重結合は、中間(2−ブテニルにおけるものなど)又は末端(1−ブテニルにおけるものなど)であることが可能である。C
2〜C
4アルケニル基の例としては、エテニル(C
2)、1−プロペニル(C
3)、2−プロペニル(C
3)、1−ブテニル(C
4)、2−ブテニル(C
4)、ブタジエニル(C
4)などが挙げられる。C
2〜C
6アルケニル基の例としては、前述のC
2〜4アルケニル基並びにペンテニル(C
5)、ペンタジエニル(C
5)、ヘキセニル(C
6)などが挙げられる。アルケニル基の各実例は独立して任意選択により置換され得、すなわち、非置換であるか(「非置換アルケニル」)又は1個以上の置換基(例えば、実例として、1〜5個の置換基、1〜3個の置換基、又は1個の置換基)で置換されている(「置換アルケニル」)。
【0077】
本明細書において用いられるところ、「アルキニル」という用語は、2〜24個の炭素原子、1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分岐炭化水素基のラジカル(「C
2〜C
24アルケニル」)を指す。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2〜12個の炭素原子(「C
2〜C
10アルキニル」)、2〜10個の炭素原子(「C
2〜C
10アルキニル」)、2〜8個の炭素原子(「C
2〜C
8アルキニル」)、2〜6個の炭素原子(「C
2〜C
6アルキニル」)、2〜5個の炭素原子(「C
2〜C
5アルキニル」)、2〜4個の炭素原子(「C
2〜C
4アルキニル」)、2〜3個の炭素原子(「C
2〜C
3アルキニル」)、又は2個の炭素原子を有する(「C
2アルキニル」)。1つ以上の炭素−炭素三重結合は、中間(2−ブチニルにおけるものなど)又は末端(1−ブチニルにおけるものなど)であることが可能である。C
2〜C
4アルキニル基の例としては、エチニル(C
2)、1−プロピニル(C
3)、2−プロピニル(C
3)、1−ブチニル(C
4)、2−ブチニル(C
4)などが挙げられる。アルキニル基の各実例は独立して任意選択により置換され得、すなわち、非置換であるか(「非置換アルキニル」)又は1個以上の置換基(例えば、実例として、1〜5個の置換基、1〜3個の置換基、又は1個の置換基)で置換されている(「置換アルキニル」)。
【0078】
本明細書において用いられるところ、「ヘテロアルキル」という用語は、非環式の安定な直鎖若しくは分岐鎖、又はこれらの組み合わせであって、少なくとも1個の炭素原子と、O、N、P、Si、及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子とを含むものを指し、ここで、窒素原子及び硫黄原子は任意選択により酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は任意選択により四級化されていてもよい。ヘテロ原子O、N、P、S、及びSiは、ヘテロアルキル基の任意の位置に配置されていてもよい。例示的なヘテロアルキル基としては、これらに限定されないが:−CH
2−CH
2−O−CH
3、−CH
2−CH
2−NH−CH
3、−CH
2−CH
2−N(CH
3)−CH
3、−CH
2−S−CH
2−CH
3、−CH
2−CH
2、−S(O)−CH
3、−CH
2−CH
2−S(O)
2−CH
3、−CH=CH−O−CH
3、−Si(CH
3)
3、−CH
2−CH=N−OCH
3、−CH=CH−N(CH
3)−CH
3、−O−CH
3、及び−O−CH
2−CH
3が挙げられる。2個又は3個以下のヘテロ原子が連続していてもよい(例えば−CH
2−NH−OCH
3及び−CH
2−O−Si(CH
3)
3など)。「ヘテロアルキル」が引用され、続いて、特定のヘテロアルキル基が引用されている場合(−CH
2O、−NR
CR
Dなど)、用語ヘテロアルキル及び−CH
2O又は−NR
CR
Dは、重複していないか、又は相互に排他的ではないことが理解されるであろう。むしろ、特定のヘテロアルキル基が追加的な明確さのために引用されている。それ故、「ヘテロアルキル」という用語は、−CH
2O、−NR
CR
Dなどの特定のヘテロアルキル基を排除していると本明細書において解釈されるべきではない。ヘテロアルキル基の各実例は、独立して任意選択により置換され得、すなわち、非置換であるか(「非置換ヘテロアルキル」)又は例えば1個以上の置換基、例えば1〜5個の置換基、1〜3個の置換基、若しくは1個の置換基で置換されている(「置換ヘテロアルキル」)。
【0079】
「アルキレン」、「アルケニレン」、「アルキニレン」、又は「ヘテロアルキレン」という用語は、単独で、又は他の置換基の一部として、別段の定めがある場合を除き、それぞれ、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はヘテロアルキルから誘導される二価ラジカルを意味する。アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、又はヘテロアルキレン基は、例えば、C
1〜C
6員アルキレン、C
2〜C
6員アルケニレン、C
2〜C
6員アルキニレン、又はC
1〜C
6員ヘテロアルキレンと記載され得、ここで、「員」という用語は、部分中の非水素原子を指す。ヘテロアルキレン基の場合、ヘテロ原子は、鎖終端の一方又は両方を占有することも可能である(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。さらに、アルキレン及びヘテロアルキレン連結基について、連結基の式が書かれている方向によって連結基の向きは示唆されていない。例えば、式−C(O)
2R’−は、−C(O)
2R’−及び−R’C(O)
2−の両方を表し得る。
【0080】
本明細書において用いられるところ、「アリール」は、6〜14個の環炭素原子及びゼロ個のヘテロ原子を芳香族環系中に有する(「C
6〜C
14アリール」)、単環式又は多環式(例えば、二環式又は三環式)4n+2芳香族環系(例えば、環式アレイにおいて共有される6、10、又は14個のπ電子を有する)のラジカルを指す。いくつかの実施形態において、アリール基は6個の環炭素原子を有する(「C
6アリール」;例えば、フェニル)。いくつかの実施形態において、アリール基は10個の環炭素原子を有する(「C
10アリール」;例えば、1−ナフチル及び2−ナフチルなどのナフチル)。いくつかの実施形態において、アリール基は14個の環炭素原子を有する(「C
14アリール」;例えば、アントラシル)。アリール基は、例えば、C
6〜C
10員アリールと記載され得、ここで、「員」という用語は、部分中の非水素環原子を指す。アリール基としては、フェニル、ナフチル、インデニル、及びテトラヒドロナフチルが挙げられる。アリール基の各実例は独立して任意選択により置換され得、すなわち、非置換であるか(「非置換アリール」)又は1個以上の置換基で置換されている(「置換アリール」)。
【0081】
本明細書において用いられるところ、「ヘテロアリール」は、環炭素原子及び1〜4個の環ヘテロ原子を芳香族環系中に有する5〜10員単環式又は二環式4n+2芳香族環系(例えば、環式アレイにおいて共有される6又は10個のπ電子を有する)のラジカルを指し、ここで、各ヘテロ原子は、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される(「5〜10員ヘテロアリール」)。1個以上の窒素原子を含有するヘテロアリール基において、結合点は、原子価的に許容されるとおり、炭素又は窒素原子であることが可能である。ヘテロアリール二環系は、1個以上のヘテロ原子を一方又は両方の環中に含んでいることが可能である。「ヘテロアリール」はまた、上記に定義されているヘテロアリール環が、1個以上のアリール基と縮合しており、結合点がアリール又はヘテロアリール環のいずれかにある環系を含み、このような実例において、環員の数は、縮合(アリール/ヘテロアリール)環系中の環員の数を示す。一方の環がヘテロ原子を含有しない二環式ヘテロアリール基(例えば、インドリル、キノリニル、カルバゾリルなど)において、結合点は、いずれかの環にあることが可能であり、すなわち、結合点は、ヘテロ原子を有する環(例えば、2−インドリル)又はヘテロ原子を含有しない環(例えば、5−インドリル)のいずれかにあることが可能である。ヘテロアリール基は、例えば6〜10員ヘテロアリールと記載され得、ここで、「員」という用語は、部分中の非水素環原子を指す。
【0082】
いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、環炭素原子及び1〜4個の環ヘテロ原子を芳香族環系中に有する5〜10員芳香族環系であり、ここで、各ヘテロ原子は窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される(「5〜10員ヘテロアリール」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、環炭素原子及び1〜4個の環ヘテロ原子を芳香族環系中に有する5〜8員芳香族環系であり、ここで、各ヘテロ原子は窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される(「5〜8員ヘテロアリール」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、環炭素原子及び1〜4個の環ヘテロ原子を芳香族環系中に有する5〜6員芳香族環系であり、ここで、各ヘテロ原子は窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される(「5〜6員ヘテロアリール」)。いくつかの実施形態において、5〜6員ヘテロアリールは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1〜3個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、5〜6員ヘテロアリールは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1〜2個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、5〜6員ヘテロアリールは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。ヘテロアリール基の各実例は独立して任意選択により置換され得、すなわち、非置換であるか(「非置換ヘテロアリール」)又は1個以上の置換基で置換されている(「置換ヘテロアリール」)。
【0083】
1個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基としては、限定されないが、ピロリル、フラニル及びチオフェニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基としては、限定されないが、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、及びイソチアゾリルが挙げられる。3個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基としては、限定されないが、トリアゾリル、オキサジアゾリル、及びチアジアゾリルが挙げられる。4個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基としては、限定されないが、テトラゾリルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基としては、限定されないが、ピリジニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基としては、限定されないが、ピリダジニル、ピリミジニル、及びピラジニルが挙げられる。3又は4個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基としては、限定されないが、それぞれトリアジニル及びテトラジニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な7員ヘテロアリール基としては、限定されないが、アゼピニル、オキセピニル、及びチエピニルが挙げられる。例示的な5,6−二環式ヘテロアリール基としては、限定されないが、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズチアジアゾリル、インドリジニル、及びプリニルが挙げられる。例示的な6,6−二環式ヘテロアリール基としては、限定されないが、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノキサリニル、フタラジニル、及びキナゾリニルが挙げられる。他の例示的なヘテロアリール基としては、ヘム及びヘム誘導体が挙げられる。
【0084】
本明細書において用いられるところ、「アリーレン」及び「ヘテロアリーレン」という用語は、単独で、又は他の置換基の一部として、それぞれ、アリール及びヘテロアリールから誘導される二価ラジカルを意味する。
【0085】
本明細書において用いられるところ、「シクロアルキル」は、3〜10個の環炭素原子(「C
3〜C
10シクロアルキル」)及びゼロ個のヘテロ原子を非芳香族環系中に有する非芳香族環状炭化水素基のラジカルを指す。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、3〜8個の環炭素原子(「C
3〜C
8シクロアルキル」)、3〜6個の環炭素原子(「C
3〜C
6シクロアルキル」)、又は5〜10個の環炭素原子を有する(「C
5〜C
10シクロアルキル」)。シクロアルキル基は、例えば、C
4〜C
7員シクロアルキルと記載され得、ここで、「員」という用語は、部分中の非水素環原子を指す。例示的なC
3〜C
6シクロアルキル基としては、限定されないが、シクロプロピル(C
3)、シクロプロペニル(C
3)、シクロブチル(C
4)、シクロブテニル(C
4)、シクロペンチル(C
5)、シクロペンテニル(C
5)、シクロヘキシル(C
6)、シクロヘキセニル(C
6)、シクロヘキサジエニル(C
6)などが挙げられる。例示的なC
3〜C
8シクロアルキル基としては、限定されないが、前述のC
3〜C
6シクロアルキル基並びにシクロヘプチル(C
7)、シクロヘプテニル(C
7)、シクロヘプタジエニル(C
7)、シクロヘプタトリエニル(C
7)、シクロオクチル(C
8)、シクロオクテニル(C
8)、クバニル(C
8)、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル(C
5)、ビシクロ[2.2.2]オクタニル(C
8)、ビシクロ[2.1.1]ヘキサニル(C
6)、ビシクロ[3.1.1]ヘプタニル(C
7)などが挙げられる。例示的なC
3〜C
10シクロアルキル基としては、限定されないが、前述のC
3〜C
8シクロアルキル基並びにシクロノニル(C
9)、シクロノネニル(C
9)、シクロデシル(C
10)、シクロデセニル(C
10)、オクタヒドロ−1H−インデニル(C
9)、デカヒドロナフタレニル(C
10)、スピロ[4.5]デカニル(C
10)などが挙げられる。前述の例に例示されているとおり、一定の実施形態において、シクロアルキル基は、単環式(「単環式シクロアルキル」)であるか、又は二環系などの縮合、架橋若しくはスピロ環系を含有し(「二環式シクロアルキル」)、また、飽和であることが可能であり、又は部分不飽和であることが可能である。「シクロアルキル」はまた、上記に定義されているシクロアルキル環が、1個以上のアリール基と縮合しており、結合点がシクロアルキル環にある環系を含み、このような実例において、炭素の数は引き続きシクロアルキル環系中の炭素の数を示す。シクロアルキル基の各実例は独立して任意選択により置換され得、すなわち、非置換であるか(「非置換シクロアルキル」)又は1個以上の置換基で置換されている(「置換シクロアルキル」)。
【0086】
本明細書において用いられるところ、「ヘテロシクリル」は、環炭素原子及び1〜4個の環ヘテロ原子を有する3〜10員非芳香族環系のラジカルを指し、ここで、各ヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リン、及びケイ素から独立して選択される(「3〜10員ヘテロシクリル」)。1個以上の窒素原子を含有するヘテロシクリル基において、結合点は、原子価的に許容されるとおり、炭素又は窒素原子であることが可能である。ヘテロシクリル基は、単環式(「単環式ヘテロシクリル」)又は二環系などの縮合、架橋若しくはスピロ環系(「二環式ヘテロシクリル」)であることが可能であり、また、飽和であることが可能であり、又は部分不飽和であることが可能である。ヘテロシクリル二環系は、1個以上のヘテロ原子を一方又は両方の環中に含んでいることが可能である。「ヘテロシクリル」はまた、上記に定義されているヘテロシクリル環が、1個以上のシクロアルキル基と縮合しており、結合点がシクロアルキル又はヘテロシクリル環のいずれかにある環系、又は上記に定義されているヘテロシクリル環が、1個以上のアリール又はヘテロアリール基と縮合しており、結合点がヘテロシクリル環にある環系を含み、このような実例において、環員の数は引き続きヘテロシクリル環系中の環員の数を示す。ヘテロシクリル基は、例えば、3〜7員ヘテロシクリルと記載され得、ここで、「員」という用語は、部分中における、非水素環原子、すなわち、炭素、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リン、及びケイ素を指す。ヘテロシクリルの各実例は独立して任意選択により置換され得、すなわち、非置換であるか(「非置換ヘテロシクリル」)又は1個以上の置換基で置換されている(「置換ヘテロシクリル」)。一定の実施形態において、ヘテロシクリル基は非置換3〜10員ヘテロシクリルである。一定の実施形態において、ヘテロシクリル基は置換3〜10員ヘテロシクリルである。
【0087】
いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、環炭素原子及び1〜4個の環ヘテロ原子を有する5〜10員非芳香族環系であり、ここで、各ヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リン、及びケイ素から独立して選択される(「5〜10員ヘテロシクリル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、環炭素原子及び1〜4個の環ヘテロ原子を有する5〜8員非芳香族環系であり、ここで、各ヘテロ原子は、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される(「5〜8員ヘテロシクリル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、環炭素原子及び1〜4個の環ヘテロ原子を有する5〜6員非芳香族環系であり、ここで、各ヘテロ原子は、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される(「5〜6員ヘテロシクリル」)。いくつかの実施形態において、5〜6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1〜3個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、5〜6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1〜2個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、5〜6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。
【0088】
1個のヘテロ原子を含有する例示的な3員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、アジルジニル(azirdinyl)、オキシラニル、チオレニル(thiorenyl)が挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な4員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、アゼチジニル、オキセタニル及びチエタニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル及びピロリル−2,5−ジオンが挙げられる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、ジオキソラニル、オキサスルフラニル、ジスルフラニル、及びオキサゾリジン−2−オンが挙げられる。3個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル、及びチアジアゾリニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、及びチアニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル、ジオキサニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、トリアジナニル又はチオモルホリニル−1,1−ジオキシドが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な7員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、アゼパニル、オキセパニル及びチエパニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な8員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、アゾカニル、オキセカニル及びチオカニルが挙げられる。C
6アリール環に縮合した例示的な5員ヘテロシクリル基(本明細書において、5,6−二環式複素環とも称される)としては、限定されないが、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリノニルなどが挙げられる。アリール環に縮合した例示的な6員ヘテロシクリル基(本明細書において、6,6−二環式複素環とも称される)としては、限定されないが、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルなどが挙げられる。
【0089】
本明細書において用いられるところ、「アミノ」は、ラジカル−NR
70R
71を指し、ここで、R
70及びR
71は各々独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、C
3〜C
10シクロアルキル、C
4〜C
10ヘテロシクリル、C
6〜C
10アリール、及びC
5〜C
10ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、アミノはNH
2を指す。
【0090】
本明細書において用いられるところ、「シアノ」はラジカル−CNを指す。
【0091】
本明細書において用いられるところ、「ハロ」又は「ハロゲン」は、独立して、又は他の置換基の一部として、別段の定めがある場合を除き、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、又はヨウ素(I)原子を意味する。
【0092】
本明細書において用いられるところ、「ヒドロキシ」はラジカル−OHを指す。
【0093】
本明細書において定義されるところ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリール基は、任意選択により置換されている(例えば、「置換」若しくは「非置換」アルキル、「置換」若しくは「非置換」アルケニル、「置換」若しくは「非置換」アルキニル、「置換」若しくは「非置換」ヘテロアルキル、「置換」若しくは「非置換」シクロアルキル、「置換」若しくは「非置換」ヘテロシクリル、「置換」若しくは「非置換」アリール又は「置換」若しくは「非置換」ヘテロアリール基)。一般に、「置換されている」という用語は、用語「任意選択により」が先行しているか否かに関わらず、ある基(例えば炭素又は窒素原子)に存在する少なくとも1個の水素が許容される置換基で置き換えられることを意味し、この置換基は、例えば、置換により安定な化合物(例えば、再配列、環化、脱離、又は他の反応などによって自発的な変換を起こさない化合物)をもたらすものである。別段の定めがある場合を除き、「置換されている」基は、その基の1つ以上の置換可能な位置に置換基を有し、また、いずれかの所与の構造における2つ以上の位置が置換されている場合、この置換基は各位置において同一であるか又は異なる。「置換されている」という用語は、安定な化合物が形成される本明細書に記載の置換基のいずれかなどの、有機化合物のすべての許容可能な置換基による置換を含むことが想定される。本開示は、安定な化合物を得るためのあらゆるこのような組み合わせを想定する。本開示の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満たすと共に、安定な部分の形成をもたらす、水素置換基及び/又は本明細書に記載のいずれかの好適な置換基を有し得る。
【0094】
2個以上の置換基は、任意選択により結合されて、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はヘテロシクリル基を形成し得る。このようないわゆる環形成置換基は、典型的には、必須ではないが、環基礎構造に結合して見出される。一実施形態において、環形成置換基は基礎構造の隣接する構成員に結合している。例えば、環基礎構造の隣接する構成員に結合する2個の環形成置換基が、縮合環構造を形成する。他の実施形態において、環形成置換基は、基礎構造の単一の構成員に結合している。例えば、環基礎構造の単一の構成員に結合する2個の環形成置換基が、スピロ環式構造を形成する。さらに他の実施形態において、環形成置換基は、基礎構造の隣接していない構成員に結合している。
【0095】
本明細書に記載の式(I)の化合物は1つ以上の不斉中心を含んでいることが可能であり、それ故、例えば、鏡像異性体及び/又はジアステレオマーといった種々の異性形態で存在することが可能である。例えば、本明細書に記載の化合物は個々の鏡像異性体、ジアステレオマー若しくは幾何異性体の形態であることが可能であり、又はラセミ混合物及び1種以上の立体異性体が富化された混合物を含む立体異性体の混合物の形態であることが可能である。異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)、並びにキラル塩の形成及び結晶化を含む当業者に公知の方法によって混合物から単離可能であり;又は好ましい異性体は、不斉合成により調製可能である。例えば、Jacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981);Wilen et al.,Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel,Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw−Hill,NY,1962);及びWilen,Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照のこと。本開示はさらに、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体として、及び代わりに、種々の異性体の混合物として、本明細書に記載の化合物を含む。
【0096】
本明細書において用いられるところ、純粋な鏡像異性化合物は、化合物の他の鏡像異性体又は立体異性体を実質的に含まない(すなわち鏡像体過剰量である)。換言すると、「S」形態の化合物は「R」形態の化合物を実質的に含まず、それ故、「R」形態が鏡像体過剰量である。「鏡像異性体的に純粋な」又は「純粋な鏡像異性体」という用語は、化合物が、75重量%超、80重量%超、85重量%超、90重量%超、91重量%超、92重量%超、93重量%超、94重量%超、95重量%超、96重量%超、97重量%超、98重量%超、99重量%超、99.5重量%超、又は99.9重量%超の鏡像異性体を含むことを示す。一定の実施形態において、重量は、化合物のすべての鏡像異性体又は立体異性体の総重量に基づく。
【0097】
本明細書に記載の式(I)の化合物はまた、1つ以上の同位体置換を含んでいてもよい。例えば、Hは、
1H、
2H(D又は重水素)、及び
3H(T又は三重水素)を含むいずれかの同位体形態であり得;Cは、
12C、
13C、及び
14Cを含むいずれかの同位体形態であり得;Oは、
16O及び
18Oなどを含むいずれかの同位体形態であり得る。
【0098】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、本明細書に記載の化合物に見出される特定の置換基に応じて、比較的無毒の酸又は塩基を伴って調製される有効な化合物の塩を含むことを意味する。本開示において使用される化合物が比較的酸性の官能基を含有する場合、塩基付加塩は、このような中性型の化合物を、十分な量の所望の塩基と、そのまま、又は好適な不活性溶剤中において接触させることにより得ることが可能である。薬学的に許容可能な塩基付加塩の例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、若しくはマグネシウム塩、又は同様の塩が挙げられる。本開示において使用される化合物が比較的塩基性の官能基を含有する場合、酸付加塩は、このような中性型の化合物を、十分な量の所望の酸と、そのまま、又は好適な不活性溶剤中において接触させることにより得ることが可能である。薬学的に許容可能な酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、又は亜リン酸などのような無機酸から誘導されるものが挙げられ、並びに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などのような有機酸から誘導される塩が挙げられる。また、アルギニン酸塩などのアミノ酸の塩、及びグルクロン酸又はガラクツロン酸などのような有機酸の塩が含まれる(例えば、Berge et al,Journal of Pharmaceutical Science 66:1−19(1977)を参照のこと)。一定の特定の本開示において使用される化合物は、塩基又は酸付加塩への化合物の転換を可能とする塩基性及び酸性官能基の両方を含有する。これらの塩は、当業者に公知の方法によって調製され得る。当業者に公知である他の薬学的に許容可能なキャリアが本開示において使用するのに好適である。
【0099】
本開示は、プロドラッグ形態の式(I)の化合物を提供し得る。プロドラッグは、生理学的状態で化学変化を容易に生起して本開示において使用される化合物を提供する化合物である。さらに、プロドラッグは、エキソビボ環境における化学的又は生化学的方法によって式(I)の有用な化合物に転換されることが可能である。
【0100】
一定の式(I)の化合物は、非溶媒和形態、並びに水和物形態を含む溶媒和形態で存在することが可能である。一般に、溶媒和形態は非溶媒和形態と同等であり、本開示の範囲内に包含される。一定の式(I)の化合物は、多数の結晶性又はアモルファス形態で存在し得る。一般に、すべての物理的形態が本開示によって想定される使用について同等であり、本開示の範囲内であることが意図されている。
【0101】
「溶媒和物」という用語は、通常は加溶剤分解反応による、溶剤に付随する化合物の形態を指す。この物理的な付随は水素結合を含み得る。従来の溶剤としては、水、メタノール、エタノール、酢酸、DMSO、THF、ジエチルエーテルなどが挙げられる。本明細書に記載の化合物は、例えば結晶形態で調製され得、溶媒和され得る。好適な溶媒和物としては、薬学的に許容可能な溶媒和物が挙げられ、さらに、化学量論的溶媒和物及び非化学量論的溶媒和物の両方が挙げられる。
【0102】
「水和物」という用語は、水に付随している化合物を指す。典型的には、化合物の水和物に含有される水分子の数は、水和物中の化合物分子の数に対する確定された割合である。従って、化合物の水和物は、例えば一般式R・x H
2O(式中、Rは化合物であり、xは0超の数字である)によって表され得る。
【0103】
「互変異性体」という用語は、本明細書において用いられるところ、化合物構造の相互変換可能な形態であって、水素原子及び電子の変位が様々である化合物を指す。それ故、2つの構造が、π電子及び原子(通常はH)の移動を介して平衡状態にあり得る。例えば、酸又は塩基のいずれかを伴う処理によって急速に相互変換されるため、エノール及びケトンは互変異性体である。互変異性体は、対象となる化合物の最適な化学反応性及び生物活性の獲得と関連性があり得る。
【0104】
本明細書において用いられるところ、記号
【化2】
は、エンティティ、例えば、ポリマー(例えば、アルギン酸塩などのヒドロゲル形成ポリマー)又は移植可能な要素(例えば、粒子、デバイス若しくは材料)への結合を指す。
【化3】
によって表される結合は、エンティティ、例えば、ポリマー又は移植可能な要素への直接結合を指してもよく、又は結合基を介したエンティティへの連結を指し得る。本明細書において用いられるところ、「結合基」は、エンティティ(例えば、本明細書に記載のポリマー又は移植可能な要素)への式(I)の化合物の連結のための部分を指し、当該技術分野において公知であるいずれかの結合化学を含み得る。例示的な結合基の列挙は、本明細書において参照によりその全体が援用される、Bioconjugate Techniques(3
rd ed,Greg T.Hermanson,Waltham,MA:Elsevier,Inc,2013)に概説されている。いくつかの実施形態において、結合基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−C(O)−、−OC(O)−、−N(R
C)−、−N(R
C)C(O)−、−C(O)N(R
C)−、−N(R
C)N(R
D)−、−NCN−、−C(=N(R
C)(R
D))O−、−S−、−S(O)
x−、−OS(O)
x−、−N(R
C)S(O)
x−、−S(O)
xN(R
C)−、−P(R
F)
y−、−Si(OR
A)
2−、−Si(R
G)(OR
A)−、−B(OR
A)−、又は金属を含み、ここで、R
A、R
C、R
D、R
F、R
G、x及びyの各々は、独立して本明細書に記載されているとおりである。いくつかの実施形態において、結合基は、アミン、ケトン、エステル、アミド、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はチオールを含む。いくつかの実施形態において、結合基は架橋剤である。いくつかの実施形態において、結合基は−C(O)(C
1〜C
6−アルキレン)−であり、ここで、アルキレンはR
1で置換され、R
1は本明細書に記載されているとおりである。いくつかの実施形態において、結合基は−C(O)(C
1〜C
6−アルキレン)−であり、ここで、アルキレンは、1〜2個のアルキル基(例えば、1〜2個のメチル基)で置換される。いくつかの実施形態において、結合基は−C(O)C(CH
3)
2−である。いくつかの実施形態において、結合基は−C(O)(メチレン)−であり、ここで、アルキレンは、1〜2個のアルキル基(例えば、1〜2個のメチル基)で置換される。いくつかの実施形態において、結合基は−C(O)CH(CH
3)−である。いくつかの実施形態において、結合基は−C(O)C(CH
3)−である。
【0105】
[粒子の特徴]
本開示は、例えば、本明細書に記載される、第1の区画、第2の区画、及び式(I)の化合物を含む粒子を特徴とする。粒子は、球状(例えば、ヒドロゲルカプセル)又は任意の他の形状であり得る。粒子は、金属、金属合金、セラミック、ポリマー、繊維、不活性材料、及びこれらの組み合わせなどの材料を含み得る。粒子は、1つのタイプの材料で完全に作製されてもよく、又は第2の区画及びいずれかの第1の区画内に多くの他の材料を含み得る。
【0106】
いくつかの実施形態において、第1の区画は、式(I)の化合物で修飾される。いくつかの実施形態において、第2の区画は、式(I)の化合物で修飾される。いくつかの実施形態において、第1の区画及び第2の区画の両方は、独立して、式(I)の化合物で修飾される。
【0107】
いくつかの実施形態において、粒子は、1ミリメートル(mm)超、好ましくは、1.5mm以上の最大線形寸法(LLD)、例えば、平均直径、又はサイズを有する。いくつかの実施形態において、粒子は、直径又はサイズが10mm程度であり得る。例えば、本明細書に記載の粒子は、0.5mm〜10mm、1mm〜10mm、1mm〜8mm、1mm〜6mm、1mm〜5mm、1mm〜4mm、1mm〜3mm、1mm〜2mm、1mm〜1.5mm、1.5mm〜8mm、1.5mm〜6mm、1.5mm〜5mm、1.5mm〜4mm、1.5mm〜3mm、1.5mm〜2mm、2mm〜8mm、2mm〜7mm、2mm〜6mm、2mm〜5mm、2mm〜4mm、2mm〜3mm、2.5mm〜8mm、2.5mm〜7mm、2.5mm〜6mm、2.5mm〜5mm、2.5mm〜4mm、2.5mm〜3mm、3mm〜8mm、3mm〜7mm、3mm〜6mm、3mm〜5mm、3mm〜4mm、3.5mm〜8mm、3.5mm〜7mm、3.5mm〜6mm、3.5mm〜5mm、3.5mm〜4mm、4mm〜8mm、4mm〜7mm、4mm〜6mm、4mm〜5mm、4.5mm〜8mm、4.5mm〜7mm、4.5mm〜6mm、4.5mm〜5mm、5mm〜8mm、5mm〜7mm、5mm〜6mm、5.5mm〜8mm、5.5mm〜7mm、5.5mm〜6mm、6mm〜8mm、6mm〜7mm、6.5mm〜8mm、6.5mm〜7mm、7mm〜8mm、又は7.5mm〜8mmのサイズ範囲内である。いくつかの実施形態において、粒子は、1mm〜8mmの平均直径又はサイズを有する。いくつかの実施形態において、粒子は、1mm〜4mmの平均直径又はサイズを有する。いくつかの実施形態において、粒子は、1mm〜2mmの平均直径又はサイズを有する。いくつかの実施形態において、粒子は、1.5mm〜2mmの平均直径又はサイズを有する。
【0108】
いくつかの実施形態において、粒子は、1ミリメートル(mm)以下の最大線形寸法(LLD)、例えば、平均直径、又はサイズを有する。いくつかの実施形態において、粒子は、0.3mm〜1mm、0.4mm〜1mm、0.5mm〜1mm、0.6mm〜1mm、0.7mm〜1mm、0.8mm〜1mm又は0.9mm〜1mmのサイズ範囲である。
【0109】
いくつかの実施形態において、例えば、
図1に示されるように、第2の(外側)区画は、第1の(内側)区画を完全に取り囲み、第2の区画の内側境界が、第1の区画の外側境界との境界面を形成する。このような実施形態において、第2の(外側)区画の厚さは、第2の区画の外側境界と、2つの区画間の境界面との間の平均距離を意味する。いくつかの実施形態において、外側区画の厚さは、約10ナノメートル(nm)超、好ましくは、100nm以上であり、1mm程度であり得る。例えば、本明細書に記載の粒子における外側区画の厚さは、10ナノメートル〜1ミリメートル、100ナノメートル〜1ミリメートル、500ナノメートル〜1ミリメートル、1マイクロメートル(μm)〜1ミリメートル、1μm〜1mm、1μm〜500μm、1μm〜250μm、1μm〜1mm、5μm〜500μm、5μm〜250μm、10μm〜1mm、10μm〜500μm、又は10μm〜250μmであり得る。いくつかの実施形態において、外側区画の厚さは、100ナノメートル〜1ミリメートル、1μm〜1mm、1μm〜500μm又は5μm〜1mmである。
【0110】
いくつかの実施形態において、粒子は、例えば、材料の自由な流動を可能にするために、少なくとも1つの孔又は開口を含む。いくつかの実施形態において、移植可能な要素の平均孔径は、約0.1μm〜約10μmである。例えば、平均孔径は、0.1μm〜10μm、0.1μm〜5μm、0.1μm〜2μm、0.15μm〜10μm、0.15μm〜5μm、0.15μm〜2μm、0.2μm〜10μm、0.2μm〜5μm、0.25μm〜10μm、0.25μm〜5μm、0.5μm〜10μm、0.75μm〜10μm、1μm〜10μm、1μm〜5μm、1μm〜2μm、2μm〜10μm、2μm〜5μm、又は5μm〜10μmである。いくつかの実施形態において、移植可能な要素の平均孔径は、約0.1μm〜10μmである。いくつかの実施形態において、移植可能な要素の平均孔径は、約0.1μm〜5μmである。いくつかの実施形態において、移植可能な要素の平均孔径は、約0.1μm〜1μmである。いくつかの実施形態において、粒子の第1の区画及び第2の区画の平均孔径は、実質的に同じである。いくつかの実施形態において、粒子の第1の区画及び第2の区画の平均孔径は、約1.5%、2%、5%、7.5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、又はそれ以上異なる。いくつかの実施形態において、粒子の平均孔径(例えば、第1の区画の平均孔径及び/又は第2の区画の平均孔径)は、各区画内の材料並びに式(I)の化合物の存在及び密度などのいくつかの要因に依存する。
【0111】
いくつかの実施形態において、粒子は、金属又は金属合金を含む。第1の区画、第2の区画、又は両方の区画は、金属又は金属合金を含み得る。例示的な金属又は金属合金としては、チタン及びチタン族合金(例えば、ニチノール、ニッケルチタン合金、熱記憶合金材料)、白金、白金族合金、ステンレス鋼、タンタル、パラジウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ニッケル−クロム、クロムモリブデン合金、又は特定のコバルト合金(例えば、コバルト−クロム及びコバルト−クロム−ニッケル合金、例えば、ELGILOY(登録商標)及びPHYNOX(登録商標))が挙げられる。例えば、金属材料は、ステンレス鋼グレード316(SS 316L)(Fe、<0.3%のC、16〜18.5%のCr、10〜14%のNi、2〜3%のMo、<2%のMn、<1%のSi、<0.45%のP、及び<0.03%のSから構成される)であり得る。金属含有粒子において、金属の量(例えば、重量%、実際の重量)は、少なくとも5%、例えば、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、又はそれ以上(例えば、w/w);20%未満、例えば、20%、15%、10%、5%、1%、0.5%、0.1%未満、又はそれ以下であり得る。
【0112】
いくつかの実施形態において、粒子は、セラミックを含む。第1の区画、第2の区画、又は両方の区画は、セラミックを含み得る。例示的なセラミック材料としては、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化イリジウム、酸化クロム、酸化アルミニウム、及び酸化ジルコニウムなどの、遷移元素の酸化物、炭化物、又は窒化物が挙げられる。シリカなどのケイ素系材料も使用され得る。セラミック含有粒子において、セラミックの量(例えば、重量%、実際の重量)は、少なくとも5%、例えば、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、又はそれ以上(例えば、w/w);20%未満、例えば、20%、15%、10%、5%、1%、0.5%、0.1%未満、又はそれ以下であり得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、粒子は、ポリマーを含む。第1の区画、第2の区画、又は両方の区画は、ポリマーを含み得る。ポリマーは、直鎖、分岐、若しくは架橋ポリマー、又は選択された分子量範囲、重合度、粘度若しくはメルトフローレートのポリマーであり得る。分岐ポリマーは、以下のタイプ:星型ポリマー、櫛型ポリマー、ブラシ型ポリマー、デンドロン化ポリマー、ラダー、及びデンドリマーの1つ以上を含み得る。ポリマーは、熱応答性ポリマー、例えば、ゲル(例えば、熱若しくは特定の温度への曝露により固体若しくは液体になる)又は光架橋性ポリマーであり得る。例示的なポリマーとしては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセチレン、ポリ(塩化ビニル)(PVC)、ポリオレフィンコポリマー、ポリ(ウレタン)、ポリアクリレート及びポリメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリメタクリルアミド、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリエーテル、ポリ(オルトエステル)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ポリフルオロカーボン、PEEK(登録商標)、Teflon(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、PEEK、シリコーン、エポキシ樹脂、Kevlar(登録商標)、Dacron(登録商標)(エチレングリコール及びテレフタル酸から得られる縮合ポリマー)、ポリエチレングリコール、ナイロン、ポリアルケン、フェノール樹脂、天然及び合成エラストマー、接着剤及びシーラント、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、多糖類及び天然ラテックスなどのバイオポリマー、コラーゲン、セルロースポリマー(例えば、アルキルセルロースなど)、ポリエチレングリコール及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、多糖類、ポリ(グリコール酸)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(乳酸グリコール酸)(PLGA)、ポリジオキサノン(PDA)、又はラセミポリ(乳酸)、ポリカーボネート、(例えば、ポリアミド(例えば、ナイロン))、フッ素樹脂、炭素繊維、アガロース、アルギン酸塩、キトサン、並びにこれらのブレンド又はコポリマーが挙げられる。ポリマー含有粒子において、ポリマーの量(例えば、粒子における重量%、ポリマーの実際の重量)は、少なくとも5%、例えば、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、又はそれ以上(例えば、w/w);20%未満、例えば、20%、15%、10%、5%、1%、0.5%、0.1%未満、又はそれ以下であり得る。
【0114】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、ポリエチレンを含む。第1の区画、第2の区画、又は両方の区画は、ポリエチレンを含み得る。例示的なポリエチレンとしては、超低密度ポリエチレン(ULDPE)(例えば、コモノマーを含む、0.890〜0.905g/cm
3の範囲の密度を有するポリマーを含む);超低密度ポリエチレン(VLDPE)(例えば、コモノマーを含む、0.905〜0.915g/cm
3の範囲の密度を有するポリマーを含む);直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)(例えば、0.915〜0.935g/cm
3の範囲の密度を有するポリマーを含み、コモノマーを含む);低密度ポリエチレン(LDPE)(例えば、約0.915〜0.935g/m
3の範囲の密度を有するポリマーを含む);中密度ポリエチレン(MDPE)(例えば、0.926〜0.940g/cm
3の範囲の密度を有するポリマーを含み、コモノマーを含んでいても又は含まなくてもよい);高密度ポリエチレン(HDPE)(例えば、0.940〜0.970g/cm
3の範囲の密度を有するポリマーを含み、コモノマーを含んでいても又は含まなくてもよい)が挙げられる。
【0115】
いくつかの実施形態において、粒子は、ポリプロピレンを含む。第1の区画、第2の区画、又は両方の区画は、ポリプロピレンを含み得る。例示的なポリプロピレンとしては、例えば、本明細書において参照によりその全体が援用される、McKeen,Handbook of Polymer Applications in Medicine and Medical Devices,3−Plastics Used in Medical Devices,(2014):21−53に記載されるように、ホモポリマー、ランダムコポリマー(ホモ相コポリマー)、及びインパクトコポリマー(ヘテロ相コポリマー)が挙げられる。
【0116】
いくつかの実施形態において、粒子は、ポリスチレンを含む。第1の区画、第2の区画、又は両方の区画は、ポリスチレンを含み得る。例示的なポリスチレンとしては、汎用性又は結晶(PS又はGPPS)、ハイインパクト(HIPS)、及びシンジオタクチック(SPS)ポリスチレンが挙げられる。
【0117】
いくつかの実施形態において、粒子は、熱可塑性エラストマー(TPE)を含む。第1の区画、第2の区画、又は両方の区画は、TPEを含み得る。例示的なTPEとしては、(i)TPA−ポリアミドTPEであって、交互するハード及びソフトセグメントのブロックコポリマーを含み、ハードブロック中にアミド化学結合並びにソフトブロック中にエーテル及び/又はエステル結合を有するもの;(ii)TPC−コ−ポリエステルTPEであって、交互するハードセグメント及びソフトセグメントのブロックコポリマーからなり、主鎖中の化学結合はエステル及び/又はエーテルであるもの;(iii)TPO−オレフィン系TPEであって、ポリオレフィン及び従来のゴムのブレンドからなり、ブレンド中のゴム相は架橋をほとんど又は全く有さないもの;(iv)TPS−スチレン系TPEであって、少なくとも、スチレン及び特定のジエンのトリブロックコポリマーからなり、ここで、2つの末端ブロック(ハードブロック)はポリスチレンであり、内部ブロック(1つ又は複数のソフトブロック)はポリジエン又は水素化ポリジエンであるもの;(v)TPU−ウレタンTPEであって、交互するハード及びソフトセグメントのブロックコポリマーからなり、ハードブロック中にウレタン化学結合、及びソフトブロック中にエーテル、エステル又は炭酸結合又はこれらの混合物を有するもの;(vi)TPV−熱可塑性ゴム加硫物であって、熱可塑性材料及び従来のゴムのブレンドからなり、ここで、ゴムは、ブレンド及び混合ステップ中の動的加硫プロセスにより架橋されているもの;並びに(vii)TPA、TPC、TPO、TPS、TPU、及びTPVに分類されるもの以外のいずれかの組成物又は構造を含むTPZ−未分類TPEが挙げられる。
【0118】
いくつかの実施形態において、粒子は多糖を含み、多糖はアルギン酸塩である。アルギン酸塩は、β−D−マンヌロン酸(M)及びα−L−グルロン酸(G)から構成される多糖である。いくつかの実施形態において、アルギン酸塩は、高グルロン酸(G)アルギン酸塩であり、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%超、又はそれ以上のグルロン酸(G)を含む。いくつかの実施形態において、アルギン酸塩は、高マンヌロン酸(M)アルギン酸塩であり、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%超、又はそれ以上のマンヌロン酸(M)を含む。いくつかの実施形態において、M:Gの比率は約1である。いくつかの実施形態において、M:Gの比率は1未満である。いくつかの実施形態において、M:Gの比率は1超である。アルギン酸塩含有粒子において、アルギン酸塩の量(例えば、粒子における重量%、アルギン酸塩の実際の重量)は、少なくとも5%、例えば、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、又はそれ以上(例えば、w/w);20%未満、例えば、20%、15%、10%、5%、1%、0.5%、0.1%未満、又はそれ以下であり得る。
【0119】
いくつかの実施形態において、第1の区画及び第2の区画の両方は、同じポリマーを含む。いくつかの実施形態において、第1の区画及び第2の区画は、異なるポリマーを含む。いくつかの実施形態において、第1の区画は、アルギン酸塩を含む。いくつかの実施形態において、第2の区画は、アルギン酸塩を含む。いくつかの実施形態において、第1の区画及び第2の区画の両方は、アルギン酸塩を含む。いくつかの実施形態において、第1の区画中のアルギン酸塩は、第2の区画中のアルギン酸塩と異なる。いくつかの実施形態において、第1の区画は、アルギン酸塩を含み、第2の区画は、異なるポリマー(例えば、多糖、例えば、ヒアルロン酸塩又はキトサン)を含む。いくつかの実施形態において、第2の区画は、アルギン酸塩を含み、第1の区画は、異なるポリマー(例えば、多糖、例えば、ヒアルロン酸塩又はキトサン)を含む。
【0120】
第1の区画及び第2の区画の両方は、単一の成分(例えば、1つのポリマー)又は2つ以上の成分(例えば、ポリマーのブレンド)を含み得る。いくつかの実施形態において、第1の区画は、アルギン酸塩のみ(例えば、化学修飾アルギン酸塩、又は非修飾アルギン酸塩及び化学修飾アルギン酸塩のブレンド)を含む。いくつかの実施形態において、第2の区画は、アルギン酸塩のみ(例えば、化学修飾アルギン酸塩又は非修飾アルギン酸塩及び化学修飾アルギン酸塩のブレンド)を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の区画の両方は、独立して、アルギン酸塩のみ(例えば、化学修飾アルギン酸塩又は非修飾アルギン酸塩及び化学修飾アルギン酸塩のブレンド)を含む。
【0121】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の区画の一方又は両方におけるポリマーは、(i)低分子量アルギン酸塩(例えば、およそのMW<75kDa及びG:M比≧1.5を有する)、(ii)中間分子量アルギン酸塩(例えば、75〜150kDaのおよその分子量及びG:M比≧1.5を有する)、(iii)高分子量アルギン酸塩(例えば、150kDa〜250kDaのおよそのMW及びG:M比≧1.5を有する)、(iv)又はこれらのアルギン酸塩の2つ以上のブレンドである。実施形態において、第1の(内側)区画中のポリマーは、非修飾高分子量アルギン酸塩又は非修飾中間分子量アルギン酸塩であり、第2の(外側)区画中のポリマーは、化学修飾アルギン酸塩(例えば、表2に示される化合物101で修飾されたアルギン酸塩)及び非修飾アルギン酸塩のブレンド、例えば、CM−LMW−Alg−101:U−HMW−Algの70:30ブレンド又は60:40ブレンドであり、これは、以下の実施例に記載されるように調製され得る。
【0122】
いくつかの実施形態において、粒子はアルギン酸塩を含み、式(I)の化合物は、アルギン酸塩中のいくらか又はすべてのモノマーに共有結合される。いくつかの実施形態において、アルギン酸塩中のいくらか又はすべてのモノマーは、式(I)の同じ化合物で修飾される。いくつかの実施形態において、アルギン酸塩中のいくらか又はすべてのモノマーは、式(I)の異なる化合物で修飾される。
【0123】
いくつかの実施形態において、粒子の第1の区画のポリマーは、式(I)の1つの化合物で修飾され、粒子の第2の区画のポリマーは、式(I)の異なる化合物で修飾される。いくつかの実施形態において、粒子は、式(I)の化合物で修飾されたポリマー及び非修飾ポリマー(例えば、式(I)の化合物で修飾されていないポリマー)の混合物を含む。いくつかの実施形態において、第1の区画は、式(I)の化合物で修飾されたポリマー及び非修飾ポリマー(例えば、式(I)の化合物で修飾されていないポリマー)の混合物を含む。いくつかの実施形態において、第2の区画は、式(I)の化合物で修飾されたポリマー及び非修飾ポリマー(例えば、式(I)の化合物で修飾されていないポリマー)の混合物を含む。
【0124】
本明細書に記載の粒子のポリマーは、ポリマーの1つ以上のモノマー上で、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩で修飾され得る。粒子の修飾ポリマーは、粒子の第1の(内側)区画、粒子の第2の(外側)区画、又は粒子の第1の(内側)及び第2の(外側)区画の両方に存在し得る。いくつかの実施形態において、修飾ポリマーは、第2の区画(外部粒子表面を含む)のみに存在する。いくつかの実施形態において、ポリマーの少なくとも0.5%のモノマーが、式(I)の化合物で修飾される(例えば、ポリマーの少なくとも1%、2.5%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、又はそれ以上のモノマーが、式(I)の化合物で修飾される)。いくつかの実施形態において、ポリマーの0.5%〜50%、10%〜90%、10%〜50%、又は25〜75%のモノマーが、式(I)の化合物で修飾される。いくつかの実施形態において、ポリマーの1%〜20%のモノマーが、式(I)の化合物で修飾される。いくつかの実施形態において、ポリマーの1%〜10%のモノマーが、式(I)の化合物で修飾される。
【0125】
いくつかの実施形態において、ポリマー(例えば、アルギン酸塩)(式(I)の化合物、例えば、表2の化合物101で修飾される場合)は、以下の値のいずれか:(i)重量基準で少なくとも0.1%、0.2%、0.5%、1.0%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、又は10%のN;(ii)0.1重量%〜10重量%、(iii)0.1重量%〜2重量%のN;(iv)2重量%〜4重量%のN;(v)4重量%〜8重量%のN;(vi)5重量%〜9重量%のN;(vii)6重量%〜9重量%のN、(viii)6重量%〜8重量%のN;(ix)7重量%〜9重量%のN;及び(x)8重量%〜9重量%のNの、(非修飾ポリマー、例えば、アルギン酸塩と比した)% Nの増加を含み、ここで、それぞれ、% Nは、燃焼分析(例えば、本明細書の実施例2に記載される)によって決定され、修飾ポリマー中の式(I)の化合物の量に相当する。
【0126】
粒子(例えば、その中の第1の区画又は第2の区画)は、粒子に特定の特徴を与える量で式(I)の化合物を含み得る。例えば、粒子表面(例えば、外側区画の外部)は、粒子が患者において抗線維性である(すなわち、異物反応を軽減する)ような式(I)の化合物の濃度又は密度を含み得る。実施形態において、粒子表面は、抗線維性−有効量の化合物101で化学修飾されたアルギン酸塩を含む。実施形態において、化合物101の抗線維性−有効量は、約0.5%〜2%、2%〜4%のN、約4%〜6%のN、約6%〜8%、又は約8%〜10%のN)の、(非修飾アルギン酸塩と比した)% Nの増加をもたらし、ここで、% Nは、燃焼分析(例えば、本明細書の実施例2に記載される)によって決定され、修飾アルギン酸塩中の化合物101の量に相当する。
【0127】
以下の実施例に記載されるように、2区画アルギン酸塩ヒドロゲルカプセルの外側区画中の式(I)の化合物の特定のより高い濃度は、おそらく、架橋に利用可能な、アルギン酸塩分子における部位の減少のため、カプセルの機械的強度を損なった。従って、実施形態において、粒子表面(例えば、外側区画の外部)は、粒子を抗線維性にするのに十分高いが、所望の機械的強度が達成されない閾値より低い、式(I)化合物の濃度又は密度を含み得る。実施形態において、所望の機械的強度は、以下のストレス因子のいずれか1つ以上に曝されたときに、その形状を維持し、及び/又は無傷に保つ粒子の能力を指す:(i)圧縮(例えば、一定の割合で);(ii)患者への投与(例えば、移植)中;及び(iii)所望の移植期間後。粒子の機械的強度は、患者における粒子の移植の前、及び/又は移植された粒子の回収後(例えば、移植の1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、12週間、又はより長い期間の後)に測定され得る。実施形態において、製造後であるが移植前に決定される粒子(例えば、ヒドロゲルカプセル)の所望の機械的強度は、テクスチャーアナライザを用いた破壊試験を行うことによって決定される。
【0128】
実施形態において、ヒドロゲルカプセルの機械的試験は、5kgのロードセルに取り付けられた5mmのプローブを用いてTA.XT plus Texture Analyzer(Stable Micro Systems,Surrey,United Kingdom)において行われる。個々のカプセルを、台の上に設置し、0.5mm/秒の一定速度で、プローブによって上から圧縮する。1gの反発力が測定されるとき、プローブとカプセルとの接触が検出される。プローブは、プローブ及び台の接触高さの間の距離の90%を移動し続けて、カプセルを破裂点まで圧縮する。プローブの圧縮力に対する抵抗性が測定され、プローブの移動の関数としてプロットされ得る(力対変位曲線)。典型的には、カプセルが完全に破裂する前に、それはわずかに破砕し、プローブに及ぼされる力がわずかに減少する。解析マクロが、0.25〜0.5gの減少が力対変位曲線において最初に起こったときを検出するようにプログラムされ得る。これが起こるときにプローブによってかけられる力は、初期破壊力と呼ばれる。実施形態において、本明細書に記載の粒子(例えば、2区画ヒドロゲルカプセル)の所望の機械的強度は、1、1.5、2、2.5又は3グラム超又は少なくとも2グラムの初期破壊力を有する。
【0129】
実施形態において、粒子の所望の機械的強度は、患者における移植後の所望の時点で無傷に保つ能力であり、例えば、患者から取り出されたヒドロゲルカプセルの外側及び内側区画の両方が、光学顕微鏡法によって、例えば、本明細書の実施例に記載されるような明視野イメージングによって、正常免疫能マウスからの回収後に、明らかに無傷である。
【0130】
実施形態において、粒子表面は、抗線維特性及び所望の機械的強度の両方を粒子に提供する量、例えば、以下の値のいずれか:(i)1重量%〜3重量%、(ii)2重量%〜4重量%のN;(iii)4重量%〜8重量%のN;(iv)5重量%〜9重量%のN;(v)6重量%〜9重量%のN、(vi)6重量%〜8重量%のN;(vii)7重量%〜9重量%のN;及び(ix)8重量%〜9重量%のNの、(非修飾アルギン酸塩と比した)% Nの増加をもたらす修飾アルギン酸塩中の化合物101の濃度又は密度の化合物101で化学修飾されたアルギン酸塩を含み;ここで、それぞれ、% Nは、燃焼分析(例えば、本明細書の実施例2に記載される)によって決定され、修飾アルギン酸塩中の式(I)の化合物の量に相当する。
【0131】
粒子(例えば、その中の第1の区画又は第2の区画)が、アルギン酸塩を含む場合、アルギン酸塩は、当該技術分野において公知の任意の好適な方法を用いて、式(I)の化合物で化学修飾され得る。例えば、アルギン酸塩カルボン酸部分は、式(I)の化合物で修飾されたアルギン酸塩を得るために、1つ以上のアミン官能化化合物への結合のために活性化され得る。アルギン酸塩ポリマーは、水(ポリマーのグラム当たり30mL)に溶解され、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン(0.5当量)及びN−メチルモルホリン(1当量)で処理され得る。この混合物に、緩衝液又は溶媒、例えばアセトニトリル(0.3M)に溶解された式(I)の化合物の溶液が加えられ得る。反応物が、例えば、16時間にわたって55℃に温められ、次に、室温に冷却され、回転蒸発によって濃縮され得る。次に、残渣が、緩衝液又は溶媒、例えば水に溶解され得る。次に、混合物は、例えば、シアノ修飾シリカゲル(Silicycle)の床に通してろ過され得、ろ過ケーキが水で洗浄され得る。次に、得られた溶液が、24時間にわたって緩衝液又は水に対して透析され得(10,000 MWCO膜)、例えば、緩衝液又は水を少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、又はそれ以上交換する。得られた溶液が、例えば、凍結乾燥によって濃縮されて、所望の化学修飾アルギン酸塩が得られる。
【0132】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子は、細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、治療薬(例えば、タンパク質又はポリペプチド、例えば、抗体、タンパク質、酵素、又は増殖因子)を生成するように組み換えられる。いくつかの実施形態において、細胞は、第1の区画と共に配置される。いくつかの実施形態において、細胞は、第2の区画内に配置される。いくつかの実施形態において、細胞は、第1の区画内に配置され、第2の区画は、細胞を含まない。粒子は、グルコースオキシダーゼ(例えば、グルコースセンサ用)、キナーゼ、ホスファターゼ、オキシゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ、レダクターゼなどの、タンパク質又はポリペプチドの活性又は不活性画分を含み得る。
【0133】
いくつかの実施形態において、粒子は、特定のサイズを超える材料が孔又は開口を通過するのを防ぐことが可能である。いくつかの実施形態において、粒子は、50kD、75kD、100kD、125kD、150kD、175kD、200kD、250kD、300kD、400kD、500kD、750kD、又は1,000kD超の材料が通過するのを防ぐことが可能である。
【0134】
本明細書に記載の粒子は、治療薬、例えば、外因性の物質、例えば、本明細書に記載の治療薬を放出するように構成され得る。いくつかの実施形態において、治療薬は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩である。いくつかの実施形態において、治療薬は生体材料である。いくつかの実施形態において、治療薬は、核酸(例えば、RNA若しくはDNA)、タンパク質(例えば、ホルモン、酵素、抗体、抗体画分、抗原、又はエピトープ)、小分子、脂質、薬物、ワクチン、又はそのいずれかの誘導体である。
【0135】
粒子(例えば、本明細書に記載される)は、患者への移植又は投与のための調製物又は組成物として提供され得る。いくつかの実施形態において、調製物又は組成物中の粒子の少なくとも20%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%が、例えば平均直径又は平均孔径といった本明細書に記載の特徴を有する。
【0136】
いくつかの実施形態において、粒子は、例えば神経系(例えば、末梢神経系(PNS)又は中枢神経系(CNS))、脈管系、骨格系、呼吸器系、内分泌系、リンパ系、生殖器系、又は胃腸管といった身体の特定の系を標的にするか又はそのような身体の特定の系に向けて設計される。いくつかの実施形態において、粒子は、CNSに標的化される。いくつかの実施形態において、粒子は、例えば、血液、眼、脳、皮膚、肺、胃、口、耳、脚、足、手、肝臓、心臓、腎臓、骨、膵臓、脾臓、大腸、小腸、脊髄、筋肉、卵巣、子宮、膣、又はペニスといった身体の特定の部分を標的にするか又はそのような身体の特定の部分に向けて設計される。
【0137】
粒子は、身体の任意の部位内又は部位上へのインプラント、又は移植又は配置のために構成され得る。いくつかの実施形態において、粒子は、患者の網、患者の皮下脂肪、又は患者の筋肉組織内へのインプラント、移植、又は配置のために構成される。粒子は、皮膚上又は中;粘膜表面、体腔、腹膜腔(例えば、網嚢);中枢神経系、例えば、腸又は脊髄;臓器、例えば、心臓、肝臓、腎臓、脾臓、肺、リンパ系、血管系、口腔、鼻腔、歯、歯茎、胃腸管;骨;股関節;脂肪組織;筋肉組織;循環血液;眼(例えば、眼内);乳房、膣;子宮、関節、例えば、膝関節若しくは股関節、又は脊椎へのインプラント、又は移植、又は配置のために構成され得る。
【0138】
いくつかの実施形態において、粒子は、腹膜腔(例えば、網)内へのインプラント又は移植又は配置のために構成される。いくつかの実施形態において、粒子は、網嚢(lesser sac)(網嚢(omental bursa)又は網嚢(bursalis omentum)としても知られている)内又は上へのインプラント又は移植又は配置のために構成される。網嚢は、網によって形成される、腹部に位置する空間を指し、例えば、大網、小網、胃、小腸、大腸、肝臓、脾臓、胃脾間膜、副腎、及び膵臓にごく近接している。典型的には、網嚢は、網嚢孔(すなわち、ウィンズロー孔)を介して大嚢に結合されている。いくつかの実施形態において、網嚢は、高濃度の脂肪組織を含む。粒子は、腹膜腔(例えば、網、例えば、網嚢)内に移植されるか、又は注入若しくはカテーテルによって腹膜腔(例えば、網、例えば、網嚢)内の表面に配置され得る。網(例えば、網嚢)内への粒子のインプラント又は配置についてのさらなる検討が、本明細書において参照によりその全体が援用される、M.Pellicciaro et al.(2017)CellR4 5(3):e2410に示されている。
【0139】
いくつかの実施形態において、粒子は、中枢神経系(CNS)、例えば、脳又は脊髄及びそれらの対応する組織及び体腔内へのインプラント又は移植又は配置のために構成される。脊椎動物において、CNSは、頭蓋腔及び脊柱管を含む背測腔内に含まれる。いくつかの実施形態において、粒子は、脳内腔、例えば、実質内腔、脳室内腔、又は硬膜下腔内へのインプラント又は移植又は配置のために構成される。粒子は、CNS内に移植されるか、又は頭蓋骨内に形成された孔を通してCNS内の表面に配置され、注入若しくはカテーテルによって送達され得る。
【0140】
いくつかの実施形態において、粒子は、眼内へのインプラント又は移植又は配置のために構成される。粒子のインプラント又は配置に好適な例示的な領域としては、網膜、角膜、上皮、房水、又は硝子体腔(vitreal space)などの、眼内の任意の表面又は空間が挙げられる。いくつかの実施形態において、粒子は、硝子体腔内へのインプラント又は移植又は配置のために構成される。粒子は、眼内に移植されるか、又は切開及び/又は注入によって、眼内の表面に配置され得る。
【0141】
いくつかの実施形態において、粒子は、例えば、患者の損傷を生じずに、又は周囲組織の崩壊をあまり生じずに、患者から容易に取り外し可能である。実施形態において、粒子は、例えば、低侵襲手術によるアプローチ、摘出、又は切除によって、周囲組織からの粒子の最小限の分離を伴って又は手術による分離を伴わずに取り外し可能である。
【0142】
粒子は、限定的に露出されるよう構成されていることが可能である(例えば、2日間、1日間、24時間、20時間、16時間、12時間、10時間、8時間、6時間、5時間、4時間、3時間、2時間、1時間未満又はそれ以下)。粒子は、持続的に露出されるよう構成されていることが可能である(例えば、少なくとも2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、1月間、2月間、3月間、4月間、5月間、6月間、7月間、8月間、9月間、10月間、11月間、12月間、13月間、14月間、15月間、16月間、17月間、18月間、19月間、20月間、21月間、22月間、23月間、24月間、1年間、1.5年間、2年間、2.5年間、3年間、3.5年間、4年間又はそれ以上)粒子は、永続的に露出されるよう構成されていることが可能である(例えば、少なくとも6月間、7月間、8月間、9月間、10月間、11月間、12月間、13月間、14月間、15月間、16月間、17月間、18月間、19月間、20月間、21月間、22月間、23月間、24月間、1年間、1.5年間、2年間、2.5年間、3年間、3.5年間、4年間又はそれ以上)。
【0143】
いくつかの実施形態において、粒子は、国際公開第2012/112982号パンフレット、国際公開第2012/167223号パンフレット、国際公開第2014/153126号パンフレット、国際公開第2016/019391号パンフレット、米国特許出願公開第2012−0213708号明細書、米国特許出願公開第2016−0030359号明細書、及び米国特許出願公開第2016−0030360号明細書のいずれかに開示されている粒子でない。
【0144】
[化合物]
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子は、式(I)の化合物を含む。いくつかの実施形態において、粒子の第1の区画及び/又は第2の区画は、式(I)の化合物:
【化4】
又はその薬学的に許容可能な塩を含み、式中、
Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−O−、−C(O)O−、−C(O)−、−OC(O)−、−N(R
C)−、−N(R
C)C(O)−、−C(O)N(R
C)−、−N(R
C)C(O)(C
1〜C
6−アルキレン)−、−N(R
C)C(O)(C
2〜C
6−アルケニレン)−、−N(R
C)N(R
D)−、−NCN−、−C(=N(R
C)(R
D))O−、−S−、−S(O)
x−、−OS(O)
x−、−N(R
C)S(O)
x−、−S(O)
xN(R
C)−、−P(R
F)
y−、−Si(OR
A)
2−、−Si(R
G)(OR
A)−、−B(OR
A)−、又は金属であり、これらの各々は、結合基(例えば、本明細書に記載の結合基)に任意選択により結合され、1個以上のR
1で任意選択により置換されており;
L
1及びL
3の各々は独立して、結合、アルキル、又はヘテロアルキルであり、ここで、アルキル及びヘテロアルキルの各々は、1個以上のR
2で任意選択により置換されており;
L
2は結合であり;
Mは、不在であるか、各々が1個以上のR
3で任意選択により置換されている、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;
Pは、不在であるか、各々が1個以上のR
4で任意選択により置換されている、シクロアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールであり;
Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、−OR
A、−C(O)R
A、−C(O)OR
A、−C(O)N(R
C)(R
D)、−N(R
C)C(O)R
A、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、1個以上のR
5で任意選択により置換されており;
R
A、R
B、R
C、R
D、R
E、R
F、及びR
Gの各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、アジド、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、1個以上のR
6で任意選択により置換されており;
又はR
C及びR
Dは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、1個以上のR
6で任意選択により置換されている環(例えば5〜7員環)を形成し;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6の各々は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、シアノ、アジド、オキソ、−OR
A1、−C(O)OR
A1、−C(O)R
B1、−OC(O)R
B1、−N(R
C1)(R
D1)、−N(R
C1)C(O)R
B1、−C(O)N(R
C1)、SR
E1、S(O)
xR
E1、−OS(O)
xR
E1、−N(R
C1)S(O)
xR
E1、−S(O)
xN(R
C1)(R
D1)、−P(R
F1)
y、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、1個以上のR
7で任意選択により置換されており;
R
A1、R
B1、R
C1、R
D1、R
E1、及びR
F1の各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールの各々は、1個以上のR
7で任意選択により置換されており;
各R
7は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシル、シクロアルキル、又はヘテロシクリルであり;
xは1又は2であり;
yは2、3、又は4である。
【0145】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I−a):
【化5】
の化合物又はその塩であり、式中、
Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−O−、−C(O)O−、−C(O)−、−OC(O)−、−N(R
C)−、−N(R
C)C(O)−、−C(O)N(R
C)−、−N(R
C)N(R
D)−、−N(R
C)C(O)(C
1〜C
6−アルキレン)−、−N(R
C)C(O)(C
2〜C
6−アルケニレン)−、−NCN−、−C(=N(R
C)(R
D))O−、−S−、−S(O)
x−、−OS(O)
x−、−N(R
C)S(O)
x−、−S(O)
xN(R
C)−、−P(R
F)
y−、−Si(OR
A)
2−、−Si(R
G)(OR
A)−、−B(OR
A)−、又は金属であり、これらの各々は、結合基(例えば、本明細書に記載の結合基)に任意選択により結合され、1個以上のR
1で任意選択により置換されており;
L
1及びL
3の各々は独立して、結合、アルキル、又はヘテロアルキルであり、ここで、アルキル及びヘテロアルキルの各々は、1個以上のR
2で任意選択により置換されており;
L
2は結合であり;
Mは、不在であるか、各々が1個以上のR
3で任意選択により置換されている、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;
Pは、1個以上のR
4で任意選択により置換されているヘテロアリールであり;
Zは、各々が1個以上のR
5で任意選択により置換されている、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;
R
A、R
B、R
C、R
D、R
E、R
F、及びR
Gの各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、アジド、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、1個以上のR
6で任意選択により置換されており;
又はR
C及びR
Dは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、1個以上のR
6で任意選択により置換されている環(例えば5〜7員環)を形成し;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6の各々は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、シアノ、アジド、オキソ、−OR
A1、−C(O)OR
A1、−C(O)R
B1、−OC(O)R
B1、−N(R
C1)(R
D1)、−N(R
C1)C(O)R
B1、−C(O)N(R
C1)、SR
E1、S(O)
xR
E1、−OS(O)
xR
E1、−N(R
C1)S(O)
xR
E1、−S(O)
xN(R
C1)(R
D1)、−P(R
F1)
y、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、1個以上のR
7で任意選択により置換されており;
R
A1、R
B1、R
C1、R
D1、R
E1、及びR
F1の各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールの各々は、1個以上のR
7で任意選択により置換されており;
各R
7は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシル、シクロアルキル、又はヘテロシクリルであり;
xは1又は2であり;
yは2、3、又は4である。
【0146】
いくつかの実施形態において、式(I)又は(I−a)について、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−O−、−C(O)O−、−C(O)−、−OC(O)−、−N(R
C)C(O)−、−N(R
C)C(O)(C
1〜C
6−アルキレン)−、−N(R
C)C(O)(C
1〜C
6−アルケニレン)−、又は−N(R
C)−である。いくつかの実施形態において、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−O−、−C(O)O−、−C(O)−、−OC(O)−、又は−N(R
C)−である。いくつかの実施形態において、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、−O−、−C(O)O−、−C(O)−、−OC(O−、又は−N(R
C)−である。いくつかの実施形態において、Aは、アルキル、−O−、−C(O)O−、−C(O)−、−OC(O)、又は−N(R
C)−である。いくつかの実施形態において、Aは、−N(R
C)C(O)−、−N(R
C)C(O)(C
1〜C
6−アルキレン)−、又は−N(R
C)C(O)(C
1〜C
6−アルケニレン)−である。いくつかの実施形態において、Aは−N(R
C)−である。いくつかの実施形態において、Aは−N(R
C)−であり、R
C及びR
Dは独立して、水素又はアルキルである。いくつかの実施形態において、Aは−NH−である。いくつかの実施形態において、Aは−N(R
C)C(O)(C
1〜C
6−アルキレン)−であり、ここで、アルキレンはR
1で置換されている。いくつかの実施形態において、Aは−N(R
C)C(O)(C
1〜C
6−アルキレン)−であり、R
1はアルキル(例えば、メチル)である。いくつかの実施形態において、Aは−NHC(O)CH(CH
3)
2−である。いくつかの実施形態において、Aは−N(R
C)C(O)(メチレン)−であり、R
1はアルキル(例えば、メチル)である。いくつかの実施形態において、Aは−NHC(O)CH(CH
3)−である。いくつかの実施形態において、Aは−NHC(O)C(CH
3)−である。
【0147】
いくつかの実施形態において、式(I)又は(I−a)について、L
1は結合、アルキル、又はヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、L
1は結合又はアルキルである。いくつかの実施形態において、L
1は結合である。いくつかの実施形態において、L
1はアルキルである。いくつかの実施形態において、L
1はC
1〜C
6アルキルである。いくつかの実施形態において、L
1は、−CH
2−、−CH(CH
3)−、−CH
2CH
2CH
2、又は−CH
2CH
2−である。いくつかの実施形態において、L
1は、−CH
2−又は−CH
2CH
2−である。
【0148】
いくつかの実施形態において、式(I)又は(I−a)について、L
3は結合、アルキル、又はヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、L
3は結合である。いくつかの実施形態において、L
3はアルキルである。いくつかの実施形態において、L
3はC
1〜C
12アルキルである。いくつかの実施形態において、L
3はC
1〜C
6アルキルである。いくつかの実施形態において、L
3は−CH
2−である。いくつかの実施形態において、L
3はヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、L
3は、1個以上のR
2(例えば、オキソ)で任意選択により置換されているC
1〜C
12ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、L
3は、1個以上のR
2(例えば、オキソ)で任意選択により置換されているC
1〜C
6ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、L
3は、−C(O)OCH
2−、−CH
2(OCH
2CH
2)
2−、−CH
2(OCH
2CH
2)
3−、CH
2CH
2O−、又は−CH
2O−である。いくつかの実施形態において、L
3は−CH
2O−である。
【0149】
いくつかの実施形態において、式(I)又は(I−a)について、Mは、不在、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Mはヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Mは不在である。いくつかの実施形態において、Mはアルキル(例えば、C
1〜C
6アルキル)である。いくつかの実施形態において、Mは−CH
2−である。いくつかの実施形態において、Mはヘテロアルキル(例えば、C
1〜C
6ヘテロアルキル)である。いくつかの実施形態において、Mは(−OCH
2CH
2−)zであり、ここで、zは、1〜10から選択される整数である。いくつかの実施形態において、zは、1〜5から選択される整数である。いくつかの実施形態において、Mは、−OCH
2CH
2−、(−OCH
2CH
2−)
2、(−OCH
2CH
2−)
3、(−OCH
2CH
2−)
4、又は(−OCH
2CH
2−)
5である。いくつかの実施形態において、Mは、−OCH
2CH
2−、(−OCH
2CH
2−)
2、(−OCH
2CH
2−)
3、又は(−OCH
2CH
2−)
4である。いくつかの実施形態において、Mは(−OCH
2CH
2−)
3である。いくつかの実施形態において、Mはアリールである。いくつかの実施形態において、Mはフェニルである。いくつかの実施形態において、Mは非置換フェニルである。いくつかの実施形態において、Mは
【化6】
である。いくつかの実施形態において、Mは、R
7(例えば、1個のR
7)で置換されているフェニルである。いくつかの実施形態において、Mは
【化7】
である。いくつかの実施形態において、R
7はCF
3である。
【0150】
いくつかの実施形態において、式(I)又は(I−a)について、Pは、不在、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Pは不在である。いくつかの実施形態において、式(I)及び(I−a)について、Pは、三環式、二環式、又は単環式ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Pは単環式ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Pは窒素含有ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Pは、単環式、窒素含有ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Pは5員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Pは5員窒素含有ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Pは、テトラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、又はトリアゾリル、ピロリル、オキサゾリル、又はチアゾリルである。いくつかの実施形態において、Pは、テトラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、又はトリアゾリル、又はピロリルである。いくつかの実施形態において、Pはイミダゾリルである。いくつかの実施形態において、Pは
【化8】
である。いくつかの実施形態において、Pはトリアゾリルである。いくつかの実施形態において、Pは1,2,3−トリアゾリルである。いくつかの実施形態において、Pは
【化9】
である。
【0151】
いくつかの実施形態において、Pはヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Pは、5員ヘテロシクリル又は6員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Pはイミダゾリジノニル(imidazolidinonyl)である。いくつかの実施形態において、Pは
【化10】
である。いくつかの実施形態において、Pはチオモルホリニル−1,1−ジオキシジルである。いくつかの実施形態において、Pは
【化11】
である。
【0152】
いくつかの実施形態において、式(I)又は(I−a)について、Zは、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Zはヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは、単環式又は二環式ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは、酸素含有ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは、4員ヘテロシクリル、5員ヘテロシクリル、又は6員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは6員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは、6員酸素含有ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zはテトラヒドロピラニルである。いくつかの実施形態において、Zは
【化12】
である。いくつかの実施形態において、Zは、4員酸素含有ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは
【化13】
である。
【0153】
いくつかの実施形態において、Zは、二環式酸素含有ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは無水フタル酸(phthalic anhydridyl)である。いくつかの実施形態において、Zは、硫黄含有ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは、6員硫黄含有ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは、窒素原子及び硫黄原子を含有する6員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zはチオモルホリニル−1,1−ジオキシジルである。いくつかの実施形態において、Zは
【化14】
である。いくつかの実施形態において、Zは窒素含有ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは6員窒素含有ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは
【化15】
である。
【0154】
いくつかの実施形態において、Zは二環式ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは、1個以上のR
5で任意選択により置換されている二環式窒素含有ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナニルである。いくつかの実施形態において、Zは
【化16】
である。いくつかの実施形態において、Zは1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オンである。いくつかの実施形態において、Zは
【化17】
である。
【0155】
いくつかの実施形態において、式(I)又は(I−a)について、Zはアリールである。いくつかの実施形態において、Zは単環式アリールである。いくつかの実施形態において、Zはフェニルである。いくつかの実施形態において、Zは単置換フェニル(例えば、1個のR
5により)である。いくつかの実施形態において、Zは単置換フェニルであり、ここで、1個のR
5は窒素含有基である。いくつかの実施形態において、Zは単置換フェニルであり、ここで、1個のR
5はNH
2である。いくつかの実施形態において、Zは単置換フェニルであり、ここで、1個のR
5は酸素含有基である。いくつかの実施形態において、Zは単置換フェニルであり、ここで、1個のR
5は酸素含有ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、Zは単置換フェニルであり、ここで、1個のR
5はOCH
3である。いくつかの実施形態において、Zは単置換フェニルであり、ここで、1個のR
5はオルト位にある。いくつかの実施形態において、Zは単置換フェニルであり、ここで、1個のR
5はメタ位にある。いくつかの実施形態において、Zは単置換フェニルであり、ここで、1個のR
5はパラ位にある。
【0156】
いくつかの実施形態において、式(I)又は(I−a)について、Zはアルキルである。いくつかの実施形態において、ZはC
1〜C
12アルキルである。いくつかの実施形態において、ZはC
1〜C
10アルキルである。いくつかの実施形態において、ZはC
1〜C
8アルキルである。いくつかの実施形態において、Zは、1〜5個のR
5で置換されたC
1〜C
8アルキルである。いくつかの実施形態において、Zは、1個のR
5で置換されたC
1〜C
8アルキルである。いくつかの実施形態において、Zは、1個のR
5で置換されたC
1〜C
8アルキルであり、ここで、R
5は、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、−OR
A1、−C(O)OR
A1、−C(O)R
B1、−OC(O)R
B1、又は−N(R
C1)(R
D1)である。いくつかの実施形態において、Zは、1個のR
5で置換されたC
1〜C
8アルキルであり、ここで、R
5は、−OR
A1又は−C(O)OR
A1である。いくつかの実施形態において、Zは、1個のR
5で置換されたC
1〜C
8アルキルであり、ここで、R
5は、−OR
A1又は−C(O)OHである。いくつかの実施形態において、Zは−CH
3である。
【0157】
いくつかの実施形態において、式(I)又は(I−a)について、Zはヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、ZはC
1〜C
12ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、ZはC
1〜C
10ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、ZはC
1〜C
8ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、ZはC
1〜C
6ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、Zは、1個以上のR
5で任意選択により置換された窒素含有ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、Zは、1〜5個のR
5で置換された窒素及び硫黄含有ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、Zは、N−メチル−2−(メチルスルホニル)エタン−1−アミニルである。
【0158】
いくつかの実施形態において、Zは、−OR
A又は−C(O)OR
Aである。いくつかの実施形態において、Zは、−OR
A(例えば、−OH又は−OCH
3)である。いくつかの実施形態において、Zは、OCH
3である。いくつかの実施形態において、Zは、−C(O)OR
A(例えば、−C(O)OH)である。
【0159】
いくつかの実施形態において、Zは水素である。
【0160】
いくつかの実施形態において、L
2は結合であり、P及びL
3は独立して、不在である。いくつかの実施形態において、L
2は結合であり、Pはヘテロアリールであり、L
3は結合であり、Zは水素である。いくつかの実施形態において、Pはヘテロアリールであり、L
3はヘテロアルキルであり、Zはアルキルである。
【0161】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I−b):
【化18】
の化合物又はその塩であり、式中、環M
1は、各々が1〜5個のR
3で任意選択により置換されている、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;環Z
1は、1〜5個のR
5で任意選択により置換されている、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり;R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dの各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、又はR
2a及びR
2b又はR
2c及びR
2dの各々は一緒になってオキソ基を形成し;Xは、不在、N(R
10)(R
11)、O、又はSであり;R
Cは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールの各々は、1〜6個のR
6で任意選択により置換されており;R
3、R
5、及びR
6の各々は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、シアノ、アジド、オキソ、−OR
A1、−C(O)OR
A1、−C(O)R
B1、−OC(O)R
B1、−N(R
C1)(R
D1)、−N(R
C1)C(O)R
B1、−C(O)N(R
C1)、SR
E1、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;R
10及びR
11の各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、−C(O)OR
A1、−C(O)R
B1、−OC(O)R
B1、−C(O)N(R
C1)、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;R
A1、R
B1、R
C1、R
D1、及びR
E1の各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールの各々は、1〜6個のR
7で任意選択により置換されており;各R
7は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシル、シクロアルキル、又はヘテロシクリルであり;各m及びnは独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;
【化19】
は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。いくつかの実施形態において、各R
3及びR
5について、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールの各々は、ハロゲン、オキソ、シアノ、シクロアルキル、又はヘテロシクリルで任意選択により及び独立して置換されている。
【0162】
いくつかの実施形態において、式(I−b)の化合物は、式(I−b−i):
【化20】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、環M
2は、1個以上のR
3で任意選択により置換されている、アリール又はヘテロアリールであり;環Z
2は、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dの各々は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり、又はR
2a及びR
2b又はR
2c及びR
2dの各々は一緒になってオキソ基を形成し;Xは、不在、O、又はSであり;各R
3及びR
5は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、−OR
A1、−C(O)OR
A1、又は−C(O)R
B1であり、ここで、アルキル及びヘテロアルキルの各々は、ハロゲンで任意選択により置換されており;又は2個のR
5は一緒になって、環Z
2に縮合した5〜6員環を形成し;各R
A1及びR
B1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;m及びnは各々独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;pは、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
【化21】
は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0163】
いくつかの実施形態において、式(I−b−i)の化合物は、式(I−b−ii):
【化22】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、環Z
2は、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり;R
2c及びR
2dの各々は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり、又はR
2c及びR
2dは一緒になってオキソ基を形成し;各R
3及びR
5は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、−OR
A1、−C(O)OR
A1、又は−C(O)R
B1であり、ここで、アルキル及びヘテロアルキルの各々は、ハロゲンで任意選択により置換されており;各R
A1及びR
B1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;p及びqは各々独立して、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
【化23】
は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0164】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I−c):
【化24】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、環Z
2は、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり;R
2c及びR
2dの各々は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり、又はR
2c及びR
2dは一緒になってオキソ基を形成し;各R
3及びR
5は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、−OR
A1、−C(O)OR
A1、又は−C(O)R
B1であり、ここで、アルキル及びヘテロアルキルの各々は、ハロゲンで任意選択により置換されており;各R
A1及びR
B1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;mは、1、2、3、4、5、又は6であり;p及びqは各々独立して、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
【化25】
は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0165】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I−d):
【化26】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、環Z
2は、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり;Xは、不在、O、又はSであり;R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dの各々は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり、又はR
2a及びR
2b又はR
2c及びR
2dの各々は一緒になってオキソ基を形成し;各R
5は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、−OR
A1、−C(O)OR
A1、又は−C(O)R
B1であり、ここで、アルキル及びヘテロアルキルの各々は、ハロゲンで任意選択により置換されており;各R
A1及びR
B1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;m及びnは各々独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;pは、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
【化27】
は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0166】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I−e):
【化28】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、環Z
2は、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり;Xは、不在、O、又はSであり;R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dの各々は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり、又はR
2a及びR
2b又はR
2c及びR
2dの各々は一緒になってオキソ基を形成し;各R
5は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、−OR
A1、−C(O)OR
A1、又は−C(O)R
B1であり;各R
A1及びR
B1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;m及びnは各々独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;pは、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
【化29】
は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0167】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I−f):
【化30】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、Mは、1個以上のR
3で任意選択により置換されているアルキルであり;環Pは、1個以上のR
4で任意選択により置換されているヘテロアリールであり;L
3は、1個以上のR
2で任意選択により置換されている、アルキル又はヘテロアルキルであり;Zは、各々が1個以上のR
5で任意選択により置換されている、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;R
2a及びR
2bの各々は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり、又はR
2a及びR
2bは一緒になってオキソ基を形成し;R
2、R
3、R
4、及びR
5の各々は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、−OR
A1、−C(O)OR
A1、又は−C(O)R
B1であり;各R
A1及びR
B1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;nは独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;
【化31】
は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0168】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(II):
【化32】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、Mは、結合、アルキル又はアリールであり、ここで、アルキル及びアリールは、1個以上のR
3で任意選択により置換されており;L
3は、1個以上のR
2で任意選択により置換されている、アルキル又はヘテロアルキルであり;Zは、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール又は−OR
Aであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、1個以上のR
5で任意選択により置換されており;R
Aは水素であり;R
2a及びR
2bの各々は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり、又はR
2a及びR
2bは一緒になってオキソ基を形成し;R
2、R
3、及びR
5の各々は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、−OR
A1、−C(O)OR
A1、又は−C(O)R
B1であり;各R
A1及びR
B1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;nは独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;
【化33】
は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0169】
いくつかの実施形態において、式(II)の化合物は、式(II−a):
【化34】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、L
3は、各々が1個以上のR
2で任意選択により置換されている、アルキル又はヘテロアルキルであり;Zは、水素、アルキル、ヘテロアルキル、又は−OR
Aであり、ここで、アルキル及びヘテロアルキルは、1個以上のR
5で任意選択により置換されており;R
2a及びR
2bの各々は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり、又はR
2a及びR
2bは一緒になってオキソ基を形成し;R
2、R
3、及びR
5の各々は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、−OR
A1、−C(O)OR
A1、又は−C(O)R
B1であり;R
Aは水素であり;各R
A1及びR
B1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;nは独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;
【化35】
は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0170】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(III):
【化36】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、Z
1は、各々が1〜5個のR
5で任意選択により置換されている、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dの各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;又はR
2a及びR
2b又はR
2c及びR
2dは一緒になってオキソ基を形成し;R
Cは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はヘテロアルキルであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はヘテロアルキルの各々は、1〜6個のR
6で任意選択により置換されており;R
3、R
5、及びR
6の各々は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、−OR
A1、−C(O)OR
A1、又は−C(O)R
B1であり;各R
A1及びR
B1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;m及びnは各々独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;qは、0〜25の整数であり;
【化37】
は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0171】
いくつかの実施形態において、式(III)の化合物は、式(III−a):
【化38】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、環Z
2は、各々が1〜5個のR
5で任意選択により置換されている、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dの各々は独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、ハロであり;又はR
2a及びR
2b又はR
2c及びR
2dは一緒になってオキソ基を形成し;R
3及びR
5の各々は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、−OR
A1、−C(O)OR
A1、又は−C(O)R
B1であり;各R
A1及びR
B1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;m及びnは各々独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;o及びpは各々独立して、0、1、2、3、4、又は5であり;qは、0〜25の整数であり;
【化39】
は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0172】
いくつかの実施形態において、式(III−a)の化合物は、式(III−b):
【化40】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、環Z
2は、各々が1〜5個のR
5で任意選択により置換されている、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dの各々は独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、ハロであり;又はR
2a及びR
2b又はR
2c及びR
2dは一緒になってオキソ基を形成し;R
3及びR
5の各々は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、−OR
A1、−C(O)OR
A1、又は−C(O)R
B1であり;各R
A1及びR
B1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;m及びnは各々独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;o及びpは各々独立して、0、1、2、3、4、又は5であり;qは、0〜25の整数であり;
【化41】
は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0173】
いくつかの実施形態において、式(III−a)の化合物は、式(III−c):
【化42】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、Xは、C(R’)(R”)、N(R’)、又はS(O)
xであり;R’及びR”の各々は独立して、水素、アルキル、ハロゲン、又はシクロアルキルであり;R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dの各々は独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、又はハロであり;又はR
2a及びR
2b又はR
2c及びR
2dは一緒になってオキソ基を形成し;R
3及びR
5の各々は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、−OR
A1、−C(O)OR
A1、又は−C(O)R
B1であり;各R
A1及びR
B1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;m及びnは各々独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;pは、0、1、2、3、4、又は5であり;qは、0〜25の整数であり;xは、0、1、又は2であり;
【化43】
は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0174】
いくつかの実施形態において、式(III−c)の化合物は、式(III−d):
【化44】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、Xは、C(R’)(R”)、N(R’)、又はS(O)
xであり;R’及びR”の各々は独立して、水素、アルキル、ハロゲン、又はシクロアルキルであり;R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dの各々は独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、又はハロであり;又はR
2a及びR
2b又はR
2c及びR
2dは一緒になってオキソ基を形成し;R
3及びR
5の各々は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、−OR
A1、−C(O)OR
A1、又は−C(O)R
B1であり;各R
A1及びR
B1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;m及びnは各々独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;pは、0、1、2、3、4、又は5であり;qは、0〜25の整数であり;xは、0、1、又は2であり;
【化45】
は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0175】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I)の化合物である。いくつかの実施形態において、L
2は結合であり、P及びL
3は独立して、不在である。
【0176】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I−a)の化合物である。式(II−a)のいくつかの実施形態において、L
2は結合であり、Pはヘテロアリールであり、L
3は結合であり、Zは水素である。いくつかの実施形態において、Pはヘテロアリールであり、L
3はヘテロアルキルであり、Zはアルキルである。いくつかの実施形態において、L
2は結合であり、P及びL
3は独立して、不在である。いくつかの実施形態において、L
2は結合であり、Pはヘテロアリールであり、L
3は結合であり、Zは水素である。いくつかの実施形態において、Pはヘテロアリールであり、L
3はヘテロアルキルであり、Zはアルキルである。
【0177】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I−b)の化合物である。いくつかの実施形態において、Pは不在であり、L
1は−NHCH
2であり、L
2は結合であり、Mはアリール(例えば、フェニル)であり、L
3は−CH
2Oであり、Zはヘテロシクリル(例えば、窒素含有ヘテロシクリル、例えば、チオモルホリニル−1,1−ジオキシド)である。いくつかの実施形態において、式(I−b)の化合物は、化合物116である。
【0178】
式(I−b)のいくつかの実施形態において、Pは不在であり、L
1は−NHCH
2であり、L
2は結合であり、Mは不在であり、L
3は結合であり、Zはヘテロシクリル(例えば、酸素含有ヘテロシクリル、例えば、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、オキセタニル、又はオキシラニル)である。いくつかの実施形態において、式(I−b)の化合物は、化合物105である。
【0179】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I−b−i)の化合物である。式(I−b−i)のいくつかの実施形態において、R
2a及びR
2bの各々は独立して、水素又はCH
3であり、R
2c及びR
2dの各々は独立して、水素であり、mは1又は2であり、nは1であり、XはOであり、pは0であり、M
2は、1個以上のR
3で任意選択により置換されているフェニルであり、R
3は−CF
3であり、Z
2はヘテロシクリル(例えば、酸素含有ヘテロシクリル、例えば、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、オキセタニル、又はオキシラニル)である。いくつかの実施形態において、式(I−b−i)の化合物は、化合物100、化合物106、化合物107、化合物108、化合物109、又は化合物111である。
【0180】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I−b−ii)の化合物である。式(I−b−ii)のいくつかの実施形態において、R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dの各々は独立して、水素であり、qは0であり、pは0であり、mは1であり、Z
2はヘテロシクリル(例えば、酸素含有ヘテロシクリル、例えば、テトラヒドロピラニル)である。いくつかの実施形態において、式(I−b−ii)の化合物は、化合物100である。
【0181】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I−c)の化合物である。式(I−c)のいくつかの実施形態において、R
2c及びR
2dの各々は独立して、水素であり、mは1であり、pは1であり、qは0であり、R
5は−CH
3であり、Zはヘテロシクリル(例えば、窒素含有ヘテロシクリル、例えば、ピペラジニル)である。いくつかの実施形態において、式(I−c)の化合物は、化合物113である。
【0182】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I−d)の化合物である。式(I−d)のいくつかの実施形態において、R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dの各々は独立して、水素であり、mは1であり、nは3であり、XはOであり、pは0であり、Zはヘテロシクリル(例えば、酸素含有ヘテロシクリル、例えば、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、オキセタニル、又はオキシラニル)である。いくつかの実施形態において、式(I−d)の化合物は、化合物110又は化合物114である。
【0183】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I−f)の化合物である。式(I−f)のいくつかの実施形態において、R
2a及びR
2bの各々は独立して、水素であり、nは1であり、Mは−CH
2−であり、Pは、窒素含有ヘテロアリール(例えば、イミダゾリル)であり、L
3は−C(O)OCH
2−であり、ZはCH
3である。いくつかの実施形態において、式(I−f)の化合物は、化合物115である。
【0184】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(II−a)の化合物である。式(II−a)のいくつかの実施形態において、R
2a及びR
2bの各々は独立して、水素であり、nは1であり、qは0であり、L
3は−CH
2(OCH
2CH
2)
2であり、Zは−OCH
3である。いくつかの実施形態において、式(II−a)の化合物は、化合物112である。
【0185】
式(II−a)のいくつかの実施形態において、R
2a及びR
2bの各々は独立して、水素であり、nは1であり、L
3は結合又は−CH
2であり、Zは水素又は−OHである。いくつかの実施形態において、式(II−a)の化合物は、化合物103又は化合物104である。
【0186】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(III)の化合物である。式(III)のいくつかの実施形態において、R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dの各々は独立して、水素であり、mは1であり、nは2であり、qは3であり、pは0であり、R
Cは水素であり、Z
1は、R
5(例えば、−N(CH
3)(CH
2CH
2)S(O)
2CH
3)で任意選択により置換されているヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、式(III)の化合物は、化合物120である。
【0187】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(III−b)の化合物である。式(III−b)のいくつかの実施形態において、R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dの各々は独立して、水素であり、mは0であり、nは2であり、qは3であり、pは0であり、Z
2は、1個のR
5(例えば、−NH
2)で置換されたアリール(例えば、フェニル)である。いくつかの実施形態において、式(III−b)の化合物は、化合物102である。
【0188】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(III−b)の化合物である。式(III−b)のいくつかの実施形態において、R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dの各々は独立して、水素であり、mは1であり、nは2であり、qは3であり、pは0であり、R
Cは水素であり、Z
2はヘテロシクリル(例えば、窒素含有ヘテロシクリル、例えば、窒素含有スピロヘテロシクリル、例えば、2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナニル)である。いくつかの実施形態において、式(III−b)の化合物は、化合物121である。
【0189】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(III−d)の化合物である。式(III−d)のいくつかの実施形態において、R
2a、R
2b、R
2c、及びR
2dの各々は独立して、水素であり、mは1であり、nは2であり、qは、1、2、3、又は4であり、pは0であり、XはS(O)
2である。式(III−d)のいくつかの実施形態において、R
2a及びR
2bの各々は独立して、水素であり、mは1であり、nは2であり、qは、1、2、3、又は4であり、pは0であり、XはS(O)
2である。いくつかの実施形態において、式(III−d)の化合物は、化合物101、化合物117、化合物118、又は化合物119である。
【0190】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I−b)、(I−d)、又は(I−e)の化合物である。いくつかの実施形態において、化合物は、式(I−b)、(I−d)、又は(II)の化合物である。いくつかの実施形態において、化合物は、式(I−b)、(I−d)、又は(I−f)の化合物である。いくつかの実施形態において、化合物は、式(I−b)、(I−d)、又は(III)の化合物である。
【0191】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、国際公開第2012/112982号パンフレット、国際公開第2012/167223号パンフレット、国際公開第2014/153126号パンフレット、国際公開第2016/019391号パンフレット、国際公開第2017/075630号パンフレット、米国特許出願公開第2012−0213708号明細書、米国特許出願公開第2016−0030359号明細書又は米国特許出願公開第2016−0030360号明細書に開示されている化合物でない。
【0192】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、表2に示される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子は、表2に示される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0193】
【表2】
【0194】
【表3】
【0195】
【表4】
【0196】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I)の化合物(例えば、式(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(II)、(II−a)、(III)、(III−a)、(III−b)、(III−c)、若しくは(III−d))、又はその薬学的に許容可能な塩であり、
【化46】
、又はその薬学的に許容可能な塩から選択される。
【0197】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子は、
【化47】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0198】
実施形態において、本明細書に記載の粒子は、アルギン酸塩ポリマーに共有結合される式(I)の化合物(例えば、表2に示される化合物)を含む。実施形態において、本明細書に記載の粒子は、例えば、アミド結合によって、アルギン酸塩ポリマー中の1つ以上のグルロン酸及び/又はマンヌロン酸モノマーに共有結合される式(I)の化合物(例えば、表2に示される化合物、例えば、化合物101)を含む。
【0199】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物(例えば、表2中の化合物101)は、以下の実施例に記載される窒素パーセントの燃焼分析によって決定した際に、少なくとも2.0%且つ9.0%未満の窒素、又は2.0%〜5%の窒素、3.0%〜8.0%の窒素、5%〜8.0%の窒素、4.0%〜7.0%の窒素、5.0%〜7.0%の窒素、又は6.0%〜7.0%の窒素又は約6.8%の窒素の結合密度で、アルギン酸塩(例えば、およそのMW<75kDa、G:M比≧1.5を有するアルギン酸塩)に共有結合される。
【0200】
[細胞]
本開示の粒子は、上皮細胞、内皮細胞、線維芽細胞、間葉系幹細胞、ケラチン生成細胞、膵島細胞、及び上記の細胞型のいずれかに由来する細胞を含む、多種多様な様々な細胞型(例えば、ヒト細胞)を含み得る。細胞は、幹細胞又は人工多能性幹細胞に由来し得る。例示的な細胞型としては、国際公開第2017/075631号パンフレットに記載されている細胞型が挙げられる。いくつかの実施形態において、細胞は、以下の表3に示される細胞株に由来する。
【0201】
【表5】
【0202】
いくつかの実施形態において、粒子は、本明細書において定義されるような膵島細胞を含まない。実施形態において、本開示の粒子に含まれる細胞、例えば、RPE細胞、MSFC(組み換えRPE細胞及びMSFCを含む)は、以下の特徴の1つ以上を有する:(i)糖尿病又はインスリンで処置され得る別の疾病若しくは状態を処置するのに有効な量で、インスリン(例えば、インスリンA鎖、インスリンB鎖、又はプロインスリン)を産生することが可能でない;(ii)グルコース応答的にインスリンを産生することが可能でない;又は(iii)分化したインスリン産生膵β細胞へと操作される誘導多能性細胞でない。
【0203】
実施形態において、本明細書に記載の粒子は、複数の細胞を含む。実施形態において、複数の細胞は、本明細書に記載の粒子内にカプセル化される前に、細胞懸濁液の形態である。懸濁液中の細胞は、(例えば、単層細胞培養物からの)単一細胞の形態を取り得、又は例えば、マイクロキャリア(例えば、ビーズ若しくはマトリックス)上に配置された、又は細胞の3次元凝集体(例えば、細胞クラスター又はスフェロイド)としての別の形態で提供され得る。細胞懸濁液は、複数の細胞クラスター(例えば、スフェロイドとして)又はマイクロキャリアを含み得る。
【0204】
いくつかの実施形態において、細胞は、例えば、国際公開第2017/075631号パンフレットに記載される疾病、障害、又は状態の予防又は処置のための治療薬を産生するように組み換えられている。治療薬は、核酸(例えば、ヌクレオチド、DNA、若しくはRNA)、ポリペプチド、脂質、糖(例えば、単糖、二糖、オリゴ糖、若しくは多糖)、又は小分子などの任意の生物学的物質であり得る。例示的な治療薬としては、国際公開第2017/075631号パンフレットに列挙されている薬剤が挙げられる。
【0205】
いくつかの実施形態において、治療薬は、ペプチド又はポリペプチド(例えば、タンパク質)、例えば、ホルモン、酵素、サイトカイン(例えば、炎症性サイトカイン又は抗炎症性サイトカイン)、増殖因子、凝固因子、又はリポタンパク質である。組み換え細胞によって産生される、ペプチド又はポリペプチド(例えば、タンパク質、例えば、ホルモン、増殖因子、凝固因子(clotting factor)又は凝固因子(coagulation factor)、抗体分子、酵素、サイトカイン、サイトカイン受容体、又はサイトカイン若しくはサイトカイン受容体を含むキメラタンパク質)は、天然のアミノ酸配列を有することができ、又は天然の配列の変異体を含み得る。変異体は、基準の天然の配列に対する、天然又は非天然のアミノ酸置換、突然変異、欠失又は付加であり得る。天然のアミノ酸配列は、多型変異体であり得る。天然のアミノ酸配列は、ヒト又は非ヒトアミノ酸配列であり得る。いくつかの実施形態において、天然のアミノ酸配列又はその天然の変異体は、ヒト配列である。さらに、本開示と共に使用するためのペプチド又はポリペプチド(例えば、タンパク質)は、何らかの方法で、例えば、化学又は酵素修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化)によって修飾され得る。いくつかの実施形態において、ペプチドは、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、45、又は50のアミノ酸を有する。いくつかの実施形態において、タンパク質は、5kD、10kD、25kD、50kD、100kD、150kD、200kD、250kD、500kD、又はそれ以上の平均分子量を有する。
【0206】
いくつかの実施形態において、タンパク質はホルモンである。例示的なホルモンとしては、抗利尿剤ホルモン(ADH)、オキシトシン、成長ホルモン(GH)、プロラクチン、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、サイロトロピン放出ホルモン(TRH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、チロキシン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、アルドステロン、コルチゾール、エピネフリン、グルカゴン、インスリン、エストロゲン、プロゲステロン、及びテストステロンが挙げられる。いくつかの実施形態において、タンパク質は、インスリン(例えば、インスリンA鎖、インスリンB鎖、又はプロインスリン)である。いくつかの実施形態において、タンパク質は、成長ホルモン、例えば、ヒト成長ホルモン(hGH)、組み換えヒト成長ホルモン(rhGH)、ウシ成長ホルモン、メチオニン−ヒト成長ホルモン、des−フェニルアラニンヒト成長ホルモン、及びブタ成長ホルモンである。
【0207】
いくつかの実施形態において、タンパク質は、増殖因子、例えば、血管内皮増殖因子(VEGF)、神経増殖因子(NGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮増殖因子(EGF)、形質転換増殖因子(TGF)、及びインスリン様増殖因子−I及び−II(IGF−I及びIGF−II)である。
【0208】
いくつかの実施形態において、タンパク質は、凝固因子(clotting factor)又は凝固因子(coagulation factor)、例えば、血液凝固因子(blood clotting factor)又は血液凝固因子(blood coagulation factor)である。いくつかの実施形態において、タンパク質は、凝固、すなわち、血液が液体から固体又はゲルへと変換される過程に関与するタンパク質である。例示的な凝固因子(clotting factor)及び凝固因子(coagulation factor)としては、第I因子(例えば、フィブリノゲン)、第II因子(例えば、プロトロンビン)、第III因子(例えば、組織因子)、第V因子(例えば、プロアクセレリン、不安定因子)、第VI因子、第VII因子(例えば、安定因子、プロコンバーチン)、第VIII因子(例えば、抗血友病因子A)、第VIIIC因子、第IX因子(例えば、抗血友病因子B)、第X因子(例えば、スチュアート・プロワー因子)、第XI因子(例えば、血漿トロンボプラスチン前駆物質)、第XII因子(例えば、ハーゲマン因子)、第XIII因子(例えば、フィブリン安定化因子)、フォン・ヴィレブランド因子、プレカリクレイン、ヘパリン補因子II、高分子量キニノーゲン(例えば、フィッツジェラルド因子)、抗トロンビンIII、及びフィブロネクチンが挙げられる。いくつかの実施形態において、タンパク質は、プロテインCなどの抗凝固因子である。
【0209】
いくつかの実施形態において、タンパク質は抗体分子である。本明細書において用いられるところ、「抗体分子」という用語は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメイン配列を含む、タンパク質、例えば、免疫グロブリン鎖又はその断片を指す。「抗体分子」という用語は、例えば、モノクローナル抗体(免疫グロブリンFc領域を有する完全長抗体を含む)を含む。実施形態において、抗体分子は、完全長抗体、又は完全長免疫グロブリン鎖を含む。実施形態において、抗体分子は、完全長抗体、又は完全長免疫グロブリン鎖の抗原結合若しくは機能的断片を含む。実施形態において、抗体分子は、単一特異性抗体分子であり、単一のエピトープに結合し、例えば、それぞれが同じエピトープに結合する複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を有する単一特異性抗体分子である。実施形態において、抗体分子は、多特異性抗体分子であり、例えば、それは、複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、ここで、複数のうちの第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第1のエピトープに対する結合特異性を有し、複数のうちの第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第2のエピトープに対する結合特異性を有する。実施形態において、第1及び第2のエピトープは、同じ抗原、例えば、同じタンパク質(又は多量体タンパク質のサブユニット)上にある。実施形態において、多特異性抗体分子は、第3、第4又は第5の免疫グロブリン可変ドメインを含む。実施形態において、多特異性抗体分子は、二重特異性抗体分子、三重特異性抗体分子、又は四重特異性抗体分子である。
【0210】
任意のクラスの全免疫グロブリン、その断片、及び抗体の抗原結合可変ドメインを少なくとも含む合成タンパク質を含む様々なタイプの抗体分子が、カプセル化組み換え細胞によって産生され得る。抗体分子は、抗体、例えば、IgG
1、IgG
2、IgG
3、又はIgG
4などのIgG抗体であり得る。抗体分子は、Fab断片、F(ab’)2断片、一本鎖可変領域などを含む抗原結合断片の形態であり得る。抗体は、ポリクローナル又はモノクローナル(mAb)であり得る。モノクローナル抗体は、それらが標的抗原に特異的に結合し、及び/又は所望の生物学的活性を示す限り、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種に由来するか又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は同種である一方、鎖の残りの部分が、別の種に由来するか又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は同種である「キメラ」抗体、並びにこのような抗体の断片を含み得る。いくつかの実施形態において、抗体分子は、単一ドメイン抗体(例えば、ナノボディ)である。記載される抗体はまた、所望の機能を仲介する際の抗体の有効性を高めるために、組み換え手段、例えばアミノ酸の欠失、付加又は置換によって修飾され得る。例示的な抗体としては、抗β−ガラクトシダーゼ、抗コラーゲン、抗CD14、抗CD20、抗CD40、抗HER2、抗IL−1、抗IL−4、抗IL6、抗IL−13、抗IL17、抗IL18、抗IL−23、抗IL−28、抗IL−29、抗IL−33、抗EGFR、抗VEGF、抗CDF、抗フラジェリン、抗IFN−α、抗IFN−β、抗IFN−γ、抗マンノース受容体、抗VEGF、抗TLR1、抗TLR2、抗TLR3、抗TLR4、抗TLR5、抗TLR6、抗TLR9、抗PDF、抗PD1、抗PDL−1、又は抗神経増殖因子抗体が挙げられる。いくつかの実施形態において、抗体は、抗神経増殖因子抗体(例えば、フルラヌマブ、ファシヌマブ、タネズマブ)である。
【0211】
いくつかの実施形態において、タンパク質は、例えば腫瘍壊死因子α及びβ、それらの受容体及びそれらの誘導体、レニンを含む、サイトカイン若しくはサイトカイン受容体、又はサイトカイン若しくはそれらの受容体を含むキメラタンパク質;リポタンパク質;コルヒチン;コルチコトロピン;バソプレシン;ソマトスタチン;リプレシン;パンクレオザイミン;ロイプロリド;α−1−アンチトリプシン;心房性ナトリウム利尿因子;肺表面活性剤;組織型プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)以外のプラスミノーゲン活性化因子、例えばウロキナーゼ;ボンベシン;トロンビン;エンケファリナーゼ;RANTES(活性化正常T細胞における発現及び分泌調節性(regulated on activation normally T−cell expressed and secreted));ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP−1−α);ヒト血清アルブミンなどの血清アルブミン;ミュラー管抑制因子;レラキシンA鎖;レラキシンB鎖;プロリラキシン(prorelaxin);マウスゴナドトロピン関連ペプチド;絨毛性ゴナドトロピン;β−ラクタマーゼなどの微生物タンパク質;DNase;インヒビン;アクチビン;ホルモン又は増殖因子の受容体;インテグリン;プロテインA又はD;リウマチ因子;血小板由来増殖因子(PDGF);上皮増殖因子(EGF);TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、TGF−β4、又はTGF−β5を含むTGF−α及びTGF−βなどの形質転換増殖因子(TGF);インスリン様増殖因子−I及び−II(IGF−I及びIGF−II);des(1−3)−IGF−I(脳IGF−I)、インスリン様増殖因子結合タンパク質;CD−3、CD−4、CD−8、及びCD−19などのCDタンパク質;エリスロポエチン;骨誘導因子;免疫毒素;インターフェロン−α(例えば、インターフェロン.α.2A)、−β、−γ、−λ及びコンセンサスインターフェロンなどのインターフェロン;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、M−CSF、GM−CSF、及びG−CSF;インターロイキン(IL)、例えば、IL−1〜IL−10;スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞受容体;表面膜タンパク質;崩壊促進因子;輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレシン;プロスタグランジンなどの生殖阻害剤;生殖促進剤;調節タンパク質;イムノアドヘシンなどの、抗体(その断片を含む)及びキメラタンパク質;これらの化合物の前駆体、誘導体、プロドラッグ及び類似体、並びにこれらの化合物、又はそれらの前駆体、誘導体、プロドラッグ及び類似体の薬学的に許容可能な塩である。好適なタンパク質又はペプチドは、天然又は組み換えであってもよく、例えば、融合タンパク質が挙げられる。
【0212】
本明細書に記載の粒子によって産生されるポリペプチド(例えば、タンパク質)の例としては、CCL1、CCL2(MCP−1)、CCL3(MIP−1α)、CCL4(MIP−1β)、CCL5(RANTES)、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9(CCL10)、CCL11、CCL12、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CXCL1(KC)、CXCL2(SDF1a)、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL8(IL8)、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CXCL17、CX3CL1、XCL1、XCL2、TNFA、TNFB(LTA)、TNFC(LTB)、TNFSF4、TNFSF5(CD40LG)、TNFSF6、TNFSF7、TNFSF8、TNFSF9、TNFSF10、TNFSF11、TNFSF13B、EDA、IL2、IL15、IL4、IL13、IL7、IL9、IL21、IL3、IL5、IL6、IL11、IL27、IL30、IL31、OSM、LIF、CNTF、CTF1、IL12a、IL12b、IL23、IL27、IL35、IL14、IL16、IL32、IL34、IL10、IL22、IL19、IL20、IL24、IL26、IL29、IFNL1、IFNL2、IFNL3、IL28、IFNA1、IFNA2、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNA8、IFNA10、IFNA13、IFNA14、IFNA16、IFNA17、IFNA21、IFNB1、IFNK、IFNW1、IFNG、IL1A(IL1F1)、IL1B(IL1F2)、IL1Ra(IL1F3)、IL1F5(IL36RN)、IL1F6(IL36A)、IL1F7(IL37)、IL1F8(IL36B)、IL1F9(IL36G)、IL1F10(IL38)、IL33(IL1F11)、IL18(IL1G)、IL17、KITLG、IL25(IL17E)、CSF1(M−CSF)、CSF2(GM−CSF)、CSF3(G−CSF)、SPP1、TGFB1、TGFB2、TGFB3、CCL3L1、CCL3L2、CCL3L3、CCL4L1、CCL4L2、IL17B、IL17C、IL17D、IL17F、AIMP1(SCYE1)、MIF、Areg、BC096441、Bmp1、Bmp10、Bmp15、Bmp2、Bmp3、Bmp4、Bmp5、Bmp6、Bmp7、Bmp8a、Bmp8b、C1qtnf4、Ccl21a、Ccl27a、Cd70、Cer1、Cklf、Clcf1、Cmtm2a、Cmtm2b、Cmtm3、Cmtm4、Cmtm5、Cmtm6、Cmtm7、Cmtm8、Crlf1、Ctf2、Ebi3、Edn1、Fam3b、Fasl、Fgf2、Flt3l、Gdf10、Gdf11、Gdf15、Gdf2、Gdf3、Gdf5、Gdf6、Gdf7、Gdf9、Gm12597、Gm13271、Gm13275、Gm13276、Gm13280、Gm13283、Gm2564、Gpi1、Grem1、Grem2、Grn、Hmgb1、Ifna11、Ifna12、Ifna9、Ifnab、Ifne、Il17a、Il23a、Il25、Il31、Iltifb、Inhba、Lefty1、Lefty2、Mstn、Nampt、Ndp、Nodal、Pf4、Pglyrp1、Prl7d1、Scg2、Scgb3a1、Slurp1、Spp1、Thpo、Tnfsf10、Tnfsf11、Tnfsf12、Tnfsf13、Tnfsf13b、Tnfsf14、Tnfsf15、Tnfsf18、Tnfsf4、Tnfsf8、Tnfsf9、Tslp、Vegfa、Wnt1、Wnt2、Wnt5a、Wnt7a、Xcl1、エピネフリン、メラトニン、トリヨードチロニン、プロスタグランジン、ロイコトリエン、プロスタサイクリン、トロンボキサン、膵島アミロイドポリペプチド、ミュラー管抑制因子又はホルモン、アディポネクチン、コルチコトロピン、アンジオテンシン、バソプレシン、アルギニンバソプレシン、アトリオペプチン、脳性ナトリウム利尿ペプチド、カルシトニン、コレシストキニン、コルチスタチン、エンケファリン、エンドセリン、エリスロポエチン、卵胞刺激ホルモン、ガラニン、消化管抑制ポリペプチド、ガストリン、グレリン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド−1、ゴナドトロピン放出ホルモン、ヘプシジン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト胎盤性ラクトーゲン、インヒビン、ソマトメジン、レプチン、リポトロピン、メラノサイト刺激ホルモン、モチリン、オレキシン、オキシトシン、膵臓ポリペプチド、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド、レラキシン、レニン、セクレチン、ソマトスタチン、トロンボポエチン、サイロトロピン、サイロトロピン放出ホルモン、血管作動性腸管ペプチド、アンドロゲン、α−グルコシダーゼ(酸性マルターゼとしても知られている)、グリコーゲンホスホリラーゼ、グリコーゲン脱分枝酵素、ホスホフルクトキナーゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼ、ホスホグリセリン酸ムターゼ、乳酸脱水素酵素、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ、カルニチン、及びミオアデニル酸デアミナーゼも挙げられる。
【0213】
いくつかの実施形態において、タンパク質は、補充療法又は補充タンパク質である。いくつかの実施形態において、補充療法又は補充タンパク質は、凝固因子(clotting factor)又は凝固因子(coagulation factor)、例えば、第VIII因子(例えば、天然のヒト第VIII因子アミノ酸配列若しくはその変異体を含む)又は第IX因子(例えば、天然のヒト第IX因子アミノ酸配列若しくはその変異体を含む)である。
【0214】
いくつかの実施形態において、細胞は、ヒト第VIII因子タンパク質、例えば、組み換え第VIII因子を発現するように組み換えられる。いくつかの実施形態において、組み換え第VIII因子は、Bドメイン欠失組み換え第VIII因子(FVIII−BDD)である。いくつかの実施形態において、細胞は、ヒトRPE細胞株に由来し、
図2Aに示されるFVIII−BDDアミノ酸配列(配列番号1)をコードする外因性の核酸配列を含む。
【0215】
いくつかの実施形態において、細胞は、FIX、例えば、野生型ヒトFIX、例えば、
図2Bに示されるもの(配列番号2)又はその多型変異体(例えば、配列番号2のアミノ酸位置148においてトレオニンと置換されるアラニン)を発現するように組み換えられる。いくつかの実施形態において、細胞は、野生型FIXタンパク質(FIX−GIF)の機能獲得(GIF)変異体を発現するように組み換えられ、ここで、GIF変異体は、対応する野生型FIXより高い比活性度を有する。いくつかの実施形態において、細胞は、ヒトRPE細胞株に由来し、配列番号2のアミノ酸位置338に対応する位置においてアルギニンと置換されるアミノ酸を有することを除いて、配列番号2をコードする外因性の核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、配列番号2のアミノ酸位置338に対応する位置における置換アミノ酸は、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン、ロイシン、リジン、又はチロシンである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子に含まれる細胞によってコードされるFIXタンパク質は、FIX−paduaタンパク質であり、配列番号36(
図17)を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0216】
いくつかの実施形態において、カプセル化細胞は、ヒトRPE細胞株に由来し、ポリペプチドのためのコード配列に動作可能に連結されるプロモータ配列(例えば、配列番号26のヌクレオチド337〜2069)を含む外因性の核酸配列を含む。実施形態において、コード配列は、
図17に示されるコドン最適化FVIII−BDDコード配列(配列番号9、10、11、12、13、14、15、16若しくは17)又は
図17に示されるコドン最適化FIX−paduaコード配列(配列番号19、20若しくは21)である。
【0217】
いくつかの実施形態において、カプセル化細胞は、ヒトRPE細胞株に由来し、配列番号1、2、3、4、5、6、7、29、30、31、32、33、34、35及び36からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に動作可能に連結されるプロモータ配列(例えば、配列番号23、又は配列番号23と少なくとも95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるヌクレオチド配列)を含む。
【0218】
いくつかの実施形態において、粒子は、2区画ヒドロゲルカプセルであり、内側区画が、約2000万個の細胞/ml〜約4000万個の細胞/mlを含むポリマー溶液から形成され、ここで、細胞は、ARPE−19細胞株に由来し、
図17に示されるコドン最適化FVIII−BDDコード配列に動作可能に連結される配列番号26のヌクレオチド337〜2069を含む。実施形態において、FVIII−BDDコード配列は、配列番号15である。
【0219】
いくつかの実施形態において、補充療法又は補充タンパク質は、酵素、例えば、α−ガラクトシダーゼ、α−L−イズロニダーゼ(IDUA)、又はN−スルホグルコサミンスルホヒドロラーゼ(SGSH)である。いくつかの実施形態において、補充療法又は補充タンパク質は、酵素、例えば、α−ガラクトシダーゼA(例えば、天然のヒトα−ガラクトシダーゼAアミノ酸配列又はその変異体を含む)である。いくつかの実施形態において、補充療法又は補充タンパク質は、サイトカイン又は抗体である。
【0220】
いくつかの実施形態において、治療薬は、糖、例えば、単糖、二糖、オリゴ糖、又は多糖である。いくつかの実施形態において、糖は、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、又はヘプトース部分を含む。いくつかの実施形態において、糖は、直鎖単糖又は環化単糖を含む。いくつかの実施形態において、糖は、グルコース、ガラクトース、フルクトース、ラムノース、マンノース、アラビノース、グルコサミン、ガラクトサミン、シアル酸、マンノサミン、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、又はグルロン酸部分を含む。いくつかの実施形態において、糖は、タンパク質に結合される(例えば、N−結合型グリカン又はO−結合型グリカン)。例示的な糖としては、グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、ラムノース、スクロース、リボース、キシロース、シアル酸、マルトース、アミロース、イヌリン、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナン、レクチン、ペクチン、デンプン、セルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸、キチン、アミロペクチン、又はグリコーゲンが挙げられる。いくつかの実施形態において、治療薬は、糖アルコールである。
【0221】
いくつかの実施形態において、治療薬は脂質である。脂質は、疎水性又は両親媒性であってもよく、リポソーム、小胞、若しくは膜などの三次構造を形成するか又はリポソーム、小胞、若しくは膜に挿入され得る。脂質は、脂肪酸、グリセロ脂質、グリセロリン脂質、ステロール脂質、プレノール脂質、スフィンゴ脂質、糖脂質、ポリケチド、又はスフィンゴ脂質を含み得る。カプセル化細胞によって産生される脂質の例としては、アナンダミド、ドコサヘキサエン酸、プロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサン、エイコサノイド、トリグリセリド、カンナビノイド、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、セラミド、スフィンゴミエリン、セレブロシド、ガングリオシド、エストロゲン、アンドロステロン、テストステロン、コレステロール、カロテノイド、キノン、ヒドロキノン、又はユビキノンが挙げられる。
【0222】
いくつかの実施形態において、治療薬は小分子である。小分子は、細胞によって産生される天然産物を含み得る。いくつかの実施形態において、小分子は、利用可能性が不十分であり、又はリピンスキーのルールオブファイブと適合しない(小分子がヒトにおける経口で有効な薬物である見込みがあるかどうかを推定するのに使用される一連の指針;例えば、Lipinski,C.A.et al(2001)Adv Drug Deliv 46:2−36を参照)。例示的な小分子天然産物としては、抗菌薬(例えば、カルモナム、ダプトマイシン、フィダキソマイシン、ホスホマイシン、イセパマイシン、ミクロノマイシン硫酸塩、ミオカマイシン、ムピロシン、ネチルマイシン硫酸塩、テイコプラニン、チエナマイシン、リファマイシン、エリスロマイシン、バンコマイシン)、抗寄生虫薬(例えば、アルテミシニン、イベルメクチン)、抗癌剤(例えば、ドキソルビシン、アクラルビシン、アミノレブリン酸、アルグラビン、オマセタキシンメペスクシナート、パクリタキセル、ペントスタチン、ペプロマイシン、ロミデプシン、トラベクテジン、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、クロモマイシンA、ダウノルビシン、ロイコボリン、ネオカルジノスタチン、ストレプトゾシン、トラベクテジン、ビンブラスチン、ビンクリスチン)、抗糖尿病薬(例えば、ボグリボース)、中枢神経系薬剤(例えば、L−ドパ、ガランタミン、ジコノチド)、スタチン(例えば、メバスタチン)、抗真菌薬(例えば、フマギリン、シクロスポリン)、1−デオキシノジリマイシン、及びテオフィリン、ステロール(コレステロール、エストロゲン、テストステロン)が挙げられる。さらなる小分子天然産物が、本明細書において参照によりその全体が援用される、Newman,D.J.and Cragg,M.(2016)J Nat Prod 79:629−661及びButler,M.S.et al(2014)Nat Prod Rep 31:1612−1661に記載されている。
【0223】
いくつかの実施形態において、細胞は、非タンパク質又は非ペプチド小分子を合成するように組み換えられる。例えば、実施形態において、組み換え細胞は、スタチン(例えば、タウロスタチン(taurostatin)、プラバスタチン、フルバスタチン、又はアトルバスタチン)を産生し得る。
【0224】
いくつかの実施形態において、治療薬は、抗原(例えば、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、植物抗原、環境抗原、又は腫瘍抗原)である。抗原は、免疫賦活性である、すなわち、免疫応答を刺激するか又はそれが由来する生物又は分子に対して有効な免疫を提供することが可能であると当業者によって認識される。抗原は、核酸、ペプチド、タンパク質、糖、脂質、又はこれらの組み合わせであり得る。
【0225】
細胞を含む粒子は、単一の治療薬又は複数の治療薬を産生し得る。複数の治療薬は、関連し得るか又は複合体を形成し得る。いくつかの実施形態において、細胞を含む粒子から分泌又は放出される治療薬は、活性形態である。いくつかの実施形態において、治療薬は、不活性形態で、例えば、プロドラッグとして、細胞を含む粒子から分泌又は放出される。後者の場合、治療薬は、酵素などの下流の薬剤によって活性化され得る。
【0226】
[処置方法]
第1の区画、第2の区画、及び式(I)の化合物を含む粒子(例えば、本明細書に記載される)、又はそれを含む組成物の投与又は移植によって、患者における疾病、障害、又は状態を予防又は処置するための方法が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、疾病、障害、又は状態の少なくとも1つの症状を直接又は間接的に低減又は軽減する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、疾病、障害、又は状態の発症を予防するか又は遅らせる。いくつかの実施形態において、患者はヒトである。
【0227】
いくつかの実施形態において、疾病、障害又は状態は、例えば神経系(例えば、末梢神経系(PNS)又は中枢神経系(CNS))、脈管系、骨格系、呼吸器系、内分泌系、リンパ系、生殖器系又は胃腸管といった身体の系に影響を及ぼす。いくつかの実施形態において、疾病、障害又は状態は、例えば、血液、眼、脳、皮膚、肺、胃、口、耳、脚、足、手、肝臓、心臓、腎臓、骨、膵臓、脾臓、大腸、小腸、脊髄、筋肉、卵巣、子宮、膣又はペニスといった身体の一部に影響を及ぼす。
【0228】
いくつかの実施形態において、疾病、障害又は状態は、神経変性疾患、糖尿病、心臓病、自己免疫疾患、癌、肝疾患、ライソゾーム蓄積症、血液凝固障害又は凝固障害、整形外科状態、アミノ酸代謝障害である。
【0229】
いくつかの実施形態において、疾病、障害又は状態は神経変性疾患である。例示的な神経変性疾患としては、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病(PD)筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)及び脳性麻痺(CP)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、神経核内封入体病(NIHID)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、ハラーフォルデン・シュパッツ症候群、プリオン病、嗜銀顆粒性認知症、大脳皮質基底核変性症、パンチドランカー、びまん性神経原線維変化病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、クロイツフェルト・ヤコブ病、ニーマン・ピック病3型、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、脊髄小脳失調症、ピック病及び歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症が挙げられる。
【0230】
いくつかの実施形態において、疾病、障害又は状態は、例えば、強皮症、多発性硬化症、狼瘡又は過敏症といった自己免疫疾患である。
【0231】
いくつかの実施形態において、疾病は、例えば、B型肝炎、C型肝炎、肝硬変、NASHといった肝臓病である。
【0232】
いくつかの実施形態において、疾病、障害又は状態は癌である。例示的な癌としては、白血病、リンパ腫、メラノーマ、肺癌、脳癌(例えば、グリア芽細胞腫)、肉腫、膵癌、腎臓癌、肝臓癌、精巣癌、前立腺癌又は子宮癌が挙げられる。
【0233】
いくつかの実施形態において、疾病、障害又は状態は整形外科状態である。例示的な整形外科状態としては、骨粗鬆症、骨壊死、パジェット病又は骨折が挙げられる。
【0234】
いくつかの実施形態において、疾病、障害又は状態はライソゾーム蓄積症である。例示的なライソゾーム蓄積症としては、ゴーシェ病(例えば、タイプI、タイプII、タイプIII)、テイザックス病、ファブリー病、ファーバー病、ハーラー症候群(ムコ多糖症I型(MPS I)としても知られる)、ハンター症候群、ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症、ニーマン・ピック病、サラ病、サンフィリポ症候群(ムコ多糖症IIIA型(MPS3A)としても知られる)、多発性スルファターゼ欠損症、マロトー・ラミー症候群、異染性白質萎縮症、クラッベ病、シャイエ症候群、ハーラー・シャイエ症候群、スライ症候群、ヒアルロニダーゼ欠損症、ポンペ病、ダノン病、ガングリオシド蓄積症又はモルキオ症候群が挙げられる。
【0235】
いくつかの実施形態において、疾病、障害又は状態は、血液凝固障害又は凝固障害である。例示的な血液凝固障害又は凝固障害としては、血友病(例えば、血友病A又は血友病B)、ヴォン・ヴィレブランド病、血小板減少症、尿毒症、ベルナール・スーリエ症候群、第XII因子欠乏症、ビタミンK欠乏症又は先天性無フィブリノゲン血症が挙げられる。
【0236】
いくつかの実施形態において、疾病、障害又は状態は、例えば、フェニルケトン尿症、チロシン血症(例えば、タイプ1又はタイプ2)、アルカプトン尿症、ホモシスチン尿症、高ホモシステイン血症、カエデ糖症といったアミノ酸代謝障害である。
【0237】
いくつかの実施形態において、疾病、障害又は状態は、例えば、高脂血症、高コレステロール血症、ガラクトース血症といった脂肪酸代謝疾患である。
【0238】
いくつかの実施形態において、疾病、障害、又は状態は、プリン又はピリミジン代謝障害、例えば、レッシュ・ナイハン症候群である。
【0239】
いくつかの実施形態において、疾病、障害、又は状態は、糖尿病(例えば、1型又は2型糖尿病)である。
【0240】
本開示は、本明細書に記載の疾病、障害、又は状態に罹患しているか又は罹患している疑いのある患者を同定するための方法をさらに含み、このような同定の後、第1の区画、第2の区画、及び式(I)の化合物を含む粒子(例えば、本明細書に記載される)、又はこのような粒子を含む組成物を患者に投与する。実施形態において、患者はヒトである。
【0241】
[医薬組成物、キット、及び投与]
本開示は、本明細書に記載の粒子を含む医薬組成物、並びにそのキットをさらに含む。
【0242】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、第1の区画、第2の区画、及び式(I)の化合物を含む粒子、並びに薬学的に許容可能な賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物中の粒子は、細胞(例えば、ヒト細胞、例えば、組み換えヒト細胞)及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、粒子は、医薬組成物中において有効量で提供される。いくつかの実施形態において、有効量は治療的有効量である。いくつかの実施形態において、有効量は予防的有効量である。
【0243】
本明細書に記載の医薬組成物は、薬理学の技術分野において公知であるいずれかの方法によって調製可能である。一般に、このような調製方法は、粒子(例えば、粒子、すなわち、「有効成分」をカプセル化するヒドロゲルカプセル)と、キャリア、及び/又は1種以上の他の補助成分とを付随させるステップ、並びに次いで、必要である及び/又は所望される場合、生成物を所望の単一投与又は多投与量単位に成型及び/又はパッケージングするステップを含む。
【0244】
薬学組成物は、単一の単位投与量及び/又は複数の単一単位投与量として、調製、パッケージ化、及び/又は、原体で販売されることが可能である。本明細書において用いられるところ、「単位投与量」は、所定の量の活性成分を含む薬学組成物の個別の量である。活性成分の量(すなわち、粒子の数)は一般に、患者に投与されることとなる活性成分の投与量、及び/又は、このような投与量の簡便な画分(例えばこのような投与量の半分若しくは三分の一など)と等しい。
【0245】
本開示の薬学組成物中の活性成分、薬学的に許容可能な賦形剤、及び/又は、いずれかの追加の成分の相対量は、処置される患者のアイデンティティ、サイズ及び/又は状態に応じて、並びに、さらに、組成物が投与される経路に応じて様々であろう。一例として、組成物は、0.1%〜100%(w/w)の活性成分を含み得る。
【0246】
「薬学的に許容可能な賦形剤」という用語は、一緒に配合される化合物の薬理学的活性を破壊しない無毒性のキャリア、助剤、希釈剤、又はビヒクルを指す。本開示の医薬組成物の製造に有用な薬学的に許容可能な賦形剤は、医薬製剤の技術分野において周知であるもののいずれかであり、不活性希釈剤、分散剤及び/又は造粒剤、表面活性剤及び/又は乳化剤、崩壊剤、結合剤、防腐剤、緩衝剤、平滑剤、及び/又は油が挙げられる。本開示の医薬組成物の製造に有用な薬学的に許容可能な賦形剤としては、限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩又は電解質、例えば、プロタミン硫酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール及び羊毛脂が挙げられる。
【0247】
本明細書に記載の粒子は、経口的、非経口的(皮下、筋肉内、及び皮内を含む)、局所的、直腸的、経鼻的、腫瘍内、髄腔内、口腔内、腟内に、又は移植されたレザバーを介して、投与され得る。いくつかの実施形態において、提供される粒子又は組成物は、皮下に又はインプラントによって投与可能である。
【0248】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子及び関連する組成物は、粘膜表面又は体腔などの、身体の特定の領域内又は領域上に投与又は移植され得る。投与又は移植の例示的な部位としては、腹膜腔(例えば、小腹膜嚢)、脂肪組織、心臓、眼、筋肉、脾臓、リンパ節、食道、鼻、副鼻腔、歯、歯茎、舌、口、のど、小腸、大腸、甲状腺、骨(例えば、股関節又は関節)、乳房、軟骨、膣、子宮、卵管、卵巣、陰茎、精巣、血管、肝臓、腎臓、中枢神経系(例えば、脳、脊髄、神経)、又は耳(例えば、蝸牛)が挙げられる。
【0249】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子及び関連する組成物は、中枢神経系、例えば、脳、脊髄、神経以外の部位において投与又は移植される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子及び関連する組成物は、眼(例えば、網膜)以外の部位において投与又は移植される。
【0250】
本開示の組成物の無菌注射液形態は、水性又は油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、技術分野において公知である技術に従い、好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて配合され得る。無菌注射調製物はまた、無毒性で許容可能な非経口希釈剤又は溶剤中の無菌注射溶液又は懸濁液(例えば1,3−ブタンジオール中の溶液として)であり得る。ビヒクル及び溶剤のうち、利用され得る許容可能なものは、水、リンゲル溶液及び等張性の塩化ナトリウム溶液である。加えて、無菌の不揮発性油が、溶剤又は懸濁媒として簡便に利用される。
【0251】
眼科用途のためには、提供される薬学的に許容可能な組成物は、微粉化懸濁液として配合され得るか、又はワセリンなどの軟膏剤中に配合され得る。
【0252】
本明細書において提供される薬学組成物の説明は主にヒトへの投与に好適である薬学組成物に関するものであるが、このような組成物は一般に、すべての種類の動物に対する投与に好適であることは当業者によって理解されるであろう。組成物を種々の動物への投与に好適なものとするためのヒトへの投与に好適な薬学組成物の変更は十分に理解されており、通常の知識を有する獣医学薬理学者は、通常の実験によってこのような変更を設計及び/又は実施することが可能である。
【0253】
本明細書に記載の粒子及び関連する組成物は、投与の容易さ及び投与量の均一性のために、投与量単位形態(例えば、単一単位剤形)で配合され得る。しかしながら、本開示の組成物の合計投与量及び使用レジメンは、担当医師によって適切な医学的良識の範囲内で決定されることとなることが理解されるであろう。いずれかの特定の患者又は生体に係る特定の治療的に有効な投与量レベルは、処置される疾病及び障害の重症度;利用される特定の活性成分の活性;利用される特定の組成物;患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別及び規定食;利用される特定の活性成分の投与時間、投与経路及び排泄速度;処置期間;利用される特定の活性成分と組み合わされて、又は、同時に用いられる薬物;並びに、医学的技術分野において周知である同様の要因を含む多様な要因に応じることとなる。
【0254】
有効量を達成するために必要とされる治療の正確な量は、例えば患者の種、年齢及び全体的な状態、副作用又は疾患の重症度、特定の粒子のアイデンティティ、投与形態等に応じて、患者毎に様々となる。所望される投与量は、1日に3回、1日に2回、1日に1回、2日に1回、3日に1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回、送達可能である。一定の実施形態において、所望される投与量は、多投与(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14回又はそれ以上の投与)を用いて送達可能である。
【0255】
本明細書に記載の粒子及び関連する組成物が、1種以上の追加の薬学的薬剤と併用して投与され得ることが理解されるであろう。粒子又は組成物は、それらのバイオアベイラビリティを向上させ、それらの代謝を低下させ、及び/又は調節し、それらの排出を抑制し、及び/又は身体内におけるそれらの分布を調節する追加の薬学的薬剤と併用して投与され得る。用いられる療法が、同じ障害に対して所望の効果を達成し得、及び/又はそれが、異なる効果を達成し得ることも理解されるであろう。
【0256】
キット(例えば、医薬品包装)も本開示によって包含される。本発明に係るキットは、本明細書に記載の疾病、障害又は状態のいずれかを予防及び/又は処置するのに有用であり得る。提供されるキットは、本発明に記載の医薬組成物又は粒子及び容器(例えば、バイアル、アンプル、瓶、シリンジ、及び/又はディスペンサーパッケージ、又は他の好適な容器)を含み得る。いくつかの実施形態において、提供されるキットは、本発明に係る医薬組成物又は本発明に記載の粒子の希釈又は懸濁のための医薬品用賦形剤を含む第2の容器を任意選択によりさらに含み得る。いくつかの実施形態において、容器及び第2の容器中で提供される本発明に係る医薬組成物又は本発明に記載の粒子は、組み合わされて、1つの単位剤形が形成される。
【0257】
[粒子を作製する方法]
本開示は、本明細書に記載の粒子、例えば、第1の区画、第2の区画、及び式(I)の化合物を含む粒子を作製するための方法をさらに含む。粒子がヒドロゲルカプセルであるいくつかの実施形態において、粒子を作製する方法は、第1及び第2のポリマー溶液(例えば、それぞれヒドロゲル形成ポリマーを含む)を含む複数の液滴を、水性架橋溶液と接触させることを含む。液滴は、当該技術分野において公知の任意の技術を用いて形成され得る。
【0258】
本明細書に記載の粒子の各区画は、非修飾ポリマー、式(I)の化合物で修飾されたポリマー、又はそのブレンドを含み得る。簡潔に述べると、2区画ヒドロゲルカプセルとして構成される粒子を調製する方法を実施する際、ある体積の第1のポリマー溶液(例えば、非修飾ポリマー、式(I)の化合物で修飾されたポリマー、又はそのブレンドを含み、任意選択により細胞を含む)が、同心針の内腔に連結された第1のシリンジに充填される。次に、第1のシリンジは、架橋剤、緩衝液、及び浸透圧調整剤を含む水性架橋溶液を含む容器の上に垂直に配向されたシリンジポンプに連結され得る。ある体積の第2のポリマー溶液(例えば、非修飾ポリマー、式(I)の化合物で修飾されたポリマー、又はそのブレンドを含み、任意選択により細胞を含む)が、同心針の外腔に連結される第2のシリンジに充填される。次に、第2のシリンジは、架橋溶液を含む容器に対して水平に配向されたシリンジポンプに連結され得る。次に、高電圧発電機が、針の上部及び下部に連結され得る。次に、シリンジポンプ及び発電機を用いて、ポリマー溶液の所望の滴下速度を達成するように決定された設定で、シリンジを通して第1及び第2のポリマー溶液を架橋溶液中に押し出すことができる。当業者は、カプセルの大部分(例えば、少なくとも80%、85%、90%又はそれ以上)が目標サイズの10%以内であり、球体様の形状を有する2区画ヒドロゲルカプセル組成物を生成するための、針内腔サイズ、電圧範囲、流量、滴下速度及び落下距離の様々な組み合わせを容易に決定し得る。第1及び第2の体積のポリマー溶液を使い果たした後、液滴は、一定の時間、例えば、約5分間にわたって、架橋溶液中で架橋させられ得る。
【0259】
ミリカプセル(例えば、直径1.5mmのミリカプセル)の組成物を調製するための例示的なプロセスパラメータとしては、以下が挙げられる。同心針は、針先端から溶液表面までの落下距離を提供するのに十分な距離で、架橋溶液の表面の上に配置される。実施形態において、針先端と溶液表面との間の距離は、1〜5cmである。実施形態において、第1及び第2のポリマー溶液は、0.05mL/分〜5mL/分、又は0.05mL/分〜2.5mL/分、又は0.05mL/分〜約1mL/分、又は0.05mL/分〜0.5mL/分、又は0.1mL/分〜0.5mL/分の総流量で、針を通して押し出される。実施形態において、第1及び第2のポリマー溶液は、約0.05mL/分、0.1mL/分、0.15mL/分、0.2mL/分、0.25mL/分、0.3mL/分、0.35mL/分、0.4mL/分、0.45mL/分、又は0.5mL/分の総流量で、針を通して押し出される。実施形態において、針を通る第1及び第2のポリマー溶液の流量は、実質的に同じである。実施形態において、針を通る第1及び第2のポリマー溶液の流量は、異なる。
【0260】
実施形態において、機器の電圧は、1kV〜20kV、又は1〜15kV、又は1kV〜10kV、又は5kV〜10kVである。電圧は、所望の滴下速度に達するまで調整され得る。実施形態において、機器の滴下速度は、1滴/10秒〜50滴/10秒、又は1滴/10秒〜25滴/10秒である。
【0261】
実施形態において、架橋溶液の表面上の非粒子破片の数が決定される。次に、例えば、元の架橋容器の溶液表面上に非粒子破片を残して、粒子を含む架橋溶液を別の容器に移すことによって、架橋容器の底に落下した粒子が収集され得る。次に、取り出された粒子が、沈降され得、架橋溶液が除去され得、次に、粒子は、緩衝液(例えば、HEPES緩衝液)で1回以上洗浄され得る。実施形態において、得られた粒子組成物(例えば、粒子の調製物)の1つ以上のアリコートが、組成物の品質、例えば、粒子欠陥及びサテライト粒子の数を評価するために、顕微鏡検査によって調べられる。
【0262】
いくつかの実施形態において、架橋溶液は、プロセス添加剤(例えば、親水性、非イオン性界面活性剤)をさらに含む。プロセス添加剤は、架橋溶液の表面張力を低下させ得る。本開示におけるプロセス添加剤として有用な薬剤としては、ポリソルベート系界面活性剤、ポリエチレンオキシド(PEO)及びポリプロピレンオキシド(PPO)のコポリマー、ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)(PEO−PPO−PEO)トリブロックコポリマー、及び非イオン性界面活性剤、例えば、Tween(登録商標)20、Tween(登録商標)80、Triton(商標)X−100、IGEPA(登録商標)CA−630、ポロキサマー188、若しくはポロキサマー407、又は直後の例示的な界面活性剤の表に列挙される実質的に同じ化学的及び物理的特性を有する界面活性剤が挙げられる。
【0263】
【表6】
【0264】
いくつかの実施形態において、プロセス添加剤は、非イオン性界面活性剤である。実施形態において、プロセス添加剤は、2つ以上の界面活性剤、例えば、2つ以上の親水性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、プロセス添加剤は、Tween(登録商標)20(ポリソルベート20)又はTriton(商標)X−100を含まない。実施形態において、プロセス添加剤は、IGEPAL(登録商標)CA−630(ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート)である。いくつかの実施形態において、プロセス添加剤は、ポロキサマー188である。
【0265】
いくつかの実施形態において、プロセス添加剤(例えば、界面活性剤)は、少なくとも0.0001%以上の濃度で架橋溶液中に存在する。いくつかの実施形態において、架橋溶液は、少なくとも0.001%、0.01%、又は0.1%のプロセス添加剤を含む。いくつかの実施形態において、プロセス添加剤は、約0.001%〜約0.1%、約0.005%〜約0.05%、約0.005%〜約0.01%、及び約0.01%〜約0.5%から選択される濃度で存在する。実施形態において、プロセス添加剤は、界面活性剤であり、この界面活性剤の臨界ミセル濃度未満の濃度で存在する。
【0266】
いくつかの実施形態において、架橋剤は、単一のタイプ又は異なるタイプの混合の二価カチオン、例えば、Ba
2+、Ca
2+、Sr
2+の1つ以上を含む。いくつかの実施形態において、架橋剤は、例えば、1mM〜100mM又は7.5mM〜20mMの濃度のBaCl
2である。いくつかの実施形態において、架橋剤は、例えば、50mM〜100mMの濃度のCaCl
2である。いくつかの実施形態において、架橋剤は、例えば、37.5mM〜100mMの濃度のSrCl
2である。いくつかの実施形態において、架橋剤は、BaCl
2(例えば、5mM〜20mM)及びCaCl
2(例えば、37.5mM〜12.5mM)の混合物、又はBaCl
2(例えば、5mM〜20mM)及びSrCl
2(例えば、37.5mM〜12.5mM)の混合物である。
【0267】
いくつかの実施形態において、架橋剤は、SrCl
2であり、プロセス添加剤は、0.1%未満、例えば、約0.005%〜0.05%、約0.005%〜約0.01%の濃度のTween(登録商標)80(又は例示的な界面活性剤の表に列挙される実質的に同じ化学的及び物理的特性を有する界面活性剤)である。いくつかの実施形態において、SrCl
2の濃度は約50mMである。いくつかの実施形態において、架橋剤は、SrCl
2であり、プロセス添加剤は、1%の濃度のポロキサマー188である。
【0268】
水性架橋溶液中の緩衝液のタイプ及び濃度は、溶液pHをほぼ中性、例えば、約6.5〜約7.5、約7.0〜約7.5、又は約7.0に維持するように選択される。実施形態において、緩衝液は、粒子、例えば、細胞内にカプセル化される生体材料と適合する。いくつかの実施形態において、水性架橋溶液中の緩衝液は、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)を含む。
【0269】
水性架橋溶液中の浸透圧調整剤は、ポリマー溶液(いくつかの実施形態において、細胞の懸濁液を含む)の浸透圧、例えば、最大で20%、10%又は5%の上変動又は下変動を有する浸透圧と同様の値に溶液浸透圧を維持するように選択される。いくつかの実施形態において、浸透圧剤は、0.1M〜0.3Mの濃度のマンニトールである。
【0270】
いくつかの実施形態において、架橋溶液は、25mMのHEPES緩衝液、20mMのBaCl
2、0.2Mのマンニトール及び0.01%のポロキサマー188を含む。
【0271】
いくつかの実施形態において、架橋溶液は、50mMの塩化ストロンチウム六水和物、0.165Mのマンニトール、25mMのHEPES、及び0.01%の、Tween 80の代わりに例示的な界面活性剤の表に列挙される実質的に同じ化学的及び物理的特性を有する界面活性剤を含む。
【0272】
実施形態において、プロセス添加剤は、ポロキサマー188であり、これは、洗浄ステップ後に検出可能な量で粒子組成物(例えば、粒子の調製物)中に存在する。ポロキサマー188は、当該技術分野において公知の任意の技術によって、例えば、硫酸ナトリウム沈殿によって組成物のアリコートに粒子を部分的若しくは完全に溶解させ、上清をLC/MSによって分析することによって検出され得る。
【0273】
架橋溶液の表面張力の低下は、当該技術分野において公知の任意の方法によって、例えば、接触角ゴニオメータ又は張力計の使用、例えば、デュノイリング法によって評価され得る(例えば、Davarci et al(2017)Food Hydrocolloids 62:119−127を参照)。
【0274】
[列挙される例示的な実施形態]
1.
a)第1の区画と;
b)第2の区画と;
c)式(I−a):
【化48】
(式中、
Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−O−、−C(O)O−、−C(O)−、−OC(O)−、−N(R
C)−、−N(R
C)C(O)−、−C(O)N(R
C)−、−N(R
C)N(R
D)−、−NCN−、−N(R
C)C(O)(C
1〜C
6−アルキレン)−、−N(R
C)C(O)(C
2〜C
6−アルケニレン)−、−C(=N(R
C)(R
D))O−、−S−、−S(O)
x−、−OS(O)
x−、−N(R
C)S(O)
x−、−S(O)
xN(R
C)−、−P(R
F)
y−、−Si(OR
A)
2−、−Si(R
G)(OR
A)−、−B(OR
A)−、又は金属であり、これらの各々は、結合基(例えば、本明細書に記載の結合基)に任意選択により結合され、1個以上のR
1で任意選択により置換されており;
L
1及びL
3の各々は独立して、結合、アルキル、又はヘテロアルキルであり、ここで、アルキル及びヘテロアルキルの各々は、1個以上のR
2で任意選択により置換されており;
L
2は結合であり;
Mは、不在であるか、各々が1個以上のR
3で任意選択により置換されている、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;
Pは、1個以上のR
4で任意選択により置換されているヘテロアリールであり;
Zは、各々が1個以上のR
5で任意選択により置換されている、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;
R
A、R
B、R
C、R
D、R
E、R
F、及びR
Gの各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、アジド、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、1個以上のR
6で任意選択により置換されており;
又はR
C及びR
Dは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、1個以上のR
6で任意選択により置換されている環(例えば5〜7員環)を形成し;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6の各々は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、シアノ、アジド、オキソ、−OR
A1、−C(O)OR
A1、−C(O)R
B1、−OC(O)R
B1、−N(R
C1)(R
D1)、−N(R
C1)C(O)R
B1、−C(O)N(R
C1)、SR
E1、S(O)
xR
E1、−OS(O)
xR
E1、−N(R
C1)S(O)
xR
E1、−S(O)
xN(R
C1)(R
D1)、−P(R
F1)
y、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、1個以上のR
7で任意選択により置換されており;
R
A1、R
B1、R
C1、R
D1、R
E1、及びR
F1の各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールの各々は、1個以上のR
7で任意選択により置換されており;
各R
7は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシル、シクロアルキル、又はヘテロシクリルであり;
xは1又は2であり;
yは2、3、又は4である)
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と
を含む粒子。
【0275】
2.第1の区画が、第2の区画で取り囲まれている、実施形態1に記載の粒子。
【0276】
3.第1の区画が、第2の区画内に配置される、実施形態1〜2のいずれか1つに記載の粒子。
【0277】
4.第2の区画が、第1の区画の周りにバリアを形成する、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の粒子。
【0278】
5.第2の区画の総体積が、第1の区画の体積より例えば1.5倍、2倍、3倍、又は5倍大きい、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の粒子。
【0279】
6.第2の区画の差分体積が、第1の区画の体積より例えば1.5倍、2倍、3倍、又は5倍大きい、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の粒子。
【0280】
7.第2の区画の総体積が、第1の区画の体積より約1%、2%、5%、7.5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、又は75%大きい、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の粒子。
【0281】
8.第2の区画の差分体積が、第1の区画の体積より約1%、2%、5%、7.5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、又は75%大きい、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の粒子。
【0282】
9.第2の区画の差分体積が、第1の区画の体積より例えば1.5倍、2倍、3倍、又は5倍小さい、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の粒子。
【0283】
10.第2の区画の総体積が、第1の区画の体積より約1%、2%、5%、7.5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、又は75%小さい、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の粒子。
【0284】
11.第2の区画の差分体積が、第1の区画の体積より約1%、2%、5%、7.5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、又は75%小さい、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の粒子。
【0285】
12.以下から選択される特性を含む:
a)第1の区画が、式(I−a)の化合物を含み;
b)第2の区画が、式(I−a)の化合物を含み;
c)式(I−a)の化合物が、粒子の外面に配置され;及び/又は
d)粒子が、第1及び第2の区画の間の境界面を含み、式(I−a)の化合物が、境界面に配置される、実施形態1に記載の粒子。
【0286】
13.特性aを含む、実施形態12に記載の粒子。
【0287】
14.特性bを含む、実施形態12〜13のいずれか1つに記載の粒子。
【0288】
15.特性cを含む、実施形態12〜14のいずれか1つに記載の粒子。
【0289】
16.特性dを含む、実施形態12〜15のいずれか1つに記載の粒子。
【0290】
17.第1の区画又は第2の区画が、式(I−a)の化合物を実質的に含まない、実施形態1に記載の粒子。
【0291】
18.粒子の外面が、式(I−a)の化合物を実質的に含まない、実施形態1に記載の粒子。
【0292】
19.以下から選択される特性を含む:
a)第1の区画が、式(I−a)の化合物を実質的に含まず;
b)第2の区画が、式(I−a)の化合物を実質的に含まず;
c)粒子の外面が、式(I−a)の化合物を実質的に含まず;又は
d)粒子が、第1及び第2の区画の間の境界面を含み、境界面が、式(I−a)の化合物を実質的に含まない、実施形態1に記載の粒子。
【0293】
20.特性aを含む、実施形態19に記載の粒子。
【0294】
21.特性bを含む、実施形態19〜20のいずれか1つに記載の粒子。
【0295】
22.特性cを含む、実施形態19〜21のいずれか1つに記載の粒子。
【0296】
23.特性dを含む、実施形態19〜22のいずれか1つに記載の粒子。
【0297】
24.特性a及びbを含む、実施形態19に記載の粒子。
【0298】
25.粒子が、20ナノメートル〜10ミリメートルの最大線形寸法(LLD)、例えば、直径を有する、実施形態1〜24のいずれか1つに記載の粒子。
【0299】
26.粒子が、500ナノメートル〜10ミリメートルの最大線形寸法(LLD)、例えば、直径を有する、実施形態1〜25のいずれか1つに記載の粒子。
【0300】
27.粒子が、1ミリメートル〜5ミリメートル、例えば、1ミリメートル〜4ミリメートル、1ミリメートル〜3ミリメートル、1ミリメートル〜2ミリメートル、約1.5ミリメートル〜2ミリメートル、又は約1.5ミリメートルの最大線形寸法(LLD)、例えば、直径を有する、実施形態1〜26のいずれか1つに記載の粒子。
【0301】
28.粒子が、第2の区画によって取り囲まれた第1の区画を有するヒドロゲルカプセルとして構成される、実施形態1〜27のいずれか1つに記載の粒子。
【0302】
29.第2の区画の厚さが、
(a)1ナノメートル及び1ミリメートル;
(b)100ナノメートル及び1ミリメートル;及び
(c)500ナノメートル及び500マイクロメートル
からなる群から選択される、実施形態28に記載の粒子。
【0303】
30.第2の区画の厚さが、粒子の直径の少なくとも約2.5%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、又は80%である、実施形態29に記載の粒子。
【0304】
31.粒子が細胞を含む、実施形態1〜30のいずれか1つに記載の粒子。
【0305】
32.第1の区画が細胞を含む、実施形態1〜31のいずれか1つに記載の粒子。
【0306】
33.第2の区画が細胞を含む、実施形態1〜32のいずれか1つに記載の粒子。
【0307】
34.第1の区画が細胞を含み、第2の区画が細胞を含まない、実施形態1〜33のいずれか1つに記載の粒子。
【0308】
35.第1の区画が細胞を含み、第2の区画が細胞を含む、実施形態1〜34のいずれか1つに記載の粒子。
【0309】
36.第1の区画及び第2の区画が、同じタイプの細胞を含む、実施形態35に記載の粒子。
【0310】
37.第1の区画中の細胞が、第2の区画の細胞と異なるタイプの細胞である、実施形態35に記載の粒子。
【0311】
38.粒子が、第1の区画と第2の区画との間の境界面を含み、細胞が、境界面に配置され、例えば、細胞が、第1及び第2の区画の両方に接触する、実施形態31〜36のいずれか1つに記載の粒子。
【0312】
39.第2の区画中の細胞の数又は密度が、第1の区画中の細胞の数又は密度より小さい、実施形態31〜37のいずれか1つに記載の粒子。
【0313】
40.第1の区画が、少なくとも0.5×10
6、1×10
6、5×10
6、10×10
6、15×10
6又は20×10
6個の細胞/mLを含むポリマー溶液から形成される、実施形態31〜39のいずれか1つに記載の粒子。
【0314】
41.第1の区画が、少なくとも0.5×10
6、1×10
6、5×10
6、10×10
6、15×10
6、20×10
6又は25×10
6個の細胞/mLを含むポリマー溶液から、又は1億〜3億個の細胞/mLを含むポリマー溶液から形成される、実施形態31〜40のいずれか1つに記載の粒子。
【0315】
42.粒子が、少なくとも100;250;500;750;1,000;2,500;5,000;10,000;25,000;又は50,000個の細胞を含む、実施形態31〜41のいずれか1つに記載の粒子。
【0316】
43.第1の区画が、少なくとも100;250;500;750;1,000;2,500;5,000;10,000;25,000;又は50,000個の細胞を含む、実施形態31〜42のいずれか1つに記載の粒子。
【0317】
44.細胞が、単一細胞、1つ以上のスフェロイドとして存在するか、又は1つ以上のマイクロキャリアに結合される、実施形態31〜43のいずれか1つに記載の粒子。
【0318】
45.粒子の外面が、細胞を実質的に含まない、実施形態31〜44のいずれか1つに記載の粒子。
【0319】
46.
a)1つ又は複数の細胞が、第1の区画内に配置され;
b)第2の区画中の細胞の数又は密度が、第1の区画中の細胞の数又は密度より少なくとも2、5、10、10
2、10
3、又は10
4倍小さく;
c)第1の区画(例えば、第1の区画の外側境界)が、式(I−a)の化合物を含み;又は
d)第2の区画(例えば、第2の区画の外側境界)が、式(I−a)の化合物を含む、実施形態31〜45のいずれか1つに記載の粒子。
【0320】
47.特性aを含む、実施形態46に記載の粒子。
【0321】
48.特性bを含む、実施形態46〜47のいずれか1つに記載の粒子。
【0322】
49.特性cを含む、実施形態46〜48のいずれか1つに記載の粒子。
【0323】
50.特性dを含む、実施形態46〜49のいずれか1つに記載の粒子。
【0324】
51.特性a及びbを含む、実施形態50に記載の粒子。
【0325】
52.特性a、b、及びcを含む、実施形態50に記載の粒子。
【0326】
53.特性a、b、及びdを含む、実施形態50に記載の粒子。
【0327】
54.特性a、b、c、及びdを含む、実施形態50に記載の粒子。
【0328】
55.第2の区画が、細胞を実質的に含まない、実施形態31〜54のいずれか1つに記載の粒子。
【0329】
56.細胞が、上皮細胞、内皮細胞、線維芽細胞、間葉系幹細胞、又はケラチン生成細胞である、実施形態31〜55のいずれか1つに記載の粒子。
【0330】
57.細胞が、RPE(例えば、ARPE−19)細胞又はMSCである、実施形態31〜56のいずれか1つに記載の粒子。
【0331】
58.細胞が膵島細胞である、実施形態31〜56のいずれか1つに記載の粒子。
【0332】
59.細胞が、治療薬(例えば、ポリペプチド)を発現する、実施形態31〜58のいずれか1つに記載の粒子。
【0333】
60.ポリペプチドが、第VIII因子タンパク質若しくはその変異体又は第IX因子タンパク質若しくはその変異体である、実施形態59に記載の粒子。
【0334】
61.ポリペプチドが、配列番号1又はその変異体を含む、実施形態59〜60のいずれか1つに記載の粒子。
【0335】
62.ポリペプチドが、配列番号2又はその変異体、例えば、配列番号2のアミノ酸位置148においてトレオニンと置換されるアラニン又は配列番号2のアミノ酸位置338においてアルギニンと置換されるロイシンを含む、実施形態59〜60のいずれか1つに記載の粒子。
【0336】
63.ポリペプチドが、インスリン(例えば、インスリンA鎖、インスリンB鎖、又はプロインスリン)である、実施形態59に記載の粒子。
【0337】
64.粒子がポリマーを含む、実施形態1〜63のいずれか1つに記載の粒子。
【0338】
65.ポリマーが多糖である、実施形態64に記載の粒子。
【0339】
66.ポリマーが、アルギン酸塩、キトサン、ヒアルロン酸塩、ゼラチン、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、又はポリ(乳酸グリコール酸)(PLGA)から選択される、実施形態64〜65のいずれか1つに記載の粒子。
【0340】
67.第1の区画が、ポリマー(例えば、多糖、例えば、アルギン酸塩)を含む、実施形態64〜66のいずれか1つに記載の粒子。
【0341】
68.第2の区画が、ポリマー(例えば、多糖、例えば、アルギン酸塩)を含む、実施形態64〜67のいずれか1つに記載の粒子。
【0342】
69.第1の区画及び第2の区画の両方が、ポリマー(例えば、多糖、例えば、アルギン酸塩)を含む、実施形態64〜68のいずれか1つに記載の粒子。
【0343】
70.第1の区画及び第2の区画が、同じポリマーを含む、実施形態64〜69のいずれか1つに記載の粒子。
【0344】
71.第1の区画及び第2の区画が、異なるポリマーを含む、実施形態64〜70のいずれか1つに記載の粒子。
【0345】
72.第1の区画がアルギン酸塩を含まず、第2の区画がアルギン酸塩を含む、実施形態64〜71のいずれか1つに記載の粒子。
【0346】
73.第1の区画がアルギン酸塩を含み、第2の区画が、アルギン酸塩以外のポリマーを含む、実施形態64〜72のいずれか1つに記載の粒子。
【0347】
74.第2の区画がアルギン酸塩を含み、第1の区画が、アルギン酸塩以外のポリマーを含む、実施形態64〜73のいずれか1つに記載の粒子。
【0348】
75.第1の区画が、ヒアルロン酸塩又はコンドロイチンを含み、第2の区画がアルギン酸塩を含む、実施形態74に記載の粒子。
【0349】
76.第1の区画のポリマーが、式(I−a)の化合物で修飾される、実施形態73〜75のいずれか1つに記載の粒子。
【0350】
77.第2の区画のポリマーが、式(I−a)の化合物で修飾される、実施形態73〜76のいずれか1つに記載の粒子。
【0351】
78.粒子の外面及び第2の区画の内部が、式(I−a)の化合物を含む、実施形態1〜77のいずれか1つに記載の粒子。
【0352】
79.第1の区画及び第2の区画の両方のポリマーが、式(I−a)の化合物で修飾される、実施形態64〜78のいずれか1つに記載の粒子。
【0353】
80.式(I−a)の化合物が、式(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(II)、(II−a)、(III)、(III−a)、(III−b)、(III−c)、若しくは(III−d)のいずれか1つの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態1〜79のいずれか1つに記載の粒子。
【0354】
81.式(I−a)の化合物が、表2に示される化合物110、化合物112、化合物113又は化合物114から選択される、実施形態76〜80のいずれか1つに記載の粒子。
【0355】
82.式(I−a)の化合物が、表2に示される化合物112である、実施形態76〜80のいずれか1つに記載の粒子。
【0356】
83.式(I−a)の化合物が、表2に示される化合物113である、実施形態76〜80のいずれか1つに記載の粒子。
【0357】
84.式(I−a)の化合物が、表2に示される化合物114である、実施形態76〜80のいずれか1つに記載の粒子。
【0358】
85.式(I−a)の化合物が、表2に示される化合物100でない、実施形態76〜80のいずれか1つに記載の粒子。
【0359】
86.式(I−a)の化合物が、表2に示される化合物101である、実施形態76〜80のいずれか1つに記載の粒子。
【0360】
87.ポリマーの少なくとも0.5%のモノマーが、式(I−a)の化合物で修飾される(例えば、ポリマーの少なくとも1%、2.5%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、又はそれ以上のモノマーが、式(I−a)の化合物で修飾される)、実施形態76〜86のいずれか1つに記載の粒子。
【0361】
88.粒子の第1の(内側)区画中のポリマーの少なくとも0.5%のモノマーが、式(I−a)の化合物で修飾される(例えば、粒子の第1の(内側)区画中のポリマーの少なくとも1%、2.5%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、又はそれ以上のモノマーが、式(I−a)の化合物で修飾される)、実施形態76〜86のいずれか1つに記載の粒子。
【0362】
89.粒子の第2の(外側)区画中のポリマーの少なくとも0.5%のモノマーが、式(I−a)の化合物で修飾される(例えば、粒子の第2の(外側)区画中のポリマーの少なくとも1%、2.5%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、又はそれ以上のモノマーが、式(I−a)の化合物で修飾される)、実施形態76〜86のいずれか1つに記載の粒子。
【0363】
90.ポリマー(式(I−a)の化合物で修飾される場合)が、0.1重量%〜10重量%のN(例えば、0.1重量%〜2重量%のN、2重量%〜4重量%、又は4重量%〜8重量%のN)の、(非修飾ポリマーと比した)% Nの増加を含み、ここで、% Nが、燃焼分析によって決定され、修飾ポリマー中の式(I−a)の化合物の量に相当する、実施形態76〜86のいずれか1つに記載の粒子。
【0364】
91.粒子の第1の(内側)区画が、0.1重量%〜10重量%のN(例えば、0.1重量%〜2重量%のN、2重量%〜4重量%、又は4重量%〜8重量%のN)の、(非修飾ポリマーと比した)% Nの増加を含むポリマー(式(I−a)の化合物で修飾される場合)を含み、ここで、% Nが、燃焼分析によって決定され、修飾ポリマー中の式(I−a)の化合物の量に相当する、実施形態76〜86のいずれか1つに記載の粒子。
【0365】
92.粒子の第2の(外側)区画が、0.1重量%〜10重量%のN(例えば、0.1重量%〜2重量%のN、2重量%〜4重量%、又は4重量%〜8重量%のN)の、(非修飾ポリマーと比した)% Nの増加を含むポリマー(式(I−a)の化合物で修飾される場合)を含み、ここで、% Nが、燃焼分析によって決定され、修飾ポリマー中の式(I−a)の化合物の量に相当する、実施形態76〜84のいずれか1つに記載の粒子。
【0366】
93.粒子が、ヒドロゲルカプセルであり、カプセルの第2の(外側)区画が、非修飾アルギン酸塩と、以下の実施例に記載される窒素パーセントの燃焼分析によって決定した際に、少なくとも2.0%且つ9.0%未満の窒素(N)の結合密度、又は3.0%〜8.0%、4.0%〜7.0%、5.0%〜7.0%、又は6.0%〜7.0%又は約6.8%で、式(I−a)の化合物(例えば、化合物101)で修飾されたアルギン酸塩との混合物を用いて形成される、実施形態76〜84のいずれか1つに記載の粒子。
【0367】
94.粒子が、球状粒子である、実施形態1〜93のいずれか1つに記載の粒子。
【0368】
95.粒子が、第2の区画が第1の区画の周りに形成される方法によって作製される、実施形態1〜94のいずれか1つに記載の粒子。
【0369】
96.ポリマー溶液の複数の液滴を、粒子を生成するのに十分な期間にわたって水性架橋溶液と接触させることを含む方法によって作製され、ここで、架橋溶液が、架橋剤、緩衝液、及び浸透圧調整剤を含む、実施形態1〜95のいずれかに記載の粒子。
【0370】
97.架橋溶液がプロセス添加剤をさらに含む、実施形態96に記載の粒子。
【0371】
98.プロセス添加剤が界面活性剤である、実施形態97に記載の粒子。
【0372】
99.界面活性剤が、ポリソルベート系界面活性剤、ポリエチレンオキシド(PEO)及びポリプロピレンオキシド(PPO)のコポリマー、ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)(PEO−PPO−PEO)トリブロックコポリマー、ポリソルベート20、ポリソルベート80、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル−ポリエチレングリコール、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、ポロキサマー188及びポロキサマー407から選択される、実施形態98に記載の粒子。
【0373】
100.界面活性剤が、少なくとも18又は少なくとも24の親水性−親油性バランス(HLB)を有し、任意選択により、界面活性剤がポロキサマー188である、実施形態98〜99のいずれか1つに記載の粒子。
【0374】
101.プロセス添加剤が、少なくとも約0.001%〜約0.1%、約0.005%〜約0.05%、約0.005%〜約0.01%、又は約0.01%〜約0.05%の濃度で、架橋溶液中に存在する、実施形態97〜99のいずれか1つに記載の粒子。
【0375】
102.架橋剤が、単一のタイプ又は異なるタイプの混合の二価カチオンを含み、任意選択により、架橋剤が、Ba
2+、Ca
2+及びSr
2+の1つ以上を含む、実施形態96〜101のいずれか1つに記載の粒子。
【0376】
103.架橋剤が、
a.1mM〜100mM又は7.5mM〜20mMの濃度のBaCl
2;
b.50mM〜100mMの濃度のCaCl
2;
c.37.5mM〜100mMの濃度のSrCl
2;
d.5mM〜20mMの濃度のBaCl
2と、37.5mM〜12.5mMの濃度のCaCl
2との混合物;及び
e.5mM〜20mMの濃度のBaCl
2と、37.5mM〜12.5mMの濃度のSrCl
2との混合物
からなる群から選択される、実施形態96〜102のいずれか1つに記載の粒子。
【0377】
104.緩衝液が、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)(HEPES)を含む、実施形態96〜103のいずれか1つに記載の粒子。
【0378】
105.浸透圧調整剤が、0.1M〜0.3Mの濃度のマンニトールを含む、実施形態96〜104のいずれか1つに記載の粒子。
【0379】
106.架橋剤がSrCl
2でない、実施形態96〜105のいずれかに記載の粒子。
【0380】
107.架橋剤がBaCl
2である、実施形態96〜106のいずれか1つに記載の粒子。
【0381】
108.架橋溶液が、25mMのHEPES緩衝液、20mMのBaCl
2、0.2Mのマンニトール及び0.01%のポロキサマー188を含む、実施形態96〜107のいずれか1つに記載の粒子。
【0382】
109.架橋剤がSrCl
2であり、プロセス添加剤が、約0.01%の濃度の界面活性剤であり、界面活性剤がポリソルベート80である、実施形態96〜108のいずれか1つに記載の粒子。
【0383】
110.架橋溶液が、50mMの塩化ストロンチウム六水和物、0.165Mのマンニトール、25mMのHEPES及び0.01%のポリソルベート80を含む、実施形態109に記載の粒子。
【0384】
111.粒子が、第1及び第2の区画のそれぞれにヒドロゲル形成ポリマーを含むヒドロゲルミリカプセルである、実施形態1〜110のいずれか1つに記載の粒子。
【0385】
112.第1の区画中のヒドロゲル形成ポリマーのみが、高分子量アルギン酸塩であり、第2の区画中のヒドロゲル形成ポリマーが、化学修飾低分子量アルギン酸塩及び非修飾高分子量アルギン酸塩の混合物である、実施形態111に記載の粒子。
【0386】
113.実施形態1〜112のいずれか1つに記載の粒子を含む複数の粒子の調製物。
【0387】
114.複数の粒子の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%、又はそれ以上が、球状粒子であり、任意選択により、調製物が、検出可能な量のプロセス添加剤を含む、実施形態113に記載の調製物。
【0388】
115.薬学的に許容可能な調製物である、実施形態113〜114に記載の調製物。
【0389】
116.本明細書に記載の粒子、例えば、実施形態1〜115のいずれかに記載の粒子を作製する方法。
【0390】
117.第2の区画の形成の前に、第1の区画を形成することを含む、実施形態116に記載の方法。
【0391】
118.第2の区画の形成と同時に、第1の区画を形成することを含む、実施形態117に記載の方法。
【0392】
119.第1及び第2のポリマー溶液の複数の液滴を、第1及び第2の区画を有するヒドロゲルカプセルを生成するのに十分な期間にわたって水性架橋溶液と接触させることを含み、ここで、架橋溶液が、架橋剤、緩衝液、及び浸透圧調整剤を含む、実施形態116〜118のいずれか1つに記載の方法。
【0393】
120.同心針の使用を含む、実施形態116〜119のいずれか1つに記載の方法。
【0394】
121.第1のポリマー溶液が細胞を含む、実施形態116〜120のいずれか1つに記載の方法。
【0395】
122.粒子を患者に移植する方法であって、
例えば、実施形態1〜112のいずれかに記載の、本明細書に記載の粒子を提供すること;及び
粒子を患者の身体に配置することを含む、方法。
【0396】
123.物質、例えば治療用物質、例えばポリペプチドを患者に提供する方法であって、
物質を含むか又は物質を生成する能力を有する、例えば、実施形態1〜112のいずれかに記載の、本明細書に記載の粒子を提供すること;及び
粒子を患者の身体に配置することを含む、方法。
【0397】
124.例えば患者における粒子を評価する方法であって、
例えば、実施形態1〜112のいずれかに記載の、本明細書に記載の粒子を提供すること;及び
粒子を患者の身体に配置することを含む、方法。
【0398】
125.患者への、物質、例えばポリペプチドを必要とする患者を処置する方法であって、
物質を含むか又は物質を生成する能力を有する、例えば、実施形態1〜112のいずれかに記載の、本明細書に記載の粒子を提供すること;及び
粒子を患者の身体に配置することを含む、方法。
【0399】
126.患者への、物質、例えばポリペプチドを必要とする患者を処置するのに使用するための粒子の組成物であって、処置が、
物質を含むか又は物質を生成する能力を有する、例えば、実施形態1〜112のいずれかに記載の、本明細書に記載の粒子を提供すること;及び
粒子を患者の身体に配置することを含む、粒子の組成物。
【0400】
[実施例]
本明細書に記載の本開示がより完全に理解され得るよう、以下の実施例が記載されている。本出願に記載されている実施例は、本明細書において提供されている粒子、化学修飾、組成物及び方法を例示するために提供されており、如何様にもその範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0401】
[実施例1:化学修飾された移植可能な要素の調製のための例示的な化合物の合成]
[一般的なプロトコル]
以下の手順は、化学修飾された移植可能な要素の調製のための例示的な化合物を調製する方法を説明するものである。本明細書において提供されている化合物は、容易に入手可能である出発材料から、当業者に周知であろう以下に記載の特定の合成プロトコルに対する修正をしながら調製可能である。典型的又は好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応体のモル比、溶剤、圧力等)が提示されている場合、別段の定めがある場合を除き、他のプロセス条件もまた用いることが可能であることが認識されるであろう。最適な反応条件は用いられる特定の反応体又は溶剤によって様々であり得るが、このような条件は、ルーチン的な最適化手法で当業者によって判定可能である。
【0402】
さらに、当業者には明らかであろうとおり、一定の官能基が望ましくない反応に供されることを防止するために従来の保護基が必要であり得る。保護及び脱保護に関する、特定の官能基に係る好適な保護基の選択、並びに、好適な条件は、技術分野において周知である。例えば、数多くの保護基、並びに、その導入及び除去が、Greene et al.,Protecting Groups in Organic Synthesis,Second Edition,Wiley,New York,1991、及び、その中で引用されている文献において記載されている。
【0403】
[1,4−置換トリアゾールを得るためのヒュスゲン環化付加]
銅触媒ヒュスゲン[3+2]環化付加を用いて、トリアゾール系化合物、並びに、その組成物、デバイス及び材料を調製した。範囲及び典型的なプロトコルは多くのレビューの主題となっている(例えば、Meldal,M.and Tornoe,C.W.Chem.Rev.(2008)108:2952−3015;Hein,J.E.and Fokin,V.V.Chem.Soc.Rev.(2010)39(4):1302−1315;この両方は、本明細書において参照により援用されている)。
【化49】
【0404】
上記の実施例において、アジドは、結合要素Aを含有する画分における反応性部分であるが、一方で、アルキンは、側基Zの反応性構成要素である。以下に示されているとおり、これらの官能性のハンドルを交換して、構造的に関連しているトリアゾール生成物を生成することが可能である。これらの代替物の調製は同様であり、特別な考察を必要とはしない。
【化50】
【0405】
ヨウ化物から開始される典型的なヒュスゲン環化付加手法の概要を以下に記載する。いくつかの事例において、ヨウ化物は、安全性のために反応の経過中にアジドに変換される。
【化51】
【0406】
アジ化ナトリウム(1.1当量)、アスコルビン酸ナトリウム、(0.1当量)t−N,N’−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.25当量)、ヨウ化銅(I)のメタノール(1.0M、制限試薬)中の溶液を窒素を通気させて脱気し、アセチレン(1当量)及びヨウ化アリール(1.2当量)で処理した。この混合物を室温で5分間撹拌し、次いで、55℃で16時間温めた。次いで、反応を室温に冷却し、漏斗を通してろ過し、フィルタケーキをメタノールで洗浄した。組み合わせたろ液を濃縮し、シリカゲルにおけるフラッシュクロマトグラフィ(120gシリカ、ジクロロメタン中に0〜40%の勾配(3%水性水酸化アンモニウム、22%メタノール、残量ジクロロメタン)を介して精製して、所望の目標材料を得た。
【0407】
アジドから開始される典型的なヒュスゲン環化付加手法の概要を以下に記載する。
【化52】
【0408】
トリス[(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル]アミン(0.2当量)、トリエチルアミン(0.5当量)、ヨウ化銅(I)(0.06当量)のメタノール(0.4M、制限試薬)中の溶液を、アセチレン(1.0当量)で処理し、0℃に冷却した。反応を30分間かけて室温に温め、次いで、55℃で16時間加熱した。反応を室温に冷却し、濃縮し、HPLC(C18カラム、ジクロロメタン中に0〜100%の勾配(3%水性水酸化アンモニウム、22%メタノール、残量ジクロロメタン)で精製して、所望の目標材料を得た。
【0409】
[1,5−置換トリアゾールを得るためのヒュスゲン環化付加]
ヒュスゲン[3+2]環化付加をまた、ルテニウム触媒を伴って行い、選択的に1,5−二置換生成物を得た(例えば、Zhang et al,J.Am.Chem.Soc.,2005,127,15998−15999;Boren et al,J.Am.Chem.Soc.,2008,130,8923−8930に記載されているとおり。これらの各々は、本明細書において参照によりその全体が援用される)。
【化53】
【0410】
既述のとおり、以下に示されているとおり、アジド及びアルキン基を交換して、同様のトリアゾールを形成し得る。
【化54】
【0411】
典型的な手法を以下に記載する:アルキン(1当量)及びアジド(1当量)のジオキサン(0.8M)中の溶液を、ペンタメチルシクロ−ペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)クロリド(0.02当量)のジオキサン(0.16M)中の溶液に滴下した。バイアルを窒素でパージし、シールし、混合物を60℃で12時間加熱した。得られた混合物を濃縮し、シリカゲルにおけるフラッシュクロマトグラフィを介して精製して、必要とされた化合物を得た。
【0412】
[(4−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)メタンアミン(3)のための実験手順]
【化55】
メタノール(9mL)及び水(1mL)中の(4−ヨードフェニル)メタンアミン(1、843mg、3.62mmol、1.0当量)、(1S,2S)−N1,N2−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(74μL、0.47mmol、0.13当量)、アスコルビン酸ナトリウム(72mg、0.36mmol、0.1当量)、ヨウ化銅(69mg、0.36mmol、0.1当量)、アジ化ナトリウム(470mg、7.24mmol、2.0当量)、及び1−メチル−4−(プロパ−2−イン−1−イル)ピペラジン(2、0.5g、3.62mmol、1.0当量)の混合物を窒素で5分間パージし、55℃に一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮し、褐色がかったスラリーをジクロロメタンで抽出した。セライトを、組み合わせたジクロロメタン相に添加し、溶剤を減圧下で除去した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲル(80g)で精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から7.5%へと徐々に増加させて、(4−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)メタンアミン(3、0.45g、43%)を得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
15H
22N
6についての計算値287.2;実測値287.1。
【0413】
[N−(4−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ベンジル)メタクリルアミド(4)のための実験手順]
【化56】
CH
2Cl
2(50mL)中の(4−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)メタンアミン(3、1.2g、4.19mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.70mL、5.03mmol、1.2当量)の溶液を、氷浴で0℃に冷却し、塩化メタクリロイル(0.43mL、4.40mmol、5mLのCH
2Cl
2中の1.05当量)を添加した。反応を、氷浴で冷却しながら1日撹拌した。10グラムのセライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(80g)によって精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から7.5%へと徐々に増加させた。溶剤を減圧下で除去し、得られた固体をジエチルエーテルで研和し、ろ過し、ジエチルエーテルで複数回洗浄して、N−(4−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ベンジル)メタクリルアミド(4、0.41g、28%の収率)を白色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
19H
26N
6Oについての計算値355.2;実測値355.2。
【0414】
[(4−(4−((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)メタンアミン(6)のための実験手順]
【化57】
メタノール(40mL)及び水(4mL)中の(4−ヨードフェニル)メタンアミン(1、2.95g、12.64mmol、1.0当量)、(1S,2S)−N1,N2−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(259μL、1.64mmol、0.13当量)、アスコルビン酸ナトリウム(250mg、1.26mmol、0.1当量)、ヨウ化銅(241mg、1.26mmol、0.1当量)、アジ化ナトリウム(1.64g、25.29mmol、2.0当量)、及び3−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)プロパ−1−イン(5、2.0g、12.64mmol、1.0当量)の混合物を窒素で5分間パージし、次に55℃に一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタンに溶解させ、ろ過し、セライト(登録商標)(10g)を用いて濃縮した。粗生成物を、溶離剤としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲル(220g)に精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から6.25%へと徐々に増加させて、(4−(4−((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)メタンアミン(6、1.37g、35%)を得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
15H
22N
4O
3についての計算値307.2;実測値307.0。
【0415】
[N−(4−(4−((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ベンジル)メタクリルアミド(7)のための実験手順]
【化58】
CH
2Cl
2(50mL)中の4−(4−((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)メタンアミン(6、1.69g、5.52mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.92mL、6.62mmol、1.2当量)の溶液を、氷浴で0℃に冷却し、塩化メタクリロイル(0.57mL、5.79mmol、1.05当量)を滴下して添加した。反応を室温で4時間撹拌した。10グラムのセライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲル(80g)クロマトグラフィによって精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から1.25%へと徐々に増加させて、N−(4−(4−((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ベンジル)メタクリルアミド(7、1.76g、85%の収率)を白色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
19H
26N
4O
4についての計算値375.2;実測値375.0。
【0416】
[3−(プロパ−2−イン−1−イルオキシ)オキセタン(9)のための実験手順]
【化59】
THF(200mL)中の水素化ナトリウム(27.0g、675mmol、60%の純度)の懸濁液を氷浴で冷却した。オキセタン−3−オール(8、25g、337mmol)を滴下して添加し、0℃で30分間撹拌した。次いで、3−ブロモプロパ1−イン(9、41.2mL、371mmol、80%の純度)を滴下して添加した。混合物を、室温に温めながら一晩撹拌した。混合物をセライトでろ過し、THFで洗浄し、減圧下でセライトを用いて濃縮した。粗生成物を、シリカゲル(220g)で精製し、ヘキサン/EtOAcで溶離した。移動相中のEtOAcの濃度を0から25%へと増加させて、(9、18.25g 48%)の黄色の油を得た。
【0417】
[3−(4−((オキセタン−3−イルオキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロパン−1−アミン(11)のための実験手順]
【化60】
メタノール(80mL)中の3−(プロパ−2−イン−1−イルオキシ)オキセタン(9、7.96g、71mmol、1.0当量)、3−アジドプロパン−1−アミン(10、7.82g、78mmol、1.1当量)、トリス[(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル]−アミン(8.29g、15.6mmol、0.22当量)、ヨウ化銅(1.35g、7.1mmol、0.1当量)、及びトリエチルアミン(2.47mL、17.8mmol、0.25当量)の混合物を55℃に温め、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライト(20g)を添加し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲル(220g)で精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から15%へと徐々に増加させて、3−(4−((オキセタン−3−イルオキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロパン−1−アミン(11、11.85g、79%)を黄色の油として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
9H
16N
4O
2についての計算値213.1;実測値213.0。
【0418】
[N−(3−(4−((オキセタン−3−イルオキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル)メタクリルアミド(12)のための実験手順]
【化61】
CH
2Cl
2(100mL)中の3−(4−((オキセタン−3−イルオキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロパン−1−アミン(11、3.94g、18.56mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(3.1mL、22.28mmol、1.2当量)の溶液を、氷浴で0℃に冷却し、塩化メタクリロイル(1.99mL、20.42mmol、1.1当量)を滴下して添加した。反応を、室温に温めながら一晩撹拌した。20グラムのセライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/メタノールを用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(220g)によって精製した。メタノールの濃度を、0%から5%へと徐々に増加させて、N−(3−(4−((オキセタン−3−イルオキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル)メタクリルアミド(12、3.22g、62%の収率)を固体として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
13H
20N
4O
3についての計算値281.2;実測値281.0。
【0419】
[N−(4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ベンジル)メタクリルアミド(14)のための実験手順]
【化62】
CH
2Cl
2(100mL)中の(4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)メタンアミン(13、WuXiから入手される、1.2g、5.70mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(15mL、107.55mmol、18.9当量)の溶液に、塩化メタクリロイル(893mg、8.54mmol、1.5当量)をゆっくりと滴下して添加した。反応を一晩撹拌した。20グラムのセライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲルクロマトグラフィによって精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から1.25%へと徐々に増加させて、N−(4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ベンジル)メタクリルアミド(14、1.38g、40%の収率)を得た。
【0420】
[(4−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)メタンアミン(15)のための実験手順]
【化63】
メタノール(50mL)及び水(12mL)中の(4−ヨードフェニル)メタンアミン塩酸塩(5.0g、18.55mmol、1.0当量)、(1S,2S)−N1,N2−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.59mL 3.71mmol、0.2当量)、アスコルビン酸ナトリウム(368mg、1.86mmol、0.1当量)、ヨウ化銅(530mg、2.78mmol、0.15当量)、アジ化ナトリウム(2.41g、37.1mmol、2.0当量)、Et
3N(3.11mL、22.26mmol、1.2当量)及び2−(プロパ−2−イン−1−イルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(2.6g、18.55mmol、1.0当量)の混合物を窒素で5分間パージし、55℃に一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、413ろ紙に通してろ過した。セライトを添加し、溶剤を減圧下で除去し、残渣を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲル(120g)で精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から6.25%へと徐々に増加させて、(4−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)メタンアミン(15、3.54g、66%)を白色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
15H
20N
4O
2についての計算値289.2;実測値289.2。
【0421】
[N−(4−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ベンジル)メタクリルアミド(16)のための実験手順]
【化64】
CH
2Cl
2(40mL)中の(4−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)メタンアミン(15、3.46g、12.00mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(2.01mL、14.40mmol、1.2当量)の溶液を、氷浴で0℃に冷却し、塩化メタクリロイル(1.23mL、12.60mmol、1.05当量、5mLのCH
2Cl
2に希釈される)を滴下して添加した。冷却浴を外し、反応を4時間撹拌した。20グラムのセライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(80g)によって精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から3.75%へと徐々に増加させて、N−(4−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ベンジル)メタクリルアミド(16、2.74g、64%の収率)を白色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
19H
24N
4O
3についての計算値357.2;実測値357.3。
【0422】
[N−(4−(4−(ヒドロキシメチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ベンジル)メタクリルアミド(17)のための実験手順]
【化65】
N−(4−(4−(ヒドロキシメチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ベンジル)メタクリルアミド(16、1.2g、3.37mmol、1.0当量)の溶液を、室温で一晩、メタノール(6mL)及びHCl(1N、水溶液、9mL)に溶解させた。セライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(24g)で精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から12.5%へと徐々に増加させて、N−(4−(4−(ヒドロキシメチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ベンジル)メタクリルアミド(17、0.85g、92%の収率)を白色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
14H
16N
4O
2についての計算値273.1;実測値273.1。
【0423】
[(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)ベンジル)カルバメート(19)のための実験手順]
【化66】
ジクロロメタン(100mL)中のベンジル(4−(ヒドロキシメチル)ベンジル)カルバメート(2.71g、10mmol、1当量)、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(1.81mL、20mmol、2当量)、p−トルエンスルホン酸一水和物(285mg、1.5mmol、0.15当量)を室温で一晩撹拌した。セライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。100%のヘキサンから開始し、EtOAcの濃度を100%へと増加させる溶離剤としてヘキサン/EtOAcを用いて、シリカゲル(24g)で粗生成物を精製して、ベンジル(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)ベンジル)−カルバメート(19、2.4g、68%)を無色の油として得た。LCMS m/z:[M+Na]
+ C
21H
25NO
4についての計算値378.17、実測値378.17。
【0424】
[(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−フェニル)メタンアミン(20)のための実験手順]
【化67】
EtOH中の(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)ベンジル)カルバメート(19、1.5g、4.2mmol、1当量)、パラジウム炭素(160mg、10重量%)を、短時間の間排気し、次いで、水素を、バルーンを介して添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。セライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲル(12g)で精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から25%へと徐々に増加させて、(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)フェニル)メタンアミン(20、890mg、95%)を無色の油として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
13H
19NO
2についての計算値222.15、実測値222.14。
【0425】
[N−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)ベンジル)−メタクリルアミド(21)のための実験手順]
【化68】
CH
2Cl
2(10mL)中の(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)フェニル)メタンアミン(20、0.5g、2.26mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.47mL、3.39mmol、1.5当量)の溶液を、短時間の間排気し、窒素でフラッシュした。塩化メタクリロイル(0.33mL、3.39mmol、1.5当量)を滴下して添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。10グラムのセライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。100%のヘキサンから開始して、EtOAcの濃度を徐々に100%へと増加させる溶離剤としてヘキサン/EtOAcを用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(12g)によって、残渣を精製して、N−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)ベンジル)メタクリルアミド(21、0.47g、72%の収率)を無色の固体として得た。LCMS m/z:[M+Na]
+ C
17H
23NO
3についての計算値312.16;実測値312.17。
【0426】
[実験手順(4−(4−(2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)メタンアミン(22)]
【化69】
メタノール(20mL)及び水(5mL)中の(4−ヨードフェニル)メタンアミン(5.0g、21.45mmol、1.0当量)、(1S,2S)−N1,N2−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.44mL 2.79mmol、0.13当量)、アスコルビン酸ナトリウム(425mg、2.15mmol、0.1当量)、ヨウ化銅(409mg、2.15mmol、0.1当量)、アジ化ナトリウム(2.79g、42.91mmol、2.0当量)、及び2−(ブタ−3−イン−1−イルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(3.36mL、21.45mmol、1.0当量)の混合物を窒素で5分間パージし、55℃に一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、413ろ紙に通してろ過した。セライト(10g)を添加し、溶剤を減圧下で除去し、残渣を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲル(220g)で精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から5%へと徐々に増加させて、(4−(4−(2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)メタンアミン(22、3.15g、49%)を固体として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
16H
22N
4O
2についての計算値303.18;実測値303.18。
【0427】
[N−(4−(4−(2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ベンジル)メタクリルアミド(23)のための実験手順]
【化70】
CH
2Cl
2(55mL)中の(4−(4−(2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)メタンアミン(22、3.10g、10.25mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(1.71mL、12.30mmol、1.2当量)の溶液を、氷浴で0℃に冷却し、塩化メタクリロイル(1.05mL、12.30mmol、1.2当量、5mLのCH
2Cl
2に希釈される)を滴下して添加した。冷却浴を外し、反応を4時間撹拌した。8グラムのセライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(80g)によって精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から2.5%へと徐々に増加させて、N−(4−(4−(2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ベンジル)メタクリルアミド(23、2.06g、54%の収率)を白色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
20H
26N
4O
3についての計算値371.2078;実測値371.2085。
【0428】
[実験手順(4−(1−(2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)フェニル)メタンアミン(24)]
メタノール(24mL)及び水(6mL)中の(4−エチニルフェニル)メタンアミン(2.36g、18.00mmol、1.0当量)、(1S,2S)−N1,N2−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.56mL、3.60mmol、0.2当量)、アスコルビン酸ナトリウム(357mg、1.80mmol、0.1当量)、ヨウ化銅(514mg、2.70mmol、0.15当量)、及び2−(2−アジドエトキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(3.08、18.00mmol、1.0当量)の混合物を窒素で5分間パージし、55℃に一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、セライトでろ過し、MeOH(3×50mL)ですすいだ。溶剤を減圧下で除去し、残渣をジクロロメタンに再溶解させ、セライト(20g)を添加し、溶剤を減圧下で除去し、残渣を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲル(120g)で精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から25%へと徐々に増加させて、(4−(1−(2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)フェニル)メタンアミン(24、3.51g、64%)を黄色がかった油として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
16H
22N
4O
2についての計算値303.1816;実測値303.1814。
【0429】
[N−(4−(1−(2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)ベンジル)メタクリルアミド(25)のための実験手順]
【化71】
CH
2Cl
2(30mL)中の(4−(1−(2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)フェニル)メタンアミン(24、1.5g、4.96mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(1.04mL、7.44mmol、1.5当量)の溶液を、短時間の間排気し、窒素でフラッシュした。塩化メタクリロイル(0.72mL、7.44mmol、1.5当量)を滴下して添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。10グラムのセライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。100%のヘキサンから開始し、EtOAcの濃度を徐々に100%へと増加させる溶離剤としてヘキサン/EtOAcを用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(40g)によって残渣を精製して、N−(4−(1−(2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)ベンジル)メタクリルアミド(25、0.9g、49%の収率)を無色の固体として得た。LCMS m/z:[M+Na]
+ C
20H
26N
4O
3についての計算値371.2078;実測値371.2076。
【0430】
[1−(4−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)エタン−1−アミン(26)のための実験手順]
【化72】
メタノール(9mL)及び水(1mL)中の1−(4−ヨードフェニル)エタン−1−アミン塩酸塩(1.0g、4.05mmol、1.0当量)、(1S,2S)−N1,N2−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.08mL 0.53mmol、0.13当量)、アスコルビン酸ナトリウム(80mg、0.40mmol、0.1当量)、ヨウ化銅(77mg、0.40mmol、0.1当量)、アジ化ナトリウム(526g、8.09mmol、2.0当量)、及び2−(プロパ−2−イン−1−イルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(0.57g、4.05mmol、1.0当量)の混合物を窒素で5分間パージし、55℃に一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、溶剤を減圧下で除去した。残渣をジクロロメタンに再溶解させ、セライトのプラグでろ過した。セライトをろ液に添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲル(40g)で精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から5%へと徐々に増加させて、1−(4−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)エタン−1−アミン(26、0.62g、51%)を黄色がかった固体として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
16H
22N
4O
2についての計算値303.2;実測値303.2。
【0431】
[N−(1−(4−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)エチル)メタクリルアミド(27)のための実験手順]
【化73】
CH
2Cl
2(11mL)中の1−(4−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)エタン−1−アミン(26、0.52g、1.7mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.29mL、2.1mmol、1.2当量)の溶液を、氷浴で0℃に冷却し、塩化メタクリロイル(0.18mL、1.8mmol、1.05当量、11mLのCH
2Cl
2で希釈される)を滴下して添加した。冷却浴を外し、反応を4時間撹拌した。5グラムのセライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(40g)によって精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から2.5%へと徐々に増加させて、N−(1−(4−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)エチル)メタクリルアミド(27、0.49g、76%の収率)を白色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
20H
26N
4O
3についての計算値371.2078;実測値371.2087。
【0432】
[(4−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)メタンアミン(28)のための実験手順]
【化74】
メタノール(24mL)及び水(6mL)中の(4−ヨード−2−(トリフルオロメチル)フェニル)メタンアミン(3.0g、9.97mmol、1.0当量)、(1S,2S)−N1,N2−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.31mL 1.99mmol、0.2当量)、アスコルビン酸ナトリウム(197mg、1.00mmol、0.1当量)、ヨウ化銅(285mg、1.49mmol、0.15当量)、アジ化ナトリウム(1.30g、19.93mmol、2.0当量)、Et
3N(1.67mL、11.96mmol、1.2当量)及び2−(プロパ−2−イン−1−イルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(1.40g、9.97mmol、1.0当量)の混合物を窒素で5分間パージし、55℃に一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、セライトプラグに通してろ過し、メタノール(3×50mL)ですすいだ。セライトをろ液に添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲル(120g)で精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から25%へと徐々に増加させて、(4−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)メタンアミン(28、2.53g、71%)を緑色の油として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
16H
19N
4O
2F
3についての計算値357.2;実測値357.1。
【0433】
[N−(4−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)−2(トリフルオロメチル)ベンジル)メタクリルアミド(29)のための実験手順]
【化75】
CH
2Cl
2(25mL)中の(4−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)メタンアミン(28、1.0g、2.81mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.59mL、4.21mmol、1.5当量)の溶液を、短時間の間排気し、窒素でフラッシュした。塩化メタクリロイル(0.41mL、4.21mmol、1.5当量)を滴下して添加した。反応混合物を室温で6時間撹拌した。10グラムのセライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。100%のヘキサンから開始し、EtOAcの濃度を徐々に100%へと増加させる溶離剤としてヘキサン/EtOAcを用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(40g)によって残渣を精製して、N−(4−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)−2(トリフルオロメチル)ベンジル)メタクリルアミド(29、0.65g、55%の収率)を無色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
20H
23N
4O
3F
3についての計算値425.2;実測値425.1。
【0434】
[3−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロパン−1−アミン(30)のための実験手順]
【化76】
メタノール(50mL)及び水(6mL)中の3−アジドプロパン−1−アミン塩酸塩(1.5g、14.98mmol、1.0当量)、トリス[(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル]−アミン(1.99g、3.75mmol、0.25当量)、ヨウ化銅(0.29g、1.50mmol、0.1当量)、及びトリエチルアミン(0.52mL、3.75mmol、0.25当量)の混合物を窒素で5分間パージし、0Cに冷却した。2−(プロパ−2−イン−1−イルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(2.10g、14.98mmol、1.0当量)を添加し、反応混合物を55℃に温め、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライトプラグでろ過し、メタノール(3×50mL)ですすいだ。セライト(20g)をろ液に添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲル(120g)で精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から20%へと徐々に増加させて、3−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロパン−1−アミン(30、2.36g、66%)を得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
11H
20N
4O
2についての計算値241.2;実測値241.2。
【0435】
[N−(3−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル)メタクリルアミド(31)のための実験手順]
【化77】
CH
2Cl
2(20mL)中の3−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロパン−1−アミン(30、1.0g、4.16mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.58mL、4.16mmol、1.0当量)の溶液を、短時間の間排気し、窒素でフラッシュした。塩化メタクリロイル(0.40mL、4.16mmol、1.0当量)を滴下して添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。10グラムのセライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(40g)によって精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から20%へと徐々に増加させて、N−(3−(4−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル)メタクリルアミド(31、0.96g、75%の収率)を無色の油として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
15H
24N
4O
3についての計算値309.2;実測値309.4。
【0436】
[(4−(4−((オキセタン−3−イルオキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)メタンアミン(32)のための実験手順]
【化78】
メタノール(24mL)及び水(6mL)中の(4−ヨードフェニル)メタンアミン塩酸塩(2.64g、9.80mmol、1.0当量)、(1S,2S)−N1,N2−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.31mL 1.96mmol、0.2当量)、アスコルビン酸ナトリウム(198mg、0.98mmol、0.1当量)、ヨウ化銅(279mg、1.47mmol、0.15当量)、アジ化ナトリウム(1.27g、19.59mmol、2.0当量)、Et
3N(1.64mL、11.75mmol、1.2当量)及び3−(プロパ−2−イン−1−イルオキシ)オキセタン(9、1.10g、9.80mmol、1.0当量)の混合物を窒素で5分間パージし、55℃に一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、セライトプラグに通してろ過し、メタノール(3×50mL)ですすいだ。セライトをろ液に添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲル(120g)で精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から25%へと徐々に増加させて、(4−(4−((オキセタン−3−イルオキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)メタンアミン(32、1.43g、56%)を油として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
13H
16N
4O
2についての計算値261.1346;実測値261.1342。
【0437】
[N−(4−(4−((オキセタン−3−イルオキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ベンジル)メタクリルアミド(33)のための実験手順]
【化79】
CH
2Cl
2(20mL)中の(4−(4−((オキセタン−3−イルオキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)メタンアミン(32、0.58g、2.23mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.47mL、3.34mmol、1.5当量)の溶液を、短時間の間排気し、窒素でフラッシュした。塩化メタクリロイル(0.32mL、3.34mmol、1.5当量)を滴下して添加した。反応混合物を室温で6時間撹拌した。10グラムのセライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。100%のヘキサンから開始し、EtOAcの濃度を徐々に100%へと増加させる溶離剤としてヘキサン/EtOAcを用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(24g)によって残渣を精製して、N−(4−(4−((オキセタン−3−イルオキシ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ベンジル)メタクリルアミド(33、0.48g、66%の収率)を無色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
17H
20N
4O
3についての計算値329.1608;実測値329.1611。
【0438】
[エチル1−(2−メタクリルアミドエチル)−1H−イミダゾール−4−カルボキシレート(35)のための実験手順]
【化80】
CH
2Cl
2(20mL)中のエチル1−(2−アミノエチル)−1H−イミダゾール−4−カルボキシレート(34、2.0g、10.91mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(3.80mL、27.29mmol、2.5当量)の溶液を、短時間の間排気し、窒素でフラッシュした。塩化メタクリロイル(1.60mL、16.37mmol、1.5当量)を滴下して添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。十15グラムのセライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(40g)によって精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から25%へと徐々に増加させて、エチル1−(2−メタクリルアミドエチル)−1H−イミダゾール−4−カルボキシレート(35、1.28g、47%の収率)を無色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
12H
17N
3O
3についての計算値252.1;実測値252.1。
【0439】
[N−(4−(1,1−ジオキシドチオモルホリノ)ベンジル)メタクリルアミド(37)のための実験手順]
【化81】
CH
2Cl
2(80mL)中の4−(4−(アミノメチル)フェニル)チオモルホリン1,1−ジオキシド塩酸塩(36、1.15g、4.15mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(1.39mL、9.97mmol、2.4当量)の溶液に、塩化メタクリロイルの溶液(0.43mL、4.36mmol、1.05当量、CH
2Cl
2中、5mL)を滴下して添加した。反応混合物を室温で22時間撹拌した。8グラムのセライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(80g)によって精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から3.75%へと徐々に増加させて、N−(4−(1,1−ジオキシドチオモルホリノ)ベンジル)メタクリルアミド(37、0.32g、25%の収率)を固体として得た。
【0440】
[N−メチル−N−(2−(メチルスルホニル)エチル)プロパ−2−イン−1−アミン(38)のための実験手順]
【化82】
1−メチルスルホニルエチレン(4.99g、47.03mmol、4.13mL)及びAmberlyst−15((30% w/w))の混合物に、N−メチルプロパ−2−イン−1−アミン(2.6g、37.62mmol)を滴下して添加した。混合物を室温で12時間撹拌した。触媒をろ過によって除去し、ろ液を減圧下で濃縮して、N−メチル−N−(2−(メチルスルホニル)エチル)プロパ−2−イン−1−アミン(38、6.43g、98%)を油として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
7H
13NSO
2についての計算値176.11;実測値176.1。
【0441】
[N−((1−(2−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)−N−メチル−2−(メチルスルホニル)エタン−1−アミン(40)のための実験手順]
【化83】
メタノール(50mL)及び水(6mL)中のN−メチル−N−(2−(メチルスルホニル)エチル)プロパ−2−イン−1−アミン(38、5.02g、28.64mmol、1.25当量)、トリス[(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル]−アミン(3.04g、5.73mmol、0.25当量)、ヨウ化銅(436mg、2.29mmol、0.1当量)、及びトリエチルアミン(0.8mL、5.7mmol、0.25当量)の混合物を排気し、窒素で(3回)フラッシュし、氷浴で冷却した。2−(2−(2−(2−アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン−1−アミン(39、5.02g、22.91mmol、1.0当量)を滴下して添加し、冷却浴を外し、混合物を5分間撹拌した。反応を55℃に温め、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライト(20g)を添加し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲル(220g)で精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から25%へと徐々に増加させて、N−((1−(2−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)−N−メチル−2−(メチルスルホニル)エタン−1−アミン(40、4.98g、55%)を油として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
15H
31N
5O
5Sについての計算値394.2;実測値394.2。
【0442】
[実験手順N−(2−(2−(2−(2−(4−((メチル(2−(メチルスルホニル)エチル)アミノ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)メタクリルアミド(41)]
【化84】
CH
2Cl
2(15mL)中のN−((1−(2−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)−N−メチル−2−(メチルスルホニル)エタン−1−アミン(40、1.0g、2.54mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.43mL、3.05mmol、1.2当量)の溶液に、塩化メタクリロイル(0.30mL、3.05mmol、1.5当量)の溶液を滴下して添加した。反応混合物を室温で5時間撹拌した。セライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(40g)によって精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から12.5%へと徐々に増加させて、N−(2−(2−(2−(2−(4−((メチル(2−(メチルスルホニル)エチル)アミノ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)メタクリルアミド(41、0.86g、73%の収率)を油として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
19H
35N
5O
6Sについての計算値462.2;実測値462.2。
【0443】
[7−(プロパ−2−イン−1−イル)−2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン(42)のための実験手順]
【化85】
3−ブロモプロパ−1−イン(4.4mL、39.32mmol 1.0当量)を、メタノール(200mL)中の2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン(8.54g、39.32mmol、1.0当量)、炭酸カリウム(17.9g、129.7mmol、3.3当量)の混合物に添加し、室温で一晩撹拌した。混合物をろ過し、セライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/メタノールを用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(220g)によって精製した。メタノールの濃度を、0%から5%へと徐々に増加させて、7−(プロパ−2−イン−1−イル)−2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン(42、4.44g、68%)を油として得た。
[2−(2−(2−(2−(4−((2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン−1−アミン(43)のための実験手順]
【化86】
メタノール(50mL)中の7−(プロパ−2−イン−1−イル)−2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン(42、2.5g、15.13mmol、1.0当量)、トリス[(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル]−アミン(1.77g、3.33mmol、0.22当量)、ヨウ化銅(288mg、1.51mmol、0.1当量)、及びトリエチルアミン(0.53mL、3.8mmol、0.25当量)の混合物を氷浴で冷却した。2−(2−(2−(2−アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン−1−アミン(39、3.86g、17.70mmol、1.17当量)を滴下して添加し、冷却浴を外し、混合物を5分間撹拌した。反応を55℃に温め、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライト(10g)を添加し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲル(220g)で精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から10%へと徐々に増加させて、2−(2−(2−(2−(4−((2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン−1−アミン(43、4.76g、82%)を油として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
18H
33N
5O
4についての計算値384.3;実測値384.2。
【0444】
[N−(2−(2−(2−(2−(4−((2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)メタクリルアミド(44)のための実験手順]
【化87】
CH
2Cl
2(100mL)中の2−(2−(2−(2−(4−((2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン−1−アミン(43、2.65g、6.91mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(1.16mL、8.29mmol、1.2当量)の溶液を、窒素雰囲気下で、氷浴で冷却した。塩化メタクリロイル(0.74mL、7.6mmol、1.1当量)を滴下して添加した。冷却浴を外し、反応混合物を室温で4時間撹拌した。10グラムのセライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/メタノールを用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(120g)によって精製した。メタノールの濃度を、0%から10%へと徐々に増加させて、N−(2−(2−(2−(2−(4−((2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)メタクリルアミド(44、1.50g、48%の収率)を無色の油として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
22H
37N
5O
5についての計算値452.29;実測値452.25。
【0445】
[4−((1−(2−(2−アミノエトキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)チオモルホリン1,1−ジオキシド(45)のための実験手順]
【化88】
メタノール(20mL)中の4−(プロパ−2−イン−1−イル)チオモルホリン1,1−ジオキシド(1.14g、6.58mmol、1.0当量)、トリス[(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル]−アミン(768mg、1.45mmol、0.22当量)、ヨウ化銅(125mg、0.66mmol、0.1当量)、及びトリエチルアミン(0.23mL、1.65mmol、0.25当量)の混合物を氷浴で冷却した。2−(2−アジドエトキシ)エタン−1−アミン(1.00g、7.70mmol、1.17当量)を滴下して添加し、冷却浴を外し、混合物を5分間撹拌した。反応を55℃に温め、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライト(10g)を添加し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲル(40g)で精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から9.5%へと徐々に増加させて、4−((1−(2−(2−アミノエトキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)チオモルホリン1,1−ジオキシド(45、1.86g、93%)を白色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
11H
21N
5O
4Sについての計算値304.1438;実測値304.1445。
【0446】
[N−(2−(2−(4−((1,1−ジオキシドチオモルホリノ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)エトキシ)エチル)メタクリルアミド(46)のための実験手順]
【化89】
CH
2Cl
2(100mL)中の4−((1−(2−(2−アミノエトキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)チオモルホリン1,1−ジオキシド(45、1.32g、4.35mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.73mL、5.22mmol、1.2当量)の溶液を、窒素雰囲気下で、氷浴で冷却した。塩化メタクリロイル(0.47mL、4.8mmol、1.1当量)を滴下して添加した。冷却浴を外し、反応混合物を室温で4時間撹拌した。10グラムのセライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(120g)によって精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から1.25%へと徐々に増加させて、N−(2−(2−(4−((1,1−ジオキシドチオモルホリノ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)エトキシ)エチル)−メタクリルアミド(46、0.90g、56%の収率)を無色の油として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
15H
25N
5O
4Sについての計算値372.17;実測値372.15。
【0447】
[4−((1−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)チオモルホリン1,1−ジオキシド(47)のための実験手順]
【化90】
メタノール(80mL)中の4−(プロパ−2−イン−1−イル)チオモルホリン1,1−ジオキシド(4.6g、26.55mmol、1.0当量)、トリス[(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル]−アミン(3.1g、5.84mmol、0.22当量)、ヨウ化銅(506mg、2.66mmol、0.1当量)、及びトリエチルアミン(0.93mL、6.64mmol、0.25当量)の混合物を氷浴で冷却した。2−(2−(2−アジドエトキシ)エトキシ)エタン−1−アミン(5.00g、28.68mmol、1.08当量)を滴下して添加し、冷却浴を外し、混合物を5分間撹拌した。反応を55℃に温め、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライトを添加し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲル(220g)で精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から10%へと徐々に増加させて、4−((1−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)チオモルホリン1,1−ジオキシド(47、5.26g、57%)を黄色がかった油として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
13H
25N
5O
4Sについての計算値348.1700;実測値348.1700。
【0448】
[実験手順N−(2−(2−(2−(4−((1,1−ジオキシドチオモルホリノ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)エトキシ)エトキシ)エチル)メタクリルアミド(48)]
【化91】
CH
2Cl
2(50mL)中の4−((1−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)チオモルホリン1,1−ジオキシド(47、1.49g、4.29mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.72mL、5.15mmol、1.2当量)の溶液を、窒素雰囲気下で、氷浴で冷却した。塩化メタクリロイル(0.46mL、4.7mmol、1.1当量)を滴下して添加した。冷却浴を外し、反応混合物を室温で4時間撹拌した。10グラムのセライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/メタノールを用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(80g)によって精製した。メタノールの濃度を、0%から5%へと徐々に増加させて、N−(2−(2−(2−(4−((1,1−ジオキシドチオモルホリノ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)エトキシ)エトキシ)エチル)−メタクリルアミド(48、0.67g、38%の収率)を無色の油として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
17H
29N
5O
5Sについての計算値416.20;実測値416.20。
【0449】
[4−((1−(14−アミノ−3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)チオモルホリン1,1−ジオキシド(49)のための実験手順]
【化92】
メタノール(90mL)中の4−(プロパ−2−イン−1−イル)チオモルホリン1,1−ジオキシド(5.0g、28.86mmol、1.0当量)、トリス[(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル]−アミン(3.37g、6.35mmol、0.22当量)、ヨウ化銅(550mg、2.89mmol、0.1当量)、及びトリエチルアミン(1.01mL、7.22mmol、0.25当量)の混合物を、氷浴で冷却した。14−アジド−3,6,9,12−テトラオキサテトラデカン−1−アミン(8.86g、33.77mmol、1.17当量)を滴下して添加し、冷却浴を外し、混合物を5分間撹拌した。反応を55℃に温め、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライト(15g)を添加し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)を用いて、シリカゲル(220g)で精製した。(12%(v/v)の水性水酸化アンモニウムを含有するメタノール)の濃度を、0%から10%へと徐々に増加させて、4−((1−(14−アミノ−3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)チオモルホリン1,1−ジオキシド(49、7.56g、60%)を油として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
17H
33N
5O
6Sについての計算値436.2224;実測値436.2228。
【0450】
[実験手順N−(14−(4−((1,1−ジオキシドチオモルホリノ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)−3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル)メタクリルアミド(50)]
【化93】
CH
2Cl
2(50mL)中の4−((1−(14−アミノ−3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル)チオモルホリン1,1−ジオキシド(49、1.95g、4.79mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.80mL、5.74mmol、1.2当量)の溶液を、窒素雰囲気下で、氷浴で冷却した。塩化メタクリロイル(0.51mL、5.26mmol、1.1当量)を滴下して添加した。冷却浴を外し、反応混合物を室温で4時間撹拌した。10グラムのセライトを添加し、溶剤を減圧下で除去した。残渣を、移動相としてジクロロメタン/メタノールを用いて、シリカゲルクロマトグラフィ(80g)によって精製した。メタノールの濃度を、0%から5%へと徐々に増加させて、N−(14−(4−((1,1−ジオキシドチオモルホリノ)メチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)−3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル)メタクリルアミド(50、0.76g、32%の収率)を無色の油として得た。LCMS m/z:[M+H]
+ C
21H
37N
5O
7Sについての計算値504.25;実測値504.20。
【0451】
[実施例2:例示的なポリマーの化学修飾]
ポリマー材料が、粒子(例えば、本明細書に記載のヒドロゲルカプセル)の調製の前に、式(I)の化合物(又はその薬学的に許容可能な塩)で化学修飾され得る。ポリマー材料の修飾のための例示的な化合物の合成プロトコルが、実施例1において上に概説される。これらの化合物、又はその他が、任意のポリマー材料を化学修飾するのに使用され得る。
【0452】
例えば、アルギン酸塩の場合、アルギン酸塩カルボン酸が、抗線維化化合物(afibrotic compound)、例えば、式(I)の化合物で修飾されたアルギン酸塩を得るために1つ以上のアミン官能化化合物に対するカップリングのために活性化される。アルギン酸塩ポリマーを、水(30mL/グラムポリマー)に溶解させ、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン(0.5当量)N−メチルモルホリン(1当量)で処理する。この混合物に、アセトニトリル(0.3M)中の対象とする化合物(例えば、表2に示される化合物101)の溶液を添加する。
【0453】
添加される化合物及びカップリング試薬の量は、アルギン酸塩に結合される化合物の所望の濃度、例えば、結合密度に応じて決まる。化合物101の中程度結合密度は、典型的には、2%〜5%のNの範囲である一方、化合物101の高結合密度は、典型的には、5.1%〜8%のNの範囲である。CM−LMW−Alg−101−Mediumポリマー溶液を調製するために、溶解された非修飾低分子量アルギン酸塩(およその分子量<75kDa、G:M比≧1.5)を、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン(5.1mmol/gアルギン酸塩)及びN−メチルモルホリン(10.2mmol/gアルギン酸塩)及び化合物101(5.4mmol/gアルギン酸塩)で処理する。CM−LMW−Alg−101−Highポリマー溶液を調製するために、溶解された非修飾低分子量アルギン酸塩(およその分子量<75kDa、G:M比≧1.5)を、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン(10.2mmol/gアルギン酸塩)及びN−メチルモルホリン(20.4mmol/gアルギン酸塩)及び化合物101(10.8mmol/gアルギン酸塩)で処理する。
【0454】
反応を55℃に16時間温め、次いで室温に冷却し、ロータリー蒸発で穏やかに濃縮し、次いで、残渣を水に溶解させる。混合物をシアノ修飾シリカゲル(Silicycle)ベッドを通してろ過し、ろ過ケーキを水で洗浄する。次いで、得られる溶液を、十分に透析し(10,000MWCOメンブラン)、アルギン酸塩溶液を、凍結乾燥によって濃縮して、所望の化学修飾アルギン酸塩を固体として得るか、又は25cP〜35cPの粘度を有する化学修飾アルギン酸塩溶液を生成するのに好適な任意の技術を用いて濃縮する。
【0455】
化学修飾アルギン酸塩の結合密度を、窒素パーセントの燃焼分析によって測定する。化学修飾アルギン酸塩の溶液を、水に対して24時間透析し(10,000MWCOメンブラン)、水を2回交換した後、一定重量になるまで凍結乾燥することによって、サンプルを調製する。
【0456】
[実施例3:例示的なアルギン酸塩溶液の調製]
化学修飾及び非修飾アルギン酸塩の70:30混合物。低分子量アルギン酸塩(PRONOVA(商標)VLVGアルギン酸塩、NovaMatrix、Sandvika、Norway、cat.#4200506、およその分子量<75kDa;G:M比≧1.5)を、表2中の化合物101で化学修飾して、25cp〜35cPの粘度を有する化学修飾低分子量アルギン酸塩(CM−LMW−Alg−101)溶液を生成した。高分子量非修飾アルギン酸塩(U−HMW−Alg)の溶液を、0.9%の生理食塩水に重量体積比3%で非修飾アルギン酸塩(PRONOVA(商標)SLG100,NovaMatrix,Sandvika,Norway,cat.#4202106、150kDa〜250kDaのおよその分子量)を溶解させることによって調製した。CM−LMW−Alg溶液を、70%のCM−LMW−Alg対30%のU−HMW−Algの体積比のU−HMW−Alg溶液(本明細書において70:30のCM−Alg:UM−Alg溶液と呼ばれる)と混合した。
【0457】
非修飾アルギン酸塩対照溶液。非修飾中間分子量アルギン酸塩(SLG20,NovaMatrix,Sandvika,Norway,cat.#4202006、75〜150kDaのおよその分子量)を、0.9%の生理食塩水に重量体積比1.4%で溶解させて、U−MMW−Alg溶液を調製した。
【0458】
[実施例4:単一細胞としてのカプセル化のための例示的な細胞の培養]
4A.ARPE−19細胞。これらのRPE細胞を培養し、続いて、1区画又は2区画ヒドロゲルミリカプセル中にカプセル化した。ARPE−19細胞が、当該技術分野において公知の任意の方法に従って、例えば以下のプロトコルに従って培養され得る。75cm
2の培養フラスコ中のARPE−19細胞を吸引して、培養培地を除去し、細胞層を、0.05%(w/v)のトリプシン/0.53mMのEDTA溶液(「TrypsinEDTA」)で短時間すすいで、トリプシン阻害剤を含有する血清をすべて除去した。2〜3mLのトリプシン/EDTA溶液を、フラスコに添加し、細胞を、細胞層が分散されるまで、通常、5〜15分間、倒立顕微鏡で観察した。凝集を避けるために、細胞を慎重に取り扱い、分散期間中フラスコをぶつけたり又は振ったりするのを最小限に抑えた。細胞が脱離しなかった場合、フラスコを37℃に置いて、分散を促進した。細胞が分散したら、6〜8mLの完全成長培地を添加し、細胞を、穏やかなピペッティングによって吸引した。細胞懸濁液を遠心分離管に移し、5〜10分間にわたって約125×gで遠沈して、TrypsinEDTAを除去した。上清を廃棄し、細胞を新鮮な成長培地に再懸濁させた。適切な分量の細胞懸濁液を新たな培養容器に添加し、これを37℃でインキュベートした。培地を週に2〜3回取り替えた。
【0459】
4B.HEK293F細胞。FreeStyle(商標)293 F(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)として販売されているこれらの細胞を、25mlのFreeStyle 293 Expression Mediumの作業体積を有する125mlのエルレンマイヤーフラスコを用いて、懸濁液中で成長させた。フラスコを、125RPMに設定されたシェーカープレート上で、37℃でインキュベートした。細胞を、2〜3×10
6個の細胞/mlの密度になるまで成長させ、その時点で、細胞を、2〜3×10
5個の細胞/mlの密度になるまで、典型的には3〜4日ごとに再度播種した。凝集を避けるために、細胞を慎重に取り扱い、50mlのファルコンチューブに入れ、5〜10秒間にわたってボルテックスして、細胞均質性を最大にした。細胞密度を計数した後、適切な分量の細胞懸濁液を新たな培養容器に添加した。
【0460】
[実施例5:カプセル化のための細胞クラスターの調製]
例示的な細胞(例えば、ARPE−19細胞)のスフェロイドクラスターを、AggreWell(商標)スフェロイドプレート(STEMCELL Technologies)及び本明細書に概説されるプロトコルを用いて調製した。1日目に、すすぎ液(4mL)を各プレートに添加し、プレートを大型の遠心分離機において3,000RPMで5分間にわたって遠沈した。すすぎ液をピペットによって除去し、4mLの完全成長培地を添加した。ARPE−19細胞を所望の細胞密度でプレートに播種し、ウェル当たり390万個の細胞が直径150μmのクラスターを生じるという一般的な経験則を踏まえて、凝集を防ぐために直ぐにピペッティングした。プレートを800RPMで3分間にわたって遠沈し、プレートを、一晩、培養器に入れた。
【0461】
2日目に、プレートをインキュベーションから取り外す。広径ピペットチップを用いて、細胞を穏やかにピペッティングして、スフェロイドクラスターを取り除く。クラスターを、40μm又は80μmのセルストレーナーに通してろ過して、外部の脱離した単一細胞を除去し、次に、2×1分間にわたって遠心分離機中で遠沈する。クラスターを、広径ピペットチップを用いて穏やかに再懸濁させ、穏やかに撹拌して、培地又は別の材料(例えば、アルギン酸塩)全体にわたってそれらを分配する。
【0462】
或いは、ARPE−19スフェロイドは、以下のプロトコルを用いて調製される。1日目に、AggreWell(商標)プレートを、滅菌した組織培養フード中の包装から取り出す。2mLのAggrewell(商標)すすぎ液を各ウェルに添加する。プレートを、5分間にわたって2,000gで遠心分離して、気泡を除去し、AggreWell(商標)すすぎ液をウェルから除去する。各ウェルを2mLの完全成長培地ですすぎ、200万個のARPE−19細胞を3.9mLの完全成長培地中に、各ウェルに添加する。プレートを、3分間にわたって100gで遠心分離し、次に、細胞を、37℃で48時間インキュベートする。3日目に、上記と同じプロトコルを用いて、スフェロイドクラスターを取り除く。
【0463】
[実施例6:1区画及び2区画ヒドロゲルカプセルの形成]
単一細胞(実施例4に記載されるARPE−19細胞又はHEK293F細胞)の懸濁液を、以下に記載されるプロトコルに従って、1区画又は2区画ヒドロゲルカプセル中にカプセル化した。
【0464】
カプセル化の直前に、単一細胞を、1分間にわたって1,400r.p.m.で遠心分離し、カルシウムフリーKrebs−Henseleit(KH)緩衝液(4.7mMのKCl、25mMのHEPES、1.2mMのKH
2PO
4、1.2mMのMgSO
4×7H
2O、135mMのNaCl、pH≒7.4、約290mOsm)で洗浄した。洗浄した後、細胞を再度遠心分離し、上清のすべてを吸引した。いくつかの実験では、次に、細胞ペレットを、アルギン酸塩溶液のml当たりの懸濁単一細胞のある範囲の密度で、実施例3に記載される70:30のCM−Alg:UM−Alg溶液中で再懸濁させた。いくつかの実験では、細胞を、アルギン酸塩溶液中での懸濁(例えば、希釈)なしで直接使用した(「非希釈細胞」)。
【0465】
1区画及び2区画ヒドロゲルカプセルの作製の前に、緩衝液及びアルギン酸塩溶液を、無菌プロセスを用いて0.2μmフィルタに通したろ過によって滅菌した。
【0466】
直径約1.5mmの2区画ヒドロゲルミリカプセルとして構成される粒子を調製するために、静電液滴生成装置を以下のように設定した:ESシリーズ0〜100kV、20ワット高電圧発電機(EQ series,Matsusada,NC,USA)を、同心針(22Gの内腔、18Gの外腔、Rame−Hart Instrument Co.,Succasunna,NJ,USA)の上部及び下部に連結した。内腔を、まず、5mlのルアーロックシリンジ(BD,NJ,USA)に取り付け、それを、垂直に配向されたシリンジポンプ(Pump 11 Pico Plus,Harvard Apparatus,Holliston,MA,USA)に連結した。外腔を、ルアーカップリングによって第2の5mlのルアーロックシリンジに連結し、それを、水平に配向された第2のシリンジポンプ(Pump 11 Pico Plus)に連結した。内側区画のみに細胞をカプセル化する2区画カプセルを調製する場合、細胞を含む第1のアルギン酸塩溶液(単一の細胞懸濁液として)を、第1のシリンジに入れ、細胞を含まない第2のアルギン酸塩溶液を、第2のシリンジに入れた。2つのシリンジポンプは、第1及び第2のアルギン酸塩溶液を、同心針の両方の内腔を通してシリンジから移動させ、両方のアルギン酸塩溶液を含む単一の液滴が、針から、架橋溶液を含むガラス皿中へと押し出される。各Pico Plusシリンジポンプの設定は、直径12.06mmであり、各ポンプの流量は、10ml/時に設定された総流量を保持しながら、以下の実施例の様々な試験流量を達成するように調整した。
【0467】
直径約1.5mmの1区画ヒドロゲルカプセルの作製のために、実施例3に記載される70:30のCM−Alg:UM−Alg溶液(単一細胞の懸濁液を含むか又は含まない)を、シリンジに充填し、18ゲージの平滑先端針(SAI Infusion Technologies)で蓋をした。シリンジを、架橋緩衝液を含む皿の上に垂直に配向されたシリンジポンプに入れた。高電圧発電機を針に連結し、安全キャビネットに接地した。シリンジポンプ及び発電機をオンにして、0.16mL/分又は10mL/時の流量で、10秒に12滴の滴下速度になるまで電圧を5〜9kVの範囲内で調整しながら、アルギン酸塩溶液を、針を通して押し出した。
【0468】
2区画及び1区画ミリカプセルの両方の作製のために、アルギン酸塩溶液の所望の体積の押し出しの後、アルギン酸塩液滴を、25mMのHEPES緩衝液、20mMのBaCl
2、及び0.2Mのマンニトールを含有する架橋溶液中で5分間にわたって架橋させた。いくつかの実験では、架橋溶液は、0.01%のポロキサマー188も含有していた。架橋容器の底に落下したカプセルを、コニカルチューブ中にピペッティングすることによって収集した。カプセルがチューブ中で沈降した後、架橋緩衝液を除去し、カプセルを洗浄した。細胞を含まないカプセルを、HEPES緩衝液(NaCl 15.428g、KCl 0.70g、MgCl
2・6H
2O 0.488g、2リットルの脱イオン水中の0mlのHEPES(1M)緩衝液(Gibco,Life Technologies,California,USA))で4回洗浄し、使用するまで4℃で貯蔵した。細胞をカプセル化するカプセルを、HEPES緩衝液で4回、0.9%の生理食塩水で2回、及び培養培地で2回洗浄し、37℃で培養器中に貯蔵した。
【0469】
いくつかの実験では、2区画又は1区画カプセルの組成物中のカプセルの品質を調べた。少なくとも200個のカプセルを含有するアリコートを組成物から取り、ウェルプレートに移し、アリコート全体を、全体当たりの球状カプセルの数を計数することによって、品質について光学顕微鏡法によって調べた。
【0470】
いくつかの実験では、2区画カプセルの組成物中のカプセルの機械的強度を、上述されるように、初期破壊力を決定するためのテクスチャーアナライザを用いて調べた。
【0471】
[実施例7.カプセル品質に対する細胞充填の影響の評価]
カプセル組成物(2区画カプセル又は1区画カプセルを含む)を、実施例3に記載される70:30のCM−Alg:UM−Alg溶液、及び第1の(内側)区画を形成するのに使用されるアルギン酸塩溶液中の様々な充填量の細胞を用いて、実施例6に記載されるように調製した。架橋溶液は、0.01%のポロキサマー188を含んでいた。70:30アルギン酸塩溶液から形成された等体積の第1及び第2の区画を有する2区画カプセル(直径1.5mm)を、第1及び第2のシリンジのそれぞれにおけるアルギン酸塩溶液について5ml/時の流量を用いて調製した。さらに、内側区画を、第1のシリンジ(例えば、アルギン酸塩溶液なし)中で非希釈細胞(5億個の細胞/mlに相当する濃度)を用いて形成したことを除いて、実質的に同じ方法で、2区画、1.5mmのカプセルの組成物を調製した。第VIII因子を発現する組み換えARPE19細胞を、1区画カプセル中に1000万〜5000万個の細胞/mlアルギン酸塩溶液で、又は2区画カプセル中に1000万〜5億個の細胞/mlアルギン酸塩溶液(1区画カプセルに相当する濃度)でカプセル化した。異なるカプセル組成物を、品質について調べ、結果が
図3に示される。
【0472】
1区画ミリカプセルについては、細胞充填が増加するにつれてカプセル品質(すなわち、球状の形状)が低下したことが一般に観察された。1区画ミリカプセルを含む組成物の品質は、2000万個の細胞/mlアルギン酸塩を超える細胞充填で調べられるアリコート中の95%の球状粒子の許容可能な閾値を下回っていた。2区画ミリカプセルを含む組成物は、最大で、5億個の細胞/mlアルギン酸塩溶液に相当する非希釈細胞の充填細胞量の非常に高い球状品質を有しており、この充填細胞量は、1区画粒子についての許容可能な最高細胞充填容量より約25倍高い細胞充填容量である。70:30のCM−Alg:UM−Alg及びカプセルサイズのこの特定の構成については、5億個の細胞/mlアルギン酸塩溶液に相当する細胞充填が、第1の(内側)区画についての充填の上限であるようである。従って、2区画ミリカプセルは、カプセルの球状形態に影響を与えずに、大幅に多い数の細胞のカプセル化を可能にした。
【0473】
[実施例8:第2の区画の厚さに対する流量比の影響の変化]
2区画ヒドロゲルミリカプセル(直径約1.5mm)を含む組成物を、両方の区画においてCM−Alg:U−Algの70:30混合物を用いて調製した。外腔及び内腔を通るアルギン酸塩溶液の合わせた流量を、10ml/時で一定に保った一方、これらの流量の比率を変化させて、様々な区画厚さを有するカプセルを調製した。得られたカプセル中の区画を視覚化するために、ARPE19−FVIII細胞を、第1の(内側)区画中に2000万個の細胞/mlアルギン酸塩溶液でカプセル化した。区画厚さを、画像解析によって測定した。
【0474】
外腔:内腔流量の比率を変化させることによって、1.5mmの2区画カプセルの第2の(外側)区画の平均厚さを、
図4A〜4Bに示されるように、11〜267μmで変化させた。すべての場合において、約1.5mmの球状カプセルが形成された。形成される最小の第2の(外側)区画は、直径約11μmであり、外腔:内腔流量の比率を増加させると、第2の(外側)区画厚さが、約11μmから最大267μmに増加した。従って、ヒドロゲルカプセルの第2の(外側)区画厚さが、均一な球状のミリカプセルの組成物を生成するように、内側及び外側流量を変更することによって変化され得る。
【0475】
[実施例9:粒子の機械的特性に対する、第1の区画の組成物及びサイズの変更の影響]
実施例6に記載されるように、第1及び第2のアルギン酸塩溶液を、同心針を通して押し出すことによって、2区画ヒドロゲルミリカプセルの組成物を調製した。第2の(外側)区画を、実施例3に記載される70:30のCM−Alg:U−Alg溶液を用いて調製し、第1の(内側)区画を、実施例3に記載されるU−HMW−Alg溶液を用いて調製した。全体(例えば、合わせた)流量を10ml/時に保持しながら、内側:外側流量比(I:O)を、1ml〜9ml/時間から9ml〜1ml/時間で変化させて、異なる内側及び外側区画厚さを有するミリカプセルを生成した。対照カプセル組成物も調製した。1つの対照は、同じ70:30のCM−Alg:U−Alg溶液から作製された1区画カプセルを含んでいた。第2の対照組成物は、同じU−HMW−Alg溶液から作製された1区画カプセルを含んでいた。機械的試験を、個々のカプセルの初期破壊を測定するためのテクスチャーアナライザを用いて、組成物のそれぞれからのアリコートにおいて行った。
【0476】
直径約1.5mmの2区画カプセルが、すべての条件において生成された。70:30混合物から調製された1区画カプセルは、2区画カプセル構成のすべてと比較して、最も低い初期破壊を有していた。U−HMW−Algの内側区画を有する2区画カプセルの機械的強度は、カプセル全体に対する内側区画の体積分率の増加と共に増加した(
図5を参照)。第2の対照組成物中のカプセル(1区画U−HMW−Algカプセル)は、それぞれU−HMW−Alg及び70:30のCM−Alg:U−Algから構成される内側及び外側区画を有するすべての2区画粒子より高い初期破壊を有していた。内側区画(U−HMW−Alg)の体積分率が増加するにつれて、平均初期破壊が増加した。従って、2区画ミリカプセルの内側区画の構成(アルギン酸塩の属性(identity)及び/又は厚さ)を変化させることにより、その機械的特性を変化させることができる。従って、2区画ヒドロゲルミリカプセルは、化学修飾(例えば、FBRを軽減するため)に関して同じカプセル表面を示し得るが、第1の(内側)区画におけるアルギン酸塩組成物を変化させることによって、より強い機械的強度を有し得る。
【0477】
[実施例10:第2の(外側)区画における可変量の化学修飾を有する2区画ヒドロゲルカプセルの調製]
化学修飾アルギン酸塩溶液を、化合物101の可変量のコンジュゲーションを用いて調製した。ポリマーを、低(2.03%のN)、中程度(4.42%のN)、又は高(6.72%のN)レベルの化合物101コンジュゲーションを用いて調製し、ここで、%窒素が、燃焼分析によって決定され、ポリマーにコンジュゲートされた小分子の量に相当する。2区画ヒドロゲルミリカプセルの組成物を以下のように調製した。外側区画を、(i)CM−Alg−101対U−HMW−Algの70:30の比率でU−HMW−Algと混合されたこれらのコンジュゲートポリマーのうちの1つを含む溶液又は(ii)対照として実施例3に記載されるU−MMW−Alg溶液を用いて形成した。内側区画を、U−HMW−Algと混合された中程度のCM−Alg−101コンジュゲーションを含む溶液を用いて形成した。内側及び外側流量は両方とも5ml/時であった。第1の(内側)区画を視覚化するために、2000万個のARPE19−FVIII細胞/mlアルギン酸塩溶液を、カプセルの第1の(内側)区画中にカプセル化した。
【0478】
図6A〜6Dは、第2の(外側)区画中の低、中程度、高コンジュゲーションCM−Algポリマー又は対照(非修飾)ポリマーを用いて生成されたカプセルを示す。直径約1.5mmの球状の均一なミリカプセルの組成物が、外側区画を形成するのにどのCM−ポリマー溶液を使用したかにかかわらず形成され、これは、高品質のカプセルが、第1の(内側)区画に使用される同じポリマー及び第2の(外側)区画における可変量の化学修飾を用いて調製され得ることを実証している。
【0479】
[実施例11:生体適合性に対する、第2の区画における化学修飾のレベルの変更の影響]
実施例10において調製されたヒドロゲルカプセルを、カプセルをC57/BL6マウスの腹腔内に1週間にわたって移植することによって、インビボでの線維化について調べた。このマウスモデルにおいて、ヒトRPE細胞などのカプセル化異種細胞株は、一般に、線維化反応を誘発する。回収時に、粒子を、線維化の存在について撮像し、初期破壊を、テクスチャーアナライザを用いて測定した。結果が、
図7A〜7Fに示される。
【0480】
回収時に、空のカプセル(細胞なし)は、目に見える線維化を有していなかった(
図7D)。対照カプセル(U−MMW−Alg外側区画)は、粒子を取り囲む線維化蓄積物(fibrotic buildup)を有していた(
図7E)。外側区画にCM−Alg−101を含むカプセルでは、線維化反応が、低コンジュゲーションCM−Algカプセルのみで観察され(
図7A)、最小の線維化が、中程度及び高コンジュゲーションCM−Algカプセルにおいて観察された(
図7B〜7C)。初期破壊を、移植前及び回収時に測定し、すべての2区画カプセルは、各時点で同様の初期破壊を有していた(
図7F)。従って、カプセルの第2の(外側)区画のみにおける化学修飾プロファイルを変更することを用いて、抗線維特性を調節することができ、すなわち、外側区画における式Iの化合物の濃度を増加させることにより、機械的強度に影響を与えずに線維化を大幅に軽減することができる。
【0481】
[実施例12:経時的なマクロファージ付着に対する、第2の区画における化学修飾のレベルの変更の影響]
第2の(外側)区画における可変量(低、中程度、又は高)の化学修飾を有するヒドロゲルカプセルにおける1〜4週間にわたるインビボでのマウスマクロファージ付着の程度を、以下のように調べた。カプセルを、実施例10に記載されるように調製し、実施例11と同様にC57/BL6マウスに移植し、次に、移植の1、2、及び4週間後の時点で回収した。回収時に、粒子を、免疫蛍光染色(抗F4/80)を用いてマウスマクロファージの存在について撮像した。結果が、
図9A〜9Kに示される。
【0482】
1週間の移植の後、マクロファージ付着が、陽性対照カプセル(非修飾中間分子量アルギン酸塩)及び低コンジュゲーションカプセルにおいて観察された(
図9A〜9B)。いくらかのマクロファージ付着が、中程度コンジュゲーションカプセルにおいて観察され(
図9C)、高コンジュゲーション(
図9D)、又は空のカプセル(
図9E)において最小のマクロファージ付着があった。移植の2及び4週間後の時点で、空のカプセルにおいてマクロファージ付着は存在せず(
図9H及び9K)、マクロファージ付着は、高コンジュゲーションカプセル(
図9G及び9J)と比較して、中程度コンジュゲーションカプセルにおいてより高く(
図9F及び9I)、これは、カプセルの第2の(外側)区画における化学修飾のレベルとインビボでのマクロファージ付着(線維化)との間の用量反応を実証している。
【0483】
[実施例13:線維化に対する、第2の区画における化学修飾のレベルの変更の影響]
例示的な粒子の第2の(外側)区画における化学修飾のレベルを、以下に記載される方法を用いて、線維化に対するその影響について調べた。実施例10において調製された低、中程度、及び高コンジュゲーションカプセルを使用した。さらに、中程度−高(4.79%のN)及び2倍の高さ(9.00%のN)のコンジュゲーションカプセルを、実施例10に記載される方法を用いて調製し、ここで、%窒素が、燃焼分析によって決定され、ポリマーにコンジュゲートされた小分子の量に相当する。次に、カプセルを、実施例11に記載されるようにC57/BL6マウスに移植し、移植の2週間後の時点で回収した。回収されたカプセルの線維化を、明視野イメージングを用いて分析し、ここで、カプセルの周りの不透明な層が、線維化を示す。結果が、
図10A〜10Eに示される。
【0484】
中程度コンジュゲーションを有する空のカプセルを、対照として使用し、これは、線維化を示さなかった(
図10A)。中程度コンジュゲーション又は中程度−高コンジュゲーションを有するカプセルは、高コンジュゲーションカプセル(
図10D)と比較して、より高いレベルの線維化を示した(
図10B〜10C)。2倍の高さのコンジュゲーションカプセルの多くが、回収後に無傷の球体でなく、一部は線維化しているように見え、又はサイズが減少し、顕著なカプセル破片があった(
図10E)。これは、高レベルの式(I)の化合物を含有する第2の(外側)区画が無傷でなかったことを示唆し、これは、線維化に有効に抵抗し得る式(I)の化合物の量に上限があることを実証している。
【0485】
[実施例14:機械的強度に対する、第2の区画における化学修飾のレベルの変更の影響]
実施例13に使用されるカプセルの機械的強度を、テクスチャーアナライザを用いて、初期破壊によって測定した。対照、中程度、中程度−高、高、及び2倍の高さのコンジュゲーションカプセルのそれぞれを、移植前及び移植後段階の両方で機械的強度について試験した。結果が、
図11に示される。
【0486】
初期機械的強度は、細胞を充填したカプセルと比較して、対照(空の)カプセルにおいてより高かった。中程度、中程度−高、及び高コンジュゲーションカプセルは、移植前及び移植後の両方において同様の強度を有し、移植後の強度の低下が観察された。実施例13に示されるように、最も高いレベルのコンジュゲーション(2倍の高さ)を有するカプセルが、最も弱いカプセルであり、これらのカプセルの大部分が、回収時に無傷でなかった(
図11)。これは、有効である抗線維性小分子コンジュゲーションの量に上限があり、非常に高いレベルのコンジュゲーションは機械的強度を損なうことをさらに実証している。
【0487】
[実施例15:線維化に対する、第2の(外側)区画の共有結合的及び非共有結合的な化学修飾の影響]
線維化に対する抵抗性を与えるための手段としてのヒドロゲルカプセルの第2の(外側)区画における式(I)のコンジュゲート又は非コンジュゲート化合物の間の相違を、以下の実験を用いて決定した。
【0488】
中程度及び高い量の式(I)の化合物を含むカプセルを、実施例10と同様に調製した。さらに、非コンジュゲート抗線維性小分子を特徴とする第3のタイプのカプセル(「アミンを加え戻した」と示される)を、実施例10の方法と同様の方法で調製し、ここで、カプセルの第2の(外側)区画を、式(I)の非コンジュゲート化合物を含有するアルギン酸塩溶液から作製した。この溶液は、高コンジュゲーションアルギン酸塩溶液に相当する式(I)の化合物の全体量を達成するのに必要な非コンジュゲート小分子の量を用いて、非コンジュゲート小分子を中程度コンジュゲーションアルギン酸塩溶液に添加することによって調製した。70:30のCM−Alg:U−Algを、「アミンを加え戻した」カプセルの第1の(内側)区画に使用した。次に、すべてのカプセルを、実施例11と同様にC57/BL6マウスを用いてインビボで移植し、移植の2週間後の時点で回収した。回収されたカプセルを、線維化の開始を示す付着した細胞の不透明な外層の存在を検出するために明視野顕微鏡検査を用いて撮像した。結果が、
図12A〜12Cに示される。
【0489】
中程度コンジュゲーションカプセルにおいて付着した細胞の層が観察された一方(
図12A)、高コンジュゲーションカプセルへの最小な付着のみが観察された(
図12B)。「アミンを加え戻した」カプセルも不透明に見え、これは、カプセルにおける線維化細胞付着の層を示す(
図12C)。従って、このデータは、コンジュゲート小分子のみが、カプセルの抗線維特性に寄与することを実証している。
【0490】
[実施例16:マクロファージ付着に対する、第2の区画における小分子コンジュゲーション及びポリマーブレンド比率のレベルの変更の影響]
2つのポリマーブレンドのアルギン酸塩溶液(様々な比率の低分子量アルギン酸塩(CM−LMW)対非修飾高分子量アルギン酸塩(U−HMW)を含有する)、及び可変量(中程度、中程度−高、又は高)の式(I)の化合物から調製されたカプセルを、以下の実験を用いて、インビボでのそれらの線維化抵抗性について比較した。
【0491】
3つのポリマーブレンドを、中程度、中程度−高、又は高レベルの式(I)の化合物を用いて、実施例3に記載されるように70%のCM−LMW−Alg対30%のU−HMW−Algの比率(70:30)で調製した。また、さらなる3つのポリマーブレンドを、中程度、中程度−高、又は高レベルの式(I)の化合物を同様に用いて、60%のCM−LMW−Alg対40%のU−HMW−Algの比率(60:40)で調製した。次に、各ポリマーブレンドを用いて、実施例10に記載される方法を用いて、カプセルの第2の(外側)区画を形成し、これは、70:30又は60:40の比率のポリマーブレンドのいずれかからの中程度、中程度−高、又は高レベルのコンジュゲーションを特徴とする一連の6つのヒドロゲルカプセルを提供する。すべてのカプセルの内側区画は、70:30のCM−Alg:U−Alg溶液を含んでいた。次に、カプセルを、実施例11に記載されるようにインビボで移植し、移植の1週間後の時点で回収し、免疫蛍光染色によって、カプセルにおけるマウスマクロファージ付着(線維化)について分析した。結果が、
図13A〜13Fに示される。
【0492】
付着マクロファージのレベルを低下させる傾向が、70:30(
図13A〜13C)及び60:40の比率のブレンド(
図13D〜13F)の両方にわたって、中程度ないし高コンジュゲートカプセルから観察された。また、70:30の比率のブレンドからのカプセルにおける比較的低い量のマクロファージ付着と比較して、より多い量の付着マクロファージが、60:40の比率のブレンドカプセルにおいて観察された。比率の変化が、カプセルにおける小分子の総用量に影響を与えるため、結果は、ポリマーにコンジュゲートされた小分子の量及びカプセルを調製するのに使用される化学修飾ポリマーの量が、独立して、マクロファージ付着及び線維化を変化させ得ることを示唆している。
【0493】
[実施例17:線維化反応についてのカプセル構造の比較]
FVIII−BDDを発現する単一のARPE−19細胞をカプセル化する1区画又は2区画ヒドロゲルミリカプセルの組成物を、様々な細胞充填濃度を有する実施例3に記載される70:30のCM−Alg:U−Alg溶液の液滴を架橋溶液中に押し出すことによって調製した。細胞を含まないか又はカプセル全体にわたって分散された5000個の細胞を含む1区画カプセルを、対照として調製した。2区画カプセルは、細胞を含まない第2の(外側)区画及びカプセル当たり5000又は2500個の細胞を含む第1の(内側)区画を有していた。2500及び5000個の細胞を含むカプセルを、50%:50%の外側:内側体積比を用いて調製した。2500個の細胞を含むカプセル及びより高密度の第2の(外側)区画を、75%:25%の外側:内側体積比を用いて調製した。カプセルを、0.5mlのカプセル/マウスで、C57/BL6マウスの腹腔内に移植した。カプセルを、14日後に回収し、線維化の存在又は非存在を観察するために撮像した。このマウスモデルにおいて、カプセル中の異種ARPE−19細胞が、FBRを誘発すると予想された。
【0494】
この実験の結果は、1つ又は2つの区画のいずれかを有して作製された、ARPE−19細胞をカプセル化するすべてのカプセルが、C57/BL6マウスモデルにおいて線維化されたことを示した(データは図示せず)。空の1区画対照カプセルにおいて線維化は観察されなかった。従って、C57/BL6マウスにおいて、1区画又は2区画としてのカプセルの構成は、異種RPE細胞によって誘発されるFBRに対する明らかな影響を与えなかった。
【0495】
[実施例18:2区画ヒドロゲルカプセルとして構成される例示的な粒子における細胞増殖の評価]
懸濁液中で成長するHEK293F細胞を、直径約1.5mmの2区画ヒドロゲルミリカプセルの内側区画中にカプセル化した。カプセルを、内側及び外側区画の両方を形成するために、実施例3に記載される70:30のCM−Alg:U−MW−Alg溶液を用いて調製した。内側区画中の細胞充填濃度は、2000万個のHEK293F細胞/mlであった(1.5mmの1区画カプセル中の1000万個の細胞/mlアルギン酸塩溶液に相当する)。2区画カプセルを、5ml/時の内側及び外側流量を用いて作製した。対照として、直径約1.5mmの1区画カプセルを、1000万個のHEK293F細胞/mlを含む同じ70:30のCM−Alg:U−MW−Algアルギン酸塩溶液を用いて調製した。カプセルを、7日間にわたって37℃、5%のCO
2でインキュベートし、次に、顕微鏡検査によって観察した。
【0496】
カプセル縁部の観察により、1週間の培養後に、1区画カプセルの縁部から突出する細胞の存在が示されたが、2区画カプセルでは示されなかった(
図14A〜9B)。遊離浮遊細胞及び付着細胞が、1区画カプセルを含む組織培養プレートの表面において観察され、これは、不完全なカプセル化及び/又は細胞の流出を示す(
図14C)。対照的に、1週間の培養後に、培養プレート中の2区画カプセルの外部で細胞は観察されなかった(
図14D)。HEK293F細胞の代わりにARPE19細胞を用いて1区画及び2区画カプセルを調製したときに、同様の結果が得られた(データは図示せず)。従って、2区画カプセルは、例えば、細胞の漏出又はカプセル表面を通した突出を伴わず、細胞を含む1区画カプセルより有効である。
【0497】
[実施例19:1区画及び2区画カプセルからのタンパク質放出の評価]
カプセル化細胞によって発現されるタンパク分子が2区画ヒドロゲルカプセルから放出され得るかどうかを決定するために、FVIII−BDDを発現する組み換えARPE19細胞を、2区画カプセル中にカプセル化し、タンパク質分泌を、24時間後に測定した。
【0498】
カプセルを、第1及び第2のシリンジのそれぞれにおける実施例3に記載される70:30のCM−alg:U−HMW−Alg溶液、並びに5ml/時の内側及び外側流量を用いて調製した。内側区画を調製するためのアルギン酸塩溶液は、2000万、5000万又は1億個の細胞/mlでARPE19−FVIIIを含有していた。カプセルを、公知の体積の培地中で、37℃で24時間インキュベートし、培地上清を収集し、FVIIIを、FVIII ELISAによって検出した。
【0499】
24時間後、FVIIIが、各細胞充填濃度について培地上清試料中で検出された。細胞充填濃度と2区画粒子から検出されたFVIIIの量との間の増加傾向が観察された(データは図示せず)。これらの結果は、2区画カプセルの内側区画中にカプセル化された細胞によって発現されるFVIIIが、第2の区画を通って拡散し、次に、カプセルを出ることを示唆している。
【0500】
[実施例20.カプセル中の細胞濃度が、ヌードマウスの血漿及び腹腔液中のFIXレベルを増加するために増加され得る]
単一のARPE−19:FIX細胞をカプセル化する2区画ヒドロゲルミリカプセル(1.5mm)の組成物を、様々な細胞充填濃度を有する実施例3に記載される70:30のCM−Alg:U−Alg溶液の液滴を架橋溶液中に押し出すことによって調製した。細胞を、内側区画中に200万、2000万、1億、3億個の細胞/mlアルギン酸塩でカプセル化した(1.5mmの1区画カプセル中の100万、1000万、5000万、1億5000万個の細胞/mlアルギン酸塩溶液に相当する)。カプセルを、ヌードマウスの腹腔内に移植し(0.5ml/マウス)、5日後に回収した。血漿及び腹腔液中のFIXのレベルを、ELISAによって測定した。
【0501】
カプセル化細胞濃度を変更することによって、カプセル化細胞の総数を、
図15Aに示されるように、500〜39,000個の細胞/カプセルで変化させた。すべての細胞濃度で、球状形態を有するカプセルが生成された(データは図示せず)。細胞のいくらかの増殖が、移植中に観察された(
図15A)。ELISAアッセイの検出の下限である200万個の細胞/mlを除いて、血漿及び腹腔液中のFIXのレベルが、細胞濃度の増加と共に観察された(
図15.B、C、及びデータは図示せず)。腹腔液中のFIXレベルの約10倍の増加があり、ここで、カプセルは、血漿と比較して、局所環境にある。すべての細胞濃度のカプセルが無傷で回収された(データは図示せず)。従って、腹腔及び血漿の両方におけるFIX発現についての用量反応が、内側区画を形成するのに使用される200万〜3億個の細胞/mlアルギン酸塩溶液で観察された。さらに、39,000個の細胞/カプセルの上首尾のカプセル化が、科学文献において報告されているものより大幅に多い。
【0502】
[実施例21:最適な細胞濃度が、FIXレベルを最大にし、カプセル完全性を維持した]
単一のARPE−19:FIX細胞をカプセル化する2区画ヒドロゲルミリカプセルの組成物を、前の実施例と同様に調製したが、細胞を、内側区画を形成するのに使用される1億、2億、3億及び6億4600万個の細胞/mlアルギン酸塩溶液でカプセル化した(1.5mmの1区画カプセル中の5000万、1億、1億5000万、3億2300万個の細胞/mlアルギン酸塩溶液に相当する)。カプセルを、ヌードマウスの腹腔内に移植し(0.5ml/マウス)、4週間後に回収した。腹腔液中のFIXのレベルを、ELISAによって測定した。
【0503】
カプセル化細胞濃度を変更することによって、カプセル化細胞の総数を、24,000〜54,000個の細胞/カプセルで変化させた(データは図示せず)。すべての細胞濃度で、球状形態を有するカプセルが生成された(データは図示せず)。腹腔液中のFIXのレベルが、1億5000万個の細胞/mlへの細胞濃度の増加と共に増加した(
図16A)。最も高い充填細胞濃度(6億4600万個の細胞/ml)で、FIXレベルは低く、回収されたカプセルはもはや無傷ではなかった(
図16B)。1億個の細胞/mlを用いて調製されたカプセルの大部分は、無傷で回収されたカプセルを最も多く有していた(データは図示せず)。これは、タンパク質レベルを最大にし、カプセルがその完全性を維持する最適な細胞濃度があることを実証している。
【0504】
[実施例22:直径0.75mm又は直径1.0mmの目標サイズを有する2区画カプセルの調製]
1.0mm又は0.75mmのカプセル目標サイズを有する2区画カプセル組成物を、以下の調整を伴い、前の実施例に記載されるように調製した。第2の(外側)区画を形成するのに使用されるアルギン酸塩溶液は、CM−Alg−101対U−HMW−Algの70:30の比率でU−HMW−Algと混合された中程度コンジュゲーションレベルの化合物101(例えば、実施例10に記載されるように調製される)と共にCM−Alg−101を含有していた。ヒトFVIIIを発現するように組み換えられたARPE19細胞(5000万個の細胞/ml)の懸濁液を含む同じ混合されたアルギン酸塩溶液を用いて、第1の(内側)区画を形成した。1.0mmのカプセルのカプセル目標サイズを有するカプセル組成物を、同心針(20G OD/26G ID)、7.3kVの電圧、それぞれ5mL/時の第1及び第2の区画流量、及び30〜35液/10秒のカプセル滴下速度を用いて生成した。0.75mmの目標サイズを有するカプセル組成物を、同心針(20G OD/26G ID)、約7.5kVの電圧、それぞれ5mL/時の第1及び第2の区画流量、及び35〜40滴/10秒のカプセル滴下速度を用いて調製した。
【0505】
図18A〜18Bに示されるように、内側区画に細胞を含む球状の0.75mm及び1.0mmの2区画カプセルを生成した。これらのカプセルは、内側区画中に細胞を完全にカプセル化した外側区画を有していた。従って、2区画カプセルは、0.75及び1.0mmの平均直径で調製され得る。
【0506】
[均等物及び範囲]
本出願は、それらの全体が参照により本明細書において援用されている、種々の発行された特許、公開された特許出願、学術記事、書籍、マニュアル及び他の刊行物を参照する。援用された文献のいずれかと、本明細書との間に齟齬が存在する場合、本明細書が優先されるべきである。加えて、従来技術に属する本開示の特定の実施形態のいずれかは、いずれかの1つ以上の請求項からは明示的に除外され得る。このような実施形態は技術分野における当業者に公知であるとみなされるため、これらは、本明細書において明示的に除外されていない場合においても除外され得る。本開示の特定の実施形態のいずれかは、従来技術の存在に関連しているかに関係なく、いかなる理由によってもいずれかの請求項から除外可能である。
【0507】
当業者は、多くのルーチン的な実験を行うことなく、本明細書に記載の特定の実施形態の均等物を認識又は確認可能である。本明細書に記載の本実施形態の範囲が上記の明細書、図面又は実施例に限定されることは意図されておらず、添付の特許請求の範囲に記載されているとおりであることが意図されている。当業者は、以下の特許請求の範囲において定義されているとおり、本開示の趣旨又は範囲を逸脱することなく、本記載に対する種々の変更及び修正が可能であり得ることを認めるであろう。